(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-26
(54)【発明の名称】眼検査
(51)【国際特許分類】
A61B 3/028 20060101AFI20220519BHJP
【FI】
A61B3/028
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021572545
(86)(22)【出願日】2020-05-29
(85)【翻訳文提出日】2022-01-26
(86)【国際出願番号】 AU2020050552
(87)【国際公開番号】W WO2020243771
(87)【国際公開日】2020-12-10
(32)【優先日】2019-06-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521532385
【氏名又は名称】スペックス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】コヴェニー、デーヴィッド スチュアート
【テーマコード(参考)】
4C316
【Fターム(参考)】
4C316AA06
4C316AA13
4C316AB16
4C316FB08
4C316FB11
4C316FB12
4C316FB13
4C316FB16
4C316FB21
4C316FB24
4C316FC04
4C316FZ01
(57)【要約】
【解決手段】モバイルコンピュータデバイスを用いてユーザの眼鏡処方箋の自己決定を可能とするシステムは、同時スプリットポイントフォーカス(SSPF)と、低遅延動的距離モニタリング(LLDDM)と、を備える。前記モバイルコンピュータデバイスは、データを保存するための揮発性メモリおよび不揮発性メモリと、前記不揮発性メモリに保存されたプログラム命令を実行するように構成されたプロセッサと、指示および画像をユーザに表示するために、前記プロセッサから情報を受信する表示スクリーンと、検査中に、前記ユーザの瞳孔の画像を受信するように構成されたカメラと、を備える。前記システムは、眼鏡処方箋を決定する方法を前記プロセッサに実行させるためのアプリケーションプログラム命令を備える。前記方法は、前記ユーザが近視であるかを決定するステップと、前記ユーザが近視であった場合、前記ユーザが前記表示スクリーンの上に表示された画像情報を観察している間に、前記ユーザの眼の主径線および軸径線を決定するステップと、前記ユーザが前記表示スクリーンの上に表示されたSSPF画像情報を観察している間に、前記ユーザの眼の主径線および軸径線における屈折パワー誤差をリアルタイムに決定するためのLLDDMシステムを起動するステップと、前記LLDDMシステムを用いて得られた主径線および軸径線の値から、球面処方、円柱処方および軸処方を計算するステップと、計算された処方値をユーザに表示するステップと、を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モバイルコンピュータデバイスを用いてユーザの眼鏡処方箋の自己決定を可能とするシステムであって、
同時スプリットポイントフォーカス(SSPF)と、低遅延動的距離モニタリング(LLDDM)と、を備え、
前記モバイルコンピュータデバイスは、
データを保存するための揮発性メモリおよび不揮発性メモリと、
前記不揮発性メモリに保存されたプログラム命令を実行するように構成されたプロセッサと、
指示および画像をユーザに表示するために、前記プロセッサから情報を受信する表示スクリーンと、
検査中に、前記ユーザの瞳孔の画像を受信するように構成されたカメラと、を備え、
前記システムは、眼鏡処方箋を決定する方法を前記プロセッサに実行させるためのアプリケーションプログラム命令を備え、
前記方法は、
前記ユーザが近視であるかを決定するステップと、
前記ユーザが近視であった場合、前記ユーザが前記表示スクリーンの上に表示された画像情報を観察している間に、前記ユーザの眼の主径線および軸径線を決定するステップと、
前記ユーザが前記表示スクリーンの上に表示されたSSPF画像情報を観察している間に、前記ユーザの眼の主径線および軸径線における屈折パワー誤差をリアルタイムに決定するためにLLDDMシステムを起動するステップと、
前記LLDDMシステムを用いて得られた主径線および軸径線の値から、球面処方、円柱処方および軸処方を計算するステップと、
計算された処方値をユーザに表示するステップと、を含むことを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記ユーザが近視であるかを決定するステップは、前記プロセッサでプログラム命令を実行することによって実行される第2の方法を含み、
前記第2の方法は、
2色背景を有する第1部分を備えた画像を、前記表示スクリーンの上に表示するステップと、
前記ユーザに指示を与えるステップと、
前記ユーザにとってより鮮明に見える画像の部分に関する入力をユーザから受信するステップと、を含むことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記軸径線を決定するステップは、前記プロセッサでプログラム命令を実行することによって実行される第3の方法を含み、
前記第3の方法は、
放射状線の画像を前記表示スクリーンの上に表示するステップと、
前記ユーザに指示を与えるステップと、
前記ユーザにとってより鮮明に見える線の部分に関する入力をユーザから受信するステップと、を含むことを特徴とする請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
前記主径線を決定するステップは、前記プロセッサでプログラム命令を実行することによって実行される第4の方法を含み、
前記第4の方法は、
2色背景を含むハッシュライン画像を前記表示スクリーンの上に表示するステップと、
前記ユーザにとって線の鮮明さが同じに見えたときの、前記ユーザの検査対象の眼に対する前記表示スクリーンの位置に関する入力をユーザから受信するステップと、
前記表示スクリーンから前記ユーザの検査対象の眼までの距離を決定するステップと、を含むことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のシステム。
【請求項5】
前記表示スクリーンの上に表示される線の幅は、2ピクセル以上8ピクセル以下であることを特徴とする請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記表示スクリーンの上に表示される線の幅は、4ピクセル以上8ピクセル以下であることを特徴とする請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記表示スクリーンの上に表示される線の長さは、40mm以上60mm以下であることを特徴とする請求項5または6に記載のシステム。
【請求項8】
2色画像を備え、
前記2色画像は、
境界によって分割された少なくとも2つの背景部分を備えた2色背景画像と、
前記2つの背景部分の境界にまたがって前記2色背景画像に重ね合わされる画像と、を備え、
前記2色背景画像に重ね合わされた画像の各部分は、前記ユーザの検査対象の眼の眼球中心窩に同時に画像化されることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載のシステム。
【請求項9】
前記表示スクリーンから前記ユーザの検査対象の眼までの距離は、前記ユーザの検査対象の眼のライブビデオストリームを用いて決定されることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載のシステム。
【請求項10】
モバイルコンピュータデバイスを用いてユーザの眼鏡処方箋を自己決定する方法であって、
モバイルコンピュータデバイスを与えるステップを含み、
前記モバイルコンピュータデバイスは、
不揮発性メモリに保存されたプログラム命令を実行するように構成されたプロセッサと、
指示および画像をユーザに表示するために、前記プロセッサから情報を受信する表示スクリーンと、
検査中に、前記ユーザの瞳孔の画像を受信するように構成されたカメラと、を備え、
当該方法は、前記プロセッサに実行させるためのアプリケーションプログラム命令を与えるステップを含み、
前記アプリケーションプログラム命令は、
前記ユーザが近視であるかを決定するステップを実行させるプログラムコードと、
前記ユーザが近視であった場合、前記ユーザが前記表示スクリーンの上に表示された画像情報を観察している間に、前記ユーザの眼の主径線および軸径線を決定するステップを実行させるプログラムコードと、
前記主径線および前記軸径線の値から、球面処方、円柱処方および軸処方を計算するステップを実行させるプログラムコードと、を含むことを特徴とする方法。
【請求項11】
前記ユーザが近視であるかを決定するステップは、
2色背景を有する第1部分を備えた画像を、前記表示スクリーンの上に表示するステップを実行させるプログラムコードと、
前記ユーザに指示を与えるステップを実行させるプログラムコードと、
前記ユーザにとってより鮮明に見える画像の部分に関する入力をユーザから受信するステップを実行させるプログラムコードと、を含むことを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記軸径線を決定するステップは、
放射状線の画像を前記表示スクリーンの上に表示するステップを実行させるプログラムコードと、
前記ユーザに指示を与えるステップを実行させるプログラムコードと、
前記ユーザにとってより鮮明に見える線の部分に関する入力をユーザから受信するステップを実行させるプログラムコードと、を含むことを特徴とする請求項8または11に記載の方法。
【請求項13】
前記主径線を決定するステップは、
2色背景を含むハッシュライン画像を前記表示スクリーンの上に表示するステップを実行させるプログラムコードと、
前記ユーザにとって線の鮮明さが同じになったときの、前記ユーザの検査対象の眼に対する前記表示スクリーンの位置に関する入力をユーザから受信するステップを実行させるプログラムコードと、
前記表示スクリーンから前記ユーザの検査対象の眼までの距離を決定するステップを実行させるプログラムコードと、を含むことを特徴とする請求項8から12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
前記表示スクリーンの上に2色画像を表示するステップを備え、
前記2色画像は、
境界によって分割された少なくとも2つの背景部分を備えた2色背景画像と、
前記2つの背景部分の境界にまたがって前記2色背景画像に重ね合わされる画像と、を備え、
前記2色背景画像に重ね合わされた画像の各部分は、前記ユーザの検査対象の眼の眼球中心窩に同時に画像化されることを特徴とする請求項8から13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
前記表示スクリーンから前記ユーザの検査対象の眼までの距離は、前記ユーザの検査対象の眼のライブビデオストリームを用いて決定されることを特徴とする請求項8から14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
2色背景は、第1部分と、第2部分と、境界と、を有する背景画像を備え、
前記第1部分と前記第2部分とは互いに隣接することを特徴とする請求項10から15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
前記第1部分は赤の背景部分を備え、
前記第2部分は緑または青の背景部分を備えることを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
ハッシュライン画像は、
赤の背景部分および緑の背景部分の両方の上に重ね合わされ、
前記境界に対する角度が概ね40度以上90度以下となるように調整されることを特徴とする請求項16または17に記載の方法。
【請求項19】
前記ハッシュライン画像は、前記境界に対してほぼ垂直となるように調整されることを特徴とする請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モバイルデバイスのための眼検査アプリケーションに関し、特にモバイルコンピュータデバイスを用いた眼鏡処方箋の自己決定のためのアプリケーションに関する。本発明は一般に、片眼または両眼に屈折異常を持ち視力矯正を必要する患者のための眼鏡および/またはコンタクトレンズの処方箋の決定に関する。
【0002】
本発明は、主にモバイルデバイスを用いた眼鏡処方箋値を自己決定するためのDIYシステムおよび方法および当該システムの使用のために開発された。以下、こうしたアプリケーションを参照しながら本発明を説明する。しかし本発明は、こうした使用に関する特定の分野に限定されない。
【背景技術】
【0003】
本明細書全体を通して、背景技術に関するいかなる議論もこうした背景技術が先行技術であるとは認めない。こうした背景技術は、豪州または世界規模で既知の技術であることも、共通の一般的知識の一部であることも意味しない。
【0004】
特許文献、非特許文献を含むすべての参考文献は、参照により本明細書に組み込まれる。いかなる参照も、先行技術を構成しない。参考文献に関する議論はあくまで当該文献の著者の主張であり、本出願人はその正確さおよび妥当性に対して異議を申し立てる権利を保つ。本明細書は複数の先行技術文献に言及する。こうした言及は、豪州または世界規模で既知の技術であることも、共通の一般的知識の一部であることも意味しない。
【0005】
一般に視力は視野の明確さを意味する。視力は、例えば以下のような光学的および神経学的要因に依存する。
・眼内の網膜焦点の鋭さ。
・網膜の健康および機能。
・脳の認知機能の感度。
【0006】
視力低下の一般的な原因は、屈折異常(屈折の異常)すなわち眼球内での光の屈折の異常である。屈折異常の原因には、眼球または角膜の形状異常、レンズの柔軟さの低下などがある。(眼球の長さに対して)屈折力が強過ぎるまたは弱過ぎると、近視または遠視の原因となる(健常な屈折状態は正常視と呼ばれる)。その他の光学的要因には、乱視や、より複雑な角膜異常がある。通常これらの異常は、光学的手段(眼鏡、コンタクトレンズ、レーザー手術など)により矯正が可能である。
【0007】
眼鏡(本明細書では「眼鏡」という用語は、眼鏡、コンタクトレンズ、メガネ、単にグラスなどといった用語と互いに交換可能に使われる)は、主に眼の屈折異常を外部から矯正することにより、人の視力を改善するために使われる。眼鏡を得るためには、先ず眼鏡処方箋(本明細書では「眼鏡処方箋」という用語は、眼鏡処方箋、メガネ処方箋、または単に処方箋などといった用語と互いに交換可能に使われる)を得る必要がある。
【0008】
多くの人の眼には屈折異常があり、近視や遠視の原因となっている。当業者には既知の通り、近視とは眼の光学特性の屈折異常であって、画像を角膜の前にフォーカスするもの(すなわち屈折異常)である。この屈折異常は、典型的には、角膜異常、眼球構造伸長、その他の要因、あるいはこうした要因の組み合わせに起因する。一方遠視は、眼の光学特性の屈折異常であって、画像を角膜の後にフォーカスするものである。この屈折異常は、前から後へかけての眼の屈折力の強さが十分でないことに起因する。近視および遠視は、1つの度数すなわち球面度数を持つ。これは、光学異常を矯正するのに必要な屈折力の強さを表す。
【0009】
乱視とは、屈折異常であって、眼に入射する光が1つの点ではなく2つの点にフォーカスするものをいう。これは、角膜または水晶体の(光学的)屈折力が不均一であることに起因する。最も一般的には、乱視の角膜は円環面を有する。乱視は、2つの度数すなわち、乱視の角度を表す軸度数(軸度)と、円柱レンズの屈折力の強さを表す円柱度数と、がある。近視、遠視および乱視は、患者が視力改善を必要とする屈折異常の主要なものである。
【0010】
自覚的屈折検査は、眼科医および検眼医が使う診断ツールである。これにより、患者の屈折異常が眼鏡またはコンタクトレンズにより改善されるかが検査される。この技術の一部に、患者がフォロプターを覗いている間に、眼科医または検眼医が患者のそれぞれの眼を評価するものがある。患者の眼の屈折異常の程度を検査するために、しばしば網膜反射診断技術が使われる。自覚的屈折検査を改善するために、患者からの主観的なフィードバックが使われる。これは、患者が画像品質を基に、フォロプターに挿入される屈折力の異なる様々なレンズを選択することを含む。これらの屈折異常は、レンズ(すなわち眼鏡や、眼に直接適用されるコンタクトレンズ)を用いて矯正が可能である。またこれらの屈折異常は、様々なタイプの外科的療法、例えばLaser Assisted In Situ Keratomileusis(レーシック)によって矯正することもできる。自覚的屈折検査が終わると、眼科医または検眼医は、眼鏡、コンタクトレンズおよび/または外科的療法のための処方箋を作ることができる。
【0011】
患者の屈折異常を判断するための他の手段として、波面センサや屈折計などの先行技術が知られている。これらの診断デバイスは、患者の屈折異常を判断するためにコンピュータを用いる。例えば既知の波面タイプの屈折計は、網膜上に投射された蛍光スポットで生成された後眼のレンズを通った光ビームの波面を測定するために、「ハルトマン-シャックセンサ」を使う。このような波面タイプの屈折計では、レーザーまたはレーザー蛍光ダイオードからのプローブビームが、眼のレンズを通して網膜上に投射される。網膜で散乱された光は、眼のレンズを通り、眼の瞳孔を通って出現する。出現したビームの波面は、眼のレンズに関する屈折率の情報を運ぶ。例えば眼が正常状態(すなわち、眼のレンズに屈折異常がない状態)にあるときは、出現したビームの波面は平坦である。リレーレンズが、眼の瞳孔に出現した波面をハルトマン-シャックセンサにリレーする。ハルトマン-シャックセンサは、波面の歪みを測定し、その情報をコンピュータに送信する。コンピュータは、目のレンズの異常に起因する眼の屈折異常を計算する。この計算結果から、患者の視力矯正に特化した屈折矯正のための処方箋が作られる。
【0012】
患者の屈折異常を判断するための上記の各技術では、患者は、必要な機器が設置され、医師や機器を操作するスタッフがおり、検査が受けられる場所に移動する必要がある。患者が医師を訪問して医療サービスを受けると、費用と時間が掛かる。これらは、医療保険でカバーされることもされないこともある。これは患者にとって高価で不便となり得る。さらにこれは、患者が、代替的なおよび/またはより使いやすい方法で処方をもらおうとするときの技術的な障壁となる。
【0013】
