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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-31
(54)【発明の名称】導電性ナノワイヤ測定
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/47 20060101AFI20220524BHJP
【FI】
G01N21/47 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021558823
(86)(22)【出願日】2020-04-01
(85)【翻訳文提出日】2021-09-30
(86)【国際出願番号】 US2020026060
(87)【国際公開番号】W WO2020205901
(87)【国際公開日】2020-10-08
(31)【優先権主張番号】62/828,667
(32)【優先日】2019-04-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.MATLAB
(71)【出願人】
【識別番号】317001367
【氏名又は名称】カンブリオス フィルム ソリューションズ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】スペイド マイケル アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】ウォルク ジェフ アラン
【テーマコード(参考)】
2G059
【Fターム(参考)】
2G059AA03
2G059BB08
2G059BB09
2G059EE02
2G059KK01
2G059MM01
2G059MM02
2G059MM12
(57)【要約】
ナノワイヤの長さ及び直径を同時に測定する方法である。ナノワイヤを支持体上に提供する。任意の支持体上のナノワイヤに照明を提供する。支持体上のナノワイヤの像を取得する。各ナノワイヤの長さを画像処理プログラムによって計算する。各ナノワイヤの相対直径を、各ナノワイヤからの単位長あたりの散乱光の積分強度に基づいて計算する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナノワイヤの長さ及び直径を同時に測定する方法であって、
前記ナノワイヤを支持体上に提供し、
任意の前記支持体上のナノワイヤに照明を提供し、
前記支持体上のナノワイヤの画像を取得し、
画像処理プログラムによって各ナノワイヤ長さを計算し、
各ナノワイヤからの単位長あたりの散乱光の積分強度に基づいて、各ナノワイヤの相対直径を計算する、方法。
【請求項2】
前記相対直径を算出するステップは、次式を用いることを含む、請求項1に記載の方法。
相対直径α(減算した値/長さ)n
【請求項3】
nの値が1/5から1/2の範囲内である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
nの値が約1/3である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
nの値が1/3である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記ナノワイヤの画像に対する背景の強度値を測定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
選択された数のピクセルをそれぞれのナノワイヤを越えて延在するピクセルボックスについて、各ナノワイヤに対する積分強度値を測定することを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記測定された積分強度から前記背景の強度を減算して、各ナノワイヤについて減算値を与えることを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記方法が、ナノワイヤの長さ及び直径を同時に測定するために使用される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記ナノワイヤは、導電性材料を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記ナノワイヤの導電性材料が銀を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記ナノワイヤを支持体上に提供する前記ステップは、スピンコーターを使用することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
顕微鏡を用いることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記顕微鏡が、反射光、暗視野モードで使用される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記画像が前記ナノワイヤのためのピクセルボックス内に過飽和ピクセルを有する任意のナノワイヤについて、長さ及び直径が測定されない、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記長さ及び直径は、前記積分強度が他のナノワイヤからの寄与を含むように、記ナノワイヤが前記他のナノワイヤに近すぎるナノワイヤについては測定されない、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記長さ及び直径は、前記ナノワイヤが3未満のアスペクト比を有するいずれのナノワイヤについても測定されない、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記長さ及び直径は、前記ナノワイヤが前記画像のエッジと交差するいずれのナノワイヤについても測定されない、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、金属ナノワイヤの長さ、及び直径の測定に関する。
【背景技術】
【0002】
