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特表2022-526640血液悪性腫瘍の治療における二重特異性CD123×CD3ダイアボディの投薬レジメン
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-25
(54)【発明の名称】血液悪性腫瘍の治療における二重特異性CD123×CD3ダイアボディの投薬レジメン
(51)【国際特許分類】
   A61K 39/395 20060101AFI20220518BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20220518BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20220518BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220518BHJP
   A61K 31/573 20060101ALI20220518BHJP
   C07K 16/46 20060101ALI20220518BHJP
   C07K 16/30 20060101ALI20220518BHJP
   C07K 16/28 20060101ALI20220518BHJP
   C12N 15/13 20060101ALI20220518BHJP
   C07J 5/00 20060101ALN20220518BHJP
【FI】
A61K39/395 D
A61P35/02
A61K9/08
A61K39/395 N
A61P43/00 121
A61K31/573
C07K16/46 ZNA
C07K16/30
C07K16/28
C12N15/13
C07J5/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021559745
(86)(22)【出願日】2020-04-08
(85)【翻訳文提出日】2021-12-06
(86)【国際出願番号】 US2020027140
(87)【国際公開番号】W WO2020210277
(87)【国際公開日】2020-10-15
(31)【優先権主張番号】62/831,979
(32)【優先日】2019-04-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/929,401
(32)【優先日】2019-11-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/001,388
(32)【優先日】2020-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/929,381
(32)【優先日】2019-11-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/831,969
(32)【優先日】2019-04-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504438727
【氏名又は名称】マクロジェニクス,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100123858
【弁理士】
【氏名又は名称】磯田 志郎
(72)【発明者】
【氏名】デビッドソン ジャン ケニス
(72)【発明者】
【氏名】レント イアン
(72)【発明者】
【氏名】サンパスクマール クリシュナン
(72)【発明者】
【氏名】オルダーソン ラルフ フローマン
(72)【発明者】
【氏名】ラ モット-モース ロス
(72)【発明者】
【氏名】ウィギントン ジョン マーク
【テーマコード(参考)】
4C076
4C085
4C086
4C091
4H045
【Fターム(参考)】
4C076AA11
4C076AA16
4C076BB13
4C076CC27
4C076FF11
4C076FF31
4C076FF68
4C085AA13
4C085AA14
4C085EE01
4C085EE03
4C085GG02
4C086AA01
4C086AA02
4C086DA10
4C086MA02
4C086MA03
4C086MA04
4C086MA07
4C086MA17
4C086MA21
4C086MA66
4C086NA05
4C086NA12
4C086NA14
4C086ZB27
4C086ZC75
4C091AA01
4C091BB03
4C091BB05
4C091CC01
4C091DD01
4C091EE07
4C091FF01
4C091GG01
4C091HH03
4C091JJ03
4C091KK12
4C091LL01
4C091MM03
4C091NN04
4C091PA03
4C091PA05
4C091PA09
4C091PB02
4C091QQ01
4H045AA11
4H045AA30
4H045DA76
4H045EA28
4H045FA74
(57)【要約】
本発明は、急性骨髄性白血病(AML)又は骨髄異形成症候群(MDS)等の血液悪性腫瘍の患者にCD123×CD3二重特異性ダイアボディを投与するための投薬レジメンを対象とする。本発明はまた、急性骨髄性白血病(AML)又は骨髄異形成症候群(MDS)等の血液悪性腫瘍の患者に、PD‐1又はPD‐1の天然リガンドに結合できる分子(「PD‐1又はPD‐1リガンド結合分子」)と組み合わされたCD123×CD3二重特異性ダイアボディを投与するための投薬レジメンを対象とする。本発明は特に、CD123及びCD3に同時に結合できる配列最適化済みCD123×CD3二重特異性ダイアボディ「DART‐A」を投与するための、上記レジメンの使用に関する。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
CD123×CD3結合分子を、それを必要とする被験者に投与するステップを含む、血液悪性腫瘍を治療する方法であって:
(I)前記CD123×CD3結合分子は、配列番号21のアミノ酸配列を有する第1のポリペプチド鎖と、配列番号23のアミノ酸配列を有する第2のポリペプチド鎖とからなるダイアボディであり;
(II)前記方法は、初期7日治療期間(I7DP)を含み、ここで:
(A)前記I7DPの1日目には、前記CD123×CD3結合分子を持続静注によって約30ng/kg/日の投薬量で前記被験者に投与し;
(B)前記I7DPの2日目には、前記CD123×CD3結合分子を持続静注によって約60ng/kg/日の投薬量で前記被験者に投与し;
(C)前記I7DPの3日目には、前記CD123×CD3結合分子を持続静注によって約100ng/kg/日の投薬量で前記被験者に投与し;
(D)前記I7DPの4日目には、前記CD123×CD3結合分子を持続静注によって約200ng/kg/日の投薬量で前記被験者に投与し;
(E)前記I7DPの5日目には、前記CD123×CD3結合分子を持続静注によって約300ng/kg/日の投薬量で前記被験者に投与し;
(F)前記I7DPの6日目には、前記CD123×CD3結合分子を持続静注によって約300ng/kg/日~約400ng/kg/日の投薬量で前記被験者に投与し;
(G)前記I7DPの7日目には、前記CD123×CD3結合分子を持続静注によって約300ng/kg/日~約500ng/kg/日の投薬量で前記被験者に投与する、方法。
【請求項2】
被験者の血液悪性腫瘍の治療における使用のためのCD123×CD3結合分子であって:
(I)前記CD123×CD3結合分子は、配列番号21のアミノ酸配列を有する第1のポリペプチド鎖と、配列番号23のアミノ酸配列を有する第2のポリペプチド鎖とからなるダイアボディであり;
(II)前記使用は、初期7日治療期間(I7DP)を含み、ここで:
(A)前記I7DPの1日目には、前記CD123×CD3結合分子を持続静注によって約30ng/kg/日の投薬量で前記被験者に投与し;
(B)前記I7DPの2日目には、前記CD123×CD3結合分子を持続静注によって約60ng/kg/日の投薬量で前記被験者に投与し;
(C)前記I7DPの3日目には、前記CD123×CD3結合分子を持続静注によって約100ng/kg/日の投薬量で前記被験者に投与し;
(D)前記I7DPの4日目には、前記CD123×CD3結合分子を持続静注によって約200ng/kg/日の投薬量で前記被験者に投与し;
(E)前記I7DPの5日目には、前記CD123×CD3結合分子を持続静注によって約300ng/kg/日の投薬量で前記被験者に投与し;
(F)前記I7DPの6日目には、前記CD123×CD3結合分子を持続静注によって約300ng/kg/日~約400ng/kg/日の投薬量で前記被験者に投与し;
(G)前記I7DPの7日目には、前記CD123×CD3結合分子を持続静注によって約300ng/kg/日~約500ng/kg/日の投薬量で前記被験者に投与する、CD123×CD3結合分子。
【請求項3】
前記方法又は前記使用は、1つ以上の追加の7日治療期間(A7DP)を含み、前記1つ以上のA7DPそれぞれの1~7日目には、前記CD123×CD3結合分子を持続静注によって約300ng/kg/日~約500ng/kg/日の投薬量で前記被験者に投与する、請求項1に記載の方法、又は請求項2に記載の使用のためのCD123×CD3結合分子。
【請求項4】
前記I7DPの6日目及び7日目には、前記CD123×CD3結合分子を約300ng/kg/日の投薬量で前記被験者に投与する、請求項1若しくは3に記載の方法、又は請求項2若しくは3に記載の使用のためのCD123×CD3結合分子。
【請求項5】
前記1つ以上のA7DPのうちの少なくとも1つの、1~7日目には、前記CD123×CD3結合分子を約300ng/kg/日の投薬量で前記被験者に投与する、請求項3若しくは4に記載の方法、又は請求項3若しくは4に記載の使用のためのCD123×CD3結合分子。
【請求項6】
前記I7DPの6日目及び7日目には、前記CD123×CD3結合分子を約400ng/kg/日の投薬量で前記被験者に投与する、請求項1若しくは3に記載の方法、又は請求項2若しくは3に記載の使用のためのCD123×CD3結合分子。
【請求項7】
前記1つ以上のA7DPのうちの少なくとも1つの、1~7日目には、前記CD123×CD3結合分子を約400ng/kg/日の投薬量で前記被験者に投与する、請求項3若しくは6に記載の方法、又は請求項3若しくは6に記載の使用のためのCD123×CD3結合分子。
【請求項8】
前記I7DPの6日目には、前記CD123×CD3結合分子を約400ng/kg/日の投薬量で前記被験者に投与し、前記I7DPの7日目には、前記CD123×CD3結合分子を約500ng/kg/日の投薬量で前記被験者に投与する、請求項1若しくは3に記載の方法、又は請求項2若しくは3に記載の使用のためのCD123×CD3結合分子。
【請求項9】
前記1つ以上のA7DPのうちの少なくとも1つの、1~7日目には、前記CD123×CD3結合分子を約500ng/kg/日の投薬量で前記被験者に投与する、請求項3若しくは8に記載の方法、又は請求項3若しくは8に記載の使用のためのCD123×CD3結合分子。
【請求項10】
3回の前記A7DPを含む、請求項3~9のいずれか1項に記載の方法、又は請求項3~9のいずれか1項に記載の使用のためのCD123×CD3結合分子。
【請求項11】
更なる4回、8回、12回、16回、又は20回の前記A7DPを含む、請求項10に記載の方法、又は請求項10に記載の使用のためのCD123×CD3結合分子。
【請求項12】
前記1つ以上のA7DPのうちの少なくとも1つの後には、1つ以上の更なる7日治療期間(F7DP)が続き、ここで、前記1つ以上のF7DPそれぞれの1~4日目には、前記CD123×CD3結合分子を前記被験者に投与し、前記1つ以上のF7DPそれぞれの5~7日目には、前記被験者に前記CD123×CD3結合分子を提供しない、請求項3~11のいずれか1項に記載の方法、又は請求項3~11のいずれか1項に記載の使用のためのCD123×CD3結合分子。
【請求項13】
前記1つ以上のF7DPのうちの少なくとも1つの、1~4日目には、前記CD123×CD3結合分子を持続静注によって約300ng/kg/日~約500ng/kg/日の投薬量で前記被験者に投与する、請求項12に記載の方法、又は請求項12に記載の使用のためのCD123×CD3結合分子。
【請求項14】
前記1つ以上のF7DPのうちの少なくとも1つの、1~4日目には、前記CD123×CD3結合分子を約300ng/kg/日の投薬量で前記被験者に投与する、請求項13に記載の方法、又は請求項13に記載の使用のためのCD123×CD3結合分子。
【請求項15】
前記1つ以上のF7DPのうちの少なくとも1つの、1~4日目には、前記CD123×CD3結合分子を約400ng/kg/日の投薬量で前記被験者に投与する、請求項13に記載の方法、又は請求項13に記載の使用のためのCD123×CD3結合分子。
【請求項16】
前記1つ以上のF7DPのうちの少なくとも1つの、1~4日目には、前記CD123×CD3結合分子を約500ng/kg/日の投薬量で前記被験者に投与する、請求項13に記載の方法、又は請求項13に記載の使用のためのCD123×CD3結合分子。
【請求項17】
4回の前記F7DPを含む、請求項12~16のいずれか1項に記載の方法、又は請求項12~16のいずれか1項に記載の使用のためのCD123×CD3結合分子。
【請求項18】
更なる4回、8回、12回、16回、又は20回の前記F7DPを含む、請求項17に記載の方法、又は請求項17に記載の使用のためのCD123×CD3結合分子。
【請求項19】
前記方法又は使用は、PD‐1又はPD‐1の天然リガンドに結合できる分子を投与するステップを更に含み、PD‐1に結合できる前記分子は、PD‐1に結合する抗体のエピトープ結合ドメインを含み、PD‐1の天然リガンドに結合できる前記分子は、PD‐1の天然リガンドに結合する抗体のエピトープ結合ドメインを含む、請求項1及び3~18のいずれか1項に記載の方法、又は請求項2~18のいずれか1項に記載の使用のためのCD123×CD3結合分子。
【請求項20】
PD‐1又はPD‐1の天然リガンドに結合できる前記結合分子を、2週間に1回(Q2W)、3週間に1回(Q3W)、又は4週間に1回(Q4W)投与する、請求項19に記載の方法、又は請求項19に記載の使用のためのCD123×CD3結合分子。
【請求項21】
PD‐1又はPD‐1の天然リガンドに結合できる前記結合分子を、15日目から投与する、請求項19若しくは20に記載の方法、又は請求項19若しくは20に記載の使用のためのCD123×CD3結合分子。
【請求項22】
PD‐1又はPD‐1の天然リガンドに結合できる前記結合分子を、15日目からQ2Wで投与する、請求項21に記載の方法、又は請求項21に記載の使用のためのCD123×CD3結合分子。
【請求項23】
PD‐1又はPD‐1の天然リガンドに結合できる前記結合分子を、前記F7DPのうちの1つ以上の、1日目に投与する、請求項19~23のいずれか1項に記載の方法、又は請求項19~23のいずれか1項に記載の使用のためのCD123×CD3結合分子。
【請求項24】
PD‐1又はPD‐1の天然リガンドに結合できる前記結合分子は:
(a)ペンブロリズマブのVHドメイン及びVLドメイン;
(b)ニボルマブのVHドメイン及びVLドメイン;
(c)セミプリマブのVHドメイン及びVLドメイン;
(c)PD‐1 mAb 1のVHドメイン及びVLドメイン;
(d)アテゾリズマブのVHドメイン及びVLドメイン;
(e)アベルマブのVHドメイン及びVLドメイン;
(f)デュルバルマブのVHドメイン及びVLドメイン;又は
(h)表3若しくは4で提供されている抗体のVHドメイン及びVLドメイン
を含む、請求項19~23のいずれか1項に記載の方法、又は請求項19~23のいずれか1項に記載の使用のためのCD123×CD3結合分子。
【請求項25】
PD‐1又はPD‐1の天然リガンドに結合できる前記結合分子は、PD‐1 mAb 1 IgG4である、請求項24に記載の方法、又は請求項24に記載の使用のためのCD123×CD3結合分子。
【請求項26】
PD‐1又はPD‐1の天然リガンドに結合できる前記結合分子が、約1mg/kg~約3mg/kgの用量で投与される、請求項19~25のいずれか1項に記載の方法、又は請求項19~25のいずれか1項に記載の使用のためのCD123×CD3結合分子。
【請求項27】
前記CD123×CD3結合分子の最後の用量の投与後に、PD‐1又はPD‐1の天然リガンドに結合できる前記結合分子の1つ以上の用量を投与するステップを更に含む、請求項19~26のいずれか1項に記載の方法、又は請求項19~26のいずれか1項に記載の使用のためのCD123×CD3結合分子。
【請求項28】
前記方法又は前記使用は、前記CD123×CD3結合分子の投与前、投与中、及び/又は投与後に、コルチコステロイド及び/又は抗IL‐6若しくは抗IL‐6R抗体を静脈内注入によって投与するステップを更に含む、請求項1、3~27のいずれか1項に記載の方法、又は請求項2~27のいずれか1項に記載の使用のためのCD123×CD3結合分子。
【請求項29】
前記血液悪性腫瘍は:急性骨髄性白血病(AML);CMLの急性転化及びCMLに関連するAbelson癌遺伝子(Bcr‐ABL転座)を含む、慢性骨髄性白血病(CML);骨髄異形成症候群(MDS);急性Bリンパ芽球性白血病(B‐ALL);急性Tリンパ芽球性白血病(T‐ALL);CLLのリヒター症候群を含む、慢性リンパ性白血病(CLL);有毛細胞白血病(HCL);芽球性形質細胞様樹状細胞新生物(BPDCN);マントル細胞リンパ腫(MCL)及び小リンパ球性リンパ腫(SLL)を含む非ホジキンリンパ腫(NHL);ホジキンリンパ腫、全身性肥満細胞症;並びにバーキットリンパ腫からなる群から選択される、請求項1及び3~28のいずれか1項に記載の方法、又は請求項2~28のいずれか1項に記載の使用のためのCD123×CD3結合分子。
【請求項30】
前記血液悪性腫瘍は急性骨髄性白血病である、請求項29に記載の方法、又は請求項29に記載の使用のためのCD123×CD3結合分子。
【請求項31】
前記血液悪性腫瘍は骨髄異形成症候群である、請求項29に記載の方法、又は請求項29に記載の使用のためのCD123×CD3結合分子。
【請求項32】
前記血液悪性腫瘍は芽球性形質細胞様樹状細胞新生物である、請求項29に記載の方法、又は請求項29に記載の使用のためのCD123×CD3結合分子。
【請求項33】
前記血液悪性腫瘍は急性Tリンパ芽球性白血病である、請求項29に記載の方法、又は請求項29に記載の使用のためのCD123×CD3結合分子。
【請求項34】
前記血液悪性腫瘍は急性Bリンパ芽球性白血病である、請求項29に記載の方法、又は請求項29に記載の使用のためのCD123×CD3結合分子。
【請求項35】
前記被験者はヒトである、請求項1及び3~34いずれか1項に記載の方法、又は請求項2~34のいずれか1項に記載の使用のためのCD123×CD3結合分子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、米国特許出願第63/001,388号(2020年3月29日出願;係属中)、62/831,969号(2019年4月10日出願;係属中);62/831,979号(2019年4月10日出願;係属中);62/929,381(2019年11月1日出願;係属中)、及び62/929,401号(2019年11月1日出願;係属中)に対する優先権を主張するものであり、各上記出願は参照によりその全体が本出願に援用される。
【0002】
配列表の参照
本出願は、連邦規則法典第37巻第1.821節以下による1つ以上の配列表を含み、これらの配列表は、コンピュータ可読媒体(ファイル名:1301_0162P3_PCT_ST25.txt、2020年3月29日作成、サイズ:35,519バイト)において開示されており、上記ファイルは、その全体が本出願に援用される。
【0003】
本発明は、急性骨髄性白血病(AML)又は骨髄異形成症候群(MDS)等の血液悪性腫瘍の患者にCD123×CD3二重特異性ダイアボディを投与するための投薬レジメンを対象とする。本発明はまた、急性骨髄性白血病(AML)又は骨髄異形成症候群(MDS)等の血液悪性腫瘍の患者に、PD‐1又はPD‐1の天然リガンドに結合できる分子(「PD‐1又はPD‐1リガンド結合分子」)と組み合わされたCD123×CD3二重特異性ダイアボディを投与するための投薬レジメンを対象とする。本発明は特に、CD123及びCD3に同時に結合できる配列最適化済みCD123×CD3二重特異性ダイアボディ「DART‐A」のための、上記レジメンの使用に関する。
【背景技術】
【0004】
I.AML及びMDS
急性骨髄性白血病(AML)及び骨髄異形成症候群(MDS)は、一般に休眠している(即ち急速に分裂しない細胞である)ため細胞死(アポトーシス)及び従来の化学療法剤に対する耐性を有する、白血病性幹細胞(LSC)の小さな集団で発生し、それによって永続化すると考えられる。LSCは、高レベルのCD123発現を特徴とし、これは、正常なヒト骨髄中の、対応する正常な造血幹細胞には存在しない(非特許文献1、2)。CD123は、AMLの45%~95%、有毛細胞白血病(HCL)の85%、及び急性Bリンパ芽球性白血病(B‐ALL)の40%で発現される。CD123発現は、以下の他の複数の悪性腫瘍/前悪性腫瘍にも関連する:慢性骨髄性白血病(CML)前駆細胞(急性転化CMLを含む);ホジキン/リード・シュテルンベルグ(RS)細胞;形質転換された非ホジキンリンパ腫(NHL);一部の慢性リンパ性白血病(CLL)(CD11c+);急性Tリンパ芽球性白血病(T‐ALL)のサブセット(16%、最も未成熟、大半が成人)、形質細胞様樹状細胞(pDC)(DC2)悪性腫瘍、及びCD34+/CD38-骨髄異形成症候群(MDS)骨髄細胞悪性腫瘍
【0005】
AMLは、形質転換された骨髄前駆細胞の、骨髄中での増殖及び蓄積を特徴とするクローン性疾患であり、これは最終的に造血不全につながる。AMLの発生率は年齢と共に上昇し、高齢の患者ほど、若年の患者に比べて治療成績が悪くなるのが典型的ある(非特許文献3)。残念ながら現在、AMLに罹患したほとんどの成人は、この疾患によって死亡している。
【0006】
AMLの治療はまず、寛解の導入(導入療法)に焦点を合わせる。寛解が達成されると、治療は、このような寛解の確保(寛解後療法又は地固め療法)、及び場合によっては維持療法に焦点を合わせるようにシフトされる。AMLのための標準的な寛解導入パラダイムは、アントラサイクリン/シタラビンの併用による化学療法であり、またこれに続いて、集中治療に耐える患者の能力、及び化学療法単独での治癒の可能性に応じて、(通常は導入期間中に使用されたものと同一の薬剤をより多い用量で使用した)地固め化学療法、又はヒト造血幹細胞移植(hematopoietic stem cell transplantation:HSCT)が行われる(例えば非特許文献4を参照)。
