(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-26
(54)【発明の名称】エッチング用途向けの制御された多孔質酸化イットリウム
(51)【国際特許分類】
H01L 21/3065 20060101AFI20220519BHJP
C04B 35/505 20060101ALI20220519BHJP
【FI】
H01L21/302 101C
H01L21/302 101G
C04B35/505
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021560433
(86)(22)【出願日】2020-04-04
(85)【翻訳文提出日】2021-12-03
(86)【国際出願番号】 US2020026763
(87)【国際公開番号】W WO2020206389
(87)【国際公開日】2020-10-08
(32)【優先日】2019-04-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-08-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2019-04-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】521442051
【氏名又は名称】ヘレーウス コナミック ノース アメリカ エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Heraeus Conamic North America LLC
【住所又は居所原語表記】301 N. Roosevelt Avenue, Chandler, AZ 85226, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】マシュー ジョセフ ダンロン
(72)【発明者】
【氏名】サウラヴ ビスタ
(72)【発明者】
【氏名】サウラブ ワグメア
(72)【発明者】
【氏名】チェイス デイヴィス
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル ヴァイスマイアー
(72)【発明者】
【氏名】フェリックス フランツ
【テーマコード(参考)】
5F004
【Fターム(参考)】
5F004AA16
5F004BA03
5F004BA04
5F004BA20
5F004BB23
5F004BB28
5F004BB29
5F004BD04
5F004CA06
5F004DA01
5F004DA18
5F004DA26
(57)【要約】
40ppm以下の総不純物量と、4.93g/cm3以上の密度とを有する酸化イットリウム焼結体であって、少なくとも1つの細孔を含む少なくとも1つの表面を有し、直径5μmを超える細孔を有さない、酸化イットリウム焼結体。酸化イットリウム焼結体の製造方法も開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
40ppm以下の総不純物量と、4.93g/cm
3以上の密度とを有する酸化イットリウム焼結体であって、
少なくとも1つの細孔を含む少なくとも1つの表面を有し、
直径5μmを超える細孔を有さない、前記酸化イットリウム焼結体。
【請求項2】
前記密度が4.96g/cm
3以下である、請求項1に記載の酸化イットリウム焼結体。
【請求項3】
前記密度が4.98g/cm
3以上である、請求項1または2に記載の酸化イットリウム焼結体。
【請求項4】
前記密度が5.01g/cm
3以上である、請求項1、2、及び3のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【請求項5】
直径4μmを超える細孔を有さない、先行請求項のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【請求項6】
直径3μmを超える細孔を有さない、先行請求項のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【請求項7】
直径2μmを超える細孔を有さない、先行請求項のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【請求項8】
直径1μmを超える細孔を有さない、先行請求項のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【請求項9】
前記総不純物量が35ppm以下である、先行請求項のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【請求項10】
前記総不純物量が30ppm以下である、先行請求項のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【請求項11】
前記総不純物量が25ppm以下である、先行請求項のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【請求項12】
前記総不純物量が20ppm以下である、先行請求項のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【請求項13】
前記総不純物量が15ppm以下である、先行請求項のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【請求項14】
前記総不純物量が10ppm以下である、先行請求項のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【請求項15】
前記総不純物量が6ppm以下である、先行請求項のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【請求項16】
前記少なくとも1つの表面の10mm×5mmの領域が、10ミリトールの圧力、20sccmのアルゴン流量、600ボルトのバイアス、及び2000ワットのICP電力のエッチング条件を受けるプロセスにおいて、約375,000μm
3未満のエッチング量を示し、
前記プロセスは、第1の工程と第2の工程とを有し、前記第1の工程が、1500秒間の90sccmのCF
4流量及び30sccmの酸素流量を有し、前記第2の工程が、300秒間の0sccmのCF
4流量及び100sccmの酸素流量を有し、
前記第1の工程と前記第2の工程とは、前記第1の工程におけるCF
4への曝露時間が24時間になるまで連続して繰り返される、
先行請求項のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【請求項17】
約325,000μm
3未満のエッチング量を示す、先行請求項のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【請求項18】
約275,000μm
3未満のエッチング量を示す、先行請求項のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【請求項19】
前記少なくとも1つの表面上の全ての細孔の95%以上で1.50μmの最大細孔径を有する細孔径分布を有する、先行請求項のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【請求項20】
前記少なくとも1つの表面上の全ての細孔の97%以上で1.75μmの最大細孔径を有する細孔径分布を有する、先行請求項のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【請求項21】
前記少なくとも1つの表面上の全ての細孔の99%以上で2.00μmの最大細孔径を有する細孔径分布を有する、先行請求項のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【請求項22】
前記少なくとも1つの表面の10mm×5mmの領域が、10ミリトールの圧力、20sccmのアルゴン流量、600ボルトのバイアス、及び2000ワットのICP電力のエッチング条件を受けるプロセスにおいて、1.0nm/分未満のエッチング速度を示し、
前記プロセスは、第1の工程と第2の工程とを有し、前記第1の工程が、1500秒間の90sccmのCF
4流量及び30sccmの酸素流量を有し、前記第2の工程が、300秒間の0sccmのCF
4流量及び100sccmの酸素流量を有し、
前記第1の工程と前記第2の工程とは、前記第1の工程におけるCF
4への曝露時間が24時間になるまで連続して繰り返される、
先行請求項のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【請求項23】
前記エッチング速度が0.9nm/分である、先行請求項のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【請求項24】
前記エッチング速度が0.8nm/分である、先行請求項のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【請求項25】
エッチングされていない領域において、ISO規格25178-2-2012、セクション4.3.2により決定される250×10
-5未満の展開面積Sdrを示す、先行請求項のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【請求項26】
前記エッチングされていない領域における前記展開面積が225×10
-5未満である、先行請求項のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【請求項27】
前記エッチングされていない領域における前記展開面積が200×10
-5未満である、先行請求項のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【請求項28】
前記少なくとも1つの表面の6mm×6mm×2mmの領域が、90sccmのCF
4流量、30sccmの酸素流量、及び20sccmのアルゴン流量による10ミリトールの圧力、並びに600ボルトのバイアス、並びに2000ワットのICP電力のエッチング条件を24時間受けるプロセスにおいて、エッチングされた領域が、ISO規格25178-2-2012、セクション4.3.2により決定される200×10
-5未満の展開面積を示す、先行請求項のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【請求項29】
前記エッチングされた領域の前記展開面積が175×10
-5未満である、先行請求項のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【請求項30】
前記エッチングされた領域の前記展開面積が150×10
-5未満である、先行請求項のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【請求項31】
前記少なくとも1つの表面の10mm×5mmの領域が、10ミリトールの圧力、20sccmのアルゴン流量、600ボルトのバイアス、及び2000ワットのICP電力のエッチング条件を受けるプロセスにおいて、ISO規格25178-2-2012、セクション4.1.7により決定される30nm未満の算術平均粗さSaを示し、
前記プロセスは、第1の工程と第2の工程とを有し、前記第1の工程が、300秒間の90sccmのCF
4流量及び30sccmの酸素流量を有し、前記第2の工程が、300秒間の0sccmのCF
4流量及び100sccmの酸素流量を有し、
前記第1の工程と前記第2の工程とは、6時間の総エッチング時間連続して繰り返される、先行請求項のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【請求項32】
前記Saが20nm未満である、先行請求項のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【請求項33】
前記Saが15nm未満である、先行請求項のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【請求項34】
前記少なくとも1つの表面は、その0.15%未満が細孔で占められている領域を有する、先行請求項のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【請求項35】
前記少なくとも1つの表面は、その0.10%未満が細孔で占められている領域を有する、先行請求項のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【請求項36】
SF
6エッチングプロセス後に0.27~0.28μmの段差変化を示す、先行請求項のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【請求項37】
0.1μm~25μmの粒度d50を有する、先行請求項のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【請求項38】
0.5μm~15μmの粒度d50を有する、先行請求項のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【請求項39】
0.5μm~10μmの粒度d50を有する、先行請求項のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【請求項40】
100mm~600mmの少なくとも1つの寸法を有する、先行請求項のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【請求項41】
100mm~406mmの少なくとも1つの寸法を有する、先行請求項のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【請求項42】
200mm~600mmの少なくとも1つの寸法を有する、先行請求項のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【請求項43】
350mm~600mmの少なくとも1つの寸法を有する、先行請求項のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【請求項44】
500mm~600mmの少なくとも1つの寸法を有する、先行請求項のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【請求項45】
550mm~600mmの少なくとも1つの寸法を有する、先行請求項のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【請求項46】
前記密度が少なくとも1つの寸法に沿って3%を超えて変化しない、先行請求項のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【請求項47】
前記密度が少なくとも1つの寸法に沿って2%を超えて変化しない、先行請求項のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【請求項48】
前記密度が少なくとも1つの寸法に沿って1%を超えて変化しない、先行請求項のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【請求項49】
a.焼結装置のツールセットによって規定される容積内に酸化イットリウム粉末を配置する工程と、
b.前記容積内に真空条件または不活性環境を形成する工程と、
c.1200~1600℃の焼結温度に加熱しながら前記酸化イットリウム粉末に10MPa~60MPaの圧力を加え、焼結を行って酸化イットリウム焼結体を形成する工程と、
d.前記酸化イットリウム焼結体の温度を下げる工程と、
を含む酸化イットリウム焼結体の製造方法であって、
工程a)の前記酸化イットリウム粉末が10m
2/g以下の表面積を有し、
前記酸化イットリウム焼結体が、40ppm以下の総不純物量と、4.93g/cm
3以上の密度と、少なくとも1つの細孔を含む少なくとも1つの表面とを含み、
直径5μmを超える細孔を有さない、前記方法。
【請求項50】
e.前記酸化イットリウム焼結体の温度を上げるために熱を加えてアニール処理温度に到達させてアニール処理することにより、前記酸化イットリウム焼結体をアニール処理する工程と、
f.前記酸化イットリウム焼結体に加えられた前記熱源を除去することにより、前記アニール処理された酸化イットリウム焼結体の温度を周囲温度まで下げる工程と、
g.任意選択的に、前記アニール処理された酸化イットリウム焼結体を機械加工して、酸化イットリウム焼結体構成要素を形成する工程と、
をさらに含み、
前記構成要素が、誘電体ウインドウまたはRFウインドウ、フォーカスリング、ノズルまたはガスインジェクター、シャワーヘッド、ガス分配プレート、エッチングチャンバーライナー、プラズマ源アダプター、ガス注入口アダプター、ディフューザー、電子ウエハーチャック、チャック、パック、混合マニホールド、イオンサプレッサー要素、フェイスプレート、アイソレーター、スペーサー、及び保護リングからなる群から選択される、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記酸化イットリウム粉末が工程a)の前にか焼される、請求項49~50のいずれか1項に記載の方法。
【請求項52】
加熱中の前記酸化イットリウムに加えられる圧力が10MPa~40MPaである、請求項49~51のいずれか1項に記載の方法。
【請求項53】
加熱中の前記酸化イットリウムに加えられる圧力が20MPa~40MPaである、請求項49~52のいずれか1項に記載の方法。
【請求項54】
前記酸化イットリウム粉末が1.5~7.0m
2/gの表面積を有する、請求項49~53のいずれか1項に記載の方法。
【請求項55】
前記酸化イットリウム粉末が2.0~4.0m
2/gの表面積を有する、請求項49~54のいずれか1項に記載の方法。
【請求項56】
前記酸化イットリウム粉末の純度が99.998%よりも高い、請求項49~55のいずれか1項に記載の方法。
【請求項57】
前記酸化イットリウム粉末の純度が99.999%よりも高い、請求項49~56のいずれか1項に記載の方法。
【請求項58】
前記酸化イットリウム焼結体が99.99~99.999%の純度を有する、請求項49~57のいずれか1項に記載の方法。
【請求項59】
前記酸化イットリウム焼結体が99.999~99.9996%の純度を有する、請求項49~58のいずれか1項に記載の方法。
【請求項60】
前記焼結が1分~120分の時間行われる、請求項49~59のいずれか1項に記載の方法。
【請求項61】
前記焼結が2分~60分の時間行われる、請求項49~60のいずれか1項に記載の方法。
【請求項62】
前記酸化イットリウム焼結体が4.96g/cm
3以上の密度を有する、請求項49~61のいずれか1項に記載の方法。
【請求項63】
前記酸化イットリウム焼結体が4.98g/cm
3以上の密度を有する、請求項49~62のいずれか1項に記載の方法。
【請求項64】
前記酸化イットリウム焼結体が5.01g/cm
3以上の密度を有する、請求項49~63のいずれか1項に記載の方法。
【請求項65】
前記少なくとも1つの表面上に直径4μmを超える細孔が存在しない、請求項49~64のいずれか1項に記載の方法。
【請求項66】
前記少なくとも1つの表面上に直径3μmを超える細孔が存在しない、請求項49~65のいずれか1項に記載の方法。
【請求項67】
前記少なくとも1つの表面上に直径2μmを超える細孔が存在しない、請求項49~66のいずれか1項に記載の方法。
【請求項68】
前記少なくとも1つの表面上に直径1μmを超える細孔が存在しない、請求項49~67のいずれか1項に記載の方法。
【請求項69】
前記酸化イットリウム焼結体の前記総不純物量が35ppm以下である、請求項49~68のいずれか1項に記載の方法。
【請求項70】
前記酸化イットリウム焼結体の前記総不純物量が30ppm以下である、請求項49~69のいずれか1項に記載の方法。
【請求項71】
前記酸化イットリウム焼結体の前記総不純物量が25ppm以下である、請求項49~70のいずれか1項に記載の方法。
【請求項72】
前記酸化イットリウム焼結体の前記総不純物量が20ppm以下である、請求項49~71のいずれか1項に記載の方法。
【請求項73】
前記酸化イットリウム焼結体の前記総不純物量が15ppm以下である、請求項49~72のいずれか1項に記載の方法。
【請求項74】
前記酸化イットリウム焼結体の前記総不純物量が10ppm以下である、請求項49~73のいずれか1項に記載の方法。
【請求項75】
前記酸化イットリウム焼結体の前記総不純物量が6ppm以下である、請求項49~74のいずれか1項に記載の方法。
【請求項76】
前記少なくとも1つの表面の10mm×5mmの領域が、10ミリトールの圧力、20sccmのアルゴン流量、600ボルトのバイアス、及び2000ワットのICP電力のエッチング条件を受けるプロセスにおいて、前記酸化イットリウム焼結体が約375,000μm
3未満のエッチング量を示し、
前記プロセスは、第1の工程と第2の工程とを有し、前記第1の工程が、1500秒間の90sccmのCF
4流量及び30sccmの酸素流量を有し、前記第2の工程が、300秒間の0sccmのCF
4流量及び100sccmの酸素流量を有し、
前記第1の工程と前記第2の工程とは、前記第1の工程におけるCF
4への曝露時間が24時間になるまで連続して繰り返される、
請求項49~75のいずれか1項に記載の方法。
【請求項77】
前記酸化イットリウム焼結体が約325,000μm
3未満のエッチング量を示す、請求項49~76のいずれか1項に記載の方法。
【請求項78】
前記酸化イットリウム焼結体が約275,000μm
3未満のエッチング量を示す、請求項49~77のいずれか1項に記載の方法。
【請求項79】
前記酸化イットリウム焼結体が、前記少なくとも1つの表面上の全ての細孔の95%以上で1.50μmの最大細孔径を有する細孔径分布を有する、請求項49~78のいずれか1項に記載の方法。
【請求項80】
前記酸化イットリウム焼結体が、前記少なくとも1つの表面上の全ての細孔の97%以上で1.75μmの最大細孔径を有する細孔径分布を有する、請求項49~79のいずれか1項に記載の方法。
【請求項81】
前記酸化イットリウム焼結体が、前記少なくとも1つの表面上の全ての細孔の99%以上で2.00μmの最大細孔径を有する細孔径分布を有する、請求項49~80のいずれか1項に記載の方法。
【請求項82】
前記少なくとも1つの表面の10mm×5mmの領域が、10ミリトールの圧力、20sccmのアルゴン流量、600ボルトのバイアス、及び2000ワットのICP電力のエッチング条件を受けるプロセスにおいて、前記酸化イットリウム焼結体が1.0nm/分未満のエッチング速度を示し、
前記プロセスは、第1の工程と第2の工程とを有し、前記第1の工程が、1500秒間の90sccmのCF
4流量及び30sccmの酸素流量を有し、前記第2の工程が、300秒間の0sccmのCF
4流量及び100sccmの酸素流量を有し、
前記第1の工程と前記第2の工程とは、前記第1の工程におけるCF
4への曝露時間が24時間になるまで連続して繰り返される、
請求項49~81のいずれか1項に記載の方法。
【請求項83】
前記エッチング速度が0.9nm/分未満である、請求項49~82のいずれか1項に記載の方法。
【請求項84】
前記エッチング速度が0.8nm/分未満である、請求項49~83のいずれか1項に記載の方法。
【請求項85】
エッチングされていない領域において、前記酸化イットリウム焼結体がISO規格25178-2-2012、セクション4.3.2により決定される250×10
-5未満の展開面積Sdrを示す、請求項49~84のいずれか1項に記載の方法。
【請求項86】
前記エッチングされていない領域における前記展開面積が225×10
-5未満である、請求項49~85のいずれか1項に記載の方法。
【請求項87】
前記エッチングされていない領域における前記展開面積が200×10
