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特表2022-527135染色可能な熱成形シート、組成物、及び製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-30
(54)【発明の名称】染色可能な熱成形シート、組成物、及び製造方法
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/20 20060101AFI20220523BHJP
   B41M 5/52 20060101ALI20220523BHJP
   B41M 5/50 20060101ALI20220523BHJP
【FI】
B32B27/20
B41M5/52 110
B41M5/50 120
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021560693
(86)(22)【出願日】2020-04-11
(85)【翻訳文提出日】2021-11-17
(86)【国際出願番号】 US2020027853
(87)【国際公開番号】W WO2020210765
(87)【国際公開日】2020-10-15
(31)【優先権主張番号】62/832,802
(32)【優先日】2019-04-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521446314
【氏名又は名称】ウィドナー・プロダクト・フィニシング,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100133765
【弁理士】
【氏名又は名称】中田 尚志
(72)【発明者】
【氏名】ファー,アダム・カーティス
【テーマコード(参考)】
2H186
4F100
【Fターム(参考)】
2H186BB05X
2H186BB24X
2H186BB27X
2H186BB35X
2H186BB36X
2H186BC24X
2H186BC38X
2H186BC42X
2H186BC43X
2H186BC75X
2H186BC76X
2H186DA09
2H186DA10
4F100AA08
4F100AA08B
4F100AA20B
4F100AC03B
4F100AJ04
4F100AJ04A
4F100AK01B
4F100AK15
4F100AK15A
4F100AK25
4F100AK25B
4F100AK42A
4F100AK53B
4F100AK74A
4F100AT00A
4F100BA02
4F100BA07
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4F100CA18B
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4F100CA30B
4F100DG10
4F100DG10A
4F100DJ00
4F100DJ00B
4F100EJ08
4F100EJ08B
4F100EJ53B
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4F100EJ54B
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4F100JB13B
4F100JB14B
4F100JD14
4F100JD14B
4F100JD15B
4F100JL08B
4F100JL10
4F100YY00B
(57)【要約】
本開示は、吸収性染色剤、着色シーラー又は透明シーラーを保持することができる熱成形シートについて記載する。独自の樹脂バインダー配合物及び製品には、従来のサーモフォイル製品の好ましい特性を維持しつつ、被染色性の多孔性表面を持つ樹脂バインダーをもたらす多孔性促進剤が含まれる。本発明のサーモフィル製品の製造方法では、当製品の製造後に、様々な染色剤及び着色剤により、個々の製造者又はホームオーナーの好みに合うように染色することができる、サーモフィル製品が製造される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーモフォイルシート、及び
前記サーモフォイルシートに貼り付けられた染色可能なトップコート層、
を含み、前記染色可能なトップコート層が、硬化前に、樹脂、添加剤、及び少なくとも35重量パーセントの多孔剤を含む樹脂バインダー配合物を含む、
染色可能な熱成形シート。
【請求項2】
硬化前に、樹脂、添加剤、及び少なくとも35重量パーセントの多孔剤を含む樹脂バインダー配合物を含む染色可能なトップコート層を、サーモフォイルシートに塗布することを含む、染色可能な熱成形シートを製造する方法。
【請求項3】
前記染色可能なトップコート層は、柔軟で包み込み可能であり、染色用に表面効果を変え得る、請求項1に記載の染色可能な熱成形シート又は請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記樹脂バインダー配合物が、硬化前に、35~65重量パーセントの前記多孔剤を含む、請求項1に記載の染色可能な熱成形シート又は請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記樹脂バインダー配合物が、硬化前に、38~60重量パーセントの前記多孔剤を含む、請求項4に記載の染色可能な熱成形シート又は方法。
【請求項6】
前記樹脂バインダー配合物が、硬化前に、40~60重量パーセントの前記多孔剤を含む、請求項5に記載の染色可能な熱成形シート又は方法。
【請求項7】
染色可能なトップコート層あたりの前記多孔剤の、前記サーモフォイルシートの平方メートルあたりのグラム量(gsm)が3~60gsmである、請求項1に記載の染色可能な熱成形シート又は請求項2に記載の方法。
【請求項8】
染色可能なトップコート層あたりの前記多孔剤の、前記サーモフォイルシートのgsmが3~40gsmである、請求項7に記載の染色可能な熱成形シート又は方法。
【請求項9】
染色可能なトップコート層あたりの前記多孔剤の、前記サーモフォイルシートのgsmが3~25gsmである、請求項8に記載の染色可能な熱成形シート又は方法。
【請求項10】
染色可能なトップコート層あたりの前記多孔剤の、前記サーモフォイルシートのgsmが4~20gsmである、請求項9に記載の染色可能な熱成形シート又は方法。
【請求項11】
前記多孔剤が、前記熱成形シートを染色できる無機物を含む、請求項1に記載の染色可能な熱成形シート又は請求項2に記載の方法。
【請求項12】
前記無機物が、0.9~3.6g/cmの密度を有する、請求項11に記載の染色可能な熱成形シート又は方法。
【請求項13】
前記無機物が、1.2~3.2g/cmの密度を有する、請求項12に記載の染色可能な熱成形シート又は方法。
【請求項14】
前記無機物が、1.8~2.9g/cmの密度を有する、請求項13に記載の染色可能な熱成形シート又は方法。
【請求項15】
前記無機物が0.5~70μmの典型的サイズを有する、請求項11に記載の染色可能な熱成形シート又は方法。
【請求項16】
前記無機物が0.8~40μmの典型的サイズを有する、請求項15に記載の染色可能な熱成形シート又は方法。
【請求項17】
前記無機物が0.9~15μmの典型的サイズを有する、請求項16に記載の染色可能な熱成形シート又は方法。
【請求項18】
少なくとも1つの無機物が、炭酸カルシウム、カオリンクレー、シリカ、及びタルクからなる群から選択される、請求項11に記載の染色可能な熱成形シート又は方法。
【請求項19】
