IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツングの特許一覧

<>
  • 特表-磁気測定装置用の測定値送信器 図1
  • 特表-磁気測定装置用の測定値送信器 図2
  • 特表-磁気測定装置用の測定値送信器 図3
  • 特表-磁気測定装置用の測定値送信器 図4
  • 特表-磁気測定装置用の測定値送信器 図5
  • 特表-磁気測定装置用の測定値送信器 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-27
(54)【発明の名称】磁気測定装置用の測定値送信器
(51)【国際特許分類】
   G01D 5/245 20060101AFI20220520BHJP
   H02K 11/215 20160101ALI20220520BHJP
【FI】
G01D5/245 110M
H02K11/215
G01D5/245 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021559935
(86)(22)【出願日】2020-03-24
(85)【翻訳文提出日】2021-10-08
(86)【国際出願番号】 EP2020058202
(87)【国際公開番号】W WO2020207788
(87)【国際公開日】2020-10-15
(31)【優先権主張番号】102019205193.6
(32)【優先日】2019-04-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】マルティン イェルク
(72)【発明者】
【氏名】マティアス キマーレ
(72)【発明者】
【氏名】ペーター ビグル
【テーマコード(参考)】
2F077
5H611
【Fターム(参考)】
2F077NN04
2F077NN17
2F077NN24
2F077PP09
2F077VV33
5H611AA01
5H611BB01
5H611PP07
5H611QQ03
5H611RR03
5H611TT01
5H611UA01
5H611UB01
(57)【要約】
本発明は、本体(10)の回転運動または並進運動を検出する磁気測定装置(20)用の測定値送信器(16)であって、永久磁石(16A)を備えており、該永久磁石(16A)は、前記本体(10)に相対回動不能に結合されておりかつ前記本体(10)と連動する、測定値送信器(16)、このような測定値送信器(16)を本体(10)に固定する方法、およびこのような測定値送信器(16)を備えた本体(10)の回転運動を非接触式に検出する磁気測定装置(20)に関する。この場合、前記本体(10)に、樹脂結合型永久磁石材料が延長部として射出成形されており、前記本体(10)の一方の自由端部を永久磁石(16A)として形成している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体(10)の回転運動または並進運動を検出する磁気測定装置(20)用の測定値送信器(16)であって、前記本体(10)に相対回動不能に結合されておりかつ前記本体(10)と連動する永久磁石(16A)を備えている、測定値送信器(16)において、
前記本体(10)に、樹脂結合型永久磁石材料が延長部として射出成形されており、前記本体(10)の一方の自由端部を永久磁石(16A)として構成していることを特徴とする、測定値送信器(16)。
【請求項2】
前記永久磁石(16A)は、直径方向に、またはその端面側の表面において、または多極式に磁化されている、請求項1記載の測定値送信器(16)。
【請求項3】
前記本体(10)の前記自由端部に、固定用幾何学形状部(14)が形成されており、該固定用幾何学形状部(14)は、前記永久磁石(16A)と、動かされる前記本体(10)との間に、半径方向と軸方向とにおける形状結合が形成されているように、前記永久磁石(16A)により包囲されている、請求項1または2記載の測定値送信器(16)。
【請求項4】
前記固定用幾何学形状部(14)は、キノコ状の横断面と周方向に延在するアンダカットとを備えて突出した構造体(14A)として形成されている、または、キノコ状の横断面と周方向に延在するアンダカットとを備えた凹部として形成されている、請求項3記載の測定値送信器(16)。
【請求項5】
前記永久磁石(16A)と、動かされる前記本体(10)の前記自由端部との間に、非磁性部分が形成されている、請求項1から4までのいずれか1項記載の測定値送信器(16)。
【請求項6】
