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特表2022-526639組換えアデノ随伴ウイルス組成物の特性評価のためのサイズ排除クロマトグラフィーの方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-25
(54)【発明の名称】組換えアデノ随伴ウイルス組成物の特性評価のためのサイズ排除クロマトグラフィーの方法
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/10 20060101AFI20220518BHJP
   C12Q 1/6806 20180101ALI20220518BHJP
   C12N 7/00 20060101ALN20220518BHJP
【FI】
C12N15/10 112Z
C12Q1/6806 Z
C12N7/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021559728
(86)(22)【出願日】2020-04-10
(85)【翻訳文提出日】2021-11-18
(86)【国際出願番号】 US2020027629
(87)【国際公開番号】W WO2020210600
(87)【国際公開日】2020-10-15
(31)【優先権主張番号】62/832,364
(32)【優先日】2019-04-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/839,182
(32)【優先日】2019-04-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BRIJ
(71)【出願人】
【識別番号】518278029
【氏名又は名称】リジェネクスバイオ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100102118
【弁理士】
【氏名又は名称】春名 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】チー リ
(72)【発明者】
【氏名】ウー ジュチュン
【テーマコード(参考)】
4B063
4B065
【Fターム(参考)】
4B063QA01
4B063QA05
4B063QA13
4B063QQ10
4B063QQ42
4B063QS10
4B063QS17
4B063QS36
4B063QS39
4B063QX01
4B065AA95X
4B065BD14
4B065CA23
4B065CA46
4B065CA60
(57)【要約】
本開示は、サイズ排除クロマトグラフィーを使用して、AAVゲノムを単離すること、単離されたrAAV粒子を含む組成物のベクターゲノムサイズ純度を決定すること、カプシド内のベクターゲノムのフォールディングまたは二次構造を評価すること、及び単離されたrAAV粒子を含む組成物のベクターゲノム力価(Vg)を決定することに関する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)粒子を含む組成物を、rAAV粒子が変性する条件に供する段階;および
b)変性したrAAV粒子を含む前記組成物を、サイズ排除クロマトグラフィーに供する段階
を含み、
前記サイズ排除クロマトグラフィーの移動相が、塩、有機溶媒、または界面活性剤を含む、
rAAVゲノムを単離する方法。
【請求項2】
AAVゲノムを回収する段階をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
約260nm及び約280nmの一方または両方で、溶出液のUV吸光度を測定する段階をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
単離されたrAAV粒子を含む組成物のベクターゲノムサイズ純度を決定する方法であって、前記方法が、
a)前記組成物を、rAAV粒子が変性する条件に供する段階;
b)変性したrAAV粒子を含む前記組成物を、サイズ排除クロマトグラフィーに供する段階;
c)約260nm及び約280nmの一方または両方で、溶出液のUV吸光度を測定する段階;ならびに
d)rAAV粒子を含む前記組成物のベクターゲノムサイズ純度を決定する段階
を含み、
前記サイズ排除クロマトグラフィーの移動相が、塩、有機溶媒、または界面活性剤を含む、
前記方法。
【請求項5】
カプシド内のAAVベクターゲノムのフォールディングまたは二次構造を評価する方法であって、前記方法が、
a)組成物を、rAAV粒子が変性する条件に供する段階;
b)変性したrAAV粒子を含む前記組成物を、サイズ排除クロマトグラフィーに供する段階;ならびに
c)約260nm及び約280nmの一方または両方で、溶出液のUV吸光度を測定する段階
を含み、
前記サイズ排除クロマトグラフィーの移動相が、塩、有機溶媒、または界面活性剤を含む、
前記方法。
【請求項6】
単離されたrAAV粒子を含む組成物のベクターゲノム力価(Vg)を決定する方法であって、前記方法が、
a)前記組成物を、rAAV粒子が変性する条件に供する段階;
b)変性したrAAV粒子を含む前記組成物を、サイズ排除クロマトグラフィーに供する段階;
c)約260nm及び約280nmの一方または両方で、溶出液のUV吸光度を測定する段階;ならびに
d)rAAV粒子を含む前記組成物のVgを決定する段階
を含み、
前記サイズ排除クロマトグラフィーの移動相が、塩、有機溶媒、または界面活性剤を含む、
前記方法。
【請求項7】
前記組成物を、rAAV粒子が変性する条件に供する段階が、dsDNAのSECシグナルを実質的に最大化する条件に、前記組成物を曝露することを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記組成物を、rAAV粒子が変性する条件に供する段階が、前記組成物中の実質的にすべてのウイルスゲノムを変性させるのに必要な最低温度と比べて10℃以内で上回る温度に、前記組成物を曝露することを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記組成物を、rAAV粒子が変性する条件に供する段階が、AUCによって決定される、同じ組成物の充填不完全なカプシドの割合(%)と相関する、断片DNAの割合(%)の決定をもたらす条件に、前記組成物を供することを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記組成物を、rAAV粒子が変性する条件に供する段階が、dsDNAのSECシグナルを実質的に最大化する熱変性に、前記組成物を曝露することを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記組成物を、rAAV粒子が変性する条件に供する段階が、AUCによって決定される、同じ組成物の充填不完全なカプシドの割合(%)と相関する、断片DNAの割合(%)の決定をもたらす熱変性に、前記組成物を供することを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記組成物を、rAAV粒子が変性する条件に供する段階が、前記組成物を、約65℃~約95℃、任意選択で約70℃~約90℃、約75℃~約85℃、または約80℃~約85℃の温度でインキュベートすることを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記インキュベートが、約70℃、約75℃、約80℃、約85℃、または約90℃である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記インキュベートが約75℃である、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記インキュベートが約80℃である、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記インキュベートが約85℃である、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記組成物を、rAAV粒子が変性する条件に供する段階が、前記組成物を約65℃~約95℃の温度で約5分~60分間インキュベートすることを含む、請求項12~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記インキュベートが、約10分、約15分、約20分、約25分、約30分、約35分、約40分、約45分、または約60分間である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記インキュベートが約10分間である、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記インキュベートが約15分間である、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記インキュベートが約20分間である、請求項17に記載の方法。
【請求項22】
前記組成物を、rAAV粒子が変性する条件に供する段階が、界面活性剤の存在下で前記組成物を約65℃~約95℃の温度で約5分~60分間インキュベートすることを含む、請求項12~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記界面活性剤が、SDS、臭化トリメチルアンモニウム(ETMAB)、ポリソルベート80、ポリソルベート20、Pluronic F-68、またはそれらの組合せを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記界面活性剤が、約0.005%~約0.5%の濃度を有する、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記界面活性剤が、約0.005%~約0.5%のSDSを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
前記界面活性剤が、約0.05%のSDSを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項27】
前記変性プロセスによって、試料中の実質的にすべてのウイルス粒子が変性する、請求項12~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記変性プロセスによって、試料中の少なくとも約95%のウイルス粒子が変性する、請求項12~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
変性したrAAV粒子を含む前記組成物を、サイズ排除クロマトグラフィーに供する段階が、前記組成物を、約50nm~約500nmの公称孔径を備えるサイズ排除クロマトグラフィー樹脂に接触させることを含む、請求項1~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記公称孔径が、約100nm、200nm、300nm、または400nmである、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
前記公称孔径が約200nmである、請求項28に記載の方法。
【請求項32】
サイズ排除クロマトグラフィーが、高速液体クロマトグラフィーまたは超高速液体クロマトグラフィーシステムの使用を含む、請求項1~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記サイズ排除クロマトグラフィーの移動相が、塩、有機溶媒、及び界面活性剤を含む、請求項1~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記移動相が、塩化ナトリウム、酢酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム、及びそれらの組合せからなる群から選択される塩を含む、請求項1~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記移動相が、塩化ナトリウムを含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記移動相が、ポリソルベート80、ポロキサマー188、ポロキサマー407、ポリソルベート20、Pluronic F-68、またはBRIJ 35、及びそれらの組合せからなる群から選択される界面活性剤を含む、請求項1~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記移動相が、ポリソルベート80を含む、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記移動相が、メタノール、イソプロパノール、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド(DMSO)、テトラヒドロフラン(THF)、トリフルオロエタノール(TFE)、ヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)、及びそれらの組合せからなる群から選択される有機溶媒を含む、請求項1~37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記移動相が、メタノールを含む、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記サイズ排除クロマトグラフィーの移動相が、緩衝剤をさらに含む、請求項1~39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記緩衝剤が、リン酸ナトリウム、ヒスチジン、クエン酸ナトリウム、HEPES、MES、トリス、ビス-トリス、MOPS、TES、ビシン、グリシン、トリシン、N-グリシルグリシン、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、グリシルグリシン、リジン、アルギニン、及びそれらの組合せからなる群から選択される、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記緩衝剤がリン酸ナトリウムである、請求項40に記載の方法。
【請求項43】
前記サイズ排除クロマトグラフィーの移動相が、リン酸ナトリウム、塩化ナトリウム、ポリソルベート80、及びメタノールを含む、請求項1~42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
前記移動相が、約5mM~約50mMのリン酸ナトリウム、約100mM~約500mMの塩化ナトリウム、約0.01%~約0.5%のポリソルベート80、及び約5%~約50%のメタノールを含み、かつ約6.0~8.5のpHを有する、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記移動相が、約10mMのリン酸ナトリウム、約300mMの塩化ナトリウム、約0.05%のポリソルベート80、及び約20%のメタノールを含み、かつ約7.5のpHを有する、請求項43に記載の方法。
【請求項46】
rAAV粒子を含む前記組成物が、約2E+10ゲノムコピー/ml~約1E+14ゲノムコピー/mlを含む、請求項1~45のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、サイズ排除クロマトグラフィーを使用して、AAVゲノムを単離すること、およびrAAV粒子を含む組成物を特性評価することに関する。
【背景技術】
【0002】
背景
組換えアデノ随伴ウイルス(AAV)ベースのベクターは、現在最も広く使用されている開発中の遺伝子療法製品である。rAAVベクターシステムの使用が好まれる理由は、部分的には、野生型ウイルスに関連する疾患がないこと、AAVの形質導入が非分裂細胞にも分裂細胞にも可能であること、及び臨床試験で結果的に長期のロバストな導入遺伝子発現が観察されていることによるものであり、このことは、遺伝子療法の適応症における点で、送達の大きな可能性を示している。加えて、種々の天然及び組換えrAAVベクター血清型は、種々の組織、器官、及び細胞を特異的に標的とし、ベクターに対する任意の既存の免疫を回避するのに役立ち、そのためAAVベース遺伝子療法の治療応用を拡大する。複製欠損型ウイルス(例えば、AAV)ベース遺伝子療法がより広く後期臨床段階及び商業的使用に採用され得る前に、組換えウイルス粒子を大規模生産するための新たな方法を開発する必要がある。
【0003】
製品の純度は、安全性と有効性に影響を及ぼし得る治療用生物製剤の重要な品質属性であるため、リリース試験を含む管理の保証が重要である。AAVベクターゲノムは細胞核に送達され、カプシドタンパク質よりもはるかに長く、長期間持続し得る。したがって、AAV製品のベクターゲノム純度を評価することが望ましい。空のカプシドと完全なカプシドの比を定量化するインタクトなAAVの相対純度は、分析用超遠心法(AUC)、低温電子顕微鏡法、及びイオン交換クロマトグラフィーによって測定することができる。さらに、充填不完全なカプシドと呼ばれることが多い、断片化ゲノム及び非導入遺伝子に関連するDNA混入物を有するベクターの存在は、AUCによって解決することができる。カプシドタンパク質の純度は、SDS-PAGEまたはSDS-CGEで測定することができる。キャピラリー電気泳動及びゲル電気泳動によってAAVゲノムを分析するためのいくつかの研究が発表されているものの、AAVゲノムの純度に関するコンセンサスのとれた方法は確立されていない。
【0004】
したがって、当技術分野では、AAVベクターゲノムの純度及び構造を高感度及び高再現性で評価する方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0005】
一態様では、本開示は、サイズ排除クロマトグラフィーを使用して組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)ゲノムを単離する方法を提供する。いくつかの実施形態では、この方法は、rAAV粒子を含む組成物を、rAAV粒子が変性する条件に供した後、変性したrAAV粒子を含む組成物を、サイズ排除クロマトグラフィーに供することを含む。いくつかの実施形態では、サイズ排除クロマトグラフィーの移動相は、塩、有機溶媒、または界面活性剤を含む。いくつかの実施形態では、移動相は、さらに緩衝剤を含む。いくつかの実施形態では、rAAVは、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV-11、AAV-12、AAV-13、AAV-14、AAV-15及びAAV-16、AAV.rh8、AAV.rh10、AAV.rh20、AAV.rh39、AAV.Rh74、AAV.RHM4-1、AAV.hu37、AAV.Anc80、AAV.Anc80L65、AAV.7m8、AAV.PHP.B、AAV2.5、AAV2tYF、AAV3B、AAV.LK03、AAV.HSC1、AAV.HSC2、AAV.HSC3、AAV.HSC4、AAV.HSC5、AAV.HSC6、AAV.HSC7、AAV.HSC8、AAV.HSC9、AAV.HSC10、AAV.HSC11、AAV.HSC12、AAV.HSC13、AAV.HSC14、AAV.HSC15、またはAAV.HSC16血清型のカプシドタンパク質を含む。いくつかの実施形態では、rAAVは、AAV8血清型またはAAV9血清型のカプシドタンパク質を含む。
【0006】
さらなる態様では、本開示は、サイズ排除クロマトグラフィーを使用して組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)粒子を特性評価する方法を提供する。単離されたrAAV粒子の特性評価には、単離されたrAAV粒子を含む組成物のベクターゲノムサイズ純度の決定、カプシド内のベクターゲノムのフォールディングまたは二次構造の評価、及び単離されたrAAV粒子を含む組成物のベクターゲノム力価(Vg)の決定が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、サイズ排除クロマトグラフィーの移動相は、塩、有機溶媒、または界面活性剤を含む。いくつかの実施形態では、移動相は、さらに緩衝剤を含む。いくつかの実施形態では、rAAVは、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV-11、AAV-12、AAV-13、AAV-14、AAV-15及びAAV-16、AAV.rh8、AAV.rh10、AAV.rh20、AAV.rh39、AAV.Rh74、AAV.RHM4-1、AAV.hu37、AAV.Anc80、AAV.Anc80L65、AAV.7m8、AAV.PHP.B、AAV2.5、AAV2tYF、AAV3B、AAV.LK03、AAV.HSC1、AAV.HSC2、AAV.HSC3、AAV.HSC4、AAV.HSC5、AAV.HSC6、AAV.HSC7、AAV.HSC8、AAV.HSC9、AAV.HSC10、AAV.HSC11、AAV.HSC12、AAV.HSC13、AAV.HSC14、AAV.HSC15、またはAAV.HSC16血清型のカプシドタンパク質を含む。いくつかの実施形態では、rAAVは、AAV8血清型またはAAV9血清型のカプシドタンパク質を含む。
【0007】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示する方法は、バッチリリース、例えば、バッチリリース試験及び/またはロットリリース試験に適している。いくつかの実施形態では、本明細書に開示する方法を、ロットリリース試験の一部として実施する。
【0008】
いくつかの実施形態では、本開示は以下を提供する。
【0009】
[1.]
a)組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)粒子を含む組成物を、rAAV粒子が変性する条件に供する段階;および
b)変性したrAAV粒子を含む前記組成物を、サイズ排除クロマトグラフィーに供する段階
を含み、
前記サイズ排除クロマトグラフィーの移動相が、塩、有機溶媒、または界面活性剤を含む、
rAAVゲノムを単離する方法。
【0010】
[2.]
AAVゲノムを回収する段階をさらに含む、[1]の方法。
【0011】
[3.]
約260nm及び約280nmの一方または両方で、溶出液のUV吸光度を測定する段階をさらに含む、[1]の方法。
【0012】
[4.]
単離されたrAAV粒子を含む組成物のベクターゲノムサイズ純度を決定する方法であって、前記方法が、
a)前記組成物を、rAAV粒子が変性する条件に供する段階;
b)変性したrAAV粒子を含む前記組成物を、サイズ排除クロマトグラフィーに供する段階;
c)約260nm及び約280nmの一方または両方で、溶出液のUV吸光度を測定する段階;ならびに
d)rAAV粒子を含む前記組成物のベクターゲノムサイズ純度を決定する段階
を含み、
前記サイズ排除クロマトグラフィーの移動相が、塩、有機溶媒、または界面活性剤を含む、
前記方法。
【0013】
[5.]
カプシド内のAAVベクターゲノムのフォールディングまたは二次構造を評価する方法であって、前記方法が、
a)組成物を、rAAV粒子が変性する条件に供する段階;
b)変性したrAAV粒子を含む前記組成物を、サイズ排除クロマトグラフィーに供する段階;ならびに
c)約260nm及び約280nmの一方または両方で、溶出液のUV吸光度を測定する段階
を含み、
前記サイズ排除クロマトグラフィーの移動相が、塩、有機溶媒、または界面活性剤を含む、
前記方法。
【0014】
[6.]
単離されたrAAV粒子を含む組成物のベクターゲノム力価(Vg)を決定する方法であって、前記方法が、
a)前記組成物を、rAAV粒子が変性する条件に供する段階;
b)変性したrAAV粒子を含む前記組成物を、サイズ排除クロマトグラフィーに供する段階;
c)約260nm及び約280nmの一方または両方で、溶出液のUV吸光度を測定する段階;ならびに
d)rAAV粒子を含む前記組成物のVgを決定する段階
を含み、
前記サイズ排除クロマトグラフィーの移動相が、塩、有機溶媒、または界面活性剤を含む、
前記方法。
【0015】
[7.]
前記組成物を、rAAV粒子が変性する条件に供する段階が、dsDNAのSECシグナルを実質的に最大化する条件に、前記組成物を曝露することを含む、[1]~[6]のいずれか1つの方法。
【0016】
[8.]
