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特表2022-527214電気グリッドをブラックスタートするための方法
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  • 特表-電気グリッドをブラックスタートするための方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-31
(54)【発明の名称】電気グリッドをブラックスタートするための方法
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20220524BHJP
   H02M 3/00 20060101ALI20220524BHJP
   H02J 3/38 20060101ALI20220524BHJP
【FI】
H02M7/48 L
H02M3/00 G
H02J3/38 160
H02J3/38 130
H02J3/38 180
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021559849
(86)(22)【出願日】2020-03-05
(85)【翻訳文提出日】2021-10-08
(86)【国際出願番号】 EP2020055934
(87)【国際公開番号】W WO2020207675
(87)【国際公開日】2020-10-15
(31)【優先権主張番号】19168655.9
(32)【優先日】2019-04-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518399243
【氏名又は名称】オルステッド・ウィンド・パワー・エー/エス
【氏名又は名称原語表記】Orsted Wind Power A/S
【住所又は居所原語表記】Kraftvaerksvej 53,7000 Fredericia,Denmark
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 郁治
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】ジョンソン、ハワード・フィリップ
【テーマコード(参考)】
5G066
5H730
5H770
【Fターム(参考)】
5G066AA08
5G066HB01
5G066HB02
5G066HB04
5G066HB06
5G066HB09
5G066JB03
5H730AS17
5H730CC01
5H730XC01
5H770BA11
5H770CA04
5H770CA08
5H770CA10
5H770JA16Y
5H770JA16Z
5H770JA17Y
5H770JA20Z
5H770QA13
(57)【要約】
電気グリッド(2)をブラックスタートするための方法であって、その方法は、エネルギーファーム(1)を第一の位置でグリッドから切断することであって、第一の位置が電気グリッド(2)と、関連するコンバーター(17)を含むエネルギーストレージ(16)との間に位置する、切断することと、同期コンデンサ(24)を提供することと、エネルギーストレージ(16)と関連するコンバーター(17)を用いてACエクスポートケーブル(12)を通電することと、エネルギーストレージ(16)と関連するコンバーター(17)を用いてACエクスポートケーブル(12)を介して、エネルギーファームの電気インフラストラクチャーの少なくとも一部分を通電することと、電気発電機(3、4)によってエネルギーファームの電気インフラストラクチャーへのエネルギー供給を再確立することと、同期コンデンサ(24)を通電することと、エネルギーファーム(1)を第一の位置で電気グリッド(2)に再接続することとを含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気グリッドをブラックスタートするための方法であって、
電気インフラストラクチャーと外部AC供給装置に動作可能に依存する第一の数の電気発電機とを有するエネルギーファームを提供することと、
前記エネルギーファームを前記電気グリッドに接続するためのACエクスポートケーブルを提供することと、
関連付けられるコンバーターを含むエネルギーストレージを提供することと、
同期コンデンサを提供することと、
第一の位置で前記エネルギーファームを前記グリッドから切断することであって、前記第一の位置が、前記電気グリッドと前記関連付けられるコンバーターを含む前記エネルギーストレージとの間に位置する、切断することと、
前記エネルギーストレージおよび前記関連付けられるコンバーターを用いて前記ACエクスポートケーブルを通電することと、
前記エネルギーストレージおよび前記関連付けられるコンバーターを用いて前記ACエクスポートケーブルを介して、前記エネルギーファームの電気インフラストラクチャーの少なくとも一部分を通電することと、
前記電気発電機によって前記エネルギーファームの電気インフラストラクチャーへのエネルギー供給を再確立することと、
前記同期コンデンサを通電することと、
