(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-26
(54)【発明の名称】リサイクル可能な材料を洗浄するための非腐食性方法
(51)【国際特許分類】
B09B 3/70 20220101AFI20220519BHJP
C08J 11/04 20060101ALI20220519BHJP
C11D 7/26 20060101ALI20220519BHJP
【FI】
B09B3/00 304
B09B3/00 304P
C08J11/04 ZAB
C11D7/26
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021560141
(86)(22)【出願日】2020-03-16
(85)【翻訳文提出日】2021-11-18
(86)【国際出願番号】 EP2020057057
(87)【国際公開番号】W WO2020193247
(87)【国際公開日】2020-10-01
(32)【優先日】2019-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521438593
【氏名又は名称】タスティ・ベー・フェー
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】コーレイン,ヤン
【テーマコード(参考)】
4D004
4F401
4H003
【Fターム(参考)】
4D004AA07
4D004AA16
4D004BA06
4D004CA34
4D004CA40
4D004CC15
4D004DA06
4F401BA06
4F401BA09
4F401CA53
4F401CA56
4F401EA60
4F401EA72
4F401FA01Z
4H003DA05
4H003DA12
4H003DA20
4H003DB02
4H003DC02
4H003EB04
4H003EB05
4H003ED28
4H003FA04
4H003FA28
(57)【要約】
本発明は、 以下の工程を含むリサイクル可能な材料を洗浄するための非腐食性方法に関する。
(a) 汚染されたリサイクル可能な材料を提供する工程、
(b) 該汚染されたリサイクル可能な材料を45~130℃の範囲の温度で1種以上のポリオールを含む溶液で処理して、該汚染されたリサイクル可能な材料から汚染物質を除去する工程であって、該1種以上のポリオールは、該溶液の総重量に基づいて、少なくとも15重量%の量で存在し、それにより1種以上のポリオール、該リサイクル可能な材料から除去された汚染物質、及び処理されたリサイクル可能な材料を含む液体混合物を形成する工程、
(c) 工程(b)で得られた該リサイクル可能な材料の少なくとも一部を工程(b)で得られた該液体混合物から10~55℃の範囲の温度で分離する工程、
(d) 工程(c)で得られた残りの液体混合物の少なくとも一部を、ポリオール相と汚染された該リサイクル可能な材料から除去された汚染物質を含む相とに相分離させる工程、
(e) 工程(d)で得られた該ポリオール相を回収する工程、
(f) 工程(d)で得られた該リサイクル可能な材料から除去された汚染物質を含む該相を回収する工程、及び
(g) 工程(c)で得られた分離されたリサイクル可能な材料を回収する工程。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の工程を含むリサイクル可能な材料を洗浄するための非腐食性方法。
(a) 汚染されたリサイクル可能な材料を提供する工程、
(b) 該汚染されたリサイクル可能な材料を45~130℃の範囲の温度で1種以上のポリオールを含む溶液で処理して、該汚染されたリサイクル可能な材料から汚染物質を除去する工程であって、該1種以上のポリオールは、該溶液の総重量に基づいて、少なくとも15重量%の量で存在し、それにより1種以上のポリオール、該リサイクル可能な材料から除去された汚染物質、及び処理されたリサイクル可能な材料を含む液体混合物を形成する工程、
(c) 工程(b)で得られた該リサイクル可能な材料の少なくとも一部を工程(b)で得られた該液体混合物から10~55℃の範囲の温度で分離する工程、
(d) 工程(c)で得られた残りの液体混合物の少なくとも一部を、ポリオール相と汚染された該リサイクル可能な材料から除去された汚染物質を含む相とに相分離させる工程、
(e) 工程(d)で得られた該ポリオール相を回収する工程、
(f) 工程(d)で得られた該リサイクル可能な材料から除去された汚染物質を含む該相を回収する工程、及び
(g) 工程(c)で得られた分離されたリサイクル可能な材料を回収する工程。
【請求項2】
工程(e)で回収された前記ポリオール相の少なくとも一部が方法(b)にリサイクルされる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記リサイクル可能な材料がリサイクル可能な粘土材料である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記リサイクル可能な材料がリサイクル可能なプラスチック材料である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
工程(b)の前記溶液がpH値7を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
工程(g)の後、工程(g)で回収された前記リサイクル可能な粘土材料の少なくとも一部を300~950℃の範囲の温度で行う熱処理に供する工程(h)を実施する、請求項1~3又は5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
工程(b)において、前記リサイクル可能な材料は1種以上の非腐食性溶液で処理され、該非腐食性溶液の少なくとも1種は1種以上のポリオールを含み、前記汚染されたリサイクル可能な材料から汚染物質を除去する、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
工程(b)において、前記溶液が1種以上のポリオールからなる純粋なポリオール溶液である、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
工程(b)において、前記溶液が1種以上の水溶性ポリオールを含む水溶液である、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記水溶液中で、前記1種以上の水溶性ポリオールが、前記水溶液の総重量に基づいて、60~99.5重量%の範囲の量で存在する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