前記組成物を、rAAV粒子が変性する条件に供する段階が、前記組成物中の実質的にすべてのウイルスゲノムを変性させるのに必要な最低温度と比べて10℃以内で上回る温度に、前記組成物を曝露することを含む、[1]~[6]のいずれか1つの方法。
【0017】
[9.]
前記組成物を、rAAV粒子が変性する条件に供する段階が、AUCによって決定される、同じ組成物の充填不完全なカプシドの割合(%)と相関する、断片DNAの割合(%)の決定をもたらす条件に、前記組成物を供することを含む、[1]~[6]のいずれか1つの方法。
【0018】
[10.]
前記組成物を、rAAV粒子が変性する条件に供する段階が、dsDNAのSECシグナルを実質的に最大化する熱変性に、前記組成物を曝露することを含む、[1]~[6]のいずれか1つの方法。
【0019】
[11.]
前記組成物を、rAAV粒子が変性する条件に供する段階が、AUCによって決定される、同じ組成物の充填不完全なカプシドの割合(%)と相関する、断片DNAの割合(%)の決定をもたらす熱変性に、前記組成物を供することを含む、[1]~[6]のいずれか1つの方法。
【0020】
[12.]
前記組成物を、rAAV粒子が変性する条件に供する段階が、前記組成物を、約65℃~約95℃、任意選択で約70℃~約90℃、約75℃~約85℃、または約80℃~約85℃の温度でインキュベートすることを含む、[1]~[6]のいずれか1つの方法。
【0021】
[13.]
前記インキュベートが、約70℃、約75℃、約80℃、約85℃、または約90℃である、[12]の方法。
【0022】
[14.]
前記インキュベートが約75℃である、[12]の方法。
【0023】
[15.]
前記インキュベートが約80℃である、[12]の方法。
【0024】
[16.]
前記インキュベートが約85℃である、[12]の方法。
【0025】
[17.]
前記組成物を、rAAV粒子が変性する条件に供する段階が、前記組成物を約65℃~約95℃の温度で約5分~60分間インキュベートすることを含む、[12]~[16]のいずれか1つの方法。
【0026】
[18.]
前記インキュベートが、約10分、約15分、約20分、約25分、約30分、約35分、約40分、約45分、または約60分間である、[17]の方法。
【0027】
[19.]
前記インキュベートが約10分間である、[17]の方法。
【0028】
[20.]
前記インキュベートが約15分間である、[17]の方法。
【0029】
[21.]
前記インキュベートが約20分間である、[17]の方法。
【0030】
[22.]
前記組成物を、rAAV粒子が変性する条件に供する段階が、界面活性剤の存在下で前記組成物を約65℃~約95℃の温度で約5分~60分間インキュベートすることを含む、[12]~[21]のいずれか1つの方法。
【0031】
[23.]
前記界面活性剤が、SDS、臭化トリメチルアンモニウム(ETMAB)、ポリソルベート80、ポリソルベート20、Pluronic F-68、またはそれらの組合せを含む、[22]の方法。
【0032】
[24.]
前記界面活性剤が、約0.005%~約0.5%の濃度を有する、[22]の方法。
【0033】
[25.]
前記界面活性剤が、約0.005%~約0.5%のSDSを含む、[22]の方法。
【0034】
[26.]
前記界面活性剤が、約0.05%のSDSを含む、[22]の方法。
【0035】
[27.]
前記変性プロセスによって、試料中の実質的にすべてのウイルス粒子が変性する、[12]~[26]のいずれか1つの方法。
【0036】
[28.]
前記変性プロセスによって、試料中の少なくとも約95%のウイルス粒子が変性する、[12]~[26]のいずれか1つの方法。
【0037】
[29.]
変性したrAAV粒子を含む前記組成物を、サイズ排除クロマトグラフィーに供する段階が、前記組成物を、約50nm~約500nmの公称孔径を備えるサイズ排除クロマトグラフィー樹脂に接触させることを含む、[1]~[28]のいずれか1つの方法。
【0038】
[30.]
前記公称孔径が、約100nm、200nm、300nm、または400nmである、[29]の方法。
【0039】
[31.]
前記公称孔径が約200nmである、[29]の方法。
【0040】
[32.]
サイズ排除クロマトグラフィーが、高速液体クロマトグラフィーまたは超高速液体クロマトグラフィーシステムの使用を含む、[1]~[31]のいずれか1つの方法。
【0041】
[33.]
前記サイズ排除クロマトグラフィーの移動相が、塩、有機溶媒、及び界面活性剤を含む、[1]~[32]のいずれか1つの方法。
【0042】
[34.]
前記移動相が、塩化ナトリウム、酢酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム、及びそれらの組合せからなる群から選択される塩を含む、[1]~[33]のいずれか1つの方法。
【0043】
[35.]
前記移動相が、塩化ナトリウムを含む、[34]の方法。
【0044】
[36.]
前記移動相が、ポリソルベート80、ポロキサマー188、ポロキサマー407、ポリソルベート20、Pluronic F-68、またはBRIJ 35、及びそれらの組合せからなる群から選択される界面活性剤を含む、[1]~[35]のいずれか1つの方法。
【0045】
[37.]
前記移動相が、ポリソルベート80を含む、[36]の方法。
【0046】
[38.]
前記移動相が、メタノール、イソプロパノール、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド(DMSO)、テトラヒドロフラン(THF)、トリフルオロエタノール(TFE)、ヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)、及びそれらの組合せからなる群から選択される有機溶媒を含む、[1]~[37]のいずれか1つの方法。
【0047】
[39.]
前記移動相が、メタノールを含む、[38]の方法。
【0048】
[40.]
前記サイズ排除クロマトグラフィーの移動相が、緩衝剤をさらに含む、[1]~[39]のいずれか1つの方法。
【0049】
[41.]
前記緩衝剤が、リン酸ナトリウム、ヒスチジン、クエン酸ナトリウム、HEPES、MES、トリス、ビス-トリス、MOPS、TES、ビシン、グリシン、トリシン、N-グリシルグリシン、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、グリシルグリシン、リジン、アルギニン、及びそれらの組合せからなる群から選択される、[40]の方法。
【0050】
[42.]
前記緩衝剤がリン酸ナトリウムである、[40]の方法。
【0051】
[43.]
前記サイズ排除クロマトグラフィーの移動相が、リン酸ナトリウム、塩化ナトリウム、ポリソルベート80、及びメタノールを含む、[1]~[42]のいずれか1つの方法。
【0052】
[44.]
前記移動相が、約5mM~約50mMのリン酸ナトリウム、約100mM~約500mMの塩化ナトリウム、約0.01%~約0.5%のポリソルベート80、及び約5%~約50%のメタノールを含み、かつ約6.0~8.5のpHを有する、[43]の方法。
【0053】
[45.]
前記移動相が、約10mMのリン酸ナトリウム、約300mMの塩化ナトリウム、約0.05%のポリソルベート80、及び約20%のメタノールを含み、かつ約7.5のpHを有する、[43]の方法。
【0054】
[46.]
rAAV粒子を含む前記組成物が、約2E+10ゲノムコピー/ml~約1E+14ゲノムコピー/mlを含む、[1]~[45]のいずれか1つの方法。
【0055】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示する方法は、組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)粒子を含む安定な製剤を製造することを含み、rAAV粒子を、不純物を含むフィード(例えば、rAAV生成培養物)からrAAV粒子を単離することによって生成し、rAAV粒子を単離するための方法は、1つ以上の処理工程を含む。いくつかの実施形態では、処理は、細胞培養物の回収、回収した細胞培養物の清澄化(例えば、遠心分離または深層濾過による)、タンジェンシャルフロー濾過、アフィニティークロマトグラフィー、アニオン交換クロマトグラフィー、カチオン交換クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、無菌濾過のうちの少なくとも1つである。さらなる実施形態では、処理は、細胞培養物の回収、回収した細胞培養物の清澄化(例えば、遠心分離または深層濾過による)、タンジェンシャルフロー濾過、アフィニティークロマトグラフィー、アニオン交換クロマトグラフィー、カチオン交換クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、及び無菌濾過のうちの少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、または少なくとも6つを含む。いくつかの実施形態では、処理は、回収した細胞培養物の遠心分離を含まない。
【0056】
本開示は、(a)不純物を含むフィードから、遠心分離、深層濾過、タンジェンシャルフロー濾過、限外濾過、アフィニティークロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、及び疎水性相互作用クロマトグラフィーのうちの1つ以上によってrAAV粒子を単離し、(b)単離されたrAAV粒子を、本明細書に開示する方法を用いて特性評価し、(c)単離されたrAAV粒子を製剤化することを含む、単離された組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)粒子を含む安定な製剤の製造方法を提供する。
【0057】
本開示は、(a)不純物を含むフィードから、遠心分離、深層濾過、タンジェンシャルフロー濾過、限外濾過、アフィニティークロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、及び疎水性相互作用クロマトグラフィーのうちの1つ以上によってrAAV粒子を単離し、(b)単離されたrAAV粒子を、本明細書に開示する方法を用いて特性評価し、(c)単離されたrAAV粒子を製剤化することを含む、単離された組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)粒子を含む安定な製剤の医薬単位用量の製造方法を提供する。
【0058】
本明細書に記載の組成物及び方法のさらなる他の特徴及び利点は、添付の図面と共に、以下の詳細な説明を読むことにより、さらに明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0059】
図1】rAAVゲノムDNAを分析するためのサイズ排除HPLC-方法の概要。
図2】rAAVカプシドの変性。図2Aは、0.05%SDSの存在下で、65℃に10分間または75℃に10分間曝露させたrAAV試料のSEC特性を示す。260nmでのUV吸光度を示す。矢印は、65℃、10分間の処理によって変性しなかった粒子を示す。図2Bは、完全に変性したrAAV試料とマーカーDNA断片のSEC特性である。主要なベクターDNAのピークは、完全長のベクターゲノムに対応する。
図3】3つの異なるrAAV製品の重ね合わせたクロマトグラム。試料を、0.05%SDSの存在下で80℃にて20分間インキュベートすることにより変性させた。
図4】ssDNAの変性及び構造の特性評価。0.05%SDSの存在下で、75℃に10分間、85℃に10分間、または85℃に20分間曝露させたrAAV試料のSEC特性を示す。75℃に10分間曝露した試料中にssDNAが存在することは、熱処理によって完全に変性されていなかったことを示している。85℃、20分間が、ssDNAの変性/線形化に最適であった。すべての試料で少量のトランケートされたベクターゲノムが観察された。
図5】75℃、80℃、85℃、90℃、95℃で20分間熱変性させた後のAAV製剤のUV260吸光度曲線。
図6】DNA-SECによる断片DNAの割合(%)と分析用超遠心法による充填不完全なカプシドの割合(%)との比較。
図7】弱い、強い、及び非常に強い変性後のAAV製剤のUV260吸光度曲線。
図8】DNA-SECによって評価したプロセス最適化。
図9】アッセイ性能の測定を、精度(図9A及び図9B)、線形性及びLoQ(図9C)に関して実施した。試験したパラメータは、DNA-SECアッセイの全体的な信頼性と感度を示している。
【発明を実施するための形態】
【0060】
詳細な説明
本明細書において、サイズ排除クロマトグラフィーを使用して組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)ゲノムを単離する方法を提供する。いくつかの実施形態では、この方法は、rAAV粒子を含む組成物を、rAAV粒子が変性する条件に供した後、変性したrAAV粒子を含む組成物を、サイズ排除クロマトグラフィーに供することを含む。いくつかの実施形態では、サイズ排除クロマトグラフィーの移動相は、塩、有機溶媒、または界面活性剤を含む。いくつかの実施形態では、移動相は、さらに緩衝剤を含む。
【0061】
サイズ排除クロマトグラフィーを使用して組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)粒子を特性評価する方法も提供する。単離されたrAAV粒子の特性評価には、単離されたrAAV粒子を含む組成物のベクターゲノムサイズ純度の決定、カプシド内のベクターゲノムのフォールディングまたは二次構造の評価、及び単離されたrAAV粒子を含む組成物のベクターゲノム力価(Vg)の決定が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、本明細書に開示する方法を、改変されたプロセスによって生成されるrAAV粒子の品質、例えば純度を迅速に評価することによって、製品開発及びプロセス最適化をサポートするために使用する。いくつかの実施形態では、本明細書に開示する方法を使用して、rAAV製造プロセスの異なる段階でのrAAV粒子の品質を評価する。いくつかの実施形態では、rAAVは、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV-11、AAV-12、AAV-13、AAV-14、AAV-15及びAAV-16、AAV.rh8、AAV.rh10、AAV.rh20、AAV.rh39、AAV.Rh74、AAV.RHM4-1、AAV.hu37、AAV.Anc80、AAV.Anc80L65、AAV.7m8、AAV.PHP.B、AAV2.5、AAV2tYF、AAV3B、AAV.LK03、AAV.HSC1、AAV.HSC2、AAV.HSC3、AAV.HSC4、AAV.HSC5、AAV.HSC6、AAV.HSC7、AAV.HSC8、AAV.HSC9、AAV.HSC10、AAV.HSC11、AAV.HSC12、AAV.HSC13、AAV.HSC14、AAV.HSC15、またはAAV.HSC16血清型のカプシドタンパク質を含む。いくつかの実施形態では、rAAVは、AAV8血清型またはAAV9血清型のカプシドタンパク質を含む。
【0062】
定義
別途定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術的用語及び科学的用語は、本開示が関連する技術分野の当業者によって一般的に理解されている意味と同じ意味を有する。本開示の方法の理解を容易にするため、以下に複数の用語及び表現を定義する。
【0063】
例えば、組成物中の成分の量、組成物中の成分の濃度、流量、rAAV粒子収量、フィード体積、塩濃度、類似の値、及びこれらの範囲を修飾し、本明細書で提供される方法で用いられる「約」とは、例えば、濃縮物もしくは使用溶液を作製するために使用される典型的な測定及び取扱い手順によって;これらの手順における偶発性のエラーによって;組成物の作製もしくは方法の実行に用いられる製造、供給源、もしくは成分の純度の違いによって;及び類似の考慮事項によって生じ得る、数値的量のバリエーションを意味する。「約」という用語は、特定の初期濃度を有する組成物または混合物が老化することによって相違する量も包含する。「約」という用語は、特定の初期濃度を有する組成物または混合物を混合または処理することによって相違する量も包含する。「約」という用語で修飾されているかどうかにかかわらず、請求項は、その量の等価物を含む。いくつかの実施形態では、「約」という用語は、示された数または範囲よりも約10~20%多いまたは少ない範囲を意味する。さらなる実施形態では、「約」とは、示された数または範囲の±10%を意味する。例えば、「約10%」は9%~11%の範囲を示す。
【0064】
「AAV」とはアデノ随伴ウイルス(adeno-associated virus)の省略形であり、このウイルス自体またはその修飾物、派生物、もしくはシュードタイプを意味するように使用することができる。当該用語は、別段に要求される場合を除いて、すべてのサブタイプ、ならびに天然の形態及び組換え形態両方を包含する。省略形「rAAV」とは、組換えアデノ随伴ウイルスを意味する。「AAV」という用語は、1型AAV(AAV-1)、2型AAV(AAV-2)、3型AAV(AAV-3)、4型AAV(AAV-4)、5型AAV(AAV-5)、6型AAV(AAV-6)、7型AAV(AAV-7)、8型AAV(AAV-8)、9型AAV(AAV-9)、トリAAV、ウシAAV、イヌAAV、ウマAAV、霊長類AAV、非霊長類AAV、及びヒツジAAV、ならびにこれらの修飾物、派生物、またはシュードタイプを含む。「霊長類AAV」は霊長類に感染するAAVを意味し、「非霊長類AAV」は非霊長類哺乳動物に感染するAAVを意味し、「ウシAAV」はウシ哺乳動物に感染するAAVを意味する、などとなる。
【0065】
AAV粒子に適用される「組換え」とは、AAV粒子が、本質的にAAV粒子とは異なるAAV粒子コンストラクトをもたらす1つ以上の手順の生成物であることを意味する。
【0066】
組換えアデノ随伴ウイルス粒子「rAAV粒子」とは、少なくとも1つのAAVカプシドタンパク質と、異種ポリヌクレオチド(すなわち、野生型AAVゲノム以外のポリヌクレオチド、例えば、哺乳類細胞に送達させる導入遺伝子)を含むカプシド化ポリヌクレオチドrAAVベクターゲノムとから構成されるウイルス粒子を意味する。rAAV粒子は、任意の修飾物、派生物、またはシュードタイプを含めた任意のAAV血清型(例えば、AAV-1、AAV-2、AAV-3、AAV-4、AAV-5、AAV-6、AAV-7、AAV-8、AAV-9、もしくはAAV-10、またはこれらの派生体/修飾物/シュードタイプ)とすることができる。このようなAAV血清型及び派生物/修飾物/シュードタイプ、ならびにこのような血清型/派生物/修飾物/シュードタイプを生成する方法は、当技術分野で公知である(例えば、Asokan et al.,Mol.Ther. 20(4):699-708(2012)を参照)。
【0067】
本開示のrAAV粒子は、任意の血清型、または血清型の任意の組合せ(例えば、2つ以上の血清型を含む(例えば、rAAV2、rAAV8、及びrAAV9粒子のうちの2つ以上を含む)rAAV粒子集団)とすることができる。いくつかの実施形態では、rAAV粒子は、rAAV1、rAAV2、rAAV3、rAAV4、rAAV5、rAAV6、rAAV7、rAAV8、rAAV9、rAAV10、もしくはその他のrAAV粒子、またはこれらの2つ以上の組合せである。いくつかの実施形態では、rAAV粒子は、rAAV8またはrAAV9粒子である。
