(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-26
(54)【発明の名称】KIT及びPDGFRA媒介性疾患を治療するための組成物及び方法
(51)【国際特許分類】
C07D 487/04 20060101AFI20220519BHJP
A61K 31/53 20060101ALI20220519BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20220519BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20220519BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20220519BHJP
【FI】
C07D487/04 140
C07D487/04 CSP
A61K31/53
A61P35/00
A61P35/02
A61P43/00 105
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021560255
(86)(22)【出願日】2020-04-08
(85)【翻訳文提出日】2021-12-09
(86)【国際出願番号】 US2020027177
(87)【国際公開番号】W WO2020210293
(87)【国際公開日】2020-10-15
(32)【優先日】2019-10-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-04-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】515010246
【氏名又は名称】ブループリント メディシンズ コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100187540
【氏名又は名称】國枝 由紀子
(72)【発明者】
【氏名】キム,ジョセフ・エル
(72)【発明者】
【氏名】ディニーン,トーマス・エイ
(72)【発明者】
【氏名】グジ,ティモシー
【テーマコード(参考)】
4C050
4C086
【Fターム(参考)】
4C050AA01
4C050BB04
4C050CC07
4C050EE03
4C050FF10
4C050GG04
4C050HH04
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086CB05
4C086GA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZB26
4C086ZC20
4C086ZC41
(57)【要約】
本開示は、式Iの化合物、
その医薬塩、及び/又は前述のいずれかの溶媒和物を提供し、これらは、変異型KIT及びPDGFRαに関連する疾患及び状態を治療するために有用であり、変異型KIT及びPDGFRαに関連する疾患及び状態を治療するための有利な非脳浸透性プロファイルを提示する。本開示はまた、胃腸間質腫瘍及び全身性肥満細胞症を治療するための方法を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物:
【化1】
その薬学的に許容される塩、及び/又は前述のいずれかの溶媒和物であって、式中、
Aは、
【化2】
であり、
R
1は、水素及びメチルから選択され、
R
2は、水素及びメチルから選択され、又は
R
1及びR
2は、一緒になってシクロプロピルを形成し、
R
3は、水素及びメチルから選択され、
R
4は、水素及びメチルから選択され、又は
R
3及びR
4は、一緒になってシクロプロピルを形成し、
R
5は、水素及びメチルから選択され、
R
6は、水素及びメチルから選択され、又は
R
5及びR
6は、一緒になってシクロプロピルを形成し、又は
1つ又はR
2又はR
4は、R
6はと一緒になってシクロブチルを形成し、
R
7は、水素、又はR
2、R
4、若しくはR
6のうちの1つは、R
7と一緒になって、オキセタン、テトラヒドロフラン、及びテトラヒドロピランから選択される環を形成し、前記テトラヒドロフラン又は前記テトラヒドロピランは、任意選択で、ヒドロキシルで置換されており、
mは、0又は1であり、
nは、0又は1である、化合物、その薬学的に許容される塩、及び/又は前述のいずれかの溶媒和物。
【請求項2】
前記式中、
Aは、
【化3】
であり、
R
3は、水素及びメチルから選択され、
R
4は、水素及びメチルから選択され、又はR
3及びR
4は、一緒になってシクロプロピルを形成し、
R
5は、水素及びメチルから選択され、又は
R
4及びR
6が一緒になってシクロブチルを形成し、又は
R
5及びR
6は、一緒になってシクロプロピルを形成し、
R
7は、水素である、請求項1に記載の化合物、その薬学的に許容される塩、及び/又は前述のいずれかの溶媒和物。
【請求項3】
前記式中、
Aは、
【化4】
であり、
R
3は、水素及びメチルから選択され、
R
4は、水素及びメチルから選択され、又はR
3及びR
4は、一緒になってシクロプロピルを形成し、
R
5は、水素及びメチルから選択され、又は
R
5及びR
6は、一緒になってシクロプロピルを形成し、
R
7は、水素である、請求項2に記載の化合物、その薬学的に許容される塩、及び/又は前述のいずれかの溶媒和物。
【請求項4】
前記式中、
Aは、
【化5】
であり、
wは、1又は2であり、
tは、1又は2であり、
sは、0又は1である、請求項1に記載の化合物、その薬学的に許容される塩、及び/又は前述のいずれかの溶媒和物。
【請求項5】
前記式中、前記Aは、
【化6】
から選択される、請求項1に記載の化合物、その薬学的に許容される塩、及び/又は前述のいずれかの溶媒和物。
【請求項6】
前記式中、前記Aは、
【化7】
から選択される、請求項1に記載の化合物、その薬学的に許容される塩、及び/又は前述のいずれかの溶媒和物。
【請求項7】
前記式中、前記Aは、
【化8】
から選択される、請求項1に記載の化合物、その薬学的に許容される塩、及び/又は前述のいずれかの溶媒和物。
【請求項8】
前記式中、前記Aは、
【化9】
から選択される、請求項1に記載の化合物、その薬学的に許容される塩、及び/又は前述のいずれかの溶媒和物。
【請求項9】
前記式中、前記Aは、
【化10】
から選択される、請求項1に記載の化合物、その薬学的に許容される塩、及び/又は前述のいずれかの溶媒和物。
【請求項10】
化合物
【化11】
又はその薬学的に許容される塩、及び/又は前述のいずれかの溶媒和物。
【請求項11】
請求項10に記載の化合物
【化12】
【請求項12】
化合物
【化13】
又はその薬学的に許容される塩、及び/又は前述のいずれかの溶媒和物。
【請求項13】
請求項12に記載の化合物
【化14】
【請求項14】
化合物
【化15】
又はその薬学的に許容される塩、及び/又は前述のいずれかの溶媒和物。
【請求項15】
請求項14に記載の化合物
【化16】
【請求項16】
請求項1~15のいずれか一項に記載の化合物、その薬学的に許容される塩、及び/又は前述のいずれかの溶媒和物と、
薬学的に許容される賦形剤とを含む医薬組成物。
【請求項17】
それを必要とする患者の疾患又は状態を治療する方法であって、請求項1~15のいずれか一項に記載の化合物、その薬学的に許容される塩、及び/又は前述のいずれかの溶媒和物を患者に投与することを含み、前記疾患又は状態が、全身性肥満細胞症、胃腸間質腫瘍、急性骨髄性白血病、黒色腫、セミノーマ、頭蓋間胚細胞腫瘍、縦隔B細胞リンパ腫、ユーイング肉腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、胚芽細胞腫、骨髄異形成症候群、鼻のNK/T細胞リンパ腫、慢性骨髄単球性白血病、及び脳がんから選択される、方法。
【請求項18】
前記疾患又は状態が、全身性肥満細胞症である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記全身性肥満細胞症が、無痛性全身性肥満細胞症、及びくすぶり型全身性肥満細胞症から選択される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
それを必要とする患者の疾患又は状態を治療するための薬剤として使用するための請求項1~15のいずれか一項に記載の化合物、その薬学的に許容される塩、及び/又は前述のいずれかの溶媒和物であって、前記疾患又は状態は、全身性肥満細胞症、胃腸間質腫瘍、急性骨髄性白血病、黒色腫、セミノーマ、頭蓋間胚細胞腫瘍、縦隔B細胞リンパ腫、ユーイング肉腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、胚芽細胞腫、骨髄異形成症候群、鼻のNK/T細胞リンパ腫、慢性骨髄単球性白血病、及び脳がんから選択される、化合物、その薬学的に許容される塩、及び/又は前述のいずれかの溶媒和物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、2019年4月12日に出願された米国仮出願第62/833,529号、2019年10月4日に出願された米国仮出願第62/911,016号、及び2019年11月4日に出願された米国仮出願第62/930,240号からの優先権を主張する。前述の各出願の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、新規ピロロトリアジン化合物及びそれらの活性化KIT及びPDGFRα変異プロテインキナーゼの選択的阻害剤としての使用に関する。本明細書に開示される化合物は、例えば、慢性障害の治療などの医薬組成物において有用である。KIT受容体は、構造的に関連するタンパク質PDGFRαも含むクラスIII受容体チロシンキナーゼファミリーに属している。通常、幹細胞因子は、二量体化と自己リン酸化を誘導することによってKITに結合し、それを活性化する。これにより、下流のシグナル伝達が開始される。ただし、いくつかの腫瘍タイプでは、KITの体細胞活性化変異が、急性骨髄性白血病、黒色腫、頭蓋間胚細胞腫瘍、縦隔B細胞リンパ腫、セミノーマ、胃腸間質腫瘍などの腫瘍タイプを含む、リガンド非依存性の構成的発がん活性を促進する。変異型KITは、肥満細胞の活性化において役割を果たすことも知られており、これは一般的であり、おそらくメンテナンスに必要である。肥満細胞の活性化の障害は、肥満細胞が病的に過剰産生されている場合、又はそれらの活性化が恒常性に対する認識された脅威に比例していない場合に発生する。肥満細胞活性化症候群は、肥満細胞メディエーターの放出の結果として一時的な多系統症状を呈する多様な原因を伴う一群の障害を指す。肥満細胞症は、肥満細胞活性化症候群の一種である。世界保健機関(WHO)は、肥満細胞症を7つの異なるカテゴリー、すなわち、皮膚肥満細胞症、無痛性全身性肥満細胞症(ISM)、くすぶり型全身性肥満細胞症(SSM)、関連する血液新生物を伴う肥満細胞症(SM-AHN)、攻撃性全身性肥満細胞症(ASM)、肥満細胞白血病(MCL)、及び肥満細胞肉腫に分類している。
【0003】
全身性肥満細胞症は、皮膚、骨髄、脾臓、肝臓、胃腸管、及び他の器官における腫瘍性肥満細胞の限局性及び/又はびまん性浸潤を伴う肥満細胞の負荷の増加、並びに、肥満細胞メディエーターの放出の増加を特徴とする肥満細胞のクローン性障害である。SMには、肥満細胞症の5つのサブタイプ、すなわち、無痛性SM(ISM)、くすぶり型SM(SSM)、非MC系統の関連する血液腫瘍を伴うSM(SM-AHN)、攻撃的SM(ASM)、及びMC白血病(MCL)が含まれる。後者の3つの下位分類は、全生存期間の短縮に関連しており、進行したSM(AdvSM)としてグループ化されている。ISMは、正常又はほぼ正常な平均余命に関連する慢性障害であり、SSMの予後は中程度である。ISMとSSMは、進行していないSM(non-Adv SM)としてグループ化される。
【0004】
SMのすべてのサブタイプ、及びこの疾患の患者の大多数において、腫瘍性肥満細胞は、KITのエクソン17のD816位置に変異を示し、その結果、KITキナーゼ活性がリガンド非依存的に活性化される。野生型肥満細胞は、自身の分化と生存のためにKIT活性を必要とするため、D816V変異によるKITの構成的活性化は、SMの病原性ドライバーであると考えられている。具体的には、KIT D816V変異は、SM患者の90%から98%に見られ、まれなKITD816Y、D816F、及びD816H変異が同定されている。これらの発見に基づいて、KIT D816Vは、SMの主要な治療標的と考えられている。
【0005】
慢性障害の無痛性のSM及びSSMは、そう痒、紅潮、胃腸のけいれん、下痢、アナフィラキシー、骨痛、及び骨粗鬆症などの重篤な症状を特徴とする。これらの症状は身体をひどく衰弱させ、生活の質に悪影響を与える可能性がある。ISM又はSSMの承認された治療法は、依然として存在しない。したがって、ISM又はSSMを標的とする新しい治療法を発見することは有益である。
【0006】
変異型KIT及びPDGFRαを有するピロロトリアジン化合物阻害活性は国際公開第2015/057873号に報告されている。具体的には、N-アルキルピラゾールを有する特定の化合物は、国際公開第2015/057873号に例示されており、変異型KIT及びPDGFRα阻害活性を有し、例えば、それは、N-エチルピラゾールを有する化合物63である。国際公開第2015/057873号に例示されているこれらのN-アルキルピラゾール化合物の化学構造は、本開示の化合物の化学構造とは異なる。
【0007】
さらに、変異型KIT及びPDGFRα阻害活性を有するピロロトリアジン化合物が国際公開第2015/057873号に開示されているが、これらの化合物の特性は、本開示の化合物の特性とはかなり異なる。
【発明の概要】
【0008】
本開示の目的は、ISMやSSMなどの慢性疾患及び変異型KITやPDGFRAによって媒介される他の疾患を安全かつ効果的に治療するための、変異型KIT及びPDGFRαキナーゼに対して高度に選択的で強力な活性を有する新規な化合物を提供することである。これらの障害、特に、ISMやSSMなどの慢性障害の治療においては、新しい治療法は忍容性が良好である必要がある。特に、他の既知のピロロトリアジン化合物に関連する望ましくないCNS副作用のレベルが低い、変異型KIT及びPDGFRαキナーゼを標的とする新しい化合物が必要である。
【0009】
本発明者らは、変異型KIT及びPDGFRαキナーゼに対して高い選択性及び効力を有する同時に、例えば、CNSへの浸透がほとんど又はまったくない、脳内における非結合濃度が低い、脳外への輸送が高レベル又は活発である、すなわち、CNSから排出比が高いといった、追加の望ましい特性を有する新規な化合物を発見した。この望ましい特性のバランスを考慮すれば、本開示の化合物は、特に末梢の治療、とりわけ末梢の慢性治療に適しており、その上、CNSにおける副作用は低減又は最小化される。
【0010】
このように、本開示の化合物は、KIT及びPDGFRA媒介性疾患の治療のための望ましい有効性、安全性、及び医薬特性を有する治療を提供することを目的としている。より具体的には、本開示の化合物は、変異型KIT及びPDGFRα阻害活性を有する既知のピロロトリアジン化合物と比較して、有効性及び他の望ましい医薬特性を維持しながら、脳浸透のレベルの低下を含む一連の有益な特性を示す。
【0011】
略語と定義
以下の略語及び用語は、全体を通して示された意味を有する。
【0012】
「KIT」という用語は、マスト/幹細胞増殖因子受容体(SCFR)、がん原遺伝子c-KIT、チロシンプロテインキナーゼKit、又はCD117と呼ばれることがあるヒトチロシンキナーゼを指す。本明細書で使用される場合、「KITヌクレオチド」という用語は、KIT遺伝子、KIT mRNA、KIT cDNA、並びにそれらの増幅産物、変異、変種、及びそれらの断片を包含する。「KIT遺伝子」は、KITキナーゼ活性を有するポリペプチドをコードする遺伝子を指すために使用され、例えば、その配列は、参照ヒトゲノムhg19の第4染色体のヌクレオチド55,524,085と55,606,881との間に位置する。「KIT転写物」は、KIT遺伝子の転写産物を指し、その一例は、NCBI参照配列NM_000222.2の配列を有する。「KITタンパク質」という用語は、KITヌクレオチド又はその一部の翻訳によって生成されるポリペプチド配列を指す。
【0013】
「PDGFRA」という用語は、血小板由来成長因子アルファと呼ばれる場合があるヒトチロシンキナーゼを指す。本明細書で使用される場合、「PDGFRAヌクレオチド」という用語は、PDGFRA遺伝子、PDGFRA mRNA、KIT cDNA、並びにそれらの増幅産物、変異体、変種、及びそれらの断片を包含する。「PDGFRA遺伝子」は、PDGFRAキナーゼ活性を有するポリペプチドをコードする遺伝子を指すために使用され、例えば、その配列は、参照ホモサピエンス注釈リリース109、GRCh38.p12の第4染色体のヌクレオチド54,229,089と54,298,247の間に位置する。「PDGFRA転写物」は、PDGFRA遺伝子の転写産物を指し、その一例は、NCBI参照配列NM_006206.6の配列を有する。「PDGFRAタンパク質」又は「PDGFRα」という用語は、PDGFRAヌクレオチド又はその一部の翻訳によって生成されるポリペプチド配列を指す。
【0014】
本明細書で使用される場合、「悪性疾患」は、異常な細胞がとめどなく分裂して近くの組織に侵入する可能性がある疾患を指す。悪性細胞は、血液やリンパ系を介して体の他の部分にも広がる可能性がある。悪性疾患の非限定的な例は、がん腫、肉腫、白血病、及びリンパ腫である。がんは、悪性疾患の非限定的な例である。いくつかの実施形態において、全身性肥満細胞症は、悪性疾患の非限定的な例である。
【0015】
がんの非限定的な例としては、胃腸ストーマ腫瘍(GIST)、AML(急性骨髄性白血病)、黒色腫、セミノーマ、頭蓋間胚細胞腫瘍、及び縦隔B細胞リンパ腫が挙げられる。
【0016】
本明細書で使用される場合、「好酸球性障害」は、好酸球が体の様々な部分で通常より多い量で見出される、及び/又は、低濃度の好酸球対標準濃度の好酸球の比率が通常よりも高い(例えば、30%より高い)場合の障害を指す。本明細書に記載の好酸球性障害は、過剰な好酸球(好酸球増加症)を特徴とする。好酸球の数の増加は、組織を炎症させ、臓器の損傷を引き起こす。心臓、肺、皮膚、神経系が最も頻繁に影響を受けるが、どの臓器も損傷を受ける可能性がある。
【0017】
好酸球性障害は、好酸球のレベルが上昇している場所に応じて診断される。
好酸球性肺炎(肺)
好酸球性心筋症(心臓)
好酸球性食道炎(食道-EoE)
好酸球性胃炎(胃-EG)
好酸球性胃腸炎(胃と小腸-EGE)
好酸球性腸炎(小腸)
好酸球性大腸炎(大腸-EC)
高好酸球性症候群(血液及び任意の臓器-HES)
【0018】
本明細書で使用される場合、「対象」又は「患者」という用語は、本開示の方法によって治療される生物を指す。そのような生物には、哺乳動物(例えば、ネズミ、サル、ウマ、ウシ、ネコ、イヌ、ネコなど)が含まれ、いくつかの実施形態では、ヒトが含まれるが、これらに限定されない。
【0019】
本明細書で使用される場合、「治療有効量」という語句は、有益な又は所望の結果をもたらすのに十分な活性剤の量を指す。治療有効量は、1回以上の投与、適用、又は用量で投与することができ、特定の製剤又は投与経路に限定されることを意図するものではない。
【0020】
本明細書で使用される場合、特定の化合物に関して「その薬学的に許容される塩の重量当量」という語句は、化合物及び関連する塩の両方の重量を含む。
【0021】
本明細書で使用される場合、「その薬学的に許容される塩」という語句は、塩の形態で流通する活性剤に関して使用される場合、活性剤の任意の薬学的に許容される塩の形態を指す。
【0022】
本明細書で使用される場合、「治療する」という用語は、状態、疾患、障害などの改善、又はそれらの症状の改善をもたらす、例えば、軽減、低減、調節、改善、又は排除などの任意の効果を含む。
【0023】
活性剤を単独で投与することは可能であるが、いくつかの実施形態では、活性剤を製剤として投与することができ、この場合、活性剤は、1つ以上の薬学的に許容される賦形剤又は担体と組み合わされる。例えば、活性剤は、ヒト用又は動物用医薬としての使用に関して任意の便利な方法で投与することを目的として製剤化することができる。特定の実施形態では、医薬調製物に含まれる化合物は、それ自体が活性であり得、又は、例えば、生理学的な状況において活性化合物に変換され得るプロドラッグであり得る。
【0024】
「薬学的に許容される」という語句は、健全な医学的判断の範囲内で、過剰な毒性、刺激、アレルギー反応、又はその他の問題や合併症を伴うことなくヒト及び動物の組織と接触して使用するのに適しており、合理的な利益/リスクの比に見合った化合物、材料、組成物、及び/又は剤形を指すために本明細書で使用される。
【0025】
本明細書で使用される場合、「アルキル」は、飽和した直鎖又は分岐炭化水素の一価ラジカルを指し、例えば、本明細書では、それぞれ、C1~C12アルキル、C1~C10アルキル、及びC1~C6アルキルと呼ばれる、1~12個、1~10個、又は1~6個の炭素原子の直鎖又は分岐基を指す。例えば、C1アルキルは、メチルである。
【0026】
本明細書で使用される場合、「ハロ」は、任意のハロゲンのラジカル、例えば、-F、-Cl、-Br、又は-Iを指す。
【0027】
本明細書で使用される場合、「ハロアルキル」及び「ハロアルコキシ」は、1つ以上のハロ基又はそれらの組み合わせで置換されたアルキル及びアルコキシ構造を指す。例えば、「フルオロアルキル」及び「フルオロアルコキシ」という用語は、それぞれ、ハロはフッ素であるハロアルキル基及びハロアルコキシ基を含む。「ハロアルキレン」は、二価のアルキル、例えば、-CH2-、-CH2CH2-、及び-CH2CH2CH2-において1つ以上の水素原子がハロに置き換えられたものを指し、すべての水素がハロに置き換えられたアルキル部分を含む。
【0028】
本明細書で使用される場合、「シクロアルキル」は、3から12個の炭素を有する環状、二環式、三環式、又は多環式の非芳香族炭化水素基を指す。任意の置換可能な環原子を(例えば、1つ以上の置換基によって)置換することができる。シクロアルキル基には、縮合環又はスピロ環を含めることができる。縮合環は、共通の炭素原子を共有する環である。シクロアルキル部分の例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、及びシクロヘキシルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0029】
本明細書で使用される場合、「ヘテロシクリル」は、複素環系の一価ラジカルを指す。ヘテロシクリルの例としては、すべての環が非芳香族であり、少なくとも1つの環がヘテロ原子を含む環系が挙げられ、例えば、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、及びテトラヒドロピラニルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0030】
本明細書で使用される場合、各表現、例えば、アルキル、m、nなどの定義は、それが任意の構造体において2回以上出現する場合、同じ構造体の他の場所でのその定義から独立していることを意図している。
【0031】
本開示の特定の化合物は、特定の幾何学的な形態又は立体異性体として存在し得る。本開示は、シス及びトランス異性体、R及びSエナンチオマー、ジアステレオマー、(D)異性体、(L)異性体、それらのラセミ混合物、及びそれらの他の混合物を含む、すべてのそのような化合物を、本開示の範囲に含まれるものとして企図する。追加の不斉炭素原子は、例えば、アルキル基などの置換基に存在し得る。そのようなすべての異性体、及びそれらの混合物は、本開示に含まれることが意図されている。
【0032】
例えば、本開示の化合物の特定のエナンチオマーが望まれる場合、それは、不斉合成によって、又はキラル補助剤を用いた誘導によって調製することができ、この場合、得られるジアステレオマー混合物は、分離され、補助基が切断されて、純粋な所望のエナンチオマーを提供する。あるいは、分子が、例えば、アミノなどの塩基性官能基、又は、例えば、カルボキシルなどの酸性官能基を含む場合、適切な光学活性酸又は塩基を用いてジアステレオマー塩が形成され、その後、当技術分野で周知の分別結晶化又はクロマトグラフィー手段によって、このジアステレオマーを分割し、その後、純粋なエナンチオマーを回収する。