少なくとも1つの無機物が、カオリンクレー、シリカ、及びタルクからなる群から選択される、請求項18に記載の染色可能な熱成形シート又は方法。
【請求項20】
前記無機物がカオリンクレー、シリカ、及びタルクからなり、それらの重量比が、約3:2:1の重量比である、請求項19に記載の染色可能な熱成形シート又は方法。
【請求項21】
少なくとも1つの無機物が、カオリンクレー及びタルクからなる群から選択される、請求項19に記載の染色可能な熱成形シート又は方法。
【請求項22】
前記無機物が、炭酸カルシウムである、請求項18に記載の染色可能な熱成形シート又は方法。
【請求項23】
前記炭酸カルシウムが、約0.5μm~約100μmの粒子サイズを有する、請求項22に記載の染色可能な熱成形シート又は方法。
【請求項24】
前記樹脂バインダー配合物が、30%~80%の顔料体積濃度を有する、請求項1に記載の染色可能な熱成形シート又は請求項2に記載の方法。
【請求項25】
前記樹脂バインダー配合物が、35%~75%の顔料体積濃度を有する、請求項24に記載の染色可能な熱成形シート又は方法。
【請求項26】
前記樹脂バインダー配合物が、48%~70%の顔料体積濃度を有する、請求項25に記載の染色可能な熱成形シート又は方法。
【請求項27】
前記サーモフォイルシートが、ポリ塩化ビニル(PVC)シート、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)シート、ポリエチレンテレフタレート(PET)シート、又はセルロース紙である、請求項1に記載の染色可能な熱成形シート又は請求項2に記載の方法。
【請求項28】
前記サーモフォイルシートが、ポリ塩化ビニル(PVC)シートである、請求項1に記載の染色可能な熱成形シート又は請求項2に記載の方法。
【請求項29】
前記サーモフォイルシートが、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)シートである、請求項1に記載の染色可能な熱成形シート又は請求項2に記載の方法。
【請求項30】
前記サーモフォイルシートが、ポリエチレンテレフタレート(PET)シートである、請求項1に記載の染色可能な熱成形シート又は請求項2に記載の方法。
【請求項31】
前記サーモフォイルシートが、木目デザインを含む、請求項27~30のいずれか一項に記載の染色可能な熱成形シート。
【請求項32】
前記樹脂が、エネルギー硬化性である、請求項1に記載の染色可能な熱成形シート又は請求項2に記載の方法。
【請求項33】
前記樹脂が、紫外線(UV)硬化性、電子ビーム(EB)硬化性、従来の熱源(非UV/EB)硬化性、又はそれらの組み合わせである、請求項32に記載の染色可能な熱成形シート又は方法。
【請求項34】
前記樹脂が、ウレタンアクリレート類、ポリエステルアクリレート類、エポキシアクリレート類、アクリル類、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の染色可能な熱成形シート又は請求項2に記載の方法。
【請求項35】
前記樹脂が、エポキシアクリレート類、アクリル類、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項34に記載の染色可能な熱成形シート又は方法。
【請求項36】
前記樹脂バインダー配合物が、硬化前に15~45重量パーセントの前記樹脂を含む、請求項1に記載の染色可能な熱成形シート又は請求項2に記載の方法。
【請求項37】
前記樹脂バインダー配合物が、硬化前に18~40重量パーセントの前記樹脂を含む、請求項36に記載の染色可能な熱成形シート又は方法。
【請求項38】
前記樹脂バインダー配合物が、硬化前に20~35重量パーセントの前記樹脂を含む、請求項37に記載の染色可能な熱成形シート又は方法。
【請求項39】
前記樹脂バインダー配合物が、硬化後に5~45重量パーセントの前記樹脂を含む、請求項1に記載の染色可能な熱成形シート又は請求項2に記載の方法。
【請求項40】
前記樹脂バインダー配合物が、硬化後に8~40重量パーセントの前記樹脂を含む、請求項39に記載の染色可能な熱成形シート又は方法。
【請求項41】
前記樹脂バインダー配合物が、硬化後に9~32重量パーセントの前記樹脂を含む、請求項40に記載の染色可能な熱成形シート又は方法。
【請求項42】
前記樹脂バインダー配合物が、硬化後に10~25重量パーセントの前記樹脂を含む、請求項41に記載の染色可能な熱成形シート又は方法。
【請求項43】
前記樹脂バインダー配合物が、尿素-ホルムアルデヒド樹脂類、メラミンホルムアルデヒド樹脂類、又はその両方をさらに含む、請求項36~42のいずれか一項に記載の染色可能な熱成形シート又は方法。
【請求項44】
染色可能なトップコート層あたりの塗布重量のうち前記樹脂バインダー部分が、前記サーモフォイルシートの2~100gsmの量である、請求項1に記載の染色可能な熱成形シート又は請求項2に記載の方法。
【請求項45】
前記染色可能なトップコート層あたりの塗布重量のうち前記樹脂バインダー部分が、前記サーモフォイルシートの2~85gsmの量である、請求項44に記載の染色可能な熱成形シート又は方法。
【請求項46】
前記染色可能なトップコート層あたりの塗布重量のうち前記樹脂バインダー部分が、前記サーモフォイルシートの2~65gsmの量である、請求項45に記載の染色可能な熱成形シート又は方法。
【請求項47】
前記染色可能なトップコート層あたりの塗布重量のうち前記樹脂バインダー部分が、前記サーモフォイルシートの2~50gsmの量である、請求項46に記載の染色可能な熱成形シート又は方法。
【請求項48】
前記添加剤が、脱気剤、分散剤、湿潤剤、光開始剤、触媒、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の染色可能な熱成形シート又は請求項2に記載の方法。
【請求項49】
前記添加剤が、前記脱気剤、前記分散剤、又はその両方を含む、請求項48に記載の染色可能な熱成形シート又は方法。
【請求項50】
前記樹脂バインダー配合物が、硬化前に、0.01~1重量パーセントの前記脱気剤を含む、請求項49に記載の染色可能な熱成形シート又は方法。
【請求項51】
前記樹脂バインダー配合物が、硬化前に、0.01~0.8重量パーセントの前記脱気剤を含む、請求項50に記載の染色可能な熱成形シート又は方法。
【請求項52】
前記樹脂バインダー配合物が、硬化前に、0.02~0.5重量パーセントの前記脱気剤を含む、請求項51に記載の染色可能な熱成形シート又は方法。
【請求項53】
前記樹脂バインダー配合物が、硬化前に、0.01~1重量パーセントの前記分散剤を含む、請求項49に記載の染色可能な熱成形シート又は方法。
【請求項54】
前記樹脂バインダー配合物が、硬化前に、0.01~0.8重量パーセントの前記分散剤を含む、請求項53に記載の染色可能な熱成形シート又は方法。
【請求項55】
前記樹脂バインダー配合物が、硬化前に、0.02~0.5重量パーセントの前記分散剤を含む、請求項54に記載の染色可能な熱成形シート又は方法。
【請求項56】
前記樹脂が、紫外線(UV)硬化性、電子ビーム(EB)硬化性、又はその両方であり、前記樹脂バインダー配合物が、硬化前に、0.4~5重量パーセントの前記光開始剤を含む、請求項48に記載の染色可能な熱成形シート又は方法。
【請求項57】
前記樹脂バインダー配合物が、硬化前に、0.5~4.5重量パーセントの前記光開始剤を含む、請求項56に記載の染色可能な熱成形シート又は方法。
【請求項58】
前記樹脂バインダー配合物が、硬化前に、2~4重量パーセントの前記光開始剤を含む、請求項57に記載の染色可能な熱成形シート又は方法。
【請求項59】