ナノワイヤは、透明導電体(TC)内において使用することができる。このようなTCは、光学的に透明な導電性フィルムを含む。銀ナノワイヤ(AgNW)は、ナノワイヤの一例である。AgNWの応用例としては、タッチパネル、光電池、フラット液晶ディスプレイ(LCD)、有機発光ダイオード(OLED)などの電子デバイスのTC層内での利用が挙げられる。様々な技術により、導電性ナノワイヤなどの1つ以上の導電性媒体に基づくTCが製造されている。一般に、導電性ナノワイヤは、長距離相互接続性(long-range interconnectivity)を有する浸透回路網(percolating network)を形成する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
TCを用いた応用例の数が増加し続けるにつれて、導電性ナノワイヤに対する需要を満たすために、改良された製造方法が要求される。TC層の電気的及び光学的特性は、浸透回路網を形成する導電性ナノワイヤの物理的寸法(physical dimensions)に強く依存する。従来の測定方法では、導電性ナノワイヤの物理的寸法の十分な分析を行うことができない。
【課題を解決するための手段】
【0004】
一態様によれば、本開示は、ナノワイヤの長さ及び直径を同時に測定する方法を提供する。ナノワイヤを支持体上に提供する。任意の支持体上のナノワイヤに照明を提供する。支持体上のナノワイヤの像を得る。各ナノワイヤの長さを画像処理プログラムによって計算される。各ナノワイヤの相対直径を、各ナノワイヤからの単位長あたりの散乱光の積分強度に基づいて計算する。
【0005】
上記の要約は、本明細書で議論されるシステム及び方法の少なくとも一方のいくつかの態様の基本的理解を提供するために、簡略化された説明を提示する。本要約は、本明細書で議論されるシステム及び方法の少なくとも一方の広範な概要ではない。要所又は臨界的な要素を特定したり、そのようなシステム及び方法の少なくとも一方の範囲(スコープ)を明確にしたりすることを意図していない。その唯一の目的は、後に述べるより詳細な説明の前段階として、いくつかの概念を簡略化して示すことである。
【0006】
本明細書に提示される技術は、代替の形態で実施されてもよいが、図面に示される特定の実施形態は、本明細書に提供される説明の補足である少数の例にすぎない。これらの実施形態は、添付の特許請求の範囲を限定するような限定的な方法で解釈されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0007】
開示された主題は、特定の部分及び部分の配置において物理的な形態をとることができ、その実施形態は、本明細書において詳細に説明され、本明細書の一部を形成する添付図面に図示され、以下の条件を満たす。
【0008】
図1図1は、本開示に態様に係る方法の一例のフローチャートである。
【0009】
図2A図2Aは、図1に係る方法において利用することができるコンピュータルーチンのイメージの例を提供するために組み合わされる。
図2B図2Bは、図1に係る方法において利用することができるコンピュータルーチンのイメージの例を提供するために組み合わされる。
【0010】
図3図3は、ナノワイヤのバッチの例の長さ対直径のプロットである。
【0011】
図4図4は、ナノワイヤの別のバッチの例の長さ対相対直径のプロットである。
【0012】
図5図5は、3つの長さ測定方法を用いて、図4にプロットされたバッチ内のナノワイヤ長さの発生頻度を示すヒストグラムである。
【0013】
図6A図6Aは、ナノワイヤのバッチの例におけるナノワイヤ長の発生頻度を示すヒストグラムであり、照明強度に基づくいくつかの変動を示す。
図6B図6Bは、ナノワイヤのバッチの例におけるナノワイヤ長の発生頻度を示すヒストグラムであり、照明強度に基づくいくつかの変動を示す。
【0014】
図7図7は、ナノワイヤのバッチの例におけるナノワイヤ長の発生頻度を示すヒストグラムである。
【0015】
図8図8は、ナノワイヤのバッチの例の長さに対する相対単位での直径のプロットである。
【0016】
図9A図9Aは、照射強度に基づくいくつかの変化を示す、ナノワイヤのバッチの例についての長さに対する相対単位での直径のプロットである。
図9B図9Bは、照射強度に基づくいくつかの変化を示す、ナノワイヤのバッチの例についての長さに対する相対単位での直径のプロットである。
【0017】
図10図10は、ナノワイヤのバッチの例の長さに対する相対単位での直径のプロットである。
【0018】
図11図11は、図8にプロットされたバッチの例についての直径の発生頻度のプロットである。
【0019】
図12図12は、図10にプロットされたバッチの例についての直径の発生頻度のプロットである。
【0020】
図13A図13Aは、図9A及び図9Bにプロットされた、バッチの例の直径の発生頻度のプロットであり、照明強度に基づくいくつかの変化を示す。
図13B図13Bは、図9A及び図9Bにプロットされた、バッチの例の直径の発生頻度のプロットであり、照明強度に基づくいくつかの変化を示す。
【0021】
図14図14は、顕微鏡スライダ設定に対する、最大強度の割合としての相対的光強度の例を示すプロットである。
【0022】
図15図15は、ナノワイヤの直径に対するスケーリング係数比のプロットである。
【0023】
図16A図16Aは、発生頻度と縮尺直径データとのプロットである。
図16B図16Bは、発生頻度と縮尺直径データとのプロットである。
図16C図16Cは、発生頻度と縮尺直径データとのプロットである。
図16D図16Dは、発生頻度と縮尺直径データとのプロットである。
【0024】
図17A図17Aは、ナノワイヤのバッチの例におけるナノワイヤ長の発生頻度を示すヒストグラムである。
図17B図17Bは、ナノワイヤのバッチの例におけるナノワイヤ長の発生頻度を示すヒストグラムである。
図17C図17Cは、ナノワイヤのバッチの例におけるナノワイヤ長の発生頻度を示すヒストグラムである。
図17D図17Dは、ナノワイヤのバッチの例におけるナノワイヤ長の発生頻度を示すヒストグラムである。
【0025】
図18A図18Aは、図17A-17D内に示されるナノワイヤのバッチの例についての直径対長さのプロットである。
図18B図18Bは、図17A-17D内に示されるナノワイヤのバッチの例についての直径対長さのプロットである。
図18C図18Cは、図17A-17D内に示されるナノワイヤのバッチの例についての直径対長さのプロットである。