工程(b)において、前記汚染されたリサイクル可能な材料(B)に対する前記1種以上のポリオール(A)を含む溶液の重量比が、1~3(A/B)の範囲にある、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記1種以上のポリオールが、メソ-エリスリトール、ペンタエリスリトール、キシリトール、ソルビトール及びグリセロールからなる群から選択される、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記ポリオールの少なくとも1種がキシリトール又はグリセロールである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記ポリオールの少なくとも1種がグリセロールである、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
工程(b)において、前記リサイクル可能な材料を単一の工程で単一の非腐食性溶液と接触させる、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リサイクル可能な材料、特にプラスチック材料又は粘土材料を洗浄するための非腐食性方法に関する。
【背景技術】
【0002】
粘土材料及びプラスチック材料などの材料のリサイクルは、環境面及び経済面の両方からますます重要になってきている。
【0003】
周知のリサイクル可能な粘土材料は、植物油及び工業油を漂白するための油精製方法に用いられる漂白土である。このような漂白方法では、処理中の油の色が薄くなる。さらに、漂白土は、ホスファチド、金属、残留ガム、及び酸化生成物などの材料を油から吸収する。その使用中、漂白土はまた、油で飽和され、そのように得られた使用済み漂白土は、廃材と考えられる。廃材の量を減らすために、使用済み漂白土は、粘土から油を回収することによって再生することができ、そのようにして得られた再生漂白土を再使用することができる。使用済み漂白土を再生する一般的な方法で、メチルエチルケトン、アセトン、石油エーテル、ヘキサンなどの溶媒による油の抽出を行う。このような取り組みの欠点は、環境にやさしくない化学物質の使用及び高温の必要性である。
【0004】
リサイクル可能なプラスチック材料は、通常、一旦収容した材料の残留物の形態の汚染物質を収容するプラスチック容器の形態である。そのような残留物には、例えば、洗剤、モーター油、ミルク、フライ油及び料理用油が含まれる。プラスチック容器からこれらの残留物を除去するために、通常、プラスチック容器を粉砕し、そのようにして得られたプラスチック粒子を洗浄工程に供する。この目的のために一般的に使用される洗浄処理は、適用する必要がある高温のため、エネルギー集約的な処理であり、及び/又は可燃性又は燃焼性の溶媒及び/又は腐食性の洗浄剤を使用するため、環境にやさしくない。
【0005】
例えば、US6,114,401号では、プラスチック再生方法が記載されており、汚染されたプラスチック容器の一部を、11.5~12の範囲のpHを有し、脱脂剤溶媒を非常に少量含む苛性溶液と接触させる。このような方法には、苛性溶液が非常に腐食性であり、汚染物質の除去が改善の余地を多く残すという欠点がある。
【0006】
WO2015/150485号は、炭化水素で汚染された土壌及び/又は汚泥を処理する方法を開示する。第1の工程では、汚染された土壌及び/又は汚泥を、まず少量のポリオールを含む水溶液と接触させ、そのようにして得られた土壌及び/又は汚泥を、その後第2の工程において、続いて多量の過酸化水素を含む水溶液と接触させる。この方法は、環境に優しくない過酸化水素を使用し、2種の異なる処理溶液を使用し、汚染物質の除去が改善の余地を残すという欠点を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第6,114,401号明細書
【特許文献2】国際公開第2015/150485号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、はるかに環境に優しく、単純で、エネルギー集約度がはるかに低いリサイクル可能な材料のための非腐食性洗浄方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
現在では、これは非腐食性方法においてポリオールを使用する場合に確立できることがわかった。
【0010】
したがって、本発明は、以下の工程を含むリサイクル可能な材料を洗浄するための非腐食性方法に関する。
(a) 汚染されたリサイクル可能な材料を提供する工程、
(b) 汚染されたリサイクル可能な材料を45~130℃の範囲の温度で1種以上のポリオールを含む溶液で処理して、汚染されたリサイクル可能な材料から汚染物質を除去する工程であって、1種以上のポリオールは、非腐食性溶液の総重量に基づいて、少なくとも15重量%の量で存在し、それにより1種以上のポリオール、リサイクル可能な材料から除去された汚染物質、及び処理されたリサイクル可能な材料を含む液体混合物を形成する工程、
(c) 工程(b)で得られたリサイクル可能な材料の少なくとも一部を工程(b)で得られた液体混合物から10~55℃の範囲の温度で分離する工程、
(d) 工程(c)で得られた残留液体混合物の少なくとも一部を、ポリオール相と汚染されたリサイクル可能な材料から除去された汚染物質を含む相とに相分離させる工程、
(e) 工程(d)で得られたポリオール相を回収する工程、
(f) 工程(d)で得られたリサイクル可能な材料から除去された汚染物質を含む相を回収する工程、及び
(g) 工程(c)で得られた分離されたリサイクル可能な材料を回収する工程。
【0011】
本発明の利点は、リサイクル可能な材料からの汚染物質の非常に効果的な除去を確立し、洗浄されたリサイクル可能な材料の非常に効率的な再利用を保証する一方で、本方法が非腐食性であるという事実にある。また、工程(e)で回収したポリオール相は工程(b)にリサイクルでき、そのことは本方法の環境的魅力度及び経済性にさらに寄与する。
【0012】
工程(a)では、汚染されたリサイクル可能な材料を提供する。好ましくは、リサイクル可能な材料は、リサイクル可能なプラスチック材料又はリサイクル可能な粘土材料である。
【0013】
