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特表2022-527160整形外科用セットスクリュを2つの異なるトルクレベルで締め付けるためのシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-31
(54)【発明の名称】整形外科用セットスクリュを2つの異なるトルクレベルで締め付けるためのシステム
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/88 20060101AFI20220524BHJP
   A61B 17/70 20060101ALI20220524BHJP
【FI】
A61B17/88
A61B17/70
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021557232
(86)(22)【出願日】2020-03-26
(85)【翻訳文提出日】2021-11-11
(86)【国際出願番号】 IB2020052857
(87)【国際公開番号】W WO2020194227
(87)【国際公開日】2020-10-01
(31)【優先権主張番号】PCT/IB2019/052453
(32)【優先日】2019-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515314867
【氏名又は名称】ネオ・メディカル・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】レファウコニアー, ヴィンセント
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160LL24
4C160LL56
4C160LL63
(57)【要約】
椎弓根スクリュに脊椎ロッドを保持するための椎弓根スクリュのヘッドにセットスクリュを締め付けるための整形外科用インプラントキットであって、前記キットは、前記椎弓根スクリュのヘッドを保持するためのスクリュエクステンダと、前記セットスクリュと係合して前記セットスクリュを前記椎弓根スクリュのヘッドにねじ込み可能に締め付けるためのセットスクリュドライバと、前記セットスクリュドライバと前記スクリュエクステンダとの間のトルクを第1のトルク値に制限するための第1のトルク制限機構、または第1のトルクに達したことを示すための第1のトルク指示機構と、前記セットスクリュドライバと前記スクリュエクステンダとの間のトルクを前記第1のトルク値よりも高い第2のトルク値に制限するための第2のトルク制限機構とを含む、整形外科用インプラントキット。
【選択図】 図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
椎弓根スクリュのヘッドにセットスクリュを締め付けるための整形外科用インプラントキットであって、前記キットが、
前記椎弓根スクリュの前記ヘッドを保持するためのスクリュエクステンダと、
前記セットスクリュと係合して前記セットスクリュを前記椎弓根スクリュの前記ヘッドにねじ込み可能に締め付けるためのセットスクリュドライバと、
前記セットスクリュドライバと前記スクリュエクステンダとの間のトルクを第1のトルク値に制限するための第1のトルク制限機構、または前記セットスクリュドライバと前記スクリュエクステンダとの間で前記第1のトルク値に達したことを示すための第1のトルク指示機構と、
前記セットスクリュドライバと前記スクリュエクステンダとの間のトルクを前記第1のトルク値よりも高い第2のトルク値に制限するための第2のトルク制限機構と
を備える、整形外科用インプラントキット。
【請求項2】
前記第1のトルク制限機構または前記第1のトルク指示機構と前記第2のトルク制限機構とが、前記セットスクリュドライバに一体化されている、請求項1に記載の整形外科用インプラントキット。
【請求項3】
前記スクリュエクステンダに対して前記セットスクリュドライバを回転させるためのハンドルと、前記ハンドルと前記セットスクリュドライバとの間に配置された前記第1のトルク制限機構または前記第1のトルク指示機構と、前記セットスクリュドライバに一体化された前記第2のトルク制限機構とをさらに備える、請求項1に記載の整形外科用インプラントキット。
【請求項4】
前記スクリュエクステンダに対して前記セットスクリュドライバを回転させるためのハンドルと、前記ハンドルと前記セットスクリュドライバとの間に配置されるように構成された前記第1のトルク制限機構または前記第1のトルク指示機構と、前記ハンドルと前記セットスクリュドライバとの間に配置されるように構成された前記第2のトルク制限機構とをさらに備える、請求項1に記載の整形外科用インプラントキット。
【請求項5】
前記セットスクリュドライバが、
セットスクリュ係合部を有するシャフトと、
前記シャフトを取り囲む管状要素と、
前記管状要素を取り囲む外側シェルであって、前記外側シェルが、前記スクリュエクステンダの雌ねじ山とねじ込み可能に係合するための雄ねじ山を有する、外側シェルと
を備え、
第1の破断可能なピンが、前記管状要素と前記外側シェルとの間に配置され、前記第1のトルク制限機構または前記第1のトルク指示機構の一部を形成し、第2の破断可能なピンが、前記管状要素と前記シャフトとの間に配置され、前記第2のトルク制限機構を形成する、
請求項2に記載の整形外科用インプラントキット。
【請求項6】
前記セットスクリュドライバがさらに、
前記第1のトルク指示機構の一部として、前記第1の破断可能なピンの破断時に振動または音の少なくとも一方を発生させるための機構
を含む、請求項5に記載の整形外科用インプラントキット。
【請求項7】
前記機構が、前記管状要素の側壁の凹部と係合する突起を含む、請求項6に記載の整形外科用インプラントキット。
【請求項8】
前記セットスクリュドライバがさらに、
前記第1の破断可能なピンが破断した後に、前記管状要素と前記外側シェルとの間の回転運動を阻止するためのボルト
を含む、請求項4に記載の整形外科用インプラントキット。
【請求項9】
前記第1のトルク指示機構が、トルクスケール、前記第1のトルク値を通過する際に振動を発生させる機構、前記第1のトルク値を通過する際に衝撃を発生させる機構、および前記第1のトルク値を通過する際に可聴音を発生させる機構のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の整形外科用インプラントキット。
