(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-27
(54)【発明の名称】マイクロキャピラリーアレイを使用したスクリーニングのための方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
G01N 33/53 20060101AFI20220520BHJP
G01N 37/00 20060101ALI20220520BHJP
C12Q 1/02 20060101ALN20220520BHJP
【FI】
G01N33/53 D
G01N37/00 102
C12Q1/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021560448
(86)(22)【出願日】2020-04-06
(85)【翻訳文提出日】2021-12-01
(86)【国際出願番号】 US2020026848
(87)【国際公開番号】W WO2020210151
(87)【国際公開日】2020-10-15
(32)【優先日】2019-04-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】521439279
【氏名又は名称】エクセラ バイオサイエンシズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100102118
【氏名又は名称】春名 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】シェイ ヴィヴィアン
(72)【発明者】
【氏名】チェン ボブ
(72)【発明者】
【氏名】ケリー ライアン ルイス
【テーマコード(参考)】
4B063
【Fターム(参考)】
4B063QA01
4B063QA18
4B063QQ05
4B063QQ06
4B063QQ07
4B063QQ08
4B063QQ09
4B063QQ13
4B063QR74
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4B063QR78
4B063QR80
4B063QS33
4B063QX01
(57)【要約】
変異体タンパク質の大集団をスクリーニングするためのハイスループット方法が提供される。本方法は、マイクロキャピラリーの大規模アレイを利用し、各マイクロキャピラリーは、変異体タンパク質、固定化標的分子、およびレポーターエレメントを含む溶液を含む。固定化標的分子は、タンパク質、核酸、炭水化物、および他の生体分子を含む、任意の関心対象の分子を含みうる。変異体タンパク質と分子標的との会合は、レポーターエレメントからのシグナルを測定することによって評価される。アッセイにおいて関心対象の変異体タンパク質を含むと同定されたマイクロキャピラリーの内容物を単離することができ、関心対象の変異体タンパク質を発現する細胞を特徴付けることができる。開示されたスクリーニング方法を行うためのシステムも提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の段階を含む、変異体タンパク質の集団をスクリーニングする方法:
複数のマイクロキャピラリーを含むマイクロキャピラリーアレイを提供する段階であって、各マイクロキャピラリーが、変異体タンパク質、固定化標的分子、およびレポーターエレメントを含み、該変異体タンパク質が、特定の親和性で固定化標的分子と会合する、段階; ならびに
カルシウム色素アッセイ、T細胞活性化アッセイ、B細胞アッセイ、およびGFPアッセイからなる群より選択されるレポーターアッセイにおける、少なくとも1つの変異体タンパク質と少なくとも1つの固定化標的分子との会合を示す少なくとも1つのレポーターエレメントからのシグナルを測定して、少なくとも1つの関心対象のマイクロキャピラリーを同定する段階。
【請求項2】
変異体タンパク質が、発現系によって発現される、請求項1記載の方法。
【請求項3】
発現系が無細胞発現系である、請求項2記載の方法。
【請求項4】
発現系が細胞発現系である、請求項2記載の方法。
【請求項5】
細胞発現系が、動物系、鳥類系、真菌系、細菌系、昆虫系、または植物系である、請求項4記載の方法。
【請求項6】
細胞発現系が鳥類系である、請求項5記載の方法。
【請求項7】
鳥類発現系がニワトリ系である、請求項6記載の方法。
【請求項8】
変異体タンパク質が可溶性タンパク質である、請求項1記載の方法。
【請求項9】
標的分子が、標的タンパク質もしくはポリペプチド、標的核酸、標的炭水化物、または各々の組み合わせである、請求項1記載の方法。
【請求項10】
標的分子が表面に固定化される、請求項1記載の方法。
【請求項11】
表面が細胞の表面である、請求項9記載の方法。
【請求項12】
標的分子が天然タンパク質である、請求項9記載の方法。
【請求項13】
表面がビーズの表面である、請求項9記載の方法。
【請求項14】
表面がマイクロキャピラリー壁の表面である、請求項9記載の方法。
【請求項15】
表面が、重力沈降によってマイクロキャピラリーに定着するように構成された表面である、請求項9記載の方法。
【請求項16】
レポーターエレメントが、標識された抗体または他の結合分子である、請求項1記載の方法。
【請求項17】
標識された抗体または他の結合分子が、蛍光標識された抗体または他の結合分子である、請求項15記載の方法。
【請求項18】
標識された抗体が、一次抗体または二次抗体である、請求項15記載の方法。
【請求項19】
標識された抗体または他の結合分子が、酵素結合された抗体または他の結合分子である、請求項15記載の方法。
【請求項20】
レポーターエレメントが細胞内で活性化され、標的分子が細胞の表面に固定化される、請求項1記載の方法。
【請求項21】
レポーターエレメントが、緑色蛍光タンパク質または変異体を含む、請求項20記載の方法。
【請求項22】
シグナルが、蛍光シグナル、吸光度シグナル、明視野シグナル、または暗視野シグナルである、請求項1記載の方法。
【請求項23】
マイクロキャピラリーアレイ中の各マイクロキャピラリーが、変異体タンパク質の集団からの0~5個の変異体タンパク質を含む、請求項1記載の方法。
【請求項24】
マイクロキャピラリーアレイが、少なくとも100,000個、少なくとも300,000個、少なくとも1,000,000個、少なくとも3,000,000個、または少なくとも10,000,000個のマイクロキャピラリーを含む、請求項1記載の方法。
【請求項25】
各マイクロキャピラリーが、細胞発現系の生存性を改善するための物質をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項26】
物質が、メチルセルロース、デキストランプルロニック(登録商標)F-68、ポリエチレングリコール、またはポリビニルアルコールである、請求項25記載の方法。
【請求項27】
物質が増殖培地である、請求項25記載の方法。
【請求項28】
シグナルが光学検出器によって測定される、請求項1記載の方法。
【請求項29】
シグナルが顕微鏡によって測定される、請求項1記載の方法。
【請求項30】
関心対象のマイクロキャピラリーの内容物を単離する段階をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項31】
関心対象のマイクロキャピラリーの内容物が、関心対象のマイクロキャピラリーをレーザーでパルスすることによって単離される、請求項30記載の方法。
【請求項32】
レーザーが、ダイオード励起Qスイッチレーザーである、請求項31記載の方法。
【請求項33】
レーザーが、マイクロキャピラリー壁とマイクロキャピラリーに含まれるサンプルとの間の水-ガラス界面に向けられる、請求項31記載の方法。
【請求項34】
関心対象のマイクロキャピラリーの内容物が、2段式サンプル回収エレメントを用いて単離される、請求項30記載の方法。
【請求項35】
マイクロキャピラリーが、電磁放射の透過を阻害することができる微粒子、磁性微粒子、磁気ビーズ、または電磁放射吸収材を含まない、請求項1記載の方法。
【請求項36】
以下を含む、変異体タンパク質の集団をスクリーニングするためのシステム:
複数のマイクロキャピラリーを含むアレイであって、各マイクロキャピラリーが、変異体タンパク質、固定化標的分子、およびレポーターエレメントを含み、該変異体タンパク質が、特定の親和性で固定化標的分子と会合する、アレイ。
【請求項37】
変異体タンパク質が、発現系によって発現される、請求項36記載のスクリーニングシステム。
【請求項38】
発現系が無細胞発現系である、請求項37記載のスクリーニングシステム。
【請求項39】
発現系が細胞発現系である、請求項38記載のスクリーニングシステム。
【請求項40】
細胞発現系が、動物系、鳥類系、真菌系、細菌系、昆虫系、または植物系である、請求項39記載の方法。
【請求項41】
細胞発現系が鳥類系である、請求項40記載の方法。
【請求項42】
鳥類発現系がニワトリ系である、請求項41記載の方法。
【請求項43】
変異体タンパク質が可溶性タンパク質である、請求項36記載のスクリーニングシステム。
【請求項44】
標的分子が、標的タンパク質もしくはポリペプチド、標的核酸、標的炭水化物、または各々の組み合わせである、請求項36記載のスクリーニングシステム。
【請求項45】
標的分子が表面に固定化される、請求項36記載のスクリーニングシステム。
【請求項46】
表面が細胞の表面である、請求項45記載のスクリーニングシステム。
【請求項47】
標的分子が天然タンパク質である、請求項46記載のスクリーニングシステム。
【請求項48】
表面がビーズの表面である、請求項45記載のスクリーニングシステム。
【請求項49】
表面がマイクロキャピラリー壁の表面である、請求項45記載のスクリーニングシステム。
【請求項50】
表面が、重力沈降によってマイクロキャピラリーに定着するように構成された表面である、請求項45記載のスクリーニングシステム。
【請求項51】
レポーターエレメントが、標識された抗体または他の結合分子である、請求項36記載のスクリーニングシステム。
【請求項52】
標識された抗体または他の結合分子が、蛍光標識された抗体または他の結合分子である、請求項51記載のスクリーニングシステム。
【請求項53】
標識された抗体が、一次抗体または二次抗体である、請求項51記載のスクリーニングシステム。
【請求項54】
標識された抗体または他の結合分子が、酵素結合された抗体または他の結合分子である、請求項51記載のスクリーニングシステム。
【請求項55】
レポーターエレメントが細胞内で活性化され、標的分子が細胞の表面に固定化される、請求項36記載のスクリーニングシステム。
【請求項56】
レポーターエレメントが、緑色蛍光タンパク質または変異体を含む、請求項55記載のスクリーニングシステム。
【請求項57】
シグナルが、蛍光シグナル、吸光度シグナル、明視野シグナル、または暗視野シグナルである、請求項36記載のスクリーニングシステム。
【請求項58】
マイクロキャピラリーアレイ中の各マイクロキャピラリーが、変異体タンパク質の集団からの0~5個の変異体タンパク質を含む、請求項36記載のスクリーニングシステム。
【請求項59】
マイクロキャピラリーアレイが、少なくとも100,000個、少なくとも300,000個、少なくとも1,000,000個、少なくとも3,000,000個、または少なくとも10,000,000個のマイクロキャピラリーを含む、請求項36記載のスクリーニングシステム。
【請求項60】
各マイクロキャピラリーが、細胞発現系の生存性を改善するための物質をさらに含む、請求項36記載のスクリーニングシステム。
【請求項61】
物質が、メチルセルロース、デキストランプルロニック(登録商標)F-68、ポリエチレングリコール、またはポリビニルアルコールである、請求項60記載のスクリーニングシステム。
【請求項62】
物質が増殖培地である、請求項60記載のスクリーニングシステム。
【請求項63】
光源および検出器をさらに含む、請求項36記載のスクリーニングシステム。
【請求項64】
顕微鏡をさらに含む、請求項36記載のスクリーニングシステム。
【請求項65】
抽出装置をさらに含む、請求項36記載のスクリーニングシステム。
【請求項66】
抽出装置が、ダイオード励起Qスイッチレーザーを含む、請求項65記載のスクリーニングシステム。
【請求項67】
2段式サンプル回収エレメントをさらに含む、請求項36記載のスクリーニングシステム。
【請求項68】
マイクロキャピラリーが、電磁放射の透過を阻害することができる微粒子、磁性微粒子、磁気ビーズ、または電磁放射吸収材を含まない、請求項36記載のスクリーニングシステム。
【請求項69】
以下の段階を含む変異体タンパク質の集団をスクリーニングする方法:
複数のマイクロキャピラリーを含むマイクロキャピラリーアレイを提供する段階であって、各マイクロキャピラリーが、変異体タンパク質を発現する細胞発現系、細胞の表面に固定化された標的分子、およびレポーターエレメントを含み、該変異体タンパク質が、特定の親和性でマイクロキャピラリー中の固定化された標的分子と会合し、該細胞発現系が鳥類系である、段階; ならびに
レポーターアッセイにおける、少なくとも1つの変異体タンパク質と少なくとも1つの固定化標的分子との会合を示す少なくとも1つのレポーターエレメントからのシグナルを測定して、少なくとも1つの関心対象のマイクロキャピラリーを同定する段階。
【請求項70】
鳥類系がニワトリ系である、請求項69記載の方法。
【請求項71】
標的分子が、標的タンパク質もしくはポリペプチド、標的核酸、標的炭水化物、標的抗体、または各々の組み合わせである、請求項69記載の方法。
【請求項72】
標的分子が標的抗体である、請求項69記載の方法。
【請求項73】
レポーターアッセイが、カルシウム色素アッセイ、T細胞活性化アッセイ、B細胞アッセイ、およびGFPアッセイからなる群より選択される、請求項69記載の方法。
【請求項74】
レポーターエレメントが、変異体タンパク質上のエピトープに局在する標識された抗体または他の結合分子である、請求項69記載の方法。
【請求項75】
標識された抗体または他の結合分子が、蛍光標識された抗体または他の結合分子である、請求項74記載の方法。
【請求項76】
シグナルが、蛍光シグナル、吸光度シグナル、明視野シグナル、または暗視野シグナルである、請求項75記載の方法。
【請求項77】
B細胞アッセイが、脾臓から供給されたB細胞を含む、請求項73~76のいずれか一項記載の方法。
【請求項78】
T細胞活性化アッセイが、抗体の細胞シグナル伝達誘導能力を評価するために用いられる、請求項73~76のいずれか一項記載の方法。
【請求項79】
T細胞活性化アッセイが、抗体の内部シグナル伝達または細胞表面マーカー誘導能力を測定するために用いられる、請求項73~76のいずれか一項記載の方法。
【請求項80】
T細胞活性化アッセイが、抗体の細胞増殖誘導能力を評価するために用いられる、請求項73~76のいずれか一項記載の方法。
【請求項81】
T細胞活性化アッセイが、抗体のサイトカイン分泌誘導能力を評価するために用いられる、請求項73~76のいずれか一項記載の方法。
【請求項82】
T細胞活性化アッセイが、抗体の活性化能力を決定するためにCD25発現を測定する、請求項73~76のいずれか一項記載の方法。
【請求項83】
CD25発現が、蛍光標識された抗CD25抗体を用いて測定される、請求項82記載の方法。
【請求項84】
T細胞活性化アッセイが、抗体の活性化能力を決定するためにカルシウムシグナル伝達を測定する、請求項73~76のいずれか一項記載の方法。
【請求項85】
T細胞活性化アッセイが、カルシウムシグナル伝達を測定するためにカルシウム感受性フルオロフォアを用いる、請求項84記載の方法。
【請求項86】
カルシウム感受性フルオロフォアが、Fluo-4 AM、Fura-2 AM、およびIndo-1 AMからなる群より選択される、請求項85記載の方法。
【請求項87】
T細胞活性化アッセイが、T細胞および抗体分泌細胞(ASC)の混合物を含む、請求項73~76および78~86のいずれか一項記載の方法。
【請求項88】
T細胞およびASCの混合物が、2:1から12:1の比率まで変化する、請求項87記載の方法。
【請求項89】
T細胞およびASCの混合物が、5:1の比率である、請求項88記載の方法。
【請求項90】
ASCがB細胞である、請求項87~89のいずれか一項記載の方法。
【請求項91】
T細胞およびASCの混合物が、T細胞活性化ビーズおよび抗体捕捉ビーズをさらに含む、請求項87~90のいずれか一項記載の方法。
【請求項92】
T細胞が末梢血から精製される、請求項87~91のいずれか一項記載の方法。
【請求項93】
少なくとも1つの関心対象のマイクロキャピラリーを同定するために用いられるシグナルが、ベースラインおよび/または対照サンプルと比較した場合のシグナルより少なくとも10%~10,000%またはそれ以上の増加である、前記請求項のいずれか一項記載の方法。
【請求項94】
少なくとも1つの関心対象のマイクロキャピラリーを同定するために用いられるシグナルが、ベースラインおよび/または対照サンプルと比較した場合のシグナルより少なくとも10%またはそれ以上の増加である、前記請求項のいずれか一項記載の方法。
【請求項95】
少なくとも1つの関心対象のマイクロキャピラリーを同定するために用いられるシグナルの増加が、ベースラインおよび/または対照と比較した場合に統計的に有意な増加を示す、前記請求項のいずれか一項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年4月8日付で出願された米国仮特許出願第62/830,978号の恩典を主張するものであり、これは全ての目的のために参照によりその全体が明示的に組み入れられる。
【0002】
技術分野
本開示は、マイクロキャピラリーアレイを用いたスクリーニングのための方法およびシステムを提供する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
タンパク質、核酸、炭水化物、および他の重要な生体分子の同定、特徴付け、および再操作を含む、生物学的サンプルの分析は、サンプル数のスケールアップおよびサンプルサイズのスケールダウンから大きな恩恵を受けている。例えば、DNAマイクロアレイなどの、生物学的材料の二次元マイクロアレイは、サンプルを処理して結果を検出するための多重化アプローチを伴うハイスループットスクリーニング法の開発を可能にした。
【0004】
上記のアプローチは、場合によっては、蛍光または他の対応する特定かつ高感度の標識化アプローチを用いて関心対象の標本を同定するための光センシング技術との組み合わせから恩恵を受けている。
【0005】
そのような技法は、特定のサンプルに関する分析情報、例えば溶液中の特定の生体分子の存在および潜在的に量または特定の核酸もしくはポリペプチドの配列を提供するが、それらは通常、関心対象のサンプルを不活性化させるかまたは他の形で損傷させることなしに、アッセイによって同定された生物学的サンプルの回収を可能にすることはない。
【0006】
それゆえ、ハイスループット能力を有する改善されたマイクロスケールスクリーニングおよび分析の方法およびシステム、詳細には、カルシウム色素アッセイ、T細胞活性化アッセイ、B細胞アッセイ、およびGFPアッセイを含め、主張するシステムを用いたさらなるアッセイを使用してスクリーニングおよび分析において同定されたサンプルの回収を可能にする方法およびシステムを開発することが引き続き必要とされている。
【発明の概要】
【0007】
本開示は、1つの局面において、以下の段階を含む変異体タンパク質の集団をスクリーニングする方法を提供することによって、これらのおよびその他の必要性に対処する:
複数のマイクロキャピラリーを含むマイクロキャピラリーアレイを提供する段階であって、各マイクロキャピラリーが、変異体タンパク質、固定化標的分子、およびレポーターエレメントを含み、変異体タンパク質が、特定の親和性で固定化標的分子と会合する、段階; ならびに
カルシウム色素アッセイ、T細胞活性化アッセイ、B細胞アッセイ、およびGFPアッセイからなる群より選択されるレポーターアッセイにおける、少なくとも1つの変異体タンパク質と少なくとも1つの固定化標的分子との会合を示す少なくとも1つのレポーターエレメントからのシグナルを測定して、少なくとも1つの関心対象のマイクロキャピラリーを同定する段階。
【0008】
いくつかの態様において、本方法は、関心対象のマイクロキャピラリーの内容物を単離する段階をさらに含む。
【0009】
別の局面において、以下を含む変異体タンパク質の集団をスクリーニングするためのシステムが提供される:
複数のマイクロキャピラリーを含むアレイであって、各マイクロキャピラリーが、変異体タンパク質、固定化標的分子、およびレポーターエレメントを含み、変異体タンパク質が、特定の親和性で固定化標的分子と会合する、アレイ。
【0010】
いくつかの態様において、システムは顕微鏡をさらに含む。
【0011】
いくつかの態様において、システムは光源および検出器をさらに含む。
【0012】
いくつかの態様において、システムは抽出装置をさらに含む。
【0013】
いくつかの態様において、システムは2段式サンプル回収エレメントをさらに含む。
【0014】
いくつかの態様において、本発明は、以下の段階を含む変異体タンパク質の集団をスクリーニングする方法を提供する:
複数のマイクロキャピラリーを含むマイクロキャピラリーアレイを提供する段階であって、各マイクロキャピラリーが、変異体タンパク質、固定化標的分子、およびレポーターエレメントを含み、変異体タンパク質が、特定の親和性で固定化標的分子と会合する、段階; ならびに
少なくとも1つの変異体タンパク質と少なくとも1つの固定化標的分子との会合を示す少なくとも1つのレポーターエレメントからのシグナルを測定して、少なくとも1つの関心対象のマイクロキャピラリーを同定する段階。
【0015】
いくつかの態様において、変異体タンパク質は、発現系によって発現される。
【0016】
いくつかの態様において、発現系は無細胞発現系である。
【0017】
いくつかの態様において、発現系は細胞発現系である。
【0018】
いくつかの態様において、細胞発現系は、動物系、鳥類系、真菌系、細菌系、昆虫系、または植物系である。
【0019】
いくつかの態様において、細胞発現系は鳥類系である。
【0020】
いくつかの態様において、鳥類発現系はニワトリ系である。
【0021】
いくつかの態様において、変異体タンパク質は可溶性タンパク質である。
【0022】
いくつかの態様において、標的分子は、標的抗体、標的タンパク質もしくはポリペプチド、標的核酸、標的炭水化物、または各々の組み合わせである。
【0023】
いくつかの態様において、標的分子は表面に固定化される。
【0024】
いくつかの態様において、表面は細胞の表面である。
【0025】
いくつかの態様において、標的分子は天然タンパク質である。
【0026】
いくつかの態様において、表面はビーズの表面である。
【0027】
いくつかの態様において、表面はマイクロキャピラリー壁の表面である。
【0028】
いくつかの態様において、表面は、重力沈降によってマイクロキャピラリーに定着するように構成された表面である。
【0029】
いくつかの態様において、レポーターエレメントは、標識された抗体または他の結合分子である。
【0030】
いくつかの態様において、標識された抗体または他の結合分子は、蛍光標識された抗体または他の結合分子である。
【0031】
いくつかの態様において、標識された抗体は、一次抗体または二次抗体である。
【0032】
いくつかの態様において、標識された抗体または他の結合分子は、酵素結合された抗体または他の結合分子である。
【0033】
いくつかの態様において、レポーターエレメントは細胞内で活性化され、標的分子は細胞の表面に固定化される。
【0034】
いくつかの態様において、レポーターエレメントは、緑色蛍光タンパク質または変異体を含む。
【0035】
いくつかの態様において、シグナルは、蛍光シグナル、吸光度シグナル、明視野シグナル、または暗視野シグナルである。
【0036】
いくつかの態様において、マイクロキャピラリーアレイ中の各マイクロキャピラリーは、変異体タンパク質の集団からの0~5個の変異体タンパク質を含む。
【0037】
いくつかの態様において、マイクロキャピラリーアレイは、少なくとも100,000個、少なくとも300,000個、少なくとも1,000,000個、少なくとも3,000,000個、または少なくとも10,000,000個のマイクロキャピラリーを含む。
【0038】
いくつかの態様において、各マイクロキャピラリーは、細胞発現系の生存性を改善するための物質をさらに含む。
【0039】
いくつかの態様において、物質は、メチルセルロース、デキストランプルロニックF-68、ポリエチレングリコール、またはポリビニルアルコールである。
【0040】
いくつかの態様において、物質は増殖培地である。
【0041】
いくつかの態様において、シグナルは光学検出器によって測定される。
【0042】
いくつかの態様において、シグナルは顕微鏡によって測定される。
【0043】
いくつかの態様において、さらには、関心対象のマイクロキャピラリーの内容物を単離する段階を含む。
【0044】
いくつかの態様において、関心対象のマイクロキャピラリーの内容物は、関心対象のマイクロキャピラリーをレーザーでパルスすることによって単離される。
【0045】
いくつかの態様において、レーザーは、ダイオード励起Qスイッチレーザーである。
【0046】
いくつかの態様において、レーザーは、マイクロキャピラリー壁とマイクロキャピラリーに含まれるサンプルとの間の水-ガラス界面に向けられる。
【0047】
いくつかの態様において、関心対象のマイクロキャピラリーの内容物は、2段式サンプル回収エレメントを用いて単離される。
【0048】
いくつかの態様において、マイクロキャピラリーは、電磁放射の透過を阻害することができる微粒子、磁性微粒子、磁気ビーズ、または電磁放射吸収材を含まない。
【0049】
本発明は同様に、以下を含む変異体タンパク質の集団をスクリーニングするためのシステムを提供する:
複数のマイクロキャピラリーを含むアレイであって、各マイクロキャピラリーが、変異体タンパク質、固定化標的分子、およびレポーターエレメントを含み、変異体タンパク質が、特定の親和性で固定化標的分子と会合する、アレイ。
【0050】
いくつかの態様において、変異体タンパク質は、発現系によって発現される。
【0051】
いくつかの態様において、発現系は無細胞発現系である。
【0052】
いくつかの態様において、発現系は細胞発現系である。
【0053】
いくつかの態様において、細胞発現系は、動物系、鳥類系、真菌系、細菌系、昆虫系、または植物系である。
【0054】
いくつかの態様において、細胞発現系は鳥類系である。
【0055】
いくつかの態様において、鳥類発現系はニワトリ系である。
【0056】
いくつかの態様において、変異体タンパク質は可溶性タンパク質である。
【0057】
いくつかの態様において、標的分子は、標的タンパク質もしくはポリペプチド、標的核酸、標的炭水化物、または各々の組み合わせである。
【0058】
いくつかの態様において、標的分子は表面に固定化される。
【0059】
いくつかの態様において、表面は細胞の表面である。
【0060】
いくつかの態様において、標的分子は天然タンパク質である。
【0061】
いくつかの態様において、表面はビーズの表面である。
【0062】
いくつかの態様において、表面はマイクロキャピラリー壁の表面である。
【0063】
いくつかの態様において、表面は、重力沈降によってマイクロキャピラリーに定着するように構成された表面である。
【0064】
いくつかの態様において、レポーターエレメントは、標識された抗体または他の結合分子である。
【0065】
いくつかの態様において、標識された抗体または他の結合分子は、蛍光標識された抗体または他の結合分子である。
【0066】
いくつかの態様において、標識された抗体は、一次抗体または二次抗体である。
【0067】
いくつかの態様において、標識された抗体または他の結合分子は、酵素結合された抗体または他の結合分子である。
【0068】
いくつかの態様において、レポーターエレメントは細胞内で活性化され、標的分子は細胞の表面に固定化される。
【0069】
いくつかの態様において、レポーターエレメントは、緑色蛍光タンパク質または変異体を含む。
【0070】
いくつかの態様において、シグナルは、蛍光シグナル、吸光度シグナル、明視野シグナル、または暗視野シグナルである。
【0071】
いくつかの態様において、マイクロキャピラリーアレイ中の各マイクロキャピラリーは、変異体タンパク質の集団からの0~5個の変異体タンパク質を含む。
【0072】
いくつかの態様において、マイクロキャピラリーアレイは、少なくとも100,000個、少なくとも300,000個、少なくとも1,000,000個、少なくとも3,000,000個、または少なくとも10,000,000個のマイクロキャピラリーを含む。
【0073】
いくつかの態様において、各マイクロキャピラリーは、細胞発現系の生存性を改善するための物質をさらに含む。
【0074】
いくつかの態様において、物質は、メチルセルロース、デキストランプルロニックF-68、ポリエチレングリコール、またはポリビニルアルコールである。
【0075】
いくつかの態様において、物質は増殖培地である。
【0076】
いくつかの態様において、システムは光源および検出器をさらに含む。
【0077】
いくつかの態様において、システムは顕微鏡をさらに含む。
【0078】
いくつかの態様において、システムは抽出装置をさらに含む。
【0079】
いくつかの態様において、抽出装置は、ダイオード励起Qスイッチレーザーを含む。
【0080】
いくつかの態様において、システムは2段式サンプル回収エレメントをさらに含む。
【0081】
いくつかの態様において、マイクロキャピラリーは、電磁放射の透過を阻害することができる微粒子、磁性微粒子、磁気ビーズ、または電磁放射吸収材を含まない。
【0082】
本発明は同様に、以下の段階を含む変異体タンパク質の集団をスクリーニングする方法を提供する:
複数のマイクロキャピラリーを含むマイクロキャピラリーアレイを提供する段階であって、各マイクロキャピラリーが、変異体タンパク質を発現する細胞発現系、細胞の表面に固定化された標的分子、およびレポーターエレメントを含み、変異体タンパク質が、特定の親和性でマイクロキャピラリー中の固定化された標的分子と会合し、細胞発現系が鳥類系である、段階; ならびに
レポーターアッセイにおける、少なくとも1つの変異体タンパク質と少なくとも1つの固定化標的分子との会合を示す少なくとも1つのレポーターエレメントからのシグナルを測定して、少なくとも1つの関心対象のマイクロキャピラリーを同定する段階。
【0083】
いくつかの態様において、鳥類系はニワトリ系である。
【0084】
いくつかの態様において、標的分子は、標的タンパク質もしくはポリペプチド、標的核酸、標的炭水化物、標的抗体、または各々の組み合わせである。
【0085】
いくつかの態様において、標的分子は標的抗体である。
【0086】
いくつかの態様において、レポーターアッセイは、カルシウム色素アッセイ、T細胞活性化アッセイ、B細胞アッセイ、およびGFPアッセイからなる群より選択される。
【0087】
いくつかの態様において、レポーターエレメントは、変異体タンパク質上のエピトープに局在する標識された抗体または他の結合分子である。
【0088】
いくつかの態様において、標識された抗体または他の結合分子は、蛍光標識された抗体または他の結合分子である。
【0089】
いくつかの態様において、B細胞アッセイは、脾臓から供給されたB細胞を含む。
【0090】
いくつかの態様において、T細胞活性化アッセイは、抗体の細胞シグナル伝達誘導能力を評価するために用いられる。
【0091】
いくつかの態様において、T細胞活性化アッセイは、抗体の内部シグナル伝達または細胞表面マーカー誘導能力を測定するために用いられる。
【0092】
いくつかの態様において、T細胞活性化アッセイは、抗体の細胞増殖誘導能力を評価するために用いられる。
【0093】
いくつかの態様において、T細胞活性化アッセイは、抗体のサイトカイン分泌誘導能力を評価するために用いられる。
【0094】
いくつかの態様において、T細胞活性化アッセイは、抗体の活性化能力を決定するためにCD25発現を測定する。
【0095】
いくつかの態様において、CD25発現は、蛍光標識された抗CD25抗体を用いて測定される。
【0096】
いくつかの態様において、T細胞活性化アッセイは、抗体の活性化能力を決定するためにカルシウムシグナル伝達を測定する。
【0097】
いくつかの態様において、T細胞活性化アッセイは、カルシウムシグナル伝達を測定するためにカルシウム感受性フルオロフォアを用いる。
【0098】
いくつかの態様において、カルシウム感受性フルオロフォアは、Fluo-4 AM、Fura-2 AM、およびIndo-1 AMからなる群より選択される。
【0099】
いくつかの態様において、T細胞活性化アッセイは、T細胞および抗体分泌細胞(ASC)の混合物を含む。
【0100】
いくつかの態様において、T細胞およびASCの混合物は、2:1から12:1の比率まで変化する。
【0101】
いくつかの態様において、T細胞およびASCの混合物は、5:1の比率である。
【0102】
いくつかの態様において、ASCはB細胞である。
【0103】
いくつかの態様において、T細胞およびASCの混合物は、T細胞活性化ビーズおよび抗体捕捉ビーズをさらに含む。
【0104】
いくつかの態様において、T細胞は末梢血から精製される。
【0105】
いくつかの態様において、少なくとも1つの関心対象のマイクロキャピラリーを同定するために用いられるシグナルは、ベースラインおよび/または対照サンプルと比較した場合のシグナルより少なくとも10%~10,000%またはそれ以上の増加である。
【0106】
いくつかの態様において、少なくとも1つの関心対象のマイクロキャピラリーを同定するために用いられるシグナルは、ベースラインおよび/または対照サンプルと比較した場合のシグナルより少なくとも10%またはそれ以上の増加である。
【0107】
いくつかの態様において、少なくとも1つの関心対象のマイクロキャピラリーを同定するために用いられるシグナルの増加は、ベースラインおよび/または対照と比較した場合に統計的に有意な増加を示す。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【
図1】例示的なマイクロキャピラリースクリーニングアッセイの段階を概略的に示す。各パネルの左側の図は、単一のマイクロキャピラリーの側面からの断面図である。各パネルの右側の図は、マイクロキャピラリーアレイの小部分の底面図である。各例における陰影は、蛍光などの電磁シグナルを示すことを意図している。
【
図2A】哺乳動物細胞に対するハイブリドーマスクリーニングを例示するマイクロキャピラリーアレイの小部分の底面図を示しており、明視野(
図2A)を用いて細胞が画像化される。
【
図2B】哺乳動物細胞に対するハイブリドーマスクリーニングを例示するマイクロキャピラリーアレイの小部分の底面図を示しており、LiveGreenを用いて細胞が画像化される。
【
図2C】哺乳動物細胞に対するハイブリドーマスクリーニングを例示するマイクロキャピラリーアレイの小部分の底面図を示しており、蛍光抗マウス二次抗体(
図2C)を用いて細胞が画像化される。
【
図3】4時間のインキュベーションにわたるA431標的細胞およびハイブリドーマ細胞の両方を含むマイクロキャピラリーの画像を示す。
【
図4】哺乳動物細胞に対する発現および非発現酵母細胞を強調するマイクロキャピラリーアレイの小区分の画像を示しており、明視野(
図4A)または蛍光抗体(
図4B)のいずれかを用いて細胞が画像化される。
【
図5】6日間にわたるマイクロキャピラリーアレイにおける不死化ヒト細胞の成長を示す。
【
図6A】本開示のスクリーニング方法を実施するようにデザインされた顕微鏡システムの異なる図である。
【
図7】本発明を用いた細胞(哺乳動物または酵母を含む)発現および哺乳動物細胞への結合の例示的な態様を示す。4つのパネルのそれぞれ1つが、経時的に1つのマイクロキャピラリーのマイクロキャビティを表す。
【
図8A】本発明を用いた細胞(哺乳動物または酵母を含む)発現および2つまたはそれ以上の哺乳動物細胞型への結合の例示的な態様を示す。8A) 4つのパネルのそれぞれ1つが、経時的に1つのマイクロキャピラリーのマイクロキャビティを表す。
【
図8B】本発明を用いた細胞(哺乳動物または酵母を含む)発現および2つまたはそれ以上の哺乳動物細胞型への結合の例示的な態様を示す。8B) 例示的なアッセイの態様からの潜在的な読み出しを提供する。
【
図9】実施例6に記述される例示的アッセイによって生成された例示的な蛍光および明視野データを示す。
【
図10】本発明を用いた細胞(哺乳動物または酵母を含む)発現および固体支持体(ビーズなどの)上の固定化標的への結合の例示的な態様を示す。4つのパネルのそれぞれ1つが、経時的に1つのマイクロキャピラリーのマイクロキャビティを表す。
【
図11】本発明を用いた細胞(哺乳動物または酵母を含む)発現および機能的レポーター応答の例示的な態様を示す。4つのパネルのそれぞれ1つが、経時的に1つのマイクロキャピラリーのマイクロキャビティを表す。レポーターは、例えば、GFP、YFP、および/またはRFPを含む任意の検出可能なレポーター、ならびに本明細書に記述されるかまたは当技術分野において公知の任意のフルオロフォアを含みうる。
【
図12A】IgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4配列の例を提供する。
【
図13】A) 実施例7の滴定実験からのビーズの画像のデータを提供する。B) シグナルの最適範囲を示すグラフは約1:500~1:5000であった(製造業者推奨の範囲のより低い範囲)。
【
図14】細胞表面標的に対する完全長の可溶性抗体のスクリーニングの概要。
【
図15】ハイスループットの形態学的および蛍光スクリーニングからのデータ。
【
図16】本発明のシステムで用いるための3つの機能的スクリーニング。
【
図17】本明細書において記述される統合プラットフォームシステムが希少細胞の正確な同定を可能にすることを示すデータ。
【
図18】単一のOmniChickenの抗原特異的B細胞プロファイリングからのデータ。OmniChickenは、完全にヒトの高度に多様化した抗体レパートリーを発現する。ヒトおよびマウスからの遺伝的多様性によって、より多様なエピトープ網羅が可能になる。より多様な機能的抗体のパネルにつながる可能性のある深い免疫プロファイリングを可能にする。示される例示的なアッセイ: プログラニュリンによる免疫後の抗原特異的抗体レパートリーのプロファイリング。
【
図19】B細胞アッセイ。上: アッセイ条件。下: 例示的なデータ/読み出し。
【
図21】定量化および選別はB細胞アッセイに関連する。
【
図22】単一細胞VH/VK単離および配列決定。各細胞の連結されたHCDR3-LCDR3間のペアワイズ距離。
【
図23】より深い特徴付けによって、新しいクローン形質ファミリーが同定される。スクリーニングにより、GEMアッセイによって同定されたクローンの大部分が同定される。複数の新しいクローン形質ファミリーが同定された。
【
図24】抗原特異的クローンは、高い親和性および幅広いエピトープ網羅を有する。リガンドは、発見されたクローンのサブセットをscFv-Fcとして発現した。Carterra LSAによる特徴付け(親和性およびエピトープビニングデータ)。クラスターはプログラニュリンの異なるサブドメインにマッピングされ、7つのサブドメインを幅広く網羅している。新たに発見されたクローンクラスターでのさらなる検証が進行中である。
【
図26】一般的なxPloration T細胞活性化アッセイクラス。
【
図27】B細胞によるT細胞活性化(CD25表面発現)。
【
図28】B細胞によるT細胞活性化(カルシウムシグナル伝達)。カルシウムシグナル伝達を介して測定した場合のヒトT細胞活性化。
【発明を実施するための形態】
【0109】
発明の詳細な説明
マイクロキャピラリーアレイは最近、例えば「マイクロキャピラリー単一細胞分析およびレーザー抽出」または「μSCALE」と称されるアプローチにおいて、ハイスループット分析および多数の生物学的サンプルを用いたタンパク質工学のためのアプローチに用いられている。Chen et al. (2016) Nature Chem. Biol. 12:76-81; DOI:10.1038/NCHEMBI0.1978を参照されたい。このアプローチは、マイクロキャピラリーアレイ内の単一細胞の空間的分離に依存しており、したがって、マイクロキャピラリーアレイの各マイクロキャピラリー内の別々のサンプルのイメージング、細胞増殖、およびタンパク質発現の繰り返しを可能にする。したがって、この技法は、例えば、アレイ全体に分布した酵母、細菌、または他の適当な細胞から発現される数百万ものタンパク質変異体の分析において、マイクロキャピラリーアレイ内の数百万ものサンプルに対する大規模並列の定量的な生化学的測定および生物物理学的測定を可能にする。好都合には、このアプローチは、多重サンプルの同時時間分解動態解析、および標的表現型特徴に基づくそれらの細胞の選別を可能にした。
【0110】
