IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ メディミューン,エルエルシーの特許一覧

特表2022-527334腫瘍を処置するための抗CD73、抗PD-L1抗体及び化学療法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-01
(54)【発明の名称】腫瘍を処置するための抗CD73、抗PD-L1抗体及び化学療法
(51)【国際特許分類】
   A61K 39/395 20060101AFI20220525BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20220525BHJP
   A61K 33/24 20190101ALI20220525BHJP
   A61K 31/519 20060101ALI20220525BHJP
   A61K 31/337 20060101ALI20220525BHJP
   A61K 31/282 20060101ALI20220525BHJP
   A61K 31/7068 20060101ALI20220525BHJP
   A61K 31/513 20060101ALI20220525BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20220525BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220525BHJP
   A61P 35/04 20060101ALI20220525BHJP
   C07K 16/30 20060101ALN20220525BHJP
   C12N 15/13 20060101ALN20220525BHJP
【FI】
A61K39/395 T
A61K45/00
A61K33/24
A61K31/519
A61K31/337
A61K31/282
A61K31/7068
A61K31/513
A61P35/00
A61P43/00 121
A61P35/04
C07K16/30 ZNA
C12N15/13
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021558768
(86)(22)【出願日】2020-04-01
(85)【翻訳文提出日】2021-11-19
(86)【国際出願番号】 IB2020053110
(87)【国際公開番号】W WO2020202038
(87)【国際公開日】2020-10-08
(31)【優先権主張番号】62/828,177
(32)【優先日】2019-04-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504333972
【氏名又は名称】メディミューン,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100138911
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻井 陽子
(72)【発明者】
【氏名】クマール,ラケシュ
(72)【発明者】
【氏名】クーパー,ザッカリー
(72)【発明者】
【氏名】カーン,アニス
(72)【発明者】
【氏名】エングラート,ジャドソン
(72)【発明者】
【氏名】ミュラー,ナンシー キャスリン
(72)【発明者】
【氏名】フェルテ,シャルル
(72)【発明者】
【氏名】マルティネス ロドリゲス,パブロ
【テーマコード(参考)】
4C084
4C085
4C086
4C206
4H045
【Fターム(参考)】
4C084AA19
4C084MA02
4C084MA66
4C084NA05
4C084ZB261
4C084ZB262
4C084ZC75
4C085AA14
4C085CC23
4C085DD62
4C085EE01
4C085EE03
4C085GG02
4C086AA01
4C086AA02
4C086BA02
4C086BC43
4C086CB05
4C086CB09
4C086EA17
4C086HA12
4C086HA24
4C086HA26
4C086HA28
4C086MA04
4C086MA66
4C086NA05
4C086ZB26
4C086ZC75
4C206AA01
4C206AA02
4C206JB16
4C206KA01
4C206MA04
4C206MA86
4C206NA05
4C206ZB26
4C206ZC75
4H045AA11
4H045AA30
4H045BA10
4H045CA40
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA74
(57)【要約】
本開示は、CD73に対して向けられるモノクローナル抗体又はその抗原結合フラグメント及びそのような抗体又はその抗原結合フラグメントの、腫瘍の処置における使用に関する。本開示は、腫瘍の処置の方法であって、それを必要とする患者に、抗CD73抗体又はその抗原結合フラグメントを、プログラム死リガンド1(PD-L1)(B7ホモログ1(B7-H1)としても知られている)に対して向けられるモノクローナル抗体又はその抗原結合フラグメントと組み合わせて投与することを含む方法にも関する。本開示は、腫瘍の処置の方法であって、それを必要とする患者に、抗CD73抗体又はその抗原結合フラグメントを、PD-L1抗体又はその抗原結合フラグメント及び化学療法と組み合わせて投与することを含む方法にも関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒト患者において腫瘍を処置する方法であって、オレクルマブ又はその抗原結合フラグメントを前記患者に投与することを含む方法。
【請求項2】
ヒト患者において腫瘍を処置する方法であって、オレクルマブ又はその抗原結合フラグメント及びデュルバルマブ又はその抗原結合フラグメントを前記患者に投与することを含む方法。
【請求項3】
ヒト患者において腫瘍を処置する方法であって、オレクルマブ又はその抗原結合フラグメント及び化学療法を前記患者に投与することを含む方法。
【請求項4】
デュルバルマブ又はその抗原結合フラグメントを投与することを更に含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記オレクルマブ又はその抗原結合フラグメントは、750mg~3000mgの用量において投与される、請求項1~4の何れか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記オレクルマブ又はその抗原結合フラグメントは、750mgの用量において投与される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記オレクルマブ又はその抗原結合フラグメントは、1500mgの用量において投与される、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記オレクルマブ又はその抗原結合フラグメントは、2250mgの用量において投与される、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記オレクルマブ又はその抗原結合フラグメントは、3000mgの用量において投与される、請求項5に記載の方法。
【請求項10】
前記オレクルマブ又はその抗原結合フラグメントは、2250mgの用量において、且つその後、3000mgの用量において投与される、請求項5に記載の方法。
【請求項11】
前記オレクルマブ又はその抗原結合フラグメントは、4回の用量について2250mgの用量において、且つその後、3000mgの用量において投与される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
オレクルマブ又はその抗原結合フラグメントは、14~28日毎に投与される、請求項1~11の何れか一項に記載の方法。
【請求項13】
オレクルマブ又はその抗原結合フラグメントは、14日毎に投与される、請求項1~11の何れか一項に記載の方法。
【請求項14】
オレクルマブ又はその抗原結合フラグメントは、28日毎に投与される、請求項1~11の何れか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記オレクルマブ又はその抗原結合フラグメントは、少なくとも2回の用量について14日毎に、且つその後、28日毎に投与される、請求項1~11の何れか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記オレクルマブ又はその抗原結合フラグメントは、4回の用量について14日毎に、且つその後、28日毎に投与される、請求項1~11の何れか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記オレクルマブ又はその抗原結合フラグメントは、21日毎に投与される、請求項1~11の何れか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記オレクルマブ又はその抗原結合フラグメントは、少なくとも2回の用量について21日毎に、且つその後、28日毎に投与される、請求項1~11の何れか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記オレクルマブ又はその抗原結合フラグメントは、2~4回の用量について21日毎に、且つその後、28日毎に投与される、請求項1~11の何れか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記オレクルマブ又はその抗原結合フラグメントは、2回の用量について21日毎に、且つその後、28日毎に1回投与される、請求項13に記載の方法。
【請求項21】
前記オレクルマブ又はその抗原結合フラグメントは、4回の用量について21日毎に1回、且つその後、28日毎に1回投与される、請求項13に記載の方法。
【請求項22】
前記オレクルマブ又はその抗原結合フラグメントは、2回の用量について21日毎に2250mgの用量において1回、且つその後、28日毎に3000mgの用量において1回投与される、請求項1~5の何れか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記オレクルマブ又はその抗原結合フラグメントは、4回の用量について21日毎に2250mgの用量において1回、且つその後、28日毎に3000mgの用量において1回投与される、請求項1~5の何れか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記オレクルマブ又はその抗原結合フラグメントは、静脈内投与される、請求項1~23の何れか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記デュルバルマブ又はその抗原結合フラグメントは、1500mgの用量において投与される、請求項2又は4~24の何れか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記デュルバルマブ又はその抗原結合フラグメントは、21日毎~28日毎に投与される、請求項2又は4~25の何れか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記デュルバルマブ又はその抗原結合フラグメントは、28日毎に投与される、請求項2又は4~26の何れか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記デュルバルマブ又はその抗原結合フラグメントは、21日毎に投与される、請求項2又は4~26の何れか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記デュルバルマブ又はその抗原結合フラグメントは、少なくとも2回の用量について21日毎に、且つその後、28日毎に投与される、請求項2又は4~26の何れか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記デュルバルマブ又はその抗原結合フラグメントは、4回の用量について21日毎に、且つその後、28日毎に投与される、請求項2又は4~26の何れか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記デュルバルマブ又はその抗原結合フラグメントは、4回の用量について21日毎に1500mgの用量において、且つその後、28日毎に1500mgの用量において投与される、請求項2又は4~26の何れか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記デュルバルマブ又はその抗原結合フラグメントは、静脈内投与される、請求項1~31の何れか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記化学療法は、シスプラチン、ペメトレキセド、nab-パクリタキセル、カルボプラチン、ゲムシタビン、シスプラチン、オキサリプラチン、ロイコボリン、5-フルオロウラシル及びドセタキセルの少なくとも1つを含む、請求項3~32の何れか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記化学療法は、オキサリプラチン、ロイコボリン及び5-フルオロウラシルを含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記オキサリプラチンは、85mg/mの用量において投与される、請求項33又は34に記載の方法。
【請求項36】
前記オキサリプラチンは、2週毎に投与される、請求項33~35の何れか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記ロイコボリンは、400mg/mの用量において投与される、請求項33~36の何れか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記ロイコボリンは、2週毎に投与される、請求項33~38の何れか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記5-フルオロウラシルは、2400mg/mの用量において投与される、請求項33~38の何れか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記5-フルオロウラシルは、46~48時間の連続静脈内注入によって投与される、請求項33~39の何れか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記5-フルオロウラシルは、2週毎に46~48時間にわたって投与される、請求項33~40の何れか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記化学療法は、85mg/mのオキサリプラチン、400mg/mのロイコボリン及び2400mg/mの5-フルオロウラシルを含む、請求項33~41の何れか一項に記載の方法。
【請求項43】
ベバシズマブ又はその抗原結合フラグメントを投与することを更に含む、請求項34~42の何れか一項に記載の方法。
【請求項44】
ベバシズマブ又はその抗原結合フラグメントは、5mg/kgの用量において投与される、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
ベバシズマブ又はその抗原結合フラグメントは、2週毎に投与される、請求項43又は44に記載の方法。
【請求項46】
ベバシズマブ又はその抗原結合フラグメントは、静脈内投与される、請求項43~45の何れか一項に記載の方法。
【請求項47】
前記化学療法は、(a)nab-パクリタキセル及びカルボプラチン;(b)ゲムシタビン及びシスプラチン;(c)ゲムシタビン及びカルボプラチン;(d)ペメトレキセド及びカルボプラチン;並びに(e)ペメトレキセド及びシスプラチンを含む、請求項33に記載の方法。
【請求項48】
前記nab-パクリタキセルは、100mg/mの用量において投与される、請求項33又は47に記載の方法。
【請求項49】
前記nab-パクリタキセルは、21日サイクルの1、8及び15日目に投与される、請求項33、47又は48の何れか一項に記載の方法。
【請求項50】
前記ゲムシタビンは、1000mg/m又は1250mg/mの用量において投与される、請求項33又は47に記載の方法。
【請求項51】
前記ゲムシタビンは、21日サイクルの1及び8日目に投与される、請求項33、47又は50の何れか一項に記載の方法。
【請求項52】
前記ペメトレキセドは、500mg/mの用量において投与される、請求項33又は47に記載の方法。
【請求項53】
前記ペメトレキセドは、3週毎に投与される、請求項33、47又は52の何れか一項に記載の方法。
【請求項54】
前記カルボプラチンは、AUC5又は6の用量において投与される、請求項33又は47~53の何れか一項に記載の方法。
【請求項55】
前記カルボプラチンは、3週毎に投与される、請求項33又は47~55の何れか一項に記載の方法。
【請求項56】
前記シスプラチンは、75mg/mの用量において投与される、請求項33、47又は50~53の何れか一項に記載の方法。
【請求項57】
前記シスプラチンは、3週毎に投与される、請求項33、47、50~53又は56の何れか一項に記載の方法。
【請求項58】
前記化学療法は、1000mg/mのゲムシタビン及び125mg/mのnab-パクリタキセルを含む、請求項33に記載の方法。
【請求項59】
前記化学療法は、7日~28日毎に投与される、請求項3~58の何れか一項に記載の方法。
【請求項60】
前記化学療法は、14日毎に投与される、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
オレクルマブ又はその抗原結合フラグメントの前記投与は、部分奏功をもたらす、請求項1又は5~24の何れか一項に記載の方法。
【請求項62】
オレクルマブ又はその抗原結合フラグメントの前記投与は、完全奏功をもたらす、請求項1又は5~24の何れか一項に記載の方法。
【請求項63】
前記腫瘍は、固形腫瘍である、請求項1~62の何れか一項に記載の方法。
【請求項64】
前記固形腫瘍は、乳癌、卵巣癌、頭頚部癌、前立腺癌、膀胱癌、結腸直腸癌、非小細胞肺癌(NSCLC)、神経膠芽腫、腎細胞癌又は膵癌である、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
前記膵癌は、膵管腺癌である、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
前記腫瘍は、切除可能なNSCLC腫瘍である、請求項64に記載の方法。
【請求項67】
前記腫瘍は、早期NSCLC腫瘍である、請求項64又は66に記載の方法。
【請求項68】
前記腫瘍は、病期IVのNSCLC腫瘍である、請求項64に記載の方法。
【請求項69】
前記結腸直腸癌は、転移性マイクロサテライト安定性である、請求項64に記載の方法。
【請求項70】
前記腫瘍は、高いPD-L1発現を有し、任意選択的に、前記腫瘍は、NSCLC腫瘍である、請求項1~64の何れか一項に記載の方法。
【請求項71】
前記腫瘍は、低いPD-L1発現を有し、任意選択的に、前記腫瘍は、NSCLC腫瘍である、請求項1~64の何れか一項に記載の方法。
【請求項72】
前記腫瘍は、活性化表皮成長因子受容体(EGFR)変異及び/又は未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)融合を欠き、任意選択的に、前記腫瘍は、NSCLC腫瘍である、請求項1~64の何れか一項に記載の方法。
【請求項73】
前記患者は、以前に処置されなかった転移性膵管腺癌を有する、請求項1~64の何れか一項に記載の方法。
【請求項74】
前記患者は、ゲムシタビンベースの治療法で以前に処置された転移性膵管腺癌を有する、請求項1~64の何れか一項に記載の方法。
【請求項75】
前記腫瘍は、再発及び/又は転移状況において以前の処置を受けていない、請求項1~74の何れか一項に記載の方法。
【請求項76】
前記患者は、抗PD-1又は抗PD-L1含有治療を進めている、請求項1~74の何れか一項に記載の方法。
【請求項77】
前記腫瘍は、第一選択転移性膵管腺癌であり、前記オレクルマブ又はその抗原結合フラグメントは、4回の用量について1500mg又は3000mgにおいて2週毎に、且つその後、4週毎に投与され、前記化学療法は、1000mg/mのゲムシタビン及び125mg/mのnab-パクリタキセルを含み、前記化学療法は、4回の28日サイクルの1、8及び15日目に、且つその後、4週毎に投与される、請求項3、24又は32の何れか一項に記載の方法。
【請求項78】
前記腫瘍は、第二選択転移性膵管腺癌であり、前記オレクルマブ又はその抗原結合フラグメントは、4回の用量について1500mg又は3000mgにおいて2週毎に、且つその後、4週毎に投与され、前記化学療法は、85mg/mのオキサリプラチン、400mg/mのロイコボリン及び400mg/mの5-FUに続いて2400mg/mの5-FUを含み、前記化学療法は、4回の28日サイクルの1及び15日目に、且つその後、4週毎に投与される、請求項3、24又は32の何れか一項に記載の方法。
【請求項79】
