(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-31
(54)【発明の名称】ギヤボックス
(51)【国際特許分類】
F16H 1/28 20060101AFI20220524BHJP
F16H 1/36 20060101ALI20220524BHJP
F16H 1/46 20060101ALI20220524BHJP
F16H 55/18 20060101ALI20220524BHJP
【FI】
F16H1/28
F16H1/36
F16H1/46
F16H55/18
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021558971
(86)(22)【出願日】2020-03-27
(85)【翻訳文提出日】2021-11-24
(86)【国際出願番号】 IB2020052939
(87)【国際公開番号】W WO2020201958
(87)【国際公開日】2020-10-08
(32)【優先日】2019-04-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-04-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520144266
【氏名又は名称】ジェネシス アドバンスド テクノロジー インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100170634
【氏名又は名称】山本 航介
(72)【発明者】
【氏名】クラッセン ジェイムズ ブレント
(72)【発明者】
【氏名】ボス リチャード
【テーマコード(参考)】
3J027
3J030
【Fターム(参考)】
3J027FA01
3J027FA17
3J027FA36
3J027GB03
3J027GC13
3J027GC23
3J027GE01
3J027GE05
3J027GE14
3J027GE29
3J030AB00
3J030BA06
(57)【要約】
内側レースと同軸外側レースとの間に2列の遊星を有する遊星ギヤボックス。入力ギヤはまた、内側遊星又は外側遊星と噛み合うことができる。印加トルクからのねじれによるギヤの噛み合い解除を回避するために、印加トルクが径方向予圧を発生するカム効果が使用され得る。入力ギヤと噛み合うギヤは、内側又は外側レースのうちの対応する1つとも噛み合うギヤの部分で、噛み合ってもよい。遊星は、異なるねじれ角を有する軸方向部分とギヤ結合することができる。内側レース又は外側レースは、異なるねじれ角とギヤ結合する2つの構成要素で形成されて、遊星の異なる軸方向部分と噛み合ってもよい。これらの異なる構成要素を使用することにより、構成要素を軸方向に遊星上で摺動させることができるので、組み立てが容易になる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ギヤボックス装置であって、
その外部表面上に内側レースを画定する太陽ギヤであって、前記太陽ギヤの第1の端部とその反対側の第2の端部との間の軸を規定する、太陽ギヤと、
その内部表面上に外側レースを画定するリングギヤであって、前記太陽ギヤと同軸である、リングギヤと、
前記太陽ギヤの前記内側レースとギヤ接触する内側の組の遊星と、
前記リングギヤの前記外側レースとギヤ接触する外側の組の遊星と、
前記内側の組の遊星の各々が、前記外側の組の遊星のうちの少なくとも2つとギヤ接触し、前記外側の組の遊星の各々が、前記内側の組の遊星のうちの少なくとも2つとギヤ接触し、
(a)前記内側の組の遊星、又は(b)前記外側の組の遊星、の一方とギヤ接触する中間レースを画定する中間ギヤと、を備え、
前記太陽ギヤ、前記リングギヤ、及び前記中間ギヤのうちの1つは静止状態に保持される、ギヤボックス装置。
【請求項2】
前記内側の組の遊星はそれぞれ、前記太陽ギヤの前記軸に対して平行に測定される第1の軸方向長さを有し、
前記外側の組の遊星はそれぞれ、前記太陽ギヤの前記軸に対して平行に測定される第2の軸方向長さを有し、前記第2の軸方向長さは、前記第1の軸方向長さとは異なっており、
前記中間レースは、(a)前記内側の組の遊星、又は(b)前記外側の組の遊星、のうちのより長い軸方向ギヤの組みとギヤ接触する、請求項1に記載のギヤボックス装置。
【請求項3】
前記内側の組の遊星と前記外側の組の遊星は、ギヤ接触におけるある長さを有し、前記内側の組の遊星、前記外側の組の遊星、前記内側レース、前記外側レース、及び前記中間レースは、前記太陽ギヤ、前記リングギヤ、又は前記中間ギヤのうちの1つを介して供給されるトルクが、前記トルクによって引き起こされる分離力に打ち勝つのに十分な、前記内側の組の遊星及び前記外側の組の遊星の径方向負荷の増大を引き起こすことを可能にするように選択された、それぞれの直径を有する、請求項1に記載のギヤボックス装置。
【請求項4】
(a)前記内側の組の遊星、又は(b)前記外側の組の遊星、の前記少なくとも一方はそれぞれ、1:1より大きい長さ対直径比を有する、請求項3に記載のギヤボックス装置。
【請求項5】
前記内側の組の遊星及び前記外側の組の遊星はそれぞれ、2つの別様に先細にされた部分を備える、請求項1に記載のギヤボックス装置。
【請求項6】
前記内側の組の遊星及び前記外側の組の遊星はそれぞれ、ヘリカルギヤを画定する、請求項1~4のいずれか一項に記載のギヤボックス装置。
【請求項7】
前記内側の組の遊星及び前記外側の組の遊星はそれぞれ、一定の螺旋角を有するヘリカルギヤを画定する、請求項6に記載のギヤボックス装置。
【請求項8】
前記内側の組の遊星及び前記外側の組の遊星はそれぞれ、軸方向長さに沿って異なる螺旋角を有するヘリカルギヤを画定する、請求項6に記載のギヤボックス装置。
【請求項9】
前記内側の組の遊星及び前記外側の組の遊星はそれぞれ、ヘリングボーンギヤパターンを画定する、請求項8に記載のギヤボックス装置。
【請求項10】
前記中間ギヤは、前記ヘリングボーンギヤパターンの一部分に対応するそれぞれの角度付きギヤ表面を各々が有する、軸方向に隣接する2つの構成要素を備え、前記軸方向に隣接する2つの構成要素は互いに対して締結されている、請求項9に記載のギヤボックス装置。
【請求項11】
前記リングギヤは、前記ヘリングボーンギヤパターンの一部分に対応するそれぞれの角度付きギヤ表面を各々が有する、軸方向に隣接する2つの構成要素を備え、前記軸方向に隣接する2つの構成要素は互いに対して締結されている、請求項9又は10に記載のギヤボックス装置。
【請求項12】
前記太陽ギヤは、前記ヘリングボーンギヤパターンの一部分に対応するそれぞれの角度付きギヤ表面を各々が有する、軸方向に隣接する2つの構成要素を備え、前記軸方向に隣接する2つの構成要素は互いに対して締結されている、請求項9~11のいずれか一項に記載のギヤボックス装置。
【請求項13】
前記内側の組の遊星を軸方向に拘束するように構成された少なくとも1つの内側フェンスを更に備える、請求項1に記載のギヤボックス装置。
【請求項14】
前記外側の組の遊星を軸方向に拘束するように構成された少なくとも1つの外側フェンスを更に備える、請求項1又は13に記載のギヤボックス装置。
【請求項15】
前記内側レース、前記外側レース、前記中間レース、並びに前記内側の組の遊星の各々及び前記外側の組の遊星の各々の外部表面は全て、ギヤ根元部によって隣接するギヤ歯から分離された複数のギヤ歯を画定し、前記ギヤ根元部の少なくとも一部分は径方向スロットを画定する、請求項1~14のいずれか一項に記載のギヤボックス装置。
【請求項16】
前記内側の組の遊星の各々及び前記外側の組の遊星の各々は中空である、請求項1~15のいずれか一項に記載のギヤボックス装置。
【請求項17】
請求項1~16のいずれか一項に記載の複数のギヤボックス装置を備える多段式ギヤボックス装置であって、前記複数のギヤボックス装置は、第1のギヤボックス装置の第1のリングギヤが第2のギヤボックス装置の第2の中間ギヤに接続され、それを駆動するように、段をなして配列されている、多段式ギヤボックス装置。
【請求項18】
ギヤボックス装置であって、
その外部表面上に内側レースを画定する太陽ギヤであって、前記太陽ギヤの第1の端部とその反対側の第2の端部との間の軸を規定する、太陽ギヤと、
その内部表面上に外側レースを画定するリングギヤであって、前記太陽ギヤと同軸である、リングギヤと、
前記太陽ギヤの前記内側レースとギヤ接触する内側の組の遊星と、
前記リングギヤの前記外側レースとギヤ接触する外側の組の遊星と、
前記内側の組の遊星の各々が、前記外側の組の遊星のうちの少なくとも2つとギヤ接触し、前記外側の組の遊星の各々が、前記内側の組の遊星のうちの少なくとも2つとギヤ接触し、
(a)前記内側の組の遊星、又は(b)前記外側の組の遊星、の一方とギヤ接触する中間レースを画定する中間ギヤと、を備え、
前記内側レース、前記外側レース、前記中間レース、並びに前記内側の組の遊星の各々及び前記外側の組の遊星の各々の外部表面は全て、連続的な螺旋角を有する複数のギヤ歯を画定する、ギヤボックス装置。
【請求項19】
前記太陽ギヤに取り付けられ、前記内側の組の遊星の軸方向移動を拘束するように構成された少なくとも1つの内側フェンスを更に備える、請求項18に記載のギヤボックス装置。
【請求項20】
前記少なくとも1つの内側フェンスは、前記太陽ギヤの対向する軸方向端部上にそれぞれ固着された2つの内側フェンスを含む、請求項19に記載のギヤボックス装置。
【請求項21】
前記リングギヤに取り付けられ、前記外側の組の遊星の軸方向移動を拘束するように構成された少なくとも1つの外側フェンスを更に備える、請求項18~20のいずれか一項に記載のギヤボックス装置。
【請求項22】
前記少なくとも1つの外側フェンスは、前記リングギヤの対向する軸方向端部上にそれぞれ固着された2つの外側フェンスを含む、請求項21に記載のギヤボックス装置。
【請求項23】
前記内側の組の遊星の前記軸方向端部の各々は半球状の形状を有し、前記少なくとも1つの内側フェンスは、前記内側の組の遊星の前記軸方向端部の前記半球状の形状に対応する湾曲した形状を有する、請求項19又は20に記載のギヤボックス装置。
【請求項24】
前記中間ギヤは出力リングであり、前記太陽ギヤ又は前記リングギヤの一方は入力モータによって駆動される、請求項18~23のいずれか一項に記載のギヤボックス装置。
【請求項25】
前記内側の組の遊星はそれぞれ、前記太陽ギヤの前記軸に対して平行に測定される第1の軸方向長さを有し、
前記外側の組の遊星はそれぞれ、前記太陽ギヤの前記軸に対して平行に測定される第2の軸方向長さを有し、前記第2の軸方向長さは、前記第1の軸方向長さとは異なっており、
前記中間レースは、(a)前記内側の組の遊星、又は(b)前記外側の組の遊星、のうちのより長い軸方向ギヤ組とギヤ接触する、請求項18~24のいずれか一項に記載のギヤボックス装置。
【請求項26】
(a)前記内側の組の遊星、又は(b)前記外側の組の遊星、の前記少なくとも一方はそれぞれ、1:1より大きい長さ対直径比を有する、請求項25に記載のギヤボックス装置。
【請求項27】
前記内側の組の遊星の各々及び前記外側の組の遊星の各々は中空である、請求項18~26のいずれか一項に記載のギヤボックス装置。
【請求項28】
ギヤボックス装置であって、
その外部表面上に内側レースを画定する太陽ギヤであって、前記太陽ギヤの第1の端部とその反対側の第2の端部との間の軸を規定する、太陽ギヤと、
その内部表面上に外側レースを画定するリングギヤであって、前記太陽ギヤと同軸である、リングギヤと、
前記太陽ギヤの前記内側レースとギヤ接触する内側の組の遊星と、
前記リングギヤの前記外側レースとギヤ接触する外側の組の遊星と、
前記内側の組の遊星の各々が、前記外側の組の遊星のうちの少なくとも2つとギヤ接触し、前記外側の組の遊星の各々が、前記内側の組の遊星のうちの少なくとも2つとギヤ接触し、
(a)前記内側の組の遊星、又は(b)前記外側の組の遊星、の一方とギヤ接触する中間レースを画定する中間ギヤと、
前記太陽ギヤに取り付けられ、前記内側の組の遊星を軸方向に拘束するように構成されている少なくとも1つの内側フェンスと、
前記リングギヤに取り付けられ、前記外側の組の遊星を軸方向に拘束するように構成されている少なくとも1つの外側フェンスと、を備える、ギヤボックス装置。
【請求項29】
前記内側の組の遊星の前記軸方向端部の各々は半球状の形状を有し、前記少なくとも1つの内側フェンスは、前記内側の組の遊星の前記軸方向端部の前記半球状の形状に対応する湾曲した形状を有する、請求項28に記載のギヤボックス装置。
【請求項30】
前記外側の組の遊星の前記軸方向端部の各々は半球状の形状を有し、前記少なくとも1つの外側フェンスは、前記外側の組の遊星の前記軸方向端部の前記半球状の形状に対応する湾曲した形状を有する、請求項28又は29に記載のギヤボックス装置。
【請求項31】
前記内側の組の遊星はそれぞれ、前記太陽ギヤの前記軸に対して平行に測定される第1の軸方向長さを有し、
前記外側の組の遊星はそれぞれ、前記太陽ギヤの前記軸に対して平行に測定される第2の軸方向長さを有し、前記第2の軸方向長さは、前記第1の軸方向長さとは異なっており、
前記中間レースは、(a)前記内側の組の遊星、又は(b)前記外側の組の遊星、のうちのより長い軸方向ギヤ組とギヤ接触する、請求項28~30のいずれか一項に記載のギヤボックス装置。
【請求項32】
前記中間ギヤは出力ギヤであり、前記太陽ギヤ又は前記リングギヤの一方は入力モータによって駆動される、請求項28~31のいずれか一項に記載のギヤボックス装置。
【請求項33】
(a)前記内側の組の遊星、又は(b)前記外側の組の遊星、の前記少なくとも一方はそれぞれ、1:1より大きい長さ対直径比を有する、請求項31に記載のギヤボックス装置。
【請求項34】
前記内側の組の遊星及び前記外側の組の遊星はそれぞれ、ヘリカルギヤを画定する、請求項28~33のいずれか一項に記載のギヤボックス装置。
【請求項35】
前記内側レース、前記外側レース、前記中間レース、並びに前記内側の組の遊星の各々及び前記外側の組の遊星の各々の外部表面は全て、ギヤ根元部によって隣接するギヤ歯から分離された複数のギヤ歯を画定し、前記ギヤ根元部の少なくとも一部分は径方向スロットを画定する、請求項28~34のいずれか一項に記載のギヤボックス装置。
【請求項36】
前記内側の組の遊星の各々及び前記外側の組の遊星の各々は中空である、請求項28~35のいずれか一項に記載のギヤボックス装置。
【請求項37】
ギヤボックス装置であって、
その外部表面上に内側レースを画定する太陽ギヤであって、前記太陽ギヤの第1の端部とその反対側の第2の端部との間の軸を規定する、太陽ギヤと、
その内部表面上に外側レースを画定するリングギヤであって、前記太陽ギヤと同軸である、リングギヤと、
前記太陽ギヤの前記内側レースとギヤ接触する内側の組の遊星と、
前記リングギヤの前記外側レースとギヤ接触する外側の組の遊星と、
前記内側の組の遊星の各々が、前記外側の組の遊星のうちの少なくとも2つとギヤ接触し、前記外側の組の遊星の各々が、前記内側の組の遊星のうちの少なくとも2つとギヤ接触し、
(a)前記内側の組の遊星、又は(b)前記外側の組の遊星、の一方とギヤ接触する中間レースを画定する中間ギヤと、を備え、
前記内側の組の遊星の各々及び前記外側の組の遊星の各々は、前記太陽ギヤ、前記リングギヤ、及び前記中間ギヤの各々の剛性よりも高い剛性を有し、そのため、前記太陽ギヤ、前記リングギヤ、又は前記中間ギヤのうちの1つ以上は、前記内側の組の遊星にかかる径方向負荷と、前記外側の組の遊星にかかる径方向負荷とのバランスが取れるように変形する、ギヤボックス装置。
【請求項38】
前記内側の組の遊星の各々及び前記外側の組の遊星の各々は金属材料を含む、請求項37に記載のギヤボックス装置。
【請求項39】
前記太陽ギヤ、前記リングギヤ、及び前記中間ギヤのうちの1つ以上はプラスチック材料を含む、請求項38に記載のギヤボックス装置。
【請求項40】
前記内側の組の遊星はそれぞれ、前記太陽ギヤの前記軸に対して平行に測定される第1の軸方向長さを有し、
前記外側の組の遊星はそれぞれ、前記太陽ギヤの前記軸に対して平行に測定される第2の軸方向長さを有し、前記第2の軸方向長さは、前記第1の軸方向長さとは異なっており、
前記中間レースは、(a)前記内側の組の遊星、又は(b)前記外側の組の遊星、のうちのより長い軸方向ギヤ組とギヤ接触する、請求項37~39のいずれか一項に記載のギヤボックス装置。
【請求項41】
(a)前記内側の組の遊星、又は(b)前記外側の組の遊星、の前記少なくとも一方はそれぞれ、1:1より大きい長さ対直径比を有する、請求項40に記載のギヤボックス装置。
【請求項42】
前記内側の組の遊星及び前記外側の組の遊星はそれぞれ、2つの別様に先細にされた部分を備える、請求項37~41のいずれか一項に記載のギヤボックス装置。
【請求項43】
前記内側の組の遊星及び前記外側の組の遊星はそれぞれ、ヘリカルギヤを画定する、請求項37~41のいずれか一項に記載のギヤボックス装置。
【請求項44】
前記内側の組の遊星及び前記外側の組の遊星はそれぞれ、一定の螺旋角を有するヘリカルギヤを画定する、請求項43に記載のギヤボックス装置。
【請求項45】
前記内側の組の遊星及び前記外側の組の遊星はそれぞれ、軸方向長さに沿って異なる螺旋角を有するヘリカルギヤを画定する、請求項43に記載のギヤボックス装置。
【請求項46】
前記内側の組の遊星及び前記外側の組の遊星はそれぞれ、ヘリングボーンギヤパターンを画定する、請求項45に記載のギヤボックス装置。
【請求項47】
前記中間ギヤは、前記ヘリングボーンギヤパターンの一部分に対応するそれぞれの角度付きギヤ表面を各々が有する、軸方向に隣接する2つの構成要素を備え、前記軸方向に隣接する2つの構成要素は互いに対して締結されている、請求項46に記載のギヤボックス装置。
【請求項48】
前記リングギヤは、前記ヘリングボーンギヤパターンの一部分に対応するそれぞれの角度付きギヤ表面を各々が有する、軸方向に隣接する2つの構成要素を備え、前記軸方向に隣接する2つの構成要素は互いに対して締結されている、請求項46に記載のギヤボックス装置。
【請求項49】
前記太陽ギヤは、前記ヘリングボーンギヤパターンの一部分に対応するそれぞれの角度付きギヤ表面を各々が有する、軸方向に隣接する2つの構成要素を備え、前記軸方向に隣接する2つの構成要素は互いに対して締結されている、請求項46に記載のギヤボックス装置。
【請求項50】
前記内側の組の遊星を軸方向に拘束するように構成された少なくとも1つの内側フェンスを更に備える、請求項37に記載のギヤボックス装置。
【請求項51】
前記外側の組の遊星を軸方向に拘束するように構成された少なくとも1つの外側フェンスを更に備える、請求項37又は50に記載のギヤボックス装置。
【請求項52】
前記内側レース、前記外側レース、前記中間レース、並びに前記内側の組の遊星の各々及び前記外側の組の遊星の各々の外部表面は全て、ギヤ根元部によって隣接するギヤ歯から分離された複数のギヤ歯を画定し、前記ギヤ根元部の少なくとも一部分は径方向スロットを画定する、請求項37~51のいずれか一項に記載のギヤボックス装置。
【請求項53】
前記内側の組の遊星の各々及び前記外側の組の遊星の各々は中空である、請求項37~52のいずれか一項に記載のギヤボックス装置。
【請求項54】
ギヤボックス装置であって、
その外部表面上に内側レースを画定する太陽ギヤであって、前記太陽ギヤの第1の端部とその反対側の第2の端部との間の軸を規定する、太陽ギヤと、
その内部表面上に外側レースを画定するリングギヤであって、前記太陽ギヤと同軸である、リングギヤと、
前記太陽ギヤの前記内側レースとギヤ接触する内側の組の遊星と、
前記リングギヤの前記外側レースとギヤ接触する外側の組の遊星と、
前記内側の組の遊星の各々が、前記外側の組の遊星のうちの少なくとも2つとギヤ接触し、前記外側の組の遊星の各々が、前記内側の組の遊星のうちの少なくとも2つとギヤ接触し、
(a)前記内側の組の遊星、又は(b)前記外側の組の遊星、の一方とギヤ接触する中間レースを画定する中間ギヤと、を備え、
前記内側の組の遊星の各々及び前記外側の組の遊星の各々は、前記太陽ギヤ、前記リングギヤ、及び前記中間ギヤの各々の剛性よりも低い剛性を有し、そのため、前記太陽ギヤ、前記リングギヤ、又は前記中間ギヤのうちの1つ以上は、前記内側の組の遊星にかかる径方向負荷と、前記外側の組の遊星にかかる径方向負荷とのバランスが取れるように変形する、ギヤボックス装置。
【請求項55】
前記内側の組の遊星の各々及び前記外側の組の遊星の各々は金属材料を含む、請求項54に記載のギヤボックス装置。
【請求項56】
前記内側の組の遊星の各々及び前記外側の組の遊星の各々は中空である、請求項55に記載のギヤボックス装置。
【請求項57】
前記内側の組の遊星の各々及び前記外側の組の遊星の各々はプラスチック材料を含む、請求項54に記載のギヤボックス装置。
