(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-27
(54)【発明の名称】氷点下耐衝撃性を有するポリプロピレンコポリマー組成物
(51)【国際特許分類】
C08L 23/10 20060101AFI20220520BHJP
C08K 5/1575 20060101ALI20220520BHJP
C08L 23/16 20060101ALI20220520BHJP
B65D 1/02 20060101ALI20220520BHJP
B65D 1/26 20060101ALI20220520BHJP
【FI】
C08L23/10
C08K5/1575
C08L23/16
B65D1/02 100
B65D1/26
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021559082
(86)(22)【出願日】2020-04-03
(85)【翻訳文提出日】2021-10-01
(86)【国際出願番号】 US2020026542
(87)【国際公開番号】W WO2020206225
(87)【国際公開日】2020-10-08
(32)【優先日】2019-04-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590001706
【氏名又は名称】ダブリュー・アール・グレース・アンド・カンパニー-コーン
【氏名又は名称原語表記】W R GRACE & CO-CONN
(74)【代理人】
【識別番号】110000741
【氏名又は名称】特許業務法人小田島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カールト、ジョン カレヴィ
(72)【発明者】
【氏名】チョン、チン
(72)【発明者】
【氏名】モントーヤ-ゴニ、アマイア
【テーマコード(参考)】
3E033
4J002
【Fターム(参考)】
3E033AA09
3E033BA16
3E033BB02
3E033CA03
3E033FA02
4J002BB12W
4J002BB14X
4J002BB15X
4J002EH148
4J002EL106
4J002EW067
4J002FD038
4J002FD077
4J002FD206
4J002GG01
4J002HA09
(57)【要約】
【解決手段】 氷点下温度における優れた耐衝撃特性と併せて優れた清澄特性を有するように配合することができるポリプロピレンポリマー組成物が開示される。ポリプロピレンポリマー組成物は、第2相ポリマーと組み合わされた第1相ポリマーを含有するヘテロ相組成物である。第1相ポリマーは、ポリプロピレン及びアルファ-オレフィンコポリマーであり、一方、第2相ポリマーはまた、ポリプロピレン及びアルファ-オレフィンランダムコポリマーである。第2相ポリマーは、比較的多量のエチレンを含有する。第2相ポリマー中のエチレンの量が増加すると、氷点下温度における耐衝撃性を劇的に改善することが見出された。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリプロピレン組成物であって、
ポリプロピレンポリマーを含む第1のポリマー相であって、前記ポリプロピレンポリマーは、約10%重量未満のキシレン可溶分含量及び約20g/10分~約50g/10分のメルトフローレートを有する、第1のポリマー相と、
前記第1のポリマー相と組み合わされた第2のポリマー相であって、前記第2のポリマー相は、プロピレン及びアルファ-オレフィンコポリマーを含む、第2のポリマー相と、を含み、
前記ポリプロピレン組成物は、3g/10分以上のメルトフローレートを有し、前記第1のポリマー相のメルトフローレートの前記ポリプロピレン組成物のメルトフローレートに対する比は、1以上であり、前記ポリプロピレン組成物は、キシレン可溶性部分及びキシレン不溶性部分を有し、前記ポリプロピレン組成物は、約12重量%~約25重量%の総キシレン可溶分含量を有し、前記キシレン可溶性部分は、前記アルファ-オレフィンを約55重量%~約70重量%の量で含有し、前記キシレン不溶性部分は、前記アルファ-オレフィンを約15重量%~約40重量%の量で含有し、前記ポリプロピレン組成物は、
-20℃で約200インチ・ポンド超のガードナー衝撃強度を有する、ポリプロピレン組成物。
【請求項2】
前記組成物は、清澄化剤を更に含有し、前記ポリプロピレン組成物は、1mmで約45%未満のヘイズを有する、請求項1に記載のポリプロピレン組成物。
【請求項3】
前記第2のポリマー相は、前記第1のポリマー相内に分散したポリマー粒子の形態であり、前記ポリマー粒子は、約1マイクロメートル以上の平均粒径を有する、請求項1又は2に記載のポリプロピレン組成物。
【請求項4】
前記第1のポリマー相に含有される前記ポリプロピレンポリマーは、エチレンを含有するポリプロピレンランダムコポリマーを含み、前記第2のポリマー相は、プロピレンエチレンコポリマーを含む、請求項1又は2に記載のポリプロピレン組成物。
【請求項5】
前記ポリプロピレン組成物の前記キシレン可用性部分中のエチレン含有量は、約60重量%~約70重量%である、請求項4に記載のポリプロピレン組成物。
【請求項6】
前記ポリプロピレン組成物の前記キシレン不溶性部分中のエチレン含有量は、約20重量%~約38重量%である、請求項4に記載のポリプロピレン組成物。
【請求項7】
前記組成物は、約500MPa~約1000MPa、例えば約650MPa~約800MPaの曲げ弾性率を有する、請求項1~6のいずれかに記載のポリプロピレン組成物。
【請求項8】
前記組成物は、-20℃で約300インチ・ポンド~約500インチ・ポンドのガードナー耐衝撃度を有する、請求項1~7のいずれかに記載のポリプロピレン組成物。
【請求項9】
前記第1のポリマー相中の前記ポリプロピレンランダムコポリマーは、エチレンを約1重量%~約4重量%の量で含有する、請求項4に記載のポリプロピレン組成物。
【請求項10】
前記第2のポリマー相中の前記プロピレンエチレンコポリマーは、エチレンを約75重量%超の量、例えば約80重量%超の量で含有する、請求項4に記載のポリプロピレン組成物。
【請求項11】
前記第2のポリマー相は、前記ポリプロピレン組成物中に約15重量%~約50重量%の量、例えば約15重量%~約35重量%の量で存在する、請求項1~10のいずれかに記載のポリプロピレン組成物。
【請求項12】
前記ポリプロピレン組成物は、約15重量%~約21重量%の総キシレン可溶分含量を有する、請求項1~11のいずれかに記載のポリプロピレン組成物。
【請求項13】
前記ポリプロピレン組成物は、1mmで約15%~約45%のヘイズを有する、請求項1~12のいずれかに記載のポリプロピレン組成物。
【請求項14】
前記ポリプロピレン組成物は、約90%超、例えば約92%超の清澄性を有する、請求項1~13のいずれかに記載のポリプロピレン組成物。
【請求項15】
前記ポリプロピレン組成物は、約15g/10分~約30g/10分のメルトフローレートを有する、請求項1~14のいずれかに記載のポリプロピレン組成物。
【請求項16】
前記第1のポリマー相中の前記ポリプロピレンポリマーは、チーグラー・ナッタ触媒で触媒されており、前記第2のポリマー相中の前記プロピレンエチレンコポリマーもまた、チーグラー・ナッタ触媒で触媒されている、請求項1~15のいずれかに記載のポリプロピレン組成物。
【請求項17】
前記第1のポリマー相の前記ポリプロピレンポリマー及び前記第2のポリマー相の前記プロピレンエチレンコポリマーの生成に使用される前記チーグラー・ナッタ触媒は、置換フェニレン芳香族ジエステルを含む内部電子供与体を含む、請求項16に記載のポリプロピレン組成物。
【請求項18】
前記第2のポリマー相は、前記第1のポリマー相の存在下で形成される、請求項16に記載のポリプロピレン組成物。
【請求項19】
前記ポリプロピレン組成物は、3つの異なる温度で少なくとも3つのtanδピークを示す、請求項1~18のいずれかに記載のポリプロピレン組成物。
【請求項20】
前記組成物は、酸中和剤及び抗酸化剤を更に含有する、請求項1~19のいずれかに記載のポリプロピレン組成物。
【請求項21】
請求項1~20のいずれかに記載のポリプロピレン組成物から形成される成形物品。
【請求項22】
前記成形物品は、射出成形物品である、請求項21に記載の成形物品。
【請求項23】
請求項1~20のいずれかに記載のポリプロピレン組成物から形成される保管容器。
【請求項24】
前記保管容器は、食品容器である、請求項23に記載の保管容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、参照により本明細書に組み込まれる2019年4月5日に出願された米国仮特許出願第62/829,932号に基づき、その優先権を主張するものである。
【背景技術】
【0002】
透明性及び耐衝撃性は、多くのポリマー用途に非常に望ましい特性である。例えば、ポリマーを、透明性がユーザにとって非常に有益となり得る包装又は容器等の様々な異なる製品を製造するために使用することができる。多くの状況において、例えば、包装又は容器の壁を通して包装又は容器の内容物を見ることは非常に有利である。一方、耐衝撃性が高いと、容器は耐久性となる。
【0003】
透明性を高くすることができる1種のポリマーは、半結晶性ポリプロピレンホモポリマーである。ポリプロピレンホモポリマーは、一般に、高い結晶化度及び大きな球晶のために、非常に半透明である。ポリプロピレンポリマーの透明性は、エチレン又は別のアルファ-オレフィンをポリマー鎖に組み込んで、ポリプロピレンランダムコポリマーを生成することによって改善することができる。また、核形成剤及び/又は清澄化剤をポリマーに組み込んで、結晶サイズを更に減少させ、清澄性を高めることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ポリプロピレンランダムコポリマーは、優れた透明特性を有するが、ポリマーは、特に氷点下の環境において、比較的低い耐衝撃性を有する傾向がある。そのため、冷蔵庫保管容器若しくは冷凍庫保管容器及び/又は長期保管容器の場合、より大きな耐衝撃性が必要とされる。しかしながら、ポリプロピレンポリマーの耐衝撃性を向上させる試みが行われると、ポリマーの他の特性が低下する場合がある。
【0005】
過去に、ゴム様プロピレン-アルファ-オレフィンコポリマー相とブレンドされたホモポリマーマトリックスを含む、ポリプロピレンインパクトコポリマーが設計された。コポリマー相は、低温等での耐衝撃性を高めることが意図されている。プロピレン-アルファ-オレフィンコポリマーは、主に非晶質であり得るため、ポリマー組成物内にゴム相を形成するエラストマー特性を有する。プロピレン-アルファ-オレフィンコポリマーの組み込みは、耐衝撃性を改善するが、清澄性を犠牲にする。
【0006】
ゴム相を含有するヘテロ相ポリプロピレン組成物の透明性を改善するため、当業者は、ゴム相のサイズを低減することを試みた。例えば、マトリックスポリマーにエチレンを添加し、ゴム相中のエチレン含有量を最小化することを利用して、マトリックス相とゴム相との間の相溶性を改善することができる。しかしながら、過去の試みは、透明性と衝撃強度との所望のブレンドを有するポリマー組成物を適切に提供することができなかった。より具体的には、過去の試みは、氷点下温度で十分な耐衝撃性を有するポリプロピレンポリマー組成物を製造できなかった。
【0007】
