(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-01
(54)【発明の名称】ロッド位置合わせを改善するためのセットスクリュおよびセットスクリュ挿入ツール
(51)【国際特許分類】
A61B 17/70 20060101AFI20220525BHJP
A61B 17/86 20060101ALI20220525BHJP
【FI】
A61B17/70
A61B17/86
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021557229
(86)(22)【出願日】2020-03-25
(85)【翻訳文提出日】2021-11-11
(86)【国際出願番号】 IB2020052815
(87)【国際公開番号】W WO2020194207
(87)【国際公開日】2020-10-01
(31)【優先権主張番号】PCT/IB2019/052451
(32)【優先日】2019-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515314867
【氏名又は名称】ネオ・メディカル・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ベイヤー, モーテン
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160LL24
4C160LL57
4C160LL63
4C160LL69
(57)【要約】
脊椎ロッドを保持するための椎弓根スクリュのヘッドとねじ込み可能に係合するためのセットスクリュであって、前記セットスクリュは、脊椎ロッド対向側とセットスクリュドライバ対向側とを有し、前記セットスクリュは、前記セットスクリュドライバに係合するための前記セットスクリュドライバ対向側の開口部、および前記ロッド対向側の凸面であって、前記凸面の頂点が前記セットスクリュの回転中心軸線と実質的に一致する、前記ロッド対向側の凸面を含む、セットスクリュ。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
脊椎ロッドを保持するための椎弓根スクリュのヘッドとねじ込み可能に係合するためのセットスクリュであって、前記セットスクリュが、脊椎ロッド対向側とセットスクリュドライバ対向側とを有し、
前記セットスクリュドライバに係合するための前記セットスクリュドライバ対向側の開口部と、
前記脊椎ロッド対向側の凸面であって、前記凸面の頂点が前記セットスクリュの回転中心軸線と実質的に一致する、前記脊椎ロッド対向側の凸面と
を備える、セットスクリュ。
【請求項2】
前記凸面の曲率半径が、前記中心軸線の周辺領域における前記凸面の曲率半径と比較して、前記セットスクリュの前記中心軸線において小さい、請求項1に記載のセットスクリュ。
【請求項3】
前記凸面が、前記セットスクリュの一体部分であり、前記凸面が、前記脊椎ロッドの表面と直接係合するように構成される、請求項1に記載のセットスクリュ。
【請求項4】
前記セットスクリュの前記凸面が、前記セットスクリュの本体に対して硬化されている、請求項1に記載のセットスクリュ。
【請求項5】
前記セットスクリュの前記脊椎ロッド対向側の表面全体が、凸状の体積部を形成する、請求項1に記載のセットスクリュ。
【請求項6】
脊椎ロッドを保持するための椎弓根スクリュのヘッドとねじ込み可能に係合するためのセットスクリュであって、前記セットスクリュが、脊椎ロッド対向側とセットスクリュドライバ対向側とを有し、
前記脊椎ロッド対向側から前記セットスクリュドライバ対向側に前記セットスクリュを横断する前記セットスクリュドライバの開口部と、
前記開口部を取り囲む前記脊椎ロッド対向側の環状面であって、前記環状面が傾斜している、環状面と
を備える、セットスクリュ。
【請求項7】
前記傾斜した環状面が、半径方向の曲率を有する、請求項6に記載のセットスクリュ。
【請求項8】
前記環状面が、前記セットスクリュの一体部分である、請求項6に記載のセットスクリュ。
【請求項9】
セットスクリュとセットスクリュドライバとを含む整形外科用ツールキットであって、前記セットスクリュが、脊椎ロッドを保持するための椎弓根スクリュのヘッドとねじ込み可能に係合するように構成され、前記セットスクリュが、脊椎ロッド対向側とセットスクリュドライバ対向側とを有し、前記セットスクリュが、
前記脊椎ロッド対向側から前記セットスクリュドライバ対向側に前記セットスクリュを横断する前記セットスクリュドライバの開口部と、
前記開口部を取り囲む前記脊椎ロッド対向側の環状面と
を含み、
前記セットスクリュドライバが、
シャフトと、
前記開口部を介して前記セットスクリュと係合するための係合部と
を含む、整形外科用ツールキット。
【請求項10】
前記セットスクリュと前記セットスクリュドライバとの係合位置において、前記係合部の前面部が、前記セットスクリュの脊椎ロッド対向側から突出する、請求項9に記載の整形外科用ツールキット。
【請求項11】
前記環状面が、前記セットスクリュの一体部分である、請求項9に記載の整形外科用ツールキット。
【請求項12】
前記セットスクリュの前記環状面が、平坦であるか、面取りされているか、または球面状である、請求項9に記載の整形外科用ツールキット。
【請求項13】
前記環状面が、半径方向の曲率を有する球面状である、請求項12に記載の整形外科用ツールキット。
【請求項14】
前記係合部の先端が湾曲しており、実質的に前記セットスクリュドライバの中心軸線に頂点を有する、請求項9に記載の整形外科用ツールキット。
【請求項15】
前記セットスクリュの前記環状面が平坦であり、前記セットスクリュの回転軸線に対して垂直に向けられている、請求項9に記載の整形外科用ツールキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]関連出願の相互参照
本特許出願は、2019年3月26日に出願された国際特許出願第PCT/IB2019/052451号の優先権を主張し、その内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
