(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-30
(54)【発明の名称】関節の治療的処置のための材料およびシステム
(51)【国際特許分類】
A61K 35/32 20150101AFI20220523BHJP
A61P 19/02 20060101ALI20220523BHJP
A61P 19/08 20060101ALI20220523BHJP
A61K 9/06 20060101ALI20220523BHJP
A61K 47/30 20060101ALI20220523BHJP
A61K 33/44 20060101ALI20220523BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20220523BHJP
A61L 27/38 20060101ALI20220523BHJP
A61L 27/44 20060101ALI20220523BHJP
A61L 27/52 20060101ALI20220523BHJP
A61L 27/58 20060101ALI20220523BHJP
A61L 27/42 20060101ALI20220523BHJP
A61L 27/08 20060101ALI20220523BHJP
A61N 1/10 20060101ALI20220523BHJP
A61N 7/00 20060101ALN20220523BHJP
【FI】
A61K35/32
A61P19/02
A61P19/08
A61K9/06
A61K47/30
A61K33/44
A61P43/00 121
A61L27/38 112
A61L27/44
A61L27/52
A61L27/58
A61L27/42
A61L27/08
A61N1/10
A61N7/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021548240
(86)(22)【出願日】2020-02-25
(85)【翻訳文提出日】2021-08-17
(86)【国際出願番号】 IB2020051603
(87)【国際公開番号】W WO2020174395
(87)【国際公開日】2020-09-03
(31)【優先権主張番号】102019000002697
(32)【優先日】2019-02-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521363239
【氏名又は名称】ヴィメックス スプウカ ス オルガニザツィーノン オトゥポビエジャルノシチョン(ヴィメックス)
(71)【出願人】
【識別番号】521363240
【氏名又は名称】エイチアンドディー ワイヤレス エービー
(71)【出願人】
【識別番号】521363251
【氏名又は名称】プラズマケム プロダクションズ ウント ハンデル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(71)【出願人】
【識別番号】521363262
【氏名又は名称】イメージ ガイデッド セラピー エスエー
(71)【出願人】
【識別番号】521363273
【氏名又は名称】イスティテュート オルトペディコ リッツォーリ
(71)【出願人】
【識別番号】593003710
【氏名又は名称】バル・イラン・ユニバーシティ
【氏名又は名称原語表記】BAR ILAN UNIVERSITY
(71)【出願人】
【識別番号】521363284
【氏名又は名称】スクオラ スペリオーレ ディ ストゥーディ ウニベルシターリ エ ディ ペルフェツィオナメント サンタンナ
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】リコッティ,レオナルド
(72)【発明者】
【氏名】ヴァンノッチ,ロレンツォ
(72)【発明者】
【氏名】カッファレッリ,アンドレア
(72)【発明者】
【氏名】ネッシム,ギルバート ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】リシニョーリ,ジーナ
(72)【発明者】
【氏名】ウェクスラー,アハロン
(72)【発明者】
