IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニムの特許一覧

特表2022-527382エアロゾル発生フィルムを備えるエアロゾル発生基体
<>
  • 特表-エアロゾル発生フィルムを備えるエアロゾル発生基体 図1
  • 特表-エアロゾル発生フィルムを備えるエアロゾル発生基体 図2
  • 特表-エアロゾル発生フィルムを備えるエアロゾル発生基体 図3
  • 特表-エアロゾル発生フィルムを備えるエアロゾル発生基体 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-01
(54)【発明の名称】エアロゾル発生フィルムを備えるエアロゾル発生基体
(51)【国際特許分類】
   A24D 1/20 20200101AFI20220525BHJP
   A24D 3/17 20200101ALI20220525BHJP
   A24F 40/20 20200101ALI20220525BHJP
   A24F 40/40 20200101ALI20220525BHJP
【FI】
A24D1/20
A24D3/17
A24F40/20
A24F40/40
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021559533
(86)(22)【出願日】2020-03-18
(85)【翻訳文提出日】2021-10-06
(86)【国際出願番号】 EP2020057507
(87)【国際公開番号】W WO2020207733
(87)【国際公開日】2020-10-15
(31)【優先権主張番号】19167966.1
(32)【優先日】2019-04-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】カペリ セバスチャン
(72)【発明者】
【氏名】ダユオウル オヌル
(72)【発明者】
【氏名】エメット ロベルト
(72)【発明者】
【氏名】フォルマー ジャン-イヴ
【テーマコード(参考)】
4B045
4B162
【Fターム(参考)】
4B045AA41
4B045AB01
4B045AB16
4B045BA02
4B045BC15
4B045BC23
4B162AA03
4B162AA22
4B162AB12
4B162AB22
4B162AC08
4B162AC13
4B162AC41
(57)【要約】
エアロゾル発生基体(14)のロッドを含む、エアロゾル発生物品(10)(70)であって、エアロゾル発生基体(14)のロッドが、少なくとも25重量パーセントの多価アルコールおよび少なくとも10重量パーセントのセルロース系フィルム形成剤を含むエアロゾル発生フィルム(24)(76)を含み、エアロゾル発生フィルム(24)(76)が、エアロゾル発生基体(14)内のエアロゾル発生フィルムの露出表面積がエアロゾル発生フィルム(24)(76)1mgあたり少なくとも5平方メートルであるように構成される、エアロゾル発生物品。エアロゾル発生フィルム(24)(76)は実質的にたばこを含まない。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生基体のロッドを備えるエアロゾル発生物品であって、前記エアロゾル発生基体のロッドが、
少なくとも25重量パーセントの多価アルコールおよび少なくとも10重量パーセントのセルロース系フィルム形成剤を含むエアロゾル発生フィルムを備え、前記エアロゾル発生フィルムが、前記エアロゾル発生基体内の前記エアロゾル発生フィルムの露出表面積が、前記エアロゾル発生フィルム1mgあたり少なくとも5平方ミリメートルであるように構成され、前記エアロゾル発生フィルムが実質的にたばこを含まない、エアロゾル発生物品。
【請求項2】
エアロゾル発生基体のロッドを備えるエアロゾル発生物品であって、前記エアロゾル発生基体のロッドが、
少なくとも25重量パーセントの多価アルコールおよび少なくとも10重量パーセントのセルロース系フィルム形成剤を含むエアロゾル発生フィルムを備え、前記エアロゾル発生フィルムが、前記エアロゾル発生フィルムのかさ密度が、前記エアロゾル発生基体の前記ロッドの立方センチメートル当たり少なくとも100mgであるように構成され、前記エアロゾル発生フィルムが実質的にたばこを含まない、エアロゾル発生物品。
【請求項3】
前記エアロゾル発生基体のロッドが、前記エアロゾル発生フィルムの複数の積み重ねられた層を含む、請求項1または2に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項4】
前記エアロゾル発生フィルムの前記複数の層が、前記各層が前記エアロゾル発生物品の横方向に延在するように積み重ねられる、請求項3に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項5】
前記エアロゾル発生フィルムの前記複数の層が、前記各層が前記エアロゾル発生物品の長軸方向に延在するように積み重ねられる、請求項3に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項6】
前記エアロゾル発生基体が、長軸方向に延在する内部チャネルを画定する管状担体要素を備え、前記複数の積み重ねられた層が前記内部チャネル内に提供される、請求項3~5のいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
【請求項7】
前記エアロゾル発生フィルムの前記複数の積み重ねられた層が、2~50の積み重ねられた層を含む、請求項3~6のいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
【請求項8】
前記エアロゾル発生基体のロッドが、前記エアロゾル発生フィルムの一つ以上のシートの集合を含む、請求項1または2に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項9】
前記エアロゾル発生基体のロッドが、前記エアロゾル発生フィルムの複数の細片を含む、請求項1または2に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項10】
前記エアロゾル発生フィルムの厚さが0.1ミリメートル~0.5ミリメートルである、請求項1~9のいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
【請求項11】
前記エアロゾル発生フィルムが、テクスチャ加工されており、好ましくは捲縮している、請求項1~10のいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
【請求項12】
前記エアロゾル発生フィルムが、好ましくは紙層である、担体層の少なくとも一表面上に提供される、請求項1~11のいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
【請求項13】
エアロゾル発生物品内のエアロゾル発生基体として使用するためのロッドであって、前記ロッドが、
少なくとも25重量パーセントの多価アルコールおよび少なくとも10重量パーセントのセルロースフィルム形成剤を含むエアロゾル発生フィルムを備え、前記エアロゾル発生フィルムが、前記エアロゾル発生基体内の前記エアロゾル発生フィルムの露出表面積が、前記エアロゾル発生フィルム1mgあたり少なくとも5平方ミリメートルであるように構成され、前記エアロゾル発生フィルムが実質的にたばこを含まない、エアロゾル発生物品。
【請求項14】
エアロゾル発生物品内のエアロゾル発生基体として使用するためのロッドであって、前記ロッドが、
少なくとも25重量パーセントの多価アルコールおよび少なくとも10重量パーセントのセルロース系フィルム形成剤を含むエアロゾル発生フィルムを備え、前記エアロゾル発生フィルムが、前記エアロゾル発生フィルムのかさ密度が、前記エアロゾル発生基体の前記ロッドの立方センチメートル当たり少なくとも100mgであるように構成され、前記エアロゾル発生フィルムが実質的にたばこを含まない、ロッド。
【請求項15】
エアロゾルエアロゾル発生物品および前記エアロゾル発生物品のエアロゾル発生基体を加熱するように構成されたヒーター要素を含む電気的に作動するエアロゾル発生装置を備えるエアロゾル発生システムであって、
前記エアロゾル発生物品が、請求項13または14に記載のエアロゾル発生基体のロッドを備え、
前記ヒーター要素が、前記エアロゾル発生フィルムを加熱するために、前記エアロゾル発生基体のロッドに挿入されるように構成されるヒーターブレードまたはヒーターピンである、エアロゾル発生システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル発生フィルムとともに形成されたエアロゾル発生基体、およびこうしたエアロゾル発生基体を組み込んだエアロゾル発生物品に関する。
【背景技術】
【0002】
ニコチン含有基体またはたばこ含有基体などのエアロゾル発生基体が、その中で燃焼されるのではなく加熱されるエアロゾル発生物品は、当業界で公知である。典型的に、こうした加熱式喫煙物品においてエアロゾルは、熱源からの熱を、物理的に分離されたエアロゾル発生基体または材料に伝達することによって発生され、このエアロゾル発生基体または材料は熱源に接触して、または熱源内に、または熱源の周囲に、または熱源の下流に位置してもよい。エアロゾル発生物品の使用中、揮発性化合物は、熱源からの熱伝達によってエアロゾル発生基体から放出され、エアロゾル発生物品を通して引き出された空気中に同伴される。放出された化合物は冷えるにつれて凝縮してエアロゾルを形成する。
【0003】
数多くの先行技術文書は、エアロゾル発生物品を消費するためのエアロゾル発生装置を開示している。こうした装置としては、例えばエアロゾル発生装置の一つ以上の電気ヒーター要素から加熱式エアロゾル発生物品のエアロゾル発生基体への熱伝達によってエアロゾルが発生される、電気加熱式エアロゾル発生装置が挙げられる。
【0004】
