(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-27
(54)【発明の名称】金属ストリップの圧延に際する起伏の防止
(51)【国際特許分類】
B21B 37/68 20060101AFI20220520BHJP
B21B 37/28 20060101ALI20220520BHJP
B21B 37/72 20060101ALI20220520BHJP
B21B 1/34 20060101ALI20220520BHJP
B21B 38/02 20060101ALI20220520BHJP
B21B 38/04 20060101ALI20220520BHJP
G01B 11/00 20060101ALI20220520BHJP
【FI】
B21B37/68
B21B37/28
B21B37/72
B21B1/34
B21B38/02
B21B38/04 A
G01B11/00 H
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021557146
(86)(22)【出願日】2020-03-05
(85)【翻訳文提出日】2021-10-07
(86)【国際出願番号】 EP2020055886
(87)【国際公開番号】W WO2020193099
(87)【国際公開日】2020-10-01
(32)【優先日】2019-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515153152
【氏名又は名称】プライメタルズ・テクノロジーズ・オーストリア・ゲーエムベーハー
(71)【出願人】
【識別番号】516128728
【氏名又は名称】プライメタルズ・テクノロジーズ・ジャーマニー・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】クラウス・レーエ
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス・マイアーホーファー
(72)【発明者】
【氏名】マルティン・ケルシェンシュタイナー
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル・コッツァン
(72)【発明者】
【氏名】マティアス・クルツ
(72)【発明者】
【氏名】ミルコ・ツンク
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル・オット
【テーマコード(参考)】
2F065
4E002
4E124
【Fターム(参考)】
2F065AA04
2F065FF01
2F065FF04
2F065JJ03
2F065JJ26
2F065MM02
2F065MM03
2F065MM04
2F065QQ24
2F065TT02
2F065TT08
4E002AD01
4E002CA02
4E124AA18
4E124BB18
4E124EE14
4E124GG08
(57)【要約】
圧延機スタンド(1)に関する制御装置(3b)は、圧延機スタンド(1)内での金属ストリップ(2)の圧延の間、圧延機スタンド(1)の入口側及び/又は出口側で存在する、金属ストリップ(2)の横方向位置(y)に関する測定データ(M)を受信する。制御装置(3b)のスタンド調整器(3a)は、スタンド調整器(3a)のパラメータ(P)を考慮して、目標位置(y*)からの横方向位置(y)の逸脱に依存して、圧延機スタンド(1)に関する旋回値(δs)を特定し、対応して、圧延機スタンド(1)を作動する。制御装置(3b)は少なくとも1つの量(V1、V2、Q1、Q2)を特定し、量からは、金属ストリップ(2)の両方のストリップエッジ(7、8)に関して、金属ストリップ(2)がストリップエッジ(7、8)それぞれの領域において起伏(9)を形成しているかどうかが明らかになる。金属ストリップ(2)が、ストリップエッジ(7、8)の一方の領域において起伏(9)を形成し次第、制御装置(3b)が、スタンド調整器(3a)のパラメータ(P)の内の少なくとも1つを変更し、これによって、スタンド調整器(3a)は、少なくとも1つのパラメータ(P)を変更して以降の旋回値(δs)を、変更されたパラメータ(P)を考慮して特定する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧延機スタンド(1)に関する制御方法であって、
-前記圧延機スタンド(1)に関する制御装置(3b)は、前記圧延機スタンド(1)内で金属ストリップ(2)が圧延される間、前記圧延機スタンド(1)の入口側及び/又は出口側で存在する、前記金属ストリップ(2)の横方向位置(y)に関する測定データ(M)を受信し、
-前記制御装置(3b)のスタンド調整器(3a)は、前記スタンド調整器(3a)のパラメータ(P)を考慮して、目標位置(y
*)からの横方向位置(y)の逸脱に依存して、前記圧延機スタンド(1)に関する旋回値(δs)を特定し、対応して、前記圧延機スタンド(1)を作動し、
-前記制御装置(3b)は少なくとも1つの量(V1、V2、Q1、Q2)を特定し、前記量から、前記金属ストリップ(2)の両方のストリップエッジ(7、8)に関して、前記金属ストリップ(2)が前記ストリップエッジ(7、8)それぞれの領域において起伏(9)を形成しているかどうかが明らかになり、
-前記金属ストリップ(2)が、前記ストリップエッジ(7、8)の一方の領域において前記起伏(9)を形成し次第、前記制御装置(3b)が、前記スタンド調整器(3a)の前記パラメータ(P)の内の少なくとも1つのパラメータを変更し、これによって、前記スタンド調整器(3a)が、少なくとも1つの前記パラメータ(P)を変更して以降の前記旋回値(δs)を、変更された前記パラメータ(P)を考慮して特定する制御方法。
