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特表2022-527102操縦可能な内視鏡及び高周波アブレーションカテーテルを備えるシステム、並びに鼻出血を治療する方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-30
(54)【発明の名称】操縦可能な内視鏡及び高周波アブレーションカテーテルを備えるシステム、並びに鼻出血を治療する方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/12 20060101AFI20220523BHJP
   A61B 1/00 20060101ALI20220523BHJP
   A61B 1/233 20060101ALI20220523BHJP
   A61B 1/018 20060101ALI20220523BHJP
【FI】
A61B18/12
A61B1/00 622
A61B1/233
A61B1/018 515
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021557829
(86)(22)【出願日】2020-03-20
(85)【翻訳文提出日】2021-10-25
(86)【国際出願番号】 IB2020052648
(87)【国際公開番号】W WO2020201888
(87)【国際公開日】2020-10-08
(31)【優先権主張番号】62/825,941
(32)【優先日】2019-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/745,469
(32)【優先日】2020-01-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516389190
【氏名又は名称】アクラレント インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Acclarent, Inc.
(71)【出願人】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】シャメリ・エーサン
(72)【発明者】
【氏名】アクバリアン・ファテメ
(72)【発明者】
【氏名】ゴバリ・アサフ
(72)【発明者】
【氏名】アルガウィ・イェフダ
【テーマコード(参考)】
4C160
4C161
【Fターム(参考)】
4C160KK04
4C160KK13
4C160MM06
4C161AA12
4C161CC06
4C161DD03
4C161FF43
4C161GG15
4C161HH32
4C161HH55
4C161HH57
4C161LL02
(57)【要約】
鼻出血を治療する方法は、内視鏡(112)の遠位端(124)を患者の鼻腔内に挿入することを含む。内視鏡の少なくとも遠位端は、作業チャネル(126)を含む。方法は、内視鏡の作業チャネルを通ってRFアブレーションカテーテルの遠位端を前進させることを含む。方法はまた、RFアブレーションカテーテルによって伝達されるRFエネルギーを使用して、鼻腔の後鼻領域内の組織をアブレーションすることを含む。RFエネルギー源と、操縦可能な内視鏡と、RFアブレーションカテーテルと、を備えるシステムもまた開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムであって、
(a)高周波エネルギーを提供するように構成されたRFエネルギー源と、
(b)長手方向軸線を画定するシャフトを含む操縦可能な内視鏡であって、前記シャフトは、
(i)鼻腔内へヒトの鼻孔を通り抜けるように構成された遠位端と、
(ii)少なくとも前記遠位端を通って延在する作業チャネルと、
(iii)少なくとも1つのプルワイヤと、を含む、操縦可能な内視鏡と、
(c)前記操縦可能な内視鏡の前記作業チャネルを通過するように構成されたRFアブレーションカテーテルであって、前記RFアブレーションカテーテルは、前記RFエネルギー源と電気的に連通する少なくとも1つの電極を含み、前記電極は、前記RFエネルギー源から得られたRFエネルギーを前記鼻腔の後鼻領域内に位置する組織に伝達するように構成されている、RFアブレーションカテーテルと、を備える、システム。
【請求項2】
前記システムは、ディスプレイスクリーンを含む制御部を更に備え、前記操縦可能な内視鏡は、前記操縦可能な内視鏡の前記遠位端にカメラを含み、前記カメラは、前記制御部が前記ディスプレイスクリーン上に表示する画像を生成するように構成され、前記カメラによって提供された前記ディスプレイスクリーン上の前記画像を使用して、前記RFアブレーションカテーテルが前記鼻腔の前記後鼻領域内に適切に位置付けられる、請求項1に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権)
本出願は、参照により開示が本明細書に援用される2019年3月29日出願の「System and Method for Treating Epistaxis」と題される米国特許仮出願第62/825,941号に対する優先権を主張するものである。
【背景技術】
【0002】
鼻出血は、鼻孔、鼻腔、又は鼻咽頭での急性出血である。鼻出血は、患者及び臨床医に著しい不安を引き起こす場合がある。概して、鼻出血は、鼻の前方部分で発生し、出血は通常、鼻中隔(キーゼルバッハ部位)の豊富な動脈吻合から生じる。後鼻出血は、概して、蝶口蓋動脈の分岐を介して後鼻領域から生じる。このような出血は、中鼻甲介の後方部分の後ろで、又は後方上側の鼻腔蓋で生じる場合がある。
【0003】
鼻出血を治療するために、いくつかのシステム及び方法が作られ、使用されてきたが、本発明者ら以前に、添付の特許請求の範囲に記載される発明をなし、又は使用した者はいないと考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0004】
本明細書は、本発明を具体的に示し、明確にその権利を請求する特許請求の範囲をもって結論とするものであるが、本発明は以下の特定の実施例の説明を添付図面と併せ読むことでより深い理解が得られるものと考えられる。図中、同様の参照番号は同様の要素を示す。
図1】例示的な医療処置チェアに着座した患者に使用される例示的なシステムの概略図である。
図2A図1の内視鏡と同様の、真っ直ぐな形体の例示的な内視鏡の側断面図である。