【請求項58】
前記内側の組の遊星はそれぞれ、前記太陽ギヤの前記軸に対して平行に測定される第1の軸方向長さを有し、
前記外側の組の遊星はそれぞれ、前記太陽ギヤの前記軸に対して平行に測定される第2の軸方向長さを有し、前記第2の軸方向長さは、前記第1の軸方向長さとは異なっており、
前記中間レースは、(a)前記内側の組の遊星、又は(b)前記外側の組の遊星、のうちのより長い軸方向ギヤ組とギヤ接触する、請求項54~57のいずれか一項に記載のギヤボックス装置。
【請求項59】
(a)前記内側の組の遊星、又は(b)前記外側の組の遊星、の前記少なくとも一方はそれぞれ、1:1より大きい長さ対直径比を有する、請求項58に記載のギヤボックス装置。
【請求項60】
前記内側の組の遊星及び前記外側の組の遊星はそれぞれ、2つの別様に先細にされた部分を備える、請求項54に記載のギヤボックス装置。
【請求項61】
前記内側の組の遊星及び前記外側の組の遊星はそれぞれ、ヘリカルギヤを画定する、請求項54に記載のギヤボックス装置。
【請求項62】
前記内側の組の遊星及び前記外側の組の遊星はそれぞれ、一定の螺旋角を有するヘリカルギヤを画定する、請求項61に記載のギヤボックス装置。
【請求項63】
前記内側の組の遊星及び前記外側の組の遊星はそれぞれ、軸方向長さに沿って異なる螺旋角を有するヘリカルギヤを画定する、請求項61に記載のギヤボックス装置。
【請求項64】
前記内側の組の遊星及び前記外側の組の遊星はそれぞれ、ヘリングボーンギヤパターンを画定する、請求項63に記載のギヤボックス装置。
【請求項65】
前記中間ギヤは、前記ヘリングボーンギヤパターンの一部分に対応するそれぞれの角度付きギヤ表面を各々が有する、軸方向に隣接する2つの構成要素を備え、前記軸方向に隣接する2つの構成要素は互いに対して締結されている、請求項64に記載のギヤボックス装置。
【請求項66】
前記リングギヤは、前記ヘリングボーンギヤパターンの一部分に対応するそれぞれの角度付きギヤ表面を各々が有する、軸方向に隣接する2つの構成要素を備え、前記軸方向に隣接する2つの構成要素は互いに対して締結されている、請求項64に記載のギヤボックス装置。
【請求項67】
前記太陽ギヤは、前記ヘリングボーンギヤパターンの一部分に対応するそれぞれの角度付きギヤ表面を各々が有する、軸方向に隣接する2つの構成要素を備え、前記軸方向に隣接する2つの構成要素は互いに対して締結されている、請求項64に記載のギヤボックス装置。
【請求項68】
前記内側の組の遊星を軸方向に拘束するように構成された少なくとも1つの内側フェンスを更に備える、請求項54に記載のギヤボックス装置。
【請求項69】
前記外側の組の遊星を軸方向に拘束するように構成された少なくとも1つの外側フェンスを更に備える、請求項54又は68に記載のギヤボックス装置。
【請求項70】
前記内側レース、前記外側レース、前記中間レース、並びに前記内側の組の遊星の各々及び前記外側の組の遊星の各々の外部表面は全て、ギヤ根元部によって隣接するギヤ歯から分離された複数のギヤ歯を画定し、前記ギヤ根元部の少なくとも一部分は径方向スロットを画定する、請求項54~69のいずれか一項に記載のギヤボックス装置。
【請求項71】
前記内側の組の遊星の各々及び前記外側の組の遊星の各々は中空である、請求項54~70のいずれか一項に記載のギヤボックス装置。
【請求項72】
ギヤボックス装置を組み立てる方法であって、
1組の外側遊星を外側レースの内部表面とギヤ接触させて配置する工程と、
1組の内側遊星を前記外側の組の遊星とギヤ接触させて配置する工程であって、全ての内側遊星は2つの外側遊星とギヤ接触し、全ての外側遊星は2つの内側遊星とギヤ接触する、工程と、
内側レースの第1の構成要素を前記内側遊星とギヤ接触させて、かつ前記外側レースと同軸に配置する工程であって、前記第1の構成要素は第1の角度付きギヤ表面を有する、工程と、
内側レースの第2の構成要素を前記内側遊星とギヤ接触させて、かつ前記外側レースと同軸に配置する工程であって、前記第2の構成要素は第2の角度付きギヤ表面を有し、前記第1の角度付きギヤ表面と前記第2の角度付きギヤ表面は、異なる螺旋角を有する、工程と、
入力ギヤを前記外側遊星とギヤ接触させて、かつ前記外側レースと同軸に配置する工程と、を含む方法。
【請求項73】
前記第1の角度付きギヤ表面と前記第2の角度付きギヤ表面は、協働してヘリングボーンギヤ表面を形成する反対の螺旋角を有する、請求項72に記載の方法。
【請求項74】
前記入力ギヤは、第1の角度付き入力ギヤ表面を有する第1の入力ギヤ構成要素と、第2の角度付き入力ギヤ表面を有する第2の入力ギヤ構成要素と、を備え、入力ギヤを前記外側の組の遊星とギヤ接触させて、かつ前記外側レースと同軸に配置する前記工程は、前記第1の入力ギヤ構成要素を、前記外側遊星と同軸に、かつ前記外側の組の遊星とギヤ接触する前記第1の角度付き入力ギヤ表面と同軸に配置する工程と、前記第2の入力ギヤ構成要素を、前記外側の組の遊星と同軸に、かつ前記外側の組の遊星とギヤ接触する前記第2の角度付き入力ギヤ表面と同軸に配置する工程と、を含み、前記第1の角度付き入力ギヤ表面と前記第2の角度付き入力ギヤ表面は異なる螺旋角を有する、請求項72又は73に記載の方法。
【請求項75】
前記第1の角度付き入力ギヤ表面と前記第2の角度付き入力ギヤ表面は、ヘリングボーン入力ギヤ表面を一緒に形成するように反対の螺旋角を有する、請求項74に記載の方法。
【請求項76】
前記第1の角度付き入力ギヤ表面は、前記1組の内側遊星を前記外側の組の遊星とギヤ接触させて配置する前記工程の前に、前記外側遊星とギヤ接触させて配置され、前記第2の角度付き入力ギヤ表面は、前記内側レースの前記第1の入力ギヤ構成要素及び前記第2の入力ギヤ構成要素を前記内側遊星とギヤ接触させて配置する前記工程の後に、前記外側の組の遊星とギヤ接触するように配置される、請求項74又は75に記載の方法。
【請求項77】
ギヤボックス装置を組み立てる方法であって、
1組の内側遊星を内側レースの外部表面とギヤ接触させて配置する工程と、
1組の外側遊星を前記内側の組の遊星とギヤ接触させて配置する工程であって、全ての外側遊星は2つの内側遊星とギヤ接触し、全ての内側遊星は2つの外側遊星とギヤ接触する、工程と、
外側レースの第1の構成要素を前記内側遊星とギヤ接触させて、かつ前記内側レースと同軸に配置する工程であって、前記第1の構成要素は第1の角度付きギヤ表面を有する、工程と、
外側レースの第2の構成要素を前記外側の組の遊星とギヤ接触させて、かつ前記内側レースと同軸に配置する工程であって、前記第2の構成要素は第2の角度付きギヤ表面を有し、前記第1の角度付きギヤ表面と前記第2の角度付きギヤ表面は、異なる螺旋角を有する、工程と、
入力ギヤを前記内側の組の遊星とギヤ接触させて、かつ前記内側レースと同軸に配置する工程と、を含む方法。
【請求項78】
前記第1の角度付きギヤ表面と前記第2の角度付きギヤ表面は、協働してヘリングボーンギヤ表面を形成する反対の螺旋角を有している、請求項77に記載の方法。
【請求項79】
前記入力ギヤは、第1の角度付き入力ギヤ表面を有する第1の入力ギヤ構成要素と、第2の角度付き入力ギヤ表面を有する第2の入力ギヤ構成要素と、を備え、入力ギヤを前記内側遊星とギヤ接触させて、かつ前記内側レースと同軸に配置する前記工程は、前記第1の入力ギヤ構成要素を、前記内側の組の遊星と同軸に、かつ前記内側遊星とギヤ接触する前記第1の角度付き入力ギヤ表面と同軸に配置する工程と、前記第2の入力ギヤ構成要素を、前記内側の組の遊星と同軸に、かつ前記内側遊星とギヤ接触する前記第2の角度付き入力ギヤ表面と同軸に配置する工程と、を含み、前記第1の角度付き入力ギヤ表面と前記第2の角度付き入力ギヤ表面は異なる螺旋角を有する、請求項77又は78に記載の方法。
【請求項80】
前記第1の角度付き入力ギヤ表面と前記第2の角度付き入力ギヤ表面は、ヘリングボーン入力ギヤ表面を一緒に形成するように反対の螺旋角を有する、請求項79に記載の方法。
【請求項81】
前記第1の角度付き入力ギヤ表面は、前記1組の外側遊星を前記内側遊星とギヤ接触させて配置する前記工程の前に、前記内側の組の遊星とギヤ接触させて配置され、前記第2の角度付き入力ギヤ表面は、前記外側レースの前記第1の入力ギヤ構成要素及び前記第2の入力ギヤ構成要素を前記外側遊星とギヤ接触させて配置する前記工程の後に、前記内側の組の遊星とギヤ接触するように配置される、請求項79又は80に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本特許出願は、2019年4月1日に出願された米国仮特許出願第62/827,786号及び2019年4月2日に出願された米国仮特許出願第62/62/828,320号の優先権を主張するものであり、これらの仮特許出願はそれぞれ、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
公開された国際公開第2013173928(A1)号では、2列のローラベース遊星でトルクを増大させる装置が示されており、これらのローラベース遊星は全てが、2つの他のローラベース遊星に接触し、且つ低カム角度が達成される十分に多くの遊星でトルクを増大させるものである。この角度を下回ると、装置が装填されるときに生じるカム作用は、ギヤ付き又はローリング部材間の力、並びに内側遊星と外側遊星との間及び内側遊星と内側レースとの間及び外側遊星と外側レースとの間の接点における接触圧を増大させる。
【0003】
このカム作用が発生するのを可能にするのに十分高い摩擦係数を達成することは、鋼上の鋼などの多くの共通の材料の組み合わせが、この装置の典型的なカム角度に必要とされるよりも低い摩擦係数(CF)を有するため、難題である。結果として、カム角度形状が伝達されるトルクに比例する牽引圧を提供することを可能にするのに十分に高いCFを達成するためには、ニッケル合金又は他の材料の組み合わせなどの材料を使用されなければならない。
【0004】
転がり接触型の別の課題は、遊星を全て均等に円周方向に離間させて維持することである。転がり接触は他方の遊星に対して自身を「クロック制御」せず、遊星の円周方向間隔が制御されない場合、2列の遊星は本質的に不安定である。不安定であることは、遊星が不均等に離間している場合、内側レースが外側レースと同心を維持しないことを意味する。
【0005】
ローラベースのギヤボックスの実施形態の別の課題は、軸受が外側レースを内側レースと軸方向に整列させて維持する必要があることである。
【0006】
従来のギヤ減速機などのギヤ付き装置は一般的に、シャフトと軸受とを伴った遊星キャリアを使用して遊星を配置する。遊星キャリアは、回転質量、コスト、及び複雑さを増加させる。
【発明の概要】
【0007】
外部表面を有し、軸を規定する内側レースと、内部表面を有し、内側レースと同軸である外側レースと、を有するギヤボックス装置が提供される。ギヤボックス装置は、内側レースの外部表面とギヤ接触する内側遊星と、外側レースの内部表面とギヤ接触する外側遊星と、を含んだ1組の軌道遊星を有し、全ての内側遊星は2つの外側遊星とギヤ接触し、全ての外側遊星は2つの内側遊星とギヤ接触する。内側レース及び外側レースと同軸であり、内側遊星又は外側遊星とギヤ接触する入力リングが存在してもよい。
【0008】
一実施形態では、A又はBのうちの1つは、Aであって、外側遊星が内側遊星よりも長く、各外側遊星は、それが接触している内側遊星と噛み合うそれぞれの第1の部分を有し、入力リングは、それが接触している各外側遊星のそれぞれの第2の部分と噛み合う外部表面を有し、外側遊星の第1の部分及び第2の部分の両方は、外側レースと噛み合う、Aと、Bであって、内側遊星が外側遊星よりも長く、各内側遊星は、それが接触している外側遊星と噛み合うそれぞれの第1の部分を有し、入力リングは、それが接触している各内側遊星のそれぞれの第2の部分と噛み合う内部表を有し、内側遊星の第1の部分及び第2の部分の両方は、内側レースと噛み合う、Bの場合である。
【0009】
別の実施形態では、内側遊星及び外側遊星はギヤ接触している長さを有し、ギヤ及びレースは、トルクを入力リング上に生じさせて、入力リング上のトルクによって引き起こされるギヤ間の分離力を克服するのに十分な内側遊星及び外側遊星の径方向負荷を増加させるように選択されるそれぞれの直径を有する。
【0010】
別の実施形態では、内側レースの外部表面及び外側レースの内部表面のうちの少なくとも1つは、異なるねじれ角を有する2つの角度付きギヤ面から形成されている。2つの角度付きギヤ面は、軸方向に隣接する構成要素上に配置されてもよい。この構成は、構成要素を軸方向に移動させて遊星ギヤとギヤ噛み合い接触させることを可能にし、組み立てを容易にするために使用することができる。
【0011】
種々の実施形態は、その外部表面上に内側レースを画定する太陽ギヤであって、太陽ギヤの第1の端部とその反対側の第2の端部との間の軸を規定する、太陽ギヤと、その内部表面上に外側レースを画定するリングギヤであって、太陽ギヤと同軸であるリングギヤと、太陽ギヤの内側レースとギヤ接触する内側の組の遊星と、リングギヤの外側レースとギヤ接触する外側の組の遊星と、内側の組の遊星の各々が、外側の組の遊星のうちの少なくとも2つとギヤ接触し、外側の組の遊星の各々が、内側の組の遊星のうちの少なくとも2つとギヤ接触し、(a)内側の組の遊星、又は(b)外側の組の遊星、の一方とギヤ接触する中間レースを画定する中間ギヤと、を備え、太陽ギヤ、リングギヤ、及び中間ギヤのうちの1つは静止状態に保持される、ギヤボックスに関するものである。
【0012】
特定の実施形態では、内側の組の遊星はそれぞれ、太陽ギヤの軸に対して平行に測定される第1の軸方向長さを有し、外側の組の遊星はそれぞれ、太陽ギヤの軸に対して平行に測定される第2の軸方向長さを有し、第2の軸方向長さは第1の軸方向長さとは異なり、中間レースは、(a)内側の組の遊星、又は(b)外側の組の遊星、のうちのより長い軸方向ギヤ組とギヤ接触する。様々な実施形態において、内側の組の遊星と外側の組の遊星は、ギヤ接触におけるある長さを有し、内側の組の遊星、外側の組の遊星、内側レース、外側レース、及び中間レースは、太陽ギヤ、リングギヤ、又は中間ギヤのうちの1つを介して供給されるトルクが、トルクによって引き起こされる分離力に打ち勝つのに十分な、内側の組の遊星及び外側の組の遊星の径方向負荷の増大を引き起こすことを可能にするように選択された、それぞれの直径を有する。更に、特定の実施形態では、(a)内側の組の遊星、又は(b)外側の組の遊星、の少なくとも一方はそれぞれ、1:1より大きい長さ対直径比を有する。特定の実施形態では、内側の組の遊星及び外側の組の遊星はそれぞれ、2つの別様に先細にされた部分を備える。
【0013】
様々な実施形態において、内側の組の遊星及び外側の組の遊星はそれぞれ、ヘリカルギヤを画定する。特定の実施形態では、内側の組の遊星及び外側の組の遊星はそれぞれ、一定の螺旋角を有するヘリカルギヤを画定する。更に、内側の組の遊星及び外側の組の遊星はそれぞれ、軸方向長さに沿って異なる螺旋角を有するヘリカルギヤを画定し得る。様々な実施形態において、内側の組の遊星及び外側の組の遊星はそれぞれ、ヘリングボーンギヤパターンを画定する。更に、中間ギヤは、ヘリングボーンギヤパターンの一部分に対応するそれぞれの角度付きギヤ表面を各々が有する、軸方向に隣接する2つの構成要素を備えて良く、軸方向に隣接する2つの構成要素は互いに対して締結されている。特定の実施形態では、リングギヤは、ヘリングボーンギヤパターンの一部分に対応するそれぞれの角度付きギヤ表面を各々が有する、軸方向に隣接する2つの構成要素を備え、軸方向に隣接する2つの構成要素は互いに対して締結されている。更に、太陽ギヤは、ヘリングボーンギヤパターンの一部分に対応するそれぞれの角度付きギヤ表面を各々が有する、軸方向に隣接する2つの構成要素を備えて良く、軸方向に隣接する2つの構成要素は互いに対して締結されている。
【0014】
特定の実施形態では、ギヤボックス装置は、内側の組の遊星を軸方向に拘束するように構成された少なくとも1つの内側フェンスを更に備える。様々な実施形態において、ギヤボックスは、外側の組の遊星を軸方向に拘束するように構成された少なくとも1つの外側フェンスを更に備える。様々な実施形態において、内側レース、外側レース、中間レース、並びに内側の組の遊星の各々及び外側の組の遊星の各々の外部表面は全て、ギヤ根元部によって隣接するギヤ歯から分離された複数のギヤ歯を画定し、ギヤ根元部の少なくとも一部分は径方向スロットを画定する。特定の実施形態では、内側の組の遊星の各々及び外側の組の遊星の各々は中空である。
【0015】
種々の実施形態は、本明細書で説明されるような複数のギヤボックス装置を備える多段式ギヤボックス装置に関するものであり、その複数のギヤボックス装置は、第1のギヤボックス装置の第1のリングギヤが第2のギヤボックス装置の第2の中間ギヤに接続され、それを駆動するように、段をなして配列される。
【0016】
種々の実施形態は、その外部表面上に内側レースを画定する太陽ギヤであって、太陽ギヤの第1の端部とその反対側の第2の端部との間の軸を規定する、太陽ギヤと、その内部表面上に外側レースを画定するリングギヤであって、太陽ギヤと同軸である、リングギヤと、太陽ギヤの内側レースとギヤ接触する内側の組の遊星と、リングギヤの外側レースとギヤ接触する外側の組の遊星と、内側の組の遊星の各々が、外側の組の遊星のうちの少なくとも2つとギヤ接触し、外側の組の遊星の各々が、内側の組の遊星のうちの少なくとも2つとギヤ接触し、(a)内側の組の遊星、又は(b)外側の組の遊星、の一方とギヤ接触する中間レースを画定する中間ギヤと、を備え、内側レース、外側レース、中間レース、並びに内側の組の遊星の各々及び外側の組の遊星の各々の外部表面は全て、連続的な螺旋角を有する複数のギヤ歯を画定する、ギヤボックス装置に関するものである。
【0017】
様々な実施形態において、ギヤボックスは、太陽ギヤに取り付けられ、内側の組の遊星の軸方向移動を拘束するように構成された少なくとも1つの内側フェンスを更に備える。特定の実施形態では、少なくとも1つの内側フェンスは、太陽ギヤの対向する軸方向端部上にそれぞれ固着された2つの内側フェンスを含む。様々な実施形態において、少なくとも1つの外側フェンスが、リングギヤに取り付けられ、外側の組の遊星の軸方向移動を拘束するように構成される。特定の実施形態では、少なくとも1つの外側フェンスは、リングギヤの対向する軸方向端部上にそれぞれ固着された2つの外側フェンスを含む。更に、内側の組の遊星の軸方向端部の各々は半球状の形状を有し、少なくとも1つの内側フェンスは、内側の組の遊星の軸方向端部の半球状の形状に対応する湾曲した形状を有する。様々な実施形態において、中間ギヤは出力リングであり、太陽ギヤ又はリングギヤの一方は入力モータによって駆動される。特定の実施形態では、内側の組の遊星はそれぞれ、太陽ギヤの軸に対して平行に測定される第1の軸方向長さを有し、外側の組の遊星はそれぞれ、太陽ギヤの軸に対して平行に測定される第2の軸方向長さを有し、第2の軸方向長さは第1の軸方向長さとは異なり、中間レースは、(a)内側の組の遊星、又は(b)外側の組の遊星、のうちのより長い軸方向ギヤ組とギヤ接触する。更に、(a)内側の組の遊星、又は(b)外側の組の遊星、の少なくとも一方はそれぞれ、1:1より大きい長さ対直径比を有する。特定の実施形態では、内側の組の遊星の各々及び外側の組の遊星の各々は中空である。
【0018】
種々の実施形態は、その外部表面上に内側レースを画定する太陽ギヤであって、太陽ギヤの第1の端部とその反対側の第2の端部との間の軸を規定する、太陽ギヤと、その内部表面上に外側レースを画定するリングギヤであって、太陽ギヤと同軸である、リングギヤと、太陽ギヤの内側レースとギヤ接触する内側の組の遊星と、リングギヤの外側レースとギヤ接触する外側の組の遊星と、内側の組の遊星の各々が、外側の組の遊星のうちの少なくとも2つとギヤ接触し、外側の組の遊星の各々が、内側の組の遊星のうちの少なくとも2つとギヤ接触し、外側の組の遊星と、(a)内側の組の遊星、又は(b)外側の組の遊星、の一方とギヤ接触する中間レースを画定する中間ギヤと、太陽ギヤに取り付けられ、内側の組の遊星の軸方向移動を拘束するように構成された少なくとも1つの内側フェンスと、リングギヤに取り付けられ、外側の組の遊星を軸方向に拘束するように構成された少なくとも1つの外側フェンスと、を備えるギヤボックス装置に関する。
【0019】
様々な実施形態において、内側の組の遊星の軸方向端部の各々は半球状の形状を有し、少なくとも1つの内側フェンスは、内側の組の遊星の軸方向端部の半球状の形状に対応する湾曲した形状を有する。更に、外側の組の遊星の軸方向端部の各々は半球状の形状を有し、少なくとも1つの外側フェンスは、外側の組の遊星の軸方向端部の半球状の形状に対応する湾曲した形状を有する。特定の実施形態では、内側の組の遊星はそれぞれ、太陽ギヤの軸に対して平行に測定される第1の軸方向長さを有し、外側の組の遊星はそれぞれ、太陽ギヤの軸に対して平行に測定される第2の軸方向長さを有し、第2の軸方向長さは第1の軸方向長さとは異なり、中間レースは、(a)内側の組の遊星、又は(b)外側の組の遊星、のうちのより長い軸方向ギヤ組とギヤ接触する。