【氏名】デュモン,エリック ジャン-クロード
(72)【発明者】
【氏名】ヨースト,カーステン
(72)【発明者】
【氏名】ガピンスキ,トマシュ
(72)【発明者】
【氏名】バーグステン,パー
(72)【発明者】
【氏名】ガブシ,エレナ
(72)【発明者】
【氏名】フィニ,ミレナ
(72)【発明者】
【氏名】チョン,マチルデ
(72)【発明者】
【氏名】ルッソ,アレッサンドロ
(72)【発明者】
【氏名】ザッファニーニ,ステファーノ
(72)【発明者】
【氏名】メリコーニ,リカルド
(72)【発明者】
【氏名】フェデュティック,イリジ
(72)【発明者】
【氏名】レナルトビックス,クリストフ スタニスロー
(72)【発明者】
【氏名】ジャーンバーガー,アケ
(72)【発明者】
【氏名】シャチャフ,ヨナタン
(72)【発明者】
【氏名】エリクソン,マグナス
【テーマコード(参考)】
4C053
4C076
4C081
4C086
4C087
4C160
【Fターム(参考)】
4C053EE01
4C053EE16
4C076AA09
4C076AA31
4C076AA65
4C076BB21
4C076CC09
4C076EE01
4C081AB05
4C081BA12
4C081BA16
4C081BB06
4C081CA29
4C081CD34
4C081CF16
4C081DA12
4C081DC15
4C086AA01
4C086AA02
4C086HA06
4C086MA03
4C086MA05
4C086MA28
4C086MA41
4C086MA67
4C086NA05
4C086NA07
4C086NA14
4C086ZA96
4C086ZC75
4C087AA01
4C087AA02
4C087BB46
4C087MA02
4C087MA28
4C087MA41
4C087NA05
4C087NA07
4C087NA14
4C087ZA96
4C087ZC75
4C160JJ50
(57)【要約】
関節の治療的処置に対して配置された複合材料(10)を含む関節の治療的処置のためのシステムであって、当該複合材料(10)は、生分解性ポリマーマトリックス(11)と、超音波によって行われた外部刺激に応答して局所電荷を生成するように適合された複数の圧電粒子(12)と、を含み、当該複数の圧電粒子(12)はマトリックス中に分散されている。複合材料(10)はまた、生分解性ポリマーマトリックス(11)中に分散された複数のスタミナ細胞(13)と、複数の炭素ベースの粒子と、を含む。システムはまた、軟骨の所定の領域の関節腔に複合材料(10)を堆積させるように配置された放出デバイス(20)と、所定の周波数、所定の強度、および所定の適用時間で、超音波を放射するように配置された刺激デバイス(30)と、を含み、複合材料(10)が堆積されている関節の近くに刺激デバイスが位置するときに、当該超音波が複数の圧電粒子(12)を刺激するようになっている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
関節の治療的処置のためのシステムであって、
-複合材料(10)であって、
-生分解性ポリマーマトリックス(11)、
-超音波によって行われた外部刺激に応答して局所電荷を生成するように適合された複数の圧電粒子(12)であって、前記生分解性ポリマーマトリックス中に分散されている、複数の圧電粒子(12)、
-前記生分解性ポリマーマトリックス中に分散された複数のスタミナ細胞(13)、を含む、複合材料(10)と、
-軟骨の所定の領域の関節腔に前記複合材料(10)を堆積させるように配置された放出デバイス(20)と、
-所定の周波数、所定の強度、および所定の適用時間で超音波を放射するように配置された刺激デバイス(30)であって、前記複合材料(10)が堆積されている関節の近くに前記デバイスが位置するとき、前記超音波が前記複数の圧電粒子(12)を刺激するようになっている、刺激デバイス(30)と、を含み、
前記システムが、前記生分解性ポリマーマトリックス(11)中に炭素ベースの粒子も分散されていることを特徴とする、関節の治療的処置のためのシステム。
【請求項2】