[0002]本発明は、整形外科、より正確には、椎弓根スクリュ、ロッドおよび対応するセットスクリュを含む整形外科用ツールおよびシステムに関する。本発明はまた、これらの要素を操作するために使用される器具、およびこれらの要素を使用する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003]整形外科、ならびに整形外科手術、より具体的には脊柱の脊椎固定術のためのインプラント器具およびシステムの分野では、セットスクリュを使用して、ロッド型またはバー型のデバイスを押し下げて、当該デバイスを椎弓根スクリュのヘッドに取り付ける。脊椎ロッドを椎弓根スクリュのヘッドに向けてかつ押し下げるプロセスは、ロッドリダクションとも呼ばれる。椎弓根スクリュのヘッドにロッドを取り付ける前に、椎弓根スクリュを患者または生物の椎骨に締結するために、椎弓根スクリュは、骨アンカー、ねじ付き骨係合部または骨スクリュで椎骨に取り付けられる。この目的のために、一例として、椎骨固定のためのいくつかの隣接する椎骨について、各椎骨について椎弓根スクリュが当該錐骨に取り付けられ、その後、椎弓根スクリュヘッドによって形成された溝またはU字形の開口部に配置されたロッドを使用することによっていくつかの椎弓根スクリュが互いに向かって機械的に締結され、脊椎に一列の椎弓根スクリュを形成する。これにより、患者または生物における脊椎固定のための脊椎安定化に必要な機械的支持を提供することが可能になる。
【0004】
[0004]例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第10,058,355号明細書は、椎弓根スクリュ、対応するセットスクリュ、ロッド、ならびにこれらを操作するためのツールであって、椎弓根スクリュを保持するためのスクリュエクステンダ、およびセットスクリュを椎弓根スクリュのヘッドに締め付けるためのセットスクリュドライバを含むツールを提供する整形外科用インプラントキットを記載している。別の例として、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第8,795,283号明細書は、ロッドを受け入れるためのヘッドを備えた椎弓根スクリュ、および外科的介入に必要なツールを含む、脊椎安定化のための外科的介入のための別の種類のキット整形外科手術システムを記載している。さらに別の例では、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第8,262,662号明細書は、脊柱内に脊椎コネクター脊椎アンカー部位を送達するためのシステムおよび方法を提供する。一実施形態では、U字形の受け部材と、骨係合部材と、延長部材と、脊椎ロッドと、セットスクリュとを含む脊椎インプラントおよびアクセスデバイスが提供される。
【0005】
[0005]セットスクリュを介して椎弓根スクリュにロッドを取り付けるための、同様の整形外科的な脊椎手術のコンセプト、ツールおよびデバイスが上述したように提案されており、例えば、米国特許第5,129,388号明細書、米国特許第5,147,360号明細書、米国特許第5,520,689号明細書、米国特許第5,536,268号明細書、米国特許第5,720,751号明細書、米国特許第5,817,094号明細書、米国特許第5,882,350号明細書、米国特許第5,984,923号明細書、米国特許第6,056,753号明細書、米国特許第6,113,601号明細書、米国特許第6,183,472号明細書、米国特許第6,258,090号明細書、米国特許第6,454,768号明細書、米国特許第6,648,888号明細書、米国特許第6,740,086号明細書、米国特許第7,618,442号明細書、米国特許第8,308,782号明細書、米国特許第8,876,868号明細書、米国特許出願公開第2006/0025771号明細書、および米国特許出願公開第2018/0289397号明細書が挙げられ、これらの参考文献はすべてその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0006】
[0006]しかしながら、先行技術のツールは、脊椎手術ツールの外科医またはオペレーターがセットスクリュによってロッドを椎弓根スクリュに取り付ける必要があるとき、椎弓根スクリュヘッドに対する脊椎ロッドの位置ずれに起因する特定の問題を依然として提示する。したがって、先行技術の関連する脊椎手術ツールにおいて現在提案されているあらゆる解決策にもかかわらず、脊椎手術のための強く改善された方法、システムおよびデバイスが強く望まれている。
【発明の概要】
【0007】
[0007]本発明の一態様によれば、脊椎ロッドを保持するための椎弓根スクリュのヘッドとねじ込み可能に係合するためのセットスクリュが提供される。好ましくは、セットスクリュは、脊椎ロッド対向側とセットスクリュドライバ対向側とを有し、セットスクリュドライバ対向側にはセットスクリュドライバと係合するための開口部を、ロッド対向側には凸面を含み、凸面の頂点は、セットスクリュの回転中心軸線と実質的に一致している。
【0008】
[0008]本発明の別の態様によれば、脊椎ロッドを保持するための椎弓根スクリュのヘッドとねじ込み可能に係合するためのセットスクリュが提供される。好ましくは、セットスクリュは、脊椎ロッド対向側とセットスクリュドライバ対向側とを有し、脊椎ロッド対向側からセットスクリュドライバ対向側にセットスクリュを横断するセットスクリュドライバの開口部と、開口部を取り囲むロッド対向側の環状面とを含み、環状面は、面取りされているかまたは湾曲面を有する。
【0009】
[0009]本発明のさらに別の態様によれば、セットスクリュおよびセットスクリュドライバを含む整形外科用ツールキットが提供される。好ましくは、セットスクリュは、脊椎ロッドを保持するための椎弓根スクリュのヘッドとねじ込み可能に係合するように構成され、セットスクリュは、脊椎ロッド対向側とセットスクリュドライバ対向側とを有する。さらに、セットスクリュは、脊椎ロッド対向側からセットスクリュドライバ対向側にセットスクリュを横断するセットスクリュドライバの開口部と、開口部を取り囲むロッド対向側の環状面とを含む。さらに、好ましくは、セットスクリュドライバは、シャフトと、開口部を介してセットスクリュに係合するための係合部とを含み、係合位置において、係合部の前面部は、セットスクリュの脊椎ロッド対向側から突出する。
【0010】
[0010]本発明のさらに別の態様によれば、椎弓根スクリュが提供され、椎弓根スクリュは、脊椎ロッドを収容するためのU字形の溝を備えたスクリュヘッドを有する。好ましくは、脊椎ロッドの下面に面する下面は、U字形の溝の底部を形成しており、半径方向に沿った曲率を有し、半径方向は、スクリュヘッドの中心軸線から離れるように延在し、脊椎ロッドに向かってあまり鋭利でない縁部を有する滑らかな表面を提供する。
【0011】
[0011]本発明の上記および他の目的、特徴および利点ならびにそれらを実現する方法は、より明らかになり、本発明自体は、本発明のいくつかの好ましい実施形態を示す添付の図面を参照して以下の説明を検討することによって最もよく理解されるであろう。