前記樹脂バインダー配合物が、硬化前に、0.4~5重量パーセントの前記触媒を含む、請求項48に記載の染色可能な熱成形シート又は方法。
【請求項60】
前記樹脂バインダー配合物が、硬化前に0.5~4.5重量パーセントの前記触媒を含む、請求項59に記載の染色可能な熱成形シート又は方法。
【請求項61】
前記樹脂バインダー配合物が、硬化前に、2~4重量パーセントの前記触媒を含む、請求項60に記載の染色可能な熱成形シート又は方法。
【請求項62】
前記染色可能なトップコート層が、第1の樹脂バインダー配合物を含む第1の染色可能なトップコート層と、第2の樹脂バインダー配合物を含む第2の染色可能なトップコート層とを含む、請求項1に記載の染色可能な熱成形シート又は請求項2に記載の方法。
【請求項63】
前記サーモフォイルシートが、前記染色可能なトップコート層を前記塗布する前に、熱成形されるか、又は下地基板に貼り付けられる、請求項1に記載の染色可能な熱成形シート又は請求項2に記載の方法。
【請求項64】
前記染色可能なトップコート層を塗布する前に、溶剤還元インク、水還元インク、及びUV硬化性インクからなる群から選択されるインクを使用して、前記サーモフォイルシート上に木目プリントを生成することをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項65】
前記染色可能なトップコート層を前記熱成形シートに塗布した後に、シールコート剤を塗布することをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項66】
前記シールコート剤を前記熱成形シートに塗布した後に、コート剤を塗布することをさらに含む、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
前記コート剤が、樹脂又は透明シーラー類を含む、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
前記染色可能なトップコート層をUV硬化、EB硬化、又は空気硬化することをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項69】
前記染色可能なトップコート層が、95~100%硬化される、請求項68に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2019年4月11日出願の米国仮出願第62/832,802号の優先権を主張し、その内容のすべてを本明細書中に参照により援用する。
【0002】
本開示は、染色可能な熱成形シート、樹脂バインダー配合物、及び染色可能な熱成形シートを製造する方法に関する。本明細書に開示の方法は、典型的な吸収性染色剤、着色シーラー又は透明シーラーを含む、被染色性の熱成形シートを提供する。
【背景技術】
【0003】
サーモフォイルは、安価な木材代用品である。一般に、サーモフォイルは、木目又は合成木目プリントのいずれかで印刷されたプラスチック、ビニール、ポリエチレンテレフタレート(PET)、又は紙の基板である。サーモフォイルは、木材ライクであるため世界中で大量生産され、木材に代わる資源が使用される。
【0004】
従来、サーモフォイルは、例えば、幅約10mm~2500mmの薄い連続シート上にPVC又はABSを押し出し、次に二次処理用にロール状に巻いて製造する。一旦PVC又はABSが正常に押し出されロール状になると、その後機械にかけられ展開されて、接着性と均一な色出しのために前処理される。そして、インクを使って、たとえば、UV硬化性で、溶剤系又は水系のインクを使用したグラビア印刷、又はUV硬化性インクを使用した高速デジタル印刷がなされる。基板が木目又は合成木目プリントで印刷された後、得られた製品に1種以上のUV硬化性トップコート剤を塗布し、最終特性を有する製品を完成させる。全層からなるフォイルができあがると、製品をエンボス加工して木目調にするか、ロールに巻き直して顧客の仕様に合わせたサイズにカットする。得られた製品は木材ライクで、耐水性があり、様々な光沢と耐久性域を備える。最終製品には、エッジバンギング品、ラップモールディング品、家具コンポーネント、キャビネットコンポーネント、又はさまざまな接着プロセスを経て得られたキャビネットドアが含まれる。
【0005】
顧客は、既存プロセスの場合、その品費についてはある程度の柔軟性をもって受け入れるが、カスタム製品又はカスタム色の場合にはそうはいかず、そのため少量でも膨大な数の注文数となる。又、サーモフォイル製品の製品品質は世界的にみて一貫していない。したがって、例えば、吸収性染色剤、着色シーラー、又は透明シーラーで任意の色に染色し、さらにプロ級の高品質コート剤で仕上げて、見栄えをさらに良くし、かつ表面全体の耐久性を向上させたようなサーモフォイル製品を製造する必要がある。本明細書に開示される製品及び方法により、製造コスト及び消費者コストが削減され、消費者として受け入れ易くなると思われる。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、染色可能な熱成形シートに関する。染色可能な熱成形シートは、以下を含む。サーモフォイルシート;及びサーモフォイルシートに貼り付けられた染色可能なトップコート層である。染色可能なトップコート層は、硬化前に、樹脂、添加剤、及び多孔剤を含む樹脂バインダー配合物を含む。染色可能なトップコート層は、硬化前に、好ましくは少なくとも35重量パーセントの多孔剤を有する。非限定的な実施形態においては、サーモフォイルシートは、ポリ塩化ビニル(PVC)シート、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)シート、又はポリエチレンテレフタレート(PET)シートである。
【0007】
本発明は又、染色可能な熱成形シートを製造する方法に関する。この方法は、樹脂、添加剤、及び多孔剤を含む樹脂バインダー配合物を有する染色可能なトップコート層を、硬化前に、サーモフォイルシートに塗布する工程を含む。好ましい実施形態においては、染色可能なトップコート層は、硬化する前に、少なくとも35重量パーセントの多孔剤を有する。特定の非限定的な実施形態における多孔剤の粒子サイズは、0.4~70μmである。
【0008】
以下、実施について添付の図面と併せて説明するが、同様の名称は同様の要素を示す。
当業者にとっては、図の要素が単純にかつ明快に示されており、必ずしも一定の縮尺で描かれているわけではないことが理解される。たとえば、図の一部の要素の寸法は、実施する上での理解を深めるのに役立つように、他の要素に比べて誇張されている場合がある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1及び2は、1層の染色可能なトップコート層を有する染色可能なサーモフォイル製品の非限定的な例の斜視図を示す。
図2図1及び2は、1層の染色可能なトップコート層を有する染色可能なサーモフォイル製品の非限定的な例の斜視図を示す。
図3図3及び4は、2層の染色可能なトップコート層を有する染色可能なサーモフォイル製品の非限定的な例の斜視図を示す。
図4図3及び4は、2層の染色可能なトップコート層を有する染色可能なサーモフォイル製品の非限定的な例の斜視図を示す。
図5図5及び6は、1層の染色可能なトップコート層を有する染色可能なサーモフォイル製品の非限定的な例の断面図を示す。
図6図5及び6は、1層の染色可能なトップコート層を有する染色可能なサーモフォイル製品の非限定的な例の断面図を示す。
図7図7及び8は、2層の染色可能なトップコート層を有する染色可能なサーモフォイル製品の非限定的な例の断面図を示す。
図8図7及び8は、2層の染色可能なトップコート層を有する染色可能なサーモフォイル製品の非限定的な例の断面図を示す。
