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特表2022-526778自動車用の少なくとも2つのセンサ/トランスミッタを洗浄するためのシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-26
(54)【発明の名称】自動車用の少なくとも2つのセンサ/トランスミッタを洗浄するためのシステム
(51)【国際特許分類】
   B60S 1/62 20060101AFI20220519BHJP
【FI】
B60S1/62 120B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021557153
(86)(22)【出願日】2020-03-18
(85)【翻訳文提出日】2021-11-10
(86)【国際出願番号】 EP2020057528
(87)【国際公開番号】W WO2020193328
(87)【国際公開日】2020-10-01
(31)【優先権主張番号】1903113
(32)【優先日】2019-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590003744
【氏名又は名称】ヴァレオ システム デシュヤージュ
【氏名又は名称原語表記】VALEO SYSTEMES D’ESSUYAGE
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100198029
【弁理士】
【氏名又は名称】綿貫 力
(72)【発明者】
【氏名】フレデリック、ジロー
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンドル、フィユー
【テーマコード(参考)】
3D225
【Fターム(参考)】
3D225AA11
3D225AB01
3D225AC02
3D225AD22
3D225AG79
(57)【要約】
本発明は、自動車用の少なくとも2つのセンサ/トランスミッタ(200、300)を洗浄するためのシステム(100)であって、ポンプ(120)の動作パラメータの理論値を、一方で貯留槽(110)と作動させるべき第1噴射装置(150)および/または第2噴射装置(160)との間で延びる分配回路(130)の部分の長さの関数として、他方で前記第1噴射装置(150)および/または前記第2噴射装置(160)の所望の動作圧力の関数として決定し、前記理論値を実際値と比較し、前記分配回路(130)の前記部分の状態を前記比較の結果の関数として判定するように、制御ユニット(140)が、第1噴射装置(150)および/または第2噴射装置(160)の作動に対するリクエストに関する情報(210、310)を受信するように構成されているシステム(100)に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車用の少なくとも2つのセンサ/トランスミッタ(200、300)を洗浄するためのシステム(100)であって、
洗浄流体を少なくとも1つの第1センサ/トランスミッタ(200)に噴射するための少なくとも1つの第1装置(150)と、
洗浄流体を少なくとも1つの第2センサ/トランスミッタ(300)に噴射するための少なくとも1つの第2装置(160)と、
前記洗浄流体を貯蔵するための少なくとも1つの貯留槽(110)と、
前記洗浄流体を分配するための少なくとも1つの回路(130)であって、前記貯留槽(110)を前記第1洗浄流体噴射装置(150)および前記第2洗浄流体噴射装置(160)に接続する回路(130)と、
少なくとも1つの電子ポンプ(120)と、
少なくとも1つの制御ユニット(140)と、を備え、
前記ポンプ(120)の少なくとも1つの動作パラメータの理論値を、一方で前記貯留槽(110)と作動させるべき前記第1洗浄流体噴射装置(150)および/または前記第2洗浄流体噴射装置(160)との間で延びる前記分配回路(130)の部分の長さの関数として、他方で前記第1洗浄流体噴射装置(150)および/または前記第2洗浄流体噴射装置(160)の所望の動作圧力(P1)の関数として決定し、前記ポンプ(120)の前記動作パラメータの前記理論値を、前記ポンプ(120)の前記動作パラメータの実際値と比較し、前記洗浄流体分配回路(130)の前記部分の状態を、前記比較の結果の関数として判定するように、前記制御ユニット(140)は、前記洗浄流体を噴射するための前記第1装置(150)および/または前記第2装置(160)の作動に対するリクエストに関する情報(210、310)を受信するように構成されていることを特徴とする、システム(100)。
