(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-27
(54)【発明の名称】ピールオフ皮膜形成化粧用組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/73 20060101AFI20220520BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20220520BHJP
A61Q 1/10 20060101ALI20220520BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20220520BHJP
【FI】
A61K8/73
A61Q19/00
A61Q1/10
A61K8/34
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021557782
(86)(22)【出願日】2020-03-27
(85)【翻訳文提出日】2021-11-01
(86)【国際出願番号】 EP2020058671
(87)【国際公開番号】W WO2020201067
(87)【国際公開日】2020-10-08
(32)【優先日】2019-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591169401
【氏名又は名称】ロケット フレール
【氏名又は名称原語表記】ROQUETTE FRERES
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ジュリー・ジャマン
(72)【発明者】
【氏名】サラ・セバン・ズナティ
(72)【発明者】
【氏名】フラヴィ・メール-アミオ
(72)【発明者】
【氏名】ステファーヌ・ビューロー
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA071
4C083AA112
4C083AA121
4C083AB051
4C083AB052
4C083AB441
4C083AB442
4C083AC011
4C083AC101
4C083AC102
4C083AC111
4C083AC112
4C083AC121
4C083AC122
4C083AC131
4C083AC132
4C083AC181
4C083AC182
4C083AC302
4C083AC351
4C083AC582
4C083AD091
4C083AD111
4C083AD241
4C083AD242
4C083AD261
4C083AD351
4C083AD352
4C083AD411
4C083AD571
4C083BB01
4C083BB21
4C083BB60
4C083CC02
4C083CC14
4C083DD27
4C083DD31
4C083DD41
4C083EE03
4C083EE07
4C083EE25
4C083FF01
(57)【要約】
本発明の目的は、水性連続相において、30%以上のアミロース含量を有する少なくとも1種の豆デンプン、ポリオールから選択される少なくとも2種の可塑剤、及び水を含む皮膜形成化粧用組成物であり、ポリオールが組成物の総質量に対して8~25質量%、好ましくは10~20質量%の範囲の含有量で存在すると理解される。本発明はまた、ケラチン物質上にピールオフ皮膜を形成するための、そのような組成物の使用に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水性連続相において、
- 30%以上、好ましくは30%~75%の間のアミロース含量を有する少なくとも1種の豆デンプンと、
- ポリオールから選択される少なくとも2種の可塑剤と、
- 水と
を含む皮膜形成化粧用組成物であって、
ポリオールが、組成物の総質量に対して、8~25質量%、好ましくは10~20質量%の範囲の含量で存在すると理解される、皮膜形成化粧用組成物。
【請求項2】
デンプンが、水性分散体中25℃で20%の乾物で、10~10000mPa.sの間、好ましくは20~5000mPa.sの間、より好ましくは50~1000mPa.sの間、最も好ましくは75~500mPa.sの間である、更により好ましくは約150mPa.sであるブルックフィールド粘度を有することを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
デンプンが、30%~75%、好ましくは30%~45%、及びより好ましくは35%~40%の範囲内に含まれるアミロース含量を有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の固体化粧用組成物。
【請求項4】
豆デンプンが、エンドウ(pea)デンプン、ヒヨコマメデンプン、ソラマメ(broad bean)デンプン、ソラマメ(faba bean)デンプン、マメデンプン、又はヒラマメデンプンから選択され、好ましくはエンドウ(pea)デンプンから選択され、最も好ましくはエンドウ(Pisum sativum)デンプンであることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
デンプンが、加水分解及びヒドロキシプロピル化マメ科デンプンであることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
デンプンが、組成物の総質量に対して0.1質量%~30質量%、好ましくは1質量%~25質量%の間である乾物含量で存在することを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
ポリオールが、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、ペンタンジオール、イソプレングリコール、ネオペンチルグリコール、グリセロール、特に4~8エチレングリコール及び/又はソルビトール単位を有するポリエチレングリコール(PEG)から選択され、好ましくは、ポリオールがグリセロール及びソルビトールであり、好ましくはペンチレングリコールとの混合物であることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
組成物の総質量に対して、25~65質量%、好ましくは30~60質量%の水を含むことを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
親水性ゲル化剤を含み、特に多糖類、タンパク質誘導体、ポリエステル型の合成又は半合成ゲル、ポリアクリレート又はポリメタクリレート及びそれらの誘導体から選択されることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
親水性ゲル化剤が、多糖類、好ましくはキサンタンガム、スクレロチウムガム、及びこれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
8~20の間のHLBの乳化剤を含むことを特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
8~20の間のHLBの乳化剤が、脂肪酸エステル、及びオキシエチレン化及び/又はオキシプロピレン化ソルビトールエーテル、リゾリン脂質、自己乳化ワックス又は加水分解ワックス等の乳化ワックス並びにそれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
デンプン以外の更なる皮膜形成剤を含み、好ましくはセラック樹脂、サンダラックゴム、ダマー、エレミ、コーパル、セルロースポリマー、カエサルピニア・スピノザの果実及び/又は藻類カッパフィカス・アルバルジから抽出されたポリマー、イタコン酸のポリマー及びそれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項1から12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
1~5個の炭素原子を有する少なくとも1種のモノアルコール、好ましくはエタノールを含むことを特徴とする、請求項1から13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
好ましくは顔料及び/又は真珠層から選択される着色剤を含むことを特徴とする、請求項1から14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
少なくとも1種のフィラー、好ましくはカオリン等の鉱物フィラーを含むことを特徴とする、請求項1から15のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項17】
化粧品活性剤を含むことを特徴とする、請求項1から16のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項18】
- 可塑剤を水と、場合により乳化剤及び/又は皮膜形成剤と混合する工程と、
- ゲルが形成されるまで撹拌しながらデンプンを添加する工程と、
- 場合によりゲル化剤を添加する工程と、
- 場合により着色剤を添加する工程と、
- 場合によりpHを調整する工程と、
- 場合によりアルコールを添加する工程と
を含む、請求項1~17のいずれか一項に記載の組成物を調製する方法。
【請求項19】
可塑剤と水、及び場合により乳化剤及び/又は皮膜形成剤との混合が、室温で、又は高温で、例えば60~95℃の間の温度で実行されることを特徴とする、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
ケラチン物質、特に皮膚、まつ毛、眉毛又は唇に対するメイクアップ又は手入れ方法であって、前記ケラチン物質、特に皮膚、まつ毛、眉毛又は唇に、請求項1から17のいずれか一項に記載の組成物を塗布することである方法。
【請求項21】
請求項1から17のいずれか一項に記載の皮膜形成組成物からピールオフ皮膜を得る方法であって、
- 請求項1~17のいずれか一項に記載の組成物を、ケラチン物質、特に皮膚、まつ毛、眉毛又は唇に塗布して、均一な液体皮膜を形成することと、
- 前記組成物を、10秒間~15分間乾燥すること
を特徴とする方法。
【請求項22】
ケラチン物質上にピールオフ皮膜を形成するための、請求項1から17のいずれか一項に記載の組成物の化粧的使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水性連続相において、30%以上のアミロース含量を有する少なくとも1種の豆デンプン、ポリオールから選択される少なくとも2種の可塑剤、及び水を含む皮膜形成化粧用組成物に関する。本発明はまた、ケラチン物質上にピールオフ皮膜を形成するための、そのような組成物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膜形成組成物は、アプリケーターの有無にかかわらず、皮膚、皮膚構造(爪又は毛髪)、粘膜等の組織に均質な膜を形成するように、これらの組織に塗布されるものである。それらは一般に、塗布する際には流体であり、従来は揮発性溶媒、典型的には水又はアルコールに溶解した皮膜形成ポリマーを含有する。溶媒が蒸発すると、組成物の乾燥中に固体保護皮膜の形成が可能となる。
【0003】
皮膜形成組成物は、所望の領域にその大きさに関係なく塗布し、その上に均一な皮膜を形成できるだけの充分な流動性だけではなく、乾燥時間中に流れることなく塗布領域に留まって、乾燥後、適当な厚さを有する皮膜を形成するのに充分な厚さもある、制御された構成を有していなければならない。
【0004】
スキンケアの分野において、美容マスク式の製品が化粧品の分野で公知である。それらは特にゲル、乳剤又はペーストの形態である。剥がすことによって除去できるマスクがあり、それらはポリビニルアルコールに基づく水性皮膜形成組成物である。ピールオフマスクは、顔面に塗布した後乾燥し、剥がすことによって除去される皮膜が得られる。乾燥時間の間に、マスクの閉塞効果によって角質層を湿潤化、軟化させ、組成物中に存在する有効成分の浸透を促進することができる。更にこれらのマスクは、剥がすことによって除去されると「ピーリング」、特に角質層表面からの死細胞の除去をもたらす。これらはまた、面皰及び黒ニキビを除去することができる。
【0005】
しかしながら、これらのマスクを剥がすことの質には失望することが多く、形成される膜の均一性及び強度は一般的に不充分であり、剥がす際に皮膜が引き裂かれてしまう。その結果、皮膜は数段階で除去する必要がある。
