(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-31
(54)【発明の名称】接地されたサンプル近接静電容量センサを有する検査システム
(51)【国際特許分類】
G01B 7/00 20060101AFI20220524BHJP
【FI】
G01B7/00 101C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021560004
(86)(22)【出願日】2020-04-10
(85)【翻訳文提出日】2021-12-09
(86)【国際出願番号】 US2020027565
(87)【国際公開番号】W WO2020210560
(87)【国際公開日】2020-10-15
(32)【優先日】2019-04-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-05-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500049141
【氏名又は名称】ケーエルエー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シエ ヤン
(72)【発明者】
【氏名】リン フェイロン
(72)【発明者】
【氏名】オグデン ラッシュフォード エー
【テーマコード(参考)】
2F063
【Fターム(参考)】
2F063AA02
2F063AA22
2F063BA26
2F063BB02
2F063BC05
2F063CA10
2F063DA01
2F063DA05
2F063DC08
2F063DD02
2F063HA01
(57)【要約】
静電容量近接測定システムは、サンプルの試験面上の導電測定領域に近接して配置されるべく構成されたセンサ電極と、系統接地と試験面に平行な導電プレートの間の電気接続を提供すべく構成されたプレートコネクタと、コントローラを含んでいる。センサ電極と導電プレートの間に測定回路が形成されていてよく、試験面がセンサ電極と導電プレートに対して電気的に浮遊している。コントローラは更に、導電プレートに対するセンサ電極の電圧を調整し、測定回路に関連付けられた静電容量を判定して、測定回路に関連付けられた静電容量に基づいて電極と測定領域の距離を判定する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電容量近接測定システムであって、
サンプルの試験面上の導電測定領域に近接して配置されるべく構成されたセンサ電極と、
系統接地と前記試験面に平行な導電プレートの間に電気接続を提供すべく構成されたプレートコネクタにおいて、前記センサ電極と前記導電プレートの間に測定回路が形成され、前記試験面が前記センサ電極と前記導電プレートに対して電気的に浮遊しているプレートコネクタと、
前記センサ電極及び前記プレートコネクタに通信可能に結合されたコントローラを含み、前記コントローラが、1個以上のプロセッサに、
前記導電プレートに対する前記センサ電極の電圧を調整させ、
前記測定回路に関連付けられた静電容量を判定させ、及び
前記測定回路に関連付けられた静電容量に基づいて前記電極と前記測定領域の距離を判定させるプログラム命令を実行すべく構成された1個以上のプロセッサを含んでいるシステム。
【請求項2】
前記導電プレートが、前記測定領域よりも大きい面積を有している、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記導電プレートが、前記表面の反対側のサンプルの裏面に導電コーティングを含んでいる、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記導電プレート及び前記センサ電極が前記試験面に共通な側に存在する、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記導電プレートが開口を含み、前記センサ電極が前記開口に整列している、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記電極の少なくとも一部が開口を貫通して突出する、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記導電プレートが電子ビームカラムの底面を含んでいる、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記測定回路が、前記センサ電極と前記測定領域の間の静電容量、及び前記測定領域と前記導電プレートの間の少なくとも静電容量を含んでいる、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記測定領域と前記導電プレートの間の静電容量を測定するステップと、
前記測定領域と前記導電プレートの間の前記測定された静電容量に基づいて前記センサ電極と前記測定領域の間の静電容量を判定するステップと、
前記センサ電極と前記測定領域の間の静電容量に基づいて前記電極と前記測定領域の距離を判定するステップを更に含んでいる、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記サンプルの試験面が、空間的に変化する抵抗を有する境界により追加的な導電領域から分離された導電測定領域を含んでいる、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記境界が、前記測定領域と前記追加的な導電領域を接続する1個以上の導電ブリッジを有する絶縁境界を含んでいる、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記サンプルが反射型レチクルを含んでいる、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記サンプルが、極端紫外光を用いるリソグラフィに適したレチクルを含んでいる、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
電子ビームをサンプルに向けるための電子ビームカラムと、
