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特表2022-527148二次電池、その製造方法及び当該二次電池を備える装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-31
(54)【発明の名称】二次電池、その製造方法及び当該二次電池を備える装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/133 20100101AFI20220524BHJP
   H01M 4/131 20100101ALI20220524BHJP
   H01M 4/1393 20100101ALI20220524BHJP
   H01M 4/505 20100101ALI20220524BHJP
   H01M 4/587 20100101ALI20220524BHJP
   H01M 4/36 20060101ALI20220524BHJP
   H01M 4/525 20100101ALI20220524BHJP
   H01M 10/0525 20100101ALI20220524BHJP
【FI】
H01M4/133
H01M4/131
H01M4/1393
H01M4/505
H01M4/587
H01M4/36 C
H01M4/525
H01M10/0525
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021554403
(86)(22)【出願日】2020-04-30
(85)【翻訳文提出日】2021-09-09
(86)【国際出願番号】 CN2020088443
(87)【国際公開番号】W WO2021217628
(87)【国際公開日】2021-11-04
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513196256
【氏名又は名称】寧徳時代新能源科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Contemporary Amperex Technology Co., Limited
【住所又は居所原語表記】No.2,Xingang Road,Zhangwan Town,Jiaocheng District,Ningde City,Fujian Province,P.R.China 352100
(74)【代理人】
【識別番号】100167689
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 征二
(74)【代理人】
【識別番号】100222106
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 秀紀
(72)【発明者】
【氏名】▲馬▼建▲軍▼
(72)【発明者】
【氏名】沈睿
(72)【発明者】
【氏名】何立兵
【テーマコード(参考)】
5H029
5H050
【Fターム(参考)】
5H029AJ03
5H029AK03
5H029AK18
5H029AL07
5H029AL18
5H029AM03
5H029AM07
5H029BJ02
5H029BJ12
5H029BJ14
5H029CJ22
5H029HJ00
5H029HJ02
5H029HJ04
5H029HJ05
5H029HJ07
5H029HJ15
5H050AA08
5H050AA10
5H050BA17
5H050CA07
5H050CA08
5H050CA09
5H050CA29
5H050CB08
5H050CB29
5H050FA02
5H050FA17
5H050FA18
5H050GA22
5H050HA00
5H050HA01
5H050HA02
5H050HA04
5H050HA05
5H050HA07
5H050HA08
5H050HA15
(57)【要約】
本発明は、二次電池、その製造方法及び当該二次電池を備える装置に関する。具体的に、本願の二次電池において、負極膜層は、第1の負極膜層及び第2の負極膜層を含み、前記第1の負極膜層は、負極集電体の少なくとも一つの表面に設置され、且つ第1の負極活性材料を含み、前記第2の負極膜層は、第1の負極膜層に設置され、且つ第2の負極活性材料を含み、前記第1の負極活性材料は天然黒鉛を含み、且つ、前記第1の負極活性材料は12%≦A≦18%を満たし、前記第2の負極活性材料は人造黒鉛を含み、且つ、前記第2の負極活性材料は20%≦B≦30%を満たし、ここで、Aは、15000Nの作用力を受けた後に測定された第1の負極活性材料のリバウンド率であり、Bは、15000Nの作用力を受けた後に測定された第2の負極活性材料のリバウンド率である。当該二次電池は、高いエネルギー密度を有した上で、良好な動力性能及び高温貯蔵性能を両立させることができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二次電池であって、
負極シートを含み、
前記負極シートは、負極集電体及び負極膜層を含み、
前記負極膜層は、第1の負極膜層及び第2の負極膜層を含み、
前記第1の負極膜層は、負極集電体の少なくとも一つの表面に設置され、且つ第1の負極活性材料を含み、
前記第2の負極膜層は、第1の負極膜層に設置され、且つ第2の負極活性材料を含み、
前記第1の負極活性材料は天然黒鉛を含み、且つ、前記第1の負極活性材料は12%≦A≦18%を満たし、
前記第2の負極活性材料は人造黒鉛を含み、且つ、前記第2の負極活性材料は20%≦B≦30%を満たし、
Aは、15000Nの作用力を受けた後に測定された第1の負極活性材料のリバウンド率であり、
Bは、15000Nの作用力を受けた後に測定された第2の負極活性材料のリバウンド率である、二次電池。
【請求項2】
13%≦A≦16%、及び/又は、24%≦B≦28%である、
請求項1に記載の二次電池。
【請求項3】
1.1≦B/A≦2.5であり、好ましくは、1.5≦B/A≦2.1である、
請求項1又は2に記載の二次電池。
【請求項4】
前記第1の負極活性材料の粒径分布(Dv90-Dv10)/Dv50は、前記第2の負極活性材料の粒径分布(Dv90-Dv10)/Dv50より小さい、
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の二次電池。
【請求項5】
前記第1の負極活性材料の体積平均粒径D50は、前記第2の負極活性材料の体積平均粒径D50より大きい、
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の二次電池。
【請求項6】
前記第1の負極活性材料は、下記(1)~(6)のうちの一つ又は複数をさらに満たす、
(1)前記第1の負極活性材料の体積分布粒径D10は、8μm~12μmであり、好ましくは、9μm~11μmであること、
(2)前記第1の負極活性材料の体積平均粒径D50は、15μm~19μmであり、好ましくは、16μm~18μmであること、
(3)前記第1の負極活性材料の粒径分布は、1.0≦(Dv90-Dv10)/Dv50≦1.5であり、好ましくは、1.0≦(Dv90-Dv10)/Dv50≦1.3であること、
(4)前記第1の負極活性材料の黒鉛化度は、95%~98%であり、好ましくは、96%~97%であること、
(5)前記第1の負極活性材料の形状は、球状及び略球状のうちの一種類又は複数種類を含むこと、