さらに、上記の機器(フォロプター、波面屈折計等)のコストは、医療に携わらない個人が所有するには高価過ぎる。従って患者は、自分の眼鏡またはコンタクトレンズの処方を決定するのに、医療機器のない場所を選択することができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
従って、自分の視力に合った眼鏡を購入するための光学矯正を決定できるユーザ操作可能なシステムであって、高度な専門化された眼検査機器や専門家の操作に限定されていた従来の技術的問題を解決できるシステムが必要となる。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の目的は、先行技術の少なくとも1つの欠点を解決または改善する技術、あるいは有用な代替技術を提供することにある。
【0016】
ある実施の形態は、本開示に係る方法を実行するコンピュータ・プログラム・プロダクトを提供する。
【0017】
ある実施の形態は、プロセッサで実行されたとき本開示に係る方法を当該プロセッサに実行させる、コンピュータ実行可能なプログラムコードを保存する非一時的な記憶媒体を提供する。
【0018】
ある実施の形態は、本開示に係る方法を実行するように構成されたシステムを提供する。
【0019】
本発明の第1の態様では、ユーザがモバイルコンピュータデバイスを用いて眼鏡処方箋を自己決定するためのシステムであって、同時スプリットポイントフォーカス(Simultaneous Split Point Focus:SSPF)と、低遅延動的距離モニタリング(Low Latency Dynamic Distance Monitoring:LLDDM)と、を備えたシステムが与えられる。このデバイスは、データを保存するための揮発性および不揮発性のメモリを備えてもよい。このデバイスは、不揮発性メモリに保存されたプログラム命令を実行するように構成されたプロセッサをさらに備えてもよい。このデバイスは、ユーザに指示および画像を表示するために、プロセッサから画像情報を受信できる画像表示スクリーンをさらに備えてもよい。このデバイスは、検査中にユーザの瞳孔の画像を受信するように構成されたカメラをさらに備えてもよい。このシステムは、眼鏡処方箋を決定する方法を実行するプロセッサを制御するためのアプリケーションプログラム命令を備えてもよい。この方法は、ユーザの眼が近視であるかを判断するステップを含んでもよい。この方法は、ユーザの眼が近視だった場合、ユーザが表示スクリーン上の画像情報を観察している間、ユーザの眼の主径線および軸径線を決定するステップをさらに含んでもよい。この方法は、ユーザが表示スクリーン上のSSPF画像情報を観察している間、ユーザの眼の主径線および軸径線における屈折異常をリアルタイムに決定するためのLLDDMのシステムを有効にするステップをさらに含んでもよい。この方法は、LLDDMシステムを用いて取得した主径線値および軸径線値から球面処方および軸処方を計算するステップをさらに含んでもよい。この方法は、計算した処方値をユーザに表示するステップを含んでもよい。
【0020】
第1の態様の特定の実施の形態では、モバイルコンピュータデバイスを用いてユーザの眼鏡処方箋の自己決定を可能とするシステムが与えられる。このシステムは、同時スプリットポイントフォーカス(SSPF)と、低遅延動的距離モニタリング(LLDDM)と、を備える。
前記モバイルコンピュータデバイスは、
データを保存するための揮発性メモリおよび不揮発性メモリと、
前記不揮発性メモリに保存されたプログラム命令を実行するように構成されたプロセッサと、
指示および画像をユーザに表示するために、前記プロセッサから情報を受信する表示スクリーンと、
検査中に、前記ユーザの瞳孔の画像を受信するように構成されたカメラと、を備え、
前記システムは、眼鏡処方箋を決定する方法を前記プロセッサに実行させるためのアプリケーションプログラム命令を備える。
前記方法は、
前記ユーザが近視であるかを決定するステップと、
前記ユーザが近視であった場合、前記ユーザが前記表示スクリーンの上に表示された画像情報を観察している間に、前記ユーザの眼の主径線および軸径線を決定するステップと、
前記ユーザが前記表示スクリーンの上に表示されたSSPF画像情報を観察している間に、前記ユーザの眼の主径線および軸径線における屈折パワー誤差をリアルタイムに決定するためのLLDDMシステムを起動するステップと、
前記LLDDMシステムを用いて得られた主径線および軸径線の値から、球面処方、円柱処方および軸処方を計算するステップと、
計算された処方値をユーザに表示するステップと、を含む。
【0021】
ユーザが近視であるかを決定するステップは、前記プロセッサでプログラム命令を実行することによって実行される第2の方法を含んでもよい。
前記第2の方法は、
2色背景を有する第1部分を備えた画像を、前記表示スクリーンの上に表示するステップと、
前記ユーザに指示を与えるステップと、
前記ユーザにとってより鮮明に見える画像の部分に関する入力をユーザから受信するステップと、を含む。
【0022】
軸径線を決定するステップは、前記プロセッサでプログラム命令を実行することによって実行される第3の方法を含んでもよい。
前記第3の方法は、
放射状線の画像を前記表示スクリーンの上に表示するステップと、
前記ユーザに指示を与えるステップと、
前記ユーザにとってより鮮明に見える線の部分に関する入力をユーザから受信するステップと、を含む。
【0023】
主径線を決定するステップは、前記プロセッサでプログラム命令を実行することによって実行される第4の方法を含んでもよい。
前記第4の方法は、
2色背景を含むハッシュライン画像を前記表示スクリーンの上に表示するステップと、
前記ユーザにとって線の鮮明さが同じになったときの、前記ユーザの検査対象の眼に対する前記表示スクリーンの位置に関する入力をユーザから受信するステップと、
前記表示スクリーンから前記ユーザの検査対象の眼までの距離を決定するステップと、を含む。
【0024】
表示スクリーンの上に表示される線の幅は、2ピクセル以上8ピクセル以下であってもよく、概ね2ピクセル、3ピクセル、4ピクセル、5ピクセル、6ピクセル、7ピクセルまたは8ピクセルであってもよい。表示スクリーンの上に表示される放射状線の幅は、4ピクセル以上8ピクセル以下であってもよく、約4ピクセル、5ピクセル、6ピクセル、7ピクセルまたは8ピクセルであってもよい。表示スクリーンの上に表示される線の長さは、40mm以上60mm以下であってもよく、20mm以上80mm以下、30mm以上70mm以下、20mm以上60mm以下、30mm以上60mm以下、50mm以上60mm以下であってもよく、約20mm、30mm、40mm、45mm、50mm、55mm、60mm、65mm、70mm、80mmであってもよい。
【0025】
このシステムは2色画像を備えてもよい。
前記2色画像は、
境界によって分割された少なくとも2つの背景部分を備えた2色背景画像と、
前記2つの背景部分の境界にまたがって前記2色背景画像に重ね合わされる画像と、を備え、
前記2色背景画像に重ね合わされた画像の各部分は、前記ユーザの検査対象の眼の眼球中心窩に同時に画像化される。
【0026】
前記表示スクリーンから前記ユーザの検査対象の眼までの距離は、前記ユーザの検査対象の眼のライブビデオストリームを用いて決定されてもよい。
【0027】
本発明の第2の態様では、モバイルコンピュータデバイスを用いてユーザの眼鏡処方箋を自己決定する方法が与えられる。この方法は、モバイルコンピュータデバイスを与えるステップを含んでもよい。前記モバイルコンピュータデバイスは、不揮発性メモリに保存されたプログラム命令を実行するように構成されたプロセッサを備えてもよい。前記モバイルコンピュータデバイスは、指示および画像をユーザに表示するために、前記プロセッサから情報を受信する表示スクリーンをさらに備えてもよい。前記モバイルコンピュータデバイスは、検査中に、前記ユーザの瞳孔の画像を受信するように構成されたカメラをさらに備えてもよい。前記方法は、眼鏡処方箋を決定する方法を前記プロセッサに実行させるためのアプリケーションプログラム命令を与えるステップを含んでもよい。前記アプリケーションプログラム命令は、前記ユーザが近視であるかを決定するステップを実行させるプログラムコードを含んでもよい。前記アプリケーションプログラム命令は、前記ユーザが近視であった場合、前記ユーザが前記表示スクリーンの上に表示された画像情報を観察している間に、前記ユーザの眼の主径線および軸径線を決定するステップを実行させるプログラムコードと、前記主径線および前記軸径線の値から、球面処方、円柱処方および軸処方を計算するステップを実行させるプログラムコードと、を含んでもよい。
【0028】
第2の態様の特定の実施の形態では、モバイルコンピュータデバイスを用いてユーザの眼鏡処方箋を自己決定する方法が与えられる。この方法は、モバイルコンピュータデバイスを与えるステップを含み、
前記モバイルコンピュータデバイスは、
不揮発性メモリに保存されたプログラム命令を実行するように構成されたプロセッサと、
指示および画像をユーザに表示するために、前記プロセッサから情報を受信する表示スクリーンと、
検査中に、前記ユーザの瞳孔の画像を受信するように構成されたカメラと、を備え、
前記方法は、眼鏡処方箋を決定する方法を前記プロセッサに実行させるためのアプリケーションプログラム命令を与えるステップを含み、
前記アプリケーションプログラム命令は、
前記ユーザが近視であるかを決定するステップを実行させるプログラムコードと、
前記ユーザが近視であった場合、前記ユーザが前記表示スクリーンの上に表示された画像情報を観察している間に、前記ユーザの眼の主径線および軸径線を決定するステップを実行させるプログラムコードと、
前記主径線および前記軸径線の値から、球面処方、円柱処方および軸処方を計算するステップを実行させるプログラムコードと、を含む。
【0029】
ユーザが近視であるかを決定するステップは、
2色背景を有する第1部分を備えた画像を、前記表示スクリーンの上に表示するステップを実行させるプログラムコードと、
前記ユーザに指示を与えるステップを実行させるプログラムコードと、
前記ユーザにとってより鮮明に見える画像の部分に関する入力をユーザから受信するステップを実行させるプログラムコードと、を含んでもよい。
【0030】
軸径線を決定するステップは、
放射状線の画像を前記表示スクリーンの上に表示するステップを実行させるプログラムコードと、
前記ユーザに指示を与えるステップを実行させるプログラムコードと、
前記ユーザにとってより鮮明に見える線の部分に関する入力をユーザから受信するステップを実行させるプログラムコードと、を含んでもよい。
【0031】
主径線を決定するステップは、
2色背景を含むハッシュライン画像を前記表示スクリーンの上に表示するステップを実行させるプログラムコードと、
前記ユーザにとって線の鮮明さが同じになったときの、前記ユーザの検査対象の眼に対する前記表示スクリーンの位置に関する入力をユーザから受信するステップを実行させるプログラムコードと、
前記表示スクリーンから前記ユーザの検査対象の眼までの距離を決定するステップを実行させるプログラムコードと、を含んでもよい。
【0032】
この方法は、前記表示スクリーンの上に2色画像を表示するステップを備えてもよい。
前記2色画像は、
境界によって分割された少なくとも2つの背景部分を備えた2色背景画像と、
前記2つの背景部分の境界にまたがって前記2色背景画像に重ね合わされる画像と、を備え、
前記2色背景画像に重ね合わされた画像の各部分は、前記ユーザの検査対象の眼の眼球中心窩に同時に画像化される。
【0033】
前記表示スクリーンから前記ユーザの検査対象の眼までの距離は、前記ユーザの検査対象の眼のライブビデオストリームを用いて決定されてもよい。
【0034】
前記2色背景は、第1部分と、第2部分と、境界と、を有する背景画像を備えてもよい。前記第1部分と前記第2部分とは互いに隣接する。
【0035】
記第1部分は赤の背景部分を備えてもよく、前記第2部分は緑または青の背景部分を備えてもよい。
【0036】
前記ハッシュライン画像は、前記赤の背景部分および前記緑の背景部分の両方の上に重ね合わされてもよく、前記境界に対する角度が概ね40度以上90度以下となるように調整されてもよい。前記ハッシュライン画像は、前記境界に対する角度が概ね40度以上140度以下、概ね45度以上135度以下、概ね50度以上130度以下、概ね55度以上125度以下、概ね60度以上120度以下、概ね65度以上115度以下、概ね70度以上110度以下、概ね75度以上105度以下、概ね80度以上100度以下、概ね85度以上95度以下または概ね40度以上140度以下となるように調整されてもよく、概ね40度、45度、50度、55度、60度、65度、70度、75度、80度、85度、86度、87度、88度、89度、89.5度、90度、90.5度、91度、92度、93度、94度、95度、100度、105度、110度、115度、120度、125度、130度、135度または140度となるように調整されてもよい。
【0037】
前記ハッシュライン画像は、前記境界に対してほぼ垂直となるように調整されてもよい。
【0038】
本発明の第3の態様では、モバイルコンピュータデバイスを用いてユーザの眼鏡処方箋の自己決定を可能とするシステムが与えられる。
【0039】
このデバイスは、データを保存するための揮発性メモリおよび不揮発性メモリを備えてもよい。このデバイスは、前記不揮発性メモリに保存されたプログラム命令を実行するように構成されたプロセッサをさらに備えてもよい。このデバイスは、指示および画像をユーザに表示するために、前記プロセッサから情報を受信する表示スクリーンをさらに備えてもよい。このデバイスは、検査中に、前記ユーザの瞳孔の画像を受信するように構成されたカメラをさらに備えてもよい。
【0040】
このシステムは、眼鏡処方箋を決定する方法を前記プロセッサに実行させるためのアプリケーションプログラム命令を備えてもよい。この方法は、前記ユーザが近視であるかを決定するステップと、前記ユーザが近視であった場合、前記ユーザが前記表示スクリーンの上に表示された画像情報を観察している間に、前記ユーザの眼の主径線および軸径線を決定するステップと、を含んでもよい。この方法は、前記主径線および前記軸径線の値から、球面処方、円柱処方および軸処方を計算するステップを含んでもよい。この方法は、計算された処方値をユーザに表示するステップを含んでもよい。
【0041】
第3の態様の特定の実施の形態では、モバイルコンピュータデバイスを用いてユーザの眼鏡処方箋の自己決定を可能とするシステムが与えられる。このデバイスは、
データを保存するための揮発性メモリおよび不揮発性メモリと、
前記不揮発性メモリに保存されたプログラム命令を実行するように構成されたプロセッサと、
指示および画像をユーザに表示するために、前記プロセッサから情報を受信する表示スクリーンと、
検査中に、前記ユーザの瞳孔の画像を受信するように構成されたカメラと、を備え、
前記システムは、眼鏡処方箋を決定する方法を前記プロセッサに実行させるためのアプリケーションプログラム命令を備え、
前記方法は、
前記ユーザが近視であるかを決定するステップと、
前記ユーザが近視であった場合、前記ユーザが前記表示スクリーンの上に表示された画像情報を観察している間に、前記ユーザの眼の主径線および軸径線を決定するステップと、
前記主径線および前記軸径線の値から、球面処方、円柱処方および軸処方を計算するステップと、
計算された処方値をユーザに表示するステップと、を含む。
【0042】
ユーザが近視であるかを決定するステップは、前記プロセッサでプログラム命令を実行することによって実行される方法を含んでもよい。
この方法は、
2色背景を有する第1部分を備えた画像を、前記表示スクリーンの上に表示するステップと、
前記ユーザに指示を与えるステップと、
前記ユーザにとってより鮮明に見える画像の部分に関する入力をユーザから受信するステップと、を含んでもよい。
【0043】
軸径線を決定するステップは、前記プロセッサでプログラム命令を実行することによって実行される方法を含んでもよい。
この方法は、
放射状線の画像を前記表示スクリーンの上に表示するステップと、
前記ユーザに指示を与えるステップと、
前記ユーザにとってより鮮明に見える線の部分に関する入力をユーザから受信するステップと、を含んでもよい。
【0044】
主径線を決定するステップは、前記プロセッサでプログラム命令を実行することによって実行される方法を含んでもよい。
この方法は、
2色背景を含むハッシュライン画像を前記表示スクリーンの上に表示するステップと、
前記ユーザにとって線の鮮明さが同じになったときの、前記ユーザの検査対象の眼に対する前記表示スクリーンの位置に関する入力をユーザから受信するステップと、
前記表示スクリーンから前記ユーザの検査対象の眼までの距離を決定するステップと、を含んでもよい。
【0045】
表示スクリーンの上に表示されるハッシュライン画像の幅は、2ピクセル以上8ピクセル以下であってもよく、概ね2ピクセル、3ピクセル、4ピクセル、5ピクセル、6ピクセル、7ピクセルまたは8ピクセルであってもよい。表示スクリーンの上に表示される放射状線の幅は、4ピクセル以上8ピクセル以下であってもよく、約4ピクセル、5ピクセル、6ピクセル、7ピクセルまたは8ピクセルであってもよい。表示スクリーンの上に表示される線の長さは、40mm以上60mm以下であってもよく、20mm以上80mm以下、30mm以上70mm以下、20mm以上60mm以下、30mm以上60mm以下、50mm以上60mm以下であってもよく、約20mm、30mm、40mm、45mm、50mm、55mm、60mm、65mm、70mm、80mmであってもよい。
【0046】
本発明の第4の態様では、モバイルコンピュータデバイスを用いてユーザの眼鏡処方箋の自己決定する方法が与えられる。この方法は、モバイルコンピュータデバイスを与えるステップを含んでもよい。前記モバイルコンピュータデバイスは、
不揮発性メモリに保存されたプログラム命令を実行するように構成されたプロセッサと、
指示および画像をユーザに表示するために、前記プロセッサから情報を受信する表示スクリーンと、
検査中に、前記ユーザの瞳孔の画像を受信するように構成されたカメラと、をさらに備えてもよい。
【0047】
この方法は、眼鏡処方箋を決定する方法を前記プロセッサに実行させるためのアプリケーションプログラム命令を与えるステップを含んでもよい。
【0048】