【0006】
メイクアップの分野では、ピールオフ皮膜形成組成物は遊び心のある興味を持たせ、及び/又はメイクアップ除去を容易にすることができる。それらは例えば、マニキュア液の分野で発達している。
【0007】
ピールオフ組成物には今日、ポリビニルピロリドン(PVP)又はポリ酢酸ビニル(PVA)等の合成ポリマーが使用されている。しかしながら、消費者は、化学修飾が最小限の、天然成分又は天然由来の成分から主に構成される化粧料をますます求めつつある。合成機能性成分の除去、又は天然由来の成分によるそれらの置換は、新しい化粧料の開発のための重要な軸となる。しかしながら、これらの新しい天然成分又は天然由来の成分の導入は、その外観、その用途又はその化粧品特性の点で、化粧料の特性の低下を伴う場合がある。これらの不充分な又は低下した化粧品特性は、製品のイメージにとって不利益となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】仏国特許出願公開第2759377(A)号明細書
【特許文献2】国際公開第04/055081号パンフレット
【特許文献3】仏国特許出願公開第2232303(A)号明細書
【特許文献4】米国特許第5,874,069号明細書
【特許文献5】米国特許第5,919,441号明細書
【特許文献6】米国特許第6,051,216号明細書
【特許文献7】米国特許第5,981,680号明細書
【特許文献8】米国特許第5,236,986号明細書
【特許文献9】米国特許第5,412,004号明細書
【特許文献10】米国特許第5,837,793号明細書
【特許文献11】米国特許第5,811,487号明細書
【特許文献12】国際公開第2007/1068371号パンフレット
【特許文献13】国際公開第2008/155059号パンフレット
【特許文献14】国際公開第2008/15505号パンフレット
【特許文献15】米国特許出願公開第2004/175338号明細書
【特許文献16】欧州特許出願公開第847752(A)号明細書
【特許文献17】国際公開第98/38981号パンフレット
【特許文献18】米国特許第6,309,629号明細書
【特許文献19】仏国特許出願公開第2679771号明細書
【特許文献20】欧州特許第1184426号明細書
【特許文献21】国際公開第2006/134282号パンフレット
【特許文献22】国際公開第2009/010356号パンフレット
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】「Operating Instructions, Manual N° M/92-021-M0101, Brookfield Digital Viscometer, Model DV-I+」
【非特許文献2】「Ullmann encyclopaedia」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、充分な厚みを有し且つ長持ちする連続的で、均質、柔軟、快適な皮膜をケラチン物質上に形成することができ、剥がすことによる除去を可能にする天然成分又は天然由来の成分を使用したピールオフ化粧用組成物の必要性が残っている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
出願人は、非常に特定の豆デンプンと、特定の性質の、すなわち少なくとも2つのポリオールを含む可塑剤系とを組み合わせることで、ケラチン物質上に、許容可能な乾燥時間及び充分な破断強度を有し、剥がすことによって除去できる連続的で、均質、快適な皮膜を形成できる皮膜形成化粧用組成物を製造することが可能であることを予期せず発見した。組成物の完全な除去は水で行うことができる。トリートメントマスクの場合、20分未満、好ましくは5~15分の間の乾燥時間が許容されると推定される。アイシャドウの場合、10分未満、好ましくは5分未満の乾燥時間が許容されると推定される。
【0012】
したがって、本発明の目的は、第1の態様によれば、水性連続相中に、
- 30%以上、好ましくは30%~75%の間のアミロース含量を有する少なくとも1種の豆デンプンと、
- ポリオールから選択される少なくとも2種の可塑剤と、
- 水と
を含む皮膜形成化粧用組成物である。
ポリオールは、組成物の総質量に対して8~25質量%、好ましくは10~20質量%の範囲の含量で存在すると理解される。
【0013】
本発明の目的はまた、第2の態様によれば、
- 可塑剤を水と、場合により乳化剤及び/又は皮膜形成剤と混合する工程と、
- ゲルが形成されるまで撹拌しながらデンプンを添加する工程と、
- 場合によりゲル化剤を添加する工程と、
- 場合により着色剤を添加する工程と、
- 場合によりpHを調整する工程と、
- 場合によりアルコールを添加する工程と
を含む、そのような組成物を調製する方法である。
【0014】
本発明の更なる目的は、第3の態様によれば、ケラチン物質、特に皮膚、まつ毛、眉毛又は唇に対するメイクアップ又は手入れ方法であり、前記ケラチン物質、特に皮膚、まつ毛、眉毛又は唇に、そのような皮膜形成化粧用組成物を塗布することである。
【0015】
最後に、本発明の目的は、ケラチン物質上にピールオフ皮膜を形成するための、上記のような組成物の化粧的使用である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
製剤(Galenic)
本発明による組成物は、水性連続相を有する。好ましくは、水性ゲルの形態である。
【0017】
豆デンプン
本発明による組成物は、30%以上、好ましくは30%~75%の間のアミロース含量を有する少なくとも1つの豆デンプンを含む。
【0018】
特に、アミロース含量は、30%~75%、好ましくは30%~45%、及びより好ましくは35%~42%の範囲内に含まれる。アミロースの割合は、デンプンの乾燥質量に対する乾燥質量で表され、前記デンプンの加水分解及び/又はアルキル化等の後続の処置の前に求められる。
【0019】
豆デンプンはまた、水性分散体中25℃で20%の乾物で、10~10000mPa.sの間、好ましくは20~5000mPa.sの間、より好ましくは50~1000mPa.sの間、最も好ましくは75~500mPa.sの間であり、更により好ましくは約150mPa.sに含まれるブルックフィールド粘度を有する。
【0020】
水性分散体中25℃で20質量%の乾物のブルックフィールド粘度は、好ましくは10~10000mPa.sの間、好ましくは20~5000mPa.sの間、より好ましくは50~1000mPa.sの間、最も好ましくは75~500mPa.sの間、更により好ましくは約150mPa.sに含まれる。これらのブルックフィールド粘度の変量は、アミロース含量の変量と組み合わせることができる。
【0021】
本発明の意味の範囲内の粘度は、例えばブルックフィールドRDVD-I+粘度計(Brookfield Engineering Laboratories,INC.社、Middleboro、MA、米国)によって求められるブルックフィールド粘度であり、RV1、RV2、RV3、RV4、RV5、RV6又はRV7と参照されるスピンドルの1つを使用し、「Helipath Stand」と呼ばれる機器は使用しない。スピンドルの回転は、1分あたり20回転に定められている。RV1~RV7までのスピンドルは、表示される粘度値が、製造業者が示すように、前記スピンドルで可能な総粘度スケールの10%~100%の間に含まれるように選択される。この粘度測定を行うために、機械的撹拌によって、例えばデフロキュレーティングパドル(deflocculating paddle)によって250rpmで15分間、25℃で調製した乾燥デンプン材料の20質量%水性懸濁液又は水溶液300mlを、低形状の400mlビーカー(直径約7.5cm)に入れる。粘度値は、3回転の終わりに読み取られる。測定は、信頼性の高い粘度測定を得るために、例えばマニュアル「Operating Instructions, Manual N° M/92-021-M0101, Brookfield Digital Viscometer, Model DV-I+」で、製造業者によって与えられたあらゆる推奨事項に従って実行される。
【0022】
本発明の意味の範囲内の「豆類」は、ジャケツイバラ科(Caesalpiniaceae)、ネムノキ科(Mimosaceae)又はマメ科(Papilionaceae)、に属する任意の植物を意味し、且つ特に例えばエンドウ、マメ、ソラマメ(broad bean)、ソラマメ(faba bean)、ヒラマメ、又はハウチワマメ等のマメ科に属する任意の植物を意味する。
【0023】
したがって、豆デンプンは、エンドウデンプン、ヒヨコマメデンプン、ソラマメデンプン(broad bean starches)、ソラマメデンプン(faba bean starches)、マメデンプン、又はヒラマメデンプンから選択することができる。
【0024】
好ましい実施形態によれば、豆デンプンはエンドウデンプンであり、最も好ましくはエンドウ(Pisum sativum)デンプンである。
【0025】
更に、豆デンプンは、天然のアルファ化デンプン、又は場合によりアルファ化された化工デンプンである。
【0026】
化工豆デンプンは、少なくとも1つの化学修飾、好ましくはヒドロキシアルキル化、カルボアルキル化、加水分解、デキストリン化(dextrinification)、スクシニル化、アルキル化、アセチル化、カチオン化、アニオン化から選択される少なくとも2つの化学修飾を受けた豆デンプンから選択することができる。これらの化学修飾は、ゲル又は前記デンプンの水溶液の劣化を低減又は除去することを可能にする点において、豆デンプンの安定化の修飾、換言すれば水溶液中の粘度の安定化の修飾である。
【0027】
したがって、本発明の文脈で使用される修飾された豆デンプンは、ヒドロキシアルキル化、カルボキシアルキル化、加水分解された豆デンプン、デキストリン、又はそれらの組み合わせであってもよい。
【0028】
好ましい変形実施形態によれば、本発明の文脈で使用される豆デンプンは、加水分解及びヒドロキシアルキル化された豆デンプンである。非常に好ましい変形形態によれば、本発明の文脈で使用される豆デンプンは、加水分解及びヒドロキシプロピル化された豆デンプンである。
【0029】
本発明の目的では、「ヒドロキシプロピル化された豆デンプン」という用語は、当業者に公知の任意の技術によって、例えばプロピレンオキシドとのエーテル化反応によってヒドロキシプロピル基で置換された豆デンプンを意味する。本発明の文脈において、ヒドロキシプロピル化された豆デンプンは、ヒドロキシプロピル化されたデンプンの乾燥質量に対して、好ましくは0.1~20乾燥質量%の間、好ましくは1~10質量%の間、より好ましくは5~9質量%の間に含まれ、特に7質量%に近いヒドロキシプロピル基の含量を有する。この含量は特に、プロトン核磁気共鳴分析法、特にEN ISO 11543:2002 F規格に従って求められる。
【0030】
本発明の目的では、「加水分解された豆デンプン」という用語は、加水分解操作、すなわちその平均分子量を低減することを目的とした操作を受けた豆デンプンを意味する。当業者は、例えば酸化及び酸処理等の化学的処理によって、又は酵素処理によってそのようなデンプンを得る方法を知っている。当業者は、所望の粘度に応じて、加水分解のレベル、及びしたがってデンプンの流動化のレベルを自然に調整するであろう。
【0031】
本発明の文脈において、加水分解され、場合によりアルファ化され且つ/又は上記のような他の化学修飾を含む豆デンプンは、好ましくは1~2000kDa、好ましくは10~1000kDa、最も好ましくは20~1000kDa、更により好ましくは100~1000kDaに含まれる質量平均分子量を有する。例えば、分子量は200~800kDa、200~500kDa、200~400kDa又は200~300kDaに含まれ得る。質量平均分子量は、HPSEC-MALLS(多角度レーザー光散乱検出と連結した高性能サイズ排除クロマトグラフィーによって求められる。
【0032】
特に、アルキル化及び加水分解後のデンプンは、好ましくは非顆粒となる。
【0033】
本発明の文脈において、好ましい方法で使用することができる加水分解及びヒドロキシプロピル化されたデンプンは、例えば、Roquette Freres社により商品照会名LYCOAT RS 720又はLYCOAT NG 720で市販されている。
【0034】
これらの化学修飾に加えて、本発明によるデンプンはまた、物理的な処理を受けてもよく、特に、ゼラチン化、アルファ化、押出、霧化又は乾燥の公知の操作、マイクロ波又は超音波の操作、可塑化又は造粒処理から選択される。
