(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-25
(54)【発明の名称】排気ガスセンサの診断方法
(51)【国際特許分類】
G01R 31/52 20200101AFI20220518BHJP
【FI】
G01R31/52
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021558908
(86)(22)【出願日】2020-03-24
(85)【翻訳文提出日】2021-11-01
(86)【国際出願番号】 EP2020058055
(87)【国際公開番号】W WO2020200896
(87)【国際公開日】2020-10-08
(31)【優先権主張番号】102019204827.7
(32)【優先日】2019-04-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ベアンハート レーダーマン
(72)【発明者】
【氏名】ファビアン バウマン
(72)【発明者】
【氏名】クラウディウス ベヴォト
(72)【発明者】
【氏名】ダンカ ディトマー-ゴベリッチ
【テーマコード(参考)】
2G014
【Fターム(参考)】
2G014AA03
2G014AB25
2G014AC19
(57)【要約】
本発明は、少なくとも1つの電気的な線路(201,202,203,204)を有する広帯域ラムダゾンデ(200)の動作のための、特にASICとして構成されている評価及び制御ユニットに関する。この評価及び制御ユニット(100)は、広帯域ラムダゾンデ(200)の電気的な線路(201,202,203,204)との電気的な接続のための、少なくとも1つの電気的な端子(RE,IPN,APN,MES)を有し、電気的な端子(RE,IPN,APN,MES)へ流れる電流の目標値(Iq)を決定し、この目標値(Iq)を実際に電気的な端子へ流れる電流(Ip)と比較するための装置(131)と、電気的な端子に印加される電位(Up)を設定されている限界(L1,L2)と比較するためのコンパレータ(130,130’)とを備えていることを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの電気的な線路(201,202,203,204)を有する広帯域ラムダゾンデ(200)の動作のための、特にASICとして構成されている評価及び制御ユニット(100)であって、
前記広帯域ラムダゾンデ(200)の前記電気的な線路(201,202,203,204)との電気的な接続のための少なくとも1つの電気的な端子(RE,IPN,APN,MES)を有する評価及び制御ユニット(100)において、
前記電気的な端子(RE,IPN,APN,MES)へ流れる電流の目標値(Iq)を決定し、前記目標値(Iq)を実際に前記電気的な端子へ流れる電流(Ip)と比較するための装置(131)と、前記電気的な端子に印加される電位(Up)を設定されている限界(L1,L2)と比較するためのコンパレータ(130,130’)とを備えていることを特徴とする評価及び制御ユニット(100)。
【請求項2】
広帯域ラムダゾンデ(200)の少なくとも1つの電気的な線路(201,202,203,204)の診断方法であって、
前記広帯域ラムダゾンデ(200)の前記電気的な線路(201,202,203,204)は、特に請求項1に記載の評価及び制御ユニット(100)の端子(RE,IPN,APN,MES)と接続されており、
前記端子(RE,IPN,APN,MES)に印加される電位(Up)が、設定されている限界(L1,L2)の外側に位置しておらず、かつ、前記端子(RE,IPN,APN,MES)へ流れる電流(Ip)が目標値(Iq,Iq’)から、閾値を超えて異なっていない場合にのみ、前記電気的な線路(201,202,203,204)の短絡又はシャント(300)が存在することを推定し、
及び/又は、
条件
・前記端子(RE,IPN,APN,MES)に印加される電位(Up)が、設定されている限界の外側に位置している、
・前記端子(RE,IPN,APN,MES)へ流れる電流(Ip)が目標値(Iq,Iq’)から、閾値を超えて異なっている、
のうちの少なくとも1つが満たされている場合にのみ、前記電気的な線路(201,202,203,204)の短絡又はシャント(300)を推定する、方法。
【請求項3】
前記端子(RE,IPN,APN,MES)へ流れる電流(Ip)が目標値(Iq,Iq’)から、閾値を超えて異なっている場合には、
・前記電流(Ip)が前記目標値(Iq,Iq’)よりも小さい場合に、アースへの短絡又はシャント(300)を推定し、及び/又は、
・前記電流(Ip)が前記目標値(Iq,Iq’)よりも大きい場合に、供給電位への短絡又はシャントを推定する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記端子(RE,IPN,APN,MES)に印加される電位(Up)が、設定されている限界(L1,L2)の外側に位置している場合には、