【請求項2】
前記ポンプ(120)の前記動作パラメータの前記実際値が、前記ポンプ(120)の前記動作パラメータの前記理論値よりも小さい場合、かつ前記動作パラメータの前記実際値と前記理論値との差が、前記ポンプ(120)の前記動作パラメータの前記理論値の5%以上である場合、前記制御ユニット(140)は、前記洗浄流体分配回路(130)の前記部分における漏れに関する情報を決定するように構成されている、請求項1に記載の洗浄システム(100)。
【請求項3】
前記ポンプ(120)の前記動作パラメータの前記実際値が、前記ポンプ(120)の前記動作パラメータの前記理論値よりも大きい場合、かつ前記動作パラメータの前記実際値と前記理論値との差が、前記ポンプ(120)の前記動作パラメータの前記理論値の5%以上である場合、前記制御ユニット(140)は、前記洗浄流体分配回路(130)の前記部分における閉塞に関する情報を決定するように構成されている、請求項1または2に記載の洗浄システム(100)。
【請求項4】
前記ポンプ(120)の前記動作パラメータは、前記ポンプ(120)の回転速度(V)、または前記ポンプ(120)の電気供給量(A)である、請求項1~3のいずれか一項に記載の洗浄システム(100)。
【請求項5】
前記制御ユニット(140)および前記ポンプ(120)は、2つの別個の要素である、請求項1~4のいずれか一項に記載の洗浄システム(100)。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の洗浄システム(100)を実施する方法であって、
前記制御ユニット(140)が、前記第1洗浄流体噴射装置(150)および/または前記第2洗浄流体噴射装置(160)による所与の圧力(P1)での洗浄流体の噴射についてのリクエストに関する情報(210、310)を受信するステップと、
前記制御ユニット(140)が、複数の負荷損曲線(A、B、C)から、前記貯留槽(110)と作動させるべき前記第1洗浄流体噴射装置または前記第2洗浄流体噴射装置(160)との間で延びる前記分配回路(130)の前記部分に対応する曲線を選択するステップと、
前記制御ユニット(140)が、すでに選択された前記負荷損曲線の関数として、決定された圧力(P1)を得ることを可能にする前記ポンプ(120)の動作曲線(D、E、F)を選択するステップと、を備える、方法。
【請求項7】
前記制御ユニット(140)が、選択された前記動作曲線(D、E、F)に対応する前記ポンプ(120)の理論的電気供給量(At)を決定するステップと、
前記制御ユニット(140)が、選択された前記動作曲線(D、E、F)を実現するように前記ポンプ(120)に実際に供給された前記電気供給量(Ar1、Ar2、Ar3)を測定するステップと、
前記制御ユニット(140)が、前記ポンプ(120)の前記理論的電気供給量(At)と前記ポンプ(120)に実際に供給された前記電気供給量(Ar1、Ar2、Ar3)とを比較するステップと、
前記制御ユニット(140)が、前記分配回路(130)の前記部分の状態を、前記ポンプ(120)の前記理論的電気供給量(At)と前記ポンプ(120)の実際の前記電気供給量(Ar1、Ar2、Ar3)との間でなされた比較の関数として判定するステップと、を備える、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記ポンプ(120)の実際の前記電気供給量(Ar3)の値が前記ポンプ(120)の前記理論的電気供給量(At)の値よりも小さいとき、前記制御ユニット(140)が、前記洗浄流体分配回路(130)の部分における漏れに関する情報を決定するステップを備える、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記ポンプ(120)の実際の前記電気供給量(Ar2)の値が前記ポンプ(120)の前記理論的電気供給量(At)の値よりも大きいとき、前記制御ユニット(140)が、前記洗浄流体分配回路(130)における閉塞に関する情報を決定するステップを備える、請求項7または8に記載の方法。
【請求項10】
請求項1~5のいずれか一項に記載の少なくとも1つの洗浄システム(100)と、複数のセンサ/トランスミッタ(200、300)と、を備える自動車であって、
少なくとも1つの洗浄流体噴射装置(150、160)が、各センサ/トランスミッタ(200、300)に関連付けられ、
洗浄流体分配回路(130)が、前記洗浄流体貯留槽(110)を、前記洗浄流体を噴射するための全ての前記装置(150、160)に接続し、