【0033】
特に明記しない限り、開示された化合物が立体化学を特定せずに構造によって命名又は図示され、かつ、1つ以上のキラル中心を有する場合は、その化合物のすべての可能な立体異性体、並びにそれらのエナンチオマー混合物を表すものと理解される。
【0034】
組成物の「エナンチオマー過剰率」又は「エナンチオマー過剰率%」は、以下に示す式を使用して計算することができる。以下に示す例では、組成物は、一方のエナンチオマー、例えば、Sエナンチオマーを90%、及びもう一方のエナンチオマー、すなわち、Rエナンチオマーを10%含む。
ee=(90-10)/100=80%。
【0035】
したがって、一方のエナンチオマーを90%、もう一方のエナンチオマーを10%含む組成物は、80%のエナンチオマー過剰率を有すると言われる。
【0036】
本明細書に記載の化合物又は組成物は、化合物の一形態、例えば、S-エナンチオマーについて、少なくとも50%、75%、90%、95%、又は99%のエナンチオマー過剰率を含み得る。言い換えれば、そのような化合物又は組成物は、Rエナンチオマーよりもエナンチオマー過剰のSエナンチオマーを含む。
【0037】
本明細書に記載の化合物はまた、かかる化合物を構成する1つ以上の原子に非天然の比率の原子同位体を含み得る。例えば、化合物は、例えば、重水素(2H)、トリチウム(3H)、炭素13(13C)、又は炭素14(14C)のような放射性同位体で放射性標識することができる。本明細書に開示される化合物のすべての同位体変異は、放射性であるかどうかにかかわらず、本開示の範囲内に含まれることが意図されている。さらに、本明細書に記載の化合物のすべての互変異性体は、本開示の範囲内にあることが意図されている。
【0038】
本明細書に開示される化合物は、遊離塩基の形態で又は塩として有用であり得る。代表的な塩としては、臭化水素酸塩、塩酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、酢酸塩、吉草酸、オレイン酸塩、パルミテート、ステアリン酸塩、ラウレート、安息香酸塩、乳酸塩、リン酸塩、トシレート、クエン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、ナフチル酸塩、メシル酸塩、グルコヘプトネート、ラクトビオネート、及びラウリルスルホン酸塩などが挙げられる(例えば、Bergeら、(1977)「Pharmaceutical Salts」、J.Pharm.Sci.66:1-19.を参照されたい)。
【0039】
本明細書に開示される特定の化合物は、非溶媒和形態、並びに水和形態を含む溶媒和形態で存在することができる。本明細書で使用される場合、「水和物」又は「水和」という用語は、水と親化合物との結合によって形成される化合物を指す。
【0040】
一般に、溶媒和された形態は、溶媒和されていない形態と均等であり、本開示の範囲内に含まれる。本明細書に開示される特定の化合物は、複数の結晶形態又はアモルファス形態で存在し得る。一般に、すべての物理的形態は、本開示によって企図される用途において均等であり、本開示の範囲内にあることが意図されている。
【0041】
本開示は、式Iの化合物及びその薬学的に許容される塩及び/又は前述のいずれかの溶媒和物を提供する。本開示の非限定的な実施形態には、以下が含まれる。
【0042】
実施形態1 式Iの化合物:
【化1】
その薬学的に許容される塩、及び/又は前述のいずれかの溶媒和物であって、上記式中、
Aは、
【化2】
であり、
R
1は、水素及びメチルから選択され、
R
2は、水素及びメチルから選択され、又は
R
1及びR
2は、一緒になってシクロプロピルを形成し、
R
3は、水素及びメチルから選択され、
R
4は、水素及びメチルから選択され、又は
R
3及びR
4は、一緒になってシクロプロピルを形成し、
R
5は、水素及びメチルから選択され、
R
6は、水素及びメチルから選択され、又は
R
5及びR
6は、一緒になってシクロプロピルを形成し、又は
1つ又はR
2又はR
4は、R
6はと一緒になってシクロブチルを形成し、
R
7は、水素、又はR
2、R
4、若しくはR
6のうちの1つは、R
7と一緒になって、オキセタン、テトラヒドロフラン、及びテトラヒドロピランから選択される環を形成し、前記テトラヒドロフラン又は前記テトラヒドロピランは、任意選択で、ヒドロキシルで置換されており、
mは、0又は1であり、
nは、0又は1である、化合物、その薬学的に許容される塩、及び/又は前述のいずれかの溶媒和物。
【0043】
実施形態1のいくつかの実施形態では、mが0である場合、R1及びR2は存在しない。実施形態1のいくつかの実施形態では、nが0である場合、R3及びR4は存在しない。実施形態1のいくつかの実施形態では、m+n=1又はm及びnは両方とも0であってはならない。
【0044】
本開示において、任意の2つのR基(例えば、R1及びR2)が一緒になって環構造(例えば、シクロプロピル)を形成する場合、それが、同じ環構造の中に、介在する炭素原子及び/又は酸素原子を含むことを意図することに留意されたい。
【0045】
実施形態2 実施形態1の化合物、その薬学的に許容される塩、及び/又は前述のいずれかの溶媒和物であって、上記式中、
Aは、
【化3】
であり、
R
3は、水素及びメチルから選択され、
R
4は、水素及びメチルから選択され、又はR
3及びR
4は、一緒になってシクロプロピルを形成し、
R
5は、水素及びメチルから選択され、又は
R
4及びR
6が一緒になってシクロブチルを形成し、又は
R
5及びR
6は、一緒になってシクロプロピルを形成し、
R
7は、水素である、化合物、その薬学的に許容される塩、及び/又は前述のいずれかの溶媒和物。
【0046】
実施形態3 実施形態2の化合物、その薬学的に許容される塩、及び/又は前述のいずれかの溶媒和物であって、上記式中、Aは、
【化4】
であり、
R
3は、水素及びメチルから選択され、
R
4は、水素及びメチルから選択され、又はR
3及びR
4は、一緒になってシクロプロピルを形成し、
R
5は、水素及びメチルから選択され、又は
R
5及びR
6は、一緒になってシクロプロピルを形成し、
R
7は、水素である、化合物、その薬学的に許容される塩、及び/又は前述のいずれかの溶媒和物。
【0047】
実施形態4 実施形態1の化合物、その薬学的に許容される塩、及び/又は前述のいずれかの溶媒和物であって、上記式中、
Aは、
【化5】
であり、
wは、1又は2であり、
tは、1又は2であり、
sは、0又は1である、化合物、その薬学的に許容される塩、及び/又は前述のいずれかの溶媒和物。
【0048】
実施形態5 上記化合物が、Kp<0.39を有する、実施形態1~4のいずれか1つの化合物、その薬学的に許容される塩、及び/又は前述のいずれかの溶媒和物。
【0049】
実施形態5のいくつかの実施形態では、上記化合物は、実施例4に記載の手順に従って測定した場合、Kp<0.39を有する。実施形態5のいくつかの実施形態において、上記化合物、その薬学的に許容される塩、及び/又は前述のいずれかの溶媒和物は、化合物1、2、3、4、5、6、7、9、10、11、12、13、14、17、18、19、20、21、及び22から選択される。
【0050】
実施形態6 上記化合物が、Kp≦0.20を有する、実施形態1~4のいずれか1つの化合物、その薬学的に許容される塩、及び/又は前述のいずれかの溶媒和物。
【0051】
実施形態6のいくつかの実施形態では、上記化合物は、実施例4に記載の手順に従って測定した場合、Kp≦0.20を有する。実施形態6のいくつかの実施形態において、上記化合物、その薬学的に許容される塩、及び/又は前述のいずれかの溶媒和物は、化合物1、3、4、5、6、9、11、13、17、18、19、20、21、及び22から選択される。
【0052】
実施形態7 上記化合物が、ホモジネートラット脳においてKp,uu≦0.2を有する、実施形態1~6のいずれか1つの化合物、その薬学的に許容される塩、及び/又は前述のいずれかの溶媒和物。
【0053】
実施形態7のいくつかの実施形態において、上記化合物は、実施例4に記載の手順に従って測定した場合、ホモジネートラット脳においてKp,uu≦0.2を有する。実施形態7のいくつかの実施形態において、上記化合物、その薬学的に許容される塩、及び/又は前述のいずれかの溶媒和物は、化合物1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、16、17、18、19、20、及び22から選択される。
【0054】
実施形態8 上記化合物がホモジネートラット脳においてKp,uu<0.1を有する、実施形態1~7のいずれか1つの化合物、その薬学的に許容される塩、及び/又は前述のいずれかの溶媒和物。
【0055】
実施形態8のいくつかの実施形態において、上記化合物は、実施例4に記載の手順に従って測定した場合に、ホモジネートラット脳においてKp,uu<0.1を有する。実施形態8のいくつかの実施形態において、上記化合物、その薬学的に許容される塩、及び/又は前述のいずれかの溶媒和物は、化合物1、2、3、4、5、6、7、9、11、12、17、18、19、20、及び22から選択される。
【0056】
実施形態9 上記化合物が、ホモジネートラット脳においてKp,uu<0.05を有する、実施形態1~8のいずれか1つの化合物、その薬学的に許容される塩、及び/又は前述のいずれかの溶媒和物。
【0057】
実施形態9のいくつかの実施形態において、上記化合物は、実施例4に記載の手順に従って測定された場合に、ホモジネートラット脳においてKp,uu≦0.05を有する。実施形態9のいくつかの実施形態において、上記化合物、その薬学的に許容される塩、及び/又は前述のいずれかの溶媒和物は、化合物1、3、4、5、6、9、17、19、20、及び22から選択される。
【0058】
実施形態10 上記化合物がラット脳スライスにおいてKp,uu≦0.1を有する、実施形態1~9のいずれか1つの化合物、その薬学的に許容される塩、及び/又は前述のいずれかの溶媒和物。
【0059】
実施形態10のいくつかの実施形態において、本化合物は、実施例4に記載の手順に従って測定された場合に、ラット脳スライスにおいてKp,uu≦0.1を有する。実施形態10のいくつかの実施形態において、上記化合物、その薬学的に許容される塩、及び/又は前述のいずれかの溶媒和物は、化合物1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、20、21、及び22から選択される。
【0060】
実施形態11 上記化合物がラット脳スライスにおいてKp,uu≦0.05を有する、実施形態1~10のいずれか1つの化合物、その薬学的に許容される塩、及び/又は前述のいずれかの溶媒和物。
【0061】
実施形態11のいくつかの実施形態において、上記化合物は、実施例4に記載の手順に従って測定された場合に、ラット脳スライスにおいてKp,uu≦0.05を有する。実施形態11のいくつかの実施形態において、上記化合物、その薬学的に許容される塩、及び/又は前述のいずれかの溶媒和物は、化合物1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、17、18、20、及び22から選択される。
【0062】
実施形態12 上記化合物が、ラットにおいて<900mL/分/kgの非結合クリアランス(Clu)を有する、実施形態1~11のいずれか1つの化合物、その薬学的に許容される塩、及び/又は前述のいずれかの溶媒和物。
【0063】
実施形態12のいくつかの実施形態において、上記化合物は、実施例4に記載の手順に従って測定された場合に、ラットにおいて<900mL/分/kgのCluを有する。実施形態12のいくつかの実施形態において、上記化合物、その薬学的に許容される塩、及び/又は前述のいずれかの溶媒和物は、化合物3、4、7、及び9から選択される。
【0064】
実施形態13 上記化合物が、ラットにおいて<750mL/分/kgの非結合クリアランス(Clu)を有する、実施形態1~12のいずれか1つの化合物、その薬学的に許容される塩、及び/又は前述のいずれかの溶媒和物。
【0065】
実施形態13のいくつかの実施形態では、上記化合物は、実施例4に記載の手順に従って測定した場合、ラットにおいて<750mL/分/kgのCluを有する。実施形態13のいくつかの実施形態において、上記化合物、その薬学的に許容される塩、及び/又は前述のいずれかの溶媒和物は、化合物4、7、及び9から選択される。
【0066】
実施形態14 上記化合物が<10μMのCYP3A4に対するIC50を有する、実施形態1~12のいずれか1つの化合物、その薬学的に許容される塩、及び/又は前述のいずれかの溶媒和物。
【0067】
実施形態14のいくつかの実施形態では、実施例5に記載の手順に従って測定された場合、上記化合物は、<10μMのCYP3A4に対するIC50を有する。実施形態14のいくつかの実施形態では、上記化合物、その薬学的に許容される塩、及び/又は前述のいずれかの溶媒和物は、化合物4である。
【0068】
実施形態15 上記式中、Aは、
【化6】
から選択される、実施形態1の化合物、その薬学的に許容される塩、及び/又は前述のいずれかの溶媒和物。
【0069】
実施形態15-1 上記式中、Aは、
【化7】
から選択される、実施形態1の化合物、その薬学的に許容される塩、及び/又は前述のいずれかの溶媒和物。
【0070】
実施形態16 上記式中、Aは、
【化8】
から選択される、実施形態1の化合物、その薬学的に許容される塩、及び/又は前述のいずれかの溶媒和物。
【0071】
実施形態16-1 上記式中、Aは、
【化9】
から選択される、実施形態1の化合物、その薬学的に許容される塩、及び/又は前述のいずれかの溶媒和物。
【0072】
実施形態17 上記式中、Aは、
【化10】
から選択される、実施形態1~3のいずれか1つの化合物、その薬学的に許容される塩、及び/又は前述のいずれかの溶媒和物。
【0073】
実施形態18 上記式中、Aは、
【化11】
から選択される、実施形態1~3又は5のいずれか1つの化合物、その薬学的に許容される塩、及び/又は前述のいずれかの溶媒和物。
【0074】
実施形態19 上記式中、Aは、
【化12】
から選択される、実施形態1~3又は5~6のいずれか1つに記載の化合物、その薬学的に許容される塩、及び/又は前述のいずれかの溶媒和物。
【0075】
実施形態20 上記式中、Aは、
【化13】
から選択される、実施形態1~3又は5~7のいずれか1つに記載の化合物、その薬学的に許容される塩、及び/又は前述のいずれかの溶媒和物。
【0076】
実施形態21 上記化合物が、4、7、及び9から選択される、実施態様1~13のいずれか1つの化合物、その薬学的に許容される塩、及び/又は前述のいずれかの溶媒和物。
【0077】
実施形態22 上記化合物が、4及び9から選択される、実施形態1~13のいずれかの化合物、その薬学的に許容される塩、及び/又は前述のいずれかの溶媒和物。
【0078】
実施形態23 上記化合物が、
【化14】
である、実施形態1~13のいずれか1つの化合物、その薬学的に許容される塩、及び/又は前述のいずれかの溶媒和物。
【0079】
実施形態24。上記化合物が、
【化15】
である、実施形態1~13のいずれか1つの化合物、その薬学的に許容される塩、及び/又は前述のいずれかの溶媒和物。
【0080】
実施形態25 上記化合物が、
【化16】
である、実施形態1~13のいずれか1つの化合物、その薬学的に許容される塩、及び/又は前述のいずれかの溶媒和物。
【0081】
実施形態26
実施形態1~25のいずれか1つの化合物、その薬学的に許容される塩、及び/又は前述のいずれかの溶媒和物と、
薬学的に許容される賦形剤とを含む医薬組成物。
【0082】
実施形態27 それを必要とする患者の疾患又は状態を治療する方法であって、実施形態1~25のいずれか1つの化合物、その薬学的に許容される塩、及び/又は前述のいずれかの溶媒和物を患者に投与することを含み、上記疾患又は状態が、全身性肥満細胞症、胃腸間質腫瘍、急性骨髄性白血病、黒色腫、セミノーマ、頭蓋間胚細胞腫瘍、縦隔B細胞リンパ腫、ユーイング肉腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、胚芽細胞腫、骨髄異形成症候群、鼻のNK/T細胞リンパ腫、慢性骨髄単球性白血病、及び脳がんから選択される、方法。
【0083】
実施形態28 それを必要とする患者の変異型KIT又はPDGFRαによって媒介される疾患又は状態を治療する方法であって、実施形態1~25のいずれか1つの化合物、その薬学的に許容される塩、及び/又は前述のいずれかの溶媒和物を上記患者に投与することを含む、方法。
【0084】
実施形態29 上記疾患又は状態が、全身性肥満細胞症、胃腸間質腫瘍、急性骨髄性白血病、黒色腫、セミノーマ、頭蓋間胚細胞腫瘍、縦隔B細胞リンパ腫、ユーイング肉腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、胚芽細胞腫、骨髄異形成症候群、鼻のNK/T細胞リンパ腫、慢性骨髄単球性白血病、及び脳がんから選択される、実施形態28の方法。
【0085】
実施形態30 それを必要とする患者の疾患又は状態を治療するための薬剤として使用するための実施形態1~25のいずれか1つに記載の化合物、その薬学的に許容される塩、及び/又は前述のいずれかの溶媒和物であって、上記疾患又は状態が、全身性肥満細胞症、胃腸間質腫瘍、急性骨髄性白血病、黒色腫、セミノーマ、頭蓋間胚細胞腫瘍、縦隔B細胞リンパ腫、ユーイング肉腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、胚芽細胞腫、骨髄異形成症候群、鼻のNK/T細胞リンパ腫、慢性骨髄単球性白血病、及び脳がんから選択される、化合物、その薬学的に許容される塩、及び/又は前述のいずれかの溶媒和物。
【0086】
実施形態31 それを必要とする患者の変異型KIT又はPDGFRAによって媒介される疾患又は状態を治療するための薬剤として使用するための、実施形態1~25のいずれか1つに記載の化合物、その薬学的に許容される塩、及び/又は前述のいずれかの溶媒和物。
【0087】
実施形態32 上記疾患又は状態が、全身性肥満細胞症、胃腸間質腫瘍、急性骨髄性白血病、黒色腫、セミノーマ、頭蓋間胚細胞腫瘍、縦隔B細胞リンパ腫、ユーイング肉腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、胚芽細胞腫、骨髄異形成症候群、鼻のNK/T細胞リンパ腫、慢性骨髄単球性白血病、及び脳がんから選択される、実施形態31の化合物。
【0088】
実施形態33 好酸球性障害を治療する方法であって、それを必要とする対象に、実施形態1~25のいずれか1つの化合物、その薬学的に許容される塩、及び/又は前述のいずれかの溶媒和物の治療有効量を投与することを含む方法。
【0089】
実施形態34 上記好酸球性障害が、高好酸球性症候群、好酸球増加症、好酸球性腸胃炎、好酸球性白血病、好酸球性肉芽腫及び木村病から選択される、実施形態33の方法。
【0090】
実施形態35 上記好酸球性障害が、高好酸球性症候群である、実施形態33の方法。
【0091】
実施形態36 上記好酸球性障害が、好酸球性白血病である、実施形態33の方法。
【0092】
実施形態37 上記好酸球性白血病が、慢性好酸球性白血病である、実施形態36の方法。
【0093】
実施形態38 上記好酸球性障害が、イマチニブ、スニチニブ、及び/又はレゴラフェニブによる治療に抵抗性である、実施形態33~37のいずれか1つの方法。
【0094】
実施形態39 好酸球性障害を治療するための薬剤として使用するための、実施形態1~25のいずれか1つの化合物、その薬学的に許容される塩、及び/又は前述のいずれかの溶媒和物。
【0095】
実施形態40 上記好酸球性障害が、高好酸球性症候群、好酸球増加症、好酸球性腸胃炎、好酸球性白血病、好酸球性肉芽腫及び木村病から選択される、実施形態39の化合物。
【0096】
実施形態41 上記好酸球性障害が、高好酸球性症候群である、実施形態39の化合物。
【0097】
実施形態42 上記好酸球性障害が、好酸球性白血病である、実施形態39の化合物。
【0098】
実施形態43 上記好酸球性白血病が、慢性好酸球性白血病である、実施形態42の化合物。
【0099】
実施形態44 上記好酸球性障害が、イマチニブ、スニチニブ、及び/又はレゴラフェニブによる治療に抵抗性である、実施形態39~43のいずれか1つの方法。
【0100】
実施形態45肥満細胞障害を治療する方法であって、それを必要とする対象に、実施形態1~25のいずれか1つの化合物、その薬学的に許容される塩、及び/又は前述のいずれかの溶媒和物の治療有効量を投与することを含む方法。
【0101】
実施形態46上記肥満細胞障害が、変異型KIT又はPDGFRαによって媒介される、実施形態45の方法。
【0102】
実施形態46-1上記肥満細胞障害が、野生型KIT又はPDGFRαによって媒介される、実施形態45の方法。
【0103】
実施形態47上記肥満細胞障害が、肥満細胞活性化症候群(MCAS)及び遺伝性アルファトリプタセミア(HAT)から選択される、実施形態46の方法。
【0104】
実施形態48上記MCASが、モノクローナル肥満細胞活性化症候群(MMAS)、二次MCAS、及び特発性MCASから選択される、実施形態47の方法。
【0105】
実施形態48-1上記疾患又は状態が、全身性肥満細胞症である、実施形態27の方法。
【0106】
実施形態49上記全身性肥満細胞症が、無痛性の全身性肥満細胞症、及びくすぶり型全身性肥満細胞症から選択される、実施形態48のいずれか1つの方法。
表1に、本明細書に記載の合成方法によって調製された化合物を示す。
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【表1-5】
【表1-6】
【0107】
本開示の化合物は、選択的KIT阻害剤である。いくつかの実施形態において、本開示の化合物は、選択的D816V KIT阻害剤である。本開示の化合物は、選択的PDGFRα阻害剤である。いくつかの実施形態において、本開示の化合物は、選択的PDGFRαエクソン18阻害剤である。いくつかの実施形態において、本開示の化合物は、選択的PDGFRα D842V阻害剤である。本明細書で使用される場合、「選択的KIT阻害剤」又は「選択的PDGFRα阻害剤」は、KITプロテインキナーゼ又はPDGFRαプロテインキナーゼを他のプロテインキナーゼよりも選択的に阻害する化合物又はその薬学的に許容される塩又は前述のいずれかの溶媒和物を指し、KITプロテインキナーゼ又はPDGFRαプロテインキナーゼに対して、他のキナーゼよりも少なくとも2倍の選択性を示す。例えば、選択的KIT阻害剤又は選択的PDGFRA阻害剤は、KITプロテインキナーゼ又はPDGFRαキナーゼに対して、他のキナーゼと比較して、少なくとも9倍の選択性、10倍の選択性、少なくとも15倍の選択性、少なくとも20倍の選択性、少なくとも30倍の選択性、少なくとも40倍の選択性、少なくとも50倍の選択性、少なくとも60倍の選択性、少なくとも70倍の選択性、少なくとも80倍の選択性、少なくとも90倍の選択性、少なくとも100倍、少なくとも125倍、少なくとも150倍、少なくとも175倍、又は少なくとも200倍の選択性を示す。いくつかの実施形態において、選択的KIT阻害剤又は選択的PDGFRα阻害剤は、他のキナーゼ、例えば、VEGFR2(血管内皮増殖因子受容体2)、SRC(非受容体タンパク質チロシンキナーゼ)、及びFLT3(Fms様チロシンキナーゼ3)と比較して、少なくとも150倍の選択性を示す。いくつかの実施形態において、選択的KIT又は選択的PDGFRα阻害剤は、PDGRFβ、CSF1R(コロニー刺激因子受容体1)、及びFLT3よりも選択性を示す。いくつかの実施形態において、選択的KIT又は選択的PDGFRα阻害剤は、LCK(リンパ球特異的プロテインキナーゼ)、ABL(核タンパク質チロシンキナーゼ)、never-in-mitosis gene A(NIMA)関連キナーゼ5(NEK5)、及びROCK1(rho関連コイルコイル継続プロテインキナーゼ-1)よりも選択的を示す。いくつかの実施形態において、他のキナーゼと比較したKITプロテインキナーゼ又はPDGFRαプロテインキナーゼに対する選択性は、細胞アッセイ(例えば、細胞アッセイ)において測定される。いくつかの実施形態において、他のキナーゼと比較したKITプロテインキナーゼ又はPDGFRαプロテインキナーゼに対する選択性は、生化学的アッセイ(例えば、生化学的アッセイ)において測定される。
