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特表2022-527271三次元印刷製品の自動位置決め加工システム
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  • 特表-三次元印刷製品の自動位置決め加工システム 図1
  • 特表-三次元印刷製品の自動位置決め加工システム 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-01
(54)【発明の名称】三次元印刷製品の自動位置決め加工システム
(51)【国際特許分類】
   B22F 10/66 20210101AFI20220525BHJP
   B23Q 17/22 20060101ALI20220525BHJP
   B23Q 11/10 20060101ALI20220525BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20220525BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20220525BHJP
   B29C 64/245 20170101ALI20220525BHJP
   A61C 13/00 20060101ALI20220525BHJP
   B22F 12/82 20210101ALI20220525BHJP
   B29C 64/379 20170101ALI20220525BHJP
   B33Y 40/20 20200101ALI20220525BHJP
   B33Y 70/00 20200101ALI20220525BHJP
   A61C 13/08 20060101ALN20220525BHJP
【FI】
B22F10/66
B23Q17/22 Z
B23Q11/10 F
B33Y10/00
B33Y30/00
B29C64/245
A61C13/00 Z
B22F12/82
B29C64/379
B33Y40/20
B33Y70/00
A61C13/08
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021557233
(86)(22)【出願日】2020-03-27
(85)【翻訳文提出日】2021-09-24
(86)【国際出願番号】 IB2020052896
(87)【国際公開番号】W WO2020194247
(87)【国際公開日】2020-10-01
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520303911
【氏名又は名称】香港科能有限公司
【氏名又は名称原語表記】KOLN HONG KONG LIMITED
【住所又は居所原語表記】Flat/Rm G01DA, G/F, Photonics Centre, No.2 Science Park East Avenue, Hong Kong Science Park, Shatin, NT Hong Kong (HK)
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】丘栄豊
(72)【発明者】
【氏名】麦思爾
【テーマコード(参考)】
3C029
4F213
4K018
【Fターム(参考)】
3C029AA01
4F213WA25
4F213WB01
4F213WL02
4F213WL55
4F213WL73
4F213WW24
4K018AA06
4K018AA10
4K018AA33
4K018BA03
4K018BA04
4K018BA17
4K018CA44
4K018EA51
4K018EA60
4K018FA06
4K018KA70
(57)【要約】
本発明は、三次元印刷製品の自動位置決め加工システムを提供し、三次元印刷完了後の製品が後続加工工程を行う装置に移送されても、対応の装置は、基準部材によって、製品のX、Y、Zの3つの軸を迅速に位置決めでき、加工工程を完了させ、かつ加工精度を向上させることができる。特に、人工骨、インプラント、手術加工工具などの不規則な形状を有する製品に適用し、機械の自動測位で処理を完了し、高精度の生物学的印刷造形製品の加工を実現することができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
三次元印刷製品の自動位置決め加工システム、製品(1)又は製品(1)を固定する台座(2)に、後続加工工程に製品(1)を位置決めするための基準部材(3)が設けられ、三次元印刷製品(1)の後続加工工程は、
(a)製品(1)又は製品(1)を固定した台座(2)が加工装置に取り付けられるステップと、
(b)加工装置は、基準部材(3)によって、製品(1)を位置決めして後続加工を行うステップとを含む、ことを特徴とする三次元印刷製品の自動位置決め加工システム。
【請求項2】
前記後続加工工程は、切断、磨き、研磨及び艶出しを含む、ことを特徴とする請求項1に記載の三次元印刷製品の自動位置決め加工システム。
【請求項3】
前記基準部材(3)は、三次元印刷によって、製品(1)又は台座(2)の表面に基準軸を形成する、ことを特徴とする請求項1に記載の三次元印刷製品の自動位置決め加工システム。
【請求項4】