アプリケーションプログラム命令は、前記ユーザが近視であるかを決定するステップを実行させるプログラムコードを含んでもよい。アプリケーションプログラム命令は、前記ユーザが近視であった場合、前記ユーザが前記表示スクリーンの上に表示された画像情報を観察している間に、前記ユーザの眼の主径線および軸径線を決定するステップを実行させるプログラムコードを含んでもよい。アプリケーションプログラム命令は、前記主径線および前記軸径線の値から、球面処方、円柱処方および軸処方を計算するステップを実行させるプログラムコードを含んでもよい。
【0049】
第4の態様の特定の実施の形態では、モバイルコンピュータデバイスを用いてユーザの眼鏡処方箋を自己決定する方法が与えられる。この方法は、モバイルコンピュータデバイスを与えるステップを含む。このデバイスは、
不揮発性メモリに保存されたプログラム命令を実行するように構成されたプロセッサと、
指示および画像をユーザに表示するために、前記プロセッサから情報を受信する表示スクリーンと、
検査中に、前記ユーザの瞳孔の画像を受信するように構成されたカメラと、を備える。
前記方法は、眼鏡処方箋を決定する方法を前記プロセッサに実行させるためのアプリケーションプログラム命令を与えるステップを含む。このアプリケーションプログラム命令は、
前記ユーザが近視であるかを決定するステップを実行させるプログラムコードと、
前記ユーザが近視であった場合、前記ユーザが前記表示スクリーンの上に表示された画像情報を観察している間に、前記ユーザの眼の主径線および軸径線を決定するステップを実行させるプログラムコードと、
前記主径線および前記軸径線の値から、球面処方、円柱処方および軸処方を計算するステップを実行させるプログラムコードと、を含む。
【0050】
ユーザが近視であるかを決定するステップは、
2色背景を有する第1部分を備えた画像を、前記表示スクリーンの上に表示するステップを実行させるプログラムコードと、
前記ユーザに指示を与えるステップを実行させるプログラムコードと、
前記ユーザにとってより鮮明に見える画像の部分に関する入力をユーザから受信するステップを実行させるプログラムコードと、を含む。
【0051】
軸径線を決定するステップは、
放射状線の画像を前記表示スクリーンの上に表示するステップを実行させるプログラムコードと、
前記ユーザに指示を与えるステップを実行させるプログラムコードと、
前記ユーザにとってより鮮明に見える線の部分に関する入力をユーザから受信するステップを実行させるプログラムコードと、を含む。
【0052】
主径線を決定するステップは、
2色背景を含むハッシュライン画像を前記表示スクリーンの上に表示するステップを実行させるプログラムコードと、
前記ユーザにとって線の鮮明さが同じになったときの、前記ユーザの検査対象の眼に対する前記表示スクリーンの位置に関する入力をユーザから受信するステップを実行させるプログラムコードと、
前記表示スクリーンから前記ユーザの検査対象の眼までの距離を決定するステップを実行させるプログラムコードと、を含む。
【0053】
本発明は、一般に、患者の屈折異常を決定するシステムおよび方法に関し、より具体的には、モバイルコンピュータデバイスを用いて患者の屈折異常を決定し、当該患者に適切な矯正レンズ処方箋を提供するシステムおよび方法に関する。このシステムおよび方法は、医師の訪問またはその費用を必要としない。従って、便利さおよびコスト効果の点で最適化がされる。
【0054】
一般的な実施の形態では、本開示は、患者の矯正レンズ処方箋を決定する方法を与える。この方法は、患者のそれぞれの眼に関し独立して、コンピュータスクリーンを介して、乱視の処方箋を決定することを含む。
【0055】
さらなる実施の形態では、第1図と第2図とは同じ図である。代替的な実施の形態では、第1図と第2図とは異なる図である。
【0056】
代替的な実施の形態では、本発明は、患者の矯正レンズ処方箋を決定する方法を与える。この方法は、患者のそれぞれの眼に関し独立して、モバイルデバイスの表示スクリーン上への画像の表示を用いて、患者の乱視処方箋および矯正レンズのパワーを決定すること、表示された画像に関するユーザの入力を受信すること、およびモバイルデバイス表示スクリーンと患者の眼との間の距離を決定することを含む。
【0057】
さらなる実施の形態では、本方法は、患者のそれぞれの眼に関し独立して、モバイルデバイスの表示スクリーン上で患者に画像を表示することにより当該患者が近視か遠視かを決定することを含む。患者に表示される画像は、少なくとも2色背景の上に表示され、患者にとって最も鮮明に見える画像に関する情報を患者がモバイルデバイスに入力できることを可能とする。
【0058】
別の実施の形態では、本開示は、不揮発性コンピュータ読み取り可能媒体を与える。この不揮発性コンピュータ読み取り可能媒体は、複数の命令を含む。これらの命令は、少なくとも1つのプロセッサで実行されると、モバイルデバイスの少なくとも1つの表示デバイス、モバイルデバイスの少なくとも1つのメモリデバイス、少なくとも1つのユーザ入力デバイスおよび少なくとも1つのカメラデバイスとともに、前記少なくとも1つのプロセッサが、患者の矯正レンズ処方箋を決定できるようにする。
【0059】
上記の任意の態様の2色背景は、第1部分、第2部分および境界を有する背景画像を含んでもよい。この場合、第1部分および第2部分は、互いに隣接する。
【0060】
1部分は赤の背景部分を備え、第2部分は緑または青の背景部分を備えてもよい。
【0061】
ハッシュライン画像は、 前記赤の背景部分および前記緑の背景部分の両方の上に重ね合わされ、前記境界に対する角度が概ね40度以上90度以下となるように調整されてもよい。
【0062】
ハッシュライン画像は、前記境界に対してほぼ垂直となるように調整されてもよい。
【0063】
本開示の利点は、患者が眼鏡および/またはコンタクトレンズ処方箋を決定するおよび入手するときに、より便利である点にある。
【0064】
本開示の利点は、患者が眼鏡および/またはコンタクトレンズ処方箋を決定するおよび入手するとき、コストおよび費用を低減できる点にある。
【0065】
本開示の別の利点は、熟練した眼科医療専門家にしか扱えない高価な設備を必要とすることなく、眼鏡および/またはコンタクトレンズ処方箋を決定できる点にある。
【0066】
本開示の特定の実施の形態の別の利点は、レンズを患者の眼の前に置くことなく、眼鏡および/またはコンタクトレンズ処方箋を決定できる点にある。
【0067】
本開示のさらなる利点は、眼鏡および/またはコンタクトレンズ処方箋を迅速に決定できる点にある。
【0068】
本システムおよび方法のさらなる利点は以下を含むが、これらに限定されない。
・照明環境を評価し、表示デバイスの明るさを調整するための自動調整プロセス。
・瞳孔間距離を計算するための自動調整。瞳孔間距離は、ユーザの屈折状態を計算するプロセスで使われてもよい。瞳孔間距離は、処方されたレンズを注文できるように、ユーザが入手可能できてもよい。
・履歴および症例データの収集。これは、最良の処方予測アルゴリズムのために使われてもよい。
・ユーザの眼の屈折状態、特に、それぞれの眼に関する光学システムの球面、円柱および円柱軸の矯正の必要性の決定。
・ユーザの眼の屈折状態の取得の主観的方法。
・屈折率結果の経時的長手記録方式。これにより、結果を時間的に比較することができる。
・より正確な結果を与えるための、分析/アルゴリズムに基づく人工知能および機械学習。
・ユーザの眼の屈折状態の取得の客観的方法。
・遠近調整力の評価方法。ユーザの眼に関する、眼鏡またはコンタクトレンズ処方の近接追加成分の取得。
・最良の処方予測を与えるアルゴリズム。
・第1プルキンエ画像データを得るための効果的な方法。例えばユーザの角膜からの反射(これは、その後デバイスのカメラシステムによってキャプチャされる)を作るための明るい「フラッシュ」の生成、およびモバイルコンピュータデバイスの表示スクリーンの使用。
・両眼視覚機能を評価する方法。例えば各瞳孔の相対位置をモニタし、分離異常が検出されるか否かを決定するためのソフトウェアアプリケーションに実装された、瞳孔トラッキング機能の使用。これにより、ユーザの眼の両眼機能障害が示される。
・例えばソフトウェアアプリケーション内にアムスラーグリッド検査を実施するためのプログラムコードを含めた、網膜黄斑機能の評価方法。
・例えば前眼部の画像をキャプチャするためにモバイルコンピュータデバイスのカメラシステムを使い、様々な病理(例えば感染症、白内障の進行、まぶたの癌など)を検出するためにこれらの画像を分析するアルゴリズムを使う、前眼部病理評価方法。
・例えば簡単な自動化視野測定ルーチンを使う、視野評価方法。
・例えば様々な神経障害を診断するために、ソフトウェアアプリケーション内に眼球運動を評価するプログラムコードを含めた、視覚システムの神経系異常の評価方法。さらに、神経系異常に関し、ユーザの瞳孔反射および瞳孔反応の検査結果を分析することが可能。
・眼科薬品の自動化トラッキングおよびレポーティングのための特定の統合モジュール。
【0069】
追加的な特徴および利点は、以下の詳細な説明および図面で明確となる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
本発明に範囲に含まれる他の任意の形態および本発明の好ましい実施の形態を、添付の図面を参照しながら、例示のみで説明する。
【
図1】モバイルコンピュータデバイスを用いたDIY処方アプリケーションの使用例を示す模式図である。
【
図2】本開示の実施の形態に係るシステムの操作方法における最初のステージでの手順を示すフローチャートである。
【
図3】本開示の実施の形態に係るシステムの操作方法におけるさらなるステージでの手順を示すフローチャートである。
【
図4】本開示の実施の形態に係るシステムの操作方法におけるあるステージで、患者の眼鏡処方箋を計算するために主径線を決定するときの手順を詳細に示すフローチャートである。
【
図5】本開示の実施の形態に係るシステムのスクリーンショットである。ここではシステムは、実施の形態に係るシステムの操作方法における最初のステージに関する画像を表示している。
【
図6A】本開示の実施の形態に係るシステムのスクリーンショットである。ここではシステムは、実施の形態に係るシステムの操作方法におけるさらなるステージに関する画像を表示している。ここでは、患者は入力を与える。この入力は、当該患者の軸度数に関し、最も鮮明に見える径線に相当する。
【
図6B】
図6Aに示される画像から得られる眼鏡処方箋における軸パラメータの計算で使われる数値規約を示す。
【
図7A】本開示の実施の形態に係るシステムのスクリーンショットである。ここではシステムは、患者の眼鏡処方箋の計算のための主径線を決定するための、同時スプリットポイントフォーカス(SSPF)画像を表示している。
【
図7B】本開示の実施の形態に係るシステムのスクリーンショットである。ここではシステムは、患者の眼鏡処方箋の計算のための主径線を決定するための、同時スプリットポイントフォーカス(SSPF)画像を表示している。
【
図7C】本開示の実施の形態に係るシステムのスクリーンショットである。ここではシステムは、患者の眼鏡処方箋の計算のための主径線を決定するための、同時スプリットポイントフォーカス(SSPF)画像を表示している。
【
図8】単一のカメラを用いて距離測定値を得るためのシステムの模式図である。このシステムは、モバイルデバイスのディスプレイスクリーンからユーザの眼までの距離dを測定するために、単一の三角形を使う。
【
図9】本発明の様々な実施の形態が実行されるモバイルコンピュータデバイスを示す図である。
【
図10】眼検査システムと本開示に係る方法とで計算された眼鏡処方箋の正確さを比較する実験結果を示すグラフである。
【
図11】従来技術の隣接2色眼検査の配置を示す図である。
【
図12A】本開示に係るSSPF画像のさらなる配置を示す図である。
【
図12B】モバイルデバイスのスクリーン上に表示された
図12AのSSPF画像の配置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0071】
[定義]
以下の定義は一般的な定義として与えられる。本発明の範囲は、これらの用語のみに限定されない。以下の定義は、本明細書の理解を助けるための説明である。
【0072】
特段別に定義されない限り、本明細書で使われる技術的および科学的用語は、当業者が一般的に理解するものと同じ意味を持つ。さらにここで使われる用語は、本明細書および関連技術の文脈と一致した意味を持つ。これらの用語は、別に定義されない限り、理想化されたり、過度に公的な意味を持ったりしない。本発明のための追加的な用語が、以下で定義される。さらに本明細書におけるすべての定義は、辞書的定義、参考文献に含まれる定義、および/または通常の意味に優先すると理解されたい。ただし特定の用語に疑義が生じた場合は、辞書的定義および/または通常使われる意味が優先する。
【0073】
本発明のために、以下のように用語が定義される。
【0074】
不定冠詞「a」および「an」は、複数の事項に対しても使う(すなわち、少なくとも1つを意味する)。例えば「an element」は、1つまたは複数のelementを意味する。
【0075】
本明細書では、「約」という用語は、参照する量に対して、例えば30%(好ましくは20%、さらに好ましくは10%)の幅を持つ量を意味する。「約」を数値に対して使った場合は、単にその数値が正確ではないことを意味する。
【0076】
本明細書全体を通して、文脈上他の意味を要求されない限り、「備える」「備えている」という用語は、ある要素またはステップが特定の要素またはステップの集合に属することを意味する。しかし、別の要素またはステップが当該集合に属することを排除しない。
【0077】
本明細書で使われる「含む」「含んでいる」という用語も非限定的に使われる。すなわち、ある要素/特徴がある概念に含まれることを意味するが、別の要素/集合がその概念に含まれることを排除しない。従って「含む」と「備える」は同義語である。
【0078】
請求項および明細書において、すべての移行句(例えば「備える」「運ぶ」「持つ」「含む」「内包する」「有する」「~によって構成される」等)は、オープンエンドである(すなわち「含むが、限定されない」)と理解されたい。ただし「~からなる」および「実質的に~からなる」という用語だけは、それぞれクローズドエンドおよびセミクローズドエンドである。
【0079】
本明細書で使われる「典型的な」という用語は、例を与えるために使われ、品質を表さない。すなわち「典型的な実施の形態」は、一例としての実施の形態であり、理想的なモデルや最良の実施例といった品質に関わる実施の形態を表すものではない。
【0080】
本明細書に示されるものと類似した任意の方法または物が、本発明の実用または試験に使われてもよい。しかし、好ましい方法または物が説明されることもある。本明細書で説明する方法、装置およびシステムは、様々な仕方および目的で実施されてもよい。こうした説明は例示のみを用いる。
【0081】
本明細書で概説される方法およびプロセスは、様々なオペレーティングシステムまたはプラットフォームの1つを使う1つ以上のプロセッサで実行可能なソフトウェアとしてコード化されてもよい。さらにこうしたソフトウェアは、適切なプログラム言語および/またはプログラミングツールもしくはスクリプティングツールを使って記述されてもよい。こうしたソフトウェアは、フレームワークまたは仮想マシンで実行可能なマシン語コードまたは中間言語コードとしてコンパイルされてもよい。
【0082】
この点で、様々な発明的概念が、1つ以上のプログラム(これは1つ以上のコンピュータその他のプロセッサで実行されると、本開示に係る方法の様々な実施の形態を実行する)とともにコード化されたコンピュータ読み取り可能媒体ストレージシステム(例えばコンピュータメモリ、1つ以上のフロッピー(登録商標)ディスク、コンパクトディスク(登録商標)、光ディスク、磁気テープ、フラッシュメモリ、フィールド・プログラマブル・ゲートアレイ内の回路配置その他の非一時的な媒体またはタンジブル・コンピュータ・ストレージ媒体)として具現化されてもよい。コンピュータ読み取り可能媒体は記憶可能であり、例えば記憶したプログラムを1つ以上の異なるコンピュータその他のプロセッサにロードすることができ、本開示に係る様々な態様を実行できる。
【0083】
本明細書で使われる「プログラム」または「ソフトウェア」という用語は、一般的な意味で、本開示に係る様々な実施の態様を実現可能なコンピュータその他のプロセッサをプログラムするために利用可能な、任意のタイプのコンピュータコードまたはコンピュータ実行可能命令セットのことをいう。さらにある態様では、実行されたときに本発明の方法を実行する1つ以上のコンピュータプログラムは、必ずしも単一のコンピュータに実装されず、モジュラー形式で複数のコンピュータまたはプロセッサに分散されてもよい。
【0084】
コンピュータ実行可能な命令は、例えばプログラムモジュールなどの、1つ以上のコンピュータその他のデバイスで実行される多くの形式であってもよい。一般にプログラムモジュールは、ルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、データ構造等を含む。これらは、特定のタスクを実行する、または特定の抽象的なデータタイプを実装する。典型的にプログラムモジュールの機能は、様々な実施の形態で望まれる形に組み合わされるまたは分散される。
【0085】
またデータ構造は、コンピュータ読み取り可能媒体に、任意の好適な形式で保存されてもよい。説明を簡単にするために、データ構造は、当該データ構造内の位置に関連するフィールドを持つものとして示されてもよい。同様にこのような関係は、フィールドに関し、フィールド間の関係を有するコンピュータ読み取り可能媒体内の位置にストレージを適用することによって達成されてもよい。しかしながら、データ構造内のフィールドにおける情報間の関係を確立するために、任意の好適なメカニズムが使われてもよい。こうしたメカニズムには、タグその他の要素間の関係を確立するためのメカニズムがある。
【0086】
また本発明の概念は、1つ以上の方法として実現されてもよい。その一例についてはすでに述べた。この方法の一部として実行されるステップは、任意の好適な仕方で順序付けられてもよい。従って実施の形態では、いくつかのステップが、本明細書で説明されたものと違う順序で実行されてもよい。例えば明細書に記載された実施の形態がシーケンシャルなステップであったとしても、いくつかのステップは同時に実行されてもよい。
【0087】
本明細書および請求項で使われる「および/または」という語句は、結合された要素の「いずれか、またはその両方」を意味する。すなわち、この語句で結合された要素は、結合的に存在することもあるし、選言的に存在することもある。「および/または」で列挙される複数の要素(すなわち「1つ以上の」結合された要素)も同様である。「および/または」により特定された要素とは別の要素が、(特定された要素と関係して、または無関係に)選択的に存在してもよい。従って非限定的な例として、「Aおよび/またはB」が「~を備える」といったオープンエンドの語句とともに使われたときは、Aのみ(選択的にB以外の要素を含む)を意味する場合もあるし、Bのみ(選択的にA以外の要素を含む)を意味する場合もあるし、AとBの両方(選択的に他の要素を含む)を意味する場合もある。
