IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ タイム,インコーポレーテッドの特許一覧

特表2022-526893D-メチロシン組成物およびそれを調製するための方法
<>
  • 特表-D-メチロシン組成物およびそれを調製するための方法 図1
  • 特表-D-メチロシン組成物およびそれを調製するための方法 図2
  • 特表-D-メチロシン組成物およびそれを調製するための方法 図3
  • 特表-D-メチロシン組成物およびそれを調製するための方法 図4
  • 特表-D-メチロシン組成物およびそれを調製するための方法 図5
  • 特表-D-メチロシン組成物およびそれを調製するための方法 図6
  • 特表-D-メチロシン組成物およびそれを調製するための方法 図7
  • 特表-D-メチロシン組成物およびそれを調製するための方法 図8
  • 特表-D-メチロシン組成物およびそれを調製するための方法 図9
  • 特表-D-メチロシン組成物およびそれを調製するための方法 図10
  • 特表-D-メチロシン組成物およびそれを調製するための方法 図11
  • 特表-D-メチロシン組成物およびそれを調製するための方法 図12
  • 特表-D-メチロシン組成物およびそれを調製するための方法 図13
  • 特表-D-メチロシン組成物およびそれを調製するための方法 図14
  • 特表-D-メチロシン組成物およびそれを調製するための方法 図15
  • 特表-D-メチロシン組成物およびそれを調製するための方法 図16
  • 特表-D-メチロシン組成物およびそれを調製するための方法 図17
  • 特表-D-メチロシン組成物およびそれを調製するための方法 図18
  • 特表-D-メチロシン組成物およびそれを調製するための方法 図19
  • 特表-D-メチロシン組成物およびそれを調製するための方法 図20
  • 特表-D-メチロシン組成物およびそれを調製するための方法 図21
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-27
(54)【発明の名称】D-メチロシン組成物およびそれを調製するための方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 227/18 20060101AFI20220520BHJP
   C07C 229/36 20060101ALI20220520BHJP
   C07C 231/12 20060101ALI20220520BHJP
   C07C 237/20 20060101ALI20220520BHJP
   C07C 231/06 20060101ALI20220520BHJP
   C07C 253/16 20060101ALI20220520BHJP
   C07C 255/43 20060101ALI20220520BHJP
   B01J 23/44 20060101ALI20220520BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20220520BHJP
【FI】
C07C227/18 CSP
C07C229/36
C07C231/12
C07C237/20
C07C231/06
C07C253/16
C07C255/43
B01J23/44 A
C07B61/00 300
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021556728
(86)(22)【出願日】2020-03-18
(85)【翻訳文提出日】2021-11-04
(86)【国際出願番号】 US2020023299
(87)【国際公開番号】W WO2020197875
(87)【国際公開日】2020-10-01
(31)【優先権主張番号】62/822,242
(32)【優先日】2019-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514182366
【氏名又は名称】タイム,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100196243
【弁理士】
【氏名又は名称】運 敬太
(72)【発明者】
【氏名】ズカロ,ジョン
【テーマコード(参考)】
4G169
4H006
4H039
【Fターム(参考)】
4G169AA03
4G169BA08A
4G169BA08B
4G169BC72A
4G169BC72B
4G169CB02
4G169CB77
4G169DA08
4H006AA02
4H006AC46
4H006AC52
4H006AC53
4H006AC54
4H006BA25
4H006BA55
4H006BA66
4H006BB12
4H006BB14
4H006BB31
4H006BC10
4H006BC16
4H006BE01
4H006BE03
4H006BE60
4H006BJ50
4H006BP30
4H006BS10
4H006BU32
4H006BV21
4H006QN16
4H039CA65
4H039CB90
(57)【要約】
本開示は、式Iの化合物を調製するための方法であって、溶媒中で、十分な温度で少なくとも約48時間、式IIの化合物を水性酸と反応させて、式Iの化合物を生成するステップ:
[式中、R~Rは、本明細書中で定義される通りである]
を含む、方法を提供する。本明細書中に記載される方法に従って調製されるD-メチロシンおよび本明細書中で提供されるD-メチロシンを含む組成物も、提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物を調製するための方法であって、
溶媒中で、十分な温度で少なくとも約48時間、式IIの化合物を、水性酸と反応させて、式Iの化合物を生成するステップ:
【化1】
[式中、
は、C1~6アルキル、C3~8シクロアルキル、またはアリールであり;
~Rは、独立して、H、ハロ、C1~6アルキル、C1~6アルコキシ、C3~8シクロアルキル、またはアリールである]
を含む、方法。
【請求項2】
酸が、ハロゲン化水素水溶液、例えば、臭化水素である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
溶媒が、水性溶媒、例えば、水である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
溶媒の温度が、少なくとも約45℃、好ましくは、少なくとも約50℃である、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
が、C1~6アルキル、好ましくは、メチルである、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
~Rのうち1つまたは複数が、Hであり、好ましくは、R~RがすべてHである、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
式Iの化合物が、D-メチロシン(化合物1):
【化2】
である、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
式IIの化合物が、化合物2:
【化3】
である、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
溶媒中で、十分な温度で式IIIの化合物を水素化して、式IIの化合物またはその溶媒和物を調製するステップ:
【化4】
[式中、
~R10は、独立して、H、ハロ、C1~6アルキル、C2~6アルケニル、NR1112、OH、C1~6アルコキシ、またはアリールであり;
11およびR12は、独立して、HまたはC1~6アルキルである]
をさらに含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
水素化が、パラジウム触媒、例えば、Pd/C、および水素源、例えば、水素ガスまたはギ酸、好ましくは、ギ酸を用いて行われる、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
単回のパラジウム触媒、単回のギ酸、またはその組合せを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
ギ酸を少なくとも約1.1当量含む、請求項9または10に記載の方法。
【請求項13】
~R10のうち少なくとも1つが、Hであり、好ましくは、R~R10すべてが、Hである、請求項9~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
式IIIの化合物が、化合物3:
【化5】
である、請求項9~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
式IVの化合物を、加水分解剤と反応させて、式IIIの化合物を調製するステップ:
【化6】
をさらに含む、請求項9~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
加水分解剤が、酸、塩基、ヒドロペルオキシド、または酵素であり、好ましくは、酸である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
酸が、水性酸、例えば、硫酸である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
水性酸が、好ましくは、発熱反応を制御する速度で、式IVの化合物に加えられる、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
式IVの化合物が、化合物4:
【化7】
である、請求項15~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
(a)酸の存在下で式Vの化合物を式IVの化合物と反応させること;
