(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-01
(54)【発明の名称】FMS様チロシンキナーゼ3リガンド(FLT3L)ベースキメラタンパク質
(51)【国際特許分類】
C12N 15/62 20060101AFI20220525BHJP
A61K 38/17 20060101ALI20220525BHJP
A61K 38/19 20060101ALI20220525BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20220525BHJP
A61P 31/00 20060101ALI20220525BHJP
A61P 37/02 20060101ALI20220525BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20220525BHJP
A61P 9/00 20060101ALI20220525BHJP
A61P 17/02 20060101ALI20220525BHJP
A61P 9/10 20060101ALI20220525BHJP
A61P 3/00 20060101ALI20220525BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20220525BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20220525BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20220525BHJP
A61P 13/12 20060101ALI20220525BHJP
A61P 1/04 20060101ALI20220525BHJP
A61P 25/08 20060101ALI20220525BHJP
A61P 1/16 20060101ALI20220525BHJP
A61P 5/18 20060101ALI20220525BHJP
A61P 21/00 20060101ALI20220525BHJP
A61P 27/16 20060101ALI20220525BHJP
A61P 37/06 20060101ALI20220525BHJP
A61P 7/06 20060101ALI20220525BHJP
A61P 19/02 20060101ALI20220525BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20220525BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20220525BHJP
A61P 21/04 20060101ALI20220525BHJP
A61K 47/62 20170101ALI20220525BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20220525BHJP
A61K 38/20 20060101ALI20220525BHJP
A61K 38/21 20060101ALI20220525BHJP
C07K 19/00 20060101ALI20220525BHJP
C12N 1/15 20060101ALI20220525BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20220525BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20220525BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20220525BHJP
C07K 14/56 20060101ALI20220525BHJP
C07K 14/565 20060101ALI20220525BHJP
C07K 14/545 20060101ALI20220525BHJP
【FI】
C12N15/62 Z
A61K38/17
A61K38/19
A61P35/00
A61P31/00
A61P37/02
A61P25/28
A61P9/00
A61P17/02
A61P9/10
A61P3/00
A61P35/02
A61P25/00
A61P3/10
A61P13/12
A61P1/04
A61P25/08
A61P1/16
A61P5/18
A61P21/00
A61P27/16
A61P37/06
A61P7/06
A61P19/02
A61P29/00 101
A61P29/00
A61P17/00
A61P21/04
A61K47/62
A61P43/00 107
A61K38/20
A61K38/21
C07K19/00 ZNA
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C07K14/56
C07K14/565
C07K14/545
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021558523
(86)(22)【出願日】2020-03-27
(85)【翻訳文提出日】2021-11-25
(86)【国際出願番号】 US2020025419
(87)【国際公開番号】W WO2020198659
(87)【国際公開日】2020-10-01
(32)【優先日】2019-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521437068
【氏名又は名称】オリオニス バイオサイエンシズ,インコーポレイテッド
(71)【出願人】
【識別番号】518275408
【氏名又は名称】ブイアイビー ブイゼットダブリュー
(71)【出願人】
【識別番号】516003702
【氏名又は名称】ユニバーシテイト ヘント
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】クレイ,ニコライ
(72)【発明者】
【氏名】タヴァーニアー,ジャン
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン パリス,アレクサンダー
【テーマコード(参考)】
4B065
4C076
4C084
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA01X
4B065AA57X
4B065AA83X
4B065AA90X
4B065AA90Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
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4B065CA44
4C076AA95
4C076CC01
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4C076CC14
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4C076CC21
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4C076CC27
4C076CC31
4C076FF67
4C084AA01
4C084AA02
4C084BA01
4C084BA08
4C084BA41
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4C084ZB07
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4C084ZC35
4H045AA10
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA41
4H045CA40
4H045DA03
4H045DA16
4H045DA17
4H045FA74
(57)【要約】
ヒトサイトカインに融合されたFMS様チロシンキナーゼ3L(FLT3L)が記載される。これは、例えば、癌治療において使用される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)FMS様チロシンキナーゼ3リガンド(FLT3L)、またはその一部の単一コピーを含むターゲティング部分;
(ii)要素(i)および(iii)を連結する1個または複数のフレキシブルリンカー;および
(iii)シグナル伝達物質またはその改変型、
を含むキメラタンパク質。
【請求項2】
前記ターゲティング部分が、配列番号1の切り詰め型であるアミノ酸配列を含む、請求項1に記載のキメラタンパク質。
【請求項3】
前記ターゲティング部分が、FLT3Lの細胞外ドメイン、またはその一部を含む、請求項1または2に記載のキメラタンパク質。
【請求項4】
前記ターゲティング部分が、FLT3Lの細胞外ドメインを含む、請求項1~3のいずれか1項に記載のキメラタンパク質。
【請求項5】
前記ターゲティング部分が、配列番号2~5のいずれか1つと少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項4に記載のキメラタンパク質。
【請求項6】
前記ターゲティング部分が、配列番号2~5のいずれか1つと少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項5に記載のキメラタンパク質。
【請求項7】
前記ターゲティング部分が、配列番号2~5のいずれか1つと少なくとも97%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項5に記載のキメラタンパク質。
【請求項8】
前記シグナル伝達物質が、野生型ヒトIFNα2、IFNβ、またはIL1βである、請求項1~7のいずれか1項に記載のキメラタンパク質。
【請求項9】
前記シグナル伝達物質が、配列番号6、7、38、または39のいずれか1つと少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項1~8のいずれか1項に記載のキメラタンパク質。
【請求項10】
前記シグナル伝達物質が、配列番号6、7、38、または39のいずれか1つのアミノ酸配列を含む、請求項1~9のいずれか1項に記載のキメラタンパク質。
【請求項11】
前記シグナル伝達物質が、1個または複数の変異を含むように改変される、請求項1~10のいずれか1項に記載のキメラタンパク質。
【請求項12】
前記1個または複数の変異が、野生型シグナル伝達物質に比べて改善された安全性を付与する、請求項11に記載のキメラタンパク質。
【請求項13】
前記1個または複数の変異が、シグナル伝達物質の受容体に対する低減された親和性を付与する、請求項11に記載のキメラタンパク質。
【請求項14】
前記1個または複数の変異が、シグナル伝達物質の受容体に対する低減された生物活性を付与する、請求項11に記載のキメラタンパク質。
【請求項15】
前記1個または複数の変異が、前記シグナル伝達物質の活性の減弱化を可能にする、請求項11~14のいずれか1項に記載のキメラタンパク質。
【請求項16】
前記シグナル伝達物質のアゴニストまたはアンタゴニスト活性が、減弱化される、請求項15に記載のキメラタンパク質。
【請求項17】
前記改変シグナル伝達物質が、アゴニスト活性からアンタゴニスト活性にその活性を変換する1個または複数の変異を含む、請求項11~16のいずれか1項に記載のキメラタンパク質。
【請求項18】
前記1個または複数の変異が、1個または複数のターゲティング部分への付着により回復可能である低減された親和性または活性を付与する、請求項11~17のいずれか1項に記載のキメラタンパク質。
【請求項19】
前記1個または複数の変異が、ターゲティング部分への付着により実質的に回復可能でない低減されたまたは除去された親和性または活性を付与する、請求項11~18のいずれか1項に記載のキメラタンパク質。
【請求項20】
前記シグナル伝達物質が、配列番号6または7と少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を含む変異体ヒトIFNα2でありかつ前記変異体ヒトIFNα2が、配列番号6または7のアミノ酸配列を有する野生型IFNα2に比べて改善された安全性を付与する1個または複数の変異を有する、請求項1~19のいずれか1項に記載のキメラタンパク質。
【請求項21】
ヒトIFNα2が、配列番号6または7を基準にして位置144~154に1個または複数の変異を有する、請求項20に記載のキメラタンパク質。
【請求項22】
前記ヒトIFNα2が、配列番号6または7を基準にして位置L15、A19、R22、R23、L26、F27、L30、K31、D32、R33、H34、D35、Q40、H57、E58、Q61、F64、N65、T69、L80、Y85、Y89、D114、L117、R120、R125、K133、K134、R144、A145、M148、R149、S152、L153、およびN156に1個または複数の変異を有する、請求項21に記載のキメラタンパク質。
【請求項23】
前記変異体ヒトIFNα2が、配列番号6または7を基準にして位置R33、T106、R144、A145、M148、R149、およびL153に1個または複数の変異を有する、請求項21に記載のキメラタンパク質。
【請求項24】
前記変異が、配列番号6または7を基準にしてL15A、A19W、R22A、R23A、L26A、F27A、L30A、L30V、K31A、D32A、R33K、R33A、R33Q、H34A、D35A、Q40A、H57Y、E58N、Q61S、F64A、N65A、T69A、L80A、Y85A、Y89A、D114R、L117A、R120A、R125A、K133A、K134A、R144A、A145G、A145M、M148A、R149A、S152A、L153A、およびN156Aの1個または複数である、請求項22に記載のキメラタンパク質。
【請求項25】
前記変異体ヒトIFNα2が、配列番号6または7のアミノ酸配列を基準にしてR33A、T106X
3、R120E、R144X
1、A145X
2、M148A、R149A、およびL153Aから選択される1個または複数の変異を有し、X
1が、A、S、T、Y、L、およびIから選択され、X
2が、G、H、Y、K、およびDから選択され、かつX
3が、AおよびEから選択される、請求項23に記載のキメラタンパク質。
【請求項26】
前記シグナル伝達物質が、配列番号38と少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を含む変異体ヒトIFNβでありかつ前記変異体ヒトIFNβが、配列番号38のアミノ酸配列を有する野生型IFNβに比べて、改善された安全性を付与する1個または複数の変異を有する、請求項1~19のいずれか1項に記載のキメラタンパク質。
【請求項27】
前記変異が、配列番号38のアミノ酸配列を基準にしてW22G、R27G、L32A、L32G、R35A、R35G、V148G、L151G、R152A、R152Gの1個または複数である、請求項26に記載のキメラタンパク質。
【請求項28】
前記シグナル伝達物質が、配列番号39と少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を含む変異体ヒトIL1βでありかつ前記変異体ヒトIL1βが、配列番号39のアミノ酸配列を有する野生型IL1βに比べて改善された安全性を付与する1個または複数の変異を有する、請求項1~19のいずれか1項に記載のキメラタンパク質。
【請求項29】
前記変異が、配列番号39のアミノ酸配列を基準にしてA117G/P118G、R120G、R120A、L122A、T125G/L126G、R127G、Q130A、Q130W、Q131G、K132A、S137G/Q138Y、L145G、H146A、H146G、H146E、H146N、H146R、L145A/L147A、Q148E、Q148G、Q148L、Q148G/Q150G、Q150G/D151A、M152G、F162A、F162A/Q164E、F166A、Q164E/E167K、N169G/D170G、I172A、V174A、K208E、K209A、K209D、K209A/K210A、K219S、K219Q、E221S、E221K、E221S/N224A、N224S/K225S、E244K、およびN245Qの1個または複数である、請求項28に記載のキメラタンパク質。
【請求項30】
前記ターゲティング部分が、任意選択で樹状細胞である、免疫細胞に対し向けられる、請求項1~29のいずれか1項に記載のキメラタンパク質。
【請求項31】
前記樹状細胞が、任意選択でcDC-1、遊走性DC、およびFlt3+DCである、従来型樹状細胞(cDC)である、請求項30に記載のキメラタンパク質。
【請求項32】
前記ターゲティング部分が、造血幹細胞(HSC)、早期前駆細胞、未成熟胸腺細胞、または定常状態樹状細胞(DC)に向けられる、請求項31に記載のキメラタンパク質。
【請求項33】
前記ターゲティング部分が、目的の前記抗原または受容体を機能的に調節する、請求項1~32のいずれか1項に記載のキメラタンパク質。
【請求項34】
前記ターゲティング部分が、目的の前記抗原または受容体を結合するが機能的に調節しない、請求項1~33のいずれか1項に記載のキメラタンパク質。
【請求項35】
前記ターゲティング部分が、腫瘍細胞にまたは腫瘍微小環境に免疫細胞を直接的または間接的に動員する、請求項1~34のいずれか1項に記載のキメラタンパク質。
【請求項36】
前記ターゲティング部分が、樹状細胞の数を増大させる、請求項1~35のいずれか1項に記載のキメラタンパク質。
【請求項37】
前記ターゲティング部分が、任意選択で樹状細胞により、腫瘍抗原提示を強化する、請求項1~36のいずれか1項に記載のキメラタンパク質。
【請求項38】
2個のターゲティング部分を含み、これらは同一であるかまたは同一でない、請求項1~37のいずれか1項に記載のキメラタンパク質。
【請求項39】
追加のシグナル伝達物質を含む、請求項1~38のいずれか1項に記載のキメラタンパク質。
【請求項40】
2種のシグナル伝達物質を含む、請求項1~39のいずれか1項に記載のキメラタンパク質。
【請求項41】
前記フレキシブルリンカーが、グリシンおよびセリン残基から実質的になる、請求項1~40のいずれか1項に記載のキメラタンパク質。
【請求項42】
前記フレキシブルリンカーが(Gly
4Ser)
nを含み、nは約1~約8である、請求項1~41のいずれか1項に記載のキメラタンパク質。
【請求項43】
前記フレキシブルリンカーが、配列番号10~配列番号17の1つまたは複数を含む、請求項1~42のいずれか1項に記載のキメラタンパク質。
【請求項44】
前記タンパク質が、二量体である、請求項1~43のいずれか1項に記載のキメラタンパク質。
【請求項45】
前記タンパク質が、非共有結合的に連結された二量体である、請求項44に記載のキメラタンパク質。
【請求項46】
配列番号9、またはそれに少なくとも約90%、95%、97%、98%、または99%の同一性を有するバリアントのアミノ酸配列を含む、請求項1~45のいずれか1項に記載のキメラタンパク質。
【請求項47】
請求項1~46のいずれか1項に記載の1種または複数のキメラタンパク質をコードする組換え核酸組成物。
【請求項48】
請求項47に記載の核酸を含む宿主細胞。
【請求項49】
前記キメラタンパク質が、癌、感染症、免疫異常、自己免疫疾患および/または神経変性疾患、心臓血管疾患、創傷、虚血関連疾患、および/または代謝疾患の1種または複数を有する患者における使用のために好適である、請求項1~46のいずれか1項に記載のキメラタンパク質。
【請求項50】
癌を治療するまたは予防するための方法であって、それを必要としている患者に請求項1~46のいずれかに記載のキメラタンパク質の有効量を投与することを含む、方法。
【請求項51】
