(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-26
(54)【発明の名称】腫瘍治療用の併用医薬組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 39/395 20060101AFI20220519BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20220519BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20220519BHJP
A61K 31/4709 20060101ALI20220519BHJP
C07K 16/28 20060101ALN20220519BHJP
C12N 15/12 20060101ALN20220519BHJP
【FI】
A61K39/395 N
A61P43/00 121
A61P35/00
A61K31/4709
C07K16/28 ZNA
C12N15/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021543515
(86)(22)【出願日】2020-01-23
(85)【翻訳文提出日】2021-07-26
(86)【国際出願番号】 CN2020073957
(87)【国際公開番号】W WO2020151759
(87)【国際公開日】2020-07-30
(31)【優先権主張番号】201910071632.X
(32)【優先日】2019-01-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201910071605.2
(32)【優先日】2019-01-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201910071393.8
(32)【優先日】2019-01-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201910071392.3
(32)【優先日】2019-01-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516089784
【氏名又は名称】チア タイ ティエンチン ファーマシューティカル グループ カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Chia Tai Tianqing Pharmaceutical Group Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】No.369 Yuzhou South Rd.,Lianyungang,Jiangsu 222062 China
(71)【出願人】
【識別番号】521329567
【氏名又は名称】ナンキン シュンジン ファーマシューティカルズ カンパニー リミテッド オブ チアタイ ティエンチン ファーマシューティカル グループ
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】特許業務法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チャン シカン
(72)【発明者】
【氏名】ワン シュンカン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン チャオカン
(72)【発明者】
【氏名】ファン ユチェン
(72)【発明者】
【氏名】ファン マンシュエ
(72)【発明者】
【氏名】フェン ファン
(72)【発明者】
【氏名】ス ナン
(72)【発明者】
【氏名】リウ ヤオ
(72)【発明者】
【氏名】チャン チ
(72)【発明者】
【氏名】チャン ハイ
【テーマコード(参考)】
4C085
4C086
4H045
【Fターム(参考)】
4C085AA14
4C085BB31
4C085CC23
4C085DD61
4C085EE03
4C085GG01
4C085GG08
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC28
4C086GA07
4C086MA02
4C086MA04
4C086NA05
4C086ZB26
4C086ZC75
4H045BA10
4H045CA40
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA74
(57)【要約】
本願は生物学的療法の分野に属し、胆道系腫瘍、肝がん、トリプルネガティブ乳がん、又は肺がんを治療するための併用医薬組成物に関する。前記併用医薬組成物は、抗PD-L1抗体とアンロチニブとを含み、抗胆道系腫瘍、抗肝がん、抗トリプルネガティブ乳がん、又は抗肺がん活性に優れている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗PD-L1抗体と、アンロチニブとを含む併用医薬組成物。
【請求項2】
胆道系腫瘍、肝がん、トリプルネガティブ乳がん、又は肺がんの治療に用いられる請求項1に記載の併用医薬組成物。
【請求項3】
抗PD-L1抗体の医薬組成物と、アンロチニブの医薬組成物とを含む、請求項1又は2に記載の併用医薬組成物。
【請求項4】
前記併用医薬組成物はキットに包装され、前記キットは、胆道系腫瘍、肝がん、トリプルネガティブ乳がん、及び/又は肺がんの治療における抗PD-L1抗体とアンロチニブとの併用のための取扱説明書をさらに含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の併用医薬組成物。
【請求項5】
600~2400mgの抗PD-L1抗体を含む医薬組成物と、1回用量が6mg、8mg、10mg、及び/又は12mgであるアンロチニブを含む医薬組成物と、を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の併用医薬組成物。
【請求項6】
(0.35~29):1、好ましくは(3.5~29):1、より好ましくは(3.5~14.5):1、最も好ましくは(7~14.5):1の重量比で抗PD-L1抗体とアンロチニブとを含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の併用医薬組成物。
【請求項7】
前記併用医薬組成物は1治療期間(例えば21日間が1治療期間である)内における投与に適する製剤であり、600~2400mgの抗PD-L1抗体を含む医薬組成物と、84~168mgのアンロチニブを含む医薬組成物と、を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の併用医薬組成物。
【請求項8】
胆道系腫瘍、肝がん、トリプルネガティブ乳がん、及び/又は肺がんの治療用薬物の製造における、請求項1~7のいずれか1項に記載の併用医薬組成物の使用。
【請求項9】
胆道系腫瘍、肝がん、トリプルネガティブ乳がん、及び/又は肺がんの治療用薬物の製造における、抗PD-L1抗体及びアンロチニブの使用。
【請求項10】
前記抗PD-L1抗体とアンロチニブはそれぞれ医薬組成物の形態であり、同時に、順に、又は間隔をあけて投与される、請求項8又は9に記載の使用。
【請求項11】
前記抗PD-L1抗体は週に、2週に、3週に、又は4週に1回投与され、好ましくは、600~2400mgの用量で投与される、請求項8~10のいずれか1項に記載の使用。
【請求項12】
アンロチニブは毎日1回6mg、8mg、10mg、又は12mgの用量で、2週間の治療と1週間の中断の治療計画で投与される、請求項8~11のいずれか1項に記載の使用。
【請求項13】
胆道系腫瘍、肝がん、トリプルネガティブ乳がん、及び/又は肺がんの治療用キットであって、抗PD-L1抗体の医薬組成物と、アンロチニブの医薬組成物と、胆道系腫瘍、肝がん、トリプルネガティブ乳がん、及び/又は肺がんの治療における抗PD-L1抗体とアンロチニブとの併用のための取扱説明書と、を含むキット。
【請求項14】
前記キットは1治療期間(例えば21日間が1治療期間である)内における投与に適しており、600~2400mgの抗PD-L1抗体を含む医薬組成物と、84~168mgのアンロチニブを含む医薬組成物と、を含む、請求項13に記載のキット。
【請求項15】
前記抗PD-L1抗体は、以下のアミノ酸配列:配列番号1又は配列番号4に示すアミノ酸配列と少なくとも80%の相同性を有する重鎖CDR1領域、配列番号2又は配列番号5に示すアミノ酸配列と少なくとも80%の相同性を有する重鎖CDR2領域、配列番号3又は配列番号6に示すアミノ酸配列と少なくとも80%の相同性を有する重鎖CDR3領域、配列番号7又は配列番号10に示すアミノ酸配列と少なくとも80%の相同性を有する軽鎖CDR1領域、配列番号8又は配列番号11に示すアミノ酸配列と少なくとも80%の相同性を有する軽鎖CDR2領域、及び配列番号9又は配列番号12に示すアミノ酸配列と少なくとも80%の相同性を有する軽鎖CDR3領域を含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の併用医薬組成物、請求項8~12のいずれか1項に記載の使用、又は請求項13もしくは14に記載のキット。
【請求項16】
前記抗PD-L1抗体は、以下のアミノ酸配列:配列番号1及び配列番号4からなる群から選ばれる重鎖CDR1領域、配列番号2及び配列番号5からなる群から選ばれる重鎖CDR2領域、配列番号3及び配列番号6からなる群から選ばれる重鎖CDR3領域、配列番号7及び配列番号10からなる群から選ばれる軽鎖CDR1領域、配列番号8及び配列番号11からなる群から選ばれる軽鎖CDR2領域、並びに配列番号9及び配列番号12からなる群から選ばれる軽鎖CDR3領域を含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の併用医薬組成物、請求項8~12のいずれか1項に記載の使用、又は請求項13もしくは14に記載のキット。
【請求項17】
前記抗PD-L1抗体は、配列番号1に示すアミノ酸配列を有する重鎖CDR1領域、配列番号2に示すアミノ酸配列を有する重鎖CDR2領域、配列番号3に示すアミノ酸配列を有する重鎖CDR3領域、配列番号7に示すアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1領域、配列番号8に示すアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2領域、及び配列番号9に示すアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3領域を含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の併用医薬組成物、請求項8~12のいずれか1項に記載の使用、又は請求項13もしくは14に記載のキット。
【請求項18】
前記抗PD-L1抗体は、以下のアミノ酸配列:配列番号13又は配列番号14に示すアミノ酸配列と少なくとも80%の相同性を有する重鎖可変領域、及び配列番号15又は配列番号16に示すアミノ酸配列と少なくとも80%の相同性を有する軽鎖可変領域を含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の併用医薬組成物、請求項8~12のいずれか1項に記載の使用、又は請求項13もしくは14に記載のキット。
【請求項19】
前記抗PD-L1抗体は、hu13C5-hIgG1、hu13C5-hIgG4、hu5G11-hIgG1、及びhu5G11-hIgG4ヒト化抗体の重鎖可変領域からなる群から選ばれる重鎖可変領域と、hu13C5-hIgG1、hu13C5-hIgG4、hu5G11-hIgG1、及びhu5G11-hIgG4ヒト化抗体の軽鎖可変領域からなる群から選ばれる軽鎖可変領域とを含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の併用医薬組成物、請求項8~12のいずれか1項に記載の使用、又は請求項13もしくは14に記載のキット。
【請求項20】
アンロチニブは遊離塩基の形態又は薬学的に許容されるその塩の形態である、請求項1~7のいずれか1項に記載の併用医薬組成物、請求項8~12のいずれか1項に記載の使用、又は請求項13もしくは14に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、生物学的療法の分野に属し、腫瘍治療用の併用医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
チロシンキナーゼは、タンパク質のチロシン残基のリン酸化を触媒する酵素群であり、細胞内のシグナル伝達に重要な役割を果たし、正常な細胞の制御、シグナル伝達、及び発達に関与するとともに、腫瘍細胞の増殖、分化、移動、及びアポトーシスと深い関係がある。多くの受容体チロシンキナーゼは、腫瘍形成に関係しており、その細胞外ドメインの構造によって、上皮成長因子受容体(EGFR)、血小板由来成長因子受容体(PDGFR)、血管内皮成長因子受容体(VEGFR)、線維芽細胞成長因子受容体(FGFR)などに分類される。
【0003】
PD-L1(Programmed death-ligand 1)は、CD247又はB7-H1としても知られており、プログラム細胞死タンパク質1(PD-1)のリガンドである。PD-L1は様々な腫瘍細胞の表面で高発現し、腫瘍の悪性度と予後不良がPD-L1の発現レベルと深く関係している。腫瘍微小環境では、がん細胞表面のPD-L1がT細胞表面のPD-1又はCD80と結合することで、T細胞の活性化と増殖を阻害し、エフェクターT細胞を枯渇状態又は無反応状態へと誘導し、T細胞のアポトーシスを促進し、ヘルパーT細胞の制御性T細胞への分化を促して、腫瘍細胞に対するT細胞の殺傷効果を阻止する。抗PD-L1抗体は、PD-L1とPD-1及びCD80との相互作用を遮蔽することで、関連する負の調節シグナルが開始及び伝達されるのを防ぎ、腫瘍微小環境におけるエフェクターT細胞の活性阻害が避けられ、T細胞は腫瘍細胞を殺傷又は阻害する機能を発揮できる。抗PD-L1抗体は腫瘍組織に直接作用できるため、特異性に優れており安全性も高い。
【0004】
WO2016022630には、PD-L1と高い親和性を有し、細胞表面のPD-L1とPD-1の相互作用を顕著に阻害するとともに、T細胞によるIL-2とINF-γの分泌を顕著に促す抗PD-L1抗体が開示されている。
【0005】
増殖性疾患(例えば、がん)患者の治療に多くの選択肢はあるが、臨床上はより効果的な薬剤、とりわけ複数種の薬物の併用が求められる。
【発明の概要】
【0006】
本願の一態様は、抗PD-L1抗体と、アンロチニブとを含む併用医薬組成物を提供する。
【0007】
さらに、アンロチニブは遊離塩基の形態又は薬学的に許容されるその塩の形態である。例えば、アンロチニブの薬学的に許容される塩は、塩酸塩でもよいし、又は二塩酸塩でもよい。
【0008】
さらに、抗PD-L1抗体は、以下のアミノ酸配列:配列番号1又は配列番号4に示すアミノ酸配列と少なくとも80%の相同性を有する重鎖CDR1領域、配列番号2又は配列番号5に示すアミノ酸配列と少なくとも80%の相同性を有する重鎖CDR2領域、配列番号3又は配列番号6に示すアミノ酸配列と少なくとも80%の相同性を有する重鎖CDR3領域、配列番号7又は配列番号10に示すアミノ酸配列と少なくとも80%の相同性を有する軽鎖CDR1領域、配列番号8又は配列番号11に示すアミノ酸配列と少なくとも80%の相同性を有する軽鎖CDR2領域、及び配列番号9又は配列番号12に示す
