(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-26
(54)【発明の名称】特定の高分岐コポリマー及び1,3-プロパンジオール及び/又はN-ヒドロキシオクタンアミドを含む組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/85 20060101AFI20220519BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20220519BHJP
A61K 8/42 20060101ALI20220519BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20220519BHJP
A61Q 5/00 20060101ALI20220519BHJP
A61Q 5/02 20060101ALI20220519BHJP
A61Q 5/12 20060101ALI20220519BHJP
【FI】
A61K8/85
A61K8/34
A61K8/42
A61Q19/00
A61Q5/00
A61Q5/02
A61Q5/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021556336
(86)(22)【出願日】2020-03-31
(85)【翻訳文提出日】2021-11-12
(86)【国際出願番号】 EP2020059102
(87)【国際公開番号】W WO2020201273
(87)【国際公開日】2020-10-08
(32)【優先日】2019-04-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503220392
【氏名又は名称】ディーエスエム アイピー アセッツ ビー.ブイ.
【氏名又は名称原語表記】DSM IP ASSETS B.V.
【住所又は居所原語表記】Het Overloon 1, NL-6411 TE Heerlen,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(72)【発明者】
【氏名】メンドロク-エディンガー, クリスティーン
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AC111
4C083AC112
4C083AC641
4C083AC642
4C083AD131
4C083AD132
4C083CC03
4C083CC05
4C083CC19
4C083CC33
4C083CC38
4C083DD22
4C083DD23
4C083DD27
4C083DD31
4C083DD33
4C083DD41
4C083EE12
4C083EE17
4C083FF01
(57)【要約】
本発明は、以下のモノマー:ドデセニルコハク酸無水物、ジイソプロパノールアミン及びビス-ジメチルアミノプロピルアミンの特定の高分岐コポリマー(HBC)と、化合物:1,3-プロパンジオール及び/又はN-ヒドロキシオクタンアミドと、を含む組成物に関する。前記高分岐コポリマーが、1,3-プロパンジオール及び/又はN-ヒドロキシ-オクタンアミドの抗菌作用を相乗的に高めることが判明した。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)以下のモノマー:
(i)ドデセニルコハク酸無水物;
(ii)ジイソプロパノールアミン;
(iii)ビス-ジメチルアミノプロピルアミン
の高分岐コポリマー(HBC)であって、次式:
【化1】
の末端基を有し、且つ1200~4000g/molの分子量Mnを有する、高分岐コポリマーと、
b)1,3-プロパンジオール及び/又はN-ヒドロキシオクタンアミドと、
を含む組成物。
【請求項2】
前記高分岐コポリマー(HBC)が、以下の連続した工程:
a1)モノマー(i)及びモノマー(ii)及びモノマー(iii)を重合して、次式:
【化2】
のジメチルアミノ末端基を有するポリエステルアミドを得る工程と、
a2)2-クロロアセテート、特にナトリウム2-クロロアセテートによって、工程a1)の前記ポリエステルアミドのジメチルアミノ基を4級化する工程と、
によって製造されることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記モノマー(i):モノマー(ii)のモル比が、5:1~0.5:1、特に4:1~1:1、好ましくは3:1~3:2であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記モノマー(i):モノマー(iii)のモル比が、5:1~0.5:1、特に3:1~1:1、好ましくは2.5:1~1.1:1であることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記高分岐コポリマーが、数平均分子量M
n1400~3000g/mol、好ましくは2100~2400g/molを有することを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記高分岐コポリマーがポリクオタニウム-110であることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記高分岐コポリマー(HBC)と、1,3-プロパンジオール及び/又はN-ヒドロキシオクタンアミドと、の重量比が、1:30~30:1、好ましくは1:20~20:1、より好ましくは1:10~10:1であることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の化粧品組成物。
