(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-26
(54)【発明の名称】尿素仕上げからのオフガスの処理
(51)【国際特許分類】
B01D 47/10 20060101AFI20220519BHJP
B01D 47/00 20060101ALI20220519BHJP
B01D 47/06 20060101ALI20220519BHJP
【FI】
B01D47/10 Z
B01D47/00 A
B01D47/06 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021569186
(86)(22)【出願日】2020-05-22
(85)【翻訳文提出日】2022-01-18
(86)【国際出願番号】 NL2020050326
(87)【国際公開番号】W WO2020235999
(87)【国際公開日】2020-11-26
(32)【優先日】2019-05-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512061836
【氏名又は名称】スタミカーボン・ベー・フェー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ジューシー・エリーザ・プチ
(72)【発明者】
【氏名】ウィルフリート・マルク・レナート・ディルクス
【テーマコード(参考)】
4D032
【Fターム(参考)】
4D032AC09
4D032AD01
4D032BA05
4D032CA01
(57)【要約】
オフガス処理を含む尿素仕上げ方法が開示されており、該方法は、尿素仕上げと、急冷ゾーン及びサンプとベンチュリ段とを備えたスクラブ塔へのオフガスの供給を含み、ここでサンプは、2つの区画を備えた分割サンプ構成を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オフガス処理を含む尿素仕上げ方法であって、
a) 尿素溶融物と空気とを仕上げ部に供給し、前記尿素溶融物を固化させて固体尿素生成物とオフガスとを得る工程であって、前記オフガスは尿素ダスト及びアンモニアを含む、工程と、
b) 前記オフガスを急冷ゾーンに供給し、急冷液をスプレーすることによって前記オフガスを急冷し、急冷液及び急冷されたオフガスを含む混合流を得る工程であって、前記急冷液は溶解した尿素を含む、工程と、
c) 急冷液及び急冷されたオフガスを含む前記混合流を入口からスクラブ塔に供給する工程と、
d) 前記急冷されたオフガスを前記スクラブ塔の第1ミスト除去器に通し、続いてベンチュリ段に含まれるベンチュリ管に通し、洗浄されたガス流を得る工程であって、前記第1ミスト除去器は第1洗浄液で洗浄され、スプレー液は、前記ベンチュリ段内の前記ガス流にスプレーされる、工程と、を含み、
前記スクラブ塔は、前記第1ミスト除去器の下にサンプを含み、
前記サンプは、壁によって互いに分離された第1サンプ区画及び第2サンプ区画を含み、
前記入口は、前記第1サンプ区画の上に配置され、前記混合流に含まれる前記急冷液の少なくとも80重量%が、前記第1サンプ区画に収集され、前記第1サンプ区画は、前記ミスト除去器から前記第1洗浄液を受け入れる、方法であって、
e) 濃厚サンプ液である液体を、急冷液として前記第1サンプ区画から前記急冷ゾーンに再循環させる工程と、
f) 希薄サンプ液である液体を、前記第1洗浄液として前記第2サンプ区画から前記第1ミスト除去器に、及び/又は前記スプレー液として前記ベンチュリ段に再循環させる工程と、を更に含む、方法。
【請求項2】
前記第1サンプ区画からの濃厚サンプ液の一部がパージされ、前記希薄サンプ液に補給水が加えられ、前記希薄サンプ液の尿素濃度は5重量%以下であり、前記濃厚サンプ液の尿素濃度は少なくとも40重量%である、請求項1に記載の尿素仕上げ方法。
【請求項3】
酸スクラブ溶液を使用した前記洗浄されたガス流の酸スクラブを更に含む、請求項1又は2に記載の尿素仕上げ方法。
【請求項4】
前記第1サンプ区画からの前記濃厚サンプ液の一部がパージされ、蒸発器で加熱され、蒸気及び濃縮されたパージ流が得られ、前記濃縮されたパージ流は、前記仕上げ部に供給された前記尿素溶融物と組み合わされる、請求項1~3のいずれか一項に記載の尿素仕上げ方法。
【請求項5】
前記仕上げ部は流動床造粒機である、請求項1~4のいずれか一項に記載の尿素仕上げ方法。
【請求項6】
前記第1サンプ区画からの前記濃厚サンプ液の一部は、前記仕上げ部と前記急冷ゾーンとを接続するオフガス用のダクトに供給される、請求項1~5のいずれか一項に記載の尿素仕上げ方法。
【請求項7】
ガス流を処理するためのガス処理システム(1)であって、急冷ゾーン(Q)及びスクラブ塔(2)を含み、前記スクラブ塔は、第1ミスト除去器(ME1)、ベンチュリ段(MMV)、及びサンプ(5)を含み、前記ベンチュリ段は、ベンチュリ管(VT)及び第1スプレー液用のノズル(VN1、VN2)を含み、
a) 前記急冷ゾーンは、前記ガス流用の入口、急冷液用の入口、前記急冷液をオフガスにスプレーするための急冷スプレーノズル(QN)、及び急冷されたオフガスと急冷液とを含む混合流用の出口(MF)を含み、
b) 前記スクラブ塔(2)は、前記急冷ゾーンの前記出口に接続された前記混合流用の入口(6)を含み、
c) 前記スクラブ塔は、前記急冷されたオフガスを、前記入口(6)から前記第1ミスト除去器(ME1)を通して、続いて前記ベンチュリ管(VT)を通して流すように配置され、
d) 前記スクラブ塔は、前記第1ミスト除去器(ME1)に洗浄液を供給するための第1ノズル(SN1)を更に含み、
e) 前記サンプは、壁(7)によって互いに分離された第1サンプ区画(SC1)及び第2サンプ区画(SC2)を含み、
前記混合流用の前記入口(6)は、前記混合流からの急冷液が前記第1サンプ区画に受け入れられるように、前記第1サンプ区画(SC1)の上に配置され、
f) 前記第1サンプ区画は、前記第1ミスト除去器(ME1)から洗浄液を収集するために配置され、
g) 前記第1サンプ区画は、前記急冷ゾーンの急冷液用の前記入口に接続された濃厚サンプ液用の出口(L1)を有し、
h) 前記第2サンプ区画は、前記第1ミスト除去器の前記第1ノズル(SN1)の入口(LS3)及び/又は前記ベンチュリ段(MMV)の前記ノズル(VN1、VN2)に接続された希薄サンプ液(LS3)用の出口を有する、システム。
【請求項8】
請求項7に記載のガス処理システム及び尿素仕上げ部を含む尿素仕上げプラントであって、前記尿素仕上げ部は、尿素溶融物用の入口、空気用の入口、固体尿素用の出口、及び前記急冷ゾーンの前記入口に接続されたオフガス用の出口を含み、前記尿素仕上げ部は、前記空気を使用して前記尿素溶融物を固化させるように構成される、尿素仕上げプラント。
【請求項9】
前記尿素仕上げ部は、流動床造粒機及び/又は噴流床造粒機である、請求項8に記載の尿素仕上げプラント。
【請求項10】
前記スクラブ塔は、前記ベンチュリ段の上の酸スクラブ部を更に含む、請求項8又は9に記載の尿素仕上げプラント。
【請求項11】
濃厚サンプ用の前記出口(L2)と流体接続された入口を有する蒸発器(E1)を更に含み、前記蒸発器は、尿素含有液体用の出口(L2a)及び蒸気用の出口を更に有し、前記尿素含有液体用の出口(L2a)は、前記仕上げ部(GR)の前記尿素溶融物用の入口に接続された尿素溶融物輸送ライン(UM)に接続される、請求項8~10のいずれか一項に記載の尿素仕上げプラント。
【請求項12】
前記サンプ(5)は、前記壁(7)の上部にあるオーバーフロー堰(10)を含み、前記第2サンプ区画(SC2)は、前記第2サンプ区画(SC2)の上側を密閉するカバープレート(11)を含む、請求項8~11のいずれか一項に記載の尿素仕上げプラント。
