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特表2022-526988柔軟な光硬化性シアノアクリレート組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-27
(54)【発明の名称】柔軟な光硬化性シアノアクリレート組成物
(51)【国際特許分類】
   C08F 2/44 20060101AFI20220520BHJP
   C09J 4/04 20060101ALI20220520BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20220520BHJP
   C08F 22/32 20060101ALI20220520BHJP
   C08F 2/50 20060101ALI20220520BHJP
【FI】
C08F2/44 B
C09J4/04
C09J11/06
C08F22/32
C08F2/50
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021559269
(86)(22)【出願日】2020-04-05
(85)【翻訳文提出日】2021-12-03
(86)【国際出願番号】 US2020026789
(87)【国際公開番号】W WO2020206405
(87)【国際公開日】2020-10-08
(31)【優先権主張番号】62/829,273
(32)【優先日】2019-04-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514056229
【氏名又は名称】ヘンケル アイピー アンド ホールディング ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100106297
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 克博
(72)【発明者】
【氏名】リ、 リン
(72)【発明者】
【氏名】ウェイ、 シンユ
(72)【発明者】
【氏名】アッターワラ、 シャビー ティー.
【テーマコード(参考)】
4J011
4J040
4J100
【Fターム(参考)】
4J011PA26
4J011PA30
4J011PA47
4J011PB23
4J011PB30
4J011PC02
4J011PC08
4J011QA07
4J011QA13
4J011QA38
4J011QB16
4J011RA03
4J011SA02
4J011SA03
4J011SA05
4J011SA14
4J011SA15
4J011SA16
4J011SA20
4J011SA61
4J011SA84
4J011SA86
4J011TA02
4J011TA05
4J011TA08
4J011TA10
4J011UA01
4J011UA04
4J011VA05
4J011WA06
4J040FA121
4J040HD43
4J040JB04
4J040KA13
4J040KA14
4J040KA31
4J040MA10
4J100AM05P
4J100CA01
4J100FA02
4J100FA03
4J100FA18
4J100JA03
(57)【要約】
【解決手段】
本発明は、シアノアクリレート成分、メタロセン成分、光開始剤及び可塑剤成分を含む光硬化性組成物に関し、その反応生成物は、とりわけ、破断点伸びに関して改善された柔軟性を示す。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)シアノアクリレート成分、(b)メタロセン成分、(c)光開始剤成分、及び(d)可塑剤成分を含むシアノアクリレート組成物。
【請求項2】
前記可塑剤成分が、複数のアルキルエステル置換基及び/又はその逆アルキルエステル置換基を有する短鎖アルキレン化合物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記可塑剤成分が、鎖中に3個又は4個の炭素原子を有する短鎖アルキレン化合物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記可塑剤成分が、直鎖を有する短鎖アルキレン化合物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記可塑剤成分が、2~4の置換基を有する短鎖アルキレン化合物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記可塑剤成分が、複数のアルキルエステル置換基及び/又はその逆アルキルエステル置換基を有する短鎖アルキレン化合物であり、前記アルキルエステル及び/又は逆アルキルエステルが、C1‐3アルキルエステル及び/又は逆アルキルエステルを有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記可塑剤成分が、
【化1】
から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記可塑剤成分が約10重量%~約30重量%の量で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記可塑剤成分が約15重量%~約35重量%の量で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記可塑剤成分が約15重量%~約20重量%の量で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
安定剤をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
