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特表2022-527259車両における冷却用空気の流れを調整するための装置
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  • 特表-車両における冷却用空気の流れを調整するための装置 図1
  • 特表-車両における冷却用空気の流れを調整するための装置 図2A
  • 特表-車両における冷却用空気の流れを調整するための装置 図2B
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-01
(54)【発明の名称】車両における冷却用空気の流れを調整するための装置
(51)【国際特許分類】
   B60K 11/08 20060101AFI20220525BHJP
   F01P 1/06 20060101ALI20220525BHJP
【FI】
B60K11/08
F01P1/06 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021557024
(86)(22)【出願日】2020-03-11
(85)【翻訳文提出日】2021-10-28
(86)【国際出願番号】 IB2020052103
(87)【国際公開番号】W WO2020194099
(87)【国際公開日】2020-10-01
(31)【優先権主張番号】102019000004187
(32)【優先日】2019-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】399016318
【氏名又は名称】オートモビリ ランボルギーニ ソチエタ ペル アツイオニ
(74)【代理人】
【識別番号】100159905
【弁理士】
【氏名又は名称】宮垣 丈晴
(74)【代理人】
【識別番号】100142882
【弁理士】
【氏名又は名称】合路 裕介
(74)【代理人】
【識別番号】100158610
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 新吾
(74)【代理人】
【識別番号】100132698
【弁理士】
【氏名又は名称】川分 康博
(72)【発明者】
【氏名】リッチョ,ウーゴ
(72)【発明者】
【氏名】トルルッチョ,アントニオ
(72)【発明者】
【氏名】リッチョ,アニエッロ
(72)【発明者】
【氏名】セリット,アンドレア
【テーマコード(参考)】
3D038
【Fターム(参考)】
3D038AA06
3D038AB01
3D038AC01
3D038AC17
(57)【要約】
例えば自動車のエンジン区画における熱風の流れを調整するための装置は、自動車のエンジン区画の空気流入開口部に接続可能であり且つ空気流入開口部を閉じる閉位置と開く開位置との間で移動可能である少なくとも1つのウイング(2)と、所定の推力を加えるように構成された駆動モジュール(3)と、推力を駆動モジュール(3)からウイング(2)に伝達してウイング(2)を閉位置から開位置に、また開位置から閉位置に移動させることができる伝達装置(4)と、を備える。駆動モジュール(3)は、形状記憶合金で作られた少なくとも1つの第1のアクチュエータ(5)であって、当該アクチュエータ(5)が所定の温度に達したときに推力を加えるように構成された第1のアクチュエータ(5)を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の区画、例えば自動車のエンジン区画における空気の流れを調整または制御するための装置であって、
自動車の区画の空気流開口部に接続可能であり且つ前記空気流開口部を閉じる閉位置と開く開位置との間で移動可能である少なくとも1つのウイング(2)と、
所定の推力を加えるように構成された駆動モジュール(3)と、
前記推力を前記駆動モジュール(3)から前記少なくとも1つのウイング(2)に伝達して、前記ウイング(2)を少なくとも前記閉位置から前記開位置に移動させるように適合された伝達装置(4)と、を備え、
前記駆動モジュール(3)は、形状記憶合金で作られた少なくとも1つの第1のアクチュエータ(5)であって、当該第1のアクチュエータ(5)が所定の温度に達したときに前記推力を加えるように構成された第1のアクチュエータ(5)と、前記推力に対抗するために反対の力を加えるように構成された第2のアクチュエータ(8)と、を備え、
前記装置は、前記推力と平行に並進に案内されるスライド(9)であって、前記第1のアクチュエータと前記第2のアクチュエータ(8)が当該スライド(9)の両側に作用するように、前記第1のアクチュエータ(5)と前記第2のアクチュエータ(8)との間に配置されるスライド(9)を備える、装置。
【請求項2】
