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特表2022-526701リチウムポリマー電池およびその調製方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-26
(54)【発明の名称】リチウムポリマー電池およびその調製方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/0565 20100101AFI20220519BHJP
   H01M 4/525 20100101ALI20220519BHJP
   H01M 4/62 20060101ALI20220519BHJP
   H01M 4/587 20100101ALI20220519BHJP
   H01M 10/0569 20100101ALI20220519BHJP
   H01M 4/66 20060101ALI20220519BHJP
   H01M 4/131 20100101ALI20220519BHJP
   H01M 4/133 20100101ALI20220519BHJP
   H01M 10/0525 20100101ALI20220519BHJP
【FI】
H01M10/0565
H01M4/525
H01M4/62 Z
H01M4/587
H01M10/0569
H01M4/66 A
H01M4/131
H01M4/133
H01M10/0525
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021547315
(86)(22)【出願日】2020-02-13
(85)【翻訳文提出日】2021-08-10
(86)【国際出願番号】 CN2020075053
(87)【国際公開番号】W WO2020168975
(87)【国際公開日】2020-08-27
(31)【優先権主張番号】201910133722.7
(32)【優先日】2019-02-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521355681
【氏名又は名称】叶 小剣
(71)【出願人】
【識別番号】521355692
【氏名又は名称】平松 雄二
(71)【出願人】
【識別番号】521355706
【氏名又は名称】牛尾 順一
(74)【代理人】
【識別番号】100098187
【弁理士】
【氏名又は名称】平井 正司
(72)【発明者】
【氏名】平松 雄二
(72)【発明者】
【氏名】那須野 豪三
【テーマコード(参考)】
5H017
5H029
5H050
【Fターム(参考)】
5H017AA03
5H017AA04
5H017AS02
5H017EE01
5H017EE05
5H029AJ02
5H029AJ05
5H029AJ06
5H029AK03
5H029AL07
5H029AL08
5H029AM03
5H029AM04
5H029AM05
5H029AM07
5H029AM16
5H029CJ02
5H029CJ03
5H029CJ08
5H029CJ13
5H029CJ14
5H029CJ22
5H029CJ30
5H029DJ07
5H029DJ08
5H029EJ04
5H029EJ12
5H029HJ01
5H029HJ07
5H029HJ15
5H029HJ16
5H050AA06
5H050AA07
5H050AA12
5H050BA18
5H050CA08
5H050CB08
5H050CB09
5H050DA07
5H050DA08
5H050DA09
5H050DA10
5H050DA11
5H050EA02
5H050EA09
5H050EA10
5H050EA24
5H050GA02
5H050GA03
5H050GA05
5H050GA10
5H050GA13
5H050GA15
5H050GA22
5H050GA29
5H050HA15
5H050HA16
5H050HA20
(57)【要約】
【課題】 リチウムポリマー電池およびその調製方法を提供することを課題とする。