前記エネルギーファームを前記第一の位置で前記電気グリッドに再接続することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記エネルギーファームが洋上にあり、前記関連付けられるコンバーターを含む前記エネルギーストレージと前記同期コンデンサが陸上にある、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記エネルギーファームの電気インフラストラクチャーが、共通バスバーシステムに接続可能な対応する数のアレイケーブル線に接続可能な二つ以上のグループの電気発電機を含み、前記エネルギーストレージおよび前記関連付けられるコンバーターを用いて前記ACエクスポートケーブルを介して通電される前記エネルギーファームの電気インフラストラクチャーの前記少なくとも一部分が、前記数のアレイケーブル線のうちの一つを含む、請求項1~2のいずれか一項に記載の方法。
【請求項4】
前記コンバーターがSTATCOMを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記関連付けられるコンバーターを含む前記エネルギーストレージが、前記エネルギーファームを前記第一の位置で前記電気グリッドに再接続した後に、電力を前記電気グリッドに供給する、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
一つまたは複数のダンプロード、および前記ダンプロードを制御するための制御システムを提供することと、前記制御システムを使用し、前記ダンプロードにおけるエネルギー散逸を制御して、前記切断されたエネルギーファームのバランシングを助けることと、をさらに含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
同期情報がさらなるコンバーターに送信される、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
電気グリッドを再通電するための方法であって、
電気インフラストラクチャーと外部AC供給装置に動作可能に依存する第一の数の風力タービン発電機とを有するエネルギーファームを提供することと、
前記エネルギーファームを前記電気グリッドに接続するためのACエクスポートケーブルを提供することと、
関連付けられるコンバーターを含むエネルギーストレージを提供することと、
同期コンデンサを提供することと、
第一の位置で前記エネルギーファームを前記グリッドから切断することであって、前記第一の位置が、前記電気グリッドと前記関連付けられるコンバーターを含む前記エネルギーストレージとの間に位置する、切断することと、
前記エネルギーストレージおよび前記関連付けられるコンバーターを用いて前記ACエクスポートケーブルの通電を維持することと、
前記エネルギーストレージおよび前記関連付けられるコンバーターを用いて前記エクスポートケーブルを介して、前記エネルギーファームの電気インフラストラクチャーの少なくとも一部分を通電することと、
前記同期コンデンサを通電することと、
前記エネルギーファームを前記第一の位置で前記電気グリッドに再接続することと、を含む、方法。
【請求項9】
前記エネルギーファームの電気インフラストラクチャーの前記少なくとも一部分が前記ACエクスポートケーブルを介して通電され維持されるとき、前記エネルギーファームの前記少なくとも一部分が、前記エネルギーファームを前記第一の位置で前記電気グリッドに再接続する前に、ある期間アイランドモードに維持される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の方法のための、同期コンデンサ、および関連付けられるコンバーターを含むエネルギーストレージの使用。
【請求項11】
請求項1~9のいずれか一項に記載の方法を実行するように適合されたエネルギーファームであって、
電気インフラストラクチャーおよび外部AC電源に動作可能に依存する第一の数の風力タービン発電機と、
前記エネルギーファームを前記電気グリッドに接続するためのACエクスポートケーブルと、
関連付けられるコンバーターを含むエネルギーストレージと、
同期コンデンサと、
第一の位置で前記エネルギーファームを前記グリッドから切断するための開閉装置であって、前記第一の位置が、前記電気グリッドと前記関連付けられるコンバーターを含む前記エネルギーストレージとの間に位置する、開閉装置と、を含む、エネルギーファーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気グリッドをブラックスタートする方法に関し、特に、電気グリッドをブラックスタートするためのウィンドファームの方法および使用に関するが、これに限定されない。
【背景技術】
【0002】
発電および送電の分野では、ブラックスタートは、電気グリッド、すなわち送電システムまたは配電システムを、ブラックアウト、すなわちグリッドにおける電力を全て失った後に再通電する必要があるときに、送電システム運用者TSO、配電システム運用者DSO等の電気グリッドの運用者に提供されるサービスである。グリッドのサポートなしでグリッドシステムをそれ自体で再通電する機能は、ブラックスタート・サービスとして知られる。これは、グリッド運用者が維持および提供のために選択された発電機について支払うサービスである。
【0003】