図2B図2Aの内視鏡の側断面図であるが、プルワイヤが近位に後退されて、内視鏡の遠位端を屈曲形体に関節運動させている図である。
図3図2Aの内視鏡と共に使用され得る例示的なRFアブレーションカテーテルの側断面図である。
図4A】鼻孔を通って患者の鼻腔内に挿入されている内視鏡の遠位端の断面図である。
図4B】制御部を使用して内視鏡の遠位端がスタムのS点領域内の血管茎に隣接する位置、及び中鼻甲介の腋窩と鼻中隔との間の位置に位置付けられた、鼻腔の後鼻領域の拡大斜視図である。
図4C図4Bの鼻腔の後鼻領域の拡大斜視図であるが、RFアブレーションカテーテルの遠位端が、内視鏡の作業チャネルを通って遠位に前進されている図である。
図4D図4Cの鼻腔の後鼻領域の拡大斜視図であるが、RFアブレーションカテーテルの遠位端が、内視鏡の遠位端と揃えて位置付けられ、RFアブレーションカテーテルの第1の電極及び第2の電極が、スタムのS点領域内の血管茎をアブレーションしている図である。
図4E図4Dの鼻腔の後鼻領域の拡大斜視図であるが、RFアブレーションカテーテルが、スタムのS点領域内の血管茎のアブレーション後に近位に後退された図である。
図4F】患者の鼻腔から近位に後退されている内視鏡の遠位端の断面図である。
【0005】
図面は、いかなる方式でも限定することを意図しておらず、本発明の様々な実施形態は、図面に必ずしも描写されていないものを含め、他の様々な方式で実施し得ることが企図される。本明細書に組み込まれ、かつその一部をなす添付図面は、本発明のいくつかの態様を例示するものであり、説明と共に本発明の原理を説明する役割を果たすものである。しかしながら、本発明が、示される正確な配置に限定されない点は理解される。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本発明の特定の実施例の以下の説明文は、本発明の範囲を限定する目的で用いられるべきではない。本発明の他の実施例、特徴部、態様、実施形態、及び利点は、本発明を実施するために想到される最良の形態の1つを実例として示す以下の説明文より、当業者には明らかとなろう。理解されるように、本発明は、いずれも本発明から逸脱することなく、他の異なるかつ明白な態様が可能である。したがって、図面及び説明は、限定的な性質のものではなく、例示的な性質のものとみなされるべきである。
【0007】
「近位」及び「遠位」という用語は、本明細書では、ハンドピースアセンブリを把持している臨床医に対して使用されることが理解されるであろう。すなわち、エンドエフェクタは、より近位のハンドピースアセンブリに対して遠位側にある。便宜上及び明確さのために、「上部」及び「下部」などの空間用語もまた、本明細書において、ハンドピースアセンブリを把持している臨床医を基準にして使用されていることが更に理解されよう。しかしながら、手術用器具は、多くの向き及び位置で使用されるものであり、これらの用語は、限定的かつ絶対的なものであることを意図するものではない。
【0008】
本明細書に記載の教示、表現、変形、実施例などのうちのいずれか1つ以上を、本明細書に記載の他の教示、表現、変形、実施例などのうちのいずれか1つ以上と組み合わせることができる点も更に理解される。したがって、以下に記載されている教示、表現、変形例、実施例などは、互いに独立して考慮されるべきではない。本明細書の教示に照らして、本明細書の教示を組み合わせることができる様々な好適な方法が、当業者には容易に明らかとなろう。かかる改変及び変形は、「特許請求の範囲」内に含まれるものとする。
【0009】
I.第1の例示的システム
患者(P)の頭部(H)内で医療処置を実施するとき、特に器具が患者(P)の頭部(H)内の器具の作業要素の内視鏡視野を得ることが困難又は不可能である場所にある場合に、患者(P)の頭部(H)内の器具の位置に関する情報を有することが望ましい場合がある。図1は、画像誘導を使用してENT処置を実行することを可能にする例示的なシステム(10)、例えば、画像誘導手術(Image Guided Surgery、IGS)ナビゲーションシステムを示す。本明細書に記載されている構成要素及び動作性を有することに加えて、あるいはそれに代わって、システム(10)は、以下の文献の教示の少なくとも一部に従って構成され、動作可能となり得る。すなわち、米国特許第7,720,521号、発明の名称「Methods and Devices for Performing Procedures within the Ear,Nose,Throat and Paranasal Sinuses」(2010年5月18日発行)(開示内容は参照により本明細書に組み込まれている)、及び米国特許出願公開第2014/0364725号、発明の名称「Systems and Methods for Performing Image Guided Procedures within the Ear,Nose,Throat and Paranasal Sinuses」(2014年12月11日公開)(開示内容は参照により本明細書に組み込まれている)。
【0010】
本実施例のシステム(10)は、馬蹄形フレーム(22)に一体化された一連の磁界発生器(24)を含む、磁界発生器アセンブリ(20)を備える。磁界発生器(24)は、患者(P)の頭部(H)の周りに異なる周波数の交流磁界を発生させるように動作可能である。この実施例では、内視鏡(40)が患者(P)の頭部(H)に挿入される。本実施例では、フレーム(22)が椅子(30)に装着され、フレーム(22)が患者(P)の頭部(H)に隣接して位置するように患者(P)は椅子(30)に着座する。単に一例として、椅子(30)及び/又は磁界発生器アセンブリ(20)は、米国特許出願公開第2018/0310886号、発明の名称「Apparatus to Secure Field Generating Device to Chair」(2018年11月1日出願)(その開示は参照により本明細書に組み込まれる)の少なくとも一部の教示に従って構成され、動作可能であり得る。
【0011】
本実施例のシステム(10)は、システム(10)の磁界発生器(24)及び他の要素を制御するプロセッサ(12)を更に備える。例えば、プロセッサ(12)は、磁界発生器(24)を駆動して交流電磁界を生成し、内視鏡(40)からの信号を処理して患者(P)の頭部(H)内における内視鏡(40)内の位置センサ(図示せず)の場所を判定するように動作可能である。プロセッサ(12)は、1つ以上のメモリと通信する処理ユニットを含む。本実施例のプロセッサ(12)は、キーパッド及び/又はマウス若しくはトラックボールなどのポインティングデバイスを含む動作制御部(14)を含むコンソール(18)内に装着されている。医師は、外科処置を実行しながら、プロセッサ(12)と相互作用する動作制御部(14)を使用する。