【0035】
特に、本発明によるデンプンは、好ましくは可溶性にすることができる。当業者に公知の任意の技術によって、特に熱及び/又は機械的処理、例えば水性媒体での加熱(cooking)操作(アルファ化)によって可溶性にすることができ、場合により粉末状生成物を得ることが所望される際の乾燥工程が続く。デンプンを可溶性にする操作は、デンプンのアルキル化及び/又は加水分解の前に行ってもその後に行ってもよい。好ましい実施形態によれば、加水分解及びヒドロキシアルキル化されたデンプンは、アルファ化されている。このようなデンプンは、Roquette Freres社により商品照会名LYCOAT RS 720で市販されている。アルファ化の代替として、デンプンが使用される組成物の調製中にデンプンをゼラチン化することができる。
【0036】
本発明による加水分解及びヒドロキシアルキル化され、場合によりアルファ化された豆デンプンは、前記デンプンの所望の特性を妨げない限り、他の任意の物理的及び/又は化学的修飾を含むこともできる。化学修飾の一例は、特に架橋である。
【0037】
特に本発明の文脈において、デンプンは、組成物の総質量に対して0.1質量%~30質量%の間、好ましくは1質量%~25質量%の間の乾物含量で存在する。
【0038】
組成物がマスカラである場合、デンプンは、組成物の総質量に対して1質量%~20質量%の間の乾物含量で存在する。
【0039】
組成物がアイシャドウ又はケアマスクである場合、デンプンは、組成物の総質量に対して15質量%~40質量%の間、好ましくは20質量%~25質量%の間の乾物含量で存在する。
【0040】
可塑剤
本発明による組成物はまた、ポリオールから選択される少なくとも2種の可塑剤を含む。
【0041】
ポリオールは、その構造中に少なくとも2つの遊離ヒドロキシ(-OH)基を有する任意の有機分子を意味する。これらのポリオールは、好ましくは室温(25℃)で液体である。
【0042】
組成物中の実施に好適なポリオールの一例として、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、ペンタンジオール、イソプレングリコール、ネオペンチルグリコール、グリセロール、特に4~8個のエチレングリコール及び/又はソルビトール単位を有するポリエチレングリコール(PEG)から選択することができる。
【0043】
好ましくは、ポリオールは、グリセロール及びソルビトールであり、より好ましくはペンチレングリコールとの混合物である。
【0044】
特に好ましい実施形態では、本発明による組成物は、上記のポリオール以外の可塑剤を含まない。
【0045】
より詳細には、本発明による組成物は、
- 組成物の総質量に対して1~15質量%、好ましくは5~10質量%のグリセリンと、
- 組成物の総質量に対して1~7質量%、好ましくは2~5質量%のソルビトールと、
- 組成物の総質量に対して1~5質量%、好ましくは2~4質量%のペンチレングリコールと
を含むことができる。
【0046】
組成物がマスカラ又はアイシャドウである場合、本発明による組成物は、
- 組成物の総質量に対して5~15質量%のグリセリンと、
- 組成物の総質量に対して3~6質量%のソルビトールと、
- 組成物の総質量に対して2~3質量%のペンチレングリコールと
を含むことができる。
【0047】
組成物がケアマスクである場合、本発明による組成物は、
- 組成物の総質量に対して1~10質量%のグリセリンと、
- 組成物の総質量に対して3~6質量%のソルビトールと、
- 組成物の総質量に対して2~3質量%のペンチレングリコールと
を含むことができる。
【0048】
水性相
本発明による組成物はまた、水及び場合により、上記のポリオール以外の少なくとも1種の水溶性溶媒を含む水性相を含む。
【0049】
「水溶性溶媒」という用語は、本発明において、室温で液体であり、水と混和性である(25℃及び大気圧で50質量%超の水における混和性)化合物を示す。
【0050】
本発明による組成物に使用できる水溶性溶媒は、揮発性でもよい。
【0051】
本発明による組成物に使用できる水溶性溶媒のうち、1~5個の炭素原子、特に2~5個の炭素原子を有するモノアルコール、例えばエタノール及びイソプロパノール、C3~C4ケトン及びC2~C4アルデヒドを特に挙げることができる。
【0052】
好ましい実施形態によれば、本発明による組成物は、1~5個の炭素原子を有する少なくとも1つのモノアルコール、好ましくはエタノールを含む。
【0053】
1~5個の炭素原子、特に2~5個の炭素原子を有するモノアルコールの導入により、皮膜の乾燥を容易にし、促進することができる。
【0054】
特定の実施形態によれば、本発明による組成物は、組成物の総質量に対して25~65質量%、好ましくは30~60質量%の水を含む。
【0055】
親水性ゲル化剤
本発明による組成物は、親水性ゲル化剤も含むことができる。
【0056】
ゲル化剤は、溶媒の存在下である程度強い高分子間結合を作り出す化合物を意味し、したがって前記溶媒を凝固させる三次元組織を誘導する。
【0057】
親水性ゲル化剤は、多糖類、タンパク質誘導体、ポリエステルの合成又は半合成ゲル、特にスルホン型、ポリアクリレート又はポリメタクリレート及びそれらの誘導体から選択することができる。
【0058】
多糖類のうち、
- 寒天、カラギーナン(イオタ、カッパ、ラムダ)、アルギン酸塩、特にNa又はCaのアルギン酸塩等のアルゲエキスと、
- 微生物の滲出物、例えばRhodia Chimie社により商品名「Rheosan」で販売されている製品等のキサンタンガム及びその誘導体、NUTRASWEET-KELCO社より商品名「Kelcogel F」で販売されているジェランガム、又はFMC社により商品名「Seaspen PF 357」若しくは「Viscarin SD 389」で販売されているイオタカラギーナン、又はDIY Cosmetics社によりNaturajel(登録商標)若しくはAlban Muller社によりAmigel(登録商標)の名称で入手可能な、スクレロチウム・ロルフシイ(Sclerotium rolfissii)細菌から産生されたスクレロチウムガム(スクレロチウムガム若しくはスクレロチウムロルフシイガム)と、
- ペクチン等の果実エキスと、
- 動物由来のゲル化剤、例えばタンパク質誘導体、特に牛肉又は魚類からのゼラチン、カゼイン塩と、
- 仏国特許出願公開第2759377(A)号明細書に記載されている側鎖及び6個の中性糖を有する多糖類と、
- それらの混合物と
が挙げられる。
【0059】
ポリアクリレートのうち、アクリル酸、メチルアクリレート及びポリオキシエチレン化25EOベヘニルメタクリレート(INCI名:アクリレート/ベヘニル酸-25メタクリレートコポリマー)の架橋ポリマー、例えばLubrizol Advanced Materials社によりNovethix L-10 Polymer、又はArkema社からRheostyl(商標)90 N(INCI名:アクリル酸/ベヘニル酸-25メタクリレートコポリマー)の名称で販売されているものが挙げられる。
【0060】
好ましくは、親水性ゲル化剤は、多糖類から選択され、より好ましくは、キサンタンガム、スクレロチウムガム、及びそれらの混合物、例えばCargill社によりActigum VSX 20の名称で販売されている混合物から選択される。
【0061】
好ましい実施形態によれば、キサンタンガム及びスクレロチウムガムの混合物は、1:2~2:1の間の質量比(キサンタン:スクレロチウム)を有する。
【0062】
親水性ゲル化剤は、組成物の総質量に対して好ましくは0.1~10%の範囲、より好ましくは0.2~5質量%の範囲でもよい濃度で本発明による組成物中に存在する。
【0063】
乳化剤
本発明による組成物はまた、乳化剤も含むことができる。
【0064】
これらの乳化剤は、非イオン性、アニオン性、カチオン性、両性界面活性剤、又は他のポリマー性界面活性剤から選択することができる。
【0065】
一実施形態によれば、本発明の文脈で使用することができる界面活性剤は、25℃で8~20の間のHLBの非イオン性界面活性剤から選択される。特に
- 単糖類のエステル及びエーテル、例えばSeppic社からのMontanov 68等のセチルステアリルグルコシド並びにセチル及びステアリルアルコールの混合物と、
- グリセロールのオキシエチレン化及び/又はオキシプロピレン化エーテル(1~150個のオキシエチレン化及び/又はオキシプロピレン化基を含んでもよい)と、
- 脂肪族アルコール(特にC8~C24アルコール、及び好ましくはC12~C18アルコール)のオキシエチレン化及び/又はオキシプロピレン化エーテル(1~150個のオキシエチレン化及び/又はオキシプロピレン化基を含有してもよい)、例えば30個のオキシエチレン化基を持つセテアリルアルコールオキシエチレンエーテル(CTFA名「Ceteareth-30」)、20個のオキシエチレン化基を持つステアリルアルコールオキシエチレンエーテル(CTFA名「Steareth-20」)、特にSHELL CHEMICALS社によりNEODOL 25-7(登録商標)の名称で市販されている、7個のオキシエチレン化基を含むC12~C15脂肪族アルコールの混合物のオキシエチレンエーテル(CTFA 名「C12-15 Pareth-7」)と、
- 脂肪酸(特にC8~C24酸、好ましくはC16~C22酸)とポリエチレングリコール(1~150個のエチレングリコール単位を含んでもよい)のエステル、例えば特にICI UNIQUEMA社によってMYRJ 52P(登録商標)の名称で市販されているステアリン酸PEG-50及びモノステアリン酸PEG-40、又は特にEvonik GOLDSCHMIDT社によりTAGAT S(登録商標)の名称で市販されているステアリン酸PEG-30グリセリルと、
- 脂肪酸(特にC8~C24酸、及び好ましくはC16~C22酸)とオキシエチレン化及び/又はオキシプロピレン化グリセロールエーテル(1~150個のオキシエチレン化及び/又はオキシプロピレン化基を含有してもよい)のエステル、例えば特にSEPPIC社によりSimulsol 220 TM(登録商標)の名称で販売されているモノステアリン酸PEG-200グリセリル、Evonik GOLDSCHMIDT社により販売されている製品TAGAT S(登録商標)等の30個のエチレンオキシド基を持つポリエトキシ化ステアリン酸グリセリル、Evonik GOLDSCHMIDT社により販売されている製品TAGAT O(登録商標)等の30個のエチレンオキシド基を持つポリエトキシ化オレイン酸グリセリル、SHEREX社により販売されている製品VARIONIC LI 13(登録商標)等の30個のエチレンオキシド基を含むポリエトキシ化グリセリルココエート、Evonik GOLDSCHMIDT社により販売されている製品TAGAT L(登録商標)のような30個のエチレンオキシド基を含むポリエトキシ化イソステアリン酸グリセリル及びEvonik GOLDSCHMIDT社による製品TAGAT I(登録商標)等の30個のエチレンオキシド基を持つポリエトキシ化ラウリン酸グリセリルと、
- 脂肪酸(特にC8~C24酸、及び好ましくはC16~C22酸)とオキシエチレン化及び/又はオキシプロピレン化ソルビトールエーテル(1~150個のオキシエチレン化基及び/又はオキシプロピレン化基を含んでもよい)のエステル、例えば特にCRODA社によりTween 20(登録商標)の名称で販売されているポリソルベート20、特にCRODA社によりTween 60(登録商標)の名称で販売されているポリソルベート60と、
- DOW CORNING社によりQ2-5220(登録商標)の名称で販売されているもの等のジメチコンコポリオールと、
- 安息香酸ジメチコンコポリオール(FINTEX社によるFINSOLV SLB 101(登録商標)及び201(登録商標))と、
- EO/PO重縮合体とも称されるプロピレンオキシド及びエチレンオキシドのコポリマーと、
- リゾリン脂質、特に下記式のリソホスファチジルコリンと
【0066】
【0067】
[式中、Rは脂肪酸鎖であり、特に10~25個、好ましくは15~20個の炭素原子を含む]。好ましくは、本発明の組成物に使用されるリゾリン脂質はダイズから得られる。より好ましくは、そのINCI名はグリシン・ソヤ(ダイズ)種子エキスである。例えば、グリシン80質量%及びLysofix Liquid(登録商標)の名称でKemin社により市販されているグリシン・ソヤ(ダイズ)種子エキス20質量%の混合物が使用される。