【請求項2】
前記制御装置(3b)が、前記起伏(9)の形成を防止する、又は、前記起伏(9)が形成される程度(h)を所定の範囲に限定するように、前記パラメータ(P)を変更することを特徴とする、請求項1に記載の制御方法。
【請求項3】
前記制御装置(3b)が前記パラメータ(P)を、前記金属ストリップ(2)内の前記起伏(9)の新たな形成に基づいて新たに変更するか、又は、前記金属ストリップ(2)の引張状態(Z)が変化するか、又は、前記金属ストリップ(2)が前記圧延機スタンド(1)内で完全に圧延されるまで、前記制御装置(3b)が、変更された前記パラメータ(P)を維持することを特徴とする、請求項1又は2に記載の制御方法。
【請求項4】
前記制御装置(3b)が、変更された前記パラメータ(P)を、圧延された前記金属ストリップ(2)に関して特徴的なデータ(D)に割り当てて、データバンク(DB)に供給し、これによって、変更された前記パラメータ(P)は、さらなる前記金属ストリップ(2)の圧延に際して、同じ又は十分に類似した特徴的なデータ(D)で、前記パラメータ(P)に関する初期値として利用可能であることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の制御方法。
【請求項5】
前記制御装置(3b)が、前記金属ストリップ(2)の前記横方向位置(y)に関する測定データ(M)として、前記金属ストリップ(2)の画像(B)群を受信し、前記画像(B)群は、前記圧延機スタンド(1)から進出する際、及び/又は、前記圧延機スタンド(1)に進入する際の前記金属ストリップ(2)を示しており、前記画像(B)群はそれぞれ、各群に関して統一された捕捉時点に関連していることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の制御方法。
【請求項6】
前記画像(B)群が、前記金属ストリップ(2)の表面の3次元決定を可能にするように決定されていることを特徴とする、請求項5に記載の制御方法。
【請求項7】
前記制御装置(3b)が、前記金属ストリップ(2)の両方の前記ストリップエッジ(7、8)に関して、前記金属ストリップ(2)が前記ストリップエッジ(7、8)それぞれの領域において起伏(9)を形成しているかどうかを明らかにする少なくとも1つの量(V1、V2、Q1、Q2)を、前記金属ストリップ(2)の前記画像(B)群を用いて特定することを特徴とする、請求項5又は6に記載の制御方法。
【請求項8】
前記制御装置(3b)が、
-各前記画像(B)群を基に、それぞれ、前記金属ストリップ(2)が前記ストリップエッジ(7、8)それぞれの領域において前記起伏(9)を形成する程度を特定すること、
-それぞれ特定された程度を、閾値(SW)と比較すること、及び、
-少なくとも1つの前記量(V1、V2)を、それぞれの比較に依存して、それぞれブール変数(V1、V2)として特定すること、
を特徴とする、請求項7に記載の制御方法。
【請求項9】
前記制御装置(3b)が、
-各前記画像(B)群に基づいて、前記金属ストリップ(2)が前記ストリップエッジ(7、8)それぞれの領域において前記起伏(9)を形成する程度をそれぞれ量的に特定すること、及び、
-少なくとも1つの前記量(Q1、Q2)として、量化された値(Q1、Q2)を用いること、
を特徴とする、請求項7に記載の制御方法。
【請求項10】
前記制御装置(3b)が、前記量化された値(Q1、Q2)を、I-ユニットにおいて特定することを特徴とする、請求項9に記載の制御方法。
【請求項11】
前記金属ストリップ(2)が、前記制御方法を実施している間、前記圧延機スタンド(1)の上流及び/下流において、張力のない状態にあることを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の制御方法。
【請求項12】
制御プログラムであって、前記圧延機スタンド(1)に関する前記制御装置(3b)によって処理可能であるマシンコード(5)を含んでおり、前記制御装置(3b)による前記マシンコード(5)の処理によって、前記制御装置(3b)が、請求項1から11のいずれか一項に記載の制御方法を実施する、制御プログラム。
【請求項13】
請求項12に記載の制御プログラム(4)でプログラミングされており、これによって、動作中に、請求項1から11のいずれか一項に記載の制御方法を実施する、前記圧延機スタンド(1)のための制御装置。
【請求項14】
内部で前記金属ストリップ(2)が圧延される前記圧延機スタンド(1)を有し、請求項13に記載の制御装置(3b)を有している圧延ユニットであって、前記圧延機スタンド(1)が、前記制御装置(3b)によって制御される、圧延ユニット。
【請求項15】
複数の前記圧延機スタンド(1)を有する圧延機トレインであって、前記圧延機スタンド(1)が、圧延方向(x)に見て連続して配置されており、従って、前記金属ストリップ(2)の同じ部分が、前記圧延機スタンドを連続して通過し、前記圧延機スタンド(1)の内少なくとも1つの圧延機スタンドは、請求項14に記載の圧延ユニットとして構成されている、圧延機トレイン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧延機スタンドに関する制御方法を基にしており、
-圧延機スタンドに関する制御装置は、圧延機スタンド内で金属ストリップが圧延される間、圧延機スタンドの入口側及び/又は出口側で存在する、金属ストリップの横方向位置に関する測定データを受信し、
-制御装置のスタンド調整器は、スタンド調整器のパラメータを考慮して、目標位置からの横方向位置の逸脱に依存して、圧延機スタンドに関する旋回値を特定し、対応して、圧延機スタンドを作動する。