生物学的変異体の集団の定量的生化学的分析および生物物理学的分析のためのμSCALE法および装置の開発もまた、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる米国特許出願公開第2016/0244749 Al号に報告されている。しかしながら、μSCALEアプローチによる所望のマイクロキャピラリーの内容物の抽出は、各サンプル中に放射線吸収材料を含めること、およびパルスレーザーからの電磁放射線をこの材料に向けることを必要とし、したがって抽出方法を複雑にする。加えて、所望の結合活性を欠くマイクロキャビティから放出されるシグナルを最小限にするために、マイクロキャビティのアレイ中の生物学的変異体をスクリーニングする初期の方法は、整列したサンプルに微粒子を添加して、サンプル中およびサンプル外への電磁放射線の透過を一部または完全に阻害することに依存していた。米国特許出願公開第2014/0011690 Al号を参照されたい。本開示のいくつかの局面において、スクリーニング方法はこれらの追加のサンプル成分または操作に依存せず、したがってスクリーニング技法を単純化し、その効率を向上させる。
【0111】
これらのアプローチの特定の用途において、また本明細書により詳細に開示されるように、標的分子は、粒子(例えば、磁性粒子)、細胞、またはマイクロキャピラリー壁の表面などの表面に固定化されうる。これらのアプローチにおける変異体タンパク質と標的分子との相互作用は、次いで、検出可能な抗体を利用する方法および標的細胞内で発生した検出可能なシグナルを測定する方法を含むいくつかの方法によって測定されうる。そのような方法は、標的分子、例えば細胞または他の表面上の標的分子に結合するタンパク質変異体を発見するためのハイスループットスクリーニングにおいて使用されうることが理解されよう。
【0112】
スクリーニング方法
したがって、いくつかの局面において、本開示は、以下の段階を含む変異体タンパク質の集団をスクリーニングする方法を提供する:
複数のマイクロキャピラリーを含むマイクロキャピラリーアレイを提供する段階であって、各マイクロキャピラリーが、変異体タンパク質、固定化標的分子、およびレポーターエレメントを含み、変異体タンパク質が、特定の親和性で固定化標的分子と会合する、段階; ならびに
少なくとも1つの変異体タンパク質と少なくとも1つの固定化標的分子との会合を示す少なくとも1つのレポーターエレメントからのシグナルを測定して、少なくとも1つの関心対象のマイクロキャピラリーを同定する段階。
【0113】
これらの方法において、マイクロキャピラリーアレイは、好ましくは複数の長手方向に溶融されたキャピラリー、例えば溶融シリカキャピラリーを含むが、任意の他の適当な材料がアレイに用いられてもよい。例えば、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる、PCT国際特許公開公報W02012/007537およびW02014/008056を参照されたい。そのようなアレイは、例えば、数百万個または数十億個のシリカキャピラリーを結束し、熱プロセスを通してそれらを溶融することによって製造することができるが、他の適当な製造方法も用いることができる。溶融プロセスは、例えば、i) 張力下でシングルクラッドファイバに延伸されたキャピラリーシングルドローガラスを加熱する段階、ii) 結束、加熱、および延伸によってシングルドローガラスからキャピラリーマルチドローシングルキャピラリーを作製する段階、iii) 追加の結束、加熱、および延伸によってマルチドローシングルキャピラリーからキャピラリーマルチ-マルチドローマルチキャピラリーを作製する段階、iv) 押圧ブロックに積み重ねることによってマルチ-マルチドローマルチキャピラリーからドローガラスのブロックアセンブリーを作製する段階、v) 熱および圧力で処理することによってブロックアセンブリーからブロック押圧ブロックを作製する段階、ならびにvi) 正確な長さ(例えば、1 mm)でブロック押圧ブロックを切断することによってブロック形成ブロックを作製する段階を含みうる。
【0114】
いくつかの態様において、製造方法は、シリカキャピラリーをスライスし、それによって非常に高密度のガラスマイクロキャピラリーアレイを形成することをさらに含む。いくつかの態様において、マイクロキャピラリーアレイは約1ミリメートルの高さに切断されてもよいが、高さ10 μmまたはそれ以下のアレイを含むさらに短いマイクロキャピラリーアレイも企図される。いくつかの態様において、10 mmまたはそれ以上のアレイを含むさらに長いマイクロキャピラリーアレイが企図される。
【0115】
そのようなプロセスは、本方法において用いるのに適した非常に高密度のマイクロキャピラリーアレイを形成する。例示的なアレイにおいて、各マイクロキャピラリーは、約5 μmの直径および約66%のオープンスペースを有する(すなわち、各マイクロキャピラリーの内腔を表す)。いくつかのアレイでは、開放しているアレイの割合は、約67%の開口面積を有するHamamatsuによって提供されるマイクロキャピラリーアレイのように、約50%~約90%の範囲、例えば約60~75%である。特定の一例において、直径5 μmのマイクロキャピラリーおよび約66%のオープンスペースを有する10×10 cmのアレイは、約3億3000万個のマイクロキャピラリーを有する。
【0116】
さまざまな態様において、アレイ中の各マイクロキャピラリーの内径は、約1 μm~500 μmの範囲である。いくつかのアレイにおいて、各マイクロキャピラリーは、約1μm~300 μm、任意で約1 μm~100μm、さらに任意で約1 μm~75 μm、さらに任意で約1 μm~50 μm、さらに任意で約5 μm~50 μmの範囲の内径を有することができる。
【0117】
いくつかのマイクロキャピラリーアレイにおいて、アレイの開口面積は開口面積(OA)の最大90%を占めるため、細孔直径が1 μm~500 μmの間で変動する場合、アレイ1 cm当たりのマイクロキャピラリーの数は約460~1,100万個以上の間で変動する。いくつかのマイクロキャピラリーアレイにおいて、アレイの開口面積は開口面積の約67%を占めるため、孔径が1 μm~500 μmの間で変動する場合、アレイ1平方cm当たりのマイクロキャピラリーの数は約340~800,000個以上の間で変動する。いくつかの態様において、孔径は1 μm、5 μm、10 μm、50 μm、100 μm、250 μm、350または500 μmである。いくつかの態様において、孔径は5 μm~500 μmである。いくつかの態様において、孔径は10 μm~450 μmである。いくつかの態様において、孔径は50 μm~500 μmである。いくつかの態様において、孔径は100 μm~500 μmである。いくつかの態様において、孔径は250 μm~500 μmである。いくつかの態様において、孔径は350 μm~500 μmである。いくつかの態様において、孔径は100 μm~450 μmである。いくつかの態様において、孔径は250 μm~450 μmである。
【0118】
いくつかの態様において、アレイ1平方cm当たりのマイクロキャピラリーの数は、約400、500、1000、2,000、3,000、4,000、5,000、6,000、7,000、8,000、9,000、10,000、20,000、50,000, 100,000、200,000、300,000、400,000、500,000、600, 000、700,000、または800,000個である。いくつかの態様において、アレイ1平方cm当たりのマイクロキャピラリーの数は、約500~800,000個の間で変動する。いくつかの態様において、アレイ1平方cm当たりのマイクロキャピラリーの数は、約1000~700,000個の間で変動する。いくつかの態様において、アレイ1平方cm当たりのマイクロキャピラリーの数は、約2000~600,000個の間で変動する。いくつかの態様において、アレイ1平方cm当たりのマイクロキャピラリーの数は、約10,000~800,000個の間で変動する。いくつかの態様において、アレイ1平方cm当たりのマイクロキャピラリーの数は、約10,000~700,000個の間で変動する。いくつかの態様において、アレイ1平方cm当たりのマイクロキャピラリーの数は、約50,000~800,000個の間で変動する。いくつかの態様において、アレイ1平方cm当たりのマイクロキャピラリーの数は、約50,000~700,000個の間で変動する。いくつかの態様において、アレイ1平方cm当たりのマイクロキャピラリーの数は、約100,000~700,000個の間で変動する。いくつかの態様において、アレイ1平方cm当たりのマイクロキャピラリーの数は、約100,000~600,000個の間で変動する。いくつかの態様において、アレイ1平方cm当たりのマイクロキャピラリーの数は、約100,000~500,000個の間で変動する。いくつかの態様において、アレイ1平方cm当たりのマイクロキャピラリーの数は、約500,000~800,000個の間で変動する。
【0119】
1つの特定の態様において、マイクロキャピラリーアレイは、数十億個のシリカキャピラリーを結合し、次いで熱プロセスを通じてそれらを溶融することによって製造することができる。その後、スライス(0.5 mmまたはそれ以上)を切り出して非常に高いアスペクト比のガラスマイクロキャピラリーアレイを形成する。アレイはまた、Hamamatsu Photonics K. K. (Japan)、Incom, Inc. (Massachusetts)、Photonis Technologies, S.A.S. (France) Inc.などから市販されている。いくつかの態様において、アレイのマイクロキャピラリーは、一端において、アレイに付着した固体基材で閉鎖されている。
【0120】
本スクリーニング方法のマイクロキャピラリーアレイは、アレイ内に任意の数のマイクロキャピラリーを含むことができる。いくつかの態様において、マイクロキャピラリーアレイは、少なくとも100,000個、少なくとも300,000個、少なくとも1,000,000個、少なくとも3,000,000個、少なくとも10,000,000個、またはさらにそれ以上のマイクロキャピラリーを含む。いくつかの態様において、アレイは、少なくとも100,000個、少なくとも200,000個、少なくとも300,000個、少なくとも400,000個、少なくとも500,000個、少なくとも600,000個、少なくとも700,000個、少なくとも800,000個、少なくとも1,000,000個、少なくとも1,500,000個、少なくとも2,000,000個、少なくとも2,500,000個、もしくは少なくとも3,000,000個またはそれ以上のマイクロキャピラリーを含む。アレイ内のマイクロキャピラリーの数は、スクリーニングされる変異体タンパク質ライブラリーのサイズを考慮して選択されるのが好ましい。
【0121】
上記のように、本スクリーニング方法において用いられるマイクロキャピラリーアレイ中の各キャピラリーは、変異体タンパク質、固定化標的分子、およびレポーターエレメントを含み、変異体タンパク質はスクリーニング方法に供される変異体タンパク質の集団の1つである。変異体タンパク質の集団は、マイクロキャピラリーアレイ内に適当に分布させることができる任意のタンパク質集団でありうる。理想的には、各マイクロキャピラリーが少数の異なる変異体タンパク質、好ましくはマイクロキャピラリー当たり単一の異なる変異体タンパク質を含むように、変異体タンパク質の集団がマイクロキャピラリーアレイに分布している。重要なのは、集団内の少なくともいくつかのタンパク質が特定の親和性で固定化標的分子と会合することができ、その結果、レポーターエレメントからのシグナルを測定することによって会合が検出できるように、変異体タンパク質の集団が固定化標的分子と組み合わせて選択されるということである。
【0122】
本明細書において用いられる「タンパク質」という用語は、全長タンパク質またはポリペプチド配列の両方、およびその断片をいう。そのような断片は、例えば、結合活性などの機能的活性を保持する断片を含みうる。用語「タンパク質」および「ポリペプチド」は、本開示を通して互換的に用いられ、ペプチド結合を介して共有結合したアミノ酸の鎖を含み、ポリペプチド中の各アミノ酸は「アミノ酸残基」と称されうる。用語「タンパク質」または「ポリペプチド」の使用は、いずれか特定の長さのポリペプチド、例えば、いずれか特定の数のアミノ酸残基に限定されるとみなされるべきではない。主題のタンパク質は、グリコシル化、アセチル化、リン酸化、硫酸化などを含む翻訳後修飾などの非ペプチド修飾、またはアルキル化、アセチル化、エステル化、PEG化などの他の化学修飾を有するタンパク質を含みうる。ポリペプチド配列内の非天然アミノ酸の包含またはアミノ酸残基間の非ペプチド結合などのさらなる修飾もまた、用語「タンパク質」または「ポリペプチド」の定義の範囲内で考慮されるべきである。
【0123】
変異体タンパク質の集団は、好ましくは、小さな変異を有するタンパク質の集団、例えば、各タンパク質がわずかに異なるアミノ酸配列を有するタンパク質の集団である。それゆえ、スクリーニングアッセイは、望ましい特性を有する変異体タンパク質配列を同定することができる。スクリーニングは顕微鏡規模で非常に大量に行うことができるため、膨大な数の変異体タンパク質を比較的短時間でアッセイすることができる。
【0124】
「抗体」という用語は、最も広い意味で用いられ、例えば、無傷の免疫グロブリンまたは抗原結合部分を含む。抗原結合部分は、組換えDNA技法によってまたは無傷の抗体の酵素的もしくは化学的切断によって産生されうる。したがって、抗体という用語は、2つの重鎖および2つの軽鎖の従来の四量体抗体、ならびにFv、FabおよびscFvなどの抗原結合断片を含む。場合によっては、本発明は、本明細書において概説されるように、少なくとも1つの抗原結合ドメインを含む二重特異性抗体を提供する。
【0125】
変異体タンパク質および/または変異体ポリペプチドは、分泌タンパク質を含みうるが、これに限定されることはない。いくつかの態様において、分泌タンパク質は、組換えタンパク質および/またはポリペプチドライブラリーに由来する。いくつかの態様において、分泌タンパク質は、組換えタンパク質および/またはポリペプチドライブラリーに由来する。いくつかの態様において、分泌タンパク質は、哺乳動物細胞株由来の組換えタンパク質および/またはポリペプチドライブラリーに由来する。いくつかの態様において、組換えタンパク質および/またはポリペプチドライブラリーは、全長哺乳動物抗体を含む。いくつかの態様において、組換えタンパク質および/またはポリペプチドライブラリーは、IgG1、IgG2、およびIgG4抗体ならびにそれらの変異体を含む全長哺乳動物抗体を含む。いくつかの態様において、組換えタンパク質および/またはポリペプチドライブラリーは全長ヒト抗体を含む。いくつかの態様において、組換えタンパク質および/またはポリペプチドライブラリーは、IgG1、IgG2、およびIgG4抗体を含む全長ヒト抗体を含む。いくつかの態様において、組換えタンパク質および/またはポリペプチドライブラリーは全長マウス抗体を含む。いくつかの態様において、組換えタンパク質および/またはポリペプチドライブラリーは、IgG1、IgG2、およびIgG4抗体を含む全長マウス抗体を含む。いくつかの態様において、組換えタンパク質および/またはポリペプチドライブラリーは全長ラット抗体を含む。いくつかの態様において、組換えタンパク質および/またはポリペプチドライブラリーは、IgG1、IgG2、およびIgG4抗体を含む全長ラット抗体を含む。いくつかの態様において、組換えタンパク質および/またはポリペプチドライブラリーは抗体断片(Fab)を含む。いくつかの態様において、組換えタンパク質および/またはポリペプチドライブラリーは一本鎖可変断片(scFv)を含む。いくつかの態様において、組換えタンパク質および/またはポリペプチドライブラリーは天然タンパク質リガンドを含む。いくつかの態様において、組換えタンパク質および/またはポリペプチドライブラリーは、規定の標的タンパク質および/またはポリペプチドに対する天然タンパク質リガンドを含む。いくつかの態様において、組換えタンパク質および/またはポリペプチドライブラリーは、標的抗体および/またはその断片を含む。いくつかの態様において、組換えタンパク質および/またはポリペプチドライブラリーは、可変重鎖などの、標的抗体重鎖および/またはその断片を含む。いくつかの態様において、組換えタンパク質および/またはポリペプチドライブラリーは、可変軽鎖などの、標的抗体軽鎖および/またはその断片を含む。いくつかの態様において、本発明のシステムは、VH/VL (可変重鎖および可変軽鎖)の正確な対形成を可能にする。
【0126】
いくつかの態様において、マイクロキャピラリーアレイ中の各マイクロキャピラリーは、変異体タンパク質の集団由来の0~5個の異なる変異体タンパク質を含む。特定の態様において、マイクロキャピラリーアレイ中の各マイクロキャピラリーは、変異体タンパク質の集団由来の0~4、0~3、0~2、またはさらには0~1個の異なる変異体タンパク質を含む。変異体タンパク質の集団中の異なる変異体タンパク質は、それらのアミノ酸配列またはタンパク質の他の何らかの化学修飾に相違点があるかどうかにかかわらず、それらの分子構造が異なることを理解されたい。
【0127】
各マイクロキャピラリーは、特定の変異体タンパク質の起源および発現レベルに応じて、典型的には、同じ変異体タンパク質の多くの複数のコピーを含むことを理解されたい(下記参照)。いくつかの態様において、各マイクロキャピラリーは、変異体タンパク質がマイクロキャピラリーにどのように送達されるかまたはその中でどのように発現されるかに応じて、特定の変異体タンパク質の数千、数万、数十万、数百万、数十億個、またはさらにはそれ以上の分子を含む。いくつかの態様において、変異体タンパク質は、1、2、3、もしくは4つまたはそれ以上の標的分子に結合することができる。いくつかの態様において、変異体タンパク質は1つの標的分子に結合することができる。いくつかの態様において、変異体タンパク質は2つの標的分子に結合することができる。いくつかの態様において、変異体タンパク質は3つの標的分子に結合することができる。いくつかの態様において、変異体タンパク質は4つの標的分子に結合することができる。いくつかの態様において、変異体タンパク質は4つを超える標的分子に結合することができる。いくつかの態様において、このアッセイは、あるいは、標的タンパク質のマウスおよびヒト(または他の動物の組み合わせ)変異体の両方に結合する抗体をスクリーニングするために、すなわち「交差反応性」抗体を発見するために用いることができる。例えば、マイクロキャピラリー内の染色された細胞の存在および染色されたビーズの存在は、マウスおよびヒト標的の両方に結合する抗体を同定するために、「標的タンパク質」(例えば、マウス標的)に結合し、また同様に「標的タンパク質類似体」(例えば、ヒト標的)にも結合する抗体の存在を示す。例えば、マイクロキャピラリー内の染色された細胞の存在および染色されたビーズの存在は、カニクイザルおよびヒト標的の両方に結合する抗体を同定するために、「標的タンパク質」(例えば、カニクイザル標的)に結合し、また同様に「標的タンパク質類似体」(例えば、ヒト標的)にも結合する抗体の存在を示す。
【0128】
変異体タンパク質の集団は、典型的には、生物学的発現系、例えばインビトロ(すなわち無細胞)発現系またはインビボもしくは細胞発現系において遺伝子ライブラリーを用いて作製される。例示的な細胞発現系としては、例えば、動物系(例えば、哺乳動物系)、真菌系(例えば、酵母系)、細菌系、昆虫系、または植物系が挙げられる。特定の態様において、発現系は哺乳動物系または酵母系である。特定の態様において、発現系は鳥類系(例えば、ニワトリ系)である。発現系は、細胞性であれ無細胞性であれ、典型的には、変異体タンパク質の集団をコードする遺伝物質のライブラリーを含む。細胞発現系は、望ましい表現型を有する細胞、例えば、固定化標的分子と高い親和性で会合することができる変異体タンパク質などの特定の関心対象の変異体タンパク質を発現する細胞を成長および増殖させることができるという利点を提供し、したがって、細胞によって発現される関心対象のタンパク質の同定および特徴付けを単純化する。いくつかの態様において、生物学的発現系は哺乳動物細胞株を含む。いくつかの態様において、哺乳動物細胞株は、CHO-K1、CHO-S、HEK293T、および/またはこれらの細胞型の任意の誘導体からなる群より選択される。いくつかの態様において、哺乳動物細胞株はCHO-K1である。いくつかの態様において、哺乳動物細胞株はCHO-Sである。いくつかの態様において、哺乳動物細胞株はHEK293Tである。いくつかの態様において、哺乳動物細胞株は、ヒト、マウス、および/またはラットのハイブリドーマ細胞株からなる群より選択される。いくつかの態様において、哺乳動物細胞株はヒトハイブリドーマ細胞株である。いくつかの態様において、哺乳動物細胞株はマウスハイブリドーマ細胞株である。いくつかの態様において、哺乳動物細胞株はラットハイブリドーマ細胞株である。