【請求項13】
請求項8~12のいずれか一項に記載の尿素仕上げプラントを含み、尿素溶融プラントを更に含む尿素プラントであって、前記尿素溶融プラントは、高圧合成部、回収部、及び蒸発部を含み、前記高圧合成部は、反応器、ストリッパー、及びカルバメート凝縮器を含む、尿素プラント。
【請求項14】
前記第1ミスト除去器(ME1)は、シェブロンタイプのミスト除去器である、請求項7に記載のガス処理システム。
【請求項15】
前記ガス処理システムに含まれる前記第1ミスト除去器(ME1)は、シェブロンタイプのミスト除去器である、請求項8に記載の尿素仕上げプラント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オフガス処理を含む尿素仕上げ(urea finishing)方法に関し、該方法は、尿素溶融物を固化させ、オフガスを処理する工程を含む。本発明はまた、ガス流を処理するためのガス処理システムに関する。本発明は更に、尿素仕上げ部(urea finishing section)、尿素プラント、及び尿素製造プロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
導入
本発明は、尿素仕上げ部からのオフガスの処理に関する。尿素仕上げ部では、尿素溶融物は、空気流を使用して固体尿素生成物に固化される。仕上げ部のタイプの例は、造粒塔と造粒ユニットとを含む。仕上げプロセスでは、典型的には、オフガスと呼ばれる尿素ダストとアンモニアとを含む空気流が生成される。オフガスの量は典型的に非常に多く、オフガスは通常かなり乾燥して高温である(例えば、80℃以上又は100℃以上)。排出制限は、通常、20mg/Nm3未満の尿素ダスト、10mg/Nm3未満、更には5mg/Nm3未満の尿素ダストなど、厳しいものである。仕上げ部で固化させる尿素溶融物は、尿素、典型的には少なくとも80重量%の尿素を含み、典型的には、10重量%未満の水、例えば5重量%未満の水を含む。尿素溶融物は、ビウレット及び例えばアンモニウム塩、例えば硫酸アンモニウムなどの追加の成分を含み得る。アンモニウム塩のレベルは、典型的には、溶融物の5重量%未満である。固体尿素生成物は、典型的には、少なくとも90重量%の尿素、又は少なくとも97重量%の尿素を含み、典型的には、ビウレット及び任意選択ではアンモニウム塩などの他の固体成分を更に含む。
【0003】
尿素の造粒では、尿素溶融物が造粒塔の上部に供給され、液滴として分配される。尿素溶融物の液滴は、上向きに移動する大量の空気に逆らって冷却しながら落下すると固化させる。尿素の小粒は下部から回収される。新鮮な冷却空気が造粒塔の下部に入る。尿素とアンモニアとを含むオフガスは、上部近くの造粒塔を離れる。尿素造粒塔の指標となる空気の流れの例は、500000Nm3/時間である。より大きな尿素造粒塔では、例えば、1時間当たり75~100メートルトンの尿素容量で900000Nm3/時間のオフガスを有し得る。
【0004】
尿素仕上げ部が造粒ユニットである場合、例えば、造粒ユニットは流動床又は噴流床を有する。造粒プロセスは、例えば流動化空気と二次空気とを使用する。
【0005】
尿素造粒塔のオフガスからのオフガスは、0.1μm~1μm(空力粒子サイズとして)のピーク粒子サイズを持つことができ、例えば、粒子が10μm未満の場合、累積質量は約70mg/Nm3になる。従って、10μm未満の粒子は、例えば総粒子状物質の約50重量%を占める。尿素造粒からのオフガスは、例えば、約25mg/Nm3の10μm未満の粒子を含み得る。粒子は尿素ダストである。現在および将来の排出制限に準拠するために、尿素ダストなどのサブミクロン(1.0μm未満)粒子を大幅に除去することが不可欠である。ベンチュリ洗浄機は、例えば、サブミクロン粒子を含む尿素ダストを除去するため、及び/又は液体の同伴を排除するために使用され得る。
【0006】
特許文献1は、仕上げ部と、仕上げ部からのオフガスを処理するためのダスト洗浄部と、を含む尿素プラントについて説明する。ダストスクラビング部は、消光部とベンチュリ洗浄機部とを含む。
【0007】
特許文献2は、濃縮溶液リザーバーを備えた第1急冷ゾーン、クロスオーバーダクト、希薄溶液リザーバーを備えた第2急冷ゾーン、ベンチュリ部品、ミスト除去器、及び湿式電気集塵器を含む粒子捕捉システムについて説明する。第1急冷ゾーンでは、高温のガスが水性急冷液の蒸発によって冷却される。溶解した粒子は水中に収集され、第1急冷ゾーンのリザーバーに濃縮される。ガスが急冷ゾーンを離れて洗浄機容器に入ると、希薄水性急冷液で再び急冷される。分離チャンバーでは、重い液滴が落ちて希薄溶液リザーバーに収集される。ガスは、空調トレイ(又は複数のトレイ)を通過し、次に複数のベンチュリ管を通過し、続いて任意選択のミスト除去器を通過する。特許文献2によると、ガスは最終的に湿式電気集塵器を通過して流れ、残りのほとんどのサブミクロン粒子を除去してから洗浄機を出る。
【0008】
特許文献3は、入口、スプレーノズル、及び液体用のリザーバーを備えた第1カラムを含む、尿素仕上げオフガス用のガス流処理部について説明する。捕捉された溶解した粒子をスプレーされた液体は、スプレーノズルの下にあるリザーバーに収集される。該システムは、ノズルを備えた水平ベンチュリ排出装置を更に含み、ベンチュリ排出装置のノズル内の洗浄液として使用される尿素溶液を再循環させるためのリザーバーを備えた第2垂直カラムを含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第2016/184758号明細書
【特許文献2】米国特許第2016/303502号明細書
【特許文献3】国際公開第2017/196167号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、急冷ゾーン及びベンチュリ段を使用し、効率的な設計及び安定した水収支を備えた尿素仕上げオフガスを処理するためのガス処理システム及び方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
従って、本発明は、第1態様では、オフガス処理を含む尿素仕上げ方法に関し、該方法は、
a) 尿素溶融物と空気とを仕上げ部に供給し、尿素溶融物を固化させて固体尿素生成物とオフガスとを得る工程であって、オフガスは尿素ダスト及びアンモニアを含む、工程と、
b) オフガスを急冷ゾーンに供給し、急冷液をスプレーすることによってオフガスを急冷し、急冷液及び急冷されたオフガスを含む混合流を得る工程であって、急冷液は溶解した尿素を含む、工程と、
c) 急冷液及び急冷されたオフガスを含む混合流を入口からスクラブ塔に供給する工程と、
d) 急冷されたオフガスをスクラブ塔の第1ミスト除去器に通し、続いてベンチュリ段に含まれるベンチュリ管に通し、洗浄されたガス流を得る工程であって、第1ミスト除去器は第1洗浄液で洗浄され、スプレー液(希薄溶液)は、ベンチュリ段内のガス流にスプレーされる、工程と、を含み、
スクラブ塔は、第1ミスト除去器の下にサンプを含み、
サンプは、壁によって互いに分離された第1サンプ区画及び第2サンプ区画を含み、
入口は、第1サンプ区画の上に配置され、混合流に含まれる急冷液の少なくとも80重量%が、第1サンプ区画に収集され、
第1サンプ区画は、ミスト除去器から第1洗浄液を受け入れる、方法であって、
該方法は、
e) 濃厚サンプ液である液体を、急冷液として第1サンプ区画から急冷ゾーンに再循環させる工程と、
f) 希薄サンプ液である液体を、第1洗浄液として第2サンプ区画から第1ミスト除去器に、及び/又はスプレー液としてベンチュリ段に再循環させる工程と、を更に含む。