【化8】
;および
(b)ステップ(b)の生成物を、シアン化物供給源と反応させることにより、式IVの化合物を調製するステップをさらに含む、請求項15~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
シアン化物供給源が、シアン化ナトリウムまたはシアン化カリウムであり、好ましくは、シアン化ナトリウムである、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
ステップ(a)が、おおよその周囲温度を下回る温度で行われる、請求項20または21に記載の方法。
【請求項23】
ステップ(b)が、高温、例えば、少なくとも約40℃で行われる、請求項20~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
式IVの化合物が、少なくとも約85%の収率で調製される、請求項20~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
式Vの化合物が、化合物5:
【化9】
である、請求項20~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
式VIの化合物が、化合物6:
【化10】
である、請求項20~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
(a)式Iの化合物を、式Iの化合物の塩に変換するステップと;
(b)化合物I塩を、精製された化合物Iに変換するステップと
をさらに含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
ステップ(a)が、水性酸、例えば、塩酸を用いて行われる、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
ステップ(a)が、高温、例えば、少なくとも約40℃で行われる、請求項27または28に記載の方法。
【請求項30】
ステップ(b)が、pHを約5~約6に調整することにより行われる、請求項27~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
ステップ(b)が、精製されたD-メチロシン(化合物1)を結晶化するステップをさらに含む、請求項26~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
(a)溶媒中で式IIIの化合物を加熱するステップと;
(b)ステップ(a)の溶液を冷却するステップと
をさらに含む、請求項9~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
ステップ(b)が、約室温を下回る温度、例えば、約-20℃~約20℃、好ましくは、約0℃~約5℃で行われる、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
請求項1~33のいずれか一項に記載の方法に従って調製される、D-メチロシン。
【請求項35】
請求項34のD-メチロシンを含む、組成物。
【請求項36】
D-メチロシンおよびL-メチロシンの混合物を含む、請求項35に記載の組成物。
【請求項37】
混合物が、組成物の重量に対して、少なくとも約50wt%のD-メチロシンを含む、請求項35または36に記載の組成物。
【請求項38】
混合物が、組成物の重量に対して、少なくとも約60wt%、少なくとも約70wt%、少なくとも約80wt%、少なくとも約90wt%、または約100wt%のD-メチロシンを含む、請求項35または36に記載の組成物。
【請求項39】
組成物の重量に対して、約55wt%のD-メチロシンおよび約45wt%のL-メチロシン、約60wt%のD-メチロシンおよび約40wt%のL-メチロシン、約70wt%のD-メチロシンおよび約30wt%のL-メチロシン、約80wt%のD-メチロシンおよび約20wt%のL-メチロシン、または約90wt%のD-メチロシンおよび約10wt%のL-メチロシンを含む、請求項35~38のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項40】
混合物が、組成物の重量に対して、少なくとも約50wt%のL-メチロシンを含む、請求項35または36に記載の組成物。
【請求項41】
混合物が、組成物の重量に対して、少なくとも約60wt%、少なくとも約70wt%、少なくとも約80wt%、少なくとも約90wt%、または約100wt%のL-メチロシンを含む、請求項35または36に記載の組成物。
【請求項42】
組成物の重量に対して、約55wt%のL-メチロシンおよび約45wt%のD-メチロシン、約60wt%のL-メチロシンおよび約40wt%のD-メチロシン、約70wt%のL-メチロシンおよび約30wt%のD-メチロシン、約80wt%のL-メチロシンおよび約20wt%のD-メチロシン、または約90wt%のL-メチロシンおよび約10wt%のD-メチロシンを含む、請求項35~38のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項43】
化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、または化合物6:
【化11】
である化合物またはその塩もしくは溶媒和物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001]本出願は、2019年3月22日出願の米国仮特許出願第62/822,242号の優先権を主張し、その開示を、参照により本明細書に組み込む。
【0002】
[0002]本発明は、D-メチロシン組成物およびそれらの調製のための方法に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003]メチロシンは、酵素チロシン水酸化酵素の阻害剤であり、患者に投与した場合、カテコールアミン、例えば、ドーパミン、アドレナリンおよびノルアドレナリンなどのレベルを枯渇させる。L-メチロシンは、副腎癌である褐色細胞腫を有する患者における高血圧治療において有用である。
【0004】
[0004]必要なものは、メチロシンを調製するための代替技術である。
【発明の概要】
【0005】
[0005]いくつかの実施形態では、本開示は、式Iの化合物を調製するための方法であって、溶媒中で、十分な温度で少なくとも約48時間、式IIの化合物を水性酸(aqueous acid)と反応させて、式Iの化合物を生成するステップ:
【化1】
[式中、R~Rは、本明細書中で定義される]
を含む、方法を提供する。いくつかの態様では、式Iの化合物は、D-メチロシン(化合物1)である。他の態様では、式IIの化合物は、化合物2:
【化2】
である。
【0006】
[0006]他の実施形態では、本開示は、本明細書中に記載される方法に従って調製されるD-メチロシンを提供する。
【0007】
[0007]さらなる実施形態では、本開示は、本明細書中で提供されるD-メチロシンを含む組成物を提供する。いくつかの態様では、本組成物は、D-メチロシンおよびL-メチロシンの混合物を含む。さらなる態様では、本組成物は、組成物の重量に対して、少なくとも約50wt%のD-メチロシンを含む混合物を含む。
【0008】
[0008]さらに他の実施形態では、本開示は、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、または化合物6:
【化3】
である化合物またはその塩もしくは溶媒和物を提供する。
【0009】
[0009]本発明の他の態様および実施形態は、本発明の次の詳細な説明から容易に明らかであろう。
【0010】
[0010]本出願は、添付した図面と併せて読まれる場合、さらに理解される。主題を例示する目的のために、図面において、主題の例示的な実施形態が示されるが、現在開示される主題は、開示される特定の組成物、方法、デバイス、および系に限定されない。さらに、図面は、必ずしも正確な比率ではない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】[0011]HO中の0.1%HPO(移動相A)、アセトニトリル中の0.1%HPO(移動相B)、流量1.0mL/分、および波長225nmを用いた、30℃でAgilent SB-C8 50×4.6mm、3.5μmカラムを用いた、化合物TFG026-D1についての高速液体クロマトグラム(HPLC)を示す図である。
図2】[0012]DMSO中の化合物TFG026-D1についてのプロトン核磁気共鳴(H-NMR)スペクトル(500MHz)を示す図である。
図3】[0013]Lunaフェニルヘキシル150×4.6mm、3μmクロマトグラフ、25℃、HO中の0.1%HPO(移動相A)、アセトニトリル中の0.1%HPO(移動相B)、流量0.8mL/分、および波長225nmを用いた、化合物TFG026-D2についてのHPLCクロマトグラフを示す図である。
図4】[0014]DMSO中の化合物TFG026-D2についてのH-NMRスペクトル(500MHz)を示す図である。
図5】[0015]Lunaフェニルヘキシル150×4.6mm、3μmクロマトグラフ、25℃、HO中の0.1%HPO(移動相A)、アセトニトリル中の0.1%HPO(移動相B)、流量0.8mL/分、および波長225nmを用いた、化合物TFG026-D2-純粋のHPLCクロマトグラフを示す図である。
図6】[0016]DMSO中の化合物TFG026-D2-純粋のH-NMRスペクトル(500MHz)を示す図である。
図7】[0017]Lunaフェニルヘキシル150×4.6mm、3μmクロマトグラフ、25℃、HO中の0.1%HPO(移動相A)、アセトニトリル中の0.1%HPO(移動相B)、流量0.8mL/分、および波長225nmを用いた、化合物TFG026-D3のHPLCクロマトグラフを示す図である。
