(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-25
(54)【発明の名称】液体試料の採取および取り扱い装置、方法、並びに物質
(51)【国際特許分類】
B01L 3/00 20060101AFI20220518BHJP
G01N 1/38 20060101ALI20220518BHJP
G01N 1/00 20060101ALI20220518BHJP
A61J 1/05 20060101ALI20220518BHJP
【FI】
B01L3/00
G01N1/38
G01N1/00 101K
A61J1/05 313
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021558917
(86)(22)【出願日】2020-03-31
(85)【翻訳文提出日】2021-12-01
(86)【国際出願番号】 EP2020059044
(87)【国際公開番号】W WO2020201250
(87)【国際公開日】2020-10-08
(31)【優先権主張番号】102019204633.9
(32)【優先日】2019-04-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519365311
【氏名又は名称】アンヴァジョ ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Anvajo GmbH
【住所又は居所原語表記】Zwickauer Str.46, 01069 Dresden,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】エズケラ アイトール
(72)【発明者】
【氏名】ハマー ダニエル
【テーマコード(参考)】
2G052
4C047
4G057
【Fターム(参考)】
2G052AD06
2G052AD29
2G052CA39
2G052FB02
4C047AA01
4C047AA05
4C047CC04
4C047DD10
4C047DD22
4C047EE01
4G057AB00
4G057AB38
(57)【要約】
本発明は、液体試料及び物質を採取して取り扱うための装置および方法に関する。該装置は、試料ユニット(1)と物質容器(2)とを有する。物質容器(2)は、該物質をリザーバ(3)内に保持するように設計されたリザーバ(3)を有する。リザーバ(3)はまた、リザーバ(3)内に保持された物質が周囲に対して封止されるように、封止膜又は封止板(5)によって閉じられる開口部(4)を有する。試料ユニット(1)は、液体試料を採取して保持するように設計されたサンプルテイカー(sample taker)(6)を備える。それはまた、リザーバ(3)の開口部(4)内に少なくとも部分的に挿入され、開口部(4)から封止膜又は封止板(5)を持ち上げるように設計されたオープナ(7)を有する。その際、封止膜又は封止板(5)の方向に配置され、リザーバ(3)の開口部(4)に挿入され、封止膜又は封止板(5)を開口部(4)から持ち上げる、オープナ(7)の面(8)は、面(8)が、封止膜又は封止板(5)と接触するときに、封止膜又は封止板(5)の面に対して斜めに配向し、開口部(4)に挿入されるときに、封止膜又は封止板(5)を開口部(4)から順次持ち上げて、封止膜又は封止板(5)内に、該物質がリザーバ(3)を出てサンプルテイカー(6)の試料と混合可能な出口(9)を形成するように設計されている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料ユニット(1)と物質容器(2)とを有する、液体試料および物質を採取して取り扱う装置であって、
前記物質容器(2)は、前記物質をリザーバ(3)内に貯蔵するように構成されたリザーバ(3)を有し;
前記リザーバ(3)は、前記物質が前記リザーバ(3)内の環境に向かって封止されるように、封止膜または封止板(5)によって閉じられた開口部(4)を有し;
前記試料ユニット(1)は、サンプラ(6)とオープナ(7)とを有し;
前記サンプラ(6)は、前記液体試料を採取して保持するように構成され;
前記オープナ(7)は、前記リザーバ(3)の開口部(4)に少なくとも部分的に導入され、前記開口部(4)から前記封止膜または封止板(5)を上昇させるように構成され、
前記封止膜または封止板の方向に配置され、前記開口部(4)に導入されて、前記封止膜または封止板(5)を前記開口部(4)から上昇させる、前記オープナ(7)の表面(8)は、前記表面(8)が、前記封止膜または封止板(5)と接触する際に、前記封止膜または封止板(5)の表面に対して斜めの角度で位置合わせされ、前記開口部(4)への導入時に、前記封止膜または封止板(5)を前記開口部(4)から順次上昇させて、出口(9)が、前記封止膜または封止板(5)に形成され、前記出口(9)を通って、前記物質が、前記リザーバ(3)から流出して、前記サンプラ(2)の試料と混和するように構成される、ことを特徴とする装置。
【請求項2】
前記開口部(4)に導入され、前記開口部(4)から前記封止膜または封止板(5)を上昇させる、前記オープナ(7)の表面(8)が、前記開口部(4)の縁部から、前記封止膜または封止板(5)を順次上昇させるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記オープナ(7)が、前記封止膜または封止板(5)に接触する際に、前記封止膜または封止板(5)を切断する、先端、プリッカ、ピアサ(10)、および/または、刃先を有することを特徴とする請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記オープナ(7)が、前記リザーバ(3)の前記開口部(4)と相補的に形成されていることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記オープナ(7)が、前記封止膜または封止板(5)の上昇時に、前記物質が前記リザーバ(3)から流出する、少なくとも1つの通路(11)および/または少なくとも1つの出口開口部(12)を有することを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記オープナ(7)が、前記開口部(4)への前記オープナ(7)の導入時に、前記オープナ(7)の外側輪郭および/または外側縁と、前記封止膜または封止板(5)が固定される、前記リザーバ(3)の内壁および/または前記開口部(4)の側壁との間に、間隙が形成されるような形状の外側輪郭および/または外側縁を