アミノ酸配列と少なくとも80%の相同性を有する軽鎖CDR3領域を含む。さらに、抗PD-L1抗体は、以下のアミノ酸配列:配列番号1及び配列番号4からなる群から選ばれる重鎖CDR1領域、配列番号2及び配列番号5からなる群から選ばれる重鎖CDR2領域、配列番号3及び配列番号6からなる群から選ばれる重鎖CDR3領域、配列番号7及び配列番号10からなる群から選ばれる軽鎖CDR1領域、配列番号8及び配列番号11からなる群から選ばれる軽鎖CDR2領域、並びに配列番号9及び配列番号12からなる群から選ばれる軽鎖CDR3領域を含む。さらに、抗PD-L1抗体は、配列番号1に示すアミノ酸配列を有する重鎖CDR1領域、配列番号2に示すアミノ酸配列を有する重鎖CDR2領域、配列番号3に示すアミノ酸配列を有する重鎖CDR3領域、配列番号7に示すアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1領域、配列番号8に示すアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2領域、及び配列番号9に示すアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3領域を含む。さらに、抗PD-L1抗体は、以下のアミノ酸配列:配列番号13又は配列番号14に示すアミノ酸配列と少なくとも80%の相同性を有する重鎖可変領域、及び配列番号15又は配列番号16に示すアミノ酸配列と少なくとも80%の相同性を有する軽鎖可変領域を含む。さらに、抗PD-L1抗体は、hu13C5-hIgG1、hu13C5-hIgG4、hu5G11-hIgG1、及びhu5G11-hIgG4ヒト化抗体の重鎖可変領域からなる群から選ばれる重鎖可変領域と、hu13C5-hIgG1、hu13C5-hIgG4、hu5G11-hIgG1、及びhu5G11-hIgG4ヒト化抗体の軽鎖可変領域からなる群から選ばれる軽鎖可変領域とを含む。
【0009】
さらに、本開示の併用医薬組成物はキットに包装され、前記キットは胆道系腫瘍、肝がん、トリプルネガティブ乳がん、及び/又は肺がんの治療における抗PD-L1抗体とアンロチニブとの併用のための取扱説明書をさらに含む。
【0010】
さらに、本願は、600~2400mgの抗PD-L1抗体を含む医薬組成物と、1回用量が6mg、8mg、10mg、及び/又は12mgであるアンロチニブを含む医薬組成物と、を含む併用医薬組成物を提供する。ここで、抗PD-L1抗体を含む医薬組成物は1回用量又は複数回用量である。
【0011】
さらに、本願は、複数回用量において600~2400mgの抗PD-L1抗体を含む医薬組成物と、1回用量が6mg、8mg、10mg、及び/又は12mgであるアンロチニブを含む医薬組成物と、を含む併用医薬組成物を提供する。
【0012】
さらに、本願は、1治療期間(a single treatment cycle)(例えば21日が1治療期間である)内における投与に適する製剤であり、600~2400mgの抗PD-L1抗体を含む医薬組成物と、84~168mgのアンロチニブを含む医薬組成物と、を含む併用医薬組成物を提供する。
【0013】
さらに、本願は、(0.35~29):1、好ましくは(3.5~29):1、より好ましくは(3.5~14.5):1、最も好ましくは(7~14.5):1の重量比で抗PD-L1抗体とアンロチニブを含む、併用医薬組成物を提供する。ここで、抗PD-L1抗体とアンロチニブは、個別に包装されてもよいし又は一緒に包装されてもよい。また、アンロチニブは複数に等しく分けて(例えば2等分、7等分、14等分、28等分又はそれ以上の等分で)包装されてもよく、抗PD-L1抗体は全量で又は複数に等しく分けて(例えば2等分、4等分又はそれ以上の等分で)包装されてもよい。
【0014】
また、本願は、抗PD-L1抗体とアンロチニブとを含む、胆道系腫瘍、肝がん、トリプルネガティブ乳がん、及び/又は肺がんを治療するための併用医薬組成物を提供する。また、本願は、対象に有効量の本開示の併用医薬組成物を投与するステップを含む、胆道系腫瘍、肝がん、トリプルネガティブ乳がん、及び/又は肺がんの治療方法を提供する。
また、本願は、胆道系腫瘍、肝がん、トリプルネガティブ乳がん、及び/又は肺がんの治療用薬物の製造における前記併用医薬組成物の使用を提供する。あるいは、本願は、胆道系腫瘍、肝がん、トリプルネガティブ乳がん、及び/又は肺がんの治療用薬物の製造における抗PD-L1抗体とアンロチニブの使用を提供する。
【0015】
さらに、前記抗PD-L1抗体とアンロチニブはそれぞれ医薬組成物の形態であり、同時に、順に、又は間隔をあけて投与されてもよい。さらに、前記抗PD-L1抗体は週に、2週に、3週に、又は4週に1回投与され、好ましくは、前記抗PD-L1抗体は600~2400mgの用量で投与される。さらに、アンロチニブは毎日1回で6mg、8mg、10mg、又は12mgの用量で、2週間の治療と1週間の中断の治療計画で投与される。
【0016】
また、本願は、胆道系腫瘍、肝がん、トリプルネガティブ乳がん、及び/又は肺がんの治療用キットであって、抗PD-L1抗体の医薬組成物と、アンロチニブの医薬組成物と、胆道系腫瘍、肝がん、トリプルネガティブ乳がん、及び/又は肺がんの治療における抗PD-L1抗体とアンロチニブとの併用のための取扱説明書と、を含むキットを提供する。
【0017】
さらに、前記キットは1治療期間(例えば21日が1治療期間である)内における投与に適しており、600~2400mgの抗PD-L1抗体を含む医薬組成物と、84~168mgのアンロチニブを含む医薬組成物とを含む。
【0018】
本願の第1態様として、抗PD-L1抗体とアンロチニブとを含む、胆道系腫瘍を治療するための併用医薬組成物を提供する。
【0019】
本願のさらなる態様として、胆道系腫瘍の治療用薬物を製造するための併用医薬組成物の使用を提供する。本願は、対象に有効量の本開示の併用医薬組成物を投与するステップを含む、胆道系腫瘍の治療方法をさらに提供する。本願は、胆道系腫瘍を治療するための併用医薬組成物の使用をさらに提供する。前記併用医薬組成物は、抗PD-L1抗体と、アンロチニブとを含む。
【0020】
本願のさらなる態様として、胆道系腫瘍の治療用薬物を製造するための抗PD-L1抗体とアンロチニブの組み合わせの使用を提供する。本願は、対象に有効量の抗PD-L1抗体とアンロチニブを投与するステップを含む、胆道系腫瘍の治療方法をさらに提供する。本願は、胆道系腫瘍を治療するための抗PD-L1抗体とアンロチニブの組み合わせの使用をさらに提供する。本願は、胆道系腫瘍を治療するための抗PD-L1抗体とアンロチニブの組み合わせをさらに提供する。
【0021】
本願の第2態様として、抗PD-L1抗体とアンロチニブとを含む、肝がんを治療するための併用医薬組成物を提供する。
【0022】
本願のさらなる態様として、肝がんの治療用薬物の製造における併用医薬組成物の使用を提供する。本願は、対象に有効量の本開示の併用医薬組成物を投与するステップを含む、肝がんの治療方法をさらに提供する。本願は、肝がんの治療における併用医薬組成物の使用をさらに提供する。前記併用医薬組成物は、抗PD-L1抗体と、アンロチニブとを含む。
【0023】
本願のさらなる態様として、肝がんの治療用薬物を製造するための、抗PD-L1抗体とアンロチニブの組み合わせの使用を提供する。本願は、対象に有効量の抗PD-L1抗体とアンロチニブを投与するステップを含む、肝がんの治療方法をさらに提供する。本願
は、肝がんの治療における抗PD-L1抗体とアンロチニブの組み合わせの使用をさらに提供する。本願は、肝がんを治療するための、抗PD-L1抗体とアンロチニブの組み合わせをさらに提供する。
【0024】
本願の第3態様として、抗PD-L1抗体とアンロチニブとを含む、トリプルネガティブ乳がんを治療するための併用医薬組成物を提供する。
【0025】
本願のさらなる態様として、トリプルネガティブ乳がんの治療用薬物の製造における、併用医薬組成物の使用を提供する。本願は、対象に有効量の本開示の併用医薬組成物を投与するステップを含む、トリプルネガティブ乳がんの治療方法をさらに提供する。本願は、トリプルネガティブ乳がんの治療における、併用医薬組成物の使用をさらに提供する。前記併用医薬組成物は、抗PD-L1抗体と、アンロチニブとを含む。
【0026】
本願のさらなる態様として、トリプルネガティブ乳がんの治療用薬物の製造における、抗PD-L1抗体とアンロチニブの組み合わせの使用を提供する。本願は、対象に有効量の抗PD-L1抗体とアンロチニブを投与するステップを含む、トリプルネガティブ乳がんの治療方法をさらに提供する。本願は、トリプルネガティブ乳がんの治療における、抗PD-L1抗体とアンロチニブの組み合わせの使用をさらに提供する。本願は、トリプルネガティブ乳がんを治療するための、抗PD-L1抗体とアンロチニブの組み合わせをさらに提供する。
【0027】
本願の第4態様として、抗PD-L1抗体とアンロチニブとを含む、肺がんを治療するための併用医薬組成物を提供する。
【0028】
本願のさらなる態様として、肺がんの治療用薬物の製造における、併用医薬組成物の使用を提供する。本願は、対象に有効量の本開示の併用医薬組成物を投与するステップを含む、肺がんの治療方法をさらに提供する。本願は、肺がんの治療における併用医薬組成物の使用をさらに提供する。前記併用医薬組成物は、抗PD-L1抗体と、アンロチニブとを含む。
【0029】
本願のさらなる態様として、肺がんの治療用薬物の製造における、抗PD-L1抗体とアンロチニブの組み合わせの使用を提供する。本願は、対象に有効量の抗PD-L1抗体とアンロチニブを投与するステップを含む、肺がんの治療方法をさらに提供する。本願は、肺がんの治療における、抗PD-L1抗体とアンロチニブの組み合わせの使用をさらに提供する。本願は、肺がんを治療するための、抗PD-L1抗体とアンロチニブの組み合わせの使用をさらに提供する。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本願は、抗PD-L1抗体と、アンロチニブとを含む併用医薬組成物を提供する。本願のいくつかの実施形態では、前記併用医薬組成物は、腫瘍又はがんを治療するために用いられる。本願のいくつかの実施形態では、前記腫瘍又はがんは、胆道系腫瘍、肝がん、トリプルネガティブ乳がん、及び肺がんからなる群から選ばれる。
【0031】
胆道系腫瘍の治療用の併用医薬組成物
本願の一態様として、抗PD-L1抗体とアンロチニブとを含む、胆道系腫瘍を治療するための併用医薬組成物を提供する。
【0032】
本願のいくつかの実施形態では、前記併用医薬組成物は抗PD-L1抗体の医薬組成物と、アンロチニブの医薬組成物とを含む。
【0033】
本願のいくつかの実施形態では、前記併用医薬組成物はキットに包装され、前記キットは、胆道系腫瘍の治療における抗PD-L1抗体とアンロチニブとの併用のための取扱説明書をさらに含む。
【0034】
いくつかの実施形態では、600~2400mgの抗PD-L1抗体を含む医薬組成物と、1回用量が6mg、8mg、10mg、及び/又は12mgであるアンロチニブを含む医薬組成物とを含む、胆道系腫瘍を治療するための併用医薬組成物を提供する。ここで、抗PD-L1抗体を含む医薬組成物は、1回用量又は複数回用量である。
【0035】
いくつかの実施形態では、複数回用量において600~2400mgの抗PD-L1抗体を含む医薬組成物と、1回用量が6mg、8mg、10mg、及び/又は12mgであるアンロチニブを含む医薬組成物と、を含む、胆道系腫瘍を治療するための併用医薬組成物を提供する。
【0036】
いくつかの実施形態では、(0.35~29):1、好ましくは(3.5~29):、より好ましくは(3.5~14.5):1、最も好ましくは(7~14.5):1の重量比で抗PD-L1抗体とアンロチニブを含む、胆道系腫瘍を治療するための併用医薬組成物を提供する。ここで、抗PD-L1抗体とアンロチニブは、個別に包装されてもよいし、又は一緒に包装されてもよく、アンロチニブは複数に等しく分けて(例えば2等分、7等分、14等分、28等分又はそれ以上の等分で)包装されてもよい。
【0037】
いくつかの実施形態では、抗PD-L1抗体の医薬組成物とアンロチニブの医薬組成物とを含む、胆道系腫瘍を治療するための併用医薬組成物を提供し、抗PD-L1抗体の医薬組成物は、1回目の投与時に患者に600~2400mgの抗PD-L1抗体の1回用量又は複数回用量を投与することに適するように処方され、前記アンロチニブの医薬組成物は、14日間、毎日患者に6mg、8mg、10mg、及び/又は12mgのアンロチニブの1回用量を投与することに適するように処方される。
【0038】
いくつかの実施形態では、10~60mg/mLの抗PD-L1抗体を含む抗PD-L1抗体の医薬組成物と、1回用量が6mg、8mg、10mg、及び/又は12mgであるアンロチニブを含む医薬組成物とを含む、胆道系腫瘍を治療するための併用医薬組成物を提供する。
【0039】
いくつかの実施形態では、10mg/mLの抗PD-L1抗体を含む抗PD-L1抗体の医薬組成物と、1回用量が8mg及び/又は10mgであるアンロチニブを含む医薬組成物とを含む、胆道系腫瘍を治療するための併用医薬組成物を提供する。
【0040】
いくつかの実施形態では、複数回用量において1200mgの抗PD-L1抗体を含む医薬組成物と、1回用量が8mg及び/又は10mgであるアンロチニブを含む医薬組成物と、を含む、胆道系腫瘍を治療するための併用医薬組成物を提供する。
【0041】
本願のさらなる態様として、胆道系腫瘍の治療用薬物の製造における併用医薬組成物の使用を提供する。本願は、対象に有効量の本開示の併用医薬組成物を投与するステップを含む、胆道系腫瘍の治療方法をさらに提供する。本願は、胆道系腫瘍の治療における併用医薬組成物の使用をさらに提供する。いくつかの実施形態では、前記併用医薬組成物は、抗PD-L1ヒト化モノクローナル抗体とアンロチニブとを含む。
【0042】
本願のさらなる態様として、胆道系腫瘍の治療用薬物の製造における、抗PD-L1抗体とアンロチニブの組成物の使用を提供する。本願は、対象に有効量の抗PD-L1抗体とアンロチニブの組成物を投与するステップを含む、胆道系腫瘍の治療方法をさらに提供
する。本願は、胆道系腫瘍の治療における、抗PD-L1抗体とアンロチニブの組成物の使用をさらに提供する。
【0043】
本願のさらなる態様として、抗PD-L1抗体の医薬組成物と、アンロチニブの医薬組成物と、胆道系腫瘍の治療における抗PD-L1抗体とアンロチニブの併用のための取扱説明書とを含む、胆道系腫瘍を治療するためのキットを提供する。
【0044】
本願のさらなる態様として、胆道系腫瘍を治療するための抗PD-L1抗体をさらに提供する。本願は、対象に有効量の本開示の抗PD-L1抗体を投与するステップを含む、胆道系腫瘍の治療方法をさらに提供する。本願は、胆道系腫瘍の治療における、抗PD-L1抗体の使用をさらに提供する。本願は、胆道系腫瘍の治療用薬物の製造における、抗PD-L1抗体の使用をさらに提供する。
【0045】
肝がん治療用の併用医薬組成物
本願の一態様として、抗PD-L1抗体とアンロチニブとを含む、肝がんを治療するための併用医薬組成物を提供する。
【0046】
本願のいくつかの実施形態では、前記併用医薬組成物は抗PD-L1抗体の医薬組成物と、アンロチニブの医薬組成物とを含む。
【0047】
本願のいくつかの実施形態では、前記併用医薬組成物はキットに包装され、前記キットは、肝がんの治療における抗PD-L1抗体とアンロチニブの併用のための取扱説明書を含む。
【0048】
いくつかの実施形態では、600~2400mgの抗PD-L1抗体を含む医薬組成物と、1回用量が6mg、8mg、10mg、及び/又は12mgであるアンロチニブの医薬組成物とを含む、肝がんを治療するための併用医薬組成物を提供する。ここで、抗PD-L1抗体を含む医薬組成物は、1回用量又は複数回用量である。
【0049】
いくつかの実施形態では、複数回用量において600~2400mgの抗PD-L1抗体を含む医薬組成物と、1回用量が6mg、8mg、10mg、及び/又は12mgであるアンロチニブを含む医薬組成物と、を含む、肝がんを治療するための併用医薬組成物を提供する。
【0050】
いくつかの実施形態では、(0.35~29):1、好ましくは(3.5~29):1、より好ましくは(3.5~14.5):1、最も好ましくは(7~14.5):1の重量比で抗PD-L1抗体とアンロチニブを含む、肝がんを治療するための併用医薬組成物を提供する。ここで、抗PD-L1抗体とアンロチニブは、個別に包装されてもよいし、又は一緒に包装されてもよい。また、アンロチニブは複数に等しく分けて(例えば2等分、7等分、14等分、28等分又はそれ以上の等分で)包装されてもよい。