図9図9及び10は、染色可能なサーモフォイル製品を製造するプロセスの例を示す。プロセスの追加工程も示される。
図10図9及び10は、染色可能なサーモフォイル製品を製造するプロセスの例を示す。プロセスの追加工程も示される。
【発明を実施するための形態】
【0010】
定義
本明細書及びクレームとその活用において使用される動詞「comprise」は、その単語に続く項目が含まれることを意味するために、非限定的な意味で使用されるが、特に言及されていない項目は除外されない。
【0011】
ある要素の前につく不定冠詞「a」又は「an」については、文脈上、要素が1つしかないことを明確に要求しない限り、複数の要素が存在する可能性を排除するものではない。したがって、不定冠詞「a」又は「an」は通常、「少なくとも1つ」を意味する。例えば、「a」又は「the」のついた多孔剤とは、1つの多孔剤又は多孔剤の組み合わせを指す。
【0012】
本明細書中、「約」という用語は、プラスマイナス20%の許容値を指す(例えば、「約1」は0.8~1.2を指し、「約5」は4~6を指す)。
本明細書中、「熱成形シート」又は「サーモフォイル」という用語は、下地基板(例えば、中密度繊維板などの加工木材コア)の輪郭に熱成形又は貼り付けて表面仕上げ可能な、プラスチック又は紙材料を指す。
【0013】
本明細書中、「染色可能」という用語は、「染色」効果を生み出す顔料又は染料が浸透できるような吸収特性を有する材料表面の能力を指す。
本明細書中、「吸収性染色剤」という用語は、薬剤又は溶媒に懸濁又は溶解した着色剤、例えば、1つ以上の染料及び/又は顔料を指す。非限定的な例としては、油性染色剤、ワニス染色剤、水性染色剤、溶媒系染色剤、ゲル染色剤、ラッカー染色剤、水溶性染料染色剤、紫外線(UV)光硬化着色剤、及び金属又は複合体(金属化)染料染色剤などが挙げられる。UV硬化着色剤の非限定的な例としては、シーラント(例えば、着色シーラー)、染色剤などが挙げられる。現存するか又は未発見の同様の染色剤又は着色剤も使用できる。
【0014】
本明細書中、「樹脂」という用語は、典型的にはポリマーに変換可能な、植物由来又は合成系の固体又は高粘度の物質を指す。
本明細書中、「トップコート」又は「トップコート層」という用語は、サーモフォイル材料の内層を覆う樹脂及び組成物の層を指す。トップコートにより、均一で滑らかで、又は質感があって、耐久性があり、まさに魅力的で、染色性のある仕上がりとなる。
【0015】
本明細書中、「顔料体積濃度」又は「PVC」という用語は、フィルム形成後の系内における固体粒子の体積パーセントを指し、その計算は次のとおりである。多孔剤の体積を、多孔剤の体積プラス樹脂の固体体積で割ったものである。「顔料体積濃度」により、樹脂系内に充分な無機物があり、最終表面において無機物吸収度が実際に確保されているかどうかを決めることができる。
【0016】
本明細書中、「添加剤」という用語は、生成物を流動、水平化、希釈、還元、反応、及び/又は脱泡させる化合物、例えば、脱気剤、分散剤、触媒、光開始剤、湿潤剤などが挙げられる。したがって、添加剤には界面活性剤、硬化剤等が含まれる。
【0017】
本明細書中、「光開始剤」という用語は、光の物理的エネルギーを反応性中間体の形態の適切な化学エネルギーに変換することができる化合物を指す。光開始剤は、光を吸収すると光反応を起こし、化学反応を開始又は触媒する反応種を生成する。その結果、適った配合物の溶解性が得られ、物理的特性が大幅に変化する。
【0018】
本開示は、熱成形シートに塗布された樹脂バインダー(例えば、エポキシアクリレート又はアクリル)中の配合物に含まれる特定の多孔性促進表面剤により、樹脂バインダーを塗布した熱成形シートの製造後に、染色剤、着色シーラー又は透明シーラーを吸収できる多孔性表面がもたらされる、という発見に関する。染色可能なトップコート層の吸収の度合いは、微細に粉砕された無機物を、染色可能な(例えば、UV硬化又は空気硬化による)コート剤に高濃度で添加するプロセスによって制御することができる。製造プロセス後に基本デザインを変更できるようにすることで、たとえば、熱成形シートをキャビネットのドアや家具のコンポーネントなどに貼り付けた後に、得られた表面を吸収染色剤、顔料、又は透明なシーラーにより変えることができるので、本開示により、顧客の受け入れ易さが一層上がり、顧客サイドで操作できるようになる。さらなる利点としては、木材製の相当品と比較した場合、コストの削減と耐水性の大幅な向上が挙げられる。
【0019】
本発明の第1の態様では、サーモフォイルシート及びサーモフォイルシートに貼り付けられた染色可能なトップコート層を含む、染色可能な熱成形シートが提供され、染色可能なトップコート層には、硬化前に、樹脂、添加剤、及び少なくとも35重量パーセントの多孔剤を含む樹脂バインダー配合物が含まれる。
【0020】
本発明の第2の態様では、サーモフォイルシートに、硬化前に、樹脂、添加剤、及び少なくとも35重量パーセントの多孔剤を含む樹脂バインダー配合物を含む染色可能なトップコート層を、塗布することを含む、染色可能な熱成形シートを製造する方法が提供される。
【0021】
特定の態様においては、染色可能なトップコート層は、柔軟で包み込みやすく、染色する上で必要となる様々な表面効果を発現する。
染色可能な熱成形シートは、樹脂バインダー層120を硬化する前に、樹脂バインダー層120に少なくとも1つの多孔剤150及び少なくとも1つの添加剤を加えることによって形成される。本開示において、既存のエネルギー硬化性樹脂配合物を使用し、本明細書に開示されるような多孔剤150の添加することで、染色可能な樹脂バインダー層120を作製することができる。
【0022】
熱成形シート
いくつかの非限定的な実施形態では、染色可能な熱成形シート130(図1)とは、ポリ塩化ビニル(PVC)シート、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)シート、ポリエチレンテレフタレート(PET)シート、又はセルロース紙である。他の実施形態では、染色可能な熱成形シート130(図1)は、ポリ塩化ビニル(PVC)シート、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)シート、又はポリエチレンテレフタレート(PET)シートである。一実施形態では、染色可能な熱成形シート130(図1)は、セルロース紙ではない。一態様では、染色可能な熱成形シート130(図1)は、ポリ塩化ビニル(PVC)シートである。別の態様では、染色可能な熱成形シート130(図1)は、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)シートである。別の態様では、染色可能な熱成形シート130(図1)は、ポリエチレンテレフタレート(PET)シートである。
【0023】
PVC、ABS、又はPETで作られた熱成形シートは、以下に示すいくつかの要因により、樹脂系組成(たとえば、尿素-ホルムアルデヒド樹脂又はメラミンホルムアルデヒド樹脂)で潤すことができない。以下その要因を列挙する:1)化学的適合性がない。2)PVC、ABS、及びPETシートは、ラミネート表面作成に必要な熱と圧力量に耐えられない。3)メラミン樹脂系では、PVC、ABS、又はPETシートの表面に短時間で接着するようにできるが、この樹脂系では、伸びモジュラスに大きな差(つまり、基板(PVC、ABS、又はPET)の変位量と、コート剤(メラミン樹脂系)の変位量との、時間経過及び張力による差)があるため、時間の経過とともに接着力が失わる。最後の要因は特に重要で、というのはサーモフォイルシートを作成するプロセスでは、シートをモールドやドアのセンターパネルなどに巻き付ける必要があるからである。サーモフォイルシートは、しなやかで包み込むことができるようなものでなければならない。本塗布系もこれらの特性を備えておく必要がある。本発明は、樹脂系を用いることにより、潤いのある又は包埋された、染色可能なシートが提供される他の系及び方法とは対照的に、熱成形シート上に、まさに、柔軟で、包み込み可能で、染色可能なトップコート層を塗布する、そのような塗布システムを提供する。