前記駆動モジュール(3)が、前記少なくとも第1のアクチュエータ(5)および/または前記第2のアクチュエータ(8)および/または前記スライド(9)を収容するように構成された第1のフレーム(3a)を備え、前記装置は、前記伝達装置(4)を収容する第2のフレーム(4a)を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記スライド(9)が、前記第1のフレーム(3a)の内部を、前記少なくとも第1のアクチュエータ(5)を含む第1の区画(12)と前記少なくとも第2のアクチュエータ(8)を含む第2の区画(13)とに分割するように、前記第1のフレーム(3a)に収容され、前記第1の区画(12)は、好ましくは中央に配置され、2つの第2の区画(13)が前記第1の区画(12)の両側に配置される、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記少なくとも1つのウイング(2)が前記第2のフレーム(4a)に取り付けられ、前記第1のフレーム(3a)および前記第2のフレーム(4a)が滑り溝(6)を介して互いに連通しており、前記滑り溝(6)に前記伝達装置(4)のプッシャ(7)が挿入されている、請求項2または3に記載の装置。
【請求項5】
前記第1のフレーム(3a)および前記第2のフレーム(4a)が互いに分離可能に接合されている、請求項2から4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記第1のアクチュエータ(5)が、少なくとも1つのスラストばね(5a)、好ましくは螺旋ばねを含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記スラストばね(5a)が圧縮ばねである、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記第1のアクチュエータ(5)が、並列に配置された複数のスラストばね(5a)を備える、請求項1から7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記第2のアクチュエータ(8)が、少なくとも1つの対抗ばね(8a)を含む、請求項1から8の一以上に記載の装置。
【請求項10】
前記スライド(9)が、1つまたは複数の案内ピン(10)によって前記推力と平行に並進して案内され、前記スライド(9)が、好ましくはカップ形状である、請求項1から9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記少なくとも1つのスラストばね(5a)および/または前記少なくとも1つの対抗ばね(8a)が、前記スライド(9)を案内するためのそれぞれの案内ピン(10)の周りに配置されている、請求項6および9に記載の装置。
【請求項12】
前記少なくとも1つのウイング(2)がそれぞれの回転軸(X)の周りで回転可能であり、前記回転軸(X)は好ましくは固定されており、前記伝達装置(4)はプッシャ(7)を備え、前記プッシャ(7)は、
第1の係合手段、例えば、ラックの外形を備えた第1の部分と、
前記第1の部分の反対側の第2の部分であって、前記駆動モジュール(3)に面している第2の部分と、を有し、
前記ウイング(2)は、第2の係合手段、例えば歯車を備え、前記第2の係合手段は、前記プッシャ(7)の動きが前記ウイング(2)を前記回転軸(X)周りの回転によって前記閉位置から前記開位置に移動させるように、前記第1の係合手段と係合するように構成されている、請求項1から11の一以上に記載の装置。
【請求項13】
前記プッシャ(7)の前記第2の部分が前記スライド(9)に固定されている、または固定可能である、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記形状記憶合金がニッケルおよびチタンを含み、前記形状記憶合金が25℃から75℃の間の温度で状態変化を示すように構成されている、請求項1から13の一以上に記載の装置。
【請求項15】
前記車両の区画からの、好ましくはエンジンからの熱風の流れを前記少なくとも1つのアクチュエータ(5)に供給するように構成された空気供給ダクト(14)を備える、請求項1から14の一以上に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車部門に係り、特に、車両の、具体的には、自動車の構成要素によってその動作中に生成される熱風の流れを調整および/または制御するための装置に係る。
【背景技術】
【0002】
一般的に言えば、車両は、様々な構成要素であって、それらの動作中に、各々が配置されている区画または筐体内に熱を発生させる様々な構成要素を備える。
【0003】
典型的な例は、エンジン区画に熱を発生させるエンジンである。別の例は、ブレーキであり、ブレーキは、ブレーキが収容されているダクトに閉じ込められる可能性のある熱を発生させる。
