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▶ ビー.ブラウン メルズンゲン アーゲーの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-26
(54)【発明の名称】医療装置及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61L 27/04 20060101AFI20220519BHJP
   A61L 27/30 20060101ALI20220519BHJP
   A61L 27/56 20060101ALI20220519BHJP
   A61L 27/36 20060101ALI20220519BHJP
   A61L 17/14 20060101ALI20220519BHJP
   A61L 17/00 20060101ALI20220519BHJP
   A61L 15/18 20060101ALI20220519BHJP
   A61L 15/22 20060101ALI20220519BHJP
   A61L 31/02 20060101ALI20220519BHJP
   A61L 31/04 20060101ALI20220519BHJP
   A61L 31/08 20060101ALI20220519BHJP
   A61L 31/14 20060101ALI20220519BHJP
【FI】
A61L27/04
A61L27/30
A61L27/56
A61L27/36 100
A61L17/14 100
A61L17/00
A61L15/18 100
A61L15/22 100
A61L31/02
A61L31/04
A61L31/08
A61L31/14 400
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021547128
(86)(22)【出願日】2020-04-07
(85)【翻訳文提出日】2021-09-10
(86)【国際出願番号】 EP2020059886
(87)【国際公開番号】W WO2020208013
(87)【国際公開日】2020-10-15
(31)【優先権主張番号】19168697.1
(32)【優先日】2019-04-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508240177
【氏名又は名称】ビー.ブラウン メルズンゲン アーゲー
【氏名又は名称原語表記】B.BRAUN MELSUNGEN AG
【住所又は居所原語表記】Carl-Braun-Str. 1, 34212 Melsungen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】特許業務法人快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス ストール
(72)【発明者】
【氏名】ヘンイング ヴェッケン
【テーマコード(参考)】
4C081
【Fターム(参考)】
4C081AA01
4C081AA12
4C081AB13
4C081AC02
4C081AC03
4C081AC07
4C081AC11
4C081BB08
4C081CD31
4C081CG08
4C081DB03
(57)【要約】
本発明は、好ましくは腐食または生分解を受けやすい材料を含む装置本体(12)と、装置本体(12)がシェラックコーティング(14)によって少なくとも部分的に覆われているシェラックコーティング(14)と、を備え、
シェラックコーティング(14)は、0.1μmから20μmの厚さを有する、医療装置(10)に関する。さらに、本発明は、医療装置の製造方法に関する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
好ましくは腐食または生分解を受けやすい材料を含む装置本体(12)と、
前記装置本体(12)がシェラックコーティング(14)によって少なくとも部分的に覆われているシェラックコーティング(14)と、を備え、
前記シェラックコーティング(14)は、0.1μmから20μmの厚さを有することを特徴とする、医療装置(10)。
【請求項2】
前記シェラックコーティング(14)が、0.5μmから15μm、好ましくは1μmから10μmの厚さを有することを特徴とする請求項1に記載の医療装置(10)。
【請求項3】
前記シェラックコーティング(14)が、変化する厚さを有することを特徴とする請求項1または2に記載の医療装置(10)。
【請求項4】
前記シェラックコーティング(14)の厚さが、0.5μmから15μm、好ましくは1μmから10μmで変化することを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の医療装置(10)。
【請求項5】
前記装置本体(12)は、前記シェラックコーティング(14)で部分的にのみ覆われていることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の医療装置(10)。
【請求項6】
前記シェラックコーティング(14)が、前記医療装置(10)の総重量を基準にして、10-10重量%から99重量%、特に0.001重量%から20重量%、好ましくは0.01重量%から10重量%の比率を有することを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の医療装置(10)。
【請求項7】
前記シェラックコーティング(14)が、シェラックコーティングを含むワックスであることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の医療装置(10)。
【請求項8】
前記シェラックコーティング(14)が、ワックスを含まないシェラックコーティングであることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の医療装置(10)。
【請求項9】
前記装置本体(12)は、空隙、特に細孔を含み、好ましくは、前記空隙、特に細孔は、前記前記シェラックコーティング(14)で少なくとも部分的に充填されることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の医療装置(10)。
【請求項10】
前記装置本体(12)の機械的に分離された部分および/または電気的に絶縁された部分が前記シェラックコーティング(14)で少なくとも部分的に覆われていることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の医療装置(10)。
【請求項11】
前記装置本体(12)は、複数のフィラメントを含み、各フィラメントは、前記シェラックコーティング(14)で少なくとも部分的に覆われていることを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の医療装置(10)。
【請求項12】
腐食または生分解を受けやすい材料がマグネシウムであることを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載の医療装置(10)。
【請求項13】
腐食または生分解を受けやすい材料がマグネシウム合金であることを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載の医療装置(10)。
【請求項14】
前記医療装置は、特に、外科用インプラント、ステント、ステントグラフト、人工血管、血管アクセス、創傷被覆材、縫合糸、外科用メッシュ、外科用ワイヤ、外科用プレート、外科用ネジ、外科用釘、外科用アンカー、外科用クリップ、創傷閉鎖具、硬組織、好ましくは骨組織のためのインプラントを提供するボリューム、コネクタ、医療用チューブ、バッグ、医療用針およびプローブからなる群から選択される、インプラントであることを特徴とする、請求項1から13のいずれか一項に記載の医療装置(10)。
【請求項15】