グリッドのブラックアウトの場合、発電所などの発電機へのグリッド接続だけでなく消費者へのグリッド接続もオープンになり、グリッドはもはや通電していないより小さなサブシステムに分割される。次いで、システムの再開プロセスは、発電所がアイランドモード、すなわちグリッドへの接続なしで電源投入され、次いで、発電所がグリッドの個々の部分に接続し、それを再通電するために使用される段階的プロセスによって行われる。その後に、グリッドの個々の部分が同期され、再度相互接続される。送電システム運用者および配電システム運用者は、グリッド動作を再確立するための詳細な手順を有してはいるものの、ブラックアウトがどの程度広範囲にわたるかに応じて、再確立プロセスは数時間かかる可能性がある。電気が来ていない、すなわち非通電のグリッドに接続し、それを再通電することができる発電所は、ブラックスタート発電所と呼ばれ、上述したように、送電システム運用者および配電システム運用者がブラックスタート・サービスを提供するために発電所のオーナーと契約する。ブラックアウトの場合、重要なインフラを含む多数の消費者には電力がないため、グリッドおよびそれへの供給が可能な限り迅速に再確立されることが最も重要である。従って、ブラックスタートの発電所のためのスタートアップ時間を可能な限り短く保つことが重要である。しかしながら、全ての発電所がブラックスタートの機能を有しているわけではなく、例えば、風力タービン、ウィンドファーム、および光起電プラントは通常有していない。例えば、風力タービンで多くの場合に使用される非同期発電機は、その磁化のために安定した外部AC供給装置に大きく依存し、外部電力システム、すなわちグリッドへの接続が失われるときに、停止されない場合、同期生を失い、手に負えない状態を経験することになる。2倍供給非同期発電機でも、停止されない場合、手に負えない状態を経験する前では、0.1~3秒の範囲の短時間にわたってグリッドの損失をライドスルーすることしかできず、グリッドが再度通電された後に煩雑な再開手順を実行する必要がある。永久磁石発電機を含む風力タービンなどの他のシステムは、AC/DC変換およびDC/AC変換に依存し、後者は、風力タービンを用いて電力の生成を開始する前に、AC/DCおよびDC/ACコンバーターに電力を投入することができるように外部電力システムからの電力も必要とする。光起電プラントのDC/ACコンバーターも同様である。明らかに、このような発電機は、設計に追加的な機能を組み込まなければ、ブラックスタートに適していない。
【0004】
フォルトライドスルー、低電圧ライドスルー、および高電圧ライドスルーは、電力システムにおける短時間の異常電圧イベントを記述するためによく使用されるフェーズであり、ライドスルーとは風力タービン、ウィンドファームなどのシステムおよび構成要素が接続されるままであることを意味する。
【0005】
従って、従来、ブラックスタート・サービスは、同期発電機を含む中央火力発電所によって提供されてきたが、火力発電所の漸次的廃止に伴って、送電システム運用者および配電システム運用者はブラックスタート・サービスの新しい提供者についての増加する需要に直面している。従って、特にウィンドファームにおいて、電力を生成する風力タービンなどの再生可能エネルギー源が、電気グリッド、すなわち上述の送電および配電システムのブラックスタートのために使用され得る場合を対象とする。さらに、より大きなウィンドファームを洋上にする傾向がありそれらはブラックスタート・サービスのためにこれらを使用することを特に対象とする。
【0006】
この点、ブラックスタートのために風力タービンおよびウィンドファームを使用するさまざまな方法がすでに提案される。例は、とりわけUS8000840、EP1909371、CN104836248、およびUS2012/0261917の開示で見出される。これらの開示の方法に共通することは、同期発電機を含む中央火力発電所からの従来のブラックスタートとほぼ同じ方法で、ブラックスタート問題にアプローチしていることである。すなわち、ディーゼルエンジン駆動発電機、発電機を駆動するガス燃焼タービンなどの小さな発電機を開始することである。次に、小さなディーゼル発電機が電力を提供してより大きな発電機、例えばガス燃焼タービン駆動発電機、おそらくはアイランドモードにあるより大きな蒸気駆動ターボ発電機を開始させて、最終的には、安定したアイランドモードに達するときに、グリッドに再接続してそれの電源を投入する、すなわちそれをブラックスタートし、次に、グリッドが、グリッドを必要とする他の発電所が開始および再接続することを可能にする。同様に、上述の開示では、単一の風力タービン発電機に近接するソースは、その一つの風力タービンをスタートアップするために使用され、単一の風力タービン発電機が安定しているときにのみ、同じアレイケーブル線またはバスバーに接続される他の風力タービン発電機を開始させることができる。従って、ウィンドファーム全体の電源が投入され、アイランドモードで十分に安定して動作するまでにかなりの時間をかけてから、電気グリッドをブラックスタートするために使用することができるようにしている。
【0007】
この問題に直面して、ウィンドファームのブラックスタートに必要な時間を削減すること、およびウィンドファームを接続するケーブルの岸端に位置するバッテリーストレージを使用することによってブラックスタート運転の複雑さを低減すること、最初にケーブルをウィンドファームおよびアレイケーブルを個々の風力タービンに充電すること、および風力タービンを電力アイランドモードで再接続して動作させることができる基準周波数を提供することが、実際に可能であることが認識された。
【0008】
