(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-26
(54)【発明の名称】噴流自己冷却装置
(51)【国際特許分類】
F25B 43/00 20060101AFI20220519BHJP
【FI】
F25B43/00 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021552503
(86)(22)【出願日】2020-03-03
(85)【翻訳文提出日】2021-09-02
(86)【国際出願番号】 CN2020077650
(87)【国際公開番号】W WO2020177690
(87)【国際公開日】2020-09-10
(31)【優先権主張番号】201910164046.X
(32)【優先日】2019-03-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521394048
【氏名又は名称】中国科学院力学研究所
【氏名又は名称原語表記】INSTITUTE OF MECHANICS, CHINESE ACADEMY OF SCIENCES
【住所又は居所原語表記】No. 15 Beisihuanxi Road, Beijing 100190, China
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】潘 利生
(72)【発明者】
【氏名】史 維秀
(72)【発明者】
【氏名】魏 小林
(57)【要約】
本発明は、噴流自己冷却装置を開示している。噴流自己冷却装置は、ハウジングを含み、前記ハウジングの上端部及び下端部には、主流入口および主流出口がそれぞれ配置され、前記ハウジングの側壁には、気相排出口が配置され、前記ハウジングの内部には、噴流壁が周方向に配置され、前記噴流壁には、前記主流入口と前記気相排出口の間の圧力差により主流作業物質を噴射する複数の細孔が形成される。本発明は、簡単な装置構造を採用して液体作業物質の冷却を実現し、実験的研究または新しい循環システムの開発中に、低温冷媒に対する要求を満たし、従来の冷凍循環において当該方法および装置を採用することで、蒸発器の面積の低減、ユニットの体積の減少及び処理コストの削減に役に立つ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング(2)を含み、
前記ハウジング(2)の上端部及び下端部には、主流入口(1)および主流出口(5)がそれぞれ配置され、前記ハウジング(2)の側壁には、気相排出口(6)が配置され、前記ハウジング(2)の内部には、噴流壁(3)が周方向に配置され、前記噴流壁(3)には、前記主流入口(1)と前記気相排出口(6)の間の圧力差により主流作業物質を噴射する複数の細孔(4)が形成される、
ことを特徴とする噴流自己冷却装置。
【請求項2】
前記気相排出口(6)は、前記ハウジング(2)の側壁の上端部に配置されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の噴流自己冷却装置。
【請求項3】
ハウジング(2)を含み、
前記ハウジング(2)の上端部及び下端部には、主流入口(1)および主流出口(5)がそれぞれ配置され、前記ハウジング(2)の側壁には、気相排出口(6)が配置され、前記ハウジング(2)の内部には、噴流壁(3)が周方向に配置され、前記噴流壁(3)には、前記主流入口(1)と前記気相排出口(6)の間の圧力差により主流作業物質を噴射する複数の細孔(4)が形成され、
前記ハウジング(2)と前記噴流壁(3)の間には、主流作業物質の噴射流量を調整するための調整用中空ボルト(7)が配置され、前記調整用中空ボルト(7)と前記噴流壁(3)との接触位置、及び前記調整用中空ボルト(7)と前記ハウジング(2)との接触位置のそれぞれには、シールリング(8)を設けるための環状溝が配置され、前記シールリング(8)は、シール用中空ボルト(9)を設けることにより押さえられる、