【請求項10】
脊椎ロッドを保持するための椎弓根スクリュのヘッドにセットスクリュを締め付けるための方法であって、前記椎弓根スクリュの前記ヘッドが、前記脊椎ロッドを収容する溝を有し、前記方法が、
前記椎弓根スクリュの前記ヘッドにセットスクリュをねじ込み可能に係合させるステップと、
セットスクリュドライバを前記セットスクリュに取り付けるステップと、
前記セットスクリュドライバに関連する第1のトルク制限機構によって、または第1のトルクに達したことを示すための第1のトルク指示機構によって制限される前記第1のトルクで前記椎弓根スクリュの前記ヘッドおよび前記脊椎ロッドに前記セットスクリュを第1に締め付けるステップと、
前記セットスクリュドライバに関連する第2のトルク制限機構によって前記第1のトルクよりも高い第2のトルクで前記椎弓根スクリュの前記ヘッドおよび前記脊椎ロッドに前記セットスクリュを第2に締め付けるステップと
を含む、セットスクリュを締め付けるための方法。
【請求項11】
前記第1に締め付けるステップおよび前記第2に締め付けるステップにおいて、前記第1および前記第2のトルク制限機構が、前記セットスクリュドライバと前記椎弓根スクリュの前記ヘッドとの間に作用し、前記椎弓根スクリュの前記ヘッドにスクリュエクステンダが取り外し可能に取り付けられる、請求項10に記載のセットスクリュを締め付けるための方法。
【請求項12】
前記第1のトルクレベルが、前記椎弓根スクリュの多軸性を維持しながら、前記脊椎ロッドを手動操作によって前記溝の内側で回転させることができないようなレベルである、請求項10に記載のセットスクリュを締め付けるための方法。
【請求項13】
椎弓根スクリュのヘッドにセットスクリュを締め付けるためのスクリュエクステンダを有する整形外科用インプラントキットのためのセットスクリュドライバであって、前記セットスクリュドライバが、
前記セットスクリュドライバと前記スクリュエクステンダとの間のトルクを第1のトルク値に制限するための第1のトルク制限機構、または前記セットスクリュドライバと前記スクリュエクステンダとの間で前記第1のトルク値に達したことを示すための第1のトルク指示機構と、
前記セットスクリュドライバと前記スクリュエクステンダとの間のトルクを前記第1のトルク値よりも高い第2のトルク値に制限するための第2のトルク制限機構と
を備える、セットスクリュドライバ。
【請求項14】
セットスクリュ係合部を有するシャフトと、
前記シャフトを取り囲む管状要素と、
前記管状要素を取り囲む外側シェルと
をさらに備え、
破断可能なピンまたはラチェット型デバイスが、前記管状要素と前記外側シェルとの間に配置され、前記第1のトルク制限機構または前記第1のトルク指示機構の一部を形成し、第2の破断可能なピンが、前記管状要素と前記シャフトとの間に配置され、前記第2のトルク制限機構を形成する、
請求項13に記載のセットスクリュドライバ。
【請求項15】
前記セットスクリュドライバがさらに、
前記破断可能なピンが破断した後、またはラチェット型デバイスが解放された後、前記管状要素と前記外側シェルとの間の回転運動を阻止するためのボルト
を含む、請求項14に記載のセットスクリュドライバ。
【請求項16】
前記第1のトルク指示機構が、前記第1のトルク値を通過する際に振動を発生させる機構、前記第1のトルク値を通過する際に衝撃を発生させる機構、および前記第1のトルク値を通過する際に可聴音を発生させる機構のうちの少なくとも1つを含む、請求項13に記載のセットスクリュドライバ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]関連出願の相互参照
本特許出願は、2019年3月26日に出願された国際特許出願第PCT/IB2019/052453号の優先権を主張し、その内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
[0002]本発明は、整形外科、より正確には、椎弓根スクリュ、ロッドおよび対応するセットスクリュを含む整形外科用ツールおよびシステムに関する。本発明はまた、これらの要素を操作するために使用される器具、およびセットスクリュにトルクを加えるためにこれらの要素を使用する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003]整形外科、ならびに整形外科手術、より具体的には脊柱の脊椎固定術のためのインプラント器具およびシステムの分野では、セットスクリュを使用して、ロッド型またはバー型のデバイスを押し下げて、当該デバイスを椎弓根スクリュのヘッドに取り付ける。脊椎ロッドを椎弓根スクリュのヘッドに向けてかつ押し下げるプロセスは、ロッドリダクションとも呼ばれる。椎弓根スクリュのヘッドにロッドを取り付ける前に、椎弓根スクリュを患者または生物の椎骨に締結するために、椎弓根スクリュは、骨アンカー、ねじ付き骨係合部または骨スクリュで椎骨に取り付けられる。この目的のために、一例として、椎骨固定のためのいくつかの隣接する椎骨について、各椎骨について椎弓根スクリュが当該錐骨に取り付けられ、その後、椎弓根スクリュヘッドによって形成された溝またはU字形の開口部に配置されたロッドを使用することによっていくつかの椎弓根スクリュが互いに向かって機械的に締結され、脊椎に沿って一列の椎弓根スクリュを形成する。これにより、患者または生物における脊椎固定のための脊椎安定化に必要な機械的支持を提供することが可能になる。
【0004】
[0004]例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第10,058,355号明細書は、椎弓根スクリュ、対応するセットスクリュ、ロッド、ならびにこれらを操作するためのツールであって、椎弓根スクリュを保持するためのスクリュエクステンダ、およびセットスクリュを椎弓根スクリュのスクリュヘッドにねじ込み可能に締め付けるためのセットスクリュドライバを含むツールを提供する整形外科用インプラントキットを記載している。別の例として、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第8,795,283号明細書は、ロッドを受け入れるためのヘッドを備えた椎弓根スクリュ、および外科的介入に必要なツールを含む、脊椎安定化のための外科的介入のための別の種類のキット整形外科手術システムを記載している。さらに別の例では、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第8,262,662号明細書は、脊柱内に脊椎コネクター脊椎アンカー部位を送達するためのシステムおよび方法を提供する。一実施形態では、U字形の受け部材と、骨係合部材と、エクステンダ材と、脊椎ロッドと、セットスクリュとを含む脊椎インプラントおよびアクセスデバイスが提供される。