【解決手段】 本発明は、リチウムポリマー電池を提供する。前記リチウムポリマー電池は、コバルト酸リチウム、導電剤、結合剤、カーボンナノチューブスラリーまたはグラフェンという成分を含有する正極材料と、グラファイトカーボンブラック、導電剤、結合剤、フラーレン、ナノワイヤー、ナノチタンという成分を含有する負極材料と、炭酸ジエチル、ジフェニルエーテル、エチレンカーボネートを含有する電解液と、を含む。本発明は、電池の正極材料にカーボンナノチューブスラリーまたはグラフェンを加え、負極材料にフラーレンを加えることで、本発明のリチウムポリマー電池の容量を従来の電池の容量より増えさせ、電流密度が増大し、内部抵抗が減少し、発熱・燃焼しにくく、突き刺され、破損した時も短絡しにくく、リチウムポリマー電池の性能を向上する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コバルト酸リチウム、導電剤、結合剤、カーボンナノチューブスラリーまたはグラフェンという成分を含有する正極材料と、グラファイトカーボンブラック、導電剤、結合剤、フラーレン、ナノワイヤー、ナノチタンという成分を含有する負極材料と、炭酸ジエチル、ジフェニルエーテル、エチレンカーボネートを含有する電解液と、を含むことを特徴とする、リチウムポリマー電池。
【請求項2】
前記正極材料は、コバルト酸リチウム2~10重量部、導電剤5~30重量部、結合剤1~15重量部、カーボンナノチューブスラリーまたはグラフェン2.5~30重量部という成分を含み;前記負極材料は、グラファイトカーボンブラック1~20重量部、導電剤5~30重量部、結合剤1~15重量部、フラーレン0.8~25重量部、ナノワイヤー5~15重量部、ナノチタン2~8重量部という成分を含み、前記電解液が体積百分率で10~40%の炭酸ジエチル、2~10%のジフェニルエーテル、および30~60%のエチレンカーボネートで構成される混合溶液であることを特徴とする、請求項1に記載のリチウムポリマー電池。
【請求項3】
前記正極は、アルミニウム箔であり、前記負極が銅箔であることを特徴とする、請求項1または2に記載のリチウムポリマー電池。
【請求項4】
前記フラーレンは、70%の正電荷を帯びたフラーレンと30%の負電荷を帯びたフラーレンの調製から成ることを特徴とする、請求項1または2に記載のリチウムポリマー電池。
【請求項5】
前記導電剤は、アセチレンブラックであることを特徴とする、請求項1または2に記載のリチウムポリマー電池。
【請求項6】
前記結合剤は、ポリフッ化ビニリデンであることを特徴とする、請求項1または2に記載のリチウムポリマー電池。
【請求項7】
以下の工程(1)~(3)を含む請求項1~6のいずれか一項に記載のリチウムポリマー電池の調製方法。
(1)原料配合:コバルト酸リチウム、導電剤、結合剤、カーボンナノチューブスラリーを混合して混合正極スラリーを得、グラファイトカーボンブラック、導電剤、結合剤、フラーレン、ナノワイヤー、ナノチタンを混合して混合負極スラリーを得る工程、
(2)塗工:上記正極スラリーを塗工機で正極に塗工し、負極スラリーを塗工機で負極上に塗工する工程、
(3)その後圧延、スリット、レーザー切断、巻回、組立、トップ・サイド封止、乾燥、電解液注入、化成を経て、最終的にパッケージングすることで本発明の電池を得る工程。
【請求項8】
前記工程(1)の前にフラーレンを抽出する必要があり、抽出方法は、炭素粉末を酸化還元焼成窯に入れて通電して燃焼させ、その後焼成窯内壁に付着する炭素の黒い微粒子を抽出し、更に静電加工を通じて前記フラーレンを得る工程を用いることを特徴とする、請求項7に記載のリチウムポリマー電池の調製方法。
【請求項9】
前記工程(1)の前に電解液を調製する必要があり、以下の方法で調製し、すなわち有機溶媒の炭酸ジエチル、エチレンカーボネートを混合させ、最後にジフェニルエーテルを加えると、前記電解液を得ることを特徴とする、請求項7に記載のリチウムポリマー電池の調製方法。
【請求項10】