前記洗浄流体貯留槽(110)と前記洗浄流体噴射装置(150、160)のいずれかとの間で測定された前記洗浄流体分配回路(130)の長さは、前記洗浄流体貯留槽(110)と別の洗浄流体噴射装置(150、160)との間で測定された前記洗浄流体分配回路(130)の長さと異なる、自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車用のセンサ/トランスミッタの洗浄分野に関する。より具体的には、本発明は、洗浄流体貯留槽と洗浄対象のセンサ/トランスミッタとの間に配置されたパイプにおける漏れや閉塞等の問題を検出可能な洗浄システムに関する。
【背景技術】
【0002】
最新の自動車は、変動する状況下でも自動車を自律的にすることを意図した運転支援システムを有している。このような運転支援システムは、特にセンサおよびトランスミッタを備えている。これらにより、車両またはドライバーが、車両の自律性の度合いに応じて、車両の周囲環境に関するデータを得ることで運転判断を行うことができる。
【0003】
これらの運転支援システムは、安全であること、かつ常に作動していることが不可欠である。したがって、センサ/トランスミッタは、データ取得が可能な限り良好になるように常に清潔でなければならない。
【0004】
したがって、車両は、既知の態様で、これらのセンサ/トランスミッタを洗浄するためのシステムであって、センサ/トランスミッタが十分に清潔でなく正常に作動しないときに洗浄機能を提供するように制御されるシステムを備えている。これらの洗浄システムは、特に、少なくとも1つの洗浄流体貯留槽と、前記洗浄流体をセンサ/トランスミッタに噴射することができる少なくとも1つの噴射装置と、洗浄流体貯留槽を噴射ノズルに接続する少なくとも1つの分配回路と、を備えている。
【0005】
しかしながら、これらの噴射装置の正常な供給に関する情報、特に分配回路の状態に関する情報が得られないという点で、これらの洗浄システムは完全に満足できるものではない。例えば、現在の洗浄システムでは、分配回路における漏れや閉塞を検出することができない。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、このような状況に鑑み、自動車用の少なくとも2つのセンサ/トランスミッタを洗浄するためのシステムであって、洗浄流体を少なくとも1つの第1センサ/トランスミッタに噴射するための少なくとも1つの第1装置と、洗浄流体を少なくとも1つの第2センサ/トランスミッタに噴射するための少なくとも1つの第2装置と、前記洗浄流体を貯蔵するための少なくとも1つの貯留槽と、前記洗浄流体を分配するための少なくとも1つの回路であって、前記貯留槽を前記第1洗浄流体噴射装置および前記第2洗浄流体噴射装置に接続する回路と、少なくとも1つの電子ポンプと、少なくとも1つの制御ユニットと、を備えるシステムを提案することにより、少なくとも上記の問題を解決することを目的としている。本発明によれば、前記ポンプの少なくとも1つの動作パラメータの理論値を、一方で前記貯留槽と作動させるべき前記第1洗浄流体噴射装置および/または前記第2洗浄流体噴射装置との間で延びる前記分配回路の部分の長さの関数として、他方で前記第1洗浄流体噴射装置および/または前記第2洗浄流体噴射装置の所望の動作圧力の関数として決定し、前記ポンプの前記動作パラメータの前記理論値を、前記ポンプの前記動作パラメータの実際値と比較し、前記洗浄流体分配回路の前記部分の状態を、前記比較の結果の関数として判定するように、前記制御ユニットは、前記洗浄流体を噴射するための前記第1装置および/または前記第2装置の作動に対するリクエストに関する情報を受信するように構成されている。
【0007】
本願における「分配回路」という用語は、液圧ネットワークであって、このネットワークに接続された噴射装置の各々の役割を果たす液圧ネットワークと、他の噴射装置から独立して各噴射装置の役割を果たす独立したパイプの両方を指す。分配回路の該当する部分の長さを考慮することにより、前記回路部分で観察される洗浄流体の負荷損が考慮されて、ポンプの動作パラメータの理論値を可能な限り正確に決定し得ることが理解される。
【0008】
本発明の特徴によれば、前記ポンプの前記動作パラメータの前記実際値が、前記ポンプの前記動作パラメータの前記理論値よりも小さい場合、かつ前記動作パラメータの前記実際値と前記理論値との差が、前記ポンプの前記動作パラメータの前記理論値の5%以上である場合、前記制御ユニットは、前記洗浄流体分配回路の前記部分における漏れに関する情報を決定するように構成されている。
