(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-30
(54)【発明の名称】酢酸ルサラチド組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 38/16 20060101AFI20220523BHJP
A61P 17/02 20060101ALI20220523BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20220523BHJP
A61K 9/19 20060101ALI20220523BHJP
C07K 14/745 20060101ALI20220523BHJP
【FI】
A61K38/16 ZNA
A61P17/02
A61P43/00 105
A61K9/19
C07K14/745
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021560725
(86)(22)【出願日】2020-03-31
(85)【翻訳文提出日】2021-12-02
(86)【国際出願番号】 US2020025973
(87)【国際公開番号】W WO2020210087
(87)【国際公開日】2020-10-15
(32)【優先日】2019-04-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】521448260
【氏名又は名称】アファームド ファーマ,エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】AFFIRMED PHARMA,LLC
【住所又は居所原語表記】10709 Ehlers Road,Conroe,Texas 77302 (US)
(74)【代理人】
【識別番号】100180781
【氏名又は名称】安達 友和
(74)【代理人】
【識別番号】100182903
【氏名又は名称】福田 武慶
(72)【発明者】
【氏名】ウェザースプーン,ジョン ケー.
(72)【発明者】
【氏名】ヒックス,ジェーン リー
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4H045
【Fターム(参考)】
4C076AA11
4C076AA36
4C076BB01
4C076BB11
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4C076FF63
4C084BA01
4C084BA08
4C084BA18
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4C084BA26
4C084MA02
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4C084ZB22
4H045AA10
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA17
4H045CA42
4H045DA65
4H045EA20
4H045FA30
4H045FA33
(57)【要約】
本発明は、23アミノ酸モノマー(「Monomer(単量体)」)、2つの23アミノ酸Monomer(単量体)のダイマー(「Dimer(二量体)」)、またはMonomer(単量体)とDimer(二量体)の任意の組み合わせを含む酢酸ルサラチド組成物、製剤、および剤形(ここで、任意の比、割合、またはパーセンテージのMonomer(単量体)とDimer(二量体)が、前記組成物、製剤、および剤形中に存在し得る)に関する。本発明は、酢酸ルサラチドおよびその任意の医薬的に許容される塩も幅広く包含する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
安定なポリペプチド組成物であって、
(a)Ala-Gly-Tyr-Lys-Pro-Asp-Glu-Gly-Lys-Arg-Gly-Asp-Ala-Cys-Glu-Gly-Asp-Ser-Gly-Gly-Pro-Phe-Val(配列番号1)を含む23アミノ酸ポリペプチド(前記ポリペプチドは、医薬品の製造および品質管理に関する基準(Good Manufacturing Practice)(GMP)の要件に従って合成および精製されており、ここで、前記組成物は、活性酸素種、エンドトキシン、有機溶媒、分解不純物、および酸化還元活性遷移金属不純物を本質的に含まない)、
および
(b)少なくとも1つの医薬的に許容される賦形剤、
を含み、
ここで、前記組成物は、無菌的条件下で調製され、吸湿剤と共に保管され、さらにここで、前記組成物は、安定であり、遮光されており、さらにここで、前記組成物は、非反応性の無水パージ剤に曝露した後に包装および密封され、
さらにここで、前記組成物の安定性は、少なくとも前記組成物の強制分解分析、前記組成物中の含水量分析、対イオン定量分析、および生物汚染度試験の組み合わせに基づいて決定される、
安定なポリペプチド組成物。
【請求項2】
前記ポリペプチドが、凍結乾燥されている、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記パージ剤が、窒素である、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記組成物が、無菌投与のために製剤化されている、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記パージ剤が、アルゴンである、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
抗酸化剤を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
安定なポリペプチド組成物であって、
(a)Ala-Gly-Tyr-Lys-Pro-Asp-Glu-Gly-Lys-Arg-Gly-Asp-Ala-Cys-Glu-Gly-Asp-Ser-Gly-Gly-Pro-Phe-Val(配列番号1)を含む23アミノ酸ポリペプチド(前記ポリペプチドは、医薬品の製造および品質管理に関する基準(Good Manufacturing Practice)(GMP)の要件に従って合成および精製されており、ここで、前記組成物は、活性酸素種、エンドトキシン、有機溶媒、分解不純物、および酸化還元活性遷移金属不純物を本質的に含まない)、
(b)2つのポリペプチド(それぞれ、配列Ala-Gly-Tyr-Lys-Pro-Asp-Glu-Gly-Lys-Arg-Gly-Asp-Ala-Cys-Glu-Gly-Asp-Ser-Gly-Gly-Pro-Phe-Val(配列番号1)を有する)を含むペプチドダイマー(ここで、前記2つのポリペプチドは、ジスルフィド結合によって共有結合している)、および
(c)水性キャリアー、
を含み、
さらにここで、前記組成物は、無菌的条件下で調製される。
さらにここで、前記組成物の安定性は、少なくとも前記組成物の強制分解分析、対イオン定量分析、および生物汚染度試験に基づいて決定される、
安定なポリペプチド組成物。
【請求項8】
前記組成物が、活性酸素種、エンドトキシン、有機溶媒、分解不純物、および酸化還元活性遷移金属不純物を少なくとも90パーセント含まない、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
前記組成物が、無菌投与のために製剤化されている、請求項7に記載の組成物。
【請求項10】
前記組成物が、1回使用液体剤形として製剤化されている、請求項7に記載の組成物。
【請求項11】
抗酸化剤を含む、請求項7に記載の組成物。
【請求項12】
安定なポリペプチド組成物であって、
(a)Ala-Gly-Tyr-Lys-Pro-Asp-Glu-Gly-Lys-Arg-Gly-Asp-Ala-Cys-Glu-Gly-Asp-Ser-Gly-Gly-Pro-Phe-Val(配列番号1)を含む23アミノ酸ポリペプチド(前記ポリペプチドは、医薬品の製造および品質管理に関する基準(Good Manufacturing Practice)(GMP)の要件に従って合成および精製されており、ここで、前記組成物は、活性酸素種、エンドトキシン、有機溶媒、分解不純物、および酸化還元活性遷移金属不純物を本質的に含まない)、
(b)2つのポリペプチド(それぞれ、配列Ala-Gly-Tyr-Lys-Pro-Asp-Glu-Gly-Lys-Arg-Gly-Asp-Ala-Cys-Glu-Gly-Asp-Ser-Gly-Gly-Pro-Phe-Val(配列番号1)を有する)を含むペプチドダイマー(ここで、前記2つのポリペプチドは、ジスルフィド結合によって共有結合している)、および
(c)少なくとも1つの医薬的に許容される賦形剤、
を含み、
ここで、前記組成物は、安定であり、遮光され、無菌的条件下で調製され、
さらにここで、前記組成物の安定性は、少なくとも前記組成物の強制分解分析、前記組成物中の含水量分析、対イオン定量分析、および生物汚染度試験の組み合わせによって決定される、
安定なポリペプチド組成物。
【請求項13】
前記組成物が、活性酸素種、エンドトキシン、有機溶媒、分解不純物、および酸化還元活性遷移金属不純物を少なくとも90パーセント含まない、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
前記組成物が、局所投与のために製剤化されている、請求項12に記載の組成物。
【請求項15】
前記組成物が、経口投与のために製剤化されている、請求項12に記載の組成物。
【請求項16】
前記組成物が、無菌投与のために製剤化されている、請求項12に記載の組成物。
【請求項17】
前記組成物が、無菌の注射可能送達のために製剤化されている、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
抗酸化剤を含む、請求項12に記載の組成物。
【請求項19】
前記組成物が、1回使用液体剤形として製剤化されている、請求項12に記載の組成物。
【請求項20】
Ala-Gly-Tyr-Lys-Pro-Asp-Glu-Gly-Lys-Arg-Gly-Asp-Ala-Cys-Glu-Gly-Asp-Ser-Gly-Gly-Pro-Phe-Val(配列番号1)を含む23アミノ酸ポリペプチドの安定性を高める方法であって、
前記ポリペプチドの安定性に対する大気酸素、活性酸素種、含水量、キャリアー、pH、温度、凍結融解(FT)サイクル、前記ポリペプチドの構造のコンホメーション変化、バッファー組成、対イオン、賦形剤、無菌性、粘性、露光量、生物汚染度、および酸化還元活性遷移金属不純物の効果についての情報を同時に収集すること、
前記ポリペプチドの安定性に対する大気酸素、活性酸素種、含水量、キャリアー、pH、温度、凍結融解(FT)サイクル、前記ポリペプチドの構造のコンホメーション変化、バッファー組成、対イオン、賦形剤、無菌性、粘性、露光量、生物汚染度、および酸化還元活性遷移金属不純物の効果についての情報を分析すること;および
前記ポリペプチドの安定性が高められるように、前記分析に基づいて、少なくとも1つの安定性最適化手順を行うこと、
を含む、方法。
【請求項21】
それぞれが配列Ala-Gly-Tyr-Lys-Pro-Asp-Glu-Gly-Lys-Arg-Gly-Asp-Ala-Cys-Glu-Gly-Asp-Ser-Gly-Gly-Pro-Phe-Val(配列番号1)を有する2つのポリペプチドを有するペプチドダイマー(ここで、前記2つのポリペプチドは、ジスルフィド結合によって共有結合している)の安定性を高める方法であって、
前記ペプチドダイマーの安定性に対する大気酸素、活性酸素種、含水量、キャリアー、pH、温度、凍結融解(FT)サイクル、前記ペプチドダイマーの構造のコンホメーション変化、バッファー組成、対イオン、賦形剤、無菌性、粘性、露光量、生物汚染度、および酸化還元活性遷移金属不純物の効果についての情報を同時に収集すること、
前記ペプチドダイマーの安定性に対する大気酸素、活性酸素種、含水量、キャリアー、pH、温度、凍結融解(FT)サイクル、前記ペプチドダイマーの構造のコンホメーション変化、バッファー組成、対イオン、賦形剤、無菌性、粘性、露光量、生物汚染度、および酸化還元活性遷移金属不純物の効果についての情報を分析すること;および
前記ペプチドダイマーの安定性が高められるように、前記分析に基づいて、少なくとも1つの安定性最適化手順を行うこと、
を含む、方法。
【請求項22】
Ala-Gly-Tyr-Lys-Pro-Asp-Glu-Gly-Lys-Arg-Gly-Asp-Ala-Cys-Glu-Gly-Asp-Ser-Gly-Gly-Pro-Phe-Val(配列番号1)を含む23アミノ酸ポリペプチドの安定性を高めるためのシステムであって、
前記ポリペプチドの安定性に対する大気酸素、活性酸素種、含水量、キャリアー、pH、温度、凍結融解(FT)サイクル、前記ポリペプチドの構造のコンホメーション変化、バッファー組成、対イオン、賦形剤、無菌性、粘性、露光量、生物汚染度、および酸化還元活性遷移金属不純物の効果についての情報を同時に収集する、
前記ポリペプチドの安定性に対する大気酸素、活性酸素種、含水量、キャリアー、pH、温度、凍結融解(FT)サイクル、前記ポリペプチドの構造のコンホメーション変化、バッファー組成、対イオン、賦形剤、無菌性、粘性、露光量、生物汚染度、および酸化還元活性遷移金属不純物の効果についての情報の分析を行う;および
前記ポリペプチドの安定性が高められるように、前記分析に基づいて、少なくとも1つの安定性最適化手順を行う
ためのコンポーネントを含み、
さらに、少なくとも1つのプロセッサー、および前記ポリペプチドの安定性に対する大気酸素、活性酸素種、含水量、キャリアー、pH、温度、凍結融解(FT)サイクル、前記ポリペプチドの構造のコンホメーション変化、バッファー組成、対イオン、賦形剤、無菌性、粘性、露光量、生物汚染度、および酸化還元活性遷移金属不純物の効果についての情報を保存するための少なくとも1つのメモリー記憶装置を含む、
システム。
【請求項23】
それぞれが配列Ala-Gly-Tyr-Lys-Pro-Asp-Glu-Gly-Lys-Arg-Gly-Asp-Ala-Cys-Glu-Gly-Asp-Ser-Gly-Gly-Pro-Phe-Val(配列番号1)を有する2つのポリペプチドを有するペプチドダイマー(ここで、前記2つのポリペプチドは、ジスルフィド結合によって共有結合している)の安定性を高めるためのシステムであって、
前記ペプチドダイマーの安定性に対する大気酸素、活性酸素種、含水量、キャリアー、pH、温度、凍結融解(FT)サイクル、前記ペプチドダイマーの構造のコンホメーション変化、バッファー組成、対イオン、賦形剤、無菌性、粘性、露光量、生物汚染度、および酸化還元活性遷移金属不純物の効果についての情報を同時に収集する、
前記ペプチドダイマーの安定性に対する大気酸素、活性酸素種、含水量、キャリアー、pH、温度、凍結融解(FT)サイクル、前記ペプチドダイマーの構造のコンホメーション変化、バッファー組成、対イオン、賦形剤、無菌性、粘性、露光量、生物汚染度、および酸化還元活性遷移金属不純物の効果についての情報を分析する;および
前記ペプチドダイマーの安定性が高められるように、前記分析に基づいて、少なくとも1つの安定性最適化手順を行う
ためのコンポーネントを含み、
さらに、少なくとも1つのプロセッサー、および前記ペプチドダイマーの安定性に対する大気酸素、活性酸素種、含水量、キャリアー、pH、温度、凍結融解(FT)サイクル、前記ペプチドダイマーの構造のコンホメーション変化、バッファー組成、対イオン、賦形剤、無菌性、粘性、露光量、生物汚染度、および酸化還元活性遷移金属不純物の効果についての情報を保存するための少なくとも1つのメモリー記憶装置を含む、
システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本PCT国際特許出願は、2019年4月12日に出願された米国仮出願第62/832997号に対する優先権を主張する。
【0002】
配列表に関する言及
本PCT出願に関係する配列表は、テキスト形式で提供され、これによって、参照により本明細書に組み入れられる。この配列表を含むテキストファイルの名称は、APharma2020SequenceListing.txtである。このテキストファイルは333バイトであり、2020年3月30日に作成され、EFS-Webによって電子的に提出されている。
【0003】
本発明は、23アミノ酸モノマー(「Monomer(単量体)」)、2つの23アミノ酸Monomer(単量体)のダイマー(「Dimer(二量体)」)、またはMonomer(単量体)とDimer(二量体)の任意の組み合わせを含む酢酸ルサラチド組成物、製剤、および剤形(ここで、任意の比、割合、またはパーセンテージのMonomer(単量体)とDimer(二量体)が、前記組成物、製剤、および剤形中に存在し得る)に関する。本発明は、酢酸ルサラチドおよびその任意の医薬的に許容される塩も幅広く包含する。
【背景技術】
【0004】
血液凝固活性で知られる多機能酵素であるトロンビンは、重要な細胞増殖因子であることも報告されている。トロンビンは、血管新生を促進し、また内皮細胞増殖を刺激することが示されている。トロンビンペプチド誘導体は、少なくとも部分的にトロンビンのアミノ酸配列に由来するアミノ酸配列を有する分子であり、ある特定のトロンビン受容体において活性を示す。トロンビンペプチド誘導体は、非タンパク分解的に活性化されたトロンビン受容体(以下、「NPAR」)として知られている高親和性の細胞表面トロンビン受容体に結合することよって細胞を活性化すると考えられている。NPARを刺激する化合物は、トロンビン受容体アゴニストと呼ばれる。NPAR活性化は、例えば、分裂促進的濃度未満のトロンビンまたはプロテインキナーゼCを活性化する分子の存在下で線維芽細胞に加えた場合に細胞増殖を刺激する分子の能力、またはトロンビン受容体に対する高アフィニティー結合について125I-トロンビンと競合する分子の能力に基づいて分析することができる。
【0005】
非タンパク分解的に活性化されたトロンビン受容体のアゴニスト、すなわちNPARアゴニスト(このアゴニストは、ある特定のポリペプチドまたはトロンビンペプチド誘導体を含み得る)は、変性疾患の治療においても有用であり得る。NPARアゴニストは、軟骨増殖の刺激のためにも有用であり得る。さらに、ある特定のトロンビン由来ペプチドは、皮膚潰瘍の治療において有用であり得、骨成長の刺激においても有用であり得る。さらに、ある特定のポリペプチドまたはトロンビンペプチド誘導体は、内皮機能障害の治療においても有用であり得る。ある特定のポリペプチドまたはトロンビンペプチド誘導体は、内皮細胞、線維芽細胞、およびケラチノサイトの増殖を刺激することもまた示されている。
【0006】
ヒトプロトロンビンのアミノ酸508~530由来のトロンビンペプチド誘導体は、トロンビン受容体介在性細胞刺激の促進、創傷の治療における使用、および血管新生の刺激についても記述されている。これらのポリペプチドは、その生物学的活性ゆえに、医薬品としての大きな可能性を示す。酢酸ルサラチドは、そのような例の1つである。
【0007】
しかしながら、長い間感じられながら満たされていない、著しく改善された酢酸ルサラチド組成物、製剤、および剤形の必要性が存在している。治療的ペプチドの送達における課題は、一般にペプチド分子の構造にあり、ペプチド分子は、化学的および物理的に不安定であり;加水分解および酸化を受けやすく;凝集する傾向があり;半減期が短く、急速に排出され;かつ通常は経口的に利用することができない。酢酸ルサラチドについて、これらの課題によって、30年あまり前に発見されて以来、潜在的に治療効果が高い医薬品の臨床的な実用化が阻まれてきた。酢酸ルサラチドの発見以来、他の人々は、酢酸ルサラチドの安定化された製剤の重要性と意義を全く認識することができないままであり、したがって、他の人々は、酢酸ルサラチドの安定化された製剤を開発することができずにいる。本発明は、この非常に重要な、長い間感じられながら満たされていない、局所、注射可能、および経口送達用の安定な酢酸ルサラチド剤形の必要性、ならびに他のあらゆる全ての酢酸ルサラチド剤形および送達または投与経路の必要性を満たし、よって、必要とする非常に多くの患者のために酢酸ルサラチドを使用することが可能になる。
【発明の概要】
【0008】
本発明のある特定の実施形態は、23アミノ酸モノマー(「Monomer(単量体)」)、2つの23アミノ酸Monomer(単量体)のダイマー(「Dimer(二量体)」)、またはMonomer(単量体)とDimer(二量体)(これらは、組成物中に、任意の時点で、任意の比、割合、またはパーセンテージで存在し得る)の組み合わせを含む、酢酸ルサラチド組成物の安定性を高める方法を提供する。
【0009】
好ましい実施形態によれば、本発明は、(i)酢酸ルサラチドまたは(ii)Monomer(単量体)、Dimer(二量体)、もしくはMonomer(単量体)とDimer(二量体)の任意の組み合わせを含む酢酸ルサラチド組成物、製剤、もしくは剤形、または(iii)(i)と(ii)の両方の安定性を高める方法を意図しており、前記方法は、少なくとも1つのパラメーターに関する物理的な非抽象的情報を集め、前記少なくとも1つのパラメーターが安定性に影響するか否かを決定すること;情報の物理的な非抽象的分析を行うこと;および前記分析に基づいて、前記(i)酢酸ルサラチドまたは(ii)前記酢酸ルサラチド組成物、または(iii)(i)と(ii)の両方の安定性が高められるように少なくとも1つの物理的な非抽象的安定性最適化手順を行うこと、を含む。
【0010】
好ましい実施形態によれば、本発明は、少なくとも1つのパラメーターに関する物理的な非抽象的情報を集め、前記少なくとも1つのパラメーターが前記Monomer(単量体)の安定性に影響するか否かを決定すること;情報の物理的な非抽象的分析を行うこと;および前記分析に基づき、前記Monomer(単量体)の安定性が高められるように少なくとも1つの物理的な非抽象的安定性最適化手順を行うこと、を含む、Monomer(単量体)の安定性を高める方法を意図している。
【0011】
好ましい実施形態によれば、本発明は、少なくとも2つのパラメーターに関する物理的な非抽象的情報を集め、前記少なくとも2つのパラメーターが前記Monomer(単量体)の安定性に影響するか否かを決定すること;情報の物理的な非抽象的分析を行うこと;および前記分析に基づいて、前記Monomer(単量体)の安定性が高められるように少なくとも1つの物理的な非抽象的安定性最適化手順を行うこと、を含む、Monomer(単量体)の安定性を高める方法を意図している。
【0012】
好ましい実施形態によれば、本発明は、少なくとも3つのパラメーターに関する物理的な非抽象的情報を集め、前記少なくとも3つのパラメーターが前記Monomer(単量体)の安定性に影響するか否かを決定すること;情報の物理的な非抽象的分析を行うこと;および前記分析に基づいて、前記Monomer(単量体)の安定性が高められるように少なくとも1つの物理的な非抽象的安定性最適化手順を行うこと、を含む、Monomer(単量体)の安定性を高める方法を意図している。
【0013】
好ましい実施形態によれば、本発明は、少なくとも1つのパラメーターに関する物理的な非抽象的情報を集め、前記少なくとも1つのパラメーターが前記Dimer(二量体)の安定性に影響するか否かを決定すること;情報の物理的な非抽象的分析を行うこと;および前記分析に基づいて、前記Dimer(二量体)の安定性が高められるように少なくとも1つの物理的な非抽象的安定性最適化手順を行うこと、を含む、Dimer(二量体)の安定性を高める方法を意図している。
【0014】
好ましい実施形態によれば、本発明は、少なくとも2つのパラメーターに関する物理的な非抽象的情報を集め、前記少なくとも2つのパラメーターが前記Dimer(二量体)の安定性に影響するか否かを決定すること;情報の物理的な非抽象的分析を行うこと;および前記分析に基づいて、前記Dimer(二量体)の安定性が高められるように少なくとも1つの物理的な非抽象的安定性最適化手順を行うこと、を含む、Dimer(二量体)の安定性を高める方法を意図している。
【0015】
好ましい実施形態によれば、本発明は、少なくとも3つのパラメーターに関する物理的な非抽象的情報を集め、前記少なくとも3つのパラメーターが前記Dimer(二量体)の安定性に影響するか否かを決定すること;情報の物理的な非抽象的分析を行うこと;および前記分析に基づいて、前記Dimer(二量体)の安定性が高められるように少なくとも1つの物理的な非抽象的安定性最適化手順を行うこと、を含む、Dimer(二量体)の安定性を高める方法を意図している。
【0016】
好ましい実施形態によれば、本発明は、少なくとも1つの物理的な非抽象的コンピューターベース計測システムを含む、Monomer(単量体)の安定性を高めるためのシステムを意図しており、ここで、前記少なくとも1つの物理的な非抽象的コンピューターベース計測システムは、少なくとも1つのパラメーターに関して収集された物理的な非抽象的情報を集めて処理するために動作可能であり、前記パラメーターは、前記Monomer(単量体)の安定性に影響し;さらにここで、前記少なくとも1つの物理的な非抽象的コンピューターベース計測システムは、少なくとも1つのパラメーターに関する物理的な非抽象的分析を行うために動作可能であり;さらにここで、少なくとも1つの物理的な非抽象的コンピューターベース計測システムは、前記分析に基づいて、前記Monomer(単量体)の安定性が高められるように少なくとも1つの物理的な非抽象的安定性最適化手順を行うために動作可能である。
【0017】
好ましい実施形態によれば、本発明は、少なくとも1つの物理的な非抽象的コンピューターベース計測システムを含む、Monomer(単量体)の安定性を高めるためのシステムを意図しており、ここで、前記少なくとも1つの物理的な非抽象的コンピューターベース計測システムは、少なくとも2つのパラメーターに関して収集された物理的な非抽象的情報を集めて処理するために動作可能であり、前記パラメーターは、前記Monomer(単量体)の安定性に影響し;さらにここで、前記少なくとも1つの物理的な非抽象的コンピューターベース計測システムは、少なくとも2つのパラメーターに関する物理的な非抽象的分析を行うために動作可能であり;さらにここで、少なくとも1つの物理的な非抽象的コンピューターベース計測システムは、前記分析に基づいて、前記Monomer(単量体)の安定性が高められるように少なくとも1つの物理的な非抽象的安定性最適化手順を行うために動作可能である。
【0018】
好ましい実施形態によれば、本発明は、少なくとも1つの物理的な非抽象的コンピューターベース計測システムを含む、23アミノ酸モノマー(「Monomer(単量体)」)の安定性を高めるためのシステムを意図しており、ここで、前記少なくとも1つの物理的な非抽象的コンピューターベース計測システムは、少なくとも3つのパラメーターに関して収集された物理的な非抽象的情報を集めて処理するために動作可能であり、前記パラメーターは、前記Monomer(単量体)の安定性に影響し;さらにここで、前記少なくとも1つの物理的な非抽象的コンピューターベース計測システムは、少なくとも3つのパラメーターに関する物理的な非抽象的分析を行うために動作可能であり;さらにここで、少なくとも1つの物理的な非抽象的コンピューターベース計測システムは、前記分析に基づいて、前記Monomer(単量体)の安定性が向上するように少なくとも1つの物理的な非抽象的安定性最適化手順を行うために動作可能である。
【0019】
好ましい実施形態によれば、本発明は、少なくとも1つの物理的な非抽象的コンピューターベース計測システムを含む、2つの23アミノ酸Monomer(単量体)のダイマー(「Dimer(二量体)」)の安定性を高めるためのシステムを意図しており、ここで、前記少なくとも1つの物理的な非抽象的コンピューターベース計測システムは、少なくとも1つのパラメーターに関して収集された物理的な非抽象的情報を集めて処理するために動作可能であり、前記パラメーターは、前記Dimer(二量体)の安定性に影響し;さらにここで、前記少なくとも1つの物理的な非抽象的コンピューターベース計測システムは、少なくとも1つのパラメーターに関する物理的な非抽象的分析を行うために動作可能であり;さらにここで、少なくとも1つの物理的な非抽象的コンピューターベース計測システムは、前記分析に基づいて、前記Dimer(二量体)の安定性が向上するように少なくとも1つの物理的な非抽象的安定性最適化手順を行うために動作可能である。
【0020】
好ましい実施形態によれば、本発明は、少なくとも1つの物理的な非抽象的コンピューターベース計測システムを含む、Dimer(二量体)の安定性を高めるためのシステムを意図しており、ここで、前記少なくとも1つの物理的な非抽象的コンピューターベース計測システムは、少なくとも2つのパラメーターに関して収集された物理的な非抽象的情報を集めて処理するために動作可能であり、前記パラメーターは、前記Dimer(二量体)の安定性に影響し;さらにここで、前記少なくとも1つの物理的な非抽象的コンピューターベース計測システムは、少なくとも2つのパラメーターに関する物理的な非抽象的分析を行うために動作可能であり;さらにここで、少なくとも1つの物理的な非抽象的コンピューターベース計測システムは、前記分析に基づいて、前記Dimer(二量体)の安定性が向上するように少なくとも1つの物理的な非抽象的安定性最適化手順を行うために動作可能である。
【0021】
好ましい実施形態によれば、本発明は、少なくとも1つの物理的な非抽象的コンピューターベース計測システムを含む、Dimer(二量体)の安定性を高めるためのシステムを意図しており、ここで、前記少なくとも1つの物理的な非抽象的コンピューターベース計測システムは、少なくとも3つのパラメーターに関して収集された物理的な非抽象的情報を集めて処理するために動作可能であり、前記パラメーターは、前記Dimer(二量体)の安定性に影響し;さらにここで、前記少なくとも1つの物理的な非抽象的コンピューターベース計測システムは、少なくとも3つのパラメーターに関する物理的な非抽象的分析を行うために動作可能であり;さらにここで、少なくとも1つの物理的な非抽象的コンピューターベース計測システムは、前記分析に基づいて、前記Dimer(二量体)の安定性が向上するように少なくとも1つの物理的な非抽象的安定性最適化手順を行うために動作可能である。
【0022】
好ましい実施形態によれば、本発明は、23アミノ酸モノマー(「Monomer(単量体)」)、2つの23アミノ酸Monomer(単量体)のダイマー(「Dimer(二量体)」)、またはMonomer(単量体)とDimer(二量体)の任意の組み合わせ(ここで、任意の比、割合、またはパーセンテージのMonomer(単量体)とDimer(二量体)が、前記組成物中に存在し得る)を含む酢酸ルサラチド組成物の安定性を高めるためのシステムもまた意図しており、前記システムは、少なくとも1つの物理的な非抽象的コンピューターベース計測システムを含み、ここで、前記少なくとも1つの物理的な非抽象的コンピューターベース計測システムの動作は、任意の適切な人工知能(A.I.)または機械学習テクノロジーの動作を含み、さらにここで、前記少なくとも1つの物理的な非抽象的コンピューターベース計測システムは、本明細書に記載されているように、本発明の方法および動作を具体的に行うために重要であり必要とされる少なくとも1つのコンピューターハードウェアアーキテクチャーまたはマイクロアーキテクチャーの物理コンポーネントを含む。前記少なくとも1つの物理的な非抽象的コンピューターベース計測システムの動作は、それらに限定されないが、
(i)少なくとも1つのパラメーターに関して収集された物理的な非抽象的情報を集めて処理すること(ここで、前記パラメーターは、前記Monomer(単量体)、前記Dimer(二量体)、前記組成物、またはそれらの任意の組み合わせの安定性に影響する);
(ii)少なくとも1つのパラメーターに関する物理的な非抽象的分析を行うこと;および
(iii)前記分析に基づいて、前記Monomer(単量体)、前記Dimer(二量体)、前記組成物、またはそれらの任意の組み合わせの安定性が高められるように少なくとも1つの物理的な非抽象的安定性最適化手順を行うこと、
を含む。
【0023】
さらに別の好ましい実施形態によれば、本発明は、少なくとも1つの物理的な非抽象的コンピューターベース計測システムを含む、Monomer(単量体)の安定性を高めるためのシステムもまた意図しており、ここで、前記少なくとも1つの物理的な非抽象的コンピューターベース計測システムの動作は、任意の適切な人工知能(A.I.)または機械学習テクノロジーの動作を含み、さらにここで、前記少なくとも1つの物理的な非抽象的コンピューターベース計測システムは、本明細書に記載されているように、本発明の方法および動作を具体的に行うために重要であり必要とされる少なくとも1つのコンピューターハードウェアアーキテクチャーまたはマイクロアーキテクチャーの物理コンポーネントを含む。前記少なくとも1つの物理的な非抽象的コンピューターベース計測システムの動作は、それらに限定されないが、以下の(i)~(iii):
(i)少なくとも1つのパラメーターに関して収集された物理的な非抽象的情報(ここで、前記パラメーターは、前記Monomer(単量体)の安定性に影響する)を集めて処理すること;
(ii)少なくとも1つのパラメーターに関する物理的な非抽象的分析を行うこと;および
(iii)前記分析に基づいて、前記Monomer(単量体)の安定性が高められるように少なくとも1つの物理的な非抽象的安定性最適化手順を行うこと、
を含む。
【0024】
本明細書に記載されているように、好ましい実施形態によれば、前記少なくとも1つの物理的な非抽象的コンピューターベース計測システムは、本発明の方法および動作を具体的に行うために重要であり必要とされる少なくとも1つのコンピューターハードウェアのアーキテクチャーまたはマイクロアーキテクチャーの物理コンポーネントを含む。少なくとも1つの物理的な非抽象的コンピューターベース計測システムを必要とする本発明の方法および動作は、好ましくは、任意の種類の適切なソフトウェアシステムまたは高水準プログラミング言語、および任意の種類のコンピューターハードウェアシステム、ネットワークシステム、または他のプラットフォームを使用して実行することができる。非限定的な例として、高水準プログラミング言語としては、例えば、それらに限定されないが、C、C++、Pascal、Perl、Cobol、Java、およびPythonがあげられる。
【0025】
本明細書で使用する場合、用語「コンピューターハードウェア」は、好ましくは、ソースプログラムを「走らせる」または実行するために必要とされ、かつそのコンピューターを人が使用することを可能にする、コンピューターシステムの全ての必要なコンポーネントを含むことが意図されている。非限定的例として、ハードウェアコンポーネントとしては、それらに限定されないが、電源装置、マザーボード、ハードディスク、グラフィックカード、ランダムアクセスメモリー(RAM)、および他のハードウェアコンポーネントがあげられる。追加のハードウェアコンポーネントとしては、例えば、キーボード、マウス、スピーカーなどがあげられ得る。また、本発明の方法は、それらに限定されないが、プロセッサー、前記プロセッサーのためのメモリー記憶装置、接続されたディスプレイデバイスおよび入力装置を含むコンピューターコンポーネントを含む、任意の種類のコンピューターシステムの動作によって実行され得ることも意図されている。さらに、本発明の方法は、また、例えば、1つまたはそれを超えるリモートファイルサーバー、コンピューターサーバー、および/またはメモリー記憶装置を含む、異種の分散コンピューティング環境中のコンピューターコンポーネントの動作によっても実行され得る。これらの分散コンピューティングコンポーネントのそれぞれは、通信ネットワークを介して前記プロセッサーによるアクセスが可能であり、通信ネットワークとしては、それに限定されないが、インターネットがあげられ得る。
【0026】
本発明は、プロセスとして、器具、システム、デバイス、方法、コンピューター可読媒体、またはそれらの任意の組み合わせを含む、多数のやり方で実施可能であることを理解すべきである。本発明のいくつかの発明的実施形態は、本明細書に記載されている。
【0027】
別の好ましい実施形態によれば、本発明は、本明細書に記載されているように、Monomer(単量体)の安定性を高めるためのシステムも意図しており、ここで、前記少なくとも1つの物理的な非抽象的コンピューターベース計測システムの動作は、それらに限定されないが、
(i)少なくとも3つのパラメーターに関して収集された物理的な非抽象的情報(ここで、前記3つのパラメーターのそれぞれは、前記Monomer(単量体)の安定性に影響する)を集めて処理すること;
(ii)少なくとも3つのパラメーターに関する物理的な非抽象的分析を行うこと;および
(iii)前記分析に基づいて、前記Monomer(単量体)の安定性が高められるように少なくとも1つの物理的な非抽象的安定性最適化手順を行うこと、
を含む。
【0028】
さらに別の好ましい実施形態によれば、本発明は、少なくとも1つの物理的な非抽象的コンピューターベース計測システムを含む、Dimer(二量体)の安定性を高めるためのシステムもまた意図しており、ここで、前記少なくとも1つの物理的な非抽象的コンピューターベース計測システムの動作は、任意の適切な人工知能(A.I.)または機械学習テクノロジーの動作を含み、さらにここで、前記少なくとも1つの物理的な非抽象的コンピューターベース計測システムは、本明細書に記載されているように、本発明の方法および動作を具体的に行うために重要であり必要とされる少なくとも1つのコンピューターハードウェアアーキテクチャーまたはマイクロアーキテクチャーの物理コンポーネントを含む。前記少なくとも1つの物理的な非抽象的コンピューターベース計測システムの動作は、それらに限定されないが、以下の(i)~(iii):
(i)少なくとも1つのパラメーターに関して収集された物理的な非抽象的情報(ここで、前記パラメーターは、前記Dimer(二量体)の安定性に影響する)を集めて処理すること;
(ii)少なくとも1つのパラメーターに関する物理的な非抽象的分析を行うこと;および
(iii)前記分析に基づいて、前記Dimer(二量体)の安定性が高められるように少なくとも1つの物理的な非抽象的安定性最適化手順を行うこと、
を含む。
【0029】
別の好ましい実施形態によれば、本発明は、本明細書に記載されているように、Dimer(二量体)の安定性を高めるためのシステムも意図しており、ここで、前記少なくとも1つの物理的な非抽象的コンピューターベース計測システムの動作は、それらに限定されないが、以下の(i)~(iii):
(i)少なくとも5つのパラメーターに関して収集された物理的な非抽象的情報(ここで、前記5つのパラメーターのそれぞれは、前記Dimer(二量体)の安定性に影響する)を集めて処理すること;
(ii)少なくとも5つのパラメーターに関する物理的な非抽象的分析を行うこと;および
(iii)前記分析に基づいて、前記Dimer(二量体)の安定性が高められるように少なくとも1つの物理的な非抽象的安定性最適化手順を行うこと、
を含む。
【0030】
別の実施形態によれば、本発明は、Monomer(単量体)、Dimer(二量体)、またはMonomer(単量体)とDimer(二量体)の任意の組み合わせ(ここで、任意の比、割合、またはパーセンテージのMonomer(単量体)とDimer(二量体)が、前記組成物中に存在し得る)を含む酢酸ルサラチド組成物の安定性を高める方法を提供し、ここで、前記方法は、
前記組成物を調製するプロセスの間に第1のパラメーターを最適化すること;
前記組成物を調製する前記プロセスの間に第2のパラメーターを最適化すること;および
前記組成物を調製する前記プロセスの間に第3のパラメーターを最適化すること、
を含み、
ここで、前記第1、第2、および第3のパラメーターの最適化によって、前記組成物の安定性が高められる。
【0031】
別の好ましい実施形態によれば、本発明は、Monomer(単量体)、Dimer(二量体)、またはそれらの任意の組み合わせを含む酢酸ルサラチド組成物、製剤、および剤形(ここで、任意の比、割合、またはパーセンテージのMonomer(単量体)とDimer(二量体)が、前記組成物、製剤、および剤形中に存在し得る)もまた意図しており、さらにここで、前記酢酸ルサラチド製剤、医薬組成物、または剤形の安定性は、本発明の前記方法およびシステムによって高められる。
【0032】
別の好ましい実施形態によれば、本発明は、Monomer(単量体)、Dimer(二量体)、またはMonomer(単量体)とDimer(二量体)の任意の組み合わせを含む酢酸ルサラチド組成物、製剤、もしくは剤形(ここで、任意の比、割合、またはパーセンテージのMonomer(単量体)とDimer(二量体)が、前記組成物、製剤、もしくは剤形中に存在し得る)による治療を必要とする対象を治療する方法もまた意図しており、さらにここで、前記組成物、製剤、もしくは剤形の安定性は、本発明の前記方法およびシステムによって高められる。
【0033】
別の好ましい実施形態によれば、本発明は、Monomer(単量体)を含む医薬組成物もまた意図しており、ここで、前記Monomer(単量体)の安定性は、本発明の前記方法およびシステムによって高められる。
【0034】
別の好ましい実施形態によれば、本発明は、治療を必要とする対象をMonomer(単量体)で治療する方法もまた意図しており、ここで、前記Monomer(単量体)の安定性は、本発明の前記方法およびシステムによって高められる。
【0035】
別の好ましい実施形態によれば、本発明は、Dimer(二量体)を含む医薬組成物もまた意図しており、ここで、前記Dimer(二量体)の安定性は、本発明の前記方法およびシステムによって高められる。
【0036】
別の好ましい実施形態によれば、本発明は、治療を必要とする対象をDimer(二量体)で治療する方法もまた意図しており、ここで、前記Dimer(二量体)の安定性は、本発明の前記方法およびシステムによって高められる。
【0037】
好ましい実施形態によれば、本発明は、安定化された形態の酢酸ルサラチド23アミノ酸モノマー(「Monomer(単量体)」)もまた意図しており、ここで、安定性は、そのポリペプチド鎖中のペプチド模倣挿入物を使用することによって高められる。
【0038】
好ましい実施形態によれば、本発明は、安定な医薬にできる形態の酢酸ルサラチド23アミノ酸モノマー(「Monomer(単量体)」)もまた意図しており、ここで、前記安定な医薬にできる形態は、結晶形態である。
【0039】
好ましい実施形態によれば、本発明は、酢酸ルサラチド23アミノ酸モノマー(「Monomer(単量体)」)の多形の結晶形態もまた意図しており、前記Monomer(単量体)は、いくつかの異なる結晶形態で存在し得る。
【0040】
好ましい実施形態によれば、本発明は、Dimer(二量体)の安定化された形態もまた意図しており、ここで、安定性は、そのポリペプチド鎖中のペプチド模倣挿入物を使用することによって高められる。
【0041】
好ましい実施形態によれば、本発明は、Dimer(二量体)の安定な医薬にできる形態もまた意図しており、ここで、前記安定な医薬にできる形態は、結晶形態である。
【0042】
好ましい実施形態によれば、本発明は、Dimer(二量体)の多形の結晶形態もまた意図しており、前記Dimer(二量体)は、いくつかの異なる結晶形態で存在し得る。
【0043】
好ましい実施形態において、本発明は、安定なポリペプチド組成物(「組成物W」)を意図しており、
(a)Ala-Gly-Tyr-Lys-Pro-Asp-Glu-Gly-Lys-Arg-Gly-Asp-Ala-Cys-Glu-Gly-Asp-Ser-Gly-Gly-Pro-Phe-Val(配列番号1)を含む23アミノ酸ポリペプチド(前記ポリペプチドは、医薬品の製造および品質管理に関する基準(Good Manufacturing Practice)(GMP)の要件に従って合成及び精製されており、ここで、前記組成物は、活性酸素種、エンドトキシン、有機溶媒、分解不純物、および酸化還元活性遷移金属不純物を本質的に含まない)、
および
(b)少なくとも1つの医薬的に許容される賦形剤、
を含み、
ここで、前記組成物は、無菌的条件下で調製され、吸湿剤と共に保管され、さらにここで、前記組成物は、安定であり、遮光されており、さらにここで、前記組成物は、非反応性の無水パージ剤に曝露した後に包装および密封され、
さらにここで、前記組成物の安定性は、少なくとも前記組成物の強制分解分析、前記組成物中の含水量分析、対イオン定量分析、および生物汚染度試験の組み合わせに基づいて決定される。
【0044】
さらに別の実施形態において、本発明は、本明細書に記載される酢酸ルサラチド組成物を意図しており、前記ポリペプチドが、凍結乾燥されている。
【0045】
さらに別の実施形態において、本発明は、本明細書に記載される酢酸ルサラチド組成物を意図しており、前記パージ剤が、窒素である。
【0046】
さらに別の実施形態において、本発明は、本明細書に記載される酢酸ルサラチド組成物を意図しており、前記組成物が、無菌投与のために製剤化されている。
【0047】
さらに別の実施形態において、本発明は、本明細書に記載される酢酸ルサラチド組成物を意図しており、前記パージ剤が、アルゴンである。
【0048】
さらに別の実施形態において、本発明は、本明細書に記載される酢酸ルサラチド組成物を意図しており、抗酸化剤を含む。
【0049】
さらに別の好ましい実施形態において、本発明は、酢酸ルサラチド組成物(「組成物X」)を意図しており、
(a)Ala-Gly-Tyr-Lys-Pro-Asp-Glu-Gly-Lys-Arg-Gly-Asp-Ala-Cys-Glu-Gly-Asp-Ser-Gly-Gly-Pro-Phe-Val(配列番号1)を含む23アミノ酸ポリペプチド(前記ポリペプチドは、医薬品の製造および品質管理に関する基準(Good Manufacturing Practice)(GMP)の要件に従って合成及び精製されており、さらに、ここで、前記組成物は、活性酸素種、エンドトキシン、有機溶媒、分解不純物、および酸化還元活性遷移金属不純物を本質的に含まない)、
(b)それぞれがアミノ酸配列Ala-Gly-Tyr-Lys-Pro-Asp-Glu-Gly-Lys-Arg-Gly-Asp-Ala-Cys-Glu-Gly-Asp-Ser-Gly-Gly-Pro-Phe-Val(配列番号1)を有する2つのポリペプチドを含むペプチドダイマー(ここで、前記ポリペプチドは、ジスルフィド結合によって共有結合している)、および
(c)水性キャリアー、
を含み、
さらにここで、前記組成物は、無菌的条件下で調製される。
さらにここで、前記組成物の安定性は、少なくとも前記組成物の強制分解分析、対イオン定量分析、および生物汚染度試験の組み合わせに基づいて決定される、
【0050】
さらに別の実施形態において、本発明は、上記の「組成物X」を意図しており、前記組成物が、活性酸素種、エンドトキシン、有機溶媒、分解不純物、および酸化還元活性遷移金属不純物を少なくとも90パーセント含まない。
【0051】
さらに別の実施形態において、本発明は、上記の「組成物X」を意図しており、前記組成物が、無菌投与のために製剤化されている。
【0052】
さらに別の実施形態において、本発明は、上記の「組成物X」を意図しており、前記組成物が、1回使用液体剤形として製剤化されている。
【0053】
さらに別の実施形態において、本発明は、上記の「組成物X」を意図しており、抗酸化剤を含む。
【0054】
さらに別の好ましい実施形態において、本発明は、安定なポリペプチド組成物(「組成物Y」)を意図しており、
(a)Ala-Gly-Tyr-Lys-Pro-Asp-Glu-Gly-Lys-Arg-Gly-Asp-Ala-Cys-Glu-Gly-Asp-Ser-Gly-Gly-Pro-Phe-Val(配列番号1)を含む23アミノ酸ポリペプチド(前記ポリペプチドは、医薬品の製造および品質管理に関する基準(Good Manufacturing Practice)(GMP)の要件に従って合成及び精製されており、ここで、前記組成物は、活性酸素種、エンドトキシン、有機溶媒、分解不純物、および酸化還元活性遷移金属不純物を本質的に含まない)、