【0005】
[0005]セットスクリュを介してロッドを椎弓根スクリュに取り付けるための、同様の整形外科的脊椎手術のコンセプト、ツールおよびデバイスが上述したように提案されており、例えば、米国特許第5,129,388号明細書、米国特許第5,520,689号明細書、米国特許第5,536,268号明細書、米国特許第5,720,751号明細書、米国特許第5,984,923号明細書、米国特許第6,056,753号明細書、米国特許第6,183,472号明細書、米国特許第6,258,090号明細書、米国特許第6,454,768号明細書、米国特許第6,648,888号明細書、米国特許第6,740,086号明細書、米国特許第7,618,442号明細書、米国特許第8,308,782号明細書、米国特許第8,876,868号明細書、米国特許出願公開第2006/0025771号明細書、および米国特許出願公開第2018/0289397号が挙げられ、これらの参考文献はすべてその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0006】
[0006]しかしながら、先行技術のツールは、脊椎手術ツールの外科医またはオペレーターが、特に異なる状況下でセットスクリュに加えられる必要がある正しい量のトルクを見つけるために、セットスクリュによってロッドを椎弓根スクリュに取り付ける必要があるときに、特定の問題を依然として提示する。したがって、先行技術の関連する脊椎手術ツールにおいて現在提案されているあらゆる解決策にもかかわらず、脊椎手術のための強く改善された方法、システムおよびデバイスが強く望まれている。
【発明の概要】
【0007】
[0007]本発明の一態様によれば、脊椎ロッドを保持するための椎弓根スクリュのヘッドにセットスクリュを締め付けるための方法が提供され、椎弓根スクリュのヘッドは、脊椎ロッドを収容する溝を有する。好ましくは、本方法は、椎弓根スクリュのヘッドにセットスクリュをねじ込み可能に係合させるステップと、セットスクリュドライバをセットスクリュに取り付けるステップと、セットスクリュドライバに関連する第1のトルク制限機構によって、または第1のトルクに達したことを示すための第1のトルク指示機構によって制限される第1のトルクで椎弓根スクリュのヘッドおよび脊椎ロッドにセットスクリュを第1に締め付けるステップと、セットスクリュドライバに関連する第2のトルク制限機構によって第1のトルクよりも高い第2のトルクで椎弓根スクリュのヘッドおよび脊椎ロッドにセットスクリュを第2に締め付けるステップとを含む。
【0008】
[0008]本発明の別の態様によれば、椎弓根スクリュに脊椎ロッドを保持するための椎弓根スクリュのヘッドにセットスクリュを締め付けるための整形外科用インプラントキットが提供される。好ましくは、整形外科用インプラントキットは、椎弓根スクリュのヘッドを保持するためのスクリュエクステンダと、セットスクリュと係合してセットスクリュを椎弓根スクリュのヘッドにねじ込み可能に締め付けるためのセットスクリュドライバと、スクリュエクステンダに対してセットスクリュドライバを回転させるためのハンドルと、セットスクリュドライバとスクリュエクステンダとの間のトルクを第1のトルク値に制限するための第1のトルク制限機構、または第1のトルクに達したことを示すための第1のトルク指示機構と、セットスクリュドライバとスクリュエクステンダとの間のトルクを第1のトルク値よりも高い第2のトルク値に制限するための第2のトルク制限機構とを含む。
【0009】
[0009]本発明の上記および他の目的、特徴および利点ならびにそれらを実現する方法は、より明らかになり、本発明自体は、本発明のいくつかの好ましい実施形態を示す添付の図面を参照して以下の説明を検討することによって最もよく理解されるであろう。
【0010】
[0010]本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する添付の図面は、本発明の現時点で好ましい実施形態を示し、上記の一般的な説明および以下の詳細な説明と共に、本発明の特徴を説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1A】第1のトルク制限または指示機能、および第2のトルク制限機能を有する整形外科用インプラントキット100の要素の側面図を示し、当該図は、椎弓根スクリュ1、スクリュヘッド2、セットスクリュまたはファスナー3、脊椎ロッド7、スクリュエクステンダ6、セットスクリュドライバ26、第1のトルクハンドル25、および第2のカウンタートルクハンドル29を有する整形外科用ツールキット100の側面横断面図を示している。
図1B】第1のトルク制限または指示機能、および第2のトルク制限機能を有する整形外科用インプラントキット100の要素の側面図を示し、当該図は、セットスクリュドライバ26、スクリュエクステンダ6、および第1のトルクハンドル25内のいくつかの横断面図を有する図1Aの同じ図を示している。
図1C】第1のトルク制限または指示機能、および第2のトルク制限機能を有する整形外科用インプラントキット100の要素の側面図を示し、当該図は、トルク指示機構127、例えばトルクスケールを有するハンドル125を示している。
図1D】第1のトルク制限または指示機能、および第2のトルク制限機能を有する整形外科用インプラントキット100の要素の側面図を示し、当該図は、ラチェット機構が有り無しの単純なハンドル225を示している。
図1E】第1のトルク制限または指示機能、および第2のトルク制限機能を有する整形外科用インプラントキット100の要素の側面図を示し、当該図は、セットスクリュドライバ26の上部シャフト8または近位端とハンドル25との間に動作可能に配置することができる別個のトルク制限機構327を示している。
図2A】整形外科用ツールキット100のセットスクリュドライバ226に一体化された第1および第2のトルク制限機能の図を示し、当該図は、中空円筒状または管状の本体、中間円筒状シェル237、およびトルクドライバ210を有する下部セクション220を有するセットスクリュドライバ226の例示的な横断面図を示している。