【0024】
上記の樹脂系を熱成形シートに含浸すると、とある樹脂系でもって熱成形シートに塗布する場合とは異なる機能が発現する。紙シートを樹脂系により潤わせると、基板への優れた接着性と均一な染色性が得られる。本発明によって提供されるように表面にその樹脂系を有することにより、染色に必要な様々な表面効果が発現される。言い換えれば、樹脂系を局所的に適用することで、含浸プロセスでは達成できない、より創造的な染色パターンが可能になる。
【0025】
ある非限定的な実施形態では、染色可能な熱成形シート130は、下地基板110上に熱成形されるか、又は貼り付けられる(図2)。基板110の非限定的な例としては、エッジ仕上げ品バンギング品、ラップモールド品、家具コンポーネント、キャビネットコンポーネント、又は完成したキャビネットドアなどが挙げられる。これらの実装では、染色可能なトップコート層120を塗布する前に、熱成形シート130に追加のシーラー又はトップコートを塗布しない。
【0026】
第1の態様の非限定的な実施において、染色可能な熱成形シートは、木目デザイン132(図5)を含む。
第2の態様の非限定的な実施において、本方法は、染色可能なトップコート層を塗布する前に、溶剤還元インク、水還元インク、及びUV硬化性インクからなる群から選択されるインクを使用して、サーモフォイルシート上に木目プリントを生成することをさらに含む。いくつかの実装形態では、本方法は、木目プリントを生成するのと染色可能なトップコート層を塗布するのとの間に、シールコート剤を塗布することをさらに含む。
【0027】
樹脂バインダー層
いくつかの非限定的な実施形態では、樹脂バインダー層(総塗布重量)は、サーモフォイルシート一層の平方メートルあたりのグラム量(gsm)で5~190gsmの量、又はその間の任意の数値の範囲、例えば5~175gsm、5~160gsm、5~145gsm、5~130gsm、5~115gsm、5~100gsm、5~85gsm、5~70gsm、10~190gsm、10~175gsm、10~160gsm、10~145gsm、10~130gsm、10~115gsm、10~100gsm、10~85gsm、10~70gsm、15~190gsm、15~175gsm、15~160gsm、15~145gsm、15~130gsm、15~115gsm、15~100gsm、15~85gsm、15~70gsm、20~190gsm、20~175gsm、20~160gsm、20~145gsm、20~130gsm、20~115gsm、20~100gsm、20~85gsm、20~70gsm、25~190gsm、25~175gsm、25~160gsm、25~145gsm、25~130gsm、25~115gsm、25~100gsm、25~85gsm、及び25~70gsmなどである。
【0028】
樹脂
いくつかの非限定的な実施形態では、樹脂はエネルギー硬化性樹脂である。エネルギー硬化性樹脂の非限定的な例としては、紫外線(UV)硬化性樹脂、電子ビーム(EB)硬化性樹脂、又は従来の熱源硬化性(非UV/EB)樹脂などが挙げられる。これらの実施形態では、樹脂バインダー配合物は、光開始剤を含む。
【0029】
特定の非限定的な実施形態において、樹脂は、フィルム形成用の触媒を必要とする(触媒系)。
他の非限定的な実施形態では、樹脂は、追加の触媒作用を必要とせずにフィルムを形成する(非触媒系)。これらの実施形態では、樹脂バインダー配合物は触媒を必要としない。いくつかの非限定的な実施形態における非触媒系では、比較的低い(例えば、室温よりも低い)ガラス転移温度(Tg)が故に、空気乾燥によってフィルムが形成される。他の非限定的な実施においては、非触媒系では、溶媒を使用してTgを減少させ、蒸発により樹脂からフィルムが形成され得る。
【0030】
いくつかの非限定的な実施形態では、エネルギー硬化性樹脂は、ウレタンアクリレート類、ポリエステルアクリレート類、エポキシアクリレート類、アクリル類、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。他の非限定的な実施形態では、エネルギー硬化性樹脂は、エポキシアクリレート類、アクリル類、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0031】
エポキシアクリレート類は、Sartomer、BASF、又はMiller-Stephensonなどのメーカーから市販されている。エポキシアクリレート類の非限定的な例は、より詳細に説明されており、その内容のすべてを本明細書中に、以下の特許及び参考文献の参照により援用する。米国特許第3,989,610号明細書;米国特許第4,472,019号明細書;米国特許第4,789,620号明細書;米国特許第5,086,088号明細書;米国特許第5,356,949号明細書;米国特許第6,844,034号明細書;欧州特許第1,295,900号明細書;及びChattopadhyay et al、「Thermal and mechanical properties of epoxy acrylate/methacrylates UV cured coatings(エポキシアクリレート/メタクリレート類のUV硬化コート膜の熱的及び機械的特性)」、Progress in Organic Coatings 54 (1), 2005、;Habib et al、「UV Curable Heat Resistant Epoxy Acrylate Coatings(UV硬化性耐熱性エポキシアクリレートコート膜)」、Chemistry & Chemical Technology 4(3), 2010;及び、Konuray et al、「State of the Art in Dual-Curing Acrylate Systems(デュアル硬化アクリレート系の最前線)」、Polymers, 10, 2018。
【0032】
アクリル類は、以下のような製造業者から市販されている:Advanced Plastiform、Inc.など。アクリル類の非限定的な例は、より詳細に記載されており、その内容のすべてを本明細書中に、以下の特許の参照により援用する。米国特許第5,242,968号明細書;米国特許第5,686,186号明細書;米国特許第7,252,786号明細書;中国特許第101044023号明細書;及び独国特許第69725,422号明細書である。
【0033】
いくつかの非限定的な実施形態では、樹脂バインダー配合物は、硬化前に、樹脂(例えば、エポキシアクリレート類又はアクリル類)を15~45重量パーセント、又はその間の任意のパーセント範囲、例えば、15~43%、15~40%、15~38%、15~35%、16~45%、16~43%、16~40%、16~38%、16~35%、17~45%、17~43%、17~40%、17~38%、17~35%、18~45%、18~43%、18~40%、18~38%、18~35%、19~45%、19~43%、19~40%、19~38%、19~35%、20~45%、20~43%、20~40%、20~38%、又は20~35%など含む。
【0034】