前記電子ビームカラムに隣接して配置された静電容量近接測定システムを含む検査システムであって、前記静電容量近接測定システムが、
サンプルの試験面上の導電測定領域に近接して配置されたセンサ電極と、
系統接地と前記試験面に平行な導電プレートの間の電気接続を提供可能に構成されたプレートコネクタにおいて、前記センサ電極と前記導電プレートの間に測定回路が形成され、前記試験面が前記センサ電極及び前記導電プレートに対して電気的に浮遊しているプレートコネクタと、
前記センサ電極及び前記プレートコネクタに通信可能に結合されたコントローラであって、前記コントローラが、1個以上のプロセッサに、
前記導電プレートに対する前記センサ電極の電圧を調整させ、
前記測定回路に関連付けられた静電容量を判定させ、及び
前記測定回路に関連付けられた静電容量に基づいて前記電極と前記測定領域の距離を判定させるプログラム命令を実行すべく構成された1個以上のプロセッサを含む検査システム。
【請求項15】
前記導電プレートが前記電子ビームカラムの底面を含んでいる、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記導電プレートが、前記表面の反対側のサンプルの裏面に導電コーティングを含んでいる、請求項14に記載のシステム。
【請求項17】
前記導電プレート及び前記センサ電極が前記試験面に共通な側に存在する、請求項14に記載のシステム。
【請求項18】
前記導電プレートが開口を含み、前記センサ電極が前記開口に整列している、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記電極の少なくとも一部が開口を貫通して突出する、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
静電容量近接測定を行う方法であって、
試験面上に導電測定領域を有するサンプルを受容するステップと、
センサ電極を前記測定領域に近接して配置するステップと、
導電プレートを前記試験面に平行に配置するステップと
前記センサ電極と前記導電プレートの間に測定回路を形成するステップにおいて、前記試験面が前記センサ電極及び前記導電プレートに対して電気的に浮遊しているステップと、
前記導電プレートに対するセンサ電極の電圧を調整するステップと、
前記測定回路に関連付けられた静電容量を測定するステップと、
前記測定回路に関連付けられた静電容量に基づいて前記電極と前記測定領域の距離を判定するステップを含んでいる方法。
【請求項21】
前記導電プレートが前記測定領域よりも大きい面積を有している、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記導電プレートが、前記表面の反対側のサンプルの裏面に導電コーティングを含んでいる、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記導電プレート及び前記センサ電極が前記試験面に共通な側に存在する、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
前記導電プレートが開口を含み、前記センサ電極が前記開口に整列している、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記電極の少なくとも一部が開口を貫通して突出する、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記導電プレートが電子ビームカラムの底面を含んでいる、請求項20に記載の方法。
【請求項27】
前記測定回路が、前記センサ電極と前記測定領域の間の静電容量、及び前記測定領域と前記導電プレートの間の少なくとも静電容量を含んでいる、請求項20に記載の方法。
【請求項28】
前記測定領域と前記導電プレートの間の静電容量を測定するステップと、
前記測定領域と前記導電プレートの間の前記測定された静電容量に基づいて前記センサ電極と前記測定領域の間の静電容量を判定するステップと、
前記センサ電極と前記測定領域の間の静電容量に基づいて前記電極と前記測定領域の距離を判定するステップを更に含んでいる、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記サンプルの試験面が、空間的に変化する抵抗を有する境界により追加的な導電領域から分離された導電測定領域を含んでいる、請求項20に記載の方法。
【請求項30】
前記境界が、前記測定領域と前記追加的な導電領域を接続する1個以上の導電ブリッジを有する絶縁境界を含んでいる、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記サンプルが反射型レチクルを含んでいる、請求項20に記載の方法。
【請求項32】
前記サンプルが、極端紫外光を用いるリソグラフィに適したレチクルを含んでいる、請求項20に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は一般に検査システムにおけるサンプル近接検知に関し、より具体的には、検査システムにおいて空間的に変化する抵抗を有するサンプルの近接検知に関する。
【背景技術】
【0002】
関連出願の相互参照
本出願は、合衆国法典第35巻第119条(e)の下で、Yang Xie、Feilong Lin、Rushford A.Ogdenを発明者とする2019年4月12日出願の米国仮特許出願第62/833,043号「EUV RETICLE BACKSIDE GROUNDING FOR RETICLE HEIGHT MEASUREMENT IN EUV RETICLE EBEAM INSPECTION SYSTEM」の優先権を主張するものであり、その全文を本明細書に引用している。
【0003】
検査システムは典型的に、システムの1個以上の構成要素から特定の作動距離(例:サンプルの高さ)に配置されたサンプルを検査すべく設計されている。サンプルは従って適切な作動距離に置かれていればシステム内で適切に整列している可能性がある。更に、サンプルの高さが揃っていないことで、検知器が整列しない、又はサンプルを照射する光源ビームのスポットサイズが拡大する等の、但しこれらに限定されない様々な仕方でシステムの性能、従ってシステムの分解能に悪影響を及ぼし得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2018/0330935号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