図2B】整形外科用ツールキット100のセットスクリュドライバ226に一体化された第1および第2のトルク制限機能の図を示し、当該図は、阻止用ボルト235を有する中間円筒状シェル237上の側面図で阻止用ボルト235の第1の位置を示し、また、ボルト235、第1の破断可能なピン227、および第2の破断可能なピン228の中心軸線の方向の3つの横断面図1,2,3を示している。
図2C】整形外科用ツールキット100のセットスクリュドライバ226に一体化された第1および第2のトルク制限機能の図を示し、当該図は、阻止用ボルト235を有する中間円筒状シェル237上の側面図で阻止用ボルト235の第2の位置を示し、また、ボルト235、第1の破断可能なピン227、および第2の破断可能なピン228の中心軸線の方向の3つの横断面図を示している。
図2D】整形外科用ツールキット100のセットスクリュドライバ226に一体化された第1および第2のトルク制限機能の図を示し、当該図は、中間円筒状シェル237の外面およびボルト235の側面図を示すへこみに係合するボルト235の代替的な実施形態を示している。
図2E】整形外科用ツールキット100のセットスクリュドライバ226に一体化された第1および第2のトルク制限機能の図を示し、当該図は、中間円筒状シェル237の外面およびボルト235の側面図を示すへこみに係合するボルト235の代替的な実施形態を示している。
図3A】本発明の別の態様による、脊椎安定化外科手技中の方法の段階の例示的な横断面図を示す。
図3B】本発明の別の態様による、脊椎安定化外科手技中の方法の段階の例示的な横断面図を示す。
図3C】本発明の別の態様による、脊椎安定化外科手技中の方法の段階の例示的な横断面図を示す。
図3D】本発明の別の態様による、脊椎安定化外科手技中の方法の段階の例示的な横断面図を示す。
図3E】本発明の別の態様による、脊椎安定化外科手技中の方法の段階の例示的な横断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[0014]本明細書では、可能であれば、図に共通する同一の要素を示すために同一の参照番号が使用される。また、画像は、例示目的のために簡略化されており、縮尺通りに示されていない場合がある。
【0013】
[0015]一実施形態によれば、図1Aおよび図1Bに例示的に示すように、ハンドル25と、第1のトルク制限または指示デバイス27と、ハンドル25によって回転させることができる第2のトルク制限デバイス28を含んでいてもよいセットスクリュドライバ8と、第2のカウンターハンドル29と、スクリュエクステンダ6と、セットスクリュドライバ6と係合する第2のカウンターハンドル29と、セットスクリュ3と、スクリュヘッド2および骨アンカーまたはねじ部4を有する椎弓根スクリュ1と、脊椎ロッド7とを含む、整形外科用インプラントキット、器具キット、ツールキット、またはシステム100が提供される。図示の変形例では、トルクの印加を第1のトルクレベルT1に制限する第1のトルク制限機構もしくはデバイス27は、一体部品であるか、またはセットスクリュドライバ26を介して椎弓根スクリュ1のヘッド2にセットスクリュ3を締め付けるために使用される第1のハンドル25、例えばTハンドルに取り付けられるか、または他の方法で動作可能に接続される。第1のトルクレベルT1は、例えばセットスクリュ3が椎弓根スクリュ1のヘッド2とねじ込み可能に係合するときに、また脊椎ロッド7を椎弓根スクリュ1のヘッド2に当接または他の方法で締結することによって、椎弓根スクリュ1のヘッド2に対してセットスクリュ3に加えられるトルクである。第1のハンドル25は、セットスクリュ3を締め付けるためにセットスクリュドライバ26に取り外し可能に取り付けることができるトルク制限機構デバイス27を有することができ、第1のトルク制限機構として、例えば、上部シャフト8の端部、近位端、またはセットスクリュドライバ26の別の部分に取り付けられるハンドル25を使用することができる。ねじを締め付けるためのトルク制限機構27を有するそのようなハンドルは、米国特許第2,826,107号明細書、同第4,244,434号明細書、同第4,838,264号明細書、同第5,347,894号明細書、同第5,746,298号明細書、同第6,640,674号明細書、同第7,197,968号明細書、同第7,938,046号明細書、同第8,028,608号明細書、および同第10,034,701号に記載されており、これらの参考文献は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。スクリュエクステンダ6またはスクリュヘッドホルダーは、椎弓根スクリュ1のスクリュヘッド2に取り付けられ、そしてカウンターハンドル29は、スクリュヘッド2に対してセットスクリュ3を締め付けるときに、カウンタートルクの目的でスクリュエクステンダ6に取り付けられる。
【0014】
[0016]椎弓根スクリュ1のヘッド2によって保持された脊椎ロッド7に締め付けられているセットスクリュ3に適切な量のトルクを加えることは重要であり、整形外科手術中の特定の状況に依存する。また、セットスクリュ3の締め付けの角度も重要な態様であり、これは、より高い量のトルクに変換することができ、このトルクは、次いで、周囲の組織に伝達されて、スクリュの緩み、インプラントの破損および/または隣接するセグメント疾患のリスクを引き起こす可能性がある。本実施形態は、ユーザー、オペレーター、または外科医が手術中に異なるレベルのトルクを加える必要があるという事実に対する解決策を説明し、タスクを実質的に単純化する機構を提供する。例えば、刊行物Chapman et al.,’’Factors Affecting the Pullout Strength of Cancellous Bone Screws,’’Journal of Biomechanical Engineering,ASME,Vol.118,391-398,1996、およびPaik et al.’’The Biomechanical Consequences of Rod Reduction on Pedicle Screws:Should it be avoided?’’ The Spine Journal,Vol.13,No.11,pp.1617-1626,2013を参照されたい。これらの参考文献は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0015】