しかしながら、ウィンドファームがブラックスタート可能であるとみなされるほど十分に高速にアイランドモードに到達できるとしても、例えば、無電力電気グリッドの初期電力需要が高いために、グリッドの再接続が問題になる状況がある可能性がある。ガス燃焼タービン駆動同期発電機、または慣性を提供する蒸気タービン駆動同期発電機のいずれかを含む従来のブラックスタート発電機とは異なり、ウィンドファームは、風力タービン駆動発電機がシステムに同期されないため、システム慣性を提供しない。すなわち、風力タービン発電機の非同期発電機およびローターに貯蔵された回転エネルギーは、非同期発電機がグリッドに直接接続されるのではなく、むしろ整流器およびインバータを介して接続されるので、直接利用できない。これらの整流器およびインバータは、通常、電気グリッドに電気が来ていない前からの継続的な障害で、電気が来ていない、すなわち無電力グリッドまたはその一部部分に接続する際に必要とされる公称負荷に、たとえ数秒間でさえ、数回の持続的な出力電力を供給できず、また電力系統が十分な速さで応答することもできない。その場合、リレー保護システムは、電気グリッド内の障害をクリアするために確実に機能しない場合がありすなわち、障害電流は、防護装置が障害をトリガーしてクリアできるほど十分に上昇しない。同じことは、出力ACが、光起電ソーラーファームなどのインバータによって提供される他の発電装置またはシステムに適用される。
【発明の概要】
【0009】
本発明の第一の態様によれば、この目的は電気グリッドをブラックスタートするための方法によって達成され、前述の方法は、電気グリッドを提供することと、電気インフラストラクチャーおよび第一の数の電気発電機を有するエネルギーファームを提供することと、前述のエネルギーファームを前述の電気グリッドに接続するためのAC接続ケーブルを提供することと、関連付けられるコンバーターを含むエネルギーストレージを提供することと、同期コンデンサを提供することと、第一の位置でエネルギーファームをグリッドから切断することであって、前述の第一の位置が、電気グリッドと関連付けられるコンバーターを含むエネルギーストレージとの間に位置する、切断することと、前述のエネルギーストレージおよび関連付けられるコンバーターを用いてACエクスポートケーブルを通電することと、前述のエネルギーストレージおよび関連付けられるコンバーターを用いて前述のACエクスポートケーブルを介して、エネルギーファームの電気インフラストラクチャーの少なくとも一部分を通電することと、前述の電気発電機によって前述のエネルギーファームの電気インフラストラクチャーへのエネルギー供給を再確立することと、前述の同期コンデンサを通電することと、エネルギーファームを前述の第一の位置で前述の電気グリッドに再接続することと、を含む。
【0010】
エネルギー源がそれをするのに必要なエネルギーを提供するのに十分に大きい場合、ACエクスポートケーブルを介してアイランドモードのエネルギーファームの電気インフラストラクチャーを通電することで、上記の従来のアプローチと比較してかなり速いブラックスタートを可能にする。これは、多数の電気発電機が同時に供給を受けることができ、グループで、または同時に開始するためにリリースされるためである。さらに、通電されたが、依然としてアイランドモードのまま、電気が来ていない電気グリッドに、エネルギーファームのインフラを再接続する際に、同期コンデンサは、電力なしグリッドの高い瞬時電力需要を提供できる。
【0011】
従って、本発明の第一の態様の好ましい実施形態によれば、ウィンドファームは洋上にあり、関連付けられるコンバーターおよび同期コンデンサを含むエネルギーストレージは陸上にある。
【0012】
本発明の第一の態様のさらなる好ましい実施形態によれば、エネルギーファームの電気インフラストラクチャーは、バスバーシステムに接続可能な対応する数のアレイケーブル線に接続可能な二つ以上のグループの電気発電機を含み、前述のエネルギーストレージおよび関連付けられるコンバーターを用いて前述のACエクスポートケーブルを介して通電されるエネルギーファームの電気インフラストラクチャーの少なくとも一部分が、前述の数のアレイケーブル線のうちの一つを含む。
【0013】
単一のアレイケーブル線のみが通電され、エネルギーファーム全体が通電されない場合、必要なエネルギーストレージが少なくなり、依然として電気グリッドおよび/またはエネルギーファームの残りの部分を再開する能力がある安定したアイランドモードを確立するのに十分であり得る。いずれの場合でも、これは上記の開示された従来のアプローチよりも速くなるであろう。
【0014】
本発明の第二の態様の別の好ましい実施形態によれば、コンバーターはSTATCOMを含む。STATCOMは、コンバーターのSTATCOM機能を提供するコンバーターの統合された部分またはそこから分離したものであり得る。STATCOMは、アイランド化したブラックスタートエネルギーファームを電気グリッドに再接続するときに電圧安定性および反応性電力バランスを維持するためだけではなく、ACラインおよびそれに関連付けられる高電圧構成要素を通電するときに電圧安定性および反応性電力バランスを維持するために使用することができる。
【0015】
本発明の第一の態様のさらなる好ましい実施形態によれば、関連付けられるコンバーターを含むエネルギーストレージは、エネルギーファームを前述の第一の位置で前述の電気グリッドに再接続した後に電気グリッドに電力を供給する。このようにして、エネルギーストレージの任意の残りの容量は、電気グリッドの再通電およびこの間のその安定性をサポートするために使用することができる。
【0016】