【0007】
導入療法に頻繁に使用される作用剤としては、シタラビン及びアントラサイクリンが挙げられる。シタラビン(AraCとしても公知)は、DNA合成に干渉することによって、がん細胞(及び他の急速に分裂する正常な細胞)を殺滅する。AraC治療に関連する副作用としては:白血球産生の減少の結果としての、感染症に対する耐性の低下;血小板産生の減少の結果としての出血;及び赤血球細胞の潜在的減少による貧血が挙げられる。他の副作用としては、悪心及び嘔吐が挙げられる。アントラサイクリン(例えばダウノルビシン、ドキソルビシン、及びイダルビシン)は、DNA及びRNA合成の阻害、DNAの高次構造の破壊、並びに細胞損傷性遊離酸素ラジカルの産生を含む、複数の作用機序を有する。アントラサイクリンの最も重要な副作用は心毒性であり、これにより、投与される生涯用量がかなり制限され、その有用性もある程度制限される。
【0008】
従って残念なことに、新たに診断されたAMLの治療における大幅な進歩にもかかわらず、患者の20%~40%は、標準的な導入化学療法で寛解を達成せず、第1完全寛解に達した患者の50%~70%は、3年以内の再発が予測される。再発時の、又は抵抗性疾患を有する患者のための最適な戦略は、依然として不確実である。幹細胞移植は、初回又はその後の寛解における、AMLに罹患した患者の抗白血病療法の最も有効な形態として確立されている(非特許文献4)。
【0009】
II.CD123
CD123(インターロイキン3受容体α、IL‐3Ra)は、40kDa分子であり、インターロイキン3受容体複合体の一部である(非特許文献5)。インターロイキン3(IL‐3)は、多能性幹細胞の赤血球、骨髄及びリンパ系前駆細胞への早期分化を促進する。CD123は、CD34+コミット前駆細胞上で発現される(非特許文献6)が、CD34+/CD38-正常造血幹細胞によっては発現されない。CD123は、好塩基球、肥満細胞、形質細胞様樹状細胞によって発現され、単球、マクロファージ、及び好酸球によって多少発現され、好中球及び巨核球によってはわずかしか又は全く発現されない。一部の非造血組織(胎盤、精巣のライディッヒ細胞、特定の脳細胞要素、及び一部の内皮細胞)はCD123を発現するが、発現は大半が細胞質性である。
【0010】
CD123は、白血病性芽球及び白血病幹細胞(LSC)によって発現されることが報告されている(非特許文献2、1)。ヒトの正常前駆体集団では、CD123は造血前駆細胞(HPC)のサブセットによって発現されるものの、正常な造血幹細胞(HSC)によっては発現されない。CD123はまた、形質細胞様樹状細胞(pDC)及び好塩基球によって、並びに程度はより低いものの単球及び好酸球によって発現される(非特許文献7~11)
【0011】
CD123は、急性骨髄性白血病(AML)及び骨髄異形成症候群(MDS)を含む広範な血液悪性腫瘍において、悪性細胞で過剰発現されることが報告されている(非特許文献9)。CD123の過剰発現は、AMLの予後不良に関連している(非特許文献12)。
【0012】
III.CD3
CD3は4つの別個の鎖で構成されたT細胞共受容体である(非特許文献13)。哺乳類では、この複合体は、1つのCD3γ鎖、1つのCD3δ鎖、及び2つのCD3ε鎖を含有する。これらの鎖は、T細胞受容体(TCR)として知られる分子と会合して、Tリンパ球中で活性化シグナルを生成する。CD3が存在しない場合、TCRは適切に会合せず、崩壊する(非特許文献14)。CD3は、全ての成熟T細胞の膜に結合し、実質的に他の全ての細胞タイプの膜に結合しないことが分かっている(非特許文献15~17を参照)。
【0013】
IV.プログラム死‐1(「PD‐1」)膜タンパク質
プログラム死‐1(「PD‐1」、「CD279」としても公知)は、免疫応答を幅広く下方制御するT細胞制御因子の拡張CD28/CTLA‐4ファミリーの、およそ31kDのI型膜タンパク質メンバーである(非特許文献18、特許文献1~9)。
【0014】
PD‐1は、活性化されたT細胞、B細胞及び単球上で(非特許文献19、20)、並びにナチュラルキラー(NK)T細胞中において低レベルで(非特許文献21、22)、発現される。
【0015】
PD‐1は、B7‐H1及びB7‐DCへの結合によって、免疫系の阻害を仲介する(PD‐L1及びPD‐L2として公知)(非特許文献23、特許文献10~17)。
【0016】
B7‐H1及びB7‐DCは、心臓、胎盤、筋肉、胎児の肝臓、脾臓、リンパ節及び胸腺、並びにマウスの肝臓、肺、腎臓、膵臓の島細胞及び小腸といった、多くのタイプのヒト及びマウス組織の表面上で広く発現される(非特許文献22)。ヒトでは、B7‐H1タンパク質発現は、ヒト内皮細胞(非特許文献24~26)、心筋(非特許文献27)、及び合胞体栄養細胞(非特許文献28)において見られた。上記分子はまた、いくつかの組織の常在性マクロファージによって、インターフェロン(IFN)‐γ又は腫瘍壊死因子(tumor necrosis factor:TNF)‐αによって活性化されたマクロファージによって(非特許文献29)、及び腫瘍内において(非特許文献30)も発現される。
【0017】
B7‐H1とPD‐1との間の相互作用は、T及びB細胞に対する重大な下方共刺激シグナル(非特許文献22)、並びに細胞死誘導因子としての機能(非特許文献18、31)を提供することが分かっている。より具体的には、低濃度のPD‐1受容体とB7‐H1リガンドとの間の相互作用は、抗原特異性CD8T細胞の増殖を強く阻害する阻害シグナルの伝達をもたらすことが分かっており;高濃度では、PD‐1との相互作用はT細胞増殖を阻害しないものの、複数のサイトカインの産生を明らかに低減させる(非特許文献32)。休止CD4及びCD8 T細胞並びに既に活性化されたCD4及びCD8 T細胞の両方、更には臍帯血由来のナイーブT細胞による、T細胞増殖及びサイトカイン産生は、可溶性B7‐H1‐Fc融合タンパク質によって阻害されることが分かっている(非特許文献33、29、34、32)。
【0018】
従って、PD‐1に結合して、その天然リガンドに結合するその能力を妨げる分子(例えば抗体等)は、PD‐1の、免疫系を阻害する能力を阻害し;従ってこのような分子は、活発な免疫応答を促進する。対照的に、PD‐1の天然リガンド(特にB7‐H1)に結合して、PD‐1に結合するその能力を妨げる分子(例えば抗体等)は、PD‐1の、免疫系を阻害する能力を阻害し;従ってこのような分子も、活発な免疫応答を促進する。
【0019】
よって、T細胞活性化及び増殖におけるB7‐H1及びPD‐1の役割は、これらの生体分子が、炎症及び癌の治療のための治療標的として機能し得ることを示唆している。従って、感染及び腫瘍の治療並びに適応免疫応答の上方調節のための、抗PD‐1及び抗B7‐H1抗体等のPD‐1又はPD‐L1結合分子の使用が提案されている(例えば非特許文献35、36を参照)。PD‐1及びB7‐H1に特異的に結合する抗体が報告されている(例えば表3~4を参照)。
【0020】
V.二重特異性ダイアボディ
非単一特異性ダイアボディの提供は、異なる複数のエピトープを発現する細胞を共連結及び共局在化する能力という、単一特異性天然抗体を上回る有意な利点を提供する。従って二重特異性ダイアボディは、療法及び免疫診断を含む広範な用途を有する。二重特異性により、様々な用途におけるダイアボディの設計及び操作に高い柔軟性がもたらされ、これにより、多量体抗原への結合活性の強化、異なる抗原の架橋、及び両方の標的抗原の存在に依存する特定の細胞タイプへの指向性標的化が提供される。特に重要なのは、異なる複数の細胞の共連結、例えば細胞傷害性T細胞等のエフェクタ細胞と腫瘍細胞との架橋である(非特許文献37、38)。腫瘍細胞とエフェクタ細胞とを架橋することにより、ダイアボディは、エフェクタ細胞を腫瘍細胞の付近に運ぶだけでなく、効果的な細胞殺滅をもたらす(例えば非特許文献39を参照)。
【0021】
このような非単一特異性ダイアボディの形成は、2つ以上の別個の異なるポリペプチドの良好な集合を必要とする(即ち上記形成は、ダイアボディが、異なるポリペプチド鎖種のヘテロ二量体形成によって形成されることを必要とする)。この事実は、同一のポリペプチド鎖のホモ二量体形成によって形成される単一特異性ダイアボディとは対照的である。非単一特異性ダイアボディを形成するために少なくとも2つの異なるポリペプチド(即ち2つのポリペプチド種)を提供しなければならないため、及びこのようなポリペプチドのホモ二量体形成は不活性分子をもたらす(非特許文献40)ため、このようなポリペプチドの産生は、同一種のポリペプチド間での共有結合を防止する(即ちホモ二量体化を防止する)ような方法で達成しなければならない(非特許文献40)。従って本技術分野は、このようなポリペプチドの非共有結合的連結を教示している(例えば非特許文献41、42、40、43を参照)。
【0022】
非共有結合的に連結したポリペプチドで構成される二重特異性ダイアボディは不安定であり、非機能性モノマーへと容易に分解する(例えば非特許文献43を参照)。安定した、共有結合したヘテロ二量体非単一特異性ダイアボディが報告されている(例えば特許文献18~22;非特許文献44~46を参照)。このようなダイアボディは、1つ以上のシステイン残基を、使用されるポリペプチド種それぞれに組み込む。例えば、このような構造のC末端へのシステイン残基の追加は、ポリペプチド鎖間のジスルフィド結合を可能とすることが分かっており、これは、2価分子の結合特性に干渉することなく、得られるヘテロ二量体を安定化させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0023】
【特許文献1】米国特許出願公開第2007/0202100号
【特許文献2】米国特許出願公開第2008/0311117号
【特許文献3】米国特許出願公開第2009/00110667号
【特許文献4】米国特許第6,808,710号
【特許文献5】米国特許第7,101,550号
【特許文献6】米国特許第7,488,802号
【特許文献7】米国特許第7,635,757号
【特許文献8】米国特許第7,722,868号
【特許文献9】国際公開第01/14557号
【特許文献10】米国特許第6,803,192号
【特許文献11】米国特許第7,794,710号
【特許文献12】米国特許出願公開第2005/0059051号
【特許文献13】米国特許出願公開第2009/0055944号
【特許文献14】米国特許出願公開第2009/0274666号
【特許文献15】米国特許出願公開第2009/0313687号
【特許文献16】国際公開第01/39722号
【特許文献17】国際公開第02/086083号
【特許文献18】国際公開第2006/113665号
【特許文献19】国際公開第2008/157379号
【特許文献20】国際公開第2010/080538号
【特許文献21】国際公開第2012/018687号
【特許文献22】国際公開第2012/162068号
【特許文献23】国際公開第2015/026892号
【非特許文献】
【0024】
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【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0025】
CD23発現性悪性細胞のT細胞標的転換細胞殺滅を仲介できる、CD123及びCD3を標的とする二重特異性ダイアボディが報告されている(例えば特許文献23を参照)。このような成功にもかかわらず、血液悪性腫瘍の治療のためのCD123×CD3二重特異性ダイアボディの投与のための投薬レジメン、特に、例えばサイトカイン放出症候群(cytokine release syndrome:「CRS」)を含む望ましくない副作用を最小限に抑え、免疫系を刺激する投薬レジメンを開発する必要が、満たされないまま残っている。本発明はこの需要、及び以下に記載される他の需要に直接対処する。
【課題を解決するための手段】
【0026】
本発明は、急性骨髄性白血病(AML)又は骨髄異形成症候群(MDS)等の血液悪性腫瘍の患者にCD123×CD3二重特異性ダイアボディを投与するための投薬レジメンを対象とする。本発明はまた、急性骨髄性白血病(AML)又は骨髄異形成症候群(MDS)等の血液悪性腫瘍の患者に、PD‐1又はPD‐1の天然リガンドに結合できる分子(「PD‐1又はPD‐1リガンド結合分子」)と組み合わされたCD123×CD3二重特異性ダイアボディを投与するための投薬レジメンを対象とする。本発明は特に、CD123及びCD3に同時に結合できる配列最適化済みCD123×CD3二重特異性ダイアボディ「DART‐A」のための、上記レジメンの使用に関する。
【0027】
詳細には、本発明は、CD123×CD3結合分子を、それを必要とする被験者に投与するステップを含む、血液悪性腫瘍を治療する方法を提供し、ここで:
(I)上記CD123×CD3結合分子は、配列番号21のアミノ酸配列を有する第1のポリペプチド鎖と、配列番号23のアミノ酸配列を有する第2のポリペプチド鎖とからなるダイアボディであり;
(II)上記方法は、初期7日治療期間(initial 7-day treatment period:I7DP)を含み、ここで:
(A)上記I7DPの1日目には、上記CD123×CD3結合分子を持続静注によって約30ng/kg/日の投薬量で上記被験者に投与し;
(B)上記I7DPの2日目には、上記CD123×CD3結合分子を持続静注によって約60ng/kg/日の投薬量で上記被験者に投与し;
(C)上記I7DPの3日目には、上記CD123×CD3結合分子を持続静注によって約100ng/kg/日の投薬量で上記被験者に投与し;
(D)上記I7DPの4日目には、上記CD123×CD3結合分子を持続静注によって約200ng/kg/日の投薬量で上記被験者に投与し;
(E)上記I7DPの5日目には、上記CD123×CD3結合分子を持続静注によって約300ng/kg/日の投薬量で上記被験者に投与し;
(F)上記I7DPの6日目には、上記CD123×CD3結合分子を持続静注によって約300ng/kg/日~約400ng/kg/日の投薬量で上記被験者に投与し;
(G)上記I7DPの7日目には、上記CD123×CD3結合分子を持続静注によって約300ng/kg/日~約500ng/kg/日の投薬量で上記被験者に投与する。
【0028】
本発明は更に、被験者の血液悪性腫瘍の治療における使用のための、CD123×CD3結合分子を対象とし、ここで:
(I)上記CD123×CD3結合分子は、配列番号21のアミノ酸配列を有する第1のポリペプチド鎖と、配列番号23のアミノ酸配列を有する第2のポリペプチド鎖とからなるダイアボディであり;
(II)上記使用は、初期7日治療期間(I7DP)を含み、ここで:
(A)上記I7DPの1日目には、上記CD123×CD3結合分子を持続静注によって約30ng/kg/日の投薬量で上記被験者に投与し;
(B)上記I7DPの2日目には、上記CD123×CD3結合分子を持続静注によって約60ng/kg/日の投薬量で上記被験者に投与し;
(C)上記I7DPの3日目には、上記CD123×CD3結合分子を持続静注によって約100ng/kg/日の投薬量で上記被験者に投与し;
(D)上記I7DPの4日目には、上記CD123×CD3結合分子を持続静注によって約200ng/kg/日の投薬量で上記被験者に投与し;
(E)上記I7DPの5日目には、上記CD123×CD3結合分子を持続静注によって約300ng/kg/日の投薬量で上記被験者に投与し;
(F)上記I7DPの6日目には、上記CD123×CD3結合分子を持続静注によって約300ng/kg/日~約400ng/kg/日の投薬量で上記被験者に投与し;
(G)上記I7DPの7日目には、上記CD123×CD3結合分子を持続静注によって約300ng/kg/日~約500ng/kg/日の投薬量で上記被験者に投与する。
【0029】
本発明は更に、上記方法又は上記使用が、1つ以上の追加の7日治療期間(additional 7‐Day treatment period:A7DP)を含み、上記1つ以上のA7DPそれぞれの1~7日目には、上記CD123×CD3結合分子を持続静注によって約300ng/kg/日~約500ng/kg/日の投薬量で上記被験者に投与する、上述の全ての方法及び使用の実施形態を対象とする。
【0030】
本発明は更に、上記I7DPの6日目及び7日目には、上記CD123×CD3結合分子を約300ng/kg/日の投薬量で上記被験者に投与する、上述の全ての方法及び使用の実施形態を対象とする。
【0031】
本発明は更に、上記1つ以上のA7DPのうちの少なくとも1つの、1~7日目には、上記CD123×CD3結合分子を約300ng/kg/日の投薬量で上記被験者に投与する、上述の全ての方法及び使用の実施形態を対象とする。
【0032】
本発明は更に、上記I7DPの6日目及び7日目には、上記CD123×CD3結合分子を約400ng/kg/日の投薬量で上記被験者に投与する、上述の全ての方法及び使用の実施形態を対象とする。
【0033】
本発明は更に、上記1つ以上のA7DPのうちの少なくとも1つの、1~7日目には、上記CD123×CD3結合分子を約400ng/kg/日の投薬量で上記被験者に投与する、上述の全ての方法及び使用の実施形態を対象とする。
【0034】
本発明は更に、上記I7DPの6日目には、上記CD123×CD3結合分子を約400ng/kg/日の投薬量で上記被験者に投与し、上記I7DPの7日目には、上記CD123×CD3結合分子を約500ng/kg/日の投薬量で上記被験者に投与する、上述の全ての方法及び使用の実施形態を対象とする。
【0035】
本発明は更に、上記1つ以上のA7DPのうちの少なくとも1つの、1~7日目には、上記CD123×CD3結合分子を約500ng/kg/日の投薬量で上記被験者に投与する、上述の全ての方法及び使用の実施形態を対象とする。
【0036】
本発明は更に、3回の上記A7DPを含む、上述の全ての方法及び使用の実施形態を対象とする。
【0037】
本発明は更に、更なる4回、8回、12回、16回、又は20回の上記A7DPを含む、上述の全ての方法及び使用の実施形態を対象とする。
【0038】
本発明は更に、上記1つ以上のA7DPのうちの少なくとも1つの後には、1つ以上の更なる7日治療期間(further 7-day treatment period:F7DP)が続き、ここで、上記1つ以上のF7DPそれぞれの1~4日目には、上記CD123×CD3結合分子を上記被験者に投与し、上記1つ以上のF7DPそれぞれの5~7日目には、上記被験者に上記CD123×CD3結合分子を提供しない、上述の全ての方法及び使用の実施形態を対象とする。
【0039】
本発明は更に、上記1つ以上のF7DPのうちの少なくとも1つの、1~4日目には、上記CD123×CD3結合分子を持続静注によって約300ng/kg/日~約500ng/kg/日の投薬量で上記被験者に投与する、上述の全ての方法及び使用の実施形態を対象とする。
【0040】
本発明は更に、上記1つ以上のF7DPのうちの少なくとも1つの、1~4日目には、上記CD123×CD3結合分子を約300ng/kg/日の投薬量で上記被験者に投与する、上述の全ての方法及び使用の実施形態を対象とする。
【0041】
本発明は更に、上記1つ以上のF7DPのうちの少なくとも1つの、1~4日目には、上記CD123×CD3結合分子を約400ng/kg/日の投薬量で上記被験者に投与する、上述の全ての方法及び使用の実施形態を対象とする。
【0042】
本発明は更に、上記1つ以上のF7DPのうちの少なくとも1つの、1~4日目には、上記CD123×CD3結合分子を約500ng/kg/日の投薬量で上記被験者に投与する、上述の全ての方法及び使用の実施形態を対象とする。
【0043】
本発明は更に、4回の上記F7DPを含む、上述の全ての方法及び使用の実施形態を対象とする。
【0044】
本発明は更に、更なる4回、8回、12回、16回、又は20回の上記F7DPを含む、上述の全ての方法及び使用の実施形態を対象とする。
【0045】
本発明は更に、PD‐1又はPD‐1の天然リガンドに結合できる分子を投与するステップを更に含み、PD‐1に結合できる上記分子は、PD‐1に結合する抗体のエピトープ結合ドメインを含み、PD‐1の天然リガンドに結合できる上記分子は、PD‐1の天然リガンドに結合する抗体のエピトープ結合ドメインを含む、上述の全ての方法及び使用の実施形態を対象とする。
【0046】
本発明は更に、PD‐1又はPD‐1の天然リガンドに結合できる上記結合分子を、2週間に1回(Q2W)、3週間に1回(Q3W)、又は4週間に1回(Q4W)投与する、上述の全ての方法及び使用の実施形態を対象とする。
【0047】
本発明は更に、PD‐1又はPD‐1の天然リガンドに結合できる上記結合分子を、15日目から投与する、上述の全ての方法及び使用の実施形態を対象とする。
【0048】
本発明は更に、PD‐1又はPD‐1の天然リガンドに結合できる上記結合分子を、15日目からQ2Wで投与する、上述の全ての方法及び使用の実施形態を対象とする。
【0049】
本発明は更に、PD‐1又はPD‐1の天然リガンドに結合できる上記結合分子を、上記F7DPのうちの1つ以上の、1日目に投与する、上述の全ての方法及び使用の実施形態を対象とする。
【0050】
本発明は更に、PD‐1又はPD‐1の天然リガンドに結合できる上記結合分子が:
(a)ペンブロリズマブのVHドメイン及びVLドメイン;
(b)ニボルマブのVHドメイン及びVLドメイン;
(c)セミプリマブのVHドメイン及びVLドメイン;
(c)PD‐1 mAb 1のVHドメイン及びVLドメイン;
(d)アテゾリズマブのVHドメイン及びVLドメイン;
(e)アベルマブのVHドメイン及びVLドメイン;
(f)デュルバルマブのVHドメイン及びVLドメイン;又は
(h)表3若しくは4で提供されている抗体のVHドメイン及びVLドメイン
を含む、上述の全ての方法及び使用の実施形態を対象とする。
【0051】
本発明は更に、PD‐1又はPD‐1の天然リガンドに結合できる上記結合分子が、PD‐1 mAb 1のVHドメイン及びVLドメインを含む、上述の全ての方法及び使用の実施形態を対象とする。
【0052】
本発明は更に、PD‐1又はPD‐1の天然リガンドに結合できる上記結合分子が、PD‐1 mAb 1 IgG4である、上述の全ての方法及び使用の実施形態を対象とする。
【0053】
本発明は更に、PD‐1又はPD‐1の天然リガンドに結合できる上記結合分子が、約1mg/kg~約3mg/kgの用量で投与される、上述の全ての方法及び使用の実施形態を対象とする。
【0054】
本発明は更に、上記CD123×CD3結合分子の最後の用量の投与後に、PD‐1又はPD‐1の天然リガンドに結合できる上記結合分子の1つ以上の用量を投与するステップを更に含む、上述の全ての方法及び使用の実施形態を対象とする。
【0055】