前記工程(2)の負極材料は、以下の方法で調製され、すなわちグラファイトカーボンブラック、導電剤、結合剤、フラーレン、ナノワイヤー、ナノチタンを混合した後、粉砕して粉末にし、粉末を圧力30~50mPaの高圧反応器に移し、その後反応器を出力1800~2200wの電子レンジに入れ、200~1200秒間加熱し、室温まで冷却することで、前記負極材料を得ることを特徴とする、請求項7に記載のリチウムポリマー電池の調製方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池分野に関し、特に、リチウムポリマー電池およびその調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムポリマー電池は、サイクル寿命が長く、安全性が高く、純粋な大型電気バスに広く活用されているが、低温性能が劣り、材料の電子導電性が低いため、その応用が制限されている。ハイブリッド車の省燃費指標の継続的なアップにつれ、改質された高倍率リチウムポリマー電池の優れた急速充電、急速放電能力、および低温性能は、ハイブリッド車で応用され、自動車の省燃費に役立つ。特に厳寒の冬には、ハイブリッド動力システムの正常な動作を保証するため、低温での電解液の優れた導電率を確保することで、電池の正常な作動を保証できる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、上記の問題点を解決するため、リチウムポリマー電池およびその調製方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するために本発明では次のような技術的手段を講じた。
リチウムポリマー電池であって、コバルト酸リチウム、導電剤、結合剤、カーボンナノチューブスラリーまたはグラフェンという成分を含有する正極材料と、グラファイトカーボンブラック、導電剤、結合剤、フラーレン、ナノワイヤー、ナノチタンという成分を含有する負極材料と、炭酸ジエチル、ジフェニルエーテル、エチレンカーボネートを含有する電解液と、を含む。
【0005】
好ましくは、前記正極材料は、コバルト酸リチウム2~10重量部、導電剤5~30重量部、結合剤1~15重量部、カーボンナノチューブスラリーまたはグラフェン2.5~30重量部という成分を含み;前記負極材料は、グラファイトカーボンブラック1~20重量部、導電剤5~30重量部、結合剤1~15重量部、フラーレン0.8~25重量部、ナノワイヤー5~15重量部、ナノチタン2~8重量部という成分を含み、前記電解液が体積百分率で10~40%の炭酸ジエチル、2~10%のジフェニルエーテル、および30~60%のエチレンカーボネートで構成される混合溶液である。
【0006】
好ましくは、前記正極は、アルミニウム箔である。
【0007】
好ましくは、前記負極は、銅箔である。
【0008】
好ましくは、前記導電剤は、アセチレンブラックである。
【0009】
好ましくは、前記結合剤は、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)である。
【0010】
本発明は、以下の工程(1)~(3)を含む上記リチウムポリマー電池の調製方法も提供する。すなわち、
(1)原料配合:コバルト酸リチウム、導電剤、結合剤、カーボンナノチューブスラリーを混合して混合正極スラリーを得、グラファイトカーボンブラック、導電剤、結合剤、フラーレン、ナノワイヤー、ナノチタンを混合して混合負極スラリーを得る工程、
(2)塗工:上記正極スラリーを塗工機で正極に塗工し、負極スラリーを塗工機で負極上に塗工する工程、
(3)その後圧延、スリット、レーザー切断、巻回、組立、トップ・サイド封止、乾燥、電解液注入、化成を経て、最終的にパッケージングすることで本発明の電池を得る工程。
【0011】
好ましくは、前記工程(1)の前にフラーレンを抽出する必要があり、抽出方法は、炭素粉末を酸化還元焼成窯に入れて通電して燃焼させ、その後焼成窯内壁に付着する炭素の黒い微粒子を抽出し、更に静電加工を通じて前記フラーレンを得る工程を用いる。
【0012】
好ましくは、前記工程(1)の前に電解液を調製する必要があり、以下の方法で調製し、すなわち有機溶媒の炭酸ジエチル、エチレンカーボネートを混合させ、最後にジフェニルエーテルを加えると、前記電解液を得る。
【0013】