【0012】
本発明は、更なる態様では、急冷ゾーン及びスクラブ塔を含む、ガス流を処理するためのガス処理システムに関し、スクラブ塔は、第1ミスト除去器、ベンチュリ段、及びサンプを含み、ベンチュリ段は、ベンチュリ管と第1スプレー液用のノズルとを含み、
a) 急冷ゾーンは、ガス流用の入口、急冷液用の入口、急冷液をオフガスにスプレーするための急冷スプレーノズル、及び急冷されたオフガスと急冷液とを含む混合流用の出口を備え、
b) スクラブ塔は、急冷ゾーンの出口に接続された混合流用の入口を備え、
c) スクラブ塔は、急冷されたオフガスを入口から第1ミスト除去器を通過し、続いてベンチュリ管を通過して流すように配置され、
d) スクラブ塔は、第1ミスト除去器に洗浄液を供給するための第1ノズルを更に備え、
e) サンプは、壁によって互いに分離された第1サンプ区画及び第2サンプ区画を備え、
混合流用の入口は、混合流からの急冷液が第1サンプ区画で受け入れられるように、第1サンプ区画の上に配置され、
f) 第1サンプ区画は、第1ミスト除去器から洗浄液を収集するために配置され、
g) 第1サンプ区画は、急冷ゾーンの急冷液用の入口に接続された濃厚サンプ液用の出口を有し、
h) 第2サンプ区画は、第1ミスト除去器(ME1)の第1ノズルの入口及び/又はベンチュリ段のノズルに接続された希薄サンプ液用の出口を有する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明によるガス処理システムの例を概略的に示す。
【
図2】本発明による例示的なガス処理システムの急冷ゾーン及びスクラブ塔を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、部分的には、急冷ガス流への尿素の閉じ込めに起因して急冷ゾーンで発生し得る水収支の問題が、スクラブ塔で分割サンプ構成を使用することによって回避できるという賢明な洞察を基とする。スクラブ塔のサンプには、少なくとも2つのサンプ区画がある。それにより、2つのサンプ区画で2つの異なる濃度の溶解物質(尿素)を維持し、濃厚サンプ液と希薄サンプ液とを提供できる。濃厚サンプ液は、希薄サンプ液よりも尿素濃度が高くなり、例えば、濃度は少なくとも10パーセントポイント又は少なくとも20パーセントポイント高くなる。
【0015】
例えば、濃厚サンプ液の尿素濃度は、少なくとも30重量%又は少なくとも40重量%、例えば40~50重量%であり、希薄サンプ液の尿素濃度は10重量%以下、又は5重量%以下、例えば最大2重量%尿素であり、濃度は全液に対する相対値であり、定常状態で測定される。好ましくは、これらの濃度は、第1サンプ区画から濃厚サンプ液の一部をパージし、希薄サンプ液に補給水を加えることによって維持される。
【0016】
分割サンプ構成は、濃厚サンプ液の急冷ゾーンへの再循環、及び希薄サンプ液の例えば湿式ミスト除去器への再循環又は供給を可能にする。ミスト除去器は、急冷ゾーンに接続されたスクラブ塔の入口とスクラブ塔のベンチュリ段との間のスクラブ塔に配置される。希薄サンプ区画内の希薄サンプ液は、濃厚サンプ液用の区画にオーバーフローし得る。希薄サンプ区画は、例えば上部で閉じられ、例えば、少なくともベンチュリ段から、典型的には、第1ミスト除去器を除いて希薄サンプ区画の上に配置された少なくともいくつか又はすべての段から液体を受け入れる。
【0017】
溶解した尿素を含む急冷液は、急冷ゾーンからスクラブ塔入口に急冷されたオフガスとともに供給され、次に、濃厚サンプ液が維持される第1サンプ部分に収集される。
【0018】
該方法は、尿素溶融物及び空気を仕上げ部に供給し、尿素溶融物を固化させ、固体尿素生成物及びオフガスを得る工程を含む。オフガスは、尿素ダストとアンモニアとを含む。空気は尿素溶融物を冷却して凝固させるために使用される。凝固工程は、尿素仕上げ工程とも呼ばれる。尿素仕上げ工程は、仕上げ部、例えば造粒機、特に流動床造粒機(fluidized bed granulator)又は噴流床造粒機(spouted bed granulator)、又は造粒塔で実行される。好ましくは、流動床造粒機である。従って、仕上げは、尿素溶融物を小粒や顆粒などの固体尿素生成物に変換することを含む。尿素溶融物は、例えば、少なくとも50重量%の尿素、好ましくは少なくとも90重量%の尿素及び/又は10重量%未満の水、例えば3重量%未満の水を含む。尿素溶融物は、任意選択では、固体尿素生成物に含まれるアンモニウム塩などの更なる成分を含む。例えば、固体生成物は、尿素以外の全化合物に基づき、固体生成物の30重量%未満又は10重量%未満又は2重量%未満の量の尿素以外の化合物を含む。固体生成物は、例えば、固体生成物に対して20重量%未満又は10重量%未満の総アンモニウム塩の量のアンモニウム塩を含む。仕上げ工程では、冷却目的で空気を使用し、尿素ダストとアンモニアとを含むオフガスが得られる。固体尿素生成物は、例えば肥料グレードの尿素である。
【0019】
オフガスは、典型的にはダクトを介して、オフガス処理システムの急冷ゾーンの入口に供給される。急冷ゾーンは、例えば、仕上げ部をスクラブ塔に接続するクロスオーバーダクトに配置された噴霧器として実装される。
【0020】
急冷ゾーンでは、急冷液がスプレーされ、オフガスと混合され、例えば、並流、向流、又はオフガスの流れ方向に垂直に、好ましくはオフガスの流れに垂直にスプレーされる。急冷液は水を含む。スプレーは、水の蒸発による冷却及びガス流の洗浄をもたらし、尿素ダストが急冷液に溶解するようになる。スプレーはまた、尿素ダスト上に液体の凝縮を引き起こす可能性がある。実際、典型的には、尿素ダストの大部分は急冷ゾーンで洗浄され、例えば、尿素ダスト全体の少なくとも30重量%又は少なくとも50重量%などである。急冷による冷却は、例えば、少なくとも10℃又は少なくとも30℃である。例えば、オフガスの温度は80℃以上~50℃未満に低下する。急冷冷却は、ガス流の体積を有利に減少させ、ベンチュリ洗浄の前にサブミクロンの尿素ダスト粒子の凝縮成長を提供するために、オフガス処理ではオフガスの水飽和レベルを達成することに寄与する。急冷ゾーンは、任意選択ではサンプを含み得るが、好ましくは、急冷ゾーンは、サンプを含まない。好ましくは、急冷ゾーンは、気液分離用に構成されない。急冷ゾーンは、スプレーされた急冷液と急冷されたオフガスとの両方を含む混合流用の出口を有し、該出口は、典型的にはクロスオーバーダクトによってスクラブ塔の入口に接続される。例えば、急冷ゾーンが造粒機とスクラブ塔との間のクロスオーバーダクト内に噴霧器を備えたゾーンである場合、ゾーンは混合流用の出口を有する。
【0021】
該方法は、混合流をスクラブ塔の入口に供給する工程を含む。好ましくは、スプレーされた急冷液の少なくとも70重量%又は少なくとも90重量%が急冷ゾーンからスクラブ塔に供給される。好ましくは、急冷されたオフガスの少なくとも70体積%又は少なくとも90体積%がスクラブ塔に供給される。
【0022】
該方法は更に、スクラブ塔内の急冷されたオフガスを第1ミスト除去器に通し、続いてベンチュリ段に含まれるベンチュリ管に通す工程を含む。典型的には、ガスはスクラブ塔を通って様々な段(ミスト除去器、ベンチュリ段、及び任意選択の酸洗浄段)に上向きに流れる。
【0023】
該方法は、第1ミスト除去器に提供される、例えばミスト除去器にスプレーされる第1液体、好ましくは第1洗浄液で第1ミスト除去器を洗浄する工程を含む。第1液体は、例えば、ミスト除去器の下部又は上部にスプレーされる。洗浄液は、例えば、第2サンプ区画から供給された希薄サンプ液である。
【0024】
