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特表2022-526973ホスホイノシチド3-キナーゼ阻害剤としてのイソクロメン誘導体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-27
(54)【発明の名称】ホスホイノシチド3-キナーゼ阻害剤としてのイソクロメン誘導体
(51)【国際特許分類】
   C07D 487/04 20060101AFI20220520BHJP
   A61K 31/519 20060101ALI20220520BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20220520BHJP
   A61P 11/14 20060101ALI20220520BHJP
   A61P 11/06 20060101ALI20220520BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20220520BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20220520BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20220520BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220520BHJP
   A61K 9/14 20060101ALI20220520BHJP
   A61K 9/72 20060101ALI20220520BHJP
   A61K 9/10 20060101ALI20220520BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20220520BHJP
   A61P 31/12 20060101ALI20220520BHJP
【FI】
C07D487/04 142
C07D487/04 CSP
A61K31/519
A61P1/04
A61P11/14
A61P11/06
A61P11/00
A61P29/00
A61P35/00
A61P43/00 111
A61K9/14
A61K9/72
A61K9/10
A61K9/08
A61P31/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021558911
(86)(22)【出願日】2020-03-24
(85)【翻訳文提出日】2021-11-30
(86)【国際出願番号】 EP2020058168
(87)【国際公開番号】W WO2020200918
(87)【国際公開日】2020-10-08
(31)【優先権主張番号】19167245.0
(32)【優先日】2019-04-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591095465
【氏名又は名称】キエシ・フアルマチエウテイチ・ソチエタ・ペル・アチオニ
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100156144
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 康
(72)【発明者】
【氏名】ビアジェッティ,マッテオ
(72)【発明者】
【氏名】ロンキ,パウロ
(72)【発明者】
【氏名】フィオレッリ,クラウディオ
(72)【発明者】
【氏名】ブルーノ,パオロ
【テーマコード(参考)】
4C050
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C050AA01
4C050BB05
4C050CC08
4C050EE04
4C050FF05
4C050GG04
4C050HH04
4C076AA12
4C076AA16
4C076AA29
4C076AA93
4C076BB27
4C076CC29
4C076FF07
4C076FF09
4C076FF68
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086AA04
4C086CB06
4C086GA02
4C086GA07
4C086GA08
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA17
4C086MA21
4C086MA43
4C086MA70
4C086NA14
4C086ZA34
4C086ZA59
4C086ZA62
4C086ZA66
4C086ZB11
4C086ZB26
4C086ZB33
4C086ZC20
(57)【要約】
本発明は、ホスホイノシチド3-キナーゼ(PI3K)を阻害する化合物、それを含む医薬組成物、およびPI3K酵素に関する障害の処置におけるその治療的使用に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】
(I)
[式中、
各Rは、存在するとき、独立してOR7、ハロゲン、(C1-C6)アルキルからなる群より選択され;
R1およびR2は、同一または異なっており、各存在において、独立して(C1-C6)アルキルであり、
R3およびR4は、同一または異なっており、各存在において、独立してHまたは(C1-C6)アルキルである;
あるいは
R1およびR2は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、5または6員の複素環式基を形成し、該複素環式基における少なくとも1つの更なる環炭素原子は、N、NH、SまたはOより選択される少なくとも1つのヘテロ原子により置き換えられてもよく、少なくとも1つの-オキソ(=O)置換基を有してもよく;該複素環式基は、(C1-C6)アルキル基によりさらに置換されてもよく、R3およびR4は、Hである;
あるいは
R3およびR2は、一緒になって、N原子を含む5または6員の複素環式基を形成し;該複素環式基は、(C1-C6)アルキル基によりさらに置換されてもよく、R1は、(C1-C6)アルキル基であり、R4は、Hであり;
R5は、OR7であり;
R6は、H、OR7、(C1-C6)アルキル、(C1-C6)ハロアルキル、(C1-C6)ヒドロキシアルキルからなる群より選択され;
R7は、H、(C1-C6)アルキルからなる群より選択され;
pは、0、または1~4の範囲の整数である]
で示される化合物、またはその医薬的に許容される塩。
【請求項2】
炭素(*)における絶対配置が、アスタリスク(*)で標識された炭素原子によって式(Ia):
【化2】
Ia
中で表される立体中心を基準として(R)または(S)である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
R1およびR2が、それらが結合している窒素原子と一緒になって、4-メチルピペラジン-1-イル基を形成し;
R3およびR4が、Hであり;
R、R5、R6およびpが、請求項1で定義するとおりである、
請求項1または2に記載の化合物またはその医薬的に許容される塩。
【請求項4】
R3およびR2が、一緒になって、N原子を含む5員の複素環式基を形成し;該複素環式基が、メチルである(C1-C6)アルキル基によりさらに置換され;R1が、メチルである(C1-C6)アルキル基であり、R4が、Hであり;
R、R5、R6およびpは、上記で定義するとおりである、
請求項1または2に記載の化合物またはその医薬的に許容される塩。
【請求項5】
R1およびR2が、メチルである(C1-C6)アルキルであり、
R3およびR4が、独立してHまたはメチルである(C1-C6)アルキルであり;
R、R5、R6およびpが、請求項1で定義するとおりである、
請求項1または2に記載の化合物またはその医薬的に許容される塩。
【請求項6】
Rが、-Hであり;
R5が、-OHであり;
R6が、Hであり;
請求項1~5のいずれか一項に記載の化合物またはその医薬的に許容される塩。
【請求項7】
3-{1-[4-アミノ-3-(5-ヒドロキシピリジン-3-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル]エチル}-4-{3-[(4-メチルピペラジン-1-イル)メチル]フェニル}-1H-イソクロメン-1-オン;
3-(1-(4-アミノ-3-(5-ヒドロキシピリジン-3-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル)-4-(3-((ジメチルアミノ)メチル)フェニル)-1H-イソクロメン-1-オン;
3-{1-[4-アミノ-3-(5-ヒドロキシピリジン-3-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル]エチル}-4-{4-クロロ-3-[(ジメチルアミノ)メチル]フェニル}-1H-イソクロメン-1-オン;
3-{1-[4-アミノ-3-(5-ヒドロキシピリジン-3-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル]エチル}-4-{3-[(2R)-1-メチルピロリジン-2-イル]フェニル}-1H-イソクロメン-1-オン;
3-{1-[4-アミノ-3-(5-ヒドロキシピリジン-3-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル]エチル}-4-{4-フルオロ-3-[(4-メチルピペラジン-1-イル)メチル]フェニル}-1H-イソクロメン-1-オン;
3-(1-(4-アミノ-3-(5-ヒドロキシピリジン-3-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル)-4-(3-フルオロ-5-((4-メチルピペラジン-1-イル)メチル)フェニル)-1H-イソクロメン-1-オン;
3-(1-(4-アミノ-3-(5-ヒドロキシピリジン-3-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル)-4-(3-(1-(ジメチルアミノ)エチル)フェニル)-1H-イソクロメン-1-オン
からなるリストより選択される、請求項1または2に記載の化合物またはその医薬的に許容される塩。
【請求項8】
(R)および/または(S)-3-(1-(4-アミノ-3-(5-ヒドロキシピリジン-3-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル)-4-(3-((4-メチルピペラジン-1-イル)メチル)フェニル)-1H-イソクロメン-1-オン臭化物塩;
(R)および/または(S)-3-(1-(4-アミノ-3-(5-ヒドロキシピリジン-3-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル)-4-(3-((4-メチルピペラジン-1-イル)メチル)フェニル)-1H-イソクロメン-1-オン塩酸塩;
(R)および/または(S)-3-(1-(4-アミノ-3-(5-ヒドロキシピリジン-3-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル)-4-(3-((4-メチルピペラジン-1-イル)メチル)フェニル)-1H-イソクロメン-1-オンヘミ1,5-ナフタレンジスルホン酸塩;
(R)および/または(S)-3-(1-(4-アミノ-3-(5-ヒドロキシピリジン-3-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル)-4-(3-((4-メチルピペラジン-1-イル)メチル)フェニル)-1H-イソクロメン-1-オンヘミ硫酸塩;
(R)および/または(S)-3-(1-(4-アミノ-3-(5-ヒドロキシピリジン-3-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル)-4-(3-((4-メチルピペラジン-1-イル)メチル)フェニル)-1H-イソクロメン-1-オントシル酸塩;
(R)および/または(S)-3-(1-(4-アミノ-3-(5-ヒドロキシピリジン-3-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル)-4-(3-((4-メチルピペラジン-1-イル)メチル)フェニル)-1H-イソクロメン-1-オンメシル酸塩;
(R)および/または(S)-3-(1-(4-アミノ-3-(5-ヒドロキシピリジン-3-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル)-4-(3-((4-メチルピペラジン-1-イル)メチル)フェニル)-1H-イソクロメン-1-オン2-ナフタレンスルホン酸塩;
(R)および/または(S)-3-(1-(4-アミノ-3-(5-ヒドロキシピリジン-3-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル)-4-(3-((4-メチルピペラジン-1-イル)メチル)フェニル)-1H-イソクロメン-1-オンイセチオン酸塩;
(R)および/または(S)-3-(1-(4-アミノ-3-(5-ヒドロキシピリジン-3-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル)-4-(3-((4-メチルピペラジン-1-イル)メチル)フェニル)-1H-イソクロメン-1-オンマレイン酸塩;
(R)および/または(S)-3-(1-(4-アミノ-3-(5-ヒドロキシピリジン-3-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル)-4-(3-((4-メチルピペラジン-1-イル)メチル)フェニル)-1H-イソクロメン-1-オンエシル酸塩;
(R)および/または(S)-3-(1-(4-アミノ-3-(5-ヒドロキシピリジン-3-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル)-4-(3-((4-メチルピペラジン-1-イル)メチル)フェニル)-1H-イソクロメン-1-オンヘミパモ酸塩;
(R)および/または(S)-3-(1-(4-アミノ-3-(5-ヒドロキシピリジン-3-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル)-4-(3-((4-メチルピペラジン-1-イル)メチル)フェニル)-1H-イソクロメン-1-オンキシナホ酸塩;
(R)および/または(S)-3-(1-(4-アミノ-3-(5-ヒドロキシピリジン-3-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル)-4-(3-((4-メチルピペラジン-1-イル)メチル)フェニル)-1H-イソクロメン-1-オンサリシル酸塩;
(R)および/または(S)-3-(1-(4-アミノ-3-(5-ヒドロキシピリジン-3-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル)-4-(3-((4-メチルピペラジン-1-イル)メチル)フェニル)-1H-イソクロメン-1-オン安息香酸塩
からなるリストより選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
(R)および/または(S)-3-(1-(4-アミノ-3-(5-ヒドロキシピリジン-3-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル)-4-(3-((ジメチルアミノ)メチル)フェニル)-1H-イソクロメン-1-オン臭化物塩;
(R)および/または(S)-3-(1-(4-アミノ-3-(5-ヒドロキシピリジン-3-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル)-4-(3-((ジメチルアミノ)メチル)フェニル)-1H-イソクロメン-1-オン塩酸塩;
(R)および/または(S)-3-(1-(4-アミノ-3-(5-ヒドロキシピリジン-3-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル)-4-(3-((ジメチルアミノ)メチル)フェニル)-1H-イソクロメン-1-オンメシル酸塩;
(R)および/または(S)-3-(1-(4-アミノ-3-(5-ヒドロキシピリジン-3-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル)-4-(3-((ジメチルアミノ)メチル)フェニル)-1H-イソクロメン-1-オン2-ナフタレンスルホン酸塩;
(R)および/または(S)-3-(1-(4-アミノ-3-(5-ヒドロキシピリジン-3-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル)-4-(3-((ジメチルアミノ)メチル)フェニル)-1H-イソクロメン-1-オンマレイン酸塩;
(R)および/または(S)-3-(1-(4-アミノ-3-(5-ヒドロキシピリジン-3-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル)-4-(3-((ジメチルアミノ)メチル)フェニル)-1H-イソクロメン-1-オンエシル酸塩
からなるリストより選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
