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特表2022-526565コンパートメント、特にCNSへの局所送達のためのFc修飾生物学的製剤
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-25
(54)【発明の名称】コンパートメント、特にCNSへの局所送達のためのFc修飾生物学的製剤
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/62 20060101AFI20220518BHJP
   A61K 38/20 20060101ALI20220518BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20220518BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20220518BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20220518BHJP
   A61P 25/16 20060101ALI20220518BHJP
   A61P 25/08 20060101ALI20220518BHJP
   A61P 31/14 20060101ALI20220518BHJP
   A61P 31/12 20060101ALI20220518BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20220518BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20220518BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20220518BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20220518BHJP
   A61P 17/06 20060101ALI20220518BHJP
   A61P 19/06 20060101ALI20220518BHJP
   A61P 7/04 20060101ALI20220518BHJP
   A61P 31/00 20060101ALI20220518BHJP
   A61P 31/16 20060101ALI20220518BHJP
   A61P 31/06 20060101ALI20220518BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20220518BHJP
   C07K 19/00 20060101ALI20220518BHJP
   C12N 15/86 20060101ALI20220518BHJP
   C07K 14/54 20060101ALN20220518BHJP
   C07K 16/28 20060101ALN20220518BHJP
   C07K 16/24 20060101ALN20220518BHJP
   C07K 16/18 20060101ALN20220518BHJP
   C07K 14/52 20060101ALN20220518BHJP
   C07K 14/705 20060101ALN20220518BHJP
   C07K 14/47 20060101ALN20220518BHJP
【FI】
C12N15/62 Z
A61K38/20 ZNA
A61P25/00
A61P35/00
A61P25/28
A61P25/16
A61P25/08
A61P31/14
A61P31/12
A61P11/00
A61P19/02
A61P29/00 101
A61P17/00
A61P17/06
A61P19/06
A61P7/04
A61P31/00
A61P31/16
A61P31/06
A61P31/04
C07K19/00
C12N15/86 Z
C07K14/54
C07K16/28
C07K16/24
C07K16/18
C07K14/52
C07K14/705
C07K14/47
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021557798
(86)(22)【出願日】2020-03-27
(85)【翻訳文提出日】2021-11-25
(86)【国際出願番号】 EP2020058876
(87)【国際公開番号】W WO2020201167
(87)【国際公開日】2020-10-08
(31)【優先権主張番号】19166231.1
(32)【優先日】2019-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】19186619.3
(32)【優先日】2019-07-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】507396301
【氏名又は名称】ウニヴェルズィテート チューリッヒ
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フォム・ベルク,ヨハネス
(72)【発明者】
【氏名】モルガー,ダミアン
(72)【発明者】
【氏名】シェルハマー,リンダ
(72)【発明者】
【氏名】ベフフィンガー,ミハウ
(72)【発明者】
【氏名】ブーフ,トルステン
【テーマコード(参考)】
4C084
4H045
【Fターム(参考)】
4C084AA02
4C084AA07
4C084BA41
4C084DA12
4C084NA13
4C084NA14
4C084ZA021
4C084ZA022
4C084ZA061
4C084ZA062
4C084ZA151
4C084ZA152
4C084ZA161
4C084ZA162
4C084ZA221
4C084ZA222
4C084ZA531
4C084ZA532
4C084ZA551
4C084ZA552
4C084ZA591
4C084ZA592
4C084ZA891
4C084ZA892
4C084ZA961
4C084ZA962
4C084ZB151
4C084ZB152
4C084ZB261
4C084ZB262
4C084ZB321
4C084ZB322
4C084ZB331
4C084ZB332
4C084ZB351
4C084ZB352
4H045AA10
4H045AA11
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA41
4H045DA01
4H045DA76
4H045EA21
4H045FA72
4H045FA74
4H045GA26
(57)【要約】
本発明は、疾患、具体的には中枢神経系に影響を及ぼす疾患の予防または処置に使用するためのIgGの結晶化可能な断片(Fc)領域を含むポリペプチドに関する。ポリペプチドは、影響されたコンパートメント、具体的には中枢神経系に局所的に投与される。Fc領域は、修飾を有し、新生児Fc受容体(FcRn)に対する親和性の低下をもたらし、その結果、ポリペプチドの血清に対する脳の濃度増加がもたらされる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中枢神経系(CNS)に影響を及ぼす疾患、具体的には原発性および二次性脳がんの予防または処置に使用するための、IL-12およびIgGの結晶化可能な断片(Fc)領域を含む融合ポリペプチドであって、
前記Fc領域は、新生児Fc受容体(FcRn)に対する親和性の低下をもたらす修飾を有し、
前記ポリペプチドは脳に投与される、融合ポリペプチド。
【請求項2】
前記ポリペプチドの血清または血漿対脳内濃度比が、FcRntgマウスの線条体への頭蓋内注射、具体的には頭蓋内ボーラス注射またはCEDの24時間後に測定可能である、
a.非修飾Fc領域を含む同一ポリペプチドの前記血清もしくは血漿対脳内濃度比の最大2/3、または
b.Fc領域もペプチドリンカーも含まない同一ポリペプチドの前記血清もしくは血漿対脳内濃度比の最大1/8
から選択される所定の閾値未満である、請求項1に記載の中枢神経系に影響を及ぼす疾患の予防または処置に使用するためのポリペプチド。
【請求項3】
前記ポリペプチドのFcRnに対する前記親和性の低下が、
a.非修飾Fc領域を含む同一ポリペプチドへのFcRnの結合を特徴付ける解離定数(K)と比較して、少なくとも2倍、具体的には少なくとも3倍、より具体的には少なくとも4倍、さらにより具体的には少なくとも5倍増加したK、および
b.異なる修飾を受けたFc領域、すなわちIAQおよびAAAから選択される1つの突然変異体を含む同一ポリペプチドへのFcRnの結合を特徴付けるKと比較して、少なくとも1.5倍、具体的には少なくとも2倍増加したK
から選択されるKによって特徴付けられる、上記請求項のいずれか1項に記載の中枢神経系に影響を及ぼす疾患の予防または処置に使用するためのポリペプチド。
【請求項4】
前記頭蓋内送達が、
a.対流増強送達(CED)を含む単回、断続的もしくは連続的な局所注入、
b.髄腔内または脳室内投与、
c.前記ポリペプチドのインサイチュでの生成、
d.埋め込み型徐放性製剤からの放出、
e.前記CNSへの分子輸送、
f.前記CNSへの細胞輸送、または
g.鼻腔内適用後の前記CNSへの輸送
から選択される方法によって行われる、上記請求項のいずれか1項に記載の中枢神経系に影響を及ぼす疾患の処置または予防に使用するためのポリペプチド。
【請求項5】
中枢神経系に影響を及ぼす前記疾患が、悪性疾患、具体的には神経膠腫、より具体的には高悪性度神経膠腫(HGG)である、上記請求項のいずれか1項に記載の中枢神経系に影響を及ぼす疾患の処置または予防に使用するためのポリペプチド。
【請求項6】
前記Fc領域がヒトFc領域、またはヒトアミノ酸配列を含むキメラFc領域であり、253位の突然変異、具体的にはI253AまたはI253N、より具体的にはI253Nを有する、上記請求項のいずれか1項に記載の中枢神経系に影響を及ぼす疾患の予防または処置に使用するための前記ポリペプチド。
【請求項7】
前記Fc領域が、配列番号002(IAQ)、配列番号003(AHQ)、配列番号004(NHQ)、配列番号005(AAQ)、配列番号006(NAQ)、配列番号007(AHH)、配列番号008(NHH)、配列番号009(AAH)、配列番号010(NAH)、配列番号011(NAA)、配列番号012(NAE)、配列番号013(AAA)もしくは配列番号014(AAE)によって特徴付けられる配列であるかまたはそれを含む、上記請求項のいずれか1項に記載の中枢神経系に影響を及ぼす疾患の予防または処置に使用するための前記ポリペプチド。
【請求項8】
前記Fc領域が、配列番号004(NHQ)、配列番号005(AAQ)、配列番号006(NAQ)、配列番号012(NAE)もしくは配列番号014(AAE)によって特徴付けられる配列であるかまたはそれを含み、具体的には前記Fc領域が配列番号004(NHQ)によって特徴付けられる配列であるかまたはそれを含む、上記請求項のいずれか1項に記載の中枢神経系に影響を及ぼす疾患の予防または処置に使用するための前記ポリペプチド。
【請求項9】
IgGの結晶化可能な断片(Fc)領域を含み、好ましくはIL-12;またはVEGFR、Ang2、TNFα、IL-17、PD-1、PD-L1のいずれか1つに結合するポリペプチド、より好ましくはVEGFR、Ang2、TNFα、IL-17のいずれか1つに結合するポリペプチドをさらに含む、眼に影響を及ぼす疾患、具体的には眼に影響を及ぼす腫瘍性疾患の予防または処置に使用するためのポリペプチドであって、前記Fc領域は、前記新生児Fc受容体(FcRn)に対する親和性の低下をもたらす修飾を有し、前記Fcは、前記突然変異I253NおよびH435Qおよび310位にHを含み、前記ポリペプチドは、眼内投与によって眼に送達される、ポリペプチド。
【請求項10】
IgGの結晶化可能な断片(Fc)領域を含み、好ましくはIL-12;またはTNFα、IL-1RA、IL-6R、IL-6、CD27、IL-22、IL-17、CD27のいずれか1つに結合するポリペプチド、より好ましくは、TNFα、IL-1RA、IL-6R、IL-6、CD27のいずれか1つに結合するポリペプチドをさらに含む、関節に影響を及ぼす疾患の予防または処置に使用するためのポリペプチドであって、前記Fc領域は、前記新生児Fc受容体(FcRn)に対する親和性の低下をもたらす修飾を有し、前記Fcは、前記突然変異I253NおよびH435Qおよび310位にHを含み、前記ポリペプチドは、関節内投与によって前記関節に送達される、ポリペプチド。
【請求項11】
IgGの結晶化可能な断片(Fc)領域を含み、好ましくはIL-12もしくはIL-10、またはIL-4RA、TNFα、IL-5、IL-6R、PD-1、PD-L1、CTLA-4、IL-8、IL-21R、CD25、CD20、NF-kBのいずれか1つに結合するポリペプチド;より好ましくはIL-4RA、TNFα、IL-5、IL-6R、PD-1、PD-L1、CTLA-4のいずれか1つに結合するポリペプチドをさらに含む、肺に影響を及ぼす疾患の予防または処置に使用するためのポリペプチドであって、前記Fc領域は、前記新生児Fc受容体(FcRn)に対する親和性の低下をもたらす修飾を有し、前記Fcは、前記突然変異I253NおよびH435Qおよび310位にHを含み、前記ポリペプチドは、吸入により肺に送達される、ポリペプチド。
【請求項12】
IgGの結晶化可能な断片(Fc)領域を含み、具体的にはIL-12をさらに含む、医薬として使用するためのポリペプチドであって、前記Fc領域が、新生児Fc受容体(FcRn)に対する親和性の低下をもたらす修飾を有し、前記Fcが、突然変異I253NおよびH435Qおよび310位にHを含む、ポリペプチド。
【請求項13】
前記Fc領域が配列番号004(NHQ)であるかまたはそれを含む、請求項9~12のいずれか1項に記載の疾患の予防または処置に使用するためのポリペプチド。
【請求項14】
IgGのFc領域を含むポリペプチドであって、前記Fc領域が、前記新生児Fc受容体(FcRn)に対する親和性の低下をもたらす修飾を有し、前記Fc領域は、配列番号002(IAQ)、配列番号003(AHQ)、配列番号004(NHQ)、配列番号005(AAQ)、配列番号006(NAQ)、配列番号007(AHH)、配列番号008(NHH)、配列番号009(AAH)、配列番号010(NAH)、配列番号011(NAA)、配列番号012(NAE)、配列番号013(AAA)もしくは配列番号014(AAE)によって特徴付けられる配列であるかまたはそれを含むポリペプチド。
【請求項15】
前記Fc領域が、配列番号004(NHQ)、配列番号005(AAQ)、配列番号006(NAQ)、配列番号012(NAE)または配列番号014(AAE)によって特徴付けられる配列であるかまたはそれを含み、具体的には前記Fc領域が配列番号004(NHQ)によって特徴付けられる配列であるかまたはそれを含む、請求項14に記載のポリペプチド。
【請求項16】
前記ポリペプチドが、
a.i.エフェクターポリペプチド、および
ii.前記Fc領域
を含む融合タンパク質;または
b.前記Fc領域を含む抗体もしくは抗体様分子
から選択される、請求項14または15に記載のポリペプチド。
【請求項17】
前記エフェクターポリペプチドが、hIL-12、IL-10、IL-2、IL-7、IFNα、IFNβ、IFNγ、IL-15、TNFα、CTLA-4、TGFβ、TGFβRII、GDNF、hIL-35、CD95、IL-1RA、IL-4、IL-13、SIRPα、G-CSF、GM-CFS、OX40L、CD80、CD86、GITRL、4-1BBL、EphrinA1、EphrinB2、およびEphrinB5、BDNF、C9orf72、NRTN、ARTN、PSPN、CNTF、TRAIL、IFNα、IFNβ、IL-4、IL-3、IL-1、IL-5、IL-8、IL-18、IL-21、CCL5、CCL21、CCL10、CCL16、CX3CL1、ならびにCXCL16から選択され、具体的には前記エフェクターポリペプチドがhIL-12である、請求項16に記載のポリペプチド。
【請求項18】
前記抗体または抗体様分子が、PD-L1、TNFα、ヒストン、IFNγ、CXCL10、CTLA4、PD-1、OX40、CD3、CD20、CD22、CD25、CD28、TREM2、IL-6、CX3CR1、Nogo-A、CD27、IL-12、IL-12Rb1、IL-23、CD47、TGFβ、EGFR、EGFRvIII、Her2、PDGFR、TGFR、FGFR、IL-4、IL-4RA、TfR、LfR、IR、LDL-R、LRP-1、CD133、CD111、VEGFR、VEGF-A、Ang-2、IL-10、IL-10R、IL-13Rα2、α-シヌクレイン、CSF1R、GITR、TIM-3、LAG-3、TIGIT、BTLA、VISTA、CD96、4-1BB、CCL2、IL-1 or IL-1R、EphA2、EphA3、EphB2、EphB3、およびEphB4、LINGO-1、L1CAM、NCAM、CD147、SOD-1、SIGMAR-1、SIGMAR-2、TDP-43、Aβ、Tau、IFNα、IFNβ、TRPM4、ASIC1、VGCCs、CB、TTR、HTT、JCV、およびC9orf72から選択される分子に特異的に結合する抗体または抗体様分子から選択され、具体的には前記抗体または抗体様分子が、PD-L1、OX40、CD47、およびNogo-Aから選択される分子に特異的に結合する抗体である、請求項16に記載のポリペプチド。
【請求項19】
前記ポリペプチドが、前記Fc領域を含むかもしくはそれに連結された抗体または抗体様分子であり、好ましくは、前記抗体または抗体様分子が、同時に2つの抗原に結合することができる二重特異性構築物であり、具体的には前記二重特異性抗体または抗体様分子が、アゴニスト様式でPD-L1およびIL-12受容体に結合する、請求項14~18のいずれか1項に記載のポリペプチド。
【請求項20】
脳がん、脳卒中、認知症、パーキンソン病、アルツハイマー病、多発性硬化症、てんかん、および外傷性CNS損傷から選択される疾患の処置に使用するための、請求項14~19のいずれか1項に記載のポリペプチド。
【請求項21】
コロナウイルス疾患2019、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス(SARS-CoV)によって引き起こされる疾患、重症急性呼吸器症候群、喘息、アレルギー性喘息、重篤なコントロール不良の喘息、線維症、嚢胞性線維症、慢性閉塞性肺疾患、インフルエンザ、肺水腫、サルコイドーシス、肺がん、結核、ヒトオルトニューモウイルス、腺ペスト、肺ペスト、炭疽、肺における侵襲性真菌疾患、肺線維症、呼吸器合胞体ウイルス、鼻ポリープを伴う慢性鼻副鼻腔炎、間質性肺疾患、特発性肺線維症、および肺パラコクシジオイデス症によって引き起こされる疾患から選択される疾患の処置に使用するための、請求項11または請求項14~19のいずれか1項に記載のポリペプチド。
【請求項22】
関節リウマチ、若年性関節リウマチ、痛風、偽痛風、変形性関節症、慢性血友病性滑膜炎、乾癬性関節炎、および強直性脊椎炎から選択される疾患の処置に使用するための、請求項10または請求項14~19のいずれか1項に記載のポリペプチド。
【請求項23】
ブドウ膜黒色腫、ブドウ膜炎、および湿性黄斑変性から選択される疾患の処置に使用するための、請求項9または請求項14~19のいずれか1項に記載のポリペプチド。
【請求項24】
請求項14~23のいずれか1項に記載のポリペプチドをコードする核酸。
【請求項25】
請求項24に記載の核酸を含むウイルスベクター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新生児Fc受容体(FcRn)に対して低い親和性を有するFcポリペプチドによって特徴付けられる局所的に送達される生物学的医薬、具体的には神経疾患における使用に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、ヨーロッパと米国における神経疾患の発生率は、人口10万人あたり200例を超えており、人口の高齢化により、さらに増加することが予想されている。前臨床研究の進歩は、サイトカイン療法(例えば、脳腫瘍ではIL-12、MSではIL-10)、ならびに中和抗体(例えば、MSにおけるインターロイキン(IL)-12/23p40に対する、パーキンソン病およびアルツハイマー病における腫瘍壊死因子α(TNFα)に対する)または免疫チェックポイント遮断分子(例えば、脳腫瘍におけるPD-1/PD-L1軸の遮断)を含む神経疾患の局所処置のための多くの有望な標的を提供する。
【0003】
免疫療法は、脳腫瘍処置において最も有望な方向の1つである。インターロイキン(IL)-12は炎症誘発性サイトカインであり、前臨床モデルにおいて脳腫瘍に対して強力な抗腫瘍効果を有する。有望な前臨床試験の結果に基づき、IL-12を用いた静脈内(i.v.)適用した全身処置として90年代後半に臨床試験が急速に開始された。しかしながら、第II相臨床試験では重篤な有害事象が報告され、17人の患者のうち12人が入院し、2人が死亡した。これらの有害作用は、その後、IL-12下流のエフェクターサイトカインであるインターフェロン(IFN)-γの高全身レベルの急速な誘導に起因している。
【0004】
全身的に適用されるIL-12の毒性および腫瘍部位での高濃度の必要性を考慮すると、組織中のIL-12レベルを厳密に制御することは、臨床適用の必須の前提条件である。脳への局所投与は、最近、対流増強送達(CED)などの新しい神経外科技術を用いることによって可能になった。しかしながら、局所頭蓋内送達は、その後の全身性漏出を除外しない。
【0005】
IL-12の一本鎖融合タンパク質であるマウスIL-12Fc、および免疫グロブリンGの結晶化可能な断片(Fc)は、非修飾の組換えIL-12と比較して、薬理学的安定性の増加、生物学的利用能の増加、および脳からの受動的漏出の減少を示す。しかしながら、脳への局所送達後、脳脊髄液からのFc領域を含むすべてのタンパク質の排出を仲介する新生児Fc受容体(FcRn)により、血液脳関門(BBB)を通過して能動的に排出される。FcRnはまた、内皮細胞および赤脾髄マクロファージにおいても活性であり、分解を防止し、Fc含有分子および血清アルブミンの血清半減期を延長する。したがって、非修飾IL-12と比較して、IL-12Fcは全身蓄積の増加を示す。
【0006】
FcRn結合に関与することが公知であるIgG Fc残基(イソロイシン253-I253、ヒスチジン310-H310およびヒスチジン435-H435)、ならびにこれら残基とFcRnの間の相互作用のpH依存性は、技術水準から公知である(Pyzikら、Frontiers in Immunology(2019年)10巻:1540頁)。
【0007】
例えば、Bitontiらは、野生型IgGのFcドメイン中の残基I253、H310およびH435をそれぞれアラニン253-A253、A310およびA435(AAA)に突然変異させると、pH6でのFcRn結合の無効をもたらすことを報告した(Bitontiら、Proceedings of the National Academy of Sciences(2004年)101巻(26号):9763~9768頁)。
【0008】
しかしながら、アミノ酸のアラニンへの置換は、目的のタンパク質内の所定の位置における機能的役割をスクリーニングする一般的な生化学的方法である。この1つの特定の突然変異(AAA)とは別に、本論文は、FcRnへの結果として生じる結合特性について結論を引き出すことができる他のいずれの突然変異も開示していない。さらに、本論文は、ヒト以外の霊長類の肺において、赤血球産生を刺激する糖タンパク質ホルモン剤であるエリスロポエチン(Epo)を含むFc融合タンパク質のFcRn媒介輸送を扱う。本論文は、IL-12を含む融合ポリペプチドへの結果の適用性および脳へのFc融合ポリペプチドの投与に関して、それぞれ何ら言及していない。
【0009】
IL-12を含む融合ポリペプチドおよびそれらの血清半減期を増加させる方法を実際に扱った刊行物がある。
【0010】
例えば、Jungらは、Fcγ受容体への親和性を低下させるA107突然変異対を有するIL-12およびヒトIgG4ベースのヘテロ二量体Fcを含む融合ポリペプチドの生成および抗腫瘍活性を記載する(Jungら、Oncoimmunology、7巻(7号):e1438800)。
【0011】
しかしながら、Fcガンマ受容体(FcγR)ファミリーは、抗体の定常領域、すなわち、構造の相違はあるがFc部分への結合、Fc部分における非重複結合部位、細胞の異なるコンパートメントにおける局在(細胞内対細胞外)、pH依存性結合(酸性対中性)、および全体的機能によって特徴付けられるタンパク質の機能的なグループであるため、FcRnはFcγRと同等ではないことが明らかである。
【0012】
最新技術の別の例では、組織保持および全身循環への漏出に関して、組換えIL-12とIL-12Fcの間で比較がなされている(Beffingerら、Neuro-Oncology(2017年)、19(補遺6)、vi273)。そこでは、著者らは、IL-12Fcが、組換えIL-12と比較して、頭蓋内適用の24時間後に高い脳内濃度を示したと述べている。
【0013】
しかしながら、本研究は、IgGのFc領域に突然変異を有する融合ポリペプチド、またはFcRnへの結合における効果を開示していない。
【0014】
Cooperらは、野生型IgGのFcと比較して、FcRn結合の増加(IgG1アスパラギン434からアラニンへ、N434A)またはFcRn結合の減少(IgG1ヒスチジン435からアラニンへ、H435A)のいずれかを有する組換えヒトIgG1 mAbの2つのバリアントの局所送達によるラット脳からのIgG排出におけるFcRnの役割を研究した(Cooperら、Brain Research(2013年)1534巻:13~21頁)。突然変異体は、それぞれ434および435アミノ酸位置に突然変異を組み込むことによって得られた。本研究は、ヒト抗体を用いてラットにおいて実施された。
【0015】
Fc突然変異体のFcRnのマウスおよびヒト型に対する結合特性に関して、Andersenらは、Ile253、His310およびHis435のレベルで突然変異を有する5つの異なるFc突然変異体、すなわち、H435Q、H435R、H310A、I253A、およびH310A/H435Qを開示した(Andersenら、Journal of Biological Chemistry(2012年)287巻(27号):22927~22937頁)。ヒトFcRnに対する最も低い親和性を特徴とするバリアントは、H310AとH435Q突然変異(IAQ)の両方を有する突然変異体であった。