本発明の第一の態様によるさらなる好ましい実施形態によれば、方法は、一つまたは複数のダンプロード、およびダンプロードを制御するための制御システムを提供することと、制御システムを使用し、ダンプロードにおけるエネルギー散逸を制御して、切断されたエネルギーファームのバランシングを助ける、すなわちアイランドシステムを安定に維持するのを助けることとをさらに含む。切断された、すなわちアイランド化したエネルギーファームに接続される制御されたダンプロードを使用することは、特にいったん電気発電機がアイランド化したエネルギーファームに再接続されると、アイランド化したエネルギーファームのバランシングに貢献し得る。
【0017】
本発明のさらに好ましい実施形態によれば、同期情報がさらなるコンバーターに送信される。これにより、他の類似したエネルギーファームが同期してブラックスタートすることを可能にし、次に、異なるブラックスタートエネルギーファームによって再通電されるセグメント化された部分が、互いに再接続する前に同期するために、より少ない時間を必要とし、または時間を必要としないので、電気グリッド全体がより早く再統合することを可能にする。
【0018】
本発明の第二の態様によれば、目的は、上記方法によるブラックスタート方法のための同期コンデンサおよび関連付けられるコンバーターを含むエネルギーストレージの使用によって達成される。
【0019】
本発明の第三の態様によれば、目的は、電気グリッドを再通電する方法の使用によって達成され、前述の方法は、電気インフラストラクチャーおよび第一の数の電気発電機を有するエネルギーファームを提供することと、前述のエネルギーファームを前述の電気グリッドに接続するためのACエクスポートケーブルを提供することと、関連付けられるコンバーターを含むエネルギーストレージを提供することと、第一の位置でエネルギーファームをグリッドから切断することであって、前述の第一の位置が、電気グリッドと関連付けられるコンバーターを含むエネルギーストレージとの間に位置する、切断することと、前述のエネルギーストレージおよび関連付けられるコンバーターを用いてACエクスポートケーブルの通電を維持することと、前述のエネルギーストレージおよび関連付けられるコンバーターを用いて前述のエクスポートケーブルを介して、エネルギーファームの電気インフラストラクチャーの少なくとも一部分を通電することと、エネルギーファームを前述の第一の位置で前述の電気グリッドに再接続することと、を含む。
【0020】
これにより、エネルギーストレージは、切断されたエネルギーファームをアイランドモードでサポートするための無停電電源装置として使用される。これにより、風力タービンが、アイランドモードが確立され、ウィンドファームが、ウィンドファームが拡張期間にわたってそのままでいることができる安定したアイランドモードに入るまで、ライドスルーするのを可能にするので、電気発電機が風力タービン発電機であるとき特に有用である。拡張期間の間、同期コンデンサが、グリッドが再通電され、ウィンドファームが制御された方式で再接続することができるか、または明細書に説明するようにアイランドモードからウィンドファームがグリッドを再通電するために使用され得るまで、アイランドモードの安定を維持するのにさらに貢献できる。
【0021】
従って、本発明の第三の態様の好ましい実施形態によれば、エネルギーファームの電気インフラストラクチャーの少なくとも一部分が前述のACエクスポートケーブルを介して、通電され維持されるとき、エネルギーファームの前述の少なくとも一部分が、エネルギーファームを前述の第一の位置で前述の電気グリッドに再接続する前に、ある期間アイランドモードに維持される。
【0022】
本発明の第四の態様によれば、目的は、上述した方法を実行するように適合されるエネルギーファームを提供することによって達成される。
【0023】
本発明の第五の態様によれば、物体は、本発明の第一の態様による方法を実施するために適合されるエネルギーファームによって達成され、前述のエネルギーファームは、
電気インフラストラクチャーおよび外部AC電源に動作可能に依存する第一の数の風力タービン発電機と、
前述のエネルギーファームを前述の電気グリッドに接続するためのACエクスポートケーブルと、
関連付けられるコンバーターを含むエネルギーストレージと、
同期コンデンサと、
第一の位置でエネルギーファームをグリッドから切断するための開閉装置であって、前述の第一の位置が、電気グリッドと関連付けられるコンバーターを含むエネルギーストレージとの間に位置する、開閉装置と、を含む。
【0024】
ここで、本発明を非限定の例示の実施形態に基づいて、および図面を参照してより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は、本発明による方法を行う能力があるウィンドファームとして例示されるエネルギーファームを有する電気グリッドを組み込むシステムを概略的に簡略化して示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
説明のために、以下の説明では、エネルギーファームは、従来型の風力タービン発電機、すなわち、外部AC供給装置に動作可能に依存する非同期発電機を使用した洋上ウィンドファームであると想定する。図1のシステムのレイアウトまたはトポロジーの多くはかなり従来的なものであり、本発明の本質は、エネルギーファームのブラックスタートおよびアイランドモード動作に対する全く新しいアプローチに存在するため、簡潔にのみ説明する。トポロジーは、図1に示すものよりもずっと複雑であることがあるが、説明上の理由から簡略化している。類似のトポロジーは、先行技術文献のEP2573896に開示される。