【請求項8】
化粧品組成物であることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記高分岐コポリマー(HBC)の量が、前記化粧品組成物の全重量に対して、0.005~5.0重量%、好ましくは0.05~5.0重量%、より好ましくは0.1~3.0重量%、最も好ましくは0.5~2.5重量%であることを特徴とする、請求項8に記載の化粧品組成物。
【請求項10】
スキンケア組成物であることを特徴とする、請求項8又は9に記載の化粧品組成物。
【請求項11】
ヘアケア組成物であることを特徴とする、請求項8又は9に記載の化粧品組成物。
【請求項12】
シャンプー又はヘアコンディショナーであることを特徴とする、請求項8~11のいずれか一項に記載の化粧品組成物。
【請求項13】
ヒトの皮膚、頭皮及び/又は毛髪に適用される局所用組成物であることを特徴とする、請求項8~11のいずれか一項に記載の化粧品組成物。
【請求項14】
1,3-プロパンジオール及び/又はN-ヒドロキシオクタンアミドの抗菌作用を高めるための、以下のモノマー:
(i)ドデセニルコハク酸無水物;
(ii)ジイソプロパノールアミン;
(iii)ビス-ジメチルアミノプロピルアミン
の高分岐コポリマー(HBC)であって、次式:
【化3】
の末端基を有し、且つ1200~4000g/molの分子量Mnを有する、高分岐コポリマー(HBC)の使用。
【請求項15】
前記使用が非治療的使用、特に化粧品的使用であることを特徴とする、請求項14に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[技術分野]
本発明は、特に化粧品組成物の分野における抗菌剤の分野に関する。
【0002】
[発明の背景]
抗菌剤は、微生物の増殖を減らすことによって、組成物、特に化粧品組成物の安定化のための公知の成分である。微生物の増殖の低減は、化粧品を使用する場合に消費者の安全及び健康に必須である。微生物の増殖を低減することによって、化粧品の有効期間を延ばすことができる。特定の抗菌剤の使用は世間一般で議論されているため、抗菌剤の低減は、特に化粧品産業で強く望まれている。
【0003】
欧州特許第2794729B1号明細書には、製紙製造及び食器洗浄用洗剤における凝集剤として使用され得る、特定の高分岐ポリエステルの製造が開示されている。
【0004】
欧州特許第2296619B1号明細書には、特定の高分岐コポリマーが、毛髪のボリュームを増やすのに、シャンプーにおいて有利な効果を有することが開示されている。
【0005】
1,3プロパンジオール及びN-ヒドロキシオクタンアミドは、化粧品組成物において活性な抗菌補助剤として使用されることが知られている化合物である。
【0006】
[発明の概要]
したがって、本発明によって解決される問題は、抗菌特性が高められた組成物を提供することである。
【0007】
意外なことに、請求項1の組成物がこの問題を解決することができることが見出された。特に、特定の高分岐コポリマーが、特に化粧品組成物で使用される抗菌剤の抗菌作用を高めることができることが確認された。この効果は、抗菌剤の抗菌作用に対する特定の高分岐コポリマーの相乗効果である。本発明によって、組成物、特に化粧品組成物において安定性を高め、有効期間を長くし、抗菌剤を低減することができ、それにもかかわらず、抗菌特性が維持されることから、この驚くべき知見は非常に有利である。
【0008】
本発明の更なる態様は、更なる独立クレームの主題である。特に好ましい実施形態は、従属クレームの主題である。
【0009】
[本発明の詳細な説明]
第1の態様において、本発明は、
a)以下のモノマー:
(i)ドデセニルコハク酸無水物;
(ii)ジイソプロパノールアミン;
(iii)ビス-ジメチルアミノプロピルアミン
の高分岐コポリマー(HBC)であって、次式:
【化1】
の末端基を有し、且つ1200~4000g/molの分子量Mnを有する、高分岐コポリマーと、
b)1,3-プロパンジオール及び/又はN-ヒドロキシオクタンアミドと、
を含む組成物に関する。
【0010】
「分子量Mn」という用語は、数平均分子量を表す。
【0011】
「製造」又は「配合」という用語は、本文書において「組成物」という用語と等しく使用される。
【0012】
「抗菌剤」という用語は、微生物の増殖を減らす有機化学物質について本文書において使用される。しかしながら、本発明でのメタノール、エタノール、プロパノール又は/イソ-プロパノールなどのモノヒドロキシ-C1~C6アルカンは、抗菌剤であるとみなされない。明確にするために、酸化防止剤が抗菌剤としてみなされないことは価値がある。
【0013】
1,3プロパンジオールは次式:
【化2】
を有する。1,3プロパンジオールは、様々な供給元から商業的に容易に入手可能である。
【0014】
N-ヒドロキシオクタンアミド(CAS-Nr.7377-03-9)は商業的に容易に入手可能である。
【0015】
