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特表2022-526915乾燥装置及びその使用法並びに乾燥装置を使用してイソシアネートを生成するプロセス
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  • 特表-乾燥装置及びその使用法並びに乾燥装置を使用してイソシアネートを生成するプロセス 図1
  • 特表-乾燥装置及びその使用法並びに乾燥装置を使用してイソシアネートを生成するプロセス 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-27
(54)【発明の名称】乾燥装置及びその使用法並びに乾燥装置を使用してイソシアネートを生成するプロセス
(51)【国際特許分類】
   F26B 17/20 20060101AFI20220520BHJP
   B01D 1/00 20060101ALI20220520BHJP
   B01D 5/00 20060101ALI20220520BHJP
   F26B 5/04 20060101ALI20220520BHJP
   F26B 21/04 20060101ALI20220520BHJP
   C07C 265/08 20060101ALI20220520BHJP
   C07C 263/10 20060101ALI20220520BHJP
【FI】
F26B17/20 A
B01D1/00 Z
B01D5/00 Z
F26B5/04
F26B21/04 B
C07C265/08
C07C263/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021557012
(86)(22)【出願日】2020-03-31
(85)【翻訳文提出日】2021-11-19
(86)【国際出願番号】 EP2020059107
(87)【国際公開番号】W WO2020201277
(87)【国際公開日】2020-10-08
(31)【優先権主張番号】19166805.2
(32)【優先日】2019-04-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】20160487.3
(32)【優先日】2020-03-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520204744
【氏名又は名称】コベストロ・インテレクチュアル・プロパティ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング・アンド・コー・カーゲー
(71)【出願人】
【識別番号】515266223
【氏名又は名称】コベストロ、ドイチュラント、アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】COVESTRO DEUTSCHLAND AG
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ツェヒリン ヨアヒム
(72)【発明者】
【氏名】プラム アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】クールマン マーティン
【テーマコード(参考)】
3L113
4D076
4H006
【Fターム(参考)】
3L113AA06
3L113AB03
3L113AC01
3L113AC23
3L113AC25
3L113AC40
3L113AC64
3L113BA36
3L113BA37
3L113CB15
3L113CB17
3L113DA07
3L113DA22
4D076AA14
4D076AA16
4D076AA22
4D076BA28
4D076BA30
4D076BA33
4D076BC02
4D076BC05
4D076BC12
4D076BC21
4D076CB06
4D076EA08Z
4D076EA12Z
4D076EA14Z
4D076HA06
4D076HA09
4H006AA02
4H006AC55
4H006AD10
4H006BC51
4H006BC52
(57)【要約】
本発明は、乾燥対象の出発原料から揮発性成分を蒸発させる乾燥装置と、この乾燥装置を使用してイソシアネートを生成するプロセスと、蒸留残留物流、含油廃棄物、廃棄ペイント又はコーティング材料、下水汚泥、鉱物物質及び有機化合物で汚染された石炭スラリーを乾燥させる乾燥装置の使用法とに関する。この乾燥装置では、蒸発成分(蒸気)は、蒸気ドーム及び蒸気導管を通って凝縮器に入る。この乾燥装置は、動作中、蒸気ドーム内及び/又は蒸気導管内での蒸気の分縮が意図的に可能にされ又は誘発され、蒸気の凝縮成分が蒸気ドーム及び/又は蒸気導管内にこの目的で設置された手段を介して乾燥装置から放出されるという特徴を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乾燥対象の出発原料の乾燥動作を行って、乾燥材料及び気相を得るように構成される乾燥装置であって、
前記出発原料の供給開口と、前記乾燥材料の放出開口と、前記気相の流路とを有する加熱可能な乾燥空間を備える乾燥機であって、前記流路は前記気相の放出開口を備える蒸気ドーム内に開口している、乾燥機と、
前記気相の前記放出開口の下流に接続された凝縮器と、
前記気相の前記放出開口を前記凝縮器と接続する蒸気導管と、
を備え、
(i)前記蒸気導管ではなく前記蒸気ドームが、その内部で、前記乾燥動作の間の前記気相の分縮が実施されるように構成されるか、若しくは、
(ii)前記蒸気ドームではなく前記蒸気導管が、その内部で、前記乾燥動作の間の前記気相の分縮が実施されるように構成されるか、又は、
(iii)前記蒸気ドーム及び前記蒸気導管が、これらの内部で、前記乾燥動作の間の前記気相の分縮が実施されるように構成され、
前記分縮において液化された前記気相の成分の排液手段が、
ケース(i)では、前記蒸気ドームの内部に、
ケース(ii)では、前記蒸気導管の内部に、及び、
ケース(iii)では、前記蒸気ドームの内部と前記蒸気導管の内部とに、
配置され、
前記排液手段は、前記分縮において液化された前記成分が、(i)前記蒸気ドームから、(ii)前記蒸気導管から、又は(iii)前記蒸気ドーム及び前記蒸気導管から、放出開口を介して放出され、前記分縮において液化されていない前記気相の成分からこのように分離されるように構成される、乾燥装置。
【請求項2】
前記乾燥機は、水平スクリューを有する生成物回転真空乾燥機と、回転乾燥機と、ディスク乾燥機と、ベルト乾燥機と、整粒スクリューとからなる群より選択される、請求項1に記載の乾燥装置。
【請求項3】
前記乾燥機は、ニーダー乾燥機と、パドル乾燥機と、シャベル乾燥機とからなる群より選択される生成物回転真空乾燥機である、請求項2に記載の乾燥装置。
【請求項4】
前記乾燥機は、その軸の回りに回転可能に推進できるローターシャフトが配置された内部を有するシャベル乾燥機であり、前記乾燥動作の間に前記ローターシャフト上に配置されたローターブレードによって流動化された固体材料にわたって前記出発原料を分散させ、前記出発原料を前記供給開口から前記放出開口の方向に搬送するように構成され、前記固体材料は乾燥材料又は不活性固体である、請求項3に記載の乾燥装置。
【請求項5】
前記気相の前記分縮は、
(a)前記蒸気ドーム及び/又は前記蒸気導管の断熱材を有しないことによって、若しくは、
(b)前記蒸気ドーム及び/又は前記蒸気導管を加熱するシステムを有しないことによって、若しくは、
(c)前記蒸気ドーム及び/又は前記蒸気導管を冷却する手段によって、又は、
