(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-30
(54)【発明の名称】結晶性脂肪を含むショートニング
(51)【国際特許分類】
A23D 9/00 20060101AFI20220523BHJP
A21D 13/80 20170101ALI20220523BHJP
A23L 7/161 20160101ALI20220523BHJP
A23D 7/00 20060101ALI20220523BHJP
A23L 13/00 20160101ALI20220523BHJP
A23C 11/00 20060101ALI20220523BHJP
A21D 2/16 20060101ALI20220523BHJP
A23G 3/40 20060101ALI20220523BHJP
A23J 3/00 20060101ALI20220523BHJP
【FI】
A23D9/00 502
A21D13/80
A23L7/161
A23D7/00 506
A23D7/00 508
A23L13/00
A23C11/00
A23D9/00 518
A21D2/16
A23G3/40
A23J3/00 502
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021557632
(86)(22)【出願日】2020-03-27
(85)【翻訳文提出日】2021-11-29
(86)【国際出願番号】 US2020025214
(87)【国際公開番号】W WO2020198585
(87)【国際公開日】2020-10-01
(32)【優先日】2019-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】397058666
【氏名又は名称】カーギル インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100132263
【氏名又は名称】江間 晴彦
(72)【発明者】
【氏名】メティン、サーピル
(72)【発明者】
【氏名】スミス、ポール レイモンド
(72)【発明者】
【氏名】ザッカレッリ ダーヴォリ、フェルナンダ
【テーマコード(参考)】
4B001
4B014
4B025
4B026
4B032
4B042
【Fターム(参考)】
4B001AC15
4B001AC40
4B014GG14
4B014GK07
4B014GL06
4B014GL07
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4B042AC04
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4B042AK06
(57)【要約】
【解決手段】 本明細書では、室温で約0.04g/mL~約0.40g/mLの範囲の粉末密度を有する結晶性脂肪が記載され、粒子の少なくとも50%は、直径10~50μmの範囲の粒子サイズを有する。また本明細書では、室温で約0.04g/mL~約0.40g/mLの範囲の粉末密度を有し、粒子の少なくとも50%は、直径3~60μmの範囲の粒子サイズを有する、結晶性脂肪と、液体油と、を含み、結晶性脂肪は、約25重量%~約99.9重量%の範囲であり、液体油は、約0.1重量%~約75重量%の範囲である、ショートニングも記載される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
室温で約0.04g/mL~約0.40g/mLの範囲の粉末密度を有し、粒子の少なくとも50%は、直径3~60μmの範囲の粒子サイズを有する、結晶性脂肪。
【請求項2】
室温で約0.05g/mL~約0.30g/mLの範囲の粉末密度を有する、請求項1に記載の脂肪。
【請求項3】
室温で0.10g/mL~約0.25g/mLの範囲の粉末密度を有する、請求項1に記載の脂肪。
【請求項4】
油保持能力は、前記脂肪の重量の約5%~約80%の範囲である、請求項1に記載の脂肪。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載の脂肪を含む、ショートニング。
【請求項6】
ショートニングであって、
室温で約0.04g/mL~約0.40g/mLの範囲の粉末密度を有し、粒子の少なくとも50%は、直径3~60μmの範囲の粒子サイズを有する、結晶性脂肪と、