ベンチュリ管は、流れ方向に、収束部分、狭い部分(スロート)、及び分岐部分を含む。好ましくは、ベンチュリ段は、複数の平行なベンチュリ管を含み、ベンチュリ管は、例えば、ガス流の上向きの流れのために垂直に配置される。ベンチュリ段では、スプレー液がガス流にスプレーされる。好ましくは、液体は、ベンチュリ管の入口でガス流と並流でスプレーされ、任意選択では、液体もベンチュリ管の出口でガス流に向流でスプレーされ、即ち、ベンチュリ管の分岐部分にスプレーされる。好ましくは、ベンチュリ段からの液体は、希薄サンプ区画に供給される。好ましくは、スプレー液は、第2サンプ区画から再循環された希薄サンプ液である。ベンチュリ段は、特に下流のミスト除去器と組み合わせ、尿素ダスト、特にサブミクロンの尿素ダストの除去を提供する。
【0025】
スクラブ塔は、第1ミスト除去器の下に配置されたサンプを含む。動作中、第1洗浄液はミスト除去器からスクラブ塔のサンプの方向に排出される。
【0026】
本発明では、サンプは分割サンプ構成を有する。従って、サンプは、少なくともスクラブ塔に含まれる壁によって分離された第1サンプ区画及び第2サンプ区画を含む。従って、サンプは、サンプ区画を分離する壁を含む。より具体的には、2つのサンプ区画は互いに完全に分離される。特に、第2サンプ区画(希薄溶液用)の上部にもカバーがある。動作中、希薄溶液は濃厚サンプ溶液の第1サンプ区画のオーバーフローを介してオーバーフローする。第1及び第2サンプ区画は、第1サンプ及び第2サンプと呼ばれることもある。
【0027】
壁は(重力に対して)垂直方向に延び、2つのサンプ区画間の液体の流れを遮断する。従って、スクラブ塔は、第1サンプ区画と第2サンプ区画との間で異なる組成のサンプ液を維持するように配置される。動作中、第1区画内の液面はまた、第2サンプ区画内とは異なる、好ましくはより低い場合がある。
【0028】
第1及び第2サンプ区画は、それぞれ第1ミスト除去器の下に配置される。第1サンプ区画は、少なくとも部分的に開いた上部を有し、少なくとも一部、好ましくは第1ミスト除去器から排出された液体のすべてを受け入れるように配置される。第1サンプ区画は、好ましくは、第1ミスト除去器に提供される少なくとも一部、好ましくはすべての第1洗浄液を受け入れるように配置される。
【0029】
第2サンプ区画は、第2サンプ区画の上端を密閉するカバープレートを含む。第2サンプ区画は、例えば、側壁に液体の入口を有し、例えば、ベンチュリ段の例えば、スクラブ塔の出口に接続される。サンプは、第2区画と第1サンプ区画との間にオーバーフロー堰(overflow weir)を含む。堰は、例えば、区画間の壁の上部に設けられる。堰は、例えば、第2サンプ区画から第1サンプ区画への流れを可能にする。これにより、第1サンプ区画で濃厚サンプ液を希釈できる場合がある。2つのサンプ区画(1つはカバープレートを含む)を含む設計は、有利なことに非常にコンパクトである。第2サンプ区画は、希薄サンプ液用のバッファ量を提供する。第1サンプ区画の容積は、例えば、100%未満又は50%未満又は40%未満であり、典型的には、第2サンプ区画の容積の10%を超える。
【0030】
該方法は、濃厚サンプ液を第1サンプ区画から急冷液として急冷ゾーンに再循環させる工程を含む。従って、急冷ゾーンにスプレーされた急冷液は、少なくとも部分的に、再循環する濃厚サンプ液を含む。更に、急冷液は、プロセス凝縮物などの補給水を含み得る。急冷液はまた、第2サンプ区画から回収された希薄サンプ液の一部を含み得る。
【0031】
好ましくは、該方法は、仕上げ部(好ましくは造粒ユニット)と急冷ゾーンとの間のダクトに希薄サンプ液を供給する工程を含む。このような液体を供給することにより、ダクト内のほこり(特に造粒機からの尿素ダスト)の堆積物を除去するためにダクトを洗浄することができる。このような清掃は典型的に、ダクトの目詰まりを防ぐために定期的に必要である。希薄サンプ液は、好ましくは、急冷システムにおける水の蒸発損失を有利に補償するために、ダクトに連続的に供給される。本発明の構成は、有利には、そのような清掃のために希薄サンプ液を使用することを可能にする。希薄サンプ液の比較的高い水分濃度は、有利には、ダクトのより速い洗浄を可能にする。これにより、清掃のための造粒機の故障時間が短縮される。
【0032】
濃厚サンプ液の一部がパージされる。該パージ液流は、例えば、パージ液が加熱されて液流から水を蒸発させた蒸発器(evaporator)に供給され、例えば、蒸発工程の前よりも少なくとも50%高い溶存種の濃度を有する濃縮されたパージ流を得る。蒸発器は、例えば、専用蒸発器である。蒸発器はまた、いくつかの実施形態では、例えば、尿素プラントの主蒸発部であり得る。該主蒸発部は、例えば、真空蒸発段を含み、例えば、尿素プラントから、通常は尿素プラントの回収部から尿素溶液を受け入れる。蒸発部は、典型的には、尿素仕上げ部の入口に接続された尿素溶融物の出口を有する。パージ液流が主蒸発部に供給される場合、典型的には、スクラブ塔は酸洗浄段を含まない。
【0033】
この好ましい実施形態でパージされた濃厚サンプ液の留分は、好ましくは、濃厚サンプ液の所望の尿素濃度を提供するように調整される。パージされない濃厚サンプ液の一部は、好ましくは再循環される。
【0034】
専用蒸発器を備えた実施形態では、蒸発器は主蒸発部から分離され、例えば、蒸気用の第1出口と、濃縮されたパージ流のための第2出口と、を有する。従って、第2出口は尿素含有液体用である。該第2出口は、例えば、尿素溶融物輸送ラインに接続され、尿素溶融物輸送ラインは、次に、仕上げ部の尿素溶融物用の入口に接続される。このように、濃縮されたパージ流は、仕上げ部で固化された尿素溶融物に組み込まれる。蒸発器からの濃縮されたパージ流は液流であり、水(例えば、全液流の30重量%未満の量で)及び溶存種を含み得るが、溶存種は尿素を含み、更に例えばアンモニウム塩(特に酸洗浄段を使用する場合)を含み得る。溶存種の量は、通常、仕上げ部で受けいれた総尿素溶融物に対して1.0重量%未満である(時間ベース、例えば1分間あたり)。
【0035】
専用蒸発器の蒸気用の第1出口は、例えば凝縮器に接続される。凝縮器には、例えば、希薄サンプ区画又は濃厚サンプ区画に接続された凝縮液用の出口がある。
【0036】
スクラブ塔は、好ましくは、ベンチュリ段の上に配置された酸洗浄部を含み、好ましくは、酸洗浄段とベンチュリ段との間に煙突トレイを含む。酸洗浄段は、例えば、酸洗浄溶液用の入口、酸洗浄溶液をスプレーするためのノズル、洗浄を促進するためのトレイ、及び酸溶液用の出口を含む。酸洗浄は、ガス流からNH3を除去するために使用される。酸洗浄溶液は、例えば、硝酸又は硫酸を含む。出口からの酸洗浄溶液は、典型的に、一部は純粋な流れとしてパージされ、一部は再循環される。更に、典型的には、補給用の酸は酸洗浄入口に供給される。酸パージ流は、酸のアンモニウム塩を含み、例えば装置の境界内まで供給され、又は例えば第1サンプ区画からの濃厚サンプ溶液と混合される。更なるオプションは、例えば、任意選択では水の蒸発後に、仕上げ部に供給された尿素溶融物に酸パージを加えることである。
【0037】
本発明はまた、該方法に関連して論じたように、急冷ゾーンと、第1ミスト除去器、ベンチュリ段、及び2つのサンプ区画を有するサンプを備えたスクラブ塔と、を含むガス処理システム又はガス処理装置に関する。
【0038】
本発明はまた、本発明による尿素仕上げ部及びガス処理システムを含む尿素仕上げプラントに関する。尿素仕上げ部は、尿素溶融物用の入口、空気用の入口、固体尿素用の出口、及びオフガス用の出口を含む。仕上げ部のオフガス用の出口は、例えばダクトで、急冷ゾーンのオフガス用の入口に接続される。尿素仕上げユニットは、空気を使用して尿素溶融物を固化させるように構成される。尿素仕上げ部は、例えば、流動床造粒機及び/又は噴流床造粒機、例えば、造粒機の少なくとも2つの造粒区画を通過する流動床内の顆粒の水平輸送方向、及び各造粒区画内の流動床に尿素溶融物を提供するためのノズルを備えた流動床造粒機などである。尿素仕上げ部は、例えば、造粒塔にすることもできる。