概して、本開示は、特性のバランスが改善されたポリプロピレンポリマー組成物に関する。本開示に従って作製されたポリプロピレンポリマー組成物は、例えば、優れた氷点下耐衝撃強度と共に、優れた清澄特性を有するように配合され得る。一実施形態では、ポリプロピレンポリマー組成物は、プロピレンと、比較的多量のアルファ-オレフィンを含有する及びアルファ-オレフィンコポリマーと組み合わされたポリプロピレンポリマーを含む。各ポリマー相の(エチレンなどの)アルファ-オレフィン含有量は、所望の限界内で制御され得る。加えて、各ポリマー相の相対量を、特定の特性を最大化するように選択することができる。一実施形態では、一緒にブレンドされるポリマーはいずれも、ポリマー加工中に異なるパラメータ及び変数を綿密に制御することを可能にするチーグラー・ナッタ触媒系を使用して作製される。
【0008】
一実施形態では、例えば、本開示は、第2のポリマー相と組み合わされた又はブレンドされた第1のポリマー相を含むポリプロピレン組成物に関する。第1のポリマー相は、ポリプロピレンランダムコポリマーなどの、ポリプロピレンポリマーを含む。ポリプロピレンランダムコポリマーは、最大約4重量%までの量、例えば約1重量%~約4重量%の量のエチレン又はブチレンなどの、アルファ-オレフィンを含有し得る。ポリプロピレンランダムコポリマーは、約10%未満、例えば約8重量%未満のキシレン可溶性画分を有し得る。ポリプロピレンランダムコポリマーは、一般に、約50重量%超の量、例えば約60重量%超の量、例えば約65重量%超の量でポリマー組成物中に存在する。第1のポリマー相は、一般に、約20g/10分~約50g/10分のメルトフローレートを有し得る。
【0009】
第1のポリマー相とブレンドされた第2のポリマー相は、一般に、プロピレンと、エチレンなどの比較的多量のアルファ-オレフィンを含有するプロピレンエチレンコポリマーなどのアルファ-オレフィンコポリマーと、を含む。エラストマー又はゴム様コポリマー中のエチレン量を増加させると、氷点下温度、例えば0℃未満の温度、例えば-20℃の温度でポリマー組成物の耐衝撃性を劇的かつ予想外に改善することができることが発見された。コポリマーに含有されたエチレンの量は、ポリプロピレン組成物の、キシレン可溶性部分中のエチレンの量及びキシレン不溶性部分中のエチレンの量によって特徴付けることができる。例えば、ポリプロピレン組成物(第1のポリマー相及び第2のポリマー相の両方)は、約12重量%~約25重量%の総キシレン可溶分含量を有し得る。キシレン可溶性部分は、約55重量%~約70重量%、例えば約60重量%~約70重量%の量でエチレンを含有し得る。エチレンは、キシレン不溶性部分に、約15%重量%~約40%重量%、例えば約20重量%~約38重量%の量で含有され得る。この点に関して、第2のポリマー相中のプロピレンエチレンコポリマーは、一般に、約75重量%超の量、例えば約80重量%超の量で、及び一般に、約95重量%未満の量、例えば約92重量%未満の量でエチレンを含有する。一実施形態では、エチレンは、約75重量%~約85重量%、例えば約77重量%~約83重量%の量で第2のポリマー相中に含有される。
【0010】
上記のヘテロ相ポリプロピレン組成物は、物理的特性の優れた調和を有する。例えば、-20℃で試験した場合、ポリプロピレン組成物は、約200インチ・ポンド超、例えば約250インチ・ポンド超、例えば約300インチ・ポンド超、例えば約350インチ・ポンド超、及び一般に、約500インチ・ポンド未満のガードナー衝撃強度を有し得る。加えて、ポリプロピレン組成物は、約1000MPa未満、例えば約800MPa未満、及び一般に、約500MPa超、例えば約650MPa超の曲げ弾性率を有し得る。加えて、ポリプロピレン組成物は、1mmで約45%未満のヘイズを有し得る。例えば、ヘイズは、約5%~約45%であり得る。加えて、ポリプロピレン組成物は、比較的高い清澄性を有し得る。例えば、組成物の清澄性は、約90%超、例えば約92%超であり得る。
【0011】
一般に、ポリプロピレン組成物は、約3g/10分超、例えば約5g/10分超、例えば約10g/10分超、及び一般に、約50g/10分未満のメルトフローレートを有し得る。一実施形態では、メルトフローレートは、約15g/10分~約25g/10分であり得る。第1のポリマー相のメルトフローレートのポリプロピレン組成物のメルトフローレートに対する比は、一般に1以上である。第2のポリマー相は、一般に約15重量%~約50重量%の量でポリプロピレン組成物中に含有される。一実施形態では、組成物は、透明特性を改善するための清澄剤を更に含むことができる。
【0012】
本開示のポリマー組成物を、多数の異なる種類の製品を作製するために使用することができる。一実施形態では、ポリマー組成物を使用して、射出成形物品等の様々な異なる成形物品を形成することができる。一実施形態では、ポリマー組成物を使用して、保管容器等の容器を形成することができる。保管容器は、例えば、食料品を保持するように構成されてもよく、又は倉庫、屋根裏、ガレージ等の長期保管容器を形成するために使用されてもよい。本開示のポリマー組成物は、冷凍庫用途又は容器が氷点下温度に曝される用途のための貯蔵容器及び他の包装材料に特に適している。
【0013】
本開示の他の特性及び態様を以下でより詳細に考察する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
本開示の完全かつ有効な開示は、添付の図面を参照することを含めて、本明細書の残りの部分に、より具体的に記載される。
【
図1】
図1は、本開示に従って作製された容器の一実施形態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本明細書及び図面における参照文字の使用を繰り返すことは、本発明の同じ又は類似の特性又は要素を表すことが意図される。
定義及び試験手順
【0016】
本明細書で使用される「プロピレン-エチレンコポリマー」という用語は、二次構成成分としてエチレンモノマーを有するプロピレンモノマーの大部分の重量パーセントを含有するコポリマーである。「プロピレン-エチレンコポリマー」(ポリプロピレンランダムコポリマー、PPR、PP-R、RCP、又はRACOとも呼ばれる)は、ポリマー鎖内にランダム又は統計的な分布で存在するエチレンモノマーの個々の繰り返し単位を持つポリマーである。
【0017】
ASTM D1238試験法に従い、230℃で2.16kgの重量のプロピレン系ポリマーを用いて、本明細書で使用されるメルトフローレート(melt flow rate、MFR)を測定する。
【0018】
キシレン可溶分(xylene soluble、XS)は、ポリプロピレンランダムコポリマー樹脂のサンプルを高温キシレンに溶解し、溶液を25℃まで冷却させた後に溶液中に残存する樹脂の重量パーセントとして定義される。これは、90分の沈殿時間を使用するASTM D5492-06による重量XS法とも称され、本明細書では「湿式法」とも称される。XSはまた、次のようにViscotek法に従って測定することができる:ポリマー0.4gを、130℃で60分間撹拌しながらキシレン20mLに溶解する。次いで、溶液を25℃に冷却し、60分後に不溶性ポリマー画分を濾別する。得られた濾液を、1.0mL/分で流れるTHF移動相を有するViscotek ViscoGEL H-100-3078カラムを使用して、フローインジェクションポリマー分析により分析する。そのカラムを、45℃で動作する光散乱、粘度計、及び屈折計の検出器を備えたViscotek Model 302 Triple Detector Arrayに連結する。計器較正をViscotek PolyCAL(商標)ポリスチレン標準で維持する。二軸延伸ポリプロピレン(biaxially oriented polypropylene、BOPP)グレードDow 5D98などの、ポリプロピレン(polypropylene、PP)ホモポリマーを参照材料として使用して、5D98を対照として使用して方法性能を確認することにより、Viscotek機器及びサンプル調製手順が一貫した結果を提供することを確実にする。5D98の値は、最初は上記で特定されたASTM法を使用する試験に由来する。
【0019】
上述のASTM D5492-06の方法は、キシレン可溶性部分を決定するように適合されてもよい。一般に、この手順は、サンプルを2g秤量すること、及びそのサンプルを24/40ジョイントを備える400mLのフラスコ中のo-キシレン200mL中に溶解させることからなる。フラスコを水冷コンデンサに接続し、内容物を撹拌し、窒素(N2)下で加熱還流し、次いで、更に30分間還流を維持する。次いで、溶液を温度制御された水浴内で25℃で90分間冷却して、キシレン不溶画分を結晶化させる。溶液が冷却され、不溶画分が溶液から沈殿した時点で、キシレン可溶性部分(XS)のキシレン不溶性部分(xylene insoluble、XI)からの分離を、25マイクロメートル濾紙を通して濾過することによって達成する。100mLの濾液を予め秤量したアルミニウムパン内に収集し、o-キシレンを窒素流下でこの100mLの濾液から蒸発させる。溶媒が蒸発した時点で、アルミニウムパン及び内容物を100℃の真空オーブン内に30分間又は乾燥するまで設置する。その後、アルミニウムパンを室温に冷却させ、秤量する。キシレン可溶性部分を、XS(重量%)=[(m3-m2)*2/m1]*100で計算し、式中、m1は使用されるサンプルの初期重量であり、m2は空のアルミニウムパンの重量であり、m3はパン及び残渣の重量である(アスタリスク、*、は、ここで及び本開示のその他の場所で、識別される用語又は値が乗算されていることを示す)。
【0020】
キシレン可溶性(XS)部分及びキシレン不溶分(XI)のエチレン含有量は、
13C-NMRにより測定される。Norell 1001-7 10mmのNMR管中の0.20gのサンプルに、0.025M Cr(AcAc)3を含有するテトラクロロエタン-d2/オルトロクロロベンゼンの50/50混合物を約2.7g添加することによって、サンプルを調製する。加熱ブロックを使用して、チューブ及びその内容物を150℃に加熱することによって、サンプルを溶解し、均質化する。各サンプルを目視で検査して、均質性を確認する。Bruker Dual DUL高温CryoProbeを取り付けたBruker 400MHz分光計を使用してデータを収集する。データファイル当たり500トランジェント、6秒のパルス繰り返し遅延、90度のフリップ角、及び120℃のサンプル温度での逆ゲート付きデカップリングを使用して、データを取得する。全ての測定は、無回転サンプルにおいてロックモードで行われる。サンプルを、データ収集前に10分間熱平衡化させる。
エチレン含有量は、三連子分布に基づいて計算された。三連子の化学シフトの帰属を表1に示す。
PPP=(F+A-0.5D)/2
PPE=D
EPE=C
EEE=(E-0.5G)/2
PEE=G
PEP=H
エチレン含有量は、以下の計算に基づく。
モル数P=Pが中心の三連子の合計
モル数E=Eが中心の三連子の合計
【表1】
【0021】
コポリマーにおけるランダム性又はブロック性の尺度であるKoenig B値は、KoenigB=[EP]/(2[P][E])によって計算され、式中、[EP]は、EP二量体の総モル分率(EP+PE)である。(Spectroscopy of Polymers‘’2nd edition,Jack L.Koenig,1999,Elsevier;pp17-18).
