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特表2022-527082コラーゲン7組成物を産生するための系および方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-30
(54)【発明の名称】コラーゲン7組成物を産生するための系および方法
(51)【国際特許分類】
   C12N 5/10 20060101AFI20220523BHJP
   C12P 21/02 20060101ALI20220523BHJP
   C07K 14/78 20060101ALI20220523BHJP
   C12N 15/12 20060101ALI20220523BHJP
   C12N 15/53 20060101ALI20220523BHJP
   C12N 5/071 20100101ALI20220523BHJP
   A61K 38/39 20060101ALI20220523BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20220523BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20220523BHJP
   A61P 17/02 20060101ALI20220523BHJP
   C12N 15/85 20060101ALI20220523BHJP
   C12N 9/02 20060101ALN20220523BHJP
【FI】
C12N5/10
C12P21/02 C ZNA
C07K14/78
C12N15/12
C12N15/53
C12N5/071
A61K38/39
A61P17/00
A61K9/08
A61P17/02
C12N15/85 Z
C12N9/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021557380
(86)(22)【出願日】2020-03-27
(85)【翻訳文提出日】2021-11-17
(86)【国際出願番号】 US2020025129
(87)【国際公開番号】W WO2020198556
(87)【国際公開日】2020-10-01
(31)【優先権主張番号】62/824,671
(32)【優先日】2019-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
2.TRITON
(71)【出願人】
【識別番号】518220545
【氏名又は名称】フェニックス ティシュー リペア インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】PHOENIX TISSUE REPAIR,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100152489
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 美樹
(72)【発明者】
【氏名】デソーザ、マーク
(72)【発明者】
【氏名】ビスワナサン、マリニ
(72)【発明者】
【氏名】ジロー、ピエール-アラン
(72)【発明者】
【氏名】レガメ、アレクサンドル
(72)【発明者】
【氏名】ル フルン、ヴァレリー
(72)【発明者】
【氏名】カラブレーゼ、ダヴィド
(72)【発明者】
【氏名】ギル、ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ゴットリーブ、メーガン
(72)【発明者】
【氏名】ルンドクヴィスト、エイミー
(72)【発明者】
【氏名】チョウダコワ、アンナ
(72)【発明者】
【氏名】エンリケス、ジョージ
(72)【発明者】
【氏名】チェリカニ、ラーフル
(72)【発明者】
【氏名】ガリアルディ、トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ライビンズ、タチアナ
(72)【発明者】
【氏名】ユアン、ハン
【テーマコード(参考)】
4B050
4B064
4B065
4C076
4C084
4H045
【Fターム(参考)】
4B050CC03
4B050DD11
4B050LL01
4B064AG01
4B064CA10
4B064CA19
4B064DA01
4B065AA90X
4B065AA90Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA24
4B065CA44
4C076AA11
4C076BB13
4C076CC18
4C076CC19
4C076FF11
4C084AA02
4C084AA06
4C084BA44
4C084CA53
4C084DA40
4C084MA17
4C084MA66
4C084NA14
4C084ZA89
4H045BA10
4H045EA20
4H045FA74
(57)【要約】
本開示は、組換えヒトコラーゲン7および/またはその機能的変異体を含むコラーゲン7組成物を産生するための産生系ならびに宿主細胞を提供する。宿主細胞は、rCol7およびその機能的変異体を安定発現するように遺伝的に操作されている。コラーゲン7組成物は、それを必要とする対象のコラーゲン7レベルを回復するために、ならびに皮膚状態、例えば、栄養障害型表皮水疱症(DEB)に関連付けられる皮膚創傷を予防、その進行を予防、緩和、およびその発症を遅延させるために使用することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒト組換えコラーゲン7(rCol7)および/またはその機能的変異体を発現するように改変された宿主細胞を含む、コラーゲン7組成物を産生するための産生系であって、
前記宿主細胞は、
(a)ヒトコラーゲン7アルファ鎖ポリペプチドおよび/またはその機能的変異体、
(b)プロリル4-ヒドロキシラーゼのアルファポリペプチドまたはその機能的変異体、ならびに
(c)プロリル4-ヒドロキシラーゼのベータポリペプチドまたはその機能的変異体
を発現するように改変されており、
前記コラーゲン7組成物は、ヒトrCol7、ヒトコラーゲン7の機能的変異体、またはそれらの組合せを含む、産生系。
【請求項2】
前記宿主細胞は、
(a)組換えヒトコラーゲン7アルファ鎖ポリペプチドまたはその機能的変異体をコードする少なくとも1つの第1の外因性ポリヌクレオチド、
(b)プロリル4-ヒドロキシラーゼのアルファポリペプチドまたはその機能的変異体をコードする外因性ポリヌクレオチド、および
(c)プロリル4-ヒドロキシラーゼのベータポリペプチドまたはその機能的変異体をコードする外因性ポリヌクレオチド、
を含むように改変されている、請求項1に記載の産生系。
【請求項3】
前記宿主細胞は、
(d)組換えヒトコラーゲン7アルファ鎖ポリペプチドまたはその機能的変異体をコードする第2の外因性ポリヌクレオチドであって、
(i)前記組換えヒトコラーゲン7アルファ鎖ポリペプチドもしくはその機能的変異体をコードする第1の外因性ポリヌクレオチドの核酸配列と同じ核酸配列、または
(ii)前記組換えヒトコラーゲン7アルファ鎖ポリペプチドもしくはその機能的変異体をコードする第1の外因性ポリヌクレオチドの核酸配列とは異なる核酸配列
を含む第2の外因性ポリヌクレオチドを含むようにさらに改変されている、請求項2に記載の産生系。
【請求項4】
前記第1の外因性ポリヌクレオチドおよび前記第2の外因性ポリヌクレオチドは、異なる選択マーカーを含む、請求項3に記載の産生系。
【請求項5】
前記宿主細胞は、
(a)配列番号25の核酸配列を含む、前記組換えヒトコラーゲン7アルファ鎖ポリペプチドまたはその機能的変異体をコードする第1の外因性ポリヌクレオチド、
(b)配列番号28の核酸配列を含む、前記プロリル4-ヒドロキシラーゼのアルファポリペプチドまたはその機能的変異体をコードする外因性ポリヌクレオチド、
(c)配列番号30の核酸配列を含む、前記プロリル4-ヒドロキシラーゼのべータポリペプチドまたはその機能的変異体をコードする外因性ポリヌクレオチド、および
(d)配列番号25の核酸配列を含む、前記組換えヒトコラーゲン7アルファ鎖ポリペプチドまたはその機能的変異体をコードする第2の外因性ポリヌクレオチド
を含むように改変されている、請求項3に記載の産生系。
【請求項6】
前記宿主細胞は、
(a)配列番号26の核酸配列を含む、前記組換えヒトコラーゲン7アルファ鎖ポリペプチドまたはその機能的変異体をコードする第1の外因性ポリヌクレオチド、
(b)配列番号29の核酸配列を含む、前記プロリル4-ヒドロキシラーゼのアルファポリペプチドまたはその機能的変異体をコードする外因性ポリヌクレオチド、
(c)配列番号31の核酸配列を含む、前記プロリル4-ヒドロキシラーゼのべータポリペプチドまたはその機能的変異体をコードする外因性ポリヌクレオチド、および
(d)配列番号27の核酸配列を含む、前記組換えヒトコラーゲン7アルファ鎖ポリペプチドまたはその機能的変異体をコードする第2の外因性ポリヌクレオチド
を含むように改変されている、請求項3に記載の産生系。
【請求項7】
前記改変された宿主細胞は、
(a)組換えヒトコラーゲン7アルファ鎖ポリペプチドまたはその機能的変異体を発現するための第1のベクター、
(b)プロリル4-ヒドロキシラーゼのアルファポリペプチドまたはその機能的変異体を発現するためのベクター、および
(c)プロリル4-ヒドロキシラーゼのベータポリペプチドまたはその機能的変異体を発現するためのベクター
を含むように改変されている、請求項1に記載の産生系。
【請求項8】
前記宿主細胞は、
(d)組換えヒトコラーゲン7アルファ鎖ポリペプチドまたはその機能的変異体を発現するための第2のベクター、
を含むようにさらに改変されている、請求項7に記載の産生系。
【請求項9】
前記宿主細胞は、
(a)配列番号26の核酸配列を含む、前記組換えヒトコラーゲン7アルファ鎖ポリペプチドまたはその機能的変異体を発現するための第1のベクター、
(b)配列番号29の核酸配列を含む、前記プロリル4-ヒドロキシラーゼのアルファポリペプチドまたはその機能的変異体を発現するためのベクター、
(c)配列番号31の核酸配列を含む、前記プロリル4-ヒドロキシラーゼのべータポリペプチドまたはその機能的変異体を発現するためのベクター、および
(d)配列番号27の核酸配列を含む、前記組換えヒトコラーゲン7アルファ鎖ポリペプチドまたはその機能的変異体を発現するための第2のベクター
を含むように改変されている、請求項8に記載の産生系。
【請求項10】
プロリル4-ヒドロキシラーゼの前記アルファポリペプチドは、アルファ-1、アルファ-2、またはアルファ-3ポリペプチドである、請求項1に記載の産生系。
【請求項11】
プロリル4-ヒドロキシラーゼの前記アルファポリペプチドは、前記アルファ-1ポリペプチドである、請求項10に記載の産生系。
【請求項12】
前記宿主細胞は、線維芽細胞、ケラチノサイト、CHO細胞、HEK293細胞、C127細胞、VERO細胞、BHK細胞、HeLa細胞、COS細胞、およびMDCK細胞、またはそれらの子孫からなる群から選択される哺乳動物細胞である、請求項1乃至11のいずれか1項に記載の産生系。
【請求項13】
前記改変された宿主細胞は、無血清培地で培養される、請求項12に記載の産生系。
【請求項14】
ヒト組換えコラーゲン7(rCol7)および/またはその機能的変異体を発現するように改変された宿主細胞を含む、コラーゲン7組成物を産生するための産生系であって、
前記宿主細胞は、
(a)ヒトコラーゲン7アルファ鎖ポリペプチドおよび/またはその機能的変異体、
(b)プロリル4-ヒドロキシラーゼのアルファポリペプチドまたはその機能的変異体、
(c)プロリル4-ヒドロキシラーゼのベータポリペプチドまたはその機能的変異体、ならびに
(d)熱ショックタンパク質47またはその機能的変異体
を発現するように改変されており、
前記コラーゲン7組成物は、ヒトrCol7、ヒトコラーゲン7の機能変異体、またはそれらの組合せを含む、産生系。
【請求項15】
前記宿主細胞は、
(a)組換えヒトコラーゲン7アルファ鎖ポリペプチドまたはその機能的変異体をコードする少なくとも1つの外因性ポリヌクレオチド、
(b)プロリル4-ヒドロキシラーゼのアルファポリペプチドまたはその機能的変異体をコードする外因性ポリヌクレオチド、
(c)プロリル4-ヒドロキシラーゼのベータポリペプチドまたはその機能的変異体をコードする外因性ポリヌクレオチド、および
(d)熱ショックタンパク質47またはその機能的変異体をコードする外因性ポリヌクレオチド
を含むように改変されている、請求項14に記載の産生系。
【請求項16】
前記宿主細胞は、
(a)配列番号25の核酸配列を含む、前記組換えヒトコラーゲン7アルファ鎖ポリペプチドまたはその機能的変異体をコードする外因性ポリヌクレオチド、
(b)配列番号28の核酸配列を含む、前記プロリル4-ヒドロキシラーゼのアルファポリペプチドまたはその機能的変異体をコードする外因性ポリヌクレオチド、
(c)配列番号30の核酸配列を含む、前記プロリル4-ヒドロキシラーゼのべータポリペプチドまたはその機能的変異体をコードする外因性ポリヌクレオチド、および
(d)配列番号32の核酸配列を含む、前記熱ショックタンパク質47またはその機能的変異体をコードする外因性ポリヌクレオチド
を含むように改変されている、請求項15に記載の産生系。
【請求項17】
前記改変された宿主細胞は、
(a)前記組換えヒトコラーゲン7アルファ鎖ポリペプチドまたはその機能的変異体を発現するためのベクター、
(b)プロリル4-ヒドロキシラーゼの前記アルファポリペプチドまたはその機能的変異体を発現するためのベクター、
(c)プロリル4-ヒドロキシラーゼの前記ベータポリペプチドまたはその機能的変異体を発現するためのベクター、および
(d)前記熱ショックタンパク質47またはその機能的変異体を発現するためのベクター
を含むように改変されている、請求項14に記載の産生系。
【請求項18】
前記宿主細胞は、
(a)配列番号26または配列番号27の核酸配列を含む、前記組換えヒトコラーゲン7アルファ鎖ポリペプチドまたはその機能的変異体を発現するためのベクター、
(b)配列番号29の核酸配列を含む、前記プロリル4-ヒドロキシラーゼの前記アルファポリペプチドまたはその機能的変異体を発現するためのベクター、
(c)配列番号31の核酸配列を含む、前記プロリル4-ヒドロキシラーゼの前記ベータポリペプチドまたはその機能的変異体を発現するためのベクター、および
(d)配列番号32の核酸配列を含む、前記熱ショックタンパク質47またはその機能的変異体を発現するためのベクター
を含むように改変されている、請求項17に記載の産生系。
【請求項19】
ヒトrCol7および/またはその機能的変異体を含むコラーゲン7組成物を産生するための改変された宿主細胞であって、前記宿主細胞は、
(a)ヒトコラーゲン7アルファ鎖ポリペプチドまたはその機能的変異体、
(b)アルファ-1、アルファ-2、またはアルファ-3ポリペプチドである、プロリル4-ヒドロキシラーゼのアルファポリペプチドまたはその機能的変異体、および
(c)プロリル4-ヒドロキシラーゼのベータポリペプチドまたはその機能的変異体
を発現するように形質転換されている、改変された宿主細胞。
【請求項20】
プロリル4-ヒドロキシラーゼの前記アルファポリペプチドは、アルファ-1ポリペプチドまたはその機能的変異体である、請求項19に記載の改変された宿主細胞。
【請求項21】
前記宿主細胞は、
(a)組換えヒトコラーゲン7またはその機能的変異体をコードする少なくとも1つの第1の外因性ポリヌクレオチド、
(b)プロリル4-ヒドロキシラーゼのアルファ-1ポリペプチドまたはその機能的変異体をコードする外因性ポリヌクレオチド、および
(c)プロリル4-ヒドロキシラーゼのベータポリペプチドまたはその機能的変異体をコードする外因性ポリヌクレオチド
を含むように改変されている、請求項20に記載の改変された宿主細胞。
【請求項22】
(d)組換えヒトコラーゲン7またはその機能的変異体をコードする第2の外因性ポリヌクレオチドであって、
(i)前記組換えヒトコラーゲン7もしくはその機能的変異体をコードする第1のポリヌクレオチドのヌクレオチド配列と同じヌクレオチド配列、または
(ii)前記組換えヒトコラーゲン7もしくはその機能的変異体をコードする第1のポリヌクレオチドのヌクレオチド配列とは異なるヌクレオチド配列
を含む第2の外因性ポリヌクレオチドをさらに含む、請求項21に記載の改変された宿主細胞。
【請求項23】
前記第1の外因性ポリヌクレオチドおよび前記第2の外因性ポリヌクレオチドは、異なる選択マーカーを含む、請求項22に記載の改変された宿主細胞。
【請求項24】
前記宿主細胞は、
(a)配列番号26の核酸配列を含む、前記組換えヒトコラーゲン7アルファ鎖ポリペプチドまたはその機能的変異体をコードする第1の外因性ポリヌクレオチド、
(b)配列番号29の核酸配列を含む、前記プロリル4-ヒドロキシラーゼのアルファポリペプチドまたはその機能的変異体をコードする外因性ポリヌクレオチド、
(c)配列番号31の核酸配列を含む、前記プロリル4-ヒドロキシラーゼのべータポリペプチドまたはその機能的変異体をコードする外因性ポリヌクレオチド、および
(d)配列番号27の核酸配列を含む、前記組換えヒトコラーゲン7アルファ鎖ポリペプチドまたはその機能的変異体をコードする第2の外因性ポリヌクレオチド
を含むように改変されている、請求項22に記載の改変された宿主細胞。
【請求項25】
前記宿主細胞は、
(a)組換えヒトコラーゲン7アルファ鎖ポリペプチドまたはその機能的変異体を発現するための第1のベクター、
(b)アルファ-1、アルファ-2、またはアルファ-3ポリペプチドである、プロリル4-ヒドロキシラーゼのアルファポリペプチドを発現するためのベクター、および
(c)プロリル4-ヒドロキシラーゼのベータポリペプチドまたはその機能的変異体を発現するためのベクター
を含み、
前記プロリル4-ヒドロキシラーゼは、組換えヒトコラーゲン7の発現を増加させる、請求項19に記載の改変された宿主細胞。
【請求項26】
プロリル4-ヒドロキシラーゼの前記アルファポリペプチドは、アルファ-1ポリペプチドまたはその機能的変異体である、請求項25に記載の改変された宿主細胞。
【請求項27】
前記宿主細胞は、
(d)組換えヒトコラーゲン7アルファ鎖ポリペプチドまたはその機能的変異体を発現するための第2のベクター、
をさらに含む、請求項26に記載の改変された宿主細胞。
【請求項28】
前記宿主細胞は、
(a)配列番号26の核酸配列を含む、前記組換えヒトコラーゲン7アルファ鎖ポリペプチドまたはその機能的変異体を発現するための第1のベクター、
(b)配列番号29の核酸配列を含む、前記プロリル4-ヒドロキシラーゼのアルファポリペプチドまたはその機能的変異体を発現するためのベクター、
(c)配列番号31の核酸配列を含む、前記プロリル4-ヒドロキシラーゼのベータポリペプチドまたはその機能的変異体を発現するためのベクター、および
(d)配列番号27の核酸配列を含む、前記組換えヒトコラーゲン7アルファ鎖ポリペプチドまたはその機能的変異体を発現するための第2のベクター
を含む、請求項27に記載の改変された宿主細胞。
【請求項29】
前記宿主細胞は、線維芽細胞、ケラチノサイト、CHO細胞、HEK293細胞、C127細胞、VERO細胞、BHK細胞、HeLa細胞、COS細胞、およびMDCK細胞からなる群から選択される哺乳動物細胞またはその子孫である、請求項19乃至28のいずれか1項に記載の改変された宿主細胞。
【請求項30】
前記細胞は、CHO細胞またはCHO細胞の子孫である、請求項29に記載の改変された宿主細胞。
【請求項31】
ヒトrCol7および/またはその機能的変異体を含むコラーゲン7組成物を産生するための改変された宿主細胞であって、前記宿主細胞は、
(a)ヒトコラーゲン7アルファ鎖ポリペプチドまたはその機能的変異体、
(b)アルファ-1、アルファ-2、またはアルファ-3ポリペプチドである、プロリル4-ヒドロキシラーゼのアルファポリペプチドまたはその変異体、
(c)プロリル4-ヒドロキシラーゼのベータポリペプチドまたはその変異体、および
(d)熱ショックタンパク質47またはその機能的変異体
を発現するように形質転換されている、改変された宿主細胞。
【請求項32】
前記宿主細胞は、
(a)組換えヒトコラーゲン7またはその機能的変異体をコードする少なくとも1つの外因性ポリヌクレオチド、
(b)プロリル4-ヒドロキシラーゼのアルファ-1ポリペプチドまたはその機能的変異体をコードする外因性ポリヌクレオチド、
(c)プロリル4-ヒドロキシラーゼのベータポリペプチドまたはその機能的変異体をコードする外因性ポリヌクレオチド、および
(d)熱ショックタンパク質47をコードする外因性ポリヌクレオチド
を含むように改変されている、請求項31に記載の改変された宿主細胞。
【請求項33】
前記宿主細胞は、
(a)配列番号25の核酸配列を含む、前記組換えヒトコラーゲン7アルファ鎖ポリペプチドまたはその機能的変異体をコードする外因性ポリヌクレオチド、
(b)配列番号28の核酸配列を含む、前記プロリル4-ヒドロキシラーゼのアルファポリペプチドまたはその機能的変異体をコードする外因性ポリヌクレオチド、
(c)配列番号30の核酸配列を含む、前記プロリル4-ヒドロキシラーゼのベータポリペプチドまたはその機能的変異体をコードする外因性ポリヌクレオチド、および
(d)配列番号32の核酸配列を含む、前記熱ショックタンパク質47またはその機能的変異体をコードする外因性ポリヌクレオチド
を含むように改変されている、請求項32に記載の改変された宿主細胞。
【請求項34】
(a)ヒトコラーゲン7アルファ鎖ポリペプチドまたはその機能的変異体、
(b)アルファ-1、アルファ-2、またはアルファ-3ポリペプチドである、プロリル4-ヒドロキシラーゼのアルファポリペプチドまたはその機能的変異体、および
(c)プロリル4-ヒドロキシラーゼのベータポリペプチドまたはその機能的変異体
を発現するための改変された宿主細胞を含む産生系により産生され、
前記プロリル4-ヒドロキシラーゼは、前記宿主細胞におけるコラーゲン7発現を増加させる、ヒトコラーゲン7組成物。
【請求項35】
前記改変された宿主細胞は、
(d)熱ショックタンパク質47またはその機能的変異体
をさらに発現する、請求項34のコラーゲン7組成物。
【請求項36】
ヒトコラーゲン7組成物および少なくとも1つの薬学的に許容される担体を含む医薬組成物であって、前記コラーゲン7組成物は、
(a)ヒトコラーゲン7アルファ鎖ポリペプチドまたはその機能的変異体、
(b)アルファ-1、アルファ-2、またはアルファ-3ポリペプチドである、プロリル4-ヒドロキシラーゼのアルファポリペプチドまたはその機能的変異体、および
(c)プロリル4-ヒドロキシラーゼのベータポリペプチドまたはその機能的変異体
を発現するための改変された宿主細胞を含む、産生系により産生されるヒトrCol7を含み、
前記プロリル4-ヒドロキシラーゼは、前記宿主細胞においてコラーゲン7発現を増加させる、医薬組成物。
【請求項37】
前記改変された宿主細胞は、
(d)熱ショックタンパク質47またはその機能的変異体
をさらに発現する、請求項36に記載の医薬組成物。
【請求項38】
ヒトコラーゲン7組成物を産生するための方法であって、
(a)宿主細胞を無血清培地で培養する工程であって、前記宿主細胞は、
(i)ヒトコラーゲン7アルファ鎖ポリペプチドまたはその機能的変異体、
(ii)アルファプロリル4-ヒドロキシラーゼポリペプチドおよびベータプロリル4-ヒドロキシラーゼポリペプチドを含むプロリル4-ヒドロキシラーゼまたはその機能的変異体、ならびに
(iii)熱ショックタンパク質47またはその機能的変異体
を発現するように改変されている、工程;
(b)培養培地を収集する工程;ならびに
(c)前記ヒトコラーゲン7組成物を精製する工程
を含む方法。
【請求項39】
対象の皮膚状態を予防、その進行を予防、緩和、および/またはその発症を遅延させるための方法であって、前記対象にヒトrCol7を含む医薬組成物を投与する工程を含み、
rCol7は、(a)ヒトコラーゲン7アルファ鎖ポリペプチドおよび/またはその機能的変異体、ならびにプロリル4-ヒドロキシラーゼまたはその機能的変異体を発現するように遺伝子操作されている細胞により産生され;前記プロリル-4-ヒドロキシラーゼは、アルファヒドロキシラーゼポリペプチドおよびベータヒドロキシラーゼポリペプチドで構成されている、方法。
