(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-01
(54)【発明の名称】電磁放射収集および誘導装置
(51)【国際特許分類】
F21S 11/00 20060101AFI20220525BHJP
F24S 23/70 20180101ALI20220525BHJP
F24S 23/79 20180101ALI20220525BHJP
F24S 20/00 20180101ALI20220525BHJP
F24S 60/00 20180101ALI20220525BHJP
F21V 23/00 20150101ALI20220525BHJP
【FI】
F21S11/00 200
F24S23/70
F24S23/79
F24S20/00 010
F24S60/00
F21S11/00 400
F21V23/00 140
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021559475
(86)(22)【出願日】2020-03-19
(85)【翻訳文提出日】2021-11-19
(86)【国際出願番号】 US2020023665
(87)【国際公開番号】W WO2020191213
(87)【国際公開日】2020-09-24
(32)【優先日】2019-03-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521437943
【氏名又は名称】ガイ、フレデリック
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ガイ、フレデリック
【テーマコード(参考)】
3K014
【Fターム(参考)】
3K014AA00
(57)【要約】
電磁放射の収集および誘導装置について説明する。電磁放射収集および誘導装置は、構造物の外部から構造物の内部への光の誘導を容易にするものである。誘導された光は、必要に応じて構造物内に分散され、暖房や照明に利用されたり、後に使用するために蓄えられたりする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁放射収集および誘導装置であって、
反射面を有する少なくとも一つのヘリオスタットと、
構造物内に少なくとも部分的に延び、第1の端部および第2の端部を有する伝搬媒体と、
前記伝搬媒体に関連する光学装置と、
制御装置とを備え、
前記第1の端部は、少なくとも一つの前記ヘリオスタットまたは前記光学装置から電磁放射を受けるよう構成されており、
前記光学装置は、受け取った電磁放射を前記伝搬媒体を介して誘導するよう構成されており、
前記第2の端部は、前記受け取った電磁放射を前記伝搬媒体から放出させるよう構成されており、
前記制御装置は、前記受け取った電磁放射の方向および量を、ユーザーインプットまたはセンサーインプットの少なくとも一方を介して制御するよう構成されており、
前記制御装置は、熱または電磁放射を前記伝搬媒体の第3の端部に向け直す要求を受信したことに応じて、前記受け取った電磁放射の一部または全部を前記第3の端部に向け直すように、さらに構成されている、電磁放射収集および誘導装置。
【請求項2】
前記伝搬媒体は中空軸であり、前記第1の端部および前記第2の端部がそれぞれ第1の開口部および第2の開口部である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
第2の光学装置をさらに備え、前記第2の光学装置は、前記受け取った電磁放射を前記第2の開口部を通して誘導する構成されている、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記第2の光学装置は、前記受け取った電磁放射を前記構造物内の表面および前記中空軸の外側に誘導し、それによって前記構造物のある領域を暖めるように構成されている、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記第2の光学装置は、前記受け取った電磁放射を前記構造物内の表面および前記中空軸の外側に誘導し、それによって前記構造物のある領域を明るくする、請求項3に記載の装置。
【請求項6】
前記第1の光学装置または前記第2の光学装置は、前記受け取った電磁放射を熱エネルギー貯蔵装置に誘導するよう、さらに構成されているか、または、前記第1の光学装置または前記第2の光学装置は、前記受け取った電磁放射を熱交換機に誘導し、前記熱交換機が電磁放射を前記熱エネルギー貯蔵装置に伝達するように構成されており、
前記熱エネルギー貯蔵装置は、前記受け取った電磁放射からの熱エネルギーを、任意の期間貯蔵するよう構成されており、前記熱エネルギーは、前記熱エネルギーが貯蔵された時以降の将来に分配される、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記熱エネルギー貯蔵装置は、配管に連動されており、前記配管は、貯蔵された熱エネルギーを前記構造物に誘導して戻すよう構成されている、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記中空軸は、前記中空軸を介して前記構造物の内部の空気分子が前記構造物の外部に通り抜けることを妨害するよう構成されている透明または半透明のバリアをさらに含む、請求項2に記載の装置。
【請求項9】
前記ヘリオスタットは前記構造物から離れた位置に吊り下げられている、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記ヘリオスタットは、前記受け取った電磁放射を、前記ヘリオスタットから離れた位置に吊り下げられた前記光学装置に誘導するよう構成されており、前記第1の端部は、前記光学装置から電磁放射を受け取るよう構成されている。請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記ヘリオスタットは、放物線状の反射面を有し、前記光学装置は、前記ヘリオスタットの反射面の放物線状の形状に関連した焦点に吊り下げられている、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
電磁放射を誘導する方法であって、
少なくとも一つのヘリオスタットを介して伝搬媒体の第1の端部に電磁放射を誘導し、そこで前記第1の端部が電磁放射を受け取ることと、
電子制御装置から熱または電磁放射の要求を受信することと、
前記電子制御装置から前記熱または電磁放射の要求を受信したことに応じて、前記第1の端部から受け取った電磁放射を前記伝搬媒体を通って前記伝搬媒体の第2の端部に誘導することと、
構造物の内部が、中空軸内にある前記伝搬媒体の前記第2の端部からの電磁放射を受け取ることと、