1つ以上の医薬的に許容される担体または添加剤と混合して、請求項1~9のいずれか一項に記載の化合物を含む医薬組成物。
【請求項11】
1つ以上の活性成分と組み合わせて、請求項1~9のいずれか一項に記載の化合物を含む医薬組成物。
【請求項12】
医薬としての使用のための請求項1~9のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項13】
特発性慢性咳嗽、咳喘息、胸部腫瘍または肺癌に関連する咳嗽、ウイルス性またはウイルス感染後の咳嗽、上気道咳嗽症候群(UACS)、後鼻漏咳嗽、胃食道逆流症(酸および非酸両方の逆流)に関連する咳嗽、喘息、慢性気管支炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)および間質性肺疾患より選択される、PI3K酵素メカニズムが関連する呼吸器障害の処置における使用のための請求項1~9のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項14】
PI3K酵素メカニズムが関連する障害が、喘息または慢性閉塞性肺疾患(COPD)である、請求項13に記載の使用のための化合物。
【請求項15】
PI3K酵素メカニズムが関連する障害が、特発性肺線維症(IPF)、咳嗽および慢性咳嗽である、請求項13に記載の使用のための化合物。
【請求項16】
式(II)
【化3】
II
[式中、
Rが存在しないとき、p=0、R3およびR4は、Hであり、K=R"は、メトキシピリジンであり;R1およびR2は、請求項1で定義するとおりである]
で示される化合物。
【請求項17】
式(II)
【化4】
II
[式中、
Rが存在しないとき、p=0、R3およびR4は、Hであり、K=R"は、メトキシピリジンであり;R1およびR2は、請求項1で定義するとおりである、
あるいは
K=Iのとき;p、R、R1、R2、R3、R4は、請求項1で定義するとおりである]
で示される化合物の、請求項1に記載の式(I)で示される化合物の製造における中間体としての使用。
【請求項18】
請求項18に記載の式(II)で示される化合物が、脱保護またはカップリングの後続工程;所望によりその後キラル分離最終工程を受けて、請求項1に記載の化合物に到達する、製造方法。
【請求項19】
1つ以上の医薬的に許容される添加剤の粗大粒子を含む担体が存在し、さらに、滑沢または付着防止特性を有する添加物が存在してもよい、乾燥粉末形態の請求項10に記載の吸入のための医薬製剤。
【請求項20】
粗大粒子が30~500μmの間に入る質量直径を有する、請求項19に記載の医薬製剤。
【請求項21】
請求項19または20に記載の医薬製剤が充填された乾燥粉末吸入デバイス。
【請求項22】
請求項19または20に記載の医薬製剤および乾燥粉末吸入デバイスを含むキット。
【請求項23】
該化合物またはその塩が水性ビヒクルに溶解または懸濁され、さらに医薬的に許容される添加物を含んでもよい、噴射剤を含まない医薬製剤の形態の請求項10に記載の吸入のための医薬製剤。
【請求項24】
請求項23に記載の医薬製剤およびネブライザーを含むキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホスホイノシチド3-キナーゼ(以下、PI3K)を阻害する化合物に関する;特に、本発明は、イソクロメン誘導体である化合物、そのような化合物を製造する方法、それらを含む医薬組成物、およびそれらの治療的使用に関する。
【0002】
より具体的には、本発明の化合物は、PI3KのクラスIの活性または機能の阻害剤であり、より具体的には、それらは、クラスI PI3KのPI3Kα、PI3Kβ、PI3Kδおよび/またはPI3Kγアイソフォームの活性または機能の阻害剤である。
【0003】
したがって、本発明の化合物は、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)および咳嗽を含む呼吸器疾患などの、PI3K酵素メカニズムが関連する多くの障害の処置に有用であり得る。
【背景技術】
【0004】
生化学において、キナーゼは、リン酸化と呼ばれるプロセスである、ATPなどの高エネルギードナー分子から特定の基質にリン酸基を転移する酵素の一種である。具体的には、PI3K酵素は、イノシトール環の3'-ヒドロキシル基でホスホイノシチド(PI)をリン酸化できる脂質酵素キナーゼである(Panayotou et al, Trends Cell Biol 2:358-60 (1992))。原形質膜に局在するPIは、プレクストリン相同(PH)、FYVE、PXおよび他のリン脂質結合ドメインを含むタンパク質をドッキングすることにより、シグナル伝達カスケードにおいてセカンドメッセンジャーとして作用することはよく知られている(Vanhaesebroeck B et al, Annu. Rev. Biochem 70, 535-602, 2001; Katso R et al, Annu. Rev. Cell Dev. Biol. 17, 615-675, 2001)。
【0005】
したがって、PIは、シグナル伝達、膜の輸送(trafficking)と移動(transport)の調節、細胞骨格の組織化、細胞の生存と死、および他の多くの機能を含む多くの細胞プロセスにおいてセカンドメッセンジャーとして作用できる。
【0006】
PIは、グリセロールリン酸リンカーにより細胞質のイノシトール環に結合している2つの脂肪酸によって、細胞膜の脂質二重層に結合し得る。PIのイノシトール環は、PI3K酵素によりリン酸化され得て、これは、細胞の成長、生存および増殖の調節につながる。このため、PI3K酵素によるPIリン酸化は、哺乳類の細胞表面受容体の活性化に関連する最も関連性の高いシグナル伝達イベントの1つである(Cantley LC, Science 296, 1655-7, 2002; Vanhaesebroeck B et al, Annu. Rev. Biochem 70, 535-602, 2001)。
【0007】
PI3K酵素は、配列相同性、構造、結合パートナー、活性化様式および基質選択性に基づいて、クラスI PI3K、クラスII PI3KおよびクラスIII PI3Kの3つのクラスに分類されている(Vanhaesebroeck B et al, Exp. Cell Res. 253(1), 239-54, 1999; and Leslie NR et al, Chem. Rev. 101(8), 2365-80, 2001)。
【0008】
クラスI PI3Kは、ホスホイノシチド-(4,5)-二リン酸(PI(4,5)P2)をホスホイノシチド-(3,4,5)-三リン酸(PI(3,4,5)P3)に変換し、これはセカンドメッセンジャーとして機能する。PI(3,4,5)P3の細胞内レベルの増加により活性化されるシグナル伝達カスケードは、5'特異的および3'特異的ホスファターゼの作用により負に調節される(Vanhaesebroeck B et al., Trends Biochem. Sci. 22(7), 267-72, 1997; Katso R et al, Annu. Rev. Cell Dev. Biol. 17, 615-75, 2001;およびToker A, Cell. Mol. Life Sci. 59(5), 761-79, 2002)。
【0009】
クラスII PI3K酵素は、最近同定されたPI3Kのクラスであり、それらの正確な機能はまだ不明である。
【0010】
クラスIII PI3K酵素は、クラスI PI3K酵素に構造的に関連し、エンドサイトーシスおよび小胞輸送において重要であると考えられる単一のファミリーメンバーからなる。しかしながら、クラスIII PI3Kが、食作用およびトール様受容体(TLR)シグナル伝達などの免疫細胞プロセスに関連し得ることを示すいくつかの証拠がある。
【0011】
クラスI PI3K酵素は、それらの活性化メカニズムに基づいて、クラスIAとクラスIBにさらに分類し得る。
【0012】
より詳細には、クラスIA PI3K酵素は、PI3Kα、PI3KβおよびPI3Kδの3つの密接に関連するアイソフォームで構成され、一方、クラスIBはPI3Kγアイソフォームのみで構成されている。これらの酵素は、p110として知られる触媒サブユニットから構成されるヘテロダイマーであり、アルファ(α)、ベータ(β)、デルタ(δ)、ガンマ(γ)アイソフォームの4つのタイプがあり、調節サブユニットと構成的に関連している。最初の2つのp110アイソフォーム(αとβ)は遍在的に発現し、細胞の分化および増殖に関与する。したがって、PI3KαおよびPI3Kβ酵素は、新しい化学療法剤の開発の標的として広く研究されている。
【0013】
その他、p110δおよびp110γアイソフォームは、主に白血球で発現し、白血球の遊走、B細胞およびT細胞の活性化ならびに肥満細胞の脱顆粒などの免疫応答の活性化に重要である。したがって、PI3KδおよびPI3Kγアイソフォームは、炎症性呼吸器疾患に極めて関連している。
【0014】
現在、当技術分野で公知のPI3K酵素の阻害剤誘導体は、前記アイソフォーム(アルファα、ベータβ、デルタδおよびガンマγアイソフォーム)を全体として阻害でき、それらは、前記特定のアイソフォームによって様々な疾患で果たされる個々の役割に作用できる。
【0015】
したがって、PI3K酵素メカニズムが関連する障害の処置に適するプロファイルを識別するために、1つの特定のPI3Kα、PI3Kβ、PI3KδおよびPI3Kγアイソフォームに対するクラスIA阻害剤の特異的な活性アッセイが広く開発されている。このような障害は、例えば、特発性慢性咳嗽、咳喘息、胸部腫瘍または肺癌に関連する咳嗽、ウイルス性またはウイルス感染後の咳嗽、上気道咳嗽症候群(UACS)または後鼻漏咳嗽、または胃食道逆流症(酸および非酸両方)に関連する咳嗽、喘息、慢性気管支炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、間質性肺疾患、特発性肺線維症(IPF)より選択される呼吸器疾患を含み得る。
【0016】
PI3K酵素が介在する病理学的応答の数を考慮すると、多くの障害、特に呼吸器疾患の処置に有用であり得るPI3K酵素の阻害剤が引き続き必要とされている。したがって、本発明は、クラスI PI3K酵素のPI3Kα、PI3Kβ、PI3KδおよびPI3Kγアイソフォームの阻害剤であり、上記の理由のために、しばしば治療的に望ましい特性を有し得る新規化合物に関する。
【0017】
呼吸器疾患の処置に関して、PI3K阻害剤として活性であることが先行技術で知られているいくつかの化合物がある。例えば、WO2015/193263;WO2016/038140;WO2016/166239およびWO2017/134053は、ホスホイノシチド3-キナーゼ阻害剤として、インドリジン、ピリダジノン、クロメンおよびピラゾール誘導体を開示している。WO2015/091685は、イソクマリンおよびイソクロメン化合物誘導体を開示する同一出願人の同時出願である。
【0018】
先行技術の化合物がPI3Kを阻害する活性を示すとしても、本発明の化合物は強力なPI3K阻害剤であり、酵素的インビトロアッセイで活性でナノモル以下の範囲であり、さらにPI3Kデルタ阻害のTHP-1細胞モデルにおいても高い活性を示す。
【0019】
さらに、本発明による化合物は、OVA試験においてインビボで持続的な活性(作用の持続時間)を示す。
【発明の概要】
【0020】
本発明は、ホスホイノシチド3-キナーゼの阻害剤として作用する、式(I)
【化1】
(I)
で示され、式中、R、R1、R2、R3、R4、R5、R6は以下の発明の詳細な説明で記載されるとおりである化合物、それらの化合物を製造する方法、それらの化合物を、単独で、または1つ以上の活性成分と組み合わせて、1つ以上の医薬的に許容される担体と混合して含む医薬組成物に関する。
【0021】
一態様において、本発明は、医薬としての使用のための本発明の化合物に関する。
【0022】
一態様において、本発明は、医薬の製造のための本発明の化合物の使用に関する。
【0023】
更なる態様において、本発明は、ホスホイノシチド-3-キナーゼ(PI3K)酵素過活性を特徴とする何らかの疾患の予防および/または処置のための、および/または特にアルファおよびベータ酵素アイソフォームに対してデルタまたはデルタとガンマの両方の酵素アイソフォームを選択的に阻害することによる、PI3K活性の阻害が望ましい、医薬の製造のための本発明の化合物の使用を提供する。
【0024】
さらに、本発明は、PI3K酵素阻害が望ましい、任意の疾患、好ましくは呼吸器疾患の予防および/または処置のための方法であって、該方法が、そのような処置を必要とする患者に治療有効量の本発明の化合物を投与することを含む方法を提供する。
【0025】
特に、本発明の化合物は、好ましくは、例えば咳嗽、喘息、COPDおよびIPFなどの炎症性気道閉塞を特徴とする呼吸器の疾患の予防および/または処置に使用するためのものである。
【0026】
本発明の更なる態様は、それぞれ単回または複数回投与の乾燥粉末吸入器(DPI)、ネブライザー、および特にソフトミストネブライザーから選択され得る、本発明の化合物の医薬組成物を含む適切な吸入デバイスを提供する。
【0027】
本発明の更なる態様は、本発明の化合物単独の、または1つ以上の有効成分と組み合わせた医薬組成物と、単回または複数回投与の乾燥粉末吸入器またはネブライザーであり得るデバイス含むキットを提供する。
【発明を実施するための形態】
【0028】
(定義)
本明細書で用いる用語「医薬的に許容される塩」は、式(I)で示される化合物の誘導体であって、親化合物が、酸または塩基性基のいずれかを、存在するならば、対応する付加塩へ医薬的許容されるとして従来意図されている何れかの塩基または酸で変換することにより適切に修飾されている、誘導体を指す。
【0029】
したがって、該塩の適切な例は、アミノ基などの塩基性残基の無機または有機酸付加塩、およびカルボキシル基などの酸性残基の無機または有機塩基性付加塩を含み得る。
【0030】
本発明の範囲内で塩を製造するために適切に使用し得る無機塩基のカチオンは、アルカリまたはアルカリ土類金属のイオン、例えばカリウム、ナトリウム、カルシウムまたはマグネシウムを含む。
【0031】
塩基として機能する主化合物を無機酸または有機酸と反応させて塩を形成することにより得られるものは、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、メタンスルホン酸、カンファースルホン酸、酢酸、シュウ酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、クエン酸の塩を含む。
【0032】
本明細書で用いる用語「ハロゲン原子」は、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素、好ましくは塩素またはフッ素を含む。
【0033】
xが1より大きい整数である「(C1-Cx)アルキル」という用語は、構成炭素原子の数が1からxの範囲にある直鎖または分岐鎖のアルキル基を指す。特に好ましいアルキル基は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピルおよびtert-ブチルである。
【0034】
「(C1-Cx)ハロアルキル」という表現は、1つ以上の水素原子が、互いに同一または異なる1つ以上のハロゲン原子に置き換えられている、上記で定義した「(C1-Cx)アルキル」基を指す。
【0035】
したがって、該(C1-Cx)ハロアルキル基の例は、ハロゲン化、ポリハロゲン化、および完全にハロゲン化されたアルキル基、例えばトリフルオロメチルまたはジフルオロメチル基を含み得る。
【0036】
同様に、用語「(C1-Cx)ヒドロキシアルキル」または「(C1-Cx)アミノアルキル」は、1つ以上の水素原子がそれぞれ1つ以上のヒドロキシ(OH)またはアミノ基で置き換えられている、上記で定義した「(C1-Cx)アルキル」基を指す。
【0037】
本明細書では、特に断らない限り、アミノアルキルの定義は、1つ以上が置換されたアルキル基(NR1R2)を包含する。
【0038】
上記で定義した置換基R1およびR2に関して、R1およびR2が窒素原子と一緒になるとき、それらが結合して、5~6員の複素環式基を形成し、該複素環式基における少なくとも1つの更なる環炭素原子は、少なくとも1つのヘテロ原子(例えば、N、NH、SまたはO)により置き換えられてもよく、あるいは少なくとも1つの-オキソ(=O)置換基を有してもよいことをここでさらに説明する。該複素環式基は、環内の利用可能な点、すなわち炭素原子上、または置換に利用可能なヘテロ原子上でさらに所望により置換され得る。したがって、該複素環式基は、1-ピロリジニル、1-ピペリジニル、1-ピペラジニル、4-モルホリニル、ピペラジン-4イル-2-オン、4-メチルピペラジン-1-イルである。
【0039】
本発明は、ホスホイノシチド3キナーゼ(PI3K)の阻害剤として作用する化合物のクラスに関する。
【0040】
該化合物のクラスは、PI3KのクラスIの活性または機能を阻害し、より具体的には、それらは、クラスI PI3KのPI3Kα、PI3Kβ、PI3Kγおよび/またはPI3Kδアイソフォームの活性または機能の阻害剤誘導体である。
【0041】
本発明は、式(I):
【化2】
(I)
[式中、