【請求項40】
rCol7は、
(a)ヒトコラーゲン7アルファ鎖ポリペプチドおよび/またはその機能的変異体、
(b)アルファヒドロキシラーゼポリペプチドおよびベータヒドロキシラーゼポリペプチドで構成されるプロリル4-ヒドロキシラーゼまたはその機能的変異体、ならびに
(c)熱ショックタンパク質47またはその機能的変異体
を発現するように遺伝子操作されている細胞により産生される、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記対象は、栄養障害型表皮水疱症を有すると診断されている、請求項39または40に記載の方法。
【請求項42】
DEBを有すると診断された前記対象の皮膚状態は、薄く乾燥した皮膚、開放皮膚創傷、慢性および非治癒性創傷、水疱形成(軽度または重度)、瘢痕、および慢性創傷により引き起こされる皮膚感染症を含む、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記投与は、静脈内注射によるものである、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記投与は、皮膚創傷の部位への外用適用によるものである、請求項42に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、組換えヒトコラーゲン7および/またはその機能的変異体を含むコラーゲン7組成物を産生するための産生系、遺伝子操作宿主細胞、および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コラーゲン7(コラーゲンVII型)は、皮膚の表皮層と下層真皮層との間に位置する2層膜である表皮基底膜帯(BMZ)に見出される皮膚の重要な成分である。コラーゲン7で構成される係留細線維は、表皮基底膜を乳頭真皮と接続させ、皮膚の表皮層および真皮層を一緒に保持して、構造および安定性を提供する。
【0003】
コラーゲン7は、3つの同一のアルファ鎖ポリペプチドからなるホモ三量体である。コラーゲン7アルファ鎖ポリペプチドは、COL7A1遺伝子によりコードされ、主にケラチノサイトおよび線維芽細胞により発現および合成される。コラーゲン7における変化は、後天性表皮水疱症(EBA)、水疱性類天疱瘡、瘢痕性類天疱瘡、腫瘍随伴性天疱瘡、尋常性天疱瘡、小児慢性水疱性疾患(CBDC)、および全身性硬化症などの、表皮水疱症(EB)およびコラーゲン7タンパク質に対する自己抗体により引き起こされる自己免疫疾患などの、幾つかの皮膚障害に関係付けられている。
【0004】
COL7A1遺伝子の突然変異は、極めて脆弱で不治性の水疱形成皮膚、手足奇形、食道狭窄、数多くの他の併存症、および早期死亡を呈する希な小児科疾患である栄養障害型表皮水疱症(DEB)として知られているEBの一形態をもたらす場合がある。DEBは遺伝型パターンに基づき、常染色体優性DEB(DDEB)または劣性DEB(RDEB)に分類することができ、後者は最も重度な形態のDEBをもたらす。米国では、全タイプのDEBの発生率は新生児100万人当たり6.5人と推定されているが、より重度の常染色体劣性型は新生児100万人当たり約1人に影響を及ぼす。
【0005】
コラーゲン7の欠乏に関連付けられる皮膚疾患の他の一般的な症状としては、皮膚のじんま疹様発疹(ハイブス(hives))、皮膚の水ぶくれ(水疱形成)(表皮および表皮下の水疱形性を両方とも含む)、慢性皮膚創傷、口腔または直腸粘膜、結膜、鼻咽頭(nasoharynx)、喉頭、および食道を含む粘膜の重度でびらん性の病変、ならびに皮膚の疼痛および瘢痕が挙げられる。
【0006】
こうした重度の皮膚状態および障害(例えば、DEB)の治療戦略は、機能性コラーゲン7の回復に焦点を当てている。例示的な戦略としては、コラーゲン7の外用および/または局所投与、COL7A1遺伝子を標的とする遺伝子療法、コラーゲン7を発現させるための線維芽細胞の移植などの細胞療法、ならびにコラーゲン7タンパク質の全身性投与などによるコラーゲン7補充療法が挙げられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本開示は、対象の機能的コラーゲン7を回復させるためのコラーゲン7組成物を産生するための産生系、遺伝子操作宿主細胞、および方法を提供する。一部の実施形態では、コラーゲン7組成物は、皮膚の基底膜帯(BMZ)におけるコラーゲン7欠乏および/または他の欠陥により引き起こされるものなどの皮膚状態を治療するために使用することができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示は、ヒト組換えコラーゲン7(rCol7)および/またはその機能的変異体を含むコラーゲン7組成物を産生するための産生系であって、ヒトrCol7および/またはその機能的変異体を発現するように改変された宿主細胞を含む産生系を提供する。好ましくは、産生系の遺伝子操作宿主細胞は、ヒトrCol7またはその機能的変異体、ならびにプロリダーゼ(プロリンヒドロラーゼとしても知られている)、アルファポリペプチド(サブユニットA)およびベータポリペプチド(サブユニットB)からなるプロリル4-ヒドロキシラーゼ、C1GALT1特異的シャペロン1(COMSC)、および/または熱ショックタンパク質(例えば、HSP47)を含む、宿主細胞においてrCol7および/またはその機能的変異体の発現を増加させることができる少なくとも1つのタンパク質を発現するように形質転換されている。好ましくは、宿主細胞は、アルファおよびベータポリペプチド(例えば、hP4HA1およびhP4HB)を両方とも含むヒトプロリル4-ヒドロキシラーゼを単独でまたはHSP47との組合せで発現して、rCol7の発現を増加させるように遺伝子操作されている。
【0009】
一部の実施形態では、産生系は、ヒトrCol7またはその機能的変異体を発現する単一細胞クローンに由来する複数の均質な遺伝子操作宿主細胞を含んでいてもよい。他の実施形態では、産生系は、ヒトrCol7および/またはその機能的変異体を発現する1つよりも多くの細胞クローンに由来する複数の不均質な遺伝子操作宿主細胞を含んでいてもよい。
【0010】
一部の実施形態では、遺伝子操作宿主細胞は、ヒトrCol7またはその機能的変異体をコードする少なくとも1つの第1の外因性ポリヌクレオチド、ならびにプロリダーゼ(PEPD)、プロリル4-ヒドロキシラーゼ(P4H)、C1GALT1特異的シャペロン1(COMSC)、および熱ショックタンパク質47(HSP47)など、rCol7またはその機能的変異体の発現を増加させることができるタンパク質をコードする少なくとも1つの外因性ポリヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、遺伝子操作宿主細胞は、rCol7またはその機能的変異体をコードする第2のポリヌクレオチドをさらに含んでいてもよい。rCol7およびその機能的変異体をコードする第1および第2のポリヌクレオチドは、同一の核酸配列または異なる核酸配列のいずれを含んでいてもよい。一部の実施形態では、rCol7をコードするポリヌクレオチドは、コドン最適化された核酸配列を含む。
【0011】
1つの好ましい実施形態では、遺伝子操作宿主細胞は、rCol7またはその機能的変異体をコードする少なくとも1つの第1の外因性ポリヌクレオチド、ヒトプロリル4-ヒドロキシラーゼ(P4HA)のアルファポリペプチド(サブユニットA)をコードする外因性ポリヌクレオチド、およびヒトプロリル4-ヒドロキシラーゼ(P4HB)のベータポリペプチド(サブユニットB)をコードする外因性ポリヌクレオチドを含む。任意選択で、遺伝子操作宿主細胞は、rCol7またはその機能的変異体をコードする第2の外因性ポリヌクレオチドをさらに含んでいてもよい。一部の例では、第1のrCol7コードポリヌクレオチドおよび第2のrCol7コードポリヌクレオチドは、同じ核酸配列を有してもよい。他の例では、2つのrCol7コードポリヌクレオチドは、異なる核酸配列を有する。
【0012】
一部の実施形態では、遺伝子操作宿主細胞は、rCol7またはその機能的変異体をコードする1つの第1のおよび1つ第2の外因性ポリヌクレオチド、ヒトプロリル4-ヒドロキシラーゼのアルファポリペプチド(サブユニットA)をコードする外因性ポリヌクレオチド、ヒトプロリル4-ヒドロキシラーゼのベータポリペプチド(サブユニットB)をコードする外因性ポリヌクレオチド、ならびにHSP47をコードする外因性ポリヌクレオチドを含む。
【0013】
一部の実施形態では、遺伝子操作宿主細胞は、rCol7またはその機能的変異体をコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクター、およびrCol7またはその機能的変異体の発現を増加させることができるタンパク質であって、プロリダーゼ(PEPD)、プロリル4-ヒドロキシラーゼ(P4H)、C1GALT1特異的シャペロン1(COMSC)、または熱ショックタンパク質47(HSP47)であってもよい、タンパク質をコードするポリヌクレオチドを含む少なくとも1つの発現ベクターで形質転換されている。
【0014】
1つの好ましい実施形態では、遺伝子操作宿主細胞は、ヒトrCol7またはその機能的変異体をコードする第1のポリヌクレオチドを含む発現ベクター、ヒトプロリル4-ヒドロキシラーゼのアルファポリペプチド(サブユニットA)をコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクター、およびヒトプロリル4-ヒドロキシラーゼのベータポリペプチド(サブユニットB)をコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターで形質転換されている。任意選択で、遺伝子操作宿主細胞は、ヒトrCol7またはその機能的変異体をコードする第2のポリヌクレオチドを含む発現ベクターでさらに形質転換されている。一部の例では、そのような遺伝子操作宿主細胞は、HSP47をコードするポリヌクレオチドを発現するベクターでさらに形質転換されている。
【0015】
一部の実施形態では、遺伝子操作宿主細胞は、rCol7またはその機能的変異体をコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターで形質転換されており、同じ発現ベクターは、ヒトプロリル4-ヒドロキシラーゼのアルファポリペプチド(サブユニットA)をコードするポリヌクレオチドおよびヒトプロリル4-ヒドロキシラーゼのベータポリペプチド(サブユニットB)をコードするポリヌクレオチドを含む。
【0016】
一部の実施形態では、遺伝子操作宿主細胞は、rCol7またはその機能的変異体をコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターで形質転換されており、同じ発現ベクターは、ヒトプロリル4-ヒドロキシラーゼのアルファポリペプチド(サブユニットA)をコードするポリヌクレオチドおよびヒトプロリル4-ヒドロキシラーゼのベータポリペプチド(サブユニットB)をコードするポリヌクレオチドおよびHSP47をコードするポリヌクレオチドを含む。
【0017】
一部の実施形態では、遺伝子操作宿主細胞は、哺乳動物細胞、例えば、ヒト、マウス、ラット、またはチャイニーズハムスター細胞(CHO)である。1つの好ましい実施形態では、細胞は、CHO細胞株に由来する哺乳動物細胞である。
【0018】
遺伝子操作宿主細胞は、無血清であるタンパク質産生条件下で培養してもよい。タンパク質産生条件は、栄養素および/または選択可能な作用剤などの1つまたは複数の作用剤を添加することを含んでいてもよい。
【0019】
本開示の別の態様では、コラーゲン7組成物を産生するための方法であって、(1)哺乳動物細胞に、rCol7またはその機能的変異体をコードする少なくとも1つの外因性ポリヌクレオチド、プロリル4-ヒドロキシラーゼのアルファポリペプチド(サブユニットA)をコードする外因性ポリヌクレオチド、およびプロリル4-ヒドロキシラーゼのベータポリペプチド(サブユニットB)をコードする外因性ポリヌクレオチドを導入する工程;(2)選択剤の存在下で成長させる場合に自らの生存を可能にするのに十分なレベルの選択可能なマーカーを発現する形質転換体を単離することにより、上記哺乳動物細胞の安定単クローン性形質転換体を選択する工程;(3)形質転換体を、rCol7またはその機能的変異体および他のポリペプチドの発現を可能にする成長条件下で培養して、タンパク質組成物を産生させる工程;ならびに(4)細胞培養培地を回収し、タンパク質組成物を精製する工程を含む方法が提供される。
【0020】
一部の実施形態では、この方法は、工程(1)の哺乳動物細胞に、HSP47をコードする外因性ポリヌクレオチドを導入する工程をさらに含む。
一部の実施形態では、成長条件は、無血清であり、栄養素および/または選択可能な作用剤などの、1つまたは複数の作用剤を添加することを含む。
【0021】
本開示の別の態様は、ヒトrCol7および/またはその機能的変異体を含むコラーゲン7組成物、ならびにコラーゲン7組成物および少なくとも1つの薬学的に許容される担体を含む医薬組成物またはそれらの製剤に関する。一部の実施形態では、医薬組成物または製剤は、それを必要とする対象への全身性投与に好適である。対象は、COL7A1遺伝子の欠乏を被っていてもよい。一部の例では、対象は、RDEBであると診断されていてもよい。
【0022】
一部の実施形態では、本産生系により産生されるコラーゲン7組成物は、配列番号1のポリペプチドを含む天然に存在するヒトコラーゲン7タンパク質、その機能的変異体、または天然に存在するコラーゲン7タンパク質およびその機能的変異体の組合せを含んでいてもよい。
【0023】
一部の実施形態では、本産生系、宿主細胞、および方法により産生されるコラーゲン7組成物を使用して、それを必要とする対象においてコラーゲン7を機能レベルまで回復させることができる。
【0024】
さらに別の態様では、本開示は、対象の皮膚状態の進行を予防、緩和、および阻害するための方法であって、rCol7および/またはその機能的変異体を含むコラーゲン7組成物を含む医薬組成物を対象に投与する工程を含む方法を提供する。一部の実施形態では、状態は、RDEBなど、COL7A1遺伝子の突然変異に関連付けられる皮膚状態である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】B1STBSTb細胞クローン第1ラウンド候補の培養6日目(32℃にて)の細胞のウエスタンブロットのゲル画像を示す図。
図2A】32℃における第2ラウンド選択の細胞クローンの培養6日目の細胞のウエスタンブロットのゲル画像を示す図。
図2B】37℃における第2ラウンド選択の細胞クローンの培養6日目の細胞のウエスタンブロットのゲル画像を示す図。
図3】32℃および37℃におけるB1STBSTbSTh2cp13およびB1STBSTbSTh2cp15細胞クローンの培養5日目の細胞のウエスタンブロットのゲル画像を示す図。
図4】同一性を確認するための、細胞クローンB1STBSTbcp03(マスター細胞バンク(MCB))に由来するrCol7のサザンブロット分析の代表的な画像を示す図。rCol7 MCB(レーン2)および未トランスフェクトCHO細胞(レーン3)に由来するゲノムDNAを、HindIII/XbaI酵素で消化し、rCol7コード配列ハイブリダイゼーションプローブを使用したサザンブロットにより分析した。ハイブリダイズバンドの予想サイズは8.9kbである。レーン1:HindIIIサイズマーカー。
図5】参照コラーゲン7(レーン2)およびMCB由来rCol7組成物(レーン3)のウエスタンブロット分析の画像を示す図。レーン1:分子量ラダー。
図6】参照コラーゲン7ならびに幾つかのMCB由来rCol7組成物中のY1033の画分パーセンテージに対するラミニン-332結合Kdのプロットを示す図。分析は、rCol7Y1033含有量に対するラミニン332結合応答に相関性が欠如していることを示す。
図7】参照コラーゲン7およびMCB由来rCol7組成物による、ケラチノサイトを使用した創傷治癒アッセイを示す図。分析にはBSA対照試料も含まれている。
図8】両クローンB1STBSTbSThcp13-cp01(13-01)およびB1STBSTbSThcp13-cp03(13-03)に存在するインタクトな導入遺伝子転写物を実証する図。転写物は、コラーゲン7のNC1およびTH3領域に特異的なプローブを使用してブロッティングした。
図9】クローンB1STBSTbSThcp13-cp01およびB1STBSTbSThcp13-cp03におけるコラーゲン7の細胞内染色を描写する図。
図10】細胞クローンB1STBSTbSThcp13-cp01およびB1STBSTbSThcp13-cp03のHCP定量化を実証する図。
図11】細胞クローンB1STBSTbSThcp13-cp01(レーン8)およびB1STBSTbSThcp13-cp03(レーン7)のSDS-PAGEによるrCol7組成同一性を実証する図。レーン1はMW標準物質であり、レーン2~6はアッセイ対照である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本開示の1つまたは複数の実施形態の詳細は、下記の添付の説明に記述されている。本明細書に記載のものと類似または等価な任意の物質および方法を本開示の実施または試験に使用することができるが、好ましい物質および方法がこれ以降に記載される。本開示の他の特徴、目的、および利点は、こうした説明から明白になるだろう。こうした説明では、単数形は、状況が明らかに別様に指示しない限り複数形も含む。別様の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本開示が属する当業者により一般的に理解されるものと同じ意味を有する。矛盾する場合、本説明が優先されるものとする。
【0027】
本開示は、コラーゲン7組成物を産生するための産生系、遺伝子操作宿主細胞、および方法に関する。コラーゲン7組成物は、ヒトrCol7および/またはその機能的変異体を含んでいてもよい。好ましくは、産生系は、ヒト組換えコラーゲン7(rCol7)および/またはその機能的変異体を発現するように遺伝的に操作された宿主細胞を含む。宿主細胞は、組換えコラーゲン7および/またはその機能的変異体をコードするポリヌクレオチドを含むように遺伝子改変されていてもよい。宿主細胞は、組換えコラーゲン7またはその機能的変異体をコードするポリヌクレオチドを含む1つまたは複数の発現ベクターで形質転換されていてもよい。本開示によると、宿主細胞は、宿主細胞でのrCol7発現を増加させることができる1つまたは複数のタンパク質を発現するようにさらに形質転換されている。そのようなタンパク質としては、プロリル4-ヒドロキシラーゼ、プロリダーゼ、シャペロンタンパク質、および/または熱ショックタンパク質、例えばHSP47を挙げることができる。
【0028】
本開示は、本開示の産生系および宿主細胞により産生することができる、rCol7(例えば、ヒトrCol7)およびその機能的変異体を含むコラーゲン7組成物を提供する。さらに、本開示のコラーゲン7組成物を含む医薬組成物および/または製剤が提供される。
【0029】
本開示は、コラーゲン7組成物を産生するための細胞発現系を生成するためのベクターおよび方法をさらに提供する。本開示の別の態様では、rCol7およびその機能的変異体を含む医薬組成物および/または製剤を用いて、それを必要とする対象の皮膚状態の進行を阻害、緩和、または予防するための方法が提供される。
【0030】
定義
便宜をはかるために、本明細書、例、および特許請求の範囲で使用されるある特定の用語がここに集められている。別様の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、当業者により一般的に理解されるものと同じ意味を有する。以下の用語および語句は、ここで定義されている意味を有することが意図されている。
【0031】
本明細書で使用される場合、「コラーゲン7」(C7、Col7、VII型コラーゲン、およびコラーゲンVIIとも呼ばれる)は、COL7A1遺伝子によりコードされる3つの同一のアルファ鎖ポリペプチドで構成されているコラーゲンタンパク質を指す。各アルファ鎖ポリペプチドは、大型グローバル(global)アミノ末端非コラーゲン性NC1ドメイン(残基17~1253)およびより小型カルボキシル末端非コラーゲン性NC2ドメイン(残基2784~2944)によりフランキングされている、中央コラーゲン性トリプルヘリックスセグメント(TH)(成熟ペプチドの残基1254~2783)を含む2,944個アミノ酸からなる。ヒトコラーゲン7の全長アルファ鎖ポリペプチドは、配列番号2(参照番号NM_000094)の核酸配列によりコードされる、配列番号1(参照番号NP_000085)のアミノ酸配列を含む。
【0032】
コラーゲン7は、係留細線維の主成分であり、皮膚、口腔粘膜、および子宮頸部を含む幾つかの組織の上皮と間葉層との界面にて付着複合体としての役目を果たす(チュンら(Chung et al.),Dermatol.Clin.,2010,28(1):93-105)。皮膚の係留細線維は、真皮-表皮基底膜帯(BMZ)の基底膜の下に位置し、表皮BMZと真皮との会合を確保し、皮膚の完全性に貢献する(バーキら(Varki et al.)J Med Genet 2007,44:181-192)。コラーゲン7タンパク質は、ジスルフィド結合で安定化された二量体凝集体の非ねじれ型アレイを形成する(ブルゲンソンら(Burgenson et al),Ann N Y Acad Sci.,1985,460:47-57)。「コラーゲン7」という用語は、本明細書で使用される場合、明示的な論述がない場合でさえ、その機能的変異体を包含することが留意されるべきである。
【0033】
本明細書で使用される場合、「ポリペプチド」という用語は、ペプチド結合を介して互いに連結されているアミノ酸の連続鎖を指す。この用語は、任意の長さのアミノ酸鎖を指すために使用されるが、当業者であれば、この用語が非常に長い鎖に限定されず、ペプチド結合を介して互いに連結されている2つのアミノ酸を含む最小鎖を指すことができることを理解するだろう。当業者に公知である通り、ポリペプチドは、プロセシングおよび/または修飾されていてもよい。「タンパク質」は、本明細書で使用される場合、別個の単位として機能する1つまたは複数のポリペプチドを指す。一部の状況では、「ポリペプチド」および「タンパク質」という用語は、同義的に使用することができる。「アミノ酸」という用語は、本明細書で使用される場合、タンパク質およびポリペプチド、またはそれらのアミノ酸の類似体もしくは誘導体の形成に通常使用される20個の天然に存在するアミノ酸のいずれかを指す。「組換えタンパク質」または「組換えポリペプチド」は、単離された核酸分子または組換え核酸分子を使用して発現されるタンパク質またはポリペプチド分子を指す。「単離された」タンパク質または核酸分子は、その自然環境から取り出されているタンパク質を指す。単離されたタンパク質または核酸分子は、目的のタンパク質または核酸分子が、重量比に基づき、少なくとも5%、10%、25%、30%、40%、50%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%純粋である場合、「少なくとも」ある程度純粋であり得る。
【0034】
本明細書で使用される場合、「変異体」または「機能的変異体」という用語は、野生型コラーゲン7の生物学的機能または活性を本質的に維持する野生型コラーゲン7タンパク質の任意の誘導体を意味する。
【0035】
コラーゲン7の機能的変異体としては、ヒト皮膚の表皮層と真皮層との間に係留細線維を形成する能力など、コラーゲン7の生物学的機能を維持するポリペプチドを挙げることができる。コラーゲン7変異体は、野生型コラーゲン7と実質的な同一性を有してもよい。コラーゲン7変異体としては、これらに限定されないが、野生型コラーゲン7に対して化学的に修飾されているか、および/または野生型コラーゲン7に対して1つもしくは複数のアミノ酸変更を含むかいずれでもよいコラーゲン7ポリペプチドが挙げられる。一部の実施形態では、コラーゲン7の変異体は、ヒトコラーゲン7(野生型)のアミノ酸配列と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一性を有するポリペプチドを含んでいてもよい。非限定的な例として、コラーゲン7変異体は、配列番号1のアミノ酸配列と、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一性を有するポリペプチドを含んでいてもよい。