【0088】
本明細書および請求項で使われる「または」という語句は、上記で定義された「および/または」と同じ意味を持つ。例えば列挙された事項を分けるとき、「または」または「および/または」は包括的であると理解される。すなわち、列挙された事項の少なくとも1つを含むこともあるし、2つ以上を含むこともある。さらに選択的には、列挙されていない他の追加的な事項を含むこともある。一方「~のうちの1つだけ」または「~のうちの正確に1つ」、あるいは請求項内の「~からなる」といった明示的な表現に限って、列挙された事項の中の1つの要素のみを含む。一般に本明細書で使われる「または」という用語は、「~のいずれか一方」「~のうちの1つ」「~のうちの1つだけ」または「~のうちの正確に1つ」といった排他的な用語に続くときに限って排他的な意味を持つ。請求項内で「実質的に~からなる」という表現が使われたときは、特許法における通常の意味に従う。
【0089】
列挙された1つ以上の要素を参照するとき、本明細書および請求項で使われる「少なくとも1つ」という語句は、列挙された事項の中の少なくとも1つの要素を意味し、特定の1つの要素やすべての要素を意味するとは限らず、列挙された要素のいかなる組み合わせも排除しない。「少なくとも1つ」により特定された要素と別の要素が、(特定された要素と関係して、または無関係に)選択的に存在してもよい。従って、非限定的な例として、「AおよびBの少なくとも1つ」(同様に「AまたはBの少なくとも1つ」あるいは「Aおよび/またはBの少なくとも1」)といったときは、少なくとも1つのAが存在しBが存在しないこと(選択的にB以外の要素を含む)を意味する場合もあるし、少なくとも1つのBが存在しAが存在しないこと(選択的にA以外の要素を含む)を意味する場合もあるし、少なくとも1つのAが存在し少なくとも1つのBが存在すること(選択的に他の要素を含む)を意味する場合もある。
【0090】
本明細書において、方法のステップがシーケンシャルに記述されたとき、他の論理的な解釈が存在しない場合を除いて、当該シーケンスは時系列的にその順序通りに実行されなくてもよい。
【0091】
さらに、本発明の特徴または態様をマーカッシュグループにより記述したときは、本発明を当該マーカッシュグループの個別の要素またはこうした要素のサブグループを用いて記述することも可能である。
【0092】
[詳細な説明]
ユーザインタフェースおよび対応するユーザインタラクションの方法が説明される。以下の説明では、本発明の実施の形態の完全な理解を助けるために特定の詳細が示される。しかし本発明を実施するために、こうした特定の詳細を与える必要はない。逆に、明確化のために適切であれば、当業者に既知の特定の詳細は省略されることもある。
【0093】
以下の説明で異なる実施の形態に同一または類似の符号が付された場合、これらの形態は同一または類似の特徴を持つ。
【0094】
人の眼の屈折状態を遠隔的かつ自動的に測定する方法は、ユーザの眼鏡処方箋を得るための時間およびコストを大幅に低減する潜在能力を持つ。こうした潜在能力は、ユーザが特別なトレーニングを受けることを必要としない(または、特別なトレーニングを受けた人の補助を必要としない)ときのみ具現化され、かつ自然に、簡単にかつ迅速に実現される。ユーザにとっての技術的・実用的障壁(例えば長く難しい手順、特定の場所の訪問、専用の装置または機器、複雑なユーザインタラクションなど)があると、DIY眼鏡処方箋システムの商業的可能性は低下する。
【0095】
理想的なDIY眼鏡処方箋システムは、困難な設定や時間を必要とせず、正確かつ信頼性のある結果が得られるものである。さらにこうしたシステムは、広く入手可能なコンシューマ向けハードウェア、例えばスマートフォンや個人向けタブレット端末などのモバイルデバイスに搭載されることが望ましい。こうしたシステムの場合、簡単な操作で迅速に必要な結果が得られる。得られた結果はシステム内に保存され、後で(例えばユーザが、さらなる眼科検査のために眼鏡処方箋を必要とするときなど)簡単に引き出すことができる。
【0096】
ユーザからのアクセスがしやすいように、こうしたシステムは通常のユーザ環境(例えば家庭内や屋外)で動作できることが望ましい。すなわちこうしたシステムは、照明環境、画像解像度、ユーザの位置や姿勢といった使用時の制約がなるべく少ない方がよい。
【0097】
さらにこうしたシステムは、眼鏡の注文や製造過程に必要な基本測定量、すなわち瞳孔間距離をシームレスに得ることができることが望ましい。特定の構成では、瞳孔間距離がソフトウェアアプリケーション内に事前に保存されるか、ユーザからの瞳孔間距離に関する入力を受信できるようにアプリケーションが構成されてもよい(この場合アプリケーションは、モバイルデバイスの表示スクリーン上に表示された指示を介して、ユーザを誘導してもよい)。例えばモバイルデバイスのカメラをユーザの眼から所定の距離d(
図8を参照)に設定し、相似の三角形を用いて瞳孔間距離が計算されてもよい(より詳細には
図8を参照)。特定の例では、定規を用いて距離dが設定されてもよく、代替的に既知のサイズの物(例えばA4サイズの紙)を用いて距離dが設定されてもよい。
【0098】
DIY処方決定システムは、主観的または客観的アプローチのいずれかを用いて実現されてもよい。しかし信頼性のあるシステムを実現するには、いずれのアプローチにも以下の課題が存在する。
【0099】
主観的検査は、提示された画像のいずれが好ましいかに関し、ユーザからのフィードバックを必要とする。しかしながら主観的検査は、様々な理由から多くの誤差を伴う結果をもたらす可能性がある。例えばユーザの視力調節能力の有無(すなわちユーザの眼が、近くの(あるいは遠くの)物に対し焦点調節できるか否か)、指示に正しく従わないユーザがいる、特定の形状を好むユーザがいる、などがこうした理由の例である。当業者であれば、他にも理由があることを理解するだろう。
【0100】
客観的検査では、視覚系によって取得された画像を脳がどのように認識・分析するかを考慮しない。このため、客観的検査がすべての患者に最良の処方箋を与えるとは限らない。客観的検査より主観的結果の方を好む患者もいる。
【0101】
従って熟練した診療医は、最終的な眼鏡処方箋を作成するときに、しばしば主観的結果と客観的結果の両方を考慮する。
【0102】
適切な視力矯正眼鏡のための効果的な自己検査眼鏡処方箋システムを実現するためには、ユーザが視覚的屈折状態の決定に使われるタスクのステップを容易に理解し、ユーザ入力を考慮した上で現在の視覚的屈折状態の正確な処方が得られるよう、ユーザがタスクを容易に実行できなければならない。
【0103】
本明細書で開示されるユーザの眼鏡処方箋を決定するシステムおよび方法は、表示スクリーンと、ユーザが表示スクリーンを見るときユーザの方を向く少なくとも1つのカメラ(典型的には、最近の一般的なモバイルコンピュータデバイスに搭載され、ビデオ通話(例えばアップル社のFaceTime(登録商標))などで使われる前向きカメラ)と、を備えたスマートフォンやタブレットなどのモバイルコンピュータデバイスで実行されるソフトウェアアプリケーションを使う。このソフトウェアアプリケーションは、ユーザの眼の屈折状態を決定または評価するために、当該ユーザに視覚的刺激を与える。このソフトウェアアプリケーションは、眼鏡やコンタクトレンズなどの光学用品を注文するときに使える有用な光学的処方を生成する。ユーザは本発明をスマートフォンアプリケーションとして使うことにより、資格のある眼科専門医を訪問したり、フォロプターなどの眼の屈折状を測定するための高度に専門化された機器を使ったりすることなく、自分の眼鏡処方箋が得られるという大きな利点が得られる。
【0104】
図1に示されるシステムの構成10では、屈折率の矯正が必要な眼3を持つユーザ1は、表示スクリーン7を備えたモバイルコンピュータデバイス5(スマートフォンやタブレットなど)のソフトウェアアプリケーションを実行する。モバイルコンピュータデバイス5は、ユーザに指示および画像を表示するための表示スクリーン7を備える。好ましい構成では、モバイルコンピュータデバイス5の表示スクリーンは、表示された指示および/または画像に応答したユーザ1からの入力を受けるのに適した、タッチセンシティブデバイスである。モバイルコンピュータデバイス5は、ユーザ1が表示スクリーン7を見るときに当該ユーザの眼3を視野に捉える少なくとも1つの前向きのカメラをさらに備える。ユーザ1の両眼3は、距離PDで離れている。典型的には距離PDは、ユーザの眼3の瞳孔間距離、すなわちユーザの左右の眼の瞳孔間の水平距離として規定される。
【0105】
図2から
図4は、本開示のシステムの特定の実施の形態に係るプロセスまたは方法の様々なステージのフローチャートである。いくつかの実施の形態では、1つ以上のプロセッサが、このプロセスを実現する命令セットを実行する。
図2から
図4に示されるフローチャートを参照してこのプロセスを説明する。しかしこのシステムは、これらの図示されたプロセスに関連する役割を果たす他の複数のプロセスを実行してもよい。例えばこのシステムは、図示されたブロックのいくつかの順序を変えてもよい。このシステムは、図示されたブロックのいくつかを選択的なものとしてもよい。このシステムは、図示されたブロックのいくつかを反復して実行してもよい。あるいはこのシステムは、必要に応じて、図示されたブロックのいくつかを実行しなくてもよい。
【0106】
図2は、モバイルデバイスを用いて眼鏡処方箋を自己決定する方法の最初のステージ100のフローチャートである。この方法は一般に、一方または両方の眼に屈折異常があり、視力矯正を必要とする患者の眼鏡および/またはコンタクトレンズの処方を決定するステップに関する。
【0107】
本実施の形態に係る方法またはプロセスを実行するソフトウェアアプリケーションは、最初にユーザに初期入力データの提供を要求する。この入力データは、ユーザの眼鏡処方箋を計算するときの助けとなる。例えばこのソフトウェアアプリケーションは、ユーザに近視があるか、遠視があるか、乱視があるか、老眼があるか、またはその組み合わせがあるかを判断するときの最初の助けを得るために、ユーザに一連の質問101をしてもよい。この情報は、以下で説明する方法を用いた検査プロセスを進めるために使われてもよい。
【0108】
検査を始めるにあたり(ステップ1)、ソフトウェアアプリケーションは、画像500をモバイルコンピュータデバイス5の表示スクリーン7の上に表示する(103)。画像500は、2色の背景の上に表示される2つの同じ画像505(例えばVerhoeff円)を含む。この2色の背景は、境界507を有する2つの隣接する背景領域501および503を備える。
図5に示されるように、一方の画像505aは背景501の上に表示され、他方の画像505bは背景503の上に表示される(緑の背景に代えて青の背景が使われてもよい)。ユーザは、どちらの画像がより鮮明に見えるかを質問される。添付の図面(例えば
図5等)では、明確化のため、2色背景の赤および緑の部分(例えば501および503)が描画され、対応する部分に「赤」および「緑」のキャプションが付される。しかしモバイルコンピュータデバイス5の表示スクリーン7上でユーザに示される画像500は、一般にこのようなキャプションを含まない。
【0109】
いくつかの実施の形態では、ソフトウェアアプリケーションは、表示スクリーン上にユーザへの質問(例えば「どちらの画像がより鮮明に見えるか?」)を示してもよく、ユーザの質問への回答によるソフトウェアアプリケーションへの入力105のための複数の選択肢を示してもよい(この選択肢は、タッチ領域の形で表示スクリーン上に配置されてもよい)。ユーザに与えられる選択肢は、例えば「赤」「緑」および「どちらでもない」を含んでもよい。ユーザが赤の背景上に表示された画像がより鮮明に見えるとして選んだ場合(110)、ユーザは近視であることが事前に仮定されている。この場合ユーザは、
図3に示される次のステージ200に進む。
【0110】
一般に、表示される画像内のVerhoeff円505の線の太さおよび間隔は重要ではない。この検査が成功するための主要因は、ユーザにとって赤または緑の背景上に表示された画像のどちらがより鮮明に見えるかを特定することにある。この場合視力は測定されず、さらにこの方法による検査の成功には視力は不要である。従ってユーザは、円の画像の詳細を識別する必要はない。ユーザには円が見えれば十分であるが、普通これはすべてのユーザに可能である。さらにいかなるユーザも、モバイルコンピュータデバイスを近くまたは遠くに動かすだけで、近視かどうかを判断するための初期評価に必要な十分な鮮明さで円を見ることができる。
【0111】
2色(例えば赤および緑)の背景の上で同じ画像(例えば
図5の画像500)を示すことは、2色検査を含む。この検査は、ユーザの眼のレンズの焦点調整力に波長依存特性があることを利用する。すなわちこの検査は、眼の横色収差を使う。眼の色収差に起因して、より短い波長(緑)は、より長い波長(赤)より前方でフォーカスされる。ユーザが赤も緑も同程度に鮮明に見えると回答した場合は、当該ユーザの眼は矯正を必要としないと仮定され、検査は終了する(150)。
【0112】
例えばモバイルコンピュータデバイス5の表示スクリーン7上に表示された画像500に関し、ユーザが緑の領域503の画像505bの方がより鮮明に見えると回答した場合は、ユーザは遠視または老眼(またはその両方)であると仮定される。この場合ステージ1(100)はここで終了し(150)、ユーザはソフトウェアアプリケーションにより別の検査に誘導される(155)。この場合、矯正は不要である、またはステージ1(100)ではユーザの眼の屈折異常の矯正に必要な眼鏡処方箋を作れないからである。ユーザが赤の領域501の画像505aの方がより鮮明に見えると回答した場合は、ユーザは近視であると仮定される。この場合ステージ1は、ユーザをステージ2(
図3の200)に誘導する(125)。
【0113】
図3は、本開示に係るシステムの実施の形態の実行方法のさらなるステージ2(200)のフローチャートである。ステージ1(100)で少なくとも一方の眼3の近視の矯正が必要であると判断されたユーザに対し、ソフトウェアアプリケーションはモバイルコンピュータデバイス5の表示スクリーン7の上にさらなる画像を表示する(201)。
図6Aに示されるように、ステップ201では画像は一連の放射状線を含む。
図6Aでは、いくつかの線が他の線に比べ、より鮮明に/より黒く見える。
図6Aに示される放射状線の画像600では、より鮮明な画像(線601)を表現するためにより黒い線を用いている。ここに図示された画像は、一方の眼に軸度が約15°の乱視があるユーザによって観察されるものである。表示スクリーン7上でユーザに表示される画像600では、すべての放射状線は同じ太さを持つ。いずれかの線が本当により鮮明かどうかを確認するために、ユーザはスクリーン上に示される指示に従って、モバイルコンピュータデバイス5を眼に近づけたり遠ざけたりして動かす。ユーザは、タッチスクリーン上の選択肢(または、スクリーン上の触感インタフェースの特定の場所)に触れることにより最も鮮明に見える線を選ぶか、すべての線が同程度に鮮明に見える(または、他の線と比べて特に鮮明に見えるものはない)と回答する。
【0114】
ユーザが特定の線を選んだ場合、ユーザの眼は乱視の矯正が必要であると仮定され、サブメソッド210に進む。逆にユーザがすべての線が同程度に鮮明に見えると回答した場合、ユーザの眼は乱視の矯正が不要であると仮定され、サブメソッド230に進む。
【0115】
[乱視-サブメソッド210]
ユーザからの入力内容が、ステップ201で表示された画像の線の1つを選んだものであった場合、ソフトウェアアプリケーションは選ばれた線の回転角を最鮮明径線として、モバイルコンピュータデバイス5の一時的メモリまたは短時間メモリに保存し、
図3に示されるサブメソッド210に進む。
【0116】
ソフトウェアアプリケーションは、
図6Aに示されるような通常の角度表示を参照して、最鮮明径線を基に眼鏡処方箋の軸パラメータを計算する。例えばユーザが0°以上90°未満の角度に相当する線を選んだ場合、軸度はこの選ばれた角度に90°を足した角度で作成される。例えばユーザが30°の線を選んだ場合、軸度は30°+90°=120°と作成される。一方ユーザが90°以上180°未満の角度に相当する線を選んだ場合、軸度はこの選ばれた角度から90°を引いた角度で作成される。例えばユーザが165°の線を選んだ場合、軸度は165°-90°=75°と作成される。
【0117】
モバイルコンピュータデバイス5の向きに基づいて作成された軸度に調整が必要な場合、ソフトウェアアプリケーションは補償軸度を作成することができる。例えば(ユーザから見て)時計方向に10°回転させたモバイルコンピュータデバイス5を持ったユーザが、30°の線を選んだ場合、補償軸度は120°+10°=130°と作成される。一方、(ユーザから見て)反時計方向に10°回転させたモバイルコンピュータデバイス5を持ったユーザが、30°の線を選んだ場合、補償軸度は120°-10°=110°と作成される。
【0118】
サブメソッド210では、ソフトウェアアプリケーションは、最初に表示スクリーン上でユーザに同時スプリットポイントフォーカス(SSPF)画像を表示する(詳細は以下で述べる)。この画像は、
図7Aに示されるハッシュラインパターン705Aを含む。いくつかの実施の形態では、ハッシュラインパターン705Aは、ステップ203の入力に基づいて選ばれた放射状線と同じ角度で向き付けられる。代替的な実施の形態では、
図7Cに示される画像700Cがユーザに表示される。この場合、ハッシュライン画像705Cは、赤/緑の背景部分701と703との境界707に対して、約90°の角度(垂直)で向き付けられる。特定の実施の形態では、
図7Aから
図7Cの画像700(2つの形態700a、700bおよび代替的な形態707cで示される)の部分には、2色背景が与えられる。この2色背景は、以下のさらなる2色検査のための赤の背景部分701および緑(または青)の背景部分703を含む。
図4に示されるステップ400で、ユーザは、表示スクリーン上に表示される指示213を介して、眼鏡処方箋の球面成分の計算に使われる第1主径線(径線1)を決定するように促される。
【0119】