有することを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記オープナ(7)が、片側が面取りされた中空円筒として形成されていることを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記オープナ(7)が、ウェブ(16)を介して前記サンプラ(6)に接続されることを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記オープナ(7)が、ウェブ(15、16)を介して前記サンプラ(6)に接続されるリングとして形成されていることを特徴とする請求項1~8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記物質容器(2)が、前記試料ユニット(1)に固定可能であり、前記試料ユニット(1)または前記物質容器(2)における圧縮運動および/または回転運動によって、前記開口部(4)に前記オープナ(7)を導入し、前記開口部(4)から前記封止膜または封止板(5)を上昇させるように構成されていることを特徴とする請求項1~9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記試料ユニット(1)が、前記サンプラ(6)と前記リザーバ(3)の前記開口部(4)とを取り囲む容器(14)が固定可能な接続点(13)を有することを特徴とする請求項1~10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記物質容器(2)が、複数のリザーバ(3)を有し、前記試料ユニット(1)が、複数のオープナ(7)を有することを特徴とする請求項1~11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記オープナ(7)が、前記リザーバ(3)の前記開口部(4)への前記オープナ(7)の導入時に、前記リザーバ(3)の前記封止膜または前記封止板(5)が次々と開口するように、異なる長さを有することを特徴とする請求項12に記載の装置。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか一項に記載の装置を有する、液体試料および物質を採取して取り扱う方法であって、
試料ユニット(1)のサンプラ(6)によって、液体試料を採取する;
前記試料ユニット(1)のオープナ(7)を物質容器(5)のリザーバ(3)の開口部(4)に導入する;および
前記オープナ(7)が、前記開口部(4)から、前記リザーバ(3)の前記開口部(4)を閉じている、封止膜または封止板(5)を上昇させて、前記物質が、前記リザーバ(3)を流出して、前記サンプラ(6)の試料と混和する出口(9)を形成する、ことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体試料及び物質を採取して(取り込んで)取り扱う(take up and handle)ための装置(device)に関する。前記装置は、特に、医学、薬学または生物学的分野における試料分析に適している。
【0002】
液体試料の分析では、特定量の液体試料を様々な分析ステップにかけることがしばしば必要である。この目的のために、液体試料は、通常、ピペットまたは真空を生成する別の吸引装置によって取り込まれ、分析ステップが実施される容器に移される。次いで、試料を、例えば、他の物質と混合することができる。
【0003】
多くの場合、ピペット、ピペッティングエイド、チューブ、ポンプ、秤量ボートまたはスケールなどの、試料または物質を提供するための対応する機器(equipment)および補助器具(aid)が、使用場所に存在しないか、使用中に分析または操作エラーが発生し、試料および/または物質の採取および取り扱いが再現できない。試料および物質を提供するための機器および補助器具はまた、汚染を避けるために、試料または物質を採取して提供した後に、複雑および/または高価な方法で廃棄または洗浄しなければならない。この点における特定の課題は、マイクロリットル範囲の量の試料の再現性のある採取および取り扱いであり、これは、試料量のわずかな差または少量の汚染物質でさえ、分析結果に大きな誤差を生じ得るからである。
【0004】
したがって、本発明の根底にある目的は、上記の不利な点を克服し、液体試料および物質を採取して取り扱うための方法、並びに、操作が簡単で安価な装置を提供することにある。装置は、特に、大量生産品または使い捨て品として提供されるべきであり、それにより、マイクロリットルの範囲の液体試料を再現性よく採取することができ、特に物質と混合するなど、多数の異なる分析ステップにアクセスできるようにすることができる。
【0005】
この目的は、請求項1に記載の装置および請求項14に記載の方法によって、本発明に従って達成される。有利な実施形態およびさらなる開発が、従属クレームに記載されている。
【0006】
液体試料および物質を採取して取り扱う装置は、液体試料を採取して保持するように構成されたオープナ(opener)およびサンプラ(sampler)を有する試料ユニットを有する。さらに、前記装置は、物質をリザーバ内に貯蔵するように構成されたリザーバを有する物質容器を有する。前記リザーバは、リザーバ内に貯蔵された前記物質が環境に向かって密封されるように、封止膜(シーリングフィルム)または封止板(シーリングプレート)によって閉じられる開口部を有する。前記試料ユニットのオープナは、リザーバのこの開口部に少なくとも部分的に導入され、前記開口部から封止膜または封止板を持ち上げる(上昇する)(raise)ように構成される。この点で、封止膜または封止板の方向に配置され、前記開口部に導入され、封止膜または封止板を前記開口部から持ち上げるオープナの表面は、封止膜または封止板と接触する際に、封止膜または封止板の表面に対して斜めの角度で位置合わせされ、前記開口部への導入の際に、開口部から連続して(順次)(successively)封止膜または封止板を持ち上げるように構成され、そのため、前記物質がリザーバを出て、サンプラの試料と混和する出口が、封止膜または封止板に形成されている。
【0007】
一体型サンプラのため、液体試料を採取するための装置に加えて、別個の機器または補助器具を必要としない。これには、展開サイト(deployment site)で試料を採取するために装置を個別に使用できるという利点がある。さらに、試料を採取するための別個の機器または補助器具による試料の汚染が排除され、これらの機器または補助器具の清掃は不要である。
【0008】