(b)それぞれがアミノ酸配列Ala-Gly-Tyr-Lys-Pro-Asp-Glu-Gly-Lys-Arg-Gly-Asp-Ala-Cys-Glu-Gly-Asp-Ser-Gly-Gly-Pro-Phe-Val(配列番号1)を有する2つのポリペプチドを含むペプチドダイマー(ここで、前記ポリペプチドは、ジスルフィド結合によって共有結合している)、および
(c)少なくとも1つの医薬的に許容される賦形剤、
を含み、
ここで、前記組成物は、安定であり、遮光されており、無菌的条件下で調製され、
さらにここで、前記組成物の安定性は、少なくとも前記組成物の強制分解分析、前記組成物中の含水量分析、対イオン定量分析、および生物汚染度試験の組み合わせに基づいて決定される。
【0055】
さらに別の好ましい実施形態において、本発明は、「組成物Y」を意図しており、前記組成物が、活性酸素種、エンドトキシン、有機溶媒、分解不純物、および酸化還元活性遷移金属不純物を少なくとも90パーセント含まない。
【0056】
さらに別の実施形態において、本発明は、上記の「組成物Y」を意図しており、前記組成物は、局所投与のために製剤化されている。
【0057】
さらに別の実施形態において、本発明は、上記の「組成物Y」を意図しており、前記組成物が、無菌投与のために製剤化されている。
【0058】
さらに別の実施形態において、本発明は、上記の「組成物Y」を意図しており、前記組成物が、無菌の注射可能送達のために製剤化されている。
【0059】
さらに別の実施形態において、本発明は、上記の「組成物Y」を意図しており、、抗酸化剤を含む。
【0060】
さらに別の実施形態において、本発明は、上記したように、「組成物Y」を意図しており、ここで、前記組成物は、1回使用液体剤形として製剤化されている。
【0061】
本発明は、23アミノ酸モノマー(「Monomer(単量体))、2つの23アミノ酸モノマーのダイマー(「Dimer(二量体)」)、またはMonomer(単量体)とDimer(二量体)の任意の組み合わせ(これらは、任意の時点で、前記酢酸ルサラチド組成物、製剤、および剤形の任意の比、割合、またはパーセンテージで存在し得る)を含む酢酸ルサラチド組成物、製剤、および剤形であって、活性酸素種、エンドトキシン、有機溶媒、分解不純物、および酸化還元活性遷移金属不純物を少なくとも70パーセント含まない、組成物、製剤、および剤形もまた意図している。
【0062】
本発明は、Monomer(単量体)、Dimer(二量体)、またはMonomer(単量体)とDimer(二量体)の任意の組み合わせ(これらは、任意の時点で、前記酢酸ルサラチド組成物、製剤、および剤形の任意の比、割合、またはパーセンテージで存在し得る)を含む酢酸ルサラチド組成物、製剤、および剤形であって、活性酸素種、エンドトキシン、有機溶媒、分解不純物、および酸化還元活性遷移金属不純物を少なくとも75パーセント含まない、組成物、製剤、および剤形もまた意図している。
【0063】
本発明は、Monomer(単量体)、Dimer(二量体)、またはMonomer(単量体)とDimer(二量体)の任意の組み合わせ(これらは、任意の時点で、前記酢酸ルサラチド組成物、製剤、および剤形の任意の比、割合、またはパーセンテージで存在し得る)を含む酢酸ルサラチド組成物、製剤、および剤形であって、活性酸素種、エンドトキシン、有機溶媒、分解不純物、および酸化還元活性遷移金属不純物を少なくとも80パーセント含まない、組成物、製剤、および剤形もまた意図している。
【0064】
本発明は、Monomer(単量体)、Dimer(二量体)、またはMonomer(単量体)とDimer(二量体)の任意の組み合わせ(これらは、任意の時点で、前記酢酸ルサラチド組成物、製剤、および剤形の任意の比、割合、またはパーセンテージで存在し得る)を含む酢酸ルサラチド組成物、製剤、および剤形であって、活性酸素種、エンドトキシン、有機溶媒、分解不純物、および酸化還元活性遷移金属不純物を少なくとも85パーセント含まない、組成物、製剤、および剤形もまた意図している。
【0065】
本発明は、Monomer(単量体)、Dimer(二量体)、またはMonomer(単量体)とDimer(二量体)の任意の組み合わせ(これらは、任意の時点で、前記酢酸ルサラチド組成物、製剤、および剤形の任意の比、割合、またはパーセンテージで存在し得る)を含む酢酸ルサラチド組成物、製剤、および剤形であって、活性酸素種、エンドトキシン、有機溶媒、分解不純物、および酸化還元活性遷移金属不純物を少なくとも90パーセント含まない、組成物、製剤、および剤形もまた意図している。
【0066】
本発明は、Monomer(単量体)、Dimer(二量体)、またはMonomer(単量体)とDimer(二量体)の任意の組み合わせ(これらは、任意の時点で、前記酢酸ルサラチド組成物、製剤、および剤形の任意の比、割合、またはパーセンテージで存在し得る)を含む酢酸ルサラチド組成物、製剤、および剤形であって、活性酸素種、エンドトキシン、有機溶媒、分解不純物、および酸化還元活性遷移金属不純物を少なくとも95パーセント含まない、組成物、製剤、および剤形もまた意図している。
【0067】
本発明は、Monomer(単量体)、Dimer(二量体)、またはMonomer(単量体)とDimer(二量体)の任意の組み合わせ(これらは、任意の時点で、前記酢酸ルサラチド組成物、製剤、および剤形の任意の比、割合、またはパーセンテージで存在し得る)を含む酢酸ルサラチド組成物、製剤、および剤形であって、活性酸素種、エンドトキシン、有機溶媒、分解不純物、および酸化還元活性遷移金属不純物を少なくとも98パーセント含まない、組成物、製剤、および剤形もまた意図している。
【0068】
本発明は、Monomer(単量体)、Dimer(二量体)、またはMonomer(単量体)とDimer(二量体)の任意の組み合わせ(これらは、任意の時点で、前記酢酸ルサラチド組成物、製剤、および剤形の任意の比、割合、またはパーセンテージで存在し得る)を含む酢酸ルサラチド組成物、製剤、および剤形であって、活性酸素種、エンドトキシン、有機溶媒、分解不純物、および酸化還元活性遷移金属不純物を少なくとも99パーセント含まない、組成物、製剤、および剤形もまた意図している。
【0069】
本発明は、
(a)Ala-Gly-Tyr-Lys-Pro-Asp-Glu-Gly-Lys-Arg-Gly-Asp-Ala-Cys-Glu-Gly-Asp-Ser-Gly-Gly-Pro-Phe-Val(配列番号1)を含む23アミノ酸ポリペプチド(ここで、前記ポリペプチドは、医薬品の製造および品質管理に関する基準(Good Manufacturing Practice)(GMP)の要件に従って合成および精製され、さらにここで、前記組成物は、活性酸素種、エンドトキシン、有機溶媒、分解不純物、および酸化還元活性遷移金属不純物を少なくとも90パーセント含まない)、
および
(b)少なくとも1つの医薬的に許容される賦形剤、
を含む酢酸ルサラチド組成物もまた意図しており、
ここで、前記組成物は、無菌的条件下で調製され、吸湿剤と共に保管され、さらにここで、前記組成物は、安定であり、遮光されており、さらにここで、前記組成物は、非反応性の無水パージ剤に曝露した後に包装および密封され、
さらにここで、前記組成物の安定性は、少なくとも前記組成物の強制分解分析、前記組成物中の含水量分析、対イオン定量分析、および生物汚染度試験の組み合わせに基づいて決定される。
【0070】
本発明は、
(a)Ala-Gly-Tyr-Lys-Pro-Asp-Glu-Gly-Lys-Arg-Gly-Asp-Ala-Cys-Glu-Gly-Asp-Ser-Gly-Gly-Pro-Phe-Val(配列番号1)を含む23アミノ酸ポリペプチド(ここで、前記ポリペプチドは、医薬品の製造および品質管理に関する基準(Good Manufacturing Practice)(GMP)の要件に従って合成および精製され、さらにここで、前記組成物は、活性酸素種、エンドトキシン、有機溶媒、分解不純物、および酸化還元活性遷移金属不純物を少なくとも90パーセント含まない)、
(b)それぞれが配列Ala-Gly-Tyr-Lys-Pro-Asp-Glu-Gly-Lys-Arg-Gly-Asp-Ala-Cys-Glu-Gly-Asp-Ser-Gly-Gly-Pro-Phe-Val(配列番号1)を有する2つのポリペプチドを有するペプチドダイマー(ここで、前記ポリペプチドは、ジスルフィド結合によって共有結合している)、および
(c)水性キャリアー、
を含む酢酸ルサラチド組成物もまた意図しており、
さらにここで、前記組成物は、無菌的条件下で調製される。
さらにここで、前記組成物の安定性は、少なくとも前記組成物の強制分解分析、対イオン定量分析、および生物汚染度試験に基づいて決定される。
【0071】
本発明は、
(a)Ala-Gly-Tyr-Lys-Pro-Asp-Glu-Gly-Lys-Arg-Gly-Asp-Ala-Cys-Glu-Gly-Asp-Ser-Gly-Gly-Pro-Phe-Val(配列番号1)を含む23アミノ酸ポリペプチド(ここで、前記ポリペプチドは、医薬品の製造および品質管理に関する基準(Good Manufacturing Practice)(GMP)の要件に従って合成および精製され、さらにここで、前記組成物は、活性酸素種、エンドトキシン、有機溶媒、分解不純物、および酸化還元活性遷移金属不純物を少なくとも90パーセント含まない)、
(b)2つのポリペプチド(それぞれ、配列Ala-Gly-Tyr-Lys-Pro-Asp-Glu-Gly-Lys-Arg-Gly-Asp-Ala-Cys-Glu-Gly-Asp-Ser-Gly-Gly-Pro-Phe-Val(配列番号1)を有する)を有するペプチドダイマー(ここで、前記ポリペプチドは、ジスルフィド結合によって共有結合している)、および
(c)少なくとも1つの医薬的に許容される賦形剤、
を含む酢酸ルサラチド組成物もまた意図しており、
ここで、前記組成物は、安定であり、遮光され、無菌的条件下で調製され、
さらにここで、前記組成物の安定性は、少なくとも前記組成物の強制分解分析、前記組成物中の含水量分析、対イオン定量分析、および生物汚染度試験の組み合わせによって決定される。
【0072】
さらに別の実施形態において、本発明は、Ala-Gly-Tyr-Lys-Pro-Asp-Glu-Gly-Lys-Arg-Gly-Asp-Ala-Cys-Glu-Gly-Asp-Ser-Gly-Gly-Pro-Phe-Val(配列番号1)を含む23アミノ酸ポリペプチドの安定性を高める方法を意図しており、前記方法は、
前記ポリペプチドの安定性に対する大気酸素、活性酸素種、含水量、キャリアー、pH、温度、凍結融解(FT)サイクル、前記ポリペプチドの構造のコンホメーション変化、バッファー組成、対イオン、賦形剤、無菌性、粘性、露光量、生物汚染度、および酸化還元活性遷移金属不純物の効果についての情報を同時に収集すること、
前記ポリペプチドの安定性に対する大気酸素、活性酸素種、含水量、キャリアー、pH、温度、凍結融解(FT)サイクル、前記ポリペプチドの構造のコンホメーション変化、バッファー組成、対イオン、賦形剤、無菌性、粘性、露光量、生物汚染度、および酸化還元活性遷移金属不純物の効果についての情報の分析を実行すること;および
前記ポリペプチドの安定性が高められるように、前記分析に基づいて、少なくとも1つの安定性最適化手順を行うこと、
を含む。
【0073】
さらに別の実施形態において、本発明は、それぞれがアミノ酸配列Ala-Gly-Tyr-Lys-Pro-Asp-Glu-Gly-Lys-Arg-Gly-Asp-Ala-Cys-Glu-Gly-Asp-Ser-Gly-Gly-Pro-Phe-Val(配列番号1)を有するポリペプチドを有するペプチドダイマー(ここで、前記2つのポリペプチドは、ジスルフィド結合によって共有結合している)の安定性を高める方法を意図しており、前記方法は、
前記ペプチドダイマーの安定性に対する大気酸素、活性酸素種、含水量、キャリアー、pH、温度、凍結融解(FT)サイクル、前記ペプチドダイマーの構造のコンホメーション変化、バッファー組成、対イオン、賦形剤、無菌性、粘性、露光量、生物汚染度、および酸化還元活性遷移金属不純物の効果についての情報を同時に収集すること、
前記ペプチドダイマーの安定性に対する大気酸素、活性酸素種、含水量、キャリアー、pH、温度、凍結融解(FT)サイクル、前記ペプチドダイマーの構造のコンホメーション変化、バッファー組成、対イオン、賦形剤、無菌性、粘性、露光量、生物汚染度、および酸化還元活性遷移金属不純物の効果についての情報の分析を実行すること;および
前記ペプチドダイマーの安定性が高められるように、前記分析に基づいて、少なくとも1つの安定性最適化手順を行うこと、
を含む。
【0074】
別の好ましい実施形態によると、本発明は、Ala-Gly-Tyr-Lys-Pro-Asp-Glu-Gly-Lys-Arg-Gly-Asp-Ala-Cys-Glu-Gly-Asp-Ser-Gly-Gly-Pro-Phe-Val(配列番号1)を含む23アミノ酸ポリペプチドの安定性を高めるためのシステムを提供し、前記システムは、
前記ポリペプチドの安定性に対する大気酸素、活性酸素種、含水量、キャリアー、pH、温度、凍結融解(FT)サイクル、前記ポリペプチドの構造のコンホメーション変化、バッファー組成、対イオン、賦形剤、無菌性、粘性、露光量、生物汚染度、および酸化還元活性遷移金属不純物の効果についての情報を同時に収集する、
前記ポリペプチドの安定性に対する大気酸素、活性酸素種、含水量、キャリアー、pH、温度、凍結融解(FT)サイクル、前記ポリペプチドの構造のコンホメーション変化、バッファー組成、対イオン、賦形剤、無菌性、粘性、露光量、生物汚染度、および酸化還元活性遷移金属不純物の効果についての情報の分析を実行すること;および
前記ポリペプチドの安定性が高められるように、前記分析に基づいて、少なくとも1つの安定性最適化手順を行う
ためのコンポーネントを含み、
さらに、少なくとも1つのプロセッサー、および前記ポリペプチドの安定性に対する大気酸素、活性酸素種、含水量、キャリアー、pH、温度、凍結融解(FT)サイクル、前記ポリペプチドの構造のコンホメーション変化、バッファー組成、対イオン、賦形剤、無菌性、粘性、露光量、生物汚染度、および酸化還元活性遷移金属不純物の効果についての情報を保存するための少なくとも1つのメモリー記憶装置を含む。
【0075】
別の好ましい実施形態によると、本発明は、それぞれがアミノ酸配列Ala-Gly-Tyr-Lys-Pro-Asp-Glu-Gly-Lys-Arg-Gly-Asp-Ala-Cys-Glu-Gly-Asp-Ser-Gly-Gly-Pro-Phe-Val(配列番号1)を有するポリペプチドを有するペプチドダイマー(ここで、前記2つのポリペプチドは、ジスルフィド結合によって共有結合している)の安定性を高めるためのシステムを提供し、前記システムは、
前記ペプチドダイマーの安定性に対する大気酸素、活性酸素種、含水量、キャリアー、pH、温度、凍結融解(FT)サイクル、前記ペプチドダイマーの構造のコンホメーション変化、バッファー組成、対イオン、賦形剤、無菌性、粘性、露光量、生物汚染度、および酸化還元活性遷移金属不純物の効果についての情報を同時に収集する、
前記ペプチドダイマーの安定性に対する大気酸素、活性酸素種、含水量、キャリアー、pH、温度、凍結融解(FT)サイクル、前記ペプチドダイマーの構造のコンホメーション変化、バッファー組成、対イオン、賦形剤、無菌性、粘性、露光量、生物汚染度、および酸化還元活性遷移金属不純物の効果についての情報の分析を実行すること;および
前記ペプチドダイマーの安定性が高められるように、前記分析に基づいて、少なくとも1つの安定性最適化手順を行う
ためのコンポーネントを含み、
さらに、少なくとも1つのプロセッサー、および前記ペプチドダイマーの安定性に対する大気酸素、活性酸素種、含水量、キャリアー、pH、温度、凍結融解(FT)サイクル、前記ペプチドダイマーの構造のコンホメーション変化、バッファー組成、対イオン、賦形剤、無菌性、粘性、露光量、生物汚染度、および酸化還元活性遷移金属不純物の効果についての情報を保存するための少なくとも1つのメモリー記憶装置を含む。
【0076】
本発明の追加の代表的な実施形態が、本明細書においてさらに詳細に検討されている。これらの代表的な実施形態は、いかなる意味においても、本発明の範囲を限定するものではないことを理解すべきである。本明細書に記載されている代表的な実施形態は、本発明の広範な範囲を例証するための例として提供されている。
【図面の簡単な説明】
【0077】
本発明のこれらの態様および他の態様、ならびに利点は、添付の図面と組み合わせて考慮すると、以下の説明から明らかになり、より容易に理解されるであろう。
【0078】
【
図1A】
図1Aは、1つの3D配向における前記Monomer(単量体)を示す。
【
図1B】
図1Bは、別の3D配向における前記Monomer(単量体)を示す。
【
図1C】
図1Cは、さらに別の3D配向における前記Monomer(単量体)を示す。
【
図2】
図2は、前記Monomer(単量体)配列に基づく前記Monomer(単量体)の電荷-pHマップの概略図を示す。
【
図3】
図3は、配列番号1を含む23アミノ酸ポリペプチドの安定性を高める代表的な方法に関連するステップの概略図を示す。
【
図4】
図4は、2つのポリペプチド(それぞれ、配列Ala-Gly-Tyr-Lys-Pro-Asp-Glu-Gly-Lys-Arg-Gly-Asp-Ala-Cys-Glu-Gly-Asp-Ser-Gly-Gly-Pro-Phe-Val(配列番号1)を有する)を有するペプチドダイマー(ここで、前記ポリペプチドは、ジスルフィド結合によって共有結合している)の安定性を高める代表的な方法に関連するステップの概略図を示す。
【
図5】
図5は、配列番号1を含む23アミノ酸ポリペプチドの安定性を高めるための代表的なシステムを示す概略図である。
【
図6】
図6は、2つのポリペプチド(それぞれ、配列Ala-Gly-Tyr-Lys-Pro-Asp-Glu-Gly-Lys-Arg-Gly-Asp-Ala-Cys-Glu-Gly-Asp-Ser-Gly-Gly-Pro-Phe-Val(配列番号1)を有する)を有するペプチドダイマー(ここで、前記ポリペプチドは、ジスルフィド結合によって共有結合している)の安定性を高めるための代表的なシステムを示す概略図である。
【
図7】
図7は、前記Dimer(二量体)についての構造式を表す。
【0079】
これらの図面は、本発明のある特定の非限定的な実施形態を例解する。これらの非限定的な実施形態は、いかなる意味においても、本発明の範囲を限定するものではない。
【発明を実施するための形態】
【0080】
本明細書における詳細な説明は、例示の目的で多くの詳細を含んでいるが、当業者は、以下の詳細に対する多くの変形および変更が、本発明の範囲内であることを理解するであろう。したがって、本発明の以下の実施形態は、本発明の広範な範囲に対して、一般性を一切失うことなく、かつ制限を課すことなく記載されている。ある特定の実施形態が本明細書に記載されているが、本発明の範囲を本明細書に記載されている実施形態に限定する意図はないことを理解すべきである。反対に、本発明の広範な範囲内の全ての変更、改変、および等価物を含むことを意図している。
【0081】
本明細書で使用する場合、語句「1つの実施形態において」、「種々の実施形態において」、「いくつかの実施形態において」などが繰り返し使用される。このような語句は、必ずしも同じ実施形態を指すものではない。
【0082】
別段の定義がない限り、本明細書で使用される全ての技術的および化学的用語は、当業者が一般に理解している通りの意味を有する。
【0083】
「対象」は、好ましくはヒトであるが、トロンビン受容体アゴニストまたはNPARアゴニストによる治療を必要とする非ヒト動物であってもよい。そのような動物としては、それらに限定されないが、コンパニオンアニマル(例えば、イヌ、ネコなど)、家畜(例えば、ウシ、ブタ、ウマなど)、および実験動物(例えば、ラット、マウス、モルモットなど)があげられ得る。本発明の酢酸ルサラチド製剤、医薬組成物、および
剤形は、ヒト臨床用途に使用し得、さらにまた、非ヒトの獣医学用途にも使用し得ることが意図されている。
【0084】
酢酸ルサラチド製剤、医薬組成物、または剤形による「治療を必要とする」対象としては、本発明に従って、酢酸ルサラチド製剤、医薬組成物、または剤形で治療し、有益な治療的または予防的結果を実現し得る疾患または状態を有する対象があげられる。有益な結果としては、例えば、徴候の重篤度の低下もしくは徴候の発現の遅延、寿命の延長、疾患もしくは状態のより早いもしくはより完全な回復、またはこれらの任意の組み合わせがあげられ得る。例えば、治療を必要とする対象は、有益な結果を実現するために、骨成長、血管新生、または創傷治癒を必要とし得る。
【0085】
本明細書で使用する場合、用語「安定な」、「安定な医薬組成物」、「安定性」、および「安定化された」(用語「安定な」の任意の他のバリエーションを含む)は、全て、23アミノ酸モノマー(「Monomer(単量体)」)、2つの23アミノ酸Monomer(単量体)のダイマー(「Dimer(二量体)」)、またはMonomer(単量体)とDimer(二量体)の任意の組み合わせを含む酢酸ルサラチド組成物、製剤、もしくは剤形の化学的および物理的な特徴および効力に本質的な変化または重大な変化がない状況または条件を幅広く指すことを意図している。安定性は、例えば、ある特定の期間にわたって測定することができる。「安定な」または「安定化された」酢酸ルサラチド組成物、製剤、もしくは剤形としては、したがって、例えば、正確で信頼できる分析的測定に基づいて、経時的に、化学的および物理的な特徴および効力の本質的な変化または重大な変化がない組成物、製剤、もしくは剤形があげられ得る。
【0086】
また、「安定な」、「安定性」、または「安定化された」に対する言及または議論がある場合は、いつでも、(i)酢酸ルサラチドまたは(ii)Monomer(単量体)、Dimer(二量体)、もしくはMonomer(単量体)とDimer(二量体)の任意の組み合わせを含む酢酸ルサラチド組成物、製剤、もしくは剤形、または(iii)(i)と(ii)の両方の安定性における何らかの変化が、前記(i)酢酸ルサラチドまたは(ii)Monomer(単量体)、Dimer(二量体)、もしくはMonomer(単量体)とDimer(二量体)の任意の組み合わせを含む酢酸ルサラチド組成物、製剤、もしくは剤形、または(iii)(i)と(ii)の両方の生物学的もしくは医薬的活性における対応する変化もまた生じさせ得ることも意図されている。例えば、Monomer(単量体)の前記安定性の減少または低下は、前記Monomer(単量体)の生物学的または医薬的活性における対応する減少または低下もまた生じさせ得る。
【0087】
本発明の1つの非限定的な例において、本発明の前記安定な医薬組成物は、米国FDAの要件を含む全ての規制上の要件(例えば、安定な医薬製品の分解が、2年間の期間にわたって約10パーセント(10%)を超えないという要件が含まれる)を満たす。
【0088】
また、本明細書の詳細な説明全体を通して、酢酸ルサラチドの安定性を高めることに関して、酢酸ルサラチド医薬組成物、剤形、および製剤中の酢酸ルサラチドの熱力学的および動力学的安定性を最適化し、かつ高めるためのステップを利用し得ることも意図されている。
【0089】
本明細書で使用する場合、用語「効力」は、所与の強度の効果(すなわち、酢酸ルサラチドを対象に投与した後の、薬理的効果または生物学的効果)を生じさせるために必要とされる酢酸ルサラチドの量に関して、酢酸ルサラチドが発現する活性の尺度を指すことを意図している。
【0090】
本明細書に記載されているように、酢酸ルサラチドは、トロンビンペプチド誘導体またはポリペプチドの1つの例である。酢酸ルサラチドは、ヒトプロトロンビンのアミノ酸508~530に対応する、合成の23アミノ酸ペプチドである。酢酸ルサラチドは、例えば、糖尿病性足部潰瘍の治療、創傷治癒、骨および軟骨形成の促進、骨折修復の促進;血管新生の促進;および他の多くの潜在的な臨床用途を含む、多数の潜在的な臨床用途を有する。
【0091】
酢酸ルサラチド
酢酸ルサラチドは、以下に説明および示される23アミノ酸Monomer(単量体)配列(「Monomer(単量体)」;本明細書において配列番号1として特定される)によって特定される。酢酸ルサラチドは、NPARアゴニスト(ここで、NPARは、「非タンパク分解的に活性化されたトロンビン受容体」を指す)として機能する。酢酸ルサラチドは、TP508とも呼ばれることを理解すべきである。したがって、本発明に従って、用語「TP508」は、用語「酢酸ルサラチド」と互換的に使用され得ることが明確に理解されよう。よって、例えば、「TP508を含有する医薬組成物」は、「酢酸ルサラチドを含有する医薬組成物」と互換的に使用され得ることが理解されよう。
【0092】
本説明全体を通して使用されているように、用語「酢酸ルサラチド組成物、製剤、もしくは剤形」は、本明細書で使用する場合、23アミノ酸モノマー(「Monomer(単量体)」;本明細書において配列番号1として同定される)、2つの23アミノ酸Monomer(単量体)のダイマー(「Dimer(二量体)」)、またはMonomer(単量体)とDimer(二量体)の任意の組み合わせ(ここで、任意の比、割合、またはパーセンテージのMonomer(単量体)とDimer(二量体)が、前記組成物、製剤、もしくは剤形中に存在し得る)を含む、任意の安全かつ有効な酢酸ルサラチド組成物、製剤、もしくは剤形を幅広く含むことが意図されていることを理解すべきである。本発明は、また、酢酸ルサラチドおよびその任意の医薬的に許容される塩を含む、安定な組成物、製剤、もしくは剤形も幅広く包含する。
【0093】
前記(I)23アミノ酸モノマー(「Monomer(単量体)」;本明細書において配列番号1として特定される)および(II)2つの23アミノ酸Monomer(単量体)のダイマー(「Dimer(二量体)」)を以下に示す。
【0094】
23アミノ酸Monomer(単量体)
前記23アミノ酸モノマーペプチド(「Monomer(単量体)」)は、以下のアミノ酸配列および一次構造を有する。
Ala-Gly-Tyr-Lys-Pro-Asp-Glu-Gly-Lys-Arg-Gly-Asp-Ala-Cys-Glu-Gly-Asp-Ser-Gly-Gly-Pro-Phe-Val
【0095】
前記23アミノ酸モノマーペプチドについての上記配列は、配列番号(Sequence ID Number)1(配列番号1)であり、以下および本開示の配列表に示されている。
AGYKPDEGKRGDACEGDSGGPFV(配列番号1)
【0096】
前記モノマーについての前記23アミノ酸配列は、また、1文字アミノ酸コードによって記述することもできる(上に示されている)。
【0097】
明確性のために、1文字アミノ酸コードの名称、および3文字アミノ酸コードの名称を以下に示す。
Aはアラニン(ALA)を表す
Rはアルギニン(ARG)を表す
Nはアスパラギン(ASN)を表す
Dはアスパラギン酸(ASP)を表す
Cはシステイン(CYS)を表す
Eはグルタミン酸(GLU)を表す
Qはグルタミン(GLN)を表す
Gはグリシン(GLY)を表す
Hはヒスチジン(HIS)を表す
Iはイソロイシン(ILE)を表す
Lはロイシン(LEU)を表す
Kはリジン(LYS)を表す
Mはメチオニン(MET)を表す
Fはフェニルアラニン(PHE)を表す
Pはプロリン(PRO)を表す
Sはセリン(SER)を表す
Tはスレオニン(THR)を表す
Wはトリプトファン(TRP)を表す
Yはチロシン(TYR)を表す
Vはバリン(VAL)を表す
【0098】
また、単純性および明確性のために、本明細書に記載されている前記23アミノ酸モノマー(配列番号1)は、本明細書において、「Monomer(単量体)」(すなわち、大文字で始まる用語「Monomer(単量体)」が本説明全体を通して使用される)とも呼ばれる。言い換えれば、本開示における「Monomer(単量体)」は、本開示に記載されている前記23アミノ酸モノマー(配列番号1)のみを指すことが意図されている。
【0099】
好ましい実施形態において、合成された形態の酢酸ルサラチドは、以下のように表すこともできる。
H-Ala-Gly-Tyr-Lys-Pro-Asp-Glu-Gly-Lys-Arg-Gly-Asp-Ala-Cys-Glu-Gly-Asp-Ser-Gly-Gly-Pro-Phe-Val-NH2
【0100】
Dimer(二量体)
23アミノ酸モノマーペプチド(あるいは、「Monomer(単量体)」)は、生理食塩水溶液中で自発的に二量体化し得ることが見出されている(これは、二量体化の1つの例にすぎない)。各23アミノ酸Monomer(単量体)がシステイン残基を含んでいるため、2つの23アミノ酸Monomer(単量体)は、ジスルフィド結合の形成によって、ダイマー(大文字で始まる用語「Dimer(二量体)」が本説明全体を通して使用される)を形成することができる。2つの23アミノ酸Monomer(単量体)の前記ダイマー(「Dimer(二量体)」)の構造式を、
図7に示す。
【0101】
再び、単純性および明確性のために、2つの23アミノ酸Monomer(単量体)のダイマーは、本説明全体を通して、「Dimer(二量体)」(すなわち、大文字で始まる用語「Dimer(二量体)」)とも呼ばれる。
【0102】
本発明の他の代表的な実施形態が、本明細書に記載されている。
【0103】
酢酸ルサラチド、またはその医薬的に許容される塩は、1つまたはそれを超える不斉中心、キラル軸、およびキラル平面を含み得、よって、エナンチオマー、ジアステレオマー、および他の立体異性形態を生じ得、またアミノ酸に関して(R)-もしくは(S)-など、または(D)-もしくは(L)-などの絶対立体配置によって規定され得る。本発明の好ましい実施形態において、酢酸ルサラチドの前記モノマーまたはダイマー形態は、天然の(L)体で存在する。本発明は、それら全てのあり得るアイソマー、ならびにそれらのラセミ形態および光学的純粋形態を含むことを意図している。光学活性な(+)および(-)、(R)-および(S)-、または(D)-および(L)-アイソマーは、キラルシントンまたはキラル試薬を使用して合成することができ、または逆相HPLCなどの通常の技術を使用して分割することができる。前記ラセミ混合物を合成した後に個々の光学異性体に分離することができ、またはこれらの光学異性体は、キラル合成によって調製することができる。前記エナンチオマーは、他の方法によって分割してもよく、例えば、ジアステレオマー塩を形成し、次いでそれを結晶化、ガス液体または液体クロマトグラフィー、1つのエナンチオマーのエナンチオマー特異的試薬との選択的反応によって分離してもよい。前記所望のエナンチオマーを分離技術によって別の化学物質に変換する場合、さらに前記所望のエナンチオマー形態を形成するために追加のステップが必要とされることもまた理解されよう。あるいは、特定のエナンチオマーは、光学活性試薬、基材、触媒、もしくは溶媒を使用して不斉合成することによって、または1つのエナンチオマーを不斉変換によって別のエナンチオマーに変換することによって合成され得る。
【0104】
ある特定の酢酸ルサラチドアイソマーは、エピマーの混合物として存在し得る。エピマーは、それぞれの化合物中に存在する2つまたはそれを超える不斉中心のうちの1つのみにおいて逆の立体配置を有するジアステレオマーを意味する。
【0105】
ある特定の酢酸ルサラチドアイソマーは、双性イオン性形態で存在し得、本発明は、これらのアイソマーの双性イオン性形態およびそれらの混合物を含む。
【0106】
概括的には、本発明は、23アミノ酸モノマー(「Monomer(単量体)」)、2つの23アミノ酸Monomer(単量体)のダイマー(「Dimer(二量体)」)、またはMonomer(単量体)とDimer(二量体)の任意の組み合わせを含む酢酸ルサラチド組成物、製剤、および剤形を意図しており、ここで、任意の比、割合、またはパーセンテージのMonomer(単量体)とDimer(二量体)は、前記組成物、製剤、および剤形中に存在し得る。
【0107】
本説明全体を通して、酢酸ルサラチド組成物、製剤、および剤形は、例えば、任意のあり得る比、割合、またはパーセンテージの23アミノ酸モノマー(「Monomer(単量体)」)、2つの23アミノ酸Monomer(単量体)のダイマー(「Dimer(二量体)」)、またはMonomer(単量体)とDimer(二量体)の任意の組み合わせを含み得ることが意図され、それらに限定されないが、100%Monomer(単量体)、100%Dimer(二量体)、または前記Monomer(単量体)とDimer(二量体)の任意の他のあり得る比、割合、もしくはパーセンテージが含まれる。
【0108】
医薬組成物がある特定のパーセンテージのMonomer(単量体)とある特定のパーセンテージのDimer(二量体)を含み、前記Monomer(単量体)と前記Dimer(二量体)の両方の安定性が、本発明の前記方法およびシステムによって高められており、さらに他の好ましい実施形態によれば、前記Monomer(単量体)と前記Dimer(二量体)は、任意の割合または比で存在し得ることを理解すべきである。
【0109】
非限定的な例によれば、医薬組成物または製剤中に存在する酢酸ルサラチド全体には、約100%Monomer(単量体)が含まれ得る。
【0110】
別の非限定的な例によれば、医薬組成物または製剤中に存在する酢酸ルサラチド全体には、約100%Dimer(二量体)が含まれ得る。
【0111】
さらに別の非限定的な例によれば、医薬組成物または製剤中に存在する酢酸ルサラチド全体には、約1%Monomer(単量体)と約99%Dimer(二量体)が含まれ(すなわち、約1%モノマーと約99%ダイマーの割合)、前記Monomer(単量体)と前記Dimer(二量体)の両方の安定性は、本発明の前記方法およびシステムによって高められる。
【0112】
別の非限定的な例によれば、医薬組成物または製剤中に存在する酢酸ルサラチド全体には、約2%Monomer(単量体)と約98%Dimer(二量体)が含まれ(すなわち、約2%モノマーと約98%ダイマーの割合)、前記Monomer(単量体)と前記Dimer(二量体)の両方の安定性は、本発明の前記方法およびシステムによって高められる。
【0113】
別の非限定的な例によれば、医薬組成物または製剤中に存在する酢酸ルサラチド全体には、約3%Monomer(単量体)と約97%Dimer(二量体)が含まれ(すなわち、約3%モノマーと約97%ダイマーの割合)、前記Monomer(単量体)と前記Dimer(二量体)の両方の安定性は、本発明の前記方法およびシステムによって高められる。
【0114】
他の非限定的な例によれば、本発明は、医薬組成物または製剤中に存在する酢酸ルサラチド全体に、Monomer(単量体)とDimer(二量体)が以下の代表的な非限定的割合で含まれ得ることもまた意図していることを理解すべきであり、これらの割合は、例証の目的で提供され、いかなる意味においても、本発明の範囲を限定するものではなく、ここで、前記Monomer(単量体)と前記Dimer(二量体)の両方の安定性は、本発明の前記方法およびシステムによって高められる。
約4%Monomer(単量体)と約96%Dimer(二量体)の割合;
約5%Monomer(単量体)と約95%Dimer(二量体)の割合;
約6%Monomer(単量体)と約94%Dimer(二量体)の割合;
約7%Monomer(単量体)と約93%Dimer(二量体)の割合;
約8%Monomer(単量体)と約92%Dimer(二量体)の割合;
約9%Monomer(単量体)と約91%Dimer(二量体)の割合;
約10%Monomer(単量体)と約90%Dimer(二量体)の割合;
約11%Monomer(単量体)と約89%Dimer(二量体)の割合;
約12%Monomer(単量体)と約88%Dimer(二量体)の割合;
約13%Monomer(単量体)と約87%Dimer(二量体)の割合;
約14%Monomer(単量体)と約86%Dimer(二量体)の割合;
約15%Monomer(単量体)と約85%Dimer(二量体)の割合;
約16%Monomer(単量体)と約84%Dimer(二量体)の割合;
約17%Monomer(単量体)と約83%Dimer(二量体)の割合;
約18%Monomer(単量体)と約82%Dimer(二量体)の割合;
約19%Monomer(単量体)と約81%Dimer(二量体)の割合;
約20%Monomer(単量体)と約80%Dimer(二量体)の割合;
約21%Monomer(単量体)と約79%Dimer(二量体)の割合;
約22%Monomer(単量体)と約78%Dimer(二量体)の割合;
約23%Monomer(単量体)と約77%Dimer(二量体)の割合;
約24%Monomer(単量体)と約76%Dimer(二量体)の割合;
約25%Monomer(単量体)と約75%Dimer(二量体)の割合;
約26%Monomer(単量体)と約74%Dimer(二量体)の割合;
約27%Monomer(単量体)と約73%Dimer(二量体)の割合;
約28%Monomer(単量体)と約72%Dimer(二量体)の割合;
約29%Monomer(単量体)と約71%Dimer(二量体)の割合;
約30%Monomer(単量体)と約70%Dimer(二量体)の割合;
約31%Monomer(単量体)と約69%Dimer(二量体)の割合;
約32%Monomer(単量体)と約68%Dimer(二量体)の割合;
約33%Monomer(単量体)と約67%Dimer(二量体)の割合;
約34%Monomer(単量体)と約66%Dimer(二量体)の割合;
約35%Monomer(単量体)と約65%Dimer(二量体)の割合;
約36%Monomer(単量体)と約64%Dimer(二量体)の割合;
約37%Monomer(単量体)と約63%Dimer(二量体)の割合;
約38%Monomer(単量体)と約62%Dimer(二量体)の割合;
約39%Monomer(単量体)と約61%Dimer(二量体)の割合;
約40%Monomer(単量体)と約60%Dimer(二量体)の割合;
約41%Monomer(単量体)と約59%Dimer(二量体)の割合;
約42%Monomer(単量体)と約58%Dimer(二量体)の割合;
約43%Monomer(単量体)と約57%Dimer(二量体)の割合;
約44%Monomer(単量体)と約56%Dimer(二量体)の割合;
約45%Monomer(単量体)と約55%Dimer(二量体)の割合;
約46%Monomer(単量体)と約54%Dimer(二量体)の割合;
約47%Monomer(単量体)と約53%Dimer(二量体)の割合;
約48%Monomer(単量体)と約52%Dimer(二量体)の割合;
約49%Monomer(単量体)と約51%Dimer(二量体)の割合;
約50%Monomer(単量体)と約50%Dimer(二量体)の割合;
約51%Monomer(単量体)と約49%Dimer(二量体)の割合;
約52%Monomer(単量体)と約48%Dimer(二量体)の割合;
約53%Monomer(単量体)と約47%Dimer(二量体)の割合;
約54%Monomer(単量体)と約46%Dimer(二量体)の割合;
約55%Monomer(単量体)と約45%Dimer(二量体)の割合;
約56%Monomer(単量体)と約44%Dimer(二量体)の割合;
約57%Monomer(単量体)と約43%Dimer(二量体)の割合;
約58%Monomer(単量体)と約42%Dimer(二量体)の割合;
約59%Monomer(単量体)と約41%Dimer(二量体)の割合;
約60%Monomer(単量体)と約40%Dimer(二量体)の割合;
約61%Monomer(単量体)と約39%Dimer(二量体)の割合;
約62%Monomer(単量体)と約38%Dimer(二量体)の割合;
約63%Monomer(単量体)と約37%Dimer(二量体)の割合;
約64%Monomer(単量体)と約36%Dimer(二量体)の割合;
約65%Monomer(単量体)と約35%Dimer(二量体)の割合;
約66%Monomer(単量体)と約34%Dimer(二量体)の割合;
約67%Monomer(単量体)と約33%Dimer(二量体)の割合;
約68%Monomer(単量体)と約32%Dimer(二量体)の割合;
約69%Monomer(単量体)と約31%Dimer(二量体)の割合;
約70%Monomer(単量体)と約30%Dimer(二量体)の割合;
約71%Monomer(単量体)と約29%Dimer(二量体)の割合;
約72%Monomer(単量体)と約28%Dimer(二量体)の割合;
約73%Monomer(単量体)と約27%Dimer(二量体)の割合;
約74%Monomer(単量体)と約26%Dimer(二量体)の割合;
約75%Monomer(単量体)と約25%Dimer(二量体)の割合;
約76%Monomer(単量体)と約24%Dimer(二量体)の割合;
約77%Monomer(単量体)と約23%Dimer(二量体)の割合;
約78%Monomer(単量体)と約22%Dimer(二量体)の割合;
約79%Monomer(単量体)と約21%Dimer(二量体)の割合;
約80%Monomer(単量体)と約20%Dimer(二量体)の割合;
約81%Monomer(単量体)と約19%Dimer(二量体)の割合;
約82%Monomer(単量体)と約18%Dimer(二量体)の割合;
約83%Monomer(単量体)と約17%Dimer(二量体)の割合;
約84%Monomer(単量体)と約16%Dimer(二量体)の割合;
約85%Monomer(単量体)と約15%Dimer(二量体)の割合;
約86%Monomer(単量体)と約14%Dimer(二量体)の割合;
約87%Monomer(単量体)と約13%Dimer(二量体)の割合;
約88%Monomer(単量体)と約12%Dimer(二量体)の割合;
約89%Monomer(単量体)と約11%Dimer(二量体)の割合;
約90%Monomer(単量体)と約10%Dimer(二量体)の割合;
約91%Monomer(単量体)と約9%Dimer(二量体)の割合;
約92%Monomer(単量体)と約8%Dimer(二量体)の割合;
約93%Monomer(単量体)と約7%Dimer(二量体)の割合;
約94%Monomer(単量体)と約6%Dimer(二量体)の割合;
約95%Monomer(単量体)と約5%Dimer(二量体)の割合;
約96%Monomer(単量体)と約4%Dimer(二量体)の割合;
約97%Monomer(単量体)と約3%Dimer(二量体)の割合;
約98%Monomer(単量体)と約2%Dimer(二量体)の割合;または
約99%Monomer(単量体)と約1%Dimer(二量体)の割合。
【0115】
また、酢酸ルサラチドは、任意の適切な技術によって製造または調製され得ることも意図されており、前記技術としては、それらに限定されないが、ペプチド合成のための任意の適切で信頼性があり効果的な方法が含まれる。ある特定の実施形態において、酢酸ルサラチドは、固相ペプチド合成法(例えば、それらに限定されないが、BOCまたはFMOC)によって合成することができ、または他の実施形態において、液相合成法によって合成することができる。また、本発明は、例えば、本明細書に記載されているペプチド合成の他の方法の組み合わせを含む他の適切な技術によって、またはリコンビナントペプチド合成を使用して合成し得ることも意図している。酢酸ルサラチドは、また、医薬品の製造および品質管理に関する基準(Good Manufacturing Practice)(GMP)の要件に従って合成および精製し得る。
【0116】
酢酸ルサラチドは、本説明全体を通して使用されているように、NPARアゴニスト(ここで、NPARは、「非タンパク分解的に活性化されたトロンビン受容体」を指す)として機能し得ることもまた理解すべきである。
【0117】
また、酢酸ルサラチドは、種々の塩形態、すなわち1つまたはそれを超えるペプチド塩で存在し得、所望の酢酸ルサラチドペプチド塩は、医薬組成物、製剤、または剤形の調製においてスクリーニング、選択、および使用され得ることも意図されている。
【0118】
本発明は、Monomer(単量体)とDimer(二量体)の化学的または物理的不安定性が、例えば、Monomer(単量体)とDimer(二量体)のコンホメーション構造における1つまたはそれを超える変化を含み得ることを意図している。Monomer(単量体)とDimer(二量体)の従来のアプローチおよび研究は、前記Monomer(単量体)とDimer(二量体)の安定性、酢酸ルサラチド医薬製品の生産、酢酸ルサラチド製剤の生産などに関して、前記Monomer(単量体)とDimer(二量体)のコンホメーション構造の決定的な重要性を説明することができていない。本発明は、この重要であり、長く感じられながら満たされていない必要性に応えるものである。
【0119】
プレ製剤化特徴付け:安定性を高めるためのパラメーターの最適化
【0120】
本発明は、(i)酢酸ルサラチドまたは(ii)Monomer(単量体)、Dimer(二量体)、もしくはMonomer(単量体)とDimer(二量体)の任意の組み合わせを含む酢酸ルサラチド組成物、製剤、もしくは剤形、または(iii)(i)と(ii)の両方の安定性に影響し得る幅広いパラメーターについての情報を集めて分析する「プレ製剤化特徴付け」ステージにおいて使用し得る種々の方法、プロセス、およびシステムを意図している。
【0121】
本明細書で使用する場合、語句「プレ製剤化特徴付け」は、(i)酢酸ルサラチドまたは(ii)Monomer(単量体)、Dimer(二量体)、もしくはMonomer(単量体)とDimer(二量体)の任意の組み合わせを含む酢酸ルサラチド組成物、製剤、もしくは剤形、または(iii)(i)と(ii)の両方の安定性に影響し得る1つまたはそれを超えるパラメーターについての情報を集めて分析するために使用し得る、任意のステップ、手順、方法、プロセス、およびシステム、またはそれらの組み合わせを含むと理解すべきである。このようなプレ製剤化特徴付けは、その後の、安定な、または安定化された酢酸ルサラチドを含む安全かつ有効な酢酸ルサラチド組成物、剤形、および製剤の生産のために価値のあるデータを提供する。
【0122】
したがって、本発明は、非常に価値のある「プレ製剤化特徴付けデータ」を提供する1つまたはそれを超えるパラメーターに基づいて情報を集めて(または収集して)分析することを意図している。代表的なパラメーターは、本明細書に詳細に記載されている。このような「プレ製剤化特徴付けデータ」には、(i)酢酸ルサラチドまたは(ii)Monomer(単量体)、Dimer(二量体)、もしくはMonomer(単量体)とDimer(二量体)の任意の組み合わせを含む酢酸ルサラチド組成物、製剤、もしくは剤形、または(iii)(i)と(ii)の両方の安定性を高め、よって安定性を最適化するための特定のステップおよび条件(それらに限定されないが、製造条件が含まれる)を開発するためのプレ製剤化ステージにおいて、信頼性をもって効果的に使用し得るデータが含まれる。本発明によれば、この非常に価値のある「プレ製剤化特徴付けデータ」は、その後の、安定な、または安定化された酢酸ルサラチドを含む安全かつ有効な酢酸ルサラチド組成物、製剤、および剤形の生産のための製剤化ステージの間に使用することができる。
【0123】
分析対象となるパラメーターの代表的な例
本発明に従って、出願人らは、Monomer(単量体)を安定化させるための、Dimer(二量体)を安定化させるための、またはそれら両方のための、および、好ましい実施形態において、(i)酢酸ルサラチドまたは(ii)Monomer(単量体)、Dimer(二量体)、もしくはMonomer(単量体)とDimer(二量体)の任意の組み合わせを含む酢酸ルサラチド組成物、製剤、もしくは剤形、または(iii)(i)と(ii)の両方の安定性を最適化するための、新たなアプローチ、方法、プロセス、およびシステムを発見した。
