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特表2022-526611懸濁液または溶液を工業的に乾燥させるための装置、装置パッケージ、システム、および方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-25
(54)【発明の名称】懸濁液または溶液を工業的に乾燥させるための装置、装置パッケージ、システム、および方法
(51)【国際特許分類】
   F26B 17/28 20060101AFI20220518BHJP
   F26B 3/20 20060101ALI20220518BHJP
   F26B 23/08 20060101ALI20220518BHJP
【FI】
F26B17/28 A
F26B3/20
F26B23/08
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021559296
(86)(22)【出願日】2020-03-10
(85)【翻訳文提出日】2021-12-06
(86)【国際出願番号】 EP2020056295
(87)【国際公開番号】W WO2020200663
(87)【国際公開日】2020-10-08
(31)【優先権主張番号】102019002528.8
(32)【優先日】2019-04-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512077136
【氏名又は名称】アルガイエル・ヴェルケ・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】トロジョスキー,マティアス
(72)【発明者】
【氏名】ケルバー,マーティン
(72)【発明者】
【氏名】ヴェトリング,マルセル
【テーマコード(参考)】
3L113
【Fターム(参考)】
3L113AA06
3L113AB05
3L113AC13
3L113AC62
3L113BA36
3L113CB08
3L113CB33
3L113DA06
3L113DA07
(57)【要約】
導電特性を有し、かつ懸濁液または溶液を収容するための表面を備える、回転可能に取り付けられたシリンダと、シリンダを誘導加熱するように適合されたインダクタと、を備える、固体材料を含有する懸濁液または溶液を工業的に乾燥させるための装置が提供される。誘導加熱によって、回転可能に取り付けられたシリンダの表面上で収容されている懸濁液または溶液が乾燥し、固体材料が残る。さらに、懸濁液または溶液を工業的に乾燥させるためのさらなる装置、システム、装置パッケージ、および方法が導入される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体材料を含有する懸濁液または溶液を工業的に乾燥させるための装置(100、300、301、302、303)であって、
-導電特性を有する回転可能に取り付けられたシリンダ(110、310)であって、前記回転可能に取り付けられたシリンダ(110、310)が、回転可能に取り付けられたディスクとして形成され、かつその最大延在方向に垂直に配置されており、前記ディスクが、前記懸濁液または溶液を収容するための表面を備える、回転可能に取り付けられたシリンダ(110、310)と、
-前記シリンダ(110、310)を誘導加熱するように適合されたインダクタ(120、320、321、322、323)と、を備え、
前記誘導加熱によって、前記回転可能に取り付けられたシリンダ(110、310)の前記表面上で収容されている前記懸濁液または溶液が乾燥し、前記固体材料が残る、装置(100、300、301、302、303)。
【請求項2】
前記誘導加熱によって、前記回転可能に取り付けられたシリンダ(110、310)が、さらに少なくとも表面的に加熱される、請求項1に記載の特徴を有する装置(100、300、301、302、303)。
【請求項3】
前記インダクタ(120、320、321、322、323)が、前記回転可能に取り付けられたシリンダ(110、310)の前記表面から距離を置いて配置されている、請求項1または2に記載の特徴を有する装置(100、300、301、302、303)。
【請求項4】
前記回転可能に取り付けられたシリンダ(110、310)が、これが回転可能に取り付けられた回転軸を備え、前記インダクタ(120、320、321、322、323)が、前記回転軸に沿って、および/または前記回転軸に直交して、前記表面の2つの向かい合った側において前記シリンダ(110、310)を取り囲むように適合されている、請求項1から3のいずれか一項に記載の特徴を有する装置(100、300、301、302、303)。
【請求項5】
前記回転可能に取り付けられたシリンダ(110、310)が、回転軸を備え、前記インダクタ(120、320、321、322、323)が、前記回転軸に対して同軸配置されている、請求項1から4のいずれか一項に記載の特徴を有する装置(100、300、301、302、303)。
【請求項6】
前記回転可能に取り付けられたシリンダ(110、310)が、不均一な導電率および/または透磁率を備え、そのため、前記回転可能に取り付けられたシリンダ(110、310)が、より強く表面的に誘導加熱される、請求項1から5のいずれか一項に記載の特徴を有する装置(100、300、301、302、303)。
【請求項7】
前記回転可能に取り付けられたシリンダ(110、310)を一定に加熱するために、前記インダクタ(120、320、321、322、323)に制御可能に電気交流電圧を供給するように適合された電圧源をさらに備える、請求項1から6のいずれか一項に記載の特徴を有する装置(100、300、301、302、303)。
【請求項8】
前記インダクタ(120、320、321、322、323)が、そこを通る冷却材を収容するように管状に設計されており、それによって前記インダクタ(120、320、321、322、323)が冷却される、請求項1から7のいずれか一項に記載の特徴を有する装置(100、300、301、302、303)。
【請求項9】
前記回転可能に取り付けられたシリンダ(110、310)が、前記回転可能に取り付けられたシリンダ(110、310)の前記最大延在方向に沿って形成される側面を備え、前記インダクタ(120、320、321、322、323)が、前記回転可能に取り付けられたシリンダ(110、310)の前記最大延在方向に沿って巻かれた細長い導電体を備え、そのため、前記巻かれた細長い導電体が、前記側面の少なくとも半分を覆っている、請求項1から8のいずれか一項に記載の特徴を有する装置(100、300、301、302、303)。
【請求項10】
前記回転可能に取り付けられたシリンダ(110、310)を誘導加熱するように適合されたさらなるインダクタをさらに備え、1つおよび前記さらなるインダクタが、円形、螺旋状、または三角形に巻かれており、前記1つおよび前記さらなるインダクタが、前記シリンダの円周および前記回転可能に取り付けられたシリンダ(110、310)の前記最大延在方向に沿って分布している、請求項1から8のいずれか一項に記載の特徴を有する装置(100、300、301、302、303)。
【請求項11】
前記インダクタ(120、320、321、322、323)が、前記回転可能に取り付けられたシリンダ(110、310)の前記最大延在方向および前記シリンダの円周に沿って巻かれた細長い導電体を備え、そのため、前記巻かれた細長い導電体が、前記シリンダの前記円周に沿って変動する巻線密度を備える、請求項1から8のいずれか一項に記載の特徴を有する装置(100、300、301、302、303)。
【請求項12】