検査システムは典型的に、システム内のサンプル位置を検知及び制御する1個以上の近接センサを含んでいる。更に、検査システムは典型的に、リソグラフィで用いるレチクル等の、但しこれに限定されない導電最上層を有するサンプルと共に静電容量近接センサを用いる。この点に関して、導電最上層は検知回路に接続されていて、電極と導電最上層の間に測定された静電容量は、電極とサンプルの距離に直接関係する。しかし、EUVリソグラフィに適したレチクル等の、但しこれに限定されない多くの注目するサンプルの抵抗は空間的に変化する。その結果、典型的な静電容量近接センサを用いるそのようなサンプルの測定の結果、電極の空間位置に応じて変化する近接誤差が生じる恐れがある。従って、空間的に変化する抵抗を有するサンプルの近接検知のシステム及び方法の提供が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の1個以上の例示的な実施形態による静電容量近接測定システムを開示する。例示的な一実施形態において、本システムは、サンプルの試験面上の導電測定領域に近接して配置され得るセンサ電極を含んでいる。別の例示的な実施形態において、本システムは、系統接地と試験面に平行な導電プレートの間に電気接続を提供し得るプレートコネクタを含み、センサ電極と導電プレートの間に測定回路が形成され、試験面がセンサ電極と導電プレートに対して電気的に浮遊している。別の例示的な実施形態において、本システムは、センサ電極及びプレートコネクタに通信可能に結合されたコントローラを含んでいる。別の例示的な実施形態において、コントローラは導電プレートに対するセンサ電極の電圧を調整する。別の例示的な実施形態において、コントローラは測定回路に関連付けられた静電容量を判定する。別の例示的な実施形態において、コントローラは、測定回路に関連付けられた静電容量に基づいて電極と測定領域の距離を判定する。
【0007】
本開示の1個以上の例示的な実施形態による検査システムを開示する。例示的な一実施形態において、本システムは、電子ビームをサンプルに向けるための電子ビームカラムを含んでいる。別の例示的な実施形態において、本システムは、電子ビームカラムに隣接して配置された静電容量近接測定システムを含んでいる。別の例示的な実施形態において、静電容量近接測定システムは、サンプルの試験面上の導電測定領域に近接して配置され得るセンサ電極を含んでいる。別の例示的な実施形態において、静電容量近接測定システムは、系統接地と試験面に平行な導電プレートの間の電気接続を提供可能に構成されたプレートコネクタを含み、センサ電極と導電プレートの間に測定回路が形成され、試験面がセンサ電極及び導電プレートに対して電気的に浮遊している。別の例示的な実施形態において、静電容量近接測定システムは、センサ電極及びプレートコネクタに通信可能に結合されたコントローラを含んでいてよい。別の例示的な実施形態において、コントローラは、導電プレートに対するセンサ電極の電圧を調整する。別の例示的な実施形態において、コントローラは、測定回路に関連付けられた静電容量を判定する。別の例示的な実施形態において、コントローラは、測定回路に関連付けられた静電容量に基づいて電極と測定領域の距離を判定する。
【0008】
本開示の1個以上の例示的な実施形態による静電容量近接測定を行う方法を開示する。例示的な一実施形態において、本方法は、試験面上に導電測定領域を有するサンプルを受容するステップを含んでいる。別の例示的な実施形態において、本方法は、センサ電極を測定領域に近接して配置するステップを含んでいる。別の例示的な実施形態において、本方法は、導電プレートを試験面に平行に配置するステップを含んでいる。別の例示的な実施形態において、本方法は、センサ電極と導電プレートの間に測定回路を形成するステップを含み、試験面はセンサ電極及び導電プレートに対して電気的に浮遊している。別の例示的な実施形態において、本方法は、導電プレートに対するセンサ電極の電圧を調整するステップを含んでいる。別の例示的な実施形態において、本方法は、測定回路に関連付けられた静電容量を測定するステップを含んでいる。別の例示的な実施形態において、本方法は、測定回路に関連付けられた静電容量に基づいて電極と測定領域の距離を判定するステップを含んでいる。
【0009】
上述の一般的な説明及び以下の詳細な説明は共に例示及び説明目的に過ぎず、請求項に記載の本発明を必ずしも限定するものではないことを理解されたい。本発明に含まれてその一部をなす添付の図面は、本発明の実施形態を例示し、一般的な説明と合わせて本発明の原理の説明に資する。
【0010】
当業者には添付の図面を参照することにより本開示の多くの利点に対する理解が深まろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本開示の1個以上の実施形態による、静電容量近接測定システムを示すブロック図である。
【
図2】本開示の1個以上の実施形態による、導電サンプルの近接測定を行うべく構成された静電容量近接測定システムの概念図である。
【
図3】本開示の1個以上の実施形態による、空間的に変化する抵抗(R
S)を有するサンプルの試験面の上面図である。
【
図4】本開示の1個以上の実施形態による、
図3に示すように構成されたサンプルの試験面の近接測定を行うべく構成され、試験面は試験面に電気的に接続されている静電容量近接測定システムの概念図である。
【
図5】本開示の1個以上の実施形態による、電気的に浮遊するサンプルのセンサ電極とは反対側に導電プレートを含む測定回路を形成する静電容量近接測定システムの概念図である。
【
図6】本開示の1個以上の実施形態による、
図5の静電容量近接測定に対応する測定回路に関連付けられた回路図である。
【