【背景技術】
【0002】
本発明はさらに、制御プログラムを基にしており、当該制御プログラムは、圧延機スタンドに関する制御装置によって処理可能であるマシンコードを含んでおり、制御装置によるマシンコードの処理によって、制御装置は、当該制御方法を実施する。
【0003】
本発明はさらに、圧延機スタンドに関する制御装置を基にしており、当該制御装置は、当該制御プログラムでプログラミングされているので、制御装置は、動作中に、当該制御方法を実施する。
【0004】
本発明はさらに、圧延ユニットを基にしており、当該圧延ユニットは、内部で金属ストリップが圧延される圧延機スタンドを有しており、圧延ユニットは、当該制御装置を有しており、圧延機スタンドは、制御装置によって制御される。
【0005】
本発明はさらに、複数の圧延機スタンドを有する圧延機トレインを基にしており、圧延機スタンドは、圧延方向に見て連続して配置されているので、金属ストリップの同じ部分が、当該圧延機スタンドを連続して通過し、圧延機スタンドの内少なくとも1つは、当該圧延ユニットとして構成されている。
【0006】
圧延機スタンド内で金属ストリップを圧延する際、金属ストリップの横方向位置が、重要なプロセス量である。「金属ストリップの横方向位置」という概念は、1つ以上のスタンドから成る圧延機トレインにおける、金属ストリップの平均的な横方向位置(=横位置)を意味し得るが、これは、先行技術だけではなく本発明の範囲でも有効である。しかしながら、本発明の範囲内では、同様に、当該概念によって、金属ストリップのより長い部分又はより短い部分の横位置を表すことも可能であり、極端な場合には、ストリップの特定の点、特にストリップ前端又はストリップ後端の横位置を表すことも可能である。特に、金属ストリップの前端を圧延する際、金属ストリップが、下流の圧延機スタンド又はコイルボックス等の下流の装置内に、可能な限り中央において進入するように、金属ストリップの横方向位置が重要である。目標位置からの横方向位置の逸脱は、欠陥をもたらし、極端な場合にはコブルをもたらす。
【0007】
このような欠陥を回避するために、金属ストリップの横方向位置を検出し、圧延機スタンドのロールを対応して旋回させ、これによって、金属ストリップの横方向位置を対応して調整し、追跡することが知られている。単なる例として、特許文献1を参照することが可能である。
【0008】
しかしまた、金属ストリップの圧延の際、圧延された金属ストリップに起伏が形成されることが生じ得る。当該起伏は、金属ストリップの横方向位置を目標位置に近づけようとする試みにもかかわらず形成される場合もあれば、まさに金属ストリップの横方向位置を目標位置に近づけようとする試みによって形成される場合もある。当該起伏は、個々の事例の状況にもよるが、圧延機スタンドの駆動側に対向する金属ストリップのストリップエッジの領域に、又は、圧延機スタンドの操作側に対向する金属ストリップのストリップエッジの領域に生じ得る。当該起伏は、少なくとも、金属ストリップを下流の装置に供給すること、例えば金属ストリップを下流のスタンドに通すこと、を困難にする。さらに、当該起伏は、いわゆる二重ストリップ(すなわち金属ストリップの二重層)を生じさせ、ひいては、圧延機スタンドの動作中に欠陥を生じさせ得る。最悪の場合には、いわゆるコブルが生じ得る。圧延された金属ストリップにおける起伏の原因は、特に具体的に圧延される金属ストリップには適さない、圧延機スタンドの非対称な調整であり得る。
【0009】
当該起伏が生じるかについて、及び、必要な場合には、どの程度の起伏が生じるのかについて、現在の先行技術では、設備データ、動作データ及び測定データを基に予め決定することができない。その理由は、測定可能かつ既知の量の他に、他の、測定不可能かつ他の方法でも知られていない量が、重要な影響を有していることにある。これらの測定可能かつ既知の量は、例えばストリップの厚さ、ストリップの幅、温度、ロールクラウン、ロールの調整等である。測定不可能かつ他の方法でも知られていない量は、例えば、当該圧延機スタンドに関して、未だ圧延されていない金属ストリップに存在する厚さ楔又は、未だ圧延されていない金属ストリップに存在する温度楔、及び、圧延機スタンドの目標設定からの実際の設定の逸脱も、である。
【0010】
先行技術からは、対応するカメラ装置を用いて、圧延機スタンドの出口側において、圧延された金属ストリップの画像を捕捉し、当該画像を評価することが知られている。しかしながら、先行技術では、当該評価は単に、ストリップエッジの位置又は全体的に金属ストリップの横方向位置を検出及び特定するため、特にストリップキャンバーを特定するために行われる。単なる例として、既に挙げた特許文献1が参照され得る。また、特許文献2もこれを示している。同じことは、特許文献3にも当てはまる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】欧州特許出願公開第3202502号明細書
【特許文献2】国際公開第2006/063948号
【特許文献3】国際公開第2016/198246号
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】Zhong-Qiu Zhaoら、「Object Detection with Deep Learning:A Review」、「ジャーナル・オブ・ラテフ・クラス・ファイルズ(Journal of Latex Class Files)」、2017年3月、第14巻、第8号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の課題は、圧延された金属ストリップにおける起伏を可能な限り防止する可能性を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本課題は、請求項1の特徴を有する制御方法によって解決される。制御方法の有利な態様は、従属請求項2から11の対象である。