-5未満である、請求項49~86のいずれか1項に記載の方法。
【請求項88】
前記少なくとも1つの表面の6mm×6mm×2mmの領域が、90sccmのCF
4流量、30sccmの酸素流量、及び20sccmのアルゴン流量による10ミリトールの圧力、並びに600ボルトのバイアス、並びに2000ワットのICP電力のエッチング条件を受けるプロセスにおいて、前記酸化イットリウム焼結体が、ISO規格25178-2-2012、セクション4.3.2により決定される200×10
-5未満の展開面積を示す、請求項49~87のいずれか1項に記載の方法。
【請求項89】
前記エッチングされた領域の前記展開面積が175×10
-5未満である、請求項49~88のいずれか1項に記載の方法。
【請求項90】
前記エッチングされた領域の前記展開面積が150×10
-5未満である、請求項49~89のいずれか1項に記載の方法。
【請求項91】
前記少なくとも1つの表面の10mm×5mmの領域が、10ミリトールの圧力、20sccmのアルゴン流量、600ボルトのバイアス、及び2000ワットのICP電力のエッチング条件を受けるプロセスであって、第1の工程と第2の工程とを有し、前記第1の工程が、300秒間の90sccmのCF
4流量及び30sccmの酸素流量を有し、前記第2の工程が、300秒間の0sccmのCF
4流量及び100sccmの酸素流量を有し、6時間の総エッチング時間、工程1と工程2が連続して繰り返される前記プロセスにおいて、前記酸化イットリウム焼結体が、ISO規格25178-2-2012、セクション4.1.7により決定される30nm未満の算術平均粗さSaを示す、請求項49~90のいずれか1項に記載の方法。
【請求項92】
前記Saが20未満である、請求項49~91のいずれか1項に記載の方法。
【請求項93】
前記Saが15未満である、請求項49~92のいずれか1項に記載の方法。
【請求項94】
前記少なくとも1つの表面は、その0.15%未満が細孔で占められている領域を有する、請求項49~93のいずれか1項に記載の方法。
【請求項95】
前記少なくとも1つの表面は、その0.10%未満が細孔で占められている領域を有する、請求項49~94のいずれか1項に記載の方法。
【請求項96】
前記酸化イットリウム焼結体が0.1μm~25μmの粒度d50を有する、請求項49~95のいずれか1項に記載の方法。
【請求項97】
前記酸化イットリウム焼結体が0.5μm~15μmの粒度d50を有する、請求項49~96のいずれか1項に記載の方法。
【請求項98】
前記酸化イットリウム焼結体が0.5μm~10μmの粒度d50を有する、請求項49~97のいずれか1項に記載の方法。
【請求項99】
前記酸化イットリウム焼結体が100mm~600mmの少なくとも1つの寸法を有する、請求項49~98のいずれか1項に記載の方法。
【請求項100】
前記酸化イットリウム焼結体が100mm~406mmの少なくとも1つの寸法を有する、請求項49~99のいずれか1項に記載の方法。
【請求項101】
前記酸化イットリウム焼結体が200mm~600mmの少なくとも1つの寸法を有する、請求項49~100のいずれか1項に記載の方法。
【請求項102】
前記酸化イットリウム焼結体が350mm~600mmの少なくとも1つの寸法を有する、請求項49~101のいずれか1項に記載の方法。
【請求項103】
前記酸化イットリウム焼結体が500mm~600mmの少なくとも1つの寸法を有する、請求項49~102のいずれか1項に記載の方法。
【請求項104】
前記酸化イットリウム焼結体が550mm~600mmの少なくとも1つの寸法を有する、請求項49~103のいずれか1項に記載の方法。
【請求項105】
前記密度が少なくとも1つの寸法に沿って3%を超えて変化しない、請求項49~104のいずれか1項に記載の方法。
【請求項106】
前記密度が少なくとも1つの寸法に沿って2%を超えて変化しない、請求項49~105のいずれか1項に記載の方法。
【請求項107】
前記密度が少なくとも1つの寸法に沿って1%を超えて変化しない、請求項49~106のいずれか1項に記載の方法。
【請求項108】
前記酸化イットリウム焼結体が、SF
6エッチングプロセス後に0.27~0.28μmの段差変化を示す、請求項49~107のいずれか1項に記載の方法。
【請求項109】
a.焼結装置のツールセットによって規定される容積内に酸化イットリウム粉末を配置する工程と、
b.前記容積内に真空条件または不活性環境を形成する工程と、
c.1200~1600℃の焼結温度に加熱しながら前記酸化イットリウム粉末に10MPa~60MPaの圧力を加え、焼結を行って酸化イットリウム焼結体を形成する工程と、
d.前記酸化イットリウム焼結体の温度を下げる工程と、
を含む酸化イットリウム焼結体の製造方法であって、
工程a)の前記酸化イットリウム粉末が10m
2/g以下の表面積を有し、
前記酸化イットリウム焼結体が、40ppm以下の総不純物量と、4.93g/cm
3以上の密度と、少なくとも1つの細孔を含む少なくとも1つの表面とを含み、
直径5μmを超える細孔を有さない前記方法によって製造される、酸化イットリウム焼結体。
【請求項110】
前記方法が、
e.前記酸化イットリウム焼結体の温度を上げるために熱を加えてアニール処理温度に到達させてアニール処理することにより、前記酸化イットリウム焼結体をアニール処理する工程と、
f.前記アニール処理された酸化イットリウム焼結体の温度を下げる工程と、
g.前記アニール処理された酸化イットリウム焼結体を機械加工して、酸化イットリウム焼結体構成要素を形成する工程と、
をさらに含み、
前記構成要素が、誘電体ウインドウまたはRFウインドウ、フォーカスリング、ノズルまたはガスインジェクター、シャワーヘッド、ガス分配プレート、エッチングチャンバーライナー、プラズマ源アダプター、ガス注入口アダプター、ディフューザー、電子ウエハーチャック、チャック、パック、混合マニホールド、イオンサプレッサー要素、フェイスプレート、アイソレーター、スペーサー、及び保護リングからなる群から選択される、請求項109に記載の酸化イットリウム焼結体。
【請求項111】
前記密度が4.96g/cm
3以上である、請求項109~110のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【請求項112】
前記密度が4.98g/cm
3以上である、請求項109~111のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【請求項113】
前記密度が5.01g/cm
3以上である、請求項109~112のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【請求項114】
直径4μmを超える細孔が存在しない、請求項109~113のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【請求項115】
直径3μmを超える細孔が存在しない、請求項109~114のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【請求項116】
直径2μmを超える細孔が存在しない、請求項109~115のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【請求項117】
直径1μmを超える細孔が存在しない、請求項109~116のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【請求項118】
前記不純物量が35ppm以下である、請求項109~117のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【請求項119】
前記不純物量が30ppm以下である、請求項109~118のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【請求項120】
前記不純物量が25ppm以下である、請求項109~119のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【請求項121】
前記不純物量が20ppm以下である、請求項109~120のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【請求項122】
前記不純物量が15ppm以下である、請求項109~121のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【請求項123】
前記不純物量が10ppm以下である、請求項109~122のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【請求項124】
前記不純物量が6ppm以下である、請求項109~123のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【請求項125】
前記少なくとも1つの表面の10mm×5mmの領域が、10ミリトールの圧力、20sccmのアルゴン流量、600ボルトのバイアス、及び2000ワットのICP電力のエッチング条件を受けるプロセスにおいて、約375,000μm
3未満のエッチング量を示し、
前記プロセスは、第1の工程と第2の工程とを有し、前記第1の工程が、1500秒間の90sccmのCF
4流量及び30sccmの酸素流量を有し、前記第2の工程が、300秒間の0sccmのCF
4流量及び100sccmの酸素流量を有し、
前記第1の工程と前記第2の工程とは、前記第1の工程におけるCF
4への曝露時間が24時間になるまで連続して繰り返される、
請求項109~124のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【請求項126】
約325,000μm
3未満のエッチング量を示す、請求項109~125のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【請求項127】
約275,000μm
3未満のエッチング量を示す、請求項109~126のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【請求項128】
前記少なくとも1つの表面上の全ての細孔の95%以上で1.50μmの最大細孔径を有する細孔径分布を有する、請求項109~127のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【請求項129】
前記少なくとも1つの表面上の全ての細孔の97%以上で1.75μmの最大細孔径を有する細孔径分布を有する、請求項109~128のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【請求項130】
前記少なくとも1つの表面上の全ての細孔の99%以上で2.00μmの最大細孔径を有する細孔径分布を有する、請求項109~129のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【請求項131】
前記少なくとも1つの表面の10mm×5mmの領域が、10ミリトールの圧力、20sccmのアルゴン流量、600ボルトのバイアス、及び2000ワットのICP電力のエッチング条件を受けるプロセスにおいて、1.0nm/分未満のエッチング速度を示し、
前記プロセスは、第1の工程と第2の工程とを有し、前記第1の工程が、1500秒間の90sccmのCF
4流量及び30sccmの酸素流量を有し、前記第2の工程が、300秒間の0sccmのCF
4流量及び100sccmの酸素流量を有し、
前記第1の工程と前記第2の工程とは、前記第1の工程におけるCF
4への曝露時間が24時間になるまで連続して繰り返される、
請求項109~130のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【請求項132】
前記エッチング速度が0.9nm/分である、請求項109~131のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【請求項133】
前記エッチング速度が0.8nm/分である、請求項109~132のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【請求項134】
エッチングされていない領域において、ISO規格25178-2-2012、セクション4.3.2により決定される250×10
-5未満の展開面積Sdrを示す、請求項109~133のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【請求項135】
前記エッチングされていない領域における前記展開面積が225×10
-5未満である、請求項109~134のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【請求項136】
前記エッチングされていない領域における前記展開面積が200×10
-5未満である、請求項109~135のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【請求項137】
前記少なくとも1つの表面の6mm×6mm×2mmの領域が、90sccmのCF
4流量、30sccmの酸素流量、及び20sccmのアルゴン流量による10ミリトールの圧力、並びに600ボルトのバイアス、並びに2000ワットのICP電力のエッチング条件を受けるプロセスにおいて、エッチングされた領域が、ISO規格25178-2-2012、セクション4.3.2により決定される200×10
-5未満の展開面積を示す、請求項109~136のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【請求項138】
前記エッチングされた領域の前記展開面積が175×10
-5未満である、請求項109~137のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【請求項139】
前記エッチングされた領域の前記展開面積が150×10
-5未満である、請求項109~138のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【請求項140】
前記少なくとも1つの表面の10mm×5mmの領域が、10ミリトールの圧力、20sccmのアルゴン流量、600ボルトのバイアス、及び2000ワットのICP電力のエッチング条件を受けるプロセスにおいて、ISO規格25178-2-2012、セクション4.1.7により決定される30nm未満の算術平均粗さSaを示し、
前記プロセスは、第1の工程と第2の工程とを有し、前記第1の工程が、300秒間の90sccmのCF
4流量及び30sccmの酸素流量を有し、前記第2の工程が、300秒間の0sccmのCF
4流量及び100sccmの酸素流量を有し、
前記第1の工程と前記第2の工程とは、6時間の総エッチング時間連続して繰り返される、請求項109~139のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【請求項141】
前記Saが20nm未満である、請求項109~140のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【請求項142】
前記Saが15nm未満である、請求項109~141のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【請求項143】
前記少なくとも1つの表面は、その0.15%未満が細孔で占められている領域を有する、請求項109~142のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【請求項144】
前記少なくとも1つの表面は、その0.10%未満が細孔で占められている領域を有する、請求項109~143のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【請求項145】
SF
6エッチングプロセス後に0.27~0.28μmの段差変化を示す、請求項109~144のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【請求項146】
0.1μm~25μmの粒度d50を有する、請求項109~145のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【請求項147】
0.5μm~15μmの粒度d50を有する、請求項109~146のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【請求項148】
0.5μm~10μmの粒度d50を有する、請求項109~147のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【請求項149】
100mm~600mmの少なくとも1つの寸法を有する、請求項109~148のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【請求項150】
100mm~406mmの少なくとも1つの寸法を有する、請求項109~149のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【請求項151】
200mm~600mmの少なくとも1つの寸法を有する、請求項109~150のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【請求項152】
350mm~600mmの少なくとも1つの寸法を有する、請求項109~151のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【請求項153】
500mm~600mmの少なくとも1つの寸法を有する、請求項109~152のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【請求項154】
550mm~600mmの少なくとも1つの寸法を有する、請求項109~153のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【請求項155】
前記密度が少なくとも1つの寸法に沿って3%を超えて変化しない、請求項109~154のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【請求項156】
前記密度が少なくとも1つの寸法に沿って2%を超えて変化しない、請求項109~155のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【請求項157】
前記密度が少なくとも1つの寸法に沿って1%を超えて変化しない、請求項109~156のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、プラズマエッチングチャンバー内の構成要素として使用される場合に極めて優れた耐エッチング性に変換される特徴を有する、高純度且つ高密度の酸化イットリウム焼結体に関する。さらに、本開示は、酸化イットリウム焼結体の製造方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
半導体材料処理の分野では、基板上の材料のエッチング及び化学蒸着(CVD)のために真空プロセスチャンバーが使用される。プロセスガスがプロセスチャンバーに導入され、それと同時にラジオ周波数(RF)場がプロセスガスに印加されることで、プロセスガスのプラズマが生成する。
【0003】
半導体基板の処理中、基板は、典型的には、例えば、US5,262,029及びUS5,838,529に開示されているように、基板ホルダーによって真空チャンバー内に支持される。プロセスガスは、様々なガス供給システムによってチャンバーに供給することができる。半導体基板の処理に使用されるその他の装置としては、構成要素の中でも特に、ウインドウ、ノズル、シャワーヘッド、(エッチング)チャンバーライナー、ミキシングマニホールド、ウエハーサポート、電子ウエハーチャック、及び様々なリング(フォーカスリングや保護リングなど)が挙げられる。
【0004】
このようなプロセスでは、プラズマは、典型的にはチャンバー壁及び基板上の材料を除去するために使用される。プラズマエッチング条件は、プラズマにさらされるプロセスチャンバーの表面に大きいイオン衝撃を与える。このイオン衝撃は、プラズマ化学種及び/またはエッチング副生成物と組み合わされて、プロセスチャンバーのプラズマ曝露表面の著しい表面粗面化、侵食、腐食、及び腐食-侵食をもたらす可能性がある。その結果、表面材料は物理的及び/または化学的な攻撃によって除去される。この攻撃は、工具のダウンタイムの延長をもたらす短いパーツ寿命、消耗品のコストの増加、粒子汚染、ウエハー上の遷移金属による汚染、及びプロセス揺らぎなどの問題を引き起こす。
【0005】
さらに、プラズマプロセスチャンバーは、処理されるウエハー上にプラズマをとどめるディスク、リング、及びシリンダーなどのパーツを含むように設計されてきた。しかしながら、プラズマプロセスチャンバー内で使用されるこれらのパーツは、プラズマによって継続的に攻撃され、結果として浸食されたり、汚染物質やポリマーの堆積物が蓄積したりする。
【0006】
そのような反応器におけるプラズマ環境のこの侵食性及び腐食性の性質のため、粒子及び/または金属による汚染を最小限に抑えることが求められている。したがって、消耗品及びその他のパーツを含むそのような装置の構成要素は、適切に高い耐侵食性及び耐腐食性を有することが望まれる。そのようなパーツは、プラズマ環境における耐腐食性及び耐侵食性を付与する材料から形成されており、例えば、U.S.5,798,016、U.S.5,911,852、U.S.6,123,791、及びU.S.6,352,611に記載されている。
【0007】
酸化イットリウムは、アルミナ、炭化ケイ素、窒化ケイ素、及びジルコニアなどの他の一般的なセラミック材料と比較して、ハロゲンベースの腐食性ガス及びそのようなガスのプラズマに対して著しく高い耐性を示すことが知られている。そのため、酸化イットリウムは、プラズマ処理を伴う半導体製造装置における耐腐食性の構成要素の層として広く利用されている。
【0008】
しかし、酸化イットリウムの使用には欠点が存在する。酸化イットリウムは、これらの耐プラズマ性用途における構造材料としての酸化イットリウムの開発を妨げる低い焼結強度などの持続的な問題を抱えている。低い焼結強度は、構成要素の寸法の増加に伴う破損に起因して、大きなパーツを製造する際の制限因子になる可能性もある。したがって、酸化イットリウムは、金属材料から形成されたベース材料、またはアルミナなどの酸化イットリウムよりも安価かつ強度が高い他の材料製のセラミック材料から形成されたベース材料に、酸化イットリウムを噴霧することによって構成要素が製造される一部の場合においては、耐腐食性部材コーティングとして使用することができる。
【0009】
しかしながら、酸化イットリウム素材は、イットリアコーティング内の大きい空隙率や、イットリアとベース層との間の低い接着強度など、プラズマエッチングプロセスにおける多くの欠点を依然として抱えている。コーティング中の空隙の存在は、構成要素の耐腐食性と耐浸食性に悪影響を及ぼすことになる。さらに、酸化イットリウムは従来の方法を用いて焼結することは困難である。そのため、プラズマエッチングチャンバーにおいて使用するための、そのような欠点を有さない酸化イットリウム素材が必要とされている。
【0010】
発明の概要
これら及びその他の要求は、本明細書に開示される様々な実施形態、態様、及び構成によって対処される。
【0011】
/1/ 40ppm以下の総不純物量と、4.93g/cm3以上の密度とを有する酸化イットリウム焼結体であって、少なくとも1つの細孔を含む少なくとも1つの表面を有し、直径5μmを超える細孔を有さない、前記酸化イットリウム焼結体。
【0012】
/2/ 前記密度が4.96g/cm3以下である、請求項1に記載の酸化イットリウム焼結体。
【0013】