【0124】
(i)酢酸ルサラチドまたは(ii)Monomer(単量体)、Dimer(二量体)、もしくはMonomer(単量体)とDimer(二量体)の任意の組み合わせを含む酢酸ルサラチド組成物、製剤、もしくは剤形、または(iii)(i)と(ii)の両方の安定性に影響し得る幅広いパラメーターが存在し、これらのパラメーターの分析は、酢酸ルサラチドの安定性に対するこれらのパラメーターの影響力についての非常に価値のあるデータ(例えば、特徴付けデータ)および他の種類の情報をもたらし得る。このようなデータおよび情報は、任意のステージ(例えば、安定な酢酸ルサラチド医薬組成物、剤形、または製剤の生産プロセスにおけるプレ製剤化ステージ、製剤化ステージ、およびあらゆる全ての他のステージが含まれる)において信頼性をもって効果的に使用することができる。このようなパラメーターの分析に基づき、収集した前記データおよび情報を、例えば、(i)酢酸ルサラチドまたは(ii)Monomer(単量体)、Dimer(二量体)、もしくはMonomer(単量体)とDimer(二量体)の任意の組み合わせを含む酢酸ルサラチド組成物、製剤、もしくは剤形、または(iii)(i)と(ii)の両方の安定性を高め、よって安定性を最適化するための特定のステップおよび条件を開発するために使用することができる。用語「属性」および「パラメーター」は、本明細書において、互換的に使用され得る。
【0125】
(i)酢酸ルサラチドまたは(ii)Monomer(単量体)、Dimer(二量体)、もしくはMonomer(単量体)とDimer(二量体)の任意の組み合わせを含む酢酸ルサラチド組成物、製剤、もしくは剤形、または(iii)(i)と(ii)の両方の安定性に影響し得る属性またはパラメーターの代表的な例としては、それらに限定されないが、
1)大気酸素
2)存在するMonomer(単量体)またはDimer(二量体)全体の酸化還元化学に影響し得る(それらに限定されないが、種々の活性酸素種を含む)任意のファクター((i)酢酸ルサラチドまたは(ii)Monomer(単量体)、Dimer(二量体)、もしくはMonomer(単量体)とDimer(二量体)の任意の組み合わせを含む酢酸ルサラチド組成物、製剤、もしくは剤形、または(iii)(i)と(ii)の両方の安定性に影響する1つまたはそれを超える酸化もしくは還元イベントをもたらす、生じさせる、または引き起こす、任意のファクターが含まれる)
3)含水量
4)相対湿度
5)キャリアーの種類
6)pH
7)温度
8)凍結融解(FT)サイクル、および安定性に対する酢酸ルサラチド製剤の物理的状態の効果
9)Monomer(単量体)またはDimer(二量体)の構造における任意のコンホメーション変化
10)酢酸ルサラチドの結晶形態対アモルファス状態
11)バッファー組成
12)1つまたはそれを超える賦形剤の存在(以下の賦形剤のリストは、いかなる意味においても、限定的であることを意図しておらず、また、以下に示す賦形剤の種類の例は、単に例示を目的とするものである)
a)安定化剤
b)結合剤
c)緩衝剤(例えば、pHを調節するための緩衝剤)
d)浸透圧調節剤(例えば、酢酸ルサラチド溶液のための浸透圧調節剤)
e)付着防止剤
f)希釈剤
g)流動促進剤
h)崩壊剤
i)フィラー
j)除湿剤または吸湿性物質または吸湿剤
k)吸着剤
l)親水性潤滑剤
m)疎水性潤滑剤
n)乳化剤
o)香味剤
p)コーティングまたはコーティング賦形剤
q)着色剤
r)保存剤
s)甘味剤
13)無菌性(特に酢酸ルサラチド、または酢酸ルサラチド医薬組成物、剤形、もしくは製剤が無菌(sterile)である程度、または微生物もしくは病原菌を含まない)
14)特定の製剤の粘性の安定性に対する影響力
15)製剤または医薬組成物中の任意のコンポーネントとの親水性相互作用、疎水性相互作用、および任意の他の相互作用;ならびに容器、キット、パッケージング、および/または保存に用いられる任意の材料の、安定性に対する効果
16)光への曝露の安定性に対する影響力(例えば、光分解および光酸化の効果)
17)イオン、塩、およびイオン強度の、(i)酢酸ルサラチドまたは(ii)Monomer(単量体)、Dimer(二量体)、もしくはMonomer(単量体)とDimer(二量体)の任意の組み合わせを含む酢酸ルサラチド組成物、製剤、もしくは剤形、または(iii)(i)と(ii)の両方の安定性に対する効果
18)遷移金属への結合;遷移金属イオンの存在によって触媒される酸化
19)温度、時間、および濃度(例えば、酢酸ルサラチドペプチドの濃度)、混合の順序、またはそれらの任意の組み合わせの、安定性に対する影響力
20)任意の混入物または不純物(例えば、酢酸ルサラチドのバッチ中、または製剤もしくは医薬組成物中の任意の混入物もしくは不純物の存在)の安定性に対する効果
21)撹拌、凍結乾燥、または他の処理ステップおよび手順(例えば、酢酸ルサラチド製剤の調製プロセスの間の)によって生じる、安定性に対する潜在的な効果
がふくまれる。
【0126】
これらの属性またはパラメーターに加えて、本発明は、また、酢酸ルサラチドの他の物理化学的性質の分析も意図している。酢酸ルサラチドのこれらの代表的な属性またはパラメーターおよび物理化学的性質のいくつかは、本明細書中、および本開示の実施例セクション中に記載されている。
【0127】
酢酸ルサラチドの安定性を高め、および最適化するために分析および評価され得る追加の代表的な属性、またはパラメーターおよび物理化学的性質としては、それらに限定されないが、Monomer(単量体)とDimer(二量体)の予測される半減期(腸に類似した環境における予測される半減期が含まれる)、および酢酸ルサラチドアミノ酸配列に基づくキロジュール/モル(kJ/mol)を単位とする疎水性値(または疎水性インデックス)があげられる。酢酸ルサラチドアミノ酸配列に基づく、分析され得る追加の物理化学的性質としては、それらに限定されないが、以下のものがあげられる。
●残基体積(残基体積は、残基体積値の合計に基づいて決定され、立方オングストロームを単位として測定され、ここで、前記酢酸ルサラチド配列中の各アミノ酸残基についての前記残基体積値は、前記所与の残基についてのファンデルワールス表面に囲まれた空間の体積に基づいて決定される);
●表面露出値(表面露出は、酢酸ルサラチド配列中の個々のアミノ酸についての平均溶媒露出表面積値の合計に基づいて算出される);
●フレキシビリティーバリュー(フレキシビリティーバリューは、アミノ酸側鎖のフレキシビリティーの尺度であり、アミノ酸スケール値の合計に基づいて決定される);
●電荷(全体的な電荷に基づき、酢酸ルサラチド配列に基づいて算出される);
●極性(配列中の個々のアミノ酸についての極性値の合計に基づく);
●相対的変異性(配列中の個々のアミノ酸についての相対的変異性値の合計に基づく);
●溶液の自由エネルギー(水における、kcal/モル);
●旋光(配列中の個々のアミノ酸についての旋光値の平均に基づく);
●pKa;
●pKb;
●等電点(pI、pH(I)、IEP);
●形成エントロピー(前記酢酸ルサラチドアミノ酸配列の場合の、形成エントロピー値の合計に基づく、);
●電荷-pHマップ;
●分子量;
●「GRAVY」値(本明細書で使用する場合、GRAVY値は、「疎水性親水性指標」を指し、酢酸ルサラチドペプチドの疎水性の分析および評価を助けるために使用されるスコアまたは測定値である);
●熱容量(酢酸ルサラチドアミノ酸配列の場合の、熱容量値の平均に基づく);および
●相対的安定性(酢酸ルサラチドアミノ酸配列の場合の、個々のアミノ酸についての相対的安定性スケール値の平均に基づく)
【0128】
本明細書に記載されている代表的な例のいくつかは、これらの属性またはパラメーターおよび物理化学的性質の分析、ならびに医薬組成物、製剤、もしくは剤形における酢酸ルサラチドの安定性を高め、および最適化するための本分析の使用を例証する。
【0129】
本明細書にさらに記載されているように、本発明は、また、安定性を高めるための他の方法も意図しており、方法としては、例えば、それらに限定されないが、Monomer(単量体)またはDimer(二量体)におけるAsp-Pro結合の切断に対する保護によって安定性を高めること;および加水分解の効果を最小化することによって、(i)酢酸ルサラチドまたは(ii)Monomer(単量体)、Dimer(二量体)、もしくはMonomer(単量体)とDimer(二量体)の任意の組み合わせを含む酢酸ルサラチド組成物、製剤、もしくは剤形、または(iii)(i)と(ii)の両方の安定性を高めることがあげられる。
【0130】
大気酸素(例えば、空気に対する曝露)
(i)酢酸ルサラチドまたは(ii)Monomer(単量体)、Dimer(二量体)、もしくはMonomer(単量体)とDimer(二量体)の任意の組み合わせを含む酢酸ルサラチド組成物、製剤、もしくは剤形、または(iii)(i)と(ii)の両方の安定性に影響し得るパラメーターの1つは、大気酸素(例えば、空気への曝露)である。
【0131】
本明細書に記載されているように、酢酸ルサラチドは1個のシステイン残基を含んでいるため、ジスルフィド結合の形成によってダイマーを形成することができる。システイン含有ペプチドは、そのシステイン残基が可逆的な酸化を受ける傾向があることを特徴とすることが多い。
【0132】
酸化に対する感受性は、配列依存性であり、また、本発明は、システイン含有ペプチドの空気に対する最小限の曝露によってでさえ、酸化を生じさせ得ることも意図している。酢酸ルサラチドを使用した従来の研究は、安定性に影響する1つのパラメーターとしての空気への曝露の効果を説明できていない。
【0133】
好ましい実施形態において、本発明は、酢酸ルサラチドの安定性を高めるための、および酢酸ルサラチドのあらゆる望ましくない酸化を最小化または回避するための脱気溶媒および溶液または脱酸素溶媒および溶液の使用を意図している。
【0134】
他の好ましい実施形態において、本発明は、非反応性の無水パージ剤、例えば、無水窒素ガスまたは無水アルゴンガスなどの使用を意図している。用語「非反応性の無水パージ剤」は、スペース内に前記パージ剤を導入した後に、前記スペースから酸素を排除またはパージする薬剤を指すことを意図している。例えば、バイアルのヘッドスペース内への無水窒素ガスまたは無水アルゴンガスの導入によって、そのバイアルのヘッドスペースから全ての、または実質的に全ての酸素は効果的に排除またはパージされるであろう。さらに、用語「無水」は、本明細書で使用する場合、パージ剤が全く水を含まない、本質的に水を含まない、または実質的に水を含まないことを指す。さらに、パージ剤は「非反応性」であり、パージ剤がいかなる酸化還元メカニズムによっても酢酸ルサラチドと反応しないこと(すなわち、酢酸ルサラチドのいかなる酸化または還元によっても反応しないこと)、さらにまた、いかなる酸化還元メカニズム(すなわち、酸化または還元メカニズム)によっても、前記組成物の(例えば、任意の賦形剤を含む)いかなる他のコンポーネントとも反応しないことを意味する。したがって、パージ剤は、例えば、いかなる酸化還元メカニズムによっても、酢酸ルサラチド、または酢酸ルサラチド製剤、組成物、もしくは剤形のいかなる賦形剤または他のコンポーネントと反応しないであろう。
【0135】
他の非反応性の無水パージ剤もまた使用し得、例えば、1つまたはそれを超える貴ガスがあげられ得る。本明細書に記載されているように、本発明は、また、非反応性の実質的に無水のパージ剤の使用も意図している。このような無水パージ剤、または実質的に無水のパージ剤の使用は、酸素の排除を助け、よって、酢酸ルサラチドのいかなる潜在的な望ましくない酸化を最小化させる。周囲空気を排除することによって、またそれによってその周囲空気(周囲酸素を含む)に対する酢酸ルサラチドの曝露を最小化することによって、パージ剤は、空気中のあらゆる水分に対する酢酸ルサラチドの曝露を最小化することを助け、よって、それが酢酸ルサラチドの安定性を高める。
【0136】
本発明の1つの実施形態において、窒素ガスを、酢酸ルサラチド中の残基の望ましくない酸化をもたらし得る、空気中の周囲酸素を排除するために使用し得る。
【0137】
本発明は、また、酢酸ルサラチド組成物、製剤、もしくは剤形を生産し、前記酢酸ルサラチド組成物、製剤、もしくは剤形中にMonomer(単量体)、Dimer(二量体)、またはMonomer(単量体)とDimer(二量体)の任意の組み合わせを含む場合、安定性に影響する1つのパラメーターとしての空気への曝露の影響力を最小化するために、ある特定の手順およびステップを利用し得ることも意図している。例えば、容器から特定の量または体積の酢酸ルサラチド製剤または医薬組成物を取り出した後、その容器は、好ましくは乾燥窒素雰囲気下で、密閉し直すべきである。これは、例えば、適切な器具、例えば、窒素タンクに接続された無菌チューブを使用し、適切な量の乾燥窒素の穏やかな流れを(例えば、前記無菌チューブの出口端から)放出し、かつ細心の注意を払っていかなる酢酸ルサラチドペプチド粉末も前記容器から排出させないようにすることによって実現し得る。空気を排除し、容器を乾燥窒素雰囲気下かつ無菌条件下で再度密封した後、本明細書に記載されているように、安定性を高め、および最適化するために、前記容器を低温保存に戻し、かつ適切な温度に維持し、他の適切な条件に維持してもよい。本発明は、この手順が空気への曝露に起因する望ましくない酸化を最小化するであろうことを意図している。
【0138】
Monomer(単量体)、Dimer(二量体)、またはMonomer(単量体)とDimer(二量体)の任意の組み合わせの酸化還元化学に影響する、他のファクター(それらに限定されないが、種々の活性酸素種を含む)
本発明は、例えば、Monomer(単量体)、Dimer(二量体)、またはMonomer(単量体)とDimer(二量体)の任意の組み合わせの酸化還元化学に影響し得る1つまたはそれを超える活性酸素種、混入酸化体、不純物、または他のファクターを含む、(i)酢酸ルサラチドまたは(ii)Monomer(単量体)、Dimer(二量体)、もしくはMonomer(単量体)とDimer(二量体)の任意の組み合わせを含む酢酸ルサラチド組成物、製剤、もしくは剤形、または(iii)(i)と(ii)の両方の安定性に影響し得る他のパラメーターを意図している。これは、(i)酢酸ルサラチドまたは(ii)Monomer(単量体)、Dimer(二量体)、もしくはMonomer(単量体)とDimer(二量体)の任意の組み合わせを含む酢酸ルサラチド組成物、製剤、もしくは剤形、または(iii)(i)と(ii)の両方の安定性に影響する1つまたはそれを超える酸化もしくは還元イベントをもたらす、生じさせる、または引き起こす、任意のファクターを含む。種々の活性酸素種の代表的な例としては、それらに限定されないが、スーパーオキシドラジカル、一重項酸素、ヒドロキシラジカル、および過酸化水素があげられる。
【0139】
電離放射線への曝露は、(i)酢酸ルサラチドまたは(ii)Monomer(単量体)、Dimer(二量体)、もしくはMonomer(単量体)とDimer(二量体)の任意の組み合わせを含む酢酸ルサラチド組成物、製剤、もしくは剤形、または(iii)(i)と(ii)の両方の安定性に影響し得る1つまたはそれを超える異なる活性酸素種を生じさせ得る。1つの非限定的な例において、電離放射線および種々の活性酸素種(それらに限定されないが、スーパーオキシドラジカル、一重項酸素、ヒドロキシラジカル、および過酸化水素が含まれる)が(i)酢酸ルサラチドまたは(ii)Monomer(単量体)、Dimer(二量体)、もしくはMonomer(単量体)とDimer(二量体)の任意の組み合わせを含む酢酸ルサラチド組成物、製剤、もしくは剤形、または(iii)(i)と(ii)の両方の安定性に影響するパラメーターとなる程度を試験および評価するために、一連の対照付き実験が(すなわち、統計解析のために、全ての適切な対照群と共に)、無菌条件下で行われる。そのような例のより詳細な例を以下に示す。
【0140】
対照群において、酢酸ルサラチドの水性製剤を(純粋な水性溶媒を1ミリグラムの固体の凍結乾燥した酢酸ルサラチドと合わせることによって)調製し、この製剤を、不透明バイアル中で、明るい光を避けてセ氏約4度(約4℃)で冷暗所に保存する。前記対照群(不透明バイアル中)は、いかなる電離放射線にも曝露させない。
【0141】
いくつかの異なる不透明「試験バイアル」を調製し、個々の不透明試験バイアルは、それぞれ、別々の酢酸ルサラチド水性製剤を含む(それぞれの個別の試験バイアルについて、水性製剤は、純粋な水性溶媒を1ミリグラム固体の凍結乾燥した酢酸ルサラチドと合わせることによって調製する)。各試験バイアルは、光への曝露から酢酸ルサラチドを保護するために不透明バイアルであり、各試験バイアルは、明るい光を避けてセ氏約4度(約4℃)で冷暗所に保存する。
【0142】
第1の不透明試験バイアルは、500cGy/分(センチグレイ/分)のレートで、6グレイ(6Gy)の電離放射線に曝露する。
【0143】
第2の不透明試験バイアルは、500cGy/分のレートで、6.5グレイ(6.5Gy)の電離放射線に曝露する。
【0144】
第3の不透明試験バイアルは、500cGy/分のレートで、7グレイ(7Gy)の電離放射線に曝露する。
【0145】
第4の不透明試験バイアルは、500cGy/分のレートで、7.5グレイ(7.5Gy)の電離放射線に曝露する。
【0146】
第5の不透明試験バイアルは、500cGy/分のレートで、8グレイ(8Gy)の電離放射線に曝露する。
【0147】
第6の不透明試験バイアルは、500cGy/分のレートで、8.5グレイ(8.5Gy)の電離放射線に曝露する。
【0148】
第7の不透明試験バイアルは、500cGy/分のレートで、9グレイ(9Gy)の電離放射線に曝露する。
【0149】
第8の不透明試験バイアルは、500cGy/分のレートで、9.5グレイ(9.5Gy)の電離放射線に曝露する。
【0150】
データの全てを分析し、物理的な有形コンピューターシステムを、予測分析、機械学習、および予測モデリングを利用したコンピューターによる分析を実行するために使用する。前記予測分析、機械学習、および予測モデリングは、電離放射線の、(i)酢酸ルサラチドまたは(ii)Monomer(単量体)、Dimer(二量体)、もしくはMonomer(単量体)とDimer(二量体)の任意の組み合わせを含む酢酸ルサラチド組成物、製剤、もしくは剤形、または(iii)(i)と(ii)の両方の安定性に対する効果についての非常に価値のある情報を提供する。
【0151】
また、他の対照付き実験に基づき、種々の活性酸素種の効果(それらに限定されないが、スーパーオキシドラジカル、一重項酸素、ヒドロキシラジカル、および過酸化水素の効果が含まれる)を、(i)酢酸ルサラチドまたは(ii)Monomer(単量体)、Dimer(二量体)、もしくはMonomer(単量体)とDimer(二量体)の任意の組み合わせを含む酢酸ルサラチド組成物、製剤、もしくは剤形、または(iii)(i)と(ii)の両方の安定性に対する効果に関して分析する。
【0152】
不必要な、もしくは望ましくないMonomer(単量体)、Dimer(二量体)、またはMonomer(単量体)とDimer(二量体)の任意の組み合わせの酸化は、生物学的活性の減少もしくは低下、または他の望ましくない医薬的な結果を引き起こし得る。好ましい実施形態において、本発明は、条件を調節し、不必要な、もしくは望ましくない酸化の、(i)酢酸ルサラチドまたは(ii)Monomer(単量体)、Dimer(二量体)、もしくはMonomer(単量体)とDimer(二量体)の任意の組み合わせを含む酢酸ルサラチド組成物、製剤、もしくは剤形、または(iii)(i)と(ii)の両方の安定性に対する影響力を低減または阻止し得ることを意図している。例えば、活性酸素種、混入酸化体、または不純物の存在を最小化または除去し得る。本発明は、また、不必要な、もしくは望ましくない酸化が、酢酸ルサラチドを含む医薬組成物、剤形、または製剤に対する、1つまたはそれを超える抗酸化剤またはフリーラジカルスカベンジャーの適切な添加によって効果的に阻害され得ることも意図している。
【0153】
「抗酸化剤」は、本明細書で使用する場合、酸化剤によって引き起こされる酸化反応を阻止または低減するために使用し得る化合物である。抗酸化剤としては、例えば、それらに限定されないが、トコフェロール、メチオニン、グルタチオン、トコトリエノール、ジメチルグリシン、ベタイン、ブチルヒドロキシアニソール、ブチルヒドロキシトルエン、ビタミンE、アスコルビン酸、パルミチン酸アスコルビル、チオグリコール酸、および抗酸化剤ペプチド(例えば、ターメリンなど)があげられる。ある特定のキレート剤またはチオール含有化合物(例えば、トリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン、システイン、またはジチオスレイトール)は、抗酸化剤としても機能し得ることを理解すべきである。しかしながら、他の種類の通常用いられる抗酸化剤は、チオール基を含んでいない。抗酸化剤が配合される場合、約0.001%~約10.0重量%の間、好ましくは約0.01%~約5.0%の間、より好ましくは約0.05%~約2.0重量%の間の抗酸化剤が本発明の酢酸ルサラチド医薬組成物、製剤、および剤形中に存在することが好ましい。
【0154】
含水量
含水量は、(i)酢酸ルサラチドまたは(ii)Monomer(単量体)、Dimer(二量体)、もしくはMonomer(単量体)とDimer(二量体)の任意の組み合わせを含む酢酸ルサラチド組成物、製剤、もしくは剤形、または(iii)(i)と(ii)の両方の安定性に影響し得る別のパラメーターである。水分の混入は、固体ペプチドの長期安定性を著しく低下させ得る。本発明は、水分の、(i)酢酸ルサラチドまたは(ii)Monomer(単量体)、Dimer(二量体)、もしくはMonomer(単量体)とDimer(二量体)の任意の組み合わせを含む酢酸ルサラチド組成物、製剤、もしくは剤形、または(iii)(i)と(ii)の両方の安定性に対する水分の影響を最小化させるために利用し得るステップを意図している。例えば、プレ製剤化および製剤化ステージ全体を通して、および酢酸ルサラチドのバッチを調製する場合、前記酢酸ルサラチドは冷暗所に保存してもよく、また含水量を最小化および調節するためのステップを利用してもよい。好ましい実施形態において、本発明は、酢酸ルサラチドは、4℃またはそれより低温の冷蔵で、かつ明るい光を避けて保存すべきであることを意図している。ある特定の状況において、乾燥したペプチドは、ある期間、室温に保つことが必要であり得る。しかしながら、長期保存および安定性向上のために、本発明は、また、酢酸ルサラチド(例えば、乾燥または凍結乾燥した酢酸ルサラチド)は、好ましくは、安定性をさらに高めるために、-20℃または約-20℃で、乾燥剤(例えば、酢酸ルサラチドが入れられたバイアル中に置かれた乾燥剤)と共に、好ましくは酢酸ルサラチドが光への曝露から保護される条件下で保存すべきであることも意図している。
【0155】
ある特定の好ましい実施形態において、1つまたはそれを超える除湿剤、吸湿剤、または乾燥剤は、例えば、酢酸ルサラチドが凍結乾燥形態である場合に、(i)酢酸ルサラチドまたは(ii)Monomer(単量体)、Dimer(二量体)、もしくはMonomer(単量体)とDimer(二量体)の任意の組み合わせを含む酢酸ルサラチド組成物、製剤、もしくは剤形、または(iii)(i)と(ii)の両方の安定性および貯蔵寿命を向上させるために、含水量を最小化するために使用し得る。本発明に関し、本明細書に記載されているように、用語除湿剤、吸湿剤、または乾燥剤は、互換的に使用され、それぞれ含水量を低下させるために使用され、よって乾燥状態を誘発または維持するために使用される。本発明は、また、適切で妥当な除湿剤の選択および使用が、最終医薬製品の完全性および性能を確実にすることに役立ち得ることも意図している。シリカゲル(二酸化ケイ素)およびモレキュラーシーブ(合成ゼオライト)は、含水量を最小化し、酢酸ルサラチドの安定性および貯蔵寿命を高めるために使用し得る除湿剤の好ましい非限定的な例である。除湿剤の使用の、例えば、シリカゲル(二酸化ケイ素)またはモレキュラーシーブ(合成ゼオライト)のいずれかの使用のための好ましい形態は、医薬用途における使用のためのEUの規制および米国FDAの規制を含む全ての規制上の要件に適合した除湿剤バッグである。
【0156】
本発明は、また、(i)酢酸ルサラチドまたは(ii)Monomer(単量体)、Dimer(二量体)、もしくはMonomer(単量体)とDimer(二量体)の任意の組み合わせを含む酢酸ルサラチド組成物、製剤、もしくは剤形、または(iii)(i)と(ii)の両方の安定性および貯蔵寿命に対する含水量の影響力を最小化するための他のアプローチも意図している。容器からある量の酢酸ルサラチドを使用しようとするたびに、作業者は、好ましくは、容器を冷所保存から取り出し、開封前に、室温またはそれよりわずかに暖かく平衡化すべきである。これにより、低温の固体ペプチド表面または容器内面への、空気からの水分の取り込みが低減されるであろう。
【0157】
相対湿度
相対湿度(RH)は、(i)酢酸ルサラチドまたは(ii)Monomer(単量体)、Dimer(二量体)、もしくはMonomer(単量体)とDimer(二量体)の任意の組み合わせを含む酢酸ルサラチド組成物、製剤、もしくは剤形、または(iii)(i)と(ii)の両方の安定性に影響し得る別のパラメーターである。本発明は、(i)酢酸ルサラチドまたは(ii)Monomer(単量体)、Dimer(二量体)、もしくはMonomer(単量体)とDimer(二量体)の任意の組み合わせを含む酢酸ルサラチド組成物、製剤、もしくは剤形、または(iii)(i)と(ii)の両方の安定性に対するRHの影響を分析し得ることを意図している。分析し得るRHの効果としては、それらに限定されないが、Monomer(単量体)、Dimer(二量体)、またはMonomer(単量体)とDimer(二量体)の任意の組み合わせの分解があげられる。例えば、(i)酢酸ルサラチドまたは(ii)Monomer(単量体)、Dimer(二量体)、もしくはMonomer(単量体)とDimer(二量体)の任意の組み合わせを含む酢酸ルサラチド組成物、製剤、もしくは剤形、または(iii)(i)と(ii)の両方は、任意の長さの期間、様々な温度および相対湿度条件に曝露し得る。例示として、この例はいかなる意味においても本発明の範囲を限定しないが、酢酸ルサラチドサンプルは、数週間続く期間、約40℃~約80℃の温度範囲および約0%~約75%のRHに曝露してもよい。他の適切な温度およびRH条件(例えば、約0%RH~約100%RHの範囲内の任意のRH値)も試験し得る。本明細書に記載されているように、分析し得るRHの効果としては、それらに限定されないが、Monomer(単量体)、Dimer(二量体)、またはMonomer(単量体)とDimer(二量体)の任意の組み合わせの分解があげられる。
【0158】
キャリアーの種類
(i)酢酸ルサラチドまたは(ii)Monomer(単量体)、Dimer(二量体)、もしくはMonomer(単量体)とDimer(二量体)の任意の組み合わせを含む酢酸ルサラチド組成物、製剤、もしくは剤形、または(iii)(i)と(ii)の両方の安定性に影響し得るパラメーターの別の1つは、組成物、剤形、または製剤において使用されるキャリアーの種類である。例えば、キャリアーとしては、1つまたはそれを超える異なる種類の溶媒があげられ得る。本発明は、酢酸ルサラチドの安定性に影響し得る特定の溶媒を同定するために、プレ製剤化特徴付けデータを収集するためのプレ製剤化ステージの間に、特定の溶媒を分析およびスクリーニングし得ることを意図している。
【0159】
本発明の他の実施形態において、本明細書に記載されているように、キャリアーは、生理食塩水溶液または他の水性溶液(すなわち、「水性キャリアー」)を含んでいてもよく、また本発明の(例えば、安定性を最適化するための)方法、プロセス、およびシステムは、生理食塩水溶液または他の水性溶液中の(i)酢酸ルサラチドまたは(ii)Monomer(単量体)、Dimer(二量体)、もしくはMonomer(単量体)とDimer(二量体)の任意の組み合わせを含む酢酸ルサラチド組成物、製剤、もしくは剤形、または(iii)(i)と(ii)の両方の安定性を高めるために、安全に、信頼性をもって、かつ正確に使用し得る。用語「水性キャリアー」は、本明細書で使用する場合、水を含有する任意の医薬的に安全かつ有効なキャリアーまたは送達ビヒクルを幅広く指す。本発明は、水性キャリアー中に存在する水の合計量として、特定の組成物、製剤、もしくは剤形のための特定の要求または要件に応じて、キャリアーの合計量中の任意のパーセンテージ(例えば、体積対体積基準で計算した場合の)の水があげられ得ることを意図している。例えば、製剤において、または軟膏、クリーム、またはゲルの調製において使用される水性キャリアーまたは送達ビヒクルは、約5パーセントの水を含み得、一方で、前記製剤において使用される水性キャリアーまたは送達ビヒクルの他のコンポーネント(例えば、賦形剤が含まれる)が、残りの全パーセンテージを占める。キャリアーの他の例としては、例えば、生理緩衝食塩水または他の溶媒もしくはビヒクル(グリセロール、グリコールなど)、油(オリーブ油など)、または注射可能な有機エステルがあげられる。これらは、いくつかの非限定的例にすぎず、いかなる意味においても、本発明の範囲を限定するものではない。
【0160】
pH
パラメーターの別の1つは、(i)酢酸ルサラチドまたは(ii)Monomer(単量体)、Dimer(二量体)、もしくはMonomer(単量体)とDimer(二量体)の任意の組み合わせを含む酢酸ルサラチド組成物、製剤、もしくは剤形、または(iii)(i)と(ii)の両方の安定性に影響し得るpHである。本発明は、pHの調節がDimer(二量体)形成速度の制御を助けるために利用され得ることを意図している。Monomer(単量体)ペプチドは、生理食塩水溶液中で自発的に二量体化することが見出されており、これは二量体化(Dimerization)の1つの例である。各Monomer(単量体)は1個のシステイン残基を含んでいるため、ジスルフィド結合の形成によってDimer(二量体)を形成することが可能である。したがって、2つのMonomer(単量体)は、ジスルフィド結合形成に起因して、二量体化を受け、Dimer(二量体)を形成し得る。したがって、Monomer(単量体)の実際の量は、二量体化によって経時的に減少し得る。例えば、ある特定の条件下において、Monomer(単量体)は、中性pHの緩衝溶液中で、約2~約4時間の半減期を有することが見出されている。
【0161】
システイン残基酸化は、より高いpHにおいて加速され得、この場合、チオールはより容易に脱プロトン化され、たやすく鎖内または鎖間ジスルフィド結合を形成する。酸化速度はpHの上昇につれて増加し、そのため、酢酸ルサラチドペプチドが最初は完全に還元された形態である場合であっても、酢酸ルサラチドペプチドが中性または塩基性条件下に保たれる場合、ある程度の酸化が起こるであろう。本発明は、(各Monomer(単量体)中の)システイン残基の酸化はより高いpHにおいて加速されるために、Dimer(二量体)の形成がより高いpHにおいて加速されることを意図している。したがって、Dimer(二量体)の形成が促進されることが望まれる場合、本発明は、pHが、それに応じてより高いpHに上昇され得ることを意図している。
【0162】
他の実施形態において、システイン残基の酸化速度を低下させることが望まれる場合、酢酸ルサラチドペプチドは、より酸性の条件(pH<7)に保たれる。
【0163】
温度
温度は、(i)酢酸ルサラチドまたは(ii)Monomer(単量体)、Dimer(二量体)、もしくはMonomer(単量体)とDimer(二量体)の任意の組み合わせを含む酢酸ルサラチド組成物、製剤、もしくは剤形、または(iii)(i)と(ii)の両方の安定性に影響し得る別の1つのパラメーターである。温度が、(i)酢酸ルサラチドまたは(ii)Monomer(単量体)、Dimer(二量体)、もしくはMonomer(単量体)とDimer(二量体)の任意の組み合わせを含む酢酸ルサラチド組成物、製剤、もしくは剤形、または(iii)(i)と(ii)の両方の安定性において重要な役割を果たすことが意図されており、温度は、本発明の説明全体を通して、いくつかの文脈において記載されている。本発明は、幅広い範囲の医薬組成物、製剤、および剤形において、酢酸ルサラチドの安定性を高めるために制御し得る1つのパラメーターであることを意図している。
【0164】
例えば、本発明は、温度が、(i)酢酸ルサラチドまたは(ii)Monomer(単量体)、Dimer(二量体)、もしくはMonomer(単量体)とDimer(二量体)の任意の組み合わせを含む酢酸ルサラチド組成物、製剤、もしくは剤形、または(iii)(i)と(ii)の両方の安定性を、例えば、凍結乾燥形態を使用する場合に、高めるために制御し得る1つのパラメーターであることを意図している。好ましい実施形態において、酢酸ルサラチドは、凍結乾燥(lyophilizedまたはfreeze-dried)形態に保たれる。凍結乾燥は、製品を凍結すること、圧力を低下させること、次いで昇華によって氷を除去することを含む、低温脱水プロセスである。凍結乾燥(lyophilizationまたはfreeze-drying)プロセスの間に、酢酸ルサラチド医薬製品を凍結させ、真空下に置いた後、その酢酸ルサラチド医薬製品から水が除去される。凍結乾燥酢酸ルサラチド医薬製品は、患者に投与する前にバイアル中で再構成するための凍結乾燥粉末として製造され得る。好ましい実施形態において、ペプチドの分解を防止または最小化するために、および酢酸ルサラチドの安定性を高めるために、酢酸ルサラチドを、低温で(例えば、(それらに限定されないが)-20℃、または、好ましくは-80℃で)、凍結乾燥形態で保存する。酢酸ルサラチドは、また、他の低い温度で保存してもよい。
【0165】
凍結融解(FT)サイクルおよび酢酸ルサラチド製剤の物理的状態の安定性に対する効果
凍結融解(FT)サイクルは、(i)酢酸ルサラチドまたは(ii)Monomer(単量体)、Dimer(二量体)、もしくはMonomer(単量体)とDimer(二量体)の任意の組み合わせを含む酢酸ルサラチド組成物、製剤、もしくは剤形、または(iii)(i)と(ii)の両方の安定性に影響し得る別のパラメーターである。好ましい実施形態において、本発明は、酢酸ルサラチドの安定性が、凍結融解(FT)サイクルを回避することによって高められることが意図されている。酢酸ルサラチドが溶液中にある場合、凍結融解(FT)サイクルは、好ましくは、個々のアリコートを凍結させ、次いで、それらの個々のアリコートを1回のみ(例えば、「1回使用」アリコートとして)使用することによって回避される。
【0166】
(i)酢酸ルサラチドまたは(ii)Monomer(単量体)、Dimer(二量体)、もしくはMonomer(単量体)とDimer(二量体)の任意の組み合わせを含む酢酸ルサラチド組成物、製剤、もしくは剤形、または(iii)(i)と(ii)の両方の安定性に影響し得るパラメーターの別の例は、特定の酢酸ルサラチド組成物、製剤、もしくは剤形の物理的状態、およびその物理的状態の酢酸ルサラチドまたは酢酸ルサラチド組成物、製剤、もしくは剤形の安定性に対する影響力である。本発明は、酢酸ルサラチドを含む医薬組成物、製剤、もしくは剤形の粘性および他の状態が、酢酸ルサラチドの安定性を高めるために最適化し得ることを意図している。
【0167】
Monomer(単量体)、Dimer(二量体)、またはその両方の構造におけるコンホメーション変化;Monomer(単量体)、Dimer(二量体)、またはその両方の結晶形態対アモルファス状態
安定性に影響し得るパラメーターの別の1つは、Monomer(単量体)およびDimer(二量体)のコンホメーション構造であり、Monomer(単量体)、Dimer(二量体)、またはその両方の構造におけるコンホメーション変化が含まれる。ペプチドの物理的不安定性には、ペプチドのコンホメーション構造における変換が含まれ得る。酢酸ルサラチドの従来のアプローチおよび研究は、前記Monomer(単量体)とDimer(二量体)の安定性、酢酸ルサラチド医薬製品の生産、酢酸ルサラチド製剤の生産などに関して、このパラメーターの決定的な重要性を説明することができていない。本発明は、この重要であり、長く感じられながら満たされていない必要性に応えるものである。
【0168】
本発明は、最適な医薬活性を維持するための、酢酸ルサラチド製剤、組成物、および剤形を安定化させるための方法およびプロセスを意図している。
【0169】
本発明は、また、Monomer(単量体)構造およびDimer(二量体)構造の分析に基づいて、安定性を高めるための方法およびシステムも意図している。
【0170】
本明細書にさらに記載されているように、本発明は、Monomer(単量体)、Dimer(二量体)、またはそれらの両方のコンホメーション構造における1つまたはそれを超える変化または変換は、Monomer(単量体)、Dimer(二量体)、またはそれらの両方の安定性に影響し得ることを意図している。
【0171】
また、安定性を高め、および最適化するための全ての方法、システム、プロセスなどは、本明細書に記載されているように、また、(i)酢酸ルサラチド、またはその任意の医薬的に有効な塩;および(ii)Monomer(単量体)、Dimer(二量体)、またはMonomer(単量体)とDimer(二量体)の任意の組み合わせを含む任意の酢酸ルサラチド組成物、製剤、もしくは剤形の安定性を高めるために、効果的に使用され得ることも意図されている。
【0172】
出願人らは、ペプチド構造におけるコンホメーション変化の予測および分析に基づき、(i)酢酸ルサラチド、またはその任意の医薬的に有効な塩;および(ii)Monomer(単量体)、Dimer(二量体)、またはMonomer(単量体)とDimer(二量体)の任意の組み合わせを含む任意の酢酸ルサラチド組成物、製剤、もしくは剤形の安定性を高めるために利用し得るアプローチを発見した。
【0173】
このパラメーターをさらに特徴付けおよび分析するために、Monomer(単量体)、Dimer(二量体)、またはそれらの両方のコンホメーション構造、ならびにコンホメーション構造における任意の変化を予測するために1つまたはそれを超える信頼できるツールを使用し得る。これらのツールは、プレ製剤化および製剤化ステージの間のペプチド安定性を予測し、および高めるための非常に有用な特徴付けデータおよび情報を提供する。このようなツールは、Monomer(単量体)、Dimer(二量体)、またはそれらの両方のコンホメーション構造についての物理的な非抽象的情報および特徴付けデータを生じさせる。コンホメーション構造の分析に基づいて収集される物理的な非抽象的情報および特徴付けデータは、例えば、酢酸ルサラチド製剤、組成物、および剤形の安定性が高められるように、前記分析に基づいて少なくとも1つの物理的な非抽象的安定性最適化手順を行うために使用することができる。
【0174】
本発明は、また、医薬製品生産の全ての種類の条件下、ならびにあらゆる全てのプレ製剤化および製剤化ステージの間に、Monomer(単量体)、Dimer(二量体)、またはそれらの両方のコンホメーション構造における、物理的な非抽象的情報を予測、収集するための、および任意の変化または変換を分析するための、このような信頼できるツールの使用も意図している。このような条件およびステージとしては、例えば、Monomer(単量体)、Dimer(二量体)、またはMonomer(単量体)とDimer(二量体)の任意の組み合わせを含む医薬組成物、製剤、もしくは剤形を、例えば、特定のpH、温度、含水量、相対湿度、光への曝露、1つまたはそれを超える賦形剤の存在下、1つまたはそれを超える特定の溶媒もしくは他のキャリアーの存在下を含む、ある特定の条件に従って調製する場合(特定の剤形に製剤化する場合)、またはMonomer(単量体)、Dimer(二量体)、またはMonomer(単量体)とDimer(二量体)の任意の組み合わせの安定性に影響し得る1つまたはそれを超える他のパラメーターに基づいて(本明細書に記載されているように)調製する場合があげられ得る。非常に特殊な条件のある特定のセットのもとで、このような信頼できるツールを、次いで、Monomer(単量体)、Dimer(二量体)、またはそれらの両方のコンホメーション構造における、物理的な非抽象的情報を予測、収集するために、および任意の変化または変換を分析するために使用し得る。このデータは、次いで、(i)酢酸ルサラチドまたは(ii)Monomer(単量体)、Dimer(二量体)、もしくはMonomer(単量体)とDimer(二量体)の任意の組み合わせを含む酢酸ルサラチド組成物、製剤、もしくは剤形、または(iii)(i)と(ii)の両方の安定性が高められるように、前記分析に基づいて、少なくとも1つの物理的な非抽象的安定性最適化手順を行うために使用し得る。
【0175】
このような信頼できるツールのいくつかの代用的な例、例えば、コンホメーション構造における、物理的な非抽象的情報を予測、収集するための、および任意の変化または変換を分析するための信頼できるツールとしては、それらに限定されないが、以下の独占的なツールがあげられる:GenScriptのPeptide Property Tool;Peptide Synthesis and Proteotypic Peptide Analyzing Tool;および「PEP-FOLD」サーバーによって利用可能なツール。
【0176】
例えば、Monomer(単量体)の予測された構造は、「PEP-FOLD」サーバーを利用し、合成23アミノ酸Monomer(単量体)ペプチドの一次構造に基づいて生成させ得る。
【0177】
1つの非限定的な例において、PEP-FOLDサーバーは、Monomer(単量体)の予測される3Dコンホメーションを模式的に示す「球棒」モデルを生成するために使用し得る。Monomer(単量体)の予測される3Dコンホメーションは、回転させることができ、または様々な方向で観察することができる。これらの様々な方向の例を、
図1A、
図1B、および
図1Cに模式的に示す。
【0178】
図1Aは、1つの3D配向(この3D配向のMonomer(単量体)を指し示す矢印のついた参照番号100を参照のこと)のMonomer(単量体)を示す。
【0179】
図1Bは、別の3D配向(この3D配向のMonomer(単量体)を指し示す矢印のついた参照番号110を参照のこと)のMonomer(単量体)を示す。
【0180】
図1Cは、さらに別の3D配向(この3D配向のMonomer(単量体)を指し示す矢印のついた参照番号120を参照のこと)のMonomer(単量体)を示す。
【0181】
予測される3Dコンホメーションの同様の分析は、Dimer(二量体)についても行うことができる。
【0182】
PEP-FOLDサーバーは、予測される3Dコンホメーションを含む、酢酸ルサラチドペプチドについての非常に価値のある情報をもたらし、この情報の分析は、プレ製剤化および製剤化ステージの間に非常に有用である。このようにして収集された情報は、また、酢酸ルサラチド医薬組成物、製剤、剤形中の酢酸ルサラチドの安定性を高め、および最適化するために、機械学習システム、人工知能ツール、または他の分析技術、コンピューターシステム、および他のツールによっても使用され得る。
【0183】
本発明によれば、酢酸ルサラチド構造のこのような予測モデルは、Monomer(単量体)、Dimer(二量体)、またはMonomer(単量体)とDimer(二量体)の任意の組み合わせの安定性を高めるための非常に価値のある有用な情報を収集するための、予期せぬ利点および利益を提供する。これらの種類のアプローチは、(i)酢酸ルサラチドまたは(ii)Monomer(単量体)、Dimer(二量体)、もしくはMonomer(単量体)とDimer(二量体)の任意の組み合わせを含む酢酸ルサラチド組成物、製剤、もしくは剤形、または(iii)(i)と(ii)の両方の安定性を高めるための非常に価値があり有用な情報を収集するために利用することができる。
【0184】
本発明は、また、アモルファス形態または結晶形態のいずれかでも存在し得ることも意図している。結晶製剤において、例えば、酢酸ルサラチドは、より濃縮された形態で存在し得、結晶製剤中の酢酸ルサラチドの化学的および物理的安定性は、結晶形態におけるよりコンパクトなペプチドの分子配置、結晶形態における制限された分子運動、およびより高い純度に起因して、アモルファス状態の酢酸ルサラチドと比較して、より高いことがあり得る。
【0185】
本発明は、また、種々の形態のMonomer(単量体)およびDimer(二量体)を得るために、結晶形態をスクリーニングするための適切で効果的な結晶化スクリーニングと共に、1つまたはそれを超える異なる結晶化技術を使用し得ることも意図している。種々の形態のMonomer(単量体)およびDimer(二量体)の特性を分析および特徴付けするために、任意の数の適切な技術を使用し得る。例えば、これらの技術としては、それらに限定されないが、a)粉末X線回折;b)熱分析;c)赤外分光法;d)NMR分光法;およびe)水分吸着/脱着分析があげられる。
【0186】
最初のスクリーニングは、例えば、1つまたはそれを超える種々の蒸気拡散技術(例えば、シッティングドロップ、サンドウィッチドロップ、ハンギングドロップ、およびキャピラリー)を使用して実施することができ、および本発明は、また、1つまたはそれを超えるバッチ結晶化技術(例えば、貧溶媒沈殿、スローエバポレーション、およびファストエバポレーション技術)もまた使用し得ることも意図している。
【0187】
さらに、本発明は、また、酢酸ルサラチドの結晶化の予測を助けるために、機械的および光学的測定技術が使用される実験を実施し得ることも意図している。酢酸ルサラチドがいつどのように結晶するであろうかを判断するために、テラヘルツ分光法および動的機械分析を使用し得る。
【0188】
バッファー組成
酢酸ルサラチド製剤、組成物、および剤形の安定性に影響し得るパラメーターの別の1つは、バッファー組成である。本発明は、バッファーの組成、pH、温度、および他の条件が、酢酸ルサラチド製剤、組成物、および剤形の安定性が高められるように調節および最適化し得ることを意図している。
【0189】
1つまたはそれを超える賦形剤の存在
本明細書にさらに記載されているように、酢酸ルサラチド製剤、組成物、および剤形の安定性に影響し得るパラメーターの追加の代表的な例としては、それらに限定されないが、前記製剤、組成物、剤形中の1つまたはそれを超える賦形剤の存在があげられる。本明細書に記載されている賦形剤のリストは、いかなる意味においても、限定的であることを意図しておらず、また、本明細書に記載されている賦形剤の種類の例は、単に例示を目的とするものであることを理解すべきである。そのような賦形剤の例は、本明細書にさらに詳細に記載されている。
【0190】
本発明は、Monomer(単量体)、Dimer(二量体)、またはMonomer(単量体)とDimer(二量体)の任意の組み合わせ(これらは、組成物中に、任意の時点で、任意の比、割合、またはパーセンテージで存在し得る)を含む、酢酸ルサラチドを含有する製剤、組成物、および剤形の製造および生産における、任意の適切で医薬的に許容される賦形剤の使用を意図していることを理解すべきである。例えば、本発明は、例えば、「Handbook of Pharmaceutical Excipients」(第6版、Pharmaceutical Press and American Pharmacists Association 2009)(参照によりその全体が本明細書に援用される)に開示されているような、任意の適切で医薬的に許容される賦形剤の使用を意図している。
【0191】
本発明は、1つまたはそれを超える安定化剤が、(i)酢酸ルサラチドまたは(ii)Monomer(単量体)、Dimer(二量体)、もしくはMonomer(単量体)とDimer(二量体)の任意の組み合わせを含む酢酸ルサラチド組成物、製剤、もしくは剤形;または(iii)(i)と(ii)の両方の安定性を高めるために利用され得ることを意図している。
【0192】