【0036】
また、コラーゲン7タンパク質の変異体は、野生型コラーゲン7のアミノ酸配列(例えば、配列番号1)のアミノ酸修飾(例えば、欠失、付加、または保存的置換などの置換)および/またはアミノ酸残基の他の化学修飾を有するポリペプチドを含んでいてもよい。一部の実施形態では、コラーゲン7の変異体は、ヒトコラーゲン7と、約1~50アミノ酸残基、または約1~30アミノ酸残基、または約1~20アミノ酸残基、または約1~10アミノ酸残基が異なる。コラーゲン7の変異体は、ヒトコラーゲン7と、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、または50アミノ酸残基が異なっていてもよい。非限定的な例として、変異体は、配列番号1のアミノ酸配列と、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、または50アミノ酸残基が異なっていてもよい。「保存的アミノ酸置換」は、アミノ酸残基が、類似の側鎖を有するアミノ酸残基と置き換えられているものである。類似の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは、当技術分野で規定されている。こうしたファミリーとしては、塩基性側鎖(例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電極性側鎖(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、ベータ分岐側鎖(例えば、スレオニン、バリン、イソロイシン)、および芳香族側鎖(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を有するアミノ酸が挙げられる。アミノ酸残基の化学修飾としては、これらに限定されないが、グリコシル化、リン酸化、アミド化、ミリストイル化、ヒドロキシル化、ホスホパンテテイン付着、メチル化、およびプレニル化が挙げられる。
【0037】
また、本開示によると、コラーゲン7の機能的変異体は、コラーゲン7の「機能的断片」を含んでいてもよく、これは、全長タンパク質よりも短いポリペプチドであるが、ヒト皮膚の表皮層と真皮層の間に係留細線維を形成する能力、ならびにコラーゲン4およびラミニン-332に結合する能力など、その生物学的機能を維持するヒトコラーゲン7ポリペプチドの部分を指す。ヒトコラーゲン7の機能的断片は、コラーゲン7の2,944アミノ酸残基の全体を含んでいなくてもよい。例えば、機能的断片は、コラーゲン7のNC1ドメインおよび/またはNC2ドメインのすべてまたは部分を含んでいてもよく、例えば、機能的断片は、中央コラーゲン性ヘリックスドメインのすべてまたは部分を有していないコラーゲン7であってもよい。
【0038】
本明細書で使用される場合、「コラーゲン7組成物」という用語は、複数の組換えコラーゲン7アルファポリペプチド、複数のコラーゲン7等価ポリペプチド、またはそれらの複数の機能的変異体および断片を含む組成物を指す。その代わりに、コラーゲン7組成物は、複数の組換えコラーゲン7アルファポリペプチド、複数のコラーゲン7等価ポリペプチド、ならびにそれらの複数の機能的変異体および断片の混合物を含んでいてもよい。一部の例では、コラーゲン7組成物は、配列番号1のアミノ酸配列を有するコラーゲン7アルファポリペプチドを含む。コラーゲン7組成物は、rCol7および/またはその機能的変異体を発現するように遺伝子操作されている本発現系および宿主細胞により産生することができる。コラーゲン7組成物は、宿主細胞の培養培地から精製することができる。
【0039】
本明細書で使用される場合、「ポリヌクレオチド」および「核酸分子」という用語は同義的に使用され、5’炭素原子と3’炭素原子との間のホスホジエステル連結により互いに接合されているヌクレオチドのポリマーを指す。ポリヌクレオチドとしては、これらに限定されないが、RNA(リボ核酸分子)(例えば、mRNA)およびDNA(デオキシリボ核酸分子)(例えば、真核生物mRNAに由来するcDNA、真核生物(例えば、哺乳動物)DNAに由来するゲノムDNA配列、およびさらに合成DNA配列)を挙げることができる。また、この用語は、DNAまたはRNAの既知塩基類似体のいずれかを含む配列を捕捉する。「組換え」という用語は、核酸分子を説明するために本明細書で使用される場合、その由来または操作のため、(1)それが自然界で会合するポリヌクレオチドのすべてもしくは部分と会合しない、および/または(2)それが自然界で連結されているもの以外のポリヌクレオチドに連結されているゲノム、cDNA、半合成、または合成由来のポリヌクレオチドを意味する。「組換え」という用語は、タンパク質またはポリペプチドに関して使用される場合、組換えポリヌクレオチドの発現により産生されるポリペプチドを意味する。本開示によると、コラーゲン7をコードするポリヌクレオチドは、配列番号2の核酸配列を含んでいてもよい。配列は、コドン最適化核酸配列であってもよく、一実施形態では、このコドン最適化は、グリシン含有量を増加させる役目を果たしてもよい。
【0040】
「実質的に同一の」という用語は、例えば、下記に記載の方法を使用して最適にアラインした場合、第2の核酸またはアミノ酸配列と、少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%配列同一性を共有する核酸またはアミノ酸配列を指す。「実質的な同一性」は、全長配列、機能的ドメイン、コードおよび/または調節配列、エクソン、イントロン、プロモーター、およびゲノム配列などの、種々のタイプおよび長さの配列を指すために使用することができる。2つのポリペプチドまたは核酸配列の間の配列同一性パーセントは、例えば、BLAST(Basic Local Alignment Search Tool;(アルトシュル,S.F.、W.ギッシュら(Altschul,S.F.,W.Gish,et al.)J Mol Biol.,1990,215:403-10)、BLAST-2、BLAST-P、BLAST-N、BLAST-X、WU-BLAST-2、ALIGN、ALIGN-2、CLUSTAL、またはMegalign(DNASTAR)などの公的に利用可能なコンピューターソフトウェアを使用して、当技術分野の技術の範囲内にある種々の方法で決定される。加えて、当業者であれば、比較されている配列の長さにわたって最大のアラインメントを達成するために必要な任意のアルゴリズムを含む、アラインメントを測定するための適切なパラメーターを決定することができる。配列同一性を決定する目的でDNA配列をRNA配列と比較する場合、チミンヌクレオチドは、ウラシルヌクレオチドと等価であることが理解される。保存的置換としては、典型的には、以下の群のうちの1つでの置換が挙げられる:グリシン、アラニン;バリン、イソロイシン、ロイシン;アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン;セリン、スレオニン;リジン、アルギニン;およびフェニルアラニン、チロシン。
【0041】
ポリヌクレオチドは、約30~約200,000ヌクレオチド(例えば、30~50、30~100、30~250、30~500、30~1,000、30~1,500、30~3,000、30~5,000、30~7,000、30~10,000、30~25,000、30~50,000、30~70,000、100~250、100~500、100~1,000、100~1,500、100~3,000、100~5,000、100~7,000、100~10,000、100~25,000、100~50,000、100~70,000、100~100,000、500~1,000、500~1,500、500~2,000、500~3,000、500~5,000、500~7,000、500~10,000、500~25,000、500~50,000、500~70,000、500~100,000、1,000~1,500、1,000~2,000、1,000~3,000、1,000~5,000、1,000~7,000、1,000~10,000、1,000~25,000、1,000~50,000、1,000~70,000、1,000~100,000、1,500~3,000、1,500~5,000、1,500~7,000、1,500~10,000、1,500~25,000、1,500~50,000、1,500~70,000、1,500~100,000、2,000~3,000、2,000~5,000、2,000~7,000、2,000~10,000、2,000~25,000、2,000~50,000、2,000~70,000、2,000~100,000、5,000~15,000、および5,000~20,000ヌクレオチド)を含んでいてもよい。
【0042】
ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、化学的に修飾されていてもよい。本明細書で使用される場合、「修飾」という用語は、ヌクレオシド塩基の任意の化学的修飾を含むことができる。ポリヌクレオチドは、少なくとも1つの化学的に修飾されたヌクレオシド、シチジン修飾、グアノシン修飾、および/またはチミジン修飾を含んでいてもよい。ポリヌクレオチドは、2、3、4、5、6、7、8、9、10個、またはそれよりも多くの化学的に修飾されたヌクレオシドを含んでいてもよい。
【0043】
本明細書で使用される場合、「ベクター」という用語は、別の核酸分子、例えば組換えコラーゲン7またはその機能的変異体をコードするポリヌクレオチドを運搬することが可能な、ウイルス性または非ウイルス性の、原核生物性または真核生物性のデオキシリボ核酸、リボ核酸、または核酸類似体を意味する。ベクターは、核酸分子のすべてまたは部分が転写または発現されるように「宿主細胞」と呼ばれる細胞内へと核酸分子を運搬することができる。ベクターは、様々なウイルス、細菌、または哺乳動物遺伝子に由来するエレメントの複合体としてアセンブリされることが多い。ベクターは、選択可能なマーカー(例えば、抗生物質耐性遺伝子)をコードする配列、細菌での増殖を促進する配列、またはある特定の細胞タイプでのみ発現する1つもしくは複数の転写ユニットなど、種々のコードおよび非コード配列を含む。例えば、哺乳動物発現ベクターは、細菌でのベクターの増殖を促進する原核生物配列、および真核細胞でのみ発現される1つまたは複数の真核生物転写ユニットを両方とも含むことが多い。当業者であれば、発現ベクターの設計は、形質転換しようとする宿主細胞の選択、所望のタンパク質の発現レベルなどの要因に依存する場合があることを理解するだろう。また、本明細書で使用するために好適なベクターは、宿主細胞が特定の条件下で成長および生存するために必要な産物をコードし、ベクターが導入されている宿主細胞の選択を支援する選択可能なマーカー遺伝子を含んでいてもよい。典型的な選択遺伝子としては、これらに限定されないが、抗生物質、薬物、または毒素(例えば、テトラサイクリン、アンピシリン、ネオマイシン、ハイグロマイシンなど)に対する耐性を付与するタンパク質をコードする遺伝子を挙げることができる。発現ベクターは、細菌プラスミド、バクテリオファージ、酵母プラスミド、植物ウイルス、またはアデノウイルス、レトロウイルスなどの哺乳動物細胞ウイルス、または当技術分野で公知の任意の他のビヒクルであってもよい。適切なベクターとしては、例えば、プラスミド、ファージミド、コスミド、およびウイルスベクターが挙げられる。
【0044】
当業者に公知である標準的な方法を使用して、本明細書に記載の核酸配列を含む組換え発現ベクターを構築することができる。そうした方法としては、これらに限定されないが、in vitro組換え技法、合成技法、およびin vivo組換え/遺伝子組換えが挙げられる。方法の選択は、特定のヌクレオチド断片の性質に依存し、当業者であれば決定することができる。
【0045】
本明細書で使用される場合、「形質転換された」および「トランスフェクトされた」という用語は、当技術分野で公知である多数の技法による細胞内への核酸(例えば、ベクター)の導入を包含する。形質転換およびトランスフェクション技法としては、これらに限定されないが、リン酸カルシウムまたは塩化カルシウム共沈法、DEAE-デキストラン媒介性トランスフェクション、リポフェクタミン、エレクトロポレーション、マイクロインジェクション、およびウイルス媒介性トランスフェクションが挙げられる。当業者であれば、宿主細胞/ベクターの組合せに基づき、好適な形質転換およびトランスフェクション法の知識を有するであろう。組換えタンパク質の長期高収率産生のためには、組換えタンパク質の安定発現が好ましい場合がある。組換えタンパク質を安定的に発現する宿主細胞を遺伝子操作することができる。一部の例では、「スーパートランスフェクション」という用語は、2、3、4、5つ、またはそれよりも多くの外因性ポリヌクレオチドおよびベクターなどの、複数の外因性ポリヌクレオチドおよびベクターによる細胞トランスフェクションを指すために使用される。
【0046】
本明細書で使用される場合、「宿主細胞」という用語は、発現ベクターによりコードされるタンパク質などの外因性タンパク質を発現することが可能な任意の生細胞を指す。宿主細胞は、組換え発現ベクターを導入することができる原核細胞または真核細胞であってもよい。「宿主細胞」という用語は、特定の対象細胞だけでなく、特定の対象細胞の子孫または潜在的子孫も指す。突然変異または環境影響のいずれかのため、ある特定の修飾が後の世代で生じる可能性があるため、そのような子孫は、実際には親細胞と同一ではない可能性があるが、本明細書で使用される場合は、依然としてこの用語の範囲内に含まれる。例示的な宿主細胞は、酵母、真菌、昆虫、または哺乳動物系に由来してもよいが、この選択に限定されない。好適な宿主細胞としては、これらに限定されないが、線維芽細胞、ケラチノサイト、CHO、HEK293、C127、VERO、BHK、HeLa、COS、MDCKなどを含む、初代または形質転換細胞株を挙げることができる。他の好適な宿主細胞が当業者に公知である。宿主細胞は、ベクターに含まれるコード配列を含む形質転換核酸配列の発現をモジュレートすることができてもよく、ベクター配列にコードされている遺伝子産物を特定の様式で修飾およびプロセシングすることができてもよい。タンパク質産物のグリコシル化、リン酸化、およびプロセシングを含むがそれらに限定されない修飾は、タンパク質の機能にとって重要になり得る。
【0047】
本明細書で使用される場合、「産生系」または「発現系」という用語は、目的のポリペプチドまたはタンパク質を産生することができる系を指す。産生系は、目的のポリペプチドまたはタンパク質、例えばコラーゲン7を発現することができる細胞を含んでいてもよい。本開示の状況では、産生系は、rCol7および/またはその機能的変異体を発現するように遺伝子操作されている宿主細胞を含む。産生系は、rCol7および/またはその機能的変異体を発現するように遺伝子操作されている宿主細胞の成長に好適なリアクターをさらに備えていてもよい。本明細書で使用される産生リアクターは、目的のポリペプチドまたはタンパク質、つまりrCol7の産生に使用される最終バイオリアクターを指す。リアクターは任意のサイズであってもよい。非限定的な例として、リアクターは、少なくとも500mL、少なくとも1リットルであってもよく、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、200、250、300、350、400、450、500、600、700、800、900、1,000、2,500、3,000、4,000、5,000、6,000、7,000、8,000、9,000、10,000リットル、もしくはそれよりも多くの容積、またはその間の任意の容積であってもよい。ラージスケール細胞培養産生リアクターの容積は、典型的には、少なくとも20リットル、もしくは少なくとも50リットル、もしくは少なくとも100リットル、もしくは少なくとも200リットル、もしくは少なくとも300リットル、もしくは少なくとも400リットル、もしくは少なくとも500リットルであり、あるいは1000、2500、3,000、4,000、5000、6,000、7,000、8,000、10,000、12,000リットル、もしくはそれよりも多く容積、またはその間の任意の容積であってもよい。リアクターは、ガラス、プラスチック、または金属を含む、培地に懸濁されている細胞培養物を本開示の培養条件下で保持するのに好適な任意の材料で構成されていてもよい。生産リアクターの条件は、典型的には、細胞密度および生存率を確保するために、細胞培養期間中に制御される。そうした条件としては、これらに限定されないが、pH、温度、湿度、およびCO2供給が挙げられる。本明細書で使用される場合、「細胞密度」という用語は、所与の容積の培地中に存在する細胞の数を指す。「細胞生存率」という用語は、本明細書で使用される場合、培養中の細胞が、所与のセットの培養条件下または実験的変動下で生存する能力を指す。また、この用語は、本明細書で使用される場合、その時点における培養中の細胞(生または死)の総数に対する、特定の時点で生存している細胞の割合を指す。
【0048】
本明細書で使用される場合、「バイオリアクター」という用語は、コラーゲン7組成物を発現するように宿主細胞を培養するためのリアクターを指すために使用される。バイオリアクターは、従来の使い捨てではないリアクターであってもよく、または使い捨てバイオリアクターであってもよい。
【0049】
本明細書で使用される場合、治療しようとする「患者」または「対象」は、ヒトまたは非ヒト哺乳動物のいずれを意味してもよい。本開示の状況では、「患者」または「対象」という用語は、表皮水疱症(例えば、栄養障害型表皮水疱症)などの皮膚障害を罹患している任意の対象、好ましくは哺乳動物、より好ましくはヒトを指す。
【0050】
本明細書で使用される場合、「疾患」または「障害」という用語は、自己免疫欠陥、遺伝的欠陥、または環境ストレスなどの種々の原因に起因し、兆候または症状の識別可能な群により特徴付けられる、生物の一部、器官、または系の病的状態を指す。「皮膚疾患」または「皮膚障害」は、対象の皮膚に影響を及ぼす状態、例えば、水ぶくれ障害、炎症性皮膚状態、または皮膚がんなどの皮膚の臨床状態を意味する。水ぶくれ(水疱形成)障害は、主に皮膚および粘膜に存在する、盛り上がっており液体で満たされている水疱形成性病変(水ぶくれ)により特徴付けられる不均質な障害の群である。水ぶくれはサイズが様々であってもよく、水疱形成疾患の特定の症状および重症度は、同じ障害を有する個体間でさえ、個人により様々である。例示的な水疱形成障害としては、これらに限定されないが、後天性表皮水疱症(EBA)および栄養障害型EBなどの先天性表皮水疱症(EB)が挙げられる。EBとしては、遺伝的欠陥に起因する皮膚および粘膜における水疱を引き起こす遺伝性結合組織疾患の群が挙げられる。栄養障害型表皮水疱症(DEB)は、主に、コラーゲン7タンパク質をコードするCOL7A1遺伝子内の突然変異により引き起こされる。現在まで、COL7A1には約400個の突然変異が報告されている(ファンデンアッカーら(van den Akker et al.),Hum Mutat.2011,32(10):1100-1107)。DEBは、2つの遺伝型パターン:常染色体優性(DDEB)および常染色体劣性(RDEB)を有する。DDEBは、一般に、コラーゲンアルファ(VII)鎖のコラーゲン性ドメイン内のグリシン置換により引き起こされるコラーゲン7発現の低下を伴う。RDEBは、通常は重度であり、主にCOL7A1遺伝子の早期終止コドン(PTC)のためコラーゲン7発現が存在しないことまたは著しく低減されることにより引き起こされる。
【0051】
本明細書で使用される場合、患者を「治療すること」または「治療」または「治療する」は、疾患の少なくとも1つの症状が反転、治癒、緩和、または減少するように、医薬組成物を対象に投与することを指す。対象のEB、例えばDEB(DDEBおよびRREB)を「治療すること」、またはEBの治療、またはEBを治療するは、EBを有する対象に、EB疾患の少なくとも1つの症状が反転、治癒、緩和、または減少するように、医薬組成物、例えばrCol7およびその機能的変異体を含むコラーゲン7組成物を投与することを指す。治療の標的となり得るEB疾患の症状としては、これらに限定されないが、水疱形成;病変(例えば、直腸、肛門、尿道病変、および/または粘膜病変、および/または扁平上皮組織の病変);胃腸管の病変;拘縮、例えば屈曲拘縮(例えば、四肢の);手または足の偽性合指症(pseudosyndactyly);癌腫(例えば、扁平上皮癌);水ぶくれ形成;爪および/または歯の奇形;食道狭窄;眼障害、貧血、栄養失調;二次皮膚感染症;敗血症;嗄声;尿道狭窄;包茎;角膜瘢痕;吸収不良;ならびに発育障害を挙げることができる。
【0052】
本明細書で使用される場合、「予防すること」または「予防する」または「予防」という用語は、例えば、望ましくない状態(例えば、宿主動物の疾患または他の望ましくない状態)が臨床的に顕在化する前に、望ましくない状態の発症から、例えば疾患の少なくとも1つの症状から宿主が保護されるように、組成物を投与することを意味する。疾患を「予防すること」は、「予防措置」または「予防措置的治療」と呼ばれる場合もある。本開示の状況では、EBに関連付けられる1つまたは複数の症状、例えば瘢痕を予防することができる。EBを有する対象の瘢痕は、以下の症状:拘縮、例えば屈曲拘縮(例えば、四肢の);手または足の偽性合指症;癌腫(例えば、扁平上皮癌);直腸病変;粘膜病変;水ぶくれ形成;手外傷後の水ぶくれ形成;爪または歯の奇形;食道狭窄;眼障害、貧血、栄養失調;二次皮膚感染症;敗血症;嗄声;尿道狭窄;包茎;角膜瘢痕;吸収不良;および発育障害の1つまたは複数をもたらす場合がある。
【0053】
本明細書で使用される場合、「治療有効量」という用語は、所望の治療結果を達成するために必要な投薬量および期間において効果的な量を指す。組成物の治療有効量は、病状、または対象の年齢、性別、および体重などの要因に応じて様々であってもよい。また、治療有効量は、治療有益効果が、組成物の任意の毒性または有害効果を上回る量である。本開示の状況では、有効量のrCol7は、任意の規定治療レジメンの一部として投与されると、合併症に関連付けられる少なくとも1つの臨床パラメーターにより明らかにされるような、統計的に測定可能な結果の向上をもたらす。
【0054】
本開示の組成物は、別の作用剤または療法と組み合わせて投与することができる。本明細書で使用される場合、「組合せ」という用語は、同じ患者を治療するための2つまたはそれよりも多くの作用剤または療法の使用であって、作用剤または療法の使用または作用は時間的に重複する、使用を指す。本開示の状況では、rCol7またはその機能的変異体を含む医薬組成物は、DEBなどの皮膚障害を予防および治療する1つまたは複数の作用剤と組み合わせて使用することができる。作用剤または療法は、同時に(例えば、患者に投与される単一の製剤として、または同時的に投与される2つの別々の製剤として)、または任意の順序で連続して投与することができる。一部の実施形態では、1つの作用剤または療法の送達は、第2の送達が始まる時点で依然として生じている最中であり、投与の点で重複が存在する。これは、本明細書では「同時」または「同時的送達」と呼ばれることもある。他の実施形態では、一方の作用剤または療法の送達は、他方の送達が始まる前に終了する。いずれかの場合の一部の実施形態では、治療は、併用投与のため、より効果的である。例えば、第2の治療はより効果的であり、例えば、より少ない第2の治療で等価な効果が見られるか、または第2の治療は、第2の治療が第1の治療の非存在下で投与された場合に見られるものまたは類似の状況が第1の治療で見られるものよりも症状を大幅に低減する。一部の実施形態では、送達は、症状の低減、または障害に関する他のパラメーターが、他方の非存在下で送達された一方の治療で観察されるものよりも大きい。2つの治療の効果は、部分的に相加的であってもよく、完全に相加的であってもよく、または相加的であることを上回ってもよい。送達は、送達された第1の治療の効果が、第2の治療が送達される際に依然として検出可能であってもよい。