【0020】
特定の実施形態において、中間ギヤは出力ギヤであり、太陽ギヤ又はリングギヤの一方は入力モータによって駆動される。様々な実施形態において、(a)内側の組の遊星、又は(b)外側の組の遊星、の少なくとも一方はそれぞれ、1:1より大きい長さ対直径比を有する。更に、内側の組の遊星及び外側の組の遊星はそれぞれ、ヘリカルギヤを画定する。特定の実施形態では、内側レース、外側レース、中間レース、並びに内側の組の遊星の各々及び外側の組の遊星の各々の外部表面は全て、ギヤ根元部によって隣接するギヤ歯から分離された複数のギヤ歯を画定し、ギヤ根元部の少なくとも一部分は径方向スロットを画定する。特定の実施形態では、内側の組の遊星の各々及び外側の組の遊星の各々は中空である。
【0021】
種々の実施形態は、その外部表面上に内側レースを画定する太陽ギヤであって、太陽ギヤの第1の端部とその反対側の第2の端部との間の軸を規定する、太陽ギヤと、その内部表面上に外側レースを画定するリングギヤであって、太陽ギヤと同軸である、リングギヤと、太陽ギヤの内側レースとギヤ接触する内側の組の遊星と、リングギヤの外側レースとギヤ接触する外側の組の遊星と、内側の組の遊星の各々が、外側の組の遊星のうちの少なくとも2つとギヤ接触し、外側の組の遊星の各々が、内側の組の遊星のうちの少なくとも2つとギヤ接触し(a)内側の組の遊星、又は(b)外側の組の遊星、の一方とギヤ接触する中間レースを画定する中間ギヤと、を備え、内側の組の遊星の各々及び外側の組の遊星の各々は、太陽ギヤ、リングギヤ、及び中間ギヤの各々の剛性よりも高い剛性を有し、そのため、太陽ギヤ、リングギヤ、又は中間ギヤのうちの1つ以上は、内側の組の遊星にかかる径方向負荷と、外側の組の遊星にかかる径方向負荷とのバランスが取れるように変形する、ギヤボックス装置に関するものである。
【0022】
特定の実施形態では、内側の組の遊星の各々及び外側の組の遊星の各々は金属材料を含む。更に、太陽ギヤ、リングギヤ、及び中間ギヤのうちの1つ以上はプラスチック材料を含む。
【0023】
様々な実施形態において、内側の組の遊星はそれぞれ、太陽ギヤの軸に対して平行に測定される第1の軸方向長さを有し、外側の組の遊星はそれぞれ、太陽ギヤの軸に対して平行に測定される第2の軸方向長さを有し、第2の軸方向長さは第1の軸方向長さとは異なり、中間レースは、(a)内側の組の遊星、又は(b)外側の組の遊星、のうちのより長い軸方向ギヤ組とギヤ接触する。特定の実施形態では、(a)内側の組の遊星、又は(b)外側の組の遊星、の少なくとも一方はそれぞれ、1:1より大きい長さ対直径比を有する。様々な実施形態において、内側の組の遊星及び外側の組の遊星はそれぞれ、2つの別様に先細にされた部分を備える。特定の実施形態では、内側の組の遊星及び外側の組の遊星はそれぞれ、ヘリカルギヤを画定する。特定の実施形態では、内側の組の遊星及び外側の組の遊星はそれぞれ、一定の螺旋角を有するヘリカルギヤを画定する。様々な実施形態において、内側の組の遊星及び外側の組の遊星はそれぞれ、軸方向長さに沿って異なる螺旋角を有するヘリカルギヤを画定する。更に、内側の組の遊星及び外側の組の遊星はそれぞれ、ヘリングボーンギヤパターンを画定する。特定の実施形態では、中間ギヤは、ヘリングボーンギヤパターンの一部分に対応するそれぞれの角度付きギヤ表面を各々が有する、軸方向に隣接する2つの構成要素を備え、軸方向に隣接する2つの構成要素は互いに対して締結されている。
【0024】
様々な実施形態において、リングギヤは、ヘリングボーンギヤパターンの一部分に対応するそれぞれの角度付きギヤ表面を各々が有する、軸方向に隣接する2つの構成要素を備え、軸方向に隣接する2つの構成要素は互いに対して締結されている。様々な実施形態において、太陽ギヤは、ヘリングボーンギヤパターンの一部分に対応するそれぞれの角度付きギヤ表面を各々が有する、軸方向に隣接する2つの構成要素を備え、軸方向に隣接する2つの構成要素は互いに対して締結されている。更に、ギヤボックスは、内側の組の遊星を軸方向に拘束するように構成された少なくとも1つの内側フェンスを更に備えてもよい。様々な実施形態において、ギヤボックス装置は、外側の組の遊星を軸方向に拘束するように構成された少なくとも1つの外側フェンスを更に備える。特定の実施形態では、内側レース、外側レース、中間レース、並びに内側の組の遊星の各々及び外側の組の遊星の各々の外部表面は全て、ギヤ根元部によって隣接するギヤ歯から分離された複数のギヤ歯を画定し、ギヤ根元部の少なくとも一部分は径方向スロットを画定する。更に、内側の組の遊星の各々及び外側の組の遊星の各々は中空であってもよい。
【0025】
種々の実施形態は、その外部表面上に内側レースを画定する太陽ギヤであって、太陽ギヤの第1の端部とその反対側の第2の端部との間の軸を規定する、太陽ギヤと、その内部表面上に外側レースを画定するリングギヤであって、太陽ギヤと同軸である、リングギヤと、太陽ギヤの内側レースとギヤ接触する内側の組の遊星と、リングギヤの外側レースとギヤ接触する外側の組の遊星と、内側の組の遊星の各々が、外側の組の遊星のうちの少なくとも2つとギヤ接触し、外側の組の遊星の各々が、内側の組の遊星のうちの少なくとも2つとギヤ接触し、(a)内側の組の遊星、又は(b)外側の組の遊星、の一方とギヤ接触する中間レースを画定する中間ギヤと、を備え、内側の組の遊星の各々及び外側の組の遊星の各々は、太陽ギヤ、リングギヤ、及び中間ギヤの各々の剛性よりも低い剛性を有し、そのため、太陽ギヤ、リングギヤ、又は中間ギヤのうちの1つ以上は、内側の組の遊星にかかる径方向負荷と、外側の組の遊星にかかる径方向負荷とのバランスが取れるように変形する、ギヤボックス装置に関するものである。
【0026】
特定の実施形態では、内側の組の遊星の各々及び外側の組の遊星の各々は金属材料を含む。更に、内側の組の遊星の各々及び外側の組の遊星の各々は中空である。様々な実施形態において、内側の組の遊星の各々及び外側の組の遊星の各々はプラスチック材料を含む。更に、特定の実施形態では、内側の組の遊星はそれぞれ、太陽ギヤの軸に対して平行に測定される第1の軸方向長さを有し、外側の組の遊星はそれぞれ、太陽ギヤの軸に対して平行に測定される第2の軸方向長さを有し、第2の軸方向長さは第1の軸方向長さとは異なり、中間レースは、(a)内側の組の遊星、又は(b)外側の組の遊星、のうちのより長い軸方向ギヤ組とギヤ接触する。様々な実施形態において、(a)内側の組の遊星、又は(b)外側の組の遊星、の少なくとも一方はそれぞれ、1:1より大きい長さ対直径比を有する。特定の実施形態では、内側の組の遊星及び外側の組の遊星はそれぞれ、2つの別様に先細にされた部分を備える。特定の実施形態では、内側の組の遊星及び外側の組の遊星はそれぞれ、ヘリカルギヤを画定する。様々な実施形態において、内側の組の遊星及び外側の組の遊星はそれぞれ、一定の螺旋角を有するヘリカルギヤを画定する。特定の実施形態では、内側の組の遊星及び外側の組の遊星はそれぞれ、軸方向長さに沿って異なる螺旋角を有するヘリカルギヤを画定する。特定の実施形態では、内側の組の遊星及び外側の組の遊星はそれぞれ、ヘリングボーンギヤパターンを画定する。更に、中間ギヤは、ヘリングボーンギヤパターンの一部分に対応するそれぞれの角度付きギヤ表面を各々が有する、軸方向に隣接する2つの構成要素を備えて良く、軸方向に隣接する2つの構成要素は互いに対して締結されている。特定の実施形態では、リングギヤは、ヘリングボーンギヤパターンの一部分に対応するそれぞれの角度付きギヤ表面を各々が有する、軸方向に隣接する2つの構成要素を備え、軸方向に隣接する2つの構成要素は互いに対して締結されている。更に、太陽ギヤは、ヘリングボーンギヤパターンの一部分に対応するそれぞれの角度付きギヤ表面を各々が有する、軸方向に隣接する2つの構成要素を備えて良く、軸方向に隣接する2つの構成要素は互いに対して締結されている。
【0027】
特定の実施形態では、ギヤボックス装置は、内側の組の遊星を軸方向に拘束するように構成された少なくとも1つの内側フェンスを更に備える。特定の実施形態では、ギヤボックス装置は、外側の組の遊星を軸方向に拘束するように構成された少なくとも1つの外側フェンスを更に備える。様々な実施形態において、内側レース、外側レース、中間レース、並びに内側の組の遊星の各々及び外側の組の遊星の各々の外部表面は全て、ギヤ根元部によって隣接するギヤ歯から分離された複数のギヤ歯を画定し、ギヤ根元部の少なくとも一部分は径方向スロットを画定する。様々な実施形態において、内側の組の遊星の各々及び外側の組の遊星の各々は中空である。
【0028】
種々の実施形態は、ギヤボックス装置を組み立てる方法であって、1組の外側遊星を外側レースの内部表面とギヤ接触させて配置する工程と、1組の内側遊星を外側の組の遊星とギヤ接触させて配置する工程であって、全ての内側遊星は2つの外側遊星とギヤ接触し、全ての外側遊星は2つの内側遊星とギヤ接触する、工程と、内側レースの第1の構成要素を内側遊星とギヤ接触させて、かつ外側レースと同軸に配置する工程であって、第1の構成要素は第1の角度付きギヤ表面を有する、工程と、内側レースの第2の構成要素を内側遊星とギヤ接触させて、かつ外側レースと同軸に配置する工程であって、第2の構成要素は第2の角度付きギヤ表面を有し、第1の角度付きギヤ表面と第2の角度付きギヤ表面は、異なる螺旋角を有する、工程と、入力ギヤを外側遊星とギヤ接触させて、かつ外側レースと同軸に配置する工程と、を含む、方法、に関するものである。特定の実施形態では、第1の角度付きギヤ表面と第2の角度付きギヤ表面は、協働してヘリングボーンギヤ表面を形成する反対の螺旋角を有する。様々な実施形態において、入力ギヤは、第1の角度付き入力ギヤ表面を有する第1の入力ギヤ構成要素と、第2の角度付き入力ギヤ表面を有する第2の入力ギヤ構成要素と、を備え、入力ギヤを外側の組の遊星とギヤ接触させて、かつ外側レースと同軸に配置する工程は、第1の入力ギヤ構成要素を、外側遊星と同軸に、かつ外側の組の遊星とギヤ接触する第1の角度付き入力ギヤ表面と同軸に配置する工程と、第2の入力ギヤ構成要素を、外側の組の遊星と同軸に、かつ外側の組の遊星とギヤ接触する第2の角度付き入力ギヤ表面と同軸に配置する工程と、を含み、第1の角度付き入力ギヤ表面と第2の角度付き入力ギヤ表面は異なる螺旋角を有する。
【0029】
特定の実施形態では、第1の角度付きギヤ表面と第2の角度付きギヤ表面は、協働してヘリングボーン入力ギヤ表面を形成するように反対の螺旋角を有する。更に、第1の角度付き入力ギヤ表面は、1組の内側遊星を外側の組の遊星とギヤ接触させて配置する工程の前に、外側遊星とギヤ接触させて配置されて良く、第2の角度付き入力ギヤ表面は、内側レースの第1の入力ギヤ構成要素及び第2の入力ギヤ構成要素を内側遊星とギヤ接触させて配置する工程の後に、外側の組の遊星とギヤ接触するように配置される。
【0030】
更に、特定の実施形態は、ギヤボックス装置を組み立てる方法であって、1組の内側遊星を内側レースの外部表面とギヤ接触させて配置する工程と、1組の外側遊星を内側の組の遊星とギヤ接触させて配置する工程であって、全ての外側遊星は2つの内側遊星とギヤ接触し、全ての内側遊星は2つの外側遊星とギヤ接触する、工程と、外側レースの第1の構成要素を内側遊星とギヤ接触させて、かつ内側レースと同軸に配置する工程であって、第1の構成要素は第1の角度付きギヤ表面を有する、工程と、外側レースの第2の構成要素を外側の組の遊星とギヤ接触させて、かつ内側レースと同軸に配置する工程であって、第2の構成要素は第2の角度付きギヤ表面を有し、第1の角度付きギヤ表面と第2の角度付きギヤ表面は、異なる螺旋角を有する、工程と、入力ギヤを内側の組の遊星とギヤ接触させて、かつ内側レースと同軸に配置する工程と、を含む、方法、に関するものである。
【0031】
特定の実施形態では、第1の角度付きギヤ表面と第2の角度付きギヤ表面は、協働してヘリングボーンギヤ表面を形成する反対の螺旋角を有する。更に、特定の実施形態によれば、入力ギヤは、第1の角度付き入力ギヤ表面を有する第1の入力ギヤ構成要素と、第2の角度付き入力ギヤ表面を有する第2の入力ギヤ構成要素と、を備え、入力ギヤを内側遊星とギヤ接触させて、かつ内側レースと同軸に配置する工程は、第1の入力ギヤ構成要素を、内側の組の遊星と同軸に、かつ内側遊星とギヤ接触する第1の角度付き入力ギヤ表面と同軸に配置する工程と、第2の入力ギヤ構成要素を、内側の組の遊星と同軸に、かつ内側遊星とギヤ接触する第2の角度付き入力ギヤ表面と同軸に配置する工程と、を含み、第1の角度付き入力ギヤ表面と第2の角度付き入力ギヤ表面は異なる螺旋角を有する。様々な実施形態において、第1の角度付きギヤ表面と第2の角度付きギヤ表面は、協働してヘリングボーン入力ギヤ表面を形成するように反対の螺旋角を有する。更に、特定の実施形態では、第1の角度付き入力ギヤ表面は、1組の外側遊星を内側遊星とギヤ接触させて配置する工程の前に、内側の組の遊星とギヤ接触させて配置され、第2の角度付き入力ギヤ表面は、外側レースの第1の入力ギヤ構成要素及び第2の入力ギヤ構成要素を外側遊星とギヤ接触させて配置する工程の後に、内側の1組の遊星とギヤ接触するように配置される。
【0032】
ここで添付図面を参照するが、これらの図面は必ずしも縮尺通りに描かれていない。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】磁性遊星を含むギヤボックスを備えるモータの一部の簡略化された概略軸端部図である。
【
図2】
図1のモータの一部の簡略化された概略軸端部図であり、破線で表される電磁ステータ磁極/ポストを示す。
【
図3】部分的に組み立てられたステータが遊星の両方の軸端部にある、
図2の例示的な実施形態の概略周方向断面図である。
【
図4】内側遊星よりも大きな外側遊星を有するむギヤボックスの例示的な実施形態の概略断面図であり、1列当たりの遊星は16であり、及びより大きな列の遊星は磁石を有している。
【
図5】内側遊星よりも大きな外側遊星を含むギヤボックスの例示的な実施形態の概略断面図であり、1列当たりの遊星は14個であり、及びより大きな列の遊星は磁石を有している。
【
図6】内側遊星よりも大きな外側遊星を有するギヤボックスの例示的な実施形態の概略断面図である。
【
図7】例示的なギヤパターンを示す2つの遊星の概略側面図である。
【
図8】低角度ローブプロファイルの簡略化された例を示す図である。
【
図9】内側リングと外側リングとの間の経路を示す、中空遊星を含む例示的なギヤボックスの概略断面図である。
【
図10】ギヤボックスの実施形態の正面等角図である。
【
図12】非対称太陽入力を含むギヤボックスの等角切取り図である。
【
図14】例示的組み立てステップを示す、
図12のギヤボックスの切取り図である。
【
図15】ギヤ歯プロファイルに実装され得るプロファイルシフト概念の概略図である。
【
図16】ギヤボックス用の試験システムの等角図である。
【
図17】アイドラリングを示す例示的なギヤボックスの切取り図である。
【
図18】例示的な対称ギヤボックスの等角図である。
【
図20】非対称太陽入力を含む例示的なギヤボックスの等角切取り図である。
【
図21】特定の実施形態による対称ギヤボックスの代替的な図である。
【
図22】特定の実施形態による対称ギヤボックスの代替的な図である。
【
図23】特定の実施形態による代替的なギヤボックスの代替的な図である。
【
図24】特定の実施形態による代替的なギヤボックスの代替的な図である。
【
図25】特定の実施形態によるギヤボックスの代替的な図である。
【
図26】特定の実施形態によるギヤボックスの代替的な図である。
【
図27】特定の実施形態によるギヤボックスの代替的な図である。
【
図28】特定の実施形態によるギヤボックスの代替的な図である。
【
図29】特定の実施形態によるハウジング内に設けられた完全なギヤボックスの様々な構成要素の代替的な図である。
【
図30】特定の実施形態によるハウジング内に設けられた完全なギヤボックスの様々な構成要素の代替的な図である。
【
図31】特定の実施形態によるハウジング内に設けられた完全なギヤボックスの様々な構成要素の代替的な図である。
【
図32】特定の実施形態によるハウジング内に設けられた完全なギヤボックスの様々な構成要素の代替的な図である。
【
図33】特定の実施形態によるハウジング内に設けられた完全なギヤボックスの様々な構成要素の代替的な図である。
【
図34】特定の実施形態によるハウジング内に設けられた完全なギヤボックスの様々な構成要素の代替的な図である。
【
図35】特定の実施形態によるハウジング内に設けられた完全なギヤボックスの様々な構成要素の代替的な図である。
【
図36A】薄い形状、及びギヤ根元部に切り込みを有する形状の、柔らかい材料からそれぞれ形成されたギヤの一部を概略的に示す。
【
図36B】薄い形状、及びギヤ根元部に切り込みを有する形状の、柔らかい材料からそれぞれ形成されたギヤの一部を概略的に示す。
【
図36C】薄い形状、及びギヤ根元部に切り込みを有する形状の、柔らかい材料からそれぞれ形成されたギヤの一部を概略的に示す。
【
図37】2段式ギヤボックスの等角切取り図である。
【
図38】
図37の2段式ギヤボックスを含むアクチュエータの等角切取り図である。
【
図40】先細遊星を有するギヤボックスの概略側断面図である。
【
図41】先細遊星を有するギヤボックスの分解等角図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本開示は、添付図面を参照して、様々な実施形態をより完全に説明するものである。いくつかの実施形態が本明細書に図示及び記載されているが、全ての実施形態が図示及び記載されているわけではないことを理解されたい。実際に、それらの実施形態は、多くの異なる形態を取ることができ、したがって、本開示は、本明細書に記載される実施形態に限定されるものとして解釈されるべきではない。本明細書に記載の実施形態には、「特許請求の範囲」で言及される内容から逸脱しない軽微な変更がなされてよい。むしろ、これらの実施形態は、本開示が適用可能な法的要件を満たすように提供される。同様の符号は、全体を通して同様の要素を指す。
【0035】
本装置の実施形態は、内側固定リングから外側出力リングに、2列の遊星を介して直接トルクを伝達することによって、遊星キャリアの必要性を排除する。ギヤ減速比は、内側リングのODと外側リングのIDとの間の差によって決定され、内側遊星及び外側遊星は、それらの間のトルク伝達負荷経路として作用する。遊星が軌道を周回されると、外側リングは、約3:1、又は場合によってはより低い比率で、又は約6:1まで、又は場合によってはより高い比率で回転する。内側リングのODが外側出力リングのIDに近いほど、減速比が大きくなる。
【0036】
本明細書に開示される装置の実施形態は、等しい円周間隔、並びに遊星及びレースの軸方向の整列を提供するための特徴の組み合わせを使用し、遊星とレースとの相互作用により、一部の用途における追加の軸受の必要性を排除し、又は、追加の軸受の強度(したがって、コスト及び重量)を低減して、内側レースから外側レースへの軸方向の整列を提供する。更に、本明細書に開示される装置の実施形態は、遊星に直接磁力を印加して、別個のモータロータの必要性を排除する構造を提供し、遊星が出力リングよりも高速で旋回しているため、遊星自体が減速比を有するロータとして作用する。これにより、モータギヤボックスの組み合わせの製造及び組み立てを単純化する太陽リング入力の必要性を排除する。遊星(したがって、収容された磁石)が回転しているという事実は、エアギャップ及びステータに磁束を依然として提供しているため、有意な不利益とは考えられない。
【0037】
装置の実施形態は、ギヤよりむしろ転がり接触のような作用及び感触を提供するのに十分に小さく、十分な数のギヤ又はローブを使用する。請求項において、用語「ローブ」はまた、用語「ギヤ」を包含する。ローブは、(くさびのように作用するギヤ歯を有するギヤとは対照的に)径方向に大きい表面領域を提供する利点を有する。一実施例では、ローブ又はギヤの圧力角は、20、30又は40度を超えてもよい。代替的な構成では、ローブの代わりに高角度のギヤを使用することができる。ギヤ又はローブをヘリングボーン構成に構成することにより、遊星のギヤ指定周方向位置決めの結果として周方向遊星間隔と、ヘリングボーンヘリカルギヤの結果として、遊星とレース及び内側遊星と外側遊星との軸方向の整列と、遊星上のヘリングボーンギヤが多軸(すなわち、径方向及び軸方向の位置)制約を提供するため、内側レースと外側レースとの間の軸受の必要性を排除又は低減する機能と、を含むいくつかの特性を達成することができる。遊星に永久磁石(PM)を使用すると、装置の軸端部に配置された1つ以上(例えば、2つ)の電磁ステータを、遊星に回転トルク及び運動を与えるように整流でき、そうすることによって、外側リング上にトルクを発生させる(内側リングを固定基準としてこれらの非限定的な例で使用するが、外側リングを固定基準として使用することができ、内側リングは出力リングであってもよいことが理解される。ステータ(単数又は複数)は、どちらが固定であり、どちらが出力であるかに関わらず、内側又は外側リングに取り付けられ得ることも理解される)。