図7】本開示の1個以上の実施形態による、電気的に浮遊するサンプルのセンサ電極と同じ側に導電プレートを有する測定回路を形成する静電容量近接測定システムの概念図である。
【
図8】本開示の1個以上の実施形態による、2枚の導電プレート及び1個の電気的に浮遊するサンプルを有する測定回路を形成する静電容量近接測定システムの概念図である。
【
図9】本開示の1個以上の実施形態による、静電容量近接測定システムを含む検査ツールの概念図である。
【
図10】本開示の1個以上の実施形態による、
図5、7及び8に示す静電容量近接測定システムの異なる構成の性能のシミュレーションを絶縁境界の抵抗の関数として示すプロット図である。
【
図11】本開示の1個以上の実施形態による、静電容量近接測定を実行する方法で実行されるステップを示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面に示す開示主題に詳細に言及する。本開示は専ら特定の実施形態及びその特定の特徴に関して図示及び記述している。本明細書に記述する実施形態は限定的ではなく例示的であることを理解されたい。本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく形式及び詳細事項に対して各種の変更及び改良を加え得ることは当業者には明らかであろう。
【0013】
本開示の実施形態は静電容量近接測定システムを目的としており、近接測定は、電極と試験面の間の静電容量、及び試験面と当該試験面に平行に置かれた導電プレートの間の静電容量に基づいている。この点に関して、静電容量近接測定システムは、空間的に変化する抵抗を有する試験面の位置の判定に適している場合がある。
【0014】
本明細書において、静電容量近接検知は典型的に、電極(例:平面電極)を含むコントローラ回路に導電試験面を接続し、電極と試験面の間の静電容量を測定して、測定された静電容量に基づいて電極と試験面の距離を判定することにより実行し得ることが認識される。更に、試験面は典型的に、試験面との機械的及び電気的接触における導線を介したコントローラ回路に接続されていてよい。しかし、試験面の抵抗が空間的に変化する場合、測定される静電容量は、試験面上のリードと試験面に沿った電極の空間位置の接触点の相対位置に基づいて変化し得る。その結果、システムは、試験面上のリードと試験面に沿った電極の空間位置の接触点の相対位置に基づく測定誤差が生じ易い。本明細書では更に、極端紫外線(EUV)リソグラフィ用のレチクル等の、但しこれに限定されない多くの注目するサンプルの抵抗が空間的に変化し得るため、近接測定では上述の測定誤差が生じ易いことが認識されよう。
【0015】
本開示の実施形態は、少なくとも2個の静電容量値、すなわち電極と試験面の間の静電容量、及び試験面と当該試験面に平行な追加的な導電プレートの間の静電容量に基づく電極と試験面の距離測定を提供する。更に、光源及び測定回路を含むコントローラは電極と導電プレートに接続されて測定回路を完結することができる。この点に関して、試験面はどの導線とも直接電気的に接触しておらず、従って電極と導電プレートに対して電気的に浮遊していてよい。従って、試験面の表面全体にわたり空間的に変化する抵抗が距離測定に及ぼす影響を大幅に減少又は除去することができる。
【0016】
導電プレートは、任意の方向に沿って試験面から分離することができる。いくつかの実施形態において、導電プレートは試験面の電極とは反対側にある。更に、導電プレートは、試験面を含むサンプルとは別個であっても、又は一体化されていてもよい。非限定的な例として、EUVリソグラフィ等の、但しこれに限定されない反射リソグラフィで用いられるレチクルは絶縁基板上に反射素子のパターンを含んでいてよい。従って、導電プレートは、絶縁基板の裏面に堆積された導電層として形成されていてよい。別の例として、静電容量近接測定システムは別個の導電プレートを含んでいてよい。例えば、サンプルは測定を行う間、別個の導電プレートに置かれていてよい。
【0017】
いくつかの実施形態において、導電プレートは試験面の電極と同じ側にある。例えば、導電プレートは、電極と試験面の間に障害物が無い照準線を含んでいてよい。更に、電極又は関連付けられた筐体の一部は開口を貫通していてよいが、貫通する必要は無い。
【0018】
いくつかの実施形態において、静電容量近接測定システムは2枚以上の導電プレートを含んでいる。例えば、静電容量近接測定システムは、試験面の両側に導電プレートを含んでいてよい。
【0019】
本開示の追加的な実施形態は、本明細書に開示するような静電容量近接測定システムを含む検査システムを目的としている。この点に関して、静電容量近接測定システムは、検査システム内のサンプルの位置(例:測定システム内でのサンプルの高さ)を検知及び/又は制御することができる。従って、静電容量近接測定システムは、試験面の表面全体にわたり空間的に変化する抵抗を含むサンプルを含むがこれに限定されない検査システム内の様々なサンプルを正確に整列させることができる。
【0020】
ここで
図1~11を一般的に参照しながら、試験面全体にわたり空間的に変化する抵抗を有するサンプルの静電容量近接測定を行うシステム及び方法についてより詳細に記述する。
【0021】
図1は、本開示の1個以上の実施形態による、静電容量近接測定システム100を示すブロック図である。一実施形態において、静電容量近接測定システム100は、センサ電極102及びプレートコネクタ104を含んでいる。プレートコネクタ104は従って導電プレート106に電気的に接続されていてよい。別の実施形態において、静電容量近接測定システム100は、センサ電極102及びプレートコネクタ104に結合されたセンサコントローラ108を含んでいる。この点に関して、測定回路は、センサ電極102と導電試験面の間に形成されたコンデンサと共に、導電試験面及び導電プレート106から形成されたコンデンサも含んでいてよい。更に、センサ電極102のセンサコントローラ108とプレートコネクタ104の間の電気接続により測定回路を完結することができる。
【0022】
