(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-30
(54)【発明の名称】3次元プリンタによる構成体内の欠陥検出
(51)【国際特許分類】
G06T 7/00 20170101AFI20220523BHJP
【FI】
G06T7/00 610
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021557616
(86)(22)【出願日】2020-03-26
(85)【翻訳文提出日】2021-11-25
(86)【国際出願番号】 US2020024914
(87)【国際公開番号】W WO2020205422
(87)【国際公開日】2020-10-08
(32)【優先日】2019-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521399906
【氏名又は名称】アドバンスド ソリューションズ ライフ サイエンシズ、エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シュルツ、アレックス
(72)【発明者】
【氏名】ジョンソン、ジェロミー
(72)【発明者】
【氏名】イーライ、ロバート
【テーマコード(参考)】
5L096
【Fターム(参考)】
5L096BA03
5L096BA18
5L096CA05
5L096DA03
5L096HA11
5L096KA03
5L096KA04
(57)【要約】
1つ又は複数の実施例によれば、プリントされた構成体内の欠陥を検出するためのシステムが、1つ又は複数のプロセッサと、1つ又は複数の画像センサと、1つ又は複数のメモリ・モジュールと、を含む。1つ又は複数の画像センサは、1つ又は複数のプロセッサに通信可能に結合されている。機械可読命令が、1つ又は複数のメモリ・モジュールに記憶されており、機械可読命令は、1つ又は複数のプロセッサによって実行される場合、システムに、1つ又は複数の画像センサから3次元プリンタによる構成体の画像データを収集させ、3次元プリンタによる構成体の画像データ内の1つ又は複数の欠陥を検出させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
3次元プリンタによる構成体内の欠陥を検出するためのシステムであって、
1つ又は複数のプロセッサと、
前記1つ又は複数のプロセッサに通信可能に結合された1つ又は複数の画像センサと、
前記1つ又は複数のプロセッサに通信可能に結合された1つ又は複数のメモリ・モジュールと、
前記1つ又は複数のメモリ・モジュールに記憶された機械可読命令であって、前記1つ又は複数のプロセッサによって実行されるとき、前記システムに、
前記1つ又は複数の画像センサから3次元プリンタによる構成体の画像データを収集させ、
前記3次元プリンタによる構成体の前記画像データ内の1つ又は複数の欠陥を検出させる、機械可読命令と、を備える、システム。
【請求項2】
前記1つ又は複数のプロセッサに通信可能に結合された1つ又は複数のユーザ・インターフェース・デバイスをさらに備え、前記機械可読命令が、前記1つ又は複数のプロセッサによって実行されるとき、前記システムにさらに、前記3次元プリンタによる構成体の前記画像データ内の前記1つ又は複数の欠陥を検出することに応答して前記1つ又は複数のユーザ・インターフェース・デバイスを使用して警報を出力させる、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記1つ又は複数のプロセッサに通信可能に結合された3次元プリンタをさらに備え、前記機械可読命令が、前記1つ又は複数のプロセッサによって実行されるとき、前記システムにさらに、前記3次元プリンタによる構成体の前記画像データ内の前記1つ又は複数の欠陥を検出することに応答して前記3次元プリンタの運転パラメータを調整させる、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記1つ又は複数のプロセッサに通信可能に結合された3次元プリンタをさらに備え、前記機械可読命令が、前記1つ又は複数のプロセッサによって実行されるとき、前記システムにさらに、前記1つ又は複数の検出された欠陥に基づいて前記3次元プリンタによる構成体の完成を中止させる、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記3次元プリンタによる構成体がプリントされるとき、前記画像データがリアル・タイムで収集される、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記1つ又は複数の欠陥が、気泡、劣悪な層密着性、材料の突起、3次元プリンタのディスペンス・ノズルでの材料集合、ノズルの擦れ、材料の膨らみ、材料の湾曲、巻き上げ、カール、不適切な押出し位置、又は任意のその組合せのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記1つ又は複数のプロセッサに通信可能に結合されたネットワーク・インターフェース・ハードウェアをさらに備え、前記機械可読命令が、前記1つ又は複数のプロセッサによって実行されるとき、前記システムにさらに、前記3次元プリンタによる構成体の前記画像データ内の前記1つ又は複数の欠陥を検出することに応答して前記ネットワーク・インターフェース・ハードウェアを使用して警報をユーザのモバイル・ユーザ・デバイスに出力させる、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
3次元プリンタによる構成体内の欠陥を検出するためのシステムであって、
1つ又は複数のプロセッサと、
筐体を備える3次元プリンタと、
前記筐体内部に配置され、前記1つ又は複数のプロセッサに通信可能に結合された1つ又は複数の画像センサと、
前記1つ又は複数のプロセッサに通信可能に結合された1つ又は複数のメモリ・モジュールと、
前記1つ又は複数のメモリ・モジュールに記憶された機械可読命令であって、前記1つ又は複数のプロセッサによって実行されるとき、前記システムに、
前記1つ又は複数の画像センサから3次元プリンタによる構成体の画像データを収集させ、
前記3次元プリンタによる構成体の前記画像データ内の1つ又は複数の欠陥を検出させる、機械可読命令と、を備える、システム。
【請求項9】
前記1つ又は複数のプロセッサに通信可能に結合された1つ又は複数のユーザ・インターフェース・デバイスをさらに備え、前記機械可読命令が、前記1つ又は複数のプロセッサによって実行されるとき、前記システムにさらに、前記3次元プリンタによる構成体の前記画像データ内の前記1つ又は複数の欠陥を検出することに応答して前記1つ又は複数のユーザ・インターフェース・デバイスを使用して警報を出力させる、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記機械可読命令が、前記1つ又は複数のプロセッサによって実行されるとき、前記システムにさらに、前記3次元プリンタによる構成体の前記画像データ内の前記1つ又は複数の欠陥を検出することに応答して前記3次元プリンタの運転パラメータを調整させる、請求項8に記載のシステム。