前記基準軸は、後続加工工程の最後の工程において位置決めした後、前記工程に基準軸を除去する、ことを特徴とする請求項3に記載の三次元印刷製品の自動位置決め加工システム。
【請求項5】
前記基準軸は、製品(1)の外表面の凸面に設けられる、ことを特徴とする請求項3に記載の三次元印刷製品の自動位置決め加工システム。
【請求項6】
前記基準軸が設置される位置は、製品(1)の重心と同軸にする、ことを特徴とする請求項3又は請求項5に記載の三次元印刷製品の自動位置決め加工システム。
【請求項7】
前記後続加工工程に使用される加工冷却媒体は、製品(1)又は切削工具に高速噴出するガス化した二酸化炭素である、ことを特徴とする請求項2に記載の三次元印刷製品の自動位置決め加工システム。
【請求項8】
前記製品(1)の材料は、チタン合金、コバルトクロム合金又はステンレス鋼である、ことを特徴とする請求項2に記載の三次元印刷製品の自動位置決め加工システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療機器の製造技術分野に属し、より詳しくは、三次元印刷技術を使用して医療機器の製造を容易にする自動位置決め加工システムに関する。
【背景技術】
【0002】
使用要件を満たすためには、完成された三次元印刷の金属製品に対し、支持部材の除去、磨き、研磨及び艶出しなどの後続加工工程を行う必要がある。しかし、このような後続加工工程を行う構造は、通常、三次元印刷装置に装備されていない。より高加工精度を実現するために、印刷造形された製品が移送され、対応の装置に後続加工工程を行うことは多い。このような後続加工装置では、加工の基準部材を見つけるように、製品の位置決めを行う必要がある。規則的な形状を有する製品の場合、位置決めを容易に実現できるが、人工骨、インプラント、手術加工工具などの不規則な形状を有する製品の場合、位置決めは困難であり、後続加工工程の加工精度に影響を及ぼすおそれがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は上記の従来技術の問題を鑑みてなされたものであり、後続加工装置が製品を正確に位置決めして加工を行うことができる、三次元印刷製品の自動位置決め加工システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
三次元印刷製品の自動位置決め加工システムであって、製品又は製品を固定する台座に、製品後続加工工程に製品を位置決めするための基準部材が設けられ、三次元印刷製品の後続加工工程は、
(a)製品又は製品を固定した台座が加工装置に取り付けられるステップと、
(b)加工装置は、基準部材によって、製品を位置決めして後続加工を行うステップとを含む、三次元印刷製品の自動位置決め加工システム。
前記後続加工工程は、切断、磨き、研磨及び艶出しを含む。
前記基準部材は、三次元印刷によって、製品又は台座の表面に基準軸を形成する。
前記基準軸は、後続加工工程の最後の工程に位置決められた後、前記工程に基準軸を除去する。
前記基準軸は、製品の外表面の凸面に設けられる。
前記基準軸が設置される位置は、製品の重心と同軸にする。
前記後続加工工程に使用される加工冷却媒体は、製品又は切削工具に高速噴出するガス化した二酸化炭素である。
前記製品の材料は、チタン合金、コバルトクロム合金又はステンレス鋼である。
【発明の効果】
【0005】
本発明の効果は以下である。三次元印刷完了後の製品が後続加工工程を行う装置に移送されても、対応の装置は、基準部材によって、製品のX、Y、Zの3つの軸を迅速に位置決めでき、加工工程を完了させ、かつ加工精度を向上させることができる。特に、人工骨、インプラント、手術加工工具などの不規則な形状を有する製品に適用し、機械の自動測位で処理を完了し、高精度の生物学的印刷造形製品の加工を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
以下、図面を参照しながら、本発明の詳細を説明する。
図1】本発明の構造概念図である。
図2】3種類の異なる設計を採用した基準軸を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図1及び図2に示すように、三次元印刷製品の自動位置決め加工システムは、製品1又は製品1を固定するための台座2に、後続加工工程に製品1を位置決めするための基準部材3を設けている。前記位置決め用の基準部材3は2種類ある。1つは、三次元印刷装置の台座2に設けられることである。その場合、まず、製品1が特殊に製造された台座2に取り付けられ、そして、この特殊に製造された台座2を三次元印刷装置のベースに取り付ける。取付方法は、ネジ又は空気圧バルブによる取付方法を挙げられる。もう1つは、製品1の適切な位置に、1つ又は複数の基準部材3を印刷(造形)する方式であり、基準部材3は、後で取り除いてもよく、取り除かず印刷物(製品)に残しても良い。
【0008】
基準部材3を取り付けた金属三次元印刷製品1の後続加工工程は
(a)製品1又は製品1を固定した台座2が加工装置に取り付けられるステップと
(b)加工装置が基準部材3によって製品1を位置決めし、後続加工を行うステップとを含む。
【0009】
人工骨、インプラント、手術器具などの場合、加工金属の材料は、例えば、チタン合金、コバルトクロム合金、ステンレス鋼などの硬質材料である。基準部材3も、使用中に変形しにくい金属又は高硬度のプラスチックなどの硬質材料であっても良い。
【0010】