【0015】
本発明によると、冒頭に挙げた種類の制御方法は、
-制御装置が少なくとも1つの量を特定し、当該量から、金属ストリップの両方のストリップエッジに関して、金属ストリップが各ストリップエッジの領域において起伏を形成しているかどうかが明らかになること、及び、
-金属ストリップが、ストリップエッジの一方の領域において起伏を形成し次第、制御装置が、スタンド調整器のパラメータの内の少なくとも1つを変更し、これによって、スタンド調整器が、少なくとも1つのパラメータを変更して以降の旋回値を、変更されたパラメータを考慮して特定すること、によって構成される。
【0016】
特に、制御装置は、起伏の形成を防止する、又は、起伏が形成される程度を所定の範囲に限定するように、パラメータを変更する。
【0017】
当該パラメータは、必要に応じて決定されてよい。特に、当該パラメータは、旋回値に関する最大値又は最小値であり得る。例えば、圧延機スタンドの楔の調整に関する限界値を、ストリップエッジに起伏が生じた方向に定めることが可能である。別の方向に関しては、その限界値を変更せずに(当該限界値が存在する場合は)維持することが可能である。代替的に、両方の旋回方向に関して、圧延機スタンドの楔の調整に関する共通の絶対的な限界値を定めることが可能である。
【0018】
個々の事例において、パラメータが、スタンド調整器によって目下出力される旋回値に影響を未だ有しないように、パラメータを決定することが可能である。これは、特に、起伏の認識の際の感度が非常に高く、既に非常に小さな起伏が認識可能である場合に有意義である。この場合、状況によっては、旋回方向に応じて、実際の値のわずかに上又は下の値に限界値を定めれば十分であり得る。しかし、一般的には、制御装置は、スタンド調整器が実際の旋回値を、パラメータの変更に基づいて低下させなければならないように、限界値を定めるであろう。
【0019】
好ましくは、制御装置は、制御装置がパラメータを、金属ストリップ内の起伏の新たな形成に基づいて新たに変更するか、又は、金属ストリップの引張状態が変化するか、又は、金属ストリップが圧延機スタンド内で完全に圧延されるまで、変更されたパラメータを維持する。
【0020】
引張状態は、金属ストリップが張力を受けて圧延されるのか、又は、張力を受けずに圧延されるのか、を確定する。ストリップ位置の出口側での検出及び起伏上での評価に際して、ストリップ前端に隣接する領域は、ストリップ前端が下流の装置に進入するまで、例えば、下流の圧延機スタンドに通されるまで、張力を受けずに圧延される。同様に、ストリップ位置の入口側での検出及び起伏上での評価の場合、ストリップ後端に隣接する領域は、ストリップ後端が上流の装置から進出した瞬間、例えば上流の圧延機スタンドから引き出された瞬間から、張力を受けずに圧延される。金属ストリップの残存する領域は、必要に応じて、張力を受けて(この場合が一般的である)、又は、張力を受けずに圧延され得る。
【0021】
好ましくは、制御装置は、変更されたパラメータを、圧延された金属ストリップに関して特徴的なデータに割り当てて、データバンクに供給し、これによって、変更されたパラメータは、さらなる金属ストリップの圧延に際して、同じか又は十分に類似した特徴的なデータで、パラメータに関する初期値として利用可能である。これによって、さらなる金属ストリップの圧延の際、同じか又は十分に類似した特徴的なデータを用いて、スタンド調整器のパラメータを、起伏が防止される、又は、起伏の程度が所定の範囲に限定されるように、最初から設定することが得られる。特に、これによって、後続の同種の、又は、少なくとも比較可能な金属ストリップの圧延に際して、新たに起伏が生じることが防止される。
【0022】
金属ストリップの横方向位置に関する測定データとして、制御装置は、特に金属ストリップの画像群を受信するが、当該画像群は、圧延機スタンドから進出する際、及び/又は、圧延機スタンドに進入する際の金属ストリップを示しており、当該画像群はそれぞれ、各群に関して統一された捕捉時点に関連している。カメラ及び類似の光学的捕捉装置による当該画像の捕捉は、上述したように、一般的に知られている。
【0023】
個別の事例において、当該群がそれぞれ1つのみの画像を含むことがあり得る。この場合、非常に確実な評価が既に可能である。さらに、画像群が金属ストリップの表面の3次元決定を可能にするように、画像群が決定されていてよい。これによって、評価は、さらに改善される。
【0024】
例えば、画像群は、少なくとも1つの深度図を含み得る。「深度図」という概念は、決まった意味を有している。深度図は2次元の画像であり、各像点には、その画像内での像点の配置によって決定された、付属する対象の配置に加えて、距離情報も割り当てられており、これによって、付属する対象は、3次元空間において、明確に位置を特定されている。一般的に、代替的に、原則的に、しかしまた付加的に、画像群が複数の2次元画像を含むことが可能である。この場合、各群の複数の画像を基に、立体画像、すなわち空間画像が生成され得る。
【0025】
制御方法の特に好ましい態様において、制御装置が、金属ストリップの両方のストリップエッジに関して、金属ストリップが各ストリップエッジの領域において起伏を形成しているかどうかを明らかにする少なくとも1つの量を、金属ストリップの画像群を用いて特定することが規定されている。
【0026】