各Rは、存在するとき、独立してOR7、ハロゲン、(C1-C6)アルキルからなる群より選択され;
R1およびR2は、同一または異なっており、各存在において、独立して(C1-C6)アルキルであり、
R3およびR4は、同一または異なっており、各存在において、独立してHまたは(C1-C6)アルキルである;
あるいは
R1およびR2は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、5または6員の複素環式基を形成し、該複素環式基における少なくとも1つの更なる環炭素原子は、所望により少なくとも1つのヘテロ原子(例えば、N、NH、SまたはO)により置き換えられてもよく、所望により少なくとも1つの-オキソ(=O)置換基を有してもよく;該複素環式基は、所望により(C1-C6)アルキル基によりさらに置換されてもよく、R3およびR4は、Hである;
あるいは
R3およびR2は、一緒になって、N原子を含む5または6員の複素環式基を形成し;該複素環式基は、所望により(C1-C6)アルキル基によりさらに置換されてもよく、R1は、(C1-C6)アルキル基であり、R4は、Hであり;
R5は、OR7であり;
R6は、H、OR7、(C1-C6)アルキル、(C1-C6)ハロアルキル、(C1-C6)ヒドロキシアルキルからなる群より選択され;
R7は、H、(C1-C6)アルキルからなる群より選択され;
pは、0、または1~4の範囲の整数であり、好ましくは0または1であり、さらにより好ましくはpが、1であるとき、Rは、ハロゲンである]
で示される化合物、またはその医薬的に許容される塩に関する。
【0042】
式(I)の化合物は、少なくとも1つの立体中心を含み、すなわち、式(Ia)
【化3】
(Ia)
においてアスタリスク(*)で標識された炭素原子により表され、それ故に光学立体異性体として存在することが当業者に明らかであろう。
【0043】
したがって、このような少なくとも1つの立体中心を有する本発明による化合物は、それらはエナンチオマーとして存在し得る。本発明による化合物が2つ以上の立体中心を有するとき、それらはさらにジアステレオマーとして存在し得る。すべてのこのような単一のエナンチオマー、ジアステレオマー、およびそれらの任意の比率の混合物(本明細書においてラセミ体またはラセミ化合物とも称する)が本発明の範囲内に含まれることが理解されるべきである。決定されたときの立体中心である炭素(*)の絶対配置(R)または(S)は、グループの優先順位に基づくカーン・インゴルド・プレログ命名規則に基づいて割り当てられる。
【0044】
化合物の化学名における「(R)および/または(S)」という用語は、キラル炭素(*)上のエナンチオマー(R)および(S)のいずれか一方または他方のエナンチオマーまたは任意の比率の混合物を依然として範囲内に含むことを意図する。
【0045】
化合物の化学名で絶対配置を指定しない「単一の」エナンチオマー、ジアステレオマーという用語は、分離法(例えばクロマトグラフィー)または立体制御合成により、95%以上のエナンチオマー濃縮(ee%)が得られ、これにより、絶対配置が割り当てられていなくても、単一のエナンチオマーが単離されて得られた、化合物を意味する。キラルクロマトグラフィー法を用いたとき、純粋な異性体(エナンチオマーまたはジアステレオマー)は、化合物名に「最初に溶出した」、「2番目に溶出した」エナンチオマーまたはジアステレオマーとして示され、クロマトグラフィーピークの方法および保持時間および分離した単一のエナンチオマーまたはジアステレオマーに対応するee%を提供する。
【0046】
好ましい実施態様において、本発明は、化合物が一方のまたは他方の単一のエナンチオマーの形態であり、それぞれが分離法(例えばクロマトグラフィー)または純粋な形態での立体制御合成により得られる、すなわち少なくとも95%、好ましくは99%を超えるエナンチオマー濃縮を有する、上記で定義した式(Ia)の化合物に関する。
【0047】
したがって、1つの好ましい実施態様において、式(I)の化合物の場合、絶対配置は、アスタリスク(*)で標識された炭素原子により式(Ia)中で表される立体中心を基準として(R)または(S)である。
【0048】
別の好ましい実施態様において、本発明に記載される式(I)の化合物は、エナンチオマーまたはジアステレオマーの混合物として存在する。
【0049】
化合物の第1の好ましい群は、式(Ib)
【化4】
(Ib)
[式中、
R1およびR2は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、4-メチルピペラジン-1-イル基を形成し;
R3およびR4は、Hであり;
R、R5、R6およびpは、上記で定義するとおりである]
で示される化合物またはその医薬的に許容される塩である。
【0050】
この群の化合物において特に好ましいものは、下記より選択される:
【表1】
【0051】
化合物の別の好ましい群は、式(Ic)
【化5】
(Ic)
[式中、
R3およびR2は、一緒になって、N原子を含む5員の複素環式基を形成し;該複素環式基は、メチルである(C1-C6)アルキル基によりさらに置換され;R1は、メチルである(C1-C6)アルキル基であり、R4は、Hであり;
R、R5、R6およびpは、上記で定義するとおりである]
で示される化合物またはその医薬的に許容される塩である。
【0052】
この群の化合物において特に好ましいものは、少なくとも下記である:
【表2】
【0053】
化合物の更なる好ましい群は、式(I)
[式中、
R1およびR2は、メチルである(C1-C6)アルキルであり、
R3およびR4は、独立してHまたはメチルである(C1-C6)アルキルであり;
R、R5、R6およびpは、上記で定義するとおりである]
で示される化合物またはその医薬的に許容される塩である。
【0054】
この群の化合物において特に好ましいものは、下記表に記載のものより選択される化合物の少なくとも1つのである:
【表3】
【0055】
化合物の更なる好ましい群は、式(I)
[式中、
Rは、-Hであり;
R5は、-OHであり;
R6は、Hであり;
R1、R2、R3およびR4は、上記で定義するとおりである]
で示される化合物またはその医薬的に許容される塩である。
【0056】
好ましい実施態様によれば、本発明は、下記表に記載のもの:
【表4】

【表5】

ならびに任意の比率のエナンチオマーもしくはジアステレオマーの混合物、または単一のエナンチオマーもしくは単一のジアステレオマー、およびその医薬的に許容される塩および溶媒和物より選択される化合物の少なくとも1つに関する。
【0057】
本発明による好ましい塩は、
(R)および/または(S)-3-(1-(4-アミノ-3-(5-ヒドロキシピリジン-3-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル)-4-(3-((4-メチルピペラジン-1-イル)メチル)フェニル)-1H-イソクロメン-1-オン臭化物塩;
(R)および/または(S)-3-(1-(4-アミノ-3-(5-ヒドロキシピリジン-3-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル)-4-(3-((4-メチルピペラジン-1-イル)メチル)フェニル)-1H-イソクロメン-1-オン塩酸塩;
(R)および/または(S)-3-(1-(4-アミノ-3-(5-ヒドロキシピリジン-3-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル)-4-(3-((4-メチルピペラジン-1-イル)メチル)フェニル)-1H-イソクロメン-1-オンヘミ1,5-ナフタレンジスルホン酸塩;
(R)および/または(S)-3-(1-(4-アミノ-3-(5-ヒドロキシピリジン-3-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル)-4-(3-((4-メチルピペラジン-1-イル)メチル)フェニル)-1H-イソクロメン-1-オンヘミ硫酸塩;
(R)および/または(S)-3-(1-(4-アミノ-3-(5-ヒドロキシピリジン-3-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル)-4-(3-((4-メチルピペラジン-1-イル)メチル)フェニル)-1H-イソクロメン-1-オントシル酸塩;
(R)および/または(S)-3-(1-(4-アミノ-3-(5-ヒドロキシピリジン-3-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル)-4-(3-((4-メチルピペラジン-1-イル)メチル)フェニル)-1H-イソクロメン-1-オンメシル酸塩;
(R)および/または(S)-3-(1-(4-アミノ-3-(5-ヒドロキシピリジン-3-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル)-4-(3-((4-メチルピペラジン-1-イル)メチル)フェニル)-1H-イソクロメン-1-オン2-ナフタレンスルホン酸塩;
(R)および/または(S)-3-(1-(4-アミノ-3-(5-ヒドロキシピリジン-3-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル)-4-(3-((4-メチルピペラジン-1-イル)メチル)フェニル)-1H-イソクロメン-1-オンイセチオン酸塩;
(R)および/または(S)-3-(1-(4-アミノ-3-(5-ヒドロキシピリジン-3-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル)-4-(3-((4-メチルピペラジン-1-イル)メチル)フェニル)-1H-イソクロメン-1-オンマレイン酸塩;
(R)および/または(S)-3-(1-(4-アミノ-3-(5-ヒドロキシピリジン-3-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル)-4-(3-((4-メチルピペラジン-1-イル)メチル)フェニル)-1H-イソクロメン-1-オンエシル酸塩;
(R)および/または(S)-3-(1-(4-アミノ-3-(5-ヒドロキシピリジン-3-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル)-4-(3-((4-メチルピペラジン-1-イル)メチル)フェニル)-1H-イソクロメン-1-オンヘミパモ酸塩;
(R)および/または(S)-3-(1-(4-アミノ-3-(5-ヒドロキシピリジン-3-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル)-4-(3-((4-メチルピペラジン-1-イル)メチル)フェニル)-1H-イソクロメン-1-オンキシナホ酸塩;
(R)および/または(S)-3-(1-(4-アミノ-3-(5-ヒドロキシピリジン-3-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル)-4-(3-((4-メチルピペラジン-1-イル)メチル)フェニル)-1H-イソクロメン-1-オンサリシル酸塩;
(R)および/または(S)-3-(1-(4-アミノ-3-(5-ヒドロキシピリジン-3-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル)-4-(3-((4-メチルピペラジン-1-イル)メチル)フェニル)-1H-イソクロメン-1-オン安息香酸塩
より選択される。
【0058】
本発明による他の好ましい塩は、
(R)および/または(S)-3-(1-(4-アミノ-3-(5-ヒドロキシピリジン-3-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル)-4-(3-((ジメチルアミノ)メチル)フェニル)-1H-イソクロメン-1-オン臭化物塩;
(R)および/または(S)-3-(1-(4-アミノ-3-(5-ヒドロキシピリジン-3-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル)-4-(3-((ジメチルアミノ)メチル)フェニル)-1H-イソクロメン-1-オン塩酸塩;
(R)および/または(S)-3-(1-(4-アミノ-3-(5-ヒドロキシピリジン-3-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル)-4-(3-((ジメチルアミノ)メチル)フェニル)-1H-イソクロメン-1-オンメシル酸塩;
(R)および/または(S)-3-(1-(4-アミノ-3-(5-ヒドロキシピリジン-3-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル)-4-(3-((ジメチルアミノ)メチル)フェニル)-1H-イソクロメン-1-オン2-ナフタレンスルホン酸塩;
(R)および/または(S)-3-(1-(4-アミノ-3-(5-ヒドロキシピリジン-3-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル)-4-(3-((ジメチルアミノ)メチル)フェニル)-1H-イソクロメン-1-オンマレイン酸塩;
(R)および/または(S)-3-(1-(4-アミノ-3-(5-ヒドロキシピリジン-3-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル)-4-(3-((ジメチルアミノ)メチル)フェニル)-1H-イソクロメン-1-オンエシル酸塩
より選択される。
【0059】
一実施態様において、本発明は、有効量の本発明による化合物またはその医薬的に許容される塩を、処置を必要とする患者に投与することを含む、呼吸器障害を処置するための方法を提供する。
【0060】
一態様において、本発明は、医薬としての使用のための式(I)の化合物に関する。
【0061】
一態様において、本発明は、医薬の製造における本発明の化合物の使用を提供する。
【0062】
上記のすべての化合物を含む式(I)の化合物は、一般的に知られている方法を用いて、以下に示すスキームで詳細に概説する手順に従って、一般的に製造し得る。
【0063】
(スキーム)
【化6】
スキーム1は、実施例1および2の製造のための合成経路を提供する。式(VII)の中間化合物は、鈴木クロスカップリングなどのクロスカップリング反応により中間体(VIII)に変換し得る。R'がホルミル基である中間体(VIII)は、例えばトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムなどの還元剤の存在下で、1-メチルピペラジンまたはジメチルアミンなどの適切なアミンにより還元的アミノ化することによって対応するアミンに変換し得る。Xがハロゲン化物原子などの適切な脱離基(Lg)である中間体(IV)は、例えばPBr3などの適切なハロゲン化剤により促進されるヒドロキシル基の置換によって中間体(III)から製造し得る。中間体(VI)は、R"が保護されたヒドロキシピリジン、例えばメトキシピリジンである、式(V)の窒素ベースの求核剤などの適切な求核剤と、中間体(IV)を反応させることにより製造し得る。化合物(VI)を酸性条件下で脱保護して、R3、R4がHであり、R6がHであり、R5が-OHであり、RがHである式(I)の化合物を得ることができる。一般構造(Ia)の化合物は、キラル分離によって式(I)の対応するラセミ化合物から製造し得る。
【0064】
【化7】
実施例3~7および4aは、スキーム1に記載のものと同様の方法を用いることにより、スキーム2に概説するように合成し得る。(R)pが上記で定義した少なくとも1つの適切な置換基である式(IIa)の中間体は、中間体(VII)、および式(IX)の適切に合成されたボロン酸またはエステル(例えばピナコールエステル)(式中、R'''はホルミルまたは保護されたホルミル基である)から製造し得る。中間体(IIa)は、PBr3との反応により、xがハロゲン化物原子などの適切なLgを表す中間体(X)に変換し、その後、市販の3-ヨード-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-アミンと反応させ、中間体(XI)を得ることができる。(R)pが上記の適切な置換基であり、R4=R3=Hである中間体(XII)は、周知の手順によりアルデヒド官能基を脱保護し、その後、例えばトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムなどの還元剤の存在下で、例えば1-メチルピペラジンまたはジメチルアミンなどの適切なアミンにより還元的アミノ化することによって中間体(XI)から製造し得る(スキーム2、工程4a、b)。本発明の別の実施態様において、R1=R2=R4=Hであり、R3が適切な(C1-C6)アルキル置換基である中間体(XII)は、スキーム2、工程5a~cに従って、適切な市販のボロン酸または合成ボロン酸エステルと鈴木カップリングさせ、その後PBr3との反応によりハロゲン化物原子などのLgへOHを変換し、最後に市販の3-ヨード-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-アミンと求核置換することによって中間体(VII)から製造し得る。工程5の後に得られるいくつかの化合物は、周知の手順で脱保護し、還元的アミノ化によりメチル化して中間体(XII)を得る、保護アミノ基を含み得る(スキーム2、工程6a、b)。中間体(XII)は、市販の5-(4,4,5,5-テトラメチル-[1,3,2]ジオキサボロラン-2-イル)ピリジン-3-オールとの鈴木カップリングにより、R6がHであり、R5がOHである一般式(I)の化合物に変換し得る。一般構造(Ia)の化合物は、キラル分離により、式(I)の対応するラセミ化合物から製造し得る。例えばエナンチオマー的に純粋な実施例4aは、クロマトグラフィー分離により対応するジアステレオマー混合物から製造した。