【請求項11】
前記機械可読命令が、前記1つ又は複数のプロセッサによって実行されるとき、前記システムにさらに、前記3次元プリンタによる構成体の完成を中止させる、請求項8に記載のシステム。
【請求項12】
前記3次元プリンタによる構成体がプリントされるとき、前記1つ又は複数の検出された欠陥に基づいて前記画像データがリアル・タイムで収集される、請求項8に記載のシステム。
【請求項13】
前記1つ又は複数の欠陥が、気泡、劣悪な層密着性、材料の突起、前記3次元プリンタのディスペンス・ノズルでの材料集合、ノズルの擦れ、材料の膨らみ、材料の湾曲、巻き上げ、カール、不適切な押出し位置、又は任意のその組合せのうちの少なくとも1つを含む、請求項8に記載のシステム。
【請求項14】
前記1つ又は複数のプロセッサに通信可能に結合されたネットワーク・インターフェース・ハードウェアをさらに備え、前記機械可読命令が、前記1つ又は複数のプロセッサによって実行されるとき、前記システムにさらに、前記3次元プリンタによる構成体の前記画像データ内の前記1つ又は複数の欠陥を検出することに応答して前記ネットワーク・インターフェース・ハードウェアを使用して警報をユーザのモバイル・ユーザ・デバイスに出力させる、請求項8に記載のシステム。
【請求項15】
3次元プリンタによる構成体内の欠陥を検出するための方法であって、
1つ又は複数の画像センサから3次元プリンタによる構成体の画像データを受信することと、
前記3次元プリンタによる構成体の前記画像データ内の1つ又は複数の欠陥を検出するために1つ又は複数のプロセッサを使用して前記画像データを処理することと、を含む、方法。
【請求項16】
前記3次元プリンタによる構成体の前記画像データ内の前記1つ又は複数の欠陥を検出することに応答して1つ又は複数のユーザ・インターフェース・デバイスを介して警報を伝達することをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記3次元プリンタによる構成体の前記画像データ内の前記1つ又は複数の欠陥を検出することに応答して3次元プリンタの運転パラメータを自動的に調整することをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記1つ又は複数の検出された欠陥に基づいて前記3次元プリンタによる構成体の完成を自動的に中止することをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
画像データが、前記3次元プリンタによる構成体のプリント中にリアル・タイムで収集され処理される、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記1つ又は複数の欠陥が、気泡、劣悪な層密着性、材料の突起、3次元プリンタのディスペンス・ノズルでの材料集合、ノズルの擦れ、材料の膨らみ、材料の湾曲、巻き上げ、カール、不適切な押出し位置、又は任意のその組合せのうちの少なくとも1つを含む、請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、その全体が参照により本明細書により組み込まれている、2010年3月29日に出願した「Defect detection in 3D Printed Constructs」という名称の米国仮特許出願第62/826,262号の優先権を主張するものである。
【0002】
本明細書は一般に、3次元プリンタによる構成体内の欠陥検出に関し、より具体的には、3次元プリンタによる生物学的構造体/構成体内の欠陥検出に関する。
【背景技術】
【0003】
組織構成体及び構造体は、BioAssemblyBot(登録商標)などの3次元プリンタを使用してプリントされ得る。しかしながら、プリント中に欠陥が生じ得る。そのような欠陥は、プリント中に認識することが困難なことがあり、又はプリント・ジョブが完了するまで明白にならないことがある。これは、生産の非効率性をもたらし得る。
【0004】
したがって、3次元プリンタによる生物学的構成体/構造体内部の欠陥検出の代替システム及び方法が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願第15/726,617号
【特許文献2】米国特許出願第15/202,675号
【発明の概要】
【0006】
ある実施例では、3次元プリンタによる構成体内の欠陥を検出するシステムは、1つ又は複数のプロセッサ、1つ又は複数のプロセッサに通信可能に結合された1つ又は複数の画像センサ、及び1つ又は複数のプロセッサに通信可能に結合された1つ又は複数のメモリ・モジュールを含む。機械可読命令が、1つ又は複数のメモリ・モジュールに記憶されており、機械可読命令は、1つ又は複数のプロセッサによって実行される場合、システムに、1つ又は複数の画像センサから3次元プリンタによる構成体の画像データを収集させ、3次元プリンタによる構成体の画像データ内の1つ又は複数の欠陥を検出させる。
【0007】
別の実施例では、3次元プリンタによる構成体内の欠陥を検出するシステムは、1つ又は複数のプロセッサ、筐体を備える3次元プリンタ、筐体内に配置され1つ又は複数のプロセッサに通信可能に結合された1つ又は複数の画像センサ、及び1つ又は複数のプロセッサに通信可能に結合された1つ又は複数のメモリ・モジュールを含む。機械可読命令が、1つ又は複数のメモリ・モジュールに記憶されており、機械可読命令は、1つ又は複数のプロセッサによって実行される場合、システムに、1つ又は複数の画像センサから3次元プリンタによる構成体の画像データを収集させ、3次元プリンタによる構成体の画像データ内の1つ又は複数の欠陥を検出させる。
【0008】
さらに別の実施例では、3次元プリンタによる構成体内の欠陥を検出する方法は、1つ又は複数の画像センサから3次元プリンタによる構成体の画像データを受信することと、3次元プリンタによる構成体の画像データ内の1つ又は複数の欠陥を検出するために1つ又は複数のプロセッサで画像データを処理することと、を含む。
【0009】
本明細書で説明される実施例によって提供される、これらの及び追加の特徴は、図面と併せて以下の詳細な記述を考慮して、より完全に理解されるであろう。
【0010】
図面で表明された実施例は、本質的に例証的であり且つ例示的であり、請求項によって定義される主題を限定することを意図していない。以下の例証的実施例の詳細な記述は、以下の図面と併せて読まれた場合に理解することができ、同様の構造は、同様の参照符号で示されている。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本明細書で示され説明される1つ又は複数の実施例による、3次元プリンタによる構造体/構成体内の欠陥を検出するためのシステムの概略図である。
【
図2】本明細書で示され説明される1つ又は複数の実施例による、1つ又は複数の画像センサを含む3次元プリンタによる構造体/構成体をプリントするためのプリント・ステージの概略図である。
【
