(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-30
(54)【発明の名称】宇宙において機能性材料を真空気相蒸着する方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
B64G 1/22 20060101AFI20220523BHJP
B64G 1/00 20060101ALI20220523BHJP
B64G 4/00 20060101ALI20220523BHJP
【FI】
B64G1/22 300
B64G1/00 Z
B64G4/00 105
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021560440
(86)(22)【出願日】2020-04-06
(85)【翻訳文提出日】2021-11-22
(86)【国際出願番号】 US2020026899
(87)【国際公開番号】W WO2020206435
(87)【国際公開日】2020-10-08
(32)【優先日】2019-04-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521441995
【氏名又は名称】ルナ・リソーシズ・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000741
【氏名又は名称】特許業務法人小田島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】イグナチェフ,アレックス
(57)【要約】
宇宙において基材上にコーティング、薄膜材料、厚膜材料などの機能性材料を形成する、蒸着用材料を真空気相蒸着する方法およびシステムが:宇宙プラットフォームを付随させた基材支持構造と;蒸着用材料用の蒸着装置と;基材と蒸着装置の間の相対的な移動を提供する、宇宙プラットフォームを付随させた移動可能な長尺アームと、を利用する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
宇宙環境において基材上に蒸着用材料を真空気相蒸着するシステムであって:
宇宙環境において宇宙プラットフォームを付随させた基材支持構造と;
前記蒸着用材料用の蒸着装置と;
前記蒸着用材料を励起して前記蒸着用材料の蒸気を形成する、前記蒸着装置を付随させたエネルギー源と;
前記蒸着装置を前記基材上全体に移動させ、それにより、前記蒸着装置からの蒸着用材料の蒸気が前記基材上全体を通過して前記基材に流れ、前記基材を前記蒸着用材料でコーティングする、前記蒸着装置を付随させた移動可能な長尺部材と、
を具備するシステム。
【請求項2】
前記長尺部材が第1および第2の端部を有し、前記第1の端部が前記蒸着装置に取り付けられ、前記第2が前記宇宙プラットフォームを付随させる、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記長尺部材がロボット型アームである、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
シャッタが前記蒸着装置を付随させており、前記蒸着用材料の蒸気が前記蒸着装置から前記基材に流れる可能性のある、前記蒸着装置に対する第1の位置から、前記シャッタが前記蒸着装置から前記基材への前記蒸気の流れを遮断する第2の位置まで、前記シャッタが移動可能である、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
真空ゲージが前記蒸着装置を付随させて、前記蒸着装置からの前記蒸着用材料の蒸気の流れを測定する、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記基材を加熱して前記蒸着用材料を除去することができる加熱システムを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記蒸着装置が、前駆体貯蔵システムと、前記基材を加熱する加熱システムとを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記エネルギー源が抵抗熱源である、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記エネルギー源がレーザである、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記エネルギー源が電子ビームである、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記エネルギー源がイオンビームである、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
機能性材料の性能特性測定装置を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記宇宙プラットフォームが宇宙船バスである、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
前記基材が、少なくとも1つの過噴霧遮蔽装置を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
宇宙環境において基材上に蒸着用材料を真空気相蒸着して、前記基材上に機能性材料を形成する方法であって:
宇宙環境において宇宙プラットフォームを付随させた基材支持構造に前記基材を配置することと;
前記蒸着用材料用の蒸着装置を提供することと;
前記蒸着装置を付随させたエネルギー源を提供し、前記蒸着用材料を励起して前記蒸着用材料の蒸気を形成することと;
前記蒸着装置を付随させた移動可能な長尺部材を提供することと;
前記蒸着装置および前記長尺部材を移動させて前記基材上全体を通過させ、前記蒸着用材料の蒸気が前記基材に流れるようにして前記基材上に機能性材料を形成することと、
を含む方法。
【請求項16】
前記長尺部材が、第1および第2の端部を有し、前記第1の端部を前記蒸着装置に取り付け、前記第2に前記宇宙プラットフォームを付随させる、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記長尺部材がロボット型アームのシステムである、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記蒸着用材料の蒸気が前記蒸着装置から前記基材に流れるのを可能にする、前記蒸着装置に対する第1の位置から、前記蒸着装置から前記基材への前記蒸気の流れを阻止する第2の位置まで移動可能なシャッタを、前記蒸着装置に付随させることを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
真空ゲージに前記蒸着装置を付随させることと、前記蒸着装置からの蒸着用材料の蒸気の流れを測定することとを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
真空環境測定ゲージに前記蒸着装置を付随させることと、前記システムに近接した宇宙環境における真空を測定することとを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項21】
前駆体貯蔵システムおよび加熱システムに前記蒸着装置を付随させることを含み、前記加熱システムが前記基材を加熱することができる、請求項15に記載の方法。
【請求項22】
前記エネルギー源として抵抗熱源を利用することを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項23】
前記エネルギー源としてレーザを利用することを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項24】
前記エネルギー源として電子ビームを利用することを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項25】
前記熱源としてイオンビームを利用することを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項26】
コーティング性能特性測定装置を提供することと、前記機能性材料の性能特性を測定することとを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項27】
前記宇宙プラットフォームが宇宙船バスである、請求項15に記載の方法。
【請求項28】
前記基材に少なくとも1つの過噴霧遮蔽装置を設けることを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項29】
宇宙環境において基材上に蒸着用材料を真空気相蒸着するシステムであって:
宇宙環境において宇宙プラットフォームを付随させた基材支持構造と;
前記宇宙プラットフォームを付随させた、前記蒸着用材料用の蒸着装置と;
前記蒸着用材料を励起して前記蒸着用材料の蒸気を形成する、前記蒸着装置を付随させたエネルギー源と;
を具備し、
前記基材支持構造が、前記基材を付随させた移動可能な長尺部材を含み、前記基材を前