【0065】
特定の態様において、本発明は、式(II)
【化8】
II
で示され、式中、R=Hのとき、R3およびR4=H、K=R"=メトキシピリジン;p、R1およびR2は、上記で定義するとおりである化合物(スキーム1における化合物(VI)に対応する)に関する。
【0066】
更なる態様において、本発明は、式(II)
【化9】
II
で示され、式中、
R=Hのとき、R3およびR4=H、K=R"=メトキシピリジン;p、R1およびR2は、上記で定義するとおりである化合物(スキーム1における化合物(VI)に対応する)、または
K=Iのとき;p、R、R1、R2、R3、R4は、上記で定義するとおりである化合物(スキーム2における化合物(XII)に対応する)
の、上記の式(I)で示される化合物の製造における中間体としての使用に関する。
【0067】
式(I)の化合物の製造における中間体としての式(II)の化合物の使用は、式(II)の化合物が脱保護またはカップリングの後続工程;その後キラル分離最終工程を受ける、製造方法において特に有用である。
【0068】
本発明の化合物は、キナーゼ活性、特にPI3-キナーゼ活性の阻害剤である。一般的に言えば、PI3K阻害剤である化合物は、多くの障害の処置に有用であり得る。
【0069】
一実施態様において、本発明の化合物により処置し得る障害は、咳嗽、例えば特発性慢性咳嗽、咳喘息、胸部腫瘍または肺癌に関連する咳嗽、ウイルス性またはウイルス感染後の咳嗽、上気道咳嗽症候群(UACS)、後鼻漏咳嗽、胃食道逆流症(酸および非酸両方の逆流)に関連する咳嗽、喘息、慢性気管支炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)および間質性肺疾患(例えば特発性肺線維症(IPF))より選択される呼吸器疾患である。
【0070】
更なる実施態様において、障害は、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)より選択される。
【0071】
更なる実施態様において、障害は、特発性肺線維症(IPF)、咳嗽および慢性咳嗽より選択される。
【0072】
本発明の処置方法は、有効量の式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩を、それを必要とする患者に投与することを含む。本明細書で用いる、式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩または他の医薬的に活性な薬剤に関する「有効量」は、患者の状態を処置するのに十分であるが、重篤な副作用を回避するのに十分に少ない化合物の量を意味するが、それがどうであれ、当業者が日常的に決定し得る。式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩は、1回または投薬レジメンに従って投与され得て、ここで、いくつかの用量は、所与の期間、様々な時間間隔で投与される。典型的な1日の投与量は、選択した特定の投与経路に応じて異なり得る。
【0073】
本発明はまた、1つ以上の医薬的に許容される担体または添加剤、例えばRemington's Pharmaceutical Sciences Handbook, XVII Ed., Mack Pub., N.Y., U.S.A.に記載されているものと混合した式(I)の化合物の医薬組成物を提供する。
【0074】
本発明の化合物およびそれらの医薬組成物の投与は、患者の必要性に従って、例えば、経口、経鼻、非経口(皮下、静脈内、筋肉内、胸骨内および注入による)、吸入、直腸、膣、局所、局所、経皮および眼内投与により達成され得る。
【0075】
錠剤、ゲルキャップ剤、カプセル剤、カプレット剤、顆粒剤、ロゼンジ剤およびバルク散剤などの固体形態を含む、様々な固体経口剤形が、本発明の化合物を投与するために用いられ得る。本発明の化合物は、単独で、または様々な医薬的に許容される担体、希釈剤(例えばスクロース、マンニトール、ラクトース、デンプン)、および懸濁化剤、可溶化剤、緩衝剤、結合剤、崩壊剤、防腐剤、着色剤、香料、滑沢剤などを含む公知の添加剤と組み合わせて投与し得る。徐放性カプセル剤、錠剤およびゲル剤もまた、本発明の化合物を投与するのに有利である。
【0076】
水性および非水性液剤、乳剤、懸濁剤、シロップ剤およびエリキシル剤を含む、様々な液体経口投与形態が、本発明の化合物を投与するために用いられ得る。このような投与形態はまた、適切な公知の不活性希釈剤、例えば水、および防腐剤、湿潤剤、甘味料、香味料などの適切な公知の添加剤、例えば防腐剤、湿潤剤、甘味剤、香味料、ならびに本発明の化合物を乳化および/または懸濁するための物質を含み得る。本発明の化合物は、等張滅菌溶液の形態で、例えば、静脈内に注射され得る。他の製剤もまた可能である。
【0077】
気道の疾患の処置のために、本発明による化合物は、好ましくは吸入により投与される。
【0078】
吸入可能な製剤は、吸入可能な散剤、噴射剤を含む計量エアロゾル剤、または噴射剤を含まない吸入可能な製剤を含み、乾燥粉末吸入器、加圧計量投与吸入器またはネブライザーよりそれぞれ選択し得る適切な吸入デバイスにより投与され得る。
【0079】
乾燥粉末として投与するために、先行技術から知られている単回または複数回投与の吸入器を利用し得る。その場合、粉末は、ゼラチン、プラスチックまたは他のカプセル、カートリッジまたはブリスターパックまたはリザーバーに充填され得る。希釈剤または担体、例えばラクトースまたは呼吸性画分を改善するのに適した他の任意の添加剤を、本発明の粉末化合物に添加し得る。
【0080】
ヒドロフルオロアルカンなどの噴射剤ガスを含む吸入エアロゾル剤は、溶液または分散形態のいずれかで本発明の化合物を含み得る。噴射剤を用いた製剤はまた、他の成分、例えば共溶媒、安定化剤および所望により他の添加剤を含み得る。
【0081】
本発明の化合物を含む、噴射剤を含まない吸入可能な製剤は、水性、アルコール性または水アルコール性媒体中の溶液または懸濁液の形態であり得て、それらは、先行技術から知られているジェット式または超音波式ネブライザーにより、またはソフトミストネブライザー、例えばBoehringer Ingelheim Pharmaceuticalsの登録商標であるRespimat(登録商標)により送達され得る(Wachtel, H., Kattenbeck, S., Dunne, S. et al. Pulm Ther (2017) 3: 19. https://doi.org/10.1007/s41030-017-0040-8)。
【0082】
特に好ましい実施態様によれば、本発明の組成物は、1つ以上の医薬的に許容される添加剤の微細および/または粗大粒子を含む担体が存在し、さらに所望により、滑沢または付着防止特性を有する添加物が存在してもよい、乾燥粉末製剤の形態である。
【0083】
好ましくは、担体粗大粒子は、30~500μmの間に入る質量直径を有する。
【0084】
担体は、一般的に、グルコース、アラビノース、マルトース、サッカロース、デキストロースおよびラクトースからなる群より選択される結晶性の糖、またはマンニトール、マルチトール、ラクチトールおよびソルビトールからなる群より選択されるポリアルコールである;添加物は、アミノ酸、水溶性界面活性剤、滑沢剤、流動促進剤からなる群より選択される。
【0085】
好ましくは、担体粒子は、αラクトースまたはβラクトースの粒子であり、さらにより好ましくは、αラクトース一水和物の粒子である。
【0086】
本発明の別の好ましい実施態様は、上記で定義した乾燥粉末製剤の形態の医薬製剤が充填された乾燥粉末吸入デバイスである。
【0087】
更なる好ましい実施態様は、上記で定義した医薬製剤および乾燥粉末吸入デバイスを含むキットである。
【0088】
本発明による乾燥粉末製剤は、WO0053157A1およびWO96/23485に記載のものなど公知の方法により製造され得る。
【0089】
別の好ましい実施態様によれば、本発明の組成物は、該化合物またはその塩が水性ビヒクルに溶解または懸濁され、さらに所望により医薬的に許容される添加物を含んでもよい、噴霧による肺への投与のための噴射剤を含まない医薬製剤の形態である。
【0090】
したがって、更なる好ましい実施態様は、上記で定義した化合物の溶液または懸濁液である医薬製剤、およびネブライザーを含むキットである。
【0091】
本発明の化合物は、唯一の活性物質として、または呼吸器障害の処置に現在用いられており、当業者に知られているものを含む他の医薬活性成分と組み合わせて投与し得る。
【0092】
本発明の化合物の投与量は、処置される特定の疾患、症状の重症度、投与経路、投与間隔の頻度、利用される特定の化合物、有効性、毒物プロファイルおよび化合物の薬物動態プロファイルを含む様々な要因に依存する。
【0093】
以下の実施例は、その範囲を限定することなく本発明を例示する。
【実施例
【0094】
中間体および実施例の製造
【0095】
化合物の化学名は、Structure To Name Enterprise 10.0 Cambridge Softwareを用いて作成した。
【0096】
(略語)
Et2O=ジエチルエーテル;Et3N=トリエチルアミン;DCE=1,2-ジクロロエタン;TEA=トリエチルアミン;DCC=N,N'-ジシクロヘキシルカルボジイミド;HOBt=ヒドロキシベンゾトリアゾール;HATU=(ジメチルアミノ)-N,N-ジメチル(3H-[1,2,3]トリアゾロ[4,5-b]ピリジン-3-イルオキシ)メタンイミニウムヘキサフルオロホスフェート;HBTU=N,N,N',N'-テトラメチル-O-(1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)ウロニウムヘキサフルオロホスフェート、O-(ベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート;EDC=1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドヒドロクロリド;DMAP=4-ジメチルアミノピリジン;DMF=ジメチルホルムアミド;EtOAc=酢酸エチル;RT=室温;THF=テトラヒドロフラン;DCM=ジクロロメタン;MeOH=メタノール;EtOH=エタノール;LHMDS=リチウムビス(トリメチルシリル)アミド;m-CPBA=メタクロロ過安息香酸;TFA=トリフルオロ酢酸;LC-MS=液体クロマトグラフィー/質量分析;HPLC=高速クロマトグラフィー;MPLC=中圧液体クロマトグラフィー;SFC=超臨界流体クロマトグラフィー;dppf=1,1'-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン;X-Phos-Pd-G2=クロロ(2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2',4',6'-トリイソプロピル-1,1'-ビフェニル)[2-(2'-アミノ-1,1'-ビフェニル)]パラジウム(II);S-Phos-Pd-G2=クロロ(2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2',6'-ジメトキシ-1,1'-ビフェニル)[2-(2'-アミノ-1,1'-ビフェニル)]パラジウム(II);DIEAまたはDIPEA=N,N-ジイソプロピルエチルアミン;MeCN=アセトニトリル;MTBE=tert-ブチルメチルエーテル;Ac2O=無水酢酸;AcCl=塩化アセチル;HBTU=N,N,N',N'-テトラメチル-O-(1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)ウロニウムヘキサフルオロホスフェート、O-(ベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート;TBDMSCl=tert-ブチル(クロロ)ジメチルシラン;DMSO=ジメチルスルホキシド;BoC2O=二炭酸ジ-tert-ブチル;UPLC=超高パフォーマンス液体クロマトグラフィー。
【0097】
(全般的な実験の詳細)
1H-NMRスペクトルを、自己シールドZ-グラジェントコイル5mm 1H/nX逆検出用ブロードバンドプローブヘッド、重水素デジタルロックチャンネルユニット、送信機オフセット周波数シフトを備えた直交デジタル検出ユニットを備えた、400MHZ(プロトン周波数)で作動するVarian MR-400分光計、またはAgilentVNMRS-500またはBruker Avance 400分光計で実施した。化学シフトを、内部標準としてのトリメチルシラン(TMS)に対するppm単位のδ値として報告する。カップリング定数(J値)をヘルツ(Hz)で示し、多重度は、次の略語を用いて報告する(s=シングレット、d=ダブレット、t=トリプレット、q=カルテット、m=マルチプレット、br.s=ブロード、nd=未決定)。
【0098】
(LC/UV/MS分析法)
LC/MS保持時間は、+0.5分の実験誤差により影響を受けると推定される。LCMSを以下の条件下で記録し得る:ダイオードアレイDADクロマトグラフトレース、マスクロマトグラムおよびマススペクトルを、陽および/または陰エレクトロスプレーESイオン化モードで作動するMicromass ZQTMまたはWaters SQDシングル四重極質量分析計と組み合わせたUPLC/PDA/MS AcquityTMシステム、および/または陽および/または陰ESイオン化モードで作動するZQTMシングル四重極と組み合わせた分析モードで用いるFractionlynxシステムで取得し得る。用いた品質管理方法は、低pH条件下または高pH条件下で作動する。
【0099】
方法1 Aquity UPLC - QDa Mass SpectrometerはC18逆相カラム(50×2.1mm Acquity CSH、粒子径1.7μm)を備え、40℃にて維持され、95/5 水/アセトニトリル+0.05%ギ酸;B:95/5 アセトニトリル/水+0.05%ギ酸で溶出した。
【表6】

検出-MS、UV PDA
MSイオン化法-エレクトロスプレー(陽イオン/陰イオン)。
【0100】
方法2、低pH条件 カラムはAcquity UPLC BEH C18、1.7μm、2.1×50mm、カラム温度は40℃;移動相溶媒AはmilliQ水+0.1%HCOOH、移動相溶媒BはMeCN+0.1%HCOOHであった。流速は1mL/分であった。グラジェント表は、t=0分 97%A-3%B、t=1.5分 0.1%A-99.9%B、t=1.9分 0.1%A-99.9%Bおよびt=2分 97%A-3%Bであった。UV検出範囲は210~350nmであり、ES+/ES-範囲は100=1000amuであった。
【0101】
方法3、低pH条件 カラムはAcquity CSH C18、1.7μm、2.1×50mm、カラム温度は40℃;移動相溶媒AはmilliQ水+0.1%HCOOH、移動相溶媒BはMeCN+0.1%HCOOHであった。流速は1mL/分であった。グラジェント表は、t=0分 97%A-3%B、t=1.5分 0.1%A-99.9%B、t=1.9分 0.1%A-99.9%Bおよびt=2分 97%A-3%Bであった。UV検出範囲は210~350nmであり、ES+/ES-範囲は100=1000amuであった。
【0102】
方法4 Aquity UPLC - QDa Mass SpectrometerはC18逆相カラム(50×2.1mm Acquity CSH、粒子径1.7μm)を備え、40℃にて維持され、A:95/5 水/アセトニトリル+0.05%ギ酸;B:95/5 アセトニトリル/水+0.05%ギ酸で溶出した。
【表7】

検出-MS、UV PDA
MSイオン化法-エレクトロスプレー(陽イオン/陰イオン)。
【0103】
方法5、高pH条件 カラムはAcquity UPLC BEH C18、1.7μm、2.1×50mm、カラム温度は40℃;移動相溶媒AはアンモニアでpH=10に調節したNH4HCO3の10mM水溶液、移動相溶媒BはMeCNであった。流速は1mL/分であった。グラジェント表は、t=0分 97%A-3%B、t=1.5分 0.1%A-99.9%B、t=1.9分 0.1%A-99.9%Bおよびt=2分 97%A-3%Bであった。UV検出範囲は210~350nmであり、ES+/ES-範囲は100=1000amuであった。
【0104】
(キラル化合物の分析キラル)
キラル化合物のエナンチオマー過剰を、6-位置スイッチングバルブ、DADおよびCD検出器を備えたHPLC Agilent 1100でのキラルHPLC分析により決定した。下記方法を用いた:
【0105】
方法A1、カラム:Chiralpak IC(25×0.46cm)、5μm;移動相:n-ヘキサン/(エタノール/ジクロロメタン 90/10%v/v+0.1%イソプロピルアミン)80/10%v/v;流速:1.0mL/分;DAD:220nm。
【0106】