加熱式エアロゾル発生物品用の基体は、過去、多くの場合に、たばこ材料の無作為な向きにされた断片、ストランド、または細片を使用して生産されてきた。代替として、たばこ材料のシートの集合体から形成された、加熱式エアロゾル発生物品用のロッドは、一例として、国際特許出願第WO-A-2012/164009号に開示されている。
【0005】
国際特許出願WO-A-2011/101164は、均質化したたばこ材料のストランドから形成された、加熱式エアロゾル発生物品のための代替的なロッドを開示していて、これは粒子状たばこおよび少なくとも一つのエアロゾル形成体を含む混合物の鋳造、圧延、カレンダ成形、または押し出しによって形成されて、均質化したたばこ材料シートを形成し得る。代替的な実施形態では、国際特許出願第WO-A-2011/101164号のロッドは、粒子状たばこおよび少なくとも一つのエアロゾル形成体を含む混合物を押出成形することによって得られた均質化したたばこ材料のストランドから形成されて、均質化したたばこ材料の連続的な長さを形成し得る。
【0006】
ニコチンを含む基体の代替形態も開示されてきた。例示として、しばしばeリキッドと呼ばれる液体ニコチン組成物が提案されてきた。これらの液体組成物は、例えば、エアロゾル発生装置のコイル状電気抵抗フィラメントによって加熱され得る。
【0007】
このタイプの基体は、望ましくない漏出を防止するために、液体組成物を保持する容器の製造に特別な注意を要し得る。この問題に対処し、かつ全体的な製造プロセスを簡略化するために、加熱時にニコチン含有エアロゾルを生成するニコチンを含むゲル組成物を提供することも提案されきた。例示として、国際特許出願第WO-A-2018/019543号は、熱可逆性ゲル組成物、すなわち、溶融温度に加熱したときに流体となり、ゲル化温度で再びゲルに固まるゲルを開示する。ゲルは、カートリッジのハウジング内に提供され、カートリッジは、ゲルが消費されたときに廃棄され、交換され得る。
【0008】
改善された安定性を有する新規なエアロゾル発生フィルムを有するエアロゾル発生物品を提供することが望ましい。加えて、こうしたエアロゾル発生物品に、エアロゾル発生基体として首尾よく使用され得るように、高いエアロゾル形成体含有量を有するエアロゾル発生フィルムを提供することが望ましい。特に、使用後の廃棄がより簡単な、または環境への影響が低減された、こうしたエアロゾル発生物品を提供することが望ましい。使用中にエアロゾル発生基体からのエアロゾルの生成を最適化するこのようなエアロゾル発生物品を提供することがさらに望ましい。
【発明の概要】
【0009】
本発明は、エアロゾル発生フィルムを備えるエアロゾル発生基体のロッドを備えるエアロゾル発生物品に関連する。エアロゾル発生フィルムは、少なくとも約25重量パーセントの多価アルコールを含み得る。エアロゾル発生フィルムは、少なくとも約10重量パーセントのセルロース系フィルム形成剤を含み得る。エアロゾル発生フィルムは、エアロゾル発生基体内のエアロゾル発生フィルムの露出表面積が、エアロゾル発生フィルム1mg当たり少なくとも5平方ミリメートルであるように構成され得る。代替的にまたは追加的に、エアロゾル発生フィルムは、エアロゾル発生フィルムのかさ密度が少なくともエアロゾル発生基体の約100mg/立方センチメートルであるように構成され得る。
【0010】
本発明の第一の態様によれば、エアロゾル発生基体のロッドを備えるエアロゾル発生物品が提供され、エアロゾル発生基体のロッドは、少なくとも25重量%の多価アルコール、および少なくとも10重量%のセルロース系フィルム形成剤を含むエアロゾル発生フィルムを備える。エアロゾル発生フィルムは、エアロゾル発生基体のロッド内のエアロゾル発生フィルムの露出表面積が、エアロゾル発生フィルム1mg当たり少なくとも約5平方ミリメートルであるように構成される。エアロゾル発生フィルムは実質的にたばこを含まないことが好ましい。
【0011】
本発明の第二の態様によれば、エアロゾル発生基体のロッドを備えるエアロゾル発生物品が提供され、エアロゾル発生基体のロッドは、少なくとも約25重量%の多価アルコール、および少なくとも約10重量%のセルロース系フィルム形成剤を含むエアロゾル発生フィルムを備える。エアロゾル発生フィルムは、エアロゾル発生フィルムのかさ密度が、少なくともエアロゾル発生基体のロッドの約100mg/立方センチメートルであるように構成される。エアロゾル発生フィルムは実質的にたばこを含まないことが好ましい。
【0012】
本発明の第三の態様によれば、エアロゾル発生物品においてエアロゾル発生基体として使用するためのロッドが提供され、当該ロッドは、少なくとも約25重量パーセントの多価アルコールおよび少なくとも約10重量パーセントのセルロースフィルム形成剤を含むエアロゾル発生フィルムを含み、当該エアロゾル発生フィルムは、エアロゾル発生基体のロッド内のエアロゾル発生フィルムの露出表面積が、少なくともエアロゾル発生フィルム1mgあたり約5平方ミリメートルであるように構成される。エアロゾル発生フィルムは実質的にたばこを含まないことが好ましい。
【0013】
本発明の第四の態様によれば、エアロゾル発生物品においてエアロゾル発生基体として使用するためのロッドが提供され、当該ロッドは、少なくとも約25重量パーセントの多価アルコールおよび少なくとも約10重量パーセントのセルロース系フィルム形成剤を含むエアロゾル発生フィルムを含み、当該エアロゾル発生フィルムは、エアロゾル発生基体のかさ密度が、少なくともエアロゾル発生基体のロッド1平方ミリメートルあたり100mgであるように構成される。エアロゾル発生フィルムは実質的にたばこを含まないことが好ましい。
【0014】
本発明の第五の態様によれば、本発明の第三の態様および第四の態様に関連して上記に定義されるとおり、エアロゾル発生物品および、エアロゾル発生物品のエアロゾル発生基体を加熱するよう構成されたヒーター要素を含む、電気的に作動するエアロゾル発生装置を含むエアロゾル発生システムが提供され、当該エアロゾル発生物品は、本発明によるエアロゾル発生基体のロッドを含む。エアロゾル発生装置のヒーター要素は、エアロゾル発生フィルムを加熱するために、エアロゾル発生基体のロッドに挿入されるように構成されたヒーターブレードまたはヒーターピンである。
【0015】
本発明によるエアロゾル発生物品またはエアロゾル発生基体の特徴に対する本明細書の言及は、別段の記載がない限り、本発明のすべての態様に適用されるものと想定される。
【0016】
本明細書で使用される「エアロゾル発生物品」という用語は、エアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出するために、燃焼ではなく加熱されることが意図されるエアロゾル発生基体を含むエアロゾルの生成のためのエアロゾル発生物品を指す。
【0017】
本明細書で使用される「エアロゾル発生基体」という用語は、エアロゾルを形成することができる揮発性化合物を加熱時に放出する能力を有する基体を指す。本明細書に記載のエアロゾル発生物品のエアロゾル発生基体から発生したエアロゾルは、可視または不可視であってもよく、またベイパー(蒸気)(例えば、室温では通常、液体または固体である物質の、気体状態にある物質の微粒子)ならびに気体および凝縮されたベイパーの液滴を含んでもよい。
【0018】
加熱式エアロゾル発生物品用の基体は典型的に、「エアロゾル形成体」、すなわち使用時にエアロゾルの形成を容易にし、かつ好ましくはエアロゾル発生物品の使用温度で熱分解に対して実質的に耐性がある化合物または化合物の混合物を含む。適切なエアロゾル形成体の例には、多価アルコール(プロピレングリコール、トリエチレングリコール、1,3-ブタンジオール、グリセリンなど)、多価アルコールのエステル(グリセロールモノアセテート、ジアセテートまたはトリアセテートなど)、およびモノカルボン酸、ジカルボン酸またはポリカルボン酸の脂肪族エステル(ドデカン二酸ジメチル、テトラデカン二酸ジメチルなど)が挙げられる。
【0019】
本発明のエアロゾル発生物品のエアロゾル発生フィルム中の多価アルコールはまた、上記に記載される意味内のエアロゾル形成体である。
【0020】
本明細書で使用される「ロッド」という用語は、実質的に多角形の断面、および好ましくは円形状、長円形状または楕円形状の断面の、概して円筒状の要素を指す。
【0021】
本明細書で使用される「フィルム」という用語は、その幅または長さ未満の厚さを有する固体の層状要素を表す。
【0022】
フィルムは、自己支持型であってもよい。言い換えれば、フィルムは、支持面上にフィルム形成製剤をキャストすることによって得られる場合でさえも、フィルムを支持面から分離することができるような、凝集特性および機械的特性を有してもよい。
【0023】
別の方法として、フィルムは、支持体上に配置されてもよく、または他の材料の間に挟まれてもよい。これは、フィルムの機械的安定性を強化する場合がある。
【0024】
本発明によるエアロゾル発生物品のエアロゾル発生フィルムの「厚さ」は、フィルムの対向する実質的に平行な表面の間で測定される最小距離に対応する。
【0025】
エアロゾル発生フィルムの厚さは、水の喪失にもかかわらず、乾燥中にキャストまたは押出成形されたフィルム形成組成物は実質的に収縮しないため、対応するフィルム形成組成物がキャストまたは押出成形された厚さに実質的に対応する場合がある。
【0026】
本発明によるエアロゾル発生物品のエアロゾル発生フィルムの「重量」は、一般に、対応するフィルム形成組成物の組成物の重量から、乾燥工程中に蒸発した水の重量を引いたものに対応する。フィルムが自己支持型である場合、フィルムはそれ自体で秤量することができる。フィルムが支持体上に配置される場合、フィルムおよび支持体が秤量され、そしてフィルムの堆積前に測定された支持体の重量が、フィルムおよび支持体の組み合わされた重量から減算される。
【0027】
別途記載のない限り、本明細書で列挙されたエアロゾル発生フィルムの成分の重量割合は、エアロゾル発生フィルムの総重量に基づく。
【0028】