前記癌が、基底細胞癌、胆道癌;膀胱癌;骨癌;脳および中枢神経系癌;乳癌;腹膜の癌;子宮頸癌;絨毛癌;結腸および直腸癌;結合組織癌;消化器系の癌;子宮内膜癌;食道癌;眼癌;頭頸部の癌;胃癌(胃腸癌を含む);神経膠芽腫;肝癌;ヘパトーマ;上皮内腫瘍;腎臓癌または腎性癌(kidney or renal cancer);喉頭癌;白血病;肝臓癌;肺癌(例えば、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺腺癌、および肺扁平上皮癌);黒色腫;骨髄腫;神経芽腫;口腔癌(唇、舌状、舌、口内、および咽頭);卵巣癌;膵臓癌;前立腺癌;網膜芽細胞腫;横紋筋肉腫;直腸癌;呼吸器系癌;唾液腺癌腫;肉腫(例えば、カポジ肉腫);皮膚癌;扁平上皮細胞癌;胃癌;精巣癌;甲状腺癌;子宮または子宮内膜癌;泌尿器系の癌;外陰癌;ホジキンリンパ腫および非ホジキンリンパ腫;ならびにB細胞リンパ腫を含むリンパ腫(低悪性度/濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL)を含む);小リンパ球性(SL)NHL;中悪性度/濾胞性NHL;中悪性度びまん性NHL;高悪性度免疫芽細胞NHL;高悪性度リンパ芽球性NHL;高悪性度小型非切れ込み核細胞性NHL;巨大腫瘤病変NHL;マントル細胞リンパ腫;エイズ関連リンパ腫;およびワルデンシュトレームマクログロブリン血症;慢性リンパ性白血病(CLL);急性リンパ性白血病(ALL);毛様細胞性白血病;慢性骨髄芽球性白血病;ならびに他の癌腫および肉腫;および移植後リンパ増殖性疾患(PTLD);ならびに母斑症に関連する異常血管増殖;浮腫(例えば脳腫瘍に関連するもの);およびメグズ症候群の1種または複数から選択される、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記癌が、急性骨髄性白血病(AML)である、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
自己免疫疾患および/または神経変性疾患を治療するまたは予防するための方法であって、それを必要としている患者に請求項1~46のいずれかに記載のキメラタンパク質の有効量を投与することを含む、方法。
【請求項54】
前記自己免疫疾患および/または神経変性疾患が、多発性硬化症、糖尿病、ループス、セリアック病、クローン病、潰瘍性大腸炎、ギラン・バレー症候群、強皮症、グッドパスチャー症候群、ウェゲナー肉芽腫症、自己免疫性てんかん、ラスムッセン脳炎、原発性硬化性胆管炎、硬化性胆管炎、自己免疫性肝炎、アジソン病、橋本甲状腺炎、線維筋痛症、メニエール症候群(Menier’s syndrome)、移植拒絶反応(例えば、同種移植片拒絶の防止)、悪性貧血、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、皮膚筋炎、シェーグレン症候群、紅斑性狼瘡、重症筋無力症、ライター症候群、およびグレーブス病から選択される、請求項53に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年3月28日に出願された米国特許仮出願第62/825,579号の利益および優先権を主張する。この仮出願の内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
発明の分野
シグナル伝達物質、例えば、限定されないが、ヒトIFNα2、IFNβ、およびIL1β、に融合されたFMS様チロシンキナーゼ3リガンド(FLT3L)が記載され、これは、例えば、癌治療に使用される。
【0003】
配列表
本出願は、EFS-Webを経由してASCIIフォーマットで申請された配列表を含み、この配列表は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。2020年3月23日に作成された上記ASCIIコピーは、ORN-062PC_A_Sequence_Listing_ST25.txtと命名され、28,672バイトのサイズである。
【背景技術】
【0004】
FMS様チロシンキナーゼ3(FLT3)は、多くの造血前駆細胞の表面上で発現される。FLT3のシグナル伝達は、造血幹細胞および前駆細胞の正常な発生に重要である。FLT3遺伝子は、急性骨髄性白血病(AML)において最も高頻度に変異される遺伝子の1つである。さらに、FMS様チロシンキナーゼ3リガンド(FLT3L)剤は、免疫系の刺激に、例えば、樹状細胞の数を変えるのに使用される。
【0005】
サイトカインは、細胞の成長および分化を調節できる天然起源物質である。サイトカインは、例えば、代謝、呼吸、睡眠、排泄、治癒、運動、生殖作用、気分、ストレス、組織機能、免疫機能、感覚認知、および成長および発生を含む種々の生理学的過程で重要な役割を果たす。
【0006】
臨床的には、サイトカインは、例えば、癌を含む種々の疾患および障害の治療に適用できるように見えるであろう。しかし、これらの可溶性物質の投与は、リスクがないわけではない。サイトカインの治療的使用は多くの場合、全身毒性および有害な副作用と関連し、従ってこれらの薬剤を使用できる投与レベルを制限する。
【発明の概要】
【0007】
従って、いくつかの態様では、本発明は、FMS様チロシンキナーゼ3リガンド(FLT3L)またはその一部の単一コピーを含むターゲティング部分を含むキメラタンパク質に関する。種々の実施形態では、ターゲティング部分は、目的の抗原または受容体を機能的に調節する。いくつかの実施形態では、ターゲティング部分は、目的の抗原または受容体を結合するが機能的に調節しない。いくつかの実施形態では、ターゲティング部分は、FLT3Lの細胞外ドメイン、またはそのそれぞれの一部の単一コピーを含む。本発明の実施形態によるキメラタンパク質はまた、シグナル伝達物質またはその改変型、本明細書に記載のシグナル伝達物質、例えば、限定されないが、ヒトIFNα2、IFNβ、およびIL1βを含む。キメラタンパク質はまた、キメラタンパク質とシグナル伝達物質を連結する1個または複数のフレキシブルリンカーを含む。
【0008】
いくつかの実施形態では、シグナル伝達物質は、本明細書に記載の野生型シグナル伝達物質、例えば、限定されないが、ヒトIFNα2、IFNβ、およびIL1βであり得る。他の実施形態では、シグナル伝達物質は、1個または複数の変異を含むように改変されてよい。シグナル伝達物質中に導入された1個または複数の変異は、非改変(例えば、野生型)シグナル伝達物質を有するキメラタンパク質に比べて、キメラタンパク質に対し種々の改善された特性を付与できる。例えば、シグナル伝達物質は、本明細書に記載の野生型シグナル伝達物質、例えば、限定されないが、ヒトIFNα2、IFNβ、およびIL1βに比べて、改善された安全性を付与する1個または複数の変異を有する本明細書に記載の変異体ヒトシグナル伝達物質、例えば、限定されないが、ヒトIFNα2、IFNβ、およびIL1βであり得る。種々の実施形態では、1個または複数の変異は、野生型シグナル伝達物質に比べて改善された安全性、シグナル伝達物質の受容体に対する低減された親和性、またはシグナル伝達物質の受容体に対する低減された生物活性を付与できる。いくつかの実施形態では、1個または複数の変異は、シグナル伝達物質の活性化の減弱化を可能にし、例えば、シグナル伝達物質のアゴニスト活性またはアンタゴニスト活性が減弱化され得る。いくつかの実施形態では、改変シグナル伝達物質の1個または複数の変異は、シグナル伝達物質の活性をアゴニスト活性からアンタゴニスト活性に変換する。種々の実施形態では、変異は、1個または複数のターゲティング部分に結合することにより回復可能である、低減された親和性または活性を付与する。さらに、種々の実施形態では、変異は、ターゲティング部分への付着により実質的に回復可能でない、低減または除去された親和性または活性を付与する。
【0009】
種々の実施形態では、ターゲティング部分は、免疫細胞に向けられ、それにより、腫瘍細胞にまたは腫瘍微小環境に免疫細胞を直接的または間接的に動員する。免疫細胞の非限定的例は、樹状細胞、T細胞、B細胞、マクロファージ、好中球、骨髄派生サプレッサー細胞、またはNK細胞を含む。いくつかの実施形態では、ターゲティング部分は、造血幹細胞(HSC)、早期前駆細胞、未成熟胸腺細胞、または定常状態樹状細胞(DC)に向けられる。いくつかの実施形態では、標的化は、従来型樹状細胞(cDC)、または形質細胞様樹状細胞(pDC)などの、樹状細胞に対するものである。いくつかの実施形態では、標的化は、場合によりcDC-1、遊走性DC、およびFlt3+DCである、cDCに対するものである。いくつかの実施形態では、ターゲティング部分は、樹状細胞の数を増大させ得る。いくつかの実施形態では、本発明のターゲティング部分は、必要に応じ樹状細胞により、腫瘍抗原提示を強化する。
【0010】
種々の実施形態では、本発明のキメラタンパク質は、癌、感染症、免疫異常、自己免疫疾患、および/または神経変性疾患、心臓血管疾患、創傷、虚血関連疾患、代謝疾患および/または多くの他の疾患および障害の1種または複数などの種々の疾患または障害を有する患者において使用される。本発明は、疾患および障害、例えば、種々のタイプの癌および自己免疫疾患および/または神経変性疾患を治療するおよび予防する種々の方法を包含する。いくつかの実施形態では、癌は、急性骨髄性白血病(AML)である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】緩衝液またはFlt3L-AcTaferon(すなわち、Flt3L ECDとIFNα2、R149A変異体のキメラ)で治療後のヒト化マウスにおける腫瘍増殖曲線を示す。時点毎の5または6匹の動物の平均値(mm
3単位)(+SEM)がプロットされている。
【
図2】精製FLT3L-AFN(暗線)のSEC(サイズ排除クロマトグラフィー)プロファイルである。タンパク質マーカーを灰色線で示す。
【
図3】SECカラムの画分2、3、4の還元条件下でのSDS-PAGEゲルである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
いくつかの態様では、FMS様チロシンキナーゼ3リガンド(FLT3L)またはその一部の単一コピーを含むターゲティング部分を含むキメラタンパク質が、提供される。キメラタンパク質はまた、野生型シグナル伝達物質またはその改変型を含み、シグナル伝達物質は、本明細書に記載の1種のシグナル伝達物質、例えば、限定されないが、ヒトIFNα2、IFNβ、およびIL1βであり、これらは、種々の実施形態では、野生型のヒト型または変異体型であり得る。キメラタンパク質では、1個または複数のフレキシブルリンカーが、ターゲティング部分とシグナル伝達物質を連結する。
【0013】
いくつかの実施形態では、ターゲティング部分は、FLT3Lの一部の単一コピーを含む。他の実施形態では、ターゲティング部分は、FLT3Lの細胞外ドメイン、またはその一部の単一コピーを含む。いくつかの実施形態では、ターゲティング部分は、配列番号1の切り詰め型であるアミノ酸配列を含む。配列番号1(Flt3L完全長)のアミノ酸配列は、
【化1】
であり、太字=リーダー配列、下線文字:受容体結合ドメインの一部ではない細胞外領域、イタリック体文字=膜貫通および細胞内ドメイン。
【0014】
いくつかの実施形態では、ターゲティング部分は、配列番号2~5のいずれか1つと少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列、または配列番号2~5のいずれか1つと少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0015】
いくつかの実施形態では、ターゲティング部分は、配列番号2~5のいずれか1つと少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列、または配列番号2~5のいずれか1つと少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列の単一コピーを含む。
【0016】
配列番号2(成熟Flt3L-ec(細胞外ドメイン))のアミノ酸配列は、下記である:
TQDCSFQHSPISSDFAVKIRELSDYLLQDYPVTVASNLQDEELCGGLWRLVLAQRWMERLKTVAGSKMQGLLERVNTEIHFVTKCAFQPPPSCLRFVQTNISRLLQETSEQLVALKPWITRQNFSRCLELQCQPDSSTLPPPWSPRPLEATAPTAPQP。
【0017】
配列番号3(成熟Flt3L-ec(細胞外ドメイン)機能、より短いバリアント、市販品(Prospecbio))のアミノ酸配列は、 下記である:
TQDCSFQHSPISSDFAVKIRELSDYLLQDYPVTVASNLQDEELCGGLWRLVLAQRWMERLKTVAGSKMQGLLERVNTEIHFVTKCAFQPPPSCLRFVQTNISRLLQETSEQLVALKPWITRQNFSRCLELQCQPDSSTLPPPWSPRPLEATAPTA。
【0018】
配列番号4(Flt3L-ec(細胞外ドメイン)最小限機能ドメイン(Savvides et al.,2000,Nature Structural Biology)のアミノ酸配列は、下記である:
TQDCSFQHSPISSDFAVKIRELSDYLLQDYPVTVASNLQDEELCGGLWRLVLAQRWMERLKTVAGSKMQGLLERVNTEIHFVTKCAFQPPPSCLRFVQTNISRLLQETSEQLVALKPWITRQNFSRCLELQCQP。
【0019】
配列番号5の第1のシステインで始まり最後のシステインで終わることにより短縮された、成熟Flt3L-ec(細胞外ドメイン)最小限機能ドメイン(Savvides et al.,2000,Nature Structural Biology)のアミノ酸配列は、下記である:
CSFQHSPISSDFAVKIRELSDYLLQDYPVTVASNLQDEELCGGLWRLVLAQRWMERLKTVAGSKMQGLLERVNTEIHFVTKCAFQPPPSCLRFVQTNISRLLQETSEQLVALKPWITRQNFSRCLELQC。
【0020】
いくつかの実施形態では、本発明のキメラタンパク質は、二量体である。いくつかの実施形態では、キメラタンパク質は、非共有結合で連結された二量体である。いくつかの実施形態では、本発明のキメラタンパク質は、配列番号9、またはバリアントに少なくとも約90%、95%、97%、98%、または99%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0021】
いくつかの実施形態では、シグナル伝達物質は、配列番号6、7、38、または39の1つと少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を有するアミノ酸配列を含む、または配列番号6、7、38、または39の1つのアミノ酸配列を含み得る。
【0022】
種々の実施形態では、シグナル伝達物質は1個または複数の変異を有する改変型(例えば、変異型)のシグナル伝達物質である。種々の実施形態では、変異は、改変シグナル伝達物質が、非改変型または非変異型、すなわち、野生型形態のシグナル伝達物質に比べて(例えば、野生型形態と改変(例えば、変異)形態の同じシグナル伝達物質を比較して)低減された結合親和性、低減された内在性活性、および低減された特定の生物活性の1つまたは複数などの1つまたは複数の減弱化された活性を有することを可能にする。種々の実施形態では、変異は、改変シグナル伝達物質が、非改変型または非変異型、例えば、野生型IFNα2、IFNβ、またはIL1βに比較して低減された結合親和性、低減された内因性活性、および低減された特定の生物活性の1つまたは複数などの1つまたは複数の減弱化された活性を有することを可能にする。いくつかの実施形態では、結合または親和性を弱めるまたは低減する変異は、結合または活性を実質的に低減または除去する変異を含む。いくつかの実施形態では、結合または親和性を弱めるまたは低減する変異は、結合または活性を実質的に低減または除去する変異とは異なる。結果として、種々の実施形態では、変異は、シグナル伝達物質が、非変異型、すなわち、野生型シグナル伝達物質に比べて(例えば、野生型形態と改変(例えば、変異)型の同じシグナル伝達物質を比較して)より安全であること、例えば、低減された全身毒性、低減された副作用、および低減されたオフターゲット効果を有することを可能にする。種々の実施形態では、変異は、シグナル伝達物質が、非変異型インターフェロン、例えば、IFNα2、IFNβ、またはIL1βの非変異型配列に比べてより安全であること、例えば、低減された全身毒性、低減された副作用、および低減されたオフターゲット効果を有することを可能にする。
【0023】
種々の実施形態では、シグナル伝達物質は、1つまたは複数のその受容体に対する結合親和性または活性を低減する1個または複数の変異を有するように改変される。いくつかの実施形態では、シグナル伝達物質は、受容体に対する結合親和性または活性を実質的に低減または除去する1個または複数の変異を有するように改変される。いくつかの実施形態では、野生型シグナル伝達物質により与えられる活性は、受容体に対するアゴニズム(例えば、治療の部位での細胞効果の活性化)である。例えば、野生型シグナル伝達物質は、その受容体を活性化し得る。このような実施形態では、変異は、受容体に対する活性化作用を低減または除去するように改変されたシグナル伝達物質をもたらす。例えば、変異は、標的細胞に低減された活性化シグナルを送るように改変されたシグナル伝達物質をもたらし得る、または活性化シグナルが除去され得る。いくつかの実施形態では、野生型シグナル伝達物質により与えられる作用は、受容体に対するアンタゴニズム(例えば、治療の部位での細胞効果の遮断または抑制)である。例えば、野生型シグナル伝達物質は、受容体をアンタゴナイズするまたは阻害し得る。これらの実施形態では、変異は、受容体に対するアンタゴナイズ活性を低減または除去するように改変されたシグナル伝達物質をもたらす。例えば、変異は、標的細胞に低減された阻害シグナルを送るように改変されたシグナル伝達物質をもたらし得る、または阻害シグナルが除去され得る。種々の実施形態では、シグナル伝達物質は、1個または複数の変異に起因してアンタゴニストであり、例えば、アゴニストシグナル伝達物質はアンタゴニストシグナル伝達物質に変換され(例えば、国際公開第2015/007520号に記載のように。この特許の全内容は参照により本明細書に組み込まれる)、このような変換されたシグナル伝達物質は、場合により、1個または複数のその受容体に対し、その結合親和性または活性を低減する、またはその1個または複数の受容体に対し結合親和性または活性を低減または除去する1個または複数の変異も有する。
【0024】
いくつかの実施形態では、受容体に対し低減された親和性または活性は、1つまたは複数のターゲティング部分の結合により回復可能である。他の実施形態では、受容体に対し低減された親和性または活性は、1つまたは複数のターゲティング部分の活性により実質的に回復可能ではない。
【0025】
種々の実施形態では、シグナル伝達物質は、標的細胞に対し活性である。理由は、ターゲティング部分が、実質的な活性化に必要とされる欠損した/不十分な結合(例えば、限定されないが、および/または結合力)を補償するためである。種々の実施形態では、改変シグナル伝達物質は、治療作用部位へ向かう途上では実質的に不活性であり、特異的に標的とされる細胞型に対してその効果を実質的に有し、これにより望ましくない副作用を大きく低減する。
【0026】
いくつかの実施形態では、シグナル伝達物質は、1個の受容体(すなわち、治療受容体)に対する結合または親和性を弱めるまたは低減させる1個または複数の変異および第2の受容体に対する結合または活性を実質的に低減または除去する1個または複数の変異を含み得る。このような実施形態では、これらの変異は、同じまたは異なる位置にあってよい(すなわち、同じ変異または複数の変異)。いくつかの実施形態では、1個の受容体に対し結合および/または活性を低減する変異(単一または複数)は、別の受容体に対し実質的に低減または除去する変異(単一または複数)とは異なる。いくつかの実施形態では、1つの受容体に対し結合および/または活性を低減する変異(単一または複数)は、別の受容体に対し実質的に低減または除去する変異(単一または複数)と同じである。いくつかの実施形態では、本キメラタンパク質は、治療受容体に対し結合および/または活性を弱めしたがってより制御されたオンターゲット治療効果(例えば、野生型シグナル伝達物質に比較して)を可能にする変異および、別の受容体に対する結合および/または活性を実質的に低減または除去し、従って副作用を低減する(例えば、野生型シグナル伝達物質に比べて)変異の両方を有する改変シグナル伝達物質を有する。