前記刺激デバイス(30)を含むウェアラブルデバイス(40)も提供され、前記ウェアラブルデバイス(40)が関節の近くに前記刺激デバイス(30)を配置するように構成されている、請求項1に記載の関節の治療的処置のためのシステム。
【請求項3】
軟骨組織の再生状態を監視するために配置された監視装置も含まれる、請求項1に記載の関節の治療的処置のためのシステム。
【請求項4】
制御ユニットも含まれ、前記制御ユニットが、
-前記超音波を特徴付けるパラメータの値を前記軟骨組織再生の速度および品質と相関させるデータを収集し、かつ
-前記軟骨組織再生のより高い速度および品質を保証する値の範囲に前記特徴付けるパラメータを設定する、ように構成されている、請求項3に記載の関節の治療的処置のためのシステム。
【請求項5】
前記特徴付けるパラメータが、
-前記超音波の周波数、
-前記超音波の強度、
-前記超音波を適用する時間、
-前記超音波のデューティサイクル、
-上記のものの組み合わせからなる群から選択される、請求項4に記載の関節の治療的処置のためのシステム。
【請求項6】
関節の治療的処置のために配置された複合材料(10)であって、
-生分解性ポリマーマトリックス(11)、
-超音波によって行われた外部刺激に応答して局所電荷を生成するように適合された複数の圧電粒子(12)であって、前記生分解性ポリマーマトリックス中に分散されている、複数の圧電粒子(12)、
-前記生分解性ポリマーマトリックス(11)中に分散された複数のスタミナ細胞(13)、を含み、
前記複合材料(10)が、前記生分解性ポリマーマトリックス(11)中に炭素ベースの粒子も分散されていることを特徴とする、複合材料(10)。
【請求項7】
前記生分解性ポリマーマトリックスが、ヒドロゲルである、請求項6に記載の複合材料(10)。
【請求項8】
前記生分解性ポリマーマトリックス中に、軟骨細胞も分散されている、請求項6に記載の複合材料(10)。
【請求項9】
前記生分解性ポリマーマトリックスが、前記スタミナ細胞(13)が軟骨細胞に進化するように誘導するように構成された生体分子を含む、請求項6に記載の複合材料(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
説明
本発明は、関節の治療的処置に関する。
【0002】
特に、本発明は、軟骨組織の再生のための複合材料および処置システムに関する。
【背景技術】
【0003】
知られているように、変形性関節症は現在最も一般的なリウマチ性疾患であり、それは通常の日常生活活動を妨げる重度の運動障害および痛みを引き起こす。この病状は主に高齢者または肥満の人々に影響を及ぼすが、関節損傷後の若い年齢のスポーツマンに見られる症例は無視できない。
【0004】
変形性関節症は、慢性変性疾患であり、初期段階では診断するのが困難であるが、時間の経過とともに急速に悪化する症状によって現れる。適切な時間と方法で処置せずに放置すると、障害のレベルは時間の経過とともに徐々に増加する可能性がある。関節のレベルでは、この病状のために、軟骨表面および骨軟骨界面に病変が発生する可能性がある。状態の悪化は、関節プロテーゼの移植を含む最終段階にすぐにつながる可能性がある。
【0005】
生理学的状態では、関節軟骨は、関節の正しい機能、負荷の分散(「ショックアブソーバー」の機能)、および組織間の摩擦によるさらなる問題を回避するために必要な潤滑の保証のための役割を担っている。軟骨の変化は、関節が負荷を適切に支えることができないことによって与えられる関節痛を引き起こす可能性がある。
【0006】
これらの初期の症状の段階では、関節構造の保存療法が必要である。このタイプの治療法の大部分は、関節内補充薬または多血小板血漿(PRP)に基づいており、これらは、損傷した関節の潤滑作用または抗炎症効果を促進し、したがって、より良好な患者の状態を保証する。
【0007】
ただし、このタイプの処置は短期的にのみ患者の状態を緩和するため、関節内補充薬およびPRPの両方を定期的に関節に注射する必要がある。これらの治療の有益な効果も非常に限られており、患者に大きく依存している。
【0008】
軟骨組織の変性が、上記の治療法ではもはや治療できない変性のレベルに達すると、変形性関節症は外科的に治療される。一般的な方法は、マイクロフラクチャー、自家軟骨細胞移植、自家骨軟骨柱移植、および合成足場である。
【0009】