安定量の酸性安定剤、及びフリーラジカル阻害剤をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
促進剤成分をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
前記促進剤成分が、カリックスアレーン、オキサカリックスアレーン、シラクラウン、シクロデキストリン、クラウンエーテル、ポリ(エチレングリコール)ジ(メタ)アクリレート、エトキシル化ヒドロキシ化合物、及びそれらの組み合わせから成る群から選択される、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
強化剤、耐衝撃性添加剤、チキソトロピー付与剤、増粘剤、染料、及びそれらの組み合わせから成る群から選択される添加剤をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
請求項1に記載の組成物の反応生成物。
【請求項17】
前記反応生成物が、実質的に相分離を示さない、請求項1に記載の組成物。
【請求項18】
前記反応生成物が、約35%超過の破断点伸びを示す、請求項1に記載の組成物。
【請求項19】
前記反応生成物が、約125%超過の破断点伸びを示す、請求項1に記載の組成物。
【請求項20】
前記反応生成物が、約1800psi超過のポリカーボネート上でのブロックせん断強度を示す、請求項1に記載の組成物。
【請求項21】
前記反応生成物が、約1900psi超過のポリカーボネート上でのブロックせん断強度を示す、請求項1に記載の組成物。
【請求項22】
前記反応生成物が、約2200psi超過のポリカーボネート上でのブロックせん断強度を示す、請求項1に記載の組成物。
【請求項23】
前記反応生成物が、スイング試験で約60サイクル超過を示す、請求項1に記載の組成物。
【請求項24】
そのうちの少なくとも1つが熱可塑性材料で構成されている2つの基材を結合する方法であって:
請求項1に記載のシアノアクリレート組成物を、少なくとも1つの基材に塗布する工程、及び
接着剤が固定するのに十分な時間、前記基材を接合する工程、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シアノアクリレート成分、メタロセン成分、光開始剤及び可塑剤成分を含む光硬化性組成物に関し、その反応生成物は、とりわけ、破断点伸びに関して改善された柔軟性を示す。
【背景技術】
【0002】
シアノアクリレート接着剤組成物は公知であり、幅広い用途を有する瞬間接着剤として広く使用されている。H.V.クーバー、D.W.ドレイフス及びJ.T.オコナーの「シアノクリレート接着剤」(接着剤ハンドブック,27,463-77頁,I.スカイスト編,ヴァンノストランドラインホールド,ニューヨーク,第3版(1990年))を参照。また、G.H.ミレーの「シアノクリレート接着剤」(構造用接着剤:化学と技術,S.R.ハーツホーン編、プレナムプレス、ニューヨーク,249-307頁(1986年))も参照。
【0003】
シアノアクリレート組成物は、通常、硬化して比較的脆性のポリマー材料を形成する傾向がある。これは、ポリマー材料にある程度の柔軟性が望まれる特定の用途において好ましくない特性である。このような用途には、材料の柔軟性に一致するように、結合にある程度の柔軟性が望まれる、柔軟な材料の結合が包含される。ポリマー材料がその最終用途で様々な力を受ける可能性がある用途では、柔軟なポリマー材料を有することも望ましい。例えば、ポリマー材料が2つの基材を結合している場合、基材は、平穏な状態のままではない場合があり、基材が移動物体の一部を形成する場合、又は他の移動物体からの1つ又は複数の連続的又は不定期の力を受ける静止物体の一部を形成する場合等、外力を受ける可能性がある。
【0004】
過去には、シアノアクリレート組成物の硬化物の柔軟性を向上させる努力がなされてきた。例えば、米国特許第2,776,232号、同第2,784,215号、同第2,784,127号、同第3,699,127号、同第3,961,966号、同第4,364,876号、及び同第4,444,933号を参照。しかし、米国特許第5,922,783号(ウォジャック)に記載されているような光硬化性シアノクリレートでは、そうではない。
【0005】
米国特許第5,922,783号は、(a)2-シアノアクリレート成分、(b)メタロセン成分、及び(c)光開始剤成分を含む光硬化性組成物を提供する。米国特許第5,922,783号には、可塑剤を包含すること、又は開示された光硬化性組成物の硬化物を柔軟化しようとすることについて言及されていない。
【0006】
従来の重合シアノアクリレート接着剤の脆性を克服するための1つの手法は、モノマー混合物を使用して組成物を可塑化することであった。シアノアクリレートモノマーの混合物を使用すると、モノマー混合物が硬化するときに、より柔軟なポリマー材料をもたらすと考えられている。2つ目の手法は、シアノアクリレート組成物に可塑剤を組み込むことであった。ここでの柔軟性は、一般的に硬化速度及び/又は結合強度を犠牲にして得られる。
【0007】