【0016】
本明細書において言及される最後の2つの研究は、FcRnがラット脳からのIgGの排出において重要な役割を果たし、それぞれFcRnに対する親和性が低下した別個の突然変異体を開示することを示したとしても、これらの研究のいずれも、IL-12Fcの存在がFcRnへの結合にどのように影響を及ぼしたかを評価するための根拠として役立たない。さらに、最大脳対血中濃度勾配を生成するという概念は開示されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
上述の技術水準に基づいて、本発明の目的は、特定のコンパートメント、具体的には脳に局所的に送達される医薬品の治療ウインドウを拡大し、上記コンパートメント、具体的には脳からの排出と全身蓄積の両方を防止し、それによってコンパートメント対血清比、具体的には脳対血清比を増加させる手段および方法を提供することである。この目的は、本明細書の特許請求の範囲によって達成される。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本明細書の文脈において、結晶化可能な断片(Fc)領域という用語は、ジスルフィド結合によってまたは単一の重鎖断片に共有結合された2つの同一の重鎖断片を含むIgG抗体の画分を指す。重鎖断片は、定常ドメイン(IgG抗体イソタイプにおけるC2およびC3ドメイン)から構成される。
【0019】
本明細書の文脈において、EU番号付けシステム(Edelmanら、Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America(1969年)63巻(1号):78~85頁)は、Fc領域のアミノ酸残基の番号付けに使用される。EU番号付けスキームは、一貫した方法で抗体中の残基に番号付けするために広く採用されている標準である。
【0020】
アミノ酸配列はアミノ末端からカルボキシル末端へ与えられる。配列位置について大文字は、1文字コードのL-アミノ酸を指す(Stryer、Biochemistry、第3版、21頁)。アミノ酸配列の位置について小文字は、対応するD-または(2R)-アミノ酸を指す。
【0021】
アミノ酸残基I253、H310およびH435は、C2-C3ドメイン界面に位置し、ヒトIgG3におけるR435を除き、種内のIgGサブクラスにわたって、およびげっ歯類とヒトの両方に見られるIgG分子間で保存されている(Miyakawaら、RNA(2008年)14巻:1154~1163頁)。本発明によれば、修飾Fc領域またはそれらの断片は、IgG1、IgG2またはIgG4免疫グロブリンに由来することができ、EU番号付けシステムに従って、免疫グロブリンG(IgG)のFcドメインの少なくともアミノ酸残基253、310および435を含む必要がある。
【0022】
本明細書の文脈において、IL-12はインターロイキン12を指す。
本明細書の文脈において、hIL-12はヒトIL-12に関する。
【0023】
本明細書の文脈において、mIL-12はマウスIL-12に関する。
本明細書の文脈において、rhIL-12は組換えヒトIL-12に関する。
【0024】
本明細書の文脈において、rmIL-12は組換えマウスIL-12に関する。
本明細書の文脈において、IL-12Fc WTは、野生型の非修飾Fc領域に、具体的にはGly-Ser-リンカーによるp40とp35の融合によって、またはIgG4タグの添加によって、連結されたIL-12に関する。
【0025】
本明細書の文脈において、mIL-12hFc WTは、S228P突然変異を含むIgG4のヒト野生型Fc領域に連結されたマウスIL-12に関する。
【0026】
本明細書の文脈において、mIL-12hFc NHQは、NHQ突然変異と同様に、セリン228からプロリン-S228Pを含有するIgG4のヒト野生型Fc領域に連結されたマウスIL-12に関する。
【0027】
本明細書の文脈において、mIL-12hFc:抗PD-L1二官能性分子は、ヒトIgG1 Fcに連結され、完全ヒトPD-L1結合IgG1抗体の半分子(1つの重鎖および1つの軽鎖)で二量化されたマウスIL-12に関する。得られた分子のFc部分は、NHQ突然変異を含む。
【0028】
本明細書の文脈において、FcRntgは、機能的マウスFcRnを欠損し、対立遺伝子記号Tg(FCGRT)32Dcrにより記載される天然のヒト調節エレメントの制御下でヒトFcRnα鎖の発現のための導入遺伝子を担持するマウス株に関する。
【0029】
本発明の文脈において、IL-12ポリペプチドは、p35(Uniprot ID 29459)の配列またはその機能的相同体を含み、およびp40(Uniprot ID29460)の配列またはその機能的相同体を含むアミノ酸配列を有するポリペプチドである。一実施形態では、IL-12ポリペプチドは、同じ連続アミノ酸鎖の一部として、p35とp40配列またはそれらの相同体を含むアミノ酸配列を有する。上記連続アミノ酸鎖において、N末端ポリペプチド(p40)機能的相同体のみがシグナルペプチドを保持する。別の実施形態では、IL-12ポリペプチドは、2つの異なるアミノ酸鎖を含み、1つはp35配列を含み、別の1つはp40配列を含み、両方とも個々のシグナルペプチドを有する。IL-12ポリペプチドは、IL-12の生物学的活性を有する。本発明の文脈におけるIL-12の生物学的活性は、上記IL-12ポリペプチドによるNKまたはT細胞の刺激、最も具体的にはパーフォリンを介して作用するTエフェクター細胞の刺激を含む。
【0030】
本明細書の文脈において、配列同一性なる用語および配列同一性のパーセンテージなる用語は、2つの整列された配列を比較することによって決定される値を指す。比較のために配列を整列させる方法は、当該技術分野において周知である。比較のための配列の整列は、SmithおよびWaterman、Adv.Appl.Math.、2巻:482頁(1981年)の局所相同アルゴリズムによって、NeedlemanおよびWunsch、J.Mol.Biol.、48巻:443頁(1970年)のグローバル整列アルゴリズムによって、PearsonおよびLipman、Proc.Nat.Acad.Sci.、85巻:2444頁(1988年)の類似性法の検索によって、またはこれらのアルゴリズムのコンピュータ化された実装によって行うことができ、限定されないが、CLUSTAL、GAP、BESTFIT、BLAST、FASTAおよびTFASTAが含まれる。BLAST分析を行うためのソフトウェアは、例えば、National Center for Biotechnology-Information(http://blast.ncbi.nlm.nih.gov/)を通じて公衆に利用可能である。
【0031】
アミノ酸配列の比較の一例は、デフォルト設定:期待閾値:10;ワードサイズ:3;クエリー範囲における最大マッチ:0;マトリックス:BLOSUM62;ギャップコスト:存在:11、拡張:1;組成調整:条件付き組成スコアマトリックス調整を使用するBLASTPアルゴリズムである。核酸配列の比較のためのこのような例の1つは、デフォルト設定:期待閾値:10;ワードサイズ:28;クエリー範囲における最大マッチ:0;マッチ/ミスマッチスコア:1.-2;ギャップコスト:リニアを使用するBLASTNアルゴリズムである。
【0032】
特に断らない限り、本明細書で提供される配列同一性値は、プログラムのBLASTスイート(Altschulら、J.Mol.Biol.、215巻:403~410頁(1990年))を使用して得られる値を指し、それぞれタンパク質および核酸の比較のために、上記で同定されたデフォルトパラメーターを使用する。
【0033】
本明細書の文脈において、IL-10はインターロイキン10を指す。ある種の実施形態では、IL-10は、炎症、自己免疫炎症、認知症または脳卒中の処置に採用される。ある種の実施形態では、IL-10を中和することは、肺パラコクシジオイデス症の処置に採用される。
【0034】
本明細書の文脈において、IL-2はインターロイキン2を指す。ある種の実施形態では、IL-2は、がんおよび感染症の処置に採用される。
【0035】
本明細書の文脈において、IL-7はインターロイキン7を指す。ある種の実施形態では、IL-7は、がんおよび感染症の処置に採用される。
【0036】
本明細書の文脈において、IFNγはインターフェロンガンマを指す。ある種の実施形態では、IFNγは、がんおよび感染症の処置に採用される。
【0037】
本明細書の文脈において、IL-15はインターロイキン15を指す。ある種の実施形態では、IL-15は、がんおよび感染症の処置に採用される。
【0038】
本明細書の文脈において、IL-23はインターロイキン23を指す。ある種の実施形態では、IL-23は、がんおよび感染症の処置に採用される。
【0039】
本明細書の文脈において、TNFαは腫瘍壊死因子アルファを指し、悪液質(cachexin)または悪液質(cachectin)としても公知である。ある種の実施形態では、TNFαは、がんおよび感染症の処置に採用される。ある種の実施形態では、TNFαを遮断することは、炎症、自己免疫炎症および関節炎の処置に採用される。ある種の実施形態では、TNFαの遮断は、ブドウ膜炎の処置に採用される。ある種の実施形態では、TNFαの遮断は、関節リウマチの処置に採用される。ある種の実施形態では、TNFαの遮断は、サルコイドーシスの処置に採用される。ある種の実施形態では、TNFαを遮断することは、嚢胞性線維症の処置に採用される。
【0040】
本明細書の文脈において、CTLA-4は、細胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質4を指し、CD152としても公知である。ある種の実施形態では、CTLA-4を遮断することは、がんの処置に採用される。ある種の実施形態、CTLA-4の遮断は、肺がんの処置に採用される。
【0041】
本明細書の文脈において、TGFβは形質転換増殖因子ベータを指す。ある種の実施形態では、TGFβを遮断することは、がんおよび感染症の処置に採用される。ある種の実施形態では、TGFβは、炎症、自己免疫炎症、認知症および脳卒中の処置に採用される。ある種の実施形態では、TGFβアンタゴニストは、嚢胞性線維症の処置に採用される。
【0042】
本明細書の文脈において、TGFαは形質転換成長因子アルファを指す。ある種の実施形態では、TGFαアンタゴニストは、嚢胞性線維症の処置に採用される。
【0043】
本明細書の文脈において、TGFβRIIは、形質転換増殖因子ベータ受容体IIを指すある種の実施形態では、TGFβRIIを遮断することまたはTGFβRII-Fcを使用することは、がんおよび感染症の処置に採用される。
【0044】
本明細書の文脈において、GDNFはグリア細胞株由来の神経栄養因子を指す。ある種の実施形態では、GDNFは、多発性硬化症、パーキンソン病、認知症、脳卒中および遺伝性障害の処置に採用される。
【0045】
本明細書の文脈において、IL-35はインターロイキン35を指す。ある種の実施形態では、IL-35は、炎症、自己免疫炎症、認知症および脳卒中の処置に採用される。
【0046】
本明細書の文脈において、CD95はFasを指し、FasR、アポトーシス抗原1、APO-1、APT、またはTNFRスーパーファミリーメンバー6としても公知である。ある種の実施形態では、CD95を遮断することは、がんの処置に採用される。
【0047】
本明細書の文脈において、IL-1RAはインターロイキン1受容体アンタゴニストを指す。ある種の実施形態では、IL-1RAは、炎症、自己免疫炎症、関節リウマチ、痛風、偽痛風認知症および脳卒中の処置に採用される。ある種の実施形態では、IL-1RAの遮断は、関節リウマチの処置に採用される。
【0048】
本明細書の文脈において、IL-4はインターロイキン4を指す。ある種の実施形態では、IL-4は、炎症、自己免疫炎症、認知症および脳卒中の処置に採用される。
【0049】
本明細書の文脈において、IL-13はインターロイキン13を指す。ある種の実施形態では、IL-13は、炎症、自己免疫炎症、認知症および脳卒中の処置に採用される。ある種の実施形態では、中和抗IL-13は、重篤なコントロール不良の喘息の処置に採用される。ある種の実施形態では、IL-13を遮断することおよび/または中和することは、鼻ポリープを伴う慢性鼻副鼻腔炎の処置に採用される。ある種の実施形態では、IL-13アンタゴニストは、特発性肺線維症の処置に採用される。
【0050】
本明細書の文脈において、TSLPは、サイトカインファミリーに属するタンパク質である胸腺間質リンホポエチンを指す。ある種の実施形態では、TSLPを中和することは、アレルギー性喘息の処置に採用される。ある種の実施形態では、TSLPを遮断することおよび/または中和することは、鼻ポリープを伴う慢性鼻副鼻腔炎の処置に採用される。
【0051】
本明細書の文脈において、SIRPαはシグナル調節タンパク質アルファを指す。ある種の実施形態では、SIRPαは、がんの処置に採用される。
【0052】
本明細書の文脈において、G-CSFは、顆粒球-コロニー刺激因子(G-CSFまたはGCSF)を指し、コロニー刺激因子3(CSF3)としても公知である。ある種の実施形態では、G-CSFは、がんの処置に採用される。
【0053】
本明細書の文脈において、GM-CSFは、顆粒球-マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)を指し、コロニー刺激因子2(CSF2)としても公知である。ある種の実施形態では、GM-CSFは、がんの処置に採用される。ある種の実施形態では、GM-CSFを遮断することは、多発性硬化症の処置に採用される。
【0054】
本明細書の文脈において、GM-CSFRは、顆粒球-マクロファージコロニー刺激因子受容体(GM-CSFR)を指し、CD116(分化抗原群116)としても公知であり、白血球の生産を刺激する顆粒球-マクロファージコロニー刺激に対する受容体を指す。ある種の実施形態では、GM-CSFRを遮断することは、関節リウマチの処置に使用される。
【0055】
本明細書の文脈において、OX40Lは、OX40のリガンドを指し、CD134のリガンドとしても公知である。ある種の実施形態では、OX40Lは、がんの処置に採用される。
【0056】
本明細書の文脈において、CD80はB7-1を指し、B7.1としても公知である。ある種の実施形態では、CD80は、がんの処置に採用される。
【0057】
本明細書の文脈において、CD86はB7-2を指し、B7.2としても公知である。ある種の実施形態では、CD86は、がんの処置に使用される。
【0058】
本明細書の文脈において、GITRLは、TNFSF18、AITRAIL、TL6、TNLG2A、TNFスーパーファミリーメンバー18を指す。ある種の実施形態では、GITRLは、がんの処置に採用される。
【0059】
本明細書の文脈において、4-1BBLは4-1BBのリガンドを指し、ILAのリガンドまたはCD137のリガンドまたはTNFRスーパーファミリーメンバー9のリガンドとしても公知である。ある種の実施形態では、4-1BBは、がんの処置に採用される。
【0060】
本明細書の文脈において、EphrinA1はEFNA1を指す。ある種の実施形態では、EphrinA1は、がんの処置に採用される。
【0061】
本明細書の文脈において、EphrinB2はEFNB2を指す。ある種の実施形態では、EphrinB2は、がんの処置に採用される。
【0062】
本明細書の文脈において、EphrinB5はEFNB5を指す。ある種の実施形態では、EphrinB5は、がんの処置に採用される。
【0063】
本明細書の文脈において、PD-L1は、プログラムされた細胞死リガンド1を指し、CD274またはB7ホモログ1またはB7-H1としても公知である。ある種の実施形態では、PD-L1遮断は、がんの処置に採用される。ある種の実施形態では、PD-L1の遮断は、ブドウ膜黒色腫の処置に採用される。ある種の実施形態では、PD-1の遮断は、肺がんの処置に採用される。
【0064】
本明細書の文脈において、ヒストンは、ヒストンファミリーH1/H5、H2A、H2B、H3、およびH4に属するタンパク質を指す。ある種の実施形態では、ヒストンを結合することは、がんの処置に採用される。
【0065】
本明細書の文脈において、CXCL10は、C-X-Cモチーフケモカイン10を指し、インターフェロンガンマ誘導タンパク質10(IP-10)または小型誘導性サイトカインB10としても公知である。ある種の実施形態では、CXCL10は、がんの処置に採用される。
【0066】
本明細書の文脈において、PD-1は、プログラムされた細胞死タンパク質1を指し、CD279としても公知である。ある種の実施形態では、PD-1を結合することは、がんの処置に採用される。ある種の他の実施形態では、PD-1を結合することは、認知症の処置に採用される。ある種の実施形態では、PD-1の遮断は、ブドウ膜黒色腫の処置に採用される。ある種の実施形態では、PD-1の遮断は、肺がんの処置に採用される。
【0067】
本明細書の文脈において、TREM2は、骨髄細胞2上に発現されるトリガー受容体を指す。ある種の実施形態では、TREM2を遮断することは、炎症、自己免疫炎症、認知症および脳卒中の処置に採用される。
【0068】
本明細書の文脈において、IL-6はインターロイキン6を指す。ある種の実施形態では、IL-6を遮断することは、炎症、自己免疫性炎症、認知症および脳卒中の処置に採用される。
【0069】
本明細書の文脈において、IL-6Rはインターロイキン6受容体を指す。ある種の実施形態では、IL-6Rを遮断することは、炎症、自己免疫炎症、関節リウマチ、若年性特発性関節炎、および成人発症型スチル病の処置に採用される。ある種の実施形態では、IL-6Rを遮断することおよび/または中和することは、コロナウイルス疾患2019(COVID-19)および/または重症急性呼吸器症候群コロナウイルス(SARS-CoV)によって引き起こされる疾患の処置に採用される。
【0070】
本明細書の文脈において、Cx3cr1は、CX3Cケモカイン受容体1を指し、フラクタルカイン受容体またはGタンパク質共役受容体13(GPR13)としても公知である。ある種の実施形態では、Cx3cr1を結合することは、がん、認知症、炎症、自己免疫炎症および脳卒中の処置に採用される。
【0071】
ある種の実施形態では、CD27を遮断することは、炎症または自己免疫炎症の処置に採用される。
【0072】
ある種の実施形態では、CD27を活性化することは、がんの処置に採用される。
ある種の実施形態では、CD25を遮断することは、炎症、自己免疫炎症および多発性硬化症の処置に採用される。
【0073】
ある種の実施形態では、CD25を結合させることは、がんの処置に採用される。
ある種の実施形態では、CD28を活性化することは、がんの処置に採用される。
【0074】
本明細書の文脈において、Nogo-Aとは、軸索伸長阻害剤を指し、NOGOまたはNSPまたはNSP-CLレチクロン4としても公知である。ある種の実施形態では、Nogo-Aを遮断することは、自己免疫性炎症、外傷性CNS損傷および脳卒中の処置に採用される。
【0075】
本明細書の文脈において、IL-12Rb1はインターロイキン-12受容体ベータ1サブユニットを指す。ある種の実施形態では、IL-12Rb1を遮断することは、炎症、自己免疫炎症、認知症および脳卒中の処置に採用される。
【0076】
本明細書の文脈において、CD47はインテグリン会合タンパク質(IAP)を指す。ある種の実施形態では、CD47を遮断することは、がんの処置に採用される。
【0077】
本明細書の文脈において、CD147は、バシギン(BSG)を指し、細胞外マトリックスメタロプロテイナーゼ誘導因子(EMMPRIN)としても公知である。ある種の実施形態では、CD147を遮断することは、コロナウイルス疾患2019(COVID-19)の処置に採用される。ある種の実施形態では、CD147を遮断することは、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス(SARS-CoV)によって引き起こされる疾患の処置に採用される。本明細書の文脈において、EGFRは、上皮細胞増殖因子受容体を指し、ErbB-1としても公知である。ある種の実施形態では、EGFRを遮断することは、がんの処置に採用される。
【0078】
本明細書の文脈において、EGFRvIIIは、上皮細胞増殖因子受容体のvIII突然変異体を指し、ErbB-1のvIII突然変異体としても公知である。ある種の実施形態では、EGFRvIIIを遮断することは、がんの処置に使用される。
【0079】
本明細書の文脈において、Her2は、受容体チロシン-プロテインキナーゼerbB-2を指し、CD340またはプロトオンコジーンNeuとしても公知である。ある種の実施形態では、Her2を遮断することは、がんの処置に採用される。
【0080】
本明細書の文脈において、PDGFRは、血小板由来増殖因子受容体(PDGF-R)を指す。ある種の実施形態では、PDGF-Rを遮断することは、がんの処置に使用される。
【0081】
本明細書の文脈において、FGFRは線維芽細胞成長因子受容体を指す。ある種の実施形態では、FGFRを遮断することは、がんの処置に採用される。
【0082】
本明細書の文脈において、IL-4RAは、インターロイキン4受容体を指し、IL-4RまたはCD124としても公知である。ある種の実施形態では、IL-4RAを遮断することは、がんの処置に採用される。ある種の実施形態では、IL-4Rを遮断することは、喘息の処置に採用される。
【0083】
本明細書の文脈において、TfRはトランスフェリン受容体を指す。ある種の実施形態では、TfRを結合することは、炎症、自己免疫炎症、認知症、外傷性CNS損傷、がんおよび脳卒中の処置に採用される。
【0084】
本明細書の文脈において、LfRは、ラクトフェリン受容体を指し、オメンチンまたは腸ラクトフェリン受容体としても公知である。ある種の実施形態では、LfRを結合することは、炎症、自己免疫炎症、認知症、外傷性CNS損傷、がんおよび脳卒中の処置に採用される。
【0085】
本明細書の文脈において、IRはインシュリン受容体を指す。ある種の実施形態では、IRを結合することは、炎症、自己免疫炎症、認知症、外傷性CNS損傷、がんおよび脳卒中の処置に採用される。
【0086】
本明細書の文脈において、LDL-Rは、低密度リポタンパク質受容体を指す。ある種の実施形態では、LDL-Rを結合することは、炎症、自己免疫炎症、認知症、外傷性CNS損傷、がんおよび脳卒中の処置に採用される。
【0087】
本明細書の文脈において、LRP-1は、低密度リポタンパク質受容体関連タンパク質1(LRP1)を指し、アルファ-2-マクログロブリン受容体(A2MR)またはアポリポタンパク質E受容体(APOER)またはCD91としても公知である。ある種の実施形態では、LRP-1を結合することは、炎症、自己免疫炎症、認知症、外傷性CNS損傷、がんおよび脳卒中の処置に採用される。
【0088】
本明細書の文脈において、CD133はプロミニン-1を指す。ある種の実施形態では、CD133を結合することは、がんの処置に採用される。
【0089】
本明細書の文脈において、CD111は、ポリオウイルス受容体関連1(PVRL1)を指し、ネクチン-1としても公知である。ある種の実施形態では、CD111を結合することは、がんの処置に採用される。
【0090】
本明細書の文脈において、VEGFRは、血管内皮増殖因子に対する受容体を指す。ある種の実施形態では、VEGFRを遮断することは、がんまたは湿性AMD、糖尿病性黄斑浮腫または網膜色素変性の処置に採用される。
【0091】
本明細書の文脈において、VEGF-Aは、血管内皮増殖因子Aを指す。ある種の実施形態では、VEGF-Aを遮断することは、がんまたは湿性AMD、糖尿病性黄斑浮腫、網膜色素変性または慢性血友病性滑膜炎の処置に採用される。
【0092】
本明細書の文脈において、Ang-2はアンギオポエチン2を指す。ある種の実施形態では、VEGF-Aを遮断することは、がんまたは湿性AMD、糖尿病性黄斑浮腫または網膜色素変性の処置に採用される。
【0093】
本明細書の文脈において、IL-10Rは、インターロイキン10受容体を指し、サイトカイン合成阻害因子に対する受容体としても公知である。ある種の実施形態では、IL-10Rを遮断することは、がんの処置に採用される。
【0094】
本明細書の文脈において、IL-13Rα2は、インターロイキン-13受容体サブユニットアルファ-2を指し、CD213A2としても公知である。ある種の実施形態では、IL-13Rα2を結合することは、がんの処置に採用される。ある種の実施形態では、IL-13Rα2は、がんの処置に採用される。
【0095】
ある種の実施形態では、α-シヌクレインを結合することは、パーキンソン病の処置に採用される。
【0096】
本明細書の文脈において、CSF1Rは、コロニー刺激因子1受容体(CSF1R)を指し、マクロファージコロニー刺激因子受容体(M-CSFR)およびCD115としても公知である。ある種の実施形態では、CSF1Rを遮断することは、がんの処置に採用される。
【0097】
本明細書の文脈において、GITRは、グルココルチコイド誘導性TNFR関連タンパク質を指し、TNFRスーパーファミリーメンバー18(TNFRSF18)または活性化誘導性TNFRファミリー受容体またはAITRとしても公知である。ある種の実施形態では、GITRを結合することは、がんの処置に採用される。
【0098】
本明細書の文脈において、CD22は分化抗原群22を指す。ある種の実施形態では、CD22を遮断することは、神経変性疾患、自己免疫炎症、認知症および脳卒中の処置に採用される。
【0099】
本明細書の文脈において、TIM-3は、T細胞免疫グロブリンおよびムチンドメイン含有3を指し、A型肝炎ウイルス細胞受容体2(HAVCR2)としても公知である。ある種の実施形態では、TIM-3を遮断することは、がんの処置に採用される。
【0100】
本明細書の文脈において、LAG-3は、リンパ球活性化遺伝子3を指す。ある種の実施形態では、LAG-3を遮断することは、がんの処置に採用される。ある種の実施形態では、LAG-3を遮断することは、肺がんの処置に採用される。
【0101】
本明細書の文脈において、TIGITは、Igおよび免疫受容体チロシンベースの阻害モチーフドメインを有するT細胞免疫受容体を指す。ある種の実施形態では、TIGITを遮断することは、がんの処置に採用される。
【0102】
本明細書の文脈において、BTLAは、BおよびTリンパ球アテニュエーターを指し、CD272としても公知である。ある種の実施形態では、BTLAを遮断することは、がんの処置に採用される。