【0038】
永久磁石を含む実施形態
【0039】
遊星キャリアを有する典型的な従来のディファレンシャルギヤは、ディファレンシャルギヤボックスが遊星内の軸受及びシャフトを必要とするため、遊星内にPMを含むことはできない。更に、従来の遊星ギヤ(遊星の単一の円形アレイを有する)が、固定太陽ギヤと共に遊星内のPMを使用する場合、減速機ではなく増速機として作用する。
【0040】
図1では、装置10の非限定的な例示的実施形態の一部の簡略化された概略図が示されている。内側レース12は固定又は基準レースとして作用し、外側レース14は出力部材として作用し、内側遊星16及び外側遊星18のそれぞれのアレイは、軌道を周回するときに、内側レース12から外側レース14にトルクを与える。遊星を周回させるために、装置の実施形態は、遊星のうちの1つ以上に、好ましくは、
図1に示されるように、全ての内側遊星及び外側遊星に埋め込まれた(例えば、これらの軸方向内部開口部内に配置された)永久磁石20を有する。
【0041】
図2は、破線で表される電磁ステータ磁極/ポスト22を有する装置10の実施形態の簡略化された概略図を示す。72個のステータポスト及び68個の遊星などの従来の電動モータ及びステータに使用することができるような、遊星及びポストの数の範囲を使用することができる。この非限定的な例における遊星の数は、34個の内側遊星及び34個の外側遊星を含む。ステータは、ポスト又は空芯コイルを含む電磁石を有してもよい。また、
図2には、
図3の断面図が切断される箇所を示す切断線A-Aも示されている。切断線は、外側遊星を通って、内側遊星の間を切断する。空芯コイルが使用される場合、各空芯コイル22から各隣接する空芯コイル22へ磁束を搬送する軟磁性材料のバックアイアン(backiron)26を有することが好ましい。
【0042】
図3は、
図2の非限定的な例示的実施形態の概略断面図を示し、部分的に組み立てられたステータが遊星の両方の軸端部にある。(電磁素子上のコイルは示されていない)。永久磁石20の配置は、2つの磁石が使用され、それらが分離又は軸方向位置決め部材24にまたがって一緒に引っ張り合うように両端部から外側遊星18内に配置される。これにより、追加の固着手段を必要とせずに磁石を遊星内に保持することができる。これは、電磁ステータ磁極22と相互作用するときに、推進力用の磁石の完全端を提供する。磁石を挿入及び固定する他の手段も使用されてもよい。内側遊星は、外側遊星と同じ又は異なる配置を使用してもよい。磁極(図示の実施形態では空芯コイルとして実現されている)22及びバックアイアン26を含むステータ要素が概略的に示されている。図示のように、ステータ要素は、装置10の両方の軸方向側にあってもよい。ステータは、固定要素、ここでは内側レース12に取り付けられてもよい。ここで、スペーサ28は、バックアイアン26を内側レース12に接続するために使用される。
【0043】
軸方向位置決め部材24は、磁石を分離する必要はない。部材24は、磁石が一緒に移動するのを単に防止する。(プラスチックギヤが使用される場合)プラスチックのリングによって分離された2つの単純な円筒形PMで分離して軸方向位置決め部材24を形成する場合、それらの間に軟磁性材料ディスク112(例えば、鋼)が存在する必要がある。
【0044】
軸方向位置決め部材24は、好ましくは、遊星の少なくとも内側部分114(内径)と一体に成形又は作製される。遊星全体を単一の部品として形成することができるか、又は遊星のギヤ面は、内側部分114が挿入される1つ以上の別個の部品であってもよい。鋼ディスク112などの軟磁性部材は、2つの磁石間の磁束連結経路として使用されることが好ましい。特定の実施形態では、PMは、軟磁性材料ディスクの代わりに、より小さい直径の円筒形端部セクションを有し得る。単純な円筒形磁石は、構築するのにより安価であると考えられ、それらの間の磁束結合のための鋼ディスクスペーサの使用により、このディスクを理想的な厚さに容易に調整することができる(一方、PMは、同じ公差に機械加工することがより困難である)。
【0045】
図1~
図3に示される実施形態は、同様のサイズの2列の遊星(ローラ、遊星ギヤ、及び/又はその他)を有し、各列の遊星内に磁石を含む。磁石は、
図1及び
図2に見られるように、1つのアレイ内に北磁(N)極などの第1の極性配列(一方の軸方向側から見たとき)と、他のアレイ内に南磁(S)極などの第2の極性配列と、を有するように配向される。いくつかの構成は、他よりもはるかに小さい遊星の1つのアレイを使用する。このような実施形態では、磁石は、より大きい遊星内にのみに設置されてもよい(かつより小さい遊星内には設置されなくてもよい)が、様々な実施形態において、磁石は他の遊星配向に配置されてもよいことを理解されたい。より大きい遊星内のみに磁石を配置することは、より小さい径方向寸法によってステータがより軽量になるなどの利益をもたらす。磁石は、遊星のサイズに関わらず、1つの列に制限され得る。
図4~
図5に1列当たり16個及び14個の遊星を有するバージョンで示される例は、外側アレイのみに磁石20を有するより大きい外側遊星18を有する。
【0046】
この単一列の磁石構成は、PM遊星の単一アレイ内の磁石の交番する極性を有する。
【0047】
ステータは、複数の磁極を有してもよい。各磁極は、例えば、ポスト又は空芯コイルを有する電磁石として具現化され得る。従来の3相モータに関して、ステータは、3で割り切れる数の磁極を有する(ステータを参照するとき、「磁極」又は「ポスト」という用語は、空芯コイルが使用される場合、各個々のポスト及びコイル、又はコイルを指す)。4で割り切れる数の磁極を有することも有用であり得、そのため、磁極の数が3と4の両方で割り切れる場合、その磁極の数は12で割り切れる。
【0048】
ロータポストの数(ここではロータポストは、磁石を含む隣接する遊星に対して交番する磁極の永久磁石を含む遊星の数を指す)は、ステータポストの数に基づいており、集中巻の場合、ロータポストの数は、ステータポストの数よりも多いか、又はそれより少ない。例えば、-2又は+2であるが、-4又は+4が好ましく、これは、エアギャップの周りに磁力を分配してステータに対する曲げ負荷を低減するためである。他の違いもまた機能するであろう。
【0049】
ここで、ロータポストの数は、それらの中に磁石を含む遊星の数であり、典型的には、遊星の総数又は遊星の列の1つにおける遊星の数のいずれかである。
【0050】
列内の好適な数の遊星の例は、1列の遊星内に磁石を有する実施形態では、
図4に示すように16個である。
【0051】
図1~5に示される実施形態は、本明細書では、太陽なし(sunless)自己増力(self-energizing)ギヤボックスと呼ばれる。これらの実施形態はそれぞれ、1つの(典型的には固定された)内側リングと、1つの外側リング(典型的には、出力に接続される)とのみを有する。遊星は軸受として作用し、従来の軸受の必要性を低減又は排除する。このようなアクチュエータは、エクソスケルトンなどの高速作動を利用する実装形態に使用可能であり得る。本出願において開示される実施形態は、例えば、参照によってその全容が本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2017/0181916号に開示されているようなエクソスケルトンで使用され得る。
【0052】
図6は、1列当たり14個の遊星を有する実施形態を示し、
図5よりも遊星サイズの差が小さい。磁石は示されていない。これらの実施形態の全ては、磁石と共に、又は磁石なしで使用することができる。磁石なしの場合、入力の力/トルクは、以下に説明及び示されるように外部モータによって動力供給される入力ギヤなどの外部源によって供給されてもよい。
【0053】
ギヤ又はローブ構成
【0054】
図7は、内側遊星16上の内側ヘリングボーンギヤ又はローブ30、及び外側遊星18上の外側ヘリングボーンギヤ又はローブ32の非限定的な例を示す。ギヤ又はローブ30及び32は、線によって概略的に示されている。ギヤ又はローブ30及び32は噛み合うが、この図では、ギヤはわずかに分離されていると思われる。ヘリングボーンギヤ又はローブは、遊星の軸方向の位置決めを拘束するのに役立つ。軸方向の位置決めは、表面又は別の遊星と同時に接触する遊星の異なる部分において異なるねじれ角を有するギヤ又はローブの任意の使用によって拘束されてもよい。
図7に示すヘリングボーン形状は、この一例に過ぎない。以下に定義される「圧力角」と区別するために、この段落で言及される角度は、軸方向から離れるローブ山部又は谷部の角度であり、ねじれ角と呼ばれる。(ローブ30を示す線を内側遊星16の軸に平行な点線に接続する弧によって表される)ねじれ角34は、この実施形態では、遊星の異なる軸方向部分に対向する。この対向する非ゼロ角度は、異なる軸方向部分上の異なるねじれ角の一例である。
【0055】
この装置は、トラクション面と協働するように構成され得るが、例えば
図8に示されるようなローブの使用は、ギヤ間のより高い角度での摺動を防止することによって、見かけの摩擦係数を増加させる効果を有する。したがって、負荷下のときの平均最大圧力角が、ローブ又はギヤの面が係合解除するのを防ぐのに十分低い限り、正弦波プロファイルなどの、高有効圧力角のローブを使用することができる。
【0056】
特定の装置10の実施形態の圧力角は、ギヤ/ローブ30、32の負荷に著しく影響を及ぼし得る。装置10(ギヤボックス)が特定の実施形態に従って負荷を受け、設計されているとき、自己カム作用が存在するため(本明細書で論じられるように)、遊星16、18上に半径方向負荷がかかる。下限閾値を下回る圧力角度では、ギヤ歯が結合し、それによって装置10が回転しないか、又は高摩擦を発生するリスクがある。上限閾値を超える圧力角では、ギヤ/ローブ30、32は浅すぎて大きな負荷を受けることができず、その結果、負荷下でギヤ/ローブ30、32のスキッピングが生じ得る。下限閾値及び上限閾値は、内側及び外側遊星16、18のカム角によって影響を受ける。
【0057】
圧力角を調節することは、複数の遊星16、18間の負荷共有を改善するために、あるいは装置10内の遊星16、18又は他のギヤの寿命を増加させるために(例えば、歯車が経験する負荷を減少させることによって)半径方向力を増加又は減少させることになり得る。例えば、低剛性を有する(例えば、低剛性材料又は低剛性構成を備える)遊星を組み込んだ装置10では、材料の剛性のみが、遊星16、18又は装置10の間における負荷の共有を可能にする相当な程度の撓曲をもたらす。高い圧力角を有するギヤ/ローブ30、32を提供することにより、遊星16、18にかかる半径方向負荷が増大するが、遊星16、18にかかる屈曲負荷は減少することになる。そのような構成は、歯元屈曲が重大な故障モードとして識別される実装形態において、遊星16、18の寿命を増加させ得る。より典型的には、装置10の全体的な剛性を最大化するために、より剛性の低い遊星16、18にかかる半径方向負荷を減少させ、より小さな圧力角のギヤ/ローブ30、32を使用することが望まれる。高い剛性の遊星16、18を有する装置10では、遊星16、18(又は本明細書で議論される他のギヤ/リング)の十分な撓曲が存在し、遊星16、18の間の負荷分割が確実となるようにするために、付加的な半径方向負荷が利用され得る。例として、より高い圧力角を利用することにより、遊星16、18の間における負荷分割を向上させるのに十分な遊星16、18の撓曲がもたらされ得る。
【0058】
歯元における応力集中が減少することにより、遊星16、18のより高い圧力角を有することが有益となり得る。これは、歯元内の応力がより低くなると解釈されるが、それによって遊星16、18の寿命が延長され得る。
【0059】
高有効圧力角のローブプロファイルの簡略化された例を
図8に示す。高有効圧力角のローブ形状は、径方向に活性である表面領域を増加させることによって、高い転がり接触能力を可能にすると考えられる。増大したトルクを有する径方向接触力を増大させる自己カム効果と、この低有効圧力角のローブ形状との組み合わせは、最小限の摺動、したがって低転がり摩擦をもたらすことが期待される。
【0060】
高有効圧力角-従来のギヤボックスでは、高圧力角は、トルク伝達中にギヤ間の高い分離力をもたらすであろう。装置の実施形態では、ローブ圧力角は、カム角度が確立されるように、接触領域の有効摩擦係数を増加させるのに十分低い。この臨界有効摩擦係数(critical effective friction coefficient、EFC)が確立されると、自己増力効果により、遊星は、摺動又はスキップするのではなく、トラクション圧力を増加させる。
図8は、遊星とレースとの間のローブ接触を示す。破線の曲線は、底部の遊星のピッチ直径及び上部のより大きい直径のレースを表す。長い破線Aは、遊星とレースとの間の接点がギヤなしの境界である場合の実際的な接触角を表現し、また、そのような具現化おける接触角は、遊星の軸に対して半径方向にある。線Bは、遊星(図示のようなローブ30を有する)がレース(図示のような対応するローブ32を有する)上を転動し、ローブの表面に対して垂直をなすときのローブ噛み合い中の最大圧力角を表す。線Cは、遊星(図示のようなローブ30を有する)がレース(図示のような対応するローブ32を有する)上を転動し、ローブ30の表面に対して垂直をなすときの負荷噛み合い中の最小圧力角を表す。トルク伝達中、接触圧は一方向に付勢されるため、接触線Bの反対方向に効果的な接触がない。この接触パターンの結果として、平均有効圧力角は線Dに沿って、線Bと線Cとの間のほぼ中間である。
【0061】
(その内容が参照により本明細書に組み込まれる)国際公開第2013173928(A1)号に記載されているように、内側レース及び外側レースのそれぞれは、円形であってもよく、軸を中心に置かれてもよい。トラクション角度φiは、以下のように定義されてもよい。すなわち、第1の外側遊星18に接触する第1の内側遊星16の各対に対して、トラクション角度φiは、第1の内側遊星16の中心を通って軸から外向きに延びる第1の線と、第1の外側遊星18と外側レース14との接点及び第1の内側遊星16と内側レース12との接点から延びる第2の線との間の角度として定義される。遊星16、18の軌道運動は、内側レース12と外側レース14との間の差動運動をもたらし、したがって、トルク力は、遊星16、18を介して内側レース12と外側レース14との間で伝達される。このトルク力は、隣接する遊星16、18の接点間で伝達され、したがって、周方向成分と、トラクション角度φiの接線に等しい径方向成分との比を有するトラクション角度で伝達される。したがって、国際公開第2013173928(A1)号に記載されているように、トラクション面に関して、内側レース12と内側遊星16との間の摩擦係数が角度の接線よりも大きい場合、トルクは、大きな予圧又は径方向負荷を増加させるための任意の追加の機構を必要とせずに、トルクが増加するにつれて、内側レース12と外側遊星18との間のトラクションを維持するのに十分な径方向成分を生成する。これは、本明細書では「カム効果」と呼ばれる。このカム効果を呈する装置10はまた、本明細書では「自己増力」(例えば、自己増力ギヤボックス)と呼ばれることもある。
【0062】
遊星16、18上のギヤ又はローブ30、32を用いると、遊星16、18の表面同士の間の摩擦係数に依拠しなくても、遊星16、18を互いに回転摺動させないように保つための自己増力効果が発生する。その代わりに、ギヤ又はローブ30、32は、遊星16、18を互いに、またそれらの対応するレースに時機を合わせるように機能する。
【0063】
図7に示される実施形態では、ローブ30、32は、遊星16、18の実質的に全径方向表面を覆い、内側遊星のローブ30は、外側遊星のローブの32及び内側レース12のローブの両方と噛み合い、外側遊星のローブ32は、内側遊星のローブ30及び外側レース14のローブの両方と噛み合う。しかしながら、特定の実施形態は、遊星16、18のうちの一部分のみにローブを有してもよい。また、他の実施形態は、遊星16、18の異なる部分を、したがって、隣接する遊星ではなく対応するレースと接触する、場合によっては異なるローブ30、32を設けてもよい。異なる接点のためのローブ、ギヤ、又はトラクション面の異なる選択を有してもよい。
【0064】
ギヤ歯プロファイル
【0065】
本発明の装置10の実施形態は、遊星の2つの列16、18の間、及び遊星とレースとの間のギヤ接触を組み込んだものである。このギヤ接触は、より大きいカム角度及び潜在的により高いトルク伝達を可能にする。ギヤ接触で解決しようとする1つの課題は、ギヤ付き構成要素間の径方向圧縮が、非共役運動をもたらすことができ、また、噛み合い遊星の受容歯間に強制的に作用するくさびとして作用する1つの遊星の歯のくさび効果の結果として、高摩擦及びコギングをもたらすことができることである。このくさび効果は、ギヤ接触面に平面に位置する遊星間の径方向力の高い機械的利点をもたらし、高摩擦及び摩耗をもたらす。ギヤを径方向に共に強制することはまた、遊星回転中のギヤ歯接触の異なる位相全体にわたって機械的利点が変化するにつれて、可変摩擦力をもたらす。この可変摩擦力は、コギング及び不規則な摩耗をもたらす可能性がある。
【0066】
装置のための新しいギヤ歯プロファイルは、転がり接触によってもたらされないトルク伝達の残りを提供する複雑なギヤ歯プロファイルと組み合わされた、トラクション係数での転がり接触の組み合わせを提供する。
【0067】
ギヤ歯間の円筒形の転がり接触面の使用は、スパーギヤと共に使用される場合、ギヤ接触の量を低減する(すなわち、接触比を減少させる)。円筒形の転がり接触の十分に高い割合で、1未満のギヤ接触比が生じる。この比率までの比率では、1を超える転がり接触比を達成することは困難であるか、又は不可能である。本明細書に記載されるようなはすばパターンの使用は、ギヤ間の連続する転がり接触、並びに滑らかな回転接触及び中断されないギヤトルク伝達のための連続するギヤ接触を提供することができる。遊星の異なる軸方向部分に螺旋方向を有するはすばは、ヘリングボーン歯を形成することができる。
【0068】
各実施形態は、転動表面が高い割合のトルクを伝達することを可能にする、カム角及び摩擦係数を用い得ることに留意されたい。他の用途では、自己増力効果をもたらさないカム角度及び摩擦係数を使用することが好ましい場合もある。この場合、ギヤ歯は、より高い割合の全トルクを提供し得る。
【0069】
ローブギヤ
【0070】
正弦波形状のギヤ形態を使用する、比較的単純なギヤ歯プロファイルを有する合理的な性能が示されている。この形状は、純粋な正弦波、又はローブを形成する一連の連結された弧などの近似正弦波であってもよい。十分に多くのローブを有すると、歯の高さは、滑らかな転がり接触のために、径方向のローブの先端部及び根元部に十分な表面領域を提供しながら、ギヤ歯間の摺動運動を低減するために、十分に低い。例えば、ローブ高さは、ギヤ、例えば、内側遊星ギヤ16又は外側遊星ギヤ18の半径の1/20、1/30又は1/40未満であってもよい。高いねじれ角の使用は、接線方向における一貫した径方向接触及び一貫したトルク伝達表面領域を提供する。このローブ形状が本装置10の自己カム形状で使用されるとき、トラクション角度は、接線接触によってトルク伝達がどの程度提供されるか、そして歯の先端部との半転がり接触における歯元のトラクションを介してどの程度提供されるかを決定する。
【0071】
トルク伝達
【0072】
装置10の実施形態は、プラスチックから構築された場合でも、非常に堅固なトルク伝達をもたらす。装置10の実施形態の回転剛性ポテンシャルは、従来の遊星ギヤ列による可能性よりもはるかに高いと考えられる。これは、トルクが、内側ギヤ16及び外側遊星18を介して、ほぼ直線のアレイに沿って内側ギヤ16から外側ギヤ18に伝達されるためである。この直線トルク伝達は、
図9の簡略化されたFEA分析で示される。
図9により明るい陰影で示される応力線110をマークするために、矢印が追加される。
【0073】
増加した径方向予圧は、剛性を増加させ得るが、転がり摩擦も増加させ得る。転がり摩擦の増加は必ずしも有益ではないが、転がり摩擦の増加が有用となる場合もある。機械加工では、例えば、工具負荷又は振動の結果としてギヤボックスのバックドライブを防止することが望ましい。安全ブレーキが必要とされる用途のような他の用途では、高い予圧を使用して、ギヤボックスを、特定のバックドライブトルク未満でバックドライブ不能とすることができる。これにより、例えば、電流と係合解除されなければならないブレーキのコスト及び複雑さ及び電力消費を低減する。
