IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ サージマティクス,インコーポレーテッドの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-27
(54)【発明の名称】外科用固定装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/04 20060101AFI20220520BHJP
【FI】
A61B17/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021560213
(86)(22)【出願日】2020-04-03
(85)【翻訳文提出日】2021-11-18
(86)【国際出願番号】 US2020026660
(87)【国際公開番号】W WO2020206316
(87)【国際公開日】2020-10-08
(31)【優先権主張番号】62/829,167
(32)【優先日】2019-04-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515223422
【氏名又は名称】サージマティクス,インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】Surgimatix,Inc.
【住所又は居所原語表記】1539 Jarvis Ave.,Elk Grove Village,IL 60007,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】弁理士法人武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハサン ジャファ エス
(72)【発明者】
【氏名】セイバン アダム エー
(72)【発明者】
【氏名】コビレウスキ ゲアリ エム
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160BB01
4C160DD54
4C160DD55
4C160DD65
4C160DD70
(57)【要約】
本開示の一形態によると、外科用ファスナが開示される。この外科用ファスナは、その近位端にベースを含む。第1アームと第2アームとが、ベースから長手方向軸の周囲を外科用ファスナの遠位端に向かって、螺旋状に延長する。第1針捕獲領域が第1アームの遠位部に配置され、第2針捕獲領域が第2アームの遠位部に配置される。第1針捕獲領域と第2針捕獲領域とは、第1および第2針がファスナ展開装置から延長しているとき第1針と第2針とのそれぞれと係合し、第1および第2針がファスナ展開装置の中に後退しているとき第1針と第2針とのそれぞれと係合解除する構成とされている。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科用ファスナであって、
前記外科用ファスナの近位端に位置するベースと、
前記ベースから前記外科用ファスナの遠位端に向かって長手方向軸の周囲を螺旋状に延長する第1アームおよび第2アームと、
前記第1アームの遠位部に配置された第1針捕獲領域と、
前記第2アームの遠位部に配置された第2針捕獲領域と、備え、
前記第1針捕獲領域と前記第2針捕獲領域とは、第1および第2針がファスナ展開装置から延長しているときに前記第1針と前記第2針とのそれぞれと係合する構成とされ、前記第1針と前記第2針とが前記ファスナ展開装置の中に後退しているときに前記第1および第2針のそれぞれと係合解除する構成とされている、
外科用ファスナ。
【請求項2】
前記第1アームと前記第2アームとのそれぞれに沿って前記近位端と前記遠位端との間に配置された保持装置をさらに備え、
前記第1アームと前記第2アームとの外周面は滑らかであり、
前記保持装置は、前記第1アームと前記第2アームとのそれぞれの側面に配置されている、
請求項1に記載の外科用ファスナ。
【請求項3】
前記外科用ファスナは再吸収性ファスナである、
請求項1に記載の外科用ファスナ。
【請求項4】
前記外科用ファスナは可撓性ファスナである、
請求項1に記載の外科用ファスナ。
【請求項5】
前記ベースは円形リングを含む、
請求項1に記載の外科用ファスナ。
【請求項6】
前記ベースは半円を含む、
請求項1に記載の外科用ファスナ。
【請求項7】
前記ベースは、メッシュまたは組織のいずれか一方に取り付けられるときに、前記外科用ファスナの減捻に抵抗するため、前記ベースから延長して固定インターフェースと相互作用する減捻ロック機構を含む、
請求項1に記載の外科用ファスナ。
【請求項8】
前記第1アームは前記ベースの第1地点から延長し、
前記第2アームは前記ベースの第2地点から延長し、
前記第1地点は前記第2地点と対向して配置される、
請求項1に記載の外科用ファスナ。
【請求項9】
前記第1アームと前記第2アームとは所定のピッチで前記ベースから螺旋状に延長し、
前記第1および第2針は前記ピッチで前記ファスナ展開装置から延長する構成とされている、
請求項1に記載の外科用ファスナ。
【請求項10】
前記第1アームと前記第2アームとは円形の二重螺旋の形状を形成する、
請求項1に記載の外科用ファスナ。
【請求項11】
前記外科用ファスナの長さは、前記ファスナ展開装置から延長する前記第1および第2針の軸方向の延長範囲に対応する、
請求項1に記載の外科用ファスナ。
【請求項12】
前記第1針の第1先端と前記第2針の第2先端とは、組織を貫通するように前記第1および第2針捕獲領域のそれぞれを通過して延長する構成とされている、
請求項1に記載の外科用ファスナ。
【請求項13】
前記第1針捕獲領域と前記第2針捕獲領域とは、前記第1および第2針のそれぞれの先端を包囲する構成とされ、
前記第1および第2針捕獲領域のそれぞれは、穿孔先端をさらに備える、
請求項1に記載の外科用ファスナ。
【請求項14】
前記第1および第2針捕獲領域のそれぞれは、前記外科用ファスナを、組織を通過して牽引する構成とされている、
請求項1に記載の外科用ファスナ。
【請求項15】
前記第1アームと前記第2アームとは、前記長手方向の軸の周囲の完全な一回転を完了する、
請求項1に記載の外科用ファスナ。
【請求項16】
外科用ファスナを組織に取り付ける方法であって、前記方法は、
ファスナ展開装置の針インターフェースに前記外科用ファスナを装填するステップと、
第1針と第2針とを、前記外科用ファスナの第1螺旋状アームと第2螺旋状アームとに沿って延長させるステップと、
前記第1針を前記第1螺旋状アームの遠位部に配置された第1針捕獲領域と係合させ、前記第2針を前記第2螺旋状アームの遠位部に配置された第2針捕獲領域とに係合させるステップと、
前記第1および第2針捕獲領域によって、前記外科用ファスナを、前記組織を通過して牽引するステップと、
前記第1針捕獲領域と前記第2針捕獲領域とのそれぞれから前記第1針と前記第2針とを係合解除させるために、前記第1針と前記第2針とを後退させるステップと、
を含む、方法。
【請求項17】
前記第1針と前記第2針とを前記第1螺旋状アームと前記第2螺旋状アームとに沿って延長させるステップは、前記第1針と前記第2針とを回転方向と軸方向とに延長させるステップを含む、
請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記外科用ファスナの穿孔先端と前記第1および第2針の先端との一方により、前記組織とメッシュとの一方を貫通するステップをさらに含む、
請求項16に記載の方法。
【請求項19】
ファスナ展開装置であって、
前記ファスナ展開装置の遠位端に配置された第1渦巻針および第2渦巻針と、
長手方向軸に沿って延長し、外側スリーブの内部に配置され、前記第1および第2渦巻針に結合された駆動シャフトと、
前記ファスナ展開装置の近位端に位置する駆動機構であって、前記駆動シャフトに動作的に結合され、前記第1渦巻針と前記第2渦巻針とのそれぞれを前記長手方向軸に沿った軸方向と前記長手方向軸の周囲の半径方向とに同時に延長させる構成とされた駆動機構と、を備え、
前記ファスナ展開装置は、
外科用ファスナであって、
前記外科用ファスナの近位端に位置するベースと、
前記ベースから前記外科用ファスナの遠位端に向かって長手方向軸の周囲を螺旋状に延長する第1アームおよび第2アームと、
前記第1アームの遠位部に配置された第1針捕獲領域と、
前記第2アームの遠位部に配置された第2針捕獲領域と、を備え、
前記第1針捕獲領域と前記第2針捕獲領域とは、前記第1渦巻針と前記第2渦巻針とが前記ファスナ展開装置から延長しているとき前記第1渦巻針と前記第2渦巻針とに係合し、前記第1渦巻針と前記第2渦巻針とが前記ファスナ展開装置の中に後退しているとき前記第1渦巻針と前記第2渦巻針とのそれぞれから係合解除する構成とされる、前記外科用ファスナを取り付ける構成とされている、
ファスナ展開装置。
【請求項20】
前記ファスナ展開装置の遠位端の関節動作を許容する構成とされた複数の関節ジョイントを有する内側可撓性管と外側可撓性管とを備える前記駆動シャフトと、
前記内側可撓性管と前記外側可撓性管との間に配置された第1関節テンドンであって、前記複数の関節ジョイントから遠位である第1地点において、前記内側可撓性管と前記外側可撓性管との一方またはそれぞれに固定される第1関節テンドンと、
前記内側可撓性管と前記外側可撓性管との間に配置された第2関節テンドンであって、前記複数の関節ジョイントから遠位であり前記第1地点から前記長手方向軸の反対側に配置された第2地点において、前記内側可撓性管と前記外側可撓性管との一方またはそれぞれに固定される第2の関節テンドンと、
関節制御ユニットであって、前記複数の関節ジョイントの周囲の前記駆動シャフトの前記遠位端を関節動作させるために前記第1および第2関節テンドンの一方に第1張力を加え、前記駆動シャフトの前記遠位端を直線化させるために前記第1および第2関節テンドンの他方に第2張力を加える構成とされた関節制御ユニットと、をさらに備える、
請求項19に記載のファスナ展開装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<関連出願の相互性>
本出願は、特許協力条約に基づく国際特許出願であり、2019年4月4日に出願された米国特許仮出願第62/829167号に基づく優先権を主張するものである。
【0002】
本開示は、広く医療用装置に関し、より詳しくは組織または補綴材料を固定する医療用固定装置に関する。
【背景技術】
【0003】
組織の固定は、医療産業で長い間必要とされてきており、それに応じて、異なる適用および使用のために有限個の固定装置が開発されてきた。これらの装置の中に、ヘルニアの腹腔鏡下での修復などの低侵襲処置に良く用いられる腹腔鏡固定装置、すなわちタッカがある。典型的な腹腔鏡下処置は、腹壁のヘルニア欠損部に内側からアクセスするために、腹部の比較的小さな切開部またはアクセスポートに薄く細長い器具を挿入することを伴う。さらに、腹腔鏡器具は、補綴メッシュを欠損部上に位置決めし、タックを用いてその補綴メッシュを腹壁の内側に対して固定し、複数の組織を相互に固定することなどにも用いられる。切開部が小さいことで、不快感がより小さく、回復もより早まる低侵襲性の手術となる。そのような外科的処置は、小さな切開を行い腹腔内でファスナを適用することに関するヘルニアの修復を含んでいる。
【0004】
いくつかの腹腔鏡タッカは、展開可能なタックを含んでおり遠位先端に端部発射機構または側部発射機構が配置された比較的薄く細長い管状部材を提供する。従来型の腹腔鏡タッカのいくつかの短所として、硬く鋭いタックが取付位置から移動してしまう、そして適切な挿入角度を達成するために取付部位(例えば、腹壁)をねじることが困難であることが含まれる。
【0005】
例えば、金属製でコイル状のタックの場合、そのようなタックは、患者に炎症や痛みを生じさせたり、腹壁から外れたり、他の術後合併症を生じさせたりすることがある。金属製タックに伴うそれらの欠点に対処するために、吸収性のタックが開発され採用されている。吸収性のタックは、最終的には身体に吸収される設計とされており、それによって時間経過に伴い患者に生じる炎症や痛みは減少する。しかしながら、吸収性のタックには、その保持強度または引張強度が最適よりも弱い傾向もある。このような場合、ヘルニア欠損部の縫合または補綴メッシュの腹壁への縫合の方がより効果的であることが判明する可能性がある。しかしながら、縫合に伴う比較的複雑な特性のため、腹腔鏡下処置またはそれ以外の低侵襲処置を介してヘルニア欠損部に縫合糸を用いることは困難である。
【0006】
よって、組織を固定するまたは組織に縫合糸を取り付ける低侵襲性手段または腹腔鏡手段であって、外科医またはユーザにとって取付プロセスを実質的に容易とするものに対する必要性が存在する。また、組織の閉鎖および/または補綴メッシュの組織への固定のための、より効果的で信頼性の高い手段を提供する医療用固定装置に対する必要性も存在する。さらに、組織保持のための強度に悪影響を与えることなく、患者への炎症、痛みおよび他の合併症を低減するファスナを採用する医療用の固定装置に対する必要性も存在する。
【発明の概要】
【0007】
本開示の一形態によると、外科用ファスナが開示される。この外科用ファスナは、その近位端に位置するベースを含む。第1アームと第2アームとが、ベースから、この外科用ファスナの遠位端に向かい、長手方向軸の周囲を螺旋状に延長する。第1針捕捉領域が第1アームの遠位部に配置され、第2針捕捉領域が第2アームの遠位部に配置される。第1針捕獲領域と第2針捕獲領域とは、第1針と第2針とがファスナ展開装置から延長しているとき第1針と第2針とのそれぞれと係合する構成とされ、第1針と第2針とがファスナ展開装置の中に後退しているとき第1針と第2針とのそれぞれと係合解除する構成とされている。
【0008】
本開示の別形態によると、外科用ファスナを組織に取り付ける方法が開示される。この方法は、外科用ファスナを、ファスナ展開装置の針インターフェースに装着すること、第1針と第2針とを、外科用ファスナの第1螺旋型アームと第2螺旋型アームとに沿って延長させること、第1針を、第1螺旋型アームの遠位部に配置された第1針捕獲領域に係合させること、第2針を、第2螺旋型アームの遠位部に配置された第2針捕獲領域に係合させること、第1および第2針捕獲領域により、外科用ファスナを組織を通過して牽引すること、および第1および第2針が第1および第2針捕獲領域のそれぞれから係合解除するように、第1および第2針を後退させること、を含む。
【0009】