【0103】
本明細書の文脈において、VISTAは、T細胞活性化のVドメインIg抑制因子を指す。ある種の実施形態では、VISTAを遮断することは、がんの処置に採用される。
【0104】
本明細書の文脈において、CD96は、T細胞活性化、増加した後期発現を指し、TACTILEとしても公知である。ある種の実施形態では、CD96を遮断することは、がんの処置に採用される。
【0105】
本明細書の文脈において、4-1BBは、CD137を指し、TNFRスーパーファミリーメンバー9としても公知であり、またはリンパ球活性化もしくはILAによって誘導される。ある種の実施形態では、4-1BBの結合は、がんの処置に採用される。
【0106】
本明細書の文脈において、CCL-2は、ケモカイン(C-Cモチーフ)リガンド2(CCL2)を指し、単球走化性タンパク質1(MCP1)または小さな誘導性サイトカインA2としても公知である。ある種の実施形態では、CCL-2は、がん、脳卒中、および認知症の処置に採用される。ある種の実施形態では、CCL-2のブロッキングは、自己免疫炎症およびがんの処置に採用される。
【0107】
本明細書の文脈において、IL-1はIL-1サイトカインファミリーのメンバーを指す。ある種の実施形態では、IL-1の遮断は、多発性硬化症の処置に採用される。
【0108】
本明細書の文脈において、IL-1Rは、IL-1サイトカインファミリーのサイトカインに対する受容体を指す。ある種の実施形態では、IL-1Rの遮断は、多発性硬化症の処置に採用される。
【0109】
本明細書の文脈において、EphA2はエフリンA型受容体2を指す。ある種の実施形態では、EphA2を遮断することは、がんの処置に採用される。
【0110】
本明細書の文脈において、EphA3はエフリンA型受容体3を指す。ある種の実施形態では、EphA3を遮断することは、がんの処置に採用される。
【0111】
本明細書の文脈において、EphB2は、エフリン型B受容体2を指し、ERKとしても公知である。ある種の実施形態では、EphB2を遮断することは、がんの処置に採用される。
【0112】
本明細書の文脈において、EphB3はエフリン型B受容体3を指す。ある種の実施形態では、EphB3を遮断することは、がんの処置に採用される。
【0113】
本明細書の文脈において、EphB4はエフリン型B受容体4を指す。ある種の実施形態では、EphB4を遮断することは、がんの処置に採用される。
【0114】
本明細書の文脈において、OX40は、TNFRスーパーファミリーメンバー4を指し、CD134またはOX40受容体としても公知である。ある種の実施形態では、OX40を結合することは、がんの処置に採用される。
【0115】
本明細書の文脈において、LINGO-1は、ロイシンリッチリピートおよび免疫グロビン様ドメイン含有タンパク質1を指す。ある種の実施形態では、LINGO-1を遮断することは、多発性硬化症、外傷性脳CNS損傷または脳卒中の処置に採用される。
【0116】
本明細書の文脈において、L1CAMは、L1細胞接着分子を指し、L1としても公知である。ある種の実施形態では、L1を遮断することは、多発性硬化症、外傷性脳CNS損傷または脳卒中の処置に採用される。
【0117】
本明細書の文脈において、NCAMは神経細胞接着分子を指す。ある種の実施形態では、NCAMを遮断することは、多発性硬化症、外傷性脳CNS損傷または脳卒中の処置に採用される。
【0118】
本明細書の文脈において、SOD-1はスーパーオキシドジスムターゼ1を指す。ある種の実施形態では、SOD-1を遮断することは、筋萎縮性側索硬化症(ALS)の処置に採用される。
【0119】
本明細書の文脈において、SIGMAR-1はシグマ-1受容体を指す。ある種の実施形態では、SIGMAR-1を遮断することは、筋萎縮性側索硬化症(ALS)の処置に採用される。
【0120】
本明細書の文脈において、SIGMAR-2はシグマ-2受容体を指す。ある種の実施形態では、SIGMAR-2を遮断することは、筋萎縮性側索硬化症(ALS)の処置に採用される。
【0121】
本明細書の文脈において、TDP-43は、TAR DNA結合タンパク質43を指す。ある種の実施形態では、TDP-43を結合することは、筋萎縮性側索硬化症(ALS)の処置に採用される。
【0122】
本明細書の文脈において、アミロイドβはアミロイドベータを指す。ある種の実施形態では、アミロイドβを結合することは、アルツハイマー病(AD)の処置に採用される。
【0123】
本明細書の文脈において、Tauはタウタンパク質を指す。ある種の実施形態では、Tauを結合することは、アルツハイマー病(AD)の処置に採用される。
【0124】
本明細書の文脈において、IFNαはインターフェロン-αを指す。ある種の実施形態では、IFNαは、がんおよび感染症の処置に採用される。
【0125】
本明細書の文脈において、IFNβはインターフェロン-ベータを指す。ある種の実施形態では、IFNβは、がんおよび感染症の処置に採用される。
【0126】
本明細書の文脈において、TRPM4は、一過性受容体電位陽イオンチャネルサブファミリーMメンバー4を指す。ある種の実施形態では、TRPM4を遮断することは、多発性硬化症の処置に採用される。
【0127】
本明細書の文脈において、ASIC1は、酸感受性イオンチャネル1を指し、アミロライド感受性カチオンチャネル2、ニューロン(ACCN2)または脳ナトリウムチャネル2(BNaC2)としても公知である。ある種の実施形態では、ASIC1を遮断することは、多発性硬化症の処置に採用される。
【0128】
本明細書の文脈において、VGCCは、電圧依存性(Voltage-gated)カルシウムチャネルを指し、電圧依存性(voltage-dependent)カルシウムチャネル(VDCC)としても公知である。ある種の実施形態では、VGCCを遮断することは、多発性硬化症の処置に採用される。
【0129】
本明細書の文脈において、CBはカンナビノイド受容体1型を指し、カンナビノイド受容体1としても公知である。ある種の実施形態では、CBを遮断することは、多発性硬化症の処置に採用される。
【0130】
本明細書の文脈において、TTRはトランスチレチンを指す。ある種の実施形態では、TTRを遮断することは、トランスチレチンアミロイドーシスの処置に採用される。
【0131】
本明細書の文脈において、HTTは、ハンチンチンタンパク質を指す。ある種の実施形態では、HTTを遮断することは、ハンチントン病の処置に採用される。
【0132】
本明細書の文脈において、JCVは、JCウイルスまたはJohn Cunninghamウイルスを指す。ある種の実施形態では、JCVの主要カプシドタンパク質VP1(ウイルスタンパク質1)を遮断することは、進行性多巣性白質脳症(PML)の処置に採用される。
【0133】
本明細書の文脈において、C9orf72は、第9染色体のオープンリーディングフレーム72遺伝子によってコードされるタンパク質を指す。ある種の実施形態では、C9orf72は、認知症の処置に採用される。ある種の実施形態では、C9orf72を遮断することは、認知症の処置に採用される。
【0134】
本明細書の文脈において、BDNFは脳由来の神経栄養因子を指す。ある種の実施形態では、BDNFは、多発性硬化症、パーキンソン病、認知症、脳卒中および遺伝性障害の処置に採用される。
【0135】
本明細書の文脈において、NRTNはニューツリンを指す。ある種の実施形態では、NRTNは、多発性硬化症、パーキンソン病、認知症、脳卒中および遺伝性障害の処置に採用される。
【0136】
本明細書の文脈において、ARTNはアルテミンを指す。ある種の実施形態では、ARTNは、多発性硬化症、パーキンソン病、認知症、脳卒中および遺伝性障害の処置に採用される。
【0137】
本明細書の文脈において、PSPNはペルセフィンを指す。ある種の実施形態では、PSPNは、多発性硬化症、パーキンソン病、認知症、脳卒中および遺伝性障害の処置に採用される。
【0138】
本明細書において、CNTFは毛様体神経栄養因子を指す。ある種の実施形態では、CNTFは、多発性硬化症、パーキンソン病、認知症、脳卒中および遺伝性障害の処置に採用される。
【0139】
本明細書の文脈において、TRAILは、TNF関連アポトーシス誘導リガンドを指し、CD253または腫瘍壊死因子スーパーファミリー、メンバー10としても公知である。ある種の実施形態では、TRAILは、がんの処置に採用される。
【0140】
本明細書の文脈において、HAは、インフルエンザウイルスの表面に見出されるホモ三量体糖タンパク質である血球凝集素(hemagglutinin)(または血球凝集素(haemagglutinin))を指す。ある種の実施形態では、HAを中和することは、インフルエンザの処置に採用される。
【0141】
本明細書の文脈において、IL-3はインターロイキン3を指す。ある種の実施形態では、IL-3は、がんの処置に採用される。
【0142】
本明細書の文脈において、IL-5はインターロイキン5を指す。ある種の実施形態では、IL-5は、がんの処置に採用される。ある種の実施形態では、IL-5の遮断は、喘息の処置に採用される。ある種の実施形態では、IL-5の遮断は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)の処置に採用される。
【0143】
本明細書の文脈において、IL-8は、インターロイキン8を指し、ケモカイン(C-X-Cモチーフ)リガンド8またはCXCL8としても公知である。ある種の実施形態では、IL-8は、がんの処置に採用される。ある種の実施形態では、IL-8の遮断は、肺水腫の処置に採用される。ある種の実施形態では、IL-8アンタゴニストは、嚢胞性線維症の処置に採用される。
【0144】
本明細書の文脈において、IL-17はインターロイキン17を指す。ある種の実施形態では、IL-17の中和は、ブドウ膜炎の処置に採用される。本明細書の文脈において、IL-17Aは、インターロイキン17Aを指す。ある種の実施形態では、IL-17Aの中和は、関節リウマチおよび/または乾癬性関節炎および/または強直性脊椎炎の処置に採用される。
【0145】
本明細書の文脈において、IL-18は、インターロイキン18を指し、インターフェロン-ガンマ誘導因子としても公知である。ある種の実施形態では、IL-18は、がんの処置に採用される。
【0146】
本明細書の文脈において、IL-21はインターロイキン21を指す。ある種の実施形態では、IL-21は、がんの処置に採用される。
【0147】
本明細書の文脈において、IL-21Rはインターロイキン21受容体を指す。ある種の実施形態では、IL-21Rの遮断は、アレルギー性喘息の処置に採用される。
【0148】
本明細書の文脈において、IL-22はインターロイキン22を指す。ある種の実施形態では、IL-22を中和することは、関節リウマチの処置に採用される。
【0149】
本明細書の文脈において、IL-25はインターロイキン25(インターロイキン17EまたはIL-17Eとしても公知である)を指す。ある種の実施形態では、IL-25を中和することは、アレルギー性喘息の処置に採用される。
【0150】
本明細書の文脈において、CD20は、Bリンパ球抗原CD20を指す。ある種の実施形態では、CD20結合抗体は、間質性肺疾患の処置に採用される。ある種の実施形態では、CD20結合抗体は、がんの処置に採用される。本明細書の文脈において、CCL5は、ケモカイン(C-Cモチーフ)リガンド5を指す。ある種の実施形態では、CCL5は、がんの処置に採用される。
【0151】
本明細書の文脈において、CCL21はケモカイン(C-Cモチーフ)リガンド21を指す。ある種の実施形態では、CCL21は、がんの処置に採用される。
【0152】
本明細書の文脈において、CCL10は、ケモカイン(C-Cモチーフ)リガンド10を指し、CCL9またはケモカイン(C-Cモチーフ)リガンド9としても公知である。ある種の実施形態では、CCL10は、がんの処置に採用される。
【0153】
本明細書の文脈において、CCL16はケモカイン(C-Cモチーフ)リガンド16を指す。ある種の実施形態では、CCL16は、がんの処置に採用される。
【0154】
本明細書の文脈において、CX3CL1は、ケモカイン(C-X3-Cモチーフ)リガンド1を指し、フラクタルカインとしても公知である。ある種の実施形態では、CX3CL1は、がんの処置に採用される。
【0155】
本明細書の文脈において、CXCL16はケモカイン(C-X-Cモチーフ)リガンド16を指す。ある種の実施形態では、CXCL16は、がんの処置に採用される。
【0156】
本明細書の文脈において、NF-kBは、活性化B細胞の核因子カッパ-軽鎖エンハンサーを指す。ある種の実施形態では、NF-kBアンタゴニストは、嚢胞性線維症の処置に採用される。
【0157】
本明細書の文脈において、NRAは、非リウマチ性関節炎を指す。ある種の実施形態では、抗神経増殖因子(NGF)抗体または抗体様分子は、炎症、自己免疫炎症、関節炎および変形性関節症の処置に採用され得る。ある種の実施形態では、NGFの遮断は、変形性関節症の処置に採用され得る。本明細書の文脈において、抗体なる用語は、G型の抗体(IgG)、そのいずれかの抗原結合断片または一本鎖、および関連または誘導された構築物を指す。抗体全体は、ジスルフィド結合によって相互接続された少なくとも2つの重(H)鎖および2つの軽(L)鎖を含む糖タンパク質である。各重鎖は、重鎖可変領域(V)および重鎖定常領域(C)で構成される。重鎖定常領域は、C1、C2およびC3の3つのドメインで構成される。各軽鎖は、軽鎖可変領域(本明細書ではVと略す)および軽鎖定常領域(C)で構成される。軽鎖定常領域は、1つのドメインであるCで構成される。重鎖および軽鎖の可変領域は、抗原と相互作用する結合ドメインを含む。抗体の定常領域は、免疫系の種々の細胞(例えば、エフェクター細胞)および古典的補体系の第1成分を含む、宿主組織または因子への免疫グロブリンの結合を媒介し得る。本明細書の文脈において、抗体という用語は、2つのH鎖および2つのL鎖を含む抗体全体だけでなく、1つのH鎖および1つのL鎖のみを含む異常な抗体、またはただ1つのH鎖のみからなる抗体さえも含むことを意味する。
【0158】
本明細書の文脈において特異的に結合するという用語は、高親和性/Kd≦10E-8mol/lでの結合を指す。
【0159】
本明細書の文脈において用語「抗体様分子」とは、IgG抗体のFc断片の少なくとも一部およびFc断片に直接的または間接的に融合された少なくとも1つの標的結合エレメントを含有する分子を指し、とりわけ重鎖および軽鎖可変領域、一本鎖可変断片、二重親和性再標的化タンパク質、または二重特異性T細胞エンゲージャーである。抗体様分子は、高親和性/Kd≦10E-8mol/lで別の分子または標的に特異的に結合することができる。抗体様分子は、抗体の特異的結合と同様にその標的に結合する。
【0160】
当業者は、本発明が、抗体または抗体様分子がFc領域を含むかまたはFc領域に融合されることを必要とすることを認識する。
【0161】
本明細書の文脈において、解離定数(K)という用語は、[ほとんど2つの]異なる成分で構成される複合体がその構成成分に可逆的に解離する傾向を測定する平衡定数を指す。この複合体は、例えば、抗体Abおよび抗原Agで構成される抗体-抗原複合体AbAgであり得る。Kはモル濃度[mol/l]で表され、[Ag]の結合部位の半分が占められる[Ab]の濃度に対応する。換言すると、結合していない[Ab]の濃度は[AbAg]複合体の濃度に等しい。解離定数は、次式により算出することができる:
【0162】
【数1】
【0163】
[Ab]:抗体の濃度;[Ag]:抗原の濃度;[AbAg]:抗体抗原複合体の濃度
本明細書の文脈において、オフレート(Koff;[1/sec])およびオンレート(Kon;[1/secM])という用語は、化学および物理学の分野において公知である意味において使用され、それらは、5の抗体のその標的抗原との解離(Koff)または会合(Kon)を測定する速度定数を指す。KoffおよびKonは、当該技術分野で十分に確立された方法を用いて実験的に決定することができる。抗体のKoffおよびKonを決定する方法は、表面プラズモン共鳴を採用する。これは、Biacore(登録商標)またはProteOn(登録商標)システムなどのバイオセンサーシステムの背後にある原理である。それらはまた、次式を用いて解離定数Kを求めることができる:
【0164】
【数2】
【0165】
本明細書の文脈において、Kはまた、当該技術分野において十分に確立された方法を用いて決定された実験データの平衡解析によって決定することができる。これは、Biacore(登録商標)またはProteOn(登録商標)システムなどのバイオセンサーシステムを使用して行うことができる。
【0166】
本明細書の文脈において、高悪性度神経膠腫(HGG)とは、WHO悪性度IVの神経膠腫または多形神経膠芽腫を指す。
【0167】
本明細書の文脈において、「NHQ」と称するFc領域とは、253位、310位および435位(EU番号付けシステムによって指定される)が、指示されたアミノ酸残基、すなわち、253位にN、310位にH、および435位にQを含むFc領域を指す。これはI253NおよびH435Qの2つの突然変異を持つFc領域に相当する。したがって、「IAQ」と称するFc領域は、253位にI、310位にA、および435位にQを有するFc領域(すなわち、突然変異H310AおよびH435Qを有するFc領域)を指す。表1は、修飾Fc領域のいくつかの例を示す。
【0168】
本発明の第1の態様は、中枢神経系に影響を及ぼす疾患の予防または処置に使用するための、IL-12およびIgGの結晶化可能な断片(Fc)領域を含む融合ポリペプチドを提供する。Fc領域は修飾を受け、新生児Fc受容体(FcRn)への親和性が低下する。ポリペプチドは脳に投与される。
【0169】
脳への投与は、頭蓋内送達によって行うことができる。頭蓋内送達は連続的であるかまたは間欠的であるかまたは非再発性であり得る。「脳への投与」という表現はまた、手術後に切除空洞をすすぐことを含むことを意味する。投与には髄腔内または実質内であり得る。
【0170】
Fc領域の修飾は、ポリペプチドの血清対脳内濃度比の減少をもたらす。血清対脳内濃度の減少は、高い局所濃度が脳内で達成され、一方、高い全身濃度による負の副作用が防止されるという利点を有する。
【0171】
ある種の実施形態では、ポリペプチドの血清または血漿対脳内濃度比は、所定の閾値未満である。所定の閾値は、FcRntgマウスの線条体への頭蓋内注射、具体的には頭蓋内ボーラス注射またはCEDの24時間後に測定可能である、
a.非修飾Fc領域を含む同一ポリペプチド、具体的にはIL-12FcWTの血清または血漿対脳内濃度比の最大2/3、
b.Fc領域もペプチドリンカーも含まない同一ポリペプチド、具体的にはrhIL-12の血清または血漿対脳内濃度比の最大1/8
から選択される。
【0172】
FcRntgマウスの線条体内に平滑末端26sGハミルトンシリンジまたはCEDを用いて1μl/分の1μgを頭蓋内注射後24時間に測定を行う(内径0.1mm、壁厚0.0325mmの溶融シリカ製の先端1mmステップを有する27G平滑末端針ならびに、5分間0.2μl/分、4分間0.5μl/分および2.5分間0.8μl/分;総体積5μl、総量1μgのランプアップ注射レジメンを用いる)。
【0173】
本発明の第1の態様による融合ポリペプチドは、非修飾Fc領域に連結されたIL-12(IL-12Fc WT)よりも低い血清対脳内濃度比を有する。IL-12Fc WTは、循環血液中でのFcRn媒介リサイクルにより、長い血清半減期を有する。
【0174】
本発明の第1の態様による融合ポリペプチドは、脳からの高い受動的漏出を示すrhIL-12よりも低い血清対脳内濃度比を有する。
【0175】
ある種の実施形態では、FcRnに対する上記ポリペプチドの低下した親和性は、
a.非修飾Fc領域を含む同一ポリペプチドへのFcRnの結合を特徴付けるKと比較して、少なくとも2倍増加するK、および
b.異なる修飾を受けたFc領域を含む同一ポリペプチドへのFcRnの結合を特徴付けるKと比較して、少なくとも1.5倍増加したKa、すなわち、IAQ(突然変異H310AおよびH45Qを有する)およびAAA(突然変異I253A、H310AおよびH435Aを有する)から選択された1つの突然変異体
から選択される解離定数(K)によって特徴付けられる。
【0176】
ある種の実施形態では、Kは、非修飾Fc領域を含む同じポリペプチドへのFcRnの結合を特徴付けるKと比較して、少なくとも3倍増加する。ある種の実施形態では、Kは、非修飾Fc領域を含む同じポリペプチドへのFcRnの結合を特徴付けるKと比較して、少なくとも4倍増加する。ある種の実施形態では、Kは、非修飾Fc領域を含む同じポリペプチドへのFcRnの結合を特徴付けるKと比較して、少なくとも5倍増加する。
【0177】
ある種の実施形態では、Kは、異なる修飾を受けた上記Fc領域を含む同じポリペプチドへのFcRnの結合を特徴付けるKと比較して、少なくとも2倍増加する。
【0178】
ある種の実施形態では、異なる修飾を受けたFc領域は、253位にI、310位にA、および435位にQ(IAQ)を有するFc領域である。
【0179】
ある種の実施形態では、異なる修飾を受けたFc領域は、253位にA、310位にA、および435位にA(AAA)を有するFc領域である。
【0180】
ある種の実施形態では、頭蓋内送達は、対流増強送達(CED)またはその変形によって行われる。CEDとは、脳(腫瘍)実質に薬物を直接送達する技術を指す。CED手法は、脳への侵襲性を最小限に抑えた外科的照射を伴い、続いて小径カテーテルを直接脳内に留置し、それによって血液脳関門をバイパスする。通常のボーラス注射および拡散駆動注入レジメンとの主な相違は、組織内のバルク流に達するまで注射を上昇させることによって生じる圧力勾配である。ここで、注入速度ではなく持続時間が、到達した組織の範囲を決定する。このアプローチは、脳(腫瘍)組織内で効果的に高濃度に到達するために通常は脳に入らない高分子薬物の送達を可能にする。
【0181】
ある種の実施形態では、頭蓋内送達は、髄腔内送達によって行われる。髄腔内投与とは、脳脊髄液(CSF)に薬物を直接投与することを指す。髄腔内投与は、脳内(例えば、オマヤリザーバーを介して)または脊髄におけるくも膜下腔内に、くも膜下膜の下への物質適用として定義される。非限定的な例は、軟髄膜がん腫症および原発性Her2/神経陽性脳腫瘍、ならびにCD20陽性CNSリンパ腫および眼内リンパ腫をそれぞれトラスツズマブまたはリツキシマブを用いて処置するための髄腔内送達である。別の例は、急性脊髄損傷、多発性硬化症または脳卒中の処置のための抗NogoA抗体の髄腔内投与である。このアプローチは、通常は脳に入らない高分子薬物の送達を可能にし、軟髄膜または脳実質において効果的に高濃度に到達する。
【0182】
ある種の実施形態では、頭蓋内送達は、上記ポリペプチドの脳室内送達によって行われる。脳室内投与とは、カテーテルを用いて脳室内腔に薬物を脳脊髄液(CSF)に直接投与することを指す。
【0183】
ある種の実施形態では、頭蓋内送達は、上記ポリペプチドのインサイチュでの産生によって行われる。インサイチュでの産生は、専らもしくは実質的に脳内または脳腫瘍内でのポリペプチドの局所的産生に関する。非限定的な例として、局所産生は、DNA製剤、mRNA、修飾mRNA、自己複製mRNA、ウイルスベクター、カプセル化修飾産生細胞、または修飾T細胞から生じることができる。局所的産生に対する空間的制御は、ポリペプチドをコードする分子もしくはベクターの局所的送達によって、またはポリペプチド産生の局所的活性化によって達成することができる。ポリペプチドをコードする分子またはベクターの局所的送達による局所的産生、およびその後のポリペプチド産生の局所的活性化は、転写抑制解除剤または条件発現カセットの転写活性化剤として作用する薬剤の局所的または全身的投与によって達成することができる。例としては、限定されないが、エクジソン受容体/無脊椎動物レチノイドx受容体ベースの誘導性遺伝子発現系またはテトラサイクリン調節転写調節剤が挙げられる。
【0184】
ある種の実施形態では、頭蓋内送達は、腫瘍またはCNSへのホーミング能力を有する上記ポリペプチドを産生するように修飾された細胞の全身送達によって行われる。ポリペプチドは、構成的または誘導的な様式で産生され得る。例としては、限定されないが、修飾T細胞または間葉系幹細胞が挙げられる。
【0185】
ある種の実施形態では、頭蓋内送達は、移植された徐放性(slow-release)/徐放性(extended-release)/徐放性(sustained-release)/放出制御製剤からの放出によって行われる。本明細書の文脈において、このような製剤は、副作用を最小限に抑えながら特定の期間、一定の薬物濃度を維持するために、所定の速度で薬物を放出するように設計された剤形に関する。当業者は、種々の適切な製剤を知っている。非限定的な例は、リポソーム、薬物-ポリマーコンジュゲート、ヒドロゲル、ウエイバーまたは被覆ナノ粒子である。
【0186】
ある種の実施形態では、頭蓋内送達は、上記ポリペプチドの鼻腔内送達によって行われる。
【0187】
ある種の実施形態では、頭蓋内送達は、上記ポリペプチドに対する受容体媒介トランスサイトーシスによって行われる。非限定的な例は、TfRに結合する二重特異性構築物、ならびに疾患脳実質、具体的にはアルツハイマー病(AD)におけるAβプラークに見出される標的である。
【0188】
ある種の実施形態では、中枢神経系に影響を及ぼす疾患は悪性疾患である。
ある種の実施形態では、中枢神経系に影響を及ぼす疾患は神経膠腫である。
【0189】
ある種の実施形態では、中枢神経系に影響を及ぼす疾患は高悪性度神経膠腫(HGG)である。
【0190】
ある種の実施形態では、中枢神経系に影響を及ぼす疾患は、脳転移としても公知である二次脳腫瘍である。
【0191】
ある種の実施形態では、中枢神経系に影響を及ぼす疾患は虚血性脳損傷である。
ある種の実施形態では、中枢神経系に影響を及ぼす疾患は、脳梗塞、脳卒中、脳低酸素-虚血、頭蓋内塞栓症または頭蓋内血栓症である。
【0192】
ある種の実施形態では、中枢神経系に影響を及ぼす疾患はてんかんである。
ある種の実施形態では、中枢神経系に影響を及ぼす疾患は外傷性脳損傷である。
【0193】
ある種の実施形態では、中枢神経系に影響を及ぼす疾患は脊髄損傷である。
ある種の実施形態では、中枢神経系に影響を及ぼす疾患は認知症である。
【0194】
ある種の実施形態では、中枢神経系に影響を及ぼす疾患はパーキンソン病(PD)である。
【0195】
ある種の実施形態では、中枢神経系に影響を及ぼす疾患はレーヴィ小体を伴う認知症である。
【0196】