【0074】
入力リングを有する実施形態
【0075】
一実施例では、装置の自己増力部分は、複数の離間配置された内側遊星16(例えば、17の等間隔に離間配置された内側遊星16)と噛合する固定内側太陽ギヤを含み、これは次に、対応する数の離間配置された外側遊星18(例えば、17の等間隔に離間配置された外側遊星18)と噛合する。次いで、外側遊星18は、外側リングのレースと噛み合う。この段の入力は、遊星16、18の軌道であり、出力は外側リングの運動である。入力段は、遊星ギヤを使用することによって、自己増力段で遊星16、18を駆動する。この段では、入力としての太陽ギヤ、出力としての遊星回転、及びアイドラ外側リングを使用する。例示的な実施形態では、45°の螺旋角が各ギヤのヘリンボーン構成で使用されるが、他の螺旋角(ヘリンボーン構成、連続螺旋構成、変化する螺旋角構成、スパーギヤ構成、及び/又はその他として提供されるかどうかに関わらない)も使用される。
【0076】
45°の螺旋角を有する実施形態で使用されるギヤ歯の直径及び数が、表1に示されている。
【0077】
【0078】
装置の実施形態のトラクション及びギヤ構成は、国際公開第2013173928(A1)号に記載されている。本明細書で議論される様々な実施形態は、ギヤ入力及びギヤ歯プロファイルを使用する構成と、遊星を均等に離間して(円周方向及び軸方向に)維持する効果的な方法、非対称入力を介して部品数を最小化する方法、並びに、内側又は外側遊星アレイへの非対称太陽リング入力を介して減速比を増大させる簡略化された方法を含む利点を提供する構成とを含む。
【0079】
図10及び
図11は、ギヤボックス40の実施形態のそれぞれ正面等角図及び背面等角図を示す。図から分かるように、内側ギヤ42上のヘリングボーン形状ギヤ歯46及び外側ギヤ上の噛み合いヘリングボーン形状ギヤ歯48を含む内側ギヤ42及び外側ギヤ44がある。この実施形態では、内側ギヤ42のみがギヤボックスの後方に延在する。外側レース50は、遊星ギヤを駆動し、内側ギヤ42は、異なるサイズの内側レース52及び54に接触して、1つの内側レース52を他方の内側レース54に対して駆動する。
【0080】
軸方向外向き太陽ギヤ入力
【0081】
遊星とリングギヤとの間のギヤ接触の使用は、それらを均等に円周方向に離間させる。更に、特定の実施形態によれば、ヘリングボーンギヤ又はローブ歯の使用は、軸方向におけるギヤの移動を防止する。これにより、ギヤは、径方向及び軸(スラスト軸受)方向の両方において、内側固定ギヤと外側出力ギヤとの相対位置の軸受として使用することができる。
【0082】
更に、ヘリングボーンギヤ又はローブのこの組み合わせは、装置10の半径方向軸を中心とした著しいねじれを伴うことなく、ギヤボックスの一方の側のみから内側又は外側遊星を駆動する能力を提供する。(この部分組み立てスケッチに示されるように)外側遊星92に、あるいはギヤ90固定されるのと同じ又は異なるピッチ直径の内側遊星94に固定される
図12のギヤ90を使用することにより、太陽ギヤ96の入力を使用することによって減速(又は逆の場合速度増加)比を増加させることができる。この片面駆動はまた、螺旋状に整列された2つ以上のアレイの代わりに単一のギヤアレイを使用することを可能にするため、組み立てにも有益である。これらのヘリカルギヤは、組み立て中に一緒に螺合されなければならず、そのため、軸方向に1組の遊星のみを有することにより、内側固定リングギヤ及び/又は外側出力ギヤは、2つの部品で製造され、装置10の対向する軸端部から一緒に螺合されることを可能にする。
【0083】
装置の非限定的な例示的実施形態の組み立て方法の例では、本明細書に記載される原理に従って幾何学的形状が作成される場合に装置を組み立てることができる1つの方法を以下に記載する。
【0084】
組み立て
【0085】
図13は
図12の装置の分解図であり、
図14は切取り図である。
図12に示される部品は、
図13にも存在する。加えて、外側遊星を一時的に整列させるためのピン98と、ピンを受容するための孔102を有する外側出力ギヤ100と、入力太陽ギヤ96と結合する入力太陽リング104と、固定太陽ギヤ108と結合する固定太陽リング106とがある。
【0086】
組み立ての順序は以下の通りであり、
図14のステップ番号を含むボックスによって示される。ステップ1において、外側遊星92は外側出力ギヤ100に挿入される。それらは導入される最初の構成要素であるため、外側遊星92を外側出力ギヤ100の中へと半径方向運動によって配置するのに十分な空間が半径方向に存在し、その結果、外側出力ギヤ及び外側遊星はそれぞれ、ヘリンボーンの噛合にもかかわらず、一体の構成要素として構築され得る。ステップ1Aにおいて、ピン98は、外側遊星92の孔及び外側出力ギヤ100の孔102を通って挿入される。これらのピンは一時的な位置合わせのためのものであり、必要がなくなった場合、除去されてもよい。ステップ2では、入力太陽リング104が挿入され、外側遊星ギヤ92に固定されたギヤ90の第1の半体と噛み合いする。ステップ3では、内側遊星94が設置される。これらはまた、径方向に挿入することができる。ステップ4では、固定太陽リング106が設置され、内側遊星ギヤ94の一部と噛み合いする。ステップ5では、固定太陽ギヤ108が挿入され、内側遊星ギヤ94の他の部分と噛み合いする。固定太陽リング106と固定太陽ギヤ108は、一緒に固定されてもよい。ステップ6では、入力太陽ギヤ96が挿入され、入力太陽リング104に固定されてもよい。
【0087】
この非限定的でかつ例示的な実施形態を操作するために、太陽ギヤを回転させ、内側リングを保持することにより、外側リングは約7:1の低減された比率でスピンすることになる。
【0088】
本明細書に示されるように、外側遊星が太陽ギヤによって駆動される場合、本明細書に示されるように、外側遊星の直径より大きいギヤによって入力される場合、固定リングギヤのODよりも大きい、より大きい太陽入力リングギヤの最小寸法を有することが好ましい。このようにして、上述のように、内側太陽ギヤリング部材(2)が内側面外方からより大きい太陽入力遊星ギヤに螺合された後、内側固定リング(4、5)の2つの半体が、遊星の内側列のいずれかの側から一緒に「螺合」され得るため、ギヤボックスの組み立てが可能になる。更に、内側固定リングのODが太陽入力リングの半体よりも小さい場合には、太陽入力リングギヤアセンブリは、軸受を必要としないように、ヘリングボーンプロファイルとすることができる。太陽入力リングの内側半体は、黄色の内側遊星が挿入される前に、アセンブリの内側から太陽ギヤ入力遊星ギヤと係合するように「螺合される」ことができ、次いで、遊星の内側(黄色)列が挿入され、内側固定ギヤヘリングボーンの2つの半体が両方の軸端部から組み立てられた後に、太陽ギヤヘリングボーンの他の半体が、外側から螺合されて太陽ギヤの第1の半体にボルト締めされることができる。
【0089】
この構成では、アセンブリは軸方向に完全に拘束されるようになるが、そのような構成は、対称的なヘリンボーン構成ではないため、必ずしも、遊星上に見られるように軸方向の負荷のバランスを取るものではない。
【0090】
遊星にかかる軸方向負荷を最小化するために、3つの設計制約のうちの1つが実施され得る。
【0091】
ギヤのねじれ角が各ギヤの軸方向長さに沿って一定に保たれる実施形態では、内側遊星と固定太陽ギヤとの間のギヤ噛み合いは、内側遊星と固定太陽リングとの間のギヤ噛み合いとは異なる長さを有し、外側遊星と入力太陽ギヤとの間のギヤ噛み合いは、外側遊星と入力太陽リングとの間のギヤ噛み合いとは異なる長さを有する。これらの長さは、軸方向力を低減するように選択されてもよい。
【0092】
軸方向長さが一定に保たれる実施形態では、内側遊星と固定太陽ギヤとの間のギヤ噛み合いは、内側遊星と固定太陽リングとの間のギヤ噛み合いとは異なるねじれ角を有し、外側遊星と入力太陽ギヤとの間のギヤ噛み合いは、外側遊星と入力太陽リングとの間のギヤ噛み合いとは異なるねじれ角を有する。これらの長さは、軸方向力を低減するように選択されてもよい。
【0093】
ねじれ角も軸方向長さも一定に保たれない実施形態では、内側遊星と固定太陽ギヤとの間のギヤ噛み合いは、内側遊星と固定太陽リングとの間のギヤ噛み合いとは異なる長さ及びねじれ角を有し、外側遊星と入力太陽ギヤとの間のギヤ噛み合いは、外側遊星と入力太陽リングとの間のギヤ噛み合いとは異なる長さ及びねじれ角を有する。これらの長さは、軸方向力を低減するように選択されてもよい。
【0094】
ギヤの組み合わせ
【0095】
この装置10の多くの潜在的な利点が存在するが、この時点では、完全なギヤ噛み合いを提供する既知のギヤの組み合わせが存在しないことが本発明者らによって示されている。各解決策は、ギヤ直径、モジュール、噛み合い接触、及び/又は同様のものなどの1つ以上のパラメータにおいてある程度の誤差を有する。
【0096】
一部のギヤリングによる解決策は、個々のギヤ部品の製造公差よりも小さい誤差を有する。このような低い誤差を有する解決策の数は限定されているが、追加の解決策を有することが望ましい。
【0097】
これまでに、遊星及びギヤリングの遊星数及びギヤの歯数の100万以上の組み合わせが試験され、完全な解決策は見出されていない。これにより、可能性の不完全性を低減するように可能性を狭める必要がある。
【0098】
使用可能な組み合わせを選択するための制約は、以下を含む。
【0099】
太陽と外側リングとの直径差は、内側固定リングと外側出力リングとの間の、2:1を超える減速比を提供するように十分に大きい(遊星の2つの軌道は結果として、出力リングの1回転以上を生じる)。最小5個から最大30個の範囲の遊星数であるが、遊星のこの範囲の超える追加の解決策が存在する。
【0100】
0.7mmより大きいギヤ歯ピッチ(これは、射出成形を含む一般的なギヤ製造方法による製造を可能にするためである)。
【0101】
約89.25mmの外側リングODは、ギヤ直径が必要に応じてより大きい直径又はより小さい直径に拡大縮小され得ることを理解した上で、一定に設定された。用途により。この直径は、ロボット工学市場に有用なサイズのものとして選択された。
【0102】
不完全な解決策のみが見出されてきた。ギヤの組み合わせにおける欠点は、ギヤ歯の不完全な位置合わせ、又は噛み合いギヤのモジュールにおける不整合のいずれかとして示される。典型的には、遊星の内側列は内側固定ギヤとよく噛み合い、遊星の外側列は外側出力リングギヤとよく噛み合うが、内側遊星歯は、外側遊星列ギヤに位置合わせされない。一部の位置ずれは、材料の順応性/柔軟性(及び、結果として得られる、構築された構成要素の順応性/柔軟性)が故に許容され得るが、位置ずれが大きいほどギヤボックスのトルク伝達能力が低くなり、またギヤ間の干渉に起因する摩擦も大きくなる。
【0103】
より多く、より小さい歯の使用は、潜在的な選択肢の数を増加させるが、小さいギヤ歯は製造及び組み立てをより困難にし、小さい歯はまた、場合によってはトルク伝達を低減し得る。
【0104】
より少ない遊星の使用は、遊星の製造性を増加させるが、より多くの遊星は、負荷が遊星間で共有されると仮定して、より大きな最大トルクを可能にし、追加の解決策を提供する。
【0105】
これらの考慮事項の全てが考慮されると、使用可能な組み合わせの数は、驚くほど少ない。不正確指標を使用して、様々な選択肢を、所与の選択肢に関して遊星間噛み合いがどのようにずれているかを示す指標と比較した。
【0106】
潜在的に使用可能な構成は、0.0004未満のRMS誤差係数を有する解決策に限定されており、以下の表に示される。示されるものよりも高い誤差係数は、特定の用途に適している。加えて、図示された構成は、歯の数を一定に保ちながら幾何学的に拡大縮小されてもよい。
【0107】
以下の表2に示されるデータに反映される誤差係数は、角度誤差と直径誤差の両方を考慮している。所与の比は、入力が入力太陽の回転であり、内側リングが静止状態に保持され、外側リングが出力であると仮定する。
【0108】
【0109】
少なくとも1mmのギヤ/ローブ歯を選択し(それによって、3D印刷などによる製造が可能となる)、誤差係数を最小化することで、アルゴリズムによる発見分析は、調査された数百万個の可能性からわずかか数百の肯定的な選択肢を生成した。
【0110】
他の理想的な選択肢が示されている。
【0111】
ギヤの組み合わせに含まれるのは、同位相及びずれた位相の両方のギヤである。位相がずれたギヤを含むと、同位相解決策のみと比較して解決策の数が著しく増加する。加えて、誤差係数は、位相ずれ解決策では低くなる傾向がある。位相ずれとは、出力の所与の回転位置について、同じリングギヤと噛み合う別のピニオンと比較して、ギヤ歯噛み合いの異なる位相でピニオンがリングギヤと噛み合う構成を指す。
【0112】
特定の実施形態では、プロファイルシフトを受ける様々なギヤ表面上にギヤ歯を設けることによって、互いに対して適切に移動する構成要素を有する機能的ギヤボックスを提供するために、より高い誤差係数が対処され得る。プロファイルシフトの概念を用いると、噛み合う2つのギヤ間の調整された中心距離を有し、歯の少なすぎるギヤにおけるアンダーカットを取り入れる調整された設計を有し、かつ/又はギヤ噛み合いにおける調整された摺動量を有するギヤが設計され得る。そのような場合、同じ工具を使用してギヤを製造することができるが、ギヤの中心軸に対するその配置は変更される。これは、
図15に示されるようにわずかに異なる歯の形態をもたらす。
【0113】
プロファイルシフトを使用することにより、他の方式では装置が機能しなくなり得るギヤの組み合わせを用いても、装置の機能性を維持しながら、本明細書で論じられるような装置のためのギヤボックスによる解決策を生み出すために、より高い誤差閾値が用いられ得る。
【0114】
プロファイルシフトはまた、ギヤ噛み合いにおいて生じる摺動の量を調整することによって、ギヤ噛み合いの効率を最適化するためにも使用される。特定の摺動を最小限に抑えることにより、各ギヤ歯は、噛み合いにおける最少量の摺動を有することになり、効率を向上させ、摩耗不良に伴う潜在的な問題を最小限に抑える。一般に、これは、ペアの一方のギヤのプロファイルを内向き(-x)にシフトさせ、噛み合うギヤのプロファイルを外向き(+x)にシフトさせることになる。ほとんどの用途におけるこれらのシフトの合計は、システム全体が良好に機能するために、ゼロに非常に近くなる傾向がある。
【0115】
本明細書に記載の実施形態に従って設けられる自己増力ギヤボックスの装置では、これらのシフトの合計は、ギヤボックスによる解決策における誤差の量に関連付けられる。しかしながら、機能的な自己増力ギヤボックスを提供する一方で、設計内のギヤのプロファイルシフトの合計の大きさは、増大した誤差係数に適応するために増加し得る。含められるシフトを考慮すると、隣接するギヤ間におけるギヤの噛み合いは、典型的なギヤボックスのように、その特定の摺動に対する最適な点を維持する。本明細書で論じられる実施形態では、類似の寸法を有する典型的な遊星ギヤボックスと比較して、相当により大きなギヤの噛み合いが存在し、これは、誤差がプロファイルシフトで考慮されると、1つのギヤにおける任意の付加的なシフトが、他の全てのギヤにおける相補的なシフトに対応することを意味する。したがって、ギヤの噛み合いは、特定の摺動に対して個別には最適化されないが、全体として最適化される。このことは、ギヤの噛み合いの誤差に起因するプロファイルシフトを複数のギヤの噛み合いの間に広げることが可能になるという付加的な利益を有する。
【0116】
特定の例示的な実施形態では、遊星ギヤには、遊星ギヤの寿命を延長するために、それぞれの含められたギヤ歯の圧力角を効果的に増加させるように、また各歯元における応力集中を低減するように、正のプロファイルシフトが設けられてもよい。
【0117】
試験台
【0118】
出力トルク能力を試験するために、ギヤボックスの固定及び入力構成要素に固定されるように、別個の構成要素が設計され、3D印刷された。
図16は、レバーアーム上の質量をギヤボックスに接続し、質量を持ち上げるために必要なトルクを測定するために使用されるトルク試験セットアップを示す。
図16に示すように、1フィートのレバーアーム112を出力外側リングに接続して、ギヤボックスの出力をロードし、出力トルクは、取付点114に取り付けられた質量(図示せず)をアームの長さで乗算して計算した。装置を介するトルク伝達のために、レンチ(図示せず)をアームの入力116に取り付けた。
【0119】
アイドラリング
【0120】
図17に示すように、大ギヤ90上の大径外側遊星ギヤ歯の周りのアイドラリング118を挿入して、ギヤが通電される際に遊星ギヤと入力太陽ギヤ歯との間の分離を防止することができる。
【0121】
対称構成
【0122】
遊星の曲げを防止するために、自己増力ギヤは、
図18及び
図19に示されるように、入力の両側に配置され得る。この構成により、遊星がギヤボックスの中心軸に平行に留まることを確実にする。外側入力リング120は、固定リング122によって両側が取り囲まれ、内側遊星ギヤ124と噛み合い、内側遊星ギヤ124を駆動する。内側遊星ギヤ124及び外側遊星ギヤ126は、2列遊星システムを形成し、固定リング122に対して出力太陽リング128を駆動する。
【0123】
主遊星直径での入力リングの噛み合い
【0124】
図20は、片面入力自己増力ギヤボックスの非限定的な例示的実施形態の切取り等角図を示す。ここでは固定リングである内側リング130は、ギヤ付き内側遊星132のアレイと接触している。ここでは出力リングである外側リング134もまた、ギヤ付き外側遊星136のアレイとギヤ接触しており、ギヤ付き外側遊星136のそれぞれは、2つのギヤ付き内側遊星132と接触している。入力トルクは、ギヤ入力リング138を使用して供給される。図示の実施形態では、ギヤ入力リング138は、外側遊星とギヤ接触する径方向外側に面する部分を有する。この実施形態では、外側遊星136は、内側遊星132と噛み合う第1の部分140及び入力リング138と噛み合う第2の部分142において同じ直径を有する。第1の部分140及び第2の部分142の両方は、外側リング134と噛み合う。ここで、第1及び第2の部分は、遊星136のそれぞれの端部を含むが、
図19に示されるような対称配置を使用することもできる。外側遊星と外側リングギヤとのそれらの全長さににわたる係合は、遊星が整列した状態を維持するのに役立つ。示される実施形態では、単一のギヤ噛み合いは、第1の部分140及び第2の部分142の両方に及ぶが、これらの部分はまた、別個のギヤ噛み合いを有してもよい。図示される実施形態は、ストレートカットギヤを有するが、ヘリカルギヤも使用することができ、更にまた、上述のようにヘリングボーンギヤを使用することもできる。これらの実施形態のギヤ付き表面上の全ての螺旋が同じであるヘリカルギヤは、ギヤ付き構成要素を互いに螺合して組立体にすることを可能にする。本明細書で論じられるように、ヘリカルギヤが使用される場合、従来の遊星ギヤボックスと同様に、軸方向力は発生しない。
【0125】
特定の実施形態では、ギヤボックスは、片側入力、並びに単一のはすばパターン(ヘリンボーンパターンは必要ではない)を有してもよい。入力は、この実施形態では外側遊星を駆動し、遊星は、内側リング及び外側リングの差動運動を引き起こし、それらのリングのうちの1つは固定され、他方は出力である。
【0126】
ヘリカルギヤは、典型的には、ギヤの軸方向の位置付けを維持するために、スラスト軸受又は対向する螺旋角(ヘリンボーンパターン)を必要とする。しかしながら、これらは空間及び重量を必要とする。軸方向に浮くヘリカルギヤを包含する、本明細書に記載の実施形態は、使用中の軸方向の位置決め安定性を実証することが判明している。遊星軸を伴わずに複列の遊星ギヤを有する自己増力ギヤボックス構成は、遊星上の1つのギヤ噛み合いにかかる軸方向力が、各遊星上の他のギヤ噛み合いにかかる反対の螺旋状の接合によって相殺される(対抗される)状況を作り出すことが、本発明者らによって見出された。すなわち、内側遊星から外側遊星にかかる軸方向力は、外側リングから外側遊星にかかる軸方向力によって相殺され、外側遊星から内側遊星にかかる軸方向力は、内側リングから内側遊星にかかる軸方向力によって相殺される。その結果、単列の遊星を有する遊星ギヤボックスの場合と比べて、遊星にかかる軸方向力がはるかに低くなる。
【0127】
遊星にかかる軸方向力は相殺されるが、入力、内側、及び外側リングにかかる軸方向力は相殺されず、また、これらの要素にかかる軸方向荷重を受けるために、例えばスラスト軸受などの他の要素が使用されてもよい。
【0128】