【0051】
いくつかの実施形態では、抗PD-L1抗体の医薬組成物とアンロチニブの医薬組成物とを含む、肝がんを治療するための併用医薬組成物を提供し、抗PD-L1抗体は、1回目の投与時に患者に600~2400mgの抗PD-L1抗体の1回用量又は複数回用量を投与することに適するように処方され、前記アンロチニブの医薬組成物は、14日間、毎日患者に6mg、8mg、10mg、及び/又は12mgのアンロチニブの1回用量を投与することに適するように処方される。
【0052】
いくつかの実施形態では、10~60mg/mLの抗PD-L1抗体を含む抗PD-L1抗体の医薬組成物と、1回用量が6mg、8mg、10mg、及び/又は12mgであ
るアンロチニブを含む医薬組成物とを含む、肝がんを治療するための併用医薬組成物を提供する。
【0053】
いくつかの実施形態では、10mg/mLの抗PD-L1抗体を含む抗PD-L1抗体の医薬組成物と、1回用量が8mg及び/又は10mgであるアンロチニブを含む医薬組成物とを含む、肝がんを治療するための併用医薬組成物を提供する。
【0054】
いくつかの実施形態では、複数回用量において1200mgの抗PD-L1抗体を含む医薬組成物と、1回用量が8mg及び/又は10mgであるアンロチニブを含む医薬組成物と、を含む、肝がんを治療するための併用医薬組成物を提供する。
【0055】
本願のさらなる態様として、肝がんの治療用薬物の製造における、併用医薬組成物の使用を提供する。本願は、対象に有効量の本開示の併用医薬組成物を投与するステップを含む、肝がんの治療方法をさらに提供する。本願は、肝がんの治療における併用医薬組成物の使用をさらに提供する。いくつかの実施形態では、前記併用医薬組成物は、抗PD-L1ヒト化モノクローナル抗体とアンロチニブとを含む。
【0056】
本願のさらなる態様として、肝がんの治療用薬物の製造における、抗PD-L1抗体とアンロチニブの組成物の使用を提供する。本願は、対象に有効量の抗PD-L1抗体とアンロチニブの組成物を投与するステップを含む、肝がんの治療方法をさらに提供する。本願は、肝がんの治療における、抗PD-L1抗体とアンロチニブの組成物の使用をさらに提供する。
【0057】
本願のさらなる態様として、肝がん治療用キットを提供し、前記キットは抗PD-L1抗体の医薬組成物と、アンロチニブの医薬組成物と、肝がんの治療における抗PD-L1抗体とアンロチニブの併用のための取扱説明書とを含む。
【0058】
本願のさらなる態様として、肝がんを治療するための抗PD-L1抗体をさらに提供する。本願は、対象に有効量の本開示の抗PD-L1抗体を投与するステップを含む、肝がんの治療方法をさらに提供する。本願は、肝がんの治療における、抗PD-L1抗体の使用をさらに提供する。本願は、肝がんの治療用薬物の製造における、抗PD-L1抗体の使用をさらに提供する。
【0059】
トリプルネガティブ乳がん治療用の併用医薬組成物
本願の一態様として、抗PD-L1抗体とアンロチニブとを含む、トリプルネガティブ乳がんを治療するための併用医薬組成物を提供する。
【0060】
本願のいくつかの実施形態では、前記併用医薬組成物は抗PD-L1抗体の医薬組成物と、アンロチニブの医薬組成物とを含む。
【0061】
本願のいくつかの実施形態では、前記併用医薬組成物はキットに包装され、前記キットは、トリプルネガティブ乳がんの治療におけるPD-L1抗体とアンロチニブの併用のための取扱説明書を含む。
【0062】
いくつかの実施形態では、600~2400mgの抗PD-L1抗体を含む医薬組成物と、1回用量が6mg、8mg、10mg、及び/又は12mgであるアンロチニブを含む医薬組成物とを含む、トリプルネガティブ乳がんを治療するための併用医薬組成物を提供する。ここで、抗PD-L1抗体を含む医薬組成物は、1回用量又は複数回用量である。
【0063】
いくつかの実施形態では、複数回用量において600~2400mgの抗PD-L1抗体を含む医薬組成物と、1回用量が6mg、8mg、10mg、及び/又は12mgであるアンロチニブを含む医薬組成物と、を含む、トリプルネガティブ乳がんを治療するための併用医薬組成物を提供する。
【0064】
いくつかの実施形態では、(0.35~29):1、好ましくは(3.5~29):1、より好ましくは(3.5~14.5):1、最も好ましくは(7~14.5):1の重量比で抗PD-L1抗体とアンロチニブを含む、トリプルネガティブ乳がんを治療するための併用医薬組成物を提供する。ここで、抗PD-L1抗体とアンロチニブは、個別に包装されてもよいし、又は一緒に包装されてもよい。また、アンロチニブは複数に等しく分けて(例えば2等分、7等分、14等分、28等分又はそれ以上の等分で)包装されてもよい。
【0065】
いくつかの実施形態では、抗PD-L1抗体の医薬組成物とアンロチニブの医薬組成物とを含む、トリプルネガティブ乳がんを治療するための併用医薬組成物を提供し、抗PD-L1抗体は、1回目の投与時に患者に600~2400mgの抗PD-L1抗体の1回用量又は複数回用量を投与することに適するように処方され、前記アンロチニブの医薬組成物は、14日間、毎日患者に6mg、8mg、10mg、及び/又は12mgのアンロチニブの1回用量を投与することに適するように処方される。
【0066】
いくつかの実施形態では、10~60mg/mLの抗PD-L1抗体を含む抗PD-L1抗体の医薬組成物と、1回用量が6mg、8mg、10mg、及び/又は12mgであるアンロチニブを含む医薬組成物とを含む、トリプルネガティブ乳がんを治療するための併用医薬組成物を提供する。
【0067】
いくつかの実施形態では、10mg/mLの抗PD-L1抗体を含む抗PD-L1抗体の医薬組成物と、1回用量が8mg及び/又は10mgであるアンロチニブを含む医薬組成物とを含む、トリプルネガティブ乳がんを治療するための併用医薬組成物を提供する。
【0068】
いくつかの実施形態では、複数回用量において1200mgの抗PD-L1抗体を含む医薬組成物と、1回用量が8mg及び/又は10mgであるアンロチニブを含む医薬組成物と、を含む、トリプルネガティブ乳がんを治療するための併用医薬組成物を提供する。
【0069】
本願のさらなる態様として、トリプルネガティブ乳がんの治療用薬物の製造における、併用医薬組成物の使用を提供する。本願は、対象に有効量の本開示の併用医薬組成物を投与するステップを含む、トリプルネガティブ乳がんの治療方法をさらに提供する。本願は、トリプルネガティブ乳がんの治療における、併用医薬組成物の使用をさらに提供する。いくつかの実施形態では、前記併用医薬組成物は、抗PD-L1ヒト化モノクローナル抗体とアンロチニブとを含む。
【0070】
本願のさらなる態様として、トリプルネガティブ乳がんの治療用薬物の製造における、抗PD-L1抗体とアンロチニブの組成物の使用を提供する。本願は、対象に有効量の抗PD-L1抗体とアンロチニブの組成物を投与するステップを含む、トリプルネガティブ乳がんの治療方法をさらに提供する。本願は、トリプルネガティブ乳がんの治療における、抗PD-L1抗体とアンロチニブの組成物の使用をさらに提供する。
【0071】
本願のさらなる態様として、トリプルネガティブ乳がん治療用キットを提供し、前記キットは抗PD-L1抗体の医薬組成物と、アンロチニブの医薬組成物と、トリプルネガティブ乳がんの治療における抗PD-L1抗体とアンロチニブの併用のための取扱説明書とを含む。
【0072】
本願のさらなる態様として、トリプルネガティブ乳がんを治療するための抗PD-L1抗体をさらに提供する。本願は、対象に有効量の本開示の抗PD-L1抗体を投与するステップを含む、トリプルネガティブ乳がんの治療方法をさらに提供する。本願は、トリプルネガティブ乳がんの治療における、抗PD-L1抗体の使用をさらに提供する。本願は、トリプルネガティブ乳がんの治療用薬物の製造における、抗PD-L1抗体の使用をさらに提供する。
【0073】
肺がん治療用の併用医薬組成物
本願の一態様として、抗PD-L1抗体とアンロチニブとを含む、肺がんを治療するための併用医薬組成物を提供する。
【0074】
本願のいくつかの実施形態では、前記併用医薬組成物は抗PD-L1抗体の医薬組成物と、アンロチニブの医薬組成物とを含む。
【0075】
本願のいくつかの実施形態では、前記併用医薬組成物はキットに包装され、前記キットは、肺がんの治療におけるPD-L1抗体とアンロチニブの併用のための取扱説明書を含む。
【0076】
いくつかの実施形態では、600~2400mgの抗PD-L1抗体を含む医薬組成物と、1回用量が6mg、8mg、10mg、及び/又は12mgであるアンロチニブを含む医薬組成物とを含む、肺がんを治療するための併用医薬組成物を提供する。ここで、抗PD-L1抗体を含む医薬組成物は、1回用量又は複数回用量である。
【0077】
いくつかの実施形態では、複数回用量において600~2400mgの抗PD-L1抗体を含む医薬組成物と、1回用量が6mg、8mg、10mg、及び/又は12mgであるアンロチニブを含む医薬組成物と、を含む、肺がんを治療するための併用医薬組成物を提供する。
【0078】
いくつかの実施形態では、抗PD-L1抗体の医薬組成物とアンロチニブの医薬組成物とを含む、肺がんを治療するための併用医薬組成物を提供し、抗PD-L1抗体は、1回目の投与時に患者に600~2400mgの抗PD-L1抗体の1回用量又は複数回用量を投与することに適するように処方され、前記アンロチニブの医薬組成物は、14日間、毎日患者に6mg、8mg、10mg、及び/又は12mgのアンロチニブの1回用量を投与することに適するように処方される。
【0079】
いくつかの実施形態では、10~60mg/mLの抗PD-L1抗体を含む抗PD-L1抗体の医薬組成物と、1回用量が6mg、8mg、10mg、及び/又は12mgであるアンロチニブを含む医薬組成物とを含む、肺がんを治療するための併用医薬組成物を提供する。
【0080】
いくつかの実施形態では、(0.35~29):、好ましくは(3.5~29):、より好ましくは(3.5~14.5):1、最も好ましくは(7~14.5):1の重量比で抗PD-L1抗体とアンロチニブを含む、肺がんを治療するための併用医薬組成物を提供する。ここで、抗PD-L1抗体とアンロチニブは、個別に包装されてもよいし、又は一緒に包装されてもよい。また、アンロチニブは複数に等しく分けて(例えば2等分、7等分、14等分、28等分又はそれ以上の等分で)包装されてもよい。
【0081】
いくつかの実施形態では、10mg/mLの抗PD-L1抗体を含む抗PD-L1抗体の医薬組成物と、1回用量が8mg及び/又は10mgであるアンロチニブを含む医薬組
成物とを含む、肺がんを治療するための併用医薬組成物を提供する。
【0082】
いくつかの実施形態では、複数回用量において1200mgの抗PD-L1抗体を含む医薬組成物と、1回用量が8mg及び/又は10mgであるアンロチニブを含む医薬組成物と、を含む、肺がんを治療するための併用医薬組成物を提供する。
【0083】
本願のさらなる態様として、肺がんの治療用薬物の製造における、併用医薬組成物の使用を提供する。本願は、対象に有効量の本開示の併用医薬組成物を投与するステップを含む、肺がんの治療方法をさらに提供する。本願は、肺がんの治療における併用医薬組成物の使用をさらに提供する。前記併用医薬組成物は、抗PD-L1ヒト化モノクローナル抗体とアンロチニブとを含む。
【0084】
本願のさらなる態様として、肺がんの治療用薬物の製造における、抗PD-L1抗体とアンロチニブの組成物の使用を提供する。本願は、対象に有効量の抗PD-L1抗体とアンロチニブの組成物を投与するステップを含む、肺がんの治療方法をさらに提供する。本願は、肺がんの治療における抗PD-L1抗体とアンロチニブの組成物の使用をさらに提供する。
【0085】
本願のさらなる態様として、肺がん治療用キットを提供し、前記キットは抗PD-L1抗体の医薬組成物と、アンロチニブの医薬組成物と、肺がんの治療における抗PD-L1抗体とアンロチニブの併用のための取扱説明書とを含む。
【0086】
本願のさらなる態様として、肺がんを治療するための抗PD-L1抗体をさらに提供する。本願は、対象に有効量の本開示の抗PD-L1抗体を投与するステップを含む、肺がんの治療方法をさらに提供する。本願は、肺がんの治療における抗PD-L1抗体の使用をさらに提供する。本願は、肺がんの治療用薬物の製造における、抗PD-L1抗体の使用をさらに提供する。
【0087】
併用医薬組成物の投与/治療計画
本願のいくつかの実施形態では、上記使用又は治療方法において、前記抗PD-L1抗体とアンロチニブは、同時に、順に、又は間隔をあけて投与され得、それぞれ医薬組成物の形態である。
【0088】
本願のいくつかの実施形態では、前記用途又は治療方法において、前記抗PD-L1抗体とアンロチニブは別々の間隔で投与される。いくつかの実施形態では、前記抗体とアンロチニブは同じ又は異なる治療計画で別々に投与される。いくつかの実施形態では、両者は異なる治療計画で別々に投与される。
【0089】
本願のいくつかの実施形態では、前記使用又は治療方法において、前記抗PD-L1抗体は週に(q1w)、2週に(q2w)、3週に(q3w)、又は4週に(q4w)1回で投与されてもよい。特定の一実施形態では、抗PD-L1抗体は3週に1回で投与される。いくつかの実施形態では、前記抗PD-L1抗体は毎回600~2400mgの用量で投与される。
【0090】
前記アンロチニブは毎日1回6mg、8mg、10mg、又は12mgの用量で、2週間の連続治療と1週間の中断の治療計画で投与されてもよい。
【0091】
いくつかの実施形態では、抗PD-L1抗体とアンロチニブの治療期間が同じでもよいし又は異なってもよい。特定のいくつかの実施形態では、抗PD-L1抗体とアンロチニブの治療期間が同じで、例えば1週、2週、3週又は4週が1治療期間である。
【0092】
本願のいくつかの実施形態では、前記使用又は治療方法において、1治療期間が21日であり、各期間の初日にPD-L1抗体を投与し、各期間の1日目~14日目にアンロチニブを毎日投与する。特定の一実施形態では、各期間の初日にPD-L1抗体を1回投与し、各期間の1日目~14日目にアンロチニブを毎日1回投与する。
【0093】
本願のいくつかの実施形態では、前記用途又は治療方法において、前記抗PD-L1抗体は0.01から40mg/kg、0.1から30mg/kg、0.1から20mg/kg、0.1から15mg/kg、0.1から10mg/kg、1から15mg/kg、1から20mg/kg、1から3mg/kg、3から10mg/kg、3から15mg/kg、3から20mg/kg、3から30mg/kg、10から20mg/kg、及び15から20mg/kgからなる群から選ばれる用量で対象に投与されてもよいし、又は60mgから2400mg、90mgから約1800mg、120mgから1500mg、300mgから900mg、600mgから900mg、300mgから1200mg、600mgから1200mg、又は900mgから1200mgの用量で対象に投与されてもよい。
【0094】
前記使用又は治療方法のいくつかの実施形態では、1治療期間が21日であり、各期間の初日に1200mgの抗PD-L1抗体を投与し、各期間の1日目~14日目に6mg、8mg、10mg及び/又は12mgのアンロチニブを毎日投与する。
【0095】
本願のいくつかの実施形態では、3週間の治療期間において、(0.35~29):1で、好ましくは(3.5~29):1で、より好ましくは(3.5~14.5):1で、最も好ましくは(7~14.5):1の重量比で、対象に抗PD-L1抗体とアンロチニブを投与し、前記抗PD-L1抗体とアンロチニブをそれぞれ1回用量及び複数回用量で投与する。
【0096】
抗PD-L1抗体の医薬組成物
本願のいくつかの実施形態では、前記抗PD-L1抗体の医薬組成物の1回用量は300mg又は600mgの抗PD-L1抗体を含む。
【0097】