【0012】
[0012]本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する添付の図面は、本発明の現時点で好ましい実施形態を示し、上記の一般的な説明および以下の詳細な説明と共に、本発明の特徴を説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1A】患者または生物の脊椎のいくつかの椎骨内の脊椎ロッド7を介して一緒に取り付けられたいくつかの椎弓根スクリュ11,12の異なる例示的な横断面側面図を示し、先行技術の脊椎手術システム、デバイスおよびツールで遭遇する問題の1つを説明するための図である。
【
図1B】患者または生物の脊椎のいくつかの椎骨内の脊椎ロッド7を介して一緒に取り付けられたいくつかの椎弓根スクリュ11,12の異なる例示的な横断面側面図を示し、先行技術の脊椎手術システム、デバイスおよびツールで遭遇する問題の1つを説明するための図である。
【
図1C】患者または生物の脊椎のいくつかの椎骨内の脊椎ロッド7を介して一緒に取り付けられたいくつかの椎弓根スクリュ11,12の異なる例示的な横断面側面図を示し、先行技術の脊椎手術システム、デバイスおよびツールで遭遇する問題の1つを説明するための図であり、当該図は、例示的なスクリュエクステンダ6およびセットスクリュドライバ20の使用によって脊椎ロッド7およびスクリュヘッド22に締め付けられているセットスクリュ32を示している。
【
図2A】本発明の一態様によるセットスクリュ130の例示的な図を示し、当該図は、セットスクリュの正面図および横断面側面図を示している。
【
図2B】本発明の一態様によるセットスクリュ130の例示的な図を示し、当該図は、脊椎ロッド7の軸線RA2の方向の横側面断面図を示している。
【
図2C】本発明の一態様によるセットスクリュ130の例示的な図を示し、当該図は、脊椎ロッド7がU字形の溝26の斜め内側にあるときに椎弓根スクリュヘッド22の内側で脊椎ロッド7に対して付勢するセットスクリュ130を示している。
【
図2D】本発明の一態様によるセットスクリュ130の例示的な図を示し、当該図は、説明のために開口部132のないセットスクリュ130の拡大した横断面図を示している。
【
図3A】本発明の別の態様によるセットスクリュ230およびセットスクリュドライバ200の対応するシャフトの例示的な図を示し、セットスクリュ230およびスクリュドライバ200は、整形外科手術ツールキットまたはシステムの要素を形成することができ、当該図は、互いに係合されたセットスクリュ230および対応するセットスクリュドライバデバイス200の側面図を示している。
【
図3B】本発明の別の態様によるセットスクリュ230およびセットスクリュドライバ200の対応するシャフトの例示的な図を示し、セットスクリュ230およびスクリュドライバ200は、整形外科手術ツールキットまたはシステムの要素を形成することができ、当該図は、セットスクリュ230およびスクリュドライバ200の側面横断面図を示している。
【
図3C】本発明の別の態様によるセットスクリュ230およびセットスクリュドライバ200の対応するシャフトの例示的な図を示し、セットスクリュ230およびスクリュドライバ200は、整形外科手術ツールキットまたはシステムの要素を形成することができ、当該図は、セットスクリュ230およびスクリュドライバ200の側面斜視図を示している。
【
図3D】本発明の別の態様によるセットスクリュ230およびセットスクリュドライバ200の対応するシャフトの例示的な図を示し、セットスクリュ230およびスクリュドライバ200は、整形外科手術ツールキットまたはシステムの要素を形成することができ、当該図は、脊椎ロッド7が軸線HA2に対して垂直でないときに脊椎ロッド7に当接または接触するセットスクリュ230および対応するセットスクリュドライバデバイス200の側面横断面図を示している。
【
図4A】対応するセットスクリュドライバ200なしのセットスクリュ200単独の例示的な図を示し、当該図は側面図を示している。
【
図4B】対応するセットスクリュドライバ200なしのセットスクリュ200単独の例示的な図を示し、当該図は、開口部232の詳細を示す対応する横断面図を示している。
【
図4C】対応するセットスクリュドライバ200なしのセットスクリュ200単独の例示的な図を示し、当該図は正面斜視図を示している。
【
図4D】対応するセットスクリュドライバ200なしのセットスクリュ200単独の例示的な図を示し、当該図は背面斜視図を示している。
【
図5A】多軸椎弓根スクリュ21のスクリュヘッド22および脊椎ロッド7と係合したセットスクリュ230の例示的な横断面図を示し、ロッド7はスクリュヘッド22の軸線HA2に対して実質的に垂直であり、当該図は、セットスクリュドライバ200が開口部232を介してロッド7と接触していることを示している。
【
図5B】多軸椎弓根スクリュ21のスクリュヘッド22および脊椎ロッド7と係合したセットスクリュ230の例示的な横断面図を示し、ロッド7はスクリュヘッド22の軸線HA2に対して実質的に垂直であり、当該図は、セットスクリュドライバ200がセットスクリュ230に対して押し戻され、セットスクリュ230がロッド7と接触した後の段階を示している。
【
図6A】本発明の別の態様の例示的な図を示し、脊椎ロッド7を収容するためのU字形の溝325を有する椎弓根スクリュ311を示し、スクリュヘッド321の円筒形外面の縁部327はあまり鋭利でなく、当該図は、脊椎ロッド7および溝325の延伸軸線に対して垂直な側方向からの横断面図を示している。
【
図6B】本発明の別の態様の例示的な図を示し、脊椎ロッド7を収容するためのU字形の溝325を有する椎弓根スクリュ311を示し、スクリュヘッド321の円筒形外面の縁部327はあまり鋭利でなく、当該図は、スクリュヘッド321の上面図を示している。
【
図6C】本発明の別の態様の例示的な図を示し、脊椎ロッド7を収容するためのU字形の溝325を有する椎弓根スクリュ311を示し、スクリュヘッド321の円筒形外面の縁部327はあまり鋭利でなく、当該図は、下向きの圧力によって骨アンカー41の多軸方向性を阻止するための座部326を有するスクリュヘッド321の例示的な横断面図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[0019]本明細書では、可能であれば、図に共通する同一の要素を示すために同一の参照番号が使用される。また、画像は、例示目的のために簡略化されており、縮尺通りに示されていない場合がある。