前記物質の汚染だけでなく、環境の汚染も、密閉されたリザーバに物質を供給することによって回避することができる。特に、バイオハザードまたは発がん性物質などの有害物質は、環境との制御されていない接触なしに、装置を使用して、安全に輸送および取り扱うことができる。リザーバは、さらに、異なる位置(different location)で充填および空にすることができる。それは、例えば、高精度装置を使用して滅菌環境で充填および閉鎖し、次いで、前記装置の異なる位置で使用することができる。これにより、一方では、物質容器への充填時の測定誤差を小さくすることができ、他方では、前記装置を、充填のための機器または補助器具とは独立して使用することができる。
【0009】
前記リザーバは、固体、液体および/または気体状物質、特に流体または複数の流体、例えば流動性液体、流動性または自由流動性(free-flowing)固体、例えば粉末、顆粒、もしくは凝集物、またはそれらの混合物で、充填可能であるか、または充填することができる。しかしながら、ゲルまたはペーストまたは固体物質などの粘性物質もまた、試料または別の液体によって、リザーバから洗い流すことができるように採取することができる。
【0010】
封止膜または封止板と、リザーバの開口部に導入され、前記開口部から封止膜または封止板を上昇させるオープナの表面との間の傾斜角は、封止膜または封止板の制御不能な引き裂き(tearing)を防止する。制御不能な方法で引き裂かれて、側方に付勢される(urged to the side section-wise)代わりに、封止膜または封止板は、連続面として前記開口部から連続的に持ち上げられ、生成された出口がリザーバからの物質の放出のために完全に使用できるようにする。このためには、通常、前記開口部の単一の直線移動(single linear movement)で既に十分である。特に、それは、この目的のために、原則として、サンプラの端面の法線方向に平行に導かれる(guide)、前記開口部の開口面の法線方向において起こる可能性がある。リザーバの開口部内に導入され、封止膜または封止板を前記開口部から持ち上げるオープナの表面は、封止膜または封止板の表面に対して、封止表面または封止板と接触する際に、5°~45°、好ましくは5°~30°、特に好ましくは5°~20°の間の角度を形成することが好ましい。
【0011】
リザーバの開口部に導入され、前記開口部から封止膜または封止板を上昇させるオープナの表面は、前記開口部の縁から連続して封止膜または封止板を上昇させるように構成することができる。これは、前記開口部の側壁またはリザーバの内壁への開口部へのオープナの導入時に、オープナによって持ち上げられた封止膜または封止板が移動し、それによって、リザーバからの物質の放出時に、ほとんどないくらい小さな流動抵抗しか示さないという利点を有する。したがって、リザーバは、迅速かつ完全に空にすることができる。ここで、特に有利には、封止膜または封止板は、前記開口部にオープナを導入する際に、開口部全体から連続した面として連続的に持ち上げられ、リザーバの側壁または内壁に移動させることができ、あるいは、そこでオープナによって折り畳んで固定することができる。これにより、リザーバからの物質の放出時に、封止膜または封止板の流動抵抗を低減することができる。
【0012】
オープナが、封止膜または封止板と接触したときに、封止膜または封止板が切断される、先端(tip)、プリッカ(pricker)、ピアサ(piercer)、または刃先(cutting edge)を有する場合に有利である。したがって、先端、プリッカ、ピアサ、または刃先により、上昇用の封止膜または封止板を切断するために加えなければならない圧力を低減することができ、よって、物質の放出を容易にすることができる。さらに、制御不能な引き裂きだけでなく、封止膜または封止板の望ましくない内側へのアーチング(arching)および一緒のローリング(rolling)も回避することができる。
【0013】
少なくとも1つの先端、1つのプリッカ、または1つのピアサは、前記開口部へのオープナの導入時に、最初に封止膜または封止板に接触するオープナの位置に、配置されることが好ましい。前記刃先は、前記開口部に導入され、前記開口部から封止膜または封止板を持ち上げるオープナの表面の縁部に形成されることが好ましい。特に、刃先は、片側または両側、平坦、球形、中空、または凹状の切削形状で形成することができる。さらに、刃先が特にきれいな切削を可能にする切削歯またはマイクロチャンファを有するようにすることができる。
【0014】
試料ユニットのオープナは、好ましくは、それが導入されるリザーバの開口部と相補的な形状に形成されて、封止膜または封止板を上昇させる、すなわち、前記オープナは、特に、前記開口部に対してマッチングする形状に、または正確に適合するように形成される。これにより、封止膜または封止板を前記開口部の全断面にわたって実質的に上昇させることができ、リザーバからの物質の放出のために開放することができる。封止膜または封止板は、オープナの連続的な導入および、前記開口部の側壁および/またはリザーバの内壁への封止膜または封止板の上昇に伴って、さらに移動することができ、物質の排出時に、それによって出口の方向に移動せず、それをブロックしないように、そこでオープナによって固定することができる。したがって、オープナ、特に、封止膜または封止板の方向に配置されたオープナの表面は、前記開口部へのオープナの導入時に、次のような形状の外側輪郭(outer contour)または外側縁を有することができる。すなわち、前記外側輪郭および/または前記外側縁と、封止膜または封止板が固定されるリザーバの内壁および/または前記開口部の側壁との間に、間隙(ギャップ)が形成されるような形状とすることができる。本出願(application)において固定される用語(term fixed)は、特に、封止膜または封止板の移動が、物質の放出時に、封止膜または封止板が、前記開口部の方向においてそれによって移動しないように、オープナの前記外側輪郭および前記開口部の側壁および/またはリザーバの内壁によって制限されるように理解することができる。封止膜または封止板は、ここでは特に、前記開口部の側壁および/またはリザーバの内壁に、平坦に接触することができる。オープナおよび/またはオープナの前記封止膜もしくは封止板の方向に配置された面は、例えば、前記封止膜または封止板の厚さの1.5倍~20倍、好ましくは、前記封止膜または封止板の厚さの5倍~10倍となるクリアランスを有する開口部に、オープナを導入する際に、前記外側輪郭または外側縁が間隙を形成するように構成することができる。