図18D図18Dは、図17A-17D内に示されるナノワイヤのバッチの例についての直径対長さのプロットである。
【0026】
図19A図19Aは、図18A-18Dにプロットしたバッチの例の直径の発生頻度をプロットしたものである。
図19B図19Bは、図18A-18Dにプロットしたバッチの例の直径の発生頻度をプロットしたものである。
【0027】
図20図20は、本開示の方法に関連して使用することができるスピンコータの例のイメージである。
【0028】
図21図21は、図20のスピンコータを介して提供される典型的なナノワイヤの画像である。
【0029】
図22図22は、本開示の方法と共に使用することができる顕微鏡の画像である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の一部を構成し、例示として特定の実施形態例を示す添付図面を参照して、主題をより詳細に説明する。この説明は、既知の概念の詳細な説明を意図したものではない。当業者に一般的に知られている詳細は省略されていてもよいし、要約して扱われてもよい。
【0031】
特定の用語は、本明細書では便宜のためにのみ使用され、開示された主題に関する限定とはみなされない。本明細書で使用される相対的な用語は、図面を参照することによって最もよく理解され、図面では、同様の項目を識別するために同様の数字が使用される。さらに、図面において、特定の特徴は、いくぶん概略的な形態で示されてもよい。
【0032】
以下の主題は、方法、装置、構成要素、及びシステムの少なくとも1つなどの様々な異なる形態で具現化することができる。したがって、この主題は、例として本明細書に記載された任意に示された実施形態に限定されるものと解釈されることを意図していない。むしろ、本明細書では、実施形態は単に説明のために提供される。そのような実施形態は、例えば、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはそれらの任意の組み合わせの形態をとることができる。
【0033】
本明細書では、導電性ナノワイヤの長さ、及び直径を測定する方法が提供される。このような測定は、同時に、そして任意には同時に行われる。本明細書で使用される場合、「導電性ナノワイヤ」、又は「ナノワイヤ」は、一般に、少なくとも一次元(の寸法(one dimension))が、例えば、500nm未満、または、250nm未満、100nm、50nm、25nm未満、又は10nm未満である、導電性ナノサイズワイヤを指す。典型的には、ナノワイヤは、元素金属(例えば遷移金属)または金属化合物(例えば、金属酸化物)などの金属材料で作られる。金属材料は、2種類以上の金属からなるバイメタル材料または金属合金であってもよい。好適な金属としては、銀、金、銅、ニッケル、金めっき銀、白金及びパラジウムが挙げられるが、これらに限定されない。
【0034】
所与のナノワイヤの形態は、そのアスペクト比(ナノワイヤの直径に対する長さの比)によって、簡略化された方法で定義することができる。異方性ナノワイヤは、典型的には、その長さに沿って長手方向軸を有する。
【0035】
ナノワイヤは、典型的には、10を超える、好ましくは50を超える、より好ましくは100を超えるアスペクト比を有する細長いナノワイヤを指す。典型的には、ナノワイヤは、500nmを超える長さ、1μmを超える長さ、または10μmを超える長さを有する。本開示は、変形例に適用可能であるが、本明細書における銀ナノワイヤ(「AgNW(s)」または単に「NW(s)」と略記される)を対象とするいくつかの議論は、一例として記載される。
【0036】
透明導電体(TC)層の電気的及び光学的特性は、ナノワイヤの物理的寸法、すなわち、ナノワイヤの長さ及び直径、より一般的には、ナノワイヤのアスペクト比に強く依存する。一般に、より大きなアスペクト比を有するナノワイヤで構成されるネットワークは、優れた光学特性を有する導電性ネットワークを形成する。特に以下のヘイズにおいて、より大きなアスペクト比を有するナノワイヤで構成されるネットワークは、優れた光学特性を有する導電性ネットワークを形成する。各ナノワイヤは導電体とみなすことができるので、個々のナノワイヤの長さ及び直径は、全体のナノワイヤネットワーク導電率、したがって、最終的な膜導電率に影響を及ぼす。例えば、ナノワイヤが長くなるにつれて、導電性ネットワークを形成するために必要とされるものは少なくなる。ナノワイヤが薄くなると、ナノワイヤの抵抗と抵抗率が増加し、結果として得られる膜の導電性が所定の数のナノワイヤに対して低下する。
【0037】
同様に、ナノワイヤの長さ及び直径は、TC層の光透過性及び光拡散(ヘイズ)に影響を及ぼす。ナノワイヤネットワークは、ナノワイヤが膜のごく一部を構成するので、光学的に透明である。しかしながら、ナノワイヤは、光を吸収し、及び散乱するので、ナノワイヤの長さ及び直径の大部分が、導電性ナノワイヤネットワークのための光透過性、及びヘイズを決定する。一般的に、より薄いナノワイヤは、TC層におけるヘイズの減少をもたらし、これは、電子応用のための所望の特性である。
【0038】
さらに、TC層における低アスペクト比のナノワイヤ(合成プロセスの副産物)は、これらの構造がネットワークの導電性に有意に寄与することなく光を散乱するので、追加されたヘイズをもたらす。金属ナノワイヤを調整(準備)するための合成方法は、一般的には、望ましい、及び望ましくない両方の範囲のナノワイヤ形態を含む組成物を生成するので、高アスペクト比ナノワイヤの保持を促進するために、そのような組成物を精製する必要がある。保持されたナノワイヤを使用して、所望の電気的及び光学的特性を有するTCを形成することができる。
【0039】
一般的な一例において、導電性ナノワイヤの長さ、及び直径を測定する方法100(図1)は、ナノワイヤを支持体上に提供するステップ(ステップ102を参照)と、照明を任意の支持体上のナノワイヤに提供するステップ(ステップ102を参照)と、ナノワイヤの画像を取得するステップ(ステップ102を参照すると、少なくともこれらのステップは初期準備と考えることができ、図1に示されるように全体的な準備ステップにグループ化することができる。)と、任意に、ナノワイヤの画像に対する背景の強度値を測定するステップ(ステップ104を参照)と、任意に、選択された数のピクセルをそれぞれのナノワイヤを越えて延在するピクセルボックスについて、各ナノワイヤのための積分強度値を測定するステップ(ステップ106を参照)と、任意に、測定された積分強度から背景強度を減算して、各ナノワイヤのための減算値を与えるステップ(ステップ108を参照)と、画像処理プログラムによって各ナノワイヤの長さを計算するステップ(ステップ110を参照)と、方程式を使用して、減算値と各ナノワイヤの長さの計算値とを用いて、各ナノワイヤの相対直径を計算するステップ(ステップ112を参照)とを含むことができる。