【0027】
いくつかの実施形態では、結合または活性の実質的な低減または除去は、ターゲティング部分では実質的に回復できない。いくつかの実施形態では、結合または活性の実質的な低減または除去は、ターゲティング部分を用いて回復可能である。種々の実施形態では、第2の受容体に対する結合または活性の実質的な低減または除去は、他の受容体により媒介される有害作用も防止し得る。あるいは、または加えて、その他の受容体に対する結合または活性の実質的な低減または除去は、治療作用部位から離れて治療キメラタンパク質を隔離するのを低減するまたは無くするので、治療効果を改善させる。例えば、いくつかの実施形態では、これは、他の受容体での損失を補償するための高用量の本発明のキメラタンパク質の必要性を無くする。このような投与量を低減する能力は、さらに副作用の可能性を低くする。
【0028】
種々の実施形態では、改変シグナル伝達物質は、1個または複数のその受容体に対し、シグナル伝達物質に、親和性、例えば、結合(例えば、KD)および/または活性化(例えば、改変シグナル伝達物質がその受容体のアゴニストである場合、例えば、KAおよび/またはEC50として測定可能である)および/または阻害(例えば、改変シグナル伝達物質がその受容体のアンタゴニストである場合、例えば、KIおよび/またはIC50として測定可能である)を低減、実質的に低減、または除去する1個または複数の変異を含む。種々の実施形態では、シグナル伝達物質の受容体に対する低減された親和性は、活性の減弱化(アゴニズムまたはアンタゴニズムを含む)を可能にする。このような実施形態では、改変シグナル伝達物質は、野生型シグナル伝達物質に比較して、受容体に対する約1%、または約3%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、または約10%~20%、約20%~40%、約50%、約40%~60%、約60%~80%、約80%~100%の親和性を有する。
いくつかの実施形態では、結合親和性は、野生型シグナル伝達物質に比べて、少なくとも約2倍低い、約3倍低い、約4倍低い、約5倍低い、約6倍低い、約7倍低い、約8倍低い、約9倍低い、少なくとも約10倍低い、少なくとも約15倍低い、少なくとも約20倍低い、少なくとも約25倍低い、少なくとも約30倍低い、少なくとも約35倍低い、少なくとも約40倍低い、少なくとも約45倍低い、少なくとも約50倍低い、少なくとも約100倍低い、少なくとも約150倍低い、または約10~50倍低い、約50~100倍低い、約100~150倍低い、約150~200倍低い、または200倍超低い(限定されないが、非変異型IFNα2、IFNβ、またはIL1βに対する比較を含む)。
【0029】
キメラタンパク質が1つの受容体に対し結合を低減し、第2の受容体に対し結合を実質的に低減または除去する変異を有するいくつかの実施形態では、1つの受容体に対する改変シグナル伝達物質の結合親和性の減弱または低減は、その他の受容体に対する親和性の実質的低減または除去より小さい。いくつかの実施形態では、1つの受容体に対する改変シグナル伝達物質の結合親和性の減弱または低減は、その他の受容体に対する親和性の実質的低減または除去よりも、約1%、または約3%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、または約95%だけ小さい。種々の実施形態では、実質的な低減または除去は、減弱または低減よりも大きい結合親和性および/または活性の低減を指す。
【0030】
種々の実施形態では、改変シグナル伝達物質は、例えば、野生型シグナル伝達物質に比べて、シグナル伝達物質の内因性活性を、約75%、または約70%、または約60%、または約50%、または約40%、または約30%、または約25%、または約20%、または約10%、または約5%、または約3%、または約1%に低減する1個または複数の変異を含む(限定されないが、非変異型IFNα2、IFNβ、またはIL1βに対する比較を含む)。
【0031】
種々の実施形態では、改変シグナル伝達物質は、本明細書で記載のように、シグナル伝達物質がサイトカイン、成長因子、およびホルモンのいずれか1種の受容体に対する低減された親和性および/または活性を有するようにさせる1個または複数の変異を含む。
【0032】
いくつかの実施形態では、改変シグナル伝達物質は、シグナル伝達物質が、その受容体に対するターゲティング部分の結合親和性より低い、その受容体に対する低減された親和性を有するようにさせる1個または複数の変異を含む。いくつかの実施形態では、この結合親和性の差異は、同じ細胞上のシグナル伝達物質/受容体とターゲティング部分/受容体との間に存在する。いくつかの実施形態では、この結合親和性の差異は、シグナル伝達物質、例えば、変異シグナル伝達物質が、局在化されたオンターゲット効果を有し、かつ野生型シグナル伝達物質で観察される副作用の根底にあるオフターゲット効果を最小化するのを可能にする。いくつかの実施形態では、この結合親和性は、少なくとも約2倍、または少なくとも約5倍、または少なくとも約10倍、または少なくとも約15倍低い、または少なくとも約25倍、または少なくとも約50倍低い、または少なくとも約100倍、または少なくとも約150倍低い。
【0033】
受容体結合活性は、当該技術分野において既知の方法を使用して測定され得る。例えば、親和性および/または結合活性は、スキャッチャードプロット分析および結合データのコンピューターフィッティング(例えば、Scatchard,1949 Annals of the New York Academy of Sciences.51(4):660-672)またはBrecht et al.(1993),Biosens Bioelectron 1993;8:387-392により記載のように、フロースルー条件下で反射型干渉分光法により評価し得る。これらの文献の全内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0034】
いくつかの実施形態では、野生型または改変シグナル伝達物質は、インターフェロンのI型インターフェロンである。いくつかの実施形態では、野生型または改変シグナル伝達物質は、IFNα2、IFNα1、IFNβ、IFNγ、コンセンサスIFN、IFNε、IFNκ、IFNτ、IFNδ、およびIFNνから選択される。
【0035】
いくつかの実施形態では、野生型または改変シグナル伝達物質は、インターフェロンαである。このような実施形態では、改変IFNα2物質は、IFNα/β受容体(IFNAR)、すなわち、IFNAR1および/またはIFNAR2鎖に対する低減された親和性および/または活性を有する。いくつかの実施形態では、改変IFNα2物質は、IFNα/β受容体(IFNAR)、すなわち、IFNAR1および/またはIFNAR2鎖に対し、実質的に低減または除去された親和性および/または活性を有する。
【0036】
変異型のインターフェロンα2は、当業者に既知である。ある例示的実施形態では、改変シグナル伝達物質は、下記のアミノ酸配列を有するアレル型IFNα2aである:
CDLPQTHSLGSRRTLMLLAQMRKISLFSCLKDRHDFGFPQEEFGNQFQKAETIPVLHEMIQQIFNLFSTKDSSAAWDETLLDKFYTELYQQLNDLEACVIQGVGVTETPLMKEDSILAVRKYFQRITLYLKEKKYSPCAWEVVRAEIMRSFSLSTNLQESLRSKE(配列番号6)。
【0037】
ある例示的実施形態では、野生型または改変シグナル伝達物質は、下記のアミノ酸配列を有するアレル型IFNα2bである:
CDLPQTHSLGSRRTLMLLAQMRRISLFSCLKDRHDFGFPQEEFGNQFQKAETIPVLHEMIQQIFNLFSTKDSSAAWDETLLDKFYTELYQQLNDLEACVIQGVGVTETPLMKEDSILAVRKYFQRITLYLKEKKYSPCAWEWRAEIMRSFSLSTNLQESLRSKE(SEQ ID NO:7、これは、アミノ酸位置23でIFNα2aとは異なる)。
【0038】
いくつかの実施形態では、上記IFNα2変異体(IFNα2aまたはIFNα2b)は、位置144~154、例えば、アミノ酸位置148、149および/または153で、1個または複数のアミノ酸の変異が導入されている。いくつかの実施形態では、IFNα2変異体は、L153A、R149A、およびM148Aから選択される1個または複数の変異を含む。このような変異体は、例えば、国際公開第2013/107791号およびPiehlerら、(2000)J.Biol.Chem,275:40425-33に記載されている。これらの文献の全内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0039】
いくつかの実施形態では、IFNα2変異体は、IFNAR1に対する低減された親和性および/または活性を有する。いくつかの実施形態では、国際公開第2010/030671号に記載のように、IFNα2変異体は、F64A、N65A、T69A、L80A、Y85A、およびY89Aから選択される1個または複数の変異を含む。この特許の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0040】
いくつかの実施形態では、国際公開第2008/124086号に記載のように、IFNα2変異体は、K133A、R144A、R149A、およびL153Aから選択される1個または複数の変異を含む。この特許の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0041】
いくつかの実施形態では、国際公開第2015/007520号および国際公開第2010/030671号に記載のように、IFNα2変異体は、R120EおよびR120E/K121Eから選択される1個または複数の変異を含む。これらの特許の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。このような実施形態では、前記IFNα2変異体は、野生型IFNα活性2をアンタゴナイズする。このような実施形態では、上記変異体IFNα2は、IFNAR1に対する低減された親和性および/または活性を有するが、IFNR2に対する活性は保持される。
【0042】
いくつかの実施形態では、ヒトIFNα2変異体は、(1)R120EおよびR120E/K121Eから選択される1個または複数の変異(理論に束縛されることを望むものではないが、これらはアンタゴニスト効果を作り出す)、および(2)K133A、R144A、R149A、およびL153Aから選択される1個または複数の変異(理論に束縛されることを望むものではないが、これらは、例えば、IFNAR2に対する減弱化効果を可能とする)を含む。ある実施形態では、ヒトIFNα2変異体は、R120EおよびL153Aを含む。
【0043】
いくつかの実施形態では、ヒトIFNα2変異体は、国際公開第2013/059885号に開示の、L15A、A19W、R22A、R23A、L26A、F27A、L30A、L30V、K31A、D32A、R33K、R33A、R33Q、H34A、D35A、Q40A、D114R、L117A、R120A、R125A、K134A、R144A、A145G、A145M、M148A、R149A、S152A、L153A、およびN156Aから選択される1個または複数の変異を含む。この特許の全内容は参照により本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態では、国際公開第2013/059885号で開示のように、ヒトIFNα2変異体は、変異H57Y、E58N、Q61S、および/またはL30Aを含む。いくつかの実施形態では、国際公開第2013/059885号で開示のように、ヒトIFNα2変異体は、変異H57Y、E58N、Q61S、および/またはR33Aを含む。いくつかの実施形態では、国際公開第2013/059885号で開示のように、ヒトIFNα2変異体は、変異H57Y、E58N、Q61S、および/またはM148Aを含む。いくつかの実施形態では、国際公開第2013/059885号で開示のように、ヒトIFNα2変異体は、変異H57Y、E58N、Q61S、および/またはL153Aを含む。いくつかの実施形態では、国際公開第2013/059885号で開示のように、ヒトIFNα2変異体は、変異N65A、L80A、Y85A、および/またはY89Aを含む。いくつかの実施形態では、国際公開第2013/059885号で開示のように、ヒトIFNα2変異体は、変異N65A、L80A、Y85A、Y89A、および/またはD114Aを含む。
【0044】
種々の実施形態では、シグナル伝達物質は、変異体ヒトIFNα2である。いくつかの実施形態では、変異体ヒトIFNα2は、配列番号6または7と少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、変異体ヒトIFNα2は、配列番号6または7のアミノ酸配列を有する野生型IFNα2に比べて改善された安全性を付与する1個または複数の変異を有する。いくつかの実施形態では、IFNα2は、配列番号6または7を基準にして位置144~154に1個または複数の変異を有する。いくつかの実施形態では、ヒトIFNα2は、配列番号6または7を基準にして位置L15、A19、R22、R23、L26、F27、L30、K31、D32、R33、H34、D35、Q40、H57、E58、Q61、F64、N65、T69、L80、Y85、Y89、D114、L117、R120、R125、K133、K134、R144、A145、M148、R149、S152、L153、およびN156に1個または複数の変異を有する。いくつかの実施形態では、変異体IFNα2は、配列番号6または7を基準にして位置R149、M148、またはL153に1個または複数の変異を有する。いくつかの実施形態では、1個または複数の変異は、配列番号6または7を基準にしてL15A、A19W、R22A、R23A、L26A、F27A、L30A、L30V、K31A、D32A、R33K、R33A、R33Q、H34A、D35A、Q40A、H57Y、E58N、Q61S、F64A、N65A、T69A、L80A、Y85A、Y89A、D114R、L117A、R120A、R125A、K133A、K134A、R144A、A145G、A145M、M148A、R149A、S152A、L153A、およびN156Aの1個または複数である。いくつかの実施形態では、変異体ヒトIFNα2は、配列番号6または7を基準にしてR149A変異を有する。
【0045】
いくつかの実施形態では、変異体ヒトIFNα2は、配列番号6または7を基準にして位置R33、R144、A145、M148、R149、およびL153に1個または複数の変異を有する。いくつかの実施形態では、変異体ヒトIFNα2は、配列番号6または7を基準にしてR33A、R144A、R144I、R144L、R144S、R144T、R144Y、A145D、A145G、A145H、A145K、A145Y、M148A、R149A、およびL153A変異を有する。
【0046】
いくつかの実施形態では、変異体ヒトIFNα2は、配列番号6または7を基準にして位置R33、T106、R144、A145、M148、R149、およびL153に1個または複数の変異を有する。いくつかの実施形態では、変異体ヒトIFNα2は、配列番号6または7のアミノ酸配列を基準にしてR33A、T106X3、R120E、R144X1、A145X2、M148A、R149A、およびL153Aから選択される1個または複数の変異を有し、X1は、A、S、T、Y、L、およびIから選択され、X2は、G、H、Y、K、およびDから選択され、X3は、AおよびEから選択される。
【0047】
いくつかの実施形態では、野生型または改変シグナル伝達物質は、IFNβである。いくつかの実施形態では、IFNβは、下記に示す配列を有するヒトである:
MSYNLLGFLQRSSNFQCQKLLWQLNGRLEYCLKDRMNFDIPEEIKQLQQFQKEDAALTIYEMLQNIFAIFRQDSSSTGWNETIVENLLANVYHQINHLKTVLEEKLEKEDFTRGKLMSSL HLKRYYGRILHYLKAKEYSHCAWTIVRVEILRNFYFINRLTGYLRN(配列番号38)。
【0048】
種々の実施形態では、IFNβは、機能性誘導体、類似体、前駆物質、アイソフォーム、スプライスバリアント、またはIFNβのフラグメントを包含する。種々の実施形態では、IFNβは、任意の種由来のIFNβを包含する。ある実施形態では、キメラタンパク質は、改変型のマウスIFNβを含む。ある実施形態では、キメラタンパク質は、改変型のヒトIFNβを含む。ヒトIFNβは、166個のアミノ酸残基を含む約22kDaの分子量を有するポリペプチドである。ヒトIFNβのアミノ酸配列は、配列番号38である。
【0049】
いくつかの実施形態では、ヒトIFNβは、ヒトIFNβのグリコシル化型であるIFNβ1aである。いくつかの実施形態では、IFNβは、Met-1欠失およびCys-17のSerへの変異を有する非グリコシル化型のヒトIFNβであるIFNβ1bである。
【0050】
種々の実施形態では、改変IFNβは、IFNARのIFNAR1サブユニットに対するその結合または親和性を低減する1個または複数の変異を有する。一実施形態では、改変IFNβは、IFNAR1に対する低減された親和性および/または活性を有する。種々の実施形態では、改変IFNβは、ヒトIFNβであり、位置F67、R71、L88、Y92、I95、N96、K123、およびR124に1個または複数の変異を有する。いくつかの実施形態では、1個または複数の変異は、F67G、F67S、R71A、L88G、L88S、Y92G、Y92S、I95A、N96G、K123G、およびR124Gから選択される置換である。ある実施形態では、改変IFNβは、F67G変異を含む。ある実施形態では、改変IFNβは、K123G変異を含む。ある実施形態では、改変IFNβは、F67GおよびR71A変異を含む。ある実施形態では、改変IFNβは、L88GおよびY92G変異を含む。ある実施形態では、改変IFNβは、Y92G、I95A、およびN96G変異を含む。ある実施形態では、改変IFNβは、K123GおよびR124G変異を含む。ある実施形態では、改変IFNβは、F67G、L88G、およびY92G変異を含む。ある実施形態では、改変IFNβは、F67S、L88S、およびY92S変異を含む。
【0051】
いくつかの実施形態では、改変IFNβは、IFNARのIFNAR2サブユニットに対するその結合または親和性を低減する1個または複数の変異を有する。一実施形態では、改変IFNβは、IFNAR2に対する低減された親和性および/または活性を有する。種々の実施形態では、改変IFNβは、ヒトIFNβであり、位置W22、R27、L32、R35、V148、L151、R152、およびY155に1個または複数の変異を有する。いくつかの実施形態では、1個または複数の変異は、W22G、R27G、L32A、L32G、R35A、R35G、V148G、L151G、R152A、R152G、およびY155Gから選択される置換である。ある実施形態では、改変IFNβは、W22G変異を含む。ある実施形態では、改変IFNβは、L32A変異を含む。ある実施形態では、改変IFNβは、L32G変異を含む。ある実施形態では、改変IFNβは、R35A変異を含む。ある実施形態では、改変IFNβは、R35G変異を含む。ある実施形態では、改変IFNβは、V148G変異を含む。ある実施形態では、改変IFNβは、R152A変異を含む。ある実施形態では、改変IFNβは、R152G変異を含む。ある実施形態では、改変IFNβは、Y155G変異を含む。ある実施形態では、改変IFNβは、W22GおよびR27G変異を含む。ある実施形態では、改変IFNβは、L32AおよびR35A変異を含む。ある実施形態では、改変IFNβは、L151GおよびR152A変異を含む。ある実施形態では、改変IFNβは、V148GおよびR152A変異を含む。
【0052】