【0015】
リザーバは、封止膜または封止板の開口部によって、リザーバから物質を放出するために、可能な限り大きい断面を生成できるように、片側(one side)で開口するキャビティ(cavity)として形成されることが好ましい。これは、粘性物質または固体物質であっても、試料または他の液体によるフラッシングによって、迅速かつ単純な方法でリザーバから放出できるという利点を有する。リザーバ内の開口部は、重力による物質の妨害されない排出が可能であるように、リザーバまたは物質容器の下側に形成されることが特に好ましい。
【0016】
リザーバの開口部に導入されるオープナが、封止膜または封止板の上昇時に、物質がリザーバを出ることができる少なくとも1つの通路および/または少なくとも1つの出口開口部を有する場合に有利である。前記オープナは、特に好ましくは、平坦な表面(平面)構造として、または断続性の中空体として、またはリングとして、またはリング状に形成される。これにより、オープナが、前記出口からの物質の流出を防止することを回避することができる。前記物質は、封止膜または封止板の浸透中にすでにリザーバを出ることができる。開口部は、片側が面取りされた中空円筒(シリンダー)として構成することもできる。さらに、オープナをウェブ(web)または複数のウェブを介してサンプラに接続して、ウェブを介した機械的に安全な接続にもかかわらず、貫通流のための開口部が依然として存在する構成を得ることができる。特に、オープナがウェブを介してサンプラに接続されるリングとして構成されるようにすることができる。ここで「リング」という用語は、特に、任意の所望の幅および/または長さのそれ自体で閉じられた均一に丸い物品として理解されるべきである。さらに、流出物質のより均一な分布は、異なる空間方向に整列した出口開口部によって、達成することができ、これは、特に、オープナの領域における試料との物質の混合を促進する。しかしながら、「ウェブ」という用語は、特に、本出願(application)のフレームワーク内では、このウェブによって接続される2つの要素間の空間を完全には満たしていない、および/またはカバーしていない接続部分として理解されるべきである。
【0017】
サンプラは、毛細管力によって所定の試料量をサンプラ内に採取するように構成されたキャピラリチューブ(毛細管)として設計することができる。キャピラリチューブは、電子的または機械的に移動する構成要素(component)を必要としないので、安価でフェイルセーフなサンプラである。キャピラリチューブの開口断面が小さいため、キャピラリチューブ内に固体が浸透しにくく、その結果、試料を汚染することなく非常に大量に採取することができる。キャピラリチューブの通常の直径および容量は、0.02mm~2mmおよび1μl~100μlである。
【0018】
サンプラは、好ましくは、試料ユニットにおいてオープナに対向して配置される。液体物質の場合、サンプラは、例えば、リザーバの開口部に導入され、開口部から封止膜または封止板を上昇させるオープナの表面に対して中央に配置することができ、これにより、リザーバからの物質の出口(exit)において、サンプラを迂回または通過させることができ、サンプラからの試料と物質の混合が容易になる。流動性物質または自由流動性物質の場合、サンプラはまた、リザーバの開口部に導入され、物質がリザーバから出るときにサンプラを妨げないように、前記開口部から封止膜または封止板を上昇させる表面の中心から横方向にオフセットして配置することもできる。
【0019】
サンプラとオープナは、連続したユニットとして形成することができる。サンプラは、例えば、ウェブを介してオープナに接続することができ、ウェブは、リザーバからの物質の排出を妨げないように、可能な限り狭く、好ましくは2mmより狭い断面を有する。前記ウェブは、前記開口部の側壁および/またはリザーバの内壁に対して、相補的な方法で、好ましくは正確に適合するように成形された、外側輪郭を有することができる。少なくとも1つのウェブは、オープナの表面が封止膜または封止板との接触の際に、前記開口部から最大距離を有する領域のオープナに配置されることが特に好ましく、その結果、前記開口部へのオープナの導入時に、封止膜または封止板が、前記開口部の側壁および/またはリザーバの内壁において、このウェブによって移動および固定される。
【0020】
あるいは、サンプラはまた、例えば、様々なサンプラを、適合された形状、力嵌合(force fit)、またはスルーホール接続を介した摩擦ロック(摩擦係止)(friction locked)によって、試料ユニットに固定できるように、モジュールセットアップ(modular setup)を有することもできる。一実施形態では、試料ユニットが複数のサンプラを有し、その結果、異なる液体またはより大量の液体を採取できるようにすることもできる。
【0021】
さらに、物質容器が試料ユニットに固定可能(fastenable)であり、物質容器または試料容器が、物質容器または試料ユニットでの圧縮運動または回転運動によってのみオープナを導入し、前記開口部から封止膜または封止板を持ち上げるように構成されている、装置の単純な取り扱いのための手段を設けることができる。したがって、前記装置は、物質容器および試料ユニットの単位として輸送または取り扱うことができ、必要な場合にのみ物質を放出できる。
【0022】
特に、前記装置は、リザーバの開口部へのオープナの導入および封止膜または封止板の上昇のために、試料容器に対する物質容器の相対的な移動が阻止され、リリース装置(release device)の作動後にのみ解放(リリース)されるように、物質容器を試料ユニットに固定可能にする固定(締結)(fasten)およびリリース装置を有することができる。固定およびリリース装置は、例えば、解放可能なクリックインまたはスナップイン機構を有するラッチ(latch)装置として、または、開口部へのオープナの導入および封止膜または封止板の取り外しまたは作動後にのみ上昇のために、試料容器に対する物質容器の相対的な移動のみを解放する、ピン、スタッド、スプリント、またはレバーなどのラッチ機構を有するねじ接続(screw connection)として構成することができる。前記リリース装置は、好ましくは、純粋に手動で作動可能であり、前記リリース装置の機械的なチャイルドプルーフ固定(child-proof securing)もまた、特定の用途のために設けることができる。
【0023】