【0012】
内視鏡(40)は、磁界発生器(24)によって発生された交流磁界内における配置に応答する位置センサを含む。連結ユニット(42)は内視鏡(40)の近位端に固定され、コンソール(18)と内視鏡(40)との間のデータ及び他の信号の通信を提供するように構成される。連結ユニット(42)は、データ及び他の信号の有線又は無線通信を提供することができる。
【0013】
本実施例では、内視鏡(40)の位置センサは、内視鏡(40)の遠位端(48)に少なくとも1つのコイルを備える。磁界発生器(24)によって発生された交流電磁界の中にこのようなコイルが配置されると、交流磁界がコイルの中に電流を発生させ、この電流は、内視鏡(40)内の導電路(複数可)に沿って、連結ユニット(42)を介してプロセッサ(12)に更に通信され得る。この現象により、システム(10)は、三次元空間内(すなわち、患者(P)の頭部(H)内など)の内視鏡(40)の遠位端(48)の場所を判定することができる。これを達成するために、プロセッサ(12)は、内視鏡(40)の位置センサ内のコイル(複数可)の位置関連信号から、内視鏡(40)の遠位端(48)の位置座標を計算するアルゴリズムを実行する。
【0014】
プロセッサ(12)は、プロセッサ(12)のメモリに格納されたソフトウェアを用いてシステム(10)を較正し、動作させる。このような動作は、磁界発生器(24)を駆動することと、内視鏡(40)からのデータを処理することと、動作制御部(14)からのデータを処理することと、ディスプレイスクリーン(16)を駆動することと、を含む。いくつかの実装形態では、動作はまた、IGSナビゲーションシステム(10)の1つ以上の安全機構又は機能の監視及び施行も含み得る。プロセッサ(12)は、患者の頭部(H)のビデオカメラ画像、患者の頭部(H)のCTスキャン画像、及び/又は患者の鼻腔内及び患者の鼻腔に隣接する解剖学的構造のコンピュータ生成三次元モデルに関して内視鏡(40)の遠位端(48)の位置を示すディスプレイスクリーン(16)を介して、リアルタイムでビデオを提供するように更に動作可能である。ディスプレイスクリーン(16)は、外科処置中にこのような画像を同時に及び/又は互いに重ね合わせて表示し得る。このような表示された画像はまた、患者の頭部(H)における内視鏡(40)のグラフィック表現を更に含んでもよく、これにより、操作者は内視鏡(40)のバーチャルレンダリングをその実際の場所でリアルタイムで見ることができる。単に例として、ディスプレイスクリーン(16)は、米国特許出願公開第2016/0008083号、発明の名称「Guidewire Navigation for Sinuplasty」(2016年1月14日公開)、現在は、米国特許第10,463,242号(2019年11月5日発行)(開示内容は参照により本明細書に組み込まれている)の教示の少なくとも一部に従って画像を提供してもよい。後述するように、内視鏡(40)によってキャプチャされる内視鏡画像もまた、ディスプレイスクリーン(16)上に提供され得る。
【0015】
ディスプレイスクリーン(16)によって提供される画像は、操作者が患者の頭部(H)内で内視鏡(40)を操縦すること、及び他の場合には操作することを補助し得る。様々な他の種類の外科用器具(例えば、ガイドワイヤ、ガイドカテーテル、拡開カテーテル、吸引器具、シェーバ器具など)を、内視鏡(40)の位置センサのような位置センサを組み込んでもよいことも理解されたい。内視鏡(40)との関連で上述したように、システム(10)により、操作者は、患者(P)の頭部(H)の一組の術前に得られた画像(例えば、CTスキャンなど)からの動的に変化するビュー上に位置インジケータを重ねることなどによって、患者(P)の頭部(H)内のセンサ搭載器具の位置をリアルタイムで見ることが可能になる。
【0016】
II.第2の例示的システム
急性鼻出血とも呼ばれる重度の鼻出血は、一般的な鼻出血よりもまれであるが、潜在的に生命を脅かすことがあり、緊急処置を必要とする場合がある。後鼻領域のスタムのS点領域は、重度の鼻出血の出血源であり得る。しかしながら、スタムのS点領域は、中隔体の後方にあるため、アクセスが困難である。加えて、出血は、あまりにも多いので、側方鼻壁に到達し、後方に流れる場合があり、結果として、その出血が、後鼻出血として誤って特定される場合がある。したがって、スタムのS点領域から生じる重度の鼻出血は、正しく診断されない場合があり、治療不全につながるおそれがある。加えて、他の種類の鼻出血に関しては、内視鏡のアクセスには、鼻腔の後方側面から生じる後鼻出血の治療のためには依然として課題がある。
【0017】
鼻腔(例えば、後鼻領域)は、様々な蛇行経路及び妨げを有する比較的小さい空間である。したがって、鼻腔内で器具が最大限にアクセスするために、以下で説明するように、このような器具に、比較的小さい形状因子及び少なくとも何らかの程度の可撓性を提供することが有利である。操作者が器具の近位部分に対して器具の遠位部分を能動的に曲げる、又は他の場合には移動させることができるように、操縦性を有するこのような器具を提供することは更に有益であり得、それによって、解剖学的構造の周囲で器具の遠位部分をより能動的に操作して、さもなければ完全に剛性の器具がアクセスできない空間に到達することが可能になる。その結果、これらの課題及び他の課題に役立つシステムを提供するように改善することが望ましいと考えられる。
【0018】
以下の図を参照して説明するように、例示的なシステム(110)は、内視鏡(112)と、RFアブレーションカテーテル(114)と、RFエネルギー源(116)と、制御部(118)と、を備える。RFエネルギー源(116)は、RFアブレーションカテーテル(114)に高周波(radiofrequency、RF)エネルギーを提供して、鼻腔の後鼻領域内の組織をアブレーションするように構成されている。
【0019】
A.例示的な内視鏡