いくつかの実施形態では、改変IFNβは、1個または複数の次の変異を有する:R35A、R35T、E42K、M62I、G78S、A141Y、A142T、E149K、およびR152H。いくつかの実施形態では、改変IFNβは、1個または複数の次の変異を有する:C17SまたはC17Aと組み合わせた、R35A、R35T、E42K、M62I、G78S、A141Y、A142T、E149K、およびR152H。
【0053】
いくつかの実施形態では、改変IFNβは、1個または複数の次の変異を有する:本明細書で記載の他のIFNβ変異と組み合わせた、R35A、R35T、E42K、M62I、G78S、A141Y、A142T、E149K、およびR152H。
【0054】
ヒトIFNβの結晶構造は既知であり、Karpusas et al.,(1998)PNAS,94(22):11813-11818に記載されている。特に、ヒトIFNβの構造は、5つのαヘリックス(すなわち、A、B、C、D、およびE)およびこれらのヘリックスを連結する4つのループ領域(すなわち、AB、BC、CD、およびDEループ)を含むことが示された。種々の実施形態では、改変IFNβは、A、B、C、D、Eヘリックスおよび/またはAB、BC、CD、およびDEループ中に、IFNARなどの治療受容体に対するその結合親和性または活性を低減させる1個または複数の変異を有する。代表的変異は、国際公開第2000/023114号および米国特許出願公開第20150011732号に記載されている。これらの全内容は参照により本明細書に組み込まれる。代表的実施形態では、改変IFNβは、アミノ酸位置15、16、18、19、22、および/または23にアラニン置換を含むヒトIFNβである。代表的実施形態では、改変IFNβは、アミノ酸位置28~30、32、および33にアラニン置換を含むヒトIFNβである。代表的実施形態では、改変IFNβは、アミノ酸位置36、37、39、および42にアラニン置換を含むヒトIFNβである。代表的実施形態では、改変IFNβは、アミノ酸位置64および67にアラニン置換を含み、位置68にセリン置換を含むヒトIFNβである。代表的実施形態では、改変IFNβは、アミノ酸位置71~73にアラニン置換を含むヒトIFNβである。代表的実施形態では、改変IFNβは、アミノ酸位置92、96、99、および100にアラニン置換を含むヒトIFNβである。代表的実施形態では、改変IFNβは、アミノ酸位置128、130、131、および134にアラニン置換を含むヒトIFNβである。代表的実施形態では、改変IFNβは、アミノ酸位置149、153、156、および159にアラニン置換を含むヒトIFNβである。
【0055】
いくつかの実施形態では、変異体IFNβは、配列番号38を含み、W22に変異を含み、変異は、グリシン(G)、アラニン(A)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、およびバリン(V)から選択される脂肪族疎水性残基である。
【0056】
いくつかの実施形態では、変異体IFNβは、配列番号38を含み、R27に変異を含み、変異は、グリシン(G)、アラニン(A)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、およびバリン(V)から選択される脂肪族疎水性残基である。
【0057】
いくつかの実施形態では、変異体IFNβは、配列番号38を含み、W22に変異を含み、変異は、グリシン(G)、アラニン(A)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、およびバリン(V)から選択される脂肪族疎水性残基であり、さらにR27に変異を含み、変異は、グリシン(G)、アラニン(A)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、およびバリン(V)から選択される脂肪族疎水性残基である。
【0058】
いくつかの実施形態では、変異体IFNβは、配列番号38を含み、L32に変異を含み、変異は、グリシン(G)、アラニン(A)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、およびバリン(V)から選択される脂肪族疎水性残基である。
【0059】
いくつかの実施形態では、変異体IFNβは、配列番号38を含み、R35に変異を含み、変異は、グリシン(G)、アラニン(A)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、およびバリン(V)から選択される脂肪族疎水性残基である。
【0060】
いくつかの実施形態では、変異体IFNβは、配列番号38を含み、L32に変異を含み、変異は、グリシン(G)、アラニン(A)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、およびバリン(V)から選択される脂肪族疎水性残基であり、さらにR35に変異を含み、変異は、グリシン(G)、アラニン(A)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、およびバリン(V)から選択される脂肪族疎水性残基である。
【0061】
いくつかの実施形態では、変異体IFNβは、配列番号38を含み、R67に変異を含み、変異は、グリシン(G)、アラニン(A)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、およびバリン(V)から選択される脂肪族疎水性残基である。
【0062】
いくつかの実施形態では、変異体IFNβは、配列番号38を含み、R71に変異を含み、変異は、グリシン(G)、アラニン(A)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、およびバリン(V)から選択される脂肪族疎水性残基である。
【0063】
いくつかの実施形態では、変異体IFNβは、配列番号38を含み、F67に変異を含み、変異は、グリシン(G)、アラニン(A)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、およびバリン(V)から選択される脂肪族疎水性残基であり、さらにR71に変異を含み、変異は、グリシン(G)、アラニン(A)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、およびバリン(V)から選択される脂肪族疎水性残基である。
【0064】
いくつかの実施形態では、変異体IFNβは、配列番号38を含み、L88に変異を含み、変異は、グリシン(G)、アラニン(A)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、およびバリン(V)から選択される脂肪族疎水性残基である。
【0065】
いくつかの実施形態では、変異体IFNβは、配列番号38を含み、Y92に変異を含み、変異は、グリシン(G)、アラニン(A)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、およびバリン(V)から選択される脂肪族疎水性残基である。
【0066】
いくつかの実施形態では、変異体IFNβは、配列番号38を含み、F67に変異を含み、変異は、グリシン(G)、アラニン(A)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、およびバリン(V)から選択される脂肪族疎水性残基であり、さらにL88に変異を含み、変異は、グリシン(G)、アラニン(A)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、およびバリン(V)から選択される脂肪族疎水性残基であり、さらにY92に変異を含み、変異は、グリシン(G)、アラニン(A)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、およびバリン(V)から選択される脂肪族疎水性残基である。
【0067】
いくつかの実施形態では、変異体IFNβは、配列番号38を含み、L88に変異を含み、変異は、グリシン(G)、アラニン(A)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、およびバリン(V)から選択される脂肪族疎水性残基であり、さらにY92に変異を含み、変異は、グリシン(G)、アラニン(A)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、およびバリン(V)から選択される脂肪族疎水性残基である。
【0068】
いくつかの実施形態では、変異体IFNβは、配列番号38を含み、I95に変異を含み、変異は、グリシン(G)、アラニン(A)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、およびバリン(V)から選択される脂肪族疎水性残基であり、さらにY92に変異を含み、変異は、グリシン(G)、アラニン(A)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、およびバリン(V)から選択される脂肪族疎水性残基である。
【0069】
いくつかの実施形態では、変異体IFNβは、配列番号38を含み、N96に変異を含み、変異は、グリシン(G)、アラニン(A)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、およびバリン(V)から選択される脂肪族疎水性残基であり、さらにY92に変異を含み、変異は、グリシン(G)、アラニン(A)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、およびバリン(V)から選択される脂肪族疎水性残基である。
【0070】
いくつかの実施形態では、変異体IFNβは、配列番号38を含み、Y92に変異を含み、変異は、グリシン(G)、アラニン(A)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、およびバリン(V)から選択される脂肪族疎水性残基であり、さらにI95に変異を含み、変異は、グリシン(G)、アラニン(A)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、およびバリン(V)から選択される脂肪族疎水性残基であり、さらにN96に変異を含み、変異は、グリシン(G)、アラニン(A)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、およびバリン(V)から選択される脂肪族疎水性残基である。
【0071】
いくつかの実施形態では、変異体IFNβは、配列番号38を含み、K123に変異を含み、変異は、グリシン(G)、アラニン(A)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、およびバリン(V)から選択される脂肪族疎水性残基である。
【0072】
いくつかの実施形態では、変異体IFNβは、配列番号38を含み、R124に変異を含み、変異は、グリシン(G)、アラニン(A)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、およびバリン(V)から選択される脂肪族疎水性残基である。
【0073】
いくつかの実施形態では、変異体IFNβは、配列番号38を含み、K123に変異を含み、変異は、グリシン(G)、アラニン(A)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、およびバリン(V)から選択される脂肪族疎水性残基であり、さらにR124に変異を含み、変異は、グリシン(G)、アラニン(A)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、およびバリン(V)から選択される脂肪族疎水性残基である。
【0074】
いくつかの実施形態では、変異体IFNβは、配列番号38を含み、L151に変異を含み、変異は、グリシン(G)、アラニン(A)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、およびバリン(V)から選択される脂肪族疎水性残基である。
【0075】
いくつかの実施形態では、変異体IFNβは、配列番号38を含み、R152に変異を含み、変異は、グリシン(G)、アラニン(A)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、およびバリン(V)から選択される脂肪族疎水性残基である。
【0076】
いくつかの実施形態では、変異体IFNβは、配列番号38を含み、L151に変異を含み、変異は、グリシン(G)、アラニン(A)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、およびバリン(V)から選択される脂肪族疎水性残基であり、さらにR152に変異を含み、変異は、グリシン(G)、アラニン(A)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、およびバリン(V)から選択される脂肪族疎水性残基である。
【0077】
いくつかの実施形態では、変異体IFNβは、配列番号38を含み、V148に変異を含み、変異は、グリシン(G)、アラニン(A)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、およびメチオニン(M)から選択される脂肪族疎水性残基である。
【0078】
いくつかの実施形態では、変異体IFNβは、配列番号38を含み、V148に変異を含み、変異は、グリシン(G)、アラニン(A)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、およびバリン(V)から選択される脂肪族疎水性残基であり、さらにR152に変異を含み、変異は、グリシン(G)、アラニン(A)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、およびバリン(V)から選択される脂肪族疎水性残基である。
【0079】
いくつかの実施形態では、変異体IFNβは、配列番号38を含み、Y155に変異を含み、変異は、グリシン(G)、アラニン(A)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、およびバリン(V)から選択される脂肪族疎水性残基である。
【0080】
いくつかの実施形態では、野生型または改変シグナル伝達物質は、IL1βである。ある実施形態では、野生型IL1βは、下記のアミノ酸配列を有する:
APVRSLNCTLRDSQQKSLVMSGPYELKALHLQGQDMEQQVVFSMSFVQGEESNDKIPVALGLKEKNLYLSCVLKDDKPTLQLESVDPKNYPKKKMEKRFVFNKIEINNKLEFESAQFPNWYISTSQAENMPVFLGGTKGGQDITDFTMQFVSS(配列番号39)。
IL1βは、炎症促進性のサイトカインであり、重要な免疫系制御因子である。それは、CD4 T細胞応答の強力な活性化因子であり、Th17細胞の比率を高め、IFNγおよびIL4産生細胞の増殖を増大させる。IL1βはまた、CD8+ T細胞の強力な制御因子であり、抗原特異的CD8+ T細胞増殖、分化、周辺部への移動および記憶を強化する。IL1β受容体には、IL1R1およびIL1R2が含まれる。IL1R1への結合およびIL1R1を介したシグナル伝達は、IL1βが多くのその生物学的(および病理学的)作用を媒介する機序を構成する。IL1R2は、デコイ受容体として機能できることにより、IL1R1を介した相互作用およびシグナル伝達を行うためのIL1βの利用可能性を減らす。
【0081】
いくつかの実施形態では、野生型または改変シグナル伝達物質IL1βは、IL1R1に対する低減された親和性および/または活性(例えば、アゴニスト活性)を有する。いくつかの実施形態では、改変IL1βは、IL1R2に対する実質的に低減または除去された親和性および/または活性を有する。このような実施形態では、回復可能なIL1β/IL1R1シグナル伝達ならびにILR2に対する治療用キメラタンパク質の損失の防止およびその結果としての必要なIL1βの投与量の削減(例えば、野生型またはILR1に対する減弱化変異のみを有するキメラタンパク質に比べて)がもたらされる。このような構築物は、例えば、免疫系を刺激して抗癌応答を開始することを含む、例えば、癌を治療する方法で使用される。
【0082】
このような実施形態では、改変シグナル伝達物質は、アミノ酸52~54の欠失を有し、これは、I型IL1Rに対して、低減された結合親和性および低減された生物活性を有する改変ヒトIL1βが産生する。例えば、国際公開第1994/000491号を参照されたい。この特許の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態では、改変ヒトIL1βは、A117G/P118G、R120X、L122A、T125G/L126G、R127G、Q130X、Q131G、K132A、S137G/Q138Y、L145G、H146X、L145A/L147A、Q148X、Q148G/Q150G、Q150G/D151A、M152G、F162A、F162A/Q164E、F166A、Q164E/E167K、N169G/D170G、I172A、V174A、K208E、K209X、K209A/K210A、K219X、E221X、E221S/N224A、N224S/K225S、E244K、N245Qから選択される1個または複数の置換変異(Xはアミノ酸の任意の変化、例えば、非保存的変化であり得る)を有し、これらは、例えば、全内容が参照により本明細書に組み込まれる、国際公開第2015/007542号および国際公開第2015/007536号に記載のように、IL1Rに対し低減された結合を示す(ジェンバンク受入番号NP_000567、バージョンNP-000567.1、Gl:10835145、ヒトIL1β配列に基づいてナンバリング)。いくつかの実施形態では、改変ヒトIL1βは、R120A、R120G、Q130A、Q130W、H146A、H146G、H146E、H146N、H146R、Q148E、Q148G、Q148L、K209A、K209D、K219S、K219Q、E221SおよびE221Kから選択される1個または複数の変異を有し得る。ある実施形態では、改変ヒトIL1βは、変異Q131GおよびQ148Gを含む。ある実施形態では、改変ヒトIL1βは、変異Q148GおよびK208Eを含む。ある実施形態では、改変ヒトIL1βは、変異R120GおよびQ131Gを含む。ある実施形態では、改変ヒトIL1βは、変異R120GおよびH146Aを含む。ある実施形態では、改変ヒトIL1βは、変異R120GおよびH146Nを含む。ある実施形態では、改変ヒトIL1βは、変異R120GおよびH146Rを含む。ある実施形態では、改変ヒトIL1βは、変異R120GおよびH146Eを含む。ある実施形態では、改変ヒトIL1βは、変異R120GおよびH146Gを含む。ある実施形態では、改変ヒトIL1βは、変異R120GおよびK208Eを含む。ある実施形態では、改変ヒトIL1βは、変異R120G、F162A、およびQ164Eを含む。改変ヒトIL1β変異は、配列番号39に対するものである。
【0083】
種々の実施形態では、1個または複数のシグナル伝達物質の変異は、野生型シグナル伝達物質に比べて、キメラタンパク質に対する改善された安全性を付与し得る。変異は、限定されないが、シグナル伝達物質の受容体に対する低減された親和性および/またはシグナル伝達物質の受容体に対する低減された生物活性を含む、種々の他の有益な性質を付与し得る。いくつかの実施形態では、シグナル伝達物質の1個または複数の変異は、シグナル伝達物質の活性の減弱化を可能にする。例えば、シグナル伝達物質のアゴニスト活性またはアンタゴニスト活性が、減弱化され得る。さらに、いくつかの実施形態では、改変シグナル伝達物質は、その活性をアゴニスト活性からアンタゴニスト活性に変換する、1個または複数の変異を含む。
【0084】
いくつかの実施形態では、シグナル伝達物質は、1個または複数のターゲティング部分への付着により回復可能である低減された親和性または活性を付与する、1個または複数の変異を含む。他の実施形態では、シグナル伝達物質の1個または複数の変異は、ターゲティング部分への付着により実質的に回復可能でない、実質的に低減または除去された親和性または活性を付与する。