前記装置、特に試料ユニットは、好ましくはまた、サンプラおよびリザーバの開口部を取り囲む容器を固定することができる接続点(connection point)も有する。物質および試料は、例えば、このような容器内に取り込まれ、互いに混合されることができるが、この容器はまた、試料を乾燥から保護するために、または粘性物質もしくは固体物質をリザーバから洗い流すための液体を提供するためにも使用されることができる。
【0024】
接続点は、特に好ましくは、前記装置を、標準的な実験用容器(laboratory vessel)、例えばキュベット、標準的なすり合わせ(ground joint)を備えた容器、遠心管、またはエッペンドルフ容器(Eppendorf vessel)、または標準的な実験用容器と適合する接続点を備えた実験用機器に、解放可能に接続するように構成されている。接続点は、例えば、ねじ接続、ラッチ接続、またはスナップイン接続用に設計できる。接続点は、特に有利に、摩擦ロック式のプッシュインまたはプレースオン接続のために設計されており、その結果、前記装置を迅速かつ簡単な方法で容器に固定することができる。
【0025】
試料ユニットは、例えば、オープナの周囲に配置され、接続点として構成される、ジャケット、スリーブ、またはリングを有することができる。この目的のために、前記ジャケット、スリーブ、またはリングの外面は、例えば、ジャケット、スリーブ、またはリングに押しつけられる容器の摩擦ロック式固定のための封止面(シール面)として設計することができる。前記ジャケット、スリーブ、またはリングは、さらに、試料ユニットが表面上に配置されるか、または取り扱われる場合に、オープナを望ましくない接触から保護する接触保護を形成することができる。さらに、前記ジャケット、スリーブ、またはリングは、試料ユニットを取り扱うための、特に液体試料を取り込む際の試料ユニットの保持のための、保持面として設計された外面を有するようにすることができる。
【0026】
前記ジャケット、スリーブまたはリングは、例えば、狭いウェブによってオープナに固定することができ、オープナとのユニットを形成することができる。一実施形態では、ジャケット、スリーブ、またはリングは、物質容器またはリザーバの外面と形状が相補的であるように設計された内面を有することができるので、その結果、試料ユニットおよびリザーバは、リザーバの開口部へのオープナの導入および前記開口部からの封止膜または封止板の上昇、および前記装置からの物質の制御されない放出を回避することができるように、この表面で形状が一致するように、環境に向かって封止できるようにする。この封止の代わりに、またはこれに加えて、物質容器または試料ユニットに、さらなる封止面を設けることができ、この場合、物質容器および試料容器は、リザーバの開口部へのオープナの導入および前記開口部からの封止膜または封止板の上昇の際に、付加的な封止材料によって、環境に向かって任意に封止されることもできる。
【0027】
さらに、一実施形態において、物質容器が複数のリザーバを有し、試料ユニットが複数のオープナを有するようにすることができる。ここで、リザーバおよびオープナは、それぞれのオープナがリザーバの開口部に導入され、リザーバの封止膜または封止板を開くことができるように、物質容器内または試料ユニットに配置することができる。これに対応して、試料ユニットは、サンプラおよびリザーバの開口部を取り囲む容器を固定することができる接続点を有することができる。したがって、それぞれのリザーバの封止膜または封止板を開いた後にのみ、互いに混和または混合される異なる物質を提供することができる。
【0028】
特に、オープナが、異なる長さを有するか、または試料ユニットにおいてより異なるレベルに配置され、その結果、それらは、リザーバの開口部への導入時に、リザーバの封止膜または封止板の平面から異なる距離を有するようにすることができる。したがって、リザーバの封止膜または封止板は、リザーバの開口部へのオープナの導入時に、互いに独立して、互いの後に(次々に)(after one another)開くことができ、オープナと封止膜または封止板との間の最小距離を有するリザーバが最初に開かれる。
【0029】
あるいは、オープナは、等しい長さで設計することができ、試料ユニットの平面内に配置することができ、リザーバまたはリザーバの封止膜または封止板は、物質容器内で互いに異なるレベルに配置することができ、その結果、リザーバの開口部へのオープナの導入の際に、オープナと封止膜または封止板との間の最小距離を有するリザーバを最初に開いた状態で、封止膜または封止板が互いの後に、互いに独立して開くことができる。これに対応して、前記装置は、オープナがリザーバの開口部に次々に導入され、物質が次々に放出されることができるように、次々に作動可能な複数のラッチングおよびリリースユニットを有することができる。これにより、物質が放出される特定の順序を固定することができ、したがって、例えば、分析シーケンスにおける混乱またはエラーを回避することができる。前記装置は、さらに、物質の時間制御放出に特に適している。例えば、物質は、特定の時間間隔で手動または自動で放出されることができる。
【0030】
試料ユニット、物質容器、およびリザーバを密封するための封止膜または封止板は、通常、物質または試料の長期貯蔵を可能にする材料、すなわち、それぞれ化学的または熱的に耐性があり、必要に応じて、UV放射、湿度、または酸素などの環境影響から、物質または試料を保護する材料から構成される。試料ユニットまたは物質容器は、プラスチック、例えばポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、環状オレフィンポリマーまたはコポリマー、アクリロニトリルブタジエンスチレン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリアミド、特にナイロン、ポリオキシメチレンまたはポリアクリロニトリルなどの熱可塑性プラスチック、あるいは、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂またはフェノール樹脂などの熱硬化性プラスチックから製造することができる。試料ユニットおよび物質容器は、好ましくは射出成形プロセスによって製造されるが、3D印刷、または焼結、積層、押出、接着結合、粉砕、切断、またはアブレーションなどの付加的な製造技術によって製造することもできる。
【0031】
リザーバを密封するための封止膜または封止板は、通常、水不透過性または空気不透過性の材料、特に金属、例えばアルミニウム、または非弾性プラスチック、すなわち20℃で0.1GPaを超える弾性率を有するプラスチックから構成される。封止膜または封止板の厚さは、通常、10μm~200μm、好ましくは20μm~100μmの間である。封止膜または封止板は、例えば、リザーバ内の開口部をシールするために、開口部の縁部に接着結合され、積層され、または溶接されることができる。