工程(a)で提供するリサイクル可能な材料が粘土材料の場合、粘土材料は漂白土材料が好ましい。本発明に従って、多種多様な漂白土材料を使用することができる。漂白土の適切な例としては、ベントナイト、白雲母、モンモリロナイト、パリゴルスカイト、セピオライト及びアタパルジャイトのような粘土タイプ、並びに石英及びメソ多孔性シリカのようなシリカをベースとする材料が挙げられる。適切な例は、Tonsil(R)424又はTonsil(R)9192FF(いずれもClariantから入手可能)などの商品名を有する漂白土である。本発明に従って使用される汚染されたリサイクル可能な漂白土材料は、植物油又は工業用油を漂白する過程において使用されてきた。漂白土から除去される汚染物質は、漂白処理で漂白された油に対応する。植物油の適切な例としては、菜種油、大豆油、ヤシ油、からし油、ヒマシ油、ココナツオイル(コプラ油)、トウモロコシ油、綿実油、アマナズナ油、大麻油、ピーナッツ油、大根油、ラムチル(ramtil)油、米ぬか油、紅花油、ヒマワリ油、キリ油、藻類油、コパイバ油、ホンゲ(honge)油、ジャトロファ油、ホホバ油、ミルクブッシュ油、石油ナッツ油、クルミ油、ヒマワリ油、ダンマル油、アマニ油、ケシの実油、烏臼油、ベルノニア油、キハダ果実油、リンゴ種子油、バラノス油、ブラダーポッド(bladder)油、ブルセアジャバニカ(bruceajavanica)油、ゴボウ油(バー(bur)油)、クワイ油(ククイイナッツ油)、ニンジン種子油、大風子油、クランベ油、クフェア油、レモン油、オレンジ油、マンゴー油、モウラ(mowrah)バター、インドセンダン油、ローズヒップ種子油、シーバックソーン油、シアバター、スノーボール(snowball)種子油(ガマズミ油)、トール油、タマヌ油、及びトンカ豆油(クマル(cumaru)油)などが挙げられる。工業用油の適切な例には、モーター油のような使用済み潤滑油が含まれる。汚染されたリサイクル可能な漂白土材料は、漂白土材料から除去される必要がある汚染物質を15~60重量%含有し得る。
【0014】
多種多様なリサイクル可能なプラスチック材料を本発明に従って洗浄することができる。リサイクル可能なプラスチック材料は、リサイクル可能なポリスチレン、高密度ポリエチレン材料、低密度ポリエチレン材料、ポリエチレンテレフタレート材料、ポリプロピレン材料、ポリ塩化ビニル材料、ポリアミド材料、ポリブチレンテレフタレート材料、ポリカーボネート材料、ポリメチルメタクリレート材料、及びポリオキシメチレン材料からなる群から適切に選択され得る。これらのリサイクル可能なポリマー材料のいずれかのコポリマーも、本発明に従って適切に使用することができる。さらに、適切には、本発明で使用するリサイクル可能なプラスチック材料は、2種以上のこれらのポリマー材料が互いに積層されている積層ポリマー複合体でもよい。
【0015】
好ましくは、リサイクルプラスチック材料は、リサイクル可能な高密度ポリエチレン材料又はポリエチレンテレフタレート材料である。
【0016】
適切には、汚染されたリサイクル可能なプラスチック材料は消費者製品容器に由来する。プラスチック容器は、食品又は飲料製品、油製品、潤滑剤製品、化粧品、又はそれらの残留物などの消費者製品のための容器であることができる。食品の適切な例には、ソース、ヨーグルト及びマヨネーズが含まれる。飲料の適切な例としては、レモネード、アルコール飲料及びミルクが挙げられる。油製品の適切な例は、フライ油及び料理用油である。潤滑油に適した例は、誘電体油及びモーター油である。化粧品の適切な例としては、ボディローション、日焼け止め組成物及びシャンプーが挙げられる。
【0017】
汚染されたリサイクル可能なプラスチック材料は、通常、汚染されたプラスチック容器をプラスチック容器部分に細断又は粉砕して得られるプラスチック粒子の形態で提供される。粒子は、例えば、フレークの形態であることができる。粒子がフレークの形態である場合、フレークの平均表面積は、8~1600cm2の範囲内であることが適切であり得、好ましくは50~900cm2の範囲内であり得る。
【0018】
工程(a)で提供される汚染されたリサイクル可能なプラスチック材料は、前洗浄工程に付すことができる。このような前洗浄工程では、工程(a)で提供される前に、ガラス、金属、砂等の望ましくない材料を汚染されたリサイクル可能なプラスチック材料から除去することができる。
【0019】
本発明の方法は、リサイクル可能な材料を洗浄するための非腐食性方法である。「非腐食性」という用語は、この方法において、苛性ソーダ及び過酸化水素のような腐食性化合物の存在ができるだけ避けられることを意味する。
【0020】
したがって、工程(b)では、非腐食性溶液の少なくとも1種が1種以上のポリオールを含む1種以上の非腐食性溶液を使用する。
【0021】
本発明との関連で、「非腐食性溶液」は、例えば、苛性ソーダ及び過酸化水素のようないかなる腐食性化合物も実質的に含まない溶液と定義される。適切には、非腐食性溶液は、5重量%未満の任意の腐食性化合物を含む。好ましくは、非腐食性溶液は、2.5重量%未満、より好ましくは1重量%未満、さらにより好ましくは0.5重量%未満の任意の腐食性化合物を含む。最も好ましくは、非腐食性溶液は、いかなる腐食性化合物も完全に含まない。
【0022】
したがって、本発明は、以下の工程を含むリサイクル可能な材料を洗浄するための非腐食性方法に関する。
(a) 汚染されたリサイクル可能な材料を提供する工程、
(b) 汚染されたリサイクル可能な材料を45~130℃の範囲の温度で1種以上の非腐食性溶液で処理する工程であって、非腐食性溶液の少なくとも1種は汚染されたリサイクル可能な材料から汚染物質を除去するために1種以上のポリオールを含み、1種以上のポリオールは、非腐食性溶液の総重量に基づいて、少なくとも15重量%の量で存在し、それにより1種以上のポリオール、リサイクル可能な材料から除去された汚染物質、及び処理されたリサイクル可能な材料を含む液体混合物を形成する工程、
(c) 工程(b)で得られたリサイクル可能な材料の少なくとも一部を工程(b)で得られた液体混合物から10~55℃の範囲の温度で分離する工程、
(d) 工程(c)で得られた残りの液体混合物の少なくとも一部を、ポリオール相と汚染されたリサイクル可能な材料から除去された汚染物質を含む相とに相分離させる工程、
(e) 工程(d)で得られたポリオール相を回収する工程、
(f) 工程(d)で得られたリサイクル可能な材料から除去された汚染物質を含む相を回収する工程、及び
(g) 工程(c)で得られた分離されたリサイクル可能な材料を回収する工程。
【0023】
少量の腐食性化合物が存在する可能性があるが、工程(b)の溶液(複数可)がそれらの非腐食性特性を維持することが重要である。したがって、好ましくは、非腐食性溶液のみを工程(b)で使用する。
【0024】
したがって、本発明は、以下の工程を含むリサイクル可能な材料を洗浄するための非腐食性方法に関する。
(a) 汚染されたリサイクル可能な材料を提供する工程、
(b) 汚染されたリサイクル可能な材料を45~130℃の範囲の温度で各々が非腐食性溶液である1種以上の非腐食性溶液で処理する工程であって、非腐食性溶液の少なくとも1種は汚染されたリサイクル可能な材料から汚染物質を除去するために1種以上のポリオールを含み、1種以上のポリオールは、非腐食性溶液の総重量に基づいて、少なくとも15重量%の量で存在し、それにより1種以上のポリオール、リサイクル可能な材料から除去された汚染物質、及び処理されたリサイクル可能な材料を含む液体混合物を形成する工程、
(c) 工程(b)で得られたリサイクル可能な材料の少なくとも一部を工程(b)で得られた液体混合物から10~55℃の範囲の温度で分離する工程、