【0015】
[0020]
図1Aは、患者または生物の脊椎の個々の椎骨V 1,V 2と係合し、脊椎ロッド7または支持ロッドと相互接続され、対応するセットスクリュ31,32、または締結デバイスによって保持される、いくつかの椎弓根スクリュ11,12、または他の種類の背椎手術用スクリュの横断面図を示す。この図の左側に示すように、脊椎ロッド7の長手方向延伸軸線RA1は、椎弓根スクリュ11のスクリュヘッド21の中心軸線HA1に対して実質的に垂直である。さらに、椎弓根スクリュ11の骨アンカーまたはねじ部41はまた、単軸構成の場合にはスクリュヘッド21の中心軸線HA1と一致することができ、または多軸構成の場合にはスクリュヘッド21の中心軸線HA1とは異なることができる中心軸線SA1を画定する。例示目的のために、椎弓根スクリュ11は単軸構成であるが、多軸スクリュを使用することも可能である。
図1Bは、脊椎ロッド7を収容するためのスクリュヘッド21内のU字形の溝25または他の種類の空洞、開口部、長く深い溝、窪み、もしくは機構を示す、脊椎ロッド7の長手方向延伸軸線RA1に沿った横断面図を示す。スクリュヘッド21は、セットスクリュ31,32の外部ねじ山と相補的であるかまたはそれに対応する内部ねじ山27を有し、その結果、セットスクリュ31,32はスクリュヘッド21に対してねじ込み可能に係合して締め付けられ得る。
【0016】
[0021]
図1Aの右側に示すように、少なくとも脊椎ロッド7に沿ったいくつかの部分では、スクリュヘッド21に対する脊椎ロッド7の向きが垂直ではなく、例えば、脊椎ロッド7の長手方向延伸軸線RA2間の角度α2が、中心軸線HA2または椎弓根スクリュ12のスクリュヘッド22のねじ軸線に対して90°または垂直ではないが、傾斜角度α2が存在することが可能である。一般に、一例として、ロッド7は、椎弓根スクリュ11への挿入および取り付けの前に予め屈曲されるように、この誤った向きは、例えば、一列または一連の椎弓根スクリュの最後の椎弓根スクリュ12が、端部が脊椎から離れて上方に突出する脊椎ロッド7を有する場合、一端でのロッド7の屈曲の結果であり得る。また、垂直配置からのこのずれは、例えば最小限の侵襲外科的アプローチに起因して、外科的位置での切開部に容易にアクセスできないかまたはこれを見ることができないため、外科医またはオペレーターによって容易に修正することができないスクリュヘッド22とロッド7との間の単なる位置ずれである可能性もある。位置ずれの別の理由は、ユーザー、オペレーター、または外科医自身が、
図1Cに示すように、スクリュエクステンダ6およびセットスクリュドライバ20を介して、セットスクリュ31をスクリュヘッド21に締め付けようとするときに引き起こされる。脊椎ロッド7と椎弓根スクリュヘッド21との間の位置合わせは、最初は正確であってもよいが、外科医は、スクリュエクステンダ6を特定の角度だけ横方向に移動または傾斜させ、したがって、スクリュヘッド21をロッド7に対して曲げたり移動させたりして、位置ずれを引き起こしてもよい。これは、手術のための切開部が小さく、椎弓根スクリュ21,22およびロッド7を容易に見ることができない手術では一般的である。
【0017】
[0022]その結果、外科医またはオペレーターがセットスクリュ32を用いて脊椎ロッド7を椎弓根スクリュ12に取り付ける際に、いくつかの問題が生じ得る。これは、
図1Aの右側に示されており、椎弓根スクリュ12に取り付けられたスクリュエクステンダ6の概略横断面図を示す
図1Cにさらに詳細に示されており、セットスクリュドライバ20は、スクリュエクステンダ6の雌ねじ部19とねじ込み可能に係合しており、スクリュエクステンダ6は、係合部21を用いてスクリュヘッド22に取り付けられ、セットスクリュ32をねじ込んでロッド7をスクリュヘッド22によって設けられたU字形の溝26内に下げる。
図1Cに示すように、脊椎ロッド7の長手方向延伸軸線RA2間の角度α2は、椎弓根スクリュ12のスクリュヘッド22の中心軸線HA2に対して90°または垂直ではないが、例示目的のために60°~80°の範囲である。セットスクリュドライバ20のセットスクリュ係合部21によってスクリュヘッド22内のセットスクリュ32を締め付けると、スクリュエクステンダ6の雌ねじ19とねじ込み可能に係合するシャフトが示されている変形例では、セットスクリュ32の縁部が、脊椎ロッド7の上部の外面点に接触し、単一の接触点CP1を形成する。位置合わせが垂直、すなわちα2=90°である場合、セットスクリュ31,32の完全な先端平坦面33,34は、脊椎ロッド7の上部の丸い外面点に接触し、接触線を形成し、これは単一の接触点CP1ではない。これは、椎弓根スクリュ11と共に
図1Aの左側に示されている。この接触点CP1はまた、椎弓根スクリュヘッド22の中心軸線HA2から距離OD1だけ軸線外になる。脊椎ロッド7の屈曲または位置ずれは、この接触点CP1が、U字形の溝26の側壁による小さな横方向の支持接触以外に、ロッド7に作用する唯一の実質的な機械的接触点であり得るようなものであってもよい。さらに、接触点CP1に加えて、またはそれに代えて、スクリュヘッド22の反対側の側面での位置ずれに起因して、脊椎ロッド7がU字形の溝26の一端の縁部に接触することで、ロッド7がU字形の溝26の半円形の下面に埋め込まれる代わりに、半円形の接触線または円弧CP2を形成する。この接触線CP2はまた、椎弓根スクリュ12のヘッド22の中心軸線HA2から距離OD2だけオフセットされる。
【0018】
[0023]脊椎ロッド7は、
図1Aに示すように、いくつかの他の椎弓根スクリュ11,12および対応するセットスクリュによって定位置に保持されるため、スクリュヘッド22に対するセットスクリュ32の締め付けは、脊椎ロッド7が一般に非常に剛性であるため、例えば、U字形の溝26にロッド7を押し付けることによってそれを再調整するために、脊椎ロッド7をスクリュヘッド22に対して垂直な配置に曲げるのに十分な圧縮力または曲げ力を提供しない可能性がある。さらに、この位置ずれは、椎弓根スクリュ12およびその骨アンカーを介して位置ずれの影響を受ける1つまたは複数の椎骨V2に応力を引き起こし、椎骨V2に横方向の力を発生させるが、それは、これらの椎骨V2が他の椎骨に対して限られた範囲だけ動くことができるためである。また、多軸椎弓根スクリュ12が使用される場合、軸線SA2によるアンカー42に対する軸線HA2によるスクリュヘッド22の角度範囲は十分ではない可能性があり、軸線RA2によるロッドと軸線HA2によるスクリュヘッド22との間の位置ずれを補償することができるように機械的に阻止され、影響を受ける椎骨V2に追加の機械的応力を発生させる。