【0055】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される」という用語は、製剤の他の成分と適合性であり、そのレシピエントに有害ではないことを指す。
コラーゲン7組成物を産生するための産生系および方法
本開示の一態様では、ヒトrCol7および/またはその機能的変異体を含むコラーゲン7組成物を調製するための産生系であって、ヒトrCol7および/またはその機能的変異体を発現するための宿主細胞を含む産生系が提供される。宿主細胞は、rCol7を発現するように遺伝子改変されており、一部の実施形態では、宿主細胞でのrCol7発現を増加させることができる少なくとも1つのタンパク質を発現するようにさらに遺伝的に操作されている。タンパク質としては、これらに限定されないが、以下のものが挙げられる:プロリダーゼ(ペプチダーゼD、プロリンジペプチダーゼ、およびL-プロリンヒドロラーゼ、PEPDとしても知られている)またはその機能的変異体、プロリル4-ヒドロキシラーゼ(プロコラーゲン-プロリン、および2-オキソグルタル酸4-ジオキシゲナーゼ、P4H)またはその機能的変異体、C1GALT1特異的シャペロン1(コア1ベータ3-ガラクトシルトランスフェラーゼ特異的分子シャペロン、ベータ1,3-ガラクトシルトランスフェラーゼ2、およびCOSMCとしても知られる)またはその機能的変異体、リシルヒドロキシラーゼ(LH)またはその機能的変異体、グリコシルトランスフェラーゼ(GTF)またはその機能的変異体、および熱ショックタンパク質またはその機能的変異体(例えば、HSP47)。好ましくは、宿主細胞におけるrCol7の発現を増加させるために使用されるタンパク質は、ヒトプロリル4-ヒドロキシラーゼのアルファポリペプチド(サブユニットA)(例えば、hP4HA1)またはその機能的変異体およびヒトプロリル4-ヒドロキシラーゼのベータポリペプチド(サブユニットB)(つまりhP4HB)またはその機能的変異体を含む、ヒトプロリル4-ヒドロキシラーゼ(hP4H)、ならびにHSP47またはその機能的変異体である。
【0056】
一部の実施形態では、本産生系の宿主細胞は、rCol7アルファ鎖ポリペプチド、およびプロリダーゼ(PEPD)、プロリル4-ヒドロキシラーゼ(P4H)、リシルヒドロキシラーゼ(LH)、グリコシルトランスフェラーゼ(GTF)、C1GALT1特異的シャペロン1(COSMC)、またはヘッドショックタンパク質(head shock protein)HSP47、またはそれらの機能的変異体から選択される、宿主細胞においてrCol7発現を増加させることができる、少なくとも1つのタンパク質を発現するように形質転換またはトランスフェクトされている。好ましくは、宿主細胞は、ヒトプロリル4-ヒドロキシラーゼのアルファポリペプチド(サブユニットA)(例えば、hP4HA1)およびヒトプロリル4-ヒドロキシラーゼのベータポリペプチド(サブユニットB)(つまり、hP4HB)を含むヒトP4H、ならびに/またはHSP47で形質転換されている。
【0057】
一部の実施形態では、本産生系の宿主細胞は、ヒトrCol7および/またはその機能的変異体を産生するように遺伝的に操作されている。ヒトrCol7は、配列番号1により表されるアミノ酸配列を含んでいてもよい。また、rCol7は、配列番号1のアミノ酸配列と、少なくとも約75%、または少なくとも約80%、または少なくとも約85%、または少なくとも約90%、または少なくとも約91%、または少なくとも約92%、または少なくとも約93%、または少なくとも約94%、または少なくとも約95%、または少なくとも約96%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%同一であるアミノ酸配列を有してもよい。ヒトコラーゲン7の機能的変異体は、配列番号1として示されている配列と、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20個、またはそれよりも多くのアミノ酸差異を有してもよい。ヒトコラーゲン7の機能的変異体は、配列番号1のアミノ酸配列の部分を有する断片を含んでいてもよい。
【0058】
一部の実施形態では、rCol7は、配列番号2により表される核酸配列を含むポリヌクレオチドによりコードされていてもよい。一部の実施形態では、rCol7またはその機能的変異体をコードするポリヌクレオチドは、配列番号2の核酸配列と、少なくとも約75%、または少なくとも約80%、または少なくとも約85%、または少なくとも約90%、または少なくとも約91%、または少なくとも約92%、または少なくとも約93%、または少なくとも約94%、または少なくとも約95%、または少なくとも約96%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%同一である核酸配列を含んでいてもよい。
【0059】
一部の実施形態では、本産生系の宿主細胞は、プロリダーゼ(PEPD)をさらに発現するように遺伝的に操作されていてもよい。プロリダーゼは、C末端プロリン残基またはヒドロキシプロリン残基を有するジペプチドまたはトリペプチドを加水分解することができる、PEPD遺伝子によりコードされる細胞質イミドジペプチダーゼである。この酵素は、コラーゲンおよび他のプロリン含有タンパク質の再合成のために、主にコラーゲンの分解産物に由来するイミドジペプチドからプロリンを再利用することにおいて重要な役割を果たす。この酵素は、一部の宿主細胞において組換えコラーゲンタンパク質の合成を促進することができる。一部の実施形態では、本産生系の宿主細胞は、プロリダーゼまたはその機能的変異体を発現するように改変されていてもよい。プロリダーゼは、哺乳動物プロリダーゼまたはその機能的変異体、例えば、ヒトプロリダーゼ、マウスプロリダーゼ、ラットプロリダーゼ、またはハムスタープロリダーゼであってもよい。非限定的な例として、プロリダーゼは、配列番号3のアミノ酸配列を含むヒトプロリダーゼである。プロリダーゼの機能的変異体は、配列番号3のアミノ酸配列と、少なくとも約75%、または少なくとも約80%、または少なくとも約85%、または少なくとも約90%、または少なくとも約91%、または少なくとも約92%、または少なくとも約93%、または少なくとも約94%、または少なくとも約95%、または少なくとも約96%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%同一であるアミノ酸配列を有してもよい。
【0060】
一部の実施形態では、プロリダーゼは、配列番号4により表される核酸配列を含むポリヌクレオチドによりコードされていてもよい。プロリダーゼまたはその機能的変異体をコードするポリヌクレオチドは、配列番号4の核酸配列と、少なくとも約75%、または少なくとも約80%、または少なくとも約85%、または少なくとも約90%、または少なくとも約91%、または少なくとも約92%、または少なくとも約93%、または少なくとも約94%、または少なくとも約95%、または少なくとも約96%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%同一である核酸配列を含んでいてもよい。
【0061】
一部の実施形態では、本産生系の宿主細胞は、プロリル4-ヒドロキシラーゼ(P4H)をさらに発現するように遺伝的に操作されていてもよい。プロリル4-ヒドロキシラーゼは、プロコラーゲンを成熟コラーゲンタンパク質へとプロセシングするための重要な工程である、プレプロコラーゲンのプロリル残基のヒドロキシル化に関与する酵素である。一部の実施形態では、本産生系の宿主細胞は、プロリル4-ヒドロキシラーゼまたはその機能的変異体を発現するように改変されていてもよい。プロリル4-ヒドロキシラーゼは、哺乳動物プロリル4-ヒドロキシラーゼまたはその機能的変異体、例えば、ヒトプロリル4-ヒドロキシラーゼ、マウスプロリル4-ヒドロキシラーゼ、ラットプロリル4-ヒドロキシラーゼ、またはハムスタープロリル4-ヒドロキシラーゼであってもよい。
【0062】
哺乳動物プロリル4-ヒドロキシラーゼは、2つの同一のアルファ(α)ポリペプチド(サブユニットA)および2つのベータ(β)ポリペプチド(サブユニットB)で構成されているα2β2テトラマーである。アルファポリペプチド(P4HαまたはP4HA)は、ペプチド-基質結合ドメインおよび酵素活性部位を含む。アルファポリペプチドは、アルファポリペプチドI(アルファ-1、P4Hα(I)、サブユニットA1、もしくはP4HA1)もしくはそのアイソフォーム、アルファポリペプチドII(アルファ-2、P4Hα(II)、サブユニットA2、もしくはP4HA2)もしくはそのアイソフォーム、またはアルファポリペプチドIII(アルファ-3、P4Hα(III)、サブユニットA3、もしくはP4HA3)もしくはそのアイソフォームであってもよい。
【0063】
一部の実施形態では、本産生系の宿主細胞は、2つのアルファポリペプチド(サブユニットA)および2つのベータポリペプチド(サブユニットB)またはそれらの機能的変異体を含むヒトプロリル4-ヒドロキシラーゼを発現するように遺伝子操作されている。ヒトプロリル4-ヒドロキシラーゼのアルファポリペプチドは、アルファポリペプチド1、アルファポリペプチド2、もしくはアルファポリペプチド3、またはそれらのアイソフォームもしくは機能的変異体であってもよい。アルファポリペプチド1(アルファ-1)は、配列番号5、7、および9からなる群から選択されるアミノ酸配列を含んでいてもよい。アルファポリペプチド2(アルファ-2)は、配列番号11および13からなる群から選択されるアミノ酸配列を含んでいてもよい。アルファポリペプチド3(アルファ-3)は、配列番号15および17からなる群から選択されるアミノ酸配列を含んでいてもよい。ベータポリペプチドは、配列番号19のアミノ酸配列を含んでいてもよい。一部の実施形態では、アルファポリペプチド1は、配列番号6、8、および10からなる群から選択される核酸配列を含むポリヌクレオチドによりコードされていてもよい。アルファポリペプチド2は、配列番号12および14からなる群から選択される核酸配列を含むポリヌクレオチドによりコードされていてもよい。アルファポリペプチド3は、配列番号16および18からなる群から選択される核酸配列を含むポリヌクレオチドによりコードされていてもよい。ベータポリペプチドは、配列番号20により表される核酸配列を含むポリヌクレオチドによりコードされていてもよい。
【0064】
プロリル4-ヒドロキシラーゼのアルファ-1ポリペプチド(サブユニットA1)の機能的変異体は、配列番号5、7、および9として与えられているアミノ酸配列のいずれかと、少なくとも約75%、または少なくとも約80%、または少なくとも約85%、または少なくとも約90%、または少なくとも約91%、または少なくとも約92%、または少なくとも約93%、または少なくとも約94%、または少なくとも約95%、または少なくとも約96%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%同一であるアミノ酸配列を有してもよい。プロリル4-ヒドロキシラーゼのベータポリペプチド(サブユニットB)の機能的変異体は、配列番号19のアミノ酸配列と少なくとも約75%、または少なくとも約80%、または少なくとも約85%、または少なくとも約90%、または少なくとも約91%、または少なくとも約92%、または少なくとも約93%、または少なくとも約94%、または少なくとも約95%、または少なくとも約96%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%同一であるアミノ酸配列を有してもよい。
【0065】
非限定的な例として、本産生系の宿主細胞は、各々が配列番号5、7、および9からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む2つのアルファ-1ポリペプチド(サブユニットA1)ならびに各々が配列番号19のアミノ酸配列を含む2つのベータポリペプチド(サブユニットB)からなるヒトプロリル4-ヒドロキシラーゼを発現するように遺伝子操作されている。
【0066】
一部の実施形態では、プロリル4-ヒドロキシラーゼのアルファ-1ポリペプチド(サブユニットA1)は、配列番号6、8、および10からなる群から選択される核酸配列を含むポリヌクレオチドによりコードされていてもよい。一部の実施形態では、アルファ-1ポリペプチドまたはその機能的変異体をコードするポリヌクレオチドは、配列番号6、8、または10として与えられている核酸配列のいずれかと、少なくとも約75%、または少なくとも約80%、または少なくとも約85%、または少なくとも約90%、または少なくとも約91%、または少なくとも約92%、または少なくとも約93%、または少なくとも約94%、または少なくとも約95%、または少なくとも約96%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%同一である核酸配列を含んでいてもよい。一部の実施形態では、プロリル4-ヒドロキシラーゼのベータポリペプチド(サブユニットB)は、配列番号20により表される核酸配列を含むポリヌクレオチドによりコードされていてもよい。一部の実施形態では、ベータポリペプチドまたはその機能的変異体をコードするポリヌクレオチドは、配列番号20の核酸配列と、少なくとも約75%、または少なくとも約80%、または少なくとも約85%、または少なくとも約90%、または少なくとも約91%、または少なくとも約92%、または少なくとも約93%、または少なくとも約94%、または少なくとも約95%、または少なくとも約96%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%同一である核酸配列を含んでいてもよい。
【0067】
C1GALT1特異的シャペロン1(COMSC)は、コラーゲンのフォールディング、安定性、および活性のための分子シャペロンとして作用する。一部の実施形態では、本産生系の宿主細胞は、C1GALT1特異的シャペロン1またはその機能的変異体を発現するように改変されていてもよい。C1GALT1特異的シャペロン1は、これらに限定されないが、ヒト、マウス、ラット、またはハムスターなどの哺乳動物由来のものであってもよい。非限定的な例として、宿主細胞は、配列番号21のアミノ酸配列を含むヒトC1GALT1特異的シャペロン1を発現するように改変されている。C1GALT1特異的シャペロン1の機能的変異体は、配列番号21のアミノ酸配列と、少なくとも約75%、または少なくとも約80%、または少なくとも約85%、または少なくとも約90%、または少なくとも約91%、または少なくとも約92%、または少なくとも約93%、または少なくとも約94%、または少なくとも約95%、または少なくとも約96%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%同一であるアミノ酸配列を有してもよい。
【0068】
一部の実施形態では、C1GALT1特異的シャペロン1ポリペプチドは、配列番号22により表される核酸配列を含むポリヌクレオチドによりコードされていてもよい。一部の実施形態では、C1GALT1特異的シャペロン1ポリペプチドまたはその機能的変異体をコードするポリヌクレオチドは、配列番号22の核酸配列と、少なくとも約75%、または少なくとも約80%、または少なくとも約85%、または少なくとも約90%、または少なくとも約91%、または少なくとも約92%、または少なくとも約93%、または少なくとも約94%、または少なくとも約95%、または少なくとも約96%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%同一である核酸配列を含んでいてもよい。
【0069】
熱ショックタンパク質47(別名セルピンH1、およびcolligin)は、コラーゲンタンパク質のフォールディング、アセンブリ、および細胞内輸送を容易にするためにコラーゲン性ペプチドと特異的に結合する、独特なコラーゲン特異的分子シャペロンである(ナガタら(Nagata et al.),Trends Biochem Sci.,1996,21:22-26により概説されている)。一部の実施形態では、本産生系の宿主細胞は、HSP47またはその機能的変異体を発現するように改変されていてもよい。HSP47は、これらに限定されないが、ヒト、マウス、ラット、またはハムスターなどの哺乳動物由来のものであってもよい。非限定的な例として、宿主細胞は、配列番号23のアミノ酸配列を含むヒトHSP47を発現するように改変されている。HSP47の機能的変異体は、配列番号23のアミノ酸配列と、少なくとも約75%、または少なくとも約80%、または少なくとも約85%、または少なくとも約90%、または少なくとも約91%、または少なくとも約92%、または少なくとも約93%、または少なくとも約94%、または少なくとも約95%、または少なくとも約96%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%同一であるアミノ酸配列を有してもよい。
【0070】
一部の実施形態では、HSP47ポリペプチドは、配列番号24により表される核酸配列を含むポリヌクレオチドによりコードされていてもよい。一部の実施形態では、HSP47またはその機能的変異体をコードするポリヌクレオチドは、配列番号24の核酸配列と、少なくとも約75%、または少なくとも約80%、または少なくとも約85%、または少なくとも約90%、または少なくとも約91%、または少なくとも約92%、または少なくとも約93%、または少なくとも約94%、または少なくとも約95%、または少なくとも約96%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%同一である核酸配列を含んでいてもよい。上述の配列は、下記の表1に要約されている。
【0071】
【表1】
【0072】
一部の実施形態では、本産生系の宿主細胞は、ヒトrCol7、ならびにrCol7の発現を増加させることができるhP4Hのアルファおよびベータポリペプチドを発現するように改変されており、アルファポリペプチド(P4HA)は、アルファポリペプチドI、アルファポリペプチドII、もしくはアルファポリペプチドIII、またはそれらのアイソフォームであってもよい。
【0073】
一部の実施形態では、本産生系の宿主細胞は、ヒトrCol7、hP4Hのアルファおよびベータポリペプチド、ならびにヒトHSP47を発現するように改変されている。
一部の実施形態では、本産生系の宿主細胞は、rCol7をコードする少なくとも1つの第1の外因性ポリペプチド、および宿主細胞においてrCol7の発現を増加させることができるタンパク質をコードする少なくとも1つの外因性ポリペプチドを含むように遺伝子改変されており、そうしたタンパク質としては、これらに限定されないが、プロリダーゼ、アルファポリペプチド(サブユニットA)およびベータポリペプチド(サブユニットB)を含むプロリル4-ヒドロキシラーゼ、リシルヒドロキシラーゼ、グリコシルトランスフェラーゼ、C1GALT1特異的シャペロン1、ヘッドショックタンパク質、例えば、HSP47、ならびにそれらの機能的変異体を挙げることができる。任意選択で、宿主細胞は、rCol7またはその機能的変異体をコードする第2の外因性ポリヌクレオチドを含むようにさらに改変されていてもよい。
【0074】
一部の実施形態では、rCol7またはその機能的変異体をコードする外因性ポリヌクレオチドは、コドン最適化などの少なくとも1つの修飾を含んでいてもよい。一部の実施形態では、rCol7をコードする外因性ポリヌクレオチドは、配列中に最適化されたグリシンコドンを含んでいてもよい。
【0075】
1つの好ましい実施形態では、産生系の宿主細胞は、ヒトrCol7をコードする少なくとも1つの第1の外因性ポリヌクレオチド、ヒトプロリル4-ヒドロキシラーゼのアルファポリペプチド(サブユニットA)をコードする外因性ポリヌクレオチド、およびヒトプロリル4-ヒドロキシラーゼのベータポリペプチド(サブユニットB)をコードする外因性ポリヌクレオチドを含むように遺伝的に操作されている。アルファポリペプチドは、アルファポリペプチドI(アルファ-1/サブユニットA1)もしくはそのアイソフォーム、またはアルファポリペプチドII(アルファ-2、サブユニットA2)もしくはそのアイソフォーム、アルファポリペプチドIII(アルファ-3、サブユニットA3)もしくはそのアイソフォームであってもよい。1つの好ましい例では、アルファポリペプチドは、アルファポリペプチドI(アルファ-1/サブユニットA1)またはそのアイソフォームもしくは機能的変異体である。
【0076】
一部の実施形態では、産生系の宿主細胞は、ヒトrCol7をコードする少なくとも1つの第1の外因性ポリヌクレオチド、ヒトプロリル4-ヒドロキシラーゼのアルファポリペプチド(サブユニットA)をコードする外因性ポリヌクレオチド、およびヒトプロリル4-ヒドロキシラーゼのベータポリペプチドをコードする(サブユニットB)外因性ポリヌクレオチド、ならびにHSP47をコードする外因性ポリヌクレオチドを含むように遺伝的に操作されている。
【0077】
任意選択で、宿主細胞は、rCol7またはその機能的変異体をコードする第2の外因性ポリヌクレオチドをさらに含んでいてもよい。一部の例では、rCol7をコードする第1のポリヌクレオチドおよびrCol7をコードする第2のポリヌクレオチドは、同じ核酸配列を有してもよい。他の例では、rCol7をコードする2つのポリヌクレオチドは、異なる核酸配列を有してもよい。
【0078】
一部の実施形態では、本産生系の宿主細胞は、ヒトrCol7をコードし、配列番号25の核酸配列を有する第1の外因性ポリヌクレオチド、ヒトプロリル4-ヒドロキシラーゼのアルファポリペプチド1をコードし、配列番号28の核酸配列を有する外因性ポリヌクレオチド、およびプロリル4-ヒドロキシラーゼのベータポリペプチドをコードし、配列番号30の核酸配列を有する外因性ポリヌクレオチドを含むように遺伝的に操作されている。1つの好ましい実施形態では、rCol7を発現するための第1の外因性ポリヌクレオチドは、配列番号26の核酸配列を含み、プロリル4-ヒドロキシラーゼのアルファポリペプチド1をコードする外因性ポリヌクレオチドは、配列番号29の核酸配列を含み、プロリル4-ヒドロキシラーゼのベータポリペプチドをコードする外因性ポリヌクレオチドは、配列番号31の核酸配列を含む。
【0079】
一部の実施形態では、産生系の宿主細胞は、ヒトrCol7をコードし、配列番号25の核酸配列を有する第2の外因性ポリヌクレオチドでさらに改変されている。rCol7を発現するための第2の外因性ポリヌクレオチドは、rCol7またはその機能的変異体を発現するための第1の外因性ポリヌクレオチドと同じ核酸配列を含んでいてもよく、または異なる核酸配列を含んでいてもよい。一例では、rCol7を発現するための第2の外因性ポリヌクレオチドは、配列番号27の核酸配列を含む。
【0080】
一部の実施形態では、宿主細胞は、rCol7をコードする2つのポリヌクレオチドで改変されており、2つのポリヌクレオチドは、配列番号26および配列番号27の核酸配列を有する。
【0081】
一部の実施形態では、宿主細胞は、ヒトHSP47をコードする外因性ポリヌクレオチドを含むようにさらに遺伝的に操作されており、ポリヌクレオチド配列は、配列番号32の核酸配列を含む。
【0082】
本開示の宿主細胞は、プロリダーゼを発現するための外因性ポリヌクレオチド、またはC1GALT1特異的シャペロン1を発現するための外因性ポリヌクレオチドを含むようにさらに遺伝子改変されていてもよい。
【0083】
他の実施形態では、産生系の宿主細胞は、各々がrCol7および/またはその機能的変異体をコードする1つまたは複数のポリヌクレオチド配列を含む1つまたは複数のベクターでトランスフェクトされていてもよい。
【0084】