図3】本明細書で示され説明される1つ又は複数の実施例による、3次元プリンタによる構造体/構成体内の欠陥を検出する方法を示すフローチャートである。
【
図4A】本明細書で示され説明される1つ又は複数の実施例による、欠陥を有する実例の構成体を示す図である。
【
図4B】本明細書で示され説明される1つ又は複数の実施例による、欠陥を有する別の実例の構成体を示す図である。
【
図4C】本明細書で示され説明される1つ又は複数の実施例による、欠陥を有するさらに別の実例の構成体を示す図である。
【
図4D】本明細書で示され説明される1つ又は複数の実施例による、欠陥を有するもう1つの実例の構成体を示す図である。
【
図4E】本明細書で示され説明される1つ又は複数の実施例による、欠陥を有するさらにもう1つの実例の構成体を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示の実施例は、3次元プリンタによる構成体及び/又は構造体内の欠陥を検出するためのシステム及び方法を対象にしている。3次元プリンタによる構成体及び3次元プリンタによる構造体が、本開示を通して、互換的に使用され得ることに留意されたい。
【0013】
いくつかの実施例では、欠陥は、構成体がプリントされつつあるとき、リアル・タイムで検出され得る。たとえば、1つ又は複数の画像センサが、3次元プリンタのプリント・ステージ内及び/又は周辺に配置され、構成体がプリントされているとき、その画像データを取得するように構成され得る。1つ又は複数の画像センサからの画像データは、プロセッサによって実行されるとき、以下により詳細に説明するように、3次元プリンタによる構成体内部の1つ又は複数の欠陥を検出するためにシステムに対象物認識を遂行させる、機械可読命令を使用して処理され得る。1つ又は複数の欠陥の検出に際して且つ基づいて、システムは、たとえば、ユーザに通知する、3次元プリンタの運転パラメータを調整する、プリント・ジョブを中止する(すなわち、3次元構成体の完成を中止する)ことなどの、1つ又は複数の処置を取り得る。
【0014】
したがって、プリント・ジョブは、欠陥識別を可能にするためにリアル・タイムで(たとえば、最小限の遅延時間で)監視され得る。そのようなリアル・タイム監視は、生物学的構成体/構造体がプリントされるときに生物学的構成体/構造体内の欠陥を識別することによって、プリント効率及び材料使用を向上させることができ、その結果、是正措置がなされることが可能になり、又はプリントはさらなる浪費なしで中止されることが可能になる。これらの及び追加の特徴が、以下でさらに詳細に説明されることなる。
【0015】
生物学的組織構造体及び構成体が、BioAssemblyBot(登録商標)(その全体が参照により本明細書により組み込まれている、2017年10月6日に出願した「System and Method for a Quick-Change Material Turret in a Robotic Fabrication and Assembly Platform」という名称の米国特許出願第15/726,617号に記述されているもの、及びケンタッキー州ルイビルのAdvanced Solutions Life Sciences,LLCから調達可能であるものなど)などのデバイスを使用して3次元的にプリントされ得る。さらに、プリントされた構成体及び製造方法が、その全体が参照により本明細書により組み込まれている、2016年7月6日に出願した「Vascularized In Vitro Perfusion Devices, Method, of Fabricating, and Applications Thereof」という名称の米国特許出願第15/202,675号にさらに記述されている。
【0016】
「少なくとも1つの」構成要素、要素、など、又は「1つ又は複数の」構成要素、要素などの本明細書での列挙は、冠詞「a」又は「an」の代替使用が単一の構成要素、要素などに限定されるべきである、という推理を生み出すために用いられるべきでないことに、さらに留意されたい。
【0017】
特定の特性を実現するために、又は特定の様式で機能するために、特定の方法で「構成」又は「プログラム」されている本開示の構成要素の本明細書での列挙は、意図された使用の列挙ではなく構造的な列挙であることに留意されたい。
【0018】
図1は、3次元プリンタによる生物学的構成体又は構造体などの、3次元プリンタによる構成体内の1つ又は複数の欠陥を検出するシステム100を示している。システムは一般に、通信経路102、1つ又は複数のプロセッサ104、1つ又は複数のメモリ・モジュール106、及び1つ又は複数の画像センサ120を含む。欠陥検出を遂行するために、画像分析モジュール118及び機械学習モジュール119が、さらに含まれ、1つ又は複数のプロセッサ104に通信可能に結合され得る。システム100は、それだけには限らないが、3次元プリンタ130、1つ又は複数のユーザ・インターフェース・デバイス108、及び/又はネットワーク・インターフェース・ハードウェア110などの、追加の通信可能に結合された構成要素をさらに含み得る。より大きい又はより小さい数のモジュールが、本開示から逸脱することなくシステム100内に含まれ得ることに留意されたい。
図1内の線(たとえば、通信経路102)は、通信を示すことが意図されており、モジュールの互いに対する物理的位置又は近接を示すことが必ずしも意図されていないことにさらに留意されたい。つまり、本システム100のモジュールは、分散化されたコンピュータ環境で、互いから遠隔で動作し得る。
【0019】
通信経路102は、システム100の多様なモジュール間のデータ相互接続を提供する。具体的には、モジュールの各々は、データを送信及び/又は受信し得るノードとして動作し得る。いくつかの実施例では、通信経路102は、システム100中のプロセッサ、メモリ、センサ、及びアクチュエータに電気的データ信号を送信することを可能にする導電性材料を含む。通信経路102は、たとえば、導電線、導電トレース、光導波路、又はこれに類するものなどの、信号を送信可能な任意の媒体から、或いは信号を送信できる媒体の組合せから、形成され得る。本明細書で使用されるように、用語「通信可能に結合された」は、結合されている構成要素が、互いにデータ信号を、たとえば、導電性媒体を介して電気的信号を、空間を介して電磁的信号を、光導波路を介して光学的信号を、などを交換できること、を示している。したがって、通信可能に結合されたものは、有線通信、無線通信、及び/又は任意のその組合せを指し得る。
【0020】
1つ又は複数のプロセッサ104は、機械可読命令を実行可能な任意のデバイスを含み得る。したがって、1つ又は複数のプロセッサ104は、制御装置、集積回路、マイクロチップ、コンピュータ、又は他の任意のコンピュータ・デバイスであり得る。1つ又は複数のプロセッサ104は、通信経路102によって、システム100の他の構成要素に通信可能に結合されている。したがって、通信経路102は、任意の数のプロセッサを互いに通信可能に結合し、モジュールが、分散化されたコンピュータ環境で動作するために通信経路102に結合することを可能にし得る。具体的には、モジュールの各々は、データを送信及び/又は受信し得るノードとして動作し得る。