単一角度の螺旋の大きな利点は、ギヤボックスが組み立てられ得ることである。ヘリンボーンパターンは、組み立てが不可能ではなくても非常に困難である。単一の螺旋角は、ギヤを軸方向に一緒に摺動させることを可能にし、また、軸方向力の相殺は、シャフト又はベアリングなしでギヤを動作させることを可能にする。
【0129】
入力リング138にトルクが加えられると、その個々の軸の周りの遊星のそれぞれへの回転トルク伝達に加えて、外側遊星136に伝達されるねじれのねじれ負荷が存在する。2列の遊星を介する内側リング130と外側リング134との間の自己増力(又はカム)効果の結果として、2列の遊星上のギヤ並びに内側リング130及び外側リング134は、装置のトルク出力が増加するにつれて比例的に係合される。特定の長さの外側ギヤ付き遊星及び特定の減速比では、ギヤを互いに噛み合わせる自己増力効果は、入力太陽ギヤ138からの入力のねじれ効果よりも外側遊星に対してより大きな矯正効果を有する。最も長い遊星の長さは、軸方向における装置の全幅に対応してもよい。ギヤの噛み合い解除してギヤのねじれをもたらし得るギヤの分離力ではなく、ギヤを噛み合わせるカム効果を生じる、内側リング130から外側リング134に伝達される出力トルクの結果により、入力ギヤ138にトルクが加えられるときに、外側遊星136と外側リング134との噛み合いが外側遊星136を矯正することを確実にするために、この幅と減速比との組み合わせは当業者によって計算されることができる。ギヤボックスのギヤ比のため、入力ギヤ138に加わる入力トルクは、遊星136及び132を介して伝達されるトルクよりも著しく低くなる。7:1の比率では、入力トルクは出力トルクのおよそ1/7である。その結果、外側遊星136の主な力は、内側リング130から外側リング134へのトルク伝達による負荷となる。カム効果からの径方向負荷コンポーネントは、外側遊星136の接触ギヤ歯が外側リング134内の対応するギヤ歯に径方向に押し込まれることを確実にする。この径方向負荷は、入力ギヤ138からの入力トルクに起因するねじれ効果に対抗する矯正効果をもたらす。この効果は、ギヤ歯内のより大きい圧力角、又はギヤにおける径方向負荷の増加によるより大きいカム角度でより強くなる。
【0130】
ピンオン長さ対遊星直径のアスペクト比が大きいほど、太陽リング入力からのねじれ力の結果として、遊星がねじれてしまう可能性が低くなる。この関係は、2つの理由から存在する。一般的に言えば、所与のギヤボックスOD及び幅に対するアスペクト比が大きいほど、ピニオン径が小さくなり、したがって減速比が高くなる。一般的な傾向として、減速比が大きくなると、太陽リング入力で低いトルクを必要とする増大した低減率により、太陽の入力によって生成される低減されたねじれ力と比較して、ピンオンとリングとの間により深い噛み合いを生成するために使用することができるピンオンに加わる径方向力が大きくなり、したがって、位置合わせ効果が大きくなる。このため、ギヤボックスが太陽入力から出力リングにトルクを伝達しているときに、1:1、1.5:1、2:1、2.5:1、3:1、3.5:1、4:1より大きい遊星長さ対直径比が、ピンオンを自己整合させるのに好適であると考えられる。
【0131】
更に、遊星長さと遊星直径との高いアスペクト比により、遊星上のギヤ歯の螺旋角を小さくして、依然として高い接触比(ギヤ噛み合いの重なり)を達成することが可能となる。より低い螺旋角は、軸方向力を更に低減する。
【0132】
アスペクト比は、2:1より大きくてもよく、3:1以上、4:1以上、5:1以上、6:1以上、7:1以上、8:1以上、9:1以上、又は10:1以上であってもよい。ある実施形態では、遊星は、少なくとも4:1のアスペクト比を含む。
【0133】
単一列の遊星を有する典型的な遊星ギヤボックスでは、ギヤがねじれ、トルク伝達能力を失うため、高アスペクト比が減分的に有益となる。典型的なギヤボックス内のより長いギヤは、例えば、遊星キャリアがねじれ、遊星の一方の端部へのトルク伝達を付勢するため、「ノックダウン要因」にさらされる。対照的に、本明細書の実施形態に従って提供される自己増力ギヤボックスは、トルクを純粋に半径方向に伝達し、それによってギヤの長さを比較的モット(moot)にし、ノックダウン問題を伴わずにより長い遊星長さを可能にする。
【0134】
このギヤボックスにおいてギヤのねじれ又は捻りが存在しないという事実により、予想されるトルク出力を実質的に減少させることなく、特別に長い遊星の使用が可能となる。
図21は、延長された外側遊星歯車長さを有し、デュアルモータ入力を含む、例示的なギヤボックス構成を示す。
【0135】
図21~
図22に示される実施形態は、より長い遊星の両端にある太陽入力を包含する。これにより、2つのモータが1つのギヤボックスを対称的に駆動することが可能となる。モータは、外側ロータ設計を有し、ステータは、極厚内側リングに固定されている。具体的には、
図21に示すように、ギヤボックスは、ギヤボックスの内部を画定するモータステータ301を含む。モータロータ302は、モータステータ301を取り囲み、外側遊星304を駆動する入力リング303に固定的に固着されている。次に、外側遊星304は、固定された内側リング306と係合し、これに対して移動する内側遊星305を駆動する。外側遊星304は、外側リング出力部307を追加的に駆動する。
【0136】
上述のようにモータを含めるギヤボックスはまた、例えば、小型内側リングギヤのIDの内側に位置する1つ以上のモータを用いて、片面の構成で形成されてもよい。
【0137】
他の実施形態は、一方の端部に1つの太陽リングのみを備える。この構成では、2つの個別のモータによって駆動される2つの太陽リングが存在する。モータステータは、この構成で固定される内側リングに固定される。モータロータは、入力太陽リングに固定される。
【0138】
別の実施形態では、
図23~
図24に示されるように、外側モータが存在し、ステータ310が装置の固定されたODを規定し、モータロータ311がステータ310の内側にあり、装置の外側リングとして具体化される。
図23~
図24の図示の実施形態では、装置は、装置の対向する軸方向端部に2つの外側リングを備え、各外側リングは一体型モータロータ311を有する。外側リング(モータロータ311を含む)は外側遊星312を駆動し、それらの外側遊星は、内側出力リング314の周りを巡回し、それを駆動する。
図24に具体的に示されるように、外側遊星312は、特定の実施形態において、複数の出力リング314を駆動しても、単一の出力リング314を駆動してもよいことを理解されたい。このような実施形態は、増速構成を提供する。外側遊星312は追加的に、外側遊星312と一緒に動作してギヤボックスの自己増力機能を提供する内側遊星313と係合し、それと一緒に回転する。内側遊星313は、固定された内側リング315の周りを周回する。
【0139】
内側モータ構成と外側モータ構成の両方がまた、装置の外径を包囲及び形成する外側ロータの代わりに、装置の両方の軸方向端部にある内側ロータを包含し得る。
【0140】
図25~
図28は、入力リング322が内側遊星323を駆動する代替的な実施形態を示す。
図25~
図28に示す実施形態などの減速機では、内側リング324又は外側リング320のいずれかが出力であってもよい。更に、
図25~
図28に示されるように、様々な実施形態が、単一の入力リング321又は複数の入力リング321(例えば、それぞれが装置の対向する軸方向端部上に位置付けられた2つの入力リング321)を備え得る。
【0141】
図25~
図28の図示された実施形態では、静止出力リング320(モータステータとして具体化されてもよい)は、装置のODを規定する。1つ以上の入力リング321は、静止出力リング320に対して回転し、内側遊星323を駆動する。内側遊星323は、外側遊星322に対して、またそれと共に回転し、装置の自己増力機能を提供する。それらの外側遊星322は、静止出力リング320に対して回転する。内側遊星323は、内側出力リング324を駆動する。
【0142】
図26に具体的に示される更なる実施形態では、一方の側に出力を提供する単一の入力リング321のみが存在する。入力リングを有さない側は、
図26の等角図に示されており、また入力リングを有する側は
図27に示されている。
図28は、2つの入力リング321と共に使用するように構成された例示的な実施形態を示しているが、装置の遊星322、323の構成を示すために入力リング321が取り除かれている。
【0143】
内側リング324、外側リング320、及び中間リング(
図25~
図28に示される入力リング321など)のうちのいずれか1つは、入力又は出力であってもよい。入力リング及び出力リングのいずれでもない残りのリングは、固定されてもよい。
【0144】
多数の小さな遊星を有する実施形態では、内側リング324と外側リング320の相対運動は、内側リング324及び外側リング320に対する中間リング(例えば、入力リング321)の相対運動よりもはるかに小さい。したがって、内側リングと外側リングのうちの一方を入力とし、他方を出力として、中間リングが固定され得るが、この構成は、入力及び出力よりも高速な可動部品によって、速度変化率を小さく(ほぼ1)することになり、一般的には好ましくない。中間リングを入力又は出力とすると、装置は、中間リングが出力である場合には増速機となり、中間リングが入力である場合には減速機となる。
【0145】
複数の中間リングを用いると、1つの中間リングを入力とし、1つを出力とすることも可能である。内側リング及び外側リングのうち、一方は固定され、他方は自在に回転してもよい。この構成では、中間リングのうちの1つが内側遊星に接続し、他方が外側遊星に接続する場合、1とは異なるギヤ比が獲得され得る。このギヤ比は、これらの遊星の大きさを変えることによって変更され得る。注意すべきことに、中間リングが異なる直径で遊星に接触するように、遊星がそれらの軸方向長さに沿った寸法を変えるのを可能にすることによって、より多くの変形形態が獲得され得る。
【0146】
また、外側リング及び内側リングは両方とも移動可能であり得、ギヤボックスは、これらの間の差を出力として、内側リング及び外側リングの移動に依存するギヤ比で提供する。
【0147】
別の可能性は、自己増力ギヤボックスをツール出力装置として使用することである。具体的には、モータが太陽ギヤ入力に取り付けられ、内側リングが、反時計回りに回転しなければならないシャフトに取り付けられた外側出力リング内で時計回りに回転するシャフトに取り付けられている場合、逆動差動接合部が形成され得る。
【0148】
入力リングが、例えば、外側遊星及び入力リングとそれぞれ噛み合う第1及び第2の部分を有する、ある実施形態の内側遊星の外側と噛み合い、両方の部分が内側リング130と噛み合う場合、同じ原理が適用されることが理解される。
【0149】
この設計は、ストレートカットギヤ歯、ヘリカルギヤ歯、ローブ、摩擦表面、又は他のプロファイルを使用することができる。
【0150】
上述したもののようなストレートカットギヤ歯設計は、ヘリングボーン設計と比較したときに著しく少ない部品数と、一方の側からギヤをアセンブリに挿入することを可能にする設計により、組み立てに有利であり得る。
【0151】
ストレートカットギヤ歯設計は、ヘリングボーン設計のように遊星上に軸方向拘束を有しておらず、したがって、遊星を軸方向に拘束するための何らかの機構を必要とする。この設計は、いずれかの軸端部にフェンス(
図20には示されていない)を使用することにより、遊星がギヤボックスから軸方向に浮遊するのを防止する。遊星の軸端部を覆い、潤滑を加えることによって、摩擦による損失が最小限に抑えられる。
【0152】
装置のいくつかの構成において、遊星ギヤを軸方向に配置するために、軸受及びシャフトが使用され得る。いくつかの構成、特により小さい装置では、遊星内のいかなる軸受又はシャフトをも排除することが好ましい。
【0153】
この場合、ギヤがヘリカルギヤであるかストレートカットギヤであるかに関わらず、軸方向配置計画が必要とされる。
図29~
図36には、装置を介したギヤの軸方向軸方向配置計画を提供するための1つの考えられる構成が示されている。
図29~
図36の実施形態は、1つ以上のリングギヤ(例えば、外側リング330、内側リング334、入力リング331)の端部に、遊星332、333の端部とフェンス(例えば、内側フェンス337、338及び/又は外側フェンス339、340)との間に、ある相対曲率を組み込んだものである。遊星332、333の端部は、その軸方向端部上に球状又は半球状の区分を有し、フェンス(例えば、内側フェンス337、338及び外側フェンス339、340)は、対応する半球状の形状を有する。遊星332、333の軸方向端部又はフェンス(内側フェンス337、338及び/又は外側フェンス339、340)のいずれかが、先細の区分を設けてもよいが、遊星の軸方向端部とフェンスの両方に曲線状のプロファイルを設けることで、理想的な機能性が提供され得る。このような構成では、遊星332、333の軸方向端部がフェンス(内側フェンス337、338及び/又は外側フェンス339、340)に接触する際に、それら軸方向端部上に円形の接触線が設けられ、当該円形はギヤ歯のピッチ直径に近い。この構成は、装置が(例えば、装置の中心軸が垂直に位置付けられるように)端部上に位置付けられ、重力が遊星332、333をフェンスのうちの1つ(例えば、内側フェンス337と出力フェンス339、又は入力側338の内側フェンスと入力側340の外側フェンス)に向かって下向きに引っ張るときなど、軸方向力が発生するときに、高度な摺動速度及び摩耗を防止する。特定の構成における遊星332、333は中空であり、したがって、遊星332、333上のこの接触円は、遊星332、333のスルーホールのIDと、遊星332、333の歯元との間にあってもよい。
【0154】
本明細書に示される実施形態は、ストレートカットギヤを使用するが、フェンス337~340は、代替実施形態ではヘリカルカットギヤと共に動作可能である。
【0155】
図29~
図36の図示の実施形態は、ハウジング(ハウジングは、入力側ハウジング部分343、出力側ハウジング部分342、及び外側ハウジング344、並びに固定された外側リング330の外部表面を含む)内に封入された装置を包含する。
図29は特に、
図30に示される装置の分解図を示す。
図31は、装置の内部の部分断面図を示し、
図32は、ハウジング構成要素が取り外された断面図を示す。
図33は、ギヤ構成要素(
図34では組み立てられて示され、
図35では断面図で示される)の部分分解図を示す。
図29~36の装置は、入力コネクタ335が取り付けられた太陽入力リング331を備える。太陽入力リング331は、デバイス内の中央に位置し、外側ギヤ付き表面を有する。太陽入力リング331は、太陽入力リング331の周りを周回し、内側遊星333を駆動する外側遊星332を駆動する。外側遊星332は、固定された外側リング330と係合し、またそれに対して回転する。更に、内側遊星333は、装置のための出力を提供する内側リング334の周りを周回し、またその内側リングを駆動する。内側リング334は、それに接続された出力部336を有し、これは軸受構成(軸受レース341を含む)を介してハウジングに対して回転する。図示された実施形態の出力部は更に、出力プレート345と接続され、この出力プレートは、外側ハウジング344と共に軸受レース341の移動を拘束する。断面図内に具体的に示されるように、装置は、内側遊星333の移動を軸方向に拘束するように構成された内側フェンス337、338と、外側遊星332の移動を軸方向に拘束するように構成された外側フェンス339、340と、を更に備える。
【0156】
更に、図示されているように、装置は、2列に配置された遊星歯車を有し、この実施形態では、外側遊星332は、内側遊星333よりも軸方向に長い。内側遊星333に接触する内側フェンス338は、内側リング334に固定されてよく、外側遊星332に接触する外側フェンス340は、外側リング330に固定されてよい。図示された実施形態では、装置の軸方向端部の両方にフェンスが設けられている。例示される実施形態では、遊星332、333は入力軸方向端部上の異なる軸方向位置へと延在しているが、入力軸方向側の内側フェンス337及び外側フェンス339は、それぞれの列の遊星に接触するように、異なる軸方向位置にあってよい。
【0157】
フェンス337~340及び遊星332、333は、互いに接触する曲面を有してもよい。遊星332、333の軸方向端部の湾曲部は、フェンス337~340上の湾曲部と接触し、それにより、遊星332、333の端部上の接触円は、遊星のスルーホールの外側にあり、かつ遊星の歯元の内側にある。このような実施形態は、遊星332、333のピッチ円直径の近くで遊星332、333とフェンス337~340との間の接触をもたらし、この付近で、遊星332、333は、フェンス337~340が固定されるかあるいは静止される要素と接触し、そのため、摺動速度は最小化される。ここで、フェンス337~340は内側リング334及び外側リング330に固定され、遊星332、333は、内側リング334及び外側リング330に接触する。
【0158】
負荷共有
【0159】
典型的な遊星ギヤボックスでは、3個を超える多くの遊星が、非常に正確な公差なしでは、均等に負荷を共有しないことが予想される。自己増力ギヤボックスは、3つを超える遊星対を有し、追加の遊星の強度の使用を最良にするために負荷共有が存在することを確実にするための何らかの機構を有さなければならない。このギヤボックスが、このギヤボックスの異常な負荷分布を利用する本明細書に記載されているいくつかの非限定的な機構を利用することができるいくつかの機構が存在する。
【0160】
自己増力ギヤボックスにおける負荷共有の1つの非限定的な機構は、遊星、内側リング、又は外側リング、あるいはこれらの任意の組み合わせの径方向可撓性である。上記の遊星のカム効果により、外側リング、遊星、及び内側リングの間で伝達される、ギヤボックス内に強力な径方向負荷成分が存在する。これらのギヤのいずれかが径方向の可撓性を有する場合、ギヤは、カム効果の径方向負荷下で圧縮することができる。この可撓性のために、多数の遊星の公差帯域を受け入れることができ、それにより、遊星が負荷を共有することが可能となる。この径方向の可撓性は、これらに限定されるものではないが、薄い壁、より低い材料剛性、又は歯間の径方向スロットなどのギヤ歯根元延長部が挙げられるが、これらに限定されない、いくつかの特徴又はパラメータによってもたらされる。
【0161】
多数の遊星の間に負荷共有が存在することを確実にするために、以前の文書では、ギヤボックスの遊星における何らかの類の撓曲を可能にする必要性が言及されている。この撓曲は、薄肉のギヤ又はギヤ歯のアンダーカットなどの幾何学的形状に起因し得るか、あるいは、ギヤのうちの1つ以上における材料剛性に起因し得る。
【0162】
様々な実施形態の遊星の全体的なサイズ、並びに、遊星の半径方向の可撓性を可能にするために、そのような遊星に比較的薄い壁(及び中空の内部)を設ける能力は、適切な可撓性の遊星を提供して、特定の実施形態における負荷共有を可能にする。遊星は、鋼などの剛性材料から製造されてもよいが、残りの遊星が関連するギヤと接触し、荷重を支持し得るように、薄い壁(及び中空の内部)を有し荷重下で撓曲する。代替的にあるいは追加的に、遊星は、より剛性の低い材料から製造され、中実の構造を有するが、依然として、他の遊星が負荷を共有し始めることが可能となるように十分に撓曲する。遊星の設計における比較的小さな違いが、ギヤボックスにおいて見られる負荷共有の量に著しい違いを生じさせ得ることが判明した。
【0163】
遊星の設計及び製造は、高応力及び/又は高サイクル計数に耐えるように提供され得ることを理解されたい。特定の装置設計では、遊星は、装置の全ての構成要素のうちで最も高い応力集中を維持する。したがって、特定の実現形態では、高強度及び/又は長寿命の材料が遊星に利用され得る。
【0164】
遊星内の高い強度を維持するために、むしろ他のギヤ(外側リング、内側リング、及び/又は太陽ギヤ)の剛性を低減することによって負荷共有が達成され得るが、その場合、ギヤボックスの安全性の限界に影響を及ぼすことなく強度を低減する多少の能力はある。遊星ギヤを鋼などの剛性材料から製造し、残りのギヤを炭素繊維充填PEEKなどのより剛性の低い材料から製造することによって、負荷共有が達成され得ることが示されている。
【0165】
興味深いことに、このアプローチによって必要とされる剛性の低減は、遊星の材料のみを変更することによって必要とされる剛性の低減よりも著しく高い。1つのシミュレーションでは、遊星は、残りのギヤの剛性の1/2を有し、十分な負荷共有が可能であることが示された。完全剛性の遊星を用いた構成において同じ量の負荷共有を達成するために、残りのギヤは、遊星の1/7程度の剛性を有さなければならない。
【0166】