高分岐コポリマー(HBC)は好ましくは、以下の連続した工程:
a1)モノマー(i)及びモノマー(ii)及びモノマー(iii)を重合して、次式:
【化3】
のジメチルアミノ末端基を有するポリエステルアミドを得る工程と、
a2)2-クロロアセテート、特にナトリウム2-クロロアセテートによって、工程a1)のポリエステルアミドのジメチルアミノ基を4級化する工程と、
によって製造される。
【0016】
次式:
【化4】
のジメチルアミノ末端基を有するそれぞれのポリエステルアミドが得られる、重合工程a1)についての詳細は、例えば欧州特許第2794729B1号明細書によって開示されている。
【0017】
好ましくは、重合工程a1)において、モノマー(iii)が、攪拌下にてモノマー(ii)と(iii)の混合物に添加され、続いて加熱される。
【0018】
4級化工程a2)の詳細も、欧州特許第2794729B1号明細書に開示されている。したがって、欧州特許第2794729B1号明細書の内容全体が、参照により本明細書に組み込まれる。
【0019】
モノマー(i):モノマー(ii)のモル比が、5:1~0.5:1、特に4:1~1:1、好ましくは3:1~3:2であることが好ましい。
【0020】
モノマー(i):モノマー(iii)のモル比が、5:1~0.5:1、特に3:1~1:1、好ましくは2.5:1~1.1:1であることがさらに好ましい。
【0021】
高分岐コポリマー(HBC)は、好ましくは数平均分子量Mn1400~3000g/mol、好ましくは2100~2400g/molを有する。
【0022】
好ましくは、高分岐コポリマー(HBC)は、CAS番号1323977-82-7によっても同定されるポリクオタニウム-110である。
【0023】
この組成物は、1,3-プロパンジオール及び/又はN-ヒドロキシオクタンアミドを含む。
【0024】
好ましい一実施形態において、組成物は、1,3-プロパンジオールを含み、N-ヒドロキシオクタンアミドを含まない。他の好ましい実施形態において、組成物は、N-ヒドロキシオクタンアミドを含み、1,3-プロパンジオールを含まない。
【0025】
さらに他の好ましい実施形態において、組成物は、1,3-プロパンジオール及びN-ヒドロキシオクタンアミドのどちらも含む。
【0026】
組成物は、1,3-プロパンジオール及びN-ヒドロキシオクタンアミドを含むことが好ましい。共通の存在の場合には、1,3-プロパンジオール及びN-ヒドロキシオクタンアミドを含み、1,3-プロパンジオールとN-ヒドロキシオクタンアミドの比は、>1、特に>3であることが好ましい。非常に好ましい実施形態において、組成物は、Inolexから商品名Zeastat(商標)で市販されている、1,3-プロパンジオールとN-ヒドロキシオクタンアミドの混合物を含む。
【0027】
前記高分岐コポリマー(HBC)と、1,3-プロパンジオール及び/又はN-ヒドロキシオクタンアミドとの重量比は、好ましくは1:30~30:1、より好ましくは1:20~20:1、またさらに好ましくは1:10~10:1の範囲である。
【0028】
好ましい実施形態において、前記高分岐コポリマー(HBC)と、1,3-プロパンジオール及び/又はN-ヒドロキシオクタンアミドとの重量比は、1を超える。
【0029】
本発明の一実施形態において、高分岐コポリマー(HBC)と、1,3-プロパンジオール及び/又はN-ヒドロキシオクタンアミドとの組成物は、抗菌剤混合物として使用される。かかる抗菌剤混合物を他のいずれかの組成物に添加して、微生物に対するその耐性を向上させることができる。通常、かかる抗菌剤混合物中の高分岐コポリマー(HBC)及び1,3-プロパンジオール及び/又はN-ヒドロキシオクタンアミドの量は相当な量であり、特に高分岐コポリマー(HBC)及び1,3-プロパンジオール及び/又はN-ヒドロキシオクタンアミドの重量は、抗菌剤混合物の重量に対して10重量%を超え、特に30重量%を超え、好ましくは50重量%を超える。かかる抗菌剤混合物は、高分岐コポリマー(HBC)及び1,3-プロパンジオール及び/又はN-ヒドロキシオクタンアミドからなることさえ可能である。さらに、抗菌剤混合物は、更なる抗菌剤も含有し得る。
【0030】
この組成物はさらに、少なくとも1種類の更なる抗菌剤を含み得る。抗菌剤はそれ自体が当業者に公知である。しかしながら、使用分野によって、主には特に規制上の問題のために抗菌剤の選択が限られる。どちらかと言えば、食品及び化粧品の分野において、抗菌剤の選択が限られる。
【0031】
したがって、本発明に適した好ましい抗菌剤は、食品及び化粧品分野において許容可能な抗菌剤である。
【0032】
好ましい実施形態の一つにおいて、抗菌剤は、
-グリセロールのモノエステル又はモノエーテル;
-芳香族酸の塩又はエステル;
-アルキルアリルアルコール;
-フェノールエーテルアルコール;
-ヒドロキシアセトフェノン
-脂肪族ジオール;及び
-ヒドロキサム酸
からなる群から選択される。
【0033】
グリセロールの好ましいモノエステル又はモノエーテルは、以下の式(I):
【化5】
のモノエステル又はモノエーテルであり、
上記式中、Rは、C
5~C
10アルキル基又はC
5~C
10シクロアルキル基、好ましくはC
6~C
9アルキル基又はC
6~C
9シクロアルキル基、より好ましくはC
6アルキル基又はC
8アルキル基又はC