前記電子制御装置から前記熱または電磁放射の要求を受信したことに応じて、電磁放射を前記伝搬媒体の第3の端部に誘導する第2の光学装置に、前記伝搬媒体を介して前記第1の端部から前記受け取った電磁放射を誘導することにより、前記光学装置を介して前記伝搬媒体の前記第3の端部に電磁放射を誘導することと、
を含む方法。
【請求項13】
前記受け取った電磁放射の熱エネルギーを熱エネルギー貯蔵装置に貯蔵し、貯蔵された熱エネルギーを夜間など後から前記構造物のある領域に供給することを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
さらに、
電磁放射を用いて前記構造物の内部のある領域を暖めること、
を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
さらに、
電磁放射を用いて前記構造物の内部のある領域を明るくすること、
を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
日陰になっている前記構造物のある領域が予め設定された温度に到達するまで、前記ある領域に電磁放射を誘導し、その後、前記受け取った電磁放射を前記ある領域から遠ざける、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記電磁放射は、分割され、内部領域の前記第2の端部と第2の内部領域の前記第3の端部の両方を通して誘導される、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
構造物であって、
前記構造物から離れた場所に配置され、反射面を備えた少なくとも一つのヘリオスタットと、
少なくとも部分的に前記構造物内に延び、第1の端部および第2の端部を有する伝搬媒体と、
前記伝搬媒体に関連付けられた光学装置と、
制御装置とを備え、
前記光学装置の前記第1の端部は、前記少なくとも一つのヘリオスタットまたは前記光学装置からの電磁放射を受け取るように構成されており、
前記光学装置は、受け取った電磁放射を前記伝搬媒体を通すよう誘導するよう構成されており、
前記第2の端部は、前記受け取った電磁放射を前記構造物の中に入れるよう構成されており、
前記制御装置は、ユーザーインプットまたはセンサーインプットの少なくとも一方を介して、前記受け取った電磁放射の方向および量を制御するよう構成されており、
前記制御装置は、ユーザーインプットまたはセンサーインプットの少なくとも一方を介して熱または電磁放射の要求を受信したことに応じて、前記受け取った電磁放射の一部または全部を、第2の光学装置を介して前記伝搬媒体の第3の端部に向け直すよう、さらに構成されている、構造物。
【請求項19】
前記構造物は多層構造の建物であり、前記伝搬媒体は前記多層構造の建物の下層階まで延びており、前記光学装置が前記伝搬媒体を介して下層階に電磁放射を誘導し、前記第2の端部が前記下層階に位置しており、前記受け取った電磁放射を前記下層階のある領域に入れるよう、さらに構成されている、請求項18に記載の構造物。
【請求項20】
電磁放射を捕獲し、変調し、構造物に向け直すための制御装置管理型の方法であって、
前記構造物の外部にあり、多数の反射体による反射に利用できる、利用可能な電磁放射に関連するセンサーからデータを受け取ることと、
ユーザーまたはセンサーからのインプットにより発生した電磁放射の需要に関するデータを分析することと、
前記利用可能な電磁放射を前記伝搬媒体によって前記構造物に誘導することと、
電磁放射を修正または向け直すために、一つ以上の光学装置を管理することと、
を含み、
前記制御装置は、前記利用可能な電磁放射の変化量を調節するために、前記反射体のアラインメントおよび数を変化させる、方法。
【請求項21】
前記制御装置は、反射の角度を変えるために前記反射体を覆うまたは回転させることにより、前記反射体のアラインメントおよび数を変化させる、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
変調された電磁放射は、少なくとも部分的に前記構造物の中に延びる前記伝搬媒体に向けられ、前記伝搬媒体は、第1の端部と第2の端部とを備えている、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記構造物内の変調された電磁放射を、前記構造物内の第1および第2の端子開口部に向け直すことをさらに含む、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
変調された電磁放射を、前記構造物の中に少なくとも部分的に延びる前記中空軸の末端にある前記光学装置に向けることをさらに含む、請求項20に記載の方法。
【請求項25】
変調された電磁放射を熱エネルギー貯蔵装置に向け直すことをさらに含み、前記熱エネルギー貯蔵装置は、前記変調された電磁放射を熱エネルギーとして受け取り、貯蔵し、貯蔵された前記熱エネルギーを、前記熱エネルギーが貯蔵された時以降の将来に、前記貯蔵された熱エネルギーを分配するよう構成されている、請求項20に記載の方法。
【請求項26】
前記熱エネルギー貯蔵装置は、地中に埋設された水の容器である、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記貯蔵された熱エネルギーを熱交換機を介して前記構造物に分配し、前記熱交換機が、貯蔵された熱エネルギーを前記構造物内で循環する水に熱として伝達するか、または前記貯蔵された熱エネルギーを強制空気加熱のために空気に伝達することをさらに含む、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
強制空気加熱のための配管をさらに含み、前記配管の少なくとも一部は、電磁放射の光学的透過および従来の強制空気加熱の両方を可能にするよう構成されている、請求項25に記載の方法。
【請求項29】
構造物内に光を反射させるアルゴリズムを利用したコンピューター実装による方法であって、
多数の鏡からの反射光の入射の可変角度に基づき、前記多数の鏡に入射する太陽光の焦点を制御することと、
前記多数の鏡に一つ以上の鏡を追加または取り除くことにより、反射光の焦点温度および光強度を調整することと、
ユーザーまたはセンサーによるインプットに応じて、前記反射光を前記構造物に分配することと、
を含む、方法。
【請求項30】
前記一つ以上の鏡を追加または取り除くことは、反射の角度を変更するために鏡を覆うまたは回転させることにより行われる、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記制御装置によってユーザーまたはセンサーによるさらなるインプットが受信されるまで、前記構造物内の表面に前記反射光を誘導し、それによって前記構造物のある領域を所望の温度まで上げることをさらに含む、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