好ましい実施形態において、本発明は、酸化的に不安定なペプチドを含む酢酸ルサラチド組成物、製剤、もしくは剤形を安定化するための方法を提供し、ここで、前記方法は、有効量の安定化剤を組成物、製剤、もしくは剤形に加えることを含む。本明細書で使用する場合、「酸化的に不安定なペプチド」は、(例えば、酸素およびある特定の遷移金属の存在下において)分解に対して感受性であり得るMonomer(単量体)、Dimer(二量体)、またはMonomer(単量体)とDimer(二量体)の任意の組み合わせを指す。
【0193】
安定化剤のいくつかの代表的な例としては、それらに限定されないが、キレート剤、または酢酸ルサラチドの安定性を高める他の種類の薬剤があげられる。ある特定の安定化剤は、酸化的に不安定な酢酸ルサラチドペプチドの酸化的分解を阻害し得る。安定化剤の他の例としては、それらに限定されないが、シリカ、キトサンなどのキチン誘導体、ポリ(アスパラギン酸-co-ω-アミノ酸)などのポリアミド、ポリ[イミノカルボニル(2,5-ジヒドロキシ-1,4-フェニレン)カルボニルイミノ-1,4-フェニレンメチレン-1,4-フェニレン](CAS#87912-00-3)などの重合性アミド、ポリビニルピロリドンなどの重合性ラクタム、ジエチレントリアミン五酢酸およびトリエチレントリアミン五酢酸などのポリアミノカルボン酸、ポリアリルアミンなどの重合性アミン、18-クラウン-6、21-クラウン-7、および24-クラウン-8などのクラウンエーテル、セルロースおよびその誘導体、およびN,N,N’,N’,N’’,N’’-ヘキサ(2-ピリジル)-1,3,5-トリス(アミノメチル)ベンゼン、ならびにクラウンエーテルなどのある特定の大環状配位子、knotsおよびcatenandsを含む配位子があげられる。好ましい安定化剤のいくつかの例は、ジエチレントリアミン五酢酸およびトリエチレントリアミン五酢酸などのポリアミノカルボン酸である。安定化剤の特に好ましい例は、ジエチレントリアミン五酢酸(「DTPA」)、またはCaNa3DTPA、ZnNa3DTPA、およびCa2DTPAなどのDTPAの塩である。安定化剤の使用の説明の文脈において、用語「有効量」は、(i)酢酸ルサラチドまたは(ii)Monomer(単量体)、Dimer(二量体)、もしくはMonomer(単量体)とDimer(二量体)の任意の組み合わせを含む酢酸ルサラチド組成物、製剤、もしくは剤形、または(iii)(i)と(ii)の両方の酸化的分解の阻害に有効な安定化剤の量または濃度を指す。
【0194】
本発明は、また、1つまたはそれを超える他の種類の賦形剤が、酢酸ルサラチド組成物、製剤、もしくは剤形において、(i)酢酸ルサラチドまたは(ii)Monomer(単量体)、Dimer(二量体)、もしくはMonomer(単量体)とDimer(二量体)の任意の組み合わせを含む酢酸ルサラチド組成物、製剤、もしくは剤形、または(iii)(i)と(ii)の両方の安定性を高めるためにも利用し得ることも意図している。
【0195】
上記のように、本発明は、例えば、「Handbook of Pharmaceutical Excipients」(第6版、Pharmaceutical Press and American Pharmacists Association 2009)(参照によりその全体が本明細書に援用される)に開示されているような、任意の適切で医薬的に許容される賦形剤の使用を意図している。
【0196】
他の種類の賦形剤のいくつかの限定的な例としては、それらに限定されないが、結合剤(binder)または結合剤(binding agent);(例えば、pHを調節するための)緩衝剤;(例えば、酢酸ルサラチド溶液のための)浸透圧調節剤;付着防止剤;希釈剤;流動促進剤;崩壊剤;フィラー;除湿剤;吸着剤;親水性潤滑剤;疎水性潤滑剤;乳化剤;香味剤;コーティングまたはコーティング賦形剤;着色剤;保存剤;および甘味剤があげられる。他の種類の賦形剤としては、それらに限定されないが、収斂薬、軟化剤、高張剤、油脂剤、粘滑薬、および粘液模倣剤があげられる。
【0197】
結合剤の例としては、それらに限定されないが、微結晶セルロースなどのセルロース、低置換ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどの修飾セルロース、ポリエチレンオキシド、キサンタン、糖(スクロース、マルトデキストリン、デキストロースなど)、ジャガイモデンプンまたはコーンスターチなどのでんぷん、ポリビニルアルコール-ポリエチレングリコールグラフトコポリマー、コポビドン、ポビドン、ポリエチレングリコール、または適切な結合剤の組み合わせがあげられる。
【0198】
希釈剤/フィラーの例としては、それらに限定されないが、セルロース、アセチルセルロース、微結晶セルロース、トレハロース、エリスリトール、ケイ化微結晶セルロース、デキストロース、フルクトース、グリセリルパルミトステアレート、カオリン、ラクチトール、ラクトース、マルチトール、マンニトール、マルトース、アルファ化でんぷん、塩化ナトリウム、ソルビトール、でんぷん、スクロース、グルコース、硫酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、タルク、およびキシリトール、または1つまたはそれを超える希釈剤の組み合わせがあげられる。
【0199】
流動促進剤の例としては、それらに限定されないが、リン酸カルシウム、三ケイ酸マグネシウム、二酸化ケイ素、タルク、コロイドシリカ、ケイ酸カルシウム、トウモロコシデンプン、粉末化セルロース、および無水コロイド状シリカがあげられる。
【0200】
崩壊剤の例としては、それらに限定されないが、でんぷん、ドクサートナトリウム、グアーガム、ヒドロキシプロピルセルロース、部分アルファ化デンプン、デンプングリコール酸ナトリウム、アルファ化でんぷん、アルギン酸、メチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、粉末化セルロース、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、低置換ヒドロキシプロピルセルロース、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、または1つまたはそれを超える崩壊剤の組み合わせがあげられる。
【0201】
代表的な賦形剤の他の例としては、それらに限定されないが、プロポリス、蜜蝋、ネクタール、蜂蜜、およびローヤルゼリー、ハチ由来の他の産物または誘導体(ミツバチまたは他のハチ由来のあらゆる全ての産物または誘導体が含まれる)、またはそれらの任意の組み合わせがあげられる。
【0202】
賦形剤のリストは、単なる代表的なリストであり、単に例示を目的とするものであって、いかなる意味においても、本発明の範囲を限定するものではないことを理解すべきである。任意の他の種類の適切で医薬的に許容される賦形剤が、また、(i)酢酸ルサラチドまたは(ii)Monomer(単量体)、Dimer(二量体)、もしくはMonomer(単量体)とDimer(二量体)の任意の組み合わせを含む酢酸ルサラチド組成物、製剤、もしくは剤形、または(iii)(i)と(ii)の両方の安定性を高めるために、および本発明の前記方法およびシステムに従って利用され得ることを理解すべきである。
【0203】
無菌性
無菌性は、(i)酢酸ルサラチドまたは(ii)Monomer(単量体)、Dimer(二量体)、もしくはMonomer(単量体)とDimer(二量体)の任意の組み合わせを含む酢酸ルサラチド組成物、製剤、もしくは剤形、または(iii)(i)と(ii)の両方の安定性に影響し得るパラメーターの別の例である。本発明は、酢酸ルサラチド組成物、製剤、もしくは剤形の無菌性および他の状態が、安定性を高めるために最適化し得ることを意図している。
【0204】
安定性に対する特定の製剤の粘性の影響力
酢酸ルサラチド組成物、製剤、もしくは剤形の安定性に影響し得るパラメーターの別の例は、安定性に対する組成物、製剤、もしくは剤形の粘性の影響力である。本発明は、酢酸ルサラチド組成物、製剤、もしくは剤形の粘性および他の状態が、(i)酢酸ルサラチドまたは(ii)Monomer(単量体)、Dimer(二量体)、もしくはMonomer(単量体)とDimer(二量体)の任意の組み合わせを含む酢酸ルサラチド組成物、製剤、もしくは剤形、または(iii)(i)と(ii)の両方の安定性を高めるために最適化し得ることを意図している。
【0205】
製剤または医薬組成物中の任意のコンポーネントとの親水性相互作用、疎水性相互作用、および他の相互作用;および安定性に対する、容器、キット、パッケージング、および/または保存に用いられる任意の材料の効果
【0206】
本発明は、また、(i)酢酸ルサラチドまたは(ii)Monomer(単量体)、Dimer(二量体)、もしくはMonomer(単量体)とDimer(二量体)の任意の組み合わせを含む酢酸ルサラチド組成物、製剤、もしくは剤形、または(iii)(i)と(ii)の両方の安定性に影響し得る追加の代表的なパラメーターが、それらに限定されないが、(例えば、Monomer(単量体)またはDimer(二量体)と、製剤、組成物、または剤形の任意のコンポーネントとの間の)親水性相互作用、疎水性相互作用、任意の他の種類の化学的相互作用、物理的相互作用、もしくは生理化学的相互作用、またはこれらの相互作用の任意の組み合わせを含むことも意図している。
【0207】
本発明は、また、固体基材または表面の物理的および化学的性質が、Monomer(単量体)、Dimer(二量体)、およびMonomer(単量体)とDimer(二量体)の任意の組み合わせの安定性および活性に影響することも意図している。本発明は、例えば、種々の親水性または疎水性の固体基材または表面が、(i)酢酸ルサラチド、(ii)Monomer(単量体)、Dimer(二量体)、またはMonomer(単量体)とDimer(二量体)の任意の組み合わせを含む酢酸ルサラチド組成物、製剤、もしくは剤形、および(iii)(i)と(ii)の両方の安定性および活性に対する効果に関して分析され得ることを意図している。例えば、本発明は、中程度の親水性のメソポーラスシリカポアを含む基材および表面の、それらのMonomer(単量体)、Dimer(二量体)、またはMonomer(単量体)とDimer(二量体)の任意の組み合わせの安定性および活性に対する効果を分析および決定するための、より高親水性の表面と比較した分析を意図している。それらの物理的および化学的性質に応じて、種々の材料が、Monomer(単量体)、Dimer(二量体)、またはMonomer(単量体)とDimer(二量体)の任意の組み合わせとの親水性相互作用、疎水性相互作用、または他の種類の相互作用を有し得、それが、そのため、Monomer(単量体)、Dimer(二量体)、またはMonomer(単量体)とDimer(二量体)の任意の組み合わせの安定性に影響し得る。本発明は、また、物理的な非抽象的データが、任意の種類の材料(それらに限定されないが、酢酸ルサラチド組成物、製剤、もしくは剤形の容器、キット、パッケージング、または保存における使用について考慮および評価されている任意の材料が含まれる)について収集および分析され得ることも意図している。このデータは、酢酸ルサラチド医薬製品生産のあらゆる全てのプレ製剤化および製剤化ステージの間に収集され得る。
【0208】
本発明は、また、モデルおよびシミュレーションが、(i)酢酸ルサラチド、および(ii)Monomer(単量体)、Dimer(二量体)、またはMonomer(単量体)とDimer(二量体)の任意の組み合わせを含む任意の酢酸ルサラチド組成物、製剤、もしくは剤形の安定性および活性に対する種々の材料の効果を分析および決定するために利用され得ることも意図している。
【0209】
例えば、疎水性-極性(H-P)格子モデルが、種々の親水性または疎水性の材料、基材、および表面の存在下、(i)酢酸ルサラチド、および(ii)Monomer(単量体)、Dimer(二量体)、またはMonomer(単量体)とDimer(二量体)の任意の組み合わせを含む任意の酢酸ルサラチド組成物、製剤、もしくは剤形の物理的な非抽象的データを収集、および熱安定性を分析するために使用され得る。
【0210】
厚さと曲率が異なる表面(例えば、多孔性材料の非常に小さい空洞または細孔内面の表面親水性特性)、ならびに異なる材料の光に対する透過性の効果もまた、異なる製剤、医薬組成物、または剤形中のMonomer(単量体)、Dimer(二量体)、またはMonomer(単量体)とDimer(二量体)の任意の組み合わせの安定性および活性に対する異なる材料の効果をさらに評価するために分析され得る。
【0211】
本発明は、また、Monomer(単量体)またはDimer(二量体)の流体力学的半径と比較した場合の、種々の材料のポアサイズの効果に関するデータの物理的な非抽象的収集および分析も意図している。本発明に従って、この種類の分析は、また、(i)酢酸ルサラチドまたは(ii)Monomer(単量体)、Dimer(二量体)、もしくはMonomer(単量体)とDimer(二量体)の任意の組み合わせを含む酢酸ルサラチド組成物、製剤、もしくは剤形、または(iii)(i)と(ii)の両方の安定性を高めるための適切なステップを利用するためにも非常に価値があり、また有用である。
【0212】
光への曝露の安定性に対する影響力(例えば、光分解および光酸化の影響)
本明細書の別の場所に記載されているように、本発明は、Monomer(単量体)、Dimer(二量体)、またはMonomer(単量体)とDimer(二量体)の任意の組み合わせの酸化を含む、酢酸ルサラチドの酸化が起こり得ることを意図している。このような酸化は、例えば、混入酸化体によって誘発され、遷移金属イオンの存在によって触媒され、さらにまた、光によっても誘発され得る。光への曝露は、したがって、酢酸ルサラチドの安定性に対する(例えば、光分解または光酸化に起因する)何らかの効果が存在するか否か、およびMonomer(単量体)、Dimer(二量体)、またはMonomer(単量体)とDimer(二量体)の任意の組み合わせの何らかの酸化が存在するか否かを判定するために分析され得るパラメーターの1つである。
【0213】
本明細書に記載されているように、光安定性試験は、異なる種類および強度の光に対する、酢酸ルサラチドのサンプル(Monomer(単量体)およびDimer(二量体)が含まれる)の曝露を含み得、さらにまた、固体と液体の酢酸ルサラチド剤形の両方を曝露することも含み得る。例示として、サンプルは、最低限、約1.2×106ルクス時(約120万ルクス時)および約200ワット時/平方メートルの光に曝露することが好ましい。また、サンプルを白色光に曝露すること、および他のサンプルをUV光に曝露することも好ましい。対照サンプルがいかなる光にも曝露されない対照付き研究を実施する。また、光への曝露の間、曝露の間のあらゆる温度変化の影響を最小化するために、温度の制御(すなわち、一定の温度を維持するために)を維持することが好ましい。
【0214】
任意の適切な計器、システム、または計器もしくはシステムの組み合わせが、Monomer(単量体)、Dimer(二量体)、またはMonomer(単量体)とDimer(二量体)の任意の組み合わせの安定性に対する光への曝露の任意の効果を検出および分析するために使用され得る。1つの非限定的な例は、Monomer(単量体)、Dimer(二量体)、またはMonomer(単量体)とDimer(二量体)の任意の組み合わせの光安定性を分析および判定するための分光学の使用である。例えば、分光光度的特徴付けによって、Monomer(単量体)、Dimer(二量体)、またはMonomer(単量体)とDimer(二量体)の任意の組み合わせを含むサンプルは、適切な分析化学法によって決定して、適切で妥当なレベルのUV照射またはUV-可視光照射に曝露され、また、任意の光分解の存在または発生が、分光光度法を使用してモニターされる。本発明は、これらのパラメーターの物理的な非抽象的分析のための新たなアプローチ、方法、プロセス、およびシステムを意図しており、さらにここで、少なくとも1つの物理的な非抽象的コンピューターベース計測システムは、(i)酢酸ルサラチドまたは(ii)Monomer(単量体)、Dimer(二量体)、もしくはMonomer(単量体)とDimer(二量体)の任意の組み合わせを含む酢酸ルサラチド組成物、製剤、もしくは剤形、または(iii)(i)と(ii)の両方の安定性が高められるように、前記分析に基づいて、少なくとも1つの物理的な非抽象的安定性最適化手順を行うために動作可能である。
【0215】
イオン、塩、およびイオン強度の、酢酸ルサラチドのコンホメーションおよび安定性に対する効果
本発明は、また、(i)酢酸ルサラチドまたは(ii)Monomer(単量体)、Dimer(二量体)、もしくはMonomer(単量体)とDimer(二量体)の任意の組み合わせを含む酢酸ルサラチド組成物、製剤、もしくは剤形、または(iii)(i)と(ii)の両方の安定性に影響し得る追加の代表的なパラメーターも意図している。このような追加の代表的なパラメーターとしては、それらに限定されないが、種々のイオン(例えば、1つまたはそれを超えるカチオン、またはアニオン)の効果、1つまたはそれを超える塩、(例えば、酢酸ルサラチド組成物、製剤、もしくは剤形の調製の間の、1つまたはそれを超えるプレ製剤化プロセスもしくはステージ、または製剤化プロセスもしくはステージの間の)イオン強度の変化の効果があげられる。例えば、一価の塩(例えば、塩化ナトリウム)は、ペプチドを含む溶液のイオン強度を変化させることによって、ペプチド安定性に影響し得る。本発明は、また、これらのパラメーターの物理的な非抽象的分析のための新たなアプローチ、方法、プロセス、およびシステムも意図しており、さらにここで、少なくとも1つの物理的な非抽象的コンピューターベース計測システムは、(i)酢酸ルサラチドまたは(ii)Monomer(単量体)、Dimer(二量体)、もしくはMonomer(単量体)とDimer(二量体)の任意の組み合わせを含む酢酸ルサラチド組成物、製剤、もしくは剤形、または(iii)(i)と(ii)の両方の安定性が高められるように、前記分析に基づいて、少なくとも1つの物理的な非抽象的安定性最適化手順を行うために動作可能である。
【0216】
遷移金属に対する結合;遷移金属イオンの存在によって触媒される酸化
本発明は、また、Monomer(単量体)、Dimer(二量体)、またはMonomer(単量体)とDimer(二量体)の任意の組み合わせの酸化は、混入酸化体によって誘発され、遷移金属イオンの存在によって触媒され、また光によっても誘発され得ることを意図している。これらは全て、(i)酢酸ルサラチドまたは(ii)Monomer(単量体)、Dimer(二量体)、もしくはMonomer(単量体)とDimer(二量体)の任意の組み合わせを含む酢酸ルサラチド組成物、製剤、もしくは剤形、または(iii)(i)と(ii)の両方の安定性に影響し得る追加の代表的なパラメーターである。
【0217】
本発明は、酢酸ルサラチドの純度および安定性は、任意の遷移金属不純物(任意の酸化還元活性遷移金属不純物が含まれる)の検出および除去によって高められ得ることを意図している。用語「酸化還元活性遷移金属不純物」は、混入物または不純物である任意の遷移金属を含むことが意図されており、それらは、酸化還元メカニズム、すなわち、酢酸ルサラチドが1つまたはそれを超える遷移金属混入物もしくは不純物によって還元もしくは酸化される還元または酸化プロセスによって、酢酸ルサラチドと相互作用することができる。したがって、酢酸ルサラチドの安定性を保ち、高めるために、あらゆる全ての酸化還元活性遷移金属不純物を除去することが望ましい。酸化還元活性遷移金属不純物の特定の例としては、それらに限定されないが、鉄(Fe)、コバルト(Co)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、およびマンガン(Mn)があげられる。酢酸ルサラチド製剤、医薬組成物、または剤形の調製および製造の間に、任意のそのような遷移金属不純物を検出および除去するためのステップを行い、それによって酢酸ルサラチドの純度および安定性を高めることができる。
【0218】
本発明は、また、酢酸ルサラチドの金属で触媒される酸化を低減または阻害するために安全かつ有効なキレート剤を選択するための、キレート剤の注意深いスクリーニングも意図している。1つまたはそれを超える安全かつ有効なキレート剤は、酢酸ルサラチドを含む医薬組成物、製剤、および剤形において、必要に応じて使用し得、または適切であり得る。本発明は、また、これらのパラメーターの物理的な非抽象的分析のための他の適切なアプローチ、方法、プロセス、およびシステムも意図しており、さらにここで、少なくとも1つの物理的な非抽象的コンピューターベース計測システムは、酢酸ルサラチド組成物、製剤、もしくは剤形の安定性が高められるように、前記分析に基づいて、少なくとも1つの物理的な非抽象的安定性最適化手順を行うために動作可能であり、ここで、前記組成物、製剤、もしくは剤形は、Monomer(単量体)、Dimer(二量体)、またはMonomer(単量体)とDimer(二量体)の任意の組み合わせを含む。
【0219】
温度、時間、濃度(例えば、酢酸ルサラチドペプチドの濃度)、および混合順序の、安定性に対する影響力
本発明は、また、(i)酢酸ルサラチドまたは(ii)Monomer(単量体)、Dimer(二量体)、もしくはMonomer(単量体)とDimer(二量体)の任意の組み合わせを含む酢酸ルサラチド組成物、製剤、もしくは剤形、または(iii)(i)と(ii)の両方の安定性に影響し得る追加の代表的なパラメーターも意図している。これらのパラメーターとしては、それらに限定されないが、温度;時間(例えば、製品生産の間の、賦形剤を混合する場合の持続時間);酢酸ルサラチド組成物のバッチを保存する場合の保存時間;酢酸ルサラチドの濃度;酢酸ルサラチド組成物、製剤、および剤形の調製において使用されるコンポーネントを混合する順序(例えば、種々の賦形剤の混合順序が含まれる);またはそれらの任意の組み合わせ、の影響力が含まれる。
【0220】
医薬組成物、製剤、もしくは剤形中の酢酸ルサラチドペプチドの濃度に関して、分析技術が、また、酢酸ルサラチドペプチドの異なる濃度において、何らかの不必要な凝集体が形成されるか否か(例えば、ペプチドの不必要なアモルファス凝集体)を判定するためにも使用し得ること、および、そのような凝集体は酢酸ルサラチドの安定性に悪い影響を与え得るため、そのような凝集体を低減または排除するための適切なステップを利用し得ることが意図されている。また、適切な技術が、酢酸ルサラチドペプチドの異なる濃度において、表面に対する(例えば、製造または製品生産において使用される容器の表面に対する)酢酸ルサラチドペプチドの何らかの不必要な吸着があるか否かを判定するために使用し得、および、このような吸着は酢酸ルサラチドの安定性に悪い影響を与え得るため、表面に対するこのような吸着を低減または排除するための適切なステップを利用し得る。
【0221】
プロセスおよび製造条件(例えば、プレ製剤化および製剤化ステージの両方における)(それらに限定されないが、温度、時間(例えば、製品生産の間の、賦形剤を混合する場合の持続時間)、酢酸ルサラチド組成物のバッチを保存する場合の保存時間、酢酸ルサラチドの濃度、およびコンポーネントを混合する順序(例えば、種々の賦形剤の混合順序が含まれる)が含まれる)は、医薬組成物、製剤、もしくは剤形中の酢酸ルサラチドの安定性を高めるために最適化され得る。
【0222】
本発明は、また、これらのパラメーターの物理的な非抽象的分析のための新たなアプローチ、方法、プロセス、およびシステムも意図しており、さらにここで、少なくとも1つの物理的な非抽象的コンピューターベース計測システムは、酢酸ルサラチド組成物、製剤、もしくは剤形の安定性が高められるように、前記分析に基づいて、少なくとも1つの物理的な非抽象的安定性最適化手順を行うために動作可能であり、ここで、前記酢酸ルサラチド組成物、製剤、もしくは剤形は、Monomer(単量体)、Dimer(二量体)、またはMonomer(単量体)とDimer(二量体)の任意の組み合わせを含む。
【0223】
任意の混入物または不純物(例えば、製剤、組成物、または剤形中の任意の混入物もしくは不純物の存在)の安定性に対する効果
本明細書の別の場所に記載されているように、(i)酢酸ルサラチドまたは(ii)Monomer(単量体)、Dimer(二量体)、もしくはMonomer(単量体)とDimer(二量体)の任意の組み合わせを含む酢酸ルサラチド組成物、製剤、もしくは剤形、または(iii)(i)と(ii)の両方の酸化は、混入酸化体によって誘発され、遷移金属イオンの存在によって触媒され、または光によって誘発され得る。これらは全て、(i)酢酸ルサラチドまたは(ii)Monomer(単量体)、Dimer(二量体)、もしくはMonomer(単量体)とDimer(二量体)の任意の組み合わせを含む酢酸ルサラチド組成物、製剤、もしくは剤形、または(iii)(i)と(ii)の両方の安定性に影響し得る代表的なパラメーターである。本発明は、パラメーターの物理的な非抽象的分析のための新たなアプローチ、方法、プロセス、およびシステムを意図しており、さらにここで、少なくとも1つの物理的な非抽象的コンピューターベース計測システムは、酢酸ルサラチド組成物、製剤、もしくは剤形の安定性が高められるように、前記分析に基づいて、少なくとも1つの物理的な非抽象的安定性最適化手順を行うために動作可能であり、ここで、前記酢酸ルサラチド組成物、製剤、もしくは剤形は、Monomer(単量体)、Dimer(二量体)、またはMonomer(単量体)とDimer(二量体)の任意の組み合わせを含む。
【0224】
撹拌、凍結乾燥、または他の処理ステップおよび手順(例えば、酢酸ルサラチド製剤の調製プロセスの間の)によって生じる、安定性に対する潜在的な効果
本発明は、また、適切な技術が、(例えば、酢酸ルサラチド製剤、剤形、または医薬組成物の調製プロセスの間の)撹拌、凍結乾燥、または他の処理ステップおよび手順によって生じる、安定性(すなわち、酢酸ルサラチドの安定性)に対する任意の潜在的な効果についての分析に利用し得ることも意図している。
【0225】
酢酸ルサラチドにおけるAsp-Pro結合の切断に対する保護による安定性の向上
Asp-Pro結合を含むペプチドは、ある特定の酸性条件下、例えば、10%酢酸(水中)などの酸性条件下で切断され得る。したがって、酢酸ルサラチド中のAsp-Pro結合の切断の可能性を最小化するために、本発明は、10%酢酸(水中)の使用を避けることが好ましいことを意図している。
【0226】
加水分解の効果を最小化することによる酢酸ルサラチドの安定性の向上
加水分解は、配列中にAspを含むペプチド(脱水によって環状イミド中間体を形成しやすいことがある)に影響を及ぼし得るため、本発明は、また、加水分解の効果を最小化するための適切なステップを利用し、よって、(i)酢酸ルサラチドまたは(ii)Monomer(単量体)、Dimer(二量体)、もしくはMonomer(単量体)とDimer(二量体)の任意の組み合わせを含む酢酸ルサラチド組成物、製剤、もしくは剤形、または(iii)(i)と(ii)の両方の安定性を高めることも意図している。
【0227】
他の実施形態によれば、本発明は、また、分解からAsp残基を保護するための、ある特定の保護基の導入も意図している。例えば、本発明は、スクシンイミド形成に対する保護をもたらし得る、Asp(OcHx)の使用を意図している。
【0228】
1つまたはそれを超えるペプチダーゼ阻害剤の使用による、酢酸ルサラチドの安定性の向上
好ましい実施形態において、酢酸ルサラチド組成物、製剤、もしくは剤形は、酢酸ルサラチドのペプチダーゼによる切断を特異的に阻害する、1つまたはそれを超えるペプチダーゼ阻害剤と共に投与される。
【0229】
本発明は、また、酢酸ルサラチドペプチドの見込まれるin vivo安定性を予測するための有用な追加の情報を提供し得る、血漿中の酢酸ルサラチドペプチドの安定性のin vitro評価、または適切なin vitroアッセイのために、適切な方法を使用し得ることも意図している。
【0230】
本発明は、酢酸ルサラチドの安定性が高められた、安定化された医薬組成物、剤形、および製剤を提供する。
【0231】
本発明は、(1)酢酸ルサラチドが、全てMonomer(単量体)として存在する、または(2)Monomer(単量体)が、安定化された医薬組成物、剤形、および製剤中に存在する酢酸ルサラチドの実質的に全て、または過半数を占める、安定化された医薬組成物、剤形、および製剤を意図している。
【0232】
本発明は、また、(1)酢酸ルサラチドが、全てDimer(二量体)として損座愛する、または(2)Dimer(二量体)が、安定化された医薬組成物、剤形、および製剤中に存在する酢酸ルサラチドの実質的に全て、または過半数を占める、安定化された医薬組成物、製剤、および剤形も意図している。
【0233】
安定性最適化手順の代表的な例
本明細書に記載されているように、本発明は、酢酸ルサラチド組成物、製剤、もしくは剤形の安定性が高められるように、1つまたはそれを超えるパラメーター(すなわち、安定性に影響するパラメーター)の分析に基づいて、少なくとも1つの物理的な非抽象的安定性最適化手順を行うことを意図しており、ここで、前記酢酸ルサラチド組成物、製剤、もしくは剤形は、Monomer(単量体)、Dimer(二量体)、またはMonomer(単量体)とDimer(二量体)の任意の組み合わせを含む。
【0234】
これらのパラメーターの分析のための手順の例としては、それらに限定されないが、実験室内で物理的に行われる安定性分析もしくは安定性試験、または安定性の分析のために使用し得る任意の他の適切な分析手順があげられる。本発明は、例えば、安定性の評価のための(例えば、安定性分析における使用)、および分解物形成(例えば、分解生成物の生成)について酢酸ルサラチドのサンプルを分析するための、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)の使用を意図している。Monomer(単量体)またはDimer(二量体)の任意の分解について分析するためのステップを利用し得る。さらなる分析を、質量分析または他の適切な分析技術によって行い得る。
【0235】
好ましい実施形態において、本発明は、全ての安定性分析が、好ましくは、少なくとも3重で行われるであろうことを意図している。
【0236】
好ましい実施形態において、本発明は、また、さらなる分析が、例えば、(i)酢酸ルサラチド、および(ii)Monomer(単量体)、Dimer(二量体)、またはMonomer(単量体)とDimer(二量体)の任意の組み合わせを含む任意の酢酸ルサラチド組成物、製剤、もしくは剤形の安定性、貯蔵寿命、および保存のための最適な条件の予測を助けるために、isoconversion法と共に、湿度補正したアレニウス式を使用して行い得ることも意図している。
【0237】
Monomer(単量体)の安定化が望ましい場合:二量体化(Dimerization)阻害剤の使用
Monomer(単量体)の安定化が望ましい場合、本発明は、また、Dimer(二量体)を本質的に含まないMonomer(単量体)を含む製剤を得るための方法も意図している。酢酸ルサラチドは、キレート剤または医薬的に許容されるチオール含有化合物などの二量体化阻害剤の存在下において、ダイマーを本質的に含まない、例えば、2か月の期間にわたって重量で90%超含まない、および2か月の期間にわたって重量で95%超含まないモノマー形態を維持することが見出されている。キレート剤とチオール含有化合物は、二量体化を阻害または低減するために、一緒に使用することもでき、または別々に使用することもできる。抗酸化剤を、必要に応じて、キレート剤またはチオール含有化合物と組み合わせて使用することができる。「キレート剤」は、本明細書で使用する場合、好ましくは、例えば、鉛イオン、コバルトイオン、鉄イオン、または銅イオンなどの金属イオン(単数または複数)に同時に結合し得る多数の(2、3、4、またはそれを超える)部位を有する化合物である。結合部位は、典型的には、酸素、窒素、硫黄、またはリンを含む。例えば、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)の塩は、EDTAの4つ酢酸部分(-CHZG(O)O~)の酸素原子、およびエチレンジアミン部分(>N-CHZ-CHZ-N<)の窒素原子によって、金属イオン(単数または複数)と、少なくとも4~6個の結合を形成し得る。キレート剤は、また、金属または金属イオンに対する多数の結合部位を有するポリマーも含み得ることが理解される。好ましくは、本発明のキレート剤は、投与される用量において、非毒性であり、許容できない副作用を引き起こさない。本発明のキレート剤としては、銅キレート剤が好ましい。「銅キレート剤」は、銅イオン(単数または複数)に結合し得るキレート剤を指す。銅キレート剤としては、例えば、それらに限定されないが、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ペニシラミン、トリエンチン、N,N-ジエチルジチオカルバメート(DDC)、2,3,2’-テトラアミン(2,3,2’-tet)、ネオクプロイン、N,N,N;N-テトラキス(2-ピリジルメチル)エチレンジアミン(TPEN)、1,10-フェナントロリン(PHE)、テトラエチレンペンタミン(TEPA)、トリエチレンテトラアミン、およびトリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)があげられる。追加のキレート剤は、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)およびバソフェナンスロリンジスルホン酸(BPADA)である。EDTAは、好ましいキレート剤である。本発明の医薬組成物中に存在するキレート剤の典型的な量は、例えば、約0.00001重量%~約0.1重量%の範囲内、好ましくは約0.0001重量%~約0.05重量%の範囲内である。「医薬的に許容されるチオール含有化合物」は、本明細書で使用する場合、少なくとも1つのチオール(-SH)基を含み、投与される用量において許容できない副作用を引き起こさない化合物である。医薬的に許容されるチオール含有化合物としては、例えば、それらに限定されないが、チオグリセロール、メルカプトエタノール、チオグリコール、チオジグリコール、システイン、チオグルコース、ジチオスレイトール(DTT)、およびジチオ-ビス-マレイミドエタン(DTME)があげられる。本発明のある特定の実施形態によれば、約0.001重量%~約5重量%、好ましくは約0.05重量%~約1.0重量%の医薬的に許容されるチオール含有化合物が、本発明の医薬組成物および製剤中に存在する。しかしながら、一般に使用されるキレート剤の他の代表的な例は、チオール基を含まない。本発明の医薬組成物は、1つを超えるキレート剤、チオール含有化合物、または抗酸化剤を含み得ることも理解される。すなわち、例えば、キレート剤は、単独で、または1つまたはそれを超える他の適切なキレート剤と組み合わせて使用することができる。
【0238】
分析し得る追加の代表的なパラメーター
本発明は、任意の適切な分析方法および特徴付け方法、または分析方法および特徴付け方法の組み合わせが、(i)酢酸ルサラチドまたは(ii)Monomer(単量体)、Dimer(二量体)、もしくはMonomer(単量体)とDimer(二量体)の任意の組み合わせを含む酢酸ルサラチド組成物、製剤、もしくは剤形、または(iii)(i)と(ii)の両方を分析および特徴付けするために採用および利用し得ることを意図している。これらの分析方法および特徴付け方法から集め、収集されたデータおよび情報は、臨床用途および適用を含む任意の意図した用途のために、(i)酢酸ルサラチドまたは(ii)Monomer(単量体)、Dimer(二量体)、もしくはMonomer(単量体)とDimer(二量体)の任意の組み合わせを含む酢酸ルサラチド組成物、製剤、もしくは剤形、または(iii)(i)と(ii)の両方の安定性を高め、および安定性を最適化するために、本発明のシステムおよび方法に従って使用し得る。
【0239】
本発明の好ましい実施形態によれば、複数の分析方法および複数の特徴付け方法を、(i)酢酸ルサラチドまたは(ii)Monomer(単量体)、Dimer(二量体)、もしくはMonomer(単量体)とDimer(二量体)の任意の組み合わせを含む酢酸ルサラチド組成物、製剤、もしくは剤形、または(iii)(i)と(ii)の両方についての追加の情報を集め、収集するために使用し得る。この情報は、(i)酢酸ルサラチドまたは(ii)Monomer(単量体)、Dimer(二量体)、もしくはMonomer(単量体)とDimer(二量体)の任意の組み合わせを含む酢酸ルサラチド組成物、製剤、もしくは剤形、または(iii)(i)と(ii)の両方の安定性を、任意の条件下および任意のステージ(例えば、それらに限定されないが、
(1)(i)酢酸ルサラチド、または(ii)Monomer(単量体)、Dimer(二量体)、またはMonomer(単量体)とDimer(二量体)の任意の組み合わせを含む酢酸ルサラチド組成物、製剤、もしくは剤形の合成の間;
(2)プレ製剤化ステージまたは製剤化ステージにおいて;
(3)Monomer(単量体)、Dimer(二量体)、またはMonomer(単量体)とDimer(二量体)の任意の組み合わせを含む酢酸ルサラチド組成物、製剤、もしくは剤形の製造の間;
(4)Monomer(単量体)、Dimer(二量体)、またはMonomer(単量体)とDimer(二量体)の任意の組み合わせを含む酢酸ルサラチド組成物、製剤、もしくは剤形の1つまたはそれを超えるバッチの保存の間;
(5)1つまたはそれを超える臨床適用のための使用の直前。
【0240】
これらは、全て非限定的な例である。さらなる分析のために使用し得るこの情報によって、(i)酢酸ルサラチドまたは(ii)Monomer(単量体)、Dimer(二量体)、もしくはMonomer(単量体)とDimer(二量体)の任意の組み合わせを含む酢酸ルサラチド組成物、製剤、もしくは剤形、または(iii)(i)と(ii)の両方の安定性が特徴付けおよび評価され、またこの情報は、さらに、それらに限定されないが、大気酸素、含水量、相対湿度、キャリアーの種類、pH、温度、および(i)酢酸ルサラチドまたは(ii)Monomer(単量体)、Dimer(二量体)、もしくはMonomer(単量体)とDimer(二量体)の任意の組み合わせを含む酢酸ルサラチド組成物、製剤、もしくは剤形、または(iii)(i)と(ii)の両方の安定性に影響し得る本明細書に記載されている他のパラメーターを含む、本明細書に記載されているパラメーターの分析から収集された情報と組み合わせて使用し得る
において、特徴付けおよび評価するために使用し得る。
【0241】
それらに限定されないが(i)酢酸ルサラチドまたは(ii)Monomer(単量体)、Dimer(二量体)、もしくはMonomer(単量体)とDimer(二量体)の任意の組み合わせを含む酢酸ルサラチド組成物、製剤、もしくは剤形、または(iii)(i)と(ii)の両方の同一性、強度、安定性、貯蔵寿命、溶解度、吸湿性、分解プロファイル、効力、または純度の特徴付けを助けるパラメーターまたは属性を含む、任意の数の追加のパラメーターまたは属性が分析され得る。これらの追加のパラメーターまたは属性は、任意のステージにおいて、例えば、酢酸ルサラチド合成の任意のステージにおいて、および任意のプレ製剤化または製剤化ステージを含む製造プロセス全体を通して(例えば、インプロセス、および酢酸ルサラチド製剤、医薬組成物、または剤形の最終製品製造の両方のために)分析され得る。これらの追加のパラメーターまたは属性は、また、任意の種類の酢酸ルサラチド製剤、医薬組成物、または剤形(例えば、それらに限定されないが、固体、液体、ゲル、クリーム、軟膏、凍結乾燥調製物もしくは製剤、または他の任意の種類の製剤、組成物、剤形、さらにまた、臨床用途のための任意の送達または投与経路について)についても分析し得る。任意の数の試験を、例えば、統計解析を可能にするため、および臨床用途のための製品生産のための要件を満たすため、ならびに任意の他の規制上の要件のために行い得る。例えば、酢酸ルサラチド製剤の生産の間、不純物についての分析のために試験を行ってもよく、また、最終バッチまたは最終製品中の不純物レベルが規制によって許容される限度または閾値を下回ることを確実にするための処理ステップを行ってもよい。これらの追加のパラメーターまたは品質属性のいくつかの例としては、それらに限定されないが、以下のものがあげられる。
●ペプチドの外観-このパラメーターまたは属性についての情報は、例えば、ペプチドの目視検査によって、または適切な計測装置を使用して収集することができる;
●ペプチド含量(例えば、ペプチド合成の間の)-このパラメーターまたは属性についての情報は、例えば、定量的アミノ酸分析;元素分析;ケルダール分析を使用して収集することができ、また、化学発光窒素検出器(chemiluminescence nitrogen detector(CLND))を使用したHPLCもまた使用し得る;
●任意の有機不純物または任意の分解不純物の存在-このパラメーターまたは属性についての情報は、例えば、それらに限定されないが、逆相HPLC(RP-HPLC)、イオン交換HPLC(IEX-HPLC)、サイズ排除クロマトグラフィー(SECまたはSEC-HPLC)、超高速液体クロマトグラフィー(UHPLC)などを含むHPLC法によって収集することができる;
●任意の残留溶剤(例えば、有機溶媒)の存在、または任意の他の非ペプチド不純物の存在(例えば、合成由来、またはプレ製剤化または製剤化ステージ由来)-このパラメーターまたは属性についての情報は、例えば、ガスクロマトグラフィーによって収集することができる;
●他のアニオン(無機不純物)の存在-このパラメーターまたは属性についての情報は、例えば、イオンクロマトグラフィーによって収集することができる;
●無機不純物としてのフッ化物の存在-このパラメーターまたは属性についての情報は、例えば、イオン選択電極またはイオンクロマトグラフィーによって収集することができる;
●任意の小分子不純物または任意の潜在的な遺伝毒性不純物の存在-このパラメーターまたは属性についての情報は、適切な検出アッセイまたは方法によって収集することができる;
●元素的不純物(無機不純物)の存在-このパラメーターまたは属性についての情報は、例えば、誘導結合プラズマ質量分析(ICP-MS)によって収集することができる;
●任意の対イオン(酢酸ルサラチドの安定性に影響し得るパラメーターまたは属性である)の存在-対イオン定量分析を、対イオンの存在を測定および定量、ならびに対イオンのペプチド安定性(例えば、酢酸ルサラチドの安定性)に対する効果を分析するために使用することができる;対イオンの例としては、それらに限定されないが、ナトリウムイオン、カルシウムイオン、および塩素イオンがあげられる;対イオンについての情報は、例えば、AgNO3滴定もしくはイオンクロマトグラフィーによって、または逆相HPLC(RP-HPLC)によって収集することができ;他の方法および手順(例えば、融合原子分子動力学シミュレーション)もまた、対イオンのペプチド安定性に対する効果を分析および決定するために使用することができる。
●含水量の分析-このパラメーターまたは属性についての情報は、例えば、クーロメトリー法によって、またはカールフィッシャー滴定を使用して収集することができる;
●マスバランス(ペプチド含量、対イオン含量、および含水量を含む)の分析もまた行い得る;
●生物汚染度の分析-このパラメーターまたは属性についての情報は、例えば、総好気性微生物数(TAMC)および総複合イーストおよびカビ数(TYMC)を決定するための方法によって収集することができる;
●任意のエンドトキシン(それらに限定されないが、任意の細菌のエンドトキシンを含む)の存在についての分析-このパラメーターまたは属性についての情報は、例えば、適切な検出アッセイによって収集することができる
【0242】
本発明は、生物汚染度の分析のために、任意の適切な手順を生物汚染度試験のために実施しうることを意図している。用語「生物汚染度」は、本明細書で使用する場合、酢酸ルサラチド組成物、剤形、または製剤中に存在し、かつ殺菌された微生物と殺菌されていない微生物の両方を含む微生物(それらに限定されないが、バクテリアを含む)の総分量、数、または量を幅広く指すことを意図している。
【0243】
用語「生物汚染度試験」は、本明細書で使用される場合、酢酸ルサラチド組成物、剤形、または製剤に対して行われる任意の微生物試験を幅広く指すことを意図しており、ここで、前記試験は、前記組成物、剤形、または製剤中に存在する生物汚染度を測定するために使用される。
【0244】
本発明は、また、任意の他の適切な分析方法が、(i)酢酸ルサラチド、および(ii)Monomer(単量体)、Dimer(二量体)、またはMonomer(単量体)とDimer(二量体)の任意の組み合わせを含む任意の酢酸ルサラチド組成物、製剤、もしくは剤形を分析または特徴付けするためにも使用し得ることも意図している。このような分析方法の例としては、それらに限定されないが、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、逆相HPLC(RP-HPLC)、高速液体クロマトグラフィー-イオン交換クロマトグラフィー(HPLC-IEX)、高速液体クロマトグラフィー-サイズ排除クロマトグラフィー(HPLC-SEC)、超高速液体クロマトグラフィー(UHPLC);質量分析、例えば、高性能質量分析(HPMS)、高分解能質量分析(HRMS)、UHPLC-HRMS、液体クロマトグラフィー質量分析(LC-MS)、二次元LC-MS、タンデム質量分析、または液体クロマトグラフィー-タンデム質量分析(LC-MS/MS)による分析;配列分析;アミノ酸分析;ペプチドマッピング;NMR分光法;赤外分光法;(例えば、LC-MSによる)ピーク純度分析;エナンチオマー的純度(ガスクロマトグラフィー質量分析(GC-MS)、またはキラルGC-MSによるキラルアミノ酸分析;イオンクロマトグラフィー;旋光分析;(例えば、円二色性(CD)、核磁気共鳴(NMR)、またはフーリエ変換赤外分光分析(FTIR)による)高次構造(HOS)分析;および(i)酢酸ルサラチドまたは(ii)Monomer(単量体)、Dimer(二量体)、もしくはMonomer(単量体)とDimer(二量体)の任意の組み合わせを含む酢酸ルサラチド組成物、製剤、もしくは剤形、または(iii)(i)と(ii)の両方の同一性、強度、安定性、貯蔵寿命、溶解度、吸湿性、分解プロファイル、効力、または純度の分析および特徴付けを助ける任意の他の適切な分析方法があげられる。多数の直交性の(統計的に独立した)方法が使用され得ることも意図されている。使用される全ての分析方法は、本明細書に記載されているように、厳格に検証されてもよく、好ましくは、最低でも、特異性、頑健性、およびLOD(検出限界)または定量限界(LOQ)について検証される。
【0245】
本明細書に記載されている分析方法に加えて、1つまたはそれを超える適切なバイオアッセイが、(i)酢酸ルサラチド、および(ii)Monomer(単量体)、Dimer(二量体)、またはMonomer(単量体)とDimer(二量体)の任意の組み合わせを含む任意の酢酸ルサラチド組成物、製剤、もしくは剤形をさらに特徴付けするためにも使用され得る。
【0246】
例えば、酢酸ルサラチド製剤、医薬組成物、または剤形の調製プロセスの間に、例えば生産バッチまたは臨床グレードバッチ中に、何らかの不純物、混入物、または分解生成物が検出された場合、その不純物、混入物、または分解生成物を同定するためのステップを利用し得る。さらに、酢酸ルサラチド製剤、医薬組成物、または剤形の物理化学的性質、生物学的活性、または免疫原性リスクに対する任意の潜在的な効果について、不純物、混入物、または分解生成物を分析するためのステップを利用し得る。共溶出ピークがある場合(例えば、不純物同士が共溶出するか、または不純物と産物が共溶出する場合)、適切な方法が、同定、定量、および分析のために使用され得る。ある特定の実施形態において、二次元LC-MSが、不純物の同定を容易にすることを助けるために使用され得る。
【0247】