負荷共有機構に関わらず、径方向(カム)負荷が高くなるほど、より大きな負荷共有効果に起因して遊星負荷はより類似する。より高い径方向負荷は、ギヤ歯形状のより高い圧力角、並びに遊星接点のより高いカム角度を伴い存在する。
【0167】
別の負荷共有機構は、ギヤボックスの2レベルの遊星構造から生じる。遊星が互いにカム取り付けされると、内側遊星と外側遊星との間の負荷がかかっていない遊星-遊星噛み合いは、負荷がかかった遊星-遊星噛み合いを安定化させるように作用する。その結果、所定の位置に「ロック」するために十分な径方向負荷を発生させる前に、遊星位置に少量のシフトがあると考えられる。この効果は、遊星間の負荷共有を増加させることが期待され、より低い圧力角でより強い効果であることが予想される。
【0168】
負荷下の自己増力されたギヤボックス上の応力分布は、遊星及びギヤ付きの構成要素上に径方向負荷を誘発する。この径方向負荷は更に、これらの構成要素のうちの1つ以上を変形させることがあり、また自己増力された構成要素をより変形しやすくすることによって、遊星が効果的に負荷共有するようにし得る。これは、自己増力された構成要素(すなわち、外側リング、遊星、及び内側リング)の全体的な剛性を低減することによって達成することができる。この種の剛性変化を達成するために、3つの異なる方法を実施することができる(
図36A~
図36C)。第1の方法は、材料剛性の変化を使用して、そのような構成要素の全体的な剛性を低減する。これは、構成要素が同じ径方向負荷下でより変形し、ギヤ歯が受ける同様の接線負荷下で変形しやすくなることを意味する。径方向及び接線方向の負荷によって生じる変形は、より効率的な負荷共有及び全体的により剛性のギヤボックスに向けて有利であろう。十分に低い剛性の程度は、ギヤ公差に依存する。
図36Aは、低剛性材料で形成され得る公称厚さギヤ150の例示的な部分を示す。第2の方法は、幾何学的アプローチ(例えば薄い壁)を使用して、これらの構成要素の全体的な剛性を変化させる。これにより、構成要素の剛性が低くなり、特定の径方向負荷下でより変形しやすくなる。
図36Bは、薄壁ギヤ152の例示的な部分を示す。第3の方法は、壁厚は公称サイズに留まるが、歯の幾何学的形状が、根元部に径方向スロットを有するように修正される、更に別の幾何学的アプローチを使用する。この方法では、径方向及び接線方向の負荷の両方はギヤ可撓性に影響を及ぼし、より効果的な負荷共有を可能にする。
図36Cは、根元部に径方向スロット156を有する公称厚さギヤ154の例示的な部分を示す。
【0169】
開示される設計は、入力が入力リングによって供給されるため、遊星キャリア及び軸受の必要性を排除することができ、周方向の位置はギヤによって与えられ、軸方向位置は、例えば、フェンス、先細遊星、又は異なる角度のギヤを有する部分によって提給されてもよい。
【0170】
遊星キャリア及び軸受の必要性を排除することにより、これらの位置決め要素の公差の積み重ねが排除される。これにより、リングギヤを有する3つを超える遊星ギヤの噛み合いがはるかに一貫していることを可能にする。
【0171】
排除される公差積み重ね要素は、遊星キャリアピンの位置を含む。遊星キャリアの同心性、軸受の流出、及び遊星のそれぞれの軸受孔とギヤのピッチ円との偏心。
【0172】
これらの公差積み重ね要因を排除することに加えて、径方向の可撓性を、いくつかの異なる方法で設計に導入することができる。径方向の可撓性を導入することは、遊星のサイズの変化に起因する遊星間の負荷変動を低減する効果を有する。
【0173】
また、遊星キャリアを排除する結果として、例えば、遊星は中空であり、したがって、径方向に可撓性であり得る。
【0174】
2段式ギヤボックス
【0175】
上述のギヤボックスは、
図37~
図39に示されるように、2段式ギヤボックスで作製することができる。
図37は、例示的な2段式ギヤボックス160の等角切取り図である。
図37に示すように、外側ハウジング162は、両方の段において共通の外側固定ギヤとして作用する。入力リング164は、第1の段の外側ギヤ168と噛み合う外部表面166を有する。第1の段の内側ギヤ170は第1の段内側リング172と噛み合い、外側ハウジング162に対して内側リング172を駆動する。この第1の段の内側リングは、第2の段の外側ギヤ178と噛み合う外部表面176を有する第2の段の入力ギヤ174に接続され、且つそれと共に1つの部品に形成されてもよい。第2の段の内側ギヤ180は、内側出力ギヤ182と噛み合うことにより、内側出力ギヤ182を外側ハウジング162に対して駆動し、この差動運動は、2段式ギヤボックスの出力を提供する。
【0176】
図38は、
図37に示す2段式ギヤボックスを使用するアクチュエータを示す。
図37に示す構成要素に加えて、
図38は、入力リング164に接続されたフランジ184及び外側ハウジング162に接続された内側ハウジング構成要素163を示す。図示されていない電動モータロータ及びステータは、フランジ184及び内側ハウジング163に接続されて、フランジ184を内側ハウジング構成要素163に対して駆動して、2段式ギヤボックスを駆動することができる。また、
図38には、内側出力ギヤ182に接続された出力キャップ186、及び外側ハウジング162に接続された固定外側キャップ188が示される。
図39は、
図38の実施形態の垂直断面図を示す。
【0177】
第1の段の外側リングギヤが、第2の段(state two)の他の外側リングギヤと同じピッチ直径及び同じ歯数であり、且つそれと1つの部品である場合、第1の段からの内側リングギヤが第2の段の入力ギヤに接続され、第2の段の内側リングギヤが第2の段の出力となる。
【0178】
内側リングギヤが両方の段によって共有される場合、第1の段の外側リングギヤが第2の段の入力ギヤに連結され、第2の段の外側リングギヤは、装置の出力となる。このようにして、2つ超の段を接続することができる。
【0179】
先細の実施形態
【0180】
片面自己増力ギヤボックスの別の例示的な実施形態は、
図40~
図43に示す先細設計である。この設計では、より基本的な片面ギヤボックス設計の円筒形ギヤ歯は、先細ギヤで置き換えられ、ギヤ接触は先に述べたものと同じままであるが先細になっている。
【0181】
ギヤを先細にすることにより、遊星は軸方向に拘束され、
図25に示す位置でシムを調整することによって、バックラッシュを低減又は除去することができる。ギヤボックスは、そうでない場合、非先細バージョンと同じように機能する。
【0182】
先細ギヤプロファイルは、現在、ホビング又はスカイビングなどの従来のギヤ製造方法によって製造するのが困難である。したがって、射出成形、表面ミリング、粉末冶金、又はギヤ転造などが挙げられるが、これらに限定されない別の方法が使用される可能性がある。また、これらの先細の製造制限により、部品数の潜在的な増加もある。
【0183】
先細プロファイル又は非先細の歯プロファイルのいずれかは、直線状、又はヘリカルギヤ又はローブを使用することができる。製造方法により、あるいは強度又はノイズを最適化するために、先細ギヤ上でねじれ角を使用することが有益であり得る。
【0184】
図40は、先細ヘリカル自己増力ギヤボックスの概略断面図を示し、製造及び組み立て上の考慮事項によりギヤ構成要素が分割される方法、及びシムが挿入され得る場所を示す。通常、内側ギヤと外側ギヤとが同じ周方向位置で内側レース及び外側レースと噛み合うことはないため、これは真の断面図ではないことに留意されたい。この実施形態における外側レース200は、内側ギヤ208に対応する軸方向位置で外側ギヤ206と接触する第1の構成要素202と、入力ギヤ210に対応する軸方向位置において外側ギヤ206と接触する第2の構成要素204とに分割される。内側レース212はまた、構成要素214及び216に分割されて示されている。外側シム218は、外側レース200の構成要素202と204との間に示され、内側シム220は、内側レースの構成要素214と216との間に示される。
【0185】
より長い(外側)ギヤはまた、射出成形が製造方法として選択される場合、射出成形を使用して製造を容易にするために、それらのネック部222にスプリット(図示せず)を有してもよい。
【0186】
図41は、
図40に概略的に示されるギヤボックスの等角分解図を示し、追加の変更があり、外側レースの第1の構成要素202が、ここでは2つの更なる構成要素202A及び202Bに分割されて示されている。
【0187】
図42は
図41のギヤボックスの側面切取り図であり、外側遊星が除去されている。
図43は、
図41のギヤボックスの等角図である。
【0188】
先細ギヤは、直線状又は螺旋状で使用されてもよく、ヘリングボーン、ギヤを含む。先細は、いくつかの軸方向位置を提供することに加えて、シムによるバックラッシュ調整を可能にする。ヘリングボーン歯は、遊星及びリングギヤのより正確な正軸方向位置決めを可能にする。一緒に使用すると、全ての利点が実現されるが、一部の用途は、1方又は他方から利益を得る。
【0189】
例えば、
図20に示されるように、歯を係合させ、したがってギヤ軸のねじれを排除する自己増力効果により、ヘリングボーン又は先細歯なしで、片面(非対称)入力が可能である。
【0190】
「特許請求の範囲」では、用語「含む、備える(comprising)」は、その包含的意味で使用されており、他の要素の存在を除外するものではない。請求特徴の前の不定冠詞「a」及び「an」は、複数の特徴の存在を除外するものではない。本明細書に記載されている個々の特徴のそれぞれは、1つ以上の実施形態で使用されてもよく、本明細書に記載されているという理由だけで、「特許請求の範囲」に定義される全ての実施形態に必須であると解釈されるべきではない。
【0191】
結論
【0192】
前述の説明及び関連する図面に提示される教示の利益を有する多くの修正形態及び他の実施形態が、本開示に関係する当業者には想起されよう。したがって、本開示は、開示される特定の実施形態に限定されるものではないこと、並びに、修正形態及び他の実施形態が添付の特許請求の範囲内に含まれることが意図されていることを理解されたい。特定の用語が本明細書で使用されるが、これらは一般的かつ記述的な意味でのみ使用され、限定の目的では使用されない。
【手続補正書】
【提出日】2021-11-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ギヤボックス装置であって、
その外部表面上に内側レースを画定する太陽ギヤであって、前記太陽ギヤの第1の端部とその反対側の第2の端部との間の軸を規定する、太陽ギヤと、
その内部表面上に外側レースを画定するリングギヤであって、前記太陽ギヤと同軸である、リングギヤと、
前記太陽ギヤの前記内側レースとギヤ接触する内側の組の遊星と、
前記リングギヤの前記外側レースとギヤ接触する外側の組の遊星と、
前記内側の組の遊星の各々が、前記外側の組の遊星のうちの少なくとも2つとギヤ接触し、前記外側の組の遊星の各々が、前記内側の組の遊星のうちの少なくとも2つとギヤ接触し、
(a)前記内側の組の遊星、又は(b)前記外側の組の遊星、の一方とギヤ接触する中間レースを画定する中間ギヤと、を備え、
前記太陽ギヤ、前記リングギヤ、及び前記中間ギヤのうちの1つは静止状態に保持される、ギヤボックス装置。
【請求項2】
前記内側の組の遊星はそれぞれ、前記太陽ギヤの前記軸に対して平行に測定される第1の軸方向長さを有し、
前記外側の組の遊星はそれぞれ、前記太陽ギヤの前記軸に対して平行に測定される第2の軸方向長さを有し、前記第2の軸方向長さは、前記第1の軸方向長さとは異なっており、
前記中間レースは、(a)前記内側の組の遊星、又は(b)前記外側の組の遊星、のうちのより長い軸方向ギヤの組みとギヤ接触する、請求項1に記載のギヤボックス装置。
【請求項3】
前記内側の組の遊星と前記外側の組の遊星は、ギヤ接触におけるある長さを有し、前記内側の組の遊星、前記外側の組の遊星、前記内側レース、前記外側レース、及び前記中間レースは、前記太陽ギヤ、前記リングギヤ、又は前記中間ギヤのうちの1つを介して供給されるトルクが、前記トルクによって引き起こされる分離力に打ち勝つのに十分な、前記内側の組の遊星及び前記外側の組の遊星の径方向負荷の増大を引き起こすことを可能にするように選択された、それぞれの直径を有する、請求項1に記載のギヤボックス装置。
【請求項4】
(a)前記内側の組の遊星、又は(b)前記外側の組の遊星、の前記少なくとも一方はそれぞれ、1:1より大きい長さ対直径比を有する、請求項3に記載のギヤボックス装置。
【請求項5】
前記内側の組の遊星及び前記外側の組の遊星はそれぞれ、2つの別様に先細にされた部分を備える、請求項1に記載のギヤボックス装置。
【請求項6】
前記内側の組の遊星及び前記外側の組の遊星はそれぞれ、ヘリカルギヤを画定する、請求項1~4のいずれか一項に記載のギヤボックス装置。
【請求項7】
前記内側の組の遊星及び前記外側の組の遊星はそれぞれ、一定の螺旋角を有するヘリカルギヤを画定する、請求項6に記載のギヤボックス装置。
【請求項8】
前記内側の組の遊星及び前記外側の組の遊星はそれぞれ、軸方向長さに沿って異なる螺旋角を有するヘリカルギヤを画定する、請求項6に記載のギヤボックス装置。
【請求項9】
前記内側の組の遊星及び前記外側の組の遊星はそれぞれ、ヘリングボーンギヤパターンを画定する、請求項8に記載のギヤボックス装置。
【請求項10】
前記中間ギヤは、前記ヘリングボーンギヤパターンの一部分に対応するそれぞれの角度付きギヤ表面を各々が有する、軸方向に隣接する2つの構成要素を備え、前記軸方向に隣接する2つの構成要素は互いに対して締結されている、請求項9に記載のギヤボックス装置。
【請求項11】
前記リングギヤは、前記ヘリングボーンギヤパターンの一部分に対応するそれぞれの角度付きギヤ表面を各々が有する、軸方向に隣接する2つの構成要素を備え、前記軸方向に隣接する2つの構成要素は互いに対して締結されている、請求項9又は10に記載のギヤボックス装置。
【請求項12】
前記太陽ギヤは、前記ヘリングボーンギヤパターンの一部分に対応するそれぞれの角度付きギヤ表面を各々が有する、軸方向に隣接する2つの構成要素を備え、前記軸方向に隣接する2つの構成要素は互いに対して締結されている、請求項9~11のいずれか一項に記載のギヤボックス装置。
【請求項13】
前記内側の組の遊星を軸方向に拘束するように構成された少なくとも1つの内側フェンスを更に備える、請求項1に記載のギヤボックス装置。
【請求項14】
前記外側の組の遊星を軸方向に拘束するように構成された少なくとも1つの外側フェンスを更に備える、請求項1又は13に記載のギヤボックス装置。
【請求項15】
前記内側レース、前記外側レース、前記中間レース、並びに前記内側の組の遊星の各々及び前記外側の組の遊星の各々の外部表面は全て、ギヤ根元部によって隣接するギヤ歯から分離された複数のギヤ歯を画定し、前記ギヤ根元部の少なくとも一部分は径方向スロットを画定する、請求項1~14のいずれか一項に記載のギヤボックス装置。
【請求項16】
前記内側の組の遊星の各々及び前記外側の組の遊星の各々は中空である、請求項1~15のいずれか一項に記載のギヤボックス装置。
【請求項17】
請求項1~16のいずれか一項に記載の複数のギヤボックス装置を備える多段式ギヤボックス装置であって、前記複数のギヤボックス装置は、第1のギヤボックス装置の第1のリングギヤが第2のギヤボックス装置の第2の中間ギヤに接続され、それを駆動するように、段をなして配列されている、多段式ギヤボックス装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0192
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0192】
前述の説明及び関連する図面に提示される教示の利益を有する多くの修正形態及び他の実施形態が、本開示に関係する当業者には想起されよう。したがって、本開示は、開示される特定の実施形態に限定されるものではないこと、並びに、修正形態及び他の実施形態が添付の特許請求の範囲内に含まれることが意図されていることを理解されたい。特定の用語が本明細書で使用されるが、これらは一般的かつ記述的な意味でのみ使用され、限定の目的では使用されない。
[項1]
ギヤボックス装置であって、
その外部表面上に内側レースを画定する太陽ギヤであって、前記太陽ギヤの第1の端部とその反対側の第2の端部との間の軸を規定する、太陽ギヤと、
その内部表面上に外側レースを画定するリングギヤであって、前記太陽ギヤと同軸である、リングギヤと、
前記太陽ギヤの前記内側レースとギヤ接触する内側の組の遊星と、
前記リングギヤの前記外側レースとギヤ接触する外側の組の遊星と、
前記内側の組の遊星の各々が、前記外側の組の遊星のうちの少なくとも2つとギヤ接触し、前記外側の組の遊星の各々が、前記内側の組の遊星のうちの少なくとも2つとギヤ接触し、
(a)前記内側の組の遊星、又は(b)前記外側の組の遊星、の一方とギヤ接触する中間レースを画定する中間ギヤと、を備え、
前記太陽ギヤ、前記リングギヤ、及び前記中間ギヤのうちの1つは静止状態に保持される、ギヤボックス装置。
[項2]
前記内側の組の遊星はそれぞれ、前記太陽ギヤの前記軸に対して平行に測定される第1の軸方向長さを有し、
前記外側の組の遊星はそれぞれ、前記太陽ギヤの前記軸に対して平行に測定される第2の軸方向長さを有し、前記第2の軸方向長さは、前記第1の軸方向長さとは異なっており、
前記中間レースは、(a)前記内側の組の遊星、又は(b)前記外側の組の遊星、のうちのより長い軸方向ギヤの組みとギヤ接触する、項1に記載のギヤボックス装置。
[項3]
前記内側の組の遊星と前記外側の組の遊星は、ギヤ接触におけるある長さを有し、前記内側の組の遊星、前記外側の組の遊星、前記内側レース、前記外側レース、及び前記中間レースは、前記太陽ギヤ、前記リングギヤ、又は前記中間ギヤのうちの1つを介して供給されるトルクが、前記トルクによって引き起こされる分離力に打ち勝つのに十分な、前記内側の組の遊星及び前記外側の組の遊星の径方向負荷の増大を引き起こすことを可能にするように選択された、それぞれの直径を有する、項1に記載のギヤボックス装置。
[項4]
(a)前記内側の組の遊星、又は(b)前記外側の組の遊星、の前記少なくとも一方はそれぞれ、1:1より大きい長さ対直径比を有する、項3に記載のギヤボックス装置。
[項5]
前記内側の組の遊星及び前記外側の組の遊星はそれぞれ、2つの別様に先細にされた部分を備える、項1に記載のギヤボックス装置。
[項6]
前記内側の組の遊星及び前記外側の組の遊星はそれぞれ、ヘリカルギヤを画定する、項1~4のいずれか一項に記載のギヤボックス装置。
[項7]
前記内側の組の遊星及び前記外側の組の遊星はそれぞれ、一定の螺旋角を有するヘリカルギヤを画定する、項6に記載のギヤボックス装置。
[項8]
前記内側の組の遊星及び前記外側の組の遊星はそれぞれ、軸方向長さに沿って異なる螺旋角を有するヘリカルギヤを画定する、項6に記載のギヤボックス装置。
[項9]
前記内側の組の遊星及び前記外側の組の遊星はそれぞれ、ヘリングボーンギヤパターンを画定する、項8に記載のギヤボックス装置。
[項10]
前記中間ギヤは、前記ヘリングボーンギヤパターンの一部分に対応するそれぞれの角度付きギヤ表面を各々が有する、軸方向に隣接する2つの構成要素を備え、前記軸方向に隣接する2つの構成要素は互いに対して締結されている、項9に記載のギヤボックス装置。
[項11]
前記リングギヤは、前記ヘリングボーンギヤパターンの一部分に対応するそれぞれの角度付きギヤ表面を各々が有する、軸方向に隣接する2つの構成要素を備え、前記軸方向に隣接する2つの構成要素は互いに対して締結されている、項9又は10に記載のギヤボックス装置。
[項12]
前記太陽ギヤは、前記ヘリングボーンギヤパターンの一部分に対応するそれぞれの角度付きギヤ表面を各々が有する、軸方向に隣接する2つの構成要素を備え、前記軸方向に隣接する2つの構成要素は互いに対して締結されている、項9~11のいずれか一項に記載のギヤボックス装置。
[項13]
前記内側の組の遊星を軸方向に拘束するように構成された少なくとも1つの内側フェンスを更に備える、項1に記載のギヤボックス装置。
[項14]
前記外側の組の遊星を軸方向に拘束するように構成された少なくとも1つの外側フェンスを更に備える、項1又は13に記載のギヤボックス装置。
[項15]
前記内側レース、前記外側レース、前記中間レース、並びに前記内側の組の遊星の各々及び前記外側の組の遊星の各々の外部表面は全て、ギヤ根元部によって隣接するギヤ歯から分離された複数のギヤ歯を画定し、前記ギヤ根元部の少なくとも一部分は径方向スロットを画定する、項1~14のいずれか一項に記載のギヤボックス装置。
[項16]
前記内側の組の遊星の各々及び前記外側の組の遊星の各々は中空である、項1~15のいずれか一項に記載のギヤボックス装置。
[項17]