好ましくは、前記工程(2)の負極材料は、以下の方法で調製され、すなわちグラファイトカーボンブラック、導電剤、結合剤、フラーレン、ナノワイヤー、ナノチタンを混合した後、粉砕して粉末にし、粉末を圧力30~50mPaの高圧反応器に移し、その後反応器を出力1800~2200wの電子レンジに入れ、200~1200秒間加熱し、室温まで冷却することで、前記負極材料を得る。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、電解液に炭酸ジエチル、エチレンカーボネートとジフェニルエーテルを加えることで、本発明のリチウムポリマー電池に低温でのリチウム塩イオンの移動を効果的に改善させ、低温性能を向上させることができる。溶媒の炭酸ジエチル、エチレンカーボネートは、低温溶媒の凝固点を下げる役割を果たす。 同時に、本発明は、電池の正極材料にカーボンナノチューブスラリーまたはグラフェンを加え、負極材料にフラーレンを加えることで、本発明のリチウムポリマー電池の容量を従来の電池の容量より増えさせ、電流密度が増大し、内部抵抗が減少し、発熱・燃焼しにくく、突き刺され、破損した時も短絡しにくく、リチウムポリマー電池の性能を向上する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施例1によって提供される電池の充電容量、放電容量、充電比容量、および放電比容量の曲線である。
図2】本発明の実施例1によって提供される電池の充放電効率の曲線である。
図3】本発明の実施例に係るフラーレン調製時に使用される静電ローダーの写真である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、実施例を参照しつつ本発明を詳細に説明する。
【0017】
本発明に記載のグラファイトカーボンブラックは、黒鉛化カーボンブラックとして理解される。
【0018】
本発明の実施例で提供されるリチウムポリマー電池について、負極スラリー内にフラーレンを添加することで製品の総合的な性能を大幅に向上でき、フラーレンの添加量は1万分の4以上でよく、少量の添加されたフラーレンにより予期せぬ効果を引き起した。以下に記載される実施例について、負極スラリー内に添加されるフラーレンは、70%の正電荷を帯びたフラーレンと30%の負電荷を帯びたフラーレンの組み合わせから成る。好ましくは、正負電荷を帯びたフラーレンの組み合わせは、3~7%の質量比で電池の負極スラリー内に投入される。本発明で抽出されるフラーレンは、トルエン法によって精製することなく、電池に直接応用することができる。負極材科は、電池のエネルギー密度、寿命および安全性に重大な影響を与える。本発明で調製されたフラーレンを負極内に使用すると電荷の伝達速度、電極間の絶縁性の向上に役立ち、充放電による電極の体積変化を抑制できるため、より高い容量、より長い寿命、より高い安全性(発火や爆発しにくい)のある電池を製造できる。現在工業化や量産化ができないため高価なフラーレンと比較して、本発明の調製方法は、大量に生産できると共に比較的安価なフラーレンを得ることができる。
【0019】
(実施例1)
本実施例のリチウムポリマー電池の正極材料は、コバルト酸リチウム2重量部、アセチレンブラック5重量部、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)1重量部、カーボンナノチューブスラリー2.5重量部という成分を含み;負極材料は、グラファイトカーボンブラック1重量部、アセチレンブラック5重量部、ポリフッ化ビニリデン1重量部、フラーレン0.8重量部という成分を含む。電解液は、体積百分率で10%の炭酸ジエチル、2%のジフェニルエーテル、および30%のエチレンカーボネートで構成される混合溶液を含む。
【0020】
本実施例のリチウムポリマー電池の調製方法は、以下の工程(1)~(3)を含む。すなわち、
(1)原料配合:上記重量部のコバルト酸リチウム、アセチレンブラック、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、カーボンナノチューブスラリーを混合して混合正極スラリーを得;上記重量部のグラファイトカーボンブラック、アセチレンブラック、ポリフッ化ビニリデン、フラーレンを混合して混合負極スラリーを得る工程、
(2)塗工:上記正極スラリーを塗工機でアルミニウム箔に塗工し、負極スラリーを塗工機で銅箔に塗工する工程、
(3)その後圧延、スリット、レーザー切断、巻回、組立、トップ・サイド封止、乾燥、電解液注液、化成を経て、最終的にパッケージングすることで本発明の電池を得る工程。
【0021】