ある種の実施形態では、中枢神経系に影響を及ぼす疾患はアルツハイマー病(AD)である。ある種の実施形態では、中枢神経系に影響を及ぼす疾患は家族性アルツハイマー病(AD)である。
【0197】
ある種の実施形態では、中枢神経系に影響を及ぼす疾患は前頭側頭認知症(FTD)である。
【0198】
ある種の実施形態では、中枢神経系に影響を及ぼす疾患は家族性前頭側頭認知症(FTD)である。
【0199】
ある種の実施形態では、中枢神経系に影響を及ぼす疾患は、ルーゲーリッグ病としても公知である筋萎縮性側索硬化症(ALS)である。
【0200】
ある種の実施形態では、中枢神経系に影響を及ぼす疾患は、伝達性海綿状脳症、具体的にはクロイツフェルトヤコブ病(CJD)、クル、スクレイピー、ウシ海綿状脳症(BSE)である。
【0201】
ある種の実施形態では、中枢神経系に影響を及ぼす疾患は遺伝性障害である。
ある種の実施形態では、中枢神経系に影響を及ぼす疾患は、遺伝性障害、具体的には皮質下梗塞および白質脳症を伴う大脳常染色体優性動脈疾患(CADASIL)である。
【0202】
ある種の実施形態では、中枢神経系に影響する疾患は、遺伝性障害、具体的にはハンチントン病である。
【0203】
ある種の実施形態では、中枢神経系に影響を及ぼす疾患は、遺伝性障害、具体的には自閉症、自閉症スペクトラム障害(ASD)、例えば、アスペルガー症候群である。
【0204】
ある種の実施形態では、中枢神経系に影響を及ぼす疾患は、遺伝性白質ジストロフィー、具体的には異染性白質ジストロフィー、クラブ病、カナバン病、X連鎖副腎白質ジストロフィー、アレキサンダー病である。
【0205】
ある種の実施形態では、中枢神経系に影響を及ぼす疾患は、遺伝性代謝障害、具体的にはテイ-サックス病またはウィルソン病である。
【0206】
ある種の実施形態では、中枢神経系に影響を及ぼす疾患は、精神障害、具体的には記憶消失、注意欠陥多動性障害、精神病、不安障害、双極性障害、うつ病、躁病、知的発達障害、全般的発達遅延、心的外傷後ストレス障害、急性ストレス障害、解離性障害である。
【0207】
ある種の実施形態では、中枢神経系に影響を及ぼす疾患はてんかんである。
ある種の実施形態では、中枢神経系に影響を及ぼす疾患は自己免疫脳炎である。
【0208】
ある種の実施形態では、中枢神経系に影響を及ぼす疾患は多発性硬化症である。
ある種の実施形態では、中枢神経系に影響を及ぼす疾患は視神経脊髄炎(NMO)である。
【0209】
ある種の実施形態では、中枢神経系に影響を及ぼす疾患は、自己免疫性脳炎、具体的には抗NMDAR脳炎、辺縁系脳炎、LGI1/CASPR2抗体脳炎、橋本脳症、急性播種性脳脊髄炎(ADEM)、ビンスワンガー病(皮質下白質脳症)、ラスムセン脳炎である。
【0210】
ある種の実施形態では、中枢神経系に影響を及ぼす疾患は、ウイルス、具体的には狂犬病ウイルス、ヒトヘルペスウイルス、発疹を引き起こすウイルス、昆虫媒介ウイルス、ダニ媒介ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)によって引き起こされる感染性脳脊髄炎である。
【0211】
ある種の実施形態では、中枢神経系に影響を及ぼす疾患は、細菌によって引き起こされる感染性脳脊髄炎である。
【0212】
ある種の実施形態では、中枢神経系に影響を及ぼす疾患は、寄生虫によって引き起こされる感染性脳脊髄炎である。
【0213】
ある種の実施形態では、中枢神経系に影響を及ぼす疾患は、JCポリオーマウイルス(通常、JCPyVまたはJCVと略称される)によって引き起こされる進行性多巣性白質脳症(PML)である。
【0214】
ある種の実施形態では、中枢神経系に影響を及ぼす疾患は、感染後脳脊髄炎である。
ある種の実施形態では、中枢神経系に影響を及ぼす疾患は、血管新生に関連した加齢黄斑変性(湿式AMD)および糖尿病性黄斑浮腫または網膜色素変性である。
【0215】
本発明のさらなる態様では、本発明によるポリペプチドは、肺に影響を及ぼす疾患の予防または処置のために使用され、上記疾患は、コロナウイルス疾患2019、重症急性呼吸器症候群、喘息、アレルギー性喘息、重症なコントロール不良の喘息、線維症、嚢胞性線維症、肺線維症、慢性閉塞性肺疾患、インフルエンザ、肺水腫、サルコイドーシス、肺がん、結核、ヒトオルトニューモウイルス、腺ペスト、肺ペスト、炭疽、肺における侵襲性真菌疾患、肺パラコクシジオイデス症、間質性肺疾患、特発性肺線維症、および鼻ポリープを伴う慢性鼻副鼻腔炎から選択される。
【0216】
ある種の実施形態では、肺に影響を及ぼす疾患は、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)によって引き起こされるコロナウイルス疾患2019(COVID-19)である。
【0217】
ある種の実施形態では、肺に影響を及ぼす疾患は、重症急性呼吸器症候群(SARS)である。
【0218】
ある種の実施形態では、肺に影響を及ぼす疾患は、ウイルス、具体的にはコロナウイルスによって引き起こされる重症急性呼吸器症候群(SARS)である。
【0219】
ある種の実施形態では、肺に影響を及ぼす疾患は、喘息、アレルギー性喘息、重篤なコントロール不良の喘息、またはそれらの組み合わせである。
【0220】
ある種の実施形態では、肺に影響を及ぼす疾患は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)である。
【0221】
ある種の実施形態では、肺に影響を及ぼす疾患は、線維症、嚢胞性線維症、肺線維症、またはそれらの組み合わせである。
【0222】
ある種の実施形態では、肺に影響を及ぼす疾患は、インフルエンザウイルスによって引き起こされるインフルエンザである。
【0223】
ある種の実施形態では、肺に影響を及ぼす疾患は、サルコイドーシス(Besnier-Boeck-Schaumann病としても公知である)である。
【0224】
ある種の実施形態では、肺に影響を及ぼす疾患は、肺がんである。
ある種の実施形態では、一般的な用語において、肺に影響を及ぼす疾患は、ウイルス、細菌、真菌または寄生虫によって引き起こされる。
【0225】
ある種の実施形態では、肺に影響を及ぼす疾患は、結核菌(mycobacterium tuberculosis)(通常、M.tuberculosisまたはM.tbと略称される)によって引き起こされる結核である。
【0226】
ある種の実施形態では、肺に影響を及ぼす疾患は、合胞体ウイルスヒトオルトニューモウイルス(ヒト呼吸器合胞体ウイルス、またはHRSV、または単にRSVとしても公知である)によって引き起こされる気道感染である。
【0227】
ある種の実施形態では、肺に影響を及ぼす疾患は、ペスト菌(Yersinia pestis)という細菌によって引き起こされる腺ペストである。
【0228】
ある種の実施形態では、肺に影響を及ぼす疾患は、ペスト菌によって引き起こされる肺ペストである。
【0229】
ある種の実施形態では、肺に影響を及ぼす疾患は、炭疽であり、炭疽菌という細菌によって引き起こされる感染である。
【0230】
ある種の実施形態では、肺に影響を及ぼす疾患は、アスペルギルス、クリプトコッカス、ニューモシスチス、および流行性真菌などの肺真菌病原体によって引き起こされる侵襲性真菌疾患(真菌肺疾患としても公知である)である。
【0231】
ある種の実施形態では、肺に影響を及ぼす疾患は、パラコクシジオイデス・ブラジリエンシス(Paracoccidioides brasiliensis)という真菌によって引き起こされる肺パラコクシジオイデス真菌症(典型的にはPCMと略称される)である。
【0232】
ある種の実施形態では、肺に影響を及ぼす疾患は、鼻ポリープを伴う慢性鼻副鼻腔炎(典型的には、CRSwNPと略称される)、慢性鼻副鼻腔炎(CRS)のサブグループである。
【0233】
ある種の実施形態では、肺に影響を及ぼす疾患は、肺水腫である。
ある種の実施形態では、肺に影響を及ぼす疾患は、間質性肺疾患である。
【0234】
ある種の実施形態では、肺に影響を及ぼす疾患は、特発性肺線維症である。
本発明のさらなる態様では、本発明によるポリペプチドは、少なくとも1つの関節に影響を及ぼす疾患の予防または処置に使用され、上記疾患は、関節リウマチ、若年性関節リウマチ、痛風、偽痛風、変形性関節症、慢性血友病性滑膜炎、乾癬性関節炎、および強直性脊椎炎から選択される。
【0235】
ある種の実施形態では、関節に影響を及ぼす疾患は関節リウマチ(RA)である。ある種の実施形態では、関節に影響を及ぼす疾患は若年性関節リウマチである。
【0236】
ある種の実施形態では、関節に影響を及ぼす疾患は、痛風であり、血液中の尿酸レベルの持続的上昇によって引き起こされる炎症性関節炎の一形態である。ある種の実施形態では、関節に影響を及ぼす疾患は、偽痛風である。
【0237】
ある種の実施形態では、関節に影響を及ぼす疾患は、関節軟骨およびその下にある骨の破壊に起因する変形性関節症(OA)である。
【0238】
ある種の実施形態では、関節に影響を及ぼす疾患は、慢性血友病性滑膜炎である。
ある種の実施形態では、関節に影響を及ぼす疾患は、乾癬性関節炎、自己免疫疾患である乾癬に罹患した人に起こる長期炎症性関節炎である。
【0239】
ある種の実施形態では、関節に影響を及ぼす疾患は、強直性脊椎炎(Bekhterev病、Bechterew病、またはmorbus Bechterewとしても公知である)である。
【0240】
本発明のさらなる態様では、本発明によるポリペプチドは、眼に影響を及ぼす疾患の予防または処置に使用され、上記疾患は、ブドウ膜黒色腫およびブドウ膜炎から選択される。
【0241】
ある種の実施形態では、眼に影響を及ぼす疾患は、虹彩、毛様体、または脈絡膜(まとめてブドウ膜と呼ばれる)を伴う眼のがん(黒色腫)であるブドウ膜黒色腫である。
【0242】
ある種の実施形態では、眼に影響を及ぼす疾患は、ブドウ膜炎、すなわちブドウ膜の炎症である。
【0243】
本発明のポリペプチドは、複数の疾患または本明細書に開示される疾患の組み合わせの予防または処置に、同時におよび/または連続して用いることができることが理解される。ある種の実施形態では、Fc領域は、ヒトまたはヒト化アミノ酸配列を含むキメラFc領域である。
【0244】
ある種の実施形態では、Fc領域は、ヒトまたはヒト化Fc領域である。
ある種の実施形態では、Fc領域は、配列番号1に対して253位に突然変異を有する。ある種の実施形態では、Fc領域は突然変異I253Aを有する。ある種の実施形態では、Fc領域は突然変異I253Nを有する。
【0245】
ある種の実施形態では、Fc領域は、配列番号1に対して435位に突然変異を有する。ある種の実施形態では、Fc領域は突然変異H435Qを有する。
【0246】
ある種の実施形態では、Fc領域は、配列番号1に対して435位に突然変異を有さない。したがって、Fc領域は435位にHを有する。
【0247】
ある種の実施形態では、Fc領域は、配列番号1に対して310に突然変異を有さない。したがって、Fc領域は310位にHを有する。
【0248】
ある種の実施形態では、Fc領域は、
-突然変異I253AおよびH435Q、ならびに310位のH(AHQ);
-突然変異I253NおよびH435Q、ならびに310位のH(NHQ);
-突然変異I253A、H310AおよびH435Q(AAQ);
-突然変異I253N、H310AおよびH435Q(NAQ);
-突然変異I253A、ならびに310および435位のH(AHH);
-突然変異I253N、ならびに310および435位のH(NHH);
-突然変異I253AおよびH310A、ならびに435位のH(AAH);
-突然変異I253NおよびH310A、ならびに435位のH(NAH);
-突然変異I253N、H310AおよびH435A(NAA);
-突然変異I253N、H310AおよびH435E(NAE);
-突然変異I253A、H310AおよびH435A(AAA);または
-突然変異I253A、H310AおよびH435E(AAE)
を含む。
【0249】
ある種の実施形態では、Fc領域は、
-突然変異I253NおよびH435Q、ならびに310位のH(NHQ);
-突然変異I253A、H310AおよびH435Q(AAQ);
-突然変異I253N、H310AおよびH45Q(NAQ);
-突然変異I253N、H310AおよびH435E(NAE);または
-突然変異I253A、H310AおよびH435E(AAE)
を含む。
【0250】
ある種の実施形態では、Fc領域は、突然変異I253NおよびH435Q、ならびに310位にHを含む。
【0251】
ある種の実施形態では、Fc領域は、突然変異I253A、H310AおよびH435Q(AAQ)を含む。
【0252】
ある種の実施形態では、Fc領域は、突然変異I253N、H310AおよびH435Q(NAQ)を含む。
【0253】
ある種の実施形態では、Fc領域は、突然変異I253N、H310AおよびH435E(NAE)を含む。
【0254】
ある種の実施形態では、Fc領域は、突然変異I253A、H310AおよびH435E(AAE)を含む。
【0255】
ある種の実施形態では、Fc領域は、配列番号002(IAQ)、配列番号003(AHQ)、配列番号004(NHQ)、配列番号005(AAQ)、配列番号006(NAQ)、配列番号007(AHH)、配列番号008(NHH)、配列番号009(AAH)、配列番号010(NAH)、配列番号011(NAA)、配列番号012(NAE)、配列番号013(AAA)もしくは配列番号014(AAE)によって特徴付けられる配列であるかまたはそれらを含む。
【0256】
ある種の実施形態では、Fc領域は、配列番号004(NHQ)、配列番号005(AAQ)、配列番号006(NAQ)、配列番号012(NAE)もしくは配列番号014(AAE)によって特徴付けられる配列であるかまたはそれを含む。
【0257】
ある種の実施形態では、Fc領域は、配列番号004(NHQ)によって特徴付けられる配列であるかまたはそれを含む。
【0258】
ある種の実施形態では、Fc領域は、配列番号006(NAQ)によって特徴付けられる配列であるかまたはそれを含む。
【0259】
ある種の実施形態では、Fc領域は、配列番号012(NAE)によって特徴付けられる配列であるかまたはそれを含む。
【0260】
ある種の実施形態では、Fc領域は、配列番号014(AAE)によって特徴付けられる配列であるかまたはそれを含む。
処置に使用するための結晶化可能な断片(Fc)領域を含むポリペプチド
本発明のより広い態様は、疾患の予防または処置に使用するための、IgGの結晶化可能な断片(Fc)領域を含むポリペプチドを提供する。Fc領域は、新生児Fc受容体(FcRn)への親和性の低下をもたらす修飾を有し、ポリペプチドは、疾患により影響を及ぼされた組織への局所投与によって送達される。
【0261】
ある種の実施形態では、ポリペプチドは、眼内投与によって眼に送達される。
ある種の実施形態では、ポリペプチドは、関節内投与によって関節に送達される。
【0262】
ある種の実施形態では、ポリペプチドは、吸入を介して肺に送達される。
本発明は、さらに、IgGの結晶化可能な断片(Fc)領域を含み、好ましくは、さらに、
-IL-12;または
-VEGFR、Ang2、TNFα、IL-17、PD-1、PD-L1のいずれか1つに結合するポリペプチド、より好ましくはVEGFR、Ang2、TNFα、IL-17のいずれか1つに結合するポリペプチド
を含む、眼に影響を及ぼす疾患、具体的には眼に影響を及ぼす新生児疾患の予防または処置に使用するためのポリペプチドであって、上記Fc領域は、新生児Fc受容体(FcRn)に対する親和性の低下をもたらす修飾を有し、上記Fcは、突然変異I253NおよびH435Q、ならびに310位にH(NHQ)を含み、上記ポリペプチドは、眼内投与によって眼に送達される、ポリペプチドを提供する。
【0263】
本発明は、さらに、IgGの結晶化可能な断片(Fc)領域を含み、好ましくは、さらに
-IL-12;または
-TNFα、IL-1RA、IL-6R、IL-6、CD27、IL-22、IL-17、CD27のいずれか1つに結合するポリペプチド、より好ましくは、TNFα、IL-1RA、IL-6R、IL-6、CD27のいずれか1つに結合するポリペプチド
を含む、関節に影響を及ぼす疾患の予防または処置に使用するためのポリペプチドであって、上記Fc領域は、新生児Fc受容体(FcRn)に対する親和性の低下をもたらす修飾を有し、上記Fcは、突然変異I253NおよびH435Q、ならびに310位にHを含み、上記ポリペプチドは、関節内投与によって上記関節に送達される、ポリペプチドを提供する。
【0264】
本発明は、さらに、IgGの結晶化可能な断片(Fc)領域を含み、好ましくは、さらに、
-IL-12;または
-IL-10;または
-IL-4RA、TNFα、IL-5、IL-6R、PD-1、PD-L1、CTLA-4、IL-8、IL-21R、CD25、CD20、NF-kBのうちのいずれか1つに結合するポリペプチド;より好ましくはIL-4RA、TNFα、IL-5、IL-6R、PD-1、PD-L1、CTLA-4のうちのいずれか1つに結合するポリペプチドを含む、肺に影響を及ぼす疾患の予防または処置に使用するためのポリペプチドであって、上記Fc領域は、新生児Fc受容体(FcRn)に対する親和性の低下をもたらす修飾を有し、上記Fcは、突然変異I253NおよびH435Q、ならびに310位にHを含み、上記ポリペプチドは、吸入によって肺に送達される、ポリペプチドを提供する。
【0265】
本発明は、さらに、IgGの結晶化可能な断片(Fc)領域を含み、具体的にはIL-12をさらに含む、医薬として使用するための融合ポリペプチドであって、上記Fc領域は、新生児Fc受容体(FcRn)に対する親和性の低下をもたらす修飾を有し、上記Fcは、突然変異I253NおよびH435Q、ならびに310位にHを含む、融合ポリペプチドを提供する。
【0266】
ある種の実施形態では、疾患の予防または処置に使用するためのポリペプチドの結晶化可能な断片(Fc)領域は、配列番号004(NHQ)であるかまたはそれを含む。ある種の実施形態では、医薬として使用するための融合ポリペプチドの結晶化可能な断片(Fc)領域は、配列番号004(NHQ)であるかまたはそれを含む。
【0267】
局所投与後、FcRnに対する親和性の低下は、循環血液中への輸送および全身の濃縮が低下し、それによってポリペプチドのいずれもの全身毒性副作用を低下することを確実にする。
【0268】
ある種の実施形態では、ポリペプチドは、
a.i.エフェクターポリペプチドおよび
ii.上記Fc領域
を含む融合タンパク質;または
b.上記Fc領域を含むかもしくはそれに連結された抗体または抗体様分子
から選択される。
【0269】
処置に使用するための結晶化可能な断片(Fc)領域を含むポリペプチドのさらなる実施形態は、下記の「項目」セクションに見出すことができる。
【0270】
処置に使用するためのPD-1/PD-L1軸を標的とする
本発明の別の態様は、中枢神経系に影響を及ぼす疾患の予防または処置に使用するための、プログラムされた細胞死タンパク質1(PD-1)またはプログラムされた細胞死リガンド1(PD-L1)に特異的に結合する抗体または抗体様分子を提供する。抗体または抗体様分子は、新生児Fc受容体(FcRn)に対する親和性の低下をもたらす修飾を有するFc領域を含む。抗体または抗体様分子は、中枢神経系、具体的には脳に投与される。
【0271】
処置に使用するための抗OX40
本発明の別の態様は、中枢神経系に影響を及ぼす疾患の予防または処置に使用するための、CD134、OX40またはOX40受容体としても公知である、腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー4(TNFRSF4)に特異的に結合する抗体または抗体様分子を提供する。抗体または抗体様分子は、新生児Fc受容体(FcRn)に対する親和性の低下をもたらす修飾を有するFc領域を含む。抗体または抗体様分子は脳に投与される。
【0272】
処置に用いる抗CD47
本発明の別の態様は、中枢神経系に影響を及ぼす疾患の予防または処置に使用するための、インテグリン会合タンパク質(IAP)としても公知であるCD47に特異的に結合する抗体または抗体様分子を提供する。本発明のさらに別の態様は、CD47のリガンド、具体的にはFc領域と融合したSIRPαまたはトロンボスポンジン-1(TSP-1)を提供する。抗体または抗体様分子またはFc-融合分子は、新生児Fc受容体(FcRn)に対する親和性の低下をもたらす修飾を有するFc領域を含む。抗体または抗体様分子またはFc融合分子は脳に投与される。
【0273】
処置に使用するための抗Nogo-A
本発明の別の態様は、中枢神経系に影響を及ぼす疾患の予防または処置に使用するための、Nogo-Aに特異的に結合する抗体または抗体様分子を提供する。本発明のさらに別の態様は、Nogo-Aのリガンド、具体的にはFc領域と融合したNogo-66受容体1(NgR1)としても公知であるNogo-66受容体を提供する。抗体または抗体様分子またはFc-融合分子は、新生児Fc受容体(FcRn)に対する親和性の低下をもたらす修飾を有するFc領域を含む。抗体または抗体様分子またはFc融合分子が脳に投与される。
【0274】
処置に使用するための二重特異性抗体に関与するT細胞
本発明の別の態様は、中枢神経系に影響を及ぼす疾患の予防または処置に使用するための、腫瘍関連抗原(TAA)に結合した場合、がん細胞上のTAAに特異的に結合し、同時にT細胞受容体非依存性ポリクローナル活性化を提供するT細胞上のCD3に特異的に結合する二重特異性抗体または抗体様分子に関与するT細胞を提供する。本発明のさらに別の態様は、PD-L1に特異的に結合し、同時にT細胞上の4-1BBに特異的に結合する二重特異性抗体または抗体様分子を提供する。本発明のなおさらなる態様は、PD-L1に特異的に結合し、同時にT細胞上のCD28に特異的に結合する二重特異性抗体または抗体様分子を提供する。抗体または抗体様分子またはFc-融合分子は、新生児Fc受容体(FcRn)に対する親和性の低下をもたらす修飾を有するFc領域を含む。抗体または抗体様分子またはFc融合分子は脳に投与される。
【0275】
処置に使用するための武装化抗体および標的抗体
本発明の別の態様は、がん細胞上の腫瘍関連抗原(TAA)または腫瘍脈管構造中に存在する抗原、もしくは腫瘍の壊死性コア中に存在する抗原に特異的に結合する武装化抗体または抗体様分子を提供する。上記抗体または抗体様分子はまた、中枢神経系に影響を及ぼす疾患の予防または処置に使用するためのエフェクター分子、具体的にはサイトカイン、放射性同位元素または細胞毒性物質を担持する。武装化抗体または抗体様分子またはFc-融合分子は、新生児Fc受容体(FcRn)に対する親和性の低下をもたらす修飾を有するFc領域を含む。抗体または抗体様分子またはFc融合分子は脳に投与される。
【0276】
腫瘍条件抗体または組織条件抗体
本発明の別の態様は、がん細胞上の第1の腫瘍関連抗原(TAA)または腫瘍微小環境中に存在する抗原、または腫瘍の壊死性コア中に存在する抗原、または標的組織中に存在する抗原に特異的に結合する抗体または抗体様分子を提供する。上記抗体または抗体様分子はまた、第2のエフェクター分子、具体的にはサイトカインを含み、または中枢神経系に影響を及ぼす疾患の予防または処置に使用するための、第1の抗原とは異なる第2の抗原に結合する少なくとも1つ以上の抗体または抗体様分子を有する二重特異性または多重特異性抗体である。このような構築物において、第2の抗体または抗体様ドメインは、遮蔽され、その標的抗原に結合することができない。遮蔽ドメインは、プロテアーゼ感受性リンカーペプチドを介して第2の抗体または抗体様構築物に連結され、これは、主にまたは専らそこに見出されるプロテアーゼによって腫瘍または標的組織において切断される。遮蔽ドメインは、第1の抗原に結合する抗体または抗体様分子であり得る。標的組織または腫瘍微小環境における遮蔽ドメインの切断に際して、第2の抗体または抗体様分子は、その標的抗原に結合するか、またはサイトカインまたはケモカインの場合にはその受容体に結合する。腫瘍条件抗体もしくは組織条件抗体または抗体様分子またはFc-融合分子は、新生児Fc受容体(FcRn)に対する親和性の低下をもたらす修飾を有するFc領域を含む。抗体または抗体様分子またはFc融合分子は脳に投与される。
【0277】
当業者は、抗体の場合、抗体自体が既にFc領域を含むことを認識する。抗体様分子の場合、抗体様分子またはFc融合分子はFc領域に連結される。
【0278】
処置に使用するための結晶化可能な断片(Fc)領域を含む抗体または抗体様分子またはFc融合分子のさらなる実施形態は、下記の「項目」セクションに見出すことができる。
【0279】
FcRnに対する親和性が低下した(Kが増加した)Fc領域を含むポリペプチド
本発明の第2の態様は、IgGのFc領域を含むポリペプチドを提供し、上記Fc領域は、非修飾Fc領域を含む同じポリペプチドの親和性と比較して、新生児Fc受容体(FcRn)に対する親和性の低下をもたらす修飾を有する。
【0280】
ある種の実施形態では、FcRnに対する上記ポリペプチドの低下した親和性は、
a.非修飾Fc領域を含む同一ポリペプチドへのFcRnの結合を特徴付ける解離定数(K)と比較して少なくとも2倍増加するK、および
b.異なる修飾を受けたFc領域、すなわち、IAQ(突然変異H310AおよびH45Qを有する)およびAAA(突然変異I253A、H310AおよびH435Aを有する)から選択された1つの突然変異体を含む同一ポリペプチドへのFcRnの結合を特徴付けるKと比較して少なくとも1.5倍増加したK
から選択されるKによって特徴付けられる。
【0281】
ある種の実施形態では、Kは、非修飾Fc領域を含む同じポリペプチドへのFcRnの結合を特徴付けるKと比較して少なくとも3倍増加する。ある種の実施形態では、Kは、非修飾Fc領域を含む同じポリペプチドへのFcRnの結合を特徴付けるKと比較して少なくとも4倍増加する。ある種の実施形態では、Kは、非修飾Fc領域を含む同じポリペプチドへのFcRnの結合を特徴付けるKと比較して少なくとも5倍増加する。
【0282】
ある種の実施形態では、Kは、上記の異なる修飾を受けたFc領域を含む同じポリペプチドへのFcRnの結合を特徴付けるKと比較して少なくとも2倍増加する。
【0283】
ある種の実施形態では、ポリペプチドは、
a.i.エフェクターポリペプチドおよび
ii.上記Fc領域
を含む融合タンパク質;または
b.上記Fc領域を含むかもしくはそれに連結された抗体または抗体様分子
から選択される。
【0284】
当業者は、抗体の場合、抗体自体が既にFc領域を含むことを認識する。抗体様分子の場合、抗体様分子はFc領域に連結される。
【0285】
ある種の実施形態では、エフェクターポリペプチドは、