【0009】
本発明の別の特徴によれば、前記ポンプの前記動作パラメータの前記実際値が、前記ポンプの前記動作パラメータの前記理論値よりも大きい場合、かつ前記動作パラメータの前記実際値と前記理論値との差が、前記ポンプの前記動作パラメータの前記理論値の5%以上である場合、前記制御ユニットは、前記洗浄流体分配回路の前記部分における閉塞に関する情報を決定するように構成されている。
【0010】
本発明の実施形態によれば、前記ポンプの前記動作パラメータは、前記ポンプの回転速度、または前記ポンプの電気供給量である。例えば、実際の電気供給量が、所望のポンプ回転速度を達成するために通常必要とされる電気供給量に対応することが確認される。この所望のポンプ回転速度は、分配回路部分の長さの関数として、および第1噴射装置および/または第2噴射装置の所望の動作圧力の関数として決定される。
【0011】
本発明の特徴によれば、前記制御ユニットおよび前記ポンプは、2つの別個の要素である。本発明のこの特徴によれば、ポンプは、前記ポンプの最適な動作曲線を少なくとも含む少なくとも1つの指令ユニットを備えている。また、ポンプに特有のこの指令ユニットは、本発明による洗浄システムの制御ユニットと通信するための手段を備えている。洗浄システム制御ユニットは、貯留槽と洗浄流体噴射装置の各々との間で延びる種々の回路部分についての負荷損曲線を備えている。有利には、電子ポンプの指令ユニットと洗浄システムの制御ユニットとが通信可能であることにより、これらの要素の標準化が、任意の車両に新たに設置する毎にこれらをプログラミングする必要なく、すなわち、ポンプ動作パラメータを洗浄システム制御ユニットに手動で記憶させる必要なく、または、分配回路の種々の部分の負荷損曲線をポンプ指令ユニットに手動で記憶させる必要なく、可能となる。
【0012】
また、本発明は、本発明による洗浄システムを実施する方法であって、前記制御ユニットが、前記第1洗浄流体噴射装置および/または前記第2洗浄流体噴射装置による所与の圧力での洗浄流体の噴射についてのリクエストに関する情報を受信するステップと、前記制御ユニットが、複数の負荷損曲線から、前記貯留槽と作動させるべき前記第1洗浄流体噴射装置または前記第2洗浄流体噴射装置との間で延びる前記分配回路の前記部分に対応する曲線を選択するステップと、前記制御ユニットが、すでに選択された前記負荷損曲線の関数として、決定された圧力を得ることを可能にする前記ポンプの動作曲線を選択するステップと、を備える方法に関する。
【0013】
換言すれば、ポンプ動作曲線は、供給を受けるべき分配回路の部分の長さの関数として(回路に沿った負荷損はこの長さに直接関連している)、および第1噴射装置および/または第2噴射装置に対する所望の圧力の関数として選択されることが理解される。ポンプの動作曲線それ自体は、例えば、所与のポンプ回転速度に対する洗浄流体の流量の関数としての圧力を表す曲線であり得る。
【0014】
本発明によれば、前記方法は、前記制御ユニットが、選択された前記動作曲線に対応する前記ポンプの理論的電気供給量を決定するステップと、前記制御ユニットが、選択された前記動作曲線を実現するように前記ポンプに実際に供給された前記電気供給量を測定するステップと、前記制御ユニットが、前記ポンプの前記理論的電気供給量と前記ポンプに実際に供給された前記電気供給量とを比較するステップと、前記制御ユニットが、前記分配回路の前記部分の状態を、前記ポンプの前記理論的電気供給量と前記ポンプの実際の前記電気供給量との間でなされた比較の関数として判定するステップと、を備える。
【0015】
本発明の特徴によれば、前記方法は、前記ポンプの実際の前記電気供給量の値が前記ポンプの前記理論的電気供給量の値よりも小さいとき、前記制御ユニットが、前記洗浄流体分配回路の部分における漏れに関する情報を決定するステップを備える。
【0016】
本発明の別の特徴によれば、前記方法は、前記ポンプの実際の前記電気供給量の値が前記ポンプの前記理論的電気供給量の値よりも大きいとき、前記制御ユニットが、前記洗浄流体分配回路における閉塞に関する情報を決定するステップを備える。
【0017】
有利には、2つの噴射装置が同時に作動し、制御ユニットが分配回路の該当する部分における漏れまたは閉塞を検出したとき、制御ユニットは、第1噴射装置を作動させる命令と、第2噴射装置を閉鎖して上述の方法を再び開始させる命令と、を出すようにも構成され得る。したがって、制御ユニットは、その最初の比較の結果を精緻化し得るとともに、貯留槽と第1噴射装置との間で延びる分配回路の部分、および第1噴射装置と第2噴射装置との間で延びる分配回路の別の部分の状態に関する情報を提供し得る。
