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特表2022-526756凹設された支持構成要素を有するエアロゾル発生物品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-26
(54)【発明の名称】凹設された支持構成要素を有するエアロゾル発生物品
(51)【国際特許分類】
   A24D 3/17 20200101AFI20220519BHJP
   A24F 40/40 20200101ALI20220519BHJP
   A24F 40/20 20200101ALI20220519BHJP
【FI】
A24D3/17
A24F40/40
A24F40/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2021556636
(86)(22)【出願日】2020-03-12
(85)【翻訳文提出日】2021-09-17
(86)【国際出願番号】 EP2020056732
(87)【国際公開番号】W WO2020200693
(87)【国際公開日】2020-10-08
(31)【優先権主張番号】19167446.4
(32)【優先日】2019-04-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100196612
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 慎也
(72)【発明者】
【氏名】パパキリロー ステファノス
【テーマコード(参考)】
4B045
4B162
【Fターム(参考)】
4B045BC08
4B045BC16
4B045BC24
4B045BC26
4B162AA03
4B162AA07
4B162AA22
4B162AB01
4B162AB12
4B162AC12
4B162AC14
(57)【要約】
加熱時に吸入可能なエアロゾルを生成するためのエアロゾル発生物品(10)が提供される。物品は、エアロゾル発生基体のロッド(12)と、マウスピースセグメント(16)と、ロッドとマウスピースセグメントとの間の中空の管状支持要素(14)と、を備える。中空の管状支持要素は、ロッド(12)と長軸方向に整列し、ロッドのすぐ下流に配列され、ロッドとマウスピースセグメントとの間の流体連通を確立する少なくとも一つの気流導管(30)を画定する。中空の管状支持要素は、円筒状の周辺壁(24)を備え、円筒状の周辺壁の外表面から中空の管状支持要素の長軸方向軸に向かって延びる。さらに、中空の管状支持要素(14)は、中空の管状支持要素の上流端に凹部を画定し、凹部は、エアロゾル発生物品の全体の長さの約(10)パーセント未満の長さを有し、少なくとも一つの気流導管は、凹部の下流端からマウスピースセグメントまで延びる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱時に吸入可能なエアロゾルを生成するためのエアロゾル発生物品であって、前記エアロゾル発生物品が、
エアロゾル発生基体のロッドと、
濾過材料のプラグを含むマウスピースセグメントと、
前記ロッドと前記マウスピースセグメントとの間の位置にある管状支持要素と、を備え、前記ロッドおよび前記マウスピースセグメントと長軸方向に整列する前記管状支持要素が、前記ロッドのすぐ下流に配列され、前記ロッドと前記マウスピースセグメントとの間の流体連通を確立する少なくとも一つの気流導管を画定し、
前記管状支持要素が、円筒状の周辺壁を備え、前記管状支持要素の前記材料の一部分が、内方に突起し、前記管状支持要素の上流端で、前記周辺壁の最上流端表面に接する横断面から離間配置された少なくとも一つの表面によって区切られており、
前記エアロゾル発生物品が、前記管状支持要素によって画定される凹部を備え、前記凹部が、前記ロッドの下流端表面と前記管状支持要素の上流端表面との間に含まれ、前記凹部が、前記エアロゾル発生物品の全体の長さの約10パーセント未満の長さを有し、前記少なくとも一つの気流導管が、前記凹部の下流端から前記マウスピースセグメントまで長軸方向に延びる、エアロゾル発生物品。
【請求項2】
前記凹部の断面積が、前記凹部の前記長さに沿って変化する、請求項1に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項3】
前記凹部が、前記凹部の断面積が前記凹部の下流端においてよりも、前記凹部の上流端においてより大きくなるように、テーパ状である、請求項2に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項4】
前記円筒状の周辺壁の厚さが、1ミリメートル未満である、請求項1~3のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項5】
前記管状支持要素が、前記円筒状の周辺壁から内方に延びる一つ以上の内部突起と、前記凹部の下流端表面を画定する前記一つ以上の内部突起の上流端表面と、を備える、請求項1~4のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項6】
前記管状支持要素が、前記円筒状の周辺壁の内表面上の少なくとも第一の点から、前記管状支持要素の半径方向の中心を通って前記円筒状の周辺壁の内表面上の少なくとも第二の点まで延びる、材料の少なくとも一つの内側部分を含み、それにより、少なくとも二つの気流導管が、前記凹部の前記下流端から前記マウスピースセグメントまで長軸方向に延び、各気流導管が、前記材料の少なくとも一つの内側部分の表面と前記円筒状の周辺壁の前記内表面との間に画定される、請求項1~4のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項7】
前記材料の内側部分が、前記円筒状の周辺壁によって内部に画定される体積にわたって、中空の管状支持要素の長軸方向軸を通って延びる少なくとも一つの壁を備える、請求項6に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項8】
前記壁の厚さが、約0.5ミリメートル未満である、請求項7に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項9】
前記管状支持要素の露出表面積と前記中空の支持要素の内部体積との比が、少なくとも0.6mm-1である、請求項1~8のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項10】
前記ロッドが、約7ミリメートル~約15ミリメートルの長さを有する、請求項1~9のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項11】
前記管状要素が、約10ミリメートル~約30ミリメートルの長さを有する、請求項1~10のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項12】
前記エアロゾル発生物品の全体の長さが、約40ミリメートル~約70ミリメートルである、請求項1~11のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項13】
前記エアロゾル発生基体のロッドが、少なくともエアロゾル形成体を含み、前記エアロゾル発生基体のロッドが、乾燥重量基準で少なくとも約10パーセントのエアロゾル形成体含有量を有する、請求項1~12のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項14】
エアロゾル発生システムであって、請求項1~13のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品と、電気的に作動するエアロゾル発生装置と、を備え、前記電気的に作動するエアロゾル発生装置が、発熱体、および前記エアロゾル発生物品を受容するように構成された細長い加熱チャンバー、を備え、それにより、前記エアロゾル発生基体のロッドが、前記加熱チャンバー内で加熱される、エアロゾル発生システム。
【請求項15】
前記発熱体が、前記エアロゾル発生物品が前記加熱チャンバー内に受容されるときに、前記エアロゾル発生基体のロッドに挿入されるように適合されたヒーターブレードまたはヒーターピンを備える、請求項14に記載のエアロゾル発生システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル発生基体を備え、加熱時に吸入可能なエアロゾルを生成するように適合されたエアロゾル発生物品に関する。
【0002】