本発明は更に、上記CD123×CD3結合分子の投与前、投与中、及び/又は投与後に、コルチコステロイド及び/又は抗IL‐6若しくは抗IL‐6R抗体を静脈内注入によって投与するステップを更に含む、上述の全ての方法及び使用の実施形態を対象とする。特に、上記コルチコステロイドは、デキサメタゾン、メチルプレドニゾロン、及びヒドロコルチゾンからなる群から選択される。
【0056】
本発明は更に、デキサメタゾンを予防的に投与する、上述の全ての方法及び使用の実施形態を対象とする。特に、デキサメタゾンは、上記CD123×CD3結合分子の投与前に、約10mg~約20mgの投薬量で投与される。
【0057】
本発明は更に、上記CD123×CD3結合分子の投与中及び/又は投与後に、デキサメタゾンを約4mgの投薬量で投与するステップを更に含む、上述の全ての方法及び使用の実施形態を対象とする。
【0058】
本発明は更に、上記CD123×CD3結合分子の投与後に、抗IL‐6又は抗IL‐6R抗体を投与するステップを更に含む、上述の全ての方法及び使用の実施形態を対象とする。特に、上記抗IL‐6又は抗IL‐6R抗体はトシリズマブ又はシルツキシマブであり、より詳細には、上記抗IL‐6R抗体は、約4mg/kg~約8mg/kgの投薬量で投与されるトシリズマブである。
【0059】
本発明は更に、上記血液悪性腫瘍が:急性骨髄性白血病(AML);CMLの急性転化及びCMLに関連するAbelson癌遺伝子(Bcr‐ABL転座)を含む、慢性骨髄性白血病(CML);骨髄異形成症候群(MDS);急性Bリンパ芽球性白血病(B‐ALL);急性Tリンパ芽球性白血病(T‐ALL);CLLのリヒター症候群を含む、慢性リンパ性白血病(CLL);有毛細胞白血病(HCL);芽球性形質細胞様樹状細胞新生物(BPDCN);マントル細胞リンパ腫(MCL)及び小リンパ球性リンパ腫(SLL)を含む非ホジキンリンパ腫(NHL);ホジキンリンパ腫、全身性肥満細胞症;並びにバーキットリンパ腫からなる群から選択される、上述の全ての方法及び使用の実施形態を対象とする。
【0060】
本発明は更に、上記血液悪性腫瘍が急性骨髄性白血病である、上述の全ての方法及び使用の実施形態を対象とする。
【0061】
本発明は更に、上記血液学的腫瘍が骨髄異形成症候群である、上述の全ての方法及び使用の実施形態を対象とする。
【0062】
本発明は更に、上記血液学的腫瘍が急性Tリンパ芽球性白血病である、上述の全ての方法及び使用の実施形態を対象とする。
【0063】
本発明は更に、上記被験者がヒトである、上述の全ての方法及び使用の実施形態を対象とする。
【図面の簡単な説明】
【0064】
図1図1は、DART‐A等の2鎖CD123×CD3二重特異性ダイアボディの第1及び第2のポリペプチド鎖の全体的な構造を示す。
図2A-2D】図2A~2Dは、本発明のCD123×CD3 DART(登録商標)分子の、AML患者のPBMCに対する活性を示す。(82%の芽球を含む)一次PBMCを、DART‐A、FITC×CD3対照DART(登録商標)分子、又はリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で、144時間にわたって処理した。研究開始時のPBMC中の芽球及びT細胞のパーセンテージから決定されるE:T細胞比は、およそ1:300であった。図2A:白血病芽球(CD45+/CD33+)の絶対数;図2B:T細胞(CD4+及びCD8+)の絶対数;図2C:T細胞の活性化(CD25の発現);図2D:培養物上清で測定されたサイトカイン。
図3A-3C】図3A~3Cは、AML患者のPBMC及び芽球細胞の分析を示す。図3Aは、5、50、又は500pg/mlのDART‐Aを用いた48時間のインキュベーション後のIFN‐γの放出を示す。図3Bは、5、50、又は500pg/mlのDART‐Aを用いた48時間のインキュベーション後のCD4+及びCD8+T細胞の細胞表面におけるPD‐1上方制御を示す。図3Cは、DART‐Aを用いた48時間のインキュベーション後のAML芽球の表面におけるPD‐L1上方制御を示す。
図4A-4D】図4A~4Dは、抗PD‐1 mAb(PD‐1 mAb 1 IgG4;10μg/ml)又はアイソタイプ対照抗体を伴う又は伴わないDART‐A(8.23、24.69、74.07、222.22、666.67、又は2000pg/ml)を用いたインキュベーション後の、代表的なAML‐PBMC試料から得られたCD4+T細胞(図4A及び4B)又はCD8+T細胞(図4C及び4D)における、PD‐1の細胞表面発現及び陽性パーセンテージを示す。
図5A-5D】図5A~5Dは、抗PD‐1 mAb(PD‐1 mAb 1 IgG4;10μg/ml)又はアイソタイプ対照抗体を伴う又は伴わないDART‐A(8.23、24.69、74.07、222.22、666.67、又は2000pg/ml)を用いた、48又は72時間のインキュベーション後の、AML‐PBMCの代表的な試料からのGM‐CSF(図5A)、IFN‐γ(図5B)、IL‐2(図5C)、及びTNF‐α(図5D)のインビトロ放出を示す。
図6図6は、抗PD‐1 mAb(PD‐1 mAb 1 IgG4;10μg/ml)を伴う又は伴わないDART‐A(8.23、24.69、74.07、222.22、666.67、又は2000pg/ml)を用いたインビトロでの72時間の処理後の、AML‐PBMCから得られた非T細胞の殺滅の強化を示す。
図7図7は、1ステップ(LID‐1スキーマ)又は2ステップ(LID‐2スキーマ)リード・イン投薬戦略を用いてDART‐Aを投与した参加者が、最初の4週間に示したCRSグレードの概要を示す。
図8図8は、少なくとも1サイクルの治療を受け、治療後骨髄生検を受けた、≧500ng/kg/日で治療された14人の患者の抗白血病活性(CR、完全応答;CRm、分子CR;CRi、不完全な血液学的改善を伴う完全応答;MLF、形態学的無白血病状態;PR、部分応答;SD/OB、安定性疾患/他の抗白血病的利益;PD、進行性疾患)を示す。
図9図9は、500ng/kg/日の目標用量でのLID‐2連続投薬スケジュール(表7)で治療された、応答を評価できる34人の患者の、抗白血病活性(CR、完全応答;CRi、不完全な血液学的改善を伴う完全応答;MLF=形態学的無白血病状態;PR、部分応答;SD、安定性疾患;PD、進行性疾患)を示す。
図10図10は、CRSイベントの持続時間の中央値をグレード毎に示す。CRSグレード1イベント:1日;CRSグレード2イベント:2日;及びCRSグレード3イベント:2.5日。
図11図11は、2ステップリード・イン用量(即ち3日間にわたる30ng/kg/日、及びそれに続く4日間にわたる100ng/kg/日)を用いた最初の2週間、並びに用量を目標用量である500ng/kg/日に維持した追加の7日治療期間(A7DP)の最初の1週間にわたって、患者あたりのCRSイベントの数が減少することを示す。患者あたりのCRSイベントの数(左の軸)及び治療された患者の人数(右の軸)が、最初の8週間の治療にわたって、経時的にプロットされている。
図12A-12B】図12A~12Bは、異なる複数のリード・イン用量戦略を用いてDART‐Aを投与した参加者が示したCRSグレードの概要を示す。図12Aは、マルチステップLID‐3スキーマ(I7DP、目標用量500ng/kg/日)及びそれに続く上記目標用量での3週間の連続投薬(A7DP 1~A7DP 3)を用いてDART‐Aを投与した8人の研究参加者が示した、平均IRR/CRSグレードをプロットしている。図12Bはまた、マルチステップ、1ステップ(LID‐1スキーマ)、及び2ステップ(LID‐2スキーマ)リード・イン投薬戦略を用いて示された、平均IRR/CRSグレードをプロットしている。
図13A-13B】図13A~13Bは、異なる複数のリード・イン用量戦略を用いたサイクル1の間に投与されたDART‐Aの平均用量強度(実線)をプロットしている。図13Aは、2ステップLID‐2スキーマを用いて30人の患者に投与されたDART‐Aの平均用量強度をプロットしている。図13Bは、マルチステップLID‐3スキーマを用いて30人の患者に投与されたDART‐Aの平均用量強度をプロットしており、望ましいピーク用量強度(DI)である500ng/kg/日の平均80.6%が達成されたことを示している。各ステップに関する目標最高用量強度は、破線で表されている。
【発明を実施するための形態】
【0065】
本発明は、急性骨髄性白血病(AML)又は骨髄異形成症候群(MDS)等の血液悪性腫瘍の患者にCD123×CD3二重特異性ダイアボディを投与するための投薬レジメンを対象とする。本発明はまた、急性骨髄性白血病(AML)又は骨髄異形成症候群(MDS)等の血液悪性腫瘍の患者に、PD‐1又はPD‐1の天然リガンドに結合できる分子(「PD‐1又はPD‐1リガンド結合分子」)と組み合わされたCD123×CD3二重特異性ダイアボディを投与するための投薬レジメンを対象とする。本発明は特に、CD123及びCD3に同時に結合できる配列最適化済みCD123×CD3二重特異性ダイアボディ「DART‐A」のための、上記レジメンの使用に関する。
【0066】
I.DART‐Aのポリペプチド鎖
DART‐Aは、CD123のエピトープ及びCD3のエピトープに同時に特異的に結合できる、配列最適化二重特異性ダイアボディCD3(「CD123×CD3」二重特異性ダイアボディ)である(米国特許出願公開第2016‐0200827号、国際公開第2015/026892号、Al-Hussaini, M. et al. (2016) “Targeting CD123 In Acute Myeloid Leukemia Using A T-Cell-Directed Dual-Affinity Retargeting Platform,” Blood 127:122-131, in Vey, N. et al. (2017) “A Phase 1, First-in-Human Study of MGD006/S80880 (CD123 x CD3) in AML/MDS,” 2017 ASCO Annual Meeting, June 2-6, 2017, Chicago, IL: Abstract TPS7070、これらの各文献は参照によりその全体が本出願に援用される)。DART‐Aは、同様の組成の他の非配列最適化CD123×CD3二重特異性ダイアボディに比べて強化された機能的活性を示すことが分かっているため、「配列最適化(sequence‐optimized)」CD123×CD3二重特異性ダイアボディと呼ばれる。
【0067】
DART‐Aは、第1のポリペプチド鎖及び第2のポリペプチド鎖を含む(図1)。この二重特異性ダイアボディの第1のポリペプチド鎖は、N末端からC末端への方向に、N末端、CD3に結合できるモノクローナル抗体の軽鎖可変ドメイン(VLドメイン)(VLCD3)、介在リンカーペプチド(リンカー1)、CD123に結合できるモノクローナル抗体の重鎖可変ドメイン(VHドメイン)(VHCD123)、及びC末端を含むことになり、図1で提供されている一般構造を有する。このようなVLCD3ドメインに関する好ましい配列は、配列番号1:
QAVVTQEPSL TVSPGGTVTL TCRSSTGAVT TSNYANWVQQ KPGQAPRGLI
GGTNKRAPWT PARFSGSLLG GKAALTITGA QAEDEADYYC ALWYSNLWVF
GGGTKLTVLG
である。
【0068】
VLCD3の抗原結合ドメインは:
CDR1(配列番号2):RSSTGAVTTSNYAN;
CDR2(配列番号3):GTNKRAP;及び
CDR3(配列番号4):ALWYSNLWV
を含む。
【0069】
このようなリンカー1に関する好ましい配列は、配列番号5:GGGSGGGGである。このようなVHCD123ドメインに関する好ましい配列は、配列番号6:
EVQLVQSGAE LKKPGASVKV SCKASGYTFT DYYMKWVRQA PGQGLEWIGD
IIPSNGATFY NQKFKGRVTI TVDKSTSTAY MELSSLRSED TAVYYCARSH
LLRASWFAYW GQGTLVTVSS
である。
【0070】
VHCD123の抗原結合ドメインは:
CDR1(配列番号7):DYYMK;
CDR2(配列番号8):DIIPSNGATFYNQKFKG;及び
CDR3(配列番号9):SHLLRASWFAY
を含む。
【0071】
第2のポリペプチド鎖は、N末端からC末端への方向に、N末端、CD123に結合できるモノクローナル抗体のVLドメイン(VLCD123)、介在リンカーペプチド(例えばリンカー1)、CD3に結合できるモノクローナル抗体のVHドメイン(VHCD3)、及びC末端を含むことになる。このようなVLCD123ドメインに関する好ましい配列は、配列番号10:
DFVMTQSPDS LAVSLGERVT MSCKSSQSLL NSGNQKNYLT WYQQKPGQPP
KLLIYWASTR ESGVPDRFSG SGSGTDFTLT ISSLQAEDVA VYYCQNDYSY
PYTFGQGTKL EIK
である。
【0072】
VLCD123の抗原結合ドメインは:
CDR1(配列番号11):KSSQSLLNSGNQKNYLT;
CDR2(配列番号12):WASTRES;及び
CDR3(配列番号13):QNDYSYPYT
である。
【0073】
このようなVHCD3ドメインに関する好ましい配列は、配列番号14:
EVQLVESGGG LVQPGGSLRL SCAASGFTFS TYAMNWVRQA PGKGLEWVGR
IRSKYNNYAT YYADSVKDRF TISRDDSKNS LYLQMNSLKT EDTAVYYCVR
HGNFGNSYVS WFAYWGQGTL VTVSS
である。
【0074】
VHCD3の抗原結合ドメインは:
CDR1(配列番号15):TYAMN;
CDR2(配列番号16):RIRSKYNNYATYYADSVKD;及び
CDR3(配列番号17):HGNFGNSYVSWFAY
である。
【0075】
本発明の配列最適化CD123×CD3二重特異性ダイアボディを、上記第1及び第2のポリペプチドがその長さに沿ってシステイン残基を介して互いに共有結合するように、操作する。このようなシステイン残基は、上記ポリペプチドのVLドメインとVHドメインとを隔てる介在リンカー(例えばリンカー1)に導入してよい。あるいは、そしてより好ましくは、第2のペプチド(リンカー2)を、例えば上記ポリペプチド鎖のN末端からVLドメインまで、又はC末端からVHドメインまでの位置において、各ポリペプチド鎖に導入する。このようなリンカー2に関する好ましい配列は、配列番号18:GGCGGGである。
【0076】
上記ポリペプチド鎖を、反対の電荷のポリペプチドコイルを含有するように更に操作することによって、ヘテロ二量体の形成を促進できる。従ってある好ましい実施形態では、ポリペプチド鎖のうちの一方を、その残基がpH7において負の電荷を形成する「Eコイル(E‐coil)」ドメイン(配列番号19:EVAALEKEVAALEKEVAALEKEVAALEK)を含有するように操作し、2つのポリペプチド鎖のうちのもう一方を、その残基がpH7において正の電荷を形成する「Kコイル(K‐coil)」ドメイン(配列番号20:KVAALKEKVAALKEKVAALKEKVAALKE)を含有するように操作することになる。このような荷電ドメインの存在は、第1のポリペプチド鎖と第2のポリペプチド鎖との間の会合を促進し、従ってヘテロ二量体化を助長する。
【0077】
どのコイルを第1のポリペプチド鎖又は第2のポリペプチド鎖に提供するかは重要ではない。しかしながら、本発明のある好ましい配列最適化CD123×CD3二重特異性ダイアボディ(「DART‐A」)は、以下の配列(配列番号21):
QAVVTQEPSL TVSPGGTVTL TCRSSTGAVT TSNYANWVQQ KPGQAPRGLI
GGTNKRAPWT PARFSGSLLG GKAALTITGA QAEDEADYYC ALWYSNLWVF
GGGTKLTVLG GGGSGGGGEV QLVQSGAELK KPGASVKVSC KASGYTFTDY
YMKWVRQAPG QGLEWIGDII PSNGATFYNQ KFKGRVTITV DKSTSTAYME
LSSLRSEDTA VYYCARSHLL RASWFAYWGQ GTLVTVSSGG CGGGEVAALE
KEVAALEKEV AALEKEVAAL EK
を有する第1のポリペプチド鎖を有する。
【0078】
DART‐Aの鎖1は:配列番号1‐配列番号5‐配列番号6‐配列番号18‐配列番号19で構成される。DART‐Aの鎖1をコードするポリヌクレオチドは、配列番号22:
caggctgtgg tgactcagga gccttcactg accgtgtccc caggcggaac
tgtgaccctg acatgcagat ccagcacagg cgcagtgacc acatctaact
acgccaattg ggtgcagcag aagccaggac aggcaccaag gggcctgatc
gggggtacaa acaaaagggc tccctggacc cctgcacggt tttctggaag
tctgctgggc ggaaaggccg ctctgactat taccggggca caggccgagg
acgaagccga ttactattgt gctctgtggt atagcaatct gtgggtgttc
gggggtggca caaaactgac tgtgctggga gggggtggat ccggcggcgg
aggcgaggtg cagctggtgc agtccggggc tgagctgaag aaacccggag
cttccgtgaa ggtgtcttgc aaagccagtg gctacacctt cacagactac
tatatgaagt gggtcaggca ggctccagga cagggactgg aatggatcgg
cgatatcatt ccttccaacg gggccacttt ctacaatcag aagtttaaag
gcagggtgac tattaccgtg gacaaatcaa caagcactgc ttatatggag
ctgagctccc tgcgctctga agatacagcc gtgtactatt gtgctcggtc
acacctgctg agagccagct ggtttgctta ttggggacag ggcaccctgg
tgacagtgtc ttccggagga tgtggcggtg gagaagtggc cgcactggag
aaagaggttg ctgctttgga gaaggaggtc gctgcacttg aaaaggaggt
cgcagccctg gagaaa
である。
【0079】
DART‐Aの第2のポリペプチド鎖は、以下の配列(配列番号23):
DFVMTQSPDS LAVSLGERVT MSCKSSQSLL NSGNQKNYLT WYQQKPGQPP
KLLIYWASTR ESGVPDRFSG SGSGTDFTLT ISSLQAEDVA VYYCQNDYSY
PYTFGQGTKL EIKGGGSGGG GEVQLVESGG GLVQPGGSLR LSCAASGFTF
STYAMNWVRQ APGKGLEWVG RIRSKYNNYA TYYADSVKDR FTISRDDSKN
SLYLQMNSLK TEDTAVYYCV RHGNFGNSYV SWFAYWGQGT LVTVSSGGCG
GGKVAALKEK VAALKEKVAA LKEKVAALKE
を有する。
【0080】
DART‐Aの鎖2は配列番号10‐配列番号5‐配列番号14‐配列番号18‐配列番号20で構成される。DART‐Aの鎖2をコードするポリヌクレオチドは、配列番号24:
gacttcgtga tgacacagtc tcctgatagt ctggccgtga gtctggggga
gcgggtgact atgtcttgca agagctccca gtcactgctg aacagcggaa
atcagaaaaa ctatctgacc tggtaccagc agaagccagg ccagccccct
aaactgctga tctattgggc ttccaccagg gaatctggcg tgcccgacag
attcagcggc agcggcagcg gcacagattt taccctgaca atttctagtc
tgcaggccga ggacgtggct gtgtactatt gtcagaatga ttacagctat
ccctacactt tcggccaggg gaccaagctg gaaattaaag gaggcggatc
cggcggcgga ggcgaggtgc agctggtgga gtctggggga ggcttggtcc
agcctggagg gtccctgaga ctctcctgtg cagcctctgg attcaccttc
agcacatacg ctatgaattg ggtccgccag gctccaggga aggggctgga
gtgggttgga aggatcaggt ccaagtacaa caattatgca acctactatg
ccgactctgt gaaggataga ttcaccatct caagagatga ttcaaagaac
tcactgtatc tgcaaatgaa cagcctgaaa accgaggaca cggccgtgta
ttactgtgtg agacacggta acttcggcaa ttcttacgtg tcttggtttg
cttattgggg acaggggaca ctggtgactg tgtcttccgg aggatgtggc
ggtggaaaag tggccgcact gaaggagaaa gttgctgctt tgaaagagaa
ggtcgccgca cttaaggaaa aggtcgcagc cctgaaagag
である。
【0081】
II.DART‐Aの特性
DART‐Aは、ヒト及びカニクイザル細胞によって配列されるようなCD123及びCD3に同時に結合できる能力を有することが分かった。DART‐Aの提供はT細胞の活性化を引き起こし、芽球の減少を仲介し、T細胞膨張を促進し、T細胞活性化を誘導し、標的癌細胞の標的転換殺滅を引き起こすことが分かった(表1)。
【0082】
【表1】
【0083】
より詳細には、DART‐Aは、最高活性の50%(EC50)を達成するために必要な濃度がng/mL未満の範囲で、強力な標的転換殺滅能力を示し、これは、CD123発現の程度が高い標的細胞株(Kasumi‐3(EC50=0.01ng/mL))、CD123発現の程度が中程度の標的細胞株(Molm13(EC50=0.18ng/mL)及びTHP‐1(EC50=0.24ng/mL))、並びにCD123発現の程度が中程度のうちの低い方であるか又は低い標的細胞株(TF‐1(EC50=0.46ng/mL)及びRS4‐11(EC50=0.5ng/mL))におけるCD3エピトープ結合特異性とは無関係であることが分かった。同様に、DART‐A標的転換殺滅は、異なるドナーに由来するT細胞を含む複数の標的細胞株でも観察され、またCD123を発現しない細胞株では標的転換殺滅は観察されなかった。結果を表2にまとめる。