記蒸着装置上全体に移動させ、それにより、前記蒸着装置からの蒸着用材料の蒸気が前記蒸着装置から前記基材に流れて、前記基材を前記蒸着用材料でコーティングする、システム。
【請求項30】
前記長尺部材が第1および第2の端部を有し、前記第1の端部が前記基材に取り付けられ、前記第2の端部が前記宇宙プラットフォームを付随させる、請求項29に記載のシステム。
【請求項31】
前記長尺部材がロボット型アームのシステムである、請求項30に記載のシステム。
【請求項32】
シャッタが前記蒸着装置を付随させており、前記蒸着用材料の蒸気が前記蒸着装置から基材に流れる可能性がある、蒸着装置に対する第1の位置から、前記シャッタが前記蒸着装置から前記基材への前記蒸気の流れを遮断する第2の位置まで、前記シャッタが移動可能である、請求項29に記載のシステム。
【請求項33】
真空ゲージが前記蒸着装置を付随させて、前記蒸着装置からの前記蒸着用材料の蒸気の流れを測定する、請求項29に記載のシステム。
【請求項34】
真空環境測定ゲージが前記蒸着装置を付随させて、前記システムに近接した宇宙環境における真空を測定する、請求項29に記載のシステム。
【請求項35】
カメラが前記蒸着装置を付随させて、前記基材への前記蒸着用材料の蒸気の流れと、前記基材および前記基材に対する前記長尺部材の移動とを監視する、請求項29に記載のシステム。
【請求項36】
前記エネルギー源が抵抗熱源である、請求項29に記載のシステム。
【請求項37】
前記エネルギー源がレーザである、請求項29記載のシステム。
【請求項38】
前記エネルギー源が電子ビームである、請求項29記載のシステム。
【請求項39】
前記エネルギー源がイオンビームである、請求項29記載のシステム。
【請求項40】
機能性材料性能特性測定装置を含む、請求項29記載のシステム。
【請求項41】
前記宇宙プラットフォームが宇宙船バスである、請求項29に記載のシステム。
【請求項42】
前記蒸着装置が、前駆体貯蔵システムと、前記基材を加熱する加熱システムとを含む、請求項29に記載のシステム。
【請求項43】
宇宙環境において基材上に蒸着用材料を真空気相蒸着して、前記基材上に機能性材料を形成する方法であって:
宇宙環境において基材を提供することと;
宇宙環境において、前記蒸着用材料用の蒸着装置に宇宙プラットフォームを付随させることと;
前記蒸着装置を付随させたエネルギー源を提供し、前記蒸着用材料を励起して前記蒸着用材料の蒸気を形成することと;
前記基材を付随させた移動可能な長尺部材を提供することと;
前記基材と前記長尺部材を移動させて前記蒸着装置の上全体を通過させ、前記蒸着用材料の蒸気が前記基材に流れるようにして、前記基材上に機能性材料を形成することと、
を含む方法。
【請求項44】
前記長尺部材が、第1および第2の端部を有し、前記第1の端部を基材に取り付け、前記第2の端部に前記宇宙プラットフォームを付随させる、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記長尺部材がロボット型アームのシステムである、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記蒸着用材料の蒸気が前記蒸着装置から前記基材に流れるのを可能にする、前記蒸着装置に対する第1の位置から、前記蒸着装置から前記基材への前記蒸気の流れを阻止する第2の位置まで移動可能なシャッタに、前記蒸着装置を付随させることを含む、請求項43に記載の方法。
【請求項47】
真空ゲージに前記蒸着装置を付随させることと、前記蒸着装置からの前記蒸着用材料の蒸気の流れを測定することとを含む、請求項43に記載の方法。
【請求項48】
真空環境測定ゲージに前記蒸着装置を付随させることと、前記システムに近接する宇宙環境における真空を測定することとを含む、請求項43に記載の方法。
【請求項49】
カメラに前記蒸着装置を付随させて、前記基材への蒸着用材料の蒸気の流れを監視することと、前記蒸着装置に対する前記基材および長尺部材の移動を監視することとを含む、請求項43に記載の方法。
【請求項50】
前記エネルギー源として抵抗熱源を利用することを含む、請求項43に記載の方法。
【請求項51】
前記エネルギー源としてレーザを利用することを含む、請求項43に記載の方法。
【請求項52】
前記エネルギー源として電子ビームを利用することを含む、請求項43に記載の方法。
【請求項53】
前記エネルギー源としてイオンビームを利用することを含む、請求項43に記載の方法。
【請求項54】
コーティング性能特性測定装置を提供することと、前記機能性材料の性能特性を測定することとを含む、請求項43に記載の方法。
【請求項55】
前記宇宙プラットフォームが宇宙船バスである、請求項43に記載の方法。
【請求項56】
前駆体貯蔵システムおよび加熱システムを前記蒸着装置に付随させることを含み、前記加熱システムが前記基材を加熱することができる、請求項43に記載の方法。
【請求項57】
宇宙環境において基材上に蒸着用材料を真空気相蒸着して、第1の構造構成要素を第2の構造構成要素に継ぐ方法であって:
宇宙環境において宇宙プラットフォームを付随させた基材支持構造体に基材を配置し、前記基材が、前記第1および第2の構造部材の間の継手であることと;
前記蒸着用材料用の蒸着装置を提供することと;
前記蒸着装置を付随させたエネルギー源を提供し、前記蒸着用材料を励起して前記蒸着用材料の蒸気を形成することと;
前記蒸着装置を付随させた移動可能な長尺部材を提供することと;
前記蒸着装置および前記長尺部材を移動させて前記基材上全体を通過させ、前記蒸着用材料の蒸気が前記基材に流れるようにして前記第1および第2の構造構成要素を互いに継ぐことと、
を含む方法。
【請求項58】
前記長尺部材が第1および第2の端部を有し、前記第1の端部を前記蒸着装置に取り付け、前記第2に前記宇宙プラットフォームを付随させた、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
前記長尺部材がロボット型アームのシステムである、請求項57に記載の方法。
【請求項60】
前記宇宙プラットフォームが宇宙船バスである、請求項57に記載の方法。
【請求項61】
前記基材を加熱して、前記蒸着用材料を除去し、前記第1および第2の構造構成要素を切り離す加熱システムを提供することを含む、請求項57に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
1.関連出願
本出願は、「宇宙において機能性薄膜コーティングを真空気相蒸着する方法およびシステム(Method and System for Vacuum Vapor Deposition of Functional Thin Film Coatings in Space)」と題する、2019年4月4日に出願された米国特許出願第62/829,464号の利益、および優先権の利益を主張するものであり、その開示および内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
2.本開示の分野
本開示は概して、宇宙環境において基材上に機能性材料を真空気相蒸着する分野に関する。
【背景技術】
【0003】
3.関連技術の説明
NASAが出資者となったウェイク・シールド・ファシリティ(Wake Shield Facility(WSF))プログラムは、宇宙の真空においてエピタキシャル半導体薄膜を成長させるために低軌道(low earth orbit「LEO」)上のスペースシャトルから展開された、円盤型宇宙船上の自由飛行する作製施設であった。WSF円盤の前縁は、LEOの残留大気や他の粒子を円盤の両側周囲に指向し直して、その航跡中に「超真空」を残した。宇宙におけるこの真空航跡領域において、史上初の結晶性半導体薄膜の成長が行われた。それらの薄膜には、ガリウムヒ素(GaAs)やアルミニウムガリウムヒ素(A1GaAs)の蒸着が含まれていた。
【発明の概要】
【0004】
以下は、本明細書に開示された主題のいくつかの態様の基本的理解が得られるようにするために、開示された主題の簡略化された概要を提示する。この概要は、本明細書に開示された技術を限定列挙する要約ではない。また、本発明の鍵となるまたは非常に重要な構成要素を特定したり、本発明の範囲を線引きしたりすることを意図するものではない。その唯一の目的は、後に考察するさらに詳細な記載の前段階として、いくつかの概念を簡略化された形態で提示することである。
【0005】
例示的な一実施形態では、宇宙環境において基材上に蒸着用材料を真空気相蒸着するシステムは;宇宙環境において宇宙プラットフォームを付随させた基材支持構造と;蒸着用材料用の蒸着装置と;蒸着装置を付随させて、蒸着用材料を励起して蒸着用材料の蒸気を形成するエネルギー源と;蒸着装置を付随させて、蒸着装置を基材上全体に移動させ、これにより、蒸着装置からの蒸着用材料の蒸気が、基材上全体を通過し基材に流れて基材を蒸着用材料でコーティングする、移動可能な長尺部材と、を具備してもよい。
【0006】