6シクロアルキル基であり;且つ
nは、1又は0のいずれか、好ましくは0である。
【0034】
n=0の場合には、Rは、好ましくはシクロヘキシル又はn-オクチル又はn-ヘキシル又は分岐状オクチル基、好ましくはn-ヘキシル基又はエチルヘキシル基、より好ましくは2-エチルヘキシル基である。好ましい実施形態は、カプリル酸グリセリルである。
【0035】
n=1の場合には、Rは、好ましくは分岐状若しくは未分岐飽和又はオレフィン性不飽和ヘプチル又はノニル基、好ましくは飽和若しくはオレフィン不飽和ヘプチル又はノニル基、より好ましくはn-オクチル又はn-ノニル基、最も好ましくはn-ノニル基である。
【0036】
式(I)のグリセロールのモノエステル又はモノエーテルは好ましくは、シクロヘキシルグリセリン、ヘキシルグリセリン、エチルヘキシルグリセリン、カプリン酸グリセリン及びカプリル酸グリセリン、より好ましくはヘキシルグリセリン、エチルヘキシルグリセリン又はカプリン酸グリセリン、最も好ましくはエチルヘキシルグリセリン又はヘキシルグリセリンからなる群から選択される。最も好ましい実施形態において、式(I)の化合物は3-(2-エチルヘキシルオキシ)-1,2-プロパンジオールである。
【0037】
芳香族酸の好ましい塩は芳香族酸の塩である。好ましい塩は、カリウム又はナトリウムの塩、好ましくはナトリウム塩である。芳香族酸の好ましいエステル
【0038】
芳香族酸の好ましいエステルは、安息香酸のアルキルエステル、特にC1~C6アルキルエステルである。
【0039】
芳香族酸の最も好ましい塩又はエステルは、安息香酸ナトリウムである。
【0040】
好ましいアルキルアリルアルコールは、アルキルアリルアルコールのヒドロキシル基と芳香族部分の間にC1~C6アルキレン基、好ましくはメチレン基を有するアルコールである。ベンジルアルコールが、最も好ましいアルキルアリルアルコールである。
【0041】
フェノールエーテルアルコールは、フェノールのアルコール性ヒドロキシル基及びエーテル基を含むアルコールである。フェノールの芳香族環は、任意に置換されている。エーテル酸素及びヒドロキシル基は好ましくは、C2~C4アルキレン基、好ましくはエチレン基によって分かれている。フェノキシエタノールが最も好ましいフェノールエーテルアルコールである。
【0042】
好ましいヒドロキシアセトフェノンはp-ヒドロキシアセトフェノンである。
【0043】
脂肪族ジオールは、ヒドロキシル基2個を有するアルカンである。これらのヒドロキシル基は好ましくは、直鎖状又は分岐状C2~C10アルキレン基によって分かれている
【0044】
好ましいヒドロキサム酸は、飽和C3~C12アルカン酸のヒドロキサム酸である。好ましいヒドロキサム酸は、N-ヒドロキシオクタンアミド(=カプリルヒドロキサム酸)である。
【0045】
好ましくは、抗菌剤は、ヘキシルグリセリン、エチルヘキシルグリセリン又はカプリン酸グリセリン、安息香酸ナトリウム、ベンジルアルコール、フェノキシエタノール及びN-ヒドロキシオクタンアミドからなる群から選択される。
【0046】
より好ましくは、抗菌剤は、ヘキシルグリセリン、エチルヘキシルグリセリン又はカプリン酸グリセリン及びN-ヒドロキシオクタンアミドからなる群から選択される。
【0047】
最も好ましくは、抗菌剤はヘキシルグリセリン又はエチルヘキシルグリセリンである。
【0048】
好ましい実施形態において、組成物は化粧品組成物である。
【0049】
1,3-プロパンジオール及び/又はN-ヒドロキシオクタンアミドの量は、化粧品組成物の全重量に対して0.01~6.0重量%、好ましくは0.05~5.0重量%、より好ましくは0.1~3.0重量%であることが好ましい。
【0050】
化粧品組成物中の高分岐コポリマー(HBC)の量は通常、化粧品組成物の全重量に対して0.005~5.0重量%、好ましくは0.05~5.0重量%、より好ましくは0.1~3.0重量%、最も好ましくは0.5~2.5重量%である。
【0051】
化粧品組成物はさらに好ましくは、少なくとも1種類の乳化剤、好ましくはアニオン性乳化剤をさらに含む。好ましくは、アニオン性乳化剤は、セチルリン酸カリウム、セテアリルスルホコハク酸二ナトリウム、ステアロイルグルタミン酸ナトリウム、ステアロイル乳酸ナトリウム、クエン酸ステアリン酸グリセリル及びココイルイセチオン酸ナトリウムからなる群から選択されるアニオン性乳化剤である。
【0052】
セチルリン酸カリウムは、DSM Nutritional Products Ltd KaiseraugstでAmphisol(登録商標)Kとして市販されている。
【0053】
乳化剤の量は好ましくは、化粧品組成物の全重量に対して0.1~6.0重量%、より好ましくは0.25~5.0重量%、特に0.5~4.0重量%の範囲である。
【0054】
組成物は好ましくは、スルフェートを含有しない。
【0055】
したがって、化粧品組成物は好ましくは、特にアルキルスルフェート、アルキルエーテルスルフェート、アルキルアミドエーテルスルフェート、アルキルアリールポリエーテルスルフェート及びモノグリセリドスルフェート並びにその混合物からなる群のスルフェートを含有しない。
【0056】