前記インダクタ(120、320、321、322、323)が、前記回転可能に取り付けられたシリンダ(110、310)内に一体的に配置されている、請求項1から11のいずれか一項に記載の特徴を有する装置(100、300、301、302、303)。
【請求項13】
前記回転可能に取り付けられたシリンダ(110、310)が、シャフトを備え、前記シャフトが、直接結合を介して駆動可能である、請求項1から12のいずれか一項に記載の特徴を有する装置(100、300、301、302、303)。
【請求項14】
前記回転可能に取り付けられたシリンダ(110、310)の前記表面上に前記懸濁液または溶液を塗布するように適合された塗布装置(350)をさらに備える、請求項1から13のいずれか一項に記載の特徴を有する装置(100、300、301、302、303)。
【請求項15】
前記回転可能に取り付けられたシリンダ(110、310)の前記表面から、残った固体材料を除去するように適合された除去装置(340)をさらに備える、請求項1から14のいずれか一項に記載の特徴を有する装置(100、300、301、302、303)。
【請求項16】
前記インダクタ(120、320、321、322、323)に/から前記冷却材を供給および排出するように適合された冷却システムをさらに備える、請求項8に記載の特徴を有する装置(100、300、301、302、303)。
【請求項17】
固体材料を含有する懸濁液または溶液を工業的に乾燥させるためのシステム(1000)であって、
-請求項16に記載の特徴を有する装置と、
-熱交換体(360)と、を備え、
前記冷却システムが、前記冷却材を冷却するために、かつ前記懸濁液または溶液を加熱するために、前記熱交換体(360)に接続されている、システム(1000)。
【請求項18】
固体材料を含有する懸濁液または溶液を工業的に乾燥させるための装置であって、
-導電特性を有し、かつ前記懸濁液または溶液を収容するための内側ジャケット面を備える円筒管と、
-前記円筒管を誘導加熱するように適合されたインダクタと、を備え、
前記誘導加熱によって、前記円筒管の前記内側ジャケット面上で収容されている前記懸濁液または溶液が乾燥し、前記固体材料が残る、装置。
【請求項19】
固体材料を含有する懸濁液または溶液を工業的に乾燥させるための装置であって、
-導電特性を有し、かつ前記懸濁液または溶液を収容するための表面を備えるコンベヤーベルトと、
-前記表面を誘導加熱するように適合されたインダクタと、を備え、
前記誘導加熱によって、前記コンベヤーベルトの前記表面上で収容されている前記懸濁液または溶液が乾燥し、前記固体材料が残る、装置。
【請求項20】
固体材料を含有する懸濁液または溶液を工業的に乾燥させるための装置パッケージ(200、201、202)であって、
-導電特性を有する複数の回転可能に取り付けられたディスク(210)であって、各回転可能に取り付けられたディスクが、前記懸濁液または溶液を収容するための表面を備え、その最大延在方向に垂直に配置されており、前記回転可能に取り付けられたディスク(210)が、互いに距離を置いて回転軸に沿って配置されている、ディスク(210)と、
-インダクタに割り当てられた前記回転可能に取り付けられたディスク(210)を誘導加熱するように適合されたインダクタ(220、221、222)と、を備え、
前記インダクタ(220、221、222)が、前記複数の回転可能に取り付けられたディスク(210)の間に配置されており、
前記誘導加熱によって、前記回転可能に取り付けられたディスクの前記表面上で収容されている前記懸濁液または溶液が乾燥し、前記固体材料が残る、装置パッケージ(200、201、202)。
【請求項21】
固体材料を含有する懸濁液または溶液を工業的に乾燥させるための方法であって、以下の方法ステップ:
-導電特性を有する回転可能に取り付けられたシリンダ(110、310)の表面上に前記懸濁液または溶液を収容するステップであって、前記回転可能に取り付けられたシリンダ(110、310)が、回転可能に取り付けられたディスクとして形成され、かつその最大延在方向に垂直に配置されている、ステップと、
-前記固体材料が残るように、前記回転可能に取り付けられたシリンダ(110、310)を誘導加熱して、収容されている懸濁液または溶液を乾燥させるステップと、を含む、方法。
【請求項22】
前記誘導加熱が、前記回転可能に取り付けられたシリンダ(110、310)において少なくとも表面的に実行される、請求項21の特徴を有する方法。
【請求項23】
以下の方法ステップ:
-前記回転可能に取り付けられたシリンダ(110、310)の前記表面上に前記懸濁液または溶液を塗布するステップと、
-残った固体材料を除去するステップと、をさらに含む、請求項21または22に記載の特徴を有する方法。
【請求項24】
前記回転可能に取り付けられたシリンダ(110、310)が、回転可能に取り付けられたディスクである、請求項21から23のいずれか一項に記載の特徴を有する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の主題は、懸濁液または溶液を工業的に乾燥させるための装置、装置パッケージおよびシステム、ならびに方法である。
【0002】
当技術分野では、一般に、固体材料を含有するスラリー、湿潤バルク材料、または液体を乾燥させるための様々な装置および方法が知られている。乾燥の目的は、液体および/または湿潤材料に含有される固体材料を得て(回収)、これらをさらに処理すること、またはこれらを削減された重量で輸送することである。
【0003】
工業的手法では、接触乾燥の原理に従って動作する、いわゆるドラム、ディスク、薄膜、またはベルト乾燥機が特に知られている。
【0004】
加熱された表面と乾燥させるべき湿潤媒体との接触によって、後者のものが加熱され、媒体中に存在する水分が蒸発して乾燥が起こる。完全に乾燥した後に、乾燥材料が残る。さらに、既知のベルト乾燥機は、代替的には、空気または熱放射によって対流式に加熱される。
【0005】
ディスク乾燥機は、多くの場合、平行に並んで配置されてベアリングシャフト上に配置された複数の円形ディスクの1つまたは複数のパッケージからなる。個々のディスクは、ディスク上に塗布された湿潤媒体に熱エネルギーを伝達する熱交換体としての役割を果たし、それによって、媒体中の水分が蒸発する。さらに、個々のディスクは中空体として形成されており、その空洞内では、加熱された熱伝達媒体が流れ、外側表面まで熱伝導によってディスク壁を加熱する。したがって、ディスクは、その表面において必要なプロセス温度を得る。典型的な熱伝達媒体は、例えば、熱媒油、温水、または飽和蒸気である。飽和蒸気によって動作するディスク乾燥機には、通常、1bar(絶対圧)~7bar(絶対圧)の蒸気圧が使用され、飽和蒸気温度は100℃~165℃である。さらに、加熱されたディスクは回転する。したがって、湿潤媒体を狭い空間内で乾燥させ、続いて、排出することができる。ディスク乾燥機は、特に、化学産業、顔料産業、製薬産業、または廃水処理の分野で使用される。
【0006】
飽和蒸気で動作するディスク乾燥機は、特許文書EP0521221B1およびUS4640345、ならびに実用新案JP0000S6267190Uから知られている。これらのディスク乾燥機では、個々の回転円形ディスクに、それらの2つの円形ディスク表面の下部領域において、固体材料を含有する液体が固定噴霧器または供給管によって連続的に供給される。それによって、ディスクが完全に回転する前に、供給された液体が乾燥する。したがって、乾燥材料をディスク表面から取り除き、これに固体材料を含有する液体を再び供給することができる。付着している乾燥材料をディスク表面から取り除くために、表面上に置かれたナイフが設けられており、これによって乾燥材料がそぎ落とされ、この乾燥材料は、粉末もしくは顆粒の形態または箔状の形態で、後続の乾燥材料送出シュート内に落ちる。そのようにして除去処理された表面は、さらなる液体を供給するために何もない状態になっている。