【0084】
【表2】
【0085】
更に、ヒトT細胞及び腫瘍細胞(Molm13又はRS4‐11)を組み合わせて、NOD/SCIDガンマ(NSG)ノックアウトマウスに皮下注射した場合、MOLM13腫瘍は、0.16、0.5、0.2、0.1、0.02、及び0.004mg/kgの用量レベルにおいて有意に阻害された。0.004mg/kg以上の用量が、MOLM13モデルにおいて活性であった。RS4‐11モデルと比較した場合にMOLM13モデルにおいて腫瘍成長の阻害に関連するDART‐Aの用量がより少ないことは、MOLM13細胞がRS4‐11細胞よりも高いCD123発現レベルを有することを実証する試験管内データと一致しており、これは、MOLM13細胞における試験管内でのDART‐A仲介細胞傷害性に対する感度の上昇と相関していた。
【0086】
DART‐Aは、AML患者由来の一次AML試験片(骨髄単核球(BMNC)及び末梢血単核球(PBMC))に対して活性を有することが分かった。一次AML骨髄試料をDART‐Aと共にインキュベートすると、これに付随する残留T細胞(CD4及びCD8の両方)の膨張と、T細胞活性化マーカー(CD25及びKi‐67)の誘導とを伴う、経時的な白血病細胞集団の枯渇がもたらされた。CD8及びCD4 T細胞の両方における、グランザイムB及びパーフォリンレベルの上方制御が観察された。一次AML骨髄試料をDART‐Aと共にインキュベートすると、未処理の対照、即ち対照DARTに比べて、経時的な白血病細胞集団の枯渇がもたらされた。T細胞を計数し(CD8及びCD4染色)、活性化(CD25染色)をアッセイすると、未処理の、即ち対照DART試料に比べて、DART‐AではT細胞が膨張して活性化された。またDART‐Aは、ヒトPBMC及びカニクイザルPBMCの両方において、pDC細胞の枯渇を仲介できることが分かり、カニクイザルpDCは、わずか10ng/kgのDART‐Aの点滴のわずか4日後に枯渇した。サイトカインであるインターフェロンガンマ、TNF‐α、IL‐6、IL‐5、IL‐4、及びIL‐2のレベルの上昇は、DART‐Aで処置した動物では観察されなかった。これらのデータは、DART‐A仲介標的細胞殺滅が、グランザイムB及びパーフォリン経路を介して仲介されたことを示している。
【0087】
CD123陰性標的(U937細胞)又は対照DARTでは活性が観察されず、これは、観察されたT細胞の活性化が、標的細胞結合に強く依存していたこと、及びDART‐AによるCD3の1価結合は、T細胞の活性化をトリガするには不十分であったことを示している。
【0088】
要約すると、DART‐Aは、TCRのCD3εサブユニットに結合して、いくつかの血液悪性腫瘍において上方制御される抗原であるCD123を発現する細胞に対してTリンパ球を標的転換する、抗体ベースの分子である。DART‐Aは、ヒト及びカニクイザルの抗原に同様の親和性で結合し、両方の種からのT細胞を標的転換してCD123+細胞を殺滅する。週毎にDART‐Aの用量を増加させながら1週間に4又は7日の点滴を受けたサルは、処置の開始の72時間後に、循環CD123+T細胞の枯渇を示し、これは、投薬スケジュールに関係なく、4週間の処置全体を通して持続した。循環T細胞の減少も発生したが、4日の投薬スケジュールでは、サルにおける後の点滴の前のベースラインに回復し、これはDART‐A仲介型の固定化と一致していた。DART‐Aの投与は、循環PD1+T細胞を増大させたが、TIM‐3+T細胞を増大させず;更に、処置後のサル由来のT細胞の生体外分析により、標的転換された標的細胞の溶解が変化していないことが示され、これは疲弊が発生していないことを示している。細胞傷害性は、DART‐Aの最初の点滴後、最小限の一過性のサイトカイン放出に制限されたが、後続の投与の後では、用量を増加させ、CD123+骨髄前駆細胞の減少を伴う赤血球量の最小限の可逆的減少が発生した場合であっても制限されなかった。
【0089】
III.PD‐1又はPD‐1の天然リガンドに結合できる例示的な分子
A.PD‐1結合分子
PD‐1及び他のPD‐1に結合できる分子に対して免疫特異的である抗体が知られており、これらは、本発明によるPD‐1に結合できる分子(例えば多重特異性結合分子(例えばダイアボディ、二重特異性抗体、3価結合分子等)、抗体の抗原結合断片(例えばscFv、Fab、F(ab)2等)、scFv融合タンパク質等)として作用するように採用又は適合できる(例えば以下の表3に示されている特許公報を参照)。PD‐1に結合できる好ましい分子は、ヒトPD‐1(CD279)の連続した又は不連続の(例えば立体配置の)部分に結合する能力を示し、また好ましくは1つ又は複数の非ヒト種、特に霊長類種(及び特にカニクイザル等の霊長類種)のPD‐1分子への結合能力も呈する。特定の実施形態では、PD‐1に結合できる分子は、例えばPD‐1とPD‐1の天然リガンドとの間の結合を遮断することによって、PD‐1/PD‐L1相互作用に拮抗する能力を呈することになる。更なる望ましい抗体は、PD‐1又はそのペプチド断片を用いて誘発された抗体分泌ハイブリドーマの単離によって作製してよい。代表的なヒトPD‐1ポリペプチド(NCBI配列番号NP_005009.2;20アミノ酸残基のシグナル配列(下線を付して示されている)及び268アミノ酸残基の成熟タンパク質を含む)は、アミノ酸配列(配列番号25):
MQIPQAPWPV VWAVLQLGWR PGWFLDSPDR PWNPPTFSPA LLVVTEGDNA
TFTCSFSNTS ESFVLNWYRM SPSNQTDKLA AFPEDRSQPG QDCRFRVTQL
PNGRDFHMSV VRARRNDSGT YLCGAISLAP KAQIKESLRA ELRVTERRAE
VPTAHPSPSP RPAGQFQTLV VGVVGGLLGS LVLLVWVLAV ICSRAARGTI
GARRTGQPLK EDPSAVPVFS VDYGELDFQW REKTPEPPVP CVPEQTEYAT
IVFPSGMGTS SPARRGSADG PRSAQPLRPE DGHCSWPL
を含む。
【0090】
抗PD‐1抗体は、上述のPD‐1アミノ酸配列の全体又は一部分を有するタンパク質を免疫原として使用して得ることができる。あるいは、PD‐1に結合できる分子の生成に有用な抗PD‐1抗体は、以下に記載される抗ヒトPD‐1抗体若しくは表3に記載される抗PD‐1抗体の、VL及び/若しくはVHドメインを有してよく;更に好ましくは、このような抗PD‐1抗体の、VLドメインのCDRLのうちの1つ、2つ、若しくは3つ全て、及び/又はVHドメインのCDRHのうちの1つ、2つ、若しくは3つ全てを有してよい。
【0091】
ある1つの上述の例示的なヒト化抗PD‐1抗体は、本明細書中で「PD‐1 mAb 1」と呼ばれる。PD‐1 mAb 1のVHドメインのアミノ酸配列(配列番号26)を以下に示す(CDRH残基は下線を付して示されている):
QVQLVQSGAE VKKPGASVKV SCKASGYSFT SYWMNWVRQA PGQGLEWIGV
IHPSDSETWL DQKFKDRVTI TVDKSTSTAY MELSSLRSED TAVYYCAREH
YGTSPFAYWG QGTLVTVSS
【0092】
PD‐1 mAb 1のVLドメインのアミノ酸配列(配列番号27)を以下に示す(CDRL残基は下線を付して示されている):
EIVLTQSPAT LSLSPGERAT LSCRASESVD NYGMSFMNWF QQKPGQPPKL
LIHAASNQGS GVPSRFSGSG SGTDFTLTIS SLEPEDFAVY FCQQSKEVPY
TFGGGTKVEI K
【0093】
PD‐1に結合できる分子の生成に有用な代替的な抗PD‐1抗体及びPD‐1結合分子は、抗ヒトPD‐1抗体:ニボルマブ(CAS登録番号:946414‐94‐4;5C4、BMS‐936558、ONO‐4538、MDX‐1106としても公知;Bristol‐Myers SquibbがOPDIVO(登録商標)として市販);ペンブロリズマブ(以前はランブロリズマブとして公知;CAS登録番号:1374853‐91‐4;MK‐3475、SCH‐900475としても公知;MerckがKEYTRUDA(登録商標)として市販);セミプリマブ(CAS登録番号:1801342‐60‐8;REGN‐2810、SAR‐439684としても公知;LIBTAYO(登録商標)として市販);EH12.2H7(Dana Farber);、又は表3中の抗PD‐1抗体のうちのいずれの、VL及び/又はVHドメインを有し;より好ましくは、これらの抗PD‐1抗体のVLドメインのCDRLのうちの1つ、2つ若しくは3つ全て、及び/又はVHドメインのCDRHのうちの1つ、2つ若しくは3つ全てを有する。ニボルマブ(WHO Drug Information, 2013, Recommended INN: List 69, 27(1):68-69)、ペンブロリズマブ(WHO Drug Information, 2014, Recommended INN: List 75, 28(3):407)及びセミプリマブ( WHO Drug Information 2018, Proposed INN: List 119)の完全重鎖及び軽鎖のアミノ酸配列は、当該技術分野において公知である。本発明の方法及び組成物において有用な、独自の結合特性を有する更なる抗PD‐1抗体は、近年同定されている(国際公開第2017/019846号及び表3を参照)。
【0094】
【表3】
【0095】
B.PD‐1リガンド結合分子
PD‐1の天然リガンド(例えばB7‐H1(PD‐L1、CD274)、B7‐DC(PD‐L2、CD273))及び他のPD‐1の天然リガンドに結合できる分子に対して免疫特異的である抗体が知られており、これらは、本発明によるPD‐1の天然リガンドに結合できる分子(例えば多重特異性結合分子(例えばダイアボディ、二重特異性抗体、3価結合分子等)、抗体の抗原結合断片(例えばscFv、Fab、F(ab)2等)、scFv‐Fc融合タンパク質等)として作用するように採用又は適合できる(例えば以下の表4に示されている特許公報を参照)。PD‐1の天然リガンドに結合できる好ましい分子は、ヒトB7‐H1及び/又はB7‐DCの連続した又は不連続の(例えば立体配置の)部分に結合する能力を示し、また好ましくは1つ又は複数の非ヒト種、特に霊長類種(及び特にカニクイザル等の霊長類種)のB7‐H1及び/又はB7‐DC分子への結合能力も呈する。特定の実施形態では、PD‐1の天然リガンドに結合できる分子は、例えばPD‐1とPD‐1の天然リガンドとの間の結合を遮断することによって、PD‐1/PD‐L1相互作用に拮抗する能力を呈することになる。更なる望ましい抗体は、B7‐H1、B7‐DC、又はそのペプチド断片を用いて誘発された抗体分泌ハイブリドーマの単離によって作製してよい。
【0096】
代表的なヒトB7‐H1(PD‐L1)ポリペプチド(予測される18アミノ酸シグナル配列を含む、NCBI配列NP_001254635.1)は、アミノ酸配列(配列番号28):
MRIFAVFIFM TYWHLLNAPY NKINQRILVV DPVTSEHELT CQAEGYPKAE
VIWTSSDHQV LSGKTTTTNS KREEKLFNVT STLRINTTTN EIFYCTFRRL
DPEENHTAEL VIPELPLAHP PNERTHLVIL GAILLCLGVA LTFIFRLRKG
RMMDVKKCGI QDTNSKKQSD THLEET
を有する。
【0097】
代表的なヒトB7‐DC(PD‐L2)ポリペプチド(予測される18アミノ酸シグナル配列を含む、NCBI配列NP_079515.2)は、アミノ酸配列(配列番号29):
MIFLLLMLSL ELQLHQIAAL FTVTVPKELY IIEHGSNVTL ECNFDTGSHV
NLGAITASLQ KVENDTSPHR ERATLLEEQL PLGKASFHIP QVQVRDEGQY
QCIIIYGVAW DYKYLTLKVK ASYRKINTHI LKVPETDEVE LTCQATGYPL
AEVSWPNVSV PANTSHSRTP EGLYQVTSVL RLKPPPGRNF SCVFWNTHVR
ELTLASIDLQ SQMEPRTHPT WLLHIFIPFC IIAFIFIATV IALRKQLCQK
LYSSKDTTKR PVTTTKREVN SAI
を有する。
【0098】
特に、抗B7‐H1抗体は、上述のB7‐H1アミノ酸配列の一部分又は全体を有するタンパク質を免疫原として使用して得ることができる。あるいは、B7‐H1に結合できる分子の生成に有用な抗B7‐H1抗体は、以下に記載される抗ヒトB7‐H1抗体若しくは表4に記載される抗B7‐H1抗体の、VL及び/若しくはVHドメインを有してよく;更に好ましくは、このような抗B7‐H1抗体の、VLドメインのCDRLのうちの1つ、2つ、若しくは3つ全て、及び/又はVHドメインのCDRHのうちの1つ、2つ、若しくは3つ全てを有してよい。
【0099】
PD‐1の天然リガンドに結合できる分子の生成に有用な例示的な抗B7‐H1抗体は、抗ヒトB7‐H1抗体アテゾリズマブ(CAS登録番号1380723‐44‐3、MPDL3280Aとしても公知、TECENTRIQ(登録商標)として市販)、デュルバルマブ(CAS登録番号1428935‐60‐7、MEDI‐4736としても公知、IMFINZI(登録商標)として市販)、アベルマブ、MDX1105(CAS登録番号1537032‐82‐8、BMS‐936559、5H1としても公知、BAVENCIO(登録商標)として市販)、又は表4に記載の抗B7‐H1抗体及び結合分子の、VL及び/又はVHドメインを有してよく、より好ましくは、このような抗B7‐H1抗体のVLドメインのCDRLのうちの1つ、2つ、若しくは3つ全て、及び/又はVHドメインのCDRHのうちの1つ、2つ、若しくは3つ全てを有してよい。アテゾリズマブ(WHO Drug Information, 2015, Recommended INN: List 74, 29(3):387)、デュルバルマブ(WHO Drug Information, 2015, Recommended INN: List 74, 29(3):393-394)及びアベルマブ(WHO Drug Information, 2016, Recommended INN: List 74, 30(1):100-101)の完全重鎖及び軽鎖のアミノ酸配列は、当該技術分野において公知である。
【0100】
【表4】
【0101】
C.例示的なIgG4抗体
特定の実施形態では、本発明の方法及び組成物に有用な抗体(特に抗PD‐1抗体及び抗B7‐H1抗体)は、IgG4定常領域を含む。例示的なIgG4抗体は、上述の抗PD‐1抗体又は抗B7‐H1抗体のうちのいずれのVL及びVHドメイン、IgG CL κドメイン、並びにIgG4 CH1、CH2及びCH3ドメインを含む。
【0102】
例示的なCLドメインは、IgG CL κドメインである。例示的なヒトCL κドメインのアミノ酸配列は、(配列番号30):
RTVAAPSVFI FPPSDEQLKS GTASVVCLLN NFYPREAKVQ WKVDNALQSG
NSQESVTEQD SKDSTYSLSS TLTLSKADYE KHKVYACEVT HQGLSSPVTK
SFNRGEC
である。
【0103】
例示的なCH1ドメインは、任意にC末端リシン残基を有しない、ヒトIgG4 CH1ドメインである。例示的なヒトIgG4 CH1ドメインのアミノ酸配列は、(配列番号31):
ASTKGPSVFP LAPCSRSTSE STAALGCLVK DYFPEPVTVS WNSGALTSGV
HTFPAVLQSS GLYSLSSVVT VPSSSLGTKT YTCNVDHKPS NTKVDKRV
である。
【0104】
このような抗体は好ましくは、IgG4 CH1ドメイン(配列番号31)と、鎖交換を減少させるための安定化S228P置換(Kabatに記載のEUインデックスによって番号付与)を含むIgG4ヒンジ多様体であるESKYGPPCPPCP(配列番号32)とを含む。
【0105】
例示的なヒトIgG4のCH2‐CH3ドメインのアミノ酸配列は、(配列番号33):
231 240 250 260 270 280
APEFLGGPSV FLFPPKPKDT LMISRTPEVT CVVVDVSQED PEVQFNWYVD
290 300 310 320 330
GVEVHNAKTK PREEQFNSTY RVVSVLTVLH QDWLNGKEYK CKVSNKGLPS
340 350 360 370 380
SIEKTISKAK GQPREPQVYT LPPSQEEMTK NQVSLTCLVK GFYPSDIAVE
390 400 410 420 430
WESNGQPENN YKTTPPVLDS DGSFFLYSRL TVDKSRWQEG NVFSCSVMHE
440 447
ALHNHYTQKS LSLSLGX
であり、これはKabatに記載のEUインデックスによって番号付与されており、ここでXはリシン(K)であるか又は不在である。
【0106】
「PD‐1 mAb 1 IgG4」と呼ばれる例示的な抗PD‐1モノクローナル抗体は、ヒト化抗ヒトPD‐1抗体である。上述のように、PD‐1 mAb 1は、PD‐1 mAb 1のVH及びVLドメインを含む。
【0107】
PD‐1 mAb1 IgG4の完全重鎖のアミノ酸配列は、配列番号34である(CDRH残基及びS228P残基は下線を付して示されている):
QVQLVQSGAE VKKPGASVKV SCKASGYSFT SYWMNWVRQA PGQGLEWIGV
IHPSDSETWL DQKFKDRVTI TVDKSTSTAY MELSSLRSED TAVYYCAREH
YGTSPFAYWG QGTLVTVSSA STKGPSVFPL APCSRSTSES TAALGCLVKD
YFPEPVTVSW NSGALTSGVH TFPAVLQSSG LYSLSSVVTV PSSSLGTKTY
TCNVDHKPSN TKVDKRVESK YGPPCPPCPA PEFLGGPSVF LFPPKPKDTL
MISRTPEVTC VVVDVSQEDP EVQFNWYVDG VEVHNAKTKP REEQFNSTYR
VVSVLTVLHQ DWLNGKEYKC KVSNKGLPSS IEKTISKAKG QPREPQVYTL
PPSQEEMTKN QVSLTCLVKG FYPSDIAVEW ESNGQPENNY KTTPPVLDSD
GSFFLYSRLT VDKSRWQEGN VFSCSVMHEA LHNHYTQKSL SLSLG
【0108】
配列番号34では、残基1~119は、PD‐1 mAb 1のVHドメイン(配列番号26)に対応し、アミノ酸残基120~217は、ヒトIgG4 CH1ドメイン(配列番号31)に対応し、アミノ酸残基218~229は、S228P置換を含むヒトIgG4ヒンジドメイン(配列番号32)に対応し、アミノ酸残基230~245は、ヒトIgG4 CH2‐CH3ドメイン(配列番号33、Xは不在)に対応する。
【0109】
抗体PD‐1 mAb 1 IgG4の完全軽鎖のアミノ酸配列は、κ定常領域を有し、これは(配列番号35)(CDRL残基は下線を付して示されている):
EIVLTQSPAT LSLSPGERAT LSCRASESVD NYGMSFMNWF QQKPGQPPKL
LIHAASNQGS GVPSRFSGSG SGTDFTLTIS SLEPEDFAVY FCQQSKEVPY
TFGGGTKVEI KRTVAAPSVF IFPPSDEQLK SGTASVVCLL NNFYPREAKV
QWKVDNALQS GNSQESVTEQ DSKDSTYSLS STLTLSKADY EKHKVYACEV
THQGLSSPVT KSFNRGEC
である。
【0110】
配列番号35では、アミノ酸残基1~111は、PD‐1 mAb 1のVLドメイン(配列番号27)に対応し、アミノ酸残基112~218は、軽鎖κ定常領域(配列番号30)に対応する。
【0111】
IgG4定常領域を有する他の例示的な抗PD‐1抗体は、ヒト抗体であるニボルマブ、及びヒト化抗体であるペンブロリズマブである。これらはそれぞれ上述のように、κCLドメイン、IgG4 CH1ドメイン、安定化IgG4ヒンジ、及びIgG4 CH2‐CH3ドメインを含む。
【0112】
IV.医薬組成物
本発明の組成物は、組成物の製造において有用なバルク薬剤組成物(例えば不純又は非滅菌組成物)、並びに医薬組成物(即ち被験者又は患者への投与に好適な純粋な及び/又は滅菌された組成物)を含み、これらはいずれも単位剤形の調製に使用できる。本発明の方法で有用な組成物、特に医薬組成物としては、DART‐Aを含むもの、及びPD‐1又はPD‐1の天然リガンドに結合できる分子を含むものが挙げられる。このような組成物又は医薬組成物は:予防又は治療的有効量のDART‐A、及び薬学的に許容可能なキャリア;PD‐1結合分子、及び薬学的に許容可能なキャリア;又はPD‐1リガンド結合分子、及び薬学的に許容可能なキャリアを含んでよい。
【0113】
本発明はまた、DART‐Aと、ある特定の癌抗原に対して特異的な第2の治療用抗体(例えば腫瘍特異性モノクローナル抗体)と、薬学的に許容可能なキャリアとを含む、医薬組成物を包含する。
【0114】
ある具体的実施形態では、用語「薬学的に許容可能な(pharmaceutically acceptable)」は、動物、より詳細にはヒトにおける使用に関して、連邦規制当局若しくは州政府によって承認されている、又は米国薬局方若しくは他の一般に認められた薬局方に記載されていることを意味する。用語「キャリア(carrier)」は、希釈剤、アジュバント(例えばフロイントアジュバント(完全及び不完全))、賦形剤、又は治療薬の投与に用いられるビヒクルを指す。このような薬学的キャリアは、無菌液体、例えば水及び油であってよく、油は、石油由来、動物由来、植物由来、又は合成によるもの、例えば落花生油、大豆油、鉱油、ゴマ油等を含む。水は、医薬組成物が静脈内投与される場合に好ましいキャリアである。生理食塩水、並びにデキストロース及びグリセロール水溶液も、特に駐車用溶液のための液体キャリアとして採用できる。好適な薬学的賦形剤としては、デンプン、ブドウ糖、乳糖、ショ糖、ゼラチン、麦芽、米、小麦粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセロール、タルク、塩化ナトリウム、乾燥スキムミルク、グリセロール、プロピレン、グリコール、水、エタノール等が挙げられる。必要に応じて、上記組成物は少量の湿潤剤若しくは乳化剤、又はpH緩衝剤も含有してよい。これらの組成物は、溶液、懸濁液、乳液、錠剤、丸剤、カプセル、粉体、徐放性製剤等の形態を取ることができる。
【0115】