本文書において、例えば「スルフェート不含(スルフェートを含有しない)」において使用される「不含(含有しない)」という用語は、それぞれの物質が、組成物の重量に対して0.5重量%未満、特に0.1重量%未満、さらに詳しくは0.05重量%未満のみの量で存在することを意味するために使用される。好ましくは、「不含(含有しない)」は、それぞれの物質が組成物中に完全に存在しないことを意味する。
【0057】
「スルフェート不含」という用語は、本文書において、次式:
【化6】
のアニオン性末端基を有する、いずれかのアニオン性界面活性剤を組成物が含有しないことを意味するために使用される。
【0058】
化粧品組成物は好ましくは、カチオン性乳化剤を含有しない。かかるカチオン性乳化剤の一般的な例は、イソステアラミドプロピルジメチルアミン、ステアラルコニウムクロリド、ステアラミドエチルジエチルアミン、ベヘントリモニウムメトスルフェート、ベヘノイルPG-トリモニウムクロリド、セトリモニウムブロミド、ベヘンアミドプロピルジメチルアミンべへネート、ブラシカアミドプロピルジメチルアミン、ステアラミドプロピルジメチルアミンステアレート、コカミドプロピルPG-ジモニウムクロリド、ジステアロイルエチルヒドロキシエチルモニウムメトスルフェート、ジココイルエチルヒドロキシエチルモニウムメトスルフェート、ジステアロイルエチルジモニウムクロリド、シアバターアミドプロピルトリモニウムクロリド、ベヘンアミドプロピルジメチルアミン、ブラシシルイソロイシンエシレート、アクリルアミドプロピルトリモニウムクロリド/アクリレートコポリマー、リノールアミドプロピルエチルジモニウムエト硫酸塩(エステル)、ジメチルラウラミンイソステアレート、イソステアラミドプロピルラウリルアセトジモニウムクロリド、特にベヘントリモニウムクロリド、ジステアリルジモニウムクロリド、セトリモニウムクロリド、ステアルトリモニウムクロリド、及びパルミタミドプロピルトリモニウムクロリドである。
【0059】
化粧品組成物はさらに、本発明の化粧品組成物での使用に適したスキンケア産業で通常使用される、化粧品担体、賦形剤及び希釈剤、並びに添加剤及び活性成分を含み得て、それに制限されないが、例えば、オンラインINFO BASE(http://online.personalcarecouncil.org/jsp/Home.jsp)によってアクセス可能なInternational Cosmetic Ingredient Dictionary & Handbook by Personal Care Product Council(http://www.personalcarecouncil.org/)に記載されている。
【0060】
化粧品組成物のこのような可能性のある成分は特に、性能及び/又は消費者の許容性を高め、例えば、保存剤、酸化防止剤、脂肪物質/オイル、増粘剤、軟化剤、光遮断剤、モイスチャーライザー、芳香、共界面活性剤、充填剤、金属イオン封鎖剤、カチオン性、非イオン性若しくは両性ポリマー又はその混合物、酸性化若しくは塩基性化剤、粘度調整剤、及び天然毛髪栄養素、例えば植物性、果実抽出物、糖誘導体及び/又はアミノ酸又は化粧品組成物に通常配合される他のいずれかの成分である。補助剤及び添加剤の必要量は、所望の製品に基づき、この分野の当業者によって容易に選択することができ、それに制限されないが、実施例において説明される。
【0061】
更なる成分を油相、水相に添加するか、又は適宜、別々に添加することができる。
【0062】
有利な実施形態において、本発明による組成物は、化粧品組成物の全重量に対して担体を50%~99%、好ましくは60%~98%、より好ましくは70%~98%、例えば特に80%~95%含む。
【0063】
特に有利な実施形態において、担体はさらに、水を少なくとも40重量%、より好ましくは少なくとも50重量%、最も好ましくは少なくとも55重量%、例えば特に水を55~90重量%含む。
【0064】
さらに、化粧品組成物は、少なくとも1つのUVフィルターを含むことが好ましい。UVフィルターは、液体又は固体UVフィルターであり得る。UVフィルターはUV-A又はUV-Bフィルターであり得る。
【0065】
適切な液体UVフィルターは、UVB(280~315nm)及び/又はUVA(315~400nm)範囲の光を吸収し、且つ周囲温度(つまり25℃)にて液体である。かかる液体UVフィルターは、当業者にはよく知られており、且つ特に、例えばオクチルメトキシシンナメート(PARSOL(登録商標)MCX)及びイソアミルメトキシシンナメート(NeoHeliopan(登録商標)E1000)などのシンナメート、例えばホモサレート(3,3,5トリメチルシクロヘキシル2-ヒドロキシベンゾエート、PARSOL(登録商標)HMS)及びエチルヘキシルサリチレート(エチルヘキシルサリチレート、2エチルヘキシル2-ヒドロキシベンゾエート、PARSOL(登録商標)EHSとしても知られる)などのサリチレート、例えばオクトクリレン(2エチルヘキシル2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリレート、PARSOL(登録商標)340)及びエチル2-シアノ-3,3ジフェニルアクリレートなどのアクリレート、特にジアルキルベンザルマロネートなどのベンザルマロン酸のエステル、例えばジ(2-エチルヘキシル)4-メトキシベンザルマロネート及びポリシリコーン15(PARSOL(登録商標)SLX)、例えばジエチルヘキシル2,6-ナフタレート(Corapan(登録商標)TQ)などのナフタレートのジアルキルエステル、例えばジエチルヘキシルシリンギリデンマロネート(Oxynex(登録商標)ST liquid)などのシリンギリデンマロネート、並びにベンゾトリアゾリルドデシルp-クレゾール(Tinoguard(登録商標)TL)並びにベンゾフェノン-3及びドロメトリゾールトリシロキサンを包含する。