もう1つ別の実施形態は、ファスナ展開装置という形式をとる。このファスナ展開装置は、第1渦巻型針と第2渦巻型針とを含み、第1および第2渦巻型針は、ファスナ展開装置の遠位端に配置される。さらに、ファスナ展開装置は、長手方向軸に沿って延長し、外側スリーブの内部に配置され、第1および第2渦巻型針に結合された駆動シャフトと、ファスナ展開装置の近位端にあり、駆動シャフトに動作的に結合され、第1および第2渦巻型針のそれぞれを長手方向軸に沿った軸方向と長手方向軸の周囲を半径方向とに同時に延長する構成とされた駆動機構とを含む。
【0010】
本開示のもう一つ別の形態によると、ファスナ展開装置のための駆動機構が提供される。この駆動機構は、遠位端と近位端とを有する親ネジを含んでおり、この親ネジは、長手方向軸に沿って延長し、駆動シャフトに遠位端において動作的に結合され、この親ネジの外周にネジ部を含む。さらに、この駆動機構は、ハウジングの内部に固定的に取り付けられており、親ネジのネジ部を受け取る構成とされたガイドナットと、長手方向軸に沿って親ネジの近位端に作動力を適用する構成とされた作動装置とを含む。作動力により、親ネジのネジ部は、ガイドナットの内部において、長手方向軸に沿って前進することと同時に長手方向軸の周囲を回転する。
【0011】
さらにもう一つ別の実施形態は、ファスナ展開装置のための関節装置という形態をとる。この関節装置は、近位端においてアクチュエータからの挿入入力を受け取り、遠位端において外科用ファスナを取り付けるために挿入入力を針インターフェースに伝える構成とされた可撓性駆動シャフトを含む。さらに、この関節装置は、近位外側スリーブと、遠位端を近位外側スリーブに接続する関節テンドンと、内側関節管とを含んでおり、内側関節管は、その長さに沿って複数の関節ジョイントを有し、可撓性駆動シャフトの周囲に配置され、少なくとも部分的に近位外側スリーブの内部に配置されている。さらに、この関節装置は、関節アクチュエータを含んでおり、この関節アクチュエータは、複数の関節ジョイントにおける関節ジョイントをシーケンシャルに露出させるために、近位外側スリーブを遠位端から離れる方向に後退させ、関節テンドンにて牽引された遠位端が、露出された関節ジョイントにて曲がる構成とされている。
【0012】
本開示のこれらのおよび他の形態と特徴とは、添付の図面と共に以下の詳細な説明を読むことで、より良く理解されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本願開示の教示による、第1の外科用ファスナの斜視図である。
図2】本願開示の教示による、第2の外科用ファスナの斜視図である。
図3】本願開示の教示による、第3の外科用ファスナの斜視図である。
図4】本願開示の教示による、第4の外科用ファスナの斜視図である。
図5】本願開示の教示による、第5の外科用ファスナの斜視図である。
図6】本開示の教示による、ファスナ展開装置の斜視図である。
図7】本開示の教示による、針インターフェースに隣接する外科用ファスナの斜視図である。
図8】本開示の教示による、針インターフェースに取り付けられた外科用ファスナの斜視図である。
図9】本開示の教示による、方法を示す図である。
図10】本開示の教示による、外科用ファスナの取り付けの複数の斜視図である。
図11】本開示の教示による、取り付けられた外科用ファスナの斜視図と側面図とである。
図12】本開示の教示による、ファスナ展開装置のコンポーネントの分解図と組立図とである。
図13】本開示の教示による、後退状態と延長状態とにおける駆動機構と針インターフェースとの断面図である。
図14A】本開示の教示による、ヨークと駆動機構と共に取り付けられたヨークとの斜視図である。
図14B】本開示の教示による、後退状態と延長状態とにおける駆動機構のコンポーネントの斜視図である。
図15】本開示の教示による、衝撃エネルギ駆動機構の断面図である。
図16】本開示の教示による、起動中の衝撃エネルギ駆動機構の断面図とトリガポールの拡大断面図とである。
図17】本開示の教示による、外科用ファスナの取り付け後の衝撃エネルギ駆動機構の断面図である。
図18】本開示の教示による、連続エネルギ駆動機構の態様の断面図である。
図19】本開示の教示による、関節装置の組み立てられていないコンポーネントを示す図である。
図20】本開示の教示による、直線状態における組み立てられた関節装置を示す図である。
図21】本開示の教示による、関節動作した状態における組み立てられた関節装置を示す図である。
図22】本開示の教示による、例示的な可撓性管の側面図である。
図23】本開示の教示による、例示的な可撓性管の斜視図である。
図24】本開示の教示による、2テンドン関節装置の斜視図である。
図25】本開示の教示による、図24の2テンドン関節装置の断面図である。
図26】本開示の教示による、ファスナ展開装置の関節制御部の斜視図である。
図27】本開示の教示による、関節制御ノブが除去された図26の関節制御部の斜視図である。
図28】本開示の教示による、図27の関節制御部の分解図である。
図29】本開示の教示による、関節動作していない位置における図26のファスナ展開装置を示す図である。
図30】本開示の教示による、部分的な関節動作した位置における図26のファスナ展開装置を示す図である。
図31】本開示の教示による、完全な関節動作した位置における図27のファスナ展開装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本開示は、様々な修正および代替的構成を許容するが、その特定の例示的な実施形態が図面に示されており、詳細は以下で説明される。しかし、本発明を開示されている特定の形態に限定する意図は全く存在せず、その逆に、修正、代替的な構成、並びに本開示の精神および範囲に属する均等物のすべてに及ぶことが意図されている。
【0015】
次に図面を、特に図1を参照する。図1は、本開示の教示による第1の外科用ファスナの斜視図を示す。特に、図1は、外科用ファスナ102-1の斜視図100を示す。図1図5は、外科用ファスナ102-1~102-5を示し、これらは、互いに同じ特徴の多くを共有し、本明細書で開示されている外科用ファスナ102の様々な実施形態を示するために用いられる。よって、同様の参照番号が付されたコンポーネントは、様々な外科用ファスナ102の間での類似の特徴を示唆する。さらに、詳細な説明を通じて用いられる慣習であるが、そうでないと明記されていない限り、図面で右側に示されているものが近位方向であり、図面で左側に示されているものが遠位方向である。様々な固定装置を説明するために明細書の全体で外科用ファスナという用語が用いられているが、本明細書で開示されている外科用ファスナ102は、縫合糸と同じように、一般に可撓性である。
【0016】
本明細書で開示されている外科用ファスナ102は、メッシュの組織への固定、第1組織片の第2組織片への固定、またはそれに類似する固定などに用いられる。様々な実施形態において、外科用ファスナ102は、再吸収性のファスナとして実現され得る。また、外科用ファスナ102は、例えばポリマ材料から製造することで可撓性のファスナとして実現され得る。再吸収性ファスナは、組織内に取り付けられると分解する構成とされたコンポーネントおよび材料から製造される。さらに、可撓性ファスナは、患者の快適さの助けとなり得るものであって、組織内に取り付けられたときに断裂などを生じさせることのない外科用ファスナ102の適度な屈曲を許容する。いくつかの実施形態では、外科用ファスナ102は、限定を意味しない可能な例示であるが、ポリプロピレン、ポリエステル、またはナイロンなど、恒久的すなわち非再吸収性の材料で製造される。
【0017】
図1に関する説明に戻ると、外科用ファスナ102-1は、外科用ファスナ102-1の近位端106に位置するベース104を含む。より完全に後述するように、ベース104は、完全円(例えば、円形リング126)、図2の半円202、または同様のものとして実現される円形のベースである。さらに別の実施形態において、ベース104は、駆動シャフトに付随するいずれかの相補的な形状にて実現される。いくつかの実施形態において、外科用ファスナ102は、患者の体外の駆動機構から制御(例えば、作動)されながら患者の体内の固定部位に到達する構成とされた駆動シャフトを含むファスナ展開装置を用いた腹腔鏡下手術において取り付けられる。患者に小さな切開を行う意図に応じ、駆動シャフトのサイズおよび形状は、変化させることがある。したがって、外科用ファスナ102のサイズおよび形状は、駆動シャフトに対して相補的な形状およびサイズとなるように、対応して(例えば、長円形、矩形、多角形などに)変化し得る。現在、外科用ファスナ102は、形状に関し、丸い断面の外形を有する駆動シャフトに対応するものと想定される。
【0018】
さらに、外科用ファスナ102-1は、第1アーム110と第2アーム112とを含む。第1アーム110と第2アーム112とは、ベース104から、長手方向軸114の周囲を、外科用ファスナ102-1の遠位端108に向かって螺旋状に延長する。また、第1アーム110と第2アーム112とは、外周面122と側面124とを有する。第1アーム110と第2アームとは、共に、二重螺旋の形状を形成するように、長手方向軸114の周囲を同じ方向に螺旋状に延長する。いくつかの実施形態において、第1アーム110と第2アーム112とは、円形の二重螺旋を形成しており、外周面122は、外科用ファスナ102の長さの少なくとも一部に対し、長手方向軸114から一定の半径測定値を有する。
【0019】
外科用ファスナ102-1~102-5は、第1アーム110と第2アーム112とを有するものとして示され説明されているが、いくつかの実施形態において、外科用ファスナ102は、2つより多くのアームを含む。例えば、3つのアームを有する外科用ファスナ102であれば、ベース104の相互に離隔した3つの地点から螺旋状に延長する3つのアームを含む。そのため、外科用ファスナ102を取り付けるために用いられる針インターフェースは、外科用ファスナ102上のアームの個数と同じ数の針を含む構成とされる。
【0020】
さらに、外科用ファスナ102は、第1アーム110の遠位部に配置された第1針捕獲領域116と、第2アーム112の遠位部に配置された第2針捕獲領域118とを含む。第1針捕獲領域116と第2針捕獲領域118とは、第1および第2針がファスナ展開装置(例えば、図6のファスナ展開装置602)から延長しているときに第1および第2針のそれぞれと係合し、第1および第2針がファスナ展開装置の中に後退しているときに第1および第2針それぞれと係合解除する構成とされる。
【0021】
一般に、針捕獲領域(例えば、116,118)は、外科用ファスナ102を取り付けるときにそれぞれの針(例えば、702,704)と係合するように機能する。針捕獲領域は、外科用ファスナ102の遠位端108に位置するアーム(例えば、110,112)の遠位部に配置される。針捕獲領域と一般的に硬い針との間の係合により、外科用ファスナ102を、外科用ファスナ102の遠位端108からメッシュおよび/または組織を通過して牽引するように針を延長させることが可能になる。
【0022】
いくつかの実施形態において、外科用ファスナ102は、第1および第2針の先端が第1および第2針捕獲領域116,118のそれぞれを通過して組織を貫通するように構成される。例えば、第1針捕獲領域116は第1針穴128を含み、第2針捕獲領域118は第2針穴130を含む。第1針穴128と第2針穴130とは、第1針と第2針との穿孔先端が第1および第2針穴128,130のそれぞれを通過できるサイズである。針捕獲領域116,118の内側面は、第1および第2針との係合を促進する相補的な形状を含む。以下でより詳細に開示される、さらに別の実施形態において、針捕獲領域は、外科用ファスナ102を通過して延長しないように、針の先端を包囲する構成とされる。そのような実施形態においては、外科用ファスナ102の先端が組織またはメッシュを穿孔する。
【0023】
さらに、外科用ファスナ102は、保持装置120を含む。保持装置120は、一度取り付けられた外科用ファスナ102の後退を防止する。外科用ファスナ102が組織またはメッシュの中に取り付けられた後で針(例えば、702,704)が後退すると、保持装置120は、外科用ファスナ102を組織の内部に維持し、針は、針捕獲領域116,118と係合解除(例えば、針捕獲領域から分離)する。保持装置120は、組織を通過して牽引されているときに生じる摩擦力と比較して、後退するときに増加した摩擦力が生じるように傾斜した凸型の外形または他の類似の形状として実現される。
【0024】
いくつかの実施形態において、第1アーム110と第2アーム112との外周面122は、滑らかである。そのような実施形態において、保持装置120は、アーム110,112のそれぞれの側面に配置される。したがって、保持装置120は、第1アーム110と第2アーム112との間の開放空間132(図1で破線の円にて示す)に延長する。保持装置120は、それぞれのアルゴリズム110,112の両方の側面124(例えば、相互に対向する側面)にて実現される。
【0025】
図2は、本開示の教示による第2の外科用ファスナの斜視図である。特に、図2は、第2の外科用ファスナ102-2の斜視図200を示している。第2の外科用ファスナ102-2は、第1の外科用ファスナ102-1と同じ特徴の多くの含んでおり、第1アーム110および第2アーム、第1針捕獲領域116、第2針捕獲領域118、並びに保持装置120を含む。第2の外科用ファスナ102-2は、近位端106から遠位端108まで、長手方向軸114に沿って延長している。外科用ファスナ102-2に関する説明にて開示される態様は、本明細書で開示されている他の外科用ファスナ102にも適用される。
【0026】
いくつかの実施形態において、外科用ファスナ102のベース104は、半円202にて実現される。半円202は、駆動シャフトの周囲のグリップを提供するように、180度よりも大きな弧(例えば、半分よりも大きな円)として延長している。半円202の開放部により、長手方向軸114を横断する方向から、駆動シャフトの周囲にベース104を取り付けることが可能になる。
【0027】
また、凹部204を有する保持装置120が、図の200に示されている。凹部204により、組織を通過する外科用ファスナ102の挿入力が小さくできるが、その理由は、ファスナの後退を防止するために、保持装置120の側部が凹部204の空間の中に一時的に変形して、ファスナの挿入が完了すると、変形前の形状に跳ね戻ることが可能であるからである。
【0028】