【0108】
本開示の化合物は、イオンチャネルよりも選択的である。いくつかの実施形態において、選択的KIT又は選択的PDGFRα阻害剤は、ヒトの電位依存性ナトリウムチャネル(hNav1.2)を阻害する可能性が限られている。
【0109】
本開示の化合物は、野生型KITよりも変異型KITに対して選択的である。いくつかの実施形態において、本開示の化合物は、野生型KITよりもエクソン17変異型KITに対して選択的である。
【0110】
本開示の化合物は、ヒト又は非ヒトにおける変異型KIT又は変異型PDGFRA活性に関連する疾患又は状態を治療するために有用であり得る。いくつかの実施形態において、本開示の化合物は、薬剤として使用するためのものである。いくつかの実施形態において、本開示の化合物は、治療において使用するためのものである。いくつかの実施形態では、本開示の化合物は、医薬品の製造に使用するためのものである。いくつかの実施形態において、本開示は、肥満細胞症(SM)、GIST(胃腸間質腫瘍)、AML(急性骨髄性白血病)、黒色腫、セミノーマ、頭蓋間胚細胞腫瘍、及び/又は縦隔B細胞リンパ腫を含む、KIT駆動悪性腫瘍を治療するための方法を提供する。さらに、KITの変異は、ユーイング肉腫、DLBCL(びまん性大細胞型B細胞リンパ腫)、胚芽細胞腫、MDS(骨髄異形成症候群)、NKTCL(鼻NK/T細胞リンパ腫)、CMML(慢性骨髄単球性白血病)、及び脳がんに関連している。いくつかの実施形態において、本開示は、ユーイング肉腫、DLBCL、発育不全、MDS、NKTCL、CMML、及び/又は脳がんを治療するための方法を提供する。KIT変異は、甲状腺がん、結腸直腸がん、子宮内膜がん、膀胱がん、NSCLC、及び乳がんでも発見されている(AACRプロジェクトGENIE)。いくつかの実施形態において、本開示の化合物は、肥満細胞活性化症候群(MCAS)を治療するために有用であり得る。本開示の化合物は、全身性肥満細胞症を治療するために有用であり得る。本開示の化合物は、進行した全身性肥満細胞症を治療するために有用であり得る。本開示の化合物は、無痛性のSM及びくすぶり型SMを治療するために有用であり得る。本開示の化合物は、GISTを治療するために有用であり得る。
【0111】
本開示の化合物は、KIT遺伝子配列のエクソン9、エクソン11、エクソン14、エクソン17、及び/又はエクソン18におけるKIT変異に関連する疾患又は状態を治療するために有用であり得る。本開示の化合物は、PDGFRA遺伝子配列のエクソン12、エクソン14、及び/又はエクソン18におけるPDGFRA変異に関連する疾患又は状態を治療するために有用であり得る。いくつかの実施形態において、本明細書では、KIT遺伝子配列のエクソン9、エクソン11、エクソン14、エクソン17、及び/又はエクソン18における少なくとも1つのKIT変異に関連する疾患又は状態を治療するための方法が提供される。いくつかの実施形態において、PDGFRA遺伝子配列のエクソン12、エクソン14、及び/又はエクソン18における少なくとも1つのPDGFRA変異に関連する疾患又は状態を治療するための方法が提供される。
【0112】
本開示の化合物は、KIT遺伝子配列のエクソン17に変異を有する1つ以上のKITプロテインキナーゼ(例えば、KITタンパク質変異D816V、D816Y、D816F、D816K、D816H、D816A、D816G、D816E、D816I、D816F、D820A、D820E、D820G、D820Y、N822K、N822H、V560G、Y823D、及びA829P)に対して活性であり得、野生型KITプロテインキナーゼに比べてはるかに活性が低い。いくつかの実施形態において、本明細書では、少なくとも1つのKIT変異、例えば、D816V、D816Y、D816F、D816K、D816H、D816A、D816G、D816E、D816I、D816F、D820A、D820E、D820G、D820Y、N822K、N822H、V560G、Y823D、及びA829Pから選択されるものなどに関連する疾患又は状態を治療するための方法が提供される。いくつかの実施形態において、本明細書では、少なくとも1つのKIT変異、例えば、C809、C809G、D816H、D820A、D820G、N822H、N822K、及びY823Dから選択されるものに関連する疾患又は状態を治療するための方法が提供される。
【0113】
本開示の化合物は、KIT遺伝子配列のエクソン11に変異(例えば、KITタンパク質変異del557-559insF、V559G/D)を有する1つ以上のKITプロテインキナーゼに対して活性であり得る。いくつかの実施形態において、本明細書では、少なくとも1つのKIT変異、例えば、L576P、V559D、V560D、V560G、W557G、Del554-558EVQWK、del557-559insF、Del EVQWK554-558、Del EVQWKVVEEINGNNYVYI554-571、Del KPMYEVQWK550-558、Del KPMYEVQW550-557FL、Del KV558-559、Del KV558-559N、Del MYEVQW552-557、Del PMYE551-554、Del VV559-560、Del WKVVE557-561、Del WK557-558、Del WKVV557-560C、Del WKVV557-560F、DelYEVQWK553-558、及びinsertion K558NPから選択されるものなどに関連する疾患又は状態を治療するための方法が提供される。
【0114】
本開示の化合物は、KIT遺伝子配列のエクソン11/13に変異(例えば、KITタンパク質変異V559D/V654A、V560G/D816V、及びV560G/822K)を有する1つ以上のKITプロテインキナーゼに対して活性であり得る。いくつかの実施形態において、ここでは、エクソン11/13)における1つ以上のKIT変異に関連する疾患又は状態を治療するための方法が提供される。
【0115】
本開示の化合物は、KIT遺伝子配列のエクソン9に変異を有する1つ以上のKITプロテインキナーゼに対して活性であり得る。いくつかの実施形態において、本明細書では、エクソン9における少なくとも1つのKIT変異に関連する疾患又は状態を治療するための方法が提供される。
【0116】
いくつかの実施形態において、本開示の化合物は、変異V654A、N655T、T670I、及び/又はN680を有するKITプロテインキナーゼに対して活性ではない。
【0117】
本開示の化合物は、変異を伴う1つ以上のPDGFRαプロテインキナーゼに対して活性であり得る。いくつかの実施形態において、本明細書では、PDGFRA遺伝子配列のエクソン12における少なくとも1つのPDGFRA変異、例えば、PDGFRαタンパク質変異V561D、Del RV560-561、Del RVIES560-564、Ins ER561-562、SPDGHE566-571R,SPDGHE566-571K、又はIns YDSRW582-586などに関連する疾患又は状態を治療するための方法が提供される。いくつかの実施形態において、本明細書では、例えば、PDGFRαタンパク質変異N659Kなどの、PDGFRA遺伝子配列のエクソン14における少なくとも1つのPDGFRA変異に関連する疾患又は状態を治療するための方法が提供される。いくつかの実施形態において、本明細書では、PDGFRA遺伝子配列のエクソン18における少なくとも1つのPDGFRA変異、例えば、PDGFRαタンパク質変異D842V、D842Y、D842I、DI842-843IM、D846Y、Y849C、Del D842、Del I843、Del RD841-842、Del DIM842-845、Del DIMH842-845、Del IMHD843-846、Del MHDS844-847、RD841-842KI、DIMH842-845A、DIMH842-845V、DIMHD842-846E、DIMHD842-846S、DIMHD842-846N、DIMHD842-846G、IMHDS843-847T、IMHDS8843-847M、又はHDSN845-848Pなどに関連する疾患又は状態を治療するための方法が提供される。
【0118】
本開示の化合物は、PDGFRA遺伝子配列のエクソン18に変異(例えば、タンパク質変異PDGFRα D842V、PDGFRαD842I、又はPDGFRαD842Y)がある1つ以上のPDGFRαプロテインキナーゼに対して活性であり得る。いくつかの実施形態において、本明細書では、例えば、タンパク質変異体PDGFRαD842Vなどの、エクソン18における少なくとも1つのPDGFRA変異に関連する疾患又は状態を治療するための方法が提供される。
【0119】
本開示の化合物は、好酸球性障害を治療するために有用であり得る。いくつかの実施形態において、好酸球性障害は、変異型KIT又はPDGFRαによって媒介される。いくつかの実施形態において、その好酸球性障害は、野生型KIT又はPDGFRαによって媒介される。いくつかの実施形態において、本明細書では、治療有効量の本開示の化合物、又はその薬学的に許容される塩、及び/又は前述のいずれかの溶媒和物を対象に投与することを含む、好酸球性障害を治療するための方法が提供される。一実施形態では、好酸球性障害は、高好酸球性症候群、好酸球増加症、好酸球性腸胃炎、好酸球性白血病、好酸球性肉芽腫、及び木村病から選択される。
【0120】
いくつかの実施形態において、好酸球性障害は、高好酸球性症候群、好酸球増加症、好酸球性腸胃炎、好酸球性白血病、好酸球性肉芽腫、及び木村病から選択される。他の好酸球性障害には、好酸球性食道炎、好酸球性胃腸炎、好酸球性筋膜炎、及びチャーグ・ストラウス症候群が含まれる。
【0121】
一実施形態では、好酸球性障害は、高好酸球性症候群である。特定の実施形態では、高好酸球性症候群は、特発性高好酸球性症候群である。一実施形態では、好酸球性障害は、好酸球性白血病である。特定の実施形態では、好酸球性白血病は、慢性好酸球性白血病である。別の実施形態において、好酸球性障害は、イマチニブ、スニチニブ、及び/又はレゴラフェニブによる治療に抵抗性である。特定の実施形態において、好酸球性障害は、イマチニブによる治療に抵抗性である。
【0122】
本開示の化合物は、それを必要とする対象における好酸球の数を減らすために有用であり得る。いくつかの実施形態において、本明細書では、治療有効量の本開示の化合物、又はその薬学的に許容される塩、及び/又は前述のいずれかの溶媒和物を対象に投与することを含む、それを必要とする対象における好酸球の数を減らすための方法が提供される。
【0123】
一実施形態では、開示された方法は、血液、骨髄、胃腸管(例えば、食道、胃、小腸及び結腸)、又は肺における好酸球の数を減少させる。別の実施形態では、本明細書に開示される方法は、血中好酸球の数を減少させる。さらなる実施形態では、本明細書に開示される方法は、肺の好酸球の数を減少させる。さらに別の実施形態では、本明細書に開示される方法は、好酸球前駆細胞の数を減少させる。
【0124】
別の実施形態において、開示された方法は、(投与後の)好酸球の数を、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、又は少なくとも約99%減少させる。特定の実施形態では、本明細書に開示される方法は、好酸球の数を検出限界未満に減少させる。
【0125】
別の実施形態において、開示された方法は、(投与後の)好酸球前駆体の数を、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、又は少なくとも約99%減少させる。特定の実施形態では、本明細書に開示される方法は、好酸球前駆体の数を検出限界未満に減少させる。
【0126】
本開示の化合物は、肥満細胞障害を治療するために有用であり得る。本開示の化合物は、肥満細胞症を治療するために有用であり得る。肥満細胞症は、2つのグループの障害に細分化される。(1)皮膚肥満細胞症(CM)は、皮膚に限定された形態を示し、(2)全身性肥満細胞症(SM)は、皮膚の合併症の有無にかかわらず、肥満細胞が皮膚外臓器に浸潤する形態を示す。SMはさらに5つの形式、すなわち、無痛性(ISM)、くすぶり型(SSM)、攻撃的(ASM)、関連する血液学的非肥満細胞系列疾患を伴うSM(SM-AHNMD)、及び肥満細胞白血病(MCL)に細分化される。
【0127】
SMの診断は、非肥満細胞マーカー(CD25及び/又はCD2)を頻繁に異常に発現する、しばしば非定型の形態の肥満細胞による浸潤を示す骨髄の組織学的及び細胞学的観察に部分的に基づいている。SMの診断は、骨髄肥満細胞の浸潤が次のいずれか、すなわち、(1)異常な肥満細胞の形態(紡錘形の細胞)、(2)20ng/mLを超える血清トリプターゼレベルの上昇、又は(3)例えば、D816VなどのD816変異などのエクソン17変異などの活性化KITタンパク質変異の存在、の状況下で発生した場合に確認される。
【0128】
D816位置での活性化変異は、肥満細胞症の症例の大部分(90~98%)に見られ、最も一般的な変異は、D816V、D816H、及びD816Yである。D816V変異は、プロテインキナーゼドメインの活性化ループに見られ、KITキナーゼの構成的活性化をもたらす。
【0129】
進行していない形態の全身性肥満細胞症、ISM又はSSMに対して承認されている薬剤はない。これらの慢性疾患の管理に対する現在のアプローチには、様々な程度の有効性があり、MCの負担に影響を与えない非特異的な症状指向の治療法が含まれる。クラドリビンやインターフェロンアルファなどの細胞減少療法は、難治性の症状に使用されることがある。現在の治療状況に基づくと、利用可能な症状指向の治療法では適切に扱うことができない中等度から重度の症状を伴うISM及びSSMの患者には、満たされていない医療ニーズが残っている。
【0130】
本開示の化合物は、ISM又はSSMを治療するために有用であり得る。いくつかの実施形態では、ISM又はSSMを有する患者は、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つの対症療法によって十分に抑制することができない症状を有する。症状は、患者報告アウトカム(PRO)ツール、例えば、無痛性の全身性肥満細胞症症状評価フォーム(ISM-SAF)(ISPOR Europe 2019、コペンハーゲンデンマーク、2019年11月2-6日)を使用して評価することができる。本開示の化合物は、ISM又はSSMに関連する症状の改善、例えば、掻痒、紅潮、頭痛、及び/又は嘔吐、下痢、及び腹痛などのGIイベントの低減又は排除に有用であり得る。症状の改善は、ISM-SAFを使用して評価することができる。
【0131】
本開示の化合物は、肥満細胞活性化症候群(MCAS)、及び遺伝性アルファトリプタセミア(HAT)(Picard Clin.Ther.2013年5月35(5)548;Akin J.Allergy Clin.Immuno.140(2)34962.)などの他の肥満細胞障害を治療するために有用であり得る。本開示の化合物は、KIT及びPDGFRα変異に関連する肥満細胞障害を治療するために有用であり得る。本開示の化合物は、野生型KIT及びPDGFRαに関連する肥満細胞疾患を治療するために有用であり得る。
【0132】
本開示の化合物は、肥満細胞が化学メディエーターを不適切かつ過剰に放出し、場合によってアナフィラキシー又はアナフィラキシーに近い発作を含む様々な慢性症状をもたらす免疫学的状態である肥満細胞活性化症候群(MCAS)の治療に有用であり得る。患者の肥満細胞数が異常に増加する肥満細胞症とは異なり、MCASの患者は、正常な数の適切に機能しない肥満細胞を持っており、「過敏反応性」と定義されている。MCASの種類には、一次MCAS(モノクローナル肥満細胞活性化症候群(MMAS))、二次MCAS(別の疾患から生じるMCAS)、及び特発性MCAS(一次又は二次MCASを除外するMCAS)が含まれる。
【0133】
本開示の化合物は、遺伝性アルファトリプターゼ血症(HAT)(トリプターゼの上昇を引き起こすTPSAB1の過剰発現)を治療するために有用であり得る。
【0134】
他の肥満細胞疾患としては、肥満細胞媒介性喘息、アナフィラキシー(特発性、Ig-E及び非Ig-E媒介性を含む)、蕁麻疹(特発性及び慢性を含む)、アトピー性皮膚炎、腫れ(血管浮腫)、刺激性腸症候群、肥満細胞性胃腸炎、肥満細胞性大腸炎、そう痒症、慢性そう痒症、慢性腎不全に続発するそう痒症、並びに、肥満細胞に関連する心臓、血管、腸、脳、腎臓、肝臓、膵臓、筋肉、骨及び皮膚の状態が挙げられる。いくつかの実施形態において、肥満細胞症は、変異型KIT又は変異型PDGFRαと関連していない。
【0135】
KIT及びPDGFRA変異は、GISTで広く観察されている。本開示の化合物は、KIT変異に関連するGISTを治療するために有用であり得る。本開示の化合物は、切除不能又は転移性GISTを治療するために有用であり得る。転移性GISTのほぼ80%は、KIT遺伝子配列の細胞外領域(エクソン9)又は膜近傍(JM)ドメイン(エクソン11)のいずれかに一次活性化変異を持っている。多くの変異型KIT腫瘍は、BCR-ABL、KIT、及びPDGFRAタンパク質を特異的に阻害する選択的チロシンキナーゼ阻害剤であるイマチニブなどの標的療法による治療に反応する。ただし、ほとんどのGIST患者は、イマチニブの結合親和性を著しく低下させるKITの二次変異のために最終的に再発する。これらの耐性変異は、常にアデノシン5-三リン酸(ATP)結合ポケット(エクソン13及び14)又はキナーゼ遺伝子の活性化ループ(エクソン17及び18)内で発生する。現在承認されているGISTの薬剤のうち、選択的標的薬剤はない。イマチニブは現在、GISTの治療薬として承認されており、マルチキナーゼ阻害剤は、イマチニブの後に使用される。多くの場合、例えば、スニチニブ、レゴラフェニブ、ミドスタウリンなどのこれらのマルチキナーゼ阻害剤は、イマチニブ耐性変異体を弱く阻害するだけであり、及び/又は、マルチキナーゼ阻害剤は、より複雑な安全性プロファイルと小さな治療ウィンドウによって制限される。いくつかの実施形態において、本開示の化合物は、イマチニブで治療された患者のGISTを治療するために有用であり得る。本開示の化合物は、GISTを一次治療(1L)、二次治療(2L)、第3治療(3L)又は第4治療(4L)として治療するのに有用であり得る。
【0136】
本開示の化合物は、KITに特定の変異が存在しないか存在する場合に、GISTを治療するのに有用であり得る。いくつかの実施形態において、本開示の化合物は、KITに特定の変異が存在しない場合に、GISTを治療することができる。特定の実施形態において、本開示の化合物は、KITに特定の変異体が存在する場合、GISTを治療することができない。いくつかの実施形態において、本開示の化合物は、KIT ATP結合ポケット変異(KITタンパク質変異V654A、N655T、及び/又はT670I)を有する患者において臨床的利益を提供しない。
【0137】
本開示の化合物は、PDGFRA変異に関連するGISTを治療するために有用であり得る。切除不能な転移性GIST患者の5から6%で、タンパク質アミノ酸842のPDGFRAの遺伝子配列のエクソン18に活性化ループ変異が一次変異として発生する。
【0138】
本開示の化合物はまた、AMLの治療において有用であり得る。AML患者もKIT変異を抱えており、これらの変異の大部分はKITタンパク質のD816位置にある。
【0139】
いくつかの実施形態において、本開示の化合物は、それを必要とする対象に投与される。いくつかの実施形態において、本開示の化合物は、製剤として投与され、ここで、化合物は、1つ以上の薬学的に許容される賦形剤又は担体と組み合わされる。したがって、いくつかの実施形態において、本明細書では、式Iの化合物、及びその薬学的に許容される塩、及び/又は前述のいずれかの溶媒和物から選択される少なくとも1つのものを含み、任意選択で、少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤をさらに含む組成物が開示される。
【0140】
本開示の化合物は、ヒト用又は動物用医薬で使用するための任意の便利な方法で投与するために製剤化することができる。いくつかの実施形態において、医薬組成物に含まれる化合物は、それ自体が活性であり得、又は、例えば、生理学的な状況において活性化合物に変換され得るプロドラッグであり得る。
【0141】
「薬学的に許容される」という語句は、健全な医学的判断の範囲内で、過剰な毒性、刺激、アレルギー反応、又はその他の問題や合併症を伴うことなくヒト及び動物の組織と接触して使用するのに適しており、合理的な利益/リスクの比に見合った化合物、材料、組成物、及び/又は剤形を指すために本明細書で使用される。
【0142】
薬学的に許容される担体の例としては、(1)例えば、ラクトース、グルコース、及びスクロースなどの糖、(2)例えば、コーンスターチ及びジャガイモ澱粉などのデンプン、(3)例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、及び酢酸セルロースなどのセルロース及びその誘導体、(4)粉末トラガカント、(5)モルト、(6)ゼラチン、(7)タルク、(8)例えば、カカオバター及び坐剤ワックスなどの賦形剤、(9)例えば、ピーナッツ油、綿実油、サフラワー油、ごま油、オリーブオイル、コーン油、大豆油などの油、(10)例えば、プロピレングリコールなどのグリコール、(11)例えば、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、及びポリエチレングリコールなどのポリオール、(12)例えば、オレイン酸エチル及びラウリン酸エチルなどのエステル、(13)寒天、(14)例えば、水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウムなどの緩衝剤、(15)アルギン酸、(16)パイロジェンフリー水、(17)等張食塩水、(18)リンゲル液、(19)エチルアルコール、(20)リン酸緩衝液、(21)例えば、Captisol(登録商標)などのシクロデキストリン、(22)薬剤の製剤に使用される他の非毒性適合物質が挙げられる。
【0143】
薬学的に許容される抗酸化剤の例としては、(1)例えば、アスコルビン酸、塩酸システイン、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウムなどの水溶性抗酸化剤、(2)例えば、パルミチン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、レシチン、没食子酸プロピル、アルファ-トコフェロールなどの油溶性抗酸化剤、(3)例えば、クエン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ソルビトール、酒石酸、リン酸などの金属キレート剤が挙げられる。
【0144】
固体剤形(例えば、カプセル、錠剤、ピル、糖衣錠、粉末、顆粒など)は、例えば、クエン酸ナトリウム又はリン酸二カルシウムなどの1つ以上の薬学的に許容される担体、及び/又は以下のいずれか、すなわち、(1)例えば、デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、及び/又はケイ酸などの充填剤又は増量剤、(2)例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロース、及び/又はアカシアなどの結合剤、(3)例えば、グリセロールなどの保湿剤、(4)例えば、寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモ又はタピオカ澱粉、アルギン酸、特定のケイ酸塩、及び炭酸ナトリウムなどの崩壊剤、(5)例えば、パラフィンなどの溶液遅延剤、(6)例えば、第四級アンモニウム化合物などの吸収促進剤、(7)例えば、セチルアルコール及びモノステアリン酸グリセロールなどの湿潤剤、(8)例えば、カオリン及びベントナイト粘土などの吸収剤、(9)例えば、タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、及びそれらの混合物などの潤滑剤、並びに、(10)着色剤、を含むことができる。