一部の実施形態では、産生系の宿主細胞は、rCol7またはその機能的変異体をコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクター、およびプロリダーゼ、プロリル4-ヒドロキシラーゼ、リシルヒドロキシラーゼ、グリコシルトランスフェラーゼ、C1GALT1特異的シャペロン1、熱ショックタンパク質(例えば、HSP47)、またはそれらの機能的変異体などの、宿主細胞においてrCol7発現を増加させることができるタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含む少なくとも1つの発現ベクターを含むように遺伝子改変されている。
【0085】
1つの好ましい実施形態では、宿主細胞は、ヒトrCol7またはその機能的変異体をコードする第1のポリヌクレオチドを含む第1の発現ベクター、ヒトプロリル4-ヒドロキシラーゼのアルファポリペプチド(サブユニットA)またはその機能的変異体をコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクター、およびヒトプロリル4-ヒドロキシラーゼのベータポリペプチド(サブユニットB)またはその機能的変異体をコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターを含むように遺伝的に操作されている。任意選択で、宿主細胞は、ヒトrCol7またはその機能的変異体をコードする第2のポリヌクレオチドを含む第2の発現ベクターを含むようにさらに改変されている。ヒトrCol7またはその機能的変異体をコードする2つのポリヌクレオチドは、同じコード核酸配列を含んでいてもよい。その代わりに、ヒトrCol7またはその機能的変異体をコードする2つのポリヌクレオチドは、異なるコード核酸配列を含んでいてもよい。第1および第2のrCol7発現ベクターは、異なる選択マーカー遺伝子、例えば2つの異なる抗生物質耐性マーカーを含んでいてもよい。選択抗生物質としては、これらに限定されないが、カナマイシン、スペクチノマイシン、ストレプトマイシン、アンピシリン、カルベニシリン、ブレオマイシン、エリスロマイシン、ポリミキシンB、テトラサイクリン、およびクロラムフェニコールを挙げることができる。
【0086】
他の実施形態では、本産生系の宿主細胞は、ヒトrCol7またはその機能的変異体をコードする第1のポリヌクレオチドを含む発現ベクター、ならびにhP4Hのアルファポリペプチド(サブユニットA)をコードするポリヌクレオチドおよびhP4Hのベータポリペプチド(サブユニットB)をコードするポリヌクレオチドまたはそれらの機能的変異体を含む発現ベクターを含むように遺伝子改変されていてもよい。
【0087】
一部の実施形態では、本産生系の宿主細胞は、ヒトrCol7またはその機能的変異体をコードする第1のポリヌクレオチドを含む発現ベクター、ならびにhP4Hのアルファポリペプチド(サブユニットA)またはその機能的変異体をコードするポリヌクレオチドおよびhP4Hのベータポリペプチド(サブユニットB)またはその機能的変異体をコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクター、ならびにヒトHSP47をコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターを含むように遺伝子改変されていてもよい。
【0088】
非限定的な例として、本産生系の宿主細胞は、ヒトrCol7をコードし、配列番号25の核酸配列を有する第1の発現ベクター、プロリル4-ヒドロキシラーゼのアルファポリペプチド1(サブユニットA1)をコードし、配列番号28の核酸配列を有するポリヌクレオチド配列を含む発現ベクター、およびプロリル4-ヒドロキシラーゼのベータポリペプチド(サブユニットB)をコードし、配列番号30の核酸配列を有するポリヌクレオチド配列を含む発現ベクター、およびHSP47をコードし、配列番号24の核酸配列を有するポリヌクレオチド配列を含む発現ベクターを含むように遺伝的に操作されていてもよい。
【0089】
宿主細胞は、ヒトrCol7をコードし、配列番号25の核酸配列を有するポリヌクレオチド配列を含む第2の発現ベクターをさらに含んでいてもよい。
1つの好ましい実施形態では、本産生系の宿主細胞は、配列番号26のポリヌクレオチド配列を含む第1のコラーゲン7発現ベクター、配列番号27のポリヌクレオチド配列を含む第2のコラーゲン7発現ベクター、配列番号29のポリヌクレオチド配列を含む、ヒトプロリル4-ヒドロキシラーゼのアルファ-1ポリペプチドを発現するための発現ベクター、および配列番号31のポリヌクレオチド配列を含む、ヒトプロリル4-ヒドロキシラーゼのベータポリペプチドを発現するための発現ベクターを含む。遺伝子操作細胞は、配列番号32のポリヌクレオチド配列を含むHSP47を発現するための発現ベクターをさらに含んでいてもよい。
【0090】
一部の実施形態では、本産生系の宿主細胞は、ヒトrCol7またはその機能的変異体をコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターを含むように遺伝子操作されていてもよく、同じ発現ベクターは、ヒトプロリル4-ヒドロキシラーゼのアルファポリペプチド(サブユニットA)またはその機能的変異体をコードするポリヌクレオチドおよびヒトプロリル4-ヒドロキシラーゼのベータポリペプチド(サブユニットB)またはその機能的変異体をコードするポリヌクレオチドをコードするポリヌクレオチドをさらに含む。一部の例では、同じ発現ベクターは、ヒトHSP47をコードするポリヌクレオチドをさらに含んでいてもよい。
【0091】
一部の実施形態では、産生系は、ヒトrCol7またはその機能的変異体を発現する単一細胞クローンに由来する複数の均質な遺伝子操作宿主細胞を含んでいてもよい。他の実施形態では、産生系は、ヒトrCol7および/またはその機能的変異体を発現する1つよりも多くの細胞クローンに由来する複数の不均質な遺伝子操作宿主細胞を含んでいてもよい。
【0092】
本産生系の宿主細胞は、目的の外因性ポリペプチドまたはタンパク質、例えばrCol7を発現することが可能な任意の細胞であってもよい。本開示の宿主細胞は、無脊椎動物(昆虫)細胞、または脊椎動物細胞、例えばアフリカツメガエル(Xenopus laevis)卵母細胞、または哺乳動物細胞などの真核細胞であってもよい。一部の実施形態では、宿主細胞は、これらに限定されないが、線維芽細胞、C127、VERO、HeLa、MDCK、CHO、COS、BHK、HEK293細胞、および/またはこうした哺乳動物宿主細胞に由来する任意の細胞を含む哺乳動物細胞である。宿主細胞は、初代細胞または形質転換細胞株であってもよい。一実施形態では、コラーゲン7組成物を産生するための発現系は、哺乳動物CHO細胞またはCHO細胞に由来する細胞を含む。
【0093】
【表2】
【0094】
宿主細胞は、当技術分野で公知の任意の方法により改変することができる。一実施形態では、宿主細胞は、これらに限定されないが、試薬媒介法(例えば、脂質、リン酸カルシウム、カチオン性ポリマー、DEAE-デキストラン、活性化デンドリマー、および磁気ビーズ)、エレクトロポレーション、マイクロインジェクション、レーザーファクション(laser faction)、およびウイルス媒介法を含む、哺乳動物細胞をトランスフェクションするための既知方法により改変されている。形質転換宿主細胞は、数ラウンドの選択プロセスにより選択された安定細胞クローンであってもよい。
【0095】
一部の実施形態では、本開示の産生系は、rCol7および/またはその機能的変異体を発現するための宿主細胞培養の成長に好適な任意の容器であってもよい産生リアクターをさらに備える。
【0096】
一部の実施形態では、本開示の産生系は、バイオ医薬品として使用するための組換えコラーゲン7タンパク質を産生することができる。特に、宿主細胞は、rCol7および/またはその機能的変異体を含むコラーゲン7組成物の産生が安定している。例えば、コラーゲン7組成物は、培養1リットル当たり0.5mgよりも多くの、または培養1リットル当たり1mgよりも多くの、または培養1リットル当たり5mgよりも多くの、または培養1リットル当たり10mgよりも多くの、または培養1リットル当たり20mgよりも多くの、または培養物1リットル当たり50mgよりも多くの量で、遺伝子操作宿主細胞から産生される。「培養」、「細胞培養」、および「哺乳動物細胞培養」という用語は、本明細書で使用される場合、細胞集団の生存および/または成長に好適な条件下で培地に懸濁されている哺乳動物細胞集団を指す。
【0097】
産生リアクターは、任意のサイズであってもよい。ラージスケール細胞培養産生リアクターの容積は、典型的には、少なくとも50リットル、もしくは少なくとも100リットル、もしくは少なくとも200リットル、もしくは少なくとも300リットル、もしくは少なくとも400リットル、もしくは少なくとも500リットルであり、あるいは1,000、2,500、3,000、4,000、5000、6,000、7,000、8,000、9,000、10,000、12,000リットル、もしくはそれよりも多く容積、またはその間の任意の容積であってもよい。培養容量は、少なくとも500mL、少なくとも1リットルであってもよく、2、3、4、5、6、7、8、9、10、100、250、300、400、500、600、700、800、900、1,000、2,500、3,000、4,000、5,000、6,000、7,000、8,000、9,000、10,000リットル、もしくはそれよりも多くの容積、またはその間の任意の容積であってもよい。産生リアクターの条件は、適切な細胞密度および生存率を確保するために、細胞培養期間中に制御することができる。こうした条件としては、これらに限定されないが、pH、温度、湿度、およびCO2供給が挙げられる。
【0098】
一部の実施形態では、本開示の産生系は、コラーゲン7組成物を、例えば、培養1リットル当たり1mgよりも多くの、または培養1リットル当たり5mgよりも多くの、または培養1リットル当たり10mgよりも多くの、培養1リットル当たり20mgよりも多くの、または培養1リットル当たり50mgよりも多くの量で精製することができるような十分に高いレベルで産生することができる。
【0099】
コラーゲン7組成物を産生するための産生系の宿主細胞は、当業者に公知の標準的な細胞培養手順および物質を使用して培養することができる。一部の実施形態では、宿主細胞は、無血清培地で培養される。例えば、無血清培地は、動物由来物質を含まないSFM2培地であってもよい。一部の実施形態では、培養培地は、L-グルタミン、チミジン、およびヒポキサンチン;脂質、アミノ酸、ビタミン、および/または成長因子などの他の栄養素を含む少なくとも1つの栄養補助剤(例えば、GEヘルスケア社(GE Healthcare)により提供されるHyClone Cell Boost5栄養補助剤)をさらに含んでいてもよい。
【0100】
一部の実施形態では、本産生系の宿主細胞を培養するためのプロセスは、宿主細胞の生存率を維持するための方法を含んでいてもよい。最大細胞生存率が所望である。こうした方法は、生存細胞密度の減少を最小限に抑え、および/または高い細胞生存率を維持する役目を果たすことができる。
【0101】
一部の実施形態では、細胞培養プロセスは、組換えコラーゲン7および/またはその機能的変異体の発現が陽性である細胞を二重選択することを含む。
本開示の別の態様では、コラーゲン7組成物を産生するための方法であって、i)rCol7またはその機能的変異体をコードするポリヌクレオチドを準備する工程;ii)プロリル4-ヒドロキシラーゼまたはその機能的変異体のアルファポリペプチド1をコードするポリヌクレオチドおよびベータポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを準備する工程;iii)熱ショックタンパク質47をコードするポリヌクレオチドを準備する工程;iv)rCol7またはその機能的変異体、プロリル4-ヒドロキシラーゼのアルファポリペプチド1およびベータポリペプチドまたはそれらの機能的変異体、およびHSP47を産生するための宿主細胞を含む細胞発現系を準備する工程;v)(iv)の細胞発現系の宿主細胞において、(i)、(ii)、および(iii)のポリヌクレオチドを共発現することによりコラーゲン7組成物を産生する工程;ならびにvi)産生されたコラーゲン7組成物を収集および精製する工程を含む方法が提供される。
【0102】
一部の実施形態では、コラーゲン7組成物を産生するための方法は、i)rCol7またはその機能的変異体を発現するためのベクターであって、rCol7またはその機能的変異体をコードするポリヌクレオチドを含むベクターを準備する工程;ii)プロリル4-ヒドロキシラーゼまたはその機能的変異体のアルファポリペプチド1(サブユニットA1)を発現するためのベクターであって、プロリル4-ヒドロキシラーゼのアルファポリペプチド1またはその機能的変異体をコードするポリヌクレオチドを含むベクターを準備する工程;iii)プロリル4-ヒドロキシラーゼのベータポリペプチド(サブユニットB)またはその機能的変異体を発現するためのベクターであって、プロリル4-ヒドロキシラーゼのベータポリペプチドまたはその機能的変異体をコードするポリヌクレオチドを含むベクターを準備する工程;iv)HSP47を発現するためのベクターであって、HSP47またはその機能的変異体をコードするポリヌクレオチドを含むベクターを準備する工程;v)rCol7またはその機能的変異体、プロリル4-ヒドロキシラーゼのアルファポリペプチド1およびベータポリペプチドまたはそれらの機能的変異体、ならびにHSP47またはその機能的変異体を産生するための宿主細胞を含む細胞発現系を準備する工程;vi)(v)の細胞発現系の宿主細胞において、(i)、(ii)、(iii)、および(iv)のベクターを共発現させることによりコラーゲン7組成物を産生する工程;ならびにvii)産生されたコラーゲン7組成物を収集および精製する工程を含んでいてもよい。
【0103】
一部の実施形態では、コラーゲン7組成物を調製するための本発明の方法は、i)rCol7またはその機能的変異体を発現するように遺伝子改変された宿主細胞を無血清培地で培養する工程;およびii)rCol7またはその機能的変異体を宿主細胞培養から回収する工程をさらに含む。
【0104】
組換え的に産生されたコラーゲン7組成物は、これらに限定されないが、宿主細胞を遠心分離または濾過により培地から分離すること、ウイルスを不活化すること、塩、例えば硫酸アンモニウムにより上清または濾液のタンパク質性成分を沈殿させること、および宿主細胞核酸内容物を除去することを含む、当技術分野で公知の任意の方法により培養培地から回収することができる。任意選択で、コラーゲン7組成物をさらに精製してもよい。精製は、これらに限定されないが、アフィニティークロマトグラフィー、HPLC、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、プロテインAクロマトグラフィー、またはプロテインGクロマトグラフィーなどを含む、当技術分野で公知の任意の方法を使用して達成することができる。
【0105】
一部の実施形態では、下流精製プロセスは、十分に効果的なウイルスクリアランスを提供するように設計することができる。一部の例では、プロセスは、ウイルス不活化または除去に特化した複数のユニット操作を含んでいてもよい。こうしたユニット操作は、一貫しており効果的であり得る。一方で、こうしたユニット操作は、製品品質にいかなる悪影響も及ぼさず、著しい収率損失も引き起こさない。下流精製では、特化したウイルスクリアランスユニット操作で添加されるものなど、プロセスに導入されるあらゆる化学物質を除去することができる。
【0106】
また、下流プロセスは、最終的な限外濾過およびダイアフィルトレーション工程が組み込まれていてもよい濃縮工程を含んでいてもよい。限外濾過(UF)は、極めて小さな粒子および溶解した分子を流体から分離するプロセスである。限外濾過は、典型的には、緩衝液交換、脱塩、または濃縮のための緩衝剤成分からタンパク質を分離し、糖、非水性溶媒、および低分子量の物質を除去するために使用される。UF/DF工程は、ポリエーテルスルホン限外濾過膜などの高性能膜限外濾過を使用して形成することができる。
【0107】
本開示の別の態様では、本産生系、宿主細胞、および方法により産生されるコラーゲン7組成物が提供される。本系を使用して調製されるコラーゲン7組成物は、正しく修飾されており、天然に存在するコラーゲン7タンパク質と機能的に区別がつかない。例えば、本産生系により調製されるコラーゲン7組成物は、皮膚の表皮と真皮との間の基底膜帯(BMZ)内の係留細線維に組み込むことができる。本産生系により調製されるコラーゲン7組成物は、ラミニン-332および他のコラーゲン7結合パートナーに結合することができる。コラーゲン7組成物は、野生型ヒトコラーゲン7タンパク質の機能および/または活性の20~100%、50~100%、50~90%、または少なくとも20%、30%、40%、50%、60%、65%、70%、85%、80%、90%、95%、もしくは100%を維持することができる。
【0108】
一実施形態では、コラーゲン7組成物は、本明細書の他所に記載の通りの、rCol7または機能的変異体を産生するためのin vitro細胞発現系を含む方法により得ることができる。
【0109】
コラーゲン7組成物は、複数の組換え的に発現されたコラーゲン7アルファ鎖ポリペプチド、またはコラーゲン7アルファ鎖ポリペプチドの複数の機能的変異体、または複数の機能的に等価なコラーゲン7アルファ鎖ポリペプチド、またはそれらの混合物を含んでいてもよい。非限定的な例として、本細胞発現系により調製されるコラーゲン7組成物は、野生型コラーゲン7ポリペプチドおよび複数の機能的に等価なコラーゲン7アルファ鎖ペプチド、例えば1つまたは複数のアミノ酸置換(例えば、D1033Y)を含むポリペプチドを含む、複数の組換え的に発現されたコラーゲン7アルファ鎖ポリペプチドの混合物を含んでいてもよい。
【0110】
医薬組成物および製剤
本開示の一態様では、本発現系および宿主細胞により産生される、ヒトrCol7またはその機能的変異体を含むコラーゲン7組成物は、医薬組成物として製剤化することができる。医薬組成物は、少なくとも1つの薬学的に許容される担体をさらに含んでいてもよい。医薬製剤および組成物は、DEBに関連付けられる皮膚症状、例えば皮膚創傷などの皮膚状態の症状を予防、緩和、および/または低減するために、治療有効量の本開示のコラーゲン7組成物を対象に投与するためのものであると解釈される。医薬組成物は、意図されている投与様式および治療適用に好適な任意の許容可能な医薬製剤の形態をとることができる。
【0111】
医薬組成物は、非経口適用、皮内適用、または皮下適用に使用される溶液または懸濁物として製剤化することができる。医薬組成物は、注射に好適なように製剤化することができる。これらに限定されないが、滅菌水性溶液または分散物、および滅菌注射用溶液または分散物の即時調製のための滅菌粉末を含む注射用製剤は、滅菌されていてもよい。医薬組成物は、経口投与用に製剤化することができ、錠剤、丸剤、カプセル剤、トローチ剤、および散剤などの形態であってもよい。医薬組成物は、クリームおよびヒドロゲルなど、外用投与用に製剤化することができる。
【0112】
他の製剤形態としては、これらに限定されないが、液体、半固体または固体投薬形態、ヒドロゲル、クリーム、液体溶液(例えば、注射用液体溶液)、分散物または懸濁物、粉末、およびリポソームが挙げられる。
【0113】
医薬製剤は、製造および保管の条件下で安定しており、細菌および真菌などの微生物の汚染作用から保護されることになる。微生物汚染の防止は、種々の抗細菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、およびチメロサールなどにより達成することができる。
【0114】
一部の実施形態では、医薬組成物は、0.1mg/mL~200mg/mL、または1mg/mL~200mg/mL、または1mg/mLから10mg/mL、または10mg/mL~200mg/mL、または10mg/mL~100mg/mL、または10mg/mL~50mg/mLの範囲の濃度の、組換えコラーゲン7および/またはその機能的変異体および/またはそれらの混合物を含む活性薬物成分を含む。一実施形態では、本開示の製剤に含まれるコラーゲン7組成物は、例えば、少なくとも約0.1mg/mLの、少なくとも約1mg/mLの、少なくとも約2mg/mLの、少なくとも約5mg/mLの、少なくとも約10mg/mLの、少なくとも約15mg/mLの、少なくとも約20mg/mLの、少なくとも約25mg/mLの、少なくとも約30mg/mLの、少なくとも約40mg/mLの、少なくとも約50mg/mLの、少なくとも約75mg/mLの、少なくとも約100mg/mLの、少なくとも約125mg/mLの、少なくとも約150mg/mLの、少なくとも約175mg/mLの、少なくとも約200mg/mLの、または約200mg/mLよりも高い、もしくは約300mg/mLよりも高い、もしくは約400mg/mLよりも高い、もしくは約500mg/mLよりも高い濃度を含む、所与の濃度を有する。
【0115】
医薬組成物は、保管時に物理的および/もしくは化学的安定性ならびに/または生物学的活性を本質的に維持するコラーゲン7組成物を含んでいてもよい。タンパク質の安定性は、当技術分野で利用可能な任意の分析技法を使用してアッセイすることができる。例えば、コラーゲン7の安定性は、分解された(例えば、断片化された)および/または凝集したタンパク質のパーセンテージが低い場合、溶液中のモノマータンパク質のパーセンテージにより決定することができる。例えば、安定コラーゲン7タンパク質を含む医薬組成物は、約60%~99%のモノマータンパク質、または約70%~80%のモノマータンパク質を含んでいてもよい。一部の例では、安定コラーゲン7タンパク質を含む医薬組成物は、少なくとも95%のモノマータンパク質、または少なくとも90%のモノマータンパク質、または少なくとも85%のモノマータンパク質、または少なくとも80%のモノマータンパク質、または少なくとも75%のモノマータンパク質、または少なくとも70%モノマータンパク質、または少なくとも65%モノマータンパク質を含んでいてもよい。その代わりに、本開示の医薬組成物は、5%以下の凝集体および/または分解タンパク質を含んでいてもよい。
【0116】
一部の実施形態では、コラーゲン7組成物は、天然に存在するコラーゲン7およびその少なくとも1つの機能的変異体の混合物を含む。一部の実施形態では、コラーゲン7組成物は、組換えコラーゲン7および/またはその機能的変異体を発現するように遺伝的に操作された宿主細胞を含む本産生系を使用して産生および精製される。
【0117】
一部の実施形態では、医薬組成物は、少なくとも1つの薬学的に許容される担体、例えば、賦形剤、界面活性剤、緩衝系、コラーゲン7組成物を安定させる安定化剤、張度調整剤、抗酸化剤、凍結保護剤、充填剤、リロプロテクタント(lyroprotectant)、および塩基性成分または酸性成分を含む。
【0118】
本明細書で使用される場合、「賦形剤」という用語は、例えば、所望の稠性を提供するために、安定性および溶解性を向上させるために、ならびに/または浸透圧を調整するために、ならびに/または医薬組成物の使用目的に適合する他の特徴を調整するために医薬製剤に添加することができる作用剤を指す。一般的に使用される賦形剤の例としては、これらに限定されないが、糖、ポリオール、アミノ酸、界面活性剤、およびポリマーが挙げられる。一部の例では、賦形剤は、イオン性賦形剤であってもよくまたは非イオン性賦形剤であってもよい。イオン性賦形剤は、pHなどのある特定の製剤条件下で正味電荷を有する。イオン性賦形剤の例としては、これらに限定されないが、ヒスチジン、アルギニン、および塩化ナトリウムが挙げられる。非イオン性賦形剤は、pHなどのある特定の製剤条件下では正味電荷を有しない。非イオン性賦形剤の例としては、これらに限定されないが、糖(例えば、スクロース)、糖アルコール(例えば、マンニトール)、および非イオン性界面活性剤(例えば、ポリソルベート80)が挙げられる。
【0119】