本実施例は、以下の工程を用いてフラーレンを抽出した。
(1)陶磁器用の酸化・還元焼成窯に約1トンの薪(汚染されていない松、杉、ヒノキなど)を入れて燃やさせ、24時間後に酸化・還元焼成窯の内壁から上に付着している燃えかすを1100g抽出する工程、
(2)この1100gの燃えかすを静電ローダーに入れて静電加工して110gの導電性フラーレンを得る工程。
【0022】
具体的に、工程(1)燃焼後に得られた燃えかすを静電高圧発生装置(すなわち、静電ローダーで、図3に示すように型番GC50S-N、入力電圧AC100V50/60HZ、最大出力電圧DC50kV(固定)、最大出力電流20μA、消費電力10VA、有効距離50~250mm、接地100Ω以下。)に投入し、燃えかすは静電ローダー内で各々正極性と負極性に従って負荷をかけ、正電荷を帯びたフラーレンおよび負電荷を帯びたフラーレンを得、その後これら電荷を帯びたフラーレンの混合燃えかすをトルエン法で精製し、精製後のフラーレン燃えかすの正電荷を帯びたもの70%、負電荷を帯びたもの30%の割合に従い混合することで、負極スラリー内のフラーレン原料を得る。
【0023】
本実施例内の電解液の調製方法としては、
有機溶媒の炭酸ジエチル、エチレンカーボネートを混合させ、最後にジフェニルエーテルを加えると、前記電解液を得た。
【0024】
(実施例2)
本実施例のリチウムポリマー電池の正極材料は、コバルト酸リチウム10重量部、アセチレンブラック30重量部、ポリフッ化ビニリデン15重量部、カーボンナノチューブスラリー30重量部という成分を含み;負極材料は、グラファイトカーボンブラック20重量部、アセチレンブラック30重量部、ポリフッ化ビニリデン5重量部、フラーレン25重量部という成分を含む。電解液は、体積百分率で40%の炭酸ジエチル、10%のジフェニルエーテル、および60%のエチレンカーボネートで構成される混合溶液を含む。
【0025】
本実施例では、実施例1の調製方法を用いた。
【0026】
(実施例3)
本実施例のリチウムポリマー電池の正極材料は、コバルト酸リチウム5重量部、アセチレンブラック15重量部、ポリフッ化ビニリデン8重量部、カーボンナノチューブスラリー15重量部という成分を含み;負極材料は、グラファイトカーボンブラック10重量部、アセチレンブラック15重量部、ポリフッ化ビニリデン5重量部、フラーレン13重量部という成分を含む。電解液は、体積百分率で20%の炭酸ジエチル、5%のジフェニルエーテル、および40%のエチレンカーボネートで構成される混合溶液を含む。
【0027】
本実施例では、実施例1の調製方法を用いた。
【0028】
(実施例4)
本実施例のリチウムポリマー電池は、正極材料と、負極材料と、電解液と、を含み、正極材料が正極およびその上に担持された正極スラリーから調製されてなり、負極材料が負極およびその上に担持された負極スラリーから調製されてなり;その正極スラリーは、コバルト酸リチウム8重量部、アセチレンブラック12重量部、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)12重量部、カーボンナノチューブスラリー5重量部という成分を含み;負極スラリーは、グラファイトカーボンブラック12重量部、アセチレンブラック9重量部、ポリフッ化ビニリデン7重量部、フラーレン0.015重量部という成分を含み;電解液内の溶媒は、体積百分率で40%の炭酸ジエチル、5%のジフェニルエーテル、および55%のエチレンカーボネートで構成された。
【0029】
本実施例のリチウムポリマー電池の調製方法は、以下の工程(1)~(5)を含む。すなわち、
(1)正極スラリーの調製:正極スラリー内の各成分を配合量に従って混合し、均一に攪拌して正極スラリーを得る工程、
(2)負極スラリーの調製:負極スラリー内の各成分を配合量に従って混合した後、粉砕して粉末にし、粉末を圧力30~50mPaの高圧反応器に移し、その後反応器を出力1800wの電子レンジに入れ、200秒間加熱し、室温まで冷却することで、負極材料を得る工程、
(3)塗工:上記正極スラリーを塗工機でアルミニウム箔に塗工し、正極シートを得、負極スラリーを塗工機で銅箔に塗工して負極シートを得る工程、