一実施形態において、導電プレート106は静電容量近接測定システム100の構成要素である。例えば、導電プレート106は、金属等の、但しこれに限定されない導電材料から形成されたプレートを含んでいてよい。更に、導電プレート106は、試験されているサンプルとは独立に設けられていてよい。別の実施形態において、導電プレート106は試験されているサンプルの構成要素である。例えば、サンプルは、絶縁基板一方の側に注目する試験面、及び絶縁基板の反対側に導電層を含んでいてよい。従って、導電層は、静電容量近接測定システム100の導電プレート106及びプレートコネクタ104として動作することができ、測定を行う間、導電層に電気的に接続されていてよい。
【0023】
センサコントローラ108は、静電容量近接測定を実行及び/又は解析する各種の構成要素を含んでいてよい。一実施形態において、センサコントローラ108は、静電容量測定のためセンサ電極102及び/又は導電プレート106に電荷を誘導するソース回路110を含んでいる。例えば、ソース回路110は電圧源及び/又は電流源を含んでいてよいがこれらに限定されない。更に、ソース回路110は、直流(DC)光源又は交流(AC)光源を含んでいてよい。この点に関して、静電容量近接測定は、センサ電極102に定電圧及び/又は交流電圧を印加することにより実行することができる。
【0024】
別の実施形態において、センサコントローラ108は、センサ電極102と試験面の間の静電容量を測定する測定回路112を含んでいる。更に、測定回路112は、測定された静電容量に基づいてセンサ電極102と試験面の距離を判定することができる。
【0025】
別の実施形態において、センサコントローラ108は、1個以上のプロセッサ114及び/又はメモリ媒体116(例:メモリ)を含んでいる。例えば、センサコントローラ108は、測定データ(例:静電容量値、距離値等)をメモリ媒体116に保存することができる。この点に関して、測定データは、後で使用すべく保存及び/又は外部システムに送信されてもよい。別の例として、プロセッサ114は、メモリ媒体116に保持されたプログラム命令を実行すべく構成されていてよい。この点に関して、センサコントローラ108の1個以上のプロセッサ114は、本開示全体を通じて記述する各種の処理ステップのいずれも実行することができる。例えば、プロセッサ114は、測定された静電容量に基づいてセンサ電極102と試験面の距離を判定することができる。別の例において、プロセッサ114は、ソース回路110を(例えば制御信号を介して)制御して選択された電圧及び/又は電流を測定回路に印加することができる。
【0026】
センサコントローラ108の1個以上のプロセッサ114は、当分野で公知の任意の処理要素を含んでいてよい。この意味において、1個以上のプロセッサ114は、アルゴリズム及び/又は命令を実行すべく構成された任意のマイクロプロセッサ型装置を含んでいてよい。一実施形態において、1個以上のプロセッサ114は1個以上のフィールドプログラム可能ゲートアレイ(FPGA)等を含んでいる。
【0027】
また、センサコントローラ108及び関連付けられた任意の構成要素(例:プロセッサ114、メモリ媒体116等)は、共通の筐体又は複数の筐体(例えば分散構成)に収納された1個以上のコントローラを含んでいてよい。例えば、1個以上のプロセッサ114は、デスクトップコンピュータ、メインフレームコンピュータシステム、ワークステーション、画像コンピュータ、並列プロセッサ、又は本開示全体を通じて記述するように静電容量近接測定システム100を動作させるべく構成されたプログラムを実行すべく構成された他の任意のコンピュータシステム(例:ネットワークコンピュータ)を含んでいてよい。用語「プロセッサ」が、非一時的メモリ媒体116からのプログラム命令を実行する1個以上の処理要素を有する任意の装置を包含すべく広義に定義されていてよいことも更に認識されたい。
【0028】
メモリ媒体116は、関連付けられた1個以上のプロセッサ114により実行可能なプログラム命令の保存に適した当分野で公知の任意の記憶媒体を含んでいてよい。例えば、メモリ媒体116は非一時的メモリ媒体を含んでいてよい。別の例として、メモリ媒体116は、読出専用メモリ、ランダムアクセスメモリ、磁気又は光メモリ素子(例:ディスク)、磁気テープ、固体ドライブ等を含んでいてよいが、これらに限定されない。メモリ媒体116が1個以上のプロセッサ114と共に共通のコントローラ筐体に収納されてよいことも更に注記しておく。一実施形態において、メモリ媒体116は、1個以上のプロセッサ114及びセンサコントローラ108の物理的位置から離れた位置に置かれていてもよい。例えば、センサコントローラ108の1個以上のプロセッサ114は、ネットワーク(例:インターネット、イントラネット等)を介してアクセス可能なリモートメモリ(例:サーバ)にアクセスすることができる。従って、上述の説明は、本発明を限定するものではなく、例示的に過ぎないと解釈すべきである。
【0029】
更に、静電容量近接測定システム100は、異なる種類のサンプルの測定を容易にすべく各種の構成で提供されてよいことを理解されたい。この点に関して、各種の実施形態に
図1のブロック図に示す構成要素の任意の組み合わせが組み込まれていてよい。更に、各実施形態は
図1のブロック図に示す全ての構成要素を含んでいる必要は無い。
【0030】
図2は、本開示の1個以上の実施形態による、導電サンプル202の近接測定を行うべく構成された静電容量近接測定システム100の概念図である。一実施形態において、センサ電極102は、導電サンプル202に平行(又はほぼ平行)に向けられている。例えば、静電容量センサ204は、センサ電極102と、センサ電極102を構造的に支持し得る、及び/又は追加的な検知回路を含み得る筐体206を含んでいてよい。更に、センサコントローラ108は、センサ電極102及び導電サンプル202の両方に電気的に接続されて測定回路を形成する。例えば、導電サンプル202は測定回路の接地点208に電気的に接続されて測定回路の接地経路を閉じることができる。
図2に示す静電容量近接測定システム100の構成において、センサ電極102とサンプル202の距離(d)は従ってセンサ電極102とサンプル202の間に静電容量(C
d)に基づいて判定することができる。例えば、センサ電極102とサンプル202の距離(d)は、以下の式(1)によりセンサ電極102とサンプル202の間の静電容量(C