本願のいくつかの実施形態では、前記抗PD-L1抗体の医薬組成物の総用量は600~2400mgである。一部の実施形態では、前記抗PD-L1抗体の医薬組成物の総用量は、600mg、900mg、1200mg、1500mg、1800mg、2100mg、2400mg、及び前述の値のいずれかによって形成される範囲からなる群から選ばれる。一部の実施形態では、前記抗PD-L1抗体の医薬組成物の総用量は、600~2100mg又は900mg~1500mgであることが好ましい。
【0098】
本願のいくつかの実施形態では、前記抗PD-L1抗体の医薬組成物はバッファ、等張性調節剤、安定剤及び/又は界面活性剤のうちの1種又は複数種を含む。特に、前記抗PD-L1抗体の医薬組成物は1~150mg/mLの抗PD-L1抗体(例えばmAb)と、3~50mMのバッファと、2~150mg/mLの等張性調節剤/安定剤と、0.01~0.8mg/mLの界面活性剤とを含み、pHが約4.5~6.8である。
【0099】
本願のいくつかの実施形態において、前記抗PD-L1抗体の医薬組成物では、抗PD-L1 mAbの濃度が約5~150mg/mL、好ましくは約10~60mg/mL、より好ましくは約10~30mg/mL(w/v)である。特定のいくつかの実施形態では、抗PD-L1 mAbの濃度は約10mg/mL、約20mg/mL、約30mg/mL、約40mg/mL、約50mg/mL、約60mg/mL、約70mg/mL、約80mg/mL、約90mg/mL、約100mg/mL、約110mg/mL、又は約
120mg/mLで、好ましくは約10mg/mL、約20mg/mL、約30mg/mL、約40mg/mL、約50mg/mL、又は約60mg/mLで、より好ましくは約10mg/mL、約20mg/mL、又は約30mg/mL(w/v)である。いくつかの実施形態では、抗PD-L1モノクローナル抗体の濃度は約10mg/mL(w/v)である。またいくつかの実施形態では、抗PD-L1 mAbの濃度は約30mg/mL(w/v)である。またいくつかの実施形態では、抗PD-L1 mAbの濃度は約60mg/mL(w/v)である。
【0100】
本願のいくつかの実施形態では、前記バッファはヒスチジン塩バッファである。前記ヒスチジン塩バッファの濃度は約5~30mMで、好ましくは約10~25mMで、より好ましくは約10~20mMで、最も好ましくは約10~15mMである。特定のいくつかの実施形態では、前記ヒスチジン塩バッファの濃度は約5mM、約10mM、約15mM、約20mM、約25mM又は約30mMである。いくつかの実施形態では、前記ヒスチジン塩バッファの濃度は約10mMである。またいくつかの実施形態では、前記ヒスチジン塩バッファの濃度は約15mMである。またいくつかの実施形態では、前記ヒスチジン塩バッファの濃度は約20mMである。ここで、前記ヒスチジン塩バッファはヒスチジンと塩酸とを含む。
【0101】
本願のいくつかの実施形態では、前記等張性調節剤/安定剤は約20~150mg/mLのスクロースで、好ましくは約40~100mg/mLのスクロースで、より好ましくは約60~80mg/mL(w/v)のスクロースである。特定のいくつかの実施形態では、前記スクロースの濃度は約40mg/mL、50mg/mL、60mg/mL、70mg/mL、80mg/mL、90mg/mL、又は100mg/mLである。特定のいくつかの実施形態では、前記スクロースの濃度は約60mg/mLである。特定のいくつかの実施形態では、前記スクロースの濃度は約70mg/mLである。特定のいくつかの実施形態では、前記スクロースの濃度は約80mg/mLである。特定のいくつかの実施形態では、前記スクロースの濃度は約90mg/mLである。
【0102】
本願のいくつかの実施形態では、前記界面活性剤はポリソルベート80、ポリソルベート20、及びポロキサマー188からなる群から選ばれ、好ましくはポリソルベート80及びポリソルベート20で、より好ましくはポリソルベート80である。いくつかの実施形態では、前記界面活性剤の濃度は約0.05~0.6mg/mLで、好ましくは約0.1~0.4mg/mLで、より好ましくは約0.2~0.3mg/mL(w/v)である。
【0103】
本願のいくつかの実施形態では、前記界面活性剤は約0.01~0.8mg/mL(w/v)のポリソルベート80又はポリソルベート20である。特定のいくつかの実施形態では、前記界面活性剤は約0.05~0.6mg/mLのポリソルベート80で、好ましくは約0.1~0.4mg/mLのポリソルベート80で、より好ましくは約0.2~0.3mg/mLのポリソルベート80で、最も好ましくは約0.2mg/mLのポリソルベート80である。いくつかの実施形態では、前記医薬組成物中のポリソルベート80の含有量は約0.1mg/mL、0.2mg/mL、0.3mg/mL、0.4mg/mL、0.5mg/mL、又は0.6mg/mLで、好ましくは、前記医薬組成物中のポリソルベート80の含有量は約0.2mg/mL、0.3mg/mL、0.4mg/mL又は0.5mg/mLで、より好ましくは、前記医薬組成物中のポリソルベート80の含有量は約0.2mg/mL、0.3mg/mL、又は0.4mg/mLで、最も好ましくは、前記医薬組成物中のポリソルベート80の含有量は約0.2mg/mLである。いくつかの実施形態では、前記医薬組成物中のポリソルベート80の含有量は約0.1mg/mLである。またいくつかの実施形態では、前記医薬組成物中のポリソルベート80の含有量は約0.2mg/mLである。いくつかの実施形態では、前記医薬組成物中のポリソルベ
ート80の含有量は約0.3mg/mLである。またいくつかの実施形態では、前記医薬組成物中のポリソルベート80の含有量は約0.4mg/mLである。いくつかの実施形態では、前記医薬組成物中のポリソルベート80の含有量は約0.5mg/mLである。
【0104】
本願のいくつかの実施形態では、前記医薬組成物の水溶液のpHは4.0~6.8で、好ましくは4.5~6.5で、より好ましくは5.5~6.0で、最も好ましくは5.5である。いくつかの実施形態では、医薬組成物の水溶液のpHは約4.5、約4.8、約5.0、約5.2、約5.4、約5.5、約5.6、約5.8、又は約6.0で、好ましくは約5.0、約5.2、約5.4、約5.5、又は約5.6で、より好ましくは約5.5である。いくつかの実施形態では、医薬組成物の水溶液のpHは約5.0である。いくつかの実施形態では、医薬組成物の水溶液のpHは約5.2である。いくつかの実施形態では、医薬組成物の水溶液のpHは約5.4である。いくつかの実施形態では、医薬組成物の水溶液のpHは約5.5である。いくつかの実施形態では、医薬組成物の水溶液のpHは約5.6である。いくつかの実施形態では、医薬組成物の水溶液のpHは約5.8である。いくつかの実施形態では、医薬組成物の水溶液のpHは約6.0である。
【0105】
本願の特定のいくつかの実施形態では、前記医薬組成物は、(a)約20mg/mL(w/v)の抗PD-L1抗体、(b)約70mg/mL(w/v)のスクロース、(c)約0.1mg/mL(w/v)のポリソルベート80、(d)約20mMのヒスチジン、及び(e)任意で、組成物のpHを約5.0に調整するための適量の塩酸を含む。本願の特定の一実施形態では、前記医薬組成物は、(a)約20mg/mL(w/v)である抗PD-L1 mAb、(b約70mg/mL(w/v)のスクロース、(c)約0.1mg/mL(w/v)のポリソルベート80、(d)約20mMのヒスチジン、及び(e)任意で、組成物のpHを約5.0に調整するための適量の塩酸を含む。
【0106】
本願の別の特定の実施形態では、前記医薬組成物は、(a)約10mg/mL(w/v)の抗PD-L1抗体、(b)約80mg/mL(w/v)のスクロース、(c)約0.2mg/mL(w/v)のポリソルベート80、(d)約10mMのヒスチジン、及び(e)任意で、組成物のpHを約5.5に調整するための適量の塩酸を含む。
【0107】
本願の別の特定の実施形態では、前記医薬組成物は、(a)約50mg/mL(w/v)の抗PD-L1抗体、(b)約80mg/mL(w/v)のスクロース、(c)約0.3mg/mL(w/v)のポリソルベート80、(d)約10mMのヒスチジン、及び(e)任意で、組成物のpHを約5.5に調整するための適量の塩酸を含む。
【0108】
本願の別の特定の実施形態では、前記医薬組成物は、(a)約100mg/mL(w/v)の抗PD-L1抗体、(b)約80mg/mL(w/v)のスクロース、(c)約0.5mg/mL(w/v)のポリソルベート80、(d)約10mMのヒスチジン、及び(e)任意で、組成物のpHを約5.5に調整するための適量の塩酸を含む。
【0109】
本願の別の特定の実施形態では、前記医薬組成物は、(a)約30mg/mL(w/v)の抗PD-L1抗体、(b)約80mg/mL(w/v)のスクロース、(c)約0.2mg/mL(w/v)のポリソルベート80、(d)約10mMのヒスチジン、及び(e)任意で、組成物のpHを約5.5に調整するための適量の塩酸を含む。
【0110】
本願の別の特定の実施形態では、前記医薬組成物は、(a)約60mg/mL(w/v)の抗PD-L1抗体、(b)約80mg/mL(w/v)のスクロース、(c)約0.2mg/mL(w/v)のポリソルベート80、(d)約10mMのヒスチジン、及び(e)任意で、組成物のpHを約5.5に調整するための適量の塩酸を含む。
【0111】
本願の別の特定の実施形態では、前記医薬組成物は、(a)約10mg/mL(w/v)の抗PD-L1抗体、(b)約70mg/mL(w/v)のスクロース、(c)約0.4mg/mL(w/v)のポリソルベート80、(d)約20mMのヒスチジン、及び(e)任意で、組成物のpHを約6.5に調整するための適量の酢酸を含む。
【0112】
本願の別の特定の実施形態では、前記医薬組成物は、(a)約10mg/mL(w/v)の抗PD-L1 mAb、(b)約80mg/mL(w/v)のスクロース、(c)約0.2mg/mL(w/v)のポリソルベート80、(d)約20mMのヒスチジン、及び(e)任意で、組成物のpHを約5.5に調整するための適量の塩酸を含む。
【0113】
本願の別の特定の実施形態では、医薬組成物は水溶性注射剤で、前記水溶性注射剤は、凍結乾燥されていない水溶性製剤又は凍結乾燥粉末から再構成された水溶性製剤を含むが、これらに限定されない。またいくつかの実施形態では、医薬組成物は凍結乾燥製剤である。前記凍結乾燥製剤とは水溶液に凍結乾燥プロセスを行って製造される製剤をいい、当該プロセスではまず物質を冷凍し、次に昇華(一次乾燥プロセス)、さらに脱着(二次乾燥プロセス)により溶媒の量を低減させることで、溶媒の量を、生物学的活性又は化学反応をサポートしない値まで低減させる。本願の凍結乾燥製剤は、本分野で既知の他の方法で、例えば噴霧乾燥、気泡乾燥(bubble drying)で乾燥されてもよい。
【0114】
アンロチニブの医薬組成物
本願のいくつかの実施形態では、前記アンロチニブの医薬組成物の1回用量は6mg、8mg、10mg、又は12mgのアンロチニブを含む。
【0115】
本願のいくつかの実施形態では、2週間の治療と1週間の中断の期間に従って、各治療期間に投与する前記アンロチニブの医薬組成物の総用量は84~168mgを含む。一部の実施形態では、前記アンロチニブの医薬組成物の総用量は84mg、112mg、140mg、168mg、及び前述の値の何れかによって形成される範囲からなる群から選ばれる。一部の実施形態では、前記アンロチニブの医薬組成物の総用量は112mg~168mgを含むことが好ましい。
【0116】
抗PD-L1抗体
本願のいくつかの実施形態では、前記抗PD-L1抗体はWO2016022630又はCN107001463Aに記載の抗体である。
【0117】
本願のいくつかの実施形態では、前記抗PD-L1抗体は、以下のアミノ酸配列:配列番号1又は配列番号4に示すアミノ酸配列と少なくとも80%(例えば81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%)の相同性を有する重鎖CDR1領域、配列番号2又は配列番号5に示すアミノ酸配列と少なくとも80%(例えば81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%)の相同性を有する重鎖CDR2領域、配列番号3又は配列番号6に示すアミノ酸配列と少なくとも80%(例えば81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%)の相同性を有する重鎖CDR3領域、配列番号7又は配列番号10に示すアミノ酸配列と少なくとも80%(例えば81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%)の相同性を有する軽鎖CDR1領域、配列番号8又は配列番号11に示すアミノ酸配列と少なくとも80%(例えば81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89
%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%)の相同性を有する軽鎖CDR2領域、及び配列番号9又は配列番号12に示すアミノ酸配列と少なくとも80%(例えば81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%)の相同性を有する軽鎖CDR3を含む。
【0118】
本願のいくつかの実施形態では、前記抗PD-L1抗体は、以下のアミノ酸配列:配列番号1及び配列番号4からなる群から選ばれる重鎖CDR1領域、配列番号2及び配列番号5からなる群から選ばれる重鎖CDR2領域、配列番号3及び配列番号6からなる群から選ばれる重鎖CDR3領域、配列番号7及び配列番号10からなる群から選ばれる軽鎖CDR1領域、配列番号8及び配列番号11からなる群から選ばれる軽鎖CDR2領域、並びに配列番号9及び配列番号12からなる群から選ばれる軽鎖CDR3領域を含む。
【0119】
本願のいくつかの実施形態では、本明細書に記載の分離された(isolated)抗PD-L1抗体は、配列番号1に示すアミノ酸配列を有する重鎖CDR1領域、配列番号2に示すアミノ酸配列を有する重鎖CDR2領域、配列番号3に示すアミノ酸配列を有する重鎖CDR3領域、配列番号7に示すアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1領域、配列番号8に示すアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2領域、及び配列番号9に示すアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3領域を含む。
【0120】
本明細書に記載のCDR領域及び上述のそのバリアントのそれぞれは、PD-L1と特異的に認識及び結合して、PD-L1とPD-1との間のシグナル伝達を効果的に遮蔽することができる。
【0121】
本願のいくつかの実施形態では、前記抗PD-L1抗体は、配列番号13又は配列番号14に示すアミノ酸配列と少なくとも80%(例えば81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%)の相同性を有する重鎖可変領域、並びに配列番号15又は配列番号16に示すアミノ酸配列と少なくとも80%(例えば81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%)の相同性を有する軽鎖可変領域を含む。
【0122】
本願のいくつかの実施形態では、前記抗PD-L1抗体は、配列番号13に示す重鎖可変領域、及び配列番号15に示す軽鎖可変領域を含む。
【0123】
本願のいくつかの実施形態では、前記抗PD-L1抗体は、配列番号14に示す重鎖可変領域、及び配列番号16に示す軽鎖可変領域を含む。
【0124】
本願のいくつかの実施形態では、前記抗PD-L1抗体は、配列番号17に示す重鎖アミノ酸配列、及び配列番号18に示す軽鎖アミノ酸配列を含む。
【0125】
本願のいくつかの実施形態では、前記抗PD-L1抗体は、配列番号19に示す重鎖アミノ酸配列、及び配列番号20に示す軽鎖アミノ酸配列を含む。
【0126】
本願のいくつかの実施形態では、前記抗PD-L1抗体は、配列番号21に示す重鎖アミノ酸配列、及び配列番号18に示す軽鎖アミノ酸配列を含む。