米国特許第6,977,278号(ミシアック)は、(i)エチルシアノアクリレート及びメトキシシアノアクリレートから選択される少なくとも1つの低級シアノアクリレートモノマー成分;(ii)低級シアノアクリレートモノマー及び高級シアノアクリレートモノマーの組み合わせの総重量を基準にして、12重量%超過の量のn-プロピル-シアノアクリレート、イソ-プロピルシアノアクリレート、n-ブチルシアノアクリレート、sec-ブチル-シアノアクリレート、イソ-ブチル-シアノアクリレート、tert-ブチル-シアノアクリレート、n-ペンチル-シアノアクリレート、1-メチル-ブチル-シアノアクリレート、1-エチル-プロピル-シアノアクリレート、ネオペンチル-シアノアクリレート、n-ヘキシル-シアノアクリレート、1-メチルペンチル-シアノアクリレート、n-へプチル-シアノアクリレート、n-オクチル-シアノアクリレート、n-ノニル-シアノアクリレート、n-デシル-シアノアクリレート、n-ウンデシル-シアノアクリレート、n-ドデシル-シアノアクリレート、シクロヘキシル-シアノアクリレート、ベンジル-シアノアクリレート、フェニル-シアノアクリレート、テトラヒドロフルフリル-シアノアクリレート、アリルシアノアクリレート、プロパギル-シアノアクリレート、2-ブテニル-シアノアクリレート、フェネチル-シアノアクリレート、クロロプロピル-シアノアクリレート、エトキシエチル-シアノアクリレート、エトキシプロピル-シアノアクリレート、エトキシイソプロピル-シアノアクリレート、プロポキシエチル-シアノアクリレート、イソプロポキシエチル-シアノアクリレート、ブトキシエチル-シアノアクリレート、メトキシプロピル-シアノアクリレート、メトキシイソプロピル-シアノアクリレート、メトキシブチル-シアノアクリレート、プロポキシメチル-シアノアクリレート、プロポキシエチル-シアノアクリレート、プロポキシプロピル-シアノアクリレート、ブトキシメチル-シアノアクリレート、ブトキシエチル-シアノアクリレート、ブトキシプロピル-シアノアクリレート、ブトキシイソプロピル-シアノアクリレート、ブトキシブチル-シアノアクリレート、イソ-ノニル-シアノアクリレート、イソ-デシル-シアノアクリレート、シクロヘキシルメチル-シアノアクリレート、ナフチル-シアノアクリレート、2-(2'-メトキシ)-エトキシエチル-シアノアクリレート、2-(2'-エトキシ)-エトキシエチル-シアノアクリレート、2-(2'-プロピルオキシ)-エトキシエチル-シアノアクリレート、2-(2'-ブチルオキシ)-エトキシエチル-シアノアクリレート、2-(2'-ペンチルオキシ)-エトキシエチル-シアノアクリレート、2-(2'-ヘキシルオキシ)-エトキシエチル-シアノアクリレート、2-(2'-メトキシ)-プロピルオキシプロピル-シアノアクリレート、2-(2'-エトキシ)-プロピルオキシプロピル-シアノアクリレート、2-(2'-プロピルオキシ)-プロピルオキシプロピル-シアノアクリレート、2-(2'-ペンチルオキシ)-プロピルオキシプロピル-シアノアクリレート、2-(2'-ヘキシルオキシ)-プロピルオキシプロピル-シアノアクリレート、2-(2'-メトキシ)-ブチルオキシブチルシアノアクリレート、2-(2'-エトキシ)-ブチルオキシブチル-シアノアクリレート、2-(2'-ブチルオキシ)-ブチルオキシブチル-シアノアクリレート、2-(3'-メトキシ)-プロピルオキシエチル-シアノアクリレート、2-(3'-メトキシ)-ブチルオキシエチル-シアノアクリレート、2-(3'-メトキシ)-プロピルオキシプロピル-シアノアクリレート、2-(3'-メトキシ)-ブチルオキシプロピル-シアノアクリレート、2-(2'-メトキシ)-エトキシプロピル-シアノアクリレート、及び2-(2'-メトキシ)-エトキシ、ブチル-シアノアクリレートから選択される少なくとも1つの高級シアノアクリレートモノマー成分;(iii)少なくとも1つのエステル基含有可塑剤を含む少なくとも1つの可塑剤成分を含む特定のシアノアクリレート組成物を記載しており、前記可塑剤成分は、成分(i)及び成分(ii)の混合物に混和し;前記可塑剤成分が唯一の可塑剤としてペンタエリスリトールテトラベンゾエートを含まない場合、前記可塑剤成分は、組成物の約15~約40重量%の量で組成物に存在し、前記可塑剤成分は、約1~約6未満の範囲のAp/Po比を有する。
【0008】
米国特許第6,977,278号は、12重量%まで量の可塑剤では所望の特性をもたらさず、非常に多量の可塑剤は硬化速度及び接着強度に悪影響を与えることを明らかにしているため、約40重量%未満の量が使用される場合、硬化した組成物で所望の柔軟性が達成され得るようである。
【0009】
さらに最近では、米国特許第9,528,034号(リー)は、(a)エチル-2-シアノアクリレート及びオクチル-2-シアノアクリレートの組み合わせを含むシアノアクリレート成分;並びに(b)約5重量%~約15重量%未満の量のクエン酸トリエチルアセチルを含むシアノアクリレート組成物を記載及びクレームしている。米国特許第9,528,034号では、その教示が光硬化性シアノアクリレート組成物に拡張され得ることは言及されていない。
【0010】
技術の状態にもかかわらず、光硬化性シアノアクリレート組成物の全ての属性を示し、それにある程度の柔軟性を追加する光硬化性シアノアクリレート組成物を達成するという長年の、しかしまだ満たされていない要望があった。したがって、その要望に対する解決策を提供することは非常に有利であろう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第2,776,232号
【特許文献2】米国特許第2,784,215号
【特許文献3】米国特許第2,784,127号
【特許文献4】米国特許第3,699,127号
【特許文献5】米国特許第3,961,966号
【特許文献6】米国特許第4,364,876号
【特許文献7】米国特許第4,444,933号
【特許文献8】米国特許第5,922,783号
【特許文献9】米国特許第6,977,278号
【特許文献10】米国特許第9,528,034号
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】H.V.クーバー、D.W.ドレイフス及びJ.T.オコナーの「シアノクリレート接着剤」(接着剤ハンドブック,27,463-77頁,I.スカイスト編,ヴァンノストランドラインホールド,ニューヨーク,第3版(1990年))