(d)前述の措置の2つ以上のものの組み合わせによって、
実現される、請求項1~4のいずれか1項に記載の乾燥装置。
【請求項6】
前記蒸気ドームは排液手段を備え、該排液手段は、排液導管に接続された排液路と、排液導管に接続された液滴回収器とからなる群より選択される、請求項1~5のいずれか1項に記載の乾燥装置。
【請求項7】
前記蒸気導管は排液手段を備え、該排液手段は、排液導管に接続された排液漏斗と、排液導管に接続された前記蒸気導管内の低点と、排液導管に接続された前記蒸気導管内の排液路とからなる群より選択される、請求項1~6のいずれか1項に記載の乾燥装置。
【請求項8】
前記凝縮器は、管束熱交換器と、プレート熱交換器と、スプレー凝縮器とからなる群より選択される、請求項1~7のいずれか1項に記載の乾燥装置。
【請求項9】
生成されるイソシアネートに対応する前記第1級アミンをホスゲン化して前記生成されるイソシアネートを含む液体粗プロセス生成物を得ることによって前記イソシアネートを生成するプロセスであって、この液体粗プロセス生成物の前記蒸留ワークアップを行って蒸留残留物流を得ることを含み、
この蒸留残留物流の前記ワークアップを更に含み、このワークアップは、
1)前記蒸留残留物流に存在する前記生成されるイソシアネートの部分蒸発によって、蒸発器内の前記蒸留残留物流を任意選択で予備濃縮するステップであって、生成されるイソシアネートが激減した予備濃縮された液体流が得られる、任意選択で予備濃縮するステップと、
2)前記蒸留残留物流、又は、ステップ1)において得られた、前記生成されるイソシアネートが激減した予備濃縮された液体流を、請求項1~7のいずれか1項に記載の乾燥装置において乾燥させるステップであって、乾燥材料として固体プロセス生成物を形成している間、生成されるイソシアネートは気相として得られ、前記凝縮器において液化される、乾燥させるステップと、
を含む、プロセス。
【請求項10】
前記ホスゲン化は、溶剤の存在下で前記液相において行われる、請求項9に記載のプロセス。
【請求項11】
前記ホスゲン化は、前記気相において行われ、前記生成されるイソシアネートを含有する気体プロセス生成物を生成し、
この気体プロセス生成物は、溶剤と、前記生成されるイソシアネートと、前記生成されるイソシアネートと溶剤との混合物とからなる群より選択される急冷液と接触することによって冷却され、したがって、前記生成されるイソシアネートを含む前記液体粗プロセス生成物を与える、請求項9に記載のプロセス。
【請求項12】
ステップ2)における前記乾燥は、150℃~500℃の範囲の温度において20mbar(abs.)~200mbar(abs.)の範囲の圧力で行われる、請求項9~11のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項13】
ステップ1)を含み、前記予備濃縮は、120℃~180℃の範囲の温度において10mbar(abs.)~60mbar(abs.)の範囲の圧力で行われる請求項9~12のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項14】
蒸留残留物流と、含油廃棄物と、ペイント又はコーティング廃棄物と、下水汚泥と、石炭スラリーと、有機化合物で汚染された鉱物材料とからなる群より選択される出発原料を乾燥させる請求項1~8のいずれか1項に記載の乾燥装置の使用法。
【請求項15】
前記蒸留残留物流を乾燥させることを含み、該蒸留残留物流は、
(a)イソシアネートの前記生成において、又は、
(b)イソシアネートに変換することができる第1級アミンの前記生成において、又は、
(b)原油の前記精製において、
生成される、請求項14に記載の使用法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乾燥対象の出発原料から揮発性成分を蒸発させる乾燥装置と、この乾燥装置を使用してイソシアネートを生成するプロセスと、蒸留残留物流(distillation bottoms streams)、含油廃棄物、ペイント又はコーティング廃棄物、下水汚泥、有機化合物で汚染された鉱物材料及び石炭スラリーを乾燥させる乾燥装置の使用法とに関する。この乾燥装置では、蒸発成分(蒸気)は、蒸気ドーム及び蒸気導管を通って凝縮器に入る。この乾燥装置は、その動作において、蒸気ドーム内及び/又は蒸気導管内での蒸気の分縮が意図的に可能にされ又は誘発され、蒸気の凝縮成分が蒸気ドーム及び/又は蒸気導管内にこの目的で設置された手段を介して乾燥装置から放出されるという特徴を有する。
【背景技術】
【0002】
多くの技術分野が、出発原料(一般的に既に非常に粘性があるが、依然として流動性を有する)から蒸発によって揮発性成分を除去し、揮発性成分がほとんど失われ、固体又は高粘性液体として生成される(「乾燥された」)材料を取得するのに使用される装置を用いる。そのような装置は、通常、脱水の意味での「乾燥」に常に使用されるとは限らない場合であっても乾燥機又は乾燥リアクターと呼ばれる。既知の乾燥機タイプとしては、水平シャフトを有する生成物回転(product-turning)真空乾燥機(例えば特許文献1参照)、回転乾燥機、ディスク乾燥機(例えば特許文献2参照)、ベルト乾燥機、整粒スクリュー(granulating screw)及び流動床乾燥機(例えば特許文献3参照)がある。
【0003】
このように、多くの産業部門が、例えば、蒸留の開始混合物の高沸点成分だけでなく、連続蒸留によって必要とされるような適温であっても蒸留残留物流の流動性を維持するために、多くの場合に意図的に不完全に蒸留された或る特定の割合のより多くの揮発性成分も含有する蒸留残留物流を生成する。
【0004】
ホスゲン化によるイソシアネートの生成及びそれらの前駆体化合物である対応する第1級アミンの製造に事例を見ることができる。具体例として、トリレンジイソシアネート(TDI:tolylene diisocyanate)及びそのアミン前駆体であるトリレンジアミン(TDA:tolylenediamine)の生成において形成される蒸留残留物流がある。いずれの場合にも、そのような蒸留残留物流は、高沸点2次成分(多くの場合に蒸留残渣又は略して残渣と呼ばれる)だけでなく、通常はかなりの割合の価値生成物(TDI/TDA)も含有する。例として、TDI残渣のワークアップと関係がある特許文献4(ニーダー乾燥機)、特許文献5(流動床乾燥機)及び特許文献6(様々な乾燥機タイプ)がある。水平スクリューを有する生成物回転真空乾燥機の使用法の1つの例は、特許文献1である。この出願は、適した溶剤内で対応するアミンをホスゲンと反応させることと、純粋なイソシアネート、純粋な溶剤及び或る割合の残渣への多段蒸留ワークアップとによって蒸留された純粋なイソシアネートを生成するプロセスに関する。なお、この残渣は連続的なワークアップを受ける。このワークアップは、蒸留プロセスから得られた残渣が、蒸留状態下で不活性の2重量%~50重量%の高沸点炭化水素、好ましくはビチューメンとともに、水平シャフトを有する加熱された生成物回転真空乾燥機に連続して供給されることを特徴とする。残渣に引き続き存在する或る割合のイソシアネートは、160℃~280℃の温度及び2mbar~50mbarの圧力で連続して蒸留除去され、残りの残渣は、流動性のある非粉塵粒状材料として連続して放出され、任意選択で冷却され、任意選択で粉砕後に焼却のために送られる。この例では、67.4重量%のメタTDIと、29.1重量%のポリマー残渣と、3.5重量%の溶剤との液体混合物が、240℃の内部温度に加熱されるとともに12mbarの圧力に排気された上述のタイプの乾燥機に3箇所において上方から供給される。供給箇所に対向する乾燥機の端部では、TDI及び溶剤の混合物が上部の2箇所において放出されている間、乾燥粒状体が回転フィーダーを介して底部において放出される。蒸気ドーム及び/又は蒸気導管における蒸気の意図的な分縮は、この特許出願には開示されていない。取り付けられた蒸気システム内で生成される凝縮物が、その壁上のダスト堆積物の除去のために分離して放出されることが、或るタイプの副次的な態様として単に述べられているにすぎない。蒸気システム内のどの箇所において、どの条件下で凝縮物が生成されるのか(又は凝縮物が規則正しく少しでも生成されるか否か)は、この特許出願から明らかではない。