1500mgのデュルバルマブ又はその抗原結合フラグメントを4週毎に投与することを更に含む、請求項77又は78に記載の方法。
【請求項80】
前記腫瘍は、高いPD-L1発現を有する高い第一選択病期IV NSCLCであり、前記オレクルマブ又はその抗原結合フラグメントは、2回の28日サイクルについて1500mg又は3000mgにおいて2週毎に、且つその後、4週毎に投与され、前記デュルバルマブ又はその抗原結合フラグメントは、1500mgにおいて4週毎に投与される、請求項2、24又は32の何れか一項に記載の方法。
【請求項81】
前記腫瘍は、低いPD-L1発現を有する第一選択病期IV NSCLCであり、
(i)前記オレクルマブ又はその抗原結合フラグメントは、(a)4回の21日サイクルについて1500mgにおいて3週毎に、且つその後、4週毎に;又は(b)4回の21日サイクルについて2250mgにおいて3週毎に、且つその後、3000mgにおいて4週毎に投与され;
(ii)前記デュルバルマブ又はその抗原結合フラグメントは、4回の21日サイクルについて1500mgにおいて3週毎に、且つその後、4週毎に投与され;及び
(iii)前記化学療法は、(a)4回のサイクルについて21日サイクルの1、8及び15日目に100mg/mのnab-パクリタキセル及び4回のサイクルについて21日サイクルの1日目に5若しくは6AUCのカルボプラチン;(b)4回のサイクルについて21日サイクルの1及び8日目に1000mg/m若しくは1250mg/mのゲムシタビン及び4回のサイクルについて21日サイクルの1日目に75mg/mのシスプラチン;(c)4回のサイクルについて21日サイクルの1及び8日目に1000mg/m若しくは1250mg/mのゲムシタビン及び4回のサイクルについて21日サイクルの1日目に5若しくは6AUCのカルボプラチン;(d)4回のサイクルについて21日サイクルの1日目に500mg/mのペメトレキセド及び4回のサイクルについて21日サイクルの1日目に5若しくは6AUCのカルボプラチンであって、任意選択的に、500mg/mのペメトレキセドは、4回のサイクル後に維持療法として4週毎に投与される、ペメトレキセド及びカルボプラチン;又は(e)4回のサイクルについて21日サイクルの1日目に500mg/mのペメトレキセド及び4回のサイクルについて21日サイクルの1日目に75mg/mのシスプラチンであって、任意選択的に、500mg/mのペメトレキセドは、4回のサイクル後に維持療法として4週毎に投与される、ペメトレキセド及びシスプラチンを含む、請求項4、24又は32の何れか一項に記載の方法。
【請求項82】
前記腫瘍は、局所進行性切除不能病期III NSCLC腫瘍であり、(i)1500mgのデュルバルマブ又はその抗原結合フラグメントは、4週毎に投与され、及び(ii)3000mgのオレクルマブ又はその抗原結合フラグメントは、2ヵ月間にわたって2週毎に、且つその後、4週毎に投与される、請求項2、24又は32の何れか一項に記載の方法。
【請求項83】
前記腫瘍は、切除可能早期NSCLC腫瘍であり、(i)1500mgのデュルバルマブ又はその抗原結合フラグメントは、投与され、及び(ii)3000mgのオレクルマブ又はその抗原結合フラグメントは、2週毎に投与される、請求項2、24又は32の何れか一項に記載の方法。
【請求項84】
前記腫瘍は、転移性マイクロサテライト安定結腸直腸癌腫瘍であり、(i)1500mgのデュルバルマブ又はその抗原結合フラグメントは、4週毎に投与され;(ii)3000mgのオレクルマブ又はその抗原結合フラグメントは、4回の用量について2週毎に、且つその後、4週毎に投与され;(iii)前記化学療法は、(a)2週毎に400mg/mのフォリン酸、(b)2週毎に85mg/mのオキサリプラチン;及び(c)2週毎に2400mg/mの5-フルオロウラシルを含み;及び(iv)5mg/kgのベバシズマブ又はその抗原結合フラグメントは、2週毎に投与される、請求項4、24、32又は46の何れか一項に記載の方法。
【請求項85】
前記腫瘍は、マイクロサテライト安定結腸直腸癌腫瘍であり、(i)1500mgのデュルバルマブ又はその抗原結合フラグメントは、4週毎に投与され;(ii)3000mgのオレクルマブ又はその抗原結合フラグメントは、5回の用量について2週毎に、且つその後、4週毎に投与され;及び(iii)前記化学療法は、(a)2週毎に400mg/mのフォリン酸;(b)2週毎に85mg/mのオキサリプラチン;及び(c)1日目に400mg/mの5-フルオロウラシル及びその後、2週毎に2400mg/mの5-フルオロウラシルを含む、請求項4、24又は32の何れか一項に記載の方法。
【請求項86】
前記患者は、0又は1の東海岸癌臨床試験グループ(ECOG)パフォーマンスステータスを有する、請求項1~85の何れか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年4月2日出願の米国特許出願第62/828,177号明細書の利益を主張し、この出願の全体の内容は、参照により組み込まれる。
【0002】
本開示は、抗クラスター分化[CD]73(CD73)に対して向けられるモノクローナル抗体又はその抗原結合フラグメント及びそのような抗体又はその抗原結合フラグメントの、腫瘍の処置における使用に関する。本開示は、腫瘍の処置の方法であって、それを必要とする患者に、抗CD73抗体又はその抗原結合フラグメントを、プログラム死リガンド1(PD-L1)(B7ホモログ1(B7-H1)としても知られている)に対して向けられるモノクローナル抗体又はその抗原結合フラグメントと組み合わせて投与することを含む方法にも関する。本開示は、腫瘍の処置の方法であって、それを必要とする患者に、抗CD73抗体又はその抗原結合フラグメントを、PD-L1抗体若しくはその抗原結合フラグメント及び/又は化学療法と組み合わせて投与することを含む方法にも関する。
【背景技術】
【0003】
CD73又はエクト-5’-ヌクレオチダーゼ(5’-NT)は、いくつかの組織において遍在的に発現される。このタンパク質は、グリコシルホスファチジルイノシトール(GPI)結合を介して細胞膜にアンカリングされており、外酵素活性を有し、且つシグナル伝達において役割を果たす。CD73の主な機能は、概して細胞不浸透性である細胞外ヌクレオチド(例えば5’-AMP)を、その対応するヌクレオシド(例えばアデノシン)に変換することであり、これは、殆どの細胞に容易に入り得る。AMP脱リン酸化によるアデノシンのCD73生成は、多くの組織においてアデノシン受容体連結を調節することが示されており、アデノシンは、細胞保護、細胞増殖、血管新生及び免疫抑制において機能すると共に、腫瘍発生においても役割を果たすことを示している。
【0004】
腫瘍細胞上でのCD73の発現は、数種の癌、例えば結腸直腸癌、膵癌、膀胱癌、白血病、リンパ腫、神経膠腫、神経膠芽腫、メラノーマ、卵巣癌、甲状腺癌、食道癌、前立腺癌及び乳癌において報告されている。CD73の発現の増大は、腫瘍侵入、転移及び患者生存期間の短縮にも関連している。CD73は、アデノシンレベルの増大によって特徴付けられる免疫抑制環境を作り出し、これが癌の発生及び進行を促進する。特に、CD73発現は、メラノーマ及び乳癌における前転移性表現型と関連している。
【0005】
B7H1としても知られているプログラム死リガンド1(PD-L1)は、40kDaの膜貫通タンパク質であり、これは、抗癌免疫における主要な障害である。プログラム死受容体(PD-1)に結合するPD-L1は、T細胞を不活化し、腫瘍細胞を保護し、且つ免疫系の検出を抑制して、癌細胞の未確認の増殖を可能とする。PD-L1は、共刺激分子であるCD80にも結合する。抗原提示細胞、マクロファージ、単球、B細胞、T細胞及び非造血細胞が挙げられる、広範囲な腫瘍形成性の且つ活性化された免疫細胞型がPD-L1を自然に発現する。更に、炎症性サイトカインがPD-L1発現を誘導する(インターフェロンガンマ(IFNγ)が挙げられる)。活性化T細胞は、PD-L1の最も強力な誘導因子であるIFNγを産生する。IFNγは、次に、PD-L1発現を誘導して、腫瘍保護を促進する。これは、適応性のある免疫耐性として知られている機構である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
免疫チェックポイント阻害剤は、癌治療薬として大きい可能性を有する。それでもやはり、免疫チェックポイント阻害からの臨床的有用性は、大きくなかった。1つの考え得る説明として、腫瘍は、重なりのない免疫抑制機構を用いて免疫エスケープを促進するというものがある。したがって、腫瘍媒介性免疫抑制を低減させるための組成物及び方法の向上が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、ヒト患者において腫瘍を処置する方法であって、オレクルマブ又はその抗原結合フラグメントを患者に投与することを含む方法を提供する。特定の実施形態において、オレクルマブ又はその抗原結合フラグメントは、750~3000mgの用量において投与される。特定の実施形態において、オレクルマブ又はその抗原結合フラグメントは、40mg/kgの用量において投与される。
【0008】
本開示は、ヒト患者において腫瘍を処置する方法であって、オレクルマブ又はその抗原結合フラグメント及びデュルバルマブ又はその抗原結合フラグメントを患者に投与することを含む方法を更に提供する。
【0009】
本開示は、ヒト患者において腫瘍を処置する方法であって、オレクルマブ又はその抗原結合フラグメント及び化学療法を患者に投与することを含む方法を更に提供する。
【0010】
一部の態様において、ヒト患者において腫瘍を処置する方法は、オレクルマブ又はその抗原結合フラグメントを患者に投与することを含む。
【0011】
一部の態様において、ヒト患者において腫瘍を処置する方法は、オレクルマブ又はその抗原結合フラグメント及びデュルバルマブ又はその抗原結合フラグメントを患者に投与することを含む。
【0012】
一部の態様において、ヒト患者において腫瘍を処置する方法は、オレクルマブ又はその抗原結合フラグメント及び化学療法を患者に投与することを含む。一部の態様において、本方法は、デュルバルマブ又はその抗原結合フラグメントを投与することを更に含む。
【0013】
一部の態様において、オレクルマブ又はその抗原結合フラグメントは、750mg~3000mgの用量において投与される。一部の態様において、オレクルマブ又はその抗原結合フラグメントは、750mgの用量において投与される。一部の態様において、オレクルマブ又はその抗原結合フラグメントは、1500mgの用量において投与される。一部の態様において、オレクルマブ又はその抗原結合フラグメントは、2250mgの用量において投与される。一部の態様において、オレクルマブ又はその抗原結合フラグメントは、3000mgの用量において投与される。一部の態様において、オレクルマブ又はその抗原結合フラグメントは、2250mgの用量において、且つその後、3000mgの用量において投与される。一部の態様において、オレクルマブ又はその抗原結合フラグメントは、4回の用量について2250mgの用量において、且つその後、3000mgの用量において投与される。
【0014】
一部の態様において、オレクルマブ又はその抗原結合フラグメントは、14~28日毎に投与される。一部の態様において、オレクルマブ又はその抗原結合フラグメントは、14日毎に投与される。一部の態様において、オレクルマブ又はその抗原結合フラグメントは、28日毎に投与される。一部の態様において、オレクルマブ又はその抗原結合フラグメントは、少なくとも2回の用量について14日毎に、且つその後、28日毎に投与される。一部の態様において、オレクルマブ又はその抗原結合フラグメントは、4回の用量について14日毎に、且つその後、28日毎に投与される。一部の態様において、オレクルマブ又はその抗原結合フラグメントは、21日毎に投与される。一部の態様において、オレクルマブ又はその抗原結合フラグメントは、少なくとも2回の用量について21日毎に、且つその後、28日毎に投与される。一部の態様において、オレクルマブ又はその抗原結合フラグメントは、2~4回の用量について21日毎に、且つその後、28日毎に投与される。一部の態様において、オレクルマブ又はその抗原結合フラグメントは、2回の用量について21日毎に、且つその後、28日毎に1回投与される。一部の態様において、オレクルマブ又はその抗原結合フラグメントは、4回の用量について21日毎に1回、且つその後、28日毎に1回投与される。
【0015】
一部の態様において、オレクルマブ又はその抗原結合フラグメントは、2回の用量について21日毎に2250mgの用量において1回、且つその後、28日毎に3000mgの用量において1回投与される。一部の態様において、オレクルマブ又はその抗原結合フラグメントは、4回の用量について21日毎に2250mgの用量において1回、且つその後、28日毎に3000mgの用量において1回投与される。
【0016】
一部の態様において、オレクルマブ又はその抗原結合フラグメントは、静脈内投与される。
【0017】
一部の態様において、デュルバルマブ又はその抗原結合フラグメントは、1500mgの用量において投与される。
【0018】
一部の態様において、デュルバルマブ又はその抗原結合フラグメントは、21日毎~28日毎に投与される。一部の態様において、デュルバルマブ又はその抗原結合フラグメントは、28日毎に投与される。一部の態様において、デュルバルマブ又はその抗原結合フラグメントは、21日毎に投与される。一部の態様において、デュルバルマブ又はその抗原結合フラグメントは、少なくとも2回の用量について21日毎に、且つその後、28日毎に投与される。一部の態様において、デュルバルマブ又はその抗原結合フラグメントは、4回の用量について21日毎に、且つその後、28日毎に投与される。
【0019】
一部の態様において、デュルバルマブ又はその抗原結合フラグメントは、4回の用量について21日毎に1500mgの用量において、且つその後、28日毎に1500mgの用量において投与される。
【0020】
一部の態様において、デュルバルマブ又はその抗原結合フラグメントは、静脈内投与される。
【0021】
一部の態様において、化学療法は、シスプラチン、ペメトレキセド、nab-パクリタキセル、カルボプラチン、ゲムシタビン、シスプラチン、オキサリプラチン、ロイコボリン、5-フルオロウラシル及びドセタキセルの少なくとも1つを含む。
【0022】
一部の態様において、化学療法は、オキサリプラチン、ロイコボリン及び5-フルオロウラシルを含む。
【0023】
一部の態様において、オキサリプラチンは、85mg/mの用量において投与される。一部の態様において、オキサリプラチンは、2週毎に投与される。
【0024】
一部の態様において、ロイコボリンは、400mg/mの用量において投与される。一部の態様において、ロイコボリンは、2週毎に投与される。
【0025】
一部の態様において、5-フルオロウラシルは、2400mg/mの用量において投与される。一部の態様において、5-フルオロウラシルは、46~48時間の連続静脈内注入によって投与される。一部の態様において、5-フルオロウラシルは、2週毎に46~48時間にわたって投与される。
【0026】
一部の態様において、化学療法は、85mg/mのオキサリプラチン、400mg/mのロイコボリン及び2400mg/mの5-フルオロウラシルを含む。
【0027】
一部の態様において、本方法は、ベバシズマブ又はその抗原結合フラグメントを投与することを更に含む。一部の態様において、ベバシズマブ又はその抗原結合フラグメントは、5mg/kgの用量において投与される。一部の態様において、ベバシズマブ又はその抗原結合フラグメントは、2週毎に投与される。一部の態様において、ベバシズマブ又はその抗原結合フラグメントは、静脈内投与される。
【0028】
一部の態様において、化学療法は、(a)nab-パクリタキセル及びカルボプラチン;(b)ゲムシタビン及びシスプラチン;(c)ゲムシタビン及びカルボプラチン;(d)ペメトレキセド及びカルボプラチン;並びに(e)ペメトレキセド及びシスプラチンを含む。
【0029】
一部の態様において、nab-パクリタキセルは、100mg/mの用量において投与される。一部の態様において、nab-パクリタキセルは、21日サイクルの1、8及び15日目に投与される。
【0030】
一部の態様において、ゲムシタビンは、1000mg/m又は1250mg/mの用量において投与される。一部の態様において、ゲムシタビンは、21日サイクルの1及び8日目に投与される。
【0031】
一部の態様において、ペメトレキセドは、500mg/mの用量において投与される。一部の態様において、ペメトレキセドは、3週毎に投与される。
【0032】
一部の態様において、カルボプラチンは、AUC5又は6の用量において投与される。一部の態様において、カルボプラチンは、3週毎に投与される。
【0033】
一部の態様において、シスプラチンは、75mg/mの用量において投与される。一部の態様において、シスプラチンは、3週毎に投与される。
【0034】
一部の態様において、化学療法は、1000mg/mのゲムシタビン及び125mg/mのnab-パクリタキセルを含む。
【0035】
一部の態様において、化学療法は、7日~28日毎に投与される。一部の態様において、化学療法は、14日毎に投与される。
【0036】
一部の態様において、オレクルマブ又はその抗原結合フラグメントの投与は、部分奏功をもたらす。一部の態様において、オレクルマブ又はその抗原結合フラグメントの投与は、完全奏功をもたらす。
【0037】
一部の態様において、腫瘍は、固形腫瘍である。一部の態様において、固形腫瘍は、乳癌、卵巣癌、頭頚部癌、前立腺癌、膀胱癌、結腸直腸癌、非小細胞肺癌(NSCLC)、神経膠芽腫、腎細胞癌又は膵癌である。一部の態様において、膵癌は、膵管腺癌である。一部の態様において、腫瘍は、切除可能なNSCLC腫瘍である。一部の態様において、腫瘍は、早期NSCLC腫瘍である。一部の態様において、腫瘍は、病期IVのNSCLC腫瘍である。一部の態様において、結腸直腸癌は、転移性マイクロサテライト安定性である。
【0038】
一部の態様において、腫瘍は、高いPD-L1発現を有する。高いPD-L1発現を有する腫瘍は、NSCLC腫瘍であり得る。
【0039】
一部の態様において、腫瘍は、低いPD-L1発現を有する。低いPD-L1発現を有する腫瘍は、NSCLC腫瘍であり得る。
【0040】
一部の態様において、腫瘍は、活性化表皮成長因子受容体(EGFR)変異及び/又は未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)融合を欠く。EGFR変異及び/又はALK融合を欠く腫瘍は、NSCLC腫瘍であり得る。
【0041】
一部の態様において、患者は、以前に処置されなかった転移性膵管腺癌を有する。一部の態様において、患者は、ゲムシタビンベースの治療法で以前に処置された転移性膵管腺癌を有する。
【0042】
一部の態様において、腫瘍は、再発及び/又は転移状況において以前の処置を受けていない。一部の態様において、患者は、抗PD-1又は抗PD-L1含有治療を進めている。
【0043】
一部の態様において、腫瘍は、第一選択転移性膵管腺癌であり、オレクルマブ又はその抗原結合フラグメントは、4回の用量について1500mg又は3000mgにおいて2週毎に、且つその後、4週毎に投与され、化学療法は、1000mg/mのゲムシタビン及び125mg/mのnab-パクリタキセルを含み、化学療法は、4回の28日サイクルの1、8及び15日目に、且つその後、4週毎に投与される。
【0044】
一部の態様において、腫瘍は、第二選択転移性膵管腺癌であり、オレクルマブ又はその抗原結合フラグメントは、4回の用量について1500mg又は3000mgにおいて2週毎に、且つその後、4週毎に投与され、化学療法は、85mg/mのオキサリプラチン、400mg/mのロイコボリン及び400mg/mの5-FUに続いて2400mg/mの5-FUを含み、化学療法は、4回の28日サイクルの1及び15日目に、且つその後、4週毎に投与される。
【0045】
一部の態様において、本方法は、1500mgのデュルバルマブ又はその抗原結合フラグメントを4週毎に投与することを更に含む。
【0046】
一部の態様において、腫瘍は、高いPD-L1発現を有する第一選択病期IV NSCLCであり、オレクルマブ又はその抗原結合フラグメントは、2回の14日サイクルについて1500mg又は3000mgにおいて2週毎に、且つその後、4週毎に投与され、デュルバルマブ又はその抗原結合フラグメントは、1500mgにおいて4週毎に投与される。
【0047】