【0019】
[0024]ロッド7の円筒形表面の一点との椎弓根スクリュ32の平坦面34の下縁部における接触点CP1、または、例えばU字形の溝25の縁部に沿った半円弧による、スクリュヘッド22の反対側の側面における接触点もしくは円弧CP2のいずれかによる、ロッド7とスクリュヘッド22との間の結果として生じる望ましくない限定された接触面または領域は、いくつかの問題をもたらす可能性がある。
【0020】
[0025]第1に、例えばオフセット距離OD1またはオフセット距離OD2によるスクリュヘッドの中心軸線HA2の間のオフセットに起因して、この取り付け状況は、骨アンカーまたはねじ部41に加えられる横方向の望ましくないトルクをもたらし、このトルクはまた、患者または生物の椎骨V2の骨構造に横方向の張力を発生させる。例えば軸線HA2に平行または実質的に平行に脊椎ロッド7に及ぼされる任意の上向きまたは下向きの圧力または動きは、椎骨V2を示す
図1Bの右側に示される矢印によって示されるように、骨アンカー41の椎骨V2への横方向の圧力をもたらす。例えば、術後、患者または生物の身体運動が、脊椎ロッド7にそのような圧力または運動を引き起こす可能性があり、これは骨アンカー41を介して椎骨V2に強い横方向の張力をもたらす。
【0021】
[0026]第2に、接触点CP1、CP2、またはその両方の限られた表面領域は、外科手術中に起こり得る望ましくない冷間溶接につながる可能性がある。そのような冷間溶接取り付けは、スクリュヘッド22に対するセットスクリュ32の更なる取り付けまたはねじ込みを阻止する可能性があり、ロッド7を椎弓根スクリュ12に適切に取り付けることを妨げる。
【0022】
[0027]第3に、ユーザー、オペレーター、または外科医がセットスクリュドライバを用いてセットスクリュ32を締め付けているときに、スクリュヘッドの中心軸線HA2と軸線上にないオフセット距離OD1またはオフセット距離OD2によって引き起こされる圧力により、スクリュヘッド22の内側のセットスクリュ32が阻止される可能性がある。HA2の軸線外の圧力の発生は、スクリュヘッド22のねじ部に対するセットスクリュ32の非対称でない異なる横方向の圧力をもたらし、スクリュヘッド22の内側のセットスクリュ32が阻止される可能性がある。これはまた、スクリュヘッド22に対してセットスクリュ32をさらに阻止し、かつ/またはセットスクリュ32とスクリュヘッド22との間の回転ねじ込み可能な係合の間に、潜在的な冷間溶接につながる可能性がある更なる望ましくない摩擦を生じさせる可能性があるねじ山の損傷につながる可能性がある。例えば、米国特許出願公開第2018/0289397号明細書または米国特許第5,129,388号明細書に示されているように、ロッドへの追加の把持を可能にする尖った先端を示す先行技術のセットスクリュのいくつかを用いて同様の冷間溶接の問題が生じる可能性があり、これらの参考文献は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0023】
[0028]
図2A~
図2Dは、上述の問題を軽減するための、本発明の一態様によるセットスクリュ130の異なる例示的な横断面図を示す。セットスクリュ130の横断面図および正面図を示す
図2Aに示すように、セットスクリュ130は、ロッド7に面する平坦面34を有さず、凸形状を形成し、軸線HA2を中心として円形対称である前面または面FFを有する。図示の変形例では、
図2Dにより詳細に示すように、前面FFの中央領域または内側領域IAは、第1の半径R1を有する曲率を有する第1の面135を形成し、この曲率は、セットスクリュ130の円筒形状の半径方向において定義され、前面FFの外側領域または環状面リングOAは、第2の半径R2を有する第2の曲率を有する第2の面134と、平坦であるが面取りされた縁部を有する縁部領域133または環状面リング縁部領域EAとを形成する。さらに、ロッド7は、凹みまたはノッチのない円筒形の滑らかな表面を有するように示されている。好ましくは、内側領域IAは、外側領域OAよりも大きい曲率を有し、例えば、第1の半径は第2の半径よりも小さいが、IAおよびOAが同じ半径R1=R2を有する連続球面を形成することも可能である。一変形例では、内側領域IAおよび外側領域OAの両方について、前面の中心点または中心から開始して、前面FFの半径変化は漸進的であり、すなわち中心で最小であり、例えば横断面図から見たときに楕円形状、言い換えれば楕円体の形状に従うことによって、縁部に向かってより大きな半径に漸進的に変化し、楕円体の頂点は前面FFの回転中心に位置する。別の変形例では、領域IA、OAおよびEAを含む前面FF全体は球形であり、縁部領域EAの勾配は、セットスクリュ130のねじ山137のフランク部またはねじ山の角度に適合するように選択される。別の変形例では、内側領域IAおよび外側領域OAの両方について、一定の曲率半径を有するが、ねじ山137の面取りされた円形の外縁部EAを依然として有する前面FF用の球面を形成する。円形の内側領域IA、環状の外側領域OA、および環状の縁部領域EAをカバーする、セットスクリュ130の全直径に沿った連続的な凸状または突出した膨らみを示す、セットスクリュ130の前面FFのこの配置では、任意の鋭利な縁部、例えば90°の縁部角度をもたらす垂直に配置された2つの表面によって形成される縁部を回避することも可能であり、これらの縁部は、たとえ脊椎ロッド7がスクリュヘッド22に対して斜めの角度で配置されている場合でも、脊椎ロッド7の表面を切断するか、または別の形で損傷する可能性がある。この点において、セットスクリュ130の脊椎ロッド対向側の表面全体が、セットスクリュのねじ軸線に垂直な表面から突出する凸状の体積部を形成する。90°以下のセットスクリュ130の鋭利な縁部のみが、ねじ山137の頂を有するセットスクリュ130の側壁に配置されているが、これらは、セットスクリュ130がヘッド22とねじ込み可能に係合したときに脊椎ロッド7と接触することができないようなものである。
【0024】