【0068】
いくつかの実施形態では、rAAV粒子は、AAV-1、AAV-2、AAV-3、AAV-4、AAV-5、AAV-6、AAV-7、AAV-8、AAV-9、AAV-10、AAV-11、AAV-12、AAV-13、AAV-14、AAV-15、及びAAV-16からなる群より選択される血清型、またはこれらの派生物、修飾物、もしくはシュードタイプのAAVカプシドタンパク質を有する。いくつかの実施形態では、rAAV粒子は、AAV-8、AAV-9、またはこれらの派生物、修飾物、もしくはシュードタイプの血清型のAAVカプシドタンパク質を有する。
【0069】
本明細書で使用する場合、「精製すること」、「精製」、「分離」、「分離すること」、「分離」、「単離する」、「単離すること」、または「単離」という用語は、ターゲット生成物と1つ以上の不純物とを含む試料に由来するターゲット生成物、例えば、rAAV粒子とrAAVゲノムの純度を高めることを意味する。典型的には、ターゲット生成物の純度の程度は、試料から少なくとも1つの不純物を(完全にまたは部分的に)除去することによって、高められる。いくつかの実施形態では、試料中のrAAVの純度の程度は、本明細書に記載の方法を使用することにより、試料から1つ以上の不純物を(完全にまたは部分的に)除去することによって増加する。
【0070】
本開示及び請求項で使用する場合、単数形「1つの(a)」「1つの(an)」及び「その(the)」は、文脈による明確な別段の定めがない限り、複数形を含む。
【0071】
諸実施形態が「~を含む」という語を用いて本明細書で説明されている場合は常に、「~からなる」及び/または「本質的に~からなる」という観点から説明されている別の類似の実施形態も提供されるものと理解されたい。また、諸実施形態が「本質的に~からなる」という語を用いて本明細書で説明されている場合は常に、「~からなる」という観点から説明されている別の類似の実施形態も提供されるものと理解されたい。
【0072】
「及び/または」という用語は、本明細書で「A及び/またはB」などの表現で使用される場合、A及びBの両方;AまたはB;A(単独);ならびにB(単独)を含むように意図されている。同様に、「及び/または」という用語は、「A、B、及び/またはC」のような表現で使用される場合、以下の実施形態の各々を包含するように意図されている:A、B、及びC;A、B、またはC;AまたはC;AまたはB;BまたはC;A及びC;A及びB;B及びC;A(単独);B(単独);ならびにC(単独)。
【0073】
本開示の実施形態がマルクーシュグループまたはその他の代替のグループに関して説明される場合、本開示の方法は、全体として挙げられたグループ全体を包含するだけでなく、グループの各メンバーも個別に包含し、メイングループのすべての可能なサブグループも包含し、さらにグループメンバーの1つ以上不在のメイングループも包含する。また、本開示の方法は、本開示の方法におけるグループメンバーのいずれかの1つ以上が明示的に除外されることも想定している。
【0074】
サイズ排除クロマトグラフィーを使用する方法
いくつかの実施形態では、本開示は、サイズ排除クロマトグラフィーを使用して組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)ゲノムを単離する方法を提供する。いくつかの実施形態では、本明細書に開示する方法は、rAAV粒子を含む組成物を、rAAV粒子が変性する条件に供した後、変性したrAAV粒子を含む組成物を、サイズ排除クロマトグラフィーに供することを含む。いくつかの実施形態では、サイズ排除クロマトグラフィーの移動相は、塩、有機溶媒、または界面活性剤を含む。いくつかの実施形態では、移動相は、さらに緩衝剤を含む。いくつかの実施形態では、移動相は、リン酸ナトリウム、塩化ナトリウム、ポリソルベート80、及びメタノールを含む。
【0075】
いくつかの実施形態では、本開示は、サイズ排除クロマトグラフィーを使用して組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)粒子を特性評価する方法を提供する。単離されたrAAV粒子の特性評価には、単離されたrAAV粒子を含む組成物のベクターゲノムサイズ純度の決定、カプシド内のベクターゲノムのフォールディングまたは二次構造の評価、及び単離されたrAAV粒子を含む組成物のベクターゲノム力価(Vg)の決定が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、本明細書に開示する方法は、rAAV粒子を含む組成物を、rAAV粒子が変性する条件に供した後、変性したrAAV粒子を含む組成物を、サイズ排除クロマトグラフィーに供することを含む。いくつかの実施形態では、サイズ排除クロマトグラフィーの移動相は、塩、有機溶媒、または界面活性剤を含む。いくつかの実施形態では、移動相は、さらに緩衝剤を含む。
【0076】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示する組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)ゲノムの単離方法は、(a)rAAV粒子を含む組成物を、rAAV粒子が変性する条件に供し;(b)変性したrAAV粒子を含む組成物を、サイズ排除クロマトグラフィーに供することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に開示する方法は、AAVゲノムを回収することをさらに含む。いくつかの実施形態では、本明細書に開示する方法は、サイズ排除クロマトグラフィーの溶出液中のAAVゲノム濃度を決定することをさらに含む。いくつかの実施形態では、溶出液中のAAVゲノム濃度を、約260nm及び約280nmの一方または両方でのUV吸光度を測定することによって決定する。いくつかの実施形態では、溶出液中のAAVゲノム濃度を、約260nmでのUV吸光度を測定することによって決定する。
【0077】
いくつかの実施形態では、単離されたrAAV粒子を含む組成物のベクターゲノムサイズの純度を決定する方法は、(a)rAAV粒子を含む組成物を、rAAV粒子が変性する条件に供し;(b)変性したrAAV粒子を含む組成物を、サイズ排除クロマトグラフィーに供し;そして(c)サイズ排除クロマトグラフィーの溶出液中のAAVゲノム濃度を決定することを含む。いくつかの実施形態では、溶出液中のAAVゲノム濃度を、約260nm及び約280nmの一方または両方でのUV吸光度を測定することによって決定する。いくつかの実施形態では、溶出液中のAAVゲノム濃度を、約260nmでのUV吸光度を測定することによって決定する。いくつかの実施形態では、本明細書に開示する方法は、rAAV粒子を含む組成物のベクターゲノムサイズ純度を決定することをさらに含む。いくつかの実施形態では、ベクターゲノムサイズの純度を、UV吸収曲線の相対的なピーク面積を分析することによって決定する。
【0078】
いくつかの実施形態では、カプシド内のベクターゲノムのフォールディングまたは二次構造を評価する方法は、(a)rAAV粒子を含む組成物を、rAAV粒子が変性する条件に供し;(b)変性したrAAV粒子を含む組成物を、サイズ排除クロマトグラフィーに供し;そして(c)サイズ排除クロマトグラフィーの溶出液中のAAVゲノム濃度を決定することを含む。
【0079】
いくつかの実施形態では、単離されたrAAV粒子を含む組成物のベクターゲノム力価(Vg)を決定する方法は、(a)rAAV粒子を含む組成物を、rAAV粒子が変性する条件に供し;(b)変性したrAAV粒子を含む組成物を、サイズ排除クロマトグラフィーに供し;そして(c)サイズ排除クロマトグラフィーの溶出液中のAAVゲノム濃度を決定することを含む。いくつかの実施形態では、溶出液中のAAVゲノム濃度を、約260nm及び約280nmの一方または両方でのUV吸光度を測定することによって決定する。いくつかの実施形態では、溶出液中のAAVゲノム濃度を、約260nmでのUV吸光度を測定することによって決定する。いくつかの実施形態では、本明細書に開示する方法は、rAAV粒子を含む組成物のベクターゲノム力価(Vg)を決定することをさらに含む。
【0080】
いくつかの実施形態では、単離されたrAAV粒子を含む組成物を特性評価する方法は、(a)rAAV粒子を含む組成物を、rAAV粒子が変性する条件に供し;(b)変性したrAAV粒子を含む組成物を、サイズ排除クロマトグラフィーに供し;そして(c)サイズ排除クロマトグラフィーの溶出液中のAAVゲノム濃度を決定することを含む。いくつかの実施形態では、溶出液中のAAVゲノム濃度を、約260nm及び約280nmの一方または両方でのUV吸光度を測定することによって決定する。いくつかの実施形態では、溶出液中のAAVゲノム濃度を、約260nmでのUV吸光度を測定することによって決定する。いくつかの実施形態では、本明細書に開示する方法は、rAAV粒子を含む組成物の特性を決定することをさらに含む。
【0081】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示する方法は、rAAV粒子を含む組成物を、rAAV粒子が変性する条件に供することを含む。rAAVカプシドポリペプチドを変性させることができる当業者に公知の任意の方法を使用して、本明細書に開示する方法を実施することができる。いくつかの実施形態では、rAAVカプシドポリペプチドを変性させるためのプロセスはまた、rAAVゲノムも変性させることができる。いくつかの実施形態では、rAAV粒子の変性は、rAAV粒子を含む組成物を、rAAVゲノムが変性する条件に供することを含む。いくつかの実施形態では、rAAV粒子の変性は、rAAV粒子を含む組成物を、rAAVカプシドポリペプチドとrAAVゲノムの両方が変性する条件に供することを含む。いくつかの実施形態では、rAAV粒子の変性は、rAAV粒子を含む組成物を、例えば、約65℃~約95℃の温度でインキュベートすることによって、rAAV粒子を熱に曝露することを含む。いくつかの実施形態では、インキュベーション温度は、約70℃~約90℃、約75℃~約85℃、または約80℃~約85℃である。いくつかの実施形態では、インキュベーション温度は、約70℃~約90℃である。いくつかの実施形態では、インキュベーション温度は、約75℃~約85℃である。いくつかの実施形態では、インキュベーション温度は、約80℃~約85℃である。いくつかの実施形態では、rAAV粒子の変性は、それらをカオトロピック剤に曝露することを含む。いくつかの実施形態では、rAAV粒子の変性は、それらを界面活性剤に曝露することを含む。いくつかの実施形態では、rAAV粒子の変性は、それらを、熱、カオトロピック剤、及び界面活性剤のうちの少なくとも2つに曝露することを含む。いくつかの実施形態では、rAAV粒子の変性は、それらを、界面活性剤の存在下で熱に曝露することを含む。
【0082】
いくつかの実施形態では、rAAV粒子の変性は、dsDNAのSECシグナルを実質的に最大化する条件に、粒子を曝露することを含む。いくつかの実施形態では、rAAV粒子の変性は、同じrAAV粒子を含む参照組成物のdsDNAのSECシグナルを実質的に最大化する条件に、粒子を曝露することを含む。rAAV組成物のdsDNAのSECシグナルを実質的に最大化する変性条件は、本明細書に開示する方法を使用して、例えば、異なる変性条件に供した試料のDNAのSEC特性を分析することによって決定することができる。
【0083】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示する方法を使用して決定されるrAAV組成物の断片DNA含有率(%)は、AUCによって決定される同じ組成物の充填不完全なカプシドの割合(%)と相関する。いくつかの実施形態では、本明細書に開示する方法を使用して決定される断片DNA含有率(%)と、AUCによって決定される充填不完全なカプシドの割合(%)とは、その2つの値の差が、約1未満、約2未満、約3未満、約4未満、約5未満、または約10未満の場合に、相関する。いくつかの実施形態では、本明細書に開示する方法を使用して決定される断片DNA含有率(%)と、AUCによって決定される充填不完全なカプシドの割合(%)とは、その2つの値の差が約1未満である場合に相関する。いくつかの実施形態では、本明細書に開示する方法を使用して決定される断片DNA含有率(%)と、AUCによって決定される充填不完全なカプシドの割合(%)とは、その2つの値の差が約3未満である場合に相関する。いくつかの実施形態では、本明細書に開示する方法を使用して決定される断片DNA含有率(%)と、AUCによって決定される充填不完全なカプシドの割合(%)とは、その2つの値の差が約5未満である場合に相関する。いくつかの実施形態では、rAAV粒子の変性は、rAAV粒子を含む組成物を、本明細書に開示する方法を使用して決定される断片DNA含有率(%)(これは、AUCによって決定される同じ組成物の充填不完全なカプシドの割合(%)と相関する)をもたらす条件に供することを含む。
【0084】
本明細書に開示する方法のいくつかの実施形態では、rAAV粒子の変性は、それらを熱に曝露することを含む。本明細書に開示するように、AAV粒子を変性させるために使用する熱変性条件は、その後に得られるDNA-SEC特性に影響を与える。例えば、試料中の実質的にすべてのウイルスゲノムを変性させない温度を使用することによる次善の熱変性を行うことにより、dsDNAのSECシグナルを低下させ、ssDNAのSECシグナルを生じさせることができる。熱変性温度を上げて試料中の実質的にすべてのウイルスゲノムの変性を達成することにより、dsDNAのSECシグナルを増加させ、ssDNAのSECシグナルを低下させるか、または排除することができる。例えば、試料中の実質的にすべてのウイルスゲノムを変性させるために必要な最低温度を上回る温度を使用することによる過度の熱変性は、dsDNAのSECシグナルの損失を招き得る。いかなる特定の理論にも制限されるものではないが、過度の熱変性は、物質の損失及び/または人工的なDNA断片の作出を引き起こし得る。過度の熱変性によるdsDNAのSECシグナルの損失は、ベクター配列とDNAコンストラクトの設計に関連している可能性がある。その結果、最適な熱変性条件は、異なるrAAV粒子を含む異なる組成物間で様々に異なる可能性がある。いくつかの実施形態では、rAAV粒子の変性は、同じrAAV粒子を含む参照組成物のdsDNAのSECシグナルを実質的に最大化する条件下で、粒子を熱変性に曝露することを含む。rAAV組成物のdsDNAのSECシグナルを実質的に最大化する熱変性条件は、本明細書に開示する方法を使用して、例えば、異なる熱変性条件に供した試料のDNAのSEC特性を分析することによって決定することができる。いくつかの実施形態では、rAAV粒子の変性は、同じrAAV粒子を含む参照組成物のdsDNAのSECシグナルを実質的に最大化する温度の5℃以内の温度で、rAAV粒子を含む組成物をインキュベートすることを含む。いくつかの実施形態では、rAAV粒子の変性は、同じrAAV粒子を含む参照組成物のdsDNAのSECシグナルを実質的に最大化する温度の10℃以内の温度で、rAAV粒子を含む組成物をインキュベートすることを含む。いくつかの実施形態では、rAAV粒子の変性は、同じrAAV粒子を含む参照組成物のdsDNAのSECシグナルを実質的に最大化する温度の15℃以内の温度で、rAAV粒子を含む組成物をインキュベートすることを含む。
【0085】
いくつかの実施形態では、rAAV粒子の変性は、同じrAAV粒子を含む参照組成物中の実質的にすべてのウイルスゲノムを変性させるために必要な最低温度で、rAAV粒子を含む組成物をインキュベートすることを含む。いくつかの実施形態では、rAAV粒子の変性は、同じrAAV粒子を含む参照組成物中の実質的にすべてのウイルスゲノムを変性させるために必要な最低温度より5℃以内で上回る温度で、rAAV粒子を含む組成物をインキュベートすることを含む。いくつかの実施形態では、rAAV粒子の変性は、同じrAAV粒子を含む参照組成物中の実質的にすべてのウイルスゲノムを変性させるために必要な最低温度より10℃以内で上回る温度で、rAAV粒子を含む組成物をインキュベートすることを含む。いくつかの実施形態では、rAAV粒子の変性は、同じrAAV粒子を含む参照組成物中の実質的にすべてのウイルスゲノムを変性させるために必要な最低温度より15℃以内で上回る温度で、rAAV粒子を含む組成物をインキュベートすることを含む。
【0086】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示する方法を使用して決定されるrAAV組成物の断片DNA含有率(%)は、AUCによって決定される同じ組成物の充填不完全なカプシドの割合(%)と相関する。いくつかの実施形態では、本明細書に開示する方法を使用して決定される断片DNA含有率(%)と、AUCによって決定される充填不完全なカプシドの割合(%)とは、その2つの値の差が、約1未満、約2未満、約3未満、約4未満、約5未満、または約10未満の場合に、相関する。いくつかの実施形態では、本明細書に開示する方法を使用して決定される断片DNA含有率(%)と、AUCによって決定される充填不完全なカプシドの割合(%)とは、その2つの値の差が約1未満である場合に相関する。いくつかの実施形態では、本明細書に開示する方法を使用して決定される断片DNA含有率(%)と、AUCによって決定される充填不完全なカプシドの割合(%)とは、その2つの値の差が約3未満である場合に相関する。いくつかの実施形態では、本明細書に開示する方法を使用して決定される断片DNA含有率(%)と、AUCによって決定される充填不完全なカプシドの割合(%)とは、その2つの値の差が約5未満である場合に相関する。いくつかの実施形態では、rAAV粒子の変性は、rAAV粒子を含む組成物を、本明細書に開示する方法を使用して決定される断片DNA含有率(%)(これは、AUCによって決定される同じ組成物の充填不完全なカプシドの割合(%)と相関する)をもたらす条件下で、熱変性に供することを含む。いくつかの実施形態では、rAAV粒子の変性は、本明細書に開示する方法を使用して決定される断片DNA含有率(%)(これは、AUCによって決定される同じ組成物の充填不完全なカプシドの割合(%)と相関する)をもたらす温度の5℃以内の温度で、rAAV粒子を含む組成物をインキュベートすることを含む。いくつかの実施形態では、rAAV粒子の変性は、本明細書に開示する方法を使用して決定される断片DNA含有率(%)(これは、AUCによって決定される同じ組成物の充填不完全なカプシドの割合(%)と相関する)をもたらす温度の10℃以内の温度で、rAAV粒子を含む組成物をインキュベートすることを含む。いくつかの実施形態では、rAAV粒子の変性は、本明細書に開示する方法を使用して決定される断片DNA含有率(%)(これは、AUCによって決定される同じ組成物の充填不完全なカプシドの割合(%)と相関する)をもたらす温度の15℃以内の温度で、rAAV粒子を含む組成物をインキュベートすることを含む。
【0087】