一部の態様において、腫瘍は、低いPD-L1発現を有する第一選択病期IV NSCLCであり、オレクルマブ又はその抗原結合フラグメントは、(a)4回の21日サイクルについて1500mgにおいて3週毎に、且つその後、4週毎に;又は(b)4回の21日サイクルについて2250mgにおいて3週毎に、且つその後、3000mgにおいて4週毎に投与され;デュルバルマブ又はその抗原結合フラグメントは、4回の21日サイクルについて1500mgにおいて3週毎に、且つその後、4週毎に投与され;化学療法は、(a)4回のサイクルについて21日サイクルの1、8及び15日目に100mg/mのnab-パクリタキセル及び4回のサイクルについて21日サイクルの1日目に5若しくは6AUCのカルボプラチン;(b)4回のサイクルについて21日サイクルの1及び8日目に1000mg/m若しくは1250mg/mのゲムシタビン及び4回のサイクルについて21日サイクルの1日目に75mg/mのシスプラチン;(c)4回のサイクルについて21日サイクルの1及び8日目に1000mg/m若しくは1250mg/mのゲムシタビン及び4回のサイクルについて21日サイクルの1日目に5若しくは6AUCのカルボプラチン;(d)4回のサイクルについて21日サイクルの1日目に500mg/mのペメトレキセド及び4回のサイクルについて21日サイクルの1日目に5若しくは6AUCのカルボプラチンであって、任意選択的に、500mg/mのペメトレキセドは、4回のサイクル後に維持療法として4週毎に投与される、ペメトレキセド及びカルボプラチン;又は(e)4回のサイクルについて21日サイクルの1日目に500mg/mのペメトレキセド及び4回のサイクルについて21日サイクルの1日目に75mg/mのシスプラチンであって、任意選択的に、500mg/mのペメトレキセドは、4回のサイクル後に維持療法として4週毎に投与される、ペメトレキセド及びシスプラチンを含む。
【0048】
一部の態様において、腫瘍は、局所進行性切除不能病期III NSCLC腫瘍であり、(i)1500mgのデュルバルマブ又はその抗原結合フラグメントは、4週毎に投与され、及び(ii)3000mgのオレクルマブ又はその抗原結合フラグメントは、2ヵ月間にわたって2週毎に、且つその後、4週毎に投与される。
【0049】
一部の態様において、腫瘍は、切除可能早期NSCLC腫瘍であり、(i)1500mgのデュルバルマブ又はその抗原結合フラグメントは、投与され、及び(ii)3000mgのオレクルマブ又はその抗原結合フラグメントは、2週毎に投与される。
【0050】
一部の態様において、腫瘍は、転移性マイクロサテライト安定結腸直腸癌腫瘍であり、(i)1500mgのデュルバルマブ又はその抗原結合フラグメントは、4週毎に投与され;(ii)3000mgのオレクルマブ又はその抗原結合フラグメントは、4回の用量について2週毎に、且つその後、4週毎に投与され;(iii)化学療法は、(a)2週毎に400mg/mのフォリン酸、(b)2週毎に85mg/mのオキサリプラチン;及び(c)2週毎に2400mg/mの5-フルオロウラシルを含み;及び(iv)5mg/kgのベバシズマブ又はその抗原結合フラグメントは、2週毎に投与される。
【0051】
一部の態様において、腫瘍は、マイクロサテライト安定結腸直腸癌腫瘍であり、(i)1500mgのデュルバルマブ又はその抗原結合フラグメントは、4週毎に投与され;(ii)3000mgのオレクルマブ又はその抗原結合フラグメントは、4回又は5回の用量について2週毎に、且つその後、4週毎に投与され;(iii)化学療法は、(a)2週毎に400mg/mのフォリン酸;(b)2週毎に85mg/mのオキサリプラチン;及び(c)1日目に400mg/mの5-フルオロウラシル及びその後、2週毎に2400mg/mの5-フルオロウラシルを含む。
【0052】
一部の態様において、患者は、0又は1の東海岸癌臨床試験グループ(Eastern Cooperative Oncology Group:ECOG)パフォーマンスステータスを有する。
【図面の簡単な説明】
【0053】
図1】0mg/kg(群1)、1mg/kg(群2)、10mg/kg(群3)又は107.8mg/kg(群4)のオレクルマブの用量を投与したカニクイザルにおける遊離sCD73の濃度を示すグラフである(実施例2を参照されたい)。
図2A-2B】オレクルマブ投与が用量依存的にキーホールリンペットヘモシアニンT依存性抗体応答(KLH TDAR)を増強しなかったことを示す。図2Aは、0mg/kg、1mg/kg、10mg/kg又は107.8mg/kgのオレクルマブの用量を投与したサルにおけるKLH免疫化後の平均抗KLH IgM力価を示し、図2Bは、0mg/kg、1mg/kg、10mg/kg又は107.8mg/kgのオレクルマブの用量を投与したサルにおけるKLH免疫化後の平均抗KLH IgG力価を示す(実施例2を参照されたい)。
図3A-3B】オレクルマブ投与が末梢血単核細胞のKLH刺激後にエクスビボIFN-γ又はIL-2産生を増大させなかったことを示す。図3Aは、0mg/kg、1mg/kg、10mg/kg又は107.8mg/kgのオレクルマブの用量を投与したサルにおけるKLH免疫化後の平均KLH特異的IFN-γ産生を示し、図3Bは、0mg/kg、1mg/kg、10mg/kg又は107.8mg/kgのオレクルマブの用量を投与したサルにおけるKLH免疫化後のKLH特異的IL-2産生を示す(実施例2を参照されたい)。
図4】リンフォクリプトウイルス(LCV)が、0mg/kg、1mg/kg、10mg/kg又は107.8mg/kgのオレクルマブの用量を投与したサルから得た殆どのサンプルにおいてqPCRによって検出されたことを示す(実施例2を参照されたい)。
図5】オレクルマブの治療ヒト用量の予測に用いられる薬物動態学的/薬力学的モデルについてのモデル仮説を示す。線形の標的媒介薬動態クリアランスによる2-コンパートメントモデルを用いて、MEDI9447血清濃度プロファイルを適切に説明した。このモデルを用いて、サル薬物動態学的データを説明してから、結果として生じたパラメータをヒトにアロメトリックにスケール化して、シミュレーションを用いて用量を予測した(実施例2を参照されたい)。
図6A-6B】カニクイザル薬物動態学的モデリング及びヒト用量予測を示す。カニクイザル血清MEDI9447濃度プロファイル(図6A)は、概略的に図5に示す非線形のモデルにより、3つの異なる用量レベルの全てについて適切に説明された。このモデル由来の薬物動態学的パラメータのアロメトリックスケーリング後、ヒト血清濃度プロファイルをシミュレートした(図6B)。52μg/mLの血清曝露標的を同系マウスにおける腫瘍抑制データから判定し、及びシミュレーションは、2週毎に(Q2W)与えられる15mg/kg以上の用量が、有効性をもたらすことが予想される全投与期間中に適切な曝露を達成及び維持するであろうことを示唆した(実施例2を参照されたい)。
図7A-7B】図7Aは、オレクルマブ単剤療法アーム(膵癌及びマイクロサテライト安定結腸直腸癌(MSS-CRC))についての用量漸増相の研究フロー図を示す。図7Bは、進行固形腫瘍(膵癌及びMSS-CRC)を有するヒト患者への併用療法としてオレクルマブ(MEDI9447)及びデュルバルマブを投与する研究の用量拡大部及び用量漸増部の研究フロー図を示す(実施例3を参照されたい)。
図8】ヒト患者に単剤療法としてのオレクルマブ(MEDI9447)及びオレクルマブ(MEDI9447)/デュルバルマブ併用療法を投与するスクリーニング、処置及び研究の追跡期間についての投与スキーマを示す(実施例3を参照されたい)。
図9A-9B】単剤療法としての(図9A)又はデュルバルマブとの併用療法での(図9B)オレクルマブの投与後に観察される可溶性の遊離CD73の量を示す。sCD73、可溶性のCD73;PD LLOQ、定量下限(実施例3を参照されたい)。
図10A-10C】オレクルマブが、平均蛍光強度(MFI)によって測定して、末梢T細胞上のCD73及び腫瘍CD73表面発現を減少させたこと(図10A)並びにオレクルマブの投与後の全用量にわたる末梢血中の(図10B);及び末梢T細胞中の(図10C)パーセントCD73CD4及びCD8細胞を示す。SSC;側方散乱(実施例3を参照されたい)。
図11A-11C】図11Aは、膵臓又は結腸直腸癌(CRC)対象における、10、20又は40mg/kgでのオレクルマブ投与の20日後の、免疫組織化学による2+又は3+強度でのCD73染色腫瘍細胞の変化パーセンテージを示す。図11Bは、オレクルマブによる処置前及び処置後の腫瘍のCD73染色を示す。図11Cは、ベースラインに対する、10、20又は40mg/kgでのオレクルマブ投与の20日後の、2+又は3+染色強度でのCD73染色腫瘍細胞の変化及びCD8 TILの変化を示す(実施例3を参照されたい)。
図12】オレクルマブが腫瘍微環境においてCD73酵素活性を阻害したことを示す。染色は、遊離アデノシンの低下を示す(実施例3を参照されたい)。
図13】オレクルマブ単剤療法研究由来の平均PKプロファイルを示す。徴候並びに単剤療法及びデュルバルマブとの組合せにわたってプールしたPKデータ(N=116)(実施例3を参照されたい)。
図14A-14B】オレクルマブがPD作用の証拠を実証したことを示す。図14Aは、腫瘍の変化パーセンテージを示す。図14Bは、CD8 TILの変化を示す(実施例3を参照されたい)。
図15】デュルバルマブと組み合わせたオレクルマブについての用量拡大相を示す(実施例4を参照されたい)。
図16】MSS-CRCにおける、デュルバルマブと組み合わせたオレクルマブの臨床活性を示す。>600日間の継続中の処置(実施例4を参照されたい)。
図17】膵癌における、デュルバルマブと組み合わせたオレクルマブの臨床活性を示す(実施例4を参照されたい)。
図18】EGFRm NSCLCにおける、デュルバルマブと組み合わせたオレクルマブの臨床活性を示す(実施例4を参照されたい)。
図19】デュルバルマブ及び化学療法と組み合わせたオレクルマブについての用量漸増相の研究フロー図を示す(1L転移性PDACを有する対象について、ゲムシタビン+nab-パクリタキセル[コホートA];2L転移性PDACを有する対象について、mFOLFOX[コホートB])(実施例5を参照されたい)。
図20】デュルバルマブ及び化学療法と組み合わせたオレクルマブについての用量漸増相の処置レジメンを示す(1L転移性PDACを有する対象について、ゲムシタビン+nab-パクリタキセル[コホートA];2L転移性PDACを有する対象について、mFOLFOX[コホートB])(実施例5を参照されたい)。
図21】デュルバルマブ及び化学療法と組み合わせたオレクルマブについての用量拡大相の研究フロー図を示す(実施例5を参照されたい)。
図22】デュルバルマブ及び化学療法と組み合わせたオレクルマブについての用量拡大相の処置レジメンを示す(1L転移性PDACを有する対象について、ゲムシタビン+nab-パクリタキセル[コホートA])(実施例5を参照されたい)。
図23】2L転移性PDACを有する対象について、デュルバルマブ及び化学療法mFOLFOXと組み合わせたオレクルマブ[コホートB]についての用量拡大相の処置レジメンを示す(実施例5を参照されたい)。
図24A-24D】第一選択の病期IV非小細胞肺癌(NSCLC)を有する患者の処置レジメンを示す。図24Aは、デュルバルマブ単剤療法投与スケジュールを示す。図24Bは、デュルバルマブ+オレクルマブ投与スケジュールを示す。図24Cは、デュルバルマブ+化学療法投与スケジュールを示す。図24Dは、デュルバルマブ+化学療法+オレクルマブ投与スケジュールを示す(実施例6を参照されたい)。
図25A-25B】局所進行性切除不能病期III非小細胞肺癌(NSCLC)のための処置レジメンを示す。図25Aは、デュルバルマブ単剤療法投与スケジュールを示す。D=デュルバルマブ;a=対象は、4週毎に(Q4W)(各サイクルの1日目)デュルバルマブ1500mg静脈内(IV)を受ける。図25Bは、デュルバルマブ+オレクルマブ投与スケジュールを示す。D=デュルバルマブ;O=オレクルマブ;a=対象は、4週毎に(Q4W)(各サイクルの1日目)1500mg静脈内(IV)を、且つサイクル1及びサイクル2について2週毎(Q2W)(1日目及び15日目)、その後、Q4W(サイクル3、1日目(D1)に開始)にオレクルマブ3000mg IVを受ける。デュルバルマブ及びオレクルマブが投与される日に、オレクルマブは、最初に投与される(実施例7を参照されたい)。
図26A-26C】除去可能早期非小細胞肺癌(NSCLC)の処置レジメンを示す。図26Aは、研究期間にわたる処置を示す。図26Bは、デュルバルマブ単剤療法投与スケジュールを示す:対象は、2週毎に(Q4W)(1週目、1日目)1500mgのデュルバルマブを静脈内に(IV)受ける。W=週;D=日数;Du=デュルバルマブ。図26Cは、デュルバルマブ+オレクルマブ投与スケジュールを示す:対象は、1500mgのデュルバルマブIV Q4Wを(1週目、1日目)、且つ3000mgのオレクルマブIVを2週毎に(Q2W)(1週目、1日目及び3週目、1日目)受ける。W=週;D=日数;Du=デュルバルマブ;O=オレクルマブ(実施例8を参照されたい)。
図27】転移性マイクロサテライト安定結腸直腸癌の処置レジメンを示す。DLT=用量制限毒性;FOLFOX=フォリン酸(ロイコボリン)、5-フルオロウラシル、オキサリプラチン。対照1における対象は、FOLFOX+ベバシズマブを受ける。また、アームS1及びE1における対象は、デュルバルマブ1500mg静脈内(IV)を4週毎に(Q4W)(14日サイクルおきの1日目)、且つオレクルマブ3000mg IVを2週毎(Q2W)×4回の用量(サイクル1、1日目に開始)、その後、Q4W(サイクル5、1日目に開始)に受ける。デュルバルマブ及びオレクルマブが投与される日に、オレクルマブは、最初に投与される(実施例9を参照されたい)。
図28】高リスク転移性マイクロサテライト安定結腸直腸癌の処置レジメンを示す。mFOLFOX6=フォリン酸(ロイコボリン)、5-フルオロウラシル、オキサリプラチン。対照アームにおける対象は、mFOLFOX6を受ける。アームE1-COCにおける対象は、mFOLFOX6+デュルバルマブ1500mg静脈内(IV)を4週毎に(Q4W)受ける。アームE2における対象は、mFOLFOX6+デュルバルマブ1500mg IVをQ4Wに、且つオレクルマブ300mg IVを4回の用量について2週毎(Q2W)、その後、サイクル5から開始して(9週目、1日目)Q4Wに受ける。デュルバルマブ及びオレクルマブが投与される日に、オレクルマブは、最初に投与される(実施例10を参照されたい)。
図29A-29I】図29A図29Hは、抗CD73、抗PD-L1、5FU及びOHPの組合せによる処置後の個々の腫瘍増殖(CT26)を示す。図29Iは、抗CD73、抗PD-L1、5FU及びOHPの組合せによる処置後の、CT26腫瘍を有するBALB/cマウスのカプラン-マイヤー(生存曲線)を示す(実施例11を参照されたい)。
図30】抗CD73、抗PD-L1、5FU及びOHPの組合せによる処置後の、CT26腫瘍を有するBALB/cマウスの腫瘍微環境(TME)におけるIFNγ+CD8+、CD4+及びNKp46+リンパ球の増大を示す(実施例11を参照されたい)。
図31A-31I】図31A図31Hは、抗CD73、抗PD-L1及びドセタキセルの組合せによる処置後の個々の腫瘍増殖(CT26)を示す。図31Iは、抗CD73、抗PD-L1及びドセタキセルの組合せによる処置後の、CT26腫瘍を有するBALB/cマウスのカプラン-マイヤー(生存曲線)を示す(実施例11を参照されたい)。
図32A-32H】抗CD73、抗PD-L1、5FU及びOHPの組合せによる処置後の、MCA205腫瘍を有するC57BL/6マウスの個々の腫瘍増殖プロファイルを示す(実施例11を参照されたい)。
【発明を実施するための形態】
【0054】
本開示は、CD73に対して向けられるモノクローナル抗体、例えばオレクルマブ又はその抗原結合フラグメント及びそのような抗体又はその抗原結合フラグメントの、腫瘍の処置における使用に関する。本開示は、腫瘍の処置の方法であって、それを必要とする患者に、抗CD73抗体、例えばオレクルマブ又はその抗原結合フラグメントを、PD-L1に対して向けられるモノクローナル抗体、例えばデュルバルマブ又はその抗原結合フラグメントと組み合わせて投与することを含む方法にも関する。本開示は、腫瘍の処置の方法であって、それを必要とする患者に、抗CD73抗体、例えばオレクルマブ又はその抗原結合フラグメントを、化学療法と組み合わせて、抗PD-L1抗体、例えばデュルバルマブと組み合わせて投与することを含む方法にも関する。
【0055】
本開示に従って使用される以下の用語は、特に明記しない限り、以下の意味を有すると理解されるものとする。特に文脈上必要とされない限り、単数形の用語は、複数形を含むものとし、及び複数形の用語は、単数形を含むものとする。
【0056】
本明細書で使用される用語「抗体」は、抗原を認識する、特に抗原に結合することができるタンパク質を指す。通常又は従来の哺乳動物抗体は、テトラマーを含み、これは、典型的には、ポリペプチド鎖の2つの同一の対から構成され、各対は、1つの「軽」鎖(典型的には約25kDaの分子量を有する)及び1つの「重」鎖(典型的には約50~70kDaの分子量を有する)からなる。本明細書で使用される用語「重鎖」及び「軽鎖」は、標的抗原に対する特異性を付与するのに十分な可変ドメイン配列を有するあらゆる免疫グロブリンポリペプチドを指す。各軽鎖及び各重鎖のアミノ末端部分は、典型的には、抗原認識を典型的に担う約100~110又はそれを超えるアミノ酸の可変ドメインを含む。各鎖のカルボキシル末端部分は、典型的には、エフェクタ機能を担う定常ドメインを画定する。したがって、天然に存在する抗体では、完全長の重鎖免疫グロブリンポリペプチドは、可変ドメイン(V)及び3つの定常ドメイン(CH1、CH2及びCH3)並びにCH1及びCH2間のヒンジ領域を含み、Vドメインは、ポリペプチドのアミノ末端にあり、CH3ドメインは、カルボキシル末端にある。また、完全長の軽鎖免疫グロブリンポリペプチドは、可変ドメイン(V)及び定常ドメイン(C)を含み、Vドメインは、ポリペプチドのアミノ末端にあり、Cドメインは、カルボキシル末端にある。
【0057】
完全長の軽鎖及び重鎖内では、可変ドメイン及び定常ドメインは、典型的には、約12個以上のアミノ酸の「J」領域によって連結されており、重鎖は、約10個超のアミノ酸の「D」領域も含む。各軽鎖対/重鎖対の可変領域は、典型的には、抗原結合部位を形成する。天然に存在する抗体の可変ドメインは、典型的には、相補性決定領域又はCDRとも呼ばれる3つの超可変領域によって連結された、比較的保存された同じ一般的な構造のフレームワーク領域(FR)を示す。各対の2つの鎖由来のCDRは、典型的には、フレームワーク領域によってアラインされ、これにより特定のエピトープに結合することが可能となり得る。アミノ末端からカルボキシル末端まで、軽鎖及び重鎖の両方の可変ドメインは、典型的には、ドメインFR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3及びFR4を含む。
【0058】
用語「抗原結合フラグメント」は、インタクトな抗体の部分及び/又はインタクトな抗体の抗原決定可変ドメインを指す。抗体の抗原結合機能は、完全長抗体のフラグメントによって実行され得ることが知られている。抗体フラグメントの例として、以下に限定されないが、Fab、Fab’、F(ab’)2及びFvフラグメント、直鎖状抗体、単鎖抗体、ダイアボディ並びに多特異的抗体(抗体フラグメントから形成される)が挙げられる。
【0059】
本明細書中で用いられる用語「患者」は、ヒト対象を含む。
【0060】
「障害」は、本開示の抗体を用いる処置から利益を得ることになるあらゆる症状である。「障害」及び「症状」は、本明細書中で互換的に用いられており、患者に、対象の障害の傾向を与える病的状態が挙げられる、慢性及び急性の障害又は疾患を含む。
【0061】
本明細書中で用いられる用語「固形腫瘍」は、通常、嚢胞も液体領域も含有しない組織の異常な塊を指す。固形腫瘍の例として、頭頚部の扁平上皮細胞癌腫、子宮頸部癌、結腸直腸癌、非小細胞肺癌、膵癌、前立腺癌及び尿路上皮膀胱癌が挙げられる。
【0062】
本明細書中で用いられる用語「処置」又は「処置する」は、治療処置及び予防的(prophylactic)又は予防的(preventative)措置の両方を指す。処置が必要な対象として、腫瘍を有する患者及び腫瘍を有する傾向がある患者又は腫瘍が予防される患者が挙げられる。特定の実施形態において、本明細書中で開示される抗体は、腫瘍、例えば固形腫瘍を処置するのに用いられ得る。特定の実施形態において、腫瘍の処置には、腫瘍増殖の阻害、腫瘍減少の促進又は腫瘍増殖の阻害及び腫瘍減少の促進の両方が含まれる。
【0063】
本明細書中で用いられる用語「医薬組成物」又は「治療用組成物」は、対象に適切に投与された場合に所望の治療効果を誘導することができる化合物又は組成物を指す。本開示の一実施形態は、薬学的に許容されるキャリア及び本開示の少なくとも1つの抗体の治療的に有効な量を含む医薬組成物を提供する。
【0064】
本明細書中で用いられる用語「薬学的に許容されるキャリア」又は「生理学的に許容されるキャリア」は、本開示の1つ以上の抗体の送達を達成するか又は増強するのに適した1つ以上の製剤材料を指す。
【0065】
本明細書中で用いられる用語「オレクルマブ」及び「MEDI9447」は、米国特許第9,938,356号明細書(この特許は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に開示されるように、CD73に選択的に結合して、CD73のエクトヌクレオチダーゼ活性を阻害するヒト免疫グロブリンG1ラムダ(IgG1λ)mAbを指す。三重変異、L234F/L235E/P331S(欧州連合のナンバリング規則に従う)は、IgGエフェクタ機能をかなり弱めるように重鎖定常領域内にコードされている。オレクルマブは、CD73によるアデノシン及び有機ホスファートへのAMPの触媒作用を阻害する。細胞外アデノシンは、とりわけ、MDSC及びTregの両方の免疫抑制作用を媒介する。
【0066】