本明細書で使用される場合、「安定化剤」という用語は、安定性を向上させるか、またはそうでなければ増強させる賦形剤を指す。安定化剤としては、これらに限定されないが、以下のものが挙げられる:α-リポ酸、α-トコフェロール、パルミチン酸アスコルビル、ベンジルアルコール、ビオチン、亜硫酸水素塩、ホウ素、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、アスコルビン酸およびそのエステル、カロテノイド、クエン酸カルシウム、アセチル-L-カミチン、キレート剤、コンドロイチン、クロム、クエン酸、コエンザイムQ-10、システイン、システイン塩酸塩、3-デヒドロシキミ酸(DHS)、EDTA(エチレンジアミン四酢酸;エデト酸二ナトリウム)、硫酸第一鉄、葉酸、フマル酸、没食子酸アルキル、ガーリック、グルコサミン、ブドウ種子抽出物、グッグル(gugul)、マグネシウム、リンゴ酸、メタ重亜硫酸塩、N-アセチルシステイン、ナイアシン、ニコチノミド、イラクサ根、オルニチン、没食子酸プロピル、ピクノジェノール、ノコギリヤシ、セレン、亜硫酸水素ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、酒石酸、チオ硫酸塩、チオグリセロール、チオソルビトール、トコフェロールおよびそれらのエステル、例えば、酢酸トコフェロール、コハク酸トコフェロール、トコトリエナール(tocotrienal)、d-α-酢酸トコフェロール、ビタミンA、B、C、D、またはE、およびそれらのエステル、例えば、酢酸ビタミンE、亜鉛、ならびにそれらの組合せ。
【0120】
本明細書で使用される場合、「界面活性剤」という用語は、コラーゲン7タンパク質を、任意の界面誘導性ストレスから保護することができる作用剤を指すことができる。界面活性剤の例としては、これらに限定されないが、ポリソルベート(例えば、ポリソルベート20、ポリソルベート80)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、Tween20、Tween80、またはポロキサマー188、ポロキサマー407などのポロキサマーを挙げることができる。コラーゲン7組成物を保護することができる他の化合物としては、スクロース、グルコース、トレハロース、マンニトール、マンノース、およびラクトースなどの糖;デキストラン、ヒドロキシエチルデンプン、およびポリエチレングリコールなどのポリマー;ならびにグリシン、アルギニン(例えば、L-アルギニン)、ロイシン、およびセリンなどのアミノ酸を挙げることができる。
【0121】
一部の実施形態では、医薬組成物は、緩衝液系、酸性成分、または塩基性成分をさらに含んでいてもよい。緩衝液は、これらに限定されないが、リン酸緩衝液(例えば、PBS)、酢酸緩衝液、またはTris緩衝液であってもよい。酸性成分の例としては、リン酸、塩酸、酢酸、クエン酸、シュウ酸、コハク酸、酒石酸、乳酸、リンゴ酸、グリコール酸、およびフマル酸が挙げられる。塩基性成分の例としては、水酸化カリウム(KOH)および水酸化ナトリウム(NaOH)が挙げられる。酸性成分および塩基性成分は、製剤のpHを調整するために使用される。
【0122】
本明細書で使用される場合、「抗酸化剤」という用語は、酸化を阻害し、したがって酸化プロセスによる調製物の劣化を防止するために使用される作用剤を指す。抗酸化剤の例としては、これらに限定されないが、以下のものが挙げられる:アセトン、硫酸水素ナトリウム、アスコルビン酸、パルミチン酸アスコルビル、クエン酸、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、ヒドロ亜リン酸(hydrophosphorous acid)、モノチオグリセロール、没食子酸プロピル、メチオニン、アスコルビン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、硫化ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、ホルムアルデヒドスルホキシレートナトリウム、チオグリコール酸、メタ重亜硫酸ナトリウム、EDTA(エデテート)、ペンテテート、および当業者に公知の他のもの。
【0123】
また、本明細書に記載のコラーゲン7製剤には、製剤の所望の特徴に悪影響を及ぼさない限り、Remington:The Science and Practice of Pharmacy 20th edition、ジェンナロ編(Gennaro,Ed.)、リッピンコットウイリアムス&ウィルキンス社(Lippincott Williams&Wilkins)(2000)に記載されているものなどの、他の薬学的に許容される担体、賦形剤、または安定剤が含まれていてもよい。
【0124】
一部の実施形態では、医薬組成物は、皮膚治療のための1つまたは複数の活性作用剤をさらに含んでいてもよい。
一部の実施形態では、本開示の医薬組成物は、免疫原性が減少されている。
【0125】
本開示の一態様では、コラーゲン7組成物を含む医薬組成物は、液体溶液として、例えば、水性液体溶液として製剤化することができる。「水性」という用語は、本明細書で使用される場合、水ベースのタンパク質製剤を指すが、任意選択で、追加の溶媒、例えば、少量の水混和性溶媒を含んでいてもよい。非限定的な例として、医薬組成物は安定液体溶液である。
【0126】
一部の実施形態では、コラーゲン7組成物を含む医薬製剤は、注射用である。本方法における注射用コラーゲン7組成物は、必要に応じて、希釈剤、可溶化剤、pH調整剤、緩衝剤、硫黄含有還元剤、抗酸化剤、または保存剤などをさらに含んでいてもよい。本注射用組成物に使用される緩衝剤は、リン酸、酢酸、塩酸、フタル酸、ホウ酸、クエン酸、炭酸、コハク酸、およびそれらの塩、好ましくはリン酸緩衝剤(リン酸一水素ナトリウム-リン酸二水素ナトリウム系)および/またはクエン酸緩衝剤および/または酢酸緩衝剤などの、注射液の緩衝剤として一般的に使用される酸およびそれらの塩または塩基もしくはその塩との混合溶液を含んでいてもよい。注射用コラーゲン7組成物に使用される緩衝剤の濃度は、注射用組成物の総量に基づき、0~300mM、または0~100mM、または10~200mM、または30~250mM、好ましくは0~100mMであってもよい。本製剤および注射用組成物のpHは、6.5~7.4、好ましくは6.8~7.2であってもよい。
【0127】
一部の実施形態では、本開示の製剤は、in vitroおよび/またはin vivoなど、任意の使用に好適である。製剤は、これらに限定されないが、皮下投与、静脈内投与、吸入投与、皮内投与、経皮投与、腹腔内投与、および筋肉内投与を含む、任意の投与様式による対象への投与に適切であってもよい。本開示の製剤は、対象の皮膚疾患(例えば、RDEB)を治療するために使用することができる。
【0128】
一部の実施形態では、コラーゲン7組成物を含む医薬製剤は、単一用量製剤または複数用量製剤に特に良好に好適である。複数用量製剤は、治療用コラーゲン7組成物の1つよりも多くの用量を有する製剤である。医療提供者および/または患者は、複数用量製剤の単一用量を投与し、製剤の残りを1つまたは複数のその後の用量の将来の投与のために保管することができる。本明細書に開示の複数用量製剤の用量の数は、約2~約50回分、好ましくは約2~約40回分、より好ましくは約2~約25回分であってもよい。また、少なくとも5回分、少なくとも10回分、および少なくとも20回分の用量が企図される。特定の用量としては、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、および50回分の用量の製剤が挙げられる。
【0129】
投与および投薬
本開示によると、本産生系により産生されるコラーゲン7組成物を含む医薬組成物および製剤は、これらに限定されないが、以下のものを含む、当技術分野で公知の任意の適切な経路により、それを必要とする対象に投与することができる:経口、非経口(動脈内、静脈内、皮下、腹腔内、および筋肉内)注射または注入、気道(エアロゾル)、鼻、直腸、気管内、例えば、噴霧吸入器によることを含む、粉末またはエアゾルの吸入または吹送による肺、例えば、埋め込みデバイスを介した皮下、頭蓋内(例えば、実質内)、表皮、外用(皮膚、経皮、経粘膜、頬側、舌下、および眼内を含む)、膣、経粘膜、気管支、および眼投与。本開示の医薬組成物および/または製剤は、局所的または全身性治療が所望であるか、および/または治療しようとする皮膚区域に応じて、1つよりも多くの経路により投与することができる。必要に応じて、1つよりも多くの経路を同時的に使用してもよい。
【0130】
一部の実施形態では、投与経路は、皮膚または眼の局所区域など、局所的であってもよい。他の実施形態では、投与経路は、全身性、例えば、注射または注入であってもよい。
本開示による医薬組成物は、典型的には、投与が容易であり、投薬量が均一になるため、単位剤形に製剤化される。しかしながら、本開示の組成物の総1日使用量は、健全な医学的判断の範囲内で主治医により決定され得ることが理解されるだろう。当業者であれば、これらに限定されないが、疾患または障害の重症度、以前の治療、対象の健康全般および/または年齢、ならびに存在する他の疾患を含む、ある特定の要因が、対象を効果的に治療するために必要な投薬量およびタイミングに影響を及ぼす場合があることを理解するだろう。さらに、治療有効量の組成物による対象の治療は、単一の治療または一連の治療を含んでいてもよい。本開示に包含される個々の医薬組成物の有効投薬量およびin vivo半減期の推定は、従来の方法論を使用して、または適切な動物モデルを使用したin vivo試験に基づいてなすことができる。例えば、一部の実施形態では、適切な用量または量は、疾患重症度指数スコアを1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、または100%、またはそれよりも大きく低減するのに十分な用量または量である。
【0131】
本明細書に記載の製剤および投薬量は、疾患および障害の治療における臨床有効性を最大化すると同時に、有害副作用を減少または最小化するように設計されている。
一部の実施形態では、本組成物は、治療有効量で、および/または特定の所望の転帰(例えば、表皮水疱症の予防および/または治療)と相関する投薬レジメンに従って投与される。例えば、一部の実施形態では、コラーゲン7組成物の治療有効投薬量は、対象の体重1キログラム当たり、0.1mg~1,000mg(例えば、約1mg~1,000mg、10mg~1,000mg、20mg~1,000mg、30mg~1,000mg、40mg~1,000mg、50mg~1,000mg、60mg~1,000mg、70mg~1,000mg、80mg~1,000mg、90mg~1,000mg、100mg~1,000mg、200mg~1,000mg、10mg~900mg、10mg~800mg、10mg~700mg、10mg~600mg、10mg~500mg、100mg~1,000mg、100mg~900mg、100mg~800mg、100mg~700mg、100mg~600mg、100mg~500mg、100mg~400mg、100mg~300mg、200mg~900mg)の範囲の量であってもよい。他の実施形態では、治療有効投薬量は、例えば、約0.001mg/kg~500mg/kg、例えば、約0.001mg/kg~400mg/kg、約0.001mg/kg~300mg/kg、約0.001mg/kg~200mg/kg、約0.001mg/kg~100mg/kg、約0.001mg/kg~90mg/kg、約0.001mg/kg~80mg/kg、約0.001mg/kg~70mg/kg、約0.001mg/kg~60mg/kg、約0.001mg/kg~50mg/kg、約0.001mg/kg~40mg/kg、0.001mg/kg~30mg/kg、約0.001mg/kg~25mg/kg、約0.001mg/kg~20mg/kg、約0.001mg/kg~15mg/kg、約0.001mg/kg~10mg/kgであってもよい。
【0132】
総投薬量は、単一用量で、複数用量で、反復用量で、連続用量として、またはそれらの組合せで投与することができる。一部の実施形態では、本開示の医薬組成物は、1日1回の用量で投与してもよく、または総1日投薬量は、1日2、3、または4回の分割用量で投与してもよい。
【0133】
任意の特定の表現型または症状に対する単一用量の効果は、長期持続性であってもよく、その後の用量は、3、4、もしくは5日以内の間隔で、または1、2、3、もしくは4週間以内の間隔で、または1、2、3、もしくは4か月以内の間隔で投与される。
【0134】
一部の実施形態では、本産生系により産生されるコラーゲン7組成物を含む医薬組成物および製剤は、それを必要とする患者に、患者の残りの生涯にわたって投与してもよい。投与のタイミング間隔および各投与の投薬量は、患者の状態(例えば、皮膚状態)に応じて調整することができる。一例では、医薬組成物および製剤は、長期的に投与してもよい。慢性投与は、ある期間にわたって、例えば対象の生涯期間にわたって、1用量よりも多くの用量の作用剤を投与することを含んでいてもよい。コラーゲン7組成物の濃度は、治療の経過を通して療法的にまたは予防的に有効なレベルに維持することができる。
【0135】
一部の実施形態では、慢性投与の期間としては、これらに限定されないが、少なくとも1か月間、少なくとも2か月間、少なくとも3か月間、少なくとも6か月間、少なくとも1年間、少なくとも2年間、少なくとも3年間、少なくとも4年間、少なくとも5年間、少なくとも10年間、少なくとも15年間、少なくとも20年間、少なくとも25年間、少なくとも30年間、少なくとも35年間、少なくとも40年間、少なくとも45年間、少なくとも50年間、少なくとも55年間、少なくとも60年間、少なくとも65年間、少なくとも70年間、少なくとも75年間、少なくとも80年間、少なくとも85年間、少なくとも90年間、もしくは少なくとも100年間、または1か月間と100年間との間の任意の期間を挙げることができる。
【0136】
例えば、投薬タイミングとしては、1日1回、または週1回、または隔週1回、または月1回、または隔月1回、または3か月毎に1回、または6か月毎に1回、または12か月毎に1回、または18か月毎に1回、24か月毎に1回、2年毎に1回、または5年毎に1回を挙げることができる。医薬組成物は、週2回、月2回、または隔月2回、または3か月毎に2回、または6か月毎に2回、または12か月毎に2回、または18か月毎に2回、または24か月毎に2回投与してもよい。
【0137】
非限定的な例として、慢性投与は、EB、特にDEB(例えば、DDEBおよびRREB)に関連付けられる少なくとも1つの症状を緩和するための有効量を一緒に提供する一連の用量を含んでいてもよい。慢性投与は、EB、特に、DDEBまたはRDEBなどのDEBを治療、予防、その進行を予防、またはその発症を遅延させるための有効量を、組合せで提供する一連の用量を含んでいてもよい。投薬タイミングは、DEB、DDEB、またはRDEBなどのEBのタイプ、EB関連症状の存在、患者の年齢、体重、健康全般、性別、および食事;投与時間、投与経路、および使用される特定の組成物の排泄速度;治療継続期間;コラーゲン7組成物と組み合わせてまたは同時的に使用される薬物;ならびに当技術分野で周知の類似要因などの、幾つかの要因に応じて、対象に合わせて調整することができる。
【0138】
rCol7組成物の適用
本開示によると、本発明の産生系により産生されるコラーゲン7組成物およびその医薬組成物または製剤は、対象の、特に対象の皮膚のコラーゲン7物質を補充するために使用することができる。コラーゲン7は、その後、皮膚のBMZに局在化し、係留細線維を形成することができる。
【0139】
コラーゲン7レベルの回復
本開示の一態様では、本開示の宿主細胞および産生系により産生されるコラーゲン7組成物、ならびにそれらの医薬組成物および製剤を使用して、コラーゲン7機能を、対象の野生型コラーゲン7の正常機能レベルの20%~100%、30%~100%、40%~100%、50%~100%、60%~100%、70%~100%、80%~100%、90%~100%、30%~90%、40%~90%、50~90%、60~90%、または70%~90%の範囲内に回復させることにより、それを必要とする対象のコラーゲン7を機能レベルまで回復させることができる。
【0140】
一部の実施形態では、コラーゲン7組成物は、皮膚の表皮層および真皮層を一緒に保持する、皮膚の係留細線維を回復させることができる。
療法使用
本開示の一態様では、コラーゲン7組成物を含む医薬組成物および製剤は、皮膚状態、例えば、表皮水疱症(EB)に関連付けられる皮膚症状の治療に使用することができる。皮膚障害を有する対象を治療するための方法は、皮膚障害を有する対象に、コラーゲン7組成物を含む医薬製剤を投与する工程を含み、組成物は、対象に全身性投与される(例えば、注射または注入)。コラーゲン7組成物は、障害の皮膚症状、例えば、皮膚創傷、水疱形成、および瘢痕などを予防、阻害、緩和、またはその進行を阻害することができる。
【0141】
皮膚障害は、遺伝子突然変異により引き起こされる表皮水疱症(EB)などの遺伝性障害であってもよい。表皮水疱症は、皮膚の表皮層と真皮層とを一緒に保持する係留タンパク質が欠如しているため、皮膚が非常に脆弱であり、水疱が容易に生じ得る遺伝性の遺伝子状態の群である。水疱および皮膚びらんは、こすったり、引っ掻いたり、またはささいな外傷など、軽傷または摩擦に応答して自然に形成される。さらに、慢性的皮膚損傷の合併症として、EBを罹患する患者は、皮膚の悪性腫瘍(がん)のリスクが高くなる。EB疾患では、係留タンパク質に300個を上回る突然変異が識別されている。EB疾患としては、これらに限定されないが、単純表皮水疱症、接合部型表皮水疱症、栄養障害型表皮水疱症、表皮水疱症(致死性棘融解症)、および後天性表皮水疱症を挙げることができる。VII型コラーゲン(コラーゲン7)をコードするCOL7A1遺伝子の突然変異により引き起こされる栄養障害型表皮水疱症(DEB)(優性または劣性DEB)は、表皮水疱症の最も一般的な形態の1つである。この状態の症状は、罹患個体間で大きく異なる。軽度の場合、水疱形成は、主に手、足、膝、およびひじに影響を及ぼす可能性がある。この状態の重度症例は、視力喪失、美観損失、および他の重度の医学的問題に結び付く可能性のある広範囲の水疱形成および瘢痕を伴う。
【0142】
一部の実施形態では、コラーゲン7組成物を含む医薬組成物および製剤は、優性DEB(DDEB)および劣性DEB(RDEB)を含む、DEBに関連付けられる1つまたは複数の症状を予防、その進行を予防、またはその発症を遅延させるために使用することができる。EBに関連付けられる症状としては、これらに限定されないが、以下のものを挙げることができる:薄く乾燥した皮膚、開放創傷(例えば、慢性および非治癒性創傷)、水疱形成(軽度または重度)、瘢痕、慢性創傷(二次皮膚感染症)または皮膚がん(例えば、扁平上皮癌)により引き起こされる感染症などの皮膚状態;食道の慢性瘢痕、水かき形成、および閉塞などの食道狭窄;屈曲拘縮(例えば、四肢の)などの拘縮;手または足の偽性合指症;尿道病変(例えば、尿道狭窄);粘膜病変;扁平上皮組織の病変;直腸病変または肛門病変などの胃腸管病変;手外傷後の水ぶくれ形成などの水ぶくれ形成;爪または歯の奇形;眼瞼炎および角膜瘢痕などの眼障害;貧血、栄養失調;敗血症;嗄声;包茎;吸収不良;アレルギーおよび免疫不全症(例えば、喘息、アレルギー、湿疹、または鼻炎症状の頻度増加);ならびに発育障害。
【0143】
一部の実施形態では、本開示の医薬組成物による治療は、未治療の患者と比較して、20%~100%、または30%~100%、または35%~100%、または40%~100%、または45%~100%、または45%~100%、または50%~100%、または55%~100%、または60%~100%、または65%~100%、または70%~100%、または75%~100%、または80%~100%、または85%~100%、または90%~100%の範囲の、DEBに関連付けられる1つまたは複数の症状の緩和をもたらすことができる。
【0144】
一部の実施形態では、本開示の医薬組成物および製剤は、これらに限定されないが、非治癒性創傷、皮膚がんに起因する皮膚創傷、II型糖尿病などの糖尿病に由来する皮膚創傷、高齢個体の慢性皮膚創傷、開放創傷、アレルギー反応に由来する皮膚創傷、外科的創傷、傷害により引き起こされる創傷、対象の可動性が制限されることによる創傷、臓器移植ならびに日光、風、熱、および寒さへの曝露などの他の損傷に関連付けられる創傷を含む、他の皮膚疾患を治療するために使用することができる。
【0145】
皮膚がんとしては、これらに限定されないが、光線角化症、非定型ほくろ、基底細胞癌、黒色腫(例えば、表在性拡大黒色腫、結節性黒色腫、悪性黒子型黒色腫、末端黒子型黒色腫)、メルケル細胞癌、扁平上皮癌、皮膚線維肉腫、皮膚リンパ腫、および非定型線維黄色腫を挙げることができる。
【0146】
高齢個体の創傷は、慢性的および非治癒性であってもよい。加齢関連障害としては、皮膚がんおよび糖尿病などを挙げることができる。
アレルギー反応は、軽度から重度までの範囲の著しい皮膚反応を引き起こす場合がある。長期アレルギー反応による一般的な症状としては、湿疹を挙げることができる。
【0147】
併用療法
一部の実施形態では、本開示は、併用療法の一部として、1つまたは複数の追加の作用剤と一緒に、コラーゲン7組成物を含む医薬組成物を投与することを包含する。本開示のコラーゲン7組成物は、1つまたは複数の追加の療法の前に、同時的に、または後に投与することができる。一実施形態では、表皮水疱症の治療またはEBに関連付けられる臨床状態の緩和のための任意の公知の療法または療法薬を、本コラーゲン7組成物と共に使用することができることが企図される。
【0148】
例示的な追加の作用剤および療法としては、これらに限定されないが、抗生物質、鎮痛剤、オピオイド、抗ウイルス剤、抗炎症剤、経口ステロイド、栄養補助剤、または疼痛およびかゆみの管理に役立つ外用クリームを挙げることができる。
【0149】
抗生物質としては、これらに限定されないが、以下のものを挙げることができる:アクニロックス(Aknilox)、アムビゾーム、アモキシシリン、アンピシリン、オーグメンチン、アベロックス、アジスロマイシン、バクトロバン、ベータダイン、ベトノベート、ブレフアミド(Blephamid)、カンサイダス、セファクロル、セファドロキシル、セフジニル、セフェピム、セフィックス(Cefix)、セフィキシム、セフォキシチン、セフポドキシム、セフプロジル、セフロキシム、セフジル(Cefzil)、セファレキシン、セファゾリン、セプタズ、クロラムフェニコール、クロルヘキシジン、クロロマイセチン、クロルシグ(Chlorsig)、シプロフロキサシン、クラリスロマイシン、クリンダゲル(Clindagel)、クリンダマイシン、クリンダテック(Clindatech)、クロキサシリン、コリスチン、コトリモキサゾール、デメクロサイクリン、ジクロシル(Diclocil)、ジクロキサシリン、ドキシサイクリン、デュリセフ(Duricef)、エリスロマイシン、フラジールアルコール、フラジールドーセージ(Flagyl dosage)、フラジールプレグナンシー(Flagyl pregnancy)、フラジールサイドエフェクト(Flagyl side effects)、フラジールトリートメント(Flagyl treatment)、フラマジン、フロキシン、フラマイセチン、フシジン、フラダンチン、フシジック(Fusidic)、ガチフロキサシン、ゲミフロキサシン、ゲミフロキサシン、アイロゾン(Ilosone)、ヨウ素、レバキン(Levaquin)、レボフロキサシン、ロセリル(loceryl)、ロメフロキサシン、マキサキン(Maxaquin)、メホキシン(Mefoxin)、メロネム、ミノサイクリン、モキシフロキサシン、ミアムブトール(Myambutol)、マイコスタチン、ネオスポリン、ネトロマイシン、ニトロフラントイン、ノルフロキサシン、ノリレット(Norilet)、オフロキサシン、オムニセフ(Omnicef)、オスパモックス(Ospamox)、オキシテトラサイクリン、パラキシン(Paraxin)、ペニシリン、ニューモバックス、ポリファックス(Polyfax)、ポビドン、リファジン、リファンピン、リファキシミン、リフィナー(Rifinah)、リマクタン、ロセフィン、ロキシスロマイシン、セロマイシン、ソフラマイシン(Soframycin)、スパルフロキサシン、スタフレックス(Staphlex)、タゴシッド、テトラサイクリン、テトラドックス(Tetradox)、テトラリサル(Tetralysal)、トブラマイシン、トブラマイシン、トレカトール(Trecator)、タイガシル、バンコシン、ベロセフ(Velosef)、ビブラマイシン、キシファキサン(Xifaxan)、ザガム(Zagam)、ジトロテック(Zitrotek)、ゾデルム(Zoderm)、ジマー(Zymar)、およびザイボックス。