図3は、本開示の教示による第3の外科用ファスナの斜視図である。特に、図3は、第3の外科用ファスナ102-3の斜視図300を示す。また、外科用ファスナ102-2と同様に、外科用ファスナ102-3は、外科用ファスナ102-1と同じ特徴の多くを含んでいる。外科用ファスナ102-3の説明との関係で開示されている態様は、本明細書で開示されている他の外科用ファスナ102にも適用される。
【0029】
また、外科用ファスナ102-3は、減捻ロック機構302を含む。減捻ロック機構302は、図1および図3図5に示され、ただし明瞭にするために図3および図4にてのみ符号が付されているが、ベース104が固定インターフェース(例えば、外科用ファスナ102が取り付けられつつある組織またはメッシュ)に対して同一平面で回転してファスナの挿入が終了間近のときに、減捻ロック機構302が固定インターフェースに沿ってスライドすることを許容するために、ベース104から、遠位端108の方向に、角度を有する、すなわち傾斜した様態で延長している。こうして、減捻ロック機構の形状は、取り付けられた外科用ファスナ102の長手方向軸の周囲の減捻(例えば、後退方向への後戻り)を防止するために、固定インターフェースに対する抵抗を提供する。外科用縫合102は、ベース104に配置された単一の減捻ロック機構302または複数の減捻ロック機構302を含むことが、さらに想定される。例えば、図2の外科用ファスナ102-2は、第1アーム110と第2アーム112とを接続するベース104(例えば、半円形のベース202)の一部である減捻ロック機構302、または半円形のベース202の開放部に位置する半円形のベース202の端部の減捻ロック機構302を含む。
【0030】
図の300に示すように、第1アーム110は、ベース104の第1地点304から延長し、第2アーム112は、ベース104の第2地点306から延長する。第1地点304は、第2地点306の向かい側に配置される。よって、第1アーム110と第2アーム112とは、共に長手方向軸114の周囲を同じ方向に、同じ角度で、螺旋状に延長しているため、第1アーム110と第2アーム112とは、外科用ファスナが組織内部に取り付けられたままの状態で残る性能を向上させるために、組織の相互から物理的に離隔した部分を通過して挿入される。このように距離が増大していることにより、外科用ファスナ102のアーム110,112は、相互から物理的に離隔している組織と係合し、それらを通過可能となる。これにより、組織内部にてより強力な保持を提供するように外科用ファスナ102が相互作用する組織の表面積が増大する。
【0031】
図4は、本開示の教示による第4の外科用ファスナの斜視図である。特に、図4は、第4の外科用ファスナ102-4の斜視図400を示している。また、外科用ファスナ102-2,102-3と同様に、外科用ファスナ102-4は、外科用ファスナ102-1と同じ特徴の多くを含む。外科用ファスナ102-4の説明との関係で開示されている態様は、本明細書で開示されている他の外科用ファスナ102にも適用される。図の400に示すように、外科用ファスナ102-4は、ピッチ402、穿孔先端404、および長さ406を含む。
【0032】
第1アーム110は、ベース104から、ピッチ402で延長する。ピッチ402は、アームがベースから延長する角度として示されているが、また、ピッチ402は、アーム110,112が長手方向軸114の周囲の完全な回転を完了する前に通過して延長する軸方向の長さとしても実現される。第1アーム110と第2アーム112とは、共に、同じピッチ402でベース104から延長し、相互から向かい合って配置された地点(例えば、地点304,306)から延長するため、それにより、二重螺旋の形状を呈する。ピッチ402の他の値を用いる場合もあるが、所定の実施形態において、アーム110,112は、ベースの直径の2倍から4倍の倍数の長さで、長手方向軸の周囲での1回の完全な回転を終了する。よって、直径が4mmのベース104を有する外科用ファスナ102の場合に、外科用ファスナ102は、近位端106と遠位端108との間の長さが8mmから16mmの範囲にある長さ406に亘り長手方向軸114の周囲での1回の完全な回転を完了するように対応するピッチ402を有するアーム110,112を有する。
【0033】
外科用ファスナ102のアームのピッチ402は、ファスナ展開装置の針のピッチに対して相補的である。したがって、外科用ファスナ102を取り付ける間、針とアームとは、外科用ファスナ102が組織を貫通する際に、相互に位置合わせされた状態に維持される。
【0034】
図の400には、穿孔先端404が示されている。穿孔先端404は、第1および第2アーム110,112の遠位端(例えば、第1および第2針捕獲領域116,118の遠位端)に配置される。第1および第2針捕捉領域116,118は、第1および第2針のそれぞれの先端を包囲する構成とされている。外科用ファスナ102-1との関係で説明された実施形態と比較すると、外科用ファスナ102-4の穿孔先端404は組織の穿孔を行う。穿孔先端404を用いる実施形態において、針の先端は、外科用ファスナ102の意図しない穿孔を防止するために、鈍いまたは丸められた先端である。
【0035】
いくつかの実施形態において、外科用ファスナ102は、ポリマベースの材料から成形される。これの鋳型は、外科用ファスナ102の長さ406に亘り厚さの異なる外科用ファスナを生じさせる。例えば、穿孔先端404を有する針捕獲領域116,118は、アーム110,112よりも針捕獲領域の方が厚くなる。このように厚さが変動することにより、穿孔先端404の領域でより硬くなり、アーム110,112の領域に沿ってより可撓性が大きくなることが可能になる。また、外科用ファスナ102の他の態様が、より厚い寸法を有することがある。例えば、ベース104は、アーム110,112の厚さよりもより厚くなるように成形されることがある。
【0036】
他の実施形態において、外科用ファスナ102は、ポリマ製の円柱型の管から製造され、アーム、ベース、針捕獲領域などの特徴は、レーザで切断されて円筒形の管になっている。円筒形の管から製造されるそのような実施形態において、外科用ファスナ102の全体の厚さは一様である。よって、針の先端が組織またはメッシュを穿孔する外科用ファスナ102を取り付ける方が、穿孔先端404を有する外科用ファスナ102を有するよりも好ましい場合がある。ポリマ製の円筒型の管をレーザで切断することで製造される外科用ファスナ102は、図2および図5に、少なくとも部分的に示されている。
【0037】
さらに、外科用ファスナ102は、長さ406を含む。長さ406は、近位端106と遠位端108との間で測定され、取り付ける間にファスナ展開装置の遠位端を超えて針が延長する直線状の距離に対応する。したがって、針の全体の延長は、外科用ファスナ102がそれに対して取り付けられる固定インターフェース(例えば、組織またはメッシュ)の外面と当接するベース104と対応する。
【0038】
図5は、本開示の教示による第5の外科用ファスナの斜視図である。特に、図5は、第5の外科用ファスナ102-5の斜視図500を示す。また、外科用ファスナ102-2,102-3,102-4と同様に、外科用ファスナ102-5は、外科用ファスナ102-1と同じ特徴の多くを含む。外科用ファスナ102-5の説明との関係で開示されている態様は、本明細書で開示されている他の外科用ファスナ102にも適用される。さらに、図の500に示すように、外科用ファスナ102-4は、拡大された凹部502と、短縮された長さ504とを含む。
【0039】
図2との関係で説明した保持装置120の凹部204と比較すると、外科用ファスナ102-5は、拡大された凹部502を有する保持装置120を含む。拡大された凹部502は、外科用ファスナ102-5が取り付けられる間の保持装置120のさらなる変形を許容する。
【0040】
さらに、図500は、短縮された長さ504を示す。図4との関係で説明した長さ406と比較すると、短縮された長さ504は、外科用ファスナ102-4にて提示されるよりも短い外科用ファスナ102を提供する。よって、アーム110,112の所定のピッチが与えられた場合、外科用ファスナ102-5は、外科用ファスナ102-4の場合に長手方向軸114の周囲の完全な回転と比較して、長手方向軸114の周囲の2分の1の回転を提示する。長さが変動する外科用ファスナを取り付ける外科用展開装置は、外科用ファスナ102の長さ(406,504)と一致するように針を延長させる駆動機構を変更する構成とされる。短縮された長さ504を有するその実施形態において、短縮された長さ504は、ベースの直径の1倍から2倍の倍数として実現される。
【0041】
図6は、本開示の教示によるファスナ展開装置の斜視図である。特に、図の600は、本明細書に開示されている外科用ファスナ102のいずれかを取り付ける構成とされるファスナ展開装置602を示す。ファスナ展開装置602は、遠位端606と近位端608とを含み、一般に長手方向軸612に沿って延長している。駆動シャフト610は、長手方向軸612に沿って延長し、外側スリーブ614の内部に配置される。長手方向軸612は、一般に長手方向軸114と一致するが、特に、ファスナ展開装置602が遠位端606で関節動作していないとき(後で、より詳しく説明する)に、そうである。
【0042】
遠位端606には、針インターフェース604が存在するが、これについては、図7図8との関係でさらに詳細に説明する。針インターフェース604では、ファスナ展開装置602が、第1渦巻型針702と第2渦巻型針704とを含む。駆動機構616が、ファスナ展開装置602の近位端608に配置される。駆動機構616は、いずれかの数の異なるスタイルの駆動機構であるが、一般に、駆動機構616は、駆動シャフト610に動作的に結合され、第1および第2渦巻型針を、長手方向軸612に沿った軸方向と長手方向軸612の周囲の半径方向とに同時に延長する構成とされている。
【0043】
さらに、ファスナ展開装置602は、駆動機構616を作動するように構成されたトリガ618と、ハウジング622に固定されるハンドル620とを含む。こうして、いくつかの実施形態において、トリガ618は、作動力の適用させる構成とされる。ハウジング622は、駆動機構616の態様を含む。
【0044】
上述のように、ファスナ展開装置602は、本明細書に開示されている外科用ファスナ102のいずれかを取り付ける構成とされる。例えば、ファスナ展開装置602は、外科用ファスナの近位端に位置するベース604と、ベース104から螺旋状に延長する第1アーム110および第2アーム112と、第1および第2針捕獲領域116,118とを有する外科用ファスナ102を取り付けることができる。第1渦巻型針702と第2渦巻型針704とは、ファスナ展開装置602から延長している場合に、第1および第2針捕獲領域116,118のそれぞれと係合する構成とされる。さらに、第1および第2渦巻型針702,704は、これらの第1および第2渦巻型針がファスナ展開装置602の中に後退しているときに、第1および第2針捕獲領域116,118のそれぞれから係合解除する。
【0045】
図7は、本開示の教示による、針インターフェースに隣接する外科用ファスナの斜視図であり、図8は、本開示の教示による、針インターフェース上に取り付けられた外科用ファスナの斜視図である。特に、図7は、針インターフェース604に隣接し、針インターフェース604とは分離している外科用ファスナ102の斜視図700を示す。斜視図800は、針インターフェース604上に取り付けられた外科用ファスナ102を示す。図の700および800に示すように、外科用ファスナ102は、近位端106と遠位端108とを含む。第1アーム110と第2アーム112とは、ベース104から延長する。第1針捕獲領域116と第2針捕獲領域118とは、第1および第2アーム110,112のそれぞれの遠位部に配置される。針捕獲領域116,118は第1および第2針穴128,130を有するように示されているが、針穴を有しない外科用ファスナ102も用いられることも想定される。さらに、外科用ファスナ102は、近位端106と遠位端108との間に、第1および第2アーム110,112に沿って、保持装置120を含む。
【0046】
針インターフェース604は、第1渦巻型針702と、第2渦巻型針704とを含む。針インターフェース604は、駆動シャフト610の遠位端714に動作的に結合される。第1渦巻型針702は第1ショルダ706を含み、第2渦巻型針704は第2ショルダ708を含む。第1および第2ショルダ706,708は、それぞれの針捕獲領域116,118の内面に当接する。これらショルダ706,708は、組織を通過して外科用ファスナ102を牽引する助けとなるように、遠位方向の力を伝達する構成とされている。ここで、針インターフェース604は、第1先端710を有する第1針702と、第2先端712を有する第2針とを含む。組織を貫通する構成とされた鋭い先端として示しているが、渦巻型針702,704の第1および第2先端710,712は、丸められた、すなわち鈍い先端にて実現される場合もある。そのような実施形態において、外科用ファスナ102の遠位端(例えば、穿孔先端404)は、針捕獲領域116,118と係合されている針702,704にて押されると組織を貫通する。
【0047】
いくつかの実施形態において、ファスナ展開装置602は、図の700に示すように、遠位端714に歯716を含む。歯716は、外科用ファスナ102を取り付ける間、メッシュを下位の組織に押し付ける。外科用ファスナ102がメッシュおよび/または組織を通じて牽引される前に、遠位端714は、固定インターフェースに対して当接する。歯716は、針の回転態様にて加えられる固定インターフェースに対するメッシュの回転に対抗するために、外側のメッシュを下位の組織に押し付ける。
【0048】
図8の図の800に示すように、外科用ファスナ102は、針インターフェース604上に取り付けられる。ここで、外科用ファスナ102の第1アーム110と第2アーム112とは、第1針702と第2針704とのそれぞれに対して位置合わせされて一致している。さらに、第1針の先端710は、第1針捕獲領域116の第1針穴128を通過して延長し、第2針の先端712は、第2針捕獲領域118の第2針穴130を通過して延長する。取り付けられると、渦巻型針702,704のショルダ706,708は、それぞれの針捕獲領域116,118の内面と当接する。
【0049】