ただし、これらのシステムでさえ、時間の経過とともにその有効性を失うように見え、膝プロテーゼの移植など、非常に侵襲的な介入が必要になることがよくある。
【0010】
さらに、上記の注射と移植の両方が、治癒するのに困難な炎症を引き起こす可能性がある。
【0011】
これらの治療法のさらなる不利な点は、特に治療の有効性が低く、頻繁な反復が必要な場合に、患者が負担しなければならない非常に高い費用に関係している。
【0012】
最近、いくつかの科学的研究は、細胞再生、特に神経細胞および筋細胞のための圧電ナノ材料の超音波刺激を検討している。
【0013】
たとえば、US2012121712には、圧電ナノベクトルを使用して、in vitroおよびin vivoの両方で神経細胞の非侵襲的刺激の誘導を提供する方法が記載されている。具体的には、これらは、細胞によって内在化され、特定の非侵襲的外部刺激(超音波)を、細胞自体を刺激することができる電気入力に変換することができる窒化ホウ素ナノチューブ(BNNT)である。ナノトランスデューサーは、任意選択で、特定のポリマーでコーティングされている。この方法は、刺激される細胞組織の近くに挿入される電極を利用する電気細胞刺激(電気療法)方法論に典型的な高侵襲性を低減することを目的としている。
【0014】
さらに、最先端技術では、関節軟骨を治療および再生するために、圧電ナノ材料の超音波刺激を考慮に入れる研究がある。いくつかの例が、Jaicy Jacob et al.(https://inflammregen.biomedcentral.com/articles/10.1186/s41232-018-0059-8)による“Piezoelectric smart biomaterials for bone and cartilage tissue engineering”およびAgata Przekora(https://www.mdpi.com/1422-0067/20/2/435)による“Current Trends in Fabrication of Biomaterials for Bone and Cartilage Regeneration: Materials Modifications and Biophysical Stimulations”に報告されている。
【0015】
しかしながら、最新技術で使用される複合材料は、ポリマーマトリックスの全体積における圧電粒子によって生成される電荷の分布を最適化されていず、細胞再生過程を効果および均一性を低いものとし、通常、軟骨用途向けの機械的特性および最適な摩擦を有していない。
【発明の概要】
【0016】
したがって、本発明の特徴は、関節軟骨に影響を与える変性および炎症過程を著しく減速または逆戻りさせ、関節プロテーゼに依存する必要性を減速させるかまたは回避することを可能にする関節の治療的処置のための複合材料を含むシステムを提供することである。
【0017】
コストおよび効率の観点から、先行技術の関節治療の欠点を回避するためのそのようなシステムを提供することもまた、本発明の特徴である。
【0018】
軟骨組織の再生のための圧電ナノ材料の超音波刺激の既知の原理を利用するそのようなシステムを提供することもまた、本発明の特徴である。
【0019】
このシステムおよびこの複合材料の使用を含む関節の治療的処置のための方法を提供することもまた、本発明の特徴である。
【0020】
これらおよび他の目的は、関節の治療的処置に対して配置された複合材料であって、
-生分解性ポリマーマトリックス、
-超音波によって行われた外部刺激に応答して局所電荷を生成するように適合された複数の圧電粒子であって、分散マトリックスである、複数の圧電粒子、
-生分解性ポリマーマトリックス中に分散された複数のスタミナ細胞、を含み、
その主な特徴が、生分解性ポリマーマトリックス中に炭素ベースの粒子も分散されていることである、複合材料によって達成される。
【0021】
本発明の別の態様によれば、関節の治療的処置のためのシステムであって、
-複合材料であって、
-生分解性ポリマーマトリックス、
-超音波によって行われた外部刺激に応答して局所電荷を生成するように適合された複数の圧電粒子であって、マトリックス中に分散されている、複数の圧電粒子、