計算式の一例を以下に示す。
式:相対直径α (減算値/長さ)n
ここで、nの値は1/5~1/2の範囲である。
一例において、nの値は約1/3であり、特定の例において、nの値は1/3である。
【0040】
なお、上記の方法は、種々の構造又はデバイスを用いて実施することができる。一例として、この方法は、スピンコータ及び顕微鏡を用いて実施され、顕微鏡は、反射光、及び暗視野モードである。
【0041】
変形体及び追加の詳細の少なくとも1つが、本開示の範囲内の方法内に含まれ得ることを理解されたい。
【0042】
いくつかの例として、本開示は、例えば、ナノワイヤシステムの長さ及び直径を同時に、又は同時並行的に測定するために、MATLABなどのプラットフォーム用に書かれたソフトウェアのいくつかの試行についての結果を提示する。この分析を実施するための方法の一例は、1から4までの番号付けされたステップにおいて以下の通りであり得る。
【0043】
1) 試料(銀/Agナノワイヤ濃度及びナノワイヤ長さに依存して、6.5mlのIPA中の0.1~0.6μlの試料から概ね構成される)を、1000RPMで30秒間、シリコン/Siウエハ上に回転させる。その画像は、ガラス試料上に回転させたナノワイヤの画像よりも良好なコントラストを提供する。
【0044】
2) 図2A及び図2B内に示されるルーチンの一例などのコンピュータルーチンを使用する。特定のコンピュータルーチンは、本開示に対する特定の制限である必要はないことを理解されたい。他の、又は、異なるコンピュータルーチンを書いたり、使用したりすることができる。当業者は、このような他の、又は異なるコンピュータルーチンを作成できること、及び使用できることの少なくとも1つを理解するであろう。
【0045】
この使用例のルーチンは、144倍の倍率で500枚の画像を撮影する。しかし、この実施例のルーチンは、単に識別されたナノワイヤの長さを分析する代わりに、10~100msの範囲の積分時間を10msのステップで使用して、画像又は写真(例:TIF形式)を撮影し、保存する。
【0046】
3) MATLABに書かれた新しい画像処理プログラムを用いて、画像を解析する。このソフトウェアは、すべてのナノワイヤの長さを計算し、次のプロトコル(アルファベットのステップa~d)に従って直径も計算する。
【0047】
a) イメージ(画像)の背景の強度を測定する。
【0048】
b) 所与の各ナノワイヤの限界を超えて10画素を延在するボックス内の積分強度を測定する。この合計から背景の強度を減算する。
【0049】
c) また、オプションとして、1) 過剰飽和ピクセルを有する、2) 積分強度が他のワイヤからの寄与を含むように他のワイヤに近すぎる、3) 3未満のアスペクト比を有する、又は、4) 画像のエッジと交差する、全てのナノワイヤを拒絶する。ナノワイヤを拒絶する必要性は試験の状況に依存することを理解されたい。試験環境は、拒絶を必要としないようなものであり得ると考えられる。さらに、追加した拒絶基準、及び異なる拒絶基準の少なくとも1つを利用できることを理解されたい。このような変形は、本開示の範囲内であることを理解されたい。
【0050】
d) ナノワイヤについて測定された背景の強度を減算された積分強度及び長さを使用して、直径(「d」としても知られる)を決定するための関係を使用して、相対直径を計算する。
直径α (強度/長さ)1/3
ここでも、1/3は指数の値の一例である。
【0051】
4) ソフトウェアの最終出力は、必要に応じて、上記ステップ3cに列挙された基準、及び、追加した基準、又は異なる基準の少なくとも1つを満たす各ナノワイヤの長さ、単位長さ当たりの強度、及び直径のリストを含むプロット及びスプレッドシートであってもよい。
【0052】
ここでも、例を示す。例えば、1/5~1/2の範囲内で式の指数を変化させることができる。上記を実施する目的は、ナノワイヤの長さ、及び直径に関する理解、又は情報を得ることである。
【0053】
本開示によって提供される方法の有用性を熟考することは論理的であろう。一例として、試料(例:バッチ0035086)の長さ及び直径を示すプロットである図3を参照して下さい。これは単に、バッチ内の長さと直径とが異なることを示す。長さと直径の間には相関があり、両方の値が一緒に上昇する傾向があることに注意してください。しかしながら、図3は、本開示による技術が利用可能になる前に得られたデータの一例である。図3のグラフを作成するために、各ナノワイヤの長さ及び直径は、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて個々に測定された。これは非常に面倒な作業であり、この新しい技術を開発する動機の一部でもある。
【0054】
ここで、本開示の技術を開発するのを助けるために使用された、いくつかの研究されたバッチの例に目を向けると、以下は、本開示による技術が利用可能になる前に(すなわち、各ナノワイヤの長さ及び直径は、個々に測定された)データが得られたという理解で提供される。それらの形態を測定し、いくつかの情報を表1に示す。これは、本開示の技術を開発し、その有用性を検証するために提供される。
【表1】
【0055】
上記プロセスを用いて分析される最初のバッチは、バッチ14K0983PRであった。このバッチの直径は23.7nmである。解析の非常に興味深い結果の一つは、この解析が長さと直径の間の相関を個々のワイヤについて決定する方法を与えることである。上記式(例:直径α(強度/長さ)1/3)は、本発明者らによる理論的モデリングの結果である。さらに、このような方程式を、方程式対実験データの試験により確認した。そのため、実施されたテストの目的の1つは、この方法を検証すること、またはより良い一致を得るために方程式の修正が必要かどうかを確認することでした。