/3/ 前記密度が4.98g/cm3以上である、請求項1または2に記載の酸化イットリウム焼結体。
【0014】
/4/ 前記密度が5.01g/cm3以上である、請求項1、2、及び3のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【0015】
/5/ 直径4μmを超える細孔を有さない、先行請求項のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【0016】
/6/ 直径3μmを超える細孔を有さない、先行請求項のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【0017】
/7/ 直径2μmを超える細孔を有さない、先行請求項のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【0018】
/8/ 直径1μmを超える細孔を有さない、先行請求項のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【0019】
/9/ 前記総不純物量が35ppm以下である、先行請求項のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【0020】
/10/ 前記総不純物量が30ppm以下である、先行請求項のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【0021】
/11/ 前記総不純物量が25ppm以下である、先行請求項のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【0022】
/12/ 前記総不純物量が20ppm以下である、先行請求項のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【0023】
/13/ 前記総不純物量が15ppm以下である、先行請求項のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【0024】
/14/ 前記総不純物量が10ppm以下である、先行請求項のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【0025】
/15/ 前記総不純物量が6ppm以下である、先行請求項のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【0026】
/16/ 前記少なくとも1つの表面の10mm×5mmの領域が、10ミリトールの圧力、20sccmのアルゴン流量、600ボルトのバイアス、及び2000ワットのICP電力のエッチング条件を受けるプロセスにおいて、約375,000μm3未満のエッチング量を示し、前記プロセスは、第1の工程と第2の工程とを有し、前記第1の工程が、1500秒間の90sccmのCF4流量及び30sccmの酸素流量を有し、前記第2の工程が、300秒間の0sccmのCF4流量及び100sccmの酸素流量を有し、前記第1と前記第2の工程とは、前記第1の工程におけるCF4への曝露時間が24時間になるまで連続して繰り返される、先行請求項のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【0027】
/17/ 約325,000μm3未満のエッチング量を示す、先行請求項のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【0028】
/18/ 約275,000μm3未満のエッチング量を示す、先行請求項のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【0029】
/19/ 前記少なくとも1つの表面上の全ての細孔の95%以上で1.50μmの最大細孔径を有する細孔径分布を有する、先行請求項のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【0030】
/20/ 前記少なくとも1つの表面上の全ての細孔の97%以上で1.75μmの最大細孔径を有する細孔径分布を有する、先行請求項のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【0031】
/21/ 前記少なくとも1つの表面上の全ての細孔の99%以上で2.00μmの最大細孔径を有する細孔径分布を有する、先行請求項のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【0032】
/22/ 前記少なくとも1つの表面の10mm×5mmの領域が、10ミリトールの圧力、20sccmのアルゴン流量、600ボルトのバイアス、及び2000ワットのICP電力のエッチング条件を受けるプロセスにおいて、1.0nm/分未満のエッチング速度を示し、前記プロセスは、第1の工程と第2の工程とを有し、前記第1の工程が、1500秒間の90sccmのCF4流量及び30sccmの酸素流量を有し、前記第2の工程が、300秒間の0sccmのCF4流量及び100sccmの酸素流量を有し、前記第1の工程と前記第2の工程とは、前記第1の工程におけるCF4への曝露時間が24時間になるまで連続して繰り返される、先行請求項のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【0033】
/23/ 前記エッチング速度が0.9nm/分である、先行請求項のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【0034】
/24/ 前記エッチング速度が0.8nm/分である、先行請求項のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【0035】
/25/ エッチングされていない領域において、ISO規格25178-2-2012、セクション4.3.2により決定される250×10-5未満の展開面積Sdrを示す、先行請求項のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【0036】
/26/ 前記エッチングされていない領域における前記展開面積が225×10-5未満である、先行請求項のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【0037】
/27/ 前記エッチングされていない領域における前記展開面積が200×10-5未満である、先行請求項のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【0038】
/28/ 前記少なくとも1つの表面の6mm×6mm×2mmの領域が、90sccmのCF4流量、30sccmの酸素流量、及び20sccmのアルゴン流量による10ミリトールの圧力、並びに600ボルトのバイアス、並びに2000ワットのICP電力のエッチング条件を受けるプロセスにおいて、エッチングされた領域が、ISO規格25178-2-2012、セクション4.3.2により決定される200×10-5未満の展開面積を示す、先行請求項のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【0039】
/29/ 前記エッチングされた領域の前記展開面積が175×10-5未満である、先行請求項のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【0040】
/30/ 前記エッチングされた領域の前記展開面積が150×10-5未満である、先行請求項のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【0041】
/31/ 前記少なくとも1つの表面の10mm×5mmの領域が、10ミリトールの圧力、20sccmのアルゴン流量、600ボルトのバイアス、及び2000ワットのICP電力のエッチング条件を受けるプロセスにおいて、ISO規格25178-2-2012、セクション4.1.7により決定される30nm未満の算術平均粗さSaを示し、前記プロセスは、第1の工程と第2の工程とを有し、前記第1の工程が、300秒間の90sccmのCF4流量及び30sccmの酸素流量を有し、前記第2の工程が、300秒間の0sccmのCF4流量及び100sccmの酸素流量を有し、前記第1の工程と前記第2の工程とは、6時間の総エッチング時間連続して繰り返される、先行請求項のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【0042】
/32/ 前記Saが20nm未満である、先行請求項のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【0043】
/33/ 前記Saが15nm未満である、先行請求項のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【0044】
/34/ 前記少なくとも1つの表面は、その0.15%未満が細孔で占められている領域を有する、先行請求項のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【0045】
/35/ 前記少なくとも1つの表面は、その0.10%未満が細孔で占められている領域を有する、先行請求項のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【0046】
/36/ SF6エッチングプロセス後に0.27~0.28μmの段差変化を示す、先行請求項のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【0047】
/37/ 0.1μm~25μmの粒度d50を有する、先行請求項のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【0048】
/38/ 0.5μm~15μmの粒度d50を有する、先行請求項のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【0049】
/39/ 0.5μm~10μmの粒度d50を有する、先行請求項のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【0050】
/40/ 100mm~600mmの少なくとも1つの寸法を有する、先行請求項のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【0051】
/41/ 100mm~406mmの少なくとも1つの寸法を有する、先行請求項のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【0052】
/42/ 200mm~600mmの少なくとも1つの寸法を有する、先行請求項のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【0053】
/43/ 350mm~600mmの少なくとも1つの寸法を有する、先行請求項のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【0054】
/44/ 500mm~600mmの少なくとも1つの寸法を有する、先行請求項のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【0055】
/45/ 550mm~600mmの少なくとも1つの寸法を有する、先行請求項のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【0056】
/46/ 前記密度が少なくとも1つの寸法に沿って3%を超えて変化しない、先行請求項のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【0057】
/47/ 前記密度が少なくとも1つの寸法に沿って2%を超えて変化しない、先行請求項のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【0058】
/48/ 前記密度が少なくとも1つの寸法に沿って1%を超えて変化しない、先行請求項のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【0059】
/49/ 焼結装置のツールセットによって規定される容積内に酸化イットリウム粉末を配置する工程と、前記容積内に真空条件または不活性環境を形成する工程と、1200~1600℃の焼結温度に加熱しながら前記酸化イットリウム粉末に10MPa~60MPaの圧力を加え、焼結を行って酸化イットリウム焼結体を形成する工程と、前記酸化イットリウム焼結体の温度を下げる工程と、を含む酸化イットリウム焼結体の製造方法であって、工程a)の前記酸化イットリウム粉末が10m2/g以下の表面積を有し、前記酸化イットリウム焼結体が、40ppm以下の総不純物量と、4.93g/cm3以上の密度と、少なくとも1つの細孔を含む少なくとも1つの表面とを含み、直径5μmを超える細孔を有さない、前記方法。
【0060】
/50/ 前記酸化イットリウム焼結体の温度を上げるために熱を加えてアニール処理温度に到達させてアニール処理することにより、前記酸化イットリウム焼結体をアニール処理する工程と、前記酸化イットリウム焼結体に加えられた前記熱源を除去することにより、前記アニール処理された酸化イットリウム焼結体の温度を周囲温度まで下げる工程と、任意選択的に、前記アニール処理された酸化イットリウム焼結体を機械加工して、酸化イットリウム焼結体構成要素を形成する工程と、をさらに含み、前記構成要素が、誘電体ウインドウまたはRFウインドウ、フォーカスリング、ノズルまたはガスインジェクター、シャワーヘッド、ガス分配プレート、エッチングチャンバーライナー、プラズマ源アダプター、ガス注入口アダプター、ディフューザー、電子ウエハーチャック、チャック、パック、混合マニホールド、イオンサプレッサー要素、フェイスプレート、アイソレーター、スペーサー、及び保護リングからなる群から選択される、請求項49に記載の方法。
【0061】
/51/ 前記酸化イットリウム粉末が工程a)の前にか焼される、請求項49~50のいずれか1項に記載の方法。
【0062】
/52/ 加熱中の前記酸化イットリウムに加えられる圧力が10MPa~40MPaである、請求項49~51のいずれか1項に記載の方法。
【0063】
/53/ 加熱中の前記酸化イットリウムに加えられる圧力が20MPa~40MPaである、請求項49~52のいずれか1項に記載の方法。
【0064】
/54/ 前記酸化イットリウム粉末が1.5~7.0m2/gの表面積を有する、請求項49~53のいずれか1項に記載の方法。
【0065】
/55/ 前記酸化イットリウム粉末が2.0~4.0m2/gの表面積を有する、請求項49~54のいずれか1項に記載の方法。
【0066】
/56/ 前記酸化イットリウム粉末の純度が99.998%よりも高い、請求項49~55のいずれか1項に記載の方法。
【0067】
/57/ 前記酸化イットリウム粉末の純度が99.999%よりも高い、請求項49~56のいずれか1項に記載の方法。
【0068】
/58/ 前記酸化イットリウム焼結体が99.99~99.999%の純度を有する、請求項49~57のいずれか1項に記載の方法。
【0069】
/59/ 前記酸化イットリウム焼結体が99.999~99.9996%の純度を有する、請求項49~58のいずれか1項に記載の方法。
【0070】
/60/ 前記焼結が1分~120分の時間行われる、請求項49~59のいずれか1項に記載の方法。
【0071】
/61/ 前記焼結が2分~60分の時間行われる、請求項49~60のいずれか1項に記載の方法。
【0072】
/62/ 前記酸化イットリウム焼結体が4.96g/cm3以上の密度を有する、請求項49~61のいずれか1項に記載の方法。
【0073】
/63/ 前記酸化イットリウム焼結体が4.98g/cm3以上の密度を有する、請求項49~62のいずれか1項に記載の方法。
【0074】
/64/ 前記酸化イットリウム焼結体が5.01g/cm3以上の密度を有する、請求項49~63のいずれか1項に記載の方法。
【0075】
/65/ 前記少なくとも1つの表面上に直径4μmを超える細孔が存在しない、請求項49~64のいずれか1項に記載の方法。
【0076】
/66/ 前記少なくとも1つの表面上に直径3μmを超える細孔が存在しない、請求項49~65のいずれか1項に記載の方法。
【0077】
/67/ 前記少なくとも1つの表面上に直径2μmを超える細孔が存在しない、請求項49~66のいずれか1項に記載の方法。
【0078】
/68/ 前記少なくとも1つの表面上に直径1μmを超える細孔が存在しない、請求項49~67のいずれか1項に記載の方法。
【0079】
/69/ 前記酸化イットリウム焼結体の前記総不純物量が35ppm以下である、請求項49~68のいずれか1項に記載の方法。
【0080】
/70/ 前記酸化イットリウム焼結体の前記総不純物量が30ppm以下である、請求項49~69のいずれか1項に記載の方法。
【0081】
/71/ 前記酸化イットリウム焼結体の前記総不純物量が25ppm以下である、請求項49~70のいずれか1項に記載の方法。
【0082】
/72/ 前記酸化イットリウム焼結体の前記総不純物量が20ppm以下である、請求項49~71のいずれか1項に記載の方法。
【0083】
/73/ 前記酸化イットリウム焼結体の前記総不純物量が15ppm以下である、請求項49~72のいずれか1項に記載の方法。
【0084】
/74/ 前記酸化イットリウム焼結体の前記総不純物量が10ppm以下である、請求項49~73のいずれか1項に記載の方法。
【0085】
/75/ 前記酸化イットリウム焼結体の前記総不純物量が6ppm以下である、請求項49~74のいずれか1項に記載の方法。
【0086】
/76/ 前記少なくとも1つの表面の10mm×5mmの領域が、10ミリトールの圧力、20sccmのアルゴン流量、600ボルトのバイアス、及び2000ワットのICP電力のエッチング条件を受けるプロセスにおいて、前記酸化イットリウム焼結体が約375,000μm3未満のエッチング量を示し、前記プロセスは、第1の工程と第2の工程とを有し、前記第1の工程が、1500秒間の90sccmのCF4流量及び30sccmの酸素流量を有し、前記第2の工程が、300秒間の0sccmのCF4流量及び100sccmの酸素流量を有し、前記第1の工程と前記第2の工程とは、前記第1の工程におけるCF4への曝露時間が24時間になるまで連続して繰り返される、請求項49~75のいずれか1項に記載の方法。
【0087】
/77/ 前記酸化イットリウム焼結体が約325,000μm3未満のエッチング量を示す、請求項49~76のいずれか1項に記載の方法。
【0088】
/78/ 前記酸化イットリウム焼結体が約275,000μm3未満のエッチング量を示す、請求項49~77のいずれか1項に記載の方法。
【0089】
/79/ 前記酸化イットリウム焼結体が、前記少なくとも1つの表面上の全ての細孔の95%以上で1.50μmの最大細孔径を有する細孔径分布を有する、請求項49~78のいずれか1項に記載の方法。
【0090】
/80/ 前記酸化イットリウム焼結体が、前記少なくとも1つの表面上の全ての細孔の97%以上で1.75μmの最大細孔径を有する細孔径分布を有する、請求項49~79のいずれか1項に記載の方法。
【0091】
/81/ 前記酸化イットリウム焼結体が、前記少なくとも1つの表面上の全ての細孔の99%以上で2.00μmの最大細孔径を有する細孔径分布を有する、請求項49~80のいずれか1項に記載の方法。
【0092】
/82/ 前記少なくとも1つの表面の10mm×5mmの領域が、10ミリトールの圧力、20sccmのアルゴン流量、600ボルトのバイアス、及び2000ワットのICP電力のエッチング条件を受けるプロセスにおいて、前記酸化イットリウム焼結体が1.0nm/分未満のエッチング速度を示し、前記プロセスは、第1の工程と第2の工程とを有し、前記第1の工程が、1500秒間の90sccmのCF4流量及び30sccmの酸素流量を有し、前記第2の工程が、300秒間の0sccmのCF4流量及び100sccmの酸素流量を有し、前記第1の工程と前記第2の工程とは、前記第1の工程におけるCF4への曝露時間が24時間になるまで連続して繰り返される、請求項49~81のいずれか1項に記載の方法。
【0093】
/83/ 前記エッチング速度が0.9nm/分未満である、請求項49~82のいずれか1項に記載の方法。
【0094】
/84/ 前記エッチング速度が0.8nm/分未満である、請求項49~83のいずれか1項に記載の方法。
【0095】
/85/ エッチングされていない領域において、前記酸化イットリウム焼結体がISO規格25178-2-2012、セクション4.3.2により決定される250×10-5未満の展開面積Sdrを示す、請求項49~84のいずれか1項に記載の方法。
【0096】
/86/ 前記エッチングされていない領域における前記展開面積が225×10-5未満である、請求項49~85のいずれか1項に記載の方法。
【0097】
/87/ 前記エッチングされていない領域における前記展開面積が200×10-5未満である、請求項49~86のいずれか1項に記載の方法。
【0098】
/88/ 前記少なくとも1つの表面の6mm×6mm×2mmの領域が、90sccmのCF4流量、30sccmの酸素流量、及び20sccmのアルゴン流量による10ミリトールの圧力、並びに600ボルトのバイアス、並びに2000ワットのICP電力のエッチング条件を受けるプロセスにおいて、前記酸化イットリウム焼結体が、ISO規格25178-2-2012、セクション4.3.2により決定される200×10-5未満の展開面積を示す、請求項49~87のいずれか1項に記載の方法。
【0099】
/89/ 前記エッチングされた領域の前記展開面積が175×10-5未満である、請求項49~88のいずれか1項に記載の方法。
【0100】
/90/ 前記エッチングされた領域の前記展開面積が150×10-5未満である、請求項49~89のいずれか1項に記載の方法。
【0101】
/91/ 前記少なくとも1つの表面の10mm×5mmの領域が、10ミリトールの圧力、20sccmのアルゴン流量、600ボルトのバイアス、及び2000ワットのICP電力のエッチング条件を受けるプロセスであって、第1の工程と第2の工程とを有し、前記第1の工程が、300秒間の90sccmのCF4流量及び30sccmの酸素流量を有し、前記第2の工程が、300秒間の0sccmのCF4流量及び100sccmの酸素流量を有し、6時間の総エッチング時間、工程1と工程2が連続して繰り返される前記プロセスにおいて、前記酸化イットリウム焼結体が、ISO規格25178-2-2012、セクション4.1.7により決定される30nm未満の算術平均粗さSaを示す、請求項49~90のいずれか1項に記載の方法。
【0102】
/92/ 前記Saが20未満である、請求項49~91のいずれか1項に記載の方法。
【0103】
/93/ 前記Saが15未満である、請求項49~92のいずれか1項に記載の方法。
【0104】
/94/ 前記少なくとも1つの表面は、その0.15%未満が細孔で占められている領域を有する、請求項49~93のいずれか1項に記載の方法。
【0105】
/95/ 前記少なくとも1つの表面は、その0.10%未満が細孔で占められている領域を有する、請求項49~94のいずれか1項に記載の方法。
【0106】
/96/ 前記酸化イットリウム焼結体が0.1μm~25μmの粒度d50を有する、請求項49~95のいずれか1項に記載の方法。
【0107】
/97/ 前記酸化イットリウム焼結体が0.5μm~15μmの粒度d50を有する、請求項49~96のいずれか1項に記載の方法。
【0108】
/98/ 前記酸化イットリウム焼結体が0.5μm~10μmの粒度d50を有する、請求項49~97のいずれか1項に記載の方法。
【0109】
/99/ 前記酸化イットリウム焼結体が100mm~600mmの少なくとも1つの寸法を有する、請求項49~98のいずれか1項に記載の方法。
【0110】