いくつかの実施形態では、rAAV粒子の変性は、rAAV粒子を含む組成物を、約65℃~約95℃の温度でインキュベートすることを含む。いくつかの実施形態では、rAAV粒子の変性は、rAAV粒子を含む組成物を、約65℃~約95℃の温度で、5分間~60分間インキュベートすることを含む。いくつかの実施形態では、rAAV粒子の変性は、rAAV粒子を含む組成物を、界面活性剤の存在下で、約65℃~約95℃の温度でインキュベートすることを含む。いくつかの実施形態では、rAAV粒子の変性は、rAAV粒子を含む組成物を、界面活性剤の存在下で、約65℃~約95℃の温度で、5分間~60分間インキュベートすることを含む。いくつかの実施形態では、界面活性剤はSDSである。いくつかの実施形態では、界面活性剤は、約0.005%~約0.5%の濃度のSDSである。いくつかの実施形態では、界面活性剤は、約0.05%の濃度のSDSである。いくつかの実施形態では、界面活性剤は、ポリソルベート20、ポリソルベート80、またはPluronic F-68である。いくつかの実施形態では、インキュベーション温度は、約70℃~約90℃、約75℃~約85℃、または約80℃~約85℃である。いくつかの実施形態では、インキュベーション温度は、約70℃~約90℃である。いくつかの実施形態では、インキュベーション温度は、約75℃~約85℃である。いくつかの実施形態では、インキュベーション温度は、約80℃~約85℃である。
【0088】
いくつかの実施形態では、rAAV粒子の変性は、rAAV粒子を含む組成物を、約70℃、約75℃、約80℃、約85℃、または約90℃で、約5分間~60分間インキュベートすることを含む。いくつかの実施形態では、rAAV粒子の変性は、組成物を、約65℃で約5分間~60分間インキュベートすることを含む。いくつかの実施形態では、rAAV粒子の変性は、組成物を、約70℃で約5分間~60分間インキュベートすることを含む。いくつかの実施形態では、rAAV粒子の変性は、組成物を、約75℃で約5分間~60分間インキュベートすることを含む。いくつかの実施形態では、rAAV粒子の変性は、組成物を、約80℃で約5分間~60分間インキュベートすることを含む。いくつかの実施形態では、rAAV粒子の変性は、組成物を、約85℃で約5分間~60分間インキュベートすることを含む。いくつかの実施形態では、rAAV粒子の変性は、組成物を、約90℃で約5分間~60分間インキュベートすることを含む。いくつかの実施形態では、rAAV粒子の変性は、組成物を、約95℃で約5分間~60分間インキュベートすることを含む。いくつかの実施形態では、組成物を、約5分間インキュベートする。いくつかの実施形態では、組成物を、約10分間インキュベートする。いくつかの実施形態では、組成物を、約15分間インキュベートする。いくつかの実施形態では、組成物を、約20分間インキュベートする。いくつかの実施形態では、組成物を、約25分間インキュベートする。いくつかの実施形態では、組成物を、約30分間インキュベートする。いくつかの実施形態では、組成物を、約35分間インキュベートする。いくつかの実施形態では、組成物を、約40分間インキュベートする。いくつかの実施形態では、組成物を、約45分間インキュベートする。いくつかの実施形態では、組成物を、約50分間インキュベートする。いくつかの実施形態では、組成物を、約55分間インキュベートする。いくつかの実施形態では、組成物を、約60分間インキュベートする。いくつかの実施形態では、組成物を、界面活性剤の存在下でインキュベートする。いくつかの実施形態では、組成物を、SDSの存在下でインキュベートする。いくつかの実施形態では、組成物を、ポリソルベート20、ポリソルベート80、またはPluronic F-68の存在下でインキュベートする。いくつかの実施形態では、組成物を、約0.005%~約0.5%の濃度のSDSの存在下でインキュベートする。いくつかの実施形態では、組成物を、約0.05%の濃度のSDSの存在下でインキュベートする。
【0089】
いくつかの実施形態では、rAAV粒子の変性は、rAAV粒子を界面活性剤に曝露することを含む。いくつかの実施形態では、界面活性剤は変性界面活性剤である。いくつかの実施形態では、界面活性剤はアニオン性変性界面活性剤である。いくつかの実施形態では、界面活性剤はカチオン性変性界面活性剤である。いくつかの実施形態では、界面活性剤は、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)またはエチルトリメチルアンモニウムブロミド(ETMAB)である。いくつかの実施形態では、界面活性剤はドデシル硫酸ナトリウム(SDS)である。いくつかの実施形態では、rAAV粒子の変性は、rAAV粒子を約0.005%~約0.5%の界面活性剤に曝露することを含む。いくつかの実施形態では、rAAV粒子の変性は、rAAV粒子を約0.05%の界面活性剤に曝露することを含む。いくつかの実施形態では、rAAV粒子の変性は、rAAV粒子を約0.005%~約0.5%のSDSに曝露することを含む。いくつかの実施形態では、rAAV粒子の変性は、rAAV粒子を約0.05%のSDSに曝露することを含む。いくつかの実施形態では、rAAV粒子の変性は、rAAV粒子を約0.005%~約0.5%のETMABに曝露することを含む。いくつかの実施形態では、rAAV粒子の変性は、rAAV粒子を約0.05%のETMABに曝露することを含む。
【0090】
いくつかの実施形態では、rAAV粒子の変性は、rAAV粒子を界面活性剤に曝露することを含む。いくつかの実施形態では、界面活性剤は、ポリソルベート20、ポリソルベート80、またはPluronic(登録商標)F-68である。いくつかの実施形態では、rAAV粒子の変性は、rAAV粒子を約0.005%~約0.5%の界面活性剤に曝露することを含む。
【0091】
いくつかの実施形態では、rAAV粒子の変性は、rAAV粒子を界面活性剤に曝露し、rAAV粒子を含む組成物を、約65℃~約95℃の温度でインキュベートすることを含む。いくつかの実施形態では、界面活性剤は、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)またはエチルトリメチルアンモニウムブロミド(ETMAB)である。いくつかの実施形態では、界面活性剤はドデシル硫酸ナトリウム(SDS)である。いくつかの実施形態では、rAAV粒子の変性は、rAAV粒子を約0.005%~約0.5%の界面活性剤に曝露することを含む。いくつかの実施形態では、rAAV粒子の変性は、rAAV粒子を約0.05%の界面活性剤に曝露することを含む。いくつかの実施形態では、rAAV粒子の変性は、rAAV粒子を約0.005%~約0.5%のSDSに曝露することを含む。いくつかの実施形態では、rAAV粒子の変性は、rAAV粒子を約0.05%のSDSに曝露することを含む。いくつかの実施形態では、rAAV粒子の変性は、rAAV粒子を約0.005%~約0.5%のETMABに曝露することを含む。いくつかの実施形態では、rAAV粒子の変性は、rAAV粒子を約0.05%のETMABに曝露することを含む。いくつかの実施形態では、インキュベーション温度は、約70℃~約90℃、約75℃~約85℃、または約80℃~約85℃である。いくつかの実施形態では、インキュベーション温度は、約70℃~約90℃である。いくつかの実施形態では、インキュベーション温度は、約75℃~約85℃である。いくつかの実施形態では、インキュベーション温度は、約80℃~約85℃である。
【0092】
いくつかの実施形態では、rAAV粒子の変性は、rAAV粒子をカオトロピック剤に曝露することを含む。いくつかの実施形態では、カオトロピック剤は、塩酸グアニジン、過塩素酸リチウム、フェノール、チオ尿素、尿素、またはそれらの組合せを含む。
【0093】
いくつかの実施形態では、rAAV粒子の変性は、rAAV粒子をカオトロピック剤に曝露し、rAAV粒子を含む組成物を、約65℃~約95℃の温度でインキュベートすることを含む。いくつかの実施形態では、カオトロピック剤は、塩酸グアニジン、過塩素酸リチウム、フェノール、チオ尿素、尿素、またはそれらの組合せを含む。いくつかの実施形態では、インキュベーション温度は、約70℃~約90℃、約75℃~約85℃、または約80℃~約85℃である。いくつかの実施形態では、インキュベーション温度は、約70℃~約90℃である。いくつかの実施形態では、インキュベーション温度は、約75℃~約85℃である。いくつかの実施形態では、インキュベーション温度は、約80℃~約85℃である。
【0094】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示する方法は、rAAV粒子を含む組成物を、rAAV粒子が変性する条件に供することを含む。いくつかの実施形態では、試料中の実質的にすべてのウイルス粒子を、変性プロセスによって変性させる。いくつかの実施形態では、試料中のウイルス粒子の少なくとも約95%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%を、変性プロセスによって変性させる。
【0095】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示する方法は、変性したrAAV粒子を含む組成物を、サイズ排除クロマトグラフィーに供することを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、変性したカプシドポリペプチドを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、非変性のrAAV粒子を実質的に含まない。いくつかの実施形態では、組成物中のカプシドポリペプチドの約5%未満、約3%未満、約2%未満、または約1%未満が、非変性rAAV粒子の一部である。
【0096】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示する方法は、変性したrAAV粒子を含む組成物を、サイズ排除クロマトグラフィーに供することを含む。いくつかの実施形態では、変性したrAAV粒子を含む組成物をサイズ排除クロマトグラフィーに供することは、組成物をサイズ排除クロマトグラフィー樹脂と接触させることを含む。ウイルスゲノム断片から完全長ウイルスゲノムを分離するのに適した任意のサイズ排除クロマトグラフィー樹脂を使用することができる。いくつかの実施形態では、サイズ排除クロマトグラフィー樹脂は、シリカ粒子(例えば、Yarra SEC樹脂及びSepax SRT SEC樹脂)、アリルデキストランとN,N’-メチレンビスアクリルアミドの架橋コポリマー(例えば、Sephacryl(登録商標))、または架橋されたビーズ状のアガロース(例えば、Sepharose(登録商標)、Superose(登録商標)、及びSuperdex(登録商標))を含む。いくつかの実施形態では、サイズ排除クロマトグラフィー樹脂は、シリカ粒子を含む。いくつかの実施形態では、サイズ排除クロマトグラフィー樹脂は、高純度の、機械的安定性を強化されたシリカ上に化学結合した、均一、親水性、かつ中性のナノメートル厚のフィルムを含む。いくつかの実施形態では、サイズ排除クロマトグラフィー樹脂は、約50nm~約500nmの公称孔径を備える。いくつかの実施形態では、サイズ排除クロマトグラフィー樹脂は、約50nmの公称孔径を備える。いくつかの実施形態では、サイズ排除クロマトグラフィー樹脂は、約100nmの公称孔径を備える。いくつかの実施形態では、サイズ排除クロマトグラフィー樹脂は、約200nmの公称孔径を備える。いくつかの実施形態では、サイズ排除クロマトグラフィー樹脂は、約300nmの公称孔径を備える。いくつかの実施形態では、サイズ排除クロマトグラフィー樹脂は、約400nmの公称孔径を備える。いくつかの実施形態では、サイズ排除クロマトグラフィー樹脂は、約500nmの公称孔径を備える。
【0097】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示する方法は、変性したrAAV粒子を含む組成物を、サイズ排除クロマトグラフィーに供することを含む。いくつかの実施形態では、サイズ排除クロマトグラフィーは、高速液体クロマトグラフィーまたは超高速液体クロマトグラフィーシステムの使用を含む。いくつかの実施形態では、サイズ排除クロマトグラフィーは、超高速液体クロマトグラフィーシステムの使用を含む。いくつかの実施形態では、サイズ排除クロマトグラフィーは、高速液体クロマトグラフィーシステムの使用を含む。
【0098】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示する方法は、変性したrAAV粒子を含む組成物を、サイズ排除クロマトグラフィーに供することを含み、サイズ排除クロマトグラフィーの移動相は、塩、有機溶媒、及び界面活性剤のうちの1つ以上を含む。いくつかの実施形態では、移動相は、塩、有機溶媒、及び界面活性剤を含む。
【0099】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示する方法は、変性したrAAV粒子を含む組成物を、サイズ排除クロマトグラフィーに供することを含み、サイズ排除クロマトグラフィーの移動相は、緩衝剤、塩、有機溶媒、及び界面活性剤のうちの1つ以上を含む。いくつかの実施形態では、移動相は、緩衝剤、塩、有機溶媒、及び界面活性剤を含む。
【0100】
いくつかの実施形態では、移動相は、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、ルビジウム塩、セシウム塩、マグネシウム塩、またはそれらの混合物を含む。いくつかの実施形態では、移動相は、ナトリウム塩を含む。いくつかの実施形態では、移動相は、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、またはそれらの混合物を含む。いくつかの実施形態では、移動相は、塩化ナトリウムを含む。いくつかの実施形態では、移動相は、塩化ナトリウム、酢酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム、またはそれらの混合物を含む。
【0101】
いくつかの実施形態では、移動相は、約100mM~約500mMの塩を含む。いくつかの実施形態では、移動相は、約100mM~約400mMの塩を含む。いくつかの実施形態では、移動相は、約200mM~約500mMの塩を含む。いくつかの実施形態では、移動相は、約200mM~約400mMの塩を含む。いくつかの実施形態では、塩は、ナトリウム塩を含む。いくつかの実施形態では、塩は、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、またはそれらの混合物を含む。いくつかの実施形態では、塩は、塩化ナトリウムを含む。
【0102】
いくつかの実施形態では、移動相は、約100mM、約150mM、約200mM、約250mM、約300mM、約350mM、約400mM、約450mM、または約500mMの塩を含む。いくつかの実施形態では、移動相は、約100mMの塩を含む。いくつかの実施形態では、移動相は、約200mMの塩を含む。いくつかの実施形態では、移動相は、約250mMの塩を含む。いくつかの実施形態では、移動相は、約300mMの塩を含む。いくつかの実施形態では、移動相は、約350mMの塩を含む。いくつかの実施形態では、移動相は、約400mMの塩を含む。いくつかの実施形態では、移動相は、約500mMの塩を含む。いくつかの実施形態では、塩は、ナトリウム塩を含む。いくつかの実施形態では、塩は、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、またはそれらの混合物を含む。いくつかの実施形態では、塩は、塩化ナトリウムを含む。
【0103】
いくつかの実施形態では、移動相は、緩衝剤を含む。緩衝剤は当技術分野で周知であり、限定されないが、リン酸緩衝液、ヒスチジン、クエン酸ナトリウム、HEPES、MES、トリス、ビス-トリス、MOPS、TES、ビシン、グリシン、トリシン、N-グリシルグリシン、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、グリシルグリシン、リジン、アルギニン、リン酸ナトリウム、及びそれらの混合物が含まれる。いくつかの実施形態では、緩衝剤は、リン酸緩衝液を含む。いくつかの実施形態では、緩衝剤は、トリスを含む。
【0104】
いくつかの実施形態では、移動相は、約1mM~約50mMの緩衝剤を含む。いくつかの実施形態では、移動相は、約1mM~約30mM、約1mM~約20mM、約5mM~約30mM、約5mM~約20mM、約10mM~約30mM、約10mM~約20mM、または約20mM~約50mMの緩衝剤を含む。いくつかの実施形態では、移動相は、約1mM、約2mM、約3mM、約5mM、約10mM、約15mM、約20mM、約25mM、約30mM、または約40mMの緩衝剤を含む。いくつかの実施形態では、移動相は、約10mMの緩衝剤を含む。いくつかの実施形態では、緩衝剤は、リン酸緩衝液を含む。いくつかの実施形態では、緩衝剤は、トリスを含む。
【0105】
いくつかの実施形態では、移動相は、約1mM~約50mMのリン酸ナトリウムを含む。いくつかの実施形態では、移動相は、約1mM~約30mM、約1mM~約20mM、約5mM~約30mM、約5mM~約20mM、約10mM~約30mM、約10mM~約20mM、または約20mM~約50mMのリン酸ナトリウムを含む。いくつかの実施形態では、移動相は、約1mM、約2mM、約3mM、約5mM、約10mM、約15mM、約20mM、約25mM、約30mM、または約40mMのリン酸ナトリウムを含む。いくつかの実施形態では、移動相は、約5mMのリン酸ナトリウムを含む。
【0106】
いくつかの実施形態では、移動相は、約6.0~8.5のpHを有する。いくつかの実施形態では、移動相は、約6.0~7.0のpHを有する。いくつかの実施形態では、移動相は、約7.0~8.0のpHを有する。いくつかの実施形態では、移動相は、約8.0~8.5のpHを有する。いくつかの実施形態では、移動相は、約7.2~7.8のpHを有する。
【0107】
いくつかの実施形態では、移動相は、約7.2のpHを有する。いくつかの実施形態では、移動相は、約7.3のpHを有する。いくつかの実施形態では、移動相は、約7.4のpHを有する。いくつかの実施形態では、移動相は、約7.5のpHを有する。いくつかの実施形態では、移動相は、約7.6のpHを有する。いくつかの実施形態では、移動相は、約7.7のpHを有する。いくつかの実施形態では、移動相は、約7.8のpHを有する。
【0108】
いくつかの実施形態では、移動相は、約7.0のpHを有する。いくつかの実施形態では、移動相は、約7.1のpHを有する。いくつかの実施形態では、移動相は、約7.4のpHを有する。いくつかの実施形態では、移動相は、約7.9のpHを有する。いくつかの実施形態では、移動相は、約8.0のpHを有する。
【0109】
いくつかの実施形態では、移動相は、約7.5のpHを有する。
【0110】
いくつかの実施形態では、移動相は、界面活性剤を含む。いくつかの実施形態では、界面活性剤は変性界面活性剤である。いくつかの実施形態では、界面活性剤は非変性界面活性剤である。許容される界面活性剤として、限定されないが、ポロキサマー188、ポロキサマー407、ポリソルベート80、ポリソルベート20、Pluronic F-68、またはBRIJ 35が挙げられる。いくつかの実施形態では、移動相は、ポロキサマー188、ポロキサマー407、ポリソルベート80、ポリソルベート20、Pluronic F-68、BRIJ 35、またはこれらの組合せを含む。いくつかの実施形態では、移動相は、ポリソルベート80を含む。