たばこ含有基体などのエアロゾル発生基体が燃焼されるのではなく加熱されるエアロゾル発生物品は、当業界で既知である。典型的に、こうした加熱式喫煙物品においてエアロゾルは、熱源からの熱を、物理的に分離されたエアロゾル発生基体または材料に伝達することによって発生され、このエアロゾル発生基体または材料は熱源に接触して、または熱源内に、または熱源の周囲に、または熱源の下流に位置してもよい。エアロゾル発生物品の使用中、揮発性化合物は、熱源からの熱伝達によってエアロゾル発生基体から放出され、エアロゾル発生物品を通して引き出された空気中に同伴される。放出された化合物は冷えるにつれて凝縮してエアロゾルを形成する。
【0003】
数多くの先行技術文書は、エアロゾル発生物品を消費するためのエアロゾル発生装置を開示している。かかる装置としては、例えばエアロゾル発生装置の一つ以上の電気ヒーター要素から加熱式エアロゾル発生物品のエアロゾル発生基体への熱伝達によってエアロゾルが発生される、電気加熱式エアロゾル発生装置が挙げられる。
【0004】
加熱式エアロゾル発生物品用の基体はこれまで典型的に、たばこ材料のランダムに配向された断片、ストランド、または細片を使用して生成されてきた。より最近では、収集されたタバコ材料のシートから形成されるロッドなどの、燃焼されるのではなく、加熱されるエアロゾル発生物品のための代替的な基体が開示されている。例として、国際特許出願第WO-A-2012/164009号に開示されるロッドは、空気がロッドを通して引き出されることを可能にする長軸方向の空隙率を有する。さらなる代替として、国際特許出願第WO-A-2011/101164号は、均質化したたばこ材料のストランドから形成された、加熱式エアロゾル発生物品のためのロッドを開示していて、これは粒子状たばこおよび少なくとも一つのエアロゾル形成体を含む混合物の鋳造、圧延、カレンダ成形、または押出成形によって形成されて、均質化したたばこ材料シートを形成し得る。別の実施形態では、WO-A-2011/101164のロッドは、粒子状たばこおよび少なくとも一つのエアロゾル形成体を含む混合物を押出成形して、均質化したたばこ材料の連続的な長さを形成することによって得られた均質化したたばこ材料のストランドから形成されてもよい。
【0005】
加熱式エアロゾル発生物品用の基体は典型的に、エアロゾル形成体、すなわち使用時にエアロゾルの形成を容易にする、および好ましくはエアロゾル発生物品の使用温度で熱分解に対して実質的に耐性がある化合物または化合物の混合物をさらに含む。好適なエアロゾル形成体の例には、多価アルコール(プロピレングリコール、トリエチレングリコール、1,3-ブタンジオール、グリセリンなど)、多価アルコールのエステル(グリセロールモノアセテート、ジアセテートまたはトリアセテートなど)、およびモノカルボン酸、ジカルボン酸またはポリカルボン酸の脂肪族エステル(ドデカン二酸ジメチル、テトラデカン二酸ジメチルなど)が挙げられる。
【0006】
また、加熱に伴い吸入可能なエアロゾルを生成するためのエアロゾル発生物品中に、同一のラッパーの中で基体とともに組み立てられる一つ以上の追加的な要素を含むことも一般的である。かかる追加的な要素の例には、マウスピース濾過セグメント、エアロゾル発生物品に構造的強度を付与するように適合された支持要素、マウスピースに到達する前のエアロゾルの冷却に有利に働くように適合された冷却要素などが含まれる。しかしながら、かかる追加的な要素は、いくつかの有利な効果を有してもよいが、それらのエアロゾル発生物品内の包含は、一般的に物品の全体的な構造を込み入ったものにし、またその製造をより複雑にし、かつコスト効果をより低くする。
【0007】
これを考慮して、より単純な構造を有するエアロゾル発生物品が提案されてきた。しかしながら、特定の追加的構成要素が存在しない場合、満足のいくRTDを消費者に一貫して提供するエアロゾル発生物品を製造することはより困難となる場合がある。さらに、消費者に満足のいくエアロゾル送達を一貫して提供するエアロゾル発生物品を製造することが、より困難になる場合がある。例として、使用中に物品に沿って流れる気体状のストリームを冷却するために特に適合される要素が存在しない場合、加熱時に発生する蒸気相の温度を下げること、およびエアロゾル粒子の凝縮を達成することがより困難になる場合がる。これは、何とか凝縮して消費者に効果的に送達されるエアロゾル粒子の量を制限し得る。
【0008】
したがって、使用中に消費者に一貫して満足のいくエアロゾル送達を提供することを可能にすると同時に、より簡単に効率的かつ高速で製造され得るエアロゾル発生物品を提供することが望ましいであろう。
【0009】
本発明は、加熱されたときに吸入可能なエアロゾルを生成するためのエアロゾル発生物品に関する。エアロゾル発生物品は、エアロゾル発生基体のロッドを備え得る。さらに、エアロゾル発生物品は、濾過材料のプラグを含むマウスピースセグメントを備え得る。エアロゾル発生物品は、ロッドとマウスピースセグメントとの間の位置にある管状支持要素を備えることができ、ロッドおよびマウスピースセグメントと長軸方向に整列する管状支持要素は、ロッドのすぐ下流に配列され、ロッドとマウスピースセグメントとの間の流体連通を確立する少なくとも一つの気流導管を画定する。管状支持要素は、円筒状の周辺壁を備え、円筒状の周辺壁の外表面から管状支持要素の長軸方向軸に向かって延び得る。エアロゾル発生物品は、管状支持要素によって画定される凹部を備え得る。凹部は、ロッドの下流端表面と管状支持要素の上流端表面との間に含まれ得る。凹部は、エアロゾル発生物品の全体の長さの約10パーセント未満の長さを有し得る。少なくとも一つの気流導管は、凹部の下流端からマウスピースセグメントまで長軸方向に延び得る。
【0010】
本発明の一態様によると、加熱されたときに吸入可能なエアロゾルを生成するためのエアロゾル発生物品であって、エアロゾル発生物品が、
エアロゾル発生基体のロッドと、濾過材料のプラグを含むマウスピースセグメントと、ロッドとマウスピースセグメントとの間の位置にある管状支持要素と、を備える、エアロゾル発生物品が提供される。管状支持要素は、ロッドおよびマウスピースセグメントと長軸方向に整列し、ロッドのすぐ下流に配列され、ロッドとマウスピースセグメントとの間の流体連通を確立する少なくとも一つの気流導管を画定する。さらに、管状支持要素は、円筒状の周辺壁を備え、円筒状の周辺壁の外表面から管状支持要素の長軸方向軸に向かって半径方向に延びる。加えて、エアロゾル発生物品は、管状支持要素によって画定される凹部を備え、凹部は、ロッドの下流端表面と管状支持要素の上流端表面との間に含まれる。凹部は、エアロゾル発生物品の全体の長さの約10パーセント未満の長さを有する。少なくとも一つの気流導管は、凹部の下流端からマウスピースセグメントまで長軸方向に延びる。
【0011】
本発明の別の態様によれば、エアロゾル発生システムであって、上述のエアロゾル発生物品と、電気的に作動するエアロゾル発生装置と、を備え、電気的に作動するエアロゾル発生装置が、発熱体、およびエアロゾル発生物品を受容するように構成された細長い加熱チャンバー、を備え、それにより、エアロゾル発生基体のロッドが、加熱チャンバー内で加熱される、エアロゾル発生システムが提供される。
【0012】
当然のことながら、本発明の一態様に関して説明した任意の特徴は、本発明の任意の他の態様にも等しく適用可能である。
【0013】
「エアロゾル発生物品」という用語は本明細書において、エアロゾル発生基体が加熱されてエアロゾルを生成して消費者に送達する物品を意味するために使用される。本明細書で使用される「エアロゾル発生基体」という用語は、加熱に伴い揮発性化合物を放出してエアロゾルを発生する能力を有する基体を意味する。
【0014】
従来の紙巻たばこは、ユーザーが炎を紙巻たばこの一方の端に付け、もう一方の端を通して空気を吸う時に点火される。炎と紙巻たばこを通して引き出された空気中の酸素とによってもたらされた局在化した熱は、紙巻たばこの端を点火させて、その結果生じる燃焼は吸入可能な煙を発生する。これに反して、加熱式エアロゾル発生物品において、エアロゾルは風味発生基体(たばこなど)を加熱することによって発生される。既知の加熱式エアロゾル発生物品としては、例えば電気加熱式エアロゾル発生物品と、可燃性燃料要素または熱源から、物理的に分離されたエアロゾル形成材料への熱の伝達によってエアロゾルが発生されるエアロゾル発生物品とが挙げられる。例えば、本発明によるエアロゾル発生物品は、エアロゾル発生基体のロッドの中に挿入されるように適合されている内部ヒーターブレードを有する電気加熱式のエアロゾル発生装置を備えるエアロゾル発生システムにおいて特定の用途がある。このタイプのエアロゾル発生物品は、先行技術、例えばEP0822670に記載されている。
【0015】
本明細書で使用される「エアロゾル発生装置」という用語は、エアロゾル発生物品のエアロゾル発生基体と相互作用してエアロゾルを発生するヒーター要素を備える装置を指す。
【0016】