- 乳化ワックス、例えばCroda社によりPolawax NFの名称で販売されている自己乳化ワックス、又はGattefosse社によりApifilの名称で販売されているPEG-8ビーズワックスと、
それらの混合物と
を挙げることができる。
【0068】
好ましい実施形態によれば、8~20の間のHLBの乳化剤は、脂肪酸エステル、オキシエチレン化及び/又はオキシプロピレン化ソルビトールエーテル、リゾリン脂質、自己乳化ワックス又は加水分解ワックス等の乳化ワックス、及びそれらの混合物から選択される。
【0069】
Lysofix Liquid(登録商標)等のリゾリン脂質は、組成物を増粘させ、したがってその展延を改良することができる。
【0070】
一実施形態によれば、本発明による組成物に使用できる界面活性剤は、25℃で8以下のHLBを有する非イオン性界面活性剤から選択される。特に
- 単糖類のエステル及びエーテル、例えばスクロースステアレート、スクロースココエート、ソルビタンステアレート及びそれらの混合物、例えばICI社により市販されているArlatone 2121(登録商標)と、
- 脂肪族アルコール(特にC8~C24アルコール、及び好ましくはC12~C18アルコール)のオキシエチレン化及び/又はオキシプロピレン化エーテル(1~150個のオキシエチレン化及び/又はオキシプロピレン化基を含んでもよい)、例えば2個のオキシエチレン化基を持つステアリルアルコールオキシエチレンエーテル(CTFA名「Steareth-2」)と、
- 脂肪酸のエステル(特にC8~C24酸、及び好ましくはC16~C22酸の脂肪酸のエステル)及びポリオールのエステル、特にステアリン酸グリセリル等のグリセロール又はソルビトールのエステル、例えばEvonik GOLDSCHMIDT社によりTEGIN M(登録商標)の名称で販売されている製品、HULS社によりIMWITOR 312(登録商標)の名称で販売されている製品等のラウリン酸グリセリル、ステアリン酸ポリグリセリル-2、トリイソステアリン酸ポリグリセリル-2、トリステアリン酸ソルビタン、リシノレイン酸グリセリルと、
- ダイズレシチン(Cargill社からのEmulmetik 100 J、Lucas Meyer社からのBiophilic H等)等のレシチンと、
- DOW CORNING社によりQ2-3225C(登録商標)の名称で販売されているシクロメチコン/ジメチコンコポリオールの混合物と
を挙げることができる。
【0071】
好ましい実施形態によれば、25℃で8以下のHLBの非イオン性界面活性剤は、脂肪酸及びポリオールのエステル、好ましくは、Croda社によりCITHROL PG32IS-LQの名称で市販されているトリイソステアリン酸ポリグリセリル-2(INCI ポリグリセリル-3ジイソステアレート)から選択される。
【0072】
本発明による組成物は、前記組成物の総質量に対して0.01~30質量%、好ましくは0.1~15質量%、及びより好ましくは0.2~13質量%の乳化剤を含有してもよい。
【0073】
皮膜形成剤
本発明による組成物は、デンプン以外の更なる皮膜形成剤、特に皮膜形成ポリマーも含むことができる。
【0074】
本発明の組成物に使用できる皮膜形成ポリマーのうち、フリーラジカル型又は重縮合体型の合成ポリマー、天然由来のポリマー、及びそれらの混合物を挙げることができる。
【0075】
「ラジカル皮膜形成ポリマー」とは、特にエチレン不飽和を含むモノマーの重合により得られるポリマーを意味し、各モノマーはホモポリマー化が可能である(重縮合体とは異なる)。
【0076】
ラジカル型皮膜形成ポリマーは、特にビニルポリマー又はビニルコポリマー、特にアクリル系ポリマーでもよい。
【0077】
ビニル皮膜形成ポリマーは、少なくとも1つの酸性基及び/又はこれらの酸性モノマーのエステル及び/又はこれらの酸性モノマーのアミドを有するエチレン的不飽和モノマーの重合から生じることができる。
【0078】
酸性基を担持するモノマーとして、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸等の不飽和α,β-エチレンカルボン酸を使用することができる。好ましくは(メタ)アクリル酸、イタコン酸及びクロトン酸、より好ましくはイタコン酸(例えばItaconix社によりREVCARE NE 100Sの商品照会名で市販されているもの等のポリ(イタコン酸)の金属塩)が使用される。
【0079】
酸性モノマーのエステルは、有利には(メタ)アクリル酸のエステル((メタ)アクリレートとも称される)、特にアルキル(メタ)アクリレート、特にC1~C30、好ましくはC1~C20アルキル(メタ)アクリレート、アリール(メタ)アクリレート、特にC6~C10アリール(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、特にC2~C6ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートから選択される。
【0080】
アルキル(メタ)アクリレートのうち、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレートを挙げることができる。
【0081】
ヒドロキシル(メタ)アクリレートのうち、ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート及び2-ヒドロキシプロピルメタクリレートを挙げることができる。
【0082】
アリール(メタ)アクリレートのうち、ベンジルアクリレート及びフェニルアクリレートを挙げることができる。
【0083】
特に好ましい(メタ)アクリル酸のエステルは、アルキル(メタ)アクリレートである。
【0084】
本発明によれば、エステルのアルキル基は、フッ素化又は過フッ素化されていてもよく、すなわちアルキル基の水素原子の一部又は全部がフッ素原子によって置換されているということである。
【0085】
酸性モノマーのアミドとして、例えば(メタ)アクリルアミド、特にN-アルキル(メタ)アクリルアミド、特にC2~C12アルキルを挙げることができる。N-アルキル(メタ)アクリルアミドのうち、N-エチルアクリルアミド、N-t-ブチルアクリルアミド、N-t-オクチルアクリルアミド及びN-ウンデシルアクリルアミドを挙げることができる。
【0086】
ビニル皮膜形成ポリマーはまた、ビニルエステル及びスチレンモノマーから選択されるモノマーの単独重合又は共重合から生じることができる。特に、これらのモノマーは、上記のような酸性モノマー及び/又はそれらのエステル及び/又はそれらのアミドと重合することができる。
【0087】
ビニルエステルの一例として、酢酸ビニル、ネオデカン酸ビニル、ピバル酸ビニル、安息香酸ビニル、安息香酸ビニルt-ブチルを挙げることができる。
【0088】
スチレンモノマーとして、スチレン及びアルファ-メチルスチレンを挙げることができる。
【0089】
皮膜形成性重縮合体のうち、ポリウレタン、ポリエステル、ポリエステルアミド、ポリアミド、エポキシエステル樹脂、ポリウレアを挙げることができる。
【0090】
ポリウレタンは、アニオン性、カチオン性、非イオン性又は両性ポリウレタン、アクリルポリウレタン、ポリウレタン-ポリビニルピロリドン、ポリエステル-ポリウレタン、ポリウレア、ポリウレア-ポリウレタン、及びそれらの混合物から選択することができる。
【0091】
ポリエステルは、公知の方法で、ポリオール、特にジオールとジカルボン酸との重縮合によって得ることができる。
【0092】
ジカルボン酸は、脂肪族、脂環式、又は芳香族でもよい。このような酸の例としては、シュウ酸、マロン酸、ジメチルマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメル酸、2,2-ジメチルグルタル酸、アゼレイン酸、スベリン酸、セバシン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、フタル酸、ドデカンジオ酸、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、イソフタル酸、テレフタル酸、2,5-ノルボルナンジカルボン酸、ジグリコール酸、チオジプロピオン酸、2,5ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸を挙げることができる。これらのジカルボン酸モノマーは、単独で、又は少なくとも2種のジカルボン酸モノマーと組み合わせて使用することができる。これらのモノマーのうち、フタル酸、イソフタル酸及びテレフタル酸が好ましくは選択される。
【0093】
ジオールは、脂肪族、脂環式及び芳香族のジオールから選択することができる。好ましくは、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,3-プロパンジオール、シクロヘキサンジメタノール及び4-ブタンジオールから選択されるジオールが使用される。他のポリオールとしては、グリセロール、ペンタエリスリトール、ソルビトール、トリメチロールプロパンが使用できる。
【0094】
ポリエステルアミドは、ジアミン又はアミンアルコールと二酸との重縮合によって、ポリエステルと同様の方法で得ることができる。ジアミンとしては、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、メタ-又はパラ-フェニレンジアミンが使用できる。アミノアルコールとしては、モノエタノールアミンが使用できる。
【0095】
ポリエステルは、少なくとも1つの-SO3M基を担持する少なくとも1つのモノマーを更に含んでもよく、Mは水素原子、アンモニウムイオンNH4+又は金属イオン、例えばNa+、Li+、K+、Mg2+、Ca2+、Cu2+、Fe2+、Fe3+イオンを表す。特に、このような-SO3M基を含む二官能芳香族モノマーを使用することが可能である。
【0096】
上記のような-SO3M基を更に担持する二官能芳香族モノマーの芳香核は、例えば、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ジフェニル、オキシジフェニル及びスルホニルジフェニル、メチレンジフェニル環から選択することができる。-SO3M基を更に担持する二官能芳香族モノマーの一例としては、スルホイソフタル酸、スルホテレフタル酸、スルホフタル酸、4-スルホナフタレン-2,7-ジカルボン酸を挙げることができる。
【0097】
イソフタレート/スルホイソフタレートに基づくコポリマーを使用することが好ましく、より詳細にはジエチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、イソフタル酸、スルホイソフタル酸の縮合によって得られるコポリマーが好ましい。
【0098】
天然由来の、場合により修飾されたポリマーは、セラック樹脂、サンダラックゴム、アラビアゴム(ACACIA SENEGAL GUM)、ダマー、エレミ、コーパル、セルロースポリマー、カエサルピニア・スピノザ(Caesalpinia spinosa)の果実から抽出されたポリマー及び/又は藻類カッパフィカス・アルバレジ(Kappaphycus alvarezii)から抽出されたポリマー(Silab社により市販されている製品Filmexel(登録商標)等)並びにそれらの混合物から選択することができる。Filmexel(登録商標)等の天然ポリマーは、特に本発明による組成物から得られる皮膜の保持を改良することを可能にする。
【0099】
本発明の第1の実施形態によれば、皮膜形成ポリマーは水溶性ポリマーであり、したがって本発明による組成物の水性連続相中に存在してもよい。
【0100】
第2の実施形態によれば、皮膜形成ポリマーは、水性相又は非水性溶媒相中の分散体中の粒子の形態で本発明の組成物中に存在してもよく、一般にラテックス又は擬ラテックスの名前で知られている。これらの分散体を調製する技術は、当業者に公知である。
【0101】