[0017]一変形例では、印加可能なトルクをセットスクリュ3に物理的に制限する機構27の代わりに、図1Cに示すように、例えば、視覚的、触覚的、触感的、振動的、機械的、可聴音、例えばクリック音もしくはビープ音、またはそれらの組み合わせ、またはユーザーもしくはオペレーターが見たり、聞いたり、もしくは感知したりすることができる他の種類のフィードバック、またはこれらの特徴の任意の組み合わせに限定されない、第1のトルクレベルT1に達したという何らかの種類の指示をするトルク指示機構127を有する第1のハンドル125を使用することが可能である。これは、セットスクリュ3に加えられる物理的なトルクを実際に制限する任意のデバイスの有無にかかわらず行うことができる。例えば、トルクインジケータ、スケール、またはゲージ127に関連するトルク測定機構を組み込んだ第1のハンドル125を使用することができる。例えば、米国特許第4,664,001号明細書、米国特許第5,048,381号明細書、米国特許第5,734,113号明細書、米国特許第6,196,071号明細書、米国特許第6,398,552号明細書、米国特許第6,928,885号明細書、米国特許第7,806,026号明細書、米国特許第8,225,679号明細書、および米国特許第715,611号明細書に記載されているような動作原理に基づくハンドル125、レンチ、スクリュドライバ、ドライバ、器具、キー、ツール、またはソケット、ならびに同様の機構を、セットスクリュドライバ26を介してセットスクリュ3を締め付け、同時に、第1のトルクレベルT1に達したことをユーザーまたはオペレーターに警告するか、そうでなければ示す目的で使用することができ、これらの参考文献はすべて参照によりその全体が組み込まれる。
【0016】
[0018]第1のトルクレベルT1は、米国特許第5,882,350号明細書、米国特許第6,113,601号明細書、および米国特許第6,660,004号明細書に例示的に示されているように、阻止可能な多軸スクリュ、例えば、セットスクリュ3を介した脊椎ロッド7の締め付けによって引き起こされる圧力によって阻止することができる多軸椎弓根スクリュに加えるために特に設計することができ、これらの参考文献は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。別の変形例は、椎弓根スクリュの球状ヘッドに対して付勢する阻止用リングまたは座部を有する、そのような阻止を可能にするMedtronic(商標)CD Horizon Solera椎弓根スクリュシステムである。この変形例では、セットスクリュ3とスクリュヘッド2との間の第1のトルクレベルは、椎弓根スクリュ1のスクリュヘッド2内のトルクレベルT1に締め付けられたときに、それ自体の軸線を中心とした脊椎ロッド7の回転運動が阻止されるようなものであり、例えば、外科医、ユーザー、またはオペレーターは、スクリュヘッドの溝内でロッド7を転回するか、そうでなければ回転させることができない。しかしながら、トルクレベルT1では、骨アンカー4の球状部分の上面または側面への圧力および阻止用リングまたは座部は多軸性を阻止するのに十分ではないので、椎弓根スクリュ1は依然としてその多軸性を維持する。好ましくは、第1のトルクレベルT1は、近似的に0.7Nm~2.1Nmの範囲内、より好ましくは約1.4Nmである。
【0017】
[0019]次に、椎弓根スクリュ1のヘッド2に対するセットスクリュ3への第2のトルク値またはレベルT2へのトルクの印加を制限する第2のトルク制限機構28は、米国特許第10,058,355号明細書に示されるように、セットスクリュドライバ26に一体化されることができ、この参考文献は参照によりその全体が組み込まれる。例えば、図1Bの横断面図に示すように、セットスクリュドライバ26は、例えば異なる機械的接続の種類によって第1のハンドル25,125,225と係合することができる上部シャフト8を含み、下部シャフト20は、トルクドライバ10を収容するために中空である。トルクドライバ10の係合ツール12は、スクリュ係合機構12を用いて、スクリュヘッド2に対してねじ込み可能に締め付けるためにセットスクリュ3と係合することができるように、下部シャフト20の下面または遠位部分から突出することができる。トルクドライバ10および下部シャフト20は、下部シャフト20およびトルクドライバ10の両方の少なくとも一部を横断する破断可能なピン28によって相対的に阻止され、ハンドル125を介してセットスクリュ3に加えることができるトルクの量を、椎弓根スクリュ1のスクリュヘッド2に対して第2のトルクレベルT2に機械的に制限する第2のトルク制限機構28を形成する。図示の変形例では、トルクドライバ10は、下部シャフト20によって下部セクションで取り囲まれた内側のボルト、ロッド、またはシャフトによって形成される。
【0018】
[0020]第2のトルクレベルT2は、セットスクリュ3を介してロッド7およびスクリュヘッド2に加えられる最終トルクであり、第1のトルクレベルよりも大幅に高い。第2のトルクレベルは、セットスクリュ3に加えられる最終レベルであるため、トルク制限機構は、不可逆的であり得るか、またはより高いトルクレベルがセットスクリュ3に加えられることができないようなものであり得る。好ましくは、第2のトルクレベルT2は、近似的に8Nm~12Nmの範囲内、より好ましくは約10Nmである。
【0019】
[0021]セットスクリュドライバ26は、セットスクリュのねじ山と同じねじピッチを有する、スクリュエクステンダの雌ねじ山とねじ込み可能に係合することができる雄ねじ山を有する。これにより、ユーザーまたはオペレーターは、セットスクリュ3をセットスクリュドライバ26のトルクドライバ10の前部に配置し、次いで、スクリュエクステンダ6の雌ねじ山とねじ込み可能に係合して、セットスクリュ3が椎弓根スクリュ1のヘッド2の雌ねじ山と接触してねじ込み可能に係合するまで、セットスクリュ3をスクリュエクステンダを介してセットスクリュドライバ26と共に下方に転回するかまたは回転させることができる。セットスクリュ3がヘッド2内にねじ込み可能に取り付けられ、セットスクリュドライバ26がハンドル125,225によって回転されるかまたは回され続けるとき、セットスクリュ3の前面FFが脊椎ロッド7に接触すると、ピン28が破断する点までトルクが増加する。ピン28は、第2のトルクレベルT2までのトルクを保持するように設計され寸法決めされ、第2のトルクレベルT2を超えると破断する。