特に、請求項1から14のいずれか一項に記載の医療装置(10)を製造する方法であって、
a)前記装置本体(12)を提供するステップであって、前記装置本体(12)が好ましくは腐食又は生分解を受けやすい材料を含むステップと、
b)前記装置本体(12)の表面、特に前記装置本体(12)の内面および/または外面上に前記シェラックコーティング(14)を形成するステップであって、前記コーティング(14)が0.1μmから20μmの厚さであるステップと、を備える方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装置本体およびシェラックコーティングを含む医療装置に関する。
【背景技術】
【0002】
マグネシウムは、その材料特性(例えば、無害な分解産物に対する生体内での低重量および腐食性分解または生分解)のために、医学の分野において有望な材料である。一方、大量の水素の放出をもたらす、生体内での迅速かつ制御不能な腐食または生分解は、依然として深刻なリスクである。
【0003】
マグネシウムの腐食または生分解を遅らせるために、マグネシウムは、例えば、マグネシウム表面をフッ化マグネシウム(MgF2)または腐食または生分解しにくい他の不活性マグネシウム化合物の層に変換することによって、直接的に改質されてもよい。しかしながら、このようなマグネシウム化合物の層は、しばしば脆く、医療装置の変形処理を必要とする製造処理中に裂けたり、剥がれたりする。さらに、このようなマグネシウム化合物は、しばしば、限定された生体適合性のみを示し、これは、分解の間に患者の身体(血流)中に分布される場合に特に不利である。さらに、このようなマグネシウム化合物の層は、医療装置の基材、例えばマグネシウムまたはマグネシウム合金の機械的特性を示さないので、医療装置の製造中に考慮されなければならない。
【0004】
マグネシウムの腐食または生分解を遅らせるためのさらなるアプローチによれば、マグネシウムは、ポリカプロラクトンまたはポリラクチドのような生体内で分解可能なポリマーによってコーティングされ得る。しかしながら、主として、このような分解性ポリマーコーティングは、2つの取水に悩まされている。第1に、このようなポリマーの分解は、典型的には、ほとんどが非常にゆっくりと起こる加水分解に基づく。より速い分解性ポリマーは、しばしば膨潤性であり、従って、分解の間、かなり大きな体積をとる。両方のシナリオは、装置寸法の良好な適合及び調整を必要とする医療装置のかなり複雑な製造をもたらす。
【0005】
第2に、大型医療装置の場合、分解性ポリマーコーティングは、腐食または生分解の開始を遅らせることしかできない。ポリマーに水が浸透する場合、腐食または生分解は、典型的にはもはや制御不可能である。したがって、かなり高いリスク、特に水素の爆発的な放出のリスクがある。さらに、水素放出の位置は、偶発的に、かつ予期せず起こり得る。次いで、大量のマグネシウムは、大きな表面のために分解が加速され、その結果、機械的安定性が急速に失われる。
【0006】
生理学的条件下で分解され得るマグネシウム合金を含み、外側ポリマーコーティングを含むステントは、国際公開第2013/024125号パンフレットから公知である。
【0007】
EP3120877A1は、第1の構造および第2の構造を含む管腔内装置に言及しており、第1の構造は、マグネシウム、亜鉛、鉄およびそれらの合金を含む群から選択される少なくとも1つの金属を含み、第2の構造は、ポリラクチド、ポリカプロラクトン、ポリ(トリメチレンカーボネート)、それらのコポリマー、およびそれらの混合を含む群から選択される少なくとも1つのポリマーを含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、上記に鑑みて、本発明の基本的な目的は、医療装置および医療装置を製造するためのプロセスを利用可能にすることであり、医療装置は、一般的な医療装置の背景において上述したような欠点を少なくとも部分的に回避し、特に、生体内での腐食または生分解に特に基づく、より制御可能な分解を容易にする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的は、独立請求項1に記載の医療装置および独立請求項15に記載の医療装置の製造方法によって達成される。好ましい実施形態は、従属クレームおよび本明細書において定義される。すべての請求項の主題および用語は、それぞれ、明示的な参照によって本明細書に組み込まれる。
【0010】
第1の態様によれば、本発明は医療装置に関する。医療装置は、装置本体を備える。好ましくは、装置本体は、腐食または生分解、特に生体内での腐食または生分解を受けやすい材料を含むか、またはそれからなる。さらに、医療装置はシェラックコーティングを含む。シェラックコーティングは、単層または多層、特に二層、三層または四層のシェラックコーティングの形態であり得る。
【0011】
装置本体は、少なくとも部分的に、特に部分的にのみまたは完全に、シェラックコーティングで覆われているか、またはコーティングされている。好ましくは、装置本体は、直ちに少なくとも部分的に、特に部分的にのみまたは完全に、シェラックコーティングで覆われるか、またはコーティングされる。
【0012】
好ましくは、医療装置は、シェラックコーティングが0.1μmから20μmの厚さを有することを特徴とする。
【0013】
本発明に従って使用される「シェラック」という用語は、典型的にはインドおよびタイの森の木の上で、雌のラックバグによって分泌される樹脂を指す。それは、処理され、乾燥フレークとして販売され、また、アルコールに溶解されて液体シェラックを製造することができる。その製造のために、シェラックは、雌のラックバグ、Kerria lacca (ヘミプテラ目、Kerriidae科、Laccifer laccaとしても知られる)がそれを分泌して、樹木の枝を横切る際にトンネル様の管を形成する樹木の樹皮からかき取られる。かき取り中に除去された樹皮削り屑およびラックバグを含む生のシェラックをキャンバスチューブに入れ、火をかけて加熱する。これにより、シェラックは液化し、キャンバスからしみ出て、樹皮及びバグをあとに残す。次に、濃い粘着性のシェラックを乾燥させて平らなシートにし、フレークに砕くか、または「ボタン」(パック/ケーキ)に乾燥させ、次いで袋詰めし、販売する。次いで、エンドユーザは、フレークを溶解し、液体シェラックを製造するために、利用前にそれを粉砕して微粉末にし、それをエチルアルコールと混合する。液体シェラックは、限られた貯蔵期間(約1年)を有する。従って、シェラックは、典型的には、使用前の溶解のために乾燥形態で販売される。シェラックは、もちろん、ラックバグに由来する少量の蝋(3から5体積%)を含有する。いくつかの調製において、このワックスは除去される。得られた生成物は「脱ロウシェラック」と呼ばれる。
【0014】
本発明の範囲内で適用可能な有用なシェラックは、例えば、シェラック(shellac)(ph.Eur.) CAS9000-59-3の表記で、またSSB (Stroever Schellack Bremen)によるSchellack SSB 55 PHARMA FL、Schellack SSB 56 PHARMA FLおよびSchellack SSB 57 PHARMA FLの商品名で市販されている。
【0015】
本発明に従って使用される「シェラックコーティング」という用語は、シェラックを含むか、またはシェラックからなり、特に、ワックスなどのシェラックに加えて任意の可能な成分を含むコーティングを指す。
【0016】
本発明は、特に、以下の利点を特徴とする:
驚くべきことに、シェラックは、特にマグネシウムまたはマグネシウム合金のような腐食または生分解の影響を受けやすい材料の、装置本体の、特に生体内での(すなわち、血液のような組織液との接触時の)腐食または生分解を遅らせることができるバリアまたは保護コーティングとして作用し得ることが判明した。
【0017】
有利には、シェラックコーティングは、水に対してある程度の安定性を示し、特に限られた水透過性のみを示す。したがって、装置本体の所望の特性、特に腐食または生分解を受けやすい材料の所望の特性を、できるだけ長く生体内で維持することができる。