方法A2、カラム:Whelk 0-1(R,R)(25×0.46cm)、10μm;移動相:n-ヘキサン/(2-プロパノール/メタノール 1/1+0.1%イソプロピルアミン)30/70%v/v;流速:1.0mL/分;DAD:220nm。
【0107】
方法A3、カラム:Chiralpak AD-H(25×0.46cm)、5μm;移動相:n-ヘキサン/(エタノール+0.1%イソプロピルアミン)75/25%v/v;流速:1.0mL/分;DAD:220nm。
【0108】
方法A4、カラム:Chiralpak AD-H(25×0.46cm)、5μm;移動相:(2-プロパノール+0.1%イソプロピルアミン)32%;流速:2.5mL/分;DAD:220nm。
【0109】
フラッシュクロマトグラフィーを充填済みシリカゲルまたは逆相カートリッジ(Biotageより供給)を用いる、Isolera MPLCシステム(Biotage製)を用いて実施した。以下の実施例に記載の化合物の多くを、例えば95%eeの、立体化学的に純粋な出発物質から製造している。実施例における化合物の立体化学は、示される場合、出発物質の分解された立体中心での絶対配置がその後の反応条件を通して維持されるという仮定に基づいて割り当てられている。以下の手順では、各出発物質の後に、化合物番号への言及が提供される場合がある。これは、当業の化学者の助けのためだけに提供される。出発物質は、必ずしも言及されたバッチから製造されたとは限らない。「同様の(similar)」または「類似の(analogous)」手順の使用が言及されるとき、当業者によって理解されるとおりである。このような手順は、軽微な変更、例えば反応温度、試薬/溶媒量、反応時間、後処理条件またはクロマトグラフィー精製条件を含み得る。
【0110】
中間体の製造:
【0111】
中間体A1:3-(3-(1-ヒドロキシエチル)-1-オキソ-1H-イソクロメン-4-イル)ベンズアルデヒド
【化10】
500mLの3首丸底フラスコに、(3-ホルミルフェニル)ボロン酸(1g、6.67mmol)4-ブロモ-3-(1-ヒドロキシエチル)-1H-イソクロメン-1-オン(WO2015091685における中間体A2)(2.15g、8.00mmol)およびリン酸カリウム水和物(4.61g、20.01mmol)を負荷し、その後、THF(50mL)および水(50mL)を加えた。アルゴンを10分間バブリングし、その後、XPhos-Pd-G2(0.367g、0.467mmol)を加えた。バブリングし、さらに10分間継続し、その後、褐色の懸濁混合物を、アルゴン雰囲気下で一晩撹拌した。混合物を300mLの水に注ぎ、その後、200mLのEtOAcで2回抽出した。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、濃縮した。粗製物を、ヘキサン/EtOAc混合物で溶出するクロマトグラフィー(SNAP 340g)により精製して、3-(3-(1-ヒドロキシエチル)-1-オキソ-1H-イソクロメン-4-イル)ベンズアルデヒドをゴム状固体として得た(0.110g、0.374mmol、収率6%)。
UPLC-MS:1.45分、295.1.06 [M+H]+、方法4。
【0112】
中間体A2:4-[4-クロロ-3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)フェニル]-3-(1-ヒドロキシエチル)-1H-イソクロメン-1-オン
【化11】
【0113】
工程1 2-クロロ-5-(テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ベンズアルデヒド(中間体A2.1)
【化12】
5-ブロモ-2-クロロベンズアルデヒド(1.50g、6.83mmol)、ビス(ピナコラート)ジボロン(2.08g、8.20mmol)、酢酸カルシウム(1.34g、13.66mmol)およびPd(dppf)Cl2(0.150g、0.205mmol)の無水1,4-ジオキサン(22.5mL)中の混合物を、100℃にてN2下で一晩加熱した。室温まで冷却後、反応混合物をAcOEtで希釈し、セライトパッドでろ過し、溶媒を真空下除去した。残渣2-クロロ-5-(テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ベンズアルデヒド(理論上6.83mmol)を、さらに精製せず、そのままその後の工程で用いた。
UPLC-MS:0.86分、267.06 [M+H]+、方法2。
【0114】
工程2 2-[4-クロロ-3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)フェニル]-4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン(中間体A2.2)
【化13】
2-クロロ-5-(テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ベンズアルデヒド(中間体A2.1)(粗製、理論上6.83mmol)およびピナコール(3.23g、27.32mmol)の混合物を、25.0mLのトルエンに溶解させた。その後、p-トルエンスルホン酸一水和物(0.065g、0.342mmol)を加え、混合物を90℃にて5時間加熱した。その後、p-トルエンスルホン酸一水和物(0.100g、0.526mmol)を加え、混合物を90℃にて一晩加熱した。混合物を真空中で濃縮し、残渣を20mLのイソプロパノールに溶解させた。その後、30mLの水をゆっくり加えた。添加時に固体が沈殿し、それを、ろ過により収集して、2-[4-クロロ-3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)フェニル]-4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロランを褐色の固体残渣として得た(2.24g、6.11mmol、89%)。
UPLC-MS:1.53分、367.11 [M+H]+、方法2。
【0115】
工程3 4-[4-クロロ-3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)フェニル]-3-(1-ヒドロキシエチル)-1H-イソクロメン-1-オン
表題化合物を、4-ブロモ-3-(1-ヒドロキシエチル)-1H-イソクロメン-1-オン(WO2015091685における中間体A2)(1g、3.72mmol)、2-[4-クロロ-3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)フェニル]-4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン(中間体A2.2)(1.24g、3.38mmol)、K3PO4(2.153g、10.14mmol)およびXPhos-Pd-G2(0.133g、0.169mmol)を用いて中間体A1のものと同様の方法で製造した。処理後、残渣を、100gシリカゲルBiotage SNAPカラムを用いたフラッシュクロマトグラフィー(溶離液:シクロヘキサン中AcOEtが5~50%のグラジェント)により精製した。適切な画分を蒸発させて、4-[4-クロロ-3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)フェニル]-3-(1-ヒドロキシエチル)-1H-イソクロメン-1-オンをオフホワイト色の固体として得た(0.458g、1.067mmol、収率32%)。
UPLC-MS:1.19分、429.3 [M+H]+、方法3。
【0116】
中間体A3:(2R)-2-{3-[3-(1-ヒドロキシエチル)-1-オキソ-1H-イソクロメン-4-イル]フェニル}ピロリジン-1-カルボキシレート
【化14】
【0117】
工程1 tert-ブチル(2R)-2-(3-ブロモフェニル)ピロリジン-1-カルボキシレート(中間体A3.1)
【化15】
(2S)-2-(3-ブロモフェニル)ピロリジン塩酸塩(1.00g、3.81mmol)のDCM(12mL)中の撹拌溶液に、0℃にて窒素雰囲気下、TEA(0.58mL、4.19mmol)を加え、続いてBoc2O(1.08g、4.95mmol)のDCM(4mL)中の溶液を滴下した。その後、氷浴を除去し、得られた反応混合物を一晩室温にて撹拌した。混合物をDCMで希釈し、NaHCO3の飽和水溶液で洗浄し、Na2SO4で乾燥し、減圧下濃縮した。粗製物質を、シリカでのFC(Snap 25、100/0から90/10のCy/EAで溶出)により精製して、tert-ブチル(2R)-2-(3-ブロモフェニル)ピロリジン-1-カルボキシレートを得た(1.15g、3.53mmol、92%)。
UPLC-MS:1.32分、327.1 [M+H]+、方法3。
【0118】
工程2 tert-ブチル(2R)-2-[3-(テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル]ピロリジン-1-カルボキシレート(中間体A3.2)
【化16】
tert-ブチル(2R)-2-(3-ブロモフェニル)ピロリジン-1-カルボキシレート(中間体A3.1)(1.15g、3.53mmol)、ビス(ピナコラート)ジボロン(1.34g、5.28mmol)、酢酸カルシウム(0.70g、7.10mmol)およびPd(dppf)Cl2(0.080g、0.11mmol)の無水1,4-ジオキサン(13mL)中の混合物を、キャップをしたバイアル中で100℃にて6時間振とうした。さらにビス(ピナコラート)ジボロン(0.32g、1.26mmol)、AcOK(0.21g、2.14mmol)およびPd(dppf)Cl2(0.024g、0.033mmol)を加え、混合物を100℃にてさらに5時間振とうした。反応混合物を、EtOAcで希釈し、ろ過し、溶媒を減圧下除去した。粗製物質を、シリカでのFC(Snap 50、100/0から90/10のCy/EAで溶出)により精製して、tert-ブチル(2R)-2-[3-(テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル]ピロリジン-1-カルボキシレートを白っぽいワックス状の固体として得た(1.23g、3.29mmol、93%)。
UPLC-MS:1.41分、374.3 [M+H]+、方法3。
【0119】
工程3 4 tert-ブチル(2R)-2-{3-[3-(1-ヒドロキシエチル)-1-オキソ-1H-イソクロメン-4-イル]フェニル}ピロリジン-1-カルボキシレート
表題化合物を、4-ブロモ-3-(1-ヒドロキシエチル)-1H-イソクロメン-1-オン(WO2015091685における中間体A2)(1.33g、4.94mmol)、(2R)-2-[3-(テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル]ピロリジン-1-カルボキシレート(中間体A3.2)(1.23g、3.29mmol)、K3PO4(2.10g、9.87mmol)およびX-Phos-Pd(クロチル)Cl(0.11g、0.16mmol)を用いて中間体A1のものと同様の方法で製造した。処理後、残渣を、55gシリカ-NH Biotage SNAPカラムを用いたフラッシュクロマトグラフィー(溶離液:シクロヘキサン中AcOEtが0~35%のグラジェント)により精製した。適切な画分を蒸発させて、4 tert-ブチル(2R)-2-{3-[3-(1-ヒドロキシエチル)-1-オキソ-1H-イソクロメン-4-イル]フェニル}ピロリジン-1-カルボキシレートを暗色の油として得た(0.89g、2.04mmol、62%)。
UPLC-MS:1.19分、436.3 [M+H]+、方法3。
【0120】
中間体A4:4-[4-フルオロ-3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)フェニル]-3-(1-ヒドロキシエチル)-1H-イソクロメン-1-オン
【化17】
【0121】
工程1 2-[4-フルオロ-3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)フェニル]-4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン(中間体A4.1)
【化18】
4-フルオロ-3-ホルミルフェニルボロン酸(1.5g、8.93mmol)およびピナコール(4.22g、35.73mmol)の混合物を、30mLのトルエンに溶解させた。その後、p-トルエンスルホン酸一水和物(0.085g、0.45mmol)を加え、混合物を90℃にて4時間加熱した。混合物を、室温まで放冷した。形成した固体をろ別し、母液を真空中で濃縮して、放置すると結晶化する油状残渣を得た。この固体を、30mLのiPrOHに懸濁させ、70℃にて加熱して、溶解を促進した。冷却後、12mLの水を滴下して、化合物を結晶化させた。添加後、濃厚なスラリーを、ブナー漏斗でろ過した。ケーキを水で洗浄し、減圧下乾燥した。母液から第2固体を沈殿させ、それをブフナー漏斗でのろ過により回収し、ケーキを水で洗浄した。両方の固体を、一緒に減圧下乾燥して、2-[4-フルオロ-3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)フェニル]-4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロランをオフホワイト色の固体として得た(3.07g、8.76mmol、収率98%)。
UPLC-MS:1.44分、351.2 [M+H]+、方法3。
【0122】
工程2 4-[4-フルオロ-3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)フェニル]-3-(1-ヒドロキシエチル)-1H-イソクロメン-1-オン
【化19】
表題化合物を、4-ブロモ-3-(1-ヒドロキシエチル)-1H-イソクロメン-1-オン(WO2015091685における中間体A2)(2.83g、10.51mmol)、2-[4-フルオロ-3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)フェニル]-4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン(中間体A4.1)(3.07g、8.76mmol)、K3PO4(5.58g、26.28mmol)およびXPhos-Pd-G2(0.345g、0.438mmol)を用いて中間体A1のものと同様の方法で製造した。処理後、残渣を、100gシリカゲルBiotage SNAPカラムを用いたフラッシュクロマトグラフィー(溶離液:シクロヘキサン中AcOEtが0~35%のグラジェント)により精製した。適切な画分を蒸発させて、4-[4-フルオロ-3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)フェニル]-3-(1-ヒドロキシエチル)-1H-イソクロメン-1-オンを淡黄色の固体として得た(1.79g、4.34mmol、収率50%)。
UPLC-MS:1.23分、413.2 [M+H]+、方法3。
【0123】
中間体A5:4-(3-フルオロ-5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)フェニル)-3-(1-ヒドロキシエチル)-1H-イソクロメン-1-オン
【化20】
【0124】
工程1 2-[3-フルオロ-5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)フェニル]-4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン(中間体A5.1)
【化21】
3-フルオロ-5-ホルミルフェニルボロン酸(1g、5.95mmol)およびピナコール76-09-5(2.8g、23.8mmol)の混合物を、トルエン(20mL)に溶解させた。その後、p-トルエンスルホン酸一水和物(0.057g、0.3mmol)を加え、混合物を90℃にて4時間加熱した。混合物を、室温まで放冷した。それを真空下濃縮して、2-[3-フルオロ-5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)フェニル]-4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロランを淡黄色の油(粗製物)として得た。そのまま次の工程で用いた。
UPLC-MS:1.48分、351.3 [M+H]+、方法3。
【0125】
工程2 4-(3-フルオロ-5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)フェニル)-3-(1-ヒドロキシエチル)-1H-イソクロメン-1-オン