【0021】
1つ又は複数のメモリ・モジュール106は、通信経路102を通して、1つ又は複数のプロセッサ104に通信可能に結合されている。1つ又は複数のメモリ・モジュール106は、非一時的揮発性及び/又は非揮発性メモリとして構成することができ、したがって、ランダム・アクセス・メモリ(SRAM、DRAM、及び/又は他のタイプのRAMを含む)、フラッシュ・メモリ、セキュア・デジタル(SD:secure digital)メモリ、レジスタ、コンパクト・ディスク(CD:compact disc)、デジタル多目的ディスク(DVD:digital versatile disc)、及び/又は他のタイプの非一時的コンピュータ可読媒体を含むことができる。特定の実施例により、これらの非一時的コンピュータ可読媒体は、システム100の内部に及び/又は1つ又は複数のリモート・サーバ114の内部のように、システム100の外部に存在し得る。
【0022】
本開示の実施例は、1つ又は複数のプロセッサ104によって直接実行され得る機械語、機械可読命令にコンパイル又はアセンブルされ、機械可読媒体に記憶されるアセンブラ言語、オブジェクト指向プログラミング(OOP)、スクリプト言語、マイクロコードなどの任意の世代(たとえば、1GL、2GL、3GL、4GL、及び/又は5GL)の任意のプログラミング言語で記述されたアルゴリズムを遂行するために、機械可読命令として1つ又は複数のメモリ・モジュール106に記憶されたロジックを含む。同様に、ロジックは、ハードウェア記述言語(HDL:hardware description language)、たとえばフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA:field-programmable gate array)構成又は特定用途向け集積回路(ASIC:application-specific integrated circuit)のいずれか、及びそれらの同等物を介して実装されたロジックなどで、記述され得る。したがって、ロジックは、予めプログラミングされたハードウェア構成要素として、及び/又はハードウェア及びソフトウェア構成要素の組合せとして、任意の従来のコンピュータ・プログラミング言語で実装され得る。本明細書でより詳細に説明されるように、1つ又は複数のメモリ・モジュール106に記憶された機械可読命令により、1つ又は複数のプロセッサ104が、たとえばプリントされた構成体内部のプリント欠陥を識別するために画像データを処理することが可能になる。1つ又は複数のプロセッサ104は、識別されたプリント欠陥に基づいて、ユーザに警報を出し、プリント・ジョブを中止するために、機械可読命令をさらに実行し、且つ/又は3次元プリンタ130の運転パラメータを調整し得る。上記したように、本明細書で示される実施例は、本明細書で示されるロジックの任意の部分を遂行するために、分散化されたコンピュータ構成を利用し得る。
【0023】
いくつかの実施例では、システム100は、3次元プリンタによる構成体又は構造体内の欠陥を知的に識別するための、画像分析モジュール118及び機械学習モジュール119をさらに含む。画像分析モジュール118は、それだけには限らないが、1つ又は複数の画像センサ120から受信された静的及び/又はビデオ画像を含む受信された画像に、少なくともデータ分析並びに人工知能アルゴリズム及びモデルを適用するように構成される。機械学習モジュール119は、画像分析モジュール118などに、そのような人工知能アルゴリズム及びモデルを用いて処理するように構成され、機械学習の適用により当該アルゴリズム及びモデルの精度を改善し続ける。実例として、限定されないが、機械学習モジュール119は、機械学習能力をトレーニングし、本明細書で説明されるようなニューラル・ネットワークに提供するために、人工知能構成要素を含み得る。ある実施例では、畳み込みニューラル・ネットワーク(CNN:convolutional neural network)が利用され得る。画像分析モジュール118及び機械学習モジュール119は、通信経路102及び1つ又は複数のプロセッサ104に通信可能に結合され得る。以下でさらに詳細に説明するように、1つ又は複数のプロセッサ104は、少なくとも画像分析モジュール118及び/又は機械学習モジュール119を使用して、システム100のモジュールから受信された入力信号を処理し且つ/又はそのような信号から情報(たとえば、欠陥検出)を抽出し得る。
【0024】
たとえば、本明細書で説明されるようなシステム100内で記憶され操作されたデータは、機械学習モジュール119によって利用され得る。機械学習モジュール119は、当業者には容易に理解される技術用語としての機械学習及び人工知能を適用するために、クラウドなどのクラウド・コンピューティング・ベースのネットワーク構成を活用可能であり得る。この機械学習モジュール119は、システム100によって適用可能なモデルに適用され、このモデルを改善させることができ、実行においてより効果的且つ知的にさせ得る。実例として、限定されないが、機械学習モジュール119は、人工知能エンジン、Bayesian推論エンジン、及び意思決定エンジンから成る群から選択される、人工知能構成要素を含むことができ、深層ニューラル・ネットワーク学習エンジンをさらに備えるアダプティブ学習エンジンを有することができる。深層ニューラル・ネットワーク学習エンジンに関する用語「深層」は、当業者によって容易に理解される技術用語であることが意図されており、本開示の範囲内である。実施例では、機械学習によってモデルを適用し改善するために、多数のプリント・ジョブが、1つ又は複数の画像センサ120を用いて記録され、機械学習モジュール119によって使用されることで、モデル内のエラーを削減し得る。ある実施例では、いくつかのプリント・ジョブが、故意に生成された欠陥を含み得る。未処理の映像が個々のフレームに分割され、たとえば欠陥を示すためにユーザによって注釈をつけられ、欠陥を検出するために、システム100のモデルをトレーニングするために使用され得る。この技術を用いて、結果が、新たなデータをモデルのトレーニング・プロセスに組み入れることによって、時間とともに徐々に改善され得る。しかしながら、いくつかの実施例では、上述したように、モデル116は、1つ又は複数のリモート・サーバ114において遠隔でトレーニングされ記憶され得る。
【0025】
1つ又は複数の画像センサ120は、カメラ、ビデオ・レコーダなどを含む、画像データを収集し送信するように構成された任意のセンサを含み得る。1つ又は複数の画像センサ120は、3次元プリンタ130に通信可能に結合され得る。
【0026】