【0129】
大規模な変異体タンパク質の集団をコードする遺伝子ライブラリーは、生物工学の分野で周知である。そのようなライブラリーは、標的分子への高親和性結合、安定性、高発現、または特定の分光学的活性、例えば、蛍光もしくは酵素活性などの有利な特性を有するタンパク質を同定するための定向進化のプロセスに依存するシステムにおいてしばしば利用される。多くの場合、ライブラリーは、宿主発現系由来の配列との遺伝的融合、例えば、亜細胞局在化を指示するタンパク質の断片を含み、変異体融合タンパク質の発現集団は、変異体タンパク質集団の活性スクリーニングのために、標的断片によって細胞またはウイルス粒子の特定の位置に向けられる。当技術分野において周知のように、日常的な生物工学技法を使用して、多数の変異体タンパク質(例えば、106変異体、108変異体、1010変異体、1012変異体、またはさらにはそれ以上の変異体)を作製することができる。そのようなライブラリーは、抗体、抗体断片、一本鎖可変断片、または天然タンパク質リガンドを含む、本明細書において記述される変異体タンパク質のいずれかを含みうる。いくつかの態様において、本発明のシステムは、VH/VL (可変重鎖および可変軽鎖)の正確な対形成を可能にする。
【0130】
したがって、いくつかの態様において、変異体タンパク質は可溶性タンパク質、例えば、細胞発現系によって分泌される可溶性タンパク質である。例示的な可溶性変異体タンパク質としては、抗体および抗体断片、ジスルフィド結合したペプチド足場などの代替タンパク質足場、細胞表面受容体タンパク質の細胞外ドメイン、例えばGタンパク質共役受容体リガンドなどの受容体リガンド、他のペプチドホルモン、レクチンなどが挙げられる。好都合には、所望の結合活性を有する変異体タンパク質およびそれを発現した細胞は、アッセイを通して同じマイクロキャピラリー内に共局在するため、本方法において結合活性についてスクリーニングされる変異体タンパク質は、スクリーニングアッセイ後に同定されるためにそれらを発現する細胞またはウイルスに共有結合される必要がない。所望のマイクロキャピラリーの内容物の単離、それに続く所望の変異体タンパク質の発現に関与する細胞またはウイルスクローンの増殖は、それによってそのタンパク質の同定および特徴付けを可能にする。細胞またはウイルス粒子の表面上の分子へのタンパク質の融合によって関心対象の変異体タンパク質が提示されるスクリーニングアッセイとは異なり、本スクリーニング方法で同定される変異体タンパク質は、それらの同定後にまったく変更される必要がない。したがって、スクリーニングにおいて観察される変異体タンパク質の活性は、それらの後の用途におけるそれらのタンパク質の実際の活性を表す可能性がより高い。
【0131】
しかしながら、他の態様において、変異体タンパク質が膜結合性タンパク質、例えば、発現系において細胞またはウイルス粒子の表面と結合したままのタンパク質であることが望ましい場合がある。細胞結合性変異体タンパク質のスクリーニングは、変異体タンパク質およびその標的分子が生体組織内の2つの細胞間の相互作用を媒介する場合に望ましい可能性がある。また、細胞結合性変異体タンパク質に対してスクリーニングする能力は、例えば、Gタンパク質共役受容体またはイオンチャネルなどの従来的に「新薬の開発につながらない」タンパク質標的との相互作用についてスクリーニングする際にも望ましい場合がある。
【0132】
変異体タンパク質に加えて、本スクリーニング方法のマイクロキャピラリーアレイ中の各マイクロキャピラリーは、固定化標的分子も含む。固定化標的分子は、スクリーニングアッセイの変異体タンパク質に対する潜在的結合パートナーとして機能する。各マイクロキャピラリーが理想的にはわずかに異なる配列の変異体タンパク質を含む変異体タンパク質の集団とは異なり、固定化された標的分子は、理想的にはアレイの各マイクロキャピラリー中に同じ分子構造を有する。いくつかの態様において、マイクロキャピラリーへの変異体タンパク質の添加前には、変異体タンパク質と別の薬剤または分子(例えば標的分子)との間に結合または他の相互作用はない。いくつかの態様において、変異体タンパク質と標的分子との相互作用は、マイクロキャピラリーおよび/またはマイクロキャビティ内で起こる。
【0133】
いくつかの態様において、標的分子は、標的タンパク質もしくはポリペプチド、標的核酸、標的炭水化物、標的脂質、またはこれらの標的分子の2つもしくはそれ以上の組み合わせである。例えば、いくつかの態様において、標的分子は脂質修飾タンパク質またはグリコシル化タンパク質でありうる。いくつかの態様において、標的分子は表面に固定化される。より具体的な態様において、標的分子は、標的細胞などの細胞の表面、ビーズの表面、マイクロキャピラリー壁の表面、または別の適当な表面に固定化される。他のより具体的な態様において、標的分子は天然タンパク質、例えば、細胞の表面に固定化された天然タンパク質である。さらに他のより具体的な態様において、標的分子は、重力沈降によってマイクロキャピラリー中に沈殿するように構成される表面に固定化される。いくつかの態様において、1つ、2つ、3つ、もしくは4つ、またはそれ以上の標的分子に結合する変異体を同定するために、1つ、2つ、3つ、もしくは4つ、またはそれ以上の標的分子が用いられる。いくつかの態様において、標的分子は、別々の異なるマイクロキャピラリーに別々に含まれる。いくつかの態様において、標的分子は、単一アレイ内の別々の異なるマイクロキャピラリーに別々に含まれる。いくつかの態様において、標的分子は、1つまたはそれ以上のアレイ内の別々の異なるマイクロキャピラリーに別々に含まれる。いくつかの態様において、標的分子は単一マイクロキャピラリーに一緒に含まれる。いくつかの態様において、標的分子は単一アレイ内の単一マイクロキャピラリーに一緒に含まれる。いくつかの態様において、変異体が結合する1つ、2つ、3つ、もしくは4つ、またはそれ以上の標的分子は、化学修飾、二次翻訳後修飾、または配列同一性変異体(例えば、元の核酸またはアミノ酸標的配列に対して70%、75%、80%、85%、90%、95%、または99%の配列同一性を有する変異体を含む)を含む、元の標的分子の誘導体または変異体である。
【0134】
前述のように、本開示の方法において、変異体タンパク質は、マイクロキャピラリー内で特定の親和性で固定化標的分子と会合する。重要なのは、会合がレポーターエレメントからのシグナルによって測定されうるように、そのような親和性は関心対象の変異体タンパク質に対して十分に強くなければいけないということである。当業者には十分に理解されるように、結合親和性は、典型的には解離定数(Kd)によって評価され、解離定数が低いほど親和性が高い。いくつかの態様において、関心対象の変異体タンパク質と固定化標的分子との会合は、ミリモルからマイクロモルの範囲の解離定数を示す。特定の態様において、会合は、マイクロモルから高ナノモル(すなわち、10-6 M~10-8 M)の解離定数を示す。より具体的な態様において、会合は、低ナノモルから高ピコモル(すなわち、10-8 M~10-10 M)の解離定数を示す。さらにより具体的な態様において、会合は、ピコモル範囲(すなわち、10-10 M~10-12 M)、またはさらに低い解離定数を示す。いくつかの態様において、第1の細胞は変異体タンパク質またはポリペプチドを発現および分泌し、第2の細胞は標的を含み、その結果、第1の細胞が第2の細胞に結合する。いくつかの態様において、第2の細胞は標的を発現する。いくつかの態様において、第2の細胞は標的で標識される。いくつかの態様において、第1の細胞はマイクロキャピラリー中の第2の細胞に結合する。いくつかの態様において、第1の細胞は、マイクロキャピラリーおよび/またはマイクロキャビティ中の第2の細胞に結合する。
【0135】
変異体タンパク質および固定化標的分子に加えて、本スクリーニング方法のマイクロキャピラリーアレイ中の各マイクロキャピラリーは、レポーターエレメントも含む。重要なのは、レポーターエレメントが変異体タンパク質と固定化標的分子との会合を示す測定可能なシグナルを提供し、したがって関心対象の変異体タンパク質を含むマイクロキャピラリーを特定する役割を果たすということである。
【0136】
いくつかの態様において、レポーターエレメントは、変異体タンパク質の集団中の各変異体タンパク質に結合することができる標識抗体または他の分子である。より具体的には、レポーターエレメントは、蛍光標識抗体または他の結合分子である。
【0137】
いくつかの態様において、標識抗体は、標識一次抗体または標識二次抗体である。本開示の目的のために、一次抗体は、典型的には、関心対象の抗原に直接結合する抗体であると考えられ、二次抗体は、典型的には、一次抗体標識の目的で一次抗体上の定常領域に結合する抗体であると考えられる。したがって、二次抗体は、フルオロフォアもしくは他の検出可能な標識で頻繁に標識されるか、または検出可能なシグナルを発生させることができる酵素で標識される。それらは概して、異なる種に由来する一次抗体に特異的である。例えば、当業者には理解されるように、ヤギまたは他の動物種が、マウス、ニワトリ、ウサギ、またはその動物種由来の抗体以外のほぼあらゆる一次抗体に対する二次抗体を作製するために使用されうる。特定の態様において、標識抗体は蛍光抗体または酵素結合抗体である。
【0138】
本方法の態様のいくつかにおいて、例えば、
図1A~1Cに示されるスクリーニング方法において、変異体タンパク質はレポーターエレメントと標的分子、この例では標的細胞の表面上の標的分子との会合を媒介する。
図1Bに示すように、変異体タンパク質(ここでは「分泌タンパク質」と表される)が標的細胞上のその標的分子に対して十分な親和性を有する場合、変異体タンパク質は、マイクロキャピラリー溶液の条件下で標的細胞と会合する。レポーターエレメント(ここでは「蛍光検出抗体」と表される)は、理想的には、
図1Cに示すように、標的分子に対する変異体タンパク質の親和性に影響を及ぼさないエピトープで変異体タンパク質に結合する。
【0139】
当業者には理解されるように、蛍光抗体などの可溶性レポーターエレメントが本スクリーニング方法において使用される場合、マイクロキャピラリー内の溶液中に遊離したままの(すなわち、変異体タンパク質に結合していないか、または標的分子に結合していない変異体タンパク質に結合している)任意の過剰なレポーターエレメントによって放出されるシグナルは、変異体タンパク質を介して標的分子と会合したレポーターエレメントのシグナルを圧倒するほど高くてはならない(例えば、
図1Cに示される会合していない蛍光検出抗体を参照のこと)。しかしながら、そのようなバックグラウンドシグナルは、マイクロキャピラリー溶液内の標識抗体または他のレポーターエレメントの濃度を制限することによって最小限に抑えることができる。さらに、スクリーニング方法からのシグナルが蛍光顕微鏡を用いて測定される場合、標的分子の位置(例えば、標的細胞が沈降重力によってそこに沈殿した場合、マイクロキャピラリーの底部)を囲む比較的狭い被写界深度を撮像するように顕微鏡を構成することにより、標的分子と会合していないレポーターエレメントからのバックグラウンドシグナルを最小限に抑えることができる。
【0140】
他の態様において、レポーターエレメントは、例えば、変異体タンパク質と固定化標的分子、例えば、細胞の表面上の受容体または他の分子標的との会合などの結合事象に関連して検出可能なシグナルを発生させる細胞内レポーターエレメントである。これらの態様において、レポーターエレメントは、例えば細胞内シグナル伝達経路などの全細胞経路を含みうる。そのような経路は、経路の下流読み出しとして検出可能なシグナルを含むか、または含むように操作されるべきである。検出可能なシグナルが標的細胞の外表面に結合している
図1A~1Cに示されているアッセイとは対照的に、これらの態様における検出可能なシグナルは典型的には標的細胞の内部で発生するであろう。
【0141】
多くの細胞内シグナル伝達経路が、ハイスループットスクリーニングアッセイ、特に創薬スクリーニングにおける使用のために開発されており、本アッセイにおける使用に適合させることができる。例えば、Michelini et al. (2010) Anal. Bioanal. Chem. 398:227-38を参照されたい。特に、細胞表面上の標的分子との結合事象が測定可能なシグナル、特に蛍光シグナルの発生をもたらす任意の細胞アッセイを、本アッセイにおけるレポーターエレメントとして使用することができる。好ましくは、細胞はそれらの表面に関心対象の標的分子を発現するように操作することができ、その結果、標的分子への特定の変異体タンパク質の結合およびその結果としての細胞内シグナル伝達経路の活性化が、レポーターエレメントからの検出可能なシグナルの生成をもたらし、したがって、ポジティブヒットとしてのマイクロキャピラリーの同定を可能にする。緑色蛍光タンパク質(GFP)、または多種多様な変異体蛍光タンパク質のいずれかの発現は、そのような細胞アッセイにおける読み出しとしてしばしば使用され、本方法におけるレポーターエレメントのエンドポイントとして機能しうる。あるいは、当業者には十分に理解されるように、シグナル伝達の読み出しは、ルシフェラーゼまたは生物発光シグナルを生成する他の関連酵素によって提供されうる。例えば、Kelkar et al. (2012) Curr. Opin. Pharmacol. 12:592-600を参照されたい。レポーターエレメントはまた、RFP (赤色蛍光タンパク質)およびYFP (黄色蛍光タンパク質)、ならびにそれらの変異体も含みうる。細菌系および植物系由来の他の周知の酵素レポーターとして、β-ガラクトシダーゼ、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ、β-グルクロニダーゼ(GUS)などが挙げられ、これらは適当な発色基質を用いて本スクリーニングアッセイにおける使用に適合させることができる。ホタルルシフェラーゼおよびGFPを用いた転写レポーターは、転写因子の機能および制御を研究するために広く使用されてきた。それらは同様に、本スクリーニングアッセイにおける使用に適合させることができる。例示的な細胞内シグナル伝達系は市販されており、例えば、ルシフェラーゼまたはGFPのいずれかの読み出しによって利用可能な、QiagenのCignal(商標) Reporter Assayキット(例えば、www.sabiosciences.com/reporterassays.phpを参照のこと)がある。そのようなシステムは、本スクリーニング方法で用いるために適当に再操作することができる。
【0142】
変異体タンパク質発現系は、特に発現系が細胞発現系である場合、変異体タンパク質の発現の前および/またはマイクロキャピラリーのアレイにアッセイ混合物を送達する前に、固定化標的分子およびレポーターエレメント(または固定化標的分子および/またはレポーターエレメントの作製に関与する細胞成分などの適当な成分)と組み合わせられうることを理解されたい。そのようなアプローチは、好都合には、スクリーニングアッセイの全成分が典型的には静的形態で混合されてマイクロキャピラリーに装填される先行技術のマイクロキャピラリースクリーニングシステムと比較して、成分間の相互作用のタイミングにおける柔軟性および制御を可能にする。対照的に、本方法は、細胞成分の増殖、遺伝子成分の発現、またはその両方を可能にすることによって、結合アッセイの成分の一部または全部をマイクロキャピラリー内でインサイチューにおいて作製することを可能にする。いくつかの態様において、アッセイプロセスの間に細胞の健康を維持するために細胞培養培地および/または成長剤が用いられる。いくつかの態様において、細胞の代謝的健康を促進する成分が含まれる。
【0143】
変異体タンパク質の濃度、固定化標的分子の濃度、およびレポーターエレメントの濃度を含む、マイクロキャピラリー内のスクリーニングアッセイの各成分の濃度は、最適な結果を得るために、アッセイにおいて所望の通りに調節することができることも理解されたい。特に、これらの成分間の所望のレベルの会合を達成するために、変異体タンパク質および/または固定化標的分子の濃度を調節することが望ましい場合がある。会合のレベルはまた、これらの成分間の特定の親和性にも依存し、より高い親和性は所与の濃度の成分に対してより高いレベルの会合をもたらし、より低い親和性は所与の濃度に対してより低いレベルの成分の会合をもたらす。当業者には理解されるように、レポーターエレメントの濃度も、最適レベルのシグナル出力を達成するために同様に調節されうる。いくつかの態様において、用いられるレポーターエレメントは、市販のものを含む二次抗体を含む。いくつかの態様において、希釈範囲は1:200~1:2000である。いくつかの態様において、希釈範囲は1:300~1:2000である。いくつかの態様において、希釈範囲は1:300~1:1500である。いくつかの態様において、希釈範囲は1:400~1:1500である。いくつかの態様において、希釈範囲は1:500~1:1500である。いくつかの態様において、希釈範囲は1:200~1:1000である。いくつかの態様において、希釈範囲は1:500~1:1000である。いくつかの態様において、希釈範囲は1:1000~1:2000である。いくつかの態様において、希釈範囲は1:1500~1:2000である。いくつかの態様において、希釈は1:200、1:300、1:400、1:500、1:600、1:700、1:800、1:900、1:1000、1:1500、または1:2000である。いくつかの態様において、フルオロフォアは、AlexaFluor 3、AlexaFluor 5、AlexaFluor 350、AlexaFluor 405、AlexaFluor 430、AlexaFluor 488、AlexaFluor 500、AlexaFluor 514、AlexaFluor 532、AlexaFluor 546、AlexaFluor 555、AlexaFluor 568、AlexaFluor 594、AlexaFluor 610、AlexaFluor 633、AlexaFluor 647、AlexaFluor 660、AlexaFluor 680、AlexaFluor 700、およびAlexaFluor 750 (Life Technologies, Inc. (USA)から入手可能なMolecular Probes AlexaFluor色素)を含みうるが、これらに限定されることはない。いくつかの態様において、フルオロフォアは、Cy2、Cy3、Cy3B、Cy3.5、Cy5、Cy5.5およびCy7 (GE Life SciencesまたはLumiprobesから入手可能)を含む、Cy色素を含みうるが、これらに限定されることはない。いくつかの態様において、フルオロフォアは、Dy Light 350、DyLight 405,Dy Light 488、DyLight 550、DyLight 594、DyLight 633、DyLight 650、DyLight 680、DyLight 750およびDyLight 800 (Thermo Scientific (USA)から入手可能)を含みうるが、これらに限定されることはない。いくつかの態様において、フルオロフォアは、FluoProbes 390、FluoProbes 488、FluoProbes 532、FluoProbes 547H、FluoProbes 594、FluoProbes 647H、FluoProbes 682、FluoProbes 752およびFluoProbes 782、AMCA、DEAC (7-ジエチルアミノクマリン-3-カルボン酸); 7-ヒドロキシ-4-メチルクマリン-3; 7-ヒドロキシクマリン-3; MCA (7-メトキシクマリン-4-酢酸); 7-メトキシクマリン-3; AMF (4'-(アミノメチル)フルオレセイン); 5-DTAF (5-(4,6-ジクロロトリアジニル)アミノフルオレセイン); 6-DTAF (6-(4,6-ジクロロトリアジニル)アミノフルオレセイン); 6-FAM (6-カルボキシフルオレセイン)、5(6)-FAMカダベリン; 5-FAMカダベリン; 5(6)-FAMエチレンジアミン; 5-FAMエチレンジアミン; 5-FITC (FITC異性体I; フルオレセイン-5-イソチオシアネート); 5-FITCカダベリン; フルオレセイン-5-マレイミド; 5-IAF (5-ヨードアセトアミドフルオレセイン); 6-JOE (6-カルボキシ-4',5'-ジクロロ-2',7'-ジメトキシフルオレセイン); 5-CRl l0 (5-カルボキシローダミン110); 6-CRl l0 (6-カルボキシローダミン110); 5-CR6G (5-カルボキシローダミン6G); 6-CR6G (6-カルボキシローダミン6G); 5(6)-カルボキシローダミン6Gカダベリン; 5(6)-カルボキシローダミン6Gエチレンジアミン; 5-ROX (5-カルボキシ-X-ローダミン); 6-ROX (6-カルボキシ-X-ローダミン); 5-TAMRA (5-カルボキシテトラメチルローダミン); 6-TAMRA (6-カルボキシテトラメチルローダミン); 5-TAMRAカダベリン; 6-TAMRAカダベリン; 5-TAMRAエチレンジアミン; 6-TAMRAエチレンジアミン; 5-TMR C6マレイミド; 6-TMR C6マレイミド; TR C2マレイミド; TRカダベリン; 5-TRITC; G異性体(テトラメチルローダミン-5-イソチオシアネート); 6-TRITC; R異性体(テトラメチルローダミン-6-イソチオシアネート); ダンシルカダベリン(5-ジメチルアミノナフタレン-l-(N-(5-アミノペンチル))スルホンアミド); EDANS C2マレイミド; フルオレサミン; NBD; およびピロメテン、ならびにそれらの誘導体を含みうるが、これらに限定されることはない。いくつかの態様において、使用されるレポーターエレメントは、AlexaFluor 633で標識されたロバ抗ヤギIgG二次抗体でありうる。