a.サイトカインもしくはホルモンもしくは増殖因子、
b.サイトカイン受容体もしくはホルモン受容体もしくは増殖因子受容体、または
c.代謝産物
の機能を有し、疾患、具体的には中枢神経系に影響を及ぼす疾患に対して治療効果または予防効果を有することが公知である。
【0286】
ある種の実施形態では、エフェクターポリペプチドは、細胞外マトリックス(ECM)に特異的に結合することができ、疾患、具体的には中枢神経系に影響を及ぼす疾患に対して治療効果または予防効果を有することが公知である。ある種の実施形態では、エフェクターポリペプチドは、RNAに特異的に結合することができ、疾患、具体的には中枢神経系に影響を及ぼす疾患に対して治療効果または予防効果を有することが公知である。
【0287】
ある種の実施形態では、エフェクターポリペプチドは、IL-12、IL-10、IL-2、IL-7、IFNα、IFNβ、IFNγ、IL-15、TNFα、CTLA-4、TGFβ、TGFβRII、GDNF、IL-35、CD95、IL-1RA、IL-4、IL-13、IL-33、IL-23、SIRPα、G-CSF、GM-CSF、OX40L、CD80、CD86、GITRL、4-1BBL、EphrinA1、EphrinB2、EphrinB5、BDNF、C9orf72、NRTN、ARTN、PSPN、CNTF、TRAIL、IL-4、IL-3、IL-1、IL-5、IL-8、IL-18、IL-21、CCL5、CCL21、CCL10、CCL16、CX3CL1、CXCL16を含む群から選択され、具体的には上記エフェクターポリペプチドはIL-12である。
【0288】
ある種の実施形態では、抗体または抗体様分子は、アゴニスト的またはアンタゴニスト的にPD-L1、TNFα、Histone、IFNγ、CXCL10、CTLA4、PD-1、CD3、OX40、CD20、CD22、CD25、CD28、TREM2、IL-6、CX3CR1、Nogo-A、CD27、IL-12、IL-12Rb1、IL-23、IL-17、CD47、TGFβ、EGFR、EGFRvIII、Her2、PDGFR、TGFR、FGFR、IL-4RA、TfR、LfR、IR、LDL-R、LRP-1、CD133、CD111、VEGFR、VEGF-A、Ang-2、IL-10、IL-10R、IL-13Rα2、α-synuclein、CSF1R、G-CSF、GM-CSF、GITR、TIM-3、LAG-3、TIGIT、BTLA、VISTA、CD96、CD147、4-1BB、CCL2、IL-1またはIL-1R、EphA2、EphA3、EphB2、EphB3、EphB4、LINGO-1、L1CAM、NCAM、SOD-1、SIGMAR-1、SIGMAR-2、TDP-43、Aβ、Tau、IFNα、IFNβ、TRPM4、ASIC1、VGCCs、CB,TTR、HTT、JCV、C9orf72に特異的に結合する抗体または抗体様分子から選択される。
【0289】
本発明の上記態様による抗体または抗体様分子は、PD-1またはPD-L1またはPD-L2の生理学的リガンドの認識部位または完全抗体に由来する抗体様分子であり得る。このような抗体または抗体様分子は、それぞれ、PD-1またはPD-L1またはPD-L2への結合について、生理学的リガンドと競合する。具体的には、非アゴニスト性PD-1抗体もしくは抗体様分子、または非アゴニスト性PD-L1抗体もしくは抗体様分子、または非アゴニスト性PD-L2抗体もしくは抗体様分子は、T細胞上の表面上のPD-1に結合した場合、減弱したT細胞活性をもたらさない。
【0290】
いくつかの実施形態では、本発明において使用される非アゴニスト性PD-1抗体または抗体様分子は、PD-1に結合した場合、PD-1とその結合パートナーであるPD-L1および/またはPD-L2との相互作用を立体的に遮断することができる。
【0291】
いくつかの実施形態では、上記非アゴニストPD-1抗体または抗体様分子は、PD-1に結合するガンマ免疫グロブリンであり、PD-1の結合パートナーであるPD-L1および/またはPD-L2とのPD-1相互作用の生理学的応答を引き起こさない。
【0292】
いくつかの実施形態では、上記非アゴニストPD-L1(PD-L2)抗体または抗体様分子は、PD-L1(PD-L2)に結合するガンマ免疫グロブリンであり、PD-1の結合パートナーであるPD-L1および/またはPD-L2とのPD-1相互作用の生理学的応答を引き起こさない。
【0293】
PD-1抗体の非限定的な例は、臨床的に承認された抗体ペンブロリズマブ(CAS番号1374853-91-4)およびニボルマブ(CAS番号946414-94-4)である。
【0294】
PD-L1抗体の非限定的な例は、臨床的に承認された抗体アテゾリズマブ(CAS番号1380723-44-3)、デュルバルマブ(CAS番号1428935-60-7)およびアベルマブ(CAS番号1537032-82-8)である。
【0295】
現在臨床開発中のPD-1/PD-L1またはPD-L2抗体の非限定的な例は、抗体MDX-1105/BMS-936559またはAMP-224である。IL-12/23に特異的に結合する抗体の非限定的な例は、ウステキヌマブ(CAS番号815610-63-0)である。
【0296】
ある種の実施形態では、抗体または抗体様分子は、PD-L1に特異的に結合する抗体である。
【0297】
いくつかの実施形態では、本発明において使用されるアゴニスト性OX40抗体または抗体様分子は、OX40への結合時およびOX40リガンドの非存在下で、OX40発現細胞においてシグナル伝達カスケードを引き起こすことができる。
【0298】
OX40抗体の非限定的な例は、現在臨床開発中の抗体PF-04518600/PF-8600m BMS-986178、GSK3174998、MOXR0916、INCAGN01949、バボリマブ/MEDI0562である。
【0299】
ある種の実施形態では、抗体または抗体様分子は、OX40に特異的に結合する抗体である。
【0300】
いくつかの実施形態では、本発明において使用される抗体または抗体様分子は、がん細胞の食作用を妨げるCD47とSIRPαシグナルの間の相互作用を遮断することができる。
【0301】
CD47遮断抗体またはSIRPα融合タンパク質の非限定的な例は、Hu5F9-G4、CC-90002/INBRX-103、IBI188、OSE-172、NI-1801、DSP107、TTI-622、TTI-621、ALX148およびSRF231である。
【0302】
ある種の実施形態では、抗体または抗体様分子は、Nogo-Aに特異的に結合する抗体である。
【0303】
ある種の実施形態では、抗体または抗体様分子は、2つの抗原を同時に結合することができる二重特異性構築物である。
【0304】
ある種の実施形態では、抗体または抗体様分子は、三重特異性構築物である。
ある種の実施形態では、抗体または抗体様分子は、多重特異性構築物である。
【0305】
ある種の実施形態では、抗体または抗体様分子は、IL-12またはIL-2で武装化された、腫瘍の壊死性コアに存在するヒストンに対する抗体である。ある種の場合では、武装化抗体は免疫サイトカインである。免疫サイトカインとしての武装化抗体の非限定的な例は、NHS-IL-12、NHS-IL2LT、Hu14.18-IL2、HuKS-IL2、huBC1-IL-12である。
【0306】
ある種の実施形態では、Fc領域は、ヒトアミノ酸配列を含むキメラFc領域である。
ある種の実施形態では、Fc領域はヒトFc領域である。
【0307】
ある種の実施形態では、Fc領域は、253位に突然変異を有する。ある種の実施形態では、Fc領域は、突然変異I253Aを有する。ある種の実施形態では、Fc領域は、突然変異I253Nを有する。
【0308】
ある種の実施形態では、Fc領域は、435位に突然変異を有する。ある種の実施形態では、Fc領域は、突然変異H435Qを有する。
【0309】
ある種の実施形態では、Fc領域は、435位に突然変異を有さない。したがって、Fc領域は435位にHを有する。
【0310】
ある種の実施形態では、Fc領域は、310位に突然変異を有さない。したがって、Fc領域は310位にHを有する。
【0311】
ある種の実施形態では、Fc領域は、
-突然変異I253AおよびH435Q、ならびに310位のH(AHQ);
-突然変異I253NおよびH435Q、ならびに310位のH(NHQ);
-突然変異I253A、H310AおよびH435Q(AAQ);
-突然変異I253N、H310AおよびH435Q(NAQ);
-突然変異I253A、ならびに310および435位のH(AHH);
-突然変異I253N、ならびに310および435位のH(NHH);
-突然変異I253AおよびH310A、ならびに435位のH(AAH);
-突然変異I253NおよびH310A、ならびに435位のH(NAH);
-突然変異I253N、H310AおよびH435A(NAA);
-突然変異I253N、H310AおよびH435E(NAE);
-突然変異I253A、H310AおよびH435A(AAA);または
-突然変異I253A、H310AおよびH435E(AAE)
を含む。
【0312】
ある種の実施形態では、Fc領域は、
-突然変異I253NおよびH435Q、ならびに310位のH(NHQ);
-突然変異I253A、H310AおよびH435Q(AAQ);
-突然変異I253N、H310AおよびH435Q(NAQ);
-突然変異I253N、H310AおよびH435E(NAE);または
-突然変異I253A、H310AおよびH435E(AAE)
を含む。
【0313】
ある種の実施形態では、Fc領域は、突然変異I253NおよびH435Q、ならびに310位にHを含む。
【0314】
ある種の実施形態では、Fc領域は、突然変異I253A、H310AおよびH435Q(AAQ)を含む。
【0315】
ある種の実施形態では、Fc領域は、突然変異I253N、H310AおよびH435Q(NAQ)を含む。
【0316】
ある種の実施形態では、Fc領域は、突然変異I253N、H310AおよびH435E(NAE)を含む。
【0317】
ある種の実施形態では、Fc領域は、突然変異I253A、H310AおよびH435E(AAE)を含む。
【0318】
ある種の実施形態では、Fc領域は、配列番号002(IAQ)、配列番号003(AHQ)、配列番号004(NHQ)、配列番号005(AAQ)、配列番号006(NAQ)、配列番号007(AHH)、配列番号008(NHH)、配列番号009(AAH)、配列番号010(NAH)、配列番号011(NAA)、配列番号012(NAE)、配列番号013(AAA)もしくは配列番号014(AAE)によって特徴付けられる配列であるかまたはそれらを含む。
【0319】
ある種の実施形態では、Fc領域は、配列番号004(NHQ)、配列番号005(AAQ)、配列番号006(NAQ)、配列番号012(NAE)もしくは配列番号014(AAE)によって特徴付けられる配列であるかまたはそれを含む。
【0320】
ある種の実施形態では、Fc領域は、配列番号004によって特徴付けられる配列(NHQ)であるかまたはそれを含む。
【0321】
ある種の実施形態では、Fc領域は、配列番号006によって特徴付けられる配列(NAQ)であるかまたはそれを含む。
【0322】
ある種の実施形態では、Fc領域は、配列番号012によって特徴付けられる配列(NAE)であるか、またはそれを含む。
【0323】
ある種の実施形態では、Fc領域は、配列番号014によって特徴付けられる配列(AAE)であるか、またはそれを含む。
【0324】
核酸
本発明の別の態様は、本発明の上記の態様によるポリペプチドをコードする核酸を提供する。
【0325】
ウイルス
本発明の別の態様は、本発明の上記の態様による核酸を含むウイルスベクターを提供する。ウイルスベクターは、処置中の患者への適用に適した複製または非複製ウイルスであり得る。
【0326】
本発明のいずれかの態様のある種の実施形態では、本発明による修飾Fc領域を含むポリペプチドは、FcRn遮断抗体と組み合わせて使用される。FcRn遮断抗体は、Fcを含むポリペプチドとFcRnの間の結合を阻害することができ、したがって、本発明の技術的効果を模倣する。FcRn遮断抗体との組み合わせは、本発明による修飾Fc領域を含むポリペプチドの記載された利点を増強することができる。
【0327】
本発明の任意の態様のある種の実施形態では、Fc領域は、免疫グロブリンG(IgG)のFc領域である。IgGはヒトの体液性免疫応答の主要なエフェクター分子である。IgG1、IgG2、IgG3およびIgG4と称されるヒトIgGの4つの異なるサブグループがある。4つのサブクラスは、重鎖の定常ドメインのアミノ酸配列において95%を超える相同性を示すが、ヒンジ領域の構造および可撓性、特にこのドメインにおける重鎖間ジスルフィド結合の数に関しては異なる。IgGサブクラス間の構造的相違はまた、タンパク質分解酵素、具体的にはパパイン、プラスミン、トリプシンおよびペプシンに対するそれらの感受性に反映される。
【0328】
本発明のいずれかの態様のある種の実施形態では、Fc領域は、IgG4のFc領域である。ヒトIgG4のアイソフォームは1つしか知られていない。ヒトIgG1、IgG2およびIgG3とは対照的に、ヒトIgG4は補体を活性化しない。さらに、IgG4はIgG2およびIgG3と比較してタンパク質分解酵素に対する感受性が低い。これらの予想に反して、実際には、突然変異I253NおよびH435Qを有するIgG1全長抗体構築物は、対応するIgG4全長抗体構築物と比較して決定された血漿対脳比がより高い解離定数によって例示されるように、FcRnに対するより低い親和性を特徴とすることが驚くべきことに見出された。
【0329】
同様に、本発明の範囲内には、悪性新生物性疾患、具体的には固形組織腫瘍、より具体的には神経膠腫を、それを必要とする患者において処置または予防するための使用が含まれ、上記される本発明の態様の1つに従って修飾Fc領域を含むポリペプチド、またはポリペプチドをコードする核酸、もしくはポリペプチドをコードする核酸を含むウイルスベクターを患者に投与することを含む。
【0330】
同様に、悪性新生物性疾患、具体的には固形組織腫瘍、より具体的には神経膠腫の予防または処置のための剤形が提供され、上記される本発明の態様の1つによる修飾Fc領域を含むポリペプチド、またはポリペプチドをコードする核酸、もしくはポリペプチドをコードする核酸を含むウイルスベクターを含む。
【0331】
単一の分離可能な特徴に対する選択肢が、本明細書において「実施形態」として示されるどのような場合でも、このような選択肢は、自由に組み合わされて、本明細書において開示される本発明の別個の実施形態を形成することができることが理解されるべきである。
【0332】
本発明は、以下の実施例および図面によってさらに例示され、そこからさらに別の実施形態および利点を引き出すことができる。これらの実施例は、本発明を例証することを意図しているが、その範囲を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0333】
図1A】ヒトIL-12Fcは、IL-12よりも良好な組織保持を有する。A.マウスIL-12Fcの概略構造。rhIL-12-組換えヒトIL-12、hIL-12Fc-ヒトIL-12Fc。IgG4 Fc-ヒトIgG4の断片の結晶化可能な領域。B.実験の概略図。IL-12FcのIL-12をFcRntgマウスの線条体に注射した。24時間後、注射されたタンパク質の残存量を脳において評価し、血清中に存在する量と比較した。C.ELISAにより評価した血清対脳内IL-12量の比。ELISAは、IL-12Fcの一般的な尺度としてhIL-12を測定した。対になっていないスチューデントt検定。**p<0.005。平均値±SD。
図1B】ヒトIL-12Fcは、IL-12よりも良好な組織保持を有する。A.マウスIL-12Fcの概略構造。rhIL-12-組換えヒトIL-12、hIL-12Fc-ヒトIL-12Fc。IgG4 Fc-ヒトIgG4の断片の結晶化可能な領域。B.実験の概略図。IL-12FcのIL-12をFcRntgマウスの線条体に注射した。24時間後、注射されたタンパク質の残存量を脳において評価し、血清中に存在する量と比較した。C.ELISAにより評価した血清対脳内IL-12量の比。ELISAは、IL-12Fcの一般的な尺度としてhIL-12を測定した。対になっていないスチューデントt検定。**p<0.005。平均値±SD。
図1C】ヒトIL-12Fcは、IL-12よりも良好な組織保持を有する。A.マウスIL-12Fcの概略構造。rhIL-12-組換えヒトIL-12、hIL-12Fc-ヒトIL-12Fc。IgG4 Fc-ヒトIgG4の断片の結晶化可能な領域。B.実験の概略図。IL-12FcのIL-12をFcRntgマウスの線条体に注射した。24時間後、注射されたタンパク質の残存量を脳において評価し、血清中に存在する量と比較した。C.ELISAにより評価した血清対脳内IL-12量の比。ELISAは、IL-12Fcの一般的な尺度としてhIL-12を測定した。対になっていないスチューデントt検定。**p<0.005。平均値±SD。
図2A】IL-12Fcは、FcRnを介して脳から放出されている。A.脳腫瘍を有するwtおよびFcRntgマウスに、12.5μg/kg/日のマウスIL-12Fcを腫瘍病変に直接送達する浸透圧ポンプを移植した。ビーズベースのアレイを用いて血清中で測定したマウスIL-12レベル。wt mIL-12Fc対FcRntg mIL-12Fc群の対になっていないスチューデントt検定。平均値±SD。一方向ANOVAとTukeyの多重比較検定。B.図2Aのように処理したマウス。ビーズベースのアレイを用いて血清中で測定した場合、処置開始の24時間後の循環中に存在するIL-12の量。平均値±SD。C.図2Aのように処理したマウス。ビーズベースのアレイを用いて血清中で測定した場合、処置開始の24時間後の循環中のIFNγのレベル。平均値±SD。D.7日目のIFN-γレベル、実験A、平均値±SD。
図2B】IL-12Fcは、FcRnを介して脳から放出されている。A.脳腫瘍を有するwtおよびFcRntgマウスに、12.5μg/kg/日のマウスIL-12Fcを腫瘍病変に直接送達する浸透圧ポンプを移植した。ビーズベースのアレイを用いて血清中で測定したマウスIL-12レベル。wt mIL-12Fc対FcRntg mIL-12Fc群の対になっていないスチューデントt検定。平均値±SD。一方向ANOVAとTukeyの多重比較検定。B.図2Aのように処理したマウス。ビーズベースのアレイを用いて血清中で測定した場合、処置開始の24時間後の循環中に存在するIL-12の量。平均値±SD。C.図2Aのように処理したマウス。ビーズベースのアレイを用いて血清中で測定した場合、処置開始の24時間後の循環中のIFNγのレベル。平均値±SD。D.7日目のIFN-γレベル、実験A、平均値±SD。
図2C】IL-12Fcは、FcRnを介して脳から放出されている。A.脳腫瘍を有するwtおよびFcRntgマウスに、12.5μg/kg/日のマウスIL-12Fcを腫瘍病変に直接送達する浸透圧ポンプを移植した。ビーズベースのアレイを用いて血清中で測定したマウスIL-12レベル。wt mIL-12Fc対FcRntg mIL-12Fc群の対になっていないスチューデントt検定。平均値±SD。一方向ANOVAとTukeyの多重比較検定。B.図2Aのように処理したマウス。ビーズベースのアレイを用いて血清中で測定した場合、処置開始の24時間後の循環中に存在するIL-12の量。平均値±SD。C.図2Aのように処理したマウス。ビーズベースのアレイを用いて血清中で測定した場合、処置開始の24時間後の循環中のIFNγのレベル。平均値±SD。D.7日目のIFN-γレベル、実験A、平均値±SD。
図2D】IL-12Fcは、FcRnを介して脳から放出されている。A.脳腫瘍を有するwtおよびFcRntgマウスに、12.5μg/kg/日のマウスIL-12Fcを腫瘍病変に直接送達する浸透圧ポンプを移植した。ビーズベースのアレイを用いて血清中で測定したマウスIL-12レベル。wt mIL-12Fc対FcRntg mIL-12Fc群の対になっていないスチューデントt検定。平均値±SD。一方向ANOVAとTukeyの多重比較検定。B.図2Aのように処理したマウス。ビーズベースのアレイを用いて血清中で測定した場合、処置開始の24時間後の循環中に存在するIL-12の量。平均値±SD。C.図2Aのように処理したマウス。ビーズベースのアレイを用いて血清中で測定した場合、処置開始の24時間後の循環中のIFNγのレベル。平均値±SD。D.7日目のIFN-γレベル、実験A、平均値±SD。
図3A】熱シフトアッセイを用いて測定したタンパク質の安定性。タンパク質をPBS(A)または人工脳脊髄液(aCSF、B)中でインキュベートした。IL-12Fcバリアントあたり5回の測定。Whiskerは、最小および最大スプレッドを表す。
図3B】熱シフトアッセイを用いて測定したタンパク質の安定性。タンパク質をPBS(A)または人工脳脊髄液(aCSF、B)中でインキュベートした。IL-12Fcバリアントあたり5回の測定。Whiskerは、最小および最大スプレッドを表す。
図4A】IL-12FcのFc断片における突然変異は、IL-12の生物学的活性に影響を及ぼさない。A.HEK-Blue(商標)IL-12アッセイを用いて測定したIL-12の生物活性。EC50-濃度あたり2回反復して、0~50ng/mlの範囲でIL-12Fcで刺激されたHEK-Blue(商標)IL-12レポーター細胞からの最大シグナルの50%をもたらす有効濃度。比色法を用いて、分泌されたアルカリホスファターゼの活性を用いて測定した。各点は、独立した実験の結果を示す。平均値±SD。B.100ng/mlの抗CD3、および10ng/mlの組換えIL-12、IL-12Fc WTまたはFcRn親和性を低下させるように設計された3種のバリアントで1時間刺激された末梢血単核細胞(PBMC)におけるSTAT-4のリン酸化。平均値±SD。C.100ng/mlの抗CD3、および指示された濃度の組換えIL-12、IL-12Fc WTまたはFcRn親和性を低下させるように設計された3種のバリアントで24時間刺激されたPBMCによるIFNγ産生。
図4B】IL-12FcのFc断片における突然変異は、IL-12の生物学的活性に影響を及ぼさない。A.HEK-Blue(商標)IL-12アッセイを用いて測定したIL-12の生物活性。EC50-濃度あたり2回反復して、0~50ng/mlの範囲でIL-12Fcで刺激されたHEK-Blue(商標)IL-12レポーター細胞からの最大シグナルの50%をもたらす有効濃度。比色法を用いて、分泌されたアルカリホスファターゼの活性を用いて測定した。各点は、独立した実験の結果を示す。平均値±SD。B.100ng/mlの抗CD3、および10ng/mlの組換えIL-12、IL-12Fc WTまたはFcRn親和性を低下させるように設計された3種のバリアントで1時間刺激された末梢血単核細胞(PBMC)におけるSTAT-4のリン酸化。平均値±SD。C.100ng/mlの抗CD3、および指示された濃度の組換えIL-12、IL-12Fc WTまたはFcRn親和性を低下させるように設計された3種のバリアントで24時間刺激されたPBMCによるIFNγ産生。
図4C】IL-12FcのFc断片における突然変異は、IL-12の生物学的活性に影響を及ぼさない。A.HEK-Blue(商標)IL-12アッセイを用いて測定したIL-12の生物活性。EC50-濃度あたり2回反復して、0~50ng/mlの範囲でIL-12Fcで刺激されたHEK-Blue(商標)IL-12レポーター細胞からの最大シグナルの50%をもたらす有効濃度。比色法を用いて、分泌されたアルカリホスファターゼの活性を用いて測定した。各点は、独立した実験の結果を示す。平均値±SD。B.100ng/mlの抗CD3、および10ng/mlの組換えIL-12、IL-12Fc WTまたはFcRn親和性を低下させるように設計された3種のバリアントで1時間刺激された末梢血単核細胞(PBMC)におけるSTAT-4のリン酸化。平均値±SD。C.100ng/mlの抗CD3、および指示された濃度の組換えIL-12、IL-12Fc WTまたはFcRn親和性を低下させるように設計された3種のバリアントで24時間刺激されたPBMCによるIFNγ産生。
図5A】ヒトIL-12Fcバリアントは、FcRn親和性が低下している。A.表面に固定化したヒト組換えFcRnと液相中のIL-12FcバリアントとのFcRn親和性の表面プラズモン共鳴(SPR)測定。pH=6.0で測定した親和性。IL-12Fc WTに正規化したデータ。B.ヒトFcRnに結合するIL-12Fcバリアント。pH=6.0でELISAにより測定した。平均値±SD。
図5B】ヒトIL-12Fcバリアントは、FcRn親和性が低下している。A.表面に固定化したヒト組換えFcRnと液相中のIL-12FcバリアントとのFcRn親和性の表面プラズモン共鳴(SPR)測定。pH=6.0で測定した親和性。IL-12Fc WTに正規化したデータ。B.ヒトFcRnに結合するIL-12Fcバリアント。pH=6.0でELISAにより測定した。平均値±SD。
図6A】血中および注射された半球中のIL-12Fc濃度比。A.1μgのIL-12Fc WTまたはNHQバリアントをFcRntgマウスの線条体に注射した。24時間後、IL-12の量を注射された脳半球および血清中でELISAにより評価し、それらの比を計算し、IL-12Fc WT群のそれらに正規化した。各群4匹。対になっていないスチューデントt検定。p<0.05。平均値±SD。B.対流増強送達(CED)を用いて、1μgのIL-12Fc WT、IAQ、AAAまたはNHQをFcRntgマウスの線条体に注射した。24時間後、IL-12の量をELISAにより、注射された脳半球および血漿中で評価し、それらの比率を計算し、IL-12Fc WT群のそれらに正規化した。各群7~8匹のマウス。Tukey多重比較検定を用いた一方向ANOVA。平均値±SD。
図6B】血中および注射された半球中のIL-12Fc濃度比。A.1μgのIL-12Fc WTまたはNHQバリアントをFcRntgマウスの線条体に注射した。24時間後、IL-12の量を注射された脳半球および血清中でELISAにより評価し、それらの比を計算し、IL-12Fc WT群のそれらに正規化した。各群4匹。対になっていないスチューデントt検定。p<0.05。平均値±SD。B.対流増強送達(CED)を用いて、1μgのIL-12Fc WT、IAQ、AAAまたはNHQをFcRntgマウスの線条体に注射した。24時間後、IL-12の量をELISAにより、注射された脳半球および血漿中で評価し、それらの比率を計算し、IL-12Fc WT群のそれらに正規化した。各群7~8匹のマウス。Tukey多重比較検定を用いた一方向ANOVA。平均値±SD。