図8】[0018]DMSO中の化合物TFG026-D3のH-NMRスペクトル(500MHz)を示す図である。
図9】[0019]図8H-NMRスペクトル低磁場サブセットを示す図である。
図10】[0020]図8H-NMRスペクトル高磁場サブセットを示す図である。
図11】[0021]Phenomenex Luna PFP(2)100A250×4.6mm、3μmクロマトグラフ、20℃、HO中の0.1%HPO(移動相A)、アセトニトリル中の0.1%HPO(移動相B)、流量0.8mL/分、および波長225nmを用いた、化合物TFG026-D4のHPLCクロマトグラフを示す図である。
図12】[0022]DMSO中の化合物TFG026-D4のH-NMRスペクトル(500MHz)を示す図である。
図13】[0023]DO中の化合物TFG026-D4のH-NMRスペクトル(500MHz)を示す図である。
図14】[0024]図13H-NMRスペクトル低磁場サブセットを示す図である。
図15】[0025]図13H-NMRスペクトル中間磁場サブセットを示す図である。
図16】[0026]化合物TGF026-D4-純粋のHPLCクロマトグラムを示す図である。
図17】[0027]DO中の化合物TGF026-D4-純粋のH-NMRスペクトル(500MHz)を示す図である。
図18】[0028]図17H-NMRスペクトル中間磁場サブセットを示す図である。
図19】[0029]図17H-NMRスペクトル高磁場サブセットを示す図である。
図20】[0030]図19H-NMRスペクトル高磁場サブセット1番を示す図である。
図21】[0031]図19H-NMRスペクトル高磁場サブセット2番を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[0032]本開示では、単数形「a」、「an」および「the」には、複数形の言及が含まれ、ある特定の数値への言及には、別段文脈で明らかに示されない限り、少なくともその特定の数値が含まれる。したがって、例えば、「材料(a material)」への言及は、かかる材料のうちの少なくとも1つおよび当業者に公知のそれらの相当物などへの言及である。
【0013】
[0033]値が、記述子「約」の使用による近似として表される場合、その特定の値は、別の実施形態を形成することが理解される。一般に、用語「約」の使用によって、所望の特性に応じて変わり得る近似が、開示される主題により得られようとすることが示され、その機能に基づいて、それが用いられる特定の文脈中で解釈されるべきである。当業者は、慣例的にこれを解釈することが可能であろう。いくつかの場合では、ある特定の値について用いられる有効数字の数は、単語「約」の範囲を決定する1つの限定されない方法であり得る。他の場合では、一連の値に用いられる段階的な変化は、各値についての用語「約」に利用可能な所期の範囲を決定するために用いることができる。存在する場合、すべての範囲は、包含的であり、結合可能である。すなわち、範囲に明記された値への参照は、その範囲内のあらゆる値を含む。
【0014】
[0034]用語「アルキル」は、1~6個の炭素原子、例えば、1、2、3、4、5、または6個の炭素原子を有する脂肪族基を意味し、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、またはヘキシルを含む。アルキルは、ハロ(F、Cl、Br、またはI、好ましくは、F)、-OH、-OC1~6アルキル、-CN、-NH、-NH(C1~6アルキル)、または-NH(C1~6アルキル)から選択される1つ、2つ、または3つの置換基と、場合によっては置換することができる。
【0015】
[0035]用語「アルコキシ」とは、上記で定義されるアルキルを有する、-O-アルキルを意味する。アルコキシは、ハロ(F、Cl、Br、またはI、好ましくは、F)、-OH、-OC1~6アルキル、-CN、-NH、-NH(C1~6アルキル)、または-NH(C1~6アルキル)から選択される1つ、2つ、または3つの置換基と、場合によっては置換することができる。
【0016】
[0036]用語「シクロアルキル」とは、3~8個の炭素原子、例えば、3、4、5、6、7、または8個の炭素原子を有する環式の脂肪族を意味し、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、またはシクロオクチルが含まれる。シクロアルキルは、ハロ(F、Cl、Br、またはI、好ましくは、F)、-OH、-OC1~6アルキル、-CN、-NH、-NH(C1~6アルキル)、または-NH(C1~6アルキル)から選択される1つ、2つ、または3つの置換基と、場合によっては置換することができる。
【0017】
[0037]用語「アルケニル」とは、2~6個の炭素原子、例えば、2、3、4、5、または6個の炭素原子および二重結合である不飽和の少なくとも1点を有する脂肪族基を意味する。したがって、アルケニルには、例えば、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、またはヘキセニルが含まれる。アルケニルは、ハロ(F、Cl、Br、またはI、好ましくは、F)、-OH、-C1~6アルキル、-OC1~6アルキル、-CN、-NH、-NH(C1~6アルキル)、または-NH(C1~6アルキル)から選択される1つ、2つ、または3つの置換基と、場合によっては置換することができる。
【0018】
[0038]本明細書中で用いられる用語「ハロゲン」または「ハロ」とは、CI、Br、F、またはI基を意味する。
【0019】
[0039]用語「アリール」とは、架橋、スピロ、および/または縮合環系を含めた、6~15員のモノラジカル二環式または三環式炭化水素環系を意味し、これらの環のうちの少なくとも1つは、芳香族である。アリール基は、6個(すなわち、フェニル)または約9~約15個の環原子、例えば、6個(すなわち、フェニル)または約9~約11個の環原子を含んでもよい。ある実施形態では、アリール基には、限定されないが、ナフチル、インダニル、インデニル、アントリル、フェナントリル、フルオレニル、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレニル、6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-ベンゾシクロヘプテニル、および6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-ベンゾシクロヘプテニルが含まれる。いくつかの実施形態では、アリールは、ナフチルである。アリールは、ハロ(F、Cl、Br、またはI、好ましくは、F)、-OH、-OC1~6アルキル、-CN、-NH、-NH(C1~6アルキル)、または-NH(C1~6アルキル)から選択される1つ、2つ、または3つの置換基と、場合によっては置換することができる。
【0020】
[0040]リストが示される場合、別段明記されない限り、そのリストの各個別の要素およびそのリストのあらゆる組合せが、別個の実施形態として解釈するべきであるということが理解されるべきである。例えば、「A、B、またはC」として示される実施形態のリストは、実施形態、「A」、「B」、「C」、「AまたはB」、「AまたはC」、「BまたはC」、または「A、B、またはC」を含めるものとして解釈されるべきである。
【0021】
[0041]明確にするために、本明細書において別々の実施形態の文脈中に記載されている、本発明のある特徴はまた、単一の実施形態で組み合わせて提供することもできるということが認識されるべきである。すなわち、明らかに両立しないかまたは除外されない限り、各個別の実施形態は、任意の他の実施形態(複数可)と組合せ可能とみなされ、そのような組合せは、別の実施形態であると考えられる。逆に、簡潔にするために、単一の実施形態の文脈中に記載されている、本発明の様々な特徴は、別々にまたは任意の適当な下位の組合せで提供することもできる。さらに、特許請求の範囲は、任意の場合による要素を除外するように起草され得ることにも留意されたい。したがって、sこの記述は、クレーム要素の列挙に関連して「単独で」、「唯一の」などの排他的な用語の使用、または「ネガティブな」限定の使用のための先の記載として働くことを意図している。最後に、一実施形態は、一連のステップの一部またはより一般的な構造の一部として記載することができ、各前記ステップはまた、それ自体独立した実施形態と考えることもできる。
【0022】
[0042]D-メチロシン組成物により提供される利点を考えると、それらの調製のための方法が提供される。本明細書中で用いられる場合、用語「D-メチロシン」、「D-α-メチロシン」、および「D-α-メチル-チロシン」は、同義的であり、2-アミノ-3-(4-ヒドロキシフェニル)-2-メチルプロパン酸を意味する。D-メチロシンは、次の構造:
【化4】
を有する。
【0023】
[0043]したがって、本開示は、式Iの化合物を調製する方法を提供した。
【化5】
【0024】
[0044]これらの化合物において、Rは、C1~6アルキル、C3~8シクロアルキル、またはアリールである。いくつかの実施形態では、Rは、C1~6アルキル、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、またはヘキシルなどである。好ましくは、Rは、メチルである。他の実施形態では、Rは、C3~8シクロアルキル、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、またはシクロオクチルなどである。さらなる実施形態では、Rは、アリール、例えば、フェニルである。
【0025】