(6)前記第1の負極活性材料は、表面の少なくとも一部に非晶質炭素被覆層を有すること、
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の二次電池。
【請求項7】
前記第2の負極活性材料は、下記(1)~(6)のうちの一つ又は複数をさらに満たす、
(1)前記第2の負極活性材料の体積分布粒径D10は、6μm~10μmであり、好ましくは、7μm~9μmであること、
(2)前記第2の負極活性材料の体積平均粒径D50は、14μm~18μmであり、好ましくは、15μm~17μmであること、
(3)前記第2の負極活性材料の粒径分布は、1.0≦(Dv90-Dv10)/Dv50≦2であり、好ましくは、1.2≦(Dv90-Dv10)/Dv50≦1.7であること、
(4)前記第2の負極活性材料の黒鉛化度は、90%~95%であり、好ましくは、91%~93%であること、
(5)前記第2の負極活性材料の形状は、ブロック状及びシート状のうちの一種類又は複数種類を含むこと、
(6)前記第2の負極活性材料は、表面に非晶質炭素被覆層を有さないこと、
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の二次電池。
【請求項8】
前記第1の負極活性材料における前記天然黒鉛の質量割合は、≧50%であり、好ましくは、80%~100%であり、及び/又は、
前記第2の負極活性材料における前記人造黒鉛の質量割合は、≧80%であり、好ましくは、90%~100%である、
請求項1乃至7のいずれか一項に記載の二次電池。
【請求項9】
前記二次電池は、下記(1)~(4)のうちの一つ又は複数をさらに満たす、
(1)前記負極膜層の厚さは、≧60μmであり、好ましくは、65μm~80μmであること、
(2)前記第1の負極膜層と前記第2の負極膜層との厚さの比は、1:1.01~1:1.1であり、好ましくは、1:1.02~1:1.06であること、
(3)前記負極膜層の面密度CWは、10mg/cm≦CW≦13mg/cmを満たし、好ましくは、10.5mg/cm≦CW≦11.5mg/cmを満たすこと、
(4)前記負極膜層の比表面積Sは、1.8m/g≦S≦2.6m/gを満たし、好ましくは、2.0m/g≦S≦2.4m/gを満たすこと、
請求項1乃至8のいずれか一項に記載の二次電池。
【請求項10】
前記二次電池は、正極シートを含み、
前記正極シートは、正極集電体と、正極集電体の少なくとも一つの表面に設置され、且つ正極活性材料を含む正極膜層と、を含み、
前記正極活性材料は、リチウム遷移金属酸化物、オリビン構造のリチウム含有リン酸塩及びそのそれぞれの改質化合物のうちの一種類又は複数種類を含み、
好ましくは、前記正極活性材料は、式1で表されるリチウム遷移金属酸化物及びその改質化合物のうちの一種類又は複数種類を含み、
LiNiCo(式1)
前記式1において、0.8≦a≦1.2、0.5≦b<1、0<c<1、0<d<1、1≦e≦2、0≦f≦1であり、Mは、Mn、Al、Zr、Zn、Cu、Cr、Mg、Fe、V、Ti及びBのうちの一種類又は複数種類から選択され、Aは、N、F、S及びClのうちの一種類又は複数種類から選択される、
請求項1乃至9のいずれか一項に記載の二次電池。
【請求項11】
二次電池の製造方法であって、
1)負極集電体の少なくとも一つの表面に、第1の負極活性材料を含む第1の負極膜層を形成する工程と、
2)前記第1の負極膜層に、第2の負極活性材料を含む第2の負極膜層を形成する工程と
によって、前記二次電池の負極シートを製造することを含み、
前記第1の負極活性材料は天然黒鉛を含み、且つ、前記第1の負極活性材料は12%≦A≦18%を満たし、
前記第2の負極活性材料は人造黒鉛を含み、且つ、前記第2の負極活性材料は20%≦B≦30%を満たし、
Aは、15000Nの作用力を受けた後に測定された第1の負極活性材料のリバウンド率であり、
Bは、15000Nの作用力を受けた後に測定された第2の負極活性材料のリバウンド率である、
二次電池の製造方法。
【請求項12】
請求項1乃至10のいずれか一項に記載の二次電池又は請求項11に記載の二次電池の製造方法で製造された二次電池を備える装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、電気化学の技術分野に属し、より具体的に、二次電池、その製造方法及び当該二次電池を備える装置に関する。
【背景技術】
【0002】
二次電池は、重量が軽く、汚染がなく、メモリ効果がないなどの顕著な特徴を有するため、各種の消費類電子製品及び電動車両に広く応用される。
【0003】
新エネルギー業界の発展に伴い、人々は二次電池に対してより高い使用ニーズを提出している。二次電池が高いエネルギー密度を有した上で、他の電気化学的性能を両立させることは、依然として二次電池分野の重要な課題である。
【0004】
これに鑑みて、クライアントの使用ニーズを満たすために、様々な性能を両立できる二次電池を提供する必要がある。
【発明の概要】
【0005】
本願は、背景技術に存在する技術的課題に鑑み、二次電池が高いエネルギー密度を有した上で、良好な動力性能及び良好な高温貯蔵性能を同時に両立させることを目的として、二次電池及びそれを備える装置を提供する。
【0006】
上記発明の目的を達成するために、本願の第1の態様は、二次電池を提供し、当該二次電池は、負極シートを含み、前記負極シートは、負極集電体及び負極膜層を含み、前記負極膜層は、第1の負極膜層及び第2の負極膜層を含み、前記第1の負極膜層は、負極集電体の少なくとも一つの表面に設置され、且つ第1の負極活性材料を含み、前記第2の負極膜層は、第1の負極膜層に設置され、且つ第2の負極活性材料を含み、前記第1の負極活性材料は天然黒鉛を含み、且つ、前記第1の負極活性材料は12%≦A≦18%を満たし、前記第2の負極活性材料は人造黒鉛を含み、且つ、前記第2の負極活性材料は20%≦B≦30%を満たし、ここで、Aは、15000Nの作用力を受けた後に測定された第1の負極活性材料のリバウンド率であり、Bは、15000Nの作用力を受けた後に測定された第2の負極活性材料のリバウンド率である。
【0007】
本願の第2の態様は、二次電池の製造方法を提供し、当該製造方法は、1)負極集電体の少なくとも一つの表面に、第1の負極活性材料を含む第1の負極膜層を形成する工程と、2)前記第1の負極膜層に、第2の負極活性材料を含む第2の負極膜層を形成する工程とによって、前記二次電池の負極シートを製造することを含み、前記第1の負極活性材料は天然黒鉛を含み、且つ、前記第1の負極活性材料は12%≦A≦18%を満たし、前記第2の負極活性材料は人造黒鉛を含み、且つ、前記第2の負極活性材料は20%≦B≦30%を満たし、Aは、15000Nの作用力を受けた後に測定された第1の負極活性材料のリバウンド率であり、Bは、15000Nの作用力を受けた後に測定された第2の負極活性材料のリバウンド率である。
【0008】
本願の第3の態様は、本願の第1の態様に記載の二次電池又は本願の第2の態様に記載の方法に従って製造された二次電池を備える装置を提供する。
【0009】
本願は、従来技術に対して、少なくとも以下の有益な効果を含む。本願の二次電池において、負極シートは第1の負極膜層及び第2の負極膜層を含み、且つ各負極膜層は特定の負極活性材料を選択し、上下層の合理的な設計により、本願の二次電池は、高いエネルギー密度を有した上で、良好な動力性能及び高温貯蔵性能を同時に両立させる。本願の装置は、上記二次電池を備えるため、少なくとも前記二次電池と同じ利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本願の二次電池の一実施形態の模式図である。