【0022】
曲げ弾性率は、ASTM D4101に従って成形された、ASTM 3641によるタイプ1の試験片を使用して、ASTM D790-10法Aに従って1.3mm/分で決定される。
【0023】
Mw/Mn(「MWD」とも呼ばれる)及びMz/Mwは、ポリプロピレンに対するゲル透過クロマトグラフィー(GPC)分析法に従うGPCによって測定される。ポリマーを屈折計検出器及び4つのPLgel Mixed A(20μm)カラム(Polymer Laboratory Inc.)を備えたPL-220シリーズの高温ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)ユニットで分析する。オーブン温度は150℃に設定されており、オートサンプラーの高温ゾーン及び加温ゾーンの温度はそれぞれ135℃及び130℃である。溶媒は、約200ppmの2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール(BHT)を含有する窒素パージされた1,2,4-トリクロロベンゼン(TCB)である。流量は1.0mL/分であり、注入量は200μLであった。2mg/mLサンプル濃度は、サンプルを、N2パージして予熱したTCB(BHT200ppmを含む)に、160℃で穏やかに撹拌しながら2.5時間溶解させることによって調製される。
【0024】
GPCカラムセットは、20個の狭い分子量分布ポリスチレン標準を実行することによって較正される。標準の分子量(Mw)は、580~8,400,000g/molの範囲であり、標準は6つの「カクテル(cocktail)」混合物に含まれていた。各標準混合物は、個々の分子量間に少なくとも数十の間隔を有する。ポリスチレン標準は、1,000,000g/mol以上の分子量の場合には溶媒20mL中に0.005g、1,000,000g/mol未満の分子量の場合には20mLの溶媒中に0.001gで調製される。ポリスチレン標準を、撹拌下、150℃で30分間溶解させる。狭い標準混合物を、最初に、また最高分子量成分を減少させて分解効果を最小限に抑えるために実行する。対数分子量較正は、溶出体積の関数として四次多項式フィットを使用して生成される。同等のポリプロピレン分子量は、ポリプロピレン(Th.G.Scholte,N.L.J.Meijerink,H.M.Schoffeleers、及びA.M.G.Brands,J.Appl.Polym.SSci.,29,3763-3782(1984))、及びポリスチレン(E.P.Otocka,R.J.Roe,N.Y.Hellman,P.M.Muglia,Macromolecules,4,507(1971))について報告されたMark-Houwink係数を用いて、以下の式:
【数1】
(式中、M
ppはPP当量MWであり、M
PSはPS当量MWであり、PP及びPSに関するlog K及びMark-Houwink係数の値は下記表2に列挙される)を使用することによって計算される。
【表2】
【0025】
IZOD衝撃強度は、ASTM D256に従って測定される。
【0026】
ガードナー衝撃試験は、ASTM D5420に従って測定される。
【0027】
ヘイズ及び清澄性は、1mmの厚さを有する射出成形プラークを使用して、BYK Gardner Haze-Gard Plus 4725を使用して、ASTM試験D1003手順A及びD1746に従って測定される。
【0028】
tanδは、二重カンチレバー固定具を有するTA instrument Q800を使用してDMA試験によって測定される。試験片を、12.7mm×3.2mm×60mmの寸法を有する曲げ弾性率試験片から切断する。サンプルをまず-150℃で平衡化し、5分間等温におき、次いで、3℃/分の加熱速度で100℃まで加熱する。
【0029】
β/αという用語は、不連続相のコポリマーの分子量の連続相のプロピレン系ポリマーの分子量に対する比に関し、β及びαは、135℃でデカリン中で測定したとき、それぞれ、コポリマー系及びプロピレン系のポリマー分画の固有粘度の値である。(ASTM D1601)。本開示の目的のため、β/αの値は、マトリックスポリマーのMFRから計算され、インパクトコポリマー全体のMFR及びビスブレーキング前のFcは、以下のとおりである:
【数2】
【0030】
ゴム粒径は、走査型電子顕微鏡(scanning electronic microscope、SEM)装置であるHitachi Tabletop Microscope TM3030Plusによって測定される。サンプルは、まず、IZOD試験バード(ASTM D4101)の中心から流れ方向に沿って切断され、次いで-20℃でクライオミクロトームを行い、RuO4で染色し、-20℃で更にクライオミクロトームを行う。SEM画像は、後方散乱(backscattering、BSE)モードで観察され、高度に染色された領域(EPRゴム)は、より明るい相であり、わずかに染色された領域は、より暗い相である。粒径は、Image-Pro(登録商標)Premierのソフトウェアによって捕捉されて分析される。D50は、50%累積体積分率における粒径という意味で計算される。
【0031】
詳細な説明
本考察は、例示的な実施形態のみの説明であり、本開示のより広範な態様を限定することを意図するものではないことを当業者は理解されたい。
【0032】
概して、本開示は、物理的特性の特有の調和を有するポリオレフィンポリマー組成物に関する。例えば、一実施形態では、ポリマー組成物は、透明性の特徴が優れているだけでなく、耐衝撃性にも優れるように配合することができる。加えて、ポリマー組成物は、良好な流動特性を有するように配合することができる。そのため、ポリマー組成物は、射出成形物品の形成に特に適している。一実施形態では、例えば、ポリマー組成物を使用して容器、特に容器内に入れた製品又は品物を容器又は包装の壁を通して見ることができる保管容器を形成することができる。本開示のポリプロピレン組成物は、冷凍庫の包装材料及び容器の製造に特に適している。
【0033】
一般に、本開示のポリプロピレン組成物は、ヘテロ相組成物を含む。詳しくは、ポリプロピレン組成物は、第2のポリマー相とブレンドされた第1のポリマー相を含む。両方のポリマー相は、制御された量の、エチレン又はブチレンなどのアルファ-オレフィンを含有する、ポリプロピレンコポリマーから形成される。例えば、一実施形態では、第1のポリマー相は、最大約4重量%までの量のエチレンを含有するポリプロピレンランダムコポリマーを含む。第1のポリマー相は、一般に、第2のポリマー相よりも多い量でポリマー組成物中に存在するため、マトリックスポリマーを形成する。一方、第2のポリマー相は、エラストマー又はゴム様の特性を有するポリプロピレンコポリマーを含む。本開示によれば、第2のポリマー相は、プロピレンよりも多量のエチレンを含有する。第2のポリマー相中のエチレン量を実質的に増加させることにより、氷点下温度におけるポリマー組成物の耐衝撃性を劇的に向上させることができることが発見された。優れた清澄特性と組み合わせた、より低温で予想外に改善された靭性特性により、ポリプロピレン組成物は、低温環境で使用される容器を製造するのに特に適したものとなる。
【0034】
例えば、ガードナー耐衝撃性試験に従って試験された場合、ポリマー組成物は、-20℃で約200インチ・ポンド超、例えば約225インチ・ポンド超、例えば約250インチ・ポンド超、例えば約275インチ・ポンド超、例えば約300インチ・ポンド超、例えば約325インチ・ポンド超、及び一般に、約500インチ・ポンド未満のガードナー耐衝撃性を示すことができる。
【0035】
上述のように、優れた衝撃強度特性に加えて、本開示のポリマー組成物はまた、非常に良好な透明特性を有することができる。例えば、ポリマー組成物は、1mmで約45%未満、例えば約40%未満、例えば約35%未満、例えば更に約30%未満のヘイズを有し得る。1mmにおけるヘイズは、一般に約10%超である。
【0036】
比較的低いヘイズに加えて、本開示のポリプロピレン組成物は、優れた清澄特性を示し得る。例えば、ポリマー組成物は、約80%超、例えば約85%超、例えば約90%超、例えば約92%超の清澄性を呈し得る。
【0037】
ポリマー組成物の可撓性の性質は、第1のポリマー相及び第2のポリマー相の相対量並びに第1の相及び第2の相中のコモノマーの量を含む様々な要因に応じて変化し得る。一般に、一般的開示のポリマー組成物は、約1000MPa未満、例えば約850MPa未満、例えば約800MPa未満、例えば約750MPa未満の曲げ弾性率を有し得る。一般に、曲げ弾性率は、約500MPa超、例えば約550MPa超、例えば約600MPa超である。
【0038】
β/αという用語は、コポリマーの分子量の第1のポリマー相のマトリックスポリマー又はポリマーの分子量に対する比を指す。各ポリマーの分子量は、各ポリマーの固有粘度に比例する。固有粘度は、所与の溶媒中及び所与の温度におけるポリマーの溶液の粘度を示す。本開示のポリマー組成物は、約1超、例えば1.1以上のβ/α比を有し得る。例えば、β/α比は、約1.2超、例えば約1.3超であり得る。一般に、β/α比は、約2未満、例えば約1.8未満、例えば約1.6未満である。
【0039】
本開示に従って配合されたポリマー組成物はまた、比較的高い衝撃強度を保持しながら優れた流動特性を有することができる。例えば、本開示のポリマー組成物は、約3g/10分超、例えば約15g/10分超、例えば約17g/10分超、例えば約18g/10分超のメルトフローレートを有することができる。メルトフローレートは、一般に、約80g/10分未満、例えば約70g/10分未満、例えば約50g/10分未満、約35g/10分未満、例えば約30g/10分未満である。上記の流動特性により、ポリマー組成物は、射出成形用途での使用に特に適している。