(d) 工程(c)で得られた残りの液体混合物の少なくとも一部を、ポリオール相と汚染されたリサイクル可能な材料から除去された汚染物質を含む相とに相分離させる工程、
(e) 工程(d)で得られたポリオール相を回収する工程、
(f) 工程(d)で得られたリサイクル可能な材料から除去された汚染物質を含む相を回収する工程、及び
(g) 工程(c)で得られた分離されたリサイクル可能な材料を回収する工程。
【0025】
リサイクル可能な材料はリサイクル可能な粘土材料であることが好ましい。
【0026】
したがって、本発明は、以下の工程を含むリサイクル可能な粘土材料を洗浄するための非腐食性方法を提供することが好ましい。
(a) 汚染されたリサイクル可能な粘土材料を提供する工程、
(b) 汚染されたリサイクル可能な粘土材料を45~130℃の範囲の温度で1種以上のポリオールを含む溶液で処理して、汚染されたリサイクル可能な材料から汚染物質を除去する工程であって、1種以上のポリオールは、非腐食性溶液の総重量に基づいて、少なくとも15重量%の量で存在し、それにより1種以上のポリオール、リサイクル可能な粘土材料から除去された汚染物質、及び処理されたリサイクル可能な粘土材料を含む液体混合物を形成する工程、
(c) 工程(b)で得られたリサイクル可能な粘土材料の少なくとも一部を工程(b)で得られた液体混合物から10~55℃の範囲の温度で分離する工程、
(d) 工程(c)で得られた残りの液体混合物の少なくとも一部を、ポリオール相と汚染されたリサイクル可能な粘土材料から除去された汚染物質を含む相とに相分離させる工程、
(e) 工程(d)で得られたポリオール相を回収する工程、
(f) 工程(d)で得られたリサイクル可能な粘土材料から除去された汚染物質を含む相を回収する工程、及び
(g) 工程(c)で得られた分離されたリサイクル可能な粘土材料を回収する工程。
【0027】
リサイクル可能な粘土材料は、漂白土材料が好ましい。
【0028】
本発明はまた、以下の工程を含むリサイクル可能な粘土材料を洗浄するための非腐食性方法に関する。
(a) 汚染されたリサイクル可能な粘土材料を提供する工程、
(b) 汚染されたリサイクル可能な粘土材料を45~130℃の範囲の温度で1種以上の非腐食性溶液で処理する工程であって、非腐食性溶液の少なくとも1種は、汚染されたリサイクル可能な粘土材料から汚染物質を除去するために1種以上のポリオールを含み、1種以上のポリオールは、非腐食性溶液の総重量に基づいて、少なくとも15重量%の量で存在し、それにより1種以上のポリオール、リサイクル可能な粘土材料から除去された汚染物質、及び処理されたリサイクル可能な粘土材料を含む液体混合物を形成する工程、
(c) 工程(b)で得られたリサイクル可能な粘土材料の少なくとも一部を工程(b)で得られた液体混合物から10~55℃の範囲の温度で分離する工程、
(d) 工程(c)で得られた残りの液体混合物の少なくとも一部を、ポリオール相と汚染されたリサイクル可能な粘土材料から除去された汚染物質を含む相とに相分離させる工程、
(e) 工程(d)で得られたポリオール相を回収する工程、
(f) 工程(d)で得られたリサイクル可能な材料から除去された汚染物質を含む相を回収する工程、及び
(g) 工程(c)で得られた分離されたリサイクル可能な材料を回収する工程。
【0029】
さらに、本発明は、以下の工程を含むリサイクル可能な粘土材料を洗浄するための非腐食性方法に関する。
(a) 汚染されたリサイクル可能な粘土材料を提供する工程、
(b) 汚染されたリサイクル可能な粘土材料を45~130℃の範囲の温度で全てが非腐食性溶液である1種以上の溶液で処理する工程であって、非腐食性溶液の少なくとも1種は、汚染されたリサイクル可能な粘土材料から汚染物質を除去するために1種以上のポリオ-ルを含み、1種以上のポリオールは、非腐食性溶液の総重量に基づいて、少なくとも15重量%の量で存在し、それにより1種以上のポリオール、リサイクル可能な粘土材料から除去された汚染物質、及び処理されたリサイクル可能な粘土材料を含む液体混合物を形成する工程、
(c) 工程(b)で得られたリサイクル可能な粘土材料の少なくとも一部を工程(b)で得られた液体混合物から10~55℃の範囲の温度で分離する工程、
(d) 工程(c)で得られた残りの液体混合物の少なくとも一部を、ポリオール相と汚染されたリサイクル可能な粘土材料から除去された汚染物質を含む相とに相分離させる工程、
(e) 工程(d)で得られたポリオール相を回収する工程、
(f) 工程(d)で得られたリサイクル可能な粘土材料から除去された汚染物質を含む相を回収する工程、及び
(g) 工程(c)で得られた分離されたリサイクル可能な粘土材料を回収する工程。
【0030】
上記のように、適切には、洗浄するリサイクル可能な材料は、リサイクル可能なプラスチック材料であることもできる。
【0031】
したがって、本発明はまた、以下の工程を含むリサイクル可能なプラスチック材料を洗浄するための非腐食性方法に関する。
(a) 汚染されたリサイクル可能なプラスチック材料を提供する工程、
(b) 汚染されたリサイクル可能なプラスチック材料を45~130℃の範囲の温度で1種以上の非腐食性溶液で処理する工程であって、非腐食性溶液の少なくとも1種は、汚染されたリサイクル可能なプラスチック材料から汚染物質を除去ために1種以上のポリオールを含み、1種以上のポリオールは、非腐食性溶液の総重量に基づいて、少なくとも15重量%の量で存在し、それにより1種以上のポリオール、リサイクル可能なプラスチック材料から除去された汚染物質、及び処理されたリサイクル可能なプラスチック材料を含む液体混合物を形成する工程、
(c) 工程(b)で得られたリサイクル可能なプラスチック材料の少なくとも一部を工程(b)で得られた液体混合物から10~55℃の範囲の温度で分離する工程、
(d) 工程(c)で得られた残りの液体混合物の少なくとも一部を、ポリオール相と汚染されたリサイクル可能なプラスチック材料から除去された汚染物質を含む相とに相分離させる工程、
(e) 工程(d)で得られたポリオール相を回収する工程、
(f) 工程(d)で得られたリサイクル可能なプラスチック材料から除去された汚染物質を含む相を回収する工程、及び
(g) 工程(c)で得られた分離されたリサイクル可能なプラスチック材料を回収する工程。
【0032】
本発明はまた、以下の工程を含むリサイクル可能なプラスチック材料を洗浄するための非腐食性方法に関する。
(a) 汚染されたリサイクル可能なプラスチック材料を提供する工程、
(b) 汚染されたリサイクル可能なプラスチック材料を45~130℃の範囲の温度で各々が非腐食性溶液である1種以上の非腐食性溶液で処理する工程であって、非腐食性溶液の少なくとも1種は、汚染されたリサイクル可能なプラスチック材料から汚染物質を除去するために1種以上のポリオールを含み、1種以上のポリオールは、非腐食性溶液の総重量に基づいて、少なくとも15重量%の量で存在し、それにより1種以上のポリオール、リサイクル可能なプラスチック材料から除去された汚染物質、及び処理されたリサイクル可能なプラスチック材料を含む液体混合物を形成する工程、