【0066】
特に有利な液体UVフィルターは、オクチルメトキシシンナメート、ホモサレート、エチルヘキシルサリチレート、オクトクリレン、ジエチルヘキシル2,6-ナフタレート、ジエチルヘキシルシリンギリデンマロネート、ベンゾトリアゾリルドデシルp-クレゾール、ベンゾフェノン-3、ドロメトリゾールトリシロキサン、ポリシリコーン-15並びにその混合物である。
【0067】
適切な固体UVフィルターは、UVB及び/又はUVA範囲の光を吸収し、且つ周囲温度(つまり25℃)で固体である。それらは特に、固体有機UVフィルターである。特に適している固体UVフィルターは、ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、ブチルメトキシジベンゾイルメタン、メチレンビス-ベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイルヘキシルベンゾエート、エチルヘキシルトリアゾン、ジエチルヘキシルブタミドトリアゾン及び4-メチルベンジリデンカンファーからなる群のUVフィルターである。
【0068】
個々の有機UVフィルターの量は、化粧品組成物の全重量に対して好ましくは0.1~約6重量%の範囲、好ましくは0.5~5重量%の範囲、最も好ましくは1~4重量%の範囲である。
【0069】
紫外線ケア(sun care)組成物の場合には、有機UVフィルターの総量は、前記組成物の目標とするUV保護に強く依存し、前記組成物の全重量に対して、通常1~50重量%、好ましくは5~40重量%の範囲である。
【0070】
SPF15(SPF=日焼け防止指数)の日焼け止めクリームは例えば、前記組成物の全重量に対して有機UVフィルターを4~20重量%、より好ましくは7~15重量%の総量で含む。
【0071】
SPF30の日焼け止めクリームは、例えば、前記組成物の全重量に対して有機UVフィルターを10~40重量%、より好ましくは15~25重量%の総量で含む。
【0072】
SPF50の日焼け止めクリームは、例えば、前記組成物の全重量に対して有機UVフィルターを15~50重量%、より好ましくは20~40重量%の総量で含む。
【0073】
本発明のすべての実施形態において特に適切な増粘剤は、キサンタンガム、ジェランガム及び/又はカルボキシメチルセルロースである。本発明のすべての実施形態において最も好ましくは、増粘剤はキサンタンガム又はジェランガムである。更なる適切な増粘剤は、商品名カルボマー(Carbomer)で市販されているものなどのポリアクリレート、又はポリアクリル酸のアクリレート/C10~30アルキルアクリレートクロスポリマー若しくは塩、又はポリアクリルアミドである。
【0074】
かかる増粘剤は、化粧品組成物の全重量に対して、好ましくは0.1~1重量%の範囲で選択される量(総量)で、より好ましくは0.1~0.5重量%の量で使用される。
【0075】
組成物は、ポリビニルピロリドン(PVP)を含有せず、特に、例えばAntaron V-216又はAntaron V-220として市販されている、N-ビニルピロリドンと、ヘキサデカン又はエイコセンとのコポリマーなど、アルキル化ポリビニルピロリドンを含有しないことが好ましい。
【0076】
本発明による化粧品組成物は一般に、3~10の範囲のpH、好ましくは4~8の範囲のpH、最も好ましくは4~7.5の範囲のpHを有する。pHは、例えばグリコール酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸及び酒石酸を含むヒドロキシ酸などの酸、又は例えば水酸化ナトリウム若しくは水酸化カリウム、又は水酸化アンモニウムなどの塩基、並びにその混合物を使用して、当業者に公知の方法によって調整される。
【0077】
好ましくは、本発明による組成物において、少なくとも0.0001重量%の量、例えば0.01~1重量%の量、特に0.01~0.5重量%の量のクエン酸が、pH調整に使用される。
【0078】
化粧品組成物は、好ましくはスルフェート不含であり、且つ/又はパラベン、及び/又はシリコンオイル及び/又はシリコーン界面活性剤及び/又はメチルイソチアゾリジンを含有せず、且つ/又はポリビニルピロリドン(PVP)を含有せず、特にアルキル化ポリビニルピロリドンを含有しない。
【0079】
化粧品組成物は、好ましくは局所用組成物である。
【0080】
本明細書で使用される「局所」という用語は、特に、皮膚、頭皮、睫毛、眉毛、爪、粘膜及び毛髪、好ましくは皮膚であるケラチン物質への外部適用を意味すると本明細書において理解される。
【0081】
局所用組成物が局所適用を意図されるため、組成物は、生理学的に許容される媒体、つまり、皮膚、粘膜、及びケラチン繊維などのケラチン物質と適合性の媒体を含むことが十分に理解される。特に、生理学的に許容される媒体は、化粧品として許容可能な担体である。
【0082】