ことを特徴とする噴流自己冷却装置。
【請求項4】
前記気相排出口(6)は、前記ハウジング(2)の側壁の上側に配置され、前記調整用中空ボルト(7)及び前記シール用中空ボルト(9)のそれぞれには、雄ねじが配置され、前記調整用中空ボルト(7)及び前記シール用中空ボルト(9)に接続される部品は、前記雄ねじと螺合する雌ねじを有する、
ことを特徴とする請求項3に記載の噴流自己冷却装置。
【請求項5】
ハウジング(2)を含み、
前記ハウジング(2)の上端部及び下端部には、主流入口(1)および主流出口(5)がそれぞれ配置され、前記ハウジング(2)の側壁には、気相排出口(6)が配置され、前記ハウジング(2)の内部において、前記気相排出口(6)に近い側に噴流壁(3)が配置され、前記噴流壁(3)には、前記主流入口(1)と前記気相排出口(6)の間の圧力差により主流作業物質を噴射する複数の細孔(4)が形成され、
前記ハウジング(2)と前記噴流壁(3)の間には、主流作業物質の噴射流量を調整する調整ボルト(10)が配置され、前記調整ボルト(10)と前記ハウジング(2)との接触位置には、シールリング(8)を設けるための環状溝が配置され、前記シールリング(8)は、シール用中空ボルト(9)を設けることにより押さえられる、
ことを特徴とする噴流自己冷却装置。
【請求項6】
前記気相排出口(6)は、前記ハウジング(2)の側壁の上側に配置され、前記調整ボルト(10)及び前記シール用中空ボルト(9)のそれぞれには、雄ねじが配置され、前記調整ボルト(10)及び前記シール用中空ボルト(9)に接続される部品は、前記雄ねじと螺合する雌ねじを有する、
ことを特徴とする請求項5に記載の噴流自己冷却装置。
【請求項7】
ハウジング(2)を含み、
前記ハウジング(2)内には、連通して直交する主流路と作業物質流路が配置され、前記主流路は、前記ハウジング(2)の内側底端部に横方向に配置され、前記主流路の両端部は、それぞれ主流入口(1)、主流出口(5)であり、前記ハウジング(2)の側壁には、気相排出口(6)が配置され、前記作業物質流路内において、前記気相排出口(6)に近い側に噴流壁(3)が配置され、前記噴流壁(3)には、前記主流入口(1)と前記気相排出口(6)の間の圧力差により主流作業物質を噴射する複数の細孔(4)が形成され、
前記作業物質流路内には、前記ハウジング(2)を貫通して主流作業物質の噴射流量を調整するための調整ピストン(11)が配置され、前記調整ピストン(11)と前記ハウジング(2)との接触位置には、シールリング(8)を設けるための環状溝が配置され、前記シールリング(8)は、シール用中空ボルト(9)を設けることにより押さえられる、
ことを特徴とする噴流自己冷却装置。
【請求項8】
前記気相排出口(6)は、前記ハウジング(2)の側壁の上側に配置され、前記主流路の上流側に位置し、前記調整ピストン(11)及び前記シール用中空ボルト(9)のそれぞれには、雄ねじが配置され、前記調整ピストン(11)及び前記シール用中空ボルト(9)に接続される部品は、前記雄ねじと螺合する雌ねじを有する、
ことを特徴とする請求項7に記載の噴流自己冷却装置。
【請求項9】
ハウジング(2)を含み、
前記ハウジング(2)は、対向する2つの側壁に主流入口(1)および主流出口(5)がそれぞれ配置され、前記ハウジング(2)の内部には、前記ハウジング(2)の上側壁を貫通して上下に調整・移動可能な噴流シリンダー(12)が配置され、前記噴流シリンダー(12)の上端部は、気相排出口(6)であり、前記噴流シリンダー(12)の側壁には、前記主流入口(1)と前記気相排出口(6)の間の圧力差により主流作業物質を噴射する複数の細孔(4)が形成され、前記噴流シリンダー(12)と前記ハウジング(2)との接触位置には、シールリング(8)を設けるための環状溝が配置され、前記シールリング(8)は、シール用中空ボルト(9)を設けることにより押さえられる、