画像内の起伏を特定するためのアルゴリズムを、アルゴリズムとして詳細に作成する必要はない。むしろ、学習段階の範囲内で、いわゆる機械学習アルゴリズムを用いることが可能である。例えば、神経回路網が、対応して訓練され得る。この関連において、単なる例として、非特許文献1が参照され得る。しかしまた、別のアプローチも可能である。
【0027】
最も単純な場合、制御装置は、
-各画像群を基に、それぞれ、金属ストリップが各ストリップエッジの領域において起伏を形成する程度を特定すること、
-それぞれ特定された程度を、閾値と比較すること、及び、
-少なくとも1つの量を、それぞれの比較に依存して、それぞれブール変数として特定すること、が可能である。
【0028】
この場合、制御装置は、一方のストリップエッジに起伏が形成されているか、又は、他方のストリップエッジに起伏が形成されているかを、単純に二分決定する。この変型例は、比較的容易に実現され得る。
【0029】
しかしながら、制御装置が、
-各画像群に基づいて、金属ストリップが各ストリップエッジの領域において起伏を形成する程度を、それぞれ量的に特定する場合、及び、
-少なくとも1つの量として、量化された値を用いる場合、がさらに好ましい。
【0030】
つまり、この場合、起伏の形成に関するバイナリ情報だけではなく、量化された情報が利用可能である。量化された値を、制御装置は、例えばI-ユニット(英語のI-unitsは、ドイツ語では平坦性指数としても知られている)の形において特定可能である。I-ユニットは、当業者には知られており、習熟されている。
【0031】
本発明に係る制御方法は、特に、金属ストリップが、スタンド調整器が作用している圧延機スタンドの上流及び/又は下流で、張力のない状態にある間に行われる。
【0032】
本課題はさらに、請求項12に記載の特徴を有する制御プログラムによって解決される。本発明では、制御装置がマシンコードを処理することによって、制御装置は、本発明に係る制御方法を実施する。
【0033】
本課題はさらに、請求項13に記載の特徴を有する制御装置によって解決される。本発明によると、制御装置は、当該制御プログラムでプログラミングされているので、制御装置は、動作中に、当該制御方法を実施する。
【0034】
本課題はさらに、請求項14に記載の特徴を有する圧延ユニットによって解決される。本発明によると、圧延ユニットは、制御装置として、本発明に係る制御装置を有している。
【0035】
本課題はさらに、請求項15に記載の特徴を有する圧延機トレインによって解決される。本発明によると、圧延機スタンドの内少なくとも1つは、本発明に係る圧延ユニットとして構成されている。
【0036】
上述した本発明の特性、特徴及び利点、並びにこれらを得るための方法は、図面を用いて詳細に行われる以下の実施例の説明との関連において、より明確になり、より理解しやすくなる。この際、以下の図面が概略的に示されている。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】複数のスタンドから成る圧延機トレインを示す図である。
【
図2】個々の圧延機スタンドを、配設された要素と共に示す図である。
【
図4】上から見た圧延機スタンド及び金属ストリップを示す図である。
【
図5】起伏を有する金属ストリップを横から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
図1によると、圧延機トレインは、複数の圧延機スタンド1を有している。圧延機スタンド1の内、
図1には、ワークロールのみが示されている。しかしながら一般的に、圧延機スタンド1は、付加的に少なくともバックアップロールを有しており、多くの場合、バックアップロール以外にも、さらなるロールを有している。例えば、ワークロールとバックアップロールとの間には、中間ロールが配置されていてよい。圧延機トレイン内では、金属ストリップ2が圧延される。圧延機スタンド1は、各スタンド調整器3aによって制御される。スタンド調整器3aは、各圧延機スタンド1に関する各制御装置3bの構成要素である。制御装置3bは、上位の調整装置3cによって調整され得る。しかしこれは、絶対的に必要とされるものではない。
【0039】
圧延機スタンド1は、圧延方向xに見て連続して配置されている。従って、圧延機スタンド1は、金属ストリップ2の同じ部分によって、連続して通過される。金属ストリップ2は、例えば鋼又はアルミニウムから形成され得る。圧延は、例えば熱間圧延であってよく、特に熱間圧延装置の複数のスタンドから成る仕上げトレインにおける熱間圧延であってよい。
【0040】
図2は、各圧延機スタンド1を示している。
図2の圧延機スタンドでは、同様に金属ストリップ2が圧延される。圧延機スタンド1は、
図1の圧延機トレインの圧延機スタンド1の内の1つであり得る。この理由から、
図2には、付加的に、圧延機トレインのさらなる圧延機スタンド1が記されている。しかしながら、このさらなる圧延機スタンド1は、破線で示されているのみである。なぜなら、
図2及び他の図面の範囲においては、実線で示された圧延機スタンド1のみが重要だからである。従って、以下の説明は、当該圧延機スタンド1に関連している。代替的に、金属ストリップ2がリバース圧延されるリバーススタンドであってもよい。この場合、圧延機スタンド1は、内部で金属ストリップ2が圧延される唯一の圧延機スタンドであり得る。圧延機スタンド1は、
図1に係る圧延機スタンド1の場合と同様に、スタンド調整器3aを備えた制御装置3bによって制御され、制御装置3bの上位には、調整装置3cが配置されていてよい。
【0041】
制御装置3bはそれぞれ、制御プログラム4でプログラミングされている。これは、
図1及び