【非特許文献2】G.H.ミレーの「シアノクリレート接着剤」(構造用接着剤:化学と技術,S.R.ハーツホーン編、プレナムプレス、ニューヨーク,249-307頁(1986年))
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、まさにそれを提供する。
【0014】
実際に、本発明は、シアノアクリレート成分(例えば、エチル-2-シアノアクリレート)、メタロセン成分(例えば、フェロセン)、光開始剤成分(例えば、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド)、及び可塑剤成分(例えば、複数のアルキルエステル及び/又は逆アルキルエステルが置換された短鎖アルキレン化合物)を包含する光硬化性組成物を提供する。
【0015】
さらに本発明は、本発明の組成物の反応生成物を対象とする。
【0016】
また本発明は、本発明の組成物の調製方法を対象とする。
【0017】
そして本発明は、本発明の組成物を使用して基材を結合する方法を対象とする。
【0018】
本発明は、以下の「詳細な説明」と題された節を読むことによって、より完全に理解されるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0019】
上述のように、本発明は、シアノアクリレート成分、メタロセン成分、光開始剤成分及び可塑剤成分を包含する光硬化性組成物に関する。
【0020】
シアノアクリレート成分は、HC=C(CN)-COOR(式中、RはC1-15アルキル、アルコキシアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アラルキル、アリール、アリル及びハロアルキル基から選択される)で表されるもの等の置換基のラフトで選択されてよいシアノアクリレートモノマーを包含する。望ましくは、シアノアクリレートモノマーは、メチルシアノアクリレート、エチル-2-シアノアクリレート、プロピルシアノアクリレート、ブチルシアノアクリレート、オクチルシアノアクリレート、アリル-2-シアノアクリレート、β-メトキシエチル-2-シアノアクリレート及びこれらの組み合わせから選択される。本発明で使用するのに特に望ましいシアノアクリレートモノマーは、エチル-2-シアノアクリレートである。
【0021】
シアノアクリレート成分の量は、約65重量%~約95重量%、例えば、約70重量%~約85重量%、望ましくは約75重量%~約80重量%である。
様々なメタロセンが本明細書で使用するのに適している。本明細書において特に関心のある材料は、構造I内のメタロセンによって表されてよい。
【0022】
【化1】
【0023】
(式中、R及びRは同一でも異なってもよく、5員環の場合は各環で少なくとも1回、最大4回、6員環の場合には各環で最大5回まで発生してよく;
【0024】
及びRは、H;CH、CHCH、CHCHCH、CH(CH、C(CH等のような1個~約8個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖アルキル成分;アセチル;ビニル;アリル;ヒドロキシル;カルボキシ;-(CHn-OH(式中、nは1~約8の範囲の整数であってよい);-(CHn-COOR(式中、nは1~約8の範囲の整数であってよく、Rは1個~約8個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖アルキル成分であってよい);H;Li;Na;又は-(CHn'(式中、n'は2~約8の範囲の整数であってよい);-(CHn-OR(式中、nは1~約8の範囲の整数であってよく、Rは1個~約8個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖アルキル成分であってよい);あるいは-(CH)n-N(CHX(式中、nは1~約8の範囲の整数であってよく、XはCl、Br、I、CIO 又はBF であってよい)から選択されてよく;
【0025】
及びYは、全く存在しなくてもよいが、少なくとも1つが存在する場合、それらは同一でも異なってもよく、H、Cl、Br、I、シアノ、メトキシ、アセチル、ヒドロキシ、ニトロ、トリアルキルアミン、トリアリルアミン、トリアルキルホスフィン、トリフェニルアミン、トシル等から選択されてよく;
A及びA’は同一でも異なってもよく、C又はNであってよく;
m及びm’は同一でも異なってもよく、1又は2であってよく;
MeはFe、Ti、Ru、Co、Ni、Cr、Cu、Mn、Pd、Ag、Rh、Pt、Zr、Hf、Nb、V、Mo等である。)
【0026】
もちろん、原子価の状態によっては、Meで表される元素は、上記の炭素環配位子以外に、それに関連する追加の配位子(Y及びY)を有していてもよい(例えば、MeはTiであり、Y及びYはClである場合)。
【0027】
あるいは、構造Iのメタロセンは、メタロセン構造IAに包含されるもの等の材料を包含するように改変されてもよい:
【0028】
【化2】
【0029】
(式中、R、R、Y、Y、A、A'、m、m'及びMeは上で定義された通りである。このような材料の特に望ましい例は、R及びRがそれぞれHであり、Y及びYがそれぞれClであり、A及びA’がそれぞれNであり、m及びm’がそれぞれ2であり、MeはRuであるものである。)
【0030】
構造Iのメタロセンの中では、構造IIのメタロセンから適切なメタロセンが選択されてよい。
【0031】
【化3】
【0032】
(式中、R、R及びMeは上で定義された通りである。)
【0033】
構造I(式中、R、R、Y、Y、m及びm'は上で定義された通りであり、MeはTi、Cr、Cu、Mn、Ag、Zr、Hf、Nb、V及びMoから選択される)の中から特に適切なメタロセンが選択されてもよい。