表題化合物を、4-ブロモ-3-(1-ヒドロキシエチル)-1H-イソクロメン-1-オン(WO2015091685における中間体A2)(1.9g、7.14mmol)、2-[3-フルオロ-5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)フェニル]-4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン(中間体A5.1)(理論上5.95mmol)、K3PO4(3.8g、17.85mmol)およびXPhos-Pd-G2(0.236g、0.3mmol)を用いて中間体A1のものと同様の方法で製造した。処理後、残渣を、110gシリカ-NH SNAPカートリッジを用いたフラッシュクロマトグラフィー(CyからEtOAc30%の溶離液)により精製した。それを再度、25gシリカゲルSNAPカートリッジ(CyからEtOAc30%の溶離液)により精製して、4-(3-フルオロ-5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)フェニル)-3-(1-ヒドロキシエチル)-1H-イソクロメン-1-オンを白色の泡状物として得た(0.250g、0.61mmol、9%)。
UPLC-MS:1.22分、413.3 [M+H]+、方法3。
【0126】
中間体A6:4-(3-(1-(ジメチルアミノ)エチル)フェニル)-3-(1-ヒドロキシエチル)-1H-イソクロメン-1-オン
【化22】
表題化合物を、4-ブロモ-3-(1-ヒドロキシエチル)-1H-イソクロメン-1-オン(WO2015091685における中間体A2)(1.62g、6.03mmol)、(3-(1-(ジメチルアミノ)エチル)フェニル)ボロン酸(970mg、5.02mmol)、K3PO4(3.47g、15.1mmol)およびXPhos-Pd-G2(0.277g、0.35mmol)を用いて中間体A1のものと同様の方法で製造した。処理後、残渣を、H2O/MeCN/HCOOH 95:5:0.1%およびMeCN/H2O/HCOOH 95:5:0.1%を用いたクロマトグラフィーにより精製して、4-(3-(1-(ジメチルアミノ)エチル)フェニル)-3-(1-ヒドロキシエチル)-1H-イソクロメン-1-オンを得た(0.356g、粗製物)。
UPLC-MS:0.45分、338.2 [M+H]+、方法1。
【0127】
中間体B1:3-(1-ヒドロキシエチル)-4-(3-((4-メチルピペラジン-1-イル)メチル)フェニル)-1H-イソクロメン-1-オン
【化23】
250mLの丸底フラスコ中で、3-(3-(1-ヒドロキシエチル)-1-オキソ-1H-イソクロメン-4-イル)ベンズアルデヒド(中間体A1)(0.500g、1.699mmol)を、DCM(20mL)に溶解させ、1-メチルピペラジン(0.582mL、5.10mmol)を加え、続いて酢酸(0.292mL、5.10mmol)を加えた。その後、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(1.800g、8.49mmol)を滴下した。混合物を、DCMおよびNaHCO3の飽和水溶液(100mL/100mL)の混合物に注ぎ、沸騰を観察した。有機相を真空下濃縮し、得られた粗製物を、RPクロマトグラフィー(Biotage Isolera、60g C18カートリッジ、10CVでA中のBが0~50%のグラジェント溶出;A:95:5 水/アセトニトリル+0.1%HCOOH、B:5:95 水/アセトニトリル+0.1%HCOOH;流速30ml/分)により精製して、3-(1-ヒドロキシエチル)-4-(3-((4-メチルピペラジン-1-イル)メチル)フェニル)-1H-イソクロメン-1-オンを得た(0.482g、1.274mmol、収率75%)。
UPLC-MS:0.73分、379.1 [M+H]+、方法1。
【0128】
下記表で見られる中間体B2は、化合物B1と同様の手順に従って、下記に示される適切な試薬から出発して製造され得る。
【表8】
【0129】
中間体C1:3-(1-ブロモエチル)-4-(3-((4-メチルピペラジン-1-イル)メチル)フェニル)-1H-イソクロメン-1-オン
【化24】
3-(1-ヒドロキシエチル)-4-(3-((4-メチルピペラジン-1-イル)メチル)フェニル)-1H-イソクロメン-1-オン(中間体B1)(0.482g、1.274mmol)を、乾燥DCM(20mL)に溶解させ、その後、DCM(2.55mL、2.55mmol)中の1Mトリブロモホスフィンを、ゆっくり加えた。混合物を、室温にて撹拌した。反応物を、60mLのa NaHCO3の飽和水溶液の添加(ガス発生)によりクエンチし、60mLのDCMで抽出し、有機相を真空下濃縮して、3-(1-ブロモエチル)-4-(3-((4-メチルピペラジン-1-イル)メチル)フェニル)-1H-イソクロメン-1-オンを赤色の油(粗製物)として得た。
UPLC-MS:1.07分、441.0 [M]+および442.9 [M+2]+、方法4。
【0130】
下記表で見られる中間体C2~C7は、化合物C1と同様の手順に従って、下記に示される適切な中間体(Int.)から出発して製造され得る。
【表9】
【0131】
中間体D1:3-(1-(4-アミノ-3-(5-メトキシピリジン-3-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル)-4-(3-((4-メチルピペラジン-1-イル)メチル)フェニル)-1H-イソクロメン-1-オン
【化25】
250mLの丸底フラスコ中で、3-(5-メトキシピリジン-3-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-アミン(0.463g、1.912mmol)および炭酸カリウム(0.528g、3.82mmol)を、乾燥DMF(15mL)に懸濁させ、5mLの乾燥DMFに溶解させた3-(1-ブロモエチル)-4-(3-((4-メチルピペラジン-1-イル)メチル)フェニル)-1H-イソクロメン-1-オン(中間体C1)の添加前に、混合物を60℃にて15分間加熱した。2時間後、0.200gの3-(5-メトキシピリジン-3-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-アミンおよび過剰量のK2CO3を加え、加熱を40℃にて3時間継続した。反応物を、NaHCO3の飽和水溶液でクエンチし、40mLのDCMで抽出し、その後濃縮して、褐色の油を得て、これを、RPクロマトグラフィー(Biotage Isolera、60g C18カートリッジ、10CVでA中のBが0~50%のグラジェント溶出;A:95:5 水/アセトニトリル+0.1%HCOOH、B:5:95 水/アセトニトリル+0.1%HCOOH)により精製して、3-(1-(4-アミノ-3-(5-メトキシピリジン-3-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル)-4-(3-((4-メチルピペラジン-1-イル)メチル)フェニル)-1H-イソクロメン-1-オンを黄色の油として得た(0.342g、0.567mmol、収率45%)。
UPLC-MS:0.60分、603.2 [M+H]+、方法1。
【0132】
下記表で見られる中間体D2は、化合物D1と同様の手順に従って、下記に示される適切な中間体(Int.)から出発して製造され得る。
【表10】
【0133】
中間体E1a:3-(1-{4-アミノ-3-ヨード-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル}エチル)-4-[4-クロロ-3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)フェニル]-1H-イソクロメン-1-オン
【化26】
3-ヨード-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-アミン(0.311g、1.19mmol)およびK2CO3(0.47g、3.4mmol)を、DMF(10mL)に懸濁させ、混合物を60℃にて30分間撹拌した。その後、DMF(5mL)に溶解させた3-(1-ブロモエチル)-4-[4-クロロ-3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)フェニル]-1H-イソクロメン-1-オン(中間体C3)(0.557g、1.13mmol)を、ゆっくり加え、混合物を60℃にて90分間維持した。反応物を室温まで冷却し、その後、AcOEtおよび水を加えた。相を分離し、水層をEtOAcで抽出した。合わせた有機層を水で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥し、溶媒を減圧下除去した。残渣を、100g Biotage SNAP KP-Silカートリッジを用いたフラッシュクロマトグラフィー(シクロヘキサン中AcOEtが50~100%のグラジェントで溶出)により精製して、標題化合物3-(1-{4-アミノ-3-ヨード-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル}エチル)-4-[4-クロロ-3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)フェニル]-1H-イソクロメン-1-オンを得た(0.379g、0.564mmol、収率50%)。
UPLC-MS:1.3分、671.2 [M+H]+、方法3。
【0134】
下記表で見られる中間体E2a~E5aは、化合物E1aと同様の手順に従って、下記に示される適切な中間体(Int.)から出発して製造され得る。
【表11】
【0135】
中間体E1b:5-[3-(1-{4-アミノ-3-ヨード-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル}エチル)-1-オキソ-1H-イソクロメン-4-イル]-2-クロロベンズアルデヒド
【化27】
3-(1-{4-アミノ-3-ヨード-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル}エチル)-4-[4-クロロ-3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)フェニル]-1H-イソクロメン-1-オン(0.379g、0.565mmol)を、CH3CN(5mL)に溶解させ、その後、1N HCl水溶液(5mL)を加えた。得られた懸濁液を、室温にて一晩撹拌した。懸濁液中の固体を、ブフナー漏斗でのろ過により回収した。得られたケーキを、pHが中性になるまでジエチルエーテルで数回洗浄し、それを、真空下乾燥した。化合物5-[3-(1-{4-アミノ-3-ヨード-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル}エチル)-1-オキソ-1H-イソクロメン-4-イル]-2-クロロベンズアルデヒド(0.32g、0.56mmol、収率99%)を、白色の固体として得て、さらに精製することなく次の工程で用いた。
UPLC-MS:1.06分、572.1 [M+H]+、方法3。
【0136】
下記表で見られる中間体E3b~E4bは、化合物E1bと同様の手順に従って、下記に示される適切な中間体(Int.)から出発して製造され得る。
【表12】
【0137】
中間体E1c:3-(1-{4-アミノ-3-ヨード-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル}エチル)-4-{4-クロロ-3-[(ジメチルアミノ)メチル]フェニル}-1H-イソクロメン-1-オン
【化28】
5-[3-(1-{4-アミノ-3-ヨード-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル}エチル)-1-オキソ-1H-イソクロメン-4-イル]-2-クロロベンズアルデヒド(中間体F1)(0.150g、0.26mmol)のDCM/ジオキサン/CH3CN(10mL/2mL/2mL)中の撹拌懸濁液に、THF(0.212mL、0.39mmol)中の2Mジメチルアミンを加えた。この懸濁液を室温にて30分間撹拌した。その後、Na(OAc)3BH(0.110g、0.52mmol)を加え、混合物を室温にて一晩撹拌した。THF(0.212mL、0.39mmol)中の更なる1.5当量の2Mジメチルアミンを加え、続いて2当量のNa(OAc)3BH(0.110g、0.52mmol)を加えた。混合物を室温にて2時間反応させた。混合物を、NaHCO3の飽和水溶液でクエンチし、生成物をDCMで抽出し(3x)、水で洗浄した(1x)。合わせた有機層を相セパレーターに通し、溶媒を真空下除去した。DCM中MeOHが0~10%のグラジェントを溶離液として用いた25g Biotage シリカゲルカラムでのカラムクロマトグラフィーにより、残渣を精製した。所望の化合物3-(1-{4-アミノ-3-ヨード-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル}エチル)-4-{4-クロロ-3-[(ジメチルアミノ)メチル]フェニル}-1H-イソクロメン-1-オン(0.105.2g、0.175mmol、収率67%)を、白色の固体として得た。
UPLC-MS:0.48~0.53分、568.3 [M+H]+、方法3。
【0138】
下記表で見られる中間体E3c~E4cは、化合物E1cと同様の手順に従って、下記に示される適切な試薬から出発して製造され得る
【表13】
【0139】
中間体E7:3-(1-{4-アミノ-3-ヨード-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル}エチル)-4-{3-[(2R)-ピロリジン-2-イル]フェニル}-1H-イソクロメン-1-オン塩酸塩
【化29】
tert-ブチル(2R)-2-{3-[3-(1-{4-アミノ-3-ヨード-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル}エチル)-1-オキソ-1H-イソクロメン-4-イル]フェニル}ピロリジン-1-カルボキシレート(中間体E2a)(0.224g、0.330mmol)を、MeOH(5mL)中の1.25M HClに溶解させ、混合物を、38℃にて4時間振とうした。溶媒を減圧下除去して、3-(1-{4-アミノ-3-ヨード-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル}エチル)-4-{3-[(2R)-ピロリジン-2-イル]フェニル}-1H-イソクロメン-1-オン塩酸塩を白色の固体として得た(0.212g、粗製)。この物質をさらに精製することなく次の工程で用いた。
UPLC-MS:1.03分、579.2 [M+H]+、方法5。
【0140】
中間体E8:3-(1-{4-アミノ-3-ヨード-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル}エチル)-4-{3-[(2R)-1-メチルピロリジン-2-イル]フェニル}-1H-イソクロメン-1-オン
【化30】
3-(1-{4-アミノ-3-ヨード-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル}エチル)-4-{3-[(2R)-ピロリジン-2-イル]フェニル}-1H-イソクロメン-1-オン塩酸塩(中間体E6)(0.212g、粗製)のDCM(4mL)中の撹拌懸濁液に、ホルムアルデヒド37%wt水溶液(61μL、0.825mmol)を加え、続いてDIPEA(63μL、0.363mmol)および酢酸(1滴)を加えた。混合物を室温にて30分間撹拌した。その後、Na(OAc)3BH(0.084g、0.396mmol)を加え、混合物を室温にて一晩撹拌した。混合物を、NaHCO3の飽和水溶液でクエンチし、DCMで抽出した。有機相を、疎水性相セパレーターを通してろ過し、溶媒を減圧下除去した。粗製物を、フラッシュクロマトグラフィー(Biotage SP1、25g KP-Sil-カラム、溶離液として100:0~90:10のDCM/MeOH)により精製した。適切な画分を蒸発させて、3-(1-{4-アミノ-3-ヨード-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル}エチル)-4-{3-[(2R)-1-メチルピロリジン-2-イル]フェニル}-1H-イソクロメン-1-オンをオフホワイト色の固体として得た(0.142g、0.24mmol、収率73%)。
UPLC-MS:1.16分、593.3 [M+H]+、方法5。
【0141】
化合物の製造
【0142】
比較例1:3-(1-(4-アミノ-3-(3-フルオロ-5-ヒドロキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル)-4-(3-((4-メチルピペラジン-1-イル)メチル)フェニル)-1H-イソクロメン-1-オン、第2溶出エナンチオマー
【化31】
ラセミ体3-(1-(4-アミノ-3-(3-フルオロ-5-ヒドロキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル)-4-(3-((4-メチルピペラジン-1-イル)メチル)フェニル)-1H-イソクロメン-1-オン(WO2015091685における実施例142)(0.110g、0.16mmol)を、MeOH/DCM 1/1(10mL)に溶解させ、キラル分取クロマトグラフィーによるキラル分割に供した。条件:カラム:Chiralpak IC(25×2.0cm)、5μm;移動相:n-ヘキサン/(エタノール/ジクロロメタン 9/1+0.1%イソプロピルアミン)82/18%v/v;流速18mL/分;DAD検出:220nm;ループ:500μl;注入:6.5mg/注入。第2溶出エナンチオマーを含む画分を、蒸発乾固させて、標題3-(1-(4-アミノ-3-(3-フルオロ-5-ヒドロキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル)-4-(3-((4-メチルピペラジン-1-イル)メチル)フェニル)-1H-イソクロメン-1-オンを得た(0.031g、0.056mmol)。