【0111】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示する方法は、rAAV粒子を第1の界面活性剤に曝露し、変性したrAAV粒子をサイズ排除クロマトグラフィーに供することを含むプロセスによってrAAV粒子を変性させることを含み、サイズ排除クロマトグラフィーの移動相は、第2の界面活性剤を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に開示する方法は、(a)rAAV粒子を第1の界面活性剤に曝露し、rAAV粒子を含む組成物を約65℃~約95℃の温度でインキュベートすることを含むプロセスによって、rAAV粒子を変性させ、(b)変性したrAAV粒子をサイズ排除クロマトグラフィーに供することを含み、サイズ排除クロマトグラフィーの移動相は、第2の界面活性剤を含む。いくつかの実施形態では、インキュベーション温度は、約70℃~約90℃、約75℃~約85℃、または約80℃~約85℃である。いくつかの実施形態では、インキュベーション温度は、約70℃~約90℃である。いくつかの実施形態では、インキュベーション温度は、約75℃~約85℃である。いくつかの実施形態では、インキュベーション温度は、約80℃~約85℃である。いくつかの実施形態では、第1及び第2の界面活性剤は、同じ界面活性剤を含む。いくつかの実施形態では、第1及び第2の界面活性剤は、異なる界面活性剤を含む。いくつかの実施形態では、第1の界面活性剤は変性界面活性剤を含み、第2の界面活性剤は非変性界面活性剤を含む。いくつかの実施形態では、第1の界面活性剤はSDSを含み、第2の界面活性剤は非変性界面活性剤を含む。いくつかの実施形態では、第1の界面活性剤はSDSを含み、第2の界面活性剤はポリソルベート80を含む。
【0112】
いくつかの実施形態では、移動相は、約0.001%~約5%の界面活性剤を含む。いくつかの実施形態では、移動相は、約0.05%~約2%の界面活性剤を含む。いくつかの実施形態では、移動相は、約0.05%~約2%の界面活性剤を含む。いくつかの実施形態では、移動相は、約0.01%~約1%の界面活性剤を含む。いくつかの実施形態では、移動相は、約0.01%、約0.05%、約0.1%、約0.2%、約0.3%、約0.4%、約0.5%、約0.6%、約0.6%、約0.8%、または約0.9%の界面活性剤を含む。いくつかの実施形態では、界面活性剤は、ポリソルベート80を含む。
【0113】
いくつかの実施形態では、移動相は、約0.001%~約5%のポリソルベート80を含む。いくつかの実施形態では、移動相は、約0.05%~約2%のポリソルベート80を含む。いくつかの実施形態では、移動相は、約0.05%~約2%のポリソルベート80を含む。いくつかの実施形態では、移動相は、約0.01%~約1%のポリソルベート80を含む。いくつかの実施形態では、移動相は、約0.01%、約0.05%、約0.1%、約0.2%、約0.3%、約0.4%、約0.5%、約0.6%、約0.6%、約0.8%、または約0.9%のポリソルベート80を含む。
【0114】
いくつかの実施形態では、移動相は、約0.1%のポリソルベート80を含む。いくつかの実施形態では、移動相は、約0.2%のポリソルベート80を含む。いくつかの実施形態では、移動相は、約0.3%のポリソルベート80を含む。いくつかの実施形態では、移動相は、約0.4%のポリソルベート80を含む。いくつかの実施形態では、移動相は、約0.5%のポリソルベート80を含む。いくつかの実施形態では、移動相は、約0.6%のポリソルベート80を含む。いくつかの実施形態では、移動相は、約0.7%のポリソルベート80を含む。いくつかの実施形態では、移動相は、約0.8%のポリソルベート80を含む。いくつかの実施形態では、移動相は、約0.9%のポリソルベート80を含む。
【0115】
いくつかの実施形態では、移動相は、有機溶媒を含む。許容される有機溶媒として、限定されないが、メタノール、イソプロパノール、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド(DMSO)、テトラヒドロフラン(THF)、トリフルオロエタノール(TFE)、ヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)、またはそれらの組合せが挙げられる。いくつかの実施形態では、移動相は、メタノールを含む。
【0116】
いくつかの実施形態では、移動相は、約5%~約50%の有機溶媒を含む。いくつかの実施形態では、移動相は、約10%~約40%の有機溶媒を含む。いくつかの実施形態では、移動相は、約10%~約30%の有機溶媒を含む。いくつかの実施形態では、移動相は、約10%~約50%の有機溶媒を含む。いくつかの実施形態では、移動相は、約5%~約20%の有機溶媒を含む。いくつかの実施形態では、移動相は、約20%~約50%の有機溶媒を含む。いくつかの実施形態では、移動相は、約20%~約40%の有機溶媒を含む。いくつかの実施形態では、移動相は、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、または約50%の有機溶媒を含む。いくつかの実施形態では、有機溶媒は、メタノールを含む。
【0117】
いくつかの実施形態では、移動相は、約5%~約50%のメタノールを含む。いくつかの実施形態では、移動相は、約10%~約40%のメタノールを含む。いくつかの実施形態では、移動相は、約10%~約30%のメタノールを含む。いくつかの実施形態では、移動相は、約10%~約50%のメタノールを含む。いくつかの実施形態では、移動相は、約5%~約20%のメタノールを含む。いくつかの実施形態では、移動相は、約20%~約50%のメタノールを含む。いくつかの実施形態では、移動相は、約20%~約40%のメタノールを含む。いくつかの実施形態では、移動相は、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、または約50%のメタノールを含む。
【0118】
いくつかの実施形態では、移動相は、約10%のメタノールを含む。いくつかの実施形態では、移動相は、約15%のメタノールを含む。いくつかの実施形態では、移動相は、約20%のメタノールを含む。いくつかの実施形態では、移動相は、約25%のメタノールを含む。いくつかの実施形態では、移動相は、約30%のメタノールを含む。いくつかの実施形態では、移動相は、約35%のメタノールを含む。いくつかの実施形態では、移動相は、約40%のメタノールを含む。
【0119】
いくつかの実施形態では、移動相は、約5mM~約50mMのリン酸ナトリウム、約100mM~約500mMの塩化ナトリウム、約0.01%~約0.5%のポリソルベート80、及び約5%~約50%のメタノールを含み、約6.5~8.5のpHを有する。
【0120】
いくつかの実施形態では、移動相は、約10mMのリン酸ナトリウム、約300mMの塩化ナトリウム、約0.05%のポリソルベート80、及び約20%のメタノールを含み、約7.5のpHを有する。
【0121】
いくつかの実施形態では、本明細書の開示は、(a)rAAV粒子を含む組成物を、rAAV粒子が変性する条件に供し;(b)変性したrAAV粒子を含む組成物を、サイズ排除クロマトグラフィーに供することを含む。いくつかの実施形態では、rAAV粒子を含む組成物は、約2E+10ゲノムコピー/ml~約1E+14ゲノムコピー/mlのrAAV粒子を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、約2.0E+10GC/mL、約1.0E+11GC/mL、約1.0E+12GC/mL、約1.0E+13GC/mL、または約1.0E+14GC/mLのrAAV粒子を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV-11、AAV-12、AAV-13、AAV-14、AAV-15及びAAV-16、AAV.rh8、AAV.rh10、AAV.rh20、AAV.rh39、AAV.Rh74、AAV.RHM4-1、AAV.hu37、AAV.Anc80、AAV.Anc80L65、AAV.7m8、AAV.PHP.B、AAV2.5、AAV2tYF、AAV3B、AAV.LK03、AAV.HSC1、AAV.HSC2、AAV.HSC3、AAV.HSC4、AAV.HSC5、AAV.HSC6、AAV.HSC7、AAV.HSC8、AAV.HSC9、AAV.HSC10、AAV.HSC11、AAV.HSC12、AAV.HSC13、AAV.HSC14、AAV.HSC15、もしくはAAV.HSC16血清型、またはそれらの組合せのカプシドタンパク質を含むrAAV粒子を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、AAV-8血清型、AAV-9血清型、またはそれらの組合せのカプシドタンパク質を含むrAAV粒子を含む。
【0122】
本明細書に開示する方法は、任意のAAVカプシド血清型由来のカプシドタンパク質を含むrAAV粒子に適用することができる。いくつかの実施形態では、rAAV粒子は、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV-11、AAV-12、AAV-13、AAV-14、AAV-15及びAAV-16、AAV.rh8、AAV.rh10、AAV.rh20、AAV.rh39、AAV.Rh74、AAV.RHM4-1、AAV.hu37、AAV.Anc80、AAV.Anc80L65、AAV.7m8、AAV.PHP.B、AAV2.5、AAV2tYF、AAV3B、AAV.LK03、AAV.HSC1、AAV.HSC2、AAV.HSC3、AAV.HSC4、AAV.HSC5、AAV.HSC6、AAV.HSC7、AAV.HSC8、AAV.HSC9、AAV.HSC10、AAV.HSC11、AAV.HSC12、AAV.HSC13、AAV.HSC14、AAV.HSC15、及びAAV.HSC16から選択されるAAVカプシド血清型由来のカプシドタンパク質を含む。いくつかの実施形態では、rAAV粒子は、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV-11、AAV-12、AAV-13、AAV-14、AAV-15及びAAV-16、AAV.rh8、AAV.rh10、AAV.rh20、AAV.rh39、AAV.Rh74、AAV.RHM4-1、AAV.hu37、AAV.Anc80、AAV.Anc80L65、AAV.7m8、AAV.PHP.B、AAV2.5、AAV2tYF、AAV3B、AAV.LK03、AAV.HSC1、AAV.HSC2、AAV.HSC3、AAV.HSC4、AAV.HSC5、AAV.HSC6、AAV.HSC7、AAV.HSC8、AAV.HSC9、AAV.HSC10、AAV.HSC11、AAV.HSC12、AAV.HSC13、AAV.HSC14、AAV.HSC15、またはAAV.HSC16カプシドタンパク質の派生物、修飾物、またはシュードタイプであるカプシドタンパク質を含む。
【0123】
いくつかの実施形態では、rAAV粒子は、AAV-8及びAAV-9から選択されるAAVカプシド血清型由来のカプシドタンパク質を含む。いくつかの実施形態では、rAAV粒子は、AAV-8のAAVカプシド血清型を有する。いくつかの実施形態では、rAAV粒子は、AAV-9のAAVカプシド血清型を有する。
【0124】
いくつかの実施形態では、rAAV粒子は、AAV-8またはAAV-9カプシドタンパク質の派生物、修飾物、またはシュードタイプであるカプシドタンパク質を含む。いくつかの実施形態では、rAAV粒子は、AAV-8カプシドタンパク質のVP1、VP2及び/またはVP3配列に対して少なくとも80%以上同一である、例えば、85%、85%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%など、すなわち、最大100%同一であるAAV-8カプシドタンパク質を有する、カプシドタンパク質を含む。
【0125】
いくつかの実施形態では、rAAV粒子は、AAV-9カプシドタンパク質の派生物、修飾物、またはシュードタイプであるカプシドタンパク質を含む。いくつかの実施形態では、フィード組成物中のrAAV粒子は、AAV-9カプシドタンパク質のVP1、VP2、及び/またはVP3配列に対して少なくとも80%以上同一である、例えば、85%、85%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%など、すなわち、最大100%同一であるAAV-9カプシドタンパク質を有する、カプシドタンパク質を含む。
【0126】
さらなる実施形態では、rAAV粒子は、モザイクカプシドを含む。さらなる実施形態では、rAAV粒子は、シュードタイプのrAAV粒子を含む。さらなる実施形態では、rAAV粒子は、2つ以上のAAVカプシド血清型のカプシドタンパク質キメラを含むカプシドを含む。
【0127】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示する方法は、ベクターゲノムサイズの純度を決定し、カプシド内のベクターゲノムのフォールディングまたは二次構造を評価し、及び/またはrAAV粒子を含む組成物のベクターゲノム力価(Vg)を決定することを含む。rAAV粒子を含む組成物のこれらの特性を、本明細書に開示する方法を使用して得られるUV吸光度測定値から決定するための方法は、例えば、参照によりその全体が本明細書に援用されるWO2019/212922に開示されるように、当業者に公知である。
【0128】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示する方法を、改変されたプロセスによって生成されるrAAV粒子の品質を迅速に評価することによって、製品開発及びプロセス最適化をサポートするために使用する。いくつかの実施形態では、本明細書に開示する方法は、改変されたプロセスによって生成されるrAAV粒子の品質に対するプロセス改変の効果を判定することを含む。いくつかの実施形態では、rAAV粒子の品質を、rAAV粒子における断片化DNAの割合(%)を決定することによって評価する。
【0129】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示する方法を使用して、rAAV製造プロセスの異なる段階でのrAAV粒子の品質を評価する。例えば、本明細書に開示する方法を使用して、細胞培養物の回収、回収した細胞培養物の清澄化(例えば、遠心分離または深層濾過による)、タンジェンシャルフロー濾過、アフィニティークロマトグラフィー、アニオン交換クロマトグラフィー、カチオン交換クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、及び滅菌濾過後のrAAV粒子の品質を評価することができる。いくつかの実施形態では、rAAV粒子の品質の評価は、粒子の断片化DNA含有率(%)を決定することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に開示する方法は、バッチリリース、例えば、バッチリリース試験及び/またはロットリリース試験に適している。いくつかの実施形態では、本明細書に開示する方法を、ロットリリース試験の一部として実施する。
【0130】
rAAV粒子
提供する方法は、任意の単離されたrAAV粒子を含む組成物のベクターゲノムサイズ純度の決定、カプシド内のベクターゲノムのフォールディングまたは二次構造の評価、及び任意の単離されたrAAV粒子を含む組成物のベクターゲノム力価(Vg)の決定を含むがこれらに限定されない、任意の単離された組換えAAV粒子の特性評価に適している。さらに、提供する方法は、任意の単離された組換えAAV粒子から、AAVゲノムを単離するのに適している。そのため、rAAVは、当技術分野で公知の任意の血清型、修飾物、もしくは派生物、またはこれらの任意の組合せ(例えば、2つ以上の血清型を含む(例えば、rAAV2、rAAV8、及びrAAV9粒子のうちの2つ以上を含む)rAAV粒子集団)とすることができる。いくつかの実施形態では、rAAV粒子は、AAV1、AAV2、rAAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7,AAV8、AAV9、AAV10、AAV-11、AAV-12、AAV-13、AAV-14、AAV-15、及びAAV-16、AAV.rh8、AAV.rh10、AAV.rh20、AAV.rh39、AAV.Rh74、AAV.RHM4-1、AAV.hu37、AAV.Anc80、AAV.Anc80L65、AAV.7m8、AAV.PHP.B、AAV2.5、AAV2tYF、AAV3B、AAV.LK03、AAV.HSC1、AAV.HSC2、AAV.HSC3、AAV.HSC4、AAV.HSC5、AAV.HSC6、AAV.HSC7、AAV.HSC8、AAV.HSC9、AAV.HSC10、AAV.HSC11、AAV.HSC12、AAV.HSC13、AAV.HSC14、AAV.HSC15、もしくはAAV.HSC16、または他のrAAV粒子、あるいはこれらのうちの2つ以上の組合せである。
【0131】
いくつかの実施形態では、rAAV粒子は、AAV1、AAV1、AAV2、rAAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV-11、AAV-12、AAV-13、AAV-14、AAV-15、及びAAV-16、AAV.rh8、AAV.rh10、AAV.rh20、AAV.rh39、AAV.Rh74、AAV.RHM4-1、AAV.hu37、AAV.Anc80、AAV.Anc80L65、AAV.7m8、AAV.PHP.B、AAV2.5、AAV2tYF、AAV3B、AAV.LK03、AAV.HSC1、AAV.HSC2、AAV.HSC3、AAV.HSC4、AAV.HSC5、AAV.HSC6、AAV.HSC7、AAV.HSC8、AAV.HSC9、AAV.HSC10、AAV.HSC11、AAV.HSC12、AAV.HSC13、AAV.HSC14、AAV.HSC15、もしくはAAV.HSC16、またはこれらの派生物、修飾物、もしくはシュードタイプから選択されるAAV血清型由来のカプシドタンパク質を有する。いくつかの実施形態では、rAAV粒子は、例えば、AAV1、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV-11、AAV-12、AAV-13、AAV-14、AAV-15、及びAAV-16、AAV.rh8、AAV.rh10、AAV.rh20、AAV.rh39、AAV.Rh74、AAV.RHM4-1、AAV.hu37、AAV.Anc80、rAAV.Anc80L65、AAV.7m8、AAV.PHP.B、AAV2.5、AAV2tYF、AAV3B、AAV.LK03、AAV.HSC1、AAV.HSC2、AAV.HSC3、AAV.HSC4、AAV.HSC5、AAV.HSC6、AAV.HSC7、AAV.HSC8、AAV.HSC9、AAV.HSC10、AAV.HSC11、AAV.HSC12、AAV.HSC13、AAV.HSC14、AAV.HSC15、またはAAV.HSC16から選択されるAAVカプシド血清型のVP1、VP2、及び/またはVP3配列に対して少なくとも80%以上同一である、例えば、85%、85%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%など、すなわち最大100%同一である、カプシドタンパク質を含む。
【0132】