全プロセスを通して、例えば、ペプチド合成から酢酸ルサラチド製品生産の全てのステージ(それらに限定されないが、精製、単離、製剤または剤形の製造、バッチ製造、安定性試験などが含まれる)を通して、1つまたはそれを超える分析方法が、何らかの製品関連不純物(そのような(同定されている、または同定されていない)不純物は、例えば、1つまたはそれを超える原材料由来であり得る)の存在を検出するためにも使用され得ることが好ましい。このような製品関連不純物の代表的な例としては、それらに限定されないが、以下の1つまたはそれを超えるもの、またはそれらの任意の組み合わせがあげられる:挿入配列、置換配列、欠失配列、トランケーション配列、バックボーン切断、ジアステレオマー、フラグメントカップリング、酸化、AspまたはAsn配列中のβ-Asp形成、ジスルフィド修飾、凝集、または何らかの官能基修飾(例えば、それらに限定されないが、アセチル化または脱アミド化)、ならびに賦形剤に起因する何らかの修飾(例えば、PLGAまたはPEG由来の何らかの分解生成物)。
【0248】
適切な技術および手順は、また、種々の剤形、組成物、および製剤を生産および評価するプロセスの間の、酢酸ルサラチドの潜在的な凝集について分析するためにも利用することができる。酢酸ルサラチドペプチドの凝集は、安定性(それらに限定されないが、酢酸ルサラチドの物理的安定性が含まれる)に影響し得るため、プレ製剤化および製剤化ステージの間に、酢酸ルサラチドの任意の潜在的な凝集を低減、および好ましくは排除するためのステップを利用し得ることが意図されている。好ましくは、酢酸ルサラチドペプチドの任意の種類の凝集(それらに限定されないが、アモルファス凝集体、溶液中で生じる凝集体、または吸着によって表面上に生じる凝集体が含まれる)について分析するための技術が使用され得る。凝集体を検出するために使用し得る技術の1つの例は、原子間力顕微鏡の使用である。1つの非限定的な例において、原子間力顕微鏡が、水中で室温において1週間インキュベーションした後に形成される酢酸ルサラチドの何らかの凝集体が存在するか否かを検出するために使用され得る。これは、非限定的な1つの例にすぎず、原子間力顕微鏡または他の適切な技術が、種々の条件下(それらに限定されないが、温度、pH、1つまたはそれを超える賦形剤の存在などが含まれる)において、凝集体の存在を検出するために使用され得る。
【0249】
また、種々の構造活性分析(例えば、構造活性相関(SAR)または定量的構造活性相関(QSAR)研究など)が、酢酸ルサラチドをさらに分析するために使用され得ること、および安定性を最適化し、かつ高めるための、および任意の凝集体の存在を低減または排除するためのステップが利用され得ることもまた意図されている。
【0250】
不純物、混入物、および分解生成物の低減および、好ましくは排除が、そうでなければそのような不純物、混入物、および分解生成物によって引き起こされ得る毒性または免疫原性についての何らかの可能性も低減させるであろうことも意図されている。したがって、本発明に従って製造される酢酸ルサラチド医薬組成物、剤形、および製剤は、特に安全性および有効性に関して、さらなる非常に重要な利点を有するであろう。
【0251】
本明細書における説明全体を通して使用される場合、用語「不純物」、「混入物」、および「分解生成物」は、同定されている、または同定されていない不純物、混入物、
よび分解生成物を含むことが意図されている。
【0252】
本発明は、強制分解またはストレス試験が、また、酢酸ルサラチド組成物、製剤、および剤形の安定性および貯蔵寿命の予測、評価、および最適化を助けるために利用され得ることも意図している。本明細書で使用する場合、用語「強制分解」は、典型的には加速条件よりも強度が厳しい条件下において、薬物製品(例えば、酢酸ルサラチド(Monomer(単量体)およびDimer(二量体)が含まれる))の分解をもたらす1つまたはそれを超えるプロセスを指すことを意図しており、これらのプロセスは、薬物製品の安定性を判定するために分析および評価され得る分解生成物を生じさせる。例えば、強制分解は、任意の種類のストレス試験および意図的な分解を含み得る。意図的な分解は、純度、効力、および安全性に対する効果に加えて、組成物、製剤、もしくは剤形中の酢酸ルサラチドの安定性を予測するために有用である。ストレス試験を含む強制分解の1つの非限定的な例において、酢酸ルサラチド組成物、製剤、もしくは剤形は、それらに限定されないが、光への曝露、熱、反復的な温度変化(例えば、凍結融解(FT)サイクルの後)、酸化を引き起こす傾向があるストレス条件、加水分解を引き起こす傾向があるストレス条件、1つまたはそれを超える化学薬品に対する曝露などを含む、種々のストレス条件に曝露する。光安定性ストレス試験は、例えば、医薬品規制ハーモナイゼーション国際会議(International Conference on Harmonization)(ICH)ガイドラインに従って行い得る。このアプローチは、酢酸ルサラチド(Monomer(単量体)およびDimer(二量体)が含まれる)の安定性をさらに評価するために使用され得る。
【0253】
試験プロトコルに関し、強制分解試験(任意の種類のストレス試験および意図的な分解が含まれる)は、好ましくは、統計的目的のために分析し得る結果をもたらすために必要な回数だけ反復されることが意図されている。さらに、試験プロトコルについて、ある特定の数の酢酸ルサラチドサンプルがストレスを受ける(種々のストレス条件に曝露される)適正な対照付き研究もまた行われ、その結果は、ストレスを受けていない(ストレス条件に曝露されていない)対照酢酸ルサラチドサンプルからの結果と比較されるであろう。ストレスを受けていないサンプルおよびストレスを受けたサンプルの全ての不純物、分解生成物などが分析される。
【0254】
ストレス試験を行い、長期保存条件と加速保存条件の両方の予測に役立つ意図的な分解を実現することが好ましい。好ましくは、ストレス試験を行い、酢酸ルサラチド(Monomer(単量体)およびDimer(二量体)が含まれる)の約5パーセント~約20パーセントの分解が実現される。
【0255】
好ましくは、ストレス試験は、また、光安定性試験、すなわち、異なる種類および強度の光に対する、酢酸ルサラチド(Monomer(単量体)およびDimer(二量体)が含まれる)のサンプルの曝露、さらにまた、固体と液体の酢酸ルサラチド剤形の両方の曝露による光安定性試験も含み得る。例示として、サンプルは、最低限、約1.2×106ルクス時(約120万ルクス時)および約200ワット時/平方メートルの光に曝露することが好ましい。また、サンプルを白色光に曝露すること、および他のサンプルをUV光に曝露することも好ましい。対照サンプルがいかなる光にも曝露されない対照付き研究を実施する。また、光への曝露の間、曝露の間のあらゆる温度変化の影響を最小化するために、温度の制御(すなわち、一定の温度を維持するために)を維持することが好ましい。分析について、光に曝露したサンプルは、物理的特性(それらに限定されないが、透明度、外観、溶液の色(液体酢酸ルサラチド剤形について)などの何らかの変化が含まれる)の何らかの変化について分析すべきであるのが好ましい。
【0256】
強制分解分析は、酢酸ルサラチド(Monomer(単量体)およびDimer(二量体)が含まれる)の安定性に対する、強制分解(種々のストレス条件および意図的な分解が含まれる)の効果を分析するために行われる、包括的な分析を指す。強制分解分析は、また、任意の数の適切な分析技術を、例えば、強制分解の効果を測定および分析するために利用し得る。このような分析技術の例としては、それらに限定されないが、マスバランス計算、質量スペクトル分析などがあげられる。さらに、強制分解分析は、種々のストレス条件に曝露した後に、酢酸ルサラチド(Monomer(単量体)およびDimer(二量体)が含まれる)の不純物プロファイルをより良く理解し、分解生成物および分解の程度を特定し、ならびに分解の時間経過(すなわち、種々の時間間隔にわたって測定したときの分解)をより良く理解するために、種々のストレス条件および意図的な分解からの情報を分析することも含む。強制分解分析は、また、規格の設定、分析方法の開発、およびクオリティ・バイ・デザイン(QbD)パラダイムによるより安定な酢酸ルサラチド組成物、製剤、および剤形の設計のための情報に加えて、薬物-賦形剤相互作用によって形成される任意の分解生成物についての重要な情報ももたらす。この強制分解分析から得られる情報は、酢酸ルサラチド組成物、製剤、もしくは剤形の調製の間の酢酸ルサラチドの安定性をさらに高め、および最適化するために、酢酸ルサラチド組成物、製剤、もしくは剤形の製造および調製の間の条件を選択するためにも使用し得る。また、強制分解分析の結果に基づき、その結果は、製造および保存プロセス、製品のハンドリング、および安定性を測定するための高度化した分析方法の開発の改善のために使用され得る。
【0257】
1つの非限定的な例によれば、酢酸ルサラチド組成物、製剤、もしくは剤形は、種々の種類のストレス試験を受け得る。ストレス試験の条件は、また、(例えば、種々の温度、時間などにおける)種々のストレス条件の効果を評価するために変化させ得る。例えば、種々の製剤は、セ氏40度(40℃)において、5日、10日、20日、または他の期間の時間にわたって、ストレス試験され得る。これは1つの例に過ぎず、他の条件(例えば、種々の温度;種々の期間;または1つまたはそれを超える他の種類のストレッサー(他の外的刺激が含まれる))もまた、ストレス試験の間に使用され得る。ストレス試験は、当然ながら、対照付き研究デザイン(例えば、(i)Monomer(単量体)、Dimer(二量体)、またはMonomer(単量体)とDimer(二量体)の任意の組み合わせを含む特定の製剤に対する(幅広い温度範囲における)温度曝露の効果の評価を、(ii)対照と比較して行う(すなわち、酢酸ルサラチドの代わりにプラセボを含む同様の製剤に対する(同じ温度範囲における)同じ温度曝露の効果を評価する)こともできる。
【0258】
本発明は、本特許出願全体にわたって記載されている全てのプロセス、方法、研究、実験などが、対照付きの様式で(すなわち、統計解析のための、適切な対照を使用して)行われ得ること、さらにまた、米国、欧州、または他の国家、地域、または国際機関によって要求される、医薬製品生産についての全ての規制上の要件に合致する様式で実施され得ることを意図していることを理解すべきである。
【0259】
ストレス試験から収集した情報は、また、(i)酢酸ルサラチドまたは(ii)Monomer(単量体)、Dimer(二量体)、もしくはMonomer(単量体)とDimer(二量体)の任意の組み合わせを含む酢酸ルサラチド組成物、製剤、もしくは剤形、または(iii)(i)と(ii)の両方の任意の潜在的な分解、ならびに任意の賦形剤の潜在的な分解について分析するためにも使用し得る。よって、ストレス試験は、酢酸ルサラチド組成物、製剤、もしくは剤形の貯蔵寿命および安定性(光安定性、熱安定性、および化学的安定性が含まれる)をさらに高め、および最適化するために価値のある情報を提供し得る。ストレス試験は、規制および製品生産上の要件を満たす条件下で行い得る。
【0260】
もし(例えば、ストレス試験または強制分解の間に生じる)酸化が(i)酢酸ルサラチドまたは(ii)Monomer(単量体)、Dimer(二量体)、もしくはMonomer(単量体)とDimer(二量体)の任意の組み合わせを含む酢酸ルサラチド組成物、製剤、もしくは剤形、または(iii)(i)と(ii)の両方の分解を引き起こすものと判定される場合、1つまたはそれを超える抗酸化剤が、酸化的分解を低減させることによって貯蔵寿命および安定性を高めるか否かを判定するために評価され得る。もし酸化がフリーラジカルの生成によって分解を引き起こす場合、そのフリーラジカルまたはラジカル中間体が同定され得る。フリーラジカルまたはラジカル中間体の検出およびモニタリングのために、電子常磁性共鳴(EPR)分光分析または他の適切な技術および分析方法(反応モニタリングなど)が使用され得る。酸化速度の評価のための研究もまた、例えば、時間的分析(例えば、ある特定の時間経過にわたるフリーラジカル生成の測定)を使用して行い得る。フリーラジカルを低減、クエンチ、または捕捉する、1つまたはそれを超える抗酸化剤の有効性および効率もまた、適切なアッセイ法を用いて、ある濃度範囲にわたって評価され得る。
【0261】
追加の代表的な実施形態
さらにまた、他の実施形態において、Monomer(単量体)またはDimer(二量体)の安定性は、「ペプチド模倣物」を用いて高めることができる。本明細書で使用する場合、用語「ペプチド模倣物」は、対応するポリペプチド(このケースでは、Monomer(単量体)またはDimer(二量体))と同じ一般構造を含み、一方で、安定性または生物学的機能を向上させる修飾を含む化合物を指す。例えば、ペプチド模倣物は、所与のペプチドの「reverso」アナログであり得、これは、そのペプチド模倣物が、前記ペプチドの逆配列を含むことを意味する。別の実施形態において、ペプチド模倣物は、「D」コンフィギュレーションの1つまたはそれを超えるアミノ酸(例えば、D-アミノ酸)を含み、「inverso」アナログをもたらしてもよい。ペプチド模倣物は、また、ペプトイドを含み、ペプトイドにおいては、各アミノ酸の側鎖は、α炭素ではなく、そのアミノ酸の窒素原子に付加している。よって、ペプトイドは、NRCH2COという一般構造の繰返し単位を有し、かつ対応するポリペプチドと同一または実質的に同一のアミノ酸配列を有するN-置換グリシンと考えることができる。
【0262】
別の実施形態において、ペプチドまたはペプチド模倣物は、また、合成の非天然アミノ酸も含み得る。このような合成アミノ酸としては、例えば、それらに限定されないが、アミノシクロヘキサンカルボン酸、ノルロイシン、α-アミノn-デカン酸、ホモセリン、S-アセチルアミノメチル-システイン、トランス-3-ヒドロキシプロリンおよびトランス-4-ヒドロキシプロリン、4-アミノフェニルアラニン、4-ニトロフェニルアラニン、4-クロロフェニルアラニン、4-カルボキシフェニルアラニン、β-フェニルセリン β-ヒドロキシフェニルアラニン、フェニルグリシン、α-ナフチルアラニン、シクロヘキシルアラニン、シクロヘキシルグリシン、インドリン-2-カルボン酸、1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-3-カルボン酸、アミノマロン酸、アミノマロン酸モノアミド、N’-ベンジル-N’-メチル-リジン、N’,N’-ジベンジル-リジン、6-ヒドロキシリジン、オルニチン、α-アミノシクロペンタンカルボン酸、α-アミノシクロヘキサンカルボン酸、α-アミノシクロヘプタンカルボン酸、α-(2-アミノ-2-ノルボルナン)-カルボン酸、α,γ-ジアミノ酪酸、α,β-ジアミノプロピオン酸、ホモフェニルアラニン、およびα-tert-ブチルグリシンがあげられる。
【0263】
他の置換もまた許容され、また経験的または他の既知の保存的または非保存的置換に従って決定することができる。さらに、以下の8つのグループは、それぞれ、相互の保存的置換を規定するものと典型的に解釈され得るアミノ酸を含む:
1)アラニン、グリシン;
2)アスパラギン酸、グルタミン酸;
3)アスパラギン、グルタミン;
4)アルギニン、リジン;
5)イソロイシン、ロイシン、メチオニン、バリン;
6)フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン;
7)セリン、スレオニン;および
8)システイン、メチオニン
【0264】
ある特定の実施形態において、ペプチドまたはペプチド模倣物は、任意の方法によって、例えば、ペプチドまたはペプチド模倣物を合成することによって、または細胞内で適切なアミノ酸配列をコードしている核酸を発現させ、その細胞からペプチドを回収することによって調製することができる。当然ながら、そのような方法の組み合わせも使用することができる。ある特定の実施形態において、酢酸ルサラチドは、固相ペプチド合成(例えば、それらに限定されないが、BOCまたはFMOC)法によって、または、他の実施形態において、液相合成法によって合成することができる。本発明は、また、酢酸ルサラチドが、例えば、本明細書に記載されている他のペプチド合成法の組み合わせを含む、他の適切な技術によって合成され得ることも意図している。ペプチドおよびペプチド模倣物をリコンビナント的に生成する方法も使用し得る。
【0265】
キラル中心を有する本発明のペプチドは、光学活性形態およびラセミ形態で存在し得、また光学活性形態およびラセミ形態で単離され得る。本発明は、本発明のペプチドの、任意のラセミ形態、光学活性形態、ジアステレオマー形態、多形形態、または立体異性形態、またはそれらの混合物を包含し、それらは本明細書に記載されている有用な特性を有している。
【0266】
1つの実施形態においてペプチドは、本明細書に記載されているプロセスを使用した不斉合成、または当業者に知られている合成的な変換によって、光学活性な形態で調製される。
【0267】
光学活性な材料を得るための他の方法は、当該技術分野において知られており、また、少なくとも以下の代表的な方法を含む:
i)結晶の物理的分離-それによって、個々のエナンチオマーの肉眼的結晶を手作業で分離する技術。この技術は、個々のエナンチオマーの結晶が存在する場合、すなわち、材料が集合体であり、かつ結晶が視覚的に異なっている場合に使用することができる;
ii)同時結晶化-それによって、個々のエナンチオマーが、ラセミ体の溶液から別々に結晶化する技術であり、後者が固体の状態で集合体である場合にのみ可能である;
iii)酵素的分割-それによって、酵素とのエナンチオマーの反応速度の違いに基づいてラセミ体が部分的または完全に分割される技術;
iv)酵素的不斉合成-それによって、合成の少なくとも1つのステップが、所望のエナンチオマーのエナンチオマー的に純粋または富化した合成前駆体を得るために、酵素的反応を利用する合成技術;
v)化学不斉合成-それによって、生成物中に非対称性(すなわち、キラリティー)を生じさせる条件下で、アキラル前駆体から所望のエナンチオマーが合成される合成技術であり、キラル触媒またはキラル助剤を用いて実現され得る;
vi)ジアステレオマー分離-それによって、ラセミ化合物を、個々のエナンチオマーをジアステレオマーに変換するエナンチオマー的に純粋な試薬(キラル助剤)と反応させる技術。得られるジアステレオマーは、次いで、その時点でより大きくなった構造的相異に基づいて、クロマトグラフィーまたは結晶化によって分離され、キラル助剤は、後に除去され、所望のエナンチオマーを得る;
vii)一次不斉転換および二次不斉転換-それによって、ラセミ体からのジアステレオマーが平衡化し、溶液中の所望のエナンチオマーからのジアステレオマーの優勢を生じさせるか、または、所望のエナンチオマーからのジアステレオマーの優先晶出が、原理的には、最終的に全ての材料が所望のエナンチオマーから結晶ジアステレオマーに変換されるように平衡を攪乱する技術;
viii)速度論的分割-この技術は、動力学的条件下におけるエナンチオマーのキラルな非ラセミ試薬または触媒との不均等な反応速度に基づく、ラセミ体(または、部分分割された化合物のさらなる分割)の部分的または完全な分割の実現を指す;
ix)非ラセミ前駆体からのエナンチオ特異的合成-それによって、非キラル出発物質から所望のエナンチオマーを得る合成技術(ここで、立体化学的完全性が、合成の過程にわたって低下しないか、または低下が最小限である);
x)キラル液体クロマトグラフィー-それによって、ラセミ体のエナンチオマーが、液体の移動相中で、それらの固定相との相互作用の相異に基づいて分割される技術である。固定相は、キラル材料で作られていてもよく、または移動相は、相互作用の相異を生じさせるために、さらなるキラル材料を含んでいてもよい;
xi)キラルガスクロマトグラフィー-それによって、ラセミ体を揮発させ、エナンチオマーが、ガス移動相における非ラセミのキラルな固相吸着相を含むカラムとの相互作用の相異に基づいて分割される技術;
xii)キラル溶媒による抽出-それによって、エナンチオマーが、特定のキラル溶媒への1つのエナンチオマーの選択的な溶解に基づいて分割される技術;または
xiii)キラルメンブレンを通した輸送-それによって、ラセミ体が、薄いメンブレンバリアーに接触して配置される技術。バリアーは、典型的には、2つの混和性の液体(一方がラセミ体を含む)を分離させ、濃度または圧力差などの駆動力によって、そのメンブレンバリアーを通した選択的な輸送が起こる。分割は、ラセミ体の1つのエナンチオマーだけを透過させる前記メンブレンの非ラセミのキラルな性質によって起こる。
【0268】
23アミノ酸モノマー(「Monomer(単量体)」)、2つの23アミノ酸Monomer(単量体)のダイマー(「Dimer(二量体)」)、またはMonomer(単量体)とDimer(二量体)(これらは、任意の時点で、組成物、製剤、および剤形の任意の比、割合、またはパーセンテージで存在し得る)の任意の組み合わせを含む、新しい安定な酢酸ルサラチド組成物、製剤、および剤形もまた意図されている。この新しい安定な組成物、製剤、および剤形、または新しい安定な「医薬にできる形態」は、例えば、酢酸ルサラチドの新しい結晶形を提供することによって実現することができる。適切な環境下において、これらの新しい安定な組成物、製剤、および剤形の別の利点が、薬理学的効果のある変化を実現している。医薬活性成分(API(active pharmaceutical ingredients))は、一般に、結晶多形、溶媒和物、水和物、およびアモルファス形態を形成することが認識されているが、Monomer(単量体)とDimer(二量体)がどの形態を取るかについてはほとんど知見がない。APIの多形、溶媒和物、水和物、またはアモルファス形態が安定性を変化させるのと同様に、ペプチド結晶は、それらのいくつかの特性を変化させ得る。
【0269】
本明細書で使用する場合、用語「医薬にできる形態」は、疾患または症状の処置に使用するための医薬製剤または医薬組成物にさらに製剤化し得る、Monomer(単量体)またはDimer(二量体)が取り得る任意の形態(例えば、塩、アモルファス結晶、溶液、ディスパーション、混合物など)と定義される。
【0270】
本発明のある特定の非限定的な実施形態において、Monomer(単量体)またはDimer(二量体)の多形は、相対湿度ストレス条件下において、融点に至るまで、安定であり得る。
【0271】
本発明のある特定の非限定的な実施形態において、Monomer(単量体)またはDimer(二量体)の多形は、いくつかの異なる結晶形態(これらは、例えば、形態Aから形態Xと呼ばれ得る)、およびアモルファス生成物で存在でき得る。結晶形態を生成させるために使用される既知の方法が数多く存在し、例えば、それらに限定されないが、以下の方法があげられる:
a)プロトン性溶媒(例えば、エタノールまたはエタノール/水混合物)を使用して、または極性溶媒(例えば、ジメチルスルホキシド/水)から、Monomer(単量体)またはDimer(二量体)から結晶化することを含む1つの方法。1つの例において、形態Aは、一水和物であり得、かつ、種々の多形のうち、環境温度において最も安定である。形態Aは、相対湿度ストレス条件下において、融点に至るまで、安定である;
b)別の方法は、Monomer(単量体)またはDimer(二量体)を、真空下で蒸発させることを含む。
【0272】
種々の技術が、Monomer(単量体)またはDimer(二量体)の種々の形態を分析するために使用され得る。例えば、このような技術としては、それらに限定されないが、a)粉末X線回折;b)熱分析;c)赤外分光法;d)NMR分光法;およびe)収着/脱着分析があげられる。
【0273】
医薬組成物、製剤、および剤形の例
【0274】
本発明は、安全で、安定かつ有効な酢酸ルサラチド製剤、医薬組成物、および剤形を設計するための非常に重要な利益および利点を提供する。
【0275】
本説明全体を通して使用されているように、用語「酢酸ルサラチド組成物、製剤、もしくは剤形」は、本明細書で使用される場合、23アミノ酸モノマー(「Monomer(単量体)」;本明細書において配列番号1として特定される)、2つの23アミノ酸Monomer(単量体)のダイマー(「Dimer(二量体)」)、またはMonomer(単量体)とDimer(二量体)の任意の組み合わせ(ここで、任意の比、割合、またはパーセンテージのMonomer(単量体)とDimer(二量体)が、前記組成物、製剤、もしくは剤形中に存在し得る)を含む、任意の安全かつ有効な酢酸ルサラチド組成物、製剤、もしくは剤形を幅広く含むことが意図されていることを理解すべきである。本発明は、また、酢酸ルサラチドおよびその任意の医薬的に許容される塩を含む、安定な組成物、製剤、もしくは剤形を幅広く包含する。
【0276】
好ましい実施形態によれば、本発明は、Monomer(単量体)、Dimer(二量体)、またはMonomer(単量体)とDimer(二量体)の任意の組み合わせ(ここで、任意の比、割合、またはパーセンテージのMonomer(単量体)とDimer(二量体)が、組成物、製剤、もしくは剤形中に存在し得る)を含む酢酸ルサラチド組成物、製剤、もしくは剤形を意図しており、さらにここで、(i)酢酸ルサラチドまたは(ii)Monomer(単量体)、Dimer(二量体)、もしくはMonomer(単量体)とDimer(二量体)の任意の組み合わせを含む酢酸ルサラチド組成物、製剤、もしくは剤形、または(iii)(i)と(ii)の両方の安定性は、本発明の前記方法およびシステムによって高められる。
【0277】
別の好ましい実施形態によれば、本発明は、Monomer(単量体)を含む医薬組成物を意図しており、ここで、Monomer(単量体)の安定性は、本発明の前記方法およびシステムによって高められる。
【0278】
別の好ましい実施形態によれば、本発明は、Dimer(二量体)を含む医薬組成物を意図しており、ここで、前記Dimer(二量体)の安定性は、本発明の前記方法およびシステムによって高められる。
【0279】
さらに他の好ましい実施形態によれば、本発明は、ある特定のパーセンテージのMonomer(単量体)およびある特定のパーセンテージのDimer(二量体)を含む医薬組成物を意図しており、ここで、前記Monomer(単量体)と前記Dimer(二量体)の両方の安定性は、本発明の前記方法およびシステムによって高められる。
【0280】
本発明は、また、非限定的な例として、前記パーセントもしくは割合のMonomer(単量体)と、前記パーセントもしくは割合のDimer(二量体)が、相互変換し得る動的な保存懸濁液も意図している。
【0281】
本発明は、また、非限定的な例として、特定の酢酸ルサラチド組成物、製剤、もしくは剤形において、(i)前記パーセントもしくは割合のMonomer(単量体)、(ii)前記パーセントもしくは割合のDimer(二量体)、または(iii)それらの任意の組み合わせが、対象への投与前に、動的な様式で変化し得ることも意図している。例えば、溶液または他の水性製剤中で、かつ対象への投与前に、本発明は、あるパーセンテージもしくは割合のMonomer(単量体)が二量体化してあるパーセンテージもしくは割合のDimer(二量体)を形成し、よって、その溶液または他の水性製剤中に存在する(i)前記パーセントもしくは割合のMonomer(単量体)、(ii)前記パーセントもしくは割合のDimer(二量体)、または(iii)それらの任意の組み合わせが、それによって、動的な様式で変化し得ることを意図している。これは、非限定的な例であり、いかなる意味においても、本発明の範囲を限定するものではない。
【0282】
本発明は、また、非限定的な例として(i)前記パーセンテージもしくは割合のMonomer(単量体)、(ii)前記パーセンテージもしくは割合のDimer(二量体)、または(iii)それらの任意の組み合わせが、対象への投与後に、動的な様式で変化し得ることも意図している。
【0283】
非限定的な例において、対象への酢酸ルサラチド剤形または製剤の投与後に、本発明は、前記剤形または製剤中の、前記パーセントもしくは割合のMonomer(単量体)、および前記パーセントもしくは割合のDimer(二量体)、またはそれらの組み合わせが、対象への投与後に、in vivoで、動的な様式で変化し得ることを意図している。
【0284】
さらに、非限定的な例として、安定な、または安定化された酢酸ルサラチド組成物、製剤、もしくは剤形をin vivoで対象に投与した後、本発明は、酢酸ルサラチド(Monomer(単量体)、Dimer(二量体)、またはそれらの任意の組み合わせ(前記Monomer(単量体)とDimer(二量体)は、任意の比もしくは量(パーセンテージ)、または比率である)を含み、前記比もしくは量(パーセンテージ)、または比率は、動的な様式で変化し得る)が、対象において、in vivoで、NPARに結合し、刺激するように、前記組成物、製剤、もしくは剤形が、in vivoにおける治療有効量の酢酸ルサラチドの送達に有効であることを意図している。これは、非限定的な例であり、いかなる意味においても、本発明の範囲を限定するものではない。
【0285】
さらに、本発明は、安定化された酢酸ルサラチド組成物、製剤、もしくは剤形は、調製、保存、および対象への投与後、in vivoで自発的な二量体化を起こし得、このin vivoでの自発的な二量体化は、酢酸ルサラチド組成物、製剤、もしくは剤形の治療活性を制限しないことが意図されている。また、任意の適切な技術(単数または複数)が、安定化された酢酸ルサラチド剤形、製剤、または医薬組成物のin vivo投与後の酢酸ルサラチドの薬物動態の分析(それらに限定されないが、吸収、バイオアベイラビリティ、分布、代謝、排出などの分析)のために使用され得ることも意図されている。用量反応試験は、対照付きの様式および統計解析を行うために収集された十分なデータで行われ得る。このような薬物動態学的研究から収集されたこのようなデータおよび情報は、製剤の製造、または酢酸ルサラチド医薬製品の生産のためのプロセスに対して、および酢酸ルサラチド剤形、製剤、または医薬組成物の安定性をさらに高め、および最適化するために必要に応じて行われる、または必要とされるステップに対して、調整または修正を加えるために利用され得ることがさらに意図されている。
【0286】
本明細書のこの詳細な説明全体を通して、安定化された酢酸ルサラチド組成物、製剤、もしくは剤形は、それに限定されないが、ペプチド合成(ペプチド合成の例は、本明細書に記載されている)によって製造された酢酸ルサラチドを含むことが意図されていることを理解すべきである。また、(ペプチド合成によって製造される)合成酢酸ルサラチドを含む、このような安定化された酢酸ルサラチド剤形、製剤、または医薬組成物は、調製、保存、および対象への投与後に、in vivoで自発的な二量体化を起こし得、この自発的な二量体化は、酢酸ルサラチドの治療活性を制限しないことも意図されている。
【0287】
本発明は、また、安定化された酢酸ルサラチド剤形または製剤を臨床用途または適用のためにin vivoで対象に投与した際に、酢酸ルサラチド剤形または製剤の安定性、およびMonomer(単量体)のDimer(二量体)への二量体化(もしあれば)の程度が、前記酢酸ルサラチド剤形または製剤を対象中でin vivo条件およびプロセス(代謝のためのin vivoプロセスを含む)に曝露した後に収集されるデータおよび情報に基づいて、さらに特徴付けおよび評価され得ることも意図している。酢酸ルサラチド剤形または製剤の安定性、およびMonomer(単量体)のDimer(二量体)への二量体化(もしあれば)の程度は、クリアランス試験に基づいて、さらに特徴付けおよび評価され得る。このようなデータおよび情報(多数の対象からの総合的なデータおよび情報を含み得る)は、酢酸ルサラチド剤形または製剤の安定性および他の性質をさらに高め、および最適化するために使用され得る。本発明は、また、安定化された酢酸ルサラチド剤形または製剤の薬物動態学的プロファイルが、周知のADME特徴付け方法(ここで、ADMEは、「吸収(absorption)、分布(distribution)、代謝(metabolism)、および排泄(excretion)」を指すことを理解すべきである)によって特徴付けされ得ることも意図している。
【0288】
さらに、本発明は、また、Monomer(単量体)が循環中に二量体化するのにかかる時間を評価および特徴付けするための研究を行い得ることも意図している。このようなデータおよび情報は、また、酢酸ルサラチド組成物、製剤、もしくは剤形の生産において、およびこのような製剤、組成物、または剤形の安定性を最適化するためにも使用され得る。
【0289】
本発明は、また、安定化された酢酸ルサラチド剤形および製剤が、本発明に従って対象に投与された後、その対象中に、in vivoで、その対象において1つまたはそれを超える所望の治療効果を実現および生じさせるために十分な量の酢酸ルサラチドを放出するように、安定化された酢酸ルサラチド剤形および製剤を調製することも意図している。
【0290】
さらに、本明細書に記載されているように、酢酸ルサラチドは、非タンパク分解的に活性化されたトロンビン受容体(「NPAR」)として知られている高親和性の細胞表面トロンビン受容体に結合することによって、細胞を活性化すると考えられている。NPARを刺激する化合物は、トロンビン受容体アゴニストと呼ばれる。酢酸ルサラチドは、NPARアゴニストの1つの例である。本発明は、治療有効量の酢酸ルサラチド組成物、製剤、もしくは剤形が、安全かつ有効に対象に投与し得ることを意図しており、ここで、酢酸ルサラチド組成物、製剤、もしくは剤形は、Monomer(単量体)、Dimer(二量体)、またはMonomer(単量体)とDimer(二量体)の任意の組み合わせを含み、またここで、対象における所望の治療効果は、少なくとも酢酸ルサラチドのNPARアゴニストとしての作用によって実現される。
【0291】
本発明は、また、1つまたはそれを超える活性代謝物、フラグメント(例えば、ペプチドフラグメント)、または酢酸ルサラチドの誘導体を含む安定化された剤形または製剤(対象において所望の治療効果を生じさせるための、1つまたはそれを超える臨床適用および用途のための安定化された剤形または製剤が含まれる)の調製も意図している。
【0292】
本発明の方法、プロセス、およびシステムは、Monomer(単量体)、Dimer(二量体)、またはMonomer(単量体)とDimer(二量体)の任意の組み合わせを含む任意の種類の安全かつ有効な酢酸ルサラチド組成物、製剤、もしくは剤形を製造および生産するために、信頼性をもって、かつ正確に使用することもできる。また、長期間にわたる保存後であっても、正確な、かつ再現性のある用量の前記組成物、製剤、もしくは剤形を、正確に、かつ信頼性をもって送達することも可能である。
【0293】
本発明に従って使用され得る酢酸ルサラチド組成物、製剤、もしくは剤形の代表的な例としては、それらに限定されないが、以下のものがあげられる:
●経口送達(例えば、錠剤、カプセル、ピル)
●エアロゾル化スプレー
●注射可能な液体
●凍結乾燥粉末
●酢酸ルサラチドを含むミクロスフェア
●1回使用液体剤形
●1回使用 ゲル剤形
●クリーム
●ゲル
●軟膏
●カプセル化
●リポソーム
●微粒子
【0294】
本発明は、また、酢酸ルサラチドの放出制御のための、ペレット薬物送達技術の使用も意図している。また、ペレットは、注射することができ、そのような注射可能な形態の送達は、多くの臨床適用(例えば、骨折の治療が含まれる)のために非常に有用であり得ることも意図されている。
【0295】
軟膏は、例えば、(例えば、白色ワセリンまたはミネラルオイルなどの不揮発性油または炭化水素を含有する)油脂基剤、または(例えば、吸収性無水基材(単数または複数)からなる)吸収性基剤(例えば無水ラノリン)を使用して調製され得る。基剤を形成した後、活性成分が、所望の濃度で加えられる。
【0296】
クリームは、一般に、典型的には不揮発性油、炭化水素など(例えば、ワックス、ペトロラタム、ミネラルオイルなど)を含有する油相(内相)、および水と任意の水溶性物質(添加された塩)とを含む水相(連続相)を含む。この二相は、好ましくは、乳化剤、例えば界面活性剤、例えばラウリル硫酸ナトリウム;親水性コロイド、例えばアラビアゴムコロイド粘土、ビーガムなどを使用することによって安定化され得る。乳濁液が形成されたら、活性成分を所望の濃度で加える。
【0297】
ゲルは、油脂基剤、水、またはエマルジョン-サスペンジョン基材から選択される基剤から構成されることが好ましい。基剤に、その基剤中でマトリックスを形成するゲル化剤を加え、粘性を半固体粘度に増加させることが好ましい。ゲル化剤の例は、ヒドロキシプロピルセルロース、アクリル酸ポリマーなどである。ゲル化剤添加前の時点で、活性成分を所望の濃度で製剤に加えることが好ましい。
【0298】
好ましい実施形態において、本明細書に記載されている酢酸ルサラチド製剤、医薬組成物、および剤形の全ては、例えば、規制当局が規定する任意の時点における要求に応じて、cGMP(Current Good Manufacturing Practice)およびGMP(医薬品の製造および品質管理に関する基準(Good Manufacturing Practice))の全ての要件に従って製造および生産される。用語「医薬品の製造および品質管理に関する基準(Good Manufacturing Practice)」または「GMP」は、本明細書で使用する場合、本発明の酢酸ルサラチド製品、製剤、医薬組成物、および剤形が、臨床用途のために製造される場合に、品質基準に従って一貫して生産され、バリデートされ、レビューされ、文書化され、および管理されることを確実にするために使用される品質保証システムを指すことを意図している。本発明の製剤、医薬組成物、および剤形は、製剤、医薬組成物、および剤形がヒトへの投与に適切であるように、GMPおよびcGMPの全ての規制要件に適合するように調製され得る。
【0299】
本明細書で使用する場合、用語「臨床グレード」は、例えば、本発明に従って本明細書に記載されているように、臨床用途のために調製および製造され、かつ世界中のどこかの少なくとも1つの規制当局または他の認可された当局によって、ヒトにおける臨床用途のために安全かつ有効であると正式かつ公式に認定された酢酸ルサラチド医薬組成物、製剤、もしくは剤形を指すことを意図している。
【0300】
本明細書にさらに記載されているように、用語「安定化された」は、それに限定されないが、例えば、1つまたはそれを超える安定性試験によって酢酸ルサラチドを分析して、酢酸ルサラチドが安定であるとみなされている酢酸ルサラチド医薬組成物、製剤、もしくは剤形を含むことを意図している。
【0301】
好ましい実施形態において、本発明は、安全かつ治療的な量のMonomer(単量体)、Dimer(二量体)、またはMonomer(単量体)とDimer(二量体)の任意の組み合わせを含む、安定化された臨床グレードの酢酸ルサラチド組成物、製剤、もしくは剤形を意図している。
【0302】
本説明全体を通して、酢酸ルサラチド組成物、製剤、および剤形は、例えば、任意の適切な比、割合、またはパーセンテージの23アミノ酸モノマー(「Monomer(単量体)」)、および2つの23アミノ酸Monomer(単量体)のダイマー(「Dimer(二量体)」)(それらに限定されないが、100%Monomer(単量体)、100%Dimer(二量体)、またはMonomer(単量体)とDimer(二量体)の任意の他の適切な比、割合、またはパーセンテージが含まれる)を含み得ることが意図されている。
【0303】
別の好ましい実施形態において、本発明は、組成物、製剤、もしくは剤形中に安全かつ治療有効量で存在するMonomer(単量体)、Dimer(二量体)、またはMonomer(単量体)とDimer(二量体)の何らかの組み合わせを含む、安定な、または安定化された、酢酸ルサラチド組成物、製剤、もしくは剤形を意図しており、さらにここで、前記安定な、または安定化された、酢酸ルサラチド組成物、製剤、もしくは剤形は、いかなる混入物、不純物、または分解生成物も本質的に含まない。
【0304】
さらに別の実施形態において、本発明は、合成的に生成された酢酸ルサラチドを含む安定な、または安定化された、酢酸ルサラチド組成物、製剤、もしくは剤形を意図している。
【0305】
本明細書で使用する場合、用語「合成的に生成された」は、ペプチド合成によって調製または製造された酢酸ルサラチドを指すことを意図している。ある特定の実施形態において、例えば、酢酸ルサラチドは、固相ペプチド合成(例えば、それらに限定されないが、BOCまたはFMOC)によって、または、他の実施形態において、液相合成法によって合成され得る。本発明は、また、酢酸ルサラチドが、例えば、本明細書に記載されている他のペプチド合成方法の組み合わせを含む、他の適切な技術によって合成され得ることも意図している。
【0306】
別の好ましい実施形態において、本発明は、安全かつ治療有効量の合成的に生成された酢酸ルサラチドを含む、安定化された臨床グレードの酢酸ルサラチド組成物、製剤、もしくは剤形を意図しており、さらにここで、前記安定化された臨床グレードの組成物、製剤、もしくは剤形は、いかなる混入物、不純物、または分解生成物も本質的に含まない。
【0307】
さらに別の実施形態において、Monomer(単量体)(すなわち、Monomer(単量体)ペプチド)は、リコンビナント法によって調製され得る(すなわち、リコンビナント的に生成されたペプチドとして調製され得る)。酢酸ルサラチドの安定性を最適化するための方法およびシステムを含む、本発明のシステムおよび方法は、本発明の本説明全体を通して記載されているように、次いで、リコンビナント的に生成されたMonomer(単量体)ペプチドを安定化するために利用され得る。
【0308】
代表的な例:「組成物「W」
1つの好ましい実施形態において、本発明は、
(a)Ala-Gly-Tyr-Lys-Pro-Asp-Glu-Gly-Lys-Arg-Gly-Asp-Ala-Cys-Glu-Gly-Asp-Ser-Gly-Gly-Pro-Phe-Val(配列番号1)を含む23アミノ酸ポリペプチド(ここで、前記ポリペプチドは、医薬品の製造および品質管理に関する基準(Good Manufacturing Practice)(GMP)の要件に従って合成および精製され、さらにここで、前記組成物は、活性酸素種、エンドトキシン、有機溶媒、分解不純物、および酸化還元活性遷移金属不純物を本質的に含まない)、
および
(b)少なくとも1つの医薬的に許容される賦形剤、
を含む酢酸ルサラチド組成物(「組成物W」)を意図しており、
ここで、前記組成物は、無菌的条件下で調製され、吸湿剤と共に保管され、さらにここで、前記組成物は、安定であり、遮光されており、さらにここで、前記組成物は、非反応性の無水パージ剤に曝露した後に包装および密封され、
さらにここで、前記組成物の安定性は、少なくとも前記組成物の強制分解分析、前記組成物中の含水量分析、対イオン定量分析、および生物汚染度試験の組み合わせに基づいて決定される。
【0309】
さらに別の実施形態において、本発明は、ポリペプチドが凍結乾燥されている、本明細書に記載の「組成物W」を意図している。
【0310】
さらに別の実施形態において、本発明は、パージ剤が窒素である、本明細書に記載の「組成物W」を意図している。
【0311】
さらに別の実施形態において、本発明は、さらに、組成物が無菌投与のために製剤化されている、本明細書に記載の「組成物W」を意図している。
【0312】
さらに別の実施形態において、本発明は、パージ剤がアルゴンである、本明細書に記載の「組成物W」を意図している。
【0313】
さらに別の実施形態において、本発明は、は、抗酸化剤を含む、本明細書に記載の「組成物W」を意図している。
【0314】
代表的な例:「組成物「X」
さらに別の好ましい実施形態において、本発明は、
(a)Ala-Gly-Tyr-Lys-Pro-Asp-Glu-Gly-Lys-Arg-Gly-Asp-Ala-Cys-Glu-Gly-Asp-Ser-Gly-Gly-Pro-Phe-Val(配列番号1)を含む23アミノ酸ポリペプチド(ここで、前記ポリペプチドは、医薬品の製造および品質管理に関する基準(Good Manufacturing Practice)(GMP)の要件に従って合成および精製され、さらにここで、前記組成物は、活性酸素種、エンドトキシン、有機溶媒、分解不純物、および酸化還元活性遷移金属不純物を本質的に含まない)、
(b)それぞれが配列Ala-Gly-Tyr-Lys-Pro-Asp-Glu-Gly-Lys-Arg-Gly-Asp-Ala-Cys-Glu-Gly-Asp-Ser-Gly-Gly-Pro-Phe-Val(配列番号1)を有する2つのポリペプチドを有するペプチドダイマー(ここで、前記ポリペプチドは、ジスルフィド結合によって共有結合している)、および
(c)水性キャリアー、
を含む酢酸ルサラチド組成物(「組成物X」)を意図しており、
さらにここで、前記組成物は、無菌的条件下で調製される。
さらにここで、前記組成物の安定性は、少なくとも前記組成物の強制分解分析、対イオン定量分析、および生物汚染度試験に基づいて決定される。
【0315】
さらに別の実施形態において、本発明は、組成物が、活性酸素種、エンドトキシン、有機溶媒、分解不純物、および酸化還元活性遷移金属不純物を少なくとも90パーセント含まない、上記の「組成物X」を意図している。
【0316】
さらに別の実施形態において、本発明は、組成物が、無菌投与のために製剤化されている、上記の「組成物X」を意図している。
【0317】
さらに別の実施形態において、本発明は、組成物が、1回使用液体剤形として製剤化されている、上記の「組成物X」を意図している。
【0318】
さらに別の実施形態において、本発明は、抗酸化剤を含む、上記の「組成物X」を意図している。
【0319】
代表的な例:「組成物「Y」
さらに別の好ましい実施形態において、本発明は、
(a)Ala-Gly-Tyr-Lys-Pro-Asp-Glu-Gly-Lys-Arg-Gly-Asp-Ala-Cys-Glu-Gly-Asp-Ser-Gly-Gly-Pro-Phe-Val(配列番号1)を含む23アミノ酸ポリペプチド(ここで、前記ポリペプチドは、医薬品の製造および品質管理に関する基準(Good Manufacturing Practice)(GMP)の要件に従って合成および精製され、さらにここで、前記組成物は、活性酸素種、エンドトキシン、有機溶媒、分解不純物、および酸化還元活性遷移金属不純物を本質的に含まない)、
(b)2つのポリペプチド(それぞれ、配列Ala-Gly-Tyr-Lys-Pro-Asp-Glu-Gly-Lys-Arg-Gly-Asp-Ala-Cys-Glu-Gly-Asp-Ser-Gly-Gly-Pro-Phe-Val(配列番号1)を有する)を有するペプチドダイマー(ここで、前記ポリペプチドは、ジスルフィド結合によって共有結合している)、および
(c)少なくとも1つの医薬的に許容される賦形剤、
を含む酢酸ルサラチド組成物(「組成物Y」)を意図しており、
ここで、前記組成物は、安定であり、遮光され、無菌的条件下で調製され、
さらにここで、前記組成物の安定性は、少なくとも前記組成物の強制分解分析、前記組成物中の含水量分析、対イオン定量分析、および生物汚染度試験の組み合わせによって決定される。
【0320】
さらに別の実施形態において、本発明は、組成物が、活性酸素種、エンドトキシン、有機溶媒、分解不純物、および酸化還元活性遷移金属不純物を少なくとも90パーセント含まない、上記の「組成物Y」を意図している。
【0321】
さらに別の実施形態において、本発明は、組成物が、局所投与のために製剤化されている、上記の「組成物Y」を意図している。
【0322】
さらに別の実施形態において、本発明は、組成物が、無菌投与のために製剤化されている、上記の「組成物Y」を意図している。
【0323】
さらに別の実施形態において、本発明は、組成物が、無菌の注射可能送達のために製剤化されている、上記の「組成物Y」を意図している。
【0324】
本明細書で使用する場合、用語「無菌」は、例えば「無菌の注射可能送達」の文脈において、本質的に清潔な条件下、好ましくは完全に清潔な条件下で行われる送達を指すことを意図している。これには、混入物、微生物、病原菌、汚染物質、および任意の他の望ましくない物質を本質的に含まない条件、または、混入物、微生物、病原菌、汚染物質、および任意の他の望ましくない物質を全く含まない条件が含まれる。
【0325】