【0145】
液体剤形には、薬学的に許容されるエマルジョン、マイクロエマルジョン、溶液、懸濁液、シロップ、及びエリキシル剤が含まれ得る。有効成分に加えて、液体剤形は、当技術分野で一般的に使用される不活性希釈剤を含み得、例えば、水又は他の溶媒、可溶化剤、及び、乳化剤、例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、エチルカーボネート酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、油(例えば、綿実油、落花生油、トウモロコシ油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油、ごま油など)、グリセロール、テトラヒドロフリルアルコール、ポリエチレンソルビタンのグリコール及び脂肪酸エステルなど、並びに、それらの混合物を含み得る。
【0146】
懸濁液は、活性化合物に加えて、例えば、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトール及びソルビタンエステル、微結晶性セルロース、メタヒドロキシアルミニウム、ベントナイト、寒天、トラガカント、並びに、それらの混合物などの懸濁剤を含み得る。
【0147】
軟膏、ペースト、クリーム及びゲルは、活性化合物に加えて、例えば、動植物性脂肪、油、ワックス、パラフィン、デンプン、トラガカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト、ケイ酸、タルク、酸化亜鉛、又はそれらの混合物などの賦形剤を含み得る。
【0148】
粉末及びスプレーは、活性化合物に加えて、例えば、ラクトース、タルク、ケイ酸、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウム、及びポリアミド粉末、又はこれらの物質の混合物などの賦形剤を含み得る。スプレーはさらに、例えば、クロロフルオロ炭化水素などの通常の噴射剤、及び、例えば、ブタン及びプロパンなどの揮発性の非置換炭化水素を含むことができる。
【0149】
本開示の化合物の局所又は経皮投与のための剤形の非限定的な例としては、粉末、スプレー、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ゲル、溶液、パッチ、及び吸入剤が挙げられる。活性化合物は、無菌条件下で、薬学的に許容される担体、及び必要とされる可能性のある任意の防腐剤、緩衝液、又は噴射剤と混合することができる。
【0150】
本開示の化合物がヒト及び動物に医薬品として投与される場合、本化合物は、それ自体を与えることができ、又は、例えば、0.1から99.5%(0.5から90%など)の有効成分を製薬上許容される担体と一緒に含む医薬組成物として与えることができる。
【0151】
製剤は、局所的に、経口的に、経皮的に、経直腸的に、経膣的に、parentally、鼻腔内に、肺内に、眼内に、静脈内に、筋肉内に、動脈内に、髄腔内に、被膜内に、皮内に、腹腔内に、皮下に、表皮下に投与することができ、又は吸入によって投与することができる。
【0152】
さらに、本開示の化合物は、単独で投与することができ、又は他のKIT又はPDGFRα調節化合物、又は他の治療薬を含む他の化合物と組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、本開示の化合物は、リプレチニブと組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態において、本開示の化合物は、本明細書に開示される疾患又は状態を治療するために、イマチニブ、スニチニブ、レゴラフェニブ、カボザンチニブ、クレノラニブ、ミドスタウリン、ブレンツキシマブベドチン、及びマスティチニブから選択される1つ以上の化合物と組み合わせて投与することができる。
【0153】
本開示の化合物は、別の化合物又は複数の化合物で以前に治療を受けたことがある患者に投与することができる。本開示の化合物は、一次治療(1L)、二次治療(2L)、三次治療(3L)、又は第4治療(4L)として有用であり得る。
【0154】
いくつかの実施形態において、本開示の化合物は、イマチニブによる前治療の後に投与される。
【0155】
本開示の化合物は、ミドスタウリンによる前治療を受けたことがない患者に投与することができる。いくつかの実施形態において、本開示の化合物は、ミドスタウリンによる前治療を受けたことがある患者に投与することができる。
【実施例】
【0156】
一般的な合成方法と中間体
定義
C 摂氏
Cs2CO3 炭酸セシウム
DCM ジクロロメタン
DIPEA ジイソプロピルアミン
DMF ジメチルホルムアミド
DMSO ジメチルスルホキシド
EA 酢酸エチル
EDCI 1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド
h 時間
H2 水素ガス
H2O 水
HCl 塩酸
HOAc 酢酸
HOBT ヒドロキシベンゾトリアゾール
HPLC 高速液体クロマトグラフィー
IC50 阻害濃度50%
IPA イソプロピルアルコール
K2CO3 炭酸カリウム
KOAc 酢酸カリウム
LCMS 液体クロマトグラフィー質量分析
LiAlH4 水素化アルミニウムリチウム
min 分
MsCl 塩化メシル
MTBE メチルtert-ブチルエーテル
MeOH メタノール
N2 窒素ガス
NaOH 水酸化ナトリウム
Na2SO4 硫酸ナトリウム
NH4HCO3 ギ酸アンモニウム
NMP N-メチルピロリジノン
Pd/C パラジウム炭素
Pd(dppf)Cl2 [1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)
PE 石油エーテル
RT 室温
TEA トリエチルアミン
THF テトラヒドロフラン
TsCl トシルクロリド
【0157】
本開示の化合物を調製するための方法は、有機合成の当業者によって容易に選択され得る適切な溶媒中で実施され得る。適切な溶媒は、反応が行われる温度、例えば、溶媒の凍結温度から溶媒の沸騰温度までの範囲の温度で、出発物質(反応物)、中間体、又は生成物と実質的に非反応性であり得る。所与の反応は、1つの溶媒又は2つ以上の溶媒の混合物中で実施することができる。特定の反応ステップに応じて、特定の反応ステップに適した溶媒を当業者が選択することができる。
【0158】
本開示の化合物の調製は、様々な化学基の保護及び脱保護を含み得る。保護及び脱保護の必要性、並びに適切な保護基の選択は、当業者が容易に決定することができる。保護基の化学的性質は、例えば、Wuts and Greene、Protective Groups in Organic Synthesis、第5版、John Wiley&Sons:ニュージャージー、(2014)の中に見出すことができ、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0159】
反応は、当技術分野で知られている任意の適切な方法に従ってモニターすることができる。例えば、生成物の組成は、核磁気共鳴(NMR)分光法(例えば、1H又は13C)、赤外線(IR)分光法、分光光度法(例えば、UV可視)、質量分析(MS)などの分光手段、あるいは、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)や薄層クロマトグラフィー(TLC)などのクロマトグラフィー法によってモニターすることができる。
化合物のキャラクタリゼーションのための分析機器と方法:
【0160】
LC-MS:特に明記されていない限り、すべての液体クロマトグラフィー質量分析(LC-MS)データ(純度と同一性について分析されたサンプル)は、ES-APIイオン化を利用するAgilentモデル6120質量分析計を使用し、Agilent Poroshel 120(EC-C18、2.7um粒子サイズ、3.0x50mm寸法)逆相カラムを装着したAgilentモデル1260 LCシステムを用いて摂氏22.4度で取得した。移動相は、H2O中の0.1%ギ酸溶媒とアセトニトリル中の0.1%ギ酸の混合物で構成した。4分間にわたる95%水性/5%有機から5%水性/95%有機移動相への一定の勾配を利用した。流量は、1mL/minで一定とした。
【0161】
分取LC-MS:分取HPLCは、Luna 5u C18(2)100A、AXIAパック、250x21.2mm逆相カラムを装着した島津ディスカバリーVP(登録商標)分取システムで、摂氏22.4度で実施した。移動相は、H2O中の0.1%ギ酸溶媒とアセトニトリル中の0.1%ギ酸の混合物で構成した。25分間にわたる95%水性/5%有機から5%水性/95%有機移動相への一定の勾配を利用した。流量は、20mL/minで一定とした。マイクロ波で行われた反応は、Biotage Initiatorマイクロ波ユニットで行われた。
【0162】
シリカゲルクロマトグラフィー:シリカゲルクロマトグラフィーは、Teledyne Isco CombiFlash(登録商標)Rfユニット又はBiotage(登録商標)Isolera Fourユニットのいずれかで実施した。
【0163】
プロトンNMR:特に明記しない限り、すべての1H NMRスペクトルは、Varian 400MHz Unity Inova 400MHz NMR装置を使用して取得した(取得時間=3.5秒、1秒の遅延;16から64スキャン)。特徴づけられている場合、すべてのプロトンは、DMSO-d6溶媒中で残留DMSO(2.50ppm)に対して百万分率(ppm)で報告された。
【0164】
当業者であれば、勾配、カラム長、及び流速の変更が可能であり、分析される化学種に応じて、いくつかの条件が他の条件よりも化合物のキャラクタリゼーションに適している可能性があることを理解するであろう。
【0165】
実施例1:合成製剤
中間体の調製
調製1:(S)-1-(2-(4-(6-ブロモピロロ[2,1-f][1,2,4]トリアジン-4-イル)ピペラジン-1-イル)ピリミジン-5-イル)-1-(4-フルオロフェニル)エタン-1-アミン(I-1)
【化17】
【0166】
ステップ1:2-(4-(tert-ブトキシカルボニル)ピペラジン-1-イル)ピリミジン-5-カルボン酸エチル(ii)の合成:ジオキサン(80mL)にtert-ブチルピペラジン-1-カルボキシレート(i)(10.0g、53.7mmol)及びジイソプロピルエチルアミン(23.4mL、134.25mmol)を溶解した溶液に、2-クロロピリミジン-5-カルボキシレートエチル(10g、53.7mmoL)を加え、反応混合物を室温で3時間撹拌した。LCMSは、反応が完了したことを示した。反応混合物を濃縮して、表題化合物(ii)(17g、粗製)を得て、これをさらに精製することなく次のステップで直接使用した。MS(ES+)C16H24N4O4 requires:336,found:237,281[M-56+H]+
【0167】
ステップ2:2-(4-(tert-ブトキシカルボニル)ピペラジン-1-イル)ピリミジン-5-カルボン酸の合成(iii):THF/MeOH/H2O(300mL)にエチル2-(4-(tert-ブトキシカルボニル)ピペラジン-1-イル)ピリミジン-5-カルボキシレート(ii)(17g、粗製)を溶解した溶液に水酸化ナトリウム(4.3g、107.5mmol)を添加し、反応物を70℃で2時間撹拌した。LCMSは、反応が完了したことを示した。反応混合物を室温に冷却し、1M HClでpH約5~6に酸性化し、濾過した。固体を収集し、乾燥させて、表題化合物(iii)(16g、96%)を白色固体として得、これをさらに精製することなく次のステップで直接使用した。MS(ES+)C14H20N4O4 requires:308,found:253[M-56+H]+
【0168】
ステップ3:tert-ブチル4-(5-(メトキシ(メチル)カルバモイル)ピリミジン-2-イル)ピペラジン-1-カルボキシレート(iv)の合成:DCM(200mL)に、2-(4-(tert-ブトキシカルボニル)ピペラジン-1-イル)ピリミジン-5-カルボン酸(iii)(13.8g、44.8mmol)、EDCI(12.8g、67.2mmol)及びHOBT(7.2g、53.7mmol)を懸濁した懸濁液に、TEA(25mL、179.2mmol)を加え、混合物を室温で1時間撹拌し、続いてN,O-ジメチルヒドロキシルアミン(5g、53.7mmol)を加えた。反応混合物をさらに3時間撹拌した。LCMSは、反応が完了したことを示した。反応混合物をH2O(100mL)で洗浄し、有機層を乾燥し、濾過して、濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル=1:1)で精製して、表題化合物(iv)(11.2g、67%)を白色固体として得た。MS(ES+)C16H25N5O4 requires:351,found:296[M-56+H]+.found:296[M-56+H]+
【0169】
ステップ4:tert-ブチル4-(5-(4-フルオロベンゾイル)ピリミジン-2-イル)ピペラジン-1-カルボキシレート(v)の合成:乾燥THF(50mL)に、tert-ブチル4-(5-(メトキシ(メチル)カルバモイル)ピリミジン-2-イル)ピペラジン-1-カルボキシレート(iv)(7.8g、22.22mmol)を溶解した溶液に、窒素下で0℃で、C6H5MgFBr(THF中1M、50mL)を加え、混合物を室温で3時間撹拌した。LCMSは、反応が完了したことを示した。反応混合物を1M HClでクエンチし、EAで抽出した。合わせた有機層をH2O及びブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過して、濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(石油エーテル:EA=5:1)で精製して、表題化合物(v)(7.2g、84%)を黄色の固体として得た。MS(ES+)C20H23FN4O3 requires:386,found:331[M-56+H]+
【0170】
ステップ5:tert-ブチル(S,Z)-4-(5-(((tert-ブチルスルフィニル)イミノ)(4-フルオロフェニル)メチル)-ピリミジン-2-イル)ピペラジン-1-カルボキシレート(vi)の合成:tert-ブチル4-(5-(4-フルオロベンゾイル)ピリミジン-2-イル)ピペラジン-1-カルボキシレート(v)(20.0g、1.0当量)、(S)-(-)-2-メチル-2-プロパンスルフィンアミド(9.43g、1.5当量)、及びLiOH(0.64g、0.5当量)を、トルエン(160mL)と共に反応容器に加えた。この混合物に、チタン(IV)イソプロポキシド(18.42g、1.25当量)を加え、反応混合物を50~60℃で1時間撹拌した。次いで、40~60℃で追加のトルエン(80ml)を投入しながら反応混合物を蒸留して80mLを除去した。反応混合物を、20~30℃に冷却し、クエン酸一ナトリウム溶液(80mL、クエン酸30重量%、pH3~4)に加えた。混合物を45~55℃で1.5時間撹拌し、次いで相を分離した。有機相を重炭酸カリウム(40mL、25重量%水溶液)で洗浄し、有機相を蒸留して40mLを除去した。(vi)の生成物溶液をTHF(30mL)で希釈してから、次のステップで直接溶液として使用した(約15重量%)。
【0171】
ステップ6:tert-ブチル4-(5-((S)-1-(((S)-tert-ブチルスルフィニル)アミノ)-1-(4-フルオロフェニル)エチル)ピリミジン-2-イル)ピペラジン-1-カルボキシレートの合成(vii):トルエン/THF(120g、ステップ5で調製)にtert-ブチル(S、Z)-4-(5-(((tert-ブチルスルフィニル)イミノ)(4-フルオロフェニル)メチル)-ピリミジン-2-イル)ピペラジン-1-カルボキシレート(vi)を溶解した溶液に、塩化メチルマグネシウム(27.8g、THF中22重量%、2.0当量)を10℃で2~3時間かけて加えた。反応混合物を1.5時間撹拌して反応完了に至らしめた。反応混合物にメタノール(40mL)を加え、続いてH2O(10mL)を加えることよりクエンチした。混合物を蒸留して100~110mLを除去し、次に塩化アンモニウム(80mL、H2O中20重量%)で洗浄した。有機相を、H2O(80mL)で洗浄し、トルエン(60mL)で希釈し、蒸留して60~80mLの蒸留物を除去した。50~60℃の溶液にn-ヘプタン(80mL)を投入し、次いで、42℃まで冷却し、この時点でシードを加えた(25~50mg)。溶液を30分間保持し、次いで30分間で0~10℃に冷却した。固形物を濾過により単離し、n-ヘプタンとトルエンの混合物(1:1、30mL)で洗浄し、続いてn-ヘプタン(30mL)で洗浄した。生成物を乾燥させて、(vii)の96.4から97.2%の粗生成物9gを得た。
【0172】
ステップ6a:粗製tert-ブチル4-(5-((S)-1-(((S)-tert-ブチルスルフィニル)アミノ)-1-(4-フルオロフェニル)エチル)ピリミジン-2-イル)ピペラジン-1-カルボキシレートの再結晶化:tert-ブチル4-(5-((S)-1-(((S)-tert-ブチルスルフィニル)アミノ)-1-(4-フルオロフェニル)エチル)ピリミジン-2-イル)ピペラジン-1-カルボキシレート(10.0g)をイソプロパノール(100mL)に溶解し、40~60℃に加熱してから清澄フィルターに通し、イソプロパノール(20mL)で洗浄/すすぎを行った。得られた溶液を40~60℃で真空蒸留して60~70mLを除去した。混合物を50~60℃で水(45mL)で希釈し、次に40℃に冷却し、その時点で25~50mgのシードを加えた。混合物をさらに20~25℃に冷却し、水(20mL)を加えた。固形物を濾過により単離し、イソプロパノール/水混合物(1:1、20mL)で洗浄し、次にイソプロパノール/水(1:2、30mL)でスラリー洗浄した。乾燥により、(vii)の>99.8%の生成物8.5gを得た。
【0173】
ステップ7:(S)-1-(4-フルオロフェニル)-1-(2-(ピペラジン-1-イル)ピリミジン-5-イル)エタン-1-アミン塩酸塩(viii)の合成:tert-ブチル-4-(5-((S)-1-(((S)-tert-ブチルスルフィニル)アミノ)-1-(4-フルオロフェニル)-エチル)ピリミジン-2-イル)ピペラジン-1-カルボキシレート(vii)(50g、1当量)をエタノール(7.5vol)及び濃塩酸(11.2M、5.6当量)と混合した。反応混合物を還流温度に加熱した。LCMSにより反応が完了に至った後、混合物を大気圧下で5容量まで濃縮した。エタノールを添加して濃縮を続け、H2O含有量が3%以下になるまで5容量を維持した。最後に2容量で濃縮を停止し、その後30分かけて0~5℃に冷却した。濾過後、真空下で乾燥させて、(viii)の表題生成物(収率92%)を得た。
【0174】
ステップ8:(S)-1-(2-(4-(6-ブロモピロロ[2,1-f][1,2,4]トリアジン-4-イル)ピペラジン-1-イル)ピリミジン-5-イル)-1-(4-フルオロフェニル)エタンアミン(I-1)の合成:ジオキサン(50mL)に、市販の6-ブロモ-4-クロロピロロ[2,1-f][1,2,4]トリアジン(4.00g、17.2mmol)(例えば、Sigma Aldrich)、(S)-1-(4-フルオロフェニル)-1-(2-(ピペラジン-1-イル)ピリミジン-5-イル)エタンアミン塩酸塩(viii)(5.81g、17.2mmol)及びトリエチルアミン(7.20mL、51.6mmol)を混合した混合物を室温で一晩撹拌した。混合物を濃縮し、次いでフラッシュカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH=20/1)で精製して、表題化合物(I-1)(8.0g、収率94%)を白色固体として得た。MS(ES+)C22H22BrFN8 requires:496,found:497,499[M+H]+
【0175】
調製2:(S)-1-(2-(4-(6-(1H-ピラゾール-4-イル)ピロロ[2,1-f][1,2,4]トリアジン-4-イル)ピペラジン-1-イル)ピリミジン-5-イル)-1-(4-フルオロフェニル)エタンアミン(I-2)
【化18】
【0176】
DMF/H2O(40mL/10mL)に、I-1(3.0g、6.05mmol)、4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ピラゾール(1.17g、6.05mmol)、Pd(dppf)Cl2(494mg、605μmol)及びK2CO3(2.50g、18.2mmol)を混合した混合物を、N2(g)で10分間パージし、N2下、70℃で16時間撹拌した。その後、溶液をEAで希釈し、H2Oとブラインで洗浄し、濃縮した。残渣をシリカゲルのフラッシュカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH=10/1)で精製して、表題化合物(I-2)(2.0g、収率68%)を黄色の固体として得た。MS(ES+)C25H25FN10 requires:484,found:485[M+H]+
【0177】
調製3:(S)-1-(4-フルオロフェニル)-1-(2-(4-(6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ピロロ[2、1-f][1,2,4]トリアジン-4-イル)ピペラジン-1-イル)ピリミジン-5-イル)エタンアミン(I-3)
【化19】
【0178】
1,4-ジオキサン(30mL)に、I-1(1.0g、2.02mmol)、4,4,4’,4’,5,5,5’,5’-オクタメチル-2,2’-ビ(1,3,2-ジオキサンボロラン)(768mg、3.12mmol)、Pd(dppf)Cl2(165mg、202μmol)、dppf(167mg、303μmol)及びKOAc(395mg、4.04mmol)を混合した混合物を、N2(g)で10分間パージし、80℃で16時間撹拌した。その後、溶液をEAで希釈し、H2Oとブラインで洗浄し、濃縮した。残渣をシリカゲルのフラッシュカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH=15/1)で精製して、表題化合物(I-3)(700mg)を灰色の固体として得た。MS(ES+)C28H34BFN8O2 requires:544,found:545[M+H]+
【0179】
化合物の調製
【0180】
実施例1:(S)-1-(4-(4-(4-(5-(1-アミノ-1-(4-フルオロフェニル)エチル)ピリミジン-2-イル)ピペラジン-1-イル)ピロロ[2,1-f][1,2,4]トリアジン-6-イル)-1H-ピラゾール-1-イル)-2-メチルプロパン-2-オール(1)
【化20】
【0181】
NMP(5mL)に、(調製2に従って調製された)I-2(200mg、0.412mmol)、Cs2CO3(269mg、0.83mmol)及び2,2-ジメチルオキシラン(89.3mg、1.24mmol)を混合した混合物を、120℃で10時間撹拌した。反応混合物をEtOAcで希釈し、H2O及びブラインで洗浄して、Na2SO4で乾燥させた。有機層を真空で濃縮し、残渣を分取HPLC(移動相:A=H2O(0.1%NH4HCO3)、B=アセトニトリル;勾配:B=18分で15%~95%;カラム:Xtimate(商標)10um 150A 21.2×250mm)で精製し、続いて凍結乾燥して、表題化合物(1)(74.5mg、収率32%)を白色固体として得た。MS(ES+)C29H33FN10O requires:556,found:557[M+H]+1H-NMR(400MHz,6d-DMSO)δppm8.41(s,2H),8.03(s,1H),8.02(s,1H),7.87(s,1H),7.84(s,1H),7.49-7.45(m,2H),7.25(s,1H),7.13-7.08(m,2H),4.76(s,1H),4.12-4.07(m,4H),4.02(s,2H),3.93-3.90(m,4H),2.44(s,2H),1.73(s,3H),1.10(s,6H).