別の例示的な実施形態では、宇宙環境において基材上に蒸着用材料を真空気相蒸着して基材上に機能性材料を形成する方法は;宇宙環境において宇宙プラットフォームを付随させた基材支持構造上に基材を配置することと;蒸着用材料用の蒸着装置を提供することと;蒸着装置を付随させて、蒸着用材料を励起して蒸着用材料の蒸気を形成するエネルギー源を提供することと;蒸着装置を付随させた移動可能な長尺部材を提供することと;蒸着装置および長尺部材を移動させて、基材上全体を通過させ、蒸着用材料の蒸気が基材に流れるようにして基材上に機能性材料を形成することと、を含んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0007】
宇宙において機能性材料を真空気相蒸着する本方法およびシステムは、添付の図面と併せてなされる以下の記載を参照することによって理解されよう。
【0008】
【
図1】
図1は、本発明の例示的な実施形態に準拠する、宇宙環境において基材上に蒸着用材料を真空気相蒸着するシステムの斜視図であり;
【
図2】
図2は、
図1の真空気相蒸着するシステムの一部分の斜視図であり;
【
図3】
図3は、
図1の真空気相蒸着するシステムの別の実施形態の一部分の斜視図であり;
【
図4】
図4は、
図1の真空気相蒸着するシステムの一部分の別の実施形態の斜視図であり;
【
図5】
図5は、本発明の別の例示的な実施形態に準拠する、真空気相蒸着するシステムの斜視図であり;
【
図6】
図6は、基材を付随させた過噴霧遮蔽装置を含む、
図1のシステムの斜視図であり;
【
図7】
図7は、
図1の真空気相蒸着するシステムの別の実施形態の一部分の斜視図であり;
【
図10】
図10は、
図1の真空蒸着するシステムの別の実施形態の斜視図であって、基材は直線状構成要素であり;
【
図11】
図11は、
図1の真空蒸着するシステムの別の実施形態の斜視図であって、基材は2つの構造構成要素の間の継手であり;
【発明を実施する形態】
【0009】
宇宙において機能性材料を真空気相蒸着する本方法およびシステムの特定の実施形態を、本明細書に示される例示的な本実施形態に関連して記載するが、本発明をそれらの実施形態に限定することが意図されないことは理解されよう。反対に、添付の特許請求の範囲によって定められる本発明の趣旨と範囲の内に含まれる可能性のある、あらゆる代替例、修正例、および均等物を対象とすることが意図される。縮尺の異なる図面においは、同一構造を有する構成部分および構成要素には、本明細書および図面において同一参照符号が使用され、プライム記号の付かない同一参照符号を有するそれらの構成部分および構成要素と類似する機能および構造を有する構成部分および構成要素には、プライム記号付きの参照符号が使用される。
【0010】
例示的な実施形態の詳細な説明
以下で、1つまたは複数の例示的な実施形態の例示的な実施を提供するが、様々な特定の例示的な実施形態は、当業者に公知のいかなる数の技術を用いて実施することもできると理解されるのが望ましい。本開示は、以下に例示される例示的な実施形態、図面、および/または技術、例えば、本明細書で例示および記載される例示的な設計および実施には決して限定されないことが望ましい。さらに、本開示は、添付の請求項の範囲内において、それらの請求項の最大限の範囲である均等物とともに修正されてもよい。
【0011】
将来的な宇宙基盤の地球観測、通信、天体物理学、およびその他の宇宙ミッションには、さらに高性能な機能性ペイロードおよびセンサの需要があり、これは、より多くの世界
の遠隔通信インフラと地球監視への信頼性とが、宇宙基盤の資産によって得られるためである。その結果、宇宙での資産用のますます大型のアンテナ、レーダ、反射器、太陽光発電システムを、手頃な価格とシステム復元力に重点を置いて製造し続ける必要がある。これまで、宇宙のハードウェアは、打ち上げられる宇宙船のペイロード容量のほぼ限界に設計されてきたことから、さらに大型のアンテナ、反射器、レーダ、太陽光発電システムを提供できるそうしたハードウェアの能力が削がれていた。サイズが決定的に重要なこれらのハードウェア構成部分を宇宙で製造すれば、宇宙の自然に生じる真空状態を利用して、真空気相蒸着を行い軌道上でこれらのハードウェア構成要素やシステムを構築することができる可能性がある。これらの構成部分やシステムは、宇宙での修理や拡張が可能になって、変化する要求や需要に対応できることになろう。超大型のアンテナ、反射器、レーダ、反射面、および太陽光発電システムを軌道上で製造することで、宇宙基盤の資産用に実質的に無制限の開口サイズと極めて低い面積密度とを実現できると考えられる。
【0012】
真空気相蒸着は、太陽電池やトランジスタなどの結晶性薄膜装置を含め様々な製造物を製造するための反射性、発光性、吸光性等の機能性コーティングを製造するのに使用される、地上の製造工程である。この工程を宇宙環境で使用することが提案されており、その環境には:自由空間;低軌道(low earth orbit「LEO」);太陽同期軌道(sun-synchronous orbit「SSO」);中軌道(medium earth orbit「MEO」);対地静止、すなわち対地同期、軌道(geostationary,or geosynchronous,orbit「GEO」);その他の地球軌道;およびシス・ルナ(cis-lunar)空間のみならず、月の表面、または他の衛星、小惑星、他の惑星など、大気の減少した他の惑星体、例えば水星、火星等などが挙げられる。
【0013】
真空気相蒸着工程は、宇宙環境において自然にある真空を利用して、機能性ハードウェアを製造するための多種多様な機能性コーティング、薄膜材料、および厚膜材料の作製において、原子レベルの層状材料を蒸着してもよく、これらの機能性ハードウェアは例えば、超大型の寸法と品質を有する宇宙でのフェイズド・アレイ・アンテナ、アンテナ反射器、合成開口レーダ・アンテナ、レーダ、他の反射器、太陽電池、および送電線であり、これらは、宇宙資産と一体化させて様々な宇宙ミッションを実行することのできるものである。
【0014】
ジェームズ・ウェッブ(James Webb)宇宙望遠鏡の展開可能な6.5m(21.4フィート)の分割主鏡システムの登場とともに、地上で製造される展開可能な宇宙基盤の技術が実用的な限界に達しつつあることを考えると、本方法およびシステムを用いて、宇宙環境において超大型構成部分を製造することが提案される。宇宙の真空においてアンテナ、反射器、太陽光発電システムを製造することで、宇宙基盤の資産用に極めて低い面積密度でほぼ無制限の開口サイズを利用する機会が提供され、宇宙空間の利用者に広大で新しい可能性が提供される。
【0015】
機能性コーティング、薄膜材料、および厚膜材料を真空気相蒸着する本方法およびシステムは、宇宙における機能性材料の作製を可能にし、直径が50メートルを超える超大型の物体や、宇宙船、人工衛星、および他の宇宙資産の構成部分の製造に適用できると考えられる。本方法およびシステムは、宇宙基盤の資産に直接適用でき、そうした適用には:フェイズド・アレイ/アンテナ、アンテナ反射器、反射アンテナ、合成開口レーダ、レーダ反射器、鏡、太陽電池、送電用ケーブル、および配線の宇宙での作製;相互接続された双極子アンテナ、および鏡の反射面の作製;リモートセンシング、天体物理学ミッション、および通信ミッションに適用されることになるアンテナ反射器の作製;ならびに軌道上での機能性コーティングの修理、機能性材料の修復、および宇宙資産のアップグレードを行う、宇宙での資産の保守点検、などが挙げられる。宇宙空間においてこれらの構成部分
を製造することは、地球上で製造された宇宙システムに比べて大きな利点があり、それは、ミッションの立案者が:a)宇宙資産の性能、堅牢性、安定性を向上させること;b)地上で製造されたアンテナの打ち上げに課される設計制限(サイズ、体積、耐久性)をなくせること;c)さらに多様な材料を用いて新しい設計を開発すること;d)宇宙で製造された構成部分を絶えずスケールアップ、アップグレード、修復すること;e)宇宙から部品を製造し運用するさらに効率的なサプライチェーン・アーキテクチャを実現可能にすることができるからである。
【0016】
本方法およびシステムは、宇宙資産、例えば宇宙資産上のコーティング、ならびに薄膜材料および厚膜材料の作製、修理、修復、およびアップグレードを行うことができる。また、本方法およびシステムは、発光性コーティング、吸光性コーティング、反射性コーティング、および他の機能性材料を作製または再コーティングし、太陽光発電(「PV」)システムおよびその他の機能性材料を作製および修復し、宇宙資産を絶えずアップグレードする能力を有する。
【0017】
機能性コーティング用の基材は、宇宙の真空環境における真空気相蒸着の柔軟な性質に起因して、付加製造を利用して宇宙で作製することができるし、または地上で製造し、打ち上げて、宇宙の真空気相蒸着工程で使用するために軌道上でロボットにより組み立てたり展開したりすることができる。真空気相蒸着工程は、元素の蒸気を一度に一原子層ずつ、領域上全体に蒸着させることを含む。真空気相蒸着では、特定の元素を原子レベルで一意的な構成に積層することにより機能性材料を構築し、よって、先進的な薄膜機能性材料を作製する。一例としては、大型アンテナや反射面の製造は、以下の材料:とりわけ、Ag、Al、Au、Be、Ca、Mg、およびTiを蒸着して反射面コーティングやアンテナを作製することにより、行ってもよい。