表示画像内のハッシュラインパターンの線の太さおよび間隔は、典型的な人の眼の網膜細胞の間隔/密度と、表示画像により定められる角度範囲と、を参照して決定される。この角度範囲は、典型的なユーザの眼の網膜黄斑および眼周囲領域(すなわち網膜黄斑の周囲)に及ぶ。表示画像は、典型的にはユーザから約1mの位置、すなわち、眼検査に係るソフトウェアアプリケーションの使用時に伸ばした腕の長さに概ね相当する所に位置する。いくつかの実施の形態では、ソフトウェアアプリケーションは、最大動作位置がユーザの顔から約1mにあると仮定して構成されてもよい。ユーザが眼検査プログラムを実行するために、約1mと2mとの間(すなわち、-0.5Dと-1.00Dとの間)の動作位置dでデバイスを使っている場合、ソフトウェアアプリケーションは、例えば-0.50Dの矯正処方を生成することにより、0.5D以内の精度で適切な主径線値を計算することができる。結果として作成される処方箋は精度0.5D以内(大抵の場合精度0.25D以内)となる。従って、デバイスとユーザの眼との間の1mを超える正確な距離測定は不要である。動作距離dが約1mと68cmとの間(すなわち、-1.00Dと-1.50Dとの間)の場合、同じストラテジーが当てはまる。しかし、本実施例に従って適切な処方矯正値を得るときに、追加的なステップを減らすためには、正確な測定値をできる限り頻繁に得ることが望ましい。
【0120】
いくつかの実施の形態では、モバイルコンピュータデバイス5の表示スクリーン7上でユーザに表示された画像の線は、約4ピクセルの幅を持つ。しかしこの線は、概ね4ピクセル以上8ピクセル以下の幅を持ってもよい。通常、線の幅が3ピクセルより狭いと効果が低下することが分かっている。いくつかの実施の形態では、線の幅は、要求条件に応じて、4、5、6、7または8ピクセルであってもよく、望ましくは6ピクセルである。ピクセル間隔が約50μmの表示スクリーンを備えたモバイルデバイスでは、表示スクリーン上で6ピクセル幅の線は、太さが0.3mmである。同様に乱視軸を決定するのに使われる放射状線は、モバイルコンピュータデバイス5の表示スクリーン7上で概ね2ピクセル以上8ピクセル以下の幅を持ってもよい。放射状線の幅は、要求条件に応じて2、3、4、5、6、7または8ピクセルであってもよく、望ましくは5または6ピクセルである。スクリーンの解像度は日々向上するので(これは間違いない)、将来は矯正因子の追加が必要だろう。この場合、ピクセル値に代えてμm値が使われるだろう。いくつかの実施の形態では、ソフトウェアアプリケーションによって表示スクリーン7上に表示された線に、アンチエイリアシング処理がされてもよい。典型的に、ハッシュライン画像の線の長さは、モバイルコンピュータデバイス5の表示スクリーン7上に表示されたとき、概ね40mm以上60mm以下である。あるいはこの線の長さは、40mm、45mm、50mm、55mmまたは60mm、好ましくは50mmとして選ばれる。結果的に線の物理的サイズは、使われるモバイルコンピュータデバイス5のスクリーンサイズおよびピクセル密度に若干は依存する。しかし線の物理的サイズは、入手可能なデバイス全体に共通して有用なものが選ばれる。
【0121】
ハッシュラインスクリーンは、上記の2色現象の利点を取り入れたユニークなデザインであり、表示画像の位置精度を改善する。これにより、隣接するスライド画像を評価するときに、眼のフォーカスを変える(すなわち遠近調整する)ことが不要となる。モバイルコンピュータデバイス5の表示スクリーン7上に表示された2色画像は、境界で分割された少なくとも2つの背景部分を含んだ2色背景画像を含む。そして画像が、背景部分の境界をまたいで、2色背景部分に上に重ね合わされる。2色背景の背景部分の各々は、異なる全面色を含む。このとき、隣接する背景部分の色は、色(波長)として十分に分かれている。すなわち、ユーザの眼の網膜に向けてそれぞれの色が結ぶ焦点には、識別可能な相違が存在する。例えば一方の背景部分は緑または青であってよく、これに隣接する背景部分は赤であってよい。上記の実施の形態では、表示画像(組成画像)、言い換えれば2色画像のスライド(すなわち背景部分のそれぞれ)は、ユーザの検査対象の眼の眼球中心窩に同時に画像化される。この特定の実施の形態は、過去に開示されたことはなく、本明細書ではこれを同時スプリットポイントフォーカス(SSPF)デザインと呼ぶ。
【0122】
2色画像1100(
図5の画像500と同様)の使用は、赤の部分1101と緑の部分1103の使用を含む。一方
図11に示されるようなハッシュライン1105を含む区分は、過去にも開示されている(例えば国際公開第2019/099952)。こうした例は、画像1100の元の2色隣接配置を保つ。
図11は、このような2色画像配置の例である。
【0123】
このような既知の2色配置では、ユーザは2色画像の各スライド(例えば画像1100)を別々に見る必要がある。これは、視線固定の調整、見比べ、記憶を必要とする。このときフォーカシングまたは遠近調整は、それぞれのスクリーンで別々にされる。さらに決定的なのは、詳細な比較を目的としたときに、眼球中心窩で赤/緑を同時に画像化できない点にある。こうした標準的な2色検査の従来技術は、全体評価のみに有用であると考えられてきた。
【0124】
図7Aから
図7Cに示される本明細書のSSPF手法は、
図11に示される従来の隣接2色配置に比べ顕著な利点を持つ。別の例としてのSSPF画像1200が
図12Aに示される。また特別な形態として、モバイルコンピュータデバイス5の表示スクリーン7上に表示されたSSPF画像1200が
図12Bに示される。
図7Aから
図7Cに示されるように、画像1200は、赤の背景部分1201と緑の背景部分1203とを含んだ2色背景を含む。ハッシュライン画像1205が、赤および緑の背景部分1201と1203との境界1207をまたいで重ね合わされる。SSPFのデザインにおいて臨床的に重要なのは、2色背景1201/1203に重ね合わされた画像(すなわち、ハッシュパターン1205)を、ユーザの検査対象の眼の眼球中心窩の上で分割できる点にある。これによりユーザは、2色表示画像の両方に掛かる線(すなわち、2色画像1200の赤の部分1201と緑の部分1203とのほぼ境界の領域1209)の上で、同時に固定することができる。これは、赤/緑の境界を横切る線を表示することによって実現される。さらに
図7Cに示される好ましい実施の形態では、赤/緑の境界707は、ハッシュライン705Cとほぼ90°の角をなす。特に
図7Aおよび
図7Bは、代替的な実施の形態を示す。この場合、ハッシュライン画像705は、赤/緑の境界に対して一定の角度オフセットを持つ。モバイルコンピュータデバイス5のいくつかの表示スクリーン7では、ハッシュライン画像と赤/緑の境界との角度が垂直でないと、ハッシュライン画像705は境界707上でエイリアシングを生じる。これは、特にユーザの眼に強い乱視がある場合、望ましくない。しかしこれは、より高い解像度の表示スクリーン7を使うことで解決できる。この場合画像705の境界707に対する角度は、概ね40°以上90°以下であればよく、望ましくは90°である。
【0125】
このように赤/緑の線の鮮明さの評価に関し、焦点調整力の違いを取り除くことができる。これにより記憶の影響が低減され、選択的優先視認現象に起因する評価精度の低下を妨ぐことができる。
【0126】
SSPFを用いて理想的な主径線が正確に位置付けられると、表示スクリーン7からユーザの検査対象の眼3までの距離が決定される。
【0127】
距離測定の評価に関し、従来技術はブラケティング法や閾値法に依拠する(あるいは、定規やテープ測定といった物理的距離測定を行う)。これに対し本開示に係るシステムおよび方法は、ライブビデオストリームに依拠する。
【0128】
ライブビデオストリームを用いることにより、動的かつリアルタイムの低遅延測定が可能となり、極めて高い精度が得られる。本明細書では、この新しいシステムを低遅延動的距離モニタリング(Low Latency Dynamic Distance Monitoring:LLDDM)と呼ぶ。
【0129】
典型的なモデムモバイルコンピュータデバイスは、約60フレーム毎秒(fps)のビデオキャプチャフレームレートを持つが、最近のデバイスではこれは960fpsに及ぶ。高速キャプチャレートにより、非常に低遅延の距離測定が可能となる。これは、例えば測定中に若干の動き(例えばユーザの腕の自然な振動や動き)を伴う数ミリメートル以内の距離の手持ち用デバイスを測定するときなどに特に有用である。
【0130】
LLDDMにより高速測定が可能となり、これにより距離測定の精度がさらに向上する。なぜなら、複数の測定を非常に高速に行うことができ、それらの結果に対し平均化・モード化などの統計処理を行うことができるからである。
【0131】
主径線(1)が得られると、表示スクリーン上に
図7Bに示されるハッシュラインパターン705Bを備えた画像を表示することにより、(乱視用の)サブメソッド210に進む。この画像は、ステップ203で選ばれた放射状線に対し、垂直に(90°回転で)向き付けられる。ユーザは再び、指示217を介して、
図4に示される方法400に従って表示スクリーン上で主径線を決定するように促される。この主径線は、乱視用眼鏡処方箋の円柱成分の計算に使われる第2主径線(主径線2)である。
【0132】
[乱視がない場合-方法230]
203でのユーザからの入力が、ステップ201で表示された画像から選ばれた1つの線を表すものであった場合、ソフトウェアアプリケーションは、表示スクリーン上で、ユーザに
図7Cに示されるハッシュラインパターン705Cを備えた画像を提示する。この実施例では、ハッシュラインパターン705Cは垂直に向き付けられている。しかし、ユーザの眼に乱視がない場合は、サブメソッド230のハッシュラインパターンの向きは不適切であり、水平か、または任意の適切な角度で向き付けられなければならない。上記の通り、
図7CのSSPF画像には、赤および緑(または青)の背景部分を含む2色の背景が与えられる。
【0133】
この場合第2乱視軸がないので、前述の主径線決定方法400が1回実行されればよい。
【0134】
代替的な(特にユーザに色覚異常がある場合の)実施の形態では、ユーザが望めば、ソフトウェアアプリケーションは、赤/緑(または青)の背景はないが、鮮明に見えることにより正しい距離を特定できるような選択肢をユーザに与えてもよい。
【0135】
[主径線の決定-方法400]
図4は、眼鏡処方箋の計算に必要な主径線を決定する方法400を示す。上記の
図3に示される方法200のサブメソッド210および230は、眼鏡処方の球面測定値を決定するために、いずれも主径線手続き400を使う。このプロセスは、乱視に関する2つのパワー径線(最大パワー径線と最小パワー径線)における屈折成分を決定するために、サブメソッド210で2回繰り返される。
【0136】
最初に、ソフトウェアアプリケーションが表示スクリーン7上でユーザにハッシュラインパターン(
図7Aから
図7Cに示される様々な実施の形態で説明した)を含むSSPF画像を提示する(方法200のステップ211)。次にユーザは、モバイルコンピュータデバイス5の表示スクリーン7上に表示された指示を介してステップ401に誘導され、モバイルコンピュータデバイス5の表示スクリーンを、画像の線がぼやけ、赤の背景部分上の線が緑の背景部分上の線より鮮明になるまで、眼から遠ざける方向に動かす(403)。次にユーザはステップ403に誘導され、モバイルコンピュータデバイス5の表示スクリーンを、赤の背景部分の上の線と緑の背景部分の上の線とが最初に同じ鮮明さになるまで、眼に近づける方向に動かす。線が同じ程度に鮮明になると、ユーザは、タッチディスプレイの所定の領域を介して入力信号をソフトウェアに与える。続けてLLDDMソフトウェアは、表示スクリーンからユーザの眼までの距離の測定値を用いて(405)、主径線を計算する(407)。距離測定値を主径線に変換するために、距離測定値はジオプトリーに変換される。ただしジオプトリーは、「メートルの逆数」すなわち1/mで定義される。従って、例えば距離が50cmすなわち1/2mの場合、1/2mの逆数により主径線2Dが与えられる。
【0137】
[距離測定]
主径線を決定するために、ソフトウェアアプリケーションは、モバイルコンピュータデバイス5の表示スクリーン上に表示された画像とユーザの眼との間の距離を測定または評価する必要がある。光学的カメラ(例えばスマートフォンやタブレットデバイスなどのモバイルコンピュータデバイスに組み込まれた前向きカメラ)を用いて距離を決定するための様々な方法が、数多く存在する。距離または深さの情報を得るためのこうした多くの方法は、横並びに設置された2つのカメラを用いて、人の眼が脳に示すときに深さの情報を決定するのと同じ仕方で両眼視覚を与えることにより実現できる。しかし多くのモバイルコンピュータデバイスは単一のカメラしか備えないため、深さの情報を得るために別の方法が必要となる。
【0138】
図8は、モバイルコンピュータデバイス5の表示スクリーン7とユーザ1の眼3との間の距離dを決定するため、相似三角形を用いて、単一のカメラ構成で距離測定値を取得するシステム850を模式的に示す。モバイルコンピュータデバイス5は、画像センサ851と、収束レンズ853と、を備えた単一のカメラ構成を備える。頂点ABLおよびA’B’Lとの間にそれぞれ形成された三角形857および855は、レンズ853(これは頂点Lに位置する)からの対応角θを持つ相似形である。レンズ853と画像センサ851の平面との間の距離d’は、モバイルコンピュータデバイス5の製造仕様から分かる。瞳孔間距離PD(線分AC)は、一般に初期評価での個体群の値と一致する。従ってこの距離PDは、予めソフトウェアアプリケーションに入力しておくことができる。さらなる実施の形態では、より正確な測定値を得るために、ソフトウェアアプリケーションは、ユーザ個人の瞳孔間距離PDに関するユーザ入力を受信してもよい。PDは、次の計算のために、概ね+/-2mm(0.5D以内)の精度で知られる必要がある。正確なPDは、概ね0.25D以内の処方箋精度を矛盾なく与える。上記の方法400(ステップ405)により主径線を決定するとき、ユーザの瞳孔の画像の位置は、通常の画像処理方法および識別方法を用いて決定される。画像センサのピクセルにおける瞳孔の中心間距離は、モバイルコンピュータデバイス5で使われる画像センサの製造仕様を用いて、実際の距離PD’(メートル単位)に変換される。ピクセル距離PD’(線分A’C’)が知られると、相似な三角形ABL(857)とA’B’L(855)の線分比を比較することによって、レンズLからユーザの眼3の平面ACまでの距離dが決定される。ここで
【数1】
である。
【0139】
距離dを±5mmで測定することにより、ユーザの眼鏡処方箋を決定するのに十分な計算値(0.25ディオプターステップ以内での、矯正光学器具のための光学パワーオプション)を得ることができる。距離測定精度は、より高い光学パワー(すなわち、より短い距離)においてより重要となる。例えばD=1/mで、mが十分大きい場合、誤差が小さければ、最終処方値に与える影響は小さい。しかしmが小さい場合、誤差が小さくても、作成された眼鏡処方箋結果に深刻な誤差を与える可能性がある。距離dの精度を+/-5mmにすることにより、ユーザの視力検査中にソフトウェアアプリケーションによって測定されるべき距離範囲にとって非常によい結果(+/-0.25D)が得られる。しかし距離dの誤差が+/-10mm以内であっても、ソフトウェアアプリケーションは、作成される処方箋値において、約+/-0.50D以内という許容可能な精度を与えることができる。方法400のプロセスにおいて測定値dは、眼鏡処方箋の計算に使われる主径線として揮発性メモリに保存される。
【0140】
この特定の距離測定の実施の形態では、モバイルコンピュータデバイス5がユーザの眼3の両方の瞳孔を識別できることが重要である。そうでなければ、画像センサ751上で画像化された眼3の距離PD’を決定することができない。特定の実施の形態では、ソフトウェアアプリケーションは、両方の瞳孔が検出されたことを、ユーザが測定を開始する前にユーザに知らせるために、表示スクリーン7上に視覚表示を与えてもよい。これによりユーザは、眼に対してデバイスの位置を調整したり、眼をより大きく見開いたり、照明を調整したりすることができる。ソフトウェアアプリケーションが主径線距離の自動測定を行うには、これらが必要な場合があるからである。
【0141】
別の実施の形態では、好ましければ選択的に、ユーザは眼からディスプレイまでの距離測定を物理的に行い、その結果をソフトウェアアプリケーションに直接入力してもよい。さらに、ユーザの手の届く範囲より遠くにディスプレイを置く必要がある場合は、ユーザは別の人に手伝ってもらうか、ディスプレイを固定した後ディスプレイから離れるかしてもよい。
【0142】
別の実施の形態では、ソフトウェアアプリケーションは、カメラレンズ753の視野角2φと比較して、画像センサ751上に画像化されたときのユーザの眼に対する角度2θを評価してもよい。この場合、カメラデバイスのレンズ753からユーザの眼3までの距離dは、以下で与えられる。
【数2】
ここで、Wは画像センサ751の幅である。
【0143】
さらに別の実施の形態では、ソフトウェアアプリケーションは、表示スクリーンとユーザの眼との間の距離を自動的に測定するために、自動瞳孔間距離測定のためのハードウェアおよび/またはプログラム命令を含む手段をさらに備えてもよい。
【0144】
[処方箋計算]
保存された径線データをユーザの眼鏡処方箋に変換するために、両方の主径線距離が、ディオプター(D=1/m)でパワー値に変換される。最初に最も低いパワー(最低マイナスパワー、径線1)が球面値として作成される。最も高いパワー(径線2)は、(差を与えるために)そこから減算された最低パワーを持つ。この差は、円柱値として作成される。その後、上記の放射状線から軸値が作成される。例えば主径線1が50cmと計算され、径線2が30cmと計算される。径線1=1/2mは、逆数を取ることで2Dを与える。主径線2=1/3mは、逆数を取ることで3Dを与える。従ってこの例では、ユーザの眼の眼鏡処方箋は、-2.00/-1.00X軸である。
【0145】
図3および方法200に戻る。決定された主径線は、モバイルコンピュータデバイス5の揮発性メモリに保存された(ステップ205)最も鮮明な主径線と組み合わされる。ソフトウェアアプリケーションは、検査中の眼に合った眼鏡処方箋をユーザに提供するため、眼の屈折異常の球面成分、円柱成分および軸成分を計算し、その結果をモバイルコンピュータデバイス5の揮発性メモリに保存する。ソフトウェアアプリケーションは、両方の目が検査されたことを確認する。いくつかの実施の形態では、ソフトウェアアプリケーションは、眼検査が必要かどうかに関するユーザからの入力を受信してもよい。そのとき、必要に応じて、片方の眼だけが検査されてもよい。好ましければ、ユーザは、眼からディスプレイまでの距離測定を物理的に行い、その結果をソフトウェアアプリケーションに直接入力してもよい。さらに、ユーザの手の届く範囲より遠くにディスプレイを置く必要がある場合は、ユーザは、別の人に手伝ってもらうか、ディスプレイを固定した後ディスプレイから離れるかしてもよい。