【0056】
最初に、例題の方程式が成り立つと仮定してそれを決定した。
直径α(強度/長さ)1/3
【0057】
長さと直径の間には相関があるように見える。図4は、表1からのバッチ14L0983における長さ対直径の結果のプロットである。
【0058】
この分析の間に、サンプルの長さについて3つの別々の測定が行われた。第1の決定は、Siウエハ上のナノワイヤの長さを測定するために以前に与えられた方法を使用することであり、これは、ガラス基板上に調製されたサンプルのためのアルゴリズムのわずかな修正である。過去に、これはガラス上で測定された結果と非常によく相関することが示されている。第2は、MATLAB解析ルーチンの一部として行われた長さ測定であり、これはこの技術に関連する測定である。第3の測定は標準的方法(例えば、Siではなくガラス上のナノワイヤの暗視野顕微鏡写真(画像)の画像分析の実行)によるものであった。ナノワイヤの直径を計算するために単位長さ当たりの強度を測定することを考えると、長さの測定は重要である。
【0059】
ヒストグラムプロットは、バッチ14L0983PRで実施された長さ測定について、図5に提供されたこれらの長さ測定の3つ全ての比較を示す。このヒストグラム(図5)及び図面内のすべてのヒストグラムプロットについては、それぞれの示された長さのビンにおいて、存在する場合は連続的に左から右へ、3つの可能なデータ表示(CLEMEX(Si)、MATLAB(Si)及びCLEMEX(登録商標)(ガラス))がある。このヒストグラム(図5)は、最初のピークが0~5μmの範囲のナノワイヤに対応し、次のピークが5~10μmの範囲のナノワイヤに対応するように読み取られるべきであることに留意されたい。以下の表2は、バッチ14L0983PRのための種々の方法によるナノワイヤ長さ測定の結果を提供する。
【表2】
【0060】
1) Si結果に対するワイヤの量は、これらを同時に行っても異なっており、 2) ワイヤの相対量は0~5μmと5~10μmの範囲で異なっている。CLEMEX(登録商標)(Si)の結果を積分時間70msで撮影した写真について表にし、MATLABの結果を100msまでの時間で撮影した。つまり、CLEMEX(登録商標)解析では、散乱光の少ないワイヤが見逃される可能性がある。しかしながら、先に議論した図を考慮すると、これは、CLEMEX(登録商標)(Si)結果が、最短カテゴリーにおいてより少ない短いワイヤを有することを意味すると考えられる。しかし、そうではない。CLEMEX(登録商標)解析ではコントラストが弱いため、一部の暗いワイヤは複数のワイヤとしてカウントされると仮定することで説明できる。また、2つのソフトウェア解析ではしきい値の設定方法が異なるため、観察された違いにも関連している可能性がある。ヒストグラムの長い部分では、分布は非常によく似ている。
【0061】
また、古いCLEMEX(登録商標)(ガラス)データは、長いワイヤの方が優勢であるという点で大部分が異なることにも留意されたい。これは、1) 長いワイヤの相対数の実際の変化、または2) このデータでは密度が非常に高いため、実際には2つの隣接するワイヤで構成されるカウントされたワイヤの数が多いこと、または3) 短くて薄いワイヤが観察されないことのいずれかの結果である可能性がある。Siウエハとガラスのデータを比較した以前の研究では、結果は本質的に同じであった。この作業における計装の唯一の違いは、積分時間が50msで利得が3000であるのに対し、この作業ではカメラ利得が1500に設定されていることである。
【0062】
他の2つのバッチもこの研究の一部として観察されている。そのため、以下にそれらのサンプル比較も示す。しかし、そのような議論の前に、データが得られた状況について議論するのが賢明であろう。バッチ268036Dのデータでは、ワイヤーが太く、散乱が強い。これにより、使用されている積分時間の多くでワイヤからの信号が飽和した。この状況を避けるために、強度は、14L0983で使用した最大強度ではなく、10(強度を下げてから、顕微鏡の強度スケール上で10バールが点灯するまで増加させた)に設定した。THORLABS(登録商標)フォトダイオード検出器を使用してこれを測定したところ、光の強度が2.1倍減少し、後に1.90倍減少したことに対応している。バッチ15A007PRを最大強度、及び低強度の両方で実行した。したがって、バッチ268036Dには3つの長さ測定値があり、15A007PRには4つの測定値がある。
【0063】
バッチ15A007PRの実験では、CLEMEX(登録商標)(Si)ファイルとMATLAB(Si)ファイルを同じサンプルの異なる実行に対して使用した。そのようなものからのデータは、図6A及び6Bのヒストグラムに示され、それは、同じナノワイヤバッチが2つの異なる強度レベルで実行されていることを示す。これにより、比較情報を提供することができる。照明レベルの調整は、改善された結果を提供し得ることに留意されたい。これらのヒストグラム(図6A及び図6B)、及びいくつかの後続のヒストグラムは、最初のピークが0~2μmの範囲のナノワイヤ、次のピークが2~4μmの範囲のナノワイヤなどに対応するように読み取られるべきであることに留意されたい。
【0064】
バッチ268036Dの実行では、Si上の結果はかなり良く一致し、ガラス上のCLEMEX(登録商標)解析で見出された結果より再び短かった。より微細な分布とより短い平均ナノワイヤ長の両方の要望により、ここでは、ビニング(binnig)もより微細に行われる。バッチ268036Dに関する種々の方法によるナノワイヤ長さ測定の結果を示す、以下の表3を参照されたい。図7は、バッチ268036Dで実行される長さ測定のためのヒストグラムである。このヒストグラムは、最初のピークが0~2μmの範囲のナノワイヤ、次のピークが2~4μmの範囲のナノワイヤなどに対応するように読み取られるべきである。
【表3】
【0065】