【0034】
望ましくは、メタロセンは、フェロセン(すなわち、式中、MeはFeである)、例えば、フェロセン、ビニルフェロセン、ブチルフェロセン又はジアリールホスフィノ金属錯体フェロセン(例えば、1,1-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン-二塩化パラジウム)のようなフェロセン誘導体;チタノセン(すなわち、式中、MeはTiである)、例えば、IGMレジンB.V.(オランダ)から商標「イルガキュア」784DCで市販されているビス(μ-2,4-クロロペンタジエン-1-イル)-ビス-[2,6-ジフルオロ-3-(1H-ピロロ-1-イル)フェニル]チタニウム、及びこれらの誘導体並びにこれらの組み合わせから選択される。特に望ましいメタロセンはフェロセンである。
【0035】
ビス-アルキルメタロセン、例えば、ビス-アルキルフェロセン(例えば、フェロセニルエタン、プロパン、ブタン等)もまた本明細書で使用するのに望ましく、特に、(非-ビス-メタロセンと比較して)、他のすべては変更されず、材料の当量の約半分を使用して、求められる結果が得られる場合がある。これらの材料のうち、ジフェロセニルエタンが特に望ましい。
【0036】
もちろん、他の材料がメタロセン成分として使用されるのに適している場合がある。例えば、Me[CW-CO-CH=C(0)-CW'(式中、Meは上で定義された通りであり、W及びW'は同一でも異なってもよく、H、並びにF及びCl等のハロゲンから選択されてよい)。こうした材料の例としては、白金(II)アセチルアセトナート((「PtACAC」))、コバルト(II)アセチルアセトナート(「CoACAC」)、ニッケル(II)アセチルアセトナート(「NiACAC」)及び銅(II)アセチルアセトナート(「CuACAC」)が挙げられる。これらの材料の組み合わせもまた採用されてよい。
【0037】
本明細書では、上記で参照した本発明の優位点及び利点を提供するために、多数の光開始剤を使用してよい。光開始剤は、光硬化性組成物が全体として電磁放射に曝露されると、硬化プロセスの迅速性を高める。「イルガキュア」784DCのような特定のメタロセンは、メタロセンと光開始剤の両方として二重の目的を果たす場合がある。
【0038】
本明細書で使用するのに適切な光開始剤の例としては、これらに限定されないが、IGMレジンB.V.(オランダ)から商標「イルガキュア」及び「ダロキュア」で市販されている光開始剤、具体的には「イルガキュア」184(1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン)、907(2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノプロパン-1-オン)、369(2-ベンジル-2-N,N-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-1-ブタノン)、500(1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン及びベンゾフェノンの組み合わせ)、651(2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン)、1700(ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル-2,4-4-トリメチルペンチル)ホスフィンオキシド及び2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン)の組み合わせ)、819[ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド]、並びに「ダロキュア」1173(2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-1-プロパン)及び4265(2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニル-ホスフィンオキシド及び2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オンの組み合わせ);並びに可視光[青色]光開始剤、dl-カンファーキノン並びに「イルガキュア」784DCが挙げられる。もちろん、これらの材料の組み合わせもまた、本明細書で使用されてよい。
【0039】
本明細書で有用な他の光開始剤としては、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、及びピルビン酸ブチル等のピルビン酸アルキル、並びにピルビン酸フェニル、ピルビン酸ベンジル等のピルビン酸アリール、並びにそれらの適切な置換誘導体が包含される。
【0040】
本明細書で使用するのに特により適切な光開始剤としては、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン(例えば、「イルガキュア」651)、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-1-プロパン(例えば、「ダロキュア」1173)、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド(例えば、「イルガキュア」819)、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド(例えば、「イルガキュア」TPO)、エチル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィネート(例えば、「イルガキュア」TPO-L)のような紫外線光開始剤、並びにビス(2,6-ジメトキシベンゾイル-2,4,4-トリメチルペンチル)ホスフィンオキシドと2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オンの組み合わせである紫外線/可視光開始剤(例えば、「イルガキュア」1700)、加えて可視光開始剤ビス(η-2,4-シクロペンタジエン-1-イル)-ビス[2,6-ジフルオロ-3-(1H-ピロロ-1-イル)フェニル]チタニウム(例えば、「イルガキュア」784DC)が挙げられる。