皮膜形成ポリマーの水性分散体として、AVECIA-NEORESINS社によりNeocryl XK-90(登録商標)、Neocryl A-1070(登録商標)、Neocryl A-1090(登録商標)、Neocryl BT-62(登録商標)、Neocryl A-1079(登録商標)及びNeocryl A-523(登録商標)、DOW CHEMICAL社によりDow Latex 432(登録商標)、大東化成工業株式会社によりDaitosol 5000 AD(登録商標)又はDaitosol 5000 SJ(登録商標)、Interpolymer社によりSyntran 5760(登録商標)、ROHM&HAAS社によりAllianz OPTの名称で販売されているアクリル分散体、JOHNSON POLYMER社によりブランド名JONCRYL(登録商標)で販売されているアクリル又はスチレン/アクリルポリマーの水性分散体、又はAVECIA-NEORESINS社によりNeorez R-981(登録商標)及びNeorez R-974(登録商標)、GOODRICH社によりAvalure UR-405(登録商標)、Avalure UR-410(登録商標)、AvalureUR-425(登録商標)、AvalureUR-450(登録商標)、Sancure 875(登録商標)、Sancure 861(登録商標)、Sancure 878(登録商標)、Sancure 2060(登録商標)、BAYER社によりImpranil 85(登録商標)、HYDROMER社によりAquamere H-1511(登録商標)の名称で販売されているポリウレタンの水性分散体、Eastman Chemical Products社によりEastman AQ(登録商標)の商品名で販売されているスルホポリエステル、CHLMEX社によるMexomer PAM(登録商標)等のビニル分散体及びそれらの混合物を使用できる。
【0102】
皮膜形成ポリマーの非水性分散体の例として、CHIMEX社によるMexomer PAP(登録商標)等のイソドデカンのアクリル分散体、液体脂肪相におけるグラフト化エチレンポリマー、好ましくはアクリルポリマーの粒子の分散体を挙げることができ、特に国際公開第04/055081号パンフレットに記載されているように、エチレンポリマーは有利には粒子の表面に更なる安定剤が存在しない状態で分散されている。
【0103】
第3の実施形態によれば、皮膜形成ポリマーは、油又は有機溶媒を含む液体脂肪相に溶解したポリマーでもよい(皮膜形成ポリマーは、したがって脂溶性ポリマーと言われる)。
【0104】
脂溶性ポリマーの一例として、ビニルエステルコポリマー(ビニル基は、エステル基の酸素原子に直接結合しており、このビニルエステルは1~19個の炭素原子を有する飽和、直鎖又は分岐した炭化水素基を有し、エステル基のカルボニルに結合している)及びビニルエステルでもよい少なくとも1つの他のモノマー(既存のビニルエステルとは異なる)、α-オレフィン(8~28個の炭素原子を有する)、アルキルビニルエーテル(そのアルキル基が2~18個の炭素原子を含む)、又はアリル又はメタリルエステル(1~19個の炭素原子を有する飽和、直鎖又は分岐した炭化水素基を有し、エステル基のカルボニルに結合している)を挙げることができる。
【0105】
これらのコポリマーは、ビニル型、又はアリル型若しくはメタリル型のいずれでもよい架橋剤、例えばテトラアリルオキシエタン、ジビニルベンゼン、ジビニルオクタンジオエート、ジビニルドデカンジオエート及びジビニルオクタデカンジオエートを使用して架橋することができる。
【0106】
これらのコポリマーの例として、酢酸ビニル/アリルステアリン酸塩、酢酸ビニル/ラウリン酸ビニル、酢酸ビニル/ステアリン酸ビニル、酢酸ビニル/オクタデセン、酢酸ビニル/オクタデシルビニルエーテル、プロピオン酸ビニル/ラウリン酸アリル、プロピオン酸ビニル/ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル/オクタデセン-1、酢酸ビニル/ドデセン-1、ステアリン酸ビニル/エチルビニルエーテル、プロピオン酸ビニル/セチルビニルエーテル、ステアリン酸ビニル/酢酸アリル、2,2-ジメチルビニルオクタノエート/ラウリン酸ビニル、2,2-ジメチルアリルペンタノエート/ラウリン酸ビニル、プロピオン酸ビニルジメチル/ステアリン酸ビニル、プロピオン酸アリルジメチル/ステアリン酸ビニル、0.2%ジビニルベンゼンと架橋したプロピオン酸ビニル/ステアリン酸ビニル、0.2%ジビニルベンゼンと架橋したプロピオン酸ビニルジメチル/ラウリン酸ビニル、0.2%テトラアリルオキシエタンと架橋した酢酸ビニル/オクタデシルビニルエーテル、0.2%ジビニルベンゼンと架橋した酢酸ビニル/ステアリン酸アリル、0.2%ジビニルベンゼンと架橋した酢酸ビニル/オクタデセン-1、0.2%ジビニルベンゼンと架橋したプロピオン酸アリル/ステアリン酸アリルのコポリマーを挙げることができる。
【0107】
脂溶性皮膜形成ポリマーとして、脂溶性コポリマー、特に9~22個の炭素原子を有するビニルエステル又はアクリル酸アルキル若しくはメタクリル酸アルキルの共重合から生じるものを挙げることができ、アリル基は10~20個の炭素原子を有する。
【0108】
このような脂溶性コポリマーは、ポリステアリン酸ビニルコポリマー、ジビニルベンゼンを使用して架橋したポリステアリン酸ビニルコポリマー、ジアリルエーテルコポリマー又はフタル酸ジアリルコポリマー、ポリ(メタクリル酸ステアリル)コポリマー、ポリラウリン酸ビニルコポリマー、ポリ(メタクリル酸ラウリル)コポリマーから選択することができ、これらのポリ(メタ)アクリレートは、ジメタクリル酸メチレングリコール又はテトラエチレングリコールを使用して架橋することができる。
【0109】
上記で定義した脂溶性コポリマーは公知であり、特に仏国特許出願公開第2232303(A)号明細書に記載されている。これらは、2000~500000及び好ましくは4000~200000の範囲の質量平均分子量を有することができる。
【0110】
また、脂溶性ホモポリマー、特に9~22個の炭素原子を有するビニルエステル又はアクリル酸アルキル若しくはメタクリル酸アルキルの単独重合から生じるものを挙げることができ、アルキル基は、2~24個の炭素原子を有する。
【0111】
脂溶性ホモポリマーの例として、特にラウリン酸ポリビニル及びポリ(メタクリル酸ラウリル)を挙げることができ、これらのポリ(メタ)アクリレートは、ジメタクリル酸エチレングリコール又はテトラエチレングリコールを使用して架橋することができる。
【0112】
本発明で使用できる脂溶性の皮膜形成ポリマーとして、ポリアルキレン、特にC2~C20アルケンのコポリマー、例えばポリブテン、C1~C8の飽和又は不飽和の直鎖又は分岐のアルキル基を持つアルキルセルロース、例えばエチルセルロース及びプロピルセルロース、ビニルピロリドン(VP)コポリマー、特にビニルピロリドンコポリマー及びC2~C40、より良くはC3~C20アルケンコポリマーも挙げることができる。本発明で使用できるVPコポリマーの一例として、VP/酢酸ビニル、VP/メタクリル酸エチル、ブチル化ポリビニルピロリドン(PVP)、VP/メタクリル酸エチル/メタクリル酸、VP/エイコセン、VP/ヘキサデセン、VP/トリアコンテン、VP/スチレン、VP/アクリル酸/メタクリル酸ラウリルのコポリマーを挙げることができる。
【0113】
また、一般にシリコーン油中で可溶性又は膨潤性であり、架橋されたポリオルガノシロキサンポリマーであるシリコーン樹脂を挙げることができる。シリコーン樹脂の命名法は「MDTQ」という名称で知られており、その樹脂は含まれる異なるシロキサンモノマー単位に従って記載され、「MDTQ」の各々の文字が単位の種類を特徴付けている。
【0114】
市販のポリメチルシルセスキオキサン樹脂の例として、Wacker社によりBelsil PMS MK等のResin MKの照会名、及び信越化学工業株式会社によりKR-220Lの照会名で市販されているものを挙げることができる。
【0115】
シロキシケイ酸樹脂として、General Electric社によりSR1000の照会名又はWacker社によりTMS 803の照会名で市販されているもの等のトリメチルシロキシケイ酸(TMS)樹脂を挙げることができる。また、信越化学工業株式会社により「KF-7312J」、Dow Corning社により「DOWSIL(商標)RSN-0749」「DOWSIL(商標)593 Fluid」の名称で販売されているシクロメチコン等の溶剤で市販されているトリメチルシロキシケイ酸樹脂を挙げることができる。
【0116】
また、ポリジメチルシロキサンを持つ上記のようなシリコーン樹脂コポリマー、例えばDow Coing社によりBIO-PSAの照会名で市販され、米国特許第5,162,410号明細書に記載されている感圧粘着剤コポリマー、又は上記のようなシリコーン樹脂の反応から生じる他のシリコーンコポリマー、及び国際公開第2004/073626号パンフレットに記載されているジオルガノシロキサンのシリコーンコポリマーを挙げることができる。
【0117】
最後に、DOW CORNING FA 4002 ID又はDOW CORNING FA 4001 CMの照会名で市販されているビニル骨格にグラフトされたデンドリマーカルボシロキサン構造を含むアクリレート/メタクリル酸ポリトリメチルシロキシコポリマーを挙げることができる。
【0118】
また、米国特許第5,874,069号明細書、米国特許第5,919,441号明細書、米国特許第6,051,216号明細書及び米国特許第5,981,680号明細書に記載されているもの等のポリオルガノシロキサン型のシリコーンポリアミドを使用することができる。
【0119】
好ましい実施形態によれば、更なる皮膜形成ポリマーは、天然由来の、場合により修飾されたポリマーから選択され、好ましくは、カエサルピニア・スピノザの果実から抽出されたポリマー及び/又は藻類カッパフィカス・アルバレジから抽出されたポリマー(Silab社により市販されている製品Filmexel(登録商標)等)から選択される。
【0120】
好ましい実施形態では、本発明による組成物は、豆デンプン以外の皮膜形成ポリマーを含まない。
【0121】
シリコーンエラストマー
本発明による組成物は、シリコーンエラストマーも含むことができる。
【0122】
シリコーンエラストマーを添加することによって、特に本発明による組成物の塗布の間に出現しやすい毛羽立ち現象を制限することが可能となる。
【0123】
最後のもののうち、鎖の末端又は中央、好ましくはシリコン原子上に位置するビニル基又はアリル基等の不飽和基を担持するオルガノポリシロキサンと、オルガノハイドロジェンポリシロキサン等の別の反応性シリコーン化合物との反応によって生じる少なくとも部分的に架橋されたポリマーを挙げることができる。これらのポリマーは、揮発性又は非揮発性シリコーン溶媒又は炭化水素溶媒中のゲルの形態で通常入手可能である。このようなエラストマーの例は、特に信越化学工業株式会社により商品名KSG-6、KSG-16、KSG-31、KSG-32、KSG-41、KSG-42、KSG-43及びKSG-44で、及びDOW CORNING社により商品名DOWSIL(商標)9040及びDOWSIL(商標)9041で市販されている。別の油性ゲル化剤は、触媒の存在下で、エポキシ基及びヒドロシリル基で官能化されたオルガノポリシロキサンの自己重合により得られるシリコーンポリマーからなり、GENERAL ELECTRIC社により商品名VELVESIL(登録商標)125で市販されている。別の親油性ゲル化剤は、JEEN社により商品名JEESILC(登録商標)PS(PS-VH、PS-VHLV、PS-CM、PS-CMLV及びPS-DMを含む)で販売されているもの等の環状ジメチコン/ビニルジメチコンコポリマーからなる。
【0124】
好ましい実施形態によれば、シリコーンエラストマーは、乳化剤であってもよく、好ましくはポリオキシアルキレン化及びポリグリセロール化シリコーンエラストマーから選択される。
【0125】
ポリオキシアルキレン化シリコーンエラストマーとして、米国特許第5,236,986号明細書、米国特許第5,412,004号明細書、米国特許第5,837,793号明細書、米国特許第5,811,487号明細書に記載されているものを挙げることができる。
【0126】
ポリオキシアルキレン化シリコーンエラストマーとして、INCI名PEG-10ジメチコン/ビニルジメチコン架橋ポリマー、例えば信越化学工業株式会社により「KSG-21」、「KSG-20」の名称で市販されているもの、INCI名ラウリルPEG-15ジメチコン/ビニルジメチコン架橋ポリマー、例えば信越化学工業株式会社により「KSG-30」及び「KSG-31」、「KSG-32」(イソドデカン中)、「KSG-33」(トリオクタノイン中)、「KSG-210」、「KSG-310」(鉱物油中)、「KSG-320」(イソドデカン中)、「KSG-330」、「KSG-340」の名称で市販されているものを使用することができる。
【0127】