日陰になっている前記構造物のある領域が予め設定された温度に到達するまで、前記ある領域に反射光を誘導し、その後、反射光を前記ある領域から遠ざける、請求項29に記載の方法。
【請求項33】
ユーザーまたはセンサーによるさらなるインプットが受信された場合、前記構造物のある領域を暖める代わりに、前記反射光の熱エネルギーを熱エネルギー貯蔵装置に貯蔵し、貯蔵された前記熱エネルギーを夜間など後から前記構造物のある領域に供給する、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
反射光を熱エネルギー貯蔵装置に向け直すことにおいて、熱エネルギー貯蔵装置は、反射光を熱エネルギーとして受け取って貯蔵し、貯蔵された前記熱エネルギーを、前記熱エネルギーが貯蔵された時以降の将来に分配するよう構成されている、請求項29に記載の方法。
【請求項35】
蒸気機関に連動した液体に前記反射光を誘導し、前記反射光が前記蒸気機関の液体を沸騰させて蒸気エネルギーを生成するようにすることをさらに含む、請求項29に記載の方法は、
【請求項36】
前記蒸気エネルギーは、前記構造物内または電池貯蔵で使用するための電気に変換される、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
放射線の過剰暴露のリスクを軽減するために、特定の波長のフィルター処理を行うことをさらに含む、請求項29に記載の方法。
【請求項38】
太陽に対する前記一つ以上の鏡の位置、高度、ピッチ、ロール、またはヨーのうちの一つ以上に対応するデータに基づき、前記一つ以上の鏡を他の方に向ける、請求項30に記載の方法。
【請求項39】
電磁放射を捕獲して変調し、それを車両に向け直す方法を管理するための制御装置を含む車両であって、
車両の外部にあり、複数の反射体で反射可能かつ利用可能な電磁放射に関連するセンサーからのインプットデータ受け取ることと、
ユーザーまたはセンサーからのインプットにより発生した電磁放射の需要に関するデータを分析することと、
利用可能な電磁放射を伝搬媒体によって車両に誘導することと、
前記電磁放射を修正または向け直すために、一つ以上の前記光学装置を管理することと、
を含み、
前記制御装置は、前記利用可能な電磁放射の変化量を調節するために、前記反射体のアラインメントおよび数を変化させる、車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
現在の開示は、通常電磁放射を構造物の中に、あるいは構造物を通して誘導することに関するものである。より具体的には、現在の開示は、構造物の一部に光を当て、暖めるために光エネルギーを誘導することに関するものである。
【背景技術】
【0002】
現代のほとんどの建造物には、敷地の光または熱の不足している場所に光を当てる方法や、暖める方法が備わっている。例えば、夕方になって太陽が西に位置し、建物の東側に位置する部屋に自然の光や熱が十分な量届かない場合、より多くの光や熱を部屋に供給する必要がある。別の実施例においては、建物の中心部にある部屋など、自然光を受けるための窓が全くない部屋のある建物の場合、光を受けるための別の方法が必要になる。照明も暖房も、どちらも一定期間にどれだけ両方またはいずれか一方を使用したかにより、電気代やガス代のいずれかの金銭的コストが発生する。そのため、光や熱を維持するためのコストを最小限に抑えることができるように、電磁放射(例えば、光や熱)を構造物のある部分に誘導する手段を持つことが望ましい。
【発明の概要】
【0003】
以下は、本明細書でより詳細に説明される主題の概要である。この概要は、特許請求の範囲を限定することを意図したものではない。
【0004】
一実施形態においては、電磁放射収集および誘導装置は、反射面を有する少なくとも1つのヘリオスタットと、少なくとも部分的に構造物内に延びる伝搬媒体を備え、伝搬媒体は第の1端部と第2の端部、伝搬媒体に関連する光学装置と、制御装置を含む。第1の端部は、少なくとも1つのヘリオスタットまたは光学装置から電磁放射を受け取るよう構成されている。光学デバイスは、受け取った電磁放射を、伝搬媒体を通して誘導するように構成されている。第2の端部は、受け取った電磁放射が伝搬媒体から抜け出るように構成されている。制御装置は、ユーザーインプットまたはセンサーインプットの少なくとも一方を介して、受け取った電磁放射の方向と量を制御するように構成されている。
【0005】
一実施形態においては、電磁放射を誘導する方法に、以下のステップが含まれる。少なくとも一つのヘリオスタットを介して伝搬媒体の第1の端部に電磁放射を誘導し、そこで第1の端部が電磁放射を受けるステップ、電子制御装置からの熱または電磁放射の要求を受けるステップ、電子制御装置からの熱または電磁放射の要求を受けたことに応じて、伝搬媒体の内部を通して第1の端部から受けた電磁放射を、伝搬媒体の第2の端部に向けて誘導するステップ、そして構造物の内部が中空軸の第2の端部から電磁放射を受けるステップ、または熱エネルギー貯蔵装置が伝搬媒体の第2の端部から電磁放射を受けるステップ。
【0006】
一実施形態においては、構造物には以下のものが含まれる:構造物から離れた位置に配置され、反射面を備えた少なくとも一つのヘリオスタット、構造物の中に少なくとも部分的に延び、第1の端部と第2の端部を備えている伝搬媒体、そして伝搬媒体に関連する光学装置。第1の端部は、少なくとも一つのヘリオスタットまたは光学装置から電磁放射を受けるように構成されている。光学装置は、受けた電磁放射を伝搬媒体に誘導するように構成されている。第2の端部は、受けた電磁放射を構造物の中に入れるよう構成されている。また、制御装置は、ユーザーインプットまたはセンサーインプットの少なくとも一方を介して、受けた電磁放射の方向と量を制御するよう構成されている。
【0007】
上記の要約は、本明細書で説明するシステムおよび方法のいくつかの側面の基本的な理解を提供するために、簡略化した要約を提示している。この要約は、ここで議論されているシステムおよび方法の広範囲に及ぶ概要を示すものではない。これは、重要かつ決定的な要素を特定したり、そのようなシステムおよび方法の範囲を明確にしたりすることを意図したものではない。その唯一の目的は、後述するより詳細な説明の前段階として、いくつかの概念を簡略化して提示することにある。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】電磁放射収集および誘導装置に結合されたマルチ領域構造物の断面図。
【
図3】エネルギー蓄積装置と共に使用した電磁放射収集および誘導装置の一実施形態を示す断面図。
【
図4】複数階層の構造物に結合された電磁放射収集および誘導装置の一実施形態を示す断面図。
【