図2A図2Bは、図1を参照して上述及び図示された内視鏡(40)と同様であり得る内視鏡(112)を示す。内視鏡(112)は、長手方向軸線(LA)を画定するシャフト(120)を含む。シャフト(120)は、近位端(122)と、近位端(122)の反対側に配設された遠位端(124)と、を含む。内視鏡(112)は、少なくとも遠位端(124)を通って延在する作業チャネル(126)を含む。図示のように、作業チャネル(126)は、近位端(122)と遠位端(124)との間、及び近位端(122)及び遠位端(124)の両方を通って内視鏡(112)の全長を貫通して延在している。しかしながら、作業チャネル(126)がシャフト(120)の側面で終端するように、作業チャネル(126)は、シャフト(120)を単に部分的に通って延在してもよいこともまた想定される。図4Aを参照してより詳細に説明するように、シャフト(120)の遠位端(124)は、鼻腔(NC)内へ患者(P)の鼻孔(N)を通り抜けるようにサイズ決めされ、かつ構成されている。
【0020】
図2A図2Bに示されるように、内視鏡(112)は、シャフト(120)の遠位取り付け点(130)に取り付けられた少なくとも1つのプルワイヤ(128)を含む。図示のように、プルワイヤ(128)は、シャフト(120)の遠位端(124)の直前で終端し、様々な異なる取り付け構造(例えば、接着剤、溶接、締結具)を使用してシャフト(120)に取り付けられてもよい。具体的には、図2Aは、真っ直ぐな形体の遠位端(124)の側断面図を示し、一方で図2Bは、屈曲形体にある遠位端(124)の側断面図を示す。屈曲した又は関節運動した形体は、制御部(118)を使用してプルワイヤ(128)を近位に後退させることによって得られ得る。したがって、シャフト(120)の一部又は全ては、この屈曲を補助するように可撓性であってもよい。
【0021】
制御部(118)は、関節運動を制御し、作業チャネル(126)への進入を提供し、かつ/又は可視化システム(例えば、画像誘導手術(IGS)ナビゲーションシステム)と連結する機構を含んでもよい。例えば、制御部(118)は、図1のディスプレイスクリーン(16)と同様のディスプレイスクリーン(図示せず)を含んでもよい。図示のように、内視鏡(112)は、内視鏡(112)の遠位端(124)にカメラ(132)を含む。カメラ(132)は、制御部(118)がディスプレイスクリーン(例えば、ディスプレイスクリーン(16))に表示する画像を生成して、RFアブレーションカテーテル(114)の適切な位置付けを確実にするように構成されている。カメラ(132)は、(カメラケーブル(134)として図示される)有線接続又は無線接続を使用して制御部(118)と通信してもよい。したがって、後鼻領域(PNR)内の組織をアブレーションする前に、カメラ(132)によって提供されたディスプレイスクリーン上の画像を使用して、後鼻腔領域(PNR)内での適切な位置付けを確実にするように、内視鏡(112)及び/又はRFアブレーションカテーテル(114)の位置を検証することができる。内視鏡(112)は、内視鏡(40)の位置センサと同様の位置センサ(135)を含んでもよい。結果として、システム(110)は、位置センサ(135)からの信号に基づいて、内視鏡(112)の遠位端(124)の位置を追跡することができる。したがって、センサデータは、カメラ(132)による可視化によって提供される位置フィードバックを補完するか、又は更には代替することができる。
【0022】
B.例示的なRFアブレーションカテーテル
図3は、図2A図2Bの内視鏡(112)と共に使用され得るRFアブレーションカテーテル(114)の概略図を示す。図示のように、RFアブレーションカテーテル(114)は、近位端(138)及び遠位端(140)を含むシャフト(136)を含み、遠位端(140)は、近位端(138)の反対側に配設されている。RFアブレーションカテーテル(114)は、内視鏡(112)の作業チャネル(126)を通過するように構成されている。RFアブレーションカテーテル(114)は、RFエネルギー源(116)と電気的に連通する少なくとも1つの電極(第1の電極(142)及び第2の電極(144)が示されている)を含む。第1の電極(142)及び第2の電極(144)は、RFアブレーションカテーテル(114)の遠位端(140)に配設され、RFエネルギー源(116)から得られたRFエネルギーを組織(例えば、後鼻領域(PNR)内に位置する組織)に伝達するように構成されている。図示のように、第1の電極(142)は、第1の導線(146)を使用してRFエネルギー源(116)と電気的に連結され、第2の電極(144)は、第2の導線(148)を使用してRFエネルギー源(116)と電気的に連結されている。双極エネルギーは、電極(142)と電極(144)との間に位置付けられる組織を通って移動し得る。
【0023】
第1の電極(142)及び第2の電極(144)を使用する双極RFエネルギーの印加が図示され、説明されているが、RFアブレーションカテーテル(114)が単極RFエネルギーを利用し得ることもまた想定される。例えば、単極RFエネルギーの場合、単一電極は、RFアブレーションカテーテル(114)の遠位端(140)に配設されて、患者(P)の皮膚に接触する接地パッド(図示せず)によりRFエネルギーを印加することができる。RFアブレーションカテーテル(114)は、RFエネルギー源(116)と取り外し可能に連結されるように構成されている。例えば、連結部(150)は、RFアブレーションカテーテル(114)の近位端(138)をRFエネルギー源(116)と連結することができる。しかしながら、連結部(150)は、代わりに、患者(P)の外側に留まるRFアブレーションカテーテル(114)の別の部分に位置付けられてもよい。
【0024】
図示のように、RFアブレーションカテーテル(114)の遠位端(140)は、有線接続又は無線接続を使用して制御部(118)と通信する位置センサ(152)を含んでもよい。位置センサ(152)は、遠位端(140)の三次元位置のリアルタイムでの追跡を容易にし得る。具体的には、位置センサ(152)は、RFアブレーションカテーテル(114)が後鼻領域(PNR)内に適切に位置付けられていることを検証することができる。しかしながら、位置センサ(135、152)及び/又はIGSナビゲーションシステム(10)は、単に任意選択であり、必須ではない。
【0025】
C.例示的な使用方法