【0004】
通常の動作中、自動車のエンジンはかなりの量の熱を発生させ、この熱は、正しく放散されない場合、エンジン自体およびエンジンに隣接する他の車両部品および構成要素、特にエンジン区画に配置されているものに重大な損傷を与える可能性がある。
【0005】
同時に、エンジンはそれ自体の最適な温度で動作する必要があり、エンジンを収容する区画内の温度も最適なレベルに維持する必要がある。
【0006】
この目的のために、エンジン区画への空気の流入およびエンジン区画からの空気の流出を変化させて、外気との熱交換を容易にし、それによって望ましくない過熱または過度の冷却を防ぐことができる装置が開発された。
【0007】
エンジン区画の内部または全体的な空間から外気に空気が流れることを可能にする、したがって、エンジン区画からの熱の抽出を促進する貫通スロットまたは開口部を覆うおよび露出するように動くフラップまたはウイングを備える装置が知られている。
【0008】
一般的に言えば、貫通スロットは、例えば、エンジン区画に近接する自動車の車体に設けられ、ウイングがその上に取り付けられる。
【0009】
しかしながら、従来技術の装置は、ウイングの動きを正しく且つエンジン区画または関連する他の空間を冷却する必要性に従って制御するために、主に電気油圧式または電気機械式の複雑で厄介な作動機構を実装する必要があるという点で、比較的非効率である。
【発明の概要】
【0010】
これに関連して、本開示の基礎を形成する技術的目的は、従来技術の上記の不利な点の少なくともいくつかを克服するために、車両における冷却用空気の流れを調整するための装置を提案することである。
【0011】
より具体的には、本開示の目的は、車両、特に自動車の区画における冷却用空気の流れを調整および制御するための、構造的に単純で、軽量で、管理しやすく、同時に、高レベルの効率性および信頼性を維持する装置を提供することである。
【0012】
示された技術的目的および指定された目的は、添付の特許請求の範囲の1つまたは複数の請求項に記載された技術的特徴を含む、自動車の区画(例えば、エンジン区画)内の空気の流れを調節するための装置によって実質的に達成される。
【0013】
本開示は、自動車のエンジン区画内の冷却流を制御するための装置の好ましい実施形態を説明し、当該装置は、自動車のエンジン区画の空気流入開口部に接続可能であり且つ空気流入開口部を閉じる位置と開く位置との間で移動可能な少なくとも1つのウイングと、所定の推力を加えるように構成された駆動モジュールと、推力を駆動モジュールからウイングに伝達してウイングを閉位置から開位置に移動させることができる伝達装置と、を備える。
【0014】
駆動モジュールは、アクチュエータが所定の温度に達したときに推力が加えられるように、形状記憶合金で作られた少なくとも1つのアクチュエータを備える。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本発明のさらなる特徴および利点は、添付の図面に示されるように、車両のエンジン区画を冷却するための装置の好ましい実施形態の以下の非限定的な説明においてより明白である。
図1】自動車の区画内の空気の流れを調整するための、本開示による装置の、部分的にブロックである図である。
図2A-2B】本開示による装置の区画の2つの異なる動作状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
添付の図面における数字1は、車両、好ましくは自動車における冷却用空気の流れを調整するための装置(以下、単に「装置1」と呼ぶ)全体を示す。
【0017】
一般的に言えば、区画は、自動車の構成要素であって、その動作中に熱を発生させる自動車の構成要素を収容する区切られた空間である。
【0018】
区画は、例えば、エンジン区画であり、構成要素はエンジンである。別の例では、区画はブレーキ冷却ダクトであり、構成要素は、ダクト内に少なくとも部分的に収容されているか、またはダクトに面している車のブレーキによって規定される。
【0019】
以下、エンジン区画は、この解決策を適用する好ましい例と明示的に呼ばれるが、それによって一般性を失うことはない。
【0020】
装置1は、少なくとも1つのウイング2、駆動モジュール3、および伝達装置4を備える。
【0021】
ウイング2は、例えば、エンジン区画など、図示されていない自動車の区画の空気流開口部に接続可能であり、開口部が閉じた位置と開口部が開いた位置との間で移動可能である。
【0022】
言い換えれば、ウイング2は、例えば、自動車の車体、好ましくはそのエンジン区画に形成された空気流開口部の形状およびサイズに適合する。
【0023】
代替の解決策では、空気流開口部は、エンジン区画を外気に、または自動車の構成要素の別の区画であって、当該構成要素の動作中に熱を発生させる別の区画に接続するダクトの入口または出口であり得る。