図5】電磁放射収集および誘導装置の動きを描写した例示的方法のフローチャート。
【
図6】多数の反射体を制御する様子を描写した例示的方法のフローチャート。
【
図7】光センサーを使用せずに反射体を制御する様子を描写した例示的方法のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
構造物のある部分に光を当てるまたは暖めるために電磁放射を誘導することに関連するさまざまな技術について議論されており、その際、全般的に、同様の要素には同様の参照数字が使用される。以下の説明においては、説明を目的として、一つ以上の側面の完全な理解を提供するために、多数の具体的な詳細が示されている。しかし、このような側面は、これらの具体的な詳細がなくても実施可能であることは明らかであろう。他の実施例においては、一つ以上の側面の説明を容易にするために、構造や装置はブロック図形式で示している。さらに、特定のシステムの構成要素によって実行されたと記述されている機能は、複数の構成要素によって実行されてもよいことを理解しておくべきである。同様に、例えば、複数の構成要素によって実行されたと記述されている機能を、一つの構成要素が実行するように構成されている場合がある。
【0010】
さらに、「または」という言葉は、排他的な「または」よりもむしろ包括的な「または」を意味することを意図している。つまり、別段の定めがない限り、あるいは文脈から明らかでない限り、「XはAまたはBを採用している」というフレーズは、自然な包括的順列のいずれかを意味することが意図されている。すなわち、「XはAまたはBを採用している」というフレーズは、次のいずれかの事例で満たされる。「XはAを採用している」「XはBを採用している」「XはAとBの両方を採用している」。さらに、本出願および添付の請求項で使用されている冠詞“a”“an”および“the”は、別段の定めがない限り、あるいは文脈から単数形に向けられていることが明らかでない限り、一般的に「1つ以上」を意味するように解釈されるべきである。さらに、本明細書において「例示的」という言葉は、何かの説明や例として役立つことを意図しており、好みを示すことを意図してはいない。
【0011】
ここで
図1を参照すると、電磁放射収集および誘導装置100の例示的な実施形態の断面図が示されている。電磁放射は、可視光、赤外線、紫外線、マイクロ波、ラジオ波など、さまざまな形態のエネルギーで構成されている。ここでの特定の実施形態においては、自然光に焦点を当てているが、他の形態の電磁放射も、ここで説明しているシステムおよび方法で使用することができる。本明細書において、「光」という言葉は、光の照らす性質と、光のエネルギーを運ぶ性質の両方を指すために使用されている。光エネルギー収集および分配装置100は、反射面103を含むヘリオスタット102を備えている。一実施例においては、ヘリオスタット102は、サーボモーター(図示せず)などのモーターを介して、光源104の光線106を所望の焦点領域に向けるためにアクセルで旋回することにより、光源104(例えば、太陽光源)を追跡するように作られている。また、一実施例においては、ヘリオスタット102は、光源104を追跡し、光源104の光線106を、反射面またはレンズ(例えば、鏡、プリズム、フレネルレンズ、正レンズ、または負レンズ)などの光学装置111に向けるように作られている。また、別の実施例においては、ヘリオスタット102は、構造物から離れて延びるアーム上に配置されており、アームは空間内で移動可能または固定可能である。また、さらに別の実施例においては、ヘリオスタット102の反射面103は放物線状になっている。
【0012】
ここで説明されているとおり、へリオスタットとは、入射光を反射などの光学的方法であらかじめ定めた対象物に集光するために移動することが可能な装置である。ヘリオスタットを操作および制御するためのオープンソースのアルゴリズムは、MITライセンスなどのもとで利用可能となっている。コロラド州ゴールデンにある国立再生可能エネルギー研究所の太陽放射研究所 測定および計装チーム(Measurement & Instrumentation Team at the Solar Radiation Research Laboratory)によるSolar Position Algorithm for Solar Radiation Application(2003年5月12日)など、他のアルゴリズムもある。これらのアルゴリズムおよびそのバリエーションは、焦点温度および光強度を調整するために、多数に追加または削除された複数のミラーから反射された光の可変入射角に基づいて、太陽光の焦点位置を決定するために使用することができる。太陽の動きや雲量の変化を考慮してヘリオスタットの位置を調整するために、そのようなアルゴリズムまたはそのバリエーションと組み合わせて光センサーや全地球測位システム(GPS)データを使用することができる。いくつかの実施形態においては、装置の決められたGPS位置に基づいて太陽の位置を追跡することができるアルゴリズムは、太陽の位置を追跡するためのセンサーを必要としないため、コストを削減することができる。
【0013】
一実施形態においては、装置100は、装置100の位置に関する地理的な位置データ、例えば、(例えばGPSからの)位置データ、高度データ、および速度データを受信する。この地理的な位置データは、既存の天文データと組み合わせて使用することで、光線追跡や光感知を通して太陽の動きを追跡することなく、ヘリオスタット(例えばヘリオスタット102など)や他の反射面を誘導することができる。
【0014】
本実施形態およびこの中の他のものでも単一のヘリオスタット102のみが描写されているが、これは説明を簡単にするためである。ほとんどの用途においては、入射放射線のパワーを倍増させるために多くのヘリオスタット102が使用される。特に、特許請求の範囲における「一つのヘリオスタット」または「そのヘリオスタット」は、「一つまたはそれ以上のヘリオスタット」を意味する。実施形態においては、ヘリオスタット102の反射面103は、直径(または幅)が6インチから直径10フィート、例えば、9インチから5フィート、または1フットから3フィートである。一実施形態においては、ヘリオスタット102は、0.20平方フィートから79平方フィート、例えば0.45から20平方フィート、または0.78平方フィートから7.1平方フィートの反射表面積を有する。
【0015】