本明細書で使用される場合、「長軸方向」という用語は、エアロゾル発生物品の上流端と下流端との間に延びる、エアロゾル発生物品の主長軸方向軸に対応する方向を指す。使用中、空気は長軸方向でエアロゾル発生物品を通して引き出される。「横断方向」という用語は、長軸方向軸に対して直角を成す方向を指す。
【0029】
エアロゾル発生物品またはエアロゾル発生物品の構成要素の「断面」への任意の言及は、別途記載のない限り、横断断面を指す。本明細書で使用される「長さ」という用語は、長軸方向における構成要素の寸法を指し、また「幅」という用語は、横断方向における構成要素の寸法を指す。
【0030】
本明細書で使用される「上流」および「下流」という用語は、使用中にエアロゾル発生物品を通してエアロゾルが搬送される方向に関してエアロゾル発生物品の要素(または要素の部分)の相対的な位置を説明する。
【0031】
上述のように、本発明は、エアロゾル発生フィルムとともに形成された新規のエアロゾル発生基体を有するエアロゾル発生物品を提供する。加熱時に、エアロゾルがエアロゾル発生フィルムから発生されて、エアロゾル発生物品内に放出され、そしてエアロゾル発生物品を通して消費者の口中へと引き込まれ得る。エアロゾル発生フィルムは、エアロゾル発生物品内の任意の他のエアロゾル発生基体の代わりに、または追加的に提供され得る。
【0032】
本発明の多くの実施形態では、エアロゾル発生フィルムは、自己支持型ロッドを形成し、エアロゾル発生基体内で追加的な支持構造を必要としないように構成され得る。多くの場合、エアロゾル発生基体のロッドは、既存の装置および方法を使用してエアロゾル発生フィルムから形成され得る。
【0033】
エアロゾル発生フィルムを組み込んだエアロゾル発生基体のロッドは、大幅な修正の必要なく、エアロゾル発生物品の既存の構造に容易に組み込まれ得、本発明によるエアロゾル発生物品は、したがって、既存の製造装置および方法を使用して高速で製造されることが可能であり得る。
【0034】
エアロゾル発生フィルムの組成は、エアロゾル発生物品の使用中、加熱時にフィルムの成分の大部分が蒸発し、最小限の残留物が残るように選択され得る。有利なことにこれによって、廃棄が容易であり、環境への影響が低減されたエアロゾル発生物品を提供し得る。
【0035】
エアロゾル発生フィルムの特性および組成は、フィルムの加熱時に発生される結果として得られたエアロゾルを制御するために容易に適合され得る。エアロゾル発生フィルムの使用はまた、高度に一貫したエアロゾルを消費者に提供することを可能にする。
【0036】
本発明によるエアロゾル発生物品は、以下により詳細に説明するように、エアロゾル発生基体を加熱するための内部ヒーター要素を有する電気加熱式のエアロゾル発生装置を備える、エアロゾル発生システムでの使用に特に好適である。例えば、本発明によるエアロゾル発生物品は、エアロゾル発生基体のロッドに近接してエアロゾル発生物品の中に挿入されるように適合される内部ヒーターブレードを有する電気加熱式のエアロゾル発生装置を備える、エアロゾル発生システムにおいて特定の用途がある。このタイプのエアロゾル発生物品は、先行技術、例えば欧州特許第EP-A-0822670号に記載されている。
【0037】
本明細書に記載のエアロゾル発生フィルムは、エアロゾル発生物品内で内部から加熱されるのに特に好適である。内部ヒーター要素によって加熱されると、管状担体要素の内表面上のエアロゾル発生フィルムは収縮し得、これは有利なことに、エアロゾル発生フィルムをヒーター要素の表面に近づけ、それによってエアロゾル発生フィルムの加熱を最適化し得る。
【0038】
本明細書で使用される「エアロゾル発生装置」という用語は、エアロゾル発生物品のエアロゾル発生基体と相互作用してエアロゾルを発生するヒーター要素を備える装置を指す。
【0039】
別の方法として、本発明によるエアロゾル発生物品は、使用中にエアロゾル発生基体を加熱するための可燃性炭素熱源を備え得る。このタイプのエアロゾル発生物品は、先行技術、例えば国際特許出願第WO-A-2009/022232号に記載されている。
【0040】
本発明によれば、エアロゾル発生フィルムは、エアロゾル発生基体のロッド内のエアロゾル発生フィルムの総露出表面積が最大となるように構成されている。露出表面積を最大化することによって、所与の体積のエアロゾル発生基体からのエアロゾルの放出効率を向上させ得る。エアロゾル発生フィルムの「露出」表面積は、エアロゾル発生基体のロッド内で被覆されず、かつ遮断されていない表面の累積面積に相当し、そこから、エアロゾル発生フィルムの加熱時に揮発性成分を自由に放出し得る。使用中、エアロゾル発生フィルムの露出表面は、エアロゾル発生物品を通るガス気流に曝露され得る。
【0041】
本発明によれば、エアロゾル発生基体のロッド内のエアロゾル発生フィルムの総露出表面積は、エアロゾル発生フィルムの単位重量あたりの露出表面積を増大させることによって最大化され得る。所与の重量のエアロゾル発生フィルムからのエアロゾルの放出効率は、それによって改善され得る。したがって、エアロゾル発生装置内の加熱サイクル中に、エアロゾル発生基体のロッドから所望の量のエアロゾルを生成するために必要なエアロゾル発生フィルムの総重量を低減することが可能であり得る。
【0042】
エアロゾル発生フィルムの露出表面積は、好ましくは、エアロゾル発生フィルム1mg当たり少なくとも約5平方ミリメートル、より好ましくは、エアロゾル発生フィルム1mg当たり少なくとも約10平方ミリメートル、最も好ましくは、エアロゾル発生フィルム1mg当たり少なくとも約20平方ミリメートルである。
【0043】
エアロゾル発生フィルムの露出表面積は、好ましくは、エアロゾル発生フィルム1mg当たり約40平方ミリメートル以下、より好ましくは、エアロゾル発生フィルム1mg当たり約30平方ミリメートル以下である。例えば、エアロゾル発生フィルムの露出表面積は、エアロゾル発生フィルム1mgあたり約5平方ミリメートル~約40平方ミリメートル、またはエアロゾル発生フィルム1mgあたり約10平方ミリメートル~約30平方ミリメートル、または約20平方ミリメートル~約30平方ミリメートルであり得る。
【0044】
代替的にまたは追加的に、エアロゾル発生フィルムの総露出表面積は、より大量のフィルム、したがってより大きな露出表面積がエアロゾル発生基体のロッドの単位体積当たり提供され得るように、エアロゾル発生基体のロッド内のエアロゾル発生フィルムのかさ密度を増大させることによって最大化され得る。所与の体積のエアロゾル発生基体からのエアロゾルの放出効率は、それによって改善され得る。したがって、サイズが減少されたエアロゾル発生基体によって、所望の量のエアロゾルを生成することが可能であり得る。
【0045】
エアロゾル発生基体のロッド内のエアロゾル発生フィルムのかさ密度は、好ましくは、エアロゾル発生基体のロッド立方センチメートル当たり少なくとも約100mg、より好ましくは、エアロゾル発生基体のロッド立方センチメートル当たり少なくとも約200mg、より好ましくは、エアロゾル発生基体のロッド立方センチメートル当たり少なくとも約300mg、最も好ましくは、立方センチメートル当たり少なくとも約400mgである。
【0046】
エアロゾル発生基体のロッド内のエアロゾル発生フィルムのかさ密度は、好ましくは、エアロゾル発生基体のロッド立方センチメートル当たり約1000mg以下、より好ましくは、立方センチメートル当たり約850mg以下、より好ましくは、立方センチメートル当たり約750mg以下、最も好ましくは、立方センチメートル当たり約600mg以下である。例えば、エアロゾル発生基体のロッド内のエアロゾル発生フィルムのかさ密度は、立方センチメートル当たり約100mg~約1000mg、または立方センチメートル当たり約200mg~約8500mg、または立方センチメートル当たり約300mg~約750mg、または立方センチメートル当たり約400mg~約600mgであり得る。
【0047】
エアロゾル発生フィルムのかさ密度は、任意の担体材料の重量を含まない、エアロゾル発生基体のロッドに提供されるフィルムの総量(単位mg)を、ロッドの総体積(単位は立方センチメートル)で割ったものに相当する。
【0048】
本発明は、増大した総露出表面積を提供するための、エアロゾル発生フィルムの様々な異なる構成を包含する。
【0049】
特定の好ましい実施形態では、エアロゾル発生基体のロッドは、エアロゾル発生フィルムの複数の積み重ねられた層を含む。
【0050】
本明細書で使用される場合、用語「積み重ねられた」は、エアロゾル発生フィルムの複数の層を互いの上に配置することを指す。本発明では、「積み重ねられた」層は、隣接する層の間に間隔を置いて互いの上に配置され得る。あるいは、隣接する層は、層が一部の領域では離間する一方、他の領域では隣接する層の間の間隔がゼロに近づくように、少なくとも部分的に互いに接触し得る。「積み重ねられた」という用語は本明細書において、積み重ねられた層の配向に関係なく使用される。
【0051】
エアロゾル発生フィルムの複数の積み重ねられた層の提供により、有利には、各層の両側のエアロゾル発生フィルムの表面が露出され得るため、フィルムの比較的高い露出表面積が提供される。露出表面積は、積層内の層の数を増やすことによって容易に増大させ得る。
【0052】
複数の層の規則的な配置により、有利なことに、エアロゾル発生フィルムの一貫した分布および一貫した引き出し抵抗がロッドに提供される。ロッドの引き出し抵抗は、層の間隔および層の厚さの調整を通して容易に制御され得る。複数の層の規則的な配置によりまた、ロッドを通した使用中、ロッドと接触するヒーター要素からの熱伝達を最適化し得る。
【0053】
エアロゾル発生フィルムの複数の層は、各層がエアロゾル発生物品の長軸方向に延在するように積み重ねられ得る。好ましくは、層は、使用中にロッドを通る空気の流れを可能にするために、横方向に互いに離間している。隣接する層の間の横方向の間隔を有する層のこの配置は、ヒーターブレードなどのヒーター要素のロッドへの挿入を容易にし得る。
【0054】