図4A図4Eは、鼻出血を治療する例示的な方法を示す。例えば、この例示的な方法を使用して、急性鼻出血としても知られる重度の鼻出血を治療することができる。図4Aに示すように、内視鏡(112)の遠位端(124)は、鼻孔(N)を通って患者(P)の鼻腔(NC)内に挿入される。内視鏡(112)は、さもなければ剛性の内視鏡の妨げとなると考えられる解剖学的構造の周囲に、使用者(例えば、外科医)がより容易に到達することを可能にする。妨げとなる解剖学的構造(例えば、鼻甲介構造体)は、断面が取られる平面に起因して、図4Aでは省略されている。特に、図4Aは、概ね水平配向で鼻孔(N)に入る内視鏡(112)を示し、入口点は、鼻孔(N)の先端部に近接しており、遠位端(124)は、スタムのS点領域に到達するように上向きに曲げられている。内視鏡(112)の遠位端(124)は、プルワイヤ(128)を使用して鼻腔(NC)内に、かつ鼻腔(NC)を通って操縦され得る。鼻腔(NC)内に挿入されると、内視鏡(112)は、制御部(118)を使用して、後鼻出血の部位であり得る後鼻領域(PNR)内の所望の位置に更に前進される。図2A図2Bを参照して前述したように、制御部(118)は、患者(P)の外側に位置して、内視鏡(112)が患者(P)の鼻腔内(NC)内にある間に、内視鏡(112)をユーザが操縦することを可能にする。より具体的には、制御部(118)を使用して、後鼻領域のスタムのS点領域(S)に内視鏡(112)を案内することができる。鼻腔(NC)内にはまた、キーゼルバッハ部位(KP)、前篩骨動脈(AEA)、後篩骨動脈(PEA)、及び蝶口蓋動脈(SA)が示されている。
【0026】
図4Bは、制御部(118)を使用して内視鏡(112)の遠位端(124)が所望の位置に位置付けられた、鼻腔(NC)の後鼻領域(PNR)の拡大図を示す。図示されるように、所望の位置は、スタムのS点領域(S)内の血管茎(VP)に隣接し、中鼻甲介(MT)の腋窩(A)と鼻中隔(NS)との間にある。この位置付けにより、第1の電極(142)及び第2の電極(144)がRFエネルギーを使用して、後鼻領域(PNR)のスタムのS点領域(S)の少なくとも一部分をアブレーションすることが可能になる。図2A図2Bを参照して上述したように、カメラ(132)は、画像をディスプレイスクリーンに提供して、組織をアブレーションする前に、RFアブレーションカテーテル(114)が後鼻領域(PNR)内に適切に位置付けられていることを確実にするように構成され得る。
【0027】
図4Cは、図4Bの後鼻腔領域(PNR)の拡大図を示しているが、RFアブレーションカテーテル(114)の遠位端(140)は、内視鏡(112)の作業チャネル(126)を通って遠位に前進されており、内視鏡(112)は、概略的に示されている。内視鏡(112)の作業チャネル(126)を通ってRFアブレーションカテーテル(114)を前進させる前に、所望の位置(例えば、後鼻領域内)に内視鏡(112)の遠位端(124)を前進させてもよい。後鼻領域(PNR)内の内視鏡(112)の作業チャネル(126)及び遠位端(124)の両方を通ってRFアブレーションカテーテル(114)を前進させてもよい。図2A図3を参照して前述したように、内視鏡(112)の遠位端(124)は、位置センサ(135)を含み得、かつ/又は、RFアブレーションカテーテル(114)の遠位端(140)は、位置センサ(152)を含み得る。位置センサ(135、152)は、内視鏡(112)及びRFアブレーションカテーテル(114)が後鼻領域(PNR)内に適切に位置付けられていることを検証することができる。しかしながら、位置センサ(135、152)及び/又はIGSナビゲーションシステム(10)の使用は、単に任意選択であり、必須ではない。
【0028】
図4Dは、RFアブレーションカテーテル(114)によって伝達されるRFエネルギーを使用して、鼻腔(NC)の後鼻領域(PNR)内でアブレーションされている組織のアブレーション部分(AP)を示す。図示のように、RFアブレーションカテーテル(114)の遠位端(140)は、内視鏡(112)の遠位端(124)と揃えて位置付けられている。あるいは、図示していないが、RFアブレーションカテーテル(114)の遠位端(140)は、内視鏡(112)の遠位端(124)に対して近位又は遠位に位置付けられてもよい。第1の電極(142)及び第2の電極(144)は、RFエネルギー源(116)から伝達されたRFエネルギーを使用して組織をアブレーションする。図示のように、第1の電極(142)及び第2の電極(144)は、後鼻領域(PNR)のスタムのS点領域(S)内の血管茎(VP)をアブレーションして重度の鼻出血を治療する。RFエネルギー源(116)は、組織をアブレーションする前の任意の時点で、RFエネルギーを第1の電極(142)及び第2の電極(144)に伝達するのに十分な任意の様式で連結され得ることが想定される。カメラ(132)が画像をディスプレイスクリーンに提供することにより、ユーザは、スタムのS点領域(S)内の所望の領域(例えば、血管茎(VP)のアブレーション部分(AP))が適切かつ十分にアブレーションされることを確実にすることができる。
【0029】
図4Eは、図4Dの鼻腔(NC)の後鼻領域(PNR)の拡大図を示しているが、RFアブレーションカテーテル(114)は、スタムのS点領域(S)内の血管茎(VP)のアブレーション後に近位に後退されている。図4Fは、鼻腔(NC)から近位に後退されている内視鏡(112)を示す。図示していないが、内視鏡(112)及びRFアブレーションカテーテル(114)は、ユニットとして一緒に後退され得ることも想定される。
【0030】
III.例示的な組み合わせ
以下の実施例は、本明細書の教示を組み合わせるか又は適用することができる、様々な非網羅的な方法に関する。以下の実施例は、本出願における又は本出願の後の書類提出におけるどの時点でも提示され得る、いずれの請求項の適用範囲をも限定することを目的としたものではないと理解されよう。一切の権利放棄を意図するものではない。以下の実施例は、単なる例示の目的で与えられるものに過ぎない。本明細書の様々な教示は、他の多くの方法で構成及び適用が可能であると考えられる。また、いくつかの変形では、以下の実施例において言及される特定の特徴部を省略してよいことも考えられる。したがって、本発明者又は本発明者の利益の承継者により、後日、そうである旨が明示的に示されない限り、以下に言及される態様又は特徴部のいずれも重要なものとしてみなされるべきではない。以下に言及される特徴部以外の更なる特徴部を含む請求項が本出願において、又は本出願に関連する後の書類提出において示される場合、それらの更なる特徴部は、特許性に関連するいかなる理由によっても追加されたものとして仮定されるべきではない。