【0018】
シェラックの促進された分解は、8以上のpH値からのみ生じる。したがって、血液(pH値7.4)などの組織液は、シェラックの分解を促進することができない。一方、マグネシウムやマグネシウム合金などの腐食や生分解しやすい材料の分解は、pH値の上昇を招く。したがって、シェラックコーティングの分解は、腐食または生分解を受けやすい材料の分解プロセスに組み込まれ得る。シェラックコーティングの望ましくない早すぎる分解、したがって腐食または生分解を受けやすい材料の望ましくない早すぎる分解を有利に回避することができる。したがって、この点に関しても、装置本体の所望の特性、特に腐食または生分解を受けやすい材料の所望の特性を、可能な限り長く維持することができる。
【0019】
さらに、シェラックコーティングの分解速度、したがって装置本体の分解速度、特に腐食または生分解を受けやすい材料の分解速度は、シェラックコーティングの厚さによって有利に制御することができる。したがって、装置本体が腐食または生分解の影響を受けやすい場合、腐食または生分解の間のガス放出または放散、ならびに細胞増殖障害および/または治癒の遅延など、それに関連する任意の悪影響を有利に防止することができる。
【0020】
従来のポリマーコーティングと比較して、シェラックの使用は、有利には、装置本体の、特に腐食または生分解を受けやすい材料の、遅延された、特に制御可能な分解、特に腐食または生分解を達成するために、より低いコーティング厚さを要求する。
【0021】
さらに、シェラックは、ヨーロッパ薬局方によるものであり、したがって、生体適合性の、特に非血栓性の材料を表す。特に、シェラックは、細胞増殖に悪影響を及ぼさない材料である。
【0022】
さらに、シェラックコーティングの厚さは、有利には、装置本体上で局所的に調整されてもよい。したがって、装置本体の、特に腐食または生分解を受けやすい材料の目標とする分解、特に腐食または生分解が達成可能である。特に、ガスの、特に水素の放出または放散の位置および量は、有利に制御および/または低減され得る。例えば、シェラックコーティングの厚さが異なり、したがって、特に腐食または生分解を受けやすい材料の、装置本体の異なる分解、特に腐食または生分解の速度を促進する部分を有することが可能である。したがって、装置本体の表面領域に、ガスの、特に水素の放出または放散がないようにすることが可能である。したがって、例えば、気体の、特に水素の蓄積による細胞増殖の局所的な障害、したがって治癒プロセスに対するあらゆる悪影響を回避することができる。これは、骨折の固定に有用なインプラントに関して特に有利である。
【0023】
ポリ(D,L)ラクチドなどの従来のポリマーとは対照的に、シェラックは、低い膨潤傾向を特徴とする。シェラックのこの特性はまた、シェラックコーティングの、したがって装置本体の、特に腐食または生分解を受けやすい材料の、望ましくない早期の分解、特に腐食または生分解を回避するために有用である。
【0024】
さらに、シェラックコーティングは、浸漬、湿潤、散布、滴下、噴霧などの様々な異なる処理技術によって装置本体に塗布することができる。これは、シェラックコーティングのより良好な調節、従って(より良好である)制御を容易にする。
【0025】
従来のポリマーとは対照的に、シェラックは、マグネシウムまたはマグネシウム合金などの腐食または生分解の影響を受けやすい材料に付着する、より良好な能力を示す。これは、シェラックコーティングを有する医療装置のより便利な製造を容易にする。
【0026】
さらに、ポリ(L)ラクチドなどの従来のポリマーとは対照的に、シェラックはまた、より有害でない、したがってエタノールなどのより生体適合性の溶媒にも溶解する。
【0027】
原則として、シェラックコーティングは、0.1μmから2mmのコーティング厚さを有することができる。しかしながら、既に述べたように、好ましくは、シェラックコーティングは、0.1μmから20μmの厚さを有する。
【0028】
本発明の一実施形態では、シェラックコーティングは、0.5μmから15μm、特に0.5μmから10μm、好ましくは1μmから10μm、より好ましくは1μmから5μmの厚さを有する。本段落で開示されるシェラックコーティングの厚さは、本発明の利点を実現する点で特に有利である。
【0029】
一般に、シェラックコーティングが均一な、すなわち一定の厚さ(コーティング厚さ)を有することが、本発明の範囲内で好ましい場合がある。
【0030】
しかしながら、シェラックコーティングが変化する厚さを有する、すなわち、異なるコーティング厚さを有する部分を含む場合、特に好ましい場合がある。したがって、本発明のさらなる実施形態では、シェラックコーティングは、変化する厚さを有する。換言すれば、シェラックコーティングは、シェラックコーティングの厚さに関して異なる部分を含むことが好ましい。したがって、シェラックコーティングの分解、したがって、装置本体の、特に腐食または生分解の影響を受けやすい材料の分解、特に腐食または生分解、特にガスの放出、特に水素の放出を、分解の間、特に腐食または生分解の間、目標とする方法で有利に制御することができる。
【0031】
原則として、シェラックコーティングの厚さは、0.1μmから2mmの範囲で変えることができる。好ましくは、シェラックコーティングの厚さは、0.1μmから20μmまで変化する。
【0032】
本発明のさらなる実施形態では、シェラックコーティングの厚さは、0.5μmから15μm、特に0.5μmから10μm、好ましくは1μmから10μm、より好ましくは1μmから5μmで変化する。上記の段落で述べた利点を必要な変更を加えて適用する。
【0033】
本発明のさらなる実施形態では、装置本体は、シェラックコーティングで部分的にのみ覆われるか、またはコーティングされる。換言すれば、本発明のさらなる実施形態によれば、装置本体は、シェラックコーティングがない、いくつかの表面領域、すなわち1つ(のみ)の表面領域または複数の表面領域、すなわち2つ以上の表面領域を備える。したがって、装置本体の、特に腐食または生分解を受けやすい材料の分解、特に腐食または生分解の間、装置本体の、特に腐食または生分解を受けやすい材料の分解、特に腐食または生分解、したがってガスの、特に水素の放出を、目標に向けて制御するまたは方向付けることができる。
【0034】
好ましくは、医療装置の装置本体は、シェラックコーティングのない端部を含む。したがって、装置本体の、特に腐食または生分解の影響を受けやすい材料の分解、特に腐食または生分解の間、ガスの、特に水素の目標とする減少を有利に促進することができる。したがって、治療される組織の任意の細胞増殖障害および/または治癒の遅延を予防することができる。より好ましくは、装置本体の端部は、筋肉組織または脂肪組織などの軟組織に向かって配置されるように適合される。したがって、例えば、骨組織などの硬組織の細胞増殖障害および/または治癒の遅延を回避することができる。
【0035】
さらなる実施形態では、シェラックコーティングは、医用装置の総重量を基準にして、10-10 重量%から99重量%、特に0,001重量%から20重量%、好ましくは0,01重量%から10重量%の比率を有する。
【0036】
本発明のさらなる実施形態では、シェラックは、シェラックを含有するワックスの形態である。したがって、本発明のこの実施形態では、シェラックコーティングは、シェラックワックスを含む。さらに、ワックスは、シェラックコーティングの総重量を基準にして、0重量%から10重量%、特に0.1重量%から10重量%、特に0.1重量%から8重量%、好ましくは1重量%から6重量%の割合を有してもよい。有利には、ワックスは、シェラックコーティングをより柔軟にし、またより柔らかくする。
【0037】
本発明のさらなる実施形態では、シェラックはワックスを含まず、すなわちワックス-フリーシェラックの形態である。ワックス-フリーシェラックは硬く、脆い傾向がある。
【0038】