【0085】
いくつかの実施形態では、ターゲティング部分は、樹状細胞、T細胞、B細胞、マクロファージ、好中球、骨髄派生サプレッサー細胞、またはNK細胞から選択できる、免疫細胞に向けられる。いくつかの実施形態では、ターゲティング部分は、造血幹細胞(HSC)、早期前駆細胞、未成熟胸腺細胞、または定常状態樹状細胞(DC)に向けられる。ターゲティング部分は、目的の抗原または受容体を機能的に調節できる。いくつかの実施形態では、ターゲティング部分は、目的の抗原または受容体を結合するが機能的に調節しない。
【0086】
種々の実施形態では、キメラタンパク質は、多くの特徴の中でも特に、例えばターゲティング部分を介して、疾患細胞に1個または複数の免疫細胞を直接的または間接的に動員する。従って、いくつかの実施形態では、ターゲティング部分は、腫瘍細胞にまたは腫瘍微小環境に免疫細胞を直接的または間接的に動員する。このように、ターゲティング部分は、樹状細胞の数を増大させ得る。いくつかの実施形態では、ターゲティング部分は、必要に応じ樹状細胞により、腫瘍抗原提示を強化する。
【0087】
種々の実施形態では、キメラタンパク質は、癌、感染症、免疫異常、自己免疫疾患および/または神経変性疾患、心臓血管疾患、創傷、虚血関連疾患、および/または代謝疾患の1種または複数を有する患者における使用のために好適である。いくつかの態様では、癌を治療または予防するための方法が提供され、方法は、それを必要とする患者に本開示の種々の実施形態に従い有効量のキメラタンパク質を投与することを含む。
【0088】
種々の実施形態では、癌は、基底細胞癌、胆道癌;膀胱癌;骨癌;脳および中枢神経系癌;乳癌;腹膜の癌;子宮頸癌;絨毛癌;結腸および直腸癌;結合組織癌;消化器系の癌;子宮内膜癌;食道癌;眼癌;頭頸部の癌;胃癌(胃腸癌を含む);神経膠芽腫;肝癌;ヘパトーマ;上皮内腫瘍;腎臓癌または腎性癌(kidney or renal cancer);喉頭癌;白血病;肝臓癌;肺癌(例えば、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺腺癌、および肺扁平上皮癌);黒色腫;骨髄腫;神経芽腫;口腔癌(唇、舌状、舌、口内、および咽頭);卵巣癌;膵臓癌;前立腺癌;網膜芽細胞腫;横紋筋肉腫;直腸癌;呼吸器系癌;唾液腺癌腫;肉腫(例えば、カポジ肉腫);皮膚癌;扁平上皮細胞癌;胃癌;精巣癌;甲状腺癌;子宮または子宮内膜癌;泌尿器系の癌;外陰癌;ホジキンリンパ腫および非ホジキンリンパ腫;ならびにB細胞リンパ腫を含むリンパ腫(低悪性度/濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL)を含む);小リンパ球性(SL)NHL;中悪性度/濾胞性NHL;中悪性度びまん性NHL;高悪性度免疫芽細胞NHL;高悪性度リンパ芽球性NHL;高悪性度小型非切れ込み核細胞性NHL;巨大腫瘤病変NHL;マントル細胞リンパ腫;エイズ関連リンパ腫;およびワルデンシュトレームマクログロブリン血症;慢性リンパ性白血病(CLL);急性リンパ性白血病(ALL);毛様細胞性白血病;慢性骨髄芽球性白血病;ならびに他の癌腫および肉腫;および移植後リンパ増殖性疾患(PTLD);ならびに母斑症に関連する異常血管増殖;浮腫(例えば脳腫瘍に関連するもの);およびメグズ症候群の1種または複数から選択される。特定の実施形態では、癌は、急性骨髄性白血病(AML)である。
【0089】
さらに、いくつかの態様では、本発明は、自己免疫疾患および/または神経変性疾患を治療または予防するための方法を含み、方法は、それを必要とする患者に本開示の種々の実施形態に従い有効量のキメラタンパク質を投与することを含む。自己免疫疾患および/または神経変性疾患は、多発性硬化症、糖尿病、ループス、セリアック病、クローン病、潰瘍性大腸炎、ギラン・バレー症候群、強皮症、グッドパスチャー症候群、ウェゲナー肉芽腫症、自己免疫性てんかん、ラスムッセン脳炎、原発性硬化性胆管炎、硬化性胆管炎、自己免疫性肝炎、アジソン病、橋本甲状腺炎、線維筋痛症、メニエール症候群(Menier’s syndrome)、移植拒絶反応(例えば、同種移植片拒絶の防止)、悪性貧血、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、皮膚筋炎、シェーグレン症候群、紅斑性狼瘡、重症筋無力症、ライター症候群、およびグレーブス病から選択できる。
【0090】
いくつかの実施形態では、配列番号9と少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列、または配列番号9と少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、キメラタンパク質が提供される。
【0091】
いくつかの実施形態では、本発明のキメラタンパク質は必要に応じ、1個または複数のフレキシブルリンカーを含む。いくつかの実施形態では、本発明のキメラタンパク質は、ターゲティング部分およびシグナル伝達物質(例えば、IFNα2、IFNβ、もしくはIL1βまたはそのバリアント)を連結するフレキシブルリンカーを含む。いくつかの実施形態では、本発明のキメラタンパク質は、シグナル伝達物質(例えば、IFNα2、IFNβ、もしくはIL1βまたはそのバリアント)内にフレキシブルリンカーを含む。いくつかの実施形態では、フレキシブルリンカーを、本明細書に記載の種々の官能基、残基、または部分をキメラタンパク質に連結するために利用し得る。いくつかの実施形態では、フレキシブルリンカーは、結合領域および結合タンパク質の安定性、配向、結合、中和、および/または排出特性に影響を与えない、またはそれらを低下させない複数のアミノ酸である。
【0092】
いくつかの実施形態では、キメラタンパク質は、1種または複数の追加のシグナル伝達物質、例えば、限定されないが、野生型でもまたは改変型でもよい、本明細書に記載の、インターフェロン、インターロイキン、および腫瘍壊死因子を含む。種々の実施形態では、本発明のキメラタンパク質は、改変シグナル伝達物質を有し、非改変の野生型に比べて改善された安全性を提供する。明確にするため、本発明は、いくつかの実施形態では、1個、または2個、または3個のシグナル伝達物質を有するキメラタンパク質を含む。
【0093】
種々の実施形態では、キメラタンパク質は、目的の標的(例えば、抗原、受容体)に特異的に結合するターゲティング部分(例えば、限定されないが、単一ドメイン抗体を含む種々の抗体フォーマット)を有する1個または複数のターゲティング部分を含む。種々の実施形態では、ターゲティング部分は、限定されないが、T細胞、細胞傷害性Tリンパ球、ヘルパーT細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、ナチュラルキラーT(NKT)細胞、抗腫瘍マクロファージ(例えば、M1マクロファージ)、B細胞、および樹状細胞を含み得る1個または複数の免疫細胞上で見出されるものを含む、目的の標的(例えば、抗原、受容体)の特異的に結合する。いくつかの実施形態では、ターゲティング部分は、目的の標的(例えば、抗原、受容体)に特異的に結合し、1種または複数の免疫細胞を効果的に動員する。いくつかの実施形態では、目的の標的(例えば、抗原、受容体)は、1個または複数の腫瘍細胞上で見出され得る。いくつかの実施形態では、本発明のキメラタンパク質は、免疫細胞、例えば、腫瘍細胞を死滅させるおよび/または抑制する免疫細胞を、作用部位(非限定的例であるが、腫瘍微小環境など)に動員し得る。いくつかの実施形態では、ターゲティング部分は、非細胞構造の一部である目的の標的(例えば、抗原、受容体)に特異的に結合する。明確にするため、本発明は、いくつかの実施形態では、1個、または2個、または3個のターゲティング部分を有するキメラタンパク質を含む。
【0094】
いくつかの実施形態では、本明細書で記載のフレキシブルリンカーのいずれかに単一ヌクレオチド配列として連結された本発明のキメラタンパク質をコードするベクターが、提供され、このようなキメラタンパク質を調製するために使用され得る。
【0095】
いくつかの実施形態では、フレキシブルリンカーの長さは、ターゲティング部分とシグナル伝達物質(例えば、IFNα2、IFNβ、もしくはIL1βまたはそのバリアント)のそれらの受容体への効果的結合を可能にする。例えば、いくつかの実施形態では、フレキシブルリンカーの長さは、ターゲティング部分とシグナル伝達物質の1つの、同じ細胞上の受容体への効果的結合を可能にする。
【0096】
いくつかの実施形態では、フレキシブルリンカーの長さは、少なくとも、同じ細胞上の1個のターゲティング部分およびシグナル伝達物質の受容体への結合部位の間の最短距離に等しい。いくつかの実施形態では、フレキシブルリンカーの長さは、同じ細胞上の1個のターゲティング部分およびシグナル伝達物質の受容体への結合部位の間の最短距離の、少なくとも2倍、または3倍、または4倍、または5倍、または10倍、または20倍、または25倍、または50倍、または100倍、または、それを超える。
【0097】
本明細書に記載されるように、フレキシブルリンカーの長さは、同じ細胞上の受容体へのターゲティング部分とシグナル伝達物質の1個の効果的な結合を可能にし、結合は、逐次であり、例えば、ターゲティング部分/受容体の結合がシグナル伝達物質/受容体の結合に先行する。
【0098】
いくつかの実施形態では、単一キメラ中に2個のフレキシブルリンカーが存在し、それぞれは、シグナル伝達物質をターゲティング部分に連結する。種々の実施形態では、フレキシブルリンカーは、いずれかの細胞の調節を妨害し得る立体障害なしに疾患細胞およびエフェクター細胞を有する部位の形成を可能にする、長さを有する。
【0099】
本発明は、種々のフレキシブルリンカー配列の使用を意図している。種々の実施形態では、フレキシブルリンカーは、機能性であり得る。例えば、限定されないが、フレキシブルリンカーは、折り畳みおよび/または安定性を改善するように、発現を改善するように、薬物動態学を改善するように、および/または本発明のキメラタンパク質の生物活性を改善するように機能し得る。
【0100】
いくつかの実施形態では、リンカーは、ポリペプチドである。いくつかの実施形態では、フレキシブルリンカーは、約100アミノ酸長未満である。例えば、フレキシブルリンカーは、約100、約95、約90、約85、約80、約75、約70、約65、約60、約55、約50、約45、約40、約35、約30、約25、約20、約19、約18、約17、約16、約15、約14、約13、約12、約11、約10、約9、約8、約7、約6、約5、約4、約3、または約2アミノ酸長未満であり得る。いくつかの実施形態では、フレキシブルリンカーは、ポリペプチドである。いくつかの実施形態では、フレキシブルリンカーは、約100アミノ酸長超である。例えば、フレキシブルリンカーは、約100、約95、約90、約85、約80、約75、約70、約65、約60、約55、約50、約45、約40、約35、約30、約25、約20、約19、約18、約17、約16、約15、約14、約13、約12、約11、約10、約9、約8、約7、約6、約5、約4、約3、または約2アミノ酸長を超え得る。
【0101】
種々の実施形態では、フレキシブルリンカーは、グリシンおよびセリン残基から実質的に構成される(例えば、約30%、または約40%、または約50%、または約60%、または約70%、または約80%、または約90%、または約95%、または約97%のグリシンとセリン)。例えば、いくつかの実施形態では、フレキシブルリンカーは、(Gly4Ser)nであり、式中、nは、約1~約8、例えば、1、2、3、4、5、6、7、または8(それぞれ、配列番号10~配列番号17)である。ある実施形態では、フレキシブルリンカー配列は、GGSGGSGGGGSGGGGS(配列番号18)である。追加のフレキシブルリンカーの例としては、限定されないが、配列:LE、GGGGS(配列番号10)、(GGGGS)n(n=1~4)(配列番号10~13)、(Gly)8(配列番号19)、(Gly)6(配列番号20)、(EAAAK)n(n=1~3)(配列番号21~23)、A(EAAAK)nA(n=2~5)(配列番号24~27)、AEAAAKEAAAKA(配列番号24)、A(EAAAK)4ALEA(EAAAK)4A(配列番号28)、PAPAP(配列番号29)、KESGSVSSEQLAQFRSLD(配列番号30)、EGKSSGSGSESKST(配列番号31)、GSAGSAAGSGEF(配列番号32)、および(XP)n(Xは、任意のアミノ酸、例えば、Ala、Lys、またはGluを示す)を有するフレキシブルリンカーが挙げられる。種々の実施形態では、フレキシブルリンカーは、GGSである。
【0102】
いくつかの実施形態では、フレキシブルリンカーは、GGGSE(配列番号33)、GSESG(配列番号34)、GSEGS(配列番号35)、GEGGSGEGSSGEGSSSEGGGSEGGGSEGGGSEGGS(配列番号36)、および4個のアミノ酸間隔毎にランダムに配置されたG、S、およびEのフレキシブルリンカー、の1種または複数である。
【0103】
種々の実施形態では、フレキシブルリンカーは、機能性であり得る。例えば、限定されないが、フレキシブルリンカーは、折り畳みおよび/または安定性を改善するように、発現を改善するように、薬物動態学を改善するように、および/または本発明のキメラタンパク質の生物活性を改善するように機能し得る。別の例では、フレキシブルリンカーは、キメラタンパク質を特定の細胞型または部位に向けるように機能し得る。
【0104】
種々の実施形態では、本発明のキメラタンパク質は、1個または複数の官能基、残基、または部分を含み得る。種々の実施形態では、1つまたは複数の官能基、残基、または部分は、本明細書に記載のいずれかのシグナル伝達物質またはターゲティング部分に結合されるか、または遺伝的に融合される。いくつかの実施形態では、このような官能基、残基または部分は、1つまたは複数の望ましい特性または官能基を本発明のキメラタンパク質に付与する。このような官能基およびそれらをキメラタンパク質に導入する技術の例は、当技術分野において既知であり、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,16th ed.,Mack Publishing Co.,Easton,Pa.(1980)を参照されたい。
【0105】
種々の実施形態では、キメラタンパク質のそれぞれは、別の物質と複合化および/または融合して、半減期を延長するか、または別の方法で薬力学的および薬物動態学的特性を改善し得る。いくつかの実施形態では、キメラタンパク質は、PEG、XTEN(例えば、rPEGとして)、ポリシアル酸(POLYXEN)、アルブミン(例えば、ヒト血清アルブミンまたはHAS)、エラスチン様タンパク質(ELP)、PAS、HAP、GLK、CTP、トランスフェリンなどの1種または複数と融合または複合化され得る。
【0106】
種々の実施形態では、それぞれ個々のキメラタンパク質は、BioDrugs(2015)29:215-239に記載の1種または複数の物質に融合される。この文献の全内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0107】
いくつかの実施形態では、官能基、残基、または部分は、好適な薬学的に許容可能なポリマー、例えばポリ(エチレングリコール)(PEG)またはその誘導体(例えば、メトキシポリ(エチレングリコール)またはmPEG)を含む。いくつかの実施形態では、PEG部分の結合は、半減期を伸ばし、および/またはキメラタンパク質の免疫原性を低減する。例えば、抗体および抗体フラグメント(限定されないが、VHHなどの単一ドメイン抗体を含む)に対し当該技術分野で用いられるペグ化などの任意の好適な形態のペグ化が通常用いられる;例えば、Chapman,Nat.Biotechnol.,54,531-545(2002);VeroneseおよびHarrisによる、Adv.Drug Deliv.Rev.54,453-456(2003),HarrisおよびChessによる、Nat.Rev.Drug.Discov.,2,(2003)ならびに国際公開第04/060965号を参照されたい。これらの文献の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。タンパク質のペグ化のための種々の試薬も、例えば、Nektar Therapeutics,USAから市販されている。いくつかの実施形態では、特に、システイン残基を介した部位特異的なペグ化が使用される(例えば、Yang et al.,Protein Engineering,16,10,761-770(2003)を参照されたい。この文献の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる)。いくつかの実施形態では、本発明のキメラタンパク質は、PEGの結合のための1個または複数のシステイン残基を適切に導入するように修飾されるか、またはPEGの結合のための1個または複数のシステイン残基を含むアミノ酸配列が、当該技術分野において既知の技術を使用してキメラタンパク質のアミノ末端および/またはカルボキシ末端に融合され得る。
【0108】
いくつかの実施形態では、官能基、残基、または部分は、N結合型またはO結合型グリコシル化を含む。いくつかの実施形態では、N結合型またはO結合型グリコシル化は、翻訳時修飾および/または翻訳後修飾の一部として導入される。
【0109】
いくつかの実施形態では、官能基、残基、または部分は、1個または複数の検出可能なラベルまたはその他のシグナル生成基または部分を含む。好適なラベルおよびそれらの結合、使用および検出のための技術は、当技術分野において、既知であり、限定されないが、蛍光標識(例えば、フルオレセイン、イソチオシアネート、ローダミン、フィコエリトリン、フィコシアニン、アロフィコシアニン、o-フタルアルデヒド、ならびにフルオレサミンおよび蛍光金属、例えば、Euまたはランタニド系列の他の金属)、リン光標識、化学発光ラベルまたは生物発光ラベル(例えば、ルミノール、イソルミノール、セロマティックアクリジニウム・エステル、イミダゾール、アクリジニウム塩、オキサレートエステル、ジオキセタンまたはGFPおよびその類似体)、放射性同位体、金属、金属キレートもしくは金属カチオンまたはインビボ、インビトロまたはインサイツ診断および画像処理での使用に特に適している他の金属もしくは金属カチオン、ならびに発色団および酵素(例えば、リンゴ酸脱水素酵素、ブドウ球菌ヌクレアーゼ、デルタ-V-ステロイドイソメラーゼ、酵母アルコール脱水素酵素、アルファグリセロリン酸脱水素酵素、トリオースリン酸イソメラーゼ、ビオチンアビジンペルオキシダーゼ、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリフォスファターゼ、アスパラギナーゼ、グルコースオキシダーゼ、ベータガラクトシダーゼ、リボヌクレアーゼ、ウレアーゼ、カタラーゼ、グルコース-VI-リン酸脱水素酵素、グルコアミラーゼおよびアセチルコリンエステラーゼ)を含む。他の好適なラベルとしては、NMRまたはESR分光法を用いて検出できる部分が挙げられる。このように標識した本発明のポリペプチドは、特定の標識の選択により、例えば、インビトロ、インビボまたはインサイツアッセイ(これ自体ELISA、RIAおよびEIAおよびその他の「サンドイッチ法」などとして知られるイムノアッセイ)ならびにインビボ診断および画像処理の目的に使用し得る。
【0110】
いくつかの実施形態では、官能基、残基、または部分は、キメラタンパク質に結合または遺伝的に融合されたタグを含む。いくつかの実施形態では、キメラタンパク質は、単一タグまたは複数タグを含み得る。例えば、タグは、キメラタンパク質のその標的または腫瘍抗原などのいずれか他の目的抗原に対する結合を阻害または妨害しない、ペプチド、糖、またはDNA分子である。種々の実施形態では、タグは、少なくとも約:3~5アミノ酸長、5~8アミノ酸長、8~12アミノ酸長、12~15アミノ酸長、または15~20アミノ酸長である。タグの例は、例えば、米国特許出願公開第2013/0058962号に記載されている。いくつかの実施形態では、タグは、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)およびヒスチジン(His)タグなどの親和性タグである。ある実施形態では、キメラタンパク質は、ヒスチジンタグを含む。