【0032】
液体試料および物質を採取して取り扱う方法において、試料ユニットに設けられたサンプラにより液体試料を採取し、物質をリザーバ内に貯蔵する物質容器を設ける。次いで、試料ユニットに配置されたオープナが、封止膜または封止板によって閉じられたリザーバの開口部に導入される。この場合、封止膜または封止板の方向に配置されたオープナの表面は、封止膜または封止板と接触する際に、封止膜または封止板の表面に対して斜めの角度で位置合わせされ、リザーバの開口部から連続して封止膜または封止板を上昇させて、物質がリザーバを出て、サンプラの試料と混和する出口が形成される。
【0033】
特に、記載された方法は、記載された装置を用いて実施することができ、すなわち、記載された装置は、記載された方法を実施するように構成される。
【0034】
本発明の実施形態は、図面に示され、
図1~
図10を参照して以下に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0035】
次のものが表示される:
【
図1】本発明に係る装置の一例を示す概略側面図である;
【
図2】可能な用途による本発明に係る装置の一例を示す、
図1に対応する図である;
【
図3】本発明に係る装置の別の例の、概略側面図における部分断面図である;
【
図4】オープンスナップイン固定(締結)による本発明に係る装置の一例を示す、
図3の下部に対応する図である;
【
図5】封止膜または封止板の開放(opening)前に閉じられた(closed)スナップイン固定を有する本発明に係る装置の一例を示す概略斜視図である;
【
図6】封止膜または封止板の開放後に解放されたスナップイン固定を有する本発明に係る装置の一例を示す概略側面図である;
【
図7】片側が面取りされた中空円筒として構成されたオープナの一例を示す概略斜視図である;
【
図8】ジャケットなしの
図7に示すオープナの
図7に対応する図である;
【
図9】
図7に示される実施形態の断面図である;および
【
図10】
図9の表示に対して90°回転した概略断面図である。
【0036】
図1および
図2では、液体試料を採取して取り扱うための装置の一実施形態が、概略側面図で示されている。
図1は、使用前の分解状態における装置を示し、
図2は、使用可能後の組立状態における装置を示す。
【0037】
前記装置は、試料ユニット1と物質容器2とを備える。物質容器2は、リザーバ3内に物質を貯蔵するように構成されたリザーバ3を有する。このリザーバ3には、リザーバ3内に貯蔵された物質が環境に対して密封されてリザーバ4内に残留するように、封止膜または封止板5によって閉じられる開口部4が設けられている。したがって、リザーバ3は、封止板5によって閉じられたキャビティである。試料ユニット1は、液体試料を採取して保持するように設計されたサンプラ6と、オープナ7とを有する。試料ユニット1のオープナ7は、リザーバ3の開口部4に少なくとも部分的または完全に導入され、封止膜または封止板5を開口部4から上昇させるように構成されている。この点において、封止膜または封止板5の方向に配置され、リザーバ3の開口部4に導入され、封止膜または封止板5を開口部4から上昇させる、オープナ7の表面8は、その表面8が、封止膜または封止板5と接触する際に、封止膜または封止板5の表面に対して、斜めの角度で、すなわち、特に0°および90°とは異なる角度で位置合わせされ、開口部4に導入する際に、開口部4から連続して封止膜または封止板5を上昇するように構成され、その結果、前記物質がリザーバ3から出てサンプラ6の試料と混和する、封止膜または封止板5において、オープナ7の浸透が増大する際にサイズが増大する出口9が形成される。
【0038】
封止膜または封止板5は、オープナ7の表面8と封止膜または封止板5との間の傾斜角によって、連続的に、すなわち徐々に、表面8の縁から制御不能な方法で引き裂かれることなく、切断することができ、リザーバ3の開口部4から連続面として上昇させる(隆起させる)ことができる。示している例では、オープナ7と封止膜または封止板5との接触角は45°であるが、45°より小さい角度、好ましくは5°~30°の間、特に好ましくは5°~20°の間とすることもできる。
【0039】
物質容器2のリザーバ3は、通常、0.5ml~5mlの容量を含むことができる。リザーバ3は、
図1および
図2に示すように、片側が開口したキャビティとして構成することができ、リザーバ3の開口部4は、物質が重力によってリザーバ3を出て、封止膜または封止板5の開口部を妨げることがないように、物質容器2の下側に位置することができる。したがって、示されている例のオープナー7を、リザーバ3の開口部4内に下方から導入するか、または試料ユニット1上に物質容器2を上方から載置して、オープナー7と封止膜または封止板5との接触を確立し、封止膜または封止板5をリザーバ3の開口部4から順次上昇させる。
【0040】
試料ユニット1および物質容器2は、好ましくは、化学的に不活性なプラスチック、
図1および2に示す例ではポリプロピレンから構成される。物質容器2または封止膜または封止板5は、特に、熱可塑性プラスチックから構成されることが好ましく、封止膜または封止板5を適用する際に、リザーバ3の開口部4の周囲の封止膜または封止板5あるいは物質容器2のみが加熱され、追加の接着剤を必要としない。しかしながら、温度感受性物質(temperature sensitive substance)の供給のため、または例えば熱硬化性プラスチックの物質容器2の使用のために、化学的に不活性な接着剤によって、物質容器2に封止膜または封止板5を接着結合または積層することもできる。
【0041】
図1および
図2に示す例のリザーバ3の開口部4は、20μmの厚さを有し、開口部4の縁部にプレスされながら溶接されたアルミニウム製の封止膜5によって閉じられている。アルミニウム膜の代わりに、化学的に不活性であり、物質および空気または水に対して透過性でない限り、他の非弾性材料、特にプラスチックを封止膜または封止板5に使用することもできる。ここで、封止膜または封止板5の厚さは、試料ユニット1または物質容器2に手動で圧力を加えてオープナ7で封止膜または封止板5を切断でき、リザーバ3の開口部4から上昇できるように選択する。
【0042】
図1および
図2に示す例では、サンプラ6は、狭いウェブ15を介してオープナ7に固定的に接続され、オープナ7とユニットを形成し、すなわち、一部分で、または材料の連続性に関連してそれとともに形成される。しかしながら、サンプラ6が、例えばプラグイン接続を介して、オープナ7に解放可能に接続されるようにすることもできる。