/100/ 前記酸化イットリウム焼結体が100mm~406mmの少なくとも1つの寸法を有する、請求項49~99のいずれか1項に記載の方法。
【0111】
/101/ 前記酸化イットリウム焼結体が200mm~600mmの少なくとも1つの寸法を有する、請求項49~100のいずれか1項に記載の方法。
【0112】
/102/ 前記酸化イットリウム焼結体が350mm~600mmの少なくとも1つの寸法を有する、請求項49~101のいずれか1項に記載の方法。
【0113】
/103/ 前記酸化イットリウム焼結体が500mm~600mmの少なくとも1つの寸法を有する、請求項49~102のいずれか1項に記載の方法。
【0114】
/104/ 前記酸化イットリウム焼結体が550mm~600mmの少なくとも1つの寸法を有する、請求項49~103のいずれか1項に記載の方法。
【0115】
/105/ 前記密度が少なくとも1つの寸法に沿って3%を超えて変化しない、請求項49~104のいずれか1項に記載の方法。
【0116】
/106/ 前記密度が少なくとも1つの寸法に沿って2%を超えて変化しない、請求項49~105のいずれか1項に記載の方法。
【0117】
/107/ 前記密度が少なくとも1つの寸法に沿って1%を超えて変化しない、請求項49~106のいずれか1項に記載の方法。
【0118】
/108/ 前記酸化イットリウム焼結体が、SF6エッチングプロセス後に0.27~0.28μmの段差変化を示す、請求項49~107のいずれか1項に記載の方法。
【0119】
/109/ 焼結装置のツールセットによって規定される容積内に酸化イットリウム粉末を配置する工程と、前記容積内に真空条件または不活性環境を形成する工程と、1200~1600℃の焼結温度に加熱しながら前記酸化イットリウム粉末に10MPa~60MPaの圧力を加え、焼結を行って酸化イットリウム焼結体を形成する工程と、前記酸化イットリウム焼結体の温度を下げる工程と、を含む酸化イットリウム焼結体の製造方法であって、工程a)の前記酸化イットリウム粉末が10m2/g以下の表面積を有し、前記酸化イットリウム焼結体が、40ppm以下の総不純物量と、4.93g/cm3以上の密度と、少なくとも1つの細孔を含む少なくとも1つの表面とを含み、直径5μmを超える細孔を有さない前記方法によって製造される、酸化イットリウム焼結体。
【0120】
/110/ 前記方法が、前記酸化イットリウム焼結体の温度を上げるために熱を加えてアニール処理温度に到達させてアニール処理することにより、前記酸化イットリウム焼結体をアニール処理する工程と、前記アニール処理された酸化イットリウム焼結体の温度を下げる工程と、前記アニール処理された酸化イットリウム焼結体を機械加工して、酸化イットリウム焼結体構成要素を形成する工程と、をさらに含み、前記構成要素が、誘電体ウインドウまたはRFウインドウ、フォーカスリング、ノズルまたはガスインジェクター、シャワーヘッド、ガス分配プレート、エッチングチャンバーライナー、プラズマ源アダプター、ガス注入口アダプター、ディフューザー、電子ウエハーチャック、チャック、パック、混合マニホールド、イオンサプレッサー要素、フェイスプレート、アイソレーター、スペーサー、及び保護リングからなる群から選択される、請求項109に記載の酸化イットリウム焼結体。
【0121】
/111/ 前記密度が4.96g/cm3以上である、請求項109~110のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【0122】
/112/ 前記密度が4.98g/cm3以上である、請求項109~111のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【0123】
/113/ 前記密度が5.01g/cm3以上である、請求項109~112のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【0124】
/114/ 直径4μmを超える細孔が存在しない、請求項109~113のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【0125】
/115/ 直径3μmを超える細孔が存在しない、請求項109~114のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【0126】
/116/ 直径2μmを超える細孔が存在しない、請求項109~115のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【0127】
/117/ 直径1μmを超える細孔が存在しない、請求項109~116のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【0128】
/118/ 前記不純物量が35ppm以下である、請求項109~117のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【0129】
/119/ 前記不純物量が30ppm以下である、請求項109~118のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【0130】
/120/ 前記不純物量が25ppm以下である、請求項109~119のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【0131】
/121/ 前記不純物量が20ppm以下である、請求項109~120のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【0132】
/122/ 前記不純物量が15ppm以下である、請求項109~121のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【0133】
/123/ 前記不純物量が10ppm以下である、請求項109~122のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【0134】
/124/ 前記不純物量が6ppm以下である、請求項109~123のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【0135】
/125/ 前記少なくとも1つの表面の10mm×5mmの領域が、10ミリトールの圧力、20sccmのアルゴン流量、600ボルトのバイアス、及び2000ワットのICP電力のエッチング条件を受けるプロセスにおいて、約375,000μm3未満のエッチング量を示し、前記プロセスは、第1の工程と第2の工程とを有し、前記第1の工程が、1500秒間の90sccmのCF4流量及び30sccmの酸素流量を有し、前記第2の工程が、300秒間の0sccmのCF4流量及び100sccmの酸素流量を有し、前記第1の工程と前記第2の工程とは、前記第1の工程におけるCF4への曝露時間が24時間になるまで連続して繰り返される、請求項109~124のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【0136】
/126/ 約325,000μm3未満のエッチング量を示す、請求項109~125のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【0137】
/127/ 約275,000μm3未満のエッチング量を示す、請求項109~126のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【0138】
/128/ 前記少なくとも1つの表面上の全ての細孔の95%以上で1.50μmの最大細孔径を有する細孔径分布を有する、請求項109~127のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【0139】
/129/ 前記少なくとも1つの表面上の全ての細孔の97%以上で1.75μmの最大細孔径を有する細孔径分布を有する、請求項109~128のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【0140】
/130/ 前記少なくとも1つの表面上の全ての細孔の99%以上で2.00μmの最大細孔径を有する細孔径分布を有する、請求項109~129のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【0141】
/131/ 前記少なくとも1つの表面の10mm×5mmの領域が、10ミリトールの圧力、20sccmのアルゴン流量、600ボルトのバイアス、及び2000ワットのICP電力のエッチング条件を受けるプロセスにおいて、1.0nm/分未満のエッチング速度を示す、前記プロセスは、第1の工程と第2の工程とを有し、前記第1の工程が、1500秒間の90sccmのCF4流量及び30sccmの酸素流量を有し、前記第2の工程が、300秒間の0sccmのCF4流量及び100sccmの酸素流量を有し、前記第1の工程と前記第2の工程とは、前記第1の工程におけるCF4への曝露時間が24時間になるまで連続して繰り返される、請求項109~130のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【0142】
/132/ 前記エッチング速度が0.9nm/分である、請求項109~131のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【0143】
/133/ 前記エッチング速度が0.8nm/分である、請求項109~132のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【0144】
/134/ エッチングされていない領域において、ISO規格25178-2-2012、セクション4.3.2により決定される250×10-5未満の展開面積Sdrを示す、請求項109~133のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【0145】
/135/ 前記エッチングされていない領域における前記展開面積が225×10-5未満である、請求項109~134のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【0146】
/136/ 前記エッチングされていない領域における前記展開面積が200×10-5未満である、請求項109~135のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【0147】
/137/ 前記少なくとも1つの表面の6mm×6mm×2mmの領域が、90sccmのCF4流量、30sccmの酸素流量、及び20sccmのアルゴン流量による10ミリトールの圧力、並びに600ボルトのバイアス、並びに2000ワットのICP電力のエッチング条件を受けるプロセスにおいて、エッチングされた領域が、ISO規格25178-2-2012、セクション4.3.2により決定される200×10-5未満の展開面積を示す、請求項109~136のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【0148】
/138/ 前記エッチングされた領域の前記展開面積が175×10-5未満である、請求項109~137のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【0149】
/139/ 前記エッチングされた領域の前記展開面積が150×10-5未満である、請求項109~138のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【0150】
/140/ 前記少なくとも1つの表面の10mm×5mmの領域が、10ミリトールの圧力、20sccmのアルゴン流量、600ボルトのバイアス、及び2000ワットのICP電力のエッチング条件を受けるプロセスおいて、ISO規格25178-2-2012、セクション4.1.7により決定される30nm未満の算術平均粗さSaを示し、前記プロセスは、第1の工程と第2の工程とを有し、前記第1の工程が、300秒間の90sccmのCF4流量及び30sccmの酸素流量を有し、前記第2の工程が、300秒間の0sccmのCF4流量及び100sccmの酸素流量を有し、前記第1の工程と前記第2の工程とは、6時間の総エッチング時間連続して繰り返される、請求項109~139のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【0151】
/141/ 前記Saが20nm未満である、請求項109~140のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【0152】
/142/ 前記Saが15nm未満である、請求項109~141のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【0153】
/143/ 前記少なくとも1つの表面は、その0.15%未満が細孔で占められている領域を有する、請求項109~142のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【0154】
/144/ 前記少なくとも1つの表面は、その0.10%未満が細孔で占められている領域を有する、請求項109~143のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【0155】
/145/ SF6エッチングプロセス後に0.27~0.28μmの段差変化を示す、請求項109~144のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【0156】
/146/ 0.1μm~25μmの粒度d50を有する、請求項109~145のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【0157】
/147/ 0.5μm~15μmの粒度d50を有する、請求項109~146のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【0158】
/148/ 0.5μm~10μmの粒度d50を有する、請求項109~147のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【0159】
/149/ 100mm~600mmの少なくとも1つの寸法を有する、請求項109~148のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【0160】
/150/ 100mm~406mmの少なくとも1つの寸法を有する、請求項109~149のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【0161】
/151/ 200mm~600mmの少なくとも1つの寸法を有する、請求項109~150のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【0162】
/152/ 350mm~600mmの少なくとも1つの寸法を有する、請求項109~151のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【0163】
/153/ 500mm~600mmの少なくとも1つの寸法を有する、請求項109~152のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【0164】
/154/ 550mm~600mmの少なくとも1つの寸法を有する、請求項109~153のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【0165】
/155/ 前記密度が少なくとも1つの寸法に沿って3%を超えて変化しない、請求項109~154のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【0166】
/156/ 前記密度が少なくとも1つの寸法に沿って2%を超えて変化しない、請求項109~155のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【0167】
/157/ 前記密度が少なくとも1つの寸法に沿って1%を超えて変化しない、請求項109~156のいずれか1項に記載の酸化イットリウム焼結体。
【0168】
酸化イットリウム焼結体及び酸化イットリウム焼結体の製造方法の前述した実施形態は、任意の方法で組み合わせることができ、また実施形態を組み合わせることができる。したがって、以下の説明で概説されるように、上述した特徴を組み合わせて酸化イットリウム体及び/または方法を説明することができ、その逆も可能である。
【0169】
その開発を、添付の図面に関連して例として説明する。酸化イットリウム焼結体に関連して開示される特徴は方法にも適用され、逆も同様である。
【図面の簡単な説明】
【0170】
【
図1】本技術の実施形態による半導体処理システムである。
【
図2】本技術の実施形態による半導体処理システムの別の実施形態である。
【
図3】本開示の実施形態による、焼結酸化イットリウムサンプルH1/66、H2/65、及びH3/79と比較した、従来技術の焼結酸化イットリウムサンプルCM1/107及びCM2/108のCF
4エッチング量である。
【
図4】本開示の実施形態に従って製造された様々な焼結酸化イットリウムサンプルと比較した、従来技術のTSC 03(石英)、並びに焼結酸化イットリウムサンプル118及び107のCF
4+O
2平均エッチング量である。
【
図5】本開示の実施形態に従って製造された様々な焼結酸化イットリウムサンプルと比較した、従来技術のTSC 03(石英)、並びに焼結酸化イットリウムサンプル118及び107のCF
4+O
2平均段差である。
【
図6】本開示の実施形態に従って製造された様々なサンプルと比較した、従来技術のTSC 03(石英)並びに焼結酸化イットリウムサンプル118及び107のCF
4+O
2平均エッチング速度である。
【
図7】CF
4エッチングプロセスの前後の、従来技術の焼結酸化イットリウムサンプルCM1/107及びCM2/108の表面の50倍でのSEM顕微鏡写真である。
【
図8】CF
4エッチングプロセス前後の、本開示に従って製造された焼結酸化イットリウムサンプルH1/66、H2/65、及びH3/79の表面の50倍でのSEM顕微鏡写真である。
【
図9】CF
4エッチングプロセス前後の、従来技術の焼結酸化イットリウムサンプルCM1/107及びCM2/108の表面の1000倍でのSEM顕微鏡写真である。
【
図10】CF
4エッチングプロセス前後の、本開示に従って製造された焼結酸化イットリウムサンプルH1/66、H2/65、及びH3/79の表面の1000倍でのSEM顕微鏡写真である。
【
図11】CF
4+O
2エッチングプロセス前後の、従来技術の焼結酸化イットリウムサンプル107及び118の表面の5000倍でのSEM顕微鏡写真である。
【
図12】CF
4+O
2エッチングプロセス前後の、本開示に従って製造された焼結酸化イットリウムサンプル152及び189-1の表面の5000倍でのSEM顕微鏡写真である。
【
図13】本開示に従って製造された、焼結酸化イットリウムサンプルの端部の表面及び同じ焼結酸化イットリウムサンプル457の中心の表面の1000倍及び5000倍でのSEM顕微鏡写真である。
【
図14】本開示の一実施形態による酸化イットリウム体(H1/66~H4/152)が2.00μmを超える細孔径の細孔を有さないことを示す。
【
図15】CF
4エッチングプロセス前後の、本開示の実施形態による焼結酸化イットリウムサンプルH1/66、H2/65、及びH3/79と比較した従来技術の焼結酸化イットリウムサンプルCM1/107及びCM2/108の、光学倍率50倍での展開面積比Sdrを示すグラフである。
【
図16】CF
4エッチングプロセス前後の、本開示の実施形態による焼結酸化イットリウムサンプルH1/66、H2/65、及びH3/79と比較した従来技術の焼結酸化イットリウムサンプルCM1/107及びCM2/108の、光学倍率50倍で測定された算術平均高さSa(nm)を示すグラフである。
【
図17】CF
4+O
2エッチングプロセス前後の、実施例からの従来技術の焼結酸化イットリウムサンプルCM1/107及び様々な焼結酸化イットリウムサンプルの、光学倍率50倍で測定された展開面積比Sdrを示すグラフである。
【
図18】CF
4+O
2エッチングプロセス前後の、実施例からの従来技術の焼結酸化イットリウムサンプルCM1/107及び様々な焼結酸化イットリウムサンプルの、光学倍率50倍で測定された算術平均高さSa(nm)を示すグラフである。
【
図19】従来技術の焼結酸化イットリウムサンプルと比較した、実施例からの様々な焼結酸化イットリウムサンプルのパーセント面積空隙率(percent area porosity)を示すグラフである。
【
図20】従来技術の焼結酸化イットリウムサンプルと比較した、実施例からの様々なサンプルの細孔径(細孔径分布)に対する累積面積%を示すグラフである。
【
図21】従来技術の焼結酸化イットリウムサンプルと比較した、実施例からの様々なサンプルの細孔径の対数に対する空隙率分布を示すグラフである。
【
図22】酸化イットリウムの理論密度よりも98%以上大きい密度を有する酸化イットリウム焼結体を得るために必要な焼結圧力及び温度条件を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0171】
本明細書に開示の焼結プロセスによって製造される、プラズマエッチングプロセスチャンバーで使用されるパーツの材料として、酸化イットリウム焼結体が提案される。そのようなパーツとしては、構成要素の中でも特に、ウインドウ、ノズル、シャワーヘッド、(エッチング)チャンバーライナー、ミキシングマニホールド、ウエハーサポート、電子ウエハーチャック、及び様々なリング(フォーカスリングや保護リングなど)が挙げられる。
【0172】
以降で具体的な実施形態を詳細に参照する。具体的な実施形態の例は、添付の図面に示されている。本開示は、これらの特定の実施に関連して説明されるが、本開示をそのような特定の実施形態に限定することを意図するものではないことが理解されるであろう。むしろ、添付の特許請求の範囲によって定義される趣旨及び範囲内に含まれ得る代替形態、修正形態、及び均等物を網羅することが意図されている。以降の説明では、開示された実施形態の完全な理解を提供するために、多くの具体的な詳細事項が示されている。この開示事項は、これらの具体的な詳細事項の一部または全部なしで実施することができる。
【0173】
定義
本明細書で使用される「半導体ウエハー」、「ウエハー」、「基板」、及び「ウエハー基板」という用語は、交換可能に使用される。半導体デバイス産業で使用されるウエハーまたは基板は、典型的には、例えば200mm、または300mm、または450mmの直径を有する。
【0174】
本明細書で使用される「酸化イットリウム焼結体」という用語は、「焼結物」、「物体」または「焼結体」または「セラミック焼結体」と同義である。これは、酸化イットリウムを含み、かつ本明細書に開示の酸化イットリウム粉末からモノリシックな酸化イットリウム焼結体を形成する圧力及び熱処理プロセスにさらされると形成される固体物品を指す。
【0175】
本明細書で使用される「純度」という用語は、本明細書に開示の酸化イットリウム焼結体を形成することができる出発物質への適用において有害であると典型的にみなされる様々な汚染物質の存在を指す。
【0176】
本明細書で使用される「ツールセット」という用語は、ダイと2つのパンチとを含むことができ、任意選択的には追加のスペーサー要素も含み得るものである。
【0177】
本明細書で使用される「堅さ」及び「剛性」という用語は同義であり、当業者に公知のヤング率の定義と一致する。
【0178】
熱処理プロセスに関して使用される場合の「か焼」または「か焼する」という用語は、本明細書では、水分及び/または不純物を除去するために、結晶化度を高めるために、並びに場合によっては粉末混合物の表面積を変更するために、焼結温度よりも低い温度で空気中の粉末に対して行われ得る熱処理工程を意味すると理解される。