さらに別の実施形態において、本発明は、抗酸化剤を含む、上記の「組成物Y」を意図している。
【0326】
さらに別の実施形態において、本発明は、組成物が、1回使用液体剤形として製剤化されている、上記の「組成物Y」を意図している。
【0327】
さらに別の実施形態において、
図3に模式的に示されているように、本発明は、Ala-Gly-Tyr-Lys-Pro-Asp-Glu-Gly-Lys-Arg-Gly-Asp-Ala-Cys-Glu-Gly-Asp-Ser-Gly-Gly-Pro-Phe-Val(配列番号1)を含む23アミノ酸ポリペプチドの安定性を高める方法を意図している。
【0328】
図3を参照すると、本方法は、最初に、ステップ310を含み、ステップ310は、ポリペプチドの安定性に対する多数のパラメーター(例えば、大気酸素、活性酸素種、含水量、キャリアー、pH、温度、凍結融解(FT)サイクル、前記ポリペプチドの構造のコンホメーション変化、バッファー組成、対イオン、賦形剤、無菌性、粘性、露光量、生物汚染度、および酸化還元活性遷移金属不純物)の効果についての情報を同時に収集することを含む。
【0329】
図3を再度参照すると、本方法は、次に、ステップ320を含み、ステップ320は、ポリペプチドの安定性に対する多数のパラメーター(例えば、大気酸素、活性酸素種、含水量、キャリアー、pH、温度、凍結融解(FT)サイクル、前記ポリペプチドの構造のコンホメーション変化、バッファー組成、対イオン、賦形剤、無菌性、粘性、露光量、生物汚染度、および酸化還元活性遷移金属不純物)の効果についての情報の分析を行うことを含む。
【0330】
図3をもう一度参照すると、本方法は、次に、ステップ330を含み、ステップ330は、ポリペプチドの安定性が高められるように、前記分析に基づいて、少なくとも1つの安定性最適化手順を行うことを含む。
【0331】
さらに別の実施形態において、
図4に模式的に示されているように、本発明は、それぞれが配列Ala-Gly-Tyr-Lys-Pro-Asp-Glu-Gly-Lys-Arg-Gly-Asp-Ala-Cys-Glu-Gly-Asp-Ser-Gly-Gly-Pro-Phe-Val(配列番号1)を有する2つのポリペプチドを有するペプチドダイマー(ここで、前記ポリペプチドは、ジスルフィド結合によって共有結合している)の安定性を高める方法を意図している。
【0332】
図4を参照すると、本方法は、最初に、ステップ410を含み、ステップ410は、ポリペプチドの安定性に対する多数のパラメーター(例えば、大気酸素、活性酸素種、含水量、キャリアー、pH、温度、凍結融解(FT)サイクル、前記ペプチドダイマーの構造のコンホメーション変化、バッファー組成、対イオン、賦形剤、無菌性、粘性、露光量、生物汚染度、および酸化還元活性遷移金属不純物)の効果についての情報を同時に収集することを含む。
【0333】
図4を再度参照すると、本方法は、次に、ステップ420を含み、ステップ420は、ペプチドダイマーの安定性に対する多数のパラメーター(例えば、大気酸素、活性酸素種、含水量、キャリアー、pH、温度、凍結融解(FT)サイクル、前記ペプチドダイマーの構造のコンホメーション変化、バッファー組成、対イオン、賦形剤、無菌性、粘性、露光量、生物汚染度、および酸化還元活性遷移金属不純物)の効果についての情報の分析を行うことを含む。
【0334】
図4をもう一度参照すると、本方法は、ステップ430を含み、ステップ430は、ペプチドダイマーの安定性が高められるように、前記分析に基づいて、少なくとも1つの安定性最適化手順を行うことを含む。
【0335】
さらに別の好ましい実施形態によれば、
図5に模式的に示されているように、本発明は、Ala-Gly-Tyr-Lys-Pro-Asp-Glu-Gly-Lys-Arg-Gly-Asp-Ala-Cys-Glu-Gly-Asp-Ser-Gly-Gly-Pro-Phe-Val(配列番号1)を含む23アミノ酸ポリペプチドの安定性を高めるためのシステム500を提供する。
【0336】
図5を参照すると、システム500は、ポリペプチドの安定性に対する多数のパラメーター(例えば、大気酸素、活性酸素種、含水量、キャリアー、pH、温度、凍結融解(FT)サイクル、前記ポリペプチドの構造のコンホメーション変化、バッファー組成、対イオン、賦形剤、無菌性、粘性、露光量、生物汚染度、および酸化還元活性遷移金属不純物)の効果についての情報を同時に収集するためのコンポーネント510を含む。
【0337】
システム500は、また、ペプチドダイマーの安定性に対する多数のパラメーター(例えば、大気酸素、活性酸素種、含水量、キャリアー、pH、温度、凍結融解(FT)サイクル、前記ペプチドダイマーの構造のコンホメーション変化、バッファー組成、対イオン、賦形剤、無菌性、粘性、露光量、生物汚染度、および酸化還元活性遷移金属不純物)の効果についての情報の分析を行うためのコンポーネント520も含む。
【0338】
図5を再度参照すると、システム500は、また、ポリペプチドの安定性が高められるように、前記分析に基づいて、少なくとも1つの安定性最適化手順を行うためのコンポーネント530も含む。
【0339】
システム500は、少なくとも1つのプロセッサー540、およびポリペプチドの安定性に対する大気酸素、活性酸素種、含水量、キャリアー、pH、温度、凍結融解(FT)サイクル、前記ポリペプチドの構造のコンホメーション変化、バッファー組成、対イオン、賦形剤、無菌性、粘性、露光量、生物汚染度、および酸化還元活性遷移金属不純物の効果についての情報を保存するための少なくとも1つのメモリー記憶装置550をさらに含む。
【0340】
さらに別の好ましい実施形態によれば、
図6に模式的に示されているように、本発明は、それぞれが配列Ala-Gly-Tyr-Lys-Pro-Asp-Glu-Gly-Lys-Arg-Gly-Asp-Ala-Cys-Glu-Gly-Asp-Ser-Gly-Gly-Pro-Phe-Val(配列番号1)を有する2つのポリペプチドを有するペプチドダイマー(ここで、前記ポリペプチドは、ジスルフィド結合によって共有結合している)の安定性を高めるためのシステム600を提供する。
【0341】
図6を参照すると、システム600は、ペプチドダイマーの安定性に対する多数のパラメーター(例えば、大気酸素、活性酸素種、含水量、キャリアー、pH、温度、凍結融解(FT)サイクル、前記ペプチドダイマーの構造のコンホメーション変化、バッファー組成、対イオン、賦形剤、無菌性、粘性、露光量、生物汚染度、および酸化還元活性遷移金属不純物)の効果についての情報を同時に収集するためのコンポーネント610を含む。
【0342】
システム600は、また、ペプチドダイマーの安定性に対する多数のパラメーター(例えば、大気酸素、活性酸素種、含水量、キャリアー、pH、温度、凍結融解(FT)サイクル、前記ペプチドダイマーの構造のコンホメーション変化、バッファー組成、対イオン、賦形剤、無菌性、粘性、露光量、生物汚染度、および酸化還元活性遷移金属不純物)の効果についての情報の分析を行うためのコンポーネント620も含む。
【0343】
図6を再度参照すると、システム600は、また、ペプチドダイマーの安定性が高められるように、前記分析に基づいて、少なくとも1つの安定性最適化手順を行うためのコンポーネント630も含む。
【0344】
システム600は、少なくとも1つのプロセッサー640、およびペプチドダイマーの安定性に対する大気酸素、活性酸素種、含水量、キャリアー、pH、温度、凍結融解(FT)サイクル、前記ペプチドダイマーの構造のコンホメーション変化、バッファー組成、対イオン、賦形剤、無菌性、粘性、露光量、生物汚染度、および酸化還元活性遷移金属不純物の効果についての情報を保存するための少なくとも1つのメモリー記憶装置650をさらに含む。
【0345】
ある特定の実施形態において、本発明の酢酸ルサラチド製剤および剤形は、任意の適切な経路によって、局所的または全身的に、例えば、それらに限定されないが、非経口投与によって投与され得る。非経口投与としては、例えば、筋肉内、静脈内、皮下、または腹腔内注射があげられる。
【0346】
本発明の酢酸ルサラチド製剤、医薬組成物、および剤形は、また、例えば、局所投与によっても投与され得る。創傷を治療するための局所投与としては、例えば、クリーム、ゲル、軟膏、またはエアロゾルがあげられる。好ましい実施形態において、局所投与のための最終的な剤形は、好ましくは少なくとも1年の貯蔵寿命を有する、液体、軟膏、クリーム、またはゲルである。1つの好ましい実施形態において、Dimer(二量体)は、室温で液体培地中にある間、ダイマー形態を実質的に維持することが好ましい。
【0347】
呼吸器投与としては、例えば、吸入または鼻腔内滴下剤があげられ得る。骨成長の刺激、軟骨修復、心臓修復、および再狭窄の治療などのある特定の適応症のためには、治療部位に対する酢酸ルサラチド組成物、製剤、もしくは剤形の直接的な注入またはインプラントが有利であり得、ここで、酢酸ルサラチド組成物、製剤、もしくは剤形は、Monomer(単量体)、Dimer(二量体)、またはMonomer(単量体)とDimer(二量体)の任意の組み合わせを含む。
【0348】
酢酸ルサラチド製剤、医薬組成物、または剤形は、また、徐放性製剤としても有利に投与され得る。
【0349】
酢酸ルサラチド組成物、製剤、もしくは剤形は、また、少なくとも1つの医薬的に許容されるキャリアーを使用して投与され得る。製剤、医薬組成物、または剤形の正確な組成物(任意の賦形剤を含む)は、選択された投与経路によって異なり得る。適切な医薬キャリアーは、酢酸ルサラチドと反応しないか、または酢酸ルサラチドに影響を与えず、かつ(i)酢酸ルサラチドまたは(ii)Monomer(単量体)、Dimer(二量体)、もしくはMonomer(単量体)とDimer(二量体)の任意の組み合わせを含む酢酸ルサラチド組成物、製剤、もしくは剤形、または(iii)(i)と(ii)の両方の安定性に影響しない、不活性成分を含有していてもよい。使用され得る好ましいキャリアーは、生体適合性、非毒性、非炎症性、非免疫原性であり、かつ投与部位において望ましくない反応を引き起こさない。医薬的に許容されるキャリアーとしては、例えば、それらに限定されないが、生理食塩水、エアロゾル、商業的に入手可能な不活性ゲル、またはアルブミン、メチルセルロース、もしくはコラーゲンマトリックスが添加された液体があげられる。例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences(Mack Publishing Company、Easton、Pennsylvania、USA)に記載されているものなどの安全かつ有効な医薬製剤技術が利用され得る。
【0350】
さらに別の代替的な実施形態において、酢酸ルサラチド製剤、医薬組成物、または剤形は、骨成長が必要な部位に投与される前に、メッシュ、ワイヤーマトリックス、ステンレススチールケージ、スクリュー型インターボディー融合ケージなどの支持物理構造中に、部分的または完全に埋め込まれ得る。
【0351】
ある特定の例において、注射可能送達製剤は、好ましくは、静脈内、または治療を必要とする部位に直接的に投与され得る。注射可能キャリアーは、例えば、粘稠溶液またはゲルであり得る。
【0352】
好ましい実施形態において、酢酸ルサラチド製剤、医薬組成物、または剤形は、無菌投与によって投与され得る。用語「無菌投与」は、本明細書で使用する場合、対象への投与または送達が、混入物、バクテリア、もしくは他の微生物、または対象に対して有害であり得る他の何らかのものを導入しないように、無菌的、清潔、無コンタミネーション的、かつ非感染的な様式で投与または送達が行われるような様式の、酢酸ルサラチド製剤、医薬組成物、または剤形の投与または送達を指す。用語「無菌的」および「無菌的条件」は、本明細書で使用する場合、任意の種類の有害なウイルス、バクテリア、または他の有害な微生物によって引き起こされるコンタミネーションを含まない、または本質的に含まない条件を幅広く指すことを意図している。
【0353】
さらに、対象の安全性および利益のために、送達メカニズム(例えば、注射のためのデバイス)もまた、無菌的、清潔、無コンタミネーション的、かつ非感染的な条件に維持され、かつ関連する手順(作業者によるハンドリング手順が含まれる)もまた、無菌的、清潔、無コンタミネーション的、かつ非感染的な設定で行われる。
【0354】
他の好ましい実施形態において、送達製剤としては、例えば、生理的食塩水、静菌性生理食塩水(例えば、約0.9%mg/mLのベンジルアルコールを含む生理食塩水)、リン酸緩衝生理食塩水、ハンクス溶液、乳酸リンゲル、またはアルブミン、メチルセルロース、もしくはヒアルロン酸を添加した液体があげられ得る。注射可能なマトリックスとしては、例えば、ポリ(エチレンオキシド)の1つまたはそれを超えるポリマー、およびエチレンとプロピレンオキシドのコポリマーがあげられ得る。
【0355】
注射可能なマトリックスは、例えば、骨成長が必要な部位に直接注射することができ、かつ、侵襲的な手術を必要とすることなく、間隙を埋め、骨を接着するために好都合に使用することができる。
【0356】
本明細書で提供されている説明は、非限定的な例を提供し、それらの例は、単に例示を目的とするものであることを理解すべきである。それらの例は、いかなる意味においても、本発明の範囲を限定するものではない。任意の他の種類の酢酸ルサラチド医薬組成物、製剤、もしくは剤形もまた、本発明に従って使用し得ることを理解すべきである。
【0357】
治療の代表的な方法
好ましい実施形態によれば、本発明は、治療を必要とする対象を、酢酸ルサラチド組成物、製剤、もしくは剤形で治療するために有用な方法を意図しており、ここで、前記酢酸ルサラチド組成物、製剤、もしくは剤形は、Monomer(単量体)、Dimer(二量体)、またはMonomer(単量体)とDimer(二量体)の任意の組み合わせを含み、さらにここで、前記製剤、組成物、または剤形の安定性は、本発明の前記方法およびシステムによって高められる。
【0358】
別の好ましい実施形態によれば、本発明は、有効量のMonomer(単量体)で治療することを含む、治療を必要とする対象をMonomer(単量体)で治療するために有用な方法を意図しており、ここで、Monomer(単量体)の安定性は、本発明の前記方法およびシステムによって高められる。
【0359】
別の好ましい実施形態によれば、本発明は、有効量のDimer(二量体)で治療することを含む、治療を必要とする対象をDimer(二量体)で治療するために有用な方法を意図しており、ここで、Dimer(二量体)の安定性は、本発明の前記方法およびシステムによって高められる。好ましい実施形態において、Dimer(二量体)は、その治療活性ゆえに、治療のために投与される。
【0360】
「有効量」は、治療を行わない場合と比較して、酢酸ルサラチド製剤、医薬組成物、または剤形によって治療されている対象における状態の臨床成績の改善をもたらす、酢酸ルサラチド製剤、医薬組成物、または剤形の分量、濃度、用量、または量を指す。投与される前記製剤、医薬組成物、または剤形の分量、濃度、用量、または量は、疾患または状態の程度、重篤度、および種類、望ましい治療の量、および製剤、医薬組成物、または剤形の放出特性に依存するであろう。また、典型的には、対象の健康、大きさ、体重、年齢、性別、および薬物に対する耐性にも依存するであろう。典型的には、前記製剤、医薬組成物、または剤形は、所望の治療効果を実現するために十分な期間にわたって投与される。
【0361】
別の好ましい実施形態によれば、本発明は、また、ヒトまたは非ヒト対象における1つまたはそれを超える状態を治療するための、Monomer(単量体)、Dimer(二量体)、またはMonomer(単量体)とDimer(二量体)の任意の組み合わせを含む酢酸ルサラチド組成物、製剤、もしくは剤形の使用も意図している。
【0362】
本発明の酢酸ルサラチド組成物、製剤、および剤形は、例えば、組織修復を促進するために、または創傷を治療するために使用することができる。このような創傷としては、それらに限定されないが、糖尿病性足部潰瘍(DFU)(足底および踵表面のDFUが含まれる)、ならびに全ての他の種類の潰瘍、傷、および病変(それらに限定されないが、静脈潰瘍、皮膚潰瘍、褥瘡、口内炎、および潰瘍性病変が含まれる)があげられる。
【0363】
本発明の安定化された酢酸ルサラチド医薬組成物、製剤、および剤形は、また、例えば、血管新生、血管再生、または細胞増殖が有益であろう疾患または状態の治療または予防においても使用され得る。
【0364】
本発明の安定化された酢酸ルサラチド医薬組成物、製剤、および剤形は、また、例えば、血管形成術後の患者における再狭窄を防ぐため、および心臓組織における血管再生を促進するためにも使用され得る。
【0365】
本発明の安定化された酢酸ルサラチド医薬組成物、製剤、および剤形は、また、(例えば、急性虚血再灌流障害後の)心筋保護を実現するため、および他の心血管保護効果を実現するためにも使用され得る。
【0366】
本発明の安定化された酢酸ルサラチド医薬組成物、製剤、および剤形は、また、慢性低酸素症の影響を減弱させるため、および低酸素症または虚血の間の保護効果をもたらすためにも使用され得る。
【0367】
さらに別の好ましい実施形態によれば、本発明の安定化された酢酸ルサラチド医薬組成物、製剤、および剤形は、また、任意の種類の創傷(それらに限定されないが、熱傷、皮膚創傷、および手術創などの急性創傷が含まれる)の治癒および治療を促進するためにも使用され得る。
【0368】
さらに別の好ましい実施形態によれば、本発明の安定化された酢酸ルサラチド医薬組成物、製剤、および剤形は、また、骨折の治療;単純骨折、偽関節骨折、骨および骨グラフトにおけるボイドおよびギャップの治癒を促進するための骨成長の刺激、軟骨増殖の刺激、および軟骨損傷の治療のためにも使用され得る。
【0369】
また、本発明の安定化された酢酸ルサラチド医薬組成物、製剤、および剤形は、それらに限定されないが、傷害、疾患、または加齢によって引き起こされる慢性および急性の炎症性および変性性状態の治療または管理を含む、多くの他の用途および適用を有することが意図されている。
【0370】
本発明は、また、本発明の安定な、または安定化された酢酸ルサラチド組成物、製剤、もしくは剤形が、Monomer(単量体)、Dimer(二量体)、またはMonomer(単量体)とDimer(二量体)の任意の組み合わせ(これらは、任意の時点で、任意の比、割合、またはパーセンテージで存在し得る)を、任意の所望のまたは適切な量または濃度で、および必要または要求に応じた任意の目的(それらに限定されないが、貯蔵濃縮物の調製、または1つもしくはそれを超える種類の治療のための対象への投薬または投与の目的が含まれる)のために含み得ることも意図している。
【0371】
酢酸ルサラチド製剤、医薬組成物、および剤形によって治療可能な疾患および状態は、疼痛および感染などの症状および疾病を伴うことが多い。ある特定の例において、このような問題に対処するために、酢酸ルサラチド製剤、医薬組成物、または剤形と共に、1つまたはそれを超える追加の薬理学的に活性な薬剤を同時投与することが有利であり得る。例えば、疼痛および炎症の処置は、1つまたはそれを超える鎮痛剤、1つまたはそれを超える抗炎症剤、またはそれらの任意の組み合わせの共投与を含み得る。感染の処置は、1つまたはそれを超える抗菌剤、抗生剤、または殺菌剤、またはそれらの任意の組み合わせの共投与を含み得る。
【0372】
高められた酢酸ルサラチドの純度
米国食品医薬品局(FDA)の厳格な規定によって、生物学的に活性な薬剤には、医薬品として使用する場合、高い純度が要求される。したがって、ヒトの治療に使用する場合、活性な酢酸ルサラチドを取得し、その酢酸ルサラチドが、長期間にわたってその純度を維持または本質的に維持することが重要である。
【0373】
本明細書の本説明全体を通して使用される場合、用語「純度」は、活性薬剤(例えば、酢酸ルサラチド)が、任意の種類のコンタミネーションもしくは混入物を含まないもしくは本質的に含まない度合いもしくは程度、または分解不純物および任意の種類のあらゆる他の不純物を含まないもしくは本質的に含まない度合いもしくは程度を幅広く指すことを意図している。
【0374】
本明細書で使用する場合、用語「本質的に含まない」は、好ましくは、不必要なコンポーネントをほとんど含まない、ほぼ含まない、または実質的に含まない状態または条件を指すことを意図している。例えば、「本質的に含まない」は、好ましくは、不必要なコンポーネントを90パーセント超含まない、より好ましくは95パーセント超含まない、さらに好ましくは98パーセント超含まない、よりいっそう好ましくは99パーセント超含まない状態または条件を指し得る。例えば、混入物(標準的な分析および検出技術によって検出され得る混入物が含まれる)を「本質的に含まない」組成物は、好ましくは前記混入物が90パーセント超含まない、より好ましくは前記混入物が95パーセント超含まない、さらに好ましくは前記混入物が98パーセント超含まない、よりいっそう好ましくは前記混入物が99パーセント超含まない組成物を指すことが意図されている。
【0375】
別の例において、少なくとも90%の純度を有する酢酸ルサラチドは、コンタミネーションまたは混入物を少なくとも90%含まない、または本質的に含まない、および分解不純物および任意の種類のあらゆる他の不純物を少なくとも90%含まない、または本質的に含まない酢酸ルサラチドを指すことを意図している。
【0376】
さらに別の例において、少なくとも95%の純度を有する酢酸ルサラチドは、コンタミネーションまたは混入物を少なくとも95%含まない、または本質的に含まない、および分解不純物および任意の種類のあらゆる他の不純物を少なくとも95%含まない、または本質的に含まない酢酸ルサラチドを指すことを意図している。
【0377】
さらに別の例において、少なくとも98%の純度を有する酢酸ルサラチドは、コンタミネーションまたは混入物を少なくとも98%含まない、または本質的に含まない、および分解不純物および任意の種類のあらゆる他の不純物を少なくとも98%含まない、または本質的に含まない酢酸ルサラチドを指すことを意図している。
【0378】
さらに別の例において、少なくとも99%の純度を有する酢酸ルサラチドは、コンタミネーションまたは混入物を少なくとも99%含まない、または本質的に含まない、および分解不純物および任意の種類のあらゆる他の不純物を少なくとも99%含まない、または本質的に含まない酢酸ルサラチドを指すことを意図している。
【0379】
ある特定の実施形態において、本発明は、(例えばバッチまたはサンプル中の)純粋な23アミノ酸Monomer(単量体)のパーセントが、正確に、かつ信頼性をもって決定および測定され得ることを意図している。
【0380】
本発明は、また、他の実施形態において、2つの23アミノ酸Monomer(単量体)の純粋なDimer(二量体)のパーセントが、正確に、かつ信頼性をもって決定および測定され得ることも意図している。
【0381】
1つの実施形態において(i)酢酸ルサラチドの純度、または(ii)Monomer(単量体)、Dimer(二量体)、またはMonomer(単量体)とDimer(二量体)の任意の組み合わせを含む酢酸ルサラチド組成物、製剤、もしくは剤形の純度は、HPLCまたは他の適切な分析技術によって測定および分析され得る。
【0382】
1つの例において、対イオンまたは水に対するネットペプチド含量を決定するために、ネットペプチド含量測定を行ってもよく、これは、AAA(アミノ酸分析(amino acid analysis))または炭素水素窒素(CHN)分析によって得られ得る。
【0383】
本発明は、また、少なくとも90パーセント純粋な23アミノ酸モノマー(「Monomer(単量体)」)(言い換えれば、少なくとも90パーセントの純度を有するMonomer(単量体))も意図している。このパーセントの純度を有するMonomer(単量体)は、本発明の酢酸ルサラチド組成物、製剤、および剤形において使用され得る。
【0384】
本発明は、また、少なくとも95パーセント純粋なMonomer(単量体)(言い換えれば、少なくとも95パーセントの純度を有するMonomer(単量体))も意図している。このパーセントの純度を有するMonomer(単量体)は、本発明の酢酸ルサラチド組成物、製剤、および剤形において使用され得る。
【0385】
本発明は、また、少なくとも96パーセント純粋なMonomer(単量体)(言い換えれば、少なくとも96パーセントの純度を有するMonomer(単量体))も意図している。このパーセントの純度を有するMonomer(単量体)は、本発明の酢酸ルサラチド組成物、製剤、および剤形において使用され得る。
【0386】
本発明は、また、少なくとも98パーセント純粋なMonomer(単量体)(言い換えれば、少なくとも98パーセントの純度を有するMonomer(単量体))も意図している。このパーセントの純度を有するMonomer(単量体)は、本発明の酢酸ルサラチド組成物、製剤、および剤形において使用され得る。
【0387】
本発明は、また、少なくとも99パーセント純粋なMonomer(単量体)(言い換えれば、少なくとも99パーセントの純度を有するMonomer(単量体))も意図している。このパーセントの純度を有するMonomer(単量体)は、本発明の酢酸ルサラチド組成物、製剤、および剤形において使用され得る。
【0388】
さらに別の実施形態において、本発明は、また、酢酸ルサラチド組成物、製剤、もしくは剤形の純度が、例えば、酢酸ルサラチド組成物、製剤、もしくは剤形中の任意の混入物の存在について分析することによって、正確に、かつ信頼性をもって決定および測定され得ることも意図している。
【0389】
本発明の好ましい実施形態によれば、酢酸ルサラチド組成物、製剤、もしくは剤形は、少なくとも90%の純度(ここで、組成物、製剤、もしくは剤形は、任意の混入物を少なくとも90%含まない)で生産される。
【0390】
別の実施形態によれば、酢酸ルサラチド組成物、製剤、もしくは剤形は、少なくとも95%の純度(ここで、組成物、製剤、もしくは剤形は、任意の混入物を少なくとも95%含まない)で生産される。
【0391】
別の実施形態によれば、酢酸ルサラチド組成物、製剤、もしくは剤形は、少なくとも96%の純度(ここで、組成物、製剤、もしくは剤形は、任意の混入物を少なくとも96%含まない)で生産される。
【0392】
別の実施形態によれば、酢酸ルサラチド組成物、製剤、もしくは剤形は、少なくとも98%の純度(ここで、組成物、製剤、もしくは剤形は、任意の混入物を少なくとも98%含まない)で生産される。
【0393】
別の実施形態によれば、酢酸ルサラチド組成物、製剤、もしくは剤形は、少なくとも99%の純度(ここで、組成物、製剤、もしくは剤形は、任意の混入物を少なくとも99%含まない)で生産される。
【0394】
好ましい実施形態によれば、本発明は、少なくとも1つのパラメーターに関する物理的な非抽象的情報を収集すること(ここで、前記パラメーターは、Monomer(単量体)の安定性に影響する);少なくとも1つのパラメーターに関する物理的な非抽象的分析を行うこと;および前記分析に基づいて、Monomer(単量体)の安定性が高められるように少なくとも1つの物理的な非抽象的安定性最適化手順を行うこと、を含む、Monomer(単量体)の安定性を高める方法を意図している。
【0395】
別の好ましい実施形態によれば、本発明は、少なくとも2つのパラメーターに関する物理的な非抽象的情報を収集すること(ここで、各パラメーターは、Monomer(単量体)の安定性に影響する);少なくとも2つのパラメーターに関する物理的な非抽象的分析を行うこと;および前記分析に基づいて、Monomer(単量体)の安定性が高められるように少なくとも1つの物理的な非抽象的安定性最適化手順を行うこと、を含む、Monomer(単量体)の安定性を高める方法を意図している。
【0396】
別の好ましい実施形態によれば、本発明は、少なくとも3つのパラメーターに関する物理的な非抽象的情報を収集すること(ここで、各パラメーターは、Monomer(単量体)の安定性に影響する);少なくとも3つのパラメーターに関する物理的な非抽象的分析を行うこと;および前記分析に基づいて、Monomer(単量体)の安定性が高められるように少なくとも1つの物理的な非抽象的安定性最適化手順を行うこと、を含む、Monomer(単量体)の安定性を高める方法を意図している。
【0397】
好ましい実施形態によれば、本発明は、少なくとも1つのパラメーターに関する物理的な非抽象的情報を収集すること(ここで、前記パラメーターは、Dimer(二量体)の安定性に影響する);少なくとも1つのパラメーターに関する物理的な非抽象的分析を行うこと;および前記分析に基づいて、Dimer(二量体)の安定性が高められるように少なくとも1つの物理的な非抽象的安定性最適化手順を行うこと、を含む、Dimer(二量体)の安定性を高める方法を意図している。
【0398】
別の好ましい実施形態によれば、本発明は、少なくとも2つのパラメーターに関する物理的な非抽象的情報を収集すること(ここで、各パラメーターは、Dimer(二量体)の安定性に影響する);少なくとも2つのパラメーターに関する物理的な非抽象的分析を行うこと;および前記分析に基づいて、Dimer(二量体)の安定性が高められるように少なくとも1つの物理的な非抽象的安定性最適化手順を行うこと、を含む、Dimer(二量体)の安定性を高める方法を意図している。
【0399】
別の好ましい実施形態によれば、本発明は、少なくとも3つのパラメーターに関する物理的な非抽象的情報を収集すること(ここで、各パラメーターは、Dimer(二量体)の安定性に影響する);少なくとも3つのパラメーターに関する物理的な非抽象的分析を行うこと;および前記分析に基づいて、Dimer(二量体)の安定性が高められるように少なくとも1つの物理的な非抽象的安定性最適化手順を行うこと、を含む、Dimer(二量体)の安定性を高める方法を意図している。
【0400】
好ましい実施形態によれば、酢酸ルサラチド製剤、医薬組成物、または剤形の安定性を高める方法は、
●前記酢酸ルサラチド製剤を調製するプロセスの間に第1のパラメーターを最適化すること;
●前記酢酸ルサラチド製剤を調製する前記プロセスの間に第2のパラメーターを最適化すること;および
●前記酢酸ルサラチド製剤を調製する前記プロセスの間に第3のパラメーターを最適化すること、
を含み、
●ここで、前記第1、第2、および第3のパラメーターの最適化によって、前記酢酸ルサラチド製剤の安定性が高められる。
【0401】
好ましい実施形態によれば、本発明は、また、(i)酢酸ルサラチドまたは(ii)Monomer(単量体)、Dimer(二量体)、もしくはMonomer(単量体)とDimer(二量体)の任意の組み合わせを含む酢酸ルサラチド組成物、製剤、もしくは剤形、または(iii)(i)と(ii)の両方の安定性を高めるためのシステムも意図している。本システムは、好ましくは、少なくとも1つの物理的な非抽象的コンピューターベース計測システムを含み、ここで、前記少なくとも1つの物理的な非抽象的コンピューターベース計測システムは、少なくとも1つのパラメーターに関して収集された物理的な非抽象的情報を集めて処理するために動作可能であり、ここで、前記パラメーターは、前記酢酸ルサラチド製剤、医薬組成物、または剤形の安定性に影響し;さらにここで、前記少なくとも1つの物理的な非抽象的コンピューターベース計測システムは、少なくとも1つのパラメーターに関する物理的な非抽象的分析を行うために動作可能であり;さらにここで、前記少なくとも1つの物理的な非抽象的コンピューターベース計測システムは、前記分析に基づいて、前記酢酸ルサラチド製剤、医薬組成物、または剤形の安定性が高められるように少なくとも1つの物理的な非抽象的安定性最適化手順を行うために動作可能である。
【0402】
好ましい実施形態によれば、本発明は、また、Monomer(単量体)の安定性を高めるためのシステムも意図しており、前記システムは、少なくとも1つの物理的な非抽象的コンピューターベース計測システムを含み、ここで、前記少なくとも1つの物理的な非抽象的コンピューターベース計測システムは、少なくとも1つのパラメーターに関して収集された物理的な非抽象的情報を集めて処理するために動作可能であり、ここで、前記パラメーターは、前記Monomer(単量体)の安定性に影響し;さらにここで、前記少なくとも1つの物理的な非抽象的コンピューターベース計測システムは、少なくとも1つのパラメーターに関する物理的な非抽象的分析を行うために動作可能であり;さらにここで、前記少なくとも1つの物理的な非抽象的コンピューターベース計測システムは、前記分析に基づいて、前記Monomer(単量体)の安定性が高められるように少なくとも1つの物理的な非抽象的安定性最適化手順を行うために動作可能である。
【0403】
好ましい実施形態によれば、本発明は、また、Monomer(単量体)の安定性を高めるためのシステムも意図しており、前記システムは、少なくとも1つの物理的な非抽象的コンピューターベース計測システムを含み、ここで、前記少なくとも1つの物理的な非抽象的コンピューターベース計測システムは、少なくとも2つのパラメーターに関して収集された物理的な非抽象的情報を集めて処理するために動作可能であり、ここで、前記パラメーターは、前記Monomer(単量体)の安定性に影響し;さらにここで、前記少なくとも1つの物理的な非抽象的コンピューターベース計測システムは、少なくとも2つのパラメーターに関する物理的な非抽象的分析を行うために動作可能であり;さらにここで、前記少なくとも1つの物理的な非抽象的コンピューターベース計測システムは、前記分析に基づいて、前記Monomer(単量体)の安定性が高められるように少なくとも1つの物理的な非抽象的安定性最適化手順を行うために動作可能である。
【0404】
好ましい実施形態によれば、本発明は、また、Monomer(単量体)の安定性を高めるためのシステムも意図しており、前記システムは、少なくとも1つの物理的な非抽象的コンピューターベース計測システムを含み、ここで、前記少なくとも1つの物理的な非抽象的コンピューターベース計測システムは、少なくとも3つのパラメーターに関して収集された物理的な非抽象的情報を集めて処理するために動作可能であり、ここで、前記パラメーターは、前記Monomer(単量体)の安定性に影響し;さらにここで、前記少なくとも1つの物理的な非抽象的コンピューターベース計測システムは、少なくとも3つのパラメーターに関する物理的な非抽象的分析を行うために動作可能であり;さらにここで、前記少なくとも1つの物理的な非抽象的コンピューターベース計測システムは、前記分析に基づいて、前記Monomer(単量体)の安定性が高められるように少なくとも1つの物理的な非抽象的安定性最適化手順を行うために動作可能である。
【0405】
好ましい実施形態によれば、本発明は、また、Dimer(二量体)の安定性を高めるためのシステムも意図しており、前記システムは、少なくとも1つの物理的な非抽象的コンピューターベース計測システムを含み、ここで、前記少なくとも1つの物理的な非抽象的コンピューターベース計測システムは、少なくとも1つのパラメーターに関して収集された物理的な非抽象的情報を集めて処理するために動作可能であり、ここで、前記パラメーターは、前記Dimer(二量体)の安定性に影響し;さらにここで、前記少なくとも1つの物理的な非抽象的コンピューターベース計測システムは、少なくとも1つのパラメーターに関する物理的な非抽象的分析を行うために動作可能であり;さらにここで、前記少なくとも1つの物理的な非抽象的コンピューターベース計測システムは、前記分析に基づいて、前記Dimer(二量体)の安定性が高められるように少なくとも1つの物理的な非抽象的安定性最適化手順を行うために動作可能である。
【0406】
好ましい実施形態によれば、本発明は、また、Dimer(二量体)の安定性を高めるためのシステムも意図しており、前記システムは、少なくとも1つの物理的な非抽象的コンピューターベース計測システムを含み、ここで、前記少なくとも1つの物理的な非抽象的コンピューターベース計測システムは、少なくとも2つのパラメーターに関して収集された物理的な非抽象的情報を集めて処理するために動作可能であり、ここで、前記パラメーターは、前記Dimer(二量体)の安定性に影響し;さらにここで、前記少なくとも1つの物理的な非抽象的コンピューターベース計測システムは、少なくとも2つのパラメーターに関する物理的な非抽象的分析を行うために動作可能であり;さらにここで、前記少なくとも1つの物理的な非抽象的コンピューターベース計測システムは、前記分析に基づいて、前記Dimer(二量体)の安定性が高められるように少なくとも1つの物理的な非抽象的安定性最適化手順を行うために動作可能である。
【0407】
好ましい実施形態によれば、本発明は、また、Dimer(二量体)の安定性を高めるためのシステムも意図しており、前記システムは、少なくとも1つの物理的な非抽象的コンピューターベース計測システムを含み、ここで、前記少なくとも1つの物理的な非抽象的コンピューターベース計測システムは、少なくとも3つのパラメーターに関して収集された物理的な非抽象的情報を集めて処理するために動作可能であり、ここで、前記パラメーターは、前記Dimer(二量体)の安定性に影響し;さらにここで、前記少なくとも1つの物理的な非抽象的コンピューターベース計測システムは、少なくとも3つのパラメーターに関する物理的な非抽象的分析を行うために動作可能であり;さらにここで、前記少なくとも1つの物理的な非抽象的コンピューターベース計測システムは、前記分析に基づいて、前記Dimer(二量体)の安定性が高められるように少なくとも1つの物理的な非抽象的安定性最適化手順を行うために動作可能である。
【0408】
別の好ましい実施形態によれば、本発明は、また、酢酸ルサラチド組成物、製剤、もしくは剤形の安定性を高めるためのシステムも意図しており、ここで、前記酢酸ルサラチド組成物、製剤、もしくは剤形は、Monomer(単量体)、Dimer(二量体)、またはMonomer(単量体)とDimer(二量体)の任意の組み合わせを含み、前記システムは、少なくとも1つの物理的な非抽象的コンピューターベース計測システムを含み、ここで、前記少なくとも1つの物理的な非抽象的コンピューターベース計測システムの動作は、任意の適切な人工知能(A.I.)または機械学習テクノロジー、または他の適切な種類の高度な分析技術の使用を含み、さらにここで、前記少なくとも1つの物理的な非抽象的コンピューターベース計測システムは、本明細書に記載されているように、本発明の方法および動作を具体的に行うために重要であり必要とされる少なくとも1つのコンピューターハードウェアアーキテクチャーまたはマイクロアーキテクチャーの物理コンポーネントを含む。前記少なくとも1つの物理的な非抽象的コンピューターベース計測システムの動作は、それらに限定されないが、
(i)少なくとも1つのパラメーターに関して収集された物理的な非抽象的情報を集めて処理すること(ここで、前記パラメーターは、前記酢酸ルサラチド製剤、医薬組成物、または剤形の安定性に影響する);
(ii)少なくとも1つのパラメーターに関する物理的な非抽象的分析を行うこと;および
(iii)前記分析に基づいて、前記酢酸ルサラチド製剤、医薬組成物、または剤形の安定性が高められるように少なくとも1つの物理的な非抽象的安定性最適化手順を行うこと、
を含む。
【0409】
別の好ましい実施形態によれば、本発明は、また、少なくとも1つの物理的な非抽象的コンピューターベース計測システムを含む、Monomer(単量体)の安定性を高めるためのシステムも意図しており、ここで、前記少なくとも1つの物理的な非抽象的コンピューターベース計測システムの動作は、任意の適切な人工知能(A.I.)または機械学習テクノロジー、または他の任意の種類の高度な分析技術の動作を含み、さらにここで、前記少なくとも1つの物理的な非抽象的コンピューターベース計測システムは、本明細書に記載されているように、本発明の方法および動作を具体的に行うために重要であり必要とされる少なくとも1つのコンピューターハードウェアアーキテクチャーまたはマイクロアーキテクチャーの物理コンポーネントを含む。前記少なくとも1つの物理的な非抽象的コンピューターベース計測システムの動作は、それらに限定されないが、
(i)少なくとも1つのパラメーターに関して収集された物理的な非抽象的情報を集めて処理すること(ここで、前記パラメーターは、前記Monomer(単量体)の安定性に影響する);
(ii)少なくとも1つのパラメーターに関する物理的な非抽象的分析を行うこと;および
(iii)前記分析に基づいて、前記Monomer(単量体)の安定性が高められるように少なくとも1つの物理的な非抽象的安定性最適化手順を行うこと、
を含む。
【0410】
別の好ましい実施形態によれば、本発明は、本明細書に記載されているように、Monomer(単量体)の安定性を高めるためのシステムも意図しており、ここで、前記少なくとも1つの物理的な非抽象的コンピューターベース計測システムの動作は、それらに限定されないが、以下の(i)~(iii):
(i)少なくとも3つのパラメーターに関して収集された物理的な非抽象的情報(ここで、前記3つのパラメーターのそれぞれは、前記Monomer(単量体)の安定性に影響する)を集めて処理すること;
(ii)少なくとも3つのパラメーターに関する物理的な非抽象的分析を行うこと;および
(iii)前記分析に基づいて、前記Monomer(単量体)の安定性が高められるように少なくとも1つの物理的な非抽象的安定性最適化手順を行うこと、
を含む。
【0411】
さらに別の好ましい実施形態によれば、本発明は、少なくとも1つの物理的な非抽象的コンピューターベース計測システムを含む、Dimer(二量体)の安定性を高めるためのシステムもまた意図しており、ここで、前記少なくとも1つの物理的な非抽象的コンピューターベース計測システムの動作は、任意の適切な人工知能(A.I.)または機械学習テクノロジーの動作を含み、さらにここで、前記少なくとも1つの物理的な非抽象的コンピューターベース計測システムは、本明細書に記載されているように、本発明の方法および動作を具体的に行うために重要であり必要とされる少なくとも1つのコンピューターハードウェアアーキテクチャーまたはマイクロアーキテクチャーの物理コンポーネントを含む。前記少なくとも1つの物理的な非抽象的コンピューターベース計測システムの動作は、それらに限定されないが、以下の(i)~(iii):
(i)少なくとも1つのパラメーターに関して収集された物理的な非抽象的情報(ここで、前記パラメーターは、前記Dimer(二量体)の安定性に影響する)を集めて処理すること;
(ii)少なくとも1つのパラメーターに関する物理的な非抽象的分析を行うこと;および
(iii)前記分析に基づいて、前記Dimer(二量体)の安定性が高められるように少なくとも1つの物理的な非抽象的安定性最適化手順を行うこと、
を含む。
【0412】
別の好ましい実施形態によれば、本発明は、本明細書に記載されているように、Dimer(二量体)の安定性を高めるためのシステムも意図しており、ここで、前記少なくとも1つの物理的な非抽象的コンピューターベース計測システムの動作は、それらに限定されないが、以下の(i)~(iii):
(i)少なくとも3つのパラメーターに関して収集された物理的な非抽象的情報(ここで、前記3つのパラメーターのそれぞれは、前記Dimer(二量体)の安定性に影響する)を集めて処理すること;
(ii)少なくとも3つのパラメーターに関する物理的な非抽象的分析を行うこと;および
(iii)前記分析に基づいて、前記Dimer(二量体)の安定性が高められるように少なくとも1つの物理的な非抽象的安定性最適化手順を行うこと、
を含む。
【0413】
本発明のシステム(例えば、酢酸ルサラチド製剤、医薬組成物、または剤形の安定性を高めるためのシステムが含まれる)は、好ましくは、任意の種類のコンピューターハードウェアシステム、ネットワークシステム、または他のプラットフォームを使用して実行され得る。好ましい実施形態によれば、物理的な非抽象的コンピューターベース計測システムは、ソースプログラムを「走らせる」または実行するために必要とされ、かつそのコンピューターを人が使用することを可能にする、コンピューターシステムの全ての必要なコンポーネントを含む。非限定的例として、ハードウェアコンポーネントとしては、それらに限定されないが、電源装置、マザーボード、ハードディスク、グラフィックカード、ランダムアクセスメモリー(RAM)、および他のハードウェアコンポーネントがあげられる。追加のハードウェアコンポーネントとしては、例えば、キーボード、マウス、スピーカーなどがあげられ得る。本発明の方法およびシステムは、したがって、それらに限定されないが、プロセッサー、前記プロセッサーのためのメモリー記憶装置、接続されたディスプレイデバイスおよび入力装置を含むコンピューターコンポーネントを含む、任意の種類のコンピューターシステムの動作によって実行され得ることも意図されている。さらに、本発明の方法は、また、例えば、1つまたはそれを超えるリモートファイルサーバー、コンピューターサーバー、および/またはメモリー記憶装置を含む、異種の分散コンピューティング環境中のコンピューターコンポーネントの動作によっても実行され得る。これらの分散コンピューティングコンポーネントのそれぞれは、通信ネットワークを介して前記プロセッサーによるアクセスが可能であり、通信ネットワークとしては、それに限定されないが、インターネットがあげられ得る。
【0414】
代表的な実施例
以下の非限定的な実施例は、本発明のある特定の態様を例解する。これらの実施例は、いかなる意味においても、本発明の範囲を限定するものと理解すべきではない。
【実施例1】
【0415】
酢酸ルサラチド医薬組成物の安定性を高め、および最適化するために、酢酸ルサラチドの多数の属性およびパラメーターが分析および評価された。データは、PEP-FOLDサーバー(University of Paris、ディドロ、パリ、フランス)を使用して得た。コンピューターの動作に必要なコンピューターハードウェアを含む物理的な非抽象的コンピューターシステムを使用して、PEP-FOLDサーバーを使用して分析を行い、Monomer(単量体)配列(AGYKPDEGKRGDACEGDSGGPFV)に基づいて、Monomer(単量体)の予測構造を生成した。この実施例において、前記物理的な非抽象的コンピューターシステムを使用してPEP-FOLDサーバーにアクセスし、Monomer(単量体)(AGYKPDEGKRGDACEGDSGGPFV)の三次元(3D)コンホメーションのde novoモデリングを行った。
【0416】
PEP-FOLDサーバーを使用して、Monomer(単量体)配列の予測三次元(3D)コンホメーションを得るために、以下のアクションまたはステップを行った:
PEP-FOLD3(1/5):ローカル予測
PEP-FOLD3(2/5):3D生成
10%..20%..30%..40%..50%..60%..70%..80%..90%..100%(時点1の分析実施)
10%..20%..30%..40%..50%..60%..70%..80%..90%..100%(時点2の分析実施)
10%..20%..30%..40%..50%..60%..70%..80%..90%..100%(時点3の分析実施)
PEP-FOLD3(3/5):後処理
10%..20%..30%..40%..50%..60%..70%..80%..90%..100%(時点4の分析実施)
PEP-FOLD3(4/5):クラスタリング
DBClusters(1/4):オプションのチェック
DBClusters(2/4):結果の準備
PEP-FOLD3(5/5):結果のコンパイリング
PEP-FOLD(6/6);結果のフォーマッティング
【0417】
前記分析および得られたデータに基づいて、PEP-FOLDサーバーによって、Monomer(単量体)の予測される3Dコンホメーション(Monomer(単量体)の予測される3Dコンホメーションを模式的に示す「球棒」モデルが含まれる)が生成された。Monomer(単量体)の予測される3Dコンホメーションは、回転させることができ、または様々な方向で観察することができる。これらの様々な方向の例を、
図1A、
図1B、および
図1Cに模式的に示す。
【0418】
図1Aは、1つの3D配向(この3D配向のMonomer(単量体)を指し示す矢印のついた参照番号100を参照のこと)のMonomer(単量体)を示す。