ピン28が破断すると、トルクドライバ10はもはやセットスクリュドライバ26によって回転されないので、したがって、セットスクリュドライバ26の更なる回転は、椎弓根スクリュ1のヘッド2内のセットスクリュ3の回転およびねじ込み可能な係合にもはや影響を及ぼさない。言い換えれば、セットスクリュドライバ26は、トルクドライバ10を回転させることなく、自由に回転させることができる。したがって、第2のトルク制限機構28(図示の変形例では破断可能なピン)が作動または実行されると、すなわち、第2のトルクレベルT2に達し、ピン28が破断されると、ユーザーまたはオペレーターが保持ハンドル125によってセットスクリュドライバ26を回転させると、セットスクリュドライバ26は、セットスクリュ3を転回することなく、セットスクリュ3に向かって下向きねじ込み可能に前進する。次に、椎弓根スクリュ1が、スクリュエクステンダ6から徐々に押し離され、解放される。第2のハンドル29は、スクリュエクステンダ6に取り外し可能に取り付けられ、その結果、ユーザーまたはオペレーターは、スクリュエクステンダ6および第2のハンドル29を介して椎弓根スクリュのヘッド2を保持しながら、一方の手でセットスクリュ3を椎弓根スクリュ1のヘッド2内に締め付けることができる。セットスクリュドライバ26に一体化された第2のトルク制限機構28のこの動作原理は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第10,058,355号明細書の図13A図13C図14、および図15にも示されている。第2のトルク制限機構は、トルク指示機構と組み合わされるか、またはトルクをトルクレベルT2に制限せず、単にそれを示すことも可能である。
【0020】
[0022]第1のトルク制限機構27または第1のトルク指示機構127は、好ましくは、第1のトルクレベルT1が、第2のトルク制限機構28によって加えられる第2のトルクレベルT2よりも小さくなるように、例えばその5分の1よりも小さくなるように設計される。これは、第1のトルク制限機構27がハンドル25と共に使用される場合、第1のトルクレベルに達すると、セットスクリュ3に印加可能なトルクをハンドル25によってもはや増加させることができないことを意味する。したがって、これは、ユーザーまたはオペレーターが、ハンドル25をセットスクリュドライバ26から取り外し、別のハンドル、例えば、トルクを第2のより高いトルクレベルT2に制限する機構を有するハンドル25、トルク指示機構127のみを有するハンドル125、またはセットスクリュドライバ26へのトルク制限も指示もない別の種類のハンドル225を配置することによってハンドル25を交換することを必要とし、その結果、第2のより高いレベルのトルクは、第2のトルクレベルT2に達するまで、セットスクリュ3に加えられ得る。ハンドル125が使用される場合、例えば2つの異なるトルクレベルT1およびT2を示すスケールを有することによって、同じハンドルを使用して第1のレベルのトルクT1および第2のレベルのトルクT2を加えることができる。
【0021】
[0023]別の例として、トルク制限機構またはデバイス327は、ハンドル25,125に一体化されていない別個のデバイスであってもよいが、ハンドル25とセットスクリュドライバ26との間に配置することができ、例えば、図1Eに示すように、異なる種類のトルク制限または指示機構を備えていないハンドル25であってもよい。例えば、トルク制限機構327またはデバイスは、セットスクリュドライバ26の上部シャフト8または近位端およびハンドル25,125に取り外し可能に接続されるように組み入れることができ、例えば、凹部と係合するラチェット型もしくは屈曲可能なレバーまたはタブを有する機械的接続要素として組み入れることができ、ハンドル25とセットスクリュドライバ26との間を相互接続するための2つの相互接続要素をさらに含む。この点において、この配置では、2つの異なるトルク制限機構またはデバイス327を使用することが可能であり、一方はトルクレベルT1用であり、他方はトルクレベルT2用であり、2つの機構またはデバイスはそれ自体を視覚的にマークすることができる。別の変形例として、トルク制限または指示機構27,127,327は、ハンドル225がスクリュエクステンダ6に接続される領域で、セットスクリュドライバ26の上部シャフト8または近位端に部分的にあるかまたは一体化されていることが可能である。
【0022】
[0024]別の変形例では、ハンドル29とスクリュエクステンダ6との間でトルク制限を測定もしくは適用するトルク制限機構もしくはトルク指示機構を統合もしくは接続することができるか、またはハンドル29とスクリュエクステンダ6との間でトルク制限を測定もしくは適用する1つのトルク制限もしくはトルク指示機構と、ハンドル25,125,225とセットスクリュドライバ26との間でトルク制限を測定もしくは適用する1つのトルク制限もしくはトルク指示機構とを有することによって、トルク制限機構またはトルク指示機構を統合または接続することができる。
【0023】
[0025]別の変形例では、図2A図2Cに示すように、第1のトルク指示機構は、第2のトルク制限機構228と共にセットスクリュドライバ326に組み込まれ、破断可能なピンである。この変形例では、セットスクリュドライバ326は、セットスクリュ3と係合するための係合ツール212を遠位端に有するトルクドライバ210を収容する下部セクション220に円筒形中空領域を含むが、セットスクリュドライバの下部セクション220とトルクドライバ210との間に位置する中間円筒状シェル、チューブ、またはシリンダ237も収容する。第1のトルクインジケータ機構は、横断方向スロット238と係合する阻止用ボルト235と、トルクドライバ210および中間円筒状シェル237の両方を横断する第1の破断可能なピン227とを用いて、トルクドライバ210と中間円筒状シェル237との間で機械的に協働するように配置される。第1の位置では、トルクドライバ210と中間円筒状シェル237との間の回転または転回運動は、第1の破断可能なピン227によって阻止され、第1のトルクレベルT1に加えることができるトルクを制限する。この目的のために、第1の破断可能なピン227は、第1のトルクレベルでトルクドライバ210と中間円筒状シェル237との間にトルクが加えられたときに破断するように寸法決めされ設計される。言い換えれば、ピン227の破断は、ピン227によって具現化される第1のトルク保持機構の解放と考えることができる。第2の位置では、トルクドライバ210と中間円筒状シェル237との間の回転は、横断方向スロット238の壁239によって再び阻止される。