【0179】
セラミックの熱処理に適用される場合の「アニール処理」という用語は、本明細書では、本開示の酸化イットリウム焼結体に対して空気中である温度まで行われ、ゆっくりと放冷されて応力が緩和される、及び/または化学量論が正常化される熱処理を意味すると理解される。
【0180】
当該技術分野で公知の「Sa」という用語は、表面の算術平均高さに関し、表面全体の算術平均の絶対値を表す。ISO 25178-2-2012セクション4.1.7による定義は、定義領域(A)内の縦座標値の絶対値の算術平均である。
【0181】
当該技術分野で公知の「Sdr」という用語は、「展開面積比」として定義される計算された数値を指し、完全に平坦な表面の表面積を超える実際の表面積の増加の比例式である。ISO 25178-2-2012セクション4.3.2による定義は、定義領域に対する、定義領域(A)内のスケール制限された表面の界面領域の増加の割合である。
【0182】
本明細書において、数に関連して使用される「約」という用語は、プラスまたはマイナス10%の変動を許容する。
【0183】
以下の説明では、示される範囲には下限と上限のしきい値が含まれる。したがって、パラメータAの「X及びYの範囲内」または「XとYとの間の範囲内」の意味における定義は、AがXとYのうちの任意の値及びXとYとの間の任意の値であってよいことを意味する。パラメータAの「最大Y」または「少なくともX」の意味における定義は、それぞれAがY及びYよりも小さい任意の値であってもよいこと、またはAがX及びXよりも大きい任意の値であってもよいことを意味する。
【0184】
酸化イットリウム焼結体
以下の詳細な説明は、本発明が、半導体ウエハー基板の製造の一部として必要なエッチングまたは堆積チャンバーなどの装置内で実施されることを前提としている。しかしながら、本発明はそのように限定されない。ワークピースは、様々な形状、サイズ、及び材料のものであってもよい。半導体ウエハー処理に加えて、本発明を利用することができる他のワークピースには、微細なフィーチャサイズの無機回路基板、磁気記録媒体、磁気記録センサー、ミラー、光学素子、マイクロメカニカルデバイスなどの様々な物品が含まれる。
【0185】
エッチングまたは堆積プロセスに関連する半導体処理反応器は、半導体処理に必要な反応性プラズマによる化学的腐食に対して高い耐性を有する材料から製造されたチャンバー構成要素を必要とする。これらのプラズマまたはプロセスガスは、O2、F、Cl2、HBr、BCl3、CCl4、N2、NF3、NO、N2O、C2H4、CF4、SF6、C4F8、CHF3、CH2F2などの様々なハロゲン、酸素、及び窒素に基づく化学物質から構成され得る。本明細書に開示の耐腐食性材料の使用は、使用中の化学的腐食を低減させる。
【0186】
図1及び
図2は、本明細書に開示の酸化イットリウム焼結体が有用であるエッチング/堆積チャンバーを示している。
図1に示されているように、本技術の実施形態は、処理システムとしても示される半導体処理システム9500を含み得る。処理システム9500は、遠隔プラズマ領域を含み得る。遠隔プラズマ領域は、遠隔プラズマ源(「RPS」)としても示されるプラズマ源9502を含み得る。
【0187】
容量結合プラズマ(CCP)処理装置を表し得る処理システム9500は、真空チャンバー9550と、真空源と、半導体基板としても示されるウエハー50が上に支持されるチャック9508とを含む。ウインドウ9507は、真空チャンバー9550の上壁を形成する。ウインドウ9507は、前述した実施形態のうちの1つによる酸化イットリウム焼結体から製造することができる。いくつかの実施形態では、ウインドウ9507は、前述した実施形態のうちの1つによる酸化イットリウム焼結体から部分的に製造することができる。9506は、ガス注入口であってよく、ガス注入口アセンブリガス供給システムインジェクターまたはノズルは、酸化イットリウム焼結体から製造することができる。ガスインジェクター9506は、ウインドウと同じまたは異なる材料の別個の部材を含み得る。
【0188】
プラズマ源9502は、処理されるウエハー50を収容するために、真空チャンバー9550のウインドウ9507の外側に設けられる。真空チャンバー9550において、容量結合プラズマは、プロセスガスを真空チャンバー9550に供給し、高周波電力をプラズマ源9502に供給することによって生成することができる。このようにして生成された容量結合プラズマを使用することによって、ウエハー50に対して所定のプラズマ処理が実行される。所定のパターンを有する平面アンテナが、容量結合処理システム9500の高周波アンテナに広く使用されている。
【0189】
処理システム9500は、ウエハー50を運ぶように設計された静電チャック9508をさらに含み得る。チャック9508は、ウエハー50を支持するためのパック9509を含み得る。パック9509は、パック9509の支持面近傍のパック内に配置され、パック9509上に配置されたときにウエハー50を静電的に保持するチャック電極を有し得る。チャック9508は、パック9509を支持するためにリング状に延びるベース9511と、ベースとパックとの間に配置され、パック9509とベース9510との間にギャップが形成されるようにベースの上でパックを支持するシャフト9510と、を含むことができ、シャフト9510は、パック9509の周縁部に近接してパックを支持する。パック9509は、ウエハーを汚染し得る生成粒子を最小限に抑えるために、前述の実施形態のうちの1つによる酸化イットリウム焼結体から製造することができる。
【0190】
物理蒸着(PVD)プロセスでは、カバーリング9514を含む基板リングが基板の周囲に設けられる。カバーリング9514は、典型的にはウエハーを取り囲み、パック9509のウエハー支持面上に載っているリップまたはレッジを有する。カバーリング9514は、これがない場合にチャンバー内でエネルギーを与えられたガスにさらされることになるパック9509の側壁表面及び周縁部を、プロセス残留物の堆積から保護する。したがって、カバーリング9514は、パック9509上のプロセス残留物の蓄積を低減する。そのようなプロセス残留物の蓄積物は最終的にはがれ落ち、ウエハーを汚染することになる。カバーリング9514は、前述した実施形態のうちの1つによる酸化イットリウム焼結体から製造することができる。
【0191】
カバーリング9514は、エネルギーを与えられたガスによるパック9509の侵食を低減することもできる。カバーリング自体は、基板処理サイクル中にリングに蓄積するプロセス残留物を除去するためにチャンバーから定期的に取り外して例えばHFやHNO
3で洗浄することができるため、カバーリング9514の設置は、チャック及び/またはパック9509が洗浄を必要とする頻度も低下させる。カバーリング9514の配置は、パック9509の支持面の一部を覆う場合の
図1で見ることができる。なお、パック9509の表面の別の部分は、上部シールドリング9512及び/またはシールドリング9513で覆われていてもよい。適切に高い耐浸食性及び耐腐食性を得るために、上部シールドリング9512及び/またはシールドリング9513は、前述した実施形態のうちの1つによる酸化イットリウム焼結体から製造することができる。
【0192】
図2に示されているように、本技術の別の実施形態は、半導体処理システム9600を含み得る。誘導結合プラズマ(ICP)処理装置を表し得る処理システム9600は、真空チャンバー9650と、真空源と、半導体基板としても示されるウエハー50が上に支持されるチャック9608とを含む。シャワーヘッド9700は、真空チャンバー9650の上壁を形成するか、真空チャンバー9650の上壁の下に取り付けられる。セラミックシャワーヘッド9700は、プロセスガスを真空チャンバー9650の内部に供給するための複数のシャワーヘッドガス出口と流体連通するガスプレナムを備える。さらに、シャワーヘッド9700は、中央ガスインジェクターを受け入れるように構成された中央開口部を含み得る。RFエネルギー源は、プロセスガスをプラズマ状態に励起して半導体基板を処理する。中央ガスインジェクターによって供給されるプロセスガスの流量及びセラミックシャワーヘッド9700によって供給されるプロセスガスの流量は、独立に制御することができる。処理システム9600は、前述した実施形態のうちの1つによる酸化イットリウム焼結体から製造することができるシャワーヘッド9700を含み得る。シャワーヘッド9700は、ガス供給システム9606と流体連通することができる。ガス供給システム9606は、酸化イットリウム焼結体から製造することができ、また酸化イットリウム焼結体製のインジェクターまたはノズル9714を有し得る。
【0193】
システム9600は、ウエハー50を運ぶように設計されたチャック9608をさらに含み得る。チャック9608は、ウエハー50を支持するためのパック9609を含み得る。パック9609は、誘電体材料から形成することができ、パック9609上に配置されたときにウエハー50を静電的に保持するための、パック9609の支持面近傍のパック内に配置されたチャック電極を有し得る。チャック9608は、パック9609を支持するためにリング状に延びるベース9611と、パック9609とベース9610との間にギャップが形成されるようにベースの上でパックを支持するためにベースとパックとの間に配置されるシャフト9610と、を含むことができ、シャフト9610は、パック9609の周縁部に近接してパックを支持する。パック9609は、ウエハーを汚染し得る生成粒子を最小限に抑えるために、前述した実施形態のうちの1つによる酸化イットリウム焼結体から製造することができる。
【0194】
シャワーヘッド9700の表面の一部は、シールドリング9712で覆われ得る。シャワーヘッド9700の表面の一部、特にシャワーヘッド9700の表面の半径方向の側部は、上部シールドリング9710で覆われていてもよい。パック9609の支持面の一部は、カバーリング9614で覆われていてもよい。パック9609の表面の別の部分は、上部シールドリング9612及び/または絶縁リング9613で覆われていてもよい。適切に高い耐浸食性及び耐腐食性を得るために、カバーリング9614及び/または上部シールドリング9612及び/または絶縁リング9613は、前述した実施形態のうちの1つによる酸化イットリウム焼結体から製造することができる。
【0195】
シャワーヘッド9700は、2枚の平行なプレートを含むことができ、それらの両方は、本明細書に開示の実施形態のうちの1つによる酸化イットリウム焼結体を含むことができ、あるいはこれから構成されてもよい。プレート間の容積を規定するために、2枚のプレートを互いに結合させることができる。プレートの結合は、上部プレート及び下部プレートを通る流体流路が得られるようにすることができる。シャワーヘッドは、チャンバープラズマ領域内のまたはプラズマ源からのプラズマによる励起時にプラズマ流出物を含むプロセスガスを該流体流路を介して分配することができる。イオンサプレッサー(図示せず)は、第2のプレートの表面近傍に配置することができ、第2のプレートの表面と結合することができる。イオンサプレッサーは、本明細書に開示の実施形態のうちの1つによる酸化イットリウム焼結体を含むことができ、あるいはこれから構成されてもよい。イオンサプレッサーは、ウエハーを収容するプロセスチャンバーの処理領域へのイオン移動を低減するように構成することができる。イオンサプレッサーは、構造体を通り抜ける複数の開口を規定することができる。
【0196】
非常に高い純度を有するセラミック焼結体などのチャンバー構成材料を提供することにより、腐食の開始部位として機能し得る不純物が少ない均一な耐腐食性の物体が得られる。チャンバー構成要素として使用する材料には、高い耐侵食性や耐剥離性も必要とされる。しかしながら、侵食は、上述したように、Arなどの不活性プラズマガスの使用による構成要素表面のイオン衝撃から生じる可能性がある。さらに、微細スケールで分布している最小限の空隙を有する高密度材料から製造された構成要素は、エッチング及び堆積プロセス中の腐食及び侵食に対するより大きな耐性を与え得る。結果として、好ましいチャンバー構成要素は、プラズマエッチング、堆積、及びチャンバーの洗浄プロセス中に高い耐浸食性及び耐腐食性を有する材料から製造されたものとすることができる。腐食及び侵食に対するこの耐性は、半導体処理中の構成要素表面からエッチングまたは堆積チャンバーへの粒子の放出を防止する。プロセスチャンバーへのそのような粒子の放出または脱落は、ウエハー汚染、半導体プロセスの揺らぎ、及び半導体デバイスレベルの歩留まり低下の一因となる。
【0197】
加えて、チャンバー構成要素は、構成要素の設置、取り外し、洗浄、及びプロセスチャンバー内での使用中に必要とされる、取り扱い性のための十分な曲げ強さ及び剛性を有さなければならない。高い機械的強度により、微細な形状の複雑な特徴を、破損、亀裂、または欠けのないセラミック焼結体へと機械加工することができる。曲げ強度または剛性は、最新のプロセスツールで使用される大きな構成要素サイズで特に重要になる。直径200~600mm程度のチャンバーウインドウなどの一部の構成要素の用途では、真空条件下での使用中にウインドウに大きな応力がかかるため、高強度かつ高剛性の耐腐食性材料を選択する必要がある。
【0198】
本明細書に開示のセラミック焼結体及び関連する構成要素は、以降に記載の特定の材料特性及び特徴によって、改善されたプラズマエッチング耐性と、半導体プロセスチャンバー内で洗浄される向上した能力とを提供する。
【0199】
40ppm以下の総不純物量と、4.93g/cm3以上の密度とを有する酸化イットリウム焼結体が開示され、この酸化イットリウム焼結体は、少なくとも1つの細孔を含む少なくとも1つの表面を有し、直径5μmを超える細孔を有さない。本明細書に開示の酸化イットリウム焼結体は、本明細書の以降でより詳しく説明される、放電プラズマ焼結(SPS)プロセスにおいて特定の製造手順及びいくつかの特定のプロセスパラメータを適用することによって提供される。
【0200】
本明細書に開示の方法によって製造された酸化イットリウム焼結体は、40ppm以下の総不純物量を有する。一実施形態では、酸化イットリウム焼結体は、35ppm以下の総不純物量を有する。別の実施形態では、酸化イットリウム焼結体は、30ppm以下の総不純物量を有する。別の実施形態では、酸化イットリウム焼結体は、25ppm以下の総不純物量を有する。さらに別の実施形態では、酸化イットリウム焼結体は、20ppm以下の総不純物量を有する。さらに別の実施形態では、酸化イットリウム焼結体は、15ppm以下の総不純物量を有する。さらに別の実施形態では、酸化イットリウム焼結体は、10ppm以下の総不純物量を有する。またさらに別の実施形態では、酸化イットリウム焼結体は、5ppm以下の総不純物量を有する。またさらに別の実施形態では、酸化イットリウム焼結体は、0ppm以下の総不純物量を有する。本明細書において、「不純物」という用語は、酸化イットリウム以外の任意の元素または化合物を指す。例示的な不純物としては、限定するものではないが、ケイ素、カルシウム、ナトリウム、ストロンチウム、ジルコニア、マグネシウム、カリウム、鉄、リン、ホウ素、及び低融点元素(亜鉛、スズ、インジウムなど)が挙げられる。したがって、複数の実施形態では、酸化イットリウム焼結体は、これらの不純物のうちの少なくとも1種または全てを実質的に含まないか、含まない。
【0201】
本明細書に開示の酸化イットリウム焼結体は、理論密度の98%である4.93g/cm3以上の密度を有する。D.R.Lide,CRC Handbook of Chemistry and Physics 84th Edition,2012 (「the CRC Handbook」)によれば、酸化イットリウムの理論密度は5.03g/cm3である。本開示により製造された酸化イットリウム焼結体は、CRC Handbookに記載されている酸化イットリウムの理論密度の98%以上、好ましくは98.5%以上、より好ましくは99%以上、さらに好ましくは99.5%以上、さらに好ましくは100%以上を有する。したがって、言い換えると、本明細書に開示の酸化イットリウム焼結体は、4.93g/cm3以上(理論値の98%以上)の密度を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に開示の酸化イットリウム焼結体は、4.96g/cm3以上(理論値の98.5%以上)の密度を有する。別の実施形態では、本明細書に開示の酸化イットリウム焼結体は、4.98g/cm3以上(理論値の99%以上)の密度を有する。さらに別の実施形態では、本明細書に開示の酸化イットリウム焼結体は、5.01g/cm3以上(理論値の99.5%以上)の密度を有する。密度測定値の偏差が測定され、0.002g/cm3であることが判明したため、測定値はそれに応じて変動する可能性がある。密度測定は、当業者に公知のアルキメデス法を使用して行った。そのため、本明細書に開示の酸化イットリウム焼結体は、酸化イットリウムと、例えば酸化ジルコニウムや酸化アルミニウムなどの他の酸化物との混合物を含まず、むしろ、本明細書に開示の酸化イットリウム焼結体は、上述した潜在的な不純物量と一致する酸化イットリウムから本質的になるか、上述した潜在的な不純物量と一致する酸化イットリウムからなる。従来技術の解決手段は、大規模な半導体処理システムへの適用に必要とされる曲げ強さを高めるために酸化イットリウムを他の材料と組み合わせる必要がある。本開示の方法と材料との組み合わせは、98%を超える理論密度の高純度の焼結体を提供する。最も長い(約200~600mmを超える)寸法にわたる酸化イットリウム焼結体の製造の成功は、少なくとも1つの最も長い寸法にわたる密度の変動を制御することによっても可能にすることができる。98%未満の密度も、密度の変動を大きくし、強度及び取り扱い性を低下させる可能性がある。したがって、最も長い寸法であってよい少なくとも1つの寸法にわたって密度の変動が3%未満である、少なくとも98%の密度が望ましい。本開示の固体酸化イットリウム体は、ASTM C1161-13に従って4点曲げ法を使用して試験され、14MPaの標準偏差で224MPaの平均曲げ強さが測定された。
【0202】
機械的強度特性は、粒度の減少とともに改善することが知られている。粒度を評価するために、線形切片粒度測定は、ASTM規格E112-2010「Standard Test Method for Determining Average Grain Size」に記載のHeyn線形切片法に従って行った。また、粒度測定は、当該技術分野で公知の電子後方散乱回折(EBSD)技術を使用して行った。100~600mmの大きな構成要素として反応器チャンバーで使用するための高い曲げ強さ及び剛性の要件を満たすために、セラミック焼結体は、例えば、粒度d50が0.1μm~25μm、いくつかの実施形態では1μm~20μm、別の実施形態では0.5μm~20μm、別の実施形態では0.5μm~15μm、さらに別の実施形態では0.5μm~10μm、別の実施形態では0.75μm~5μm、別の実施形態では2μm以下、別の実施形態では1.5μm以下、またさらに別の実施形態では1.0μm以下などの、微細な粒度を有し得る。これらの粒度は、ASTM C1161-13による250MPa以下、300MPa以下、好ましくは350MPa以下、好ましくは少なくとも400MPa以下の4点曲げ強さを有する酸化イットリウム焼結体をもたらし得る。直径が25μmを超えるオーダーで粒度が大きすぎると、曲げ強さ値が低い焼結体になる可能性があり、これにより特に大きな寸法のエッチングチャンバーの構成要素としての使用に適さなくなる可能性がある。そのため、酸化イットリウム焼結体は、好ましくは13μm未満(すなわち0.01μm~13μm)の平均粒度を有することが好ましい。
【0203】
本明細書に開示の酸化イットリウム焼結体は、表面と物体全体の両方に非常に小さい細孔を有する。好ましくは、酸化イットリウム焼結体は、本明細書に開示のプロセスに従って製造される酸化イットリウムのみからなり、したがって、物体全体にわたって細孔を有する一体的な物体である。言い換えると、表面上で測定される多孔質構造は、以下でより詳しく説明されるように、バルク酸化イットリウム体内部の空隙率レベルを表すことができる。
【0204】
本明細書に開示の酸化イットリウム焼結体は、少なくとも1つの細孔を含む少なくとも1つの表面を有し、直径5μmを超える細孔を有さない。一実施形態では、直径4.0μmを超える細孔を有さない。一実施形態では、直径3μmを超える細孔を有さない。別の実施形態では、直径2μmを超える細孔を有さない。さらに別の実施形態では、直径1.5μmを超える細孔を有さない。またさらに別の実施形態では、直径1μmを超える細孔を有さない。細孔径は、例えば走査型電子顕微鏡(SEM)によって測定することができる。
【0205】
酸化イットリウム体は、酸化イットリウム焼結体の少なくとも1つの表面上の全細孔の95%以上で最大細孔径が1.50μmである、好ましくは酸化イットリウム焼結体の少なくとも1つの表面上の全細孔の97%以上で最大細孔径が1.75μmである、より好ましくは99%以上で最大細孔径が2.00μmである、細孔径分布を有することによってさらに特徴付けられる。細孔径分布及び全体の空隙率は、Phenom XL走査型電子顕微鏡から得られたSEM画像を使用して、5mm×5mmの研磨サンプルの範囲にわたる空隙率測定によって決定した。代表的なSEM画像を、サンプルの左、右、上、及び下の領域から撮影し、サンプル領域全体にわたる材料の均一性に関する情報を収集した。269um×269umの画像寸法の1000倍の4枚の画像と、53.7um×53.7umの画像寸法の5000倍の4枚の画像を分析して、画像測定領域全体にわたる細孔の数、多孔質領域の割合、及び細孔径を決定した。空隙率を測定した総画像測定面積は0.301mm2であった。画像は、コントラスト技術を使用した多孔質分析のためにImageJソフトウェアにインポートした。ImageJは、米国国立衛生研究所(NIH)で開発されたものであり、科学的な多次元画像の画像処理のためのJavaベースのパブリックドメインの画像処理及び分析プログラムである。
【0206】
好ましくは、少なくとも1つの細孔は、本明細書に開示の方法によって決定した場合に、酸化イットリウム焼結体の少なくとも1つの表面の表面積の0.2%未満、より好ましくは0.15%未満、最も好ましくは0.1%未満を占める。
【0207】
本開発に従って製造された酸化イットリウム焼結体は、好ましくは、本明細書に開示のCF4/O2エッチングプロセスについては0.2~0.98μm、本明細書に開示のSF6エッチングプロセスについては0.27~0.28μm、本明細書に開示のO2エッチングプロセスについては0.1~0.13μmの段差を示す。エッチングプロセスの結果としての段差は、Keyenceの3Dレーザー走査型共焦点デジタル顕微鏡モデルVK-X250Xを20倍の倍率で使用することにより、直接測定することができる。サンプルのエッチングされた領域とエッチングされていない領域の選択された領域が、別々の基準面を形成するために使用される。これらの基準面間の3つの測定値の平均高さの差が、段差とみなされる。
【0208】
本明細書に開示の酸化イットリウム焼結体は、約375,000μm3未満、好ましくは約325,000μm3未満、より好ましくは約275,000μm3未満、より好ましくは約175,000μm3未満の計算されたCF4/O2エッチング量を示す。このエッチング量は、少なくとも1つの表面の10mm×5mmの領域が、10ミリトールの圧力、20sccmのアルゴン流量、600ボルトのバイアス、及び2000ワットのICP電力のエッチング条件を受けるエッチングプロセスにおいて測定される。このエッチングプロセスは、第1の工程と第2の工程とを有し、第1の工程が、1500秒間の90sccmのCF4流量及び30sccmの酸素流量を有し、第2の工程が、300秒間の0sccmのCF4流量及び100sccmの酸素流量を有する。第1と第2の工程は、第1の工程におけるCF4への曝露時間が24時間になるまで、連続して繰り返される。エッチングプロセスの結果としてのエッチング量は、Keyenceの3Dレーザー走査型共焦点デジタル顕微鏡モデルVK-X250Xを20倍の倍率で使用することにより測定することができる。サンプルのエッチングされた領域における規定された選択された領域は、基準面の高さと比較され、基準面の高さとエッチングされた表面との間の選択された領域によって規定される体積が計算されたエッチング量である。それにより、計算されたエッチング量は、エッチングプロセス中に除去される酸化イットリウム体の体積と相関する。