特定の実施形態において、オレクルマブ又はその抗原結合フラグメントは、重鎖可変ドメイン及び軽鎖可変ドメインを含む。特定の実施形態において、オレクルマブは、配列番号1のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメイン及び配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインを含む。他の実施形態において、オレクルマブ又はその抗原結合フラグメントは、重鎖可変ドメイン及び軽鎖可変ドメインを含み、重鎖可変ドメインは、配列番号3~5のCDR1配列、CDR2配列及びCDR3配列を含み、軽鎖可変ドメインは、配列番号6~8のCDR1配列、CDR2配列及びCDR3配列を含む。
【0067】
特定の実施形態において、ヒト患者における腫瘍は、オレクルマブ又はその抗原結合フラグメントを患者に投与することによって処置される。
【0068】
患者に投与されることになるオレクルマブ又はその抗原結合フラグメントの単剤療法用量は、患者のサイズ(体重、体表面又は臓器サイズ)及び状態(年齢及び健康状態)に部分的に応じて変わることになる。
【0069】
特定の実施形態において、患者は、オレクルマブ又はその抗原結合フラグメントの1回以上の用量を単剤療法として又は併用療法において投与され、オレクルマブ又はその抗原結合フラグメントの用量は、750mg~3000mgである。一部の実施形態において、オレクルマブ又はその抗原結合フラグメントの用量は、750mgである。一部の実施形態において、オレクルマブ又はその抗原結合フラグメントの用量は、1500mgである。一部の実施形態において、オレクルマブ又はその抗原結合フラグメントの用量は、2250mgである。一部の実施形態において、オレクルマブ又はその抗原結合フラグメントの用量は、3000mgである。
【0070】
特定の実施形態において、患者は、オレクルマブ又はその抗原結合フラグメントの1回以上の用量を単剤療法として投与され、この用量は、5mg/kg、10mg/kg、20mg/kg又は40mg/kgである。一部の実施形態において、患者は、オレクルマブ又はその抗原結合フラグメントの1回以上の用量を単剤療法として投与され、この用量は約40mg/kgである。
【0071】
特定の実施形態において、腫瘍を呈する患者に対して、オレクルマブ又はその抗原結合フラグメントは、1回のみ又は少ない頻度で投与されるが、それでも患者に利益を与える。更なる実施形態において、患者は、追加の後続用量を投与される。後続用量は、患者の年齢、体重、臨床評価、腫瘍負荷及び/又は主治医の判断が挙げられる他の要因に応じて、種々の時間間隔において投与することができる。
【0072】
特定の実施形態において、オレクルマブ又はその抗原結合フラグメントのボーラスローディング用量は、腫瘍を呈する患者に投与される。特定の実施形態において、患者に、第1の用量のオレクルマブ又はその抗原結合フラグメントに続いて、第2のより低い用量のオレクルマブ又はその抗原結合フラグメントが投与されることになる。第2のより低い用量は、14日毎~28日毎に繰り返され得る。特定の実施形態において、オレクルマブの第1の用量は、40mg/kgであり、オレクルマブの第2のより低い用量は、20mg/kgである。
【0073】
特定の実施形態において、オレクルマブ又はその抗原結合フラグメントは、2週の処置期間にわたって、4週の処置期間にわたって、6週の処置期間にわたって、8週の処置期間にわたって、12週の処置期間にわたって、24週の処置期間にわたって又は1年以上の処置期間にわたって投与される。特定の実施形態において、オレクルマブ又はその抗原結合フラグメントは、3週の処置期間にわたって、6週の処置期間にわたって、9週の処置期間にわたって、12週の処置期間にわたって、24週の処置期間にわたって又は1年以上の処置期間にわたって投与される。特定の実施形態において、オレクルマブ又はその抗原結合フラグメントは、2ヵ月の処置期間にわたって、4ヵ月の処置期間にわたって又は6ヵ月間以上の処置期間にわたって投与される。特定の実施形態において、オレクルマブ又はその抗原結合フラグメントは、1年の処置期間にわたって、2年の処置期間にわたって、3年以上の処置期間にわたって投与される。
【0074】
特定の実施形態において、オレクルマブ又はその抗原結合フラグメントは、毎週、2週毎に、4週毎に、6週毎に、8週毎に、10週毎に又は12週毎に投与される。
【0075】
特定の実施形態において、オレクルマブ又はその抗原結合フラグメントの投与は、7~28日毎に繰り返される。他の実施形態において、オレクルマブ又はその抗原結合フラグメントの投与は、14日毎に繰り返される。更なる実施形態において、オレクルマブ又はその抗原結合フラグメントの投与は、28日毎に繰り返される。
【0076】
特定の実施形態において、オレクルマブ又はその抗原結合フラグメントの投与は、7~28日毎(例えば、7日毎、14日毎、21日毎又は28日毎)に繰り返される。特定の実施形態において、オレクルマブ又はその抗原結合フラグメントは、少なくとも2回の用量について(例えば、2回、3回又は4回の用量について)14日毎に、且つその後、28日毎に投与される。特定の実施形態において、オレクルマブ又はその抗原結合フラグメントは、少なくとも2回の用量について(例えば、2回、3回又は4回の用量について)21日毎に、且つその後、28日毎に投与される。
【0077】
また、本明細書中で提供されるのは、ヒト患者において固形腫瘍を処置する方法であって、40mg/kgのオレクルマブ又はその抗原結合フラグメントを患者に投与することを含む方法である。また、本明細書中で提供されるのは、ヒト患者において固形腫瘍を処置する方法であって、750~3000mg(例えば、750、1500、2250又は3000mg)のオレクルマブ又はその抗原結合フラグメントを患者に投与することを含む方法である。
【0078】
他の実施形態において、オレクルマブ又はその抗原結合フラグメントは、デュルバルマブ又はその抗原結合フラグメントとの併用療法において投与することができる。
【0079】
本明細書中で用いられる用語「デュルバルマブ」は、米国特許第9,493,565号明細書(この特許は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に開示されるように、PD-L1に選択的に結合して、PD-L1がPD-1受容体及びCD80受容体に結合することをブロックする抗体を指す。デュルバルマブのフラグメント結晶性(Fc)ドメインは、IgG1重鎖の定常ドメイン内に三重変異を含有し、これは、抗体依存性細胞媒介細胞傷害(ADCC)の媒介を担う補体成分C1q及びFcγ受容体への結合を引き下げる。
【0080】
特定の実施形態において、デュルバルマブ又はその抗原結合フラグメントは、重鎖可変ドメイン及び軽鎖可変ドメインを含む。特定の実施形態において、デュルバルマブは、配列番号9のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメイン及び配列番号10のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインを含む。他の実施形態において、デュルバルマブ又はその抗原結合フラグメントは、重鎖可変ドメイン及び軽鎖可変ドメインを含み、重鎖可変ドメインは、配列番号11~13のCDR1配列、CDR2配列及びCDR3配列を含み、軽鎖可変ドメインは、配列番号14~16のCDR1配列、CDR2配列及びCDR3配列を含む。
【0081】
特定の実施形態において、腫瘍を呈する患者に対して、オレクルマブ又はその抗原結合フラグメントは、デュルバルマブ又はその抗原結合フラグメントと組み合わせて1回のみ又は少ない頻度で投与されるが、それでも患者に利益を与える。更なる実施形態において、患者は、追加の後続用量を投与される。後続用量は、患者の年齢、体重、臨床評価、腫瘍負荷及び/又は主治医の判断が挙げられる他の要因に応じて、種々の時間間隔において投与することができる。
【0082】
特定の実施形態において、デュルバルマブ又はその抗原結合フラグメントとの併用療法において投与されるオレクルマブ又はその抗原結合フラグメントは、2週の処置期間にわたって、4週の処置期間にわたって、6週の処置期間にわたって、6週の処置期間にわたって、8週の処置期間にわたって、12週の処置期間にわたって、24週の処置期間にわたって又は1年以上の処置期間にわたって投与される。特定の実施形態において、オレクルマブ又はその抗原結合フラグメントは、3週の処置期間にわたって、6週の処置期間にわたって、9週の処置期間にわたって、12週の処置期間にわたって、24週の処置期間にわたって又は1年以上の処置期間にわたって投与される。特定の実施形態において、投与されるオレクルマブ又はその抗原結合フラグメントは、2ヵ月の処置期間にわたって、4ヵ月の処置期間にわたって又は6ヵ月以上の処置期間にわたって投与される。
【0083】
特定の実施形態において、デュルバルマブ又はその抗原結合フラグメントとの併用療法において投与されるオレクルマブ又はその抗原結合フラグメントは、2週毎に、3週毎に、4週毎に、6週毎に、8週毎に、10週毎に又は12週毎に投与される。特定の実施形態において、デュルバルマブ又はその抗原結合フラグメントとの併用療法におけるオレクルマブ又はその抗原結合フラグメントは、1年の処置期間にわたって、2年の処置期間にわたって、3年以上の処置期間にわたって投与される。
【0084】
特定の実施形態において、デュルバルマブ又はその抗原結合フラグメントとの併用療法におけるオレクルマブ又はその抗原結合フラグメントの投与は、14~28日毎に繰り返される。他の実施形態において、オレクルマブ又はその抗原結合フラグメントの投与は、14日毎に繰り返される。他の実施形態において、オレクルマブ又はその抗原結合フラグメントの投与は、21日毎に繰り返される。更なる実施形態において、オレクルマブ又はその抗原結合フラグメントの投与は、28日毎に繰り返される。更なる実施形態において、オレクルマブ又はその抗原結合フラグメントの投与は、少なくとも2回の用量について(例えば、2回、3回又は4回の用量について)14日毎に、且つその後、28日毎である。更なる実施形態において、オレクルマブ又はその抗原結合フラグメントの投与は、少なくとも2回の用量について(例えば、2回、3回又は4回の用量について)21日毎に、且つその後、28日毎である。
【0085】
特定の実施形態において、デュルバルマブは、オレクルマブとおよそ同じ頻度で投与される。特定の実施形態において、デュルバルマブの投与は、14~28日毎に繰り返される。他の実施形態において、デュルバルマブの投与は、14日毎に繰り返される。他の実施形態において、デュルバルマブの投与は、21日毎に繰り返される。更なる実施形態において、デュルバルマブの投与は、28日毎に繰り返される。更なる実施形態において、デュルバルマブの投与は、少なくとも2回の用量について(例えば、2回の用量、3回の用量又は4回の用量について)21日毎に繰り返され、その後、28日毎に繰り返される。
【0086】
オレクルマブ又はその抗原結合フラグメントの、デュルバルマブとの併用療法用量は、患者のサイズ(体重、体表面又は臓器サイズ)及び状態(年齢及び健康状態)に部分的に応じて変わることになる。特定の実施形態において、患者は、オレクルマブ又はその抗原結合フラグメントの1回以上の用量を併用療法として投与され、この用量は、5mg/kg、10mg/kg、20mg/kg又は40mg/kgである。特定の実施形態において、患者は、オレクルマブ又はその抗原結合フラグメントの1回以上の用量を併用療法として投与され、オレクルマブ又はその抗原結合フラグメントの用量は、750mg、1500mg、2250mg又は3000mgである。
【0087】
オレクルマブとのデュルバルマブの併用療法用量は、患者のサイズ(体重、体表面又は臓器サイズ)及び状態(年齢及び健康状態)に部分的に応じて変わることになる。特定の実施形態において、患者は、デュルバルマブ又はその抗原結合フラグメントの1回以上の用量を併用療法として投与され、この用量は、3mg/kg、10mg/kg又は20mg/kgである。特定の実施形態において、患者は、デュルバルマブ又はその抗原結合フラグメントの1回以上の用量を併用療法として投与され、デュルバルマブ又はその抗原結合フラグメントの用量は、1500mgである。
【0088】
特定の実施形態において、オレクルマブ若しくは抗原結合フラグメント及び/又はデュルバルマブ若しくはその抗原結合フラグメントのボーラスローディング用量は、腫瘍を呈する患者に投与される。特定の実施形態において、患者に、第1の用量のオレクルマブ若しくは抗原結合フラグメント及び/又はデュルバルマブ若しくは抗原結合フラグメントに続いて、第2のより低い用量のオレクルマブ若しくは抗原結合フラグメント及び/又はデュルバルマブ若しくはその抗原結合フラグメントが投与されることになる。
【0089】
特定の実施形態において、患者は、2mg/kgのオレクルマブ又はその抗原結合フラグメントを2週毎に、且つ10mg/kgのデュルバルマブ又はその抗原結合フラグメントを2週毎に投与される。特定の実施形態において、患者は、5mg/kgのオレクルマブ又はその抗原結合フラグメントを2週毎に、且つ10mg/kgのデュルバルマブ又はその抗原結合フラグメントを2週毎に投与される。特定の実施形態において、患者は、10mg/kgのオレクルマブ又はその抗原結合フラグメントを2週毎に、且つ10mg/kgのデュルバルマブ又はその抗原結合フラグメントを2週毎に投与される。特定の実施形態において、患者は、20mg/kgのオレクルマブ又はその抗原結合フラグメントを2週毎に、且つ10mg/kgのデュルバルマブ又はその抗原結合フラグメントを2週毎に投与される。特定の実施形態において、患者は、40mg/kgのオレクルマブ又はその抗原結合フラグメントを2週毎に、且つ10mg/kgのデュルバルマブ又はその抗原結合フラグメントを2週毎に投与される。
【0090】
特定の実施形態において、患者は、2mg/kgのオレクルマブ又はその抗原結合フラグメントを4週毎に、且つ10mg/kgのデュルバルマブ又はその抗原結合フラグメントを2週毎に投与される。特定の実施形態において、患者は、5mg/kgのオレクルマブ又はその抗原結合フラグメントを4週毎に、且つ10mg/kgのデュルバルマブ又はその抗原結合フラグメントを2週毎に投与される。特定の実施形態において、患者は、10mg/kgのオレクルマブ又はその抗原結合フラグメントを4週毎に、且つ10mg/kgのデュルバルマブ又はその抗原結合フラグメントを2週毎に投与される。特定の実施形態において、患者は、20mg/kgのオレクルマブ又はその抗原結合フラグメントを4週毎に、且つ10mg/kgのデュルバルマブ又はその抗原結合フラグメントを2週毎に投与される。特定の実施形態において、患者は、40mg/kgのオレクルマブ又はその抗原結合フラグメントを4週毎に、且つ10mg/kgのデュルバルマブ又はその抗原結合フラグメントを2週毎に投与される。
【0091】
特定の実施形態において、患者は、2mg/kgのオレクルマブ又はその抗原結合フラグメントを4週毎に、且つ20mg/kgのデュルバルマブ又はその抗原結合フラグメントを4週毎に投与される。特定の実施形態において、患者は、5mg/kgのオレクルマブ又はその抗原結合フラグメントを4週毎に、且つ20mg/kgのデュルバルマブ又はその抗原結合フラグメントを4週毎に投与される。特定の実施形態において、患者は、10mg/kgのオレクルマブ又はその抗原結合フラグメントを4週毎に、且つ20mg/kgのデュルバルマブ又はその抗原結合フラグメントを4週毎に投与される。特定の実施形態において、患者は、20mg/kgのオレクルマブ又はその抗原結合フラグメントを4週毎に、且つ20mg/kgのデュルバルマブ又はその抗原結合フラグメントを4週毎に投与される。特定の実施形態において、患者は、40mg/kgのオレクルマブ又はその抗原結合フラグメントを4週毎に、且つ20mg/kgのデュルバルマブ又はその抗原結合フラグメントを4週毎に投与される。
【0092】
特定の実施形態において、患者は、1500mg又は3000mgのオレクルマブ又はその抗原結合フラグメントを、2回の28日サイクル用量について2週毎に、且つその後、4週毎に、及び1500mgのデュルバルマブ又はその抗原結合フラグメントを4週毎に投与される。
【0093】
特定の実施形態において、患者は、3000mgのオレクルマブ又はその抗原結合フラグメントを2週毎に、且つ1500mgのデュルバルマブ又はその抗原結合フラグメントを投与される。
【0094】
特定の実施形態において、患者は、3000mgのオレクルマブ又はその抗原結合フラグメントを2ヵ月について2週毎に、且つその後、4週毎に、及び1500mgのデュルバルマブ又はその抗原結合フラグメントを4週毎に投与される。
【0095】
他の実施形態において、オレクルマブ又はその抗原結合フラグメントは、化学療法との併用療法において投与することができる。
【0096】
特定の実施形態において、腫瘍を呈する患者に対して、オレクルマブ又はその抗原結合フラグメントは、化学療法と組み合わせて1回のみ又は少ない頻度で投与されるが、それでも患者に利益を与える。更なる実施形態において、患者は、追加の後続用量を投与される。後続用量は、患者の年齢、体重、臨床評価、腫瘍負荷及び/又は主治医の判断が挙げられる他の要因に応じて、種々の時間間隔において投与することができる。
【0097】
特定の実施形態において、化学療法と組み合わせたオレクルマブ又はその抗原結合フラグメントを2週の処置期間にわたって、3週の処置期間にわたって、4週の処置期間にわたって、6週の処置期間にわたって、8週の処置期間にわたって、12週の処置期間にわたって、24週の処置期間にわたって又は1年以上の処置期間にわたって投与される。特定の実施形態において、オレクルマブ又はその抗原結合フラグメントは、3週の処置期間にわたって、6週の処置期間にわたって、9週の処置期間にわたって、12週の処置期間にわたって、24週の処置期間にわたって又は1年以上の処置期間にわたって投与される。特定の実施形態において、オレクルマブ又はその抗原結合フラグメントは、2ヵ月の処置期間にわたって、4ヵ月の処置期間にわたって又は6ヵ月以上の処置期間にわたって投与される。特定の実施形態において、化学療法と組み合わせたオレクルマブ又はその抗原結合フラグメントは、1年の処置期間にわたって、2年の処置期間にわたって、3年以上の処置期間にわたって投与される。
【0098】
特定の実施形態において、化学療法と組み合わせたオレクルマブ又はその抗原結合性フラグメントは、2週毎に、3週毎に、4週毎に、6週毎に、8週毎に、10週毎に又は12週毎に投与される。
【0099】
特定実施形態において、化学療法と組み合わせたオレクルマブ又はその抗原結合フラグメントの投与は、14~28日毎に繰り返される。他の実施形態において、オレクルマブ又はその抗原結合フラグメントの投与は、14日毎に繰り返される。他の実施形態において、オレクルマブ又はその抗原結合フラグメントの投与は、21日毎に繰り返される。更なる実施形態において、オレクルマブ又はその抗原結合フラグメントの投与は、28日毎に繰り返される。更なる実施形態において、オレクルマブ又はその抗原結合フラグメントの投与は、少なくとも2回の用量について(例えば、2回、3回又は4回の用量について)14日毎に、且つその後、28日毎である。更なる実施形態において、オレクルマブ又はその抗原結合フラグメントの投与は、少なくとも2回の用量について(例えば、2回、3回又は4回の用量について)21日毎に、且つその後、28日毎である。
【0100】
オレクルマブ又はその抗原結合フラグメントの、化学療法との併用療法用量は、患者のサイズ(体重、体表面又は臓器サイズ)及び状態(年齢及び健康状態)に部分的に応じて変わることになる。特定の実施形態において、患者は、オレクルマブ又はその抗原結合フラグメントの1回以上の用量を化学療法と組み合わせて投与され、オレクルマブ又はその抗原結合フラグメントの用量は、750mg、1500mg又は3000mgである。特定の実施形態において、患者は、オレクルマブ又はその抗原結合フラグメントの1回以上の用量を化学療法と組み合わせて投与され、オレクルマブ又はその抗原結合フラグメントの用量は、2250mgである。
【0101】
特定の実施形態において、化学療法は、シスプラチン、ペメトレキセド、nab-パクリタキセル、カルボプラチン、ゲムシタビン、シスプラチン、オキサリプラチン、ロイコボリン、5-フルオロウラシル及びドセタキセルの少なくとも1つを含む。特定の実施形態において、化学療法は、シスプラチン、ペメトレキセド、nab-パクリタキセル、カルボプラチン、ゲムシタビン、シスプラチン、オキサリプラチン、ロイコボリン、5-フルオロウラシル及びドセタキセルの少なくとも2つの組合せを含む。特定の実施形態において、化学療法は、オキサリプラチン、ロイコボリン及び5-フルオロウラシルを含む。特定の実施形態において、化学療法は、nab-パクリタキセル及びカルボプラチンを含む。特定の実施形態において、化学療法は、ゲムシタビン及びシスプラチンを含む。特定の実施形態において、化学療法は、ゲムシタビン及びカルボプラチンを含む。特定の実施形態において、化学療法は、ペメトレキセド及びカルボプラチンを含む。特定の実施形態において、化学療法は、ペメトレキセド及びシスプラチンを含む。
【0102】
特定の実施形態において、化学療法は、ゲムシタビン、nab-パクリタキセル、オキサリプラチン、ロイコボリン及び5-フルオロウラシルの少なくとも1つを含む。
【0103】