特定の非限定的な実施において、樹脂バインダー配合物は、硬化後に、樹脂(例えば、エポキシアクリレート類又はアクリル類)を5~45重量パーセント、又はその間の任意のパーセント範囲、例えば、5~40%、5~35%、5~30%、5~25%、6~45%、6~40%、6~35%、6~30%、6~25%、7~45%、7~40%、7~35%、7~30%、7~25%、8~45%、8~40%、8~35%、8~30%、8~25%、9~45%、9~40%、9~35%、9~30%、9~25%、10~45%、10~40%、10~35%、10~30%、又は10~25%など含む。
【0035】
樹脂バインダーの塗布重量は、サーモフォイルシートの樹脂バインダー一層あたり2~100gsm、又はその間の任意の数の範囲、例えば、2~95gsm、2~90gsm、2~85gsm、2~80gsm、2~75gsm、2~70gsm、2~65gsm、2~60gsm、2~55gsm、及び2~50gsmなどである。
【0036】
他の非限定的な実施形態では、樹脂バインダー配合物は、尿素-ホルムアルデヒド樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、又はその両方をさらに含む。
【0037】
多孔剤
いくつかの実施形態では、多孔剤は、熱成形シートを染色できるように、1つ以上の複数の無機物(例えば、2つ、3つ、4つなど)を含む。
【0038】
非限定的な実施形態では、多孔剤150の粒子サイズは、典型的には、0.4μm~80μmの範囲、又はその間の任意の他の数の範囲、例えば、0.4~70μm、0.5~70μm、0.5~60μm、0.6~60μm、0.6~50μm、0.7~50μm、0.7~40μm、0.8~40μm、0.8~30μm、0.9~30μm、0.9~20μm、0.9~15μm、0.4~60μm、0.4~45μm、0.4~30μm、又は0.4~15μmである。
【0039】
非限定的な実施形態では、多孔剤150(図3及び4)の密度は、典型的には、0.5g/cm~4.5g/cmの範囲、又はその間の任意の他の数の範囲、例えば、0.5~4.2g/cm、0.6~4.2g/cm、0.6-4.0g/cm、0.7~4.0g/cm、0.7~3.8g/cm、0.8~3.8g/cm、0.8~3.6g/cm、0.9~3.6g/cm、0.9~3.5g/cm、1~3.5g/cm、1~3.4g/cm、1.1~3.4g/cm、1.1~3.3g/cm、1.1~3.2g/cm、1.2~3.2g/cm、1.4~3.2g/cm、1.4~3.1g/cm、1.6~3.1g/cm、1.6~3.0g/cm、1.8~3.0g/cm、又は1.8~2.9g/cmなどである。
【0040】
多孔剤150の非限定的な例としては、炭酸カルシウム(例えば、沈殿炭酸カルシウム)、結晶シリカ(例えば、微結晶シリカ、シリカ、及びケイ酸塩無機物)、カオリンクレー、タルク;塗料及びコート剤の製造に一般的に使用される他の無機物;染色剤が樹脂バインダー層120に浸透することで硬化樹脂バインダー表面に多孔性特性をもたらすことができるような別の薬剤、又はそれらの組み合わせなど、が挙げられる。シリカには、未処理シリカ、処理済みシリカ、又はその両方が含まれる。
【0041】
いくつかの実施形態では、多孔剤150の少なくとも1つは、炭酸カルシウム、カオリンクレー、シリカ、及びタルクからなる群から選択される。他の実施形態では、多孔剤150の少なくとも1つは、カオリンクレー、シリカ、及びタルクからなる群から選択される。さらに他の実施形態では、多孔剤150は、カオリンクレー及びタルクからなる群から選択される。
【0042】
他の実施形態では、多孔剤150は炭酸カルシウムである。一態様では、炭酸カルシウムは、粉砕(天然の)炭酸カルシウム(GCC)である。別の態様では、炭酸カルシウムの粒子サイズは、約0.5μm~約500μmの間、約0.5μm~約400μmの間、約0.5μm~約300μmの間、約0.5μm~約200μmの間、約0.5μm~約100μm、約0.5μm~約90μm、約0.5μm~約80μm、約0.5μm~約70μm、約0.5μm~約60μm、約0.5μm~約50μm、約0.5μm~約40μm、約0.5μm~約30μm、約0.5μm~約20μm、又は約0.5μm~約10μmである。一態様では、炭酸カルシウムの粒子サイズは、約0.5μm~約100μmの間である。別の態様では、炭酸カルシウムの粒子サイズは、約0.5μm~約50μmの間である。
【0043】
一実施形態では、多孔剤150はシリカではない。特定の態様において、シリカは、染色剤を吸収する最終表面の能力に悪影響を及ぼし得る。
特定の好ましい実施形態では、多孔剤150は、カオリンクレー、シリカ、及びタルクを重量で約3対2対1の比率で含む(すなわち、600グラムの無機物を含む配合物は、約300グラムのカオリンクレー、約200グラムのシリカ、及び約100グラムのタルクを含む)。他の好ましい実施形態では、多孔剤150は、カオリンクレー、シリカ、及びタルクを、重量で約2.5~3.5対1.5~2.5対1の比率、又はその間の任意の比率範囲、例えば、2.6~3.4対1.6~2.4対1、2.7~3.3対1.7~2.3対1、2.8~3.2対1.8~2.2対1、2.9~3.1対1.9~2.1対1など含む。
【0044】
非限定的な実施形態では、樹脂バインダー一層あたりの1つ以上の多孔剤150の典型的な量は、サーモフォイルシートの少なくとも2gsm、例えば、少なくとも2.5gsm、少なくとも3gsm、少なくとも3.5gsm、又はサーモフォイルシートの4gsmである。他の非限定的な実施形態では、樹脂バインダー一層あたりの1つ以上の多孔剤150の典型的な量は、サーモフォイルシートの平方メートルあたりグラム(gsm)で2~100gsm、又はその間の任意の数範囲、例えば3~70gsm、3~65gsm、3~60gsm、3~55gsm、3~50gsm、3~45gsm、3~40gsm、3~35gsm、3~30gsm、3~25gsm、3~20gsm、3.5~70gsm、3.5~65gsm、3.5~60gsm、3.5~55gsm、3.5~50gsm、3.5~45gsm、3.5~40gsm、3.5~35gsm、3.5~30gsm、3.5~25gsm、3.5~20gsm、4~70gsm、4~65gsm、4~60gsm、4~55gsm、4~50gsm、4~45gsm、4~40gsm、4~35gsm、4~30gsm、4~25gsm、又は4~20gsmなどである。
【0045】
非限定的な実施形態では、樹脂バインダー配合物124は、硬化前に、少なくとも35重量パーセントの多孔剤を含み、例えば、少なくとも40重量パーセント、少なくとも45重量パーセント、少なくとも50重量パーセント、少なくとも55重量パーセント、又は多孔剤の少なくとも60重量パーセントを含む。
【0046】
他の非限定的な実施形態では、樹脂バインダー配合物124は、硬化前に30%~70%の多孔剤を含み、又はその間の任意のパーセント範囲、例えば、30%~68%、35~68%、35~65%、36~65%、36~63%、37~63%、37~60%、38~60%、又は40~60%の間などの多孔剤を含む。
【0047】
顔料体積濃度(PVC)は、本系全体が吸収性の機能を有する上で非常に重要である。非限定的な実施形態では、顔料体積濃度(PVC)は25%~80%であり、又はその間の任意のパーセント範囲、例えば、25%~70%、25%~65%、25%~60%、25%~55%、30%~80%、30%~75%、30%~70%、30%~65%、30%~60%、30%~55%、35%~80%、35%~75%、35%~70%、35%~65%、35%~60%、35%~55%、40%~80%、40%~75%、40%~70%、40%~65%、40%~60%、45%~80%、45%~75%、45%~70%、48%~80%、48%~75%、又は48%~70%などの間のパーセント範囲である。