動かされる前記本体(10)は、回転運動するように支持された軸(12)として形成されている、または並進運動するように支持されたロッドとして形成されている、請求項1から5までのいずれか1項記載の測定値送信器(16)。
【請求項7】
測定値送信器(16)を動かされる本体(10)に固定する方法(100)であって、
自由端部に固定用幾何学形状部(14)が形成された本体(10)を準備するステップと、
前記固定用幾何学形状部を備えた前記本体(10)の前記自由端部を射出成形用金型(1)のキャビティ(5)に挿入するステップと、
樹脂結合型永久磁石材料を前記射出成形用金型の前記キャビティ(5)内に導入し、これにより、硬化した前記樹脂結合型永久磁石材料が、延長部として前記本体(10)の一方の自由端部を形成するステップと、
永久磁石材料を着磁して、永久磁石(16A)を形成するステップと、
を含む、方法(100)。
【請求項8】
前記永久磁石材料を、前記射出成形用金型(1)の前記キャビティ(5)内に導入する前に、射出可能な樹脂の粒質物に統合させる、請求項7記載の方法(100)。
【請求項9】
粉末状の前記永久磁石材料を、前記射出成形用金型(1)の前記キャビティ(5)内に導入する前に、射出可能な樹脂と混合する、請求項7記載の方法(100)。
【請求項10】
前記本体(10)の前記固定用幾何学形状部(14)を形成し、かつ前記樹脂結合型永久磁石材料を前記射出成形用金型(1)の前記キャビティ(5)内に導入することにより、導入された樹脂の硬化後に、これにより形成された前記永久磁石(16A)と、前記本体(10)の前記固定用幾何学形状部(14)との間に、半径方向と軸方向とにおける形状結合を形成する、請求項7から9までのいずれか1項記載の方法(100)。
【請求項11】
本体(10)の動きを非接触式に検出する磁気測定装置(20)であって、
前記本体(10)に相対回動不能に結合された測定値送信器(16)と、
位置固定されて配置された測定値受信器(24)と、
を備えており、
前記測定値送信器(16)は、前記本体(10)の動きに応じて、前記測定値受信器(24)により検出された磁界の少なくとも1つの磁気量に影響を及ぼす、
磁気測定装置(20)において、
前記測定値送信器(16)は、請求項1から6までのいずれか1項に基づき構成されていることを特徴とする、磁気測定装置(20)。
【請求項12】
軸(12)として形成された前記本体(10)において、前記測定値受信器(24)により検出された磁界の影響を評価することができ、これにより、前記軸(12)の目下の回転角度および/または目下の回転速度を算出することができる、請求項11記載の磁気測定装置(20)。
【請求項13】
ロッドとして形成された前記本体(10)において、前記測定値受信器(24)により検出された磁界の影響を評価することができ、これにより、前記ロッドの目下進んだ距離および/または目下の移動速度を算出することができる、請求項11記載の磁気測定装置(20)。
【請求項14】
前記永久磁石(16A)を備えた動かされる前記本体(10)の前記自由端部は、中空室(28)内に突入しており、前記測定値受信器(24)は、前記中空室(28)の中または外に配置されている、請求項11から13までのいずれか1項記載の磁気測定装置(20)。
【請求項15】
前記測定値受信器(24)とセンサインタフェース(25)とは、共通のASICモジュール(23)として形成されている、請求項12から14までのいずれか1項記載の磁気測定装置(20)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、独立特許請求項1の上位概念に記載の、磁気測定装置用の測定値送信器から出発する。このような測定値送信器を本体に固定する方法およびこのような測定値送信器を備えた本体の動きを非接触式に検出する磁気測定装置も、本発明の対象である。
【0002】
ESPおよび/またはABS機能(ESP:Electronic stability program(横滑り防止機構), ABS:Anti-lock braking system(アンチロックブレーキシステム))を備えた周知のブレーキシステムでは、偏心体を介して、ブレーキ液を圧送する少なくとも1つの液圧ポンプを運転するために、一般に直流モータが使用される。この場合は一般に、回転数制御式もしくは完全制御式の直流モータである。直流モータを制御するためのロータ位置の追跡は、例えばモータ軸に取り付けられた永久磁石を用いて実施され得る。モータ軸における永久磁石の取付けおよび固定には、目下、非磁性材料から成るカップが使用される。