装置100は、少なくとも部分的に構造物110(例えば、建物、ボート、エネルギー貯蔵構造物)の中に延びる中空軸108をさらに備え、中空軸108は、第1の端部の第1の開口部112およぶ第2の端部の第2の開口部114で終端している。なお、中空軸108は、端部に複数の開口部を設けている中空軸の複数の分岐を備えていることを理解されたい。本明細書で言及している第1および第2の開口部112、114は、一般的に軸の端部と関連している。さらに、一実施形態においては、中空軸108の内部表面117は、中空軸108の側面への吸収を介して分散される光の量を最小限にするために、光を反射するように構成されている。中空軸108の大きさは、構造物110の大きさに依存してもよい。例えば、構造物110のサイズが大きい場合(例えば、倉庫や航空母艦)、中空軸108の開口部のサイズも大きくしてもよい(例えば、6~25平方フィート、9~15平方フィート、または7~9平方フィート)。構造物110のサイズが小さい場合(例えば、住宅やアパート)、中空軸108のサイズもより小さく(例えば、0.5~5平方フィート、1~4平方フィート、または1.5~3平方フィート)、住宅ユニットでは、一般的な配管のサイズでもよい。第1の開口部112は、光源104の光線106を、任意に光学装置111で受けるように構成されている。第2の開口部114は、構造物110の内部に開放されており、受け取った光線106を構造物110内の領域に誘導することを容易にするよう構成されている。任意で、第2の光学装置115が、第2の開口部114またはその近くで光を構造物110に誘導する。装置100は、さらに制御装置116も備えており、その制御装置は、ユーザーまたはセンサーのインプットを受信するよう構成されており、第2の開口部114または第1および第2の光学装置111と115と通信している。
【0016】
実施例においては、光源104の動きに応じてヘリオスタット102が移動し、ヘリオスタット102の移動は、光源104の入射光線106が一日中、中空軸108の第1開口部112に向けて連続的に誘導される。第1の開口部は、光線106が中空軸108に入る際、多かれ少なかれ集束されているように、あるいはより広いまたはより狭い光のスペクトルを可能にするように変更されるような光学レンズで構成されてもよい。光線106は、第2の開口部114に到達するまで中空軸108を移動し、そこで構造物110内の領域に誘導される。一実施形態において、光線106は、中空軸108を通過するように集中光線に集束される。別の実施形態においては、軸108の内部は反射材でコーティングされており、光線106は内部およびその周辺で反射するが、入ってきたのとは反対側の端子に誘導される。
【0017】
一実施形態においては、第2の開口部は、阻止装置を備えていてもよい。例えば、第2の開口部は、光の焦点をぼかすための負レンズ、光に焦点を合わせるための正レンズ、光線106が構造物110の領域に入るのを許容しつつ、構造物110の領域内の空気が中空軸108を介して構造物110の領域から出るのを妨げるための透明または半透明の材料121を備えていてもよい。実施形態においては、光線106の色相を変えるために透明または半透明の表面を着色してもよい。さらなる例において、光線106は、構造物110のある領域を加熱するために、第2の開口部114を介して誘導されてもよい。
【0018】
装置100は、制御装置116も備えており、制御装置は、ユーザーまたはセンサーのインプットを受信するよう構成されており、第2の開口部114と通信している。
【0019】
図1に示す一般的なシステムの特定の実施形態においては、複数のヘリオスタット102が、構造物110の外部からの光線106を第1の開口部112またはその近傍にある光学装置111に集中光線として焦点を合わせる。光線は、中空軸108の内部表面117に当たらないような寸法になるように集束されているが、小さな領域を過熱させるほどには集束されていない。光線は、光学装置111から中空軸108を通って第2の光学装置115に誘導され、そこで光線は第2の開口部114を介して反射される。
【0020】
一実施形態においては、光線が第2の開口部114を出て構造物110に入る際、いずれかの二次元平面において、例えば10~180度、20~150度、または45~90度の弧状に、あるいは三次元的に0.1π~2πステラジアン、0.5π~1.5πステラジアン、または0.7π~1.3πステラジアンの立体角で、高エネルギーの光および熱が広く分散されるよう、第2の開口部は光線を分散させる。
【0021】
一実施形態においては、光線が構造物110の天井またはその近くの領域に分散され、これにより、その領域に熱のみならず、光も提供される。一実施形態においては、光線が第2の開口部114から構造物110の下張り床の領域に分散されてもよく、その際、光と熱が構造物110の床の裏面に影響する。本実施形態においては、光を使わずに構造物110の床に熱を提供するために光線を使用することができる。これは、光を望まない夜間に熱のみを提供するのに好都合であろう。
【0022】
別の実施形態においては、セラミック、石材、または比熱容量の高い材料(1~4.5kJ/(kg K)、1.2~4kJ/(kg K)、または3~4kJ/(kg K)など)などのヒートシンクを第2の開口部114の近傍の構造物110内またはその付近に設置し、そこに光線を集光させる。一実施形態においては、反射部分と不透明部分の両方を持つ灯台や火のような装飾的な彫刻が材料として可能である。
【0023】
さらなる実施形態においては、本明細書に記載されているいずれかの実施形態における中空軸108は、伝搬媒体(例えば、プリズム、光ファイバーケーブル、固体、液体)に置き換えることができる。このような実施形態においては、以下に説明する開口部を伝搬媒体の端部に置き換えることができる。
【0024】
一実施例においては、伝搬媒体108は、例えばガラスなどの石英系プリズムであり、構造物110は車両であり、第1の光学装置111は正レンズであり、構造物110の内部領域は蒸気エンジンの液体貯留部である。ヘリオスタット102は、電磁放射106を正レンズ111に誘導し、正レンズ111は、光を集中させて強化された光線を作り出し、それが石英系プリズム108の第1の終端112を通って伝搬し、エネルギーが蒸気を介して生成されるよう石英系プリズムは、電磁放射106が蒸気エンジンの液体を沸騰させるように電磁放射を蒸気エンジンに向けて誘導する。この蒸気エネルギーは、構造物内での使用またはバッテリーの蓄えとして電気に変換することができる。ヘリオスタット102は、センサー(例えば、地理的位置センサー、高度センサー、または光センサー)と通信することができ、センサーへのインプットが、ヘリオスタット102に結合されたモーターを制御する。車両が移動している場合、センサー(図示せず)は、ヘリオスタット102に関して光源104の位置を追跡し、追いかけることができ、モーターを制御してヘリオスタット102を連続的に集中させ、入射電磁放射106を伝搬媒体108の第1の終端112に向けて誘導することができるようになっている。
【0025】