【0043】
試料ユニット1のサンプラ6は、
図1および
図2に示すように、サンプラ1がオープナ7によって形成される出口9に対向して配置されるように、すなわち、特に、試料ユニット1の中央に配置されるように構成することができる。この構成では、物質は、リザーバ3から出る際に、サンプラ1から試料を洗い流すことができる。これは、後続の分析ステップで試料と混合される液体または溶解物質にとって特に有利である。しかしながら、サンプラ6を平面的に中央に配置するのではなく、例えば、サンプラ6の閉塞を防止したり、または、物質の出口方向の流動抵抗が高すぎるのを防止したりするために、試料ユニット1においてやや(rather)横方向にオフセットするようにしてもよい。
【0044】
図1および
図2に示すように、サンプラ6は、例えば、この液体と接触する毛細管力によって規定量の液体を取り込み、保持するキャピラリチューブとして構成することができる。このような電子的または機械的に移動される要素のない受動(passive)サンプラ6は、フェイルセーフであり、安価であり、そして操作が簡単である。キャピラリチューブの通常の直径および容量は、0.02mm~2mmまたは1μl~100μlである。キャピラリチューブの端部は、試料の非常に正確な容量(体積)測定のために、キャピラリチューブの長手方向軸(longitudinal axis)に垂直に延びる平面として構成することができ、キャピラリチューブの一端は、液体試料の採取のために、
図1および2に示すように、試料ユニット1から突出している。
【0045】
図1および
図2の例では、前記装置はまた、容器14のための接続点13を有する。接続点13は、オープナ7の対向配置された外面に形成され、その結果、リザーバ3の開口部4およびサンプラ6を取り囲む容器14をそれに固定することができる。容器14は、
図2に示すように、試料ユニット1上に配置することができ、摩擦ロックによってサンプラ6内の試料を環境に向けて密封することができる。プラグイン接続の代わりに、例えば、ねじ接続、ラッチ接続、またはスナップイン接続のための接続点13を提供することもできる。接続点13は、好ましくは、前記装置が、キュベットなどの標準的な実験用容器、標準的なすり合わせを有する容器、遠心管、またはエッペンドルフ容器に接続できるように設計され、特に、これらの容器の開口部の上または中に配置されることができ、あるいは標準的な実験用容器の接続点を有する実験用装置に接続できるように、設計される。
【0046】
図3は、概略的な部分側面断面図における装置のさらなる例を示す。反復要素には、この図および以降の図において同じ参照番号が付されている。
図3の装置では、リザーバ3の開口部4に導入され、封止膜または封止板5を開口部4から持ち上げるオープナ7の面8は、開口部4への導入時に、開口部4の縁から見て、リザーバ3の開口部4から封止膜または封止板5を連続して持ち上げるように構成されている。表面8は、リザーバ3の開口部4へのオープナ7の導入時における封止膜または封止板5からの距離が、開口部4の内側縁における封止膜または封止板5の封止面からの距離が最も小さくなるように構成されている。また、オープナ7が開口部4に導入される際に、封止膜または封止板5の封止面からの距離が最も小さくなる箇所において、オープナ7は、オープナ7と封止膜または封止板5との最初の接触の際に、封止膜または封止板5を貫通して、封止膜または封止板5の開口を容易にするピアサ10を有している。特に、ピアサ10によって、封止膜または封止板5のランダムな引き裂きを防止することができる。代替的または追加的に、表面8は、封止膜または封止板5の開口を容易にする外縁部に刃先を有することができ、その結果、封止膜または封止板5を貫通するためには、わずかな手動圧力のみを印加するだけでよい。
【0047】
また、オープナ7は、オープナ7が封止膜または封止板5に最初に接触した後、開口部4への導入時に、開口部4の方向に、少なくとも表面8が封止膜または封止板5を完全に貫通する長さで構成されている。
図3の例では、リザーバ3は、円形の開口部4を有する。オープナ7は、この開口部4と相補的な形状に形成されており、すなわち、開口部4に正確に嵌合して導入することができる。開口部4の方向におけるオープナ7の長さは、オープナ7の表面8と封止膜または封止板5とが、表面8と封止膜または封止板5との接触の際に形成する角度の正弦からの商、ならびに、開口部4のオープナ7の直径に相当する最小の長さとなり、その結果、オープナ7の表面8は、前記縁部からはじまる、開口部4への導入時に、封止膜または封止板5を完全に貫通できる。したがって、オープナ7の最小長さは、オープナ7が封止膜または封止板5に最初に接触した後の開口部4またはリザーバ3へのオープナ7の最小浸透深さに対応する。
【0048】
オープナ7は、開口部4の方向の長さで形成されることが好ましく、これにより、封止膜または封止板5が表面8によって完全に貫通された後、オープナ7は、開口部4またはリザーバ3の内壁で切断された封止膜または封止板5を移動させてそこで固定するために、開口部4またはリザーバ3の内部までオープナ7を導入できる。これは、リザーバ3からの物質の排出時に、緩い封止膜または封止板5によって出口9を閉じることができないという利点を有する。オープナ7の長さは、好ましくは、封止膜または封止板5の完全な貫通のための前述した最小の長さに、開口部4の内径の、あるいは非円形の開口部4を有する場合には、開口部4またはリザーバ3の内壁間の最長距離の、少なくとも50%、特に好ましくは75%を加えたものである。
【0049】
示される例では、オープナ7は、オープナ7をサンプラ6に接続する2つの狭いウェブ15を有するリングとして形成され、ウェブ15は、開口部4の方向におけるオープナ7の長さに寄与する。2つの横方向出口開口部12は、ウェブ15によって、オープナ7に形成され、出口開口部12を通って、物質は、連続して形成される出口9の方向に流出できる。オープナ7は、さらに、物質が出口9の方向にリザーバ3をさらに出ることができる通路11を有する。したがって、オープナ7の流動抵抗は非常に小さく、物質は、出口9に対して横方向からも、出口9に関して垂直方向からも両方を通ってリザーバ3を出ることができ、その結果、リザーバ3を迅速かつ完全に空にすることができる。
【0050】