複数の長軸方向に延在する層を有するこのような実施形態では、好ましくは、複数の層の少なくとも約80パーセントは、ロッドの実質的に全長に延在し、より好ましくは、複数の層の少なくとも約90パーセント、より好ましくは、複数の層の少なくとも約95パーセントに延在する。特に好ましくは、複数の層の各々は、実質的にロッドの全長に延在する。ロッドの全長に実質的に延在する層は、ロッドの上流端と下流端との間の実質的に全経路に延在する。こうした配置は、ロッドの引き出し抵抗、したがってエアロゾル送達に対するより良い制御を提供する。複数の層の相対幅は、積み重ねられた層の様々な配置を提供するために変化し得る。例えば、少なくとも二つの層は、互いに異なる幅を有し得る。あるいは、複数の層は、実質的に一定の幅を有する。
【0055】
複数の長軸方向に延在する層を有するこうした実施形態では、複数の層は、ロッドの長さに沿って層の実質的に一定な横方向間隔を提供するために、実質的に互いに平行に配置されることが好ましい。層の間の横方向間隔は、所望の空気流レベル、およびしたがって所望のロッドの引き出し抵抗を提供するように適合され得る。層は、少なくとも約10ミクロン、より好ましくは少なくとも約20ミクロン、最も好ましくは少なくとも約50ミクロン、横方向に互いに離間していることが好ましい。層は、約300ミクロン以下、より好ましくは約200ミクロン以下、最も好ましくは約150ミクロン以下だけ、横方向に互いに離間していることが好ましい。
【0056】
あるいは、エアロゾル発生フィルムの複数の層は、各層がエアロゾル発生物品の横方向に延在するように積み重ねられ得る。層の積層は、従って、ロッドの長さに沿って延在する。エアロゾル発生フィルムの横方向の層は、使用中にロッドを通る長軸方向の空気の流れを可能にするように適合される。例えば、層の各々は、層を通して一つ以上の穴または切り抜きが提供され得る。
【0057】
エアロゾル発生フィルムの複数の横方向の層を有するこうした実施形態では、層は、層の露出表面を最大化するために、長軸方向に互いに離間しているのが好ましい。この場合、層は、少なくとも約50ミクロン、より好ましくは少なくとも約100ミクロン、最も好ましくは少なくとも約150ミクロン、互いに離間していることが好ましい。層は、約1500ミクロン以下、より好ましくは約800ミクロン以下、最も好ましくは約600ミクロン以下だけ、長軸方向に互いに離間していることが好ましい。あるいは、層は、隣接する層が互いに少なくとも部分的に接触し、それらの間に実質的に長軸方向の間隔がないように積み重ねられ得る。
【0058】
エアロゾル発生フィルムの複数の積み重ねられた層を含む本発明の実施形態の以下のさらなる考察は、上述通り層のすべての配置に適用される。
【0059】
ロッド内に積み重ねられたエアロゾル発生フィルムの層の数は、層の厚さおよびロッドの長さに応じて変化し得る。層の数は、エアロゾル発生フィルムの総露出表面積を増大させるために増加させ得る。ロッドは、約2~約50のエアロゾル発生フィルムの積み重ねられた層を含むことが好ましい。
【0060】
エアロゾル発生フィルムの複数の層はすべて、互いに実質的に同じ厚さを有し得る。あるいは、複数の層は、少なくとも二つの異なる厚さの層を含み得る。
【0061】
本発明の特定の好ましい実施形態では、エアロゾル発生フィルムの複数の積み重ねられた層は、紙または段ボール管などの管状担体要素内に取り付けられる。代替的な実施形態では、複数の積み重ねられた層は、ラッパーによって囲まれる。管状担体層またはラッパー内に積み重ねられた層を提供することによって、エアロゾル発生フィルムを他の構成要素とより都合良く組み合わせ、エアロゾル発生物品を形成させ得る。
【0062】
本発明の代替的な実施形態では、エアロゾル発生基体のロッドは、エアロゾル発生フィルムの一つ以上の層の集合体を含む。本発明に関して本明細書で使用される場合、「集合体」という用語は、渦巻き状にされ、折り畳まれ、またはその他の方法でエアロゾル発生物品の長軸方向軸に対して実質的に横断方向に圧縮された、または収縮した層を示す。
【0063】
エアロゾル発生フィルムの一つ以上の層の集合体の使用は、エアロゾル発生基体のロッド内に比較的高い露出表面積を提供する代替的な方法である。エアロゾル発生フィルムの露出表面積、およびロッド内のエアロゾル発生フィルムのかさ密度も、層の回旋または折り畳みの程度を適合させることによって容易に制御し得る。
【0064】
エアロゾル発生フィルムの一つ以上の層の集合体は、ラッパーによって囲まれることが好ましい。エアロゾル発生フィルムの一つ以上の層の集合体は、実質的にエアロゾル発生ロッドの全長に沿って、かつ実質的にロッドの断面積全体を横切って延在することが好ましい。
【0065】
本発明のさらなる代替的な実施形態では、エアロゾル発生基体のロッドは、エアロゾル発生フィルムの複数の細片または断片を含む。例えば、ロッドは、長軸方向に整列され、一緒にまとめられ、かつ巻かれてエアロゾル発生基体のロッドを形成するエアロゾル発生フィルムの複数の細片から形成され得る。あるいは、エアロゾル発生フィルムの細片は、ロッド内で無作為に配向され得る。複数の細片または断片の使用は、エアロゾル発生フィルムの総露出表面積を増大させ得るさらなる方法である。エアロゾル発生フィルムの露出表面積およびロッド内のエアロゾル発生フィルムのかさ密度も、ロッドの体積内の細片の数を適合することにより容易に制御し得る。
【0066】
そのような実施形態では、エアロゾル発生フィルムの細片は、約10ミリメートル~約20ミリメートルの長さを有することが好ましく、約12ミリメートル~約18ミリメートルの長さを有することがより好ましく、約14ミリメートル~約16ミリメートルの長さを有することがより好ましく、約15ミリメートルの長さを有することがより好ましい。代替的にまたは追加的に、エアロゾル発生フィルムの細片は、約0.4ミリメートル~約0.8ミリメートルの幅を有することが好ましい。
【0067】
本発明のさらなる実施形態では、エアロゾル発生基体のロッドは、エアロゾル発生フィルム、例えば、複数の球状ビーズから形成される複数の中空ビーズを含み得る。複数のビーズの使用は、エアロゾル発生フィルムの総露出表面積を増大させ得るさらなる方法である。エアロゾル発生フィルムの露出表面積およびロッド内のエアロゾル発生フィルムのかさ密度も、ロッド内のビーズの数とビーズのパッキング密度を適合することにより容易に制御し得る。
【0068】
エアロゾル発生基体のロッドは、エアロゾル発生フィルム約2~約30ビーズを含み得る。複数のビーズは、エアロゾル発生基体内に含有され得るように、管状担体要素の空洞内に提供されることが好ましい。
【0069】
本発明のいずれかの実施形態では、エアロゾル発生フィルムは、有利にはその表面の少なくとも一部にわたってテクスチャ加工され得る。本明細書で使用される「テクスチャ加工された」という用語は、捲縮、型押し、デボス加工、穿孔、または他の方法での変形が施されたフィルムを指す。例えば、フィルムは、複数の間隙を介した凹み、突起、穿孔またはそれらの組み合わせを含み得る。テクスチャは、フィルムの片面上、またはフィルムの両面上に提供され得る。エアロゾル発生フィルムの複数の積み重ねられた層が提供される場合、層の一部またはすべてが、テクスチャ加工され得る。
【0070】
エアロゾル発生フィルムの表面の少なくとも一部の上にテクスチャを提供することは、エアロゾル発生フィルムの露出表面積が最大化され得る代替的または追加的な方法である。
【0071】
特定の実施形態では、エアロゾル発生フィルムは、その表面の少なくとも一部にわたって捲縮される。本明細書で使用される「捲縮」という用語は、複数の実質的に平行な隆起または波形を有するフィルムを意味する。エアロゾル発生物品が組み立てられた時、実質的に平行な隆起または波形は、エアロゾル発生物品の長軸方向軸に沿って、またはこれと平行に延びることが好ましい。
【0072】
エアロゾル発生フィルムの単一の捲縮層は、エアロゾル発生基体のロッド内に提供され得る。こうした実施形態では、単一の捲縮層は、上述のように集合体であることが好ましい。あるいは、エアロゾル発生フィルムの複数の捲縮層が提供され得る。例えば、エアロゾル発生フィルムの複数の捲縮層を積み重ねて、上述のようにエアロゾル発生基体のロッドを形成し得る。
【0073】
本発明によるエアロゾル発生物品のエアロゾル発生フィルムの厚さは、好ましくは、少なくとも約0.05ミリメートルであり、より好ましくは、少なくとも約0.1ミリメートルであり、最も好ましくは、少なくとも約0.15ミリメートルである。エアロゾル発生フィルムの厚さは、好ましくは、約1.0ミリメートル以下であり、より好ましくは、約0.5ミリメートル以下であり、最も好ましくは、約0.3ミリメートル以下である。例えば、フィルムの厚さは、約0.05ミリメートル~約1.0ミリメートル、または約0.1ミリメートル~約0.5ミリメートル、または約0.15ミリメートル~約0.3ミリメートルであり得る。したがって、本発明は、フィルムの重量に対する表面積の比率が最大化され得るように、比較的薄いエアロゾル発生フィルムの層を提供する。これにより、加熱時のエアロゾル発生フィルムからの揮発性成分の放出効率が改善される。比較的薄いエアロゾル発生フィルムの層の使用はまた、フィルムの重量を低く維持する一方で、十分な表面積を保持することを可能にする。これは有利なことに、エアロゾル発生フィルムの熱慣性を低下させ、エアロゾル発生効率をさらに改善する。
【0074】
エアロゾル発生基体のロッドにおけるエアロゾル発生フィルムの重量はまた、使用中の所望のレベルのエアロゾル送達に応じて適合され得る。エアロゾル発生フィルムの重量は、無駄を最小化し、エアロゾル発生基体のロッドの分解性を最大化するために、エアロゾル発生フィルムの揮発性成分の実質的にすべてがエアロゾル発生物品の典型的な加熱サイクル中に放出されるように、選択されることが好ましい。
【0075】
管状担体要素は、好ましくは、少なくとも約20ミリグラム、より好ましくは、少なくとも約50ミリグラム、より好ましくは、少なくとも約100ミリグラムのエアロゾル発生フィルムを提供する。管状担体要素は、好ましくは、約300ミリグラム以下、より好ましくは、約200ミリグラム以下のエアロゾル発生フィルムを提供する。例えば、管状担体要素は、約20ミリグラム~約300ミリグラムのエアロゾル発生フィルム、または約50ミリグラム~約200ミリグラムのエアロゾル発生フィルム、または約100ミリグラム~約200ミリグラムのエアロゾル発生フィルムを提供し得る。