図2は、構造物内の一つ以上の別個の領域を選択して光を誘導することを容易にする、電磁放射収集および誘導装置200の例示的な実施形態の断面図を示している。装置200は、光源104からの光線106を、反射面103を介して中空軸202の第1開口部206に誘導するヘリオスタット102を備え、中空軸202は外部から構造物204の内部に延びている。描写されているとおり、例示的な中空軸202は、光線106が一連の光学装置224、226、228、230、232を介して通過することができる分岐路を備えてもよい。第1光学装置224が例示的な中空軸202の外側に配置されてもよい。第1光学装置224は、第1開口部206の前に光線106を受け取るようにしてもよいが、そのような実施形態においては、第1光学装置224は、第1開口部206を介して光線106を誘導することになる。例示的な中空軸202は、さらに構造物204の内部の第1の領域216に対応する第2の開口部208、構造物204の内部の第2の領域218に対応する第3の開口部210、構造物204の内部の第3の領域220に対応する第4の開口部212、構造物204の内部の第4の領域222に対応する第5の開口部214からさらに成っている。装置200は、上述したとおり、制御装置116をさらに備えるが、この制御装置は、光学装置206、208、210、212、214のすべてと通信している。
【0026】
例示的な実施形態においては、ヘリオスタット102は、光源104を追いかけ、衝突光線106を中空軸202の第1の開口部206に誘導する。光線106は、光学装置224、226、228、230、232を介して中空軸202を通って第2の開口部208、第3の開口部210、第4の開口部212、または第5の開口部214の少なくとも一つに誘導され、そこで光線106は構造物204の内部の領域216、218、220、222のそれぞれにされに誘導される可能性がある。
【0027】
制御装置116は、光線106が中空軸202の中を通り抜ける際に誘導するよう構成されている。
図2の実施形態においては、制御装置116は、光線106が第1の開口部206から入り、第2の開口部208および第3の開口部210に向かって通り抜けることを可能にする一方で、光線106が第4の開口部212および第5の開口部214に向かって通り抜けることを制限している。
【0028】
実施形態においては、寒く晴れた日に、
図2の装置200は、朝東から光を受け、光学装置224、226、228は、構造物204の西側、例えば、第1および第2の領域216、218に光を誘導するように制御され、それにより、構造物204の陰になっている側に光と熱を分配することができる。そして、夕方になると、構造物204の東側、例えば、第3および第4の領域220、222に光を誘導するように光学装置224、226、230、232は制御される。暑い日には、光が中空軸202に入らないように向け直すために第1光学装置224制御される。代わりに、ヘリオスタット102は、中空軸202から遠ざかるように光が反射するように制御されるか、あるいは、下を向くようまたは太陽から遠ざかるよう制御される。実施形態においては、暑い日でも、熱を必要としない場合でも、光の一部または全部を照明のためにある領域に向けてもよい。
【0029】
別の例示的な実施形態においては、制御装置116は、開口部206、208、210、212、214の阻害特性を制御するように構成されており、阻害特性は、完全に開いた状態から完全に閉じた状態、または完全に透明な状態から完全に不透明な状態の範囲である。実施例においては、制御装置116は、第2の開口部208および第5の開口部214の阻害特性を全閉状態にし、第3の開口部210の阻害特性を部分的に閉じた/開いた状態にし、第4の開口部214を全開状態にする。このように、制御装置116は、光線106が第1の領域216および第4の領域222に誘導されることを制限し、光線106が第2の領域218に誘導されることを部分的に許容し、光線106が第3の領域220に誘導されることを完全に許容する。さらなる実施例においては、制御装置116は、開口部206、208、210、212、214のいずれにも、開閉状態のどの組み合わせも適用することができる。またさらに別の実施例においては、制御装置116は、サーモスタットがより多くの熱を求める、ユーザーがサーモスタットを調整する、光センサーがより多くの光またはより少ない光の必要性を確立するなど、ユーザーまたはセンサーのインプットに応じて光を誘導することができる。
【0030】
構造物に光や熱が必要ない場合は、ヘリオスタット102を光源からそらす、例えば、背を向けたり、真上に向けたり、真下に向けたりすることが可能である。また、別法として、ヘリオスタット102が太陽電池パネルまたは後述するようにヒートシンクを向くよう移動させることも可能である。どちらの場合も、構造物から向け直した光/熱エネルギーは蓄えられ、熱、蒸気、または電気エネルギーの形で後に放出される。また、代替方法として、ヘリオスタット102の反射面103は、不透明な材料などで覆うこともできる。雹などの悪天候から反射面103を保護するために覆う場合もある。
【0031】
別の実施例においては、装置200は、加熱および照明のための既存のまたは従来の方法と相互作用させて組み合わせて使用することができる。一実施形態においては、光源104が長期間利用することができず、蓄積されたエネルギーまたは利用可能な電磁放射が構造物204の熱および照明の要求に提供するのに不十分な場合、構造物204は、従来の手段(例えば、エネルギー供給網への接続、または電球、湯沸かし器、または暖房、換気、空調(HVAC)システムにエネルギーを供給する代替エネルギー源)から供給されるエネルギーを使用することに戻るようにしてもよい。一実施形態においては、装置200を構造物204に熱および光を供給する主要手段として設定する一方、従来の暖房および照明システムを熱および光を供給する補助的手段として設定してもよい。逆に、従来の暖房および照明システムが主要システムとして設定され、装置200が補助的システムとして設定されてもよい。
【0032】
さらに、装置200は、従来の暖房および照明システムと同時に使用してもよい。より具体的な実施形態においては、装置は、配管を従来のシステムと少なくとも部分的に共有しており、配管は、装置200、従来のシステム、または装置200と従来のシステムの組み合わせのいずれかによって、構造物の暖房および照明のニーズを満たすことができるように構成されてもよい。一実施形態において、配管が中空軸202の一部として機能し、構成されてもよい。別の実施形態においては、装置200と従来のシステムが、HVACの責務を分担してもよい。例えば、装置が構造物の暖房ニーズを供給する一方で、従来のシステムは換気および空調ニーズを供給してもよい。
【0033】