使用中、揮発性化合物は、熱伝達によってエアロゾル発生基体から放出され、エアロゾル発生物品を通して引き出された空気中に混入される。放出された化合物は冷めるにつれて凝縮してエアロゾルを形成し、これを消費者が吸い込む。
【0017】
本明細書で使用される「管状要素」という用語は、その長軸方向軸に沿った内腔または気流通路を画定する細長い要素を意味する。本明細書の文脈では、「管状」という用語は、管状要素の上流端と管状要素の下流端との間の流体連通を確立する少なくとも一つの気流導管を画定する、実質的に円筒状の断面を有する任意の管状要素を包含することが意図される。
【0018】
本明細書で使用される「長軸方向」という用語は、エアロゾル発生物品の上流端と下流端の間に延びる、エアロゾル発生物品の主要な長軸方向軸に対応する方向を指す。本明細書で使用される「上流」および「下流」という用語は、使用中にエアロゾル発生物品を通してエアロゾルが搬送される方向に関してエアロゾル発生物品の要素(または要素の部分)の相対的な位置を説明する。使用中、空気はエアロゾル発生物品を通して長軸方向に引き出される。「横断方向」という用語は、長軸方向軸に対して直角を成す方向を指す。エアロゾル発生物品またはエアロゾル発生物品の構成要素の「断面」への任意の言及は、別途記載のない限り、横断断面を指す。
【0019】
「凹部」という用語は、本明細書では、エアロゾル発生物品内の中空空間を示すために使用される。凹部は、上記中空空間が構成要素によって実質的に囲まれている場合、エアロゾル発生物品の構成要素によって「画定される」。
【0020】
実際には、凹部は、中空空間の境界が構成要素の一つ以上の端部表面によって部分的に設定されている場合、エアロゾル発生物品の構成要素によって画定される。これは、凹部の体積が、管状支持要素が作製される材料のいずれによっても占有されておらず、実質的に空であることを意味する。
【0021】
エアロゾル発生物品の構成要素によって画定される一つのかかる凹部は、構成要素の一つ以上の端部表面から離れる方向に面する側面で開いている。したがって、構成要素の一つ以上の端部表面から離れる方向に面する側面上の凹部の境界は、凹部を画定する構成要素に隣接するエアロゾル発生物品の別の構成要素の端部表面によって効果的に画定されると見なすことができる。
【0022】
上で簡単に説明したように、本発明によるエアロゾル発生物品では、管状支持要素は、ロッドのすぐ下流に配列される。本発明の文脈において、「ロッドのすぐ下流」という表現は、管状支持要素とロッドとが互いに接触しているか、または互いに非常に近接していることを意味し、これにより、物品が、エアロゾル発生基体を加熱するように適合されたエアロゾル発生装置(例えば、基体に挿入される発熱体を含むもの)での使用のために受容されるときに、管状支持要素は、エアロゾル発生物品の変形がほとんど、もしくは全くない状態、またはロッドの変位がほとんど、もしくは全くなく状態、あるいはこれらの両方の状態で、ロッドの支持を効果的に提供する。したがって、実際には、本発明の文脈において、「ロッドのすぐ下流」という表現は、ロッドの下流端表面と管状支持要素の上流端表面(例えば、管状支持要素の周辺壁の上流端表面など)との間の最小長軸方向距離が、1ミリメートル未満、好ましくは0.5ミリメートル未満、なおより好ましくは0.25ミリメートル未満であることを示すために使用される。特に好ましい実施形態では、エアロゾル発生基体のロッドと管状支持要素とが接触している。
【0023】
以下でより詳細に説明するように、本発明の文脈において、管状支持要素は、周辺壁の上流端表面がエアロゾル発生基体のロッドの下流端表面と接触するときに、管状支持の少なくとも別の上流端表面がロッドの下流端表面から離間配置されるように順応する。したがって、凹部の下流境界は、中空管セグメントの上記少なくとも別の上流端表面によって画定される。同時に、凹部の上流境界は、長軸方向に対して横断し、管状支持要素の周辺壁の上流端表面と同一平面上にある平面よって設定されると見なされる。実際には、管状支持要素がロッドと整列し、エンドツーエンド配列で当接するため、管状支持要素の少なくとも別の上流端表面から離れる方向に面する側面上の凹部の境界は、ロッドの下流端表面と実質的に一致すると見なすことができる。
【0024】
「長さ」という用語は、長軸方向におけるエアロゾル発生物品の構成要素の最大寸法を意味する。例えば、長軸方向におけるロッドまたは管状要素の寸法を意味するために使用されてもよい。特に、本発明の文脈において、「凹部の長さ」という用語は、凹部の上流境界と下流境界との間の最大距離を示すために使用される。実際には、これは、管状支持要素の周辺壁の上流端表面によって画定される平面(またはエアロゾル発生基体のロッドの下流端によって画定される平面)間の最大距離として評価される。
【0025】
「管状要素の壁の厚さ」という用語は本明細書において、管状要素の壁の外表面と内表面との間で測定された最小距離を意味するために使用される。実際に、所与の位置での距離は、管状要素の壁の対向する側面と局所的に実質的に直角を成す方向に沿って測定される。実質的に円筒状の管状要素、すなわち、実質的に円形の断面を有する管状要素については、周辺壁の厚さは、管状要素の実質的に半径方向に沿って測定される周辺壁の外表面と内表面との間の距離として評価される。管状要素が、周辺壁の内表面上のある点から周辺壁の内表面上の別の点まで延びる一つ以上の内部横断壁を備えるこれらの実施形態では、内部壁の厚さは、内部壁の両側と直角を成す方向に沿って測定される内部壁の対向する側面間の距離として評価される。
【0026】
「空気不透過性材料」という表現は本明細書の全体を通して、材料中の隙間また細孔を通して流体、特に空気および煙の通過を可能にしない材料を意味するために使用される。支持要素が空気およびエアロゾル粒子に対して不透過性の材料で形成されている場合、支持要素を通して引き出される空気およびエアロゾル粒子は、気流導管を通って流れることを強制されるが、支持要素の壁を横切って流れることはできない。
【0027】
「中空の管状セグメントの露出表面積」という用語は、本明細書において、使用中にエアロゾル発生物品を通って流れるエアロゾルに露出される、中空の管状セグメントの様々な表面の累積表面積を示すために使用される。したがって、中空の管状セグメントの露出表面積は、中空の管状支持要素の円筒状の周辺壁の内表面の表面積を含む。さらに、以下の説明および実施例でより詳細に説明するように、中空の管状セグメントの露出表面積は、周辺壁の内表面上のある点から周辺壁の内表面上の別の点まで延びる、中空の管状支持要素の任意の内部横断壁の両側の表面積を含む。
【0028】
本明細書で使用される「均質化したたばこ材料」という用語は、たばこ材料の粒子の凝集によって形成される任意のたばこ材料を包含する。均質化したたばこ材料のシートまたはウェブは、たばこ葉の葉身およびたばこ葉の茎のうちの一方または両方を粉砕することによって、またはその他の方法で粉末化することによって得られた粒子状たばこを凝集することによって形成されている。加えて、均質化したたばこ材料は、たばこの処理中、取り扱い中、および発送中に形成された少量のたばこダスト、たばこ微粉、およびその他の粒子状たばこ副産物のうちの一つ以上を含んでもよい。均質化したたばこ材料のシートは、キャスティング、押出成形、製紙プロセス、または当業界で既知の他の任意の適切なプロセスによって生産されてもよい。
【0029】
「多孔性」という用語は本明細書において、材料を通した空気の通過を可能にする複数の細孔または開口部を提供する材料を指すために使用される。
【0030】
上で簡単に説明しように、本発明のエアロゾル発生物品は、エアロゾル発生基体のロッドと、濾過材料のプラグを備えるマウスピースセグメントと、ロッドとマウスピースセグメントとの間の管状支持要素と、を組み込む。管状支持要素は、ロッドおよびマウスピースセグメントと長軸方向に整列し、ロッドのすぐ下流に配列され、ロッドとマウスピースセグメントとの間の流体連通を確立する少なくとも一つの気流導管を画定する。
【0031】
より詳細には、中空の管状支持要素は、円筒状の周辺壁を備え、円筒状の周辺壁の外表面から中空の管状支持要素の長軸方向軸に向かって内方に延びる。
【0032】
既存のエアロゾル発生物品とは対照的に、本エアロゾル発生物品は、管状支持要素によって画定される凹部を備え、凹部は、ロッドの下流端表面と管状支持要素の上流端表面との間に含まれる。凹部は、エアロゾル発生物品の全体の長さの約10パーセント未満の長さを有する。少なくとも一つの気流導管は、凹部の下流端からマウスピースセグメントまで長軸方向に延びる。
【0033】