本発明のさらなる実施形態では、医療装置の装置本体は、空隙、特に細孔を含む。特に、装置本体は、開孔(open-pored)装置本体の形態であってもよい。好ましくは、空隙、特に細孔は、少なくとも部分的に、特に部分的にのみ、または完全に、シェラックコーティングで充填される。したがって、分解速度、特に腐食または生分解速度に関する差異、および/または、装置本体の、特に腐食または生分解を受けやすい材料の分解、特に腐食または生分解の局所的発生に関する差異を有利に導入することができる。
【0039】
本発明のさらなる実施形態では、装置本体の機械的に分離された部分および/または電気的に絶縁された部分は、少なくとも部分的に、特に部分的にのみ、または完全に、シェラックコーティングで覆われるか、またはコーティングされる。
【0040】
本発明に従って使用される「装置本体の電気的に分離された部分」という用語は、腐食または生分解の影響を受けやすい材料の部分、特にマグネシウムまたはマグネシウム合金部分として理解されてもよく、これらは、少なくともシェラックコーティングによって電気的に接触しておらず、分離されている。これらの部分は、好ましくはシェラックによって接着される。例えば、装置本体の電気的に絶縁された部分は、体積測定の骨インプラントまたは多層プレートの形態であり得る。コーティングとしてシェラックを使用することによって、電気的に接触しない部分は、それ自体の腐食または生分解速度を有するか、または腐食または生分解は、材料およびシェラックの外側層の保護によって防止される。これにより、水素の発生は減少し、体の部分の治癒メカニズムによれば、最適な治癒のために溶解することができる。
【0041】
本発明のさらなる実施形態では、医療装置の装置本体は、少なくとも1つのフィラメントを含むか、または少なくとも1つのフィラメントの形態である。少なくとも1つのフィラメントは、少なくとも1つのワイヤ、少なくとも1つのモノフィラメント、少なくとも1つの擬似モノフィラメント、および少なくとも1つのマルチフィラメントからなる群から選択されてもよい。少なくとも1つのフィラメントは、好ましくは、少なくとも部分的に、特に部分的にのみ、または完全に、シェラックコーティングで覆われているか、またはコーティングされている。
【0042】
さらに、医療装置の装置本体は、1つのフィラメントのみを含んでもよく、または1つのフィラメントのみの形態であってもよい。フィラメントは、ワイヤ、モノフィラメント、擬似モノフィラメント、およびマルチフィラメントからなる群から選択することができる。フィラメントは、好ましくは、少なくとも部分的に、特に部分的にのみ、または完全に、シェラックコーティングで覆われているか、またはコーティングされている。
【0043】
あるいは、医療装置の装置本体は、複数のフィラメント、特にワイヤ、モノフィラメント、擬似モノフィラメント、およびマルチフィラメントを含んでもよく、または複数のフィラメント、特にワイヤ、モノフィラメント、擬似モノフィラメント、およびマルチフィラメントの形態であってもよい。好ましくは、各フィラメントまたはフィラメントの少なくとも一部は、少なくとも部分的に、特に部分的にのみまたは完全に、シェラックコーティングで覆われているか、またはコーティングされている。フィラメントは、一方向であってもランダムに配置されていてもよい。さらに、フィラメントは、異なる長さを有してもよい。特に、フィラメントのいくつか、特に内側フィラメントが装置本体の外側に到達しないことは、本発明の範囲内であり得る。さらに、フィラメントは、互いに交差していてもよく、または互いに巻きついていてもよい。特に、フィラメントは、織布の形態で、または編組の形態で配置されてもよい。
【0044】
より具体的には、医療装置の装置本体は、織物構造を含んでもよく、または織物構造の形態であってもよい。織物構造は、例えば、織布、メッシュ、編布、縦編布または不織布などの編布(織り交ぜ糸)であってもよい。
【0045】
本発明のさらなる実施形態では、腐食または生分解を受けやすい材料は、マグネシウム、すなわち元素または非酸化マグネシウムである。
【0046】
本発明のさらなる実施形態では、腐食または生分解を受けやすい材料は、マグネシウム合金である。
【0047】
本発明に従って使用される「マグネシウム合金」という用語は、マグネシウムと別の元素、特に別の金属(すなわち、金属元素)との組み合わせを指す。マグネシウム合金は、固溶体の形態、金属相の混合物の形態、または金属間化合物の形態とすることができる。
【0048】
好ましくは、マグネシウム合金は、マグネシウムと、アルミニウム、ビスマス、銅、カドミウム、ガドリニウムおよび/またはイットリウムなどの希土類、鉄、トリウム、ストロンチウム、ジルコニウム、リチウム、マンガン、ニッケル、鉛、銀、クロム、ケイ素、錫、カルシウム、アンチモン、亜鉛、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つのさらなる金属とを含む。
【0049】
より好ましくは、マグネシウム合金は、マグネシウムと、カルシウム、ジルコニウム、亜鉛、イットリウム、ジスプロシウム、ネオジム、ユーロピウムおよびこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つのさらなる金属とを含む。
【0050】
特に、マグネシウム合金は、マグネシウム合金の全重量に基づいて、5.0重量%から25.5重量%のジスプロシウムの割合を有してもよい。
【0051】
あるいは、または組み合わせて、マグネシウム合金は、マグネシウム合金の総重量に基づいて、0.01重量%から5.0重量%のネオジムおよび/またはユーロピウムの比率を有してもよい。
【0052】
あるいは、または組み合わせで、マグネシウム合金は、マグネシウム合金の総重量に基づいて、0.1重量%から3.0重量%の亜鉛の割合を有してもよい。
【0053】
あるいは、または組み合わせて、マグネシウム合金は、マグネシウム合金の総重量に基づいて、0.1重量%から2.0重量%のジルコニウムの割合を有してもよい。
【0054】
さらに、マグネシウム合金は、以下からなる群から選択されてもよい。
a) マグネシウム、イットリウム、ネオジム、亜鉛およびジルコニウムを含むマグネシウム合金、
b) マグネシウム、イットリウム、ユーロピウム、亜鉛およびジルコニウムを含むマグネシウム合金、
c) マグネシウム、ジスプロシウム、ネオジム、亜鉛およびジルコニウムを含むマグネシウム合金、
d) マグネシウム、ジスプロシウム、ユーロピウム、亜鉛およびジルコニウムを含むマグネシウム合金、
e) マグネシウム、カルシウム、ネオジム、亜鉛およびジルコニウムを含むマグネシウム合金、
f) マグネシウム、カルシウム、ユーロピウム、亜鉛およびジルコニウムを含むマグネシウム合金
g) 前述のマグネシウム合金の組合せ。
【0055】
また、マグネシウム合金は、登録商標「Resoloy」で市販されているマグネシウム合金であってもよい。
【0056】
また、マグネシウム合金は、略称「AZ31B」で市販されているマグネシウム合金であってもよい。このマグネシウム合金は、マグネシウムと、2.5重量%から3.5重量%のアルミニウム、0.2重量%以下のマンガン、0.6重量%から1.4重量%の亜鉛、0.005重量%以下の鉄、0.05重量%以下の銅、0.10重量%以下のケイ素、0.04重量%以下のカルシウム、および0.005重量%以下のニッケルとを含有し、それぞれマグネシウム合金の総重量を基準とする。
【0057】
また、マグネシウム合金は、「WE43」の略語で市販されているマグネシウム合金であってもよい。このマグネシウム合金は、マグネシウムと、3.7から4.3重量%のイットリウム、2.4から4.4重量%の希土類および0.4重量%のジルコニウムとを含有し、それぞれマグネシウム合金の全重量を基準とする。
【0058】
また、マグネシウム合金は、略称「AZ31」で市販されているマグネシウム合金であってもよい。このマグネシウム合金は、マグネシウムと、3.3から4.0重量%のアルミニウム、0.25から0.50重量%のマンガン、0.05から0.20重量%の亜鉛、0.003重量%以下の鉄、0.02重量%以下の銅、0.10重量%以下のケイ素、および0.002重量%以下のニッケルとを含有し、それぞれマグネシウム合金の総重量を基準とする。