・前記電位(Up)が、前記設定されている限界(L1,L2)を下回って位置している場合に、アースへの短絡又はシャント(300)を推定し、及び/又は、
・前記電位(Up)が、前記設定されている限界(L1,L2)を上回って位置している場合に、供給電位又はバッテリ電圧への短絡又はシャント(300)を推定する、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
前記目標値(Iq,Iq’)は、前記評価及び制御ユニット(100)の、前記端子(RE,IPN,APN,MES)と接続されている前記定電流源(110)に対して指定されている電流値(Iq)によって与えられる、請求項2乃至4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記閾値は、予期される測定精度によって与えられる、請求項2乃至5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記広帯域ラムダゾンデ(200)は、複数の電気的な線路(201,202,203,204)を有しており、前記評価及び制御ユニット(100)は、複数の端子(RE,IPN,APN,MES)を有しており、
それぞれ1つの線路(201,202,203,204)が、1つの端子(RE,IPN,APN,MES)と接続されており、
前記診断を総ての線路(201,202,203,204)に対して周期的に実施する、請求項2乃至6のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
従来技術
ラムダゾンデを診断する手法は、例えば、ラムダゾンデの機能をコントロールする方法を提案している独国特許出願公開第19729696号明細書から既に知られており、ここでは、ゾンデセラミックの内部抵抗が測定され、検出されるべきガスの温度とゾンデ加熱部の加熱力とに関連して求められた目標値と比較され、測定値が目標値を超えると、結果としてエラー信号が発生することが設定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0002】
【特許文献1】独国特許出願公開第19729696号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
発明の利点
本発明は、広帯域ラムダゾンデの電気的な線路の短絡又はシャントが存在することを、常に確実に診断し得るようにすることを課題とする。この課題は、独立請求項の特徴部分に記載されている構成によって解決される。
【課題を解決するための手段】
【0004】
特に、一方では、端子に印加される電位が、設定されている限界の外側に位置していることによって、短絡又はシャントが特定され得ることが想定されている。これは、例えば、広帯域ラムダゾンデの通常動作時に、即ち、短絡が存在しない場合にはもはや予期されない電位によって与えられる限界であり得る。
【0005】
端子に印加される電位と設定されている限界との比較を、ハードウェアコンパレータを用いて有利に行うことができる。なぜなら、ハードウェアコンパレータは、極めて高速に動作するので、このようなエラーケースにおいては、他の場合には懸念され得る、広帯域ラムダゾンデ及び/又は評価及び制御ユニットにおける損傷を確実に回避することができるからである。
【0006】
本発明においては、さらに、特に、実際に端子へ流れる電流が、目標値から、閾値を超えて異なっている場合にも、短絡又はシャントが確定されることが想定されている。このようなケースは、基本的に、端子に印加される電位が、設定されている上述の限界の外側に位置していない場合、即ち、既に、上述したように短絡を識別し得ない場合にも、発生し得る。即ち、本発明に係る方法においては、総ての短絡及びシャントを識別することができる。
【0007】
端子へ流れる電流が目標値よりも大きいか又は小さいかに応じて、このようなケースにおいては、アースへの短絡又は正の電位への短絡を推定することができる。
【0008】
特に、評価及び制御ユニットの、端子と接続されている定電流源に対して指定されている電流値によって目標値が与えられるものとしてよい。端子と定電流源との間の接続を、例えば、広帯域ラムダゾンデの電気化学セルを介して行うことができ、これは、広帯域ラムダゾンデの2つの電気的な線路を介して、評価及び制御ユニットのこの端子及び他の端子と接続されている。
【0009】
広帯域ラムダゾンデの配線が、先行するケースにおける配線よりも複雑である場合、目標値は、他の与えられた事前情報に基づいて、及び/又は、測定に基づいて、及び/又は、計算に基づいて求められる。
【0010】
目標値は、ゼロ以外の電流値であるものとするとよい。他方では、これが値0μAであることも許容されるものとしてよい。
【0011】
特に、閾値が、予期される測定精度によって与えられており、例えば、2μA以下であるものとすることができる。
【0012】