【0018】
本方法およびシステムを使用して、宇宙の真空において基材上に材料を直接蒸着することにより、アンテナ、反射器、レーダ、太陽光発電システム、他の機能性材料、および他の吸光性、反射性、および発光性のコーティングを宇宙で作製してもよい。
【0019】
真空気相蒸着を使用し、宇宙の真空において基材上に機能性材料を蒸着して、アンテナ、反射器、レーダ、太陽光発電システム、および他の機能性材料を作り出してもよい。蒸着工程は、熱蒸着、イオンビーム蒸着/スパッタリング、電子ビーム蒸着、レーザ蒸着、または他のさらに複雑な物理蒸着技術であってもよい。また、蒸着工程は、化学気相蒸着、金属/有機化学気相蒸着、有機金属蒸着、または他の化学気相蒸着工程を含む化学蒸着であってもよい。アンテナと反射面の作製工程は類似している一方で、作製工程を最適化するために異なる蒸着手法を使用してもよい。
【0020】
一例として、薄膜マイクロ波アンテナやレーダ・アンテナの宇宙での作製には、相互接続されたアンテナ構成要素を作製することが必要であり、この構成要素は、基材上に直接蒸着されて、金属薄膜蒸着を介して大面積アンテナアレイを形成する。これらのアンテナは、用途の要件に基づいて、1mmから10mより大きい必要な間隔まで対応できる。本方法およびシステムは、具体的に要求される導電特性に応じて、様々な金属材料、例えば:Ag、Al、Ca、Cu、Mg、および合金を用いて、そのようなアンテナアレイおよび相互接続された電力線を宇宙で作製することができる。さらなる例として、鏡などの反射面を宇宙で作製するには、薄膜蒸着を用いた基材上への薄い金属コーティングが必要である。鏡のコーティングは典型的には、数ナノメートルから1000nmを超える厚さの金、アルミニウム、銀、または他の反射性コーティングが必要である。本方法およびシステムは、具体的に要求される光学特性に応じて、様々な材料、例えば:Ag、Al、Au、Be、Mg、Ti、および合金を用いて反射コーティングを蒸着する。加えて、これらのコーティングは、宇宙資産用の様々な異なる表面を作製するために、異なる元素を用い
て層状にすることができる。
【0021】
アンテナ、レーダ、反射器、および太陽光発電システムを製造する本方法およびシステムは、宇宙で長尺部材またはアームを使用してもよく、これは、衛星、宇宙船バス、他の宇宙船、宇宙ステーション、または他の宇宙プラットフォームを付随させたロボット型の部材またはアームのシステムであってもよく、これにより、基材を組み立て、もしくは作製し、そして基材上全体で真空気相蒸着システムを操作して、もしくは移動させて、または真空気相蒸着システム上全体で基材を操作して、もしくは移動させて、基材をコーティングするようにする。基材および真空気相蒸着作製システムは、長尺部材またはロボット型アームのシステムと一体化されるように、そしてそれによって操作されるように設計されており、ロボット型アームのシステムはまた、必要な出力や機器をこれらの作製システムに提供する。長尺部材またはロボット型アームのシステムの長さによって、製造できる物体の最大の寸法が決まり、システム用のエネルギー源から利用可能な、アームおよび真空気相蒸着システム用の出力によって、真空気相蒸着工程における蒸着速度が決まる。
【0022】
ロボット型アーム、または長尺部材もしくはアームに加えて、ロボット型グラップル(robotic grapple)を使用して、製造されることになる物体が作製されている間にその物体を操縦してもよい。ロボット型のアームおよびグラップルの両方は、作製工程を制御するための自律的なまたは遠隔制御ロボット用のロボット用ソフトウェアを含んでもよい。
【0023】
図1を参照すると、例示的な実施形態に準拠する、宇宙環境において基材上にコーティング、薄膜材料、または厚膜材料を真空気相蒸着するシステム100が示されている。蒸着システム100は概して:基材250と;宇宙プラットフォーム400を付随させた基材支持構造260と;蒸着用材料用の真空気相蒸着装置、または蒸着装置、110と;蒸着装置、110を付随させた移動可能な長尺部材、またはアーム、200と、を含む。システム100は、宇宙環境、例えば前記のとおり、自由空間、LEO、SSO、GEO、他の地球軌道、シス・ルナ空間、月、または他の惑星体において使用してもよく、これらはすべて、前記のとおりである。宇宙プラットフォーム400は、国際宇宙ステーションなどの宇宙ステーションを含んでもよく、好ましくは宇宙プラットフォーム400は、衛星バス、または宇宙船バス、401である。
【0024】
蒸着装置110は、真空気相蒸着工程または本明細書に記載のいかなる他の蒸着工程によっても基材上に材料を蒸着することができる、いかなる装置または機器であってもよい。用語「長尺部材」が使用されていれば、それは、幅よりも概して長い、
図1の単一のアーム200などのいかなる構造構成部分のみならず、基材250および蒸着装置110に関連して本明細書に開示の方法で使用されることになる必須の特性を有するいかなる他の構造構成部分、または構造構成部分の組み合わせ、例えば、本明細書に示され記載されるとおりの継がれたアーム200、または剛性のアーム、または複数の継がれたおよび/もしくは剛性のアームをも含み記載するということを意図する。
【0025】
システム100の蒸着装置、110は、長尺部材200、またはロボット型アーム204を通じて蒸着装置110にエネルギーを給送する出力源111を有し、以下、
図2~
図4に関連して記載されるとおり、出力源111は、蒸着装置110を付随させることで、蒸着装置110にエネルギーを供給して、蒸着装置110はその内に配置された蒸着用材料を励起し、蒸着用材料の蒸気を形成する。基材250は、先に記載の基材を含め、当技術分野で公知のとおり、コーティング、薄膜、または厚膜を真空気相蒸着法によってその上に堆積させることができるいかなる表面であってもよい。基材250は、前記のとおりのいかなる材料から形成されてもよく、正方形構成、長方形構成、円形構成、または他のいかなる所望の構成をも含むがこれらには限定されないいかなる形状を有してもよい。基
材250は、平坦な平面であってもよいし、所望であれば、凸面または凹面などの曲面であってもよい。
【0026】
さらに
図1を参照すると、基材250は、いずかの適切な基材支持構造260を使用することによって衛星400を付随させており、それによって、基材250は、宇宙プラットフォーム400を付随させても、またはそれに取り付けられてもよい。移動可能な長尺部材またはアーム200は、第1および第2の端部201、202を有し、部材200の第1の端部201は、溶接、ねじ接続、調整可能なボール継手、またはボールおよびソケットなどのいずれかの適切な方法で、蒸着装置110に取り付けられる。部材200の第2の端部202は、宇宙プラットフォーム400を付随させているが、所望であれば、衛星、宇宙船、または宇宙ステーション(図示せず)を付随させてもよい。好ましくは、部材200は、ロボット型アームのシステム204であり、ロボット型のアーム、または部材、のシステム204の動作および移動は、適切な方法で移動するように遠隔制御されてもよく、これは以下に記載のとおりである。部材200、またはロボット型アームのシステム204は好ましくは、複数の枢動可能な、蝶着された、および/または回転可能なコネクタまたは継手203を含み、それによって、部材200、またはロボット型アームのシステム204は、関節連結していかなる所望の構成をとることもできて、基材250に対していかなる所望の位置にも蒸着装置110を配置する。
【0027】
部材200、またはロボット型アーム204は、基材250を宇宙プラットフォーム400に対して静止位置に維持しつつ、蒸着装置、110を基材250の外面251の上全体に適切な距離で移動させるよう制御されるが、これは、基材250上全体を蒸着装置110が通過するようにすること、そして蒸着装置110からの蒸着用材料の蒸気を、基材250に流してまたは流出させて、基材の外面251を蒸着用材料でコーティングすることが目的である。蒸着装置110は、基材250の外面251のすべての領域を蒸着用材料で覆うように移動して、基材250上に均一または不均一なコーティング、薄膜、または厚膜の材料を提供する。部材200および蒸着装置110は、
図1の矢印270で例示される方向のみならず、矢印275の方向に、基材250上全体を通過してもよく、それにより、蒸着装置110は、ラスタ(raster)形式で、すなわち基材250の一方の側からもう一方の側までおよび上から下までの移動で、基材250上全体を通過する。また、部材200は、基材250上全体の任意の経路上で蒸着装置110を移動させて、所望の厚さおよび均一性の膜またはコーティングで基材250をコーティングするようにすることもできる。所望であれば、基材250は、宇宙プラットフォーム400の外部表面をコーティングしないようにするまたはコーティングを最小限にするために基材250に取り付けられた、またはその周りに装着された、過噴霧遮蔽装置255(