【0027】
通常の状況下で電気グリッド2に接続されるウィンドファーム1として例示されるエネルギーファームは、風力タービン3および4において、ある数の電気発電機を含む。エネルギーファームが光起電ソーラーファームであった場合、電気発電機は代わりに、外部AC供給装置に動作可能に依存する光起電セルのアレイである。
【0028】
本出願において電気グリッド2という用語は、配電システムおよび送電システムの両方を含むものとして理解されるべきである。送電システムは多くの場合、100kVより高い電圧で動作するシステムとして定義され、66kVなどのより低い電圧で動作するシステムは多くの場合、「配電システム」といわれる。これらのシステムを動作させる企業は多くの場合、それぞれ送電システム運用者(Transmission System Operator)および配電システム運用者(Distribution System Operator)と呼ばれる。従って、ウィンドファーム1は、送電システムまたは配電システムのいずれかに接続する。そのため、ブラックスタート・サービスは、送電システムに直接提供されるか、あるいは配電システムに/を介して提供されることができる。
【0029】
風力タービン発電機3、4のグループは、通常の低電圧発電機出力を洋上MVバスバー9で使用される中電圧(MV)に変圧するある数の変圧器7、8を介して、共通アレイケーブル線5、6にそれぞれ接続される。典型的には、低電圧(LV)は400~990Vであり、中電圧は典型的には約33~35kV、または約66kVである。一部の風力タービン発電機は中電圧で動作し、その場合変圧器7、8は必要ないことがあることに留意されたい。しかしながら、現在、典型的な風力タービン発電機は非同期発電機または永久磁石同期発電機であり、出力はAC/DC/ACコンバーターを介して結合される。好適な数の変圧器10が、洋上MVバスバーシステム9と、ACエクスポートケーブル12によって例示されるAC接続ケーブルが接続される洋上高電圧バスバーシステム11との間に接続される。典型的には、ACエクスポートケーブルのために使用される高電圧(HV)は220kVである。陸上では、ACエクスポートケーブル12が陸上HVバスバーシステム13に接続される。次に、陸上HVバスバーシステム13は、典型的に400kVの電気グリッドのHVシステム電圧を供給するグリッド変圧器15を介して、送電側HVバスバーシステム14に接続される。わかるように、システムはさらに、陸上HVバスバー13への変圧器18とコンバーター17を介して接続されるバッテリーなどのエネルギーストレージ16を含む。さらに、STATCOM21が、図1に図示するように、例えば、別個の変圧器22を介して、陸上HVバスバー13に接続され得る。ダンプロード20も提供され得る。
【0030】
STATCOMについては、電圧制御、反応性電力制御、周波数制御等のさまざまな機能を提供するために、多種多様な電力電子装置およびサブシステムが電力システムで使用されることに留意されたい。このような装置およびサブシステムは多くの場合、STATCOM(Static Synchronous Compensator)、SVC(Static Var Compensator)、FACT(Flexible AC Transmission System)等と呼ばれる。説明を簡略化するために、本説明全体を通してSTATCOMを使用するが、説明は任意の他の装置またはサブシステムにも適用されると理解されるものとする。
【0031】
図1で説明した設計は一つの実施形態であり、当業者であれば、複数の他の可能な設計があると理解することに留意されたい。特に、変圧器18は、コンバーター17をグリッド変圧器15上の三次巻線に接続するグリッド変圧器15と組み合わせられ得ることが明らかであるべきである。これは、しばしば見られるSTATCOM21を接続する方法である。同様に、変圧器18は、HVバスバーシステム14などの他の場所で接続することができ、大規模な構成要素を洋上に配置することに関連付けられる費用により興味のないものとなることがあるが、原理的には洋上バスバーシステム11または洋上MVバスバー9で接続することもできる。
【0032】
本発明の追加的な態様によれば、電気グリッド2を、その損失の場合に置換するためにコンバーター17の好適な制御を実施することが提案される。すなわち、グリッド2の損失の場合、それへの接続が、例えば、典型的には洋上位置で適切な開閉装置25を使って、グリッド変圧器15と陸上HVバスバーシステム13との間で直ちに中断される。このように確立されたアイランドモードが、個別の風力タービン発電機3、4のライドスルー機能よりも実質的に長い時間にわたりエネルギーストレージ16およびコンバーター17によって、安定に保つことができ、それによってウィンドファーム1がグリッド2にブラックスタート・サービスを提供する準備が整ったか、またはグリッドが再通電されたときにグリッドとの同期および再接続の準備が整ったアイランドモードに直接的に向かわせることができる。一つまたは複数のダンプロード20が、アイランド化したシステムの異なる位置で使用されてもよく、それを安定にする、すなわち、周波数および電圧を安定に保つのを助ける。一つのそのような位置は、エネルギーストレージ16およびコンバーター17と接続して、または関連付けられる陸上サブステーションにある。図1は、この点においては純粋に概略図であり、エネルギーストレージ16、コンバーター17、ダンプロード20、およびSTATCOM21を表すブロックは、実際には、すでに上記に示したものとは異なる方法で結合されることができるか、またはそうなるであろうことに留意する。典型的には、ダンプロード20は、散逸した電力が例えば電気供給を電子的にチョッピングすることによって制御される空冷抵抗器バンクを含む。