(c) 工程(b)で得られたリサイクル可能なプラスチック材料の少なくとも一部を工程(b)で得られた液体混合物から10~55℃の範囲の温度で分離する工程、
(d) 工程(c)で得られた残りの液体混合物の少なくとも一部を、ポリオール相と汚染されたリサイクル可能なプラスチック材料から除去された汚染物質を含む相とに相分離させる工程、
(e) 工程(d)で得られたポリオール相を回収する工程、
(f) 工程(d)で得られたリサイクル可能なプラスチック材料から除去された汚染物質を含む相を回収する工程、及び
(g) 工程(c)で得られた分離されたリサイクル可能なプラスチック材料を回収する工程。
【0033】
本発明はまた、以下の工程からなるリサイクル可能な材料を洗浄するための非腐食性方法に関する。
(a) 汚染されたリサイクル可能な材料を提供する工程、
(b) 汚染されたリサイクル可能な材料を45~130℃の範囲の温度で1種以上のポリオールを含む非腐食性溶液で処理して、汚染されたリサイクル可能な材料から汚染物質を除去する工程であって、1種以上のポリオールは、非腐食性溶液の総重量に基づいて、少なくとも15重量%の量で存在し、それにより1種以上のポリオール、リサイクル可能な材料から除去された汚染物質、及び処理されたリサイクル可能な材料を含む液体混合物を形成する工程、
(c) 工程(b)で得られたリサイクル可能な材料の少なくとも一部を工程(b)で得られた液体混合物から10~55℃の範囲の温度で分離する工程、
(d) 工程(c)で得られた残りの液体混合物の少なくとも一部を、ポリオール相と汚染されたリサイクル可能な材料から除去された汚染物質を含む相とに相分離させる工程、
(e) 工程(d)で得られたポリオール相を回収する工程、
(f) 工程(d)で得られたリサイクル可能な材料から除去された汚染物質を含む相を回収する工程、及び
(g) 工程(c)で得られた分離されたリサイクル可能な材料を回収する工程。
【0034】
1種以上の非腐食性溶液は、例えば、苛性ソーダ及び過酸化水素のような、いかなる腐食性化合物も実質的に含まない。適切には、非腐食性溶液は、5重量%未満の任意の腐食性化合物を含む。好ましくは、非腐食性溶液は、2.5重量%未満、より好ましくは1重量%未満、さらにより好ましくは0.5重量%未満の任意の腐食性化合物を含む。最も好ましくは、非腐食性溶液は、いかなる腐食性化合物も完全に含まない。
【0035】
工程(b)では、リサイクル可能な材料は、1種又は2種の非腐食性溶液のみで処理することが好ましい。
【0036】
工程(b)では、汚染されたリサイクル可能な材料は、45~130℃の範囲の温度で、1種以上のポリオールを含む少なくとも1種の非腐食性溶液で処理され、それにより1種以上のポリオール、リサイクル可能な材料から除去された汚染物質、及び処理されたリサイクル可能な材料を含む液体混合物を形成する。工程(b)の温度は、45~100℃の範囲が好ましく、50~80℃の範囲がより好ましい。
【0037】
適切には、工程(b)は大気圧で行われる。いくつかの実施形態では、工程(b)は、1~15barの範囲の高圧下で行うことができる。
【0038】
適切には、工程(b)において、汚染されたリサイクル可能な材料は、1種以上のポリオールからなる純粋なポリオール溶液である非腐食性溶液で処理することができ、又は1種以上の水溶性ポリオールを含む水溶液である非腐食性溶液で処理することができる。純粋なポリオール溶液は、いかなる溶媒の存在なしに、実質的に完全に1種以上のポリオールからなることが理解される。好ましくは、非腐食性溶液は、1種以上のポリオールからなる純粋なポリオール溶液、又は1種以上のポリオール及び水、好ましくは蒸留水からなる水溶液である。溶液が1種以上の水溶性ポリオールを含む水溶液である場合、1種以上のポリオールは(適切には)、水溶液の総重量に基づいて、20~99.5重量%の範囲の量で、好ましくは40~99.5重量%の量で、より好ましくは50~99.5重量%の量で、さらにより好ましくは55~99.5重量%の量で、最も好ましくは60~99.5重量%の量で存在する。
【0039】
好ましくは、工程(b)では、単一の溶液を用いる。これは、工程(b)を単一の工程として行うことができ、複数の溶液の使用を回避し、処理工程数を最小限に抑えることができるという利点がある。
【0040】
工程(b)で使用される1種以上の非腐食性溶液は、腐食性かつ酸化性の化合物であり、高いpH値を有する苛性溶液にも適用され、脂肪汚染物質から脂肪酸を形成し、ポリオールから除去することが困難となるという、追加の欠点を有する過酸化水素を実質的に含まない。適切には、非腐食性溶液は5重量%未満の過酸化水素を含む。好ましくは、非腐食性溶液は2.5重量%未満、より好ましくは1重量%未満、さらにより好ましくは0.5重量%未満の過酸化水素を含む。最も好ましくは、非腐食性溶液は過酸化水素を全く含まない。
【0041】
工程(b)では、汚染されたリサイクル可能な材料(B)に対する前記溶液、好ましくは1種以上のポリオール(A)を含む非腐食性溶液の重量比は、適切には1~10(A/B)の範囲であり、好ましくは1~3(A/B)の範囲である。
【0042】
汚染されたリサイクル材料を純粋なポリオール溶液で処理する場合、汚染されたリサイクル可能な材料(B)に対する純粋なポリオール溶液(P)の重量比は、1~10(P/B)の範囲であり、好ましくは1~3(P/B)の範囲である。
【0043】
本発明に従って使用されるポリオールは、少なくとも2つの水酸基を含む有機化合物として定義される。本発明に従って、水溶性ポリオールを使用することが好ましい。好ましくは、1種以上のポリオールは、メソ-エリスリトール、ペンタエリスリトール、キシリトール、ソルビトール及びグリセロールからなる群から選択される。好ましくは、ポリオールの少なくとも1種はキシリトール又はグリセロールである。より好ましくは、ポリオールの少なくとも1種はグリセロールである。最も好ましくは、非腐食性溶液は、グリセロールである1種のポリオールのみを含む。
【0044】
工程(a)及び(b)は、例えば、密閉容器又はタンクなど、同一系内で適切に実施される。
【0045】
工程(b)では、リサイクル可能な材料は、1種以上のポリオールを含む非腐食性溶液で処理される。適切には、容器又はタンクの内容物を撹拌し、工程(b)で汚染されたリサイクル可能な材料と1種以上のポリオールを含む非腐食性溶液との十分な接触を確立するように、容器又はタンクは混合システムを備えることができる。リサイクル可能な材料がリサイクル可能なプラスチック材料の場合、この材料は、細断された又は粉砕された粒子の形態が適切である。このようにして、工程(b)では、プラスチック粒子と1種以上のポリオールを含む非腐食性溶液とを含むスラリーが得られる。リサイクル可能な材料がリサイクル可能な粘土材料の場合、この材料は粘土粒子の形態であるのが適切である。このようにして、工程(b)では、粘土粒子と1種以上のポリオールを含む非腐食性溶液とを含むスラリーが得られる。