【0007】
そのような乾燥機の解決策のもう1つの問題は、該当する圧力機器のガイドラインに沿った製造、および技術検査機関のような認証機関による構成要素の正式な承認を満たすための要件、ならびに特定の耐用年数または負荷変動数の後の構成要素の定期検査である。蒸気ガイドおよびその調整、それから復水排出に必要な配管、継手、測定装置、および安全設備に関連して、また蒸気供給および復水排出のために設けられている中空ディスク本体および中空ベアリングシャフトの複雑な製造に関連して、非常に複雑で、そのため費用がかかるシステムが生じる。
【0008】
既知の蒸気動作式ディスク乾燥機のさらなる欠点は、熱伝達媒体としての加熱蒸気の使用と、熱交換体としての役割を果たす個々の中空ディスクの内壁上における飽和蒸気の関連する凝縮とによって、従来技術に対応するディスク表面に関連する高い熱的性能が実際に達成されるが、ディスク表面の温度が、特定の圧力の飽和蒸気の凝縮を理由に常に一定であり、加熱蒸気の圧力にのみ依存することにある。個々のディスクにとって重大な「蒸気ハンマー」が熱交換体内で生じる可能性があるため、熱交換体内の凝縮液の過冷却は論外である。したがって、例えば、温度に敏感な材料の段階的な温度負荷が一定的に必要であることを考慮することも、加熱すべきディスク表面の温度を例えば100℃未満に容易に設定することもできない。したがって、蒸気動作式ディスク乾燥機の使用は、例えば、食品産業からの温度に敏感な材料にとって特に悩ましいものである。というのも、乾燥物は、加熱されたディスク表面との接触によって許容できないほど高い温度に供されて、損傷するリスクがあるからである。
【0009】
100℃未満の表面温度を達成するには、加熱蒸気システムを負圧で操作する必要があり、すなわち、1bar(絶対圧)未満の圧力用に設計する必要がある。そのような構成では、さらにシステム全体がかなりより複雑かつ大規模になる。同様に、ディスクの加熱には、例えば最大7bar(絶対圧)の制限された高圧の加熱蒸気しか使用できない。というのも、平面を有するディスクの構造的な設計を理由に、承認を要する圧力容器の設計が制限されるからである。より高い乾燥性能を達成するためにさらにより高い加熱蒸気圧力を使用するには、ディスクパッケージの不相応なほどに安定した設計が必要であり、これは、圧力容器のガイドラインのより高い装置カテゴリへの分類を意味し、それによって、かなりより複雑および/またはより大規模な構造が必要になり得る。
【0010】
説明したディスク乾燥機に加えて、すでに述べたドラム乾燥機もさらに知られている。同様に、乾燥させるべき液体を、ドラム上に薄く塗布し、ドラム表面、特にジャケット表面を間接的に加熱することによって乾燥させる。スクレーパまたはナイフなどの適切な除去装置によって、特定のドラム回転後に、製造された乾燥物をドラム表面から除去する。
【0011】
しかしながら、薄層乾燥機および/または薄層蒸発器の場合、乾燥させるべき液体は、直立のまたは横になった円筒管の内側ジャケット面上に塗布される。円筒管は、ダブルジャケット構造を含む。円筒管の表面を加熱するために、熱伝達媒体、例えば、飽和蒸気、熱媒油、または温水が、二重ジャケットの隙間にガイドされ、内側ジャケットの周りを流れ、内側ジャケット面を加熱し、それによって、塗布された液体が、完全に乾燥するか、または濃縮される。乾燥材料の除去は、内側ジャケット内の1つまたは複数の回転可能な除去装置によって行われる。
【0012】
既知のベルト乾燥機はコンベヤーベルトを含み、その上に、乾燥させるべき材料が配置される。例えば、コンベヤーベルトは、ロール上でガイドされ、その最大延在方向に沿って動くことができる。そのようなベルト乾燥機の場合、通常、湿潤材料がその上に配置されているコンベヤーベルトには、熱風流が供給されるか、または放熱器が備えられており、それによって、熱が材料に伝達され、材料が乾燥する。
【0013】
したがって、本発明の目的は、固体材料を含有する液体を工業的に乾燥させるための装置および方法を提供することであり、それによって、従来技術の欠点が克服される。
【0014】
この目的は、請求項1、19、および20に記載の本発明による装置、請求項18に記載のシステム、請求項21に記載の装置パッケージ、および請求項22に記載の方法によって解決される。本発明の有利な実施形態は、従属請求項2~17、23~25に示されている。
【0015】
固体材料を含有する懸濁液または溶液を工業的に乾燥させるための本発明による装置は、導電特性を有し、かつ懸濁液または溶液を収容するための表面を備える、回転可能に取り付けられたシリンダと、シリンダを誘導加熱するように適合されたインダクタと、を備える。誘導加熱によって、回転可能に取り付けられたシリンダの表面上で収容されている懸濁液または溶液が乾燥し、固体材料が残る。
【0016】
本発明において、乾燥とは、物質混合物、例えば、懸濁液または溶液から、例えば水の形態の液体が加熱と蒸発および/または揮発とによって抽出されることを意味する。乾燥は時間に関連するプロセスであり、すなわち、乾燥は、特定の期間にわたって進行し、いつ終了してもよい。完全に乾燥させる場合、物質または物質混合物に含有される水分は、これが物質または物質混合物から実質的に完全に抽出されるまで低減され、それによって、乾燥した固体材料のみが残る。乾燥は、物質または物質混合物を完全に乾燥させる、複数の乾燥段階のうちの少なくとも1つの段階を含む。乾燥段階は、例えば、物質または物質混合物の加熱段階、内部に含有される水分が蒸発および/または揮発する、物質または物質混合物のさらなる段階、ならびに水分が物質または物質混合物から実質的に完全に抽出された、物質または物質混合物の乾燥段階に関係する。言い換えるなら、固体材料を含有する懸濁液または溶液の乾燥は、懸濁液または溶液中の水分の蒸発および/または揮発による固体材料濃度の増加を含み、それによって、固体材料は、残留水分を伴って、または残留液中に溶解した濃縮溶液もしくは懸濁液として残る。固体材料を含有する懸濁液または溶液を完全に乾燥させるエッジケース(edge case)では、実質的に、固体材料は、残留水分なしで、または非常に少量の残留水分のみを伴って残る。以下で乾燥という用語を使用する場合、この用語は、最終的な製品の水分含有量を「乾燥」と表すのみならず、物質または物質混合物中にかなりの割合の水分がまだ含有されている濃縮の前段階も表す。
【0017】
乾燥のために提供される懸濁液および溶液は、例えば、化学産業、一次および資本産業、または食品産業の分野で使用される、固体材料を含有する非常に様々な液体であり得る。したがって、例えば、懸濁セラミック、顔料またはポリマー、ベントナイトスラリーのような鉱物スラリー、工業廃液、あるいは生理食塩水または発酵濃縮物が、本発明による装置によって乾燥させるのに好適である。
【0018】
回転可能に取り付けられたシリンダの導電特性によって、時間で変化する磁場の影響下でシリンダの本体に電圧を誘導することが可能である。誘導された電圧は、「渦電流」として知られる閉じた電流の流れをもたらす。したがって、ジュールの法則に従って、シリンダの本体で加熱が生じる。渦電流の結果として生じる加熱は、誘導加熱と呼ばれる。シリンダが加熱されることによって、最終的に、表面上で収容されている懸濁液または溶液が、接触乾燥の原理に従って熱伝達によって乾燥する。懸濁液または溶液に含有される水分が完全に蒸発した後に、乾燥した固体材料は、シリンダ表面上に乾燥材料として残る。乾燥を早期に終了する場合は、濃縮された物質または物質混合物が残る。シリンダ本体への渦電流の導入は、経時的に変化するインダクタの磁場の生成によって生じる。磁場を生成するために、インダクタには、例えば、交流電圧が供給され得る。印加される交流電圧(周波数、振幅などによって決定)は、磁場、したがって、生じる誘導加熱に影響を与える。さらに、シリンダ本体に誘導される渦電流は、シリンダ本体の導電率および透磁率によって決定される。より高い導電率および/または透磁率および/またはインダクタに印加される交流電流のより高い周波数によって、シリンダ本体において誘導渦電流のより小さな浸透深さが生じ、それによって、誘導加熱が、より表面的に、および/またはインダクタに面する表面上で起こる。