ポリグリセロール化シリコーンエラストマーとして、INCI名ジメチコン(及び)ジメチコン/ポリグリセリン-3架橋ポリマー、例えば信越化学工業株式会社により「KSG-710」の名称で市販されているもの、INCI名ラウリルジメチコン/ポリグリセリン-3架橋ポリマー、例えば信越化学工業株式会社により「KSG-840」(スクアレン中)の名称で市販されているものを使用することができる。
【0128】
油
本発明による組成物は、揮発性油及び/又は不揮発性油並びにそれらの混合物から選択される少なくとも1つの油を含むことができる。
【0129】
本発明の目的では、「揮発性油」とは、室温及び大気圧で、ケラチン繊維と接触して1時間未満で蒸発することができる油を意味する。本発明の揮発性有機溶媒及び揮発性油は、室温で液体である有機溶媒及び揮発性化粧品油であり、室温及び大気圧で、特に0.13Pa~40000Pa(10-3~300mmHg)の範囲、特に1.3Pa~13000Pa(0.01~100mmHg)の範囲、及びより詳細には1.3Pa~1300Pa(0.01~10mmHg)の範囲の非ゼロ蒸気圧を有する。
【0130】
揮発性油は、炭化水素化することができる。揮発性炭化水素油は、7~16個の炭素原子を有する炭化水素油から選択することができる。7~16個の炭素原子を有する揮発性炭化水素系油として、特にC8~C16分岐アルカン、例えばC8~C16イソアルカン(イソパラフィンとも称される)イソドデカン、イソデカン、イソヘキサデカン、及び例えばIsopars又はPermylsの商品名で販売されている油、C8~C16分岐エステル、例えばネオペンタン酸イソヘキシル及びそれらの混合物を挙げることができる。好ましくは、8~16個の炭素原子を有する揮発性炭化水素油は、イソドデカン、イソデカン、イソヘキサデカン及びそれらの混合物から選択され、特にイソドデカンである。
【0131】
揮発性油は、揮発性直鎖アルカンでもよい。一実施形態によれば、本発明に好適なアルカンは、7~14個の炭素原子を含む揮発性の直鎖アルカンでもよい。このような揮発性直鎖アルカンは、有利には植物由来のものでもよい。本発明に好適なアルカンの一例として、Cognis社の特許出願国際公開第2007/1068371号パンフレット、又は国際公開第2008/155059号パンフレット(異なるアルカンの混合物であり、少なくとも1つの炭素によって異なる)に記載されているアルカンを挙げることができる。これらのアルカンは、脂肪族アルコールから得られ、ひいてはヤシ油又はパーム油から得られる。本発明に好適な直鎖アルカンの一例として、n-ヘプタン(C7)、n-オクタン(C8)、n-ノナン(C9)、n-デカン(C10)、n-ウンデカン(C11)、n-ドデカン(C12)、n-トリデカン(C13)、n-テトラデカン(C14)及びそれらの混合物を挙げることができる。特定の実施形態によれば、揮発性直鎖アルカンは、n-ノナン、n-ウンデカン、n-ドデカン、n-トリデカン、n-テトラデカン、及びそれらの混合物から選択される。好ましい実施形態によれば、Cognis社による出願国際公開第2008/15505号パンフレットの実施例1及び2で得られるn-ウンデカン(C11)及びn-トリデカン(C13)の混合物を挙げることができる。また、BASF社によりCETIOL ULTIMATEという名称で市販されているn-ウンデカン(C11)及びn-トリデカン(C13)の混合物を挙げることができる。また、Sasol社によりそれぞれPARAFOL 12-97及びPARAFOL 14-97の照会名で販売されているn-ドデカン(C12)及びn-テトラデカン(C14)、同様にそれらの混合物を挙げることができる。揮発性直鎖アルカンを単独で使用することも、好ましくは少なくとも2つの異なる揮発性直鎖アルカンの混合物を使用することも可能であり、互いに少なくとも1の炭素数nによって異なり、特に互いに炭素数1又は2によって異なる。
【0132】
揮発性油は、環状ポリシロキサン、直鎖ポリシロキサン及びそれらの混合物等の揮発性シリコーン油でもよい。直鎖揮発性ポリシロキサンとして、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、テトラデカメチルヘキサシロキサン及びヘキサデカメチルヘプタシロキサンを挙げることができる。揮発性環状ポリシロキサンとしては、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、及びドデカメチルシクロヘキサシロキサンを挙げることができる。
【0133】
代替として又は更に、生成される組成物は、少なくとも1種の揮発性フッ素化油を含んでもよい。
【0134】
「不揮発性油」という用語は、室温及び大気圧で少なくとも数時間ケラチン繊維に留まり、特に10-3mmHg(0.13Pa)未満の蒸気圧を有する油を意味する。
【0135】
不揮発性油は、特に、炭化水素系油並びにフッ素化油及び/又は不揮発性シリコーン油から選択することができる。
【0136】
不揮発性炭化水素系油として、特に
- 動物由来の炭化水素油と、
- 植物由来の炭化水素油、例えば直鎖C4~C36アルカン、好ましくはフィトスクワラン若しくはSEPPIC社からのEmogreen L15(C15~19アルカン)等のC11~C21アルカン、又は例えばフィトステアリルエステル、例えば、オレイン酸フィトステアリル、イソステアリル酸フィゾステアリル、ラウロイル/オクチルドデシル/グルタミン酸フィトステアリル(味の素株式会社、ELDEW PS203)、脂肪酸及びグリセロールのエステルからなり、特に、その脂肪酸は、C4~C36、特にC18~C36の範囲の鎖長を有してもよいトリグリセリド、これらの油は、直鎖又は分岐、飽和又は不飽和でもよく、これらの油は、特に、ヘプタン酸又はオクタン酸トリグリセリドであり、シア油、アルファルファ油、ケシ油、カボチャ油、キビ油、オオムギ油、キヌア油、ライムギ油、バンコールアブラギリ油、パッションフラワー油、シアバター、アロエベラ油、スイートアーモンド油、モモアーモンド油、ピーナッツ油、アルガン油、アボカド油、バオバブ油、ルリジサ油、ブロッコリー油、キンセンカ油、アマナズナ油、ニンジン油、ベニバナ油、アサ油、アブラナ種子油、綿実油、ヤシ油、カボチャ種子油、小麦胚芽油、ホホバ油、ユリ油、マカダミア油、トウモロコシ油、メドウフォーム油、セイヨウオトギリソウ油、モノイ油、ヘーゼルナッツ油、アプリコット核油、クルミ油、オリーブ油、月見草油、パーム油、クロスグリ種子油、キウイ種子油、ブドウ種子油、ピスタチオ油、赤皮栗カボチャ(red kuri squash)油、カボチャ油、キヌア油、ジャコウバラ油、ゴマ油、大豆油、ヒマワリ油、ヒマシ油、スイカ油、及びそれらの混合物でもよく、又はカプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、例えばSTEARINERIES DUBOIS社により販売されているもの又はDYNAMIT NOBEL社によりMIGLYOL 810(登録商標)、812(登録商標)及び818(登録商標)の名称で販売されているものと、
- 10~40個の炭素原子を有する合成エーテルと、
- 式R1 COOR2の油等の合成エステルと(式中R1が1~40個の炭素原子を含む直鎖又は分岐脂肪酸の残基を表し、R2が炭化水素鎖、特にR1+R2が≧10である限り、1~40個の炭素原子を含む分岐鎖を表す。エステルは、特に、アルコール及び脂肪酸のエステルから選択することができ、例えば、オクタン酸セトステアリル、イソプロピルアルコールのエステル、例えばミリスチル酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸エチル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、ステアリン酸イソプロピル又はイソステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸イソステアリル、ステアリン酸オクチル、ヒドロキシル化エステル、例えば乳酸イソステアリル、ヒドロキシステアリル酸オクチル、アジピン酸ジイソプロピル、ヘプタン酸塩、特にヘプタン酸イソステアリル、オクタン酸塩、アルコール又はポリアルコールのデカン酸塩又はリシノール酸塩、例えばジオクタン酸プロピレングリコール、オクタン酸セチル、オクタン酸トリデシル、エチル2-ヘキシル4-ジヘプタノエート及びパルミチン酸塩、安息香酸アルキル、ジヘプタン酸ポリエチレングリコール、プロピレングリコールジエチル2-ヘキサノエート及びそれらの混合物、C12~C15アルコール安息香酸塩、ラウリン酸ヘキシル、ネオペンタン酸エステル、例えばネオペンタン酸イソデシル、ネオペンタン酸イソトリデシル、ネオペンタン酸イソステアリル、ネオペンタン酸オクチルドセチル、イソノナン酸エステル、例えばイソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル、イソノナン酸オクチル、ヒドロキシルエステル、例えば乳酸イソステアリル、リンゴ酸ジ-イソステアリル)と、
- ポリオールエステル及びペンタエリスリトールエステル、例えばジペンタエリスリトールテトラヒドロキシステアレート/テトライソステアレートと、
- ジオール二量体及び二酸二量体エステル、例えば日本精化株式会社により市販され、米国特許出願公開第2004/175338号明細書に記載されているLusplan DD-DA5(登録商標)及びLusplan DD-DA7(登録商標)と、
- ジオール二量体及び二酸二量体コポリマー並びにそれらのエステル、例えばジリノレイルジオール二量体/ジリノール二量体コポリマー及びそれらのエステル、例えばPlandool-Gと、
- ポリオール及び二酸二量体コポリマー並びにそれらのエステル、例えばHailuscent ISDAと、
- 12~26個の炭素原子を有し、分岐及び/又は不飽和炭素鎖を持つ室温で液体である脂肪族アルコール、例えば2-オクチルドデカノール、イソステアリルアルコール、オレイン酸アルコール、2-ヘキシルデカノール、2-ブチルオクタノール(blatyloctanol)、及び2-ウンデシルペンタデカノールと、
- C12~C22高級脂肪酸、例えばオレイン酸、リノール酸、及びそれらの混合物と、
- 2つのアルキル鎖が同一又は異なる可能性があるジアルキル炭酸塩、例えばCOGNIS社によりCETIOL CC(登録商標)の名称で市販されている炭酸ジカプリリルと、
- 特に、約400~約10000g/molの範囲のモル質量、特に約650~約10000g/mol、特に約750~約7500g/mol、及びより詳細には約1000~約5000g/molの範囲のモル質量を有する高モル質量の油と、
- フェニル化シリコーン等のシリコーン油、例えばWACIER社によるBELSIL PDM 1000(MM=9000g/mol)、(本発明による組成物に使用できる他の不揮発性シリコーンオイルは、不揮発性ポリジメチルシロキサン(PDMS)でもよく、PDMSは側鎖及び/又はシリコーン鎖の末端にあるアルキル基又はアルコキシ基を含み、各基は2~24個の炭素原子、フェニル化シリコーン、例えばフェニルトリメチコン、フェニルジメチコン、フェノールトリメチルシロキシジフェニルシロキサン、ジフェニルジメチコン、ジフェニルメチルジフェニルトリシロキサン、及び2-フェニルエチルトリメチルシロキシシリケート、100cSt以下の粘度を有するジメチコン又はフェニルトリメチコン、及びそれらの混合物を有する)と、
- 特に欧州特許出願公開第847752(A)号明細書に記載されているフルオロシリコーン油、フッ素化ポリエーテル、フッ素化シリコーンである本発明に使用できるフッ素化油と
を挙げることができる。
【0137】
ワックス
本発明による組成物は、少なくとも1種のワックスを含むことができる。
【0138】
本発明の文脈において考慮されるワックスは、一般に、親油性化合物であり、室温(25℃)で固体であり、可逆的な固体/液体状態の変化を有し、30℃以上最大120℃の融点を有する。
【0139】
特に、本発明に好適なワックスは、約45℃超、特に55℃超の融点を有することができる。ワックスの融点は、示差走査熱量計(D.S.C.)、例えばMETLER社によりDSC30という名称で販売されている熱量計を使用して測定することができる。
【0140】
本発明による組成物に使用することができるワックスは、固体であり、室温で変形可能又は不可能な、動物、植物、鉱物又は合成由来のワックス、及びそれらの混合物から選択される。
【0141】
ワックスはまた、0.05MPa~30MPaの範囲、好ましくは6MPa~15MPaの範囲の硬度を有することができる。硬度は、RHEO社によりTA-TX2iという名称で販売されている、0.1mm/sの測定速度で移動し、貫通深さ0.3mmでワックスに貫通する直径2mmのステンレス鋼製シリンダーを備えたテクスチュロメーターを使用して20℃で測定した圧縮力を測定することで求められる。