図9は、本開示の教示による方法を示している。特に、図9は、902における針インターフェースに外科用ファスナを装着するステップと、904における針をアームに沿って延長するステップと、906における針を針捕獲領域に係合させるステップと、908における外科用ファスナを、組織および/またはメッシュを通過して牽引するステップと、910における針を針捕獲領域から係合解除するステップと、912における保持装置を用いて外科用ファスナを保持するステップとを含む方法900を示している。方法900は、本明細書で開示される外科用ファスナ102とファスナ展開装置602,1902とのいずれかで実施される。
【0050】
方法900において、ブロック902で、外科用ファスナ102が、ファスナ展開装置602の針インターフェース604に装着される。ブロック904では、第1針702と第2針704とが、外科用ファスナ102の第1螺旋型アーム110と第2螺旋型アーム112とのそれぞれに沿って延長される。ブロック906では、第1針702が、第1螺旋型アームの遠位部に配置されている第1針捕獲領域116と係合され、第2針704が、第2螺旋型アームの遠位部に配置されている第2針捕獲領域118と係合される。これらの態様が、上述のように、図8の図の800に示されている。
【0051】
ブロック908では、外科用ファスナ102が、第1および第2針捕獲領域116,118によって、組織および/またはメッシュを通過して牽引される。ブロック910では、第1および第2針702,704が、第1および第2針捕獲領域116,118のそれぞれから第1および第2針702,704を係合解除するために後退させられる。さらに、この方法は、ブロック912において、保持装置120にて外科用ファスナ102を組織内に保持するステップを含むる。これらの形態は、後述する図10図11の説明との関係で、少なくとも部分的に示される。
【0052】
図10は、本開示の教示による外科用ファスナの取り付けに関する複数の斜視図を示している。特に、図10は、ファスナ展開装置602が外科用ファスナ102を取り付ける前の斜視図1000を示し、斜視図の1020は、完全に延長した針702,704を有するファスナ展開装置602と、メッシュ1002を通過し組織1004の中に取り付けられた外科用ファスナ102とを示し、斜視図の1040は、取り付けられた外科用ファスナ102と、外科用ファスナ102から後退させられた針702,704とを示す。図11は、本開示の教示による、取り付けられた外科用ファスナの斜視図と側面図とを示す。特に、図11は、メッシュ1002を通過して組織1004の中に取り付けられた外科用ファスナ102の斜視図1100と側面図1150とを示す。
【0053】
図10および図11の説明に関係する方法900の説明に戻ると、ブロック908において、外科用ファスナ102は、第1および第2針捕獲領域116,118によって、組織1004を通過して牽引される。図10および図11に示すように、外科用ファスナ102は、メッシュ1002を組織1004に押し付けるために、第1に、メッシュ1002を貫通する。メッシュ1002の異なる部分を組織1004の異なる部分に押し付けるために、複数の外科用ファスナ102が、メッシュ1002の異なる位置に適用され得る。
【0054】
図の1000では、外科用ファスナ102を取り付ける前に、ファスナ展開装置602の遠位先端1006が、メッシュ1002に対して位置決めされる。針インターフェース604は、完全に後退した位置にあり、外側スリーブ614の内部に包囲されている。図8の斜視図800と同様に、外科用ファスナ102は、針インターフェース604に装着され(ブロック902)、第1および第2針702,704は、第1および第2螺旋型アーム110,112のそれぞれに沿って延長され(ブロック904)、第1および第2針702,704は、第1および第2針捕獲領域116,118のそれぞれと係合される(ブロック906)。いくつかの実施形態において、遠位先端1006は、さらに、外科用ファスナ102が取り付けられる前にメッシュ1002を組織1004に押し付けるために歯(例えば、図7の歯716)を含む。
【0055】
図の1020で、外科用ファスナ102は、第1および第2針捕獲領域116,118によって、メッシュ1002と組織1004とを通過して牽引される(ブロック908)。例えば、ブロック908は、駆動機構616が駆動シャフト610にて長手方向軸114に沿った軸方向と長手方向軸114の周囲の半径方向との両方に針702,704を延長させることに応答して実行される。針702,704は、延長すると、外側スリーブ614の包囲を超えて外に延長する。明細書全体で説明するように、組織1004の穿孔または貫通は、針捕獲領域116,118を通過して延長する針702,704の先端710,712にて行われるか、または、針捕獲領域116,118が針702,704の先端710,712を完全に包囲しているときに、外科用ファスナ102の穿孔先端404自体によって行われる。
【0056】
外科用ファスナ102がメッシュ1002および組織1004に取り付けられた後、針インターフェース604は、外側スリーブ614の中に後退して戻る。後退するときに、針は、外科用ファスナ102を取り付けるときには移動した経路上を逆行する。このように、針702,704は、取り付けられた外科用ファスナ102のそれぞれのアーム110,112に沿って移動する。針702,704は、後退すると、それぞれの針捕獲領域116,118から係合解除する(ブロック910)。
【0057】
いくつかの実施形態において、それぞれの針捕獲領域116,118からの針702,704の係合解除は、外科用ファスナ102を組織1004の内部に保持することで助けられる。外科用ファスナ102と組織1004との間の摩擦が、螺旋型アーム110,112の表面積に沿った十分な保持力を提供する。しかしながら、いくつかの実施形態において、この保持は、保持装置120をアーム110,112の一方または両方に沿って組み入れることで増大される。
【0058】
図11の図の1100および1150に示すように、外科用ファスナ102は、メッシュ1002を通過し組織1004の中に取り付けられる。ベース104は、メッシュ1002に当接し、第1および第2アーム110に沿った保持装置120が、外科用ファスナを組織1004の内部に保持することを助ける。
【0059】
図12は、本開示の教示による、ファスナ展開装置のコンポーネントの分解図および組立図を示す。特に、図12は、ファスナ展開装置602の組み立てられていないコンポーネントの斜視図1200を示し、斜視図1250は、ファスナ展開装置602のコンポーネントの組立図を示す。特に、これらのコンポーネントは、駆動機構616の態様であり得る。
【0060】
図の1200および1250では、駆動シャフト610が、近位端1204を含む。親ネジ1202は、遠位端1220と近位端1216とを含む。親ネジ1202の外周の一部は、ネジ部1222を含む。ネジは、ピッチ1218を有しており、これは、外科用ファスナ102のピッチ402に対応する。
【0061】
ガイドナット1206は、ハウジング622(図12には示していない)の内部に固定して取り付けられており、親ネジ1202は、ガイドナット1206を通過して第1方向1208に回転し、駆動シャフト610によって、1212の延長または進行方向に第1および第2渦巻型針702,704を延長させる構成とされている。
【0062】
組み立てられた斜視図の1250に示すように、駆動シャフト610の近位端1204は、親ネジ1202の遠位端1220に動作的に結合されている。駆動シャフト610は、長手方向軸612に沿って、針インターフェース604を有するファスナ展開装置602の遠位端606に延長する。親ネジ1202は、ガイドナット1206の内部で第1方向1208に回転するときには、同時に、針インターフェース604を延長させるために、延長または進行方向1212に移動する。この移動および回転運動は、外科用ファスナ102を取り付けるのに用いられる(例えば、ブロック908は、組織を通過して外科用ファスナ102を牽引することを開示している)。逆に、親ネジ1202は、ガイドナット1206の内部で第1方向1208とは反対である第2方向1210に回転するときには、針インターフェース604を後退させるために、後退方向に移動する。この運動は、本明細書に開示するように(例えば、ブロック910)、針702,704を針捕獲領域から係合解除するために用いられる。
【0063】
親ネジ1202は、親ネジ1202の近位端1216に加えられる作動力に応答して、第1方向1208に回転する構成とされている。親ネジ1202のピッチ1218がピッチ402と対応しているため、針702,704は、外科用ファスナ102のアーム110,112に沿って延長する。
【0064】
いくつかの実施形態において、ガイドナット1206は、作動力を親ネジ1202の近位端1216に加えるクロスバー(例えば、図13のクロスバー1302)を受け取る構成とされたクロスバースロット1224を含む。クロスバースロット1224は、ガイドナット1206の中へのクロスバー1302の軸方向への移動を許容し、ハウジング622の軸方向の長さをさらに縮小させる。他の実施形態において、作動力は、ピンまたは他の物体によって、親ネジ1202の近位端1216に加えられる。
【0065】
図13は、本開示の教示による、後退状態と延長状態とにおける駆動機構および針インターフェースの断面図を示す。特に、左側は、ファスナ展開装置602が後退状態にあるときの、駆動機構616と針インターフェース604とのそれぞれを示す側面図1300および1320である。右側は、ファスナ展開装置602が延長状態にあるときの、駆動機構616と針インターフェース604とのそれぞれを示す側面図1340および1360である。
【0066】
図の1300および1340に示すように、トリガ618が、トリガポール1310を介してスライダ1306に動作的に結合されている。本明細書に開示されている実施形態のいくつかにおいて、スライダ1306は、トリガポール1310が環状または円形のスライダの周囲に沿ったどの点においても係合するように、環状または円形のディスクにて実現される。これにより、ハウジング622に対し、長手方向軸612の周囲に位置する駆動機構616の態様の回転が可能になる。この特徴により、詳細は後述する関節角度の回転が可能になる。
【0067】
以下で開示する様々な実施形態において、駆動機構616は、作動力が加えられる様態を変動できる。手動でトリガを操作する実施形態において、針702,704の後退および延長の量は、トリガ618の変位量に比例する。蓄積されたエネルギによる(例えば、衝撃駆動)実施形態においては、トリガ618の変位が、衝撃駆動バネに衝撃駆動エネルギを蓄積するためにスライダ1502を移動させる。衝撃駆動バネは、蓄積された衝撃駆動エネルギを、スライダ1502を加速させるために伝達する。加速されたスライダ1502は、作動力を親ネジ1202の近位端1216に加える。連続駆動型の実施形態においては、トリガ618の変位が、連続駆動エネルギを連続駆動バネに蓄積するために、ハウジング622にてスライダ1502を移動させる。連続駆動バネは、作動力を、親ネジ1202の進行の間に、親ネジ1202の近位端1216に加える。さらに別の実施形態において、駆動機構616は、第1および第2渦巻型針のそれぞれを長手方向軸114に沿った軸方向と長手方向軸114の周囲の半径方向とに同時に延長させる構成とされた電気モータを含む。
【0068】
手動でトリガを操作する実施形態の一例が、図の1300および1340に示されている。そのような実施形態において、トリガ618は、ハンドル620に向けて引かれる。トリガポール1310は、スライダ1306に動作的に結合されており、スライダ1306を図の1300および1340の右方向に移動させる。反転駆動機構1304または反転リンク1304は、スライダ1306の右向きの運動を反転させ、クロスバー1302を含むクロスバースライダ1312への左向きの運動を適用する。クロスバー1302の左向きの運動は、親ネジ1202の近位端1216に対する作動力として作用する。
【0069】
トリガ618は、トリガピボット1314の周囲を旋回する。トリガ捩じりバネ1316は、トリガ618に、ファスナ展開装置602の遠位端606に向かうバイアスを与える。ユーザがトリガ618をハンドル620に向けて変位させると、エネルギがトリガ捩じりバネ1316に蓄積される。トリガ618に対する圧力を開放すると、トリガ捩じりバネ1316に蓄積されたエネルギが、スライダ1306とトリガ618とに遠位方向のバイアスを与える。反転リンク1304を通じ、クロスバースライダ1312は、近位方向に応答的に移動され、親ネジ1202の近位端1216に対するいずれの力も取り除く。
【0070】
図13の図の1320および1360に示すように、針インターフェース604は、親ネジ1202が図13に示す左方向に移動されることに応答して、図の1320に示す後退状態から図の1360に示す延長状態に変化する。当初、外科用ファスナ102は、後退状態の図の1320における外側スリーブ614の内部に包囲されており、延長状態の図の1360における外側スリーブ614から外に出るように(軸方向におよび回転方向に)延長される。図の1320は、図の1300に示す駆動機構616の状態に基づく針インターフェース604の状態を示し、図の1360は、図の1340に示す駆動機構616の状態に基づく針インターフェース604の状態を示す。
【0071】
さらに、いくつかの実施形態において、駆動機構616は、親ネジ戻りバネ1308を含む。親ネジ1202が長手方向軸612に沿って進行し、針インターフェース604が長手方向軸114に沿って延長する間、親ネジ1202の遠位端1220は、親ネジ戻りバネ1308を圧縮する。トリガ618に加えられた力は、スライダ1306に伝達され、反転駆動機構1304にて反転され、親ネジ1202を通じて伝えられて親ネジ戻りバネ1308を圧縮する作動力を提供する。トリガ618に加えられる力が低下すると、圧縮された親ネジ戻りバネ1308は、親ネジ1202の遠位端1220に、後退方向1214のバイアスを与える。作動力が、スライダ1306とトリガ618とを初期の位置に戻すトリガ張力バネ1316によって、親ネジ1202の近位端から取り除かれると、親ネジ戻りバネの力が、同時に針インターフェース604を後退させながら、親ネジ1202を(図の1300に示す)初期の位置に戻す。
【0072】