【0076】
エアロゾル発生フィルムは、好ましくは、少なくとも約100グラム/平方メートルの坪量を有し、より好ましくは、少なくとも約120グラム/平方メートルの坪量を有し、最も好ましくは、少なくとも約140グラム/平方メートルの坪量を有する。エアロゾル発生フィルムは、好ましくは、300グラム/平方メートル以下の坪量を有し、より好ましくは、280グラム/平方メートル以下の坪量を有し、最も好ましくは、260グラム/平方メートル以下の坪量を有する。例えば、エアロゾル発生フィルムは、約100グラム/平方メートル~約300グラム/平方メートル、または約120グラム/平方メートル~約280グラム/平方メートル、または約140グラム/平方メートル~約260グラム/平方メートルの坪量を有し得る。
【0077】
エアロゾル発生基体のロッドは、エアロゾル発生物品の外径にほぼ等しい外径を有することが好ましい。
【0078】
エアロゾル発生基体のロッドは、少なくとも5ミリメートルの外径を有することが好ましい。エアロゾル発生基体のロッドは、約5ミリメートル~約12ミリメートル、例えば約5ミリメートル~約10ミリメートル、または約6ミリメートル~約8ミリメートルの外径を有し得る。好ましい一実施形態では、エアロゾル発生基体のロッドは約7ミリメートルの外径を有する。
【0079】
エアロゾル発生基体のロッドは、約5ミリメートル~約15ミリメートルの長さを有し得る。一実施形態において、エアロゾル発生基体のロッドは、約10ミリメートルの長さを有し得る。好ましい一実施形態において、エアロゾル発生基体のロッドは、約12ミリメートルの長さを有する。
【0080】
エアロゾル発生基体のロッドは、ロッドの長さに沿って実質的に均一な断面を有することが好ましい。エアロゾル発生基体のロッドは、実質的に円形の断面を有することが特に好ましい。
【0081】
エアロゾル発生フィルムは、単一層基体としてエアロゾル発生基体のロッドに直接組み込まれ得る。単一層エアロゾル発生フィルムは、上述したようにテクスチャ加工され得る。あるいは、エアロゾル発生フィルムは、エアロゾル発生基体のロッド内に組み込まれる前に、多孔質または繊維性シート材料の層などの担体層上に被覆または浸潤させ得る。担体層に好適なシート材料は、限定されるものではないが、紙、段ボール、および均質化された植物材料を含む。エアロゾル発生フィルムを備えた担体層は、上述したようにテクスチャ加工され得る。
【0082】
本発明によるエアロゾル発生物品のエアロゾル発生フィルムは、少なくとも約25重量パーセントの多価アルコール、より好ましくは少なくとも約30重量パーセントの多価アルコール、より好ましくは少なくとも約35重量パーセントの多価アルコール、より好ましくは少なくとも約40重量パーセントの多価アルコールを含む組成物を有する。
【0083】
好ましくは、エアロゾル発生フィルムは、好ましくは、約90重量パーセント未満の多価アルコール、より好ましくは約80重量パーセント未満の多価アルコール、より好ましくは約70重量パーセント未満の多価アルコール、より好ましくは約60重量パーセント未満の多価アルコールを含む。
【0084】
例えば、エアロゾル発生フィルムは、約25重パーセント~約90重量パーセントの多価アルコール、または約30重量パーセント~約80重量パーセントの多価アルコール、または約35重量パーセント~約70重量パーセントの多価アルコール、または約40重量パーセント~約60重量パーセントの多価アルコールを含み得る。
【0085】
エアロゾル発生フィルムでの使用に適した多価アルコールには、限定されるものではないが、プロピレングリコール、トリエチレングリコール、1,3-ブタンジオール、およびグリセリンが含まれる。本発明によるエアロゾル発生フィルムでは、多価アルコールは、グリセリン、プロピレングリコール、およびこれらの組み合わせから成る群から選択されることが好ましい。特に好ましい実施形態では、多価アルコールはグリセリンである。
【0086】
それ故に、本発明は、有利なことに、ゲル様のテクスチャを有する組成物から出発して、簡単にキャストまたは押出成形および固化することができる、著しい多価アルコール含有量を有するフィルムを提供する。有意な割合の多価アルコール、特にグリセリンがフィルム形態で提供され得ると同時に、フィルムの形状を細かく制御することができるため、本発明は、有利なことに、加熱されてエアロゾルを放出するように設計されたエアロゾル発生物品におけるエアロゾル発生基体の使用に特に好適なフィルムを提供する。
【0087】
エアロゾル発生フィルムはさらに、少なくとも約3重量パーセントのセルロース系フィルム形成剤を含むことが好ましく、少なくとも約6重量パーセントのセルロース系フィルム形成剤を含むことがより好ましく、少なくとも約10重量パーセントのセルロース系フィルム形成剤を含むことがより好ましく、少なくとも約14重量パーセントのセルロース系フィルム形成剤を含むことがより好ましく、少なくとも約16重量パーセントのセルロース系フィルム形成剤を含むことがより好ましく、少なくとも約18重量パーセントのセルロース系フィルム形成剤を含むことがより好ましい。
【0088】
エアロゾル発生フィルムは、最大約70重量パーセントのセルロース系フィルム形成剤を含み得る。エアロゾル発生フィルムは、約26重量パーセント以下のセルロース系フィルム形成剤を含むことが好ましく、約24重量パーセント以下のセルロース系フィルム形成剤を含むことがより好ましく、約22重量パーセント以下のセルロース系フィルム形成剤を含むことがより好ましい。
【0089】
例えば、エアロゾル発生フィルムは、約3重量パーセント~約70重量パーセントのセルロース系フィルム形成剤、または約6重量パーセント~約26重量パーセントのセルロース系フィルム形成剤、または約10重量パーセント~約24重量パーセントのセルロース系フィルム形成剤、または約14重量パーセント~約24重量パーセントのセルロース系フィルム形成剤、または約16重量パーセント~約22重量パーセントのセルロース系フィルム形成剤、または約18重量パーセント~約22重量パーセントのセルロース系フィルム形成剤を含み得る。
【0090】
本発明の文脈では、「セルロース系フィルム形成剤」という用語は、それ自体、または補助増粘剤の存在下で連続的なフィルムを形成する能力を有するセルロース系ポリマーを記述するために使用される。
【0091】
セルロース系フィルム形成剤は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、メチルセルロース(MC)、エチルセルロース(EC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース(HEMC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、およびそれらの組み合わせからなる群から選択されることが好ましい。特に好ましい実施形態では、セルロース系フィルム形成剤は、HPMCである。
【0092】
エアロゾル発生フィルムでは、セルロース系フィルム形成剤の重量と多価アルコールの重量との間の比は、少なくとも約0.1であることが好ましく、少なくとも約0.2であることがより好ましく、約0.3であることがなおより好ましい。加えて、または別の方法として、エアロゾル発生フィルムでは、セルロース系フィルム形成剤の重量と多価アルコールの重量との間の比は、約1以下であることが好ましい。
【0093】
好ましい実施形態では、エアロゾル発生フィルムでは、セルロース系フィルム形成剤の重量と多価アルコールの重量との間の比は、約0.1~約1である。
【0094】
発明者らは驚くべきことに、少なくとも6重量パーセントのセルロース系フィルム形成剤、および好ましくはHPMCを含むエアロゾル発生フィルムが、特に安定していることを見出した。したがって、それらは、10パーセント~60パーセントの相対湿度の変化などの様々な環境条件に曝される際に、実質的にその形状を維持する。その結果、上述のようなエアロゾル発生フィルムは、有利なことに、貯蔵中または搬送中に液相を放出しない。
【0095】
エアロゾル発生フィルムはさらに、少なくとも約1重量パーセントの非セルロース系増粘剤を含むことが好ましく、少なくとも約2重量パーセントの非セルロース系増粘剤を含むことがより好ましく、少なくとも約3重量パーセントの非セルロース系増粘剤を含むことがより好ましい。エアロゾル発生フィルムは約10重量パーセント以下の非セルロース系増粘剤を含むことが好ましく、約8重量パーセント以下の非セルロース系増粘剤を含むことがより好ましく、約6重量パーセント以下の非セルロース系増粘剤を含むことがより好ましい。例えば、エアロゾル発生フィルムは、約1重量パーセント~約10重量パーセントの非セルロース系増粘剤、または約2重量パーセント~約8重量パーセントの非セルロース系増粘剤、または約3重量パーセント~約6重量パーセントの非セルロース系増粘剤を含み得る。
【0096】
本発明に関連して本明細書で使用される場合、「非セルロース系増粘剤」という用語は、水性または非水性の液体組成物に添加されたときに、液体組成物のその他の特性を実質的に改変することなく、液体組成物の粘度を増加させる非セルロース物質を記述するために使用される。増粘剤は、安定性を増加させ、かつ液体組成物中での成分の懸濁を改善し得る。増粘剤はまた、「濃厚剤」または「レオロジー調整剤」とも呼ばれ得る。
【0097】
本発明によるエアロゾル発生フィルムにおいて、非セルロース系増粘剤は、寒天、キサンタンガム、アラビアガム、グアーガム、ローカストビーンガム、ペクチン、カラギーナン、デンプン、アルギネート、およびそれらの組み合わせからなる群から選択されることが好ましい。好ましい実施形態では、非セルロース系増粘剤は寒天である。
【0098】