図2において、制御装置3bの内の1つのみに関して示されている。制御プログラム4は、制御装置3bによって処理され得るマシンコード5を含んでいる。制御装置3bがマシンコード5を処理することによって、制御装置3bは、圧延機スタンド1を、以下において詳細に言及される制御方法に従って制御する。この際、先行技術においても行われるように、まず動作に関して言及し、その後で本発明の特徴を取り上げることにする。
【0042】
制御装置3bは、捕捉装置6から、測定データMを受信する。
図3のステップS1も参照のこと。測定データMの受信は、圧延機スタンド1内で金属ストリップ2が圧延される間に行われる。測定データMは、
図4の描写によると、圧延機スタンド1の出口側において存在する金属ストリップ2の横方向位置yに関して特徴的である。従って、制御装置3bは、ステップS2において、測定データMから、金属ストリップ2の横方向位置yを特定する。制御装置は、目標位置y
*からの横方向位置yの逸脱に依存して、ステップS3において、圧延機スタンド1に関する旋回値δsを特定する。出発点として、特定は、金属ストリップ2の横方向位置yを、目標位置y
*に近づける。スタンド調整器3aは、ステップS4において、圧延機スタンド1を、特定された旋回値δsに対応して作動する。
【0043】
スタンド調整器3aは、旋回値δsの特定の際に、目標位置y*からの横方向位置yの逸脱だけではなく、付加的に、少なくとも1つのパラメータP、大抵は複数のパラメータPをも考慮する。パラメータPは、変数とは多少異なっている。変数は、スタンド調整器3aの各周期において変化する量である。典型的な変数は、目標値y*、現在値y及び操作変数δsである。これに対して、パラメータは、一般的に、スタンド調整器3aに対して一度のみ与えられ、制御プロセス全体の間に、つまり複数の周期を通じて、一定に保たれる値である。パラメータPは、例えば、従来のPI制御では、比例ゲインであるか、又は、積分時定数であってよい。当該事例において用いられる、例えば既に挙げた特許文献1から知られているようなスタンド調整器3aの範囲内では、パラメータPは、例えば旋回値δsに関する最大許容値、又は、スタンド調整器3aの周期から周期へと旋回値δsを変更するための最大値を定めることができる。旋回値δsに関する最大許容値は、必要な場合には、両方の旋回方向に関して別個に定められ得る。
【0044】
これまで言及してきた範囲では、制御装置3bの機能は、一般的に知られており、例えば特許文献1において詳細に言及されたような、通常のストリップ位置制御に対応している。本発明は、当該アプローチに基づいている。
【0045】
本発明によると、制御装置3bは、ステップS5において、少なくとも1つの量V1、V2、Q1、Q2を特定し、当該量から、金属ストリップ2の両方のストリップエッジ7、8に関して(
図4を参照)、金属ストリップ2が各ストリップエッジ7、8の領域において起伏9を形成している(
図5を参照)かどうかが明らかになる。ステップS6において、制御装置3bは、少なくとも1つの量V1、V2、Q1、Q2を用いて、ストリップエッジ7、8において、金属ストリップ2が起伏9を形成しているか、及び、場合によっては、いずれのストリップエッジ7、8に金属ストリップ2が起伏9を形成しているかを検査する。
【0046】
S6において否定の検査結果が得られた場合、つまり、起伏9が認識されない場合、ステップS7はスキップされる。これに対して、ステップS6において肯定の検査結果が得られた場合、つまり、起伏9が認識される場合、制御装置3bは、ステップS7に進む。ステップS7では、制御装置3bは、スタンド調整器3aのパラメータPの内少なくとも1つを変更する。この時点から、つまり、少なくとも1つのパラメータPを変更した時点から、スタンド調整器3aは、変更したパラメータPを考慮して、旋回値δsを特定する。
【0047】
制御装置3bは、起伏9の形成を防止する、又は、起伏9が形成される程度hが所定の範囲に限定されるように、パラメータPを変更する。特に、制御装置3bは、旋回値δsに関する最大許容値を定めるパラメータPを変更することができる。特に、当該値は、その目下有効な値から低下させられ得る。当該変更は、代替的に、両方の旋回方向に関して、又は、生じた起伏9に責任を有する旋回方向に関してのみ、実施可能である。
【0048】
起伏9を自動的には考慮しないという先行技術のアプローチとは異なり、本発明の範囲内では、旋回値δsの特定は、金属ストリップ2がそのストリップエッジ7、8の内の一方の領域に起伏9を形成しているかどうかという状況を考慮して行われる。
【0049】
制御装置3bは、変更されたパラメータPを、さらなる経過の中で、特別な事象が生じ、当該事象に基づいて、対応するパラメータPの値が新たに変更されるまで維持する。パラメータPが、両方の旋回方向に関して、値を低下させられる場合、このような特別な事象とは、言及したばかりのパラメータPの変更にもかかわらず、ストリップエッジ7、8の内の一方において、新たに起伏9が検出されることにある。パラメータPが、各旋回方向に関してのみ、値を低下させられる場合、このような特別な事象は、言及したばかりのパラメータPの変更にもかかわらず、以前と同じストリップエッジ7、8において、新たに起伏9が検出されることにある。さらなる特別な事象は、圧延プロセスの変更である。
【0050】
特に、