一般に、本発明の組成物の成分は、例えば活性作用剤の量を示すバイアル、アンプル又はサシェ等の気密性コンテナ中の凍結乾燥粉末若しくは無水濃縮物として又は水溶液として、別個に、又は単位剤形にまとめて混合された状態で供給される。組成物を点滴によって投与する場合、組成物は、滅菌された薬学的グレードの水又は食塩水を内包する点滴ボトル又はバッグを用いて吐出でき、これにより、成分を投与前に混合又は希釈できる。組成物を注射によって投与する場合、投与前に成分を混合できるように、注射用無菌水、又は食塩水、又は他の希釈剤のアンプルを提供できる。
【0116】
本発明はまた、DART‐Aを単独で又は上述のような薬学的に許容可能なキャリアと組み合わせて内包する1つ以上のコンテナを含む、医薬パック又はキットも提供する。更に、疾患の治療に有用な1つ以上の他の予防剤又は治療剤も、上記医薬パック又はキットに含めることができる。本発明はまた、本発明の医薬組成物の成分のうちの1つ又は複数で充填された1つ以上のコンテナを含む、医薬パック又はキットも提供する。任意に、このような1つ以上のコンテナは、医薬製品又は生物学的製品の製造、使用又は販売を規制する政府機関によって規定された形式の通知と関連するものとすることができ、上記通知は、ヒトへの投与のための製造、使用又は販売の機関による承認を反映したものである。
【0117】
本発明は、DART‐Aを含み、かつ上述の方法で使用できる、キットを提供する。このようなキットでは、DART‐Aは好ましくは、上記分子の量を指示し、かつ任意に使用のための説明書を含む、バイアル、アンプル又はサシェ等の気密性コンテナ中に包装される。一実施形態では、このようなキットのDART‐Aは、気密性コンテナ内の滅菌凍結乾燥粉体又は無水濃縮物として供給され、例えば水又は生理食塩水又は他の希釈剤を用いて、被験者への投与に適当な濃度に再構築できる。上記凍結乾燥材料は、その元のコンテナ内で2℃~8℃で保管する必要があり、また上記材料は、再構築後12時間以内、好ましくは6時間以内、5時間以内、3時間以内、又は1時間以内に投与する必要がある。別の実施形態では、このようなキットのDART‐Aは、気密性コンテナ内の水溶液として供給され、例えば水、生理食塩水、又は他の希釈剤を用いて、被験者への投与に適切な濃度まで希釈できる。上記キットは、1つ以上のコンテナ内に、癌の治療に有用な1つ以上の他の予防及び/若しくは治療剤を更に含むことができ、並びに/又は癌に関連する1つ以上の癌抗原に結合する1つ以上の細胞傷害性抗体を更に含むことができる。特定の実施形態では、上記他の予防又は治療剤は化学療法剤である。他の実施形態では、上記予防又は治療剤は生物学的治療剤又はホルモン療法剤である。他の実施形態では、上記予防又は治療剤はPD‐1結合分子である。他の実施形態では、上記予防又は治療剤はPD‐1リガンド結合分子である。
【0118】
V.本発明の組成物の使用
DART‐Aは、CD123の発現に関連する、又はCD123の発現を特徴とする、いずれの疾患又は状態の治療に使用できる。特にDART‐Aは、血液悪性腫瘍の治療に使用できる。よって、限定するものではないが、このような分子は以下の血液悪性腫瘍:急性骨髄性白血病(AML);CMLの急性転化、及びCMLに関連するAbelson癌遺伝子(Bcr‐ABL転座)を含む、慢性骨髄性白血病(CML);骨髄異形成症候群(MDS);急性Bリンパ芽球性白血病(B‐ALL);急性Tリンパ芽球性白血病(T‐ALL);リヒター症候群、又はCLLにおけるリヒター症候群の転化を含む、慢性リンパ性白血病(CLL);有毛細胞白血病(HCL);芽球性形質細胞様樹状細胞新生物(BPDCN);マントル細胞リンパ腫(MCL)及び小リンパ球性リンパ腫(SLL)を含む非ホジキンリンパ腫(NHL);ホジキンリンパ腫、全身性肥満細胞症;並びにバーキットリンパ腫の診断又は治療に採用できる。本発明のDART‐Aは更に、上述の状態の治療のための医薬品の製造に使用できる。
【0119】
具体的実施形態では、本発明は、AML、MDS、BPDCN、B‐ALL、及びT‐ALLを治療する方法を提供する。ある具体的実施形態では、本発明はAMLを治療する方法を提供する。
【0120】
VI.投与の方法
上述のように、本発明のCD123×CD3二重特異性ダイアボディ(例えばDART‐A)、及びこれを含む本発明の医薬組成物は、血液悪性腫瘍に関連する1つ以上の症状の治療、予防、及び改善のために提供できる。いくつかの実施形態では、CD123×CD3二重特異性ダイアボディ(又はこれを含む医薬組成物)は、1つ以上の更なる治療剤(例えば、現在標準の及び実験的な化学療法剤、ホルモン剤、生物剤、免疫療法剤を含むがこれらに限定されない、血液悪性腫瘍の治療若しくは予防のための、当業者に公知の治療剤、又は本明細書に記載されているものを含むがそれらに限定されない治療の副作用の軽減に有用な作用剤)と組み合わせて使用できる。具体的実施形態では、CD123×CD3二重特異性ダイアボディ(又はこれを含む医薬組成物)は、PD‐1若しくはPD‐1の天然リガンドに結合できる分子(又はこれを含む医薬組成物)と組み合わせて使用できる。
【0121】
本明細書中で使用される場合、用語「組み合わせ(combination)」は、2つ以上の治療剤の使用を指す。用語「組み合わせ」の使用は、障害を有する被験者に治療剤を投与する順序を制限せず、また複数の作用剤を正確に同時に投与することを意味せず、本発明のCD123×CD3二重特異性ダイアボディと他の作用剤とを、ヒト患者又は他の哺乳類に、本発明のCD123×CD3二重特異性ダイアボディ及び上記他の作用剤が望ましい治療上の利益を提供するような順序及び時間間隔で投与することを意味する。例えば、各治療剤(例えば化学療法剤、ホルモン剤、又はPD‐1に結合できる分子等の生物剤)を、同時に、又は異なる時点においていずれの順序で順次、投与してよいが、同時に投与しない場合、これらは、望ましい治療又は予防効果を提供するために、時間的に十分に近接させて投与する必要がある。各治療剤は、別個に、いずれの適切な形態で、いずれの好適な経路、例えば1つを経口経路、別の1つを非経口経路で、投与できる。
【0122】
特に本発明は、血液悪性腫瘍を治療する方法を提供し、上記方法は、有効量の本発明のCD123×CD3二重特異性ダイアボディ(例えばDART‐A)、又は本発明のCD123×CD3二重特異性ダイアボディ(例えばDART‐A)を含む医薬組成物を、被験者に投与するステップを含む。本発明は更に、血液悪性腫瘍を治療する方法を提供し、上記方法は、有効量の本発明のCD123×CD3二重特異性ダイアボディ(又はこれを含む医薬組成物)を、PD‐1若しくはPD‐1の天然リガンドに結合できる分子(又はこれを含む医薬組成物)と組み合わせて、被験者に投与するステップを含む。ある具体的な態様では、上記組成物は実質的に精製される(即ち上記組成物の効果を制限する、又は望ましくない副作用を生成する物質を実質的に含まない)。ある具体的実施形態では、被験者は動物、好ましくは非霊長類(例えばウシ属、ウマ科、ネコ科、イヌ科、げっ歯類等)又は霊長類(例えばカニクイザル等のサル、ヒト等)といった哺乳類である。ある具体的実施形態では、被験者はヒトである。
【0123】
本発明の分子を投与する方法としては、非経口投与(例えば皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内及び皮下)が挙げられるがこれらに限定されない。ある具体的実施形態では、本発明の配列最適化済みCD123×CD3二重特異性ダイアボディ(例えばDART‐A)は、静脈内投与される。静脈内注入は好ましい投与経路である。特に本発明のCD123×CD3二重特異性ダイアボディは、ポンプを用いて媒介される持続静注によって投与される(「ポンプ注入(pump infusion)」)。このような持続注入は、1日あたり約1時間~約24時間の持続時間を有してよいが、好ましくは1日あたり約24時間の持続時間を有する。用語「約(about)」は、記載されている持続時間の±10%の範囲を指すことを意図したものであり、即ち約24時間の注入は、持続時間が21.6時間~26.4時間となる。特定の実施形態では、1日あたり約24時間の持続時間を有する持続注入は、約1日~約21日、又は約1日~約14日、又は約1日~約7日、又は約1日~約4日、又は約1日~約2日の期間にわたって継続されることになる。持続投与は、(例えば供給物の変更、投薬量の調整、薬物供給の補充、副作用の管理等のために)短期間一時停止する必要があり得ることが理解されるだろう。特に、本発明のCD123×CD3二重特異性ダイアボディの持続投与は、1つ以上の追加の治療剤(例えばPD‐1又はPD‐1の天然リガンドに結合できる分子)の投与のために一時停止される場合がある。このような一時停止は慣用のものであり、持続注入期間の終了とは通常みなされない。
【0124】
ある具体的実施形態では、本発明のPD‐1又はPD‐1の天然リガンドに結合できる分子(例えばPD‐1 mAb 1 IgG4)は、静脈内投与される。特に、PD‐1又はPD‐1の天然リガンドに結合できる分子は断続的に投与され、約30分~約240分にわたって注入される。このような注入は、(例えば供給物の変更、投薬量の調整、薬物供給の補充、副作用の管理等のために)短期間一時停止する必要があり得ることが理解されるだろう。このような一時停止は慣用のものであり、注入期間の終了とは通常みなされない。特定の実施形態では、本発明のCD123×CD3二重特異性ダイアボディの持続投与は、本発明のPD‐1又はPD‐1の天然リガンドに結合できる分子の投与のために一時停止される場合がある。
【0125】
障害に関連する1つ又は複数の症状の治療、予防及び改善に効果的な本発明の組成物の量は、標準的な臨床技術によって決定できる。処方において採用するべき正確な用量は、投与経路及び状態の重篤度にも左右され、施術者の判断及び各患者の状況に従って決定するべきである。効果的な用量は、インビトロ又は動物モデル試験系から得られた用量‐応答曲線から外挿できる。このような投薬量は、レシピエント被験者の体重(kg)に基づいて決定でき、又は投与される均一な投薬量(即ち患者の体重から独立しており、また物理的に離散した投与対象の分子の単位を含む、用量)であってよい。体重ベースの用量を利用する場合、算出された用量を、ベースライン時の被験者の体重に基づいて投与することになる。典型的には、ベースライン又は確立されたプラトー重量からの有意な(10%以上の)体重変化により、用量が再計算されることになる。
【0126】
上述のように、DART‐Aは好ましくは、1日あたり約24時間の持続時間を有する持続注入によって投与される。よって投薬量は好ましくは、1日あたりに投与されるDART‐Aの量、例えば1日あたり、かつ体重1キログラムあたりのDART‐Aのナノグラム量(ng/kg/日)に基づいて決定される。上述のように、本発明のPD‐1又はPD‐1の天然リガンドに結合できる分子(例えばPD‐1 mAb 1 IgG4)は任意に、数時間未満の期間にわたって断続的に投与される。特定の実施形態では、各用量は、体重1キログラムあたりの、PD‐1又はPD‐1の天然リガンドに結合できる分子の量、例えば体重1キログラムあたりのPD‐1 mAb 1 IgG4のミリグラム量(mg/kg)に基づいて決定される。他の実施形態では、均一な用量、例えば体重とは無関係に固定されたPD‐1 mAb 1 IgGのミリグラム量が投与される。用量又は投薬量に関して、用語「約」は、記載されている用量の±10%の範囲を指すことを意図したものであり、即ち約30ng/kg/日の体重ベース用量は、27ng/kg(患者の体重)/日~33ng/kg(患者の体重)/日となり、約200mgの均一な用量は、180mg~220mgとなる。
【0127】
特定の実施形態では、DART‐Aは、1週間(7日)の「期間(period)」(「P」)を用いて投与される。以下で詳述されるように、投与は、初期7日治療期間(「I7DP」)を含み、これに1つ以上の追加の7日治療期間(それぞれ「A7DP」、例えばA7DP 1、A7DP 2等)が続く場合がある。ある治療サイクルの最後のA7DPには、1つ以上の更なる7日治療期間(それぞれ「F7DP」、例えばF7DP 1、F7DP 2等)が続く場合がある。
【0128】
用語「LID‐1スキーマ(LID-1 schema)」は、1ステップリード・イン投薬を含む投薬スケジュールを指し、初期7日治療期間の間に、DART‐Aは4日間にわたって100ng/kg/日で投与され、これに3日間の一時停止が続く。用語「LID‐2スキーマ」は、2ステップリード・イン投薬を含む投薬スケジュールを指し、初期7日治療期間の間に、DART‐Aは3日間にわたって30ng/kg/日で投与され、次の4日間にわたって100ng/kg/日で投与される。用語「LID‐3スキーマ」は、マルチステップリード・イン投薬を含む投薬スケジュールを指し、DART‐Aは、それぞれ約24時間持続する、目標用量に達するまでの複数回のステップアップ用量増分(3ステップ以上)を用いて投与され、その後、初期7日治療期間(I7DP)の残りの間、DART‐Aは上記目標用量で投与される。
【0129】
一実施形態では、初期7日治療期間(I7DP)の間、DART‐Aは、目標用量に達するまでの複数回のステップアップ用量増分を組み込んだリード・イン投薬戦略を用いて投与される。一実施形態では、開始用量は約30ng/kg/日であり、目標用量は約300ng/kg/日~約500ng/kg/日である。一実施形態では、目標用量は約300ng/kg/日であり、I7DPの間、DART‐Aは:1日目に約30ng/kg/日の投薬量;2日目に約60ng/kg/日の投薬量;3日目に約100ng/kg/日の投薬量;4日目に約200ng/kg/日の投薬量;5、6及び7日目に約300ng/kg/日の投薬量の持続静注で投与される。別の実施形態では、目標用量は約400ng/kg/日であり、I7DPの間、DART‐Aは:1日目に約30ng/kg/日の投薬量;2日目に約60ng/kg/日の投薬量;3日目に約100ng/kg/日の投薬量;4日目に約200ng/kg/日の投薬量;5日目に約300ng/kg/日の投薬量;6及び7日目に約400ng/kg/日の投薬量の持続静注で投与される。更なる実施形態では、目標用量は約500ng/kg/日であり、I7DPの間、DART‐Aは:1日目に約30ng/kg/日の投薬量;2日目に約60ng/kg/日の投薬量;3日目に約100ng/kg/日の投薬量;4日目に約200ng/kg/日の投薬量;5日目に約300ng/kg/日の投薬量;6日目に約400ng/kg/日の投薬量;7日目に約500ng/kg/日の投薬量の持続静注で投与される。本発明は具体的には、上述の実施形態のうちのいずれによる1回のI7DPを含む、血液悪性腫瘍を治療する方法を包含する。
【0130】
特定の実施形態では、上記I7DPの後には、DART‐Aが、目標用量(即ち約300ng/kg/日~約500ng/kg/日)での持続静注によって7日間投与される、1つ以上の追加の7日治療期間(それぞれがA7DPである)が続く。いくつかの実施形態では1~23回のA7DPが実施される。好ましくは、3回のA7DPが実施される。特定の実施形態では、特に3回のA7DPの実施後に望ましい応答が観察されなかった場合に、4回以上のA7DPが実施される。特定の実施形態では、更に4回、8回、12回、又は16回のA7DPが実施される(即ち合計7回、11回、15回、19回、又は23回のA7DP)。一実施形態では、目標用量は約300ng/kg/日であり、少なくとも3回のA7DPが実施される。別の実施形態では、目標用量は約400ng/kg/日であり、少なくとも3回のA7DPが実施される。更なる実施形態では、目標用量は約500ng/kg/日であり、少なくとも3回のA7DPが実施される。本発明は具体的には、上述の実施形態のうちのいずれによる1回以上のA7DPを含む、血液悪性腫瘍を治療する方法を包含する。
【0131】
特定の実施形態では、1つ以上のA7DPのうちの最後のものの後には、DART‐Aが、目標用量での持続静注によって4日オン/3日オフスケジュールで投与される(例えばDART‐AはF7DPの1、2、3及び4日目に供給されるが、このF7DPの5、6及び7日目には供給されない)、1つ以上の更なる7日治療期間(それぞれがF7DPである)が続く。特に、このようなF7DPは、DART‐Aを目標用量での持続静注によって1~4日目に投与するステップを含み、5~7日目にはDART‐Aが投与されない。いくつかの実施形態では1~24回のF7DPが実施される。好ましくは、1回、2回、3回、4回、5回、6回、7回、又は8回のこのようなF7DPが実施される。具体的実施形態では1~4回のこのようなF7DPが実施される。一実施形態では、目標用量は約300ng/kg/日であり、少なくとも4回のF7DPが実施される。別の実施形態では、目標用量は約400ng/kg/日であり、少なくとも4回のF7DPが実施される。更なる実施形態では、目標用量は約500ng/kg/日であり、少なくとも4回のF7DPが実施される。本発明は具体的には、上述の実施形態のうちのいずれによる1回以上のF7DPを含む、血液悪性腫瘍を治療する方法を包含する。
【0132】
特定の実施形態では、DART‐Aは、PD‐1又はPD‐1の天然リガンドに結合できる分子(例えばPD‐1 mAb 1 IgG4)と組み合わせて投与され、PD‐1又はPD‐1の天然リガンドに結合できる上記分子は、2週間に1回(「Q2W」)、3週間に1回(「Q3W」)、又は4週間に1回(「Q4W」)投与される。具体的実施形態では、PD‐1又はPD‐1の天然リガンドに結合できる分子は、約1mg/kg~約10mg/kgの体重ベース用量で、又は約200~約300mgの固定用量で、Q2Wで投与される。ある特定の実施形態では、PD‐1又はPD‐1の天然リガンドに結合できる分子は、約1mg/kg~約3mg/kgの体重ベース用量で、Q2Wで投与される。他の具体的実施形態では、PD‐1又はPD‐1の天然リガンドに結合できる分子は、約200~約375mgの固定用量で、Q3Wで投与される。ある特定の実施形態では、PD‐1又はPD‐1の天然リガンドに結合できる分子は、約375mgの固定用量で、Q3Wで投与される。他の特定の実施形態では、PD‐1又はPD‐1の天然リガンドに結合できる分子は、約400~約500mgの固定用量で、Q4Wで投与される。ある特定の実施形態では、PD‐1又はPD‐1の天然リガンドに結合できる分子は、約500mgの固定用量で、Q4Wで投与される。
【0133】
特定の実施形態では、このQ2W、Q3W、又はQ4Wでの投与は、DART‐Aが投与される上述の7日治療期間のうちの1つ以上と同時に行われる。よって特定の実施形態では、PD‐1又はPD‐1の天然リガンドに結合できる分子は、Q2W、Q3W、又はQ4Wで投与され、このような投与は、上述の7日治療期間のうちの1つ以上の間に行われる。特定の実施形態では、PD‐1又はPD‐1の天然リガンドに結合できる分子は、1つ以上のA7DPの間、及び/又は1つ以上のF7DPの間に投与される。具体的実施形態では、PD‐1又はPD‐1の天然リガンドに結合できる分子は、1つ以上のA7DPの1日目、及び/又は1つ以上のF7DPの1日目に投与される。特定の実施形態では、DART‐Aの投与は、PD‐1又はPD‐1の天然リガンドに結合できる分子の投与中には一時停止される。特定の実施形態では、同日にスケジューリングされている場合、PD‐1又はPD‐1の天然リガンドに結合できる分子はDART‐Aの前に投与される。特定の実施形態では、PD‐1又はPD‐1の天然リガンドに結合できる分子の第1の用量を、2回の7日治療期間の後、好ましくは15日目に投与し、その後、追加の用量をQ2W、Q3W、又はQ4Wで投与する。特定の実施形態では、PD‐1又はPD‐1の天然リガンドに結合できる分子の、Q2W、Q3W、又はQ4Wでの投与は、DART‐Aの最後の用量の投与後にも継続される。
【0134】
特定の実施形態では、治療は4週(28日)の治療サイクルに分割される。一実施形態では、第1の治療サイクル(「治療サイクル1」)は、1回のI7DPとそれに続く3回のA7DPとを含み、これによって4週の治療サイクル1が構成される。特定の実施形態では、PD‐1又はPD‐1の天然リガンドに結合できる分子も、このような治療サイクル1の間に投与される。一実施形態では、PD‐1又はPD‐1の天然リガンドに結合できる分子(例えばPD‐1 mAb 1 IgG4)は、このような治療サイクル1の15日目(即ち第2のA7DPの1日目)に、約1mg/kg~約3mg/kgの用量で投与される。
【0135】
特定の実施形態では、少なくとも1回の第2の治療サイクル(それぞれ「治療サイクル2」)を任意に実施する。少なくとも1回の治療サイクル2の実施は、サイクル1の実施の後に望ましい応答が観察されなかった場合に特に好ましい。ある特定の実施形態では、各治療サイクル2は4回のA7DPを含み、これによって4週(28日)の治療サイクル2が構成される。任意に、治療サイクル2を繰り返すことによって、目標用量での連続7日のスケジュールの、DART‐Aの追加の投与を提供してよい。特定の実施形態では、PD‐1又はPD‐1の天然リガンドに結合できる分子を、このような治療サイクル2の間にも投与する。一実施形態では、PD‐1又はPD‐1の天然リガンドに結合できる分子(例えばPD‐1 mAb 1 IgG4)は、各治療サイクル2の1日目及び15日目(即ち第1のA7DPの1日目及び第3のA7DPの1日目)に、約1mg/kg~約3mg/kgの体重ベース用量で投与される。
【0136】
特定の実施形態では、少なくとも1回の第3の治療サイクル(それぞれ「治療サイクル3」)を実施する。特定の実施形態では、各治療サイクル3は4回のF7DPを含み、これによって4週(28日)の治療サイクル3が構成される。特定の実施形態では、治療サイクル1の後に、少なくとも1回の治療サイクル3が実施される。他の実施形態では、少なくとも1回の治療サイクル2の実施の後に、少なくとも1回の治療サイクル3が実施される。任意に、治療サイクル3を繰り返すことによって、目標用量での4日オン/3日オフのスケジュールの、DART‐Aの追加の投与を提供してよい。特定の実施形態では、PD‐1又はPD‐1の天然リガンドに結合できる分子を、このような治療サイクル3の間にも投与する。一実施形態では、PD‐1又はPD‐1の天然リガンドに結合できる分子(例えばPD‐1 mAb 1 IgG4)は、各治療サイクル2の1日目及び15日目(即ち第1のF7DPの1日目及び第3のF7DPの1日目)に、約1mg/kg~約3mg/kgの用量で投与される。
【0137】