【0040】
上記のように、本開示のポリプロピレン組成物は、一般に、第2相ポリマーと組み合わされた第1相ポリマーを含む。第1相ポリマーは、ポリプロピレンのランダムコポリマーなどの、ポリプロピレンポリマーを含む。ランダムコポリマーは、例えば、プロピレンと、エチレン又はブチレンなどのアルファ-オレフィンとのコポリマーであり得る。ポリプロピレンランダムコポリマーは、ポリプロピレン組成物においてマトリックスポリマーを形成し、最大約4重量%までの量、例えば約3.8重量%未満の量、例えば約3.5重量%未満の量、及び一般に、約0.5重量%超の量、例えば約1重量%超の量、例えば約1.5重量%超の量、例えば約2重量%超の量のアルファ-オレフィンを含有し得る。第1相ポリマーは、一般に、約12重量%未満の、例えば約10重量%未満の量、例えば約8重量%未満の量、例えば約7重量%未満の量のキシレン可溶分含量を有し得る。キシレン可溶分含量は、一般に約0.5重量%超、例えば約3重量%超である。
【0041】
以下により詳細に記載されるように、第1相ポリマーは、チーグラー・ナッタ触媒で触媒されたポリマーを含むことができ、比較的広い分子量分布を有することができる。例えば、約3.8超、例えば約4超、例えば約4.3超、例えば約4.5超、例えば約4.8超、例えば約5超、例えば約5.2超、例えば約5.5超、例えば約5.7超、例えば約6超、及び一般に約9未満、例えば約8.5未満、例えば約8未満の分子量分布(Mw/Mn)。第1相ポリマーの重量平均分子量(GPCによって決定される)は、一般に約100,000超、例えば約120,000超である。
【0042】
第1相ポリマーを構成するポリプロピレンランダムコポリマーは、一実施形態では、比較的高いメルトフローレートを有する。例えば、第1相ポリマーは、約15g/10分超、例えば約18g/10分超、例えば約20g/10分超、約22g/10分超、例えば約25g/10分超のメルトフローレートを有することができる。第1相ポリマーのメルトフローレートは、一般に約80g/10分未満、例えば、約50g/10分未満である。
【0043】
第2相ポリマーは、プロピレンとアルファ-オレフィンとのコポリマーである。加えて、第2相ポリマーは、エラストマー又はゴム様の特性を有する。そのため、第2相ポリマーは、ポリマー組成物の耐衝撃性を劇的に改善することができる。
【0044】
本開示によれば、第2相ポリマーは、第2のポリマー相に含まれるプロピレンの量に対して比較的多量のアルファ-オレフィンを含有する。例えば、一実施形態では、第2相ポリマーは、存在するプロピレンの量よりも多い量のエチレンを含有する。第2のポリマー相のエチレン含有量を増加させることにより、氷点下温度におけるポリマー組成物の耐衝撃性を予想外かつ劇的に改善することが見出されている。
【0045】
第2のポリマー相に含まれるエチレンの量は、キシレン可溶分中及びキシレン不溶分中のエチレンの量を検定することによって特徴付けるか、又は定量することができる。例えば、本開示のポリプロピレン組成物は、一般に、約12重量%超、例えば約15重量%超、例えば約18重量%超、例えば約20重量%超、及び一般に、約40重量%未満、例えば約30重量%未満、例えば約25重量%未満、例えば約21重量%未満の、総キシレン可溶分含量を有し得る。したがって、ポリプロピレン組成物は、キシレン可溶性部分及びキシレン不溶性部分を含む。本開示によれば、エチレンは、キシレン可用性部分に、約55重量%超の量、例えば約58重量%超の量、例えば約60重量%超の量で、及び一般に、約70重量%未満の量、例えば約68重量%未満の量で含有され得る。一方で、キシレン不溶性部分に含有されるエチレンの量は、一般に、約15重量%超、例えば約18重量%超、例えば約20重量%超、及び一般に、約50重量%未満、例えば約40重量%未満、例えば約38重量%未満であり得る。
【0046】
上記の範囲に基づいて、エチレンは、第2のポリマー相に、約75重量%超の量、例えば約80重量%超の量、例えば約85重量%超の量、及び一般に約95重量%未満の量、例えば約90重量%未満の量で含有されていると考えられる。
【0047】
第2相ポリマーは、少なくとも約130,000、例えば少なくとも約140,000、例えば少なくとも約150,000、及び一般に約500,000未満の重量平均分子量を有することができる。
【0048】
第1相ポリマーは、一般にマトリックスを形成し、第2相ポリマーは、マトリックス内に粒子を形成する。過去には、第2相ポリマー粒子のサイズを低減するために、様々な努力がなされた。しかしながら、本開示のポリマー組成物では、第2相ポリマー粒子は、比較的大きなサイズを有する。比較的大きい第2相ポリマー粒子を依然として有しながらも、清澄性及びヘイズを含む優れた物理的特性を得ることができることが、予想外に発見された。例えば、第2相ポリマー粒子は、約1マイクロメートル超、例えば約1.1マイクロメートル超、及び一般に、約8マイクロメートル未満、例えば約6マイクロメートル未満、例えば約4マイクロメートル未満の平均粒径(D50)を有し得る。例えば、平均粒径は、約1.5マイクロメートル超、例えば約2マイクロメートル超、例えば約2.5マイクロメートル超、例えば3マイクロメートル超であり得る。例えば、一実施形態では、平均粒径は、約1マイクロメートル~約5マイクロメートルであり得る。一実施形態では、第2相ポリマーに含有される粒子の50%超は、体積分率に基づいて、約2マイクロメートル超、例えば約3マイクロメートル超であり得る。例えば、一実施形態では、粒子の50%は、体積分率で約3マイクロメートル~約5マイクロメートルの粒径を有する。
【0049】
ポリマー組成物に含まれる異なる相の相対量は、様々な要因及び所望の結果に応じて変化し得る。一般に、第2のポリマー相は、約15重量%超の量、例えば約20重量%超の量、例えば約25重量%超の量、例えば約30重量%超の量、例えば約35重量%超の量、及び一般に、約60重量%未満の量、例えば約50重量%未満の量、例えば約40重量%未満の量、例えば約35重量%未満の量で、ポリプロピレン組成物中に含有され得る。例えば、第2相ポリマーは、約15重量%超の量、及び約60重量%未満の量で、それらの間の1重量%の全ての増分を含んで、組成物中に存在し得る。
【0050】
第1相ポリマー及び第2相ポリマーに加えて、本開示のポリプロピレン組成物は、様々な他の添加剤及び成分を含有することができる。例えば、ポリプロピレン組成物は、核形成剤、離型剤、スリップ剤、粘着防止剤、UV安定剤、熱安定剤(例えばDSTDP)、着色剤/染料等を含有することができる。一実施形態では、ポリマー組成物は、ヒンダードフェノール系酸化防止剤等の酸化防止剤を含有することができる。ポリマー組成物はまた、酸捕捉剤を含有することができる。添加剤のそれぞれは、一般に、約3重量%未満の量、例えば約2重量%未満の量、例えば約1重量%未満の量、例えば約0.5重量%未満の量、及び一般に約0.001重量%超の量でポリマー組成物中に存在し得る。
【0051】
一実施形態では、ポリプロピレン組成物は、清澄化剤を更に含有し得る。清澄化剤は、組成物の透明特性を更に改善するために添加することができる。清澄化剤は、例えば、組成物内にゲル化ネットワークを生成することができる化合物を含み得る。
【0052】
一実施形態では、清澄化剤は、ソルビトールアセタール誘導体等のソルビトール化合物を含んでもよい。一実施形態では、例えば、清澄化剤は、ベンジルソルビトールを含んでもよい。
【0053】
いくつかの実施形態で添加剤として使用することができるソルビトールアセタール誘導体に関して、ソルビトールアセタール誘導体は、式(I):
【化1】
(式中、R1~R5は、水素及びC1~C3アルキルから選択される同じ又は異なる部分を含む)で示される。
【0054】
いくつかの実施形態では、ソルビトールアセタール誘導体が2,4-ジベンジリデンソルビトール(「DBS」)となるように、R1~R5は水素である。いくつかの実施形態では、ソルビトールアセタール誘導体が1,3:2,4-ジ-p-メチルジベンジリデン-D-ソルビトール(「MDBS」)となるように、R1、R4及びR5は水素であり、R2及びR3はメチル基である。いくつかの実施形態では、ソルビトールアセタール誘導体が1,3:2,4-ビス(3,4-ジメチロベンジリデノ)ソルビトール(「DMDBS」)となるように、R1~R4はメチル基であり、R5は水素である。いくつかの実施形態では、ソルビトールアセタール誘導体が1,2,3-トリデオキシ-4,6:5,7-ビス-O-(4-プロピルフェニルメチレン)ノニトール(「TBPMN」)となるように、R2、R3、及びR5はプロピル基(-CH2-CH2-CH3)であり、R1及びR4は水素である。
【0055】
使用され得る清澄化剤の他の実施形態としては、以下が挙げられる:
1,3:2,4-ジベンジリデンソルビトール、
1,3:2,4-ビス(p-メチルベンジリデン)ソルビトール、
ジ(p-メチルベンジリデン)ソルビトール
ジ(p-エチルベンジリデン)ソルビトール
ビス(5’,6’,7’,8’-テトラヒドロ-2-ナフチリデン)ソルビトール。
【0056】
一実施形態では、清澄化剤はまた、ベンゼントリスアミドなどのビスアミドを含んでもよい。上記の清澄化剤を、単独で又は組み合わせて使用することができる。
【0057】