キラルHPLC(方法A1)、
Rt 13.8分(第2溶出エナンチオマー)、e.e.>99%。
UPLC-MS:0.63~0.66、606.4 [M+H]+、方法3。
1H NMR(400 MHz、DMSO-d6)δ ppm 10.15-10.24(m、1H)、8.19-8.28(m、1H)、8.07(s、1H)、7.73-7.80(m、1H)、7.58-7.67(m、1H)、7.25-7.50(m、3H)、6.85-7.00(m、3H)、6.78-6.84(m、1H)、6.63-6.70(m、1H)、5.66-5.81(m、1H)、3.23-3.60(m、2H)、1.99-2.48(m、11H)、1.74-1.89(m、3H)。
第1溶出エナンチオマーの分析データ
キラルHPLC(方法A1)、
Rt 12.0分(第1溶出エナンチオマー)、e.e.>99%、
純粋なエナンチオマーのUPLCおよび1H NMR分析は、すべての点で重ね合わせることができた。
【0143】
実施例1:3-{1-[4-アミノ-3-(5-ヒドロキシピリジン-3-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル]エチル}-4-{3-[(4-メチルピペラジン-1-イル)メチル]フェニル}-1H-イソクロメン-1-オン塩酸塩
【化32】
マグネチックスターラーを備えた500mLの丸底フラスコ中で、3-(1-(4-アミノ-3-(5-メトキシピリジン-3-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル)-4-(3-((4-メチルピペラジン-1-イル)メチル)フェニル)-1H-イソクロメン-1-オン(中間体D1)(0.342g、0.567mmol)を、DCM(10mL)に懸濁させ、その後、DCM(5mL、5.00mmol)中の1M BBr3を加えた。混合物を24時間撹拌させ、その後、MeOH(20mL)および少量の2M HClを加えた。その後、溶液を真空下濃縮し、RPクロマトグラフィー(Biotage Isolera、60g C18カートリッジ、10CVでA中のBが0~50%のグラジェント溶出;A:95:5 水/アセトニトリル+0.1%HCOOH、B:5:95 水/アセトニトリル+0.1%HCOOH、流速20ml/分)により精製して、所望の生成物3-{1-[4-アミノ-3-(5-ヒドロキシピリジン-3-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル]エチル}-4-{3-[(4-メチルピペラジン-1-イル)メチル]フェニル}-1H-イソクロメン-1-オン塩酸塩を得た(0.093g、0.149mmol、収率26%)。
UPLC-MS:0.52分、589.0 [M+H]+、方法1。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ ppm 11.39 (br. s., 1H), 9.87-10.49 (m, 1H), 8.05-8.32 (m, 5H), 7.72-7.81 (m, 1H), 7.59-7.67 (m, 1H), 6.67-7.53 (m, 8H), 5.66-5.84 (m, 1H), 3.34-3.63 (m, 2H), 2.24-2.92 (s, 11H), 1.75-1.92 (m, 3H)。
【0144】
実施例3:3-{1-[4-アミノ-3-(5-ヒドロキシピリジン-3-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル]エチル}-4-{4-クロロ-3-[(ジメチルアミノ)メチル]フェニル}-1H-イソクロメン-1-オン
【化33】
3-(1-{4-アミノ-3-ヨード-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル}エチル)-4-{4-クロロ-3-[(ジメチルアミノ)メチル]フェニル}-1H-イソクロメン-1-オン(中間体E1c)(0.105g、0.175mmol)、5-(4,4,5,5-テトラメチル-[1,3,2]ジオキサボロラン-2-イル)ピリジン-3-オール(0.077g、0.35mmol)およびK3PO4(0.113g、0.53mmol)のTHF/水 3:1(容量:8mL)中の混合物から、5分間のN2バブリングにより酸素を取り除き、その後、SPhos-Pd-G2(0.025g、0.035mmol)を加え、混合物を85℃にて3時間加熱した。混合物を室温まで冷却し、水とDCM間で分割した。水相をDCMで抽出し(3x)、合わせた有機層を水(1x)で洗浄し、相セパレーターを通し、溶媒を減圧下除去した。DCM中のMeOHが0~25%のグラジェントを溶離液として用いた11g Biotage シリカ-NHカラムでのフラッシュクロマトグラフィーにより、得られた粗製物を精製した。所望の生成物3-{1-[4-アミノ-3-(5-ヒドロキシピリジン-3-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル]エチル}-4-{4-クロロ-3-[(ジメチルアミノ)メチル]フェニル}-1H-イソクロメン-1-オンを、黄色がかった固体として得た(0.068g、0.12mmol、収率68%)。
UPLC-MS:0.61分、601.2 [M+H]+、方法3。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ ppm 8.18-8.25 (m, 3H), 8.05-8.10 (m, 1H), 7.73-7.79 (m, 1H), 7.58-7.66 (m, 1H), 7.30-7.58 (m, 3H), 6.85-7.03 (m, 2H), 5.71-5.79 (m, 1H), 3.13-3.22 (m, 2H), 2.01-2.25 (m, 6H), 1.80-1.87 (m, 3H)。
【0145】
下記表で見られる実施例2は、化合物1と同様の手順に従って、下記に示される適切な中間体(Int.)から出発して製造された。下記表で見られる実施例4~7は、化合物3と同様の手順に従って、下記に示される適切な中間体(Int.)から出発して製造された。
【表14】

【表15】
【0146】
実施例1a:3-{1-[4-アミノ-3-(5-ヒドロキシピリジン-3-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル]エチル}-4-{3-[(4-メチルピペラジン-1-イル)メチル]フェニル}-1H-イソクロメン-1-オン、第1溶出エナンチオマー。
【化34】
ラセミ体3-{1-[4-アミノ-3-(5-ヒドロキシピリジン-3-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル]エチル}-4-{3-[(4-メチルピペラジン-1-イル)メチル]フェニル}-1H-イソクロメン-1-オン塩酸塩(実施例1)(0.122g、0.195mmol)を、MeOHで希釈し、PL-HCO3 MP樹脂カートリッジ(5g)を通して、遊離塩基(0.080g)を得て、これをMeOH(5mL)に溶解させ、キラル分取クロマトグラフィーによるキラル分割に供した。条件:カラム:Whelk 01(R,R)(25×2.1cm)、10μm;移動相:n-ヘキサン/(2-プロパノール/メタノール 1/1+0.1%イソプロピルアミン)30/70%v/v;流速17mL/分;DAD検出:220nm;ループ:300μl;注入:4.8mg/注入。第1溶出エナンチオマーを含む画分を、蒸発乾固させて、標題化合物3-{1-[4-アミノ-3-(5-ヒドロキシピリジン-3-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル]エチル}-4-{3-[(4-メチルピペラジン-1-イル)メチル]フェニル}-1H-イソクロメン-1-オンを得た(0.021g、0.036mmol)。
キラルHPLC(方法A2)、
Rt 8.7分(第1溶出エナンチオマー)、e.e.>99%
UPLC-MS:0.48~0.54、589.4 [M+H]+、方法3。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ ppm 9.84-10.55 (m, 1H), 8.02-8.36 (m, 4H), 7.72-7.81 (m, 1H), 7.57-7.67 (m, 1H), 7.25-7.52 (m, 4H), 6.87-7.01 (m, 2H), 6.53-7.88 (m, 2H), 5.64-5.83 (m, 1H), 3.13-3.62 (m, 2H), 2.00-2.47 (m, 11H), 1.76-1.88 (m, 3H)。
第2溶出エナンチオマーの分析データ
キラルHPLC(方法A2)、
Rt 10.0分(第2溶出エナンチオマー)、e.e.=97.4%
純粋なエナンチオマーのUPLCおよび1H NMR分析は、すべての点で重ね合わせることができた。
【0147】
単結晶X線回折分析(D. de Sanctis, A. Beteva, H. Caserotto, F. Dobias, J. Gabadinho, T. Giraud, A. Gobbo, M. Guijarro, M. Lentini, B. Lavault,; T. Mairs, S. McSweeney, S. Petitdemange, V. Rey-Bakaikoa, J. Surr, P. Theveneau, G.A. Leonard, C. Mueller-Dieckmann, J. Sync. Rad. 2012, 19, 455-461)を、下記で特定する方法および条件に従って、European Synchrotron Radiation Facility(ESRF)の結晶解析ビームラインID29を用いて実施した:単結晶を、EtOH/H2O 6%(内部溶媒)およびEtOAc(外部溶媒)での蒸気拡散実験で得た。回折データを、高速読み出しPilatus 6M-Fピクセル検出器(Dectris LTD)で記録した。データ収集を、回転結晶法を適用するOxfordクライオシステムを用いて、波長1.000Åの単色放射で100Kにて実施した。構造を、プログラムShelxTに実装された双対空間アルゴリズムによって解析し、プログラムSHELXL-2016/6で精密化した。Flackパラメーター(S. Parsons, H.D. Flack, T. Wagner, Acta Cryst. 2013, B69, 249-259)を、Flack x = 0.07(8)として1Åにて収集したデータから得て;絶対配置を、実施例1aの第1溶出エナンチオマーにSとして割り当てた。当該決定を用いて、本明細書で報告する構造の絶対配置を確認した:
(S)-3-{1-[4-アミノ-3-(5-ヒドロキシピリジン-3-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル]エチル}-4-{3-[(4-メチルピペラジン-1-イル)メチル]フェニル}-1H-イソクロメン-1-オン、第1溶出エナンチオマー(実施例1aの表題化合物)。
(R)-3-{1-[4-アミノ-3-(5-ヒドロキシピリジン-3-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル]エチル}-4-{3-[(4-メチルピペラジン-1-イル)メチル]フェニル}-1H-イソクロメン-1-オン、第2溶出エナンチオマー。
【0148】
実施例2a:3-(1-(4-アミノ-3-(5-ヒドロキシピリジン-3-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル)-4-(3-((ジメチルアミノ)メチル)フェニル)-1H-イソクロメン-1-オン、第1溶出エナンチオマー
【化35】
ラセミ体3-{1-[4-アミノ-3-(5-ヒドロキシピリジン-3-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル]エチル}-4-{3-[(ジメチルアミノ)メチル]フェニル}-1H-イソクロメン-1-オン塩酸塩(実施例2)(0.228g、0.400mmol)を、MeOHで希釈し、PL-HCO3 MP樹脂カートリッジ(5g)を通して、遊離塩基(0.110g)を得て、これをエタノール/メタノール/n-ヘキサン 1/1/1(10mL)に溶解させ、キラル分取クロマトグラフィーによるキラル分割に供した。条件:カラム:Chiralpak AD-H(25×2.0cm)、5μm;移動相:n-ヘキサン/(エタノール+0.1%イソプロピルアミン)75/25%v/v;流速20mL/分;DAD検出:220nm;ループ:2500μl;注入:27mg/注入。第1溶出エナンチオマーを含む画分を、蒸発乾固させて、標題化合物3-(1-(4-アミノ-3-(5-ヒドロキシピリジン-3-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル)-4-(3-((ジメチルアミノ)メチル)フェニル)-1H-イソクロメン-1-オンを得た(0.040g、0.075mmol)。
キラルHPLC(方法A3)、
Rt 6.4分(第1溶出エナンチオマー)、e.e.>99%。
UPLC-MS:0.46~0.50、534.3 [M+H]+、方法3。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ ppm 10.16 (bs, 1H), 8.18-8.30 (m, 3H), 8.04-8.12 (m, 1H), 7.72-7.81 (m, 1H), 7.57-7.68 (m, 1H), 7.43-7.53 (m, 1H), 7.25-7.40 (m, 4H), 6.82-7.04 (m, 3H), 5.67-5.83 (m, 1H), 3.16-3.49 (m, 2H), 1.97-2.25 (m, 6H), 1.78-1.87 (m, 3H)。
第2溶出エナンチオマーの分析データ
キラルHPLC(方法A3)、
Rt 14.6分(第2溶出エナンチオマー)、e.e.>99%
純粋なエナンチオマーのUPLCおよび1H NMR分析は、あらゆる点で重ね合わせることができた。
【0149】
実施例4a:3-(1-(4-アミノ-3-(5-ヒドロキシピリジン-3-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル)-4-(3-((R)-1-メチルピロリジン-2-イル)フェニル)-1H-イソクロメン-1-オン、第1溶出ジアステレオマー。
【化36】
3-{1-[4-アミノ-3-(5-ヒドロキシピリジン-3-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル]エチル}-4-{3-[(2R)-1-メチルピロリジン-2-イル]フェニル}-1H-イソクロメン-1-オン(実施例4)(0.050g、0.089mmol)を、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-プロパノール(2.5mL)に溶解させ、キラル分取クロマトグラフィーによるキラル分割に供した。条件:カラム:Chiralpak AD-H(25×2.0cm)、5μm;移動相:(エタノール+0.1%イソプロピルアミン)15%;流速46mL/分;DAD検出:220nm;ループ:600μl;注入:12mg/注入。第1溶出ジアステレオマーを含む画分を、蒸発乾固させて、標題化合物3-(1-(4-アミノ-3-(5-ヒドロキシピリジン-3-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)エチル)-4-(3-((R)-1-メチルピロリジン-2-イル)フェニル)-1H-イソクロメン-1-オンを得た(0.017g、0.03mmol)。
キラルHPLC(方法A4)、
Rt 3.3分(第1溶出ジアステレオマー)、d.e.=98.5%、
UPLC-MS:0.70分、560.5 [M+H]+、方法5。
1H NMR (400 MHz, MeOD) δ ppm 8.29-8.35 (m, 1H), 8.22-8.28 (m, 1H), 8.15-8.21 (m, 1H), 8.03-8.12 (m, 1H), 7.65-7.74 (m, 1H), 7.56-7.63 (m, 1H), 7.18-7.55 (m, 4H), 6.76-6.99 (m, 2H), 5.88-6.00 (m, 1H), 2.85-3.28 (m, 2H), 1.54-2.46 (m, 11H)。
第2溶出ジアステレオマーの分析データ
キラルHPLC(方法A4)、
Rt 7.0分(第2溶出ジアステレオマー)、d.e.=96.2%。
UPLC-MS:0.70分、560.5 [M+H]+、方法5。
1H NMR (400 MHz, MeOD) δ ppm 8.30-8.35 (m, 1H), 8.24-8.29 (m, 1H), 8.17-8.21 (m, 1H), 8.04-8.13 (m, 1H), 7.66-7.75 (m, 1H), 7.56-7.64 (m, 1H), 7.17-7.55 (m, 4H), 6.74-7.06 (m, 2H), 5.83-6.03 (m, 1H), 2.94-3.29 (m, 2H), 1.70-2.45 (m, 11H)。