図14Aは、本開示の教示による、ヨークと、駆動機構の態様が取り付けられたヨークとの斜視図を示す。特に、図14Aは、ヨーク1404の斜視図1400を示している。図14Bは、駆動機構のコンポーネントが取り付けられたヨーク1404の斜視図を示す。ヨーク1404は、長手方向軸612に沿って延長し、ハウジング622の内部に取り付けられると、長手方向軸612の周囲を自由に回転する。ヨーク1404のみの斜視図1400では、ヨーク1404が反転リンクピボット1406、スライダスロット1408、バネエンクロージャ1410、ガイドナット受取スロット1412、ロティキュレーション接続点1414、複数の円周溝1416、および遠位開口1418を含むことを見ることができる。
【0073】
図の1420に示すように、駆動機構の態様が、ヨーク1404と共に組み立てられる。ガイドナット1206は、長手方向軸612を横断するガイドナット受取スロット1412を通過して取り付け可能である。ガイドナット1206は、長手方向軸612に沿って移動しないように、ヨーク1404の内部に固定して取り付けられる。さらに、ガイドナット1206とヨーク1404とは、共に長手方向軸612の周囲を一緒に回転する。駆動シャフト610に動作的に結合された親ネジ1202(図14には示していない)は、遠位開口1418を通過して挿入され、ガイドナット1206の中にネジ止めされる。反転リンク1304は、ヨーク1404における反転リンクピボット1406と一致する固定ピボット点1402を含む。スライダ1306は、ヨーク1404の外面に沿って移動し、スライダスロット1408の中に挿入されるスライダ1306上のピンにて制約を受ける。複数の円周溝1426は、ハウジング622の内部の相補的なスロットと接続し、ヨーク1404がハウジング622の内部で回転することを許容しながら、ヨーク1404が移動することを防止する。さらに、複数の円周溝1426における溝は、ヨーク1404の外周面に配置されたバネを長手方向に制約するために、その溝の中にクリップを挿入される。
【0074】
図14Bは、本開示の教示による、後退状態と延長状態とにおける駆動機構のコンポーネントの斜視図を示す。特に、図14Bは、上側に斜視図1430を示し、下側には、図13に示された手動でトリガを操作する実施形態で用いられる駆動機構616の斜視図を示している。図の1430は、後退状態(例えば、図の1300の状態と同様)におけるコンポーネントを示し、図の1440は、ハウジング622から分離された延長状態(例えば、図の1340の状態と同様)におけるコンポーネントを示す。
【0075】
駆動機構は、スライダ1306と、反転リンク1304と、クロスバースライダ1312とを含む反転駆動機構1318を含む。スライダ1306は、環状のディスクにて実現される。図の1430および1440には、スライダ1306の外周に動作的に結合されるトリガポール1310が示されていない。反転リンク1304は、固定されたピボット点1402(図の1440に示す)の周囲を旋回することによって、スライダ1306の右方向への運動を、クロスバー1302を含むクロスバースライダ1312の左方向への運動に変換する。クロスバー1302は、左方向に動くと、作動力を親ネジ1202の近位端に加え、それによって、親ネジ1202が、長手方向軸612の周囲を回転し、左方向へ移動する。親ネジ戻りバネ1308は、図の1430では圧縮されず(例えば、親ネジ1202に、右方向へのバイアスを与えていない)、図の1440では圧縮される(例えば、親ネジ1202に右方向へのバイアスを与える)。
【0076】
図15図17は、本開示の教示による衝撃エネルギ駆動機構の断面図を示す。特に、図15は、左側に断面図1500を示し、右側に断面図1550を示している。図の1500および1550は、蓄積エネルギ作動装置として実現される駆動機構616を示す。図16は、蓄積されたエネルギが開放される間の図の1600,1620,1640を示す。図17は、本開示の教示による、外科用ファスナの取り付けの後の衝撃エネルギ駆動機構の断面図1700および1750を示す。図15図17は、方法900にて外科用ファスナ102を取り付ける態様と共に説明される。
【0077】
図15図17は、衝撃エネルギ駆動機構616の態様を含む。図13図14の駆動機構と同様に、トリガ618は、外科用ファスナ102の取り付けを開始するために、ハンドル620に向かって引かれる構成とされている。この場合、図13図14の駆動機構616のように、トリガ618の比例した変位が比例した針インターフェース604の延長/後退を結果的に生じさせる代わりに、ハンドル620に向かうトリガ618の変位は、結果的に、トリガポール1504を介してトリガ618に動作的に結合されたスライダ1502が衝撃駆動バネ1506を圧縮(例えば、エネルギを蓄積)するように右側へ移動させる。衝撃駆動バネ1506は、ヨーク1404のバネ容器1410の内部に配置される。他の実施形態において、衝撃駆動バネ1506、または駆動機構の他の同様のバネが、図17に示すように、ヨーク1404の外周上に配置される。一度トリガ618が完全に変位されると、図の1550に示すように、トリガ618は、スライダ1502から係合解除され、衝撃駆動バネ1506における蓄積されたエネルギが、スライダ1502を親ネジ1202に向かって加速させる。上述した実施形態と同様に、親ネジ1202のネジ部1222は、固定して取り付けられたガイドナット1206の内部に挿入されている。作動力は、スライダ1502に含まれるクロスバー1508を介して親ネジ1202の近位端に衝撃を与える加速されたスライダ1502から実現される。以下でより完全に論じられるように、衝撃駆動バネ1506は、スライダ1502から係合解除され得るので、もはやスライダ1502に力を与えることはない。衝撃エネルギ駆動機構の作動は、以下でより詳細に説明される。
【0078】
図の1500に示すように、外科用ファスナ102は、針インターフェース604に装着され、針702,704は、アーム110,112に沿って延長し、針捕獲領域116,118と係合される(方法900のブロック902,904,906)。駆動機構616は、スライダ1502を含んでおり、このスライダ1502は、スライダ1502が親ネジ1202の近位端1216に作用するクロスバー1508を含むことを除くと、図13および図14のスライダ1306と同様である。ここでは、スライダ1502は、トリガポール1504を介して、トリガ618に選択的に係合している。トリガポール1504がスライダ1502と係合しているとき、ハンドル620の方向へのトリガ618の変位は、図の1500に示すように、長手方向軸612に沿って右側へのスライダ1502の移動を生じさせる。
【0079】
図15の図の1550に示すように、スライダ1502の右側への移動は、衝撃駆動エネルギを蓄積するように衝撃駆動バネ1506を圧縮する。図の1550において、トリガ618はハンドル620の方向に、ほとんど完全に変位されており、衝撃駆動バネ1506は圧縮され、衝撃駆動エネルギを蓄積している。親ネジ1202と、外側スリーブ614の内部の針インターフェース604とは、図の1500と図の1550との間で静止したままである。
【0080】
拡大した断面図の1620および1640は、トリガポール1504がスライダ1502から開放される前(図の1620)と、トリガポール1504がスライダ1502から開放された後(図の1640)との、スライダ1502、トリガポール1504、衝撃駆動バネ1506、およびトリガポールクリップ1602の態様を示している。図の1620は、図の1600から拡大した様子を示しており、そのラッチ1610を介してスライダ1502に係合されたトリガポール1504を示している。トリガポール1504は、ピボット点1606の周囲を回転でき、ねじりバネ1612が、トリガポール1504を時計回り/上向きに保ち、トリガポール1504のラッチ1610のスライダ1502への保持を維持するために、スライダ1502に向かう回転にバイアスを与える。図の1620では、ユーザが、ハンドル620に向かってトリガ618を完全に引いており、トリガポールクリップ1602を下向きに偏向させ、それにより、トリガポールクリップ1602のフック1604をトリガポール1504のテール1608と係合させている。ユーザがトリガ618への圧力を開放し始めると、トリガは、遠位部がその開始位置に向かうように回転を開始し(例えば、トリガねじりバネ1316によってバイアスが与えられることにより)、トリガ618に取り付けられているトリガポール1504もまた遠位方向に動き始める。トリガポールクリップ1602(ハウジング622の内側に固定的に取り付けられている)は、静止したままである。トリガポール1504のこの遠位方向(図16の左に向かう方向)への動きは、トリガポールクリップ1602のフック1604を、トリガポール1504のテール1608上に牽引させる。この牽引は、ねじりバネ1612の力よりも強く、トリガポール1504のピボット点1606の周囲での回転を生じさせる(図16の下向き/反時計回りの方向)。これにより、トリガポール1504のラッチ1610は、スライダ1502から係合解除する。
【0081】
この構成によれば、その最も圧縮された状態に到達した後でトリガ618の開放が開始されると、トリガポール1504はスライダ1502を開放することになるため、これらのコンポーネントは、トリガ618がハンドル620に向かってその最も圧縮された位置に到達すると、トリガポール1504がスライダ1502を旋回させその始点に開放させるという代替的な構成とすることも可能である。
【0082】
図の1640に示すように、トリガポール1504が旋回すると、ラッチ1610は、スライダ1502から係合解除する。衝撃駆動バネ1506は、スライダ1502を親ネジ1202に向かって遠位に伸長させ加速させることによって、蓄積された衝撃駆動エネルギを開放する。衝撃駆動バネ1506の完全な伸長の後で、スライダ1502は衝撃駆動バネ1506から分離し、衝撃駆動バネ1506は、その蓄積された衝撃駆動エネルギをスライダ1502に、もはや伝達しない。加速されたスライダ1502の運動量は、作動力を、親ネジ1202の近位端に適用する。いくつかの実施形態では、スライダ1502は、作動力を適用するために、クロスバー1302と類似のクロスバー1508を含む。
【0083】
図の1600に示すように、親ネジ1202が作動力をスライダ1502から受け取ると、親ネジ1202は、ガイドナット1206の内部で長手方向軸612の周囲を回転し、同時に、長手方向軸612に沿って左方向に移動する。針インターフェース604は、駆動シャフト610を介して親ネジ1202に動作的に結合されているが、また、外科用ファスナ102を取り付けるために延長され、外側スリーブ614の外部で回転される(方法900のブロック908)。
【0084】
親ネジ1202は、親ネジ戻しバネ1308を圧縮し、この親ネジ戻りバネ1308は、親ネジ1202に対して右側にバイアスを与える。加速されたスライダ1502の運動量は散逸され(例えば、親ネジ戻しバネを圧縮することや、組織に取り付けられる外科用ファスナ102の摩擦により)、衝撃駆動バネ1506はスライダ1502から分離されスライダ1502に対して左向きの力を適用していないため、親ネジ1202は、図の1700に示すように、右向きに移動される。親ネジ1202が右向きに移動すると、針インターフェース604も後退され、それにより、針が針捕獲領域から係合解除する(方法900のブロック910)。図の1700で、外科用ファスナ102は、メッシュ1002を通過して組織の中に取り付けられ、針インターフェース604は、外側スリーブ614の内部に包囲されるように後退しており、親ネジ戻りバネ1308は、親ネジ1202とスライダ1502とに対して、右方向のそれらが図の1500において、存在していた当初の開始位置に向かってバイアスを与える。
【0085】
図の1700で、トリガは、依然として、ハンドル620に向かって変位している。しかしながら、図の1750に示すように、トリガ618が図の1500にて存在していた位置(例えば、当初の開始位置)に戻されると、トリガポール1504はスライダ1502と再び係合する。この再度の係合を達成するため、トリガポール1504がスライダ1502に近づくと、トリガポールの傾斜した最前部1614が、スライダ1502の環状ディスクと相互作用することにより、トリガポール1504をピボット点1606の周囲を回転させ(図の1700では、反時計回り/下向き)、ねじりバネ1612の力を克服する。トリガポール1504のラッチ1610がスライダ1502の環状ディスクを通過して移動した後、ねじりバネ1612は、トリガポール1504を回転させ(図の1750では、上向き/時計回り)、トリガポールラッチ1610をスライダ1502の環状ディスクと再び係合させる。
【0086】
本明細書に開示されている衝撃エネルギ駆動機構の実施形態において、衝撃駆動バネ1506と親ネジ戻りバネ1308とのバネ定数は、外科用ファスナ102の適切な取り付けを達成するように選択される。例えば、衝撃駆動バネ1506は、ユーザの手がトリガ618をハンドル620に向かって圧縮することに適切なバネ定数を有する選択とされる。さらに、衝撃駆動バネ1506のバネ定数は、十分な作動力を親ネジ1202の近位端に適用して外科用ファスナ102を組織内に取り付けるためにスライダ1502を加速させるために十分なエネルギを蓄積するように選択される。親ネジ戻りバネ1308は、外科用ファスナ102が組織を通過して針捕獲領域116,118にて牽引されるように、衝撃駆動バネ1506からスライダ1502に対して与えられる十分なエネルギ量を維持しながら、親ネジ1202から十分な量のエネルギを吸収して親ネジ戻りバネ1308をチャージするようなバネ定数を有するように選択される。
【0087】
図18は、本開示の教示による連続エネルギ駆動機構の態様の断面図を示す。特に、図18は、初期状態における連続エネルギ駆動機構の態様に関する図の1800と、エネルギが蓄積された状態における連続エネルギ駆動機構の態様に関する図の1820と、エネルギが開放された状態における連続エネルギ駆動機構の態様に関する図の1840とを示している。
【0088】