-複数のスタミナ細胞分散マトリックス、を含む、複合材料と、
-軟骨の所定の領域の関節腔に複合材料を堆積させるように配置された放出デバイスと、
-所定の周波数、所定の強度、および所定の適用時間で超音波を放射するように配置された刺激デバイスであって、当該複合材料が堆積されている関節の近くにデバイスが位置するとき、超音波が複数の圧電粒子を刺激するようになっている、刺激デバイスと、を含み、
その主な特徴が、生分解性ポリマーマトリックス中に炭素ベースの粒子も分散されていることである、システムも特許請求される。
【0022】
複合材料が超音波によって刺激されるとき、圧電粒子は、スタミナ細胞に軟骨形成効果をもたらし、軟骨を再生し、かつおそらく抗炎症効果をもたらす電荷を生成する。
【0023】
特に、炭素ベースの粒子は、圧電粒子によって生成された電荷のマトリックス内でのより効果的な分布を可能にすることに加えて、機械的抵抗性を増加させ、複合材料の摩擦係数を減少させることを可能にする。
【0024】
特に、スタミナ細胞は、
-自己スタミナ細胞、
-異種スタミナ細胞、
-上記の組み合わせ、からなる群から選択される。
【0025】
特に、圧電粒子は、ナノ粒子である。
【0026】
有利なことに、圧電ナノ粒子は、「ナノチューブ」、「ナノワイヤ」、「ナノロッド」、「ナノ球」、「ナノベルト」、「ナノウォール」、「ナノディスク」、「ナノプレート」、「ナノトリポッド」などの形態を有し得る。
【0027】
特に、圧電ナノ粒子は、
-チタン酸バリウム粒子、
-酸化亜鉛粒子、
-PVDFまたはP(VDF-TrFE)などの圧電ポリマー粒子、
-KNNまたはNKN粒子、
-アルカリ性ニオブ酸粒子、
-PZT粒子、
-窒化ホウ素粒子、
-PM PMN-PT粒子、
-上記の組み合わせ、からなる群から選択される。
【0028】
具体的には、生分解性ポリマーマトリックスは、10mPa・s~105mPa・sに設定された粘度を有する。
【0029】
特に、圧電粒子は、以前は、表面の化学的機能化、および/またはポリマーマトリックス中へのこれらの粒子の包含および分散を容易にする、および/またはそれらの生体適合性を改善する化学基のコーティングの対象になっている。
【0030】
特に、当該生分解性ポリマーマトリックスは、ヒドロゲルである。
【0031】
ゲルの形態にある複合材料の使用は、軟骨組織の表面に存在する可能性のある欠陥内の圧電粒子およびスタミナ細胞の堆積および維持を可能にし、従来技術と比較して治療の効率を著しく向上させる。
【0032】
特に、炭素ベースの粒子は、カーボンナノチューブ、またはグラフェン、酸化グラフェン、還元型酸化グラフェン、または単層、層状構造もしくは他の形態にある他のものであり得る。これらの粒子も、化学的に機能化され得る。
【0033】
特に、軟骨細胞も、生分解性ポリマーマトリックス中に分散される。
【0034】
あるいは、パラクリン作用を有する他の細胞は、スタミナ細胞に関してマトリックス中に分散され得る。
【0035】
特に、マトリックスは、スタミナ細胞が軟骨細胞に進化するように誘導するように配置された生体分子を含む。
【0036】
特に、複合材料は、軟骨の分解および/または変性および/または欠陥で堆積する。
【0037】
有利には、当該刺激デバイスを含むウェアラブルデバイスも含まれて、当該ウェアラブルデバイスは、関節の近くに刺激デバイスを配置するように構成される。
【0038】
有利には、軟骨組織の再生状態を監視するために配置された監視装置も含まれる。
【0039】
特に、監視装置は、超音波走査のためのデバイスを含む。
【0040】
有利なことに、制御ユニットも含まれ、制御ユニットが、
-超音波を特徴付けるパラメータの値を軟骨組織再生の速度および品質と相関させるデータを受信し、かつ
-軟骨組織再生のより高い速度および品質を保証する値の範囲に特性付けパラメータを設定する、ために構成されている。
【0041】
特に、特性付けパラメータは、
-当該超音波の周波数、
-当該超音波の強度、
-当該超音波を適用する時間、
-当該超音波のデューティサイクル、
-上記のものの組み合わせ、からなる群から選択される。
【0042】
本発明のさらなる態様によれば、関節の治療的処置のための方法であって、