【0144】
いくつかの態様において、本スクリーニング方法のマイクロキャピラリーアレイ中の各マイクロキャピラリーは、細胞発現系の生存性を改善するための薬剤をさらに含む。具体的には、薬剤は、例えばレーザーパルスによる、関心対象のマイクロキャピラリーの内容物を単離する段階の間の細胞損傷を防止するために含まれる(下記参照)。好ましい態様において、薬剤はメチルセルロース(例えば0.001~10重量%)、デキストラン(例えば0.5~10重量%)、プルロニックF-68 (例えば0.01~10重量%)、ポリエチレングリコール(「PEG」) (例えば、0.01~10重量%)、ポリビニルアルコール(「PVA」) (例えば、0.01~10重量%)などである。あるいは、または加えて、本スクリーニング方法のマイクロキャピラリーアレイ中の各マイクロキャピラリーは、例えば、50%馴化増殖培地、25%標準増殖培地、または25%血清などの増殖添加剤をさらに含みうる。いくつかの態様において、馴化増殖培地は24時間馴化される。いくつかの態様において、添加される薬剤は、インスリン、トランスフェリン、エタノールアミン、セレン、インスリン様成長因子、もしくはこれらの薬剤の組み合わせ、または上記薬剤のいずれかの組み合わせである。
【0145】
本開示のスクリーニング方法は、少なくとも1つの変異体タンパク質と少なくとも1つの固定化標的分子との会合を示す少なくとも1つのレポーターエレメントからのシグナルを測定して、少なくとも1つの関心対象のマイクロキャピラリーを同定するさらなる段階を含む。いくつかの態様において、測定されるシグナルは、蛍光シグナル、吸光度シグナル、明視野シグナル、または暗視野シグナル、位相差シグナルなどである。したがって、測定段階は、適切な検出器装置、例えば、電磁放射線または任意の他の適当なシグナルを検出することができる装置によって行うことができる。特定の態様において、測定段階は、蛍光顕微鏡または上記のシグナルを検出するように構成される他の顕微鏡などの顕微鏡によって行われる。
【0146】
好ましい態様において、本スクリーニング方法で利用されるマイクロキャピラリーは、電磁放射線の透過を抑制することができる微粒子を含まないことを理解されたい。言い換えれば、マイクロキャピラリーは、マイクロキャピラリーアレイに入射する電磁放射線に対して、特にマイクロキャピラリーの縦軸に沿って完全に透明であることが好ましい。他の好ましい態様において、本スクリーニング方法のマイクロキャピラリーは、磁性微粒子またはビーズを含まない。さらに他の好ましい態様において、本スクリーニング方法のマイクロキャピラリーは、電磁放射線の透過を抑制することができる微粒子、磁性微粒子、または磁性ビーズを含まない。
【0147】
他の好ましい態様において、本スクリーニング方法で利用されるマイクロキャピラリーは電磁放射線吸収材料を含まない。しかしながら、スクリーニング方法において測定可能なシグナルを発生することに関与するレポーターエレメントの成分、例えば、蛍光抗体上のフルオロフォアは、本発明のこの局面の目的のために、電磁放射線吸収材料とみなされるべきではないことを理解されたい。
【0148】
いくつかの態様において、本スクリーニング方法は、関心対象のマイクロキャピラリーの内容物を単離する段階をさらに含む。特定の態様において、関心対象のマイクロキャピラリーの内容物は、関心対象のマイクロキャピラリーをレーザーによりパルス発振することによって単離される。より具体的には、レーザーは、ダイオードレーザーまたはダイオード励起QスイッチNd:YLFレーザーでありうる。いくつかの態様において、レーザーは、マイクロキャピラリー壁とマイクロキャピラリーに含まれるサンプルとの間の水-ガラス界面に向けることができる。理論によって拘束されることを意図するものではないが、この界面でUVレーザーを発射することは、通常マイクロキャピラリー中にサンプルを保持するメニスカス/水の表面張力を破壊することができ、したがってサンプルを重力の力によってアレイから落下させることができると考えられる。他の態様において、関心対象のマイクロキャピラリーの内容物は、レーザー誘発の蒸気力による膨張によって単離される。いくつかの態様において、マイクロキャピラリーの内容物は、マイクロキャピラリー自体のガラスを破壊することによって単離される。
【0149】
いくつかの態様において、本発明のマイクロキャピラリースクリーニング方法は、マイクロキャピラリーへの成分の添加から数分以内に変異体タンパク質と標的分子との間で起こる反応および/または相互作用(結合相互作用を含む)のスクリーニングを可能にする。いくつかの態様において、変異体タンパク質と標的分子との反応および/または相互作用は、約1分~約10分以内に起こる、および/または検出可能である。いくつかの態様において、変異体タンパク質と標的分子との反応および/または相互作用は、約1時間~約6時間以内に起こる、および/または検出可能である。いくつかの態様において、反応および/または相互作用は、約1時間、約2時間、約4時間、約6、約10時間、約12時間、約16時間、約24時間、約36時間、または約48時間以内に起こる。時間分~約10分。いくつかの態様において、変異体タンパク質と標的分子との反応および/または相互作用は、マイクロキャピラリー内の細胞が生存し、かつ健康であるような期間内に起こる、および/または検出可能である。いくつかの態様において、変異体タンパク質と標的分子との反応および/または相互作用は、マイクロキャピラリー内の細胞が生存可能であるような期間内に起こる、および/または検出可能である。いくつかの態様において、細胞は、マイクロキャピラリーおよび/またはマイクロキャビティから取り出した後に増殖させることができる。いくつかの態様において、細胞は、マイクロキャピラリーおよび/またはマイクロキャビティから取り出した後に生存可能である。いくつかの態様において、変異体タンパク質と標的分子との反応および/または相互作用はマイクロキャピラリー内で起こる。
【0150】
スクリーニングのためのシステム
本発明の別の局面によれば、以下を含む変異体タンパク質の集団をスクリーニングするためのシステムが提供される:
複数のマイクロキャピラリーを含むアレイであって、各マイクロキャピラリーが、変異体タンパク質、固定化標的分子、およびレポーターエレメントを含み、変異体タンパク質が、特定の親和性で固定化標的分子と会合する、アレイ。これらのスクリーニング装置の構成要素は上記に詳細に記述されており、それらのいずれもスクリーニングのためのシステムに組み込むことができる。
【0151】
いくつかの態様において、スクリーニングシステムは光源および検出器をさらに含む。光源および検出器は、スクリーニングシステムで使用される特定のレポーターエレメントにしたがって選択される。例えば、レポーターエレメントが蛍光シグナルを発生する場合、光源は蛍光プローブを励起するために適切な波長の励起光を供給する。同様に、検出器は、蛍光プローブによって放出される光の波長に感応するように選択される。当業者には理解されるように、光源および検出器は、例えば、蛍光顕微鏡などの顕微鏡の構成要素でありうるか、またはそれらは別々の装置でありうる。
【0152】
いくつかの態様において、スクリーニングシステムは、抽出装置、例えば、ダイオードレーザー、ダイオード励起Qスイッチレーザー、または関心対象のマイクロキャピラリーの内容物を単離するための他の適切な構成要素をさらに含む。
【0153】
本方法にしたがって変異体タンパク質の集団をスクリーニングするための例示的な顕微鏡を
図6A~6Eの図面に示す。
図6Aは、顕微鏡を上から見た斜視図であり、アレイ保持ステージおよびサンプル回収ステージの両方を示している。
図6Bは装置の正面図を示す。
図6Cは右側からの図を示す。装置の右側の拡大図が
図6Dに提供されており、アレイ保持ステージとサンプル回収ステージとの関係を詳細に示している。
図6Eは、本スクリーニングシステムでの使用に適した多段式サンプル回収顕微鏡の種々の構成要素の分解図を提供する。
【0154】
本発明の範囲またはそのいずれの態様からも逸脱することなく、本明細書において記述される方法および用途に対して他の適当な改変および適合をなしうることが、関連技術分野の当業者には容易に明らかであろう。本発明を詳細に記述してきたが、本発明を制限することを意図するものではなく、例示のみを目的とする以下の実施例を参照することによって、本発明はより明確に理解されるであろう。いくつかの態様において、上記方法の項で開示された任意の局面もまた本発明のシステムに容易に適用可能である。本発明のシステムは、本明細書において記述される方法のいずれかとともに用いることができる。
【0155】
マイクロキャビティアレイ
これらの方法において、マイクロキャビティアレイは、個々のチャンバを含み、アレイを通って検出器に光を透過させることを可能にする任意のアレイを含む。いくつかの態様において、アレイはマイクロキャピラリーアレイである。いくつかの態様において、マイクロキャピラリーアレイは、複数の長手方向に溶融されたキャピラリー、例えば溶融シリカキャピラリーを含むが、任意の他の適当な材料がアレイに用いられてもよい。例えば、2016年12月12日付で出願された米国特許出願第62/433,210号、2016年12月12日付で出願された米国特許出願第15/376,588号、PCT国際特許公開公報WO 2012/007537およびWO 2014/008056に記述されているアレイを参照されたく、これらの開示は全て、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。
【0156】
そのようなアレイは、例えば、数百万個または数十億個のシリカキャピラリーを結束し、熱プロセスを通してそれらを溶融することによって製造することができるが、他の適当な製造方法も用いることができる。溶融プロセスは、例えば、i) 張力下でシングルクラッドファイバに延伸されたキャピラリーシングルドローガラスを加熱する段階、ii) 結束、加熱、および延伸によってシングルドローガラスからキャピラリーマルチドローシングルキャピラリーを作製する段階、iii) 追加の結束、加熱、および延伸によってマルチドローシングルキャピラリーからマルチ-ドローマルチキャピラリーを作製する段階、iv) 押圧ブロックに積み重ねることによってマルチ-マルチドローマルチキャピラリーからドローガラスのブロックアセンブリーを作製する段階、v) 熱および圧力で処理することによってブロックアセンブリーからブロック押圧ブロックを作製する段階、vi) 正確な長さ(例えば、1 mm)でブロック押圧ブロックを切断することによってブロック形成ブロックを作製する段階を含みうる。
【0157】
いくつかの態様において、製造方法は、シリカキャピラリーをスライスし、それによって非常に高密度のガラスマイクロキャピラリーアレイを形成することをさらに含む。いくつかの態様において、マイクロキャピラリーアレイは約1ミリメートルの高さに切断されてもよいが、高さ10 μmまたはそれ以下のアレイを含むさらに短いマイクロキャピラリーアレイも企図される。いくつかの態様において、10 mmまたはそれ以上のアレイを含むさらに長いマイクロキャピラリーアレイが企図される。
【0158】
そのようなプロセスは、本方法において用いるのに適した非常に高密度のマイクロキャピラリーアレイを形成する。例示的なアレイにおいて、各マイクロキャピラリーは、約5 μmの直径および約66%のオープンスペースを有する(すなわち、各マイクロキャピラリーの内腔を表す)。いくつかのアレイでは、開放しているアレイの割合は、約67%の開口面積を有するHamamatsuによって提供されるマイクロキャピラリーアレイのように、約50%~約90%の範囲、例えば約60%~約75%である。特定の一例において、直径5 μmのマイクロキャピラリーおよび約66%のオープンスペースを有する10×10 cmのアレイは、約3億3000万個のマイクロキャピラリーを有する。
【0159】
さまざまな態様において、アレイ中の各マイクロキャピラリーの内径は、約1 μm~500 μmの範囲である。いくつかのアレイにおいて、各マイクロキャピラリーは、約1μm~300 μm、任意で約1 μm~100μm、さらに任意で約1 μm~75 μm、さらに任意で約1 μm~50 μm、さらに任意で約5 μm~50 μmの範囲の内径を有することができる。
【0160】
いくつかのマイクロキャピラリーアレイにおいて、アレイの開口面積は開口面積(OA)の最大90%を占めるため、細孔直径が1 μm~500 μmの間で変動する場合、アレイ1 cm当たりのマイクロキャピラリーの数は約460~1,100万個以上の間で変動する。いくつかのマイクロキャピラリーアレイにおいて、アレイの開口面積は開口面積の約67%を占めるため、孔径が1 μm~500 μmの間で変動する場合、アレイ1平方cm当たりのマイクロキャピラリーの数は約340~800,000個以上の間で変動する。いくつかの態様において、アレイ1平方cm当たりのマイクロキャピラリーの数は、約400、800、1000、2000、4000、5000、10,0000、25,000、50,000、75,000、100,000、200,000、300,000、400,000、500,000、600,000、700,000、800,000、900,000、1,000,000個またはそれ以上である。
【0161】
1つの特定の態様において、マイクロキャピラリーアレイは、数十億個のシリカキャピラリーを結合し、次いで熱プロセスを通じてそれらを溶融することによって製造することができる。その後、スライス(0.5 mmまたはそれ以上)を切り出して非常に高いアスペクト比のガラスマイクロキャピラリーアレイを形成する。アレイはまた、Hamamatsu Photonics K. K. (Japan)、Incom, Inc. (Massachusetts)、Photonis Technologies, S.A.S. (France) Inc.などから市販されている。いくつかの態様において、アレイのマイクロキャピラリーは、一端において、アレイに付着した固体基材で閉鎖されている。
【0162】
本スクリーニング方法のマイクロキャピラリーアレイは、アレイ内に任意の数のマイクロキャピラリーを含むことができる。いくつかの態様において、マイクロキャピラリーアレイは、少なくとも100,000個、少なくとも300,000個、少なくとも1,000,000個、少なくとも3,000,000個、少なくとも10,000,000個、またはさらにそれ以上のマイクロキャピラリーを含む。いくつかの態様において、マイクロキャピラリーアレイは、少なくとも100,000個を含む。いくつかの態様において、マイクロキャピラリーアレイは、少なくとも200,000個のマイクロキャピラリーを含む。いくつかの態様において、マイクロキャピラリーアレイは、少なくとも300,000個のマイクロキャピラリーを含む。いくつかの態様において、マイクロキャピラリーアレイは、少なくとも400,000個のマイクロキャピラリーを含む。いくつかの態様において、マイクロキャピラリーアレイは、少なくとも500,000個のマイクロキャピラリーを含む。いくつかの態様において、マイクロキャピラリーアレイは、少なくとも600,000個のマイクロキャピラリーを含む。いくつかの態様において、マイクロキャピラリーアレイは、少なくとも700,000個のマイクロキャピラリーを含む。いくつかの態様において、マイクロキャピラリーアレイは、少なくとも800,000個のマイクロキャピラリーを含む。いくつかの態様において、マイクロキャピラリーアレイは、少なくとも900,000個のマイクロキャピラリーを含む。いくつかの態様において、マイクロキャピラリーアレイは、少なくとも1,000,000個のマイクロキャピラリーを含む。いくつかの態様において、マイクロキャピラリーアレイは、少なくとも2,000,000個のマイクロキャピラリーを含む。いくつかの態様において、マイクロキャピラリーアレイは、少なくとも3,000,000個のマイクロキャピラリーを含む。いくつかの態様において、マイクロキャピラリーアレイは、少なくとも4,000,000個のマイクロキャピラリーを含む。いくつかの態様において、マイクロキャピラリーアレイは、少なくとも5,000,000個のマイクロキャピラリーを含む。いくつかの態様において、マイクロキャピラリーアレイは、少なくとも10,000,000個のマイクロキャピラリーを含む。いくつかの態様において、マイクロキャピラリーアレイは、少なくとも15,000,000個のマイクロキャピラリーを含む。いくつかの態様において、マイクロキャピラリーアレイは、少なくとも20,000,000個のマイクロキャピラリーを含む。アレイ内のマイクロキャピラリーの数は、スクリーニングされる変異体タンパク質ライブラリーのサイズを考慮して選択されるのが好ましい。
【0163】
マイクロキャビティアレイは、約0.2 mm (200 μm)~約1 mmの厚さであり、直径が約50 μm~約200 μmである。いくつかの態様において、マイクロキャビティアレイは、約1.5 mmの厚さであり、直径が約150 μmである。いくつかの態様において、マイクロキャビティアレイは、約2 mmの厚さであり、直径が約200 μmである。いくつかの態様において、マイクロキャビティアレイは、約1 mmの厚さであり、直径が約100 μmである。いくつかの態様において、マイクロキャビティアレイは、約1 mmの厚さであり、直径が約10 μmである。いくつかの態様において、マイクロキャビティアレイは、直径が約1 μm、5 μm、および/または10 μmである。いくつかの態様において、マイクロキャビティアレイは、直径が約10 μmである。
【0164】
種々のマイクロキャビティアレイには、本発明の方法での用途が見出されうる。例示的なマイクロキャビティアレイサイズが本明細書において提供される。いくつかの態様において、アレイ内のマイクロキャビティは、直径が約50 μm~約200 μmである。いくつかの態様において、アレイ内のマイクロキャビティは、直径が約75 μm~約150 μmである。いくつかの態様において、アレイ内のマイクロキャビティは、直径が約75 μm~約125 μmである。いくつかの態様において、アレイ内のマイクロキャビティは、直径が約75 μm~約110 μmである。いくつかの態様において、アレイ内のマイクロキャビティは、直径が約80 μm~約110 μmである。いくつかの態様において、アレイ内のマイクロキャビティは、直径が約75 μm~約150 μmである。いくつかの態様において、アレイ内のマイクロキャビティは、直径が約80 μm、約90 μm、約100、または約110 μmである。いくつかの態様において、アレイ内のマイクロキャビティは、直径が約100 μmである。
【0165】