【0041】
可塑剤成分は、複数のアルキルエステル置換基及び/又は逆アルキルエステル置換基を有する短鎖アルキレン化合物であるべきである。望ましくは、短鎖アルキレン化合物は、3個又は4個の炭素原子を有するべきである。また短鎖アルキレン化合物は、(分岐鎖のもの又は環状のものとは対照的に)直鎖化合物であるべきである。また短鎖アルキレン化合物は、2~4の置換基を有するべきである。これらの置換基は低級アルキル(例えば、この場合C1-3)エステル又は逆エステルであるべきである。したがって、可塑剤の具体例は次のとおりである。
【0042】
【化4】
【0043】
可塑剤成分は、組成物全体に基づいて約5重量%~約35重量%未満、例えば約15~約30重量%、望ましくは約25重量%の量で使用されるべきである。
【0044】
より具体的には、可塑剤成分は、メチルエステル及び/又は逆メチルエステルが結合した3つの炭素構造に包含されてよい。
【0045】
また促進剤、例えば、カリックスアレーン及びオキサカリックスアレーン、シラクラウン、クラウンエーテル、シクロデキストリン、ポリ(エチレングリコール)ジ(エタ)アクリレート、エトキシル化ヒドロキシ化合物及びこれらの組み合わせから選択される1つ以上を、本発明のシアノアクリレート組成物に包含させてもよい。
【0046】
カリックスアレーン及びオキサカリックスアレーンのうち、多くが知られており、特許文献に置いて報告されている。例えば、米国特許第4,556,700号、同第4,622,414号、同第4,636,539号、同第4,695,615号、同第4,718,966号、及び同第4,855,461号を参照のこと。それぞれの開示は、参照により本明細書に明示的に組み込まれる。
【0047】
例えば、カリックスアレーンに関しては、次の構造内のものが本明細書において有用である。
【0048】
【化5】
【0049】
(式中、Rはアルキル、アルコキシ、置換アルキル又は置換アルコキシであり;RはH又はアルキルであり;nは4、6又は8である。)
【0050】
1つの特に望ましいカリックスアレーンは、テトラブチルテトラ[2-エトキシ-2-オキソエトキシ]カリックス-4-アレーンである。
【0051】
クラウンエーテルのホストが知られている。例えば、本明細書で個別に又は組み合わせて使用してよい例としては、15-クラウン-5、18-クラウン-6、ジベンゾ-18-クラウン-6、ベンゾ-15-クラウン-5-ジベンゾ-24-クラウン-8、ジベンゾ-30-クラウン-10、トリベンゾ-18-クラウン-6、asym-ジベンゾ-22-クラウン-6、ジベンゾ-14-クラウン-4、ジシクロヘキシル-18-クラウン-6、ジシクロヘキシル-24-クラウン-8、シクロヘキシル-12-クラウン-4、1,2-デカリル-15-クラウン-5、1,2-ナフト-15-クラウン-5、3,4,5-ナフチル-16-クラウン-5、1,2-メチル-ベンゾ-18-クラウン-6、1,2-メチルベンゾ-5,6-メチルベンゾ-18-クラウン-6、1,2-t-ブチル-18-クラウン-6、1,2-ビニルベンゾ-15-クラウン-5、1,2-ビニルベンゾ-18-クラウン-6、1,2-t-ブチル-シクロヘキシル-18-クラウン-6、asym-ジベンゾ-22-クラウン-6、及び1,2-ベンゾ-1,4-ベンゾ-5-オキシジェン-20-クラウン-7が挙げられる。米国特許第4,837,260(サトウ)を参照のこと。その開示は、参照により本明細書に明示的に組み込まれる。
【0052】
多くのシラクラウンが知られており、文献中で報告されている。
本発明組成物に有用なシラクラウン化合物の具体例は、次のとおりである。
【0053】
【化6】
【0054】
例えば、米国特許第4,906,317号(リュー)を参照のこと。その開示は、参照により本明細書に明示的に組み込まれる。
【0055】
本発明に関連して、多くのシクロデキストリンが使用されてよい。例えば、α、β又はγ-シクロデキストリンのヒドロキシル基誘導体が促進剤成分として適切な選択であるため、その開示が参照により本明細書に明示的に組み込まれる米国特許第5,312,864号(ウェンズ)に記載及びクレームされているものである。
【0056】
例えば、本発明で使用されるのに適したポリ(エチレングリコール)ジ(メタ)アクリレートには、次の構造内のものが包含される。
【0057】
【化7】
【0058】
(式中、nは3以上であり、3~12の範囲等であり、nが9であることが特に望ましい。)より具体的な例としては、PEG200DMA(式中、nは約4である)、PEG400DMA(式中、nは約9である)、PEG600DMA(式中、nは約14である)、及びPEG800DMA(式中、nは約19である)が挙げられ、数(例えば、400)は、グラム/モルとして表される2つのメタクリレート基を除く分子のグリコール部分の平均分子量を表す(すなわち、400g/mol)。特に望ましいPEG DMAはPEG400DMAである。
【0059】
そして、エトキシル化ヒドロキシ化合物(又は採用されてよいエトキシル化脂肪アルコール)のうち、適切なものが以下の構造内のものから選択されてよい:
【0060】
【化8】
【0061】