【0419】
図1Bは、別の3D配向(この3D配向のMonomer(単量体)を指し示す矢印のついた参照番号110を参照のこと)のMonomer(単量体)を示す。
【0420】
図1Cは、さらに別の3D配向(この3D配向のMonomer(単量体)を指し示す矢印のついた参照番号120を参照のこと)のMonomer(単量体)を示す。
【0421】
予測される3Dコンホメーションの同様の分析を、Dimer(二量体)についても行った。
【0422】
PEP-FOLDサーバーによって、予測される3Dコンホメーションを含む、酢酸ルサラチドペプチドについての非常に価値のある情報がもたらされた。この情報の分析は、プレ製剤化および製剤化ステージの間にわたって非常に有用である。このようにして収集された情報は、また、酢酸ルサラチド医薬組成物、製剤、剤形中の酢酸ルサラチドの安定性を高め、および最適化するために、機械学習システム、人工知能ツール、および他の分析技術を使用して、コンピューターシステム、ならびに他のツールによっても使用される。
【実施例2】
【0423】
この研究において、酢酸ルサラチドのいくつかの属性およびパラメーターが分析され、Monomer(単量体)配列(AGYKPDEGKRGDACEGDSGGPFV)に基づいてデータが得られた。ThermoFisherペプチド分析システムが、分析を行うために、熟練した科学者によって使用され、また、この研究において、科学者は、プロセッサー、記憶装置、ならびにコンピューターシステムのすべての必要なハードウェアコンポーネントおよび他のコンポーネントを備えた物理的な非抽象的コンピューターシステムも使用した。Monomer(単量体)配列に基づいて、ThermoFisherペプチド分析システムを使用したこの研究からの結果(以下に示す)によって、多数のパラメーターおよび酢酸ルサラチドペプチドの物理化学的性質についての価値のあるデータ(電荷-pHマップおよび等電点(pI)、疎水性、質量、MW平均およびMWモノアイソトピック値を含む分子量(MW;単位グラム/モル)についてのデータが含まれる)を含む、酢酸ルサラチドについての非常に価値のある情報がもたらされた。さらに、本研究によって、ペプチド合成および精製(送達の相対速度が含まれる)、さらにまた、ペプチドのSRM/MRM定量的質量分析ワークフローとの適合性についての非常に価値のある情報がもたらされた。
【0424】
図2を参照すると、Monomer(単量体)配列(配列番号1)に基づく、Monomer(単量体)の電荷-pHマップの概略図(
図2中の電荷-pHマップを指し示す矢印のついた参照番号200を参照のこと)が示されている。この電荷-pHマップからの情報は、酢酸ルサラチドをさらに分析および特徴付けするために使用された。この研究からのデータは、また、プレ製剤化および製剤化ステージの間に、酢酸ルサラチド医薬組成物、製剤、および剤形中の酢酸ルサラチドの安定性を高め、および最適化するためにも使用される。
【0425】
さらに、(ThermoFisher analysisを利用した)本研究によって、以下に示すMonomer(単量体)配列(配列番号1)の分析に基づいて、以下の追加のデータももたらされた:
A-G-Y-K-P-D-E-G-K-R-G-D-A-C-E-G-D-S-G-G-P-F-V(配列番号1)
配列長:23
疎水性:19.93
GRAVY:-1.06
MW(分子量)平均:2312.4733グラム/mol
MW(分子量)モノアイソトピック:2311.0177
等電点(pI):4.2
【0426】
「GRAVY」(または「疎水性親水性指標」)値もしくは測定値が、本研究において、酢酸ルサラチドペプチドの疎水性の分析、測定、および評価を助けるために使用された。このデータは、酢酸ルサラチド医薬組成物、製剤、または剤形を調製するためのプレ製剤化および製剤化ステージのために非常に有用である。追加のデータ(本実施例では示さない)を、Dimer(二量体)の分析のための他の信頼できる分析方法によって得る。この研究(ThermoFisher analysisが含まれる)から収集されるデータの全ては、Monomer(単量体)、Dimer(二量体)、またはMonomer(単量体)とDimer(二量体)の任意の組み合わせを含む(i)酢酸ルサラチド、および(ii)酢酸ルサラチド組成物、製剤、および剤形の安定性を高めるための生産方法およびプロトコルのために有用である。本研究(ThermoFisher analysisが含まれる)は、いくつかのパラメーターおよび酢酸ルサラチドペプチドの物理化学的性質に関する物理的な非抽象的情報をもたらし、またこれらのパラメーターおよび物理化学的性質の分析は、プレ製剤化および製剤化ステージの間にわたって、酢酸ルサラチド医薬組成物、製剤、および剤形の安定性を高めるために非常に有用である。
【0427】
この研究からの(ThermoFisher analysisに基づく)データは、また、製品開発の観点からも非常に有用であった。そして、このデータによって、製造チームおよび製品生産チームによる、酢酸ルサラチドのよりよい特徴付け、および酢酸ルサラチドペプチドの合成、生成、および送達のための効率的で費用対効果が高い方法の開発が可能になる。
【0428】
さらに、この研究から得た(ThermoFisher analysisに基づく)情報によって、酢酸ルサラチドペプチドは、その疎水性によって、任意のステージ(任意のプレ製剤化または製剤化ステージが含まれる)におけるバッチサンプル中の酢酸ルサラチドの、高感度、特異的、迅速、かつ再現性のある定量のための選択的反応モニタリング(SRM)および多重反応モニタリング(MRM)実験に対して適合性になることも示された。
【実施例3】
【0429】
酢酸ルサラチドの安定性をさらに特徴付けおよび予測するための情報を収集するための分析研究を行った。本研究において、酢酸ルサラチドの分析を行い、酢酸ルサラチドの多数の属性、パラメーター、および物理化学的性質を分析した。得られたデータおよび情報は、安定な酢酸ルサラチド製剤および医薬組成物を設計するためのプレ製剤化および製剤化ステージの間にわたって有用であり、この情報は、また、腸に類似した環境における酢酸ルサラチドペプチドの半減期を予測するためにも有用である。この分析研究のために、付随するプロセッサー、ハードウェアコンポーネント、およびコンピューターベースのシステムの他のコンポーネントを備えたコンピューターベースのシステムを使用したHLPウェブサーバー(Bioinformatics Centre、Institute of Microbial Technology、チャンディガル、インド)を、Monomer(単量体)配列:
AGYKPDEGKRGDACEGDSGGPFV
に基づいて、酢酸ルサラチドについての情報を収集するために使用した。
【0430】
分析は、HLPウェブサーバーおよびサポートベクターマシン(Support Vector Machine(SVM))ベースのモデルを使用して行った。HLPウェブサーバーおよびSVMベースのモデルによって、酢酸ルサラチドの多数の属性および物理化学的性質についての価値のある情報およびデータが収集された。
【0431】
この研究で得られたデータに基づいて、HLPウェブサーバーおよびSVMベースのモデルを使用した分析によって、Monomer(単量体)配列の疎水性は、10.339キロジュール/モル(kJ/mol)であることが示された。疎水性は、所与のアミノ酸残基を疎水性溶媒から水に移した際の標準自由エネルギー変化として、キロジュール/モル(kJ/mol)を単位として測定された。酢酸ルサラチドの相対的疎水性についての有用な情報をもたらすこの疎水性値は、プレ製剤化および製剤化ステージの間に、所望の溶解度特性を有する安定な酢酸ルサラチド製剤および医薬組成物を設計するために有用である。
【0432】
さらに、Monomer(単量体)配列およびHLPウェブサーバー分析に基づいて、残基体積は、(特に、立方オングストロームで測定された前記残基体積値の合計に基づいて(ここで、各残基についての残基体積値は、所与の残基についてのファンデルワールス表面によって囲まれた空間の体積に基づいて決定される))2651.300と算出された。
【0433】
追加のデータも、また、Monomer(単量体)配列をさらに特徴付けするために収集された。この研究において、データのさらなる分析によって、Monomer(単量体)配列の表面露出は、47.235(表面露出は、個々のアミノ酸についての平均溶媒露出表面積値の合計に基づいて算出された)であることが示された。
【0434】
Monomer(単量体)配列に基づいて、HLPウェブサーバー分析によって、フレキシビリティーバリューは、10.960(これは、アミノ酸側鎖のフレキシビリティーの尺度であり、アミノ酸スケール値の合計に基づいて決定される)であることも示された。HLPウェブサーバー分析を使用して、Monomer(単量体)配列は、また、以下の物理化学的特徴を有することも示された:
●電荷は、マイナス2(-2.000)(全体的な電荷に基づき、Monomer(単量体)配列に基づいて算出された);
●極性値は、381.320(配列中の個々のアミノ酸についての極性値の合計に基づく);
●相対的変異性値は、1601.000(配列中の個々のアミノ酸についての相対的変異性値の合計に基づく);
●溶液の自由エネルギー(水中、kcal/モル)は、10.701;
●旋光値は、マイナス6.557(-6.557)(配列中の個々のアミノ酸についての旋光値の平均に基づく);
●形成エントロピー値は、4444.240(Monomer(単量体)アミノ酸配列の場合の、形成エントロピー値の合計に基づく);
●熱容量値は、832.180(Monomer(単量体)アミノ酸配列の場合の、熱容量値の平均に基づく);および
●相対的安定性値は、2.170(Monomer(単量体)アミノ酸配列の場合の、個々のアミノ酸についての相対的安定性スケール値の平均に基づく)。
【0435】
Monomer(単量体)配列に基づいて、HLPウェブサーバーおよびSVMベースのモデルを使用して、追加のデータを得た。Monomer(単量体)配列に基づいて、このデータによって、pKa値が49.770、およびpKb値が219.470であることが示された。等電点は、5.793と算出された。
【0436】
また、この分析によって、Monomer(単量体)の半減期(秒を単位として算出)が4.856秒(すなわち、腸に類似した環境において)であるという予測が得られた。半減期は、ペプチドの安定性を予測するために非常に価値がある情報である(ペプチドの半減期がより長いことは、安定性がより高いことに相当する)。この研究において得られたデータ(酢酸ルサラチドの予測された半減期を含む)に基づいて、分析によって、酢酸ルサラチドの安定性の程度が非常に高いことが示された。
【0437】
これらの属性、パラメーター、および物理化学的性質についてのデータの分析は、酢酸ルサラチドを含む、安全かつ有効な組成物、剤形、および製剤の安定性を高めるため、および安定性を最適化するために、プレ製剤化および製剤化ステージにおいて信頼性をもって効果的に使用される、非常に有用な情報をもたらす。この研究から収集されるデータは、「プレ製剤化特徴付け」ステージにおいて、さらにまた、その後の酢酸ルサラチド組成物、剤形、および製剤を生産および製造するためのステージの間に、(i)酢酸ルサラチドまたは(ii)Monomer(単量体)、Dimer(二量体)、もしくはMonomer(単量体)とDimer(二量体)の任意の組み合わせを含む酢酸ルサラチド組成物、製剤、もしくは剤形、または(iii)(i)と(ii)の両方の安定性を高め、および最適化するために使用される。
【実施例4】
【0438】
酢酸ルサラチドの安定性のさらなる特徴付けおよび予測を助けるための情報を収集するための分析研究を行った。この研究において、酢酸ルサラチドの分析が行われ、そこで、酢酸ルサラチドの多数の属性、パラメーター、および物理化学的性質が分析された。得られるデータおよび情報は、安定な酢酸ルサラチド製剤および医薬組成物を設計するためのプレ製剤化および製剤化ステージの間に有用であり、その情報は、また、腸に類似した環境における酢酸ルサラチドペプチドの半減期を予測するためにも有用である。この分析研究のために、付随するプロセッサー、ハードウェアコンポーネント、およびコンピューターベースのシステムの他のコンポーネントを備えたHLPウェブサーバー(Bioinformatics Centre、Institute of Microbial Technology、チャンディガル、インド)(コンピューターベースのシステム)を、Monomer(単量体)配列:
AGYKPDEGKRGDACEGDSGGPFV
に基づいて、酢酸ルサラチドについての情報を収集するために使用した。
【0439】
分析は、HLPウェブサーバーを使用して、かつWEKA(Waikato Environment for Knowledge Analysis)機械学習ベースのモデルを使用して行った。HLPウェブサーバーおよびWEKA機械学習ベースのモデルによって、酢酸ルサラチドの多数の属性および物理化学的性質についての価値のある情報が収集された。
【0440】
HLPウェブサーバーおよびWEKAベースのモデルを使用した分析によって、Monomer(単量体)配列の疎水性は、10.339キロジュール/モル(kJ/mol)であることが示された。疎水性は、所与のアミノ酸残基を疎水性溶媒から水に移した際の標準自由エネルギー変化として、キロジュール/モル(kJ/mol)を単位として測定された。酢酸ルサラチドの相対的疎水性についての有用な情報をもたらすこの疎水性インデックスは、プレ製剤化および製剤化ステージの間に、所望の溶解度特性を有する安定な酢酸ルサラチド製剤および医薬組成物を設計するために有用である。
【0441】
Monomer(単量体)配列およびHLPウェブサーバー分析に基づいて、残基体積は、(すなわち、立方オングストロームで測定された前記残基体積値の合計に基づいて(ここで、各残基についての残基体積値は、所与の残基についてのファンデルワールス表面によって囲まれた空間の体積に基づいて決定された))2651.300と算出された。
【0442】
Monomer(単量体)配列をさらに特徴付けするために、追加のデータも収集された。本研究において、さらなる分析によって、Monomer(単量体)配列の表面露出値は、47.235(表面露出は、個々のアミノ酸についての平均溶媒露出表面積値の合計に基づいて算出された)であることが示された。
【0443】
Monomer(単量体)配列に基づいて、HLPウェブサーバー分析によって、フレキシビリティーバリューは、10.960(これは、アミノ酸側鎖のフレキシビリティーの尺度であり、アミノ酸スケール値の合計に基づいて決定される)であることも示された。HLPウェブサーバー分析を使用して、Monomer(単量体)配列は、また、以下の物理化学的特徴を有することも示された:
●電荷は、マイナス2(-2.000)(全体的な電荷に基づき、Monomer(単量体)配列に基づいて算出された);
●極性値は、381.320(配列中の個々のアミノ酸についての極性値の合計に基づく);
●相対的変異性値は、1601.000(配列中の個々のアミノ酸についての相対的変異性値の合計に基づく);
●溶液の自由エネルギー(水中、kcal/モル)は、10.701;
●旋光値は、マイナス6.557(-6.557)(配列中の個々のアミノ酸についての旋光値の平均に基づく);
●形成エントロピー値は、4444.240(Monomer(単量体)アミノ酸配列の場合の、形成エントロピー値の合計に基づく);
●熱容量値は、832.180(Monomer(単量体)アミノ酸配列の場合の、熱容量値の平均に基づく);および
●相対的安定性値は、2.170(Monomer(単量体)アミノ酸配列の場合の、個々のアミノ酸についての相対的安定性スケール値の平均に基づく)。
【0444】
Monomer(単量体)配列に基づいて、HLPウェブサーバーおよびWEKAベースのモデルを使用して、追加のデータを得た。Monomer(単量体)配列に基づいて、このデータによって、pKa値が49.770、およびpKb値が219.470であることが示された。等電点は、5.793と算出された。
【0445】
これらの属性、パラメーター、および物理化学的性質についてのデータの分析は、安全かつ有効な酢酸ルサラチド組成物、製剤、および剤形の安定性を高めるため、および安定性を最適化するために、プレ製剤化および製剤化ステージにおいて信頼性をもって効果的に使用される、非常に有用な情報をもたらし、ここで、前記酢酸ルサラチド組成物、製剤、および剤形は、Monomer(単量体)、Dimer(二量体)、またはMonomer(単量体)とDimer(二量体)の任意の組み合わせを含む。この研究から収集されるデータは、「プレ製剤化特徴付け」ステージにおいて、さらにまた、その後の組成物、剤形、および製剤を生産および製造するためのステージの間に、酢酸ルサラチド組成物、製剤、および剤形の安定性を高め、および最適化するために使用される。
【実施例5】
【0446】
種々の酢酸ルサラチド組成物の効力および安定性を分析および特徴付けするための研究を行う。別々の医薬組成物中の賦形剤の別々の組み合わせを比較することによって、(i)局所酢酸ルサラチド医薬組成物の安定性、および(ii)注射可能酢酸ルサラチド医薬組成物の安定性が評価される。安定性試験を行い、データを、付随するプロセッサー、ハードウェアコンポーネント、およびコンピューターシステムの他のコンポーネントを備えた機械学習コンピューターベースのシステムを使用して分析する。そのデータは、全て、酢酸ルサラチド医薬組成物の安定性を高め、および最適化するために、プレ製剤化ステージと製剤化ステージの両方において有用である。
【実施例6】
【0447】
別々の酢酸ルサラチド組成物、製剤、もしくは剤形の効力および安定性を分析および特徴付けするための研究を行う。別々の医薬組成物中の賦形剤の別々の組み合わせを比較することによって、(i)局所酢酸ルサラチド医薬組成物の安定性、および(ii)注射可能酢酸ルサラチド医薬組成物の安定性が評価される。安定性試験を行い、データを、付随するプロセッサー、ハードウェアコンポーネント、およびコンピューターシステムの他のコンポーネントを備えた人工知能ベースのシステムを使用して分析する。そのデータは、全て、酢酸ルサラチド医薬組成物の安定性を高め、および最適化するために、プレ製剤化ステージと製剤化ステージの両方において有用である。
【実施例7】
【0448】
I.この研究の第1のステージにおいて、付随するサーバー、ハードウェアコンポーネント、プロセッサー、コンピューターメモリーなどを備えたコンピューターシステムが、多数の属性およびパラメーターを分析するために使用され、この分析は、酢酸ルサラチドの安定性を高め、および最適化するために使用される。このコンピューターシステムは、これらの多数の属性およびパラメーターの分析に基づいて生成される大規模な複合データのセットを受信し、処理し、分析する。この複合データは、(i)PEP-FOLDサーバー(この研究は、前の実施例に記載されている)、(ii)ThermoFisher analysis(この研究も、また、前の実施例に記載されている)、(iii)(付随するプロセッサー、ハードウェアコンポーネント、およびコンピューターシステムの他のコンポーネントを備えたHLPウェブサーバー(サポートベクターマシン(Support Vector Machine(SVM))ベースのモデルを利用する)(この研究も、また、前の実施例に記載されている)、および(iv)付随するプロセッサー、ハードウェアコンポーネント、およびコンピューターシステムの他のコンポーネントを備えたHLPウェブサーバー(WEKA(Waikato Environment for Knowledge Analysis)機械学習ベースのモデルを利用する)(この研究も、また、前の実施例に記載されている)を含む、多数のソースから得られる。本研究のこの第1のステージにおいて分析される複合データは、全て、「第1ステージ複合データ」と呼ばれる。
【0449】
II.この研究の第2のステージにおいて、大気酸素が酢酸ルサラチドの安定性に影響するパラメーターとなる程度を試験および評価するために、一連の対照付き実験が(すなわち、統計解析のために、全ての適切な対照群と共に)、無菌条件下で行われる。
【0450】
1セットの対照付き実験において、凍結乾燥された固体酢酸ルサラチド(酢酸ルサラチド総量で3ミリグラム)の対照バッチ(対照群)は、不透明バイアル中で、周囲空気条件下、セ氏マイナス20度(-20℃)で保存および維持される。不透明バイアルは、光への曝露から酢酸ルサラチドを保護し、酢酸ルサラチドの任意の潜在的な光酸化を最小化するために使用される。この対照バッチについて、不透明バイアル内の、周囲酸素または周囲環境に存在する他の成分のいずれかを排除するためのステップは行われない。
【0451】
別の、凍結乾燥された固体酢酸ルサラチド(酢酸ルサラチド総量で3ミリグラム)の試験バッチは、別の不透明試験バッチバイアル中で、セ氏マイナス20度(-20℃)で保存および維持される。試験バッチバイアルについては、窒素パージを使用する。より具体的には、純粋窒素ガスを試験バッチバイアル内に導入して周囲環境中(すなわち、試験バッチバイアル内の酢酸ルサラチドを取り囲む空間中)に存在する周囲酸素を排除する。使用される純粋窒素ガスは、不活性な非反応性ガスであり、窒素ガスは、試験バッチバイアル内の酸素を効果的に排除する。窒素ガスは、窒素タンク(窒素ガスシリンダー)に接続された無菌チューブを使用し、その無菌チューブの出口端から窒素ガスの穏やかな流れを放出し、かつ細心の注意を払ってバイアル内のいかなる凍結乾燥された固体酢酸ルサラチドも吹き飛ばさず、または排出させないようにして、試験バッチバイアル内に導入される。試験バッチバイアル内の酸素を置換した後、そのバイアルを、窒素ガス雰囲気下かつ無菌条件下で再度密封し、セ氏マイナス20度(-20℃)で保存する。このように、試験バッチバイアル内の窒素パージについては、酢酸ルサラチドがバイアル内の周囲環境中の酸素に曝露される程度を最小化するためのステップが行われる。
【0452】
次いで、分析機器を使用して測定を行い、(i)対照バッチにおける酢酸ルサラチドの酸化の程度を、(ii)試験バッチにおける酢酸ルサラチドの酸化の程度と比較する。測定は、以下の時点を含む、幅広い範囲の時点において行う:1時間、2時間、3時間、5時間、8時間、12時間、1日、2日、3日、4日、5日、6日、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、1か月、2か月、3か月、4か月、5か月、および6か月(全ての時点の測定は、上記のように窒素パージを完了させてから、例えば、上記のように窒素パージを完了させてから1時間後に行う)。この結果は、酢酸ルサラチドの安定性を高め、および最適化するための、および酢酸ルサラチドの何らかの望ましくない酸化を最小化するために適切な条件を決定するために使用される。
【0453】
追加の一連の対照付き実験も行い、そこでは、凍結乾燥された固体酢酸ルサラチドの他の対照バッチは、不透明バイアル中で、周囲空気条件下、セ氏マイナス20度(-20℃)で保存および維持され、対応する酢酸ルサラチドの試験バッチ(不透明バイアル中で、同様にセ氏マイナス20(-20)度で保存したもの)と比較される(試験バッチについては、上記のように窒素パージを使用する)。
【0454】
1セットの対照付き実験において、対照バイアルと試験バイアルは、それぞれ総量で1ミリグラムの凍結乾燥された固体酢酸ルサラチドを含有する。
【0455】
さらに別のセットの対照付き実験において、対照バイアルと試験バイアルは、それぞれ総量で5ミリグラムの凍結乾燥された固体酢酸ルサラチドを含有する。
【0456】
されに別のセットの対照付き実験において、対照バイアルと試験バイアルは、それぞれ総量で10ミリグラムの凍結乾燥された固体酢酸ルサラチドを含有する。
【0457】
さらに別の対照付き実験において、対照バイアルと試験バイアルは、それぞれ総量で20ミリグラムの凍結乾燥された固体酢酸ルサラチドを含有する。
【0458】
本実験からのデータの分析に基づいて、予測分析、機械学習、および予測モデリングによって、安定性に対する、大気酸素の効果(周囲空気への曝露が含まれる)についての非常に価値のある情報がもたらされる。
【0459】
III.この研究の第3のステージにおいて、熟練した分析者が、プロセッサー、メモリー記憶装置、および他のコンピューターシステムのコンポーネントを含む物理的な有形コンピューターシステムを使用する(これらの研究およびその結果の分析に関し、コンピューターシステムは、分析のために必要かつ重要であると認識されている)。コンピューターシステムは、実施例1~6(「第1ステージ複合データ」の全て)からの全ての複合データをこの研究の第2のステージからのデータと組み合わせて含む、先に得られた複合データおよび情報の全てを同時に分析するために使用され、このコンピューターシステムは、予測分析、機械学習、および予測モデリングを利用するコンピューターによる分析を行うために使用される。全データの同時分析に基づいて、予測分析、機械学習、および予測モデリングは、医薬組成物中の酢酸ルサラチドを含む酢酸ルサラチドの安定性を高め、および最適化するためのプレ製剤化および製剤化ステージの間に有益であろう特定の条件を予測するために使用される。コンピューターシステムは、付随するプロセッサー、ハードウェアコンポーネント、およびコンピューターシステムの他のコンポーネントと共に使用され、また、全ての多数の属性およびパラメーターに基づくデータの複合分析全体に基づいて、プレ製剤化および製剤化ステージの間に、医薬組成物中の酢酸ルサラチドを含む酢酸ルサラチドの安定性を高め、および最適化するためのステップが行われる。
【実施例8】
【0460】
この研究において、電離放射線および種々の活性酸素種(それらに限定されないが、スーパーオキシドラジカル、一重項酸素、ヒドロキシラジカル、および過酸化水素が含まれる)が(i)酢酸ルサラチドまたは(ii)Monomer(単量体)、Dimer(二量体)、もしくはMonomer(単量体)とDimer(二量体)の任意の組み合わせを含む酢酸ルサラチド組成物、製剤、もしくは剤形、または(iii)(i)と(ii)の両方の安定性に影響するパラメーターとなる程度を試験および評価するために、一連の対照付き実験が(すなわち、統計解析のために、全ての適切な対照群と共に)、無菌条件下で行われる。
【0461】
対照群において、酢酸ルサラチドの水性製剤を(純粋な水性溶媒を1ミリグラムの固体の凍結乾燥した酢酸ルサラチドと合わせることによって)調製し、前記製剤は、不透明バイアル中で、明るい光を避けてセ氏約4度(約4℃)で冷暗所に保存する。対照群(不透明バイアル中)は、いかなる電離放射線にも曝露させない。
【0462】
いくつかの不透明「試験バイアル」を調製し、個々の不透明試験バイアルは、それぞれ、別々の酢酸ルサラチド水性製剤を含む(それぞれの個別の試験バイアルについて、水性製剤は、純粋な水性溶媒を1ミリグラム固体の凍結乾燥した酢酸ルサラチドと合わせることによって調製する)。各試験バイアルは、光への曝露から酢酸ルサラチドを保護するために不透明バイアルであり、各試験バイアルは、明るい光を避けてセ氏約4度(約4℃)で冷暗所に保存する。
【0463】
第1の不透明試験バイアルは、500cGy/分のレートで、6グレイ(6Gy)の電離放射線に曝露する。
【0464】
第2の不透明試験バイアルは、500cGy/分のレートで、6.5グレイ(6.5Gy)の電離放射線に曝露する。
【0465】
第3の不透明試験バイアルは、500cGy/分のレートで、7グレイ(7Gy)の電離放射線に曝露する。
【0466】
第4の不透明試験バイアルは、500cGy/分のレートで、7.5グレイ(7.5Gy)の電離放射線に曝露する。
【0467】
第5の不透明試験バイアルは、500cGy/分のレートで、8グレイ(8Gy)の電離放射線に曝露する。
【0468】
第6の不透明試験バイアルは、500cGy/分のレートで、8.5グレイ(8.5Gy)の電離放射線に曝露する。
【0469】
第7の不透明試験バイアルは、500cGy/分のレートで、9グレイ(9Gy)の電離放射線に曝露する。
【0470】
第8の不透明試験バイアルは、500cGy/分のレートで、9.5グレイ(9.5Gy)の電離放射線に曝露する。
【0471】
データを分析し、酢酸ルサラチドの安定性に対する効果を決定する。
【0472】
熟練した分析者が、プロセッサー、メモリー記憶装置、および他のコンピューターシステムのコンポーネントを含む物理的な有形コンピューターシステムを使用する(これらの研究およびその結果の分析に関し、コンピューターシステムは、分析のために必要かつ重要であると認識されている)。コンピューターシステムは、実施例1~7からの全ての複合データをこの研究(本明細書に記載されているように、実施例8において)から得られたデータおよび情報の全てと組み合わせて含む、先に得られた複合データおよび情報の全てを同時に分析するために使用され、このコンピューターシステムは、予測分析、機械学習、および予測モデリングを利用するコンピューターによる分析を行うために使用される。予測分析、機械学習、および予測モデリングは、医薬組成物中の酢酸ルサラチドを含む酢酸ルサラチドの安定性を高め、および最適化するためのプレ製剤化および製剤化ステージの間に有益であろう特定の条件についての情報を提供する。コンピューターシステムを利用して、予測分析、機械学習、および予測モデリングは、また、安定性に対する電離放射線の効果についての非常に価値のある情報も提供する。別個の対照付き研究もまた、種々の活性酸素種(それらに限定されないが、スーパーオキシドラジカル、一重項酸素、ヒドロキシラジカル、および過酸化水素が含まれる)の、安定性に対する効果を評価するために行われる。
【実施例9】
【0473】
抗酸化剤が酢酸ルサラチドの安定性に影響する程度を試験および評価するために、一連の対照付き実験が(すなわち、統計解析のために、全ての適切な対照群と共に)、無菌条件下で行われる。
【0474】
対照群について、「第0日」において、酢酸ルサラチドの局所(ゲル)製剤(1ミリグラムの酢酸ルサラチドを含有する)を調製し、この製剤を、不透明バイアル中で、明るい光を避けてセ氏約4度(約4℃)で冷暗所に保存する。不透明バイアルは、酢酸ルサラチドを、光への曝露から保護する。対照群(不透明バイアル中)は、いかなる抗酸化剤も含まない(アスコルビン酸を含まない)。
【0475】
1連の試験バイアルもまた、(それぞれ不透明バイアル中で)「第0日」において調製する。各不透明試験バイアルは、それぞれ、別々の酢酸ルサラチドの局所(ゲル)製剤(1ミリグラムの酢酸ルサラチドを含有する)を含み、個々の製剤は、それぞれ、明るい光を避けてセ氏約4度(約4℃)で冷暗所に保存する。
【0476】
酢酸ルサラチドに加えて、各試験バイアルは、また、ある特定のパーセンテージの量の抗酸化剤のアスコルビン酸も含む。
【0477】
第1の試験バイアルは、約0.001重量%のアスコルビン酸を含む。
【0478】
第2の試験バイアルは、約0.01重量%のアスコルビン酸を含む。
【0479】
第3の試験バイアルは、約0.05重量%のアスコルビン酸を含む。
【0480】
第4の試験バイアルは、約1.0重量%のアスコルビン酸を含む。
【0481】
第5の試験バイアルは、約2.0重量%のアスコルビン酸を含む。
【0482】
第6の試験バイアルは、約3.5重量%のアスコルビン酸を含む。
【0483】
第7の試験バイアルは、約5.0重量%のアスコルビン酸を含む。
【0484】
第8の試験バイアルは、約10.0重量%のアスコルビン酸を含む。
【0485】
安定性試験は、対照群における酢酸ルサラチド、および各試験群(試験バイアル)における酢酸ルサラチドに対して行われ、これらの安定性試験は、「第0日」の後、いくつかの時間間隔(それらに限定されないが、「第0日」の後、1日、3日、5日、8日、1週間、3週間、5週間、6週間、8週間、1か月、3か月、5か月、6か月、および8か月が含まれる)で行われる。安定性試験は、対照群において残存する全酢酸ルサラチド、および各試験バイアルにおいて残存する全酢酸ルサラチド、さらにまた、酢酸ルサラチド分解に起因する任意の分解生成物(単数または複数)を決定するために使用される。
【0486】
熟練した分析者が、プロセッサー、メモリー記憶装置、および他のコンピューターシステムのコンポーネントを含む物理的な有形コンピューターシステムを使用する(これらの研究およびその結果の分析に関し、コンピューターシステムは、分析のために必要かつ重要であると認識されている)。コンピューターシステムは、実施例1~8からの全ての複合データをこの研究(本明細書に記載されているように、実施例9において)から得られたデータおよび情報の全てと組み合わせて含む、先に得られた複合データおよび情報の全てを同時に分析するために使用され、このコンピューターシステムは、予測分析、機械学習、および予測モデリングを利用するコンピューターによる分析を行うために使用される。全データの同時分析に基づいて、予測分析、機械学習、および予測モデリングは、医薬組成物中の酢酸ルサラチドを含む酢酸ルサラチドの安定性を高め、および最適化するためのプレ製剤化および製剤化ステージの間に有益であろう特定の条件についての情報を提供する。コンピューターシステムを利用して、予測分析、機械学習、および予測モデリングは、また、安定性に対する抗酸化剤のアスコルビン酸の効果についての非常に価値のある情報も提供する。
【実施例10】
【0487】
含水量が安定性に影響するパラメーターとなる程度を試験および評価するために、一連の対照付き実験が(すなわち、統計解析のために、全ての適切な対照群と共に)、無菌条件下で行われる。データによって、酢酸ルサラチドは吸湿性であり、よって、酢酸ルサラチドは、空気から水分を吸収する傾向があることが示される。
【0488】
I.対照付き実験の第1のセットにおいて、対照群について、「時間0」において、1ミリグラムの凍結乾燥した固体酢酸ルサラチドを含有する不透明バイアルを調製し、明るい光を避けてセ氏約4度(約4℃)で冷暗所に冷蔵保存し、また、対照群においては、不透明バイアル内に除湿剤を封入しない。
【0489】
試験群について、「時間0」において、1ミリグラムの凍結乾燥した固体酢酸ルサラチドを含有する個別の不透明バイアルを調製し、その酢酸ルサラチドのバイアルを、明るい光を避けて冷暗所に保存し、セ氏約4度(約4℃)で冷蔵保管し、また、試験群不透明バイアル内に除湿剤を入れることによって、含水量を最小化および調節するためのステップも行われる。具体的には、試験群において、除湿剤のシリカゲル(二酸化ケイ素)が入った除湿剤バッグが、凍結乾燥した固体酢酸ルサラチドの不透明バイアル内に入れられる。
【0490】
個別の安定性試験が、(i)対照群における酢酸ルサラチド、および(ii)試験群における酢酸ルサラチドに対して、いくつかの時点で行われる(「時間0」の後(すなわち、実験開始後)、3日、5日、1週間、2週間、3週間、1か月、2か月、3か月、5か月、および6か月における安定性試験が含まれる)。
【0491】
II.対照付き実験の第2のセットにおいて、対照群について、「時間0」において、3ミリグラムの凍結乾燥した固体酢酸ルサラチドを含有する不透明バイアルを調製し、明るい光を避けてセ氏マイナス20度(-20℃)で冷暗所に冷蔵保存し、また、対照群において、バイアル内に除湿剤を封入しない。
【0492】
試験群について、「時間0」において、3ミリグラムの凍結乾燥した固体酢酸ルサラチドを含有する個別の不透明バイアルを調製し、その酢酸ルサラチドのバイアルを、明るい光を避けて冷暗所に保存し、セ氏マイナス20度(-20℃)で冷蔵保管し、また、試験群バイアル内に除湿剤を入れることによって、含水量を最小化および調節するためのステップも行われる。具体的には、試験群において、モレキュラーシーブ(合成ゼオライト)が入った除湿剤バッグが、凍結乾燥した固体酢酸ルサラチドの不透明バイアル内に入れられる。
【0493】
個別の安定性試験が、(i)対照群における酢酸ルサラチド、および(ii)試験群における酢酸ルサラチドに対して、いくつかの時点で行われる(「時間0」の後(すなわち、実験開始後)、3日、5日、1週間、2週間、3週間、1か月、2か月、3か月、5か月、および6か月における安定性試験が含まれる)。
【0494】
熟練した分析者が、プロセッサー、メモリー記憶装置、および他のコンピューターシステムのコンポーネントを含む物理的な有形コンピューターシステムを使用する(これらの研究およびその結果の分析に関し、コンピューターシステムは、分析のために必要かつ重要であると認識されている)。コンピューターシステムは、実施例1~9からの全ての複合データをこの研究(本明細書に記載されているように、実施例10において)から得られたデータおよび情報の全てと組み合わせて含む、先に得られた複合データおよび情報の全てを同時に分析するために使用され、このコンピューターシステムは、予測分析、機械学習、および予測モデリングを利用するコンピューターによる分析を行うために使用される。全データの同時分析に基づいて、予測分析、機械学習、および予測モデリングは、医薬組成物中の酢酸ルサラチドを含む酢酸ルサラチドの安定性を高め、および最適化するためのプレ製剤化および製剤化ステージの間に有益であろう特定の条件についての情報を提供する。コンピューターシステムを利用して、予測分析、機械学習、および予測モデリングは、また、安定性に対する含水量の効果についての非常に価値のある情報も提供する。さらに、適切で妥当な除湿剤の選択および使用が、最終酢酸ルサラチド医薬製品の完全性および性能を確実にすることに役立つことが予測される。
【実施例11】
【0495】
相対湿度(RH)が酢酸ルサラチドの安定性に影響するパラメーターとなる程度を試験および評価するために、一連の対照付き実験が(すなわち、統計解析のために、全ての適切な対照群と共に)、無菌条件下で行われる。
【0496】
「第1日」において、各不透明バイアルが1ミリグラムの凍結乾燥した固体酢酸ルサラチドを含有する、いくつかの酢酸ルサラチドの不透明バイアルを調製し、各バイアルは、それぞれの個別の部屋に、明るい光を避けてセ氏4度(4℃)で冷暗所に冷蔵保存する。前記いくつかの酢酸ルサラチドの不透明バイアルは、さらに以下のように保存する:
第1のバイアルは、RHが約0%の条件下に維持する;
第2のバイアルは、RHが約10%の条件下に維持する;
第3のバイアルは、RHが約20%の条件下に維持する;
第4のバイアルは、RHが約30%の条件下に維持する;
第5のバイアルは、RHが約40%の条件下に維持する;
第6のバイアルは、RHが約50%の条件下に維持する;
第7のバイアルは、RHが約60%の条件下に維持する;
第8のバイアルは、RHが約70%の条件下に維持する;
第9のバイアルは、RHが約80%の条件下に維持する;
第10のバイアルは、RHが約90%の条件下に維持する;および
第11のバイアルは、RHが約100%の条件下に維持する。
【0497】
これらの種々のRH条件に基づいて、次に、安定性試験を行い、酢酸ルサラチドの任意の分解(Monomer(単量体)およびDimer(二量体)の任意の分解が含まれる)を評価するための測定を行う。測定(すなわち、任意の分解を分析するための)は、第1日の後、いくつかの時点で行われる(「第1日」の後(すなわち、実験開始後)、3日、5日、1週間、2週間、3週間、1か月、2か月、3か月、5か月、および6か月における測定が含まれる)。
【0498】
熟練した分析者が、プロセッサー、メモリー記憶装置、および他のコンピューターシステムのコンポーネントを含む物理的な有形コンピューターシステムを使用する(これらの研究およびその結果の分析に関し、コンピューターシステムは、分析のために必要かつ重要であると認識されている)。コンピューターシステムは、実施例1~10からの全ての複合データをこの研究(本明細書に記載されているように、実施例11において)から得られたデータおよび情報の全てと組み合わせて含む、先に得られた複合データおよび情報の全てを同時に分析するために使用され、このコンピューターシステムは、予測分析、機械学習、および予測モデリングを利用するコンピューターによる分析を行うために使用される。全データの同時分析に基づいて、予測分析、機械学習、および予測モデリングは、医薬組成物中の酢酸ルサラチドを含む酢酸ルサラチドの安定性を高め、および最適化するためのプレ製剤化および製剤化ステージの間に有益であろう特定の条件についての情報を提供する。コンピューターシステムを利用して、予測分析、機械学習、および予測モデリングは、また、安定性に対する相対湿度(RH)の効果についての非常に価値のある情報も提供する。
【実施例12】
【0499】
キャリアーの種類が安定性に影響するパラメーターとなる程度を試験および評価するために、一連の対照付き実験が(すなわち、統計解析のために、全ての適切な対照群と共に)、無菌条件下で行われる。この特定の研究において、グリセロールが、キャリアーとして評価された。
【0500】
「時間0」において、対照バイアルを調製する(対照バイアルは、蒸留水中(最終的な総体積で10ミリリットルの蒸留水中)に1ミリグラムの酢酸ルサラチドを含む不透明バイアルである)。対照バイアルは、明るい光を避けてセ氏4度(4℃)で冷暗所に冷蔵保存する。
【0501】
同様に、「時間0」において、一連の試験バイアルを調製する。個々の試験バイアルは、それぞれ、キャリアー(この研究において、各試験バイアルのキャリアーは、グリセロールと蒸留水を含む)中に1ミリグラムの酢酸ルサラチドを含有する不透明バイアルである。各試験バイアルは、明るい光を避けてセ氏4度(4℃)で冷暗所に冷蔵保存する。
【0502】
第1の試験バイアルのキャリアーは、水中(最終的な総キャリアー体積で10ミリリットル中)に5パーセント(重量/体積基準、またはw/v基準)のグリセロールを含む。
【0503】
第2の試験バイアルのキャリアーは、水中(最終的な総キャリアー体積で10ミリリットル中)に10パーセント(重量/体積基準、またはw/v基準)のグリセロールを含む。
【0504】
第3の試験バイアルのキャリアーは、水中(最終的な総キャリアー体積で10ミリリットル中)に15パーセント(重量/体積基準、またはw/v基準)のグリセロールを含む。
【0505】
第4の試験バイアルのキャリアーは、水中(最終的な総キャリアー体積で10ミリリットル中)に20パーセント(重量/体積基準、またはw/v基準)のグリセロールを含む。
【0506】
第5の試験バイアルのキャリアーは、水中(最終的な総キャリアー体積で10ミリリットル中)に25パーセント(重量/体積基準、またはw/v基準)のグリセロールを含む。
【0507】
これらの条件に基づいて、次に、安定性試験を行い、よって、酢酸ルサラチドの安定性を、対照バイアルおよび各試験バイアルにおいて分析および評価する。酢酸ルサラチドの任意の分解(Monomer(単量体)またはDimer(二量体)の任意の分解が含まれる)を評価するための測定を行う。測定(すなわち、任意の分解について分析するための)を、「時間0」の後、いくつかの時点で行われる(「時間0」の後(すなわち、実験開始後)、3日、5日、1週間、2週間、3週間、1か月、2か月、3か月、5か月、および6か月における安定性試験が含まれる)。
【0508】
熟練した分析者が、プロセッサー、メモリー記憶装置、および他のコンピューターシステムのコンポーネントを含む物理的な有形コンピューターシステムを使用する(これらの研究およびその結果の分析に関し、コンピューターシステムは、分析のために必要かつ重要であると認識されている)。コンピューターシステムは、実施例1~11からの全ての複合データをこの研究(本明細書に記載されているように、実施例12において)から得られたデータおよび情報の全てと組み合わせて含む、先に得られた複合データおよび情報の全てを同時に分析するために使用され、このコンピューターシステムは、予測分析、機械学習、および予測モデリングを利用するコンピューターによる分析を行うために使用される。全データの同時分析に基づいて、予測分析、機械学習、および予測モデリングは、医薬組成物中の酢酸ルサラチドを含む酢酸ルサラチドの安定性を高め、および最適化するためのプレ製剤化および製剤化ステージの間に有益であろう特定の条件についての情報を提供する。コンピューターシステムを利用して、予測分析、機械学習、および予測モデリングは、また、安定性に対する試験したキャリアーの効果についての非常に価値のある情報も提供する。
【実施例13】
【0509】
pHがMonomer(単量体)の安定性に影響するパラメーターとなる程度を試験および評価するために、一連の対照付き実験が(すなわち、統計解析のために、全ての適切な対照群と共に)、無菌条件下で行われる。
【0510】
「第1日」において、いくつかの不透明「試験バイアル」を調製し、個々の不透明試験バイアルは、それぞれ、生理食塩水中に酢酸ルサラチドを含む(各不透明バイアルは、標準的な0.9%塩化ナトリウム生理食塩水中に1ミリグラムの固体の凍結乾燥した酢酸ルサラチドを入れることによって調製する)。各試験バイアルは、光への曝露から酢酸ルサラチドを保護するために不透明バイアルであり、各試験バイアルは、明るい光を避けてセ氏約4度(約4℃)で冷暗所に保存する。
【0511】
第1の不透明試験バイアルは、pHを約4(4.0)に維持する。
【0512】
第2の不透明試験バイアルは、pHを約4.5に維持する
【0513】
第3の不透明試験バイアルは、pHを約5(5.0)に維持する
【0514】
第4の不透明試験バイアルは、pHを約5.5に維持する
【0515】
第5の不透明試験バイアルは、pHを約6(6.0)に維持する
【0516】
第6の不透明試験バイアルは、pHを約6.5に維持する
【0517】
第7の不透明試験バイアルは、pHを約7(7.0)に維持する
【0518】
第8の不透明試験バイアルは、pHを約7.5に維持する
【0519】
第9の不透明試験バイアルは、pHを約8(8.0)に維持する
【0520】
第10の不透明試験バイアルは、pHを約8.5に維持する
【0521】
第11の不透明試験バイアルは、pHを約9(9.0)に維持する
【0522】
これらの条件に基づいて、次に、安定性試験を行い、別々の試験バイアルにおけるMonomer(単量体)の任意の分解があるか否かを評価するための測定を行う。測定(すなわち、Monomer(単量体)の任意の分解を分析するための)は、第1日の後、いくつかの時点で行われる(「第1日」の後(すなわち、実験開始後)、3日、5日、1週間、2週間、3週間、1か月、2か月、3か月、5か月、および6か月における測定が含まれる)。
【0523】
熟練した分析者が、プロセッサー、メモリー記憶装置、および他のコンピューターシステムのコンポーネントを含む物理的な有形コンピューターシステムを使用する(これらの研究およびその結果の分析に関し、コンピューターシステムは、分析のために必要かつ重要であると認識されている)。コンピューターシステムは、実施例1~12からの全ての複合データをこの研究(本明細書に記載されているように、実施例13において)から得られたデータおよび情報の全てと組み合わせて含む、先に得られた複合データおよび情報の全てを同時に分析するために使用され、このコンピューターシステムは、予測分析、機械学習、および予測モデリングを利用するコンピューターによる分析を行うために使用される。全データの同時分析に基づいて、予測分析、機械学習、および予測モデリングは、医薬組成物中の酢酸ルサラチドを含む酢酸ルサラチドの安定性を高め、および最適化するためのプレ製剤化および製剤化ステージの間に有益であろう特定の条件についての情報を提供する。コンピューターシステムを利用して、予測分析、機械学習、および予測モデリングは、また、Monomer(単量体)の安定性に対するpHの効果、およびpHの調節がDimer(二量体)形成速度の制御を助けるために利用され得るか否かについての非常に価値のある情報も提供する。
【実施例14】
【0524】
第1の温度研究
第1の温度研究において、温度が酢酸ルサラチドの安定性に影響するパラメーターとなる程度を試験および評価するための実験が、無菌条件下で行われる。この第1の研究において、「第1日」において、いくつかの不透明「試験バイアル」を調製し、各試験バイアルは、1ミリグラムの凍結乾燥(lyophilizedまたはfreeze-dried)形態の酢酸ルサラチドペプチドを含有する。各試験バイアルは、真空密封不透明バイアルであり、光への曝露から酢酸ルサラチドを保護するために、不透明バイアルと各試験バイアルは、個別の温度制御された暗室内に、明るい光を避けて保存する。