【0039】
本発明は更に、本発明による尿素仕上げプラントを含む尿素プラントに関する。尿素プラントは、尿素溶融プラントを更に含む。尿素溶融プラントは、高圧合成部を含む。本明細書では、高圧は、100バールを超える、典型的には140~180バールを意味する。尿素溶融プラントは、回収部と蒸発部とを更に含む。合成部は、反応器、好ましくはストリッパー及びカルバメート凝縮器(carbamate condenser)も含む。反応器と凝縮器とは、任意選択では、プール型原子炉などの単一の容器に組み合わされる。反応器は、ストリッパーの入口又は回収部の入口に接続された尿素合成溶液(尿素、水、カルバミン酸アンモニウム及び遊離アンモニアを含む)のための出口を有する。ストリッパーは高圧ストリッパーであり、回収部又は場合によっては蒸発部に接続された取り去られた尿素溶液用の出口を含む。ストリッパーには、凝縮器の入口に接続されたガスの出口がある。凝縮器には、反応器の入口に接続された液体の出口がある。尿素合成は、尿素形成条件下でのアンモニア供給とCO2供給との反応を基とする。
【0040】
ストリッパーは、例えば、管内の尿素溶液の落下膜と、管内のガスの上昇流及び典型的にシェル側の加熱流体(そのような蒸気)の下降流と、を備えた落下膜熱交換器として構成された垂直シェルアンドチューブ熱交換器(vertical shell-and-tube heat exchanger)である。ストリッパーは、例えば、CO2ストリッピング、アンモニアストリッピング、又はセルフストリッピング用に構成される。該プラントは、例えば、CO2ストリッピングの場合にストリッパーに接続されたCO2圧縮器を更に含む。
【0041】
カルバメート凝縮器は、例えば、U字型の管束を備えたシェルアンドチューブ熱交換器(shell-and-tube heat exchanger)である。任意選択で、カルバメート凝縮器は、シェル側のストリッパーからガスを受け入れ、管内の流体を冷却するように構成され、管は、例えば、水平に配置された管束、例えば、U字型の管束である。凝縮器は、ストリッパーからのガスを分配するためのシェル空間内のガス分配器を含む。
【0042】
いくつかの実施形態では、高圧ストリッパー及び凝縮器は使用されない。
【0043】
回収部は、例えば、分解器及び凝縮器、又は例えば、それぞれが凝縮器を備えた直列の2つの分解器を含む。分解器は、例えば、尿素溶液用の入口、精製尿素溶液用の出口、及びガス用の出口を含む。分解器は、例えば、尿素溶液を加熱して少なくともカルバミン酸アンモニウムを解離するように構成される。分解器は100バール未満の圧力で動作する。回収部は、例えば、低圧分解器(例えば、高圧CO2ストリッピングと組み合わせ)、又は例えば、直列の中圧分解器及び低圧分解器を含む。精製尿素溶液は、蒸発部の入口に供給される。分解器からのガスは凝縮器で凝縮されてカルバメート溶液になり、合成部に再循環される。蒸発部では、尿素溶液から水を蒸発させ、例えば1つ以上の真空蒸発器を使用し、例えば少なくとも80重量%又は少なくとも90重量%の尿素及び蒸気を含む尿素溶融物が得られる。蒸気は凝縮して凝縮物が得られる。凝縮物は典型的に、廃水処理(WWT)部で処理される。WWT部は、凝縮物を精製し、例えば、脱着装置及び加水分解剤を含む。WWTは、少なくとも精製されたプロセス凝縮物用の出口を含む。
【0044】
本発明はまた、本発明の尿素プラントで実行される尿素製造プロセスにも関し、記載されたように尿素溶融プラントで尿素溶融物を調製する工程、尿素仕上げ部で空気を使用して尿素溶融物を固化させ、固体尿素生成物及びオフガスを得る工程、及び本発明の方法に従って、及び/又は本発明のガス処理システムにおいてオフガスを処理する工程を含む。尿素溶融物の調製は、記載されたように、合成部で尿素形成条件下でアンモニアとCO2とを反応させることを含む。
【0045】
本明細書で使用される場合、プロセスの流れ(特に尿素溶液)のために、高圧(HP)は少なくとも100bara、例えば110~160bara、中圧(MP)は20~60bara、低圧(LP)は4~10baraである。これらの圧力範囲は処理溶液用であり、蒸気などの加熱流体では必ずしも同じではない。略語「bara」は、絶対圧を意味する。
【0046】
尿素仕上げ法に関連して言及された急冷ゾーン及びスクラブ塔の好ましい特徴もまた、本発明のガス処理システムにとって好ましい。尿素仕上げ法は、好ましくは、本発明によるガス処理システムでは、好ましくは、本発明のガス処理システムの好ましい特徴を有するガス処理システムでは実行される。
【0047】
図1は、本発明によるガス処理システム(1)の例示的な実施形態を示す。ガス処理システムは、急冷ゾーン(Q)とスクラブ塔(2)とを含む。ガス処理システムは、尿素仕上げプラント(3)に含まれ、更に尿素仕上げ部、例えば造粒機(GR)を含む。造粒塔も使用され得る。仕上げセクションは、尿素溶融物(UM)用の入口と空気(13)用の入口とを含み、及び固体尿素(US)用の出口とオフガス(G1)の出口とを含む。空気は、例えば、造粒機内の流動化空気又は二次空気として、或いは造粒塔内の造粒空気として使用される。オフガスは、空気、尿素ダスト、及びアンモニアガスを含む。オフガスは急冷ゾーン(Q)から供給される。任意選択では、尿素仕上げプラントは、オフガスも急冷ゾーンに供給された生成物冷却器を更に含む。任意選択では、尿素仕上げプラントは更に、固体尿素(US)をサイズ分類するための分類器(例えば、ふるいを使用する)と、少なくとも1つの留分(粗い留分など)用の冷却器と、上記冷却器から急冷ゾーンへのオフガスの接続(Q)と、を更に含む。尿素仕上げプラントに含まれる除塵ファンからの空気も、急冷ゾーンに供給され得る。
【0048】
急冷ゾーンでは、水を含む急冷液が、急冷スプレーノズル(QN)を使用し、蒸発冷却を含む冷却、及び尿素ダスト除去のための洗浄のためにガス流にスプレーされる。急冷液は、例えば、ガスの流れ方向に対して垂直にスプレーされる。急冷ガス及び急冷液の少なくとも一部又は全ては、急冷ゾーンの出口からダクト(9)などのフロー接続を介してスクラブ塔(2)の下部に配置された入口(4)に混合流(MF)として急冷ゾーン(Q)から供給される。
【0049】
スクラブ塔(2)は、下から上に、サンプ(5)、入口(4)の高さの入口ゾーン(6)、第1ミスト除去器(ME1)、第1煙突トレイ(CT1)、及びベンチュリ段(MMV)、例えば、マルチミストベンチュリタイプのベンチュリ段を含む。
【0050】
ベンチュリ段(MMV)は、ガス流を洗浄するように構成され、それぞれが垂直に配置された複数の平行なベンチュリ管(VT)を含む。各ベンチュリ管(VT)は、収束部分、スロート(最も狭い部分)、及び発散部分(流れ方向)を含む。各ベンチュリ管は、入口側に入口スプレーノズル(VN1)を有し、好ましくは、各管は、管の出口部分(分岐部分)にスロートスプレーノズル(VN2)を有する。ベンチュリ段では、尿素ダストなどの小さな液滴や粒子が、特に入口スプレーノズル(VN1)から大きな液滴に衝突し、大きな液滴に捕捉される。スロートスプレーノズル(VN2)からの液滴は、粒子の捕捉にも寄与する。従って、ベンチュリ段は、ノズルを介してガス流にスプレー液をスプレーするように構成される。
【0051】