(4)電解質の調製:まず高分子ポリマーを体積百分率で40%の炭酸ジエチル、5%のジフェニルエーテルおよび55%のエチレンカーボネートの混合溶媒に溶解し、次にリチウム塩を含む液体電解質を加え、完全に混合してから溶液をテフロン(登録商標)プラスチックフィルムに注ぎ、室温で乾燥させて、溶媒が完全に揮発するまで、ゲルポリマー電解質フィルムを調製する工程、
(5)その後圧延、スリット、レーザー切断、巻回、組立、トップ・サイド封止、乾燥、電解液注液、化成を経て、最終的にパッケージングすることで本発明の電池を得る工程。
【0030】
ここで、負極スラリーに使用されるフラーレンは、次の工程で得られた。
i 陶磁器用の酸化・還元焼成窯に1トンの汚染されていない松の薪を入れて燃やさせ、24時間後に酸化・還元焼成窯の内壁から上に付着している燃えかすを1100g抽出する工程、
ii 抽出された燃えかすを静電ローダーに入れて静電加工して導電性フラーレンを得た工程。
【0031】
静電ローダーとは、静電高圧発生装置(Electrostatic Generator)を意味し、静電高圧発生装置が可燃物(例えば原木を焼いて木炭になり、原木が可燃物であり、鉱石、丸石なども可燃物に含まれる)を処理することによって静電気を発生できることに留意されたい。
【0032】
(実施例5)
本実施例のリチウムポリマー電池は、正極材料と、負極材料と、電解液と、を含み、正極材料が正極およびその上に担持された正極スラリーから調製されてなり、負極材料が負極およびその上に担持された負極スラリーから調製されてなり;その正極スラリーは、コバルト酸リチウム9重量部、アセチレンブラック25重量部、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)8重量部、カーボンナノチューブスラリー25重量部という成分を含み;負極スラリーは、グラファイトカーボンブラック17重量部、アセチレンブラック25重量部、ポリフッ化ビニリデン3重量部、フラーレン3重量部という成分を含み;電解液内の溶媒は、体積百分率で40%の炭酸ジエチル、10%のジフェニルエーテル、および50%のエチレンカーボネートで構成された。
【0033】
本実施例のリチウムポリマー電池の調製方法は、以下の工程(1)~(5)を含む。すなわち、
(1)正極スラリーの調製:正極スラリー内の各成分を配合量に従って混合し、均一に攪拌して正極スラリーを得る工程、
(2)負極スラリーの調製:負極スラリー内の各成分を配合量に従って混合した後、粉砕して粉末にし、粉末を圧力30~50mPaの高圧反応器に移し、その後反応器を出力2200wの電子レンジに入れ、1200秒間加熱し、室温まで冷却することで、負極材料を得る工程、
(3)塗工:上記正極スラリーを塗工機でアルミニウム箔に塗工し、正極シートを得、負極スラリーを塗工機で銅箔に塗工して負極シートを得る工程、
(4)電解質の調製:まず高分子ポリマーを体積百分率で40%の炭酸ジエチル、10%のジフェニルエーテルおよび50%のエチレンカーボネートの混合溶媒に溶解し、次にリチウム塩を含む液体電解質を加え、完全に混合してから溶液をポリエチレンテレフタレートフィルムに注ぎ、室温で乾燥させて、溶媒が完全に揮発するまで、ゲルポリマー電解質フィルムを調製する工程、
(5)その後圧延、スリット、レーザー切断、巻回、組立、トップ・サイド封止、乾燥、電解液注液、化成を経て、最終的にパッケージングすることで本発明の電池を得る工程。
【0034】
ここで、負極スラリーに使用されるフラーレンは、次の工程で得られた。
i 陶磁器用の酸化・還元焼成窯に1トンの汚染されていない杉の薪を入れて燃やさせ、24時間後に酸化・還元焼成窯の内壁から上に付着している燃えかすを780g抽出する工程、
ii 抽出された燃えかすを静電ローダーに入れて静電加工して導電性フラーレンを得た工程。
【0035】
(実施例6)
実施例6と実施例4との相違点は、電解液内の溶媒は、体積百分率で35%の炭酸ジエチル、8%のジフェニルエーテル、および57%のエチレンカーボネートで構成された。
【0036】
(実施例7)
実施例7と実施例4との相違点は、次の通りである。すなわち、
負極スラリーに使用されるフラーレンは、次の工程で得られた。