使用中に支持要素を通して引き出される空気およびエアロゾル粒子は、少なくとも一つの気流導管に沿って流れることが好ましい。エアロゾル発生物品内に明確に画定された位置および所定の断面を有する一つのかかる気流導管を提供するのは容易であるため、気流導管の数および幾何学形状を調節することによって、エアロゾル発生物品の全体的なRTDに対して中空の管状支持要素が与える寄与を制御することが有利なことに容易である。理論に拘束されることを望むものではないが、本発明によるエアロゾル発生物品の管状支持要素は、エアロゾル発生物品の全体的なRTDに実質的に寄与しないことが期待される。事実上、エアロゾル発生物品の全体的なRTDは、エアロゾル発生基体のロッドのRTDおよびマウスピースセグメントのRTDに大きく依存することが期待される。さらに、これにより、特に一貫したRTD値を有するエアロゾル発生物品の製造がより容易になることが期待される。
【0034】
さらに、エアロゾル発生物品のロッドのすぐ下流に凹部を提供することによって、本発明によるエアロゾル発生物品において、使用中に、支持要素の上流端表面が特に高温に露出されることによって引き起こされ得る支持要素への損傷を防止することを確保することがより容易である。これはまた、使用中にエアロゾルが物品を通り、マウスピースに向かって流れ続けることができ、また物品のRTDが変化しないように、気流導管(複数可)の幾何学形状および配列を保存するのに役立つ。理論に拘束されることを望むものではないが、既存のエアロゾル発生物品が、ロッドに挿入されるブレードヒーターまたはピンヒーターの形態の発熱体を備える装置において使用される場合、エアロゾル発生物品の温度プロファイルは、ロッド内もしくはロッドの近く、またはこれらの両方の位置で最大値を提示することが理解される。ロッドの下流端に凹部を設けることは、例えば、発熱体がロッドに深すぎるほど押し込まれた場合に、発熱体の先端が誤って支持要素に接触する可能性を低減するのに役立つ場合がある。さらに、既存のエアロゾル発生物品とは対照的に、空気および蒸発種がロッドのすぐ下流を通って流れるための体積が提供され、気体状の流れが気流導管(複数可)に到達する前に、何らかの冷却が行われる場合がある。
【0035】
加えて、既存のエアロゾル発生物品が、ロッドに挿入されるブレードヒーターまたはピンヒーターの形態の発熱体を備える装置で使用される場合、基体の一部が変位することがあり、さらにはロッドの下流端で押し出されることがある。特に、ロッドが、キャストリーフ粒子または収集された均質化したたばこ材料を基体として含む場合、ブレードヒーターまたはピンヒーターのロッドへの挿入により、ロッドのコアにある材料の一部が押し出される場合がある。次に、これにより、望ましくないことに、既存のエアロゾル発生物品の気流経路の閉塞が引き起こされる場合がある。対照的に、本発明によるエアロゾル発生物品では、管状支持要素の上流端にある凹部により、有利には、一つのかかる閉塞を防ぐことができる。
【0036】
本発明によるエアロゾル発生物品は、高速で効率的に実行することができる連続的なプロセスで製造されることができ、かつ製造設備の広範な修正を必要とすることなく、加熱式エアロゾル発生物品の製造用の既存の生産ラインで都合よく製造されることができる。
【0037】
本発明によるエアロゾル発生物品は、ラッパーによって囲まれたロッドの形態で提供され得るエアロゾル発生基体を備える。
【0038】
エアロゾル発生基体のロッドは、エアロゾル発生物品の外径にほぼ等しい外径を有することが好ましい。
【0039】
エアロゾル発生基体のロッドは、少なくとも5ミリメートルの外径を有することが好ましい。エアロゾル発生基体のロッドは、約5ミリメートル~約12ミリメートルの外径、例えば約5ミリメートル~約10ミリメートルの外径、または約6ミリメートル~約8ミリメートルの外径を有してもよい。好ましい一実施形態において、エアロゾル発生基体のロッドは7.2ミリメートル±10パーセント以内の外径を有する。
【0040】
エアロゾル発生基体のロッドは、約5ミリメートル~約100mmの長さを有してもよい。エアロゾル発生基体のロッドは、少なくとも約5ミリメートルの長さを有することが好ましく、少なくとも約7ミリメートルの長さを有することがより好ましい。加えて、または代替として、エアロゾル発生基体のロッドは、約80ミリメートル未満の長さを有することが好ましく、約65ミリメートル未満の長さを有することがより好ましく、約50ミリメートル未満の長さを有することがなおより好ましい。特に好ましい実施形態において、エアロゾル発生基体のロッドは、約35ミリメートル未満の長さを有し、25ミリメートル未満の長さを有することがより好ましく、約20ミリメートル未満の長さを有することがなおより好ましい。一実施形態において、エアロゾル発生基体のロッドは、約10ミリメートルの長さを有してもよい。好ましい一実施形態において、エアロゾル発生基体のロッドは、約12ミリメートルの長さを有する。
【0041】
エアロゾル発生基体のロッドは、ロッドの長さに沿って実質的に均一な断面を有することが好ましい。エアロゾル発生基体のロッドは、実質的に円形の断面を有することが特に好ましい。
【0042】
好ましい実施形態において、エアロゾル発生基体は、一つ以上の均質化したたばこ材料のシートの集合体を含む。一つ以上の均質化したたばこ材料のシートは、テクスチャ加工されていることが好ましい。本明細書で使用される「テクスチャ加工されたシート」という用語は、捲縮された、エンボス加工された、デボス加工された、穿孔された、またはその他の方法で変形されたシートを意味する。本発明で使用する均質化したたばこ材料のテクスチャ加工されたシートは、複数の離隔したへこみ、突出部、穿孔、またはこれらの組み合わせを含んでもよい。本発明の特に好ましい実施形態によれば、エアロゾル発生基体のロッドは、ラッパーによって囲まれた均質化されたたばこ材料の捲縮したシートの集合体を含む。
【0043】
本明細書で使用される「捲縮したシート」という用語は、「しわ付けしたシート」という用語と同義語であることが意図され、複数の実質的に平行した隆起または波型形状のあるシートを意味する。均質化されたたばこ材料の捲縮したシートは、実質的に本発明によるロッドの円筒軸に平行な複数の隆起または波型形状を有することが好ましい。これは有利なことに、ロッドを形成するための均質化したたばこ材料の捲縮したシートの集合を容易にする。しかし、当然のことながら、本発明で使用する均質化したたばこ材料の捲縮したシートは別の方法として、または追加的に、ロッドの円筒軸に対して鋭角または鈍角で配置された複数の実質的に平行な隆起または波形を有する。ある特定の実施形態において、本発明の物品のロッドで使用する均質化したたばこ材料のシートは、実質的にその表面全体にわたって実質的に均等にテクスチャ加工されてもよい。例えば、本発明によるエアロゾル発生物品で使用するロッドの製造に使用する均質化したたばこ材料の捲縮したシートは、シートの幅にわたって実質的に均一に離隔した複数の実質的に平行な隆起または波形を含んでもよい。
【0044】
本発明で使用する均質化したたばこ材料のシートまたはウェブは、乾燥重量基準で少なくとも約40重量パーセントのたばこ含有量を有してもよく、乾燥重量基準で少なくとも約60重量パーセントのたばこ含有量を有することがより好ましく、乾燥基準で少なくとも約70重量パーセントのたばこ含有量を有することがより好ましく、乾燥重量基準で少なくとも約90重量パーセントのたばこ含有量を有することが最も好ましい。
【0045】
エアロゾル発生基体で使用する均質化したたばこ材料のシートまたはウェブは、粒子状たばこを凝集するのを補助するために、一つ以上の内因性結合剤(すなわち、たばこ内因性結合剤)、一つ以上の外因性結合剤(すなわち、たばこ外因性結合剤)、またはこれらの組み合わせを含んでもよい。別の方法として、または追加的に、エアロゾル発生基体で使用する均質化したたばこ材料のシートは、たばこ繊維および非たばこ繊維、エアロゾル形成体、湿潤剤、可塑剤、風味剤、充填剤、水性および非水性の溶媒、ならびにこれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない他の添加物を含んでもよい。
【0046】
エアロゾル発生基体で使用する均質化したたばこ材料のシートまたはウェブに含める適切な外因性結合剤は当業界で周知であり、ガム(例えばグアーガム、キサンタンガム、アラビアゴム、およびローカストビーンガムなど)、セルロース系結合剤(例えばヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、およびエチルセルロースなど)、多糖類(例えばデンプン、有機酸(アルギン酸など)、有機酸の共役塩基塩(アルギン酸ナトリウムなど)、寒天、ペクチンなど)、およびこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0047】