典型的には、第2ミスト除去器(ME2)などの液滴除去器がベンチュリ洗浄段の下流に設置され、ガス流から(溶解した)尿素ダスト粒子を含む大きな液滴を除去する。第1煙突トレイ(CT1)は、ガスがその開口部を通って上に流れることを可能にしますが、液体がそこを通って落ちることを防ぎ、例えば、煙突がさがある。煙突トレイの例は、米国特許第4933047号明細書に記載される。
【0052】
本明細書で使用されるミスト除去器は、例えば、独立してシェブロンタイプのミスト除去器、ベーンタイプ、又はメッシュタイプのミスト除去器、好ましくはシェブロンタイプのミスト除去器である。それは、第1除去器、第2除去器、第3ミスト除去器に適用される。
【0053】
いくつかの実施形態では、衝突トレイ(DO)が、ベンチュリ管と第2ミスト除去器との間に設置される。トレイは、例えば、デュアルオリフィストレイである。トレイは、例えば、ミスト除去器からの液体であふれる。トレイは、ガス流中の粒子状物質の負荷を低減するために設置される。いくつかの実施形態では、トレイ(DO)及びベンチュリ段(MMV)のベンチュリ管用のオプションの保持トレイには、任意選択では、例えばJ字型の下向き管として設置された下降管が設置される。
【0054】
任意選択では、ガス処理システム(1)、例えば、スクラブ塔(2)は、ベンチュリ段(MMV)の下流にある酸洗浄段(AS)を更に含む。酸洗浄は、酸性溶液で洗浄することにより、ガス流からアンモニアガスを除去するのに役立つ。酸洗浄段は、入口から酸性液体(SA1)が提供されたトレイ(AT)を含む。動作中、酸(硫酸や硝酸など)はガス中のアンモニアと反応してアンモニウム塩(硫酸アンモニウムや硝酸アンモニウムなど)を形成する。
【0055】
酸洗浄段(AS)の場合、ベンチュリ段の下流に第2ミスト除去器(ME2)が設置され、典型的には、ミスト除去器に液体を提供するための第2ノズル(SN2)を有する。ノズル(SN2)は、例えば、ミスト除去器の上又は下に配置され、例えばスプレーノズルである。液体は、例えば、補給水であり、例えばプロセス凝縮物(PC1)として提供され、典型的には尿素プラントの廃水処理部からの凝縮物である。第2ミスト除去器(ME2)は、ベンチュリ段(MMV)からのガス流への尿素の閉じ込めを回避すること、特にガス流から酸洗浄段(AS)への尿素ダストの閉じ込めを回避することを有利に提供する。
【0056】
酸洗浄(AS)がスクラブ塔(2)のベンチュリ段の上に配置される場合、第2煙突トレイ(CT2)が第2ミスト除去器の下流と酸洗浄の上流と下に設置される。第2煙突トレイ(CT2)の上など、酸洗浄段(AS)の下部に集まった酸性液体は、出口(SA2)から排出される。回収された酸の流れは、第1部分(SA3)で、補給用の酸(SA5)と共に酸入口(SA1)に(例えば、酸容器を介して)再循環される。回収された酸の流れ(SA2)は、パージされた第2部分(SA4)用である。酸パージ流(SA4)は、未反応の酸、アンモニウム塩、場合によっては尿素を含み、例えば装置の境界内まで供給され、例えば濃厚サンプ液(L1)と混合される。酸パージ流(SA4)は、例えば、アンモニウム塩と場合によっては尿素を加えることによって濃縮され、その後、硫酸スクラブの場合などに固化させ、例えば少なくとも10重量%S又は少なくとも20重量%Sの硫酸アンモニウム固体肥料又は尿素硫酸アンモニウム固体肥料が得られる。凝固は、例えば、冷却ベルトなどを備えたペレタイザーを使用して行うことができる。ペレタイザーは、例えば、欧州特許第2477961号明細書に記載されたペレタイザーである。例えば、硝酸が酸洗浄に使用される場合、例えば、尿素及び/又は硝酸アンモニウムを農学的に使用するのに必要なレベルまで加えることにより、得られた尿素硝酸アンモニウム(UAN)溶液は、液体肥料として使用され得る。生成物として得られたUAN溶液は、例えば、28重量%~32重量%の全窒素、典型的には29重量%~38重量%の尿素、及び36重量%~48重量%の硝酸アンモニウムを含み、残りは水である。該実施形態の背景参照は、欧州特許第3393626号明細書である。
【0057】
例示的な実施形態では、酸パージ流(SA4)は、例えば、濃厚サンプ溶液(L1、L1a)と混合される。該システムは、例えば、酸流(SA2)を受け入れるためのタンクと、オーバーフロー堰(10)よりも高いレベルに配置された酸流(SA2)の出口と、を含む。
【0058】
好ましくは、第3ミスト除去器(ME3)は酸洗浄(AS)の下流に配置され、該ミスト除去器には典型的に、ミスト除去器に液体を供給するために配置されたノズル(SN3)を有する。好ましくは、これらのノズル(SN3)の液体は、蒸気凝縮物(SC1)などの高純度の水流である。蒸気凝縮物は、例えば尿素プラントで加熱流体として使用された蒸気の凝縮によって得られる。
【0059】
更に、任意選択では、湿式電気集塵機(WESP)(図示せず)などの粒子を除去するための更なる濾過装置は、酸洗浄の下流、例えば、スクラブ塔(2)の第3ミスト除去器(ME3)の上、又はベンチュリ段の下流(例えば、酸洗浄が省略される場合は、第2ミスト除去器(ME2)の上)に設置される。
【0060】
ガスは、例えば、スクラブ塔の上部に配置されたファン(12)を使用してスクラブ塔の上部から回収される。
【0061】
サンプ(5)は、壁(7)によって互いに分離された第1サンプ区画(SC1)と第2サンプ区画(SC2)とを含む。動作中、両方の区画の液面は壁の上端の下に維持される。壁(7)を使用すると、動作中の第1区画と第2区画とで異なる液面を維持し得る。
【0062】
従って、通常の動作では、一方の区画から他方の区画へ、壁の上端(7)を直接越えて液体が流れることはない。
図1に示すように、壁(7)を使用すると、第1サンプ区画と第2サンプ区画とで様々な液面を維持し得、通常の動作では、希薄サンプ溶液の第2サンプ区画の液面は、濃厚サンプ溶液の第1区画よりも高くなる。サンプは、壁(7)の上部に配置されたオーバーフロー堰(10)を更に含み、該堰により、液体が制御された方法で壁を越えて流れることができる。動作中、希薄サンプ液は堰を越えて第1サンプ区画に流れ込む。
【0063】
第2サンプ区画(SC2)には、区画の上側を密閉する上カバープレート(11)が付く。従って、第1ミスト除去器(ME1)からの液体と入口(4)からの液体とは、第2サンプ区画に受け入れられず、該区画の希薄サンプ溶液と混合されない。
【0064】
スクラブ塔(2)は、第1ミスト除去器(ME1)、例えばミスト除去器の下側及び/又は上側に液体を提供するために配置された第1ノズル(SN1)を更に含む。該液体は、ミスト除去器の洗浄に使用され得る。
【0065】
第1ミスト除去器(ME1)は、溶解した尿素を含む全ての急冷液が入口ゾーン(6)に入る場合でも、ガス流からベンチュリ部(MMV)への液体尿素の同伴を有利に回避する。
【0066】
第1サンプ区画と第2サンプ区画とはそれぞれ、第1ミスト除去器(ME1)の下に配置され、その上にスプレーされた液体で濡らされ、第1ミスト除去器(ME1)から液体を受け入れるように構成される。第1サンプ区画と第2サンプ区画とは並べて配置され、分離壁(7)はそれらの間の垂直壁である。第1サンプ区画(SC1)は、第2サンプ区画(SC2)よりも入口(4)の近くにあり、即ち、入口(4)と第1サンプ区画との間の距離は、入口(4)と第2サンプ区画(SC2)との間の距離よりも小さくなる。例えば、スクラブ塔(2)の水平断面では、第1洗浄区画と第2洗浄区画とが2つの対向する側面を画定し、1つの入口(4)又は複数の入口(4)が第1洗浄区画(4)の側面に配置される。第1洗浄区画は、入口(4)の下に配置され、入口(4)から液体を受け入れ、ミスト除去器(ME1)から液体の少なくとも一部、できれば全てを受け入れるように構成される。
【0067】