【0111】
いくつかの実施形態では、官能基、残基、または部分は、例えば、1種の金属または金属カチオンをキレートするためのキレート化基を含む。好適なキレート化基は、例えば、限定されないが、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)またはエチレンジアミン四酢酸(EDTA)を含む。
【0112】
いくつかの実施形態では、官能基、残基、または部分は、ビオチン-(ストレプト)アビジン結合対などの、特異的結合対の片方の部分である官能基を含む。このような官能基を使って、本発明のキメラタンパク質を、結合対のもう一方の半分に結合した別のタンパク質、ポリペプチドまたは化学化合物に、すなわち、結合対の結合を介して、連結し得る。例えば、本発明のキメラタンパク質をビオチンに結合させ、アビジンまたはストレプトアビジンに結合させた別のタンパク質、ポリペプチド、化合物または担体に連結し得る。例えば、検出可能なシグナル生成物質がアビジンまたはストレプトアビジンに結合されている診断システムにおいて、このような複合化キメラタンパク質を、例えば、レポーターとして用い得る。例えば、このような結合対を使用して、キメラタンパク質を、医薬品目的に好適な担体を含む、担体に結合し得る。1つの非限定的例は、Cao and Suresh,Journal of Drug Targeting,8,4,257(2000)に記載されたリポソーム製剤である。また、このような結合対を使用して、治療活性薬剤を、本発明のキメラタンパク質に連結し得る。
【0113】
本発明のキメラタンパク質を産生する方法は、本明細書に記載される。例えば、本発明のキメラタンパク質をコードするDNA配列(例えば、シグナル伝達物質(例えば、IFNα2、IFNβ、もしくはIL1βまたはそのバリアント)およびターゲティング部分およびフレキシブルリンカーをコードするDNA配列)は、当該技術分野において既知の方法を使用して化学的に合成できる。合成DNA配列は、例えば、発現制御配列を含む他の適切なヌクレオチド配列に連結し、目的のキメラタンパク質をコードする遺伝子発現構築物を産生できる。したがって、種々の実施形態では、本発明は、本発明のキメラタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む単離核酸を提供する。
【0114】
本発明のキメラタンパク質をコードする核酸は、発現ベクター中に組み込まれ(連結され)てよく、このベクターは、遺伝子導入、形質転換、または形質導入技術により宿主細胞中に導入できる。例えば、本発明のキメラタンパク質をコードする核酸を、レトロウイルス形質導入により宿主細胞中に導入できる。宿主細胞の例は、大腸菌細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、ヒト胎児腎臓293(HEK293)細胞、ヒーラ細胞、仔ハムスター腎(BHK)細胞、サル腎培養細胞(COS)、またはヒト肝細胞癌細胞(例えば、Hep G2)、および骨髄腫細胞である。形質転換宿主細胞は、宿主細胞に、本発明のキメラタンパク質をコードする遺伝子を発現させるのを可能とする条件下で増殖させることができる。したがって、種々の実施形態では、本発明は、本発明のキメラタンパク質をコードする核酸を含む発現ベクターを提供する。種々の実施形態では、本発明は、このような発現ベクターを含む宿主細胞をさらに提供する。
【0115】
特定の発現および精製条件は、用いる発現系に応じて変化する。例えば、遺伝子が大腸菌中で発現される場合、遺伝子は最初に、操作された遺伝子を細菌プロモーター、例えば、TrpまたはTac、および原核生物シグナル配列の下流に配置することにより発現ベクター中に挿入される。別の例では、操作された遺伝子が真核生物宿主細胞、例えば、CHO細胞中で発現される場合、遺伝子は最初に、例えば、好適な真核生物プロモーター、分泌シグナル、転写促進因子、および種々のイントロンを含む発現ベクター中に挿入される。遺伝子構築物は、遺伝子導入、形質転換、または形質導入技術を用いて宿主細胞中に導入できる。
【0116】
本発明のキメラタンパク質は、タンパク質の発現を許容する条件下で、キメラタンパク質をコードする発現ベクターを形質導入した宿主細胞を増殖させることにより産生できる。発現後、タンパク質を収集し、例えば、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)およびヒスチジンタグなどの親和性タグまたはクロマトグラフィーにより、当該技術分野において周知の技術を用いて精製できる。
【0117】
したがって、種々の実施形態では、本発明は、本発明のキメラタンパク質をコードする核酸を提供する。種々の実施形態では、本発明は、本発明のキメラタンパク質をコードする核酸を含む宿主細胞を提供する。種々の実施形態では、本発明は、非細胞系(例えば、インビトロ転写および/またはインビトロ翻訳)での産生に好適である、本発明のキメラタンパク質をコードする核酸を提供する。
【0118】
種々の実施形態では、IFNα2、IFNβ、もしくはIL1β、そのバリアント、またはIFNα2、IFNβ、もしくはIL1βまたはそのバリアントを含むキメラタンパク質は、例えば、患者中でインビボ発現され得る。例えば、種々の実施形態では、IFNα2、IFNβ、もしくはIL1β、そのバリアント、またはIFNα2、IFNβ、もしくはIL1βまたはそのバリアントを含むキメラタンパク質は、IFNα2、IFNβ、もしくはIL1β、そのバリアント、またはIFNα2、IFNβ、もしくはIL1β、またはそのバリアントを含むキメラタンパク質をコードする核酸の形で投与され得る。種々の実施形態では、核酸は、DNAまたはRNAである。いくつかの実施形態では、IFNα2、IFNβ、もしくはIL1β、そのバリアント、またはIFNα2、IFNβ、もしくはIL1βまたはそのバリアントを含むキメラタンパク質は、修飾mRNA、すなわち、1種または複数の修飾ヌクレオチドを含むmRNAによりコードされる。いくつかの実施形態では、修飾mRNAは、米国特許第8,278,036号で見出される1つまたは複数の修飾を含む。この特許の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態では、修飾mRNAは、m5C、m5U、m6A、s2U、Ψ、および2’-O-メチル-Uの内の1種または複数を含む。いくつかの実施形態では、本発明は、本発明の1種または複数のキメラタンパク質をコードする修飾mRNAの投与に関する。いくつかの実施形態では、本発明は、修飾mRNAを含む遺伝子治療ベクターに関する。いくつかの実施形態では、本発明は、修飾mRNAを含む遺伝子治療法に関する。種々の実施形態では、核酸は、腫瘍溶解性ウイルス、例えば、アデノウイルス、レオウイルス、はしか、単純ヘルペス、ニューカッスル病ウイルスまたはワクシニアの形態である。
【0119】
本明細書で記載のキメラタンパク質は、充分に塩基性の官能基を有してよく、これは無機もしくは有機酸またはカルボキシル基と反応でき、またこれは、無機または有機塩基と反応でき、薬学的に許容可能な塩を形成できる。薬学的に許容可能な酸付加塩は、当該技術分野でよく知られているように、薬学的に許容可能な酸から形成される。このような塩は、例えば、Journal of Pharmaceutical Science,66,2-19(1977)およびThe Handbook of Pharmaceutical Salts;Properties,Selection,and Use.P.H.Stahl and C.G.Wermuth(eds.),Verlag,Zurich(Switzerland)2002、に挙げられた薬学的に許容可能な塩を含む。これらの文献は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0120】
薬学的に許容可能な塩としては、限定されないが、硫酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、硝酸塩、重硫酸塩、ホスフェート、酸性リン酸塩、イソニコチン酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、酸性クエン酸塩、酒石酸塩、オレイン酸塩、タンニン酸塩、パントテン酸塩、酒石酸水素塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、ゲンチシン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルカロン酸塩、サッカリン酸塩、ギ酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、樟脳スルホン酸塩、パモ酸塩、フェニル酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、アクリル酸塩、クロロ安息香酸塩、ジニトロ安息香酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、メトキシ安息香酸塩、メチル安息香酸塩、o-アセトキシ安息香酸塩、ナフタレン-2-安息香酸塩、イソ酪酸塩、フェニル酪酸塩、α-ヒドロキシ酪酸塩、ブチン-1,4-ジカルボキシレート、ヘキシン-1,4-ジカルボキシレート、カプリン酸塩、カプリル酸塩、ケイ皮酸塩、グリコール酸塩、ヘプタン酸塩、ヒプル酸塩、リンゴ酸塩、ヒドロキシマレイン酸塩、マロン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、ニコチン酸塩、フタル酸塩、テラフタル酸塩、プロピオール酸塩、プロピオン酸塩、フェニルプロピオン酸塩、セバシン酸塩、スベリン酸塩、p-ブロモベンゼンスルホン酸塩、クロロベンゼンスルホン酸塩、エチルスルホン酸塩、2-ヒドロキシエチルスルホン酸塩、メチルスルホン酸塩、ナフタレン-1-スルホン酸塩、ナフタレン-2-スルホン酸塩、ナフタレン-1,5-スルホン酸塩、キシレンスルホン酸塩、および酒石酸塩が挙げられる。
【0121】
「薬学的に許容可能な塩」という用語はまた、カルボン酸官能基などの酸性官能基、および塩基を有する本発明の組成物の塩を指す。適切な塩基としては、限定されないが、ナトリウム、カリウム、およびリチウムなどのアルカリ金属の水酸化物;カルシウムおよびマグネシウムなどのアルカリ土類金属の水酸化物;アルミニウムおよび亜鉛などのその他の金属の水酸化物;アンモニア、および非置換またはヒドロキシ置換のモノ-、ジ-、またはトリ-アルキルアミン、ジシクロヘキシルアミンなどの有機アミン;トリブチルアミン;ピリジン;N-メチル、N-エチルアミン;ジエチルアミン;トリエチルアミン;モノ-、ビス-、またはトリス-(2-ヒドロキシエチル)アミン、2-ヒドロキシ-tert-ブチルアミン、またはトリス-(ヒドロキシメチル)メチルアミンなどのモノ-、ビス-、またはトリス-(2-OH-低級アルキルアミン)、N,N-ジメチル-N-(2-ヒドロキシエチル)アミンまたはトリ-(2-ヒドロキシエチル)アミンなどのN,N-ジ-低級アルキル-N-(ヒドロキシル-低級アルキル)-アミン;N-メチル-D-グルカミン;およびアルギニン、リシンなどのアミノ酸などが挙げられる。
【0122】
いくつかの実施形態では、本明細書で記載の組成物は、薬学的に許容可能な塩の形態である。
【0123】
種々の実施形態では、本発明は、本明細書で記載のキメラタンパク質および薬学的に許容可能な担体または賦形剤を含む医薬組成物に関する。本明細書で記載のいずれの医薬組成物も、薬学的に許容可能な担体またはビークルを含む組成物の成分として、対象に投与することができる。このような組成物は、適切な投与用の形態が得られるように、適切な量の薬学的に許容可能な賦形剤を任意に含み得る。
【0124】
種々の実施形態では、医薬賦形剤は、ピーナッツオイル、大豆油、ミネラルオイル、ゴマ油などの石油、動物、植物、または人工起源のものを含む、水および油などの液体であり得る。医薬賦形剤は、例えば、食塩水、アカシアゴム、ゼラチン、デンプンペースト、滑石、ケラチン、コロイド状シリカ、尿素なであってよい。さらに、助剤、安定化剤、増粘化剤、潤滑剤、および着色料を使用することができる。一実施形態では、薬学的に許容可能な賦形剤は、対象に投与される場合、無菌である。本明細書で記載のいずれかの薬剤が静脈内に投与される場合、水は有用な賦形剤である。生理食塩水および水性デキストロースならびにグリセリン溶液はまた、液体賦形剤として、特に注射可能溶液に用いることができる。適切な医薬賦形剤としては、デンプン、グルコース、ラクトース、ショ糖、ゼラチン、麦芽、米、小麦粉、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、グリセリンモノステアレート、滑石、塩化ナトリウム、乾燥脱脂乳、グリセリン、プロピレン、グリコール、水、エタノールなども挙げられる。本明細書で記載のいずれの薬剤も、必要に応じ、少量の湿潤剤もしくは乳化剤、またはpH緩衝剤を含んでよい。適切な医薬賦形剤のそのほかの例は、Remington’s Pharmaceutical Sciences 1447-1676(Alfonso R.Gennaro eds.,19th ed.1995)に記載されている。この文献は参照により本明細書に組み込まれる。
【0125】
本発明は、種々の製剤中に記載医薬組成物(および/または追加の治療薬)を含む。本明細書で記載のいずれの本発明の医薬組成物(および/または追加の治療薬)も、液剤、懸濁剤、乳濁液、点滴剤、錠剤、丸薬、ペレット、カプセル剤、液体含有カプセル剤、ゼラチンカプセル剤、散剤、徐放製剤、坐剤、乳剤、エアロゾル、噴霧剤、懸濁剤、凍結乾燥散剤、凍結懸濁剤、乾燥散剤、または使用に適する他の任意の形態をとってよい。一実施形態では、組成物はカプセルの形態である。別の実施形態では、組成物は錠剤の形態である。さらに別の実施形態では、医薬組成物は、軟質ゲルカプセルの形態に処方される。さらなる実施形態では、医薬組成物は、ゼラチンカプセルの形態に処方される。さらに別の実施形態では、医薬組成物は、液剤として処方される。
【0126】
必要に応じて、本発明の医薬組成物(および/または追加の薬剤)は、可溶化剤も含み得る。また、薬剤は当技術分野において既知の適切なビークルまたは送達装置を使って送達することができる。本明細書で概要を述べた併用療法剤は、単一の送達ビークルまたは送達担体で同時送達できる。
【0127】
本発明の医薬組成物(および/または追加の薬剤)を含む製剤は単位剤形として好都合に提供でき、薬学の分野でよく知られたいずれかの方法により調製され得る。このような方法は通常、治療薬を担体と混合するステップを含み、担体は1種または複数の補助成分を構成する。通常、製剤は、治療薬と、液体担体、微粉化固相担体、または両方とを均一に、完全に混合すること、その後、必要に応じ、生成物を所望の製剤の剤形に成形すること(例えば、湿式または乾式造粒、散剤ブレンド、など、それに続く、当該技術分野で既知の従来の方法を使って錠剤化すること)により調製される。
【0128】
種々の実施形態では、本明細書で記載のいずれの医薬組成物(および/または追加の薬剤)も、本明細書で記載の投与方法に適合された組成物として、ルーチン手順に従って処方される。
【0129】
投与経路は、例えば、経口、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内、皮下、鼻腔内、硬膜外、舌下、鼻腔内、脳内、膣内、経皮、直腸内、吸入、または局所を含む。投与は局所的または全身性であり得る。いくつかの実施形態では、投与は、経口により行われる。別の実施形態では、投与は非経口の注射による。投与方法は、開業医の自由裁量に任すことができ、一部には、病状の部位に依存する。大抵の場合、投与は本明細書で記載のいずれかの薬剤の血流中への放出をもたらす。
【0130】
一実施形態では、本明細書で記載のキメラタンパク質は、経口投与に適合された組成物として、常法に従って処方される。経口送達用の組成物は、錠剤、トローチ剤、水性または油性懸濁剤、粒剤、散剤、乳剤、カプセル剤、シロップ剤、またはエリキシル剤の形態であってよい。経口投与される組成物は、薬学的に口当たりの良い製剤を提供するために、1種または複数の薬剤、例えば、ラクトース、アスパルテームまたはサッカリンなどの甘味料、ペパーミント、冬緑油またはチェリー油などの調味料、着色料および保存剤を含み得る。さらに、錠剤または丸薬形態では、組成物をコートして、消化管での崩壊および吸収を遅らせることにより長期間にわたり持続作用を可能とすることができる。本明細書に記載の任意の浸透活性駆動性キメラタンパク質を取り囲む選択的透過性膜も、経口投与組成物として好適である。これらの後者のプラットフォームでは、カプセルの周りの環境からの液体が運搬化合物により吸収され、この化合物は膨潤し、開口部を介して薬剤または薬剤組成物を追い出す。これらの送達プラットフォームは、即時放出製剤の急上昇プロファイルとは対照的に、基本的に0次の送達プロファイルを提供することができる。グリセロールモノステアレートまたはグリセロールステアレートなどの時間遅延物質も使用することができる。経口組成物は、標準的な賦形剤、例えば、マンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、ナトリウムサッカリン、セルロース、および炭酸マグネシウムを含んでよい。一実施形態は、賦形剤は医薬品グレードである。活性化合物に加えて、懸濁剤は、例えば、エトキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールおよびソルビタンエステル、微結晶セルロース、アルミニウムメタヒドロオキシド、ベントナイト、寒天、トラガント、など、およびこれらの混合物などの沈殿防止剤を含んでよい。
【0131】
非経口投与(例えば、静脈内、筋肉内、腹腔内、皮下および関節内注射および注入)に好適な剤形は、例えば、液剤、懸濁剤、分散剤、乳剤、などを含む。それらは、無菌の固相組成物(例えば、凍結乾燥組成物)の形態で製造されてよく、これは、使用直前に、無菌の注入可能媒体中に溶解または懸濁され得る。それらは、例えば、当該技術分野において、既知の懸濁剤または分散剤を含み得る。非経口的投与に好適な製剤成分としては、注射用の水、食塩水溶液、不揮発性油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、またはその他の合成溶媒などの無菌希釈剤、ベンジルアルコールまたはメチルパラベンなどの抗菌剤、アスコルビン酸もしくは亜硫酸水素ナトリウムなどの酸化防止剤、EDTAなどのキレート化剤、アセテート、シトレート、またはホスフェートなどの緩衝剤、および塩化ナトリウムまたはデキストロースなどの浸透圧調節剤が挙げられる。
【0132】
静脈内投与の場合、好適な担体としては、生理食塩水、静菌性水、クレモフォアELTM(BASF,Parsippany,NJ)またはリン酸緩衝生理食塩水(PBS)が挙げられる。担体は、製造および貯蔵条件下で安定でなければならず、微生物に対し保護されなければならない。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコール)、およびこれらの好適な混合物を含む、溶媒または分散媒であってよい。
【0133】
本明細書にて提供される組成物は、単独でまたは他の好適な成分と組み合わせて、吸入により投与されるエーロゾル製剤(すなわち、「噴霧化」製剤)を作製することができる。エーロゾル製剤は、ジクロロジフルオロメタン、プロパン、窒素などの許容され得る加圧化噴射剤中に入れることができる。
【0134】