種々のマイクロキャビティアレイには、本発明の方法での用途が見出されうる。例示的なサンプル容量が本明細書において提供される。いくつかの態様において、各マイクロキャビティ中のサンプル容量は、約500 nL未満である。いくつかの態様において、各マイクロキャビティ中のサンプル容量は、約5 nL~約500 nLである。いくつかの態様において、各マイクロキャビティ中の容量は、約5 nL~約400 nLである。いくつかの態様において、各マイクロキャビティ中の容量は、約5 nL~約300 nLである。いくつかの態様において、各マイクロキャビティ中の容量は、約5 nL~約200 nLである。いくつかの態様において、各マイクロキャビティ中の容量は、約5 nL~約100 nLである。いくつかの態様において、各マイクロキャビティ中の容量は、約5 nL~約90 nLである。いくつかの態様において、各マイクロキャビティ中の容量は、約5 nL~約80 nLである。いくつかの態様において、各マイクロキャビティ中の容量は、約5 nL~約70 nLである。いくつかの態様において、各マイクロキャビティ中の容量は、約5 nL~約60 nLである。いくつかの態様において、各マイクロキャビティ中の容量は、約5 nL~約50 nLである。いくつかの態様において、各マイクロキャビティ中の容量は、約5 nL~約40 nLである。いくつかの態様において、各マイクロキャビティ中の容量は、約5 nL~約30 nLである。いくつかの態様において、各マイクロキャビティ中の容量は、約5 nL~約20 nLである。いくつかの態様において、各マイクロキャビティ中の容量は、約5 nL~約10 nLである。いくつかの態様において、各マイクロキャビティ中の容量は、約5 nL~約8 nLである。いくつかの態様において、各マイクロキャビティ中の容量は、約7 nL~約8 nLである。いくつかの態様において、各マイクロキャビティ中の容量は、約7.8 nLである。いくつかの態様において、各マイクロキャビティ中の容量は、約70 pL~約100 pLである。いくつかの態様において、各マイクロキャビティ中の容量は、約70 pL~約90 pLである。いくつかの態様において、各マイクロキャビティ中の容量は、約70 pL~約80 pLである。いくつかの態様において、各マイクロキャビティ中の容量は、約78.5 pLである。いくつかの態様において、各マイクロキャビティ中の容量は、約150 fL~約1000 fLである。いくつかの態様において、各マイクロキャビティ中の容量は、約200 fL~約1000 fLである。いくつかの態様において、各マイクロキャビティ中の容量は、約300 fL~約1000 fLである。いくつかの態様において、各マイクロキャビティ中の容量は、約400 fL~約900 fLである。いくつかの態様において、各マイクロキャビティ中の容量は、約500 fL~約800 fLである。いくつかの態様において、各マイクロキャビティ中の容量は、約150 fL~200 fLである。いくつかの態様において、各マイクロキャビティ中の容量は、約157 fLである。
【0166】
いくつかの態様において、本スクリーニング方法のマイクロキャピラリーアレイ中の各マイクロキャビティは、細胞発現アッセイが用いられる場合に細胞発現系の生存性を改善するための薬剤をさらに含む。具体的には、薬剤は、例えばレーザーパルスによる、関心対象のマイクロキャピラリーの内容物を単離する段階の間の細胞損傷を防止するために含まれる(下記参照)。好ましい態様において、薬剤はメチルセルロース(例えば0.001重量%~10重量%)、デキストラン(例えば0.5重量%~10重量%)、プルロニックF-68 (例えば0.01重量%~10重量%)、ポリエチレングリコール(「PEG」) (例えば、0.01重量%~10重量%)、ポリビニルアルコール(「PVA」) (例えば、0.01重量%~10重量%)などである。あるいは、または加えて、本スクリーニング方法のマイクロキャピラリーアレイ中の各マイクロキャピラリーは、例えば、50%馴化増殖培地、25%標準増殖培地、または25%血清などの増殖添加剤をさらに含みうる。いくつかの態様において、馴化増殖培地は24時間馴化される。いくつかの態様において、添加される薬剤は、インスリン、トランスフェリン、エタノールアミン、セレン、インスリン様成長因子、もしくはこれらの薬剤の組み合わせ、または上記薬剤のいずれかの組み合わせである。マイクロキャビティ内のスクリーニングアッセイの各成分の濃度は、最適な結果を達成するために、アッセイにおいて所望に応じて調節されうることも理解されるべきである。特に、タンパク質、ポリペプチド、核酸、小分子、および/または細胞の濃度を調節して、これらの成分間の所望のレベルの会合を達成することが望ましい場合がある。会合のレベルはまた、これらの成分間の特定の親和性に依存し、親和性が高いと、成分の所与の濃度に対して会合のレベルが高くなり、親和性が低いと、所与の濃度に対して成分の会合のレベルが低くなる。当業者によって理解されるように、さまざまな成分の濃度は、シグナル出力の最適レベルを達成するために同様に調節されうる。
【0167】
サンプルおよび/またはライブラリー成分
本発明の方法によってスクリーニングすることができるライブラリーは、複数の分子ならびにそれらの混合物および/または組み合わせを含む任意のライブラリーを含む。いくつかの態様において、ライブラリーは、生物学的材料を含むサンプルを含む。いくつかの態様において、ライブラリーは、複数の1つまたはそれ以上の分子および/または細胞ならびにそれらの混合物および/または組み合わせを含むサンプルを含む。いくつかの態様において、ライブラリーは、複数の1つまたはそれ以上のタンパク質(抗体を含む)、ポリペプチド、核酸、小分子、色素、および/または細胞ならびにそれらの混合物および/または組み合わせを含むサンプルを含む。いくつかの態様において、分子は任意の分子を含む。いくつかの態様において、分子は、タンパク質、ポリペプチド、核酸、小分子、および/または色素ならびにそれらの混合物および/または組み合わせを含むが、これらに限定されることはない。いくつかの態様において、ライブラリーは、ポリペプチド、核酸、小分子、および/または細胞ならびにそれらの混合物および/または組み合わせを含む生物学的材料を含むサンプルを含む。いくつかの態様において、ライブラリーはサンプルを含む。いくつかの態様において、サンプルは、ポリペプチド、核酸、小分子、色素、および/または細胞ならびにそれらの混合物および/または組み合わせを含む生物学的材料を含むが、これらに限定されることはない。いくつかの態様において、サンプルは、スクリーニングされる少なくとも(a least)1種の分子および/または細胞を含む。いくつかの態様において、サンプルは、スクリーニングされる少なくとも(a least)1種~10種の分子および/または細胞、ならびにそれらの混合物および/または組み合わせを含む。いくつかの態様において、サンプルは、スクリーニングされる複数の分子および/または細胞、ならびにそれらの混合物および/または組み合わせを含む。いくつかの態様において、スクリーニングされる分子は、標的分子と称される。いくつかの態様において、スクリーニングされる細胞は、標的細胞と称される。
【0168】
本明細書において提供されるアレイは、タンパク質、ポリペプチド、核酸、小分子、色素、および/または細胞ならびにそれらの混合物および/または組み合わせから構成されるライブラリーのスクリーニングを可能にする。いくつかの態様において、スクリーニングされる標的分子は、タンパク質、ポリペプチド、核酸、小分子、色素、炭水化物、脂質、またはこれらの標的分子の2つもしくはそれ以上の組み合わせである。いくつかの態様において、タンパク質および/またはポリペプチドは、酵素、リガンド、および受容体からなる群より選択される。例えば、いくつかの態様において、標的分子は、脂質修飾またはグリコシル化されたタンパク質でありうる。いくつかの態様において、標的分子は天然タンパク質である。
【0169】
上記のように、本スクリーニング法において用いられるマイクロキャビティアレイ中の各キャピラリーは、異なるサンプル成分を含む。そのようなサンプル成分は、タンパク質、ポリペプチド、核酸、小分子、色素、および/または細胞(すなわち、標的分子および/または標的細胞)、ならびにそれらの混合物および/または組み合わせを含みうるが、これらに限定されることはない。いくつかの態様において、スクリーニングのためのライブラリーは、際立った特徴を示す変異体タンパク質、変異体ポリペプチド、変異体核酸、変異体小分子、変異体色素、および/または変異体細胞を含む。いくつかの態様において、変異体タンパク質、変異体ポリペプチド、変異体核酸、変異体小分子、変異体色素、および/または変異体細胞は、各マイクロキャビティが、アレイ内の他のマイクロキャビティの各々において見られるサンプルとは異なる標的分子および/または標的細胞を含むサンプルを含むような、際立った特徴を示す。いくつかの態様において、アレイ内の1つまたは複数のマイクロキャビティは、アレイ内の少なくとも1つの他のマイクロキャビティにおいて見られるサンプルと同じ標的分子および/または標的細胞を(例えば、比較のために二つ組として)含むサンプルを含む。
【0170】
いくつかの態様において、マイクロキャビティアレイにおいてスクリーニングされるライブラリー中のタンパク質および/またはポリペプチドは、変異体タンパク質および/またはポリペプチドでありうる。変異体タンパク質は、少なくとも1つの特徴または特性に基づいて互いに区別できるタンパク質およびポリペプチドを含む。いくつかの態様において、変異体タンパク質および/またはポリペプチドは、異なるアミノ酸配列を示し、異なるアミノ酸配列長を示し、異なる方法により産生/作出され、異なる活性を示し、異なる化学修飾を示し、および/または異なる翻訳後修飾を示す。いくつかの態様において、変異体タンパク質および/またはポリペプチドは、異なるアミノ酸配列を示す。いくつかの態様において、変異体タンパク質および/またはポリペプチドは、異なるアミノ酸配列長を示す。いくつかの態様において、変異体タンパク質および/またはポリペプチドは、異なる方法により産生/作出される。いくつかの態様において、変異体タンパク質および/またはポリペプチドは、異なる活性を示す。いくつかの態様において、変異体タンパク質および/またはポリペプチドは、異なる化学修飾を示す。いくつかの態様において、変異体タンパク質および/またはポリペプチドは、異なる翻訳後修飾を示す。いくつかの態様において、変異体タンパク質は、スクリーニング法に供され、本明細書において開示されるマイクロキャビティアレイを用いて分析されている変異体タンパク質および/またはポリペプチドの集団の1つである。変異体タンパク質および/またはポリペプチドの集団は、マイクロキャピラリーアレイ内に適当に分布させることができる任意のタンパク質集団でありうる。
【0171】
いくつかの態様において、マイクロキャビティアレイにおいてスクリーニングされるライブラリー中の核酸は、変異体核酸でありうる。変異体核酸は、少なくとも1つの特徴または特性に基づいて互いに区別できる核酸を含む。いくつかの態様において、変異体核酸は、異なるヌクレオチド配列を有し、異なるヌクレオチド配列長を有し、異なる方法により産生/作出されており、異なるメチル化パターンを有し、異なる化学修飾を有し、および/または他の際立った修飾を示す。いくつかの態様において、変異体核酸は、異なるヌクレオチド配列を有する。いくつかの態様において、変異体核酸は、異なるヌクレオチド配列長を有する。いくつかの態様において、変異体核酸は、異なる方法により産生/作出されている。いくつかの態様において、変異体核酸は、異なるメチル化パターンを有する。いくつかの態様において、変異体核酸は、異なる化学修飾を有する。いくつかの態様において、変異体核酸は、他の際立った修飾を示す。いくつかの態様において、核酸は、スクリーニング法に供され、本明細書において開示されるマイクロキャビティアレイを用いて分析されている変異体核酸の集団の1つである。変異体核酸の集団は、マイクロキャピラリーアレイ内に適当に分布させることができる任意の核酸集団でありうる。
【0172】
いくつかの態様において、マイクロキャビティアレイにおいてスクリーニングされるライブラリー中の小分子は、変異体および/または異なる小分子でありうる。変異体小分子は、少なくとも1つの特徴または特性に基づいて互いに区別できる小分子を含む。いくつかの態様において、変異体小分子は、異なる構造を有し、異なる方法により産生/作出されており、異なる化学修飾を有し、および/または他の際立った異なる特性を示す。いくつかの態様において、変異体小分子は異なる構造を有する。いくつかの態様において、変異体小分子は、異なる方法により産生/作出されている。いくつかの態様において、変異体小分子は、異なる化学修飾を有する。いくつかの態様において、変異体小分子は、他の際立った異なる特性を示す。いくつかの態様において、小分子は互いに誘導体である。いくつかの態様において、小分子は、スクリーニング法に供され、本明細書において開示されるマイクロキャビティアレイを用いて分析されている小分子の集団の1つである。小分子の集団は、マイクロキャピラリーアレイ内に適当に分布させることができる任意の小分子集団でありうる。
【0173】
いくつかの態様において、マイクロキャビティアレイにおいてスクリーニングされるライブラリー中の細胞は、変異体細胞および/またはさまざまなタイプの細胞でありうる。変異体細胞は、少なくとも1つの特徴または特性に基づいて互いに区別できる細胞を含む。いくつかの態様において、細胞は、異なるサンプルに由来し、異なる患者に由来し、異なる疾患に由来し、異なる化学修飾を有し、および/または遺伝子改変されている。細胞は、真核細胞および原核細胞を含みうる。いくつかの態様において、細胞は異なるサンプルに由来する。いくつかの態様において、細胞は異なる患者に由来する。いくつかの態様において、細胞は異なる疾患に由来する。いくつかの態様において、細胞は異なる化学修飾を有する。いくつかの態様において、細胞は遺伝子改変されている。いくつかの態様において、細胞は、ヒト細胞、哺乳動物細胞、細菌細胞、ニワトリ細胞を含む鳥類細胞、および酵母細胞を含む真菌細胞を含みうる。いくつかの態様において、細胞はヒト細胞を含みうる。いくつかの態様において、細胞は哺乳動物細胞を含みうる。いくつかの態様において、細胞は鳥類細胞を含みうる。いくつかの態様において、細胞はニワトリ細胞を含みうる。いくつかの態様において、細胞は細菌細胞を含みうる。いくつかの態様において、細胞は真菌細胞を含みうる。いくつかの態様において、細胞は酵母細胞を含みうる。いくつかの態様において、細胞はニワトリ細胞を含みうる。いくつかの態様において、細胞は、スクリーニング法に供され、本明細書において開示されるマイクロキャビティアレイを用いて分析されている細胞の集団の1つである。細胞の集団は、マイクロキャピラリーアレイ内に適当に分布させることができる任意の細胞集団でありうる。
【0174】
いくつかの態様において、タンパク質、ポリペプチド、核酸、および/または細胞の集団は、各マイクロキャビティが少数の異なる変異体タンパク質、変異体ポリペプチド、変異体核酸、および/または細胞を含むように、マイクロキャビティアレイに分布される。いくつかの態様において、各マイクロキャビティは、マイクロキャビティごとに単一の異なる変異体タンパク質、変異体ポリペプチド、変異体核酸、および/または細胞を含む。いくつかの態様において、各マイクロキャビティは、マイクロキャビティごとに単一の異なる変異体タンパク質を含む。いくつかの態様において、各マイクロキャビティは、マイクロキャビティごとに単一の異なる変異体ポリペプチドを含む。いくつかの態様において、各マイクロキャビティは、マイクロキャビティごとに単一の異なる変異体核酸を含む。いくつかの態様において、各マイクロキャビティは、マイクロキャビティごとに単一の異なる細胞を含む。変異体タンパク質、変異体ポリペプチド、変異体核酸、および/または細胞の集団は、組成物内の他の成分と組み合わせて選択される。
【0175】
いくつかの態様において、マイクロキャビティアレイ中の各マイクロキャビティは、変異体タンパク質の集団由来の0~5個の異なる変異体タンパク質、変異体ポリペプチド、変異体核酸、および/または細胞を含む。いくつかの態様において、マイクロキャビティアレイ中の各マイクロキャビティは、変異体タンパク質、変異体ポリペプチド、変異体核酸、および/または細胞の集団由来の0~4、0~3、0~2、またはさらには0~1個の異なる変異体タンパク質を含む。したがって、いくつかの態様において、変異体タンパク質は可溶性タンパク質、例えば、細胞発現系によって分泌される可溶性タンパク質である。例示的な可溶性変異体タンパク質としては、抗体および抗体断片、ジスルフィド結合したペプチド足場などの代替タンパク質足場、細胞表面受容体タンパク質の細胞外ドメイン、例えばGタンパク質共役受容体リガンドなどの受容体リガンド、他のペプチドホルモン、レクチンなどが挙げられる。いくつかの態様において、本方法を用いてスクリーニングされる変異体タンパク質は、スクリーニングアッセイ後に同定されるためにそれらを発現する細胞またはウイルスに共有結合される必要がない。所望のマイクロキャピラリーの内容物の単離、それに続く所望の変異体タンパク質の発現に関与する細胞またはウイルスクローンの増殖は、それによってその変異体タンパク質の同定および特徴付けを可能にする。細胞またはウイルス粒子の表面上の分子へのタンパク質の融合によって関心対象の変異体タンパク質が提示されるスクリーニングアッセイとは異なり、本スクリーニング方法で同定される変異体タンパク質は、それらの同定の前または後にまったく変更される必要がない。したがって、スクリーニングにおいて観察される変異体タンパク質の活性は、それらの後の用途におけるそれらのタンパク質の実際の活性を表す可能性がより高い。スクリーニングの前に変異体タンパク質またはポリペプチドを改変する必要がないことでまた、より効率的なスクリーニングが可能になり、ライブラリー調製のための費用および時間を節約することができる。
【0176】
いくつかの態様において、スクリーニングされる変異体タンパク質は、膜結合性タンパク質、例えば、典型的には、発現系において細胞またはウイルス粒子の表面と結合したタンパク質である。細胞結合性変異体タンパク質のスクリーニングは、変異体タンパク質およびその標的分子が生体組織内の2つの細胞間の相互作用を媒介する場合に望ましい可能性がある。また、細胞結合性変異体タンパク質をスクリーニングする能力は、例えば、Gタンパク質共役受容体またはイオンチャネルなどの従来的に「新薬の開発につながらない」タンパク質標的との相互作用についてスクリーニングする際にも望ましい場合がある。この場合も先と同様に、スクリーニングの前に変異体タンパク質またはポリペプチドを改変する必要がないことでまた、より効率的なスクリーニングが可能になり、ライブラリー調製のための費用および時間を節約することができる。
【0177】
いくつかの態様において、スクリーニングされる変異体核酸は、タンパク質に結合するまたはタンパク質と相互作用する核酸またはポリヌクレオチドを含む、任意の核酸またはポリヌクレオチドを含む。この場合も先と同様に、スクリーニングの前に核酸またはポリヌクレオチドを改変する必要がないことでまた、より効率的なスクリーニングが可能になり、ライブラリー調製のための費用および時間を節約することができる。
【0178】
いくつかの態様において、スクリーニングされるタンパク質は、抗体、Fcなどの抗体断片、または例えばFc融合体を含む抗体融合体である。いくつかの態様において、抗体または抗体断片は標識することができる。
【0179】
いくつかの態様において、本方法は、スクリーニングされる標的分子に結合するための抗体の使用を採用する。いくつかの態様において、抗体は、標的分子に結合するために使用されるような標識された一次抗体または標識された二次抗体である。一次抗体は通常、関心対象の抗原に直接結合する抗体と見なされるが、二次抗体は通常、一次抗体を標識する目的で一次抗体の定常領域に結合する抗体と見なされる。したがって、二次抗体は、フルオロフォアもしくは他の検出可能な標識で標識されるか、または検出可能なシグナルを生成することができる酵素で標識されることが多い。それらは一般に、異なる種由来の一次抗体に特異的である。当業者によって理解されるように、例えば、ヤギまたは他の動物種を用いて、マウス、ニワトリ、ウサギ、またはその動物種由来の抗体以外のほぼすべての一次抗体に対する二次抗体を作出することができる。いくつかの態様において、標識された抗体は一次または二次抗体である。いくつかの態様において、標識された抗体は蛍光抗体または酵素結合抗体である。
【0180】
当業者には理解されるように、例えば、蛍光抗体が本スクリーニング方法において使用される場合、マイクロキャビティ内の溶液中に遊離したままの(すなわち、変異体タンパク質に結合していないか、または標的分子に結合していない変異体タンパク質に結合している)任意の過剰なレポーターエレメントによって放出されるシグナルは、変異体タンパク質を介して標的分子と会合したレポーターエレメントのシグナルを圧倒するほど高くてはならない(例えば、会合していない蛍光抗体を参照のこと)。しかしながら、そのようなバックグラウンドシグナルは、マイクロキャピラリー溶液内の標識抗体または他のレポーターエレメントの濃度を制限することによって最小限に抑えることができる。さらに、スクリーニング方法からのシグナルが蛍光顕微鏡を用いて測定される場合、標的分子の位置(例えば、標的細胞が沈降重力によってそこに沈殿した場合、マイクロキャピラリーの底部)を囲む比較的狭い被写界深度を撮像するように顕微鏡を構成することにより、標的分子と会合していないレポーターエレメントからのバックグラウンドシグナルを最小限に抑えることができる。