図7】IL-12Fcバリアントによる局所処置後の脳保持。FcRntgマウスに1μgのIL-12Fc WT、IAQ、AAAまたはNHQを対流増強送達(CED)を用いて線条体に注射した。脳組織中に残存するIL-12Fcの量をELISAにより注射の6時間後に測定し、IL-12Fc WTに正規化した。Tukey多重比較検定を用いた一方向ANOVA。異常除去。平均値±SD。
図8A】A.天然ならびにrmIL-12、mIL-12hIgG4 wt、mIL-12hIgG4 NHQおよびmIL-12hIgG1:抗hPD-L1 NHQの概略構造。B.HEK-Blue(商標)IL-12アッセイを用いて測定したマウスIL-12構築物の生物活性。HEK-Blue(商標)レポーター細胞は、5~8の希釈段階を用いて、濃度あたり2回反復して、0~50ng/mLの範囲のIL-12またはIL-12Fcバリアントで刺激された。比色法を用いて、分泌されたアルカリホスファターゼの活性を用いて測定する。X軸値:対応するIL-12分子量としてpmol/mlでプロットした濃度。2つの個別実験の代表。C.完全な抗PD-L1(アテゾリズマブ)抗体と比較した細胞上のPD-L1への結合。GL-261:lucまたはPD-L1欠損GL-261:luc(PD-L1 KO)細胞を、マウスインターフェロン-ガンマ(IFNγ)で刺激して、PD-L1発現を刺激し、抗PD-L1抗体またはh/mIL-12hFc:aPD-L1 NHQバリアントで染色した。抗ヒトIgG-PE二次抗体を用いた細胞結合抗体の検出。D.表面プラズモン共鳴(SPR)で測定した場合のWTと比較したNHQバリアントのFcRnに対する親和性。表面に固定化されたヒト組換えFcRnおよび液相中のPD-L1結合剤。pH=6で測定した親和性。nMの親和性定数K
図8B】A.天然ならびにrmIL-12、mIL-12hIgG4 wt、mIL-12hIgG4 NHQおよびmIL-12hIgG1:抗hPD-L1 NHQの概略構造。B.HEK-Blue(商標)IL-12アッセイを用いて測定したマウスIL-12構築物の生物活性。HEK-Blue(商標)レポーター細胞は、5~8の希釈段階を用いて、濃度あたり2回反復して、0~50ng/mLの範囲のIL-12またはIL-12Fcバリアントで刺激された。比色法を用いて、分泌されたアルカリホスファターゼの活性を用いて測定する。X軸値:対応するIL-12分子量としてpmol/mlでプロットした濃度。2つの個別実験の代表。C.完全な抗PD-L1(アテゾリズマブ)抗体と比較した細胞上のPD-L1への結合。GL-261:lucまたはPD-L1欠損GL-261:luc(PD-L1 KO)細胞を、マウスインターフェロン-ガンマ(IFNγ)で刺激して、PD-L1発現を刺激し、抗PD-L1抗体またはh/mIL-12hFc:aPD-L1 NHQバリアントで染色した。抗ヒトIgG-PE二次抗体を用いた細胞結合抗体の検出。D.表面プラズモン共鳴(SPR)で測定した場合のWTと比較したNHQバリアントのFcRnに対する親和性。表面に固定化されたヒト組換えFcRnおよび液相中のPD-L1結合剤。pH=6で測定した親和性。nMの親和性定数K
図8C】A.天然ならびにrmIL-12、mIL-12hIgG4 wt、mIL-12hIgG4 NHQおよびmIL-12hIgG1:抗hPD-L1 NHQの概略構造。B.HEK-Blue(商標)IL-12アッセイを用いて測定したマウスIL-12構築物の生物活性。HEK-Blue(商標)レポーター細胞は、5~8の希釈段階を用いて、濃度あたり2回反復して、0~50ng/mLの範囲のIL-12またはIL-12Fcバリアントで刺激された。比色法を用いて、分泌されたアルカリホスファターゼの活性を用いて測定する。X軸値:対応するIL-12分子量としてpmol/mlでプロットした濃度。2つの個別実験の代表。C.完全な抗PD-L1(アテゾリズマブ)抗体と比較した細胞上のPD-L1への結合。GL-261:lucまたはPD-L1欠損GL-261:luc(PD-L1 KO)細胞を、マウスインターフェロン-ガンマ(IFNγ)で刺激して、PD-L1発現を刺激し、抗PD-L1抗体またはh/mIL-12hFc:aPD-L1 NHQバリアントで染色した。抗ヒトIgG-PE二次抗体を用いた細胞結合抗体の検出。D.表面プラズモン共鳴(SPR)で測定した場合のWTと比較したNHQバリアントのFcRnに対する親和性。表面に固定化されたヒト組換えFcRnおよび液相中のPD-L1結合剤。pH=6で測定した親和性。nMの親和性定数K
図8D】A.天然ならびにrmIL-12、mIL-12hIgG4 wt、mIL-12hIgG4 NHQおよびmIL-12hIgG1:抗hPD-L1 NHQの概略構造。B.HEK-Blue(商標)IL-12アッセイを用いて測定したマウスIL-12構築物の生物活性。HEK-Blue(商標)レポーター細胞は、5~8の希釈段階を用いて、濃度あたり2回反復して、0~50ng/mLの範囲のIL-12またはIL-12Fcバリアントで刺激された。比色法を用いて、分泌されたアルカリホスファターゼの活性を用いて測定する。X軸値:対応するIL-12分子量としてpmol/mlでプロットした濃度。2つの個別実験の代表。C.完全な抗PD-L1(アテゾリズマブ)抗体と比較した細胞上のPD-L1への結合。GL-261:lucまたはPD-L1欠損GL-261:luc(PD-L1 KO)細胞を、マウスインターフェロン-ガンマ(IFNγ)で刺激して、PD-L1発現を刺激し、抗PD-L1抗体またはh/mIL-12hFc:aPD-L1 NHQバリアントで染色した。抗ヒトIgG-PE二次抗体を用いた細胞結合抗体の検出。D.表面プラズモン共鳴(SPR)で測定した場合のWTと比較したNHQバリアントのFcRnに対する親和性。表面に固定化されたヒト組換えFcRnおよび液相中のPD-L1結合剤。pH=6で測定した親和性。nMの親和性定数K
図9A】脳がんの局所処置のための最適化されたIL-12 Fc融合体は、治療効果に影響を及ぼすことなく全身曝露の低下をもたらす。 A.腫瘍注射後の日数での実験スケジュール。GL-261:luc脳腫瘍を有する動物は、20日目に生物発光イメージング(BLI)を介して同等の腫瘍負荷の処置群に系統的に割り当てられ、対流増強送達(CED)を介して、緩衝液のみ(対照)または1μgのrmIL-12、mIL-12hFc:抗PD-L1二官能性分子、mIL-12hFc WTまたはmIL-12hFc NHQで、腫瘍移植後21日目および28日目に処置された。CED注射の0、6、24、72時間後、7日後、ならびに2回目のCED注射の14日後の時間点での血漿のための採血。 B.生物発光イメージングによりモニターされた処置時の腫瘍進行。処置コホートによりグループ化された個々の動物の目的とする領域(ROI)からのプロットされた平均放射輝度(p/s/cm/sr)。CEDによる処理を縦の点線で示す。 C.処置に応答にしたIL-12(黒線、左Y軸)およびIFNγ(灰色線、右Y軸)の血漿レベル。ビーズベースのサイトカインアレイにより所定の時間点で測定する。CEDによる処理を縦の点線で示す。 D.21日目のCEDの6時間後の血漿IL-12レベルのFcRn親和性依存性差。mIL-12hFc WTおよびmIL-12hFc NHQで注射されたマウス。A~Cに示された実験からのデータ。 E.A-Dからの処置されたマウスの生存のKaplan-Meyer分析。各群6~7匹のマウス。
図9B】脳がんの局所処置のための最適化されたIL-12 Fc融合体は、治療効果に影響を及ぼすことなく全身曝露の低下をもたらす。 A.腫瘍注射後の日数での実験スケジュール。GL-261:luc脳腫瘍を有する動物は、20日目に生物発光イメージング(BLI)を介して同等の腫瘍負荷の処置群に系統的に割り当てられ、対流増強送達(CED)を介して、緩衝液のみ(対照)または1μgのrmIL-12、mIL-12hFc:抗PD-L1二官能性分子、mIL-12hFc WTまたはmIL-12hFc NHQで、腫瘍移植後21日目および28日目に処置された。CED注射の0、6、24、72時間後、7日後、ならびに2回目のCED注射の14日後の時間点での血漿のための採血。 B.生物発光イメージングによりモニターされた処置時の腫瘍進行。処置コホートによりグループ化された個々の動物の目的とする領域(ROI)からのプロットされた平均放射輝度(p/s/cm/sr)。CEDによる処理を縦の点線で示す。 C.処置に応答にしたIL-12(黒線、左Y軸)およびIFNγ(灰色線、右Y軸)の血漿レベル。ビーズベースのサイトカインアレイにより所定の時間点で測定する。CEDによる処理を縦の点線で示す。 D.21日目のCEDの6時間後の血漿IL-12レベルのFcRn親和性依存性差。mIL-12hFc WTおよびmIL-12hFc NHQで注射されたマウス。A~Cに示された実験からのデータ。 E.A-Dからの処置されたマウスの生存のKaplan-Meyer分析。各群6~7匹のマウス。
図9C】脳がんの局所処置のための最適化されたIL-12 Fc融合体は、治療効果に影響を及ぼすことなく全身曝露の低下をもたらす。 A.腫瘍注射後の日数での実験スケジュール。GL-261:luc脳腫瘍を有する動物は、20日目に生物発光イメージング(BLI)を介して同等の腫瘍負荷の処置群に系統的に割り当てられ、対流増強送達(CED)を介して、緩衝液のみ(対照)または1μgのrmIL-12、mIL-12hFc:抗PD-L1二官能性分子、mIL-12hFc WTまたはmIL-12hFc NHQで、腫瘍移植後21日目および28日目に処置された。CED注射の0、6、24、72時間後、7日後、ならびに2回目のCED注射の14日後の時間点での血漿のための採血。 B.生物発光イメージングによりモニターされた処置時の腫瘍進行。処置コホートによりグループ化された個々の動物の目的とする領域(ROI)からのプロットされた平均放射輝度(p/s/cm/sr)。CEDによる処理を縦の点線で示す。 C.処置に応答にしたIL-12(黒線、左Y軸)およびIFNγ(灰色線、右Y軸)の血漿レベル。ビーズベースのサイトカインアレイにより所定の時間点で測定する。CEDによる処理を縦の点線で示す。 D.21日目のCEDの6時間後の血漿IL-12レベルのFcRn親和性依存性差。mIL-12hFc WTおよびmIL-12hFc NHQで注射されたマウス。A~Cに示された実験からのデータ。 E.A-Dからの処置されたマウスの生存のKaplan-Meyer分析。各群6~7匹のマウス。
図9D】脳がんの局所処置のための最適化されたIL-12 Fc融合体は、治療効果に影響を及ぼすことなく全身曝露の低下をもたらす。 A.腫瘍注射後の日数での実験スケジュール。GL-261:luc脳腫瘍を有する動物は、20日目に生物発光イメージング(BLI)を介して同等の腫瘍負荷の処置群に系統的に割り当てられ、対流増強送達(CED)を介して、緩衝液のみ(対照)または1μgのrmIL-12、mIL-12hFc:抗PD-L1二官能性分子、mIL-12hFc WTまたはmIL-12hFc NHQで、腫瘍移植後21日目および28日目に処置された。CED注射の0、6、24、72時間後、7日後、ならびに2回目のCED注射の14日後の時間点での血漿のための採血。 B.生物発光イメージングによりモニターされた処置時の腫瘍進行。処置コホートによりグループ化された個々の動物の目的とする領域(ROI)からのプロットされた平均放射輝度(p/s/cm/sr)。CEDによる処理を縦の点線で示す。 C.処置に応答にしたIL-12(黒線、左Y軸)およびIFNγ(灰色線、右Y軸)の血漿レベル。ビーズベースのサイトカインアレイにより所定の時間点で測定する。CEDによる処理を縦の点線で示す。 D.21日目のCEDの6時間後の血漿IL-12レベルのFcRn親和性依存性差。mIL-12hFc WTおよびmIL-12hFc NHQで注射されたマウス。A~Cに示された実験からのデータ。 E.A-Dからの処置されたマウスの生存のKaplan-Meyer分析。各群6~7匹のマウス。
図9E】脳がんの局所処置のための最適化されたIL-12 Fc融合体は、治療効果に影響を及ぼすことなく全身曝露の低下をもたらす。 A.腫瘍注射後の日数での実験スケジュール。GL-261:luc脳腫瘍を有する動物は、20日目に生物発光イメージング(BLI)を介して同等の腫瘍負荷の処置群に系統的に割り当てられ、対流増強送達(CED)を介して、緩衝液のみ(対照)または1μgのrmIL-12、mIL-12hFc:抗PD-L1二官能性分子、mIL-12hFc WTまたはmIL-12hFc NHQで、腫瘍移植後21日目および28日目に処置された。CED注射の0、6、24、72時間後、7日後、ならびに2回目のCED注射の14日後の時間点での血漿のための採血。 B.生物発光イメージングによりモニターされた処置時の腫瘍進行。処置コホートによりグループ化された個々の動物の目的とする領域(ROI)からのプロットされた平均放射輝度(p/s/cm/sr)。CEDによる処理を縦の点線で示す。 C.処置に応答にしたIL-12(黒線、左Y軸)およびIFNγ(灰色線、右Y軸)の血漿レベル。ビーズベースのサイトカインアレイにより所定の時間点で測定する。CEDによる処理を縦の点線で示す。 D.21日目のCEDの6時間後の血漿IL-12レベルのFcRn親和性依存性差。mIL-12hFc WTおよびmIL-12hFc NHQで注射されたマウス。A~Cに示された実験からのデータ。 E.A-Dからの処置されたマウスの生存のKaplan-Meyer分析。各群6~7匹のマウス。
図10A】抗体 A.表面に固定化されたヒト組換えFcRnと液相中のIgG1バリアントのFcRn親和性の表面プラズモン共鳴(SPR)測定。pH=6.0で測定した親和性。非修飾Fc(WT)でIgG1抗体に正規化されたデータ。非修飾Fc部分を有する3つの追加のIgG1臨床グレード抗体(IgG1_01イピリムマブ、IgG1_02アテゾリズマブ、IgG1_03リツキシマブ)を追加の参照として使用した。平均値±SD。pH=6.0で測定した親和性。非修飾Fc(WT)でIgG4抗体に正規化されたデータ。非修飾Fc部分を有する第2のIgG4抗体(ニボルマブ)を追加の参照(IgG4)として使用した。平均値±SD。 B.1μgのIgG1 WT、IAQ、AAAまたはNHQバリアントを、対流増強送達(CED)を用いてFcRntgマウスの線条体に注射した。24時間後、ELISAにより、注射された脳半球および血漿中のヒトIgG量を評価し、それらの比を計算し、IL-12Fc WT群の比に正規化した。各群5匹のマウス。平均値±SD。 C.表面に固定化されたヒト組換えFcRnと液相中のIgG4バリアントのFcRn親和性の表面プラズモン共鳴(SPR)測定。pH=6.0で測定した親和性。非修飾Fc(WT)でIgG4抗体に正規化されたデータ。非修飾Fc部分を有する第2のIgG4抗体(ニボルマブ)を追加の参照(IgG4)として使用した。平均値±SD。 D.1μgのIgG4 WT、IAQ、AAAまたはNHQバリアントを、対流増強送達(CED)を用いてFcRntgマウスの線条体に注射した。24時間後、ELISAにより、注射された脳半球および血漿中のヒトIgG量を評価し、それらの比を計算し、IL-12Fc WT群の比に正規化した。各群5匹のマウス。平均値±SD。
図10B】抗体 A.表面に固定化されたヒト組換えFcRnと液相中のIgG1バリアントのFcRn親和性の表面プラズモン共鳴(SPR)測定。pH=6.0で測定した親和性。非修飾Fc(WT)でIgG1抗体に正規化されたデータ。非修飾Fc部分を有する3つの追加のIgG1臨床グレード抗体(IgG1_01イピリムマブ、IgG1_02アテゾリズマブ、IgG1_03リツキシマブ)を追加の参照として使用した。平均値±SD。pH=6.0で測定した親和性。非修飾Fc(WT)でIgG4抗体に正規化されたデータ。非修飾Fc部分を有する第2のIgG4抗体(ニボルマブ)を追加の参照(IgG4)として使用した。平均値±SD。 B.1μgのIgG1 WT、IAQ、AAAまたはNHQバリアントを、対流増強送達(CED)を用いてFcRntgマウスの線条体に注射した。24時間後、ELISAにより、注射された脳半球および血漿中のヒトIgG量を評価し、それらの比を計算し、IL-12Fc WT群の比に正規化した。各群5匹のマウス。平均値±SD。 C.表面に固定化されたヒト組換えFcRnと液相中のIgG4バリアントのFcRn親和性の表面プラズモン共鳴(SPR)測定。pH=6.0で測定した親和性。非修飾Fc(WT)でIgG4抗体に正規化されたデータ。非修飾Fc部分を有する第2のIgG4抗体(ニボルマブ)を追加の参照(IgG4)として使用した。平均値±SD。 D.1μgのIgG4 WT、IAQ、AAAまたはNHQバリアントを、対流増強送達(CED)を用いてFcRntgマウスの線条体に注射した。24時間後、ELISAにより、注射された脳半球および血漿中のヒトIgG量を評価し、それらの比を計算し、IL-12Fc WT群の比に正規化した。各群5匹のマウス。平均値±SD。
図10C】抗体 A.表面に固定化されたヒト組換えFcRnと液相中のIgG1バリアントのFcRn親和性の表面プラズモン共鳴(SPR)測定。pH=6.0で測定した親和性。非修飾Fc(WT)でIgG1抗体に正規化されたデータ。非修飾Fc部分を有する3つの追加のIgG1臨床グレード抗体(IgG1_01イピリムマブ、IgG1_02アテゾリズマブ、IgG1_03リツキシマブ)を追加の参照として使用した。平均値±SD。pH=6.0で測定した親和性。非修飾Fc(WT)でIgG4抗体に正規化されたデータ。非修飾Fc部分を有する第2のIgG4抗体(ニボルマブ)を追加の参照(IgG4)として使用した。平均値±SD。 B.1μgのIgG1 WT、IAQ、AAAまたはNHQバリアントを、対流増強送達(CED)を用いてFcRntgマウスの線条体に注射した。24時間後、ELISAにより、注射された脳半球および血漿中のヒトIgG量を評価し、それらの比を計算し、IL-12Fc WT群の比に正規化した。各群5匹のマウス。平均値±SD。 C.表面に固定化されたヒト組換えFcRnと液相中のIgG4バリアントのFcRn親和性の表面プラズモン共鳴(SPR)測定。pH=6.0で測定した親和性。非修飾Fc(WT)でIgG4抗体に正規化されたデータ。非修飾Fc部分を有する第2のIgG4抗体(ニボルマブ)を追加の参照(IgG4)として使用した。平均値±SD。 D.1μgのIgG4 WT、IAQ、AAAまたはNHQバリアントを、対流増強送達(CED)を用いてFcRntgマウスの線条体に注射した。24時間後、ELISAにより、注射された脳半球および血漿中のヒトIgG量を評価し、それらの比を計算し、IL-12Fc WT群の比に正規化した。各群5匹のマウス。平均値±SD。
図10D】抗体 A.表面に固定化されたヒト組換えFcRnと液相中のIgG1バリアントのFcRn親和性の表面プラズモン共鳴(SPR)測定。pH=6.0で測定した親和性。非修飾Fc(WT)でIgG1抗体に正規化されたデータ。非修飾Fc部分を有する3つの追加のIgG1臨床グレード抗体(IgG1_01イピリムマブ、IgG1_02アテゾリズマブ、IgG1_03リツキシマブ)を追加の参照として使用した。平均値±SD。pH=6.0で測定した親和性。非修飾Fc(WT)でIgG4抗体に正規化されたデータ。非修飾Fc部分を有する第2のIgG4抗体(ニボルマブ)を追加の参照(IgG4)として使用した。平均値±SD。 B.1μgのIgG1 WT、IAQ、AAAまたはNHQバリアントを、対流増強送達(CED)を用いてFcRntgマウスの線条体に注射した。24時間後、ELISAにより、注射された脳半球および血漿中のヒトIgG量を評価し、それらの比を計算し、IL-12Fc WT群の比に正規化した。各群5匹のマウス。平均値±SD。 C.表面に固定化されたヒト組換えFcRnと液相中のIgG4バリアントのFcRn親和性の表面プラズモン共鳴(SPR)測定。pH=6.0で測定した親和性。非修飾Fc(WT)でIgG4抗体に正規化されたデータ。非修飾Fc部分を有する第2のIgG4抗体(ニボルマブ)を追加の参照(IgG4)として使用した。平均値±SD。 D.1μgのIgG4 WT、IAQ、AAAまたはNHQバリアントを、対流増強送達(CED)を用いてFcRntgマウスの線条体に注射した。24時間後、ELISAにより、注射された脳半球および血漿中のヒトIgG量を評価し、それらの比を計算し、IL-12Fc WT群の比に正規化した。各群5匹のマウス。平均値±SD。
【発明を実施するための形態】
【0334】
実施例1:材料および方法
動物
C57BL/6JマウスをCharles Riverから得た。mFcRn-/-hFcRntg(32)(FcRntg)マウスをJackson Laboratory(在庫番号014565)から入手した。すべての動物は、施設のガイドラインに従って、特定の病原体を含まない(SPH)条件下で、食物および水を自由に与えて、12時間の明/暗サイクルで飼育した。すべての動物実験は、施設のガイドラインに従って実施され、スイスの州獣医局(免許番号246/2015)により承認された。
【0335】
腫瘍細胞株
GL-261細胞は、スイスのチューリッヒにあるチューリッヒ大学の実験メイン疫学のA.Fontanaにより提供され、10%熱不活化ウシ胎児血清およびL-グルタミンを補充したDMEM中で培養された(すべてThermo Fisher Scientificのものである)。マウスGL-261脳腫瘍細胞株(C57BL/6と同系)をpGl3-ctrlおよびpGKPuro(Promega)で安定にトランスフェクトし、ピューロマイシン(Sigma-Aldrich)で選択して、ルシフェラーゼ安定性GL-261細胞を作製した。GL-261:luc PD-L1 KO腫瘍細胞を生成するために、細胞を以下のsgRNA、5’-GTATGGCAGCAACGTCACGA-3’を発現するように修飾された連鎖球菌Cas9 P2A GFP-単一ガイドRNA(sgRNA)発現ベクター(pX458;Addgene)を用いて一過性にトランスフェクトした。トランスフェクションの3日後、GFP陽性、PD-L1 KO細胞を48時間のIFN-γ刺激(10ng/ml)後にPD-L1陰性細胞をゲートすることによってフローサイトメトリーにより精製した。単一クローンをさらに増幅し、実験に使用する前にフローサイトメトリーによりPD-L1発現の消失を再確認した。
【0336】
外科的処置
神経膠腫接種のために、6~10週齢のマウスをフェンタニル(Helvepharm AG)、ミダゾラム(Roche Pharma AG)およびメデトミジン(Orion Pharma AG)の混合物を用いて麻酔した。GL261細胞を、定位固定ロボット(Neurostar)を用いて、右半球に頭蓋内(i.c.)に注射した。簡単に説明すると、平滑末端シリンジ(Hamilton;75N、26s/2’’/2.5μl)をブレグマの外側1.5mmおよび前頭1mmに配置した。針を硬膜表面の下4mmの深さまで穿頭孔に下ろし、1mm引き込んで小さなリザーバーを形成した。注射は1μl/分で2μlの体積で行った。針を所定の位置に2分間放置した後、1mm/分で引き戻した。穿頭孔を骨ワックス(Aesculap、Braun)で閉じ、頭皮創傷を組織接着剤(Indermil、Henkel)でシールした。フルマゼニル(Labatec Pharma AG)とブプレノルフィン(Indivior Schweiz AG)の混合物を用いて麻酔を中断し、20分後にアチパメゾールを注射した(Janssen)。周術期鎮痛にはCarprofen(Pfizer AG)を使用した。
【0337】
7~14日後、浸透圧ポンプ(モデル2004、0.25μl/時;Alzet)をマウスIL-12Fc(12.5μg/kg/24時間)またはPBS単独で充填し、PBS中37℃でプライムした。マウスを上記のように麻酔し、神経膠腫注射の前回の穿頭孔を位置させ、骨ワックスおよび骨膜骨を除去し、注入カニューレを、腫瘍の推定中心に3mmの穿頭孔を通して下降させた。Vacutainerチューブを使用し、製造業者(Becton,Dickinson and Company)の指示に従って、ポンプ移植の-1日目から開始して、尾静脈から血液サンプリングにより2日ごとに血清試料を採取した。
【0338】
ボーラス注射後のIL-12およびIL-12Fc WT血清対脳内濃度比の比較のために、マウスを麻酔し、腫瘍細胞注射のために上述したように定位固定ロボット(Neurostar)を用いて右半球に頭蓋内注射した。マウスは、100ngの組換えヒトIL-12(Prospec)または同量のIL-12Fc(69ng/マウス)を受けた。投与量は、HEK-Blue IL-12生物活性アッセイに基づいて算出した。24時間後に、コントロールされたCO窒息により動物を屠殺した。血液試料を心臓穿刺によって採取し、マウスを20mlの氷冷PBSで潅流した。血清を上記のように単離し、脳組織を液体窒素中でスナップ凍結した。
【0339】
ボーラス注射後のIL-12 WTおよびIL-12Fc NHQ血清対脳内濃度比の比較のために、マウスを麻酔し、腫瘍細胞注射のために上記したように定位固定ロボット(Neurostar)を用いて右半球内に頭蓋内注射した。マウスは、1μgのヒトIL-12Fc WTまたはIL-12Fc NHQを受けた。24時間後に、コントロールされたCO窒息により動物を屠殺した。血液試料を心臓穿刺によって採取し、マウスを20mlの氷冷PBSで潅流した。血清を上記のように単離し、脳組織を液体窒素中でスナップ凍結した。
【0340】
脳内へのタンパク質の対流増強送達(CED)のために、マウスを麻酔し、定位固定ロボット(Neurostar)を用いて右半球内に頭蓋内注射し、内径0.1mmおよび壁厚0.0325mmの溶融シリカで作製した先端に1mmステップの27G平滑末端針を用いて作製したカテーテルを使用した。簡単に説明すると、ブレグマの前後1mmおよび内外側2mmの位置に穿頭孔を作製した。カテーテルを硬膜表面下3.5mmの深さまで穿頭孔に下降させた。注射は、0.2μl/分で5μlの体積で、次に0.5μl/分で2μl、および0.8μl/分で2μlで行った。針を所定の位置に2分間放置した後、1mm/分で引き戻した。マウスに1μgの組換えヒトIL-12Fc WT、IL-12Fc IAQ、IL-12Fc AAA、IL-12Fc NHQもしくはrmIL-12、mIL-12hFc WT、mIL-12hFc HNQ、mIL-12hFc:PD-L1 NHQ、Flu HA3.1 WT、Flu HA3.1 IAQ、Flu HA3.1 AAA、Flu HA3.1 NHQもしくはアテゾリズマブWT、アテゾリズマブIAQ、アテゾリズマブAAA、またはアテゾリズマブNHQを受けた。6時間後、コントロールされたCO窒息により動物を屠殺した。同側脳半球を液体窒素中でスナップ凍結した。