i 陶磁器用の酸化・還元焼成窯に1トンの汚染されていないヒノキの薪を入れて燃やさせ、24時間後に酸化・還元焼成窯の内壁から上に付着している燃えかすを900g抽ii 抽出された燃えかすを静電ローダーに入れて静電加工して導電性フラーレンを得た工程。
【0037】
(比較例1)
比較例1と実施例1との唯一の相違点は、電解液内に炭酸ジエチルが添加されていないことである。
【0038】
(比較例2)
比較例2と実施例1との唯一の相違点は、負極材料内にフラーレン、ナノワイヤー、ナノチタンが含まれないことである。
【0039】
(比較例3)
比較例3と実施例1との相違点は、負極スラリーにフラーレンが含まれないことである。
【0040】
上記実施例1~6および比較例1~3で調製されたリチウムポリマー電池を試験したところ、試験指標および試験結果を次に示す。
【0041】
1、性能試験
上記の実施例で得られたリチウムポリマー電池に対し、それぞれ30C倍率の放電性能試験、電池DCR試験、-30℃のコールドスタート試験などを実施し、その試験結果を表1に示している。
【表1】
【0042】
電池の常温30C放電容量維持率、動的内部抵抗(DCR)、低温コールドスタートなどの試験データから分かるように、本発明のリチウムポリマー電池は、カーボンナノチューブ/グラフェンを正極材料に添加することにより電池の倍率をアップし、電池の動的内部抵抗を大幅に減らし、電池の倍率性能を向上させることができる。電解液は、特定の溶媒配合を用い、炭酸ジエチルの添加により、低温下のリチウム塩イオンの移動を効果的に改善させ、低温性能を向上する。溶媒のエチルアセテートは、低温溶媒の凝固点を下げ、同時に過充電保護の役割を果たしている。本発明のリチウムポリマー電池の低温高倍率の放電およびサイクル性能に優れることが分かる。
【0043】
2、サイクル試験
実施例で得られたリチウムポリマー電池を取って0.5C充電および1C放電(300サイクル)試験を実施し、定電流・定電圧充電(電圧4.35V、電流475mA、カットオフ電流9.5mA)、定電流放電(電圧3v、電流950mA))、サイクル数が300であった。試験結果に従って、充電容量、放電容量、充電比容量、および放電比容量の曲線(図1)、充電放電効率の曲線(図2)を描画した。
【0044】
図1の場合、曲線Y1は、充電容量(mAh)を表し、曲線Y2は放電容量(mAh)を表し、曲線Y3は充電比容量(mAh/g)を表し、曲線Y4は放電比容量(mAh/g)を表す。
【0045】
図1図2から分かるように、実施例1で得られた電池の充放電性能は、良好である。
【0046】
実施例2~6のサイクル試験効果は、実施例1の効果と似ているため、ここでその説明を省略する。
【0047】
3、破壊試験結果
実施例1~6で得られた電池(仕様:25×37×76mm)を取って以下の破壊試験を実施した。
1)打撃試験:重さ10kgの鋼製ハンマーを1mの高さから自由落下させた場合、発火や爆発することはなく;
2)過充電試験:発熱や爆発することはなく;
3)釘刺試験:3×8.0mmの鉄釘で直接電池を釘刺したところ、発火や爆発することはなく;
4)水没試験:24時間水没させても、性能に変化がなく;
5)熱衝撃サイクル試験:温度試験器に入れ、温度を5℃から150℃に上げたところ、発火や爆発することはなく;
6)振動試験:振動試験機に入れ、往復振動を30分間行ったところ、外観、性能に変化がなく;
7)圧壊試験:押し潰し試験機に入れ、最大17MPaの圧力を加えたところ、発火や爆発することはなく;
8)ドライバー刺し試験:電池にドライバーを貫通させた後、電圧に変化(一般的な電池の場合、貫通により短絡が生じ、電圧がゼロになる)がなく、6~7分間後6~7℃の温度上昇があり;
9)落下試験:電池を地上高さ6mから鉄板に自由落下させたところ、電圧に変化がなかった。
【0048】
以上の実験を通じて、本発明の実施例1~6のリチウムポリマー電池の品質はPSE、GB、UC等の安全認証要件を完全に満たしていることが検証された。
【0049】
上記の実施例は、本発明の好ましい実施形態に過ぎず、本発明の保護の範囲はこの実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想から逸脱しない限り、当業者により非実質的に変化および置換される場合でも、本発明によって請求される保護範囲に網羅される。


図1
図2
図3
【国際調査報告】