図2】本願の二次電池における負極シートの一実施形態の模式図である。
図3】本願の二次電池における負極シートの他の実施形態の模式図である。
図4】本願の二次電池の一実施形態の分解模式図である。
図5】電池モジュールの一実施形態の模式図である。
図6】電池パックの一実施形態の模式図である。
図7図6の分解図である。
図8】本願の二次電池が電源として用いられる装置の一実施形態の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、具体的な実施形態を参照しながら、本願をさらに説明する。理解されるように、これらの具体的な実施形態は本願を説明するためのものに過ぎず、本願の範囲を限定するものではない。
【0012】
簡潔にするために、本明細書はいくつかの数値範囲のみを具体的に開示した。しかしながら、任意の下限は任意の上限と組み合わせて明確に記載されていない範囲を形成することができ、任意の下限は他の下限と組み合わせて明確に記載されていない範囲を形成することができ、同様に任意の上限は任意の他の上限と組み合わせて明確に記載されていない範囲を形成することができる。また、各単独で開示された点又は単一の数値自体は下限又は上限として任意の他の点又は単一の数値と組み合わせるか又は他の下限又は上限と組み合わせて明確に記載されていない範囲を形成することができる。
【0013】
本明細書の説明において、説明すべきこととして、特に説明しない限り、「以上」、「以下」は本数を含み、「一種類又は複数種類」における「複数種類」の意味は二種類及び二種類以上である。
【0014】
特に説明しない限り、本願に使用される用語は当業者に一般的に理解される周知の意味を有する。特に説明しない限り、本願に言及された各パラメータの数値は本分野の一般的な様々な測定方法で測定することができる(例えば、本願の実施例に示された方法に応じて測定することができる)。
二次電池
【0015】
本開示の第1の様態は、二次電池を提供する。当該二次電池は、正極シート、負極シート及び電解質を備えている。電池の充放電過程において、活性イオンは正極シートと負極シートとの間に往復して挿入及び脱離する。電解質は、正極シートと負極シートとの間でイオンを伝導する役割を果たす。
[負極シート]
【0016】
本願の二次電池において、前記負極シートは、負極集電体及び負極膜層を含み、前記負極膜層は、第1の負極膜層及び第2の負極膜層を含み、前記第1の負極膜層は、負極集電体の少なくとも一つの表面に設置され、且つ第1の負極活性材料を含み、前記第2の負極膜層は、第1の負極膜層に設置され、且つ第2の負極活性材料を含む。前記第1の負極活性材料は天然黒鉛を含み、且つ、第1の負極活性材料は12%≦A≦18%を満たす。前記第2の負極活性材料は人造黒鉛を含み、且つ、前記第2の負極活性材料は20%≦B≦30%を満たす。ここで、Aは、15000Nの作用力を受けた後に測定された第1の負極活性材料のリバウンド率であり、Bは、15000Nの作用力を受けた後に測定された第2の負極活性材料のリバウンド率である。
【0017】
第1の負極活性材料が天然黒鉛を含み、第2の負極活性材料が人造黒鉛を含み、且つ第1の負極活性材料及び第2の負極活性材料が特定の範囲内のリバウンド率を有する場合、二次電池は、高いエネルギー密度を有した上で、良好な動力性能及び良好な高温貯蔵性能を同時に両立させることができる。
【0018】
本発明者らは、大量の研究により、第1の負極活性材料及び第2の負極活性材料のリバウンド率が所定の範囲内にある場合、負極膜層の上下層の間の液相拡散経路が最適にマッチングされ、活性イオンの伝送速度が効果的に改善されるため、電池の動力性能が改善され、同時に、上下層材料の特定のリバウンド率の設計により負極膜層における活性部位が合理的に最適化され、電池における活性イオンの挿入・脱離過程での副反応を効果的に低減させるため、電池の高温貯蔵性能が効果的に改善されることを見出した。
【0019】
いくつかの好ましい実施形態において、13%≦A≦16%である。
【0020】
いくつかの好ましい実施形態において、24%≦B≦28%である。
【0021】
本発明者らは、鋭意研究により、本願の負極シートが上記設計を満たした上で、さらに下記パラメータのうちの一つ又は複数を選択的に満たす場合、電池の性能をさらに改善することができることを見出した。
【0022】
いくつかの好ましい実施形態において、1.1≦B/A≦2.5である。より好ましくは、1.5≦B/A≦2.1である。
【0023】
B/Aが所定の範囲内に制御される場合、上下層の負極活性材料をよりよくマッチングすることができるため、正極から脱離された活性イオンを負極活性材料粒子の内部により迅速で規則的に拡散させ、電池のサイクル過程でのリチウム析出のリスクを減少させ、分極を低下させ、これにより、電池の動力性能及び貯蔵性能をさらに改善させることができる。
【0024】
いくつかの好ましい実施形態において、前記第1の負極活性材料の粒径分布(Dv90-Dv10)/Dv50は、前記第2の負極活性材料の粒径分布(Dv90-Dv10)/Dv50より小さい。
【0025】
第1の負極活性材料の粒径分布が第2の負極活性材料の粒径分布より小さい場合、第1の負極活性材料における微粉の含有量が少なく、副反応を減少させるのに役立つと同時に、小さい粒径分布の材料は粒子サイズの差が小さく、異なる粒子の内部での活性イオンの拡散速度が接近し、挿入・脱離するイオンの応力が均一であり、電極シートの膨張を低減させるのに役立つため、電池のサイクル性能をさらに改善させる。同時に、第2の負極活性材料における小粒径の粒子の割合が多く、活性イオンの拡散経路を減少させるのに役立ち、電極シートでの活性イオンの迅速な拡散に役立つため、電池の動力性能をさらに改善させる。また、上下層の大小粒径の組み合わせは、負極膜層の圧密度の向上に役立つため、電池のエネルギー密度をさらに向上させる。
【0026】
いくつかの好ましい実施形態において、前記第1の負極活性材料の体積平均粒径D50は、前記第2の負極活性材料の体積平均粒径D50より大きい。
【0027】
第1の負極活性材料の体積平均粒径D50が前記第2の負極活性材料の体積平均粒径D50より大きい場合、上下層の活性材料の容量の差を低減させるのに役立つと同時に、上層の冷間プレス圧力を軽減し、電池のサイクル過程でのリチウム析出リスクを低減するため、電池のサイクル性能をさらに向上させることができる。
【0028】
いくつかの好ましい実施形態において、前記第1の負極活性材料の体積分布粒径D10は、8μm~12μmであり、より好ましくは、9μm~11μmである。
【0029】
いくつかの好ましい実施形態において、前記第2の負極活性材料の体積分布粒径D10は、6μm~10μmであり、より好ましくは、7μm~9μmである。
【0030】
いくつかの好ましい実施形態において、前記第1の負極活性材料の体積平均粒径D50は、15μm~19μmであり、より好ましくは、16μm~18μmである。
【0031】
いくつかの好ましい実施形態において、前記第2の負極活性材料の体積平均粒径D50は、14μm~18μmであり、より好ましくは、15μm~17μmである。
