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特表2022-526725椎骨形成のための生体適合性金属材料から作られた顆粒
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  • 特表-椎骨形成のための生体適合性金属材料から作られた顆粒 図1
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  • 特表-椎骨形成のための生体適合性金属材料から作られた顆粒 図6B
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-26
(54)【発明の名称】椎骨形成のための生体適合性金属材料から作られた顆粒
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/28 20060101AFI20220519BHJP
【FI】
A61F2/28
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021556255
(86)(22)【出願日】2020-03-06
(85)【翻訳文提出日】2021-10-26
(86)【国際出願番号】 IB2020051969
(87)【国際公開番号】W WO2020188393
(87)【国際公開日】2020-09-24
(31)【優先権主張番号】102019000003947
(32)【優先日】2019-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517015351
【氏名又は名称】エムティー オルソ ソシエタ ア レスポンサビリタ リミタータ
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】特許業務法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】ソラノ,ガエターノ
(72)【発明者】
【氏名】ドラゴ,ロベルト
【テーマコード(参考)】
4C097
【Fターム(参考)】
4C097AA10
4C097BB01
4C097CC01
4C097DD10
4C097FF05
4C097MM03
4C097MM04
4C097MM07
(57)【要約】
本発明は、椎骨形成手術のための生体適合性金属材料、特にチタン又はチタン合金、から作られた顆粒に関する。本発明による顆粒(10)は、球形形状を有し、中実構造を備えて、球形である中心コア(13)であって、第1の直径リブ(11)と第2の直径リブ(12)が突出する外面(13a)を有する中心コア(13)を含む。前記リブ(11)(12)は、有利なことに、互いに直交する2つの直径にしたがって配置されている。本発明による顆粒(10)は、また、前記中心コア(13)の外面(13a)と顆粒自体の外面(10a)との間に延在する小柱構造(14)を有する部分を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
椎骨形成手術のために、生体適合性金属材料、特に、チタン又はチタン合金、から作られた顆粒(10)であって、
前記顆粒は、球形形状を有し、
中実構造を備えて、球形である中心コア(13)であって、互いに直交する2つの直径にしたがって配置された中実構造を有する第1の直径リブ(11)と第2の直径リブ(12)が突出する外面(13a)を有する中心コア(13)と、
前記中心コア(13)の外面(13a)と前記顆粒自体の外面(10a)との間に延在する小柱構造(14)を有する部分と、を含む、
ことを特徴とする顆粒(10)。
【請求項2】
前記第1の直径リブ(11)と前記第2の直径リブ(12)が、前記中心コア(13)から前記顆粒(10)の外面(10a)まで延在する、
ことを特徴とする請求項1に記載の顆粒(10)。
【請求項3】
前記顆粒の外径(c)が、3.3mmに等しいことと、前記中心コア(13)の直径(b)が、2.5mmに等しい、
ことを特徴とする先行する請求項1又は2に記載の顆粒(10)。
【請求項4】
前記第1のリブ(11)と前記第2のリブ(12)の各々が、0.5mmに等しい幅を有する、
ことを特徴とする請求項1~3の1項に記載の顆粒(10)。
【請求項5】
EBM高速プロトタイプ技術を用いて製造される、
ことを特徴とする請求項1~4の1項に記載の顆粒(10)。
【請求項6】
前記小柱構造(14)を有する部分が、400~800ミクロンに及ぶ平均的な空隙率を有する、
ことを特徴とする請求項1~5の1項に記載の顆粒(10)。
【請求項7】
前記小柱構造(14)を有する部分が、「dode-thin」要素からなるEBM技術によって製造された小柱を有する、
ことを特徴とする請求項1~6の1項に記載の顆粒(10)。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
発明の背景
本発明は、椎骨形成又は経皮的椎体形成手術において使用される生体適合性金属材料、特にチタン又はその合金、から作られた顆粒の具体的な構成に関する。
【0002】
椎骨形成又は椎体形成は、椎骨圧迫骨折を患う患者に使用される処置である。