図の1800,1820,1840は、円筒型ヨーク1814に収納されたガイドナット1206の内部に取り付けられた親ネジ1202を示す。円筒型ヨーク1814は、スロットを受け取るガイドナットを含み、スライダが長手方向軸612に沿って移動することを抑制し、ハウジングの内部でヨーク1814が回転することを許容する点でヨーク1404と同様であるが、外科用ファスナ102が取り付けられた後、親ネジ1202の近位端1216からピボットプッシャ1804を係合解除するように機能する傾斜面1810をさらに含む。トリガ618は、トリガポール1504を介して、スライダ1502と選択的に係合する。ピボットプッシャ1804は、ピボット点1806において、スライダ1502と機械的に接続される。ピボットバネ1812は、ピボットプッシャ1804のクロスバー1808に対し、ヨーク1814の傾斜面1810に向かう方向にバイアスを与える。
【0089】
図の1800の初期状態において、親ネジ1202は、右方向に完全に後退され、クロスバー1808は、親ネジ1202の側面に着座している。図の1800に示すように、ピボットバネ1812は、クロスバー1808に対して、傾斜面1810の方向にバイアスを加えているが、親ネジ1202は、後退した位置にあり、ピボットプッシャ1804が反時計回りに回転することを許容しない。トリガ618は、ハンドル620(図18には示していない)に向かって変位されないが、トリガポール1504を介して、スライダ1502に係合されている。
【0090】
連続エネルギ駆動バネ1802は、(例えば、図の1840に示すように)その完全に伸長した状態のとき、予備の蓄積されたエネルギを有する。この追加的な予備エネルギは、連続エネルギ駆動バネ1802上の予圧(pre-load)として実現されるが、これにより、外科用ファスナ102が貫通しているメッシュおよび/または組織を通過して外科用ファスナ102を牽引するために十分なエネルギを、針インターフェース604が有することが保証される。いったん外科用ファスナ102が完全に取り付けられる(例えば、針インターフェース604が完全に延長される)と、ピボットプッシャ1804は、親ネジ1202の近位端1216から遠ざかる方向に旋回し、これによって、連続エネルギ駆動バネ1802から適用されている力を除去する。これは、一般的に予圧のない衝撃駆動バネ1506を有する上で開示された蓄積エネルギの実施形態とは対照的である。
【0091】
図の1820に示すエネルギが蓄積された状態において、トリガ618は、ハンドル620に向かって変位している。トリガ618がトリガポール1504を介してスライダ1502に係合されているため、スライダ1502は、長手方向軸612に沿って右方向へヨーク1814に沿って移動する。この移動は、連続エネルギ駆動バネ1802における追加的な位置エネルギ(potential energy)を増大させるように、連続エネルギ駆動バネ1802を圧縮する。また、スライダ1502が右方向に移動すると、ピボットプッシャ1804も右方向に移動する。クロスバー1808が親ネジ1202の外周を横断してスライドすると、長手方向軸612に対するその角度は、ピボットプッシャ1804が十分に後退されクロスバー1808が親ネジ1202の近位端1216を通過してさらに右方向に牽引されるまで一定のままである。
【0092】
図の1820は、スライダ1502が右方向に移動した後のエネルギが蓄積された状態を示し、ピボットプッシャ1804は、下向きに旋回して、ピボットバネ1812にてバイアスを加えられた後である今では長手方向軸612と平行になっており、親ネジ1202の近位端1216と相互作用を生じるようになっている。図13図15の衝撃駆動機構と同様に、トリガ618は、トリガポール1504によって、スライダ1502と選択的に係合される。
【0093】
トリガ618がさらに圧縮されると、図の1840に示すように、トリガポール1504は、スライダ1502から係合解除される。ここで、連続エネルギ駆動バネ1802に蓄積されているエネルギは、ピボットプッシャ1804を通じて外科用ファスナ102を組織および/またはメッシュの中に挿入するために、作動力を親ネジ1202の近位端1216に適用する。これは、加速されたスライダ1502からの運動量を用いて作動力を適用する図13図15の衝撃駆動機構とは区別される。連続エネルギ駆動バネ1802がその蓄積されたエネルギを拡張および開放すると、スライダ1502は、左側に駆動される。ピボットプッシャ1804のクロスバー1808が親ネジ1202の近位端1216と係合しているため、この作動力は、外科用ファスナ102をメッシュおよび/または組織の中へ牽引する(方法900のブロック908)ために、針インターフェース604(図示せず)に伝達される。スライダ1502とピボットプッシャ1804とが左側に移動すると、クロスバー1808はヨーク1814の傾斜面1810と相互作用を生じ(例えば、沿って乗り上げ)、上向きに旋回され、図の1840に示すように、クロスバー1808を親ネジ1202の近位端1216から係合解除する。
【0094】
また、親ネジ1202は、針インターフェース604を延長させるときに(例えば、親ネジ戻りバネ1308と同様)、親ネジ戻りバネを圧縮する。よって、連続エネルギ駆動バネ1802が伸長すると、そのエネルギは、外科用ファスナ102を取り付けることからの摩擦と親ネジ戻りバネ1308の圧縮との両方によって散逸される。しかし、ピボットプッシャ1804が上向きに旋回し、親ネジ1202の近位端1216に作動力を適用することから解放された後において、連続エネルギ駆動バネ1802は、もはや、力を親ネジ1202に適用しない。傾斜面1810の長手方向軸612に沿った長さは、外科用ファスナ102の所望の挿入長に対応する。よって、外科用ファスナ102が完全に取り付けられ、そのベース104がメッシュおよび/または組織と当接した後、クロスバー1808は、傾斜面1810によって、親ネジ1202の近位端1216から係合解除される。
【0095】
ピボットプッシャ1804は、その旋回した位置(図の1840に示す)を維持するが、その理由は、連続エネルギ駆動バネ1802が、スライダ1502が右方向に移動することを防止できるからである。外科用ファスナ102の取り付けと親ネジ1202の近位端1216からのクロスバー1808の係合解除との後で、親ネジ戻りバネ1308は、親ネジ1202の遠位端に対して、初期状態に戻るようにガイドナット1206に向かう右方向にバイアスを加え、それにより、針インターフェース604を後退させる(方法900のブロック910)。親ネジ1202がその初期状態に戻った後、トリガ618も、トリガポール1504をスライダ1502に再び係合させるように、その初期状態に戻されるので、それにより、連続エネルギ駆動機構を、図の1800に示す初期状態に戻す。いくつかの実施形態において、親ネジ戻りバネ1308は、初期の開始位置で予圧が与えられる。
【0096】
図19は、本開示の教示による、関節装置の組み立てられていないコンポーネントを示す。特に、図19は、ファスナ展開装置1902の分解側面図を示している。ファスナ展開装置602と同様に、ファスナ展開装置1902は、近位端1908と遠位端1910とを含む。ファスナ展開装置1902は、駆動機構1906と含み、この駆動機構1906は、本明細書に記載されている駆動機構616のいずれかによって実現される。長手方向軸612は、可撓性駆動シャフト1904に沿った近位端1908に示されている。長手方向軸114は、外科用ファスナ102に沿って示されている。
【0097】
ファスナ展開装置1902が直線位置にある(例えば、関節動作していない)ときに、長手方向軸114は、長手方向軸612と一致する。しかし、ファスナ展開装置1902が関節動作しているときに、長手方向軸114は、長手方向軸612に対して、所定の角度を有することになる。関節ジョイント1918で曲げられる可撓性駆動シャフト1904は、近位端1908において駆動機構1906から挿入入力を受け取り(例えば、駆動機構1906の内部において、長手方向軸612の周囲の親ネジの延長および回転)、その挿入入力を、外科用ファスナ102を遠位端1910において長手方向軸114の周囲に取り付けるために、針インターフェース604の補完的な延長および回転に伝達する構成とされている。可撓性駆動シャフト1904は、本明細書に開示されている駆動シャフト610と類似するが、関節ジョイントの周囲に曲げることが可能である。
【0098】
可撓性駆動シャフト1904は、内側可撓性管1916の内部に取り付けられるが、この内側可撓性管1916は、複数の関節ジョイント1918をその長さに沿って含む。内側可撓性管1916は、可撓性駆動シャフト1904の周囲に配置され、少なくとも部分的には、近位外側スリーブ1912の内部に配置される。関節テンドン1914は、ファスナ展開装置1902の遠位端1910を近位外側スリーブ1912に接続する。
【0099】
さらに、関節装置は、近位外側スリーブを遠位端1910から離れる方向に後退させ、複数の関節ジョイント1918の中の関節ジョイントをシーケンシャルに露出させる構成とされた関節アクチュエータ1920を含む。近位外側スリーブ1912の後退により、関節テンドン1914にて牽引される遠位端1910が、露出された関節ジョイント1918の周囲で曲がることになる。
【0100】
関節アクチュエータ1920は、関節親ネジ1924のものと一致するネジ山1932を含む関節ターンノブ1926と内部で適合する関節親ネジ1924を含む。関節ターンノブ1926が長手方向軸612の周囲を回転することにより、関節親ネジ1924に固定されている近位外側スリーブ1912が、近位端1908に向かって後退する。近位外側スリーブ1912と取り付けられている関節親ネジ1924とは、軸612との関係では回転しない。したがって、関節ターンノブ1926が回転すると、親ネジは、(回転でなく)軸612に沿って軸方向に移動する。
【0101】
さらに、関節装置は、ロティキュレーションターンノブ1934を含む。ロティキュレーションターンノブは、ヨーク接続点1936を含む。ヨーク接続点1936は、ヨーク1814のロティキュレーション接続点1414(または、連続エネルギの実施形態のヨーク1814の同様の接続点)に、機械的に結合される構成とされている。この機械的結合により、ヨーク1814と遠位端1910とのそれぞれが長手方向軸612の周囲を共に回転可能になる。スライダ上の環状ディスクと係合するトリガポールを有する実施形態においては、ハウジング622とトリガ618とハンドル620とが、ロティキュレーションターンノブ1934の回転が遠位端1910とヨーク1814とのそれぞれを回転させるときに、静止したままで留まる。遠位端1910が関節動作するとき(例えば、図21の図の2100)には、挿入角(例えば、長手方向軸114)は、ハウジング622の向きに対して変更される。
【0102】
図20は、本開示の教示による、直線状態にある組み立てられた関節装置を示す。特に、図20は、直線状態のファスナ展開装置1902の側面図2000を示している。図の2020は、ファスナ展開装置1902の遠位端の拡大断面であり、図の2040は、ファスナ展開装置1902の近位端の拡大断面である。
【0103】
図の2000に示すように、ファスナ展開装置1902は、ハウジング622と、トリガ618と、ハンドル620と、駆動機構1906と、関節アクチュエータ1920とを含み、これらはすべて近位端1908に配置されている。ファスナ展開装置1902は、直線状態にあり、複数の関節ジョイントの中のすべての関節ジョイントは、近位外側スリーブ1912の内部に包囲されている。関節テンドン1914は、点1928において近位外側スリーブ1912に接続され、点1930において遠位端1910に接続されている。
【0104】
いくつかの実施形態においては、最も遠位の関節ジョイント1918が近位外側スリーブ1912の遠位端1938から変位するように、関節ジョイント1918を近位外側スリーブ1912の内側に凹ませる(例えば、長手方向軸612に沿って近位方向に移動させる)ように構成することによって、硬度の向上が達成される。最も遠位の関節ジョイント1918に凹部を設ける(例えば、すべての関節ジョイント1918を近位に配置する)には、最も遠位の関節ジョイント1918を露出させる前に近位外側スリーブ1912を追加的に後退させることが要求される。よって、関節テンドン1914は、スライド式の接続点として実現される接続点1928において近位外側スリーブ1912に接続される。接続点1928は、最も近位の関節ジョイント1918が近位外側スリーブ1912の遠位端1938から凹部を有する量に等しい距離だけ近位外側スリーブ1912に沿って長手方向にスライドすることが許容される。あるいは、遠位端1910に位置する接続1930は、上述したスライド式の接続点1928の説明と同様に、長手方向にスライドする。
【0105】
近位外側スリーブ1912は、近位外側スリーブ1912の移動方向に応じ、関節ジョイント1918をシーケンシャルに被覆および/または露出するように、長手方向軸612に沿ってスライドする構成とされている。いくつかの実施形態において、ファスナ展開装置1902は、遠位端1910に固定的に取り付けられた遠位外側スリーブ1922を含む。そのような実施形態において、関節テンドン1914は、遠位外側スリーブ1922に取り付けられている。近位外側スリーブ1912は、関節ジョイント1918が近位外側スリーブ1912の内部に配置されているときに関節ジョイント1918が曲がることを防止する硬質の近位外側スリーブ1912である。
【0106】
関節テンドン1914は、近位外側スリーブ1912および遠位端1910に沿って配置されており、ファスナ展開装置1902から離れて緩やかに垂れ下がっている状態とは対照的に、ファスナ展開装置1902に対して関節テンドン1914を維持するように、点1928と点1930との間の僅かな引張力の下にある。ファスナ展開装置1902は、本明細書においてファスナ展開装置602との関係で詳細に説明するように、直線位置にあるときに外科用ファスナ102を取り付ける構成とされる。そのような実施形態において、外科用ファスナ102は、長手方向軸612と一致する長手方向軸114に沿って、組織の中に取り付けられる。しかし、長手方向軸612とは所定の角度を有する長手方向軸114に沿って外科用ファスナ102を取り付けることが望まれる場合もある。よって、ファスナ展開装置1902は、図21の図の2100に示すように、関節動作した状態に変更され得る。
【0107】
図21は、本開示の教示による、関節動作した状態における組み立てられた関節装置を示す。特に、図21は、関節動作した状態にあるファスナ展開装置1902の遠位端1910と関節アクチュエータ1920との図を示す。
【0108】