【0182】
実施例2:(S)-2-(4-(4-(4-(5-(1-アミノ-1-(4-フルオロフェニル)エチル)ピリミジン-2-イル)ピペラジン-1-イル)ピロロ[2,1-f][1,2,4]トリアジン-6-イル)-1H-ピラゾール-1-イル)-2-メチルプロパン-1-オール(2)
【化21】
【0183】
ステップ1:メチル2-メチル-2-(4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ピラゾール-1-イル)プロパノエート(xii)の合成 NMP(20mL)に、2-ブロモ-2-メチルプロパノ酸メチル(x)(3.0g、16.7mmol)及び4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ピラゾール(xi)(3.23g、16.7mmol)を溶解した溶液に、炭酸セシウム(16.2g、50mmol)及びヨウ化ナトリウム(3.1g、16.7mmol)を室温で加えた。得られた混合物を120℃で8時間撹拌した。反応混合物をDCMで希釈し、H2O及びブラインで順番に洗浄した。有機層を真空で濃縮し、残渣をシリカゲルのフラッシュカラムクロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル=5/1)で精製して、表題化合物(xii)(1.5g、収率30%)を無色の油状物として得た。
【0184】
ステップ2:メチル(S)-2-(4-(4-(4-(5-(1-アミノ-1-(4-フルオロフェニル)エチル)ピリミジン-2-イル)ピペラジン-1-イル)ピロロ[2、1-f][1,2,4]トリアジン-6-イル)-1H-ピラゾール-1-イル)-2-メチルプロパノエート(xiii):DMF/H2O(8mL/2mL)に、2-メチル-2-(4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ピラゾール-1-イル)プロパノエート(xii)(178mg、0.6mmol)、I-1(300mg、0.6mmol)、Pd(dppf)Cl2(99mg、0.12mmol)及びK2CO3(251mg、1.8mmol)を混合した混合物を、N2(g)下、70℃で4時間撹拌した。その後、溶液をDCMで希釈し、H2O及びブラインで洗浄して、濃縮した。残渣をシリカゲルのフラッシュカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH=10/1)で精製して、表題化合物(xiii)(240mg、収率68%)を白色固体として得た。MS(ES+)C30H33FN10O2 requires:584,found:585[M+H]+
【0185】
ステップ3:(S)-2-(4-(4-(4-(5-(1-アミノ-1-(4-フルオロフェニル)エチル)ピリミジン-2-イル)ピペラジン-1-イル)ピロロ[2、1-f][1,2,4]トリアジン-6-イル)-1H-ピラゾール-1-イル)-2-メチルプロパン-1-オール(2):THF(20mL)に(S)-メチル2-(4-(4-(4-(5-(1-アミノ-1-(4-フルオロフェニル)エチル)ピリミジン-2-イル)ピペラジン-1-イル)ピロロ[2,1-f][1,2,4]トリアジン-6-イル)-1H-ピラゾール-1-イル)-2-メチルプロパノエート(xiii)(200mg、0.34mmol)を溶解した溶液に、LiAlH4(100mg、3.4mmol)を0℃で添加し、得られた混合物を室温で6時間撹拌した。反応混合物をH2O(100mL)及び10%NaOH H2O(300mL)でクエンチし、次いでEAで抽出した。有機層を真空で濃縮し、残渣を分取HPLC(移動相:A=H2O(0.1% NH4HCO3)、B=アセトニトリル;勾配:B=18分で15%~95%;カラム:Xtimate(商標)10um 150A 21.2×250mm)で精製し、続いて凍結乾燥して、表題化合物(2)(90.5mg、収率47%)を白色固体として得た。MS(ES+)C29H33FN10O requires:556,found:557[M+H]+1H-NMR(400MHz,6d-DMSO)δppm8.41(s,2H),8.18(s,1H),8.01(d,1H,J=1.6Hz),7.87(s,1H),7.84(s,1H),7.52-7.43(m,2H),7.26(d,1H,J=1.6Hz),7.16-7.07(m,2H),4.99(t,1H,J=5.6Hz),4.17-4.04(m,4H),3.98-3.87(m,4H),3.60(d,2H,J=5.6Hz),2.47(s,2H),1.74(s,3H),1.50(s,6H).
【0186】
実施例3:(R)1-{4-[4-(4-{5-[(S)-1-アミノ-1-(4-フルオロ-フェニル)-エチル]-ピリミジン-2-イル}-ピペラジン-1-イル)-ピロロ[2,1-f][1,2,4]トリアジン-6-イル]-ピラゾール-1-イル}-プロパン-2-オール(3)
【化22】
【0187】
NMP(3.0mL)に、(調製2に従って調製した)I-2の溶液に(200mg、412μmol)及び(2R)-2-メチルオキシラン(XIV)(71.4mg、1.23mmol)を溶解した溶液に、Cs2CO3(400mg、1.23mmol)を室温で加えた。混合物を120℃で2時間撹拌した。その後、溶液をEAで希釈し、H2Oとブラインで洗浄して、濃縮した。残渣を分取HPLC(移動相:A=H2O(0.1% NH4HCO3)、B=アセトニトリル;勾配:B=18分で15%~95%;カラム:Xtimate(商標)10um 150A 21.2×250mm)で精製し、続いて凍結乾燥して、表題化合物(3)(90.0mg、収率40%)を白色固体として得た。MS(ES+)C28H31FN10O requires:542,found:543[M+H]+1H-NMR(400MHz,DMSO-d6)δppm8.40(s,2H),8.05(s,1H),7.80(d,1H,J=1.6Hz),7.87(s,1H),7.83(s,1H),7.46(dd,2H,J=8.8,5.6Hz),7.24(s,1H),7.10(t,2H,J=8.8Hz),4.96(d,1H,J=4.8Hz),4.11-4.08(m,4H),4.02-3.95(m,3H),3.92-3.89(m,4H),2.45(s,2H),1.73(s,3H),1.05(d,3H,J=5.6Hz).
【0188】
実施例4:(S)-2-(4-(4-(4-(5-(1-アミノ-1-(4-フルオロフェニル)エチル)ピリミジン-2-イル)ピペラジン-1-イル)ピロロ[2,1-f][1,2,4]トリアジン-6-イル)-1H-ピラゾール-1-イル)エタノール(4)
【化23】
【0189】
ジオキサン/H2O(20mL/2mL)に、(調製1に従って調製した)I-1(500mg、1.00mmol)、市販の2-(4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ピラゾール-1-イル)エタノール(xv)(285mg、1.20mmol)(例えば、AstraTech)、Pd(dppf)Cl2(219mg、300μmol)及びNa2CO3(317mg、3.00mmol)を混合した反応混合物を、N2(g)下、100℃で一晩撹拌した。層を分離し、有機層を真空で濃縮した。残渣をシリカゲルのフラッシュカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH=15/1)で精製した。得られた物質をさらに分取HPLC(移動相:A=H2O(0.1% NH4HCO3)、B=アセトニトリル;勾配:B=18分で15%~95%;カラム:Xtimate(商標)10μm 150A 21.2×250mm)で精製し、続いて凍結乾燥して、表題化合物(4)(154.0mg、収率29%)を白色固体として得た。MS(ES+)C27H29FN10O requires:528,found:529[M+H]+1H-NMR(400MHz,6d-DMSO)δppm8.40(s,1H),8.07(s,1H),7.99(s,1H),7.87(s,1H),7.84(s,1H),7.49-7.44(m,2H),7.24(s,1H),7.14-7.06(m,2H),4.93(t,1H,J=5.2Hz),4.17-4.13(m,2H),4.12-4.07(m,4H),3.94-3.88(m,4H),3.89-3.71(m,2H),2.45(br.S.,2H),1.73(s,3H).
【0190】
実施例4A:(S)-2-(4-(4-(4-(5-(1-アミノ-1-(4-フルオロフェニル)エチル)ピリミジン-2-イル)ピペラジン-1-イル)ピロロ[2,1-f][1,2,4]トリアジン-6-イル)-1H-ピラゾール-1-イル)エタノール塩酸塩
【0191】
MeOH(5mL)に(S)-2-(4-(4-(4-(5-(1-アミノ-1-(4-フルオロフェニル)エチル)ピリミジン-2-イル)ピペラジン-1-イル)ピロロ[2,1-f][1,2,4]トリアジン-6-イル)-1H-ピラゾール-1-イル)エタノール(30mg、0.057mmol)を溶解した溶液に、HCl/ジオキサン(0.05mL、4.0M)を室温で加えた。溶液を室温で16時間撹拌した。溶媒を減圧下で除去し、生成物を凍結乾燥して、湿気に敏感な白色固体として表題化合物(36.0mg、収率100%)を得た。MS(ES+)C29H31FN10O requires:528,found:529[M+H]+1H-NMR(400MHz,6d-DMSO)δppm9.47(s,3H,br),8.45(s,2H),8.14(s,1H),8.11(s,1H),7.97(s,1H),7.87(s,1H),7.53-7.50(m,2H),7.44(s,1H),7.31-7.28(m,2H),4.16-4.14(m,6H),4.00-3.89(m,4H),3.76-3.74(m,2H),2.03(s,3H).
【0192】
実施例5:(R)-2-(4-(4-(4-(5-((S)-1-アミノ-1-(4-フルオロフェニル)エチル)ピリミジン-2-イル)ピペラジン-1-イル)ピロロ[2,1-f][1,2,4]トリアジン-6-イル)-1H-ピラゾール-1-イル)プロパン-1-オール(5)
【化24】
【0193】
ステップ1:(S)-1-(ベンジルオキシ)プロパン-2-イル4-メチルベンゼンスルホネート(xvii)の合成:DCM(80mL)に、(S)-1-(ベンジルオキシ)プロパン-2-オール(xvi)(5.0g、30.12mmol)及びTEA(9.17g、90.36mmol)を溶解した溶液に、TsCl(6.30g、33.13mmol)を加えた。混合物を室温で24時間撹拌した。溶液をDCMで希釈し、H2Oで洗浄し、ブラインで洗浄した。有機層を濃縮し、残渣をシリカゲルのフラッシュカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル=3/1)で精製して、表題化合物(xvii)(4.0g、収率42%)を無色の油状物として得た。MS(ES+)C17H20O4S requires:320,found:338[M+18]+
【0194】
ステップ2:(R)-1-(1-(ベンジルオキシ)プロパン-2-イル)-4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ピラゾールの合成(xviii):NMP(12mL)に、(S)-1-(ベンジルオキシ)プロパン-2-イル4-メチルベンゼンスルホネート(xvii)(2.0g、6.25mmol)、4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ピラゾール(xi)(1.22g、6.25mmol)及びCs2CO3(4.08mg、12.5mmol)を混合した混合物に、110℃でマイクロ波を0.5時間照射した。その後、溶液をEAで希釈し、H2Oで洗浄し、ブラインで洗浄した。有機層を濃縮し、残渣をシリカゲルのフラッシュカラムクロマトグラフィー(PE/EA=4/1)で精製して、表題化合物(xviii)(1.6g、収率75%)を無色の油状物として得た。MS(ES+)C19H27BN2O3 requires:342,found:343[M+H]+
【0195】
ステップ3:(R)-2-(4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ピラゾール-1-イル)プロパン-1-オール(xix):MeOH(20mL)に、(R)-1-(1-(ベンジルオキシ)プロパン-2-イル)-4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ピラゾール(xviii)(800mg、2.34mmol)を溶解した溶液に、Pd/C(800mg)とHOAc(0.2mL)を加え、溶液をH2(g)で5分間パージした後、室温で、H2(g)下、16時間撹拌した。その後、混合物を濾過し、濾液を濃縮して、表題化合物を無色の油状物として得た(xix)(300mg、収率51%)。MS(ES+)C12H21BN2O3 requires:252,found:253[M+H]+
【0196】
ステップ4:(R)-2-(4-(4-(4-(5-((S)-1-アミノ-1-(4-フルオロフェニル)エチル)ピリミジン-2-イル)ピペラジン-1-イル)ピロロ[2,1-f][1,2,4]トリアジン-6-イル)-1H-ピラゾール-1-イル)プロパン-1-オール(5)の合成:DMF/H2O(4mL/1mL)に、((R)-2-(4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ピラゾール-1-イル)プロパン-1-オール(xix)(150mg、595μmol)、I-1(295mg、595μmol)、Pd(dppf)Cl2(49mg、60μmol)及びK2CO3(250mg、1.79mmol)を混合した混合物を、N2(g)で10分間パージし、N2(g)下、70℃で16時間撹拌した。混合物をEtOAcで抽出し、合わせた有機抽出物を濃縮した。残渣をシリカゲルのフラッシュカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH=10/1)で精製した。得られた物質をさらに分取HPLC(移動相:A=H2O(0.1% NH4HCO3)、B=アセトニトリル;勾配:B=18分で15%~95%;カラム:Xtimate(商標)10um 150A 21.2×250mm)で精製し、続いて凍結乾燥して、表題化合物(5)(148.1mg、収率46%)を白色固体として得た。MS(ES+)C28H31FN10O requires:542,found:543[M+H]+1H-NMR(400MHz,6d-DMSO)δppm8.41(s,2H),8.11(s,1H),8.00(s,1H),7.87(s,1H),7.83(s,1H),7.48-7.44(m,2H),7.25(s,1H),7.14-7.08(m,2H),4.98(t,1H,J=5.2Hz),4.36-4.32(m,1H),4.10-4.08(m,4H),3.92-3.90(m,4H),3.69-3.61(m,2H),2.45(s,2H),1.73(s,3H),1.41(d,3H,J=6.8Hz).
【0197】
実施例6:(S)-2-(4-(4-(4-(5-((S)-1-アミノ-1-(4-フルオロフェニル)エチル)ピリミジン-2-イル)ピペラジン-1-イル)ピロロ[2,1-f][1,2,4]トリアジン-6-イル)-1H-ピラゾール-1-イル)プロパン-1-オール(6)
【化25】
【0198】
ステップ1:(R)-1-(ベンジルオキシ)プロパン-2-イル4-メチルベンゼンスルホネート(xxiii)の合成:DCM(30mL)に、(R)-1-(ベンジルオキシ)プロパン-2-オール(xxii)(3.0g、18mmol)及びTEA(5.48g、54.2mmol)を溶解した溶液に、TsCl(4.13g、21.7mmol)を加えた。得られた混合物を25℃で16時間撹拌した。次に混合物を真空で濃縮し、残渣をシリカゲルのフラッシュカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル=10/1)で精製して、表題化合物(xxiii)(2.30g、収率39%)を黄色い油状物として得た。MS(ES+)C17H20O4S requires:320,found:338[M+18]+
【0199】
ステップ2:(S)-1-(1-(ベンジルオキシ)プロパン-2-イル)-4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ピラゾールの合成(xxiv):NMP(50mL)に、(R)-1-(ベンジルオキシ)プロパン-2-イル4-メチルベンゼンスルホネート(xxiii)(2.20g、6.87mmol)、4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ピラゾール(xi)(2.00g、10.3mmol)及びCs2CO3(2.24g、6.87mmol)を混合した混合物を、110℃で、マイクロ波中、16時間撹拌した。その後、溶液をEAで希釈し、H2Oとブラインで洗浄して、濃縮した。残渣をシリカゲルのフラッシュカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル=5/1~4/1)で精製して、表題化合物(xxiv)(1.80g、収率39%)を黄色の油状物として得た。MS(ES+)C19H27BN2O3 requires:342,found:343[M+H]+
【0200】
ステップ3:(S)-2-(4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ピラゾール-1-イル)プロパン-1-オール(xxv)の合成:MeOH(20mL)に、(S)-1-(1-(ベンジルオキシ)プロパン-2-イル)-4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ピラゾール(xxiv)(0.90g、2.6mmol)を混合した混合物に、Pd/C(800mg)及びHOAc(0.2mL)を加えた。得られた混合物をH2(g)で5分間パージし、次に、室温で、H2(g)下、16時間撹拌した。その後、混合物を濾過し、濃縮して、表題化合物(xxv)を黄色の油状物として得た(500mg、収率75%)。MS(ES+)C12H21BN2O3 requires:252,found:253[M+H]+
【0201】
ステップ4:(S)-2-(4-(4-(4-(5-((S)-1-アミノ-1-(4-フルオロフェニル)エチル)ピリミジン-2-イル)ピペラジン-1-イル)ピロロ[2,1-f][1,2,4]トリアジン-6-イル)-1H-ピラゾール-1-イル)プロパン-1-オール(6)の合成:DMF/H2O(5mL/1ml)に、(S)-2-(4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ピラゾール-1-イル)プロパン-1-オール(xxv)(98mg、392μmol)、I-1(130mg、261μmol)、K2CO3(200mg、227μmol)及びPd(dppf)Cl2(20mg、27μmol)を混合した混合物を、70℃で、N2(g)下、4時間撹拌した。その後、溶液をEAで希釈し、H2Oとブラインで洗浄して、濃縮した。残渣を分取HPLC(移動相:A=H2O(0.1% NH4HCO3)、B=アセトニトリル;勾配:B=18分で15%~95%;カラム:Xtimate(商標)10um 150A 21.2×250mm)で精製し、続いて凍結乾燥して、表題化合物(6)(40.7mg、収率28%)を白色固体として得た。MS(ES+)C28H31FN10O requires:542,found:543[M+H]+1H-NMR(400MHz,6d-DMSO)δppm8.41(s,2H),8.10(s,1H),7.99(s,1H),7.87(s,1H),7.83(s,1H),7.47(dd,2H,J=8.8,5.6Hz),7.24(s,1H),7.11(t,2H,J=8.8Hz),4.96(t,1H,J=5.6Hz),4.38-4.35(m,1H),4.11-4.08(m,4H),3.92-3.90(m,4H),3.70-3.60(m,2H),2.43(s,1H),1.73(s,3H),1.41(d,3H,J=6.8Hz).
【0202】
実施例7:(S)-1-(4-フルオロフェニル)-1-(2-(4-(6-(1-(オキセタン-3-イル)-1H-ピラゾール-4-イル)ピロロ[2,1-f][1,2,4]トリアジン-4-イル)ピペラジン-1-イル)ピリミジン-5-イル)エタン-1-アミン(7)
【化26】
【0203】
DMF/H2O(16mL/4mL)に、1-(オキセタン-3-イル)-4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ピラゾール(xxvi)(600mg、2.4mol)、I-1(1.19g、2.4mmol)、Pd(dppf)Cl2(391mg、0.48mmol)及びK2CO3(994mg、7.2mmol)を混合した混合物を、N2で10分間パージし、N2(g)下、70℃で3時間撹拌した。その後、溶液をEAで希釈し、H2Oとブラインで洗浄して、濃縮した。混合物をシリカゲルのフラッシュカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH=10/1)で精製した。得られた物質をさらに分取HPLC(移動相:A=H2O(0.1% NH4HCO3)、B=アセトニトリル;勾配:B=18分で15%~95%;カラム:Xtimate(商標)10μm 150A 21.2×250mm)で精製し、続いて凍結乾燥して、表題化合物(7)(236.3mg、収率18%)を白色固体として得た。MS(ES+)C28H29FN10O requires:540,found:541[M+H]+1H-NMR(400MHz,6d-DMSO)δppm8.41(s,2H),8.32(s,1H),8.03(d,1H,J=1.6Hz),7.99(s,1H),7.88(s,1H),7.52-7.44(m,2H),7.29(d,1H,J=1.6Hz),7.16-7.07(m,2H),5.64-5.52(m,1H),4.99-4.94(m,2H),4.93-4.89(m,2H),4.12-4.06(m,4H),3.97-3.87(m,4H),2.50(br.s.,2H),1.74(s,3H).
【0204】
実施例8:(S)-1-(4-フルオロフェニル)-1-(2-(4-(6-(1-(オキセタン-3-イルメチル)-1H-ピラゾール-4-イル)ピロロ[2,1-f][1,2,4]トリアジン-4-イル)ピペラジン-1-イル)ピリミジン-5-イル)エタン-1-アミン(8)
【化27】
【0205】
ステップ1:オキセタン-3-イルメチルメタンスルホン酸(xxviii)の合成:DCM(10mL)に、オキセタン-3-イルメタノール(xxvii)(300mg、3.40mmol)及びTEA(1.03g、10.2mmol)を溶解した溶液に、0℃でMsCl(429mg、3.75mmol)を加えた。反応物を室温で3時間撹拌し、次にDCMで希釈し、飽和Na2CO3溶液で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させた。溶媒を真空中で蒸発させて、表題化合物(xxviii)(280mg、収率49%)を黄色の油状物として得た。
【0206】
ステップ2:1-(オキセタン-3-イルメチル)-4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ピラゾール(xxix)の合成:DMF(20mL)に、4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ピラゾール(xi)(280mg、1.44mmol)、オキセタン-3-イルメチルメタンスルホネート(xxviii)(275mg、1.66mmol)及びCs2CO3(1.41g、4.33mmol)を混合した混合物を、70℃で4時間撹拌し、次にDCMで希釈し、ブラインで洗浄した。有機層を真空中で蒸発させた。残渣をシリカゲルのフラッシュカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル=10/1)で精製して、表題化合物(xxix)(320mg、収率71%)を得た。MS(ES+)C13H21BN2O3 requires:264,found:265[M+H]+
【0207】
ステップ3:(S)-1-(4-フルオロフェニル)-1-(2-(4-(6-(1-(オキセタン-3-イルメチル)-1H-ピラゾール-4-イル)ピロロ[2,1-f][1,2,4]トリアジン-4-イル)ピペラジン-1-イル)ピリミジン-5-イル)エタン-1-アミン(8)の合成:DMF/H2O(10mL/2ml)に、I-1(300mg、392μmol)、1-(オキセタン-3-イルメチル)-4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ピラゾール(xxix)(239mg、904μmol)、K2CO3(250mg、1.81mmol)及びPd(dppf)Cl2(30mg、41μmol))を混合した混合物を、70℃で、N2(g)下、4時間撹拌した。その後、溶液をEAで希釈し、H2Oとブラインで洗浄して、濃縮した。残渣を分取HPLC(移動相:A=H2O(0.1% NH4HCO3)、B=アセトニトリル;勾配:B=18分で15%~95%;カラム:Xtimate(商標)10um 150A 21.2×250mm)で精製し、続いて凍結乾燥して、表題化合物(8)(40.2mg、収率12%)を白色固体として得た。MS(ES+)C29H31FN10O requires:554,found:555[M+H]+1H-NMR(400MHz,6d-DMSO)δppm8.41(s,2H),8.09(s,1H),7.98(s,1H),7.87(s,1H),7.84(s,1H),7.47(dd,2H,J=8.8,5.6Hz),7.22(s,1H),7.11(t,2H,J=8.8Hz),4.69-4.65(m,2H),4.45-4.41(m,4H),4.10-4.08(m,4H),3.92-3.89(m,4H),3.46-3.41(m,1H),2.45(s,2H),1.73(s,3H).
【0208】
実施例9:(S)-1-(4-(4-(4-(5-((S)-1-アミノ-1-(4-フルオロフェニル)エチル-ピリミジン-2-イル}-ピペラジン-1-イル)-ピロロ[2,1-f][1,2,4]トリアジン-6-イル]-ピラゾール-1-イル}-プロパン-2-オール(9)
【化28】
【0209】
NMP(2mL)に、I-2(220mg、455μmol)、(S)-2-メチルオキシラン(xxx)(79mg、1.37mmol)及びCs2CO3(445mg、1.37mmol)を混合して混合物を得た。混合物を120℃でマイクロ波で1時間照射した。その後、溶液をEAで希釈し、H2Oとブラインで洗浄して、濃縮した。残渣を分取HPLC(移動相:A=H2O(0.1% NH4HCO3)、B=アセトニトリル;勾配:B=18分で15%~95%;カラム:Xtimate(商標)10um 150A 21.2×250mm)で精製し、続いて凍結乾燥して、表題化合物(9)(108mg、収率44%)を白色固体として得た。MS(ES+)C28H31FN10O requires:542,found:543[M+H]+1H-NMR(400MHz,6d-DMSO)δppm8.41(s,2H),8.05(s,1H),8.00(s,1H),7.87(s,1H),7.83(s,1H),7.48-7.44(m,2H),7.25(s,1H),7.14-7.08(m,2H),4.96(d,1H,J=4.4Hz),4.10-4.08(m,4H),4.02-3.98(m,3H),3.92-3.90(m,4H),2.44(s,2H),1.73(s,3H),1.06(d,3H,J=5.6Hz).