【0146】
[臨床研究]
本明細書で開示されたソフトウェアアプリケーションならびに眼検査システムおよび方法の最初の臨床研究において、27人の患者(彼らは、眼鏡や検眼に関する知識を持たない)のグループにより、眼検査が行われた。すべての題目は、以下の順序で実施された。
・簡単な病歴および症状の調査。
・眼底撮影(イン・アウト適性を規則付けるため)。
・自動屈折器。
・網膜検影。
・主観的屈折検査
・モバイルコンピュータデバイスに与えられた、本開示に係る眼検査用ソフトウェアアプリケーションの初期プロトタイプ。
【0147】
試験の最初の段階では、眼科疾患のため試験から除外された患者はいなかったが、1名の患者が弱視を理由に除外された。
【0148】
眼検査ソフトウェアアプリケーションを用いて計算されたすべての患者の眼鏡処方箋は、通常の主観的屈折と比較して(すなわち、主観的屈折と客観的屈折との組み合わせ(これは検眼医の最終的な処方箋である)を用いて決定された患者の処方箋と比較して)、0.75ディオプター以内であった。さらに、眼検査ソフトウェアアプリケーションを用いて作成された眼検査ソフトウェアアプリケーションにより作成された球面-円柱結果の65%は、0.25ディオプター以内であった。
【0149】
本明細書に記載の眼検査ソフトウェアアプリケーションにより得られたこの臨床研究による球面-円柱結果の65%は、熟練した検眼医による主観的屈折と比較可能なものであった。ソフトウェアアプリケーションによるすべての眼鏡処方箋結果は、成功/失敗を問わず、近視の患者で矯正を受けていない(または矯正が著しく少ない)ユーザに受容可能で望ましい結果を与えるだろう。これらのバージョン1プロトタイプの結果は、ShinNippon自動屈折器より優れていた。
【0150】
これに対し、臨床研究で使われた自動屈折器の球面-円柱成功率は73%に過ぎなかった。自動屈折器による失敗した結果は、近視の視力矯正に受容可能で望ましい結果を与えないだろう。これらの結果は、自動屈折器から予想されるものとほぼ一致している。これは、本開示に係る眼検査用ソフトウェアアプリケーションが、眼鏡処方箋の決定に著しい改善をもたらすことを示す。従ってこれは視力矯正に関し、ユーザに自動屈折器から得られたものよりよい結果をもたらす。
図10は、臨床研究患者に関し、本開示に係る眼検査用ソフトウェアアプリケーションと自動屈折器との成功率の比較を示す。
【0151】
[遠視]
上記の通り、方法100の議論で、ステップ105でユーザ1がより鮮明に見える画像を特定できない場合、またはユーザ1が緑の背景部分(例えば
図5の背景部分503)上の画像の方が、赤の背景部分(例えば
図5の背景部分501)上の画像より鮮明に見えると特定した場合、ユーザは遠視であると仮定される。この場合、方法100は終了する(150)。そしてユーザには、自分の眼鏡処方箋を決定するための別の手順が与えられる(
図2のステップ155)。この手順のある実施の形態では、ユーザ1には、十分な正のパワーを持った光学レンズ(テストレンズ)が与えられる。この光学レンズは、上記の方法200の手順を実行している間、ユーザが自分の眼の前で保持することができる。ユーザの眼を既知の十分な人工的近視状態にするために、追加的なレンズのパワーが決定される。検査はソフトウェアアプリケーションを用いて通常通り進められ、ユーザの眼鏡処方箋を計算するときに追加的なレンズの正のパワーが考慮される。適切なテストレンズは、以下の手順に従うことにより得られる。詳細な画像をぼやけるまで動かす(すなわち、対象が比較的鮮明に見えるときの最も近い距離を見つける)。この距離の測定値が得られる。ユーザの年齢を使って、このユーザの年齢を年齢および人種から予想される遠近調節機能と比較することにより、距離矯正を評価できる。これにより、適切な正のパワーのレンズをユーザに送ることができる。こうして、上記の方法100、200および300が正常に実行される。
【0152】
[代替的な処方決定方法]
上記の方法100、200および300および関連するサブメソッドは、モバイルコンピュータデバイスを持つユーザが眼鏡処方箋を決定するのに好ましい方法と考えられる。しかし、ソフトウェアアプリケーションにより与えられる指示にアクセスできないまたは従うことが難しいユーザや、様々な理由で検査ルーチンを完全に実行できないユーザに対しては、眼鏡処方箋を得るための追加的な方法が与えられる。
【0153】
少なくとも遠視のユーザの場合、追加的な手続きと関連して、上記の検査で最良の結果を得るために追加的なレンズが必要となる場合もある。
【0154】
遠視の眼検査を実行するためのさらなる実施の形態では、ユーザは、鏡と向かい合い、鏡に映ったスマートフォンの仮想的な画像を観察しながら検査手続きを実行する。このような仮想的な画像(例えば鏡に映った画像)を用いて遠視用の好適な眼鏡処方箋を決定するには、コントラストの高い円形の画像(白と黒)が有効である。
【0155】
[網膜反射交代方法]
眼検査を実行するためのさらなる実施の形態では、モバイルコンピュータデバイス5上で動作するのに適したソフトウェアアプリケーションは、選択的に、例えばモバイルコンピュータデバイス5に組み込まれたフラッシュ光または光を用いて、網膜からの反射作用を生成しても(または、ユーザに生成するように命じても)よい。こうした反射作用は、ユーザの眼の画像(これは、ユーザの屈折異常、すなわち眼鏡処方箋を計算するために、検査中にキャプチャされる)を分析することにより検査される
【0156】
さらなる実施の形態では、モバイルコンピュータデバイス5のカメラおよびフラッシュ光システムは、網膜反射を用いて瞳孔を照射するのに便利な方法を与える。この特定の実施の形態では、モバイルコンピュータデバイス5のプロセッサによって実行されるソフトウェアアプリケーションは、瞳孔を通して直接ユーザの眼に明るい光を導くために、フラッシュ光システムを使う。このとき光は網膜で反射し、瞳孔を通して眼から戻る。これにより網膜反射(しばしば写真の分野で赤目現象と呼ばれる)が起きる。光源の動きの速さに対する網膜反射の動きの速さおよび網膜反射の明るさは、眼の屈折異常を決定するために検査することができる。このタスクはユーザ(被験者)が独力で実行することもできるが、検査中のモバイルコンピュータデバイス5の操作を他の人(オペレータ)に手伝ってもらった方が、ユーザにとってはより容易かつ正確となる。
【0157】
特にこの実施の形態において、円柱(軸)を特定するために、可能であればユーザは最初に
図6Aに示される線の検査を完了する。
【0158】
ユーザを手伝うオペレータは、モバイルコンピュータデバイスを、ユーザの検査対象の眼の約40cm-50cm手前で垂直に保持する。ユーザは、眼を楽にして、モバイルコンピュータデバイス5のすぐそばで、モバイルコンピュータデバイス5との間を覗き込むように促される(これらは、ソフトウェアアプリケーションによって表示スクリーン上に与えられた指示によって説明される)。ユーザは、ソフトウェアアプリケーションによって与えられた指示に従い、モバイルコンピュータデバイス5を、上/下に、左/右に、約45度および135度で斜めに動かす。生成された網膜反射は、ソフトウェアアプリケーションによってキャプチャされ、ユーザの検査対象の眼の眼鏡処方箋を生成するために分析される。
【0159】
さらに網膜反射は、ユーザの検査対象の眼の眼鏡処方箋を決定するために、検査に必要な明るさおよび網膜反射の出現のみに関し、眼から様々な距離でキャプチャされてもよい。
【0160】
モバイルコンピュータデバイスの照明システムを用いて生成された網膜反射が十分でないとシステム(または本発明を十分理解するオペレータ)が判断した場合は、本発明は(入手可能であれば)内部または外部の赤外線送信機からの光源とともに使われてもよい。外部の赤外線光源は、テレビやDVD(登録商標)プレイヤー用に設計されたリモコンの形で容易に入手可能である。赤外線光源は、モバイルコンピュータデバイスに対して垂直かつ平らに保持される。その後、光源からカメラまでの距離が測定される。距離測定に関してはソフトウェアアプリケーションの項で説明した。
【0161】
オペレータは、指示に従って手順を進め、赤外線ビームを被験者の眼に導く。この間被験者は、光源に概ね一致する位置を遠方に見つめる。生成された網膜反射はスマートフォンカメラシステムによってキャプチャされる。正確な球面、円柱および軸成分を生成するために、これらの網膜反射内に生成された一般反射および/または明瞭な弓状パターンが本発明のソフトウェアアプリケーションを用いて評価される。
【0162】
別の方法を用いて、複数の網膜反射画像をキャプチャすることが必要な場合もある。あるいは、信頼性のある眼鏡処方箋のために十分なデータを集めるために、スマートフォンビデオカメラシステムを用いて、画像キャプチャを連続的に記録することが必要な場合もある。いずれの場合もユーザは、本発明のソフトウェアアプリケーションによって指示される。
【0163】
いずれの場合も、スマートフォンのカメラシステムを用いて、眼からの距離が測定される。しかし光源網膜反射法においても、赤外写真屈折検査法においても、ユーザ(または、熟練したオペレータ)が望めば手動入力を選択できることが望ましい。
【0164】
[老眼評価方法]
本開示の方法を用いて1つ以上の距離処方が知られるまたは評価されると、ソフトウェアアプリケーションを用いて、近接追加結果が計算される。さらにユーザは、当業者に既知の典型的な手続きに従う近接追加を決定するために、ソフトウェアアプリケーションによる検影法または写真屈折検査法を使ってもよい。画像キャプチャの手続きは、検影法または写真屈折法による距離Rxの手続きに実質的に等しい。しかしこれは、画像キャプチャ手続き中に、ユーザが光源/カメラの平面を見つめるという点で異なる。このとき、モバイルコンピュータデバイス5は、ユーザが読みたい(またはコンピュータのモニタを見たい)と思う距離だけ眼から離れた位置に(すなわち、ユーザの望む作業距離に)保持される。本発明では、この近接手続きに関する指示が与えられる。この場合、いくつかの実施の形態では、手続きは距離評価の手続き(すなわち、上記の検査手続き)と同じである。違いは、ユーザが遠くの対象でなくスマートフォンのスクリーンを見る点にある。反射の生成および分析も同じである。結果は、眼からスマートフォンまでの距離を考慮に入れることにより異なるものとなる。
【0165】
[眼科治療トラッキング]
さらなる実施の形態では、追加的にソフトウェアアプリケーションは、単に眼鏡処方箋を決定するだけでなく、ユーザの眼科治療を補助してもよい。例えば治療トラッキング機能は、ECP(または経時的な複数のECP)に患者の回復度を知らせながら(これは、時宜を得た医療介在のために必要である)、長期にわたる治療養生全体とのコンプライアンスを向上することにより、長期間点眼治療を受ける患者の治療結果を改善することができる。
【0166】
治療トラッキングは、不要なフォローアップ訪問とそれに伴うコストをなくすことができるという著しい利点を持つ。なぜなら、治療パラメータは常にモニタされ、必要なときにフォローアップ訪問がされるからである。治療トラッキングはまた、適切なタイミングで適切なECPが訪問し、時間的かつコスト的に効果的な治療計画ができるようECPを補助するという著しい利点を持つ。
【0167】
さらに、プロジェクトや研究を目的として多くのデータを収集し、これらをあらゆる管区でリアルタイムに比較することにより、広く全国的な治療プログラムの実施と管理が可能となる。
【0168】
[アトロピン治療管理]
近視は、経済的負担を伴う、重要かつ一般には過小評価されている問題である。近視は、良性の眼科的屈折状態であると誤解されてきた。近視に伴う経済的負担は膨大だが、これは医学的治療に関する直接的コストと、長期にわたる視力低下に関する間接的コストの両方に起因する。本開示に係るソフトウェアアプリケーションはさらに、政府が世界規模で公共政策を改善し、国民の近視悪化と視力低下の防止に取り組むことの必要性に関与する。
【0169】
アトロピン治療は、目薬を一日に一回使用するものである。これは最も効果的な近視制御ストラテジーであり、大規模な人口スケールにおける現実的で的確なプログラムである。多くの人にとって、アトロピン治療は10年以上にわたる長期治療であり、毎日決まった時刻に目薬をさす必要がある。最初の点眼を日毎に交互に繰り返すと、より効果的であることが分かっている。通常アトロピン治療は、効果が出るのにほぼ1年を要する。
【0170】
通常アトロピン治療を受ける患者は、リーディングアディッション(これは、しばしばアトロピンを増やした後に必要となる)を含むために、眼鏡処方箋を変更する必要がある。両眼の機能が逆転している場合は、リーディングアディッションはしばしば、眼鏡処方箋にも必要である。この追加的なリーディングアディッションは、近視の進行を抑えるのに役立つ。従ってユーザの眼鏡処方箋は、いつも正確に保たなければならない。なぜなら矯正不足は近視を進行させるからである。このように本開示に係るシステムおよび方法によれば、ユーザは、追加的な出費を必要とせず、また眼科治療専門家を定期的に繰り返し訪問することもなく、更新された処方箋を迅速かつ正確に取得することができる。
【0171】
選択的な眼科治療トラッキングモジュールにより本発明に追加された機能は、アトロピンユーザおよびECPを助け、1)アトロピン治療、および2)アトロピン治療期間の視力矯正が成功するよう管理する。
【0172】
眼科治療トラッキングモジュールは、治療に関する以下の様々なタスクを実行し管理する能力を与えられる。
・眼科治療の開始日/時刻を受け入れる。
・毎日の特定の時刻のアトロピン点眼を促す。
・アトロピンが点眼されたことを確認し、点眼時刻を記録する。
・1つ以上のアカウントで複数のユーザを一度に追跡し管理する(複数の子供が同時に治療を受けることがあり、親が見落すこともある)。
・アトロピンを供給するユーザを追跡し管理する。
・薬を使い尽くす前に再注文するようユーザを促す。
・進行中の治療が中断しないように、薬の残りが一定量になるとアトロピンを自動的に注文する。
・屈折結果を定期的にテストし記録するようユーザを促し、眼の管理を助ける。結果が現在の処方箋からずれた場合は、矯正不足を防ぐために医師(ECP)の関与を推奨してもよい。
・近双眼姿勢を測定するようユーザを促す。結果が眼検査モジュール(または患者のECP)により設定された外部パラメータと異なった場合、ECPの訪問を促す。
・近調整力を測定するようユーザを促す。結果が眼検査モジュール(または患者のECP)により設定された外部パラメータと異なった場合、ECPの訪問を促す。
・所定の限界から外れた値に戻った患者のECPに対し、警告を発する。
・アトロピンの様々な濃度に適合する。
・アトロピン以外の薬に適合する。
・様々な治療法に適合する。
・集めたデータをECPにフィードバックする。
・集めたデータを研究チームまたはヘルスプロジェクトチームにフィードバックする。
【0173】
眼科治療トラッキングモジュールは、必要に応じて、多くの治療タイプに合うように構成されることが望ましい。こうした治療タイプは、非限定的に、アトロピンおよび緑内障管理、眼科自己免疫疾病管理、角結膜管理、眼科感染症治療および炎症性疾病管理を含む。
【0174】
[コンピュータデバイス]
モバイルコンピュータデバイス(および
図1、2および3に示される、関連するサブメソッド100、200、300およびサブメソッド210および230)を用いて眼鏡処方箋を与える方法は、コンピュータデバイス/コンピュータシステム900を用いて実行されてもよい。これらは
図9に示される。
図2から
図4のプロセスがソフトウェアにより実行されてもよい。この場合、1つ以上のアプリケーションプログラムがコンピュータデバイス900内で実行可能である。特に方法100、200、300およびサブメソッド210および230は、コンピュータデバイス900内で実行されるソフトウェアの命令によって有効になる。この命令は、1つ以上のコードモジュールとして形成されてもよい。これらのコードモジュールの各々は、1つ以上の特定のタスクを実行する。ソフトウェアは、2つの別個の部分に分割されてもよい。この場合、第1の部分および関連するコードモジュールは上記の方法を実行し、第2の部分および関連するコードモジュールは第1の部分とユーザとの間のユーザインタフェースを管理する。ソフトウェアは、例えば上記のストレージデバイスなどのコンピュータ読み取り可能媒体に保存されてもよい。ソフトウェアは、コンピュータ読み取り可能媒体からコンピュータシステム900にロードされ、コンピュータシステム900によって実行される。このようなソフトウェアを含むコンピュータ読み取り可能媒体またはそこに記録されたコンピュータプログラムは、コンピュータプログラムプロダクトである。好ましくは、コンピュータシステム900内のコンピュータプログラムプロダクトの使用が、ユーザがモバイルデバイスを用いた眼検査(特に、モバイルコンピュータデバイスを用いた眼鏡処方箋の自己決定のための)を行うのに有用な装置に効果をもたらす。
【0175】
いくつかの実施の形態では、ソフトウェアモジュールは、集中化されたサーバ内に設置されてもよい。こうしたサーバ(例えばクラウドサーバ)は処理能力を持ち、ネットワーク接続(例えば閉域または広域のWi-Fiネットワークまたはインターネット)を介して、モバイルコンピュータデバイス5が遠隔からアクセスすることができる。ある実施の形態では、本開示に係る方法およびシステムは、インターネットブラウザページを介して、ユーザがアクセスしてもよい。この実施の形態では、クライアントのモバイルコンピュータデバイス5は、ユーザの視覚的状態(すなわち、視覚に影響を与えるような異常が、ユーザの眼に存在するか否か)とユーザの眼の屈折異常とを評価するために、表示スクリーン7上に表示される画像データを受信する。クライアントデバイスは、ユーザの眼鏡処方箋(これは、クライアントモバイルデバイス5によってユーザに与えられる)を決定するために、ユーザの反応をクラウドサーバに送信する。代替的に、ソフトウェアモジュールは、モバイルデバイス5にスタンドアロンで保存されてもよい。これは、ネットワークまたはインターネット接続に頼らない。なぜなら、方法のステップおよび処理はすべて、ユーザのモバイルデバイス5のプロセッサを用いてローカルで実行されるからである。
【0176】