【0032】
いくつかの好ましい実施形態において、前記第1の負極活性材料の粒径分布は、1.0≦(Dv90-Dv10)/Dv50≦1.5であってもよく、より好ましくは、1.0≦(Dv90-Dv10)/Dv50≦1.3である。
【0033】
いくつかの好ましい実施形態において、前記第2の負極活性材料の粒径分布は、1.0≦(Dv90-Dv10)/Dv50≦2であってもよく、より好ましくは、1.2≦(Dv90-Dv10)/Dv50≦1.7である。
【0034】
いくつかの好ましい実施形態において、前記第1の負極活性材料の黒鉛化度は、95%~98%であり、より好ましくは、96%~97%である。
【0035】
いくつかの好ましい実施形態において、前記第2の負極活性材料の黒鉛化度は、90%~95%であり、より好ましくは、91%~93%である。
【0036】
第1の負極活性材料及び/又は第2の負極活性材料は、黒鉛化度が所定の範囲内にあることをさらに満たす場合、上、下層の黒鉛材料の結晶型構造がより合理的にマッチングされ、充放電サイクル過程での活性イオンの固相拡散速度を効果的に向上させ、且つ充放電サイクル過程での電池の副反応を低下させるため、電池の動力性能及びサイクル性能をさらに改善させる。
【0037】
いくつかの好ましい実施形態において、前記第1の負極活性材料の形状は、球状及び略球状のうちの一種類又は複数種類を含むことができる。この時、電池の電気化学膨張及び電極シートの加工性能を効果的に改善することができる。
【0038】
いくつかの好ましい実施形態において、前記第2の負極活性材料の形状は、ブロック状及びシート状のうちの一種類又は複数種類を含むことができる。この時、材料の粒子間の隙間を効果的に改善することができ、ブロック状及びシート状の構造は、粒子間に「架橋」効果をもたらしやすく、電解液が活性イオンの輸送に浸潤されるのに役立つため、電池の動力性能をさらに改善することができる。
【0039】
いくつかの好ましい実施形態において、前記第1の負極活性材料は、表面の少なくとも一部に非晶質炭素被覆層を有する。
【0040】
いくつかの好ましい実施形態において、前記第2の負極活性材料は、表面に非晶質炭素被覆層を有しない。
【0041】
いくつかの好ましい実施形態において、前記第1の負極活性材料における前記天然黒鉛の質量割合は、≧50%であり、より好ましくは、80%~100%である。
【0042】
いくつかの好ましい実施形態において、前記第2の負極活性材料における前記人造黒鉛の質量割合は、≧80%であり、より好ましくは、90%~100%である。
【0043】
本願で使用される天然黒鉛及び人造黒鉛は、いずれも商業的に入手可能なものである。
【0044】
いくつかの好ましい実施形態において、前記負極膜層の厚さは、≧50μmであり、好ましくは、60μm~75μmである。なお、前記負極膜層の厚さとは、負極膜層の総厚さ(即ち、第1の負極膜層と第2の負極膜層との厚さの合計)を指す。
【0045】
いくつかの好ましい実施形態において、前記負極膜層の面密度CWは、10mg/cm≦CW≦13mg/cmを満たし、好ましくは、10.5mg/cm≦CW≦11.5mg/cmを満たす。なお、前記負極膜層の面密度とは、負極膜層全体の面密度(即ち、第1の負極膜層と第2の負極膜層との面密度の合計)を指す。
【0046】
いくつかの好ましい実施形態において、前記第1の負極膜層と前記第2の負極膜層との厚さの比は1:1.01~1:1.1であり、より好ましくは、1:1.02~1:1.06である。
【0047】
上、下層の厚さが所定の範囲内にある場合、上下層に勾配孔隙分布を形成するのに役立ち、正極から脱離された活性イオンの負極膜層の表面での液相伝導抵抗を減少させ、イオンが表層に堆積されてリチウム析出を引き起こすという問題を引き起こさず、同時に活性イオンの膜層での均一な拡散は分極を減少させるのに役立ち、電池の動力性能及びサイクル性能をさらに向上させる。
【0048】
いくつかの好ましい実施形態において、前記負極膜層の比表面積Sは、1.8m/g≦S≦2.6m/gを満たし、より好ましくは、2.0m/g≦S≦2.4m/gを満たす。負極膜層の比表面積が所定の範囲内にある場合、負極膜層に適切な電気化学的活性部位を有し、電池の副反応を効果的に低減することができるため、電池のサイクル性能をさらに改善することができる。
【0049】
本願において、一定の圧力での材料のリバウンド率は、本分野の周知の意味を有し、本分野の既知の方法で測定することができる。例えば、GB/T 24533-2009を参照して、電子圧力測定機(例えばUTM7305)を使用して測定することができる。例として、以下のステップに応じて操作することができる。
1)機器校正:ガスケット及び鋼柱を金型に入れ、15000Nに加圧した後に30s保持して秤量し、保圧高さH0を記録し、圧力を開放し、10s待った後に、圧力開放高さH1を読み取る。
2)リバウンド率測定:一定の質量(例えば0.9±0.01g程度)の活性材料を秤量し、その重量データM(単位g)を記録し、秤量された活性材料を全部金型溝に注ぎ、別の鋼ガスケットを取り、その平面を粉末に下向きに押し、鋼柱平面を下向きにして、ガスケットに押す。15000Nに加圧した後に30s保持し、保圧高さH2を記録する。圧力を開放し、10s待った後に、圧力開放高さH3を読み取る。材料のリバウンド率=(H3-H2-H1+H0)/(H2-H0)である。
【0050】
本願において、材料のD10、D50、Dv90はいずれも本分野で周知の意味を有し、本分野で既知の方法で測定することができる。例えばレーザー回折粒度分布測定装置(例えばMastersizer 3000)を用いて、粒度分布レーザー回折法(具体的にはGB/T 19077-2016を参照することができる)に基づいて測定して得られる。ここで、Dv10は、材料の累積体積百分率が10%に達する場合に対応する粒径であり、Dv50は、材料の累積体積百分率が50%に達する場合に対応する粒径であり、即ち、体積分布の中間位置の粒径であり、Dv90は、材料の累積体積百分率が90%に達する場合に対応する粒径である。
【0051】
本願において、材料の粉体圧密度は周知の意味を有し、本分野の既知の方法で測定することができる。例えばGB/T 24533-2009を参照して、電子圧力測定機(例えばUTM7305)を用いて測定することができる。一定量の粉末を圧密専用金型に置き、異なる圧力を設定し、機器で異なる圧力での粉末の厚さを読み出すことができ、異なる圧力での圧密度を算出することができる。本願において、圧力を50000Nに設定する。
【0052】
本願において、材料の黒鉛化度は本分野で周知の意味を有し、本分野で既知の方法で測定することができる。例えば、黒鉛化度は、X線回折装置(例えばBrukerD8 Discover)を用いて測定することができ、測定はJISK0131-1996、JB/T 4220-2011を参照し、d002の大きさを測定した後、公式G=(0.344-d002)/(0.344-0.3354)×100%に基づいて黒鉛化度を算出することができ、ここで、d002は、ナノメートル(nm)で表される材料結晶構造における層間隔である。
【0053】
本願において、材料の形状は本分野で周知の意味を有し、本分野で既知の方法で測定することができる。例えば、材料を導電性接着剤に貼り付け、走査型電子顕微鏡(例えばZEISSsigma 300)を用いて、粒子の形状を測定する。測定は、JY/T010-1996を参照することができる。