d)に関係していてよい。
d=ε
0ε(A/C
d) (1)
ここにε
0は真空誘電率、εはセンサ電極102とサンプル202間の材料誘電率、Aはセンサ電極102の面積である。
【0031】
任意の特定の測定に関連付けられた測定回路が、測定回路を通る任意の電気径路を広範に含んでいてよいことが本明細書において認識される。例えば、測定回路は、サンプル202上の導線接続点210と、(例えば、サンプル202の平面に沿ったセンサ電極102の配置に関連付けられた)センサ電極102の近傍の検知領域212の間の抵抗に関係するサンプル抵抗(RS)を含んでいてよい。この点に関して、導線接続点210及び検知領域212の相対位置が、完結した測定回路に関連付けられた測定静電容量(Cm)の値に影響を及ぼす可能性があり、従ってセンサ電極102とサンプル202の距離(d)に関係するCdの値に関して測定誤差の発生源を表し得ると言えよう。
【0032】
上述の測定誤差の大きさが、異なるサンプル形状毎に変化し得ることが更に認識される。例えば、極めて導電性が高いサンプル202の場合、サンプル抵抗(RS)は無視できる程度に充分小さくてよい。しかし、測定誤差は、サンプル202の表面全体にわたり変化するサンプル抵抗(RS)を有するサンプル202のケースでは顕著になり得る。
【0033】
図3は、本開示の1個以上の実施形態による、空間的に変化する抵抗(R
S)を有するサンプル202の試験面302(例:上面)の上面図である。例えば、
図3に示す試験面302は、EUVリソグラフィに適したレチクル等の、但しこれに限定されない反射型レチクルの表面に対応していてよい。
【0034】
一実施形態において、試験面302は、近接検知の注目するサンプル202の一部に対応する測定領域304を含んでいる。例えば、センサ電極102の位置に対応する検知領域212が試験面302の測定領域304内に置かれていてよい。
【0035】
別の実施形態において、試験面302は、測定領域304を少なくとも部分的に囲む絶縁境界306(例:黒色境界)を含んでいる。例えば、絶縁境界306は、少なくとも1個の導電外側領域308(例:絶縁境界306の外側の試験面302の追加的導電部分)から測定領域304を少なくとも部分的に分離することができる。例えば、絶縁境界306は、サンプル202上の各種のダイ間を絶縁させることができる。別の実施形態において、試験面302は、絶縁境界306に張られた1個以上の導電ブリッジ310(例:1個以上の黒色境界架橋)を含んでいる。従って、導線接続点210と検知領域212の間の抵抗(RS)が、導線接続点210及び検知領域212の相対位置に基づいて変化し得るケースであると言える。
【0036】
例えば、
図3の破線312は、導電ブリッジ310を通る導線接続点210と検知領域212の間の抵抗が比較的低い経路を概念的に表すことができる。従って、(例えば、特定の測定におけるセンサ電極102に関するサンプル202の配置の変化に起因する)導線接続点210及び検知領域212の相対位置の変化により、導線接続点210と検知領域212の間で抵抗(R
S)の値が異なり得る。導線接続点210と検知領域212の間の抵抗(R
S)の変化が顕著な場合、この変化は近接測定において無視できない測定誤差につながる恐れがある。
【0037】
しかし、
図3のサンプル202が単に例示目的で示されたものであり、本発明を限定するものと解釈すべきでないことを理解されたい。むしろ、本明細書に記述するシステム及び方法は一般に、空間的に変化する抵抗(R
S)を生じる広範なレイアウトを有するサンプル202に適用されてよい。
【0038】
図4は、
図3に示すように構成されたサンプル202の試験面302の近接測定を行うべく構成された静電容量近接測定システム100の概念図であり、試験面302は、本開示の1個以上の実施形態に従い、試験面302に電気的に接続されている。
【0039】
一実施形態において、電気導線が試験面302の外側領域308に配置されていてよい。この点に関して、測定回路は、センサ電極102と測定領域304の間に静電容量(Cd)を含んでいると共に、導線接続点210と検知領域212の間に抵抗(RS)も含んでいてよく、当該抵抗は本明細書において上で述べたように導線接続点210及び検知領域212の相対位置に基づいて変化し得る。
【0040】
ここで
図5~11を参照するに、サンプル202上の電気的に浮遊する注目する試験面302に平行な導電プレート106を含む測定回路に基づく静電容量近接検知についてより詳細に記述する。
【0041】
図5は、本開示の1個以上の実施形態による、電気的に浮遊するサンプル202のセンサ電極102とは反対側に導電プレートを含む測定回路を形成する静電容量近接測定システム100の概念図である。更に、
図5に示す試験面302は
図3に示す試験面302に対応している。
【0042】
一実施形態において、静電容量近接測定システム100は導電プレート106に接続するプレートコネクタ104を含んでいる。プレートコネクタ104は、導電プレート106と静電容量近接測定システム100の追加的な要素の間に電気接続を提供するのに適した任意の種類の装置を含んでいてよい。例えば、プレートコネクタ104は、1個以上の導線、又は1個以上の電気接点(例:ばね式接点、クリップ接点、はんだ接点等)を含むが、これらに限定されない。
【0043】
導電プレート106は、静電容量近接測定システム100に組み込まれていても、又は測定対象のサンプル202と一体化されていてもよい。更に、いくつかの実施形態において、静電容量近接検知を任意の個数の導電プレート106と共に実行されてもよく、これらの任意の組み合わせが静電容量近接測定システム100又は測定対象のサンプル202に関連付けられていてもよい。一実施形態において、
図5に示すように、導電プレート106は、サンプル202の裏面502に堆積された導電層として形成されてよい。例えば、サンプル202は、基板504の一方の面に注目する試験面302、基板504の反対側の面に導電層(例:導電プレート106)有する絶縁基板504を含んでいてよいが、含んでいなくてもよい。いくつかのサンプル202が導電プレート106としての使用に適した導電裏層を有していてよいことが本明細書において認識される。例えば、EUVリソグラフィに適したいくつかのEUVレチクルは、近接測定とは独立した1個以上の処理ステップに関連付けられた導電裏層を含んでいる。しかし、静電容量近接測定システム100は近接測定のために本明細書に記述するような導電裏層を利用できるが、利用しなくてもよい。