【0019】
誘導加熱には、蒸気加熱と比較して、同等の熱的性能で、より規模が小さく、したがって、より薄く、かつ軽量化された構造の乾燥機を使用することができるという利点がある。これは、シリンダの構成要素に空洞も漏れ防止または耐圧性に関する特別な要求も必要がないということに基づく。シリンダ本体、特に表面自体における加熱を理由に、乾燥に必要な熱エネルギーを、構成要素の表面を介して外部から、放射または対流、すなわち、熱流および熱伝達によって、または伝導性の熱供給、すなわち、熱伝導によって伝達する必要も、熱伝達媒体によって内部から伝達する必要もないため、より高い有効電力および改善された温度制御をさらに達成することができる。
【0020】
本発明による装置は、温度に敏感な製品の特定の製品特性を考慮する可能性をさらに提供し得る。したがって、100℃未満のシリンダの表面温度が実現可能であり、それによって、本発明による解決策は、同様におよび特に、例えば、食品産業からの製品、温度に敏感な有機顔料、アルギン酸塩、酵母、樹脂などに使用することができる。本発明による装置は、圧力容器の構成要素の限界点による圧力の制限を理由に蒸気動作式乾燥機の解決策の使用によって現在可能であるよりも、固体材料を含有する液体が乾燥する表面温度および/または熱的性能をかなりより高く達成する可能性をさらに提供し得る。
【0021】
特に好ましくは、回転可能に取り付けられたシリンダは、回転可能に取り付けられたディスクとして形成されている。ディスクは、その半径がその高さよりも大きい円柱形の幾何学的物体である。これには、回転可能に取り付けられたシリンダと比較して、乾燥させるべき液体を収容するために設けられている表面が等しいまま、よりコンパクトな乾燥機の解決策が可能になるという利点がある。
【0022】
本発明のさらなる好ましい実施形態では、回転可能に取り付けられたシリンダは、その最大延在方向に水平に配置されている。その底面および/または上面は、実質的に水平方向を指している。回転可能に取り付けられたシリンダが、回転可能に取り付けられたディスクであるという特に好ましい場合には、ディスクは、その最大延在方向に垂直に配置されている。その延在した側面は、実質的に水平方向を指している。したがって、余分な液体、すなわち、固体材料を含有する懸濁液または溶液は、表面から滴り落ちることができ、それによって、実質的に均一な液体の薄膜が、回転可能に取り付けられたシリンダの表面上に形成され得る。また、回転可能に取り付けられたシリンダおよび回転可能に取り付けられたディスクはどちらも、異なる向きを有し得る。
【0023】
好都合には、本発明の好ましい実施形態は、導電特性を有し、かつそれぞれ懸濁液または溶液を収容するための表面を備える、回転可能に取り付けられたシリンダ、および/またはインダクタをさらに備え得て、複数のインダクタは、回転可能に取り付けられたシリンダまたは複数の回転可能に取り付けられたシリンダを誘導加熱するように適合されている。特に好ましくは、1つまたは複数のインダクタが、回転可能に取り付けられたシリンダを誘導加熱するために割り当てられている。
【0024】
特に好ましくは、誘導加熱によってさらに、回転可能に取り付けられたシリンダが少なくとも表面的に加熱される。さらに好都合なのは、誘導加熱によってさらに、回転可能に取り付けられたシリンダが実質的に表面的に加熱されることである。回転可能に取り付けられたディスクを、少なくともまたはさらには実質的に、したがって特に表面的に加熱することの利点は、ディスクに導入された熱力が、収容される懸濁液または溶液の接触面まで到達すること、および実質的に表面的な加熱の場合には、各材料に特徴的な熱伝導抵抗によって妨げられないことにある。したがって、加熱されるディスクへの熱伝達が、塗布される懸濁液または溶液の位置で直接起こって、それから、これが接触乾燥の原理に従ってディスク表面上で乾燥することが保証され得る。
【0025】
有利には、インダクタは、回転可能に取り付けられたシリンダの表面から距離を置いて配置されている。したがって、シリンダ表面は、懸濁液または溶液を収容するために何もない状態になっており、インダクタによって覆われていない。したがって、シリンダの乾燥能力を最大化することができる。好都合には、インダクタはまた、回転可能に取り付けられたシリンダに対して固定して配置されており、それによって、インダクタは、回転するシリンダと一緒には動かない。これは、シリンダ上に配置されていることで一緒に動くインダクタよりもより広い領域のシリンダ本体が加熱されるという点で有利である。これによって、シリンダの延在に実質的に制限されたコンパクトな構造が可能になる。
【0026】
特に好ましくは、回転可能に取り付けられたシリンダは、回転可能に取り付けられた回転軸を含む。インダクタは、回転軸に沿って、および/または回転軸に直交して、表面の2つの向かい合った側においてシリンダを取り囲むように適合されている。その利点は、回転可能に取り付けられたシリンダの表面上で収容されている懸濁液または溶液が、回転軸に沿って、および/または回転軸に直交して、表面のそれぞれ2つの向かい合った側において乾燥することである。したがって、単一のインダクタで回転軸に沿ってシリンダのジャケット面および側面を加熱することが可能であり、したがって、これらの面において、エネルギー効率の高い様式および材料を節約する様式の両方で、固形物を含有する液体の乾燥を行うことができる。
【0027】
好ましくは、誘導横磁界加熱の方法が選択される。しかしながら、誘導縦磁界加熱のような他の方法も可能である。
【0028】
特に好ましくは、回転可能に取り付けられたシリンダは回転軸を含み、インダクタは回転軸に対して同軸配置されている。これには、シリンダを適切に回転させた後に、その表面が環状面の形で加熱され、その上において、収容されている懸濁液または溶液が乾燥するという利点がある。したがって、軸方向に配置されたインダクタの場合よりも、単一のインダクタでより広い領域のシリンダ表面を加熱することが可能である。
【0029】
好都合には、回転可能に配置されたシリンダは、回転可能に取り付けられたシリンダがより強く表面的に誘導加熱されるように、不均一な導電率および/または透磁率を備える。均一な導電率および透磁率を有する本体とは対照的に、これには、熱エネルギーの大部分が、シリンダ表面のエッジ領域に誘導されることで、懸濁液または溶液を収容する接触面により近くなるという利点がある。したがって、よりエネルギー効率の高い乾燥を達成することができる。
【0030】
好ましくは、回転可能に取り付けられたシリンダはまた、単一の材料の代わりに、例えば、軟鋼/構造用鋼、フェライト系ステンレス鋼、銅、グラファイト、または他のものなどの異なる材料の複数の層の「サンドイッチ」構造の形態で構成されていてもよく、すなわち、それによって、誘導熱導入の好ましくは良好な程度の効率の要求と、最適な熱伝達および蓄熱の要求との両方、より単純な構造、また、乾燥させるべき物質の可能な腐食または研磨効果の要求が考慮されるようにする。
【0031】
特に好ましくは、本発明による装置は、回転可能に取り付けられたシリンダを一定に加熱するために、インダクタに制御可能に電気交流電圧を供給するように適合された電圧源をさらに備える。一定の加熱によって一定の乾燥プロセスが達成され、それによって、懸濁液または溶液は、常に同じ時間内に、および/または一定の回転速度で回転するシリンダの場合は同じシリンダ回転後に乾燥される。