【0054】
本願において、負極膜層の総厚さはマイクロメータで測定して得ることができ、例えば型番がMitutoyo 293-100であり、精度が0.1μmであるマイクロメータで測定して得ることができる。
【0055】
本願において、第1の負極膜層及び第2の負極膜層の厚さは、走査型電子顕微鏡(例えばZEISSsigma 300)を用いて測定することができる。サンプルの製造は以下の通りである。まず、負極シートを一定のサイズの測定対象サンプル(例えば2cm×2cm)に切断し、パラフィンにより負極シートをサンプル台に固定する。次に、サンプル台をサンプル棚に入れてロックして固定し、アルゴンイオン断面研磨装置(例えばIB-19500CP)の電源及び真空排気(例えば10-4Pa)をオンにし、アルゴンガス流量(例えば0.15mPa)及び電圧(例えば8KV)と研磨時間(例えば2時間)とを設定し、サンプル台を揺動モードに調整して研磨を開始する。サンプル測定は、JY/T010-1996を参照することができる。測定結果の正確性を確保するために、測定対象サンプルから複数(例えば10個)の異なる領域をランダムに選択して走査測定を行い、且つ一定の拡大倍率(例えば500倍)で、スケール測定領域における第1の負極膜層及び第2の負極膜層のそれぞれの厚さを読み取り、複数の測定領域の測定結果の平均値を第1の負極膜層及び第2の負極膜層の厚さの平均値とする。
【0056】
本願において、負極膜層の面密度は本分野で周知の意味を有し、本分野で既知の方法で測定することができる。例えば、片面が塗布され且つ冷間プレスされた後の負極シート(両面が塗布された負極シートである場合、まずそのうちの一面の負極膜層を拭いてもよい)を取り、面積がS1の小さなウェハに打ち抜き、その重量を秤量し、M1と記録する。次に上記秤量後の負極シートの負極膜層を拭き取り、負極集電体の重量を秤量し、M0と記録し、負極膜層の面密度=(負極シートの重量M1-負極集電体の重量M0)/S1である。測定結果の正確性を確保するために、複数群(例えば10群)の測定対象サンプルを測定し、且つ平均値を計算して測定結果としてもよい。
【0057】
本願において、前記負極膜層の比表面積は本分野で周知の意味を有し、本分野で既知の方法で測定することができる。例えばGB/T 19587-2017を参照することができ、窒素ガス吸着比表面積分析測定方法で測定し、且つBET(Brunauer Emmett Teller)法で計算して得られ、ここで、窒素ガス吸着比表面積分析測定は米国Micromeritics社のTri-Star 3020型の比表面積孔径分析測定機を利用して行うことができる。
【0058】
負極膜層の圧密度は本分野の周知の意味を有し、本分野の既知の方法で測定することができる。例えば、まず、上記測定方法に応じて負極膜層の面密度及び厚さを取得し、負極膜層の圧密度=負極膜層の面密度/負極膜層の厚さである。
【0059】
なお、上記負極活性材料に対する様々なパラメータ測定は、塗布前にサンプリングして測定してもよく、冷間プレス後の負極膜層からサンプリングして測定してもよい。
【0060】
上記測定サンプルが冷間プレスされた後の負極膜層からサンプリングされるものである場合、例として、以下のステップに従ってサンプリングすることができる。
(1)まず、冷間プレス後の負極膜層を任意に選択し、第2の負極活性材料をサンプリングし(スクレーパで粉末をこすり落としてサンプリングしてもよい)、スクレーパの深さは第1の負極膜層と第2の負極膜層との境界領域を超えない。
(2)次に、第1の負極活性材料をサンプリングし、負極膜層の冷間プレス過程において、第1の負極膜層と第2の負極膜層との間の境界領域に相互溶融層が存在する可能性があり(即ち、相互溶融層に第1の活性材料及び第2の活性材料が同時に存在する)、測定の正確性のために、第1の負極活性材料をサンプリングする時に、まず相互溶融層をこすり落とした後、第1の負極活性材料の粉末をこすり落としてサンプリングすることができる。
(3)上記の収集された第1の負極活性材料及び第2の負極活性材料をそれぞれ脱イオン水に入れ、且つ第1の負極活性材料及び第2の負極活性材料を吸引濾過し、乾燥し、さらに乾燥した後の各負極活性材料を一定の温度及び時間で焼結し(例えば400℃、2h)、接着剤及び導電性炭素を除去すれば、第1の負極活性材料及び第2の負極活性材料の測定サンプルが得られる。
【0061】
上記サンプリング過程において、光学顕微鏡又は走査型電子顕微鏡で第1の負極膜層と第2の負極膜層との間の境界領域の位置を補助的に判断することができる。
【0062】
本願において、前記第1の負極膜層及び/又は前記第2の負極膜層は、一般的に、負極活性材料と、選択可能な接着剤、選択可能な導電剤及び他の選択可能な助剤と、を含む。
【0063】
例として、導電剤は、超伝導カーボン、アセチレンブラック、カーボンブラック、ケッチェンブラック、カーボンドット、カーボンナノチューブ、グラフェン及びカーボンナノファイバーのうちの一種類又は複数種類であってもよい。
【0064】
例として、接着剤は、スチレンブタジエンゴム(SBR)、水性アクリル樹脂(water-based acryliCresin)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリビニルアルコール(PVA)及びポリビニルブチラール(PVB)のうちの一種類又は複数種類であってもよい。
【0065】
例として、他の選択可能な助剤は、増粘及び分散剤(例えばカルボキシメチルセルロースナトリウムCMC-Na)、PTC(Positive Temperature Coefficient、正温度係数)サーミスタ材料などであってもよい。
【0066】
本願において、前記第1の負極活性材料及び/又は前記第2の負極活性材料は、本願の前述の所定の黒鉛材料を使用する以外にも、さらに一定量の他の一般的な負極活性材料、例えば、ソフトカーボン、ハードカーボン、シリコン系材料、スズ系材料、チタン酸リチウムのうちの一種類又は複数種類を選択的に添加することができる。前記シリコン系材料は、単体シリコン、シリコン酸化物、シリコン炭素複合体、シリコン合金のうちの一種類又は複数種類から選択することができる。前記スズ系材料は、単体スズ、スズ酸化物、スズ合金のうちの一種類又は複数種類から選択することができる。これらの材料は、商業的に入手することができる。当業者は、実際の使用環境に応じて適切に選択することができる。
【0067】
本願の二次電池において、前記負極集電体は、一般的な金属箔又は複合集電体(金属材料を高分子基材上に設置して複合集電体を形成してもよい)を使用することができる。例として、負極集電体は、銅箔を使用することができる。
【0068】
理解できるように、負極集電体は自身の厚さ方向で対向する二つの表面を有し、負極膜層は、負極集電体の二つの対向する表面のうちのいずれか一つ又は両方に積層設置されてもよい。
【0069】
図2は、本願の負極シート10の一実施形態の模式図を示す。負極シート10は、負極集電体101と、負極集電体の両面にそれぞれ設けられた第1の負極膜層103と、第1の負極膜層103上に設けられた第2の負極膜層102とから構成されている。
【0070】
図3は、本願の負極シート10の他の実施形態の模式図を示す。負極シート10は、負極集電体101と、負極集電体の一つの表面に設けられた第1の負極膜層103と、第1の負極膜層103上に設けられた第2の負極膜層102とから構成されている。