【0033】
しかしながら、ライドスルーが失敗する場合でも、依然として、ウィンドファーム1は、本発明の第一および第二の態様による方法を実施し、単一の風力タービン発電機3、4が、他の風力タービン発電機3、4を開始させるために使用することができるまでに、それ自体で最初にアイランドモードで安定化する順次開始よりも、風力タービン発電機3、4のグループが共通のエネルギーストレージ16を用いて同時に開始し得ることによる、新規かつ進歩性のあるアプローチによるブラックスタート・サービスを提供することができる。
【0034】
その場合、エクスポートケーブル12だけでなく、変圧器10、HVバスバーシステム11、MVバスバーシステム9、アレイケーブル線5、6等を含むウィンドファーム1のインフラストラクチャーのさまざまな部分が従来の開閉装置によって互いに隔離される。
【0035】
ここで、エネルギーストレージ16の大きなエネルギーストレージ容量を利用することで、本発明による新規な段階的プロセスにおいて、アイランド化したウィンドファーム1のインフラストラクチャーを通電することができる。
【0036】
そのため、コンバーターは最初に変圧器18およびバスバーシステム13を通電する。これに関して、本明細書で説明したもののように、システムのサイズおよび容量の変圧器を通電するために必要なエネルギーの量はほとんど無視できないことに留意されたい。同様に、洋上ウィンドファーム1まで100kmを超えることもある相当の長さを有し得るACエクスポートケーブル12を通電するのに必要なエネルギーがある。しかし、エネルギーファームが、ウィンドファームが時々そうであるように、洋上でない場合、または光起電式ファームがしばしばそうであるように、密集した地域から離れた場所にない場合、ACエクスポートケーブルは長いACエクスポートケーブル12である必要はない。
【0037】
HVバスバーシステム11とMVバスバーシステム9との間の変圧器10うちの少なくとも一つと、最終的にはそれぞれのアレイケーブル線5、6に接続されるグループの個々の風力タービン発電機3、4と関連付けられる変圧器7、8および/またはコンバーターとともにアレイケーブル線5、6のうちの少なくとも一つを通電するためにさらなるエネルギーが必要とされる。
【0038】
いったん通電されると、この通電したシステムは、エネルギーストレージ16およびコンバーター17によって安定に保つことができ、アイランド化したシステムの電圧を安定化しまたは反応性電力をバランシングするためのSTATCOM21の支援を伴って、または可能であればそれを伴わずに、風力タービン発電機3、4のグループ全体またはその複数の部分がアイランド化したシステムに再接続され得る。エネルギーストレージ16のストレージ容量に応じて、より多くのアレイケーブル線5、6およびより多くの変圧器10を同時に通電することができる。いずれの場合でも、単一のアレイケーブル線5、6上の風力タービン発電機3、4の一つのグループのみを同時に通電および接続すれば、最初に単一の風力タービン発電機3、4を開始する従来のアプローチよりも実質的に速く、より多くの風力タービン発電機をウィンドファーム1のアイランドインフラストラクチャーに追加することによって、アイランド化したシステムの電力を増加させる。
【0039】
ウィンドファーム1の安定したアイランドモードを維持することは、風力タービン発電機3、4によって供給される電力の制御を伴うかなり複雑なタスクであり、例えば、周波数および電圧を安定に保つために、フル生産未満で風力タービン発電機3、4を保ち、おそらくは一つまたは複数のダンプロード20における過剰なエネルギー生産を散逸させる。
【0040】
新規で進歩性のある方法を用いて、ウィンドファーム1または少なくともその十分に大きな部分の安定したアイランドモードがいったん達成されると、ウィンドファーム1は開閉装置25を使用して、無電力の電気グリッド2に再接続され得る。再接続は即座に必要というわけではない。むしろ、エネルギーストレージ16およびコンバーター17、ダンプロード20、STATCOM21等により、アイランド化したシステムは、制御され、所望の期間、原理的には任意の長さの時間安定した状態に保たれ得る。完全なブラックアウトの後にブラックスタートが必要な場合、電気グリッド2は通常小さなセクションに分割されており、ブラックスタートを提供するウィンドファーム1に隣接するセクションのみがウィンドファーム1によって通電されるようにする。その後にのみ、電気グリッド2の他の部分は、例えば、ブラックスタート機能を有さない他のウィンドファームを開始させ、最終的には全ての消費者へのエネルギーを伴う通常の動作に達するように、通電される。
【0041】
しかし、たとえ最初は電力のない電気グリッド2の小さな部分だけが通電する必要があったとしても、これは困難をもたらす可能性がある。例えば、電力のない電気グリッド2の初期電力需要が高いためである。
【0042】