図の2100において、関節ターンノブ1926は、近位外側スリーブ1912を後退させるように回転する。近位外側スリーブ1912の後退により、関節ジョイント2102は露出されるが、関節ジョイント2104は近位外側スリーブ1912の内部に包囲された状態のままである。さらに、近位外側スリーブ1912の後退により、関節テンドン1914に対する張力が増加している。関節テンドン1914の引張力により、露出された関節ジョイント2102の周囲で、遠位端1910が曲がることになる。
【0109】
関節ジョイントのそれぞれは、設定された関節角度で曲がるように構成される。例えば、内側可撓性管1916は、14の関節ジョイント1918を有するが、それぞれの関節ジョイント1918は、6度に曲がるように構成される。したがって、第1関節ジョイント(例えば、遠位端1910に最も近接した関節ジョイント)は、後退している近位外側スリーブ1912にて露出されると、遠位端1910は6度だけ曲がり、長手方向軸114と長手方向軸612との間で6度のズレを生じさせている(例えば、関節角度2106にて示すように)。それぞれのシーケンシャルな関節ジョイント1918が露出されると、長手方向軸114と長手方向軸612との間のズレの角度(例えば、関節の量)は、5度ずつ徐々に増加される。
【0110】
図の2100に示す実施形態のように、全部で14の関節ジョイント1918のうち、11の関節ジョイント2102が露出され、3つの関節ジョイント2104が被覆されている。長手方向軸114と長手方向軸612との間のズレの角度(例えば、関節角度2106)は、約66度である。それぞれの露出された関節ジョイント2102が同じ設定された関節角度で曲がる場合、11の露出された関節ジョイント2102のそれぞれによって、6度の曲がりが実現される。関節ターンノブ1926がさらに回転すると、近位外側スリーブ1912がさらに後退し、関節テンドン1914に対する張力が増加して、図の2100において現時点で包囲されている次のシーケンシャルな関節ジョイント2104を露出させることになる。結果的に、複数の関節ジョイント1918は、12の露出された関節ジョイント2102と2つの被覆された関節ジョイント2104とを含むことになる。関節角度2106は、6度ずつ72度まで、徐々に増大する。近位外側スリーブ1912が完全に後退して残りの2つの関節ジョイント2104を露出させると、関節角度2106のための全体で84度に対して追加的な12度の関節角度を提供することになる。
【0111】
他の実施形態において、各関節ジョイント1918の関節の曲がり角度は、1度から25度までの間で変動可能であり、より小さな関節曲がり角度は、より大きな関節曲がり角度と比較して、より精細な関節角度の制御を提供する。ある1つの実施形態において、遠位端1910に最も近接する1または複数の関節ジョイント1918は、大きな調整関節角度(例えば、10~15度)を有し、他方で、近位端1908によりシーケンシャルに近接する関節ジョイント1918は精細な調整関節角度(例えば、1~4度)を有する。これにより、オペレータは、関節ターンノブ1926への同じ回転量の入力に対して所望の関節角度をより迅速に得ることが可能になるが、その理由は、関節ターンノブ1926の最初の数ターンが典型的なターゲット関節角度2106への大きな変更を提供し、関節ターンノブ1926のそれに続くターンが、関節角度2106の精細な制御を提供するからである。
【0112】
ファスナ展開装置1902は、近位外側スリーブ1912を遠位端1910に向けて延長させるように関節ターンノブ1926を反対方向に回転させることにより、(図の2100)関節動作した状態から、(図の2000)直線状態に変化させることが可能である。関節ターンノブ1926を反対方向に回転させることで、近位外側スリーブ1912が遠位端1910に向かって延長し、これにより、同時に露出された関節ジョイント2102が被覆され、関節テンドン1914に対する張力が減少する。これにより、遠位端1910が、被覆されているそれぞれのシーケンシャルな関節ジョイント1918に対して直線状になる。
【0113】
いくつかの実施形態において、関節テンドン1914は、遠位端1910に対する引張力を適用および開放するただ1つの関節テンドン1914で構成されている。第2関節テンドン、例えば、遠位端1910を直線状にする反対の引張力を適用するための、第1関節テンドンとは近位外側スリーブ1912の反対側に配置される第2関節テンドンは必要とされない。第2関節テンドンが不要な理由は、近位外側スリーブ1912の延長が、遠位端1910を直線状の位置に復帰させる手段を提供するためである。さらに、説明された関節構成において、それぞれの露出された関節ジョイント2102は、近位外側スリーブ1912から露出される際に、最大の関節角度まで曲がる。したがって、ジョイントのセグメントは、この条件では、過剰に曲がることはできない。これにより、関節角度は、ファスナ展開装置の遠位端1910を固定インターフェースに対して押すことにより生じる可能性がある潜在的な過剰な曲げに抵抗可能な堅固な状態に保たれる。この構成によって、過剰な曲げに対抗し得る関節の外側態様に沿った第2テンドンに対する必要性を回避可能になる。
【0114】
関節装置は、遠位端を単一の方向に曲げる構成とされているため、外科用ファスナ102の所望の取付角度(例えば、長手方向軸114の所望の向き)を達成するためには、長手方向軸612の周囲で遠位端が回転することが望まれる。よって、ハウジング622とトリガ618とに対して自由に回転する駆動機構616が望まれる。ロティキュレーションターンノブ1934のターンは、それがヨークを介して駆動機構616に取り付けられているため、この回転を達成するために用いられる。既に開示しているように、円形または環状のディスク上のスライダと係合しているトリガポールが、この所望の回転を提供する。ロティキュレーションの間に、関節動作する遠位端1910は、すべての象限を掃引可能である(例えば、図の2100に示すように、ページの向こう側、またはこちら側も掃引し得る)。
【0115】
図22は、本開示の教示による、例示的な内側可撓性管の側面図を示す。図23は、本開示の教示による、例示的な内側可撓性管の斜視図を示す。特に、図22は、内側可撓性管1916の側面図2200を示し、図23は、内側可撓性管1916の斜視図2300を示している。
【0116】
内側可撓性管1916は、図の2200および図の2300において、右側に近位端が(長手方向軸612は右向きに延長している)、左側に遠位端が(長手方向軸114は左向きに延長している)あるように向いている。内側可撓性管は、上向き方向2210、下向き方向2212、または両方向2210,2212のいずれかに曲げられることが可能な可撓性のステンレス鋼のコンポーネントとして製造される。内側可撓性管1916は、上向きの方向2210および下向きの方向2212に対して(例えば、左および右)垂直の曲げには抵抗する。
【0117】
図の2200および図の2300において、関節ジョイント1918は、セグメント2208のいずれかの側にギャップ2206を提供することで形成される。ギャップ2206は、長手方向軸612,114を横断するが内側可撓性管1916の全体を通過することはなくギャップ2206の両側に補強カラム2202を残す半円を形成する。ギャップ2206は、各関節ジョイント1918のより容易な曲げを可能にする拡張スロット2204を用いて終端とされる。
【0118】
内側可撓性管1916が関節動作している場合、内側可撓性管1916の側面のギャップは、関節動作する側で閉鎖され、反対側のギャップ2206は開放される。それぞれの関節ジョイント1918は、ギャップが完全に閉鎖されるとき、最大の関節角度で曲がる(例えば、隣接するセグメント2208-1,2208-2は相互に当接する)。一般に、内側可撓性管1916は、近位外側スリーブ1912が関節ジョイント1918を被覆することによって、その関節動作が禁止される。近位外側スリーブ1912が後退すると、シーケンシャルな関節ジョイント1918が露出され、それと同時に、引張力が関節テンドン1914に対して適用される。それぞれの関節ジョイント1918は、露出されると、次のシーケンシャルな関節ジョイント1918が露出されるまで、関節テンドン1914の方向に、その最大の関節角度に曲がる。
【0119】
図24は、本開示の教示による、2テンドン関節装置の斜視図を示す。図25は、本開示に教示による、図24の2テンドン関節装置の断面図を示す。特に、図24は、上で論じられた内側可撓性管1916と構成的に類似する外側可撓性管2402を含む斜視図2400を示す。2テンドン関節装置の態様は、本明細書に記載の外科用固定装置または他の同様の外科用固定装置と共に用いられる。外側可撓性管2402は、外側可撓性管2402が曲がることを可能にする(例えば、上下に曲がる関節を有する)複数の関節ジョイント2404と、外側可撓性管2402が(例えば、左右)曲がらないように補強する側面補強カラム2408とを含む。第1関節テンドン2406は、外側可撓性管2402に対して上向きのバイアスを与える張力を適用する構成とされる。
【0120】
図の2500では、図の2400の25における断面が示されている。2テンドン関節装置は、外側可撓性管2402と内側可撓性管2502とのそれぞれを含むことを見ることができる。内側可撓性管2502は、外側可撓性管2402と構成的に類似するが、第1関節テンドン2406が内側可撓性管2502と外側可撓性管2402との間で入れ子構造になることを許容する上側フラットスロット2508と、第2関節テンドン2504が内側可撓性管2502と外側可撓性管2402との間で入れ子構造になることを許容する下側フラットスロット2510とを含む。外側可撓性管2402の側面強化カラム2408は、内側可撓性管2502の側面チャネル2512と位置合わせされる。第2関節テンドン2504は、第1関節テンドン2406の反対に引張力を適用する。このようにして、第1関節テンドン2406に対する力と第2関節テンドン2504に対する力との均衡により、関節角度(長手方向軸112と長手方向軸614との間の角度)の制御が可能になる。関節テンドン2406,2504からのこれらの引張力は、所望の関節角度を達成するために、ユーザ入力に応答して第1および第2関節テンドン2406,2504それぞれの張力を調整する構成とされた関節アクチュエータにて制御されたものとして、外科用固定装置の遠位端1910に加えられる。この2テンドン関節システムは、関節ジョイントを被覆する近位外側スリーブに対する必要性を除去し、さらに、図の2100に示す関節装置のように、関節装置の外部にバウを生成する関節テンドンを除去する。単一テンドン関節装置に関する図20および図21に示す取付点1928,1930と同様に、第1および第2関節テンドン2406,2504は、内側可撓性管2402と内側可撓性管2502とのいずれか一方またはそれぞれに、関節ジョイント1918からの駆動シャフトの遠位端において接続される。第1関節テンドン2406は、内側可撓性管1916の上側に取り付けられ、第2関節テンドン2504は、内側可撓性管1916の下側に取り付けられる。この上側は、2つの関節テンドン2406,2504の一方がファスナ装置の遠位端の関節動作を生じさせることを可能にし、2つの関節テンドン2406,2504の他方がファスナ装置の遠位端の直線化を許容可能にするために、下側としての強化カラム2202の反対側の半分の上に存在している。関節テンドン2406,2504は、溶接プロセスなどの溶接プロセスを介して、接続点にて取り付けられまたは固定される。さらに、関節テンドン2406,2504の近位部は、ファスナ装置の関節動作を制御するために、関節テンドン2406,2504に加えられる張力の適用を交互に行うために、関節制御装置に取り付けられる。
【0121】
以上から、本開示が、組織および/またはいずれかの適用可能な補綴材料を固定するためにファスナを迅速かつ確実に取り付ける構成とされた医療用固定装置を与えることが理解できるであろう。この装置は、組織を固定するために要求される時間を著しく短縮するだけでなく、他の方法と比較して優れた使用上の容易さを結果的に提供する。さらに、本開示において与えられている構成要素のユニークな組合せを通じ、組織の固定が、患者の苦痛や他の合併症を縮小させ、取り付けおよび/または閉鎖の完全性に悪影響を与えることなく、より確実に得られる。
【0122】
図26は、本開示の教示による、ファスナ展開装置の関節制御部の斜視図を示す。特に、図26は、図24図25に示す2テンドン関節装置を含み得るファスナ展開装置2602の斜視図2600を示す。図26図31に示す関節制御部は、関節制御ユニットとも称されるが、2つのテンドンを有する関節装置の関節動作を制御する一様態として機能する。ファスナ展開装置2602は、ファスナ展開装置602と同様の装置であり、同じ機能を有する部分には同様の参照番号が付されている。2テンドン関節装置とそれに付随する制御とは、様々な他のファスナ展開装置にも同様に用い得ることが、さらに想定される。
【0123】
一般に、関節制御部2604の態様は、ファスナ展開装置2602の遠位端の関節角度(例えば、図29図31の2902,3002,3102)を制御するために、ファスナ展開装置2602の近位端608にてオペレータ入力を受け取る。そのような実施形態において、関節制御部2604は、第1オペレータ入力に応答して、第1関節テンドン2406への張力を増大させ、第2関節テンドン2504への張力を低下させ、第1オペレータ入力とは反対の第2オペレータ入力に応答して第1関節テンドン2406への張力を低下させ、第2関節テンドン2504への張力を増大させる。関節テンドン2406,2504に対し、このように交互に張力を加えることにより、ファスナ展開装置2602の遠位端は、第1または第2オペレータ入力を受け取ることに基づいて、関節動作をするまたは直線となる。このような関節制御部2604のそのような実施形態について、以下、例を用いて説明する。
【0124】
図の2600は、関節ターンノブ2606を含むファスナ展開装置2602の関節制御部2604の詳細を含んでいる。関節ターンノブ2606は、ロティキュレーションターンノブ1934に隣接し、図21の図の2100に示すものと同様に、そして、図29図31に示すように、ファスナ展開装置2602の遠位端の関節角度を変更するために、ファスナ展開装置2602のオペレータにて回転可能である。関節ターンノブ2606は、ファスナ展開装置2602のオペレータが関節ターンノブ2606の適切な握りを助けるために、外向きに延長するフィン2610を含む。オペレータが長手方向軸612の周囲のトルクを関節ターンノブ2606に与えると、関節ターンノブ2606が回転する。関節ターンノブ2606は、固定ネジ2608によって、関節ナット2612に固定的に接続される。よって、関節ターンノブ2606の回転は、固定ネジ2608を介して、関節ターンノブ2606の内部に位置している関節ナット2612に伝達される。さらに、ロティキュレーションターンノブ1934の回転は、関節ターンノブ2606と外側可撓性管2402とのそれぞれの回転を生じさせるが、関節ターンノブ2606はロティキュレーションターンノブ1934と独立して回転されるものではないため、これによって関節角度の変化が生じることはない。