【0150】
塩のスクリーニング例
【0151】
本発明の特に好ましい塩は、例えばHandbook of Pharmaceutical Salts: Properties, Selection, and Use, 2011 (P. Heinrich Stahl, Camille G. Wermuth (Eds.)に記載された公知の塩化の方法に従って製造される。
【0152】
下記表に示す塩を、実施例1aの(S)エナンチオマー化合物から製造し、(R)エナンチオマーからの塩を、前記の一般的に知られている塩化の方法を用いて同様に得た。
【0153】
例として、マレイン酸塩を、300mgの遊離塩基をアセトン(9mL)中に溶解させ、約20℃にて約2時間撹拌し、その後50℃にて約30分間撹拌して、完全に遊離塩基を溶解させて、得た。その後、マレイン酸(1.02eq)を20℃にて加えた。スラリーを、650rpm、約20℃にてo/n撹拌した。試料を、シリンジフィルター(多孔性20μL、PTFEフリット)でろ過し、真空下室温にて一定の重量に達するまで(3時間)乾燥した(収率=86%)。
【表16】

【表17】
【0154】
いくつかの更なる好ましい塩を、実施例2aの(S)エナンチオマー化合物から製造した下記表に示し、(R)エナンチオマーからの塩を、前記の一般的に知られている塩化の方法を用いて同様に得た。
【表18】
【0155】
上記に示した塩は固体形態で得られ、それらの多くは実質的にアモルファスの固体状態であり;いくつかの特に好ましいものは結晶性の固体形態を示した。
【0156】
本発明の化合物の薬理活性
【0157】
無細胞アッセイにおけるPI3K酵素阻害活性のインビトロ測定
ヒト組換えタンパク質PI3Kα、PI3Kβ、PI3KγおよびPI3Kδを、Millipore Ltd(Billerica、MA)から購入した。化合物をDMSOに0.5mMnにて溶させ、ADP-GloTMキナーゼアッセイ(Promega、Madison WI)を製造業者の指示書に従って用いて、PI3Kに対する活性についてさまざまな濃度で試験した。
【0158】
簡単には、キナーゼ反応を、384ウェルの白色プレート(Greiner Bio-One GmbH、Frickenhausen)で行った。各ウェルに、0.1μlの試験化合物、ならびに50μM PIおよびPS基質(L-α-ホスファチジルイノシトールナトリウム塩およびL-α-ホスファチジル-L-セリン、Sigma-Aldrich、St. Louis MO)およびPI3K組み換えタンパク質(PI3Kγ 0.25ng/μl、PI3Kδ 1ng/μl、PI3Kα 0.125ng/μl、PI3Kβ 1ng/μl)を含む2.5μlの2x反応バッファー(40mM Tris pH7.5、0.5mM EGTA、0.5mM Na3VO4、5mMβ-グリセロホスフェート、0.1mg/ml BSA、1mM DTT)を負荷した。
【0159】
各ウェルに2.5μlの2xATP溶液(最終濃度:PI3Kγ ATP 30μM;PI3Kδ ATP 80μM;PI3Kα ATP 50μM;PI3Kβ ATP 100μM)を加えることにより反応を開始させ、室温にて60分間インキュベートした。続いて、各キナーゼ反応を5μlのADP-GloTM試薬とともに40分間インキュベートし、消費されていないATPを枯渇させた。その後、キナーゼ検出試薬(10μl)を各ウェルに加え、ADPをATPに変換し、ルシフェラーゼ/ルシフェリン反応を用いて、新しく合成されたATPを測定できるようにした。60分間のインキュベート後、Wallac EnVision(登録商標)マルチラベルリーダー(PerkinElmer、Waltham MA)を用いて、発光シグナルを測定した。
【0160】
カーブフィッティングおよびIC50の計算を、Microsoft Excel(Microsoft、Redmont、WA)用のXLfit(IDBS、Guilford、UK)の4パラメーターロジスティックモデルを用いて実施した。
【0161】
結果を以下に示す。
【表19】
【0162】
本発明の化合物は、以下の表1bに報告するように、酵素アッセイにおいてデルタIC50<2nMを有する強力なデルタ阻害剤である。
【0163】
THP-1アッセイにおけるPI3Kδ酵素阻害活性のインビトロ測定
生細胞におけるPI3キナーゼに対する化合物の阻害活性を、THP-1細胞で内因的に発現されるPI3Kδ-AKT経路の阻害を評価することにより決定した。T75フラスコからのTHP-1細胞懸濁液(0.4~1.0×106/mL)を遠心分離し、細胞ペレットを1.5×106細胞/mLで飢餓培地に再懸濁させた。細胞プレートを、3×105細胞/ウェルを分注して調製し、アッセイ前に37℃にて24時間インキュベートした。試験化合物をDMSOで1:3に段階希釈し、その後化合物培地でさらに1:100に希釈した。飢餓状態のTHP-1細胞を、試験化合物溶液またはビヒクルとともに37℃にて60分間プレインキュベートした。その後、細胞をマクロファージコロニー刺激因子(M-CSF)2.5ng/mLまたは刺激培地(基礎pAKTレベルのコントロール)により10分間刺激した。その後、細胞を溶解し、Cisbio p-Ser473 AKT HTRFアッセイキットを用いてリン酸化AKTの量を測定した。添加溶解緩衝液を加えることにより刺激を終了した。細胞プレートを室温にて30分間振とうして、細胞溶解を完了させ、続いてHTRFコンジュゲートを添加し、室温にてさらに4時間インキュベートした。コンジュゲートはpAKTと反応し、HRTF読み取りプロトコルを備えたEnvisionプレートリーダーで測定されるHTRFシグナルの増加を引き起こす。比率データを、ロジスティック4パラメーター式を用いて適合させて、IC50を決定した。IPI-145化合物を薬理的標準として用いた。
【0164】
本発明の化合物は、以下の表1bに報告するように、PI3Kδサブユニットに関して4nMよりも低い細胞IC50(THP-1 IC50 nM)値を示した。
【表20】

【表21】
【0165】
ラットにおけるオボアルブミン(OVA)誘発肺好酸球増加症のラットモデルのプロトコル(WET投与-生理食塩水)
【0166】
動物
雄性のBrown Norwayラット(到着時に6週齢)は、Charles River Laboratories Italy(Calco、Lecco)から購入した。使用前に、動物を少なくとも5日間、現場の動物飼育施設の条件(室温:20~24℃、相対湿度:40~70%)に順応させ、標準的なラットの餌および水道水を自由に摂取させた。本明細書に記載のすべての動物プロトコルは、Chiesi FarmaceuticiおよびMinistry of Healthの動物実験のための施設内動物福祉委員会により承認され、European Directive 2010/63 UEおよびItalian D Lgs 26/2014(認可番号198-PR)に準拠して実施した。
【0167】
感作およびアレルゲン曝露
雄性のBrown Norwayラットを、1mLの生理食塩水中にOVA(1mg/ラット)およびAl(OH)3(100mg/ラット)を含む懸濁液を3日間連続して腹腔内注射することにより感作した。2週間後、アレルゲンのエアロゾル投与により気道の炎症が誘発された。具体的には、動物を、主に好酸球および好中球に代表される、気道の炎症細胞の大量流入を誘発するOVA溶液(生理食塩水中1%)のエアロゾルに曝露させた。簡単には、ラットをプレキシガラス管に拘束し、吸入チャンバーに導入し、鼻のみの吸入によりエアロゾル化溶液に30分間曝露させた。吸入チャンバーを、約3.3l/分の流速にてチャンバー内に噴霧溶液を生成するMedel Proネブライザーに接続した。対照動物を、エアロゾル化生理食塩水に曝露させた。
【0168】
試験化合物による処置
抗炎症作用持続時間(DoA)の評価のために、OVA負荷の2または12時間前に0.03μmol/kg~1μmol/kgの範囲のさまざまな用量で試験化合物を気管内(i.t.)に投与した。各試験化合物のED80を、上記の用量反応試験から決定した。ED80は80%の阻害が達成された用量である。
【0169】
試験化合物またはビヒクルの気管内投与のために、動物をイソフルランまたはセボフルラン(酸素中4%)で麻酔し、喉頭鏡を口内で前方に進めて気管を可視化し、PE100カニューレの気管への直接挿入を誘導し、分岐部から1~2mm上に配置した。化合物を、0.2%ツイーン80を含む生理食塩水(蒸留水+0.5%NaCl)に再懸濁させ、0.5ml/kgの容量で気管に局所的に注入した。
【0170】
気管支肺胞洗浄と細胞カウント
OVAまたは生理食塩水エアロゾルのいずれかへの曝露後24時間にて、動物を前記のようにイソフルランまたはセボフルランで麻酔し、腹部大動脈からの出血により屠殺した。
気管支肺胞洗浄液(BALF)を、溶液A[ハンクス平衡塩溶液(HBSS)×10、100ml;エチレンジアミン四酢酸(EDTA)100mM、100mL;4-(2-ヒドロキシ-エチル)-1-ピペラジンエタンスルホン酸(HEPES)1mM、10mL;蒸留水、790mL]の3アリコート(各4ml)で肺を穏やかに洗浄することにより得た。BALFの所定の回収は、注入量の約80%が回収され(9.5~10.5mL)、動物間で有意に差はなかった。
【0171】
得られたBALFを800×g、4℃にて10分間遠心分離した。ペレットを1.5mLの容量に再懸濁し、自動細胞カウンター(Dasit、Sysmex)を用いて2時間以内に総細胞数および示差細胞数を測定した。動物あたりの細胞数を、1μlのBALFの細胞数に、細胞ペレットの再懸濁に用いた容量を掛けて計算した。
【0172】
データ分析
ED80に対応する0.1μmol/kgの用量でOVA負荷の12時間前に投与された本発明の化合物は、45%を超える、BALFにおける好酸球動員を阻害する持続的な効力を示す。阻害率を、下記式を用いて計算する:
%阻害=100×((化合物処置OVA負荷個別値-ビヒクル処置OVA負荷平均値)-(ビヒクル処置OVA負荷平均値-ビヒクル処置生理食塩水負荷平均値))/(ビヒクル処置OVA負荷平均値-ビヒクル処置生理食塩水負荷平均値)
【0173】
平均値は、処置の各群について8~10匹のラットから計算される。
【0174】
本発明の化合物と比較したときのWO201509685の対応する化合物は、実際、持続性がないか、または持続性が短いことが見出された。
【表22】
【0175】
ラットにおけるオボアルブミン(OVA)誘発肺好酸球増加症のラットモデルのプロトコル(乾燥粉末として投与)
【0176】
材料および方法
動物
雄性のBrown Norwayラット(到着時に6週齢)は、Charles River Laboratories Italy(Calco、Lecco)から購入した。使用前に、動物を少なくとも5日間、現場の動物飼育施設の条件(室温:20~24℃、相対湿度:40~70%)に順応させ、標準的なラットの餌および水道水を自由に摂取させた。本明細書に記載のすべての動物プロトコルは、Chiesi FarmaceuticiおよびMinistry of Healthの動物実験のための施設内動物福祉委員会により承認され、European Directive 2010/63 UEおよびItalian D Lgs 26/2014に準拠して実施した。
【0177】
感作およびアレルゲン曝露
雄性のBrown Norwayラットを、1mLの生理食塩水中にOVA(1mg/ラット)およびAl(OH)3(100mg/ラット)を含む懸濁液を3日間連続して腹腔内注射することにより感作した。2週間後、吸入された抗原により気道の炎症が誘発された。動物を、気道への炎症細胞、主に好酸球および好中球の大量流入を誘発するOVA溶液(生理食塩水中1%)のエアロゾルに曝露させた。簡単には、ラットをプレキシガラス管に拘束し、鼻のみの吸入により吸入チャンバーの内容物に30分間曝露させた。吸入チャンバーを、約3.3l/分の流速にてチャンバー内を循環するエアロゾル化オボアルブミンを生成するMedel Proネブライザーに接続した。ビヒクル対照処置動物を、エアロゾル化生理食塩水に曝露させた。
【0178】
試験化合物による処置
阻害効力および作用持続時間(DoA)の評価のために、試験化合物を、OVA負荷の12時間前に気管内経路により投与した。
【0179】
試験化合物またはビヒクルの気管内投与のために、動物をセボフルラン(酸素中4%)で麻酔し、喉頭鏡を口内で前方に進めて気管を可視化し、乾燥粉末用のPennCenturyデバイスの気管への直接挿入を誘導し、分岐部から1~2mm上へ配置した。乾燥粉末として投与される試験化合物を微粉化し、0.2%w/wステアリン酸マグネシウム/Respitose SV003と、10mg/kgの注入重量に対して0.233%、0.755%、7.75%の強度(0.03、0.1、1.0μmol/kgの投与量に対応)で混合した。対照動物に、10mg/kgのビヒクル混合物(0.2%w/wステアリン酸マグネシウム/Respitose SV003)を投与した。各試験化合物のED80を、上記の用量反応試験から決定した。
【0180】
化合物の乾燥粉末は、4mLの空気体積で自発的相吸気中に気道に吹き込まれた。
【0181】
気管支肺胞洗浄と細胞カウント
OVAまたは生理食塩水エアロゾルのいずれかへの曝露後24時間にて、動物を前記のようにイソフルランまたはセボフルランで麻酔し、腹部大動脈からの出血により屠殺した。
気管支肺胞洗浄液(BALF)を、溶液A[ハンクス平衡塩溶液(HBSS)×10、100ml;エチレンジアミン四酢酸(EDTA)100mM、100mL;4-(2-ヒドロキシ-エチル)-1-ピペラジンエタンスルホン酸(HEPES)1mM、10mL;蒸留水、790mL]の3アリコート(各4ml)で肺を穏やかに洗浄することにより得た。BALFの所定の回収は、注入量の約80%が回収され(9.5~10.5mL)、動物間で有意に差はなかった。
【0182】
得られたBALFを800×g、4℃にて10分間遠心分離した。同じ動物に由来するペレットを合わせ、1.5mLの容量に再懸濁し、自動細胞カウンター(Dasit、Sysmex)を用いて2時間以内に総細胞数および示差細胞数を測定した。動物あたりの細胞数を、1μlのBALFの細胞数に、細胞ペレットの再懸濁に用いた容量を掛けて計算した。
【0183】
データ分析
すべてのデータを平均±s.e.平均として表す。統計分析では、一元配置分散分析(ANOVA)を用いて生データに対して実施し、続いてOVA感作、OVA負荷群と比較するためにダネットの事後検定を実施した。細胞動員の阻害の薬物誘発性の個々の値を、下記式に従って、薬物処置をビヒクル処置OVA負荷対照動物と比較して計算した:
%阻害={100%×((化合物処置OVA負荷個別値-ビヒクル処置OVA負荷対照平均値)-(ビヒクル処置OVA負荷対照平均値-ビヒクル処置生理食塩水負荷対照平均値))/(ビヒクル処置OVA負荷対照平均値-ビヒクル処置生理食塩水負荷対照平均値)}]
【0184】
平均値は、処置の各群について8~10匹のラットから計算された。
【0185】
ED50値および95%信頼限界を、個々の阻害データに基づく対数線形回帰分析により計算した。統計分析を、GraphPadソフトウェアバージョン7.0を用いて実施し、p<0.05を統計的有意のレベルとみなした。
【0186】
結果
実施例1aの化合物のマレイン酸塩の抗炎症作用持続時間を、OVA負荷の2および12時間前にPennCenturyによりi.t.投与して試験した。1μmol/kgの用量は有意な阻害を示した(%阻害総細胞動員:84.1±5.5、p<0.01;%阻害好酸球動員:79.3±8.4、p<0.01)。
【0187】
全体として、データは、本発明による化合物が、炎症細胞の肺蓄積を阻害できる抗炎症薬として有効であり、長時間の作用を与えることを確認している。
【0188】
1μmol/kgの用量の本発明の化合物は、OVA曝露の12時間前に、DPI製剤(乾燥粉末プロトコル)として投与されたとき、ラットの肺気道における好酸球動員の阻害において有意かつ持続的な効力を示し、これは、50%以上、さらに好ましくは70%以上の阻害率を示している。
【0189】
したがって、本発明の化合物は、強力なPI3K阻害剤であり、ナノモル以下の範囲で酵素インビトロアッセイにおいて活性であり(デルタKi<1nM)、PI3Kδ阻害のTHP-1細胞モデルにおいても高い活性を示す(THP-1 IC50<4nM、好ましくは≦3nM)。特に、活性は細胞アッセイで維持され、酵素アッセイから細胞アッセイへの活性の低下は10倍以下、好ましくは3.5倍以下である。
THP-1 IC50≦10×デルタKi;好ましくは THP-1 IC50≦3.5×デルタKi
【0190】
さらに、抗炎症性DoAの実験において、0.1μmol/kgの用量でOVA負荷の12時間前に懸濁液として投与した本発明による化合物(本発明の試験化合物についてはED80)は、45%を超える持続的な抗炎症効果を示す。同じ実験プロトコルに従って、1μmol/kg(ED80)の用量でOVA負荷の12時間前にDPI製剤として投与した本発明による化合物は、肺気道における細胞動員の阻害において依然として有意かつ持続的な抗炎症効果を維持し;乾燥粉末プロトコルにおいて、50%以上、さらに好ましくは70%以上の阻害率で持続的な抗炎症効果を示す。
【国際調査報告】