基準部材3は、需要に応じて凹部又は凸部として設計されることができる。例えば、三次元印刷装置の台座2の基準部材3が凹部に設計されることで、底板の表面は平坦であり、印刷工程に影響を与えない。これに対して、三次元印刷製品1における基準部材3は、例えば、製品1又は台座2の表面に三次元印刷によって形成された基準軸のような凸部に設計され、形成された基準軸は、加工完成後に取り除くことができる。
【0011】
台座2には、固定装置が設けられ、固定装置によって、台座2が加工装置に固定される。前記固定装置は、ネジ溝や台形溝である。また、台座2は、エアバッグ又は空気吸引ボートを装備することもでき、空気圧バルブを使用して、台座2の下にある空気吸引ボートを介して台座2を真空にして加工装置に固定する。三次元印刷の製品1の基準部材3は、後続加工に取り除く、又は製品1に保留することができる。また、製品1の支持部材軸又は外部印刷基準軸を基準部材3として使用することもできる。後続加工工程において取り除く又は磨き仕上げを容易にするために、基準軸が製品1の凸面に設置されるのが好ましい。三次元印刷の製品1の基準軸は、四角柱、円柱、又は非対称柱である。後続加工工程の装置におけるメカニカルアームの末端に取り付けられるクランプ治具によって、基準軸を固定する。クランプ治具の形状は、基準軸の形状に対応する。加工工程において、製品1に加えられる外力により、製品1が変形する可能性があり、変形の可能性を低減するために、基準軸が製品1の重心と同軸にするように設置される。なお、製品1の長さと幅の比率が比較的極端又は外形が不規則な製品1は、位置決めを行うために、複数の基準軸を使用しても良い。
【0012】
次に、後続の加工工程の詳細について説明する。装置には、製品コンポーネントの台座2及び基準軸をそれぞれ固定するための2つのメカニカルアームと、加工切削工具を備えるメカニカルアームとが設けられ、前記加工切削工具を備えるメカニカルアームは、基準軸固定用のメカニカルアームによって決められた位置に基づいて製品1の外形にしたがって精密加工を行う。実際の工程には、メカニカルアームによって、製品コンポーネントと底板を三次元印刷装置から後続加工装置へと移送して精密加工を行い、精密加工が完了した後、メカニカルアームは、再び、製品コンポーネントと台座2を後続加工装置から三次元印刷装置に戻し、三次元印刷造形を続いて行う方式1であって、それぞれの装置とメカニカルアームが備える位置決め装置と基準軸によって位置決めしているので、製品コンポーネントを移送後に再度位置決めする必要がない方式1と、製品コンポーネントを移送せず、メカニカルアームが後続加工装置から三次元印刷装置にまで延伸し、製品コンポーネントに対して直接精密加工を行う方式2と、方式1と方式2とを組合せる方式3などの複数の方式によって行われることができる。
【0013】
次に、台座2の基準部材/基準軸を取り外す工程の詳細について説明する。装置には設けられる少なくとも2つのメカニカルアームによって、製品コンポーネントの台座2及び基準部材/基準軸を固定し、加工切削工具を備えるメカニカルアームによって、製品1の基準部材/基準軸切断に従って切削して、台座2から分離(切り離し)する。
【0014】
次に、製品1の磨き仕上げ工程の詳細について説明する。メカニカルアームには、磨き仕上げ工具が取り付けられており、製品1の基準軸に接続されるメカニカルアームと連携して製品1の切断面及び他の表面に対して磨き、研磨、及び艶出しを行う。プログラムによって、図面とデジタルファイルに従って印刷造形品を滑らかな弧面に磨き仕上げする。
【0015】
製品コンポーネントに複数の基準部材又は基準軸を設ける場合、精密な加工及び磨き仕上げ工程を行うために、需要に応じて基準部材又は基準軸を交互に取り外すように制御しても良い。
【0016】
製品1の造形品に基準軸を保留する場合、後続加工工程で完了する。保留する必要がない場合、製品1上の最後の基準軸を取り外す。具体的には、基準軸が必要な製品1の表面を磨き仕上げすることに邪魔である場合、又は基準軸が切断して取り外す必要がある場合、メカニカルアームは、クランプ治具と連携して製品1の反対側を挟持して製品1を固定する。もともと基準軸を固定するメカニカルアームが基準軸を解放し、切断切削工具を備えるメカニカルアームによって基準軸を切断して除去する。
【0017】
以下、三次元印刷の支持部材設計ソフトウェアの詳細について説明する。金属三次元印刷の支持部材設計ソフトウェアは、以下のステップを実行する。まず、三次元印刷装置の切削工具が加工する途中の理想的な位置に製品1を配置し、そして、最も磨かれる表面を上向きにすることを原則とする。配置された基準部材の位置は、磨かれる表面を邪魔にならないこととし、基準部材の大きさは、製品1の重量に比例して設計されており、印刷の支持部材は最も少なく、かつ印刷時間を節約するように設計されている。
【0018】
以下、生物学的な製品の磨き仕上げについて説明する。従来の金属切削、磨き、艶出しなどの加工は、切削液を利用して製品1又は切削工具を冷却する必要がある。しかし、生物学的な製品の場合、切削液が切削液を汚染する可能性があり、冷却するために適切な媒体を選択する必要がある。本発明は、室温での低温固体二酸化炭素の高圧放出方式を採用し、ノズルを介して加工領域にガス化二酸化炭素を高速噴出することで冷却を行うため、ガス化二酸化炭素による生物学的な製品への汚染がない。
図1
図2
【国際調査報告】