【0003】
先行技術
本出願人は、イタリア特許第0001425055号及び係属中の欧州特許出願EP3169375の特許権者であり、椎骨形成手術での使用に適した生体適合性材料の顆粒を記載する前記イタリア特許の優先権を主張する。
【0004】
したがって、同一出願人の前記先行特許は、骨結合を可能にして骨成長を助けるのに適した空隙率を有する外面部分を少なくとも含む、顆粒の形態における生体適合性材料、特にチタン又はその合金、の補綴具を提案する。
【0005】
本解決策は、先行技術により既知のPMMA(ポリメタクリル酸メチル)などの骨セメントを使用して提供されるシステムに対する革新的な代替をもたらす。
【0006】
最も幅広く使用される技術は、バルーンの使用を伴う。必要な到達経路を実施した後、外科医は、潰れた椎骨にカニューレを挿入し、これは、潰れた海綿質骨がもはやその支持能力を働かせることができない領域において、椎骨の主要部内側へのバルーンの挿入を可能にする。
【0007】
患者が伏臥位で気を散らした位置にある状態で、経椎弓根的到達によるカニューレを、椎骨の主要部に直接挿入する。
【0008】
全手術段階は、内視鏡検査法の下で行われる。
【0009】
いったん正しい位置に椎骨の主要部内側で到達すると、液体又は同等のシステムを用いて膨張されたバルーンに他ならない骨圧迫デバイスが、カニューレを用いて挿入される。
【0010】
バルーンは、椎骨の主要部の海綿質骨の小柱を圧縮しながら、潰れた椎骨の内部空洞を拡張する機能を働かせる。
【0011】
いったん椎骨の空洞がバルーンを用いて拡張されたら、後者は収縮し、既に述べたPMMA(ポリメタクリル酸メチル)のような外科で一般的に使用されるセメントが、したがってカニューレを用いて再び取得された空洞に挿入される。
【0012】
椎体形成におけるセメントの使用は、一次安定性、すなわち小柱部に作用する圧縮荷重に対する抵抗性を直ちに保証するという利点を有し、これは患者に対して非常に短い入院を保証するので、患者自身は手術後数日内に退院することができる。
【0013】
骨セメントの使用について提供された伝統的な技術に負の影響を及ぼす欠点は、EP3169375の教示にしたがった椎骨形成手術のための生体適合性材料の顆粒の使用を介して、出願人によって克服された。
【0014】
これらの教示内で、本出願人は、椎骨形成手術のためのチタン又はその合金などの生体適合性金属材料の顆粒の具体的かつ好ましい構成を開発してきたが、その詳細な説明を以下で提供する。
【発明の概要】
【0015】
本発明の主要な課題は、椎骨形成手術における使用のために最適化されたチタン又はその合金などの生体適合性金属材料の顆粒を提供することである。
【0016】
したがって、本課題内での本発明の目的は、最適な一次安定性を、すなわち最適化された小柱部に作用する圧縮荷重に対する抵抗性をもたらして、同時に最適化された骨結合及び骨誘導能力を可能にする、椎骨形成手術のためのチタン又はその合金などの生体適合性金属材料の顆粒を提供することである。
【0017】
本発明のさらなる目的は、伝統的な手術技術にしたがった、椎骨の主要部の海綿質骨の小柱を圧縮するのに使用されるバルーンを挿入して、同時に潰れた椎骨の内部空洞を拡張するための、外科医によって採用される同一のカニューレを用いて損傷を受けた椎骨に導入され得る、椎骨形成手術のための生体適合性金属材料の顆粒を提供することである。
【0018】
さらに、本発明の目的は、その幾何学形状によって、椎骨の参照骨の平均的な弾性に可能な限り近い弾性を有して回復され、その成長が刺激されて骨結合が取得されるに違いない椎骨形成手術のための生体適合性材料の顆粒を提供することである。
【0019】
本発明にしたがった本課題とこれら及びその他の目的は、本明細書と共に提出される請求項1にしたがった椎骨形成手術のための生体適合性金属材料の顆粒によって達成される。
【0020】
本発明にしたがった椎骨形成手術のための生体適合性金属材料の顆粒のさらなる特徴は、従属請求項の対象である。
【0021】
本発明にしたがった椎骨形成手術のための生体適合性金属材料の顆粒の特徴及び利点は、添付の概略的な図面を参照して、非限定的な例を用いて提供される以下の詳細な説明からより明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明にしたがった生体適合性金属材料の顆粒の全体的な斜視図を示す。
図2図1の顆粒の断面図を示す。
図3図2と同じ断面図の概略的な図示を示す。
図4】本発明にしたがった、顆粒の小柱部分のdode-thin構造を表す概略斜視図を示す。
図5A】本発明にしたがった、顆粒の小柱形成の既知のdode-thin構造を示す。
図5B】本発明にしたがった、顆粒の小柱形成の既知のdode-thin構造を示す。
図6A】本発明にしたがった、顆粒の小柱形成の既知のdode-thin構造を示す。
図6B】本発明にしたがった、顆粒の小柱形成の既知のdode-thin構造を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
発明の詳細な説明