【0127】
特定の一実施形態では、本開示の抗PD-L1ヒト化mAbは、配列番号1、配列番号
2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、及び配列番号21からなる群から選ばれる1つ又は複数の保存的置換バリアントを含む。前記保存的置換バリアントを含む抗PD-L1ヒト化mAbにはPD-L1と特異的に認識及び結合する能力が保持されている。
【0128】
本願のいくつかの実施形態では、前記抗PD-L1抗体はIgG1又はIgG4抗体であってもよい。
【0129】
本願のいくつかの実施形態では、前記抗PD-L1抗体はIgG1抗体である。一部の実施形態では、前記抗PD-L1抗体はグリコシル化されたIgG1抗体である。
【0130】
本願のいくつかの実施形態では、前記抗PD-L1抗体は13C5及び5G11抗体に由来する重鎖CDRからなる群から選ばれる重鎖相補性決定領域(CDR)と、13C5及び5G11抗体に由来する軽鎖CDRからなる群から選ばれる軽鎖CDRとを含む。一実施形態では、本開示の抗PD-L1抗体は、ch5G11-hIgG1、ch5G11-hIgG4、ch13C5-hIgG1、及びch13C5-hIgG4キメラ抗体の重鎖可変領域からなる群から選ばれる重鎖可変領域と、ch5G11-hIgG1、ch5G11-hIgG4、ch13C5-hIgG1、及びch13C5-hIgG4キメラ抗体の軽鎖可変領域からなる群から選ばれる軽鎖可変領域とを含む。一実施形態では、本開示の抗PD-L1抗体は、hu13C5-hIgG1、hu13C5-hIgG4、hu5G11-hIgG1及びhu5G11-hIgG4ヒト化抗体の重鎖可変領域からなる群から選ばれる重鎖可変領域と、hu13C5-hIgG1、hu13C5-hIgG4、hu5G11-hIgG1及びhu5G11-hIgG4ヒト化抗体の軽鎖可変領域からなる群から選ばれる軽鎖可変領域とを含む。特許文献WO2016022630又はCN107001463Aの次の記載は参照できる。13C5、ch13C5-hIgG1、ch13C5-hIgG4、hu13C5-hIgG1又はhu13C5-hIgG4のHCDR1配列はSYGMS(配列番号4)で、HCDR2配列はSISSGGSTYYPDSVKG(配列番号5)で、HCDR3配列はGYDSGFAY(配列番号6)で、LCDR1配列はASQSVSTSSSSFMH(配列番号10)で、LCDR2配列はYASNLES(配列番号11)で、LCDR3配列はQHSWEIPYT(配列番号12)であり、5G11、ch5G11-hIgG1、ch5G11-hIgG4、hu5G11-hIgG1又はhu5G11-hIgG4のHCDR1配列はTYGVH(配列番号1)で、HCDR2配列はVIWRGVTTDYNAAFMS(配列番号2)で、HCDR3配列はLGFYAMDY(配列番号3)で、LCDR1配列はKASQSVSNDVA(配列番号7)で、LCDR2配列はYAANRYT(配列番号8)で、LCDR3配列はQQDYTSPYT(配列番号9)である。
【0131】
本願のいくつかの実施形態では、前記薬物の組み合わせにおける抗PD-L1抗体は1種でもよいし又は複数種から選ばれてもよい。本願で使用される用語「複数種」とは1種以上であってもよく、例えば、2種、3種、4種、5種又はそれら以上の複数種である。例えば、本願のいくつかの実施形態では、前記抗PD-L1抗体は、配列番号13に示す重鎖可変領域及び配列番号15に示す軽鎖可変領域を含む抗体からなる群から選ばれ、又は配列番号14に示す重鎖可変領域及び配列番号16に示す軽鎖可変領域を含む抗体からなる群から選ばれ、又はこれらの組み合わせからなる群から選ばれる。他の例としては、前記抗PD-L1抗体は、配列番号17に示す重鎖アミノ酸配列及び配列番号18に示す軽鎖アミノ酸配列を含む抗体からなる群から選ばれ、又は配列番号19に示す重鎖アミノ酸配列及び配列番号20に示す軽鎖アミノ酸配列を含む抗体からなる群から選ばれ、又は配列番号21に示す重鎖アミノ酸配列及び配列番号18に示す軽鎖アミノ酸配列を含む抗
体からなる群から選ばれ、又は前述のいずれかの組み合わせからなる群から選ばれる。
【0132】
アンロチニブ
本願においては、アンロチニブ遊離塩基は化学名が1-[[[4-(4-フルオロ-2-メチル-1H-インドール-5-イル)オキシ-6-メトキシキノリン-7-イル]オキシ]メチル]シクロプロピルアミンであり、下記の構造式を有する。
【化1】
【0133】
本願で、前記アンロチニブはその非塩形態(例えば遊離塩基)を含み、薬学的に許容されるその塩をさらに含む。すべての非塩形態又は塩は、本願の保護範囲に含まれる。例えば、前記アンロチニブの薬学的に許容される塩は塩酸塩でもよいし又は二塩酸塩でもよい。本願におけるアンロチニブ又はその塩の用量は、特段の説明がなければ、アンロチニブの分子量に基づいて計算される。
【0134】
胆道系腫瘍
本願のいくつかの実施形態では、前記胆道系腫瘍は胆道系腺がんである。本願のいくつかの実施形態では、前記胆道系腫瘍は胆嚢がん(Gallbladder Cancer、GBC)、肝内胆管がん(Intrahepatic Cholangiocarcinoma、IHCC)、肝外胆管がん(Extrahepatic Cholangiocarcinoma、EHCC)を含む。本願のいくつかの実施形態では、前記肝外胆管がんは肝門部胆管がん(hilar cholangiocarcinomas、別称Klatskin腫瘍)、遠位胆管がん(distal cholangiocarcinomas)を含む。本願のいくつかの実施形態では、胆道系腫瘍は腺がん型胆嚢がん、腺がん型肝内胆管がん、腺がん型肝外胆管がんを含む。
【0135】
本願のいくつかの実施形態では、前記胆道系腫瘍は手術切除不能、晩期又は転移性の胆道系腫瘍を含む。本願のいくつかの実施形態では、前記胆道系腫瘍は手術切除不能、晩期又は転移性の腺がん型胆嚢がん、腺がん型肝内胆管がん、又は腺がん型肝外胆管がんを含む。本願のいくつかの実施形態では、前記胆道系腫瘍患者は化学療法を受けたことがあり治療が失敗している。本願のいくつかの実施形態では、前記胆道系腫瘍患者は、受けていた第一選択の化学療法に失敗している。
【0136】
肝がん
本願のいくつかの実施形態では、前記肝がんは肝細胞がん(Hepatocellular Carcinoma、HCC)である。本願のいくつかの実施形態では、前記肝がんは原発性肝細胞がんから選ばれる。本願のいくつかの実施形態では、前記肝がんは晩期
及び/又は転移性の肝細胞がんからなる群から選ばれる。いくつかの実施形態では、前記肝がんは切除不能の肝細胞がんである。いくつかの実施形態では、前記肝がんは局所的治療を受けたことがあり治療が失敗している肝細胞がん又は局所的治療に適さない肝細胞がんであり、前記局所的治療はアブレーション(高周波アブレーション、冷凍アブレーション、経皮的エタノール注射療法、マイクロ波アブレーションを含むが、これらに限定されない)、放射線療法、及び/又は肝動脈化学塞栓療法を含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、前記肝がんはソラフェニブ及び/又はレンバチニブでの治療が失敗している肝がんである。
【0137】
トリプルネガティブ乳がん
本願のいくつかの実施形態では、前記トリプルネガティブ乳がんの対象は手術、化学療法及び/又は放射線療法を受けたことがある。特定のいくつかの実施形態では、前記トリプルネガティブ乳がんの対象は第一選択の化学療法を受けたことがある。特定のいくつかの実施形態では、前記トリプルネガティブ乳がんの対象はアントラサイクリン及び/又はタキサン薬物治療を受けたことがある。特定のいくつかの実施形態では、前記トリプルネガティブ乳がんの対象は少なくとも第一選択の全身治療を受けたことがあり、アントラサイクリン及び/又はタキサン薬物を使用したことがある。
【0138】
肺がん
本願のいくつかの実施形態では、前記肺がんは非小細胞肺がんである。いくつかの実施形態では、前記肺がんは肺扁平上皮がん又は肺腺がんを含む。いくつかの実施形態では、前記肺がんは晩期肺がんである。いくつかの実施形態では、前記肺がんはEGFR又はALK野生型非小細胞肺がんである。いくつかの実施形態では、前記肺がんは晩期扁平上皮非小細胞肺がん及び晩期腺がん非小細胞肺がんからなる群から選ばれる。いくつかの実施形態では、前記肺がんはEGFR又はALK野生型扁平上皮非小細胞肺がん、及びEGFR又はALK野生型腺がん非小細胞肺がんから選ばれる。いくつかの実施形態では、前記肺がんはBRaf又はEGFR変異非小細胞肺がんであり、例えばBRAF p.V600E、EGFR del及び/又はEGFR-T790M非小細胞肺がんである。
【0139】
いくつかの実施形態では、前記肺がん患者は化学療法を受けたことがある。いくつかの実施形態では、前記肺がんは、第一選択の標準化学療法を受けたことがあり治療が失敗しており又は化学療法に忍容性のない晩期(IIIB及び/又はIV期)肺がんである。
【0140】
本願で、前記化学療法は白金系薬、フルオロピリミジン誘導体、カンプトテシン、タキサン、ビンブラスチン、アントラサイクリン、抗生物質、ポドフィラム、抗腫瘍薬、抗代謝薬のうちの1種又は複数種を含むが、これらに限定されず、その例は白金系薬(例えばオキサリプラチン、シスプラチン、カルボプラチン、ネダプラチン、ジシクロプラチン(dicycloplatin))、フルオロピリミジン誘導体(例えばゲムシタビン、カペシタビン、アンシタビン、フルオロウラシル、ジフラジン、ドキシフルリジン、テガフール、カルモフール、トリフルリジン)、タキサン系(例えばパクリタキセル、アルブミン結合パクリタキセル、ドセタキセル)、カンプトテシン及びその類似体(例えばカンプトテシン、ヒドロキシカンプトテシン、9-アミノカンプトテシン、7-エチルカンプトテシン、イリノテカン、トポテカン)、ビンカアルカロイド系(ビノレルビン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビンフルニン(vinflunine))、アントラサイクリン系(エピルビシン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、ピラルビシン、アムルビシン、イダルビシン、ミトキサントロン、アクラルビシン、バルルビシン、ゾルビシン、ピクサントロン)、ペメトレキセド、カルムスチン、メルファラン、エトポシド、テニポシド、マイトマイシン、イホスファミド、シクロホスファミド、アザシチジン、メトトレキサート、ベンダムスチン、リポソームドキソルビシン、アクチノマイシンD(ダクチノマイシン)、ブレオマイシン、ピンヤンマイシン、テモゾロミド、ダカルバジン、
ペプロマイシン、エリブリン、プリナブリン(plinabulin)、サパシタビン(Sapacitabine)、トレオスルファン(treosulfan)、153Sm-EDTMP、テガフール-ギメラシル-オテラシルカリウム、及びエンセキダル(encequidar)のうちの1種又は複数種を含むが、これらに限定されない。
【0141】
投与
以下の内容は、本開示の薬物の組み合わせの投与方法を限定するものではない。
【0142】
本開示の医薬組成物の成分は、独立して投与することができ、あるいは成分の一部又は全部を、経口投与又は非経口投与(静脈内、筋肉内、局所又は皮下の経路による)を含むがこれに限られない様々な適切な経路で共同投与することができる。いくつかの実施形態では、本開示の薬物の組み合わせの成分はそれぞれ独立して、あるいは成分の一部又は全部を、経口投与又は注射(例えば、静脈注射又は腹腔内注射)等の手段で共同投与することができる。
【0143】
本願の医薬組成物の成分は、錠剤、トローチ、ピル、カプセル(例えば、ハードカプセル、ソフトカプセル、腸溶カプセル、マイクロカプセル)、エリキシル剤、顆粒、シロップ、注射剤(筋肉内、静脈内、腹腔内)、顆粒、エマルジョン、懸濁液、溶液、分散液、及び経口又は非経口投与用の徐放性製剤用剤形を含み、これに限られない適切な剤形で、それぞれ独立して、又は成分の一部もしくは全部が同時に投与されてもよい
【0144】
本開示の薬物の組み合わせの成分は、独立して配合することができ、また、成分の一部もしくは全部を、薬学的に許容される担体及び/又は賦形剤と共同で配合することができる。
【0145】
本開示の薬物の組み合わせは他の薬剤をさらに含んでもよい。一実施形態では、前記他の薬剤は本分野で既知のがん薬剤であってもよい。
【0146】
発明の効果
一般に、本開示の併用医薬組成物を使用すると、次のことが得られる。
(1)当該組み合わせの中のいずれか一方の薬物を単独で投与するのと比べて、腫瘍の成長を抑制し、さらには腫瘍を消失させる点でより優れた効果があり、
(2)当該組み合わせの中のいずれか一方の薬物を単独で投与するのと比べて、投与量が少なく、
(3)患者の忍容性がより良好で、いずれか一方の薬物の単独投与と比べて、副作用及び/又は合併症が少なく、
(4)治療を受けた患者の疾患制御率が高く、
(5)治療を受けた患者の生存期間(例えば生存期間中央値、無増悪生存期間、全生存期間)が長くなり、
(6)標準化学療法と比べて、治療を受けた患者の生存期間(例えば生存期間中央値、無増悪生存期間、全生存期間)が長くなり、
(7)奏効持続期間(DOR)が長くなり、且つ/又は、
(8)当該組み合わせの中のいずれか一方の薬物の単独投与と比べて、胆道系腫瘍、肝がん、トリプルネガティブ乳がん、及び/又は肺がんの治療により優れた効果が得られ、より優れた抗腫瘍相乗効果が示される。
【0147】
定義と説明
特段の説明がなければ、本願で使用される下記の用語は以下の意味を有する。特定の用語は、特に定義がなければ、確定しない又は不明瞭なものとして考慮されるのではなく、本分野の通常の意味で理解される。商品名が記載される場合、対応する製品又はその有効
成分を指すことを意図する。
【0148】
本明細書では、用語「併用医薬組成物」とは、同時に又は連続で投与される2種以上の有効成分(それぞれが有効成分そのものとして投与されるか、又はそれぞれが薬学的に許容される塩もしくはエステルなどの誘導体、プロドラッグもしくは組成物として投与される)の組み合わせをいう。本明細書で、用語「併用医薬組成物」、「医薬組成物」、及び「薬物の組み合わせ」は、互換的に使用される。
【0149】
本明細書では、用語「抗体」とは、少なくとも1つの抗原結合ドメインを有する結合タンパク質をいう。本開示の抗体及びそのフラグメントはインタクトな抗体又はその任意のフラグメントであってもよい。したがって、本開示の抗体及びそのフラグメントは、モノクローナル抗体又はそのフラグメント、抗体バリアント又はそのフラグメント、及び免疫複合体を含む。抗体フラグメントの例は、Fabフラグメント、Fab’フラグメント、F(ab’)2フラグメント、Fvフラグメント、分離されたCDR領域、一本鎖Fv分子(scFv)、Fdフラグメント、及び本分野で既知の他の抗体フラグメントを含む。抗体及びそのフラグメントは組換えポリペプチド、融合タンパク質、二重特異性抗体をさらに含み得る。本開示の抗PD-L1抗体及びそのフラグメントはIgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4のアイソタイプであってもよい。用語「アイソタイプ」とは、重鎖定常領域遺伝子によってコードされる抗体のクラスをいう。一実施形態では、本開示の抗PD-L1抗体及びそのフラグメントは、IgG1又はIgG4のアイソタイプである。本願のPD-1抗体及びそのフラグメントは、非限定的にマウス、ラット、ウサギ、霊長類、ラマ、ヒトなどの任意の生物種に由来することができる。PD-L1抗体及びそのフラグメントはキメラ抗体、ヒト化抗体、又はインタクトヒト抗体であってもよい。一実施形態では、抗PD-L1抗体はマウスに由来するハイブリドーマ細胞株から生成される抗体である。したがって、一実施形態では、抗PD-L1抗体はマウス抗体である。別の実施形態では、抗PD-L1抗体はキメラ抗体である。別の実施形態では、キメラ抗体はマウス-ヒトキメラ抗体である。別の実施形態では、抗体はヒト化抗体である。別の実施形態では、抗体はマウス抗体に由来し、且つヒト化したものである。
【0150】