【0044】
図6は、本開示の1個以上の実施形態による、
図5の静電容量近接測定に対応する測定回路600に関連付けられた回路図である。一実施形態において、測定回路600は、センサ電極102と測定領域304の間の静電容量(C
d)、測定領域304と導電プレート106の間の静電容量(C
MA)、外側領域308と導電プレート106の間の静電容量(C
OA)、及び表面抵抗(R
S)から形成されたセンサコントローラ108からの電気径路を含んでいる。更に、表面抵抗(R
S)は、(例えば、任意の導電ブリッジ310を含む)絶縁境界306の抵抗(R
B)及び表面の経路抵抗(R
PATH)並びに検知領域212の位置に基づいて変化し得る可変層抵抗(R
LYR)を含む各種の抵抗の組み合わせから形成されていてよい。
【0045】
図5、6に示すように、測定回路600により測定された総静電容量(C
M)は従って、センサ電極102と測定領域304の間の静電容量(C
d)だけでなく、試験面302に関連付けられた表面抵抗(R
S)及び導電プレート106と試験面302の各種部分の間の追加的な静電容量値(C
MA及びC
OA)も含んでいてよい。この点に関して、測定された静電容量(C
M)に基づくセンサ電極102と測定領域304の距離(d
M)の測定値は以下のように特徴付けられる。
d
M=ε
0ε(A/C
M) (2)
上式は式(1)に対応しており、C
dの値が測定回路600の測定された静電容量(C
M)で代替されている。更に、上式は(例えば、上述の式(1)を用いた)センサ電極102と測定領域304の間の静電容量(C
d)の直接測定とは異なっていてよい。従って、測定回路600に基づく測定に関連付けられた誤差(d
Err)は次式のように特徴付けられる。
d
Err=d-d
M (3)
【0046】
一実施形態において、誤差(dErr)は、導電プレート106の面積を測定領域304よりも大きくすることにより緩和することができる。例えば、導電プレート106の面積は測定領域304より大きくてもよいが、大きい必要は無い。この点に関して、試験面302と導電プレート106の間の静電容量(例:CMAとCOAの組み合わせ)は比較的大きくてもよい。更に、試験面302と導電プレート106の間の静電容量が、センサ電極102と測定領域304の間に静電容量(Cd)の値に比べて充分に大きい場合、誤差は選択された精度基準内で無視できる程度であろう。同様に、表面抵抗(RS)が変化するとしても、導電プレート106の面積が充分に大きい前提で無視できる程度であろう。いくつかの実施形態において、導電プレート106の面積は、少なくとも誤差(dErr)を緩和すべく測定領域304と同程度に大きく選択される。
【0047】
別の実施形態において、誤差(dErr)は、試験面302と導電プレート106の間の静電容量の値(例:CMAとCOAの組み合わせ)を推定及び/又は測定することにより補償することができる。従って、センサ電極102と測定領域304の間の静電容量(Cd)の値は、センサ電極102と測定領域304の距離(d)が静電容量(Cd)から判定できるように測定された静電容量(CM)から判定することができる。
【0048】
いくつかの実施形態において、図示していないが導電プレート106は、測定を行う間、サンプル202を支持するのに適した導電プレート(例:金属的プレート等)として形成されている。この点に関して、導電プレート106は、静電容量近接測定システム100に組み込まれていて、どのサンプル202からも独立していてよい。
【0049】
いくつかの実施形態において、導電プレート106とセンサ電極102は試験面302の同じ側に置かれている。例えば、
図7は、本開示の1個以上の実施形態による、電気的に浮遊するサンプル202のセンサ電極102と同じ側に導電プレート106を有する測定回路を形成する静電容量近接測定システム100の概念図である。更に、
図7に示す試験面302は
図3に示す試験面302に対応している。
【0050】
一実施形態において、導電プレート106は開口部702を含んでいる。この点に関して、センサ電極102と試験面302の間の空間は、上述のように、センサ電極102と測定領域304の距離がセンサ電極102と測定領域304の間に静電容量(Cd)に関係し得るように障害物がなくてよい。別の実施形態において、導電プレート106の少なくとも一部が開口部702を貫通して突出していてよい。
【0051】
更に、図示していないが、
図7に示す静電容量近接測定システム100に関連付けられた(例えば、
図6に示す測定回路600と同様の)対応する測定回路を生成することができる。例えば、静電容量近接測定システム100に関連付けられた測定回路は、
図6の測定回路600と同じ形式を有していてよい。いくつかの実施形態において、静電容量近接測定システム100に関連付けられた測定回路は、センサ電極102と導電プレート106の間の静電容量に関連付けられた追加的な項を含んでいてよい。
【0052】
いくつかの実施形態において、静電容量近接検知には複数の導電プレート106が組み込まれていてよい。例えば、
図8は、本開示の1個以上の実施形態による、2枚の導電プレート106及び電気的に浮遊するサンプル202により測定回路を形成する静電容量近接測定システム100の概念図である。更に、
図8に示す試験面302は
図3に示す試験面302に対応している。
図8において、第1の導電プレート106aが(例えば
図5に関して上で述べたように)サンプル202の裏面に導電層として形成され、第2の導電プレート106bが(例えば
図7に関して上述したように)試験面302のセンサ電極102と同じ側に置かれている。
【0053】