【0024】
[0026]第1の位置は、セットスクリュドライバ326の中心軸線に沿った異なる横断面図1,2,3で図2Bに示されている。セットスクリュドライバ326、例えばハンドル125,225を用いて第1のトルクレベルT1未満の低トルクを加えると、阻止用ボルト235は横断方向スロット238の側壁241に当接し、第1の破断可能なピン227はまだ破断していない。トルクドライバ210と中間円筒状シェル237との間の第1のトルクレベルT1を超えると、図2Cの横断面図4に示すように、第1の破断可能なピン227が破断する。これは、ユーザーが感じることができるセットスクリュドライバ326への機械的な衝撃またはジャークを生じさせ、また、ユーザーが聞くことができる可聴的なクリックまたはスナップを生じさせ、第1のトルク指示機構として、第1のトルクに達したという信号としてユーザーに役立つことができる。次に、阻止用ボルト235は、側壁241との接触から移動し、横断方向スロット238を通って移動して他方の側壁239に当接して再び阻止され、第2の位置を表す図2Cの3つの横断面図4,5,6で示すように、トルクドライバ210と中間円筒状シェル237との間の横断方向スロット238の長さによって画定される特定の角度の回転によって、第1の位置から第2の位置に移行する。次いで、阻止用ボルト235は、横断方向スロット238の一方の側壁241に当接する。
【0025】
[0027]セットスクリュドライバ326の中間円筒状シェル237および下部セクション220は、より高い第2のトルクレベルT2を破断に必要とする第2の破断可能なピン228と共に依然として阻止される。この点において、ピン228は、第2のトルクレベルT2に達するまで2つの要素237および220を一緒に保持し、第2のトルクレベルT2に達すると解放する第2のトルク保持機構と考えることができる。この点において、一例として、1つまたは2つ以上の第2の破断可能なピン228は、互いに180度で配置されて、より高い第2のトルクレベルT2の印加まで、中間円筒状シェル237に対して下部セクション220を有するセットスクリュドライバ226の回転をロックする。変形例では、いくつかの破断可能なピン228が存在し得る。制御された破断のために、第2の破断可能なピン228は1つしかないことが好ましい。
【0026】
[0028]ピン227,228の代わりに、特定のトルク閾値レベルの印加時に第2のトルク保持機構を形成するために第2のトルクレベルT2で中間円筒状シェル237とセットスクリュドライバ326との間、または第1のトルク保持機構を形成するために第1のトルクレベルT1でトルクドライバ210と中間円筒状シェル237との間の回転遮断を解放することができる他の種類の破断可能、屈曲可能、解放可能、再調整可能なデバイス、例えば、限定するものではないが、閾値トルクの印加時に解放することができる破断可能なプレート、破断可能なフック、レバー、ラチェット型締結要素、凹状構造を使用することができる。
【0027】
[0029]トルクドライバ210が中間円筒状シェル237に対して制限された角度だけ転回することになる、第1の破断可能なピン227の破断、および横断方向スロット238内のボルトの滑りに加えて、追加の機構を設けて、第1のトルクレベルに達したことをセットスクリュドライバ326を操作するユーザー、オペレーター、または外科医にさらに警告することができる。図示の変形例では、阻止用ボルト235による第1の位置から第2の位置への移行中、言い換えれば、スロット238の壁241から239へのボルト235の滑り中に、横断方向スロット238の下部側壁または上部側壁への突起272は、阻止用ボルト235がこれらの突起272上を通過することによりクリック音またはラチェット音を発生させ、またユーザー、オペレーター、または外科医が聞いたり感じたりすることができる振動を発するように作られる。図示の変形例では、頂部に小さな突起272を有する、横断方向スロット238の下側または上側の側壁から始まる複数の薄い長手方向スロット271が配置され、これらの突起は、阻止用ボルト235をわずかな追加のトルクで第1の位置から第2の位置に移行させるように設計され、この追加のトルクは、第1のトルクレベルT1よりも小さいかまたは大幅に小さいトルクであり、それによって、阻止用ボルト235がこれらの突起272を通過するときに振動またはラチェット音を発生させる。
【0028】
[0030]他の機構を使用して、例えば図2Dに示すように、第1のトルクレベルT1に達したことをユーザー、オペレーターまたは外科医に追加の指示をもたらすことができ、レバー275は、歯、窪みを有するか、または第1の位置から第2の位置への移行時にラチェット音および振動を発生させる阻止用ボルト235の歯、窪み、はめ歯、ピニオン、ラチェット276と係合する横断方向スロット238の横方向延伸部に平行に配置される。別の例が図2Eに示されており、第1の位置から第2の位置への移行が1回だけ一方向にのみ起こり得るようにするために、2つのレバー278が横断方向スロット238の上側および下側の両方に対称に配置され、ボルト235が正方形または長方形の横断面を有し、レバー278が鋸歯形状を有する。鋸歯の方向は、横断方向スロット238を通ってボルト235が戻るのを防止する。レバーの代わりに、中間円筒状シェル237の一部が、鋸歯、波、または三角形の歯を有する縁部を有し、ボルト235の一部が、ばね機構によって一緒に付勢される、対応する鋸歯、波、または三角形の歯をそれぞれ有することが可能である。対応する歯を一緒に付勢するばね機構の付勢力は、第1のトルクレベルT1を提供するように設計することができる。
【0029】
[0031]上記の実施形態では、ボルト235が横断方向スロット238を通って移動している間に、第1の破断可能なピン227が破断すること、またはレバー275、もしくは突起272,276などの粗い、凹んだ、もしくは刻み目のある構造に対してボルト235がクリック音を立てること、またはこれらの両方が組み合わされることにより、異なるハンドルの使用を必要とせずに、またはトルクレベルを読み取る必要性を伴うスケールの使用を必要とせずに、ハンドル125,225およびハンドル29を操作して、セットスクリュ3を両手で締め付け、第1のトルクレベルT1に達し、それを超えるようにしているユーザー、オペレーター、または外科医に可聴的なクリック音および振動フィードバックがもたらされる。第1の破断可能なピン227の破断は、小さな衝撃、クリック音、またはクラッキング音を与え、凹状構造は振動およびクリック音を発し、セットスクリュ3の第1のトルクレベルに達したことをユーザーが確認できるようになる。さらに、凹状構造はまた、トルクドライバ210と中間円筒状シェル237との間の回転運動に対する機械的保持を提供することができ、それ自体が第1のトルクレベルT1のトルク制限機構として機能することができる。