【0032】
回転可能に取り付けられたシリンダの各領域に特に段階的に熱を導入するために、乾燥プロセスに対する要求およびその可能な制御に応じて、かつその可能な温度感度に従った製品の要求に応じて、複数のインダクタをシリンダの円周に沿って分布させてもよい。特定の形式のインダクタを使用して、シリンダ表面の最適な被覆率を達成することができる。
【0033】
好都合には、回転可能に取り付けられたシリンダは、回転可能に取り付けられたシリンダの最大延在方向に沿って形成される側面を備え、インダクタは、回転可能に取り付けられたシリンダの最大延在方向に沿って巻かれた細長い導電体を備え、そのため、巻かれた細長い導電体は、側面の少なくとも半分を覆っている。したがって、回転可能に取り付けられたシリンダの側面の大部分を誘導加熱することができ、それによって、乾燥プロセスが加速される。
【0034】
特に好ましくは、本発明による装置は、シリンダを誘導加熱するように適合されたさらなるインダクタを備え、1つおよびさらなるインダクタは、円形、螺旋状、または三角形に巻かれており、1つおよびさらなるインダクタは、シリンダの円周および回転可能に取り付けられたシリンダの最大延在方向に沿って分布している。乾燥プロセスの要求に応じて、シリンダの円周に沿って分布したインダクタの配置によって、シリンダの各領域への特に細かい段階的な熱導入を実現することが可能である。
【0035】
好都合には、インダクタは、回転可能に取り付けられたシリンダの最大延在方向およびシリンダの円周に沿って巻かれた細長い導電体を備え、そのため、巻かれた細長い導電体は、シリンダの円周に沿って変わる巻線密度を含む。インダクタの巻線は、好ましくは、細長い導電体が、並んで配置された区画を含むように設計されている。したがって、シリンダの円周に沿ってさらに区別および/または段階分けされた熱導入を、それぞれの乾燥タスクに適合されたインダクタによって、回転可能に取り付けられたシリンダ内に誘導することができる。さらに、インダクタの単一部品設計によって、インダクタの供給用の電気装置(発振回路、発電機)のより単純な設計が可能になる。
【0036】
回転可能に取り付けられたシリンダの温度の調整および監視は、有利には、例えば非接触赤外線プローブによるシリンダの表面温度の測定によって行われる。得られる信号は、乾燥プロセスにおいて、装置/システムの電気的性能の調整によって熱導入に影響を与える役割を果たす。さらに、誘導熱の導入は、得られる製品の温度および/または乾燥材料の水分を測定することによって制御することができる。
【0037】
特に好ましくは、インダクタは、内部を通る冷却材を収容して、それによってインダクタを冷却するために、管状に設計されている。これは、供給される高出力の交流電圧または高い周囲温度に対してもインダクタの動作能力を保証するため、特に有利である。
【0038】
好都合には、本発明による装置は、インダクタに/から冷却材を供給および排出するように適合された冷却システムを備える。冷却材の供給および排出によって、インダクタの動作中に生じた熱が、供給された冷却材に伝達され、続いて、排出されることが保証される。したがって、インダクタは、安定した動作温度を得て、過熱による故障が回避される。
【0039】
インダクタにおいて生じた熱を冷却できるようにするために、インダクタは、銅などの管状の金属から作製されている。冷却のために、例えば20℃の供給温度の水が管を通ってガイドされる。例えば、水は、インダクタにおいて30℃に加熱され、その後、熱交換体において再び20℃の供給温度に冷却される。
【0040】
好ましくは、例えば10mmの外径および例えば1mmの壁厚を有する銅配管が、インダクタの構築に使用される。良好な作業性のために、かつ例えば高い剛性を達成するために、配管はまた、他の断面、例えば正方形を含んでいてもよい。
【0041】
特に好ましくは、インダクタから熱を排出するために、例えば80℃~95℃のかなり高い温度が提供される。これは、かなり少量の水を冷却に使用するか、または高い水処理量の冷却水サイクルを、約80℃の冷却水供給温度および約95℃の冷却水返送温度を一緒に用いる比較的高い温度レベルで動作させることによって達成することができる。そのようにして生じる高温の冷却水は、配管によって、例えば、本発明による乾燥装置への液体の供給の上流に配置された、乾燥させるべき液体用の受液器を通してガイドされる。加熱された冷却水が流れる受液器における配管は、好ましくは大きな表面を有する熱交換体として設計されているため、冷却水は、その熱を受液器内の乾燥させるべき液体に放出することができる。したがって、冷却水によってインダクタから放散された熱は、回収されて、乾燥させるべき液体の予熱に使用される。
【0042】
特に好ましくは、本発明による装置は、回転可能に取り付けられたシリンダの表面上、特に最大延在方向に沿った側面上に懸濁液または溶液を塗布するように適合された塗布装置を備える。塗布装置は、乾燥させるべき液体をシリンダの表面上に機械的に塗布するその能力によって、塗布のプロセスを自動化することを可能にする。さらに、塗布装置は、時間に関しても、ほぼ同じ量の液体が回転可能に取り付けられたシリンダに塗布されるため、高いプロセス信頼性が乾燥中に得られることに寄与する。
【0043】
好都合には、本発明による装置は、回転可能に取り付けられたシリンダの表面から、特に最大延在方向に沿った側面から、残った固体材料を除去するように適合された除去装置を備える。したがって、シリンダ表面は、収容されている懸濁液または溶液の乾燥後に再び何もない状態になり、それによって、何もない状態の表面は、固体材料を含有するさらなる液体を収容することができる。したがって、乾燥プロセスは、乾燥材料を連続的に製造することができる。特に好ましくは、本発明による除去装置は、回転可能に取り付けられたシリンダの表面から乾燥材料をそぎ落とすナイフである。
【0044】
回転可能に取り付けられたシリンダは、使用される材料に対応する蓄熱容量を備えるため、シリンダ表面から乾燥した固体材料を除去するための除去装置の位置のすぐ上流のシリンダの領域に漸減温度プロファイルが形成され、該温度プロファイルは、固体材料の残留水分に依存する。したがって、本発明は、特に温度に敏感な物品の場合、ドラムおよび/またはディスクの温度が、特に固体材料の水分が減少する領域で依然として上昇し、かつ加熱蒸気の飽和蒸気温度に近づく、飽和蒸気による既知の加熱と比較して、有利である。
【0045】
インダクタの導電性部分の汚れを回避するために、および/または導電性部分を保護するために、インダクタは、好ましい実施形態では、非伝導性および非磁性コーティングが設けられているか、または電磁波が支障なく通過することを可能にし、かつ動作中にそれ自体を加熱しない非伝導性材料のハウジング内に配置されている。ガラスまたは他の適切なプラスチック材料をそのようなハウジングの材料として使用してもよい。樹脂、例えば人造樹脂の使用も可能であり、これは、製造プロセスにおいてインダクタを人造樹脂内でしっかりと形作ることができるという利点を提供する。使用可能な人造樹脂は、多くの場合コイルの巻線も成形される変圧器製造から知られている。したがって、インダクタの特に緊密かつ永続的なシーリングが達成される。
【0046】