【0210】
実施例10:シス-3-(4-(4-(4-(5-((S)-1-アミノ-1-(4-フルオロフェニル)エチル)ピリミジン-2-イル)ピペラジン-1-イル)ピロロ[2,1-f][1,2,4]トリアジン-6-イル)-1H-ピラゾール-1-イル)シクロブタノール(10)
【化29】
【0211】
ステップ1:トランス-3-(ベンジルオキシ)シクロブチル4-メチルベンゼンスルホネート(xxxii)の合成:DCM(20mL)にトランス-3-(ベンジルオキシ)シクロブタノール(xxxi)(300mg、1.7mmol)を溶解した溶液に、TsCl(389mg、2.0mmol)及びTEA(343mg、3.4mmol)を加えた。混合物を室温で16時間撹拌した。溶液をDCMで希釈し、H2Oとブラインで洗浄し、次いで濃縮した。残渣をシリカゲルのフラッシュカラムクロマトグラフィー(PE/EA=5/1)で精製して、表題化合物(xxxii)(315mg、収率56%)を無色の油状物として得た。MS(ES+)C18H20O4S requires:332,found:350[M+18]+
【0212】
ステップ2:シス-3-(ベンジルオキシ)シクロブチル)-4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ピラゾール(xxxiii)の合成:NMP(5mL)に、トランス-3-(ベンジルオキシ)シクロブチル4-メチルベンゼンスルホネート(xxxii)(315mg、0.95mmol)、4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1Hピラゾール(xi)(185mg、0.95mmol)、及びCs2CO3(619mg、1.9mmol)を混合した混合物を、110℃で、マイクロ波を0.5時間照射した。その後、溶液をEAで希釈し、H2Oとブラインで洗浄した。有機層を真空で濃縮し、残渣をシリカゲルのフラッシュカラムクロマトグラフィー(PE/EA=4/1)で精製して、表題化合物(xxxiii)(190mg、収率56%)を無色の油状物として得た。MS(ES+)C20H27BN2O3 requires:354,found:355[M+H]+
【0213】
ステップ3:シス-3-(4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ピラゾール-1-イル)シクロブタノール(xxxiv)の合成:MeOH(5mL)に、シス-3-(ベンジルオキシ)シクロブチル)-4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ピラゾール(xxxiii)(190mg、0.54mmol)を溶解した溶液に、Pd/C(200mg)及びのHOAc(5滴)を加え、溶液をH2(g)で5分間パージし、室温で、H2(g)下、16時間撹拌した。混合物を濾過し、濾液を真空中で蒸発乾固させて、表題化合物(xxxiv)を無色の油状物として得た(85mg、収率60%)。MS(ES+)C13H21BN2O3 requires:264,found:265[M+H]+
【0214】
ステップ4:(シス-3-(4-(4-(4-(5-((S)-1-アミノ-1-(4-フルオロフェニル)エチル)ピリミジン-2-イル)ピペラジン-1-イル)ピロロ[2,1-f][1,2,4]トリアジン-6-イル)-1H-ピラゾール-1-イル)シクロブタノール(10)の合成:DMF/H2O(4mL/1mL)に、シス-3-(4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ピラゾール-1-イル)シクロブタノール(xxxiv)(55mg、0.21mmol)、I-1(104mg、0.21mmol)、Pd(dppf)Cl2(18mg、0.021μmol)及びK2CO3(87mg、0.63)を混合した混合物を、N2で10分間パージし、N2(g)下、で70℃で16時間撹拌した。その後、溶液をEAで希釈し、H2Oとブラインで洗浄して、濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH=8/1)で直接精製した。得られた物質をさらに分取HPLC(移動相:A=H2O(0.1% NH4HCO3)、B=アセトニトリル;勾配:B=18分で15%~95%;カラム:Xtimate(商標)10um 150A 21.2×250mm)で精製し、続いて凍結乾燥して、表題化合物(10)(14.6mg、収率13%)を白色固体として得た。MS(ES+)C29H31FN10O requires:554,found:555[M+H]+1H-NMR(400MHz,6d-DMSO)δppm8.41(s,2H),8.17(s,1H),8.00(s,1H),7.87-7.86(m,2H),7.49-7.45(m,2H),7.26(s,1H),7.19-7.13(m,2H),5.33(d,1H,J=6.4Hz),4.38-4.31(m,1H),4.13-4.06(m,4H),3.99-3.96(m,1H),3.94-3.88(m,4H),2.79-2.71(m,2H),2.34-2.31(m,2H),1.73(s,3H).
【0215】
実施例11:トランス-3-{4-[4-(4-{5-[1-アミノ-1-(4-フルオロ-フェニル)-エチル]-ピリミジン-2-イル}-ピペラジン-1-イル)-ピロロ[2,1-f][1,2,4]トリアジン-6-イル]-ピラゾール-1-イル}-シクロブタノール(11)
【化30】
【0216】
ステップ1:シス-トルエン-4-スルホン酸3-ベンジルオキシ-シクロブチルエステル(xxxvi)の合成:DCM(10mL)に、cis-3-ベンジルオキシ-シクロブタノール(xxxv)(500mg、2.81mmol)及びTEA(851mg、8.43mmol)を溶解した溶液に、4-メチル-ベンゼンスルホニルクロリド(640mg、3.37mmol)を加え、得られた混合物を室温で16時間撹拌した。混合物をブラインで希釈し、DCMで抽出した。有機抽出物を濃縮した。残渣をシリカゲルのフラッシュカラムクロマトグラフィー(PE/EA=11/1)で直接精製して、表題化合物(xxxvi)(490mg、収率53%)を黄色の固体として得た。MS(ES+)C18H20O4S requires:332,found:350[M+18]+
【0217】
ステップ2:トランス-1-(3-ベンジルオキシ-シクロブチル)-4-(4,4,5,5-テトラメチル-[1,3,2]ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ピラゾール(xxxvii)の合成:NMP(15mL)に、シス-トルエン-4-スルホン酸3-ベンジルオキシ-シクロブチルエステル(xxxvi)(500mg、1.51mmol)、4-(4,4,5,5-テトラメチル-[1,3,2]ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ピラゾール(xi)(430mg、2.22mmol)及びCs2CO3(1.47g、4.51mmol)を混合した混合物を、120°Cで、マイクロ波で2時間照射した。その後、溶液をEAで希釈し、H2Oとブラインで洗浄して、濃縮した。残渣をシリカゲルのフラッシュカラムクロマトグラフィー(PE/EA=1/1)で精製して、表題化合物(xxxvii)(227mg、収率42%)を黄色の固体として得た。MS(ES+)C20H27BN2O3 requires:354,found:355[M+H]+
【0218】
ステップ3:トランス-3-[4-(4,4,5,5-テトラメチル-[1,3,2]ジオキサボロラン-2-イル)-ピラゾール-1-イル]-シクロブタノール(xxxviii)の合成:MeOH(10mL)に、トランス-1-(3-ベンジルオキシ-シクロブチル)-4-(4,4,5,5-テトラメチル-[1,3,2]ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ピラゾール(xxxvii)(420mg、1.18mmol)を溶解した溶液に、Pd/C(200mg)及び濃HCl(0.5mL)を加えた。反応混合物をH2(g)下、室温で16時間撹拌した。混合物を濾過し、濾液を濃縮して、表題化合物(xxxviii)(250mg、収率80%)を固体として得た。MS(ES+)C13H21BN2O3 requires:264,found:265[M+H]+
【0219】
ステップ4:トランス-3-{4-[4-(4-{5-[1-アミノ-1-(4-フルオロ-フェニル)-エチル]-ピリミジン-2-イル}-ピペラジン-1-イル)-ピロロ[2,1-f][1,2,4]トリアジン-6-イル]-ピラゾール-1-イル}-シクロブタノール(11)の合成:ジオキサン/H2O(4mL/1mL)に、トランス-3-[4-(4,4,5,5-テトラメチル-[1,3,2]ジオキサボロラン-2-イル)-ピラゾール-1-イル]-シクロブタノール(xxxviii)(200mg、0.76mmol)、I-1(376mg、0.76mmol)、Pd(dppf)Cl2(61.8mg、0.076mmol)及びK2CO3(313mg、2.27mmol)を混合した混合物を、N2(g)で10分間パージし、N2(g)下、70℃で4時間撹拌した。その後、溶液をEAで希釈し、H2Oとブラインで洗浄して、濃縮した。残渣をシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーで精製した。得られた物質をさらに分取HPLC(移動相:A=H2O(0.1% NH4HCO3)、B=アセトニトリル;勾配:B=18分で15%~95%;カラム:Xtimate(商標)10μm 150A 21.2×250mm)で精製し、続いて凍結乾燥して、表題化合物(11)(27.2mg、収率6%)を白色固体として得た。MS(ES+)C29H31FN10O requires:554,found:555[M+H]+1H-NMR(400MHz,6d-DMSO)δppm8.41(s,2H),8.18(s,1H),7.99(d,1H,J=1.2Hz),7.87-7.85(m,2H),7.49-7.45(m,2H),7.24(s,1H),7.15-7.08(m,2H),5.24(d,1H,J=5.2Hz),4.92-4.89(m,1H,),4.50-4.43(m,1H),4.17-4.10(m,4H),3.96-3.90(m,4H),2.67-2.61(m,2H),2.44(s,2H),2.42-2.37(m,2H),1.73(s,3H).
【0220】
実施例12:(S)-1-((4-(4-(4-(5-(1-アミノ-1-(4-フルオロフェニル)エチル)ピリミジン-2-イル)ピペラジン-1-イル)ピロロ[2,1-f][1,2,4]トリアジン-6-イル)-1H-ピラゾール-1-イル)メチル)シクロプロパン-1-オール(12)
【化31】
【0221】
ステップ1:2-(4-ブロモ-1H-ピラゾール-1-イル)アセテートエチル(xl)の合成:エチル2-クロロアセテート(25mL)に、4-ブロモ-1H-ピラゾール(xxxix)(8.0g、55mmol)及びK2CO3(15.2g、110mmol)を混合した混合物を、80℃で15時間撹拌した。反応混合物を冷却し、EAで希釈し、H2Oで洗浄した。有機層を蒸発させ、残渣をシリカゲルのクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル=5:1)で精製して、表題化合物(xl)(8.5g、収率66%)を淡黄色の油状物として得た。MS(ES+)C7H9BrN2O2 requires:232,found:233[M+H]+
【0222】
ステップ2:エチル1-((4-ブロモ-1H-ピラゾール-1-イル)メチル)シクロプロパン-1-オール(xli)の合成:無水THF(60mL)に、2-(4-ブロモ-1H-ピラゾール-1-イル)酢酸エチル(xl)(7.0g、30mmol)及びテトライソプロパノール酸チタン(4.26g、15mmol)を溶解した溶液に、臭化エチルマグネシウムの溶液(ヘキサン中3M、30mL、90mmol)を60℃で2時間かけて滴下した。同じ温度で2時間撹拌した後、反応混合物をEAで希釈し、1N HCl水溶液とH2Oで連続して洗浄した。.有機層を蒸発させ、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル=20:1~3:1)で精製して、表題化合物(xli)(1.3g、収率20%)を黄色の個体として得た。MS(ES+)C7H9BrN2O requires:216,found:217[M+H]+
【0223】
ステップ3:4-ブロモ-1-[1-(テトラヒドロ-ピラン-2-イルオキシ)-シクロプロピルメチル]-1H-ピラゾール(xlii)の合成:DCM(8mL)に、1-[(4-ブロモ-1H-ピラゾール-1-イル)メチル]シクロプロパン-1-オール(xli)(300mg、1.38mmol)及び3,4-ジヒドロ-2H-ピラン(348mg、4.14mmol)を溶解した溶液に、室温でピリジニウムパラトルエンスルホネート(346mg、1.38mmol)を加えた。混合物を4時間撹拌し、次にブラインで希釈し、DCMで洗浄した。有機層を濃縮し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(PE/EA=10:1)で精製して、表題化合物(xlii)(200mg、収率48%)を白色固体として得た。MS(ES+)C12H17BrN2O2 requires:300,found:217[M-THP+H]+
【0224】
ステップ4:1-(4-フルオロ-フェニル)-1-{2-[4-(6-{1-[1-(テトラヒドロ-ピラン-2-イルオキシ)-シクロプロピルメチル]-1H-ピラゾール-4-イル}-ピロロ[2,1-f][1,2,4]トリアジン-4-イル)-ピペラジン-1-イル]-ピリミジン-5-イル}-エチルアミン(xliii)の合成:1,4-ジオキサン(3ml)、H2O(1mL)及びDMF(0.5mL)の混合物に、4-ブロモ-1-{[1-(オキサン-2-イルオキシ)シクロプロピル]メチル}-1H-ピラゾール(xlii)(160mg、0.531mmol)、I-3(577mg、1.06mmol)、Pd(DPPF)Cl2(77.5mg、106μmol)及びNa2CO3(168mg、1.59mmol)を混合した混合物を、N2(g)下、80℃で3時間撹拌した。その後、溶液をEAで希釈し、H2Oとブラインで洗浄して、濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(酢酸エチル/メタノール=4:1)で精製して、表題化合物(270mg、収率50%)を褐色の固体として得た。MS(ES+)C34H39FN10O2 requires:621,found:622[M+H]+
【0225】
ステップ5:1-{4-[4-(4-{5-[1-アミノ-1-(4-フルオロ-フェニル)-エチル]-ピリミジン-2-イル}-ピペラジン-1-イル)-ピロロ[2,1-f][1,2,4]トリアジン-6-イル]-ピラゾール-1-イルメチル}-シクロプロパノール(12)の合成:MeOH(4mL)に1-(4-フルオロ-フェニル)-1-{2-[4-(6-{1-[1-(テトラヒドロ-ピラン-2-イルオキシ)-シクロプロピルメチル]-1H-ピラゾール-4-イル}-ピロロ[2,1-f][1,2,4]トリアジン-4-イル)-ピペラジン-1-イル]-ピリミジン-5-イル}-エチルアミン(xliii)(200mg、0.32mmol)を溶解した溶液に、室温でp-トルエンスルホン酸(180mg、1.04mmol)を加え、得られた混合物を2時間撹拌した。反応混合物を濃縮し、残渣を分取HPLC(移動相:A=H2O(10mM NH4HCO3&0.025%NH3・H2O)、B=アセトニトリル;勾配:7分で51~56% B、15分で停止;カラム:アゲラデュラシェルC18(L)21.2*250mm、10μm、150Å)で精製し、続いて凍結乾燥して、表題化合物(12)(56mg、収率31%)を白色固体として得た。MS(ES+)C29H31FN10O requires:554,found:555[M+H]+1H-NMR(400MHz,DMSO-d6)δppm8.40(s,2H),8.10(s,1H),8.02(s,1H),7.87(s,1H),7.82(s,1H),7.48-7.44(m,2H),7.25(s,1H),7.13-7.08(m,2H),5.57(s,1H),4.17(s,2H),4.13-4.05(m,4H),3.95-3.85(m,4H),1.73(s,3H),0.69-0.66(m,4H).
【0226】
実施例13:(S)-(1-(4-(4-(4-(5-(1-アミノ-1-(4-フルオロフェニル)エチル)ピリミジン-2-イル)ピペラジン-1-イル)ピロロ[2,1-f][1,2,4]トリアジン-6-イル)-1H-ピラゾール-1-イル)シクロプロピル)メタノール(13)
【化32】
【0227】
ステップ1:1-(4-ブロモ-1H-ピラゾール-1-イル)シクロプロパンカルボン酸メチル(xiv)の合成:THF(50mL)に4-ブロモ-1H-ピラゾール(xxxix)(2.0g、13.70mmol)を溶解した溶液に、0℃でNaH(1.20g、30.14mmol)を加えた。溶液を室温で1時間撹拌し、次にメチル2,4-ジブロモブタノエート(xliv)(3.53g、13.70mmol)を溶液に加えた。混合物を16時間撹拌し、次にEAで希釈した。有機層をH2Oで洗浄し、ブラインで洗浄し、そして真空中で濃縮した。残渣をシリカゲルのフラッシュカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル=2/1)で精製して、表題化合物(xiv)(570mg、収率17%)を白色固体として得た。MS(ES+)C8H9BrN2O2 requires:244,found:245[M+H]+
【0228】
ステップ2:(1-(4-ブロモ-1H-ピラゾール-1-イル)シクロプロピル)メタノール(xlvii)の合成:MeOH(15mL)にメチル1-(4-ブロモ-1H-ピラゾール-1-イル)シクロプロパンカルボキシレート(xiv)(550mg、2.25mmol)を溶解した溶液に、NaBH4(257mg、6.75mmol)を加え、得られた混合物を50℃で36時間撹拌した。反応混合物をDCMで希釈し、H2O及びブラインで順番に洗浄して、真空中で濃縮した。残渣をシリカゲルのフラッシュカラムクロマトグラフィー(PE/EA=1/1)で精製して、表題化合物(xlvii)(300mg、収率62%)を白色固体として得た。MS(ES+)C7H9BrN2O requires:216,found:217[M+H]+
【0229】
ステップ3:(S)-(1-(4-(4-(4-(5-(1-アミノ-1-(4-フルオロフェニル)エチル)ピリミジン-2-イル)ピペラジン-1-イル)ピロロ[2,1-f][1,2,4]トリアジン-6-イル)-1H-ピラゾール-1-イル)シクロプロピル)メタノール(13)の合成:THF/H2O(8mL/2mL)に、(1-(4-ブロモ-1H-ピラゾール-1-イル)シクロプロピル)メタノール(xlvii)(100mg、463μmol)、調製3で説明したように調製した)I-3(380mg、695μmol)、Pd(t-Bu3P)2(47mg、93μmol)及びCs2CO3(452mg、1.39mmol)を混合した混合物を、N2(g)で10分間パージし、N2(g)下、80℃で12時間撹拌した。その後、溶液をEAで希釈し、H2Oとブラインで洗浄して、濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH=10/1)で精製した。得られた物質をさらに分取HPLC(移動相:A=H2O(0.1% NH4HCO3)、B=アセトニトリル;勾配:B=18分で15%~95%;カラム:Xtimate(商標)10μm 150A 21.2×250mm)で精製し、続いて凍結乾燥して、表題化合物(13)(57.3mg、収率22%)を白色固体として得た。MS(ES+)C29H31FN10O requires:554,found:555[M+H]+1H-NMR(400MHz,6d-DMSO)δppm8.41(s,2H),8.15(s,1H),8.00(d,1H,J=1.6Hz),7.87(s,1H),7.83(s,1H),7.48-7.44(m,2H),7.27(d,1H,J=1.6Hz),7.14-7.08(m,2H),5.00(t,1H,J=5.6Hz),4.10-4.08(m,4H),3.92-3.90(m,4H),3.66(d,2H,J=5.6Hz),2.43(s,2H),1.73(s,3H),1.13-1.11(m,2H),1.05-1.02(m,2H).
【0230】
実施例14:(S)-1-(4-フルオロフェニル)-1-(2-(4-(6-(1-((R)-テトラヒドロフラン-3-イル)-1H-ピラゾール-4-イル)ピロロ[2、1-f][1,2,4]トリアジン-4-イル)ピペラジン-1-イル)ピリミジン-5-イル)エタンアミン(14)
【化33】
【0231】
ステップ1:(S)-テトラヒドロフラン-3-イルメタンスルホン酸(xlix)の合成:DCM(20mL)に、テトラヒドロフラン-3-オール(xlviii)(2.0g、22.7mmol)及びTEA(4.6g、45.4mmol)を溶解した溶液に、室温でMsCl(4.7g、25.0mmol)を加えた。混合物を室温で16時間撹拌した。次に、反応混合物をDCMで希釈し、H2O及びブラインで順番に洗浄し、無水Na2SO4で乾燥し、濃縮乾固して、表題化合物(xlix)(2.0g、粗製)を黄色の油状物として得た。
【0232】
ステップ2:(R)-1-(テトラヒドロフラン-3-イル)-4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ピラゾール(l)の合成:NMP(50mL)に(S)-テトラヒドロフラン-3-イルメタンスルホン酸(xlviii)(1.9g、11.4mmol)を溶解した溶液に、室温で4-(4,4,5,5-テトラメチル-[1,3、2]ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ピラゾール(xi)(3.3g、17.2mmol)及びCs2CO3(11.2g、34.3mmol)を加えた。混合物を120℃で2時間撹拌した。溶液をEAで希釈し、H2O及びブラインで順番に洗浄し、そして真空中で濃縮した。残渣をシリカゲルのフラッシュカラムクロマトグラフィー(PE/EA=4/1)で精製して、表題化合物(1)(2.3g、収率76%)を無色の油状物として得た。MS(ES+)C13H21BN2O3 requires:264,found:265[M+H]+
【0233】
ステップ3:(S)-1-(4-フルオロフェニル)-1-(2-(4-(6-(1-((R)-テトラヒドロフラン-3-イル)-1H-ピラゾール-4-イル)ピロロ[2,1-f][1,2,4]トリアジン-4-イル)ピペラジン-1-イル)ピリミジン-5-イル)エタンアミン(14)の合成:DMF(2mL)及びH2O(0.5mL)に、(R)-1-(テトラヒドロ-フラン-3-イル)-4-(4,4,5,5-テトラメチル-[1,3,2]ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ピラゾール(l)(80mg、0.3mmol)、I-1(150mg、0.3mmol)、Pd(dppf)Cl2(50mg、0.06mmol)及びK2CO3(125mg、0.9mmol)を混合した混合物、N2(g)下、80℃で16時間撹拌した。その後、溶液をEAで希釈し、H2Oとブラインで洗浄して、濃縮した。残渣をシリカゲルのフラッシュカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH=16/1)で精製した。得られた物質を続いて分取HPLC(移動相:A=H2O(0.1% NH4HCO3)、B=アセトニトリル;勾配:B=18分で15%~95%;カラム:Xtimate(商標)10um 150A 21.2×250mm)で精製し、続いて凍結乾燥して、表題化合物(14)(65mg、38%収率)を白色固体として得た。MS(ES+)C29H31FN10O requires:554,found:555[M+H]+1H-NMR(400MHz,6d-DMSO)δppm8.41(s,2H),8.16(s,1H),8.01(s,1H),7.87(s,2H),7.49-7.45(m,2H),7.26(s,1H),7.14-7.08(m,2H),5.05-4.99(m,1H),4.10-4.04(m,4H),4.02-3.98(m,2H),3.94-3.82(m,6H),2.44-2.28(m,4H),1.73(s,3H).