特定の実施形態では、DART‐Aを治療サイクル1に従って投与した後に、治療サイクル2に従った更なる投与が続き、この治療サイクル2は繰り返される場合があり、その後に治療サイクル3に従った更なる投与が続き、この治療サイクル3は繰り返される場合がある。他の実施形態では、治療サイクル2は実施されない。従ってこのような実施形態では、DART‐Aを治療サイクル1に従って投与した後に、治療サイクル3に従った更なる投与が続き、この治療サイクル3は繰り返される場合がある。本発明は具体的には、上述の実施形態のうちのいずれによる治療サイクル1を含む、血液悪性腫瘍を治療する方法を包含する。本発明は更に、上述の実施形態のうちのいずれによる治療サイクル1と、これに続く、上述の実施形態のうちのいずれによる少なくとも1回の治療サイクル2とを含む、血液悪性腫瘍を治療する方法を包含する。本発明は更に上述の実施形態のうちのいずれによる治療サイクル1と、これに続く、上述の実施形態のうちのいずれによる少なくとも1回の治療サイクル2と、これに続く、上述の実施形態のうちのいずれによる少なくとも1回の治療サイクル3とを含む、血液悪性腫瘍を治療する方法を包含する。治療サイクル1、治療サイクル2、及び治療サイクル3を含む例示的なLID‐3スキーマを、以下の表10Bに提示する。本発明は更に、上述の実施形態のうちのいずれによる治療サイクル1と、これに続く、上述の実施形態のうちのいずれによる少なくとも1回の治療サイクル3とを含む、血液悪性腫瘍を治療する方法を包含する。治療サイクル1及び治療サイクル3を含む例示的なLID‐3スキーマを、以下の表10Aに提示する。
【0138】
具体的実施形態では、PD‐1又はPD‐1の天然リガンドに結合できる分子(例えばPD‐1 mAb 1 IgG4)は、このような治療サイクル1の15日目(即ち第2のA7DPの1日目)に投与される。上述のように、PD‐1又はPD‐1の天然リガンドに結合できる分子の追加の用量が、Q2W、Q3W、又はQ4Wで投与される。従ってこのような追加の用量は、各治療サイクル2、各治療サイクル3の間に投与され、DART‐Aの最後の用量の投与後にも投与され続ける場合がある。特定の実施形態では、DART‐Aは、PD‐1又はPD‐1の天然リガンドに結合できる分子(例えばPD‐1 mAb 1 IgG4)と組み合わされて、治療サイクル1に従って投与され、その後に治療サイクル2に従った更なる投与が続き、この治療サイクル2は繰り返される場合があり、その後に治療サイクル3に従った更なる投与が続く。治療サイクル1、治療サイクル2、及び治療サイクル3を含む、PD‐1 mAb 1 IgG4と組み合わされたDART‐Aの投与のための例示的な投薬スケジュールを、以下の表11Bに提示する。他の実施形態では、治療サイクル2は実施されない。従ってこのような実施形態では、DART‐AをPD‐1又はPD‐1の天然リガンドに結合できる分子(例えばPD‐1 mAb 1 IgG4)と組み合わせて治療サイクル1に従って投与した後に、治療サイクル3に従った更なる投与が続く。治療サイクル1及び治療サイクル3を含む、PD‐1 mAb 1 IgG4と組み合わされたDART‐Aの投与のための例示的な投薬スケジュールを、以下の表11Aに提示する。特定の実施形態では、治療サイクル3の後には、PD‐1又はPD‐1の天然リガンドに結合できる分子(例えばPD‐1 mAb 1 IgG4)の1つ以上の追加の用量の、Q2W、Q3W又はQ4Wでの投与が続く。治療サイクル3の後のPD‐1 mAb 1 IgG4の追加の用量の投与(Q2W)を含む、PD‐1 mAb 1 IgG4と組み合わされたDART‐Aの投与のための例示的な投薬スケジュールを、以下の表11A~11Bに提示する。
【0139】
一実施形態では、PD‐1又はPD‐1の天然リガンドに結合できる分子は:
(a)ペンブロリズマブのVHドメイン及びVLドメイン;
(b)ニボルマブのVHドメイン及びVLドメイン;
(c)セミプリマブのVHドメイン及びVLドメイン;
(c)PD‐1 mAb 1のVHドメイン及びVLドメイン;
(d)アテゾリズマブのVHドメイン及びVLドメイン;
(e)アベルマブのVHドメイン及びVLドメイン;
(f)デュルバルマブのVHドメイン及びVLドメイン;又は
(h)表3若しくは4で提供されている抗体のVHドメイン及びVLドメイン
を含む。
【0140】
ある具体的実施形態では、PD‐1又はPD‐1の天然リガンドに結合できる分子は、PD‐1 mAb 1 IgG4である。別の具体的実施形態では、PD‐1 mAb 1 IgG4は、上述の実施形態のうちのいずれに従って投与される。
【0141】
上述の実施形態のうちのいずれにおいて、同日にスケジューリングされている場合、PD‐1又はPD‐1の天然リガンドに結合できる分子(例えばPD‐1 mAb 1 IgG4)は、DART‐Aの投与の前に静脈内注入によって投与できる。上述の実施形態のうちのいずれにおいて、PD‐1又はPD‐1の天然リガンドに結合できる分子(例えばPD‐1 mAb 1 IgG4)を投与している間、DART‐Aの投与を一時停止してよい。あるいは、PD‐1又はPD‐1の天然リガンドに結合できる分子(例えばPD‐1 mAb 1 IgG4)は、DART‐Aの投与と同時に、静脈内注入によって投与される。このような投与は、異なる複数の部位に(例えばDART‐AをIVによって患者の左腕に、そしてPD‐1又はPD‐1の天然リガンドに結合できる分子をIVによって患者の右腕に)、又は同一部位に(例えば単一のIVラインによって)、実施できる。
【0142】
特定の実施形態では、1つ以上の追加の/代替的な作用剤を、DART‐Aの投与の前、間、及び/又は後に投与することによって、発生し得る注入関連反応(Infusion‐Related Reaction:「IRR」)及び/又はサイトカイン放出症候群(「CRS」)を管理する。特定の実施形態では、IRR及び/又はCRSを管理するための追加の/代替的な作用剤の投与中、DART‐Aの投与は一時停止される。特定の実施形態では、1用量以上のデキサメタゾン(又は同等物)等のステロイドを投与することによって、IRR及び/又はCRSを管理できる。特定の実施形態では、1用量以上のIL‐6阻害剤、IL‐6R阻害剤、TNFα阻害剤、及び/又はIL‐1R阻害剤を投与することによって、IRR及び/又はCRSを管理する。
【0143】
ある具体的実施形態では、1用量以上のステロイドを投与することによって、IRR及び/又はCRSを管理する。ステロイドの用量は、実際の又は潜在的なIRR及び/又はCRSを軽減又は排除するために十分となるように選択されることになる。ある具体的実施形態では、ステロイドは、上述の実施形態のうちのいずれに従ってDART‐Aが投与されるI7DPの、前、間、及び/又は後に投与される。別の具体的実施形態では、ステロイドは、上述の実施形態のうちのいずれに従ってDART‐Aが投与される第1の(又はいずれの後続の)A7DPの、前、間、及び/又は後に投与される。別の具体的実施形態では、ステロイドは、上述の実施形態のうちのいずれに従ってDART‐Aが投与される第1の(又はいずれの後続の)F7DPの、前、間、及び/又は後に投与される。上述の実施形態のうちのいずれにおいて、IRR及び/又はCRSを管理するための1用量以上のステロイドの投与中、DART‐Aの投与を一時停止してよい。
【0144】
一実施形態では、ステロイドは、デキサメタゾン(又は同等物)等の、(約48時間以上の半減期を有する)長期持続型ステロイドである。別の実施形態では、ステロイドは、メチルプレドニゾロン(又は同等物)等の、(約12~36時間の半減期を有する)中期持続型ステロイドである。別の実施形態ではステロイドは、ヒドロコルチゾン(又は同等物)等の、(約12時間以下の半減期を有する)短期持続型ステロイドである。特定の実施形態では、ステロイドは、DART‐Aの投薬前(例えば最大30分前)に(例えば10~20mgのデキサメタゾンがIVによって)投与され、その後、追加の用量が、DART‐Aの投与の間及び/又は後に(例えばDART‐Aの投薬開始の12時間後に4mgがIVによって)投与される。デキサメタゾン(又は同等物)等のステロイドは、DART‐Aの投薬の変更の前(例えば最大30分前)に(例えば10~20mgがIVによって)投与され、その後、追加の用量が、変更されたDART‐A用量の投与後に(例えばDART‐Aの投薬開始の12時間後に4mgがIVによって)投与されてもよい。
【0145】
ある具体的実施形態では、1用量以上のIL‐6/IL‐6R阻害剤を投与することによって、IRR及び/又はCRSを管理する。IL‐6/IL‐6R阻害剤の用量は、実際の又は潜在的なIRR及び/又はCRSを軽減又は排除するために十分となるように選択されることになる。ある具体的実施形態では、IL‐6/IL‐6R阻害剤は、上述の実施形態のうちのいずれに従ってDART‐Aが投与されるI7DPの、前、間、及び/又は後に投与される。別の具体的実施形態では、IL‐6/IL‐6R阻害剤は、上述の実施形態のうちのいずれに従ってDART‐Aが投与される第1の(又はいずれの後続の)A7DPの、前、間、及び/又は後に投与される。別の具体的実施形態では、IL‐6/IL‐6R阻害剤は、上述の実施形態のうちのいずれに従ってDART‐Aが投与される第1の(又はいずれの後続の)F7DPの、前、間、及び/又は後に投与される。上述の実施形態のうちのいずれにおいて、IRR及び/又はCRSを管理するための1用量以上のIL‐6/IL‐6R阻害剤の投与中、DART‐Aの投与を一時停止してよい。
【0146】
一実施形態では、IL‐6/IL‐6R阻害剤は、抗IL‐6又は抗IL‐6R抗体、例えばトシリズマブ(ACTEMRA(登録商標);DrugBank受託番号DB06273)、シルツキシマブ(SYLVANT(登録商標);DrugBank受託番号DB09036)、又はクラザキズマブ(DrugBank受託番号DB12849)である(Lee, D.W. et al. (2014) “Current Concepts In The Diagnosis And Management Of Cytokine Release Syndrome,” Blood 124(2):188-195; Shimabukuro-Vornhagen, A. et al. (2018) “Cytokine Release Syndrome,” J. ImmunoTher. Canc. 656, pages 1-14を参照)。
【0147】
一実施形態では、IL‐6/IL‐6R阻害剤はトシリズマブであり、例えば静脈内注入によって約4mg/kg~約12mg/kgの用量で、特に約4mg/kg~約8mg/kgの用量で投与される。別の実施形態では、IL‐6/IL‐6R阻害剤はシルツキシマブであり、例えば静脈内注入によって約1mg/kg~約11mg/kgの用量で、特に約11mg/kgの用量で投与される。
【0148】
具体的実施形態では、1用量以上のTNFα阻害剤を投与することによって、IRR及び/又はCRSを管理する。TNFα阻害剤の用量は、実際の又は潜在的なIRR及び/又はCRSを軽減又は排除するために十分となるように選択されることになる。ある具体的実施形態では、TNFα阻害剤は、上述の実施形態のうちのいずれに従ってDART‐Aが投与されるI7DPの、前、間、及び/又は後に投与される。別の具体的実施形態では、TNFα阻害剤は、上述の実施形態のうちのいずれに従ってDART‐Aが投与される第1の(又はいずれの後続の)A7DPの、前、間、及び/又は後に投与される。別の具体的実施形態では、TNFα阻害剤は、上述の実施形態のうちのいずれに従ってDART‐Aが投与される第1の(又はいずれの後続の)F7DPの、前、間、及び/又は後に投与される。上述の実施形態のうちのいずれにおいて、IRR及び/又はCRSを管理するための1用量以上のTNFα阻害剤の投与中、DART‐Aの投与を一時停止してよい。
【0149】
一実施形態では、TNFα阻害剤は、抗TNFα抗体、例えば、アダリムマブ(HUMIRA(登録商標))又はそのバイオ後続品(例えばAdalimumab‐atto(AMJEVITA(登録商標))(Scheinfeld, N. (2003) “Adalimumab (HUMIRA): A Review,” J. Drugs Dermatol. 2(4):375-377;DrugBank受託番号DB00051);セルトリズマブペゴル(CIMZIA(登録商標))又はそのバイオ後続品(Goel, N. et al. (2010) “Certolizumab pegol” MAbs. 2(2):137-147;DrugBank受託番号DB08904);ゴリムマブ(SIMPONI(登録商標))又はそのバイオ後続品(Mazumdar, S. et al. (2009) “Golimumab,” mAbs. 1(5):422-431;DrugBank受託番号DB06674)、インフリキシマブ(REMICADE(登録商標))又はそのバイオ後続品(例えばINFLECTRA(登録商標)、SB2等(Smolen, J.S. (2011) “Infliximab: 12 Years Of Experience,” Arthritis Res. Ther. 13(Suppl 1:S2) pages 1-18; Lamb, Y.N. (2017) “SB2: An Infliximab Biosimilar,” BioDrugs. 31(5):461-464);DrugBank受託番号DB00065)であるか、あるいはTNFα遮断受容体融合タンパク質、例えばエタネルセプト(ENBREL(登録商標))又はそのバイオ後続品(例えばBENEPALI(登録商標)、Etanercept‐szzs(EREIZI(登録商標))、GP2015等(Deeks, E.D. (2017) “GP2015: An Etanercept Biosimilar,” Biodrugs 31:555-558; Cantini, F. et al. (2018) “Focus On Biosimilar Etanercept - Bioequivalence And Interchangeability,” Biologics: Targets and Therapy 2018:12 87-95;DrugBank受託番号DB00005)である。
【0150】
一実施形態では、使用されるTNFα阻害剤はアダリムマブ又はそのバイオ後続品であり、例えば皮下注射によって約40mgの用量で又は約80mgの用量で投与される。一実施形態では、TNFα阻害剤はセルトリズマブペゴル又はそのバイオ後続品であり、例えば皮下注射によって約200mgの用量で投与される。一実施形態では、TNFα阻害剤はゴリムマブ又はそのバイオ後続品であり、例えば皮下注射によって約50mg~約100mgの用量で投与されるか、又は例えば静脈注射によって約50mgの用量で投与される。一実施形態では、TNFα阻害剤はインフリキシマブ又はそのバイオ後続品であり、例えば静脈内注入によって約100mg又は約5mg/kg体重の用量で投与される。一実施形態では、TNFα阻害剤はエタネルセプト又はそのバイオ後続品であり、例えば皮下注射によって約25mg~約50mgの用量で投与される。
【0151】
具体的実施形態では、1用量以上のIL‐1R系阻害剤(例えばアナキンラ(KINERET(登録商標);DrugBank受託番号DB00026)を投与することによって、IRR及び/又はCRSを管理する。IL‐1R系阻害剤の用量は、実際の又は潜在的なIRR及び/又はCRSを軽減又は排除するために十分となるように選択されることになる。ある具体的実施形態では、IL‐1R系阻害剤は、上述の実施形態のうちのいずれに従ってDART‐Aが投与されるI7DPの、前、間、及び/又は後に投与される。別の具体的実施形態では、IL‐1R系阻害剤は、上述の実施形態のうちのいずれに従ってDART‐Aが投与される第1の(又はいずれの後続の)A7DPの、前、間、及び/又は後に投与される。別の具体的実施形態では、IL‐1R系阻害剤は、上述の実施形態のうちのいずれに従ってDART‐Aが投与される第1の(又はいずれの後続の)F7DPの、前、間、及び/又は後に投与される。上述の実施形態のうちのいずれにおいて、IRR及び/又はCRSを管理するための1用量以上のIL‐1R系阻害剤の投与中、DART‐Aの投与を一時停止してよい。
【0152】
一実施形態では、IL‐1R阻害剤はアナキンラであり、例えば皮下注射によって約100mg~約150mgの用量で投与される。
【0153】
VII.本発明の実施形態
ここまで本発明を概説してきたが、以下の番号付与された実施形態(「E」)を参照することによって、本発明は更に容易に理解されるだろう。これらの実施形態は単なる例示として提供されており、特段の記載がない限り、本発明の限定となることを意図したものではない。
【0154】
E1. CD123×CD3結合分子を、それを必要とする被験者に投与するステップを含む、血液悪性腫瘍を治療する方法であって:
(I)上記CD123×CD3結合分子は、配列番号21のアミノ酸配列を有する第1のポリペプチド鎖と、配列番号23のアミノ酸配列を有する第2のポリペプチド鎖とからなるダイアボディであり;
(II)上記方法は、初期7日治療期間(I7DP)を含み、ここで:
(A)上記I7DPの1日目には、上記CD123×CD3結合分子を持続静注によって約30ng/kg/日の投薬量で上記被験者に投与し;
(B)上記I7DPの2日目には、上記CD123×CD3結合分子を持続静注によって約60ng/kg/日の投薬量で上記被験者に投与し;
(C)上記I7DPの3日目には、上記CD123×CD3結合分子を持続静注によって約100ng/kg/日の投薬量で上記被験者に投与し;
(D)上記I7DPの4日目には、上記CD123×CD3結合分子を持続静注によって約200ng/kg/日の投薬量で上記被験者に投与し;
(E)上記I7DPの5日目には、上記CD123×CD3結合分子を持続静注によって約300ng/kg/日の投薬量で上記被験者に投与し;
(F)上記I7DPの6日目には、上記CD123×CD3結合分子を持続静注によって約300ng/kg/日~約400ng/kg/日の投薬量で上記被験者に投与し;
(G)上記I7DPの7日目には、上記CD123×CD3結合分子を持続静注によって約300ng/kg/日~約500ng/kg/日の投薬量で上記被験者に投与する、方法。
【0155】
E2. 被験者の血液悪性腫瘍の治療における使用のためのCD123×CD3結合分子であって:
(I)上記CD123×CD3結合分子は、配列番号21のアミノ酸配列を有する第1のポリペプチド鎖と、配列番号23のアミノ酸配列を有する第2のポリペプチド鎖とからなるダイアボディであり;
(II)上記使用は、初期7日治療期間(I7DP)を含み、ここで:
(A)上記I7DPの1日目には、上記CD123×CD3結合分子を持続静注によって約30ng/kg/日の投薬量で上記被験者に投与し;
(B)上記I7DPの2日目には、上記CD123×CD3結合分子を持続静注によって約60ng/kg/日の投薬量で上記被験者に投与し;
(C)上記I7DPの3日目には、上記CD123×CD3結合分子を持続静注によって約100ng/kg/日の投薬量で上記被験者に投与し;
(D)上記I7DPの4日目には、上記CD123×CD3結合分子を持続静注によって約200ng/kg/日の投薬量で上記被験者に投与し;
(E)上記I7DPの5日目には、上記CD123×CD3結合分子を持続静注によって約300ng/kg/日の投薬量で上記被験者に投与し;
(F)上記I7DPの6日目には、上記CD123×CD3結合分子を持続静注によって約300ng/kg/日~約400ng/kg/日の投薬量で上記被験者に投与し;
(G)上記I7DPの7日目には、上記CD123×CD3結合分子を持続静注によって約300ng/kg/日~約500ng/kg/日の投薬量で上記被験者に投与する、使用のためのCD123×CD3結合分子。
【0156】
E3. 上記方法又は上記使用は、1つ以上の追加の7日治療期間(A7DP)を含み、上記1つ以上のA7DPそれぞれの1~7日目には、上記CD123×CD3結合分子を持続静注によって約300ng/kg/日~約500ng/kg/日の投薬量で上記被験者に投与する、E1に記載の方法、又はE2に記載の使用のためのCD123×CD3結合分子。
【0157】
E4. 上記I7DPの6日目及び7日目には、上記CD123×CD3結合分子を約300ng/kg/日の投薬量で上記被験者に投与する、E1若しくはE3に記載の方法、又はE2若しくはE3に記載の使用のためのCD123×CD3結合分子。
【0158】
E5. 上記1つ以上のA7DPのうちの少なくとも1つの、1~7日目には、上記CD123×CD3結合分子を約300ng/kg/日の投薬量で上記被験者に投与する、E3若しくはE4に記載の方法、又はE3若しくはE4に記載の使用のためのCD123×CD3結合分子。
【0159】
E6. 上記I7DPの6日目及び7日目には、上記CD123×CD3結合分子を約400ng/kg/日の投薬量で上記被験者に投与する、E1若しくはE3に記載の方法、又はE2若しくはE3に記載の使用のためのCD123×CD3結合分子。
【0160】
E7. 上記1つ以上のA7DPのうちの少なくとも1つの、1~7日目には、上記CD123×CD3結合分子を約400ng/kg/日の投薬量で上記被験者に投与する、E3若しくはE6に記載の方法、又はE3若しくはE6に記載の使用のためのCD123×CD3結合分子。
【0161】
E8. 上記I7DPの6日目には、上記CD123×CD3結合分子を約400ng/kg/日の投薬量で上記被験者に投与し、上記I7DPの7日目には、上記CD123×CD3結合分子を約500ng/kg/日の投薬量で上記被験者に投与する、E1若しくはE3に記載の方法、又はE2若しくはE3に記載の使用のためのCD123×CD3結合分子。
【0162】
E9. 上記1つ以上のA7DPのうちの少なくとも1つの、1~7日目には、上記CD123×CD3結合分子を約500ng/kg/日の投薬量で上記被験者に投与する、E3若しくはE8に記載の方法、又はE3若しくはE8に記載の使用のためのCD123×CD3結合分子。
【0163】
E10. 3回の上記A7DPを含む、E3~E9のいずれか1つに記載の方法、又はE3~E9のいずれか1つに記載の使用のためのCD123×CD3結合分子。
【0164】
E11. 更なる4回、8回、12回、16回、又は20回の上記A7DPを含む、E10に記載の方法、又はE10に記載の使用のためのCD123×CD3結合分子。
【0165】
E12. 上記1つ以上のA7DPのうちの少なくとも1つの後には、1つ以上の更なる7日治療期間(F7DP)が続き、ここで、上記1つ以上のF7DPそれぞれの1~4日目には、上記CD123×CD3結合分子を上記被験者に投与し、上記1つ以上のF7DPそれぞれの5~7日目には、上記被験者に上記CD123×CD3結合分子を提供しない、E3~E11のいずれか1つに記載の方法、又はE3~E11のいずれか1つに記載の使用のためのCD123×CD3結合分子。
【0166】
E13. 上記1つ以上のF7DPのうちの少なくとも1つの、1~4日目には、上記CD123×CD3結合分子を持続静注によって約300ng/kg/日~約500ng/kg/日の投薬量で上記被験者に投与する、E12に記載の方法、又はE12に記載の使用のためのCD123×CD3結合分子。
【0167】