エアロゾル発生基体で使用する均質化したたばこ材料のシートまたはウェブに含めるための適切な非たばこ繊維は当業界で既知であり、セルロース繊維、針葉樹繊維、広葉樹繊維、ジュート繊維、およびこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。エアロゾル発生基体で使用する均質化したたばこ材料のシートに含める前に、非たばこ繊維は、当業界で周知の適切なプロセスによって処理されてもよく、プロセスには機械パルプ化、精製、化学パルプ化、漂白、硫酸塩パルプ化、およびこれらの組み合わせなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0048】
均質化したたばこ材料のシートまたはウェブは、エアロゾル形成体を含むことが好ましい。本明細書で使用される「エアロゾル形成体」という用語は、使用時にエアロゾルの形成を容易にする、かつエアロゾル発生物品の動作温度にて熱分解に対して実質的に抵抗性である、任意の好適な既知の化合物または化合物の混合物を記述する。
【0049】
好適なエアロゾル形成体は当業界で既知であり、多価アルコール(プロピレングリコール、トリエチレングリコール、1,3-ブタンジオール、グリセリンなど)、多価アルコールのエステル(グリセロールモノアセテート、ジアセテート、トリアセテートなど)、およびモノカルボン酸、ジカルボン酸またはポリカルボン酸の脂肪族エステル(ドデカン二酸ジメチル、テトラデカン二酸ジメチルなど)を含むが、これらに限定されない。
【0050】
好ましいエアロゾル形成体は、多価アルコール(プロピレングリコール、トリエチレングリコール、1,3-ブタンジオール、および最も好ましくはグリセリンなど)またはこれらの混合物である。
【0051】
均質化したたばこ材料のシートまたはウェブは、単一のエアロゾル形成体を含んでもよい。別の方法として、均質化したたばこ材料のシートまたはウェブは、二つ以上のエアロゾル形成体の組み合わせを含んでもよい。
【0052】
均質化したたばこ材料のシートまたはウェブは、乾燥重量基準で10パーセントを超えるエアロゾル形成体含有量を有する。均質化したたばこ材料のシートまたはウェブは、乾燥重量基準で12パーセントを超えるエアロゾル形成体含有量を有することが好ましい。均質化したたばこ材料のシートまたはウェブは、乾燥重量基準で14パーセントを超えるエアロゾル形成体含有量を有することがより好ましい。均質化したたばこ材料のシートまたはウェブは、乾燥重量基準で16パーセントを超えるエアロゾル形成体含有量を有することがなおより好ましい。
【0053】
均質化したたばこ材料のシートは、乾燥重量基準でおよそ10パーセント~およそ30パーセントのエアロゾル形成体含有量を有してもよい。均質化したたばこ材料のシートまたはウェブは、乾燥重量基準で25パーセント未満のエアロゾル形成体含有量を有することが好ましい。
【0054】
好ましい一実施形態において、均質化したたばこ材料のシートは、乾燥重量基準でおよそ20パーセントのエアロゾル形成体含有量を有する。
【0055】
本発明のエアロゾル発生物品で使用する均質化したたばこのシートまたはウェブは、当業界で周知の方法(例えば国際特許出願第WO-A-2012/164009(A2)号で開示されている方法)によって作製されてもよい。好ましい一実施形態において、エアロゾル発生物品で使用する均質化したたばこ材料のシートはキャストプロセスによって、粒子状たばこ、グアーガム、セルロース繊維、およびグリセリンを含むスラリーから形成されている。
【0056】
エアロゾル発生物品で使用するロッド中の均質化したたばこ材料の代替的な配列は当業者に周知であり、また均質化したたばこ材料の複数の積み重ねられたシート、長軸方向軸を中心として均質化したたばこ材料の細片を巻き取ることによって形成された複数の細長い管状要素等を含んでもよい。
【0057】
さらなる代替として、エアロゾル発生基体のロッドは、ニコチン(例えば、ニコチン塩の形態のもの)およびエアロゾル形成体を装填した吸収材非たばこ材料のシートなど、非たばこ由来のニコチンを有する材料を含んでもよい。かかるロッドの例は、国際出願第WO-A-2015/052652号に記載されている。加えて、または代替として、エアロゾル発生基体のロッドは、香りの良い非たばこ植物材料などの非たばこ植物材料を含んでもよい。
【0058】
本発明による物品のエアロゾル発生基体のロッドにおいて、エアロゾル発生基体はラッパーによって囲まれていることが好ましい。ラッパーは多孔性または非多孔性のシート材料で形成されてもよい。ラッパーは任意の好適な材料または材料の組み合わせで形成されてもよい。ラッパーは紙ラッパーであることが好ましい。
【0059】
マウスピースセグメントは、粒子状の構成要素、気体状の構成要素、または組み合わせを除去する能力を有する濾過材料のプラグを備える。好適な濾過材料は当業界で周知であり、繊維質の濾過材料(例えば、セルロースアセテートトウ、ビスコース繊維、ポリヒドロキシアルカン酸(PHA)繊維、ポリ乳酸(PLA)繊維、紙など)、吸着剤(例えば活性化アルミナ、ゼオライト、分子ふるい、シリカゲルなど)、およびこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。加えて、濾過材料のプラグは、一つ以上のエアロゾル修飾剤をさらに含んでもよい。好適なエアロゾル修飾剤は当業界で既知であり、例えばメントールなどの風味剤を含むが、これに限定されない。一部の実施形態において、マウスピースは、濾過材料のプラグの下流に口側端の凹部をさらに含んでもよい。一例として、マウスピースは、濾過材料のプラグと長軸方向に整列して、濾過材料のプラグのすぐ下流に配列された中空管を含んでもよく、中空管は、マウスピースおよびエアロゾル発生物品の下流端で外部環境に対して開放している口側端に空洞を形成する。
【0060】
マウスピースの長さは少なくとも約4ミリメートルであることが好ましく、少なくとも約6ミリメートルであることがより好ましく、少なくとも約8ミリメートルであることがなおより好ましい。加えて、または代替として、マウスピースの長さは25ミリメートル未満であることが好ましく、20ミリメートル未満であることがより好ましく、15ミリメートル未満であることがなおより好ましい。一部の好ましい実施形態において、マウスピースの長さは約4ミリメートル~約25ミリメートルであり、約6ミリメートル~約20ミリメートルであることがより好ましい。例示的な一実施形態において、マウスピースの長さは約7ミリメートルである。別の例示的な一実施形態において、マウスピースの長さは約12ミリメートルである。
【0061】
本発明によるエアロゾル発生物品では、管状支持要素は、ロッドとマウスピースセグメントとの間の位置に提供される。さらに、本発明によるエアロゾル発生物品は、管状支持要素によって画定される凹部を備え、凹部は、ロッドの下流端表面と管状支持要素の上流端表面との間に含まれる。
【0062】
管状支持要素は、円筒状の周辺壁と、管状支持要素の上流端から管状支持要素の下流端まで長軸方向に延びる少なくとも一つの気流導管と、を備え、それにより、管状支持要素は、凹部とマウスピースセグメントとの間の流体連通を確立する。
【0063】
上で簡単に説明したように、管状支持要素は、ロッドおよびマウスピースセグメントと長軸方向に整列し、ロッドのすぐ下流に配列される。これは、周辺壁の上流端表面が、エアロゾル発生基体のロッドの下流端表面に直接接触することを意味する。したがって、管状支持要素は、エアロゾル発生基体のロッドをマウスピースから所定の距離に効果的に維持し得る。さらに、管状支持要素は、エアロゾル発生物品を消費者が容易に取り扱い、使用するためにエアロゾル発生装置に挿入することができるように、エアロゾル発生物品に構造的強度を付与する。
【0064】
同時に、管状支持要素は、凹部の下流境界を画定し、エアロゾルが形成し、マウスピースに向かって流れるための細長い気流通路を提供する。凹部のために、気流導管の入口は、ロッドの下流端から効果的に離間配置されている。
【0065】
使用中、管状支持要素の気流導管に沿って熱勾配が確立される。実際に、温度差は、凹部の下流端で管状支持要素に入る揮発したエアロゾル構成要素の温度が、管状支持要素の下流端(すなわち、マウスピースのすぐ上流)で管状支持要素を出る揮発したエアロゾル成分の温度よりも大きくなるように、提供される。概して、管状支持要素の気流導管(複数可)の累積体積は、エアロゾルの形成に好都合で、消費者へのエアロゾルの送達を強化するように、可能な限り大きいことが望ましい。
【0066】
管状支持要素の気流導管(複数可)の累積体積は通常、管状支持要素の周辺壁によって内部に画定される体積の約2パーセント~約90パーセントである。管状支持要素の気流導管(複数可)の累積体積は、管状支持要素の周辺壁によって内部に画定される体積の少なくとも約5パーセントであることが好ましい。管状支持要素の気流導管(複数可)の累積体積は、管状支持要素の周辺壁によって内部に画定される体積の少なくとも約10パーセントであることがより好ましい。
【0067】