【実施例1】
【0031】
鼻出血を治療する方法であって、方法は、(a)内視鏡の遠位端を患者の鼻腔内に挿入することであって、内視鏡の少なくとも遠位端は、作業チャネルを含む、ことと、(b)内視鏡の作業チャネルを通ってRFアブレーションカテーテルの遠位端を前進させることと、(c)RFアブレーションカテーテルによって伝達されるRFエネルギーを使用して、鼻腔の後鼻領域内の組織をアブレーションすることと、を含む、方法。
【実施例2】
【0032】
内視鏡は、制御部と連結された操縦可能な内視鏡であり、方法は、患者の外側に位置する制御部を使用して、患者の鼻腔内で操縦可能な内視鏡を操縦することを更に含む、実施例1に記載の方法。
【実施例3】
【0033】
制御部を使用して、操縦可能な内視鏡を後鼻領域のスタムのS点領域に操縦することを更に含み、組織をアブレーションすることは、RFアブレーションカテーテルによって伝達されるRFエネルギーを使用して、後鼻領域のスタムのS点領域の少なくとも一部分をアブレーションすることを更に含む、実施例2に記載の方法。
【実施例4】
【0034】
操縦可能な内視鏡は、操縦可能な内視鏡の遠位端にカメラを含み、カメラは、制御部と通信し、方法は、後鼻領域内の組織をアブレーションする前に、カメラを使用してRFアブレーションカテーテルが鼻腔の後鼻領域に適切に位置付けられていることを検証することを更に含む、実施例2~3のいずれか1つ以上に記載の方法。
【実施例5】
【0035】
操縦可能な内視鏡は、操縦可能な内視鏡の遠位端にカメラを含み、カメラは、画像を生成し、カメラによって取得された鼻腔の画像をディスプレイスクリーン上に表示するナビゲーションシステムと通信し、方法は、後鼻領域内の組織をアブレーションする前に、カメラによって提供されたディスプレイスクリーン上の画像を使用して、RFアブレーションカテーテルが鼻腔の後鼻領域に適切に位置付けられていることを検証することを更に含む、実施例2~3のいずれか1つ以上に記載の方法。
【実施例6】
【0036】
操縦可能な内視鏡は、作業チャネルが完全に内部を通って延在するシャフトを含み、操縦可能な内視鏡を操縦することは、シャフトの可撓性部分をシャフトの長手方向軸線から離れる方向に曲げることを更に含む、実施例2~5のいずれか1つ以上に記載の方法。
【実施例7】
【0037】
操縦可能な内視鏡は、シャフトを通って延在する少なくとも1つのプルワイヤを含み、操縦可能な内視鏡を操縦することは、少なくとも1つのプルワイヤを使用して操縦可能な内視鏡の遠位端を鼻腔内に操縦することを更に含む、実施例6に記載の方法。
【実施例8】
【0038】
操縦可能な内視鏡の遠位端を操縦することは、少なくとも1つのプルワイヤを近位に後退させて操縦可能な内視鏡の遠位端を関節運動させることを更に含む、実施例7に記載の方法。
【実施例9】
【0039】
操縦可能な内視鏡の作業チャネルを通ってRFアブレーションカテーテルを前進させる前に、操縦可能な内視鏡の遠位端を、後鼻領域内に前進させることを更に含む、実施例2~8のいずれか1つ以上に記載の方法。
【実施例10】
【0040】
RFアブレーションカテーテルを前進させることは、後鼻領域内の内視鏡の作業チャネル及び遠位端の両方を通ってRFアブレーションカテーテルを前進させることを更に含む、実施例1~9のいずれか1つ以上に記載の方法。
【実施例11】
【0041】
RFアブレーションカテーテルは、RFアブレーションカテーテルの遠位端に配設された第1の電極及び第2の電極を含み、方法は、第1の電極及び第2の電極を使用して後鼻領域内の組織をアブレーションすることを更に含む、実施例1~10のいずれか1つ以上に記載の方法。
【実施例12】
【0042】
RFアブレーションカテーテルは、RFアブレーションカテーテルの近位端に連結部を含み、方法は、RFエネルギー源をRFアブレーションカテーテルの連結部に連結して、RFエネルギーを第1の電極及び第2の電極に提供して、鼻腔の後鼻領域内の組織をアブレーションすることを更に含む、実施例11に記載の方法。
【実施例13】
【0043】
後鼻領域内の組織をアブレーションすることは、RFアブレーションカテーテルによって伝達されるRFエネルギーを使用して、後鼻領域内の血管茎をアブレーションすることを更に含む、実施例1~12のいずれか1つ以上に記載の方法。
【実施例14】
【0044】
血管茎をアブレーションすることは、RFアブレーションカテーテルによって伝達されるRFエネルギーを使用して、後鼻領域のスタムのS点領域内の血管茎をアブレーションすることを更に含む、実施例13に記載の方法。
【実施例15】
【0045】
方法は、重度の鼻出血を治療するために使用される、実施例1~14のいずれか1つ以上に記載の方法。
【実施例16】
【0046】
重度の鼻出血を治療する方法であって、方法は、(a)操縦可能な内視鏡の遠位端を患者の鼻腔内に挿入することであって、操縦可能な内視鏡の少なくとも遠位端は、作業チャネルを含む、ことと、(b)操縦可能な内視鏡の作業チャネルを通ってRFアブレーションカテーテルの遠位端を前進させることと、(c)操縦可能な内視鏡の遠位端と連結されたカメラを使用して、RFアブレーションカテーテルが鼻腔の後鼻領域内のスタムのS点領域内の血管茎に隣接して位置付けられていることを検証することと、(d)RFアブレーションカテーテルの電極によって伝達されるRFエネルギーを使用して、鼻腔のスタムのS点領域内の血管茎をアブレーションすることと、を含む、方法。
【実施例17】
【0047】
操縦可能な内視鏡を使用して、スタムのS点領域を含む後鼻領域を可視化することを更に含む、実施例16に記載の方法。
【実施例18】
【0048】
RFアブレーションカテーテルを前進させることは、RFアブレーションカテーテルが、スタムのS点領域内の血管茎に隣接して位置付けられるように、操縦可能な内視鏡の作業チャネル及び遠位端の両方を通って、RFアブレーションカテーテルを前進させることを更に含む、実施例16~17のいずれか1つ以上に記載の方法。
【実施例19】
【0049】