【0059】
さらに、マグネシウム合金は、略称「AZ61」で市販されているマグネシウム合金であってもよい。このマグネシウム合金は、マグネシウムと、5.92重量%のアルミニウム、0.49重量%の亜鉛、0.15重量%のマンガン、0.037重量%のケイ素、0.003重量%の銅、および0.007重量%の鉄とを含有し、それぞれマグネシウム合金の全重量を基準とする。
【0060】
さらに、マグネシウム合金は、略称「AZ91」で市販されているマグネシウム合金であってもよい。このマグネシウム合金は、マグネシウムと、9重量%のアルミニウム、1.0重量%の亜鉛、および0.3重量%のマンガンとを含有し、それぞれマグネシウム合金の全重量を基準とする。
【0061】
あるいは、または組み合わせで、医療装置の装置本体は、ポリマー、特に非分解性ポリマー、分解性ポリマー、またはそれらの組み合わせ、特に混ぜ合わせを含み得るか、またはそれらからなり得る。
【0062】
非分解性ポリマーは、特に、ポリプロピレン、ポリエチレン、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、高分子量ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリテトラフルオロエチレン、およびそれらの組み合わせ、特に混ぜ合わせからなる群から選択され得る。
【0063】
分解性ポリマーは、特に、ポリラクチド、ポリ(L)ラクチド、ポリ(D,L)ラクチド、ポリ(D)ラクチド、ポリグリコリド、ポリカプロラクトン、ポリ(トリメチレンカーボネート)、ポリジオキサノン、ポリ-3-ヒドロキシブチレート、ポリ-4-ヒドロキシブチレート、およびこれらの組み合わせ、特に混ぜ合わせからなる群から選択されてもよい。
【0064】
あるいは、または組み合わせて、医療装置の装置本体は、ヒドロキシアパタイト、α-リン酸カルシウム、またはβ-リン酸三カルシウムなどのリン酸カルシウム材料を含んでもよく、またはそれらからなってもよい。これは、装置本体が骨置換材料の形態である場合に特に有用である。
【0065】
本発明のさらなる実施形態では、医療装置は、外科用インプラント、ステント、ステントグラフト、人工血管、血管アクセス、創傷被覆材、縫合糸、外科用メッシュ、外科用ワイヤ、外科用プレート、外科用ネジ、外科用釘、外科用アンカー、外科用クリップ、創傷閉鎖具、硬組織、好ましくは骨組織のためのインプラントを提供するボリューム、コネクタ、医療チューブ、バッグ、医療用針、およびプローブからなる群から選択される。
【0066】
より好ましくは、医療装置は、外科用インプラント、ステント、外科用ワイヤ、外科用プレート、外科用ネジ、外科用釘、外科用アンカー、外科用クリップ、創傷閉鎖具、および硬組織、好ましくは骨組織のためのインプラントを提供するボリュームからなる群から選択される。
【0067】
ステントは、冠状動脈ステントまたは末梢ステントの形態であってもよい。
【0068】
外科用ワイヤは、骨接合のためのワイヤの形態であってもよい。例えば、外科用ワイヤは、キルシュナー(Kirschner)ワイヤまたはセルクラージ(Cerclage)ワイヤの形態であってもよい。
【0069】
外科用プレートは、硬組織、好ましくは骨組織を固定するためのプレートの形態であってもよい。
【0070】
外科用ネジは、骨ネジ、すなわち、硬組織、好ましくは骨組織を固定するように適合されたネジの形態であってもよい。
【0071】
外科用釘は、骨釘の形態であってもよく、すなわち、釘は、硬組織、好ましくは骨組織を固定するように適合されている。例えば、外科用釘は、髄内釘の形態であってもよい。
【0072】
外科用アンカーは、骨アンカー、すなわち、硬組織、好ましくは骨組織を固定するように適合されたアンカーの形態であってもよい。
【0073】
本発明に従って使用される「ボリューム提供インプラント」という用語は、治癒または機械的理由のために体内の空洞を一時的に充填し、天然組織または骨の段階的治癒を支持するインプラントを指す。
【0074】
本発明の第2の態様は、医療機器の製造方法をいい、特に、本発明の第1の態様に係る医療機器の製造方法をいう。
【0075】
この方法は、以下のステップを含む:
a) 装置本体を提供するステップであって、装置本体は、好ましくは、腐食または生分解の影響を受けやすい材料、特にマグネシウムまたはマグネシウム合金を含むか、またはそれらからなるステップ、
b) 装置本体の表面、特に装置本体の内面および/または外面にシェラックコーティングを生成する、または発生させるステップであって、前記シェラックコーティングは、0.1μmから20μmの厚さであるステップ。
【0076】
好ましくは、シェラックコーティングは、装置本体の表面、特に内面および/または外面上に部分的にのみ生成されまたは発生させられる。
【0077】
あるいは、シェラックコーティングは、好ましくは、装置本体の全表面、特に全内表面および/または全外表面上に生成されまたは発生させられる。
【0078】
さらに、シェラックコーティングは、主に、装置本体の表面、特に内面および/または外面上に、均一に、すなわち一定の厚さで生成されまたは発生させられてもよい。
【0079】
あるいは、シェラックコーティングは、好ましくは、装置本体の表面、特に内面および/または外面上に、様々な厚さで生成されまたは発生させられる。
【0080】
さらに、ステップb)は、好ましくは、シェラックを含む液体、特に溶液を、装置本体の表面、特に内面および/または外面に塗布することによって実行される。液体、特に溶液は、液体、特に溶液の総重量に基づいて、0.001重量%から20重量%、特に0.001重量%から17重量%のシェラックの割合を含むことができる。シェラックと共に、液体、特に溶液は、エタノールなどのアルカノール、アセトン、クロロホルム、テトラヒドロフラン、エーテル、環状炭化水素、一般的なニトロシンナーなどのユニバーサルシンナーおよびそれらの組合せ、特にそれらの混合物からなる群から選択される溶媒を含むことができる。
【0081】
より好ましくは、液体、特に溶液は、溶媒としてエタノールまたは別のアルカノールを含む。これは、生体適合性の点で特に有利である。
【0082】
本発明に従って使用される「ユニバーサルシンナー」という用語は、アルキド樹脂および/またはニトロラッカーを希釈および/または溶解するための液体を指す。汎用液体は、ケトン、エステル、アルコールおよび/または炭化水素などの有機溶媒を含んでもよい。
【0083】
一般に、ステップb)は、コーティング技術によって実施することができる。
【0084】
例えば、ステップb)は、シェラックを含む液体、特に溶液に装置本体を浸漬することによって実行されてもよい。
【0085】
あるいは、または組み合わせて、ステップb)は、シェラックを含む液体、好ましくは溶液で装置本体を湿らせることによって実施されてもよい。
【0086】
あるいは、または組み合わせて、ステップb)は、シェラックを含む液体、好ましくは溶液を装置本体に散布することによって実施されてもよい。
【0087】
あるいは、または組み合わせて、ステップb)は、シェラックを含む液体、好ましくは溶液を、装置本体の表面、特に内面および/または外面上に噴霧することによって実施されてもよい。
【0088】
さらに、ステップb)は、繰り返し実行されてもよい。したがって、装置本体の表面、特に内面および/または外面上に、多層、例えば二層、三層または四層のシェラックコーティングを生成するまたは発生させることができ、および/またはシェラックコーティングの起こりうる損傷を修復することができる。
【0089】
あるいは、ステップb)は、1回だけ実行されてもよい。したがって、装置本体の表面、特に内面および/または外面上に、単層シェラックコーティングを生成するまたは発生させることができる。
【0090】