ポリマー組成物中に存在する場合、1つ以上の清澄化剤は、一般に約200ppm超の量、例えば約1,800ppm超の量、例えば約2,000ppm超の量、例えば約2,200ppm超の量で添加される。1つ以上の清澄化剤は、一般に約5,000ppm未満、例えば約4,000ppm未満、例えば約3,000ppm未満、例えば約2,000ppm未満の量で存在し、組成物中に存在する清澄化剤の量は、使用される清澄化剤の種類を含む様々な要因に依存し得る。
【0058】
第1相ポリマー及び第2相ポリマーは、様々な異なる重合方法及び手順を用いて生成され得る。一実施形態では、チーグラー・ナッタ触媒を使用してポリマー組成物を生成する。例えば、オレフィン重合は、触媒、内部電子供与体、共触媒、及び任意に外部電子供与体を含む触媒系の存在下で生じ得る。式CH2=CHRのオレフィン(式中、Rは水素又は1~12個の原子を有する炭化水素ラジカルである)は、ポリマー生成物を形成するのに好適な条件下で触媒系と接触させることができる。共重合は、本開示のヘテロ相組成物を生成するために、方法-工程プロセスにおいて生じ得る。重合プロセスは、流動床若しくは撹拌床の反応器を使用して気相中で、又は不活性炭化水素溶媒若しくは希釈剤若しくは液体モノマーを使用してスラリー相で、既知の手法を使用して実施され得る。
【0059】
一実施形態では、第1相ポリマー及び第2相ポリマーは、連続ポリマー相のプロピレンランダムコポリマーが調製される第1段階と、プロピレンコポリマーが生成される第2段階と、を含む2段階プロセスで生成することができる。第1段階の重合は、1つ以上のバルク反応器又は1つ以上の気相反応器で実行することができる。第2段階の重合は、1つ以上の気相反応器で実行することができる。第2段階の重合は、典型的には、第1段階の重合の直後に実行される。例えば、第1の重合段階から回収された重合生成物を、第2の重合段階に直接搬送することができる。この点に関して、重合は、逐次重合プロセスに従って実施してもよい。ヘテロ相コポリマー組成物が生成される。
【0060】
本開示の一実施形態では、重合は、立体規則オレフィン重合触媒の存在下で実施される。例えば、触媒は、チーグラー・ナッタ触媒であってもよい。例えば、一実施形態では、商品名CONSISTAで販売され、W.R.Grace&Companyから商業的に入手可能な触媒を使用することができる。一実施形態では、フタレートを含有しない電子供与体が選択される。
【0061】
一実施形態では、触媒は、塩化チタン等のチタン部分、塩化マグネシウム等のマグネシウム部分、及び少なくとも1つの内部電子供与体を含有するプロ触媒組成物を含む。
【0062】
プロ触媒前駆体は、(i)マグネシウム、(ii)周期表の第IV族~第VII族からの遷移金属化合物、(iii)ハロゲン化物イオン、オキシハライド及び/若しくはアルコキシド、並びに/又は(i)若しくは(i)及び/若しくは(ii)のアルコキシド、並びに(iv)(i)、(ii)及び(iii)の組み合わせを含むことができる。好適なプロ触媒前駆体の非限定例としては、マグネシウム、マンガン、チタン、バナジウム、クロム、モリブデン、ジルコニウム、ハフニウムのハロゲン化物、オキシハライド、アルコキシド、及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0063】
一実施形態では、プロ触媒前駆体は、唯一の金属成分としてマグネシウムを含有する。非限定的な例としては、無水塩化マグネシウム及び/若しくはそのアルコール付加物、マグネシウムアルコキシド及び若しくはアリールオキシド、混合マグネシウムアルコキシハライド、並びに/又はカルボキシル化マグネシウムジアルコキシド若しくはアリールオキシドが挙げられる。
【0064】
一実施形態では、プロ触媒前駆体は、無水塩化マグネシウムのアルコール付加物である。無水塩化マグネシウム付加物は、一般にMgCl2-nROHとして定義され、式中、nは1.5~6.0、好ましくは2.5~4.0、最も好ましくは2.8~3.5モルの範囲の総アルコールを有する。ROHは、C1~C4アルコール、直鎖若しくは分枝鎖、又はアルコールの混合物である。好ましくは、ROHはエタノール、又はエタノールと高級アルコールとの混合物である。ROHが混合物である場合、エタノールの高級アルコールに対するモル比は、少なくとも80:20、好ましくは90:10、最も好ましくは少なくとも95:5である。
【0065】
一実施形態では、実質的に球状のMgCl2-nEtOH付加物は、噴霧結晶化プロセスによって形成され得る。一実施形態では、球状MgCl2前駆体は、約15~150マイクロメートル、好ましくは20~100マイクロメートル、最も好ましくは35~85マイクロメートルの平均粒径(Malvern d50)を有する。
【0066】
一実施形態では、プロ触媒前駆体は、遷移金属化合物及びマグネシウム金属化合物を含有する。遷移金属化合物は、一般式TrXxを有し、式中、Trは遷移金属、Xはハロゲン又はC1~10ヒドロカルボキシル若しくはヒドロカルビル基、xは、マグネシウム金属化合物と組み合わせられた化合物中のかかるX基の数である。Trは、第IV族金属、第V族金属、又は第VI族金属であってもよい。一実施形態では、好ましくは、Trはチタン等の第IV族金属である。Xは、塩化物イオン、臭化物イオン、C1~4アルコキシド若しくはフェノキシド、又はこれらの混合物であってもよい。一実施形態では、Xは、塩化物イオンである。
【0067】
前駆体組成物は、前述の混合マグネシウム化合物、チタン化合物、又はそれらの混合物の塩素化によって調製されてもよい。
【0068】
一実施形態では、前駆体組成物は、式MgdTi(ORe)fXgを有する混合マグネシウム/チタン化合物であり、式中、Reは、1~14個の炭素原子を有する脂肪族又は芳香族炭化水素ラジカル又はCOR’であり、式中、R’は、1~14個の炭素原子を有する脂肪族又は芳香族炭化水素ラジカルであり、各ORe基は、同じであるか又は異なり、Xは独立して、塩素、臭素、又はヨウ素であり、dは0.5~56、又は2~4、又は3であり、fは、2~116又は5~15であり、gは、0.5~116又は1~3である。
【0069】
本開示によれば、上述のプロ触媒前駆体は、少なくとも1つの内部電子供与体と組み合わされる。内部電子供与体は、置換フェニレン芳香族ジエステルを含むことができる。
【0070】
一実施形態では、第1の内部電子供与体は、以下の構造(I):
【化2】
を有する置換フェニレン芳香族ジエステルを含み、式中、R
1~R
14は、同一であるか又は異なる。R
1~R
14はそれぞれ、水素、1~20個の炭素原子を有する置換ヒドロカルビル基、1~20個の炭素原子を有する非置換ヒドロカルビル基、1~20個の炭素原子を有するアルコキシ基、ヘテロ原子、及びそれらの組み合わせから選択される。R
1~R
14のうちの少なくとも1つは、水素ではない。
【0071】
一実施形態では、置換フェニレン芳香族ジエステルは、その全ての内容が参照により本明細書に組み込まれる、2008年12月31日に出願された米国特許出願第61/141,959号に開示される任意の置換フェニレン芳香族ジエステルであってもよい。
【0072】
一実施形態では、置換フェニレン芳香族ジエステルは、その全ての内容が参照により本明細書に組み込まれる、2011年12月20日に出願された国際公開第12088028号に開示される任意の置換フェニレン芳香族ジエステルであってもよい。
【0073】
一実施形態では、R1~R4のうちの少なくとも1つ(又は2つ、又は3つ、又は4つ)のR基(複数の場合もある)は、1~20個の炭素原子を有する置換ヒドロカルビル基、1~20個の炭素原子を有する非置換ヒドロカルビル基、1~20個の炭素原子を有するアルコキシ基、ヘテロ原子、及びそれらの組み合わせから選択される。
【0074】
一実施形態では、R5~R14のうちの少なくとも1つ(又はいくつか、又は全て)のR基(複数の場合もある)は、1~20個の炭素原子を有する置換ヒドロカルビル基、1~20個の炭素原子を有する非置換ヒドロカルビル基、1~20個の炭素原子を有するアルコキシ基、ヘテロ原子、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。別の実施形態では、R5~R9のうちの少なくとも1つ及びR10~R14のうちの少なくとも1つは、1~20個の炭素原子を有する置換ヒドロカルビル基、1~20個の炭素原子を有する非置換ヒドロカルビル基、1~20個の炭素原子を有するアルコキシ基、ヘテロ原子、及びそれらの組み合わせから選択される。
【0075】
一実施形態では、R1~R4のうちの少なくとも1つ及びR5~R14の少なくとも1つは、1~20個の炭素原子を有する置換ヒドロカルビル基、1~20個の炭素原子を有する非置換ヒドロカルビル基、1~20個の炭素原子を有するアルコキシ基、ヘテロ原子、及びこれらの組み合わせから選択される。別の実施形態では、R1~R4のうちの少なくとも1つ、R5~R9のうちの少なくとも1つ及びR10~R14うちの少なくとも1つは、1~20個の炭素原子を有する置換ヒドロカルビル基、1~20個炭素原子を有する非置換ヒドロカルビル基、1~20個の炭素原子を有するアルコキシ基、ヘテロ原子、及びそれらの組み合わせから選択される。
【0076】
一実施形態では、R1~R4の任意の連続するR基、及び/又はR5~R9の任意の連続するR基、及び/又はR10~R14の任意の連続するR基は、連結されて、環間構造体又は環内構造体を形成してもよい。環間/環内構造体は、芳香族であっても、又は芳香族でなくてもよい。一実施形態では、環間/環内構造体は、C5員環又はC6員環である。
【0077】