液体油と、を含み、
前記結晶性脂肪は、約25重量%~約99.9重量%の範囲であり、前記液体油は、約0.1重量%~約75重量%の範囲である、ショートニング。
【請求項7】
前記脂肪が粉末状である、請求項6に記載のショートニング。
【請求項8】
0.05g/mL~約0.30g/mLの範囲の粉末密度を有する、請求項6に記載のショートニング。
【請求項9】
室温で0.10g/mL~約0.25g/mLの範囲の粉末密度を有する、請求項6に記載のショートニング。
【請求項10】
油保持能力は、前記脂肪の重量の約5%~約80%の範囲である、請求項6に記載のショートニング。
【請求項11】
前記粉末状の脂肪に乳化剤が添加されていない、請求項6に記載のショートニング。
【請求項12】
前記脂肪は、パーム油、パームステアリン、シア、パーム核油、ヤシ油、マンゴー核油、イリッペ、ババス油、ペキ油、ボルネオ脂、Allanblackia油、カカオバター、ナッツ油、動物性脂肪、乳脂肪、ヒマワリ油、トウモロコシ油、ダイズ油、キャノーラ油、ナタネ油、綿実油、米ぬか油、ベニバナ油、アマニ油、ラッカセイ油、オリーブ油、トール油、並びにその画分及びその高オレイン品、並びにこれらの組み合わせからなる群から由来する、請求項6に記載のショートニング。
【請求項13】
前記脂肪は、完全水素添加、若しくは部分水素添加した、かつ/又は、エステル交換した油に由来する、請求項6に記載のショートニング。
【請求項14】
前記液体油は、ダイズ油、ヒマワリ油、ナタネ油、キャノーラ油、パームオレイン、パームスーパーオレイン、トウモロコシ油、綿実油、米ぬか油、ベニバナ油、アマニ油、ラッカセイ油、オリーブ油、トール油、及びその高オレイン品からなる群から選択される、請求項6に記載のショートニング。
【請求項15】
前記液体油に、プロピレングリコールエステル、ポリグリセロールエステル、レシチン、モノグリセリド、ポリソルベート若しくはモノグリセリドの乳酸エステル、又はこれらの組み合わせである乳化剤を、最大で5%添加し得る、請求項6に記載のショートニング。
【請求項16】
前記液体油は、パーム油ではない、請求項6に記載のショートニング。
【請求項17】
前記ショートニングは、高オレイン液体油を含む高オレインショートニングである、請求項6に記載のショートニング。
【請求項18】
請求項6に記載のショートニングを含む、焼成品、菓子、フィリング、生地製品、ビスケットフィリング、チョコレートスプレッド、ナッツバター、電子レンジ用ポップコーン、肉代替物、又は乳若しくは乳脂肪代替物。
【請求項19】
焼成品、菓子、フィリング、生地製品、ビスケットフィリング、チョコレートスプレッド、ナッツバター、電子レンジ用ポップコーン、肉代替物、又は乳若しくは乳脂肪代替物のための、請求項6に記載のショートニングの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、発明の名称が「SHORTENING WITH CRYSTALLINE FAT」である2019年3月28日に出願された仮特許出願第62/825,135号の利益を主張し、その全体が参照により本明細書に援用されている。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、結晶性脂肪及びその製造方法に関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
消費者及び規制当局は、より健康に良い食物を求めている。したがって、ベーカリー用途で従来から使用されているショートニングについて、機能性を失うことなく、より健康に良いものとすることが望まれている。
【0004】
本明細書では、室温で約0.04g/mL~約0.40g/mLの範囲の粉末密度を有する結晶性脂肪が記載され、粒子の少なくとも50%は、直径10~50μmの範囲の粒子サイズを有する。また、本明細書では、室温で約0.10~約0.30の範囲の粉末密度を有し、粒子の少なくとも50%は、直径10~60μmの範囲の粒子サイズを有する、結晶性脂肪と、液体油と、を含み、結晶性脂肪は、約25重量%~約99.9重量%の範囲であり、液体油は、約0.1重量%~約75重量%の範囲である、ショートニングも記載される。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1A】