【0024】
ウイング2は、ウイング2が空気流開口部を閉じるように配置された閉位置と、ウイング2が開口部を少なくとも部分的に開いたままにするように配置された開位置との間で移動可能である。
【0025】
空気流開口部は、エンジン区画内の温度を迅速且つ効率的に下げることができる熱交換を促進するために、エンジン区画の内部を外気と流体連通させて2つの間で空気が流れることを可能にするように構成される。
【0026】
好ましくは、ウイング2は、好ましくは固定されたその回転軸Xの周りの回転によって移動される。
【0027】
好ましくは、ウイング2は、流入開口部を閉じるように配置されるとき、エンジン区画の外側の輪郭と同一平面に配置されるように、すなわち、外気に面して配置されるように構成され、その結果、ウイング2は自動車の空力プロファイルに悪影響を与えない。
【0028】
流入開口部が閉じられる位置から流入開口部が開かれる位置へのウイング2の移動は、伝達装置4によってウイング2に伝達される所定の推力を加えるように構成された駆動モジュール3によって得られる。
【0029】
より具体的には、駆動モジュール3は、少なくとも1つのアクチュエータ5であって、当該アクチュエータが所定の温度に達したときに推力を加えるように構成された、形状記憶合金で作られた少なくとも1つのアクチュエータ5を備える。
【0030】
形状記憶材料は、特定の構造的形状を「記憶」できる金属合金であり、合金の組成によって決まる所定の温度に達した結果として状態変化が発生すると、特定の構造的形状に戻る。
【0031】
言い換えれば、これらの材料は、加熱するだけで、形状が大幅に変化した変形後でも、元の形状に戻ることができる。
【0032】
より具体的には、アクチュエータ5は、例えば、ニッケルおよびチタンを含む形状記憶合金を使用して作られる。
【0033】
この合金は、例えば、25℃から75℃の間の温度で状態変化を示すように構成されている。
【0034】
用途に応じて、形状記憶合金は、15°の間隔公差で、25℃から75℃の間の温度で状態変化を示すように構成されている。
【0035】
したがって、アクチュエータ5は、元の形状であって、状態変化を生成するのに十分高い温度にさらされるたびに戻る元の形状を持つ。
【0036】
アクチュエータ5は、状態変化による形状変化により推力が発生し、推力が伝達装置4を介してウイング2を空気流開口部が閉じられる位置から空気流開口部が開いている位置に切り替えるように配置されている。
【0037】
構造的に、駆動モジュール3は、少なくとも1つのアクチュエータ5を収容するように構成された第1のフレーム3aを備える。
【0038】
装置1は、伝達装置4を収容する第2のフレーム4aであって、その上に少なくとも1つのウイング2が取り付けられている第2のフレーム4aを備える。
【0039】
第1のフレーム3aおよび第2のフレーム4aは、伝達装置4のプッシャ7が挿入されている滑り溝6を介して互いに連通している。
【0040】
言い換えれば、装置は、駆動モジュール3および伝達装置4がそれぞれ配置されている一対のフレーム3a、4aを有する。これらのフレームは、プッシャ7が伝達装置4を駆動モジュール3のアクチュエータ5に結合することができるように、互いに連通している。
【0041】
第1のフレーム3aおよび第2のフレーム4aは、装置1において組み合わされているが、例えば、駆動モジュール3および/または伝達装置4、あるいはウイング2の保守または修理を容易にするために、それらを分離できるように、構造的に区別されている。
【0042】
より具体的には、図示の例では、プッシャ7は、ラックの外形を備えた第1の端部7aを有し、ウイング2は、プッシャ7の動きがその回転軸Xを中心に回転することによってウイング2を閉位置から開位置に移動させるように、第1の端部7aと噛み合うように構成された歯車を備える。
【0043】
一般的に言えば、プッシャ7とウイング2は、プッシャ7の動きがウイング2を閉位置から開位置に移動させるように、互いに噛み合う。
【0044】
エンジン区画の温度が十分に低い水準に低下したときにウイング2が空気流入閉位置に戻ることを可能にするために、駆動モジュールは、推力に対抗するために反対の力を加えるように構成された少なくとも1つの対抗アクチュエータ8を備える。つまり、反対の力は、推力と同じ向き(orientation)を持つが、推力に対して反対の方向である。対抗アクチュエータ8は、好ましくは、少なくとも1つの対抗ばねを含む。
【0045】
対抗アクチュエータ8および形状記憶のアクチュエータ5は、第1のフレーム3aに収容され、好ましくはそれに接続される。
【0046】
アクチュエータ5および対抗アクチュエータ8は、共通のスライド9の両側に作用し、共通のスライド9は、好ましくはカップ形状であり、また、第1のフレーム3aに収容されている。