加えて、または代替として、管状支持要素の気流導管(複数可)の累積体積は、管状支持要素の周辺壁によって内部に画定される体積の約80パーセント未満であることが好ましい。管状支持要素の気流導管(複数可)の累積体積は、管状支持要素の周辺壁によって内部に画定される体積の約70パーセント未満であることがより好ましい。管状支持要素の気流導管(複数可)の累積体積は、管状支持要素の周辺壁によって内部に画定される体積の約60パーセント未満であることがなおより好ましい。
【0068】
いくつかの好ましい実施形態では、管状支持要素の気流導管(複数可)の累積体積は、管状支持要素の周辺壁によって内部に画定される体積の約5パーセント~約80パーセントである。
【0069】
特に、様々な幾何学形状を有し、異なる材料で作製された管状支持要素の異なる実施形態の以下の説明から明らかになるように、いくつかの好ましい実施形態では、管状支持要素の周辺壁から内方に突起する管状支持要素の材料の一部分は、周辺壁によって画定される円筒状の体積の断面の約2パーセント~約25パーセント、より好ましくは周辺壁によって画定される円筒状の体積の断面の5パーセント~15パーセントのみを占有する。したがって、周辺壁から内方に突起する管状支持要素の材料の一部分は、有利なことに、管状支持要素に構造的堅牢性を付与することに寄与すると同時に、使用中にエアロゾル種の実質的に遮るもののない流れのために利用可能な、周辺壁によって画定される円筒状の体積の非常に大きな部分を残す。
【0070】
本発明によるエアロゾル発生物品では、管状支持要素は、多孔性材料または空気不透過性材料から形成され得る。多孔性材料の好適な例としては、セルロースアセテートならびに当業者には周知であろう他のいくつかの多孔性ポリマー材料が挙げられる。空気不透過性材料の好適な例としては、特にバイオプラスチックを好む当業者には既知であろう非多孔性ポリマー材料が挙げられる。
【0071】
より詳細には、管状支持要素を生成する製造プロセスに応じて、異なるポリマー材料を使用することができる。例として、好適な製造プロセスとしては、押出成形、射出成形、および3D印刷が挙げられる。概して、サイズおよび形状に対する正確な制御、ならびに高い再現性を伴うポリマー材料の構成要素の生成を可能にするプロセスが好ましい。
【0072】
管状支持要素は、円筒状の周辺壁の外表面から中空の管状支持要素の長軸方向軸に向かって延びる。実際には、管状支持要素の材料の一部分は、内方に突起し、管状支持要素の上流端で、周辺壁の最上流端表面に接する横断面から離間配置された少なくとも一つの表面によって区切られている。
【0073】
円筒状の周辺壁の厚さは、概して0.2ミリメートル~5ミリメートルである。円筒状の周辺壁の厚さは、2ミリメートル未満であることが好ましい。円筒状の周辺壁の厚さは、1.5ミリメートル未満であることがより好ましい。円筒状の周辺壁の厚さは、1ミリメートル未満であることがなおより好ましい。さらに、または代替として、円筒状の周辺壁の厚さは、少なくとも0.2ミリメートルである。円筒状の周辺壁の厚さは、少なくとも0.4ミリメートルであることがより好ましい。円筒状の周辺壁の厚さは、少なくとも0.6ミリメートルであることがなおより好ましい。
【0074】
したがって、上流端において、円筒状の周辺壁は、エアロゾル発生基体のロッドの周辺部分に当接するよう適合された端部表面を提示する。
【0075】
いくつかの実施形態では、周辺壁の上流端表面は、実質的に平坦なプロファイルを有し、全体がロッドの下流端表面と実質的に接触している。したがって、凹部の下流境界は、周辺壁の内表面から内方に突起する管状支持要素の材料の一部分の上流端表面によって画定される。例として、管状支持要素の材料の内方に突起する部分は、周辺壁の内部表面から延びる一つ以上の内部突起を画定し得る。
【0076】
代替的な実施形態では、周辺壁の上流端表面は、周辺壁がその最も外側の周辺縁でのみロッドと接触する一方、ロッドの下流端表面と周辺壁の内側周辺における周辺壁の端部表面との間にいくつかの空間が設けられるように、非平坦なプロファイル、例えば、傾斜したプロファイルまたは湾曲したプロファイルを有する。言い換えれば、管状支持要素の周辺壁の上流端表面はまた、凹部の実質的に円錐台状の部分を画定することによって、凹部の下流境界を画定することに寄与する。
【0077】
中空の管状要素の長さは、少なくとも約10ミリメートルであることが好ましい。中空の管状要素の長さは、少なくとも約15ミリメートルであることがより好ましい。中空の管状要素の長さは、少なくとも約20ミリメートルであることがなおより好ましい。加えて、または代替として、中空の管状要素の長さは、約60ミリメートル未満であることが好ましい。中空の管状要素の長さは、約50ミリメートル未満であることがより好ましい。中空の管状要素の長さは、約40ミリメートル未満であることがなおより好ましい。
【0078】
中空の管状要素の長さは、概して、約8ミリメートル~約60ミリメートルである。
【0079】
一部の好ましい実施形態において、中空の管状要素の長さは、約10ミリメートル~約60ミリメートルであり、約15ミリメートル~約50ミリメートルであることがより好ましく、約20ミリメートル~約40ミリメートルであることがなおより好ましい。一部の特に好ましい実施形態において、中空の管状要素の長さは、約20ミリメートル~約30ミリメートルである。好ましい実施形態において、中空の管状要素の長さは、約26ミリメートルである。
【0080】
上述のように、管状支持要素は、円筒状の周辺壁と、円筒状の周辺壁から内方に突起する材料の一部分と、を備える。したがって、管状支持要素の断面では、
-円筒状の周辺壁の断面に対応する環状部分と、
-内部占有部分であって、環状部分内部の円形断面の部分(複数可)に対応し、内方に突起する部分の材料が見受けられる、内部占有部分と、
-空隙部分であって、環状部分内部の円形断面の部分(複数可)に対応し、内方に突起する部分の材料が見受けられない、空隙部分と、を識別することが可能である。
【0081】
例として、円筒状の周辺壁と、互いに直交する二つの横断壁と、を備える管状支持要素では、内部占有部分は、二つの横断壁の断面に対応し、空隙部分は、四つの同一の円形セクタの断面に対応し、これらの各々は、直交する横断壁の二つの半割部の間に実質的に角度を成した状態で延びる。
【0082】
したがって、上述の管状支持要素では、以下のパラメータを測定または計算することが可能である。
(a)空隙部分の断面の累積周囲長であって、環状部分内部の円形断面の各部分の周囲長の和として計算することができ、内方に突起する部分の材料が見受けられない、累積周囲長。
(b)空隙部分の断面の累積表面積であって、環状部分内部の円形断面の各部分の表面積の和として計算することができ、内方に突起する部分の材料が見受けられない、累積表面積。
(c)管状支持要素の断面の表面積であって、パラメータ(b)と環状部分の断面の表面積との和として計算することができる、表面積。
(d)空隙部分の周辺表面の累積表面積であって、空隙部分の様々な部分を区切る表面の表面積の和として計算することができる、累積表面積。実質的に一定の断面を有する管状支持要素の場合、パラメータ(d)は、管状支持要素の全体の長さによるパラメータ(a)の積として推定することができる。
(e)空隙部分の累積体積であって、空隙部分の様々なサブ部分の体積の和として計算することができる、累積体積。実質的に一定の断面を有する管状支持要素の場合、パラメータ(e)は、管状支持要素の全体の長さによるパラメータ(b)の積として推定することができる。
(f)中空の管状要素の全体の体積であって、パラメーター(e)と、環状部分の体積と、内部占有部分の体積と、の和として計算することができる、全体の体積。
【0083】
本発明による物品の管状支持要素では、これらのパラメータの値は、凹部の長さに沿った位置の断面を参照するか、または凹部の下流の位置の断面を参照して、測定または計算される場合、概して異なることが理解されよう。
【0084】
好ましい実施形態では、パラメータ(a)と(c)との比は、これらのパラメータが、凹部の下流の位置の断面を参照して測定または計算される場合、パラメータ(d)と(f)との比と実質的に等しい。さらに、パラメータ(a)と(c)との比は、少なくとも約0.1mm-1であることが好ましく、少なくとも約0.2mm-1であることがより好ましい。加えて、または代替として、パラメータ(a)と(c)との比は、約10mm-1未満であることが好ましく、約5mm-1未満であることがより好ましい。一部の特に好ましい実施形態では、パラメータ(a)と(c)との比は、パラメータ(d)と(f)との比と実質的に等しく、約0.1mm-1~約10mm-1であり、約0.2mm-1~約5mm-1であることがより好ましい。
【0085】