「ヒト化抗体」とは、非ヒト抗体に由来する相補性決定領域(CDR)と、ヒト抗体に由来するフレームワーク領域及び定常領域とを含む抗体である。例えば、本開示の抗PD-L1抗体は、1種又は複数種のマウス抗体に由来するCDRと、ヒトフレームワーク領域及び定常領域とを含んでもよい。したがって、一実施形態では、本開示のヒト化抗体は、ヒト化抗体のCDRが由来するマウス抗体と同じPD-L1上のエピトープと結合する。例示的なヒト化抗体は、本明細書に開示される。本開示の重鎖及び軽鎖のCDRを含む他の抗PD-L1抗体又はそのバリアントは、任意のヒトフレームワーク配列を用いて生成させることができ、これも本願に含まれる。一実施形態では、本願での使用に適するフレームワーク配列は、本開示のフレームワーク配列と構造が類似するものを含む。フレームワーク領域にさらなる修飾を行って本開示の抗体の特性を改善させてもよい。このようなフレームワークのさらなる修飾は、化学的修飾、免疫原性を低減させ又はT細胞エピトープを除去するための点変異、又は元の生殖細胞系列配列中の残基への逆突然変異を含み得る。いくつかの実施形態では、このような修飾は本明細書で例示した変異に対応する修飾を含み、生殖系列配列への逆突然変異を含む。例えば、一実施形態では、本明細書に係るヒト化抗体のVH及び/又はVLのヒトフレームワーク領域の1つ又は複数のアミノ酸が、親マウス抗体における対応するアミノ酸に逆突然変異される。例えば、ヒト化5G11及びヒト化13C5の抗体のVHとVLの場合は、上記のテンプレートヒト抗体のフレームワークアミノ酸のいくつかの部位が、マウス5G11及び13C5の抗体における対応するアミノ酸配列に逆突然変異され得る。一実施形態では、軽鎖可変領域の位置53、60、及び/又は67のアミノ酸が、マウス5G11又は13C5軽鎖可変領域における前記位置にある対応するアミノ酸に逆突然変異される。別の実施形態では、重鎖可変領域
の位置24、28、30、49、73、83、及び/又は94のアミノ酸が、マウス5G11又は13C5重鎖可変領域における前記位置にある対応するアミノ酸に逆突然変異される。一実施形態では、ヒト化5G11抗体は、位置60のアミノ酸がSer(S)からAsp(D)に変異され、位置67のアミノ酸がSer(S)からTyr(Y)に変異された軽鎖可変領域と、位置24のアミノ酸がPhe(F)からVal(V)に変異され、位置49のアミノ酸がAla(A)からGly(G)に変異され、位置73のアミノ酸がThr(T)からAsn(N)に変異され、且つ位置83のアミノ酸がThr(T)からAsn(N)に変異された重鎖可変領域とを含む。一実施形態では、ヒト化13C5抗体は、位置53のアミノ酸がTyr(Y)からLys(K)に変異された軽鎖可変領域と、位置28のアミノ酸がThr(T)からIle(I)に変異され、位置30のアミノ酸がSer(S)からArg(R)に変異され、位置49のアミノ酸がSer(S)からAla(A)に変異され、且つ位置94のアミノ酸がTyr(Y)からAsp(D)に変異された重鎖可変領域と、を含む。本開示のヒト化抗体のフレームワーク領域には、抗体の特性改善のために、追加の又は代替の逆突然変異が行われてもよい。本願は、PD-L1と結合し、且つ本明細書に記載の任意の適切なフレームワーク配列の例示的な修飾に対応するフレームワーク修飾と、他の方式による抗体の特性を改善する他のフレームワーク修飾とを含むヒト化抗体をさらに含む。
【0151】
本願はPD-L1と結合する分離された抗体又はそのフラグメントを提供し、前記抗体は、本明細書で13C5、5G11と称されるハイブリドーマからなる群から選ばれるハイブリドーマによって生産される。しがたって、本願は、ハイブリドーマ13C5及び5G11、並びに本開示の抗体を生産する任意のハイブリドーマをさらに含む。本願は、本開示の抗体及びそのフラグメントをコードする分離されたポリヌクレオチドをさらに提供する。本願は、分離されたポリヌクレオチドを含む発現ベクター、及び前記発現ベクターを含む宿主細胞をさらに含む。
【0152】
「分離された(isolated)抗体」とは、異なる抗原特異性を持つ他の抗体を実質的に含まない抗体をいう(例えば、PD-1と特異的に結合する分離された抗体は、PD-1以外の抗原と特異的に結合する抗体を実質的に含まない)。しかし、PD-1と特異的に結合する分離された抗体は、他の抗原(例えば、異なる生物種由来のPD-1分子)との交差反応性を有してもよい。また、分離された抗体は他の細胞物質及び/又は化学物質を実質的に含まないものであってもよい。
【0153】
用語「モノクローナル抗体(mAb)」とは、個々の分子成分の抗体分子の非自然発生的な調製物をいう(即ち、塩基配列が実質的に同じで、且つ特定のエピトープに対して単一の結合特異性及び親和性を示す抗体分子)。mAbは分離された抗体の一例である。ハイブリドーマ技術、組換え技術、遺伝子組換え技術、又は当業者に知られる他の技術で、mAbを生産することができる。
【0154】
本開示の抗体及びその抗原結合フラグメントは、PD-L1に特異的である。一実施形態では、抗体又はそのフラグメントはPD-L1に特異的である。一実施形態では、本開示の抗体及びフラグメントは、ヒト又は霊長類PD-L1と結合するが、他の哺乳類に由来するPD-L1と結合しない。別の実施形態では、抗体及びそのフラグメントはマウスPD-L1と結合しない。用語「ヒトPD-L1」、「hPD-L1」、「huPD-L1」などは本明細書で互換的に使用され、且つヒトPD-L1及びヒトPD-L1のバリアント又はアイソタイプをいう。「特異性(specific)」、「特異性(specificity)」とは、抗体及びそのフラグメントが、他の標的よりも高い親和性でPD-L1と結合することをいう。
【0155】
用語「治療(treat)」及び「治療(treatment)」とは、一般に、所望
の薬理学的及び/又は生理学的効果を得ることをいう。疾患及び/又は疾患に伴う副作用を部分的に又は完全に安定させ又は治癒することに関して、その効果は治療的なものとなり得る。本明細書において、「治療(treat)」及び「治療(treatment)」は、患者の疾患に対する任意の治療を包含し、(a)疾患の症状の阻害、即ち疾患の進行の阻止、又は(b)疾患の症状の寛解、即ち、疾患又は症状を緩和させることを含む。
【0156】
用語「有効量」とは、(i)特定の疾患、病状もしくは障害を治療するため、(ii)特定の疾患、病状もしくは障害の1種もしくは複数種の症状を軽減、改善もしくは解消するため、又は(iii)本明細書に記載の特定の疾患、病状もしくは障害の1種又は複数種の症状の発生を予防もしくは遅らせるための、本開示の化合物の量をいう。「治療有効量」を構成する有効物質(例えば本開示の抗体又は化合物)の量は、個人の病状、年齢、性別、体重や、薬剤、又は薬剤の組み合わせが個人に所望の応答を引き起こす能力などの様々な要因により変わる。有効量は当業者の知識又は本開示の内容から決定されてもよい。
【0157】
用語「投与(administer)」「投与(administration)」とは、当業者の知っている様々な方法及び送達システムのいずれかを利用して、薬剤を含む組成物を対象に物理的に導入することをいう。免疫チェックポイント阻害剤(例えば、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体)の投与経路は静脈内、筋肉内、皮下、腹腔内、髄腔内(spinal)、又は他の非経口投与経路(例えば、注射又は注入)を含む。本明細書で使用される用語「非経口投与」とは、腸内及び局所投与以外の一般に注射で行われる投与経路を指し、その非限定的な例は、静脈内、筋肉内、動脈内、髄腔内、リンパ管内、病巣内、被膜内(intracapsular)、眼窩内、心臓内、皮膚内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、被膜下、くも膜下、脊椎内、硬膜外、胸骨内の注射及び注入、並びに生体内エレクトロポレーションである。いくつかの実施形態では、前記免疫チェックポイント阻害剤(例えば、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体)は非経口経路で投与され、いくつかの実施形態では、経口投与される。他の非経口経路は、局所、表皮又は粘膜投与経路、例えば、鼻腔内、膣内、直腸内、舌下、局所を含む。投与は1回であってもよいし、複数回であってもよく、且つ/又は1つもしくは複数の延長した期間内において行われてもよい。
【0158】
用語「用量」とは、患者の体重又は体表面積(BSA)を考慮せずに患者に投与される用量をいう。例えば、60kgのヒトと100kgのヒトとには同じ用量の抗体(例えば、240mgの抗PD-1抗体)を投与する。
【0159】
本明細書で使用される用語「体重に基づく用量」とは、患者の体重に基づいて算出される患者への投与用量をいう。例えば、体重60kgの患者に3mg/kgの抗PD-1抗体が必要である場合には、抗PD-1抗体の固定用量製剤から適量の抗PD-1抗体(180mg)を一度に抽出してもよい。
【0160】
アンロチニブは様々な経路で投与することができ、当該経路は経口、非経口、腹腔内、静脈内、動脈内、経皮、舌下、筋肉内、直腸、経頬(transbuccal)、鼻腔内、吸入、膣、眼内、局所投与、皮下、脂肪内、関節内、及び髄腔内を含むが、これらに限定されない。特定のいくつかの実施形態では、経口で投与される。アンロチニブの投与量は疾患の重症度、疾患の応答、治療関連の毒性、患者の年齢もしくは健康状態から決定されてもよい。例えば、アンロチニブの1日投与量は2mgから20mgである。いくつかの実施形態では、アンロチニブ又は薬学的に許容されるその塩の1日投与量は2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16mgであってもよい。アンロチニブは毎日に1回又は複数回投与されてもよい。いくつかの実施形態では、アンロチニブは経口固形製剤として毎日に1回投与される。
【0161】
アンロチニブの治療計画は薬物の活性、毒性、患者の忍容性などから総合的に決定されてもよい。好ましくは、アンロチニブが間隔をあけて投与される。間隔をあけた投与とは治療期間及び中断期間を含み、治療期間にはアンロチニブを毎日に1回又は複数回投与する。例えば、治療期間と中断期間の日数で計算する比は2:0.5~2:5で、好ましくは2:0.5~2:3で、より好ましくは2:0.5~2:2で、さらに好ましくは2:0.5~2:1である。いくつかの実施形態では、治療は、2週間投与され、2週間中断される。いくつかの実施形態では、治療は、2週間投与され、1週間中断される。いくつかの実施形態では、治療は、5日間投与され、2日間中断される。例えば、アンロチニブは、毎日1回、6mg、8mg、10mg又は12mgの用量で、2週間投与され、1週間中断され得る。
【0162】
用語「薬学的に許容される」とは、正常な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー反応、又は他の問題や合併症はなく、ヒト又は動物の組織に接触して使用することに適し、合理的な利益/リスク比に見合った、化合物、材料、組成物、及び/又は剤形をいう。
【0163】
用語「薬学的に許容される塩」は塩基イオンと遊離酸が形成した塩、酸性イオンと遊離塩基が形成した塩を含み、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、硝酸塩、硫酸塩、リン酸塩、ギ酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、フマル酸塩、シュウ酸塩、マレイン酸塩、クエン酸塩、コハク酸塩、メシル酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-メチルベンゼンスルホン酸塩、好ましくは、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、ギ酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、メシル酸塩、p-メチルベンゼンスルホン酸塩、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、アミノ酸塩などが挙げられる。本願では、薬学的に許容される塩を形成する場合に、前記遊離酸と塩基イオンのモル比は約1:0.5~1:5であり、好ましくは1:0.5、1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7又は1:8である。
【0164】
本明細書で、用語「対象」又は「患者」は互換的に使用される。いくつかの実施形態では、用語「対象」又は「患者」は哺乳類である。一部の実施形態では、前記対象又は患者はマウスである。一部の実施形態では、前記対象又は患者はヒトである。
【0165】
用語「約」とは平均値から3つの標準偏差の範囲、又は特定分野では許容範囲を含むと理解される。いくつかの実施形態では、用語「約」とは差が0.5を超えない変動(variation)として理解される。用語「約」はその後ろに記される値を修飾する。例えば、「約1、2、及び3」とは「約1」、「約2」、及び「約3」を意味する。
【0166】
本明細書で使用される用語「併用(combined use)」又は「組み合わせて使用する(use in combination)」とは、2種又はそれ以上の複数種の有効物質が、単一の製剤として任意の順序で、同時に又は順に、対象に投与されることをいう。
【0167】
用語「1回用量」とは所定量の薬物を含む最小単位の包装を指し、例えば7つのカプセルが入った箱では、各カプセルが1回用量で、又は1バイアルの注射剤は1回用量になる。本明細書で、用語「1回用量」と「単位用量」は意味が同じで、互換的に使用される。
【0168】
用語「複数回用量」は複数の1回用量からなる。
【0169】
用語「医薬組成物」とは、1種以上の本開示の有効成分又はその薬物の組み合わせと、薬学的に許容される賦形剤とからなる混合物をいう。医薬組成物は対象に本願の化合物又
はその薬物の組み合わせを投与しやすいようになされるものである。
【0170】
本明細書で、特段の説明がなければ、用語「含む、含有する(comprise、comprises、comprising)」又はそれらと同等な表現は、オープンエンドの記述であり、列挙された要素、成分、及びステップの他にも、明記されていない要素、成分、及びステップを含み得ることを意味する。
【0171】
本明細書には、説明と開示の目的のために、特許、特許出願、及び既存の他の刊行物の全体が援用されて組み込まれる。これらの刊行物は、本願の出願日より先に公開されたものであるため提供される。これらの文献に関する公開日の記述やその内容に関する記述はいずれも出願者の入手可能な情報に基づくもので、これらの文献の公開日又はその内容に関する正確性の声明とは一切認められない。しかも、国や地域に関わらず、本明細書でこれらの刊行物が援用されることが、当該刊行物を本分野の周知常識と認めることではない。
【実施例】
【0172】
次に、実施例を用いて本願を一層説明するが、本願の範囲がこれらの実施例に限定されない。本願で使用される試薬はいずれも市販品で、さらに精製しなくても使用できる。実施例では、抗PD-L1抗体はWO2016022630に記載の方法で製造され、アフィニティークロマトグラフィーを行った後、通常の抗体精製方法で当該抗体を含む溶出液を得た。
【0173】
実施例1:胆道系腫瘍臨床試験
1.1 組み入れ基準
1)18歳以上、ECOG全身状態スコアは0~1、予想生存期間は3か月以上。
2)組織学的に又は病理学的に手術切除不能又は転移性の胆管がん患者と確診され、肝内胆管がん(IHCC)、肝外胆管がん(EHCC)、胆嚢がん(GBC)を含む。
3)患者に少なくとも1つの測定可能病変がある(RECIST 1.1)。
【0174】
4)第一選択の化学療法を受けたことがあり治療が失敗した患者。化学療法が失敗したとは、治療中又は最終回の治療後に疾患進行が認められ、又は治療中に毒性又は副作用により忍容性がないことである。