[0045]R~Rは、独立して、H、ハロ、C1~6アルキル、C1~6アルコキシ、C3~8シクロアルキル、またはアリールである。いくつかの実施形態では、Rは、H、ハロ、C1~6アルキル、C1~6アルコキシ、C3~8シクロアルキル、またはアリールである。他の実施形態では、Rは、Hである。さらなる実施形態では、Rは、ハロ、例えば、F、Cl、Br、またはIなどである。さらに他の実施形態では、Rは、C1~6アルキル、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、またはヘキシルなどである。さらなる別の実施形態では、Rは、C1~6アルコキシ、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシ、またはヘキソキシなどである。他の実施形態では、Rは、C3~8シクロアルキル、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、またはシクロオクチルなどである。さらなる実施形態では、Rは、アリール、例えば、フェニルである。好ましくは、Rは、Hである。いくつかの実施形態では、Rは、H、ハロ、C1~6アルキル、C1~6アルコキシ、C3~8シクロアルキル、またはアリールである。他の実施形態では、Rは、Hである。さらなる実施形態では、Rは、ハロ、例えば、F、Cl、Br、またはIなどである。さらに他の実施形態では、Rは、C1~6アルキル、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、またはヘキシルなどである。さらなる別の実施形態では、Rは、C1~6アルコキシ、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシ、またはヘキソキシなどである。他の実施形態では、Rは、C3~8シクロアルキル、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、またはシクロオクチルなどである。さらなる実施形態では、Rは、アリール、例えば、フェニルである。好ましくは、Rは、Hである。いくつかの実施形態では、Rは、H、ハロ、C1~6アルキル、C1~6アルコキシ、C3~8シクロアルキル、またはアリールである。他の実施形態では、Rは、Hである。さらなる実施形態では、Rは、ハロ、例えば、F、Cl、Br、またはIなどである。さらに他の実施形態では、Rは、C1~6アルキル、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、またはヘキシルなどである。さらなる別の実施形態では、Rは、C1~6アルコキシ、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシ、またはヘキソキシなどである。他の実施形態では、Rは、C3~8シクロアルキル、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、またはシクロオクチルなどである。さらなる実施形態では、Rは、アリール、例えば、フェニルである。好ましくは、Rは、Hである。いくつかの実施形態では、Rは、H、ハロ、C1~6アルキル、C1~6アルコキシ、C3~8シクロアルキル、またはアリールである。他の実施形態では、Rは、Hである。さらなる実施形態では、Rは、ハロ、例えば、F、Cl、Br、またはIなどである。さらに他の実施形態では、Rは、C1~6アルキル、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、またはヘキシルなどである。さらなる別の実施形態では、Rは、C1~6アルコキシ、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシ、またはヘキソキシなどである。他の実施形態では、Rは、C3~8シクロアルキル、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、またはシクロオクチルなどである。さらなる実施形態では、Rは、アリール、例えば、フェニルである。好ましくは、Rは、Hである。
【0026】
[0046]好ましくは、すべてのR~Rは、Hである。さらに好ましくは、式Iの化合物は、D-メチロシンである。
【0027】
[0047]式Iの化合物を調製するための方法には、溶媒中で、十分な温度で少なくとも約48時間、式IIの化合物を水性酸と反応させるステップが含まれる。
【化6】
【0028】
[0048]式IIのこれらの化合物において、Rは、C1~6アルキル、C3~8シクロアルキル、またはアリールである。いくつかの実施形態では、Rは、C1~6アルキル、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、またはヘキシルなどである。好ましくは、Rは、メチルである。他の実施形態では、Rは、C3~8シクロアルキル、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、またはシクロオクチルなどである。さらなる実施形態では、Rは、アリール、例えば、フェニルである。
【0029】
[0049]R~Rは、独立して、H、ハロ、C1~6アルキル、C1~6アルコキシ、C3~8シクロアルキル、またはアリールである。いくつかの実施形態では、Rは、H、ハロ、C1~6アルキル、C1~6アルコキシ、C3~8シクロアルキル、またはアリールである。他の実施形態では、Rは、Hである。さらなる実施形態では、Rは、ハロ、例えば、F、Cl、Br、またはIなどである。さらに他の実施形態では、Rは、C1~6アルキル、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、またはヘキシルなどである。さらなる別の実施形態では、Rは、C1~6アルコキシ、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシ、またはヘキソキシなどである。他の実施形態では、Rは、C3~8シクロアルキル、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、またはシクロオチルなどである。さらなる実施形態では、Rは、アリール、例えば、フェニルである。好ましくは、Rは、Hである。いくつかの実施形態では、Rは、H、ハロ、C1~6アルキル、C1~6アルコキシ、C3~8シクロアルキル、またはアリールである。他の実施形態では、Rは、Hである。さらなる実施形態では、Rは、ハロ、例えば、F、Cl、Br、またはIなどである。さらに他の実施形態では、Rは、C1~6アルキル、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、またはヘキシルなどである。さらなる別の実施形態では、Rは、C1~6アルコキシ、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシ、またはヘキソキシなどである。他の実施形態では、Rは、C3~8シクロアルキル、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、またはシクロオクチルなどである。さらなる実施形態では、Rは、アリール、例えば、フェニルである。好ましくは、Rは、Hである。いくつかの実施形態では、Rは、H、ハロ、C1~6アルキル、C1~6アルコキシ、C3~8シクロアルキル、またはアリールである。他の実施形態では、Rは、Hである。さらなる実施形態では、Rは、ハロ、例えば、F、Cl、Br、またはIなどである。さらに他の実施形態では、Rは、C1~6アルキル、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、またはヘキシルなどである。さらなる別の実施形態では、Rは、C1~6アルコキシ、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシ、またはヘキソキシなどである。他の実施形態では、Rは、C3~8シクロアルキル、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、またはシクロオクチルなどである。さらなる実施形態では、Rは、アリール、例えば、フェニルである。好ましくは、Rは、Hである。いくつかの実施形態では、Rは、H、ハロ、C1~6アルキル、C1~6アルコキシ、C3~8シクロアルキル、またはアリールである。他の実施形態では、Rは、Hである。さらなる実施形態では、Rは、ハロ、例えば、F、Cl、Br、またはIなどである。さらに他の実施形態では、Rは、C1~6アルキル、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、またはヘキシルなどである。さらなる別の実施形態では、Rは、C1~6アルコキシ、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシ、またはヘキソキシなどである。他の実施形態では、Rは、C3~8シクロアルキル、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、またはシクロオクチルなどである。さらなる実施形態では、Rは、アリール、例えば、フェニルである。好ましくは、Rは、Hである。
【0030】
[0050]好ましくは、すべてのR~Rは、Hである。さらに好ましくは、Rは、メチルであり、すべてのR~Rは、Hである、すなわち、式IIの化合物は、化合物2である。
【化7】
【0031】
[0051]記載される通り、本方法には、溶媒中で、十分な温度で少なくとも約48時間、式IIの化合物を水性酸と反応させるステップが含まれる。いくつかの実施形態では、水性酸は、ハロゲン化水素水溶液、例えば、塩化水素、臭化水素、またはヨウ化水素などである。さらに好ましくは、水性酸は、臭化水素である。溶媒は、当業者により水性溶媒から選択することができる。本明細書中で用いられる、用語「水性」とは、液体の総体積に対して、水を少なくとも約10vol%含有する液体を意味する。いくつかの実施形態では、水性の液体は、液体の総体積に対して、水を少なくとも約20vol%、約30vol%、約40vol%、約50vol%、約60vol%、約70vol%、約80vol%、約90vol%、約95vol%、または約99vol%含有する。いくつかの実施形態では、溶媒は、中でもとりわけ、エーテル水溶液、例えば、ジエチルエーテル、ジメチルエーテル、メチルエチルエーテル、ジフェニルエーテル、もしくはジプロピルエーテル、または水である。好ましくは、溶媒は、水である。