動作中、オフガス(G1)の尿素ダストの大部分は、急冷ゾーン(Q)の急冷液に吸収される。該液体は、ダクト(MF)を通って開口部(4)からスクラブ塔(2)に流れ込み、第1サンプ区画(SC1)に収集され、そこから濃厚サンプ液(L1)が出口開口部から取り出される。液体(L1)は、ポンプ(8)を使用して急冷ゾーン(Q)、特に急冷の急冷スプレーノズル(QN)に再循環された第1部分(L1a)用である。第2部分(L2)がパージされ、任意選択では、濃厚サンプ液の第3部分(L3)が混合容器(V1)を介して急冷(Q)又はオフガス用ダクト(G1)に供給される。更に、プロセス凝縮物(PC2)などの補給水が急冷(Q)又はオフガス用ダクト(G1)に供給される。
【0068】
濃厚サンプ液(L1)の尿素濃度は、例えば、少なくとも20重量%、好ましくは30~45重量%の範囲である。該尿素濃度は、パージされた量(L2)を調整することで制御され得る。
【0069】
第1ミスト除去器(ME1)のノズル(SN1)に供給された液体、及びベンチュリ段(MMV)のノズル、即ち入口ノズル(VN1)とオプションのスロートノズル(VN2)とによってスプレーされた液体は全て、尿素濃度が10重量%未満、できれば5重量%未満など、濃厚サンプ液(L1)よりも尿素含有量がはるかに少ない。同じのは、第2ミスト除去器(ME2)の第2ノズル(SN2)に供給された液体にも適用される。ラウールの法則を考えると、尿素濃度が低く、水質量分率が高い場合、ガス流の更なる蒸発と飽和とが可能になる。これらのスプレー液の尿素濃度が低いことも、ガス流の汚染を回避するために重要である。
【0070】
スクラブ塔(2)の急冷ゾーン(Q)での水分蒸発を考え、更にパージ(濃厚サンプ液パージ(L2))及び任意選択では排出による水分損失を考えると、補給水(通常、いわゆるプロセス凝縮物(PC1)として提供される)は、ガス処理システム、特にノズルSN1、VN1、VN2、及びSN2の少なくとも1つ、例えばノズル(SN2)に供給される。好ましい実施形態では、補給水は、例えば、蒸気凝縮物として、及び/又はプロセス凝縮物として、希薄サンプ液区画に、例えば、ベンチュリ段又はベンチュリ段の上に配置されたスプレーノズルへの液体として供給される。補給水の量は、好ましくは、希薄サンプ液の尿素濃度を制御するように調整される。
【0071】
これらのノズルの残液は、例えば、第2サンプ区画(SC2)からの希薄サンプ溶液(LS1、LS2、LS3)の再循環によって提供される。
【0072】
ベンチュリ段からの液体は、第2サンプ区画(SC2)に供給される。スクラブ塔は、ベンチュリ段から第2スクラブ塔に液体を供給するための出口、接続、及び入口を含む。例えば、第1煙突トレイ(CT1)からの液体(ML)は、適切な出口、フロー接続、及び入口を介して第2サンプ区画(SC2)に供給される。例えば、第1煙突トレイ(CT1)は、ベンチュリ段と第2ミスト除去器との両方から液体を収集するように配置される。第1煙突トレイ(CT1)は、これらの液体が第1サンプ区画(SC1)に流れ込むのを防ぐことが望ましい。
【0073】
従って、第2サンプ区画(SC2)の液体は、急冷ゾーン(Q)から流れ(MF)の液体に含まれる尿素を受け入れても濃縮されない。残った尿素ダストの一部は、第1ミスト除去器(ME1)、ベンチュリ段の液体(MMV)、第2ミスト除去器(ME2)を流れる液体によって捕捉されるため、パージがないと尿素濃度が上昇する。第1ミスト除去器(ME1)のノズル(SN1)に供給された液体の少なくとも一部、好ましくは全ては、第1サンプ区画(SC1)によって受け入れられ、それによって希薄サンプ液のパージに役立つ。更に、希薄サンプ液の一部(LS4)は、急冷ゾーン(Q)及び/又は急冷の上流のオフガス用ダクト(G1)に供給され、それにより、希薄サンプ液のパージを効果的に提供する。希薄サンプの補給水は、例えばベンチュリ段又は第2ミスト除去器に供給される。
【0074】
急冷ゾーンに急冷液用の独自のサンプがある場合でも、急冷されたオフガスに尿素が閉じ込められるため、ダクト(9)を介した尿素輸送は、スクラブ塔に大量の尿素ダストが輸送されるのを回避するのが非常に困難であることが分かる。ダクト(9)は、例えば、仕上げ部(GR)から急冷ゾーン(Q)を含む入口(4)までのクロスオーバーダクトである。
【0075】
本発明では、濃厚サンプ液パージ(L2)は、典型的には、加熱して水蒸気を液体から分離することによる蒸発工程を受ける。従って、濃厚サンプ液パージ(L2)での尿素濃度(例えば、20重量%又は少なくとも30重量%)は、蒸発工程に必要なエネルギー消費(例えば、蒸気消費)を削減することに有利である。残液(L2a)の含水量は、造粒機(GR)などの仕上げ部の動作を妨げないように低くする必要がある(例えば、尿素溶融物に対して0.20重量%未満又は0.10重量%未満又は0.05重量%未満)。本発明の分割サンプは、単純でコンパクトな設計と組み合わせ、低エネルギー消費の利点を達成することを可能にする。有利なことに、分割サンプは、スクラブ塔の分割されないサンプと同じくらい小さくすることができ、それによって機器のコストが削減される。
【0076】
濃厚サンプ液パージ(L2)は、例えば、蒸発器(E1)に、任意選択では混合容器(V1)を介して、任意選択では加熱して供給される。蒸発器は、好ましくは、尿素溶融プラントの主蒸発器と独立して別個のものである。蒸発器では、水の留分が加熱によって部分的に蒸発する。得られた蒸気は凝縮器で凝縮され、凝縮物は、例えば尿素仕上げプラントに再循環される。例示的な実施形態では、蒸発器(E1)からの蒸気は凝縮器で凝縮物に凝縮され、凝縮物はオプションの入口(RC)を介して第2サンプ区画(SC2)に任意選択では供給される。凝縮されない蒸気は、例えばオフガス(G1)用のダクトに供給される。オフガス(G1)から除去された尿素を含む蒸発器内の残液(L2a)は、例えば、尿素溶融物(UM)と混合されて造粒機(GR)などの仕上げ部に送られる。酸パージ(SA4)が濃厚サンプ液(L1)と混合される場合、少量のアンモニウム塩が尿素固体生成物(US)に導入され、しかし、典型的には、固体尿素の0.5重量%未満又は0.20重量%未満のレベルであるため、固体尿素は依然として商業的に許容されるグレード、例えば肥料グレードである。濃厚サンプ液パージ(L2)にアンモニウム塩が含まれない場合は、専用蒸発器(E1)を使用することもできる。
【0077】
或いは、パージ(L2)は、例えば尿素プラントの蒸発部に供給される。蒸発部には、尿素溶液用の入口、造粒機に接続された尿素溶融物用の出口、及び廃水処理(WWT)部に接続された蒸気用の出口を有する。パージ(L2)にアンモニウム塩が含まれない場合など、例えば、酸パージ(SA4)が濃厚サンプ液(L1)と混合する以外の方法で廃棄される場合(例えば、酸パージ(SA4)が装置の境界内まで)、又は酸洗浄(AS)が省略される場合、パージは任意選択では蒸発部に供給される。WWT部は、凝縮物を精製するように構成され、例えば、尿素を加水分解するための加水分解剤及びアンモニアを脱着するための脱着装置を含む。尿素プラントのWWT部の動作は、通常、大量のエネルギーを消費する。従って、主蒸発器とWWT部の負荷を軽減するために、パージ(L2)の低水分濃度とパージ(L2)の高尿素濃度は望ましい。任意選択では、蒸発部からの凝縮物又はWWT部からの精製凝縮物は、補給水としてスクラブ塔(2)に供給され、例えば、希薄サンプ液と混合するための第2サンプ区画又はベンチュリ段に供給される。
【0078】
入口ゾーン(6)は、任意選択では、例えば混合容器(V1)へのオーバーフロー用の出口(L4)を含む。
【0079】
図1の例示的な実施形態の様々な部分の好ましい特徴は、独立して使用され得、また互いに組み合わせて使用され得る。特に、