ことを特徴とする噴流自己冷却装置。
【請求項10】
前記主流入口(1)は、前記ハウジング(2)の側壁の上端部に配置され、前記主流出口(5)は、前記ハウジング(2)の側壁の下端部に配置され、前記細孔(4)は、前記噴流シリンダー(12)の側壁の下半部分に均一に分布し、前記噴流シリンダー(12)の上半部分及び前記シール用中空ボルト(9)のそれぞれには、雄ねじが配置され、前記噴流シリンダー(12)及び前記シール用中空ボルト(9)に接続される部品は、前記雄ねじと螺合する雌ねじを有する、
ことを特徴とする請求項9に記載の噴流自己冷却装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、冷凍技術分野に関し、特に噴流自己冷却装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
絞り装置は、冷凍システムに不可欠な4つの主構成要素に属しており、その主要作用は、凝縮器からの高圧液体を絞って冷却してから、蒸発器にて液体冷媒が気化して吸熱することにより、冷凍の目的を達成する。絞り装置は、凝縮器内の高圧環境と蒸発器内の低圧環境を維持するために重要な部品である。
【0003】
現在、絞り装置は、依然として冷媒液体の降圧冷却に主に採用されるものである。冷凍システムで一般的に使用される絞り装置としては、手動式膨張弁、フロート膨張弁、熱膨張弁などが挙げられている。実験的研究または新しい循環システムの開発中に、通常は、低温の液体冷媒を得る必要がある。液体作業物質は、従来の絞り装置を通過した後、圧力と温度が大幅に低下し、気液が混合した二相流を形成し、低温の液体冷媒を得るために気液分離工程を経ったり冷却工程を続けたりする必要があり、プロセスと装置システムは複雑である。液体作業物質の自己冷却を実現可能な単一の装置が要求されている。
【発明の概要】
【0004】
本発明の実施形態は、噴流自己冷却法により主流の液体作業物質の温度を低下させながら、気化した作業物質を分離する噴流自己冷却装置を提供する。
【0005】
上記の目的を達成するために、本発明の実施形態は、以下の技術案を提供する。
本発明の実施形態の第1の態様によれば、噴流自己冷却装置が提供され、前記噴流自己冷却装置は、ハウジングを含み、前記ハウジングの上端部及び下端部には、主流入口および主流出口がそれぞれ配置され、前記ハウジングの側壁には、気相排出口が配置され、前記ハウジングの内部には、噴流壁が周方向に配置され、前記噴流壁には、前記主流入口と前記気相排出口の間の圧力差により主流作業物質を噴射する複数の細孔が形成される。
さらに、前記気相排出口は、前記ハウジングの側壁の上端部に配置されている。
【0006】
本発明の実施形態の第2の態様によれば、噴流自己冷却装置が提供され、前記噴流自己冷却装置は、ハウジングを含み、前記ハウジングの上端部及び下端部には、主流入口および主流出口がそれぞれ配置され、前記ハウジングの側壁には、気相排出口が配置され、前記ハウジングの内部には、噴流壁が周方向に配置され、前記噴流壁には、前記主流入口と前記気相排出口の間の圧力差により主流作業物質を噴射する複数の細孔が形成され、
【0007】
前記ハウジングと前記噴流壁の間には、主流作業物質の噴射流量を調整する調整用中空ボルトが配置され、前記調整用中空ボルトと前記噴流壁との接触位置、及び前記調整用中空ボルトと前記ハウジングとの接触位置のそれぞれには、シールリングを設けるための環状溝が配置され、前記シールリングは、シール用中空ボルトを設けることにより押さえられる。
【0008】
さらに、前記気相排出口は、前記ハウジングの側壁の上側に配置され、前記調整用中空ボルト及び前記シール用中空ボルトのそれぞれには、雄ねじが配置され、前記調整用中空ボルト及び前記シール用中空ボルトに接続される部品は、前記雄ねじと螺合する雌ねじを有する。
【0009】