【0234】
実施例15:(S)-1-(4-フルオロフェニル)-1-(2-(4-(6-(1-((S)-テトラヒドロフラン-3-イル)-1H-ピラゾール-4-イル)ピロロ[2、1-f][1,2,4]トリアジン-4-イル)ピペラジン-1-イル)ピリミジン-5-イル)エタンアミン(15)
【化34】
【0235】
ステップ1:(R)-テトラヒドロフラン-3-イルメタンスルホン酸(lii)の合成:DCM(20mL)に、(R)-テトラヒドロフラン-3-オール(li)(1.0g、11.4mmol)及びTEA(2.3g、23mmol)を溶解した溶液に、室温でMsCl(1.43g、12.5mmol)を加え、得られた混合物を室温で6時間撹拌した。反応混合物をDCMで希釈し、H2O及びブラインで順番に洗浄し、濃縮して、表題化合物(lii)(1.4g、粗製)を無色の油状物として得た。
【0236】
ステップ2:(S)-1-(4-フルオロフェニル)-1-(2-(4-(6-(1-((S)-テトラヒドロフラン-3-イル)-1H-ピラゾール-4-イル)ピロロ[2,1-f][1,2,4]トリアジン-4-イル)ピペラジン-1-イル)ピリミジン-5-イル)エタンアミン(15)の合成:NMP(10mL)に、I-2(300mg、0.62mmol)、(R)-テトラヒドロフラン-3-イルメタンスルホネート(LII)(155mg、0.93mmol)及びCs2CO3(600mg、1.89mmol)を混合した混合物を、120℃で16時間撹拌した。その後、溶液をEAで希釈し、H2Oとブラインで洗浄して、濃縮した。残渣を分取HPLC(移動相:A=H2O(0.1% NH4HCO3)、B=アセトニトリル;勾配:B=18分で15%~95%;カラム:Xtimate(商標)10um 150A 21.2×250mm)で直接精製し、続いて凍結乾燥して、表題化合物(15)(133.5mg、収率39%)を白色固体として得た。MS(ES+)C29H31FN10O requires:554,found:555[M+H]+1H-NMR(400MHz,6d-DMSO)δppm8.41(s,2H),8.17(s,1H),8.02(d,1H,J=0.8Hz),7.88(s,2H),7.52-7.44(m,2H),7.26(s,1H),7.11(t,2H,J=17.6Hz),5.08-4.99(m,1H),4.16-4.05(m,4H),4.04-3.97(m,2H),3.96-3.88(m,5H),3.87-3.80(m,1H),2.48-2.43(m,2H),2.43-2.36(m,1H),2.32-2.25(m,1H),1.74(s,3H).
【0237】
実施例16:(S)-1-(4-フルオロフェニル)-1-(2-(4-(6-(1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-1H-ピラゾール-4-イル)ピロロ[2、1-f][1,2,4]トリアジン-4-イル)ピペラジン-1-イル)ピリミジン-5-イル)エタン-1-アミン(16)
【化35】
【0238】
ステップ1:テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イルメタンスルホン酸(liv)の合成:DCM(100mL)に、テトラヒドロ-2H-ピラン-4-オール(liii)(3.20g、31.3mmol)及びTEA(9.51g、94.0mmol)を溶解した溶液に、MsCl(5.38g、47.0mmol)を0℃で加えた。反応物を室温で3時間撹拌し、次にDCMで希釈し、飽和Na2CO3水溶液で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させた。溶媒を除去して、表題化合物(liv)(3.2g、粗製)を黄色の油状物として得た。
【0239】
ステップ2:1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ピラゾール(lv)の合成:NMP(50mL)に、テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イルメタンスルホネート(liv)(3.20g、17.7mmol)、4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ピラゾール(4.13g、21.3mmol)及びCs2CO3(8.68g、26.6mmol)を混合した混合物を、80℃で4時間撹拌した。反応混合物をDCMで希釈し、ブラインで洗浄した。有機層を真空中で蒸発させた。残渣をシリカゲルのフラッシュカラムクロマトグラフィー(PE/EA=5/1)で精製して、表題化合物(lv)(1.2g、収率24%)を得た。MS(ES+)C14H23BN2O3 requires:278,found:279[M+H]+
【0240】
ステップ3:(S)-1-(4-フルオロフェニル)-1-(2-(4-(6-(1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-1H-ピラゾール-4-イル)ピロロ[2,1-f][1,2,4]トリアジン-4-イル)ピペラジン-1-イル)ピリミジン-5-イル)エタン-1-アミン(16)の合成:DMF/H2O(10mL/2ml)に、I-1(300mg、603μmol)、1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-yl)-1H-ピラゾール(lv)(210mg、754μmol)、K2CO3(104mg、754μmol)及びPd(dppf)Cl2(30mg、41μmol)を混合した混合物を、N2(g)下、70℃で4時間撹拌した。その後、溶液をEAで希釈し、H2Oとブラインで洗浄して、濃縮した。残渣を分取HPLC(移動相:A=H2O(0.1% NH4HCO3)、B=アセトニトリル;勾配:B=18分で15%~95%;カラム:Xtimate(商標)10um 150A 21.2×250mm)で精製し、続いて凍結乾燥して、表題化合物(16)(40.2mg、収率6%)を白色固体として得た。MS(ES+)C30H33FN10O requires:568,found:569[M+H]+1H NMR(400MHz,6d-DMSO)δppm8.41(s,2H),8.19(s,1H),7.99(s,1H),7.88(s,1H),7.86(s,1H),7.48-7.45(m,2H,),7.24(s,1H),7.13-7.09(m,2H),4.42-4.37(m,1H),4.12-4.40(m,4H),3.99-3.96(m,2H),3.92-3.90(m,4H),3.52-3.46(m,2H),2.43(s,2H),2.05-1.92(m,4H),1.73(s,3H).
【0241】
実施例17:(3R,4R)-4-(4-(4-(4-(5-((S)-1-アミノ-1-(4-フルオロフェニル)エチル)ピリミジン-2-イル)ピペラジン-1-イル)ピロロ[2,1-f][1,2,4]トリアジン-6-イル)-1H-ピラゾール-1-イル)テトラヒドロフラン-3-オール(17)
【化36】
【0242】
ステップ1:rac-trans-4-(4-ブロモ-1H-ピラゾール-1-イル)テトラヒドロフラン-3-オール(lvii)の合成:NMP(100mL)に、3,6-ジオキサビシクロ[3.1.0]ヘキサン(lvi)(5.2g、60.5mmol)、4-ブロモ-1H-ピラゾール(xxxix)(8.8g、60.5mmol)及びCs2CO3(39.3g、121mmol)を溶解した溶液を、120℃で16時間撹拌した。溶液を冷却し、DCMで希釈し、次にH2Oとブラインで洗浄した。有機層を濃縮し、シリカゲルのフラッシュカラムクロマトグラフィー(PE/EA=3/1)によって精製して、表題化合物(lvii)(10g、収率71%)を無色の固体として得た。MS(ES+)C7H9BrN2O2 requires:232,found:233[M+18]+
【0243】
ステップ2:rac-cis-4-(4-ブロモ-1H-ピラゾール-1-イル)テトラヒドロフラン-3-イル4-ニトロベンゾエート(lviii)の合成:THF(50mL)に、rac-trans-4-(4-ブロモ-1H-ピラゾール-1-イル)テトラヒドロフラン-3-オール(lvii)(2.7g、11.6mmol)、4-ニトロ安息香酸(1.95g、11.6mmol)、アゾジカルボン酸ジイソプロピル(3.53mg、17.4mmol)及びトリフェニルホスフィン(4.57g、17.4mmol)を混合した混合物を、室温で16時間撹拌した。溶液をEAで希釈し、H2Oとブラインで洗浄した。有機層を濃縮し、シリカゲルのフラッシュカラムクロマトグラフィー(PE/EA=3/1)によって精製して、表題化合物(lviii)(4g、収率90%)を無色の固体として得た。MS(ES+)C14H12BrN3O5 requires:381,found:382[M+H]+
【0244】
ステップ3:(3S,4S)-4-(4-ブロモ-1H-ピラゾール-1-イル)テトラヒドロフラン-3-オール(1x)(ピーク1)及び(3R,4R)-4-(4-ブロモ-1H)-ピラゾール-1-イル)テトラヒドロフラン-3-オール(lxi)(ピーク2)の合成:MeOH/THF/H2O(30mL/30mL/30mL)に、rac-cis-4-(4-ブロモ-1H-ピラゾール-1-イル)テトラヒドロフラン-3-イル4-ニトロ安息香酸(lvii)(4g、10.5mmol)及び水酸化リチウム(2.2g、52.5mmol)を混合した混合物を、室温で4時間撹拌した。得られた混合物をEAで希釈し、H2Oとブラインで洗浄し、真空中で濃縮した。残渣をシリカゲルのフラッシュカラムクロマトグラフィー(PE/EA=3/1=3/1)で精製して、rac-cis-4-(4-ブロモ-1H-ピラゾール-1-イル)テトラヒドロフラン-3-オール(1.3g、収率53%)を無色の固体として得た。MS(ES+)C7H9BrN2O2 requires:232,found:233[M+H]+この材料は、SFC(カラム:AD20*250mm、10μm(ダイセル);移動相:CO2/MeOH(メタノール中0.2%アンモニア)=60/40;流量:80g/min)によってキラル分離にかけ、ピーク1(lx)(500mg)及びピーク2(lxi)(500mg)を得た。ピーク1を、(3S,4S)-4-(4-ブロモ-1H-ピラゾール-1-イル)テトラヒドロフラン-3-オールとして任意に割り当て、ピーク2を、(3R,4R)-4-(4-)ブロモ-1H-ピラゾール-1-イル)テトラヒドロフラン-3-オールとして任意に割り当てた。
【0245】
ステップ4:(3R,4R)-4-(4-(4-(4-(5-((S)-1-アミノ-1-(4-フルオロフェニル)エチル)ピリミジン-2-イル)ピペラジン-1-イル)ピロロ[2,1-f][1,2,4]トリアジン-6-イル)-1H-ピラゾール-1-イル)テトラヒドロフラン-3-オール(17)の合成:ジオキサン/H2O(8mL/2mL)に、(3R,4R)-4-(4-ブロモ-1H-ピラゾール-1-イル)テトラヒドロフラン-3-オール(lxi)(70mg、0.3mmol)(ステップ3のピーク2)、I-3(328.3mg、0.6mmol)、Pd[(t-Bu)3P]2(31mg、0.06mmol)及びNa2CO3(96mg、0.9mmol)を混合した混合物を、90℃で4時間撹拌した。冷却後、溶液をEAで希釈し、H2Oとブラインで洗浄し、濃縮した。残渣をシリカゲルのフラッシュカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH=10/1)で精製して、表題化合物(17)(106.3mg、収率62%)を白色固体として得た。MS(ES+)C29H31FN10O2 requires:570,found:571,554[M+H]+1H-NMR(400MHz,6d-DMSO)δppm8.41(s,2H),8.15(s,1H),8.03(s,1H),7.88(s,1H),7.87(s,1H),7.52-7.42(m,2H),7.28(s,1H),7.17-7.10(m,2H),5.33(d,1H,J=4.8Hz),4.92-4.83(m,1H),4.46-4.38(m,1H),4.21-4.05(m,6H),4.01(m,1H),3.95-3.85(m,4H),3.73(m,1H),2.45(s,2H),1.73(s,3H).
【0246】
実施例18:(3R,4S)-4-(4-(4-(4-(5-((S)-1-アミノ-1-(4-フルオロフェニル)エチル)ピリミジン-2-イル)ピペラジン-1-イル)ピロロ[2,1-f][1,2,4]トリアジン-6-イル)-1H-ピラゾール-1-イル)テトラヒドロフラン-3-オール(18)
【化37】
【0247】
ステップ1:rac-trans-4-(4-ブロモ-1H-ピラゾール-1-イル)テトラヒドロフラン-3-オール(lvii)のキラル分離:rac-trans-4-(4-ブロモ-1H-ピラゾール-1-イル)テトラヒドロフラン-3-オール(1.1g)(実施例17のステップ1から)をSFC(カラム:AD20*250mm、10μm(ダイセル);移動相:CO2/MeOH(メタノール中0.2%アンモニア)=80/40;流量:80g/min)によってキラル分離にかけ、ピーク1(lxiii)(400mg)及びピーク2(lxiv)(500mg)を得た。ピーク1を、(3R,4S)-4-(4-ブロモ-1H-ピラゾール-1-イル)テトラヒドロフラン-3-オールとして任意に割り当て、ピーク2を、(3S,4R)-4-(4-ブロモ-1H-ピラゾール-1-イル)テトラヒドロフラン-3-オールとして任意に割り当てた。
【0248】
ステップ2:(3R,4S)-4-(4-(4-(4-(5-((S)-1-アミノ-1-(4-フルオロフェニル)エチル)ピリミジン-2-イル)ピペラジン-1-イル)ピロロ[2,1-f][1,2,4]トリアジン-6-イル)-1H-ピラゾール-1-イル)テトラヒドロフラン-3-オール(18)の合成:ジオキサン/H2O(8mL/2mL)に、(3R,4S)-4-(4-ブロモ-1H-ピラゾール-1-イル)テトラヒドロフラン-3-オール(70mg、0.3mmol)(lxiii)(ステップ1のピーク1)、I-3の混合物(328.3mg、0.6mmol)、Pd[(t-Bu)3P]2(31mg、0.06mmol)及びNa2CO3(96mg、0.9mmol))を混合した混合物を、N2で脱気し、90℃で4時間撹拌した。その後、溶液をDCMで希釈し、H2Oとブラインで洗浄して、濃縮した。残渣をシリカゲルのフラッシュカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH=10/1)で精製して、表題化合物(18)(55.6mg、収率33%)を白色固体として得た。MS(ES+)C29H31FN10O2 requires:570,found:571,554[M+H]+、[M+H-NH3]+1H-NMR(400MHz,6d-DMSO)δppm8.41(s,2H),8.15(s,1H),8.03(s,1H),7.91(s,1H),7.88(s,1H),7.51-7.43(m,2H),7.28(s,1H),7.16-7.07(m,2H),5.66(d,1H,J=4Hz),4.75-4.67(m,1H),4.51-4.42(m,1H),4.20(m,1H),4.15-3.99(m,6H),3.96-3.85(m,4H),3.63(m,1H),2.47(s,2H),1.73(s,3H).
【0249】
実施例19:(3S,4R)-4-(4-(4-(4-(5-((S)-1-アミノ-1-(4-フルオロフェニル)エチル)ピリミジン-2-イル)ピペラジン-1-イル)ピロロ[2,1-f][1,2,4]トリアジン-6-イル)-1H-ピラゾール-1-イル)テトラヒドロフラン-3-オール(19)
【化38】
【0250】
ジオキサン/H2O(8mLの/2mL)に、(3S,4R)-4-(4-ブロモ-1H-ピラゾール-1-イル)テトラヒドロフラン-3-オール(70mg、0.3mmol)(lxiv)(実施例22のステップ1のピーク2)、I-3(328.3mg、0.6mmol)、Pd[(T-BU)3P]2(31mg、0.06mmol)及びNa2CO3(96mg、0.9mmol)を混合した混合物を、N2で脱気し、90℃で4時間撹拌した。その後、溶液をEAで希釈し、H2Oとブラインで洗浄して、濃縮した。残渣をシリカゲルのフラッシュカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH=10/1)で精製して、表題化合物(19)(51.9mg、収率31%)を白色固体として得た。MS(ES+)C29H31FN10O2 requires:570,found:571,554[M+H]+及び[M+H-NH3]+1H-NMR(400MHz,6d-DMSO)δppm8.41(s,2H),8.15(s,1H),8.03(s,1H),7.91(s,1H),7.88(s,1H),7.52-7.43(m,2H),7.28(s,1H),7.19-7.06(m,2H),5.66(d,1H,J=4.4Hz),4.75-4.66(m,1H),4.51-4.41(m,1H),4.20(m,1H),4.16-3.99(m,6H),3.97-3.83(m,4H),3.63(dd,1H,J=9.6Hz,J=2.8Hz),2.54(s,2H),1.73(s,3H).
【0251】
実施例20:(3S,4S)-4-(4-(4-(4-(5-((S)-1-アミノ-1-(4-フルオロフェニル)エチル)ピリミジン-2-イル)ピペラジン-1-イル)ピロロ[2,1-f][1,2,4]トリアジン-6-イル)-1H-ピラゾール-1-イル)テトラヒドロフラン-3-オール(20)
【化39】
【0252】
ジオキサン/H2O(8mL/2mL)に、(3S,4S)-4-(4-ブロモ-1H-ピラゾール-1-イル)テトラヒドロフラン-3-オール(lxiii)(50mg、0.22mmol)(実施例21のステップ3のピーク1)、I-3(234.5mg、0.44mmol)、Pd[(t-Bu)3P]2(22mg、0.044mmol)及びNa2CO3(68mg、0.66mmol)を混合した混合物を、90℃で4時間撹拌した。冷却後、溶液をEAで希釈し、H2Oとブラインで洗浄し、濃縮した。残渣をシリカゲルのフラッシュカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH=10/1)で精製して、表題化合物(20)(74.6mg、収率61%)を白色固体として得た。MS(ES+)C29H31FN10O2 requires:570,found:571,554[M+H]+1H-NMR(400MHz,6d-DMSO)δppm8.41(s,2H),8.15(s,1H),8.03(d,1H,J=1.6Hz),7.88(s,1H),7.87(s,1H),7.51-7.44(m,2H),7.28(d,1H,J=1.2Hz),7.17-7.10(m,2H),5.33(d,1H,J=5.6Hz),4.93-4.83(m,1H),4.47-4.38(m,1H),4.20-4.06(m,6H),4.01(m,1H),3.95-3.88(m,4H),2.45(s,2H),3.73(m,1H),1.76(s,3H).
【0253】
実施例21:(1S,2S)-2-(4-(4-(4-(5-((S)-1-アミノ-1-(4-フルオロフェニル)エチル)ピリミジン-2-イル)ピペラジン-1-イル)ピロロ[2,1-f][1,2,4]トリアジン-6-イル)-1H-ピラゾール-1-イル)シクロブタノール(21)
【化40】
【0254】
ステップ1:トランス-2-(ベンジルオキシ)シクロブタノール及びシス-2-(ベンジルオキシ)シクロブタノールの合成:MeOH(20mL)に2-(ベンジルオキシ)シクロブタノン(1.0g、5.7mmol)を溶解した溶液に、0℃でNaBH4(432mg、11.4mmol)を加えた。次に、溶液を室温で3時間撹拌した。混合物をEAで希釈し、水とブラインで洗浄し、次に有機層を濃縮し、シリカゲルでのフラッシュカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル=5/1)で精製して、(任意にシス-2-(ベンジルオキシ)シクロブタノールに割り当てた)ピーク1の400mgを無色の油状物として得、(任意にトランス-2-(ベンジルオキシ)シクロブタノールに割り当てた)ピーク2の400mgを無色の油状物として得た。MS(ES+)C11H14O2 requires:178,found:179[M+H]+
【0255】
ステップ2:シス-2-(ベンジルオキシ)シクロブチルメタンスルホン酸の合成:DCM(10mL)にcis-2-(ベンジルオキシ)シクロブタノール(270mg、1.52mmol)を溶解した溶液に、0℃で塩化メシル(259mg、2.28mmol)及びトリエチルアミン(459mg、4.56mmol)を加えた。混合物を室温で3時間撹拌した。その後、溶液をDCMで希釈し、水とブラインで洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させ、濃縮して、表題化合物(300mg、収率77%)を無色の油状物として得た。MS(ES+)C12H16O4S requires:256,found:274[M+18]+
【0256】
ステップ3:トランス-2-(ベンジルオキシ)シクロブチル)-4-ブロモ-1H-ピラゾールの合成:DMF(8mL)に、シス-2-(ベンジルオキシ)シクロブチルメタンスルホン酸(300mg、1.17mmol)、4-ブロモ-1H-ピラゾール(171mg、1.17mmol)及びCs2CO3(1.15g、3.51mmol)を混合した混合物を、100℃で16時間撹拌した。その後、溶液をEAで希釈し、水とブラインで洗浄し、無水Na2SO4で乾燥し、濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(PE/EA=5/1)で精製して、表題化合物(170mg、収率47%)を無色の油状物として得た。MS(ES+)C14H15BrN2O requires:306,found:307[M+H]+トランス-2-(ベンジルオキシ)シクロブチル)-4-ブロモ-1H-ピラゾールのキラル分離:トランス-2-(ベンジルオキシ)シクロブチル)-4-ブロモ-1H-ピラゾール(600mg)をSFC(カラム:IG20*250mm、10μm(ダイセル);移動相:CO2/MeOH(メタノール中0.2%アンモニア)=75/25;流量:4g/min)によってキラル分離し、ピーク1(250mg)とピーク2(250mg)を得た。ピーク1を、1-((1S,2S)-2-(ベンジルオキシ)シクロブチル)-4-ブロモ-1H-ピラゾールに任意に割り当て、ピーク2を、1-((1R,2R)-2-(ベンジルオキシ)シクロブチル)-4-ブロモ-1H-ピラゾールに任意に割り当てた。
【0257】
ステップ4:(1S,2S)-2-(4-ブロモ-1H-ピラゾール-1-イル)シクロブタノールの合成:TFA(2mL)に1-((1S,2S)-2-(ベンジルオキシ)シクロブチル)-4-ブロモ-1H-ピラゾール(250mg、820μmol)を溶解した溶液を、80℃で16時間撹拌した。その後、溶液を濃縮し、シリカゲルのフラッシュカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル=3/1)で精製して、表題化合物(120mg、収率68%)を白色固体として得た。MS(ES+)C7H9BrN2O requires:216,found:217[M+H]+
【0258】
ステップ5:(1S,2S)-2-(4-(4-(4-(5-((S)-1-アミノ-1-(4-フルオロフェニル)エチル)ピリミジン-2-イル)ピペラジン-1-イル)ピロロ[2,1-f][1,2,4]トリアジン-6-イル)-1H-ピラゾール-1-イル)シクロブタノールの合成:ジオキサン/H2O(8mL/2mL)に、(1S,2S)-2-(4-ブロモ-1H-ピラゾール-1-イル)シクロブタノール(120mg、556μmol)、I-3(362mg、667μmol)、Pd(t-Bu3P)2(50mg、99μmol)及びCs2CO3(362mg、1.12mmol)を混合した混合物を、N2で10分間パージし、N2下、90℃で4時間撹拌した。その後、溶液をDCMで希釈し、H2Oとブラインで洗浄して、濃縮した。残渣をシリカゲルのフラッシュカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH=10/1)で精製した。得られた物質をさらに分取HPLC(移動相:A=H2O(0.1% NH4HCO3)、B=アセトニトリル;勾配:B=18分で32%~62%;カラム:Xtimate(商標)10um 150A 21.2×250mm)で精製し、続いて凍結乾燥して、表題化合物(52.6mg、収率17%)を白色固体として得た。MS(ES+)C29H31FN10O requires:554,found:555[M+H]+1H-NMR(400MHz,6d-DMSO)δppm8.41(s,2H),8.19(s,1H),8.00(d,1H,J=1.6Hz),7.88(s,2H),7.48-7.44(m,2H),7.26(d,1H,J=1.6Hz),7.14-7.08(m,2H),5.67(d,1H,J=7.2Hz),4.46-4.39(m,1H),4.34-4.26(m,1H),4.10-4.06(m,4H),3.92-3.90(m,4H),2.44(s,2H),2.16-2.10(m,2H),1.89-1.79(m,1H),1.73(s,3H),1.62-1.52(m,1H).