図1Aは、本明細書に記載のショートニング組成物のメイジである。
【
図1B】
図1Bは、本明細書に記載のショートニング組成物のメイジである。
【
図1C】
図1Cは、本明細書に記載のショートニング組成物のメイジである。
【
図1D】
図1Dは、本明細書に記載のショートニング組成物のメイジである。
【
図2】
図2は、本明細書に記載の様々な結晶性脂肪の粒子サイズを示すグラフである。
【
図3】
図3は、本明細書に記載の様々な結晶性脂肪の粉末密度を示すグラフである。
【
図4】
図4は、本明細書に記載されるショートニングを含むクッキーの幅及び高さを示すグラフである。
【
図5】
図5は、本明細書に記載されるショートニングを含むクッキーの幅及び高さを示すグラフである。
【
図6】
図6は、本明細書に記載されるショートニングを含む積層ビスケット(laminated biscuit)の幅及び高さを示すグラフである。
【
図7】
図7は、本明細書に記載されるショートニングを含む積層ビスケットの幅及び高さを示すグラフである。
【
図8】
図8は、本明細書に記載される様々な結晶性脂肪の密度を示すグラフである。
【
図9A】
図9Aは、本明細書に記載のショートニング組成物の画像である。
【
図9B】
図9Bは、本明細書に記載のショートニング組成物の画像である。
【
図9C】
図9Cは、本明細書に記載のショートニング組成物の画像である。
【
図9D】
図9Dは、本明細書に記載のショートニング組成物の画像である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本明細書では、機能的構造及び性能を有するショートニングが記載される。具体的には、本明細書に記載するショートニングは、従来のショートニングと比較して飽和脂肪の量を低減することができる一方で、ショートニングに期待される食感を維持することができるため、より健康に良いものとなり得る。
【0007】
本ショートニングは、結晶性脂肪と液体油を含み、結晶性脂肪は約25重量%~約99.9重量%の範囲であり、液体油は約0.1重量%~約75重量%の範囲である。他の態様では、結晶性脂肪は約30~80重量%の範囲であり、残部は液体油が占める。他の、おそらくより好ましい態様では、結晶性脂肪は約40~60重量%の範囲であり、残部は液体油が占める。結晶性脂肪は、室温で固体であるものとして定義され、液体油は室温で液体である。
【0008】
いくつかの態様では、結晶性脂肪は、パーム油、シア、パーム核油、ヤシ油、マンゴー核油、イリッペ、ババス油、ペキ油(pequi oil)、ボルネオ脂、Allanblackia油、カカオバター、ナッツ油、動物性脂肪、乳脂肪、ヒマワリ油、トウモロコシ油、ダイズ油、キャノーラ油、ナタネ油、綿実油、米ぬか油、ベニバナ油、アマニ油、ラッカセイ油、オリーブ油、トール油、並びにその画分、その高オレイン品、及びこれらの組み合わせからなる群から由来する。いくつかの態様では、結晶性脂肪は、完全水素添加、若しくは部分水素添加した、かつ/又は、エステル交換した油に由来する。
【0009】
本明細書に記載の結晶性脂肪は、典型的には、多孔質構造を有し、粉末状である。SEM画像では、結晶性脂肪が、空洞から窪んだ(陥凹した)構造となり得ることが示されている。結晶性脂肪粒子は非常に整っており、典型的には、開いたスポンジ構造を有する球形状である。他の態様では、結晶性脂肪は、空気で満たされた形態を有する泡状構造として観察することができる。本明細書に記載される結晶性脂肪の多孔質又は「綿毛様」構造により、より大きな油保持能力が達成され、これにより、その後により多くの液体油を(本明細書に記載の)ショートニング組成物に添加できるようになるため、この多孔質又は「綿毛様」構造は有益である。結晶性脂肪が高度にパッキングされるか又は密にパッキングされる態様では、油保持能力はさほど大きくならない。
【0010】
本発明の結晶性脂肪は、超臨界CO2技術を使用して製造される。脂肪は、脂肪の融解温度より少なくとも約5~約25度高い温度で、いくつかの態様では、脂肪の融解温度より少なくとも約5~約20度高い温度で、他の態様では、脂肪の融解温度より少なくとも約5~約15度高い温度で、更に他の態様では、脂肪の融解温度より少なくとも約5~約10度高い温度で融解されるか、又は、脂肪は、固い脂肪と液体油との組み合わせであってもよく、更なる融解を必要としないものであってもよい。次いで、脂肪をCO2で飽和させて混合物を得、そうした混合物をCO2の三重点で加圧して超臨界CO2を達成する。これにより、脂肪が可溶化される。次いで、これを噴霧すると、CO2が蒸発するにつれて、脂肪の結晶化/凝固/微紛化(micronizing)/微粒化(atomization)が生じる。これにより、結晶性脂肪が生成される。これは、典型的には、バッチプロセスで行われ、脂肪が確実に固体の粉末状となるよう、温度は脂肪の融点よりも低く調節される。