本発明の実施形態の第3の態様によれば、噴流自己冷却装置が提供され、前記噴流自己冷却装置は、ハウジングを含み、前記ハウジングの上端部及び下端部には、主流入口および主流出口がそれぞれ配置され、前記ハウジングの側壁には、気相排出口が配置され、前記ハウジングの内部において、前記気相排出口に近い側に噴流壁が配置され、前記噴流壁には、前記主流入口と前記気相排出口の間の圧力差により主流作業物質を噴射する複数の細孔が形成され、
【0010】
前記ハウジングと前記噴流壁の間には、主流作業物質の噴射流量を調整する調整ボルトが配置され、前記調整ボルトと前記ハウジングとの接触位置には、シールリングを設けるための環状溝が配置され、前記シールリングは、シール用中空ボルトを設けることにより押さえられる。
【0011】
さらに、前記気相排出口は、前記ハウジングの側壁の上側に配置され、前記調整ボルト及び前記シール用中空ボルトのそれぞれには、雄ねじが配置され、前記調整ボルト及び前記シール用中空ボルトに接続される部品は、前記雄ねじと螺合する雌ねじを有する。
【0012】
本発明の実施形態の第4の態様によれば、噴流自己冷却装置が提供され、前記噴流自己冷却装置は、ハウジングを含み、前記ハウジング内には、連通して直交する主流路と作業物質流路が配置され、前記主流路は、前記ハウジングの内側底端部に横方向に配置され、前記主流路の両端部は、それぞれ主流入口、主流出口であり、前記ハウジングの側壁には、気相排出口が配置され、前記作業物質流路内において、前記気相排出口に近い側に噴流壁が配置され、前記噴流壁には、前記主流入口と前記気相排出口の間の圧力差により主流作業物質を噴射する複数の細孔が形成され、
【0013】
前記作業物質流路内には、前記ハウジングを貫通して主流作業物質の噴射流量を調整するための調整ピストンが配置され、前記調整ピストンと前記ハウジングとの接触位置には、シールリングを設けるための環状溝が配置され、前記シールリングは、シール用中空ボルトを設けることにより押さえられる。
【0014】
さらに、前記気相排出口は、前記ハウジングの側壁の上側に配置され、前記主流路の上流側に位置し、前記調整ピストン及び前記シール用中空ボルトのそれぞれには、雄ねじが配置され、前記調整ピストン及び前記シール用中空ボルトに接続される部品は、前記雄ねじと螺合する雌ねじを有する。
【0015】
本発明の実施形態の第5の態様によれば、噴流自己冷却装置が提供され、前記噴流自己冷却装置は、ハウジングを含み、前記ハウジングは、対向する2つの側壁に主流入口および主流出口がそれぞれ配置され、前記ハウジングの内部には、前記ハウジングの上側壁を貫通して上下に調整・移動可能な噴流シリンダーが配置され、前記噴流シリンダーの上端部は、気相排出口であり、前記噴流シリンダーの側壁には、前記主流入口と前記気相排出口の間の圧力差により主流作業物質を噴射する複数の細孔が形成され、前記噴流シリンダーと前記ハウジングとの接触位置には、シールリングを設けるための環状溝が配置され、前記シールリングは、シール用中空ボルトを設けることにより押さえられる。
【0016】
さらに、前記主流入口は、前記ハウジングの側壁の上端部に配置され、前記主流出口は、前記ハウジングの側壁の下端部に配置され、前記細孔は、前記噴流シリンダーの側壁の下半部分に均一に分布し、前記噴流シリンダーの上半部分及び前記シール用中空ボルトのそれぞれには、雄ねじが配置され、前記噴流シリンダー及び前記シール用中空ボルトに接続される部品は、前記雄ねじと螺合する雌ねじを有する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の第1の実施例に係る噴流自己冷却装置の概略構造図である。
【
図2】本発明の第2の実施例に係る噴流自己冷却装置の概略構造図である。
【
図3】本発明の第3の実施例に係る噴流自己冷却装置の概略構造図である。
【
図4】本発明の第4の実施例に係る噴流自己冷却装置の概略構造図である。
【