エアロゾル発生フィルムでは、非セルロース系増粘剤の重量と多価アルコールの重量との間の比は、少なくとも約0.05であることが好ましく、少なくとも0.1であることがより好ましく、少なくとも0.2であることがなおより好ましい。加えて、または別の方法として、エアロゾル発生フィルムでは、非セルロース系増粘剤の重量と多価アルコールの重量との間の比は、約0.5以下であることが好ましい。
【0099】
好ましい実施形態では、エアロゾル発生フィルムでは、非セルロース系増粘剤の重量と多価アルコールの重量との間の比は、約0.1~約0.5である。
【0100】
発明者らは驚くべきことに、セルロース系フィルム形成剤と非セルロース系増粘剤との組合せを、多価アルコールと共にフィルムに組み込むことにより、高い精度および再現性で製造され得る、安定性が改善されたフィルムを提供し得ることを見出した。
【0101】
エアロゾル発生フィルムは、約30重量パーセント未満の水を含むことが好ましい。エアロゾル発生フィルムは、約10重量パーセント~約20重量パーセントの水を含むことがより好ましい。
【0102】
一部の実施形態では、エアロゾル発生フィルムは、アルカロイド化合物もしくはカンナビノイド化合物、またはその両方をさらに含む。
【0103】
本発明に関連して本明細書で使用される「アルカロイド化合物」という用語は、一つ以上の塩基性窒素原子を含む自然発生的有機化合物の任意の一つのクラスを意味する。一般的に、アルカロイドは、アミン型構造に少なくとも一つの窒素原子を含有する。アルカロイド化合物の分子におけるこの窒素原子または別の窒素原子は、酸塩基反応の塩基として活性であり得る。ほとんどのアルカロイド化合物は、例えば複素環リングなどの環状系の一部として、その窒素原子の一つまたは複数を有する。自然界では、アルカロイド化合物は主に植物に見られ、特に特定の科の顕花植物において一般的である。しかしながら、一部のアルカロイド化合物は、動物種および菌類に見られる。本発明の文脈では、「アルカロイド化合物」という用語は、天然由来のアルカロイド化合物および合成的に製造されたアルカロイド化合物の両方を記述するために使用される。
【0104】
アルカロイド化合物は、ニコチン、アナタビンおよびその組み合わせからなる群から選択されることが好ましい。
【0105】
本発明に関して本明細書で使用される場合、「カンナビノイド化合物」という用語は、カンナビス植物、すなわち、カンナビス・サティバ(Cannabis sativa)、カンナビス・インディカ(Cannabis indica)、およびカンナビス・ルデラリス(Cannabis ruderalis)の一部に見られる天然の化合物の任意の一つの種類を説明する。カンナビノイド化合物は雌の頭状花で特に濃縮される。カンナビス植物における天然のカンナビノイド化合物は、テトラヒドロカンナビノール(THC)およびカンナビジオール(CBD)を含む。本発明の文脈において、「カンナビノイド化合物」という用語は、天然由来のカンナビノイド化合物および合成的に製造されたカンナビノイド化合物の両方を説明するために使用される。
【0106】
ゲルは、テトラヒドロカンナビノール(THC)、テトラヒドロカンナビノール酸(THCA)、カンナビジオール(CBD)、カンナビジオール酸(CBDA)、カンナビノール(CBN)、カンナビゲロール(CBG)、カンナビゲロールモノメチルエーテル(CBGM)、カンナビバリン(CBV)、カンナビジバリン(CBDV)、テトラヒドロカンナビバリン(THCV)、カンナビクロメン(CBC)、カンナビシクロル(CBL)、カンナビクロムバリン(CBCV)、カンナビゲロバリン(CBGV)、カンナビエルソイン(CBE)、カンナビシトラン(CBT)、およびその組み合わせからなる群から選択されるカンナビノイド化合物を含むことが好ましい。
【0107】
概して、エアロゾル発生フィルムは、最大約10重量パーセントのアルカロイド化合物もしくはカンナビノイド化合物、またはその両方を含み得る。フィルム中のアルカロイド化合物もしくはカンナビノイド化合物、またはその両方の含有量は、アルカロイド化合物もしくはカンナビノイド化合物、またはその両方の消費者へのエアロゾル形態の送達を最適化する観点から増量および調整されてもよい。植物材料の使用に基づく既存のエアロゾル発生基体と比較して、これは、有利なことに、基体(フィルム)の体積当たり、または基体(フィルム)の重量当たりの、アルカロイド化合物もしくはカンナビノイド化合物、またはその両方の含有量をより多くすることを可能にする場合があり、これは製造の観点から望ましい場合がある。
【0108】
エアロゾル発生フィルムは、少なくとも約0.5重量パーセントのアルカロイド化合物もしくはカンナビノイド化合物、またはその両方を含むことが好ましい。したがって、エアロゾル発生フィルムは、少なくとも約0.5重量パーセントのアルカロイド化合物、または少なくとも0.5重量パーセントのカンナビノイド化合物、または少なくとも約0.5重量パーセントのアルカロイド化合物とカンナビノイド化合物との組み合わせを含むことが好ましい。
【0109】
エアロゾル発生フィルムは、少なくとも約1重量パーセントのアルカロイド化合物もしくはカンナビノイド化合物、またはその両方を含むことがより好ましく、少なくとも約2重量パーセントのアルカロイド化合物もしくはカンナビノイド化合物、またはその両方を含むことがより好ましい。エアロゾル発生フィルムは、約6重量パーセント未満のアルカロイド化合物もしくはカンナビノイド化合物、またはその両方を含むことが好ましく、約5重量パーセント未満のアルカロイド化合物もしくはカンナビノイド化合物、またはその両方を含むことがより好ましく、約4重量パーセント未満のアルカロイド化合物もしくはカンナビノイド化合物、またはその両方を含むことがより好ましい。
【0110】
例えば、エアロゾル発生フィルムは、約0.5重量パーセント~約10重量パーセントのアルカロイド化合物もしくはカンナビノイド化合物、またはその両方、または約1重量パーセント~約6重量パーセントのアルカロイド化合物もしくはカンナビノイド化合物、またはその両方、または約2重量パーセント~約5重量パーセントのアルカロイド化合物もしくはカンナビノイド化合物、またはその両方を含み得る。
【0111】
一部の実施形態では、エアロゾル発生フィルムは、カンナビノイドと、ニコチンまたはアナタビンを含むアルカロイド化合物のうちの一つ以上を含む。一部の好ましい実施形態では、エアロゾル発生フィルムはニコチンを含む。本発明に関連して本明細書で使用される場合、「ニコチン」という用語は、ニコチン、ニコチン塩基、またはニコチン塩を記述するために使用される。エアロゾル発生フィルムがニコチン塩基またはニコチン塩を含む実施形態では、本明細書に列挙したニコチンの量は、それぞれ遊離塩基ニコチンの量またはプロトン化されたニコチンの量である。
【0112】
エアロゾル発生フィルムは、天然ニコチンまたは合成ニコチンを含み得る。
【0113】
エアロゾル発生フィルムは、一つ以上の一塩基ニコチン塩を含んでもよい。
【0114】
本発明に関連して本明細書で使用される場合、「一塩基ニコチン塩」という用語は、一塩基酸のニコチン塩を記述するために使用される。
【0115】
エアロゾル発生フィルムは、少なくとも約0.5重量パーセントのニコチンを含むことが好ましい。エアロゾル発生フィルムは、少なくとも約1重量パーセントのニコチンを含むことがより好ましい。エアロゾル発生フィルムは、少なくとも約2重量パーセントのニコチンを含むことがさらにより好ましい。加えて、または代替として、エアロゾル発生フィルムは、約10重量パーセント未満のニコチンを含むことが好ましい。エアロゾル発生フィルムは、約6重量パーセント未満のニコチンを含むことがより好ましい。エアロゾル発生フィルムは、約5重量パーセント未満のニコチンを含むことがさらにより好ましい。例えば、エアロゾル発生フィルムは、約0.5重量パーセント~約10重量パーセントのニコチン、または約1重量パーセント~約6重量パーセントのニコチン、または約2重量パーセント~約5重量パーセントのニコチンを含んでもよい。
【0116】
一部の好ましい実施形態では、エアロゾル発生フィルムは、カンナビノイド化合物を含む。カンナビノイド化合物は、CBD及びTHCから選択されることが好ましい。カンナビノイド化合物はCBDであることがより好ましい。
【0117】
エアロゾル発生フィルムは、最大約10重量パーセントのCBDを含み得る。エアロゾル発生フィルムは、少なくとも約0.5重量パーセントのCBDを含むことが好ましく、少なくとも約1重量パーセントのCBDを含むことがより好ましく、少なくとも約2重量パーセントのCBDを含むことがより好ましい。エアロゾル発生フィルムは、好ましくは約6重量パーセント未満のCBDを含むことが好ましく、約5重量パーセント未満のCBDを含むことがより好ましく、約4重量パーセント未満のCBDを含むことがより好ましい。
【0118】
例えば、エアロゾル発生フィルムは、約0.5重量パーセント~約10重量パーセントのCBD、より好ましくは約1重量パーセント~約6重量パーセントのCBD、さらにより好ましくは約2重量パーセント~約5重量パーセントのCBDを含み得る。
【0119】
エアロゾル発生フィルムは、実質的にたばこを含まないエアロゾル発生フィルムであり得る。
【0120】
本発明に関連して本明細書で使用される場合、「実質的にたばこを含まないエアロゾル発生フィルム」という用語は、1重量パーセント未満のたばこ含有量を有するエアロゾル発生フィルムを記述する。例えば、エアロゾル発生フィルムは、約0.75重量パーセント未満、約0.5重量パーセント未満、または約0.25重量パーセント未満のたばこ含有量を有してもよい。
【0121】
エアロゾル発生フィルムは、たばこを含まないエアロゾル発生フィルムであり得る。
【0122】
本発明に関連して本明細書で使用される場合、「たばこを含まないエアロゾル発生フィルム」という用語は、0重量パーセントのたばこ含有量を有するエアロゾル発生フィルムを記述する。
【0123】