【0048】
添加剤
いくつかの実施形態では、樹脂バインダーは、添加剤をさらに含み、少なくとも1つの添加剤は、脱気剤、分散剤、湿潤剤、光開始剤、触媒、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0049】
いくつかの実施形態では、樹脂バインダー配合物は、硬化前に、脱気剤を0.01~1重量パーセント含み、又はその間の任意のパーセント範囲、例えば、0.01~0.9重量パーセント、0.01~0.8重量パーセント、0.01~0.7重量パーセント、0.01~0.6重量パーセント、0.01~0.5重量パーセント、0.015~1重量パーセント、0.015~0.9重量パーセント、0.015~0.8重量パーセント、0.015~0.7重量パーセント、0.015~0.6重量パーセント、0.015~0.5重量パーセント、0.02~1重量パーセント、0.02~0.9重量パーセント、0.02~0.8重量パーセント、0.02~0.7重量パーセント、0.02~0.6重量パーセント、又は0.02~0.5重量パーセントなどの間のパーセント範囲で脱気剤を含む。
【0050】
いくつかの実施形態では、樹脂バインダー配合物は、硬化前に、分散剤を0.01~1重量パーセント含み、又はその間の任意のパーセント範囲、例えば、0.01~0.9重量パーセント、0.01~0.8重量パーセント、0.01~0.7重量パーセント、0.01~0.6重量パーセント、0.01~0.5重量パーセント、0.015~1重量パーセント、0.015~0.9重量パーセント、0.015~0.8重量パーセント、0.015~0.7重量パーセント、0.015~0.6重量パーセント、0.015~0.5重量パーセント、0.02~1重量パーセント、0.02~0.9重量パーセント、0.02~0.8重量パーセント、0.02~0.7重量パーセント、0.02~0.6重量パーセント、又は0.02~0.5重量パーセントなどの間のパーセント範囲で分散剤を含む。
【0051】
いくつかの実装形態では、樹脂は紫外線(UV)硬化性、電子ビーム(EB)硬化性、又はその両方であり、樹脂バインダー配合物は、硬化前に、光開始剤を0.4~5重量パーセント含み、又は任意のパーセント範囲、たとえば、0.4~4.5重量パーセント、0.4~4重量パーセント、0.5~5重量パーセント、0.5~4.5重量パーセント、0.5~4重量パーセント、0.8~5重量パーセント、0.8~4.5重量パーセント、0.8~4重量パーセント、1~5重量パーセント、1~4.5重量パーセント、1~4重量パーセント、1.5~5重量パーセント、1.5~4.5重量パーセント、1.5~4重量パーセント、2~5重量パーセント、2~4.5重量パーセント、又は光開始剤の2~4重量パーセントなどのパーセント範囲で光開始剤を含む。
【0052】
他の実施形態では、樹脂バインダー配合物は、硬化前に、触媒を0.4~5重量パーセント含み、又はその間の任意のパーセント範囲、例えば、0.4~4.5重量パーセント、0.4~4重量パーセント、0.5~5重量パーセント、0.5~4.5重量パーセント、0.5~4重量パーセント、0.8~5重量パーセント、0.8~4.5重量パーセント、0.8~4重量パーセント、1~5重量パーセント、1~4.5重量パーセント、1~4重量パーセント、1.5~5重量パーセント、1.5~4.5重量パーセント、1.5~4重量パーセント、2~5重量パーセント、2~4.5重量パーセント、又は2~4重量パーセントなどのパーセント範囲で触媒を含む。
【0053】
いくつかの非限定的な実施形態では、樹脂バインダー層は、90~100%硬化されているか、又はその間の任意のパーセント範囲、例えば、90~99%、90~98%、90~97%、90~96%、92~100%、92~99%、92~98%、92~97%、92~96%、94~100%、94~99%、94~98%、94~97%、94~96%、95~100%、95~99%、95~98%、95~97%、95~96%、100%で硬化される。
【0054】
いくつかの非限定的な実施形態では、2つ以上の染色可能なトップコート層がサーモフォイルシートに貼り付けられる。これらの実施形態では、第1の染色可能なトップコート層が最上層であり、多孔剤の量は、第2の染色可能なトップコート層よりも第1の染色可能なトップコート層において多い。いくつかの非限定的な実装形態では、印刷シリンダーを使用して第1の染色可能なトップコート層にパターンを塗布して、最終表面にパターンを作成するが、第2の染色可能なトップコート層にはパターンを塗布しない。
【0055】
いくつかの非限定的な実施形態では、第1の染色可能なトップコート層の樹脂バインダー配合物は、硬化前に、約50重量パーセントの多孔剤を含む。他の非限定的な実施において、第1の染色可能なトップコート層の樹脂バインダー配合物は、硬化前に、第1の多孔剤を40~60重量パーセント含み、又はその間の任意のパーセンテージ値、例えば、41~59%、42~58%、43~57%、44~56%、又は45~55%などの範囲のパーセンテージ値を含む。
【0056】
いくつかの非限定的な実施において、第2の染色可能なトップコート層の樹脂バインダー配合物は、硬化前に、第2の多孔剤を15~40重量パーセント含み、又はその間の任意のパーセンテージ値、例えば、15~35%、15~30%、15~25%、20~40%、20~35%、20~30%、25~40%、25~35%、25~30%、又は30~40%などの範囲含む。
【0057】
第1及び/又は第2の多孔剤150の非限定的な例としては、炭酸カルシウム(例えば、沈殿炭酸カルシウム)、結晶シリカ(例えば、微結晶シリカ、シリカ、及びケイ酸塩無機物)、カオリンクレー、タルク;塗料やコート剤の製造に一般的に使用される他の無機物;染色剤が樹脂バインダー層120に浸透することで、硬化樹脂バインダー表面に多孔性特性をもたらすことができるような別の薬剤、又はそれらの組み合わせなど、が挙げられる。シリカには、未処理シリカ、処理済みシリカ、又はその両方が含まれる。
【0058】
いくつかの実施形態では、第1及び/又は第2の多孔剤150のうちの少なくとも1つは、炭酸カルシウム、カオリンクレー、シリカ、及びタルクからなる群から選択される。他の実施形態では、第1及び/又は第2の多孔剤150のうちの少なくとも1つは、カオリンクレー、シリカ、及びタルクからなる群から選択される。さらに他の実施形態では、第1及び/又は第2の多孔剤150は、カオリンクレー及びタルクからなる群から選択される。
【0059】
いくつかの非限定的な実施形態では、染色剤を染色可能な熱成形シートに塗布する。さらなる非限定的な実施形態においては、1つ以上の追加のコート剤を、その染色剤の後に塗布する。染色剤の後に塗布する、追加のコート剤の非限定的な例としては、樹脂、透明シーラーなどが挙げられる(一旦シーラーを染色可能なトップコート層の上に塗布すると、熱成形シートは染色できなくなる)。
【0060】
本発明を、さらに限定的な解釈をすべきでない図及び特許請求の範囲により例示する。本出願を通して引用されたすべての参考文献、特許、及び公開特許出願の内容、並びに図は、すべての目的のためにその全体を参照により本明細書に援用する。
【0061】
実施例
図1~4は、染色可能なサーモフォイル製品100の非限定的な例を示す。例示の染色可能なサーモフォイル製品100は、サーモフォイルシート130と、サーモフォイルシート130の表面に塗布された1つ以上の染色可能な樹脂バインダー層120とを含む。実施形態では、1つの染色可能な樹脂バインダー層120が存在する(図1及び2)。他の非限定的な実施形態では、2つの染色可能な樹脂バインダー層が存在する(図3及び4)。さらに他の非限定的な実施形態では、3つ以上の染色可能な樹脂バインダー層が存在する(示されていない)。