図2を参照すると、3次元プリンタ130の一実施例のプリント・ステージ131が、概略的に描かれている。3次元プリンタ130は、3次元構成体を形成するための材料をディスペンスするディスペンス・ノズル134を含む、プリント・アクチュエータ132を含み得る。3次元プリンタ130は、筐体136をさらに含み得る。1つ又は複数の画像センサ120は、プリントされている3次元構成体の画像データをキャプチャするように、プリント・ステージ131に取り付けられ得る。たとえば、1つ又は複数の画像センサ120は、たとえば、取り付けブラケット122を介して、プリント・ステージ131の筐体136内部に取り付けられ得る。いくつかの実施例では、1つ又は複数の画像センサ120がプリント・アクチュエータ132及び/又はディスペンス・ノズル134に取り付けられ得ることが、意図されている。1つの画像センサのみが描かれているが、追加の画像センサ(たとえば、2以上、3以上、4以上など)が、プリント中に3次元プリンタによる構成体200の多様な側面又は角度をキャプチャするように、含まれ得ることに留意されたい。
【0027】
再び
図1を参照すると、3次元プリンタ130が、通信経路102を通して、1つ又は複数のプロセッサ104に、通信可能に結合されている。本明細書でより詳細に説明するように、1つ又は複数のプロセッサ104は、3次元プリンタ130の動作を制御するために機械可読命令を実行し得る。たとえば、1つ又は複数のプロセッサ104は、システム100が、3次元プリンタ130の運転パラメータ(たとえば、欠陥を補正するために層堆積を調整する、速度、圧力)を調整できるように、且つ/或いは1つ又は複数の欠陥の検出に応答してプリント・ジョブを中止し得るように、機械可読命令を実行し得る。
【0028】
1つ又は複数のユーザ・インターフェース・デバイス108は、ユーザがシステム100と対話できるようにする任意のコンピュータ・デバイスを含み得る。たとえば、1つ又は複数のユーザ・インターフェース・デバイス108は、ユーザとシステム100との間の対話及び情報交換を可能にする、任意の数のディスプレイ、タッチ・スクリーン・ディスプレイ、及び入力デバイス(たとえば、ボタン、トグル、ノブ、キーボード、マイクロフォンなど)を含み得る。いくつかの実施例では、1つ又は複数のユーザ・インターフェース・デバイス108は、モバイル・ユーザ・デバイス(たとえば、スマートフォン、ページャ、タブレット、ラップトップ・コンピュータなど)を含み得る。1つ又は複数のユーザ・インターフェース・デバイス108を使用して、ユーザは、以下でさらに説明するように、嗜好及び/又はシステムによる作業の命令を交換し得る。
【0029】
やはり
図1を参照すると、システム100は、ネットワーク・インターフェース・ハードウェア110をさらに含み得る。ネットワーク・インターフェース・ハードウェア110は、通信経路102を通して、1つ又は複数のプロセッサ104に通信可能に結合され得る。ネットワーク・インターフェース・ハードウェア110は、ネットワーク112(たとえば、クラウド・ネットワーク)に、システム100を通信可能に結合し得る。ネットワーク・インターフェース・ハードウェア110は、ネットワーク112を介してデータを送信及び/又は受信可能な任意のデバイスであり得る。したがって、ネットワーク・インターフェース・ハードウェア110は、任意の有線若しくは無線通信を送信及び/又は受信するための通信送受信機を含み得る。たとえば、ネットワーク・インターフェース・ハードウェア110は、アンテナ、モデム、LANポート、Wi-Fiカード、WiMaxカード、移動通信ハードウェア、近距離通信ハードウェア、衛星通信ハードウェア、及び/又は他のネットワークを用いて又は通して通信するための任意の有線又は無線ハードウェアを含み得る。
【0030】
実施例では、ネットワーク112は、1つ又は複数のコンピュータ・ネットワーク(たとえば、パーソナル・エリア・ネットワーク、ローカル・エリア・ネットワーク、グリッド・コンピューティング・ネットワーク、広域ネットワークなど)、セルラ・ネットワーク、衛星ネットワーク、及び/又はその任意の組合せを含み得る。したがって、システム100は、広域ネットワークを介して、ローカル・エリア・ネットワークを介して、パーソナル・エリア・ネットワークを介して、セルラ・ネットワークを介して、衛星ネットワークを介して、クラウド・ネットワークを介して、などで、ネットワーク112と通信可能に結合され得る。好適なローカル・エリア・ネットワークは、有線のイーサネット(登録商標)及び/又はたとえば、ワイヤレス・フィディリティー(Wi-Fi(登録商標))などの無線技術を含み得る。好適なパーソナル・エリア・ネットワークは、IrDA(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、無線USB、Z-Wave(登録商標)、ZigBee(登録商標)、及び/又は他の近距離通信プロトコルなどの無線技術を含み得る。好適なパーソナル・エリア・ネットワークは、たとえば、USB及びFireWire(登録商標)などの有線コンピュータ・バスを同様に含み得る。好適なセルラ・ネットワークは、限定されないが、LTE(登録商標)、WiMax(登録商標)、UMTS(登録商標)、CDMA、及びGSM(登録商標)などの技術を含む。
【0031】
上述したように、いくつかの実施例では、1つ又は複数のリモート・サーバ114が、ネットワーク112を通してシステム100の他の構成要素と通信可能に結合され得る。1つ又は複数のリモート・サーバ114は、任意の数のプロセッサ、メモリ、及びネットワーク112を介して資源を届けるためのチップセットを一般に含み得る。資源は、ネットワーク112を介して1つ又は複数のリモート・サーバ114からシステム100に、たとえば、処理、ストレージ、ソフトウェア、及び情報を提供することを含み得る。さらに、1つ又は複数のリモート・サーバ114及び任意の追加のサーバが、たとえば、ネットワーク112の有線部分、ネットワーク112の無線部分、又はその組合せを介するように、ネットワーク112を通して、互いに資源を共有し得ることに留意されたい。いくつかの実施例では、システム100によって使用されるトレーニング・モデル116は、1つ又は複数のリモート・サーバ114に記憶され得る。
【0032】
実例として、限定されないが、いくつかの実施例では、1つ又は複数のメモリ・モジュール106は、3次元プリンタによる構成体又は構造体内部の1つ又は複数の欠陥を識別するための機械学習モジュール119の1つ又は複数のモデルによって適用される欠陥認識ロジックを記憶し得る。いくつかの実施例では、欠陥を識別するモデル116は、1つ又は複数のリモート・サーバ114に記憶され得る。やはりさらなる実施例では、モデル116は、1つ又は複数のトレーニング・データ・セット(たとえば、画像データ)を1つ又は複数のリモート・サーバ114に投入することによって、トレーニングされ得る。本明細書でトレーニングする又はトレーニングされる使用方法を参照すると、ある実施例では、モデル・オブジェクトは、トレーニングされる又は本明細書で説明されるようなデータ分析のためにトレーニングされて使用されるように構成され、モデル・オブジェクト内部に配置された画像データ(たとえば、注釈をつけられた写真及び/又は映像)に基づいた、トレーニング・データ・セットの集合を含むことが理解されよう。
【0033】