【0005】
残渣は、燃料ガス、オートガス(LPG)、自動車燃料、溶剤及び灯油等の有価物質の生成に使用される蒸留可能な原油分留の除去後の原油の精製においても残る。そのような残渣は、例えば、コーカープラント(coker plant)に投入して、及び「熱分解」する、すなわち高温(例えば500℃)においてより低いモル質量の物質に化学的に分解することができる。別の方法として、特許文献7(特許文献8としても公開されている)は、蒸気導管を介した前述の蒸留ステップによって除去できない揮発性成分(価値のある生成物を含む)を分離するとともに残りの不揮発性物質を放出装置を介して放出するために、そのような残渣を、ニーダー乾燥機(ニーダーミキサー又はニーダーリアクターとも呼ばれる)において10mbar以下の圧力の真空及び少なくとも300℃の温度に曝すことを提案している。特許文献9も、ニーダーミキサーを使用して残渣を精製するワークアップに関係している。
【0006】
冒頭に説明したような乾燥装置は、含油廃棄物、ペイント又はコーティング廃棄物及び下水汚泥等の廃棄物生成物のワークアップにおいても同様に用いられる。同装置は、例えばバイオマスの水熱炭化を通じて得られる石炭スラリーの脱水に適用される。特許文献10は、例えば流動床リアクター等の加熱されたリアクターにおける、例えばペースト状又はスラッジ状の物質(例えばピットモイスト(pit-moist)石炭)の乾燥、炭化又はガス化等の熱処理のプロセス及び再生手段を記載している。気相としてリアクターから出る媒体は、凝縮される凝縮可能な蒸気を含み、したがって、この媒体は再利用可能になり、再循環ブロワー3(図参照)を介してリアクターにリサイクルされる。デヒーター(deheater)/リヒーター(reheater:再熱器)として構成される復熱式熱交換器4が、直列に配置された2つの凝縮器2の上流に接続され、これらの凝縮器に飽和媒体が供給され、再循環ブロワー3がこれを流れる乾燥した媒体を有するようになっている。熱交換器4は、このように、凝縮器から出る低温蒸気との熱交換(気相と低温蒸気との材料接触はない;間接熱交換とも呼ばれる)によってリアクターから出る気相の冷却を実施する。媒体は、したがって擬似過熱され、したがって液滴形成の危険性なく、リアクターにリサイクルすることができる。リアクターから出る気相のこの冷却の間に形成される任意の割合の液体が、残りの割合の気体とともに凝縮器に供給されるが、排液手段を介して放出されない。堆積物を回避する蒸気ドーム及び/又は蒸気導管における蒸気の意図的な分縮は、この特許出願には開示されていない。
【0007】
そのような装置の更に別の用途は、有機物汚染された鉱物材料、特にこのように汚染された土壌の、汚染物質を除去するための熱処理である。対応するプロセスは、特許文献11に記載されている。乾燥ユニットが記載されており(図3参照)、乾燥機そのものは、ディスク乾燥機の形態を有する。乾燥機には、熱媒油システム10を介して必要な熱エネルギーが供給される。個々の化学生成物及びスチームは、蒸気ドームを介して乾燥機3から出て、乾燥機から導管33を介し、複数の直列接続された沈殿装置27に供給される。これらの沈殿装置は、凝縮器28、29及び加熱された回収容器30、31からなり、最後の凝縮器29には、真空ユニット32が接続されている。凝縮器28及び29の間には、蒸気の冷却も当然行われる別のスチーム発生器35及び熱水発生器36が配置されている。蒸気ドームと流れの方向における最初の凝縮器28との間での蒸気ドーム及び/又は蒸気導管における蒸気の意図的な分縮は、この特許出願には開示されていない。
【0008】
従来技術では、理想的には再凝縮なく、乾燥対象の開始混合物の蒸発揮発性成分(蒸気)を乾燥機から放出しようと努力することが一般的である。なぜならば、例えば相対的に低温の表面上で凝縮した成分が乾燥対象の組成物に逆流することが望ましくないからである。そのような相対的に低温の表面上の固体堆積物の形成も考慮すべき問題である。したがって、生成された蒸気と接触し得る全ての表面(特に実際の乾燥空間に配置された蒸気ドーム及び蒸気の放出導管)は、少なくとも良好に断熱され、多くの場合にトレース加熱もされることが通例である。これは、前述の特許文献11にも当てはまり、この出願では、第6カラムの第47~51行目に、「乾燥ユニット、すなわち乾燥機3から出る揮発性成分は、加熱されたパイプラインシステム、すなわち導管33において、関係する沈殿装置27に渡され...」と明記されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】欧州特許出願公開第0626368号
【特許文献2】欧州特許出願公開第0289647号
【特許文献3】国際公開第2012/159736号
【特許文献4】ドイツ国特許出願第102012108261号
【特許文献5】欧州特許出願公開第2540702号
【特許文献6】国際公開第2018/114846号
【特許文献7】ドイツ国特許出願第102017103363号
【特許文献8】国際公開第2018/149951号
【特許文献9】国際特許出願国際公開第2016/078994号
【特許文献10】ドイツ国特許出願公開第3912586号
【特許文献11】ドイツ国特許出願第4200890号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、動作の実際は、これらの手段の断熱又は更には加熱が常に望ましい効果をもたらすとは限らず、堆積物の形成がそれにもかかわらず発生する場合があり、極端な場合には、乾燥動作を定期的に中断して、装置を繰り返しクリーニングしなければならない結果をもたらすことさえあり得ることを示している。したがって、この技術分野における更なる改良が必要とされていた。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前述の必要性を満たすために、本発明は、乾燥対象の出発原料10の乾燥動作を(連続的に)行って、乾燥材料20及び気相30(=蒸気)を得るように構成される乾燥装置1000であって、
出発原料10の(少なくとも)1つの供給開口120と、乾燥材料20の(少なくとも)1つの放出開口130と、気相30の(少なくとも)1つの流路140とを有する加熱可能な乾燥空間110を備える乾燥機100であって、流路は気相の放出開口160を備える(少なくとも)1つの蒸気ドーム150内に開口している、乾燥機と、
気相の放出開口の下流に接続された(少なくとも)1つの凝縮器と、
気相30の放出開口160を凝縮器300と接続する蒸気導管200と、
を備え、
(i)蒸気導管200ではなく蒸気ドーム150が、その内部で(すなわち蒸気ドーム150内で)、乾燥動作の間の気相の分縮が(連続して)実施されるように構成されるか、若しくは、
(ii)蒸気ドーム150ではなく蒸気導管200が、その内部で(すなわち蒸気導管200内で)、乾燥動作の間の気相の分縮が(連続して)実施されるように構成されるか、又は、
(iii)蒸気ドーム150及び蒸気導管200が、これらの内部で(すなわち蒸気ドーム150内及び蒸気導管200内で)、気相の分縮が乾燥動作の間に(連続して)実施されるように構成され、