【0046】
工程(b)は、所定の期間適切に実施される。工程(b)は比較的短時間に実施することが好ましい。適切には、工程(b)は、15秒~60分の範囲の時間、好ましくは1~15分の範囲の時間、より好ましくは2~15分の間の範囲の時間、最も好ましくは2~10分の範囲の時間実施される。
【0047】
所望ならば、工程(b)は相互に連結された一連の容器又はタンクで行うことができる。このようにして、工程(b)を多くの段階で実施することができ、汚染物質がリサイクル可能な材料から十分に除去されることが保証される。また、別々のタンク又は容器が次々に操作されるバッチ方式の操作で工程(b)を実施することも可能である。
【0048】
工程(b)では、非腐食性溶液は適切には6.5~7.5の範囲のpH値を有する。好ましくは、非腐食性溶液は7というpH値を有する。
【0049】
工程(c)では、工程(b)で得られたリサイクル可能な物質の少なくとも一部が、工程(b)で得られた液体混合物から分離される。好ましくは、実質的にすべてのリサイクル可能な材料は、工程(c)で液体混合物から除去される。本願の関連で、これは、工程(c)において、リサイクル可能な材料の95%超、好ましくはリサイクル可能な材料の99%超が液体混合物から分離されることを意味する。分離を確立するために、工程(b)で得られたリサイクル材料の粒子及び液体混合物を含むスラリーを、粒子の形態の洗浄されたリサイクル可能な材料が汚染物質を含む液体混合物から分離される分離システムに適切に通すことができる。工程(c)では、さまざまな分離システムを用いることができる。適切には、分離システムは、リーフフィルタープレス又はチャンバーフィルタープレス(粘土用)又はサイクロン(プラスチック用)である。他の適切な分離システムには、シンク-フロートタンクが含まれる。
【0050】
工程(c)における分離は、10~55℃の範囲の温度、好ましくは15~45℃の範囲の温度で行う。工程(c)は様々な圧力で適切に行うことができる。工程(c)は、大気圧で行うことが好ましい。
【0051】
工程(d)では、工程(c)で得られた残りの液体混合物の少なくとも一部を、ポリオール相と、汚染されたリサイクル可能な材料から除去された汚染物質を含む相とに相分離させる。好ましくは、工程(c)で得られた液体混合物全体を、ポリオール相と、汚染物質を含む相とに相分離させる。ポリオール相は、汚染されたリサイクル可能な材料から除去された幾分かの汚染物質を含むことがあるが、汚染物質は主に溶媒相中に存在する。工程(d)における相分離は、工程(c)で得られた液体混合物を、物理的に混合しないで液体が2つの液層、すなわちポリオール相層及び汚染されたリサイクル可能なプラスチック材料から除去された汚染物質を含む相層に相分離する分離容器に通すことによって確立することができる。適切には、工程(d)は、1~1200分の範囲の時間、好ましくは10~240分の範囲の時間、より好ましくは10~120分の範囲の時間、さらにより好ましくは30~120分の範囲の時間、最も好ましくは30~60分の範囲の時間実施される。工程(d)で相分離が確立されると、工程(e)でポリオール相を回収し、汚染されたリサイクル可能なプラスチック材料から除去された汚染物質を含む相を工程(f)で回収することができる。
【0052】
工程(e)では、工程(d)で得られたポリオール相の少なくとも一部が工程(b)にリサイクルされる。好ましくは、工程(d)で得られたポリオール相の少なくとも50重量%が工程(b)にリサイクルされる。より好ましくは工程(d)で得られたポリオール相の少なくとも75重量%、より好ましくは90重量%超が、工程(b)にリサイクルされる。適切には、工程(d)で得られたポリオール相全体を工程(b)にリサイクルすることができる。工程(d)で得られたポリオール相の少なくとも一部を、そのようにして得られた洗浄されたポリオール相を工程(b)にリサイクルする前に、ポリオール相中に存在する汚染物質をポリオール相から除去する処理に付すことが好適である場合がある。工程(e)におけるポリオール相の少なくとも一部のリサイクルは、経済的理由及び環境的理由の両方から興味を引く。本発明におけるポリオールの使用の明らかな利点は、ポリオールが、リサイクル可能な材料から除去される汚染物質から非常に効果的に分離され得ること、及び汚染物質から分離された後のポリオールが、工程(b)に魅力的にリサイクルされ得ることである。
【0053】
工程(f)では、汚染物質を含む相が回収される。適切には、汚染物質を含む相の少なくとも一部は、汚染物質がそれから生じた油精製処理で再利用することができる。
【0054】
工程(c)で得られたリサイクル可能な材料は、続いて工程(g)で回収することができる。回収されたリサイクル可能な材料は、その後、すすぎ工程を経て、リサイクル可能な材料の表面にまだ存在している可能性のある汚染物質をさらに除去することができる。次いで、すすぎ工程に供されるか又は供されないリサイクル可能な材料を乾燥させて、得られた乾燥したリサイクル可能な材料を回収し、続いて再利用することができる。リサイクル可能な材料がプラスチック材料の場合は、それを消費者製品のための新しいプラスチック容器の形成に使用することができる。すすぎに使用される水は、続いて、工程(b)における液体混合物と組み合わせることができる。リサイクル可能な材料がリサイクル可能な粘土材料の場合、一旦回収されれば、それをすすぐか、及び/又は工程(h)で熱処理して、残存する少量の汚染物質を除去することができる。
【0055】
したがって、本発明はまた、以下の工程を含むリサイクル可能な粘土材料を洗浄するための方法を提供する。
(a) 汚染されたリサイクル可能な粘土材料を提供する工程、
(b) 汚染されたリサイクル可能な粘土材料を45~130℃の範囲の温度で1種以上のポリオールを含む非腐食性溶液で処理して、汚染されたリサイクル可能な材料から汚染物質を除去する工程であって、1種以上のポリオールは、非腐食性溶液の総重量に基づいて、少なくとも15重量%の量で存在し、それにより1種以上のポリオール、リサイクル可能な粘土材料から除去された汚染物質、及び処理されたリサイクル可能な粘土材料を含む液体混合物を形成する工程、
(c) 工程(b)で得られたリサイクル可能な粘土材料の少なくとも一部を工程(b)で得られた液体混合物から10~55℃の範囲の温度で分離する工程、
(d) 工程(c)で得られた残りの液体混合物の少なくとも一部を、ポリオール相と汚染されたリサイクル可能な粘土材料から除去された汚染物質を含む相とに相分離させる工程、
(e) 工程(d)で得られたポリオール相を回収する工程、
(f) 工程(d)で得られたリサイクル可能な粘土材料から除去された汚染物質を含む相を回収する工程、