【0181】
いくつかの態様において、レポーターエレメントは、レポーターアッセイの一部である。いくつかの態様において、レポーターアッセイは、カルシウム色素アッセイ、T細胞活性化アッセイ、B細胞アッセイ、およびGFPアッセイを含みうるが、これらに限定されることはない。いくつかの態様において、レポーターアッセイは、カルシウム色素アッセイ、T細胞活性化アッセイ、B細胞アッセイ、およびGFPアッセイからなる群より選択される。いくつかの態様において、レポーターアッセイはカルシウム色素アッセイである。いくつかの態様において、レポーターアッセイはT細胞活性化アッセイである。いくつかの態様において、レポーターアッセイはB細胞アッセイである。いくつかの態様において、レポーターアッセイはGFPアッセイである。
【0182】
いくつかの態様において、精製または濃縮された細胞集団は、レポーターアッセイにおいて用いられうる。いくつかの態様において、細胞の供給源は、ヒトを含むがこれに限定されない、動物からの器官、組織、腫瘍、または液体でありうる。細胞供給源は、動物ごとに選好性が異なる種々の供給源からのものでありうる。いくつかの態様において、細胞は免疫細胞である。いくつかの態様において、細胞はT細胞である。いくつかの態様において、細胞はB細胞である。いくつかの態様において、細胞はT細胞のサブタイプである。いくつかの態様において、細胞はB細胞のサブタイプである。いくつかの態様において、細胞はNK細胞である。いくつかの態様において、細胞は食細胞である。いくつかの態様において、細胞はマクロファージである。いくつかの態様において、細胞は好中球である。いくつかの態様において、細胞は肥満細胞である。いくつかの態様において、細胞は単球である。いくつかの態様において、細胞は、本明細書において記載される細胞型のいずれかのサブタイプである。細胞集団の精製または濃縮は、密度勾配分離、免疫密度細胞単離、免疫磁気細胞分離、蛍光活性化細胞選別(FACS)、およびマイクロ流体細胞選別を含むが、これらに限定されない、種々の方法を用いて実施することができる。他の形態の精製または濃縮は、ある細胞型の細胞成長(growth)または増殖(proliferation)を別の細胞型と比べて改変する因子で不均一な細胞集団を処理することを含みうる。いくつかの態様において、例えば、組織または腫瘍から細胞を単離する際に、組織が脱凝集され、ホモジナイズされ、および/またはろ過される前のステップが、精製を支援するために必要でありうる。
【0183】
例えば、1つの態様において、B細胞は、市販のキットを用いてCD138+細胞を単離することによりマウス脾細胞から濃縮される。脾細胞を、CD138でコーティングされた磁性マイクロビーズとともにインキュベートした。いくつかの態様において、混合物を磁性カラムに負荷し、結合していない細胞を洗い流した。次に、磁性標識された細胞をカラムから溶出し、加温PBMC培地で洗浄した。洗浄したCD138+細胞を直ちに結合スクリーニングに使用した。いくつかの態様において、パンB細胞キットが使用されうる(Miltenyi Biotecから市販されている)。
【0184】
いくつかの態様において、レポーターアッセイはB細胞アッセイである。いくつかの態様において、B細胞の供給源は、ヒトを含むがこれに限定されない、動物からの器官、組織、腫瘍、または液体でありうる。B細胞アッセイのための細胞を提供するために使用されるB細胞供給源は、動物ごとに選好性が異なる種々の供給源からのものでありうる。いくつかの態様において、B細胞アッセイのためのB細胞を提供する供給源は、脾臓である。B細胞アッセイの例からの代表的なヒットは、
図25において見出される。
【0185】
いくつかの態様において、レポーターアッセイはT細胞活性化アッセイである。いくつかの態様において、T細胞の供給源は、ヒトを含むがこれに限定されない、動物からの器官、組織、腫瘍、または液体でありうる。T細胞活性化アッセイのための細胞を提供するために使用されるT細胞供給源は、動物ごとに選好性が異なる種々の供給源からのものでありうる。いくつかの態様において、T細胞アッセイのためのT細胞を提供する供給源は、末梢血である。いくつかの態様において、T細胞を提供する供給源は、脾臓、扁桃腺、骨髄または拡張リンパ球前駆細胞、および人工多能性幹細胞(iPSC)由来のTリンパ球を含みうるが、これらに限定されることはない。いくつかの態様において、T細胞を提供する供給源は、脾臓、扁桃腺、骨髄または拡張リンパ球前駆細胞、および人工多能性幹細胞(iPSC)由来のTリンパ球からなる群より選択される。いくつかの態様において、T細胞を提供する供給源は脾臓である。いくつかの態様において、T細胞を提供する供給源は扁桃腺である。いくつかの態様において、T細胞を提供する供給源は骨髄である。いくつかの態様において、T細胞を提供する供給源は拡張リンパ球前駆細胞である。いくつかの態様において、T細胞を提供する供給源は人工多能性幹細胞(iPSC)由来のTリンパ球である。T細胞活性化アッセイのいくつかの態様は、
図26、
図27、および
図28において見出される。いくつかの態様において、T細胞活性化アッセイは、抗体の細胞シグナル伝達誘導能力を評価するために使用される。いくつかの態様において、能力は、ベースラインと比較した抗体誘導性応答を調べることにより決定される。いくつかの態様において、能力は、対照と比較した抗体誘導性応答を調べることにより決定される。いくつかの態様において、ベースラインは、陰性対照を用いて決定される。いくつかの態様において、陰性対照は、刺激のない対照である。いくつかの態様において、陰性対照は非機能性抗体である。いくつかの態様において、抗体誘導性応答は、約10%またはそれ以上の増加である。いくつかの態様において、抗体誘導性応答は10%以上の増加である。いくつかの態様において、抗体誘導性応答は、ベースラインおよび/または対照と比較して10%以上の増加である。いくつかの態様において、抗体誘導性応答は、ベースラインおよび/または対照と比較して20%以上の増加である。いくつかの態様において、抗体誘導性応答は、ベースラインおよび/または対照と比較して30%以上の増加である。いくつかの態様において、抗体誘導性応答は、ベースラインおよび/または対照と比較して40%以上の増加である。いくつかの態様において、抗体誘導性応答は、ベースラインおよび/または対照と比較して50%以上の増加である。いくつかの態様において、抗体誘導性応答は、ベースラインおよび/または対照と比較して60%以上の増加である。いくつかの態様において、抗体誘導性応答は、ベースラインおよび/または対照と比較して70%以上の増加である。いくつかの態様において、抗体誘導性応答は、ベースラインおよび/または対照と比較して80%以上の増加である。いくつかの態様において、抗体誘導性応答は、ベースラインおよび/または対照と比較して90%以上の増加である。いくつかの態様において、抗体誘導性応答は、ベースラインおよび/または対照と比較して100%以上の増加である。いくつかの態様において、抗体誘導性応答は、ベースラインおよび/または対照と比較して200%以上の増加である。いくつかの態様において、抗体誘導性応答は、ベースラインおよび/または対照と比較して300%以上の増加である。いくつかの態様において、抗体誘導性応答は、ベースラインおよび/または対照と比較して400%以上の増加である。いくつかの態様において、抗体誘導性応答は、ベースラインおよび/または対照と比較して500%以上の増加である。いくつかの態様において、抗体誘導性応答は、ベースラインおよび/または対照と比較して600%以上の増加である。いくつかの態様において、抗体誘導性応答は、ベースラインおよび/または対照と比較して700%以上の増加である。いくつかの態様において、抗体誘導性応答は、ベースラインおよび/または対照と比較して800%以上の増加である。いくつかの態様において、抗体誘導性応答は、ベースラインおよび/または対照と比較して900%以上の増加である。いくつかの態様において、抗体誘導性応答は、ベースラインおよび/または対照と比較して1000%以上の増加である。いくつかの態様において、抗体誘導性応答は、ベースラインおよび/または対照と比較して2,000%以上の増加である。いくつかの態様において、抗体誘導性応答は、ベースラインおよび/または対照と比較して3,000%以上の増加である。いくつかの態様において、抗体誘導性応答は、ベースラインおよび/または対照と比較して4,000%以上の増加である。いくつかの態様において、抗体誘導性応答は、ベースラインおよび/または対照と比較して5,000%以上の増加である。いくつかの態様において、抗体誘導性応答は、ベースラインおよび/または対照と比較して6,000%以上の増加である。いくつかの態様において、抗体誘導性応答は、ベースラインおよび/または対照と比較して7,000%以上の増加である。いくつかの態様において、抗体誘導性応答は、ベースラインおよび/または対照と比較して8,000%以上の増加である。いくつかの態様において、抗体誘導性応答は、ベースラインおよび/または対照と比較して9,000%以上の増加である。いくつかの態様において、抗体誘導性応答は、ベースラインおよび/または対照と比較して10,000%以上の増加である。いくつかの態様において、抗体誘導性応答は、ベースラインおよび/または対照と比較した場合、10%から10,000%の増加である。いくつかの態様において、抗体誘導性応答は、ベースラインおよび/または対照と比較した場合、100%から1,000%の増加である。いくつかの態様において、抗体誘導性応答は、ベースラインおよび/または対照と比較した場合、10%から100%の増加である。いくつかの態様において、抗体誘導性応答は、ベースラインおよび/または対照と比較した場合、100%から5,000%の増加である。いくつかの態様において、抗体誘導性応答は、10%から1000%の増加である。いくつかの態様において、関心対象の少なくとも1つのマイクロキャピラリーを同定するために用いられるシグナルの増加は、ベースラインおよび/または対照と比較した場合、統計的に有意な増加を示す。いくつかの態様において、応答は、例えば一元配置分散分析もしくはT検定または他の標準的な統計パラメータを用いて測定される場合、ならびにベースラインおよび/または対照と比較される場合、統計的に有意な応答である。いくつかの態様において、T細胞活性化アッセイは、抗体の内部シグナル伝達または細胞表面マーカー誘導能力を測定するために用いられる。いくつかの態様において、T細胞活性化アッセイは、細胞拡張を誘導する抗体の能力を評価するために用いられる。いくつかの態様において、T細胞活性化アッセイは、抗体のサイトカイン分泌誘導能力を評価するために用いられる。いくつかの態様において、T細胞活性化アッセイではCD25発現を測定して、活性化を決定する。いくつかの態様において、T細胞活性化アッセイでは、蛍光標識された抗CD25抗体を用いて、CD25発現を測定する。いくつかの態様において、T細胞活性化アッセイでは、カルシウムシグナル伝達を測定して、抗体の活性化能力を決定する。いくつかの態様において、T細胞活性化アッセイでは、カルシウム感受性フルオロフォアを用いて、カルシウムシグナル伝達を測定する。カルシウム感受性フルオロフォアのいくつかの例としては、Fluo-4 AM、Fura-2 AM、およびIndo-1 AMが挙げられる。いくつかの態様において、カルシウム色素アッセイは、1:20000のダイナミックレンジを有する。いくつかの態様において、カルシウム色素アッセイは、1:5000のダイナミックレンジを有する。いくつかの態様において、カルシウム色素アッセイは、1:10000のダイナミックレンジを有する。いくつかの態様において、カルシウム色素アッセイは、1:15000のダイナミックレンジを有する。いくつかの態様において、T細胞活性化アッセイは、T細胞および抗体分泌細胞(ASC)の混合物を含む。いくつかの態様において、T細胞およびASCの混合物は、2:1から12:1の比率まで変化する。いくつかの態様において、T細胞およびASCの混合物は、5:1の比率である。いくつかの態様において、T細胞は末梢血から精製される。いくつかの態様において、ASCはB細胞である。いくつかの態様において、T細胞およびASCの混合物は、T細胞活性化ビーズおよび抗体捕捉ビーズをさらに含む。
【0186】
例示的な態様:
本出願は、以下の段階を含む変異体タンパク質の集団をスクリーニングする方法を提供する:
複数のマイクロキャピラリーを含むマイクロキャピラリーアレイを提供する段階であって、各マイクロキャピラリーが、変異体タンパク質、固定化標的分子、およびレポーターエレメントを含み、変異体タンパク質が、特定の親和性で固定化標的分子と会合する、段階; ならびに
少なくとも1つの変異体タンパク質と少なくとも1つの固定化標的分子との会合を示す少なくとも1つのレポーターエレメントからのシグナルを測定して、少なくとも1つの関心対象のマイクロキャピラリーを同定する段階。
【0187】
いくつかの態様において、変異体タンパク質は、発現系によって発現される。
【0188】
いくつかの態様において、発現系は無細胞発現系である。
【0189】
いくつかの態様において、発現系は細胞発現系である。
【0190】
いくつかの態様において、細胞発現系は、動物系、鳥類系、真菌系、細菌系、昆虫系、または植物系である。
【0191】
いくつかの態様において、細胞発現系は鳥類系である。
【0192】
いくつかの態様において、細胞発現系はニワトリ系である。
【0193】
いくつかの態様において、変異体タンパク質は可溶性タンパク質である。
【0194】
いくつかの態様において、標的分子は、標的タンパク質もしくはポリペプチド、標的核酸、標的炭水化物、または各々の組み合わせである。
【0195】
いくつかの態様において、標的分子は表面に固定化される。
【0196】
いくつかの態様において、表面は細胞の表面である。
【0197】
いくつかの態様において、標的分子は天然タンパク質である。
【0198】
いくつかの態様において、表面はビーズの表面である。
【0199】
いくつかの態様において、表面はマイクロキャピラリー壁の表面である。
【0200】
いくつかの態様において、表面は、重力沈降によってマイクロキャピラリーに定着するように構成された表面である。
【0201】
いくつかの態様において、レポーターエレメントは、標識された抗体または他の結合分子である。
【0202】
いくつかの態様において、標識された抗体または他の結合分子は、蛍光標識された抗体または他の結合分子である。
【0203】
いくつかの態様において、標識された抗体は、一次抗体または二次抗体である。
【0204】
いくつかの態様において、標識された抗体または他の結合分子は、酵素結合された抗体または他の結合分子である。
【0205】
いくつかの態様において、レポーターエレメントは細胞内で活性化され、標的分子は細胞の表面に固定化される。
【0206】
いくつかの態様において、レポーターエレメントは、緑色蛍光タンパク質または変異体を含む。
【0207】
いくつかの態様において、シグナルは、蛍光シグナル、吸光度シグナル、明視野シグナル、または暗視野シグナルである。
【0208】
いくつかの態様において、マイクロキャピラリーアレイ中の各マイクロキャピラリーは、変異体タンパク質の集団からの0~5個の変異体タンパク質を含む。
【0209】
いくつかの態様において、マイクロキャピラリーアレイは、少なくとも100,000個、少なくとも300,000個、少なくとも1,000,000個、少なくとも3,000,000個、または少なくとも10,000,000個のマイクロキャピラリーを含む。
【0210】
いくつかの態様において、各マイクロキャピラリーは、細胞発現系の生存性を改善するための物質をさらに含む。
【0211】
いくつかの態様において、物質は、メチルセルロース、デキストランプルロニックF-68、ポリエチレングリコール、またはポリビニルアルコールである。
【0212】
いくつかの態様において、物質は増殖培地である。
【0213】
いくつかの態様において、シグナルは光学検出器によって測定される。
【0214】
いくつかの態様において、シグナルは顕微鏡によって測定される。
【0215】
いくつかの態様において、本方法は、関心対象のマイクロキャピラリーの内容物を単離する段階をさらに含む。
【0216】
いくつかの態様において、関心対象のマイクロキャピラリーの内容物は、関心対象のマイクロキャピラリーをレーザーでパルスすることによって単離される。
【実施例】
【0217】
実施例1. 分泌されたEGFR結合タンパク質のスクリーニング
図1A~
図1Cは、固定化標的分子としての細胞表面タンパク質(例えば、上皮成長因子受容体(「EGFR」))と会合することができる可溶性タンパク質、この場合は固定化標的タンパク質の例示的なスクリーニング方法を示す。
図1A (左側のパネル)は、その表面にEGFRを発現する標的細胞を示す。また、変異体タンパク質の集団を発現する「ライブラリー発現細胞」、およびマイクロキャピラリー溶液中の多数の「蛍光検出抗体」も示される。マイクロキャピラリーアレイの底面図が右側のパネルに示される。
【0218】
本スクリーニングアッセイによる各マイクロキャピラリーの構成要素:
1. 関心対象の変異体タンパク質を分泌する細胞(「ライブラリー発現細胞」)。関心対象の変異体タンパク質は、変異体タンパク質の集団、すなわちタンパク質ライブラリーのメンバーであることが好ましい。
2. 「標的細胞」の表面に固定化された標的タンパク質。この例では、標的タンパク質は天然の細胞表面受容体(すなわちEGFR)である。あるいは、しかし、標的タンパク質は、ビーズ表面またはマイクロキャピラリー自体の表面などの別の表面に固定化されてもよい。
3. レポーターエレメント
a. この例では、レポーターエレメントは、分泌タンパク質に特異的な蛍光標識抗体(すなわち「蛍光検出抗体」)に対応する。抗体は、分泌タンパク質上のエピトープに特異的に局在するが、理想的には標的細胞上の標的タンパク質への分泌タンパク質の結合を妨害しない。
b. あるいは、レポーターエレメントは、標的タンパク質を発現する細胞内のシグナル伝達経路であってもよい。分泌された変異体タンパク質が細胞表面上の標的タンパク質に結合し、標的細胞内のシグナル伝達経路を活性化する場合、結合相互作用は細胞内で蛍光シグナルを発生するであろう(図示せず)。
4. 反応緩衝液:
a. ライブラリー発現細胞または標的細胞のための培地でありうる(例えば、そのような培地は、例えば、ThermoFIshcerから市販されているものを含むハイブリドーマ培地でありうる; thermofisher.com/order/catalog/product/11279023; CD Hybridoma Mediumのワールドワイドウェブを参照のこと)。
b. 哺乳動物のイメージング溶液でありうる(例えば、そのようなイメージング溶液は、pH 7.4のHEPESで緩衝された光学的に透明な生理溶液でありうる)。
【0219】
方法の説明:
段階1: 全ての構成要素をマイクロキャピラリーに添加する(
図1A参照)。
段階2: 特異的な「分泌タンパク質」がライブラリー発現細胞によってマイクロキャピラリーに発現される。標的タンパク質に結合することができる分泌タンパク質変異体は、示されるように標的細胞表面に局在している(
図1B参照)。
段階3: 結合した分泌タンパク質変異体と会合した蛍光検出抗体が、特定のマイクロキャピラリー中の標的細胞と会合して観察される(
図1C参照)。
【0220】
詳細な説明およびサンプルデータ:
この方法を実証するために、ヒトがん細胞上のEGFRに結合するようにデザインされたタンパク質を発現する酵母ベクターライブラリーを作製した。このライブラリーにおいて、いくつかの酵母変異体はタンパク質を発現することができたが、他の変異体はタンパク質を発現することができなかった。酵母細胞、がん細胞、および発現タンパク質に対する蛍光抗体をマイクロキャピラリーに添加した。18時間後、マイクロキャピラリーアレイを画像化した。スクリーニングのさらなる詳細および結果は、後述の実施例3に提供される。
【0221】
実施例2. 哺乳動物細胞に対するハイブリドーマスクリーニング
一般的な背景