分縮において液化された気相30の成分31、32の排液手段151、201が、
ケース(i)では、蒸気ドーム150の内部に、
ケース(ii)では、蒸気導管200の内部に、及び、
ケース(iii)では、蒸気ドーム150の内部と蒸気導管200の内部とに、
配置され、
排液手段は、分縮において液化された成分31、32が、
蒸気ドームから(ケース(i))、
蒸気導管から(ケース(ii))、又は、
蒸気ドーム及び蒸気導管(ケース(iii))から、
放出開口152、202を介して放出され、したがって、分縮において液化されていない気相の成分から分離される(分縮において液化された成分31、32は、したがって、乾燥装置1000から放出され、例えば、乾燥空間110内に入って再利用されない)ように構成される、乾燥装置を提供する。
【0012】
本発明は、生成されるイソシアネートに対応する第1級アミンをホスゲン化して生成されるイソシアネートを含む液体粗プロセス生成物を得ることによってイソシアネートを生成するプロセスであって、この液体粗プロセス生成物の蒸留ワークアップを行って蒸留残留物流を得ることを含み、
この蒸留残留物流のワークアップを更に含み、このワークアップは、
1)蒸留残留物流に存在する生成されるイソシアネートの部分蒸発によって、蒸発器内の蒸留残留物流を任意選択で予備濃縮するステップであって、生成されるイソシアネートが激減した予備濃縮された液体流が得られる、任意選択で予備濃縮するステップと、
2)蒸留残留物流、又は、ステップ1)において得られた、生成されるイソシアネートが激減した予備濃縮された液体流を、本発明による乾燥装置において乾燥させるステップであって、乾燥材料として固体プロセス生成物を形成している間、生成されるイソシアネートは気相として得られ、凝縮器において液化される、乾燥させるステップと、
を含む、プロセスを更に提供する。
【0013】
本発明は、蒸留残留物流と、含油廃棄物と、ペイント又はコーティング廃棄物と、下水汚泥と、石炭スラリーと、有機化合物で汚染された鉱物材料(特に対応して汚染された土壌)とからなる群より選択され、好ましくは蒸留残留物流と、含油廃棄物と、ペイント又はコーティング廃棄物と、下水汚泥と、石炭スラリーとからなる群より選択される出発原料を乾燥させる本発明による乾燥装置の使用法を更に提供する。
【0014】
本発明に関して「蒸気ドーム」は、乾燥空間から上昇する気相(=上昇蒸気)が集まる、乾燥機に配置されたドームを意味するものと理解されるべきである。用語「蒸気導管」は、気相(=蒸気)が蒸気ドームから凝縮器内に流入するときに通る導管を表す。複数の凝縮器(例えば2つ~4つ又は正確に2つ)が直列に接続されている場合には、用語「蒸気導管」は、本発明の術語では、蒸気ドームを、気相(=蒸気)の流れる方向における最初の凝縮器と接続する導管を意味するものと理解されるべきである。
【0015】
「排液手段」は、蒸気ドーム及び/又は蒸気導管の内壁上に凝縮した下降凝縮物を蒸気ドーム/蒸気導管から大部分ないし完全に回収するとともに意図的に放出するように構成される、下降凝縮物を回収する内部又はパイプライン低点(pipeline low point)を意味するものと理解されるべきである。
【発明の効果】
【0016】
非常に驚くべきことに、今日までの従来技術における一般的な考えとは対照的に、乾燥機における蒸気ドーム及び/又は蒸気導管内に形成される気相の凝縮(分縮)は、不利でないだけでなく、実際には有利であり得ることが分かった。なぜならば、蒸気ドーム/蒸気導管の内壁を下降する凝縮物は、堆積物を形成する傾向を低減し、形成されるいずれの堆積物も連続して洗い落とすことができるからである。したがって、非常に驚くべきことに、従来技術において一般に必須とみなされていた蒸気ドーム及び蒸気導管の断熱又は更には加熱が、実際には、堆積物の形成の原因であり得ることが分かった。本発明は、したがって、全乾燥動作中に、すなわち連続して(及び、例えば通常動作から外れた特定の動作状態においてのみでなく)行われる蒸気ドーム及び/又は蒸気導管における気相の意図的な分縮によって特徴付けられる。乾燥対象の組成物への逆流は、本発明に従って提供される排出(drain)手段によって非常に大幅にないし完全に防止される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明による乾燥装置1000の可能な構成を示す図である。
図2】本発明による乾燥装置1000の更に別の可能な構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
双方の図において、参照符号は同じ定義を有する。
【0019】
最初に、様々な可能な実施形態の簡潔な要約を以下に述べる。
【0020】
他の全ての実施形態と組み合わせることができる、本発明による乾燥装置の第1の実施形態において、乾燥機は、水平スクリューを有する生成物回転真空乾燥機、回転乾燥機、ディスク乾燥機、ベルト乾燥機及び整粒スクリューからなる群より選択される。
【0021】
第1の実施形態の特定の構成である、本発明による乾燥装置の第2の実施形態において、乾燥機は、ニーダー乾燥機、パドル乾燥機及びシャベル乾燥機からなる群より選択される生成物回転真空乾燥機である。
【0022】
第2の実施形態の特定の構成である、本発明による乾燥装置の第3の実施形態において、乾燥機は、その軸の回りに回転可能に推進できるローターシャフトが配置された内部を有するシャベル乾燥機であり、乾燥動作の間にローターシャフト上に配置されたローターブレードによって流動化された固体材料にわたって出発原料を分散させ、出発原料を供給開口から放出開口の方向に搬送するように構成され、固体材料は乾燥材料又は不活性固体である。
【0023】
他の全ての実施形態と組み合わせることができる、本発明による乾燥装置の第4の実施形態において、気相の分縮は、蒸気ドーム及び/又は蒸気導管の断熱材を有しないことによって実現される。
【0024】
他の全ての実施形態と組み合わせることができる、本発明による乾燥装置の第5の実施形態において、気相の分縮は、蒸気ドーム及び/又は蒸気導管を加熱するシステムを有しないことによって実現される。
【0025】
他の全ての実施形態と組み合わせることができる、本発明による乾燥装置の第6の実施形態において、気相の分縮は、蒸気ドーム及び/又は蒸気導管を冷却する手段によって実現される。
【0026】
他の全ての実施形態と組み合わせることができる、本発明による乾燥装置の第7の実施形態において、蒸気ドームは排液手段を備え、当該排液手段は、排液導管に接続された排液路(排液カラーとしても知られている)と、排液導管に接続された液滴回収器とからなる群より選択される。
【0027】
他の全ての実施形態と組み合わせることができる、本発明による乾燥装置の第8の実施形態において、蒸気導管は排液手段を備え、当該排液手段は、排液導管に接続された排液漏斗と、排液導管に接続された蒸気導管内の低点と、排液導管に接続された蒸気導管内の排液路とからなる群より選択される。
【0028】
他の全ての実施形態と組み合わせることができる、本発明による乾燥装置の第9の実施形態において、凝縮器は、管束熱交換器と、プレート熱交換器と、スプレー凝縮器とからなる群より選択される。
【0029】
他の全ての実施形態が気相ホスゲン化に限定して関係したものでないことを条件として他の全ての実施形態と組み合わせることができる、イソシアネートを生成する本発明によるプロセスの第1の実施形態において、ホスゲン化は、溶剤の存在下で液相において行われる。
【0030】