図1のシステムとプラントの例は、主要部分として、造粒ユニット、接続ダクト、急冷ゾーン、クロスオーバーダクト、サンプ、ミスト除去器、ベンチュリ段、及び酸洗浄段を含み、部品のうち1つの好ましい特徴及び例示的な特徴は、
図1のシステムの他の部品の好ましい特徴及び例示的な特徴とは独立して使用され得る。
【0080】
要約すると、本発明は、オフガス処理を含む尿素仕上げ方法の一態様に関し、該方法は、尿素仕上げと、急冷ゾーン及びサンプとベンチュリ段とを備えたスクラブ塔へのオフガスの供給を含み、ここでサンプは、2つの区画を備えた分割サンプ構成を有する。
【0081】
図2は、ガス処理部の例の急冷ゾーンとスクラブ塔の下部とを概略的に示す。参照番号は
図1と同じである。
【0082】
本明細書で使用される場合、あるタイプのアイテムの「第1」、「第2」、「第3」などの数字の用語は、識別されたアイテム間に同じタイプ又は別のタイプのアイテムが更に存在することを排除するものではない。例えば、更なる煙突トレイは、第1煙突トレイと第2煙突トレイとの間に存在することができる。用語「典型的」は、有利であるが必須ではない機能を示す。本明細書で使用される場合、「下流」及び「上流」は、ガス流に関するものである。
【手続補正書】
【提出日】2022-04-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オフガス処理を含む尿素仕上げ方法であって、
a) 尿素溶融物と空気とを仕上げ部に供給し、前記尿素溶融物を固化させて固体尿素生成物とオフガスとを得る工程であって、前記オフガスは尿素ダスト及びアンモニアを含む、工程と、
b) 前記オフガスを急冷ゾーンに供給し、急冷液をスプレーすることによって前記オフガスを急冷し、急冷液及び急冷されたオフガスを含む混合流を得る工程であって、前記急冷液は溶解した尿素を含む、工程と、
c) 急冷液及び急冷されたオフガスを含む前記混合流を入口からスクラブ塔に供給する工程と、
d) 前記急冷されたオフガスを前記スクラブ塔の第1ミスト除去器に通し、続いてベンチュリ段に含まれるベンチュリ管に通し、洗浄されたガス流を得る工程であって、前記第1ミスト除去器は第1洗浄液で洗浄され、スプレー液は、前記ベンチュリ段内の前記ガス流にスプレーされる、工程と、を含み、
前記スクラブ塔は、前記第1ミスト除去器の下にサンプを含み、
前記サンプは、壁によって互いに分離された第1サンプ区画及び第2サンプ区画を含み、
前記入口は、前記第1サンプ区画の上に配置され、前記混合流に含まれる前記急冷液の少なくとも80重量%が、前記第1サンプ区画に収集され、前記第1サンプ区画は、前記
第1ミスト除去器から前記第1洗浄液を受け入れる、方法であって、
e) 濃厚サンプ液である液体を、急冷液として前記第1サンプ区画から前記急冷ゾーンに再循環させる工程と、
f) 希薄サンプ液である液体を、前記第1洗浄液として前記第2サンプ区画から前記第1ミスト除去器に、
及び前記スプレー液として前記ベンチュリ段に再循環させる工程と、を更に含む、方法。
【請求項2】
前記第1サンプ区画からの濃厚サンプ液の一部
をパージ
する工程と、
前記希薄サンプ液に補給水
を加え
る工程であって、前記希薄サンプ液の尿素濃度は5重量%以下であり、前記濃厚サンプ液の尿素濃度は少なくとも40重量%である
、工程と、を更に含む、請求項1に記載の尿素仕上げ方法。
【請求項3】
酸スクラブ溶液を使用した前記洗浄されたガス流
を酸スクラブ
する工程を更に含む、
請求項1に記載の尿素仕上げ方法。
【請求項4】
前記第1サンプ区画からの前記濃厚サンプ液の一部
をパージ
し、蒸気及び濃縮されたパージ流が得られ
るように、パージされた前記濃厚サンプ液を蒸発器で加熱する工程と、
前記濃縮されたパージ流
を、前記仕上げ部に供給された前記尿素溶融物と組み合わ
せる工程と、を更に含む、
請求項1に記載の尿素仕上げ方法。
【請求項5】
前記仕上げ部は流動床造粒機である、
請求項1に記載の尿素仕上げ方法。
【請求項6】
前記第1サンプ区画からの前記濃厚サンプ液の一部
を、前記仕上げ部と前記急冷ゾーンとを接続するオフガス用のダクトに供給
する工程を更に含む、
請求項1に記載の尿素仕上げ方法。
【請求項7】
ガス流を処理するための
ガス処理システムであって、
急冷ゾーン及び
スクラブ塔であって、前記スクラブ塔は、
第1ミスト除去器を含む、
急冷ゾーン及びスクラブ塔と、
ベンチュリ段及びサンプであって、前記ベンチュリ段は、ベンチュリ管及び第1スプレー液用のノズルを含む、ベンチュリ段及びサンプと、を含み、
a) 前記急冷ゾーンは、前記ガス流用の入口、急冷液用の入口、前記急冷液を
前記ガス
流にスプレーするための
急冷スプレーノズル、及び急冷されたオフガスと急冷液とを含む
混合流用の出口を含み、
b)
前記スクラブ塔は、前記急冷ゾーンの前記出口に接続された
前記混合流用の入口を含み、
c) 前記スクラブ塔は、前記急冷されたオフガスを、
前記入口から
前記第1ミスト除去器を通して、続いて
前記ベンチュリ管を通して流すように配置され、
d) 前記スクラブ塔は、
前記第1ミスト除去器に洗浄液を供給するための
第1ノズルを更に含み、
e) 前記サンプは、
壁によって互いに分離された
第1サンプ区画及び
第2サンプ区画を含み、
前記混合流用の前記入口は、前記混合流からの急冷液が前記第1サンプ区画に受け入れられるように、
前記第1サンプ区画の上に配置され、
f) 前記第1サンプ区画は、
前記第1ミスト除去器から洗浄液を収集するために配置され、
g) 前記第1サンプ区画は、前記急冷ゾーンの急冷液用の前記入口に接続された
濃厚サンプ液用の出口を有し、
h) 前記第2サンプ区画は、前記第1ミスト除去器の
前記第1ノズルの
入口及び前記ベンチュリ段の
前記ノズルに接続された
希薄サンプ液用の出口を有する、システム。
【請求項8】
前記第1ミスト除去器は、シェブロンタイプのミスト除去器である、請求項7に記載のガス処理システム。
【請求項9】
請求項7に記載のガス処理システム及び尿素仕上げ部を含む尿素仕上げプラントであって、前記尿素仕上げ部は、尿素溶融物用の入口、空気用の入口、固体尿素用の出口、及び前記急冷ゾーンの前記入口に接続されたオフガス用の出口を含み、前記尿素仕上げ部は、前記空気を使用して前記尿素溶融物を固化させるように構成される、尿素仕上げプラント。
【請求項10】
前記尿素仕上げ部は、
流動床造粒機である、
請求項9に記載の尿素仕上げプラント。
【請求項11】
前記スクラブ塔は、前記ベンチュリ段の上の酸スクラブ部を更に含む、
請求項9に記載の尿素仕上げプラント。
【請求項12】
濃厚サンプ用の前記出口と流体接続された入口を有する
蒸発器を更に含み、前記蒸発器は、
尿素含有液体用の出口及び蒸気用の出口を更に有し、
前記尿素含有液体用の出口は、
前記仕上げ部の前記尿素溶融物用の入口に接続された
尿素溶融物輸送ラインに接続される、
請求項9に記載の尿素仕上げプラント。
【請求項13】
前記サンプは、
前記壁の上部にある
オーバーフロー堰を含み、
前記第2サンプ区画は、
前記第2サンプ区画の上側を密閉する
カバープレートを含む、
請求項9に記載の尿素仕上げプラント。
【請求項14】
前記ガス処理システムに含まれる前記第1ミスト除去器は、シェブロンタイプのミスト除去器である、請求項9に記載の尿素仕上げプラント。
【請求項15】
前記尿素仕上げ部は、噴流床造粒機である、請求項9に記載の尿素仕上げプラント。
【請求項16】
請求項9に記載の尿素仕上げプラントを含み、尿素溶融プラントを更に含む尿素プラントであって、前記尿素溶融プラントは、高圧合成部、回収部、及び蒸発部を含み、前記高圧合成部は、反応器、ストリッパー、及びカルバメート凝縮器を含む、尿素プラント。
【国際調査報告】