【0032】
[0052]望ましくは、反応は、高温で、すなわち、室温を超える温度で行われる。いくつかの実施形態では、反応は、少なくとも約30℃、約35℃、約40℃、約45℃、約50℃、約55℃、または約60℃の温度で行われる。好ましくは、反応は、約40~約55℃、約40~約50℃、約40~約45℃、約45~約55℃、約45~約50℃、約50~約55℃で行われる。さらに好ましくは、反応は、約45~約55℃で行われる。反応は、式IIの化合物を式Iの化合物に変換するのに十分な期間、望ましくは行われる。いくつかの実施形態では、反応は、少なくとも約1日間、または少なくとも約2、約3、約4、約5、約6、もしくは約7日間、好ましくは、少なくとも約2日間行われる。式Iの化合物は、当業者に公知の技法を用いて単離することができる。いくつかの実施形態では、式Iの化合物は、中和を用いて単離される。当業者は、中でも、中和のために適当な塩基、限定されないが、水酸化物塩基、中でもとりわけ、例えば、水酸化アンモニウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、もしくは水酸化リチウムなど、またはそれらの組合せから選択することが可能であるはずである。
【0033】
[0053]式IIの化合物は、式IIIの化合物から調製することができる。
【化8】
【0034】
[0054]式IIIの化合物において、R~Rは、上記で定義される通りであり、R~R10は、独立して、H、ハロ、C1~6アルキル、C2~6アルケニル、NR1112、OH、C1~6アルコキシ、またはアリールであり;R11およびR12は、独立して、HまたはC1~6アルキルである。いくつかの実施形態では、Rは、H、ハロ、C1~6アルキル、C2~6アルケニル、NR1112、OH、C1~6アルコキシ、またはアリールである。他の実施形態では、Rは、Hである。さらなる実施形態では、Rは、ハロ、例えば、F、Cl、またはBrなどである。さらなる実施形態では、Rは、C1~6アルキル、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、またはヘキシルなどである。さらに他の実施形態では、Rは、C2~6アルケニル、例えば、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、またはヘキセニルなどである。さらなる実施形態では、Rは、NR1112、例えば、NHまたはN(C1~6アルキル)(C1~6アルキル)である。さらに他の実施形態では、Rは、OHである。さらなる別の実施形態では、Rは、C1~6アルコキシ、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシ、またはヘキソキシなどである。またさらなる実施形態では、Rは、アリール、例えば、フェニルである。
【0035】
[0055]いくつかの実施形態では、Rは、H、ハロ、C1~6アルキル、C2~6アルケニル、NR1112、OH、C1~6アルコキシ、またはアリールである。他の実施形態では、Rは、Hである。さらなる実施形態では、Rは、ハロ、例えば、F、Cl、またはBrなどである。さらなる実施形態では、Rは、C1~7アルキル、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、またはヘキシルなどである。さらに他の実施形態では、Rは、C2~6アルケニル、例えば、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、またはヘキセニルなどである。さらなる実施形態では、Rは、NR1112、例えば、NHまたはN(C1~6アルキル)(C1~6アルキル)である。さらに他の実施形態では、Rは、OHである。さらなる別の実施形態では、Rは、C1~6アルコキシ、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシ、またはヘキソキシなどである。またさらなる実施形態では、Rは、アリール、例えば、フェニルである。
【0036】
[0056]いくつかの実施形態では、Rは、H、ハロ、C1~6アルキル、C2~6アルケニル、NR1112、OH、C1~6アルコキシ、またはアリールである。他の実施形態では、Rは、Hである。さらなる実施形態では、Rは、ハロ、例えば、F、Cl、またはBrなどである。さらなる実施形態では、Rは、C1~8アルキル、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、またはヘキシルなどである。さらに他の実施形態では、Rは、C2~6アルケニル、例えば、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、またはヘキセニルなどである。さらなる実施形態では、Rは、NR1112、例えば、NHまたはN(C1~6アルキル)(C1~6アルキル)である。さらに他の実施形態では、Rは、OHである。またさらなる実施形態では、Rは、C1~6アルコキシ、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシ、またはヘキソキシなどである。さらなる実施形態では、Rは、アリール、例えば、フェニルである。
【0037】
[0057]いくつかの実施形態では、Rは、H、ハロ、C1~6アルキル、C2~6アルケニル、NR1112、OH、C1~6アルコキシ、またはアリールである。他の実施形態では、Rは、Hである。さらなる実施形態では、Rは、ハロ、例えば、F、Cl、またはBrなどである。さらなる実施形態では、Rは、C1~9アルキル、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、またはヘキシルなどである。さらに他の実施形態では、Rは、C2~6アルケニル、例えば、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、またはヘキセニルなどである。さらなる実施形態では、Rは、NR1112、例えば、NHまたはN(C1~6アルキル)(C1~6アルキル)である。さらに他の実施形態では、Rは、OHである。またさらなる実施形態では、Rは、C1~6アルコキシ、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシ、またはヘキソキシなどである。さらなる実施形態では、Rは、アリール、例えば、フェニルである。
【0038】
[0058]いくつかの実施形態では、R10は、H、ハロ、C1~6アルキル、C2~6アルケニル、NR1112、OH、C1~6アルコキシ、またはアリールである。他の実施形態では、R10は、Hである。さらなる実施形態では、R10は、ハロ、例えば、F、Cl、またはBrなどである。さらなる実施形態では、R10は、C1~10アルキル、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、またはヘキシルなどである。さらに他の実施形態では、R10は、C2~6アルケニル、例えば、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、またはヘキセニルなどである。さらなる実施形態では、R10は、NR1112、例えば、NHまたはN(C1~6アルキル)(C1~6アルキル)である。さらに他の実施形態では、R10は、OHである。またさらなる実施形態では、R10は、C1~6アルコキシ、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシ、またはヘキソキシなどである。さらなる実施形態では、R10は、アリール、例えば、フェニルである。
【0039】
[0059]好ましくは、R~R10のうちの少なくとも1つが、Hであり、さらに好ましくは、すべてのR~R10は、Hである。他の態様では、式IIIの化合物は、化合物3:
【化9】
である。
【0040】
[0060]式IIIの化合物は、溶媒中で、十分な温度で式IIIの化合物を水素化して、式IIの化合物またはその溶媒和物を調製することにより、式IIの化合物に変換することができる。いくつかの実施形態では、水素化は、パラジウム触媒および水素源を用いて行われる。パラジウム触媒は、中でもとりわけ、Pd/C、酢酸パラジウム、Pd(OAc)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、Pd(PPh、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)二塩酸塩、PdCl(PPh、または[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)二塩酸塩の中から当業者により選択することができる。パラジウム触媒は、1回で、または2回以上に分けて、例えば、2、3、4、もしくは5回に分けて、好ましくは、2回に分けて加えてもよい。本明細書中で用いられる場合、用語「水素源」とは、水素原子を供給する試薬を意味する。いくつかの実施形態では、水素源は、中でもとりわけ、水素ガス、エテン、プロペン、ブテン、もしくは酸、例えば、ギ酸、エタノール酸、プロパン酸、もしくはブタン酸、またはそれらの組合せである。好ましくは、水素源は、ギ酸である。水素源は、1回で、または2回以上に分けて、例えば、2、3、4、もしくは5回に分けて、好ましくは、2回に分けて加えてもよい。ある実施形態では、反応は、単回のパラジウム触媒、水素源、好ましくは、単回のギ酸の、またはその組合せを含む。望ましくは、過剰量の水素源が、水素化のために利用される。ある実施形態では、少なくとも約2、少なくとも約3、少なくとも約4、少なくとも約5、少なくとも約6、少なくとも約7、少なくとも約8、少なくとも約9、少なくとも約10、少なくとも約20、少なくとも約25、または少なくとも約50当量の水素源が、加えられる。望ましくは、反応は、高温で、すなわち、室温を超える温度で行われる。水素化は、少なくとも約30℃、約35℃、約40℃、約45℃、約50℃、約55℃、または約60℃の温度で行われる。好ましくは、水素化は、約40~約55℃、約40~約50℃、約40~約45℃、約45~約55℃、約45~約50℃、約50~約55℃で行われる。さらに好ましくは、水素化は、約45~約55℃で行われる。水素化は、アルコール溶媒、例えば、中でもとりわけ、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、またはそれらの組合せで行われる。好ましくは、アルコール溶媒は、メタノールである。