他の全ての実施形態が液相ホスゲン化に限定して関係したものでないことを条件として他の全ての実施形態と組み合わせることができる、イソシアネートを生成する本発明によるプロセスの第2の実施形態において、ホスゲン化は気相において行われ、生成されるイソシアネートを含有する気体プロセス生成物が生成され、この気体プロセス生成物は、溶剤、生成されるイソシアネート、及び生成されるイソシアネートと溶剤との混合物からなる群より選択される急冷液と接触することによって冷却され、したがって、生成されるイソシアネートを含む液体粗プロセス生成物が得られる。
【0031】
第2の実施形態の特定の構成である、イソシアネートを生成する本発明によるプロセスの第3の実施形態において、急冷液は、溶剤と、生成されるイソシアネートと溶剤との混合物とからなる群より選択される。
【0032】
第1の実施形態及び第3の実施形態の特定の構成である、イソシアネートを生成する本発明によるプロセスの第4の実施形態において、溶剤は、クロロベンゼン、オルトジクロロベンゼン、パラジクロロベンゼン、トリクロロベンゼンの異性体、トルエン、キシレンの異性体、及び前述の溶剤の混合物からなる群より選択される。
【0033】
他の全ての実施形態と組み合わせることができる、イソシアネートを生成する本発明によるプロセスの第5の実施形態において、ステップ2)における乾燥は、150℃~500℃の範囲の温度において20mbar(abs.)~200mbar(abs.)の範囲の圧力で行われ、好ましくは185℃~320℃の範囲の温度において50mbar(abs.)~180mbar(abs.)の範囲の圧力で行われ、特に好ましくは250℃~310℃の範囲の温度において80mbar(abs.)~150mbar(abs.)の範囲の圧力で行われる。
【0034】
他の全ての実施形態と組み合わせることができる、イソシアネートを生成する本発明によるプロセスの第6の実施形態は、ステップ1)を含み、予備濃縮が、120℃~180℃の範囲の温度において10mbar(abs.)~60mbar(abs.)の範囲の圧力で行われ、好ましくは130℃~175℃の範囲の温度において25mbar(abs.)~45mbar(abs.)の範囲の圧力で行われる。
【0035】
他の全ての実施形態と組み合わせることができる、イソシアネートを生成する本発明によるプロセスの第7の実施形態において、生成されるイソシアネートは、トリレンジイソシアネート、ナフチルジイソシアネート、1,5-ペンタンジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート及びジイソシアナトジシクロヘキシルメタンからなる群より選択される。
【0036】
第7の実施形態の特定の構成である、イソシアネートを生成する本発明によるプロセスの第8の実施形態において、生成されるイソシアネートはトリレンジイソシアネートである。
【0037】
本発明による乾燥装置の本発明による使用法の第1の実施形態において、本使用法は、蒸留残留物流の乾燥に関するものであり、蒸留残留物は、イソシアネートの生成又はイソシアネートに変換することができる第1級アミンの生成において生成される。
【0038】
本発明による乾燥装置の本発明による使用法の第2の実施形態において、本使用法は、蒸留残留物流の乾燥に関するものであり、蒸留残留物流は、原油の精製において生成される。
【0039】
次に、上記で簡潔に略述された実施形態及び本発明の更に別の可能な構成を以下でより詳細に説明する。この点に関して、これらの実施形態は、文脈上別段の指定がない限り、任意の方法で互いに組み合わせることができる。
【0040】
本発明による適した乾燥機100は、特に、水平シャフトを有する生成物回転真空乾燥機(特に、ニーダー乾燥機、パドル乾燥機及びシャベル乾燥機)、回転乾燥機、ディスク乾燥機、ベルト乾燥機及び整粒スクリュー等の当業者に既知のタイプである。特に好ましいものは、事前に乾燥された材料(又は他の不活性固体粒子)が、流動床を少なくとも模倣する(又は理想的に且つ好ましくは流動床を構成する)特に高速回転するシャベルシステムによって始動され、乾燥対象の出発原料がこの擬似流動床(又は実際の流動床)上で搬送されるシャベル乾燥機である。乾燥対象の出発原料は、したがって、少なくとも基本的には(理想的に且つ好ましくは実際には)流動床に付着される。そのような乾燥機は、粘着性のある生成物を乾燥させるのに特に適しており、コンビフルイダイゼーション技術(CFT:combi-fluidization technology)乾燥機という用語によって知られている。対流式流動床乾燥機とは対照的に、CFT乾燥機において生じるフルイダイゼーション(fluidization:流動化)は完全に機械的である。CFT乾燥機は、例えば、特許文献3及び特許文献5に記載されている。これらの乾燥機は、その軸(図示せず)の回りに回転可能に推進できるローターシャフトを乾燥機の内部に配置しており、乾燥動作の間にローターシャフト上に配置されたローターブレードによって流動化された固体材料にわたって出発原料を分散させ、この出発原料を供給開口から放出開口の方向に搬送するように構成されるという特徴を有し、固体材料は、乾燥材料又は不活性固体である。上述したように、これらの乾燥機の動作では、乾燥対象の出発原料が乾燥機内に初めて導入されたときに、流動化された材料の床が既に存在することが定められている。このために、事前に乾燥された材料(以前の乾燥動作からのもの)又は現在の条件下での固体不活性物質(好ましくは、特に酸化アルミニウムの球体等の無機球状粒子)が乾燥機内に導入され、ローターシャフトとともに始動される。開始フェーズの後に続いて、定常動作状態が確立され、この定常動作状態において、出発原料は、乾燥によって固められ、一部は固体として放出され、一部は固体粒子の流動床として更なる乾燥動作に利用可能である。別の乾燥動作からの事前に乾燥された材料又は不活性固体の更なる添加は、その場合に、もちろんもはや必要ではない。特許文献3に記載されている流動床ゾーンと乾燥材料放出部(本発明の術語では、乾燥材料20の放出開口130)との間の沈静化ゾーンを、本発明に関して使用することもできる。
【0041】
乾燥空間110は、好ましくは、図1に示すように、水平に配置された(実質的に)円筒形の本体の形状を有する。乾燥対象の材料を供給開口120から放出開口130に搬送する乾燥空間110の内部に配置された内側部分は、簡略化のために図1(及び図2)から省略されている。そのような手段(例えば、前述のローターシャフト又は冒頭に列挙した文献に指定された他の手段等)は、当業者に既知であり、したがって、この箇所でのその論述は省略することができる。蒸気ドーム150は、好ましくは、垂直に配置された(実質的に)円筒形の本体の形状を有する。従来技術では、蒸気ドームは、あらゆる混入液滴の重力分離に使用される。これは、蒸気ドームの横断面として、乾燥機及び当業者にとって通常の構成である乾燥対象の材料のタイプの他の寸法に対して十分に大きいものが選ばれたときに達成される。蒸気ドームは、本発明に関してこの機能も満たす。しかしながら、本発明による気相の分縮は、乾燥対象の出発原料の蒸発成分の一部分が蒸気ドームの内部表面上で再液化されるので、これを上回っている。乾燥機は、好ましくは、(正確に)1つの蒸気ドームを有する。ただし、2つ以上の蒸気ドーム(特に2つ)を有する実施形態も考えられる。
【0042】
本発明による乾燥機100は、150℃~500℃の範囲の温度において20mbar(abs.)~200mbar(abs.)の範囲の圧力で、好ましくは185℃~320℃の範囲の温度において50mbar(abs.)~180mbar(abs.)の範囲の圧力で、特に好ましくは250℃~310℃の範囲の温度において80mbar(abs.)~150mbar(abs.)の範囲の圧力で連続動作されることが好ましい。乾燥材料が固体として生成されるように乾燥機100を動作させることが特に好ましい。