図5】本発明の第5の実施例に係る噴流自己冷却装置の概略構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、特定の具体的な実施例によって本発明の実施形態を説明するが、当業者であれば、本明細書に開示された内容から本発明のその他の利点や効果を容易に理解することができる。明らかに、記載された実施例は、本発明の実施例の一部だけであり、全ての実施例ではない。本発明の実施例に基づき、当該技術分野の通常の技術者が創造的な労働をせずに獲得しうるすべての実施例は、すべて本発明の保護範囲に属する。
【0019】
本発明は、主に、液体作業物質の自己冷却を実現可能な噴流自己冷却装置を提供することを目的とする。当該噴流自己冷却装置は、主に、主流入口、ハウジング、噴流壁、細孔、主流出口及び気相排出口を備え、主流作業物質の噴射流量の調整を実現するために、調整用中空ボルト、シールリング、シール用中空ボルト、調整ボルト、調整ピストンなどの構造を追加することも可能である。実際の要求に従って、本発明は、以下の5つの実施例に係る5つの異なる構造を有する噴流自己冷却装置を具体的に提供する。
【0020】
<実施例1>
図1に示すように、本実施例は、ハウジング2を含む噴流自己冷却装置を提供する。前記ハウジング2の上端部および下端部には、主流入口1および主流出口5がそれぞれ設けられている。前記ハウジング2の側壁には、気相排出口6が配置され、前記ハウジング2の内部には、噴流壁3が周方向に配置され、前記噴流壁3には、前記主流入口1と前記気相排出口6の間の圧力差により主流作業物質を噴射する複数の細孔4が形成される。細孔は、寸法が通常に0.1mm以上100mm以下であり、寸法及び数が実際のシステム要求に応じて具体的に決定される。
【0021】
本実施例の動作原理は以下の通りである。
主流作業物質は、主流入口1を通ってハウジング2内の流路に流入し、主流入口1と気相排出口5との間の圧力差により、主流作業物質の一部は、噴流壁3の細孔4から噴射し、噴射プロセスでは、作業物質が激しく気化し、主流作業物質および噴流壁3の熱が吸収されることで、主流作業物質の温度は急速に低下する。噴流壁3の下流両側の主流作業物質の圧力差が比較的小さいため、噴流後の作業物質が完全に気化しない可能性があり、そのため、気相排出口6は、ハウジング2の側壁の上部分に配置され、下流側の非気化の液体作業物質は、上流側へ流れる際、気化して吸熱し続けることができる。
本実施例の噴流自己冷却装置は、噴流自己冷却法によって主流の液体作業物質の温度を低下させながら、気化した作業物質を分離することができる。
【0022】
<実施例2>
図2に示すように、本実施例は、第1の実施例の基礎で、異なる状況での噴射流量への要求を満たすために、主流作業物質の噴射流量を調整可能な噴流自己冷却装置を提供する。具体的には、調整用中空ボルト、シーリングリング及びシール用中空ボルトなどの構造が追加され、それらの構造関係は以下のとおりである。
【0023】
前記ハウジング2と前記噴流壁3との間には、主流作業物質の噴射流量を調整するための調整用中空ボルト7が設けられている。噴流壁3は、調整用中空ボルト7の内部と密接に接触するように調整用中空ボルト7の内部に位置する。調整用中空ボルト7の外面は、ハウジング2の内面とねじ接続されている。調整用中空ボルト7と噴流壁3の間、および調整用中空ボルト7とハウジング2との間には、いずれも隙間があり、噴流気化により発生した気体は、当該隙間に入って漏れやすくなる。装置全体のシール性能を考慮して、前記調整用中空ボルト7と前記噴流壁3との接触位置、及び前記調整用中空ボルト7と前記ハウジング2との接触位置のそれぞれには、シールリング8を設けるための環状溝が設けられている。前記シールリング8は、円形のシールリング8がハウジング2および調整用中空ボルト7と密接に接触するように、シール用中空ボルト9を設けることで押さえ付けられ、シール効果を達成する。
【0024】