バッチ15A007の低強度及び高強度における結果の検討に移る。上述のように、結果は、図6A及び6B内にヒストグラムとしてリストされ、プロットされる。ここでも、長さ測定の結果は、Si上で測定された試料では一般に短く、ガラス基板上で得られたデータと比較して長いワイヤが不足していることを示す。ヒストグラム情報に基づいて、低強度CLEMEX(登録商標)(Si)のデータの品質は、長さ測定が割り引かれるべきである。したがって、長さの測定にはいくつかの問題が残っているが、長さの測定値が13ミクロンではなく12ミクロンの場合、(ΔI/l)の変化は8.3%、つまり直径の変化はわずか2.7%であることを念頭に置いておくことが重要である。これは直径23nmのナノワイヤに対して約0.6nmの誤差となる。以下の表4は、低強度及び最大強度でのバッチ15A007についての種々の方法によるナノワイヤ長さ測定の結果を提供する。
【表4】
【0066】
次に、測定された全てのナノワイヤバッチの直径の計算について説明する。まず、MATLABによって計算された量の任意の単位(ワイヤの単位長さあたりの積分強度の立方根)を使用して、結果を以下にプロットする。すべての場合において、長さと直径との間に明確な相関が観察されるが、この相関は、大径である268036Dバッチについてはより弱いことが分かる。図8は、14L0983PRの直径(相対単位)対長さ(μm)のプロットに関し、図9A及び9Bは、15A007PRの直径(相対単位)対長さ(μm)のプロットに関し、それぞれ、最大強度及び低強度のプロットに関し、図10は、268036の直径(相対単位)対長さ(μm)のプロットに関し、それぞれ参照されたい。
【0067】
SEMによる直径の測定結果と、MATLABを用いて行った直径の測定結果とを比較した。なお、「CLEMEX」と表示された直径データはSEMを用いて測定され、「MATLAB」と表示されたデータは新技術を用いて測定されている。図11図13図15図16及び図19に注目する。また、このような「CLEMEX」直径測定方法は、「CLEMEX」長さ測定方法とは全く異なることに留意されたい。直径測定法では、長さ測定の場合のように暗視野反射光光学写真ではなく、SEM顕微鏡写真を分析するためにCLEMEXソフトウェアを使用した。この2つの場合、ソフトウェアの使用方法は大きく異なる。
【0068】
この比較の主な目的は、MATLABの直径dMLをSEMの直径dSEMに関連付ける、直径の関数ではないスケール係数が得られるかどうかを判断することである。結果は次のとおりである。最大強度で得られたデータについては、入射光強度の差を考慮するために、dMLの結果を(2.1)1/3で割った。バッチ14L0983及び268036DについてのdSEM/dMLの比の値の間には約10%の不一致があることが分かるが、15A007についての低強度データ及び高強度データの両方についての一致ははるかに大きい。上記の表4はまた、新しい光学技術によって分析することができるワイヤのより多い数を示す。
【0069】
新しい技術とSEMの両方を用いて得られたナノワイヤ直径データの分析として、表5を参照されたい。また、表6は、測定されたナノワイヤの数を提供する。
【表5】
【表6】
【0070】
次に、上記の解析によってスケーリング係数を測定し、MATLAB直径の結果を乗算してから、2つの技術の直径分布を比較する。これらの結果を図11図12図13A及び図13Bに示す。CLEMEX(登録商標)分布とMATLAB分布の平均直径は倍率によって同じであることに留意されたい。この制約が与えられたときの分布の形状を比較することがポイントである。分布の形は14L0983PRと268036Dバッチでは非常に良く一致したが、15A007データの両方のセットでは明らかにあまり一致してなかった。それらはSEM結果よりも対数正規分布を持つ。しかし、意見の相違はそれほど厄介ではない。実際、長さの対数正規分布と相関した長さ及び直径とを仮定すると、対数正規直径分布も予想される。
【0071】
次に、異なるバッチのスケール係数を検討する。直径が同じ2つのバッチでは同じであるが、直径が大きい268036Dのバッチでは異なる。これは、想定されていたd3依存性が正しくない可能性を示唆している可能性がある。この問題は、中間径のバッチをさらに調べることで解決でき、実際には次の一連の実験が行われる。例えば、図11及び図12を参照されたい。光強度の変化は、15A007の低強度解析と高強度解析で定数が類似していることから、正しく考慮されていると思われる。例えば、図13A及び13Bを参照されたい。
【0072】
強度測定の精度と信頼性を高めるために、ライトメータを使用して、サンプルに入射する光の強度をより正確に測定する。THORLABS(登録商標)S 120UV計の測定値を確認するため、スライドのような形をしていて再現性の高いデータが取りやすい新製品THORLABS(登録商標)S-1 70Cと比較した。顕微鏡スライダ設定に基づいて、最大強度に対する相対光強度の割合を比較するグラフを図14に示す。これが新旧のTHORLABS(登録商標)電力計の強度データの比較である。わずかな違いはあるが、2つのメーターのデータは非常によく一致している。次に説明する比較では、新しいS-1 70Cメーターを使用して測定された値に調整された。将来的には、当該メータは、測定時の目標物からの電力を測定することに使用することができる。
【0073】
MATLABの直径dMLとSEMの直径dSEMの比が、検査されるワイヤの種類に関係しているかどうかを試験するために、3つの追加ワイヤバッチが同じ方法を用いて検査された。
【0074】
直径を分析するためにMATLABを用いて測定した新しいバッチは、15A0014, 268036B及び268036Cであった。以下の表7のデータは、dML/dSEMが約8.0のグループと約7.0のグループに分けられている。ナノワイヤ直径の関数としての比のプロットを図15に示す。図15は、スケール係数SF(dML/dSEM)の直径に対するプロットであることを理解されたい。

【表7】
【0075】
dαI1/3関係に異なる指数を用いることで、スケール係数がすべてのバッチで同様になるかどうかも調べた。この指数は、1/5, 1/4.5, 1/4, 1/3.5, 1/3.25, 1/3, 1/2.75, 1/2.5, 及び1/2とした。これらの代替指数はいずれも一定のスケーリング係数を生じなかった。
【0076】
測定した新しい直径分布をSEM/CLEMEX(登録商標)法で測定したものと一緒にプロットし、dML/dSEMスケーリング係数を用いた場合にそれらが重なることを確認した。これらの結果を図16A~16Dに示すと、分布の幅の一致が非常によく似ていることが分かる。明確にするために、図16A~16Dは、SEM及びCLEMEX(登録商標)分析を用いた標準的な方法によって生成されたデータと比較して、MATLABを用いて測定され、かつスケール化された直径データを示す。