【0125】
図27は、本開示の教示による、関節制御ノブ2606が取り除かれた、図26の関節制御部の斜視図を示す。特に、図27は、ファスナ展開装置2602の斜視図2700を示し、ただし組み立てられた状態における関節ターンノブ2606の内部に位置するコンポーネントを示すために、関節ターンノブ2606が取り除かれている。さらに、図28は、本開示の教示による、図27の関節制御部の分解図を示す。特に、図28は、図27からの関節制御部2604の分解図2800を示している。
【0126】
図27および図28に示すように、関節制御部2604は、長手方向軸612に沿って延長する外側可撓性管2402を含む。外側可撓性管2402は、これらの図面の左から右へ、反転ブラケット2710の間を、関節親ネジ2704を通過し、関節ナット2612を通過して、ナットブラケット2702の中に延長する。ナットブラケット2702は、ロティキュレーションターンノブ1934との関係では固定されている。ナットブラケット2702は、関節ナット2612の溝2804を受け取るチャネル2802を含む。チャネル2802は、関節ナット2612の溝2804を受け取るために、近位面2832と遠位リップ2834とで囲まれている。ナットブラケット2702は、長手方向軸612の周囲の関節ナット2612の回転を許容するが、関節ナット2612が長手方向軸612に沿って移動することを防止する。固定ネジ2608は、関節ナット2612の外面のネジ穴2806と一致する。関節ターンノブ2606は、ネジ穴2806の中に挿入されている固定ネジ2608にて関節ナット2612に取り付けられていると説明しているが、関節ターンノブ2606を関節ナット2612に取り付ける他の手段も存在する。
【0127】
関節ナット2612は、関節ナット2612の内面に位置するネジ面2808を含む。ネジ面2808は、関節親ネジ2704のネジ面2809と係合する構成とされる。よって、関節ナット2612が長手方向軸612の周囲を回転すると、それによって、関節親ネジ2704が長手方向軸612に沿って移動される。関節親ネジ2704は、トラフ2812を含む延長部2810を含む。延長部2810の形状は、反転ブラケット2710が、関節ターンノブ2606の内部の容積の中に適合するように、延長部2810を密接に挟むことを許容する。トラフ2812は、アクチュエータピン2712を受け取る。アクチュエータピン2712は、反転ブラケット2710のアクチュエータピンホール2818に固定される。アクチュエータピンホール2818は、外側可撓性管2402に沿ったトラニオンホール2830の中に取り付けられると反転ブラケット2710のためのピボット点として作用するトラニオン2820からずれている。したがって、関節親ネジ2704が長手方向軸612に沿って移動すると、それによって、アクチュエータピン2712は、反転ブラケット2710をトラニオン2820の周囲を旋回させる。それぞれの反転ブラケット2710は、外側可撓性管の対向する両側面に配置された一対のトラニオンホール2830と接合するように、それぞれ面しているトラニオン2820を含む。
【0128】
反転ブラケット2710が旋回すると、反転ブラケットの第1端部2706は、ファスナ展開装置2602の遠位端に向かってバイアスされ、第2端部2708は、ファスナ展開装置2602の遠位端から遠ざかる方向にバイアスされる。関節ターンノブ2606の回転が反転されると、関節ナット2612の反対方向の回転により、関節親ネジ2704が反対方向に移動し、それによって、反転ブラケット2710の第1端部2706と第2端部2708との反対方向のバイアスが生じる。図27に示すように、第1端部2706は第1関節テンドン2406に取り付けられ、第2端部2708は第2関節テンドン2504に取り付けられる。第1関節テンドン2406は、アクセスポート2826を介して外側可撓性管2402の中に入り、第2関節テンドン2504は、アクセスポート2828を介して外側可撓性管2402の中に入る。
【0129】
関節テンドン2406,2504は、反転ブラケット2710のそれぞれの端部に取り付けられている。図27図28に示すように、関節テンドンは、ブロック2814の中に挿入され、止めネジ2816を用いてブロック2814に固定される。ブロック2814は、第1端部2706に固定するためのネジ2822または第2端部2708に固定するためのネジ2824を介して、第1反転ブラケット2710に固定される。ブロック2814は、示すように、ネジ2822,2824と同様に、第2ネジにて伸長部2810の反対側に配置されている第2反転ブラケット2710に固定されるが、図28の図の2800では、明瞭にするため、符号が付されていない。第1および第2端部2706,2708のそれぞれに対し、同様の取り付けが用いられる。いくつかの実施形態において、第1および第2端部2706,2708は、反転ブラケット2710に対するピボット点として作用するトラニオン2820から等しい距離に位置している。そのような実施形態において、関節テンドン2406,2504は、反転ブラケット2710が旋回すると、等しいが反対向きの大きさだけ変位される。他の実施形態において、第1および第2端部2706,2708は、トラニオン2820から異なった距離に位置している。端部2706,2708とトラニオン2820との間のそのような差によって、一方の端部が、他方の端部よりも、より大きな距離だけ変位することになる。これにより、関節角度の内径上にある関節テンドンが関節角度の外径上にある関節テンドンよりも短い有効長だけ延長するときに、両方の関節テンドン2406,2504が、遠位端の関節と直線化とを通じて等しい張力を維持することが保証される。
【産業上の利用可能性】
【0130】
一般に、本明細書に開示されている実施形態は、様々な縫合および外科的応用における応用可能性を見いだすことが可能であり、これらに限定されることはないが、手術の状況における組織およびメッシュの固定を含む。本明細書に開示されている外科用ファスナ102は、そのベースから延長する少なくとも1つの螺旋型アームを有する可撓性/吸収性のファスナである。本明細書に開示されている外科用ファスナは、この外科用ファスナの少なくとも1つの螺旋型アームに沿って進む針によりメッシュおよび/または組織の中に挿入される。針は、外科用ファスナの針捕獲領域と係合し、組織および/またはメッシュの内部にそれを挿入するために外科用ファスナを牽引する。針は、その後、それが進んだ螺旋型の経路に沿って後退する。
【0131】
異なる実施形態では、図1図5との関係で開示する様々な外科用ファスナ102が、本明細書で説明するファスナ展開装置のうちのいずれか1つによって、メッシュを組織に固定、組織を組織に固定、または同様な固定を行うために、取り付けられる。さらに、本明細書に開示されているファスナ展開装置には、衝撃エネルギ駆動機構616が装備され得る。さらに他の実施形態において、ファスナ展開装置は、関節運動する構成とされ得る。関節を備えたある1つの実施形態が、単一の関節テンドンを有する図19図23に示す実施形態との関係で開示されている。さらに他の実施形態において、ファスナ展開装置は、図24図28に少なくとも部分的に示されている関節装置などのような、2テンドン関節装置を含む。
【0132】
本開示の教示に従い、図29は、関節動作のない位置における図26のファスナ展開装置を示し、図30は、部分的に関節動作する位置における図26のファスナ展開装置を示し、図31は、完全に関節動作する図26のファスナ展開装置を示している。
【0133】
特に、図29は図の2900を示し、図30は図の3000を示し、図31は図の3100を示しているが、それぞれにおいて、明瞭に図示する目的で、その関節ターンノブ2606が取り除かれている。ここに示されている2テンドン関節装置は、多くの異なる手術用装置にて用いられるものであって、本明細書で説明されているファスナ展開装置や腹腔鏡装置などを含む。
【0134】
図29の図の2900では、ファスナ展開装置の遠位端は関節動作をしておらず、これは、すなわち長手方向軸114が長手方向軸614と一致し、関節角度2902は180度であることを意味する。ここで、反転ブラケット2710の第1端部2706は、ファスナ展開装置の遠位端に向かって配置され、反転ブラケット2710の第2端部2708は、ファスナ展開装置の近位端に向かって配置されている。第1関節テンドン2406は、アクセスポート2826を介して外側可撓性管2402から外に延長しており、第1端部2706に固定されている。第2関節テンドン2504は、アクセスポート2828を介して外側可撓性管2402から外に延長しており、第2端部2708に固定されている。関節テンドン2406,2504の一方またはそれぞれが、図の2900に示す初期状態のときに、張力下にある。駆動機構が、関節運動のない位置における遠位端から、外科用ファスナの取り付けを作動する。
【0135】
図の3000は、部分的に関節動作する位置にあるファスナ展開装置を示す。ここで、ユーザ入力(例えば、図示しない関節ターンノブ2606をユーザが回転させること)により、関節ナット2612が、ナットブラケット2702の内部で回転するが、これは、図の2900に示すネジ穴2806の位置と比較して、ネジ穴2806の位置の変化によって、少なくとも部分的に示されている。図の2900では、第1ネジ穴2806が示され、図の3000では、第1ネジ穴の反対側に位置している第2ネジ穴が示されている。こうして、第1ネジ穴2806は、図の3000の外に回転しまうが、第2ネジ穴2806は見ることができる。関節ナット2612が回転すると、関節親ネジ2704が、長手方向軸614に沿って移動する。ここで、それは近位方向に、そして関節ナット2612の中に移動する。トラフ2812は、アクチュエータピン2712を近位方向に牽引して、第1端部2706を近位方向にバイアスする。これが、トラニオン2820の周囲に反転ブラケット2710を旋回させ、遠位端に向かって第2端部2708にバイアスを与える。反転ブラケット2710のこの運動は、第1関節テンドン2406の張力を増加させ、第2関節テンドン2504上の張力を開放する。第1関節テンドン2406上の増加した張力により、関節ジョイント2104が曲がり、長手方向軸114と長手方向軸614との間の関節角度3002を与える。図の3000に示すように、関節角度3002は、約150度である。
【0136】
図の3100には、ファスナ展開装置が、完全に関節動作する状態で示されている。この図では、関節ターンノブ2606は、図の3000と比較して、さらに回転している。これにより、関節ナット2612がさらに回転し、関節親ネジ2704がさらに移動し、反転ブラケット2710がさらに旋回して、より大きな張力を第1関節テンドン2406上に加え、第2関節テンドン2504をさらに繰り出すことになる。ファスナ展開装置は、関節ナット2612がハードストップに到達することによって、またはアクチュエータピン2712がトラフ2812内部のハードストップに到達することによって、関節ジョイント2104の最大の曲げに基づき、最大の関節動作に到達する。図の3000に示すように、関節角度3102は、約110度である。外科用ファスナ(例えば、102)は、関節角度3000,3002,3102またはそれらの間のいずれかの他の角度で、組織および/またはメッシュの内部に取り付けられる。
【0137】
ファスナ展開装置を直線状にするために、ユーザは、関節ターンノブ2606に、反対のユーザ入力を加える。この場合、ユーザは、図の2900,3000,3100を通じてシーケンシャルに示されているプロセスを反転させるために、関節ターンノブに反対のターン力を加える。反対のターン力が加えられると、関節ナット2612が反対方向に回転し、関節親ネジ2704をファスナ展開装置の遠位端に向かって移動させる。これにより、トラフ2812がアクチュエータピン2712を押し、反転ブラケット2710をそのトラニオン2820の周囲を旋回させる。すると、第1端部2706は、ファスナ展開装置の近位端に向かうバイアスを受け、第2端部2708は、ファスナ展開装置の遠位端に向かうバイアスを受ける。これが、第2関節テンドン2504上の張力を増加させ、第1関節テンドン2406上の張力を減少させて、ファスナ展開装置の遠位端を直線状にする。よって、この例では、関節ターンノブ2606への反対のユーザ入力が、ファスナ展開装置を、最大の関節角度の図の3100から、中間的な関節角度の図の3000に、そして関節角度を示さない図の2900に移動させる。
【0138】
図21の図の2100に示す単一の関節テンドンを備えた実施形態において、関節テンドン1914は、地点1928と地点1930との間で、近位外側スリーブ1912と遠位外側スリーブ1922との外部に延長することに注意されたい。よって、テンドン1914は、腹腔鏡下で固定を行っていて患者の体内に挿入されているときに、関節装置の外部に延長している。しかし、図29図31の図の2900~3100に示す2テンドン関節装置の実施形態において、2つのテンドンは、共に、腹腔鏡下で固定を行っていて患者の体内である位置の外側可撓性管2402の内部にある。
【0139】
関節親ネジ2704と関節ナット2612とを有する実施形態では、ファスナ展開装置の遠位端に加えられる直線化させる力または曲げようとする力は関節ナットの回転を生じさせるには不十分なことが予想される。したがって、ファスナ展開装置の遠位端に通常の力を加えても、関節親ネジ2704と関節ナット2612とにおけるピッチとの比較で、ファスナ展開装置の遠位端において得ることが可能な力学的効果の欠如に少なくとも部分的に基づいて、遠位端の直線化または関節運動を結果的に生じさせることはあり得ない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14A
図14B
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
【国際調査報告】