項1~16のいずれか一項に記載の複数のギヤボックス装置を備える多段式ギヤボックス装置であって、前記複数のギヤボックス装置は、第1のギヤボックス装置の第1のリングギヤが第2のギヤボックス装置の第2の中間ギヤに接続され、それを駆動するように、段をなして配列されている、多段式ギヤボックス装置。
[項18]
ギヤボックス装置であって、
その外部表面上に内側レースを画定する太陽ギヤであって、前記太陽ギヤの第1の端部とその反対側の第2の端部との間の軸を規定する、太陽ギヤと、
その内部表面上に外側レースを画定するリングギヤであって、前記太陽ギヤと同軸である、リングギヤと、
前記太陽ギヤの前記内側レースとギヤ接触する内側の組の遊星と、
前記リングギヤの前記外側レースとギヤ接触する外側の組の遊星と、
前記内側の組の遊星の各々が、前記外側の組の遊星のうちの少なくとも2つとギヤ接触し、前記外側の組の遊星の各々が、前記内側の組の遊星のうちの少なくとも2つとギヤ接触し、
(a)前記内側の組の遊星、又は(b)前記外側の組の遊星、の一方とギヤ接触する中間レースを画定する中間ギヤと、を備え、
前記内側レース、前記外側レース、前記中間レース、並びに前記内側の組の遊星の各々及び前記外側の組の遊星の各々の外部表面は全て、連続的な螺旋角を有する複数のギヤ歯を画定する、ギヤボックス装置。
[項19]
前記太陽ギヤに取り付けられ、前記内側の組の遊星の軸方向移動を拘束するように構成された少なくとも1つの内側フェンスを更に備える、項18に記載のギヤボックス装置。
[項20]
前記少なくとも1つの内側フェンスは、前記太陽ギヤの対向する軸方向端部上にそれぞれ固着された2つの内側フェンスを含む、項19に記載のギヤボックス装置。
[項21]
前記リングギヤに取り付けられ、前記外側の組の遊星の軸方向移動を拘束するように構成された少なくとも1つの外側フェンスを更に備える、項18~20のいずれか一項に記載のギヤボックス装置。
[項22]
前記少なくとも1つの外側フェンスは、前記リングギヤの対向する軸方向端部上にそれぞれ固着された2つの外側フェンスを含む、項21に記載のギヤボックス装置。
[項23]
前記内側の組の遊星の前記軸方向端部の各々は半球状の形状を有し、前記少なくとも1つの内側フェンスは、前記内側の組の遊星の前記軸方向端部の前記半球状の形状に対応する湾曲した形状を有する、項19又は20に記載のギヤボックス装置。
[項24]
前記中間ギヤは出力リングであり、前記太陽ギヤ又は前記リングギヤの一方は入力モータによって駆動される、項18~23のいずれか一項に記載のギヤボックス装置。
[項25]
前記内側の組の遊星はそれぞれ、前記太陽ギヤの前記軸に対して平行に測定される第1の軸方向長さを有し、
前記外側の組の遊星はそれぞれ、前記太陽ギヤの前記軸に対して平行に測定される第2の軸方向長さを有し、前記第2の軸方向長さは、前記第1の軸方向長さとは異なっており、
前記中間レースは、(a)前記内側の組の遊星、又は(b)前記外側の組の遊星、のうちのより長い軸方向ギヤ組とギヤ接触する、項18~24のいずれか一項に記載のギヤボックス装置。
[項26]
(a)前記内側の組の遊星、又は(b)前記外側の組の遊星、の前記少なくとも一方はそれぞれ、1:1より大きい長さ対直径比を有する、項25に記載のギヤボックス装置。
[項27]
前記内側の組の遊星の各々及び前記外側の組の遊星の各々は中空である、項18~26のいずれか一項に記載のギヤボックス装置。
[項28]
ギヤボックス装置であって、
その外部表面上に内側レースを画定する太陽ギヤであって、前記太陽ギヤの第1の端部とその反対側の第2の端部との間の軸を規定する、太陽ギヤと、
その内部表面上に外側レースを画定するリングギヤであって、前記太陽ギヤと同軸である、リングギヤと、
前記太陽ギヤの前記内側レースとギヤ接触する内側の組の遊星と、
前記リングギヤの前記外側レースとギヤ接触する外側の組の遊星と、
前記内側の組の遊星の各々が、前記外側の組の遊星のうちの少なくとも2つとギヤ接触し、前記外側の組の遊星の各々が、前記内側の組の遊星のうちの少なくとも2つとギヤ接触し、
(a)前記内側の組の遊星、又は(b)前記外側の組の遊星、の一方とギヤ接触する中間レースを画定する中間ギヤと、
前記太陽ギヤに取り付けられ、前記内側の組の遊星を軸方向に拘束するように構成されている少なくとも1つの内側フェンスと、
前記リングギヤに取り付けられ、前記外側の組の遊星を軸方向に拘束するように構成されている少なくとも1つの外側フェンスと、を備える、ギヤボックス装置。
[項29]
前記内側の組の遊星の前記軸方向端部の各々は半球状の形状を有し、前記少なくとも1つの内側フェンスは、前記内側の組の遊星の前記軸方向端部の前記半球状の形状に対応する湾曲した形状を有する、項28に記載のギヤボックス装置。
[項30]
前記外側の組の遊星の前記軸方向端部の各々は半球状の形状を有し、前記少なくとも1つの外側フェンスは、前記外側の組の遊星の前記軸方向端部の前記半球状の形状に対応する湾曲した形状を有する、項28又は29に記載のギヤボックス装置。
[項31]
前記内側の組の遊星はそれぞれ、前記太陽ギヤの前記軸に対して平行に測定される第1の軸方向長さを有し、
前記外側の組の遊星はそれぞれ、前記太陽ギヤの前記軸に対して平行に測定される第2の軸方向長さを有し、前記第2の軸方向長さは、前記第1の軸方向長さとは異なっており、
前記中間レースは、(a)前記内側の組の遊星、又は(b)前記外側の組の遊星、のうちのより長い軸方向ギヤ組とギヤ接触する、項28~30のいずれか一項に記載のギヤボックス装置。
[項32]
前記中間ギヤは出力ギヤであり、前記太陽ギヤ又は前記リングギヤの一方は入力モータによって駆動される、項28~31のいずれか一項に記載のギヤボックス装置。
[項33]
(a)前記内側の組の遊星、又は(b)前記外側の組の遊星、の前記少なくとも一方はそれぞれ、1:1より大きい長さ対直径比を有する、項31に記載のギヤボックス装置。
[項34]
前記内側の組の遊星及び前記外側の組の遊星はそれぞれ、ヘリカルギヤを画定する、項28~33のいずれか一項に記載のギヤボックス装置。
[項35]
前記内側レース、前記外側レース、前記中間レース、並びに前記内側の組の遊星の各々及び前記外側の組の遊星の各々の外部表面は全て、ギヤ根元部によって隣接するギヤ歯から分離された複数のギヤ歯を画定し、前記ギヤ根元部の少なくとも一部分は径方向スロットを画定する、項28~34のいずれか一項に記載のギヤボックス装置。
[項36]
前記内側の組の遊星の各々及び前記外側の組の遊星の各々は中空である、項28~35のいずれか一項に記載のギヤボックス装置。
[項37]
ギヤボックス装置であって、
その外部表面上に内側レースを画定する太陽ギヤであって、前記太陽ギヤの第1の端部とその反対側の第2の端部との間の軸を規定する、太陽ギヤと、
その内部表面上に外側レースを画定するリングギヤであって、前記太陽ギヤと同軸である、リングギヤと、
前記太陽ギヤの前記内側レースとギヤ接触する内側の組の遊星と、
前記リングギヤの前記外側レースとギヤ接触する外側の組の遊星と、
前記内側の組の遊星の各々が、前記外側の組の遊星のうちの少なくとも2つとギヤ接触し、前記外側の組の遊星の各々が、前記内側の組の遊星のうちの少なくとも2つとギヤ接触し、
(a)前記内側の組の遊星、又は(b)前記外側の組の遊星、の一方とギヤ接触する中間レースを画定する中間ギヤと、を備え、
前記内側の組の遊星の各々及び前記外側の組の遊星の各々は、前記太陽ギヤ、前記リングギヤ、及び前記中間ギヤの各々の剛性よりも高い剛性を有し、そのため、前記太陽ギヤ、前記リングギヤ、又は前記中間ギヤのうちの1つ以上は、前記内側の組の遊星にかかる径方向負荷と、前記外側の組の遊星にかかる径方向負荷とのバランスが取れるように変形する、ギヤボックス装置。
[項38]
前記内側の組の遊星の各々及び前記外側の組の遊星の各々は金属材料を含む、項37に記載のギヤボックス装置。
[項39]
前記太陽ギヤ、前記リングギヤ、及び前記中間ギヤのうちの1つ以上はプラスチック材料を含む、項38に記載のギヤボックス装置。
[項40]
前記内側の組の遊星はそれぞれ、前記太陽ギヤの前記軸に対して平行に測定される第1の軸方向長さを有し、
前記外側の組の遊星はそれぞれ、前記太陽ギヤの前記軸に対して平行に測定される第2の軸方向長さを有し、前記第2の軸方向長さは、前記第1の軸方向長さとは異なっており、
前記中間レースは、(a)前記内側の組の遊星、又は(b)前記外側の組の遊星、のうちのより長い軸方向ギヤ組とギヤ接触する、項37~39のいずれか一項に記載のギヤボックス装置。
[項41]
(a)前記内側の組の遊星、又は(b)前記外側の組の遊星、の前記少なくとも一方はそれぞれ、1:1より大きい長さ対直径比を有する、項40に記載のギヤボックス装置。
[項42]
前記内側の組の遊星及び前記外側の組の遊星はそれぞれ、2つの別様に先細にされた部分を備える、項37~41のいずれか一項に記載のギヤボックス装置。
[項43]
前記内側の組の遊星及び前記外側の組の遊星はそれぞれ、ヘリカルギヤを画定する、項37~41のいずれか一項に記載のギヤボックス装置。
[項44]
前記内側の組の遊星及び前記外側の組の遊星はそれぞれ、一定の螺旋角を有するヘリカルギヤを画定する、項43に記載のギヤボックス装置。
[項45]
前記内側の組の遊星及び前記外側の組の遊星はそれぞれ、軸方向長さに沿って異なる螺旋角を有するヘリカルギヤを画定する、項43に記載のギヤボックス装置。
[項46]
前記内側の組の遊星及び前記外側の組の遊星はそれぞれ、ヘリングボーンギヤパターンを画定する、項45に記載のギヤボックス装置。
[項47]
前記中間ギヤは、前記ヘリングボーンギヤパターンの一部分に対応するそれぞれの角度付きギヤ表面を各々が有する、軸方向に隣接する2つの構成要素を備え、前記軸方向に隣接する2つの構成要素は互いに対して締結されている、項46に記載のギヤボックス装置。
[項48]
前記リングギヤは、前記ヘリングボーンギヤパターンの一部分に対応するそれぞれの角度付きギヤ表面を各々が有する、軸方向に隣接する2つの構成要素を備え、前記軸方向に隣接する2つの構成要素は互いに対して締結されている、項46に記載のギヤボックス装置。
[項49]
前記太陽ギヤは、前記ヘリングボーンギヤパターンの一部分に対応するそれぞれの角度付きギヤ表面を各々が有する、軸方向に隣接する2つの構成要素を備え、前記軸方向に隣接する2つの構成要素は互いに対して締結されている、項46に記載のギヤボックス装置。
[項50]
前記内側の組の遊星を軸方向に拘束するように構成された少なくとも1つの内側フェンスを更に備える、項37に記載のギヤボックス装置。
[項51]
前記外側の組の遊星を軸方向に拘束するように構成された少なくとも1つの外側フェンスを更に備える、項37又は50に記載のギヤボックス装置。
[項52]
前記内側レース、前記外側レース、前記中間レース、並びに前記内側の組の遊星の各々及び前記外側の組の遊星の各々の外部表面は全て、ギヤ根元部によって隣接するギヤ歯から分離された複数のギヤ歯を画定し、前記ギヤ根元部の少なくとも一部分は径方向スロットを画定する、項37~51のいずれか一項に記載のギヤボックス装置。
[項53]
前記内側の組の遊星の各々及び前記外側の組の遊星の各々は中空である、項37~52のいずれか一項に記載のギヤボックス装置。
[項54]
ギヤボックス装置であって、
その外部表面上に内側レースを画定する太陽ギヤであって、前記太陽ギヤの第1の端部とその反対側の第2の端部との間の軸を規定する、太陽ギヤと、
その内部表面上に外側レースを画定するリングギヤであって、前記太陽ギヤと同軸である、リングギヤと、
前記太陽ギヤの前記内側レースとギヤ接触する内側の組の遊星と、
前記リングギヤの前記外側レースとギヤ接触する外側の組の遊星と、
前記内側の組の遊星の各々が、前記外側の組の遊星のうちの少なくとも2つとギヤ接触し、前記外側の組の遊星の各々が、前記内側の組の遊星のうちの少なくとも2つとギヤ接触し、
(a)前記内側の組の遊星、又は(b)前記外側の組の遊星、の一方とギヤ接触する中間レースを画定する中間ギヤと、を備え、
前記内側の組の遊星の各々及び前記外側の組の遊星の各々は、前記太陽ギヤ、前記リングギヤ、及び前記中間ギヤの各々の剛性よりも低い剛性を有し、そのため、前記太陽ギヤ、前記リングギヤ、又は前記中間ギヤのうちの1つ以上は、前記内側の組の遊星にかかる径方向負荷と、前記外側の組の遊星にかかる径方向負荷とのバランスが取れるように変形する、ギヤボックス装置。
[項55]
前記内側の組の遊星の各々及び前記外側の組の遊星の各々は金属材料を含む、項54に記載のギヤボックス装置。
[項56]
前記内側の組の遊星の各々及び前記外側の組の遊星の各々は中空である、項55に記載のギヤボックス装置。
[項57]
前記内側の組の遊星の各々及び前記外側の組の遊星の各々はプラスチック材料を含む、項54に記載のギヤボックス装置。
[項58]
前記内側の組の遊星はそれぞれ、前記太陽ギヤの前記軸に対して平行に測定される第1の軸方向長さを有し、
前記外側の組の遊星はそれぞれ、前記太陽ギヤの前記軸に対して平行に測定される第2の軸方向長さを有し、前記第2の軸方向長さは、前記第1の軸方向長さとは異なっており、
前記中間レースは、(a)前記内側の組の遊星、又は(b)前記外側の組の遊星、のうちのより長い軸方向ギヤ組とギヤ接触する、項54~57のいずれか一項に記載のギヤボックス装置。
[項59]
(a)前記内側の組の遊星、又は(b)前記外側の組の遊星、の前記少なくとも一方はそれぞれ、1:1より大きい長さ対直径比を有する、項58に記載のギヤボックス装置。
[項60]
前記内側の組の遊星及び前記外側の組の遊星はそれぞれ、2つの別様に先細にされた部分を備える、項54に記載のギヤボックス装置。
[項61]
前記内側の組の遊星及び前記外側の組の遊星はそれぞれ、ヘリカルギヤを画定する、項54に記載のギヤボックス装置。
[項62]
前記内側の組の遊星及び前記外側の組の遊星はそれぞれ、一定の螺旋角を有するヘリカルギヤを画定する、項61に記載のギヤボックス装置。
[項63]
前記内側の組の遊星及び前記外側の組の遊星はそれぞれ、軸方向長さに沿って異なる螺旋角を有するヘリカルギヤを画定する、項61に記載のギヤボックス装置。
[項64]
前記内側の組の遊星及び前記外側の組の遊星はそれぞれ、ヘリングボーンギヤパターンを画定する、項63に記載のギヤボックス装置。
[項65]
前記中間ギヤは、前記ヘリングボーンギヤパターンの一部分に対応するそれぞれの角度付きギヤ表面を各々が有する、軸方向に隣接する2つの構成要素を備え、前記軸方向に隣接する2つの構成要素は互いに対して締結されている、項64に記載のギヤボックス装置。
[項66]
前記リングギヤは、前記ヘリングボーンギヤパターンの一部分に対応するそれぞれの角度付きギヤ表面を各々が有する、軸方向に隣接する2つの構成要素を備え、前記軸方向に隣接する2つの構成要素は互いに対して締結されている、項64に記載のギヤボックス装置。
[項67]
前記太陽ギヤは、前記ヘリングボーンギヤパターンの一部分に対応するそれぞれの角度付きギヤ表面を各々が有する、軸方向に隣接する2つの構成要素を備え、前記軸方向に隣接する2つの構成要素は互いに対して締結されている、項64に記載のギヤボックス装置。
[項68]
前記内側の組の遊星を軸方向に拘束するように構成された少なくとも1つの内側フェンスを更に備える、項54に記載のギヤボックス装置。
[項69]
前記外側の組の遊星を軸方向に拘束するように構成された少なくとも1つの外側フェンスを更に備える、項54又は68に記載のギヤボックス装置。
[項70]
前記内側レース、前記外側レース、前記中間レース、並びに前記内側の組の遊星の各々及び前記外側の組の遊星の各々の外部表面は全て、ギヤ根元部によって隣接するギヤ歯から分離された複数のギヤ歯を画定し、前記ギヤ根元部の少なくとも一部分は径方向スロットを画定する、項54~69のいずれか一項に記載のギヤボックス装置。
[項71]
前記内側の組の遊星の各々及び前記外側の組の遊星の各々は中空である、項54~70のいずれか一項に記載のギヤボックス装置。
[項72]
ギヤボックス装置を組み立てる方法であって、
1組の外側遊星を外側レースの内部表面とギヤ接触させて配置する工程と、
1組の内側遊星を前記外側の組の遊星とギヤ接触させて配置する工程であって、全ての内側遊星は2つの外側遊星とギヤ接触し、全ての外側遊星は2つの内側遊星とギヤ接触する、工程と、
内側レースの第1の構成要素を前記内側遊星とギヤ接触させて、かつ前記外側レースと同軸に配置する工程であって、前記第1の構成要素は第1の角度付きギヤ表面を有する、工程と、
内側レースの第2の構成要素を前記内側遊星とギヤ接触させて、かつ前記外側レースと同軸に配置する工程であって、前記第2の構成要素は第2の角度付きギヤ表面を有し、前記第1の角度付きギヤ表面と前記第2の角度付きギヤ表面は、異なる螺旋角を有する、工程と、
入力ギヤを前記外側遊星とギヤ接触させて、かつ前記外側レースと同軸に配置する工程と、を含む方法。
[項73]
前記第1の角度付きギヤ表面と前記第2の角度付きギヤ表面は、協働してヘリングボーンギヤ表面を形成する反対の螺旋角を有する、項72に記載の方法。
[項74]
前記入力ギヤは、第1の角度付き入力ギヤ表面を有する第1の入力ギヤ構成要素と、第2の角度付き入力ギヤ表面を有する第2の入力ギヤ構成要素と、を備え、入力ギヤを前記外側の組の遊星とギヤ接触させて、かつ前記外側レースと同軸に配置する前記工程は、前記第1の入力ギヤ構成要素を、前記外側遊星と同軸に、かつ前記外側の組の遊星とギヤ接触する前記第1の角度付き入力ギヤ表面と同軸に配置する工程と、前記第2の入力ギヤ構成要素を、前記外側の組の遊星と同軸に、かつ前記外側の組の遊星とギヤ接触する前記第2の角度付き入力ギヤ表面と同軸に配置する工程と、を含み、前記第1の角度付き入力ギヤ表面と前記第2の角度付き入力ギヤ表面は異なる螺旋角を有する、項72又は73に記載の方法。
[項75]
前記第1の角度付き入力ギヤ表面と前記第2の角度付き入力ギヤ表面は、ヘリングボーン入力ギヤ表面を一緒に形成するように反対の螺旋角を有する、項74に記載の方法。
[項76]
前記第1の角度付き入力ギヤ表面は、前記1組の内側遊星を前記外側の組の遊星とギヤ接触させて配置する前記工程の前に、前記外側遊星とギヤ接触させて配置され、前記第2の角度付き入力ギヤ表面は、前記内側レースの前記第1の入力ギヤ構成要素及び前記第2の入力ギヤ構成要素を前記内側遊星とギヤ接触させて配置する前記工程の後に、前記外側の組の遊星とギヤ接触するように配置される、項74又は75に記載の方法。
[項77]
ギヤボックス装置を組み立てる方法であって、
1組の内側遊星を内側レースの外部表面とギヤ接触させて配置する工程と、
1組の外側遊星を前記内側の組の遊星とギヤ接触させて配置する工程であって、全ての外側遊星は2つの内側遊星とギヤ接触し、全ての内側遊星は2つの外側遊星とギヤ接触する、工程と、
外側レースの第1の構成要素を前記内側遊星とギヤ接触させて、かつ前記内側レースと同軸に配置する工程であって、前記第1の構成要素は第1の角度付きギヤ表面を有する、工程と、
外側レースの第2の構成要素を前記外側の組の遊星とギヤ接触させて、かつ前記内側レースと同軸に配置する工程であって、前記第2の構成要素は第2の角度付きギヤ表面を有し、前記第1の角度付きギヤ表面と前記第2の角度付きギヤ表面は、異なる螺旋角を有する、工程と、
入力ギヤを前記内側の組の遊星とギヤ接触させて、かつ前記内側レースと同軸に配置する工程と、を含む方法。
[項78]
前記第1の角度付きギヤ表面と前記第2の角度付きギヤ表面は、協働してヘリングボーンギヤ表面を形成する反対の螺旋角を有している、項77に記載の方法。
[項79]
前記入力ギヤは、第1の角度付き入力ギヤ表面を有する第1の入力ギヤ構成要素と、第2の角度付き入力ギヤ表面を有する第2の入力ギヤ構成要素と、を備え、入力ギヤを前記内側遊星とギヤ接触させて、かつ前記内側レースと同軸に配置する前記工程は、前記第1の入力ギヤ構成要素を、前記内側の組の遊星と同軸に、かつ前記内側遊星とギヤ接触する前記第1の角度付き入力ギヤ表面と同軸に配置する工程と、前記第2の入力ギヤ構成要素を、前記内側の組の遊星と同軸に、かつ前記内側遊星とギヤ接触する前記第2の角度付き入力ギヤ表面と同軸に配置する工程と、を含み、前記第1の角度付き入力ギヤ表面と前記第2の角度付き入力ギヤ表面は異なる螺旋角を有する、項77又は78に記載の方法。
[項80]
前記第1の角度付き入力ギヤ表面と前記第2の角度付き入力ギヤ表面は、ヘリングボーン入力ギヤ表面を一緒に形成するように反対の螺旋角を有する、項79に記載の方法。
[項81]
前記第1の角度付き入力ギヤ表面は、前記1組の外側遊星を前記内側遊星とギヤ接触させて配置する前記工程の前に、前記内側の組の遊星とギヤ接触させて配置され、前記第2の角度付き入力ギヤ表面は、前記外側レースの前記第1の入力ギヤ構成要素及び前記第2の入力ギヤ構成要素を前記外側遊星とギヤ接触させて配置する前記工程の後に、前記内側の組の遊星とギヤ接触するように配置される、項79又は80に記載の方法。
【国際調査報告】