本実施例では、調整用中空ボルト7及び前記シール用中空ボルト9のそれぞれには、雄ねじが配置され、前記調整用中空ボルト7及び前記シール用中空ボルト9に接続される部品は、前記雄ねじと螺合する雌ねじを有する。環状溝は、具体的には、ハウジング2の内面および調整用中空ボルト7のヘッド部の内面に形成される。シール用中空ボルト9の雄ねじと調整用中空ボルト7のヘッド部の環状溝の雌ねじは、螺合している。
本実施例の動作原理は以下の通りである。
【0025】
主流作業物質は、主流入口1を通って噴流自己冷却装置に入り、主流入口1と気相排出口6との間の圧力差により、主流作業物質の一部は、噴流壁3の細孔4から噴射し、噴射プロセスでは、作業物質が激しく気化し、主流作業物質および噴流壁3の熱が吸収されることで、主流作業物質の温度は急速に低下する。
【0026】
噴流壁3の下流両側の主流作業物質の圧力差が比較的小さいため、噴流後の作業物質が完全に気化しない可能性があり、そのため、気相排出口は、装置の上流側に配置され、下流側の非気化の液体作業物質は、上流側へ流れる際、気化して吸熱し続けることができる。
【0027】
調整用中空ボルト7は、主流作業物質の流れ方向に沿って正逆移動することができる。調整用中空ボルト7が主流作業物質の流れ方向に沿って正方向に移動すると、露出した細孔4が多くなり、主流作業物質の噴射流量が増加し、噴流自己冷却装置の冷却能力が増加される。その一方で、調整用中空ボルト7が主流作業物質の流れ方向に沿って逆方向に移動すると、調整用中空ボルト7が一部の細孔4を覆い、露出した細孔4が少なくなり、主流作業物質の噴射流量が減少し、噴流自己冷却装置の冷却能力が低下する。調整用中空ボルト7により作業物質の噴射流量を調整することで、主流作業物質の冷却程度を調整することができる。
【0028】
<実施例3>
図3に示すように、本実施例は、第1の実施例の基礎で、異なる状況での噴射流量への要求を満たすために、主流作業物質の噴射流量を調整可能な噴流自己冷却装置を提供する。相違点は以下の通りである。前記ハウジング2の内部において、前記気相排出口6に近い側のみに噴流壁3が配置され、前記ハウジング2と前記噴流壁3の間には、主流作業物質の噴射流量を調整する調整ボルト10(非中空構造)が配置され、調整ボルト10とハウジング2の間には、隙間があり、噴流気化により発生した気体は、当該隙間に入って漏れやすくなる。そのため、前記調整ボルト10と前記ハウジング2との接触位置には、シールリング8を設けるための環状溝が配置され、前記シールリング8は、シール用中空ボルト9を設けることにより押さえられる。シール用中空ボルト9の中空部分は、円形のシールリング8がハウジング2および調整ボルト10と密接に接触するように、調整ボルト10上に外嵌めされ、これにより、シール効果を達成する。
【0029】
本実施例では、前記調整ボルト10及び前記シール用中空ボルト9のそれぞれには、雄ねじが配置され、前記調整ボルト10及び前記シール用中空ボルト9に接続される部品は、前記雄ねじと螺合する雌ねじを有する。環状溝は具体的には、ハウジング2の内面に形成される。シール用中空ボルト9の雄ねじとハウジング2の環状溝の雌ねじは、螺合している。
【0030】
本実施例の動作原理は以下の通りである。
主流作業物質は、主流入口1を通って噴流自己冷却装置に流入し、主流入口1と気相排出口6との間の圧力差により、主流作業物質の一部は、噴流壁3の細孔4から噴射し、噴射プロセスでは、作業物質が激しく気化し、主流作業物質および噴流壁3の熱が吸収されることで、主流作業物質の温度は急速に低下する。
【0031】
噴流壁3の下流両側の主流作業物質の圧力差が比較的小さいため、噴流後の作業物質が完全に気化しない可能性があり、そのため、気相排出口6は、ハウジング2の側壁の上部分に配置され、下流側の非気化の液体作業物質は、上流側へ流れる際、気化して吸熱し続けることができる。
【0032】