E14. 上記1つ以上のF7DPのうちの少なくとも1つの、1~4日目には、上記CD123×CD3結合分子を約300ng/kg/日の投薬量で上記被験者に投与する、E13に記載の方法、又はE13に記載の使用のためのCD123×CD3結合分子。
【0168】
E15. 上記1つ以上のF7DPのうちの少なくとも1つの、1~4日目には、上記CD123×CD3結合分子を約400ng/kg/日の投薬量で上記被験者に投与する、E13に記載の方法、又はE13に記載の使用のためのCD123×CD3結合分子。
【0169】
E16. 上記1つ以上のF7DPのうちの少なくとも1つの、1~4日目には、上記CD123×CD3結合分子を約500ng/kg/日の投薬量で上記被験者に投与する、E13に記載の方法、又はE13に記載の使用のためのCD123×CD3結合分子。
【0170】
E17. 4回の上記F7DPを含む、E12~E16のいずれか1つに記載の方法、又はE12~E16のいずれか1つに記載の使用のためのCD123×CD3結合分子。
【0171】
E18. 更なる4回、8回、12回、16回、又は20回の上記F7DPを含む、E17に記載の方法、又はE17に記載の使用のためのCD123×CD3結合分子。
【0172】
E19. 上記方法又は使用は、PD‐1又はPD‐1の天然リガンドに結合できる分子を投与するステップを更に含み、PD‐1に結合できる上記分子は、PD‐1に結合する抗体のエピトープ結合ドメインを含み、PD‐1の天然リガンドに結合できる上記分子は、PD‐1の天然リガンドに結合する抗体のエピトープ結合ドメインを含む、E1及びE3~E18のいずれか1つに記載の方法、又はE2~E18のいずれか1つに記載の使用のためのCD123×CD3結合分子。
【0173】
E20. PD‐1又はPD‐1の天然リガンドに結合できる上記結合分子を、2週間に1回(Q2W)、3週間に1回(Q3W)、又は4週間に1回(Q4W)投与する、E19に記載の方法、又はE19に記載の使用のためのCD123×CD3結合分子。
【0174】
E21. PD‐1又はPD‐1の天然リガンドに結合できる上記結合分子を、15日目から投与する、E19若しくはE20に記載の方法、又はE19若しくはE20に記載の使用のためのCD123×CD3結合分子。
【0175】
E22. PD‐1又はPD‐1の天然リガンドに結合できる上記結合分子を、15日目からQ2Wで投与する、E21に記載の方法、又はE21に記載の使用のためのCD123×CD3結合分子。
【0176】
E23. PD‐1又はPD‐1の天然リガンドに結合できる上記結合分子は、15日目に始まるQ3Wで投与される、E21に記載の方法、又はE21に記載の使用のためのCD123×CD3結合分子。
【0177】
E24. PD‐1又はPD‐1の天然リガンドに結合できる上記結合分子は、15日目に始まるQ4Wで投与される、E21に記載の方法、又はE21に記載の使用のためのCD123×CD3結合分子。
【0178】
E25. PD‐1又はPD‐1の天然リガンドに結合できる上記結合分子を、上記F7DPのうちの1つ以上の、1日目に投与する、E19~E24のいずれか1つに記載の方法、又はE19~E24のいずれか1つに記載の使用のためのCD123×CD3結合分子。
【0179】
E26. PD‐1又はPD‐1の天然リガンドに結合できる上記結合分子は:
(a)ペンブロリズマブのVHドメイン及びVLドメイン;
(b)ニボルマブのVHドメイン及びVLドメイン;
(c)セミプリマブのVHドメイン及びVLドメイン;
(c)PD‐1 mAb 1のVHドメイン及びVLドメイン;
(d)アテゾリズマブのVHドメイン及びVLドメイン;
(e)アベルマブのVHドメイン及びVLドメイン;
(f)デュルバルマブのVHドメイン及びVLドメイン;又は
(h)表3若しくは4で提供されている抗体のVHドメイン及びVLドメイン
を含む、E19~E25のいずれか1つに記載の方法、又はE19~E25のいずれか1つに記載の使用のためのCD123×CD3結合分子。
【0180】
E27. PD‐1又はPD‐1の天然リガンドに結合できる上記結合分子は:
(a)PD‐1 mAb 1のVHドメイン及びVLドメインを含むか;又は
(b)PD‐1 mAb 1 IgG4である、E26に記載の方法、又はE26に記載の使用のためのCD123×CD3結合分子。
【0181】
E28. PD‐1又はPD‐1の天然リガンドに結合できる上記結合分子が、約1mg/kg~約3mg/kgの用量で投与される、E19~E27のいずれか1つに記載の方法、又はE19~E27のいずれか1つに記載の使用のためのCD123×CD3結合分子。
【0182】
E29. 上記CD123×CD3結合分子の最後の用量の投与後に、PD‐1又はPD‐1の天然リガンドに結合できる上記結合分子の1つ以上の用量を投与するステップを更に含む、E19~E28のいずれか1つに記載の方法、又はE19~E28のいずれか1つに記載の使用のためのCD123×CD3結合分子。
【0183】
E30. 上記方法又は上記使用は、上記CD123×CD3結合分子の投与前、投与中、及び/又は投与後に、コルチコステロイド及び/又は抗IL‐6若しくは抗IL‐6R抗体を静脈内注入によって投与するステップを更に含む、E1、E3~E29のいずれか1つに記載の方法、又はE2~E29のいずれか1つに記載の使用のためのCD123×CD3結合分子。
【0184】
E31. 上記コルチコステロイドは、デキサメタゾン、メチルプレドニゾロン、及びヒドロコルチゾンからなる群から選択される、E30に記載の方法、又はE28に記載の使用のためのCD123×CD3結合分子。
【0185】
E32. 上記コルチコステロイドはデキサメタゾンである、E30に記載の方法、又はE29に記載の使用のためのCD123×CD3結合分子。
【0186】
E33. 上記コルチコステロイドはメチルプレドニゾロンである、E30に記載の方法、又はE29に記載の使用のためのCD123×CD3結合分子。
【0187】
E34. 上記コルチコステロイドはヒドロコルチゾンである、E30に記載の方法、又はE29に記載の使用のためのCD123×CD3結合分子。
【0188】
E35. デキサメタゾンは、上記CD123×CD3結合分子の投与前に、約10mg~約20mgの投薬量で投与される、E31若しくはE32に記載の方法、又はE31若しくはE32に記載の使用のためのCD123×CD3結合分子。
【0189】
E36. 上記方法又は使用は、上記CD123×CD3結合分子の投与中及び/又は投与後に、デキサメタゾンを約4mgの投薬量で投与するステップを更に含む、E31、E32、及びE35のいずれか1つに記載の方法、又はE31、E32、及びE35のいずれか1つに記載の使用のためのCD123×CD3結合分子。
【0190】
E37. 上記方法又は使用は、上記CD123×CD3結合分子の投与後に、抗IL‐6又は抗IL‐6R抗体を投与するステップを更に含む、E1及びE3~E36のいずれか1つに記載の方法、又はE2~E36のいずれか1つに記載の使用のためのCD123×CD3結合分子。
【0191】
E38. 投与される上記抗IL‐6又は抗IL‐6R抗体はトシリズマブ又はシルツキシマブである、E37に記載の方法、又はE37に記載の使用のためのCD123×CD3結合分子。
【0192】
E39. 投与される上記抗IL‐6R抗体はトシリズマブであり、上記トシリズマブは、約4mg/kg~約8mg/kgの投薬量で投与されるト、E38に記載の方法、又はE38に記載の使用のためのCD123×CD3結合分子。
【0193】
E40. 上記血液悪性腫瘍は:急性骨髄性白血病(AML);CMLの急性転化及びCMLに関連するAbelson癌遺伝子(Bcr‐ABL転座)を含む、慢性骨髄性白血病(CML);骨髄異形成症候群(MDS);急性Bリンパ芽球性白血病(B‐ALL);急性Tリンパ芽球性白血病(T‐ALL);CLLのリヒター症候群を含む、慢性リンパ性白血病(CLL);有毛細胞白血病(HCL);芽球性形質細胞様樹状細胞新生物(BPDCN);マントル細胞リンパ腫(MCL)及び小リンパ球性リンパ腫(SLL)を含む非ホジキンリンパ腫(NHL);ホジキンリンパ腫、全身性肥満細胞症;並びにバーキットリンパ腫からなる群から選択される、E1及びE3~E39のいずれか1つに記載の方法、又はE2~E39のいずれか1つに記載の使用のためのCD123×CD3結合分子。
【0194】
E41. 上記血液悪性腫瘍は急性骨髄性白血病である、E40に記載の方法、又はE40に記載の使用のためのCD123×CD3結合分子。
【0195】
E42. 上記血液悪性腫瘍は骨髄異形成症候群である、E40に記載の方法、又はE40に記載の使用のためのCD123×CD3結合分子。
【0196】
E43. 上記血液悪性腫瘍は芽球性形質細胞様樹状細胞新生物である、E40に記載の方法、又はE40に記載の使用のためのCD123×CD3結合分子。
【0197】
E44. 上記血液悪性腫瘍は急性Tリンパ芽球性白血病である、E40に記載の方法、又はE40に記載の使用のためのCD123×CD3結合分子。
【0198】
E45. 上記血液悪性腫瘍は急性Bリンパ芽球性白血病である、E40に記載の方法、又はE40に記載の使用のためのCD123×CD3結合分子。
【0199】
E46. 上記被験者はヒトである、E1及びE3~E45いずれか1つに記載の方法、又はE2~E45のいずれか1つに記載の使用のためのCD123×CD3結合分子。
【実施例
【0200】
ここまで本発明を概説してきたが、以下の実施例を参照することによって、本発明は更に容易に理解されるだろう。これらの実施例は単なる例示として提供されており、特段の記載がない限り、本発明の限定となることを意図したものではない。
【0201】
実施例1
一次AML患者からの試料におけるCD123×CD3 DART(登録商標)分子の活性
DART‐Aの、一次AML患者からの試料のCD123発現性細胞を殺滅する能力について調査した。AML患者の一次PBMC(82%の芽球を含有)を、CD123×CD3 DART(登録商標)分子、FITC×CD3対照DART(登録商標)分子、又はリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で144時間にわたって処置した。E:T細胞比は、研究開始時点のPBMC中の芽球及びT細胞のパーセンテージから決定されるように、およそ1:300であった。白血病芽球(CD45+/CD33+)の絶対数を図2Aに示す。T細胞(CD4+及びCD8+)の絶対数を図2Bに示す。図2Cは、T細胞の活性化(CD25発現)を示す。培地上清中で測定されたサイトカインを図2Dに示す。
【0202】
実施例2
DART‐Aで処置された試料の特性決定
AML患者からのPBMC試料を、市販のソースから得て、500、50、又は5pg/mlのDART‐Aで48時間にわたって処置した。IFN‐γ放出を測定し、細胞をPD‐1、PD‐L1、CD3、CD4、及びCD8について染色した。図3Aに示されているように、DART‐A分子と共にインキュベートされたAML患者からのPBMC試料において、IFN‐γは用量依存的に誘導され、PD‐1の上方制御がCD4+及びCD8+ T細胞の両方で観察され(図3B)、またPD‐L1上方制御がAML芽球で観察された(図3C)。IFN‐γは、AML芽球においてPD‐L1発現を誘導することが報告されている(Kronig, et al., (2014) “Interferon-Induced Programmed Cell Death-Ligand 1 (PD-L1/B7-H1) Expression Increases on Human Acute Myeloid Leukemia Blast Cells During Treatment,” European Journal of Haematology, 92:195-203))。
【0203】
別の研究では、市販のAML‐PBMC試料(RPMI 1640/10%FBS中)を、DART‐A分子(2000、666.67、222.22、74.07、24.69、又は8.23pg/ml)+/-抗PD‐1 mAb(PD‐1 mAb 1 IgG4;10μg/ml)と共に、48又は72時間にわたってインキュベートした。4420×CD3対照ダイアボディ(2000、666.67、又は222.22pg/ml)、及び抗RSV mAbを、アイソタイプ(陰性)対照として使用した。CD4+及びCD8+細胞におけるPD‐1の細胞表面発現を検査し、PD‐1及びCD4+又はCD8+を共発現する細胞のパーセンテージを決定した。更に、BD(商標)サイトメトリックビーズアレイ(cytometric bead array:CBA)キット(BD Biosciences;カリフォルニア州サンホセ)を用いてサイトカインを検出し、非T細胞のパーセンテージを検査することによって細胞殺滅を評価した。1つのこのようなAML‐PBMC試料に関するPD‐1の発現が、CD4+細胞(図4A:CD4+細胞の全体的増加、図4B:%CD4+PD‐1+細胞)及びCD8+細胞(図4C:CD8+細胞の全体的増加、図4D:%CD8+PD‐1+細胞)について示されており、これは、DART‐Aを用いた処置に起因する、CD4+及びCD8+細胞におけるPD‐1の発現の増強が、抗PD‐1抗体チェックポイント阻害剤の存在下で減衰したことを実証している。図5A~5Dで提示されているデータ(表5にまとめられている)は、多数のサイトカインの放出が、DART‐A分子と、GM‐CSF(図5A)、INF‐γ(図5B)、IL‐2(図5C)、及びTNF‐α(図5D)を含む抗PD‐1抗体チェックポイント阻害剤との組み合わせによって、インビトロで増強されたことを示している。これらのデータは、PD‐1又はPD‐1の天然リガンドに結合できる分子(ここでは抗PD‐1抗体)と組み合わされたDART‐A分子でAML細胞を処置することにより、PD‐1の発現が減衰し、T細胞の活性が増強されたことを示している。図6に示されているように、72時間の時点で、低いDART‐A濃度での上記組み合わせによって処置された細胞について、細胞殺滅の増強が観察された。サイトカイン放出の増大を考慮すると、細胞殺滅の増強は更に後の時点においてより大きくなることが予想される。
【0204】
【表5】
【0205】
これらの研究は、DART‐Aによる処置が、IFN‐γ分泌の増強、並びにT細胞でのPD‐1発現及びAML芽球によるPD‐L1発現の上方制御に関連しており、これによりDART‐A仲介型殺滅に対する感受性を低減できることを示している。これらの研究は更に、DART‐A療法を、PD‐1又はPD‐の天然リガンドに結合する分子例えば抗PD1抗体と組み合わせることによって、DART‐A分子の、CD123発現性癌細胞のT細胞標的転換殺滅を仲介する効果が、増強されることを示している。いずれの特定の理論によって束縛されるものではないが、このような増強は、PD‐1チェックポイントの阻害活性を克服することによって生じるものであり得る。このような組み合わせは、CD123発現性血液悪性腫瘍(例えば再発した又は難治性の、AML、B‐ALL、T‐ALL、又はMDS)に罹患した患者において、特に有用である。
【0206】
実施例3
AML及びMDSにおける、CD123×CD3 DARTダイアボディの初期リード・イン投薬
急性骨髄性白血病(AML)は、インターロイキン3受容体のα鎖(IL‐3Rα)である高レベルのCD123を有するCD34+、CD38-細胞の増殖を特徴とする。CD123は、AML患者の90%超、及びMDS患者の少なくとも50%において高度に発現される。AML芽球におけるCD123の発現は、高リスク疾患及び疾患の進行と関連しており、これにより、CD123を標的とするアプローチによる優先的な切除という有望な戦略が可能となる。AML芽球及び白血病幹細胞は、CD123を高度に発現し、これが高リスク疾患及び疾患の進行に関連する一方で、正常な造血幹細胞でのCD123の発現は最小限であるため、AML(及び骨髄異形成症候群(MDS))は、CD123ベースの免疫療法の妥当な標的となる。
【0207】
本発明のDART‐A分子は、エフェクタ細胞としてのCD3発現性Tリンパ球による認識及び排除のために、インビトロでCD123発現性細胞株及び一次AML芽球を標的とする強力な活性を示し、またマウスにおいて白血病細胞株の成長を阻害でき、そしてカニクイザルにおいてCD123陽性形質細胞様樹状細胞を枯渇させることができるため、CD123を標的とするアプローチによるAMLの優先的な切除のための戦略を提供する。
【0208】
単一患者における用量の漸増
DART‐Aに対する患者の忍容性を決定するために、「単一患者用量漸増研究(Single‐Patient Dose Escalation Study)」を実施した。単一患者のミニコホートに、3ng/kg/日、続いて10ng/kg/日、続いて30ng/kg/日、続いて100ng/kg/日のリード・イン投薬戦略(用量制限毒性(dose‐limiting toxicity:DLT)が33%未満の場合にこのような用量の進行がそれぞれ発生する)を用いて、持続IV注入(continuous IV infusion:CIV)で投薬を行った。副作用(adverse effect:AE)がグレード2以上の場合に、コホートを4人の患者に増やした。この研究の結果は、試験された全ての投薬量においてDART‐Aが許容されることを示した。
【0209】
初期リード・イン用量の最適化
サイトカイン放出症候群(CRS)の可能性を伴うサイトカイン分泌は、T細胞標的転換療法によるT細胞活性化及び毒性の制限につきまとうものである。AML及びMDSの治療においてこのようなT細胞活性化を仲介するDART‐Aの能力の第1相試験において、トシリズマブによる早期介入と組み合わせた2つのリード・イン用量(「LID」)戦略(Maude, S.L. et al. (2014) “Managing Cytokine Release Syndrome Associated with Novel T Cell-Engaging Therapies.” Cancer Journal 20:119-122)を、これらの、CRSを軽減する能力に関して比較した。
【0210】
簡潔に述べると、第1のLID戦略(「LID‐1スキーマ」)では、DART‐Aを、初期7日治療期間中に、4日間にわたって100ng/kg/日で投与した後、3日間一時停止し(「LID‐1」)、8日目からコホートの目標用量(例えば300ng/kg/日又は500ng/kg/日)で治療を再開した。第2のLID戦略(「LID‐2スキーマ」)は、初期7日治療期間中に、DART‐Aを3日間にわたって30ng/kg/日で投与した後、次の4日間にわたって100ng/kg/日で投与する、2ステップLID(「LID‐2」)を組み込んだものであり、これに、2~4週目の間、連続投薬スケジュールを用いてDART‐Aをコホートの目標用量(例えば300~1000ng/kg/日)で投与する(即ち毎日目標用量でDART‐Aを投与する)、3回の追加の7日治療期間(それぞれが「A7DP」である)、又は断続的な投薬スケジュールを用いてDART‐Aをコホートの目標用量(例えば300~1000ng/kg/日)で投与する(即ち4日間にわたってDART‐Aをコホートの目標用量で投与し、DART‐Aと投与しない3日間の一時停止がそれに続く)、3回の更なる7日治療期間(それぞれが「F7DP」である)の実施が続く。特に、LID‐2スキーマは、サイクル1/1週目(「C1W1」)の間の2ステップLID(即ち3日間にわたる30ng/kg/日の初期LIDと、これに続く4日間にわたる100ng/kg/日の第2のLID)を組み込んだものであり、これに、いずれかの投薬スケジュール(サイクル1/2週目~サイクル1/4週目(C1W2~C1W4)の間、連続した(A7DP)又は断続的な(F7DP)スケジュール)において、DART‐Aをコホートの目標用量(例えば300~1000ng/kg/日)で投与する、3回の7日治療期間が続く。
【0211】
サイクル2(「C2」)の5週目~8週目(W5~W8)、及びそれ以降では、患者は、最高12サイクル(完全寛解(complete remission:「CR」)又は不完全な血球数回復(incomplete blood count recovery:「CRi」)の後に2サイクル)にわたって、目標用量で、4日オン/3日オフの断続的用量スケジュールで治療される。臨床的指示がある場合、サイトカイン放出症候群(「CRS」)の症状を管理するために、ステロイドを節約する抗サイトカイン(トシリズマブ)療法を使用する。疾患の状態は、国際ワーキンググループ(International Working Group:「IWG」)の基準によって評価される。試料を、薬物動態(pharmacokinetic:「PK」)、抗薬物抗体(anti-drug antibody:「ADA」)、並びにIL‐2、IL‐6、IL‐8、IL‐10、TNFα、IFN‐γ及びGM‐CSFを含むサイトカイン分析のために回収する。治療後の骨髄生検が得られる場合もある。
【0212】
【表6】
【0213】
断続的投薬スケジュールを伴うLID‐2スキーマが表6にまとめられており、連続投薬スケジュールを伴うLID‐2スキーマが表7にまとめられている。
【表7】
【0214】
断続的投薬スケジュールを伴うLID‐2スキーマ、及び連続投薬スケジュールを伴うLID‐2スキーマの両方において、(1)完全応答の獲得、(2)完全応答の獲得後1~2サイクル、(3)最大12サイクル、(4)用量制限毒性(「DLT」)、又は(5)治療の失敗まで、治療が続けられる。CRSは好ましくは、Leeの基準(Lee, D.W. et al. (2014) “Current Concepts In The Diagnosis And Management Of Cytokine Release Syndrome,” Blood. 124:188-195; Shimabukuro-Vornhagen, A. et al. (2018) “Cytokine Release Syndrome,” J. ImmunoTher. Canc. 656, pages 1-14)に従ってグレードを決定される。応答(完全寛解(CR)、不完全な血球数回復(Cri)、部分寛解(partial remission:PR)、又は末梢血及び骨髄(peripheral blood and bone marrow:PB/BM)のAML芽球数の改善)は好ましくは、国際ワーキンググループIWG(AML)又はIPSS(MDS)の基準によって評価される。
【0215】
リード・イン用量戦略の評価において、サイトカイン(IL‐2、IL‐6、IL‐8、IL‐10、TNFα、IFN‐、及びGM‐CSF)が測定され、CRSの重篤度のグレードが決定された。第1の用量の開始の10日以内に発生した、最初に報告されたCRSイベント中の、ピークサイトカイン値を評価した。LIDを受けた患者と受けていない患者との間で、ピークサイトカインレベルの中央値を比較した。他の潜在的なCRS決定要因も評価した。