【0071】
なお、本願に係る各負極膜層のパラメータ(例えば、膜層の厚さ、面密度など)は、いずれも片面の膜層のパラメータの範囲を指す。負極膜層が負極集電体の二つの表面に同時に設置される場合、そのうちのいずれか一つの表面上の膜層のパラメータが本願を満たすと、本願の保護範囲内にあると考えられる。また、本願に記載の膜層の厚さ、面密度などの範囲は、いずれも冷間圧密により圧密された後に電池を組み立てるのに用いられる膜層のパラメータを指す。
[正極シート]
【0072】
本願の二次電池において、前記正極シートは、正極集電体と、正極集電体の少なくとも一つの表面に設置され、且つ正極活性材料を含む正極膜層と、を含む。
【0073】
理解できるように、正極集電体は、自身の厚さ方向で対向する二つの表面を有し、正極膜層は、正極集電体の二つの対向する表面のうちのいずれか一つ又は両方に積層設置されてもよい。
【0074】
本願の二次電池において、前記正極集電体は、一般的な金属箔又は複合集電体(金属材料を高分子基材上に設置して複合集電体を形成してもよい)を使用することができる。例として、正極集電体はアルミニウム箔を使用することができる。
【0075】
本願の二次電池において、前記正極活性材料は、リチウム遷移金属酸化物、オリビン構造のリチウム含有リン酸塩及びそれぞれの改質化合物のうちの一種類又は複数種類を含むことができる。リチウム遷移金属酸化物は、例えば、リチウムコバルト酸化物、リチウムニッケル酸化物、リチウムマンガン酸化物、リチウムニッケルコバルト酸化物、リチウムマンガンコバルト酸化物、リチウムニッケルマンガン酸化物、リチウムニッケルコバルトマンガン酸化物、リチウムニッケルコバルトアルミニウム酸化物及びそれらの改質化合物のうちの一種類又は複数種類を含むがこれらに限定されない。オリビン構造のリチウム含有リン酸塩は、例えば、リン酸鉄リチウム、リン酸鉄リチウムと炭素の複合材料、リン酸マンガンリチウム、リン酸マンガンリチウムと炭素の複合材料、リン酸マンガン鉄リチウム、リン酸マンガン鉄リチウムと炭素の複合材料及びその改質化合物のうちの一種類又は複数種類を含むがこれらに限定されない。本願はこれらの材料に限定されず、さらに他の二次電池正極活性材料として使用可能な従来の周知の材料を使用することができる。
【0076】
いくつかの好ましい実施形態において、電池のエネルギー密度をさらに向上させるために、正極活性材料は、式1で表されるリチウム遷移金属酸化物及びその改質化合物のうちの一種類又は複数種類を含むことができる。
LiNiCo(式1)
前記式1において、0.8≦a≦1.2、0.5≦b<1、0<c<1、0<d<1、1≦e≦2、0≦f≦1であり、Mは、Mn、Al、Zr、Zn、Cu、Cr、Mg、Fe、V、Ti及びBのうちの一種類又は複数種類から選択され、Aは、N、F、S及びClのうちの一種類又は複数種類から選択される。
【0077】
本願において、上記各材料の改質化合物は、材料にドーピング改質及び/又は表面被覆改質を行うことができる。
【0078】
本願の二次電池において、前記正極膜層は、接着剤及び/又は導電剤をさらに選択的に含む。
【0079】
例として、正極膜層に用いられる接着剤は、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)及びポリテトラフルオロエチレン(PTFE)のうちの一種類又は複数種類を含むことができる。
【0080】
例として、正極膜層に用いられる導電剤は、超伝導カーボン、アセチレンブラック、カーボンブラック、ケッチェンブラック、カーボンドット、カーボンナノチューブ、グラフェン及びカーボンナノファイバーのうちの一種類又は複数種類を含むことができる。
[電解質]
【0081】
電解質は、正極シートと負極シートとの間でイオンを伝導する役割を果たす。本願は、電解質の種類を具体的に限定せず、需要に応じて選択することができる。例えば、電解質は、固体電解質及び液体電解質(即ち電解液)のうちの少なくとも一種類から選択されることができる。
【0082】
いくつかの実施形態において、電解質は電解液を使用する。電解液は、電解質塩及び溶媒を含む。
【0083】
いくつかの実施形態において、電解質塩は、LiPF(ヘキサフルオロリン酸リチウム)、LiBF(テトラフルオロホウ酸リチウム)、LiClO(過塩素酸リチウム)、LiAsF(ヘキサフルオロヒ酸リチウム)、LiFSI(ジフルオロスルホニルイミドリチウム)、LiTFSI(ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム)、LiTFS(トリフルオロメタンスルホン酸リチウム)、LiDFOB(ジフルオロシュウ酸ホウ酸リチウム)、LiBOB(ジシュウ酸ホウ酸リチウム)、LiPO(ジフルオロリン酸リチウム)、LiDFOP(ジフルオロジシュウ酸リン酸リチウム)及びLiTFOP(テトラフルオロシュウ酸リン酸リチウム)のうちの一種類又は複数種類から選択される。
【0084】
いくつかの実施形態において、溶媒は、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジプロピルカーボネート(DPC)、メチルプロピルカーボネート(MPC)、エチルプロピルカーボネート(EPC)、ブチレンカーボネート(BC)、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、ギ酸メチル(MF)、酢酸メチル(MA)、酢酸エチル(EA)、酢酸プロピル(PA)、プロピオン酸メチル(MP)、プロピオン酸エチル(EP)、プロピオン酸プロピル(PP)、酪酸メチル(MB)、酪酸エチル(EB)、1,4-ブチロラクトン(GBL)、スルホラン(SF)、ジメチルスルホン(MSM)、メチルエチルケトン(EMS)及びジエチルスルホン(ESE)のうちの一種類又は複数種類から選択される。
【0085】
いくつかの実施形態において、電解液は、添加剤をさらに選択的に含むことができる。例えば、添加剤は、負極成膜添加剤を含んでもよく、正極成膜添加剤を含んでもよく、さらに、例えば電池の過充電性能を改善する添加剤、電池の高温性能を改善する添加剤、電池の低温性能を改善する添加剤などのような、電池のいくつかの性能を改善できる添加剤であってもよい。
[セパレータ]
【0086】
電解液を使用する二次電池、及び固体電解質を使用するいくつかの二次電池において、セパレータをさらに含む。セパレータは、正極シートと負極シートとの間に設置され、隔離の役割を果たす。本願は、セパレータの種類を特に限定せず、任意の周知の良好な化学的安定性及び機械的安定性を有する多孔質構造セパレータを選択することができる。いくつかの実施形態において、セパレータの材質は、ガラス繊維、不織布、ポリエチレン、ポリプロピレン及びポリフッ化ビニリデンのうちの一種類又は複数種類から選択することができる。セパレータは、単層フィルムであってもよく、多層複合フィルムであってもよい。セパレータが多層複合フィルムである場合、各層の材料は同じであってもよく異なってもよい。
【0087】
いくつかの実施形態において、正極シート、負極シート及びセパレータは、巻回プロセス又は積層プロセスにより電極アセンブリを製造することができる。
【0088】
いくつかの実施形態において、二次電池は外装を含むことができる。この外装は、上記電極アセンブリ及び電解質を密封するのに用いられる。
【0089】