この場合、モータ軸と共に回転する永久磁石の磁力線の角度が、TMR原理(TMR:Tunnel Magneto Resistance Effect(トンネル磁気抵抗効果))を用いた測定値受信器により検出され得る。この場合、永久磁石は測定値受信器に対して相対的に高精度でモータ軸に位置決めされかつ永続的に固定される。この場合、永久磁石とモータ軸との間の相対運動(軸方向および半径方向)は一切許容され得ない。よって、永久磁石は熱硬化性接着剤によりカップに接着される。さらに、モータ軸は、カップのプレスピンを受容するための端面孔を有しており、これにより、カップはプレス嵌めによりモータ軸に永続的に固定され得る。カップの底部は、永久磁石と軟磁性のモータ軸との間の磁気絶縁区間として働く。これにより、有効磁界の、モータ軸内への流出が減少させられる。
【0003】
独国特許出願公開第102015201411号明細書から公知の、ブレーキシステム用のモータ・ポンプユニットは、モータ軸を有する電動モータを備えている。モータ軸は、ポンプケーシング内に配置された少なくとも1つの流体ポンプを駆動する。この場合、ポンプケーシングには制御装置が配置されていて、電動モータの目下の回転数および/または目下のトルクを調整しており、制御装置は、測定値送信器と磁気的な測定値受信器とを含むセンサユニットを介して、モータ軸の目下の回転角度を非接触式に検出すると共に評価して、電動モータを制御する。測定値送信器は、ポンプケーシング内のモータ軸の一方の自由端部に配置されており、モータ軸の回転運動に応じて、制御装置内に位置固定されて配置された磁気的な測定値受信器により検出された磁界の少なくとも1つの磁気量に影響を及ぼす。
【0004】
独国特許出願公開第102016207659号明細書からは、車両、特に自動車のブレーキシステムのためのアクチュエータ装置であって、回転可能に支持された軸に相対回動不能に配置されたロータを有する、少なくとも1つの電子的に整流された電動モータと、ロータの回転位置を検出する少なくとも1つの回転角度センサとを備えたものが公知である。この場合、回転角度センサは、軸の端面に対向して位置するように配置されている。さらに、軸の端部もしくは端面が、少なくとも1つの回転角度送信器を有している。この回転角度送信器は、例えば軸に固く結合されひいては軸と共に回転する永久磁石であってよい。この場合、回転角度センサは、回転角度送信器の磁界を検出し、検出した磁界に応じて、軸ひいてはロータの回転角度位置が検出もしくは決定される。
【0005】
発明の開示
独立特許請求項1記載の特徴を有する磁気測定装置用の測定値送信器と、独立特許請求項7記載の特徴を有する、測定値送信器を固定する方法と、独立特許請求項11記載の特徴を有する、本体の動きを非接触式に検出する測定装置とは、製造ステップおよび/または組立てステップの大幅な削減が可能である、という利点を有している。樹脂結合型永久磁石材料の射出成形に基づき、永久磁石の、取付けカップ内への接着および取付けカップの、本体の開口を用いた圧入は、最早必要とされていない。さらに、個別コンポーネント数の減少に基づき、位置決め精度が改良されひいては製造誤差の連鎖もより短くなる。カップ底部および接着間隙の省略に基づき、樹脂結合型永久磁石材料と、この樹脂結合型永久磁石材料から形成された永久磁石とが直接に射出成形されていることで、軸方向の製造誤差の連鎖が大幅に短くなる。本体内へのカップ取付けと、磁石カップ内への永久磁石の取付けと、個別構成部材の偏心とが無くなることに基づき、樹脂結合型永久磁石材料および樹脂結合型永久磁石材料から形成された永久磁石を直接に射出成形することにより、半径方向の製造誤差の連鎖が大幅に短くなり、この場合は追加的に、永久磁石の有効直径も拡大され得るため、より廉価な磁石材料を使用することができる。さらに、樹脂結合型永久磁石材料が射出成形されたことによる、永久磁石と本体との分離不能な結合により、有利には、永久磁石と本体との間での相対運動は一切不可能である。さらに、測定値受信器と、本体上の永久磁石との間の減少された取付け距離と同時に、改良された製造誤差状態が可能である。永久磁石を射出成形構成部材として形成することにより、有利には、例えば軸として形成された動かされる本体を偏心軸受に取り付ける際または軸として形成された動かされる本体を備えたモータをポンプケーシング内に取り付ける際の後続の取付け過程に関して、永久磁石の端面もしくは本体の自由端部の造形の可能性が拡張される。
【0006】
本発明の実施形態は、本体の回転運動または並進運動を検出する、永久磁石を備えた磁気測定装置用の測定値送信器を提供するものであり、永久磁石は、本体に相対回動不能に結合されておりかつ本体と連動する。この場合、樹脂結合型永久磁石材料が本体に延長部として射出成形されており、永久磁石として、本体の一方の自由端部を形成している。