-複合材料であって、
-生分解性ポリマーマトリックス、
-超音波によって行われた外部刺激に応答して局所電荷を生成するように適合された複数の圧電粒子であって、マトリックス中に分散されている、複数の圧電粒子、
-マトリックス中に分散された複数のスタミナ細胞、を含む複合材料を事前配置するステップと、
-軟骨の所定の領域の関節腔に複合材料を堆積させるステップと、
-複数の圧電粒子を刺激するために、当該関節腔に超音波を送信するステップと、を含む、方法も特許請求される。
【0043】
有利には、関節でのウェアラブルデバイスの適用のステップも提供され、当該ウェアラブルデバイスは、少なくとも1つの超音波エミッタを含む。
【0044】
特に、軟骨組織の再生状態を監視するための関節を監視するステップも提供される。
【0045】
特に、監視するステップは、超音波スキャンによって行われる。
【0046】
有利には、
-超音波を特徴付けるパラメータの値を軟骨組織再生の速度および品質と相関させるデータを収集するステップと、
-軟骨組織再生のより高い速度および品質を保証する値の範囲に特性付けパラメータを設定するステップと、がまた提供される。
【0047】
特に、特徴付けるパラメータは、
-当該超音波の周波数、
-当該超音波の強度、
-当該超音波を適用する時間、
-当該超音波のデューティサイクル、
-上記のものの組み合わせ、からなる群から選択される。
【図面の簡単な説明】
【0048】
本発明のさらなる特徴および/または利点は、添付図面を参照しながら、例示的であるが限定的ではないその例示的な実施形態に関する以下の説明により、より明らかになる。
【0049】
【
図2】放出デバイスによる関節での複合材料の堆積を示す。
【
図3】患者の脚に配置されたウェアラブルデバイスと、超音波を放射するように適合された刺激デバイスを示す。
【
図4】本発明によるシステムによって行われる操作の可能なフローシートを示す。
【
図5】
図4のフローシートの変形を示しており、監視するステップがさらに提供されている。
【0050】
発明を実施するための形態
図1は、複数の炭素ベースの粒子に加えて、複数の圧電粒子12および複数のスタミナ細胞13が分散された生分解性ポリマーマトリックス11を含む、本発明による複合材料10の例示的な実施形態を示す。
【0051】
特に、炭素ベースの粒子は、圧電粒子によって生成された電荷のマトリックス内でのより効果的な分布を可能にすることに加えて、機械的抵抗性を増加させ、複合材料の摩擦係数を減少させることを可能にする。
【0052】
図4は、本発明によるシステムによって行われる操作の可能なフローチャート100を示す。
【0053】
特に、
図2および
図3をも参照して、複合材料10を調製した[101]後、複合材料10は、悪化時に関節腔内に、および/または処置する関節の軟骨の欠陥に、例えば注入によって、放出デバイス20によって堆積されるように適合される[102]。
【0054】
本発明により提供される刺激デバイス30によって放射される超音波によって複合材料10が刺激されるとき、圧電粒子が刺激され、その結果、スタミナ細胞に軟骨形成を有する電荷を生成し、軟骨を再生させる[103]。
【0055】
システムは、さらに、超音波を関節腔に向け、圧電粒子を所定の間隔で自動的に刺激するために、内部に刺激デバイス30を含むことができるウェアラブルデバイス40を提供する[103’]ことができる。
【0056】
図1の好ましい例示的な実施形態では、生分解性ポリマーマトリックス11は、特に、ヒドロゲルである。これにより、材料10は、圧電粒子12およびスタミナセル13をそれらの相互作用を増加させるために近距離に保つのに十分な密度および粘度を有することを可能にする。さらに、ヒドロゲルの形態は、関節腔を適切に満たし、軟骨の各病変と接触し、その後安定した位置に留まることによって、複合材料10が関節に注入されることを可能にする。
【0057】
図5は、
図4のフローシートの変形を示しており、軟骨組織の再生状態を監視するステップがさらに提供され、制御ユニットによって操作される。次に、この監視に基づいて、制御ユニットは、軟骨組織再生のより高い速度および品質を保証するために、超音波の特徴付けパラメータを変更することができる。
【国際調査報告】