いくつかの実施形態では、rAAV粒子は、AAV1、AAV1、AAV2、rAAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV-11、AAV-12、AAV-13、AAV-14、AAV-15、及びAAV-16、AAV.rh8、AAV.rh10、AAV.rh20、AAV.rh39、AAV.Rh74、AAV.RHM4-1、AAV.hu37、AAV.Anc80、AAV.Anc80L65、AAV.7m8、AAV.PHP.B、AAV2.5、AAV2tYF、AAV3B、AAV.LK03、AAV.HSC1、AAV.HSC2、AAV.HSC3、AAV.HSC4、AAV.HSC5、AAV.HSC6、AAV.HSC7、AAV.HSC8、AAV.HSC9、AAV.HSC10、AAV.HSC11、AAV.HSC12、AAV.HSC13、AAV.HSC14、AAV.HSC15、もしくはAAV.HSC16、またはこれらの派生物、修飾物、もしくはシュードタイプから選択されるAAVカプシド血清型由来のカプシドタンパク質を含む。いくつかの実施形態では、rAAV粒子は、例えば、AAV1、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV-11、AAV-12、AAV-13、AAV-14、AAV-15、及びAAV-16、AAV.rh8、AAV.rh10、AAV.rh20、AAV.rh39、AAV.Rh74、AAV.RHM4-1、AAV.hu37、AAV.Anc80、AAV.Anc80L65、AAV.7m8、AAV.PHP.B、AAV2.5、AAV2tYF、AAV3B、AAV.LK03、AAV.HSC1、AAV.HSC2、AAV.HSC3、AAV.HSC4、AAV.HSC5、AAV.HSC6、AAV.HSC7、AAV.HSC8、AAV.HSC9、AAV.HSC10、AAV.HSC11、AAV.HSC12、AAV.HSC13、AAV.HSC14、AAV.HSC15、またはAAV.HSC16から選択されるAAVカプシド血清型のVP1、VP2、及び/またはVP3配列に対して少なくとも80%以上同一である、例えば、85%、85%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%など、すなわち最大100%同一である、カプシドタンパク質を含む。
【0133】
いくつかの実施形態では、rAAV粒子は、Zinn et al.,2015,Cell Rep.12(6):1056-1068(参照によりその全体が援用される)で説明されているように、Anc80またはAnc80L65のカプシドを含む。特定の実施形態では、rAAV粒子は、米国特許第9,193,956号;第9458517号;及び第9,587,282号ならびに米国特許出願公開第2016/0376323号(これらの各々は、参照によりその全体が本明細書に援用される)で説明されているように、アミノ酸挿入物:LGETTRPまたはLALGETTRPのうちの1つを有するカプシドを含む。いくつかの実施形態では、rAAV粒子は、米国特許第9,193,956号;第9,458,517号;及び第9,587,282号ならびに米国特許出願公開第2016/0376323号(これらの各々は、参照によりその全体が明細書に援用される)で説明されているように、AAV.7m8のカプシドを含む。いくつかの実施形態では、rAAV粒子は、米国特許第9,585,971号で開示されている任意のAAVカプシド、例えばAAV-PHP.Bを含む。いくつかの実施形態では、rAAV粒子は、米国特許第9,840,719号及びWO2015/013313(これらの各々は、参照によりその全体が本明細書に援用される)で開示されている任意のAAVカプシド、例えば、AAV.Rh74及びRHM4-1を含む。いくつかの実施形態では、rAAV粒子は、WO2014/172669(参照によりその全体が本明細書に援用される)で開示されている任意のAAVカプシド、例えばAAV rh.74を含む。いくつかの実施形態では、rAAV粒子は、Georgiadis et al.,2016,Gene Therapy 23:857-862及びGeorgiadis et al.,2018,Gene Therapy 25:450(これらの各々は、参照によりその全体が援用される)で説明されているように、AAV2/5のカプシドを含む。いくつかの実施形態では、rAAV粒子は、WO2017/070491(参照によりその全体が本明細書に援用される)で開示されている任意のAAVカプシド、例えばAAV2tYFを含む。いくつかの実施形態では、rAAV粒子は、Puzzo et al.,2017,Sci.Transl. Med.29(9):418(参照によりその全体が援用される)で説明されているようなAAVLK03またはAAV3Bのカプシドを含む。いくつかの実施形態では、rAAV粒子は、米国特許第8,628,966号;US8,927,514;US9,923,120及びWO2016/049230で開示されている任意のAAVカプシド、例えば、HSC1、HSC2、HSC3、HSC4、HSC5、HSC6、HSC7、HSC8、HSC9、HSC10、HSC11、HSC12、HSC13、HSC14、HSC15、またはHSC16を含む(これらの各々は、参照によりその全体が本明細書に援用される)。
【0134】
いくつかの実施形態では、rAAV粒子は、以下の特許及び特許出願(これらの各々は、参照によりその全体が本明細書に援用される):米国特許第7,282,199号;第7,906,111号;第8,524,446号;第8,999,678号;第8,628,966号;第8,927,514号;第8,734,809号;第US9,284,357号;第9,409,953号;第9,169,299号;第9,193,956号;第9458517号;及び第9,587,282号;米国特許出願公開第2015/0374803号;第2015/0126588号;第2017/0067908号;第2013/0224836号;第2016/0215024号;第2017/0051257号;ならびに国際特許出願第PCT/US2015/034799号;第PCT/EP2015/053335号のいずれかで開示されているAAVカプシドを含む。いくつかの実施形態では、rAAV粒子は、以下の特許及び特許出願(これらの各々は、参照によりその全体が本明細書に援用される)のいずれかで開示されているAAVカプシドのVP1、VP2、及び/またはVP3配列に対して少なくとも80%以上同一である、例えば、85%、85%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%など、すなわち最大100%同一であるカプシドタンパク質を有する:米国特許第7,282,199号;第7,906,111号;第8,524,446号;第8,999,678号;第8,628,966号;第8,927,514号;第8,734,809号;第US9,284,357号;第9,409,953号;第9,169,299号;第9,193,956号;第9458517号;及び第9,587,282号;米国特許出願公開第2015/0374803号;第2015/0126588号;第2017/0067908号;第2013/0224836号;第2016/0215024号;第2017/0051257号;ならびに国際特許出願第PCT/US2015/034799号;第PCT/EP2015/053335号。
【0135】
いくつかの実施形態では、rAAV粒子は、国際特許出願公開第WO2003/052051号(例えば、配列番号2を参照)、第WO2005/033321号(例えば、配列番号123及び88を参照)、第WO03/042397号(例えば、配列番号2、81、85、及び97を参照)、第WO2006/068888号(例えば、配列番号1及び3~6を参照)、第WO2006/110689号(例えば、配列番号5~38を参照)、第WO2009/104964号(例えば、配列番号1~5、7、9、20、22、24及び31を参照)、第WO2010/127097号(例えば、配列番号5~38を参照)、ならびに第WO2015/191508号(例えば、配列番号80~294を参照)、ならびに米国特許出願公開第20150023924号(例えば、配列番号1、5~10を参照)(これらの各々の内容は、参照によりその全体が本明細書に援用される)で開示されているカプシドタンパク質を有する。いくつかの実施形態では、rAAV粒子は、以下で開示されているAAVカプシドのVP1、VP2及び/またはVP3配列に対して、少なくとも80%以上同一である、例えば、85%、85%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%など、すなわち、最大100%同一であるカプシドタンパク質を有する:国際特許出願公開第WO2003/052051号(例えば、配列番号2を参照)、第WO2005/033321号(例えば、配列番号123及び88を参照)、第WO03/042397号(例えば、配列番号2、81、85、及び97を参照)、第WO2006/068888号(例えば、配列番号1及び3~6を参照)、第WO2006/110689号(例えば、配列番号5~38を参照)、第WO2009/104964号(例えば、配列番号1~5、7、9、20、22、24、及び31を参照)、第WO2010/127097号(例えば、配列番号5~38を参照)、ならびに第WO2015/191508号(例えば、配列番号80~294を参照)、ならびに米国特許出願公開第20150023924号(例えば、配列番号1、5~10を参照)。
【0136】
AAVベースウイルスベクターの核酸配列、ならびに組換えAAV及びAAVカプシドの作製方法は、例えば、以下に示されている:米国特許第7,282,199号;第7,906,111号;第8,524,446号;第8,999,678号;第8,628,966号;第8,927,514号;第8,734,809号;第US9,284,357号;第9,409,953号;第9,169,299号;第9,193,956号;第9458517号;及び第9,587,282号;米国特許出願公開第2015/0374803号;第2015/0126588号;第2017/0067908号;第2013/0224836号;第2016/0215024号;第2017/0051257号;国際特許出願第PCT/US2015/034799号;第PCT/EP2015/053335号;第WO2003/052051号、第WO2005/033321号、第WO03/042397号、第WO2006/068888号、第WO2006/110689号、第WO2009/104964号、第WO2010/127097号、及び第WO2015/191508号、ならびに米国特許出願公開第20150023924号。
【0137】
提供する方法は、導入遺伝子をコードする組換えAAVの生成で使用するのに適している。いくつかの実施形態では、本明細書において、抗VEGF FabをコードするrAAVウイルスベクターを提供する。特定の実施形態では、本明細書において、抗VEGF FabをコードするrAAV8ベースウイルスベクターを提供する。さらに特定の実施形態では、本明細書において、ラニビズマブをコードするrAAV8ベースウイルスベクターを提供する。いくつかの実施形態では、本明細書において、イズロニダーゼ(IDUA)をコードするrAAVウイルスベクターを提供する。特定の実施形態では、本明細書において、IDUAをコードするrAAV9ベースウイルスベクターを提供する。いくつかの実施形態では、本明細書において、イズロン酸2-スルファターゼ(IDS)をコードするrAAVウイルスベクターを提供する。特定の実施形態では、本明細書において、IDSをコードするrAAV9ベースウイルスベクターを提供する。いくつかの実施形態では、本明細書において、低密度リポタンパク質受容体(LDLR)をコードするrAAVウイルスベクターを提供する。特定の実施形態では、本明細書において、LDLRをコードするrAAV8ベースウイルスベクターを提供する。いくつかの実施形態では、本明細書において、トリペプチジルペプチダーゼ1(TPP1)タンパク質をコードするrAAVウイルスベクターを提供する。特定の実施形態では、本明細書において、TPPをコードするrAAV9ベースウイルスベクターを提供する。
【0138】
さらなる実施形態では、rAAV粒子は、シュードタイプAAVカプシドを含む。いくつかの実施形態では、シュードタイプAAVカプシドは、rAAV2/8またはrAAV2/9シュードタイプAAVカプシドである。シュードタイプrAAV粒子の生成方法及び使用方法は、当技術分野で公知である(例えば、Duan et al.,J.Virol.,75:7662-7671(2001);Halbert et al.,J.Virol.,74:1524-1532(2000);Zolotukhin et al.,Methods 28:158-167(2002);及びAuricchio et al.,Hum.Molec. Genet.10:3075-3081,(2001)を参照)。
【0139】
さらなる実施形態では、rAAV粒子は、2つ以上のAAVカプシド血清型のキメラであるカプシドタンパク質を含むカプシドを含む。いくつかの実施形態では、カプシドタンパク質は、AAV1、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV-11、AAV-12、AAV-13、AAV-14、AAV-15、及びAAV-16、AAV.rh8、AAV.rh10、AAV.rh20、AAV.rh39、AAV.Rh74、AAV.RHM4-1、AAV.hu37、AAV.Anc80、AAV.Anc80L65、AAV.7m8、AAV.PHP.B、AAV2.5、AAV2tYF、AAV3B、AAV.LK03、AAV.HSC1、AAV.HSC2、AAV.HSC3、AAV.HSC4、AAV.HSC5、AAV.HSC6、AAV.HSC7、AAV.HSC8、AAV.HSC9、AAV.HSC10、AAV.HSC11、AAV.HSC12、AAV.HSC13、AAV.HSC14、AAV.HSC15、またはAAV.HSC16から選択されるAAV血清型由来の2つ以上のAAVカプシドタンパク質のキメラである。
【0140】
特定の実施形態では、一本鎖AAV(ssAAV)を使用することができる。特定の実施形態では、自己相補的ベクター、例えばscAAVを使用することができる(例えば、Wu,2007,Human Gene Therapy,18(2):171-82;McCarty et al,2001,Gene Therapy,Vol.8,Number 16,Pages 1248-1254;ならびに米国特許第6,596,535号、第7,125,717号、及び第7,456,683号(これらの各々は、参照によりその全体が本明細書に援用される)を参照)。
【0141】
いくつかの実施形態では、rAAV粒子は、AAV-8またはAAV-9から選択されるAAVカプシド血清型由来のカプシドタンパク質を含む。いくつかの実施形態では、rAAV粒子は、AAV-8のAAVカプシド血清型を有する。いくつかの実施形態では、rAAV粒子は、AAV-9のAAVカプシド血清型を有する。
【0142】
いくつかの実施形態では、rAAV粒子は、AAV-8またはAAV-9カプシドタンパク質の派生物、修飾物、またはシュードタイプであるカプシドタンパク質を含む。いくつかの実施形態では、rAAV粒子は、AAV-8カプシドタンパク質のVP1、VP2、及び/またはVP3配列に対して少なくとも80%以上同一である、例えば、85%、85%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%など、すなわち、最大100%同一であるAAV-8カプシドタンパク質を有する、カプシドタンパク質を含む。
【0143】
いくつかの実施形態では、rAAV粒子は、AAV-9カプシドタンパク質の派生物、修飾物、またはシュードタイプであるカプシドタンパク質を含む。いくつかの実施形態では、rAAV粒子は、AAV-9カプシドタンパク質のVP1、VP2、及び/またはVP3配列に対して少なくとも80%以上同一である、例えば、85%、85%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%など、すなわち、最大100%同一であるAAV-9カプシドタンパク質を有する、カプシドタンパク質を含む。
【0144】
さらなる実施形態では、rAAV粒子は、モザイクカプシドを含む。モザイクAAV粒子は、AAVの異なる血清型由来のウイルスカプシドタンパク質の混合物からなる。いくつかの実施形態では、rAAV粒子は、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV-11、AAV-12、AAV-13、AAV-14、AAV-15及びAAV-16、AAV.rh8、AAV.rh10、AAV.rh20、AAV.rh39、AAV.Rh74、AAV.RHM4-1、AAV.hu37、AAV.Anc80、AAV.Anc80L65、AAV.7m8、AAV.PHP.B、AAV2.5、AAV2tYF、AAV3B、AAV.LK03、AAV.HSC1、AAV.HSC2、AAV.HSC3、AAV.HSC4、AAV.HSC5、AAV.HSC6、AAV.HSC7、AAV.HSC8、AAV.HSC9、AAV.HSC10、AAV.HSC11、AAV.HSC12、AAV.HSC13、AAV.HSC14、AAV.HSC15、及びAAV.HSC16から選択される血清型のカプシドタンパク質を含むモザイクカプシドを含む。いくつかの実施形態では、rAAV粒子は、AAV-1、AAV-2、AAV-5、AAV-6、AAV-7、AAV-8、AAV-9、AAV-10、AAVrh.8、AAVrh.10、AAVhu.37、AAVrh.20、及びAAVrh.74から選択される血清型のカプシドタンパク質を含むモザイクカプシドを含む。
【0145】
さらなる実施形態では、rAAV粒子は、シュードタイプのrAAV粒子を含む。いくつかの実施形態では、シュードタイプrAAV粒子は、(a)AAV ITRを含む核酸ベクターと(b)AAVx(例えば、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV-11、AAV-12、AAV-13、AAV-14、AAV-15及びAAV-16、AAV.rh8、AAV.rh10、AAV.rh20、AAV.rh39、AAV.Rh74、AAV.RHM4-1、AAV.hu37、AAV.Anc80、AAV.Anc80L65、AAV.7m8、AAV.PHP.B、AAV2.5、AAV2tYF、AAV3B、AAV.LK03、AAV.HSC1、AAV.HSC2、AAV.HSC3、AAV.HSC4、AAV.HSC5、AAV.HSC6、AAV.HSC7、AAV.HSC8、AAV.HSC9、AAV.HSC10、AAV.HSC11、AAV.HSC12、AAV.HSC13、AAV.HSC14、AAV.HSC15、及びAAV.HSC16)に由来するカプシドタンパク質からなるカプシドを含む。さらなる実施形態では、rAAV粒子は、AAV-1、AAV-2、AAV-5、AAV-6、AAV-7、AAV-8、AAV-9、AAV-10、AAVrh.8、及びAAVrh.10、AAVhu.37、AAVrh.20、ならびにAAVrh.74から選択されるAAV血清型のカプシドタンパク質からなるシュードタイプrAAV粒子を含む。さらなる実施形態では、rAAV粒子は、AAV-8カプシドタンパク質を含むシュードタイプrAAV粒子を含む。さらなる実施形態では、rAAV粒子は、AAV-9カプシドタンパク質からなるシュードタイプrAAV粒子を含む。いくつかの実施形態では、シュードタイプrAAV8またはrAAV9粒子は、rAAV2/8またはrAAV2/9シュードタイプ粒子である。シュードタイプrAAV粒子の生成方法及び使用方法は、当技術分野で公知である(例えば、Duan et al.,J.Virol.,75:7662-7671(2001);Halbert et al.,J.Virol.,74:1524-1532(2000);Zolotukhin et al.,Methods 28:158-167(2002);及びAuricchio et al.,Hum.Molec. Genet.10:3075-3081,(2001)を参照)。