1つ又は複数のリモート・サーバ114は、たとえばシステム100の機械学習モジュール119を使用して、画像データを処理して、1つ又は複数のプロセッサ104によってアクセスされ得るトレーニング・モデル116を生成し、システム100をトレーニングして、3次元プリンタによる構成体200内部の1つ又は複数の欠陥を識別し得る。たとえば、トレーニング・データ・セットは、画像データ内部の欠陥を識別するために、ユーザによって注釈をつけられた1つ又は複数のプリントされた構成体/構造体の画像データを含み得る。1つ又は複数のリモート・サーバ114は、画像データ及びユーザ注釈に対して対象物認識を遂行し、1つ又は複数の欠陥の特性を識別するために、グラフィックス処理ユニット(GPU:graphics-processing unit)117を含み、1つ又は複数の画像センサ120からの未処理の画像データ内の1つ又は複数の欠陥の識別に使用されるように、モデルをトレーニングし得る。多くのトレーニング・データの資源は、改善された欠陥検出のための、強化されたより知的なトレーニング・モデルを生み出すために、組み合わせられ得る。
【0034】
図3をここで参照すると、3次元プリンタによる構成体内の欠陥を検出するための方法300を表現するフローチャートが図示されている。ステップの個別の番号が、表現されている順序で図示されているのに対して、追加の及び/又はより少ないステップが、任意の順序で、本開示の範囲から逸脱することなく含まれ得ることに留意されたい。
【0035】
まず、ステップ302で、新たなプリント・ジョブが開始され得る。ステップ304は、プリントされている、3次元プリンタによる構成体の画像データをキャプチャすることを含む(たとえば、リアル・タイムで)。いくつかの実施例では、3次元プリンタによる構成体200がプリントされるとき、3次元プリンタによる構成体200の画像データのキャプチャ及び処理が開始されるように、システム100は、自動的に開始され得る(すなわちリアル・タイムで及び/又は1分未満、45秒未満、30秒未満、10秒未満などのような最小限の遅延時間で)。ステップ306では、画像データが、3次元プリンタによる構成体200内部の欠陥を検出するために1つ又は複数のプロセッサによって分析され得る。上述したように、画像データは、1つ又は複数の画像センサ120を使用してキャプチャされ、1つ又は複数のプロセッサ104によって分析され、ユーザに又はシステム100に、1つ又は複数の欠陥の検出のフィードバックをリアル・タイムで提供し得る。
【0036】
プリント中に3次元プリンタによる構成体内で、本明細書で説明されるように、形成され、検出され得る、複数の可能性のある望ましくない欠陥が、存在し得る。
図4A~4Eは、システム100によって識別され得る、可能性のある欠陥のすべてでなく、いくつかを表現している、非限定的な実例の画像データ124の集合を示している。
【0037】
たとえば、
図4Aは、内部に形成された気泡202を有する、3次元プリンタによる構成体200を表現している。気泡は、構成体内部の一貫性のない密度の原因となることがあり(たとえば、空洞の形態で)、それが、崩壊、クレータ形成をもたらし、且つ/又は生物学的物体の成長に影響し得る(たとえば、血管、細胞、無細胞組織など)。気泡は、過剰に急速に材料をディスペンスすることによって形成されることがあり、材料堆積を遅くすることによって対処され得る。
【0038】
図4Bは、膨らんだ側壁204を含む欠陥を有する、3次元プリンタによる別の構成体200を示している。膨らんだ側壁は、プリント中に材料を過剰に押圧することに、及び/又は過剰に急速に材料をディスペンスすることに由来し得る。膨らんだ側壁は、生物学的構成体又は構造体が所望の寸法及び/又は特性から偏移する原因となり得る。
【0039】
図4Cは、過剰な材料206がディスペンス・ノズル134の先端に集合している、3次元プリンタによるさらに別の構成体200を示している。ディスペンス・ノズル134の先端での材料の集合は、3次元プリンタによる構成体200上でディスペンス・ノズル134の擦れの原因となることがあり、且つ/又はディスペンス・ノズル134からの材料のディスペンスを妨げることがある。
【0040】
図4Dは、突起を含む、3次元プリンタによる構成体200の可能性のある別の欠陥を示している。突起は、3次元プリンタによる構成体200の表面上に形成されたスパイク208を指す。そのようなスパイクは、層堆積で用いられる過小な圧力によって引き起こされ得る。突起は、他の示された多くの欠陥のように、3次元プリンタによる構成体の所望の特性からの望ましくない偏移をもたらし得る。
【0041】
図4Eは、劣悪な層密着性及び/又は層分離210を含む場合の、3次元プリンタによるもう1つの構成体200を表現している。つまり、そのような欠陥は、ディスペンスされた材料の個別の層が互いから剥離する原因となることがあり、これが所望の特性(たとえば、寸法、形態、構造的安定性など)からの望ましくない偏移の原因となり得る。本開示の範囲内の、本明細書で示された、
図4A~4Eに関する欠陥などの、1つ又は複数の欠陥は、システム100によって検出され得ることが意図されている。
【0042】
他のタイプの欠陥が、意図され、考えられる。たとえば、プリント材料が空気中に押し出されたとき、又は層の高さが過剰に低く設定された場合、材料の湾曲、巻き上げ、カール(curling)が発生し得る。別の欠陥が、材料を不適切な押出し位置に押し出すことによって、発生し得る。たとえば、先行するプリント層上に又はプリント・ステージ上に押し出すのではなく、空気中に押し出した材料である。擦れ、すなわちノズルの擦れが、3次元プリンタのディスペンス・ノズルが3次元構成体を擦る且つ/又はえぐる場合に発生し得る。
【0043】
再び
図3を参照すると、ステップ308では、欠陥が検出されると、欠陥の検出及び検出のタイプ、欠陥のサイズ、又は他の欠陥のパラメータを含む、欠陥に関連付けられた1つ又は複数のパラメータに基づいて、システム100は、1つ又は複数のプロセッサ104を使用して動作し、1つ又は複数の作業をなし得る。たとえば、システム100は、1つ又は複数のユーザ・インターフェース・デバイス108に、ユーザへの検出された欠陥の警報又は通知を自動的に出力させ得る。いくつかの実施例では、ユーザ・インターフェース・デバイスは、自動的に画像に注釈をつけ、検出された欠陥を強調表示し、1つ又は複数のユーザ・インターフェース・デバイス108のディスプレイ(たとえば、グラフィカル・ユーザ・インターフェース(GUI:graphical user interface)ディスプレイ)を使用して、ユーザに同様のものを表示し得る。いくつかの実施例では、1つ又はユーザ・インターフェース・デバイス108は、識別された欠陥のタイプ(たとえば、気泡、膨らんだ側壁、擦れ、劣悪な層密着性、突起など)を表示するために、自動的に制御され得る。いくつかの実施例では、システム100は、検出された欠陥に基づいて、限定されないが、「プリント・ジョブを中止する」、「プリントを続ける」、及び/又は「プリント・パラメータを調整する」を含む、選択肢をユーザに提供又は表示し得る。いくつかの実施例では、1つ又は複数のユーザ・インターフェース・デバイス108は、モバイル・ユーザ・デバイス、たとえば、スマートフォン、ページャ、タブレット、ラップトップ・コンピュータなどを含み得ることに留意されたい。そのような実施例では、警報は、3次元プリンタによる構成体の画像データ内部の1つ又は複数の欠陥の検出に応答して、ネットワーク112を通したネットワーク・インターフェース・ハードウェア110を介した送信によって、ユーザのデバイスに発報され得る。したがって、ユーザは、3次元プリンタ130の近傍から遠隔地にいる場合、通知され得るし、さらにシステム100への命令を入力する作業を遠隔地からなし得る。