ウェブ15の外側輪郭は、開口部4の側壁およびリザーバ3の内壁と相補的に形作られている。また、ウェブ15の1つは、オープナ7の表面が、封止膜または封止板5に最初に接触する際に、開口部3から最大距離を有する領域に配置されている。これにより、開口部4内への、開口部4の側壁およびリザーバ3の内壁へのオープナ7の導入時に、封止膜または封止板5を、移動または折り畳むことができ、このウェブによって、すなわち、
図3の2つのウェブ15のうち短い方のウェブによって、そこに固定することができる。
【0051】
図3の装置の試料ユニット1は、さらに、ジャケット18またはスリーブを備えて設計されており、これらはさらに狭いウェブ16を介してオープナ7に接続されている。ジャケット18は、オープナ7を取り囲み、サンプラ6の方向、およびリザーバ3の開口部4に導入されるオープナ7の表面8の方向に開口している。ジャケット18の内面は、リザーバ3の開口部4の周囲に形成される物質容器2の外面と相補的に輪郭が形成され、その結果、リザーバ3の開口部4へのオープナ7の導入時に、ジャケット18は、この表面で、力嵌合または摩擦ロックによって物質容器2を封止する。この表面に加えて、さらに、封止面17をジャケット18または物質容器2にさらに設けることができ、その封止面17において、物質容器2および試料容器1は、任意に、追加の封止材料によって、環境に向かって封止することができる。試料ユニット1のジャケット18は、一方では、使用時の不要な接触から、オープナ7、特にオープナ7の尖ったまたは鋭利なエッジ領域を保護し、他方では、サンプラ6による液体試料の採取時に試料ユニット1を取り扱うためのその外面による保持面を提供する。ジャケット18は、さらに、実験用容器を固定するための周辺接続点18を有する。サンプラ6は、液体試料を採取するために、試料ユニット1から突出しており、示す例では、試料ユニット1から突出する端部に、凹状のアーチ型(concavely arched)の端面が形成されている。
【0052】
装置のさらなる例を、
図4、5、および6の概略側面図に示す。前記装置は、特に、
図3の装置の特徴を有する。また、前記装置の取り扱いを簡単にするために、物質容器2を試料ユニット1に固定可能とし、物質容器2と試料容器1とを、物質容器2に圧力を加えるだけでオープナ7をリザーバ3の開口部4内に導入し、開口部4から封止膜または封止板5を上昇させる構成としている。
【0053】
図4に使用前の分解状態の装置を示す。試料ユニット1は、固定(締結)装置19とリリース装置20とを有する。固定装置19は、スナップインフック(snap-in hook)またはラッチヘッドによって、物質容器2に取り外し(解放)可能に固定可能である。示されている例におけるスナップインフックまたはラッチヘッドは、オープナ7を取り囲む試料ユニット1のジャケット18に配置される。オープナ7がリザーバ3の開口部4内の封止膜または封止板5に接触できる前に、オープナ7がリザーバ3の開口部4に位置し、スナップインフックが物質容器2の縁部にラッチするように、
図4の矢印で示すように、物質容器2を固定用試料ユニット1に押し込んで固定する。この目的のために、例えば、接続点13から後退したジャケット18の保持面21に、試料ユニット1を保持することができる。
【0054】
図5において、前記装置は、封止膜または封止板5の開口前に、閉じた固定装置19を備えた組み立て状態で示されている。この目的のために設けられた物質容器2の縁部の溝に、形状が一致するようにスナップインフックをラッチさせ、物質容器2を試料ユニット1に固定する。スナップインフックは、例えば、
図5の矢印で示すように、リリース装置20の引っ張りタブを引っ張ることによって、物質容器2の溝から解放または除去することができ、その結果、試料ユニット1に向かう物質容器2の相対移動が解除され、矢印で示すように、物質容器2が試料ユニット1内に押し込まれ、オープナ7がリザーバ3の封止膜または封止板5を単一の垂直移動によって開くことができる。
図6は、封止膜または封止板5の開放後に解放されたスナップイン固定に対応する
図4および
図5の装置を示す。
【0055】
図7には、
図3に示す実施形態の基本概念を用いた、一実施形態が概略斜視図で示されているが、ここでは、開口部(opening)7は、例えば、ピアサ10の高さ以下だけで、比較的小さな直径のリングとして形成されているのではなく、むしろ、一方の側が面取りされた中空円筒として形成されている。
図3に示す実施形態のように、オープナ7は、ジャケット18によって完全に囲まれており、ジャケット18は、セットアップをより良く示すために、
図7の表示では部分的に描かれていない。
図3に示す実施形態のように、オープナ7の面取りされた表面が設計される。しかしながら、ジャケット18と平行に延在し、使用時には通常垂直に配置される、ウェブ15の代わりに、中空円筒のジャケット面22が設けられているが、これはオープナ7の内部空間を完全に取り囲む。開口部(opening)7は、オープナ7の中央に位置し、ジャケット面22によって囲まれている。
【0056】
図7に示される実施形態におけるジャケット面22は、ジャケット18に対して、90°または270°オフセットされたピアサ10の平面図に配置された、2つのウェブ16を介して接続されている。ここで、ジャケット面22、ウェブ16およびジャケット18は、部分的に、または互いに一体に形成されている。下端部には、ピアサ10の領域に設けられ、ピアサ10に対向して配置される、2つの貫通孔、すなわち、2つのウェブ16の一方に覆われた中間空間が設けられている。この実施形態では、ウェブ16は、ジャケット面22とジャケット18との間の中間空間の少なくとも4分の1が、ウェブ16の1つによって覆われるか、または重なり合うように幅が広い。示される実施形態におけるウェブ16は、オープナ7と同じ材料から、部分的に、またはオープナと一体で形成されている。
【0057】
図8では、ジャケット18なしのオープナ7が、
図7に対応する図で示されている。ウェブ16は、ジャケット面22の周り、したがって、オープナ7の周りを完全に周って形成されるのではなく、むしろ既に名前が付けられた切欠き(cutout)または貫通孔を有するように形成される。
図9は、
図7に示す配置を断面図で示しており、中空円筒の中空空間が、開口部11と出口開口部12との間に延在していることが明らかになっている。
図10において、
図7の構成は、同様に断面図に示されているが、ここで、前記断面は、
図9の断面図に対して、90°回転された、構成の長手方向軸に沿ってピアサ10を中心に通っている。
【0058】
上述した実施形態においてのみ開示された様々な実施形態の特徴は、互いに組み合わされ、個別に請求することができる。
【国際調査報告】