【0062】
いくつかの非限定的な実施形態では、染色可能なサーモフォイル製品100は、基板110をさらに含む(図2及び4)。サーモフォイルシート130は、例えば、熱成形されるか、又は熱溶融接着剤を介して基板110上に貼り付けられる。多くの非限定的な実施形態において、サーモフォイルシート130は、ポリ塩化ビニル(PVC)シート、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)シート、ポリエチレンテレフタレート(PET)シート、又はセルロース紙である。
【0063】
市場で入手可能な「完全な」サーモフォイル製品とは、出願人により開示される前では、染色及び/又は透明な仕上がりを保持するように設計されていない完成品であることが意図される。しかしながら、本染色可能なサーモフォイル製品には、染色性や透明な仕上がりを維持できるような、開孔した多孔性の表面が備わる。特定の理論に拘束されることを望まないが、無機物及び添加剤を含む樹脂バインダー層120を製造プロセス中にサーモフォイルに塗布することで、開孔性の多孔性の表面が作成される。さらに、多孔性表面は物理的に硬化するため、下地プリントに影響を与えることなく、最終層を研磨することができる。
【0064】
サーモフォイルシート130を基板110へ接着するのは、フォイルの裏側に塗布される熱溶融接着剤によりなされるか、又は実際にフォイルの裏側及びその一部に接着剤を塗布し、フォイルを基板に貼り付けることによって行われる。無機物を含む樹脂バインダー層をサーモフォイルの表面に塗布した後で、あらかじめ成型及び切断しておいた輪郭の表面にフォイルを巻き付けて形成することができる。染色可能なサーモフォイルは、加熱プレス及び低温プレスの両方プロセスにおいて基板に適用できる。
【0065】
図5~8では、染色可能な樹脂バインダー層120の非限定的な例を示す。いくつかの非限定的な実施形態では、染色可能な樹脂バインダー層120は、1つの多孔剤150(図5及び7の150、151)のみを含む。他の非限定的な実施形態では、染色可能な樹脂バインダー層120は、2つの多孔剤150(図6の150、151及び150、152及び図8の第1の染色可能なトップコート層)を含む。さらなる非限定的な実施形態において、染色可能な樹脂バインダー層120は、3つ以上の多孔剤150(図示せず)を含む。いくつかの非限定的な実施形態では、樹脂バインダー層120とは、最終の、最上層である。他の非限定的な実施形態では、樹脂バインダー層120は、2つ以上の層を含む。
【0066】
いくつかの実施形態では、染色可能なサーモフォイル製品100は、染色可能な樹脂バインダー層120を含み、そして、その染色可能な樹脂バインダー層120は、サーモフォイルシートの表面に少なくとも1つの多孔剤150を含むエネルギー硬化性樹脂124を塗布することにより形成される。
【0067】
染色可能なトップコート層120は、エネルギー硬化性樹脂124及び硬化後に塗布する後続の染色剤の両方を吸収するに足る十分な多孔剤150を含む。熱成形シート130は、ポリ塩化ビニル(PVC)シート、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)シート、ポリエチレンテレフタレート(PET)シート、又はセルロース紙である。PVC及びABSシートはプラスチックであるため、染色剤を吸収しない。セルロース紙は染色剤を吸収するが、均一に吸収されないため、紙表面に印刷された画像が歪んでしまう。特定の理論に拘束されることを望まないが、1つ以上の多孔剤150(無機物添加剤)がCPVCの達成点まで添加される場合、1つ以上の多孔剤150は樹脂によって完全には潤わない。その結果、染色可能な樹脂バインダー層120を塗布した後でも表面は「開いた」ままで、よって染色剤を吸収することができる。吸収量及び吸収場所は、大量の多孔剤150を含む染色可能なトップコート層120を塗布することによって制御できるので(例えば、染色可能なトップコートの1つを印刷することに基づいて)、再現性の高い、実際の基板を業界向けに量産することができる。
【0068】
いくつかの非限定的な実施形態では、多孔剤を含まないシーラーを、染色可能なトップコート層の下方に塗布する。基板は封止されてしまうので、染色剤はシーラーを越えてサーモフォイルシート130に到達することはできない。さらなる非限定的な実施において、染色可能なトップコート層120は、サーモフォイルシート130上にパターンとして印刷される。
【0069】
染色可能なサーモフォイル製品100を作成する上で、多孔剤150を様々な異なる方法を使って多孔剤150を寄与させることができる。染色剤が、樹脂バインダー層120の全体に分散し、染色剤の浸透した多孔剤150により、最終的にシート130に到達するための経路が提供され、そこでシート130は染色剤を浸透させ、分散させ、保持される。そして多孔剤150自体が染色剤を吸い込むので、樹脂バインダー層120の全体にわたってより多くの色を追加することができる。実験によれば、エネルギー硬化性樹脂124に対する多孔剤150の顔料体積濃度が、エネルギー硬化性樹脂124の臨界顔料体積濃度に達するか、又はそれを超える場合に、しばしば深みのある、かつ均一な染色剤浸透が起こることが分かった。熱硬化性ポリマー樹脂124の臨界顔料体積濃度は、多くの場合、多孔剤150の物理的及び化学的特性、及びこれらの特性がどのようにエネルギー硬化性樹脂124と相互作用するか、に依存する。したがって、エネルギー硬化性樹脂124の臨界顔料体積濃度は、異なる多孔剤150間で変化することが理解される。
【0070】
図9~10は、染色可能なサーモフォイル製品を製造する非限定的な例を示している。いくつかの非限定的な実施形態では、本方法には多孔剤150(960)を含む染色可能なトップコート層をサーモフォイルシートの表面に塗布し、続いてサーモフォイルシート(970)を硬化することが含まれる。
【0071】
他の非限定的な実施形態では、本プロセスは、押し出しプロセス、例えば、PVC又はABSを薄い連続シート(910)に押し出すことから始まる。一部の非限定的な実装では、シート幅は10mm~2500mmである。次に、シートは二次処理(920)用にロールに巻かれる。一旦PVC又はABSが正常に押し出されて巻き取られると、ロールは機械にかけられて展開され(930)、接着性と均一な色を出すため前処理される(940)。その後、インクがシート(950)に塗布される。特定の非限定的な実装形態では、インクは、UV硬化性の、溶剤系又は水系インクを使ったグラビア印刷を介して塗布されるか、又は他の非限定的な実装では、インクは、UV硬化性インクを使用する高速デジタル印刷で塗布される。木目又は合成木目プリント調に印刷した後、製品は1つ以上のトップコート剤でコーティングされる(960)。特定の非限定的な実装形態では、UV硬化性トップコート剤又は空気硬化性トップコート剤が使用される。その後、シートを硬化させる(970)。すべての層からなるフォイルが完成したら、製品をエンボス加工して木目調にするか、ロールに巻き直して顧客の仕様に合わせたサイズにカットする。
【0072】
いくつかの非限定的な実施形態では、加工可能なシートを、染色可能なトップコート層を塗布する前に、基板上にて加工する。例えば、図10を参照されたい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】