いくつかの実施形態において、二次電池の外装は、硬質ケースであってもよく、例えば、硬質プラスチックケース、アルミニウムケース、鋼ケースなどであってもよい。二次電池の外装は、例えば袋状ソフトパックのようなソフトパックであってもよい。ソフトバッグの材質は、プラスチックであってもよく、例えばポリプロピレン(PP)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリブチレンサクシネート(PBS)などのうちの一種類又は複数種類であってもよい。
【0090】
本願は、前記二次電池の形状を特に限定せず、円筒形、四角形又は他の任意の形状であってもよい。図1には、一例として四角形構造の二次電池5が示されている。
【0091】
いくつかの実施形態において、図4を参照すると、外装は、ケース51及びカバープレート53を含んでもよい。ここで、ケース51は、底板と底板上に接続された側板とを含んでもよく、底板と側板とは囲んで収容室を形成する。ケース51は、収容室に連通された開口を有し、カバープレート53は、前記開口をカバーすることで、前記収容室を密封する。正極シート、負極シート及びセパレータは、巻回プロセス又は積層プロセスにより電極アセンブリ52を形成することができる。電極アセンブリ52は、前記収容室に封入される。電解液は、電極アセンブリ52内に浸潤される。二次電池5に含まれる電極アセンブリ52の個数は、一つ又は複数であってよく、実際の需要に応じて調節することができる。
【0092】
いくつかの実施形態において、二次電池は、電池モジュールとして組み立てることができ、電池モジュールに含まれる二次電池の個数は、複数であってもよく、具体的な個数は、電池モジュールの適用及び容量によって調節することができる。
【0093】
図5は、一例としての電池モジュール4である。図5を参照すると、電池モジュール4において、複数の二次電池5は、電池モジュール4の長手方向に沿って順次配列して設置されてもよい。当然のことながら、他の任意の方式で配列することもできる。さらに、この複数の二次電池5を締結具で固定してもよい。
【0094】
好ましくは、電池モジュール4は、さらに、収容空間を有するハウジングを含むことができ、複数の二次電池5は、当該収容空間に収容される。
【0095】
いくつかの実施形態において、上記電池モジュールは、さらに電池パックとして組み立てることができ、電池パックに含まれる電池モジュールの個数は、電池パックの適応及び容量に応じて調整することができる。
【0096】
図6及び図7は、一例としての電池パック1である。図6及び図7を参照すると、電池パック1は、電池ボックスと電池ボックス内に設置された複数の電池モジュール4とを含むことができる。電池ボックスは、上部ボックス本体2及び下部ボックス本体3を含み、上部ボックス本体2は下部ボックス本体3をカバーすることができ、且つ電池モジュール4を収容するための密閉空間を形成する。複数の電池モジュール4は、任意の方式で電池ケース内に配置されてもよい。
二次電池の製造方法
【0097】
本願の第2の態様において、二次電池の製造方法を提供し、当該製造方法は、
1)負極集電体の少なくとも一つの表面に、第1の負極活性材料を含む第1の負極膜層を形成する工程と、
2)前記第1の負極膜層に、第2の負極活性材料を含む第2の負極膜層を形成する工程と
によって、前記二次電池の負極シートを製造することを含み、
前記第1の負極活性材料は天然黒鉛を含み、且つ、前記第1の負極活性材料は12%≦A≦18%を満たし、
前記第2の負極活性材料は人造黒鉛を含み、且つ、前記第2の負極活性材料は20%≦B≦30%を満たし、
Aは、15000Nの作用力を受けた後に測定された第1の負極活性材料のリバウンド率であり、
Bは、15000Nの作用力を受けた後に測定された第2の負極活性材料のリバウンド率である。
【0098】
本願の二次電池の製造方法において、第1の負極活性材料スラリー及び第2の負極活性材料スラリーを一回で同時に塗布してもよく、二回に分けて塗布してもよい。
【0099】
いくつかの好ましい実施形態において、第1の負極活性材料スラリー及び第2の負極活性材料スラリーを一回で同時に塗布する。一回で同時に塗布することにより、上下負極膜層の間の接着性をよりよくすることができ、電池のサイクル性能をさらに改善するのに役立つ。
【0100】
負極シートの製造方法以外に、本願の二次電池の構造及び製造方法自体は周知である。
【0101】
例として、本願の二次電池の構造及び製造方法は、以下の通りである。
本願の負極シートの製造方法以外にも、本願の二次電池の他の構造及び製造方法自体は周知である。例えば、本願の正極シートは、以下の製造方法に応じて製造することができる。正極活性材料と選択可能な導電剤(例えばカーボンブラックなどの炭素材料)、接着剤(例えばPVDF)などとを混合した後に溶媒(例えばNMP)で分散させ、均一に撹拌した後に正極集電体に塗布し、乾燥させた後に正極シートが得られる。正極集電体として、アルミニウム箔などの金属箔又は多孔質金属板などの材料を用いることができる。正極シートを製造する時に、正極集電体の未塗布領域で、打ち抜き又はレーザダイカットなどの方式で正極タブを得ることができる。
最後に、正極シート、セパレータ、負極シートを順次積層して、セパレータが正極シートと負極シートとの間に位置して隔離の役割を果たし、次に巻回(又は積層)プロセスにより電極アセンブリを得る。電極アセンブリを外装に置き、乾燥した後に電解液を注入し、真空封止、静置、化成、整形などの工程を経て、二次電池が得られる。
装置
【0102】
本願の第3の態様は、装置を提供する。この装置は、本願の第1の態様に係る二次電池又は本願の第2の態様に係る方法により製造された二次電池を含む。前記二次電池は、装置の電源として用いられてもよく、前記装置のエネルギー貯蔵ユニットとして用いられてもよい。本願の装置は、本願に係る二次電池を使用するため、少なくとも前記二次電池と同じ利点を有する。
【0103】
前記装置は、携帯機器(例えば、携帯電話、ノートパソコンなど)、電動車両(例えば、純電気自動車、ハイブリッド電気自動車、プラグインハイブリッド電気自動車、電動自転車、電動スクーター、電動ゴルフカート、電動トラックなど)、電気列車、船舶及び衛星、エネルギー貯蔵システムなどであってもよいが、これらに限定されない。
【0104】
前記装置は、その使用ニーズに応じて、二次電池、電池モジュール又は電池パックを選択することができる。
【0105】
図8は、一例としての装置である。当該装置は、純電気自動車、ハイブリッド電気自動車、又はプラグインハイブリッド電気自動車などである。当該装置は、二次電池に対する高倍率及び高エネルギー密度の需要を満たすために、電池パック又は電池モジュールを使用することができる。
【0106】
他の例としての装置は、携帯電話、タブレットコンピュータ、ノートパソコンなどであってもよい。当該装置は、一般的に薄型化を要求するため、二次電池を電源として使用することができる。
【0107】
以下、実施例を参照しながら本願の有益な効果をさらに説明する。
実施例
【0108】
以下、本願の発明目的、技術的解決手段及び有益な技術的効果をより明確にするために、実施例と組み合わせて本願をさらに詳細に説明する。しかしながら、理解すべきこととして、本願の実施例は本願を説明するためのものに過ぎず、本願を限定するものではなく、且つ本願の実施例は明細書に示された実施例に限定されるものではない。実施例において具体的な実験条件又は操作条件が記載されていない場合、一般的な条件に応じて製造されるか、又は材料供給業者が推薦する条件に応じて製造される。