【0041】
[0061]式IIIの化合物は、式IVの化合物を、加水分解剤(hydrolyzing agent)と反応させることにより、調製することができる。式IVの化合物は、次の構造
【化10】
[式中、R~R10は、本明細書中で定義される]を有する。
【0042】
[0062]ある実施形態では、式IVの化合物は、化合物4:
【化11】
である。
【0043】
[0063]加水分解剤は、酸、塩基、ヒドロペルオキシド、または酵素である。いくつかの実施形態では、加水分解剤は、酸、例えば、硫酸、スルホン酸、例えば、CFSOH、ハロゲン化水素、例えば、塩酸、臭化水素酸、またはヨウ化水素酸、酢酸、またはポリリン酸、好ましくは、硫酸である。他の実施形態では、加水分解剤は、塩基、例えば、アミン、例えば、中でもとりわけ、アンモニア、ジエチルアミン、またはメチルアミンまたは炭酸水素ナトリウムである。さらなる実施形態では、加水分解剤は、ペルオキシド、例えば、中でもとりわけ、ヒドロペルオキシド、アセチルアセトンペルオキシド、tert-ブチルヒドロペルオキシド、もしくはジアセチルペルオキシド、またはそれらの組合せである。好ましくは、加水分解剤は、ヒドロペルオキシドである。さらに他の実施形態では、加水分解剤は、酵素、例えば、プロテアーゼ、アミラーゼ、またはリパーゼなどである。加水分解剤は、当業者により決定される通り、反応を制御する速度で加えられる。望ましくは、加水分解剤は、発熱反応を制御する速度で加えられる。いくつかの実施形態では、加水分解剤は、滴加されるまたは一定期間にわたって加えられる。他の実施形態では、加水分解剤は、少なくとも約1分、少なくとも約5分間、少なくとも約10分間、少なくとも約30分間、または少なくとも約60分間にわたって加えられる。加水分解は、溶媒、例えば、ジクロロメタン中で、および/または室温前の温度で行うことができる。好ましくは、加水分解は、約-25~約25℃、さらに好ましくは、約-10~約10℃、または最も好ましくは、約0~約10℃で行われる。反応は、限定されないが、ジクロロメタン、アルコール溶媒、例えば、中でもとりわけ、メタノール、酢酸エチル、プロパン-2-オン、シクロペンタンまたは2-メトニル(metnyl)テトラヒドロフランなど、または、例えば、酢酸エチル/エタノールまたはプロパン-2-オン/シクロペンタンなどの組合せを含めた、酸と混和する溶媒中で行うことができる。好ましくは、溶媒は、ジクロロメタンである。
【0044】
[0064]式IVの化合物は、(a)酸の存在下で式Vの化合物を式IVの化合物と反応させること;および(b)ステップ(a)の生成物をシアン化物供給源と反応させることにより調製され、R~R10は、本明細書中で定義される。
【化12】
【0045】
[0065]いくつかの実施形態では、式Vの化合物は、化合物5である。他の実施形態では、式VIの化合物は、化合物6である。さらなる実施形態では、式Vの化合物は、化合物5であり、式VIの化合物は、化合物6である。
【化13】
【0046】
[0066]式IVの化合物の調製において、ステップ(a)は、酸を用いて行われる。いくつかの実施形態では、酸は、溶媒中で、十分な温度で少なくとも約48時間、水性酸である。いくつかの実施形態では、水性酸は、ハロゲン化水素水溶液、例えば、塩化水素、臭化水素、またはヨウ化水素などである。好ましくは、水性酸は、塩化水素である。ステップ(a)は、おおよその周囲温度または室温未満の温度、すなわち、約25℃未満で行うことができる。好ましくは、ステップ(a)は、約-25~約25℃、さらに好ましくは、約-10~約10℃、または最も好ましくは、約0~約10℃で行われる。反応は、酸と混和する溶媒中で行うことができる。いくつかの実施形態では、ステップ(a)溶媒は、水性溶媒、好ましくは、水性アルコール溶媒、例えば、中でもとりわけ、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどである。好ましくは、アルコール溶媒は、メタノールである。
【0047】
[0067]式IVの化合物の形態へのステップ(b)は、シアン化物供給源をステップ(a)の生成物に加えるステップを含む。いくつかの実施形態では、シアン化物供給源は、シアン化ナトリウムまたはシアン化カリウム、好ましくは、シアン化ナトリウムである。ステップ(b)は、高温で、例えば、室温または周囲温度を超える温度で、望ましくは行われる。いくつかの実施形態では、ステップ(b)は、少なくとも約25℃、すなわち、少なくとも約30℃、約35℃、約40℃、約45℃、約50℃、または約55℃の温度で行われ、好ましくは、少なくとも約40℃で行われる。
【0048】
[0068]追加の精製ステップを行って、本明細書に記載される1種または複数の化合物を精製することができる。いくつかの実施形態では、式Iの化合物は精製され、好ましくは、化合物1は精製される。他の実施形態では、式IIの化合物は、精製される。さらなる実施形態では、式IIIの化合物は、精製される。さらに他の実施形態では、式IVの化合物は、精製される。
【0049】
[0069]化合物Iの精製は、式Iの化合物を、式Iの化合物の塩に変換し、次いで、化合物I塩を精製された化合物Iに変換することにより行うことができる。化合物Iの化合物I塩への変換は、水性酸を用いて行われる。いくつかの実施形態では、水性酸は、ハロゲン化水素、例えば、塩酸、臭化水素酸、またはヨウ化水素酸であり、好ましくは、塩酸である。塩は、高温、すなわち、室温を超える温度を用いて形成することができる。反応は、水性溶媒、例えば、水中で行われる。いくつかの実施形態では、反応は、少なくとも約25℃、約30℃、約40℃、約50℃、約60℃、または約70℃の温度で行われ、好ましくは、少なくとも約50℃で行われる。反応は、高温で、化合物I塩を形成するのに十分な期間維持される。いくつかの実施形態では、反応は、少なくとも約10分間、約20分間、約30分間、約40分間、約50分間、または約60分間維持され、好ましくは、少なくとも約30分間維持される。塩が形成された後、反応溶液は、場合によっては冷却される。いくつかの実施形態では、反応溶液は、約10~約30℃まで、好ましくは、約10~約25℃まで、またはさらに好ましくは、約15~約25℃まで、またはさらに一層好ましくは、約20℃まで冷却される。形成後、化合物I塩は、式Iの化合物に戻して変換することができる。ある実施形態では、化合物I塩の式Iの中性化合物への変換は、式Iの精製された化合物を結晶化することにより、好ましくは、精製されたD-メチロシンを結晶化することにより行われる。いくつかの実施形態では、精製された化合物Iは、pHを約4~約7まで調整することにより調製される。いくつかの実施形態では、pHは、約4、約4.5、約5、約5.5、約6、約6.5、または約7に調整される。好ましくは、pHは、約5~約6に調整される。pHは、酸性塩を、中性化合物に変換するのに適した条件を用いて、調整することができる。いくつかの実施形態では、pHは、塩基、例えば、水酸化物塩基、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、または水酸化アンモニウムなど、好ましくは、水酸化アンモニウムを用いて調整される。pHは、高温で、例えば、少なくとも約40℃で調整することができる。いくつかの実施形態では、pHは、約40℃、約45℃、約50℃、約55℃、約60℃、約65℃、もしくは約70℃、好ましくは、約40~約60℃、または好ましくは、約45~約55℃の温度で調整される。
【0050】
[0070]化合物IIIの精製は、結晶化により行うことができる。結晶化は、水性溶媒を用いて行うことができる。いくつかの実施形態では、溶媒は、水である。他の実施形態では、溶媒は、水および水と混和する別の溶媒、例えば、中でもとりわけ、メチルイソブチルケトン、酢酸、アセトン、アセトニトリル、N-メチル-2-ピロリドンなど、またはそれらの組合せを含有する。好ましくは、溶媒は、水/メチルイソブチルケトンである。結晶化は、高温で、例えば、少なくとも約40℃で行うことができる。いくつかの実施形態では、pHは、約40℃、約45℃、約50℃、約55℃、約60℃、約65℃、約70℃、約75℃、約80℃、約85℃、もしくは約90℃、好ましくは、約60~約90℃、またはさらに好ましくは、約70~約80℃の温度で調整される。高温は通常、当業者により決定される通り、ある一定期間維持され、次いで、溶液は冷却される。いくつかの実施形態では、溶液は、約室温を下回る温度、例えば、約-20~約20℃まで冷却される。いくつかの実施形態では、溶液は、約-20℃、約-15℃、約-10℃、約5℃、約0℃、約5℃、約10℃、約15℃、もしくは約20℃、好ましくは、約-5~約10℃、またはさらに好ましくは、約0~約5℃まで冷却される。
【0051】
[0071]D-メチロシンを含有する組成物