5)臨床検査は以下を満たす必要がある:血液検査:ヘモグロビン(Hb)≧80g/L(14日以内に輸血を受けていない)、好中球絶対数(ANC)≧1.5×109/L、血小板(PLT)≧75×109/L、生化学的検査:アラニンアミノ基転移酵素(ALT)及びアスパラギン酸アミノ基転移酵素(AST)≦2.5×ULN(肝転移の場合は、≦5×ULN)、血清総ビリルビン(TBIL)≦2×ULN(ジルベール(Gilbert)症候群の場合は、≦3×ULN)、血清クレアチニン(Cr)≦1.5×ULN、且つクレアチニン・クリアランスレート>50μmol/L、血液凝固機能:活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)、国際標準比(INR)、及びプロトロンビン時間(PT)≦1.5×ULN;ドップラー超音波検査:左室駆出率(LVEF)≧50%。
6)女性の対象は研究期間及び研究終了後の6か月以内に避妊器具(例えば子宮内避妊器具[IUD]、避妊薬、又はコンドーム)を使用することに同意しなければならず、参加前の7日以内で血清又は尿の妊娠検査が陰性で、且つ非授乳中でなければならない。男性の対象は研究期間及び研究終了後の6か月以内に避妊器具を使用することに同意しなければならない。
7)患者は自らの意思で本研究に加わり、インフォームド・コンセントに署名し、コンプライアンスが良好である。
【0175】
1.2 被験薬
抗PD-L1抗体注射剤hu5G11-hIgG1:1200mgの抗PD-L1抗体注射剤(100mg/10mL)を生理食塩水で250mLに希釈し、希釈した薬物は注入により60±5分で投与され、注入完了後は通常の医療操作として生理食塩水で管を洗い流し、21日ごとに1回投与し、つまり21日の治療期間で投与した。
アンロチニブ塩酸塩カプセル(有効成分はアンロチニブ二塩酸塩):抗PD-L1抗体の注入開始の5分前又は後に空腹時にアンロチニブ塩酸塩カプセル10mgを経口投与し、2週間投与して1週間中断する、つまり21日の治療期間で投与した。
用量:12mg、10mg、及び8mg。
【0176】
1.3 評価基準
RECIST 1.1/irRECISTに基づいて病状判定を行う。RECIST 1.1評価基準を主とする。
【0177】
1.4 エンドポイント
奏効率(ORR)=(完全奏効(CR)+部分奏効(PR))
抗腫瘍効果エンドポイント:無増悪生存期間(PFS)、疾患制御率(DCR=CR+PR+安定(SD))、全生存期間(OS)、安定(SD)、PR(部分奏効)など。
【0178】
【0179】
投薬:患者C01002、C01007、及びC01017には1200mgの抗PD-L1抗体hu5G11-hIgG1注射剤と10mgのアンロチニブ塩酸塩カプセルの組み合わせを投与した。患者C01009及びC01021には、1200mgの抗PD-L1抗体hu5G11-hIgG1注射剤と12mgのアンロチニブ塩酸塩カプセルの組み合わせを投与した。患者C01006には1200mgの抗PD-L1抗体hu5G11-hIgG1注射剤と12mgのアンロチニブ塩酸塩カプセルの組み合わせを投与し、後にアンロチニブ塩酸塩カプセルの方を10mgに低減した(本願の実施例で、アンロチニブ塩酸塩カプセルの量はその中のアンロチニブの重量に基づいて計算した)。
【0180】
患者診断及び治療歴:
患者C01002:左肝半分切除(left hemihepatectomy)+肝腫大リンパ節切除術(hepatomegaly lymphadenectomy)。放射線療法及びDC-CIK細胞による治療2期間後に転移、ラジオナイフ治療3回及びGP治療(ゲムシタビン+シスプラチン)4期間後に疾患進行が認められた。患者C01006:免疫組織化学:CA19.9(2+)、CK18(3+)、CK19(2+)、CK7(2+)、Ki-67(+20~30%)。アルブミンパクリタキセル+テガフール-ギメラシル-オテラシルカリウムカプセル治療6期間後に、PD、その後、介入治療後にPD(疾患進行)と認められた。
【0181】
患者C01007:免疫組織化学:CA19.9(2+)、CD34(2+)、CK18(2+)、CK19(2+)、CK7(2+)、Ki-67(+10%)。ゲムシタビン+カペシタビン併用治療、骨髄抑制。疾患進行後、オキサリプラチン+テガフール-ギメラシル-オテラシルカリウムカプセルq3w。その後、アルブミンパクリタキセル+アパチニブ。
患者C01009:免疫組織化学:PCX(+)、CK(+)、CK19(一部+)、AFP(+)、CD56(+)、Ki-67(+10%)、ゲムシタビン1.4g d1/8+シスプラチン40mg d2、3、不忍容性。
【0182】
患者C01017:免疫組織化学:CK18(3+)、CK19(3+)、CK7(3+)、CA19.9(1+)、AFP(1+)、Ki-67(+30%)。GC治療(ゲムシタビン1.6g d1/1.4g d8+テガフール-ギメラシル-オテラシル60mg bid po/3w)は、4期間後に不忍容性。
患者C01021:テガフール-ギメラシル-オテラシルカリウム+オキサリプラチン併用、6期間。
【0183】
実施例2:肝がん臨床試験
2.1 組み入れ基準
1)18歳以上、ECOG全身状態スコアは0~1分、予想生存期間は3か月以上。
2)病理組織学的又は細胞学的検査で確診された晩期肝細胞がん(バルセロナ肝がん病期のC期、又は治療は不向きとされるか難治性(refractory)のB期)。
3)患者に少なくとも1つの測定可能病変がある(RECIST 1.1)。
4)肝がん患者は免疫療法を受けていなかった。
【0184】
5)臨床検査適合要件:血液検査:ヘモグロビン(Hb)≧80g/L(14日以内に輸血を受けていない)、好中球絶対数(ANC)≧1.5×109/L、血小板(PLT)≧75×109/L、生化学的検査:アラニンアミノ基転移酵素(ALT)及びアスパラギン酸アミノ基転移酵素(AST)≦2.5×ULN(肝転移のある患者の場合は、≦5×ULN)、血清総ビリルビン(TBIL)≦2×ULN(ジルベール(Gilbert)症候群のある患者の場合は、≦3×ULN)、血清クレアチニン(Cr)≦1.5×ULN、且つクレアチニン・クリアランスレート>50μmol/L、血液凝固機能:活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)、国際標準比(INR)、プロトロンビン時間(PT)≦1.5×ULN、ドップラー超音波検査:左室駆出率(LVEF)≧50%。
6)女性の対象は研究期間及び研究終了後の6か月以内に避妊器具(例えば子宮内避妊器具[IUD]、避妊薬、又はコンドーム)を使用することに同意しなければならず、参加前の7日以内で血清又は尿の妊娠検査が陰性で、且つ非授乳期でなければならない。男性の対象は研究期間及び研究終了後の6か月以内に避妊器具を使用することに同意しなければならない。
7)患者は自らの意思で本研究に加わり、インフォームド・コンセントに署名し、コンプライアンスが良好である。
【0185】
2.2 被験薬
抗PD-L1抗体hu5G11-hIgG1注射剤:1200mgの抗PD-L1抗体注射剤(100mg/10mL)を生理食塩水で250mLに希釈し、希釈した薬物は60±5分で注入により投与し、注入完了後は通常の医療操作として生理食塩水で管を洗い流し、21日ごとに1回投与した。
アンロチニブ塩酸塩カプセル(有効成分はアンロチニブ二塩酸塩):抗PD-L1抗体の注入開始の5分前又は後に空腹時にアンロチニブ塩酸塩カプセル10mgを経口投与し、2週間投与して1週間中断する、つまり21日の治療期間で投与した。
用量:12mg、10mg、及び8mg。
【0186】
2.3 評価基準
RECIST 1.1/irRECISTに基づいて病状判定を行う。RECIST 1.1評価基準を主とする。
【0187】
2.4 エンドポイント
奏効率(ORR)=(完全奏効(CR)+部分奏効(PR))
抗腫瘍効果エンドポイント:無増悪生存期間(PFS)、疾患制御率(DCR=CR+PR+安定(SD))、全生存期間(OS)、安定(SD)、部分奏効(PR)など。
【0188】
【0189】
投薬プロファイル:患者C01003、C01005、C01015、及びC01020には、1200mgの抗PD-L1抗体hu5G11-hIgG1注射剤と10mgのアンロチニブ塩酸塩カプセルの組み合わせを投与した。患者C01013には、1200mgの抗PD-L1抗体hu5G11-hIgG1注射剤と12mgのアンロチニブ塩酸塩カプセルの組み合わせを投与した。患者C01019には、1200mgの抗PD-L1抗体hu5G11-hIgG1注射剤と10mgのアンロチニブ塩酸塩カプセルを併用し、後にアンロチニブ塩酸塩カプセルの方を8mgに低減した。
【0190】
患者診断及び治療歴:
患者C01003:免疫組織化学:Arg-1(1+)、CD34(3+)、CK18(2+)、GPC3(1+)、肝細胞(Hepatocyte)(3+)、Ki-67(+80%)、CD31(3+)、ソラフェニブに不忍容性。
患者C01005:ソラフェニブ投与後、疾患進行。
【0191】
患者C01013:手術及びレンバチニブカプセルの経口投与後、疾患進行。
患者C01020:レンバチニブ経口投与に不忍容性。
患者C01019及びC01015:標準的な治療を受けたことがない。
【0192】
実施例3:トリプルネガティブ乳がん臨床試験
実施例1. 臨床試験
3.1 組み入れ基準
1)18~75歳、ECOG全身状態スコアは0~1、予想生存期間は3か月以上。
2)組織学的又は細胞学的方法で確診された再発性又は転移性のトリプルネガティブ乳がんで、トリプルネガティブ乳がんとはエストロゲン受容体(ER)、プロゲステロン受容体(PR)、及びヒト上皮成長因子受容体(Her-2)が陰性であると定義される。ER/PR陰性は以下のように定義された:ER陰性とはER<1%陽性と、PR陰性とはPR<1%陽性と定義された。Her-2陰性とは、免疫組織化学的にHer-2(-)又は(1+)と定義され、Her-2(2+)の場合はFISH検査を受け結果が陰性でなければならず、Her-2(-)又は(1+)の場合はFISH検査を選択的に受けてもよいが、結果が陰性でなければならない。
3)患者に少なくとも1つの測定可能病変がある(RECIST 1.1)。
4)少なくとも、アントラサイクリン系及び/又はタキサン系の第一選択全身治療を受けたことがあり、最終回の治療後、疾患進行が認められた。治療期間又は治療終了後の6か月以内に再発又は疾患進行した場合は、治療失敗とみなす。
【0193】
5)臨床検査適合要件:血液検査:ヘモグロビン(Hb)≧80g/L(14日以内に輸血を受けていない)、好中球絶対数(ANC)≧1.5×109/L、血小板(PLT)≧75×109/L、生化学的検査:アラニンアミノ基転移酵素(ALT)及びアスパラギン酸アミノ基転移酵素(AST)≦2.5×ULN(肝転移のある患者は、≦5×ULN)、血清総ビリルビン(TBIL)≦1.5×ULN(ジルベール(Gilbert)症候群のある患者は、≦3×ULN)、血清クレアチニン(Cr)≦1.5×ULN、且つクレアチニン・クリアランスレート>50μmol/L、血液凝固機能:活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)、国際標準比(INR)、プロトロンビン時間(PT)≦1.5×ULN、ドップラー超音波検査:左室駆出率(LVEF)≧50%。
6)女性の対象は研究期間及び研究終了後の6か月以内に避妊器具(例えば子宮内避妊器具[IUD]、避妊薬、又はコンドーム)を使用することに同意しなければならず、参加前の7日以内で血清又は尿の妊娠検査が陰性で、且つ非授乳期でなければならない。男性の対象は研究期間及び研究終了後の6か月以内に避妊器具を使用することに同意しなければならない。
7)患者は自らの意思で本研究に加わり、インフォームド・コンセントに署名し、コンプライアンスが良好である。
【0194】
3.2 被験薬
抗PD-L1抗体hu5G11-hIgG1注射剤:1200mgの抗PD-L1抗体注射剤(100mg/10mL)を生理食塩水で250mLに希釈し、希釈した薬物は60±5分で注入により投与し、注入完了後は通常の医療操作として生理食塩水で管を洗い流し、21日ごとに1回投与した。
アンロチニブ塩酸塩カプセル(有効成分はアンロチニブ二塩酸塩):抗PD-L1抗体の注入開始の5分前又は後に空腹時にアンロチニブ塩酸塩カプセル10mgを経口投与し、2週間投与して1週間中断する、つまり21日の治療期間で投与した。
用量:12mg、10mg、及び8mg。
【0195】
3.3 評価基準
RECIST 1.1/irRECISTに基づいて病状判定を行う。RECIST
1.1評価基準を主とする。
【0196】
3.4 エンドポイント
奏効率(ORR)=(完全奏効(CR)+部分奏効(PR))
抗腫瘍効果指標:無増悪生存期間(PFS)、疾患制御率(DCR=CR+PR+安定(SD))、全生存期間(OS)など。
【0197】
【0198】
投薬プロファイル:患者C01001及びC01003には、1200mgの抗PD-L1抗体hu5G11-hIgG1注射剤と10mgのアンロチニブ塩酸塩カプセルを併用した。患者C01004、C01005、C01006、C01007、C01008及びC01009には、1200mgの抗PD-L1抗体hu5G11-hIgG1注射剤と12mgのアンロチニブ塩酸塩カプセルの組み合わせを投与した。
【0199】
患者診断及び治療歴:
患者C01001:左乳房に浸潤性乳がん、リンパ節転移あり。これまでに根治手術、化学療法(AT治療(ドキソルビシン+ドセタキセル、3期間)、AC治療(ドキソルビシン+シクロホスファミド、3期間)、GP治療(ゲムシタビン+カルボプラチン、4期間))、放射線療法(100Gy、50Gy)を順次実施。
患者C03003:右乳房に浸潤性乳がん、リンパ節転移あり。これまでに根治手術、化学療法(ピラルビシン+シクロホスファミド+ドセタキセル、8期間)、放射線療法を順次実施。
患者C01004:右乳房に浸潤性乳がん、肺転移、骨転移の疑いあり。これまでに根治手術、化学療法(AC-T治療(ピラルビシン+シクロホスファミド+パクリタキセル、8期間)、カペシタビン(6期間)、TC治療(ドセタキセル+カルボプラチン、8期間)、ドセタキセル(2期間))、放射線療法(50Gy)を順次実施。
患者C01005:右乳房に浸潤性乳がん、肺転移と肝転移あり。これまでに根治手術、化学療法(AC-T治療(ピラルビシン+シクロホスファミド+パクリタキセル、8期間)、TX+ニモツズマブ(ドセタキセル+カペシタビン、6期間)、GP治療(ゲムシタビン+シスプラチン、4期間)、ゲムシタビン+カルボプラチン(1期間)、及びIM
P4297カプセル(PARP阻害剤))、及び放射線療法を順次実施。
【0200】
患者C01006:右乳房に浸潤性乳がんあり。これまでに根治手術、化学療法(TEC治療(パクリタキセル+エピルビシン+シクロホスファミド)、GP治療(ゲムシタビン+シスプラチン、6期間)、TX治療(ドセタキセル+カペシタビン、1期間))、放射線療法を順次実施。
患者C01007:左乳房に浸潤性乳がん、リンパ節転移あり。これまでに根治手術、化学療法(TC治療(パクリタキセル+カルボプラチン、6期間)、パクリタキセル+カペシタビン(3期間))、及び放射線療法(223.4Gy)を順次実施。
患者C01008:左乳房に浸潤性乳がんあり。これまでに根治手術、化学療法(EC-T治療(エピルビシン+シクロホスファミド+パクリタキセル、8期間))、放射線療法を順次実施。
患者C01009:左乳房に浸潤性乳管がん、リンパ節転移あり。これまでに根治手術、化学療法(TAC治療(ピラルビシン+シクロホスファミド+パクリタキセル、6期間)、パクリタキセル(9期間)、カルボプラチン(1期間))を順次実施。
【0201】
実施例4:肺がん臨床試験
4.1 組み入れ基準
1)18歳以上、ECOG全身状態スコアは0~1、予想生存期間は3か月以上。
2)組織学的に又は細胞学的に非小細胞肺がんと確診された。
3)少なくとも第一選択標準化学療法を受けたことがあるが、治療が失敗した又は化学療法に不忍容性であり、晩期(IIIB/IV期)患者で、the Response Evaluation Criteria in Solid Tumors(RECIST 1.1)により、少なくとも1つの測定可能病変が認められる。