本明細書で記載のいずれの本発明の医薬組成物(および/または追加の薬剤)も、当業者に既知の制御放出によりまたは徐放手段または送達装置により投与可能である。例としては、米国特許第3,845,770号;同第3,916,899号;同第3,536,809号;同第3,598,123号;同第4,008,719号、同第5,674,533号、同第5,059,595号、同第5,591,767号、同第5,120,548号、同第5,073,543号、同第5,639,476号、同第5,354,556号、および同第5,733,556号に記載のものが挙げられるが、これらに限定されない。これらの特許のそれぞれは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。このような剤形は、例えば、ヒドロプロピルセルロース、ヒドロプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、その他のポリマーマトリクス、ゲル、浸透膜、浸透系、多層被膜、微粒子、リポソーム、マイクロスフェア、またはこれらの組み合わせを用いて、1つまたは複数の有効成分の制御放出または徐放を可能にするために有用であり、様々な割合での所望の放出プロファイルを提供することができる。本明細書に記載されたものを含む当業者に既知の適切な制御放出または徐放製剤は、本明細書で記載の薬剤の有効成分と共に使用する上で容易に選択することができる。本発明はこのように、限定されないが、制御放出または徐放に適合された錠剤、カプセル、ジェルカプセルおよびカプレットなどの経口投与に好適な単位剤形を提供する。
【0135】
有効成分の制御放出または徐放は、限定されないが、pH変化、温度変化、適切な波長の光による刺激、酵素の濃度もしくは利用可能性、水の濃度または利用可能性、または他の生理学的条件または化合物を含む、種々の条件により刺激できる。
【0136】
別の実施形態では、徐放系を、治療される標的領域の近傍に配置でき、したがって全身用量の一部のみを必要とする(例えば、Goodson,in Medical Applications of Controlled Release,supra,vol.2,pp.115-138(1984)を参照)。Langer,1990,Science 249:1527-1533、中の概説で考察されている他の放出制御系を使用し得る。
【0137】
医薬製剤は好ましくは無菌である。無菌化は、例えば、無菌濾過膜で濾過することにより達成される。組成物が凍結乾燥される場合、凍結乾燥および再構成の前またはその後でフィルター滅菌を行うことができる。
【0138】
本発明により投与されるキメラタンパク質の実際の用量は、特定の剤形および投与方法に応じて変わるであろうということは理解されよう。当業者なら、キメラタンパク質の作用を変え得る多くの要因(例えば、体重、性別、食事、投与時期、投与経路、排出速度、対象の状態、薬剤の組み合わせ、遺伝的素因および反応感度)を考慮に入れることができる。投与は、最大耐量の範囲内で連続的にまたは1種または複数の別々の投与量で実施できる。与えられた一連の条件に対する最適投与速度は、従来の用量投与試験を使って、当業者により確認できる。
【0139】
いくつかの実施形態では、キメラタンパク質の好適な投与量は、約0.01μg/kg~約100mg/kgの対象の体重、約0.01μg/kg~約10mg/kgの対象の体重、または約0.01μg/kg~約1mg/kgの対象の体重の範囲であり、例えば、約0.01μg/kg、約0.02μg/kg、約0.03μg/kg、約0.04μg/kg、約0.05μg/kg、約0.06μg/kg、約0.07μg/kg、約0.08μg/kg、約0.09μg/kg、約0.1mg/kg、約0.2mg/kg、約0.3mg/kg、約0.4mg/kg、約0.5mg/kg、約0.6mg/kg、約0.7mg/kg、約0.8mg/kg、約0.9mg/kg、約1mg/kg、約1.1mg/kg、約1.2mg/kg、約1.3mg/kg、約1.4mg/kg、約1.5mg/kg、約1.6mg/kg、約1.7mg/kg、約1.8mg/kg、1.9mg/kg、約2mg/kg、約3mg/kg、約4mg/kg、約5mg/kg、約6mg/kg、約7mg/kg、約8mg/kg、約9mg/kg、約10mg/kg体重、または約100mg/kg体重(これらの間の全ての値および範囲を含む)である。
【0140】
キメラタンパク質の個々の用量は、例えば、単位剤形(例えば、錠剤、カプセル、または液体製剤)あたり、約1μg~約100mg、約1μg~約90mg、約1μg~約80mg、約1μg~約70mg、約1μg~約60mg、約1μg~約50mg、約1μg~約40mg、約1μg~約30mg、約1μg~約20mg、約1μg~約10mg、約1μg~約5mg、約1μg~約3mg、約1μg~約1mg、または約1μg~約50μgを含む単位剤形として投与できる。例えば、単位剤形は、約1μg、約2μg、約3μg、約4μg、約5μg、約6μg、約7μg、約8μg、約9μg、約10μg、約11μg、約12μg、約13μg、約14μg、約15μg、約16μg、約17μg、約18μg、約19μg、約20μg、約21μg、約22μg、約23μg、約24μg、約25μg、約26μg、約27μg、約28μg、約29、約30μg、約35μg、約40μg、約45μg、約50μg、約60μg、約70μg、約80μg、約90μg、約0.1mg、約0.2mg、約0.3mg、約0.4mg、約0.5mg、約0.6mg、約0.7mg、約0.8mg、約0.9mg、約1mg、約2mg、約3mg、約4mg、約5mg、約6mg、約7mg、約8mg、約9mg、約10mg、約15mg、約20mg、約25mg、約30mg、約35mg、約40mg、約45mg、約50mg、約55mg、約60mg、約65mg、約70mg、約75mg、約80mg、約85mg、約90mg、約95mg、または約100mg(これらの間の全ての値および範囲を含む)であり得る。
【0141】
一実施形態では、キメラタンパク質は、毎日約1μg~約100mg、毎日約1μg~約90mg、毎日約1μg~約80mg、毎日約1μg~約70mg、毎日約1μg~約60mg、毎日約1μg~約50mg、毎日約1μg~約40mg、毎日約1μg~約30mg、毎日約1μg~約20mg、毎日約01μg~約10mg、毎日約1μg~約5mg、毎日約1μg~約3mg、または毎日約1μg~約1mgの量で投与される。種々の実施形態では、キメラタンパク質は、約1μg、約2μg、約3μg、約4μg、約5μg、約6μg、約7μg、約8μg、約9μg、約10μg、約11μg、約12μg、約13μg、約14μg、約15μg、約16μg、約17μg、約18μg、約19μg、約20μg、約21μg、約22μg、約23μg、約24μg、約25μg、約26μg、約27μg、約28μg、約29、約30μg、約35μg、約40μg、約45μg、約50μg、約60μg、約70μg、約80μg、約90μg、約0.1mg、約0.2mg、約0.3mg、約0.4mg、約0.5mg、約0.6mg、約0.7mg、約0.8mg、約0.9mg、約1mg、約2mg、約3mg、約4mg、約5mg、約6mg、約7mg、約8mg、約9mg、約10mg、約15mg、約20mg、約25mg、約30mg、約35mg、約40mg、約45mg、約50mg、約55mg、約60mg、約65mg、約70mg、約75mg、約80mg、約85mg、約90mg、約95mg、または約100mg(これらの間の全ての値および範囲を含む)の1日量で投与される。
【0142】
本発明の特定の実施形態では、キメラタンパク質を含む医薬組成物は、例えば、1日2回以上(例えば、毎日約2回、約3回、約4回、約5回、約6回、約7回、約8回、約9回、または約10回)、1日約1回、約1日おき、約3日おき、週約1回、2週毎に約1回、毎月約1回、2ヶ月毎に約1回、3ヶ月毎に約1回、6ヶ月毎に約1回、または毎年約1回投与してよい。ある実施形態では、キメラタンパク質を含む医薬組成物は、週約3回投与される。
【0143】
種々の実施形態では、本発明のキメラタンパク質は、長期間にわたり投与され得る。例えば、キメラタンパク質は、本明細書に記載のように、少なくとも約1週間、少なくとも約2週間、少なくとも約3週間、少なくとも約4週間、少なくとも約5週間、少なくとも約6週間、少なくとも約7週間、少なくとも約8週間、少なくとも約9週間、少なくとも約10週間、少なくとも約11週間、または少なくとも約12週間にわたり投与され得る。例えば、キメラタンパク質は、12週間、24週間、36週間または48週間にわたり投与され得る。いくつかの実施形態では、キメラタンパク質は、少なくとも約1か月間、少なくとも約2か月間、少なくとも約3か月間、少なくとも約4か月間、少なくとも約5か月間、少なくとも約6か月間、少なくとも約7か月間、少なくとも約8か月間、少なくとも約9か月間、少なくとも約10か月間、少なくとも約11か月間、または少なくとも約12か月間にわたり投与される。いくつかの実施形態では、キメラタンパク質は、少なくとも約1年間、少なくとも約2年間、少なくとも約3年間、少なくとも約4年間、または少なくとも約5年間にわたり投与され得る。
【0144】
種々の実施形態では、本発明の医薬組成物は、追加の治療薬と共投与される。共投与は、同時または順次であってよい。
【0145】
一実施形態では、追加の治療薬および本発明のキメラタンパク質は、対象に同時に投与される。本明細書で使用される場合、用語の「同時に」は、追加の治療薬およびキメラタンパク質が約60分以下、例えば、約30分以下、約20分以下、約10分以下、約5分以下、または約1分以下の時間間隔で投与されることを意味する。追加の治療薬およびキメラタンパク質の投与は、単一製剤(例えば、追加の治療薬およびキメラタンパク質を含む製剤)または別々の製剤(例えば、追加の治療薬を含む第1の製剤およびキメラタンパク質を含む第2の製剤)の同時投与により行うことが可能である。
【0146】
共投与は、それらの投与のタイミングが、追加の治療薬およびキメラタンパク質の薬理学的活性が時間経過と共に重なりあい、それにより組み合わされた治療効果が発揮されるような場合には、治療薬が同時に投与される必要はない。例えば、追加の治療薬およびキメラタンパク質は、順次に投与できる。本明細書で使用される場合、用語の「順次に」は、追加の治療薬およびキメラタンパク質が約60分を超える時間間隔で投与されることを意味する。例えば、追加の治療薬とキメラタンパク質との逐次投与の間の時間間隔を、約60分を超えて、約2時間を超えて、約5時間を超えて、約10時間を超えて、約1日を超えて、約2日を超えて、約3日を超えて、約1週間を超えて間隔を開ける、約2週間を超えて間隔を開ける、または約1ヶ月を越えて間隔を開けることができる。最適投与時間は、投与される追加の治療薬およびキメラタンパク質の代謝、排泄速度、および/または薬力学的活性に依存するであろう。追加の治療薬またはキメラタンパク質のいずれかを、最初に投与してよい。
【0147】
共投与はまた、治療薬が同じ投与経路により対象に投与される必要はない。むしろ、それぞれの治療薬は、任意の適切な経路、例えば、非経口または経口(non-parenterally)で投与できる。
【0148】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のキメラタンパク質は、別の治療薬と共投与されると、相乗的に作用する。このような実施形態では、キメラタンパク質および追加の治療薬は、その治療薬が単剤療法で使用される場合に採用される用量よりも低い用量で投与され得る。
【0149】
いくつかの実施形態では、本発明は、追加の治療薬としての化学療法剤に関する。例えば、限定されないが、本発明のキメラタンパク質と化学療法剤とのこのような組み合わせは、本明細書の別の場所で記載のように、癌の治療に使用される。化学療法剤の例としては、アルキル化剤、例えば、チオテパ、CYTOXAN(シクロホスファミド)、スルホン酸アルキル、例えば、ブスルファン、インプロスルファンおよびピポスルファン、アジリジン、例えば、ベンゾドーパ,カルボコン、メツレドーパ、およびウレドーパ、エチレンイミン、メチラメラミン例えば、アルトレタミン、トリエチルエネメラミン、トリエチレンネフォスフォラミド、トリエチレンチオフォスフォラミドおよび、トリメチロールメラミン、アセトゲニン(例えば、ブラタシン、ブラタチノン)、カントテシン(合成類似剤トポテカンを含む)、ブリオスタチン、カリスタチン(cally statin)、CC-1065(アドゼレシン、カルゼルシンおよびビゼレシン合成類似体を含む)、クリプトフィシン(例えば、クリプトフィシン1、クリプトフィシン8など)、ドラスタチン、デュオカルマイシン(合成類似薬KW-2189およびCB1-TM1を含む)、エレウテロビン、パンクラチスタチン、サルコディクチン、スポンギスタチン、ナイトロジェンマスタード、例えば、クロラムブシル、クロルナファジン、クロロホスファミド、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、酸化メクロルエタミン塩酸塩、メルファラン、ノベンビチン、フェネステリン、プレドニムスチン、トロホスファミド、ウラシルマスタード、ニトロソウレア、例えば、カルムスチン、クロロゾトシン、フォテムスチン、ロムスチン、ニムスチンおよびラニムスチン(ranimnustine)、抗生物質、例えば、エンジイン抗生物質(カリチアマイシン、特にカリチアマイシンガンマIIとカリチアマイシンオメガII(Agnew,Chem.Intl.Ed.Engl.,33:183-186(1994)を参照);ダイネマイシンAを含むダイネマイシン;ビスフォスフォネート、例えば、クロドロネート;エスペラマイシン;ならびに、ネオカルジノスタチン発色団および関連色素タンパク質エンジイン抗生物質発色団)、アクラシノマイシン、アクチノマイシン、オースラマイシン、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カラビシン、カルミノマイシン(caminomycin)、カルジノフィリン、クロモマイシン(chromomycinis)、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン、アドリアマイシンドキソルビシン(モルフォリノドキソルビシン、シアノモルフォリノドキソルビシン、2-ピロリノドキソルビシンおよびデオキシドキソルビシンを含む)、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシン(例えば、マイトマイシンC)、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン、ピューロマイシン、クエラマイシン、ロドルビシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、チュベルシジン、ウベニメックス、ジノスタチン、ゾルビシン;代謝拮抗薬、例えば、メトトレキセートおよび5-フルオロウラシル(5-FU);葉酸の類似体、例えば、デノプテリン、メトトレキセート、プテロプテリン、トリメトレキサート;プリン類似体、例えば、フルダラビン、6-メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニン;ピリミジン類似体、例えば、アンシタビン、アザシチジン、6-アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロクスウリジン;アンドロゲン、例えば、カルステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトン;抗副腎物質、例えば、アミノグルテチミド(minoglutethimide)、ミトタン、トリロスタン;葉酸補充液、例えば、フロリン酸(frolinic acid);アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;エニルウラシル;アムサクリン;ベストラブシル;ビサントレン;エダトラキセート(edatraxate)、デメコルチン;ジアジクオン;エルフォルミチン(elformithine);エリプチニウムアセテート;エポチロン;エトグルシド;ガリウムニトレート;ヒドロキシ尿素;レンチナン;ロニダミン(lonidainine);メイタンシノイド、例えば、メイタンシンおよびアンサマイトシン;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダモール;ニトラエリン;ペントスタチン;フェナメット;ピラルビシン;ロソキサントロン;ポドフィリン酸;2-エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK多糖複合体(JHS Natural Products,Eugene,Oreg.);ラゾキサン;リゾキシン;シゾフィラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;2,2’,2”-トリクロロトリエチルアミン;トリコテセン(例えば、T2毒素、ベラクリンA、ロリジンA、およびアングイディン);ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン;アラビノシド(アラ-C);シクロホスファミド;チオテパ;タキソイド、例えば、タキソール、パクリタキセル(Bristol-Myers Squibb Oncology,Princeton,N.J.)、アブラキサンクレモフォアフリー、アルブミン処理ナノ粒子形成パクリタキセル(American Pharmaceutical Partners,Schaumberg,111.)、タキソテールドキセタキセル(Rhone-Poulenc Rorer,Antony,France))、クロランブシル、ジェムザール(ゲムシタビン);6-チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキセート;白金類似体、例えば、シスプラチン、オキサリプラチンおよびカルボプラチン;ビンブラスチン、白金、エトポシド(VP-16);イホスファミド;ミトキサントロン;ビンクリスチン;ナベルビン(ビノレルビン);ノバントロン;テニポシド;エダトレキセート;ダウノマイシン;アミノプテリン;ゼローダ;イバンドロネート;イリノテカン(キャンプトサー、CPT-11)(イリノテカンと5-FUおよびロイコボリンの治療法を含む);トポイソメラーゼ阻害剤RFS2000;ヂルルオロメチルオルニチン(DMFO);レチノイド、例えば、レチノイン酸;カペシタビン;コンブレタスタチン;ロイコボリン(LV);オキサリプラチン治療法(FOLFOX)を含むオキサリプラチン;ラパチニブ(Tykerb);PKC-α、Raf、H-Ras、EGFRの阻害剤(例えば、エルロチニブ(Tarceva)および細胞増殖を低減するVEGF-A;ならびに上述のいずれかの薬剤の薬学的に許容可能な塩、酸または誘導体、が挙げられるが、これらに限定されない。さらに、治療の方法は、放射線の使用をさらに含み得る。さらに、治療の方法は、光線力学的治療の使用をさらに含み得る。
【0150】
いくつかの実施形態では、本明細書で記載のキメラタンパク質は、修飾されている誘導体、すなわち、共有結合が組成物の活性を妨げないような任意のタイプの分子の組成物への共有結合により修飾されている誘導体を含む。例えば、限定するものではないが、誘導体は、特に、グリコシル化、脂質化、アセチル化、ペグ化、リン酸化、アミド化、既知の保護/ブロック基による誘導体化、タンパク質切断、細胞リガンドまたはその他のタンパク質への結合、などにより修飾されている組成物を含む。多くの化学修飾のいずれかを既知の技術、例えば、限定されないが、特異的化学切断、アセチル化、ホルミル化、ツニカマイシンの代謝合成、などを使って行うことができる。
【0151】
さらにその他の実施形態では、本明細書に記載のキメラタンパク質は、例示的実施形態では、毒素、化学療法剤、放射性同位元素、およびアポトーシスまたは細胞死を引き起こす物質を含む細胞傷害薬をさらに含む。このような物質は、本明細書に記載の組成物に複合化され得る。
【0152】
本明細書で記載のキメラタンパク質をこのように翻訳後修飾して、化学リンカーなどのエフェクター部分、例えば、蛍光染料、酵素、基質、生物発光物質、放射性物質、および化学発光部分などの検出可能な部分、または、例えば、ストレプトアビジン、アビジン、ビオチン、細胞毒、細胞傷害性薬、および放射性物質などの機能的部分を付加し得る。
【0153】