【0142】
特に炭化水素ワックス、例えばビーズワックス、ラノリンワックス、及びイボタワックス;ライスワックス、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、オウリカリワックス(Ouricurry wax)、アルファワックス(Alfa wax)、コルク繊維ワックス、サトウキビワックス、日本ワックス及びスマックワックス;モンタンワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィン及びオゾケライト;ビーズワックス、ホホバワックス、ミモザワックス、ヒマワリワックス、ポリエチレンワックス、Fisher-Tropsch synthesis社により得られるワックス及びワックス状コポリマー並びにそれらのエステルを使用することが可能である。ホホバワックス、ミモザワックス、ヒマワリワックスの混合物は、例えばGATTEFOSSE社によってACTICIRE MPの照会名で市販されている。特に、炭化水素ワックスは、カルナウバワックス、ビーズワックス、ホホバワックス、ミモザワックス、ヒマワリワックス、及びそれらの混合物から選択することができる。
【0143】
また、C8~C32直鎖又は分岐脂肪鎖を有する動物又は植物油の接触水素化によって得られるワックスを挙げることができる。
【0144】
最後のもののうち、特に水添ホホバ油、水添ヒマワリ油、水添ヒマシ油、水添ヤシ油、水添ラノリン油、HETERENE社により「HEST 2T-4S」の名称で販売されているジ-(トリメチロール-1,1,1-プロパン)テトラステアレート、HETERENE社によりHEST 2T-4Bの名称で販売されているジ-(トリメチロール-1,1,1-プロパン)テトラベヘネートを挙げることができる。
【0145】
また、ヒマシ油又はオリーブ油等の植物油のエステル交換及び水素化により得られるワックス、例えばSOPHIM社によりPhytowax ricin 16L64(登録商標)及び22L73(登録商標)並びにPhytowax Olive 18L57の名称で販売されているワックスを使用することも可能である。このようなワックスは、仏国特許出願公開第2792190(A)号明細書に記載されている。
【0146】
有利には置換ポリシロキサンでもよいシリコーンワックスを使用することも可能であり、好ましくは低融点を有する。これらのシリコーンワックスは公知であるか、公知の方法に従って調製することができる。この種の市販シリコーンワックスのうち、特にAbilwax 9800、9801又は9810(GOLDSCHMIDT)、KF910及びKF7002(信越化学株式会社)又は176-1118-3及び176-11481(GENERAL ELECTRIC)という名称で販売されているもの、アルキルジメチコン又はアルコキシジメチコン、例えば以下の市販品:Abilwax 2428.2434及び2440(GOLDSCHMIDT)、又はVP1622及びVP1621(WACKER)、同様に(C20~C60)アルキルジメチコン、特に(C30~C45)アルキルジメチコン、例えばGE-Bayer Silicones社によりSF-1642の名称で販売されているシリコーンワックスを挙げることができる。
【0147】
シリコーン基又はフッ素化基で修飾された炭化水素ワックス、例えばシリコニルキャンデリラ、シリコニルビーズワックス及びKoster Keunen社からのFluorobeeswaxを使用することも可能である。
【0148】
ワックスは、フッ素化ワックスから選択することもできる。
【0149】
特定の実施形態によれば、本発明による組成物は、粘着性ワックスと呼ばれる少なくとも1種のワックスを含むことができる。粘着性ワックスとして、C20~C40アルキル(ヒドロキシステアリルオキシ)ステアレート(20~40個の炭素原子を含むアルキル基)を単独で、又は混合物として、特にC20~C40アルキル12-(12'-ヒドロキシステアリルオキシ)ステアレートを使用することができる。このようなワックスは、特にKOSTER KEUNEN社により「Kester Wax K 82 P(登録商標)」及び「Kester Wax K 80 P(登録商標)」という名称で販売されている。
【0150】
好ましい実施形態によれば、ワックスは、炭化水素ワックスから選択され、好ましくはカルナウバワックス、ビーズワックス、ホホバワックス、ミモザワックス、ヒマワリワックス、及びそれらの混合物から選択される。
【0151】
親油性ゲル化剤
ある種の親油性ゲル化剤は、特に国際公開第98/38981号パンフレット及び米国特許第6,309,629号明細書に記載されているスチレンのコポリマー及び、エチレン、プロピレン及び/又はブチレン等のオレフィンのコポリマーからなり、場合によりシリコーン又は炭化水素溶媒と組み合わされている。これらは特に、VERSAGEL(登録商標)の商品名でPENRECO社により入手可能なブロックターポリマーに基づくゲル化剤を含む。別種の親油性ゲル化剤は、ポリアミド、例えばINCI名ポリアミド-3で識別されており、特にARIZONA CHEMICAL社により入手可能なSYLVACLEAR(登録商標)AF 1900V及びPA 1200Vポリマー、同様にINCI名「エチレンジアミン/水添二量体ジリノール酸コポリマービス-ジ-C14~18アルキルアミド」で識別されており、例えばARIZONA CHEMICAL社によりSYLVACLEAR(登録商標)A200V又はSYLVACLEAR(登録商標)A2614Vの商品名で入手可能なものからなる。親油性ゲル化剤は、代替として疎水性の変性ベントン又はヘクトライトである。
【0152】
着色剤
本発明による組成物はまた、顔料、真珠層、可溶性染料から選択される着色剤を含むことができ、好ましくは水に可溶性である。
【0153】
好ましい実施形態によれば、着色剤は顔料及び/又は真珠層から選択される。
【0154】
「顔料」という用語は、白色又は着色の、無機又は有機粒子を意味すると理解されるべきであり、これらは水性媒体に不溶性であり、組成物及び/又は得られた皮膜を着色及び/又は不透明にすることが意図されている。
【0155】
顔料は、白色でも着色されていてもよく、無機及び/又は有機でもよい。
【0156】
顔料は、有機顔料でもよい。有機顔料とは、Ullmann encyclopaediaの有機顔料の章の定義を満たす任意の顔料を意味する。有機顔料は、特に金属錯体型のニトロソ、ニトロ、アゾ、キサンテン、キノリン、アントラキノン、フタロシアニン、イソインドリノン、イソインドリン、キナクリドン、ペリノン、ペリレン、ジケトピロロピロール、チオインジゴ、ジオキサジン、トリフェニルメタン、キノフタローン、キナクリドン、ペリノン、ペリレン、ジケトピロロピロール化合物から選択される。
【0157】
有機顔料は、例えば、カルミン、カーボンブラック、アニリンブラック、メラニン、アゾイエロー、キナクリドン、フタロシアニンブルー、ソルガムレッド、カラーインデックスにおいてC1 42090、69800、69825、73000、74100、74160の照会名で分類された青色顔料、カラーインデックスにおいてCl 11680、11710、15985、19140、20040、21100、21108、47000、47005の照会名で分類された黄色顔料、カラーインデックスにおいてCl 61565、61570、74260の照会名で分類された緑色顔料、カラーインデックスにおいてCl 11725、15510、45370、71105の照会名で分類された橙色顔料、カラーインデックスにおいてCI 12085、12120、12370、12420、12490、14700、15525、15580、15620、15630、15800、15850、15865、15880、17200、26100、45380、45410、58000、73360、73915、75470の照会名で分類された赤色顔料、仏国特許出願公開第2679771号明細書に記載されている、インドール及びフェノール系誘導体の酸化重合により得られる顔料から選択することができる。
【0158】
これらの顔料は、欧州特許第1184426号明細書に記載されているように、複合顔料の形態でもよい。これらの複合顔料は、特に、有機顔料で少なくとも部分的に覆われた無機コアを含む粒子及びコアへの有機顔料の付着を保証する少なくとも1種の結合剤から構成することができる。
【0159】
顔料は、ラッカーでもよい。ラッカーとは、不溶性粒子に吸着した不溶化染料を意味し、こうして得られた集合体は使用時に不溶性のままである。ラッカーの例として、D & C Red 7(CI 15 850:1)の名称知られている製品を挙げることができる。
【0160】
顔料は、鉱物顔料でもよい。鉱物顔料とは、Ullmann encyclopaediaの無機顔料の章の定義を満たす任意の顔料を意味する。本発明に有用な無機顔料のうち、ジルコニウム又はセリウムの酸化物、同様に亜鉛の酸化物、鉄の酸化物(黒色、黄色又は赤色)又はクロムの酸化物、マンガンバイオレット、ウルトラマリンブルー、水酸化クロム及びフェリックブルー、二酸化チタン、アルミニウム粉末及び銅粉末等の金属粉末を挙げることができる。以下の鉱物顔料も使用できる: TiCO2、ZrO2、Nb2O5、CeO2、ZnSと混合したTa2O5、Ti3O5、Ti2O3、TiO、ZrO2。
【0161】
本発明の文脈において有用な顔料のサイズは、一般に10nm~10μmの間、好ましくは20nm~5μmの間、より好ましくは30nm~1μmの間に含まれる。
【0162】
着色剤はまた、可溶性染料でもよく、好ましくは水溶性である。
【0163】
水溶性染料のうち、コチニールカルミン又は以下の名称で知られる製品を挙げることができる:D & C Red 21(CI 45 380)、D & C Orange 5(CI 45 370)、D & C Red 27 (CI 45 410)、D & C Orange 10 (CI 45 425)、D & C Red 3 (CI 45 430)、D & C Red 4 (CI 15 510)、D & C Red 33 (CI 17 200)、D & C Yellow 5 (CI 19 140)、D & C Yellow 6 (CI 15 985)、D & C Green (CI 61 570)、D & C Yellow 1 O (CI 77 002)、D & C Green 3 (CI 42 053)、D & C Blue 1 (CI 42 090)。
【0164】
真珠層は、マイカ/二酸化チタン等のメイクアップ製品に従来存在するものから選択することができる。代替として、これらはマイカ/シリカ/二酸化チタン、合成フルオロフロゴパイト/二酸化チタン(MAPRECOS社からのSUNSHINE(登録商標))、ホウケイ酸カルシウムナトリウム/二酸化チタン(ENGELHARD社からのREFLECKS(登録商標))、又はホウケイ酸カルシウムアルミニウム/シリカ/二酸化チタン(MERCK社からのRONASTAR(登録商標))に基づく真珠層でもよい。
【0165】
本発明による組成物は、本発明による組成物の総質量に対して、0.0001~30質量%、好ましくは0.001~20質量%、及びより好ましくは0.002~15質量%の着色剤を含むことができる。
【0166】
フィラー
本発明による組成物は、少なくとも1種のフィラーを含むこともできる。これらのフィラーは、特に、組成物のレオロジー又は構成を改変するために使用される。
【0167】
フィラーは、結晶学的形状(例えばシート状、立方晶、六方晶、斜方晶(orthorombic)等)に関係なく、任意の形状、小板、球状又は楕円形の鉱物又は有機物でもよい。タルク、マイカ、シリカ、疎水性剤で処理されたシリカ表面、カオリン、ポリアミド粉末(Nylon(登録商標))(Atochem社からのOrgasol(登録商標))、ポリ-β-アラニン及びポリエチレン、テトラフルオロエチレンのポリマーの粉末(Teflon(登録商標))、ラウロイルリジン、デンプン、窒化ホウ素、ポリマー性中空ミクロスフィア、例えばポリビニリデンクロリド/アクリロニトリルのミクロスフィア、例えばExpancel(登録商標)(Nobel Industry社)、アクリル酸のコポリマーのミクロスフィア(Dow Corning社からのPolytrap(登録商標))及びシリコーン樹脂マイクロビーズ(例えば株式会社東芝からのTospearls(登録商標))、エラストマーポリオルガノシロキサン粒子、沈降炭酸カルシウム、炭酸塩及びヒドラ炭酸マグネシウム(magnesium hydra-carbonate)、ヒドロキシアパタイト、中空シリカミクロスフィア(Maprecos社からのSilica Beads(登録商標))、ガラス又はセラミックマイクロカプセル、8~22個の炭素原子、好ましくは12~18個の炭素原子を持つ有機カルボン酸由来の金属石鹸、例えば亜鉛マグネシウム又はステアリン酸リチウム、ラウリン酸亜鉛、ミリスチル酸マグネシウムを挙げることができる。