【0150】
抗ウイルス剤としては、これらに限定されないが、以下のものを挙げることができる:アバカビル、アシクロビル(Aciclovir)、アシクロビル(Acyclovir)、アデホビル、アマンタジン、アンプレナビル、アンプリゲン(Ampligen)、アルビドール、アタザナビル、アトリプラ(Atripla)、ボセプレビル、シドホビル、コンビビル、ダルナビル、デラビルジン、ジダノシン、ドコサノール、エドクスジン、エファビレンツ、エムトリシタビン、エンフビルチド、エンテカビル、ファムシクロビル、ホミビルセン、ホスアンプレナビル、ホスカルネット、ホスホネット、ガンシクロビル、イバシタビン、イムノビル(Imunovir)、イドクスウリジン、イミキモド、インジナビル、イノシン、インテグラーゼ阻害剤、インターフェロンIII型、インターフェロンII型、インターフェロンI型、インターフェロン、ラミブジン、ロピナビル、ロビリド、マラビロク、モロキシジン、メチサゾン、ネルフィナビル、ネビラピン、ネクサビル(Nexavir)、ヌクレオシド類似体、オセルタミビル、ペグインターフェロンアルファ-2a、ペンシクロビル、ペラミビル、プレコナリル ポドフィロトキシン、プロテアーゼ阻害剤、ラルテグラビル、逆転写酵素阻害薬、リバビリン、リマンタジン、リトナビル、ピラミジン(Pyramidine)、サキナビル、スタブジン、ティーツリー油、テノホビル、テノホビルジソプロキシル、チプラナビル、トリフルリジン、トリジビル、トロマンタジン、ツルバダ、バラシクロビル、バルガンシクロビル、ビクリビロク、ビダラビン、ビラミジン、ザルシタビン、ザナミビル、およびジドブジン。
【0151】
抗炎症剤としては、これらに限定されないが、イブプロフェン、ナプロキセン、アスピリン、ジクロフェナク、インドメタシン、ケトプロフェン、ピロキシカム、メロキシカム、スリンダク、およびステロイドを挙げることができる。
【0152】
栄養補助剤としては、これらに限定されないが、鉄、カルシウム、ビタミンD、セレン、カルニチン、および亜鉛を挙げることができる。
他の併用療法としては、これらに限定されないが、異常な動きを矯正するための手術、例えば、指またはつま先の癒着または関節の異常な屈曲を矯正するための手術、摂食能力を向上させるための食道の外科的拡張、皮膚移植、遺伝子療法、細胞ベースの療法(例えば、コラーゲン7または機能的変異体を発現するように遺伝子操作された線維芽細胞の移植)、骨髄移植、他のタンパク質補充療法、および/またはそれらの組合せを挙げることができる。
【0153】
均等物および範囲
当業者であれば、単なる日常的な実験を使用して、本明細書に記載の開示による特定の実施形態に対する多数の均等物を認識することになるかまたは確認することができるだろう。本開示の範囲は、上記の説明に限定されることが意図されておらず、むしろ添付の請求項に記述されている通りである。
【0154】
請求項では、「a」、「an」、および「the」などの冠詞は、矛盾することが示されてない限り、または状況から別様であることが明らかでない限り、1つまたは1つよりも多くを意味する場合がある。群の1つまたは複数のメンバー間に「または」を含む請求項または説明は、矛盾することが示されてない限り、または状況から別様であることが明らかでない限り、群メンバーの1つ、1つよりも多く、またはすべてが、所与の産物もしくはプロセスに存在するか、使用されるか、またはそうでなければ関係する場合、満たされるとみなされる。本開示は、群のまさに1つのメンバーが、所与の産物もしくはプロセスに存在するか、使用されるか、またはそうでなければ関係する実施形態を含む。本開示は、1つよりも多くの群メンバーまたは群メンバー全部が、所与の産物もしくはプロセスに存在するか、使用されるか、またはそれでなければ関係する実施形態を含む。
【0155】
「含む(comprising)」という用語は、非制限的であり、追加の要素または工程を含むことを許容するが必要とはしないことにも留意されたい。したがって、「含む(comprising)」という用語が本明細書で使用される場合、「からなる(consisting of)」という用語も包含および開示されている。
【0156】
範囲が与えられている場合、端点が含まれる。さらに、別様に示されていない限り、または文脈および当業者の理解から別様であることが明らかでない限り、範囲として表現されている値は、状況が明らかに別様の指定をしない限り、本開示の異なる実施形態において表明されている範囲内の任意の特定の値または部分範囲を、範囲の下限の単位の10分の1まで想定することができる。
【0157】
加えて、先行技術の範囲内に入る、本開示の任意の特定の実施形態は、請求項のいずれか1つまたは複数から明示的に除外され得ることが理解されるべきである。そのような実施形態は、当業者に公知であるとみなされるため、除外されることが本明細書に明示的に記述されていない場合であっても、それらは除外することができる。本開示の組成物の任意の特定の実施形態(例えば、任意の抗生物質、治療用成分または活性成分、任意の産生方法、任意の使用方法など)は、先行技術の存在に関係するか否かに関わらず、任意の理由で任意の1つまたは複数の請求項から除外することができる。
【0158】
使用されている文言は、限定ではなくむしろ説明のための文言であり、その幅広い態様における本開示の真の範囲および趣旨から逸脱することなく、添付の請求項の範囲内で変更をなすことができることが理解されるべきである。
【0159】
本開示は、幾つかの記載されている実施形態に関してある程度の長さである程度詳細に説明されているが、任意のそのような詳細または実施形態または任意の特定の実施形態に限定されるべきではないことが意図されており、先行技術に照らしてそのような請求項の最も幅広い考え得る解釈を提供するように、したがって本開示の意図されている範囲を効果的に包含するように、添付の請求項を参照して解釈してされるべきである。
【実施例
【0160】
実施例1:ポリペプチド発現構築物
コラーゲン7アルファ鎖ポリペプチド、および細胞においてコラーゲン7の発現を増加させる他のポリペプチドを発現するために使用されるプラスミド構築物を、標準的分子技法に従って構築した。こうした発現構築物を生成するための詳細な方法を下記で説明する。
【0161】
コラーゲン7発現構築物
ピューロマイシン耐性遺伝子(Puro-)(pSVpuro-C+_EF1alpha(KOZAK-ext9)EGFP_BGHpA>XS29)またはハイグロマイシン耐性遺伝子(Hygro-)(pSVhygro-C+_EF1alpha(KOZAK-ext9)EGFP_BGHpA>X_29)のいずれかを有するGFP発現プラスミドを、制限酵素HindIIIおよびXbalで消化した。次いで、得られた2つのDNA断片を電気泳動により分離し、各構築物に由来するベクター断片をゲルから切り出し、1.5mLマイクロチューブに移し、標準的技法を使用して精製した。9114bpのPuro-ベクターバンドおよび9552bpのHygro-ベクターバンドを、それぞれpuro-構築物およびhygro-構築物から回収した。
【0162】
HindIIIおよびXbalでプラスミドを切断することにより、コラーゲン7アルファ鎖(コラーゲン7A)をコードするポリヌクレオチドを、GeneArtプラスミド11AAER3P_Collagen7A_pMAから切除した。得られた2つのDNA断片を電気泳動により分離し、コラーゲン7アルファ鎖(配列番号25)に対応する8870bpのバンドを回収し、標準的技法を使用して精製した。
【0163】
精製した8870bpのコラーゲン7A断片を、9114bpのベクター断片にアセンブリして、Puro_BT+_SLX-3631_Collagen7A(配列番号26)を作出するか、または9552bpのベクター断片にアセンブリして、Hygro_BT+_SLX-3631_Collagen7A(配列番号27)を作出した。構築物は、製造業者の説明書に従い室温にて5分間にわたって10μLの最終容量のLigaFast Rapid DNAライゲーションシステム(プロメガ社(Promega)、カタログ番号:M8221)を使用して、精製したベクター断片(9114bpのPuroベクター断片または9552bpのHygroベクター断片)を、8870bpのコラーゲン7A断片とライゲーションすることにより調製した。次いで、ライゲーション混合物を使用し、50μLのコンピテントDH5アルファ細胞(インビトロジェン社(Invitrogen)、カタログ番号18265-017)を製造業者の説明書に従って形質転換した。
【0164】
コラーゲン7A発現プラスミドの完全性および構造を制限分析で確認した。100μg/mLアンピシリンを有する150mLのLB培地で1つの細菌クローンを拡大増殖させ、タンパク質を抽出した。PvuI-HF(NEB社、カタログ番号R3150L)を使用してコラーゲン7A構築物を37℃で一晩線状化し、制限酵素で消化した。消化したDNAを、電気泳動で定量化および分離した。構築物Puro_BT+_SLX-3631_Collagen7A(配列番号26)の場合、3つのバンド(15426bp、1512bp、および1046bp)が予想通りに存在し、構築物Hygro_BT+_SLX-3631_Collagen7A(配列番号27)の場合、3つのバンド(15864bp、1512bp、および1046bp)が予想通りに存在した。
【0165】
プロリル4-ヒドロキシラーゼ発現構築物
hP4HA1構築物を作出するため、GFP発現プラスミドpBSK_ITR_CGAPD_EGFP_X29_ITRをHindIIIで消化して、GFP配列を切除した。消化したDNAを上記のように精製した。DNAポリメラーゼ(ロシュ社(Roche))を使用して、精製したDNAを充填し、標準的な技法を使用して精製し、次いでFselで消化した。
【0166】
HindIII/Fsel二重消化に由来する2つのDNAバンドを、電気泳動で分離した。ベクターに対応する8584bpのバンドを回収し、標準的な技法を使用して精製した。
【0167】
フォワードプライマーhP4HA1_Fw_HindIIIfilled(TACCGCCACCATGATCTGGTATATA TTAATTATAGGAATTCTGCT;配列番号33)、リバースプライマーhP4HA1_Rv_Fsel(TCATGGCCGGCCGCCCCGACTTATCATTCCAATTCTGACAACGTACAA;配列番号34)、および鋳型としてのヒト正常組織のcDNA(バイオチェインインスティチュート社(Biochain Institute)、番号B110179)を使用して、ヒトプロリル4-ヒドロキシラーゼ、アルファポリペプチドI(hP4HAl_NM_000917)をPCRで増幅した。ヒトP4HA1に対応する1638bpバンドを回収し、標準的な技法を使用して精製した。精製した1638bpのPCR産物をFselで消化し、さらに精製した。
【0168】
1632bpのhP4HA1断片(配列番号28)を、8584bpのベクター断片にアセンブリして、pBSK_ITR_CGAPD_hP4HAl_X29_ITR(配列番号29)を作出した。精製したhP4HA1およびベクター断片をライゲートした。ライゲーション混合物を全部使用して、50μLのコンピテントDH5アルファ細胞を製造業者の説明書に従って形質転換した。新しく作出されたプラスミドの完全性および構造を、上記に記載の通り制限分析で点検した。
【0169】
hP4HA1構築物pBSK_ITR_CGAPD_hP4HAl_X29_ITRの試料をPvuI-HFで線状化し、XbolおよびXbalで消化することよりさらに検証した。消化したDNAを、電気泳動で定量化および分離した。予想通り、2つの断片(8780bpおよび1440bp)が存在した。
【0170】
hP4HB構築物を作出するため、GFP発現プラスミドpBSK_ITR_CGAPD_EGFP_X29_ITRを、HindIIIおよびXbalで消化した。ベクターに対応する8603bpの断片を回収し、上記の通りに精製した。
【0171】
フォワードプライマーhP4HB_Fw_HindIII(TCCCMGCTTACCGCCACCATGCTGCGCCGCGCTCT;配列番号35)、リバースプライマーhP4HB_Rv_Xbal(CTAGTCTAGATTATCACAGTTCATCTTTCACAGCTTTCTGA;配列番号36)、および鋳型としてのヒト正常組織のcDNAを使用して、ヒトプロリル4-ヒドロキシラーゼ、ベータポリペプチド(hP4HB_NM_000918)をPCRで増幅した。1559bpのPCR断片を精製し、HindIIIおよびXbalで消化した。
【0172】
得られた1545bpのhP4HB断片(配列番号30)を8603bpのベクター断片にアセンブリして、pBSK_ITR_CGAPD_hP4HB_X29_ITR(配列番号31)を作出した。精製したhP4HBおよびベクター断片をライゲートし、50μLのコンピテントDH5アルファ細胞を形質転換するために使用した。新しく作出されたプラスミドの完全性および構造を、上記に記載の通り制限分析で点検した。
【0173】
hP4HB構築物pBSK_ITR_CGAPD_hP4HB_X29_ITRの試料をPvuI-HFで線状化し、XbalおよびHindIII-HFで消化することにより検証した。消化したDNAを、電気泳動で定量化および分離した。予想通り、2つの断片(8603bpおよび1545bp)が存在した。
【0174】
HSP47、hPEPD、およびCOMSC発現構築物
同様の方法を使用して、HSP47を発現する構築物を生成した。GFP発現プラスミドpBSK_ITR_BT+_EGFP_X29_ITRを消化した。ベクターに対応する断片を、標準的な技法を使用して回収および精製した。ヒトHSP47をコードする核酸配列(配列番号32)をベクター断片に挿入して、HSP47発現構築物(pBSK ITR BT+SHSP47 X29 IT)を生成した。プラスミドの完全性および構造を、以前に記載の通り制限分析により点検し、最後にプラスミドを定量化した。
【0175】
フォワードプライマーhPEPD_Fw_HindIII(TCCCAAGCTTACCGCCACCATGGCGGCGGCCACCGGA;配列番号37)、リバースプライマーhPEPD_Rv_Xbal(CTAGTCTAGATTATCACTTGGGGCCAGAGAAGGGGGT;配列番号38)、および鋳型としてのヒト正常組織のcDNAを使用して、ヒトプロリダーゼコード配列hPEPD(NM_000285)をPCRで増幅した。1514bpのPCR産物を精製し、HindIIIおよびXbalで消化した。回収した1500bpのhPEPD断片を、8930bpのベクター断片にアセンブリして、pBSK_ITR_BT+_hPEPD_X29_ITRを作出した。精製したhPEPDおよびベクター断片を一緒にライゲートし、50μLのコンピテントDH5アルファ細胞を形質転換するために使用した。新しく作出されたプラスミドの完全性および構造を、以前に記載の通り制限分析により点検し、最後にプラスミドを定量化した。
【0176】
ヒトCIGALT1特異的シャペロン1コード配列(NM_001011551)を、フォワードプライマーCOSMC_Fw_HindIIIfilled(TACCGCCACCATGCTTTCTGAAAGCAGCTCCTT;配列番号39)、リバースプライマーCOSMC_Rv_Xbal(CTAGTCTAGATTAGTCATTGTCAGAACCATTTGGAGGT;配列番号40)を使用してPCRで増幅し、ヒト正常組織のcDNAは鋳型を有する。977bpのPCR産物を精製し、Xbalで消化した。回収した968bpのhCOSMC断片を、8930bpのベクター断片(HindIIIを使用してpBSK_ITR_BT+_EGFP_X29_ITRプラスミドから切断した)にアセンブリして、pBSK_ITR_BT+_hCOSMC_X29_ITRを作出した。精製したhCOSMCおよびベクター断片を10μLの最終容積中でライゲートし、50μLのコンピテントDH5アルファ細胞を形質転換するために使用した。新しく作出されたプラスミドの完全性および構造を、以前に記載の通り制限分析で点検した。
【0177】
実施例2:組換えコラーゲン7宿主細胞株を産生するための細胞株の生成
宿主細胞株および細胞培養
野生型CHO-K1細胞株(ATCC、カタログ番号CCL-61)に由来する無血清培養細胞バンク(作業用細胞バンク、WCB)を、8mM L-グルタミン(PAA社、カタログ番号M411-004)および1×HT栄養補助剤(ヒポキサンチン/チミジン栄養補助剤)(インビトロジェン社(Invitrogen)、カタログ番号41065)で補完されたSFM4CHO培地(ハイクローン社(HyClone)、カタログ番号SH30548)中にて、無血清条件下で培養および維持した。WCBの培地に対して5%CB5(HyClone(商標)、Cell Boost(商標)栄養補助剤(ハイクローン社(HyClone)、カタログ番号SH30865)を添加することにより、トランスフェクション用の研究用細胞バンク(RCB)を生成した。細胞を、規定通りに2×10細胞/mLの密度で播種した。トランスフェクション性および単一細胞プレーティング能を試験し、承認した。トランスフェクションの準備ができたこうした無血清浮遊細胞培養を、CHO-M細胞と呼ぶ。
【0178】
CHO-M宿主細胞を、規定通りに、8mM L-グルタミン、1×HT栄養補助剤、および5%CB5で補完されたSFM4CHO培地中で培養した。細胞を、37℃および5%COの加湿インキュベーター内で撹拌(120rpm、25mmストローク)しながら維持した。トランスフェクション前に、8mM L-グルタミン、1×HT、および5%CB5で補完されたSFM4CHO培地の2mLを、6ウェルプレートの1つのウェルにプレーティングし、37℃、5%COでインキュベートすることにより予め加温した。
【0179】
発現構築物/プラスミド調製
実施例1に詳細に記載されている通りに構築物を製作した。プラスミドをすべて定量化し、配列決定によりさらに検証した。
【0180】
トランスフェクション(プール#B1)
SGE Tech 1トランスフェクション系を細胞トランスフェクションのために使用した(セレキシスインコーポレイテッド社(SELEXIS Inc.)、米国)。コラージュ(collage)7発現プラスミド(ピューロマイシン耐性カセットを保有する)ならびにプロリル-4-ヒドロキシラーゼサブユニットA1およびB(P4HA1およびP4HB)の2つのプラスミドを、以下の通り、CHO-M細胞に共トランスフェクトした(表3)。GFP発現プラスミドを対照として使用した。
【0181】
【表3】
【0182】
CHO-M細胞は、細胞生存率(96.0%生存率)およびトランスフェクション効率を最大化するため、トランスフェクション手順の直前に調製した。細胞(1マイクロポレーション当たり5.1×10細胞)を遠心分離し(400×g、5分間、室温)、滅菌1×PBSで洗浄した。細胞ペレットを、再懸濁緩衝液R(MicroPoratorキット、MPK-1096)に穏やかに再懸濁して、1.7×10c/mLの濃度にした。100μL容積の細胞懸濁物(1マイクロポレーション当たり)を、直ちにDNAチューブに移し、注意深く混合した。細胞-DNA混合物を、MicroPoratorピペット(ナノエンテックインコーポレーテッド社(NanoEnTek Inc.)、韓国)で吸引し、ピペットステーション内に配置した。マイクロポレーション後(1130V、20ms、および3回パルス)、細胞を、以前に準備した6ウェルプレートに移し、37℃および5%COの静置加湿インキュベーターで一晩インキュベートした。GFP発現ベクターを並行して使用することによりトランスフェクション効率を制御した(翌日に実施した顕微鏡検査は、50~70%の通常トランスフェクション効率を示した)。
【0183】
SGEtechIトランスフェクションの6日後、細胞をスピンチューブに移し、抗生物質含有培地(8mM L-グルタミン、1×HT、5%CB5、および5μg/mLピューロマイシン(シグマ社(Sigma)、カタログ番号P-9620)を有するSFM4CHO培地)中で選択した。8mM L-グルタミン、1×HT、5%CB5、および2.5μg/mLピューロマイシンを有するSFM4CHO培地を使用してトランスフェクト細胞を培養および継代した。トランスフェクト細胞の1つのプール(プール#B1)を、次のトランスフェクションに使用した。
【0184】
プール#B1のスーパートランスフェクション
次いで、SGEtechIトランスフェクションに由来するプール#B1の細胞を、表4に示されているプラスミドでさらにトランスフェクトした(スーパートランスフェクションとして)。スーパートランスフェクションには、ハイグロマイシン耐性を保有するベクターを使用した。細胞(5.1×10細胞/トランスフェクション)を、滅菌反応チューブ内で4.5μgの線状化DNA試料と一緒にした。同じトランスフェクションプロトコールを使用した(1130V、20ms、および3回パルス)。GFP発現ベクターを使用することによりトランスフェクション効率を制御した(50~70%の通常トランスフェクション効率)。
【0185】
【表4】
【0186】
スーパートランスフェクション後、細胞を5mLスピンチューブに入れて拡大増殖させた。2.5g/mLのピューロマイシンを含む、8mM L-グルタミン、l×HT、および5%CB5で補完されたSFM4CHO培地中で10日間培養した後、250μg/mLのヒグロマイシン(インビトロジェン社(Invivogen)、カタログ番号ant-hm-5)を培地に添加することにより二重選択を開始した。6回のその後の継代を実施してから、バンク化した。トランスフェクト細胞の1つのプール(プール#B1STB)を、次のトランスフェクションに使用した。
【0187】
プール#B1STBのスーパートランスフェクション
プール#B1STBの細胞を、プロリル4-ヒドロキシラーゼAおよびBサブユニットを発現するベクター(表5)ならびに哺乳類発現ベクターU5-PBで再度トランスフェクトした。各マイクロポレーションについて、GFP対照と並行して、3.4×10細胞および3μg線状化DNAを滅菌反応チューブ中で調製した。同じトランスフェクションプロトコールを使用した(1130V、20ms、および3回パルス)。
【0188】
【表5】
【0189】
スーパートランスフェクションIIの13日後、5mLスピンチューブに入れて、抗生物質を有していない、8mM L-グルタミン、1×HT、5%CB5で補完されたSFM4CHO培地中で細胞を拡大増殖させた。14日目に、250μg/mLのハイグロマイシンおよび2.5μg/mLのピューロマイシンを培養培地に添加した。
【0190】
14回のその後の継代後、トランスフェクト細胞を凍結保存した。トランスフェクト細胞の1つのプール(プール#B1STBSTb)を、別のスーパートランスフェクションのために、250μg/mLのハイグロマイシンおよび2.5μg/mLのピューロマイシンを含むSFM4CHO培地中でさらに8回さらに継代培養した。
【0191】
プール#B1STBSTbのスーパートランスフェクション
プール#B1STBSTbに由来する細胞を、hHSP47の発現ベクターでさらにトランスフェクトした(表6)。各マイクロポレーションについて、GFP対照と並行して、3.4×10細胞および3μg線状化DNA試料を滅菌反応チューブ中で調製した。同じトランスフェクションプロトコールを使用した(1130V、20ms、および3回パルス)。
【0192】
【表6】
【0193】
スーパートランスフェクションIIIの9日後に、培地交換を実施し、200μg/mLの2-ホスホ-L-アスコルビン酸(シグマ社(Sigma)、カタログ番号49752)を、8mM L-グルタミン、1×HT、および5%CB5で既に補完されているが、抗生物質を含んでいないSFM4CHO培養培地に添加した。5日後、細胞を5mLスピンチューブに入れ、250μg/mLのハイグロマイシンおよび2.5μg/mLのピューロマイシンを含む、8mM L-グルタミン、1×HT、および5%CB5で補完されたSFM4CHO培地中で拡大増殖させた。さらなる分析のため、250μg/mLのハイグロマイシンおよび2.5μg/mLのピューロマイシンを含む培地中で7回のその後の継代を実施した。