またさらに別の実施例においては、電磁放射の特定の波長が、所望の波長のみが採用される光学装置によってフィルター処理されてもよい。一実施形態においては、有用なスペクトルの外の波長をフィルター処理するなど、さまざまな目的のために特定の電磁波波長をフィルター処理することができる。日焼けのように、人への放射線の過剰暴露のリスクを防止または軽減するために他の波長もフィルター処理されてもよい。
【0034】
次に
図3を参照すると、エネルギー貯蔵適用のある電磁放射収集および誘導装置300の例示的な実施形態の断面図が描かれている。太陽などの光源104は、光線106を供給する。装置300は、中空軸310の第1の開口部309またはその近傍の光学装置308に光を誘導するように構成された複数のヘリオスタット302、304、306を備えている。中空軸310は、構造物312に結合されている可能性があり、中空軸310が結合されている、または光通信している熱エネルギー貯蔵装置314に光を誘導することを容易にする。実施形態において、中空軸310の内部は、中空軸310内への電磁放射の消散を最小限にするための反射材料で構成されている。実施形態においては、光学装置308は、中空軸310を使用することなく、熱エネルギー貯蔵装置に光を誘導する。
【0035】
熱エネルギー貯蔵装置314は、光線106を受け、光線106の初期エネルギーを熱エネルギーとして貯蔵し、熱エネルギーが貯蔵された時以降の将来に熱エネルギーを分配するように構成されている。熱エネルギー貯蔵装置314は、高比熱容量(例えば、1~4.5kJ/(kg K)、1.2~4kJ/(kg K)、または3~4kJ/(kg K)など)を有する熱エネルギー貯蔵媒体を含む。特定の実施形態においては、熱エネルギー貯蔵媒体として、水などの液体が有利な場合がある。熱エネルギー貯蔵装置は、例えば、水をいっぱいに入れ、地中に埋設するコンクリート製の容器の可能性もある。有利なことに、
図3に示すように、熱エネルギー貯蔵装置は、土などの断熱材に囲まれている。
【0036】
熱エネルギー貯蔵装置314は、ダクトを介して、または第1のエネルギー分配媒体316を介してエネルギーを必要とする構造物の装置など構造物に、または、第2のエネルギー分配媒体318を介してエネルギーを必要とする外部機能に熱エネルギーを直接分配するようにさらに構成されている。熱は、送風機で温風を循環させたり、水循環システムで温水を循環させたり、熱交換器で固体に熱を伝えて(例えば床を)放射加熱したり、空気に熱を伝えて強制暖房にしたりしてもよい。
【0037】
一実施形態において、熱エネルギー貯蔵装置内の温度センサーが温度を感知し、閾値温度に達した時に制御装置に信号を送り、それにより熱エネルギー貯蔵装置314からそらして光線を集中させるようにヘリオスタットを移動させるなどして、さらなる加熱を停止させる。閾値の最低温度になると、センサーは、光線を熱エネルギー貯蔵装置314に再度焦点を合わせるよう制御装置に信号を送る。一実施形態において、熱エネルギー貯蔵装置は、地熱暖房のために設計されたシステムと統合されてもよい。一実施形態において、光線はエネルギー貯蔵装置に誘導される可能性があり、熱エネルギー貯蔵装置314において、温度は貯蔵媒体の沸点まで上昇することが許容される。
【0038】
別の例示的な実施形態において、熱エネルギー貯蔵装置314は、輸送船、軍艦、またはクルーズ船などの船、あるいは、気球、小型飛行船などの飛行船のような可動構造物(描写なし)上にある。一実施形態においては、複数の階層を有する船舶は熱エネルギー貯蔵装置314(例えば、塩水タンク)を備える。熱エネルギー貯蔵装置314は、光源104(例えば、太陽)から光線106を受けるように構成されている。光線106は、熱エネルギー貯蔵装置314に誘導され、熱エネルギー貯蔵装置314が船の異なる階層に配置されたパイプ(例えば、第1のエネルギー分配媒体316)を介して熱エネルギーを分配する。飛行船の実施形態においては、装置が光をエネルギー貯蔵庫に誘導し、そこで蒸気または熱風またはガスが生成され、飛行船の空気袋またはガス袋に誘導される。
【0039】
次に
図4を参照すると、電磁放射収集および誘導装置400の別の例示的実施形態の断面図が描写されている。装置400は、複数の階層を有する構造物に適用される。装置400は、高層ビル、多層ボートまたはエネルギーを貯蔵するための多層貯蔵庫など、複数の階層を有する構造物404と結合される可能性のある中空軸402を備える。例示的な装置400は、光源104からの光線106を中空軸402の第1の開口部406に誘導するヘリオスタット102をさらに備え、光線106はさらに第1の光学装置420が受ける。あるいは、ヘリオスタット102が光線106を第1の光学装置420に誘導し、それがさらに中空軸402の第1の開口部406を介して光線106をさらに誘導できるよう、第1の光学装置420は、中空軸402の外側に配置されてもよい。例示的装置400は、さらに構造物404の第1領域428に対応する第2の開口部408、構造物404の第2領域430に対応する第3の開口部410、構造物404の第3領域432に対応する第4の開口部412、構造物404の第4領域434に対応する第5の開口部414、構造物404の第5領域436に対応する第6の開口部416、構造物404の第6領域438に対応する第7の開口部418を備える。例示的装置400は、さらに第2の光学装置422、第3の光学装置424、第4の光学装置426、および制御装置116を備える。制御装置116は、光学装置420、422、424、426を制御するよう構成することができる。
【0040】
本実施形態においては、ヘリオスタット102は、光源104からの光線106を第1の開口部406へと誘導し、そこで光線が第1の光学装置420によって受けられる。光線106を第2の光学装置422に誘導するために、制御装置116は第1の光学装置420を制御する。制御装置116は、光線106を第3の光学装置424、第2の開口部408、または第3開口部410の少なくともいずれか一つに誘導するよう、第2の光学装置422を制御する。制御装置116は、光線106を第4の光学装置426、第4の開口部412、または第5の開口部414の少なくともいずれか一つに誘導するよう、第3の光学装置424を制御する。制御装置116は、光線106を第6の開口部416または第7の開口部418の少なくとも一方に誘導するよう、第4の光学装置426を制御する。
【0041】
ある期間、光が必要とされない場合、ヘリオスタット102が、光線106を第1の開口部406からそらして、第1の光学装置420からそらして、地面に向けることができると考えられる。また、制御装置116は、光学装置420、422、424、426を制御し、光線106を特定の開口部からそらす、および開口部420、422、424、426の間に向けることができる。例えば、制御装置116は、光線106が第2の開口部408および第4の開口部412に向けられるが、第3、第5、第6、および第7の開口部410、414、416、418に向けられないよう、光学装置420、422、および424を制御してもよい。制御装置116は、例示的装置400内に複数の光の方向を提供するよう構成することができる。