(式中、Cは直鎖又は分岐アルキル鎖又はアルケニル鎖であり得、mは1~30、例えば5~20の整数であり、nは2~30、例えば5~15の整数であり、RはH又はアルキル、例えばC1-6アルキルであってよい。)
【0062】
使用される場合、上記構造に採用される促進剤は、組成物に約0.01重量%~約10重量%の範囲内の量で包含されるべきであり、望ましくは約0.1重量%~約0.5重量%の範囲、特に望ましくは組成物全体の約0.4重量%である。
【0063】
安定剤パッケージは、通常、シアノアクリレート組成物にも見られる。安定剤パッケージは、1つ又は複数のフリーラジカル安定剤及びアニオン性安定剤を包含してよく、これらのそれぞれの識別及び量は、当業者に周知である。例えば、米国特許第5,530,037号及び同第6,607,632号を参照のこと。それぞれの開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0064】
本発明の組成物を光硬化させるために選択された電磁波を放出する放射線源は、紫外線、可視光線、電子ビーム、X線、赤外線、及びこれらの組み合わせから選択されてよい。望ましくは、紫外線は、「H」、「D」、「V」、「X」、「M」及び「A」ランプ、水銀アークランプ及びキセノンアークランプ;マイクロ波で生成された紫外線;太陽光発電及び蛍光灯を包含する適切な光源を備えた最適な放射線である。これらの電磁放射線源のいずれも、反射器及び/又はフィルタと組み合わせて使用して、放出された放射線を、光硬化性組成物が分配された基材の特定の部分に及び/又は電磁スペクトルの特定の領域内に集束させてよい。同様に、熱の蓄積の程度を最小限に抑えるために、電磁放射は、定常的に又は断続的に直接生成されてよい。光硬化性組成物を所望の反応生成物に硬化させるために採用される電磁放射は、本明細書ではしばしば紫外線領域にあると呼ばれるが、それは、電磁スペクトル内の他の放射が適切でない場合があるということではない。例えば、特定の状況では、電磁スペクトルの可視領域の放射もまた、単独で、又は、例えば紫外線領域の放射と組み合わせて、有利に採用される場合がある。もちろん、マイクロ波及び赤外線放射もまた、適切な条件下で有利に採用される場合がある。
【0065】
もちろん、より高い又はより低い放射線強度、それへのより多い又はより少ない曝露及び曝露の長さ、並びに/或いは組成物への放射線源のより長い又はより短い距離が、選択された組成物の特定の成分に応じて、硬化を完了するために必要とされる場合がある。
【0066】
より具体的には、放射強度に関して、選択されたランプは、少なくとも約100ワット/インチ(約40ワット/cm)の電力定格を有するべきであり、少なくとも約300ワット/インチ(約120ワット/cm)の電力定格が特に望ましい。また、組成物に光開始剤を包含すると、硬化が起こる電磁放射スペクトル内の波長がシフトする可能性があるため、変数(例えば、波長、距離等)を容易に調整できる電磁放射源を使用することが望ましい場合がある。
【0067】
硬化工程中、組成物は、源のサイズ、種類及び形状;電磁放射への曝露時間;放射線の強度(そして、硬化をもたらすのに適切な領域内で放出された放射線のその部分);基材等の介在材料による電磁放射の吸収性;及び組成物が放射線源から離れている距離;を包含するパラメータによって決定される、KJ/mで測定されるある量のエネルギーを放出する電磁放射源に曝露される。当業者は、組成物の特定の成分を考慮してこれらのパラメータに適切な値を選択することにより、組成物の硬化が最適化される可能性があることを容易に理解するはずである。
【0068】
硬化をもたらすために、組成物がその経路を通過する間、電磁放射源は静止したままであってよい。あるいは、光硬化性組成物でコーティングされた基材は、電磁放射源がその上又は周囲を通過して組成物から反応生成物への変換を完了する間、静止したままであってよい。さらにあるいは、光硬化性組成物が硬化をもたらすのに十分な電磁放射に曝露されるという条件で、両方が互いに横断するか、又は静止したままであってよい。
【0069】
「ZETA」7200又は7400紫外線硬化チャンバー(ヘンケル社、コネティカット州、ロッキーヒル)、フュージョンUV硬化システムF-300B(フュージョンUV硬化システム、イリノイ州バッファローグローブ)、ハノビアUV硬化システム(ハノビア社、ニュージャージー州ニューアーク)、ブラックライトモデルB-100(スペクトロリン、ニューヨーク州ウェストベリー)及びRC500AパルスUV硬化システム(キセノン株式会社、マサチューセッツ州ウォーバーン)等の市販の硬化システムは、本明細書に記載の目的に適している。
【0070】
必要な量のエネルギーは、例えば複数のパスを介して、組成物をより強力でない電磁放射源により長い時間曝露することによって、あるいは、組成物をより強力な電磁放射源により短い時間曝露することによって、送達されてよい。さらに、これらの複数のパスのそれぞれは、異なるエネルギー強度の源で発生する可能性がある。いずれにせよ、当業者は、特定の組成物に応じて適切な電磁放射源を選択し、その源を、曝露の長さとともに、変換を最適化する適切な距離に配置する必要がある。また、過度の熱の蓄積を引き起こさずに徹底的且つ完全な硬化を確実にするために、パルス又はストロボ等によって断続的に送達される電磁放射源を使用することが望ましい場合がある。
【0071】
本発明の別の態様では、2つの基材を一緒に結合する方法が提供され、この方法は、少なくとも1つの基材に上記の組成物を塗布し、その後、接着剤が固定されるのに十分な時間、基材を互いに接合することを包含する。多くの塗布では、基材は、約150秒未満で、基材によってはわずか約30秒で、本発明の組成物によって固定されるはずである。
【0072】
本発明のさらに別の態様では、そのように記載された組成物の硬化生成物が提供される。