図9を参照すると、モバイルデバイス5は、典型的なコンピュータデバイス900(これは、スタンドアロンまたはリモートサーバへのネットワーク接続で動作する)を基に記述される。典型的なコンピュータデバイス900は、非限定的に、1つ以上のプロセッサ902を備えた1つ以上の中央演算処理装置(CPU)901、システムメモリ903およびシステムバス904(これは、CPU901へのシステムメモリ903を含む様々なシステムコンポーネント同士を結合する)を備える。システムバス904は、メモリバス、メモリコントローラ、周辺バス、任意の様々なバスアーキテクチャを用いたローカルバスを含む任意のタイプのバス構造であってもよい。
【0177】
典型的にコンピュータデバイス900はまた、コンピュータ読み取り可能媒体を含む。このコンピュータ読み取り可能媒体は、任意のコンピュータデバイス900がアクセスできる任意の入手可能な媒体を含んでよく、揮発性および不揮発性媒体ならびに消去可能および消去不能媒体を含む。非限定的な例示によれば、コンピュータ読み取り可能媒体は、コンピュータストレージ媒体および通信媒体を備える。コンピュータストレージ媒体は、任意の方法または技術に関する情報(例えばコンピュータ読み取り可能命令、データ構造、プログラムモジュールその他のデータ等)の記憶に使われる媒体を含む。コンピュータストレージ媒体は、非限定的に、RAM、ROM、EEPROM、フラッシュメモリその他のメモリ技術、CD-ROM、DVDその他の光ディスク媒体、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスクストレージその他の磁気ストレージデバイス、その他の所望の情報の記憶に使うことができ、コンピュータデバイス900からアクセス可能な任意の媒体を含む。典型的に通信媒体は、コンピュータ読み取り可能命令、データ構造、プログラムモジュールその他のモジュール化されたデータ信号(例えばキャリア波その他の搬送メカニズム)を具現化し、任意の情報伝達媒体を含む。非限定的な例示によれば、通信媒体は、有線ネットワークや直接有線接続などの有線媒体および音波、RF、赤外線その他の無線媒体を含む。上記の任意の組み合わせも、コンピュータ読み取り可能媒体の範囲に含まれる。
【0178】
システムメモリ903は、揮発性および/または不揮発性メモリ(例えばリードオンリーメモリ(ROM)905およびランダムアクセスメモリ(RAM)906)の形のコンピュータストレージ媒体を含む。基本入出力システム907(BIOS)(これは、例えば起動中にコンピュータデバイス900内の要素間で情報を伝達を助ける基本ルーチンを含む)は、通常ROM905に保存される。典型的にRAM906は、即座にアクセス可能なおよび/または現在処理ユニット901により処理中の、データおよび/またはプログラムモジュールを記憶する。非限定的な例示によれば、
図9は、オペレーティングシステム908、プログラムモジュール909およびプログラムデータ910を示す。
【0179】
コンピュータデバイス900は、その他の消去可能/消去不能、揮発性/不揮発性コンピュータストレージ媒体を含んでもよい。例示のみによれば、
図9は、消去不能かつ不揮発性の磁気メディアを読み書きできるハードディスクドライブ911を示す。典型的なコンピュータデバイスとともに利用可能なその他の消去可能/消去不能、揮発性/不揮発性コンピュータストレージ媒体は、非限定的に、磁気テープカセット、フラッシュメモリカード、DVD、デジタルビデオテープ、固体RAM、固体ROM等を含む。ハードディスクドライブ911は、典型的には、インタフェース912などの消去不能メモリインタフェースを介してシステムバス904に接続される。
【0180】
上記のおよび
図9に示されるドライブおよびそれに関連するコンピュータストレージ媒体は、コンピュータ読み取り可能命令、データ構造、プログラムモジュールその他のコンピュータデバイス900のためのデータの保存を可能とする。例えば
図9では、ハードディスクドライブ911が、オペレーティングシステム913、他のプログラムモジュール914およびプログラムデータ915を保存する手段として示される。これらのコンポーネントは、オペレーティングシステム908、他のプログラムモジュール909およびプログラムデータ910と同じであっても異なっていてもよい。オペレーティングシステム913、他のプログラムモジュール914およびプログラムデータ915は、ここに図示されたものと異なる数のものが与えられてもよい。
【0181】
コンピュータデバイスはまた、システムバス904に接続された1つ以上の入出力(I/O)インタフェース930を含む。入出力インタフェース930は、1つ以上の表示スクリーン934およびラウドスピーカ935を含む出力デバイスに接続されたオーディオ・ビデオインタフェースを含む。入出力インタフェース930はまた、1つ以上の入力デバイスに接続される。これらの入力デバイスは、非限定的に、スマートフォンやタブレットデバイスなどのタッチセンシティブデバイス931および少なくとも1つのカメラ(例えば前向きカメラ932)を含む。以下の説明に関し、コンピュータデバイス900は、1つ以上のリモートコンピュータへの論理接続を用いて、ネットワーク環境で動作してもよい。説明を簡単にするために、
図9に示されるコンピュータデバイス900は、ネットワーク920(これは、特定のネットワークまたはネットワークプロトコルに限定されず、イーサネット(登録商標)、ブルートゥース(登録商標)、IEEE802.X無線プロトコル等を含んでもよい)に接続されるものとする。
図9に示される論理接続は、一般的なネットワーク接続921であり、例えばローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)その他のネットワーク(例えばイーサネット(登録商標))であってよい。コンピュータデバイス900は、ネットワークインタフェースまたはアダプタ(これらは、今度はシステムバス904に接続される)を介して、この一般的なネットワーク接続921に接続される。ネットワーク環境では、コンピュータデバイス900に関連して示されるプログラムモジュール(またはその一部や周辺)は、1つ以上のコンピュータデバイス(これらは、一般的なネットワーク921を介してコンピュータデバイス900に通信可能に接続される)のメモリに保存されてもよい。図示されるネットワーク接続は典型的なものであり、コンピュータデバイス間の通信を確立する別の手段が使われもよい。
【0182】
[解釈]
[バス]
本明細書の文脈では、「バス」という用語およびその派生語は、データ通信のための任意のシステムを広く指す。ただし好ましい実施の形態では、様々なデバイスを相互接続するためのバスサブシステム、例えばIndustry Standard Architecture(ISA)、conventional Peripheral Component Interconnect(PCI)等を含むパラレル接続や、PCI Express(PCIe)、Serial Advanced Technology Attachment(Serial ATA)等のシリアル接続を指すこともある。
【0183】
[~に従って]
本明細書では「~に従って」は「~の関数として」を意味することもあり、関連する特定の整数には限定されない。
【0184】
[構成部品]
本明細書では「コンピュータ実行方法」は、単一のコンピュータデバイスで実行されることを暗示しない。すなわちこうした方法のステップは、複数のコンピュータデバイスが共同で実行してもよい。
【0185】
同様に本明細書で「Webサーバ」「サーバ」「クライアントコンピュータデバイス」「コンピュータ読み取り可能媒体」といったときは、単一の対象に限らず、複数の対象として実行されることもある。たとえばWebサーバは、サーバファームにおける複数のWebサーバが共同で1つの目的を達成することもあるし、コンピュータ読み取り可能媒体は複形態として分散されることもある。例えばライセンスキーによって起動されるコンパクトディスク内のプログラムコードが、コンピュータネットワークからダウンロード可能である場合もある。
【0186】
[プロセス]
特段の断りのない限り、本明細書全体を通して、「プロセス」「コンピューティング」「計算」「決定」「分析」といった用語は、コンピュータ、コンピュータシステムその他の電気的計算デバイスの実行および/またはプロセスのことをいう。これは、物理量(例えば電気)として表現されたデータを処理および/または同様に物理量として表現されたデータに変換する。
【0187】
[プロセッサ]
同様に「プロセッサ」という用語は、電気的データを処理する任意のデバイスまたはデバイスの一部のことをいう。こうした処理は、例えばレジスタおよび/またはメモリからのデータを他の電気的データに変換することや、レジスタおよび/またはメモリに保存すること含む。「コンピュータ」「コンピュータデバイス」「計算機」「計算プラットフォーム」は、1つ以上のプロセッサを含んでもよい。
【0188】
本明細書における方法は、ある実施の形態では、命令セット(これは1つ以上のプロセッサで実行されると、本明細書に係る少なくとも1つの方法を実行する)を含むコンピュータ読み取り可能(または器械読み取り可能とも言われる)なコードを受け入れる1つ以上のプロセッサで実行できる。命令セットを(シーケンシャルその他の方法で)実行できる任意のプロセッサであって、取るべきアクションを特定できるものが含まれる。従って、一例では、プロセッサを含む典型的なプロセシングシステムも一例に含まれる。プロセシングシステムは、メインRAM、静的RAMおよび/またはROMを含むメモリサブシステムをさらに含んでもよい。
【0189】
[コンピュータ読み取り可能媒体]
さらに、コンピュータ読み取り可能媒体が、コンピュータプログラムプロダクトを形成してもよいし、コンピュータプログラムプロダクトに含まれてもよい。コンピュータプログラムプロダクトは、コンピュータ使用可能媒体上に保存されてもよい。コンピュータ読み取り可能媒体を備えたコンピュータプログラムプロダクトは、本明細書の方法を実行するためにプロセッサを起動してもよい。
【0190】
[ネットワークまたはマルチプロセッサ]
代替的な実施の形態では、1つ以上のプロセッサが、スタンドアロンデバイスとして動作する。あるいは、1つ以上のプロセッサ同士がネットワーク配置内で接続され、例えば他のプロセッサとネットワークを形成してもよい。1つ以上のプロセッサは、サーバ-クライアントシステム環境におけるサーバまたはクライアントマシンの範囲内で動作してもよく、ピア・ツー・ピアまたは分散ネットワーク環境におけるピアマシンとして動作してもよい。1つ以上のプロセッサは、ウェブアプライアンス、ネットワークルータ、スイッチまたはブリッジ、その他の任意の命令セットを(シーケンシャルその他の方法で)実行可能な任意のマシンであって取るべきアクションを特定できるものであってもよい。
【0191】
いくつかの図面はコンピュータ読み取り可能コードを実行する単一のプロセッサまたは単一のメモリのみを示すが、ここには上記の複数の構成要素が含まれることもある(ただし、発明的態様を曖昧にしないため、明示的に示さないこともある)。例えば単一のマシンのみが示されている場合も、「マシン」という用語は、マシンの集合(これらは、個別にまたは共同して、本明細書の任意の1つ以上の方法を実現するために、命令セットを実行する)を表す場合もある。
【0192】
[追加的な実施の形態]
本明細書の各方法のある実施の形態は、命令セット(例えば1つ以上のプロセッサで実行されるコンピュータプログラム)を保存したコンピュータ読み取り可能媒体の形を取る。従って本発明の実施の形態は、方法、特定の目的のための装置、データ処理システムとの装置、コンピュータ読み取り可能媒体などであってよい。コンピュータ読み取り可能媒体は、コンピュータ読み取り可能コード(これは、1つ以上のコンピュータで実行されると、プロセッサに方法を実行させる命令セットを含む)を保存する。従って、本発明の態様は、方法、全体としてハードウェア、全体としてソフトウェア、またはハードウェアとソフトウェアとの組み合わせの形を取ってもよい。さらに本発明は、記憶媒体(例えばコンピュータ読み取り可能媒体上に記憶されたコンピュータプログラムプロダクト)の形を取ってもよい。
【0193】
[記憶媒体]
ソフトウェアは、ネットワークインタフェースデバイスを介して、ネットワーク上で送信または受信されてもよい。ある実施の形態では、記憶媒体は単一の記憶媒体として示されるが、「記憶媒体」という用語は、単数または複数の媒体(例えば集中したまたは分散したデータベース、および/または関連するキャッシュおよびサーバ)を含む。さらに「記憶媒体」という用語は、命令セット(これは、1つ以上のコンピュータで実行されると、プロセッサに本発明の1つ以上の方法を実行させる)を保存、エンコードまたは保存することのできる任意の媒体を含む。記憶媒体は、不揮発性媒体、揮発性媒体および伝送媒体を含む任意の形を取ってもよい。
【0194】
[実装]
ある実施の形態では、上記の方法のステップは、ストレージ内に保存された命令(コンピュータ実行可能なコード)を実行する処理システム(すなわちコンピュータ)の適切なプロセッサにより実行される。本発明は、特定の実装またはプログラミング技術に限定されず、上記の機能を実行するための任意の的確な技術を用いて実行されてもよい。本発明は、特定のプログラミング言語またはオペレーティングシステムに限定されない。
【0195】
[方法または機能を実現する手段]
さらにいくつかの実施の形態は、プロセッサ、プロセッサデバイス、コンピュータシステムまたは本機能を実現する任意の主題により実行可能な方法または方法の要素の組み合わせとして記述される。従って、このような方法(または方法の要素)を実行するために必要な命令を伴うプロセッサは、方法(または方法の要素)を実行する手段となる。さらに本明細書における装置の要素は、本発明を実現するための要素を実行する機能を実現するための手段の一例である。
【0196】
[接続される]
同様に「接続される」という用語は、請求項の中で使われるとき、接続のみを指すように限定解釈されない。従って、デバイスBに接続されたデバイスAという表現の範囲は、デバイスAの出力が直接デバイスBの入力に直接接続されるような装置またはシステムに限定されない。この表現は、Aの出力とBの出力との間に何らかの経路が存在することを意味する。この経路は、他のデバイスや手段を含んでもよい。「接続される」は、2つ以上の要素が「直接物理的に」または「電気的に」接触していることを意味することもある。さらに「接続される」は、2つ以上の要素が互いに直接接触してはいないが、互いに協働または相互作用することを意味することもある。
【0197】
[実施の形態]
本明細書全体を通して「実施の形態」「ある実施の形態」「構成」「ある構成」といったときは、明細書で説明された実施の形態/構成の特定の特徴、構造または特性が、本発明の少なくとも1つの実施の形態/構成に含まれることを意味する。従って本明細書で「ある実施の形態では」といったときは、同じ実施の形態/構成のすべてを意味するとは限らない。さらに、1つ以上の実施の形態/構成においては、当業者に明らかなように、ある特定の特徴、構造または特性が任意の好適な仕方で組み合わされてもよい。
【0198】
同様に、本発明の上記に実施例では、1つの実施の形態/構成、図面または詳細な説明において、本発明の様々な特徴はしばしばグループ化される。これは本開示を合理的なものにすること、および1つ以上の様々な発明的態様の理解を助けることを目的とする。しかしながらこの開示方法は、請求項に記載の発明が、請求項に明示的に書かれた事項を越えた特徴を要求することを意図しない。むしろ以下の請求項に記載の発明は、上記の詳細な説明に記載された実施の形態/構成のすべての特徴のうち、その一部のみを持つ場合もある。従って以下の請求項は詳細な説明の一部であり、請求項自体が本発明の1つの独立した実施の形態/構成である。
【0199】
本明細書に記載のいくつかの実施の形態/構成は、非限定的に他の実施の形態/構成、異なる実施の形態/構成に含まれる特徴を含む。一方、異なる実施の形態/構成の組み合わせも、本発明の範囲に含まれ、異なる実施の形態/構成を形成する。以上は当業者に理解される通りである。例えば以下の請求項におけるいずれの実施の形態/構成も、組み合わせて使うことができる。
【0200】
[特定の詳細]
本明細書でいくつかの特定の詳細を説明する。しかし、本発明はこうした特定の詳細がなくても実施できる。既知の方法、構造および技術については、本発明の理解をあいまいにしないために、詳細に説明しないこともある。
【0201】
[用語]
明確化のため、本発明の図示された好ましい実施の形態に関し、特定の用語を用いることがある。しかし本発明は、これらの選ばれた特定の用語に限定されない。これらの特定の用語の各々は、同様の技術的課題を解決するために同様の方法で使われる同等の技術内容を含む。「前方に」「後方に」「半径方向に」「円周方向に」「上方に」「下方に」といった用語は、参照点を与えるのに便利な言葉として使われるが、発明を限定するためには使われない。
【0202】
[対象の異なる例]
特段の断りのない限り、本明細書において通常の対象に対して使われる「第1の」「第2の」「第3の」といった用語は、単に同様の対象の異なる例を意味する。これらの用語は、時間、空間、階層等に関する所定の順序を指すのではない。
【0203】
[発明の範囲]
本発明の好ましい実施の形態と考えられるものを説明したが、本発明の思想を逸脱することなく他のさらなる変形が可能であることは、当業者の理解する通りである。こうした改造および変形もまた、本発明の範囲に含まれる。図示された機能ブロックにはいくつかの機能が省略されたり追加されたりしてもよく、機能ブロック間の動作が交換されてもよい。本発明の範囲内で、本明細書の方法に、いくつかのステップが追加されたり省略されたりしてもよい。
【0204】
特定の例を参照して本発明を説明したが、本発明は他の多くの形態を取ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0205】
上記の実施の形態がモバイルデバイス産業、特にモバイルデバイスを用いてデジタル媒体を提供する方法およびシステムに適用可能であることは、上記の説明から明らかである。
【0206】
本明細書で説明/図示されたシステムおよび方法は、実質的に、モバイルデバイスを用いた眼検査アプリケーション、特にモバイルコンピュータデバイスを用いて眼鏡処方箋を自己決定するためのアプリケーションを与える。
【0207】