【0341】
インビボ生物発光イメージング
腫瘍を有するマウスにd-ルシフェリン(150mg/kg体重;XenoLight d-ルシフェリンカリウム塩;BioVision 7903-1G;PBS中15mg/mL)を注射した。動物をXenogen IVIS Lumina III(PerkinElmer)イメージングシステムの暗室に移し、1~2分間、培地ビニングで発光を記録した(4)。その後、Living Image 4.7.1ソフトウェア(PerkinElmer)を用いてデータを分析した。腫瘍部位の周囲に円形の目的とする領域(ROI;直径1.5cm)を画定し、この領域の光子束を読み出し、プロットした。
【0342】
BLIおよび系統的なグループ配分
GL-261luc神経膠腫細胞の移植から20日後に、腫瘍を有する動物を同等の平均BLIの実験群に分布させた。
【0343】
採血
血液試料は、CEDの10分前、またはCED注射の6時間、24時間、72時間、7日後に採取した。20~50μLの血液を尾静脈から、乾燥したK2-EDTA(Becton,Dickinson and Company)を含有するマイクロタイナー中に採取した。5分間、10’000gで遠心分離した後、血漿を新鮮なチューブに移し、凍結した。
【0344】
FcRnELISA
IL-12Fcバリアント、または対照として機能する組換えヒトIgG4抗GFP抗体(クローン515、AbD Serotec)をマイクロウェルプレート(Greiner Bio-One)上に被覆した。ヒスチジン結合FcRn(R&Dシステム)を、pH=6.0のELISA希釈剤(Mabtech)中の濃度を増加させてインキュベートした。FcRnは、ビオチン化抗His抗体(クローン13/45/31-2、Dianova)、ストレプトアビジン結合西洋ワサビペルオキシダーゼ(Mabtech)および比色基質(Chromogen-TMB、Thermo Fisher Scientific)によって検出された。波長450nmにおける光密度を分光光度計(Molecular Devices)を用いて測定した。
【0345】
ビーズベースのサイトカインアレイ
mIL-12およびmIFNγの血清レベルは、製造業者の指示に従い、Legendplexマウス炎症パネル(Biolegend)を用いて測定した。試料はLSRII Fortessa(Becton,Dickinson and Company)を用いて取得した。データ分析は、FlowJoバージョン10.6(ツリースター)を用いて行った。
【0346】
HEK-Blue IL-12生物活性アッセイ
HEK-Blue IL-12細胞(InvivoGen)を、ノルモシン(InvivoGen)を含有する培地中、50,000細胞/ウェルの密度で平底96ウェルプレート(Corning)上に播種した。細胞を、増加量のIL-12、IL-12Fc WT、または減少したFcRn親和性のために設計されたバリアントとともに17時間インキュベートした。培地を回収し、Quanti-Blue検出試薬(InvivoGen)の存在下で2時間インキュベートした。吸光度は、テーブルトップ分光光度計(Molecular Devices)を用いて640nmで測定した。
【0347】
脳への注射後の脳、血漿および血清中のヒトIL-12の検出、ならびに血清または血漿対脳内濃度比の計算
試料を、0.05%Tween-20および0.1%BSAを含有するPBS中で希釈し、IL-12レベルをhIL-12p70についてELISA(Mabtech)により評価した。血清または血漿対脳内濃度比を計算するために、血清または血漿中のIL-12濃度をpg/mlで記載したが、脳中の濃度は、タンパク質抽出の有効性を補正した脳から抽出したIL-12の総量を半球の重量(pg/mg脳組織)で割って計算した。
【0348】
脳内注射後の脳および血漿中のヒトIgG検出および血漿対脳内濃度比の計算
試料を0.05%Tween-20および0.1%BSAを含有するPBS中で希釈し、IgGレベルをELISAにより評価した。簡単に説明すると、プレートを、0.05%Tween-20および0.1%BSAを含有するPBSでブロックしたポリクローナルロバ抗ヒトIgG(Jackson ImmunoResearch)で被覆した。分析物をポリクローナルヤギ抗ヒトIgG(Sigma-Aldrich)で検出し、ポリクローナルロバ抗ヤギHRP結合抗体(Promega)で増幅した。血漿対脳比の計算のために、血漿および脳中のヒトIgGの濃度をpg/mlで記載した。
【0349】
ヒトIgG1バリアント、IgG4バリアントhIL-12hFc:aPD-L1 NHQおよびmIL-12hFc:aPD-L1 NHQの産生
IgG4バリアントは、一過性にトランスフェクトされたヒト胚性腎臓(HEK)細胞培養物中で発現された。IgG1バリアント、hIL-12hFc:aPD-L1 NHQおよびmIL-12hFc:aPD-L1 NHQを、一過性にトランスフェクトしたチャイネスハムスター卵巣(CHO)または細胞培養物によって産生した。簡単に説明すると、培養上清を回収し、アフィニティークロマトグラフィー(プロテインG)によってタンパク質を精製した。タンパク質をさらにイオン交換(IEC)およびサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって精製した。タンパク質をスピンカラム(Sartorius、30kDaカットオフ)を用いて濃縮した。タンパク質を20mMヒスチジン、150mM NaCl、pH=6.0緩衝液中に貯蔵した。品質は、ゲル電気泳動(SDS-PAGE)によって評価され、その後、標準的なプロトコールに従ってクマシー染色を行った。ニボルマブ、アテゾリズマブ、イピリムマブおよびリツキシマブは市販されている。
【0350】
IL-12Fcで刺激されたリンパ球によるIFN-γ産生
ヒト末梢血単核細胞(PBMC)を、100ng/ml抗CD3抗体の存在下で、FcRn親和性が低下したIL-12、IL-12FcまたはIL-12Fcバリアントの濃度を増加させて24時間刺激した。上清中のIFN-γレベルは、製造業者の指示に従ってELISAにより測定した(Mabtech)。
【0351】
脳タンパク質の単離
安楽死させ、頭蓋冠を注意深く除去した後、脳を単離した。小脳および嗅球を除去し、正中線に沿って半球を分離し、注射された(同側の)半球を液体窒素中でスナップ凍結した。Haltプロテアーゼ阻害剤カクテル(Thermo Fisher Scientific)を含有する氷冷溶解緩衝液(Cellシグナル伝達)中での均質化により脳溶解物を調製した。脳組織10mgあたり0.1mlの溶解緩衝液を添加した。脳組織をハサミで切り刻み、次に、20G針を通し、最終的に20秒間超音波処理した。試料を10分間、15000gで4℃にて遠心分離し、上清を新鮮なチューブに移した。タンパク質濃度はPierce BCAアッセイキット(Thermo Fisher Scientific)を用いて測定し、このデータを用いて各実験におけるタンパク質抽出効率を補正した。
【0352】
すべてのヒトおよびマウスIL-12FcバリアントをHEK239Tに発現させた。プロテインG親和性を保持するバリアントを、プロテインGセファロース(Biovision)を用いたアフィニティークロマトグラフィーおよびPBSによる一晩透析により培養上清から精製した。プロテインG親和性を失ったバリアントを50%飽和の硫酸アンモニウム(VI)で沈殿させ、次に沈殿物をPBSで溶解し、セラミックヒドロキシアパタイト(CHT)カラム(II型、40μm Bio-Rad)上で精製することにより精製した。プロテインGまたはCHTクロマトグラフィー後、試料をさらに、AKTAピュアクロマトグラフィーシステム(GE Healthcare)上で、アニオナイトとして、ジエチルアミノエタノール結合セファロース(HiTrap DEAE Sepharose FFカラム、GE Healthcare)を用いるイオン交換クロマトグラフィーによって精製した。最後に、すべてのIL-12Fcバリアントを、AKTAクロマトグラフィーシステム(GE Healthcare)上で、予め充填されたSuperose 6カラム(GE Healthcare)を用いるサイズ排除クロマトグラフィー(GE Healthcare)によって精製された。二量体画分を、30kDaカットオフを有するVivaspin 2mlスピンカラム(GE Healthcare)を用いて濃縮した。タンパク質の純度は、SDS-PAGE電気泳動、続いてクーマシーブリリアントブルー(VWRライフサイエンス)による染色により検証した。タンパク質濃度は、Pierce BCAアッセイキット(Thermo Fisher Scientific)およびIL-12p70用のELISA(Becton,Dickinson and Company)を用いて測定した。
【0353】
IL-12Fcで刺激したリンパ球によるSTAT-4のリン酸化
ヒト末梢血単核細胞(PBMC)を、100ng/mlの抗CD3の存在下で、FcRn親和性が低下した10ng/mlのIL-12、IL-12FcまたはIL-12Fcバリアントで1時間刺激した。次に、Pierce RIPA緩衝液(Thermo Fisher Scientific)を用いて細胞を溶解した。試料をSDS-Page電気泳動により分析し、次に、Trans-Blot Turbo Blottingシステム(Bio-Rad Laboratories,Inc.)を用いて転写し、抗STAT4 pY693(クローン38/p-Stat4、Becton,Dickinson and Company)で染色した。バンド可視化は、ECL透明基質(Bio-Rad Laboratories,Inc.)およびBioRad MPCDイメージャー(Bio-Rad Laboratories,Inc.)を用いて行われた。
【0354】
表面プラズモン共鳴
SPRは、ProteOn XPR36システム(Bio-Rad Laboratories,Inc.)を用いて行われ、約80応答ユニット(RU)にProteOn NLCセンサーチップ上にヒト組換えビオチン化FcRn(Immunitrack)を被覆した。IL-12Fcバリアントを、10mMクエン酸ナトリウム緩衝液pH=6.0において、729nMから9nMまでの濃度を3倍段階で減少させて泳動した。解離時間は600秒であった。分析は、注射時間に対するデータ正規化、スポット間バックグラウンド除去およびビルドインアーティファクト除去機能を用いて、ProteOn Managerソフトウェア(Bio-Rad Laboratories,Inc.)を用いて行われた。Kdは均衡分析モデルを用いて計算された。
【0355】
サーマルシフトアッセイ
簡単に説明すると、0.2mg/mlのタンパク質試料を、1:1000に希釈したSypro Orange Protein染色液(Sigma-Aldrich)と混合し、CFX384サーモサイクラー(Biorad)上で、20℃から95℃まで30秒ごとに0.2℃の温度上昇を伴い、読み取りとして蛍光を用いて泳動した。変性温度を温度にわたる蛍光の一次微分として決定した。実験は、溶媒としてPBSおよび人工脳脊髄液(aCSF;125mM NaCl、26mM NaHCO、1.25mM NaHPO、および2.5mM KCl)中で行われた。
【0356】
統計分析
統計分析はGraphpad Prism 5ソフトウェアを用いて行われた。Grubb検定に従い、最終分析から異常値を除いた(49)。スチューデントt検定を用いて2群を比較した。一方向ANOVAとTukey多重比較検定を用いて、2群以上を比較した。
【0357】
フローサイトメトリーPD-L1結合アッセイ
GL261:lucE9またはGL261:lucE9:PD-L1KO細胞を、20ng/mLの最終濃度でマウスインターフェロン-ガンマを添加して一晩培養した。翌日、細胞をDPBSで洗浄した。トリプシン-EDTA(Invitrogen 25300-054)をフラスコに添加し、再度、直ちに除去した。細胞をフラスコから離すために2~5分間放置した。それらを培地で洗浄し、350×g、4℃で5分間遠心分離した。その後、細胞を100’000細胞/ウェルで丸底96ウェルプレートにプレーティングし、DPBSで2回洗浄した。
【0358】
染色は、1:200に希釈したZombie Aqua固定可能生存率キット(BioLegend)、および0.1mg/mLの最終濃度でヒト抗PD-L1(アテゾリズマブ)またはm/hIL-12hFc:aPD-L1 NHQのいずれかを含有するPBS、ウェルあたり25μLで行われた。細胞を暗所で20分間、4℃で染色した。PBSによる洗浄工程後、細胞は、0.2mg/mLで二次抗体抗ヒトIgG-Fc-PE(Biolegend、カタログ番号409304、ロットB260868)または抗マウスPD-L1-BV421(Biolegend、カタログ番号124315;ロットB228149)対照抗体(データを示さず)とともに、PBS中、30分間、4℃で暗所にてインキュベートさせた。細胞をPBSで2回洗浄し、40μmメッシュを通して濾過し、LSRII Fortessaフローサイトメーター(BD)を用いて獲得した。データ分析は、FlowJoバージョン10.6(Tree Star)を用いて行われた。
【0359】
生存分析
腫瘍を有する動物の神経症状を調べ、腫瘍細胞移植後の21日目まで週1回体重を測定した。21日目以降、モニタリング頻度を毎日のチェックおよび週1回の生物発光イメージング(BLI)に増やした。小郡の獣医当局(ZH194/19)に従い、予め定義された中止基準(最大体重の20%を超える体重減少および/または瀕死状態)に達した時点で、コントロールされたCOによる窒息により動物を安楽死させた。
【0360】
実施例2:ヒトIL-12の頭蓋内注射はhIL-12Fcよりも高い全身漏出を有する
脳腫瘍の局所処置のためのIL-12Fcは非常に有望である。しかしながら、臨床試験で使用するために、同様の特性を示す必要があるヒトバージョンのIL-12Fcが要求される。マウスIL-12IgG3に対するヒト類似体を得るために、本発明者らは、ヒト免疫グロブリンG4(hIgG4)の結晶化可能な断片(Fc)に一本鎖ヒトIL-12を融合させた(図1A)。mIgG3と同様に、hIgG4は抗体依存性の細胞媒介細胞毒性(ADCC)を支持せず、補体系を活性化しない。ヒトIL-12Fc(hIL-12Fc)対組換えヒトIL-12(rhIL-12)の漏出および安定性を試験するために、本発明者らは、マウスFcRn欠損バックグラウンド(FcRntg)上でヒトFcRnを発現するトランスジェニックマウスの線条体に単回ボーラスを注射した(Postowら、2015年、N Engl J Med 372巻:2006~2017頁;Kamranら、2016年、Expert Opin Biol Ther 16巻:1245~1264頁)。24時間後、本発明者らは、注射部位での安定性および保持(残留濃度)ならびに血流への漏出速度についてより詳しく知るために、同側半球の溶解物および血清中のヒトIL-12濃度を分析した(図1B)。各マウスについて、本発明者らは、組織保持の推定値として、血清中濃度対注射部位での濃度の比を計算した。血清レベルと注射部位での局所濃度と比較して、hIL-12Fcは、本発明者らがかなり低い比を観察したため、rhIL-12よりも優れた組織保持を示した(図1C)。局所GB処理について、ヒトIL-12Fc融合サイトカインは、その高い組織保持、安定性および溶解性のために、その天然の対応物と比較して優れた化合物であると考えられる。
【0361】
実施例3:FcRn結合はIL-12Fcの全身的蓄積をもたらす
内皮細胞および赤脾髄マクロファージにおける新生児Fc受容体(FcRn)ベースのエンドソームリサイクルシステムは、IgGの急速な分解およびクリアランスを防止する。エンドソームの酸性pHによって促進される飲作用後、FcRnはIgGと結合し、細胞表面にリサイクルされ、中性pHが放出を誘導する。局所的に注射した場合、IL-12Fcは、そのFcタグのために、FcRn媒介様式で脳から漏出することができる。脳からの漏出はIL-12Fcの血清蓄積を引き起こし、最終的には毒性レベルに達することがある。FcRnベースのリサイクルが実際に血清中のhIL-12Fcの蓄積を促進するかどうかを試験するために、本発明者らは、マウスFcRn欠損バックグラウンド(FcRntg)上にヒトFcRnを発現するトランスジェニックマウスを利用した。ヒトFcRnはマウスIgGに対して弱い親和性を有するが、正常なアルブミンリサイクリングを促進するため、このマウスモデルではマウスIgGリサイクリングのみが障害される。したがって、マウスIL-12Fcは、これらのFcRnヒト化マウスにおいて、FcRnへの結合がかなり少ない。したがって、本発明者らは、浸透圧ミニポンプを介して局所マウスIL-12Fcで処理されていた、神経膠腫を有する野生型(wt)およびFcRntgマウスの血清mIL-12レベルを比較した。実際、1週間後、本発明者らは、FcRntgマウスではそれほど顕著ではないwtマウスにおいてIL-12レベルが増加し(図2A)、その後、IFN-γレベルが増加したことを観察した(図2D)。本発明者らは、ポンプ移植後の1日という早い時期に、いくつかのマウスの血清中のIL-12レベルの上昇さえ観察した(図2B)。その結果、これは、wtマウスではIFN-γの血清中濃度お顕著な上昇をもたらしたが、FcRntgコホートではその症例ではなかった(図2C)。マウスIL-12Fcと同様に、ヒトIL-12Fcもまた漏出し、蓄積する可能性が高く、全身性の副作用の恐れがある。さらに、IFN-γは、IL-12関連副作用の主要なメディエーターの1つであり(Leonardら、1997頁、Blood 90巻:2541~2548頁)、その持続性の全身存在は毒性であり得る(Weissら、2007年、Expert Opin Biol Ther 7巻:1705~1721頁)。まとめると、本発明者らは、処置部位からの微量のIL-12Fcの漏出でさえ、検出可能な血清IFN-γレベルを誘発するのに十分であると結論付ける。
【0362】
実施例4:改良された組織保持のために設計されたヒトIL-12Fcバリアントの作製
FcRn結合の低下が、脳からの排出を潜在的に無効にし、脳からの漏出時の劇的に低下したリサイクルをもたらすという観察は、hIL-12Fcの安全域を増加させるために利用できる。したがって、本発明者らは、hIL-12FcのFc部分のヒトFcRnへの結合を低下させることに着手した。Fc部分のFcRn結合界面の正電荷を増加させることにより、酸性pHでのこの相互作用-したがってリサイクル-は無効にされ得、これは免疫グロブリンの血清半減期を減少させることが示された。本発明者らは、漏出の場合のその血清半減期を減少させることを目的として、hIL-12FcのFcRn結合部位において、多数の突然変異をhIL-12Fcに導入した(表1)。
【0363】
本発明者らは、IAQ、AHHおよびAAAと呼ばれるFcRn親和性が低下した以前に公開された抗体と類似した突然変異を有する3つのIL-12Fcバリアントを作製した。さらに、本発明者らは、253位のイソロイシンをアラニンではなく、側鎖の単純な短縮を表すものに置換したが、代わりにそれをアスパラギン(I253N)に変更した。アスパラギンは極性アミノ酸であり、その側鎖はイソロイシンと同様の長さを有する。本発明者らはまた、310位のヒスチジンをアラニンに、435位のヒスチジンをグルタミン、アラニンまたはグルタミン酸に修飾した。
【0364】
すべてのバリアントをヒト胚性腎293T細胞(HEK293T)培養物中に発現させた。すべてのバリアントの発現レベルは類似していた。
【0365】
実施例5:ヒトIL-12Fcバリアントは類似のタンパク質安定性を有する
第1に、本発明者らは、Fcに導入された変化が全体的なタンパク質の安定性に影響を及ぼすかどうかを検証した。この目的のために、本発明者らは、PBSおよび人工脳脊髄液(aCSF)中で行われる熱シフトアッセイにおいて、変性温度をバリアントの各々について測定した。すべてのバリアントの変性温度は60℃付近で振動した(図3A)。aCSFで行われた測定は、全変性温度は約57℃と低いものの、すべてのバリアントが同様の安定性を有することを確認した(図3B)。
【0366】
実施例6:ヒトIL-12Fcバリアントはそれらの生物学的活性を維持する
本発明者らは、hIL-12FcのFcRnへの結合を低下させることを目的としたとしても、本発明者らは、これらの変化がIL-12の生物学的活性に影響を及ぼしたことを排除することはできなかった。これは、まず、IL-12シグナル伝達成分および比色反応を触媒する下流酵素で安定にトランスフェクトされたHEK細胞株を用いて試験された。NAQバリアントのみがIL-12Fcと比較して約2倍の活性低下を示したが、他のすべてはIL-12Fc WTの範囲でEC50を示した(図4A)。重要なことに、IL-12FcはインビトロでrIL-12と同等の活性を有していた。
【0367】
IL-12Fcバリアントの活性をさらに検証するために、本発明者らは、3つの異なるhIL-12Fcバリアント、すなわち、IAQ、AHQおよびNHQを用いて末梢血単核細胞(PBMC)の活性化を行い、次にSTAT-4リン酸化の分析を行った(図4B)。さらに重要なことに、このSTAT-4リン酸化は24時間後にIFN-γの強力な産生に翻訳され(図4C)、すべてのバリアントがrhIL-12の活性を保持していることを示した。
【0368】
実施例7:ヒトIL-12FcバリアントはプロテインGへの結合において異なる
プロテインAおよびGアフィニティークロマトグラフィーは、組換え抗体およびFc融合タンパク質の精製に使用される標準的な方法の1つである。FcとFcRnの間の界面を修飾することは、プロテインA結合を無効にすることが公知であり、これは本発明者らがIL-12Fcバリアントでも確認した観察である。スケールアッププロセスにおける生産の実現可能性を確認するために、本発明者らは、プロテインGアフィニティーカラムを介してIL-12Fcバリアントを精製する可能性を検証することを決定した。本発明者らのバリアントの大部分はプロテインGに対する親和性を保持していたが、本発明者らに意外なことには、I253Nと、H310A突然変異をともに含むすべてのバリアントはプロテインG精製に適さなかった(表2)。この効果は、435位における追加の突然変異とは無関係であった。さらなる研究のために、本発明者らは、保持されたプロテインG親和性を有するバリアントに注目してきた。
【0369】
実施例8:ヒトIL-12FcバリアントはFcRn親和性を低下している
FcRnに対するIL-12Fcバリアントの親和性を検証するために、本発明者らは、タンパク質-タンパク質相互作用を特徴付けるための標識不使用方法である表面プラズモン共鳴(SPR)を使用した。本発明者らは、ヒトFcRnを固定化し、種々の濃度でリソソームpH範囲(pH=6.0)におけるIL-12Fcバリアントの結合を測定した(43)。図5Aに示されるように、修飾IL-12Fcバリアントの大部分は、ヒトFcRnに対する親和性が低下しており、NHQバリアントが最も強い減少(約8倍低い)を示す。本発明者らは、市販のヒトモノクローナル抗GFP IgG4抗体を対照として使用した。
【0370】
さらに、本発明者らは、IL-12Fc WT、抗GFP IgG4および公表されたバリアントIAQを参照として用いて、NHQ構築物に関するELISAデータによりこれらのデータを裏付けた。IAQとNHQはいずれも結合が低下し、NHQは最も低い親和性を有することを示した(図5B)。したがって、本発明者らは、置換のNHQ組み合わせが、FcRnへの結合を最も劇的に低下させるようであると結論付けた。これは、H310AとH435Qの組み合わせによる突然変異が、低pHでのFcRnへの結合の最も強い低下の原因であることを示唆したKenanovaおよび同僚の結果(Kenanovaら、2005年、Cancer Research 65巻:622~631頁)とは対照的である。
【0371】
実施例9:NHQ突然変異の導入は局所的に送達されたhIL-12Fcへの全身曝露を低下させる
本発明者らは、FcRn親和性の低下が、CNSにおけるhIL-12Fcの保持を増加し、同時にその全身的蓄積が妨げられるという仮説を立てた。これは、hIL-12Fc WTおよび組換えヒトIL-12の比較と同様の方法で対処された(図1B)。FcRntgマウスに1μgのIL-12Fc WTまたはNHQバリアントを単回注射し、ELISAによりIL-12を同側脳半球および血清中で測定した。NHQバリアントを注射されたマウスは、hIL-12Fc WTを注射されたマウスと比較して血清対脳比の低下を示した(図6A)。本発明者らは、これは、FcRn媒介リサイクルによるCNSにおける保持の増加と全身蓄積の減弱の両方の効果であり得ると仮定する。
【0372】
さらに、ボーラス注射の代わりにCEDを使用して、本発明者らは、血漿中のhIL-12Fc WT、IAQ、AAAおよびNHQの濃度をCEDの24時間後に注射された半球と比較し、NHQバリアントはボーラス注射と比較して最適化された送達設定においても、最も有意に低下した血漿対脳比(図6B)を示すことを観察した。このようなCNS保持の増加は、全身曝露の低下と併せて、局所IL-12Fc療法の安全性プロファイルを改善する可能性があり得る。
【0373】
実施例10:IL-12FcバリアントNHQは他の低親和性バリアントよりも高い脳組織保持を有する
最後に、本発明者らは、タンパク質の頭蓋内送達後の組織保持を測定した。この目的のために、本発明者らは、1μgの非修飾IL-12Fc WT、すなわち、FcRn親和性が低下した以前に公開された2つのバリアント、すなわち、IAQおよびAAA、ならびに本発明者らの測定による最も低いFcRn親和性を有するバリアントであるNHQを注射した(図5A)。タンパク質溶液のボーラス注射の代わりに、脳半球の最大潅流を確実にするために、本発明者らは、ステップカテーテルおよびランプアップ注射レジメンを備えたCEDプロトコールを使用した。最も生理学的な設定においてFcRn結合界面における異なる修飾の影響を研究するために、本発明者らはFcRntgマウスを採用した。前述したように、FcRnはCNSからの排出と血清中のFc含有分子の蓄積の両方に重要である。2つの効果を切り離し、CNSからの輸送を防ぐことにのみ焦点をあてる試みとして、本発明者らは、CEDの6時間後に脳内に残されたタンパク質の量を測定した。マウスを安楽死させ、PBSで潅流し、同側半球中の総タンパク質を単離し、hIL-12をELISAにより測定した。図7に示されるように、IL-12Fc NHQは、IL-12Fc WTと比較して優れた組織保持を有する。重要なことに、また、FcRn親和性が低下した他の2つのバリアントであるIAQおよびAAAよりも良好であった。驚くべきことに、IAQおよびAAAはIL-12Fc WTと有意差がなかった。