【0007】
さらに、測定値送信器を本体に固定する方法を提案する。この方法には、自由端部に固定用幾何学形状部が形成された本体を準備するステップ、固定用幾何学形状部を備えた本体の自由端部を射出成形用金型のキャビティに挿入するステップ、樹脂結合型永久磁石材料を射出成形用金型のキャビティ内に導入し、これにより、硬化した樹脂結合型永久磁石材料が、本体の延長部として本体の一方の自由端部を形成するステップ、および永久磁石材料を着磁して、永久磁石を形成するステップが含まれる。
【0008】
さらに、本体に相対回動不能に結合された測定値送信器と、位置固定されて配置された測定値受信器とを備え、本体の回転運動を非接触式に検出する磁気測定装置も提案する。この場合、測定値送信器は、本体の動きに応じて、測定値受信器により検出された磁界の少なくとも1つの磁気量に影響を及ぼす。
【0009】
測定値送信器と磁気測定装置とは、モータ軸もしくはロータの目下の回転角度および/またはモータ軸もしくはロータの回転速度および/または回転数を測定するために、例えばブレーキシステム用のモータ・ポンプユニットにおいて使用され得る。
【0010】
各従属請求項に記載された手段および改良により、独立特許請求項1記載の磁気測定装置用の測定値送信器および独立特許請求項7記載の、測定値送信器を本体に固定する方法ならびに独立特許請求項11記載の、本体の動きを非接触式に検出する測定装置の有利な改良が可能である。
【0011】
動かされる本体は、例えば回転運動するように支持された軸または並進運動するように支持されたロッドとして形成され得る。
【0012】
特に有利には、永久磁石は、直径方向に、またはその端面側の表面において、または多極式に磁化され得る。これにより、軸として形成された本体の回転運動に基づき周期的に変化する磁界を簡単に発生させることができ、この磁界は、例えば測定値受信器により検出されかつ評価され得る。
【0013】
測定値送信器の有利な構成では、動かされる本体の自由端部に固定用幾何学形状部が形成され得、固定用幾何学形状部は、永久磁石と本体との間に、半径方向と軸方向とにおける形状結合が形成されるように、永久磁石により包囲され得る。つまり、固定用幾何学形状部は、本体の一方の端面から軸横行に突出しており、簡単に製造され得る。この場合、固定用幾何学形状部は、例えばキノコ状の横断面と周方向に延在するアンダカットとを備えて軸方向に突出した構造体として形成され得る。択一的に、固定用幾何学形状部は、キノコ状の横断面と周方向に延在するアンダカットとを備えた凹部として形成されてもよい。
【0014】
測定値送信器の別の有利な構成では、永久磁石と本体との間に非磁性部分が形成され得る。この非磁性部分は、永久磁石と、好適には軟磁性材料から製造された本体との間の磁気絶縁区間として働く。これにより、永久磁石の有効磁界の、軟磁性の本体内への流出を有利に減少させることができる。
【0015】
方法の有利な構成では、永久磁石材料は、射出成形用金型のキャビティ内に導入される前に、射出可能な樹脂の粒質物に統合される。択一的に、粉末状の永久磁石材料が、射出成形用金型のキャビティ内に導入される前に、射出可能な樹脂と混合されてもよい。樹脂材料として、好適には例えばPBT(ポリブチレンテレフタレート)、ポリアミド(PA66)等の、加水分解安定性の樹脂が使用され得る。永久磁石材料としては、例えばフェライトまたはネオジム-鉄-ボロン(NdFeB)が使用され得る。好適には、比較的大型の構成形式の場合には廉価なフェライトが使用され得る。
【0016】
方法の別の有利な構成では、本体の固定用幾何学形状部が形成されかつ樹脂結合型永久磁石材料が射出成形用金型のキャビティ内に導入されることにより、導入された樹脂の硬化後に、これにより形成された永久磁石と本体の固定用幾何学形状部との間に、半径方向と軸方向とにおける形状結合が形成される。
【0017】
磁気測定装置の有利な構成では、軸として形成された本体の場合、測定値受信器により検出された磁界の影響を評価することができ、これにより、軸の目下の回転角度および/または目下の回転速度を算出することができる。ロッドとして形成された本体の場合、測定値受信器により検出された磁界の影響を評価することができ、これにより、ロッドの目下進んだ距離および/または目下の移動速度を算出することができる。測定値受信器は、例えばTMRセンサ(TMR:トンネル磁気抵抗効果)として形成され得る。これらのセンサは、有利には廉価に大量に調達もしくは製造され得る。