装置本体のタイプに応じて、装置本体は、最初に、バルーンカテーテルなどのキャリアシステム上に適用され、その後、ステップb)が実行されてもよい。あるいは、ステップb)が最初に実施され、続いてシェラックコーティングされた装置本体がバルーンカテーテルのようなキャリアシステム上に適用されることもまた、本発明の範囲内であり得る。
【0091】
さらに、方法は、さらなるステップc)溶剤、特に溶剤のみをシェラックコーティングされた装置本体上に適用するステップを含んでもよい。したがって、シェラックコーティングの損傷は、有利には、修復または回避することができる。溶媒は、エタノールなどのアルカノール、アセトン、クロロホルム、テトラヒドロフラン、エーテル、環状炭化水素、一般的なニトロシンナーなどのユニバーサルシンナーおよびそれらの組み合わせ、特にそれらの混合物からなる群から選択され得る。好ましくは、エタノールまたは別のアルカノールが溶媒として使用される。
【0092】
医療装置の装置本体は、一例として、レーザ切断、成形、レーザ焼結、ステレオリソグラフィ、または再成形によって製造することができる。
【0093】
本方法のさらなる特徴および利点、特に医療装置、装置本体、およびシェラックコーティングに関して、本発明の第1の態様の下で説明される実施例全体が参照される。本発明の第1の態様の背景において、特に医療装置、装置本体、およびシェラックコーティングに関して記載された特徴および利点は、本発明の第2の態様による方法に関して必要な変更を加えて適用される。
【0094】
本発明のさらなる特徴および利点は、従属請求項の主題と併せて、図面、図の説明および実施例の形態での好ましい実施形態の以下の説明から明らかになるであろう。個々の特徴は、本発明の一実施形態において、単独で、または組み合わせて個別に実現することができる。好ましい実施形態は、単に、本発明の例示およびより良好な理解のために役立つにすぎず、いかなる形でも本発明を限定するものとして理解されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0095】
開示されたものをより良く理解するために、本発明の実施形態の実用的な事例を単に非限定的な例として概略的に又は図式的に示す幾つかの図が添付されている。
【0096】
図1】本発明の医療装置の一実施形態。
図2】本発明による医療装置の一部の実施形態。
図3a】本発明による医療装置のさらなる実施例。
図3b】本発明による医療装置のさらなる実施例。
図4】本発明による医療装置のさらなる実施例。
図5】本発明による医療装置のさらなる実施例。
図6a】本発明によるシェラックコーティングを備えることができる装置本体の実施形態。
図6b】本発明によるシェラックコーティングを備えることができる装置本体の実施形態。
図6c】本発明によるシェラックコーティングを備えることができる装置本体の実施形態。
図6d】本発明によるシェラックコーティングを備えることができる装置本体の実施形態。
図6e】本発明によるシェラックコーティングを備えることができる装置本体の実施形態。
図6f】本発明によるシェラックコーティングを備えることができる装置本体の実施形態。
図6g】本発明によるシェラックコーティングを備えることができる装置本体の実施形態。
【発明を実施するための形態】
【0097】
1. 本発明に係る医療機器の製造例
1.1シェラックの割合が0.5重量%であり、(基本的に水を含まない)エタノールを含有する溶液を準備した。その後、マグネシウム製のステントを、1分未満の間、溶液中に浸漬した。続いて、溶液コーティングされたステントを乾燥させ、0.1μmから3μmの厚さのシェラックでコーティングされたマグネシウムステントを得た。
【0098】
1.2シェラックの割合が0.5重量%であり、(基本的に水を含まない)エタノールを含有する溶液を準備した。その後、マグネシウム合金「WE43」製のステントを、1分未満の間、溶液中に浸漬した。続いて、溶液コーティングされたステントを乾燥させ、0.1μmから3μmの厚さのシェラックでコーティングされたステントを得た。
【0099】
1.3シェラックの割合が0.5重量%であり、(基本的に水を含まない)エタノールを含有する溶液を準備した。その後、溶液をマグネシウム製の骨置換スキャフォールド上に噴霧した。溶液噴霧されたスキャフォールドを55℃で15分間乾燥させた後、0.1μmから10μmの厚さを有するシェラックコーティングを含む骨置換スキャフォールドを得た。
【0100】
1.4シェラックの割合が0.5重量%であり、(基本的に水を含まない)エタノールを含有する溶液を準備した。その後、この溶液を、マグネシウム合金「Resoloy」から作製された骨置換スキャフォールド上に噴霧した。溶液噴霧されたスキャフォールドを55℃で15分間乾燥させた後、0.1μmから10μmの厚さを有するシェラックコーティングを含む骨置換スキャフォールドを得た。
【0101】
1.5シェラックの割合が0.5重量%であり、溶媒としてエタノール(基本的に水を含まない)を含有する溶液を準備した。その後、マグネシウム製のステントを溶液で湿らせた。湿らせたステントを55℃で15分間乾燥させた後、0.1μmから10μmの厚さのシェラックコーティングを有するステントを得た。
【0102】
1.7シェラックの割合が0.5重量%であり、溶媒としてエタノール(基本的に水を含まない)を含有する溶液を準備した。その後、マグネシウム合金「WE43」製のステントを溶液で湿らせた。55℃で15分間の乾燥ステップの後、0.1μmから10μmの厚さのシェラックコーティングを有するステントが得られた。
【0103】
1.1から1.7による製造例に関して、コーティングステップは、特に腐食または生分解速度、したがって水素の放出速度および/または放出体積に関して差異を生じさせるために、および/または適用されたシェラック層の起こり得る損傷を修復するために、必要または所望であれば、繰り返されてもよい。あるいは、起こりうるコーティング損傷はまた、ステントおよび骨置換スキャフォールドのそれぞれにエタノールを単に適用することによって修復され得る。
【0104】
2. 腐食又は生分解速度の比較
厚さ50μmのマグネシウム合金「レゾロイ」製のワイヤをシェラックでコーティングした。その後、コーティングされたワイヤおよび「レゾロイ」製の厚さ50μmのコーティングされていないワイヤを、模擬体液溶液に浸漬した。コーティングされていないワイヤの場合には、即座の腐食または生分解が観察され得るが、コーティングされたワイヤは、著しく遅延された腐食または生分解および水素の放散をそれぞれ示した。
【0105】
詳細な説明
図1は、本発明による医療装置10の実施形態を概略的に示す。医療装置10は、装置本体12を含む。装置本体12は、好ましくは、マグネシウムまたはマグネシウム合金などの腐食または生分解を受けやすい材料を含むか、またはそれからなる。さらに、医療装置10はシェラックコーティング14を含む。装置本体12は、シェラックコーティング14で部分的にのみ又は完全に(図示のように)覆われていてもよい。好ましくは、シェラックコーティング14は、0.1μmから20μmの厚さを有する。
【0106】
医療装置10は、例として、骨置換のためのスキャフォールドの形態であってもよい。
【0107】
図2は、本発明の医療装置10の支柱11の断面図を概略的に示す。支柱11はシェラックコーティング14で覆われている。支柱11は、好ましくは、マグネシウムまたはマグネシウム合金(例えば、「WE43」または「Resoloy」)などの腐食または生分解を受けやすい材料を含むか、またはそれからなる。
【0108】
支柱11は、(図示のように)シェラックコーティング14で完全に覆うことができる。あるいは、ストラット11は、シェラックコーティング14で部分的にのみ覆われていてもよい。これは、腐食または生分解速度の点で、したがって腐食または生分解の影響を受けやすい材料の腐食または生分解の間の水素の放出の点で、差異を達成することができるという追加の利点を有する。
【0109】