「化粧品として許容可能な担体」という用語は、化粧品組成物において、特に紫外線ケア製品などにおいて従来から使用されているすべての担体及び/又は賦形剤及び/又は希釈剤を意味する。
【0083】
好ましくは、化粧品組成物はスキンケア組成物である。
【0084】
更なる実施形態において、化粧品組成物は、化粧用調合物(decorative preparation)又は機能性調合物である。
【0085】
スキンケア組成物の例は、特に、光保護組成物、老化防止組成物、光老化の処置のための組成物/調合物、ボディーオイル、ボディーローション、ボディーゲル、トリートメントクリーム、皮膚保護軟膏、スキンパウダー、保湿ゲル、保湿スプレー、顔用及び/又は身体用モイスチャーライザー、皮膚タンニング調合物(つまり、ヒトの皮膚の人工的/サンレスタンニング及び/又は褐変用の組成物)、例えばセルフタンニングクリーム並びに皮膚美白組成物である。
【0086】
機能性調合物の例は、それに限定されないが、ホルモン調合物、ビタミン調合物、野菜抽出物調合物、老化防止調合物、及び/又は抗菌(抗菌又は抗真菌)調合物などの活性成分を含有する化粧品組成物である。
【0087】
化粧品組成物は好ましくは、スキンケア組成物である。
【0088】
特定の実施形態において、化粧品組成物は紫外線ケア組成物である。紫外線ケア組成物は、光保護組成物(紫外線ケア製品)、例えば日焼け防止ミルク、日焼け防止ローション、日焼け防止クリーム、日焼け防止オイル、サンブロック又はSPF(日焼け防止指数)を有するデイケアクリームである。日焼け防止クリーム、日焼け防止ローション、日焼け防止ミルク及び日焼け防止組成物が特に興味の対象となる。
【0089】
本発明による化粧品組成物は、溶媒又は脂肪物質中の懸濁液又は分散液の形態をとり得て、或いはその代わりとして、エマルジョン又はマイクロエマルジョン(特に、水中油型(O/W)又は油中水型(W/O)、水中シリコーン型(Si/W)又はシリコーン中水型(W/Si)、PIT-エマルジョン、マルチプルエマルション(例えば油中水中油型(O/W/O)又は水中油中水型(W/O/W)型)、又はピッカリングエマルジョン、ヒドロゲル、アルコールゲル、リポゲル、単相若しくは多相溶液又はベシクル分散液、又はペンによって、マスクとして若しくはスプレーとして、適用することもできる通常の他の形態をとり得る。
【0090】
本発明のすべての実施形態における好ましい化粧品組成物は、油相及び水相を含有するエマルジョン、例えば特にO/W、W/O、Si/W、W/Si、O/W/O、W/O/Wマルチプル又はピッカリングエマルジョンである。
【0091】
かかるエマルジョンに存在する油相の総量は、化粧品組成物の全重量に対して、好ましくは少なくとも10重量%、例えば10~60重量%の範囲、好ましくは15~50重量%の範囲、最も好ましくは15~40重量%の範囲である。
【0092】
かかるエマルジョンに存在する水相の量は、化粧品組成物の全重量に対して、好ましくは少なくとも20重量%、例えば40~90重量%の範囲、好ましくは50~85重量%の範囲、最も好ましくは60~85重量%の範囲である。
【0093】
化粧品組成物は、液体、ローション、濃化(thickened)ローション、ゲル、クリーム、ミルク、軟膏又はペーストの形態をとることができる。
【0094】
より好ましくは、本発明による化粧品組成物は、O/W又はSi/W乳化剤の存在下にて水相中に分散された油相を含む、水中油型(O/W)エマルジョンの形態をとる。かかるO/Wエマルジョンの製造は当業者にはよく知られている。
【0095】
本発明によるO/Wエマルジョンの形態をとる組成物は、例えば、O/Wエマルジョンのすべての配合物形態で、例えばシーラム、ミルク又はクリームの形態で提供することができ、通常の方法に従って製造される。本発明の主題である組成物は好ましくは、局所適用が意図され、例えば、紫外線の有害作用に対してヒトの皮膚を保護すること(しわ防止、老化防止、保湿、日焼け防止等)が意図される、特に皮膚科組成物又は化粧品組成物を構成し得る。
【0096】
化粧品組成物はシャンプー又はヘアコンディショナーであることが好ましい。
【0097】
化粧品組成物はヘアケア組成物であることが好ましい。
【0098】
化粧品組成物はシャンプー又はヘアコンディショナーであることが好ましい。
【0099】
化粧品組成物は、ヒトの皮膚、頭皮及び/又は毛髪に適用される局所用組成物であることがさらに好ましい。
【0100】
意外なことに、高分岐コポリマー(HBC)は、化粧品組成物において抗菌剤の抗菌作用を高めることが判明した。
【0101】
したがって、本発明の更なる態様は、1,3-プロパンジオール及び/又はN-ヒドロキシオクタンアミドの抗菌作用を高めるための、以下のモノマー:
(i)ドデセニルコハク酸無水物;
(ii)ジイソプロパノールアミン;
(iii)ビス-ジメチルアミノプロピルアミン
の高分岐コポリマー(HBC)であって、次式:
【化7】
の末端基を有し、且つ1200~4000g/molの分子量Mnを有する、高分岐コポリマー(HBC)の使用に関する。
【0102】