一.二次電池の製造
実施例1
1)正極シートの製造
【0109】
リチウムニッケルコバルトマンガン三元活物質 LiNi0.8Co0.1Mn0.1(NCM811)と導電性カーボンブラック Super-Pと接着剤 ポリフッ化ビニリデン(PVDF)とを94:3:3の重量比でN-メチルピロリドン溶媒で十分に撹拌して均一に混合した後、スラリーをアルミニウム箔基材に塗布し、乾燥、冷間プレス、ストリップ分割、切断などの工程を経て、正極シートを得る。ここで、正極膜層の面密度は17.5mg/cmであり、圧密度は3.4g/cmである。
2)負極シートの製造
【0110】
第1のステップにおいて、負極スラリー1を製造する。第1の負極活性材料 天然黒鉛、接着剤 SBR、増粘剤 カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC-Na)及び導電性カーボンブラック(Super P)を秤量して、96.2:1.8:1.2:0.8の重量比で、脱イオン水とともに、一定の順序で撹拌タンクに添加し混合して、負極スラリー1を製造する。
【0111】
第2のステップにおいて、負極スラリー2を製造する。第2の負極活性材料 人造黒鉛材料、接着剤 SBR、増粘剤 カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC-Na)及び導電性カーボンブラック(Super P)を秤量して、96.2:1.8:1.2:0.8の重量比で、脱イオン水とともに、一定の順序で撹拌タンクに添加し混合して、第1の負極スラリー2を製造する。
【0112】
第3のステップにおいて、ダブルキャビティ塗布装置により、負極スラリー1と負極スラリー2とを同時に押し出す。負極スラリー1を負極集電体に塗布して第1の負極膜層を形成し、負極スラリー2を第1の負極膜層に塗布して第2の負極膜層を形成する。第1の負極膜層と第2の負極膜層との質量比は、1:1である。負極膜層の面密度は、11.5mg/cmである。負極膜層の圧密度は、1.65g/cmである。
【0113】
第4のステップにおいて、塗布された湿潤フィルムをオーブンで異なる温度範囲で焼成して乾燥電極シートを取得し、さらに冷間プレスしによって必要な負極膜層を取得し、さらにストリップ分割、切断などの工程を経て、負極シートを得る。
3)セパレータ
【0114】
セパレータとして、PE(ポリエチレン)フィルムを選択する。
4)電解液の調製
【0115】
エチレンカーボネート(EC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジエチルカーボネート(DEC)を1:1:1の体積比で混合し、次に十分に乾燥したリチウム塩 LiPFを1mol/Lの比率で混合有機溶媒に溶解して、電解液を調製する。
5)電池の製造
【0116】
上記正極シート、セパレータ、負極シートを順次積層し、巻回して電極アセンブリを取得し、電極アセンブリを外装に入れ、上記電解液を注入し、封止、静置、化成、老化などの工程を経た後、二次電池を得る。
【0117】
実施例2~12及び比較例1~4の二次電池は、実施例1の二次電池の製造方法と類似するが、電池シートの構成及び製品パラメータを調整しており、異なる製品パラメータの詳細は表1を参照することができる。
二.性能の測定方法
1.動力性能測定(室温リチウム析出倍率)
【0118】
25℃の環境で、各実施例及び比較例の電池に対して充放電測定を行い、放電カットオフ電圧が2.8Vになるまで、1.0C(即ち、1h内に理論容量を完全に放出する電流値)の放電電流で定電流放電を行う。次に、充電カットオフ電圧が4.2Vになるまで、1.0Cの充電電流で定電流充電し、続いて、電流が0.05Cになるまで定電圧充電し、この時に電池は満充電状態である。満充電の電池を5min静置した後、1.0Cの放電電流で放電カットオフ電圧になるまで定電流放電し、この時の放電容量は電池の1.0Cでの実際の容量であり、C0と記す。次に、電池をxC0でカットオフ電圧の上限になるまで定電流充電し、さらに電流が0.05C0になるまで定電圧充電し、5min静置し、電池を解体して界面のリチウム析出状況を観察する。負極の表面にリチウムが析出していない場合、負極の表面にリチウムが析出されるまで、充電倍率を増大させて再び測定を行う。負極の表面にリチウムが析出しない最大充電倍率を記録し、電池の動力性能を特徴付けるのに用いられる。
2.高温保存性能の測定
【0119】
25℃の環境で、各実施例及び比較例の電池に対して充放電測定を行い、放電カットオフ電圧が2.8Vになるまで、1.0C(即ち、1h内に理論容量を完全に放出する電流値)の放電電流で定電流放電を行う。次に、充電カットオフ電圧が4.2Vになるまで、1.0Cの充電電流で定電流充電し、続いて、電流が0.05Cになるまで定電圧充電し、この時に電池は満充電状態である。満充電の電池を5min静置した後、1.0Cの放電電流で放電カットオフ電圧になるまで定電流放電し、この時の放電容量は電池の1.0Cでの実際の容量であり、C0と記す。次に、25℃で、電池を1C0の充電電流で充電カットオフ電圧になるまで定電流充電し、続いて、電流が0.05Cになるまで定電圧充電し、この時に電池は満充電状態である。満充電状態の電池を60℃の環境下に置き、30日間放置した後に取り出し且つ25℃で残容量C1を測定し、これを一つの保存周期とすると、今回の放電容量は1回目の保存後の放電容量である。放電容量がC0の90%に達するまで、1回目の保存測定フローを繰り返し、この時の保存時間を記録する。
三.各実施例、比較例の測定結果
【0120】
上記方法に応じて各実施例及び比較例の電池をそれぞれ製造し、且つ各性能パラメータを測定すると、結果は以下の表1に示すようになる。
【0121】
表1における実施例1~12及び比較例1~4のデータから分かるように、第1の負極活性材料における天然黒鉛が12%≦A≦18%を満たし、且つ、同時に第2の負極活性材料における人造黒鉛が20%≦B≦30%を満たす場合のみに、二次電池は良好な動力性能及び高温貯蔵性能を同時に有することができる。13%≦A≦16%及び/又は24%≦B≦28%である場合、二次電池の総合性能が最適である。また、1.1≦B/A≦2.5である場合、特に1.5≦B/A≦2.1である場合、二次電池の表現がより好ましい。
【0122】
さらに補足説明すべきことは、上記明細書の開示及び指導に基づいて、本願が属する分野の当業者はさらに上記実施形態に対して適切な変更及び修正を行うことができる。したがって、本願は、以上に開示され説明された具体的な実施形態に限定されるものではなく、本願に対するいくつかの修正及び変更も本願の請求範囲の保護範囲内に含まれる。また、本明細書においていくつかの特定の用語を使用するが、これらの用語は説明を容易にするためのものであり、本願を何ら限定するものではない。
【0123】
【表1】
【符号の説明】
【0124】
1 電池パック、2 上部ボックス本体、3 下部ボックス本体、4 電池モジュール、5 二次電池、51 ケース、52 電極アセンブリ、53 カバープレート、10 負極シート、101 負極集電体、102 第2の負極膜層、103 第1の負極膜層。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】