【0044】
いくつかの実施例では、検出された欠陥のタイプに応じて、システム100は、1つ又は複数のプロセッサ104を用いて動作して、システム100の運転パラメータ(たとえば、圧力設定、速度設定など)を自動的に調整し、ユーザへの警報とともに又はなしに、さらなる欠陥を修正及び/又は防止し得る。たとえば、圧力は、材料を供給するプリンタ圧力を、増大させる又は減少させるいずれかの調整であり得る。そのような増減いずれかの調整は、欠陥が新たに押し出される材料でもはや生成されなく成るまでの、おおよそ1psiからおおよそ2psi(たとえば、おおよそ6.9kPa~おおよそ13.8kPa)の変化量であり得る。プリント速度は、3次元プリンタが動作可能な任意の速度(たとえば、おおよそ1mm/s未満~おおよそ35mm/s)に調整され得る。調整は、欠陥が新たに押し出される材料でもはや生成されなく成るまで、徐々に(たとえば、おおよそ1mm/s未満~おおよそ5mm/s(又はおおよそ1mm/s未満~おおよそ10mm/sなど)のスケールで)なされ得る。いくつかの実施例では、欠陥は、押し出される材料の幅及び/又は高さを調整することによって、補正され得る。たとえば、幅(たとえば、ライン幅)又は高さ(ライン高さ)の調整は、欠陥が新たに押し出される材料でもはや生成されなく成るまで、徐々に(たとえば、おおよそ0mm~おおよそ1mmの間で)なされ得る。
【0045】
いくつかの実施例では、欠陥が検出された場合、システム100は、3次元プリンタを制御して、復帰させ、欠陥を修正及び/又は充填し得る。たとえば、クレータ及び/又は擦れを含む欠陥が検出された場合、ディスペンス・ノズルは、クレータ/擦れ上に再配置され、空間を充填し得る。
【0046】
いくつかの実施例では、システム100は、たとえば、欠陥が補正できない場合、1つ又は複数の欠陥の検出に応答して、自動的にプリント・ジョブを中止又は一時停止し得る。
【0047】
いくつかの実施例では、1つ又は複数のプロセッサ104は、受容可能な欠陥と、受容不可能な欠陥とを区別するための、ロジックを実行し得る。たとえば、ユーザは、トレーニング・モデル、或いは1つ又は複数のユーザ・インターフェース・デバイス108を通して受信された他のユーザ嗜好入力のいずれかにおいて、受容可能な欠陥か受容不可能な欠陥か決定するために、入力を供給し得る。たとえば、検出された欠陥の数(1以上、2以上、5以上、10以上など)は、システム100によるさらなる作業の前に、たとえば、警報の送信、プリント運転パラメータの調整、及び/又はプリント・ジョブの中止の前に、ユーザによって設定され得る。いくつかの実施例では、欠陥のサイズが、受容可能な欠陥か受容不可能な欠陥か(たとえば、5mm、10mmより大きい欠陥など)決定するために、使用され得る。いくつかの実施例では、1つ又は複数の欠陥の位置により、システム100が受容可能な欠陥か受容不可能な欠陥か決定することが、可能なり得る。実例として、限定されないが、プリントされた構成体の縁部に沿った欠陥位置は、受容可能であり得るが、一方プリントされた構成体の中央部に向かって位置する欠陥は、受容不可能であり得る。
【0048】
一貫して記したように、システム100は、3次元プリンタによる構成体200が形成されるとき、3次元プリンタによる構成体200内部の欠陥を検出するように構成され得る。つまり、1つ又は複数のプロセッサ104は、3次元プリンタによる構成体200がプリントされているとき、3次元プリンタによる構成体200の1つ又は複数の画像センサ120から画像データを受信し得る。リアル・タイムで欠陥検出を遂行することによって、是正措置が、欠陥を修正するためになされ、且つ/又は本明細書で説明されるような1つ又は複数の欠陥の検出に基づいて、プリント動作を中止し得る。
【0049】
実施例が、以下の番号がつけられた条項を用いて、従属条項に提示された好ましい特徴とともに、説明され得る。
【0050】
1. 3次元プリンタによる構成体内の欠陥を検出するためのシステムであって、1つ又は複数のプロセッサと、前記1つ又は複数のプロセッサに通信可能に結合された1つ又は複数の画像センサと、前記1つ又は複数のプロセッサに通信可能に結合された1つ又は複数のメモリ・モジュールと、前記1つ又は複数のメモリ・モジュールに記憶された機械可読命令であって、前記1つ又は複数のプロセッサによって実行されるとき、システムに、前記1つ又は複数の画像センサから3次元プリンタによる構成体の画像データを収集させ、前記3次元プリンタによる構成体の前記画像データ内の1つ又は複数の欠陥を検出させる、機械可読命令と、を備える、システム。
【0051】
2. 前記1つ又は複数のプロセッサに通信可能に結合された1つ又は複数のユーザ・インターフェース・デバイスをさらに備え、前記機械可読命令が、前記1つ又は複数のプロセッサによって実行されるとき、前記システムにさらに、前記3次元プリンタによる構成体の前記画像データ内の前記1つ又は複数の欠陥を検出することに応答して前記1つ又は複数のユーザ・インターフェース・デバイスを使用して警報を出力させる、条項1に記載のシステム。
【0052】
3. 前記1つ又は複数のプロセッサに通信可能に結合された3次元プリンタをさらに備え、前記機械可読命令が、前記1つ又は複数のプロセッサによって実行されるとき、前記システムにさらに、前記3次元プリンタによる構成体の前記画像データ内の前記1つ又は複数の欠陥を検出することに応答して前記3次元プリンタの運転パラメータを調整させる、条項1又は2に記載のシステム。
【0053】
4. 前記1つ又は複数のプロセッサに通信可能に結合された3次元プリンタをさらに備え、前記機械可読命令が、前記1つ又は複数のプロセッサによって実行されるとき、前記システムにさらに、前記1つ又は複数の検出された欠陥に基づいて前記3次元プリンタによる構成体の完成を中止させる、条項1から3のいずれかに記載のシステム。
【0054】
5. 前記3次元プリンタによる構成体がプリントされるとき、前記画像データがリアル・タイムで収集される、条項1から4までのいずれかに記載のシステム。
【0055】
6. 前記1つ又は複数の欠陥が、気泡、劣悪な層密着性、材料の突起、3次元プリンタのディスペンス・ノズルでの材料集合、ノズルの擦れ、材料の膨らみ、材料の湾曲、巻き上げ、カール、不適切な押出し位置、又は任意のその組合せのうちの少なくとも1つを含む、条項1から5までのいずれかに記載のシステム。
【0056】