本明細書で説明した、および/または、図示したシステムおよび方法は、例示のみを用いて示され、本発明の範囲を限定しない。特段の断りのない限り、本明細書のシステムおよび方法の個々の態様および構成要素は、変形されてもよいし、既知の同等の構成要素を置き換えてもよいし、将来開発される未知の構成要素で置き換えられてもよい。様々なアプリケーションに関し、本明細書に記載のシステムおよび方法は、本発明のスコープおよび思想の範囲内で変形されてもよい。なぜなら、潜在的なアプリケーションの範囲は広く、本発明のシステムおよび範囲は様々な分野に利用可能だからである。
【手続補正書】
【提出日】2022-01-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モバイルコンピュータデバイスを用いてユーザの眼鏡処方箋の自己決定を可能とするシステムであって、
同時スプリットポイントフォーカス(SSPF)と、低遅延動的距離モニタリング(LLDDM)と、を備え、
前記モバイルコンピュータデバイスは、
データを保存するための揮発性メモリおよび不揮発性メモリと、
前記不揮発性メモリに保存されたプログラム命令を実行するように構成されたプロセッサと、
指示および画像をユーザに表示するために、前記プロセッサから情報を受信する表示スクリーンと、
検査中に、前記ユーザの瞳孔の画像を受信するように構成されたカメラと、を備え、
前記システムは、眼鏡処方箋を決定する方法を前記プロセッサに実行させるためのアプリケーションプログラム命令を備え、
前記方法は、
前記ユーザが近視であるかを決定するステップと、
前記ユーザが近視であった場合、前記ユーザが前記表示スクリーンの上に表示された画像情報を観察している間に、前記ユーザの眼の主径線および軸径線を決定するステップと、
前記ユーザが前記表示スクリーンの上に表示されたSSPF画像情報を観察している間に、前記ユーザの眼の主径線および軸径線における屈折パワー誤差をリアルタイムに決定するためにLLDDMシステムを起動するステップと、
前記LLDDMシステムを用いて得られた主径線および軸径線の値から、球面処方、円柱処方および軸処方を計算するステップと、
計算された処方値をユーザに表示するステップと、を含むことを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記ユーザが近視であるかを決定するステップは、前記プロセッサでプログラム命令を実行することによって実行される第2の方法を含み、
前記第2の方法は、
2色背景を有する第1部分を備えた画像を、前記表示スクリーンの上に表示するステップと、
前記ユーザに指示を与えるステップと、
前記ユーザにとってより鮮明に見える画像の部分に関する入力をユーザから受信するステップと、を含むことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記軸径線を決定するステップは、前記プロセッサでプログラム命令を実行することによって実行される第3の方法を含み、
前記第3の方法は、
放射状線の画像を前記表示スクリーンの上に表示するステップと、
前記ユーザに指示を与えるステップと、
前記ユーザにとってより鮮明に見える線の部分に関する入力をユーザから受信するステップと、を含むことを特徴とする請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
前記主径線を決定するステップは、前記プロセッサでプログラム命令を実行することによって実行される第4の方法を含み、
前記第4の方法は、
2色背景を含むハッシュライン画像を前記表示スクリーンの上に表示するステップと、
前記ユーザにとって線の鮮明さが同じに見えたときの、前記ユーザの検査対象の眼に対する前記表示スクリーンの位置に関する入力をユーザから受信するステップと、
前記表示スクリーンから前記ユーザの検査対象の眼までの距離を決定するステップと、を含むことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のシステム。
【請求項5】
前記表示スクリーンの上に表示される線の幅は、2ピクセル以上8ピクセル以下であることを特徴とする請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記表示スクリーンの上に表示される線の幅は、4ピクセル以上8ピクセル以下であることを特徴とする請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記表示スクリーンの上に表示される線の長さは、40mm以上60mm以下であることを特徴とする請求項5または6に記載のシステム。
【請求項8】
2色画像を備え、
前記2色画像は、
境界によって分割された少なくとも2つの背景部分を備えた2色背景画像と、
前記2つの背景部分の境界にまたがって前記2色背景画像に重ね合わされる画像と、を備え、
前記2色背景画像に重ね合わされた画像の各部分は、前記ユーザの検査対象の眼の眼球中心窩に同時に画像化されることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載のシステム。
【請求項9】
前記表示スクリーンから前記ユーザの検査対象の眼までの距離は、前記ユーザの検査対象の眼のライブビデオストリームを用いて決定されることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載のシステム。
【請求項10】
モバイルコンピュータデバイスを用いてユーザの眼鏡処方箋を自己決定する方法であって、
モバイルコンピュータデバイスを与えるステップを含み、
前記モバイルコンピュータデバイスは、
不揮発性メモリに保存されたプログラム命令を実行するように構成されたプロセッサと、
指示および画像をユーザに表示するために、前記プロセッサから情報を受信する表示スクリーンと、
検査中に、前記ユーザの瞳孔の画像を受信するように構成されたカメラと、を備え、
当該方法は、前記プロセッサに実行させるためのアプリケーションプログラム命令を与えるステップを含み、
前記アプリケーションプログラム命令は、
前記ユーザが近視であるかを決定するステップを実行させるプログラムコードと、
前記ユーザが近視であった場合、前記ユーザが前記表示スクリーンの上に表示された画像情報を観察している間に、前記ユーザの眼の主径線および軸径線を決定するステップを実行させるプログラムコードと、
前記主径線および前記軸径線の値から、球面処方、円柱処方および軸処方を計算するステップを実行させるプログラムコードと、を含
み、
前記自己決定する方法は、
前記表示スクリーンの上に2色画像を表示するステップをさらに含み、
前記2色画像は、
境界によって分割された少なくとも2つの背景部分を備えた2色背景画像と、
前記2つの背景部分の境界にまたがって前記2色背景画像に重ね合わされる画像と、を備え、
前記2色背景画像に重ね合わされた画像の各部分は、前記ユーザの検査対象の眼の眼球中心窩に同時に画像化されることを特徴とする方法。
【請求項11】
前記ユーザが近視であるかを決定するステップは、
2色背景を有する第1部分を備えた画像を、前記表示スクリーンの上に表示するステップを実行させるプログラムコードと、
前記ユーザに指示を与えるステップを実行させるプログラムコードと、
前記ユーザにとってより鮮明に見える画像の部分に関する入力をユーザから受信するステップを実行させるプログラムコードと、を含むことを特徴とする請求項
10に記載の方法。
【請求項12】
前記軸径線を決定するステップは、
放射状線の画像を前記表示スクリーンの上に表示するステップを実行させるプログラムコードと、
前記ユーザに指示を与えるステップを実行させるプログラムコードと、
前記ユーザにとってより鮮明に見える線の部分に関する入力をユーザから受信するステップを実行させるプログラムコードと、を含むことを特徴とする請求項
10または11に記載の方法。
【請求項13】
前記主径線を決定するステップは、
2色背景を含むハッシュライン画像を前記表示スクリーンの上に表示するステップを実行させるプログラムコードと、
前記ユーザにとって線の鮮明さが同じになったときの、前記ユーザの検査対象の眼に対する前記表示スクリーンの位置に関する入力をユーザから受信するステップを実行させるプログラムコードと、
前記表示スクリーンから前記ユーザの検査対象の眼までの距離を決定するステップを実行させるプログラムコードと、を含むことを特徴とする請求項
10から12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
前記表示スクリーンから前記ユーザの検査対象の眼までの距離は、前記ユーザの検査対象の眼のライブビデオストリームを用いて決定されることを特徴とする請求項
10から13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
2色背景は、第1部分と、第2部分と、境界と、を有する背景画像を備え、
前記第1部分と前記第2部分とは互いに隣接することを特徴とする請求項
10から14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
前記第1部分は赤の背景部分を備え、
前記第2部分は緑または青の背景部分を備えることを特徴とする請求項
15に記載の方法。
【請求項17】
ハッシュライン画像は、
赤の背景部分および緑の背景部分の両方の上に重ね合わされ、
前記境界に対する角度が概ね40度以上90度以下となるように調整されることを特徴とする請求項
15または16に記載の方法。
【請求項18】
前記ハッシュライン画像は、前記境界に対してほぼ垂直となるように調整されることを特徴とする請求項
17に記載の方法。
【手続補正書】
【提出日】2022-05-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モバイルコンピュータデバイスを用いてユーザの眼鏡処方箋の自己決定を可能とするシステムであって、
同時スプリットポイントフォーカス(SSPF)と、低遅延動的距離モニタリング(LLDDM)と、を備え、
前記モバイルコンピュータデバイスは、
データを保存するための揮発性メモリおよび不揮発性メモリと、
前記不揮発性メモリに保存されたプログラム命令を実行するように構成されたプロセッサと、
指示および画像をユーザに表示するために、前記プロセッサから情報を受信する表示スクリーンと、
検査中に、前記ユーザの瞳孔の画像を受信するように構成されたカメラと、を備え、
前記システムは、眼鏡処方箋を決定する方法を前記
プロセッサに実行させるアプリケーションプログラム命令を備え、
前記方法は、
前記ユーザが近視であるかを決定するステップと、
前記ユーザが近視であった場合、前記ユーザが前記表示スクリーンの上に表示された画像情報を観察している間に、前記ユーザの眼の主径線および軸径線を決定するステップと、
前記ユーザが前記表示スクリーンの上に表示されたSSPF画像情報を観察している間に、前記ユーザの眼の主径線および軸径線における屈折パワー誤差をリアルタイムに決定するためにLLDDMシステムを起動するステップと、
前記LLDDMシステムを用いて得られた主径線および軸径線の値から、球面処方、円柱処方および軸処方を計算するステップと、
計算された処方値をユーザに表示するステップと、を含むことを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記ユーザが近視であるかを決定するステップは、前記プロセッサでプログラム命令を実行することによって実行される第2の方法を含み、
前記第2の方法は、
2色背景を有する第1部分を備えた画像を、前記表示スクリーンの上に表示するステップと、
前記ユーザに指示を与えるステップと、
前記ユーザにとってより鮮明に見える画像の部分に関する入力をユーザから受信するステップと、を含むことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記軸径線を決定するステップは、前記プロセッサでプログラム命令を実行することによって実行される第3の方法を含み、
前記第3の方法は、
放射状線の画像を前記表示スクリーンの上に表示するステップと、
前記ユーザに指示を与えるステップと、
前記ユーザにとってより鮮明に見える線の部分に関する入力をユーザから受信するステップと、を含むことを特徴とする請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
前記主径線を決定するステップは、前記プロセッサでプログラム命令を実行することによって実行される第4の方法を含み、
前記第4の方法は、
2色背景を含むハッシュライン画像を前記表示スクリーンの上に表示するステップと、
前記ユーザにとって線の鮮明さが同じに見えたときの、前記ユーザの検査対象の眼に対する前記表示スクリーンの位置に関する入力をユーザから受信するステップと、
前記表示スクリーンから前記ユーザの検査対象の眼までの距離を決定するステップと、を含むことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のシステム。
【請求項5】
前記表示スクリーンの上に表示される線の幅は、2ピクセル以上8ピクセル以下であることを特徴とする請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記表示スクリーンの上に表示される線の幅は、4ピクセル以上8ピクセル以下であることを特徴とする請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記表示スクリーンの上に表示される線の長さは、40mm以上60mm以下であることを特徴とする請求項5または6に記載のシステム。
【請求項8】
2色画像を備え、
前記2色画像は、
境界によって分割された少なくとも2つの背景部分を備えた2色背景画像と、
前記2つの背景部分の境界にまたがって前記2色背景画像に重ね合わされる画像と、を備え、
前記2色背景画像に重ね合わされた画像の各部分は、前記ユーザの検査対象の眼の眼球中心窩に同時に画像化されることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載のシステム。
【請求項9】
前記表示スクリーンから前記ユーザの検査対象の眼までの距離は、前記ユーザの検査対象の眼のライブビデオストリームを用いて決定されることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載のシステム。
【請求項10】
モバイルコンピュータデバイスを用いてユーザの眼鏡処方箋を自己決定する方法であって、
モバイルコンピュータデバイスを与えるステップを含み、
前記モバイルコンピュータデバイスは、
不揮発性メモリに保存されたプログラム命令を実行するように構成されたプロセッサと、
指示および画像をユーザに表示するために、前記プロセッサから情報を受信する表示スクリーンと、
検査中に、前記ユーザの瞳孔の画像を受信するように構成されたカメラと、を備え、
当該方法は、前記
プロセッサに実行させるアプリケーションプログラム命令を与えるステップを含み、
前記アプリケーションプログラム命令は、
前記ユーザが近視であるかを決定するステップを実行させるプログラムコードと、
前記ユーザが近視であった場合、前記ユーザが前記表示スクリーンの上に表示された画像情報を観察している間に、前記ユーザの眼の主径線および軸径線を決定するステップを実行させるプログラムコードと、
前記主径線および前記軸径線の値から、球面処方、円柱処方および軸処方を計算するステップを実行させるプログラムコードと、を含み、
前記自己決定する方法は、
前記表示スクリーンの上に2色画像を表示するステップをさらに含み、
前記2色画像は、
境界によって分割された少なくとも2つの背景部分を備えた2色背景画像と、
前記2つの背景部分の境界にまたがって前記2色背景画像に重ね合わされる画像と、を備え、
前記2色背景画像に重ね合わされた画像の各部分は、前記ユーザの検査対象の眼の眼球中心窩に同時に画像化されることを特徴とする方法。
【請求項11】
前記ユーザが近視であるかを決定するステップは、
2色背景を有する第1部分を備えた画像を、前記表示スクリーンの上に表示するステップを実行させるプログラムコードと、
前記ユーザに指示を与えるステップを実行させるプログラムコードと、
前記ユーザにとってより鮮明に見える画像の部分に関する入力をユーザから受信するステップを実行させるプログラムコードと、を含むことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記軸径線を決定するステップは、
放射状線の画像を前記表示スクリーンの上に表示するステップを実行させるプログラムコードと、
前記ユーザに指示を与えるステップを実行させるプログラムコードと、
前記ユーザにとってより鮮明に見える線の部分に関する入力をユーザから受信するステップを実行させるプログラムコードと、を含むことを特徴とする請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
前記主径線を決定するステップは、
2色背景を含むハッシュライン画像を前記表示スクリーンの上に表示するステップを実行させるプログラムコードと、
前記ユーザにとって線の鮮明さが同じになったときの、前記ユーザの検査対象の眼に対する前記表示スクリーンの位置に関する入力をユーザから受信するステップを実行させるプログラムコードと、
前記表示スクリーンから前記ユーザの検査対象の眼までの距離を決定するステップを実行させるプログラムコードと、を含むことを特徴とする請求項10から12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
前記表示スクリーンから前記ユーザの検査対象の眼までの距離は、前記ユーザの検査対象の眼のライブビデオストリームを用いて決定されることを特徴とする請求項10から13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
2色背景は、第1部分と、第2部分と、境界と、を有する背景画像を備え、
前記第1部分と前記第2部分とは互いに隣接することを特徴とする請求項10から14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
前記第1部分は赤の背景部分を備え、
前記第2部分は緑または青の背景部分を備えることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
ハッシュライン画像は、
赤の背景部分および緑の背景部分の両方の上に重ね合わされ、
前記境界に対する角度が概ね40度以上90度以下となるように調整されることを特徴とする請求項15または16に記載の方法。
【請求項18】
前記ハッシュライン画像は、前記境界に対してほぼ垂直となるように調整されることを特徴とする請求項17に記載の方法。
【国際調査報告】