本発明のさらなる好ましい実施形態では、インダクタ、好ましくはさらなるインダクタも、回転可能に取り付けられたシリンダ内に一体的に配置されている。インダクタは、例えば、回転可能に取り付けられたシリンダの空洞内に配置されており、シリンダによって囲まれている。この実施形態では、インダクタは、ジョイントシャフトを介してシリンダと共にさらに回転される。インダクタの電力供給は、ハブを介して、例えば、必要な電圧を伝達することができるブラシシステムを介して実施される。そのような配置は、固体材料を含有する液体による腐食、摩耗、または汚れからインダクタを保護するのに有利である。例えば、そのような配置は、例えば衛生上の理由で、乾燥させるべき液体を汚れから保護するのにも有利である。インダクタが一体的に配置されていることによって、シリンダの本体を均一に誘導加熱することがさらに容易になる。したがって、インダクタは、例えば、シリンダの延在方向に沿って空洞全体を満たし、シリンダの延在方向に沿って表面を加熱することができる。
【0047】
特に好ましくは、回転可能に取り付けられたシリンダはシャフトを備え、シャフトは直接結合を介して駆動可能である。蒸気加熱ドラムおよび/またはディスク乾燥機と比較して、蒸気加熱に必要な蒸気接続部および蒸気供給管が省略されているため、ドラムおよび/またはディスクの回転のための駆動に対して、かなりより単純な方法を使用することができる。
【0048】
本発明による装置には、最新の直接結合を有するギアモータ、いわゆる取り付け可能なギアモータを使用することができる。取り付け可能なギアモータは、特に頑丈であり、直接結合による損傷の場合に簡単に交換することができる。したがって、蒸気動作式乾燥機の解決策のベアリングシャフトに結合されたギアモータよりも、点検およびメンテナンスの労力が削減される。
【0049】
特に好ましくは、本発明による装置は、合計4個、6個、8個、10個、もしくは12個、またはそれより多くの回転可能に取り付けられたシリンダおよび/またはディスクを備える。回転可能に取り付けられたシリンダおよび/またはディスクは、例えば、回転軸もしくはベアリングシャフト上で中心に配置され得るか、または複数の回転軸もしくはベアリングシャフト上で距離を置いて分布し得る。
【0050】
シリンダごとに複数の個別のインダクタを使用する場合、これらを個別に制御し、それらの供給電圧を周波数などに関して制御することができ、それによって、乾燥させるべき固体材料を含有する液体またはすでに乾燥していて特定の残留水分を有する固体材料が存在しているシリンダの個々の領域は、段階的に変化する熱導入を経て、そのため、具体的には、異なる温度を得る。特に、乾燥させるべき物品がまだシリンダ上に液体として存在する領域では、湿潤物品が水および/または溶媒の蒸発によって冷却され、したがって、乾燥中のシリンダおよび材料の両方の過熱のリスクが低いことから、かなりより高い熱導入が行われ得る。
【0051】
回転シリンダの領域、例えば、乾燥した固体材料を除去するための除去装置の領域のすぐ上流では、物品はすでに大部分が乾燥しており、目標水分に達するまでわずかな残留水分のみを除去すればよく、個々のインダクタの性能を個別に調整することによって、かなりより少ない熱導入、したがってより低い温度を使用することができるため、それによって、温度に敏感な物品が、過熱して焼結し、乾燥中に損傷することが回避される。
【0052】
非耐食性材料、乾燥させるべき液体に対する良好な耐食性、および機械的摩耗に対する耐摩耗性を達成するために、シリンダには、耐食性および耐摩耗性のコーティングを設けることができる。これらのコーティングは、金属性、例えば硬質金属の合金、および非金属性、例えばセラミックの両方であり得る。非金属コーティングは、誘導によって生成された熱が構成要素および/またはシリンダのより深くに導入されるという効果があるが、導電性のコーティング材料の場合、熱のかなりの部分がすでにコーティング内に誘導されている。
【0053】
本発明のさらなる実施形態では、シリンダはドラムとして(すなわち、開いた管の形態でも)形成されており、シリンダのジャケット面は、2つの(場合によって存在する)側面を合わせたものよりも大きい。シリンダの面のそのような関係によって、乾燥プロセスがジャケット面において実現される。本発明のこの実施形態では、インダクタがシリンダの内部に提供または配置されることに意義がある。シリンダのジャケット面の導電率を理由に、これを巨大な材料から製造することが好都合である。さらなる特性は、上記の他の実施形態から実質的に想定することができる。
【0054】
本発明のさらなる実施形態では、ドラムは、実質的に剛性で変形不可能なシリンダおよび/または管からではなく、導電特性を有する可撓性ベルト材料から形成されており、これは、回転ベルトの端部に配置されたロールを介して偏向されるエンドレスベルトまたはコンベヤーベルトとして形成され得る。本発明によるこの配置によって、インダクタをベルト材料の下方または上方に実質的に平らに配置することが可能になり、したがって、平面を均一に加熱することができる。
【0055】
さらなる態様によると、本発明は、固体材料を含有する懸濁液または溶液を工業的に乾燥させるための装置であって、導電特性を有し、かつ懸濁液または溶液を収容するための内側ジャケット面を備える円筒管と、円筒管を誘導加熱するように適合されたインダクタと、を備え、誘導加熱によって、円筒管の内側ジャケット面上で収容されている懸濁液または溶液が乾燥し、固体材料が残る、装置に関する。
【0056】
本発明の好ましい実施形態では、円筒管は、その最大延在方向に垂直に配置されている。前側のその開口部は、実質的に垂直方向を指している。したがって、余分な液体、すなわち、固体材料を含有する懸濁液または溶液は、内側ジャケット面から流れ出ることができ、それによって、実質的に均一な液体の薄膜が、円筒管の内側ジャケット面上に形成され得る。円筒管はまた、異なる向きを有し得る。
【0057】
好ましくは、円筒管を誘導加熱するように適合されたインダクタは、円筒管の外側に配置されている。好ましくは、誘導縦磁界加熱の方法が使用される。ここで、インダクタは、管を外側から取り囲むように配置され得る。
【0058】
さらなる態様によると、本発明は、固体材料を含有する懸濁液または溶液を工業的に乾燥させるための装置であって、導電特性を有し、かつ懸濁液または溶液を収容するための表面を備えるコンベヤーベルトと、表面を誘導加熱するように適合されたインダクタと、を備え、誘導加熱によって、コンベヤーベルトの表面上で収容されている懸濁液または溶液が乾燥し、固体材料が残る、装置に関する。
【0059】
好ましくは、コンベヤーベルトは、その最大延在方向に水平に配置されている。好ましくは、コンベヤーベルトは、その最大延在方向を中心に垂直方向にさらに傾斜している。したがって、余分な液体、すなわち、固体材料を含有する懸濁液または溶液は、表面から流れ出ることができ、それによって、実質的に均一な液体の薄膜が、コンベヤーベルトの表面上に形成され得る。コンベヤーベルトはまた、異なる向きを有し得る。
【0060】
さらなる態様によると、本発明は、固体材料を含有する懸濁液または溶液を工業的に乾燥させるための装置パッケージに関する。本発明による装置パッケージは、導電特性を有する複数の回転可能に取り付けられたディスクであって、回転可能に取り付けられた各ディスクが、懸濁液または溶液を収容するための表面を備え、回転可能に取り付けられたディスクが、互いに距離を置いて回転軸に沿って配置されている、ディスクを備える。さらに、本発明による装置パッケージは、インダクタに割り当てられた回転可能に取り付けられたディスクを誘導加熱するように適合されたインダクタであって、インダクタが、複数の回転可能に取り付けられたディスクの間に配置されている、インダクタを備える。誘導加熱によって、回転可能に取り付けられたディスクの表面上で収容されている懸濁液または溶液が乾燥し、固体材料が残る。
【0061】
好ましくは、複数の回転可能に取り付けられたディスクは、回転可能に取り付けられたディスクが、それぞれその最大延在方向に垂直に配置されるように配置されている。それらの延在した側面は、それぞれ実質的に水平方向を指している。
【0062】