(g) 工程(c)で得られた分離されたリサイクル可能な粘土材料を回収する工程、及び
(h) 工程(g)で回収したリサイクル可能な粘土材料の少なくとも一部を、300~950℃の範囲の温度で行う熱処理に供する工程。
【0056】
好ましくは、工程(h)は、500~900℃の範囲の温度、より好ましくは550~800℃の範囲の温度で行われる。好ましくは、工程(g)で回収されたリサイクル可能な粘土材料の実質的に全てが、工程(h)で熱処理に供される。
【0057】
本発明に従って、リサイクル粘土材料から除去される汚染物質の量、ポリオール相からの汚染物質の分離しやすさ、及び粘土材料上に残留し、工程(h)における熱処理における燃料として作用し得る汚染物質及びポリオールの量の間のバランスが確立される。このようにして、汚染されたリサイクル可能な材料からの汚染物質の除去のための最も効率的な方法が確立される。
【0058】
上記方法の利点は、工程(h)においてリサイクル可能な粘土材料中に依然として存在するポリオールが熱処理における燃料として作用し、残存する汚染物質の非常に効果的な除去を確立することである。リサイクル粘土材料はリサイクル可能な漂白土材料であることが好ましい。
【0059】
本発明に従って、汚染物質は、液体の形態が適切である。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【発明を実施するための形態】
【0061】
図1では、汚染されたプラスチックフレーク又は汚染された粘土粒子の流れが、周囲温度及び大気圧で操作される洗浄容器2にライン1により通される。洗浄容器2では、純粋なポリオール溶液又は1種以上の水溶性ポリオールを含む水溶液が、ライン7によって容器2に導入される。洗浄容器2では、汚染されたプラスチックフレーク又は汚染された粘土粒子の流れを、撹拌しながら純粋なポリオール溶液又は水溶液と接触させて、プラスチックフレーク又は粘土粒子から汚染物質を除去し、それによって、ポリオール、汚染物質及びプラスチックフレーク又は粘土粒子の液体混合物を形成する。所定の時間の後、プラスチックのフレーク又は粘土粒子は、例えば、
図1に示されていない分離手段によって液体混合物から分離され、汚染物質が除去されたプラスチックフレーク又は粘土粒子は、ライン4により容器2から抜き出される。プラスチックフレーク又は粘土粒子から除去された汚染物質及びポリオールを含み、プラスチックフレーク又は粘土粒子から分離された液体混合物は、ライン3により容器2から抜き出され、次いで分離容器5に導入される。分離容器5では、液体混合物を、より重いポリオール相液体(PPL)及びより軽い汚染物相液体(CPL)に相分離させる。ポリオール相液体の少なくとも一部は、ライン6により洗浄容器2にリサイクルされる一方、汚染物質相液体はライン8により分離容器5から抜き出される。
【実施例】
【0062】
[実施例1(本発明による)]
やし油を主成分とする植物油の混合物を46重量%含有する使用済み漂白土50gを、250mlのガラスフラスコ中で、いかなる腐食性化合物もなしでpH値7のグリセロール25gと混合した。その後、25gの水を加えた。このようにして液体混合物を得た。加熱しながら60分間混合した後、65℃の温度に達した。漏斗中に綿ろ布を用いて、使用済み漂白土の固形分を液相から分離した。ろ過後、残った液体混合物を回収し、960分間(一晩)相分離するまで放置した。このようにして、最上層(最小量、透明層)と最下層(暗い層、より高粘度)の2相を得た。IR分光法(U-ATR付属品を装備したPerkin-Elmer Frontier IR分光器)を用いて両相を分析した。フィルターケーキも回収し、熱重量分析(Perkin-Elmer TGA4000装置、窒素雰囲気中)を用いて分析した。
【0063】
[例2(比較例)]
この例は、使用済み漂白土20gを使用し、水100gを使用し、グリセロールを使用しなかった点を除き、実施例1と同様に実施した。
【0064】
[例3(比較例)]
この例は、液体混合物にソーダ0.5gを加えた以外は、例2と同様に行った。
【0065】
[例4(比較例)]
この例は、使用済漂白土に油が41重量%含まれていたことを除いて、例2と同様に行った。
【0066】
[例5(比較例)]
この例は、使用済漂白土に油が41重量%含まれていたことを除いて、例3と同様に行った。
【0067】
[実施例6(本発明による)]
pH値が7で腐食性化合物のない30kgのグリセロールを、RVSパン中で70℃まで予熱した。次いで、やし油を主成分とする植物油の混合物を40重量%含有する使用済み漂白土30kgを、予熱したグリセロール30kgと混合した。15分間混合した後、55℃の温度に達した。膜ポンプを用いて、混合物を、2ミクロンのポリプロピレンろ布を装備した、膜チャンバーフィルタープレスに送液した。ろ過後、液体を回収し、960分間(一晩)相分離するまで放置した。このようにして、最上層(最小量、透明層)及び最下層(暗い層、より高粘度)の相を得た。IR分光法(U-ATR付属品を装備したPerkin-Elmer Frontier IR分光器)を用いて両相を分析した。フィルターケーキも回収し、熱重量分析(Perkin-Elmer TGA4000装置、窒素雰囲気中)を用いて分析した。
【0068】
[実施例7(本発明による)]
この実施例は、使用済み漂白土が油を45重量%含むことを除いて、実施例6と同様に実施した。
【0069】
[実施例8(本発明による)]
この実施例は、使用済み漂白土が油を46重量%含むことを除いて、実施例6と同様に実施した。
【0070】
表1に、IR分光法分析及び熱重量分析の結果を示す。
【0071】
[実施例9(本発明による)]
30kgのグリセロールをRVSパン中で70℃に予熱した。次いで、やし油を主成分とする植物油の混合物を40重量%含有する使用済み漂白土30kgを、予熱されたグリセロール30kgと混合した。15分間混合した後、55℃の温度に達した。膜ポンプを用いて、混合物を、2ミクロンのポリプロピレンろ布を装備した、膜チャンバーフィルタープレスに送液した。ろ過後、液体を回収し、960分間(一晩)相分離するまで放置した。このようにして、最上層(最小量、透明層)及び最下層(暗い層、より高粘度)の2相を得た。IR分光法(U-ATR付属品を装備したPerkin-Elmer Frontier IR分光器)を用いて両相を分析した。フィルターケーキも回収し、熱重量分析(Perkin-Elmer TGA4000装置、窒素雰囲気中)を用いて分析した。
【0072】
このように得られたフィルターケーキを6mmのペレットに圧縮して、0.5kWの炉に供給し、炉を850℃で操作した。この炉では、熱交換器を使って炉からの熱を集め、熱水の送出に利用している。30分間ペレットを供給している間、温度は一定のままであり、このことは熱水及び生成物としての灰を送りながら、供給された材料の発熱量、すなわち、粘土上の残留有機物の材料の量が温度を設定点に保つのに十分であることを示していた。灰を回収し分析したところ、残留有機含有率は2%未満であることがわかった。