広帯域ラムダゾンデが複数の電気的な線路を有しており、評価及び制御ユニットが複数の端子を有しているものとすることができ、ここで、それぞれ1つの線路は、1つの端子と接続されている。この場合に、診断は、総ての線路に対して周期的に実施可能であり、即ち、特に特定の順序で順次繰り返し実施可能である。このような情報をさらに処理して、短絡電圧と短絡抵抗Rkとを求めるために利用することができ、また、回線選択的に、短絡の存在(Rk<1Ohm)とシャントの存在(1MOhm>Rk>1Ohm)とを区別することができる。
【0013】
形式的には短絡抵抗として出現する抵抗が1MOhmを超える抵抗値を有する場合には、特に、エラーのないケースが仮定される。即ち、広帯域ラムダゾンデのこの電気的な接続には、短絡もシャントもなく、これには損傷がない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】広帯域ラムダゾンデと、広帯域ラムダゾンデに接続されている評価及び制御ユニットとを示す図である。
【
図2】本発明に係る方法の実施例のフローチャートを示す図である。
【
図3】エラーケースにおける
図1の構成を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
実施例の説明
図1は、4つの自身の電気的な端子RE、IPE、APE、MESを介して、広帯域ラムダゾンデ200の4つの電気的な線路201~204と接続されている評価及び制御ユニット100を示している。この例においては、広帯域ラムダゾンデ200の電気的な線路201~204は、広帯域ラムダゾンデ200の電気化学的ネルンストセル210及び電気化学ポンプセル211の電極並びに広帯域ラムダゾンデ200のオーム抵抗器220に連通する。
【0016】
広帯域ラムダゾンデの詳細は、例えば、独国特許出願公開第102011007068号明細書に記載されているものと同様であるものとしてよい。
【0017】
この例においては、評価及び制御ユニット100は、対応するスイッチ(図示されていない)を介して評価及び制御ユニット100の端子RE、IPE、APE、MESと接続可能である定電流源110を備えており、さらに電流測定装置120を備えている。電流測定装置120は、他のスイッチ(図示されていない)を介して、同様に、評価及び制御ユニット100の端子RE、IPE、APE、MESと接続可能である。この例においては、電子装置が始動した後、先ずは評価及び制御ユニットの端子IPEにおいて電位Upが測定される(ステップS1、
図2を参照)。
【0018】
次に、この例においては、ハードウェアコンパレータ130、130’によって、この電位Upが、設定されている限界L1、L2の内側に位置していることが特定される(ステップS2)。
【0019】
広帯域ラムダゾンデの受動的及び/又は能動的な加熱によって、電気化学セルが十分に低抵抗であることが保証された後、評価及び制御ユニット100の定電流源110が端子APEと接続され、評価及び制御ユニット100の電流測定装置120が端子IPEと接続される(ステップS3)。
【0020】
電流測定装置120によって測定された値Ipは、例えば、評価及び制御ユニット100のソフトウェアによって、定電流源110に対して指定されている値Iqと比較される(ステップS4)。この例においては、値Iqは、目標値を決定するための装置131に格納されている値を表す。
【0021】
この例においては、値Ip、Iqは一致している。即ち、全体として、端子IPEと接続されている、広帯域ラムダゾンデ200の線路には、短絡もシャントも存在しないことが推定される(ステップS5)。
【0022】
これに対して、この方法は、電位Upが、設定されている限界の外側に位置している場合に、又は、電流測定装置120によって測定された値Ipが、定電流源110に対して指定されている値Iqから、閾値を超えて異なっている場合に、短絡又はシャントが存在するという結論に到達することとなる。このような場合には、対応するエラーは、例えば、評価及び制御ユニットのエラーメモリ、又は、評価及び制御ユニットと接続されている制御装置のエラーメモリに入力されることとなる(ステップS6)。
【0023】
図3は、広帯域ラムダゾンデの線路202と、例えばバッテリ電圧との間において短絡300が発生しているエラーケースにおける
図1の構成を説明している。このようなケースにおいては、付加的な電流が電流測定装置120へと流れる。電流測定装置120によって測定された値Ipは、定電流源110に対して指定されている値Iqから、閾値を超えて異なっているが、この例においては、電位Upは未だ、設定されている限界L1、L2の内側に位置している。
【0024】
選択的な例においては、Ipとの比較のために、定電流源110に対して指定されている値Iqが使用されるのではなく、別個のステップにおいて、定電流源110が評価及び制御ユニット内において電流測定装置120と接続されることが想定される。従って、定電流源110の実際の値Iq’が、電流測定装置120によって測定される。続いて、このような測定された実際値Iq’が、指定されている値Iqの代わりに、上述のように、Ipとの比較のために利用される。
【国際調査報告】