【0042】
次に
図5を参照すると、電磁放射収集および誘導装置(本装置)の動作に関する例示的方法500のフローチャートが描写されている。方法500は502で開始され、504で本装置は建物の外部から光を受ける。受けた光は、本装置のヘリオスタットを介して本装置内に誘導されてもよい。506において、本装置は、例えば、制御装置を介して、建物内に熱や照明の必要性があるかどうかを判断する。制御装置は、例えば、熱または照明のインプット(例えば、サーモスタットの調整、センサーベース制御)を受け入れるように構成されたユーザーインプット装置またはセンサーインプット装置に結合されたプロセッサーを含むことができる。熱または照明が必要でない場合、508で装置は、受け取った光からのエネルギーを貯蔵する必要があるかどうかを確認する(例えば、エネルギーを貯蔵するよう制御装置から指示を受ける、デフォルトでエネルギーを貯蔵するよう構成される)。510においては、エネルギーを貯蔵する必要がある場合、本装置はエネルギー貯蔵装置(例えば、ヒートシンク、塩水タンク、または他の熱エネルギー貯蔵装置)にエネルギーを貯蔵し、そうでない場合、512において、光は本装置の光学装置(複数可)から向け直されるまたは散逸される。一実施形態において、光は熱交換器に誘導され、熱交換器は熱をエネルギー貯蔵装置に伝達する。本装置がエネルギー貯蔵装置を備えていない場合、熱や光が構造物内で必要とされていなければ、本装置は光を光学装置から遠ざけるまたは散逸させる。
【0043】
構造物内で熱や照明が必要な場合、514において受け取った光は中空軸を通して構造物の中に向け直される。516において本装置は、構造物の複数の領域において熱や照明の必要性があるかどうかを確認する。構造物の複数の領域において熱または照明が必要である場合、本装置は518において、光学装置(複数可)を介して光を構造物の複数の領域に分配し、誘導する。方法500は、522で終了する。
【0044】
次に
図6を参照すると、多くの反射体(ヘリオスタット)を備える電磁放射収集および誘導装置(本システム)の動作に関する例示的方法600のフローチャートが描写されている。方法600は602で開始され、本システムは604において電磁放射源に対する各反射体の位置、高度、ピッチ、ロール、またはヨーのうちの一つ以上に対応するデータに従い、多くの反射体を較正する。606において、本システムは、電磁放射源から電磁放射を受ける。608において、本システムは、電磁放射源から放出され、受け取った電磁放射からデータを導出する。本システムは610において、受け取った電磁放射から得られたデータと、各反射体の現在の較正に関する情報とを分析し、各反射体が受け取るべき電磁放射の予想量を決定する。
【0045】
本システムは612において、受け取った電磁放射を予想される電磁放射と比較することにより、一つ以上の反射体を再較正する必要があるかどうかを決定する。較正が必要な場合、604からの方法を繰り返す。再較正の必要がない場合、614において、本システムは、ある領域において熱または光の必要性があるかどうかを判断する。616において、ある領域において熱または光の必要性があると判断された場合、本システムは、その領域に熱または光を供給するために、利用可能な電磁放射に関するデータに対して必要な反射体の数を計算する。618において、本システムは、利用可能な放射をその領域に誘導するために、必要な数の反射体を制御(例えば、覆う、焦点を合わせる、誘導する)する。その後、方法は604から繰り返す。
【0046】
万一614後にある領域に熱および光の必要性がない、または熱および光の必要性が利用可能な量よりも少ないと判断された場合、受けて未使用の電磁放射を貯蔵するかどうかを620においてシステムが決定する。電磁放射の貯蔵が必要ない場合、604から再開して方法を継続する。620後に電磁放射の貯蔵が必要であると判断された場合、622において、システムは電磁放射をエネルギー貯蔵装置に誘導する。本方法は624で終了する。
【0047】
次に
図7を参照すると、光センサーやリアルタイムの太陽追尾を使用せずに反射体システムを較正し、操作するための例示的方法700が描写されている。方法700は702で開始され、電磁放射受信および誘導装置(本装置)の位置を決定するために704において地理位置情報センサー(例えば、GPSセンサー、位置センサー、または高度センサー)が使用される。あらかじめ定められた反射体の地理位置情報センサーからの距離および位置に基づき、本装置の特定の反射体または多数の反射体の位置を、本装置の決定された位置から決定することができる。また、多数の反射体に対応する多数の地理位置情報センサーが存在することも想定される。706においては、本装置とネットワーク通信している計算装置を使用し、太陽に対する本装置の位置および向きを決定するために、本装置の位置を既存のソーラーパスと比較する。708においては、計算装置とネットワーク通信している制御装置が、本装置の決定された位置および向きを利用し、必要に応じて太陽からの電磁放射を本装置に効果的に誘導するために、本装置の一つ以上の反射体を較正する。例えば、反射することができる利用可能な電磁放射のほんの一部しか必要であると判断される可能性もあり、そのような場合、制御装置は、電磁放射を本装置に反射しないよう少なくとも一つの反射体を較正してもよい。方法700は710で終了する。
【0048】
上述してきたことは、一つ以上の実施形態の実施例を含む。当然ながら、前述の態様を説明する目的で、上記の装置または方法論の考えられるすべての修正および変更を説明することは不可能であるが、当業者であれば、さまざまな態様のさらなる多くの修正および変更が可能であることを認識することができる。さらに、詳細な説明または特許請求の範囲のいずれかにおいて「含む」という言葉が使用されている場合、そのような言葉は、特許請求の範囲において「構成する」が過渡的な言葉として採用された場合に解釈される「構成する」という言葉と同様の方法で包括的であることが意図されている。本明細書において使用する「本質的に構成される」という言葉は、指定された材料またはステップと、材料または方法の基本的かつ新規の特性に重大な影響を与えないものを意味する。上記で指定されていない場合、本明細書に記載されている特性または測定値は、適用されるASTM規格によって決定され得るものであり、その特性に関するASTM規格が存在しない場合においては、当業者に知られている最も一般的に使用されている規格を使用してもよいものとする。冠詞「a」、「an」、「the」は、文脈上反対の意味にならない限り、「一つ以上」の意味に解釈されるべきある。
【国際調査報告】