【0146】
さらなる実施形態では、rAAV粒子は、2つ以上のAAVカプシド血清型のキメラであるカプシドタンパク質を含むカプシドを含む。いくつかの実施形態では、カプシドタンパク質は、AAV-8カプシドタンパク質と、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV-11、AAV-12、AAV-13、AAV-14、AAV-15、及びAAV-16、AAV.rh8、AAV.rh10、AAV.rh20、AAV.rh39、AAV.Rh74、AAV.RHM4-1、AAV.hu37、AAV.Anc80、AAV.Anc80L65、AAV.7m8、AAV.PHP.B、AAV2.5、AAV2tYF、AAV3B、AAV.LK03、AAV.HSC1、AAV.HSC2、AAV.HSC3、AAV.HSC4、AAV.HSC5、AAV.HSC6、AAV.HSC7、AAV.HSC8、AAV.HSC9、AAV.HSC10、AAV.HSC11、AAV.HSC12、AAV.HSC13、AAV.HSC14、AAV.HSC15、及びAAV.HSC16から選択されるAAV血清型由来の1つ以上のAAVカプシドタンパク質とのキメラである、AAVカプシドタンパク質を含む。いくつかの実施形態では、rAAV粒子は、AAV-8カプシドタンパク質と、AAV-1、AAV-2、AAV-5、AAV-6、AAV-7、AAV-9、AAV-10、rAAVrh10、AAVrh.8、AAVrh.10、AAVhu.37、AAVrh.20、及びAAVrh.74から選択されるAAV血清型からの1つ以上のAAVカプシドタンパク質とのキメラである、AAVカプシドタンパク質を含む。いくつかの実施形態では、rAAV粒子は、AAV-9カプシドタンパク質のキメラである、AAVカプシドタンパク質であって、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV-11、AAV-12、AAV-13、AAV-14、AAV-15、及びAAV-16、AAV.rh8、AAV.rh10、AAV.rh20、AAV.rh39、AAV.Rh74、AAV.RHM4-1、AAV.hu37、AAV.Anc80、AAV.Anc80L65、AAV.7m8、AAV.PHP.B、AAV2.5、AAV2tYF、AAV3B、AAV.LK03、AAV.HSC1、AAV.HSC2、AAV.HSC3、AAV.HSC4、AAV.HSC5、AAV.HSC6、AAV.HSC7、AAV.HSC8、AAV.HSC9、AAV.HSC10、AAV.HSC11、AAV.HSC12、AAV.HSC13、AAV.HSC14、AAV.HSC15、及びAAV.HSC16から選択される1つ以上のAAVカプシド血清型である、カプシドタンパク質を含む。いくつかの実施形態では、rAAV粒子は、AAV-9カプシドタンパク質のキメラである、AAVカプシドタンパク質であって、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AA6、AAV7、AAV8、AAV9、AAVrh.8、AAVrh.10、AAVhu.37、AAVrh.20、及びAAVrh.74から選択される1つ以上のAAVカプシド血清型である、カプシドタンパク質を含む。
【0147】
rAAV粒子の単離方法
いくつかの実施形態では、本開示は、(a)不純物を含むフィード(例えば、rAAV生成培養物)からrAAV粒子を単離し、(b)単離されたrAAV粒子を、本明細書に開示する方法を使用して特性評価することを含む、単離された組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)粒子を含む組成物の生成方法を提供する。いくつかの実施形態では、本明細書に開示する単離された組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)粒子を含む製剤の製造方法は、(a)不純物を含むフィード(例えば、rAAV生成培養物)からrAAV粒子を単離し、(b)単離されたrAAV粒子を、本明細書に開示する方法を使用して特性評価し、そして(c)単離されたrAAV粒子を製剤化して、製剤を製造することを含む。
【0148】
いくつかの実施形態では、本開示はさらに、不純物を含むフィード(例えば、rAAV生成培養物)からrAAV粒子を単離し、単離されたrAAV粒子を、本明細書に開示する方法を使用して特性評価し、単離されたrAAV粒子を製剤化することを含む、単離された組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)粒子を含む製剤の医薬単位用量の製造方法を提供する。
【0149】
単離されたrAAV粒子は、当技術分野で公知の方法を用いて単離することができる。いくつかの実施形態では、rAAV粒子の単離方法は、下流処理、例えば、細胞培養物の回収、回収した細胞培養物の清澄化(例えば、遠心分離または深層濾過による)、タンジェンシャルフロー濾過、アフィニティークロマトグラフィー、アニオン交換クロマトグラフィー、カチオン交換クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー、無菌濾過、またはこれらの任意の組合せ(複数可)を含む。いくつかの実施形態では、下流処理は、細胞培養物の回収、回収した細胞培養物の清澄化(例えば、遠心分離または深層濾過による)、タンジェンシャルフロー濾過、アフィニティークロマトグラフィー、アニオン交換クロマトグラフィー、カチオン交換クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー、及び無菌濾過のうちの少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、または少なくとも6つを含む。いくつかの実施形態では、下流処理は、細胞培養物の回収、回収した細胞培養物の清澄化(例えば、深層濾過による)、無菌濾過、タンジェンシャルフロー濾過、アフィニティークロマトグラフィー、及びアニオン交換クロマトグラフィーを含む。いくつかの実施形態では、下流処理は、回収した細胞培養物の清澄化、無菌濾過、タンジェンシャルフロー濾過、アフィニティークロマトグラフィー、及びアニオン交換クロマトグラフィーを含む。いくつかの実施形態では、下流処理は、回収した細胞培養物の深層濾過による清澄化、無菌濾過、タンジェンシャルフロー濾過、アフィニティークロマトグラフィー、及びアニオン交換クロマトグラフィーを含む。いくつかの実施形態では、回収した細胞培養物の清澄化は、無菌濾過を含む。いくつかの実施形態では、下流処理は、遠心分離を含まない。いくつかの実施形態では、rAAV粒子は、AAV-8血清型のカプシドタンパク質を含む。いくつかの実施形態では、rAAV粒子は、AAV-9血清型のカプシドタンパク質を含む。
【0150】
いくつかの実施形態では、rAAV粒子の単離方法は、細胞培養物の回収、回収した細胞培養物の清澄化(例えば、深層濾過による)、第1の無菌濾過、第1のタンジェンシャルフロー濾過、アフィニティークロマトグラフィー、モノリスアニオン交換クロマトグラフィー、第2のタンジェンシャルフロー濾過、及び第2の無菌濾過を含む。いくつかの実施形態では、rAAV粒子の単離方法は、回収した細胞培養物の清澄化、第1の無菌濾過、第1のタンジェンシャルフロー濾過、アフィニティークロマトグラフィー、モノリスアニオン交換クロマトグラフィー、第2のタンジェンシャルフロー濾過、及び第2の無菌濾過を含む。いくつかの実施形態では、rAAV粒子の単離方法は、回収した細胞培養物の深層濾過による清澄化、第1の無菌濾過、第1のタンジェンシャルフロー濾過、アフィニティークロマトグラフィー、モノリスアニオン交換クロマトグラフィー、第2のタンジェンシャルフロー濾過、及び第2の無菌濾過を含む。いくつかの実施形態では、方法は、遠心分離を含まない。いくつかの実施形態では、回収した細胞培養物の清澄化は、無菌濾過を含む。いくつかの実施形態では、rAAV粒子は、AAV-8血清型のカプシドタンパク質を含む。いくつかの実施形態では、rAAV粒子は、AAV-9血清型のカプシドタンパク質を含む。
【0151】
rAAV粒子の生成方法については、形質移入、安定細胞株生成、及び感染性ハイブリッドウイルス生成システム(アデノウイルス-AAVハイブリッド、ヘルペスウイルス-AAVハイブリッド、及びバキュロウイルス-AAVハイブリッドを含む)を含めた多数の方法が当技術分野で公知である。rAAVウイルス粒子を生成するためのrAAV生成培養物はいずれも、(1)例えば、ヒト由来細胞株(例えば、HeLa、A549、またはHEK293細胞及びその派生物(HEK293T細胞、HEK293F細胞))、哺乳類細胞株(例えば、ベロ)、またはバキュロウイルス生成システムの場合では、昆虫由来細胞株(例えば、SF-9)を含む、好適な宿主細胞;(2)野生型もしくは変異型アデノウイルス(例えば、温度感受性アデノウイルス)、ヘルペスウイルス、バキュロウイルス、またはヘルパー機能を提供するプラスミドコンストラクトによって提供される、好適なヘルパーウイルス機能;(3)AAV rep及びcap遺伝子ならびに遺伝子産物;(4)AAV ITR配列に隣接する導入遺伝子(例えば、治療用導入遺伝子);ならびに(5)rAAV生成をサポートするための好適な培地及び培地構成成分を必要とする。当技術分野で公知の好適な培地をrAAVベクターの生成に使用することができる。そのような培地としては、限定されるものではないないが、変法イーグル培地(MEM)、ダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)、及び米国特許第6,723,551号(参照によりその全体が本明細書に援用される)で説明されているようなSf-900 II SFM培地を含めたHyclone Laboratories及びJRH製の培地が挙げられる。
【0152】
rAAV生成培養物は、利用している特定の宿主細胞に適した様々な条件下で(広い温度範囲にわたり、様々な長さの時間で、など)ルーチン的に増殖させることができる。当技術分野で知られているように、rAAV生成培養物は、好適な付着性容器、例えば、ローラーボトル、中空繊維フィルター、マイクロキャリア、及び充填床または流動床バイオリアクター中で培養することができる付着性培養物を含む。また、rAAVベクター生成培養物には、様々な方法、例えば、スピナーフラスコ、撹拌槽型バイオリアクター、及びディスポーザブルシステム、例えば、ウェーブバッグシステムで培養することができる、浮遊適応性宿主細胞、例えば、HeLa、HEK293、ベロ、及びこれらの派生物、ならびにSF-9細胞も含まれ得る。rAAV粒子を生成するための多数の浮遊培養物が当技術分野で公知であり、これには例えば、米国特許第6,995,006号、第9,783,826号、及び米国特許出願公開第20120122155号(これらの各々は、参照によりその全体が本明細書に援用される)で開示されている培養物が含まれる。
【0153】
いくつかの実施形態では、rAAV粒子の生成方法は、rAAVを生成可能な細胞を含む細胞培養物を提供し;細胞培養物に、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤を終濃度約0.1mM~約20mMになるまで加え;rAAV粒子を生成可能な条件下で細胞培養物を維持することを包含する。いくつかの実施形態では、HDAC阻害剤は、短鎖脂肪酸またはその塩を含む。いくつかの実施形態では、HDAC阻害剤は、酪酸(例えば、酪酸ナトリウム)、バルプロ酸(例えば、バルプロ酸ナトリウム)、プロピオン酸(例えば、プロピオン酸ナトリウム)、またはこれらの組合せを含む。
【0154】
いくつかの実施形態では、rAAV粒子を、WO2020/033842(参照によりその全体が本明細書に援用される)で開示されているように生成させる。
【0155】
組換えAAV粒子は、インタクトな宿主細胞から培地中へのrAAV粒子放出を引き起こすことが当技術分野で知られている条件下で細胞を培養することを条件に、宿主細胞を含む生成培養物を回収することにより、または生成培養物から消費培地を回収することにより、rAAV生成培養物から回収することができる。組換えAAV粒子はまた、rAAV生成培養物から、生成培養物の宿主細胞を溶解することによって回収することもできる。細胞を溶解する好適な方法も当技術分野で公知であり、例えば、複数の凍結/解凍サイクル、超音波処理、マイクロ流動化、ならびに化学物質(例えば、界面活性剤及び/またはプロテアーゼ)による処理が挙げられる。
【0156】
回収時、rAAV生成培養物は、以下:(1)宿主細胞タンパク質;(2)宿主細胞DNA;(3)プラスミドDNA;(4)ヘルパーウイルス;(5)ヘルパーウイルスタンパク質;(6)ヘルパーウイルスDNA;ならびに(7)培地構成成分(例えば、血清タンパク質、アミノ酸、トランスフェリン、及び他の低分子量タンパク質を含む)のうちの1つ以上を含むことができる。rAAV生成培養物はさらに、生成物関連不純物、例えば、不活性なベクター形態、空のウイルスカプシド、凝集したウイルス粒子またはカプシド、ミスフォールドしたウイルスカプシド、分解されたウイルス粒子を含むことができる。
【0157】
いくつかの実施形態では、rAAV生成培養物回収物を清澄化して、宿主細胞デブリを除去する。いくつかの実施形態では、生成培養物回収物を、一連の深層フィルターによる濾過によって清澄化する。清澄化はまた、当技術分野で公知の他の様々な標準的技法により、例えば、遠心分離、または当技術分野で公知の0.2mm以上の細孔サイズの任意の酢酸セルロースフィルターによる濾過により、達成することができる。いくつかの実施形態ではまた、回収した細胞培養物の清澄化は、無菌濾過を含む。いくつかの実施形態では、生成培養物回収物を、遠心分離によって清澄化する。いくつかの実施形態では、生成培養物回収物の清澄化は、遠心分離を含まない。
【0158】
いくつかの実施形態では、回収した細胞培養物を、濾過を用いて清澄化する。いくつかの実施形態では、回収した細胞培養物の清澄化は、深層濾過を含む。いくつかの実施形態では、回収した細胞培養物の清澄化はさらに、深層濾過及び無菌濾過を含む。いくつかの実施形態では、回収した細胞培養物を、1つ以上の異なる濾過媒体を含むフィルタートレインを用いて清澄化する。いくつかの実施形態では、フィルタートレインは、1つの深層濾過媒体を含む。いくつかの実施形態では、フィルタートレインは、1つ以上の深層濾過媒体を含む。いくつかの実施形態では、フィルタートレインは、2つの深層濾過媒体を含む。いくつかの実施形態では、フィルタートレインは、1つの無菌濾過媒体を含む。いくつかの実施形態では、フィルタートレインは、2つの深層濾過媒体及び1つの無菌濾過媒体を含む。いくつかの実施形態では、深層フィルター媒体は、多孔質深層フィルターである。いくつかの実施形態では、フィルタートレインは、Clarisolve(登録商標)20MS、Millistak+(登録商標)C0HC、及び無菌グレード濾過媒体を含む。いくつかの実施形態では、フィルタートレインは、Clarisolve(登録商標)20MS、Millistak+(登録商標)C0HC、及びSartopore(登録商標)2 XLG 0.2μmを含む。いくつかの実施形態では、回収した細胞培養物を、深層フィルターに接触させる前に前処理する。いくつかの実施形態では、前処理は、回収した細胞培養物に塩を添加することを含む。いくつかの実施形態では、前処理は、回収した細胞培養物に化学凝集剤を添加することを含む。いくつかの実施形態では、回収した細胞培養物を、深層フィルターに接触させる前に前処理しない。
【0159】
いくつかの実施形態では、生成培養回収物を、濾過によって清澄化し、これはWO2019/212921に開示されている(参照によりその全体が本明細書に援用される)。
【0160】
いくつかの実施形態では、rAAV生成培養回収物を、ヌクレアーゼ(例えば、Benzonase(登録商標))またはエンドヌクレアーゼ(例えば、Serratia marcescens由来エンドヌクレアーゼ)で処理して、生成培養物中に存在する高分子量DNAを消化する。ヌクレアーゼまたはエンドヌクレアーゼ消化は、当技術分野で公知の標準的な条件下でルーチン的に実施することができる。例えば、ヌクレアーゼ消化を、終濃度1~2.5ユニット/mlのBenzonase(登録商標)で、周囲温度~37℃の範囲の温度にて、30分間~数時間実施する。
【0161】
無菌濾過は、無菌グレードフィルター媒体を用いた濾過を包含する。いくつかの実施形態では、無菌グレード濾過媒体は、0.2または0.22μmの細孔フィルターである。いくつかの実施形態では、無菌グレード濾過媒体は、ポリエーテルスルホン(PES)を含む。いくつかの実施形態では、無菌グレード濾過媒体は、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)を含む。いくつかの実施形態では、無菌グレード濾過媒体は、親水性の不均一な二重層設計を有する。いくつかの実施形態では、無菌グレード濾過媒体は、0.8μmのプレフィルター及び0.2μmの最終フィルター膜の親水性の不均一な二重層設計を有する。いくつかの実施形態では、無菌グレード濾過媒体は、1.2μmのプレフィルター及び0.2μmの最終フィルター膜の親水性の不均一な二重層設計を有する。いくつかの実施形態では、無菌グレード濾過媒体は、0.2または0.22μmの細孔フィルターである。さらなる実施形態では、無菌グレード濾過媒体は、0.2μmの細孔フィルターである。いくつかの実施形態では、無菌グレード濾過媒体は、Sartopore(登録商標)2 XLG 0.2μm、Durapore(商標)PVDF膜0.45μm、またはSartoguard(登録商標)PES 1.2μm+0.2μmの公称孔径の組合せである。いくつかの実施形態では、無菌グレード濾過媒体は、Sartopore(登録商標)2 XLG 0.2μmである。
【0162】
いくつかの実施形態では、清澄化したフィードを、タンジェンシャルフロー濾過(「TFF」)を介して濃縮した後、クロマトグラフィー媒体、例えば、アフィニティークロマトグラフィー媒体に適用する。TFF限外濾過を用いたウイルスの大規模スケール濃縮は、Paul et al.,Human Gene Therapy 4:609-615(1993)に記載されている。清澄化したフィードのTFF濃縮により、技術的に管理可能な量の清澄化したフィードをクロマトグラフィーに供することが可能になり、また、長い再循環時間を必要とせずにカラムをより合理的にサイジングすることが可能になる。いくつかの実施形態では、清澄化したフィードを、少なくとも2倍~少なくとも10倍に濃縮する。いくつかの実施形態では、清澄化したフィードを、少なくとも10倍~少なくとも20倍に濃縮する。いくつかの実施形態では、清澄化したフィードを、少なくとも20倍~少なくとも50倍に濃縮する。いくつかの実施形態では、清澄化したフィードを、約20倍に濃縮する。また、当業者であれば、透析濾過を介して清澄化したフィードから、TFFを使用して、小分子不純物(例えば、培地成分、血清アルブミン、または他の血清タンパク質を含む細胞培養不純物)を除去することができることも認識するであろう。いくつかの実施形態では、清澄化したフィードを透析濾過に供して、小分子不純物を除去する。いくつかの実施形態では、透析濾過は、約3~約10の透析濾過体積の緩衝液を使用することを含む。いくつかの実施形態では、透析濾過は、約5の透析濾過体積の緩衝液を使用することを含む。当業者であればまた、精製処理における次のステップを実施する前に緩衝液の交換が望ましい場合における精製プロセスの任意のステップでTFFを使用することができることも認識するであろう。いくつかの実施形態では、本明細書に開示する、清澄化したフィードからのrAAVの単離方法は、TFFを使用して緩衝液を交換することを含む。