本発明は、以下の実施例によってさらに説明される。
【実施例
【0073】
記録された量で下記の表1に記載の構成物質から光硬化性組成物を調製した。各組成物はまた、増粘剤として6重量%の量のPMMA、及び安定剤を含有した。
【0074】
【表1】
【0075】
化合物A、B及びCと呼ばれる可塑剤を以下に示す:
【0076】
【化9】
【0077】
化合物A、B又はCとして記載されている可塑剤とは別に、残りの可塑剤(以下に示す)は芳香環又は脂環式環のいずれかを含有し、300超過の分子量を有する。セバシン酸ジブチルは直鎖エステルであるが、鎖長は8個の炭素原子(3個又は4個の炭素原子ではない)であり、エステルは4個の炭素原子(1、2又は3個の炭素原子ではない)である。
【0078】
【化10】
【0079】
モルホレックス540(トリブチルトリメリテート)及びモルホレックス560(トリヘキシルトリメリテート)はそれぞれ、バルテルスホールディングス社(インディアナ州インディアナポリス)から市販されており、ヘキサモールディンチ(1,2-シクロヘキサンジカルボン酸ジイソノニルエステル)は、BASF社(ニュージャージー州フローラムパーク)から市販されている。
【0080】
追加の比較目的のために、表2にヘンケル社(コネティカット州、ロッキーヒル)から市販されるロックタイト4310が包含された。ロックタイト4310は、エチルシアノアクリレート、メタロセン、及び光開始剤及びPMMAを含有し、米国特許第5,922,783号と一致する。
【0081】
例えば、電磁スペクトルにおける放射線への曝露による硬化後の試料A~G及びロックタイト4310の破断点伸び(%)。より具体的には、7つの試料及びロックタイト4310のそれぞれを透明な金型に塗布し、D電球を搭載したフュージョンUVシステムから生成された365nmのUV光に曝露した。試料を、100mW/cmの強度で片側30秒間硬化し、0.025~0.034インチの範囲の厚さのフィルムが生成した。破断点伸びのデータに加えて、硬化した組成物の外見も表3に記載されている。各試料について、5つの標本の複製を作成して評価した。
【0082】
下記の表2は、様々な評価に対する観測値を示す。
【0083】
【表2】
【0084】
表2に見られるように、試料A、B及びCの破断点伸びは、少なくとも35%である。実際に、試料Aは35%、試料Cは53%、試料Bは125%である。これらの各試料は、可塑剤を含まない対照と同様に、透明な反応生成物に硬化する。他の試料は、35%未満、実際には10%未満(最高は5.6%)の破断点伸びを示し、不透明な相分離反応生成物に硬化する。
【0085】
追加の光硬化性シアノアクリレート組成物を、以下の表3に記載されている成分から、記録された量で調製した。各組成物はまた、増粘剤として6重量%の量のPMMA、及び安定剤を含有していた。
【0086】
【表3】
【0087】
長さ及び幅1インチ並びに厚さ1/4インチを有する一対のポリカーボネート試験片の内面の間に、試料H~Mのそれぞれを塗布した。そのように形成されたアセンブリを、ロックタイトゼータ7411-SUVフラッドシステムから形成された365mmの紫外線に30mW/cmの強度で10秒間曝露した。
以下の表4は、様々な評価の観察結果を示している。
【0088】
【表4】
【0089】
例えば、電磁スペクトルの放射線への曝露による硬化後の試料H~Mの破断点伸び(%)。より具体的には、6つの試料のそれぞれを透明な型に塗布し、Dバルブを備えたフュージョンUVシステムから生成された365nmの紫外線に曝露した。試料を、100mW/cmの強度で片面当たり約30秒間硬化し、0.025~0.034インチの範囲の厚さのフィルムを生成した。破断点伸びのデータに加えて、硬化した組成物の外見も表4に記載されており、ポリカーボネート試験片のブロックせん断強度及びスイング試験データも示されている。各試料について、5つの標本の複製を作成して評価した。
【0090】
表4にみられるように、破断点伸びは、可塑剤がクエン酸トリエチルアセチル又はシトロフォルIIであるかどうか、及び選択された量が下限(例えば、10重量%、15重量%又は20重量%)と比較して上限(例えば、25重量%又は30重量%)であるかどうかによって変化する。
【0091】
クエン酸アセチルトリエチルでは、30重量%の量では、207%の破断点伸びが観察されるが、15%ではその値は28%に低下する。シトロフォルIIでは、25重量%の量で、101%の破断点伸びが観察される。
【0092】
間に試料を挟んでポリカーボネート基材を合わせ、合わせた基材をUV放射に曝露した後、ポリカーボネート基材上でのブロックせん断強度を測定した。望ましくは、そして表4に示されるように、試料の反応生成物は、ポリカーボネート上で約1800psiを超過、望ましくは約1900psi超過、例えば約2200psi超過のブロックせん断強度を示す。
【0093】
スイング試験の測定は、9時の位置から180°回転するデジタル多機能コントローラーサイクルを使用して行われた。ここで、1サイクルは、9時の位置から3時の位置まで反時計回りに回転し、そこで1秒間保持した後、時計回りに9時の位置まで戻り、そこで1秒間保持することである。このようにして、60サイクルを実行する時間は149秒と測定された。スイング試験を行った各試料は、Yコネクタが挿入されたPVCチューブの外周に塗布され、続いて、ロックタイトブランドの405LEDフラッドシステムから放射される紫外線に曝露されてYコネクタがPVCチューブに硬化された。1kgの塊を、非接着側のPVCチューブの端から約1インチのところに固定し、サイクリングの練習のために自由に吊るした。PVCチューブがYコネクタから完全に外れたサイクル数を障害点として書き留めて、記録した。
【国際調査報告】