オレクルマブとの化学療法の併用療法用量は、患者のサイズ(体重、体表面又は臓器サイズ)及び状態(年齢及び健康状態)に部分的に応じて変わることになる。オレクルマブは、当技術分野において知られているあらゆる化学療法レジメンを利用する化学療法と組み合わせて用いることができる。特定の実施形態において、患者は、1000mg/mの用量のゲムシタビン及び125mg/mの用量のnab-パクリタキセルの1回以上の用量を投与される。特定の実施形態において、患者は、85mg/mの用量のオキサリプラチン、400mg/mの用量のロイコボリン及び2400mg/mの用量の5-フルオロウラシルの1回以上の用量を投与される。
【0104】
特定の実施形態において、患者は、85mg/mのオキサリプラチンの1回以上の用量を投与される。特定の実施形態において、患者は、400mg/mのロイコボリンの1回以上の用量を投与される。特定の実施形態において、患者は、2400mg/mの5-フルオロウラシル(5-FU)の1回以上の用量を投与される。特定の実施形態において、患者は、85mg/mのオキサリプラチン、400mg/mのロイコボリン及び2400mg/mの5-フルオロウラシルの1回以上の用量を投与される。
【0105】
特定の実施形態において、患者は、100mg/mのnab-パクリタキセルの1回以上の用量を投与される。特定の実施形態において、患者は、1000又は1250mg/mのゲムシタビンの1回以上の用量を投与される。特定の実施形態において、患者は、500mg/mのペメトレキセドの1回以上の用量を投与される。特定の実施形態において、患者は、AUC5又は6のカルボプラチンの1回以上の用量を投与される。特定の実施形態において、患者は、75mg/mのシスプラチンの1回以上の用量を投与される。
【0106】
特定の実施形態において、化学療法は、オレクルマブとおよそ同じ頻度で投与される。特定の実施形態において、化学療法の施与は、7~28日毎に繰り返される。他の実施形態において、化学療法の施与は、7日毎に繰り返される。他の実施形態において、化学療法の施与は、14日毎に繰り返される。他の実施形態において、化学療法の施与は、21日毎に繰り返される。更なる実施形態において、化学療法の施与は、28日毎に繰り返される。他の実施形態において、化学療法の施与は、21日サイクルの1及び8日目に繰り返される
【0107】
他の実施形態において、オレクルマブ又はその抗原結合フラグメントは、化学療法及びデュルバルマブ又はその抗原結合フラグメントとの併用療法において投与することができる。
【0108】
オレクルマブ、デュルバルマブ及び化学療法を含む併用療法の特定の実施形態において、デュルバルマブは、オレクルマブとおよそ同じ頻度で投与される。特定の実施形態において、オレクルマブは、デュルバルマブと比べておよそ2倍の頻度で投与される。特定の実施形態において、デュルバルマブの投与は、14~28日毎に繰り返される。他の実施形態において、デュルバルマブの投与は、14日毎に繰り返される。更なる実施形態において、デュルバルマブの投与は、21日毎に繰り返される。更なる実施形態において、デュルバルマブの投与は、28日毎に繰り返される。更なる実施形態において、デュルバルマブの投与は、少なくとも2回の用量について(例えば、2回の用量、3回の用量又は4回の用量について)21日毎に繰り返され、その後、28日毎に繰り返される。
【0109】
デュルバルマブ又はその抗原結合フラグメントの、オレクルマブ又はその抗原結合フラグメント及び化学療法との併用療法用量は、患者のサイズ(体重、体表面又は臓器サイズ)及び状態(年齢及び健康状態)に部分的に応じて変わることになる。特定の実施形態において、患者は、併用療法としてのデュルバルマブ又はその抗原結合フラグメントの1回以上の用量を投与され、デュルバルマブ又はその抗原結合フラグメントの用量は、1500mgである。
【0110】
特定の実施形態において、患者は、750mgのオレクルマブ又はその抗原結合フラグメントを4回の用量について2週毎に、且つその後、4週毎に、1500mgのデュルバルマブ又はその抗原結合フラグメントを4週毎に、及び1000mg/mのゲムシタビン及び125mg/mのnab-パクリタキセルを1、8及び15日目に、且つその後、4週毎に投与される。特定の実施形態において、患者は、1500mgのオレクルマブ又はその抗原結合フラグメントを4回の用量について2週毎に、且つその後、4週毎に、1500mgのデュルバルマブ又はその抗原結合フラグメントを4週毎に、及び1000mg/mのゲムシタビン及び125mg/mのnab-パクリタキセルを1、8及び15日目に、且つその後、4週毎に投与される。特定の実施形態において、患者は、3000mgのオレクルマブ又はその抗原結合フラグメントを4回の用量について2週毎に、且つその後、4週毎に、1500mgのデュルバルマブ又はその抗原結合フラグメントを4週毎に、及び1000mg/mのゲムシタビン及び125mg/mのnab-パクリタキセルを1、8及び15日目に、且つその後、4週毎に投与される。
【0111】
特定の実施形態において、患者は、750mgのオレクルマブ又はその抗原結合フラグメントを4回の用量について2週毎に、且つその後、4週毎に、1500mgのデュルバルマブ又はその抗原結合フラグメントを4週毎に、及び85mg/mのオキサリプラチン、400mg/mのロイコボリン及び2400mg/mの5-フルオロウラシルを1及び15日目に、且つその後、4週毎に投与される。特定の実施形態において、患者は、1500mgのオレクルマブ又はその抗原結合フラグメントを4回の用量について2週毎に、且つその後、4週毎に、1500mgのデュルバルマブ又はその抗原結合フラグメントを4週毎に、及び85mg/mのオキサリプラチン、400mg/mのロイコボリン及び2400mg/mの5-フルオロウラシルを1及び15日目に、且つその後、4週毎に投与される。特定の実施形態において、患者は、3000mgのオレクルマブ又はその抗原結合フラグメントを4回の用量について2週毎に、且つその後、4週毎に、1500mgのデュルバルマブ又はその抗原結合フラグメントを4週毎に、及び85mg/mのオキサリプラチン、400mg/mのロイコボリン及び2400mg/mの5-フルオロウラシルを1及び15日目に、且つその後、4週毎に投与される。
【0112】
特定の実施形態において、患者は、1500mg又は3000mgのオレクルマブ又はその抗原結合フラグメントを4回の用量について2週毎に、且つその後、4週毎に、及び1000mg/mのゲムシタビン及び125mg/mのnab-パクリタキセルを含む化学療法を投与される。化学療法は、4回の28日サイクルの1、8及び15日目に、且つその後、4週毎に投与することができる。また、1500mgのデュルバルマブ又はその抗原結合フラグメントを4週毎に投与することができる。
【0113】
特定の実施形態において、患者は、1500mg又は3000mgのオレクルマブ又はその抗原結合フラグメントを4回の用量について2週毎に、且つその後、4週毎に投与され、及び85mg/mのオキサリプラチン、400mg/mのロイコボリン及び400mg/mの5-FUに続いて2400mg/mの5-FUを含む化学療法を投与される。化学療法は、4回の28日サイクルの1及び15日目に、且つその後、4週毎に投与することができる。また、1500mgのデュルバルマブ又はその抗原結合フラグメントを4週毎に投与することができる。
【0114】
特定の実施形態において、患者は、(i)オレクルマブ又はその抗原結合フラグメントを、(a)1500mgにおいて、4回の21日サイクルについて3週毎に、且つその後、4週毎に;又は(b)2250mgにおいて、4回の21日サイクルについて3週毎に、且つその後、3000mgにおいて4週毎に;(ii)デュルバルマブ又はその抗原結合フラグメントを、1500mgにおいて、4回の21日サイクルについて3週毎に、且つその後、4週毎に投与され;及び(iii)(a)100mg/mのnab-パクリタキセルを、4回のサイクルについて21日サイクルの1、8及び15日目に、且つ5若しくは6AUCのカルボプラチンを、4回のサイクルについて21日サイクルの1日目に;(b)1000mg/m若しくは1250mg/mのゲムシタビンを、4回のサイクルについて21日サイクルの1及び8日目に、且つ75mg/mのシスプラチンを、4回のサイクルについて21日サイクルの1日目に;(c)1000mg/m若しくは1250mg/mのゲムシタビンを、4回のサイクルについて21日サイクルの1及び8日目に、且つ5若しくは6AUCのカルボプラチンを、4回のサイクルについて21日サイクルの1日目に;(d)500mg/mのペメトレキセドを、4回のサイクルについて21日サイクルの1日目に、且つ5若しくは6AUCのカルボプラチンを、4回のサイクルについて21日サイクルの1日目に;又は(e)500mg/mのペメトレキセドを、4回のサイクルについて21日サイクルの1日目に、且つ75mg/mのシスプラチンを、4回のサイクルについて21日サイクルの1日目に含む化学療法を投与される。ペメトレキセドを更に例えば500mg/mにおいて4週毎に維持療法として投与することができる。
【0115】
特定の実施形態において、患者は、(i)1500mgのデュルバルマブ又はその抗原結合フラグメントを4週毎に;(ii)3000mgのオレクルマブ又はその抗原結合フラグメントを5回の用量について2週毎に、且つその後、4週毎に投与され;及び(iii)(a)2週毎に400mg/mのフォリン酸、(b)2週毎に85mg/mのオキサリプラチン;及び(c)1日目に400mg/mの5-フルオロウラシル及びその後、2週毎に2400mg/m2の5-フルオロウラシルを含む化学療法を投与される。
【0116】
他の実施形態において、ベバシズマブ又はその抗原結合フラグメントを、オレクルマブ又はその抗原結合フラグメント及び化学療法との(例えば、オキサリプラチン、ロイコボリン及び5-フルオロウラシルを含む化学療法との)併用療法において投与することができる。
【0117】
本明細書中で用いられる用語「ベバシズマブ」は、米国特許第6,884,879号明細書及び米国特許第7,169,901号明細書(これらの特許は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に開示されるように、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)に選択的に結合する抗体を指す。
【0118】
特定の実施形態において、ベバシズマブ又はその抗原結合フラグメントは、重鎖可変ドメイン及び軽鎖可変ドメインを含む。特定の実施形態において、ベバシズマブは、配列番号17のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメイン及び配列番号18のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインを含む。他の実施形態において、デュルバルマブ又はその抗原結合フラグメントは、重鎖可変ドメイン及び軽鎖可変ドメインを含み、重鎖可変ドメインは、配列番号19~21のCDR1配列、CDR2配列及びCDR3配列を含み、軽鎖可変ドメインは、配列番号22~24のCDR1配列、CDR2配列及びCDR3配列を含む。
【0119】
特定の実施形態において、患者は、5mg/kgベバシズマブ又はその抗原結合フラグメントの1回以上の用量を投与される。ベバシズマブ又はその抗原結合フラグメントは、例えば、2週毎に投与することができる。ベバシズマブ又はその抗原結合フラグメントは、例えば、静脈内に投与することができる。
【0120】
特定の実施形態において、患者は、(i)1500mgのデュルバルマブ又はその抗原結合フラグメントを4週毎に;(ii)3000mgのオレクルマブ又はその抗原結合フラグメントを4回の用量について2週毎に、且つその後、4週毎に投与され;(iii)(a)2週毎に400mg/mのフォリン酸、(b)2週毎に85mg/mのオキサリプラチン;及び(c)2週毎に2400mg/mの5-フルオロウラシルを含む化学療法を投与され;及び(iv)5mg/kgのベバシズマブ又はその抗原結合フラグメントを2週毎に投与される。
【0121】
特定の実施形態において、処置を受けることになる患者は、乳癌、卵巣癌、頭頚部癌、前立腺癌、膀胱癌、結腸直腸癌、非小細胞肺癌(NSCLC)、神経膠芽腫、腎細胞癌又は膵癌である固形腫瘍を有する。
【0122】
特定の実施形態において、処置を受けることになる患者は、固形腫瘍、例えば結腸直腸癌、非小細胞肺癌又は膵癌を有する。特定の実施形態において、癌は、膵管腺癌を有する。特定の実施形態において、患者は、以前に処置されなかった転移性膵管腺癌を有する。特定の実施形態において、患者は、ゲムシタビンベースの治療法で以前に処置された転移性膵管腺癌を有する。
【0123】
特定の実施形態において、患者は、切除可能NSCLC腫瘍、早期NSCLC腫瘍又は病期IVのNSCLC腫瘍を有する。
【0124】
特定の実施形態において、患者は、転移性結腸直腸癌を有する。
【0125】
特定の実施形態において、患者は、高いPD-L1発現又は低いPD-L1発現を有する腫瘍を有する。高いPD-L1発現又は低いPD-L1発現を有する腫瘍は、NSCLCであり得る。
【0126】
特定の実施形態において、患者は、活性化表皮成長因子受容体(EGFR)変異及び/又は未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)融合を欠く腫瘍を有する。腫瘍は、NSCLC腫瘍であり得る。
【0127】
特定の実施形態において、患者は、再発及び/又は転移状況において以前の処置を受けていない腫瘍を有する。
【0128】
本開示の抗体は、非経口投与のために選択することができる。例えば、本開示の抗体は、静脈内注入又は皮下注射によって投与することができる。特定の実施形態において、投与は、静脈内注入である。
【0129】
固形腫瘍における奏効評価基準(RECIST)は、癌患者が処置中にいつ改善するか、同じままであるか又は悪化するかについて定義する、公開されている規則のセットを指す。患者が有し得る奏効の種類は、完全奏効(CR)、部分奏効(PR)、進行(PD)及び安定(SD)である。
【0130】
本明細書中で提供される方法は、腫瘍の疾患管理(DC)に用いることができる。疾患管理は、完全奏功(CR)、部分奏功(PR)又は安定(SD)であり得る。
【0131】
「完全奏効」(CR)は、測定可能か否かにかかわらず、全病変の消失及び新たな病変がないことを指す。完全奏効の確認は、第1のドキュメンテーションの日から4週以上の反復した連続評価を用いて得ることができる。新たな測定不能の病変は、CRを排除する。
【0132】
「部分奏効」(PR)は、ベースラインに対して≧50%の腫瘍負荷の低減を指す。この確認は、第1のドキュメンテーションの日から少なくとも4週の連続反復評価を用いて得ることができる。
【0133】
「進行」(PD)は、最小記録(最下点)に対して≧25%の腫瘍負荷の増大を指す。この確認は、第1のドキュメンテーションの日から少なくとも4週の連続反復評価により得ることができる。新たな測定不能の病変は、PDを定義しない。
【0134】
「安定」(SD)は、CR、PR又はPDの基準を満たさないことを指す。
【0135】
本開示を限定するものではないが、本開示のいくつかの実施形態が説明の目的で以下に記載される。
【0136】
本明細書中で提供される方法の一態様(A1)において、ヒト患者において腫瘍を処置する方法は、オレクルマブ又はその抗原結合フラグメントを患者に投与することを含む。
【0137】
A1の一態様(A2)において、オレクルマブ又はその抗原結合フラグメントは、2mg/kg、5mg/kg、10mg/kg、20mg/kg又は40mg/kgの用量において投与される。
【0138】
A1の別の態様(A3)において、オレクルマブ又はその抗原結合フラグメントは、40mg/kgの用量において投与される。
【0139】
A1~A3の何れか1つの一態様(A4)において、オレクルマブ又はその抗原結合フラグメントは、14~28日毎に投与される。
【0140】
A4の一態様(A5)において、オレクルマブ又はその抗原結合フラグメントは、14日毎に投与される。
【0141】
A4の一態様(A6)において、オレクルマブ又はその抗原結合フラグメントは、28日毎に投与される。
【0142】
A1~A6の何れか1つの一態様(A7)において、オレクルマブ又はその抗原結合フラグメントの投与は、部分奏功をもたらす。
【0143】
A1~A6の何れか1つの別の態様(A8)において、オレクルマブ又はその抗原結合フラグメントの投与は、完全奏功をもたらす。
【0144】
A1~A6の何れか1つの別の態様(A9)において、腫瘍は、固形腫瘍である。
【0145】
A9の一態様(A10)において、固形腫瘍は、結腸直腸癌、非小細胞肺癌又は膵癌である。
【0146】
A1~A10の何れか1つの一態様(A11)において、患者は、0又は1の東海岸癌臨床試験グループ(ECOG)パフォーマンスステータスを有する。
【0147】
本明細書中で提供される方法の一態様(A12)において、ヒト患者において固形腫瘍を処置する方法は、40mg/kgのオレクルマブ又はその抗原結合フラグメントを患者に投与することを含む。
【0148】
本明細書中で提供される方法の一態様(A13)において、ヒト患者において腫瘍を処置する方法は、オレクルマブ又はその抗原結合フラグメント及びデュルバルマブ又はその抗原結合フラグメントを患者に投与することを含む。
【0149】
A13の一態様(A14)において、オレクルマブ又はその抗原結合フラグメントは、2mg/kg、5mg/kg、10mg/kg、20mg/kg又は40mg/kgの用量において投与される。
【0150】
A13又はA14の一態様(A15)において、デュルバルマブ又はその抗原結合フラグメントは、3mg/kg、10mg/kg又は20mg/kgの用量において投与される。
【0151】
A13~A15の何れか1つの一態様(A16)において、オレクルマブ又はその抗原結合フラグメントは、14日~28日毎に投与される。
【0152】
A13~A16の何れか1つの一態様(A17)において、デュルバルマブ又はその抗原結合フラグメントは、14日~28日毎に投与される。
【0153】
A13~A17の何れか1つの一態様(A18)において、腫瘍は、固形腫瘍である。
【0154】
A18の一態様(A19)において、固形腫瘍は、結腸直腸癌、非小細胞肺癌又は膵癌である。
【0155】
A13~A19の何れか1つの一態様(A20)において、患者は、0又は1の東海岸癌臨床試験グループ(ECOG)パフォーマンスステータスを有する。
【0156】
本明細書中で提供される方法の一態様(A21)において、ヒト患者において腫瘍を処置する方法は、オレクルマブ又はその抗原結合フラグメント及び化学療法を患者に投与することを含む。
【0157】
A21の一態様(A22)において、オレクルマブ又はその抗原結合フラグメントは、750mg、1500mg又は3000mgの用量において投与される。
【0158】
A21又はA22の一態様(A23)において、オレクルマブ又はその抗原結合フラグメントは、14日~28日毎に投与される。
【0159】
A21~A23の何れか1つの一態様(A24)において、方法は、デュルバルマブ又はその抗原結合フラグメントを投与することを更に含む。
【0160】
A24の一態様(A25)において、デュルバルマブ又はその抗原結合フラグメントは、1500mgの用量において投与される。
【0161】
A24又はA25の一態様(A26)において、デュルバルマブ又はその抗原結合フラグメントは、28日毎に投与される。
【0162】
A21~A26の何れか1つの一態様(A27)において、化学療法は、ゲムシタビン、nab-パクリタキセル、オキサリプラチン、ロイコボリン及び5-フルオロウラシルの少なくとも1つを含む。
【0163】
A27の一態様(A28)において、化学療法は、1000mg/mのゲムシタビン及び125mg/mのnab-パクリタキセルを含む。
【0164】
A27の別の態様(A29)において、化学療法は、85mg/mのオキサリプラチン、400mg/mのロイコボリン及び2400mg/mの5-フルオロウラシルを含む。
【0165】
A21~A29の何れか1つの一態様(A30)において、化学療法は、7日~28日毎に投与される。
【0166】
A29~A30の何れか1つの一態様(A31)において、5-フルオロウラシルは、46~48時間の連続静注によって投与される。
【0167】
A28の一態様(A32)において、患者は、以前に処置されなかった転移性膵管腺癌を有する。
【0168】
A29の一態様(A33)において、患者は、ゲムシタビンベースの治療法で以前に処置された転移性膵管腺癌を有する。
【実施例
【0169】
以下の実施例は、本開示の具体的な実施形態及びその種々の使用を例証するものである。これらは、説明の目的でのみ記載されており、決して本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきでない。
【0170】
実施例1.マウス及びサルの種におけるオレクルマブの毒性の評価