【0043】
境界条件(乾燥対象の出発原料のタイプ、動作条件等)に応じて、本発明に関する気相の分縮は、蒸気ドーム/蒸気導管の断熱材を有しないことによって既に実現されている場合がある。蒸気ドーム/蒸気導管は好ましくは加熱されない。揮発性成分の沸点に応じて、蒸気ドーム/蒸気導管を積極的に冷却することが必要となる場合もある。これは、当業者にそれ自体知られている方法で行うことができ、特に、気相の沸点よりも低温の媒体を冷却ジャケット又は適用される冷却コイルに通過させることによって行うことができる。
【0044】
前述のケース(i)及び(iii)では、排液手段151は蒸気ドーム150内に存在する。好ましい排液手段151は、蒸気ドームの内壁に取り付けられて排液導管に接続された水平周方向(horizontally circumferential)排液路、傾斜(angled)排液路又は螺旋状ダウンキャスト(helically downcast)排液路(排液カラーとしても知られている)と、排液導管(排液導管は図示せず)に接続された液滴回収器とである。そのような手段は、それ自体当業者に既知である。排液路は、内部蒸気ドームの周囲の好ましくは75%~100%、特に好ましくは90%~100%、特に非常に好ましくは100%を覆い、好ましくは1cm~50cmの高さ及び1cm~50cmの深さ、特に好ましくは10cm~30cmの高さ及び10cm~30cmの深さを有する。
【0045】
前述のケース(ii)及び(iii)では、排液手段201は蒸気導管200内に存在する。好ましい排液手段201は、排液導管に接続されたパイプライン低点、排液導管に接続された蒸気導管内の低点、及び蒸気ドームの内壁に取り付けられて排液導管(排液導管は図示せず)に接続された水平周方向排液路、傾斜排液路又は螺旋状ダウンキャスト排液路にある排液漏斗である。図2は、例えば、蒸気導管200の低点にある排液漏斗201を有する一実施形態を示している。排液路は、導管の周囲の好ましくは75%~100%、特に好ましくは90%~100%、特に非常に好ましくは100%を覆い、1cm~50cmの高さ及び1cm~20cmの深さ、好ましくは10cm~30cmの高さ及び5cm~15cmの深さを有する。
【0046】
気相30の未凝縮成分は、凝縮器300に流入し、凝縮器において、液化され、流れ33として乾燥装置1000から放出される。本発明による装置では、液化された気相の2つ又は3つの流れが、このように生成され、ケース(i)では流れ31及び流れ33、ケース(ii)では流れ32及び流れ33、並びに図1に示され、特に好ましいケース(iii)では流れ31、32及び33が生成される。適した凝縮器300は、特に管束熱交換器、プレート熱交換器及びスプレー凝縮器等の当業者に既知の手段を含む。複数の凝縮器、特に2つ~4つの凝縮器、好ましくは(正確に)2つの凝縮器を直列に接続することが可能である。ただし、多くの場合には単一の凝縮器の使用で十分であり、したがって、単一の凝縮器の使用も最も好ましい実施形態である。
【0047】
本発明による乾燥装置は、イソシアネートのワークアップ、好ましくはトリレンジイソシアネート、ナフチルジイソシアネート、1,5-ペンタンジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート又はジイソシアナトジシクロヘキシルメタン、特に好ましくはトリレンジイソシアネートのワークアップにおいて特に有利に用いることができる。本発明は、したがって、a)生成されるイソシアネートに対応する第1級アミン、すなわち特にTDAをホスゲン化して、生成されるイソシアネートを含む液体粗プロセス生成物を得ることによって、イソシアネート、特にTDIを生成するプロセスであって、b)この液体粗プロセス生成物の蒸留ワークアップを行って蒸留残留物流を得ることを含み、
c)この蒸留残留物流のワークアップを更に含み、このワークアップは、
1)蒸留残留物流に存在する生成されるイソシアネートの部分蒸発によって、蒸発器内の蒸留残留物流を任意選択で予備濃縮するステップであって、生成されるイソシアネートが激減した予備濃縮された液体流が得られる、任意選択で予備濃縮するステップと、
2)蒸留残留物流、又は、ステップ1)において得られた、生成されるイソシアネートが激減した予備濃縮された液体流を、先行する請求項のいずれか1項に記載の乾燥装置において乾燥させるステップであって、乾燥材料として固体プロセス生成物を形成している間、生成されるイソシアネートは気相として得られ、凝縮器において液化される、乾燥させるステップと、
を含む、プロセスを更に提供する。
【0048】
ステップa)におけるホスゲン化は、溶剤の存在下で液相において行うこともできるし、気相において行うこともできる。気相において反応を行うとき、生成されるイソシアネートを含有する最初に生成された気体プロセス生成物は、急冷液と接触することによって最初に冷却され、生成されるイソシアネートを含む液体粗プロセス生成物が得られる。適した急冷液として、特に、有機溶剤、生成されるイソシアネート自体、又は生成されるイソシアネートと有機溶剤との混合物がある。急冷液は、通常、有機溶剤を含有する。この目的に適した溶剤(及び液相プロセスにおける溶剤)は、特にクロロベンゼン、オルトジクロロベンゼン、パラジクロロベンゼン、トリクロロベンゼンの異性体、トルエン、キシレンの異性体、及び前述の溶剤の混合物である。ステップa)は、特に、特許文献6の第19頁第7行~第25頁第33行に記載されているように実行することができ、気相ホスゲン化(特許文献6の第21頁第24行~第25頁第33行参照)が特に好ましい。
【0049】
ステップa)におけるホスゲン化の後に、ステップb)生成されるイソシアネートを含む、得られた液体粗プロセス生成物のワークアップが続く。粗イソシアネートのワークアップは、既知の方法によって行うことができる。例は、欧州特許出願公開第1413571号、米国特許出願公開第2003/0230476号(TDI)、及び欧州特許第0289840号(HDI、IDPI及びH12-MDI)に記載されている。
【0050】
溶解ホスゲン及び溶解塩化水素が、任意選択で、分離ステップb.1)において、ステップa)において得られた液体粗プロセス生成物から最初に分離される。このプロセスモードは、特に、ステップa)におけるホスゲン化が液相において行われるときに好ましい。なぜならば、液相ホスゲン化において得られる液体粗プロセス生成物は、気相ホスゲン化において得られるものよりも大幅に高い割合の溶解ホスゲン及び溶解塩化水素を含有する傾向があるからである。ステップb.1)は、原理的には当業者に既知の任意の方法で行うことができ、特に蒸留、吸収、又は双方の組み合わせによって行うことができる。可能な実施形態は、以下で様々な変形形態を参照することによって説明される。
【0051】
ステップb.1)の後に、又は、特にステップa)を気相において行うときはステップa)の直後に、分離ステップb.2)における溶剤の分離が続くことができる。ステップb.2)は、当業者に既知の任意の方法で行うことができ、特に蒸留によって行うことができる。可能な実施形態は、以下で様々な変形形態を参照することによって説明される。
【0052】
本発明によるプロセスのステップb.3)において、生成されるイソシアネートは、蒸留によって単離される。これは、原理的には、この目的で当業者に既知の任意の方法で行うことができる。可能な実施形態は、以下で様々な変形形態を参照することによって説明される。
【0053】