調整ボルト10は、主流作業物質の流れ方向に沿って正逆移動することができる。調整ボルト10が主流作業物質の流れ方向に沿って正方向に移動すると、露出した細孔4が多くなり、主流作業物質の噴射流量が増加し、噴流自己冷却装置の冷却能力が増加される。その一方で、調整ボルト10が主流作業物質の流れ方向に沿って逆方向に移動すると、調整ボルト10が一部の細孔4を覆い、露出した細孔4が少なくなり、主流作業物質の噴射流量が減少し、噴流自己冷却装置の冷却能力が低下する。調整ボルト10により主流作業物質の噴射流量を調整することで、主流作業物質の冷却程度を調整することができる。
【0033】
<実施例4>
図4に示すように、本実施例は、第1の実施例の基礎で、異なる状況での噴射流量への要求を満たすために、主流作業物質の噴射流量を調整可能な噴流自己冷却装置を提供する。相違点は以下の通りである。前記ハウジング2内には、連通して直交する主流路13と作業物質流路14が配置され、前記主流路13は、前記ハウジング2の内側底端部に横方向に配置され、前記主流路13の両端部は、それぞれ主流入口1、主流出口5であり、前記ハウジング2の側壁には、気相排出口6が配置され、前記作業物質流路14内において、前記気相排出口6に近い側に噴流壁3が配置され、前記噴流壁3には、前記主流入口1と前記気相排出口6の間の圧力差により主流作業物質を噴射する複数の細孔4が形成される。
【0034】
前記作業物質流路14内には、前記ハウジング2を貫通して主流作業物質の噴射流量を調整するための調整ピストン11が配置され、調整ピストン11とハウジングとの間には、隙間があり、噴流気化により発生した気体は、当該隙間に入って漏れやすくなる。そのため、前記調整ピストン11と前記ハウジング2との接触位置には、シールリング8を設けるための環状溝が設けられている。前記シールリング8は、円形のシールリング8がハウジング2および調整ピストン11と密接に接触するように、シール用中空ボルト9を設けることで押さえ付けられ、シール効果を達成する。
【0035】
本実施例では、前記調整ピストン11及びシール用中空ボルト9のそれぞれには、雄ねじが配置され、前記調整ピストン11及び前記シール用中空ボルト9に接続される部品は、前記雄ねじと螺合する雌ねじを有する。シール用中空ボルト9の中空部分は、調整ピストン11に外嵌めされ、環状溝は具体的には、ハウジング2の内面に形成される。シール用中空ボルト9の雄ねじとハウジング2の環状溝の雌ねじは、螺合している。
本実施例の動作原理は以下の通りである。
【0036】
当該噴流自己冷却装置の主流路13及び作業物質流路14は直交して配置され、主流作業物質の一部は、噴流自己冷却装置の主流路13に入り、主流入口1と気相排出口6との間の圧力差により、主流作業物質の一部は、作業物質流路14に入って噴流壁3の細孔4から噴射し、噴射プロセスでは、作業物質が激しく気化し、主流作業物質および噴流壁3の熱が吸収されることで、主流作業物質の温度は急速に低下する。
【0037】
気相排出口6は、ハウジング2の側壁の上側に配置され、主流路13の上流側に位置し、調整ピストン11は、作業物質流路における主流作業物質の流れ方向に沿って正逆移動することができる。調整ピストン11が主流作業物質の流れ方向に沿って正方向に移動すると、露出した細孔4が多くなり、主流作業物質の噴射流量が増加し、噴流自己冷却装置の冷却能力が増加される。その一方で、調整ピストン11が主流作業物質の流れ方向に沿って逆方向に移動すると、調整ピストン11が一部の細孔4を覆い、露出した細孔4が少なくなり、主流作業物質の噴射流量が減少し、噴流自己冷却装置の冷却能力が低下する。調整ピストン11により作業物質の噴射流量を調整することで、主流作業物質の冷却程度を調整することができる。
【0038】
<実施例5>