【0047】
第1のフレーム3aにおいて、駆動モジュール3は、スライド9を案内するための1つまたは複数の案内ピン10を備える。
【0048】
スライド9は、好ましくは、1つまたは複数の案内ピン10によって推力と平行に並進して案内される。
【0049】
実際には、アクチュエータ5および対抗アクチュエータ8は両方ともスライド9に結合され、スライド9は、推力および反対の力の作用下でスライド方向Yに沿って往復運動しながら前後に並進移動できるように、第1のフレーム3aにおいてアクチュエータ5および対抗アクチュエータ8の間に配置される。
【0050】
駆動モジュール3からウイング2へ動きを伝達するために、プッシャ7は、駆動モジュール3に向けられた第2の部分7bであって、スライドの動きが、好ましくはスライド方向Yに沿って、プッシャの対応する並進運動を引き起こすように、スライド9に、好ましくは取り外し可能に、結合された第2の部分7bを有する。
【0051】
より具体的には、スライド9は、第1のフレーム3を、少なくとも1つのアクチュエータ5を収容する第1の区画12と、少なくとも1つの対抗アクチュエータ8を収容する第2の区画13とに分割するように、第1のフレーム3に取り付けられる。
【0052】
第1の区画12は好ましくは中央に配置され、2つの第2の区画13がその両側に配置される。
【0053】
アクチュエータ5は、少なくとも1つのスラストばね5aを含み、および/または対抗アクチュエータ8は、少なくとも1つの対抗ばね8aを含み、ばね5a、8aは、好ましくは螺旋ばねであり、さらにより好ましくは、圧縮ばねであり、すなわち、これらのばねは、それらに加えられる負荷の増加に応じて漸進的に圧縮されるように構成されている。
【0054】
より具体的には、スライド9を介して、圧縮ばね5aによって加えられる推力は、対抗ばね8aを圧縮する効果を有し、同様に、スライド9を介して、対抗ばね8aによって加えられる反対の力は、スラストばね5aを圧縮する効果を有する。
【0055】
有利には、スライド9のカップ形状の構造、および第1のフレーム3aの第1の区画12および第2の区画13への分割により、スラストばね5aおよび対抗ばね8aを、少なくとも軸Yに沿って、駆動モジュール3の寸法を縮小するように、少なくとも部分的に互いに平行に配置することができる。
【0056】
フレーム3aおよびスライド9は、駆動モジュール3が加える必要がある力に応じて、複数のばね5a、8aを平行に配置して使用することを可能にする。
【0057】
さらに、第1のフレーム3aを第2のフレーム4aから分離することにより、伝達装置4および/またはプッシャ7に作用することなく、スラストばね5aおよび対抗ばね8aのグループを交換することが可能になる。
【0058】
スラストばね5aは、好ましくは、すべて平行であり且つ互いに近接しており、したがって、スライド9に加えられる推力のバランスを崩す可能性のある温度差の影響を受けにくい。
【0059】
駆動モジュール3は、特にコンパクトであり、装置1を設置することができる車両内の適切に導かれた空気流によって加熱されるのに適している。
【0060】
動作上、推力が反対の力よりも大きい場合、スライド9は、それと共にプッシャ7を引き込む動きを受けて、ウイング2を閉位置から開位置に移動させる。逆に、反対の力が推力よりも大きい場合、スライド9は、それと共にプッシャ7を引き込む動きを受けて、ウイング2を開位置から閉位置に移動させる。
【0061】
図示の好ましい実施形態では、並進軸Yおよび回転軸Xは、互いに対して傾いている。
【0062】
推力と反対の力とのバランスは、アクチュエータ5を構成する形状記憶合金の状態、したがって温度によって決定される。温度が、状態変化を引き起こすのに必要な所定の温度よりも低い場合、アクチュエータ5は、反対の力よりも低い推力を加え、その結果、ウイング2は閉位置に保持される。
【0063】
一方、温度が上昇すると状態変化が発生し、アクチュエータが元の形状に戻る傾向がある。これにより、推力を、それが反対の力を相殺してそれから反対の力を超える点に達するまで増加させ、ウイング2を、伝達装置4を通して、閉位置から開位置に移動させる。ウイング2が開位置になると、例えば自動車が静止している場合に、熱風がエンジン区画から流れ出ることができる。
【0064】
図示の例では、アクチュエータ5は、図2Bに示されるように、元の形状が細長い形状である6つのスラストばね5aを備える。
【0065】
スラストばね5aは、温度が所定の温度を超えると、元の細長い形状に戻る。
【0066】
アクチュエータの温度が所定の温度を下回ると、図2Aに示されるように、対抗ばね8a(例として、図示の実施形態では2つ)はスライド9を押して、スラストばねを短い形状に戻す。
【0067】