本発明にしたがうと、生体適合性金属材料の、特にチタン及び/又はその合金に基づく顆粒は、同時に、椎骨の主要部の内側での手術段階におけるそれらの挿入、一次負荷に対する抵抗性、経時的な顆粒の骨結合、及び骨再生の刺激を可能にするような特徴とともに生成される。
【0024】
本発明にしたがった顆粒10は、4mm未満の最大外径、より好ましくは3.3mmの外径を有する球形の形状を有し、互いに直交する2つの直径にしたがって配置された第1の直径リブ11及び第2の直径リブ12が突出して延在する実質的に球形の中央芯材13を有するのが好ましい。
【0025】
前記第1の直径リブ11及び第2の直径リブ12は、顆粒10が構成される生体適合性金属材料、好ましくはチタン又はその合金から作られた中実構造を有することが好ましい。
【0026】
したがって、これらの中実リブ11、12は、中実構造を有して、中心コア13を備えた一続きの材料を有する、互いに直交する直径梁の外見を有している。
【0027】
例えば添付の図面、特に図1の断面図に見られるものにしたがうと、本発明による顆粒10は、小柱構造14を有する領域をさらに含み、これは、例えば図2及び図3において見られるものにしたがって、顆粒自体の外面10aから前記中心コア13の外面13aまで延在する前記顆粒10の部分に影響を及ぼす。
【0028】
特に、直径面を有する横断面において本発明による顆粒10の概略図を示す図3において、参照番号14は、小柱構造を有する領域を示し、顆粒の残りの部分は、中実構造を有する直径リブ11及び12が延在する中心コア13である。
【0029】
再び図3を参照すると、文字a、b、及びcは、それぞれリブ11及びリブ12の幅を示し、これは0.5mmの寸法であることが好ましく、中心コア13の内径は、2.5mmに等しいことが好ましく、そして顆粒10の外径は、3.3mmに等しいことが好ましい。
【0030】
本発明による顆粒10は、有利なことに、高エネルギー電子ビームによる(金属又はポリマーの)粉の局所化されたマイクロキャストを提供する製造技術を用いて製造される。
【0031】
EBM(電子ビーム溶解)として知られるこれらの技術は目下、完成品のコンピュータ設計から開始して、非常に複雑な幾何学形状及び異なる表面粗さで対象が生成されるのを可能にする製造技術を極度に発展させ、これは電子ビームをその作用において誘導するコンピュータ化された機械によって処理される。
【0032】
電子ビーム溶解は、移植構造の製造のための比較的新しい高速プロトタイプ技術であり、複雑な三次元幾何学形状の製造を可能にする。
【0033】
この技術を使用して、本出願人は、規則的な小柱を有する部分が、1本の小柱と別のものとの間に約100ミクロンの孔サイズを有する本発明の顆粒10対象を開発した。
【0034】
特に、規則的な小柱構造は、400~800ミクロンに及ぶ孔直径を有し、さらには、孔直径は、約600ミクロンであることが好ましく、640ミクロンであることが好ましい。
【0035】
チタン又はチタン合金の小柱構造は、特に、生来の骨梁のものに非常に近い弾性係数のおかげで、骨への損傷を回避し、実際にはその再成長を促進して負荷の生理学的転移を回復させる。
【0036】
本発明による顆粒10の具体的構造に戻ると、顆粒自体の外面から前記中心コア13に延在する前記顆粒10の少なくとも一部分を伴う小柱構造14を有する領域は、有利なことに、「dode-thin」と呼ばれる既知のタイプのソフトウェア要素を使用するEBM製造プロセスを介して製造された小柱構造を有する。
【0037】
図4を特に参照すると、これは「dode-thin」タイプメッシュのソフトウェア実行の段階を概略的に示すのに対し、図5Aは、図5Bに示される六面体の幾何学形状に対応する「dode-thin」要素の配向を示し、これは三次元小柱構造の面と対応し、図6Aは、図6Bに示される八面体幾何学形状に対応する「dode-thin」要素の配向を示し、これは三次元小柱構造の対角に(45°で)対応する。
【0038】
CAD-CAMソフトウェアは、例えば図4に示される詳細のレベルを示す設計から開始して、既知の「dode-thin」要素にしたがったメッシュを実行し、最終的に、図1及び図2に示されるようなEBM技術を使用して製造された製品に到達する。
【0039】
また、本発明による顆粒10の特定の構成、そして特に、直径リブ11、12がまた固化して延在する中実中心コア13と、中心コア13の外面13aから顆粒10の外部10aに延在する広い小柱領域14との存在が、インビボ移植において取得されることになる機械的挙動を可能にし、これが移植の一次安定性を直ちに取得して負荷を支持するのを可能にすることを出願人は証明した。
【0040】
これまで提供した記載から、椎骨形成手術での使用のための生体適合性金属材料、特にチタン又はその合金における顆粒の特徴と関連する利点もまた明らかになっている。
【0041】
したがって、想到される椎骨形成手術のための顆粒は、修正及び/又は変形を行うことができ、その全てが本発明の範囲内にあり、その保護範囲は本明細書と共に提出される特許請求の範囲によって規定されることを理解されたい。
【0042】
特に、記載された材料と寸法もまた必要にしたがって変化し得る。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
【国際調査報告】