【0209】
本明細書に開示の酸化イットリウム焼結体は、約1.0nm/分未満、好ましくは約0.90nm/分未満、より好ましくは約0.8nm/分未満、より好ましくは約0.7nm/分未満、より好ましくは約0.6nm/分未満、より好ましくは約0.5nm/分未満、より好ましくは約0.4nm/分未満、より好ましくは約0.3nm/分未満の計算されたエッチング速度を示す。このエッチング速度は、少なくとも1つの表面の10mm×5mmの領域が、10ミリトールの圧力、20sccmのアルゴン流量、600ボルトのバイアス、及び2000ワットのICP電力のエッチング条件を受けるエッチングプロセスにおいて測定される。このエッチングプロセスは、第1の工程と第2の工程とを有し、第1の工程が、1500秒間の90sccmのCF4流量及び30sccmの酸素流量を有し、第2の工程が、300秒間の0sccmのCF4流量及び100sccmの酸素流量を有する。、第1と第2の工程は、第1の工程におけるCF4への曝露時間が24時間になるまで、連続して繰り返される。エッチング速度は、測定された段差とエッチング時間から計算される。それにより、エッチング速度は、示されたエッチングプロセス中に除去される酸化イットリウム体の厚さの減少と相関する。
【0210】
本明細書に開示の酸化イットリウム焼結体は、ISO規格25178-2-2012、セクション4.3.2による、250×10-5未満、より好ましくは225×10-5未満、最も好ましくは200×10-5未満の、エッチングされていない領域における展開面積比Sdrを有することによってもさらに特徴付けられる。典型的には、表面は、エッチングされていない領域における展開面積比を決定する前に研磨される。
【0211】
本明細書に開示の酸化イットリウム焼結体は、ISO規格25178-2-2012、セクション4.3.2による、1500×10-5未満、より好ましくは1300×10-5未満、より好ましくは1000×10-5未満、より好ましくは800×10-5未満、最も好ましくは600×10-5未満の、エッチングされた領域における展開面積比Sdrを有することによってさらに特徴付けられる。この展開面積比は、少なくとも1つの表面の10mm×5mmの領域が、10ミリトールの圧力、20sccmのアルゴン流量、600ボルトのバイアス、及び2000ワットのICP電力のエッチング条件を受けるエッチングプロセスによって決定される。このプロセスは、第1の工程と第2の工程とを有し、第1の工程が、300秒間の90sccmのCF4流量及び30sccmの酸素流量を有し、第2の工程が、300秒間の0sccmのCF4流量及び100sccmの酸素流量を有し、6時間の総エッチング時間、工程1と工程2が連続して繰り返される。
【0212】
本明細書に開示の酸化イットリウム焼結体は、ISO規格25178-2-2012、セクション4.3.2による、250×10-5未満、より好ましくは225×10-5未満、最も好ましくは200×10-5未満の、エッチングされていない領域における展開面積比Sdrを有し、且つISO規格25178-2-2012、セクション4.3.2による、1500×10-5未満、より好ましくは1300×10-5未満、より好ましくは1000×10-5未満、より好ましくは800×10-5未満、最も好ましくは600×10-5未満の、エッチングされた領域における展開面積比Sdrを有することによってさらに特徴付けられる。この後者の展開面積比は、少なくとも1つの表面の10mm×5mmの領域が、10ミリトールの圧力、20sccmのアルゴン流量、600ボルトのバイアス、及び2000ワットのICP電力のエッチング条件を受けるエッチングプロセスによって決定される。このプロセスは、第1の工程と第2の工程とを有し、第1の工程が、300秒間の90sccmのCF4流量及び30sccmの酸素流量を有し、第2の工程が、300秒間の0sccmのCF4流量及び100sccmの酸素流量を有し、6時間の総エッチング時間、工程1と工程2が連続して繰り返される。
【0213】
本明細書に開示の酸化イットリウム焼結体は、ISO規格25178-2-2012、セクション4.1.7による、10nm未満、より好ましくは8nm未満、最も好ましくは5nm未満の、エッチングされていない領域における算術平均高さSaを有することによってさらに特徴付けられる。典型的には、表面は、エッチングされていない領域の算術平均高さを決定する前に研磨される。
【0214】
本明細書に開示の酸化イットリウム焼結体は、ISO規格25178-2-2012、セクション4.1.7による、20nm未満、より好ましくは16nm未満、最も好ましくは12nm未満の算術平均高さSaを示すことをさらに特徴とする。この算術平均高さSaは、少なくとも1つの表面の10mm×5mmの領域が、10ミリトールの圧力、20sccmのアルゴン流量、600ボルトのバイアス、及び2000ワットのICP電力のエッチング条件を受けるエッチングプロセスの後に測定される。このプロセスは、第1の工程と第2の工程とを有し、第1の工程が、300秒間の90sccmのCF4流量及び30sccmの酸素流量を有し、第2の工程が、300秒間の0sccmのCF4流量及び100sccmの酸素流量を有し、工程1と工程2が6時間の総エッチング時間連続して繰り返される。
【0215】
別の実施形態では、酸化イットリウム焼結体は、ISO規格25178-2-2012、セクション4.1.7による、10nm未満、より好ましくは8nm未満、最も好ましくは5nm未満の算術平均高さSaを示し、且つISO規格25178-2-2012、セクション4.1.7による、20nm未満、より好ましくは16nm未満、最も好ましくは12nm未満の算術平均高さSaを有する。後者の算術平均高さSaは、少なくとも1つの表面の10mm×5mmの領域を有する酸化イットリウム焼結体のサンプルが、10ミリトールの圧力、20sccmのアルゴン流量、600ボルトのバイアス、及び2000ワットのICP電力のエッチング条件を受けた際に達成され、このプロセスは、第1の工程と第2の工程とを有し、第1の工程は、300秒間の90sccmのCF4流量及び30sccmの酸素流量を有し、第2の工程は、300秒間の0sccmのCF4流量及び100sccmの酸素流量を有し、工程1と工程2は、6時間の総エッチング時間連続して繰り返される。
【0216】
上述した酸化イットリウム焼結体は、エッチングプロセスにおいて改善された挙動を示し、エッチングチャンバーの構成要素の製造のための材料として容易に使用することができる。典型的には酸化イットリウム製のコーティングである、今日までエッチングチャンバー構成要素向けに使用されている酸化イットリウム素材は、既に上で述べたように、過酷なエッチング条件下で粒子を生成し、これが処理される製品を汚染するという主な問題を抱えている。そのような汚染を回避し、その結果エッチング条件下での粒子の生成を回避するために従来技術で重点が置かれたことは、主に、使用される酸化イットリウム素材のバルク(パーセンテージ)空隙率特性である。固体酸化イットリウムを十分に高密度に焼結するという課題は、100mmを超えるオーダーの寸法の大きな構成要素を必要とする半導体プロセスチャンバーに不適切な低強度の材料をもたらす。
【0217】
上の特徴によれば、エッチング後の酸化イットリウム焼結体の得られる微細構造及び表面は均一であり、小さい展開面積を維持しつつもエッチングされる材料の量が少なく、そのため、エッチング用途における製品のライフサイクル及び低い粒子生成特性が増加する。
【0218】
本明細書に開示の酸化イットリウム焼結体は、特定の製造方法の結果である。酸化イットリウム焼結体が上の特徴を示すか否かは、少なくとも部分的に標準手順(ISO規格)に対応する本開示の測定方法を適用することによって、当業者が容易に判断することができる。したがって、当業者は、酸化イットリウム素材が特許請求された特徴を満たしているか否かを、本明細書で適切に指定されているか、当業者に公知である試験または手順によって、直接かつ確実に確認することができる。これらの測定の実施は、当業者が過度の実験を行うことを要さない。その方法は以降で詳細に開示する。
【0219】
酸化イットリウム焼結体の製造方法
焼結された酸化イットリウム焼結体の製造は、直流焼結及び関連技術と組み合わせた圧力支援焼結を使用することによって達成することができ、これは、直流を使用して導電性ダイ構成またはツールセットを加熱し、それによって焼結すべき材料を加熱する。この加熱形式により、非常に高い加熱及び冷却速度の利用が可能になり、拡散メカニズムを促進する粒子成長よりも緻密化メカニズムが強化され、これにより、非常に微細な粒度の焼結された酸化イットリウム焼結体の製造を促進することができ、元の粉末の固有の特性をそれらのほぼまたは完全に高密度の製品に移すことができる。
【0220】
耐腐食性酸化イットリウム焼結体及び酸化イットリウム焼結体から形成される構成要素の上述した特性は、特に、酸化イットリウム粉末の純度、酸化イットリウム粉末の表面積、酸化イットリウム粉末及び焼結体の加熱及び冷却速度、酸化イットリウム粉末に加えられる圧力、酸化物イットリウム粉末の温度、粉末の焼結時間、酸化イットリウム焼結体または構成要素の任意選択的なアニール処理工程中の温度、並びにアニール処理工程の時間を調整することによって達成される。
【0221】
a.焼結装置のツールセットによって規定される容積内に酸化イットリウム粉末を配置し、容積内に真空条件または不活性環境を形成する工程と、
b.1200~1600℃の焼結温度に加熱しながら酸化イットリウム粉末に10MPa~60MPaの圧力を加え、焼結を行って酸化イットリウム焼結体を形成する工程と、
c.酸化イットリウム焼結体の温度を下げる工程と、
を含む酸化イットリウム焼結体の製造方法であって、
工程a)の酸化イットリウム粉末が10m2/g以下の表面積を有し、酸化イットリウム焼結体が、40ppm以下の総不純物量と、4.93g/cm3以上の密度と、少なくとも1つの細孔を含む少なくとも1つの表面とを含み、細孔の直径が5μmを超えない方法が開示される。
【0222】
以下の追加の工程:
d.任意選択的に、酸化イットリウム焼結体の温度を上げるために熱を加えてアニール処理温度に到達させてアニール処理することにより、酸化イットリウム焼結体をアニール処理する工程、
e.酸化イットリウム焼結体に加えられた熱源を除去することにより、アニール処理された酸化イットリウム焼結体の温度を周囲温度まで下げる工程、及び
f.任意選択的な、アニール処理された酸化イットリウム焼結体を機械加工して、酸化イットリウム焼結体構成要素を形成する工程、
は任意選択的であり、構成要素は、誘電体ウインドウまたはRFウインドウ、フォーカスリング、ノズルまたはガスインジェクター、シャワーヘッド、ガス分配プレート、エッチングチャンバーライナー、プラズマ源アダプター、ガス注入口アダプター、ディフューザー、電子ウエハーチャック、チャック、パック、混合マニホールド、イオンサプレッサー要素、フェイスプレート、アイソレーター、スペーサー、及び保護リングからなる群から選択される。
【0223】
焼結装置は、例えば、放電プラズマ焼結(SPS)装置などの圧力支援焼結装置とすることができる。SPSは、フィールドアシスト焼結技術(FAST)または直流焼結(DCS)とも呼ばれる。直流及びこれらの関連技術は、直流を使用して導電性のダイ構成を加熱し、それによって焼結すべき材料を加熱する。この加熱方法により、非常に高い加熱及び冷却速度の利用が可能になり、拡散メカニズムを促進する粒子成長よりも緻密化メカニズムが強化され、元の粉末の固有の特性がそれらのほぼまたは完全に高密度の製品に移される。
【0224】
処理工程(a)‐放電プラズマ焼結装置のツールセットによって規定された容積内に酸化イットリウム粉末を配置し、容積内に真空条件または不活性環境を形成する。
本開示の方法は、焼結助剤、コールドプレス、焼結前のグリーン体の成形または機械加工を必要とせずに、市販の酸化イットリウム粉末または化学合成技術から調製されたものを利用する。
【0225】
酸化イットリウム粉末は、例えばSPS焼結装置のダイに充填される。本開発の一実施形態による方法で使用されるプラズマ焼結装置は、例えば、円筒形または円盤状のグラファイトダイを含み得る。酸化イットリウム粉末はグラファイトダイ内に配置され、粉末が充填されたダイは2つのグラファイトパンチの間に配置される。ダイに囲まれたパンチ間の粉末内で当業者に公知の真空条件が設定される。典型的な真空条件には、10-2~10-3torrの圧力が含まれる。真空は、主に空気を除去してグラファイトを燃焼から保護し、空気の大部分を粉末から除去するために利用される。
【0226】
焼結プロセスを実施するための酸化イットリウム出発物質は、高純度の市販の酸化イットリウム粉末である。しかしながら、他の酸化イットリウム粉末、例えば化学合成プロセス及び関連する方法から製造されたものも使用することができる。酸化イットリウム出発粉末の純度は、好ましくは99.99%超、より好ましくは99.998%超、最も好ましくは99.999%超である。いくつかの実施形態では、酸化イットリウム出発粉末の純度は99.99999%よりも高い。言い換えると、酸化イットリウム粉末の総不純物量は、総不純物量に関し、50ppm未満、好ましくは40ppm未満、より好ましくは30ppm未満、より好ましくは25ppm未満、より好ましくは20ppm未満、より好ましくは15ppm未満、さらに好ましくは10ppm未満、さらに好ましくは6ppm未満(0ppmを含む)とすることができる。完成した酸化イットリウム焼結体/構成要素の最適なエッチング性能のためには、高純度の出発粉末が望ましい。
【0227】
従来技術における他の焼結技術とは対照的に、本開示のプロセスで使用される酸化イットリウム粉末は、焼結助剤及びポリマーバインダーを含まない。
【0228】
本発明の一実施形態によるSPSプロセスにおいて出発物質として使用される酸化イットリウム粉末の平均粒度は、通常0.5~20μm、好ましくは1~15μm、より好ましくは2~10μmである。
【0229】
酸化イットリウム粉末は、好ましくは10m2/g以下の表面積を有する。いくつかの実施形態では、酸化イットリウム粉末は、1.0~10.0m2/g、好ましくは1.5~8.0m2/g、好ましくは2~7、より好ましくは2~5m2/gの表面積を有する。
【0230】
好ましくは、酸化イットリウム粉末出発物質は、本開発の方法で使用される前にボールミル粉砕されない。ボールミル粉砕は、汚染物質/不純物の潜在的な原因である。
【0231】
いくつかの実施形態では、酸化イットリウム粉末は、望ましくない水分、有機物、または凝集物を除去するような方法で処理することができる。そのような処理には、本明細書に開示の方法の工程a)における使用の前に、タンブリング、ジェットミル粉砕、及び/またはふるい分けを行うことが含まれ得る。
【0232】
複数の実施形態では、酸化イットリウム粉末は、本開発の方法で使用する前にか焼することができる。例示的なか焼温度には、酸素含有環境での4時間~12時間の約600℃~約1000℃の温度が含まれる。か焼の前及び/または後に、酸化イットリウム粉末は、公知の方法に従って、粉砕媒体を使用せずにふるい分け及び/またはタンブリングされてもよい。
【0233】
処理工程(b)‐1200~1600℃の焼結温度に加熱しながら酸化イットリウム粉末に10MPa~60MPaの圧力を加え、焼結を行って酸化イットリウム焼結体を形成すること、及び処理工程(c)‐酸化イットリウム焼結体が入っている焼結装置への熱源を除去することにより、酸化イットリウム焼結体の温度を下げること。
【0234】
酸化イットリウム素材がダイの中に配置され、空気の大部分がダイ/粉末から除去された後、グラファイトパンチの間に配置された酸化イットリウム素材に圧力が加えられる。圧力は、好ましくは10MPa~60MPa、好ましくは10MPa~40MPa、より好ましくは15MPa~40MPa、さらに好ましくは20~40MPa、さらに好ましくは20~30MPaの圧力に上げられる。
【0235】
圧力は、好ましくは、ダイに供給される材料に軸方向に加えられる。
【0236】
好ましい実施形態では、酸化イットリウム粉末は、SPS装置のパンチ及びダイによって直接加熱される。ダイは、抵抗/ジュール加熱を容易にするグラファイトなどの導電性材料から構成することができる。SPS装置及び手順は、例えばUS2010/0156008A1に開示されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。
【0237】
ダイに供給される酸化イットリウム粉末への加熱は、約1000~1700℃、好ましくは約1200~1600℃、好ましくは約1300~1550、好ましくは約1350~1500、より好ましくは約1400~1500℃の焼結温度を促進する。一実施形態では、焼結は、0~1440分の時間で達成され、一実施形態では、焼結は0~720分の時間で達成され、別の実施形態では、焼結は0~360分の時間で達成され、別の実施形態では、焼結は0~240分の時間で達成され、別の実施形態では、焼結は0~120分の時間で達成され、別の実施形態では、焼結は0~60分の時間で達成され、別の実施形態では、焼結は0~30分の時間で達成され、別の実施形態では、焼結は0~20分の時間で達成され、別の実施形態では、焼結は0~10分の時間で達成され、別の実施形態では、焼結は0~5分の時間で達成される。
【0238】
本開示による焼結装置の温度は、典型的には、装置のグラファイトダイ内で測定される。したがって、示される温度が酸化イットリウム内で実際に実現されるように、温度は、焼結される酸化イットリウムのできるだけ近くで測定されることが好ましい。
【0239】
一実施形態における圧力及び温度の印加順序は、本開示に従って様々な場合がある。これは、最初に示された圧力を印加し、その後加熱して目標温度を達成することが可能であることを意味する。さらに、別の実施形態では、最初に示された熱を加えて目標温度を達成し、その後示された圧力を印加することも可能である。本開示による第3の実施形態では、温度と圧力を同時に酸化イットリウムに印加し、示された値に到達するまで焼結及び上昇させることができる。
【0240】
焼結装置を加熱し、ツールセット内の酸化イットリウム粉末を間接的に加熱するために、誘導加熱法または放射加熱法も使用することができる。
【0241】
他の焼結技術とは対照的に、焼結前のサンプルの準備、すなわち、焼結前のコールドプレスまたはグリーン体の形成による準備は不要であり、粉末はモールドに直接充填される。これにより、最終的な酸化イットリウム焼結体の純度を高めることができる。
【0242】
他の焼結技術とはさらに対照的に、焼結助剤は必要とされない。加えて、高純度の出発粉末が望ましい。焼結助剤なしで純度99.99%から99.9999%超までの高純度の出発物質を使用することにより、半導体エッチングチャンバーで使用するための耐エッチング性を改善する高純度の酸化イットリウム焼結体の製造が可能になる。
【0243】
いくつかの実施形態では、等温滞留時間における焼結は0分~1440分の時間行うことができ、別の実施形態では、等温滞留時間における焼結は0分~720分の時間行うことができ、別の実施形態では、等温滞留時間における焼結は0分~360分の時間行うことができ、別の実施形態では、等温滞留時間における焼結は0分~240分の時間行うことができ、別の実施形態では、等温滞留時間における焼結は0分~120分の時間行うことができ、別の実施形態では、等温滞留時間における焼結は0分~60分の時間行うことができ、別の実施形態では、等温滞留時間における焼結は0分~30分の時間行うことができ、別の実施形態では、等温滞留時間における焼結は0分~20分の時間行うことができ、別の実施形態では、等温滞留時間における焼結は0分~10分の時間行うことができ、別の実施形態では、等温滞留時間における焼結は0分~5分の時間行うことができる。
【0244】
本発明の一実施形態では、SPS処理工程は、0.1℃/分~100℃/分、0.25℃/分~50℃/分、好ましくは0.5℃/分~50℃/分、好ましくは0.75℃/分~50℃/分、好ましくは1℃/分~50℃/分、より好ましくは2~25℃/分、より好ましくは3~20℃/分、好ましくは4~15℃/分、好ましくは5~10℃/分の特定の加熱傾斜で、特定の予備焼結時間に到達するまで行われる予備焼結工程を含む。
【0245】
本発明のさらなる実施形態では、SPS処理工程は、0.10MPa/分~30MPa/分、0.2~25、好ましくは0.25~20、0.25MPa/分~15MPa/分、好ましくは0.5~10MPa/分、好ましくは1~10MPa/分の特定の圧力傾斜で、特定の予備焼結時間に到達するまで行われる予備焼結工程を含む。
【0246】
本発明の別の実施形態では、SPS処理工程は、上述した特定の加熱傾斜と上述した特定の圧力傾斜とが用いられる予備焼結工程を含む。
【0247】
処理工程(c)において、焼結された酸化イットリウムは、熱源の除去によって受動的に冷却することができ、任意選択的なアニール処理プロセスを容易にし得る温度に到達するまで自然対流が起こる。さらなる実施形態では、酸化イットリウム焼結体は、不活性ガス、例えば1barのアルゴンまたは窒素の対流下で冷却することができる。1barを超えるまたは下回る他のガス圧力も使用することができる。冷却工程を開始するために、SPS装置に加えられている電力が取り除かれてもよい。焼結サンプルに加えられた圧力は、(自然)冷却が行われる前にSPSプロセスの最後に除去される。
【0248】
焼結中、典型的には体積減少が生じ、その結果酸化イットリウム焼結体は、焼結装置のツールセット内に配置された際の出発酸化イットリウム粉末の体積の約3分の1の体積を含み得る。
【0249】
処理工程(d)‐任意選択的な工程において、酸化イットリウム焼結体の温度を上げるために熱を加えてアニール処理温度に到達させてアニール処理することにより、酸化イットリウム焼結体をアニール処理すること、及び処理工程(e)酸化イットリウム焼結体に加えられた熱源を除去することにより、アニール処理された酸化イットリウム焼結体の温度を周囲温度まで下げること。
任意選択的な工程(d)では、工程c)の得られた酸化イットリウム焼結体に対してアニール処理プロセスが行われる。アニール処理は、焼結装置の外部の炉内で、または焼結装置から酸化イットリウム焼結体を取り出さずに焼結装置自体の内部で行うことができる。例えば、一実施形態では、焼結された酸化イットリウムは、処理工程(c)に従って冷却した後、焼結装置から取り出すことができ、アニール処理工程は、炉などの別の装置の中で行うことができる。別の実施形態では、本開示によるアニール処理の目的のために、工程(b)で焼結された酸化イットリウムは、その後、焼結工程(b)と任意選択的なアニール処理工程(d)との間に焼結装置から取り出す必要なしに、焼結装置内のままでアニール処理することができる。
【0250】
アニール処理は、酸化イットリウム焼結体の化学的及び物理的特性を改善させる。アニール処理の工程は、ガラス、セラミック、及び金属のアニール処理に使用される従来の方法で行うことができ、アニール処理温度及びアニール処理継続可能時間の選択によって、改善の程度を選択することができる。
【0251】
任意選択的なアニール処理工程(d)は、1200~1800℃、好ましくは1250~1700℃、より好ましくは1300~1650℃の温度で行うことができる。このような温度では、残留炭素が除去され、結晶構造内の酸素空孔を化学量論比に補正して戻すことができる。
【0252】
焼結された酸化イットリウムをアニール処理する工程は、5分~24時間、好ましくは20分~20時間、より好ましくは60分~16時間で完了させることができる。
【0253】
任意選択的なアニール処理工程(d)は、好ましくは、空気中の酸化性雰囲気で行われる。
【0254】