[0029]好ましくは、曲率半径R1,R2は、椎弓根スクリュ12のセットスクリュの半径よりも大きく、好ましくは、椎弓根スクリュ12のスクリュヘッド22の外側円筒面の直径またはセットスクリュ130の直径の約半分、±25%、より好ましくはスクリュヘッド22の半径の少なくとも2倍以上、またはセットスクリュ130の直径の少なくとも2倍である。より小さい半径も可能であるが、より厚く、患者または生物の体内により多くの空間を必要とするセットスクリュをもたらす。縁部領域EAは、好ましくは曲率を有さないが、軸線HA2に沿って、例えば45°の角度で見たときに、セットスクリュ130を厚さTHに対して可能な限り薄く保つことができるように、セットスクリュ130のねじ山137のフランク部に一致するように面取りされるかまたは他の形状にされる。さらに、セットスクリュ130は、セットスクリュドライバ20の対応するまたは相補的な係合部21と係合するための開口部132または他の種類の取り外し可能な取り付けまたは係合機構を有する。図示の変形例では、開口部132用の六角形のソケットヘッドが設けられているが、セットスクリュ130とスクリュドライバとの間の異なる種類の取り外し可能な取り付けまたは係合機構も可能であり、例えば、2つ以上のドリル、スクエアヘッド、クラッチヒート、複数のスロットヘッドと、セットスクリュドライバ20による対応する相補的な係合ツールまたは部品21とを備えた、フィリスターヘッド、トルクス(登録商標)ヘッド、スパナヘッドが挙げられるが、これらに限定されない。また、セットスクリュ130は、全体的なプロファイルを低く保つように設計されており、セットスクリュ130の場合、これは、厚さTHが最小化されて、より高い構築物を有するスクリュヘッド22を必要とすることを回避し、椎骨から突出する患者または生物の体内に必要な空間を最小化し、脊椎からの椎弓根スクリュの突出が減少するようになることを意味する。したがって、一態様によれば、セットスクリュ130は、前面FFが、凸状の前面FFを有する、取り付けられたまたは別様に一体化された任意の可動部のない、1つの材料片で作られたセットスクリュ130の一体部分であるように、一体品として設計されている。また、セットスクリュ130のねじ山137の谷径と外側環状領域OAの直径との間の距離OSは、縁部環状領域EAの幅がねじ山137の根元と頂点との間の距離と一致するようにゼロとすることができるが、変形例では、外側環状領域OAの直径がねじ山137の谷径よりも小さくなるように、距離OSが正であることも可能である。
【0025】
[0030]前面FFセットスクリュ130がスクリュヘッド22に対して斜めに配置された脊椎ロッド7と係合している側面横断面図を示す
図2Bに示すように、言い換えれば、軸線RA2とHA2との間の角度α2は90°ではない。これにより、スクリュヘッド2の中心軸線HA2にかなり接近した接触点CP3がオフセット距離OD3をもたらす。
図1Cに示す接触点CP1と比較して、位置ずれ角度α2が実質的に同じであると仮定すると、距離は3分の1に縮小することができる。これは、軸線HA2に沿って脊椎ロッド7が移動すると、骨アンカー41から椎骨V2に加えられる望ましくない横方向トルクの3分の1の大幅な減少をもたらす。
【0026】
[0031]さらに、セットスクリュ130の前面FFの表面は、同じく湾曲した外面を有しかつ円筒体の形状を有する脊椎ロッド7に係合または当接する曲率を有するため、接触点CP3での接触面は、脊椎ロッド7とセットスクリュ130の前面FFとの接触領域に一定量の変形があるため、90°以下の縁部角度で示される変形例では、セットスクリュ32の鋭利な縁部である接触点CP1によって形成される接触面よりも実質的に大きい。これにより、接点CP3での冷間溶接の問題を低減するか、または完全に排除することができる。さらに、
図1Cに示すように、ユーザー、オペレーター、または外科医が、セットスクリュドライバ20を介してセットスクリュ32をスクリュヘッド22に対して回すと、セットスクリュ32の縁部が、脊椎ロッド7の円筒形表面に対して回るかまたは回転する。それによって、縁部はナイフのように作用し、縁部で脊椎ロッド7に溝を切り込むことによる切断動作を提供することができ、それによって脊椎ロッド7の外面を損傷する。
図2Cに示す変形例のように、湾曲面であるセットスクリュ130の前面FFは、ロッド7の別の湾曲面である円筒面に向きを変えられ、この切断を完全に回避することができる。セットスクリュ32の前面FFはまた、例えば、限定はされないが、クロム-コバルト合金または陽極酸化の使用など、その本体に対して追加の硬度を提供するために、硬質表面で硬化またはコーティングされることができる。セットスクリュ32を製造するために使用される材料は、インプラントデバイスに使用される通常の材料、例えば、チタン、異なるグレードの異なる種類のチタン合金、ステンレス鋼、CrCoMoであってもよいが、これらに限定されない。
【0027】
[0032]本発明の別の態様によれば、
図3A~
図3Dに示すように、セットスクリュ230の中心軸線を完全に横断または交差する横断開口部または貫通孔232を有するセットスクリュ230が提供され、開口部232の少なくとも一部は、セットスクリュドライバ200と係合するための係合機構として機能する。さらに、本発明の別の態様によれば、セットスクリュドライバ200の係合ツールまたは機構220は、セットスクリュ230と完全に係合したときに、セットスクリュ230の最外点から距離DDだけ開口部232を横断する係合ツール220によって、セットスクリュ230の前面FFの外側にわずかに突出するように寸法決めされている。例えば、距離DDは、0.05mm~0.5 mm、より好ましくは0.1mm~0.4 mmの範囲とすることができる。例えば、
図3A~
図3Cに示すように、セットスクリュドライバ200の係合ツール220は、セットスクリュ230と完全に係合するように示されており、これは、係合ツール220が、例えば、セットスクリュ230の当接面231、および対応する表面もしくは当接レッジ、またはセットスクリュドライバ200上の他の機械的手段により、阻止されるか、または他の方法でセットスクリュ230がさらに導入または横断することが機械的に防止されることを意味する。他の種類の機械的配置を使用して、セットスクリュ230に対するセットスクリュドライバ200の貫通を制限することができる。この係合位置では、係合ツール220の前方先端面222は、
図3Bに示すように、セットスクリュ230の前面FFの最も高いまたは最も突出した点を円形縁部236として、距離DDだけセットスクリュ230の外側にわずかに突出する。さらに、セットスクリュ230とツール200との間のこの完全に係合した位置では、セットスクリュ230とツール200との間の距離は、セットスクリュ230の雄ねじ山237とセットスクリュドライバ200の雄ねじ山とが互いに位置合わせされて共通の仮想ねじ山螺旋線を形成するように設定されており、言い換えれば、ねじまたはねじ山の両方は、
図1Cに示すように、ねじ山のピッチが一致するように位置合わせされ、それにより、セットスクリュ230およびツール200は、セットスクリュ230とツール200との間の位置を調整することなく、スクリュエクステンダ6の雌ねじ19を介した回転式のねじ込み可能な係合によって共に移動することができる。同様に、スクリュエクステンダ6がヘッド22に完全に挿入されると、スクリュヘッド22の雌ねじは、スクリュエクステンダの雌ねじ19までの距離に一致して、連続した仮想ねじ山螺旋線を提供する。