システムであって、(a)高周波エネルギーを提供するように構成されたRFエネルギー源と、(b)長手方向軸線を画定するシャフトを含む操縦可能な内視鏡であって、シャフトは、(i)鼻腔内へヒトの鼻孔を通り抜けるように構成された遠位端と、(ii)少なくとも遠位端を通って延在する作業チャネルと、(iii)少なくとも1つのプルワイヤと、を含む、操縦可能な内視鏡と、(c)操縦可能な内視鏡の作業チャネルを通過するように構成されたRFアブレーションカテーテルであって、RFアブレーションカテーテルは、RFエネルギー源と電気的に連通する少なくとも1つの電極を含み、電極は、RFエネルギー源から得られたRFエネルギーを鼻腔の後鼻領域内に位置する組織に伝達するように構成されている、RFアブレーションカテーテルと、を備える、システム。
【実施例20】
【0050】
システムは、ディスプレイスクリーンを含む制御部を更に備え、操縦可能な内視鏡は、操縦可能な内視鏡の遠位端にカメラを含み、カメラは、制御部がディスプレイスクリーン上に表示する画像を生成するように構成され、カメラによって提供されたディスプレイスクリーン上の画像を使用して、RFアブレーションカテーテルが鼻腔の後鼻領域内に適切に位置付けられる、実施例19に記載のシステム。
【0051】
IV.その他
本明細書に記載されている実施例のうちのいずれも、上述のものに加えて又はそれに代えて、様々な他の特徴部を含み得ることが理解されるべきである。単に一例として、本明細書に記載されている実施例のうちのいずれも、参照により本明細書に組み込まれる様々な参考文献のいずれかに開示されている様々な特徴部のうちの1つ以上を含むことができる。
【0052】
本明細書に記載の教示、表現、実施形態、実施例などのうちのいずれか1つ以上を、本明細書に記載の他の教示、表現、実施形態、実施例などのうちのいずれか1つ以上と組み合わせることができる点が理解されるべきである。したがって、上記の教示、表現、実施形態、実施例などは、互いに対して独立して考慮されるべきではない。本明細書の教示に照らして、本明細書の教示を組み合わせることができる様々な好適な方法が、当業者には容易に明らかとなろう。かかる改変及び変形は、「特許請求の範囲」内に含まれるものとする。
【0053】
本明細書に参照により組み込まれると言及されるあらゆる特許、公報、又はその他の開示内容は、全体的に又は部分的に、組み込まれる内容が現行の定義、見解、又は本開示に記載されるその他の開示内容とあくまで矛盾しない範囲でのみ本明細書に組み込まれると理解されるべきである。それ自体、また必要な範囲で、本明細書に明瞭に記載される開示内容は、参照により本明細書に組み込まれるあらゆる矛盾する記載に優先するものとする。参照により本明細書に組み込まれると言及されているが、現行の定義、見解、又は本明細書に記載される他の開示内容と矛盾する任意の内容、又はそれらの部分は、組み込まれた内容と現行の開示内容との間に矛盾が生じない範囲においてのみ、組み込まれるものとする。
【0054】
本明細書に開示される装置の変形形態は、1回の使用後に処分されるように設計するか又は複数回使用されるように設計することができる。変形例は、いずれか又は両方の場合においても、少なくとも1回の使用後に再利用のために再調整され得る。再調整は、装置の分解工程、それに続く特定の部品の洗浄又は交換工程、及びその後の再組立工程の、任意の組み合わせを含み得る。特に、装置の変形形態は、分解することができ、かつ、装置の任意の数の特定の部品若しくは部分を、任意の組み合わせにおいて選択的に交換又は取り外してもよい。特定の部分を洗浄時及び/又は交換時に、装置の変形形態は、再調整用の施設において、又は外科手技の直前に外科チームによってのどちらかで、その後の使用のために再組み立てすることができる。当業者であれば、装置の再調整において、分解、洗浄/交換、及び再組立のための様々な技術を利用することができることを理解するであろう。かかる技術の使用、及び結果として得られる再調整された装置は、全て本発明の範囲内にある。
【0055】
単に一例として、本明細書に記載の変形形態は、手術前に処理することができる。まず、新品又は使用済みの器具を入手し、必要に応じて洗浄することができる。次いで器具を滅菌することができる。1つの滅菌技術では、器具は、プラスチックバッグ又はTYVEKバッグなど、閉鎖され密封された容器に入れられる。次いで、容器及び器具を、γ線、X線、又は高エネルギー電子などの容器を透過し得る放射線野に置くことができる。放射線は、器具上及び容器内の細菌を死滅させることができる。この後、滅菌済みの器具を滅菌容器内で保管することができる。密封容器は、手術設備で開封されるまで器具を滅菌状態に保つことができる。β線若しくはγ線、エチレンオキシド、又は水蒸気が挙げられるがこれらに限定されない、当該技術分野で既知のその他の任意の技術を用いて、装置を滅菌してもよい。
【0056】
本発明の様々な変形例について図示し説明してきたが、本明細書で説明した方法及びシステムの更なる応用が、当業者による適切な改変形態により、本発明の範囲から逸脱することなく実現され得る。かかる可能な改変のうちのいくつかについて述べたが、他の改変も当業者には明らかになるであろう。例えば、上述の実施例、変形形態、幾何形状、材料、寸法、比率、工程などは例示的なものであって、必須ではない。したがって、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲の観点から考慮されるべきものであり、本明細書及び図面に示され記載された構造及び動作の細部に限定されないものとして理解される。
【0057】
〔実施の態様〕
(1) 鼻出血を治療する方法であって、前記方法は、
(a)内視鏡の遠位端を患者の鼻腔内に挿入することであって、前記内視鏡の少なくとも前記遠位端は、作業チャネルを含む、ことと、
(b)前記内視鏡の前記作業チャネルを通ってRFアブレーションカテーテルの遠位端を前進させることと、
(c)前記RFアブレーションカテーテルによって伝達されるRFエネルギーを使用して、前記鼻腔の後鼻領域内の組織をアブレーションすることと、を含む、方法。
(2) 前記内視鏡は、制御部と連結された操縦可能な内視鏡であり、前記方法は、前記患者の外側に位置する前記制御部を使用して、前記患者の前記鼻腔内で前記操縦可能な内視鏡を操縦することを更に含む、実施態様1に記載の方法。
(3) 前記制御部を使用して、前記操縦可能な内視鏡を前記後鼻領域のスタムのS点領域(Stamm’s S-point region)に操縦することを更に含み、前記組織をアブレーションすることは、前記RFアブレーションカテーテルによって伝達されるRFエネルギーを使用して、前記後鼻領域の前記スタムのS点領域の少なくとも一部分をアブレーションすることを更に含む、実施態様2に記載の方法。