焼結された酸化イットリウムをアニール処理する任意選択的な処理工程(d)が行われた後、アニール処理された酸化イットリウム焼結体の温度は、上の処理工程(c)に従って周囲温度まで下げられる。焼結及びアニール処理された酸化イットリウム体は緻密であり、典型的には、0.25μm~25μm、好ましくは0.5~20μm、好ましくは0.75~15μm、好ましくは1~10μm、より好ましくは1~5μmの平均粒度を有する。
【0255】
一実施形態による上述したSPSプロセスは、大きい酸化イットリウム焼結体の製造における使用に適している。本明細書に開示の方法は、迅速な粉末の固化及び緻密化を提供し、出発粉末材料から転写された焼結体に小さな(13um未満のオーダー)d50粒度を保持し、最も長い寸法にわたって最小(<3%)の密度変動で、理論上の98%を超える高い均一な密度を実現する。微細な粒度、均一性、及び高い密度のこの組み合わせにより、半導体プロセスチャンバーの構成要素としての機械加工、取り扱い、及び使用に適した、高い強度の大きな寸法の酸化イットリウム焼結体が提供される。例えば、一実施形態では、酸化イットリウム焼結体は、40mm~100mmの厚さの範囲にわたって40mm~600mmのサイズの寸法を有するディスク形状に形成することができる。別の実施形態では、酸化イットリウム焼結体は、直径100mm~600mmの直径を有するディスク形状に形成することができる。別の実施形態では、100mm~406mmの寸法を有する酸化イットリウム焼結体を形成することができる。別の実施形態では、酸化イットリウム焼結体は、200mm~600mm、好ましくは300~600mm、好ましくは350~600mm、好ましくは400~600mm、より好ましくは450~600mm、より好ましくは500~600mm、より好ましくは550~600mmのサイズを有し、これらそれぞれは、焼結体の最も長い寸法であってよい少なくとも1つの寸法に関するものである。
【0256】
最後に、焼結された(または焼結及びアニール処理された)酸化イットリウム体は、その後、例えば、誘電体ウインドウまたはRFウインドウ、フォーカスリング、ノズルまたはガスインジェクター、シャワーヘッド、ガス分配プレート、エッチングチャンバーライナー、プラズマ源アダプター、ガス注入口アダプター、ディフューザー、電子ウエハーチャック、チャック、パック、混合マニホールド、イオンサプレッサー要素、フェイスプレート、アイソレーター、スペーサー、及び保護リングなどのプラズマエッチングチャンバーで使用するための最終的な構成要素に任意選択的に機械加工することができる。焼結された構成要素を形成するための焼結された(または焼結及びアニール処理された)酸化イットリウム体の機械加工は、当業者に公知の方法に従って行うことができる。
【0257】
本明細書に開示の方法は、最大細孔径、高い密度、密度変動、高い純度、改善された機械的強度に対する改善された制御を提供し、それにより、特に例えば最大寸法方向に200~600mmを超える寸法の物体のための酸化イットリウム焼結体/構成要素の取り扱い可能性を提供する。
【0258】
したがって、本明細書に開示の一実施形態では、40ppm以下の総不純物量と、4.93g/cm3以上の密度とを有する酸化イットリウム焼結体であって、少なくとも1つの細孔を含む少なくとも1つの表面を有し、細孔の直径が5μmを超えない、酸化イットリウム焼結体が開示され、この酸化イットリウム焼結体は以下の方法によって製造される。
a.放電プラズマ焼結装置のツールセットによって規定される容積内に酸化イットリウム粉末を配置し、容積内に真空条件または不活性環境を形成する工程と、
b.1200~1600℃の焼結温度に加熱しながら酸化イットリウム粉末に10MPa~60MPaの圧力を加え、焼結を行って酸化イットリウム焼結体を形成する工程と、
c.酸化イットリウム焼結体の温度を下げる工程と、
を含む方法であって、工程a)の酸化イットリウム粉末が10m2/g以下の表面積を有し、酸化イットリウム焼結体が、40ppm以下の総不純物量と、4.93g/cm3以上の密度と、少なくとも1つの細孔を含む少なくとも1つの表面とを含み、直径5μmを超える細孔を有さない方法。
【0259】
このようして製造された酸化イットリウム焼結体(アニール処理された酸化イットリウム焼結体を含む)は、プラズマエッチング用の装置に使用することができる。ほとんどの集積回路(IC)製造プロセスは、典型的には、様々な層を逐次的に形成、成形、または変更することができる多数の製造工程を含む。層を形成する1つの方法は、層を堆積してからエッチングすることとすることができる。通常、エッチングは、下にある層の上にエッチングマスクを形成することを含み得る。エッチングマスクは、他の部分を露出させる一方で、下にある層の特定の部分をマスクことができる特定のパターンを有し得る。その後、エッチングにより、エッチングマスクによって露出された下にある層の部分を除去することができる。このようにして、エッチングマスクのパターンを下にある層に導入することができる。
【0260】
プラズマエッチングは、現在、電子機器の製造において使用するための半導体材料処理に使用されている。電子デバイスで使用される場合、より効率的にするために又は特定の特性を強化するために、半導体材料の表面に小さなフィーチャをエッチングすることができる。例えば、微小電気機械システムで使用するためのシリコン表面に深いトレンチを形成するために、プラズマエッチングを使用することができる。この応用は、プラズマエッチングがマイクロエレクトロニクスの製造において大きな役割を果たす可能性も有していることを示唆している。同様に、現在、プロセスをナノメートルスケールに調整できる方法について研究が行われている。
【0261】
プラズマエッチングは、通常、半導体基板上に形成された1つ以上の層をエッチングするために一般的に使用されるプラズマエッチングチャンバー内で行われる。半導体基板は、典型的にはチャンバー内の基板支持体上に支持される。
【0262】
プラズマエッチング中、プラズマは、高周波(RF)電磁放射を低圧ガス(またはガス混合物)に供給することにより、基板の表面上に形成される。基板の電位を調整することにより、プラズマ中の帯電種は、基板の表面に衝突するように向けることができ、それによって、そこから物質(例えば原子)を除去することができる。
【0263】
プラズマエッチングは、エッチングされる材料と化学的に反応性であるガスを使用することによって、より効果的にすることができる。いわゆる「反応性イオンエッチング」は、プラズマのエネルギー衝突効果と反応性ガスの化学的エッチング効果とを結び付けたものである。
【0264】
本開示の一実施形態による焼結された酸化イットリウムは、プラズマチャンバー構成要素を製造するために使用することができる。そのような構成要素は、上述したSPSプロセスを用いて焼結することにより、高密度かつ高純度に製造することができるため、激しいエッチング条件下での長寿命などの利点を有し得る。酸化イットリウム焼結体は、粒子生成に対する耐性、改善されたプラズマエッチング耐性、増加した構成要素の寿命など、プラズマ処理との関係において多くの利点を有している。加えて、酸化イットリウムパーツの洗浄は、腐食性の高い化学物質や反応性の高い化学物質などの激しい洗浄方法を使用可能な場合があるため、より容易にすることができる。
【0265】
本明細書に開示の酸化イットリウム焼結体から形成可能なチャンバー構成要素の例としては、静電チャック(ESC)、リング(例えばプロセスキットリングまたは単一リング)、チャンバー壁ライナー、ベース、ガス分配プレート、シャワーヘッド、ライナー、ライナーキット、シールド、プラズマスクリーン、流量平衡器、冷却ベース、チャンバービューポート、チャンバーリッドなどが挙げられる。
【0266】
一実施形態では、本開示の一実施形態によるプロセスチャンバーは、内部容積を封入するチャンバー本体とシャワーヘッドとを含む。あるいは、シャワーヘッドは、完全な材料またはコーティングのいずれかとして上述した酸化イットリウムから製造される場合もあるリッド及びノズルによって置き換えられてもよい。チャンバー本体は、アルミニウム、ステンレス鋼、または他の適切な材料から製造することができる。チャンバー本体は、通常、側壁、ウエハーを取り囲むフォーカスまたはエッジリング、及び底部を含む。シャワーヘッド(またはリッド及び/またはノズル)、側壁及び/または底部のうちの1つ以上は、本開示の一実施形態による焼結された酸化イットリウムを含む。
【0267】
特徴及び利点は、以降で説明される例示的な実施例によってより完全に示される。
【実施例】
【0268】
本発明の実施形態による以下の酸化イットリウムサンプルH1/66~H4/152を製造し、本開示に従って製造されていない酸化イットリウムサンプルCM1/107、CM2/108、及び118と比較した。
【0269】
H1/66:
2.89m2/gの表面積と、5.4umのd50粒度と、<10ppmのTREO(全希土類酸化物)と、99.9952%の粉末純度に対する48ppmの総不純物とを有する粉末から、80mmの酸化イットリウム焼結体を製造した。焼結体は、1500℃の焼結温度で60分間、30MPaで形成した。アニール処理は、5℃/分の温度傾斜で1450℃まで1時間、次いで1400℃で8時間、空気中で行った。酸化イットリウム焼結体は4.948g/cm3の密度及び1.1μmの最大細孔径を有していた。d10、d50、及びd90の粒度は、それぞれ0.5、0.8、及び1.4umと測定された。
【0270】
H2/65:
6.84m2/gの表面積を有する粉末から、1550℃の焼結温度で10分間、30MPaで40mmの酸化イットリウムサンプルを形成した。アニール処理は、1300℃の温度の炉内で4時間、空気中で行った。出発酸化イットリウム粉末の総純度は10ppmに相当する99.999%でった。中央粒径は5.82μmと測定された。酸化イットリウム焼結体は11ppmの総不純物量を有していた。出発粉末の純度は、酸化イットリウム焼結体で維持された。これは、処理中に汚染物質がほとんどまたはまったく導入されなかったことを示唆している。d10、d50、及びd90の粒度はそれぞれ4.0、13.0及び27.1umと測定され、14umの平均粒度が測定された。
【0271】
H3/79:
3.33m2/gの表面積と5.17μmの中央粒径(d50)とを有する粉末から、40mmの酸化イットリウム焼結体を形成した。出発粉末の総不純物は2~4ppmであった。酸化イットリウム体の焼結は、1500℃の焼結温度を使用して、30MPaの圧力で10分間行った。温度は50℃/分で昇温させ、それと同時に5MPa/分で圧力を加えた。アニール処理は、5℃/分で1300℃まで昇温し、空気中で4時間保持することにより行った。酸化イットリウム焼結体は9~10ppmの総不純物量を有していた。これは処理の結果としての汚染物質の導入が最小限であったことを示している。最大細孔径は0.6umと測定され、密度は5.03g/ccと測定された。d10、d50、及びd90の粒度は、それぞれ0.8、1.4、及び2.4umと測定された。1.47umの平均粒度も測定された。
【0272】
H4/152:
6.95m2/gの表面積と99.999%の純度のTREO(<10ppm)と、18ppmの平均総不純物とを有する粉末から、100mmの酸化イットリウム焼結体を形成した。中央粒径(d50)は4.65μmであった。焼結は、1400℃で30分間、30MPaで行った。その後、1400℃で空気中で8時間アニール処理を行った。5.024g/cm3の密度が測定され、最大細孔径は2umであった。本明細書に開示の2段階CF4/O2エッチングプロセスの後、0.98umの平均段差、0.68nm/分の平均エッチング速度、及び340000um3のエッチング量が得られた。本明細書に開示の2段階CF4/O2エッチングプロセスの前後に、それぞれ10及び14nmの算術平均高さSaが測定された。本明細書に開示の酸素エッチングプロセスの後、0.1umの平均段差、0.07nm/分の平均エッチング速度、及び30000um3のエッチング量が得られた。本明細書に開示のSF6エッチングプロセスの後、0.28umの平均段差、0.19nm/分の平均エッチング速度、及び90000um3のエッチング量が得られた。
【0273】
単一工程、CF4エッチング手順
エッチング性能を評価するために、6mm×6mm×2mmの寸法の研磨されたセラミックサンプルを、シリコーンベースのヒートシンクコンパウンドを使用してc面サファイアウエハー上に取り付けた。各パーツの領域は、5mm×5mmの正方形のサファイアセラミックをサンプル表面に接着することによって、エッチングプロセスへの暴露からブロックした。
【0274】
ドライエッチングプロセスは、産業界の標準的な装置であるPlasma-Therm Versaline DESC PDC Deep Silicon Etchを使用して行った。エッチングは、4時間のエッチングセグメントで24時間の総継続時間で完了した。このプロセスは、90標準立方センチメートル/分(sccm)のCF4流量、30sccmの酸素流量、及び20sccmのアルゴン流量による10ミリトールの圧力で行った。バイアスは600ボルトであり、2000ワットのICP電力であった。このエッチングレシピは512nm/分のシリコンエッチング速度を有する。このエッチングレシピは、72nm/分の速度で溶融シリカ(石英ガラス)をエッチングする。サンプル性能を評価するためにここで使用されるエッチング条件は、性能を識別するために、本開示の材料が極端なエッチング条件を受けるように選択した。
【0275】
エッチング手順の完了後、表面粗さを測定した。
【0276】
単一工程、CF4エッチング量手順:
一実施形態では、酸化イットリウム焼結体は、約12000μm3未満、好ましくは約9000μm3未満、より好ましくは約7000μm3未満のエッチング量によって特徴付けられる。このエッチング量は、6mm×6mm×2mmの寸法のサンプルが、90標準立方センチメートル/分(sccm)のCF4流量、30標準立方センチメートル/分(sccm)の酸素流量、及び20標準立方センチメートル/分(sccm)のアルゴン流量による10ミリトールの圧力、並びに600ボルトのバイアス及び2000ワットのICP電力で24時間のエッチング条件を受ける、基準プロセスとしてのエッチングプロセスが行われる場合に実現される。それぞれのエッチングプロセスは、以降の実験項でさらに詳しく説明されている。その結果、エッチング量は、示されたエッチングプロセス中に除去される酸化イットリウム体の体積に関連する。
【0277】
単一工程、CF4エッチング速度手順:
いくつかの実施形態では、酸化イットリウム体は、約0.08nm/分未満、好ましくは約0.06nm/分未満、より好ましくは約0.05nm/分未満のエッチング速度を示すことによって特徴付けられる。このエッチング速度は、6mm×6mm×2mmの寸法のサンプルが、90標準立方センチメートル/分(sccm)のCF4流量、30標準立方センチメートル/分(sccm)の酸素流量、及び20標準立方センチメートル/分(sccm)のアルゴン流量による10ミリトールの圧力、並びに600ボルトのバイアス及び2000ワットのICP電力で24時間のエッチング条件を受ける、基準プロセスとしての単一の工程のCF4エッチングプロセスが行われる場合に実現される。その結果、エッチング速度は、示されたエッチングプロセス中に除去される酸化イットリウム体の厚さの減少に関連する。
【0278】
単一工程、CF4 Sdr手順(エッチングなし、エッチングあり)
いくつかの実施形態では、酸化イットリウム焼結体は、ISO規格25178-2-2012、セクション4.3.2による、100×10-5未満、より好ましくは75×10-5未満、最も好ましくは50×10-5未満の、エッチングされていない領域における展開面積比を有し、かつISO規格25178-2-2012、セクション4.3.2による、600×10-5未満、より好ましくは500×10-5未満、より好ましくは400×10-5未満、より好ましくは300×10-5未満、最も好ましくは200×10-5未満の、エッチングされた領域における展開面積比を有すること、によって特徴付けられる。後者の展開面積比は、6mm×6mm×2mmの寸法の酸化イットリウム体のサンプルが、90標準立方センチメートル/分(sccm)のCF4流量、30標準立方センチメートル/分(sccm)の酸素流量、及び20標準立方センチメートル/分(sccm)のアルゴン流量による10ミリトールの圧力、並びに600ボルトのバイアス及び2000ワットのICP電力で24時間のCF4エッチング時間の条件を受ける場合に実現される。それぞれのエッチングプロセスは、以降にさらに詳しく説明されている。
【0279】
単一工程、CF4 Sa(エッチングなし、エッチングあり)
いくつかの実施形態では、酸化イットリウム焼結体は、ISO規格25178-2-2012、セクション4.1.7による、30nm未満、より好ましくは28nm未満、最も好ましくは25nm未満の算術平均高さSaを有し、かつISO規格25178-2-2012、セクション4.1.7による、40nm未満、より好ましくは35nm未満、最も好ましくは30nm未満の算術平均高さSaを有すること、によってさらに特徴付けられる。後者の算術平均高さSaは、6mm×6mm×2mmの寸法の酸化イットリウム体のサンプルが、90標準立方センチメートル/分(sccm)のCF4流量、30標準立方センチメートル/分(sccm)の酸素流量、及び20標準立方センチメートル/分(sccm)のアルゴン流量による10ミリトールの圧力、並びに600ボルトのバイアス及び2000ワットのICP電力で24時間のエッチング条件を受ける場合に実現される。それぞれのエッチングプロセスは、以降にさらに詳しく説明されている。
【0280】
表面粗さ測定
表面粗さ測定は、クラス1クリーンルーム内の周囲条件下で、Keyence 3Dレーザー走査型共焦点デジタル顕微鏡モデルVK-X250Xを使用して行った。顕微鏡は、2.8Hzの固有振動数を有するTMC卓上CSPベンチトップ型パッシブアイソレーター上に置かれる。
【0281】
この非接触システムは、反射光強度により表面を分析するために、レーザービーム光及び光学センサーを使用する。顕微鏡は、x方向に1,024データ点、及びy方向に786データ点を取得し、合計786,432データ点を取得する。所定のスキャンが完了すると、対物レンズはz方向に設定されたピッチ移動し、スキャン間で強度が比較されて焦点が決定される。ISO 25178表面性状(面粗さ測定)は、この顕微鏡が準拠している表面粗さの分析に関連する国際規格のコレクションである。
【0282】
サンプルの詳細な画像を取り込むために、サンプルの表面を、共焦点顕微鏡を使用して10倍の倍率でレーザースキャンした。線の粗さは、7つの分割されたブロックのプロファイルで得た。測定サンプリング長を表すラムダカイ(λ)は、ISO仕様4288:幾何特性仕様(GPS)-表面性状:輪郭曲線方式-表面性状の評価のための規則及び手順、に従って、ラインの読み取りが7つのうちの中央の5つのブロックからの測定に制限されるように調整した。
【0283】
測定用サンプルのエッチング及びマスクされた領域内のエリアを選択した。エリアは、典型的なサンプル表面を最も代表するように選択し、Sa及びSdrの計算に使用した。
【0284】
表面粗さSa及びSdrは、基盤技術分野で周知のパラメータであり、例えば、ISO規格25178-2-2012のセクション4.1.7(表面粗さSa)及び4.3.2(表面粗さSdr)に記載されている。
【0285】
段差の測定
エッチングプロセスの結果としての段差は、Keyence 3Dレーザー走査型共焦点デジタル顕微鏡モデルVK-X250Xを20倍の倍率で使用することによって直接測定した。サンプルのエッチングされた領域とエッチングされていない領域の選択された領域を使用して、別個の基準面を形成した。これらの基準面の間の3つの測定値にわたる平均の高さの差を段差とみなすことができる。
【0286】
エッチング速度の計算
ナノメートル/時で単位の平均エッチング速度は、段差を総エッチング時間で割ってナノメートル/分単位でのエッチング速度に到達させることによって平均段差から計算することができる。
【0287】
体積測定
エッチング量は、Keyence 3Dレーザー走査型共焦点デジタル顕微鏡モデルVK-X250Xの50倍での測定から計算した。7×7の画像テンプレートが形成され、そこから7×1の領域が測定のために選択される。基準面は、最初に、マスクされその結果エッチングされなかったサンプルの代表的な領域で定められる。基準面を定めるために、マスクされた領域内のエリアが選択される。サンプルの厚さと取り付けのばらつきを考慮するために、そのエリアにわたってソフトウェアによる傾斜補正が完了される。その後、マスクされた表面から最大距離にある画像のエッチングされた領域で、600um×200umの総エリアが選択される。マスクされた表面上に形成された基準面と比較したエッチングされた表面の高さが測定され、基準面に対してエッチングによって除去された材料の体積が、選択された領域全体で計算される。
【0288】
RaとSaの測定値の相違:
Saは、表面の算術平均高さであり、ISO 25178:幾何特性仕様(GPS)-表面性状:に記載されており、これは、3D面積表面性状の分析に関連する国際標準化機構の国際規格のコレクションである。これは、非接触式レーザー顕微鏡に基づいている。
【0289】
Raは、ISO 4287:1997幾何特性仕様(GPS)-表面性状:輪郭曲線方式による2Dプロファイルの算術平均粗さである。これは、線形プロファイルを形成するための表面と接触する機械式スタイラスに基づいている。
【0290】
Saは、3D測定面全体の高さの差を表す一方で、Raは、2D線形プロファイルスキャン全体の高さの差を表す。
【0291】
Raは、スタイラスチップの形状によって制限され、そのため、微細な特徴の詳細が失われて山と谷が歪む可能性がある。これは、微細なサブミクロンの特徴を測定する際に問題になり、Sa値と比較するためのRa値の使用における制限である。
【0292】
本発明の方法に従って追加のサンプルを製造した。それらは以下の表にまとめられている。該当する場合、それらは市販の石英(TSC 03)及び比較の酸化イットリウムサンプル(107、108、及び118)と比較されている。
【0293】
一例として、サンプル188-1を以下の通りに製造した。表面積が3.3m2/gであり、粉末純度99.9987%に対応する13ppmの総不純物である酸化イットリウム粉末を使用して、100mmの酸化イットリウム焼結体を形成した。真空下で20MPaの圧力が予め印加される多段階プロセスで圧力の事前印加を行った。その後、室温から600℃まで10℃/分の速度で加熱すると同時に5MPaを印加した。10℃/分の速度で、600℃と焼結温度との間で圧力を30MPaに上げた。焼結は、1400℃の温度及び30MPaの圧力で30分間行い、焼結を完了した。焼結後、焼結装置への電力を止め、自然冷却した。アニール処理は、酸素含有環境で1400℃の温度で8時間行った。密度は5.002g/cm3であった。
【0294】
別の例では、サンプル116を以下の通りに製造した。6.84m2/gの表面積を有する粉末から、1550℃の焼結温度で10分間、30MPaで40mmの酸化イットリウムサンプルを形成した。アニール処理は、1400℃~1450℃の温度の炉内で空気中で9時間行った。出発酸化イットリウム粉末の総純度は10ppmに相当する99.999%であった。中央粒径は5.82μmと測定された。酸化イットリウム焼結体は11ppmの総不純物量を有していた。出発粉末の純度は、酸化イットリウム焼結体で維持された。これは、処理中に汚染物質がほとんどまたはまったく導入されなかったことを示唆している。d10、d50、及びd90の粒度はそれぞれ0.7、6.7、及び25.4umと測定された。
【0295】
別の例では、サンプル224を以下の通りに製造した。表面積が5~6m2/gであり、粉末純度99.9992%に対応する平均8ppmの総不純物を有する酸化イットリウム粉末を使用して、100mmの酸化イットリウム焼結体を形成した。20MPaで約5分間圧力を予め印加し、50ミリトールの真空にした。その後、圧力を5MPaに下げ、600℃までの加熱を10℃/分の速度で行った。熱と圧力を同時に印加して、20MPaの圧力に到達させ、10℃/分の速度で1400℃まで加熱した。焼結は、1400℃の温度及び20MPaの圧力で30分間行い、焼結を完了した。焼結後、焼結装置への電力を止め、自然冷却した。酸化イットリウム焼結体のd10、d50、及びd90の粒度はそれぞれ0.4、0.7、及び1.2umであった。