図6の描写によると、制御装置3bが、ステップS11において、金属ストリップ2の引張状態Zが変化したかどうかを検査することが可能である。特に、張力による金属ストリップ2の圧延から、張力によらない金属ストリップ2の圧延に移行する際、又は、逆に、張力によらない金属ストリップ2の圧延から、張力による金属ストリップ2の圧延に移行する際、引張状態Zが変化する。張力によらない金属ストリップ2の圧延から、張力による金属ストリップ2の圧延への転換は、一般的に、特に金属ストリップ2のストリップ前端11が下流の装置に進入する際、例えば複数のスタンドから成る圧延機トレインにおいて、下流の圧延機スタンド1に通される際に行われる。逆に、張力による金属ストリップ2の圧延から、張力によらない金属ストリップ2の圧延への転換は、金属ストリップのストリップ後端が、上流の装置から進出する際、例えば複数のスタンドから成る圧延機トレインの上流の圧延機スタンドから引き出される際に行われる。
【0051】
代替的又は付加的に、制御装置3bは、ステップS12において、金属ストリップ2が完全に圧延機スタンド1内で圧延されたかどうかを検査することができる。この場合、パラメータPは、ステップS13において、新しく定められ得る。
【0052】
パラメータPを常に同じ値に設定することが可能である。しかしながら、好ましくは、
図6の手順は、
図7の描写によると、ステップS21~S24によって補足されている。
【0053】
ステップS21は、制御装置3bが、少なくとも1つのパラメータPを変更する場合に実施される。この場合、制御装置3bは、変更されたパラメータPを、圧延された金属ストリップ2に関して特徴的なデータDに割り当てて、データバンクDB(
図2を参照)に供給する。これによって、制御装置3bが、ステップS22において各金属ストリップ2を圧延する前に、特徴的なデータDを用いて、新たに圧延されるべき金属ストリップ2に関して、データバンクDBに、当該金属ストリップ2に関して、又は、十分に類似した特徴的なデータDを備えた金属ストリップ2に関して、既にパラメータPが保存されているかどうかを検査することが可能である。当該パラメータPが保存されている場合、制御装置3bは、ステップS23において、当該パラメータPを初期値として、データバンクDBから呼び出すことが可能である。その他の場合には、制御装置3bは、ステップS24において、パラメータPに関する基準値を設定することが可能である。
【0054】
測定データMは、必要に応じて決定されていてよい。これに対応して、捕捉装置6も構成されている。好ましくは、捕捉装置6は、個別のカメラ6として、又は、カメラ群10として(
図4を参照)構成されていてよい。この場合、測定データMは、画像B又は画像B群である。
【0055】
画像B群が、それぞれ1つの画像Bのみを含んでいることがあり得る。この場合、各画像Bは、それぞれの捕捉時点に関連している。しかしながら、上述したように、捕捉装置6は、カメラ群10として構成されていてもよい。この場合、複数のカメラ10は、それぞれの画像Bを捕捉する。この場合、各カメラ10は、それぞれ統一された捕捉時点において、それぞれの画像Bを捕捉する。つまり、この場合、各群の画像Bは、それぞれの統一された捕捉時点に関連している。
【0056】
好ましくは、制御装置3bは、画像B群を、ステップS2の範囲内、すなわち金属ストリップ2の横方向位置yの特定の範囲内で利用するだけではない。むしろ、制御装置3bは、好ましくは画像B群を、ステップS5の範囲内でも、量V1、V2、Q1、Q2の内少なくとも1つを特定するために利用し、当該量からは、金属ストリップ2の両方のストリップエッジ7、8に関して、金属ストリップ2が各ストリップエッジ7、8の領域において起伏9を形成しているかどうかが明らかになる。
【0057】
上述したように、画像B群はそれぞれ、1つより多い画像Bを含み得る。例えば、
図4の描写によると、複数のカメラ10が存在していてよく、当該カメラは、それぞれの画像Bを捕捉する。この場合、制御装置3bは、統一された捕捉時点に捕捉された画像Bを、制御装置3bが金属ストリップ2の3次元表面を特定する程度に前処理することができる。この場合、制御装置3bは、ステップS5において、金属ストリップ2の特定された3次元表面を利用する。同様に、画像B群ごとに、単独の画像Bのみが捕捉されるが、既にこの単独の画像Bが、必要な3次元情報を含んでいることもあり得る。この場合、対応する画像Bは、いわゆる深度図である。この場合にも、制御装置3bは、ステップS5において、金属ストリップ2の3次元表面を利用する。
【0058】
ステップS5を実施するため、すなわち、金属ストリップ2の両方のストリップエッジ7、8に関して、金属ストリップ2が各ストリップエッジ7、8の領域において起伏9を形成しているかどうかを明らかにする量V1、V2、Q1、Q2の内の少なくとも1つを特定するために、制御装置3bは、
図8の描写によると、ステップS31において、各画像B群の評価の範囲内で、金属ストリップ2の一方のストリップエッジ7、8に関して、金属ストリップ2がストリップエッジ7、8の領域で起伏9を形成している程度を特定することができる。例えば、制御装置3bは、起伏9の高さhを特定することができる。
【0059】
起伏9の程度を特定するために、制御装置3bは、広い意味でのアルゴリズムを実行する。例えば、制御装置3bは、学習アルゴリズム(機械学習アルゴリズム)でプログラミングされていてよく、学習アルゴリズムには、学習段階において予め、すなわち
図3に係る制御方法を実施する前に、複数の画像B群が設定され、各画像B群に加えて、例えば起伏9の高さh等の、付属する程度が伝えられ、これによって、制御装置3bは、正しい評価を「学習」することが可能であった。程度の代替として、制御装置3bには、当該程度から導出されたブール情報も供給され得る。後続の動作の範囲内では、すなわち