【0018】
磁気測定装置の別の有利な構成では、永久磁石を備えた動かされる本体の自由端部は、中空室内に突入していてよい。この場合、測定値受信器は、中空室の中または外に配置され得る。これにより、測定値送信器もしくは永久磁石と測定値受信器との間に、短い距離ひいては空隙が設定され得る。
【0019】
磁気測定装置の別の有利な構成では、測定値受信器とセンサインタフェースとは、1つの共通のASICモジュール(ASIC:application specific integrated circuit(特定用途向け集積回路))内に配置され得る。
【0020】
本発明の各実施例を図示すると共に、後続の説明においてより詳細に説明する。図面において同一の符号は、同一もしくは類似の機能を果たすコンポーネントもしくは要素を表すものである。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明による測定値送信器の1つの実施例を備えた、軸として形成された本体の回転運動を非接触式に検出する本発明による磁気測定装置の1つの実施例を備えたポンプケーシングの終端部を示す概略断面図である。
図2図1に示した本発明による測定値送信器を備えた、軸として形成された本体を示す概略斜視図である。
図3】測定値送信器を動かされる本体に固定する本発明による方法の1つの実施例を概略的に示すフローチャートである。
図4】本発明による測定値送信器に結合されるべき、軸として形成された本体の1つの実施例を示す概略斜視図である。
図5】樹脂結合型永久磁石材料を導入する前の射出成形用金型の1つの実施例を部分的に透視して示す概略斜視図であり、この場合、図4に示した、軸として形成された本体が、射出成形用金型のキャビティに導入されている。
図6】樹脂結合型永久磁石材料を導入した後の図5に示した射出成形用金型を部分的に透視して示す概略斜視図である。
【0022】
発明の実施形態
図1および図2から判るように、本体10の動きを非接触式に検出する本発明による磁気測定装置20の図示の実施例は、本体10に相対回動不能に結合された測定値送信器16と、位置固定されて配置された測定値受信器24とを有している。測定値送信器16は、本体10の動きに応じて、測定値受信器24により検出された磁界の少なくとも1つの磁気量に影響を及ぼす。
【0023】
図1および図2からさらに判るように、磁気測定装置20用の測定値送信器16は、永久磁石16Aを有しており、永久磁石16Aは、本体10に固く結合されており、本体10と連動する。この場合、樹脂結合型永久磁石材料が本体10に延長部として射出成形されており、永久磁石16Aとして、本体10の一方の自由端部を形成している。
【0024】
図1および図2からさらに判るように、動かされる本体10は、図示の実施例では回転運動するように支持された軸12として形成されており、軸12の、永久磁石16Aを備えた自由端部は、接続アダプタ9内に形成された中空室28内に突入している。1つの択一的な実施例(図示せず)では、動かされる本体10は、並進的に支持されたロッドとして形成されている。図1からさらに判るように、軸12は、モータ軸として形成されており、モータ軸受7.2を介して回転運動するように、ポンプケーシング7に設けられたモータ孔7.1内に支持されている。接続アダプタ9は、複数の圧入リブ9.1を介してモータ孔7.1内に圧入されている。
【0025】
図1からさらに判るように、測定装置20は、プリント回路板26に配置された、測定値受信器24とセンサインタフェース25とを備えた電子センサ22を有している。測定装置20の図示の実施例では、センサインタフェース25と測定値受信器24とは、1つの共通のASICモジュール23内に配置されている。図1からさらに判るように、プリント回路板26は接続アダプタ9に、測定値受信器24が測定値送信器16に対して最小限の間隔を有するように保持されている。図示の実施例では、測定値受信器24は、永久磁石16Aを備えた軸12の自由端部が突入している中空室28の上側の隔壁に設けられた、接続アダプタ9の凹部内に配置されている。センサインタフェース25は、測定値受信器24の出力信号を、測定値受信器24により検出された磁界の影響を表す評価・制御ユニット(図示せず)に出力する。評価・制御ユニットは、例えば上位の制御装置内に配置されており、軸12の目下の回転角度および/または目下の回転速度を算出するために、センサインタフェース25が受信した測定値受信器24の出力信号を評価する。図示の実施例では、軸12は、制御式の直流モータまたはECモータ(EC-Motor:electronically commutated Motor(電子整流式モータ))のモータ軸として形成されている。軸12の回転運動に応じて磁界の周期的な変化を生ぜしめるために、図示の実施例では、永久磁石16Aは直径方向に磁化されている。1つの択一的な実施例(図示せず)では、永久磁石16Aは、その端面側の表面においてまたは多極式に磁化されている。