ステップb)によるワークアップの詳細な構成について、様々な実施形態が可能である。TDIの例を使用して好ましい変形形態を以下に詳述する。
【0054】
変形形態1
特にステップa)が液相において行われるときに適した変形形態1は、基本的には「Chem System's PERP Report for TDI/MDI」(Chem Systems, Process Evaluation Research Planning TDI/MDI 98/99 S8, Tarrytown, N.Y., USA: Chem Systems 1999 pp. 27 to 32)に記載されている。この変形形態では、塩化水素及びホスゲンの蒸留分離(本発明の術語ではステップb.1)に対応する)後に、液体反応混合物が、その全質量に対して、50質量%よりも多くの溶剤割合、好ましくは51質量%~85質量%、特に好ましくは55質量%~65質量%の溶剤割合を引き続き含有する。この混合物は、溶剤分離(本発明の術語ではステップb.2)に対応する)に送られ、予備蒸発器では、最初に、溶剤-TDI混合物が溶剤蒸留塔において蒸留される。溶剤蒸留塔では、溶剤が蒸留除去され、プロセスに戻される。この溶剤蒸留からの残留物流は、残留物の全質量に対して、TDIだけでなく、特に、この残留物流の全質量に対して好ましくは15質量%~25質量%の溶剤も含有する。この流れはいわゆる中間塔に入り、この中間塔において、更なる溶剤が蒸留除去され、溶剤が除去された残留物生成物がTDIの精製用の最終蒸留塔に送られる。この塔は、負圧で動作され、精製された商品性のあるイソシアネートTDIを蒸留物流として提供する(本発明の術語ではステップb.3)に対応する)。TDIの一部分は、この最終蒸留塔からの蒸留残留物流に残留する。TDI精製用の中間塔及び蒸留塔の作業は、低沸点溶剤及び溶剤の蒸気流と、隔壁の近くで回収される蒸留物流としての純粋なTDIの分留と、蒸留残留物流としてのTDI及びより高い沸点の成分(蒸留残渣)を含有する生成物流とを得るために、米国特許出願公開第2003/0230476号に記載されているように隔壁塔内で組み合わせることもできる。TDI精製用の蒸留塔/中間塔とTDI精製塔とを組み合わせた隔壁塔からの蒸留残留物流は、TDIの回収のためにワークアップされる。このために、引用したPERPシステムレポートの図II.A.5に示すように、この流れを溶剤蒸留の予備蒸発器内に渡すことが可能である。この予備蒸発器からの残留物生成物は、次に、そこに存在するTDIの回収のためにワークアップに送られる。「Chem System's PERP Report for TDI/MDI」(Chem Systems, Process Evaluation Research Planning TDI/MDI 98/99 S8, Tarrytown, N.Y., USA: Chem Systems 1999, pp. 27 to 32)における図II.A.6に示された「TDI Residue Processing Facility」における取り扱いは、本発明のステップc)に置き換えることができる。この実施形態においては、ステップb.3)からの蒸留残留物流をステップb.2)からの溶剤分離の予備蒸発器内に導入する結果として、ステップc)に供給される出発原料は、溶剤(すなわち、この出発原料の全質量に対して特に2.0質量%~10質量%の溶剤)を引き続き含有するので、ステップ1)を実行し、ステップ2)における乾燥の前に出発原料内のこの溶剤を分離することが好ましい。ステップb.3)からの蒸留残留物流を予備蒸発器内に導入することを控え、その代わりに、この蒸留残留物流をステップc)におけるワークアップに直接送ることも当然可能である。
【0055】
変形形態2
変形形態1と対照的に、この実施形態においては、塩化水素及びホスゲンの蒸留分離後に、液体反応混合物は、その全質量に対して50.0質量%以下にすぎない割合の溶剤を引き続き含有する。この混合物は、溶剤-TDI混合物が蒸留塔において蒸留される予備蒸発器に供給される。この変形形態では、TDIは、上記蒸留塔において既に溶剤が除去されており、この蒸留塔からの残留物流は、したがって、TDI精製塔に渡すことができ、この変形形態が備える塔は、このように、変形形態1よりも1つ少ない。TDI精製塔は、負圧で動作され、精製された商品性のあるイソシアネートTDIを蒸留物流として提供する。TDI精製塔及びその上流に接続された蒸留塔の作業は、低沸点溶剤及び溶剤の蒸気流と、隔壁の近くで回収される蒸留物流としての純粋なTDIの分留と、蒸留残留物流としてのTDI及びより高い沸点の成分(蒸留残渣)を含有する生成物流とを得るために、欧州特許出願公開第1413571号に記載されているように隔壁塔内で組み合わせることもできる。TDI精製塔からの蒸留残留物流/TDI精製塔とその上流に接続された蒸留塔とを組み合わせた隔壁塔からの蒸留残留物流は、TDIの回収のためにワークアップされる。変形形態2においても、このワークアップは、本発明のステップc)に従って行うことができる。このために、この流れを前述の予備蒸発器内に渡すことが可能である。この予備蒸発器からの残留物生成物は、その後、そこに存在するTDIの回収のためにワークアップに送られる。この実施形態においては、蒸留残留物流を溶剤分離の予備蒸発器内に導入する結果として、ステップc)に供給される出発原料は、溶剤(すなわち、この出発原料の全質量に対して特に2.0質量%~10質量%の溶剤)を引き続き含有するので、ステップ1)を実行し、ステップ2)における乾燥の前に出発原料内のこの溶剤を分離することが好ましい。ステップb.3)からの蒸留残留物流を予備蒸発器内に導入することを控え、その代わりに、この蒸留残留物流をステップc)におけるワークアップに直接送ることも当然可能である。
【0056】
変形形態3
変形形態3は、変形形態2及び1に記載されている蒸留シーケンスを含むが、液体残留物の放出物をステップc)に従ったワークアップに供給する各場合において述べた予備蒸発器を有しない。この場合に、説明した蒸留シーケンスにおける割合の蒸留残渣が液体質量流を介してそれぞれの最終TDI精製塔に渡される。このプロセスは、同様に原理的に知られている(欧州特許出願公開第1717223号)。この場合に、蒸留残渣の完全な放出は、最終蒸留塔からの蒸留残留物流を介して進行する(本発明の術語では、ステップb.3)に割り当てることができる)。変形形態3においても、この蒸留残留物流のワークアップは、本発明のステップc)に従って行うことができる。
【0057】
変形形態4
この変形形態は、ステップa)が気相において行われるときに特に用いられる。気相ホスゲン化において得られる液体粗プロセス生成物は、相対的に(すなわち液相ホスゲン化と比較して)少ない量の溶解ホスゲン及び溶解塩化水素を含有するので、ステップb.1)における塩化水素及びホスゲンの個別分離を不要とすることができる。液体粗プロセス生成物は、溶剤並びにいくらかの溶解塩化水素及びいくらかの溶解ホスゲンが蒸留によって上方に分離される溶剤分離(ステップb.2)に対応する)に直接供給されるか、又は、溶剤割合が十分に低い場合には、TDI精製塔に直接供給される。いずれの場合にも、TDI精製塔は好ましくは隔壁塔の形態である。低沸点溶剤(すなわち、TDIよりも低い沸点を有する副生成物、引き続き存在するいくらかの塩化水素及び引き続き存在するいくらかのホスゲン、いくらかの溶剤、並びにいくらかの不活性ガス)が蒸気として上方で回収される。精製されたTDIは、隔壁の近くで蒸留物流として放出される。その結果得られる蒸留残留物流は、蒸留残渣と、蒸留残留物流を処理可能に保つ蒸留除去されていない或る量のTDIと、いくらかの溶剤の痕跡とを含有する。隔壁塔の代わりに隔壁のない2つの直列配置された蒸留塔を用いることもできることが理解されるであろう。