【0030】
[0032]別の変形例のように、第1の破断可能なピン227は存在しないが、突起272またはレバー275またはラチェット様要素は、ボルト235が横断方向スロット238の側壁239に移動、移行、または滑るようになる第1のトルクレベルT1に達するまで、トルクドライバ210と中間円筒状シェル237との間にトルクを加えたときに機械的保持を提供するために、横断方向スロット238内の阻止用ボルト235の滑りを阻止するように設計される。レバー275ならびにその長さおよび質量、突起272,276、ならびに長手方向スロット271は、ボルト235が横断方向スロット238を通って滑るときに、ユーザー、外科医、またはオペレーターが聞き取ることができる特定の音響を発するように設計することができる。第1の破断可能なピン227がなければ、第1の位置に再び到達するように、中間円筒状シェル237に対してトルクドライバ210を元に戻し、第1のトルクレベルを示す可逆機構を持つことが可能である。この点において、第1のトルク制限機構および第1のトルク指示機構は、上述したように、例えば、鋸歯または波状構造と係合する1つまたは複数の窪みを有するラチェット型配置によって、共通の配置に統合することができる。
【0031】
[0033]本発明の文脈では、第1の破断可能なピン227と、長手方向スロット271および突起272を有する図2Bおよび図2C、またはレバー275および突起272,276,279を有する図2Dおよび図2Eに示される他の種類の保持機構とを用いて、本明細書では第1のトルク保持機構と呼ばれる異なる配置が説明され、第1のトルクが超えられたかもしくは到達したときの指標として、または第1のトルクの第1のトルクレベルへの印加を制限するトルクリミッターとして、またはその両方として機能することができる。
【0032】
[0034]別の態様によれば、図3A図3Eに示すように、椎弓根スクリュ1の一連のヘッド2内に脊椎ロッド7を配置し、これらのヘッドにセットスクリュ3を締め付けるかまたは締結する方法が提供される。これらの図では、3つの椎骨V1~V3に取り付けられた3つの椎弓根スクリュ1.1~1.3を示す例によって、方法の異なる段階を示すが、異なる数の椎弓根スクリュ1.1~1.3および異なる数の椎骨V1~V3が使用されることも本実施形態の範囲内である。これらの図は、それぞれの骨アンカー4.1、4.2および4.3と共に、椎弓根スクリュ1.1、1.2および1.3がそれぞれ取り付けられた3つの隣接する椎骨V1~V3を概略的および例示的に示す。図3Aに示す前は、椎弓根スクリュ1.1、1.2および1.3のスクリュヘッド2.1、2.2および2.3のいずれも、その中に脊椎ロッド7が挿入されていない。図3Aに示すように、ユーザーは、まず、脊椎ロッド7がヘッド2.1のU字形溝に配置されるように、脊椎ロッド7を方向B1に移動させることによって、脊椎ロッド7の左側をスクリュヘッド2.1に配置し、次いで、スクリュヘッド2.1にセットスクリュ3.1をねじ込み可能であるが緩く取り付けて、ロッド7がスクリュヘッド2.1のU字形溝から出ないようにする。一般に、脊椎ロッド7は、隣接する椎骨V1~V3が脊椎ロッド7によって互いに隣り合う所望の配置に付勢されるように、固定のための脊柱の所望の形状となる予め曲げられた形状を有する。
【0033】
[0035]次に、図3Bに示すように、セットスクリュ3.1がスクリュヘッド2.1にねじ込まれてロッド7に当接し、上述のように器具またはツールキット100を使用して第1のトルクレベルT1でヘッド2.1にねじ込み可能に取り付けられ、このとき、予め曲げられたロッド7は、隣接する両方のヘッド2.2および2.3のU字形溝の内側にある。その後、ユーザーは、スクリュヘッド2.2にセットスクリュ3.2をねじ込み可能であるが緩く取り付ける。次に、図3Cに示すように、セットスクリュ3.2がスクリュヘッド2.2にねじ込まれてロッド7に当接し、上述のように器具またはツールキット100を再び使用することによって、第1のトルクレベルT1でヘッド2.2にねじ込み可能に取り付けられる。その後、ユーザーは、スクリュヘッド2.3にセットスクリュ3.3をねじ込み可能であるが緩く取り付ける。
【0034】
[0036]その後、図3Dに示すように、セットスクリュ3.3がスクリュヘッド2.3にねじ込まれてロッド7に当接し、再び器具またはツールキット100を使用して、第1のトルクレベルT1でヘッド2.3にねじ込み可能に取り付けられる。この段階で、すべての椎弓根スクリュ1.1、1.2および1.3は、第1のトルクレベルT1のトルクで締め付けられているセットスクリュ3.1~3.3によってロッド7に取り付けられる。次に、図3Eに示すように、左側から右側に向かって、各セットスクリュ3.1、3.2および3.3を第2のトルクレベルT2で締め付けて、脊椎ロッド7による脊椎安定化を完了する。これは、ツールキット100の第2のトルク制限機能を使用して行われる。各セットスクリュ3.1、3.2および3.3には、異なるツールキット100が使用される。一般に、脊椎ロッド7は予め曲げられた形状を有するので、脊椎ロッド7は、一度に2つ以上の椎弓根スクリュヘッド内に配置することができ、セットスクリュ3.1~3.3は、その後、脊椎ロッド7に沿ったいずれかの方向から直列に1つずつ締め付けられる。この方法では、上述のように単一の器具自体であっても、単一の器具キットへの締め付けステップを減らすことができ、作業時間とコストを大幅が節約することができる。
【0035】
[0037]本発明は、特定の好ましい実施形態を参照して開示されているが、本発明の領域および範囲から逸脱することなく、記載された実施形態に対する多数の修正、変更、および変化、ならびにそれらの均等物が可能である。したがって、本発明は、記載された実施形態に限定されず、添付の特許請求の範囲の文言に従って最も広い合理的な解釈が与えられることが意図される。

図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
【国際調査報告】