典型的には、ウィンドファーム1は、公称障害電流の1.1倍~1.2倍の範囲など、公称電流を超える電流を送達する能力が制限される。しかし、障害の解消には、公称障害電流の7倍の電力が必要となりえる。電力が低すぎる場合、保護リレーシステムは、電気グリッドに電気が来ていない前からの継続的な障害など、障害をトリガーして解決できない場合がある。電気グリッド2上の負荷が、電気モーターなどの大きな突入電流を有する負荷である場合、瞬時の初期電力需要はまた、本質的には依然としてアイランドモードであるウィンドファーム1を不安定にし、それを電気グリッド2から再び強制的に切断し得る。
【0043】
この初期電力需要は一過性であり、非常に短い立上り時間で、短いので、エネルギーストレージ16に関連付けられるコンバーター17の制御回路は十分に迅速に応答できない場合がある。同じことが、それぞれのアレイケーブル線5、6に接続されるグループの個々の風力タービン発電機3、4に関連付けられる上述のコンバーターに適用される。
【0044】
この一時的な初期電力需要を提供するために、同期コンデンサ24がエネルギーストレージ16とともに提供される。これは、図1に見られるように、場合により、コンバーター17およびSTATCOM 21を有するエネルギーストレージ16と同じバスバー13に接続され得る。コンバーター17およびSTATCOM21を有するエネルギーストレージ16と同様に、同期コンデンサ24からバスバー13への接続は、変圧器23を介し得る。同期コンデンサ24は、基本的に、出力シャフトに負荷がかけられていないDC磁化同期モーターである。同期コンデンサ24が通電されるエネルギーは、従って、回転エネルギーとして貯蔵され、任意の制御回路または類似のものを必要とすることなく、要求に応じて直ちに利用可能である。
【0045】
図1からわかるように、同期コンデンサ24は、風力タービン発電機4から遠隔に配置され、すなわち、風力タービン発電機4から見たとき、エクスポートケーブル12の反対側の端に、例えば、エネルギーストレージ16、コンバーター17およびSTATCOM21と同じ陸上の現場に配置される。すなわち、開閉装置25、同期コンデンサ24、エネルギーストレージ16、コンバーター17およびSTATCOM 21は、第二の場所、典型的には洋上から離れた第一の位置、典型的には、風力タービン発電機3、4、アレイケーブル、5、6、変圧器10およびバスバーシステム9、11がある、陸上に配置される。従って、エクスポートケーブル12は、エクスポートケーブル12の反対の端部の第一および第二の位置の間に延在する。
【0046】
同期コンデンサ24は、ウィンドファーム1が、電力のない電気グリッド2への再接続時に利用可能となるように、安定したアイランドモードに達すると通電される。
【0047】
ブラックスタート機能を有する他の対応するまたは同一のウィンドファームが存在し、電気グリッド2の他の部分に位置する場合、ブラックアウトの後にグリッド2を再確立するときに、アイランドモードにおいて電気グリッド2のさまざまな部分のより速い再同期および再接続につながりつつ、互いにブラックスタートするウィンドファームをあらかじめ同期するように、好適なチャネル19上でそれらの間で信号を提供することができてもよい。ブラックスタート能力を含むソーラーファームでも同じことが可能である。
【0048】
変圧器15を用いて電気グリッド2を再接続するときに、コンバーターがとりわけ安定性を高めるためにアクティブなままとし得る。安定性に関して、コンバーターは、同期コンデンサ24による反応性電力の生産または吸収に加えて、反応性電力の生産または吸収を可能にする関連付けられる、または統合されたSTATCOM21を有し得ることに留意されたい。しかし、通常、対応する電力定格を有するSTATCOM21は、反応性電力の生産および吸収に関するグリッドコード要件を順守するために、陸上サブステーションにおいてあらかじめ実装される必要があるため、これは、ひどく高い方式で必要とされる設備および伴うコストを複雑にしない。
【0049】
さらに、コンバーターの制御システム、およびタップチェンジャーを含む変圧器、スイッチ可能反応器、タップチェンジャーを含む反応器およびSTATCOM21等の他の制御可能な構成要素の制御システムは、個別にまたは協調して使用されて、例えば、通常の電圧より低い電圧で通電し、その後電圧をランプアップして、それにより通電中の過渡事象を制御することによって、ウィンドファームの通電を容易にする。ウィンドファーム制御システム、風力タービン制御システム、およびいったん再接続される風力タービンも、アイランド化したシステムを制御することに含まれ得る。
【0050】
当業者であれば、本発明は風力タービンまたはウィンドファームのインフラストラクチャーなどの、特定のタイプのエネルギーファームに限定されないことを理解するであろう。電源全体が、例えば、上記のウィンドファームについて説明されたのものと類似する方法で、グリッド接続ポイントとして生成された電力を収集し、集約するDC/AC変換ステップおよびAC/AC変換ステップを介してアレイで接続される複数の個別の電気発電機または供給装置を含む多数の場合に適用可能である。特に、例えば居住地域から離れた広大で晴れた場所、例えば砂漠にある光起電ソーラーファームは、ファームが電気グリッド2への接続のためのACエクスポート線を利用することができれば想定可能である。しかしながら、上述の風力タービンおよびソーラーパネルのほかに、一般的なアイデアとしては、中央グリッド接続ポイントでセットアップされた電気車両におけるバッテリーのプールなどの分散したバッテリーストレージだけでなく、波力発電、水力発電、および熱発電を含む分散した生成またはストレージの任意のタイプまたはこれらのタイプの混合に関連する。
図1
【国際調査報告】