【0011】
結晶性脂肪は、室温で約0.04g/mL~約0.40g/mL、いくつかの態様では室温で約0.05g/mL~約0.30g/mLの範囲の密度を有し、好ましい態様では、室温で0.10g/mL~約0.25g/mLの範囲の密度を有する。この密度範囲により、密な脂肪構造とは違って、高い油保持能力が達成される。本明細書における「密度」への言及は、粉末、顆粒、及び他の分割された固体の特性である、かさ密度(見かけ密度又は体積密度とも記載される)を意味することを理解されたい。これは、多くの粒子の質量を総体積で割ったものとして定義される。
【0012】
結晶性脂肪は、脂肪の重量の少なくとも5%、いくつかの例では少なくとも10%、及び最大で約75%、いくつかの態様では最大で約80%の油保持能力を有する。油保持能力とは、結晶性脂肪を液体油と混合した後、相分離(油の分離)が観察されず、吸収、吸着、及び/又は巻き込み(entrainment)現象によって、液体油が粉末脂肪の構造内に保持されることを意味する。
【0013】
結晶性脂肪はまた、(脂肪の種類に応じて)粒子の少なくとも50%、いくつかの実施例では少なくとも60%、最小の70%のいくつかの実施例において、いくつかの実施例では少なくとも80%、いくつかの実施例では少なくとも90%が、直径3~60μm、直径5~50μm、及びいくつかの態様では直径10~60μmの範囲の粒子サイズを有する、粒子サイズ分布を有する。
【0014】
従来のショートニングは、多量の飽和脂肪を含有する場合がある。飽和脂肪の過剰な消費が心臓血管の問題につながる可能性があることは周知である。したがって、食物中の飽和脂肪量を低減する動機が存在する。このような結晶性脂肪粒子による構造化により、飽和脂肪の摂取量を減らし、心臓の健康にとってより好ましい不飽和脂肪の摂取量を増やすことができる。
【0015】
これらの特性は、多量の液体油を含有しつつ、構造及び機械的特性の観点で機能的なショートニングの生産を可能とするものであるから、望ましいものである。液体油は、単飽和及び不飽和脂肪酸に富んでおり、単飽和及び不飽和脂肪酸は、栄養ガイドラインに基づけば非常に健康に良いものである。結晶性脂肪を用いて生産された新規なショートニングは、ベーカリー用ショートニングを構造化し、機能を与えるために使用される従来の脂肪である、飽和脂肪の含有量がより少ない。
【0016】
本ショートニングは、結晶性脂肪と液体油を含む。結晶性脂肪の特性により、液体油は、脂肪の様々なポケットの内部を充填することができる。そして、結晶性脂肪粒子は、焼結又は他の相互作用(吸収、吸着、及び/又は巻き込み)によって、構造化脂肪系を形成することができる。これにより、より少量の飽和脂肪を有するショートニング系の形成が可能となる。これは、このようにして調製されたショートニングが、心臓の健康にとってより好ましいことを意味する。こうしたショートニングが構造化のために少量の飽和脂肪しか必要としないということは、水素添加脂肪、及び/又は熱帯脂肪の必要性が低減されることを意味する。このように、これらのショートニングは、クリーンラベルを有することができ、環境により優しいものとして見なされ得ることから、消費者にとってより望ましい。従来のショートニングは、一般に、かき取り表面熱交換器(scraped surface heat exchanger、SSHE)によって製造される。SSHEは、ショートニングが冷却され結晶化される結晶化ラインにおける中心部である。ピンローターマシン又は中間晶析装置を組み合わせて、又は個別に使用することができる。これらの混練ユニットは、ショートニングに対して機械的な仕事を行うために用いられ、これによって均質性を確保する。従来のショートニング製造プロセスの工程は、脂肪相溶融、冷却、結晶化、混練、及びパッキングである。これは、エネルギー集約的なプロセスである。本明細書に記載される微紛化プロセスは、より低エネルギーなプロセスである。したがって、結晶性脂肪に基づくショートニングの環境への影響は、従来のショートニングと比較して、より小さくなる。また、このショートニング組成物は、安定性を維持するために追加の乳化剤を必要としないことからも、他のショートニングから区別され得ることを理解されたい。結晶性脂肪構造、及び様々なポケットを充填する液体油は、ショートニングに通常求められる貯蔵寿命の間は安定したままである。