タンパク質または他の標的分子間の結合相互作用をスクリーニングするための現在の方法は、典型的には「ディスプレイ」法、例えばファージディスプレイ、細菌ディスプレイ、酵母ディスプレイ、哺乳動物ディスプレイ、またはウイルスディスプレイの使用に依存している。ディスプレイ法において、タンパク質変異体をコードする遺伝子のライブラリーが細胞またはファージの表面に発現される。タンパク質変異体は、標的に結合することができるタンパク質変異体を同定するために、可溶性型の標的分子とともにインキュベートされる。ライブラリーは、パンニングまたは蛍光活性化細胞選別(「FACS」)によってスクリーニングすることができる。そのようなアッセイは、2つの主な制約を有する: 1) 人工タンパク質は典型的にはディスプレイプラットフォームにつながれる、および2) 通常、可溶性形態の標的分子が存在することが有利である。したがって、多くの標的分子に結合する変異体タンパク質、特にGタンパク質共役受容体および他のそのような受容体などの膜タンパク質のための信頼できるアッセイを開発することは困難でありうる。
【0222】
哺乳動物細胞に対するハイブリドーマスクリーニング
標的分子に特異的に結合する抗体変異体を同定するために、標的分子として高レベルのEGFRを発現したがん細胞株にハイブリドーマ(抗体変異体を分泌する)を添加した。分泌された抗体に特異的な標識抗体を次に添加した。
【0223】
材料:
細胞:
マウスハイブリドーマ
A431標的細胞(高レベルのEGFRを発現するヒトがん細胞株)
検出抗体:
Alexa488 (フルオロフォア)で標識された抗マウス二次抗体
細胞培養用培地:
DMEM-10%ウシ胎仔血清
DMEM-10%ウマ血清
【0224】
細胞株成長および調製
マウスハイブリドーマ細胞を完全培地(10%ウマ血清を含むダルベッコの改変イーグル培地)中で培養した。ハイブリドーマ細胞をPBSAで2回洗浄し、完全培地に600細胞/μLで懸濁した。A431細胞を完全培地(10%ウシ胎仔血清を含むダルベッコ改変イーグル培地)中で培養した。A431細胞をPBSAで2回洗浄し、LiveGreen蛍光シグナルで染色した。次いで、A431細胞を、ハイブリドーマを含む完全培地に1800細胞/μLの最終濃度で懸濁した。
【0225】
アッセイ設定
2つの細胞型を混合した後、検出抗体を反応混合物に添加した: 1:100希釈の二次(抗マウスAlexa488)。次いで、この反応混合物をエタノールで滅菌したコロナ処理マイクロキャピラリーアレイ(直径40 μm、厚さ1 mm)に負荷した。蒸発の防止に役立つように、1%重量/容量のアガロースの2 mmの厚板をアレイ上に置いた。各時間後、サンプルを蛍光顕微鏡法および明視野顕微鏡法の下で画像化した。
【0226】
サンプルデータ:
図2A~2Cは、全ての細胞(
図2A、明視野シグナル)、A431標的細胞(
図2B、LiveGreenシグナル)、または蛍光抗マウス二次抗体で標識された細胞(
図2C、Ab-a555シグナル)のいずれかを示すマイクロキャピラリーアレイの小区分の画像を示す。EGFRに特異的な抗体を発現するハイブリドーマ細胞を含むマイクロキャピラリーは、各画像において2本の矢印で示されている。
【0227】
図3は、4時間のインキュベーションにわたるA431標的細胞とハイブリドーマ細胞の両方を含むマイクロキャピラリーの画像を示しており、A431標的細胞に対する抗体結合シグナルは、EGFRに特異的なマウス抗体が産生されるにつれて、アッセイの時間経過の間に増加した(中央欄)。A431標的細胞のLiveGreen染色は同じ期間にわたって低下した(右欄)。
【0228】
実施例3. 哺乳動物細胞に対する酵母ライブラリースクリーニング
最良の分泌酵母プラスミドベクターを決定するために、がん細胞表面上のEGFRに結合するようにデザインされた足場タンパク質を発現する酵母ベクターライブラリーを作製した。このライブラリーは、種々の可溶性発現レベルの足場タンパク質を有する酵母細胞を含んでいた。記載されたアッセイを使用して、所望の足場タンパク質を高発現するプラスミドベクターを回収するために変異体発現ライブラリーをスクリーニングした。この実験において、分泌された足場はc-Mycタグを有し、これは蛍光標識抗体で標識することができる。
【0229】
材料:
細胞:
足場タンパク質の酵母分泌ライブラリー
A431細胞(高レベルのEGFRを発現するヒトがん細胞株)
検出抗体:
ニワトリ抗c-Myc
Alexa488で標識された抗ニワトリ二次抗体
細胞培養用培地:
DMEM-10% FBS
SD-CAA最小酵母培地
反応緩衝液:
SD-CAA最小酵母培地
【0230】
方法:
細胞株成長および調製
酵母ライブラリーをSD-CAA最小酵母培地(デキストロース20 g、Difco酵母窒素原礎培地6.7 g、Bactoカザミノ酸5 g、Na2HPO4 5.4 g、NaH2PO4・H2O 8.56 g; 脱イオン化H2Oに溶解して1リットルの体積とした)中で成長させた。成長後、酵母細胞をPBSA (リン酸緩衝食塩水 + 1 mg/ml BSA)で2回洗浄し、SD-CAAに2,400細胞/μLの最終濃度で懸濁した。
【0231】
A431細胞を完全培地(10%ウシ胎仔血清を含むダルベッコ改変イーグル培地)中で培養した。A431細胞をPBSAで2回洗浄し、酵母細胞を含む、SD-CAAに最終濃度600細胞/μLで懸濁した。
【0232】
アッセイ設定
2つの細胞型を混合した後、2つの抗体を反応混合物に添加した: 1:250希釈の未標識一次抗体(ニワトリ抗c-Myc)および1:200希釈の標識二次抗体(抗ニワトリAlexa488)。次いで、この反応混合物をエタノールで滅菌したコロナ処理マイクロキャピラリーアレイ(直径40 μm、厚さ1 mm)に負荷した。蒸発の防止に役立つように、1%重量/容量のアガロースの2 mmの厚板をアレイ上に置いた。18時間の成長後、サンプルを蛍光顕微鏡法および明視野顕微鏡法の下で画像化した。
【0233】
マイクロキャピラリーアレイ抽出
Triton UVレーザーを使用して所望のキャピラリーの内容物を抽出した。レーザーは18 ± 2 msで動作し(n = 5回の測定)、約100 μJの総エネルギーで2.5 kHzの一連のパルスを送達する。マイクロキャピラリーの内容物をガラス製カバーガラス上に抽出し、次いでそれを酵母増殖培地(液体培地または寒天プレート)に入れて抽出した細胞を増殖させた。
【0234】
サンプルデータ:
図4Aおよび
図4Bは、明視野イメージング(
図4A)および蛍光イメージング(
図4B)を使用して、発現細胞および非発現細胞を有するマイクロキャピラリーを特定するマイクロキャピラリーアレイの小区分の画像を示す図である。
【0235】
実施例4. マイクロキャピラリーアレイにおける培養ヒト細胞の成長
図5A~5Gは、マイクロキャピラリーのアレイ内の6日間にわたる成長培地中でのK562細胞(ヒト不死化骨髄性白血病細胞株)の成長を示す。アレイの同じ部分の明視野画像を24時間ごとに撮影した。
図5A: 0日目、
図5B: 1日目、
図5C: 2日目、
図5D: 3日目、
図5E: 4日目、
図5F: 5日目、および
図5G: 6日目。各画像に40 μmのスケールバーが示されている。
【0236】
実施例5. 哺乳動物レポーター細胞に対するハイブリドーマスクリーニング
特定のシグナル伝達経路を活性化する抗体変異体を同定するため、異なる抗体変異体を分泌するハイブリドーマをレポーター細胞とともにマイクロキャピラリーアレイに加えた。例えば、レポーター細胞はQiagenから入手することができる(http://www.sabiosciences.com/reporter_assay_product/HTML/CCS-013L.htmlを参照のこと)。タンパク質変異体がレポーター細胞に結合してシグナル伝達経路を活性化すると、レポーター細胞が蛍光タンパク質を発現する。活性化された細胞のシグナル蛍光は、望ましいタンパク質変異体を含むマイクロキャピラリーにおいて観察され、それらのマイクロキャピラリーの内容物を単離するために用いられる。
【0237】
実施例6. 複数標的結合のサンプルデータ
研究目的:
標的タンパク質に特異的に結合するが類似の構造のタンパク質には結合しないハイブリドーマ分泌抗体を同定する。例えば、
図9を参照のこと。この方法は、抗体ライブラリーのスクリーニングを可能にし、かつそれを継続的に可能にする。
【0238】
材料:
ハイブリドーマライブラリー
【0239】
標的タンパク質はがん細胞型上に提示される。例えば、
図9を参照されたい。
【0240】
標的タンパク質類似体はビーズ上に固定化される。例えば、
図9を参照されたい。
プロトコル:
1. 表面に標的タンパク質Aを提示した細胞を培養した。
2. 製造上の指示に従って、タンパク質Dynabeads Biotin Binderを標的タンパク質Bで標識した。
3. ラットハイブリドーマライブラリーを培養した。
4. マイクロキャピラリー当たり平均1個のハイブリドーマ、標的タンパク質A細胞の約2個の細胞、および標的タンパク質Bで覆われた約10個のビーズが存在するように、細胞、ビーズ、およびハイブリドーマを希釈した。
5. 調製した細胞サンプルに抗ラット二次抗体(レポーターエレメント)を添加した。
6. サンプルをアレイにロードした。
7. イメージングの1時間前にインキュベートした。
8. 細胞を標的タンパク質Aと結合するが標的タンパク質Bとビーズを結合しない細胞を回収した。
【0241】
サンプル結果:
適切に染色された細胞を有するが、染色されたビーズを有しなかったマイクロキャピラリーを同定した。マイクロキャピラリー内で染色された細胞の存在および染色されたビーズの非存在は、標的タンパク質には結合するが標的タンパク質類似体には結合しない抗体の存在を示した。
【0242】
いくつかの態様において、この実施例において試験されたアッセイは、あるいは、標的タンパク質のマウスおよびヒト(または他の動物の組み合わせ)変異体の両方に結合する抗体をスクリーニングするために、すなわち「交差反応性」抗体の発見に使用されるよう適合させることができる。例えば、マイクロキャピラリー内の染色された細胞の存在および染色されたビーズの存在は、マウスおよびヒト標的の両方に結合する抗体を同定するために、「標的タンパク質」(例えば、マウス標的)に結合し、また同様に「標的タンパク質類似体」(例えば、ヒト標的)にも結合する抗体の存在を示す。例えば、マイクロキャピラリー内の染色された細胞の存在および染色されたビーズの存在は、カニクイザルおよびヒト標的の両方に結合する抗体を同定するために、「標的タンパク質」(例えば、カニクイザル標的)に結合し、また同様に「標的タンパク質類似体」(例えば、ヒト標的)にも結合する抗体の存在を示す。
【0243】
実施例7. 最適なシグナル出力のためのレポーターエレメントの滴定
頻繁に使用されるレポーターエレメントは蛍光標識された二次抗体である。このアッセイ形式では、アッセイの開始時に二次抗体が添加され、経時的に、この抗体は標的タンパク質に結合した分泌抗体(変異体タンパク質)に結合した。
【0244】
重要な検討事項は、使用される二次抗体の量であった。二次抗体が多すぎると、バックグラウンドノイズが高すぎることになる。使用する二次抗体が少なすぎると、シグナルが低すぎることになる。この実験では、ビーズを一次抗体で標識し、次いで種々のレベルの二次抗体で滴定して、最適なシグナル対ノイズ比を決定した。
【0245】
使用したレポーターエレメントは、Alexa Fluor633で標識したロバ抗ヤギIgG二次抗体であった。
【0246】
製造業者推奨の使用範囲: 1:200~1:2000希釈の範囲。
【0247】
試験した希釈系列は、1:100、1:200、1:500、1:1000、1:2000、1:5000であった。実験からのビーズの画像を
図13に示す。
【0248】
実施例8. レポーター細胞アッセイ
カルシウム色素アッセイ
Jurkat細胞に、10% FBSを有するIMDM中10 μMのFluo-4 AMを37℃で25分間負荷し、これをイメージング緩衝液(1 mM MgCl2、1 mM CaCl2、1 mM HEPES、および0.1% BSAを有するPBS)で2回洗浄した。細胞をイメージング緩衝液中5×106/mLで再懸濁した。色素負荷細胞は、どちらもヤギ抗マウスIgGとのプレインキュベーションによって架橋されたマウスIgG抗体であったα-CD28 (28.2)およびα-CD3 (OKT3)を添加することにより活性化された。抗体の最終濃度は、それぞれ5 μg/mL、2.5 μg/mL、および5 μg/mLであった。活性化された細胞を40 μm μポアアレイに直ぐに負荷し、Ca2+シグナル伝達のイメージングのためにサンプルにPBS 1%アガロースゲルを重層した。
【0249】
T細胞活性化アッセイ
ヒトT細胞を、MACS (Pan T Cell Isolation Kit, ヒト, Miltenyi Biotec)を介して末梢血単核細胞(PBMCS)から単離した。細胞を、アゴニスト抗体でコーティングされたビーズと混合した。この場合、本発明者らは、抗CD3/CD28でコーティングされているDynabead Humans T-Activatorビーズを用いた。ビーズおよび細胞の混合物を40 μm μポアアレイに負荷し、サンプルに1%アガロースゲル(培地を含有する)を重層した。T細胞は抗体により活性化され、その表面に活性化マーカーを発現する。24~72時間後、細胞を、活性化マーカーに対してフローセルシステムにより蛍光標識抗体で染色し、画像化する。
【0250】
GFPレポーター細胞
GLP-1受容体発現細胞を、CREシグナル伝達経路が活性化されるとGFPを発現するcAMP応答エレメント(CRE)レポーターでトランスフェクトした。これらのGLP-1レポーター細胞を、10 uMのその同族リガンドGLP-1とともに40 μm μポアアレイに配置した。24時間後、細胞の蛍光を画像化した。実際のスクリーニングでは、本発明者らはμポアアレイにおいて抗体分泌細胞とGLP-1 CREレポーター細胞をコインキュベートした。抗体分泌細胞は、GLP-1レポーター細胞に結合して活性化する抗体を分泌し、GFPまたは他の蛍光タンパク質変異体シグナルを活性化する。
【0251】
場合によっては、レポーター細胞アッセイでニワトリ細胞を用いることができる。
【0252】
実施例9. ニワトリ細胞アッセイ
OmniChickenは、完全にヒトの高度に多様化した抗体レパートリーを発現する。ヒトおよびマウスからの遺伝的多様性によって、より多様なエピトープ網羅が可能になる。深い免疫プロファイリングは、より多様な機能的抗体のパネルにつながりうる。B細胞アッセイということもできる。
【0253】
試験事例:
プログラニュリンによる免疫後の抗原特異的抗体レパートリーのプロファイリング。
図18~19を参照されたい。
【0254】
【0255】
プロトコル:
mAb分泌細胞および標的ビーズを組み合わせる。細胞 + 検出抗体をアレイに負荷する(均一アッセイ)。3時間インキュベートする。データを画像化および定量化する。
【0256】
実施例10. B細胞によるT細胞活性化(CD25表面発現)
目的: T細胞表面でのCD25発現の誘導によって測定されるようにT細胞を活性化しうる抗体を見出す。
図27を参照されたい。
【0257】
プロトコル:
1. 供給業者の手順にしたがいMACS Pan T Cell Isolation Kitを用いてヒト末梢血単核細胞(PBMC)からCD3+ T細胞を単離する。
2. 供給業者のプロトコルにしたがいCellTrace Far Redで抗体分泌細胞(ASC)を標識付けする。
3. CD3 T細胞活性化ビーズおよび抗体捕捉ビーズの1:1混合物を調製し、混合物をPBMC培地で洗浄する。
4. Dynabeads MyOne SilaneビーズをPBMC培地で洗浄する。
5. ビーズを組み合わせ、それらを、1:200の抗ヒCD25 Alexa Fluor 488検出抗体を有するPBMC培地中で再懸濁する。
6. T細胞およびASCを5:1 (2:1から12:1でありうる)の比率で混合する。
7. 細胞混合物をPBMC培地で洗浄する。細胞をペレット化し、ビーズ混合物で再懸濁する。
8. このアッセイ混合物を40 μm μポアアレイに負荷し、サンプルを1% RPMIアガロースゲルで重層し、湿度あり37℃で2日間インキュベートする。
9. 2日間のインキュベーション後、xPlorationにてチップを画像化し、αCD25で標識された活性化T細胞をスクリーニングする。
【0258】
B細胞単離プロトコル:
市販のキットを用いてCD138+細胞を単離することにより、B細胞をマウス脾細胞から濃縮した。脾細胞を、CD138でコーティングされた磁性マイクロビーズとともにインキュベートした。混合物を磁性カラムに負荷し、結合していない細胞を洗い流した。次に、磁性標識された細胞をカラムから溶出し、加温PBMC培地で洗浄した。洗浄したCD138+細胞を直ちに結合スクリーニングに使用した。
【0259】
Pan B細胞ビーズを用いてB細胞を得ることもできる。例えば、Miltenyi BiotecのPan B Cell Isolation Kitを用いる。
【0260】
実施例11. B細胞によるT細胞活性化(カルシウムシグナル伝達)
目的: カルシウムシグナル伝達の誘導によって測定されるようにT細胞を活性化できる抗体を見出す。
図28を参照されたい。
【0261】
プロトコル:
1. 供給業者の手順にしたがいMACS Pan T Cell Isolation Kitを用いてヒト末梢血単核細胞(PBMC)からCD3+ T細胞を単離する。
2. 供給業者のプロトコルにしたがいCellTrace Far Redで抗体分泌細胞(ASC)を標識付けする。
3. 10% FBSを有するAIM V培地中、Fluo-4 AM、Fura-2 AM、Indo-1 AMなどの、10 μMのカルシウム感受性フルオロフォアによりT細胞を37℃で25分間染色する。
4. T細胞をイメージング緩衝液(1 mM MgCl2、1 mM CaCl2、1 mM HEPES、および0.1% BSAを有するBPS)で2回洗浄する。
5. T細胞およびASCを5:1 (2:1から12:1でありうる)の比率で混合する。
6. 細胞混合物をPBMC培地で洗浄する。細胞をペレット化し、ビーズ混合物で再懸濁する。
7. このアッセイ混合物を40 μm μポアアレイに負荷し、サンプルを1% RPMIアガロースゲルで重層し、37℃で0~6時間インキュベートする。
8. xPlorationにてチップを画像化し、カルシウムシグナル伝達を介して活性化T細胞をスクリーニングする。
【0262】
本明細書において言及される全ての特許、特許公報、および他の公開された参考文献は、各々が参照により本明細書中に個々にかつ具体的に組み入れられているかのように、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。
【0263】
具体例を提供してきたが、上記の説明は例示的なものであり、限定的なものではない。前述の態様の特徴のいずれか1つまたは複数は、本発明の任意の他の態様の1つまたは複数の特徴と任意の様式で組み合わせることができる。さらに、本明細書を検討すると、本発明の多くの変形例が当業者に明らかになるであろう。したがって、本発明の範囲は、それらの全範囲の均等物とともに、添付の特許請求の範囲を参照することによって決定されるべきである。
【0264】
上記の実施例は、当業者に本発明の組成物、システム、および方法の態様をどのように作製および使用するかについての完全な開示および説明を与えるために提供されており、そして本発明者らが自分たちの発明とみなすものの範囲を限定することは意図されていない。当業者に明らかである本発明を実施するための上記の様式の修正は、添付の特許請求の範囲の範囲内にあることが意図される。本明細書中で言及されている全ての特許および刊行物は、本発明が関係する当業者の技術水準を示している。本開示において引用された全ての参考文献は、あたかも各参考文献が参照によりその全体が個別に組み入れられているのと同程度に参照により組み入れられる。
【0265】
全ての見出しおよびセクションの指定は、明確さおよび参照目的のためだけに使用されているにすぎず、決して限定的であるとみなされるべきではない。例えば、当業者は、本明細書に記述の本発明の趣旨および範囲に従って、必要に応じて異なる見出しおよびセクションからの種々の態様を組み合わせることの有用性を認識するであろう。
【0266】
本明細書に引用された全ての参考文献は、あたかも各個々の刊行物または特許または特許出願が全ての目的のためにその全体が参照により組み入れられるように具体的かつ個別に示されるのと同程度にそれらの全体が全ての目的のために本明細書に参照により組み入れられる。
【0267】
当業者には明らかなように、本出願の趣旨および範囲から逸脱することなく、本出願の多くの修正および変形をなすことができる。本明細書に記述された特定の態様および実施例は例としてのみ提供され、特許請求の範囲が権利を与えられる同等物の全範囲とともに、添付の特許請求の範囲の用語によってのみ限定されるべきである。
【手続補正書】
【提出日】2022-03-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】配列表
【補正方法】追加
【補正の内容】
【配列表】
【国際調査報告】