細胞傷害薬の例としては、メトトレキセート、アミノプテリン、6-メルカプトプリン、6-チオグアニン、シタラビン、5-フルオロウラシルデカルバジン;アルキル化剤(例えば、メクロレタミン、チオテパ(thioepa)、クロラムブシル、メルファラン、カルムスチン(BSNU)、マイトマイシンC、ロムスチン(CCNU)、1-メチルニトロソウレア、シクロホスファミド(cyclothosphamide)、メクロレタミン、ブスルファン、ジブロモマンニトール、ストレプトゾトシン、マイトマイシンC、シス-ジクロロジアミン白金(II)(DDP)シスプラチンおよびカルボプラチン(パラプラチン));アントラサイクリン(ダウノルビシン(以前のダウノマイシン)およびドキソルビシン(アドリアマイシン)、デトルビシン、カルミノマイシン、イダルビシン、エピルビシン、ミトキサントロンおよびビサントレンを含む);抗生物質(ダクチノマイシン(アクチノマイシンD)、ブレオマイシン、カリチアマイシン、ミトラマイシン、およびアントラマイシン(AMC)を含む);有糸分裂阻害薬(antimytotic agent)(例えば、ビンカアルカロイドビンカアルカロイド、ビンクリスチンおよびビンブラスチン)が挙げられるが、これらに限定されない。その他の細胞傷害薬には、パクリタキセル(タキソール)、リシン、緑膿菌外毒素、ゲムシタビン、サイトカラシンB、グラミシジンD、臭化エチジウム、エメチン、エトポシド、テノポシド、コルヒチン、ジヒドロキシアントラシンジオン,1-デヒドロテストステロン、グルココルチコイド、プロカイン、テトラカイン、リドカイン、プロプラノロール、ピューロマイシン、プロカルバジン、ヒドロキシ尿素、アスパラギナーゼ、副腎皮質ステロイド、ミトタン(mytotane)(O,P’-(DDD))、インターフェロン、およびこれらの細胞傷害薬の混合物が挙げられる。
【0154】
さらなる細胞傷害薬としては、化学療法剤、例えば、カルボプラチン、シスプラチン、パクリタキセル、ゲムシタビン、カリチアマイシン、ドキソルビシン、5-フルオロウラシル、マイトマイシンC、アクチノマイシンD、シクロホスファミド、ビンクリスチン、ブレオマイシン、VEGFアンタゴニスト、EGFRアンタゴニスト、プラチン、タキソール、イリノテカン、5-フルオロウラシル、ゲムシタビン(gemcytabine)、ロイコボリン、ステロイド類、シクロホスファミド、メルファラン、ビンカアルカロイド(例えば、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシンおよびビノレルビン)、ムスチン、チロシンキナーゼ阻害剤、放射線療法、性ホルモン拮抗薬、選択的アンドロゲン受容体調節薬、選択的エストロゲン受容体調節薬、PDGFアンタゴニスト、TNFアンタゴニスト、IL1アンタゴニスト、インターロイキン(例えば、IL12またはIL2)、IL12Rアンタゴニスト、毒素複合化モノクローナル抗体、腫瘍抗原特異的モノクローナル抗体、アービタックス、アバスチン、ペルツズマブ、抗CD20抗体、リツキサン、オクレリズマブ、オファツムマブ、DXL625、ハーセプチン(登録商標)、またはこれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。リシン、ジフテリア毒素およびシュードモナス毒素などの植物および細菌由来の毒性酵素は、治療薬(例えば、抗体)と複合体形成して、細胞型特異的殺作用剤を生成し得る(Youle,et al.,Proc.Nat’l Acad.Sci.USA 77:5483(1980);Gilliland,et al.,Proc.Nat’l Acad.Sci.USA 77:4539(1980);Krolick,et al.,Proc.Nat’l Acad.Sci.USA 77:5419(1980))。
【0155】
他の細胞傷害薬としては、Goldenbergによる米国特許第6,653,104号に記載される細胞傷害性リボヌクレアーゼが挙げられる。本発明の実施形態はまた、放射性免疫複合体に関し、複合体形成剤を使用してまたは使用せずに、アルファまたはベータ粒子を放出する放射性核種がキメラタンパク質に安定に結合される。このような放射性核種としては、例えば、リン-32、スカンジウム-47、銅-67、ガリウム-67、イットリウム-88、イットリウム-90、ヨウ素-125、ヨウ素-131、サマリウム-153、ルテチウム-177、レニウム-186またはレニウム-188などのβ放射体、およびアスタチン-211、鉛-212、ビスマス-212、ビスマス-213またはアクチニウム-225などのα放射体が挙げられる。
【0156】
検出可能な部分の例としては、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アセチルコリンエステラーゼ、アルカリフォスファターゼ、ベータガラクトシダーゼおよびルシフェラーゼが挙げられるが、これらに限定されない。蛍光材料のさらなる例としては、ローダミン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、ウンベリフェロン、ジクロロトリアジニルアミン、フィコエリトリンおよびダンシルクロリドが挙げられるが、これらに限定されない。化学発光部分のさらなる例としては、ルミノールが挙げられるが、これに限定されない。生物発光材料のさらなる例としては、ルシフェリンおよびエクオリンが挙げられるが、これらに限定されない。放射性材料のさらなる例としては、ヨウ素-125、炭素-14、硫黄-35、トリチウムおよびリン-32が挙げられるが、これらに限定されない。
【0157】
いくつかの実施形態では、限定されないが、自己免疫適用を含む、追加の治療薬は、ステロイド性抗炎症剤または非ステロイド性抗炎症剤(NSAID)などの抗炎症剤である、免疫抑制剤である。ステロイド、特に副腎皮質ホルモン剤およびそれらの合成類似体は当該技術分野においてよく知られている。本発明で有用な副腎皮質ステロイドの例としては、ヒドロキシルトリアムシノロン、α-メチルデキサメタゾン、β-メチルβ-メタゾン、ベクロメタゾンジプロピオネート、β-メタゾンベンゾエート、β-メタゾンジプロピオネート、β-メタゾンバレレート、クロベタゾールバレレート、デソニド、デソキシメタゾン、デキサメタゾン、ジフロラソンジアセテート、ジフルコルトロンバレレート、フルアドレノロン、フルクロロロンアセトニド、フルメタゾンピバレート、フルオシノロンアセトニド、フルオシノニド、フルコルチンブチルエステル、フルオコルトロン、フルプレドニデン(フルプレドニリデン)アセテート、フルランドレノロン、ハルシノニド、ヒドロコルチゾンアセテート、ヒドロコルチゾンブチレート、メチルプレドニゾロン、トリアムシノロンアセトニド、コルチゾン、コルトドキソン、フルセトニド、フルドロコルチゾン、ジフルオロゾンジアセテート、フルラドレノロンアセトニド、メドリゾン、アムシナフェル、アムシナフィド、ベタメタゾンおよびその残りのエステル、クロロプレドニソン、クロコルテロン、クレシノロン、ジクロリゾン、ジフルプレドネート、フルクロロニド、フルニソリド、フルオロメタロン、フルペロロン、フルプレドニソロン、ヒドロコルチゾン、メプレドニゾン、パラメタゾン、プレドニゾロン、プレドニゾン、ベクロメタゾンジプロピオネートが挙げられるが、これらに限定されない。本発明で使用してよい(NSAIDS)としては、限定されないが、サリチル酸、アセチルサリチル酸、サリチル酸メチル、グリコールサリチレート、サリチルアミド、ベンジル-2,5-ジアセトキシ安息香酸、イブプロフェン、スリンダク(fulindac)、ナプロキセン、ケトプロフェン、エトフェナメート、フェニルブタゾン、およびインドメタシンが挙げられる。いくつかの実施形態では、免疫抑制剤は、アルキル化剤、代謝拮抗物質(例えば、アザチオプリン、メトトレキセート)、細胞傷害性抗生物質、抗体(バシリキシマブ、ダクリズマブ、およびムロモナブ)、抗イムノフィリン剤(例えば、シクロスポリン、タクロリムス、シロリムス)、インターフェロン、オピオイド、TNF結合タンパク質、ミコフェノレート、および小分子生物学的製剤(例えば、フィンゴリモド、ミリオシン)などの細胞分裂阻害薬であってよい。追加の抗炎症剤は、例えば、米国特許第4,537,776号に記載され、この特許の全内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0158】
いくつかの実施形態では、キメラタンパク質は、本明細書に記載の1種または複数の疾患修飾治療薬(DMT)(例えば、表Aの物質)と組み合わせて多発性硬化症の治療方法で使用される。いくつかの実施形態では、本発明は、1種または複数の開示結合物質を含まない本明細書に記載の1種または複数のDMT(例えば、下表Aに挙げた物質)の使用と比べて、改善された治療効果を提供する。ある実施形態では、キメラタンパク質と1種または複数のDMTの組み合わせは、相乗的治療効果をもたらす。
疾患修飾治療薬の例としては、下記が挙げられるが、これらに限定されない:
【表1】
【0159】
本発明はまた、本明細書に記載のいずれかの薬剤(例えば、種々の追加の治療薬を含む、または含まないキメラタンパク質)の投与のためのキットを提供する。キットは、本明細書に記載の少なくとも1種の本発明の医薬組成物を含む、材料または成分の集合体である。したがって、いくつかの実施形態では、キットは、本明細書に記載の少なくとも1種の医薬組成物を含む。
【0160】
キットを構成する成分の明確な性質は、その意図される目的に依存する。一実施形態では、キットは、ヒト対象を治療する目的のために構成される。
【0161】
使用説明書をキット中に含めてもよい。使用説明書は、通常、癌の治療などの望まれる結果を達成するために、キットの成分を使用する際に採用すべき技術を説明する明確な表現を含む。必要に応じ、キットは、他の有用な成分、例えば、希釈剤、緩衝剤、薬学的に許容可能な担体、シリンジ、カテーテル、塗布具、ピペット操作または測定用ツール、包帯材料または当業者なら容易に気付くような他の有用な備品一式も含む。
【0162】
キットに組込まれる材料および成分は、それらの操作性および有用性を維持する任意の便利で適切な方法で保管され開業医に提供され得る。例えば、成分は、室温、冷蔵温度、または凍結温度で提供できる。成分は通常、適切な梱包材料に収容される。種々の実施形態では、梱包材料は、よく知られた方法、好ましくは、無菌の、混入物のない環境を与える方法で構築される。梱包材料は、内容物および/またはキットの目的および/またはその成分を表示する外部ラベルを有してよい。
【0163】
定義
本明細書で使用される場合、「a」、「an」、または「the」は、1つ(1種)または1つ(1種)を超える、を意味し得る。
特に記載のない限り、または文脈から明らかでない限り、本明細書で使用される場合、「または(or)」という用語は、「または(or)」および「および(and)」の両方を含み、対象とする。
さらに、参照数値表示に関連して使われる用語「約」は、参照数値表示±参照数値表示の最大で10%、例えば、示した値の(±)10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、0.1%、0.05%、または0.01%以内の値を意味する。例えば、用語の「約50」は、45~55の範囲を対象とする。
【0164】
「有効量」という用語は、医学的使用に関連して使用される場合、測定できるほどの目的の疾患の治療、予防、または発病速度の低下をもたらすのに効果的である量である。
【0165】
本明細書で使用される場合、物質または刺激の存在下で、このような調節の非存在下に比べて、活性および/または効果の出力値がかなりの量、例えば、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、またはそれを超えて、少なくとも最大約100%(約100%を含む)低減されるとき、何かが「低減されている」。当業者により理解されるように、いくつかの実施形態では、活性は低下し、かついくつかの下流の出力値は低下するが、他のものは増加し得る。
【0166】
逆に、物質または刺激の存在下で、このような物質または刺激の非存在下に比べて、活性および/または効果の出力値がかなりの量、例えば、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、またはそれを超えて、最大少なくとも約100%(約100%を含む)またはそれを超えて、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、少なくとも約10倍、少なくとも約50倍、少なくとも約100倍増加する場合、活性は「高く」なる。
【0167】
本明細書において、参照される場合、全ての組成物に関するパーセンテージは、特に指定がない限り、総組成物の重量による。本明細書で使用する場合、「含む(include)」という単語とその変形物は、非限定であることを意図し、それにより、リスト中の項目の記載は、この技術の組成物および方法に有用である可能性を同様に有する他の類似項目の除外を意図するものではない。同様に、用語の「can」および「may」およびその変形物は、非限定であることを意図し、それにより、ある実施形態が特定の要素または特徴を含むことが「できる(can)」または含んでも「よい(may)」という記載は、これらの要素または特徴を含まない本発明の技術のその他の実施形態を排除するものではない。
【0168】
including、containing、またはhavingなどの用語の同義語としてのオープンエンド用語の「含む(comprising)」を本明細書で使用して本発明を記載および請求するが、本発明、またはその実施形態は、「からなる(consisting of)」または「から本質的になる(consisting essentially of)」などの代替用語を使って、代わりに記載することができる。
【0169】
本明細書で使用される場合、用語の「好ましい」および「好ましくは」は、特定の状況下で、特定の利点をもたらす本技術の実施形態を指す。しかしながら、同じまたは他の環境下で、他の実施形態も好ましい場合がある。さらに、1つまたは複数の好ましい実施形態の記載は、他の実施形態が有用でないことを示すものではなく、また、本技術の範囲から他の実施形態を排除することを意図するものではない。
【0170】
治療効果の達成に必要な本明細書で記載の組成物の量は、特定目的のための従来の手順に従って経験的に決定されてよい。一般に、治療目的のために治療薬を投与する場合、治療薬は薬理学的有効量で投与される。「薬理学的有効量」、「薬理学的有効用量」、「治療有効量」、または「有効量」は、特に障害または疾患を治療するために、目的の生理的な効果を生み出すのに十分な量または目的の結果を達成することができる量を意味する。本明細書で使用される場合、有効量は、例えば、障害または疾患の症状の進展を遅らせる、障害または疾患の症状の経過を変える(例えば、疾患の症状の進展を遅らせる)、障害または疾患の1つまたは複数の症状または発症を減らすまたはなくする、および障害または疾患の症状を回復させるのに十分な量を含んでよい。治療効果はまた、改善が実現されるかどうかにかかわらず、根底にある疾患または障害の進行を止めるまたは遅らせることも含む。
【0171】
有効量、毒性、および治療効果は、例えば、細胞培養または実験動物によりLD50(集団の約50%に対する致死用量)およびED50(集団の約50%での治療的有効量)を測定するための標準的薬学的手順により決定できる。投与量は、用いられる剤形および利用される投与経路に応じて変化し得る。毒性と治療効果との間の用量比率は、治療指数であり、比率LD50/ED50で表すことができる。いくつかの実施形態では、大きな治療指数を示す組成物および方法が好ましい。治療有効量は、最初は、例えば、細胞培養アッセイを含むインビトロアッセイから推測することができる。また、用量は、細胞培養または適切な動物モデルで決定したIC50などの循環血漿中濃度範囲を達成するように動物モデルで処方することができる。記載の組成物の血漿中レベルは、例えば、高速液体クロマトグラフィーにより測定することができる。いずれかの特定の投与量の効果は、適切なバイオアッセイによりモニターすることができる。投与量は医師により決定されてよく、必要に応じて、観察された治療の効果に適合するように調節できる。
【0172】
特定の実施形態では、効果は、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約50%、少なくとも約70%、または少なくとも約90%の定量可能な変化をもたらすであろう。いくつかの実施形態では、効果は、約10%、約20%、約30%、約50%、約70%、またはさらに約90%以上の定量化可能な変化をもたらすであろう。治療効果はまた、改善が実現されるかどうかにかかわらず、根底にある疾患または障害の進行を止めるまたは遅らせることも含む。
【0173】
本明細書で使用される場合、「治療方法」は、本明細書に記載の疾患または障害の治療のための組成物および/または本明細書に記載の疾患または障害の治療のための薬剤の製造での使用および/または複数使用のための組成物に等しく適用可能である。本発明は、次の非限定的な実施例によりさらに説明される。
【0174】
実施例
「AFN」または「AcTaferon」は、本明細書で記載のインターフェロンベースキメラタンパク質に言及するために、必要に応じ使用される。
実施例1:Flt3標的化AcTaferonのインビボ試験
Flt3標的化AcTaferonのインビボ有効性を評価するために、Flt3L_リンカー_ヒトIFNα2(R149A)_GGS-his9融合タンパク質を、HEKT細胞中で発現させ、金属親和性クロマトグラフィーにより精製した。精製タンパク質をその後、ヒト化マウスの腫瘍モデルで評価した。簡単に説明すると、新生児NSGマウス(1~2日齢)を、100cGyで亜致死量照射し、その後、10
5個のCD34+ヒト幹細胞(HLA-A2陽性臍帯血由来)を肝内に送達した。幹細胞移入の13週後、マウスに、25x10
5個のヒトRL濾胞性リンパ腫細胞(ATCC CRL-2261;IFNの直接抗増殖作用に感受性でない)を皮下接種した。マウスを、腫瘍接種後8日目~18日目に、30μgのヒトFlt3Lタンパク質で、毎日腹腔内治療した。触知できる腫瘍が認められると、緩衝液またはFlt3L-AFN(30μg)での毎日の静脈内注射を、腫瘍接種後の10日目に開始した(群当たりn=5または6匹のマウス)。腫瘍サイズ(ノギス測定値)、体重および体温を、毎日評価した。
図1のデータは、最後の治療の2日後までの腫瘍増殖を示し、Flt3標的化AcTaferonが強力に腫瘍増殖を抑制することを実証する。体重および体温のデータは、緩衝液治療およびAFN治療間で何らかの大きな差異を示さず、AFN治療が耐容性良好であったことを裏付けた。
この実施例で使用した成熟Flt3L(太字)_リンカー(イタリック)_ヒトIFNα2(R149A)(イタリックおよび太字)GGS_his9の配列は、下記の通りである:
【化2】
His9がない場合、配列は下記である:
【化3】
【0175】
実施例2:FLT3L-AFN融合は二量体を形成する
実施例1のFlt3L_リンカー_ヒトIFNα2(R149A)_GGS_his9融合タンパク質を、CHO細胞での発現のためのpcDNA3.4ベクター中に再クローン化し、プラスミドP-2373を得た。産生を、製造者ガイドラインに従って、ExpiCHO細胞(ThermoFisher)で実施した。遺伝子導入の7日後、上清を、回収し、細胞を、遠心分離により取り出した。タンパク質を、AKTA pure instrument(GE Healthcare)を用いて1mlのHisTrap Excelカラム(GE Healthcare)で精製した。溶出タンパク質を、セファデックスG25(5mlカラム)で、PBS -H8.0緩衝液に対し脱塩した。最終的に、試料を、123.5mM NaClを含む10mM NH
4-アセテート pH5.0緩衝液中でスーパーデックス75 Increase10/30カラム(GE Healthcare)でのAKTAでサイズ排除クロマトグラフィーを用いてさらに分析した。SECプロファイルおよびその後のピーク画分のSDS-PAGEによる分析は、タンパク質がSECでは約150kDのタンパク質として挙動し(すなわち、158kDマーカーの位置で溶出する)(
図2)、一方、それは、SDS-PAGEでは、約55kDのタンパク質として挙動する(
図3)ことを示す。これらのデータは、非共有結合的に連結された二量体の構成を裏付ける。このような二量体は、VHHベースAFNでは認められず、従って、FLT3L受容体結合およびシグナル伝達に必要とされるFLT3L二量体化の結果である。
【手続補正書】
【提出日】2022-02-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】配列表
【補正方法】追加
【補正の内容】
【配列表】
【国際調査報告】