さらなる態様によると、本発明は、固体材料を含有する懸濁液または溶液を工業的に乾燥させるためのシステムに関する。本発明によるシステムは、本発明による装置であって、インダクタが、内部を通る冷却材を収容して、それによってインダクタを冷却するために、管状に設計されており、装置が、インダクタに/から冷却材を供給および排出するように適合された冷却システムを備える、装置を備える。さらに、システムは熱交換体を備え、冷却システムは、冷却材を冷却するために、かつ懸濁液または溶液を加熱するために、熱交換体に接続されている。特に好ましくは、乾燥させるべき懸濁液または溶液の流れは、これが乾燥のために本発明による装置に供給される前に、熱交換体に供給され、その際、冷却材が、別個のサイクルにおける向流としてガイドされ、乾燥させるべき懸濁液または溶液を熱伝達によって予熱する。熱交換体を使用すると、システムの熱損失が削減され、乾燥の全体的な効率の程度が向上する。
【0063】
本発明による装置またはそのシステムおよび実施形態、ならびにさらなる好都合な実施形態の利点は、上記のように、本発明による最初に述べた装置から対応して得ることができる。
【0064】
さらなる態様によると、本発明は、以下に記載されている懸濁液または溶液を工業的に乾燥させるための方法に関する。
【0065】
本発明による固体材料を含有する懸濁液または溶液を工業的に乾燥させるための方法は、以下の方法ステップを含む:
-導電特性を有する回転可能に取り付けられたシリンダの表面上に懸濁液または溶液を収容すること、
および
-固体材料が残るように、回転可能に取り付けられたシリンダを誘導加熱して、収容されている懸濁液または溶液を乾燥させること。
【0066】
特に好ましくは、誘導加熱は、回転可能に取り付けられたシリンダにおいて少なくとも表面的に実行される。
【0067】
好都合には、本発明による方法は、以下のステップをさらに含む:
-回転可能に取り付けられたシリンダの表面上に懸濁液または溶液を塗布すること、および
-残った固体材料を除去すること。
【0068】
本発明による方法およびその実施形態、ならびにさらなる好都合な実施形態の利点は、上記のように、本発明による装置から対応して得ることができる。
【0069】
本発明によって、電気エネルギーの直接的な使用、および固体材料を含有する液体を乾燥させるためのシリンダを加熱するためのその使用が高効率で可能なり、それによって、複雑な蒸気ネットワークおよび複雑な配管および継手からの加熱蒸気の提供を省略することができる。さらに、正式な認証機関による必要な検査および承認を含む、構成要素全体の耐圧性および絶対的な気密性を証明する必要のある中空圧力容器として形成されたドラムまたはディスクの代わりに、単純で巨大な構造形状の導電性金属材料のドラムおよび/またはディスクを選択することができ、それによって、個々のドラムおよび/またはディスクおよび/または適切なパッケージの製造が大幅に簡素化される。排熱損失を理由に部分的に効率の程度が低いと知られている加熱蒸気の生成に化石燃料を使用することも同様に不要になり、これは、再生可能エネルギー源(太陽光、水力、風力)からより持続的に得られる電気エネルギーが利用可能になる将来に、特に重要性が増すであろう。したがって、本発明は、CO排出の回避または削減に寄与することができる。
【0070】
本発明の好ましい実施形態を以下の図面によって詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0071】
図1】本発明による装置の第1の実施形態の斜視図である。
図2】本発明による装置の第1の実施形態の側面図である。
図3】本発明による装置の第1の実施形態の上面図である。
図4】本発明による装置パッケージの第1の実施形態の正面図である。
図5】本発明による装置パッケージの第2の実施形態の正面図である。
図6】本発明による装置パッケージの第3の実施形態の正面図である。
図7】本発明による装置の第2の実施形態の側面図である。
図8】本発明による装置の第3の実施形態の側面図である。
図9】本発明による装置の第4の実施形態の側面図である。
図10】本発明による装置の第5の実施形態の側面図である。
図11】本発明によるシステムの一実施形態の概略図である。
【0072】
図1~3は、懸濁液または溶液を工業的に乾燥させるための本発明による装置100の第1の実施形態の異なる図を示す。装置100は、導電特性を有する回転可能に取り付けられたディスク110(ディスク110は円形設計である)と、インダクタ120と、を備える。ディスク110には、これをシャフトに押し付けて固定するように中心に配置された開口部が設けられている。好ましくは、ディスク110は、鋼、フェライト系ステンレス鋼、銅、および/またはグラファイトを含有する。しかしながら、他の導電性材料も考えられる。ディスク110の直径は、好ましくは500~1500mmである。特に好ましくは、ディスクの厚さは、5~15mmである。インダクタ120は、細長い導体、例えばワイヤを備える。インダクタ120の導電性部分の汚れを回避するために、非伝導性および非磁性コーティングを塗布してもよい。インダクタ120を囲む非伝導性のまたは磁化可能な材料のハウジング(図示せず)も考えられる。インダクタ120を保護するための好適な材料は、例えば、ガラス、プラスチック、または人造樹脂である。さらに、インダクタ120は、ディスク110の周りに巻かれている。巻いて配置することによって、ディスク表面、好ましくはディスク表面の半分を取り囲むことができる。図1の実施形態では、インダクタ120の巻線は、水平なディスク直径の高さで始まり、ディスク110の上端に達する。インダクタの接触可能な端部は、ディスク110の前面において距離を置いて配置されている。インダクタ120の個々の巻かれた導体層間の距離は、10~50mmの間にあり得る。ディスク110の中心開口部を空に保つために、細長い導体は、開口部にわたって同心円状に配置された円形部分を備える。この円形部分の半径は、ディスク110の中心開口部からの距離が増加するにつれて増加する。ディスク表面と細長い導体との間に隙間が設けられており、そのため、回転可能に取り付けられたディスク110は、自由に動くことができ、かつ回転することができる。回転可能に取り付けられたディスク110からインダクタ120までの距離が好適に小さいことが有利である。というのも、これによって、誘導熱導入の効率の程度が決定されるからである。好ましくは、ディスク110からインダクタ120までの距離は、3~10mmである。ディスク110の周りにインダクタ120を巻いた配置は、インダクタ120に交流電圧が供給されると渦電流がディスク110の本体に誘導されるように選択される。インダクタ120によって生成される磁場は、実質的にディスク表面の方向に向けられている。誘導された渦電流の結果として生成されるジュール熱によって、ディスク110は加熱される。したがって、ディスク110の表面に塗布される固体材料を含有する液体は、接触乾燥の原理に従って乾燥するであろう。ディスク110は、選択される材料または構成される材料によって決定される特定の熱容量をさらに備える。インダクタ120が巻かれたディスク110の領域は、インダクタ120によって直接的に誘導加熱され、したがって、ディスク110の表面上で収容されている固体材料を含有する液体を乾燥させるために必要な動作温度を得る。しかしながら、ディスク110の残りの領域は、より低い温度を有する。直接的に誘導加熱されるディスク110の領域および直接的には誘導加熱されないディスク110の領域において温度プロファイルがどのように調整されるかは、材料およびその熱容量および/または熱伝導率、ならびにディスク110の回転速度に依存する。
【0073】