(4) 前記操縦可能な内視鏡は、前記操縦可能な内視鏡の前記遠位端にカメラを含み、前記カメラは、前記制御部と通信し、前記方法は、前記後鼻領域内の前記組織をアブレーションする前に、前記カメラを使用して前記RFアブレーションカテーテルが前記鼻腔の前記後鼻領域に適切に位置付けられていることを検証することを更に含む、実施態様2に記載の方法。
(5) 前記操縦可能な内視鏡は、前記操縦可能な内視鏡の前記遠位端にカメラを含み、前記カメラは、画像を生成し、前記カメラによって取得された前記鼻腔の画像をディスプレイスクリーン上に表示するナビゲーションシステムと通信し、前記方法は、前記後鼻領域内の前記組織をアブレーションする前に、前記カメラによって提供された前記ディスプレイスクリーン上の前記画像を使用して、前記RFアブレーションカテーテルが前記鼻腔の前記後鼻領域に適切に位置付けられていることを検証することを更に含む、実施態様2に記載の方法。
【0058】
(6) 前記操縦可能な内視鏡は、前記作業チャネルが完全に内部を通って延在するシャフトを含み、前記操縦可能な内視鏡を操縦することは、前記シャフトの可撓性部分を前記シャフトの長手方向軸線から離れる方向に曲げることを更に含む、実施態様2に記載の方法。
(7) 前記操縦可能な内視鏡は、前記シャフトを通って延在する少なくとも1つのプルワイヤを含み、前記操縦可能な内視鏡を操縦することは、前記少なくとも1つのプルワイヤを使用して前記操縦可能な内視鏡の前記遠位端を前記鼻腔内に操縦することを更に含む、実施態様6に記載の方法。
(8) 前記操縦可能な内視鏡の前記遠位端を操縦することは、前記少なくとも1つのプルワイヤを近位に後退させて前記操縦可能な内視鏡の前記遠位端を関節運動させることを更に含む、実施態様7に記載の方法。
(9) 前記操縦可能な内視鏡の前記作業チャネルを通って前記RFアブレーションカテーテルを前進させる前に、前記操縦可能な内視鏡の前記遠位端を、前記後鼻領域内に前進させることを更に含む、実施態様2に記載の方法。
(10) 前記RFアブレーションカテーテルを前進させることは、前記後鼻領域内の前記内視鏡の前記作業チャネル及び前記遠位端の両方を通って前記RFアブレーションカテーテルを前進させることを更に含む、実施態様1に記載の方法。
【0059】
(11) 前記RFアブレーションカテーテルは、前記RFアブレーションカテーテルの前記遠位端に配設された第1の電極及び第2の電極を含み、前記方法は、前記第1の電極及び前記第2の電極を使用して後鼻領域内の前記組織をアブレーションすることを更に含む、実施態様1に記載の方法。
(12) 前記RFアブレーションカテーテルは、前記RFアブレーションカテーテルの近位端に連結部を含み、前記方法は、RFエネルギー源を前記RFアブレーションカテーテルの前記連結部に連結して、RFエネルギーを前記第1の電極及び前記第2の電極に提供して、前記鼻腔の前記後鼻領域内の前記組織をアブレーションすることを更に含む、実施態様11に記載の方法。
(13) 前記後鼻領域内の前記組織をアブレーションすることは、前記RFアブレーションカテーテルによって伝達されるRFエネルギーを使用して、前記後鼻領域内の血管茎をアブレーションすることを更に含む、実施態様1に記載の方法。
(14) 前記血管茎をアブレーションすることは、前記RFアブレーションカテーテルによって伝達されるRFエネルギーを使用して、前記後鼻領域のスタムのS点領域内の前記血管茎をアブレーションすることを更に含む、実施態様13に記載の方法。
(15) 前記方法は、重度の鼻出血を治療するために使用される、実施態様1に記載の方法。
【0060】
(16) 後鼻出血を治療する方法であって、前記方法は、
(a)操縦可能な内視鏡の遠位端を患者の鼻腔内に挿入することであって、前記操縦可能な内視鏡の少なくとも前記遠位端は、作業チャネルを含む、ことと、
(b)前記操縦可能な内視鏡の前記作業チャネルを通ってRFアブレーションカテーテルの遠位端を前進させることと、
(c)前記操縦可能な内視鏡の前記遠位端と連結されたカメラを使用して、前記RFアブレーションカテーテルが前記鼻腔の後鼻領域内のスタムのS点領域内の血管茎に隣接して位置付けられていることを検証することと、
(d)前記RFアブレーションカテーテルの電極によって伝達されるRFエネルギーを使用して、前記鼻腔の前記スタムのS点領域内の前記血管茎をアブレーションすることと、を含む、方法。
(17) 前記操縦可能な内視鏡を使用して、前記スタムのS点領域を含む前記後鼻領域を可視化することを更に含む、実施態様16に記載の方法。
(18) 前記RFアブレーションカテーテルを前進させることは、前記RFアブレーションカテーテルが、前記スタムのS点領域内の前記血管茎に隣接して位置付けられるように、前記操縦可能な内視鏡の前記作業チャネル及び前記遠位端の両方を通って、前記RFアブレーションカテーテルを前進させることを更に含む、実施態様16に記載の方法。
(19) システムであって、
(a)高周波エネルギーを提供するように構成されたRFエネルギー源と、
(b)長手方向軸線を画定するシャフトを含む操縦可能な内視鏡であって、前記シャフトは、
(i)鼻腔内へヒトの鼻孔を通り抜けるように構成された遠位端と、
(ii)少なくとも前記遠位端を通って延在する作業チャネルと、
(iii)少なくとも1つのプルワイヤと、を含む、操縦可能な内視鏡と、
(c)前記操縦可能な内視鏡の前記作業チャネルを通過するように構成されたRFアブレーションカテーテルであって、前記RFアブレーションカテーテルは、前記RFエネルギー源と電気的に連通する少なくとも1つの電極を含み、前記電極は、前記RFエネルギー源から得られたRFエネルギーを前記鼻腔の後鼻領域内に位置する組織に伝達するように構成されている、RFアブレーションカテーテルと、を備える、システム。
(20) 前記システムは、ディスプレイスクリーンを含む制御部を更に備え、前記操縦可能な内視鏡は、前記操縦可能な内視鏡の前記遠位端にカメラを含み、前記カメラは、前記制御部が前記ディスプレイスクリーン上に表示する画像を生成するように構成され、前記カメラによって提供された前記ディスプレイスクリーン上の前記画像を使用して、前記RFアブレーションカテーテルが前記鼻腔の前記後鼻領域内に適切に位置付けられる、実施態様19に記載のシステム。
図1
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
【国際調査報告】