【0073】
[例10(比較例)]
ポリプロピレン(PP)シート(厚さ500ミクロン)を10mm×10mmのフレークに切断した。6gのPPフレークを70mLnoガラスジャーに入れた。新しいフライ油(Albert Heijn市場のAH Frituurolie)1gを加え、完全に混合し、プラスチック表面全体が脂肪層で覆われることを確実にした。別のジャーで、40gの水と10hのグリセロール(99%、ABCR GmbHより供給)を混合した。混合液は7というpHを有し、該混合液を20℃に保持し、油まみれのプラスチックに加えて、1分間穏やかに振盪した。
【0074】
振盪後、液体をろ別し、PPフレークを20℃の温度を有する水で十分にすすいだ。湿ったPPフレークをオーブン中において110℃で4時間乾燥した。乾燥後、フレークの質量を測定した。洗浄前の質量(PP及び脂肪)及び洗浄後の総質量を用いて、プラスチック表面の油の残量及び洗浄効率を算出した。以下の式を用いてこれらの量を算出した。
【0075】
【0076】
洗浄効率、すなわち、この洗浄工程で除去された油の相対量は53%であった。
【0077】
[実施例11(本発明による)]
この実施例は、水とグリセロールとの混合物を50℃に加熱した以外は、実施例10と同様に行った。
【0078】
洗浄効率、すなわち、この洗浄工程で除去された油の相対量は85%であった。
【0079】
[例12(比較例)]
この例は、洗浄工程において水のみを使用し、グリセロールは使用しなかった以外は、実施例11と同様に実施した。
【0080】
洗浄効率、すなわち、この洗浄工程で除去された油の相対量は48%であった。
【0081】
(実施例10~12の洗浄効率の結果を表2に示す。
【0082】
【0083】
表1から、本発明に従って、比較的低温及びポリオールを含む非腐食性溶液を用いて、使用済みの漂白土から魅力的な量の油を回収することができることは明らかである。
【0084】
【0085】
表2は、ポリオールを含む非腐食性溶液を低温で用いてリサイクル可能なプラスチック材料を効率的に洗浄できることを示す。
【手続補正書】
【提出日】2020-08-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の工程を含むリサイクル可能な材料を洗浄するための非腐食性方法。
(a) 汚染されたリサイクル可能な材料を提供する工程、
(b) 該汚染されたリサイクル可能な材料を45~130℃の範囲の温度で1種以上のポリオールを含む非腐食性溶液で処理して、該汚染されたリサイクル可能な材料から汚染物質を除去する工程であって、該1種以上のポリオールは、該非腐食性溶液の総重量に基づいて、少なくとも15重量%の量で存在し、それにより1種以上のポリオール、該リサイクル可能な材料から除去された汚染物質、及び処理されたリサイクル可能な材料を含む液体混合物を形成する工程、
(c) 工程(b)で得られた該リサイクル可能な材料の少なくとも一部を工程(b)で得られた該液体混合物から10~55℃の範囲の温度で分離する工程、
(d) 工程(c)で得られた残りの液体混合物の少なくとも一部を、ポリオール相と汚染された該リサイクル可能な材料から除去された汚染物質を含む相とに相分離させる工程、
(e) 工程(d)で得られた該ポリオール相を回収する工程、
(f) 工程(d)で得られた該リサイクル可能な材料から除去された汚染物質を含む該相を回収する工程、及び
(g) 工程(c)で得られた分離されたリサイクル可能な材料を回収する工程。
【請求項2】
工程(e)で回収された前記ポリオール相の少なくとも一部が方法(b)にリサイクルされる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記リサイクル可能な材料がリサイクル可能な粘土材料である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記リサイクル可能な材料がリサイクル可能なプラスチック材料である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
工程(b)の前記溶液がpH値7を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
工程(g)の後、工程(g)で回収された前記リサイクル可能な粘土材料の少なくとも一部を300~950℃の範囲の温度で行う熱処理に供する工程(h)を実施する、請求項1~3又は5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
工程(b)において、前記リサイクル可能な材料は1種以上の非腐食性溶液で処理され、該非腐食性溶液の少なくとも1種は1種以上のポリオールを含み、前記汚染されたリサイクル可能な材料から汚染物質を除去する、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
工程(b)において、前記溶液が1種以上のポリオールからなる純粋なポリオール溶液である、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
工程(b)において、前記溶液が1種以上の水溶性ポリオールを含む水溶液である、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記水溶液中で、前記1種以上の水溶性ポリオールが、前記水溶液の総重量に基づいて、60~99.5重量%の範囲の量で存在する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
工程(b)において、前記汚染されたリサイクル可能な材料(B)に対する前記1種以上のポリオール(A)を含む溶液の重量比が、1~3(A/B)の範囲にある、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記1種以上のポリオールが、メソ-エリスリトール、ペンタエリスリトール、キシリトール、ソルビトール及びグリセロールからなる群から選択される、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記ポリオールの少なくとも1種がキシリトール又はグリセロールである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記ポリオールの少なくとも1種がグリセロールである、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
工程(b)において、前記リサイクル可能な材料を単一の工程で単一の非腐食性溶液と接触させる、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【国際調査報告】