【0018】
また、本発明は、本発明による少なくとも1つの洗浄システムと、複数のセンサ/トランスミッタと、を備える自動車であって、少なくとも1つの洗浄流体噴射装置が、各センサ/トランスミッタに関連付けられ、洗浄流体分配回路が、前記洗浄流体貯留槽を、前記洗浄流体を噴射するための全ての前記装置に接続し、前記洗浄流体貯留槽と前記洗浄流体噴射装置のいずれかとの間で測定された前記洗浄流体分配回路の長さは、前記洗浄流体貯留槽と別の洗浄流体噴射装置との間で測定された前記洗浄流体分配回路の長さと異なる、自動車に関する。
【0019】
本発明のさらなる特徴、詳細、および利点は、以下の説明を読み、添付の概略図面を参照して非限定的なものとして与えられる多数の例示的な実施形態からさらに明瞭になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、本発明による少なくとも2つのセンサ/トランスミッタを洗浄するためのシステムを概略的に示す。
図2図2は、本発明による洗浄システムの制御ユニットがこの洗浄システムの機能を最適化するための基礎を形成するグラフを示す。
図3図3は、本発明による洗浄システムの制御ユニットがこの洗浄システムの分配回路の状態を検出するための基礎を形成するグラフを示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の特徴、変形例、および種々の実施形態は、相互に相容れないまたは相互に排他的でない限り、様々な組み合わせで、互いに組み合わせることができる。特に、以下に記載の特徴の選択物のみを含む本発明の変形例を、この特徴の選択物が技術的な利点をもたらす、または本発明を従来技術から差別化するのに十分であれば、想定することができる。
【0022】
図1は、本発明の例示的な実施形態による少なくとも2つのセンサ/トランスミッタ200、300を洗浄するためのシステム100を概略的に示す。図示するように、洗浄システム100は、少なくとも1つの洗浄流体貯留槽110と、少なくとも1つの電子ポンプ120と、少なくとも1つの洗浄流体分配回路130と、少なくとも1つの制御ユニット140と、洗浄流体を第1センサ/トランスミッタ200に噴射するように構成された少なくとも1つの第1噴射装置150と、洗浄流体を第2センサ/トランスミッタ300に噴射するように構成された少なくとも1つの第2噴射装置160と、を備えている。本発明によれば、第1噴射装置150および第2噴射装置160は、本発明の文脈を逸脱しない限り、同じであっても異なっていてもよい。
【0023】
本発明の第1の例示的な実施形態によれば、洗浄流体分配回路130は、噴射装置150、160が接続される液圧ネットワークにより形成されている。換言すれば、この液圧ネットワークにより、これら全ての噴射装置150、160への供給が可能とされる。これらの装置の各々は、液圧ネットワークに接続している。流体はネットワークで得られ、第1噴射装置150に関連付けられた少なくとも1つの第1バルブ151、および第2噴射装置160に関連付けられた少なくとも1つの第2バルブ161によって、供給の選択がなされることが理解される。(図示しない)別の例示的実施形態によれば、洗浄流体分配回路130は、噴射装置の各々に互いに独立して供給する独立したパイプを備えている。これらの実施形態のいずれによっても、洗浄流体分配回路130は、当該洗浄流体を収容する貯留槽110であって、洗浄流体のセンサ/トランスミッタ200、300への噴射を可能とする噴射装置150、160の各々への供給を可能とする貯留槽110から延びている。
【0024】
上述のように、貯留槽110は、電子ポンプ120を収容している。この電子ポンプ120は、指令ユニット(図示せず)を備えている。指令ユニットは、当該電子ポンプ120が制御ユニット140との間で情報や命令をやりとりすることを可能にする伝達手段を含んでいる。あるいは、制御ユニット140および指令ユニットが、本発明の文脈を逸脱しない限り、単一の物体を形成することも想定され得る。
【0025】