[0072]いくつかの実施形態では、本明細書において有用な医薬組成物は、他の場合による適当な薬学的に不活性なまたは不活性化の成分を含む薬学的に許容される担体または希釈剤中に、式Iの1種または複数の化合物、例えば、D-メチロシンを含有する。いくつかの実施形態では、式Iの1種または複数の化合物、例えば、D-メチロシンは、単一の組成物中に存在する。さらなる実施形態では、式Iの1種または複数の化合物、例えば、D-メチロシンは、1種または複数の賦形剤および/または以下に記載される他の治療薬と組み合わされる。ある実施形態では、D-メチロシンは、本明細書に記載される通りに調製される。
【0052】
[0073]本明細書に記載される組成物は、様々な量の含有される式Iの1種または複数の化合物を含有し得る。したがって、いくつかの実施形態では、本組成物は、様々な量のD-メチロシンを含有する。ある実施形態では、本組成物は、組成物の重量に対して、D-メチロシンを少なくとも約10wt%含有する。他の実施形態では、本組成物は、組成物の重量に対して、D-メチロシンを少なくとも約20wt%、少なくとも約30wt%、少なくとも約40wt%、少なくとも約50wt%、少なくとも約60wt%、少なくとも約70wt%、少なくとも約80wt%、少なくとも約90wt%、または約100wt%含有する。他の実施形態では、本組成物は、組成物の重量に対して、D-メチロシンを約10~約90wt%、約10~約80wt%、約10~約70wt%、約10~約60wt%、約10~約50wt%、約10~約40wt%、約10~約30wt%、約10~約20wt%、約20~約90wt%、約20~約80wt%、約20~約70wt%、約20~約60wt%、約20~約50wt%、約20~約40wt%、約20~約30wt%、約30~約90wt%、約30~約80wt%、約30~約70wt%、約30~約60wt%、約30~約50wt%、約30~約40wt%、約40~約90wt%、約40~約80wt%、約40~約70wt%、約40~約60wt%、またはD-メチロシンを約40~約50wt%含有する。さらなる実施形態では、本組成物は、組成物の重量に対して、D-メチロシンを約50~約99wt%含有する。さらに他の実施形態では、本組成物は、組成物の重量に対して、D-メチロシンを約50~約90wt%、約50~約80wt%、約50~約70wt%、約50~約60wt%、約60~約99wt%、約60~約90wt%、約60~約80wt%、約60~約70wt%、約70~約99wt%、約70~約90wt%、約70~約80wt%、約80~約99wt%、約90~約99wt%含有する。またさらなる実施形態では、本組成物は、組成物の重量に対して、D-メチロシンを少なくとも約50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、または99wt%含有する。
【0053】
[0074]本組成物はまた、D-メチロシンおよびL-メチロシンを含有する混合物であり得る。いくつかの実施形態では、混合物は、L-メチロシン、および組成物の重量に対して、D-メチロシンを少なくとも約10wt%含有する。さらなる実施形態では、混合物は、L-メチロシン、および組成物の重量に対して、D-メチロシンを少なくとも約15wt%、少なくとも約20wt%、少なくとも約25wt%、少なくとも約30wt%、少なくとも約35wt%、少なくとも約40wt%、少なくとも約45wt%、少なくとも約50wt%、少なくとも約55wt%、少なくとも約60wt%、少なくとも約65wt%、少なくとも約70wt%、少なくとも約75wt%、少なくとも約80wt%、少なくとも約85wt%、少なくとも約90wt%、少なくとも約95wt%、または少なくとも約99wt%を含有する。いくつかの実施形態では、混合物は、D-メチロシン、および組成物の重量に対して、L-メチロシンを少なくとも約10wt%含有する。他の実施形態では、混合物は、D-メチロシン、および組成物の重量に対して、L-メチロシンを少なくとも約15wt%、少なくとも約20wt%、少なくとも約25wt%、少なくとも約30wt%、少なくとも約35wt%、少なくとも約40wt%、少なくとも約45wt%、少なくとも約50wt%、少なくとも約55wt%、少なくとも約60wt%、少なくとも約70wt%、少なくとも約80wt%、少なくとも約90wt%、または約100wt%含有する。
【0054】
[0075]さらに他の実施形態では、混合物は、D-メチロシンを約10wt%およびL-メチロシンを約90wt%、D-メチロシンを約15wt%およびL-メチロシンを約85wt%、D-メチロシンを約20wt%およびL-メチロシンを約80wt%、D-メチロシンを約25wt%およびL-メチロシンを約75wt%、D-メチロシンを約30wt%およびL-メチロシンを約70wt%、D-メチロシンを約35wt%およびL-メチロシンを約65wt%、D-メチロシンを約40wt%およびL-メチロシンを約60wt%、D-メチロシンを約45wt%およびL-メチロシンを約55wt%、D-メチロシンを約55wt%およびL-メチロシンを約45wt%、D-メチロシンを約60wt%およびL-メチロシンを約40wt%、D-メチロシンを約65wt%およびL-メチロシンを約35wt%、D-メチロシンを約70wt%およびL-メチロシンを約30wt%、D-メチロシンを約75wt%およびL-メチロシンを約25wt%、D-メチロシンを約80wt%およびL-メチロシンを約20wt%、D-メチロシンを約85wt%およびL-メチロシンを約15wt%、またはD-メチロシンを約90wt%およびL-メチロシンを約10wt%含有する。
【0055】
[0076](i)塩
[0077]式Iの化合物、例えば、本明細書に記載される通りに調製されるD-メチロシンは、描かれた構造の生物活性を特徴とする、本明細書中で提供される構造の互変異性型を包含し得る。さらに、式I、式II、式III、式IV、式V、もしくは式VIの化合物、または化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、もしくは化合物6を含めた、本明細書に記載される化合物のうちのいずれかは、単離しても、薬学的にまたは生理学的に許容される酸、塩基、アルカリ金属およびアルカリ土類金属に由来する塩の形態で用いてもよい。
[0078]いくつかの実施形態では、薬学的に許容される塩は、例えば、酢酸、プロピオン酸、乳酸、クエン酸、酒石酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、マロン酸、マンデル酸、リンゴ酸、フタル酸、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硝酸、硫酸、メタンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸、および同様に公知の許容される酸を含めた、有機酸および無機酸から形成することができる。
【0056】
[0079]他の実施形態では、薬学的に許容される塩はまた、無機塩基、望ましくは、例えば、ナトリウム、リチウム、またはカリウム、例えば、アルカリ金属水酸化物を含めた、アルカリ金属塩から形成することもできる。無機塩基の例には、限定されないが、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、および水酸化マグネシウムが含まれる。薬学的に許容される塩は、有機塩基、例えば、アンモニウム塩、モノ-、ジ-、およびトリメチルアンモニウム、モノ-、ジ-、およびトリエチルアンモニウム、モノ-、ジ-、およびトリプロピルアンモニウム、エチルジメチルアンモニウム、ベンジルジメチルアンモニウム、シクロヘキシルアンモニウム、ベンジル-アンモニウム、ジベンジルアンモニウム、ピペリジニウム、モルホリニウム、ピロリジニウム、ピペラジニウム、1-メチルピペリジニウム、4-エチルモルホリニウム、1-イソプロピルピロリジニウム、1,4-ジメチルピペラジニウム、1 n-ブチルピペリジニウム、2-メチルピペリジニウム、l-エチル-2-メチルピペリジニウム、モノ-、ジ-、およびトリエタノールアンモニウム、エチルジエタノールアンモニウム、n-ブチルモノエタノールアンモニウム、トリス(ヒドロキシメチル)メチルアンモニウム、フェニルモノ-エタノールアンモニウム、ジエタノールアミン、エチレンジアミンなどから形成することもできる。一例では、塩基は、中でもとりわけ、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、およびそれらの混合物から選択される。
【0057】
[0080](ii)プロドラッグ
[0081]塩、ならびに本明細書に記載される通りに調製される他の化合物は、エステル、カルバメートの形態および他の従来の「プロドラッグ」の形態であり得、これらは、かかる形態で投与される場合、in vivoで活性部分に変換する。いくつかの実施形態では、プロドラッグは、エステルである。他の実施形態では、プロドラッグは、カルバメートである。例えば、参照により組み込まれる、B. Testa and J. Caldwell、「Prodrugs Revisited:The “Ad Hoc” Approach as a Complement to Ligand Design」、Medicinal Research Reviews、16巻(3号):233~241頁、John Wiley & Sons編(1996年)を参照のこと。
【0058】
[0082](iii)担体および希釈剤
[0083]医薬組成物には、ニートを配合するまたは投与用の1種もしくは複数の医薬担体と共に配合される、式Iの1種または複数の化合物、例えば、本明細書に記載される通りに調製されるD-メチロシンが含まれ、その割合は、化合物の溶解度および化学的性質、選択された投与経路および標準の薬理学的治療により決定される。医薬担体は、固体でも液体でもよい。
【0059】
[0084]式Iの化合物、例えば、本明細書に記載される通りに調製されるD-メチロシンは、単独で投与してもよく、また生理的に適合する1種または複数の医薬担体の存在下で投与することもできる。担体は、乾燥または液体の形態であり得、薬学的に許容されるものでなければならない。液体医薬組成物は、通常、減菌した溶液または懸濁液である。