7. 前記1つ又は複数のプロセッサに通信可能に結合されたネットワーク・インターフェース・ハードウェアをさらに備え、前記機械可読命令が、前記1つ又は複数のプロセッサによって実行されるとき、前記システムにさらに、前記3次元プリンタによる構成体の前記画像データ内の前記1つ又は複数の欠陥を検出することに応答して前記ネットワーク・インターフェース・ハードウェアを使用して警報をユーザのモバイル・ユーザ・デバイスに出力させる、条項1から6までのいずれかに記載のシステム。
【0057】
8. 3次元プリンタによる構成体内の欠陥を検出するためのシステムであって、1つ又は複数のプロセッサと、筐体を備える3次元プリンタと、前記筐体内部に配置され、前記1つ又は複数のプロセッサに通信可能に結合された1つ又は複数の画像センサと、前記1つ又は複数のプロセッサに通信可能に結合された1つ又は複数のメモリ・モジュールと、前記1つ又は複数のメモリ・モジュールに記憶された機械可読命令であって、前記1つ又は複数のプロセッサによって実行されるとき、前記システムに、前記1つ又は複数の画像センサから3次元プリンタによる構成体の画像データを収集させ、前記3次元プリンタによる構成体の前記画像データ内の1つ又は複数の欠陥を検出させる、機械可読命令と、を備える、システム。
【0058】
9. 前記1つ又は複数のプロセッサに通信可能に結合された1つ又は複数のユーザ・インターフェース・デバイスをさらに備え、前記機械可読命令が、前記1つ又は複数のプロセッサによって実行されるとき、前記システムにさらに、前記3次元プリンタによる構成体の前記画像データ内の前記1つ又は複数の欠陥を検出することに応答して前記1つ又は複数のユーザ・インターフェース・デバイスを使用して警報を出力させる、条項8に記載のシステム。
【0059】
10. 前記機械可読命令が、前記1つ又は複数のプロセッサによって実行されるとき、前記システムにさらに、前記3次元プリンタによる構成体の前記画像データ内の前記1つ又は複数の欠陥を検出することに応答して前記3次元プリンタの運転パラメータを調整させる、条項8又は9に記載のシステム。
【0060】
11. 前記機械可読命令が、前記1つ又は複数のプロセッサによって実行されるとき、前記システムにさらに、前記1つ又は複数の検出された欠陥に基づいて前記3次元プリンタによる構成体の完成を中止させる、条項8から10までのいずれかに記載のシステム。
【0061】
12. 前記3次元プリンタによる構成体がプリントされるとき、前記画像データがリアル・タイムで収集される、条項8から11までのいずれかに記載のシステム。
【0062】
13. 前記1つ又は複数の欠陥が、気泡、劣悪な層密着性、材料の突起、前記3次元プリンタのディスペンス・ノズルでの材料集合、ノズルの擦れ、材料の膨らみ、材料の湾曲、巻き上げ、カール、不適切な押出し位置、又は任意のその組合せのうちの少なくとも1つを含む、条項8から12までのいずれかに記載のシステム。
【0063】
14. 前記1つ又は複数のプロセッサに通信可能に結合されたネットワーク・インターフェース・ハードウェアをさらに備え、前記機械可読命令が、前記1つ又は複数のプロセッサによって実行されるとき、前記システムにさらに、前記3次元プリンタによる構成体の前記画像データ内の前記1つ又は複数の欠陥を検出することに応答して前記ネットワーク・インターフェース・ハードウェアを使用して警報をユーザのモバイル・ユーザ・デバイスに出力させる、条項8から12までのいずれかに記載のシステム。
【0064】
15. 3次元プリンタによる構成体内の欠陥を検出するための方法であって、1つ又は複数の画像センサから3次元プリンタによる構成体の画像データを受信することと、前記3次元プリンタによる構成体の前記画像データ内の1つ又は複数の欠陥を検出するために1つ又は複数のプロセッサを使用して前記画像データを処理することと、を含む、方法。
【0065】
16. 前記3次元プリンタによる構成体の前記画像データ内の前記1つ又は複数の欠陥を検出することに応答して1つ又は複数のユーザ・インターフェース・デバイスを介して警報を伝達することをさらに含む、条項15に記載の方法。
【0066】
17. 前記3次元プリンタによる構成体の前記画像データ内の前記1つ又は複数の欠陥を検出することに応答して3次元プリンタの運転パラメータを自動的に調整することをさらに含む、条項15又は16に記載の方法。
【0067】
18. 前記1つ又は複数の検出された欠陥に基づいて前記3次元プリンタによる構成体の完成を自動的に中止することをさらに含む、条項15から17までのいずれかに記載の方法。
【0068】
19. 画像データが、前記3次元プリンタによる構成体のプリント中にリアル・タイムで収集され処理される、条項15から18までのいずれかに記載の方法。
【0069】
20. 前記1つ又は複数の欠陥が、気泡、劣悪な層密着性、材料の突起、3次元プリンタのディスペンス・ノズルでの材料集合、ノズルの擦れ、材料の膨らみ、材料の湾曲、巻き上げ、カール、不適切な押出し位置、又は任意のその組合せのうちの少なくとも1つを含む、条項15から19までのいずれかに記載の方法。
【0070】
ここで、本明細書で説明されたような実施例は、3次元プリンタによる構成体/構造体内の欠陥を検出するためのシステム及び方法を対象にしており、詳細には生物学的構成体/構造体を対象にしていることを理解されたい。上述のように、欠陥は、構造体がプリントされているとき、リアル・タイムで検出され得る。たとえば、1つ又は複数の画像センサは、3次元プリンタのプリント・ステージの中及び/又は周辺に配置され得る。1つ又は複数の画像センサは、構成体の画像データを、それがプリントされているときに取得するように配置され得る。画像データは、1つ又は複数のプロセッサによって、対象物認識を遂行するために処理され、構成体内部の1つ又は複数の欠陥を検出し得る。1つ又は複数の欠陥の検出の際に、システムは、ユーザに通知すること、プリント運転パラメータを調整すること、プリント・ジョブを中止すること、などのうちの1つ又は複数の作業をなし得る。したがって、プリント・ジョブは、リアル・タイムで(たとえば、最小限の遅延時間で)監視され、ユーザが手動でプリント・ジョブを監視する必要なしに欠陥の識別を可能にし得る。そのようなことは、生物学的構成体/構造体がプリントされるときに欠陥を識別することによって、プリント効率及び材料使用を向上させることができ、その結果、是正措置がなされることが可能になり、又はプリントはさらなる浪費なしで中止されることが可能になる。
【0071】
用語「実質的に」及び「おおよそ」は、本明細書では、任意の量的比較、値、測定値、又は他の表現に起因し得る不確実性の固有の程度を表現するために利用され得ることに留意されたい。これらの用語は、本明細書では、量的表現が、説明中の主題の基本機能に変化をもたらすことなしに、表明された参照から変化し得る程度を表現するために、さらに利用される。
【0072】
特定の実施例が、本明細書では、図示され、記述されてきたが、多様な他の変更及び変形が、請求される主題の技術概念及び範囲から逸脱することなくなされ得ることを理解されたい。さらに、請求される主題の多様な態様が、本明細書で記述されてきたが、そのような態様は、必ずしも組合せで利用されない。したがって、添付の特許請求の範囲は、請求される主題の範囲内のあらゆるそのような変更及び変形を含むことが意図されている。
【国際調査報告】