一部の実施形態では、エアロゾル発生フィルムは、たばこ材料または非たばこ植物材料または植物抽出物を含む。一例として、エアロゾル発生フィルムは、たばこ葉身粒子などのたばこ粒子だけでなく、クローブおよびユーカリなどの他の植物の粒子も含み得る。エアロゾル発生フィルムがたばこを含む場合、たばこ含有量は、約70重量パーセント以下であることが好ましく、約50重量パーセント以下であることがより好ましく、約30重量パーセント以下であることがより好ましく、約10重量パーセント以下であることが最も好ましい。
【0124】
好ましい実施形態では、エアロゾル発生フィルムは酸を含む。エアロゾル発生フィルムは、一つ以上の有機酸を含むことがより好ましい。エアロゾル発生フィルムは、一つ以上のカルボン酸を含むことがなおより好ましい。特に好ましい実施形態では、酸は、乳酸またはレブリン酸である。
【0125】
酸の含有は、ニコチンを含むエアロゾル発生フィルムの実施形態で特に好ましい。これは、酸の存在が、ニコチンおよび他の植物抽出物などを有する、フィルム形成組成物中に溶解した種を安定化する場合があることが観察されたためである。理論に束縛されることを望むものではないが、ニコチンが塩形態で提供されている場合、酸はニコチン分子と相互作用する場合があり、そしてこれが乾燥動作中にニコチンが蒸発することを実質的に防止すると理解される。そのため、フィルムの製造中のニコチンの損失を最小化することができ、そして有利なことに、消費者へのより高い、より良好に制御されたニコチン送達を確保することができる。
【0126】
エアロゾル発生フィルムは、少なくとも約0.25重量パーセントの酸を含むことが好ましい。エアロゾル発生フィルムは、少なくとも約0.5重量パーセントの酸を含むことがより好ましい。エアロゾル発生フィルムは、少なくとも約1重量パーセントの酸を含むことがさらにより好ましい。加えて、または代替として、エアロゾル発生フィルムは、約3.5重量パーセント未満の酸を含むことが好ましい。エアロゾル発生フィルムは、約3重量パーセント未満の酸を含むことがより好ましい。エアロゾル発生フィルムは、約2.5重量パーセント未満の酸を含むことがさらにより好ましい。
【0127】
例えば、エアロゾル発生フィルムは、約0.25重量パーセント~約3.5重量パーセントの酸、または約0.5重量パーセント~約3重量パーセントの酸、または約1重量パーセント~約2.5重量パーセントの酸を含み得る。
【0128】
エアロゾル発生フィルムは、随意に風味剤を含み得る。一部の実施形態では、エアロゾル発生フィルムは、最大約2重量パーセントの風味剤を含み得る。一例として、エアロゾル発生フィルムは、メントール、テルペン、テルペノイド、オイゲノール、またはユーカリプトールを含み得る。
【0129】
エアロゾル発生フィルムは、フィルムの成分のフィルム形成組成物、好ましくは水性フィルム形成組成物を形成し、フィルム形成組成物を支持面上にキャストまたは押出成形し、フィルム形成組成物をゲル化させた後、フィルム形成組成物を乾燥してエアロゾル発生フィルムを得ることによって製造され得る。次いで、フィルムを支持面から取り外し、エアロゾル発生物品用のエアロゾル発生基体に組み込み得る。あるいは、フィルムは、支持面と共にエアロゾル発生基体に組み込まれ得る。
【0130】
加熱時に、エアロゾル発生フィルムの成分の大部分が蒸発することが見出された。実際に、存在する場合、典型的には、セルロース系フィルム形成剤の一部の残留物のみが使用後に残っていることが観察されている。そのため、上述のエアロゾル発生フィルムを含む基体を組み込むエアロゾル発生物品は、廃棄が容易であり、改善された環境への影響を有し得る。
【0131】
使用中、エアロゾル発生フィルムは、エアロゾルを発生するために、摂氏約180度~摂氏約250度の温度に加熱されてもよい。発明者らは驚くべきことに、エアロゾル発生フィルムがエアロゾル発生装置内で加熱されると、液相を実質的に放出することなく、多価アルコールを放出し得ることを見出した。
【0132】
本発明によるエアロゾル発生物品は、エアロゾル発生基体のロッドに加えて一つ以上の要素を備えることが好ましく、ロッドおよび一つ以上の要素は基体ラッパー内または管状担体要素内に組み立てられる。
【0133】
エアロゾル発生物品はさらに、エアロゾル発生基体のロッド下流に、流量制限要素を備えることが好ましい。流量制限要素は、有利なことに、許容可能なレベルの引き込み抵抗(RTD)を有するエアロゾル発生物品を提供するために組み込まれ得る。所望のレベルのRTDを提供するための適切な流量制限要素は、当業者に公知である。一部の実施形態では、流量制限要素は、内部空洞の直径よりも小さな直径を有する一つ以上の穴などの収縮部であり得る。好ましい実施形態では、流量制限要素は、一つ以上のセルロースアセテートプラグなどの、一つ以上の繊維質濾過材料のプラグを含む。
【0134】
ヒーター要素の挿入後のエアロゾル発生物品の引き出し抵抗(RTD)は、約40mmWG~約140mmWGであることが好ましく、約80mmWG~約120mmWGであることがより好ましい。
【0135】
本明細書で使用される引き出し抵抗は、圧力の単位「mmWG」または「水柱ミリメートル」で表され、ISO6565:2002に従って測定される。
【0136】
流量制限要素は、エアロゾル発生物品の下流端に延在し得る。あるいは、中空口側端空洞は、流量制限要素の下流に提供され得る。
【0137】
流量制限要素は、エアロゾル発生物品に沿って長軸方向に約15ミリメートル~約25ミリメートル延在することが好ましい。
【0138】
流量制限要素は、流量制限要素およびエアロゾル発生基体のロッドが中空空間または空洞によって分離されるように、長軸方向にエアロゾル発生基体から離間していることが好ましい。構成要素の当該分離は、有利なことに、エアロゾル発生物品内のエアロゾルの形成のための空間を提供する。流量制限要素とエアロゾル発生フィルムとの間の長軸方向の間隔は、エアロゾル発生物品の長さの少なくとも約10パーセントであることが好ましく、長さの少なくとも約20パーセントであることがより好ましい。エアロゾル発生フィルムと流量制限要素との間の空間の長さは、エアロゾル発生基体のロッドの長さの少なくとも50パーセントであることが好ましい。
【0139】
好ましくは、エアロゾル発生物品は、エアロゾル発生基体のロッドの上流端を覆う上流封止要素をさらに含む。上流端の封止は、使用前にエアロゾル発生基体のロッド内への空気および水の侵入を有利に減少させる。これは、加熱時のエアロゾルの送達を最適化するために、保管中のエアロゾル発生フィルムの新鮮さを維持するのに役立つ。さらに、エアロゾル発生基体のロッドの上流端の封止は、保管中のエアロゾル発生フィルムの揮発性成分の喪失を低減し、消費者へのこれらの成分の送達を最大化させ得る。
【0140】
上流封止要素は、任意の適切な形態をとり得るが、エアロゾル発生基体のロッドの上流面を覆う材料のシートの形態であることが好ましい。材料のシートは実質的に不透過性であることが好ましい。上流封止要素は、紙、アルミニウム、ポリマー、またはそれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない、任意の適切なシート材料で形成され得る。
【0141】
壊れやすい上流封止要素が提供されることが好ましい。封止要素は、エアロゾル発生装置の中へのエアロゾル発生物品の挿入時にヒーター要素または他の貫通手段によって貫通され得るように、壊れやすい。繊維質濾過材料のプラグなどの支持要素は、所望する場合、ヒーター要素または他の貫通手段による壊れやすい上流封止要素の貫通を容易にするために、壊れやすい上流封止要素のすぐ後ろに提供され得る。
【0142】
上流封止要素に対して代替的にまたは追加的に、エアロゾル発生物品は、その下流端に下流封止要素をさらに備え得る。下流封止要素は、上流封止要素と同一または異なる形態であり得る。下流封止要素が提供される場合、使用前にエアロゾル発生物品から取り外され得るように取り外し可能であり得る。
【0143】
上流封止要素の提供に対して代替的にまたは追加的に、エアロゾル発生物品の上流端、エアロゾル発生基体のロッドの上流に管状支持要素が提供され得る。例えば、中空アセテート管は、エアロゾル発生基体のロッドの上流に、エアロゾル発生物品の上流端に提供され得る。管状支持要素は、有利なことに、使用前にエアロゾル発生フィルムがエアロゾル発生物品から喪失するリスクを最小化し得る。さらに、管状支持要素は、エアロゾル発生装置におけるエアロゾル発生物品の使用中に、内部ヒーター要素を、エアロゾル発生物品の中に挿入することおよびそこから取り外すことを容易にし得る。さらに、管状支持要素は、エアロゾル発生物品を通して気流を方向付ける、または制御するために使用され得る。
【0144】
上記で定義されるように、本発明の第三および第四の態様は、エアロゾル発生物品用のエアロゾル発生基体として使用するためのロッドを提供し、ロッドは、エアロゾル発生フィルムを含む。エアロゾル発生基体のロッドおよびエアロゾル発生フィルムは、本発明の第一および第二の態様に関連して上述した特徴または特性のいずれかを有し得る。
【0145】
上述の通り、本発明の第三の態様によるエアロゾル発生基体のロッドは、以下の定義の通り、本発明による方法を使用して製造され得る。この方法は、多価アルコールおよびセルロース系フィルム形成剤を含む水性フィルム形成組成物を提供する第一の工程と、シート材料を提供する第二の工程とを含む。第三の工程では、水性フィルム形成組成物をシート材料の表面上に適用してフィルム層を形成し、第四の工程では、フィルム層を乾燥させて、少なくとも25重量パーセントの多価アルコールおよび少なくとも10重量パーセントのセルロース系フィルム形成剤を有するエアロゾル発生フィルムを形成する。第五の工程では、フィルム層は、エアロゾル発生フィルムの露出表面積がエアロゾル発生フィルム1mg当たり少なくとも約5平方ミリメートルであるように、エアロゾル発生基体のロッドを形成するように構成される。
【0146】