マウス及びカニクイザルを、オレクルマブの毒性の評価のための薬理的に関連する種として選択した。この評価は、要因の複合に基づいた:(i)マウス及びカニクイザルCD73とヒトCD73との間の中程度~高いタンパク質配列同一性(それぞれ86%及び98%);(ii)マウス、カニクイザル及びヒトCD73についてのオレクルマブの類似の結合親和性;並びに(iii)インビトロアッセイにおける細胞ベースでのマウス、サル及びヒト組換えCD73酵素活性に対するオレクルマブの類似の効力。加えて、カニクイザルにおいて、≧1mg/kgオレクルマブの単回IV用量(試験した最も低い用量)が血清中の可溶性CD73を抑制し、用量は、抑制期間と関連した。オレクルマブの全身毒性及び局所毒性を、医薬品安全試験実施基準(GLP)毒性研究でCD-1マウス(5週、繰返し静脈内[IV]ボーラス用量、4日毎に1回、合計9回の用量)において、0mg/kg、100mg/kg又は200mg/kgにおいて、且つカニクイザル(5週、繰返しIV 30分点滴用量、毎週1回、合計5回の用量)において、0mg/kg、30.5mg/kg、103.7又は300.7mg/kgにおいて評価した。オレクルマブ関連の有害作用は、CD-1マウスにおいて最大200mg/kgの用量において又はカニクイザルにおいて最大300.7mg/kgの用量において示されなかった。また、安全性薬理学エンドポイント(心電図[ECG]、血圧及び行動試験)には、オレクルマブ関連作用が及ばなかった(5週のカニクイザル研究の一部として評価した)。したがって、無毒性量(NOAEL)は、CD-1マウスにおいて200mg/kg/用量(試験した最も高い用量;最大観察濃度[Cmax]、6,200μg/mL;濃度時間曲線下面積[AUC]0~96hr、229,000μg・hr/mL))及びカニクイザルにおいて300.7mg/kg/用量(試験した最も高い用量;Cmax、11,000μg/mL;AUC0~168.5hr、834,000μg・hr/mL)であると考えた。GLPヒト組織交差反応性評価において、オレクルマブによる染色が、調査したヒト組織パネルの全体を通して、複数の細胞型において観察された。
【0171】
サイトカイン放出を誘導するオレクルマブの(単独での又はデュルバルマブと組み合わせての)能力を、健康なドナー由来の血液又は末梢血単核細胞を用いるヒトインビトロアッセイにおいて評価した。溶液中に示されるか又は乾燥コーティングによってプラスチック製ウェル上に固定されたオレクルマブは、単独で又はデュルバルマブと組み合わせてサイトカイン放出を誘導しなかった。
【0172】
実施例2:単回用量薬物動態学的/薬力学的カニクイザル研究
5頭の雄のカニクイザルにオレクルマブの単回IVボーラス用量を0mg/kg、1mg/kg、10mg/kg又は107.8mg/kgの用量において投与した。血清を、投与の0.08、0.5、2、8及び24時間後且つ2、3、5、7、10、14、21、28及び35日後、第1の用量の前に収集した。
【0173】
遊離sCD73を検出するために、プレートを0.5μg/mL抗CD-73抗体で一晩コーティングしてから、50μLサル血清をプレートに加えた。プレートを15分±1分間インキュベートして、洗浄して、抗CD73-HRPを加えた。遊離sCD73は、全ての用量群において抑制されていた。しかしながら、遊離sCD73の抑制は、用量依存的であった(図1)。
【0174】
免疫修飾を判定するために、外来抗原(KLH)応答を測定した。まず、サルを1日目にアジュバント遊離KLHで免疫化することによって外来抗原(KLH)応答を判定した。KLH T細胞依存性抗体応答(TDAR)を7、8、11、15、22、29及び36日目に導いた。PBMC IFN-γ及びIL-2 ELISPOTのエクスビボKLH刺激を1、4、8、7、15及び22日目に判定した。オレクルマブは、外来抗原(KLH)に対する応答を増強しなかった。抗KLH IgM及びIgG抗体応答が検出可能であったが、オレクルマブ処置による用量依存的増大を示さなかった(図2A及び図2B)。エクスビボKLH刺激に対するT細胞応答が検出可能であったが、オレクルマブ処置によって変わらなかった(図3A及び図3B)。
【0175】
また、内因性病原体応答を内因性病原体確認によって調査した。内因性病原体抗体を、1、8、14、15及び29日目に化学発光ELISAを用いて測定し、且つ内因性病原体T細胞IFN-γELISPOTを14及び29日目に測定した。LCV(EBVのサル相同体)は、殆どのカニクイザルにおいて低レベルで検出可能であった(図4)。EBV gp125及びCMV gBに対するIgG力価が検出可能であったが、オレクルマブ処置によっても変わらなかった。EBV BZLF1及び不活化ヒトCMVに対するT細胞応答が検出可能であったが、オレクルマブ処置によっても一貫して変わらなかった。
【0176】
実施例3:固形腫瘍処置におけるオレクルマブの単剤療法及びデュルバルマブとの併用療法
研究は、選択した進行固形腫瘍を有する成人対象において、安全性、忍容性、PK、免疫原性、薬力学及び予備的抗腫瘍活性を評価するための、成人対象における、単一の剤として又はデュルバルマブと組み合わせて投与されるオレクルマブのヒト初回投与(FTIH)、フェーズ1、多施設、非盲検、用量漸増及び用量拡大研究であった。用量漸増のための研究フロー図及び研究のこの部分についての用量拡大を図7A及び図7Bで説明する。以下の略語及びレジェンドを用いて、研究フロー図を説明する:DLT=用量制限毒性;MSS-CRC=マイクロサテライト安定性CRC。
【0177】
有害事象(AE)、重篤な有害事象(SAE)、DLT並びに検査パラメータ、バイタルサイン及び心電図の結果の、ベースラインからの変化の存在によって安全性を評価した。抗腫瘍活性の評価についてのエンドポイントは、客観的奏効(OR)、疾患管理(DC)、奏効の期間(DoR)、無増悪生存期間(PFS)及び全生存(OS)を含んだ。RECIST v1.1を腫瘍奏効の評価に用いた。薬物動態学的パラメータは、以下に限定されないが、最大観察濃度、濃度時間曲線下面積、クリアランス及び終末相半減期を含んだ。オレクルマブ及びデュルバルマブの免疫原性の評価についてのエンドポイントは、検出可能な抗薬物抗体を作り出した対象の数及びパーセンテージを含み、及び薬力学的活性の評価についてのエンドポイントは、腫瘍生検標本における標的発現(例えば、CD73、PD-L1)の評価を含んだ。
【0178】
1.対象
用量漸増アームについて、対象集団は、組織学的に又は細胞学的に確認された結腸直腸腺癌(CRC)又は膵腺癌を有する≧18歳の対象を含んだ。CRC又は膵腺癌を有する対象は、標準治療を受け、且つこれに進めていなければならず、標準治療が無効であるか、又は標準治療に忍容性がなかった。
【0179】
用量漸増相では、CRC又は膵腺癌を有する対象は、5回を超える以前の治療を受けなかった。用量拡大相に登録した、CRCを有する対象は、フルオロピリミジン[例えば、5-FU又はカペシタビン]、オキサリプラチン及びイリノテカン(禁忌でない限り)を含有する少なくとも2つのレジメンを受けたが、転移状況では以前の全身治療を4回以下受けており、且つ欠陥のあるDNAミスマッチ修復を有してはならない。KRAS変異(例えば、エキソン2、コドン12又は13)を有する対象は認めた。
【0180】
用量拡大相に登録した、膵腺癌を有する対象は、転移状況において、2回を超えない1回の以前の全身療法を受けていなければならなかった。拡大相のCRC及び膵腺癌を有する最初の20人の対象は、染色が弱いか、中程度であるか若しくは強いか;又はそのような染色の組合せの腫瘍細胞の少なくとも10%にIHCによる陽性CD73発現がなければならない。
【0181】
全ての対象は、RECISTガイドラインを用いて測定可能である少なくとも1つの病変、0又は1の東海岸癌臨床試験グループ(ECOG)スコア及び適切な臓器機能を有することが必要とされた。適切な臓器機能を以下のように定義した。絶対好中球数≧1,500/mm;血小板数≧75,000/mm;プロトロンビン時間-国際標準比及び部分トロンボプラスチン時間≦1.5×ULN;ヘモグロビン≧9.0g/dL;クレアチニンクリアランス又は24時間尿CrCl>50mL/分(Cockcroft-Gault式によって求めた);総ビリルビン≦1.5×ULN(ジルベール病がドキュメント化されたか又は疑われる対象の場合を除く)(これらの対象について、ビリルビンは、≦3×ULNでなければならない);アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)及びアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)≦2.5×標準の上限(ULN)(AST/ALTは、肝転移の存在下で最大5×ULNであり得るが、同時発生的な高ビリルビンと関連し得ない);カリウム、ナトリウム、マグネシウム及びカルシウム(血清アルブミンについて補正した)≦悪性度1又は標準の施設範囲内;並びにアルブミン≧3.0g/dL。
【0182】
処置以前にTNFRSFアゴニストが投与された、治療前にCRC又は膵腺癌を有する対象のためのCTLA-4、PD-L1又はPD-1アンタゴニストを含有するレジメンを受けた、AEの管理のための副腎皮質ステロイド以外の追加の免疫抑制の使用を必要とした、再チャレンジされた場合にAEの再発を経験し、且つ1日あたり>10mgプレドニゾン又は均等物の維持用量を現在必要とした、オレクルマブの第1の用量の14日以内のオレクルマブの第1の用量の前に、28日以内の従来の又は調査中のあらゆる抗癌療法を受けたか、或いは癌処置のための同時的なあらゆる化学療法、免疫療法又は生物学的療法若しくはホルモン療法を受けた場合、対象を研究への参加から除外した。
【0183】
2.用量漸増相
研究の用量漸増相は、2本のアームからなった:(i)オレクルマブ単剤療法の用量レベルの上昇、及び(ii)デュルバルマブの単回用量レベルと組み合わせたオレクルマブの用量レベルの上昇(両方とも進行CRC又は膵腺癌を有する対象において投与された)。
【0184】
オレクルマブ単剤療法用量漸増アームでは、3~6人の対象の連続コホートがそれぞれ全ての用量漸増コホートが完了する前に最大耐用量(MTD)に達しない限り、IV注入Q2Wを介してオレクルマブの4つの用量レベル(5、10、20又は40mg/kg)の1つを受けた(図8)。オレクルマブ/デュルバルマブ併用療法用量漸増アームでは、3~6人の対象の連続コホートがそれぞれ全ての用量漸増コホートが完了する前にMTDに達しない限り、IV注入Q2Wを介してオレクルマブの4つの用量レベル(5、10、20又は40mg/kg)の1つ及び10mg/kgデュルバルマブの単回用量レベルを受けた(図8)。単剤療法又は併用療法アームにおける5mg/kg用量レベルにおいてオレクルマブのMTDを超えた場合、2mg/kgオレクルマブのより低い用量レベルをそのアーム内で探究した。
【0185】
オレクルマブ用量選択は、マウス及びサルについて先に記載した非臨床的安全性データに基づく非臨床的データ及び臨床的安全マージンに基づいた。5mg/kgオレクルマブの薬理的に駆動される開始用量レベルは、第1の投与間隔におけるCD73の飽和(それぞれピーク及びトラフ)が98%~91%であると予想された。5mg/kgの開始用量レベルにおいて、カニクイザル毒性研究は、19倍(ヒト均等用量[HED]ベース)、73倍(Cmaxベース)及び70倍(AUCベース)の安全マージンを示した。CD73標的のより高く且つより持続した抑制を達成する一方、適切な安全マージンを維持するように、この研究における用量漸増スキームを設計した。40mg/kgの最も高い用量において、カニクイザル毒性研究は、2倍(HEDベース)、8倍(Cmaxベース)及び8倍(AUCベース)の安全マージンを提供した。
【0186】
デュルバルマブについての用量レベル及び処置スケジュール(10mg/kg Q2W)は、進行固形腫瘍を有する対象におけるデュルバルマブの安全性、忍容性及びPKを評価するために、フェーズ1/2研究において確立された安全用量に基づいた。
【0187】
提唱される最初のオレクルマブ及びデュルバルマブの組合せ用量レベルlは、オレクルマブの用量レベル(5mg/kg IV Q2W)を伴って許容可能な安全プロファイルを有することが示されているデュルバルマブの用量レベル(10mg/kg IV Q2W)を利用した。これは、投与の間隔の全体を通して、CD73の最大阻害をもたらすと予想されなかった。40mg/kgオレクルマブ及び10mg/kgデュルバルマブの提唱される最大組合せ用量の前にMTDを超えた場合、3mg/kgデュルバルマブを利用して、組合せ投与を更に探究した。
【0188】
用量漸増相を3+3設計で実行した。最少3人の対象を各用量レベルコホートに登録した。治験薬の第1の用量の投与を、各用量レベルコホートにおいて処置した第1の対象と第2の対象との間で最小24時間だけ互い違いにした。用量制限毒性(DLT)がDLT評価期間中に最初の3人の対象で観察されず、且つ全ての入手可能な安全データを研究特有の用量漸増の委員会によってレビューした場合、用量漸増を次のより高い用量コホートに継続した。用量レベルコホート内の3人の対象の1人がDLTを経験した場合、この用量レベルコホートを合計6人の対象に拡大した。用量レベルコホート内の6人の対象の1人以下がDLTを経験した場合、用量漸増を次のより高い用量レベルコホートに継続した。6人の対象を、MTDを超えなかった最も高い用量レベルコホートに登録した。
【0189】
オレクルマブ/デュルバルマブ組合せアームでは、あらゆるオレクルマブ用量レベルにおいてMTDを超えた場合、3mg/kgデュルバルマブQ2Wを伴うオレクルマブの追加のコホートを探究した。3~6人の対象の第1のコホートは、MTDを超える同じ用量レベル及び処置スケジュールにおいてオレクルマブを、今回は3mg/kgデュルバルマブと共にIV注入Q2Wを介して受けた。MTDを超えずにこれを提供した場合、これは、最も高い単剤療法オレクルマブプロトコル定義用量でなく、3~6人の対象の追加の各連続コホートを、上述のオレクルマブ用量レベルに従い、3mg/kgデュルバルマブQ2Wと組み合わせたQ2W又はQ4W処置スケジュール後に登録した。組合せ用量漸増の完了時、10mg/kgデュルバルマブQ2WによりMTDを超えた場合、Q2W又はQ4W処置スケジュールでMTDを超えない最も高い用量レベルでのオレクルマブの代わりの処置スケジュールを20mg/kgデュルバルマブQ4Wと組み合わせて探究した。
【0190】
3.結果
オレクルマブ40mg/kg+デュルバルマブ10mg/kg用量拡大相にある42人の有効性評価が可能な対象のうち、全客観的奏効率(ORR;確認及び未確認)は、7.1%(95%信頼区間[CI]:1.5%:19.5%)であった。MSS-CRCコホート(n=21)及び膵腺癌コホート(n=20)におけるORR(確認及び未確認)は、それぞれ4.8%(95%CI:0.1%、23.8%)及び10.0%(95%CI:1.2%、31.7%)であった。用量拡大相における全疾患管理率(DCR;8週)は、16.7%(95%CI;7.0%、31.4%)であった。MSS-CRCコホート及び膵腺癌コホートにおけるDCRは、それぞれ14.3%(95%CI:3.0%、36.3%)及び20.0%(95%CI:5.7%、43.7%)であった。
【0191】
以下のPKデータは、単剤療法(n=40)として又は10mg/kg Q2W(n=57)のデュルバルマブと組み合わせて投与したオレクルマブ5~40mg/kg Q2Wによる処置後の合計97人の対象に基づく。オレクルマブは、単剤療法コホート及び併用療法コホートの両方において、オレクルマブ5mg/kgの最も低い用量で非線形PKを示すように見え、且つオレクルマブ10mg/kg以上の用量で線形PKを示した。オレクルマブを単独で又はデュルバルマブと組み合わせて投与した場合、血清曝露は、類似した。PK曝露(トラフ血漿濃度[Ctrough])は、オレクルマブ5から10mg/kgまで比例性を超えて且つオレクルマブ10から40mg/kgまでおよそ用量比例的に増大した。オレクルマブの蓄積を繰返し投与後に観察した。平均蓄積比は、Cmaxについて1.15から1.46に及び、Ctroughについて1.68から10.7に及んだ。
【0192】
可溶性の遊離CD73の完全な抑制が単剤療法としての又は併用療法でのオレクルマブの投与後に観察された。血清可溶性の遊離CD73のレベルは、オレクルマブの第1の用量の後、常に大部分の対象において検出限界(0.25ng/mL)未満であった(図9)。
【0193】
オレクルマブは、末梢T細胞において、全ての用量にわり、平均蛍光強度(MFI)(図10A)並びにCD73+ CD4及びCD8細胞パーセント(図10B)によって測定されたように、CD73表面発現を低減させ、総CD4及びCD8細胞の付随する低減はなかった(図10C)。
【0194】
用量漸増中のオレクルマブによる処置により、処置開始の20日後の40mg/kg用量でのIHCによるCD73染色腫瘍細胞の低減が導かれた(図11A及び図11B)。オレクルマブ単独による処置は、ベースラインの>5% 2+/3+CD73を発現した5/9人の患者において腫瘍CD73発現を低減させた一方、全5サンプルにおいてCD8+TILを増大させた(図11C)。また、オレクルマブは、腫瘍微環境においてCD73酵素活性を阻害した(図12)。
【0195】
線形PKがオレクルマブの≧10mg/kg投与において見られた。この結果に基づいて、40μg/mLを超える血清濃度は、>99% CD73を飽和させると予想され、及び投与期間中の推定有効半減期は、約13日であると判定された(図13)。ADAは、検出されなかった。また、オレクルマブは、PD作用の証拠を実証した(図14)。40mg/kgのオレクルマブでのCD73の低減は、ベースラインの>5% 2+/3+CD73の患者におけるCD8+T細胞の増大と関連した。安全性分析、薬物動態(PK)、薬力学(PD)及び予備有効性に基づいて、オレクルマブ40mg/kg Q2Wの推奨されたフェーズ2用量を選択した。
【0196】
実施例4:デュルバルマブとのオレクルマブ組合せ;用量拡大相
1.対象
デュルバルマブと組み合わせて投与されるオレクルマブの用量拡大研究を成人対象において行って、選択した進行固形腫瘍を有する成人対象において安全性、忍容性、PK、免疫原性、薬力学及び予備的抗腫瘍活性を評価した。コンボ用量拡大についての研究フロー図を図15に示す。以下の略語及びレジェンドを用いて、研究フロー図を説明する;MAD=最大投与用量;MTD=最大耐用量;EGFRm=上皮成長因子受容体ミュータント;NSCLC=非小細胞肺癌。
【0197】
用量拡大相に登録した、NSCLCを有する対象は、EGFR TKI感受性と関連することが知られているEGFR変異(G719X、エキソン19欠失、L858R、L861Qが挙げられる)を有していなければならず、且つ転移状況において少なくとも1つの、4つ以下の以前の治療(調査中の治療が挙げられる)を受けていなければならず、認可されたEGFR TKIを受けていなければならず、その後、臨床的に又は放射線学的に進めたか又は忍容性がなかった。
【0198】
処置前にTNFRSFアゴニストが投与された、調査中のあらゆる免疫療法への以前の曝露又はEGFR TKIの受取りがあった、CTLA-4、PD-L1を含有するレジメンによる以前の治療を受けた、AEの管理のための副腎皮質ステロイド以外の追加の免疫抑制の使用を必要とした、再チャレンジされた場合にAEの再発を経験し、且つ1日あたり>10mgプレドニゾン又は均等物の維持用量を現在必要とした、オレクルマブの第1の用量の14日以内のオレクルマブの第1の用量の前に、28日以内の従来の又は調査中のあらゆる抗癌療法を受けたか、或いは癌処置のための同時的なあらゆる化学療法、免疫療法又は生物学的療法若しくはホルモン療法を受けた場合、対象を研究への参加から除外した。
【0199】
MTD又はMADが用量漸増相の併用療法アームにおいて確立すると、オレクルマブ/デュルバルマブ併用療法の用量拡大を開始した。併用療法用量拡大相は、以下の3つの腫瘍特異的コホートを含んだ:a)以前に処置されたMSS-CRCを有する最大100人の対象、b)以前に処置された膵腺癌を有する最大100人の対象、及びc)以前に処置されたEGFRm NSCLCを有する最大40人の対象。
【0200】
用量レベル及び処置スケジュールの選択は、用量レベル及び処置スケジュールの関数としてのPK、安全性及び比較薬力学的作用の考慮に基づいたが、用量レベルは、適用可能なMTD又はMADを超えないという制限がある。
【0201】
MSS-CRC用量拡大コホート、膵腺癌用量拡大コホート及びEGFRm NSCLC用量拡大コホート毎に最初の20人の対象を登録して、少なくとも16週間追跡した場合、中間分析を実行した。MSS-CRCコホート及び膵腺癌コホート毎に40人の対象を登録して、少なくとも16週間追跡した後に2回目の中間分析を実行した。
【0202】
全ての対象を抗腫瘍活性について定期的に評価した。抗腫瘍活性の評価は、客観的奏効(OR)、疾患管理(DC)、奏効の期間(DoR)、無増悪生存期間(PFS)及び全生存(OS)を用いて行った。RECIST v1.1ガイドラインを腫瘍奏効の評価に用いた。全ての対象を研究の終了まで生存率について追跡する。
【0203】
3.結果
オレクルマブ40mg/kg+デュルバルマブ10mg/kg用量拡大相にある42人の有効性評価が可能な対象のうち、全客観的奏効率(ORR;確認及び未確認)は、7.1%(95%信頼区間[CI]:1.5%:19.5%)であった。MSS-CRCコホート(n=41)及び膵腺癌コホート(n=41)における確認されたORRは、それぞれ2.4%(95%CI:0.1%、23.8%)並びに7.3%(未確認)及び4.9%(確認)(95%CI:1.2%、31.7%)であった。図16及び図17を参照されたい。用量拡大相における全疾患管理率(DCR;8週)は、16.7%(95%CI;7.0%,31.4%)であった。MSS-CRCコホート及び膵腺癌コホートにおけるDCRは、それぞれ14.3%(95%CI:3.0%、36.3%)及び20.0%(95%CI:5.7%、43.7%)であった。