さらに、シェラックコーティング14は、好ましくは、0.1μmから20μmの厚さを有する。さらに、シェラックコーティング14は、一定の厚さ(図示のように)または変化する厚さを有してもよい。シェラックコーティング14の厚さの変化は、シェラックコーティング14の厚さの変化が、腐食を受けやすい材料の腐食または生分解速度の点で、したがって腐食または生分解プロセス中の水素の放出の点で異なる、デバイス本体12の部分の調整または生成を容易にするので、さらに有利である。
【0110】
好ましくは、医療装置10はステントの形態である。
【0111】
図3aは、本発明による医療装置10のさらなる実施例を示す。
【0112】
医療装置10は、スキャフォールドの形態の装置本体12を含み、シェラックコーティング14を含む。好ましくは、シェラックコーティング14は、0.1μmから20μmの厚さを有する。
【0113】
スキャフォールド12は、好ましくは、マグネシウムまたはマグネシウム合金(例えば、「WE43」または「Resoloy」)などの腐食または生分解を受けやすい材料を含むか、またはそれからなる。シェラックコーティング14は、異なるコーティング厚さを有する部分14aおよび14bを含む。さらに、スキャフォールド12は、少なくとも部分的にシェラックコーティング14がない、すなわちシェラックコーティング14で覆われていない端または端部13aを含む。端/端部13aは、腐食または生分解を受けやすい材料の腐食または生分解の開始点を表し、したがって、スキャフォールド12の部分の腐食または生分解の順序の制御を容易にする。図3a中の矢印は、腐食または生分解プロセスの方向を表す。好ましくは、足場12の部分13bの腐食または生分解が最後に起こる。
【0114】
図3bは、図3aに示される医療装置10の腐食または生分解の進行を示す。
【0115】
好ましくは、図3aおよび3bに示されている医療装置は、硬組織、特に骨組織を置換するためのスキャフォールドの形態である。
【0116】
図4は、本発明による医療装置10のさらなる実施例を示す。
【0117】
医療装置10は、複数のフィラメントの形態の装置本体12を備える。図示のように、装置本体12は、一方向に配置されたフィラメントの形態とすることができる。フィラメントは、好ましくは、マグネシウムまたはマグネシウム合金のような腐食または生分解しやすい材料を含むか、またはそれからなる。さらに、フィラメントは、ワイヤ、モノフィラメント、擬似モノフィラメントまたはマルチフィラメントの形態であってもよい。各フィラメントはシェラックコーティング14で覆われており、各フィラメントはシェラックコーティング14を含まない端部、すなわちシェラックコーティング14で覆われていない端部(すなわち、一端のみ)13を含む。フィラメントの端部13は、有利には、フィラメントの制御された腐食または生分解、したがって腐食または生分解プロセス中の水素の放出のための位置として働くことができる。したがって、医療装置10の分解は、医療装置10の外側から内側へゆっくりと生じることが有利である。好ましくは、シェラックコーティング14は、0.1μmから20μmの厚さを有する。
【0118】
好ましくは、医療装置10は、骨置換インプラント、すなわち、好ましくは、事故、感染、または骨組織の強制的な外科的除去などの外傷性事象に起因し得る、骨空洞を充填するように適合されたインプラントの形態である。医療装置10の外側から内側へのゆっくりとした分解のために、古い骨組織の分解の間に新しいカルス組織が生成され得ることが容易にされ得る。好ましくは、フィラメントの端部13は、軟組織に向かって、特に筋肉組織に向かって配置されるように適合される。したがって、水素の目標とする減少が促進され得、特に、組織骨成長および/または骨再生の任意の障害が回避され得る。
【0119】
さらに、フィラメントは、異なる長さを有してもよい。さらに、内部フィラメントが、腐食または生分解を可能な限り遅らせるように、装置本体12の外面に到達しないことは、本発明の範囲内であり得る。
【0120】
図5は、本発明による医療装置10のさらなる実施例を示す。
【0121】
医療装置10は、螺旋状に配置されたフィラメントの形態の装置本体12を備える。フィラメントは、医療装置10のネジ山(ネジ山)を形成することが好ましい。各フィラメントはシェラックコーティング14で覆われており、フィラメントの一端、特に一端13のみはシェラックコーティング14で覆われていない。
【0122】
好ましくは、フィラメントは、マグネシウムまたはマグネシウム合金(例えば、「WE43」または「Resoloy」)などの腐食または生分解の影響を受けやすい材料を含むか、またはそれからなる。
【0123】
有利には、コーティングされたフィラメントの間の端部13および/または空洞は、腐食または生分解の影響を受けやすい材料の腐食または生分解の間に、水素の方向付けられた減少を促進するように適合される。
【0124】
好ましくは、図5に示す医療装置10は、骨ネジの形態である。その場合、フィラメント12の端部13は、筋肉組織、脂肪組織、または腹腔としての潜在的な空洞などの軟組織に向かって配置されるように適合されることが好ましい。したがって、古い骨組織の分解および新しい骨組織(カルス)の形成の間の水素の標的に向けた移送が促進され得る。特に、新しい骨組織の増殖および成長に対するいかなる悪影響も有利に防止することができる。
【0125】
図6aは、本発明によるシェラックコーティングで覆うことができる骨ネジの形態の装置本体12を概略的に示す。骨スクリューは、好ましくはマグネシウムまたはマグネシウム合金で作られる。
【0126】
図6bは、本発明によるシェラックコーティングで覆うことができる骨固定プレートの形態の装置本体12を示す。好ましくは、骨固定プレートは、マグネシウムまたはマグネシウム合金で作られる。
【0127】
図6cは、粒状骨置換材料の形態の装置本体12を示し、ここで、骨置換材料の粒は、本発明によるシェラックコーティングで覆われ得る。骨置換材料は、例えば、ヒドロキシアパタイト、α-リン酸カルシウムまたはβ-リン酸三カルシウムのようなリン酸カルシウム材料から作ることができる。
【0128】
図6dは、本発明によるシェラックコーティングでコーティングすることができるクリップ、特に血管クリップの形態の装置本体12を示す。好ましくは、クリップは、マグネシウムまたはマグネシウム合金から作製され得る。
【0129】
図6eは、本発明によるシェラックコーティングで覆われ得る、骨接合のためのキルシュナー(Kirschner)ワイヤの形態の装置本体12を示す。キルシュナー(Kirschner)ワイヤは、マグネシウム又はマグネシウム合金で作ることができる。
【0130】
図6fは、本発明によるシェラックコーティングで覆われ得る、骨接合のためのセルクラージ(Cerclage)ワイヤの形態の装置本体12を示す。セルクラージ(Cerclage)ワイヤは、マグネシウム又はマグネシウム合金で作ることができる。
【0131】
図6gは、本発明によるシェラックコーティングでコーティングされ得る髄内釘の形態の装置本体12を示す。髄内釘は、特に、マグネシウムまたはマグネシウム合金で作ることができる。
図1
図2
図3a
図3b
図4
図5
図6a
図6b
図6c
図6d
図6e
図6f
図6g
【手続補正書】
【提出日】2021-10-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
好ましくは腐食または生分解を受けやすい材料を含む装置本体(12)と、
前記装置本体(12)がシェラックコーティング(14)によって少なくとも部分的に覆われているシェラックコーティング(14)と、を備え、
前記シェラックコーティング(14)は、0.1μmから20μmの厚さを有し、腐食または生分解しやすい材料がマグネシウムまたはマグネシウム合金であることを特徴とする、医療装置(10)。
【請求項2】
前記シェラックコーティング(14)が、0.5μmから15μm、好ましくは1μmから10μmの厚さを有することを特徴とする請求項1に記載の医療装置(10)。
【請求項3】
前記シェラックコーティング(14)が、変化する厚さを有することを特徴とする請求項1または2に記載の医療装置(10)。
【請求項4】