本発明によれば、センサ/トランスミッタ200、300の一方に洗浄が必要となった場合、この旨の情報210、310が、本発明による洗浄システム100の制御ユニット140に送信される。図1に示す例によれば、この情報210、310は、洗浄を必要とするセンサ/トランスミッタによって直接送信される。しかし、本発明の文脈を逸脱しない限り、この情報210、310が別の装置により送信され得ることが理解される。例えば、適用可能であれば、運転支援ストラテジーを実施するために、センサ/トランスミッタ200、300により検出された画像が、画像処理モジュールにより分析される。この処理モジュールは、センサ/トランスミッタの一方および/または他方に洗浄が必要であると推定し得るとともに、情報210、310を制御ユニットに送信することができる。
【0026】
次いで、この情報210、310を受信した制御ユニット140は、回路130のどの部分に洗浄流体が供給されるべきかを判定し、したがって、回路の当該部分の長さを判定する。実際、回路の当該長さは、貯留槽110から噴射装置150、160への洗浄流体の移送中に洗浄流体が受ける負荷損のレベルを反映する。より正確には、制御ユニット140には、任意の負荷損を分配回路130の各部分に関連付ける負荷損曲線が実装されている。この負荷損は、分配回路の該当する部分の長さに比例する。
【0027】
当該センサ/トランスミッタ200、300の最適な洗浄を確保するために、第1噴射装置150および/または第2噴射装置160において、流体の噴射のための最小圧力P1が確保されなければならない。ここで、制御ユニット140は、噴射装置の各々における流体噴射のための所望の理論的圧力を有するようにプログラミングされている。ここでの理論的圧力は、噴射装置の各々について同一であり、実質的に3バールに等しい。
【0028】
以下でさらに詳しく説明するように、本発明による制御ユニット140は、ポンプ120の少なくとも1つの理論的動作パラメータを、一方で第1噴射装置150および/または第2噴射装置160における所望の最小圧力P1の関数として、他方で分配回路130の該当する部分の長さの関数として、すなわち、より正確には、貯留槽110と該当する噴射装置150、160との間で洗浄流体が受ける負荷損の関数として決定するように構成されている。
【0029】
例えば、ポンプ120の少なくとも1つの理論的動作パラメータは、前記ポンプ120の回転速度である。制御ユニット140がポンプ120の理論的動作パラメータを決定できるように、ポンプ120の動作パラメータの理論値曲線が制御ユニット140に予め格納されている。これらの曲線の一例を、例えば図2に示す。
【0030】
上述のように、制御ユニット140は、電子ポンプの指令ユニットとの通信を可能にする通信手段を備えている。このような通信手段により、上述のように分配回路の部分の各々に対応する負荷損曲線が実装された制御ユニット140と、第1噴射装置150および第2噴射装置160の特性がそれ自体に実装された電子ポンプ120との通信が可能となる。これらの特性には、例えば、これらの噴射装置150、160の動作圧力値が含まれる。有利には、このことにより、これらの要素の標準化、すなわち制御ユニット140および電子ポンプの標準化が、任意の車両に新たに設置する毎にこれらをプログラミングする必要なく、すなわち、ポンプ動作パラメータや噴射装置の特性を洗浄システム100の制御ユニットに手動で記憶させる必要なく、または、分配回路130の種々の部分の負荷損曲線を電子ポンプ120の指令ユニットに手動で記憶させる必要なく、可能となる。
【0031】
図2は、横軸が洗浄流体の流量Dを示し、縦軸が噴射装置150、160での圧力Pを示すグラフを示している。グラフには、3つの曲線A、B、Cが実線で示されている。これらの曲線は、洗浄流体が受ける負荷損を、洗浄流体が供給される噴射装置の関数として、すなわち、洗浄流体が貯留槽から通過する必要のある分配回路の部分の長さの関数として、および供給を受けるべき噴射装置の個数の関数として、表している。
【0032】
これらの曲線A、B、Cは、例えば、本発明による洗浄システムが意図される車両で実施される較正試験により得られる。あるいは、これらの曲線A、B、Cは、有利には、電子ポンプおよび噴射装置の供給業者により提供された値から得られる。
【0033】
したがって、曲線Aは、第1センサ/トランスミッタが洗浄を必要とし、第1噴射装置のみが作動しているときの洗浄流体負荷損を表す。曲線Bは、第2センサ/トランスミッタが洗浄を必要とし、第2噴射装置のみが作動しているときの洗浄流体負荷損を示す。そして、曲線Cは、第1センサ/トランスミッタおよび第2センサ/トランスミッタが同時に洗浄を必要とし、第1噴射装置および第2噴射装置の両方が作動しているときの洗浄流体負荷損を表す。図示された本発明の例示的な実施形態によれば、これらの負荷損曲線は、洗浄システム制御ユニットに実装されている。
【0034】