スラストばね5aおよび/または対抗ばね8aは、スライド9を案内するためのそれぞれの案内ピン10の周りに配置され、それにより、第1のフレーム3aにおいて正しく保持されて動作可能である。
【0068】
可能な実施形態では、形状記憶のアクチュエータ5および対抗アクチュエータ8は、並列に配置されたそれぞれの複数のばね5a、8aを備える。
【0069】
有利には、本開示による装置1は、ブロック14として概略的に表される空気供給ダクトを含み、これは、エンジン区画から、好ましくはエンジンからの熱風の流れを少なくとも1つのアクチュエータ5に供給するように構成される。これにより、アクチュエータ5の温度がエンジン区画の内部の実際の温度に可能な限り近くなることが保証される。
【0070】
装置1は、好ましくは、それを車両にしっかりと取り付けることを可能にする複数のブラケット11を備える。
【0071】
好ましくは、これらのブラケット11は、装置が、例えばエンジン区画内の収容区画の内面に取り付けられることを可能にするように、構成される。
【0072】
特定の実施形態では、装置は、複数のウイング2を含み、複数のウイング2は、好ましくは、伝達装置4の両側に、等しく細分されて、結合されている。
【0073】
より具体的には、図1に示される特定の実施形態では数が6つであるウイング2は、フレーム4に回転可能に結合されており、すなわち、それらは、それぞれの回転軸Xの周りを回転して、入口開口部の開位置から入口開口部の閉位置に、また、入口開口部の閉位置から入口開口部の開位置に、移動できるように、結合されている。
【0074】
好ましくは、伝達装置4の同じ側に位置するウイング2の回転軸Xは、互いに平行である。
【0075】
図2A-2Bに示されるように、駆動モジュール3は、アクチュエータ5および対抗アクチュエータ8を含み、これらはそれぞれ、スライド9が並進軸Yに沿って往復運動で移動することを可能にするように、例えば、スライド9に結合された6つのスラストばね5aおよび2つの対抗ばね8aを備える。
【0076】
図示されていない代替の実施形態では、アクチュエータ5および8は、例えば、装置1およびその寸法に期待されるダイナミクスに基づいて、異なる数のスラストばね5aおよび/または対抗ばね8aを有してもよい。
【0077】
第1のフレーム3aおよび第2のフレーム4aを互いに連通させる滑り溝6に挿入されたプッシャ7は、例えば、ウイング2が噛み合わされるラックギアによって、第1の端部7aでウイング2に結合されている。
【0078】
他方、プッシャ7の第2の端部7bは、推力および反対の力が駆動モジュール3からウイング2に伝達されることを可能にするように、スライド9に結合されている。
【0079】
図示されていない代替の実施形態では、装置1は、複数のウイングであって、すべて一緒に駆動されるわけではないが、互いに独立してまたはグループで独立して駆動することができる複数のウイングを備える。
【0080】
使用中、推力および反対の力は、スライド9に作用し、その並進運動を引き起こし、これは、ウイング2の回転運動に変換されて、入口開口部を開く、または閉じる。
【0081】
より具体的には、開運動は、反対の力を相殺してそれから反対の力に打ち勝つように、アクチュエータ5のスラストばね5aを構成する形状記憶合金に状態変化を生じさせる温度の上昇によって決定される。
【0082】
逆に、閉運動は、形状記憶合金の状態変化を維持するのにもはや十分ではない水準までの温度の低下によって決定され、したがって、アクチュエータ5が生み出すことができる推力を、それが、特に圧縮によって、スラストばね5aを変形させる反対の力によって乗り越えられるまで、低減することができる。
【0083】
言い換えれば、自動車の構成要素が設置されている区画または空間内の温度、したがってアクチュエータがさらされる温度が、形状記憶合金の状態変化を得るために必要な温度を超えるたびに、推力は反対の力を超え、スライド9の動きを生み出し、これは、伝達装置4を介して、ウイング2を閉位置から開位置に動かす。
【0084】
区画が冷えると、温度は再び形状記憶合金の状態変化を引き起こす温度より低くなり、反対の力は再び推力よりも大きくなり、スライド9がウイング2を閉じた位置に動かすように、スライド9が戻される。
【0085】
有利なことに、この解決策は、従来技術の不利な点を克服し、自動車の区画、例えばエンジン区画における冷却用空気の流れを調整するための装置をユーザに提供することによって、事前設定された目的を達成し、当該装置は、複雑な電気機械式または電気油圧式の作動システムを必要とせず、したがって、装置の構造が簡素化され、その重量と寸法が大幅に削減される。
【0086】
事実上、本開示の装置は、温度に応答する駆動モジュール3によって、すなわち、それがさらされる温度に応じてのみ駆動および停止する駆動モジュール3によって、ウイング2の動きを制御する。
図1
図2A
図2B
【国際調査報告】