図5に示すように、本実施例は、前述した4つの実施例とは異なり、異なる状況での噴射流量への要求を満たすために、主流作業物質の噴射流量を調整可能な噴流自己冷却装置を提供する。相違点は、主に、噴流を実現するための部品を直接的に調整用部品とすることであり、それらは、具体的には以下のものを含む。前記ハウジング2は、対向する2つの側壁に主流入口1および主流出口5がそれぞれ配置され、前記主流入口1は、前記ハウジング2の側壁の上端部に配置され、前記主流出口5は、前記ハウジング2の側壁の下端部に配置され、前記ハウジング2の内部には、前記ハウジング2の上側壁を貫通して上下に調整・移動可能な噴流シリンダー12が配置され、前記噴流シリンダー12の上端部は、気相排出口6であり、前記噴流シリンダー12の側壁には、前記主流入口1と前記気相排出口6の間の圧力差により主流作業物質を噴射する複数の細孔4が形成され、前記細孔4は、前記噴流シリンダー12の側壁の下半部分に均一に分布する。
【0039】
本実施例では、噴流シリンダー12の上半部分及び前記シール用中空ボルト9のそれぞれには、雄ねじが配置され、前記噴流シリンダー12及び前記シール用中空ボルト9に接続される部品は、前記雄ねじと螺合する雌ねじを有する。噴流壁とハウジングとの間には、隙間があり、液体作業物質は、当該隙間に入って漏れやすくなる。そのため、噴流シリンダー12と前記ハウジング2との接触位置には、シールリング8を設けるための環状溝が配置され、前記シールリング8は、シール用中空ボルト9を設けることにより押さえられる。環状溝は具体的には、ハウジング2の内面に形成される。シール用中空ボルト9の雄ねじと噴流シリンダー12の環状溝の雌ねじは螺合することにより、円形のシールリング8はハウジング2および噴流シリンダー12と密接に接触し、シール効果を達成する。
【0040】
本実施例の動作原理は以下の通りである。
主流作業物質は、主流入口1を通って噴流自己冷却装置に入り、主流入口1と気相排出口6との間の圧力差により、主流作業物質の一部は、噴流シリンダー12の細孔4から噴射し、噴射プロセスでは、作業物質が激しく気化し、主流作業物質および噴流シリンダー12の熱が吸収されることで、主流作業物質の温度は急速に低下する。
【0041】
噴流壁3の下流両側の主流作業物質の圧力差が比較的小さいため、噴流後の作業物質が完全に気化しない可能性があり、そのため、気相排出口6は、装置全体の上流側に配置され、下流側の非気化の液体作業物質は、上流側へ流れる際、気化して吸熱し続けることができる。
【0042】
噴流シリンダー12は、主流作業物質の流れ方向に沿って正逆移動することができる。噴流シリンダー12が主流作業物質の流れ方向に沿って正方向に移動すると、露出した細孔4が多くなり、主流作業物質の噴射流量が増加し、噴流自己冷却装置の冷却能力が増加される。その一方で、噴流シリンダー12が主流作業物質の流れ方向に沿って逆方向に移動すると、露出した細孔4が少なくなり、主流作業物質の噴射流量が減少し、噴流自己冷却装置の冷却能力が低下する。噴流シリンダー12により主流作業物質の噴射流量を調整することで、主流作業物質の冷却程度を調整することができる。
【0043】
上記のように、本発明に対して、一般的な説明及び具体的な実施例を用いて詳細に記述したが、本発明に基づいて一部修正又は改良を行うことができることは当業者にとって自明である。したがって、本発明の精神から逸脱せずに、行われたこれらの修正または改善は本発明の保護範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、簡単な装置構造を採用して液体作業物質の冷却を実現し、実験的研究または新しい循環システムの開発中に、低温冷媒に対する要求を満たし、従来の冷凍循環において当該方法および装置を採用することで、蒸発器の面積の低減、ユニットの体積の減少及び処理コストの削減に役に立つ。
【符号の説明】
【0045】
1 主流入口
2 ハウジング
3 噴流壁
4 細孔
5 主流出口
6 気相排出口
7 調整用中空ボルト
8 シールリング
9 シール用中空ボルト
10 調整ボルト
11 調整ピストン
12 噴流シリンダー
13 主流路
14 作業物質流路
【国際調査報告】