いくつかの実施形態において、静電容量近接測定システム100は外部システムに組み込まれている。例えば、静電容量近接測定システム100は、計測システム、検査システム、リソグラフィシステム等の、但しこれらに限定されない半導体処理ツールに組み込まれていてよい。この点に関して、静電容量近接測定システム100は、動作前又は動作中のツール内におけるサンプル202の位置(例:レンズ、検知器等、ツールの構成要素に関するサンプルの高さ)の判定を容易にすることができる。更に、近接測定を用いてツール内のサンプル202の位置を動的に制御又は別途調整することができる。別の例として、近接測定は、フィードバック及び/又はフィードフォワードデータとして追加的な処理ツールに提供されてよい。
【0054】
図9は、本開示の1個以上の実施形態による、静電容量近接測定システム100を含む検査ツール900の概念図である。一実施形態において、1個以上のセンサ電極102が検査ツール900の電子光源カラム902に近接して配置されている。例えば、光源カラム902は、検査のためサンプル202(例:測定領域304)を照射するのに適した1個以上の電極904を含んでいてよい。更に、1個以上センサ電極102は、絶縁体906により光源カラム902から電気的に絶縁されていてよいが、絶縁されている必要は無い。
【0055】
別の実施形態において、静電容量近接測定システム100は、本明細書に記述するようにシステムの一部が導電プレート106を形成し得るように外部システムに組み込まれていてよい。例えば、
図8に示すように、導電プレート106は光源カラム902の底部から形成されていてよい。
【0056】
図10は、本開示の1個以上の実施形態による、
図5、7及び8に示す静電容量近接測定システム100の異なる構成の性能のシミュレーションを、絶縁境界306の抵抗の関数として示すプロット図である。特に
図10は、距離誤差を(例えば任意の導電ブリッジ310を含む)絶縁境界306の抵抗(R
B)の関数として示しており、距離誤差は、導線接続点210と検知領域212(例えば
図3参照)の間の実際の、及び測定された距離の差を表している。
図10に示すように、
図5、7及び8に示す静電容量近接測定システム100の各々の異なる構成が実質的に全てのケースにおける可変表面抵抗の影響を制限する。更に、導電プレート106が試験面302のセンサ電極102の反対側に配置されている
図5の構成が0~10,000オームの抵抗値に対して比較的低い誤差(例:距離誤差)を示した。
【0057】
図11は、本開示の1個以上の実施形態による、静電容量近接測定を実行する方法1100で実行されるステップを示すフロー図である。出願人は、静電容量近接測定システム100と関連して本明細書で上に述べた実施形態及び実装技術は方法1100に拡張されると解釈すべきであることを注記する。しかし、方法1100が静電容量近接測定システム100のアーキテクチャに限定されないことも更に注記する。
【0058】
一実施形態において、方法1100は、試験面上に導電測定領域を有するサンプルを受容するステップ1102を含んでいる。更に、試験面の表面抵抗は、空間的に変化し得る抵抗を有していてよいが、有している必要は無い。例えば、サンプルは、測定領域をサンプルの同じく導電性であり得る外側部分から少なくとも部分的に隔離する絶縁境界を含んでいてよい。別の実施形態において、方法1100は、センサ電極を測定領域に近接して配置するステップ1104を含んでいる。別の実施形態において、方法1100は、導電プレートを試験面に平行に配置するステップ1106を含んでいる。例えば、導電プレートはサンプルの試験面のセンサ電極と同じ側又は反対側に置かれていてよい。更に、導電プレートはサンプルの測定領域よりも大きくてよいが、大きい必要は無い。別の実施形態において、方法1100は、サンプル(例:試験面)がセンサ電極及び導電プレートに対して電気的に浮遊している状態で、センサ電極と導電プレートの間に測定回路を形成するステップ1108を含んでいる。この点に関して、測定回路は、センサ電極と測定領域の間の静電容量、及び測定領域と導電プレート間の少なくとも静電容量を含んでいてよい。別の実施形態において、方法1100は、導電プレートに対するセンサ電極の電圧を調整するステップ1110を含んでいる。例えば、ステップ1110は、定電圧又は交流電圧の任意の組み合わせをセンサ電極102に提供するステップを含んでいてよい。別の実施形態において、方法1100は、測定回路に関連付けられた静電容量を(例えば印加電圧に基づいて)測定するステップ1112を含んでいる。別の実施形態において、方法1100は、測定回路に関連付けられた静電容量に基づいて電極と測定領域の距離を判定するステップ1114を含んでいる。
【0059】
本明細書に記述する内容は、時として、他の構成要素に含まれるか又は接続された異なる構成要素を示す。このように表されたアーキテクチャは例示的に過ぎず、実際に同じ機能を実現する他の多くのアーキテクチャを実装できることを理解されたい。概念的な意味において、同じ機能を実現する構成要素の任意の配置を所望の機能が実現されるように効果的に「関連付けられる」。従って、特定の機能を実現すべく組み合わされた本明細書の任意の2個の構成要素は、アーキテクチャ又は中間的構成要素であるかに依らず、所望の機能が実現されるように互いに「関連付けられている」とみなすことができる。同様に、そのように関連付けられた任意の2個の構成要素もまた、互いに「接続されている」、又は「結合されている」ものとみなすことができ、そのように関連付けることができる任意の2個の構成要素も所望の機能を実現すべく互いに「結合可能」とみなすことができる。結合可能なものの具体例として、物理的に対話可能及び/又は物理的に対話中の構成要素及び/又は無線で対話可能及び/又は無線で対話中の構成要素及び/又は論理的に対話可能な及び/又は論理的に対話中の構成要素を含むがこれらに限定されない。
【0060】
本開示及び付随する利点の多くが上述の説明により理解されるものと思われ、開示内容から逸脱することなく、又は物質的効果の全てを犠牲にすることなく、形式、構造、及び構成要素の配置に各種の変更を加えてもよいことが明らかになろう。記述する形式は説明目的に過ぎず、そのような変化を網羅及び包含することが以下の請求項の意図である。更に、本発明が添付の請求項により規定されることを理解されたい。
【国際調査報告】