図4~6は、懸濁液または溶液を工業的に乾燥させるための装置パッケージ200の異なる実施形態を正面図で示す。実施形態では、本発明による装置パッケージ200は、ジョイントベアリングシャフト上で中心に固定され、かつ互いに平行に配置された、4つのディスク210からなる。個々のディスク210は、例えば、図1図3の実施形態にあるように形成される。図4は、2つのインダクタ220が各ディスク210に割り当てられている実施形態を例示する。さらに、インダクタ220は、その側面の一方の領域で単一のディスク210をそれぞれ誘導加熱することができるように配置されている。これらの側面は、ディスク210の延在方向に沿って配置されている。図5は、インダクタ221が2つのディスク210の間に配置されている実施形態を例示する。インダクタ221は、インダクタ221に隣接して配置されたこれらのディスク210の側面を誘導加熱する。さらに、本発明によるこの装置パッケージにおいて外側に配置されているディスク210は、それぞれ、それらの外側の側面にてインダクタ220によって誘導加熱される。図6は、本発明による装置パッケージのさらなる実施形態を例示する。インダクタ222は、ディスク210ごとに割り当てられている。インダクタ222は、これらに割り当てられているディスク210を、回転軸および/またはベアリングシャフト230に沿って、向かい合う側面において誘導加熱するようになっている。インダクタ222は、例えば、それぞれ、一方の側面からディスクエッジを越えて向かい合った側面まで延在し得る。
【0074】
図7~10は、本発明による装置300、301、302、303のさらなる実施形態を側面図で示す。インダクタの配置については、様々な構成が例示されている。乾燥プロセスの要求に応じて、個々のディスク310の各領域への段階的な熱導入のために、複数のインダクタがディスク310の円周に沿って分布し得る。図7では、インダクタ320は、ディスク310の側面に隣接して、かつこれと距離を置いて配置されている。さらに、インダクタ320は、ディスク310の延在方向に沿って巻かれたインダクタ320がディスク310の一方の側面を覆うようにディスク310の延在方向に沿って巻かれた細長い導体を備える。好ましくは、インダクタ320は、ディスク310の回転軸の周りに同軸配置の2つの円形部分を備える。外側の円形部分の半径は、好ましくは、ディスク310の半径とほぼ同じ大きさである。さらに、本発明のこの実施形態は、除去装置340および塗布装置350を備える。塗布装置350は、固体材料を含有する液体をディスク310上に塗布するように適合されている。ただし、除去装置340は、例えば、表面上に置かれたナイフによって、ディスク310の表面から乾燥物を剥離するように適合されている。塗布装置350および除去装置340は、例えば、インダクタ320によって覆われていない領域においてディスク310に隣接して配置されている。図8および9には、複数、例えば4つの個別のインダクタ321がある配置が示されている。複数の個別のインダクタ321が使用される場合、これらは個別に制御され得る。乾燥させるべき固体材料を含有する液体またはすでに乾燥していて特定の残留水分を有する固体材料が存在しているディスクの個々の領域が、段階的に変化する熱導入を経て、そのため、特に異なる温度を得るように、インダクタの供給電圧およびその周波数の両方を制御することができる。図8は、本発明による装置301の実施形態を示し、インダクタ321は、ディスク310の延在方向に沿って三角形の各細長い導体から巻かれている。インダクタ321は、円周に沿って同軸配置されている。インダクタ321はさらに、各インダクタ321の三角形の巻線の角が回転軸および/またはベアリングシャフトを指すように方向付けられ得る。ディスク310の側面の1つにあるインダクタ321は、ディスク半径内にあっても、またはそこから突出していてもよい。図9は、図8の実施形態と同様のインダクタ322の配置を例示する。図9の実施形態では、インダクタ322は、細長い導体から円形または螺旋状に巻かれている。図10は、インダクタ323が、細長い導体から巻かれており、かつディスクの円周に沿って変化する巻線密度を含む、本発明による装置303の実施形態を示す。巻線密度は、細長い導体の隣接部分の距離によって決定することができる。巻線密度がより高いことは、細長い導体の隣接部分の距離がより短いことを意味し、逆もまた同様である。巻線密度は、ゾーンによって変化する度合いであり得る。これは、例えば、塗布装置の領域で最も度合いが高く、除去装置の領域で最も度合いが低くなるであろう。そのような構成は、固体材料を含有する塗布される液体の水分含有量がディスク310の表面への塗布直後に最も高く、大量の水分が蒸発することができるため、有利である。除去装置の領域では、固体材料を含有する液体の水分含有量がかなりより低いので、ディスク310のこの領域における低減された熱導入は、残留水分を蒸発させるのに十分である。さらに、温度に敏感な固体材料の場合、損傷しないように特定の温度を上回らないことが重要であり得る。
【0075】
図11は、本発明によるシステムの実施形態の概略図を示す。例示されているシステムは、回転可能に取り付けられたディスク310、インダクタ323、除去装置340、および塗布装置350を備える。システムのこれらの構成要素は、すでに先に詳細に説明した。さらに、このシステムは、乾燥予定の固体材料を含有する液体が収集される液体タンク370に通じる液体供給部を備える。塗布装置350は、液体タンク370に接続されており、固体材料を含有する液体をタンクからディスク310の表面に輸送および供給する。余分な液体は、ディスク表面から滴り落ち、液体タンクに戻る。さらに、インダクタ323は、冷却サイクルに結合されている。冷却材は、内部を通る冷却材を収容するために例えば管状に設計されたインダクタ323に供給される。通常の動作条件下では、インダクタ323が加熱され、供給された冷却材が、冷却材への熱伝達によってインダクタ323の熱を放散する。次いで、加熱された冷却材は、熱交換体360に供給され得て、その際に、液体供給は、向流としての加熱された冷却材によって予熱され、それから、液体タンク370に入る。したがって、事前にインダクタ323から引き出された冷却材からの熱は、乾燥させるべき液体を予熱することによって回収することができる。インバータ380および発振回路385は、インダクタ323に供給される交流電圧を調整する役割を果たす。さらに、システム内の発振回路385は、インダクタ323の電源としての役割を果たす。乾燥させるべき液体から蒸発した水分の形態の排気蒸気は、抽出器390によって排出される。
【0076】
記載されている本発明による装置の実施形態では、乾燥プロセスにおいて約350kg/hの水蒸発力を実現することが可能である。乾燥させるべき液体は、例えば、50パーセント乾燥物質の固体材料含有量を有する鉱物懸濁液である。必要な加熱電力は、240kWの容量での誘導加熱によって提供される。インダクタは、280kWの容量の発電機から供給される。このプロセスによって、水10%の残留水分で437kg/hの製品量が製造される。この製品は、乾燥によって約60℃の温度を想定している。
【符号の説明】
【0077】
100、300、301、302、303 懸濁液または溶液を工業的に乾燥させるための装置
110、210、310 シリンダ/ディスク
120、220、221、222 インダクタ
320、321、322、323
200、201、202 懸濁液または溶液を工業的に乾燥させるための装置パッケージ
230 ベアリングシャフト
340 除去装置
350 塗布装置
360 熱交換体
370 液体タンク
380 インバータ
385 発振回路
390 抽出器
1000 懸濁液または溶液を工業的に乾燥させるためのシステム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【国際調査報告】