【0028】
[0033]この実施形態では、
図3Cおよび
図4Cに示すように、セットスクリュ230の前面FFは、脊椎ロッド7に面しかつ係合することになる前面FFとして定義され、平坦ではない、言い換えれば、セットスクリュ230の中心軸線または回転軸線に対して垂直ではないが、中心軸線から離れる半径方向にセットスクリュ230の外縁部に向かって勾配を形成し、好ましくは、
図4Aに見られるように、半径方向に見たときにも曲線または球半径を有する湾曲面または球面も有する環状リングセクション234を含む。この変形例では、前面FFは、セットスクリュ230の最も前方に突出する部分または最も外側の部分であるセットスクリュ230の部分を形成する円形縁部236と、セットスクリュ230のねじ山の一部を形成する半径方向に最も外側の面取りされた環状縁部233とを含む。ねじ山の一部を形成する環状縁部233の勾配または傾斜角は、
図4Aの破線で示すように、環状リングセクション234に配置される接線の勾配または傾斜角よりも大きく、または急峻であり、例えば45°であり、例えば15°~30°の範囲である。環状リングセクション234が環状に湾曲しているか、または球形を有する変形例では、曲率または球半径は、好ましくは、スクリュヘッド22の円筒外径またはセットスクリュ230の外径の半分超、±25%、より好ましくはスクリュヘッド22の半径の少なくとも2倍以上、またはセットスクリュ230の半径の少なくとも2倍である。
【0029】
[0034]別の変形例として、環状リングセクション234は平坦であり、言い換えれば、平坦な環状リングセクション234の延伸部を画定する表面は、セットスクリュ230の中心軸線に垂直である。この実施形態は、
図5Bに示すように縁部接触点CP5を回避することを可能にし、代わりに、リングセクション234の平坦面の直線的かつ半径方向に延伸する部分が、ロッド7の延伸部に平行な方向においてロッド7に接触することができる。例えば、ロッド7でツール200の先端と接触点CP4とが接触すると、
図5Aに示すように、セットスクリュドライバとしてのツール200によるセットスクリュ230のねじ込み作用の結果として、ツール200は、
図5Bに示すように、力Pによってセットスクリュ230から押し出され、小さな接触点CP5の代わりに、セットスクリュ230と雌ねじ27との追加のねじ込み可能な係合によって、環状リングセクション234の平坦面は、ロッド7がスクリュヘッド322のU字形の溝26の横方向延伸軸線に実質的に平行にあると仮定すると、ロッド7との接触線CLを形成する。平坦な環状リングセクション234を有するそのようなセットスクリュ230は、
図5Aおよび
図5Bに示すように、ロッド7がU字形の溝26の斜め内側になく、スクリュに対してある程度垂直に配置されている場合に使用することができる。これは、
図3Dに視覚化されるように、ロッド7がU字形の溝26に対して斜めにある場合に使用される、セットスクリュ230の面取りされた、湾曲した、または球形の環状リングセクション234(非平坦)の使用とは対照的であり得る。これらの異なる2つの種類のセットスクリュ230により、外科医またはオペレーターは、スクリュヘッド322のU字形の溝26内のロッド7の向きに応じて、平坦面または非平坦面のねじを選択的に選択することができる。
【0030】
[0035]
図3B、
図3D、および
図4Bに見られるように、セットスクリュドライバ200がセットスクリュ230と完全に係合すると、先端部222の頂点は、セットスクリュ230の前面FFの最外縁部236から距離DDだけ突出する。さらに、前方先端面222自体は湾曲しており、例えば、球形であってもよく、楕円体の一部を形成してもよく、または内側中央部ではより小さい曲率半径で漸進的に湾曲し、外側環状セクションではより大きい曲率角を有してもよい。
図3Bおよび
図3Dに示すように、この配置では、前方先端面222と係合ツール220の側壁との間に形成された円形縁部が、セットスクリュ230の開口部232内にあり、これは、鋭利な縁部と脊椎ロッド7との接触を回避するように機能することができる。
図3Dおよび
図5Aに示すように、この配置では、スクリュヘッド22および中心軸線HA2に対するその長手方向軸線RA2によって表される脊椎ロッド7の向きは、特定の角度範囲内で変化することができ、セットスクリュ230とセットスクリュドライバアセンブリ200との間にできる接触点CP4は、前面先端部222と脊椎ロッド7の表面点との間にある。RA2およびHA2が特定の角度範囲内、例えば前面FFおよび前方先端面222内にとどまると仮定すると、ユーザーまたはオペレーターがセットスクリュドライバ200でセットスクリュ230を締め付けている間、セットスクリュ230の前面FFと脊椎ロッドとの間に接触は生じず、また、セットスクリュドライバ200の係合ツール220の突出深さを、RA2およびHA2の70°~110°の角度変動を可能にするように設計することもできる。セットスクリュドライバ200の前方先端面222は、硬化されたステンレス鋼で作製することができる。
【0031】
[0036]ロッド7とセットスクリュドライバ200との間の接触点CP4は、セットスクリュドライバ200の係合部220に対する対圧または対抗力Pを生じさせることを可能にし、その結果、セットスクリュドライバ200は、セットスクリュドライバ200によるセットスクリュ230の締め付けに伴って、セットスクリュ230から徐々に押し戻されて解放され、徐々に押し戻されるかまたは解放されると、
図5Bに示すように、縁部236であるセットスクリュの最外面は、脊椎ロッド7と接触して接触点CP5を形成する。
図5Aおよび
図5Bに示すように、セットスクリュ230をスクリュヘッド22にねじ込み可能に係合しながら、セットスクリュドライバ200の前方先端面222とロッド7とが接触点CP4で最初に接触する。その後、力Pによる押し戻しによってセットスクリュドライバ200がセットスクリュ230から徐々に解放されると、締め付け作用によって、ロッド7とセットスクリュ230とが接触点CP5で接触する。これは、ロッド7がセットスクリュ230ではなくセットスクリュドライバ200と最初に接触している限り行うことができる。
【0032】