【0525】
第1の不透明試験バイアルは、セ氏約マイナス80度(-80℃)に維持する。
【0526】
第2の不透明試験バイアルは、セ氏約マイナス75度(-75℃)に維持する。
【0527】
第3の不透明試験バイアルは、セ氏約マイナス70度(-70℃)に維持する。
【0528】
第4の不透明試験バイアルは、セ氏約マイナス65度(-65℃)に維持する。
【0529】
第5の不透明試験バイアルは、セ氏約マイナス60度(-60℃)に維持する。
【0530】
第6の不透明試験バイアルは、セ氏約マイナス55度(-55℃)に維持する。
【0531】
第7の不透明試験バイアルは、セ氏約マイナス50度(-50℃)に維持する。
【0532】
第8の不透明試験バイアルは、セ氏約マイナス45度(-45℃)に維持する。
【0533】
第9の不透明試験バイアルは、セ氏約マイナス40度(-40℃)に維持する。
【0534】
第10の不透明試験バイアルは、セ氏約マイナス35度(-35℃)に維持する。
【0535】
第11の不透明試験バイアルは、セ氏約マイナス30度(-30℃)に維持する。
【0536】
第12の不透明試験バイアルは、セ氏約マイナス25度(-25℃)に維持する。
【0537】
第13の不透明試験バイアルは、セ氏約マイナス20度(-20℃)に維持する。
【0538】
これらの状態に基づいて、次に、安定性試験をおこない、別々の試験バイアルにおいて酢酸ルサラチドの任意の分解があるか否かを評価するための測定を行う。測定(すなわち、酢酸ルサラチドの任意の分解を分析するための)は、第1日の後、いくつかの時点で行われる(「第1日」の後(すなわち、実験開始後)、3日、5日、1週間、2週間、3週間、1か月、2か月、3か月、5か月、および6か月における測定が含まれる)。
【0539】
第2の温度研究
第2の追加の温度研究において、温度が安定性に影響するパラメーターとなる程度を試験および評価するための実験が、無菌条件下で行われる。「第1日」において、いくつかの不透明「試験バイアル」を調製し、個々の不透明試験バイアルは、それぞれ、生理食塩水中に酢酸ルサラチドペプチドを含有する(各不透明バイアルは、標準的な0.9%塩化ナトリウム生理食塩水中に1ミリグラムの固体の凍結乾燥した酢酸ルサラチドを入れることによって調製する)。各試験バイアルは、不透明バイアルであり、光への曝露から酢酸ルサラチドを保護するために、不透明バイアルと各試験バイアルは、個別の温度制御された暗室内に、明るい光を避けて保存する。
【0540】
第1の不透明試験バイアルは、セ氏約4度に維持する。
【0541】
第2の不透明試験バイアルは、セ氏約4.5度に維持する。
【0542】
第3の不透明試験バイアルは、セ氏約5度に維持する。
【0543】
第4の不透明試験バイアルは、セ氏約5.5度に維持する。
【0544】
第5の不透明試験バイアルは、セ氏約6度に維持する。
【0545】
第6の不透明試験バイアルは、セ氏約6.5度に維持する。
【0546】
第7の不透明試験バイアルは、セ氏約7度に維持する。
【0547】
第8の不透明試験バイアルは、セ氏約7.5度に維持する。
【0548】
第9の不透明試験バイアルは、セ氏約8度に維持する。
【0549】
第10の不透明試験バイアルは、セ氏約8.5度に維持する。
【0550】
第11の不透明試験バイアルは、セ氏約9度に維持する。
【0551】
これらの条件に基づいて、次に、安定性試験を行い、別々の試験バイアルにおける酢酸ルサラチドの任意の分解があるか否かを評価するための測定を行う。測定(すなわち、酢酸ルサラチドの任意の分解を分析するための)は、第1日の後、いくつかの時点で行われる(「第1日」の後(すなわち、実験開始後)、3日、5日、1週間、2週間、3週間、1か月、2か月、3か月、5か月、および6か月における測定が含まれる)。
【0552】
熟練した分析者が、プロセッサー、メモリー記憶装置、および他のコンピューターシステムのコンポーネントを含む物理的な有形コンピューターシステムを使用する(これらの研究およびその結果の分析に関し、コンピューターシステムは、分析のために必要かつ重要であると認識されている)。コンピューターシステムは、実施例1~13からの全ての複合データをこの研究(本明細書に記載されているように、実施例14において)から得られたデータおよび情報の全てと組み合わせて含む、先に得られた複合データおよび情報の全てを同時に分析するために使用され、このコンピューターシステムは、予測分析、機械学習、および予測モデリングを利用するコンピューターによる分析を行うために使用される。全データの同時分析に基づいて、予測分析、機械学習、および予測モデリングは、医薬組成物中の酢酸ルサラチドを含む酢酸ルサラチドの安定性を高め、および最適化するためのプレ製剤化および製剤化ステージの間に有益であろう特定の条件についての情報を提供する。コンピューターシステムを利用して、予測分析、機械学習、および予測モデリングは、また、安定性に対する温度の効果についての非常に価値のある情報も提供する。
【実施例15】
【0553】
凍結融解(FT)サイクルが安定性に影響する程度を試験および評価するために、一連の対照付き実験が(すなわち、統計解析のために、全ての適切な対照群と共に)、無菌条件下で行われる。
【0554】
「第1日」において、「対照バイアル」が調製され、ここで、対照バイアルは、生理食塩水中に酢酸ルサラチドペプチドを含有する(対照バイアルは、不透明バイアルであり、標準的な0.9%塩化ナトリウム生理食塩水中に1ミリグラムの固体の凍結乾燥した酢酸ルサラチドを入れることによって調製される)。対照バイアルは、光への曝露から酢酸ルサラチドを保護するために不透明であり、このバイアルは、個別の温度制御された暗室内に、明るい光を避けて保存する。この研究の全期間の間にわたって、対照バイアルは、いかなる凍結融解(FT)サイクルにも曝露させない。
【0555】
同様に、「第1日」において、いくつかの不透明「試験バイアル」を調製し、個々の不透明試験バイアルは、それぞれ、生理食塩水中に酢酸ルサラチドペプチドを含む(各不透明試験バイアルは、標準的な0.9%塩化ナトリウム生理食塩水中に1ミリグラムの固体の凍結乾燥した酢酸ルサラチドを入れることによって調製する)。各試験バイアルは、不透明バイアルであり、光への曝露から酢酸ルサラチドを保護するために、不透明バイアルと各試験バイアルは、個別の温度制御された暗室内に、明るい光を避けて保存する。
【0556】
第1の試験バイアルは、1回の凍結融解(FT)サイクルに曝露させる。
【0557】
第2の試験バイアルは、2回の凍結融解(FT)サイクルに曝露させる。
【0558】
第3の試験バイアルは、3回の凍結融解(FT)サイクルに曝露させる。
【0559】
第4の試験バイアルは、4回の凍結融解(FT)サイクルに曝露させる。
【0560】
第5の試験バイアルは、5回の凍結融解(FT)サイクルに曝露させる。
【0561】
第6の試験バイアルは、6回の凍結融解(FT)サイクルに曝露させる。
【0562】
これらの条件に基づいて、次に、安定性試験を行い、別々の試験バイアルにおける酢酸ルサラチドの任意の分解があるか否かを評価するための測定を行う。測定(すなわち、酢酸ルサラチドの任意の分解を分析するための)は、第1日の後、いくつかの時点で行われる(「第1日」の後(すなわち、実験開始後)、3日、5日、1週間、2週間、3週間、1か月、2か月、3か月、5か月、および6か月における測定が含まれる)。
【0563】
熟練した分析者が、プロセッサー、メモリー記憶装置、および他のコンピューターシステムのコンポーネントを含む物理的な有形コンピューターシステムを使用する(これらの研究およびその結果の分析に関し、コンピューターシステムは、分析のために必要かつ重要であると認識されている)。コンピューターシステムは、実施例1~14からの全ての複合データをこの研究(本明細書に記載されているように、実施例15において)から得られたデータおよび情報の全てと組み合わせて含む、先に得られた複合データおよび情報の全てを同時に分析するために使用され、このコンピューターシステムは、予測分析、機械学習、および予測モデリングを利用するコンピューターによる分析を行うために使用される。全データの同時分析に基づいて、予測分析、機械学習、および予測モデリングは、医薬組成物中の酢酸ルサラチドを含む酢酸ルサラチドの安定性を高め、および最適化するためのプレ製剤化および製剤化ステージの間に有益であろう特定の条件についての情報を提供する。コンピューターシステムを利用して、予測分析、機械学習、および予測モデリングは、また、安定性に対する凍結融解(FT)サイクルの効果についての非常に価値のある情報も提供する。
【実施例16】
【0564】
酢酸ルサラチドの安定性に対する種々の賦形剤の影響を試験および評価するために、一連の対照付き実験が(すなわち、統計解析のために、全ての適切な対照群と共に)、無菌条件下で行われる。幅広い範囲の賦形剤が、幅広い範囲の異なる製剤、医薬組成物、および剤形において評価される。剤形としては、酢酸ルサラチドを含有する液体剤形(キャリアーとして生理食塩水)、局所剤形、および他の剤形があげられる。
【0565】
1セットの対照付き実験において、ヒドロキシプロピルセルロースが、酢酸ルサラチドの安定性に対して何らかの効果を有するか否かを評価するための試験が実施される。
【0566】
対照群について、「第1日」において、1ミリグラムの酢酸ルサラチドを含有し、ヒドロキシプロピルセルロースを含まない局所剤形を調製する。
【0567】
いくつかの試験群(剤形)もまた、「第1日」において調製する。
【0568】
対照群と試験群について、各剤形を個別の不透明バイアル中に保存し、非反応性の無水窒素ガス(パージ剤として)で穏やかにパージし、密封し、次いで、各バイアルをセ氏4度で遮光保存する。
【0569】
第1の試験群は、1ミリグラムの酢酸ルサラチドと、1パーセント(1.0%)のヒドロキシプロピルセルロース(局所酢酸ルサラチド剤形の全重量のパーセンテージとして)を含む局所剤形である。
【0570】
第2の試験群は、1ミリグラムの酢酸ルサラチドと、2パーセント(2.0%)のヒドロキシプロピルセルロース(局所酢酸ルサラチド剤形の全重量のパーセンテージとして)を含む局所剤形である。
【0571】
第3の試験群は、1ミリグラムの酢酸ルサラチドと、3パーセント(3.0%)のヒドロキシプロピルセルロース(局所酢酸ルサラチド剤形の全重量のパーセンテージとして)を含む局所剤形である。
【0572】
第4の試験群は、1ミリグラムの酢酸ルサラチドと、4パーセント(4.0%)のヒドロキシプロピルセルロース(局所酢酸ルサラチド剤形の全重量のパーセンテージとして)を含む局所剤形である。
【0573】
第5の試験群は、1ミリグラムの酢酸ルサラチドと、5パーセント(5.0%)のヒドロキシプロピルセルロース(局所酢酸ルサラチド剤形の全重量のパーセンテージとして)を含む局所剤形である。
【0574】
これらの状態に基づいて、次に、安定性試験を行い、別々の剤形において酢酸ルサラチドの任意の分解があるか否かを評価するための測定を行う。測定(すなわち、酢酸ルサラチドの任意の分解を分析するための)は、第1日の後、いくつかの時点で行われる(「第1日」の後(すなわち、実験開始後)、3日、5日、1週間、2週間、3週間、1か月、2か月、3か月、5か月、および6か月における測定が含まれる)。結果は、特定の賦形剤(ヒドロキシプロピルセルロース)が、種々の剤形において、酢酸ルサラチドの安定性に対して何らかの効果を有するか否かを判定するために分析される。
【0575】
他の酢酸ルサラチド剤形を調製した後、他の特定の賦形剤が、種々の剤形において、酢酸ルサラチドの安定性に対して何らかの効果を有するか否かを判定するために、同様の種類の対照付き実験を行う。評価される全ての賦形剤およびキャリアーは、医薬的に許容され、生体適合性、非毒性、非炎症性、非免疫原性であり、かついかなる種類の混入物も含まない。
【0576】
熟練した分析者が、プロセッサー、メモリー記憶装置、および他のコンピューターシステムのコンポーネントを含む物理的な有形コンピューターシステムを使用する(これらの研究およびその結果の分析に関し、コンピューターシステムは、分析のために必要かつ重要であると認識されている)。コンピューターシステムは、実施例1~15からの全ての複合データをこの研究(本明細書に記載されているように、実施例16において)から得られたデータおよび情報の全てと組み合わせて含む、先に得られた複合データおよび情報の全てを同時に分析するために使用され、このコンピューターシステムは、予測分析、機械学習、および予測モデリングを利用するコンピューターによる分析を行うために使用される。全データの同時分析に基づいて、予測分析、機械学習、および予測モデリングは、医薬組成物中の酢酸ルサラチドを含む酢酸ルサラチドの安定性を高め、および最適化するためのプレ製剤化および製剤化ステージの間に有益であろう特定の条件についての情報を提供する。コンピューターシステムを利用して、予測分析、機械学習、および予測モデリングは、また、安定性に対する特定の種類の賦形剤の効果についての非常に価値のある情報も提供する。
【実施例17】
【0577】
酢酸ルサラチド(Monomer(単量体)およびDimer(二量体)が含まれる)の安定性が保存容器またはバイアルの内部表面の材料組成物との相互作用によって影響される程度を試験および評価するために、一連の対照付き実験が(すなわち、統計解析のために、全ての適切な対照群と共に)、無菌条件下で行われる。
【0578】
「第1日」において、対照バイアルを調製し、この対照バイアルは、生理食塩水中に酢酸ルサラチドを含有する(標準的な0.9%塩化ナトリウム生理食塩水中に1ミリグラムの固体の凍結乾燥した酢酸ルサラチドを入れることによって調製される)。対照バイアルは、光への曝露から酢酸ルサラチドを保護するために不透明バイアルであり、このバイアルは、明るい光を避けてセ氏約4度(約4℃)で冷暗所に保存する。対照バイアルの内部表面は、いかなる親水性メソポーラスシリカポアも含まない。
【0579】
同様に、「第1日」において、10個の別々の試験バイアルを調製する。各試験バイアルは、生理食塩水中に酢酸ルサラチドを含有する(標準的な0.9%塩化ナトリウム生理食塩水中に1ミリグラムの固体の凍結乾燥した酢酸ルサラチドを入れることによって調製される)。各試験バイアルは、光への曝露から酢酸ルサラチドを保護するために不透明バイアルであり、試験バイアルは、明るい光を避けてセ氏約4度(約4℃)で冷暗所に保存する。各試験バイアルの内部表面は、親水性メソポーラスシリカポアの均一層を含まない。
【0580】
安定性試験は、それぞれに異なる時点、すなわち、「第1日」の後、3日、1週間、2週間、3週間、1か月、3か月、6か月、8か月、および12か月において行われる。結果は、対照バイアル中の酢酸ルサラチドの安定性を試験バイアルと比較し、バイアル内部表面の親水性メソポーラスシリカポアの不存在と存在が、酢酸ルサラチドの安定性に対して何らかの効果を有するか否かを判定するために分析される。
【0581】
熟練した分析者が、プロセッサー、メモリー記憶装置、および他のコンピューターシステムのコンポーネントを含む物理的な有形コンピューターシステムを使用する(これらの研究およびその結果の分析に関し、コンピューターシステムは、分析のために必要かつ重要であると認識されている)。コンピューターシステムは、分析のために必要かつ重要であると認識されている)。コンピューターシステムは、実施例1~16からの全ての複合データをこの研究(本明細書に記載されているように、実施例17において)から得られたデータおよび情報の全てと組み合わせて含む、先に得られた複合データおよび情報の全てを同時に分析するために使用され、このコンピューターシステムは、予測分析、機械学習、および予測モデリングを利用するコンピューターによる分析を行うために使用される。全データの同時分析に基づいて、予測分析、機械学習、および予測モデリングは、医薬組成物中の酢酸ルサラチドを含む酢酸ルサラチドの安定性を高め、および最適化するためのプレ製剤化および製剤化ステージの間に有益であろう特定の条件についての情報を提供する。コンピューターシステムを利用して、予測分析、機械学習、および予測モデリングは、また、安定性に対する親水性メソポーラスシリカポア(すなわち、酢酸ルサラチドを含有するバイアルの内部表面上の親水性メソポーラスシリカポア)の効果についての非常に価値のある情報も提供する。
【実施例18】
【0582】
光への曝露が安定性に対して影響力を有するか否かを評価するために(および、光分解および光酸化が、酢酸ルサラチドの安定性に対して何らかの効果を有するか否かを理解するために)、一連の対照付き実験が(すなわち、統計解析のために、全ての適切な対照群と共に)、無菌条件下で行われる。
【0583】
第1日」において、対照バイアルを調製し、この対照バイアルは、生理食塩水中に酢酸ルサラチドを含有する(標準的な0.9%塩化ナトリウム生理食塩水中に1ミリグラムの固体の凍結乾燥した酢酸ルサラチドを入れることによって調製される)。対照バイアルは、この研究全体を通して、セ氏約4度(約4℃)で保存する。
【0584】
「第1日」において、第1のセットの試験バイアルを調製する。各試験バイアルは、生理食塩水中に酢酸ルサラチドを含む(標準的な0.9%塩化ナトリウム生理食塩水中に1ミリグラムの固体の凍結乾燥した酢酸ルサラチドを入れることによって調製される)。各試験バイアルは、(酢酸ルサラチド溶液を光に曝露することが可能になるように)透明バイアル(すなわち、光が、バイアルの表面を透過して、バイアルの内部に入る)であり、そして、各試験バイアルは、この研究全体を通してセ氏約4度(約4℃)で保存する。
【0585】
第1の試験バイアルは、0.8×106ルクス時(80万ルクス時)の白色(可視)光に曝露する。
【0586】
第2の試験バイアルは、約1.0×106ルクス時(約100万ルクス時)の白色(可視)光に曝露する。
【0587】
第3の試験バイアルは、約1.2×106ルクス時(約120万ルクス時)の白色(可視)光に曝露する。
【0588】
第4の試験バイアルは、約1.4×106ルクス時(約140万ルクス時)の白色(可視)光に曝露する。
【0589】
第5の試験バイアルは、約1.6×106ルクス時(約160万ルクス時)の白色(可視)光に曝露する。
【0590】
第6の試験バイアルは、約1.8×106ルクス時(約180万ルクス時)の白色(可視)光に曝露する。
【0591】
さらに、「第1日」において、第2のセットの試験バイアルを調製する。各試験バイアルは、生理食塩水中に酢酸ルサラチドを含む(標準的な0.9%塩化ナトリウム生理食塩水中に1ミリグラムの固体の凍結乾燥した酢酸ルサラチドを入れることによって調製される)。各試験バイアルは、(酢酸ルサラチド溶液を光に曝露することが可能になるように)透明バイアル(すなわち、光が、バイアルの表面を透過して、バイアルの内部に入る)であり、そして、各試験バイアルは、この研究全体を通してセ氏約4度(約4℃)で保存する。
【0592】
第1の試験バイアルは、約160ワット時/平方メートルの紫外(UV)光に曝露する。
【0593】
第2の試験バイアルは、約180ワット時/平方メートルのUV光に曝露する。
【0594】
第3の試験バイアルは、約200ワット時/平方メートルのUV光に曝露する。
【0595】
第4の試験バイアルは、約220ワット時/平方メートルのUV光に曝露する。
【0596】
第5の試験バイアルは、約240ワット時/平方メートルのUV光に曝露する。
【0597】
第6の試験バイアルは、約260ワット時/平方メートルのUV光に曝露する。
【0598】
安定性試験は、それぞれに異なる時点、すなわち、「第1日」の後、3日、1週間、2週間、3週間、1か月、3か月、6か月、8か月、および12か月において行われる。結果は、対照バイアル中の酢酸ルサラチドの安定性を試験バイアルと比較し、(i)白色(可視)光に対する曝露が酢酸ルサラチドの安定性に対して何らかの効果を有するか否か、および(ii)UV光に対する曝露が酢酸ルサラチドの安定性に対して何らかの効果を有するか否かを判定するために分析される。酢酸ルサラチドの安定性に対する何らかの効果(例えば、光分解または光酸化)が存在するか否かを判定するための分析が行われ、そして、光分解の存在または発生が、分光光度法を使用してモニターされ、かつコンピューターベースの計器システムを使用して分析される。
【0599】
熟練した分析者が、プロセッサー、メモリー記憶装置、および他のコンピューターシステムのコンポーネントを含む物理的な有形コンピューターシステムを使用する(これらの研究およびその結果の分析に関し、コンピューターシステムは、分析のために必要かつ重要であると認識されている)。コンピューターシステムは、実施例1~17からの全ての複合データをこの研究(本明細書に記載されているように、実施例18において)から得られたデータおよび情報の全てと組み合わせて含む、先に得られた複合データおよび情報の全てを同時に分析するために使用され、このコンピューターシステムは、予測分析、機械学習、および予測モデリングを利用するコンピューターによる分析を行うために使用される。全データの同時分析に基づいて、予測分析、機械学習、および予測モデリングは、医薬組成物中の酢酸ルサラチドを含む酢酸ルサラチドの安定性を高め、および最適化するためのプレ製剤化および製剤化ステージの間に有益であろう特定の条件についての情報を提供する。コンピューターシステムを利用して、予測分析、機械学習、および予測モデリングは、また、安定性に対する露光量の効果についての非常に価値のある情報も提供する。
【実施例19】
【0600】
酸化還元活性遷移金属不純物が安定性に対して効果を有するか否かを評価するために、一連の対照付き実験が(すなわち、統計解析のために、全ての適切な対照群と共に)、無菌条件下で行われる。
【0601】
「第1日」において、対照バイアルを調製し、この対照バイアルは、生理食塩水中に酢酸ルサラチドを含有する(標準的な0.9%塩化ナトリウム生理食塩水中に1ミリグラムの固体の凍結乾燥した酢酸ルサラチドを入れることによって調製される)。対照バイアルは、光への曝露から酢酸ルサラチドを保護するために不透明バイアルであり、このバイアルは、明るい光を避けてセ氏約4度(約4℃)で冷暗所に保存する。分析試験を行い、対照バイアルがいかなる酸化還元活性遷移金属不純物も含まないことを確認する。
【0602】
同様に、「第1日」において、10個の別々の試験バイアルを調製する。各試験バイアルは、生理食塩水中に酢酸ルサラチドを含有する(標準的な0.9%塩化ナトリウム生理食塩水中に1ミリグラムの固体の凍結乾燥した酢酸ルサラチドを入れることによって調製される)。各試験バイアルは、光への曝露から酢酸ルサラチドを保護するために不透明バイアルであり、各試験バイアルは、明るい光を避けてセ氏約4度(約4℃)で冷暗所に保存する。分析試験を行い、各試験バイアルが、1つまたはそれを超える種類の酸化還元活性遷移金属不純物を含むことを確認する。
【0603】
安定性試験は、それぞれに異なる時点、すなわち、「第1日」の後、3日、1週間、2週間、3週間、1か月、3か月、6か月、8か月、および12か月において行われる。結果は、対照バイアル中の酢酸ルサラチドの安定性を試験バイアルと比較し、酸化還元活性遷移金属不純物の不存在と存在が、酢酸ルサラチドの安定性に対して何らかの効果を有するか否かを判定するために分析される。
【0604】
熟練した分析者が、プロセッサー、メモリー記憶装置、および他のコンピューターシステムのコンポーネントを含む物理的な有形コンピューターシステムを使用する(これらの研究およびその結果の分析に関し、コンピューターシステムは、分析のために必要かつ重要であると認識されている)。コンピューターシステムは、実施例1~18からの全ての複合データをこの研究(本明細書に記載されているように、実施例19において)から得られたデータおよび情報の全てと組み合わせて含む、先に得られた複合データおよび情報の全てを同時に分析するために使用され、このコンピューターシステムは、予測分析、機械学習、および予測モデリングを利用するコンピューターによる分析を行うために使用される。全データの同時分析に基づいて、予測分析、機械学習、および予測モデリングは、医薬組成物中の酢酸ルサラチドを含む酢酸ルサラチドの安定性を高め、および最適化するためのプレ製剤化および製剤化ステージの間に有益であろう特定の条件についての情報を提供する。コンピューターシステムを利用して、予測分析、機械学習、および予測モデリングは、また、安定性に対する酸化還元活性遷移金属不純物の効果についての非常に価値のある情報も提供する。
【実施例20】
【0605】
エンドトキシンが安定性に対して効果を有するか否かを評価するために、一連の対照付き実験が(すなわち、統計解析のために、全ての適切な対照群と共に)行われる。
【0606】
「第1日」において、対照バイアルを調製し、この対照バイアルは、生理食塩水中に酢酸ルサラチドを含有する(標準的な0.9%塩化ナトリウム生理食塩水中に1ミリグラムの固体の凍結乾燥した酢酸ルサラチドを入れることによって調製される)。対照バイアルは、光への曝露から酢酸ルサラチドを保護するために不透明バイアルであり、このバイアルは、明るい光を避けてセ氏約4度(約4℃)で冷暗所に保存する。分析試験を行い、対照バイアルがいかなる酸化還元活性遷移金属不純物も含まないことを確認する。
【0607】
同様に、「第1日」において、10個の別々の試験バイアルを調製する。各試験バイアルは、生理食塩水中に酢酸ルサラチドを含有する(標準的な0.9%塩化ナトリウム生理食塩水中に1ミリグラムの固体の凍結乾燥した酢酸ルサラチドを入れることによって調製される)。各試験バイアルは、光への曝露から酢酸ルサラチドを保護するために不透明バイアルであり、各試験バイアルは、明るい光を避けてセ氏約4度(約4℃)で冷暗所に保存する。分析試験を行い、各試験バイアルが、1つまたはそれを超える種類のエンドトキシンを含むことを確認する。
【0608】
安定性試験は、それぞれに異なる時点、すなわち、「第1日」の後、3日、1週間、2週間、3週間、1か月、3か月、6か月、8か月、および12か月において行われる。結果は、対照バイアル中の酢酸ルサラチドの安定性を試験バイアルと比較し、エンドトキシンの不存在と存在が、酢酸ルサラチドの安定性に対して何らかの効果を有するか否かを判定するために分析される。
【0609】
熟練した分析者が、プロセッサー、メモリー記憶装置、および他のコンピューターシステムのコンポーネントを含む物理的な有形コンピューターシステムを使用する(これらの研究およびその結果の分析に関し、コンピューターシステムは、分析のために必要かつ重要であると認識されている)。コンピューターシステムは、実施例1~19からの全ての複合データをこの研究(本明細書に記載されているように、実施例20において)から得られたデータおよび情報の全てと組み合わせて含む、先に得られた複合データおよび情報の全てを同時に分析するために使用され、このコンピューターシステムは、予測分析、機械学習、および予測モデリングを利用するコンピューターによる分析を行うために使用される。全データの同時分析に基づいて、予測分析、機械学習、および予測モデリングは、医薬組成物中の酢酸ルサラチドを含む酢酸ルサラチドの安定性を高め、および最適化するためのプレ製剤化および製剤化ステージの間に有益であろう特定の条件についての情報を提供する。コンピューターシステムを利用して、予測分析、機械学習、および予測モデリングは、また、安定性に対するエンドトキシンの効果についての非常に価値のある情報も提供する。
【実施例21】
【0610】
窒素(非反応性の無水パージ剤)が安定性に対して効果を有するか否かを評価するために、一連の対照付き実験が(すなわち、統計解析のために、全ての適切な対照群と共に)行われる。
【0611】
「第1日」において、対照バイアルを調製し、この対照バイアルは、生理食塩水中に酢酸ルサラチドを含有する(標準的な0.9%塩化ナトリウム生理食塩水中に1ミリグラムの固体の凍結乾燥した酢酸ルサラチドを入れることによって調製される)。対照バイアルは、光への曝露から酢酸ルサラチドを保護するために不透明バイアルであり、このバイアルは、明るい光を避けてセ氏約4度(約4℃)で冷暗所に保存する。バイアルを包装および密封する前に、バイアル内の周囲酸素を排除するためのステップを行わない(窒素を非反応性の無水パージ剤として使用しない)。
【0612】
同様に、「第1日」において、6個の別々の試験バイアルを調製する。各試験バイアルは、生理食塩水中に酢酸ルサラチドを含有する(標準的な0.9%塩化ナトリウム生理食塩水中に1ミリグラムの固体の凍結乾燥した酢酸ルサラチドを入れることによって調製される)。各試験バイアルは、光への曝露から酢酸ルサラチドを保護するために不透明バイアルであり、各試験バイアルは、明るい光を避けてセ氏約4度(約4℃)で冷暗所に保存する。バイアルを包装および密封する前に、窒素を非反応性の無水パージ剤として使用することによって、バイアル内の周囲酸素を注意深く排除するためのステップを行う。
【0613】
安定性試験は、それぞれに異なる時点、すなわち、「第1日」の後、3日、1週間、2週間、3週間、1か月、3か月、6か月、8か月、および12か月において行われる。結果は、対照バイアル中の酢酸ルサラチドの安定性を各試験バイアル中の酢酸ルサラチドと比較し、窒素(非反応性の無水パージ剤として)の不存在と存在が、酢酸ルサラチド(Monomer(単量体)およびDimer(二量体)が含まれる)の安定性に対して何らかの効果を有するか否かを判定するために分析される。
【0614】
熟練した分析者が、プロセッサー、メモリー記憶装置、および他のコンピューターシステムのコンポーネントを含む物理的な有形コンピューターシステムを使用する(これらの研究およびその結果の分析に関し、コンピューターシステムは、分析のために必要かつ重要であると認識されている)。コンピューターシステムは、実施例1~20からの全ての複合データをこの研究(本明細書に記載されているように、実施例21において)から得られたデータおよび情報の全てと組み合わせて含む、先に得られた複合データおよび情報の全てを同時に分析するために使用され、このコンピューターシステムは、予測分析、機械学習、および予測モデリングを利用するコンピューターによる分析を行うために使用される。全データの同時分析に基づいて、予測分析、機械学習、および予測モデリングは、医薬組成物中の酢酸ルサラチドを含む酢酸ルサラチドの安定性を高め、および最適化するためのプレ製剤化および製剤化ステージの間に有益であろう特定の条件についての情報を提供する。コンピューターシステムを利用して、予測分析、機械学習、および予測モデリングは、また、安定性に対する窒素(非反応性の無水パージ剤として)の効果についての非常に価値のある情報も提供する。
【実施例22】
【0615】
熟練した分析者が、プロセッサー、メモリー記憶装置、および他のコンピューターシステムのコンポーネントを含む物理的な有形コンピューターシステムを使用する(コンピューターシステムは、分析のために必要かつ重要であると認識されている)。コンピューターシステムは、本明細書に記載されているように、実施例1~21からの全ての複合データを含む、先に得られた複合データおよび情報の全てを同時に分析するために使用され、このコンピューターシステムは、予測分析、機械学習、および予測モデリングを利用するコンピューターによる分析を行うために使用される。全データの同時分析に基づいて、予測分析、機械学習、および予測モデリングは、医薬組成物中の酢酸ルサラチドを含む酢酸ルサラチドの安定性を高め、および最適化するためのプレ製剤化および製剤化ステージの間に有益であろう特定の条件についての情報を提供する。コンピューターシステムを利用して、予測分析、機械学習、および予測モデリングは、安全かつ有効な医薬組成物を設計するための非常に価値のある情報を提供する。この分析および情報に基づいて、酢酸ルサラチド組成物が調製され、この酢酸ルサラチド組成物は、Ala-Gly-Tyr-Lys-Pro-Asp-Glu-Gly-Lys-Arg-Gly-Asp-Ala-Cys-Glu-Gly-Asp-Ser-Gly-Gly-Pro-Phe-Val(配列番号1)を含む23アミノ酸ポリペプチドを含む。前記ポリペプチドは、医薬品の製造および品質管理に関する基準(Good Manufacturing Practice)(GMP)の要件に従って合成および精製され、また前記組成物は、活性酸素種、エンドトキシン、有機溶媒、分解不純物、および酸化還元活性遷移金属不純物を本質的に含まない。また、前記組成物は、少なくとも1つの医薬的に許容される賦形剤も含有し、また、前記組成物は、無菌的条件下で調製され、吸湿剤と共に保管される。前記組成物は、安定であり、遮光されており、また、前記組成物は、非反応性の無水パージ剤に曝露した後に包装および密封される。前記組成物の安定性は、前記組成物の強制分解分析、前記組成物中の含水量分析、対イオン定量分析、および生物汚染度試験の組み合わせに基づいて決定される。
【0616】
別の研究において、酢酸ルサラチド組成物が調製され、ここで、前記ポリペプチド(すなわち、配列番号1を含むポリペプチド)は、凍結乾燥されている。追加の研究において、酢酸ルサラチド組成物は、無菌投与のために製剤化される。さらなる研究において、酢酸ルサラチド組成物は、製剤化され、かつ抗酸化剤を含む。
【実施例23】
【0617】
熟練した分析者が、プロセッサー、メモリー記憶装置、および他のコンピューターシステムのコンポーネントを含む物理的な有形コンピューターシステムを使用する(コンピューターシステムは、分析のために必要かつ重要であると認識されている)。コンピューターシステムは、本明細書に記載されているように、実施例1~21からの全ての複合データを含む、先に得られた複合データおよび情報の全てを同時に分析するために使用され、このコンピューターシステムは、予測分析、機械学習、および予測モデリングを利用するコンピューターによる分析を行うために使用される。全データの同時分析に基づいて、予測分析、機械学習、および予測モデリングは、医薬組成物中の酢酸ルサラチドを含む酢酸ルサラチドの安定性を高め、および最適化するためのプレ製剤化および製剤化ステージの間に有益であろう特定の条件についての情報を提供する。コンピューターシステムを利用して、予測分析、機械学習、および予測モデリングは、安全かつ有効な医薬組成物を設計するための非常に価値のある情報を提供する。この分析および情報に基づいて、酢酸ルサラチド組成物が調製され、この組成物は、Ala-Gly-Tyr-Lys-Pro-Asp-Glu-Gly-Lys-Arg-Gly-Asp-Ala-Cys-Glu-Gly-Asp-Ser-Gly-Gly-Pro-Phe-Val(配列番号1)を含む23アミノ酸ポリペプチドを含む。前記ポリペプチドは、医薬品の製造および品質管理に関する基準(Good Manufacturing Practice)(GMP)の要件に従って合成および精製され、また前記組成物は、活性酸素種、エンドトキシン、有機溶媒、分解不純物、および酸化還元活性遷移金属不純物を本質的に含まない。前記組成物は、また、それぞれが配列Ala-Gly-Tyr-Lys-Pro-Asp-Glu-Gly-Lys-Arg-Gly-Asp-Ala-Cys-Glu-Gly-Asp-Ser-Gly-Gly-Pro-Phe-Val(配列番号1)を有する2つのポリペプチドを有するペプチドダイマー(ここで、前記ポリペプチドは、ジスルフィド結合によって共有結合している)も含む。前記組成物は、水性キャリアーも含む。前記組成物は、無菌的条件下で調製され、また、前記組成物の安定性は、少なくとも前記組成物の強制分解分析、対イオン定量分析、および生物汚染度試験の組み合わせに基づいて決定される。
【0618】
前記ポリペプチドが少なくとも99%の純度を有する、別の医薬組成物が調製される。
【0619】
無菌投与のために製剤化される、別の医薬組成物が調製される。
【0620】
1回使用液体剤形として製剤化される、さらに別の医薬組成物が調製される。
【0621】
抗酸化剤も含む、さらに別の医薬組成物が調製される。
【実施例24】
【0622】
熟練した分析者が、プロセッサー、メモリー記憶装置、および他のコンピューターシステムのコンポーネントを含む物理的な有形コンピューターシステムを使用する(コンピューターシステムは、分析のために必要かつ重要であると認識されている)。コンピューターシステムは、本明細書に記載されているように、実施例1~21からの全ての複合データを含む、先に得られた複合データおよび情報の全てを同時に分析するために使用され、このコンピューターシステムは、予測分析、機械学習、および予測モデリングを利用するコンピューターによる分析を行うために使用される。全データの同時分析に基づいて、予測分析、機械学習、および予測モデリングは、医薬組成物中の酢酸ルサラチドを含む酢酸ルサラチドの安定性を高め、および最適化するためのプレ製剤化および製剤化ステージの間に有益であろう特定の条件についての情報を提供する。コンピューターシステムを利用して、予測分析、機械学習、および予測モデリングは、安全かつ有効な医薬組成物を設計するための非常に価値のある情報を提供する。この分析および情報に基づいて、安定なポリペプチド組成物が調製され、この組成物は、Ala-Gly-Tyr-Lys-Pro-Asp-Glu-Gly-Lys-Arg-Gly-Asp-Ala-Cys-Glu-Gly-Asp-Ser-Gly-Gly-Pro-Phe-Val(配列番号1)を含む23アミノ酸ポリペプチドを含み、前記ポリペプチドは、医薬品の製造および品質管理に関する基準(Good Manufacturing Practice)(GMP)の要件に従って合成および精製されている。前記組成物は、活性酸素種、エンドトキシン、有機溶媒、分解不純物、および酸化還元活性遷移金属不純物を本質的に含まない。前記組成物は、また、それぞれが配列Ala-Gly-Tyr-Lys-Pro-Asp-Glu-Gly-Lys-Arg-Gly-Asp-Ala-Cys-Glu-Gly-Asp-Ser-Gly-Gly-Pro-Phe-Val(配列番号1)を有する2つのポリペプチドを有するペプチドダイマー(ここで、前記ポリペプチドは、ジスルフィド結合によって共有結合している)も含む。前記組成物は、また、少なくとも1つの医薬的に許容される賦形剤も含み、また、前記組成物は、安定であり、遮光されており、無菌的条件下で調製される。前記組成物の安定性は、少なくとも前記組成物の強制分解分析、前記組成物中の含水量分析、対イオン定量分析、および生物汚染度試験の組み合わせに基づいて決定される。
【0623】
活性酸素種、エンドトキシン、有機溶媒、分解不純物、および酸化還元活性遷移金属不純物を少なくとも90パーセント含まない、別の酢酸ルサラチド組成物が調製される。
【0624】
局所投与のために製剤化される、別の酢酸ルサラチド組成物が調製される。
【0625】
無菌投与のために製剤化される、別の酢酸ルサラチド組成物が調製される。
【0626】
無菌の注射可能送達のために製剤化される、別の酢酸ルサラチド組成物が調製される。
【0627】
抗酸化剤を含む、別の酢酸ルサラチド組成物が調製される。
【0628】
1回使用液体剤形として製剤化される、別の酢酸ルサラチド組成物が調製される。
【実施例25】
【0629】
熟練した分析者が、プロセッサー、メモリー記憶装置、および他のコンピューターシステムのコンポーネントを含む物理的な有形コンピューターシステムを使用する(コンピューターシステムは、分析のために必要かつ重要であると認識されている)。コンピューターシステムは、本明細書に記載されているように、実施例1~21からの全ての複合データを含む、先に得られた複合データおよび情報の全てを同時に分析するために使用され、このコンピューターシステムは、予測分析、機械学習、および予測モデリングを利用するコンピューターによる分析を行うために使用される。
【0630】
Ala-Gly-Tyr-Lys-Pro-Asp-Glu-Gly-Lys-Arg-Gly-Asp-Ala-Cys-Glu-Gly-Asp-Ser-Gly-Gly-Pro-Phe-Val(配列番号1)を含む23アミノ酸ポリペプチドの安定性を高めるための方法が開発される。以下の方法および手順が、熟練した専門家によって実施される:
前記ポリペプチドの安定性に対する大気酸素、活性酸素種、含水量、キャリアー、pH、温度、凍結融解(FT)サイクル、前記ポリペプチドの構造のコンホメーション変化、バッファー組成、対イオン、賦形剤、無菌性、粘性、露光量、生物汚染度、および酸化還元活性遷移金属不純物の効果についての情報を同時に収集すること、
前記ポリペプチドの安定性に対する大気酸素、活性酸素種、含水量、キャリアー、pH、温度、凍結融解(FT)サイクル、前記ポリペプチドの構造のコンホメーション変化、バッファー組成、対イオン、賦形剤、無菌性、粘性、露光量、生物汚染度、および酸化還元活性遷移金属不純物の効果についての情報の分析を行うこと;および
前記ポリペプチドの安定性が高められるように、前記分析に基づいて、少なくとも1つの安定性最適化手順を行うこと。
【実施例26】
【0631】
熟練した分析者が、プロセッサー、メモリー記憶装置、および他のコンピューターシステムのコンポーネントを含む物理的な有形コンピューターシステムを使用する(コンピューターシステムは、分析のために必要かつ重要であると認識されている)。(コンピューターシステムは、分析のために必要かつ重要であると認識されている)。コンピューターシステムは、本明細書に記載されているように、実施例1~21からの全ての複合データを含む、先に得られた複合データおよび情報の全てを同時に分析するために使用され、このコンピューターシステムは、予測分析、機械学習、および予測モデリングを利用するコンピューターによる分析を行うために使用される。
【0632】
それぞれが配列Ala-Gly-Tyr-Lys-Pro-Asp-Glu-Gly-Lys-Arg-Gly-Asp-Ala-Cys-Glu-Gly-Asp-Ser-Gly-Gly-Pro-Phe-Val(配列番号1)を有する2つのポリペプチドを有するペプチドダイマー(ここで、前記ポリペプチドは、ジスルフィド結合によって共有結合している)の安定性を高めるための方法が開発される。以下の方法および手順が、熟練した専門家によって実施される:
前記ペプチドダイマーの安定性に対する大気酸素、活性酸素種、含水量、キャリアー、pH、温度、凍結融解(FT)サイクル、前記ポリペプチドの構造のコンホメーション変化、バッファー組成、対イオン、賦形剤、無菌性、粘性、露光量、生物汚染度、および酸化還元活性遷移金属不純物の効果についての情報を同時に収集すること、
前記ペプチドダイマーの安定性に対する大気酸素、活性酸素種、含水量、キャリアー、pH、温度、凍結融解(FT)サイクル、前記ポリペプチドの構造のコンホメーション変化、バッファー組成、対イオン、賦形剤、無菌性、粘性、露光量、生物汚染度、および酸化還元活性遷移金属不純物の効果についての情報の分析を行うこと;および
前記ペプチドダイマーの安定性が高められるように、前記分析に基づいて、少なくとも1つの安定性最適化手順を行うこと。
【実施例27】
【0633】
Ala-Gly-Tyr-Lys-Pro-Asp-Glu-Gly-Lys-Arg-Gly-Asp-Ala-Cys-Glu-Gly-Asp-Ser-Gly-Gly-Pro-Phe-Val(配列番号1)を含む23アミノ酸ポリペプチドの安定性を高めるためのシステム(必要なハードウェアコンポーネントを有するコンピューターシステムを含む)が、設計、開発、および製造される。前記システム(必要なハードウェアコンポーネントを有するコンピューターシステムを含む)は、
前記ポリペプチドの安定性に対する大気酸素、活性酸素種、含水量、キャリアー、pH、温度、凍結融解(FT)サイクル、前記ポリペプチドの構造のコンホメーション変化、バッファー組成、対イオン、賦形剤、無菌性、粘性、露光量、生物汚染度、および酸化還元活性遷移金属不純物の効果についての情報を同時に収集する、
前記ポリペプチドの安定性に対する大気酸素、活性酸素種、含水量、キャリアー、pH、温度、凍結融解(FT)サイクル、前記ポリペプチドの構造のコンホメーション変化、バッファー組成、対イオン、賦形剤、無菌性、粘性、露光量、生物汚染度、および酸化還元活性遷移金属不純物の効果についての情報の分析を行う;および
前記ポリペプチドの安定性が高められるように、前記分析に基づいて、少なくとも1つの安定性最適化手順を行う
ための分析コンポーネントを含み、
ならびに、前記システムは、また、プロセッサー、および前記ポリペプチドの安定性に対する大気酸素、活性酸素種、含水量、キャリアー、pH、温度、凍結融解(FT)サイクル、前記ポリペプチドの構造のコンホメーション変化、バッファー組成、対イオン、賦形剤、無菌性、粘性、露光量、生物汚染度、および酸化還元活性遷移金属不純物の効果についての情報を保存するためのメモリー記憶装置も含む。
【実施例28】
【0634】
それぞれが配列Ala-Gly-Tyr-Lys-Pro-Asp-Glu-Gly-Lys-Arg-Gly-Asp-Ala-Cys-Glu-Gly-Asp-Ser-Gly-Gly-Pro-Phe-Val(配列番号1)を有する2つのポリペプチドを有するペプチドダイマー(ここで、前記ポリペプチドは、ジスルフィド結合によって共有結合している)の安定性を高めるためのシステム(必要なハードウェアコンポーネントを有するコンピューターシステムを含む)が、設計、開発、および製造される。前記システム(必要なハードウェアコンポーネントを有するコンピューターシステムを含む)は、
前記ペプチドダイマーの安定性に対する大気酸素、活性酸素種、含水量、キャリアー、pH、温度、凍結融解(FT)サイクル、前記ペプチドダイマーの構造のコンホメーション変化、バッファー組成、対イオン、賦形剤、無菌性、粘性、露光量、生物汚染度、および酸化還元活性遷移金属不純物の効果についての情報を同時に収集する、
前記ペプチドダイマーの安定性に対する大気酸素、活性酸素種、含水量、キャリアー、pH、温度、凍結融解(FT)サイクル、前記ペプチドダイマーの構造のコンホメーション変化、バッファー組成、対イオン、賦形剤、無菌性、粘性、露光量、生物汚染度、および酸化還元活性遷移金属不純物の効果についての情報の分析を行う;および
前記ペプチドダイマーの安定性が高められるように、前記分析に基づいて、少なくとも1つの安定性最適化手順を行う
のための分析コンポーネントを含み、
ならびに、前記システムは、また、プロセッサー、および前記ペプチドダイマーの安定性に対する大気酸素、活性酸素種、含水量、キャリアー、pH、温度、凍結融解(FT)サイクル、前記ペプチドダイマーの構造のコンホメーション変化、バッファー組成、対イオン、賦形剤、無菌性、粘性、露光量、生物汚染度、および酸化還元活性遷移金属不純物の効果についての情報を保存するためのメモリー記憶装置も含む。
【実施例29】
【0635】
投与後の酢酸ルサラチドの組織分布は、放射標識酢酸ルサラチドを使用して分析される。トリチウム化酢酸ルサラチドは、Balb/Cマウスを使用したマウスモデルに投与される。その後、前記マウスを安楽死させ、大型器官(肝臓、脳、膵臓、および腎臓が含まれる)のサンプルを採取し、PBSでホモジナイズする。酢酸ルサラチドに対する抗体は、抗体分子のFC部位に結合させるためのプロテインGでコートされたビーズとインキュベートする。約2時間後、前記ビーズは、遠心分離によってペレット化し、冷PBSで3回洗浄し、シンチレーションカウンター内で計数する。集められたデータによって、酢酸ルサラチドの組織分布が示される。
【0636】
好ましい実施形態において、本発明の物理的な非抽象的コンピューターベース計測システムは、本明細書に記載されているように、本発明の方法および動作を具体的に行うために重要であり必要とされる少なくとも1つのコンピューターハードウェアアーキテクチャーまたはマイクロアーキテクチャーの物理コンポーネントを含むことを理解すべきである。
【0637】
本発明の好ましい実施形態を参照して本発明を具体的に示し、説明してきたが、本発明の範囲を逸脱することなく、その形態および詳細について種々の変更を行い得ることが、当業者によって理解されるであろう。
配列表
AGYKPDEGKRGDACEGDSGGPFV(配列番号1)
【配列表】
【国際調査報告】