図6)を有してもよい。この遮蔽装置255は、過噴霧物が宇宙プラットフォーム400の外部表面に落ちるのを最もうまく防げるようにいずれの向きに配置されてもよい。
図6に示すとおり、遮蔽装置255は、基材250の周縁部に取り付けられたパネル256であり、パネルは、基材250の中心に向かって内側に傾斜していてもよい。
【0028】
図1では、基材250が宇宙プラットフォーム400に対して静止状態に維持され、所望であれば、蒸着装置110および部材200が、基材250に対して移動するのに対し、
図5に示すとおりの代替実施形態は、宇宙プラットフォーム400を付随させた静止場所に蒸着装置110を配置または搭載するものであり、部材200が基材250を付随させる可能性があって、これは部材200の第1の端部201を基材250の裏面252に好ましくは取り付けることによってなされる。この実施形態では、基材250は、部材200、またはロボット型アーム204によって移動させられる可能性があり、この移動は、宇宙プラットフォーム400を付随させた固定または静止した蒸着装置110に対して、いずれか所望のまたは指定された形式で、例えばラスタ形式でなされて、所望の厚さおよび均一性のコーティングまたは膜で基材250の外面251をコーティングするように
する。
【0029】
基材250上に蒸着用材料を真空気相蒸着する
図1および
図5のシステム100は、当技術分野で公知のとおりの異なる真空気相蒸着工程を利用してもよい。蒸着用材料の蒸気は、熱蒸着、イオンビーム蒸着、電子ビーム蒸着、レーザ蒸着、または他の物理的な真空気相蒸着工程などの蒸着工程によって形成されてもよい。また、蒸着は、化学気相蒸着、有機金属化学気相蒸着、有機金属蒸着、または他の化学気相蒸着工程を含む化学蒸着に包含されるものであってもよい。
【0030】
図2を参照すると、蒸着用材料を真空気相蒸着する
図1および
図5のシステム100は、熱蒸着工程を利用してもよい。
図2では、蒸着装置110は、112で模式的に示されるとおり、蒸着装置内に配置されたボート、または容器を含み、これは、コーティングまたは蒸着用材料に対して公称不活性であり、蒸着用材料を保持するものである。蒸着装置110は、
図2に113で模式的に示すとおり、蒸着装置内に配置されたエネルギー源を含み、容器112を加熱して蒸着用材料の蒸気を形成させる。エネルギー源113は、ジュール加熱または抵抗加熱を、筐体、またはボート、112に提供する抵抗熱源であってもよい。エネルギー源113はまた、レーザもしくはマイクロ波熱源であってもよいし、または、ボート、または容器、112を加熱して蒸着用材料を蒸発させて、もしくは気化させて、基材250に付着させられることになる蒸着用材料の所望の蒸気を提供することができる、他の加熱技術であってもよい。
図1および
図2のシステム100に関しては、エネルギー源113は、出力源111からその欠かせない出力必要量を受け取ってもよい。
図5のシステム100に関しては、宇宙プラットフォーム400に搭載された蒸着装置110用のエネルギー源は、その欠かせない出力を宇宙プラットフォーム400から直接受け取ってもよいし、または部材200、またはロボット型アーム204を付随させた出力源111から受け取ってもよい。
【0031】
蒸着装置110は、蒸着装置110内部の容器、またはボート、112からの蒸着用材料の蒸気の流れ、または流束を測定する装置120を備えてもよい。基材250への蒸着用材料の蒸気の流れを監視し、基材250に対する蒸着装置110、および部材200、またはロボット型アーム204の移動を監視するために、カメラ140が蒸着装置110を付随させてもよい。また、システム100に近接する宇宙環境の真空度を測定するために、真空環境測定ゲージ130が蒸着装置110を付随させてもよい。システム100はまた、蒸着装置110を付随させた、コーティング、または材料の性能特性測定装置135を付随させてもよい。例えば、装置135は、反射性コーティングが形成されているときに反射特性を測定する反射計であってもよい。
【0032】
さらに
図2を参照すると、蒸着装置110内のボート、または容器、112の加熱によって形成された蒸着用材料の蒸気は、蒸着装置110の最上端に形成された開口部、またはスロット、114を介して蒸着装置110から脱出する。蒸着装置110は、シャッタまたはプレート部材150を有してもよく、シャッタ150は、蒸着用材料の蒸気が蒸着装置110内部の容器またはボート112から基材250に流れる可能性のある第1の開位置から、シャッタ150が蒸着装置110から基材250への蒸気の流れを遮断する第2の閉位置まで、移動可能である。シャッタ150は、シャッタ制御アーム、または制御システム、155を付随させてもよく、シャッタ制御アーム、または制御システム、155の回転により、シャッタ150が第1の位置と第2の位置との間で移動する。
図2では、シャッタ150は、参照符号151で記すとおり、閉じた第2の位置にあり、シャッタ150は、蒸着装置110からの蒸着用材料の蒸気の流れを遮断する。シャッタの第1の開位置も
図2に示されており、この場合、シャッタ150は参照符号152で記されている。また、システム100は、エネルギー源113用に、ならびにカメラ140、シャッタ150、および真空環境測定ゲージ130用に、エネルギーを制御して提供する適切な
電子機器を含んでもよい。
【0033】
図3を参照すると、システム100の蒸着装置110’は、イオンビーム蒸着工程を利用して、蒸着用材料の蒸気を形成する。このイオンビームまたはスパッタ蒸着工程は、基材250に付着させる蒸着用材料の蒸気を提供する蒸着装置110’を付随させたスパッタ源170を利用する。蒸着装置110’は、
図2の蒸着装置110に関連して前記のとおり、真空ゲージ120、カメラ140、真空環境測定ゲージ130、および性能特性測定装置135を含んでもよい。所望であれば、シャッタ150(
図2)も、
図3の蒸着装置110’とともに利用してもよい。蒸着装置110’内に配置された113’で模式的に示されるエネルギー源が、
図2のエネルギー源113に関連して記載したのと同一の方法で、その欠かせない出力を受け取ってもよい。
【0034】
図4を参照すると、基材250に付着させることになる蒸着用材料の蒸気を形成するために、システム100の蒸着装置110’’とともに電子ビーム蒸着工程を使用してもよい。蒸着装置110’’は、蒸着用材料を蒸発させる電子ビームを形成する電子銃用の電子銃筐体180を備えている。電子ビームは、蒸着装置110’’内の、160で模式的に示するつぼに指向される。
図4の蒸着装置110’’はまた、先に記載の他の構成部分、真空ゲージ120、カメラ140、真空環境測定ゲージ130、およびコーティング性能特性測定装置135を含んでもよい。同様に、蒸着装置110’’は、
図2の蒸着装置110のシャッタ150を含んでもよい。蒸着装置110’’内の113’’で模式的に示されるエネルギー源は、
図2のエネルギー源113に関連して記載したのと同一の方法で、その欠かせない出力を受け取ってもよい。
【0035】
図7~
図9を参照すると、基材250に付着させることになる蒸着用材料の蒸気を形成するために、蒸着装置110’’’とともに化学気相蒸着工程を使用してもよい。概して、蒸着装置110’’’は、前駆体、ガス、典型的には酸素、およびキャリアガスの混合物を気化させて、得られた蒸気を、加熱された基材上全体に分配して、基材上に所望のコーティング、薄膜、または厚膜を形成する。
【0036】
蒸着装置110’’’は:ガス貯蔵システム501と;ガス流送達モジュール502と;前駆体貯蔵システム503と;前駆体給送システム504と;蒸発器505と;蒸気分配器の、または分配のシステム506と、加熱システム507と、を含んでもよく、これらはすべて、以下に記載のとおりである。
【0037】
ガス貯蔵システム501は、ガス、典型的には酸素、およびキャリアガス、例えば窒素を貯蔵し、これは引き続いて前駆体と共に気化される。ガス貯蔵システム501は好ましくは、ガス貯蔵タンク508であってもよく、円筒形のタンクが示されているが、蒸着装置110’’’に収まるいかなる形状のタンクでも使用できる可能性がある。ガス流送達モジュール502は、適切な配管509を介してタンク508と流体連通しており、モジュール502は、適切な配管510を介した前駆体給送システム504へのガスの流れを制御する。基材250上に形成されることになる所望のコーティング、薄膜、または厚膜に応じて、他のキャリアガスが利用できる可能性がある。例えば、キャリアガスとして亜酸化窒素を使用すると、適切な有機金属前駆体と共に使用する場合には、基材250上に酸化物層、または誘電体層を形成することができる。他のキャリア、ガスの例には、アルゴン、窒素、ヘリウム、および化学気相蒸着工程の分野に従事する技術者に公知の他のガスが挙げられるが、これらには限定されない。
【0038】
さらに
図7~
図9を参照すると、所望の前駆体用の前駆体貯蔵システム503はまた、適切な配管511によって、前駆体給送システム504と流体連通する。供給システム504は好ましくは、正確な量の前駆体およびガスを蒸発器505に注入する液体注入器、