[0037]これは、上述したように、横断開口部232および対応するセットスクリュドライバ200を有するそのようなセットスクリュ230を使用する整形外科用ツールキットまたはシステムにいくつかの利点を提示する。第1に、ロッド7の長手方向軸線RA2とスクリュヘッド22の中心軸線HA2とが互いに斜めである場合であっても、椎弓根スクリュ21のスクリュヘッド22の中心軸線HA2からのCP4の距離を最小にする第1の接触点CP4を脊椎ロッド7と発生させることが可能である。さらに、セットスクリュドライバ200の係合部220に対する対抗力Pにより、係合部220とセットスクリュ230との完全な係合の間に生じる保持力を大幅に低減することができ、セットスクリュドライバ200をセットスクリュ230から取り外すために必要な力を大幅に低減することができる。
【0033】
[0038]
図6A、
図6Bおよび
図6Cは、本発明の別の態様を示し、椎弓根スクリュ311用のスクリュヘッド321が提示され、これは、
図1Cに示すように、脊椎ロッド7と椎弓根スクリュ12のヘッド22の溝25の縁部との間の鋭利な接触を緩和することを可能にし、脊椎ロッド7がヘッド22に対して斜めにある場合に、スクリュヘッドの円筒形外面での90°の鋭利な接触縁部角度を接触点CP2に作り出すことができる。
図6Aおよび
図6Bに示すように、スクリュヘッド321は、溝325の半径方向延伸部に沿った曲率が、例えば半径R3だけ提供されるので、スクリュヘッド321の外側円筒面と溝325によって形成された半円筒面との間の界面に鋭利でない縁部327を有する溝325を有する。例えば、半径R3は、スクリュヘッド321の直径に対応することができ、または直径よりも大きくすることができる。これにより、例えば100°以上の縁部角度を形成するように、縁部327の縁部角度を小さくすることが可能である。
【0034】
[0039]この配置では、脊椎ロッド7がヘッド321に対して斜めにあるとき、ロッド7と溝325との間の接触点を、
図6Bに示すように、縁部327上ではなく、半径R3で半径方向に湾曲した外側領域OA3または内側縁部領域EA3上のどこかにあるようにすることができ、外側領域OA3は、縁部327におけるヘッド322の溝325の半径方向外側領域であると定義され、内側縁部領域EA3は、内側縁部329における溝325の半径方向内側領域であると定義される。
図1Cに定義されるように、これはまた、ロッド7と接触点CP2との間のオフセット距離OD2を縮め、接触点CP2はここで軸線HA2の近くにある。半径による曲率R3は、内縁部329において縁部角度が90°であり、言い換えれば、縁部領域329における表面EA3に対する接線がスクリュヘッド322の中心軸線HA2に対して垂直になるように配置することができる。変形例では、縁部領域EA3は、横断面図で見たときに平坦であり、これは、縁部領域EA3が半円筒面を形成し、スクリュヘッド322の中心軸線HA2に対して垂直であり、半径R3の曲率は外側領域OA3で始まることを意味する。これにより、ロッド7が中心軸線HA2に対して垂直にあるときにロッドと接触するための半円筒形の接触面を提供することが可能である。別の変形例のように、半径R3は、例えば、外側領域OA3の半径R3が縁部領域EA3の半径R3よりも大きくなるように、半径距離が増加するにつれて徐々に増加する。例えば、外側領域OA3の外縁部327における半径R3は、縁部327における縁部角度が120°を超えるように、または135°を超えるようにすることができる。
【0035】
[0040]
図6Aに示す変形例では、骨アンカー42およびヘッド322は、椎弓根スクリュ312として阻止可能な多軸スクリュとして配置される。骨アンカー42および溝325の上部接続要素またはヘッド44は、スクリュヘッド322に対する骨アンカー42の任意に可能な角度位置において、骨アンカーが脊椎ロッド7に接触することができないように配置される。これは、ゼロではない骨アンカー42のヘッド44間の最小距離OD5を維持することによって行われる。図示の変形例では、多軸骨アンカー42の部分的に球形のヘッド44によって形成される仮想球面は、縁部領域EA3の内縁部329によって画定される高さに達しないか、またはそうでなければその高さよりも突出しない。単軸スクリュが使用される場合、距離OD 4は0より大きいことが望ましい。
【0036】
[0041]スクリュヘッド322の下部が、追加の要素、例えば、鋭利な縁部を有する
図3D、
図5A、
図5Bに示すように、かつ
図6Cの横断面図に示すように、溝325内に配置された骨アンカー42のヘッド44と係合するための追加の座部、リングまたは圧縮要素326を含むことも可能である。例えば、そのような機構によって多軸性を阻止することができるそのような椎弓根スクリュは、米国特許第5,882,350号明細書、米国特許第6,113,601号明細書、および米国特許第6,660,004号明細書に記載されており、これらの参考文献は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。別の変形例は、椎弓根スクリュの球面状ヘッドに対して付勢する阻止用リングまたは座部を有する、そのような阻止を可能にするMedtronic(商標)CD Horizon Solera椎弓根スクリュシステムである。要素326上の脊椎ロッド7に対するセットスクリュ3の下向きの圧力により、骨アンカー42とヘッド322との間の角度位置が阻止される。そのような変形例では、溝325の脊椎ロッド対向側を形成するスクリュヘッド322の表面、および脊椎ロッド7に面する座部の表面は、例えば、表面が互いに同一平面上にあり、実質的に半円筒形であり、上述したように中心軸線HA2から半径方向延伸部に曲率を有するように連続的に整えることができ、脊椎ロッド7が軸線HA2に対して斜めである場合でも、脊椎ロッド7に面するか、さもなければ接触する鋭利な縁部が確実に存在しないようにする。例えば、要素326の面は、
図6Cの横断面図で縁部329に見られる平坦面を有することができ、次いで、圧縮状態で、脊椎ロッド7が要素326を押し下げると、例えば要素326の縁部の曲率半径がU字形の溝の表面の隣接領域と一致し、表面が互いに整列するように、ロッド7に面するU字形の溝325の表面およびロッド7に面する要素326の表面が連続するように、縁部327に向かって内側外側セクションで湾曲する。
【0037】
[0042]本発明は、特定の好ましい実施形態を参照して開示されているが、本発明の領域および範囲から逸脱することなく、記載された実施形態に対する多数の修正、変更、および変化、ならびにそれらの均等物が可能である。したがって、本発明は、記載された実施形態に限定されず、添付の特許請求の範囲の文言に従って最も広い合理的な解釈が与えられることが意図される。
【国際調査報告】