【0163】
アフィニティークロマトグラフィーを使用して、組成物からrAAV粒子を単離することができる。いくつかの実施形態では、清澄化したフィードから、アフィニティークロマトグラフィーを使用してrAAV粒子を単離する。いくつかの実施形態では、タンジェンシャルフロー濾過に供して清澄化したフィードから、アフィニティークロマトグラフィーを使用してrAAV粒子を単離する。好適なアフィニティークロマトグラフィー媒体は当技術分野で公知であり、限定されないが、AVB Sepharose(商標)、POROS(商標)CaptureSelect(商標)AAVXアフィニティー樹脂、POROS(商標)CaptureSelect(商標)AAV9アフィニティー樹脂、及びPOROS(商標)CaptureSelect(商標)AAV8アフィニティー樹脂が挙げられる。いくつかの実施形態では、アフィニティークロマトグラフィー媒体は、POROS(商標)CaptureSelect(商標)AAV9アフィニティー樹脂である。いくつかの実施形態では、アフィニティークロマトグラフィー媒体は、POROS(商標)CaptureSelect(商標)AAV8アフィニティー樹脂である。いくつかの実施形態では、アフィニティークロマトグラフィー媒体は、POROS(商標)CaptureSelect(商標)AAVXアフィニティー樹脂である。
【0164】
アニオン交換クロマトグラフィーを使用して、組成物からrAAV粒子を単離することができる。いくつかの実施形態では、アフィニティークロマトグラフィーの後に、最終濃縮及び研磨ステップとしてアニオン交換クロマトグラフィーを使用する。好適なアニオン交換クロマトグラフィー媒体は当技術分野で公知であり、限定されないが、Unosphere Q(Biorad,Hercules,Calif.)、及びN-荷電アミノもしくはイミノ樹脂、例えば、POROS 50 PI、または任意のDEAE、TMAE、3級もしくは4級アミン、または当技術分野で公知のPEIベース樹脂が挙げられる(米国特許第6,989,264号;Brument et al.,Mol.Therapy 6(5):678-686(2002);Gao et al.,Hum.Gene Therapy 11:2079-2091(2000))。いくつかの実施形態では、アニオン交換クロマトグラフィー媒体は、4級アミンを含む。いくつかの実施形態では、アニオン交換媒体は、モノリスアニオン交換クロマトグラフィー樹脂である。いくつかの実施形態では、モノリスアニオン交換クロマトグラフィー媒体は、グリシジルメタクリレート-エチレンジメタクリレートポリマーまたはスチレン-ジビニルベンゼンポリマーを含む。いくつかの実施形態では、モノリスアニオン交換クロマトグラフィー媒体は、CIMmultus(商標)QA-1アドバンストコンポジットカラム(4級アミン)、CIMmultus(商標)DEAE-1アドバンストコンポジットカラム(ジエチルアミノ)、CIM(登録商標)QAディスク(4級アミン)、CIM(登録商標)DEAE、及びCIM(登録商標)EDAディスク(エチレンジアミノ)からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、モノリスアニオン交換クロマトグラフィー媒体は、CIMmultus(商標)QA-1アドバンストコンポジットカラム(4級アミン)である。いくつかの実施形態では、モノリスアニオン交換クロマトグラフィー媒体は、CIM(登録商標)QAディスク(4級アミン)である。いくつかの実施形態では、アニオン交換クロマトグラフィー媒体は、CIM QA(BIA Separations,Slovenia)である。いくつかの実施形態では、アニオン交換クロマトグラフィー媒体は、BIA CIM(登録商標)QA-80(カラム体積80mL)である。当業者であれば、rAAVが樹脂との結合を保ちながら不純物(限定されないが、上流精製ステップによって導入され得る不純物を含む)が除去されるように、好適なイオン強度の洗浄緩衝液を特定し得ることを理解することができる。
【0165】
いくつかの実施形態では、アニオン交換クロマトグラフィーを、WO2019/241535に開示された方法に従って実施する(参照によりその全体が本明細書に援用される)。
【0166】
いくつかの実施形態では、rAAV粒子の単離方法は、単離されたrAAV粒子を含む組成物中のベクターゲノム力価、カプシド力価、及び/または完全なカプシドと空のカプシドの比を測定することを含む。いくつかの実施形態では、ベクターゲノム力価を、定量的PCR(qPCR)またはデジタルPCR(dPCR)またはドロップレットデジタルPCR(ddPCR)によって測定する。いくつかの実施形態では、カプシド力価を、血清型特異的ELISAによって測定する。いくつかの実施形態では、完全なカプシドと空のカプシドの比は、分析用超遠心法(AUC)または透過電子顕微鏡(TEM)によって測定する。
【0167】
いくつかの実施形態では、ベクターゲノム力価、カプシド力価、及び/または完全なカプシドと空のカプシドの比を、分光測光法により、例えば、260nmにおける組成物の吸光度を測定することにより、及び280nmにおける組成物の吸光度を測定することにより、測定する。いくつかの実施形態では、rAAV粒子は、組成物の吸光度を測定する前に変性しない。いくつかの実施形態では、rAAV粒子は、組成物の吸光度を測定する前に変性する。いくつかの実施形態では、260nm及び280nmにおける組成物の吸光度を、分光光度計を用いて測定する。いくつかの実施形態では、260nm及び280nmにおける組成物の吸光度を、HPLCを用いて測定する。いくつかの実施形態では、吸光度はピーク吸光度である。260nm及び280nmにおける組成物の吸光度を測定するためのいくつかの方法が、当技術分野で知られている。単離された組換えrAAV粒子を含む組成物のベクターゲノム力価及びカプシド力価の測定方法は、WO2019/212922に開示されている(参照によりその全体が援用される)。
【実施例
【0168】
実施例1.高性能サイズ排除クロマトグラフィーによるAAVベクターゲノムの純度及び構造の評価
製品の純度は、安全性と有効性に影響を及ぼし得る治療用生物製剤の重要な品質属性であるため、リリース試験を含む管理の保証が重要である。AAVベクターゲノムは細胞核に送達され、カプシドタンパク質よりもはるかに長く、長期間持続し得る。したがって、AAV製品のベクターゲノム純度を評価することが望ましい。空のカプシドと完全なカプシドの比を定量化するインタクトなAAVの相対純度は、分析用超遠心法(AUC)、低温電子顕微鏡法、及びイオン交換クロマトグラフィーによって測定することができる。さらに、充填不完全なカプシドと呼ばれることが多い、断片化ゲノム及び非導入遺伝子に関連するDNA混入物を有するベクターの存在は、AUCによって解決することができる。カプシドタンパク質の純度は、SDS-PAGEまたはSDS-CGEで測定することができる。キャピラリー電気泳動及びゲル電気泳動によってAAVゲノムを分析するためのいくつかの研究が発表されているものの、AAVゲノムの純度を決定するためのコンセンサスのとれた方法は確立されていない。本明細書において、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)により、AAVベクターゲノムの純度及び構造を高感度かつ高再現性で評価するためのハイスループット法を開示する。
【0169】
AAVベクターゲノムは一本鎖DNA(ssDNA)であり、個々のAAV粒子は、等しい出現頻度のプラス鎖またはマイナス鎖のDNAゲノムを含む。AAVベクターから遊離すると、プラス鎖及びマイナス鎖の一本鎖DNAゲノムが自発的にアニーリングして、二本鎖DNA(dsDNA)を形成し得る。dsDNAの形成は、一本鎖ゲノムを遊離させるために使用する変性条件に依存する。変性が不完全な低温では、dsDNAに加えて、異なる二次構造を有するssDNAがSECで検出され得る。高温での完全な変性条件下では、すべてのssDNAがdsDNAに変換された。驚くべきことに、変性温度を、試料に特異的な最適値よりもさらに高くすると、SEC中にシグナルが失われる。いかなる特定の理論にも制限されるものではないが、これらの最適温度を上回る温度、すなわち、90℃及び95℃でのインキュベーションは、物質の損失及び/または人工的なDNA断片を生じさせ得る。観察された物質の損失及び断片化は、AAVベクターゲノムの熱不安定性を示しており、これはAAV製品ごとに異なる可能性があり、おそらくベクター配列及びDNAコンストラクトの設計に関連している。
【0170】
AAV製品間の変動に加えて、熱変性への応答もまた、同じ製品内のAAV亜集団間で異なり得る。例えば、アニオン交換クロマトグラフィーから分離された特定のAAV亜集団は、変性に対する耐性の増加を示し、これらのAAVベクターがコンパクトな構造のssDNAを含む可能性があることが示唆された。ddPCRによって決定されたこれらのAAVベクターのゲノム含有量は、分光光度法またはSEC定量化によって決定された含有量よりも低く、これは、コンパクトなDNA構造の存在と、PCR効率を向上させるためのさらなる変性の必要性を示している。
【0171】
試料に特異的な最適温度で完全に変性させると、遊離するすべてのベクターゲノムがdsDNAを形成するが、これを、SECによって、宿主細胞の残留DNA、プラスミドDNA、ゲノム断片などの不純物から分離することができる。AAVから遊離するDNAのSECによる分析は、AAVベクターゲノムのサイズ純度の定量的評価を提供する。この方法で決定されるDNA断片の割合は、AUCで決定される充填不完全なカプシドの割合とよく相関する。AUC分析は時間がかかり、システム操作とデータ分析のための高度な技術と知識を必要とし、多くの場合、大きな試料サイズを消費する。対照的に、本明細書に開示するようなSECによる純度分析は、高速で再現性があり、高感度で定量限界(LoQ)が向上しており、高スループット分析のために自動化することができる。図1図9も参照)。本明細書に開示するSEC法を、充填不完全なカプシドを迅速に評価して、製品開発及びプロセス最適化をサポートするために、及びAAV製品の特性評価のための直交法として使用した。さらに、このSEC法によって260nmでのUV吸光度で検出されたピーク面積を使用して、ベクターゲノム力価を決定することができる。
【0172】
試料調製。20~40μLのAAVベクター試料を、ヒートブロック上で0.05%SDSの存在下で目的の温度に加熱した。適切な加熱ブロックを使用することにより、複数の試料、例えば最大50~100の試料を調製することができる。SECでのインタクトなAAVピークの完全な破壊、及び純粋なベクターゲノムDNAと断片DNAピークの出現によって検証されるように、各AAVベクター製品について個別に、熱変性の最適な温度と持続時間を時間経過研究によって評価し、決定した。図2及び3。
【0173】
サイズ排除HPLC。サイズ排除HPLC(SEC)を、Agilent 1290 UHPLCシステム(Agilent)で実施した。注入量は、試料の推定ゲノム濃度に基づく。>5E+12GC/mLの試料の場合、10μLinを注入し、<5E+12GC/mLの試料の場合、15~20μLを分析用に注入する。6cmの光路長のフローセルを備えたダイオードアレイ検出器を使用して、280nm及び260nmでのUV吸光度をモニタリングした。蛍光検出器を使用して、DNAの純度を確認した。約5×1010GCの熱変性させたAAVベクターの試料を、周囲温度でSRT SEC2000(300×4.6mm(内径)、孔径2000nm)SECカラム(SEPAX)にロードした。10mMリン酸ナトリウム、300mM塩化ナトリウム、0.05%ポリソルベート80、20%メタノール、pH7.5の移動相を、0.2ml/分の流速で合計実行時間45分間使用するアイソクラティックグラジエントを使用して、各試料を測定した。データ分析は、OpenLABソフトウェア(Agilent)を使用して実施した。図3は、同じ配列内で実行する3つの別々の製品のSEC特性を示す。
【0174】
実施例2.ssDNAの変性及び構造の特性評価
rAAV試料のSEC特性を、75℃で10分間、85℃で10分間、または85℃で20分間の変性後に分析した。図4。75℃に10分間曝露した試料に、一部が二次構造を有するssDNAが存在していたことは、熱処理によって完全に変性していなかったことを示している。ssDNAの完全な変性/線形化にとって、85℃、20分間は最適であった。3つすべての試料で少量のトランケートされたベクターゲノムが観察された。75℃で10分間の変性後の同じrAAVの異なる製剤のSEC分析により、一部が二次構造を有するssDNAのレベルが、異なる製剤間で異なることが示された。
【0175】
実施例3.過度の熱変性はシグナル損失をもたらす
rAAV試料のSEC特性を、75℃、80℃、85℃、90℃、または95℃で20分間の熱変性後に分析した。図5。dsDNAのシグナル強度は、例えば実施例2に示すデータに基づいて予想されるように、75℃よりも80℃及び85℃での熱変性後に高かった。驚くべきことに、熱変性温度を90℃及び95℃までさらに上昇させることにより、dsDNAシグナルが失われた。これらの結果は、最大のシグナルをもたらす最適な熱変性温度があり、試験した特定の試料の最適な熱変性温度が約80℃~約85℃の範囲であったことを示した。90℃及び95℃での20分間のインキュベーションでは、AAVゲノムが有意に分解されるとは予想されなかったため、この観察結果は驚くべきものであった。いかなる特定の理論にも制限されるものではないが、高温、すなわち、90℃及び95℃でのインキュベーションは、物質の損失を生じさせ得、及び/または人工的なDNA断片を生じさせ得る。観察された物質の損失及び断片化は、AAVベクターゲノムの熱不安定性を示していたが、これはAAV製品ごとに異なる可能性があり、おそらくベクター配列及びDNAコンストラクトの設計に関連している。
【0176】
製品に特異的な最適の熱変性条件を決定することは、本明細書に開示する方法を使用してハイスループットスクリーニングアッセイを開発するために重要である。以下の実施例に示すように、本明細書に記載のアッセイは、例えば、トランケート型ベクターゲノムを含む部分充填rAAV粒子の比率を定量化するためのAUCに対する直交法として有用である。DNA-SECによって決定される断片DNAの割合(%)とAUCによって決定される充填不完全なカプシドの割合(%)の間の信頼できる良好な相関関係は、本明細書に開示するDNA-SECアッセイの製品に特異的な最適の熱変性条件を使用することによって達成することができる。
【0177】
実施例4.AUCとDNA-SECの間のトランケート型ベクターゲノムのブリッジング分析
85℃で20分間の処理による完全な変性の後、3つの異なるrAAV粒子を含む組成物中に低レベルの断片化DNAが観察された。図3。AUCによって決定された部分充填rAAV粒子のレベルと、DNA-SECによって検出された断片化DNAのレベルは、一致した結果を示した。図6。したがって、本明細書に開示するDNA-SEC法を、AUCに対するハイスループット直交法として使用して、トランケート型ベクターゲノムを含む部分充填rAAV粒子の比率を定量化することができる。
DNA-SECによって決定される断片DNAの割合(%)とAUCによって決定される充填不完全なカプシドの割合(%)の間の良好な相関は、DNA-SECを使用して、多数の試料中の充填不完全なカプシドのレベルを迅速に評価して、製品開発及びプロセス最適化をサポートすることができることを示している。
【0178】
実施例5.ddPCR及びDNA-SECによるVGC力価
本明細書に開示するDNA-SEC及びddPCRを使用して、複数のrAAV製剤について、ウイルスゲノムコピー(VGC)力価を測定した。DNA-SEC及びddPCRは、AAV製品に対して全体的に一致したVGC力価の結果を示した。
【0179】
本明細書に開示する方法の利点は、大量のトランケート型ゲノムを有するrAAV組成物の場合、DNA-SECによるVGC力価が完全長ベクターゲノムのVGCを報告することができることである。
【0180】
実施例6.AAVベクターゲノムのフォールディングの特性評価
特定のAAV集団、例えば、アニオン交換クロマトグラフィーから分離されたAAV集団(図7中のAAV_2)は、変性に対する耐性の増加を示した。ddPCRによって決定されたこれらのAAVベクターのゲノム含有量は、分光光度法またはSEC定量化によって決定された含有量よりも低く、これは、コンパクトなDNA構造の存在と、PCR効率を向上させるためのさらなる変性の必要性を示している。本明細書に示すように、様々な変性条件を使用することにより、本明細書に開示するDNA-SEC法を使用して、カプシド内のAAVベクターゲノムの二次構造/フォールディングに関する情報を提供することができ、これは、潜在的にPCRベースのアッセイの効率と効力に影響を与え得る。
【0181】
実施例7.DNA-SECによって評価したプロセス最適化
DNA-SECは、プロセス最適化と製品の特性評価をサポートするハイスループットスクリーニングアッセイとして使用することができる。図8は、5つの異なる最適化されたプロセスによって生成される5つのrAAV製剤のDNA-SEC特性を示す。弱い変性と強い変性の両方の後に、DNA-SEC特性を決定した。ゲノム断片の割合(%)は、5つのrAAV製剤間で、3.9%から7.7%の間で様々に異なっていた。
【0182】
実施例8.DNA-SECアッセイの性能評価
本明細書に記載のDNA-SECアッセイは、信頼性の高い方法を提供し、このアッセイを、精度、線形性及び定量限界(LoQ)に関する性能について試験した。再現性は、同じSEC実行中の5%以内の繰り返し性、10%以内の中間精度であった。アッセイは線形性を示し、AAVの2.9E+10~29E+10GCの検出範囲、及びAAVの約2E+10GCのLoQであった。図9
【0183】
本開示の方法を、現在最も実用的で好ましい実施形態であると考えられるものと共に説明してきたが、本開示に包含される方法は、開示される実施形態に限定されるべきではなく、逆に、添付の請求項の趣旨及び範囲に含まれる様々な変更及び同等のアレンジを網羅するように意図されていることを理解されたい。
【0184】
本明細書で引用されたすべての刊行物、特許、特許出願、インターネットサイト、ならびにポリヌクレオチド配列及びポリペプチド配列の両方を含む登録番号/データベースの配列は、各々の個別の刊行物、特許、特許出願、インターネットサイト、または登録番号/データベースの配列が、あたかも具体的かつ個別に参照によって援用されるのと同程度に、あらゆる目的において、参照によりその全体が本明細書に援用される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】