または注入器ノズルを含む。代わりに所望であれば、前駆体貯蔵システム503は、ガス流送達モジュール502と流体連通するように配置させることができる可能性があり、このモジュール502が、前駆体給送システム504への前駆体およびガスの流れを制御することができる。前駆体給送システム504に流入する前駆体は、液体前駆体であり、これは元々液体の形態であるが、また最初に粉体(power)または固体の形態で提供されてもよく、これは、当技術分野で公知のとおり、これを液体に溶解させる適切な溶媒と組み合わされる。
【0039】
さらに
図7~
図9を参照すると、前駆体およびガスの混合物は、当技術分野で公知のとおり、蒸発器505内で従来の方法により気化される。蒸発器505は、適切な配管512を介して蒸気分配器システム506と流体連通しており、この配管は好ましくは多岐管513であって、複数の管、または流体導管、514、515を含んでもよい。気化した前駆体およびガスの蒸気は、蒸発器505から多岐管513を通って蒸気分配システム506に流れてもよい。蒸気分配システム506は、複数の取り出し口、ノズル、またはポートを含み、これらは、シャワーヘッドのものと同様にして機能してもよく、蒸着用材料、または前駆体、およびガスの蒸気がこれらを通過して、基材250に指向させられてもよい。蒸気分配器システム506は、最上部パネル、または壁、517、端部パネル、または壁、518、側壁、またはパネル、519、および最下部パネル、または壁、520によって形成される長尺の筐体516であってもよく、これには、複数の取り出し口、ノズル、またはポート521(
図7)が形成される。
【0040】
さらに
図7~
図9を参照すると、加熱システム507は、熱、または照射を基材250に指向させることが可能な位置で蒸着装置110’’’内に配置されて、基材250を加熱してもよい。好ましくは、加熱システム507は、エネルギー源525、例えば複数の石英ハロゲンランプ、赤外線ランプ、または高出力レーザーダイオード526を含んでもよく、これらは、基材250、および蒸気分配システム506の筐体516から離間した位置関係で配置されてもよい。ダイオードまたはランプ526は、筐体516の側壁519に実質的に平行に配置されてもよい。冷却された反射器シュラウド(shroud)、または遮蔽装置、550を提供して、ダイオードまたはランプ526からのエネルギー、または熱を、基材250に向かって反射させてもよい。蒸気分配システム506は、前駆体およびガスの蒸気を均一に分配して、基材250の一部分を横切って流す。筐体516のノズル521を脱出する前駆体およびガスの蒸気は、基材を加熱したエネルギー源525の影響の下で反応し、所望のコーティング、薄膜、または厚膜、例えば酸化物、または誘電体の層が、基材250上に形成される。
【0041】
蒸着装置110’’’は好ましくは、
図1および
図5に関連して前記のとおりのアーム、または長尺部材、200、またはロボット型アーム204を含み、このロボット型アームのシステム204は、蒸着装置110’’’に出力を供給し、蒸着装置110’’’と通信することができる。ロボット型アーム204は、基材250を横切ってその上全体に蒸着装置110’’’を移動させることができて、基材250全体にわたって、所望の厚さおよび均一性の膜またはコーティングを基材250上に提供するが、これは
図1に関連して前記のとおりである。
【0042】
図10を参照すると、蒸着システム100が、蒸着装置110によって、蒸着用材料の蒸気、または流束、258のコーティングで、直線状構成要素、例えばトラスまたはI字形の梁状構造要素257である基材250’をコーティングするのが示されており、この蒸着装置は前記のとおりである。蒸着装置110は、本明細書に記載の蒸着装置、110、110’、110’’、110’’’のいずれであってもよい。宇宙プラットフォーム400(
図1)を付随させた基材支持構造(図示せず)が、宇宙プラットフォーム400に対して基材250’を支持する。前記のとおり、移動可能な長尺のアームまたは部材2
00は、その第1の端部201が蒸着装置100を付随させており、このアーム200は、基材250’に対して蒸着装置100を移動させて、コーティングされるのが望ましい基材のどの部分であっても、その部分をコーティングする。アーム200は、前記のとおり、ロボット型アームのシステム204であってもよい。蒸着装置110は、アーム200、またはロボット型アームのシステム204によって、基材250’の周りのみならず、直線状構成要素257の長手方向の軸に沿って移動させて、直線状構成要素257を完全にコーティングしてもよいし、または直線状構成要素の所望の一部分をコーティングしてもよい。所望であれば、複数の蒸着装置110がアームのシステム204を付随させることができる可能性がある。
【0043】
図11を参照すると、例示的な実施形態に準拠する、宇宙環境において基材250上にコーティング、薄膜、または厚膜を真空気相蒸着する別のシステム100が示されている。蒸着システム100は概して:蒸着用材料用の蒸着装置110と;出力および蒸着用材料の管理モジュール601と;前記のとおりの、アーム、または長尺部材、200、またはロボット型アーム、またはロボット型アームのシステム、204と;前記のとおりのロボット型アーム204を付随させた出力源またはエネルギー源111(
図1)と、を含む。蒸着装置110は、本明細書で先に記載の蒸着装置110、110’、110’’、110’’’のいずれであってもよい。出力および蒸着装置材料の管理モジュール601は:蒸着装置110を支持し;矢印603で示すとおり、真空気化されて蒸着用材料の流束、または蒸気、602となる蒸着用材料を収容し;ロボット型アーム204を介してエネルギー源111(
図1)から蒸着装置110に供給されている出力を制御し;ロボット型アームのシステム204を介して受け取った電子データ通信から蒸着装置110の動作を管理し制御する。ロボット型アームのシステム204の一端201は、いずれかの適切なコネクタ605、例えばボール・ソケット・コネクタ、または継手、606によってモジュール601を付随させ、そのもう一端でのロボットアームのシステム204は、前記のとおり、宇宙プラットフォーム400を付随させる。
【0044】
さらに
図11を参照すると、基材250は、2つの構造構成要素615、616の間の矢印610’で示されるとおり、継手、または継手をとりまく継手領域、610である。宇宙プラットフォーム400(
図1)を付随させた基材支持構造(図示せず)は、宇宙プラットフォーム400に対して基材250および構造構成要素615、616を支持する。構成要素615は、
図11に示すとおりの中実の棒部材617の部分品もしくは全長、または管部材の部分品もしくは全長とすることができる可能性がある。構造部材616は、加締められた端部619を有する管部材618の部分品とすることができる可能性があり、拡大された直径、すなわち雌型の端部、621を提供して、構造構成要素615の端部620を受け入れる。あるいは、構成要素616は、端部619に加締められたコネクタを有する中実ロッド部材とすることができる可能性がある。構造構成要素615、616は、所望により他の形状および断面構成を有することができる可能性がある。
【0045】
構造構成要素615、616が
図11に示すとおり1つに接続された後、蒸着装置110を、操作して、または作動させて、蒸着用材料の蒸気、または流束602、603を形成してもよく;そして、蒸着装置110を、継手領域610、610’の下およびその周囲でロボット型アームのシステム204によって移動させて、継手領域610、610’の上全体に蒸着用材料のコーティング、薄膜、または厚膜を蒸着する。好ましくは、蒸着用材料の厚膜が形成され、継手610、610’の上全体に蒸着される。蒸着された厚膜は、2つの構造構成要素615、616を継ぐ、もしくは結合することができるし、または継手610、610’を剛性化することもできる。所望であれば、
図11のシステム100および蒸着装置110は、宇宙での構造物を修理するのに、または宇宙で使用される様々な材料を交換するのに使用することもできる。蒸着装置110は、いかなる数の蒸着用、または継手用材料を利用してもよく、例えば、インジウム、カドミウム、亜鉛、バリ
ウム・ストロンチウム・鉛、マグネシウム、チタン、複数の材料の合金が挙げられるがこれらには限定されない。
【0046】
前記のとおり、2つの構造構成要素を継いだ、または剛性化した後、所望であれば、継手領域610、610’を加熱して、継手領域610、610’から厚膜を除去し、または溶解し、継がれた構造構成要素615、616を分解できる、または互いに分離できるようにすることによって、継手610を分解、または分割してもよい。