【0026】
図1および図2からさらに判るように、永久磁石16Aの外形は、測定室28の輪郭に適合されており、この場合、永久磁石16Aの端面と外周面との間の移行部は、丸み付けられて形成されている。永久磁石16Aの丸み付けられた縁部は、軸12の自由端部の、接続アダプタ9に設けられた中空室28内への挿入を容易にする。図示の実施例では、永久磁石16Aの外径は、軸12の外径に相当する。永久磁石16Aの磁界の均一性を改良するために、永久磁石16Aは最大限の外径を備えて形成される。測定値送信器16の1つの実施例(図示せず)では、永久磁石16Aは段付けされて形成され得る。つまり、永久磁石16Aの外径は、軸12の外径よりも大きくまたは小さく形成されている。
【0027】
図1および図4からさらに判るように、軸12の端部には、固定用幾何学形状部14が形成されており、固定用幾何学形状部14は、永久磁石16Aと軸12との間に、半径方向と軸方向とにおける形状結合が形成されているように、永久磁石16Aにより包囲されている。図示の実施例では、固定用幾何学形状部14は、キノコ状の横断面と周方向に延在するアンダカットとを備えて突出した構造体14として形成されている。つまり、キノコ状の横断面の傘部14.1は、キノコ状の横断面の柄部14.2よりも大きな直径を有している。測定値送信器16の1つの実施例(図示せず)では、固定用幾何学形状部14は、キノコ状の横断面と周方向に延在するアンダカットとを備えた凹部として形成され得る。測定値送信器16の1つの別の実施例(図示せず)では、永久磁石16Aと軸12との間に非磁性部分が、永久磁石16Aと軸12との間の磁気絶縁区間として形成されており、これにより、永久磁石16Aの有効磁界の、軟磁性の軸12内への流出を、有利に減少させることができる。
【0028】
図3からさらに判るように、測定値送信器16を動かされる本体10に固定する本発明による方法100では、ステップS100において、自由端部に固定用幾何学形状部14が形成された本体10を準備する。ステップS110において、固定用幾何学形状部14を備えた本体10の自由端部を、図5に示す射出成形用金型1のキャビティ5内に挿入する。ステップS120において、充填開口3を介して射出成形用金型1のキャビティ5内に樹脂結合型永久磁石材料を導入し、これにより、硬化した樹脂結合型永久磁石材料が、本体10の延長部として、本体10の一方の自由端部を形成することになる。図6には、樹脂結合型永久磁石材料がキャビティ5内に導入された後の射出成形用金型1が示されている。ステップS130において、永久磁石材料を着磁して、永久磁石16Aを形成する。本発明による方法100の1つの択一的な実施例(図示せず)では、永久磁石の着磁は、別個のステップS130において行われるのではなく、既にステップS120において樹脂結合型永久磁石材料の充填・硬化過程の最中に実施されるため、測定値送信器16を動かされる本体10に固定する本発明による方法100を、より迅速に終了させることができる。
【0029】
図示の実施例では、永久磁石材料は、射出成形用金型1のキャビティ5内に導入される前に、射出可能な樹脂の粒質物に統合される。1つの択一的な実施例(図示せず)では、粉末状の永久磁石材料が、射出成形用金型1のキャビティ5内に導入される前に、射出可能な樹脂と混合される。本体10の固定用幾何学形状部14が形成されかつ樹脂結合型永久磁石材料が射出成形用金型1のキャビティ5内に導入されることにより、導入された樹脂の硬化後に、これにより形成された永久磁石16Aと本体10の固定用幾何学形状部14との間に、半径方向と軸方向とにおける形状結合が形成されることになる。
【0030】
本発明による測定値送信器および測定値送信器を動かされる本体10に固定する本発明による方法の実施形態は、ロッドとして形成された本体10の、測定値受信器24に対して相対的な並進運動を検出するためにも使用され得る。ロッドとして形成された本体10の場合、測定値受信器24により検出された磁界の影響を評価し、これにより、ロッドの目下進んだ距離および/または目下の移動速度を算出することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】