【0077】
次に、以下の表8に示す種々の方法による長さの測定の検討を行う。これまでと同様に、MATLAB分析によって測定された長さは、バッチが製造されたときに行われた標準的なCLEMEX測定によって行われた分析に比べて5~10%短い。しかし、Si上のCLEMEX(登録商標)データとCLEMEX(登録商標)データとの間のこの場合の差も小さかった。分布はすべて図17A~17Dにプロットされ、異なる方法を用いて測定された長さ分布のプロットを示す。強度測定はSiデータのみを参照した。以前と同様に、より短い長さでのデータのより大きな優位性は、Siウエハ上で得られたデータで明らかである。
【表8】
【0078】
新しいナノワイヤバッチに関するこのデータの議論の最後の部分として、長さと直径の相関データを見る。調査したワイヤバッチの長さ直径相関を示す図18A~186Dを参照されたい。上述のように、相関は明白である(相関係数Rは、グラフ上に示される)が、以前と同様に、相関は、より薄い直径のナノワイヤに対してより強い。
【0079】
試料についても実験を行った。具体的には、ナノワイヤが有機オーバーコートで覆われた試料について実験を行った。これは、異なるナノワイヤの種類の間で観察されるdML/dSEMの差が、ワイヤを取り囲む有機材料の厚さの差に起因し得るかどうかを検討するために行われた。有機材料の屈折率は約1.5であると仮定した。従って、散乱の差が、ワイヤを覆うこのn=1.5層の厚さに起因する場合、散乱の差は、ワイヤが指数n=1.5のオーバーコートによって覆われた場合、おそらく消失するであろう。選択したオーバーコートはPMMAであった。500RPMで30秒間、1500RPMで90秒間回転させた。得られたオーバーコートをKLA Tencor上で測定したところ、厚さは0.63μmであった。前に詳述したのと同じ分析を実施し、結果を以下の表9に示す。一つの変更は、照明が最大強度よりも小さいので、Si写真上のCLEMEX(登録商標)を以前に用いた70msではなく100msの積分時間で撮影したことである。
【表9】
【0080】
表9の*は、上記の議論から得られたデータである。
【0081】
データから、両方の配線タイプについて、スケーリング係数が1.5の係数で変化することが測定された。オーバーコートの屈折率が光の顕微鏡対物レンズへの結合を変化させるので、SFが変化したことは驚くべきことではない。しかし、オーバーコートでナノワイヤを被覆しても、それらの相対的な散乱パワーは変化しなかった。従って、散乱差は有機被覆の厚さの差では説明できない。
【0082】
このデータの品質の最終チェックとして、長さ及び幅の分布を図19A及び図19B内にプロットする。スケーリング係数を考慮すると、新しいデータは標準のCLEMEX(登録商標)直径データの幅分布と一致する。さらに、長さ分布は以前の結果とほぼ同じ方法で記述でき、MATLABの結果はガラスの結果でのCLEMEX(登録商標)及びSiの結果でのCLEMEX(登録商標)の両方の結果よりも一貫して低い。いくつかの場合において、CLEMEX(登録商標)ルーチンによって検出されたSi試行のためのワイヤの数は、MATLABルーチンのためのワイヤの数よりも少なかったことに留意されたい。このことは、CLEMEXルーチンがより短いより細いワイヤのいくつかを欠いていたことを示唆し得る。したがって、図19A及び19B内の情報は、SEM+CLEMEX(登録商標)標準技術及び新たに開発されたMATLAB測定技術によって測定されるナノワイヤ直径分布の幅における一致を実証する。
【0083】
表10は、ガラス試験結果及びいくつかの先行研究における標準的なCLEMEX(登録商標)の結果と比較した長さ試験結果の要約である。
【表10】
【0084】
スピンコータと顕微鏡を用いた例に戻り、この例に関するさらなる情報として以下を提供する。
【0085】
上述のように、インクからの集団内のすべてのナノワイヤについての長さ及び直径の少なくとも1つの決定は、本開示の方法論の一部である。また、言及したように、全てのナノワイヤについて長さ、及び直径の少なくとも1つを測定する任意のプロセスを利用することができる。上述したように、一例としては、スピンコータの使用が挙げられ、反射光、暗視野モードの顕微鏡が利用される。このような例の詳細については、以下を参照されたい。
【0086】
スピンコータと顕微鏡を用いた例に戻り、この例に関するさらなる情報として以下を提供する。図20に示す例のようなスピンコータを利用することができる。1000RPMで30秒間IPAに溶解されたナノワイヤの希薄濃度は、シリコン(Si)ウエハ上にスピンされ得る。一実施形態では、シリコン上のナノワイヤについて撮影された画像が、ガラスなどの他の基板上にスピンされたナノワイヤについて撮影された画像よりも良好なコントラストを提供するため、Siウェハが使用される。溶液中のナノワイヤの濃度は、Siウエハ上のナノワイヤの所望の密度の関数である。表面上のナノワイヤの典型的な画像を図21に示す。
【0087】
図22に示す例のような顕微鏡を利用することができる。図示の例では、顕微鏡は、反射光、暗視野モードで利用される。図示の例は、電動ステージを備えている。典型的には、50倍対物レンズを使用して、500倍でSiウエハ上の144個の異なる視野の画像を撮ることができる。顕微鏡は、各視野で、ある範囲の積分時間を使用して、例えばTIFフォーマットで、視野の写真を撮影し保存するソフトウェアによって制御することができる。観察されるナノワイヤの種類に応じて、これらの時間は、10~100ms、または20~200msの範囲であってもよく、または非常に小さい直径を有し、非常にわずかな光を散乱するナノワイヤについては、300または400msにも及ぶ積分時間を含んでもよい。所望であれば、非常に大きな(または小さな)直径のナノワイヤに対して、より短い(またはより長い)積分時間を使用することができる。
【0088】