図12を参照すると、加熱システム700は、前記のとおりロボット型アームのシステム204を付随させている。加熱システム700は、ロボット型アーム204によって構造構成要素615、616の間の継手領域610に近接するところに移動させてもよく、加熱システム700が作動して操作された時点で、継手610を加熱、溶解、および/または除去してもよい。加熱システム700は、熱を生成して継手領域610に集中させることができる少なくとも1つの、そして好ましくは複数のエネルギー源701を含んでもよい。エネルギー源701は、加熱システムの筐体、またはシュラウド、702内に配置され、筐体702は、いずれかの適切なコネクタによって、本明細書で先に記載したとおりロボット型アーム204の第1の端部201を付随させる。エネルギー源は好ましくは、筐体702内に配置された複数のハロゲンランプ、石英ハロゲンランプ、赤外線ランプ、電子ビーム、または他のいずれかの適切な熱源703であってもよい。ロボット型アームのシステム204は、ランプ703を動作させるのに必要なエネルギーを提供する、前記のとおりの出力源、またはエネルギー源、111(
図1)を付随させる。ロボット型アームのシステム204のもう一端は、前記のとおり、宇宙プラットフォーム400(
図1)を付随させる。
【0047】
所望であれば、筐体702の内壁面704は、高反射性および/または保護用の材料、例えば銀、金、アルミニウム、または他の材料を備えても、またはこの材料でコーティングされてもよく、これにより、筐体702の内壁面704の反射率を最大にして、ランプ703からの熱エネルギーを継手610に集中しやすくする。所望であれば、ロボット型アームのシステム204を介して筐体702に冷却用の流体またはガス媒体を供給することによって、筐体702を冷却してもよい。所望であれば、
図12の加熱システム700は、
図13に示されるとり、複数の区分から作られてもよく、加熱システム700’は、修正された筐体702’内に配置された複数の加熱区分710から形成されており、それによって、継手610、610’のさらに大きな部分を、加熱システム700’によって照射、または加熱してもよい。各加熱区分710は、複数のランプおよび/または他の熱源703を含み、各加熱区分710は、その隣接する区分710から角度をつけて配置されている。好ましくは、筐体702’は、角度に関して加熱区分710の配置と共形である。
【0048】
少なくとも一実施形態が開示されており、当業者によってなされる実施形態の、および/または実施形態の特徴の、変形、組み合わせ、および/または修正は、本開示の範囲内である。実施形態の特徴を組み合わる、一体化する、および/または省略する結果として得られる代替実施形態もまた、本開示の範囲内である。数値の範囲または制限が明示的に述べられている場合、そのような明示的な範囲または制限は、明示的に述べられた範囲または制限内に入る同程度の大きさの反復的な範囲または制限を含むと理解されてもよい(例えば、約1から約10までとは、2、3、4等を含み、0.10より大きいとは、0.11、0.12、0.13等を含む)。用語「約」の使用は、別途明記されていない限り、後に続く数字の±10%を意味する。
【0049】
請求項のいずれかの構成要素に関して「随意に」という用語が使用されていれば、それは、その構成要素が必要であること、またあるいはその構成要素が必要ではないことを意味し、両代替例はどちらも、請求項の範囲内である。具備する(comprises)、含む(includes)、有している(having)などの広義の用語が使用されて
いれば、それは、からなる(consisting of)、から本質的になる(consisting essentially of)、から実質的になる(comprised substantially of)などの狭義の用語を裏付けるものと理解されてもよい。したがって、保護の範囲は、上の記載によって限定されるのではなく、請求項によって定められ、その範囲は、請求項の主題のすべての均等物を含む。それぞれのそしてあらゆる請求項は、さらなる開示として本明細書に組み込まれており、請求項は本開示の実施形態である。
【0050】
本開示ではいくつかの例示的な実施形態を提供してきたが、開示された実施形態が、本開示および添付の特許請求の範囲の趣旨または範囲から逸脱することなく、他の多くの具体的な形態で具現化されてもよいことは理解されよう。本発明の実施例は、例示的なものであって制限的なものではないと見なされるものであり、本明細書で与えられた詳細には限定されないことが意図されるものである。例えば、様々な構成要素または構成部分は、別のシステムと組み合わせたり、一体化させたりしてもよいし、特定の特徴を省略したり、実装しなかったりしてもよい。
【0051】
加えて、様々な実施形態において、個別のまたは分離されたものとして記載および例示された様々な例示的な実施形態は、本開示の範囲から逸脱することなく、他のシステム、モジュール、技術、または方法と結合または一体化させてもよい。互いに結合されている、または直接結合されている、または連通していると示されているまたは考察されている他の品目は、電気的、機械的、またはその他の方法であるかどうかを問わず、何らかのインターフェース、装置、または中間構成部分を介して間接的に結合されていても、または連通していてもよい。変更、置換、および改変の他の例を、当業者が確認することは可能であり、本明細書に開示された趣旨および範囲から逸脱することなくそれらを実行してもよい。
【手続補正書】
【提出日】2020-09-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
宇宙環境において基材上に蒸着用材料を真空気相蒸着するシステムであって:
宇宙環境において宇宙プラットフォームを付随させた基材支持構造と;
前記蒸着用材料用の蒸着装置と;
前記蒸着用材料を励起して前記蒸着用材料の蒸気を形成する、前記蒸着装置を付随させたエネルギー源と;
前記蒸着装置を前記基材上全体に移動させ、それにより、前記蒸着装置からの蒸着用材料の蒸気が前記基材上全体を通過して前記基材に流れ、前記基材を前記蒸着用材料でコーティングする、ロボットアームである、前記蒸着装置を付随させた移動可能な長尺部材と、
を具備するシステム。
【請求項2】
前記長尺部材が第1および第2の端部を有し、前記第1の端部が前記蒸着装置に取り付けられ、前記第2が前記宇宙プラットフォームを付随させる、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
シャッタが前記蒸着装置を付随させており、前記蒸着用材料の蒸気が前記蒸着装置から前記基材に流れる可能性のある、前記蒸着装置に対する第1の位置から、前記シャッタが前記蒸着装置から前記基材への前記蒸気の流れを遮断する第2の位置まで、前記シャッタが移動可能である、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
真空ゲージが前記蒸着装置を付随させて、前記蒸着装置からの前記蒸着用材料の蒸気の流れを測定する、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記基材を加熱して前記蒸着用材料を除去することができる加熱システムを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記蒸着装置が、前駆体貯蔵システムと、前記基材を加熱する加熱システムとを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記エネルギー源が抵抗熱源である、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記エネルギー源がレーザである、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記エネルギー源が電子ビームである、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記エネルギー源がイオンビームである、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
機能性材料の性能特性測定装置を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記宇宙プラットフォームが宇宙船バスである、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記基材が、少なくとも1つの過噴霧遮蔽装置を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
宇宙環境において基材上に蒸着用材料を真空気相蒸着して、前記基材上に機能性材料を形成する方法であって:
宇宙環境において宇宙プラットフォームを付随させた基材支持構造に前記基材を配置することと;
前記蒸着用材料用の蒸着装置を提供することと;
前記蒸着装置を付随させたエネルギー源を提供し、前記蒸着用材料を励起して前記蒸着用材料の蒸気を形成することと;
ロボットアームのシステムであり、前記蒸着装置を付随させた移動可能な長尺部材を提供することと;
前記蒸着装置および前記長尺部材を移動させて前記基材上全体を通過させ、前記蒸着用材料の蒸気が前記基材に流れるようにして前記基材上に機能性材料を形成することと、
を含む方法。
【請求項15】