上述の通り、本発明の第四の態様によるエアロゾル発生基体のロッドは、以下の定義の通り、本発明による方法を使用して製造され得る。この方法は、多価アルコールおよびセルロース系フィルム形成剤を含む水性フィルム形成組成物を提供する第一の工程と、シート材料を提供する第二の工程とを含む。第三の工程では、水性フィルム形成組成物をシート材料の表面上に適用してフィルム層を形成し、第四の工程では、フィルム層を乾燥させて、少なくとも約40重量パーセントの多価アルコールおよび少なくとも約10重量パーセントのセルロース系フィルム形成剤を有するエアロゾル発生フィルムを形成する。第五の工程では、フィルム層は、エアロゾル発生フィルムのかさ密度がエアロゾル発生基体のロッド立法センチメートル当たり少なくとも約100mgであるように、エアロゾル発生基体のロッドを形成するように構成される。
【0147】
本発明によるいずれかの方法では、構成する工程は、エアロゾル発生基体のロッド内のエアロゾル発生フィルムの所望の構成に依存する。例えば、上述のように、エアロゾル発生フィルムの複数の積み重ねられた層を含むエアロゾル発生基体のロッドを形成することが望ましい場合、エアロゾル発生フィルムを構成する工程は、エアロゾル発生フィルムの複数の層を形成し、複数の層を積み重ねてロッドを形成する工程を含み得る。あるいは、エアロゾル発生フィルムを構成する工程は、エアロゾル発生フィルムを集合してロッドを形成することを含み得る。あるいは、エアロゾル発生フィルムを構成する工程は、フィルム層から複数の細片を切断し、複数の細片をロッドに形成することを含み得る。
【0148】
上述の通り、本発明はさらに、本発明によるエアロゾル発生基体のロッドを含むエアロゾル発生物品を、エアロゾル発生物品を受容するように適合され、エアロゾル発生基体のロッドのエアロゾル発生フィルムを加熱するように構成されたヒーター要素を有する、電気的に作動するエアロゾル発生装置との組み合わせで備えるエアロゾル発生システムを提供する。エアロゾル発生物品は、上記で詳述したように、本発明の第三または第四の態様によるエアロゾル発生基体を含む。
【0149】
ヒーター要素は、エアロゾル発生フィルムを約摂氏120度~約摂氏350度の温度に加熱するように構成されることが好ましく、約摂氏200度~約摂氏220度の温度に加熱するように構成されることがより好ましい。
【0150】
電気的に作動するエアロゾル発生装置は、エアロゾル発生物品を外部から加熱するように構成され得る。エアロゾル発生物品を受容するように適合された細長い加熱チャンバーが提供され、ヒーター要素は、エアロゾル発生基体のロッドが加熱されるように、加熱チャンバーの周りに円周方向に提供されて、チャンバー内のエアロゾル発生物品を部分的または完全に囲む。
【0151】
あるいは、電気的に作動するエアロゾル発生装置は、エアロゾル発生物品を管状担体要素内から、内部から加熱するように構成され得る。エアロゾル発生フィルムを加熱するためにエアロゾル発生基体のロッドに挿入されるように適合される、細長いヒーターブレードまたはピンの形態のヒーター要素が提供される。
【0152】
本発明によるエアロゾル発生システムのいずれかでは、ヒーター要素は、熱を伝導するのに適切な任意の形態であり得る。エアロゾル発生システムは、誘導加熱装置を備えた電気的に作動するエアロゾル発生システムであり得る。誘導加熱装置は一般に、サセプタに結合されるように構成された誘導源を備える。誘導源により交流電磁場が発生し、これがサセプタ内に磁化または渦電流を誘起する。サセプタは、ヒステリシス損失または誘起された渦電流の結果として加熱されてもよく、これはオーム加熱または抵抗加熱を通してサセプタを加熱する。
【0153】
誘導加熱装置を備える電気的に作動するエアロゾル発生システムはまた、エアロゾル発生フィルムおよびエアロゾル発生フィルムと熱的に近接したサセプタを有するエアロゾル発生物品も備える。サセプタは、ヒステリシス損失または誘起された渦電流を通して加熱され、これは次に、エアロゾル発生フィルムを加熱する。典型的には、サセプタはエアロゾル発生フィルムと直接接触し、熱はサセプタから主に伝導によってエアロゾル発生フィルムに伝達される。誘導加熱装置およびサセプタを有するエアロゾル発生物品を有する電気的に動作するエアロゾル発生システムの例は、WO-A1-95/27411およびWO-A1-2015/177255に記述されている。
【0154】
ここで、図を参照しながら本発明をさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0155】
図1図1は、本発明の第一の実施形態によるエアロゾル発生物品の概略的な長軸方向の断面図を示す。
図2図2は、エアロゾル発生装置の内部ヒーター要素と組み合わせた、図1のエアロゾル発生物品の概略的な長軸方向の断面図を示す。
図3図3は、エアロゾル発生装置の外部ヒーター要素と組み合わせた、図1のエアロゾル発生物品の概略的な長軸方向の断面図を示す。
図4図4は、本発明の第二の実施形態によるエアロゾル発生物品の概略的な長軸方向の断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0156】
図1に示すエアロゾル発生物品10は、管状担体要素12、エアロゾル発生基体14および流量制限要素16を備える。
【0157】
管状担体要素12は、およそ12ミリメートルの長さおよびおよそ7ミリメートルの外径を有する紙管の形態である。管状担体要素12は、円筒形の形状であり、管状担体要素12の上流端20から下流端22に延在する、長軸方向に延在する内部空洞18を画定する。
【0158】
エアロゾル発生基体14のロッドは、エアロゾル発生フィルムの複数の層24を含む。図1に示すように、複数の層24の各々は、ロッド14の全長に沿って長軸方向に延在する。図1には示されていないが、層24は横方向に互いに離間している。層24の各々は、およそ0.25ミリメートルの厚さおよびおよそ10ミリメートルの長さを有する。ロッドは、約30枚のシートを含有する。ロッド14内のエアロゾル発生フィルムの総量はおよそ200mgである。
【0159】
エアロゾル発生フィルムの層24の露出表面積は、エアロゾル発生フィルム1mg当たり5平方ミリメートル超である。
【0160】
ロッド14内のエアロゾル発生フィルムのかさ密度は、ロッド14の立方センチメートル当たり100mg超である。
【0161】
エアロゾル発生フィルム14は、以下の組成を有する:
【表1】
【0162】
流量制限要素16は、下流端22に、管状担体要素12の内部空洞18内に提供されるセルロースアセテートトウの単一セグメントを含む。流量制限要素16は、およそ20ミリメートルの長さと、管状担体要素12の内部空洞18の直径に対応する外径とを有する。流量制限要素16は、エアロゾル発生フィルム14の下流にあり、管状担体要素12内に、エアロゾル発生フィルム14の下流端と流量制限要素16の上流端との間に空の空間が画定されるように、エアロゾル発生フィルム14から間隙を介している。
【0163】
管状担体要素12の上流端20は、管状担体要素12の端部の上に提供されて内部空洞18の上流端を封止するアルミニウムシートを含む、上流封止要素26によって封止される。
【0164】
図1に示すエアロゾル発生物品10は、エアロゾル発生フィルム14を加熱するためのヒーターを備える、電気的に作動するエアロゾル発生装置で使用するために特に適切である。
【0165】
図2は、ヒーターブレード52を有するエアロゾル発生装置50内で加熱されているエアロゾル発生物品10の概略図を示す。エアロゾル発生物品は、ヒーターブレード52が上流封止要素24を貫通し、エアロゾル発生フィルム24の層の間でエアロゾル発生基体14のロッドに挿入されるように、エアロゾル発生装置50に挿入される。
【0166】
使用中、ヒーターブレード52は、エアロゾル発生フィルムの層24を、エアロゾル発生フィルムからエアロゾルを発生させるのに十分な温度まで加熱する。エアロゾルは、流量制限要素16を通って引き出され、管状担体要素の下流端22を通って流出する。
【0167】
図3は、外部ヒーター要素64がエアロゾル発生基体14のロッドを組み込む管状担体要素12の上流部分を囲むように、エアロゾル発生物品の上流端が内部に挿入される加熱チャンバー62を有する代替的なエアロゾル発生装置60内で加熱されているエアロゾル発生物品10の概略図を示す。ヒーター要素64は、エアロゾル発生基体14のロッド内のエアロゾル発生フィルムの層24を管状担体要素12の外側から円周方向に加熱する。
【0168】
エアロゾル発生装置60はさらに、エアロゾル発生物品10が加熱チャンバー62の中に挿入されると上流封止要素24を貫通する貫通要素66を備える。
【0169】
図4は、本発明の第二の実施形態による、エアロゾル発生物品70を示し、これは図1に示すエアロゾル発生物品10の構成に類似するが、エアロゾル発生フィルムの異なる構成を有するエアロゾル発生基体74のロッドを含む。
【0170】
ロッド74は、エアロゾル発生フィルムの複数の層76を含む。図4に示すように、エアロゾル発生フィルムの層76の各々は、横方向に延在する。層76は互いに平行であり、隣接する層が互いに接触し、それらの間に長軸方向の間隔がないように積み重ねられる。層76は円形であり、管状担体要素12の内部空洞18の直径に実質的に対応する直径を有する。層76の各々は、およそ0.25ミリメートルの厚さを有し、ロッドはおよそ45の層を含有する。ロッド74の長さは、およそ5ミリメートルである。ロッド74内のエアロゾル発生フィルムの総量はおよそ200mgである。
【0171】
エアロゾル発生フィルムの層76の露出表面積は、エアロゾル発生フィルム1mg当たり5平方ミリメートル超である。
【0172】
ロッド74内のエアロゾル発生フィルムのかさ密度は、ロッド74の立方センチメートル当たり100mg超である。
【0173】
層76の各々は、表面上に配置された複数の空気流穴(図示せず)を含み、これは、使用中、ロッド74を通る空気流を可能にするのに十分な多孔性を層76に提供する。
【0174】
エアロゾル発生物品70は、エアロゾル発生物品10に関して上述した通り、エアロゾル発生装置で加熱され得る。
【0175】
当然のことながら、図1に示すエアロゾル発生物品10はまた、他のタイプのエアロゾル発生装置で使用するのに適切であり得る。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】