【0259】
実施例22:(1R,2R)-2-(4-(4-(4-(5-((S)-1-アミノ-1-(4-フルオロフェニル)エチル)ピリミジン-2-イル)ピペラジン-1-イル)ピロロ[2,1-f][1,2,4]トリアジン-6-イル)-1H-ピラゾール-1-イル)シクロブタノール(22)
【化41】
【0260】
ステップ1:(1R,2R)-2-(4-ブロモ-1H-ピラゾール-1-イル)シクロブタノールの合成:TFA(2mL)に1-((1R,2R)-2-(ベンジルオキシ)シクロブチル)-4-ブロモ-1H-ピラゾール(250mg、820μmol)(実施例21のステップ3のピーク2から)を溶解した溶液を、80℃で16時間撹拌した。その後、溶液を濃縮し、シリカゲルのフラッシュカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル=3/1)で精製して、表題化合物(120mg、収率68%)を白色固体として得た。MS(ES+)C7H9BrN2O requires:216,found:217[M+H]+
【0261】
ステップ2:(1R,2R)-2-(4-(4-(4-(5-((S)-1-アミノ-1-(4-フルオロフェニル)エチル)ピリミジン-2-イル)ピペラジン-1-イル)ピロロ[2,1-f][1,2,4]トリアジン-6-イル)-1H-ピラゾール-1-イル)シクロブタノールの合成:ジオキサン/H2O(8mL/2mL)に、(1R,2R)-2-(4-ブロモ-1H-ピラゾール-1-イル)シクロブタノール(120mg、556μmol)、(S)-1-(4-フルオロフェニル)-1-(2-(4-(6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ピロロ[2,1-f][1,2,4]トリアジン-4-イル)ピペラジン-1-イル)ピリミジン-5-イル)エタンアミン(362mg、667μmol)、Pd(t-Bu3P)2(50mg、99μmol)及びCs2CO3(362mg、1.12mmol)を混合した混合物を、N2(g)で10分間パージし、N2下、90℃で4時間撹拌した。その後、溶液をEAで希釈し、H2Oとブラインで洗浄して、濃縮した。残渣をシリカゲルのフラッシュカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH=10/1)で精製した。得られた物質をさらに分取HPLC(移動相:A=H2O(0.1% NH4HCO3)、B=アセトニトリル;勾配:B=18分で30%~60%;カラム:Xtimate(商標)10um 150A 21.2×250mm)で精製し、続いて凍結乾燥して、表題化合物(51.5mg、収率17%)を白色固体として得た。MS(ES+)C29H31FN10O requires:554,found:555[M+H]+1H-NMR(400MHz,6d-DMSO)δppm8.41(s,2H),8.19(s,1H),8.00(d,1H,J=1.6Hz),7.88(s,2H),7.48-7.44(m,2H),7.26(d,1H,J=1.6Hz),7.14-7.08(m,2H),5.67(d,1H,J=7.2Hz),4.46-4.39(m,1H),4.34-4.26(m,1H),4.10-4.06(m,4H),3.92-3.90(m,4H),2.44(s,2H),2.16-2.10(m,2H),1.89-1.79(m,1H),1.73(s,3H),1.62-1.52(m,1H).
【0262】
実施例2:生化学的酵素活性アッセイ
PDGFRα及びKITの酵素活性を、Perkin Elmer電気泳動移動度シフトテクノロジープラットフォームであるEZReader 2を使用してモニターした。蛍光標識基質ペプチドを、キナーゼ及びATPの存在下、及び試験化合物の存在下でインキュベートし、試験化合物の各用量が、リン酸化されるペプチドの反射比率をもたらすようにした。
【0263】
キナーゼ酵素反応の線形定常状態段階で、リン酸化(生成物)ペプチドと非リン酸化(基質)ペプチドの混合プールを、印加された電位差の下でPerkinElmer EZ Reader 2のマイクロ流体システムに通した。生成物ペプチド上のリン酸基の存在は、基質ペプチドのそれとの間に質量及び電荷の差をもたらし、その結果、サンプル中の基質及び生成物プールが分離した(Perrinら、Expert Opin Drug Discovery 2010、Jan 5(1):51~63)。
【0264】
生成物と基質ペプチドの混合物が機器内のレーザーを通過するとき、これらのプールが検出され(λex=488nm、λem=568nm)、個別のピークとして分解される。これらのピーク間の比率は、それらの条件下でのそのウェル内のその濃度での化合物の活性を反映している。
【0265】
KIT(D816V)PDGFRα(D842V)変異生化学的酵素活性の阻害
すべての試験品は、10mMのストック濃度で100%DMSOに溶解した。すべての試験化合物の100倍、10ポイント、4倍段階希釈を、適切な濃度(通常は1mM)で開始して100%DMSOで作成した。TTPLabtech Mosquitoナノリットルディスペンサーを使用して、各濃度の0.130μLの量を384ウェルアッセイプレート(Greiner 781 201)の適切なウェルに移した。次に、Multidropを使用して、反応の残りの成分を化合物の0.130μLに次のように追加した。
【0266】
ATPの見かけのミカエリスメンテン定数(APPKM)でのPDGFRαD842Vアッセイ:384ウェルアッセイプレートの各ウェルで、一連の化合物の投与濃度(1%DMSO最終濃度)の存在下又は非存在下、7nMの未処理酵素を、1μM CSKtide(5-FAM-AHA-KKKKDDIYFFFG-NH2)及び25μM ATPを含む合計13μLのバッファ(100mMのHEPES pH7.5、0.015%のBrij35、10mMのMgCl2、1mMのDTT)中、25℃で90分間インキュベートした。70μlのストップバッファ(100mM HEPES pH7.5、0.015% Brij 35、35mM EDTA及び0.2%のCoating Reagent 3、Caliper Lifesciences)を加えることにより反応を停止させた。プレートは、Caliper EZReader2で読み取った。
【0267】
ATPのAPPKMでのKIT D816Vアッセイ:384ウェルアッセイプレートの各ウェルで、一連の化合物の投与濃度(1%DMSO最終濃度)の存在下又は非存在下、0.3nMの未処理酵素を、1μM SRCtide(5-FAM-GEEPLYWSFPAKKK-NH2)及び20μM ATPを含む合計13μLのバッファ(100mMのHEPES pH7.5、0.015%のBrij35、10mMのMgCl
2、1mMのDTT)中、25οCで60分間インキュベートした。70μlのストップバッファ(100mM HEPES pH7.5、0.015% Brij 35、35mM EDTA及び0.2%のCoating Reagent 3、Caliper Lifesciences)を加えることにより反応を停止させた。プレートは、Caliper EZReader2で読み取った。実施例に従って調製された化合物についてこれらの実験で得られた結果は、以下の表2に要約されている。生化学的D816V及びD842Vの活性については、以下の表示を使用する:≦0.30nM=A;≧0.31かつ<1nM=B;ND=未定。HMC1.2細胞株の細胞活性については、以下の表示を使用する:Aは4.5nM未満を意味;Bは4.6以上10nM未満を意味;ND=未定。
【表2】
【0268】
参考までに、国際公開第2015/057873号の実施例63の化合物の化学構造は次のとおりである。
【化42】
【0269】
実施例3:HMC1.2自己リン酸化アッセイ
10,000個のHMC1.2細胞を、384ウェルプレートの各ウェル中、22μLの培養液(フェノールレッドを含まないIMDM、無血清)で、組織培養インキュベータ(5%CO2、37℃)で、血清飢餓状態で一晩インキュベートした。次に、10ポイントの用量濃度の一連の化合物(2.5μM~9.54pM)を、各ウェル(DMSO最終濃度0.25%)に対して、3.1μLの容量で細胞に加えた。90分後、プロテアーゼ及びホスファターゼ阻害剤カクテル(Cell Signaling Technologies)を添加した6μLの5X AlphaLISA溶解バッファ(Perkin Elmer)を各ウェルに加え、450rpmで15分間、4℃で振とうした。10μLのホスホ-Y719c-KIT及び総c-KIT抗体(最終濃度15nM、Cell Signaling Technologies)及び50μg/mLのAlphaLISAウサギアクセプタービーズ(Perkin Elmer)を各ウェルに加え、300rpmで、室温で2時間振とうした。10μLの100μg/mLストレプトアビジンドナービーズ(Perkin Elmer)を各ウェルに加え、黒一色の接着剤で遮光し、300rpmで、室温で2時間振とうした。蛍光シグナルは、AlphaScreen384ウェルHTSプロトコルを用いてEnvision(Perkin Elmer)で取得した。データは、0%及び100%阻害コントロールに正規化され、IC50は、4パラメータロジスティックIC50カーブフィッティングを使用して計算した。
【0270】
この表は、肥満細胞白血病細胞株HMC1.2における化合物の活性を示している。この細胞株には、キナーゼの構成的活性化をもたらすV560G及びD816Vの位置で変異したKITが含まれている。以下の化合物をアッセイで試験し、KITタンパク質上のチロシン719でのKIT自己リン酸化をアッセイすることにより、KIT D816Vキナーゼ活性の直接阻害を測定した。実施例に従って調製された化合物についてのこれらの実験の結果を表2に要約する。
【0271】
実施例4:ラットの脳と血漿の比率(Kp、脳)における脳透過性の評価
脳透過性を理解するために、化合物の脳と血漿の比率をSprague-Dawley(SD)ラットで取得した。ラットなどの前臨床種における血液と脳の間のインビボ平衡分布は、脳透過性を評価するために一般的に使用されるパラメータである。Kp、脳は、脳と血液中の濃度の比率(C脳/C血漿)である。化合物の受動拡散特性、その血液脳関門(BBB)での膜輸送体に対する親和性、及び血漿タンパク質と脳組織間の相対的な薬物結合親和性の違いは、Kp、脳に影響を与える。Kp、脳が0.1より小さい化合物は、CNSへのアクセスが制限されるが、Kp、脳が0.3~0.5より大きい化合物は、脳透過性が良好であると見なされ、Kp、脳が1より大きい化合物は、BBBを自由に通過する(Expert Opin.Drug Delivery(2016)13(01):85-92)。
【0272】
4及び63の脳透過性を、Sprague-Dawleyラット(3/化合物)で測定した。動物は、頸静脈カニューレを介して、24時間にわたって1mg/kg/hrの化合物の静脈内注入を受けた。24時間後、尾静脈出血又は心臓穿刺(麻酔下)により血液を採取し、遠心分離して血漿サンプルを採取した。脳組織を収集し、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)でホモジナイズした。血漿及び脳ホモジネートにおいて、化合物の濃度をLC-MS/MS分析によって得た。以下の表3Aは、本明細書に記載の実施例に従って調製された化合物4及び国際公開第2015/057873号の化合物63についての血漿及び脳濃度並びにK
p、脳の結果を示す。
【表3】
【0273】
化合物4は、63(平均=1.8)と比較して非常に低いKp、脳(平均=0.17)を示す。
【0274】
4及び63のラット血漿タンパク質結合は、平衡透析法を使用してインビトロで評価した。化合物4(10μM)は、透析ブロック内の100%血漿内で、37℃で5時間評価した。ドナー側とレシーバー側のサンプルをLC-MS/MSで分析した。血漿タンパク質の結合画分と非結合画分は、次の式を使用して計算した-
画分結合(fb)*(%)=100x([ドナー]5h-[レシーバー]5h)/[ドナー]5h(式1)
画分非結合(fu),p*(%)=100-%結合*(式2)
式中、[ドナー]5hは、5時間で測定されたドナー濃度であり、[レシーバー]5Hは、5時間で測定されたレシーバーの濃度であり、fb*は、血漿から決定された結合画分であり、fu,p*は、血漿の非結合画分として計算される。ワルファリンとキニジンを陽性対照として使用した。
【0275】
4及び63のfbは、それぞれ、97.92%及び99.8%であった。したがって、4及び63のfu、pは、それぞれ、2.08%及び0.2%であった。
【0276】
同様に、4及び63のラット脳タンパク質結合も平衡透析法を使用してインビトロで評価した。1μMの化合物を、37℃で5時間、透析ブロック内の脳ホモジネートで評価した。ドナー側とレシーバー側のサンプルをLC-MS/MSで分析した。脳タンパク質の結合画分及び非結合画分は、上記の式(式1及び2)を使用して計算した。広範なタンパク質結合のため、脳ホモジネートの測定のために、4をさらに4倍に希釈した。4及び63のfu、脳は、それぞれ、0.29%及び0.1%であった。
【0277】
結合していない脳と血漿の比(Kpuu、脳)
上記で得られた脳及び血漿濃度(表3A)並びに上記で得られたfu、脳の値に基づいて、結合していない脳と血漿の比(K
puu、脳)を4及び63について以下のように計算した。
【表4】
【0278】
化合物4は、63(平均=0.84)と比較して非常に優れた低Kp,uu、脳(平均=0.024)を示す。組織内の非結合薬物濃度は、組織コンパートメントにおいてその薬理学的効果を発揮するために利用できる遊離薬物である。63に比べて4は、非常に低いKp,uu、脳を有することから、その薬理学的効果を発揮する脳内の利用可能な4の量が、63と比較して非常に低いことを意味する。
【0279】
別法として、化合物4及び63のラット脳タンパク質結合を、インキュベーショントレイ内で300um厚のラット脳スライス(線条体領域)を使用することにより、インビトロで評価した。この方法による化合物4及び63のfu、脳は、それぞれ、0.329%及び0.057%であった。その場合、4及び63のKp,uu、脳は、それぞれ、0.028及び0.044である。
【0280】
実施例に従って調製された開示の追加の化合物について、Kp、Kp,uu(脳ホモジネート)及びKp,uu(脳スライス)の結果を表3Bに一覧表示する。表3Bの結果は、上記の方法によって得られた。
【表5】
【0281】
P糖タンパク質の潜在的な基質としての化合物の評価
実施例に従って調製された化合物がヒトP糖タンパク質(P-gp)の基質である可能性を、透過性支持体上で増殖したP-gpを過剰発現させる多剤耐性変異1-Mardin-Darby Canine Kidney(MDR1-MDCK))(Mardin-Darby Canine Kidney)細胞単層で、インビトロで評価した。Elacridarを、P-gpを介したキニジン輸送の陽性対照阻害剤として使用した。P-gpのより高い流出比は、本化合物がトランスポーターによって脳組織から追い出されることを意味する。
【0282】
ラットにおける単回静脈内及び経口投与後の薬物動態の評価:3Sprague-Dawleyラットを、各投与経路(静脈内又は経口)の各化合物に使用した。静脈内投与では、1mg/kg(投与量=5mL/kg)の各化合物を食物背静脈注射による静脈内経路で投与する一方、経口経路では、2.5mg/kg(投与量=5mL/kg)を強制経口投与した。血液サンプルを、投与前、0.083、0.25、0.5、1、2、4、及び8時間後に尾静脈から採取した。さらに、血液サンプルを、排尿終末血尿のために心臓穿刺(イソフルランによる麻酔下)によって24時間後に採取した。すべての血液サンプルは、LC/MS-MSによって薬物濃度について分析した。C
max、T
max、AUC
last、AUC
inf、MRT
last、MRT
inf、T
1/2、V
ss、CLなどの薬物動態パラメータを、非コンパートメント分析(NCA)によって取得した。さらに、非結合クリアランス(CLu)を次のように取得した。
Cl
u=Cl/f
u,plasma。
%Fは、次のように計算した。
%F=[AUC
inf(経口)/用量]/[AUC
inf(静脈内)/用量]*100
(Zhivkova&Doytchinova、Molecular Pharmaceuticals 10:3758-68(2013))。
【表6】
【0283】
実施例5:CYP阻害データ
ヒト肝ミクロソームにおけるインビトロ観察は、標準的な方法に従って実施した。要約すると、7つの異なる濃度の試験品、又は単一濃度の陽性対照を、プールされたヒト肝ミクロソーム内のCYP450酵素のそれぞれに対する単一濃度のプローブ基質と5~10分間共培養し、その後、アセトニトリル中の0.1%ギ酸の添加により反応を終了させた。次に、反応後に残ったプローブ基質の定量化のためにサンプルをLC-MS/MSで分析し、非線形回帰によってIC
50値を決定した。CYP2C9、CYP2D6、CYP3A4の基質は、それぞれ、ジクロフェナク、デキストロメトルファン、ミダゾラム/テストステロンであった。表4のデータは、CYP2C9、CYP2D6、及びCYP3A4の実施例に従って調製された化合物のCYP阻害のIC
50を示している。
【表7】
【0284】
実施例6:静脈内注入を使用したサル血漿タンパク質結合、サルK
p、サルK
p,uu(ホモジネート/脳スライス)
本化合物を単回の静脈内ボーラス投与とそれに続く2時間の静脈内注入でサルに投与した(3匹のサル/化合物)。ボーラス投与直後及び注入終了時に、大腿静脈の前投与から血液を採取した。注入後にサルを安楽死させ、脳組織を収集した。(血液の遠心分離によって得られる)血漿及び(緩衝液中で均質化される)脳のトキシコキネティクス評価を実施して、本化合物の脳対血漿比(Kp)を得た。Kpuuは、前述のようにfu、血漿とfu、脳を考慮して計算した。
【表8】
【0285】
実施例7:野生型KITの生化学的活性アッセイ
野生型KIT活性の尺度としてのSCF刺激アッセイによるUT-7細胞増殖
UT-7細胞は、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)又は幹細胞因子(SCF)に依存して培養で増殖し得るヒト巨核芽球性白血病細胞株である。UT-7細胞は、KIT受容体チロシンキナーゼの活性化とそれに続く細胞の成長と増殖をサポートし得る下流のシグナル伝達によってSCF刺激に応答する(Kuriuら、1999;Komatsuら、1991;Sasakiら、1995)。試験化合物を、UT-7細胞のSCF刺激増殖を阻害するそれらの能力についてアッセイした。
【0286】
SCFで刺激されたUT-7細胞増殖の阻害は、存在するアデノシン三リン酸(ATP)の量を定量化するCellTiter-Gloアッセイを使用して評価し、これは、代謝的に活性な細胞の読み出しであり、培養中の生細胞の数に正比例する。SCFで刺激されたUT-7細胞増殖を阻害する試験化合物の能力は、25μMから95.4pMの試験化合物の範囲の10ポイントの用量曲線を使用して決定された。
【0287】
UT-7細胞は、10%FBS、5ng/mLのGM-CSF、及び100units/mLのペニシリン-ストレプトマイシンを添加したIMDMで維持し、37℃の加湿組織培養インキュベータで培養した。UT-7細胞を無血清GM-CSFフリーIMDMで1回洗浄した。次に、細胞を4%FBSと50ng/mLのSCFを含むIMDMに再懸濁し、384ウェルマイクロプレートに22μLの容量でウェルあたり2500個の細胞を播種した。次に、10ポイントの用量濃度の一連の試験化合物(25.0μMから95.4pM)を各ウェル(0.25%DMSO最終濃度)に対して、3.1μLの容量で細胞に加え、組織培養インキュベータ(5%CO2、37℃)に72時間入れた。試験化合物を用いて3日後、CellTiter-Glo試薬を新たに調製し、25μLの試薬を各ウェルに加えた。プレートシェーカー上で室温で300rpmで10分間振とうすることによりプレートを混合した。プレートは、384ウェルプレート用の超高感度発光プロトコルを使用して、EnVisionプレートリーダーで読み取った。データは0%及び100%阻害コントロールに正規化され、IC50は4パラメータロジスティックIC50カーブフィッティングを使用して計算した。
【0288】
野生型KITアッセイ
Kdの決定。wt KITキナーゼを含むほとんどのアッセイでは、キナーゼタグ付きT7ファージ株をBL21株に由来する大腸菌宿主で調製した。大腸菌を対数増殖期まで増殖させ、T7ファージに感染させ、溶解するまで32℃で振とうしながらインキュベートした。ストレプトアビジンでコーティングされた磁気ビーズを、ビオチン化小分子リガンドで室温で30分間処理して、キナーゼアッセイ用のアフィニティーレジンを生成した。リガンド結合したビーズを過剰なビオチンでブロックし、ブロッキングバッファ(SeaBlock(Pierce)、1% BSA、0.05%Tween 20、1mM DTT)で洗浄して、非結合リガンドを除去し、非特異的結合を減らした。結合反応は、キナーゼ、リガンド結合アフィニティービーズ、及び試験化合物を1x結合バッファ(20% SeaBlock、0.17xPBS、0.05% Tween 20、6mM DTT)で組み合わせることによって構築された。試験化合物は、100%DMSO中の111Xストックとして調製した。Kdsは、3つのDMSOコントロールポイントを使用した11ポイントの3倍化合物希釈系列を使用して決定した。Kd測定用のすべての化合物は、100%DMSO中で音響伝達(非接触ディスペンシング)によって分散させた。次に、本化合物を、DMSOの最終濃度が0.9%になるようにアッセイに直接希釈した。すべての反応は、ポリプロピレン384ウェルプレートで行った。それぞれの最終容量は、0.02mlであった。アッセイプレートを室温で1時間振とうしながらインキュベートし、アフィニティービーズを洗浄バッファ(1xPBS、0.05% Tween 20)で洗浄した。次に、ビーズを溶出バッファ(1xPBS、0.05% Tween 20、0.5μM 非ビオチン化アフィニティーリガンド)に再懸濁し、室温で30分間振とうしながらインキュベートした。溶出液中のキナーゼ濃度をqPCRによって測定した。
【0289】
結合定数(Kds)。結合定数(Kds)を、ヒルの式:応答=バックグラウンド+シグナル-バックグラウンド1+(Kdヒルスロープ/Doseヒルスロープ)を使用し、標準的な用量反応曲線を用いて計算した。ヒルスロープは、-1に設定した。曲線は、Levenberg-Marquardtアルゴリズムを使用した非線形最小二乗近似を用いてフィッティングした。
【0290】
実施例に従って調製された化合物についてのこれらのWT KIT実験で得られた結果を、以下の表7に要約する。野生型KIT結合については、次の表示を使用する:<10.0nM=A;≧10.1nMかつ<15nM=B;≧15.1nMかつ<20nM=C。増殖阻害については、次の表示を使用する:<90.0nM=A;≧90.1nMかつ<150nM=B;≧150.1nMかつ<200nM=C。
【表9】
【国際調査報告】