前記長尺部材が、第1および第2の端部を有し、前記第1の端部を前記蒸着装置に取り付け、前記第2に前記宇宙プラットフォームを付随させる、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記蒸着用材料の蒸気が前記蒸着装置から前記基材に流れるのを可能にする、前記蒸着装置に対する第1の位置から、前記蒸着装置から前記基材への前記蒸気の流れを阻止する第2の位置まで移動可能なシャッタを、前記蒸着装置に付随させることを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
真空ゲージに前記蒸着装置を付随させることと、前記蒸着装置からの蒸着用材料の蒸気の流れを測定することとを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
真空環境測定ゲージに前記蒸着装置を付随させることと、前記システムに近接した宇宙環境における真空を測定することとを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前駆体貯蔵システムおよび加熱システムに前記蒸着装置を付随させることを含み、前記加熱システムが前記基材を加熱することができる、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
前記エネルギー源として抵抗熱源を利用することを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項21】
前記エネルギー源としてレーザを利用することを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項22】
前記エネルギー源として電子ビームを利用することを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項23】
熱源としてイオンビームを利用することを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項24】
コーティング性能特性測定装置を提供することと、前記機能性材料の性能特性を測定することとを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項25】
前記宇宙プラットフォームが宇宙船バスである、請求項14に記載の方法。
【請求項26】
前記基材に少なくとも1つの過噴霧遮蔽装置を設けることを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項27】
宇宙環境において基材上に蒸着用材料を真空気相蒸着するシステムであって:
宇宙環境において宇宙プラットフォームを付随させた基材支持構造と;
前記宇宙プラットフォームを付随させた、前記蒸着用材料用の蒸着装置と;
前記蒸着用材料を励起して前記蒸着用材料の蒸気を形成する、前記蒸着装置を付随させたエネルギー源と;
を具備し、
前記基材支持構造が、ロボットアームのシステムである、前記基材を付随させた移動可能な長尺部材を含み、前記基材を前記蒸着装置上全体に移動させ、それにより、前記蒸着装置からの蒸着用材料の蒸気が前記蒸着装置から前記基材に流れて、前記基材を前記蒸着用材料でコーティングする、システム。
【請求項28】
前記長尺部材が第1および第2の端部を有し、前記第1の端部が前記基材に取り付けられ、前記第2の端部が前記宇宙プラットフォームを付随させる、請求項27に記載のシステム。
【請求項29】
シャッタが前記蒸着装置を付随させており、前記蒸着用材料の蒸気が前記蒸着装置から基材に流れる可能性がある、蒸着装置に対する第1の位置から、前記シャッタが前記蒸着装置から前記基材への前記蒸気の流れを遮断する第2の位置まで、前記シャッタが移動可能である、請求項27に記載のシステム。
【請求項30】
真空ゲージが前記蒸着装置を付随させて、前記蒸着装置からの前記蒸着用材料の蒸気の流れを測定する、請求項27に記載のシステム。
【請求項31】
真空環境測定ゲージが前記蒸着装置を付随させて、前記システムに近接した宇宙環境における真空を測定する、請求項27に記載のシステム。
【請求項32】
カメラが前記蒸着装置を付随させて、前記基材への前記蒸着用材料の蒸気の流れと、前記基材および前記基材に対する前記長尺部材の移動とを監視する、請求項27に記載のシステム。
【請求項33】
前記エネルギー源が抵抗熱源である、請求項27に記載のシステム。
【請求項34】
前記エネルギー源がレーザである、請求項27記載のシステム。
【請求項35】
前記エネルギー源が電子ビームである、請求項27記載のシステム。
【請求項36】
前記エネルギー源がイオンビームである、請求項27記載のシステム。
【請求項37】
機能性材料性能特性測定装置を含む、請求項27記載のシステム。
【請求項38】
前記宇宙プラットフォームが宇宙船バスである、請求項27に記載のシステム。
【請求項39】
前記蒸着装置が、前駆体貯蔵システムと、前記基材を加熱する加熱システムとを含む、請求項27に記載のシステム。
【請求項40】
宇宙環境において基材上に蒸着用材料を真空気相蒸着して、前記基材上に機能性材料を形成する方法であって:
宇宙環境において基材を提供することと;
宇宙環境において、前記蒸着用材料用の蒸着装置に宇宙プラットフォームを付随させることと;
前記蒸着装置を付随させたエネルギー源を提供し、前記蒸着用材料を励起して前記蒸着用材料の蒸気を形成することと;
ロボットアームのシステムである、前記基材を付随させた移動可能な長尺部材を提供することと;
前記基材と前記長尺部材を移動させて前記蒸着装置の上全体を通過させ、前記蒸着用材料の蒸気が前記基材に流れるようにして、前記基材上に機能性材料を形成することと、
を含む方法。
【請求項41】
前記長尺部材が、第1および第2の端部を有し、前記第1の端部を基材に取り付け、前記第2の端部に前記宇宙プラットフォームを付随させる、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記蒸着用材料の蒸気が前記蒸着装置から前記基材に流れるのを可能にする、前記蒸着装置に対する第1の位置から、前記蒸着装置から前記基材への前記蒸気の流れを阻止する第2の位置まで移動可能なシャッタに、前記蒸着装置を付随させることを含む、請求項40に記載の方法。
【請求項43】
真空ゲージに前記蒸着装置を付随させることと、前記蒸着装置からの前記蒸着用材料の蒸気の流れを測定することとを含む、請求項40に記載の方法。
【請求項44】
真空環境測定ゲージに前記蒸着装置を付随させることと、前記システムに近接する宇宙環境における真空を測定することとを含む、請求項40に記載の方法。
【請求項45】
カメラに前記蒸着装置を付随させて、前記基材への蒸着用材料の蒸気の流れを監視することと、前記蒸着装置に対する前記基材および長尺部材の移動を監視することとを含む、請求項40に記載の方法。
【請求項46】
前記エネルギー源として抵抗熱源を利用することを含む、請求項40に記載の方法。
【請求項47】
前記エネルギー源としてレーザを利用することを含む、請求項40に記載の方法。
【請求項48】
前記エネルギー源として電子ビームを利用することを含む、請求項40に記載の方法。
【請求項49】
前記エネルギー源としてイオンビームを利用することを含む、請求項40に記載の方法。
【請求項50】
コーティング性能特性測定装置を提供することと、前記機能性材料の性能特性を測定することとを含む、請求項40に記載の方法。
【請求項51】
前記宇宙プラットフォームが宇宙船バスである、請求項40に記載の方法。
【請求項52】
前駆体貯蔵システムおよび加熱システムを前記蒸着装置に付随させることを含み、前記加熱システムが前記基材を加熱することができる、請求項40に記載の方法。
【請求項53】
宇宙環境において基材上に蒸着用材料を真空気相蒸着して、第1の構造構成要素を第2の構造構成要素に継ぐ方法であって:
宇宙環境において宇宙プラットフォームを付随させた基材支持構造体に基材を配置し、前記基材が、前記第1および第2の構造部材の間の継手であることと;
前記蒸着用材料用の蒸着装置を提供することと;
前記蒸着装置を付随させたエネルギー源を提供し、前記蒸着用材料を励起して前記蒸着用材料の蒸気を形成することと;
前記蒸着装置を付随させた移動可能な長尺部材を提供することと;
前記蒸着装置および前記長尺部材を移動させて前記基材上全体を通過させ、前記蒸着用材料の蒸気が前記基材に流れるようして前記第1および第2の構造構成要素を互いに継ぐことと、
を含む方法。
【請求項54】
前記長尺部材が第1および第2の端部を有し、前記第1の端部を前記蒸着装置に取り付け、前記第2に前記宇宙プラットフォームを付随させた、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記長尺部材がロボット型アームのシステムである、請求項53に記載の方法。
【請求項56】
前記宇宙プラットフォームが宇宙船バスである、請求項53に記載の方法。
【請求項57】
前記基材を加熱して、前記蒸着用材料を除去し、前記第1および第2の構造構成要素を切り離す加熱システムを提供することを含む、請求項53に記載の方法。
【手続補正書】
【提出日】2021-12-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】変更
【補正の内容】
【国際調査報告】