4)腫瘍におけるPD-L1発現が陽性である(腫瘍比率スコアTPS≧1%)。
組織検体:ホルマリンで固定し、パラフィンで包埋した腫瘍検体をPD-L1分析に用いる。組織検体はランダムに組み入れる前に中央のサービスプロバイダーが受け取って評価を行う必要がある。細針で吸引した検体は使用しない。コアニードル生検、生検組織切除検体又は切除組織は使用可能であった。
【0202】
5)正常な主な臓器の機能が、下記の基準を満たす。
a)血液検査:ヘモグロビン(Hb)≧90g/L(14日以内に輸血を受けていない)、好中球絶対数(ANC)≧1.5×109/L、血小板(PLT)≧80×109/L。
b)生化学的検査:アラニンアミノ基転移酵素(ALT)及びアスパラギン酸アミノ基転移酵素(AST)≦2.5×ULN(肝転移のある患者は、≦5×ULN)、血清総ビリルビン(TBIL)≦1.5×ULN(ジルベール(Gilbert)症候群のある患者は、≦3×ULN)、血清クレアチニン(Cr)≦1.5×ULN、又はクレアチニン・クリアランスレート計算値≧50mL/分。
クレアチニン・クリアランスレート:Ccr=(140-年齢)×体重(kg)/72×Scr(mg/dL)。
Ccr=[(140-年齢)×体重(kg)/[0.818×Scr(μmol/L)]
女性の場合は、算出したレートに0.85を乗じる;1mg/dL=88.41μmol/L。
c)血液凝固:活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)、国際標準比(INR)、プロトロンビン時間(PT)≦1.5×ULN。
6)女性の対象は研究期間及び研究終了後の6か月以内に避妊器具(例えば子宮内避妊器具[IUD]、避妊薬、又はコンドーム)を使用することに同意しなければならず、参加前の7日以内で血清又は尿の妊娠検査が陰性で、且つ非授乳期でなければならない。男
性の対象は研究期間及び研究終了後の6か月以内に避妊器具を使用することに同意しなければならない。
7)患者は自らの意思で本研究に加わり、インフォームド・コンセントに署名し、コンプライアンスが良好である。
【0203】
4.2 除外基準
1)これまでにアンロチニブ塩酸塩、他のPD-1/PD-L1抗体、又はPD-1/PD-L1抗体に対する他の免疫療法を受けたことがある。
2)他のモノクローナル抗体の投与後に重度の過敏症が認められる。
3)現在又は5年以内に他の悪性腫瘍がある(治癒した基底細胞がん、子宮頚部がんを除く)。
4)活動性の自己免疫疾患又は自己免疫疾患の病歴がある(例えば、自己免疫性肝炎、間質性肺炎、腸炎、血管炎、腎炎を含み、これらに限定されない。気管支拡張薬による医学的処理を必要とする喘息患者は入れない)。ただし全身治療を必要としない白斑、乾癬、脱毛症患者、効果的な進行抑制が認められるI型糖尿病患者、ホルモン補充療法後に甲状腺機能が正常な甲状腺機能低下症患者は参加可能であった。
5)現在免疫抑制剤を使用しているか、又は免疫抑制のための全身治療(>10mg/日のプレドニゾン、又は他の同等の効果を持つホルモン薬)を、初回投与前の2週以内に行っている。
6)経口投与に影響のある要因が存在する(例えば嚥下障害、胃腸切除術後、慢性下痢、腸閉塞など)。
7)コントロールができず繰り返しドレナージを必要とする胸水、心嚢液貯留又は腹水。
【0204】
8)画像学所見(CT又はMRI)で腫瘍の大血管浸潤又は大血管との境界不明瞭が認められる。
9)初回投与前の4週間以内に、CTCAE3級以上の出血又は流血の事態があり、又は癒合していない創傷、潰瘍又は骨折がある。
10)初回投与前の8週間以内に、コントロールされていない脳転移症状、脊髄圧迫、がん性髄膜炎が認められ、又はCT又はMRI検査で脳又は軟膜に疾患が認められる。
11)これまでに放射線療法、化学療法、及び手術が4週未満、経口標的療法が5半減期未満、経口フルオロウラシルが14日未満、マイトマイシンC又はニトロソウレアが6週未満である。CTCAE1級以下に回復しなかった有害事象(脱毛症は除く)を有する患者である。
12)下記の重度及び/又は制御不能な疾患がある患者である。
a)血圧管理が不十分である(収縮期血圧≧150mmHg、拡張期血圧≧90mmHg)。
b)初回投与前の6か月以内に不安定狭心症、心筋梗塞、2級以上のうっ血性心不全、又は治療を必要とする不整脈(QTc≧480msを含む)が認められる。
c)活動性又は制御不能な重篤な感染症(CTCAE2級以上の感染)。
d)肝硬変、代償不全肝疾患、抗ウイルス治療を必要とする活動性肝炎又は慢性肝炎。
*活動性肝炎(B型肝炎:HBsAg陽性で、且つHBV DNA検査値が正常上限を超えている。C型肝:HCV抗体陽性で、且つHCVウイルス力価検査値が正常上限を超えている)。
e)HIV陽性。
f)コントロールが不十分な糖尿病(空腹血糖CTCAE2級以上)。
g)尿検査で尿タンパクが++以上で、且つ24時間内尿タンパク量が1.0gを超えている。
13)初回投与前4週間以内にワクチン又は弱毒化ワクチンを接種したことがある。
14)その他、研究者の判断により中止になる可能性のある要因。例えば、同時の治療
を必要とする他の重篤な疾患(精神疾患を含む)、重篤な臨床検査値の異常、対象の安全又は資料と検体の収集に影響がある、家庭的又は社会的な要因。
【0205】
4.3 被験薬
抗PD-L1抗体hu5G11-hIgG1注射剤:1200mgの抗PD-L1抗体注射剤(100mg/10mL)を生理食塩水で250mLに希釈し、希釈した薬物を60±5分で注入により投与し、注入完了後は通常の医療操作として生理食塩水で管を洗い流し、21日ごとに1回投与した。
アンロチニブ塩酸塩カプセル(有効成分はアンロチニブ二塩酸塩):抗PD-L1抗体の注入開始の5分前又は後に空腹時にアンロチニブ塩酸塩カプセル10mgを経口投与し、2週間投与して1週間中断する、つまり21日の治療期間で投与した。
仕様:12mg、10mg、及び8mg。
【0206】
4.4 評価基準
RECIST 1.1/irRECISTに基づいて病状判定を行う。RECIST 1.1評価基準を主とする。
【0207】
4.5 エンドポイント
無増悪生存期間(PFS);
抗腫瘍効果エンドポイント:奏効率(ORR)=(完全奏効(CR)+部分奏効(PR))、疾患制御率(DCR=CR+PR+安定(SD))、全生存期間(OS)など。
【0208】
【0209】
患者診断:
患者01:左肺上部における中分化ないし低分化腺がん、リンパ節と両側肺に転移あり。遺伝子型:BRAF p.V600E。
患者08:左肺腺がん。遺伝子型:EGFR del/EGFR-T790M。
患者011:再発肺腺がん(ステージIVA)、転移あり。遺伝子型:EGFR。
【0210】
上記実施例で、各治療期間が21日を要し、C2、C4、C6、C8、及びC10とはそれぞれ2期間、4期間、6期間、8期間、10期間を表す。上記実施例で、標的病変のサイズ(ベースライン)とは試験治療前の標的病変のX線写真の最長径をいう。
【配列表】
【手続補正書】
【提出日】2021-08-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗PD-L1抗体と、アンロチニブとを含む併用医薬組成物
であって、
前記抗PD-L1抗体は、以下のアミノ酸配列:配列番号1又は配列番号4に示すアミノ酸配列と少なくとも80%の相同性を有する重鎖CDR1領域、配列番号2又は配列番号5に示すアミノ酸配列と少なくとも80%の相同性を有する重鎖CDR2領域、配列番号3又は配列番号6に示すアミノ酸配列と少なくとも80%の相同性を有する重鎖CDR3領域、配列番号7又は配列番号10に示すアミノ酸配列と少なくとも80%の相同性を有する軽鎖CDR1領域、配列番号8又は配列番号11に示すアミノ酸配列と少なくとも80%の相同性を有する軽鎖CDR2領域、及び配列番号9又は配列番号12に示すアミノ酸配列と少なくとも80%の相同性を有する軽鎖CDR3領域を含む、併用医薬組成物。
【請求項2】
胆道系腫瘍、肝がん、トリプルネガティブ乳がん、又は肺がんの治療に用いられる請求項1に記載の併用医薬組成物。
【請求項3】
抗PD-L1抗体の医薬組成物と、アンロチニブの医薬組成物とを含む、請求項1又は2に記載の併用医薬組成物。
【請求項4】
前記併用医薬組成物はキットに包装され、前記キットは、胆道系腫瘍、肝がん、トリプルネガティブ乳がん、及び/又は肺がんの治療における抗PD-L1抗体とアンロチニブとの併用のための取扱説明書をさらに含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の併用医薬組成物。
【請求項5】
600~2400mgの抗PD-L1抗体を含む医薬組成物と、1回用量が6mg、8mg、10mg、及び/又は12mgであるアンロチニブを含む医薬組成物と、を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の併用医薬組成物。
【請求項6】
(0.35~29):1、好ましくは(3.5~29):1、より好ましくは(3.5~14.5):1、最も好ましくは(7~14.5):1の重量比で抗PD-L1抗体とアンロチニブとを含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の併用医薬組成物。
【請求項7】
前記併用医薬組成物は1治療期間(例えば21日間が1治療期間である)内における投与に適する製剤であり、600~2400mgの抗PD-L1抗体を含む医薬組成物と、84~168mgのアンロチニブを含む医薬組成物と、を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の併用医薬組成物。
【請求項8】
胆道系腫瘍、肝がん、トリプルネガティブ乳がん、及び/又は肺がんの治療用薬物の製造における、請求項1~7のいずれか1項に記載の併用医薬組成物の使用。
【請求項9】
胆道系腫瘍、肝がん、トリプルネガティブ乳がん、及び/又は肺がんの治療用薬物の製造における、抗PD-L1抗体及びアンロチニブの使用
であって、
前記抗PD-L1抗体は、以下のアミノ酸配列:配列番号1又は配列番号4に示すアミノ酸配列と少なくとも80%の相同性を有する重鎖CDR1領域、配列番号2又は配列番号5に示すアミノ酸配列と少なくとも80%の相同性を有する重鎖CDR2領域、配列番号3又は配列番号6に示すアミノ酸配列と少なくとも80%の相同性を有する重鎖CDR3領域、配列番号7又は配列番号10に示すアミノ酸配列と少なくとも80%の相同性を有する軽鎖CDR1領域、配列番号8又は配列番号11に示すアミノ酸配列と少なくとも80%の相同性を有する軽鎖CDR2領域、及び配列番号9又は配列番号12に示すアミノ酸配列と少なくとも80%の相同性を有する軽鎖CDR3領域を含む、抗PD-L1抗体及びアンロチニブの使用。
【請求項10】
前記抗PD-L1抗体とアンロチニブはそれぞれ医薬組成物の形態であり、同時に、順に、又は間隔をあけて投与される、請求項8又は9に記載の使用。
【請求項11】
前記抗PD-L1抗体は週に、2週に、3週に、又は4週に1回投与され、好ましくは、600~2400mgの用量で投与される、請求項8~10のいずれか1項に記載の使用。
【請求項12】
アンロチニブは毎日1回6mg、8mg、10mg、又は12mgの用量で、2週間の治療と1週間の中断の治療計画で投与される、請求項8~11のいずれか1項に記載の使用。
【請求項13】
胆道系腫瘍、肝がん、トリプルネガティブ乳がん、及び/又は肺がんの治療用キットであって、抗PD-L1抗体の医薬組成物と、アンロチニブの医薬組成物と、胆道系腫瘍、肝がん、トリプルネガティブ乳がん、及び/又は肺がんの治療における抗PD-L1抗体とアンロチニブとの併用のための取扱説明書と、を含
み、
前記抗PD-L1抗体は、以下のアミノ酸配列:配列番号1又は配列番号4に示すアミノ酸配列と少なくとも80%の相同性を有する重鎖CDR1領域、配列番号2又は配列番号5に示すアミノ酸配列と少なくとも80%の相同性を有する重鎖CDR2領域、配列番号3又は配列番号6に示すアミノ酸配列と少なくとも80%の相同性を有する重鎖CDR3領域、配列番号7又は配列番号10に示すアミノ酸配列と少なくとも80%の相同性を有する軽鎖CDR1領域、配列番号8又は配列番号11に示すアミノ酸配列と少なくとも80%の相同性を有する軽鎖CDR2領域、及び配列番号9又は配列番号12に示すアミノ酸配列と少なくとも80%の相同性を有する軽鎖CDR3領域を含む、キット。
【請求項14】
前記キットは1治療期間(例えば21日間が1治療期間である)内における投与に適し
ており、600~2400mgの抗PD-L1抗体を含む医薬組成物と、84~168mgのアンロチニブを含む医薬組成物と、を含む、請求項13に記載のキット。
【請求項15】
前記抗PD-L1抗体は、以下のアミノ酸配列:配列番号1及び配列番号4からなる群から選ばれる重鎖CDR1領域、配列番号2及び配列番号5からなる群から選ばれる重鎖CDR2領域、配列番号3及び配列番号6からなる群から選ばれる重鎖CDR3領域、配列番号7及び配列番号10からなる群から選ばれる軽鎖CDR1領域、配列番号8及び配列番号11からなる群から選ばれる軽鎖CDR2領域、並びに配列番号9及び配列番号12からなる群から選ばれる軽鎖CDR3領域を含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の併用医薬組成物、請求項8~12のいずれか1項に記載の使用、又は請求項13もしくは14に記載のキット。
【請求項16】
前記抗PD-L1抗体は、配列番号1に示すアミノ酸配列を有する重鎖CDR1領域、配列番号2に示すアミノ酸配列を有する重鎖CDR2領域、配列番号3に示すアミノ酸配列を有する重鎖CDR3領域、配列番号7に示すアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1領域、配列番号8に示すアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2領域、及び配列番号9に示すアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3領域を含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の併用医薬組成物、請求項8~12のいずれか1項に記載の使用、又は請求項13もしくは14に記載のキット。
【請求項17】
前記抗PD-L1抗体は、以下のアミノ酸配列:配列番号13又は配列番号14に示すアミノ酸配列と少なくとも80%の相同性を有する重鎖可変領域、及び配列番号15又は配列番号16に示すアミノ酸配列と少なくとも80%の相同性を有する軽鎖可変領域を含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の併用医薬組成物、請求項8~12のいずれか1項に記載の使用、又は請求項13もしくは14に記載のキット。
【請求項18】
前記抗PD-L1抗体は、配列番号17に示す重鎖アミノ酸配列、及び配列番号18に示す軽鎖アミノ酸配列を含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の併用医薬組成物、請求項8~12のいずれか1項に記載の使用、又は請求項13もしくは14に記載のキット。
【請求項19】
前記抗PD-L1抗体は、hu13C5-hIgG1、hu13C5-hIgG4、hu5G11-hIgG1、及びhu5G11-hIgG4ヒト化抗体の重鎖可変領域からなる群から選ばれる重鎖可変領域と、hu13C5-hIgG1、hu13C5-hIgG4、hu5G11-hIgG1、及びhu5G11-hIgG4ヒト化抗体の軽鎖可変領域からなる群から選ばれる軽鎖可変領域とを含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の併用医薬組成物、請求項8~12のいずれか1項に記載の使用、又は請求項13もしくは14に記載のキット。
【請求項20】
アンロチニブは遊離塩基の形態又は薬学的に許容されるその塩の形態である、請求項1~7のいずれか1項に記載の併用医薬組成物、請求項8~12のいずれか1項に記載の使用、又は請求項13もしくは14に記載のキット。
【国際調査報告】