また、当グラフには3つの曲線D、E、Fが点線で示されていることに注目されたい。これら3つの曲線D、E、Fは、電子ポンプの3つの回転速度プロファイルを表している。したがって、曲線Dは低回転速度での電子ポンプの動作を表し、曲線Eは中回転速度での電子ポンプの動作を表し、曲線Fは高速での電子ポンプの動作を表している。図示された本発明の例示的な実施形態によれば、これらの曲線D、E、Fは、洗浄システムの電子ポンプ指令ユニットに実装されている。
【0035】
したがって、図2に示すグラフから、制御ユニットは、最初に、供給を受けるべき分配回路の部分の関数として、3つの負荷損曲線A、B、Cのうちの1つを選択する。この曲線が選択された後、制御ユニットは、そこから一対の値、すなわち、どの流量が噴射装置のレベルでの所望の圧力値P1に対応するかを推定し、そしてポンプ動作曲線D、E、Fの中からこの一対の値を関連付けることができるものを検索する。
【0036】
したがって、例えば、第1センサ/トランスミッタおよび第2センサ/トランスミッタにより同時に洗浄リクエストが作成された場合であって、第1洗浄装置および第2噴射装置に圧力P1が供給されることが望まれる場合、制御ユニットは、電子ポンプが低速で、すなわち曲線Dにしたがって動作するように設定されるべきであることをグラフ上で読み取る。なぜならば、供給を受けるべき回路の部分に対応する負荷損曲線、すなわち曲線Cが、圧力P1についてこの曲線Dを通過するからである。したがって、制御ユニットは、電子ポンプがこの低速を達成し、これにより噴射装置で必要な圧力P1を確保するために、どの電気供給量が理論的に必要であるかを判定する。
【0037】
次いで、制御ユニットは、電子ポンプを所望の速度で動作するように設定し、ポンプの電気供給量の実際の値を測定する。すなわち、次いで、制御ユニットは、所望の速度で電子ポンプを動作させるために実際に必要な電気供給量の値を測定する。したがって、制御ユニットは、ポンプの電気供給量の理論値と、電子ポンプの指令ユニットにインストールされた別の曲線であって図3に示す曲線による実測値とを比較することができる。したがって、図3は、電子ポンプの回転速度Vを、提供される電力供給量Aの関数として示している。理論値Atが実際値Ar1と等しい場合、分配回路(より具体的には分配回路の該当する部分)は、良好な状態にある。しかしながら、理論値Atが実際値Ar2よりも小さい場合、分配回路の該当する部分は、貯留槽と、貯留槽から最も離れた噴射装置、すなわち図1に示す例においては第2噴射装置、との間で閉塞している。一方で、理論値Atが実際値Ar3よりも大きい場合、分配回路の該当する部分は、貯留槽と、貯留槽から最も離れた噴射装置、すなわち図1に示す例においては第2噴射装置、との間で漏れが生じている。また、許容可能な誤差が決定されるべきである。本明細書に記載の本発明の例によれば、5%未満の標準偏差は有意でないと考えられる。
【0038】
そして、制御ユニットは、このような洗浄システムを搭載した車両のユーザに、分配回路で障害が検出されたことを警告する信号を送信するように構成され得る。また、信号に、実際値と理論値との間で測定された差に応じて、例えば色のグラデーションを用いて、警告の強弱を付けることも想定され得る。
【0039】
上記から理解されるように、制御ユニット140により、貯留槽と供給を受ける最後の噴射装置、すなわち貯留槽から最も遠い噴射装置、との間での漏れや閉塞の検出が可能となるが、分配回路におけるこの漏れや閉塞の正確な位置は可能とならない。特に、例えば図1に示すように、噴射装置が液圧ネットワークに接続しているとき、検出された漏れや閉塞の位置に対してある程度の不確実性が残り得る。選択的に、損傷した回路部分についてこのような不確実性が存在するとき、検出された漏れや閉塞をより的確に狙ってさらに迅速に修理することを可能とするように、制御ユニットは、噴射装置の一方のみを作動させる新たな動作を実施するように構成され得る。したがって、図示された例によれば、制御ユニットは、例えば、漏れや閉塞が、貯留槽と第1噴射装置との間に、または第1噴射装置と第2噴射装置との間に位置しているかを判定することができる。
【0040】
当然ながら、本発明は、上述した例に限定されない。本例について多くの変更が、本発明の範囲から逸脱することなくなされ得る。例えば、本発明による洗浄システムは、2つよりも多い噴射装置を備え得る。また、ポンプ動作パラメータは、本発明の文脈を逸脱せずに、この動作パラメータが任意の瞬間における分配回路の状態の判定を可能にすることを条件として、上述のものと異なっていてもよい。
図1
図2
図3
【国際調査報告】