【0204】
EGFRm NSCLC(n=20)における確認されたORRは、デュルバルマブを単剤療法(ATLANTIC治験;Clinictrials.gov No.NCT02087423を参照されたい)として投与した場合の9.8%と比較して、全ての患者について20%であった(図18)。
【0205】
実施例5:転移性膵管腺癌を有する対象における、化学療法と組み合わせた、デュルバルマブのあり又はなしによるオレクルマブ処置
研究は、転移性膵管腺癌(PDAC)を有する対象に投与される化学療法と組み合わせた、デュルバルマブのあり又はなしによるオレクルマブの安全性、予備的抗腫瘍活性、免疫原性及びPKを評価するための、フェーズ1b/2、多施設、非盲検、用量漸増及び用量拡大研究である。以前に転移性PDAC(1L転移性PDAC)を処置していない対象をコホートAに登録した。ゲムシタビンベースの化学療法で以前に処置した転移性PDAC(5-FU、カペシタビン又はオキサリプラチンへの曝露なし;2L転移性PDAC)を有する対象をコホートBに登録した。研究は、2つのパート、用量漸増(パート1)及び用量拡大(パート2)からなる。
【0206】
最大約204人の対象:パート1(用量漸増)において最大24人の対象及びパート2(用量拡大)において最大180人の対象を研究に登録した。両方のコホートにおける全ての対象は、疾患進行(進行[PD]の状況での処置基準が満たされなかった)、耐えられない毒性、対象の同意の撤回又は別の中断基準に直面するまで処置した。
【0207】
有害事象(AE)、重篤な有害事象(SAE)、DLT並びにラボパラメータ、バイタルサイン及び心電図の結果の、ベースラインからの変化の存在によって安全性を評価した。抗腫瘍活性の評価についてのエンドポイントは、客観的奏効(OR)、疾患管理(DC)、奏効の期間(DoR)、無増悪生存期間(PFS)及び全生存(OS)を含んだ。RECIST v1.1を腫瘍奏効の評価に用いた。薬物動態学的パラメータは、以下に限定されないが、最大観察濃度(Cmax)、Cmaxに達する時間(tmax)、AUC、クリアランス、分布の見かけの容量(V)及び終末相半減期(t1/2)を含んだ。また、抗薬物抗体(ADA)の発生並びにその安全性、薬力学、PK及び抗腫瘍活性に及ぼす潜在的作用を評価した。
【0208】
1.対象
この研究における対象は、組織学的に又は細胞学的に確認された膵腺癌を有する≧18歳の成人対象を含んだ。以前に転移性PDAC(1L転移性PDAC)を処置していない対象をコホートAに登録した。以前にゲムシタビンベースの化学療法で処置した転移性PDAC(5-FU、カペシタビン又はオキサリプラチン[治療と考える場合]への曝露なし);2L転移性PDAC)を有する対象をコホートBに登録した。
【0209】
全ての対象は、RECISTガイドラインを用いて測定可能である少なくとも1つの病変、0又は1の東海岸癌臨床試験グループ(ECOG)スコア及び適切な臓器機能を有することが必要とされた。適切な臓器機能を以下のように定義した。絶対好中球数≧1,500μ/L;血小板数≧100,000μ/L;ヘモグロビン≧9.0g/dL;クレアチニンクリアランス>40mL/min;総ビリルビン≦1.5×ULN(ジルベール病がドキュメント化されたか又は疑われる対象の場合を除く)(これらの対象について、ビリルビンは、≦3×ULNでなければならない);アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)及びアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)≦2.5×標準の上限(ULN)(AST/ALTは、肝転移の存在下で最大5×ULNであり得る);並びにアルブミン≧3.0g/dL。
【0210】
研究処置又は免疫介在性のあらゆる治療による以前の処置の予定の第1の用量の前の21日以内の従来の若しくは調査中のあらゆる抗癌治療又は14日以内の対症的放射線療法を施した場合、対象を研究への参加から除外した。
【0211】
2.用量漸増相
パート1中、オレクルマブの用量漸増を、デュルバルマブ及び化学療法(1L転移性PDACを有する対象[コホートA]のためのゲムシタビン+nab-パクリタキセル;2L転移性PDACを有する対象[コホートB]のためのロイコボリン、5-フルオロウラシル及びオキサリプラチン(mFOLFOX)の修飾レジメン)と組み合わせて実行して、レジメン毎の最大耐用量(MTD)又は最も高いプロトコル定義用量を判定した(図19を参照されたい)。最大24人の対象をパート1(用量漸増)に登録した:1L転移性PDACを有する9~12人の対象をコホートAに登録し、且つ2L転移性PDACを有する9~12人の対象をコホートBに登録して、オレクルマブの用量レベルを増大させて処置した。
【0212】
用量漸増を用量レベル1(1500mg IV Q2W×4、その後、Q4W)において、少なくとも3人の対象(及び最大6人の対象)の登録で始めた。対象をDLTについて監視した。DLTが3~6人の評価可能な対象のコホートにおいて観察されなければ、全ての入手可能な安全データのレビュー後、次のより高い用量コホートへの用量漸増を許可した。用量レベルコホート内の3人以上の評価可能な対象の1人の対象がDLTを経験し場合、この用量レベルコホートを合計6人の対象に拡大した。用量レベルコホート内の6人の対象の1人以下がDLTを経験した場合、用量漸増を次のより高い用量レベルコホートに継続した。用量レベルコホート内の≧2人の対象がDLTを経験した場合、MTDを超えており、更なる対象をこの用量レベルコホートに登録しなかった。これが起こった場合、先の用量レベルコホートをMTDについて評価し、既に拡大していなかった場合、合計6人の対象を先の用量レベルにおいて処置した。6人の対象の≦1人が先の用量レベルにおいてDLTを経験した場合、この用量のレベルは、MTDであった。開始用量レベルにおいてMTDを超えた場合、より低い用量レベルのオレクルマブ750mg(用量レベル1)を評価することができた。
【0213】
図20に示すように且つ以下で概説するように、用量漸増相中、患者は、以下の処置を受けた。
コホートA:
・4回の用量について、3用量レベル(750mg、1500mg又は3000mg)IV Q2Wの1つでの、その後、4週(Q4W)毎のオレクルマブ、及び
・デュルバルマブ1500mg IV Q4W、及び
・1、8及び15日目のゲムシタビン1000mg/m2 IV及びnab-パクリタキセル125mg/m2 IV、その後、Q4Wスケジュールでの繰返し。
【0214】
コホートB:
・4回の用量について、3用量レベル(750mg、1500mg又は3000mg)IV Q2Wの1つでの、その後、Q4Wでのオレクルマブ、及び
・デュルバルマブ1500mg IV Q4W、及び
・1及び15日目のmFOLFOX、その後、Q4Wスケジュールでの繰返し:オキサリプラチン85mg/mIV;ロイコボリン400mg/mIV;5-FU 400mg/m IVボーラスに続く5-FU 2400mg/mを46~48時間にわたる連続IV注入によって投与。
【0215】
【表1】
【0216】
3.用量拡大相
コホートのための推奨されるフェーズ2用量(RP2D)を識別した場合、図21に概説するように、パート2用量拡大への登録を進めた。パート2(用量拡大)中、パート1でレジメン毎に識別したオレクルマブのRP2Dを化学療法と組み合わせて、デュルバルマブあり又はなしで評価した。最大180人の対象をパート2に登録した。1つの処置アームあたり30人の対象であった。患者を免疫組織化学(IHC)によるCD73の腫瘍発現に従って階層化して、処置アームにランダム化した。コホートA(1L転移性PDAC)の対象を3つの処置アームの1つに1:1:1にランダム化した:ゲムシタビン及びnab-パクリタキセル(アームA1);オレクルマブ+ゲムシタビン及びnab-パクリタキセル(アームA2);又はオレクルマブ+デュルバルマブ+ゲムシタビン及びnab-パクリタキセル(アームA3)。コホートB(2L転移性PDAC)の対象を3つの処置アームの1つに1:1:1にランダム化する:mFOLFOX(アームB1);オレクルマブ+mFOLFOX(アームB2);又はオレクルマブ+デュルバルマブ+mFOLFOX(アームB3)。処置アーム間でクロスオーバーはなかった。
【0217】
パート1(用量漸増)中のオレクルマブについての用量レベルを判定した。図22及び図23に示すように且つ以下で概説するように、コホートA及びBの対象を、以下の処置を受けるようにランダム化した。
コホートA
・アームA1
o1、8及び15日目のゲムシタビン1000mg/mIV及びnab-パクリタキセル125mg/mIV、その後、Q4Wスケジュールでの繰返し
・アームA2
o4回の用量についてオレクルマブIV Q2W、その後、Q4W、及び
o1、8及び15日目のゲムシタビン1000mg/mIV及びnab-パクリタキセル125mg/mIV、その後、Q4Wスケジュールでの繰返し
・アームA3
o4回の用量についてオレクルマブIV Q2W、その後、Q4W、及び
oデュルバルマブ1500mg IV Q4W、及び
o1、8及び15日目のゲムシタビン1000mg/mIV及びnab-パクリタキセル125mg/mIV、その後、Q4Wスケジュールでの繰返し。
【0218】
コホートB
・アームB1
o1及び15日目のmFOLFOX、その後、Q4Wスケジュールでの繰返し:オキサリプラチン85mg/mIV;ロイコボリン400mg/mIV;5-FU 400mg/mIVボーラスに続く5-FU 2400mg/mを46~48時間にわたる連続IV注入によって投与した
・アームB2
o4回の用量についてオレクルマブIV Q2W、その後、Q4W、及び
o1及び15日目のmFOLFOX、その後、Q4Wスケジュールでの繰返し:オキサリプラチン85mg/mIV;ロイコボリン400mg/mIV;5-FU 400mg/mIVボーラスに続く5-FU 2400mg/mを46~48時間にわたる連続IV注入によって投与
・アームB3
o4回の用量についてオレクルマブIV Q2W、その後、Q4W、及び
oデュルバルマブ1500mg IV Q4W、及び
o1及び15日目のmFOLFOX、その後、Q4Wスケジュールでの繰返し:オキサリプラチン85mg/mIV;ロイコボリン400mg/mIV;5-FU 400mg/mIVボーラスに続く5-FU 2400mg/mを46~48時間にわたる連続IV注入によって投与。
【0219】
実施例6:第一選択病期IV非小細胞肺癌(NSCLC)を有する対象における、化学療法のあり又はなしによるオレクルマブ及びデュルバルマブ処置
フェーズ1b非盲検、多施設研究を実行して、第一選択病期IV非小細胞肺癌(NSCLC)を有する対象における、化学療法のあり又はなしによるオレクルマブ及びデュルバルマブの有効性(抗腫瘍活性)及び安全性を評価した。高PD-L1(すなわちPD-L1 TC≧50%)及び低PD-L1(すなわちPD-L1 TC≦50%)を有する対象を処置した。
【0220】
1.対象
この研究における対象は、組織学的に又は細胞学的にドキュメント化された病期IVのNSCLCが、根治的な外科手術又は放射線に対して修正可能でない、活性化表皮成長因子受容体(EGFR)変異及び未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)融合を欠く腫瘍を有する≧18歳の成人対象を含む。対象は、病期IVのNSCLCについて、以前の化学療法も他のあらゆる全身療法も受けていない。全ての対象は、世界保健機構(WHO)/東海岸癌臨床試験グループ(ECOG)のパフォーマンスステータスが登録及び処置割当て時に0又は1であることが必要とされる。対象は、治療抗癌ワクチンが挙げられ、それを除外する免疫介在性の治療への以前の曝露を受けていない。
【0221】
対象は、病期IVのNSCLCのための以前のあらゆる化学療法又は他のあらゆる全身療法を受けていた場合;癌処置のための同時的なあらゆる化学療法、生物学的療法又はホルモン療法を受けている場合;又は(i)鼻腔内、吸入若しくは局所ステロイド又は局所ステロイド注射;(ii)10mg/日のプレドニゾン又はその均等物を超えないような生理学的用量での全身性副腎皮質ステロイド;及び(iii)過敏症反応のためのプレメディケーションとしてのステロイド以外の、この研究の第1の投与前の28日以内にあらゆる免疫抑制薬物を受けたか又は受けている場合、研究への参加から除外した。また、対象は、放射線療法を受けていた場合、(i)IV期疾患への進行日の少なくとも12ヵ月前に投与された根治的放射線、(ii)第1の研究処置用量の少なくとも4週前に、病徴の安定性若しくは欠如についての関連基準がある、脳への緩和放射線、又は(iii)第1の研究処置用量の少なくとも2週前に、痛みを伴う骨病変(骨髄の30%未満のみを占めていなければならない)に対する緩和放射線でない限り除外される。
【0222】
2.処置
少なくとも30人の患者を、表2に示すように且つ図24A図24Dに示すように各処置アームに登録した。高PD-L1(すなわち腫瘍細胞の≧50%でのPD-L1発現)の患者をコホートAに登録し、且つ低PD-L1(すなわち腫瘍細胞の<50%でのPD-L1発現)の患者をコホートBに登録した。
【0223】
【表2】
【0224】
化学療法は、以下から選択される:(a)nab-パクリタキセル+カルボプラチン(扁平上皮患者及び非扁平上皮患者);(b)ゲムシタビン+シスプラチン(扁平上皮患者のみ);(c)ゲムシタビン+カルボプラチン(扁平上皮患者のみ);(d)ペメトレキセド+カルボプラチン(非扁平上皮患者のみ)、及び(e)ペメトレキセド+シスプラチン(非扁平上皮患者のみ)。カルボプラチン/シスプラチン+ペメトレキセドを受け、且つカルボプラチン/シスプラチン+ペメトレキセドの4サイクル後に進んでいる非扁平上皮患者は、禁忌でない限り、ペメトレキセド維持療法を受ける。アームB1について、ペメトレキセド維持療法は、3週(q3w)毎又は4週(q4w)毎に行われ得る。ペメトレキセド維持療法は、アームB3についてq4wで行われ得る。
【0225】
オレクルマブ、デュルバルマブ及び化学療法を表3のスケジュール通りに施した。
【0226】
【表3】
【0227】
アームA3及び/又はB3の初回用量レベルが耐えられる場合、表4に示すように、新しい処置アームは、より高い用量のオレクルマブで始めた。
【0228】
【表4】
【0229】
臨床的進展又は放射線学的進展が起こるまで処置を継続する。化学療法を含むアームにおいて、化学療法を、4サイクルについて又は進行(PD)が観察されるまで、より早く起こるものが何れであっても(すなわちPDが計画療法の完了前に起こらない限り、4サイクル)施した。
【0230】
3.結果
有害事象、身体検査、検査所見及びバイタルサインを全てのアームから評価して、化学療法あり又はなしのオレクルマブ及びデュルバルマブが安全であることが実証される。
【0231】
8人の患者にコホートA3においてデュルバルマブ及びオレクルマブを投薬し、且つ6人の患者にデュルバルマブ+化学療法+オレクルマブアームについてのコホートB3 safety run-inにおいてこれらを投薬した。安全性を評価して、用量は、十分に耐容性であった。Study Level Safety Review会議は、DLTが報告されなかったため、コホートB3を1500mgのオレクルマブから3000mg用量に漸増することに同意した。
【0232】
全奏効率(ORR)、無増悪生存期間及び客観的奏効の日付を全てのアームにおいて評価して、オレクルマブ及びデュルバルマブの組合せが高PD-L1患者における第一選択の病期IV非症細胞肺癌(NSCLC)の処置に有効であることと、オレクルマブ、デュルバルマブ及び化学療法の組合せが低PD-L1患者における第一選択の病期IVの処置に有効であることとを実証した。
【0233】
実施例7:局所進行性切除不能病期III非小細胞肺癌を有する対象におけるオレクルマブ及びデュルバルマブ処置
フェーズ2非盲検、多施設研究を実行して、局所進行性切除不能病期III非小細胞肺癌(NSCLC)を有する対象において、オレクルマブ及びデュルバルマブの有効性(抗腫瘍活性)及び安全性を評価した。
【0234】
1.対象
この研究における対象は、局所進行性切除不能病期III NSCLCを有する、根治的同時的化学放射線療法(cCRT)後に進まなかった少なくとも18歳の成人対象(少なくとも35kgの体重)を含んだ。根治的放射線療法は、1画分あたり1.8Gy又は生物学的に均等な用量での≧60Gyの総用量を指す。同時的化学療法は、プラチナベースのダブレットを指す。最終化学療法施与は、放射線の最終施与前又はそれと同時に終了しなければならない。
【0235】
全ての対象は、RECIST v. 1.1によって測定することができる少なくとも1つの以前に照射された腫瘍病変、少なくとも12週の平均余命及び0又は1の東海岸癌臨床試験グループ(ECOG)パフォーマンスステータスを有することが必要とされた。
【0236】
対象は、小細胞及び非小細胞混合肺癌組織構造を有していた場合、研究への参加から除外した。また、対象は、(i)鼻腔内、吸入若しくは局所ステロイド又は局所ステロイド注射;(ii)10mg/日のプレドニゾン又はその均等物を超えないような生理学的用量での全身性副腎皮質ステロイド;及び(iii)過敏症反応のためのプレメディケーションとしてのステロイド以外の、研究薬物の第1の用量前の14日以内の免疫抑制薬物の使用について研究から除外した。また、対象は、NSCLCの処置のための抗PD-1、抗PD-L1又は抗細胞障害性Tリンパ球関連抗原-4(CTLA-4)抗体に対する以前のあらゆる曝露について除外した。
【0237】
2.処置
患者は、cCRTの細菌のセッションから42日以内に研究処置を開始した。1つの処置アームあたり最大60人の対象をデュルバルマブ対照及び実験アームに対して等しい比率でランダム化した。対照アームの患者は、12ヵ月間、4週毎に(Q4W)1500mgのデュルバルマブを静脈内に受けた。図25Aを参照されたい。実験アームの患者は、(i)1500mgのデュルバルマブを12ヵ月間、4週毎に(Q4W)静脈内に、プラス(ii)3000mgのオレクルマブを2ヵ月間、2週毎に(Q2W)静脈内に、その後、10ヵ月間、Q4W(サイクル3、1日目に開始)で受けた。図25Bを参照されたい。
【0238】
対象は、疾患進行、容認できない毒性又は処置の終了について別の理由(例えば、対象の決意又は不遵守)が存在しない限り、最大12ヵ月間処置した。
【0239】
3.結果
有害事象、検査所見、心電図結果及びバイタルサインを評価して、オレクルマブ及びデュルバルマブの組合せが安全であることが実証される。RECIST v.1.1による客観的奏効(OR)、奏効の期間(DoR)、疾患管理(DC)、12ヵ月での無増悪生存期間(PFS)、RECIST v.1.1によるPFS及び全生存(OS)を評価して、オレクルマブ及びデュルバルマブの組合せがデュルバルマブ単独よりも病期III NSCLCの処置に有効であることが実証される。
【0240】
実施例8:除去可能早期非小細胞肺癌を有する対象におけるオレクルマブ及びデュルバルマブ処置
フェーズ2非盲検、多施設研究を実行して、除去可能早期非小細胞肺癌(NSCLC)を有する対象において、オレクルマブ及びデュルバルマブの有効性(抗腫瘍活性)及び安全性を評価した。
【0241】
1.対象
この研究における対象は、(a)病期I(>2cm)~IIIA(N2疾患を有する対象について、1シングル節点ステーションが≦3cmである対象のみ適格であった)NSCLC(American Joint Committee on Cancer病期分類の8th版に従う)であり;及び(b)外科的切除を完了するのに適用可能であると考えられる、細胞学的に且つ/又は組織学的にドキュメント化されたNSCLCを有する、少なくとも18歳の成人対象(少なくとも35kgの体重)を含んだ。対象は、この症状についての他のいかなる療法(化学療法、生物学的療法又は放射線療法)も受けていなかった。全ての対象は、0又は1の東海岸癌臨床試験グループ(ECOG)パフォーマンスステータスを有した。
【0242】
対象は、小細胞及び非小細胞混合肺癌組織構造を有していた場合、研究への参加から除外した。また、対象を、登録前の90日以内の別の介入臨床的研究への参加の結果として研究から除外した。また、対象は、(i)鼻腔内、吸入若しくは局所ステロイド又は局所ステロイド注射;(ii)12mg/日のプレドニゾン又はその均等物を超えないような生理学的用量での全身性副腎皮質ステロイド;及び(iii)過敏症反応のためのプレメディケーションとしてのステロイド以外の、研究薬物の第1の用量前の14日以内の免疫抑制薬物の使用について研究から除外した。
【0243】
1つの処置アームあたり最大40人の対象を登録した。
【0244】
2.処置
研究継続期間にわたる処置を図26Aに示す。対象を、最大28日間、デュルバルマブ単剤療法又はデュルバルマブ及びオレクルマブの組合せで処置した。処置は、疾患進行、容認できない毒性又は別の理由(例えば、対象の決意又は不遵守)がある場合に中断した。デュルバルマブ単剤療法を受けた対象は、1500mgのデュルバルマブをQ4W(1週目、1日目)に静脈内に受けた(図26B)。併用療法を受けた対象は、1500mgのデュルバルマブをQ4W(1週目、1日目)に静脈内に、プラス3000mgのオレクルマブをQ2W(1週目、1日目及び3週目、1日目)に静脈内に受けた(図26C)。