一実施形態では、R1~R4のうちの少なくとも1つは、1~20個の炭素原子を有する置換ヒドロカルビル基、1~20個の炭素原子を有する非置換ヒドロカルビル基、及びこれらの組み合わせから選択される。任意に、R5~R14のうちの少なくとも1つは、ハロゲン原子又は1~20個の炭素原子を有するアルコキシ基であってもよい。任意に、R1~R4、及び/又はR5~R9、及び/又はR10~R14は、連結されて、環間構造体又は環内構造体を形成してもよい。環間構造体及び/又は環内構造体は、芳香族であっても、又は芳香族でなくてもよい。
【0078】
一実施形態では、R1~R4、及び/又はR5~R9、及び/又はR10~R14の任意の連続するR基は、C5~C6員環の環員であってもよい。
【0079】
一実施形態では、構造(I)は、水素としてR1、R3及びR4を含む。R2は、1~20個の炭素原子を有する置換ヒドロカルビル基、1~20個の炭素原子を有する非置換ヒドロカルビル基、及びそれらの組み合わせから選択される。R5~R14は、同一であるか又は異なり、R5~R14のそれぞれは、水素1~20個の炭素原子を有する置換ヒドロカルビル基、1~20個の炭素原子を有する非置換ヒドロカルビル基、1~20個の炭素原子を有するアルコキシ基、ハロゲン及びそれらの組み合わせから選択される。
【0080】
一実施形態では、R2は、C1~C8アルキル基、C3~C6シクロアルキル、又は置換C3~C6シクロアルキル基から選択される。R2は、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、t-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、2,4,4-トリメチルペンタン-2-イル基、シクロペンチル基、及びシクロヘキシル基であり得る。
【0081】
一実施形態では、構造(I)は、メチルであるR2を含み、R5~R14のそれぞれは、水素である。
【0082】
一実施形態では、構造(I)は、エチルであるR2を含み、R5~R14のそれぞれは、水素である。
【0083】
一実施形態では、構造(I)は、t-ブチルであるR2を含み、R5~R14のそれぞれは、水素である。
【0084】
一実施形態では、構造(I)は、エトキシカルボニルであるR2を含み、R5~R14のそれぞれは、水素である。
【0085】
一実施形態では、構造(I)は、それぞれ水素としてR2、R3及びR4を含み、R1は、1~20個の炭素原子を有する置換ヒドロカルビル基、1~20個の炭素原子を有する非置換ヒドロカルビル基、及びそれらの組み合わせから選択される。R5~R14は、同一であるか又は異なり、それぞれは、水素、1~20個の炭素原子を有する置換ヒドロカルビル基、1~20個の炭素原子を有する非置換ヒドロカルビル基、1~20個の炭素原子を有するアルコキシ基、ハロゲン、及びそれらの組み合わせから選択される。
【0086】
一実施形態では、構造(I)は、メチルであるR1を含み、R5~R14のそれぞれは、水素である。
【0087】
一実施形態では、構造(I)は、水素であるR2及びR4を含み、R1及びR3は、同じであるか又は異なる。R1及びR3のそれぞれは、1~20個の炭素原子を有する置換ヒドロカルビル基、1~20個の炭素原子を有する非置換ヒドロカルビル基、及びそれらの組み合わせから選択される。R5~R14は、同一であるか又は異なり、R5~R14のそれぞれは、1~20個の炭素原子を有する置換ヒドロカルビル基、1~20個の炭素原子を有する非置換ヒドロカルビル基、1~20個の炭素原子を有するアルコキシ基、ハロゲン、及びこれらの組み合わせから選択される。
【0088】
一実施形態では、構造(I)は、同じであるか又は異なるR1及びR3を含む。R1及びR3のそれぞれは、C1~C8アルキル基、C3~C6シクロアルキル基、又は置換C3~C6シクロアルキル基から選択される。R5~R14は同じであるか又は異なっており、R5~R14のそれぞれは、水素、C1~C8アルキル基、及びハロゲンから選択される。好適なC1~C8アルキル基の非限定的な例としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、i-ブチル、t-ブチル、n-ペンチル、i-ペンチル、ネオペンチル、t-ペンチル、n-ヘキシル、及び2,4,4-トリメチルペンタン-2-イル基が挙げられる。好適なC3~C6シクロアルキル基の非限定的な例としては、シクロペンチル基及びシクロヘキシル基が挙げられる。更なる実施形態では、R5~R14のうちの少なくとも1つは、C1~C8アルキル基又はハロゲンである。
【0089】
一実施形態では、構造(I)は、メチル基であるR1、及びt-ブチル基であるR3を含む。R2、R4及びR5~R14のそれぞれは、水素である。
【0090】
一実施形態では、構造(I)は、イソプロピル基であるR1及びR3を含む。R2、R4及びR5~R14のそれぞれは、水素である。
【0091】
一実施形態では、構造(I)は、メチル基としてR1、R5、及びR10のそれぞれを含み、R3は、t-ブチル基である。R2、R4、R6~R9、及びR11~R14のそれぞれは、水素である。
【0092】
一実施形態では、構造(I)は、メチル基としてR1、R7、及びR12のそれぞれを含み、R3は、t-ブチル基である。R2、R4、R5、R6、R8、R9、R10、R11、R13、及びR14のそれぞれは、水素である。
【0093】
一実施形態では、構造(I)は、メチル基としてR1を含み、R3は、t-ブチル基である。R7及びR12のそれぞれは、エチル基である。R2、R4、R5、R6、R8、R9、R10、R11、R13、及びR14のそれぞれは、水素である。
【0094】
一実施形態では、構造(I)は、メチル基としてR1、R5、R7、R9、R10、R12、及びR14のそれぞれを含み、R3は、t-ブチル基である。R2、R4、R6、R8、R11、及びR13のそれぞれは、水素である。
【0095】
一実施形態では、構造(I)は、メチル基としてR1を含み、R3はt-ブチル基である。R5、R7、R9、R10、R12、及びR14のそれぞれは、i-プロピル基である。R2、R4、R6、R8、R11、及びR13のそれぞれは、水素である。
【0096】
一実施形態では、置換フェニレン芳香族ジエステルは、メチル基であるR
1を含む構造(II)を有し、R
3は、t-ブチル基である。R
2及びR
4のそれぞれは、水素である。R
8及びR
9は、1-ナフトイル部分を形成するためのC
6員環の環員である。R
13及びR
14は、C
6員環の環員であり、別の1-ナフトイル部分を形成する。構造(II)は、以下に提供される。
【化3】
【0097】
一実施形態では、置換フェニレン芳香族ジエステルは、メチル基であるR
1を含む構造(III)を有し、R
3は、t-ブチル基である。R
2及びR
4のそれぞれは、水素である。R
6及びR
7は、2-ナフトイル部分を形成するためのC
6員環の環員である。R
12及びR
13は、2-ナフトイル部分を形成するためのC
6員環の環員である。構造(III)は、以下に提供される。
【化4】
【0098】
一実施形態では、構造(I)は、メチル基であるR1を含み、R3は、t-ブチル基である。R7及びR12のそれぞれは、エトキシ基である。R2、R4、R5、R6、R8、R9、R10、R11、R13、及びR14のそれぞれは、水素である。
【0099】
一実施形態では、構造(I)は、メチル基であるR1を含み、R3は、t-ブチル基である。R7及びR12のそれぞれは、フッ素原子である。R2、R4、R5、R6、R8、R9、R10、R11、R13、及びR14のそれぞれは、水素である。
【0100】
一実施形態では、構造(I)は、メチル基であるR1を含み、R3は、t-ブチル基である。R7及びR12のそれぞれは、塩素原子である。R2、R4、R5、R6、R8、R9、R10、R11、R13、及びR14のそれぞれは、水素である。
【0101】
一実施形態では、構造(I)は、メチル基であるR1を含み、R3は、t-ブチル基である。R7及びR12のそれぞれは、臭素原子である。R2、R4、R5、R6、R8、R9、R10、R11、R13、及びR14のそれぞれは、水素である。
【0102】
一実施形態では、構造(I)は、メチル基であるR1を含み、R3は、t-ブチル基である。R7及びR12のそれぞれは、ヨウ素原子である。R2、R4、R5、R6、R8、R9、R10、R11、R13、及びR14のそれぞれは、水素である。
【0103】
一実施形態では、構造(I)は、メチル基であるR1を含み、R3は、t-ブチル基である。R6、R7、R11、及びR12のそれぞれは、塩素原子である。R2、R4、R5、R8、R9、R10、R13、及びR14のそれぞれは、水素である。
【0104】
一実施形態では、構造(I)は、メチル基であるR1を含み、R3は、t-ブチル基である。R6、R8、R11、及びR13のそれぞれは、塩素原子である。R2、R4、R5、R7、R9、R10、R12、及びR14のそれぞれは、水素である。
【0105】
一実施形態では、構造(I)は、メチル基であるR1を含み、R3は、t-ブチル基である。R2、R4及びR5~R14のそれぞれは、フッ素原子である。
【0106】
一実施形態では、構造(I)は、メチル基であるR1を含み、R3は、t-ブチル基である。R7及びR12のそれぞれは、トリフルオロメチル基である。R2、R4、R5、R6、R8、R9、R10、R11、R13、及びR14のそれぞれは、水素である。
【0107】
一実施形態では、構造(I)は、メチル基であるR1を含み、R3は、t-ブチル基である。R7及びR12のそれぞれは、エトキシカルボニル基である。R2、R4、R5、R6、R8、R9、R10、R11、R13及びR14のそれぞれは、水素である。
【0108】