【0168】
化粧品活性剤
本発明による組成物は、少なくとも1種の化粧品活性剤を含むこともでき、ビタミン、抗酸化剤、保湿剤、汚染防止剤、角質溶解剤、収斂剤、抗炎症剤、美白剤、自己日焼け剤及び微小循環を促進する薬剤からなる群から選択することができる。
【0169】
ビタミンの例としては、ビタミンA、B1、B2、B6、C及びE及びこれらの誘導体、パントテン酸及びその誘導体、並びにビオチンが挙げられる。
【0170】
抗酸化剤の例としては、アスコルビン酸及びその誘導体、例えばパルミチン酸アスコルビル、テトライソパルミチン酸アスコルビル、アスコルビルグルコシド、リン酸アスコルビルマグネシウム、リン酸アスコルビルナトリウム及びソルビン酸アスコルビル;トコフェロール及びその誘導体、例えば酢酸トコフェロール、ソルビン酸トコフェロール及び他のトコフェロールエステル;BHT及びBHA;没食子酸、リン酸、クエン酸、マレイン酸、マロニン酸、コハク酸、フマル酸、セファリン、ヘキサメタリン酸、フィチン酸のエステル、例えば、BIOLANDES社により市販されているBlue Malagasy Ginger等のジンギベル・オフィキナレ(Zingiber Officinale)(ショウガ)根、トチャカ(Chondrus crispus)、イワベンケイ(Rhodiola)、サーマス・サーモフィルス(Thermus thermophilus)、マテ茶葉、オーク材、カユ・ラペ樹皮、サクラ葉並びイランイラン(ylang)葉の植物エキスが挙げられる。
【0171】
保湿剤の例としては、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ブチレングリコール、キシリトール、ソルビトール、マルチトール、ムコ多糖類、例えばコンドロイチン硫酸、高分子量又は低分子量ヒアルロン酸、又は代替としてシラノール誘導体により増強されたヒアルロン酸、例えばExymol社により市販されている活性剤Epidermosil(登録商標)、及びムコイチン硫酸;カロン酸;アテロコラーゲン;クロレステリル-12-ヒドロキシステアレート;胆汁酸塩、NHF(天然水和因子)の主成分、例えばカルボン酸ピロリドンの塩及び乳酸の塩、アミノ酸類似体、例えば尿素、システイン及びセリン;短鎖可溶性コラーゲン、PPGジグリセリン、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンホモポリマー及びコポリマー、例えばNOF社からのLipidure HM及びLipidure PBM;アラントイン;グリセリン誘導体、例えばNOF社から商品名Wilbride(登録商標)S753で販売されているPEG/PPG/polybutylene Glycol-8/5/3 Glycerine又は代替としてSederma社から商品名Lubragel(登録商標)MSで販売されているポリメタクリル酸グリセリル;旭化成株式会社により商品名Aminocoat(登録商標)で販売されるトリメチルグリシン及び種々の植物エキス、例えばヨーロッパグリエキス、加水分解ヘーゼルナッツタンパク質、チューベローズ(Tuberosa Polyanthes)の多糖類、アルガニア・スピノザ(Argania spinosa)の核油、特に丸善製薬株式会社(日本)により商品名Pearl Extract(登録商標)で販売されているコンキオリンを含む真珠母貝エキスが挙げられる。
【0172】
保湿剤の他の例としては、MT/SP1マトリプターゼの発現を刺激する化合物、例えばイナゴマメ果肉エキス、同様にCERT、RNAT2又はFN3K又はFN3K RPの発現を刺激する薬剤;例えばβエンドルフィン産生を直接的又は間接的に刺激することによってケラチノサイトの増殖又は分化を増加させる薬剤、例えばサーマス・サーモフィルスのエキス又はカカオ豆殻のエキス、トウモロコシの水溶性エキス、バンバラ豆(Voandzeia subterranea)及びナイアシンアミドのペプチドエキス;表皮脂質並びにリン脂質、セラミド、加水分解ハウチワマメタンパク及びジヒドロジャスモン酸の誘導体等のセラミドのグルコシルセラミダーゼ等の脂質前駆体の脱グリコシル化を調節する特定のβグルコシダーゼを直接的又は間接的に刺激することによって、表皮脂質の合成を増加させる薬剤が挙げられる。
【0173】
汚染防止剤の例としては、ワサビノキ種子エキス(例えばLSN社からのPurisoft(登録商標));シアバターエキス(例えばSilab社からのDetoxyl(登録商標))、セイヨウキズタエキス、フィチン酸、ヒマワリ種子エキスの混合物(例えばSederma社からのOsmopur(登録商標))が挙げられる。
【0174】
角質溶解剤の例としては、αヒドロキシ酸(例えばグリコール酸、乳酸、クエン酸、マレイン酸、マンデル酸、酒石酸)及びβヒドロキシ酸(例えばサリチル酸)、並びにこれらのエステル、例えばC12~13乳酸アルキル、及びこれらのヒドロキシ酸を含む植物エキス、例えばハイビスカス(Hibiscus sabdriffa)エキスが挙げられる。
【0175】
収斂剤の例としては、ハマメリスのエキスが挙げられる。
【0176】
抗炎症剤の例としては、ビサボロール、アラントイン、トラネキサム酸、酸化亜鉛、硫黄酸化物及びその誘導体、硫酸コンドロイチン、グリチルリチン酸及びその誘導体、例えばグリチルリチン酸塩が挙げられる。
【0177】
美白剤(bleaching agent)の例としては、アルブチン及びその誘導体、フェルラ酸(例えばBASF社により市販されているCytovector(登録商標):水、グリコール、レシチン、フェルラ酸、ヒドロキシエチルセルロース)及びその誘導体、コウジ酸、レゾルシノール、リポ酸、及びその誘導体、例えば国際公開第2006/134282号パンフレットに記載のレスベラトロールジアセテートモノリポエート、エラグ酸、ロイコドパクロム及びその誘導体、ビタミンB3、リノール酸及びその誘導体、セラミド及びそれらの同族体、国際公開第2009/010356号パンフレットに記載のペプチド、国際公開第2006/134282号パンフレットに記載のバイオ前駆体又はトラネキサム酸塩、例えばトラネキサム酸セチルの塩酸塩、特に丸善製薬株式会社により商品名Licorice extract(登録商標)で販売されているリコリスエキス(カンゾウ(Glycyrrhiza glabra)エキス)、抗酸化作用も有する美白剤、例えばアスコルビン酸塩、脂肪酸又はソルビン酸のアスコルビンエステル、及び他のアスコルビン酸誘導体、例えばリン酸アスコルビル、例えばリン酸アスコルビルマグネシウム及びリン酸アスコルビルナトリウム、又はアスコルビン酸の糖エステル、例えばアスコルビル-2-グルコシド、2-O-アルファ-D-グルコピラノシルL-アスコルビン酸、又は6-O-ベータ-D-ガラクトピラノシルL-アスコルビン酸を含むビタミンC化合物が挙げられる。この種の活性剤は、特に、DKSH社により商品名Ascorbyl glucoside(登録商標)で販売されている。
【0178】
自己日焼け剤の例は、DHAである。
【0179】
微小循環を促進する薬剤の例としては、ハウチワマメのエキス(Silab社からのEclaline(登録商標)等)、ナギイカダ、セイヨウトチノキ、セイヨウキズタ、高麗人参又はシナガワハギのエキス、カフェイン、ニコチン酸及びその誘導体、CODIF社により市販されているもの等のサンゴモ(Corallina officinalis)のアルゲエキス;並びにそれらの混合物が挙げられる。皮膚微小循環に活性であるこれらの活性剤は、顔色のくすみを防ぐ、及び/又は顔色の均一性及び明るさを改善するために使用することができる。
【0180】
本発明による組成物は、本発明による組成物の総質量に対して、0.0001~10質量%、好ましくは0.001~5質量%、より好ましくは0.002~1質量%の化粧品活性剤を含むことができる。
【0181】
添加物
本発明による組成物は、組成物の所望の特性を妨げない限り他の成分を含むことができる。これらの他の成分は、例えば、保存剤、クエン酸又はアルギニン等のpH調整剤、抗菌剤、香料、サンフィルター、及びそれらの混合物であることができる。
【0182】
調製方法
【0183】
本発明の目的はまた、本発明による皮膜形成化粧用組成物を調製する方法であって、
- 可塑剤を水と、場合により乳化剤及び/又は皮膜形成剤と混合する工程と、
- ゲルが形成されるまで撹拌しながらデンプンを添加する工程と、
- 場合によりゲル化剤を添加する工程と、
- 場合により着色剤を添加する工程と、
- 場合によりpHを調整する工程と、
- 場合によりアルコールを添加する工程と
を含む方法である。
【0184】
一実施形態によれば、可塑剤と水、場合により乳化剤及び/又は皮膜形成剤との混合は、室温で、又は高温で、例えば60~95℃の間の温度で実行される。
【0185】
本発明の目的はまた、上記のような皮膜形成組成物からピールオフ皮膜を得る方法であって、
- 上記のような組成物を、ケラチン物質、特に皮膚、まつ毛、眉毛又は唇に塗布して、均一な液体皮膜を形成することと、
- 前記組成物を、10秒間~15分間乾燥することと
を特徴とする方法である。
【0186】
ケラチン物質のメイクアップ方法
【0187】
本発明はまた、ケラチン物質、特に皮膚、まつ毛、眉毛又は唇のメイクアップ又は手入れ方法に関し、前記ケラチン物質、特に皮膚、まつ毛、眉毛又は唇に本発明による組成物を塗布することである方法に関する。
【実施例】
【0188】
(実施例1)
トリートメントマスク
ピールオフマスクを、下記Table 1(表1)に示す組成を有する水性ゲルの形態で調製した。
【0189】
【0190】
保存剤を、デフロキュレーターの下で水に溶解した。
次いでKemin社によるLysofix Liquid(登録商標)を、完全に可溶化するまで適度な撹拌で添加した。
LYOCAT RS720及びキサンタンガムをグリコール中にペースト状にし、次いで混合物をビーカーに入れた。
次いでゲルが得られるまで混合した。
カオリン及びSILAB社によるFILMEXEL(登録商標)を配合物に添加し、完全に分散するまで混合した。
次いでクエン酸を約pH5に達するのに充分な量で添加した。
最後に、エタノールを添加し、完全に均質化するまで混合した。
【0191】
マスクを顔の皮膚に塗布し、乾燥させた。組成物は容易に均等に広がる。乾燥時間は非常に速く(5~15分の間)、得られた皮膜は均一で、柔軟性及び耐性がある。剥がすことにより容易に除去することができる。
【0192】
比較のために、Table 1(表1)の組成物を再現し、エンドウデンプン(LYOCAT RS720)をトウモロコシデンプン(Tereos社からのMeritena、比較1)又はワックス状のトウモロコシデンプン(Akzo Nobel社のStructure XL、比較2)に置き換えた。Tereos社のMeritenaトウモロコシデンプンは水に分散するが、ピールオフ皮膜を形成できない。Akzo Nobel社によるワックス状のStructure XLトウモロコシデンプンを含む比較組成物2は均一に広がらない。乾燥後、皮膜は形成されない。
【0193】
(実施例2)
アイシャドウ
下記Table 2(表2)に示す組成を有するアイシャドウを調製した。
【0194】
【0195】
アイシャドウは、下記のプロトコルに従って調製した:
- 水、グリセリン、ソルビトール、ペンチレングリコール、保存剤及びポリソルベート20を含む水性相を秤量し、245rpmでローターステーターにてそれを撹拌し、
- LYCOAT RS 720を撹拌しながら添加し、ゲルが形成されたら245rpmで5分間撹拌を維持し、
- 245rpmでローターステーターにて撹拌しながらActigum VSX 20を添加し、
- 245rpmでローターステーターにて撹拌しながら着色剤を添加し、
- アルギニンを添加してpHを調整する。
【0196】
塗布すると、配合物は眼瞼上を非常によく滑り、その被覆は市販のアイシャドウよりも厚みがある。生成物は粉々に崩れず、したがって目の下(頬骨に)に残渣を沈着させない。メイクアップの結果は強力で、経時的耐久性があり、且つ得られた皮膜はピールオフ皮膜であり、容易なメイクアップ除去が可能である。
【国際調査報告】