【0017】
液体油は、例えば、ダイズ油、ヒマワリ油、ナタネ油、キャノーラ油、パームオレイン、パームスーパーオレイン、トウモロコシ油、綿実油、米ぬか油、ベニバナ油、アマニ油、ラッカセイ油、オリーブ油、トール油、及びその高オレイン品であってよいが、これらに限定されない。いくつかの態様では、液体油は、高オレイン液体油であるため、高オレインショートニングが生成される。ほとんど全ての態様では、液体油は、パーム油の硬質分画又は固体画分ではない。全ての態様で、液体油は、室温で液状である。液体油は、プロピレングリコールエステル、ポリグリセロールエステル、レシチン、モノグリセリド、ポリソルベート若しくはモノグリセリドの乳酸エステル、又はこれらの組み合わせなどの乳化剤を最大5%含有していてもよい。全ての態様で、乳化剤を添加した場合であっても、液体油は、室温で液状である。
【0018】
本発明のショートニングは、焼成品、菓子、フィリング、生地製品、チョコレートスプレッド、ナッツバター、及び電子レンジ用ポップコーン、肉代替物、又は乳若しくは乳脂肪代替物に使用することができる(ただし、これらに限定されない)。
【実施例】
【0019】
実施例1:パームステアリン及びダイズ油ショートニング組成物
この実施例の目的は、結晶性脂肪を油と混合することによるショートニングの生産をシミュレートすることである。
結晶性脂肪の10個の試料を調製する:
-S1~S3:それぞれ80、150及び250バールの圧力におけるパームスーパーステアリン。
-S4~S6:それぞれ80、150及び250バールの圧力におけるパームステアリン。
-S7~S9:それぞれ80、150及び250バールの圧力における、パームステアリン(70%)混合ダイズ油(30%)。
-S10:250バールで、冷却温度を下げた、パームステアリン(70%)混合ダイズ油(30%)。
【0020】
表1は、ショートニング組成物を示す。なお、添加される液体油の量を油保持能力とみなす。
【表1】
【0021】
従来の結晶化プロセスは、脂肪及び油を最高60℃の温度に加熱することと、約15℃まで冷却させて、せん断下で結晶化させることと、を含む。この実施例で利用されるプロセスは、全ての脂肪が組み込まれてショートニング組成物を形成するまで、ゆっくりと手作業で攪拌しながら、結晶性脂肪を徐々に液体油に添加することを含む。ショートニング組成物は、質感及び相分離を確認するために、約1時間置いておく。ショートニング組成物のいくつかの画像を
図1A~
図1Dに示す。暗色の点は、油が結晶性脂肪内にあるところである。
【0022】
図2は、様々な結晶性脂肪の粒子サイズを示し、
図3は、様々な結晶性脂肪の粉末密度を示す。
実施例2:クッキー及び積層ビスケットにおける応用試験
【0023】
室温で結晶性脂肪を液体油と混合し、6日間放置することによって、ショートニングを調製した。各種試料を表2に示す。
【表2】
【0024】
図4及び
図5に示されるように、クッキー幅及びクッキー高さは、対照と同様である。
図6及び
図7に示されるように、積層ビスケット幅及び高さは、対照と同様である。両方の応用試験から、結晶性脂肪を含むショートニングが、従来のショートニングの良好な代替品であることが示される。
【0025】
クッキーの配合表を表3に、積層ビスケットのレシピを表4に示す。
【表3】
【表4】
実施例3:結晶性脂肪を用いて製造されたショートニング。
【0026】
この実施例では、特定の圧力条件下で調製された様々な結晶性脂肪を示し、続いて、言及される結晶性脂肪を利用したショートニング調製物の組成を示す。表5には結晶性脂肪組成物及び対応する処理条件を示し、
図8には結晶性脂肪の密度を示す。
【表5】
【0027】
結晶性脂肪を液体油と混合することによって、ショートニングを調製した。ナタネ油を液体油相として使用した。表6は、ショートニング組成物を示し、
図A~
図Dは、粒子サイズを示す、ショートニング組成物S1、S3、S5、及びS8の画像を示す。
【表6】
【国際調査報告】