【0216】
注入関連反応(IRR)/CRSは患者の76%で発生し、大半のイベント(82%)がグレード(Gr)2以下であり、管理可能かつ可逆性であった。完全なサイトカインデータが得られた29人の患者のうち、68%がDART‐A療法の開始の2日以内にCRSを経験し、更に8%がDART‐A療法の開始の10日以内にCRSを経験した(14%がGr1、55%がGr2、7%がGr3であった)。サイトカインレベルは一般に、CRSを経験していない患者に比べてCRSを経験した患者において高く(IL‐6の中央値:116.2 vs. 67.9pg/mL;IL‐8の中央値:191.1 vs. 144.6pg/mL;IL‐10の中央値:867.6 vs. 348.7pg/mL)、また一般に、CRSのグレードが高いほど高かった。2ステップLID(LID‐2)の使用により、全体的なサイトカインレベルが低下し、1週目にLID‐2を行うことによって、サイクル1の間に重篤度が平均0.54グレード低下した(平均CRSグレード:1週目1.16 vs. 2;2週目1 vs. 1.33;3週目0.67 vs. 0.83;4週目0.13 vs. 0.67(それぞれLID‐2 vs. LID‐1))。LID‐2を用いて観察されたピークサイトカインレベルの中央値は、1週目の間、及び最大用量に達した後に低かった。予備データは、1週目の間の、ベースライン循環T細胞数と最高CRSグレードとの間の関係を示しており、1週目の比較的高いCRSグレード(2以上)は、循環T細胞の高いベースラインレベルと関連している。評価された他の変数は、CRSグレードに関連する傾向を示さなかった。CRSのグレード及び頻度は、応答と相関していなかった。図7は、研究参加者が示したCRSグレードの概要を提示しており、ステップアップ目標用量(例えば500ng/kg/日)の投与前の、2ステップLID‐2スキーマ(3日間にわたる30ng/kg/日、続いて次の4日間にわたる100ng/kg/日)の導入により、第1の研究サイクル(28日間)にわたってCRSが低下したことを示している。
【0217】
最大許容用量(maximum tolerated dose:「MTDS」)又は最大投与用量(maximum administered dose:「MAD」)を決定した後、第1の拡張コホートで再発/難治性(relapsed/refractory:「R/R」)AMLを示した患者、及び第2の拡張コホートで低メチル化障害であるMDSが起こった患者で、用量の拡張を行った。登録された追加の患者を用いて有効性を評価した。
【0218】
R/R AML/MDS(89%がAML、11%がMDS)に罹患した45人の患者(年齢中央値64(29~84)、44%が女性)を、DART‐Aで治療した。MTDSには500ng/kg/日で到達した。全体として、DART‐Aは管理可能な毒性を示した(G3以上の薬物関連副作用は、20/45(44%)の患者で観察され、注入関連反応/サイトカイン放出症候群(「IRR/CRS」)が最も一般的な毒性であり、34/45(76%)の患者で観察された(G3は6/45、即ち13%であった))。最も高頻度のCRS症状は、発熱(15)、悪寒(10)、頻脈(10)、及び低血圧(4)であった。閾値である500ng/kg/日の用量のコホート及びそれ以上(700ng/kg/日の用量のコホート)で治療された14人の患者は、少なくとも1回の治療のサイクルを完了し、治療後骨髄生検を受けた。抗白血病活性は57%(8/14)の患者で記録され、6/14はIWGの基準に達しており(3人がCR、1人がCRi、1人がMLF(morphologic leukemia free:形態学的に白血病を有しない)、1人がPR)、よって奏効率(objective response rate:ORR)が43%となり、また2人の患者では、安定性疾患、並びにベースラインから20%及び25%のBM芽球の減少があった(図8)。芽球の減少は急速に発生し、多くの場合1サイクルの治療中に発生し、DART‐Aの中断を超えて継続された。
【0219】
更なる患者に、LID‐2スキーマ(3日間にわたる30ng/kg/日、続いて次の4日間にわたる100ng/kg/日)を用いて投薬を行い、これに続いて、8日目~28日目に500ng/kg/日の用量で投薬を行った(連続投薬スケジュール(表7))。図9はDART‐A抗白血病活性(25人の患者がプロットされている)を示し、表8は、連続投薬スケジュールを伴うLID‐2(表7)を用いて投薬を受けた31人の患者からの、患者毎のCRSグレードを示す。
【0220】
【表8】
【0221】
表9は、上記と同じ患者からの、イベント毎のCRSグレードを示す。図10は、各グレードについてCRSの持続時間(日)をプロットしており、CRSイベントの持続時間の中央値が全体として1~2.5日(CRSグレード1イベント:1日;CRSグレード2イベント:2日;及びCRSグレード3イベント:2.5日)であったことを示す。しかしながら、大半のイベント(62.0%、111/179)は、500ng/kg/日での連続投与中の、サイクル1の最初の週(リード・イン用量)の間、及び2週目の500ng/kg/日へのステップアップ中に発生した(図11)。このような反応は、治療の遅延又は治療の中止をもたらす可能性があり、また用量強度を低下させる可能性がある。
【0222】
【表9】
【0223】
実施例4
更なるリード・イン用量の最適化
特に治療の最初の2週間の間のCRSを更に軽減するために、DART‐Aの投与のために第3のマルチステップリード・イン投薬戦略(「LID‐3スキーマ」)を実装する。
【0224】
マルチステップLID‐3スキーマでは、DART‐Aは、目標用量(約300ng/kg/日~約500ng/kg/日)に達するまで、複数回のステップアップ用量増分(各増分は約24時間続く)を用いて投与され、その後、DART‐Aは、1週目(即ち初期7日治療期間(I7DP))の残りの間は上記目標用量で投与され、これに3回の追加の7日治療期間(A7DP)が続き、ここではDART‐Aは、連続投薬スケジュールを用いて、目標用量(例えば約300ng/kg/日、約400ng/kg/日、又は約500ng/kg/日)で投与される。例えば目標用量が約500ng/kg/日である場合、DART‐Aは、それぞれ24時間にわたる、以下の複数ステップの用量の増分:約30ng/kg/日、約60ng/kg/日、約100ng/kg/日、約200ng/kg/日、約300ng/kg/日、約400ng/kg/日を用いて、投薬されることになる。I7DPの7日目には、用量は約500ng/kg/日まで増やされ、持続注入として1週間のA7DP3回(即ち2~4週目(8~28日目))にわたって投与される。I7DPと、最初の3回のA7DPとが、28日間の第1の治療サイクル(治療サイクル1)を構成する。治療サイクル1の実施後にCR(完全応答)、CRi(不完全な血液学的改善を伴う完全応答)、CRh(complete response with partial hematologic recovery:部分的な血液学的回復を伴う完全応答)、又はMLF(形態学的無白血病状態)を達成していない患者には、1回以上の28日間の第2の治療サイクル(「治療サイクル2」)の実施による連続投薬スケジュールを用いて、追加のDART‐Aを目標用量で投与してよい。連続投薬スケジュールを用いてDART‐Aをコホートの目標用量(例えば約300~500ng/kg/日)で投与する4回のA7DPが、治療サイクル2を構成する。治療サイクル2は最大5回繰り返してよい。
【0225】
その後、患者、特に治療サイクル1のみ又は治療サイクル1と治療サイクル2との組み合わせの実施後にCR、CRi、CRh、又はMLFを達成していない患者を、更なる7日治療期間(F7DP)を用いて治療し、ここでは4日間にわたってDART‐Aを目標用量で投与した後、DART‐Aが投与されない3日間の一時停止が続く(即ち4日オン/3日オフスケジュール)。4回のF7DPが28日間の第3の治療サイクル(治療サイクル3)を構成する。治療サイクル3は最大6回繰り返してよい。
【0226】
表10Aは、目標用量が約500ng/kg/日、約400ng/kg/日、及び約300ng/kg/日のI7DP、これに続く目標用量での3回のA7DP(即ち治療サイクル1)、並びにこれに続く目標用量での4回のF7DP(即ち治療サイクル3)を伴うLID‐3スキーマに関する、投薬スケジュールを提供する。表10Bは、治療サイクル1の後に目標用量での4回の追加のA7DP(即ち治療サイクル2)が続き、治療サイクル2の後には4回のF7DP(即ち治療サイクル3)が続くLID‐3スキーマに関する、投薬スケジュールを提供する。
【0227】
【表10】
【0228】
【表11】
【0229】
デキサメタゾン(又は同等物)等のステロイドは、DART‐Aの投薬前(例えば最大30分前)に(例えば10~20mgがIVによって)投与され、その後、追加の用量が、DART‐Aの投与後に(例えばDART‐Aの投薬開始の12時間後に4mgがIVによって)投与される。デキサメタゾン(又は同等物)等のステロイドは、DART‐Aの投薬の変更の前(例えば最大30分前)に(例えば10~20mgがIVによって)投与され、その後、追加の用量が、変更されたDART‐A用量の投与後に(例えばDART‐Aの投薬開始の12時間後に4mgがIVによって)投与されてもよい。
【0230】
臨床的指示がある場合、CRSの症状を管理するために、ステロイドを節約する抗サイトカイン、特に抗IL‐6/抗IL‐6R(トシリズマブ又はシルツキシマブ)療法を使用する。疾患の状態はIWGの基準によって評価される。特にトシリズマブを投与してよい(4~8mg/kgをIVによって)。
【0231】
CRSの症状、特に抗IL‐6/抗IL‐6R治療(例えばトシリズマブ)に対して難治性であるCRSを管理するために利用できる他の作用剤は、コルチコステロイド(例えばデキサメタゾン又は同等物)の更なる投与を含み、上記投与は比較的高い投薬量(例えば30mg以上のデキサメタゾンの用量)のものであってよい。エタネルセプト(又は同等物)等の抗TNFα剤を採用してもよい。特に、エタネルセプトを投与してよい(例えば50mgを皮下注射(SC)で)。
【0232】
図12Aは、マルチステップLID‐3スキーマ(I7DP、目標用量500ng/kg/日、続いて目標用量で3週間の連続投薬(A7DP 1~A7DP 3))を用いてDART‐Aを投与する治療サイクル1の間に16人の研究参加者が示したIRR/CRSグレードの中央値の概要を提示している。図12Bは、マルチステップLID‐3スキーマを用いてDART‐Aを投与された参加者からのIRR/CRSグレードのデータを、1ステップLID(LID‐1スキーマ)及び2ステップLID(LID‐2スキーマ)を用いてDART‐Aを投与された被験者のものと比較している。図12A~12Bに示されているように、マルチステップLID‐3で観察されたIRR/CRSグレードの中央値は、1週目の間、2週目の間、及び最大用量の達成後の3週目において、1ステップLID‐1及び2ステップLID‐2で観察されたものと比較して低かった。更に、図13A~13Bに示されているように、マルチステップLID‐3スキーマの使用により、IRR及び/又はCRSイベントによる投薬の中断を最小限に抑えることによって、得られる平均用量強度が改善される。2ステップLID‐2を用いたDART‐Aの投与では、サイクル1中に30人の患者にわたって、平均で目標最大用量強度(DI)の58.8%しか達成されなかった(図13A)。対称的に、マルチステップLID‐3スキーマを用いたDART‐Aの投与では、サイクル1中に30人の患者にわたって、平均で目標最大用量強度(DI)の80.6%が達成された(図13B)。よって、マルチステップLID‐3スキーマの使用により、安全プロファイルが大幅に改善され、また平均用量強度の増大に反映されるように、目標最大用量強度を受け取る患者の人数が大幅に増大した。
【0233】
要約すると、CRSは、T細胞指向療法(T-cell directing therapy)を制限する因子であった。採用された2ステップLID‐2は、単一ステップLID‐1に比べてIRR及び/又はCRSイベント並びに循環サイトカインを減少させる効果を示し、またマルチステップLID‐3は、IRR及び/又はCRSイベント並びに重篤度の制限における更なる改善を提供する。更に、マルチステップLID‐3スキーマを用いてDART‐Aで治療した場合、より多くの患者が、500ng/kg/日という望ましい最高用量強度を受け取る。以下で詳述するように、マルチステップLID‐3投薬戦略は、追加の治療剤の投与を含むように適合させることができる。
【0234】
実施例5
併用投薬レジメン
上述のように、DART‐A療法を、PD‐1又はPD‐1の天然リガンドに結合できる分子(例えば抗PD‐1抗体)と組み合わせて実施することによって、DART‐A分子の、CD123発現性癌細胞のT細胞標的転換殺滅を仲介する効果を増強できる。従って、以下に記載の投薬スキーマのうちのいずれによる血液悪性腫瘍(例えば再発した又は難治性の、AML、B‐ALL、T‐ALL、又はMDS)の治療のために、DART‐Aを、PD‐1 mAb 1 IgG4(又は本明細書に異彩の他の抗体)等の、PD‐1又はPD‐1の天然リガンドに結合できる分子と組み合わせて投与できる。
【0235】
以下のプロトコルは、例示的な抗PD‐1抗体「PD‐1 mAb 1 IgG4」と組み合わされたDART‐Aの使用について詳述するが、この教示を踏まえて、他のPD‐1又はPD‐1の天然リガンドに結合できる分子(例えば本明細書中で提供されている抗PD‐1抗体又は抗B7‐H1抗体のうちのいずれ)と組み合わせてDART‐Aを使用する、同様の併用プロトコルを設計できることが理解されるだろう。
【0236】
併用投薬治療レジメンでは、DART‐Aは、目標用量(例えば約300ng/kg/日~約500ng/kg/日)に達するまで、上述のような複数回のステップアップ用量増分を用いて投与され、その後、DART‐Aは、1週目(即ち初期7日治療期間(I7DP))の残りの間は上記目標用量で投与され、これに3回の追加の7日治療期間(それぞれが「A7DP」である)が続き、ここではDART‐Aは、連続投薬スケジュール(即ち毎日目標用量でのDART‐Aの投与)を用いて、目標用量(例えば約300ng/kg/日、約400ng/kg/日、又は約500ng/kg/日)で投与される。例えば目標用量が約500ng/kg/日である場合、DART‐Aは、それぞれ24時間にわたる、投薬量の以下の複数ステップの増分:約30ng/kg/日、約60ng/kg/日、約100ng/kg/日、約200ng/kg/日、約300ng/kg/日、約400ng/kg/日を用いて、投薬されることになる。I7DPの7日目には、用量は約500ng/kg/日まで増やされ、持続注入として1週間のA7DP3回(即ち2~4週目(8~28日目))にわたって投与される。I7DPと、最初の3回のA7DPとが、28日間の第1の治療サイクル(治療サイクル1)を構成する。
【0237】
治療サイクル1の実施後にCR、(完全応答)、CRi(不完全な血液学的改善を伴う完全応答)、CRh(complete response with partial hematologic recovery:部分的な血液学的回復を伴う完全応答)、又はMLF(形態学的無白血病状態)を達成していない患者には、1回以上の28日間の第2の治療サイクル(「治療サイクル2」)の実施による連続投薬スケジュールを用いて、追加のDART‐Aを目標用量で投与してよい。連続投薬スケジュールを用いてDART‐Aをコホートの目標用量(例えば約300ng/kg/日~約500ng/kg/日)で投与する4回のA7DPが、治療サイクル2を構成する。治療サイクル2は最大5回繰り返してよい。
【0238】
その後、患者、特に治療サイクル1のみ又は治療サイクル1と治療サイクル2との組み合わせの実施後にCR、CRi、CRh、又はMLFを達成していない患者を、更なる7日治療期間(F7DP)を用いて治療し、ここでは4日間にわたってDART‐Aを目標用量で投与した後、DART‐Aが投与されない3日間の一時停止が続く(即ち4日オン/3日オフスケジュール)。4回のF7DPが28日間の第3の治療サイクル(治療サイクル3)を構成する。
【0239】
治療サイクル1~3の間、PD‐1 mAb 1 IgG4は、15日目(即ち3週目の1日目)から、約3mg/kgの用量で2週間に1回(「Q2W」)投与される。その後、追加のPD‐1 mAb 1 IgG4を、約3mg/kgの用量で、Q2Wスケジュールで投与してよい。300ng/kg/日のDART‐Aと3mg/kgのPD‐1 mAb 1 IgG4との組み合わせで治療された被験者において、最大許容用量(「MTD」)を超過したと判定された場合、より低用量のPD‐1 mAb 1 IgG4(約1mg/kg)と300ng/kg/日のDART‐Aとの組み合わせを評価するために、用量の低減を用いてよい。典型的には、同日にスケジューリングされている場合、PD‐1 mAb 1 IgG4は、DART‐Aの投与の前に静脈内注入によって投与される。よって、DART‐Aの投与は、PD‐1 mAb 1 IgG4が投与されている間は一時停止される場合がある。あるいは、PD‐1 mAb 1 IgG4は、DART‐Aの投与と同時に、静脈内注入によって投与される。このような投与は、異なる複数の部位に(例えばDART‐AをIVによって患者の左腕に、そしてPD‐1 mAb 1 IgG4をIVによって患者の右腕に)、又は同一部位に(例えば単一のIVラインによって)、実施できる。
【0240】
表11Aは、約500ng/kg/日、約400ng/kg/日、及び約300ng/kg/日の目標用量を有するI7DP、続いて目標用量での3回のA7DP(即ち治療サイクル1)、続いて目標用量での4回のF7DP(即ち治療サイクル3)による、併用投薬治療レジメンのための投薬スケジュールを提供する。PD‐1 mAb 1 IgG4は、15日目(即ち第2のA7DPの1日目)から始めて治療サイクル3の1日目及び15日目(即ち第1のF7DPの1日目、及び第3のF7DPの1日目)に、約3mg/kgの用量で、2週間に1回(「Q2W」)投与される。ここで示されているように、その後、3mg/kgのPD‐1 mAb 1 IgG4の追加の複数の用量を、Q2Wスケジュールで投与してよい。上述のように、PD‐1 mAb 1 IgG4は、1mg/kgの低減された用量で投与してよい。
【0241】
表11Bは、治療サイクル1の後に、目標用量での4回の追加のA7DP(即ち治療サイクル2)が続き、治療サイクル2の後に4回のF7DP(即ち治療サイクル3)が続く、併用投薬治療レジメンのための投薬スケジュールを提供する。治療サイクル2を含む投薬スケジュールでは、PD‐1 mAb 1 IgG4は、15日目(即ち第2のA7DPの1日目)から始めて、各治療サイクル2の1日目及び15日目(即ち各治療サイクル2の第1のA7DPの1日目及び第3のA7DPの1日目)、並びに治療サイクル3の1日目及び15日目(即ち第1のF7DPの1日目、及び第3のF7DPの1日目)に、約3mg/kgの用量で、2週間に1回(「Q2W」)投与される。ここで示されているように、その後、3mg/kgのPD‐1 mAb 1 IgG4の追加の複数の用量を、Q2Wスケジュールで投与してよい。上述のように、PD‐1 mAb 1 IgG4は、1mg/kgの低減された用量で投与してよい。
【0242】
【表12】
【0243】
【表13】
【0244】
上述の投薬スケジュールでは、所与のA7DP及び/若しくはF7DPの開始、並びに/又はPD‐1 mAb 1 IgG4のある用量の投与について、約1日~約3日のウインドウ(即ち±1~3日)が、特に21日目以降において許容可能であり得ることが理解されるだろう。
【0245】
デキサメタゾン(又は同等物)等のステロイドは、DART‐Aの投薬前(例えば最大30分前)に(例えば10~20mgがIVによって)投与され、その後、追加の用量が、DART‐Aの投与後に(例えばDART‐Aの投薬開始の12時間後に4mgがIVによって)投与される。デキサメタゾン(又は同等物)等のステロイドは、DART‐Aの投薬の変更の前(例えば最大30分前)に(例えば10~20mgがIVによって)投与され、その後、追加の用量が、変更されたDART‐A用量の投与後に(例えばDART‐Aの投薬開始の12時間後に4mgがIVによって)投与されてもよい。
【0246】
臨床的指示がある場合、CRSの症状を管理するために、ステロイドを節約する抗サイトカイン、特に抗IL‐6/抗IL‐6R(トシリズマブ又はシルツキシマブ)療法を使用する。疾患の状態はIWGの基準によって評価される。特にトシリズマブを投与してよい(4~8mg/kgをIVによって)。
【0247】
CRSの症状、特に抗IL‐6/抗IL‐6R治療(例えばトシリズマブ)に対して難治性であるCRSを管理するために利用できる他の作用剤は、コルチコステロイド(例えばデキサメタゾン又は同等物)の更なる投与を含み、上記投与は比較的高い投薬量(例えば30mg以上のデキサメタゾンの用量)のものであってよい。エタネルセプト(又は同等物)等の抗TNFα剤を採用してもよい。特に、エタネルセプトを投与してよい(例えば50mgを皮下注射(SC)で)。
【0248】
上述のように、他のPD‐1又はPD‐1の天然リガンドに結合できる分子(例えばペンブロリズマブ、ニボルマブ、アベルマブ、デュルバルマブ等)を、DART‐Aと組み合わせて投与することも具体的に考えられる。特に、このような分子をDART‐Aと組み合わせて投与でき、ここでDART‐Aは、表10A~10B又は表11A~11Bに従って投与され、PD‐1又はPD‐1の天然リガンドに結合できる分子は、治療の標準、又は認可された投薬レジメン(例えばペンブロリズマブの認可された投薬レジメンは、Q3Wでの200mgの静脈内投与である)に従って投与される。
【0249】
本明細書において言及されている全ての公刊物及び特許は、個々の公刊物又は特許出願それぞれの全体が参照により本明細書に援用されていることが具体的かつ独立に指示されている場合と同程度に、参照により本明細書に援用されている。本発明をその具体的実施形態に関して説明したが、更なる修正形態が可能であり、本出願は、本発明が属する分野の公知の方法又は慣例の範囲内であるような、及びこれまでに挙げた必須の特徴に適用できるような、本開示からの逸脱を含む、本発明の原理に概ね従う本発明のいずれの変形、使用又は改変を包含することを意図していることを理解されたい。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図4C
図4D
図5A
図5B
図5C
図5D
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12A
図12B
図13A
図13B
【配列表】
2022526640000001.app
【国際調査報告】