【0058】
この変形形態では、ステップb.2)による溶剤分離が行われる場合に、この溶剤分離は、好ましくは、160℃~200℃の範囲の温度において160mbar~220mbarの範囲の圧力で行われ、双方の報告される範囲は、用いられる蒸留塔の残留物に関するものである。これは、その全質量に対して、好ましくは、9質量%~20質量%の溶剤と、79質量%~90質量%のTDIと、TDIの沸点よりも高い沸点を有する1質量%~5質量%の化合物とを含有する残留物流を与える。
【0059】
ステップb.3)によるTDI精製は、特に隔壁塔において行われるとき、好ましくは、160℃~200℃の範囲の温度において50mbar~100mbarの範囲の圧力で行われ、双方の報告される範囲は、用いられる蒸留塔の残留物に関するものである。これは、その全質量に対して、好ましくは、0.00質量%~1.00質量%の溶剤と、80.0質量%~95.0質量%のTDIと、TDIの沸点よりも高い沸点を有する4.00質量%~20.0質量%の化合物とを含有する蒸留残留物流を与える。
【0060】
ステップb)の正確な構成にかかわらず、ステップb.3)は、全ての可能なプロセスモードにおいて、生成されるイソシアネートの第1の部分を含有する(少なくとも)1つの蒸留物流と、生成されるイソシアネート及び蒸留残渣の第2の部分を含有する(少なくとも)1つの蒸留残留物流とを与える。この蒸留残留物流のワークアップは、本発明によるプロセスのステップc)において提供される。変形形態1及び2において明らかにされたように、ステップb.3)からの蒸留残留物流とともに更なる残留物流も供給することができる。
【0061】
蒸留残留物流は、生成されるイソシアネートの(理想的には十分に回収される)割合からだけでなく、蒸留残渣からの任意の溶剤割合からもなる。
【0062】
ステップ1)において、蒸留残留物流を最初に予備濃縮すること、すなわち残りの液体流を個体化させることなく蒸発によって、生成されるイソシアネートを既に部分的に分離しておくことが好ましい。この部分蒸発による予備濃縮は、原理的には当業者に既知の任意の蒸発器において行うことができる。ステップ1)が、薄膜蒸発器、上昇薄膜蒸発器、下降薄膜蒸発器、長管蒸発器、螺旋管蒸発器、強制循環減圧蒸発器、及びこれらの装置の任意の組み合わせからなる群より選択される蒸発器において行われるときが特に好ましい。下降薄膜蒸発器が特に好ましい。複数の蒸発器を直列に接続することも可能である。ステップ1)による予備濃縮は、好ましくは120℃~180℃の範囲の温度において10mbar(abs.)~60mbar(abs.)の範囲の圧力、特に好ましくは130℃~175℃の範囲の温度において25mbar(abs.)~45mbar(abs.)の範囲の圧力で行われる。ステップ1)は、連続して行うこともできるし、不連続で行うこともできる。連続プロセスモードが好ましい。
【0063】
次に、ステップ2)は、ステップ1)において得られた、生成されるイソシアネートが激減した予備濃縮された液体流を乾燥させること、又は、ステップ1)を実行しないときは、本発明による乾燥装置においてステップb.3)で得られた蒸留残留物流を乾燥させることを含む。この乾燥は、好ましくは150℃~500℃の範囲の温度において20mbar(abs.)~200mbar(abs.)の範囲の圧力、特に好ましくは185℃~320℃の範囲の温度において50mbar(abs.)~180mbar(abs.)の範囲の圧力、特に非常に好ましくは250℃~310℃の範囲の温度において80mbar(abs.)~150mbar(abs.)の範囲の圧力で行われる。
【0064】
乾燥中、生成されるイソシアネートは蒸発され、凝縮器において液化され、したがって、乾燥対象の流れに当初から存在するイソシアネートが非常に多く回収される。残っている物は、ほぼ蒸留残渣のみからなる固体であり、いずれの場合も、生成されるイソシアネートの痕跡を引き続き含有する(各場合においてステップ2)で生成された固体の全質量に対して、好ましくは生成されるイソシアネートの1.0質量%以下、特に好ましくは生成されるイソシアネートの0.1質量%以下)。固体は、好ましくは、本発明による乾燥装置から連続して放出される。
【0065】
本発明による乾燥装置の特に好ましい使用法に加えて、この使用法の他の可能な用途が考えられ、好適であることが理解されるであろう。したがって、本発明は、蒸留残留物流、含油廃棄物、ペイント又はコーティング廃棄物、下水汚泥、有機化合物で汚染された鉱物材料(特にそれに応じて汚染された土壌)、又は石炭スラリーを乾燥させる本発明による乾燥装置の使用法を更に提供する。
【0066】
上記で既に詳細に論述したように、イソシアネート、特にTDAの生成において生成された蒸留残留物流は、本発明による装置を用いたワークアップを受けるように特に予定されている。同じことは、前駆体アミン、すなわち特にTDAにも当てはまる。
【0067】
ただし、原油の精製において生成される蒸留残留物流も、本発明による乾燥装置を用いて有利にワークアップすることができる。
【0068】
以下の実施例は、TDIのワークアップにおける本発明による乾燥装置の使用法を示している。ただし、本発明はこれらの実施例に決して限定されないことが当業者には直ちに明らかである。
【実施例
【0069】
用いられる装置:乾燥された出発原料(事前の乾燥動作から得られたもの)からなる機械的に撹拌及び流動化された粒状材料の加熱された床に乾燥対象の出発原料が付着されるシャベル乾燥機。
【0070】
乾燥機の蒸気ドームを排液路に設けた。乾燥機の蒸気導管を排液漏斗の低点に設けた。
・加熱温度:280℃~305℃;
・プロセス圧力:90mbar(abs.)~120mbar(abs.);
・乾燥対象の出発原料:約1:1の質量比の800kg/h~1100kg/hのTDIと高沸点2次成分(残渣)との混合物。
・ローター速度:5rpm~42rpm。
【実施例1】
【0071】
実施例1(比較)
蒸気ドーム及び蒸気導管を完全に断熱した(40mmの鉱滓綿に、湿気からの保護に役立つ付着シートメタルを加えた)。蒸気放出ポートを含む蒸気ドームを、300℃の温度を有する伝熱媒体を備える加熱ジャケットを介して加熱し、凝縮を防止した。
【0072】
TDI滴は、蒸気ドーム及び蒸気導管に設置されたサイトグラスを介して識別できなかった。5日間の実行時間後に、乾燥機空間とTDI凝縮器との間の差圧増大に起因して乾燥機をシャットダウンする必要があった。その後の目視検査では、蒸気放出ポート及び蒸気導管に大量の固体堆積物の被膜があることが分かった。蒸気経路の横断面全体が、数箇所で遮断されていた。蒸気ドームの内部表面は、茶色の固体の約10cm厚の層で被覆されていた;TDI放出路はこの固体層で完全に見えなくなっていた。
【実施例2】
【0073】
実施例2(本発明)
シャベル乾燥機の蒸気導管及び蒸気ドームの断熱材を完全に取り除いた。蒸気ドーム及び蒸気放出ポートのジャケット加熱への電源供給を停止した。
【0074】
蒸気ドーム排液路及び蒸気導管の排液漏斗におけるTDI凝縮回収箇所に設置されたサイトグラスを介してTDIの連続した流れを観測した。14日間の実行時間の後、乾燥機をオフにし、蒸気経路を目視検査した。蒸気放出ポート及び蒸気導管の内部表面には固体が完全にないことを確認した。非常に薄い黒色の層を除いて、蒸気ドームの内部表面には固体堆積物はなかった。少数の粒状粒子を除いて、TDI排液路は汚れが完全になく、ドレインフリーであった。したがって、乾燥機の蒸気経路全体に障害物がなく、差圧の増大なしにこの乾燥機を更に動作させることができた。
図1
図2
【国際調査報告】