図3に係る制御方法を実施する範囲内では、学習アルゴリズムに、いまや各画像B群のみが設定され、制御装置3bは、学習アルゴリズムを用いて、付属する程度又は当該程度から導出されるブール情報を決定する。代替的又は付加的に、制御装置3bには、学習プロセスの範囲内で、例えば金属ストリップ2を圧延する際の操作者による制御介入等の、別の情報も供給され得る。適切な学習アルゴリズムの例は、神経回路網、特にDNN=ディープニューラルネットワーク=深層神経回路網である。このような神経回路網の訓練の構成及び方法は、例えば冒頭に挙げた非特許文献1において言及されている。
【0060】
ステップS32において、制御装置3bは、特定された程度が、所定の閾値SWを超過するかどうかを検査する。超過する場合、制御装置3bは、ステップS33において、ブール変数V1をTRUEの値に設定する。その他の場合には、制御装置3bは、ステップS34において、ブール変数V1をFALSEに設定する。
【0061】
ステップS35~S38において、制御装置3bは、完全にアナログな方法で、他方のストリップエッジ8に関して、ブール変数V2の値を特定する。
【0062】
図8に係る手順の範囲内では、ブール変数V1、V2は、金属ストリップ2が各ストリップエッジ7、8の領域において起伏9を形成しているかどうかを明らかにする、少なくとも1つの量である。両方のブール変数V1、V2の代わりに、自明のことながら、少なくとも3つの値を有する変数を用いることも可能である。例えば、+1の値を、一方のストリップエッジ7における起伏9に関して、-1の値を、他方のストリップエッジ8における起伏9に関して、0の値を、起伏9が存在しない場合に関して用いることが可能である。
【0063】
図9の手順は、
図8の手順に類似している。しかしながら、ステップS32~S34及びS36~S38は、省略してもよい。その代わりに、ステップS41及びS42は存在する。ステップS41において、制御装置3bは、ステップS31において特定された程度に関して、量化された値Q1を特定する。最も単純な場合、制御装置3bは、ステップS41において、ステップS31で特定された程度を受信する。しかしながら、好ましくは、制御装置3bは、ステップS41において、ステップS31で特定された程度を、量化された値Q1として用いて、ストリップエッジ7、8の領域における金属ストリップ2の付属するI-ユニットを特定する。
【0064】
同様の方法で、制御装置3bは、ステップS42において、ステップS35で特定された程度に関して量化された値Q2を特定する。
【0065】
図9に係る構成において、量化された値Q1、Q2は、金属ストリップ2が各ストリップエッジ7、8の領域において起伏9を形成しているかどうかを明らかにする、少なくとも1つの量である。両方の量化された値Q1、Q2の代わりに、自明のことながら、統一された変数を用いることも可能であり、当該変数は、例えばプラスの値の場合は、一方のストリップエッジ7における起伏9の高さhを表し、マイナスの値の場合は、他方のストリップエッジ8における起伏9の高さhを表している。
【0066】
図4の描写によると、画像Bは、張力のない状態での、圧延機スタンド1の出口側における金属ストリップ2を示している。純粋なリバーススタンドとして圧延機スタンド1が構成されている場合がこれに当てはまる。
図1に係る複数のスタンドから成る圧延機トレインの構成要素として、圧延機スタンド1が構成されている場合には、これは、金属ストリップ2のストリップ前端11が既に圧延機スタンド1を通過しているが、破線で示されたさらなる圧延機スタンド1には未だ到達していない時間範囲に関して生じる。圧延機スタンド1の上流及び下流に、例えばコイルボックス又は類似の装置が配置されている場合、これはそれぞれ、ストリップ前端11が各コイルボックスに到達する時点まで有効である。ストリップ後端に関しては、同様の構成が有効である。
【0067】
リバーススタンドにおいて、金属ストリップ2はリバース圧延される。従って、圧延機スタンド1の出口側は、各圧延工程で変化する。従って、リバーススタンドにおいて「出口側」という概念は、静的ではなく動的に、各圧延工程に関連している。同じことが、「入口側」という概念にも当てはまる。
【0068】
これまで、本発明を、圧延機スタンド1の出口側における横方向位置yの検出に関連して説明してきた。これは、本発明の通常例である。しかしまた、代替的又は付加的に、当該手順を圧延機スタンド1の入口側に関して実施することが同様に可能である。
【0069】
本発明は、多くの利点を有している。特に、本発明に係るアプローチによって、走行中のストリップにおける欠陥だけではなく、起伏9が形成される際の欠陥も認識可能かつ修正可能である。捕捉された画像Bにおいて、起伏9を起伏として認識することが、問題なく実現可能である。本発明に係るアプローチは、特に、下流の圧延機スタンド1に金属ストリップ2を通す際、又は、金属ストリップ2が下流の装置に進入する際に、動作を自動的に最適化するために用いられ得る。さらに、大抵の場合、画像Bの捕捉及び利用のために必要なハードウェアは存在しているので、付属するソフトウェアに関する費用のみが生じる。
【0070】
本発明を、好ましい実施例を用いて詳細に図示及び説明してきたが、本発明は、開示された例によって限定されるものではなく、本発明の保護範囲を離れることなく、当業者が他の変型例を引き出すことが可能である。
【符号の説明】
【0071】
1 圧延機スタンド
2 金属ストリップ
3 制御装置
3a スタンド調整器
3b 自動化装置
4 制御プログラム
5 マシンコード
6 捕捉装置
7、8 ストリップエッジ
9 起伏
10 カメラ
11 ストリップ前端
B 画像
D データ
DB データバンク
h 高さ
M 測定データ
P パラメータ
Q1、Q2 量化された値
S1~S42 ステップ
SW 閾値
V1、V2 ブール変数
x 圧延方向
y 横方向位置
y* 目標位置
Z 引張状態
δs 旋回値
【国際調査報告】