好ましい実施形態では、パラメータ(b)と(c)との比は、これらのパラメータが、凹部の下流の位置の断面を参照して測定または計算される場合、パラメータ(e)と(f)との比と実質的に等しい。さらに、パラメータ(b)と(c)との比は、少なくとも約0.05であることが好ましく、少なくとも約0.30であることがより好ましく、少なくとも約0.40であることがなおより好ましく、少なくとも約0.50であることが最も好ましい。加えて、または代替として、パラメータ(b)と(c)との比は、約0.99未満であることが好ましく、約0.95未満であることがより好ましく、約0.90未満であることがなおより好ましく、約0.80未満であることが最も好ましい。一部の特に好ましい実施形態では、パラメータ(b)と(c)との比は、パラメータ(e)と(f)との比と実質的に等しく、約0.05~約0.99であり、約0.30~約0.95であることがより好ましく、約0.40~約0.90であることがなおより好ましく、約0.50~約0.80であることが最も好ましい。
【0086】
凹部は、エアロゾル発生物品の全体の長さの約10パーセント未満の長さを有する。凹部は、エアロゾル発生物品の全体の長さの約9パーセント未満の長さを有することが好ましい。凹部は、エアロゾル発生物品の全体の長さの約8パーセント未満の長さを有することがなおより好ましい。
【0087】
加えて、または代替として、凹部は、エアロゾル発生物品の全体の長さの少なくとも約1パーセントの長さを有することが好ましい。凹部は、エアロゾル発生物品の全体の長さの少なくとも約2パーセントの長さを有することがより好ましい。凹部は、エアロゾル発生物品の全体の長さの少なくとも約3パーセントの長さを有することがなおより好ましい。一部の特に好ましい実施形態では、凹部は、エアロゾル発生物品の全体の長さの少なくとも約5パーセントの長さを有する。
【0088】
一部の特に好ましい実施形態では、凹部は、エアロゾル発生物品の全体の長さの約1パーセント~約10パーセント、好ましくはエアロゾル発生物品の全体の長さの約2パーセント~約9パーセント、より好ましくはエアロゾル発生物品の全体の長さの約5パーセント~約8パーセントの長さを有する。
【0089】
好ましい実施形態では、管状支持要素は、約26ミリメートルの長さを有し、凹部は、管状支持要素の全体の長さの約5パーセント~約9パーセントの長さを有する。
【0090】
いくつかの実施形態では、凹部の長さは、少なくとも約0.5ミリメートルであり、少なくとも約0.75ミリメートルであることがより好ましく、少なくとも約1ミリメートルであることがなおより好ましい。加えて、または代替として、凹部の長さは、約5ミリメートル未満であることが好ましく、3ミリメートル未満であることがより好ましく、2ミリメートル未満であることがなおより好ましい。
【0091】
特に好ましい実施形態では、凹部の長さは、約0.5ミリメートル~約3ミリメートルであり、約1ミリメートル~約2ミリメートルであることがなおより好ましい。
【0092】
いくつかの実施形態では、凹部の断面積は、凹部の長さに沿って実質的に一定である。
【0093】
他の実施形態では、凹部の断面積は、凹部の長さに沿って変化する。凹部は、凹部の断面積が凹部の下流端においてよりも、凹部の上流端においてより大きくなるように、テーパ状であることが好ましい。理論に拘束されることを望むものではないが、これは、凹部のプロファイルが、使用中にエアロゾル発生物品内に確立された温度プロファイルとある程度、定性的に合致し得るという点で有利であると理解される。したがって、ロッドの下流端表面と管状支持要素の上流端表面との間の距離は、最高温度に到達することが期待されるエアロゾル発生物品の長軸方向軸の近くで最大である。一方、管状支持要素の上流端表面とエアロゾル発生物品の周辺におけるロッドとの間のより小さな距離は、ロッドの安定性およびエアロゾル発生物品の全体的な構造強度を改善することが期待される。
【0094】
上で簡単に説明したように、実際には、管状支持要素の材料の一部分が、長軸方向軸に向かって内方に突起する。
【0095】
いくつかの実施形態では、管状支持要素は、円筒状の周辺壁から内方に延びる一つ以上の内部突起、凹部の下流端境界を少なくとも部分的に画定する一つ以上の内部突起の上流端表面、を備える。
【0096】
代替の好ましい実施形態では、管状支持要素は、円筒状の周辺壁の内表面上の少なくとも第一の点から、管状支持要素の半径方向の中心を通って円筒状の周辺壁の内表面上の少なくとも第二の点まで延びる、材料の少なくとも一つの内側部分を含み、それにより、少なくとも二つの気流導管が、凹部の下流端からマウスピースセグメントまで長軸方向に延び、各気流導管は、材料の少なくとも一つの内側部分の表面と円筒状の周辺壁の内表面との間に画定される。
【0097】
材料の内側部分は、円筒状の周辺壁によって内部に画定される体積にわたって、中空の管状支持要素の長軸方向軸を通って延びる少なくとも一つの壁を備えることがより好ましい。
【0098】
これらの実施形態は、内部横断壁が管状支持要素の構造的強度、および次にエアロゾル発生物品の構造的強度を改善するという点で有利である。さらに、細長い上流端表面を比較的低い表面積で提示することによって、一つのかかる管状支持要素が熱によって損傷する可能性は少なくなる。
【0099】
同時に、これらの実施形態は、RTDの正確で容易な制御を可能にする、所定の断面を有する明確に画定された気流導管を提供し得る。これは、特に、空気不透過性材料で作製された実施形態の場合である。
【0100】
本発明によるエアロゾル発生物品は、好ましくは少なくとも約310ミリメートル水柱(WG)、より好ましくは少なくとも約320ミリメートルWG、なおより好ましくは330ミリメートルWGのRTDを有する。加えて、または代替として、本発明によるエアロゾル発生物品は、好ましくは約390ミリメートルWG未満、より好ましくは約380ミリメートルWG未満、なおより好ましくは約370ミリメートルWG未満のRTDを有する。
【0101】
好ましい実施形態では、本発明によるエアロゾル発生物品は、好ましくは約310ミリメートルWG~約390ミリメートルWG、より好ましくは約320ミリメートルWG~約380ミリメートルWG、なおより好ましくは約330ミリメートルWG~約370ミリメートルWGのRTDを有する。
【0102】
特に好ましい実施形態では、エアロゾル発生基体のロッドは、約14ミリメートルの長さ、および約350ミリメートルWGのRTDを有する。
【0103】
さらに、以下および実施例においてより詳細に説明するように、これらは、管状支持要素に沿って流れるエアロゾル種の冷却に好都合な場合がある高い値の露出表面積を有する。
【0104】
管状支持要素の露出表面積と管状支持要素の内部体積との比は、少なくとも0.5であることが好ましい。
【0105】
上で簡単に説明したように、管状支持要素の露出表面積は、周辺壁の内表面の表面積、および他の内部壁の表面積または管状支持部材の突起の和として計算することができる。円筒状の周辺壁によって内部に画定される体積にわたって、中空の管状支持要素の長軸方向軸を通って延びる少なくとも一つの壁を備える実施形態では、横断方向の内部壁の表面積は、管状支持要素の内径による横断方向の内部壁の長さの積として実質的に計算することができる。この比を計算する目的で、管状支持要素の内部体積は、内部横断壁(複数可)によって占有される体積を説明することなく、周辺壁によって内部に画定される体積として計算される。
【0106】
管状支持要素の露出表面積と管状支持要素の内部体積との比は、少なくとも0.6mm-1であることがより好ましい。管状支持要素の露出表面積と管状支持要素の内部体積との比は、少なくとも0.7mm-1であることがなおより好ましい。特に好ましい実施形態では、管状支持要素の露出表面積と管状支持要素の内部体積との比は、少なくとも0.8mm-1である。一部のなおより好ましい実施形態では、管状支持要素の露出表面積と管状支持要素の内部体積との比は、少なくとも0.9mm-1であり、少なくとも1.0mm-1であることがより好ましく、少なくとも1.1mm-1であることがなおより好ましい。
【0107】
エアロゾル発生物品の全体の長さは、少なくとも約35ミリメートルであることが好ましい。エアロゾル発生物品の全体の長さは、少なくとも約40ミリメートルであることがより好ましい。エアロゾル発生物品の全体の長さは、少なくとも約45ミリメートルであることがなおより好ましい。加えて、または代替として、エアロゾル発生物品の全体の長さは、約80ミリメートル未満であることが好ましい。エアロゾル発生物品の全体の長さは、約75ミリメートル未満であることがより好ましい。エアロゾル発生物品の全体の長さは、約70ミリメートル未満であることがなおより好ましい。
【0108】
好ましい実施形態では、エアロゾル発生物品の全体の長さは、約35ミリメートル~約80ミリメートルであり、約40ミリメートル~約75ミリメートルであることがより好ましく、約45ミリメートル~約70ミリメートルであることがなおより好ましい。
【0109】