積分時間の変動の可能性については、以下の点に留意されたい。ナノワイヤによって散乱される光の量は、それらの直径の関数として変化するので、いくつかのナノワイヤは、他のものよりもはるかに強く光を散乱する。ナノワイヤを見ることができる十分な光が集められなければならない。暗いナノワイヤは長い積分時間を必要とする。また、ナノワイヤの画像に関連する飽和ピクセルの強度は測定できない。イメージ内のピクセルが飽和している場合、つまり、グレースケールカメラで値255が設定されている場合(0はライトなし、255は白)、このピクセルの実際の強度は測定できない。このピクセルの信号は255であるか、「オフスケール」である可能性がある。したがって、真の値は知ることができないので、その特定のナノワイヤは分析されない。積分時間がより短い画像からのデータを使用して、ナノワイヤの画像を生成する画素が飽和していないかどうかを見ることが可能である。ナノワイヤを観察することができ、複数の積分時間で飽和しない強度を有する場合、このデータを平均化することができる。
【0089】
その後、データが分析される。一例として、ソフトウェアプログラムを用いて、このような分析を行うことができる。このようなソフトウェアは、画像解析アルゴリズムを使用してすべてのナノワイヤの長さを計算するが、次に、以下のプロトコルに従って、ナノワイヤの直径をさらに計算する。
【0090】
a) イメージの背景の強度を測定する。
【0091】
b) 所与の各ナノワイヤの限界を超えて10画素を延在するボックス内の積分強度を測定する。この合計から背景の強度を減算する。
【0092】
c) 1) 過剰飽和ピクセルを有する、2) その積分強度が他のワイヤからの寄与を含むように他のワイヤに近すぎる、3) 3未満のアスペクト比を有する、または4) 画像のエッジと交差する、すべてのナノワイヤを拒絶する。
【0093】
d) ナノワイヤについて測定された、背景の強度を減算された積分強度、及び長さを使用して、関係dα(強度/長さ)1/3を使用して相対直径を計算する。ここでも、説明したように、例内の指数の値を変えることができる。
【0094】
ここでも、インクから集団内のすべてのナノワイヤについて長さ及び直径の少なくとも1つを測定するために、異なる方法、構造などを使用することができる。長さ及び直径の少なくとも1つを測定するためのそのような異なる方法、構造などが考えられ、本開示の範囲内で考慮されるべきである。
【0095】
したがって、本開示は、導電性ナノワイヤの長さ及び直径を決定する方法に新しい技術を提供する。このような測定は、同時に行うことができ、任意に同時に行うこともできる。このように直径を同時に測定する技術は、個々のナノワイヤについての長さ-直径データの相関を可能にする。
【0096】
特に明記されない限り、「第1」、「第2」及び/または類似の用語は、時間的側面、空間的側面、順序などを意味することを意図しておらず、むしろ、そのような用語は、特徴、要素、アイテムなどの識別子、名前などとして単に使用される。例えば、第1のオブジェクト及び第2のオブジェクトは、一般に、オブジェクトA及びオブジェクトB、または2つの異なるまたは2つの同一のオブジェクトまたは同じオブジェクトに対応する。
【0097】
さらに、本明細書では、「例」は、例示、説明などとして機能することを意味し、必ずしも有利であるとは限らない。本明細書で使用される場合、「または」は、排他的な「または」ではなく包含的な「または」を意味することを意図する。さらに、本出願で使用される「a」及び「an」は、他に特定されない限り、または文脈から明確に単数形に向けられない限り、一般に「1つ以上」を意味すると解釈される。また、A及びBの少なくとも一方及び/又はそれに類するものは、一般にA若しくはB又はA及びBの両方を意味する。さらに、「含む(includes)」、「有する(having)」、「有する(has)」、「有する(with)」、及びそれらの変形の少なくとも1つが、詳細な説明、又は特許請求の範囲のいずれかにおいて使用される限り、そのような用語は、「含む」という用語と同様の方法で包含するように意図される。
【0098】
主題は、構造的特徴及び方法論的行為の少なくとも1つに特有の言語で記載されているが、添付の特許請求の範囲で定義される主題は、必ずしも上記の特定の特徴または行為に限定されないことを理解されたい。むしろ、上記の特定の特徴及び作用は、請求項の少なくとも一部を実施する例示的形態として開示される。
【0099】
実施形態の様々な動作が本明細書で提供される。本明細書において操作の一部または全部が記載される順序は、これらの操作が必然的に順序に依存することを意味すると解釈されるべきではない。代替的な順序付けは、この説明の利点を有する当業者によって理解されるであろう。さらに、本明細書で提供される各実施形態において、必ずしもすべての動作が存在するわけではないことが理解されよう。また、一部の実施形態では、全ての動作が必要ではないことが理解されよう。
【0100】
また、開示は、1つ以上の実施形態に関して示され、説明されているが、本明細書及び添付の図面を読み、理解することに基づいて、当業者には同等の変更及び修正が生じるであろう。本開示は、そのようなすべての改変及び改変を含み、以下の特許請求の範囲の範囲によってのみ限定される。特に、上述の構成要素(例えば、エレメント、リソースなど)によって実行される様々な機能に関して、そのような構成要素を説明するために使用される用語は、他に示されていない限り、開示された構造と構造的に同等でない場合であっても、上述の構成要素(例えば、それは機能的に等価である)の特定の機能を実行する任意の構成要素に対応することを意図している。加えて、開示の特定の特徴は、いくつかの実施形態のうちの1つに関してのみ開示されていてもよいが、そのような特徴は、任意の所与のまたは特定のアプリケーションにとって所望されかつ有利な他の実施形態の1つ以上の他の特徴と組み合わせることができる。
【0101】
(関連出願)
本出願は、「導電性ナノワイヤ測定」と題され、2019年4月3日に出願された米国仮出願第62/828,667号の優先権を主張するものであり、これは参照により本明細書に組み込まれる。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9A
図9B
図10
図11
図12
図13A
図13B
図14
図15
図16A
図16B
図16C
図16D
図17A
図17B
図17C
図17D
図18A
図18B
図18C
図18D
図19A
図19B
図20
図21
図22
【国際調査報告】