一実施形態では、R1は、メチル基であり、R3は、t-ブチル基である。R7及びR12のそれぞれは、エトキシ基である。R2、R4、R5、R6、R8、R9、R10、R11、R13、及びR14のそれぞれは、水素である。
【0109】
一実施形態では、構造(I)は、メチル基であるR1を含み、R3は、t-ブチル基である。R7及びR12のそれぞれは、ジエチルアミノ基である。R2、R4、R5、R6、R8、R9、R10、R11、R13、及びR14のそれぞれは、水素である。
【0110】
一実施形態では、構造(I)は、メチル基であるR1を含み、R3は2,4,4-トリメチルペンタン-2-イル基である。R2、R4及びR5~R14のそれぞれは、水素である。
【0111】
一実施形態では、構造(I)は、それぞれがsec-ブチル基であるR1及びR3を含む。R2、R4及びR5~R14のそれぞれは、水素である。
【0112】
一実施形態では、置換フェニレン芳香族ジエステルは、R
1及びR
2がC
6員環の環員であり、1,2-ナフタレン部分を形成する、構造(IV)を有する。R
5~R
14のそれぞれは、水素である。構造(IV)は、以下に提供される。
【化5】
【0113】
一実施形態では、置換フェニレン芳香族ジエステルは、R
2及びR
3がC
6員環の環員であり、2,3-ナフタレン部分を形成する、構造(V)を有する。R
5~R
14のそれぞれは、水素である。構造(V)は、以下に提供される。
【化6】
【0114】
一実施形態では、構造(I)は、それぞれメチル基であるR1及びR4を含む。R2、R3、R5~R9、及びR10~R14のそれぞれは、水素である。
【0115】
一実施形態では、構造(I)は、メチル基であるR1を含む。R4は、i-プロピル基である。R2、R3、R5~R9、及びR10~R14のそれぞれは、水素である。
【0116】
一実施形態では、構造(I)は、R1、R3、及びR4を含み、これらのそれぞれは、i-プロピル基である。R2、R5~R9及びR10~R14のそれぞれは、水素である。
【0117】
一実施形態では、R1及びR4のそれぞれは、メチル基、エチル基、及びビニル基から選択される。R2及びR3のそれぞれは、水素、第二級アルキル基、又は第三級アルキル基から選択され、R2及びR3は、同時に水素ではない。換言すれば、R2が水素である場合、R3は水素ではない(逆もまた同様)。
【0118】
一実施形態では、二座様式で配位することができるポリエーテルを一般に含む第2の内部電子供与体が使用されてもよい。一実施形態では、第2の内部電子供与体は、構造VIの置換1,3-ジエーテルである。
【化7】
式中、R
1及びR
2は、同一又は異なり、メチル、C
2~C
18直鎖若しくは分岐鎖アルキル、C
3~C
18シクロアルキル、C
4~C
18シクロアルキル-アルキル、C
4~C
18アルキル-シクロアルキル、フェニル、有機ケイ素、C
7~C
18アリールアルキル、又はC
7~C
18アルキルアリールラジカルであり、R
1又はR
2もまた水素原子であってもよい。
【0119】
一実施形態では、第2の内部電子供与体は、環状又は多環式の構造VIIを有する1,3-ジエーテルを含んでもよい。
【化8】
式中、R
1、R
2、R
3、及びR
4は、構造VIのR
1及びR
2について記載したとおりであるか、又は組み合わされて、任意にN、O又はSヘテロ原子を含有する、1つ以上のC
5~C
7縮合芳香族又は非芳香族環構造を形成してもよい。第2の内部電子供与体の特定の例としては、
4,4-ビス(メトキシメチル)-2,6-ジメチルヘプタン、9,9-ビス(メトキシメチル)フルオレン、又はこれらの混合物が挙げられる。
【0120】
前駆体は、無機ハロゲン化合物、好ましくはハロゲン化チタン化合物と更に反応(ハロゲン化)し、内部電子供与体を組み込むことにより、固体プロ触媒に変換される。
【0121】
前駆体のハロゲン化のための1つの好適な方法は、前駆体を、任意に炭化水素又はハロゲン化炭化水素希釈剤の存在下、高温で、四価のチタンハロゲン化物と反応させることによるものである。好ましい四価のチタンハロゲン化物は、四塩化チタンである。
【0122】
得られるプロ触媒組成物は、一般に、約0.5%~約6重量%、例えば約1.5%~約5重量%、例えば約2重量%~約4重量%の量でチタンを含有することができる。固体触媒は、一般に、約5重量%超の量、例えば約8重量%超の量、例えば約10重量%超の量、例えば約12重量%超の量、例えば約14重量%超の量、例えば約16重量%超の量のマグネシウムを含有することができる。マグネシウムは、約25重量%未満の量、例えば約23重量%未満の量、例えば約20重量%未満の量で触媒中に含有される。内部電子供与体は、約30重量%未満の量、例えば約25重量%未満の量、例えば約22重量%未満の量、例えば約20重量%未満の量、例えば約19重量%未満の量で、触媒組成物中に存在し得る。内部電子供与体は、一般に、約5重量%超の量、例えば約9重量%超の量で存在する。
【0123】
一実施形態では、プロ触媒組成物を、触媒系を形成するために共触媒と組み合わせる。触媒系は、重合条件下でオレフィンと接触させたときにオレフィン系ポリマーを形成する系である。触媒系は、任意に、外部電子供与体、活性制限剤、及び/又は様々な他の成分を含み得る。
【0124】
本明細書で使用される「共触媒」は、プロ触媒を活性重合触媒に変換することができる物質である。共触媒は、アルミニウム、リチウム、亜鉛、スズ、カドミウム、ベリリウム、マグネシウム、及びこれらの組み合わせのヒドリド、アルキル、又はアリールを含んでもよい。一実施形態では、共触媒は、式R3Alで表されるヒドロカルビルアルミニウムコ触媒であり、式中、各Rは、アルキル、シクロアルキル、アリール又はヒドリドラジカルであり、少なくとも1個のRは、ヒドロカルビルラジカルであり、2個又は3個のRラジカルは、複素環構造を形成する環式ラジカルに結合することができ、各Rは同じであっても異なっていてもよく、ヒドロカルビルラジカルである各Rは、1~20個の炭素原子、好ましくは1~10個の炭素原子を有する。更なる実施形態では、各アルキルラジカルは直鎖であっても分岐鎖であってもよく、このようなヒドロカルビルラジカルは、混合ラジカルであってもよく、すなわち、ラジカルは、アルキル基、アリール基、及び/又はシクロアルキル基を含有し得る。好適なラジカルの非限定的な例は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、ネオペンチル、n-ヘキシル、2-メチルペンチル、n-ヘプチル、n-オクチル、イソオクチル、2-エチルヘキシル、5,5-ジメチルヘキシル、n-ノニル、n-デシル、イソデシル、n-ウンデシル、n-ドデシルである。
【0125】
好適なヒドロカルビルアルミニウム化合物の非限定的な例は、トリイソブチルアルミニウム、トリ-n-ヘキシルアルミニウム、ジイソブチルアルミニウムヒドリド、ジ-n-ヘキシルアルミニウムヒドリド、イソブチルアルミニウムジヒドリド、n-ヘキシルアルミニウムジヒドリド、ジイソブチルヘキシルアルミニウム、イソブチルジヘキシルアルミニウム、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリ-n-プロピルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリ-n-ブチルアルミニウム、トリ-n-オクチルアルミニウム、トリ-n-デシルアルミニウム、トリ-n-ドデシルアルミニウムである。一実施形態では、好ましい共触媒は、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ-n-ヘキシルアルミニウム、ジイソブチルアルミニウムヒドリド、及びジ-n-ヘキシルアルミニウムヒドリドから選択され、最も好ましい共触媒は、トリエチルアルミニウムである。
【0126】
一実施形態では、共触媒は、式RnAlX3-nで表されるヒドロカルビルアルミニウム化合物であり、式中、n=1又は2であり、Rはアルキルであり、Xはハロゲン化物イオン又はアルコキシドである。好適な化合物の非限定的な例は、メチルアルミノオキサン、イソブチルアルミノキサン、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジイソブチルアルミニウムクロリド、テトラエチルジアルミノオキサン、テトライソブチルジアルミノオキサン、ジエチルアルミニウムクロリド、エチルアルミニウムジクロリド、メチルアルミニウムジクロリド、及びジメチルアルミニウムクロリドである。
【0127】
一実施形態では、触媒組成物は、外部電子供与体を含む。本明細書で使用される「外部電子ドナー」は、プロ触媒形成とは無関係に添加される化合物であり、金属原子に一対の電子を供与することができる少なくとも1つの官能基を含有する。特定の理論に拘束されるものではないが、外部電子供与体は、触媒の立体選択性を強化する(すなわち、フォルマントポリマー中のキシレン可溶性物質を還元する)と考えられている。
【0128】
一実施形態では、外部電子供与体は、アルコキシシラン、アミン、エーテル、カルボキシレート、ケトン、アミド、カルバメート、ホスフィン、ホスフェート、ホスファイト、スルホネート、スルホン、及び/又はスルホキシドのうちの1つ以上から選択され得る。
【0129】