上述のエアロゾル発生物品は、本発明の別の態様によるエアロゾル発生システムの一部として、電気的に作動するエアロゾル発生装置で使用され得る。一つのかかるエアロゾル発生システムは、上述のエアロゾル発生物品と、電気的に作動するエアロゾル発生装置と、を備え、電気的に作動するエアロゾル発生装置は、発熱体、およびエアロゾル発生物品を受容するように構成された細長い加熱チャンバー、を備え、それにより、エアロゾル発生基体のロッドが、加熱チャンバー内で加熱される。発熱体は、エアロゾル発生物品が加熱チャンバー内に受容されるときに、エアロゾル発生基体のロッドに挿入されるように適合されたヒーターブレードまたはヒーターピンを備えることが好ましい。
ここで、図を参照しながら本発明をさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0110】
図1】本発明の第1の実施形態によるエアロゾル発生物品の概略側面断面図を示し、ラッパーは取り除かれている。
図2】平面A-Aに沿ってとられた図1のエアロゾル発生物品の概略断面図を示す。
図3】平面B-Bに沿ってとられた図1のエアロゾル発生物品の概略断面図を示す。
図4】平面C-Cに沿ってとられた図1のエアロゾル発生物品の概略断面図を示す。
図5】本発明の第二の実施形態によるエアロゾル発生基体の概略側面断面図を示し、ラッパーは取り除かれている。
図6】電気的に作動するエアロゾル発生装置と、図1に示すエアロゾル発生物品とを備えるエアロゾル発生システムの概略的な長軸方向断面図を示す。
【0111】
図1に示すエアロゾル発生物品10は、エアロゾル発生基体のロッド12、管状支持要素14、およびマウスピースセグメント16を備える。これらの三つの要素は逐次的に、かつ同軸に整列して配列され、ラッパー18によって囲まれて、エアロゾル発生物品10を形成する。エアロゾル発生物品10は、口側端20と、口側端20に対して物品の反対側の端に位置する遠位端22とを有する。図1に示すエアロゾル発生物品10は、エアロゾル発生基体のロッドを加熱するためのヒーターを備える、電気的に作動するエアロゾル発生装置で使用するために特に適切である。
【0112】
エアロゾル発生基体のロッド12は、およそ12ミリメートルの長さ、およびおよそ7.1ミリメートルの直径を有する。ロッド12は円筒状の形状であり、実質的に円形の断面を有する。マウスピースセグメント16もまた、およそ7.1ミリメートルの直径を有する。
【0113】
図に示すように、およそ7.1ミリメートルの外径を有する管状支持要素14は、円筒状の周辺壁24を備え、円筒状の周辺壁24の外表面から管状支持要素14の長軸方向軸Xに向かって延びる。管状支持要素14の長さは、約30ミリメートルである。
【0114】
さらに、図3図5により明確に図示されるように、管状支持要素14は、材料の二つの内側部分26、28を含み、これらの各々は、円筒状の周辺壁24の内表面上の少なくとも第一の点から、管状支持要素14の半径方向の中心を通って円筒状の周辺壁24の内表面上の少なくとも第二の点まで延びる。したがって、四つの気流導管30、32、34、36は、管状支持要素14を通って長軸方向に延び、各気流導管は、材料の内側部分26、28の表面と、円筒状の周辺壁24の内表面とによって画定される。実際には、材料の各内側部分26、28は、円筒状の周辺壁24によって内部に画定される体積にわたって、中空の管状支持要素14の長軸方向軸Xを通って横断方向に延びる壁を備える。例として、気流導管30は、周辺壁24の内表面の一部分と、横断壁26の側面と、横断壁28の側面とによって区切られている。
【0115】
円筒状の周辺壁24の厚さは、約0.71ミリメートルである。したがって、上流端において、円筒状の周辺壁24は、エアロゾル発生基体のロッド12の周辺部分と接触し、その周辺部分を支持するように適合された実質的に平坦な環状端部表面を提示する。さらに、横断壁26、28の厚さは、約0.16ミリメートルである。
【0116】
したがって、管状支持要素14の断面において、
-円筒状の周辺壁24の断面に対応する環状部分と、
-材料の二つの内側部分26、28の断面に対応する内部占有部分と、
四つの同一の気流導管30、32、34、36の断面に対応する空隙部分と、を識別することができる。したがって、以下のパラメータを計算することができる。
(a)空隙部分の断面の累積周囲長=39ミリメートル、
(b)空隙部分の断面の累積表面積=23.5平方ミリメートル、
(c)管状支持要素の断面の表面積=39.6平方ミリメートル、
(d)空隙部分の周辺表面の累積表面積=1170平方ミリメートル、
(e)空隙部分の累積体積=705立方ミリメートル、および
(f)中空の管状要素の全体の体積=1188立方ミリメートル。
【0117】
したがって、比(a)/(c)は、比(d)/(f)と実質的に等しく、約0.98mm-1である。さらに、比(b)/(c)は、比(e)/(f)と実質的に等しく、約60パーセントである。
【0118】
図1に示すように、エアロゾル発生物品10は、管状支持要素14によって画定される凹部50をさらに備え、凹部50は、ロッド12の下流端表面と管状支持要素14の上流端表面との間に含まれる。凹部は、1ミリメートルの長さを有する。気流導管30、32、34、36は、凹部50の下流端からマウスピースセグメント16まで長軸方向に延びる。
【0119】
図1図3図4、および図5に示す実施形態では、凹部50の断面積は、凹部の長さに沿って変化する。より詳細には、凹部50は、凹部50の断面積が凹部の下流端においてよりも、(平面A-Aにおける)凹部の上流端においてより大きくなるように、テーパ状である。図4は、凹部50の上流端と凹部50の下流端との間の凹部50の長さに沿った中間位置でのエアロゾル発生物品の断面を示し、横断壁26、28のテーパ状の上流端表面が、凹部50の下流境界面をいかに効果的に画定するかを示している。
【0120】
図2は、本発明によるエアロゾル発生物品60の別の実施形態を示している。エアロゾル発生物品60は、図1のエアロゾル発生物品10と同様であり、エアロゾル発生物品10と異なる限りにおいてのみ、以下に説明する。
【0121】
エアロゾル発生物品60は、エアロゾル発生基体のロッド62と、管状支持要素64と、マウスピースセグメント66と、を備える。これらの三つの要素は逐次的に、かつ同軸に整列して配列され、ラッパー68によって囲まれて、エアロゾル発生物品60を形成する。エアロゾル発生物品60は、口側端70と、口側端70に対して物品の反対側の端に位置する遠位端72とを有する。エアロゾル発生基体のロッド12は、およそ12ミリメートルの長さ、およびおよそ7ミリメートルの直径を有する。ロッド12は円筒状の形状である、および実質的に円形の断面を有する。エアロゾル発生物品60は、管状支持要素64によって画定される凹部80をさらに備え、凹部80は、ロッド62の下流端表面と管状支持要素64の上流端表面との間に含まれる。
【0122】
管状支持要素もまた、およそ7ミリメートルの外径、およびおよそ15ミリメートルの長さを有する。マウスピースセグメント66もまた、およそ7ミリメートルの外径、および約18ミリメートルの長さを有する。
【0123】
図6は、図1に示すエアロゾル発生物品10のエアロゾル発生基体のロッド12を加熱するためのヒーターブレード210を利用する電気的に作動するエアロゾル発生システム200の一部分を示す。ヒーターブレード210は、電気的に作動するエアロゾル発生装置212のハウジング内のエアロゾル発生物品チャンバー内に据え付けられている。エアロゾル発生装置212は、図6に矢印で図示されるように、空気がエアロゾル発生物品10に流れることを可能にするための複数の空気穴214を画定する。エアロゾル発生装置212は、電源および電子部品を備え、これらは図6で図示されていない。
【0124】
図1に示すエアロゾル発生物品10は消費されるために、図6に示すエアロゾル発生装置212に係合するように設計されている。
【0125】
ユーザーは、エアロゾル発生物品10をエアロゾル発生装置212の中に挿入し、これによってヒーターブレード210は、エアロゾル発生基体のロッド12の中に挿入される。マウスピースフィルター16は、装置212の口側端から外方に突起する。エアロゾル発生物品10がエアロゾル発生装置212と係合すると、ユーザーはエアロゾル発生物品10の口側端22を吸い、エアロゾル発生基体12のロッドはヒーターブレード210によってエアロゾル発生基体12のロッドからエアロゾルを発生させるのに十分な温度に加熱される。エアロゾルは口側端フィルター16を通して引き出され、ユーザーの口に入る。
【0126】
当然のことながら、図1に示すエアロゾル発生物品10はまた、その他のタイプのエアロゾル発生装置で使用するのに適し得る。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】