【0374】
実施例11:インビボでの抗腫瘍効果
ヒトIL-12は、マウスIL-12受容体との交差反応性が単に低い。これは、マウスモデルにおけるインビボでの抗腫瘍効果を研究するために、代理分子が使用されなければならないことを意味する。FcRnに対する低下した親和性の効果を試験するために、本発明者らは、hIL-12Fcに対するのと同じヒトIgG4 Fcに一本鎖マウスIL-12を融合させた(図8A)。
【0375】
IL-12は、T細胞およびNK細胞などの標的細胞においてIFNγの発現を誘導する(Tuguesら、Cell death and differentiation(2015年)22巻:237~246頁))。順次、IFNγは、適応耐性と呼ばれる過程において、骨髄細胞および腫瘍細胞上のPD-L1の上方制御を導くことができる(O’Rourkeら、Sci.Transl.Med.(2017年)(9巻)、eaaa0984.)。したがって、本発明者らは、PD-L1が、IL-12組織保持をさらに増加させるための誘導アンカーとして役立つと推論した。
【0376】
局所的に適用された抗PD-L1抗体療法と組み合わせたIL-12Fcの有効性を評価するために、二重特異性Fc融合分子を作製した。それは、mIL-12hFcと、抗PD-L1半抗体と、NHQ突然変異を含むhIgG1 Fcとを組み合わせる。ノブ・イントゥ・ホール方法をヘテロ二量体重鎖アセンブリーに使用した(Ridgwayら、Protein Eng(1996年)、9巻:617~621頁)。抗PD-L1半分子は、臨床的に承認された抗体であり、マウスおよびヒトPD-L1(米国特許第8,217,149B2号)と交差反応性であるアテゾリズマブに由来する(図8A)。
【0377】
本発明者らは、インビトロでのmIL-12hFc:aPD-L1 NHQ分子の生物活性を確認した:IL-12機能性について、IL-12感受性レポーター細胞株を使用し、IL-12は、分泌されたアルカリホスファターゼを導き、次に、比色反応を触媒する(図8B)。PD-L1を結合した細胞への結合は、細胞表面上のPD-L1へのヘテロ二量体二官能性構築物の結合を検出するために、フローサイトメトリーにより確認された(図8C)。二官能性ヘテロ二量体構築物は、それらのC2ドメインおよびC3ドメインにNHQバリアントを有し、したがって、表面プラズモン共鳴によって確認した場合、FcRn結合は無効にされ、非修飾抗PD-L1抗体と比較して比較的高いK値を有する(図8D)。
【0378】
インビトロでの特徴付け後、本発明者らは続けてインビボでその特性を測定した。マウス神経膠腫モデルGL-261を用いて、インビボで抗腫瘍効果と全身分布をモニターした。簡単に説明すると、腫瘍を有するマウスに、rmIL-12、mIL-12hFc:aPD-L1 NHQ、mIL-12hFc WTもしくはNHQまたは賦形剤対照(注射緩衝液のみ)をCEDを介して2回頭蓋内注射した(図9A)。腫瘍サイズの変化を生物発光イメージングを用いてモニターし、臨床的影響を臨床スコアリングによりモニターした(図9B)。CED時の漏出および排出を評価するために、全身IL-12およびIFNγレベルを、様々な時間点で血漿中で測定した(図9C)。rmIL-12またはmIL-12hFc wtを受けた動物は、CED時に全身性IL-12シグナルとその直後のIFNγの急激な増加を示し、mIL-12hFc NHQまたはmIL-12hFc:aPD-L1 NHQを受けた動物は、ベースラインに急速に戻り、IFNγシグナルを顕著に低下させた全身性IL-12シグナルを強く低下させた(図9C)。mIL-12hFc wtとmIL-12hFc NHQの間の組織保持の差は、CED1から既に6時間後には、より低い全身IL-12シグナルを導く(図9D)。処置動物の臨床経過に関して、IL-12構築物を受けた全群は、対照群と比較して、疾患が極端に進行した例外的に遅い時期であっても、腫瘍接種の3週間後には生存の顕著な増加を示した(図9E)。注目すべきことに、NHQ構築物(mIL-12hFc NHQまたはmIL-12hFc:aPD-L1 NHQ)を受けた群における処置反応は、mIL-12hFc wtまたはrmIL-12を受けた群と比較して、処置に少なくとも同等に良好に反応したが、全身性IL-12およびIFNgの著しく低下を示した。
【0379】
実施例12:hFcRnに対するIL-12FcおよびIgGバリアントの親和性測定
CNSへの局所送達における血漿対脳比に有利に影響を及ぼす低FcRn親和性の影響をさらに評価するために、IAQ、AAA、およびNHQバリアントを非修飾抗体と比較した(図10)。本発明者らは、PD-L1に対して指向されるヒトIgG1(図10Aおよび図10B、アテゾリズマブ)およびヒト抗インフルエンザA IgG4抗体(図10Cおよび図10D、Flu HA3.1、米国特許出願公開第2014/0370032A1号)を選択した。
【0380】
hIL-12Fcが機能的であり、rhIL-12よりも高い組織保持性を有し、漏出が生じた場合には、全身のリサイクルを停止させることによって安全域を増加させることができるという知見は、任意のFc含有分子の局所投与に広範な意味を持つ可能性がある。これらの修飾は、神経疾患の局所処置のための任意の抗体またはFc-融合分子の安全であり、有効な局所送達を可能にする。
【0381】
全身経路(osまたはi.v.のいずれか)を介したCNSへの治療薬の投与は、主にBBBのために-身体の残りと比較して-困難であり、今日の治療薬のごくわずかな選択が実際に脳に到達するだけである。残念ながら、抗体およびFc含有生物学的製剤、具体的にはFc融合タンパク質は、BBBを容易に通過せず、さらに積極的に排出される。BBBを介した抗体の脳実質への輸送を可能にすることは、例えば、トランスフェリンに対する受容体媒介トランスサイトーシスを利用することによって広範に研究されている。サイトカインは循環血中の半減期が短く、副作用のリスクが高く、それらの治療機会ウインドウを狭める。サイトカインは、それらが蓄積する腫瘍にホーミングする抗体に連結することができ、具体的にはNHS-IL-12である。皮下投与後でさえ、これらの抗体は血流を介して腫瘍に移動する際にIFNγ応答を誘導する。最初に、IL-12の全身送達を非脳がんの処置のために評価した。しかしながら、これらの臨床試験は、有効用量で静脈内適用が死亡を含む重篤な有害事象を引き起こしたため、早期に中止しなければならなかった。主な理由の1つは、IL-12によるIFNγの誘導であると考えられる。
【0382】
タンパク質治療薬の血清半減期および溶解度は、抗体の結晶化可能な断片(Fc)と治療薬部分を直接融合させることによって改善することができる。解剖学的に異なる部位への直接局所適用のために、これは望ましくない効果をもたらし得る。これらのうちの1つは、免疫特権解剖学的部位、具体的には脳からのFcRnを介したFc含有分子の排出、およびIgGリサイクルに類似したそれらの血清蓄積であり得る。
【0383】
本発明者らは、脳内へのIL-12Fc融合サイトカインの局所投与が、BBBを介して循環内へのIL-12FcのFcRn依存性排出を引き起こすことを観察した。IL-12Fcは血液中に蓄積し、潜在的に危険なIFNγ産生を引き起こす。
【0384】
本発明者らは、FcRn親和性が低下したIL-12Fcが機能的であり、組換えIL-12および非修飾IL-12Fcよりも高い組織保持性を有することを見出した。脳組織保持実験において比較した場合、NHQ突然変異体はIL-12Fc WTよりも保持が改善した唯一のものであった。驚くべきことに、FcRn結合が劇的に低下したことが報告された2つのバリアントであるIAQおよびAAAは、非修飾IL-12Fcと異ならず、これは、生物学的差異を得るためには、所定の閾値を超えてFcRn親和性を低下させなければならず、NHQ修飾のみが到達することを示唆する。あるいは、NHQ突然変異が、FcRn非依存的な方法で組織保持を改善する他の特徴を導入することを除外することはできない。
【0385】
これは安全性プロファイルの改善につながり、脳腫瘍のIL-12Fc療法の治療ウインドウを広げる。さらに、本発明者らの所見は、局所的頭蓋内投与の強力な理論的根拠がある、主に治療用抗体を含む任意のFc含有治療薬に翻訳することができる。このような適用経路は、全身的に投与された場合には効力が弱く、潜在的にはBBBを通過する交差不良の効果があるため、または所望の治療効果が局所的に封じ込められるべきであるため好ましい。このような送達に最適化された生物学的製剤による局所療法は、全身毒性を排除し、したがって、薬物の安全性プロファイルを改善することができる。
【0386】
【表1】
【0387】
【表2】
【0388】
【表3】
【0389】
組み合わされた二重特異性分子は、配列番号15と配列番号21、配列番号16と配列番号21、配列番号17と配列番号22、配列番号18と配列番号22、配列番号17と配列番号23および配列番号24、配列番号18と配列番号23および24、配列番号19と配列番号22、配列番号20と配列番号22、配列番号19と配列番号23および配列番号24、配列番号20と配列番号23および配列番号24と記載される分子からなることができる。
【0390】
項目
1.医薬として使用する(医薬におけて使用する)ための、IgGの結晶化可能な断片(Fc)領域を含むポリペプチドであって、
上記Fc領域は、修飾を有し、新生児Fc受容体(FcRn)に対する親和性の低下をもたらし、
上記ポリペプチドは、局所投与によって、疾患により影響を及ぼされた組織に送達される、ポリペプチド。
【0391】
2.上記ポリペプチドが
-頭蓋内投与によって、
-髄腔内投与によって、または
-眼内投与によって
送達される、項目1に記載の医薬として使用するためのポリペプチド。
【0392】
3.上記項目のいずれか1つに記載の医薬として使用するためのポリペプチドであって、ポリペプチドが頭蓋内投与によって投与され、上記ポリペプチドの血清または血漿対脳内濃度比が、FcRntgマウスの線条体への頭蓋内ボーラス注射の24時間後に測定可能である、
a.非修飾Fc領域を含む同一ポリペプチドの血清もしくは血漿対脳内濃度比の最大2/3、または
b.Fc領域もペプチドリンカーも含まない同一ポリペプチドの血清もしくは血漿対脳内濃度比の最大1/8
から選択される所定の閾値未満であるポリペプチド。
【0393】
4.ポリペプチドが脳室内またはくも膜下腔内投与によって投与され、上記ポリペプチドの血清または血漿対CSF濃度比が、FcRntgマウスの脳室内または髄腔内注射から24時間後に測定可能である、
c.非修飾Fc領域を含む同一ポリペプチドの血清もしくは血漿対CSF濃度比の最大2/3、
d.Fc領域もペプチドリンカーも含まない同じポリペプチドの血清または血漿対CSF濃度比の最大1/8
から選択される所定の閾値未満である、上記項目のいずれか1つに記載の医薬として使用するためのポリペプチド。
【0394】
5.上記ポリペプチドのFcRnに対する上記親和性の低下が、
a.非修飾Fc領域を含む同一ポリペプチドへのFcRnの結合を特徴付ける解離定数(K)と比較して、少なくとも2倍、具体的には少なくとも3倍、より具体的には少なくとも4倍、さらにより具体的には少なくとも5倍増加したK、および
b.異なる修飾を受けたFc領域、すなわちIAQ(突然変異H310AおよびH435Qを有する)およびAAA(突然変異I253A、H310AおよびH435Aを有する)から選択される1つの突然変異体を含む同一ポリペプチドへのFcRnの結合を特徴付けるKと比較して、少なくとも1.5倍、具体的には少なくとも2倍増加したK
から選択されるKによって特徴付けられる、上記項目のいずれか1つに記載の医薬として使用するためのポリペプチド。
【0395】
6.頭蓋内送達が、
a.対流増強送達(CED)を含む単回、断続的もしくは連続的な局所注入、
b.髄腔内投与、
c.上記ポリペプチドのインサイチュでの生成、
d.埋め込み型徐放性製剤からの放出、
e.CNSへの分子輸送、
f.CNSへの細胞輸送、または
g.鼻腔内適用後のCNSへの輸送
から選択される方法によって行われる、上記項目のいずれか1つに記載の医薬として使用するためのポリペプチド。
【0396】
7.中枢神経系に影響を及ぼす疾患の処置または予防のために、上記項目のいずれか1つに記載の医薬として使用するためのポリペプチド。
【0397】
8.中枢神経系に影響を及ぼす上記疾患が、悪性疾患、具体的には神経膠腫、より具体的には高悪性度神経膠腫(HGG)である、項目7に記載の医薬として使用するためのポリペプチド。
【0398】
9.上記Fc領域がヒトFc領域、またはヒトアミノ酸配列を含むキメラFc領域であり、253位の突然変異、具体的にはI253AまたはI253N、より具体的にはI253Nを有する、上記項目のいずれか1つに記載の医薬として使用するためのポリペプチド。
【0399】
10.上記Fc領域が310位に突然変異を有さない、項目9に記載の医薬としての使用するためのポリペプチド。
【0400】
11.上記Fc領域が、
-突然変異H310AおよびH435Q(IAQ);
-突然変異I253AおよびH435Q、ならびに310位のH(AHQ);
-突然変異I253NおよびH435Q、ならびに310位のH(NHQ);
-突然変異I253A、H310AおよびH435Q(AAQ);
-突然変異I253N、H310AおよびH435Q(NAQ);
-突然変異I253A、ならびに310位および435位のH(AHH);
-突然変異I253N、ならびに310位および435位のH(NHH);
-突然変異I253AおよびH310A、ならびに435位のH(AAH);
-突然変異I253NおよびH310A、ならびに435位のH(NAH);
-突然変異I253N、H310AおよびH435A(NAA);
-突然変異I253N、H310AおよびH435E(NAE);
-突然変異I253A、H310AおよびH435A(AAA);または
-突然変異I253A、H310AおよびH435E(AAE)
を含む、上記項目のいずれか1つに記載の医薬として使用するためのポリペプチド。
【0401】
12.上記Fc領域が、
-突然変異I253NおよびH435Q、ならびに位置310のH(NHQ);
-突然変異I253A、H310AおよびH435Q(AAQ);
-突然変異I253N、H310AおよびH435Q(NAQ);
-突然変異I253N、H310AおよびH435E(NAE);または
-突然変異I253A、H310AおよびH435E(AAE)
を含み、具体的にはFc領域が、突然変異I253NおよびH435Q、ならびに310のH(NHQ)を含む、上記項目のいずれか1つに記載の医薬として使用するためのポリペプチド。
【0402】
13.上記Fc領域が、配列番号002(IAQ)、配列番号003(AHQ)、配列番号004(NHQ)、配列番号005(AAQ)、配列番号006(NAQ)、配列番号007(AHH)、配列番号008(NHH)、配列番号009(AAH)、配列番号010(NAH)、配列番号011(NAA)、配列番号012(NAE)、配列番号013(AAA)もしくは配列番号014(AAE)によって特徴付けられる配列であるかまたはそれを含む、上記項目のいずれか1つに記載の医薬として使用するためのポリペプチド。
【0403】
14.上記Fc領域が、配列番号004(NHQ)、配列番号005(AAQ)、配列番号006(NAQ)、配列番号012(NAE)もしくは配列番号014(AAE)によって特徴付けられる配列であるかまたはそれを含む、上記項目のいずれか1つに記載の医薬として使用するためのポリペプチド。
【0404】
15.上記ポリペプチドが、
a.i.エフェクターポリペプチド、および
ii.上記Fc領域
を含む融合タンパク質;または
b.上記Fc領域を含む抗体もしくは抗体様分子
から選択される、上記項目のいずれか1つに記載の医薬として使用するためのポリペプチド。
【0405】
16.上記ポリペプチドが、
a.二重特異性、三重特異性もしくは多重特異性抗体または抗体様分子、具体的には
i.CD3および腫瘍関連抗原、
ii.アゴニスト様式のヒストンおよびIL12受容体、
iii.PD-L1および4-1BB、
iv.PD-L1およびCD28、
v.アゴニスト様式のPD-L1およびIL12受容体、もしくは
vi.アゴニスト様式の腫瘍関連抗原およびIL12受容体
に特異的に結合する二重特異性抗体または抗体様分子、
b.エフェクターポリペプチドを含む武装抗体または抗体様分子、あるいは
c.遮蔽ドメインおよび切断可能なプロテアーゼ感受性リンカーペプチドを含む腫瘍条件抗体もしくは組織条件抗体または抗体様分子
から選択される、上記項目のいずれか1つに記載の医薬として使用するためのポリペプチド。
【0406】
17.上記ポリペプチドが、二重特異性、三重特異性もしくは多重特異性抗体または抗体様分子、具体的にはPD-L1に特異的に結合する二重特異性抗体または抗体様分子であり、以下を含む、
i.エフェクターポリペプチド、
ii.IL-12Fc、
iii.配列番号015~016から選択される配列によって特徴付けられる分子と、配列番号021の配列によって特徴付けられる分子との組み合わせ、
iv.配列番号017~020から選択される配列によって特徴付けられる分子と、配列番号022の配列によって特徴付けられる分子との組み合わせ、または
v.配列番号017~020から選択される配列によって特徴付けられる分子と、配列番号023の配列によって特徴付けられる分子と、配列番号024の配列によって特徴付けられる分子との組み合わせ
を含む、項目16に記載の医薬として使用するためのポリペプチド。
【0407】
18.ポリペプチドが頭蓋内投与によって投与され、上記ポリペプチドの血清または血漿対脳内濃度比が、FcRntgマウスの線条体への頭蓋内ボーラス注射の24時間後に測定可能である、
a.非修飾Fc領域を含む同一ポリペプチドの血清もしくは血漿対脳内濃度比の最大1/8、または
b.Fc領域もペプチドリンカーも含まない同一ポリペプチドの血清もしくは血漿対脳内濃度比の最大1/20
から選択される所定の閾値未満である、項目16に記載の医薬として使用するためのポリペプチド。
【0408】
19.上記エフェクターポリペプチドが、hIL-12、hIL-10、hIL-2、hIL-7、IFNα、IFNβ、IFNγ、hIL-15、TNFα、CTLA-4、TGFβ、TGFβRII、GDNF、hIL-35、CD95、hIL-1RA、hIL-4、hIL-13、SIRPα、G-CSF、GM-CSF、OX40L、CD80、CD86、GITRL、4-1BBL、EphrinA1、EphrinB2、EphrinB5、BDNF、C9orf72、NRTN、ARTN、PSPN、CNTF、TRAIL、IL-4、IL-3、IL-1、IL-5、IL-8、IL-18、IL-21、CCL5、CCL21、CCL10、CCL16、CX3CL1、およびCXCL16から選択され、具体的には上記エフェクターポリペプチドはhIL-12である、項目15~18のいずれか1つに記載の医薬として使用するためのポリペプチド。
【0409】
20.上記抗体または抗体様分子が、PD-L1、TNFα、ヒストン、IFNγ、CXCL10、CTLA4、PD-1、OX40 CD3、CD25、CD28、TREM2、IL-6、CX3CR1、CD25、Nogo-A、CD27、IL-12、IL-12Rb1、IL-23、CD47、TGFβ、EGFR、EGFRvIII、Her2、PDGFR、TGFR、FGFR、IL-4RA、TfR、LfR、IR、LDL-R、LRP-1、CD133、CD111、VEGFR、VEGF-A、Ang-2、IL-10、IL-10R、IL-13Rα2、α-シヌクレイン、CSF1R、GITR、TIM-3、LAG-3、TIGIT、BTLA、VISTA、CD96、4-1BB、CCL2、IL-1もしくはIL-1R、EphA2、EphA3、EphB2、EphB3、EphB4、LINGO-1、L1CAM、NCAM、SOD-1、SIGMAR-1、SIGMAR-2、TDP-43、Aβ、Tau、IFNα、IFNβ、TRPM4、ASIC1、VGCCs、CB、TTR、HTT、JCV、またはC9orf72に特異的に結合する抗体または抗体様分子から選択され、具体的には上記抗体または抗体様分子が、PD-L1、OX40、CD47またはNogo-Aに特異的に結合する抗体である、項目15~18のいずれか1つに記載の医薬として使用するためのポリペプチド。
【0410】
21.中枢神経系に影響を及ぼす疾患の予防または処置に使用するための、IgGの結晶化可能な断片(Fc)領域を含むアゴニスト様式でOX40に特異的に結合する抗体または抗体様分子であって、
上記Fc領域は、新生児Fc受容体(FcRn)に対する親和性の低下をもたらす修飾を有し、
上記抗体または抗体様分子は脳に投与される抗体または抗体様分子。
【0411】
22.上記抗体または抗体様分子の血清または血漿対脳内濃度比が、FcRntgマウスの線条体への頭蓋内ボーラス注射またはCEDの24時間後に測定可能である、
a.非修飾Fc領域を含む同一ポリペプチドの血清または血漿対脳内濃度比の最大2/3、
b.Fc領域もペプチドリンカーも含まない同一ポリペプチドの血清または血漿対脳内濃度比の最大1/8
から選択される所定の閾値未満である、項目21に記載の中枢神経系に影響を及ぼす疾患の予防または処置に使用するための抗体または抗体様分子。
【0412】
23.上記抗体または抗体様分子のFcRnに対する親和性の低下が、
a.非修飾Fc領域を含む同一抗体または抗体様分子へのFcRnの結合を特徴付ける解離定数(K)と比較して、少なくとも2倍、具体的には少なくとも3倍、より具体的には少なくとも4倍、さらにより具体的には少なくとも5倍増加したK、および
b.異なる修飾を受けたFc領域、すなわちIAQ(突然変異H310AおよびH435Qを有する)およびAAA(突然変異I253A、H310AおよびH435Aを有する)から選択される1つの突然変異体を含む同一抗体または抗体様分子へのFcRnの結合を特徴付けるKと比較して、少なくとも1.5倍、具体的には少なくとも2倍増加したK
から選択されるKによって特徴付けられる、項目21~22のいずれか1つに記載の中枢神経系に影響を及ぼす疾病の予防または処置に使用するための抗体または抗体様分子。
【0413】
24.上記頭蓋内送達が、
a.対流増強送達(CED)を含む単回、断続的もしくは連続的な局所注入、
b.上記ポリペプチドのインサイチュでの生成、
c 髄腔内または脳室内投与、
d.埋め込み型徐放性製剤からの放出、
e.CNSへの分子輸送、
f CNSへの細胞輸送、または
g.鼻腔内適用後のCNSへの輸送
から選択される方法によって行われる、項目21~23のいずれか1つに記載の中枢神経系に影響を及ぼす疾患の処置または予防に使用するための抗体または抗体様分子。
【0414】
25.上記中枢神経系に影響を及ぼす疾患が、悪性疾患、具体的には神経膠腫、より具体的には高悪性度神経膠腫(HGG)である、項目21~24のいずれか1つに記載の中枢神経系に影響を及ぼす疾患の処置または予防に使用するための抗体または抗体様分子。
【0415】
26.上記Fc領域がヒトFc領域、またはヒトアミノ酸配列を含むキメラFc領域であり、253位[Kabat番号付けシステム]に突然変異、具体的にはI253AまたはI253N、より具体的にはI253Nを有する、項目21~25のいずれか1つに記載の中枢神経系に影響を及ぼす疾患の処置または予防に使用するための抗体または抗体様分子。
【0416】
27.上記Fc領域が310位に突然変異を有さない、項目26に記載の中枢神経系に影響を及ぼす疾患の予防または処置に使用するための抗体または抗体様分子。
【0417】
28.上記Fc領域が、
-突然変異H310AおよびH435Q(IAQ);
-突然変異I253AおよびH435Q、ならびに310位のH(AHQ);
-突然変異I253NおよびH435Q、ならびに310位のH(NHQ);
-突然変異I253A、H310AおよびH435Q(AAQ);
-突然変異I253N、H310AおよびH435Q(NAQ);
-突然変異I253A、ならびに310位および435位のH(AHH);
-突然変異I253N、ならびに310位および435位のH(NHH);
-突然変異I253AおよびH310A、ならびに435位のH(AAH);
-突然変異I253NおよびH310A、ならびに435位のH(NAH);
-突然変異I253N、H310AおよびH435A(NAA);
-突然変異I253N、H310AおよびH435E(NAE);
-突然変異I253A、H310AおよびH435A(AAA);または
-突然変異I253A、H310AおよびH435E(AAE)
を含む、項目21~27のいずれか1つに記載の中枢神経系に影響を及ぼす疾患の予防または処置に使用するための抗体または抗体様分子。
【0418】
29.上記Fc領域が、
-突然変異I253NおよびH435Q、ならびに310位のH(NHQ);
-突然変異I253A、H310AおよびH435Q(AAQ);
-突然変異I253N、H310AおよびH435Q(NAQ);
-突然変異I253N、H310AおよびH435E(NAE);または
-突然変異I253A、H310AおよびH435E(AAE)
を含む、項目21~28のいずれか1つに記載の中枢神経系に影響を及ぼす疾患の予防または処置に使用するための抗体または抗体様分子。
【0419】
30.上記Fc領域が、配列番号002(IAQ)、配列番号003(AHQ)、配列番号004(NHQ)、配列番号005(AQ)、配列番号006(NAQ)、配列番号007(AHH)、配列番号008(NHH)、配列番号009(AAH)、配列番号010(NAH)、配列番号011(NAA)、配列番号012(NAE)、配列番号013(AAA)または配列番号014(AAE)によって特徴付けられる配列であるかまたはそれらを含む、項目21~29のいずれか1つに記載の中枢神経系に影響を及ぼす疾患の予防または処置に使用するための抗体または抗体様分子。
【0420】
31.上記Fc領域が、配列番号004(NHQ)、配列番号005(AAQ)、配列番号006(NAQ)、配列番号012(NAE)または配列番号014(AAE)によって特徴付けられる配列であるかまたはそれを含む、
項目21~30のいずれか1つに記載の中枢神経系に影響を及ぼす疾患の予防または処置に使用するための抗体または抗体様分子。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C
図2D
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図6A
図6B
図7
図8A
図8B
図8C
図8D
図9A
図9B-1】
図9B-2】
図9C-1】
図9C-2】
図9D
図9E
図10A
図10B
図10C
図10D
【配列表】
2022526565000001.app
【国際調査報告】