【0296】
別の例では、サンプル189-1を以下の通りに製造した。表面積が4.2m2/gであり、粉末純度99.9975に対応する24.8ppmの総不純物を有する酸化イットリウム粉末を使用して、100mmの酸化イットリウム焼結体を形成した。真空下で20MPaの圧力が予め印加される多段階プロセスで圧力の事前印加を行った。その後、室温から600℃まで10℃/分の速度で加熱すると同時に5MPaを印加した。10℃/分の速度で、600℃と焼結温度との間で圧力を30MPaに上げた。焼結は、1400℃の温度及び30MPaの圧力で30分間行い、焼結を完了した。焼結後、焼結装置への電力を止め、自然冷却した。アニール処理は、酸素含有環境で1400℃の温度で8時間行った。酸化イットリウム焼結体は36ppmの不純物及び99.996%の純度を有していた。アニール処理された酸化イットリウム焼結体の密度は5.006g/cm3であり、最大細孔径は0.7ミクロンであった。本明細書に開示の2段階CF4/O2エッチングプロセスの後、0.82umの平均段差、0.57nm/分の平均エッチング速度、及び270,000um3のエッチング量が得られた。
【0297】
別の例では、サンプル045を以下の通りに製造した。表面積が9~10m2/gであり、粉末純度99.9974%に対応する26ppmの総不純物を有する酸化イットリウム粉末を使用して、100mmの酸化イットリウム焼結体を形成した。本明細書に開示の通りに真空下で20MPaの圧力が予め印加される多段階プロセスで圧力の事前印加を行った。その後、室温から600℃まで10℃/分の速度で加熱すると同時に5MPaを印加した。10℃/分の速度で、600℃と焼結温度との間で圧力を30MPaに上げた。焼結は、1400℃の温度及び30MPaの圧力で30分間行い、焼結を完了した。焼結後、焼結装置への電力を止め、自然冷却した。アルキメデス法を使用した平均密度は5.021g/cm3と測定された。アニール処理は、酸素含有環境で1400℃の温度で8時間行った。アニール処理後のアルキメデス法を使用した平均密度は5.010g/cm3であると測定された。
【0298】
別の例では、サンプル200-1を以下の通りに製造した。表面積が4.7m2/gであり、粉末純度99.9991%に対応する9.5ppmの総不純物を有する酸化イットリウム粉末を使用して、150mmの酸化イットリウム焼結体を形成した。20MPaで約5分間、圧力を予め印加した。その後、圧力を5MPaまで下げ、25℃/分の速度で600℃まで加熱を行った。熱と圧力の同時印加は、25℃/分の加熱速度と5MPa/分の加圧速度で1000℃及び20MPaまで行った。1000℃から焼結温度まで10℃/分の速度で加熱した。焼結は、1400℃の温度及び20MPaの圧力で30分間行い、焼結を完了した。焼結後、焼結装置への電力を止め、自然冷却した。アニール処理は、酸素含有環境で1400℃の温度で8時間行った。アニール処理された酸化イットリウム焼結体の密度は4.945g/cm3であり、最大細孔径は1.4ミクロンであった。本明細書に開示の2段階CF4/O2エッチングプロセスの後、0.2umの平均段差、0.14nm/分の平均エッチング速度、及び60,000um3のエッチング量が得られた。本明細書に開示の酸素エッチングプロセスの後、0.1μmの平均段差、0.07nm/分の平均エッチング速度、及び30,000um3のエッチング量が得られた。本明細書に開示のSF6エッチングプロセスの後、0.27μmの平均段差、0.19nm/分の平均エッチング速度、及び80,000um3のエッチング量が得られた。
【0299】
別の例では、サンプル212-1を以下の通りに製造した。表面積が5.6m2/gであり、粉末純度99.9992%に対応する8.1ppmの総不純物を有する酸化イットリウム粉末を使用して、100mmの酸化イットリウム焼結体を形成した。20MPaで約5分間、圧力を予め印加し、50ミリトールの真空にした。その後、圧力を5MPaまで下げ、50℃/分の速度で600℃に加熱した。熱と圧力の同時印加は、10MPa/分の加圧速度と25℃/分の加熱速度で30MPa及び1450℃まで行った。焼結は、1450℃の温度及び30MPaの圧力で30分間行い、焼結を完了した。焼結後、焼結装置への電力を止め、自然冷却した。アニール処理は、酸素含有環境で1400℃の温度で8時間行った。アニール処理された酸化イットリウム焼結体の密度は5.022g/cm3であり、最大細孔径は1.0ミクロンであった。酸化イットリウム焼結体は、99.9994%の純度に対応する6ppmの総平均不純物を有していた。本明細書に開示の2段階CF4/O2エッチングプロセスの後、1.1umの平均段差、0.77nm/分の平均エッチング速度、及び358,000um3のエッチング量が得られた。
【0300】
別の例では、サンプル314を以下の通りに製造した。表面積が2.8m2/gであり、粉末純度99.9975%に対応する24.8ppmの総不純物を有する酸化イットリウム粉末を使用して、最長寸法が406mmである酸化イットリウム焼結体を形成した。5MPaで圧力を予め印加し、10℃/分で室温から800℃まで温度を上昇させた。熱と圧力の同時印加は、10℃/分の加熱速度と20MPa/分の加圧速度で800℃から1000℃まで行った。圧力は1000℃から焼結温度まで20MPaに維持し、加熱速度は10℃/分であった。焼結は、1450℃の温度及び20MPaの圧力で、60分間の焼結時間で行った。焼結時間終了後、加熱及び加圧を停止し、自然冷却を行った。酸化イットリウム焼結体を、0.8℃/分の加熱及び冷却速度を使用して、酸素含有環境で1400℃の温度で8時間アニール処理した。アニール処理された酸化イットリウム焼結体の平均密度は4.935g/cm3であり、最長寸法方向にわたる密度範囲は4.898~4.970g/cm3であった。
【0301】
別の例では、サンプル457を以下の通りに製造した。表面積が5~6m2/gであり、粉末純度99.9983%に対応する17ppmの総不純物を有する酸化イットリウム粉末を使用して、最長寸法が406mmである酸化イットリウム焼結体を形成した。粉末のか焼は、600℃で8時間、5~6m2/gの表面積で行った。5MPaで圧力を予め印加し、温度を室温から10℃/分で600℃まで上昇させた。熱と圧力の同時印加は、5℃/分の加熱速度と30MPaまでの圧力上昇で600℃から1000℃まで行った。圧力は1000℃から焼結温度まで30MPaに維持し、加熱速度は5℃/分であった。焼結は、1475℃の温度及び30MPaの圧力で、60分間の焼結時間で行った。焼結時間の後、圧力を取り除いた。冷却は、50%の送風機出力で約4時間の強制対流を使用して行った。送風機の出力レベルを約25%から100%まで変化させて冷却すると、2.5℃/分~5℃/分の強制対流冷却速度が可能になる。焼結は、1475℃の温度及び30MPaの圧力で60分間行った。酸化イットリウム焼結体を、0.8℃/分の加熱速度及び2℃/分の冷却速度を使用して、酸素含有環境で1400℃の温度で4時間アニール処理した。アニール処理され焼結された酸化イットリウムの平均密度は4.985g/cm3であり、最長寸法方向にわたる密度範囲は4.980~4.989g/cm3であった。最大細孔径は1.4umと測定され、本開示のCF4/O2エッチングプロセス後に18nmのSa値と1178×10-5のSdr値が測定された。このサンプルについて、直線切片法を使用して、0.65umの平均粒度が測定された。
【0302】
別の例では、サンプル353を以下の通りに製造した。表面積が6.5~7.5m2/gであり、粉末純度99.9989%に対応する平均11ppmの総不純物を有する酸化イットリウム粉末を使用して、最長寸法が406mmである酸化イットリウム焼結体を形成した。粉末のか焼は、1000℃で24時間、1.5~2.5m2/gの表面積で行った。5MPaで圧力を予め印加し、温度を室温から10℃/分で800℃まで上昇させた。熱と圧力の同時印加は、10℃/分の加熱速度と30MPaまでの圧力上昇で800℃から1000℃まで行った。圧力は1000℃から焼結温度まで30MPaに維持し、加熱速度は10℃/分であった。焼結は、1475℃の温度及び30MPaの圧力で、60分間の焼結時間で行った。焼結時間終了後、加熱及び加圧を停止し、自然冷却を行った。酸化イットリウム焼結体を、0.8℃/分の加熱速度及び0.8℃/分の受動冷却速度で、酸素含有環境で1400℃で0分間(等温アニール処理時間なし)アニール処理した。アニール処理された酸化イットリウム焼結体の密度は4.981g/cm3であった。
【0303】
別の例では、サンプル414を以下の通りに製造した。表面積が6.5~7.5m2/gであり、粉末純度99.9989%に対応する平均11ppmの総不純物を有する酸化イットリウム粉末を使用して、最長寸法が406mmである酸化イットリウム焼結体を形成した。粉末のか焼は、500℃で48時間、6.5~7.5m2/gの表面積で行った。5MPaで圧力を予め印加し、温度を室温から10℃/分で800℃まで上昇させた。熱と圧力の同時印加は、10℃/分の加熱速度と30MPaまでの加圧で800℃から1000℃まで行った。圧力は1000℃から焼結温度まで30MPaに維持し、加熱速度は10℃/分であった。焼結は、1400℃の温度及び30MPaの圧力で、60分間の焼結時間で行った。焼結時間終了後、加熱及び加圧を停止し、自然/受動冷却を行った。アニール処理された酸化イットリウム焼結体の密度は4.985g/cm3であった。
【0304】
さらに別の例では、サンプル476を以下の通りに製造した。表面積が2m2/gであり、粉末純度99.9995%に対応する5~6ppmの総不純物を有する酸化イットリウム粉末を使用して、最長寸法が406mmである酸化イットリウム焼結体を形成した。粉末は、24時間タンブリングさせてから粉砕媒体を使用せずに焼結した。5MPaで圧力を予め印加し、温度を室温から10℃/分で600℃まで上昇させた。熱と圧力の同時印加は、5℃/分の加熱速度と30MPaまでの圧力上昇で600℃から1000℃まで行った。圧力は1000℃から焼結温度まで30MPaに維持し、加熱速度は5℃/分であった。焼結は、1475℃の温度及び30MPaの圧力で、60分間の焼結時間で行った。焼結時間の後、圧力を取り除いた。冷却は、50%の送風機出力で強制対流を使用して行った。送風機の出力レベルを変化させながら使用して冷却すると、2.5℃/分~5℃/分の強制対流冷却速度が可能になる。酸化イットリウム焼結体を、1℃/分の加熱速度及び2℃/分の冷却速度を使用して、酸素含有環境で1400℃の温度で4時間アニール処理した。アニール処理された酸化イットリウム焼結体の平均密度は4.953g/cm3であり、最長寸法方向にわたる密度範囲は4.891~5.014g/cm3であった。
【0305】
一連の実施例において、サンプル084及び084-1、085及び085-1、086及び086-1、087及び087-1、095、並びに096は、以下の通りに製造した。サンプル084及び084-1、085及び085-1、086及び086-1、087及び087-1、095、並びに096に対応する100mmの酸化イットリウム焼結体を、6.5~7.5m2/gの表面積と、粉末純度99.9989%を与える平均11ppmの総不純物とを有する粉末から製造した。粉末は、焼結する前に800℃で8時間か焼し、表面積は5~6.5m2/gであった。サンプル084-1、085-1、086-1、087-1、095、及び096は、酸素環境で8時間、5℃/分の傾斜速度で1400℃でアニール処理した。密度及び処理条件は、本明細書の対応する密度及び焼結/アニール処理の表に開示されている通りである。
【0306】
比較サンプル107:比較の酸化イットリウム体の純度は、ICPMS法によって、42ppmの汚染物質を有する99.9958%であると測定された。本明細書に開示の通りに空隙率測定を行い、38umの最大細孔径が測定された。粒度測定を行い、27umの大きい平均粒度が測定された。アルキメデス法を使用して、材料が4.987g/cm3の平均密度を有すると測定され、標準偏差は0.038であった。厳密な焼結条件は不明であるものの、酸化イットリウム粉末を焼結してこの材料を形成するために、1600℃を超える高い焼結温度を数日間などの長時間使用したと推測される。これらのパラメータは、測定される大きい粒度に寄与する。サンプルは、かなりの多孔質領域の割合を示し、本開示の焼結された酸化イットリウムと比較して、大きな細孔径、劣ったエッチング性能、及び広範囲の表面粗さを有していた。
【0307】
比較サンプル108:比較の酸化イットリウム体の材料特性を分析した。比較の酸化イットリウム体の純度は、ICPMS法で99.8356%であると測定され、緻密化を促進するための焼結助剤としての1291ppmのジルコニアを含む1644ppmの汚染物質を有していた。本明細書に開示の通りに空隙率測定を行い、12umの最大細孔径が測定された。アルキメデス法を使用して、材料が4.997g/ccの平均密度を有すると測定され、標準偏差は0.011であった。厳密な焼結条件は不明であるものの、酸化イットリウムを焼結してこの材料を形成するために、緻密化を促進する目的でジルコニアが粉末に添加されており、これがエッチング性能を低下させている可能性があると推測される。サンプルは、かなりの多孔質領域の割合を示し、本開示の焼結された酸化イットリウムと比較して、大きな細孔径及び表面粗さを有していた。
【0308】
比較サンプル118:比較の酸化イットリウム体の純度は、ICPMS法によって、33ppmの汚染物質を有する99.9967%であると測定された。本明細書に開示の通りに空隙率測定を行い、7umの最大細孔径が測定された。材料は、アルキメデス法を使用して5.003g/ccの平均密度を有すると測定された。サンプルは、かなりの多孔質領域の割合を示し、本開示の焼結された酸化イットリウムと比較して、大きな細孔径及び劣ったエッチング性能を有していた。
【0309】
表1~4には、本開示の方法に従って製造されたサンプルの処理条件及び得られた密度がまとめられている。
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【0310】
表6及び7には、出発粉末及び本明細書に開示の方法に従って製造された焼結酸化イットリウムサンプルについて測定された純度がまとめられている。
【表6-1】
【表6-2】
【0311】
表7は、粉末から酸化イットリウム焼結体までの本明細書に開示のプロセス中の純度の維持を示している。
【表7】
【0312】
表8~10は、異なるプロセスガスについての、石英(TSC 03)、市販の酸化イットリウムパーツ(107、108、118)、及び本開示に従って製造された焼結酸化イットリウムサンプル上でのエッチング結果をその処理条件とともに示している。CF4/O2エッチングは2段階プロセスで実行した。工程1は、10mtorrの圧力、90sccmのCF4流量、30sccmのO2流量、20sccmのアルゴン流量、600Vのバイアス電圧、2000Wの電力で1500秒間行った。工程2は、10mtorrの圧力、0sccmのCF4流量、100sccmのO2流量、20sccmのアルゴン流量、600Vのバイアス電圧、2000Wの電力で300秒間行った。第1の工程でのCF4曝露時間が24時間になるまで、第1の工程と第2の工程を連続して繰り返した。O2エッチング条件は次の通りである:25mtorrの圧力、CF4/SF6流量0sccm、O2流量100sccm、Ar流量20sccm、バイアス電圧600V、合計6時間2000Wの電力。SF6エッチング条件は次の通りである:25mtorrの圧力、SF6流量100sccm、O2流量0sccm、Ar流量50sccm、バイアス電圧300V、合計24時間2000Wの電力。結果は、本開示に従って製造された酸化イットリウム焼結体の優れた耐腐食性を示している。
【0313】
本開発に従って製造された酸化イットリウム焼結体は、好ましくは、開示されたCF4/O2エッチングプロセスについては0.2~0.98μm、本明細書に開示されたSF6エッチングプロセスについては0.27~0.44μm、本明細書に開示されたO2エッチングプロセスについては0.1~0.13μmの段差を示す。
【0314】
本開発に従って製造された酸化イットリウム焼結体は、好ましくは、開示されたCF4/O2エッチングプロセスについては0.6×105~3.4×105μm3のエッチング量、本明細書に開示されたSF6エッチングプロセスについては0.8×105~1.4×105μm3のエッチング量、本明細書に開示されたO2エッチングプロセスについては0.28~0.39μm3のエッチング量を示す。
【0315】
本開発に従って製造された酸化イットリウム焼結体は、好ましくは、開示されたCF
4/O
2エッチングプロセスについては0.14~0.68nm/分、本明細書に開示されたSF
6エッチングプロセスについては0.19~0.310nm/分、本明細書に開示されたO
2エッチングプロセスについては0.07~0.09nm/分のエッチング速度を示す。
【表8】
【表9】
【表10】
【表11】
【0316】
図面を参照して、選択した結果を以下の通りにまとめる。
【0317】
図3は、本開示の実施形態による、焼結酸化イットリウムサンプルH1/66、H2/65、及びH3/79と比較した、従来技術の焼結酸化イットリウムサンプルCM1/107及びCM2/108の単一工程のCF
4エッチング量を示す。本開示による焼結酸化イットリウムサンプルは、従来技術よりも耐エッチング性がはるかに高い。
【0318】
図4は、本開示の実施形態に従って製造された様々な焼結酸化イットリウムサンプルと比較した、従来技術のTSC 03(石英)、並びに焼結酸化イットリウムサンプル118及び107のCF
4+O
2平均エッチング量を示す。本開示による焼結酸化イットリウムサンプルは、従来技術よりも耐エッチング性がはるかに高い。
【0319】
図5は、本開示の実施形態に従って製造された様々な焼結酸化イットリウムサンプルと比較した、従来技術のTSC 03(石英)、並びに焼結酸化イットリウムサンプル118及び107のCF
4+O
2平均段差を示す。本開示による焼結酸化イットリウムサンプルは、従来技術よりも耐エッチング性がはるかに高い。
【0320】
図6は、本開示の実施形態に従って製造された様々なサンプルと比較した、従来技術のTSC 03(石英)、並びに焼結酸化イットリウムサンプル118及び107のCF
4+O
2平均エッチング速度を示す。本開示による焼結酸化イットリウムサンプルは、従来技術よりも耐エッチング性がはるかに高い。
【0321】
図7は、単一の工程であるCF
4エッチングプロセスの前後の従来技術の焼結酸化イットリウムサンプルCM1/107及びCM2/108の表面の50倍でのSEM顕微鏡写真を示す。かなりのエッチングが観察される。
【0322】
図8は、単一の工程であるCF
4エッチングプロセス前後の、本開示に従って製造された焼結酸化イットリウムサンプルH1/66、H2/65、及びH3/79の表面の1000倍でのSEM顕微鏡写真を示す。本開示に従って製造されたサンプルは、エッチングに対して耐性を有する。
【0323】
図9は、単一の工程であるCF
4エッチングプロセス前後の従来技術の焼結酸化イットリウムサンプルCM1/107及びCM2/108の表面の1000倍でのSEM顕微鏡写真を示す。かなりのエッチングが観察される。
【0324】
図10は、単一の工程であるCF
4エッチングプロセス前後の、本開示に従って製造された焼結酸化イットリウムサンプルH1/66、H2/65、及びH3/79の表面の1000倍でのSEM顕微鏡写真を示す。本開示に従って製造されたサンプルは、エッチングに対して耐性を有している。
【0325】
図11は、CF
4+O
2エッチングプロセス前後の従来技術の焼結酸化イットリウムサンプル107及び118の表面の5000倍でのSEM顕微鏡写真を示す。かなりのエッチングが観察される。
【0326】
図12は、CF
4+O
2エッチングプロセス前後の、本開示に従って製造された焼結酸化イットリウムサンプル152及び189-1の表面の5000倍でのSEM顕微鏡写真を示す。本開示に従って製造されたサンプルは、エッチングに対して耐性を有している。
【0327】
図13は、本開示に従って製造された、焼結酸化イットリウムサンプル457の表面の端部及び同じ表面の中心の1000倍及び5000倍でのSEM顕微鏡写真を示す。表面全体で均一な密度が示され、また多孔質がほとんどまたはまったくないことが示される。本開示に従って製造されたサンプルは高密度であり、エッチングに対して耐性を有している。
【0328】
図14は、本開示の一実施形態による酸化イットリウム体(H1/66~H4/152)が2.00μmを超える細孔径の細孔を有さないことを示している。
【0329】
図15は、単一の工程であるCF
4エッチングプロセス前後の、本開示の実施形態による焼結酸化イットリウムサンプルH1/66、H2/65、及びH3/79と比較した従来技術の焼結酸化イットリウムサンプルCM1/107及びCM2/108の、光学倍率50倍での展開面積比Sdrを示すグラフである。本開示に従って製造されたサンプルは、エッチングに対して耐性を有している。
【0330】
図16は、単一の工程であるCF
4エッチングプロセス前後の、本開示の実施形態による焼結酸化イットリウムサンプルH1/66、H2/65、及びH3/79と比較した従来技の焼結酸化イットリウムサンプルCM1/107及びCM2/108の、光学倍率50倍で測定された算術平均高さSa(nm)を示すグラフである。
図15及び
図16は、本発明の実施形態による酸化イットリウム素材(H1/66~H3/79)が、比較素材(CM1/107及びCM2/108)と比較して、はるかに低い展開面積比Sdr及び算術平均高さSaを有することを示している。
【0331】
図17は、CF
4+O
2エッチングプロセス前後の、実施例からの様々な焼結酸化イットリウムサンプルの展開面積比Sdrを示すグラフである。本開示に従って製造されたサンプルは、エッチングに対して耐性を有している。
【0332】
図18は、CF
4+O
2エッチングプロセスの前後の実施例からの様々なサンプルの算術平均高さSa(nm)を示すグラフである。本開示に従って製造されたサンプルは、エッチングに対して耐性を有している。
【0333】
図19は、従来技術の焼結酸化イットリウムサンプルと比較した、実施例からの様々な焼結酸化イットリウムサンプルのパーセント面積空隙率を示すグラフである。本発明の一実施形態による酸化イットリウム素材(H1/66~H4/152)が、比較素材(CM1/107及びCM2/108)と比較して、はるかに小さいパーセント割合の細孔面積を有する。
【0334】
図20は、従来技術の焼結酸化イットリウムサンプルと比較した、実施例からの様々なサンプルの細孔径(細孔径分布)に対する累積面積%を示すグラフである。詳細には、例えば1μm未満の細孔径において、多孔質からなる面積の累積パーセントは、本発明の一実施形態による酸化イットリウム素材H1/66~H3/79では96~100%である一方で、比較素材CM1/107~CM3及びH5/62では、面積の累積パーセントは約10%以下である。
【0335】
図21は、従来技術の焼結酸化イットリウムサンプルと比較した、実施例からの様々なサンプルの細孔径の対数に対する空隙率分布を示すグラフである。従来技術の材料107、108、及び118は、7um以上のオーダーのより大きな細孔径と、多孔質を含む酸化イットリウム焼結体の表面及びそれによる体積のより高い割合を示す。
【0336】
図22は、酸化イットリウムの理論密度よりも98%以上大きい密度を有する酸化イットリウム焼結体を得るために必要な焼結圧力及び温度条件を示すグラフである。
【0337】
本明細書に開示の通り、多くの実施形態が説明されてきた。しかしながら、本明細書に開示の実施形態の趣旨及び範囲から逸脱することなしに様々な修正を行うことができることが理解されるであろう。したがって、他の実施形態は、以下の特許請求の範囲の範囲内にある。
【国際調査報告】