一実施形態では、外部電子供与体は、アルコキシシランである。アルコキシシランは、一般式SiRm(OR’)4-m(I)を有するアルコキシシランであり、式中、Rは、独立して、各出現時に、水素、又は1つ以上の第14族、第15族、第16族若しくは第17族のヘテロ原子を含有する1つ以上の置換基で任意に置換されているヒドロカルビル基若しくはアミノ基であり、当該R’は、水素及びハロゲン以外の原子を最大20個含有し、R’はC1~4アルキル基であり、mは0、1、2又は3である。一実施形態では、Rは、C6~12アリール、アルキル若しくはアラルキル、C3~12シクロアルキル、C3~12分岐鎖アルキル、又はC3~12環式若しくは非環式アミノ基であり、R’はC1~4アルキルであり、mは1又は2である。好適なシラン組成物の非限定的な例としては、ジシクロペンチルジメトキシシラン、ジ-tert-ブチルジメトキシシラン、メチルシクロヘキシルジメトキシシラン、メチルシクロヘキシルジエトキシシラン、エチルシクロヘキシルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、ジ-n-プロピルジメトキシシラン、ジイソブチルジメトキシシラン、ジイソブチルジエトキシシラン、イソブチルイソプロピルジメトキシシラン、ジ-n-ブチルジメトキシシラン、シクロペンチルトリメトキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、n-プロピルトリメトキシシラン、n-プロピルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、ジエチルアミノトリエトキシシラン、シクロペンチルピロリジノジメトキシシラン、ビス(ピロリジノ)ジメトキシシラン、ビス(ペルヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、及びジメチルジメトキシシランが挙げられる。一実施形態では、シラン組成物は、ジシクロペンチルジメトキシシラン(DCPDMS)、メチルシクロヘキシルジメトキシシラン(MChDMS)、ジイソプロピルジメトキシシラン(DIPDMS)、n-プロピルトリメトキシシラン(NPTMS)、ジエチルアミノトリエトキシシラン(DATES)、又はn-プロピルトリエトキシシラン(PTES)、及びこれらの任意の組み合わせである。
【0130】
一実施形態では、外部供与体は、少なくとも2つのアルコキシシランの混合物であり得る。更なる実施形態では、混合物は、ジシクロペンチルジメトキシシラン及びメチルシクロヘキシルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン及びテトラエトキシシラン、又はジシクロペンチルジメトキシシラン及びn-プロピルトリエトキシシランであり得る。
【0131】
一実施形態では、外部電子供与体は、ベンゾエート及び/又はジオールエステルのうちの1つ以上から選択される。別の実施形態では、外部電子供与体は、2,2,6,6-テトラメチルピペリジンである。更に別の実施形態では、外部電子供与体は、ジエーテルである。
【0132】
一実施形態では、触媒組成物は、活性制限剤(ALA)を含む。本明細書で使用される「活性制限剤」(「ALA」)は、高温(すなわち、約85℃を超える温度)で触媒活性を低下させる物質である。ALAは、重合反応器の不調を抑制又はさもなければ阻止し、重合プロセスの継続を確実にする。典型的には、チーグラー・ナッタ触媒の活性は、反応器の温度が上昇するにつれて増大する。チーグラー・ナッタ触媒はまた、典型的には、生成されたポリマーの融点に近い温度で高い活性を維持する。発熱重合反応によって生じた熱は、ポリマー粒子凝集体を形成させる場合があり、最終的にはポリマー生成プロセスを中断させ得る。ALAは、昇温で触媒活性を低下させ、それにより反応器の不調を阻止し、粒子の凝集を低減(又は阻止)し、重合プロセスの継続を確実にする。
【0133】
活性制限剤は、カルボン酸エステル、ジエーテル、ポリ(アルケングリコール)、ポリ(アルケングリコール)エステル、ジオールエステル及びこれらの組み合わせであってもよい。カルボン酸エステルは、脂肪族又は芳香族のモノ又はポリカルボン酸エステルであり得る。好適なモノカルボン酸エステルの非限定的な例としては、安息香酸エチル及び安息香酸メチル、p-メトキシ安息香酸エチル、p-エトキシ安息香酸メチル、p-エトキシ安息香酸エチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、酢酸エチル、p-クロロ安息香酸エチル、p-アミノ安息香酸ヘキシル、ナフテン酸イソプロピル、トルイル酸n-アミル、シクロヘキサン酸エチル、並びにピバル酸プロピルが挙げられる。
【0134】
一実施形態では、外部電子供与体及び/又は活性制限剤を、反応器に別々に加えてもよい。別の実施形態では、外部電子供与体及び活性制限剤を予め混合し、次いで混合物として反応器に添加してもよい。混合物では、2つ以上の外部電子供与体又は2つ以上の活性制限剤を使用することができる。一実施形態では、混合物は、ジシクロペンチルジメトキシシラン及びミリスチン酸イソプロピル、ジシクロペンチルジニエトキシシラン及びラウリン酸ポリエチレングリコール、ジシクロペンチルジメトキシシラン及びミリスチン酸イソプロピル及びジオレイン酸ポリエチレングリコール、メチルシクロヘキシルジメトキシシラン及びミリスチン酸イソプロピル、n-プロピルトリメトキシシラン及びミリスチン酸イソプロピル、ジメチルジメトキシシラン及びメチルシクロヘキシルジメトキシシラン及びミリスチン酸イソプロピル、ジシクロペンチルジメトキシシラン及びn-プロピルトリエトキシシラン及びミリスチン酸イソプロピル、並びにジシクロペンチルジメトキシシラン及びテトラエトキシシラン、ミリスチン酸イソプロピル、吉草酸ペンチル、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。
【0135】
一実施形態では、触媒組成物は、前述の活性制限剤のいずれかと組み合わせた前述の外部電子供与体のいずれかを含む。
【0136】
上記の触媒系は、本開示のヘテロ相ポリマー組成物の生成に特に適していることがわかっている。
【0137】
本開示のポリプロピレン組成物の物理的特性、特に組成物の流動特性により、組成物は、成形物品の製造に特に適している。ポリプロピレン組成物を、例えば、射出成形、吹込成形、及び回転成形の用途で使用することができる。
【0138】
本開示のポリプロピレンポリマー組成物を、多数の様々な物品及び製品を作製するために使用することができる。優れた耐衝撃性と併せて高い透明特性を有するポリマー組成物により、ポリマー組成物は、保管容器の製造に特に適している。保管容器は、例えば、食品包装であってもよい。ポリマーの耐衝撃特性により、保管容器は、例えば、冷凍庫内に食料品を入れておくために使用することができる。
図1を参照すると、例えば、本開示に従って作製された保管容器の一実施形態が示されている。図示されるように、保管容器10は、1つ以上の品目を受容するための中空内部を画定する容器部分14を備える。容器部分14を蓋12と一致させることができる。蓋12は、容器部分14のリムと連動するチャネル及びフランジを備えることができる。本開示によれば、容器10の内容物を容器の壁を通して見ることができる。
【0139】
食品容器に加えて、本開示に従って様々な他の保管容器を作製することができる。例えば、本開示のポリマー組成物を使用して、より大きな保管容器を作製することができる。例えば、より大きな保管容器は、温度スイングが生じ得る、屋根裏、ガレージ又は他の保管施設内に種々の品目を保管するように設計することができる。
【0140】
本開示は、以下の実施例を参照してよりよく理解され得る。
【実施例】
【0141】
2つの異なるヘテロ相ポリプロピレンコポリマーのサンプルを本開示に従って製造し、衝撃強度及びヘイズを含む様々な特性について試験した。第2相ポリマー中により少量のエチレンを含有する比較例もまた製造した。ヘテロ相コポリマーを、一般に、上記の触媒と共に上述したプロセスを使用して作製した。具体的には、コポリマーは、第1の気相反応器内でマトリックスポリマーを作製した後、第1の反応器の内容物を第2の気相反応器に通過させる二重反応器構成で作製した。コモノマーとしてエチレンを使用した。エチレン含有量を、第1相ポリマー及び第2相ポリマーにおいて制御した。
【0142】
試験片へと射出成形したポリマーペレットサンプルを製造した。テトラキス(3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸)ペンタエリトリトール1000ppm;トリス(2,4-ジtert-ブチルフェニル)ホスファイト1000ppm;酸捕捉剤(ハイドロタルサイト)180ppm;モノステアリン酸グリセロール2000ppm、及び清澄化剤4000ppmを含む添加剤パッケージをポリマーに加えた。例えば、試験片をASTM試験D4101に従って作製して、屈曲試験及びIZOD試験用の試験片を作製した。
【0143】
以下は、3つのサンプルの重合条件である。気相反応器を使用してポリマーを製造した。
【表3】
【0144】
【0145】
上記の組成物を様々な特性について試験した。以下の結果を得た。
【表5】
【0146】
上記のサンプル番号2及びサンプル番号3を、本開示に従って作製した。これらのサンプルは、-20℃の温度で劇的により良好な耐衝撃性特性を示した。
【0147】
本発明に対するこれら及び他の修正及び変形は、添付の特許請求の範囲においてより具体的に記載されている本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、当業者によって実施されてもよい。加えて、様々な実施形態の態様は、全体的に又は部分的に交換されてもよいことを理解されたい。更に、当業者であれば、前述の説明はあくまで例としてであり、そのような添付の特許請求の範囲に更に記載されるように本発明を限定することを意図するものではないことを理解するであろう。
【国際調査報告】