抗菌作用は、特にコクリア・リゾフィラ(Kocuria rhizophila)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、エンテロバクター・ゲルゴビアエ(Enterobacter gergoviae)、大腸菌(Escherichia coli)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、シュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)、シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)、アスペルギルス・ブラジリエンシス(Aspergillus brasiliensis)、ペニシリウムピノヒルム(Penicillium pinophilum)及びカンジダアルビカンス(Candida albicans)からなる群から選択される微生物に対して、特に大腸菌(Escherichia coli)に対して確認された。
【0103】
1,3-プロパンジオール及び/又はN-ヒドロキシオクタンアミドの抗菌作用を高めるための高分岐コポリマー(HBC)の使用は、化粧品的意味だけでなく薬剤的意味の両方で行われ得る。
【0104】
その使用は非治療的使用であることが好ましい。
【0105】
化粧品組成物において、非治療的使用は好ましくは、皮膚のホメオスタシスの維持、且つ/又は皮膚マイクロバイオーム及び/又は毛髪マイクロバイオームのバランスのためなどの、化粧品的使用である。
【0106】
1,3-プロパンジオール及び/又はN-ヒドロキシオクタンアミドを含む化粧品組成物に、上記の高分岐コポリマー(HBC)を添加した場合に、抗菌作用が著しく増加することが確認された。言い換えると、1,3-プロパンジオール及び/又はN-ヒドロキシオクタンアミドを含む化粧品組成物に、高分岐コポリマー(HBC)をさらに添加することによって、前記高分岐コポリマー(HBC)を使用しない場合よりも、確認される微生物の数が少なくなる。上記の高分岐コポリマー(HBC)は、組成物中の、特に化粧品組成物中の1,3-プロパンジオール及び/又はN-ヒドロキシオクタンアミドの抗菌作用に対する相乗効果を有する。
【0107】
同じ抗菌作用を維持するのに有効な量の上記の高分岐コポリマー(HBC)を添加することによって、1,3-プロパンジオール及び/又はN-ヒドロキシオクタンアミドの量を減らすことができるという点でも、これは非常に有利である。
【0108】
抗菌作用は特に、水相において顕著であることがさらに確認された。微生物の増殖を最も受けやすいのは通常、製品の水相であることは公知であるため、これは非常に有利である。
【0109】
[実施例]
本発明はさらに、以下の実験によって例証される。これらの実施例は、単に説明的なものであり、決して本発明の範囲を制限することを意図するものではない。
【0110】
[高分岐コポリマー(HBC1)の製造]
モノマードデセニルコハク酸無水物及びジイソプロパノールアミン及びビス-ジメチルアミノプロピルアミンの高分岐コポリマーHBC1が、N,N-ビス(N’N’-ジメチルアミノプロピル)アミン237.59g及びジイソプロパノールアミン112.6g及びドデセニルコハク酸無水物426.89gを使用して、欧州特許第2794729B1号明細書の実施例3に従って製造された。加熱及び真空後に、残留カルボン酸含有量<0.3ミリ当量/g(滴定分析)AV=9.8mgKOH/g及びアミン含有量2.99ミリ当量/g(滴定分析)及び分子量Mn=2240Daが得られた。
1H-NMR分析によって、次式:
【化8】
の末端基、及び分子量Mn2.3kDaを有する高分岐コポリマーHBC1が得られる、クロロアセテートの完全な転化が示されるまで、この生成物を水中のクロロ酢酸ナトリウムと反応させ、80℃で攪拌した。
【0111】
高分岐コポリマーHBC1が、以下の実験において水中の50%溶液として使用された。表1に示す量は、ポリマーの量に対する量である。
【0112】
[抗菌作用の試験(24時間チャレンジテスト)]
生成物の水相が通常、微生物の増殖を最も受けやすいことが知られているため、水溶液に対する規制上の保存効力試験法(NF EN ISO11930)と類似して、抗菌有効性が評価された。
【0113】
したがって、表1に示す量でHPC1及び/又は1,3-プロパンジオール及び/又はN-ヒドロキシオクタンアミドの溶液を無菌条件下にて調製した。このために、それを0.85重量%NaClを含む生理学的血清に可溶化した。96ディープウェルプレート(1.6ml/ウェル)に溶液を置いた。大腸菌(Escherichia coli)又はアスペルギルス・ブラジリエンシス(Aspergillus brasiliensis)でそれぞれ6.3*105又は4.5*104cfu/mlにてウェルを汚染した。汚染後に、各ウェルを完全に混合して、微生物の均一な分布を確実にした。次いで、各プレートを22℃にて24時間インキュベートした。汚染して24時間後に、(残存する)集団のカウントを行い、表1に報告した。
【0114】
【0115】
表1の結果から、これらの特定のコポリマー、つまり高分岐コポリマーが、1,3-プロパンジオール及び/又はN-ヒドロキシオクタンアミドの抗菌作用を増加することがはっきりと示されている。この効果は相乗効果的である。特にN-ヒドロキシオクタンアミドと組み合わせたHPC1及び1,3-プロパンジオール及び/又はN-ヒドロキシオクタンアミドは、シャンプー又はo/wスキンケアエマルジョンなどの多様な化粧品組成物において抗菌作用の増加を示すことが確認された。
【国際調査報告】