【0060】
[0085]液体担体が利用される場合、それらは、望ましくは減菌した液体である。液体担体は、溶液、懸濁液、乳剤、シロップ剤およびエリキシル剤を調製するのに、通常利用される。一実施形態では、式Iの化合物、例えば、本明細書に記載される通り調製されるD-メチロシンは、液体担体に溶解される。別の実施形態では、化合物は、液体担体に懸濁される。配合物の当業者は、投与経路に応じて、適当な液体担体を選択することが可能であるはずである。一実施形態では、液体担体には、限定されないが、水、有機溶媒、油状物、脂肪、またはそれらの混合物が含まれる。別の実施形態では、液体担体は、セルロース誘導体、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウムを含有する水である。さらなる実施形態では、液体担体は、水および/またはジメチルスルホキシドである。有機溶媒の例には、限定されないが、アルコール、例えば、1価アルコールおよび多価アルコール、例えば、中でもとりわけ、グリコールおよびそれらの誘導体が含まれる。油状物の例には、限定されないが、分画されたヤシ油、ラッカセイ油、トウモロコシ油、ピーナッツ油、およびゴマ油ならびに油性エステル、例えば、オレイン酸エチルおよびミリスチン酸イソプロピルが含まれる。
【0061】
[0086]あるいは、式Iの化合物、例えば、本明細書に記載される通り調製されるD-メチロシンは、固体担体に配合することができる。一実施形態では、本組成物は、単位投与量形態、すなわち、錠剤またはカプレットに圧縮することができる。別の実施形態では、本組成物は、単位投与量形態、すなわち、カプセルに加えることができる。さらなる実施形態では、本組成物は、散剤として投与するために配合することができる。固体担体は、様々な機能を行うことができる、すなわち、以下に記載される賦形剤のうち2種以上の機能を行うことができる。例えば、固体担体はまた、矯味剤、滑沢剤、可溶化剤、懸濁化剤、充填剤、流動促進剤、圧縮助剤(compression aid)、結合剤、崩壊剤、または封入材料として働くこともできる。適当な固体担体には、限定されないが、リン酸カルシウム、リン酸二カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、デンプン、(例えば、ラクトースおよびスクロースを含む)糖類、(例えば、結晶セルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムを含む)セルロース、ポリビニルピロリジン(polyvinylpyrrolidine)、低融点ワックス(low melting wax)、イオン交換樹脂、およびカオリンが含まれる。固体担体は、以下に記載されるものを含めて、他の適当な賦形剤を含有することができる。
【0062】
[0087]式Iの化合物、例えば、本明細書に記載される通り調製されるD-メチロシンと組み合わせることができる、賦形剤の例には、限定されないが、アジュバント、酸化防止剤、結合剤、緩衝液、コーティング剤、着色剤、圧縮助剤、希釈剤、崩壊剤、乳化剤、皮膚軟化剤、封入材料、充填剤、矯味剤、流動促進剤、顆粒化剤、滑沢剤、金属キレート剤、浸透圧調節剤、pH調整剤、保存剤、可溶化剤、吸着剤、安定剤、甘味剤、界面活性剤、懸濁化剤、シロップ剤、増粘剤、または粘性調節剤が含まれる。参照により本明細書に組み込まれる、「Handbook of Pharmaceutical Excipients」、第5版:Rowe、Sheskey、and Owen、APhA Publications(Washington、DC)、2005年12月14日に記載されている賦形剤を参照のこと。
【0063】
[0088]次の例において、用いられる数(例えば、量、温度など)に関して精度を保証するよう努めているが、一部の実験誤差および偏差は、考慮するべきである。別段示されない限り、温度は、セルシウス度であり、圧力は、大気圧かまたはその近くである。
【実施例
【0064】
実施例1
【化14】
【0065】
[0089]ステップ1:TFG026-D1の調製(25g スケール)
[0090]清潔な反応器に、S-PhGA(1.0当量)、4MPA(1.0当量)、メタノール(3.8体積)および水(6.9体積)を入れた。反応器の内容物を、5±5℃に冷却し、次いで、濃HCl(1.0当量)を、内部温度を≦20℃に維持しながら入れた。先に少量の水(およそ0.3体積)を用いて残留するHClを注いだ後、内部温度を≦20℃に維持しながら、NaCN(1.0当量)を、15分にわたって少量ずつ入れた。残留するNaCNを、先に水(およそ0.3体積)ですすぎ、反応器の内容物を、45±5℃に加温した。34時間後、IPCサンプルを、HPLC分析のために取り出した。反応物を、20±5℃に冷却し、≧1.5時間熟成させた。これらの内容物を、ろ過し、ケークを、7:3(v/v)水:メタノール(2×1.9体積)で洗浄し、その後、2-プロパノール(2×1.7体積)で洗浄した。次いで、固体を、真空下で≦45℃で乾燥して、TFG026-D1(77%)を生成した。注:すべての算出は、4MPAに基づいている。
【0066】
[0091]ステップ2:TFG026-D2の調製(32g スケール)
[0092]清潔な反応器に、TFG026-D1(1.0当量)およびDCM(10体積)を入れ、その後、それを0±5℃に冷却した。硫酸(1.2質量当量(mass eq.))を、内部温度5±5℃を維持しながら、定速で1時間にわたって入れた。HPLC分析用のIPCサンプルを、直ちに取り出して、反応の完了を決定した。次いで、水(20体積)を、内部温度≦25℃を維持しながら、2時間にわたって反応混合物に入れた。次いで、反応混合物を、20±5℃で≧1時間熟成させた。層を分離し、有機層を、水(1体積)で洗浄した。合わせた有機層を、DCM(1体積)で洗浄した。次いで、合わせた水層を、≧30℃で蒸留して、すべての残留するDCMを除去した。次いで、水層を、5±5℃に冷却し、内部温度≦25℃を維持しながら、28~30%水酸化アンモニウム(3体積)で1.5時間にわたって処理した。ケークをろ過し、水(2×5体積)で洗浄し、固体を、真空下で(≦45℃)乾燥して、TFG026-D2(89%)を生成した。
【0067】
[0093]ステップ3:TFG026-D2純粋の調製(32g スケール)
[0094]清潔な反応器に、TFG026-D2(1.0当量)、水(1体積)およびMIBK(10体積)を入れた。次いで、スラリーを75±5℃で振とうして、清澄な溶液を得た。次いで、反応混合物を0~5℃に冷却し、≧1時間熟成させた。得られたスラリーをろ過し、ケークを、MIBK(2×1体積)で洗浄し、固体を真空下で35℃で乾燥して、精製されたTFG026-D2(95%)を得た。
【0068】
[0095]ステップ4:TFG026-D3の調製(30g スケール)
[0096]清潔な反応器に、TFG026-D2-純粋(1当量)、10%Pd/炭素(湿重量)(5wt%)、およびMeOH(5.7体積)を入れた。反応器の内容物を55±5℃に加温し、水(1.5体積)中のギ酸(7.5当量)の溶液を、≧30分にわたって加えて、内部温度55±5℃を維持した。≧1時間熟成させた後、IPCサンプルを、HPLC分析のために取り出して、反応の完了を決定した。反応混合物を20±5℃に冷却し、その後、ろ過した。触媒を、MeOH(3×1体積)で洗浄した。合わせたろ液を、およそ2体積に濃縮し、水(0.6体積)を入れた。この濃縮手順を2回繰り返した。次いで、DCM(10体積)を入れ、層を分離させた。次いで、水層を、より多くのDCM(3×5体積)で洗浄した。水相を、濃縮して、残留するDCMを除去し、次いで、TFG026-D3(62%)に凍結乾燥した。
【0069】
[0097]ステップ5:TFG026-D4の調製(18g スケール)
[0098]清潔な反応器に、TFG026-D4(1.0当量)、水(3体積)および48%HBr(11当量)を入れた。次いで、反応混合物を、加熱して還流し、およそ2日間振とうした後、反応は、HPLCによって完了したとみなされた。次いで、反応器の内容物を、50~55℃に冷却し、水酸化アンモニウムでpH=6に中和した。スラリーを、さらに20±5℃に冷却し、≧3時間熟成させた。反応混合物をろ過し、ケークを、水(3×3体積)で洗浄し、その後、2-プロパノール(2.5体積、次いで、1.5体積)で洗浄した。固体を真空乾燥して、TFG026-D4(53%)を得た。
【0070】
[0099]ステップ6:精製されたD-a-メチルチロシンの調製(10g スケール)
[00100]ガラス反応器に、TFG026-D4、6N HCl(水溶液)(4.0V)および水(3V)を入れた。次いで、スラリーを、50±5℃に加熱した。溶解したら、反応混合物をそのまま≧30分間熟成させた。加熱を止め、反応を放置して、20±5℃に冷却した。次いで、50±5℃で、28~30%水酸化アンモニウムによってpHを5~6に調整した。次いで、スラリーを、10±5℃に冷却し、1時間熟成させた。次いで、固体を、ろ過によって単離し、ケークを、水(4V)で洗浄して、精製されたTFG026-D4(89%)を得る。
【0071】
[00101]すべての参照、特許出願、特許、および公開された特許出願、ならびに図面、本出願を通して引用されたものの内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0072】
[00102]当業者は、単なるルーチンの実験、本明細書中に記載される本開示の特定の実施形態への多くの相当物を用いて認識する、または確認することが可能である。かかる相当物は、以下の特許請求の範囲により包含されることが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
【国際調査報告】