【0245】
28日処置期間後、外科的切除を続けた。外科的切除は、処置期間の14日以内であった。外科的切除後、対象を105日目まで追跡した。対象が105日目の前にアジュバント化学療法又は放射線療法を受けた場合、対象を研究から離して、研究来院の終了をアジュバント療法の開始前に予定した。
【0246】
3.結果
病理学的変化(例えば、主要な病理学的奏効(MPR))を評価して、オレクルマブ及びデュルバルマブの組合せが、早期NSCLC癌患者の切除された腫瘍標本内での病理学的奏効に至ることが実証される。また、MPR、病理学的完全奏効(pCR)並びにRECIST v 1.1による最良完全奏効(BOR)及びORRを評価して、オレクルマブ及びデュルバルマブの組合せが、除去可能早期NSCLCにおいて抗腫瘍活性を有することが実証される。有害事象、検査所見及びバイタルサインを評価して、オレクルマブ及びデュルバルマブの組合せが安全であることが実証される。
【0247】
実施例9:転移性マイクロサテライト安定結腸直腸癌を有する対象における、化学療法及びベバシズマブ処置と組み合わせたオレクルマブ及びデュルバルマブ
フェーズ1b/2の非盲検、多施設研究を実行して、転移性マイクロサテライト安定結腸直腸癌(MSS-CRC)を有する対象における第一選択(1L)療法としての、化学療法及びベバシズマブと組み合わせたオレクルマブ及びデュルバルマブの有効性(抗腫瘍活性)及び安全性を評価した。研究は、2パートを含んだ。パート1は、フェーズ1b安全性研究であり、パート2は、有効性及び安全性のフェーズ2研究であった。
【0248】
1.対象
この研究における対象は、転移性MSS-CRCを有する、再発/転移状況において以前の全身処置を受けなかった、少なくとも18歳の成人対象(少なくとも35kgの体重)を含んだ(以前のアジュバント化学療法又は放射化学療法で処置した対象は、進展が、アジュバントレジメンを完了した6ヵ月以内にない限り、受け入れた)。全ての対象は、進行型CRC又は転移性CRCの組織学的ドキュメンテーション並びにスクリーニング中にドキュメント化した変異試験及び疾患評価から確認した腫瘍位置があった。対象は、試験によるドキュメントとして、欠陥のあるDNAミスマッチ修復(MSI)を有してはならなかった。対象は、RECIST v1.1によって測定可能な少なくとも1つの病変を有した(以前に照射された病変は、病変が明確に定義され、RECISTによって測定可能であり、最近の療法中又は後に明らかに進行していた場合、標的病変と考えることができる)。全ての対象は、0又は1の東海岸癌臨床試験グループ(ECOG)パフォーマンスステータスを有した。
【0249】
対象を、癌処置のための同時的なあらゆる化学療法、治験薬、生物学的療法又はホルモン療法の結果として研究から除外した(非癌関連症状のためのホルモン療法(例えば、ホルモン補充療法)の同時的使用は、許容可能であった)。また、対象を、骨髄の30%超への又は研究処置の予定に組んだ第1の線量よりも前の4週以内の広い放射線場による放射線療法処置について研究から除外した。また、対象を、免疫介在性のあらゆる治療又は抗血管新生を以前に受けたことについて除外した。また、対象を、研究薬の第1の用量前の14日以内の免疫抑制薬物の使用について、(i)鼻腔内、吸入若しくは局所ステロイド又は局所ステロイド注射、及び(ii)過敏症反応のためのプレメディケーションとしてのステロイド以外、研究から除外した。
【0250】
最少6人の対象をパート1に登録し、且つ1つの処置アームあたり最大50人の対象をパート2に登録した。
【0251】
2.処置
最大28日のスクリーニング期間後、対象を研究アームに割り当てる(パート1)か又はランダム化した(パート2)。両方の研究パートにおいて、疾患進行又はあらゆる中断基準(例えば、同意の撤回、容認できない毒性、不遵守、確認された進行その他)に直面するまで処置を施した。
【0252】
パート1は、用量漸増を含まなかった。3人の対象の最初の群をパート1アームに登録して、安全性について評価した。パート1での判定は、単純なベータ二項ベイズモデルを使用する、修正した毒性可能性インターバル-2(mTPI-2)アルゴリズム(Guo et al.,Contemp Clin Trials 58:23-33(2017))から応用した規則に基づいた。判定規則が最初の3の対象について「ステイ」である場合、2~4人の対象の追加の群を同じ用量レベルにおいて登録し;判定規則が「段階的に縮小」である場合、3人の対象の追加の群を低用量のオレクルマブに登録した一方、FOLFOX+ベバシズマブ+デュルバルマブの標準用量を維持した。判定規則が「完了」である場合、現在の用量を研究のパート2に選択した。
【0253】
パート2において、ランダム化を最初に全アームの全体にわたって均一に分配して(1:1:1)、原発腫瘍の位置(右側対左側)に基づいて階層化した。50人の対象を対照アームにランダム化した後、対照アームに対象を登録し続けたが、異なるアームへの割当て比率を調整することができた。
【0254】
処置群を表5に示し、処置スケジュールを図27に示す。
【0255】
【表5】
【0256】
フォリン酸(ロイコボリン)+5-フルオロウラシル+オキサリプラチン(FOLFOX)+ベバシズマブを、National Comprehensive Cancer Network(NCCN)及びEuropean Society for Medical Oncology(ESMO)のガイドラインによるプロトコルに概説されるようにして投与した。特に、400mg/mのフォリン酸を2週毎に(Q2W)(14日サイクル毎の1日目)静脈内投与し;85mg/mのオキサリプラチンを静脈内注入Q2W(14日サイクル毎の1日目)によって投与し;且つ2400mg/mの5-フルオロウラシルを46~48時間にわたるQ2W(14日目サイクル毎の1~2日目)の連続静脈内注入によって投与した。5-フルオロウラシルをボーラスなしの注入としてのみ投与した。また、5mg/kgのベバシズマブを静脈内注入Q2W(14日サイクル毎の1日目)によって投与した。
【0257】
アームS1及びE1では、1500mgのデュルバルマブを4週毎に(Q4W)静脈内投与して、3000mgのオレクルマブを4回の用量について2週毎に(Q2W)、その後、Q4W(サイクル5、1日目に開始)に静脈内投与した。
【0258】
3.結果
RECIST v.1.1による客観的奏効を評価して、FOLFOX+ベバシズマブとのオレクルマブ及びデュルバルマブの組合せが1L MSS-CRCを有する対象においてベバシズマブとのFOLFOXよりも優れた抗腫瘍活性を有することが実証される。また、最良完全奏効(BOR)、奏効の期間(DoR)、疾患管理(DC)、12ヵ月の無増悪生存(PFS-12)及びRECIST v 1.1によって評価した無増悪生存(PFS)並びに全生存(OS)を評価して、FOLFOX+ベバシズマブとのオレクルマブ及びデュルバルマブの組合せが1L MSS-CRCを有する対象においてベバシズマブとのFOLFOXよりも優れた抗腫瘍活性を有することが実証される。有害事象、用量制限毒性(DLT)、検査所見及びバイタルサインを評価して、FOLFOX+ベバシズマブとのオレクルマブ及びデュルバルマブの組合せが安全であることが実証される。
【0259】
実施例10:高リスク転移性マイクロサテライト安定結腸直腸癌を有する対象における、アジュバント化学療法処置と組み合わせたオレクルマブ及びデュルバルマブ
フェーズ2非盲検、多施設研究を実行して、高リスク転移性マイクロサテライト安定結腸直腸癌(MSS-CRC)を有する対象において、アジュバント化学療法と組み合わせたオレクルマブ及びデュルバルマブの有効性(抗腫瘍活性)及び安全性を評価した。
【0260】
1.対象
この研究における対象は、病期II又はIII MSS-CRCについての根治的外科的切除を経験しており、術後8週以内の6ヵ月のmFOLFOX6アジュバント療法について適格であり、且つ術後の循環腫瘍DNA(ctDNA)が陽性であると確認された、少なくとも18歳の成人対象(少なくとも35kgの体重)を含んだ。全ての対象は、病期II高リスク:以下の特徴の何れか1つを有する、あらゆるT4病変又はT3病変であることが必要とされた:高悪性度(3)、腸閉塞及び腸穿孔による臨床的提示、血管浸潤、リンパ浸潤及び傍神経浸潤の組織学的徴候(調査した≦12個のリンパ節)。対象は、結腸直腸癌(CRC)の処置のための以前の全身化学療法、免疫治療又は放射線療法を受けていてはならず、且つ欠陥のあるDNAミスマッチ修復(MSI)を有してはならない。対象は、切除縁陰性(R0;>1mmクリアランスと定義される)外科的切除を有した。全ての対象は、0又は1の東海岸癌臨床試験グループ(ECOG)パフォーマンスステータスを有した。
【0261】
転移性疾患(「一括で」切除される腹水症又は腹膜癌腫症における腫瘍細胞の存在を含む)の証拠がある場合、対象を研究から除外した。また、対象を、癌処置のための同時的な化学療法、治験薬、生物学的療法又はホルモン療法について除外した。また、対象を、研究薬の第1の用量前の14日以内の免疫抑制薬物の使用について、(i)鼻腔内、吸入若しくは局所ステロイド又は局所ステロイド注射、及び(ii)過敏症反応のためのプレメディケーションとしてのステロイド以外、研究から除外した。
【0262】
2.処置
対象を研究アームの1つにランダム化した。1つの処置アームあたり約40人の対象を登録した。ランダム化を原発腫瘍のAmerican Joint Committee on Cancerの病期(病期II対病期III)によって戦略化した。研究アーム及び処置を表6に要約し、投与レジメンを図28に示す。
【0263】
【表6】
【0264】
全アームにおいて、mFOLFOX6を、National Comprehensive Cancer Network及びEuropean Society for Medical Oncologyのガイドラインによるプロトコルに概説されるようにして2週毎に(Q2W)投与した。特に、オキサリプラチンを85mg/mの用量において、2.0mの最大体表面積(BSA)に制限した静脈内(IV)注入(14日サイクル毎の1日目)によって投与した。フォリン酸(ロイコボリン)を400mg/mの用量においてIV注入(14日サイクル毎の1日目)によって投与した。フルオロウラシル(5-FU)を1日目のIVボーラスによる400mg/m、その後、2日間1,200mg/m/日(46~48時間にわたって合計2,400mg/m mg/m)のIV注入(14日サイクル毎の1~2日目)の用量において投与した。デュルバルマブを4週毎に(Q4W)1500mgの用量においてIV投与し、且つオレクルマブを4回の用量について3000mgの用量においてIV Q2Wに、その後、Q4W(サイクル5から開始)に投与した。
【0265】
対象を、最大6ヵ月間又は再発、容認できない毒性、同意の撤回その他まで処置した。対象は、ランダム化から最大5年間追跡することができた。
【0266】
3.結果
6ヵ月での循環腫瘍DNA(ctDNA)のクリアランスを評価して、mFOLFOX6とのオレクルマブ及びデュルバルマブの組合せが、高リスク病期II又は病期III MSS-CRCを有する対象において、mFOLFOX6よりも優れた抗腫瘍活性を有することが実証される。CtDNAクリアランスをベースラインのctDNA陽性からctDNA陰性ポストランダム化へのctDNAステータス変化と定義し、且つ群間の比較を、病期によって階層化したコクラン・マンテル・ヘンツェル検定を用いて0.2の有意水準(両側)において実行する。また、無病生存率(DFS)、12ヵ月のDFS(DFS-12)及び全生存(OS)を比較して、mFOLFOX6とのオレクルマブ及びデュルバルマブの組合せが、高リスク病期II又は病期III MSS-CRCを有する対象において、FOLFOXよりも優れた抗腫瘍活性を有することが実証される。
【0267】
有害事象、検査所見及びバイタルサインを評価して、mFOLFOX6とのオレクルマブ及びデュルバルマブの組合せが安全であることが実証される。
【0268】
実施例11:結腸直腸及び線維肉腫モデルにおける、化学療法と組み合わせた抗CD73及び抗PD-L1
アッセイをマウス結腸直腸及び線維肉腫モデルにおいて実行して、化学療法と組み合わせた抗CD73及び抗PD-L1抗体の有効性を実証した。
【0269】
1.材料及び方法
動物
インビボ研究を、8週齢のBALB/cAnNCtrマウス(Charles River UK)又はC57BL/6を用いて実行した。動物を、食物及び水に自由にアクセスできるAstraZeneca飼育器内に収容して、訓練を受けた従事者が毎日世話をした。マウスをHome Office Animals Scientific Procedures Act,1986,UKに従って取り扱った。
【0270】
インビボ有効性アッセイ
動物にマウス同系腫瘍株、0.5e6 CT26(結腸直腸マウス)又は0.5e6 MCA205(50% Matrigel)(線維肉腫マウス)を、マウス株に応じて皮下移植した。腫瘍進行を、1週につき3回、ノギス測定によって監視した。動物を、3日目に開始して抗CD73マウスIgG1(自社、AstraZeneca)、10mg/kg、週に2回、4回用量;10(OHP及び5FUと組み合わせた場合)又は4(ドセタキセルと組み合わせた場合)日目に開始して抗PD-L1マウスIgG1 D265A(自社、AstraZeneca)、10mg/kg、週に2回、最大合計6回用量(具体的な実験に関する情報について、図のレジェンドを参照されたい);9日目(一部の実験において、10日目)に5-フルオロウラシル(Fresenius Kabi)及びオキサリプラチン(Accord)、単回用量、50mg/kg及び6mg/kg;4日目に開始してドセタキセル(Sanofi)、10mg/kg、週に1回、2回用量でそれぞれ(単剤療法として又は様々な組合せで)処置した。2つの抗体、プラス5FU及びOHPを腹膜内に投与した一方、ドセタキセルを静脈内投与した。腫瘍寸法が直径15mmに達すると、動物を人道的に犠牲にした。
【0271】
インビボ薬力学的アッセイ
動物に0.5e6 CT26マウス結腸直腸癌腫細胞を皮下移植した。腫瘍進行を、1週につき3回、ノギス測定によって監視した。動物を、3日目に開始して抗CD73マウスIgG1(自社、AstraZeneca)、10mg/kg、週に2回、4回用量;10日目に開始して抗PD-L1マウスIgG1 D265A(自社、AstraZeneca)、10mg/kg、週に2回、2回用量;10日目に5-フルオロウラシル(Fresenius Kabi)及びオキサリプラチン(Accord)、単回用量、50mg/kg及び6mg/kgでそれぞれ(単剤療法として又は様々な組合せで)処置した。薬剤は、全て腹膜内投与した。動物を移植後15日目に人道的に犠牲にして、腫瘍を下流側分析に用いた。
【0272】
組織プロセシング及びフローサイトメトリ
腫瘍を、1mg/mlコラゲナーゼIV、20ユニット/mL DNase I及び20ユニット/mLヒアルロニダーゼI(全てSigma由来)の酵素カクテルを用いて消化した。続いて、単一の細胞懸濁液を、生/死識別色素(以下の表7を参照されたい)で染色して、Fcブロック(抗マウスCD16/CD32 eBioScience cat#14-0161-86)で処理した。その後、細胞を表面マーカー(試薬リストについて表及び下記を参照されたい)について染色して、固定して、eBioScience Foxp3/転写因子染色キット(00-5523-00)を用いて透過化処理した。次に、細胞を細胞内マーカー(以下の表7を参照されたい)について染色した。サンプルをBD Symphonyフローサイトメーターで得て、FlowJoソフトウェアバージョン10を用いて分析した。GraphPad Prizmソフトウェアを用いてデータをプロット化した。
【0273】
【表7】
【0274】
2.結果
CT26(結腸直腸)モデルにおける抗CD73+抗PD-L1+5FU+OHP
CT26モデルにおいて5FU及びOHPと組み合わせた抗CD73抗体及び抗PD-L1抗体の有効性を分析するために、動物に0.5e6 CT26を皮下(s.c.)移植して、動物を抗マウス抗体で週に2回(抗CD73を移植後3日目に開始、4回の用量及び10日目に抗PD-L1、6回の用量)腹膜内(i.p.)処置した。5フルオロウラシル(5FU)及びオキサリプラチン(OHP)を9日目にi.p.投与した。腫瘍直径が15mmに近づくと、動物を人道的に犠牲にした。腫瘍症状等の幸福の問題のために初期に犠牲にした動物は、分析から除外した。生存率算出のために、腫瘍直径が15mmとなる前に腫瘍症状のために犠牲にした動物は、腫瘍容積が500mmを超える場合、分析中のままにした。結果を図29A図29Iに示す。
【0275】
CT26モデルにおける活性の更なる分析において、動物に0.5e6 CT26をs.c.移植して、動物を抗マウス抗体で週に2回i.p.処理した(抗CD73を移植後3日目に開始、4回の用量及び10日目に抗PD-L1、2回の用量)。5FU及びOHPを9日目にi.p.投与した。図30は、エクスビボ再刺激(細胞内染色)なしでフローサイトメトリによって分析した腫瘍消化物全体(移植後15日目に収集したサンプル)由来のデータを示す。
【0276】
CT26(結腸直腸)モデルにおける抗CD73+抗PD-L1+ドセタキセル
CT26モデルにおいてドセタキセルと組み合わせた抗CD73抗体及び抗PD-L1抗体の有効性を分析するために、動物に0.5e6 CT26をs.c.移植して、動物を抗マウス抗体で週に2回(抗CD73を移植後3日目に開始、4回の用量及び4日目に抗PD-L1、4回の用量)i.p.処理した。ドセタキセルを週に1回i.v.投与した(4日目に開始、2回の用量)。腫瘍直径が15mmに近づくと、動物を人道的に犠牲にした。腫瘍症状等の幸福の問題のために初期に犠牲にした動物は、分析から除外した。生存率算出のために、腫瘍直径が15mmとなる前に腫瘍症状のために犠牲にした動物は、腫瘍容積が500mmを超える場合、分析中のままにした。結果を図31A図31Iに示す。
【0277】
MCA205(線維肉腫)モデルにおける抗CD73+抗PD-L1+5FU+OHP
MCA205モデルにおいて有効性を分析するために、動物に0.5e6 MCA205(50% Matrigel)をs.c.移植して、動物を抗マウス抗体で週に2回i.p.処理した(抗CD73を移植後3日目に開始、4回の用量及び10日目に抗PD-L1、5回の用量)。5FU及びOHPを9日目にi.p.投与した。結果を図32A図32Hに示す。
【0278】
3.結論
CT26腫瘍を移植したマウスにおいて、抗PD-L1+抗CD73+5FU+OHPの組合せは、抗PD-L1+5FU+OHP組合せ群における12頭中最大2頭(約17%)と比較して、12頭中6頭(50%)の完全奏効に終わった。また、抗PD-L1+抗CD73+ドセタキセルの組合せは、抗PD-L1+ドセタキセル組合せ群における12頭中最大3頭(25%)と比較して、12頭中7頭(58%)の完全奏効に終わった。
【0279】
IFNγ+CD8+、CD4+及びNKp46+リンパ球のパーセンテージは、抗CD73、抗PD-L1、5FU及びOHPの組合せで処置した動物由来のサンプルにおける腫瘍微環境(TME)内で増大した。
【0280】
MCA205腫瘍を移植したマウスにおいて、抗PD-L1+抗CD73+5FU+OHPの組合せは、抗PD-L1+5FU+OHP組合せ群における13頭中4頭(30%)と比較して、13頭中8頭(61%)の完全奏効に終わる。
【0281】
これらのデータは、複数の癌型において、抗CD73抗体が抗PD-L1プラス化学療法(例えば、5FU+OHP及びドセタキセルを含む)処置の有効性を増大させることを示す。
【0282】
本発明を種々の実施形態に関して説明してきたが、変形形態及び変更形態が当業者に想到されるであろうことが理解される。したがって、添付の特許請求の範囲は、特許請求される本発明の範囲内にあるような均等な変形物を全て包含することが意図される。また、本明細書中で使用されるセクションの見出しは、構成目的のものに過ぎず、記載される主題を限定するものと解釈されるべきではない。
【0283】
本明細書中に記載される各実施形態は、明らかに逆の記載がない限り、他のあらゆる実施形態と組み合わされ得る。特に、好ましいか又は有利であると示されるあらゆる特徴又は実施形態は、明らかに逆の記載がない限り、好ましいか又は有利であると示される他のあらゆる特徴又は実施形態と組み合わされ得る。
【0284】
本出願において引用される全ての参考文献は、参照により本明細書に明示的に組み込まれる。
【0285】
【表8】
【0286】
【表9】
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10-1】
図10-2】
図11-1】
図11-2】
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24-1】
図24-2】
図25
図26
図27
図28
図29-1】
図29-2】
図29-3】
図30
図31-1】
図31-2】
図31-3】
図32-1】
図32-2】
図32-3】
図32-4】
【配列表】
2022527334000001.app
【国際調査報告】