前記シェラックコーティング(14)の厚さが、0.5μmから15μm、好ましくは1μmから10μmで変化することを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の医療装置(10)。
【請求項5】
前記装置本体(12)は、前記シェラックコーティング(14)で部分的にのみ覆われていることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の医療装置(10)。
【請求項6】
前記シェラックコーティング(14)が、前記医療装置(10)の総重量を基準にして、10-10重量%から99重量%、特に0.001重量%から20重量%、好ましくは0.01重量%から10重量%の比率を有することを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の医療装置(10)。
【請求項7】
前記シェラックコーティング(14)が、シェラックコーティングを含むワックスであることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の医療装置(10)。
【請求項8】
前記シェラックコーティング(14)が、ワックスを含まないシェラックコーティングであることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の医療装置(10)。
【請求項9】
前記装置本体(12)は、空隙、特に細孔を含み、好ましくは、前記空隙、特に細孔は、前記前記シェラックコーティング(14)で少なくとも部分的に充填されることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の医療装置(10)。
【請求項10】
前記装置本体(12)の機械的に分離された部分および/または電気的に絶縁された部分が前記シェラックコーティング(14)で少なくとも部分的に覆われていることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の医療装置(10)。
【請求項11】
前記装置本体(12)は、複数のフィラメントを含み、各フィラメントは、前記シェラックコーティング(14)で少なくとも部分的に覆われていることを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の医療装置(10)。
【請求項12】
前記医療装置は、特に、外科用インプラント、ステント、ステントグラフト、人工血管、血管アクセス、創傷被覆材、縫合糸、外科用メッシュ、外科用ワイヤ、外科用プレート、外科用ネジ、外科用釘、外科用アンカー、外科用クリップ、創傷閉鎖具、硬組織、好ましくは骨組織のためのインプラントを提供するボリューム、コネクタ、医療用チューブ、バッグ、医療用針およびプローブからなる群から選択される、インプラントであることを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載の医療装置(10)。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一項に記載の医療装置(10)を製造する方法であって、
a)前記装置本体(12)を提供するステップであって、前記装置本体(12)が好ましくは腐食又は生分解を受けやすい材料を含むステップと、
b)前記装置本体(12)の表面、特に前記装置本体(12)の内面および/または外面上に前記シェラックコーティング(14)を形成するステップであって、前記コーティング(14)が0.1μmから20μmの厚さであるステップと、を備える方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0131
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0131】
図6gは、本発明によるシェラックコーティングでコーティングされ得る髄内釘の形態の装置本体12を示す。髄内釘は、特に、マグネシウムまたはマグネシウム合金で作ることができる。
以下の項目は、国際出願時の特許請求の範囲に記載の要素である。
[項目1]
好ましくは腐食または生分解を受けやすい材料を含む装置本体(12)と、
前記装置本体(12)がシェラックコーティング(14)によって少なくとも部分的に覆われているシェラックコーティング(14)と、を備え、
前記シェラックコーティング(14)は、0.1μmから20μmの厚さを有することを特徴とする、医療装置(10)。
[項目2]
前記シェラックコーティング(14)が、0.5μmから15μm、好ましくは1μmから10μmの厚さを有することを特徴とする項目1に記載の医療装置(10)。
[項目3]
前記シェラックコーティング(14)が、変化する厚さを有することを特徴とする項目1または2に記載の医療装置(10)。
[項目4]
前記シェラックコーティング(14)の厚さが、0.5μmから15μm、好ましくは1μmから10μmで変化することを特徴とする、項目1から3のいずれか一項に記載の医療装置(10)。
[項目5]
前記装置本体(12)は、前記シェラックコーティング(14)で部分的にのみ覆われていることを特徴とする、項目1から4のいずれか一項に記載の医療装置(10)。
[項目6]
前記シェラックコーティング(14)が、前記医療装置(10)の総重量を基準にして、10-10重量%から99重量%、特に0.001重量%から20重量%、好ましくは0.01重量%から10重量%の比率を有することを特徴とする、項目1から5のいずれか一項に記載の医療装置(10)。
[項目7]
前記シェラックコーティング(14)が、シェラックコーティングを含むワックスであることを特徴とする、項目1から6のいずれか一項に記載の医療装置(10)。
[項目8]
前記シェラックコーティング(14)が、ワックスを含まないシェラックコーティングであることを特徴とする、項目1から6のいずれか一項に記載の医療装置(10)。
[項目9]
前記装置本体(12)は、空隙、特に細孔を含み、好ましくは、前記空隙、特に細孔は、前記前記シェラックコーティング(14)で少なくとも部分的に充填されることを特徴とする、項目1から8のいずれか一項に記載の医療装置(10)。
[項目10]
前記装置本体(12)の機械的に分離された部分および/または電気的に絶縁された部分が前記シェラックコーティング(14)で少なくとも部分的に覆われていることを特徴とする、項目1から9のいずれか一項に記載の医療装置(10)。
[項目11]
前記装置本体(12)は、複数のフィラメントを含み、各フィラメントは、前記シェラックコーティング(14)で少なくとも部分的に覆われていることを特徴とする、項目1から10のいずれか一項に記載の医療装置(10)。
[項目12]
腐食または生分解を受けやすい材料がマグネシウムであることを特徴とする、項目1から11のいずれか一項に記載の医療装置(10)。
[項目13]
腐食または生分解を受けやすい材料がマグネシウム合金であることを特徴とする、項目1から11のいずれか一項に記載の医療装置(10)。
[項目14]
前記医療装置は、特に、外科用インプラント、ステント、ステントグラフト、人工血管、血管アクセス、創傷被覆材、縫合糸、外科用メッシュ、外科用ワイヤ、外科用プレート、外科用ネジ、外科用釘、外科用アンカー、外科用クリップ、創傷閉鎖具、硬組織、好ましくは骨組織のためのインプラントを提供するボリューム、コネクタ、医療用チューブ、バッグ、医療用針およびプローブからなる群から選択される、インプラントであることを特徴とする、項目1から13のいずれか一項に記載の医療装置(10)。
[項目15]
特に、項目1から14のいずれか一項に記載の医療装置(10)を製造する方法であって、
a)前記装置本体(12)を提供するステップであって、前記装置本体(12)が好ましくは腐食又は生分解を受けやすい材料を含むステップと、
b)前記装置本体(12)の表面、特に前記装置本体(12)の内面および/または外面上に前記シェラックコーティング(14)を形成するステップであって、前記コーティング(14)が0.1μmから20μmの厚さであるステップと、を備える方法。

【国際調査報告】