【0194】
トランスフェクト細胞の1つのプール(プール#B1STBSTbSTh2)をさらに培養し、拡大増殖させた。
実施例3:単クローン性細胞株のスクリーニング
3.1 プール#B1STBSTbのスクリーニング
プール#B1STBSTbの細胞を、100細胞/mLの濃度で半固体培地(8mM L-グルタミン、I×HT、および5%CB5を含む2×SFM4CHO培地およびメチルセルロース(CloneMatrix(商標)、ジェネティックス(Genetix)、カタログ番号K8510))中で11日間培養した。111個の候補を選び、96ウェルプレートに移し、8mM L-グルタミン、1×HT、5%CB5で補完されたSFM4CHO培地に入れた。7日以内に、ドットブロットにより候補をスクリーニングした。18個のスーパートランスフェクト候補をさらに選び、24ウェルプレートに移した。さらに7日以内に、24ウェルの上清をドットブロットで分析し、12個のスーパートランスフェクト候補を6ウェルプレートに移した。
【0195】
発現が最も高い12個の候補すべてを(ドットブロットに基づく)、7日後にスピンチューブ(5mL作業容量)中で拡大増殖させて懸濁培養にし、5回のその後の継代後、振とうフラスコ(作業容量20mL)中の、8mM L-グルタミン、1×HT、および5%CB5で補完されたSFM4CHO培地に入れた。こうした拡大増殖はすべて、選択用の抗生物質を添加せずに実施した。
【0196】
候補をバンク化し、各候補の性能を、32℃でのバッチ培養で比較した。細胞数および生存率が表7に示されている。タンパク質発現をウエスタンブロットで試験した。図1は、B1STBSTb第1ラウンド候補の6日目培養物のウエスタンブロットのゲル画像を示す。
【0197】
【表7】
【0198】
候補クローンB1STBSTb-cp03をさらに培養し、同じプロセスに従って選択し、B1STBSTb-cp03に由来する5つのクローンを選択した(表8)。図2Aおよび図2Bは、それぞれ32℃および37℃における第2ラウンド選択に由来するクローンの6日目培養物のウエスタンブロットのゲル画像を示す。
【0199】
【表8】
【0200】
3.2 プール#B1STBSTbSTh2のスクリーニング
プール#B1STBSTbSTh2の細胞を、100細胞/mLの濃度で半固体培地(8mM L-グルタミン、I×HT、および5%CB5を含む2×SFM4CHO培地およびメチルセルロース)中で培養した。29個のスーパートランスフェクト候補クローンを選び、96ウェルプレートに移し、8mM L-グルタミン、IxHT、および5%CB5で補完されているが抗生物質を有していないSFM4CHO培地に入れた。
【0201】
3日以内に、29個の成長中のスーパートランスフェクト候補すべてを、6ウェルプレートに移した(1mLの細胞懸濁物+2mLの新鮮な成長培地)。5日後、6ウェルの上清をウエスタンブロットで分析し、最も高い発現を示す3つのスーパートランスフェクト候補をスピンチューブ(5mL作業容量)中で拡大増殖させて懸濁培養にした。8mM L-グルタミン、1×HT、および5%CB5で補完されたSFM4CHO培地中での、選択を行わない5回のその後の継代後(4回目の継代では、200μg/mLの2-ホスホ-L-アスコルビン酸を加えた)、細胞を、スピンチューブ上清(5mL作業用溶液)をウエスタンブロットすることによりスクリーニングした。次いで、最も高い発現を実証する2つのスーパートランスフェクト候補を、振とうフラスコ(作業容量20mL)中の、8mM L-グルタミン、1×HT、および5%CB%で補完されているが抗生物質を有していないSFM4CHO培地中で費やして懸濁培養にした。
【0202】
2つの候補、B1STBSTbSTh2-cp13およびB1STBSTbSTh2-cp15をバンク化し、32℃および37℃でのバッチ培養で性能を比較した。細胞数および生存率が表8に示されている。図3は、32℃および37℃におけるB1STBSTbSTh2cp13およびB1STBSTbSTh2cp15の5日目培養物のウエスタンブロットのゲル画像である。
【0203】
【表9】
【0204】
候補クローンであるB1STBSTbSTh2cp13およびB1STBSTbSTh2cp15をさらに培養し、半固体培地(8mM L-グルタミン、I×HT、および5%CB5を含む2×SFM4CHO培地およびメチルセルロース(抗生物質選択無し))中でスクリーニングした。プレーティングしたコロニーを、12日後に、ClonePix細胞コロニーピッカー系を使用してスクリーニングした。B1STBSTbSTh2cp13から32個のクローンおよびB1STBSTbSTh2cp15から30個のクローンを選び、96ウェルプレートに移し、その後、6ウェルプレート中の、8mM L-グルタミン、1×HT、5%CB5で補完されているが抗生物質を有していないSFM4CHO培地に移した。選んだすべての細胞クローンを拡大増殖させ、3日後にスピンチューブ(5mLの作業容量)に入れた。ウエスタンブロットによるスピンチューブ上清の分析に基づき、最大発現を示す、BlSTBSTbSTh2cp13から3つのクローンおよびBlSTBSTbSTh2cp15から4つのクローンを選択し、振とうフラスコ(作業容量20mL)中の、8mM L-グルタミン、I×HT、および5%CB5で補完された(選択用の抗生物質を有していない)SFM4CHO培地で拡大増殖させた。
【0205】
すべての細胞株(表10に列挙されている)をバンク化し、こうした細胞の性能を32℃および37℃でのバッチ培養で比較した。細胞数および生存率が表10に示されている。図2Aおよび図2Bは、それぞれ32℃および37℃における第2ラウンド選択の6日目培養物のウエスタンブロットのゲル画像を示す。
【0206】
【表10】
【0207】
細胞株はすべて、10%DMSO(シグマ社(Sigma)、カタログ番号D-2650)、45%馴化培地、ならびに8mM L-グルタミン、1×HT、5%CB5で補完された45%新鮮SFM4CHO培地を使用して、6×10細胞/バイアルで凍結保存した。バイアルを、-80°Cで24時間クライオボックス(ヌンク社(Nunc))に保管した後、アクセスが制限された液体窒素系に移した。
【0208】
凍結細胞を試験し、Veno(登録商標)Gemマイコプラズマ検出キット(ミネルババイオラボ社(Minerva Biolabs)、カタログ番号11-1100)を使用してマイコプラズマが存在しないことを、製造業者のプロトコールに従って(ヘイファ社(Heipha)、Caso-Bouillon TSB、番号3080r)無菌性を確認した。
【0209】
解凍時の生存率、細胞成長、およびcDNA配列決定を含む細胞の安定性、ならびに解凍後の機能試験を、指定された時間間隔でモニターする。
実施例4:rCol7産生のための細胞クローン#B1STBSTbcp03(MCB)の検証
細胞クローン#B1STBSTbcp03(MCB細胞とも呼ばれる)により産生されたコラーゲン7を、ICH(医薬品規制ハーモナイゼーション国際会議)の安全性ガイドラインに従って広範に試験した。MCBに由来するrCol7の同一性を、サザンブロットおよびrCol7 cDNA配列決定により分析した。MCBには、予想される8.9kbのrCol7断片が存在するが、宿主CHO細胞には存在せず、MCBにはrCol7コード領域が存在することが確認される(図4)。rCol7 MCBから単離されたcDNAのヌクレオチド配列は、配列分析によりrCol7をコードすることが確認された。
【0210】
配列決定結果は、MCBに由来するrCol7のヌクレオチド3097位(ATG開始コドンから数えて)に配列不均質性があることを示した。3097位のヌクレオチド残基は、天然Gヌクレオチド(GenBank受入番号NM_000094;配列番号2のように)およびこの位置で観察された優勢ヌクレオチドだったTヌクレオチドの混合(20.2%Gおよび79.8%T)であり、コラーゲン7ポリペプチドのコドン1033位にアミノ酸残基アスパラギン酸(D)(GACによりコードされる)およびチロシン(Y)(TACによりコードされる)を有する不均質なrCol7ポリペプチドがもたらされる。2つのrCol7発現構築物(Puro_BT+SLX3631_Col7AおよびHygro_BT+SLX3631_Col7A)のヌクレオチド配列は、1033位にアスパラギン酸(D)を正しくコードすることが確認されたため、観察された不均質性は、MCBの生成に結び付く細胞株発生プロセス中に導入されたと結論付けられる。
【0211】
こうした結果は、MCBが、二クローン性であるか、またはG3097もしくはT3097組換えコラーゲン7配列のいずれかを保有する2つの関連クローンの混合物であることを示す。G:T配列の比、結果的には2つのクローンの比は、およそ1:4である。核酸配列が不均質性であるため、rCol7 MCBにより産生される組換えヒトコラーゲン7組成物も不均質であり、D1033およびY1033の混合物を含み、Y1033変異体は、この物質のおよそ80%~90%を占める。
【0212】
MCBにより産生されるrCol7物質の機能性を試験するために、さらなる評価を実施した。rCol7の構造および機能に対するD1033Y不均質性の潜在的な影響を、分子モデリング技法の組合せにより評価した。結果は、物理化学的特性(例えば、分子量、プロリンヒドロキシル化、一次および二次構造)が予想通りであることを確認した。確立されている相同性モデル(in silico)によると、1033位の不均質性は、コラーゲンVIIのフィブロネクチンIII型リピート9(FNIIIドメインFNIII R9)のβサンドイッチフォールディングに影響を与えない可能性が高い。
【0213】
1033位の不均質性がコラーゲン7の機能性に及ぼす影響を評価するため、MCB由来rCol7組成物(MCB rCol7など)の幾つかの重要な属性を測定し、参照コラーゲン7(ヒト線維芽細胞由来)と比較した。こうした分析には、還元条件でのウエスタンブロットによる同一性評価、サイズ排除HPLC(SE-HPLC)による多量体化状態の評価、ペプチドマッピングLC/MSによるヒドロキシプロリン占有率、示差走査熱量測定(DSC)によるドメイン完全性の生物物理学的評価、ラミニン-332結合アッセイによる結合パートナー親和性評価、およびIncuCyte創傷治癒法による創傷治癒の評価が含まれていた。
【0214】
DSC(示差走査熱量測定)を使用して、MCB rCOL7のドメイン完全性を評価した。DSC分析では、参照コラーゲン7および現行のMCB由来rCol7組成で同等の結果が得られ、非常に類似したドメイン/サブドメイン熱遷移が観察された。コラーゲン7のコラーゲン性ドメインは、両物質ともおよそ45℃で最も早い熱遷移(Tm)を起こし、非コラーゲン性ドメイン(NC1)融解遷移は、およそ68℃の温度で生じる。両物質内の中間熱遷移は、コラーゲン性ドメインのサブドメインによるものであると考えられ、両物質とも49℃~50℃で同様の遷移を示す。
【0215】
ウエスタンブロット分析は、rCol7産物同一性が、観察された一次結合パターンの点では、参照コラーゲン7と現行のMCB由来rCol7組成物との間で同等であることを示した(図5)。
【0216】
MCB rCol7試料を変性させ、還元し、ヨード酢酸を使用することによりシステインをアルキル化し、次いで37℃にて14時間トリプシンで消化した。消化したタンパク質をPNGaseFで脱グリコシル化した。ペプチドマッピングLC/MSを使用してペプチド混合物を分析した。結果は、rCol7一次配列の完全性を示した。MCB rCol7のヒドロキシプロリンのレベルは、T724インジケーターペプチド(VVGAPGVPGAPGER)内で観察されたヒドロキシプロリンのパーセンテージにより推定した(ブレイドら(Bulleid et al.)The EMBO Journal,1997,Vol.16(22):6694-6701)。ペプチドマッピングLC/MSの結果は、T274インジケーターペプチド内のヒドロキシプロリン占有率が同様のレベルであることを示す。
【0217】
残基1033は、ラミニン-332結合部位内にマッピングされている、コラーゲン7の9番目のフィブロネクチンIII型様リピートに位置する(チェンら(Chen et al.),J Invest Dermatol.,1999,Vol.112(2):177-183)。ラミニン-332結合親和性とMCB由来rCol7のY1033変異体のパーセンテージとの間の潜在的相関性を決定するための評価は、参照コラーゲン7およびMCB rCol7の最大結合レベルおよび解離定数(Kd)などの結合特徴が同様だったことを示す(図6)。したがって、アミノ酸1033位に存在する不均質性は、MCB由来rCol7組成物のラミニン-332結合に影響を及ぼさないと考えられる。
【0218】
また、BMZに存在しない、コラーゲン7の追加結合パートナーであるフィブロネクチンで結合評価を実施した。
参照コラーゲン7およびMCB rCol7のin vitro創傷治癒バイオアッセイを実施した。試験結果はこれら物質間で類似していた。これは、1033位に存在する不均質性が、このアッセイにより測定される生物学的機能に悪影響を及ぼさないことを示す(図7)。
【0219】
まとめると、参照コラーゲン7およびMCB由来rCol7組成物の物理化学的および機能的試験は、多数の重要な属性にわたって類似性を実証した。これは、コラーゲン7の1033位がアスパラギン酸の代わりにチロシンであっても著しい影響は存在しないことを示す。
【0220】
実施例5:クローン#B1STBSTbSThcp13-01および#B1STBSTbSThcp13-03の検証
細胞クローン#B1STBSTbSThcp13-01およびB1STBSTbSThcp13-03は、単クローン性(つまり、単一細胞由来)の可能性が高いことを保証するための業界標準を満たす2ラウンドのクローニングに由来した。両クローンから単離されたゲノムDNA(gDNA)およびcDNAのDNA配列分析により、野生型コラーゲン7配列と一致する単一の核酸配列の存在が確認された。この結果により、両細胞クローンは単クローン性であり(つまり、単一細胞祖先に由来する)、rCol7導入遺伝子は、両クローンとも、参照配列(ヒトコラーゲン7、GenBank受入番号NM_000094;配列番号2)に規定されている通りの天然コラーゲン7をコードすることが確認される。サウスブロット分析により、rCol7の8.9Kb断片の存在が確認された。これは、rCol7コード配列が両クローンでインタクトであることを示す(図8)。1年後の細胞バンクの培養細胞は、参照Col7配列との不一致を示さない。インタクトな導入遺伝子配列および転写物(mRNA)が、両クローンに存在する。
【0221】
以下の安定性試験で示されている通り、両クローンに由来する細胞は安定している。細胞を、選択の非存在下または存在下で少なくとも30世代にわたって培養した。コラーゲン7産生を、コラーゲン7の細胞内染色およびELISA試験により試験した(表11および図9)。選択の非存在下では、生産性が低下するが(表11)、選択の存在下では、少なくとも30世代にわたって生産性が維持される(表11)。コラーゲン7の細胞内染色により、追加の部分集団が観察されないことが確認される。これは両細胞株が安定していることを示す(図9)。
【0222】
【表11】
【0223】
B1STBSTbSThcp13-01およびB1STBSTbSThcp13-03に由来するrCol7組成物には検出可能な突然変異ペプチドが見出されなかったことが、配列決定によりさらに決定された。B1STBSTbSThcp13-01およびB1STBSTbSThcp13-03に由来するrCol7物質の生物物理学的特徴は、DSCマッピングによるアンフォールディング温度プロファイル(35℃~55℃)が同じであることを示す。
【0224】
実施例6:プロセススケールアップの細胞培養条件および生産性
プロセススケールアップの成功は、重要なスケール非依存性プロセスパラメーターを決定し、測定し、およびモニターし、次いで、ラージスケールにてそうした同じパラメーターを提供するように設備を適切に設計および操作することに依存する。細胞拡大増殖用の細胞培養培地を含むバイオリアクター条件を、プロセススケールアップのために最適化した。cell boost5、100×HT、およびアスコルビン酸を有するCD OptiCHO(商標)培地(サーモフィッシャー社(ThermoFisher))を基本細胞培養培地に使用した。細胞成長を、10リットルのCD OptiCHO(商標)培地ベースの培養中で30E6vc/mLに維持した。クローンB1STBSTbSThcp13-01の生存率は、25日間の培養にわたって一貫して85%を上回っていた。ELISAによるクローンスクリーニングデータは、両クローンB1STBSTbSThcp13-01およびB1STBSTbSThcp13-03の生産性が、クローン#B1STBSTbcp03よりも高いことを示す(表12)。また、クローンB1STBSTbSThcp13-01およびB1STBSTbSThcp13-03のHCP(宿主細胞タンパク質)量は、MCBクローンの量よりも高い(図10)。
【0225】
【表12】
【0226】
3つの候補クローンを、ラージスケール化可能性課題について試験した。プロセススケールアップのために、細胞を400SWバイオリアクターで培養した。B1STBSTbcp03およびB1STBSTbSThcp13-01の酸素アップデート速度(OUR、oxygen update rate)は、それぞれ1.59E-10(mmol O2/hrvcおよび3.09E-10(mmol O2/hrvc)だった。B1STBSTbSThcp13-03クローンは、生物量が20%少なく、O2流速が20%大きい。入口でパッキング(Packing)が観察され、B1STBSTbSThcp13-01クローンおよびB1STBSTbSThcp13-03クローンの両方は、ピーク時では同様のパッキング細胞容積(packed cell volume)を示す(20~25%)。B1STBSTbcp03細胞は、均一なパッキングプロファイルおよび約20%のパックキング容積(ピーク)を示す。予備データは、B1STBSTbSThcp13-01が、プロセススケールアップに好ましいことを支持する。
【0227】
実施例7:評価用のプロセススケールダウンを使用した下流精製プロセス
迅速で効率的であり信頼性の高い産生プロセスを実現するため、スケールダウン実験室モデルを使用して、下流精製プロセスを試験した。組換え治療用コラーゲン7タンパク質の精製において、タンパク質の純度および収率を増加させるために、下流プロセスを評価および最適化した。プロセスは、以下の工程を含む。
【0228】
1.細胞培養物質(UPB)を回収する工程。この研究では、各クローンの混合およびプール培養物質を使用した。
2.UV-Cおよび化学薬品(例えば、Triton)を使用して、細胞培養物質(UPB)中のウイルスを不活化する工程。
【0229】
3.処理したUPBをCapto(商標)コアフロークロマトグラフィーおよびセファロースクロマトグラフィーで濾過する工程。
4.ウイルス濾過の工程。
【0230】
5.膜材料を使用して、最終UF(限外濾過)およびDF(ダイアルフィルトレーション(Dialfiltration)工程を実施する工程。この試験研究では、2段階100KD UF/DF(例えば、100KD CふるいPES(ポリエーテルスルホン)膜)を使用した。その代わりに、1段階UF/DF(例えば、30KD AふるいPES膜)を使用した。
【0231】
6.最終産物を0.2μm膜で濾過する工程。
【0232】
【表13】
【0233】
クローンB1STBSTbSThcp13-01およびB1STBSTbSThcp13-03に由来するUPBは、ENG(88,000ng/mL)およびGMP(表13)と比較して著しくより高い力価(クローン13-01では208,000ng/mLおよびクローン13-03では134,000ng/mL)を有する。同様に、細胞クローンに由来するHCPは、ENGおよびGMPと比較して著しくより高い。各クローンの薬物物質におけるHCPレベルは同等であり、仕様を下回っている。
【0234】
1段階30KD UF/DFプロセスまたは2段階100KD UF/DFプロセスを使用した試験下流精製収率は同等である。現行の下流プロセスは、3つのクローンすべてで同等の収率を示すが、B1STBSTbSThcp13-01およびB1STBSTbcp03は、より高い最終UF/DF収率を示す(表13)。
【0235】
スケールダウンプロセスに由来する薬物物質品質属性を、表14に示されている通りに評価した。細胞クローンに由来する薬物物質の外観、バイオバーデン、エンドトキシン、浸透圧、およびPhなどの他の属性は、参照標準物質と同等である。スケール変更実験および400SWバイオリアクターの分析結果は類似している(データ非表示)。
【0236】
【表14】
【0237】
両クローン#B1STBSTbSThcp13-01およびB1STBSTbSThcp13-03では、バイオリアクターおよびUPBに由来する総HCPがより高いことが、ELISAにより測定された。ELISA法による薬物物質中のHCP含有量は、3つの細胞クローンのスケールダウン実験間で同等であるが(表14)、B1STBSTbSThcp13-01細胞株およびB1STBSTbSThcp13-03細胞株に由来する薬物物質では、CHO C7含有量の増加がMS法より測定された(表15)。
【0238】
【表15】
【0239】
こうした結果は、#B1STBSTbSThcp13-01の生産性が>20mg/L/日であり得ることを示唆する。細胞クローンから産生されたrCol7は天然コラーゲン7を含んでいる(図11)。組換えタンパク質の配列決定によると、B1STBSTbSThcp13-01およびB1STBSTbSThcp13-03に由来するrCol7から検出可能な変異ポリペプチドは見出されなかった。細胞株は安定しており、スケールアップ細胞培養に好適である。全体的な下流精製収率および薬物物質属性は、標準参照物質と同等である。B1STBSTbSThcp13-01細胞株に由来する薬物物質の他の機能(例えば、IncuCyte創傷治癒アッセイおよびフィブロネクチン結合による効力)は、参照標準物質と同等である(表14)。詳細な結果は、以下の例で考察されている。
【0240】
実施例8:選択した単クローン性宿主細胞に由来するrCol7の配列検証
全RNA内容物を、遺伝子操作組換え宿主細胞クローンから抽出し、標準的手順に従って定量化した。RNA抽出物の品質も分析した。標的転写産物(配列検証に供される配列)を、RT-PCR(逆転写酵素媒介性PCR)およびRACE-PCR(cDNA末端迅速増幅PCR、Rapid Amplification of cDNA Ends-PCR)を使用して富化した。
【0241】
増幅産物(アンプリコン)を、各アンプリコンのDNAライブラリーが生成されるように構築した。各DNAライブラリーは、試料採取追跡および識別のために一意にバーコード化されていた。各DNAライブラリーのDNA断片長の平均を、DNAライブラリー構築の完了時に評価した(Agilent2100Bioanalyzer高感度DNAキット)。
【0242】
SYBR-QPCR(SYBR Greenベースの定量的ポリメラーゼ連鎖反応)を使用して最終DNAライブラリーを定量化し、分析してDNA濃度を決定した。最終DNAライブラリーを、変性させ、希釈し、一緒に組み合わせて、NGS(次世代シーケンシング)(Illumina(登録商標)MiSeq(登録商標)NGSプラットフォーム)により配列決定した。
【0243】
配列データを、RT-PCTおよびRACE-PCRデータセットを、参照rCol7配列(配列番号25;rCol7構築物におけるコラーゲン7挿入)に対してマッピングおよびアラインメントすることにより分析した。
【0244】
予備的なRACE-PCRマッピングデータは、読取り集団のおよそ80%が参照ゲノムにマッピングされ、アラインメントは、100%類似性で100%参照カバー率をもたらし、報告可能な変異体は検出されなかったことを示した。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【配列表】
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【国際調査報告】